1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月十七日(金曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 加藤常太郎君
理事 金丸 信君 理事 丹羽喬四郎君
理事 森下 國雄君 理事 渡辺 栄一君
理事 岡本 隆一君 理事 佐野 憲治君
伊藤宗一郎君 稻村左近四郎君
浦野 幸男君 大野 明君
佐藤 孝行君 澁谷 直藏君
正示啓次郎君 田村 良平君
葉梨 信行君 廣瀬 正雄君
阿部 昭吾君 石川 次夫君
島上善五郎君 下平 正一君
福岡 義登君 渡辺 芳男君
吉田 之久君 北側 義一君
伏木 和雄君
出席国務大臣
建 設 大 臣 保利 茂君
出席政府委員
林野庁長官 片山 正英君
建設政務次官 仮谷 忠男君
建設省河川局長 坂野 重信君
建設省道路局長 蓑輪健二郎君
委員外の出席者
参 考 人
(電源開発株式
会社理事) 石井由太郎君
参 考 人
(電源開発株式
会社理事) 浅尾 格君
参 考 人
(電源開発株式
会社理事) 桑原 進君
専 門 員 熊本 政晴君
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五月十七日
委員井上普方君、樋上新一君及び渡部一郎君辞
任につき、その補欠として渡辺芳男君、北側義
一君及び伏木和雄君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員渡辺芳男君辞任につき、その補欠として井
上普方君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第九一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/0
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001・加藤常太郎
○加藤委員長 これより会議を開きます。
この際、仮谷政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。仮谷政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/1
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002・仮谷忠男
○仮谷政府委員 昨十六日の十勝沖の地震による被害状況を簡単に御報告申し上げます。
政府のほうでも緊急対策本部を設けまして、田中総理府総務長官が本部長になりまして、昨日六時から第一回の対策会議を開いたのでありますが、今朝の十時に北海道班と青森班と二班に別れまして調査団を派遣することにいたしました。
建設省からもそれぞれの所管の担当者がそれぞれの地区に調査に参っておるわけでありますが、現在までに判明いたしております災害状況を簡単に御報告申し上げますと、北海道では国道の被害を受けたもの六本、その他道道が五路線、河川が四河川、青森県が、国道が五本、県道が七本、河川が二川、海岸が一カ所、岩手県が、国道四本、県道が一本、秋田県が、国道二本、以上のような道路、河川その他の被害を受けておりますが、金額等についてはまだ詳細がつかめておりません。なお、道路関係は、大体本日中に一車線程度の交通が確保できる、こういう見通しでございます。
それから、住宅関係では、全体を含めまして、全壊が百十二戸、半壊が五百四十五戸、全焼が十三戸、半焼が七戸、一部破損が四百七十一戸床上浸水が八百七十二戸というような状態に相なっておるのであります。
なお、建設省におきましても非常災害対策本部を設置いたしまして、それぞれ万全を期しておるわけでありますが、いずれにいたしましても、本日出張いたしました調査班の帰省を待ちましてこれに対する対策を立ててまいりたいと思います。さきのえびの地震によります災害対策等の例もございますので、緊急対策等万全を期して遺憾のないようにいたしたいと思っております。
簡単でございますが、御報告を申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/2
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003・加藤常太郎
○加藤委員長 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
この際、おはかりいたします。
本案審査のため、本日電源開発株式会社から理事石井由太郎君、理事桑原進君、理事浅尾格君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/3
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004・加藤常太郎
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、参考人からの御意見聴取は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願いたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/4
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005・加藤常太郎
○加藤委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。吉田之久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/5
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006・吉田之久
○吉田(之)委員 ただいま政務次官のほうからきのうの十勝沖地震による被害状況についてのさしあたっての御報告があったわけでございます。われわれは、この地震によってあまりにも予期せざる大被害を発生させた事実、さらに、あまりにも地震対策上の多くの問題点があることをこの地震が明らかにしたということ等について、今後国土保全の観点からも大いに検討を要する問題であると考えるわけでございます。
それにいたしましても、治山治水上あるいは国土保全上の行政からながめまして、今度の地震の際にかろうじて免れ得た被害がただ一点評価されるのではないか。それは津波の被害がきわめて軽かったという事実であります。これは、一つは、たまたまこの地震発生の時点が干潮のピークに近かった、干潮時であったということ、それから二つ目には、東北地方の太平洋岸において、三十五年のチリ地震津波のあと、堤防工事や防備体制がほぼ完全に近かった。特に昨年十一月完成したばかりの宮城県の女川町などにおきましては、チリ地震のときには当時二十数億円の被害があったわけでございますけれども、今度の地震においては四メートルの高波をようやく岸壁すれすれに押えることができたということは、注目すべき一つの事実だと思うのであります。
われわれはこういうことを考えるときに、国土を保全するためになすべき多くの仕事というものが、あらためてこの機会に再確認されなければならないと思うのです。こうして免れ得た被害というものも現にあったわけでございますけれども、しかし、もしもこのときにこれが満潮時であった場合には、はたしてこれが免れ得たであろうかというふうな問題も一つ思い浮かび上がってくるわけでございます。あるいはまた、治山治水上において免れ得なかった被害というものが今後ますます明らかになってくるであろうと思うのです。こういう点につきまして、特にまず津波に対する被害をどの程度まで防止し得るかという、今日の時点における建設省としての見解を発表していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/6
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007・坂野重信
○坂野政府委員 津波につきましては、先生御承知のとおり、ちょうど昭和三十五年にチリ津波を受けまして、それで当省といたしましてチリ津波対策事業というものが行なわれまして、昭和四十一年にようやく全般の工事が完成した暁に、今回の地震津波を迎えたわけでございます。一般の地震津波は、非常に遠い場合と近い場合とございますが、チリ津波の場合は、先生御指摘のように、比較的波の低い状態でございましたので、低い状態に対する対策は十分できておったわけでございます。それによりまして今回もかなり災害防止に役立ったわけでございます。しかし、近くに起こる津波あるいはそういったいろいろな現象による近傍の波に対してはなお不十分な点がございまして、そういった点につきましては、今後も海岸の長期構想というものを一歩一歩推進するようにいたしたいと思うわけでございます。具体的に金額等でどれだけの津波をこれから——海岸堤防の高さとの関係につきましては、ちょっと詳細な資料を現在持ち合わせておりませんので、また必要に応じまして先生に御説明いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/7
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008・吉田之久
○吉田(之)委員 要するに地震の場合でも、あるいは風水害の場合でも、備えというものがいかに大きな効果を発揮するものであるかということを考える場合に、私は、今度新五カ年計画を打ち立ててそして新しく治山治水に対して対処していこうとする考え方には、大いに賛意を表する次第ではございますけれども、しかしながら、いままでの治山治水対策を顧みて、あまりにも政府の方針が朝令暮改の連続であったのではないかという感じがしてならないわけであります。特に昭和二十九年から三十八年にかけて最初に十カ年計画が打ち立てられておりますが、わずか二年をたたずして、三十一年から三十五年まで経済自立五カ年計画が打ち立てられ、直されております。しかも、それがまた二年を経て直ちに三十三年から三十七年への新長期経済計画に切りかわっておる。しかも、これもまた、三十五年から四十四年までの治水事業十カ年計画、すなわち、いま問題になっております治山治水緊急措置法の上程という形に変わっておる。しかも、それがまた、昭和四十年から四十四年まで中期経済計画に基づくところの治水事業五カ年計画に切りかえられておる。しかも、今度また再び昭和四十三年から四十七年までの新五カ年計画に変えられておる。一体これほどしばしば重大な計画の変更をし直さなければならないということ、しかも、今後もこういうことが絶えずあり得るものであるということを想定していまの新五カ年計画を立てようとしておられるかどうかという点が一番気になる問題でございますので、まず初めに御質問をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/8
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009・坂野重信
○坂野政府委員 確かに先生の御指摘のように、現行五カ年計画一兆一千億は、わずか三年目にして今度変更するということに相なったわけでございます。確かに見通しが悪いと御指摘になるかもしれませんが、当時、現行の五カ年計画の一兆一千億をつくりますのは、実は昭和三十八年ごろの時点で全体計画を一応水系ごとに立てまして、その時点におきまして九兆六千億というような全体計画を立てまして、第一期工事として一兆一千億ということに落ちついたのでございます。その後四年ないし五年経過したわけでございまして、最近におきましてまた新しい事態に備えまして新長期構想というものを打ち立てたわけでございます。それは昭和六十年を目標年次といたしまして、全体で二十三兆という新長期構想を打ち立てたわけでございますが、その中身は、最近の災害の状態を見てみますと、土石流を伴った災害が非常に多いとか、あるいは大河川よりも中小河川を中心とする災害が非常にふえている。気象状況を見てみましても、非常に局地的な集中豪雨の被害が多くなっている。それから都市周辺のいわゆる都市河川の災害というものが激増している。そういうようなことを加えまして、従来の考え方を若干そこで訂正いたしたわけでございます。水資源の問題も、最近またさらにここ四、五年の間に窮迫してまいりました。特に干ばつはここ二、三年続いてまいりまして、そういうことを踏まえまして、新しく治水ダムという小規模のダムをたくさんつくるというような計画の必要性も出てきたわけでございますので、そういう観点から、社会経済発展の展望に伴う治水計画の変更というものでそれに応じた新治水計画に踏み切らざるを得なくなってきた。質的にはそういうことでございますが、量的にも、現行の一兆一千億のままの伸び率で毎年やっておりましたのでは、いつ治水事業が終わるかわからぬような状態でございます。ひとつ早急に量をふやす必要があるということ、両方の面から、新しく今後改定する必要が出てきたわけでございます。私どもは全体の計画をにらんでおりますから、社会情勢が相当いろいろ変化いたしましても、おそらく今後そう再々この五カ年計画を変えることはないであろうというぐあいに、現時点では私ども見込みを立てておるわけでございます。その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/9
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010・吉田之久
○吉田(之)委員 いま現時点においては、今後しばしば五カ年計画を変えることはまずないであろう、そうしかお答えできようはないと思いますけれども、結局は、いつもそう言いながら、二、三年ごとに改定を余儀なくされておる。災害の発生が予想より多いとか、あるいは現在の計画が開発進度にマッチしない、あるいは経済社会発展計画にさらに合わせるためには手直しが必要であるとか、もろもろの理由はもちろん私は認めるにやぶさかではございませんけれども、しかし、今日までの経過を見ましたときに、いま御答弁のような若干の訂正とは受け取れない根本的な訂正、しかもそれがあまりにもしばしば行なわれておるということをやはり指摘せざるを得ないと思います。これはやはり政府のこうした治山治水に対する国家的な長期見通しがあまりにも欠除しておるからではないか、あるいは一応そういう見通しは立てても、それを計画執行していく意欲において何らかの問題——と申しますか、欠除が大き過ぎるのではないかという気がしてならないわけでございます。
そこで、いまも御答弁のとおり、これから昭和六十年度を目標にして、十八年の間に総額二十三兆円の投資を行なって国土保全の万全を期していこうというお考え方のようでありますが、これは前西村建設大臣時代、昭和四十二年の十月ごろに長期構想を明らかにされたことにのっとっていまこの計画に移ろうとしておられるのだというふうにわれわれは受け取るわけなんです。ところで、この十八年間に二十三兆円の大投資を行なって、長期にわたるわが国の治山治水計画を完全に確立しようとするにしては、この五カ年計画は万全であるのかどうか、その第一期計画としての新しい五カ年計画は、それの目標を達成するに足る、第一段階として完全な計画であるのかどうか、特に予算面において私は非常に疑わしい点を持つわけでございますけれども、その点、政府の御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/10
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011・坂野重信
○坂野政府委員 先ほど申し上げました二十三兆というのは、昭和六十年を目標にした数字でございまして、それを十八年間で実施するわけでございますけれども、その第一期が今度の二兆五百億ということでございます。伸び率の点から考えてみますと、昭和四十三年度を起点といたしまして平均毎年二二%ずつ伸ばしてまいりますと、大体五カ年で二兆五百億という額に達するわけでございます。その後私どもの予定では、さらに五年間そのペースでできれば伸ばしていきたい、そして十カ年を過ぎて、あとの八年間を一〇%ずつぐらいに伸び率を下げてまいりますと、大体二十三兆という数字に相なるわけでございます。もちろん、その間において国家財政等の関係でそのとおりにいくかどうか、むずかしい問題もあるかと思いますけれども、計画としてはそういうことを踏んでおりますので、その中で現行の五カ年計画二兆五百億は少ないのじゃないかという御指摘、確かにそのとおりでございますけれども、そういうペースでいきますと、大体どうにか二十三兆という投資額をカバーできる。しかもこの二兆五百億というのは、超重点といいますか、根幹的な事業を中心にしまして重点的に投資していこうというわけで、できるだけ防災効果の大きなものを考えていこうということ、その中においても中小の河川対策の問題を最重点にやっていきたい、土石流の対策も重点にやっていきたいということで、重点をしぼっていきまして、水資源の開発の問題にいたしましても、できるだけ長期的な計画を立てて、そのうちの第一期の五カ年でございますので、その辺と結びつきのあるような事業を実施していきたいというぐあいに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/11
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012・吉田之久
○吉田(之)委員 私は、どのように計算しても、いまのような御説明では、十八年間で二十三兆円にはならないと思うのです。これはたとえば算術計算をした場合に、二十三兆円を十八年で割れば、一年間に一兆円以上投資していかなければ目的額にはならないはずです。しかしながら、やり方としては、いままでの経過をながめましても、年々一定の率をかけてだんだんにカーブを上げていこうというふうに受け取れます。しかしながら、いまの説明を聞いておりますと、一定の段階で次第にカーブの倍率をゆるやかにしていこうというような計画もお持ちになっている。一体どうして二十三兆円になるのだろうかと思って、昨晩いろいろ計算をしてみたのです。なるほど、現行の五カ年計画では五カ年間で一兆一千億の額を見込んでおられる。予備費を入れてのことでございますが……。それから、今度の改定五ヵ年計画では、五カ年間で二兆五百億に予備費を入れて予算を確保しようとしておられる。要するに、これは計画を変えるごとに倍ずつにふやしていこうかというふうなことに受け取るならば、少し勘定は成り立ってくるわけなんです。もしそうだとするならば、二兆五百億とはおっしゃいますけれども、たとえば治水事業の場合に、その事業費はやはり一兆五千億しか考えられない。予備費の問題はあとで御質問いたしたいと思いますけれども、現実にはほとんど使用されておらないのでありまして、この予算は、げたばき予算と申しますか、かさ上げ予算のような感じを強く受けるわけでございます。
そこで、かりに治水事業の場合に、当初の五カ年計画で一兆五千億をもくろみ、そして五年後にもう一度五カ年計画を立てて、そのときにはいまの論法でこれを三兆円にする、その次の五カ年計画には六兆円にする、その次には十二兆円にする、倍々に計算していけば、四回あれば大体二十二兆ないし二十三兆になる。そういうことをお考えになっているのですか、政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/12
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013・仮谷忠男
○仮谷政府委員 吉田さんのお話しになられる趣旨は私どもよくわかります。率直に申し上げまして、五カ年計画というものが五カ年間で完全に遂行されて新しい計画に移るということは最近ないようでありまして、これは河川に限らず、道路あるいは漁港その他の問題でも、すべて途中で変更されて新しい計画になっておることは、おっしゃるとおりでございます。そういう意味において、見通しが悪いんじゃないか、あるいは朝令暮改じゃないかという批判は甘んじて受けなければならぬと、私は率直に認めております。ただ、先ほど河川局長が申しましたように、いろいろ経済の発展に伴って、都市の開発やら、あるいはたとえば農業構造改善といったような施策が急激に伸びていくものですから、そういう面から考えて、従来の考え方の河川計画というものを大幅に変更しなければならぬ事態が迫ってくる、そういうふうなことが考えられて今度の計画も実は立ったわけであります。率直に言って、五カ年計画を私とも立てた場合には、一定の金額で——たとえば、これは大蔵省との折衝もいたすわけでありますけれども、その場合においてすでに相当の額が折衝の段階において切られるということも、現実の問題としてわれわれ率直に認めておるわけであります。また、そういうことをかれこれ考えてみますと、必ずしも計算どおりいくというふうに私どもは確信を持って申し上げることはなかなか困難かと思うのでございますけれども、しかし、やはり改定と同時に、計画をふやしてそして目標を達成するように最大の努力を払っていく、財政とも見合わせながら最大の努力を払っていくということで努力を続けていかなければいかぬのじゃないか、それがいままでやってきたことであり、今後も私どもさらに努力をしなければいかぬ問題じゃないか、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/13
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014・吉田之久
○吉田(之)委員 実は政務次官がいまおっしゃったことこそ一番問題だと思うのです。計画どおりにはいかない。大蔵省が大なたをふるう、財政硬直という理由のもとにまたこの五カ年計画もだいぶ圧縮された、そういうことで、努力はなさっているでしょうけれども、それでは、当初設定した目標に達するのは、昭和六十年の目標が七十年にも七十五年にもおくれていくだろう。先ほど、チリ津波対策をたまたま講じられたことが今度の地震にも大きな効果を発揮しているという事実にかんがみるならば、私は、予算の捻出が安易であるとか、むずかしいとか、あるいは大蔵省が財政硬直を理由にこれを削るとか、いろいろな動きがあるわけでございますけれども、そういうこととは、極端に言えば、全く別問題に国土保全対策というものは遂行してやられなければならない、それなくしてはこれは意味を失うと思うのです。
特に私はそういう点でもう一度河川局長にお伺いいたしますけれども、先ほど私が言いましたように、かりにこれからは二、三年おきには改定しない、五年ごとに着実に改定していくとして、しかもその倍率を倍々に上げていけば、昭和六十年にはほぼ二十三兆円になるわけですけれども、先ほどの局長のお話によりますと、だんだんにそのアップ率をある段階からダウンさせていくといいますか、急速な一定のアップ率だけで六十年に達しようとは考えておられないというふうに私は受け取るわけですが、そうすれば数字上のつじつまが合わなくなってまいりますが、その点をもう少し御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/14
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015・坂野重信
○坂野政府委員 私の説明があるいは足らないで間違ってとられたかもしれませんが、一応計算上は、吉田先生もおっしゃるように、二兆五百億のうちで治水事業費が一兆五千億でございます。これが治水事業のいわゆる根幹をなすものでございます。これを昭和四十三年から、先ほど申し上げましたように、大体五十三年ころまで、二二・一%で、これは等比級数で伸びていくものですから、それでずっといきまして、それをこのまま伸ばすべきかもしれませんけれども、大体事業投資というのはやはり一つのカーブを描くのが常道じゃないか。それが五十三年ぐらいまでいきまして、それから以降は少しスローダウンいたしまして、一〇%と言いましたが、詳しく言えば九・九%でございます。それでずっと等比でいきますと、昭和六十年度で二十一兆八千億という数字になるわけです。これは計算上でございます。それで、予備費はこの中には含まないで、あと県単あるいは災害関連等、若干、一兆二千億ばかり見るわけでございます。そうすると大体二十三兆という数字に計算上はなりますので、できるだけその目標で進んでいくように努力いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/15
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016・吉田之久
○吉田(之)委員 最初の数字を一兆五千億と見まして、あるいは災害関連や県単事業等を入れて計算する、あるいは等比級数で計算してみると——あとで計算してみますけれども、ほぼ何とかその辺まで達するのかもしれません。しかし、私はこの機会によく伺っておきたいのですけれども、これは、いわゆる人件費の高騰であるとか、あるいは建築材料の高騰であるとか、そういう要素は一切見込まない二十三兆円であり、今度の一兆五千億円なんでしょうね。その点が一つ。
それから、めったなことがない限り、今後二、三年おきにいままでのようなやり方でまた改定をして、新々五カ年計画とかいうことで、そこで巧みに倍率を変えていく、そうでもしなければ追っつかないんだというふうな考え方も案ぜられるわけでありますけれども、そういうことはただいまの方針としては全くお考えになっておられないのかどうか、まずその辺のところを特に念を押しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/16
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017・坂野重信
○坂野政府委員 まず価格の問題でございますが、これは計算上は四十二年度現在の価格で計算いたしております。
それから、あとの計画の改定の問題でございます。これは、先ほども申し上げましたように、私どもは、現在の段階では、この二十三兆ということで相当大幅に見ておりますので、改定というようなことはできるだけ考えないで、所定のペースで進んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/17
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018・吉田之久
○吉田(之)委員 そこでまだ若干の心配があるわけなんですが、まさか、大蔵省にそのつど削られるであろうから、そういうことのサバを読んでの計画ではないですね。その辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/18
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019・坂野重信
○坂野政府委員 そういうことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/19
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020・吉田之久
○吉田(之)委員 それならば、政務次官、大蔵省が、今度の計画でも、要求改定計画と比べれば、治水事業でも五カ年計画で二兆四千億が二兆五百億に削られておるわけです。こういうことを断じてはね返していく、そのことなくしては所期の目的が達し得ないという、き然たる態度で臨み得るのかどうか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/20
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021・仮谷忠男
○仮谷政府委員 長期の二十三兆は決してサバを読んだものでないことは、御認識願えると思います。
それから、吉田さん、ざっくばらんに言って、いままでの改定の経緯というものは、大体大蔵省自体がほんとうは非常に締めるんです。そこで、最初の計画がスムーズにいかないから、これじゃ困る、だからもう一ぺん計画を立て直してさらに伸ばそうという、むしろ、われわれの側からいったら、伸ばすという一つの方法としてそういう問題を考えてきた面も確かにあったわけです。やはり改定するたびに伸びてきたことは間違いないのです。だから、伸ばすために、充実するためにむしろ改定を要求するといったような声が一般にもあるし、われわれもむしろそういった考え方でいった面も確かにある。改定するたびに、決して萎縮してなくて、伸びているということを御理解いただきたい。率直に言って、今度五カ年計画を完全に遂行するなら、やはり年々二二%ずつずっと伸ばさなければいかぬということです。これは、財政当局との折衝はなかなかたいへんだと思うのですけれども、立てた以上、われわれはあくまでもそれを遂行するように努力していかなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/21
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022・吉田之久
○吉田(之)委員 伸ばすためのテクニックとしてこういうことを絶えず繰り返していかれるということは、やはり国家の威信にかかわりますし、およそ一つの計画を立てて長期構想を進めていくというからには、そろそろこの辺で掛け値なしの計画を立てる、そのかわり立てた計画は断じてかちとって消化する、こういう方針がなければ、こういう法改定の意味がますます失われていくのじゃないか、単なるテクニックとして終始してしまうのではないか、まじめな論議ができなくなるというふうな気がするわけなんです。
特に私はこの機会に砂防事業の強化について申し上げたいと思うのです。治山治水は、もとよりその原因から直していかなければならない。特に最近の砂防事業というものが非常に予算が薄いのではないか。今度の治水計画等を見ましても、治山計画で六十年度に六兆四千億ですかの予算を消化するために新しい計画に差しかかろうとしておられるように思うわけなんです。時間がございませんので繰り返して聞きませんけれども、いままでお聞きしましたのと同じような意味で、この治山事業計画のほうの見通しは確かなのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/22
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023・片山正英
○片山(正)政府委員 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、私ども林野庁としての計画では、昭和六十年に六兆四千億を一応考えております。現在の五カ年計画では三千五百億を一応計画しておるわけでございます。そこで非常に大幅な違いがあるじゃないかという御指摘かと思います。先ほど建設省のほうから御説明もありましたように、われわれ年率大体二三、四%そのものを一応基準に伸ばしていっているわけでございます。そのような形で極力努力をしながら確保してまいりたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/23
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024・吉田之久
○吉田(之)委員 治水のほうが約二二%、治山のほうが二三、四%と、非常にきめのこまかいところを示しておられるのですが、大体二四、五%くらい見なければ——要するに、治山のほうに少しずつウエートをかけていかなければ、この両輪である事業は同一時点において所期の目的を達することができないのではないかというような気がいよいよいたしますので、その点は建設省と農林省のほうでさらにこれからもっと緊密な一元的な体制を組んで進めていくべきではないか。特に治山事業というものが、植林をしたり、あるいは防災ダムを——砂防ダムというのですか、つくったりする事業を、農林省と建設省両省にまたがって、ほとんど同じような仕事を、思い思いと言ったらしかられるかもしれませんけれども、ばらばらにやっておられる。こういう事業は集中した予算を集中した場所に投じてこそ初めて効果があがるものであって、山腹だけを建設省が砂防をやった、山頂のほうは農林省の計画のズレであと回しになった、したがって山腹は守り切れなくて、一切が徒労に帰したというふうな事実がいままでしばしば見られております。こういう点で、治山と治水というものは全く一元的なものでなければならない。ならば、治山治水のこの事業というものは、各省庁にまたがってやられるものであってはならないのではないか。そろそろこの辺の段階でもっと有機的な関連を持って一元的に計画され、そして集中的に予算を投じていくべきではないかというふうに考えるわけなんですけれども、大臣がおられませんので、政務次官、その点どのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/24
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025・仮谷忠男
○仮谷政府委員 治山治水対策が一体にならなければならぬということは全く同感でありまして、私ども実は現場でもそういう問題をしばしば見あるいは聞く問題であります。そういう面においては、いままでも計画の実施にあたって十分連絡をとってやっておりますけれども、今後は計画面あるいは実施の面から十分に連絡をし、一体になって目的達成に努力をしなければならぬということは、お説のとおりでありまして、今後十分努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/25
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026・吉田之久
○吉田(之)委員 次に予備費の問題なんですが、一体この予備費というのは何なんですか。伊勢湾台風程度の大災害が発生したときにだけ使われる予備費であるように聞いておりますけれども、それではこれはもう見せかけの予算にすぎない。最近予備費が使われた事例はないように承っておりますが、そういう緊急の大災害に対しては別途のもっと弾力性のある強力な予算措置をして、そして恒常的な治山治水に対しては、この予備費のような幻想的な金額を組み入れないというふうなことをしなければ、看板に偽りありというふうなかっこうになりはしないか。国民に錯覚を与えることになりはしないかという感じがするわけでありますが、次官いかにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/26
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027・仮谷忠男
○仮谷政府委員 五カ年計画を立てて、その規模の折衝にあたっては、私どもはできるだけ予備費というものを少なくしようということで、率直に申し上げまして、努力いたしてまいりました。ただ、今回の場合においても、かなり予備費の額が大きい。しかし、伊勢湾台風といったような、決して特定のものという意味ではなしに、相当の災害が起きた場合には、われわれはあくまでも予備費を使ってその所期の目的を達したいというふうに考えております。ただ、いままではそういうことで予備費を使用した例はないようであります。将来の計画については、予備費という、どっちかといえば少しあいまいなようなものは、できるだけ全体計画の中に組み入れていくということが理想であり、そういう方向で努力しなければならぬというのは、御意見と同じであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/27
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028・吉田之久
○吉田(之)委員 予備費は、相当の災害があれば考える、伊勢湾台風クラスというふうに断定して基準をきめてあるわけではないというお話でございますけれども、それならば、予備費使用基準というものをこの辺でやはり明らかにすべきではないかと思うのです。そのときそのときの大臣の考え方あるいは閣議の成り行きで使ったり使わなかったりするというふうなあいまいなことは、今日予算編成立上おかしいことだと思います。使用基準をこの辺の段階で明らかにする、あるいは、いま次官がお話しのとおり、予備費の性格についてもう少しはっきりしたものにしていこうという考え方を統一される御意思はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/28
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029・仮谷忠男
○仮谷政府委員 確かにそういうお考え方は私どもも同感でありまして、そういう面では常に財政当局とは折衝をいたしておりますが、いまの段階では、やはりそのつどの事態に応じて決定していくという形に相なっております。ただ、伊勢湾台風というお話が出ましたけれども、もちろん、相当の規模の災害があり、そのことによって将来に大きな影響を及ぼすといったようなことが確認されれば、われわれはできるだけ予備費を利用するということに努力しなければならぬというふうに考えておりますが、いま、どの時点で、どういう基準でというところまでは、残念ながら決定をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/29
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030・吉田之久
○吉田(之)委員 この辺の問題は早急に見解を統一していただきたい。あるいは、今後の対策について十分な協議を進めていただきたい。そうしないと、われわれはまじめにこの予備費について審議することができなくなるというふうな気がいたしますので、特に念を押しておきたいと思います。
この措置法の一部改正によりまして、閣議の決定をいたさなければならないことになります。その閣議決定の時期は、大体ことしのいつごろまでになさるつもりであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/30
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031・坂野重信
○坂野政府委員 現在大蔵省当局あるいは自治省当局等と内容につきましていろいろ協議をやっておりまして、五カ年計画のワクが大体いまきまりましたので、その原案につきましても各地建あるいは県等との細部を詰めておりまして、その詰めの作業がかなりかかるのでございますので、まだはっきりした見通しは申し上げられませんけれども、やはり少なくとも夏ごろまではかかるのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/31
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032・吉田之久
○吉田(之)委員 夏ごろ、したがって七、八月ごろまでに閣議決定を取りつけるというお考えと解釈していいわけですね。
そこで、同時に、治水事業一兆五千億の荒筋の配分と申しますか、たとえば河川に、あるいはダムに、あるいは砂防にどのくらいの比率で当面の五カ年は配分していくのが一番いいとお考えになっているのか、その辺の現時点における局長のお考え方を申していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/32
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033・坂野重信
○坂野政府委員 これは先ほど申し上げましたように、いろいろ積み上げてみまして、それをはじいて、また全体的に伸び率等々勘案して最終的にきめるわけでございますが、一応のわれわれの試算と申しますか、第一次の目標としては、一兆五千億のうち、大体河川が九千億、それからダムが二千八百億程度、砂防が三千億程度、そのくらいに考えております。これは一応の目算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/33
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034・吉田之久
○吉田(之)委員 五カ年計画に対する予算の質問等は以上にとどめます。
そこで、社会開発に伴って最近の災害が非常に大きくなっておるということがしばしば指摘されておるわけなんです。たとえば、小さい問題ではありますけれども、現に、名阪国道というものが建設されました。これは道路局長にお伺いいたしたいと思うのですが、この名阪国道をつくる際に、その隣接の部落の耕地であるところに対して相当な土を捨てているわけでありまして、そのときの契約では、いずれ完成後新しく河川をつけ直す、そうしてちゃんと処置をいたしますという約束ができているのですけれども、こういう仕事のあとというものは、なかなかにそういうアフターケアというものが完全にできないのが悲しい常識であります。そこで非常に災害が頻発いたしております。特に谷を埋めてあるいは山を切って一つの完全な舗装道路をつくる、高速道路をつくるということになると、いままでは、たとえば四十ミリの雨は四十ミリの被害しか与えなかったわけですけれども、今度は四十ミリの雨が一挙に八十ミリも百ミリもの被害として集中的に周辺の村落に被害を与えておる、こういう事態が至るところで、私どもの周辺でも起こっておるわけです。こういうあと始末は一体だれが最終的な責任をとるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/34
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035・蓑輪健二郎
○蓑輪政府委員 名阪国道の例をあげられましたが、一般に道路をつくります場合、ことにああいう名阪国道及び高速自動車国道が今後全国でやられるようになりますと、非常に大きな土工になると思います。それに伴いまして、やはり土をとったり土を捨てたりする機会が非常に多くなると思います。また、そうなりますと、やはりいままでと地形がかなり変わりまして、ちょっとした雨に対していままで以上の被害を起こすようなことがあるわけでございます。そういう問題につきましては、どこから土をとり、どこに捨てるか、それによりましてどういうような水の流れの状況になるか、よく検討して、被害を与えないような方法をいろいろ講じて設計をしておるわけでございます。あとから問題になりますのを振り返ってみますと、設計のときにも配慮が足りなかった点もあると思います。こういうところにつきましては、土捨て場の条件とか、それに伴ったいろいろな現地の被害につきましては、やはり道路が原因者でございますので、道路関係でできることを全力を尽くしてやりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/35
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036・吉田之久
○吉田(之)委員 次に河川局長にお伺いいたしますが、河川の改修、上で砂防をやり、あるいは下流のほうから逐次改修していく、大体いままでそういう方針でやっておられるだろうと思うのです。たとえば、最近急に非常に人口が集中してきた近郊地域と申しますか、そういう地帯では、十年くらいかかって本川から支川のほうに改修をしていく、ようやく一定のところまでやってきた、ところが、そのころには、その周辺に大きな団地ができ上がっておる、それで十分に排水をのみ切ることができない、また下から改修し直さなければならない、こういう問題が至るところで最近起こっております。全くさいの川原だと思うのです。そこで、向こう十年間くらいを見通して、たとえば住宅計画をどういうふうに打ち立てるか、これと見合う河川の改修計画をどのように進めていくか、こういう総合的な対策が講ぜられないと、国費の乱費もはなはだしいことになるのではないかというふうな気がいたします。こういう点について局長はどのようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/36
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037・坂野重信
○坂野政府委員 先生の御指摘のとおりでありまして、いま私どもの河川計画の一番の悩みも実はそこにあるわけであります。河川の全体の計画の問題について先生御指摘でございますけれども、それと同じようなことが各河川一本一本あるいは水系ごとの計画にも実は問題がございまして、私どももある程度は将来の流域の開発あるいは変貌というものを想定しておるわけでございます。そうしてそれに応じた改修をやっておりますけれども、最近非常に予想外のそういう宅地化だとか流域の開発が進んでまいりまして、私どもの予想している以上のそういった水の集中というような問題が起きてまいりました。それで非常に苦慮しておるわけでございます。そういう観点で、実は今度の新長期構想の計画の二十三兆の中にも、かなりそういった将来の見通しという問題も考えまして、そうして河川の一本一本の安全度を高くするように、はっきり言えば、河川のそういった集中流量を受け入れるような非常に大きな計画を立て直したわけでございます。そのために、先ほどお話ございましたように、二十三兆という大きな数字になりましたのは、実はそういう流域の開発に応ずる計画にしたためにそういうふうに大きくなったわけでございます。今後は、予算のつく限り、宅地開発による流量増というものをのみ切るように考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/37
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038・吉田之久
○吉田(之)委員 予算の面ではそういう配慮をしておられるようでありますけれども、実際問題として、これから十年先の住宅計画を持ってこいというふうに府県が命じたところで、たとえば民間で住宅事業をやっているところは、いろいろ用地買収の問題等もありますので、めったにこれを明らかにはいたしません。そうすると、結局いつまでも河川改修はめくらめっぽう——と言ったら少し語弊がありますけれども、目隠しされたままでやっていかなければならないという問題にお気づきになりますか。そうお気づきになるとするならば、今後こういう問題に対してはどういうふうに総合的に計画を立て直していくか、あるいはどういう指導をやっていくかという点についてお考えになる用意はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/38
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039・坂野重信
○坂野政府委員 確かに先生のおっしゃるとおりに、私どもは、河川という問題じゃなくて、流域全体の国土開発でも、そういった詳細な問題まで計画を察知して、その上に立って治水計画をやるのが理想だと思いますけれども、先生おっしゃいますように、十年後あるいは二十年後の流域がどういうぐあいに開発されていくかということの内容の詳細まではなかなか押えかねるために、また私どもとしては、一応、排水の問題にしても、水資源の開発の問題にしても、人口想定とか、そういったものによりまして地域のおおよその開発のめどを見越しまして、そういうことによって計画を立てております。しかし、御指摘のように、やはり現在やっておる中小河川等におきましても、かなりその当時には見込んだつもりでございますけれども、いまにしてみると、見込み方が少なかったという問題も所々方々に出ておるわけでございまして、まあひとつ今後は長期構想の段階でできるだけカバーしていきたいというぐあいに考えております。そしていろんな宅地開発によって流量が足らなくなって、今度は宅地開発までも成立が不可能になるというような問題も現実に起きておりますので、そういう問題につきましては、河川の改修費と同時に、宅造のほうの経費等もこれに加えまして、総合的にひとつそういった改修を促進していきたいというような、そういう制度もすでに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/39
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040・吉田之久
○吉田(之)委員 天井川という川ですね、非常に川底の高い川が各地にたくさん残っているわけなんです。これが災害に際して非常に大きな被害を発生させるというので、だんだん掘り込み河川に変えていこうとする計画があるように聞いておりますけれども、河川局長としてそういう指導をいよいよ強力にやっていかれるのかどうか。同時に、そういう方式に切りかえていこうとするならば、やはり話は元に戻りますけれども、山を治めるということを解決しないと、幾ら掘り込んだところでまた砂が流れ込むばかりではどうにもならないということを感じます。砂防事業の強化という問題との関連の中で一そうこういう点の計画を強力に進めていっていただきたい。
なお、時間の関係で、大臣お見えになりませんけれども、他に質問者の方も予定されておられますので、私の質問は一応これで終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/40
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041・坂野重信
○坂野政府委員 先生御指摘のように、天井川対策は非常にむずかしい問題でございます。天井川といいましても程度がいろいろございまして、非常に極端に言いますと、道路の上を川が走っておるというようなこともございます。そういう極端なものにつきましては、できれば川を切りかえて低いところにつくるというようなこともございます。それから、ある程度河床の上がっているようなものは、できるだけ川底を掘って、一つは砂利の生産性にも利するというようなことも考えまして、そういった面から河道計画の再検討をいたしておりまして、河道がこれ以上上がらないように、できるだけ下げるというようなことも考えております。それからもちろん砂防等を強化いたしまして、そういった上流川の流砂量をできるだけ調節するようなことも今後積極的に進めてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/41
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042・加藤常太郎
○加藤委員長 伏木和雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/42
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043・伏木和雄
○伏木委員 大臣が見えておりませんので、政務次官にお伺いしますが、きょうは実は電発の方にも来ていただいておりますので、建設省に対する質問はごくわずかにしてまいりたいと思います。
初めにお伺いしたいことは、現行の四十年から四十四年までの五カ年計画をここで変えるわけですが、今日まで現五カ年計画が何%まで終わったか、この点をまずお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/43
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044・坂野重信
○坂野政府委員 現行の治水事業五カ年計画は一兆一千億でございますが、その中におきまして治水事業が八千五百億でございます。それを中心にして申し上げますと、四十年から四十二年度までの実施額は四千七百四十一億円でございます。パーセンテージにいたしまして五五・八%でございます。これは当初の計画は五三・一%でございましたのですが、当初の計画に比べますとかなり伸び率が上がっておるというぐあいでございます。五五・八%進捗しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/44
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045・伏木和雄
○伏木委員 四十年から四十一年、四十二年、これで大体五〇%ということになっておりますが、この特に治水事業における長期計画というものは、当初計画を綿密に立て、そうして完全に施行できるような長期計画にしていかなくては、効率等におきましても非常にロスがあるのではないかというように考えられますが、三年間でこの五カ年計画を改定しなければならなくなったその理由についてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/45
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046・坂野重信
○坂野政府委員 これは量的の問題と、それから質的の問題と、二つからみ合っているわけでございます。
量的の問題から申し上げますと、先ほど申しましたように、当初のこの計画の伸び率は毎年平均一二%ずつ伸ばしていこうということでおったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、当初の計画に対して実際の実施が一七%ずつぐらい伸びておるわけでございます。ですから、現行の一兆一千億の五カ年計画というものは、当初の計画の予定よりもかなりスピードがアップされて実際に実行されておったというわけでございますので、残量がかなり少なくなっているということで、まあこの辺でひとつ切りかえをしなければ、あとの二年が先細りということになって、伸び率がスローダウンしていくという問題が一つございます。
それからもう一つの問題は、先ほどいろいろ申し上げましたように、災害の最近の実態等を見てまいりますと、従来はどちらかというと大河川を中心とする災害が非常に多かったわけでございますけれども、最近は中小河川の災害が非常にふえております。これはいろいろな条件があるわけでございまして、一つは気象的な条件もあると思いますが、そういった中小河川の災害がふておる、特に都市周辺の災害がふえてきておる、そういうことがございます。それと、一つは、砂防関係で非常に最近は土石流を伴った災害がふえておるわけでございます。これは従来には見られない非常に顕著な傾向でございます。それと、干ばつといいますか、そういった傾向がまたここ二、三年続いてまいりまして、そういうことを踏まえてまいりますと、内容的にもどうも従来の五カ年計画というものをかなり考え直して、新しい観点から五カ年計画を練り直す必要があるということで、先ほど申し上げました新長期構想というものを打ち立てたわけでございます。その一環として考えてまいりましても、そういうことで内容もだいぶ変わってくるし、量的にも現行の一兆一千億ではとてもカバーできないという新事態になってまいりましたので、今回改定しようということでお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/46
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047・伏木和雄
○伏木委員 昨年の集中豪雨による被害のおもなものは土石流ということがいわれておりますが、このような危険な河川というものはどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/47
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048・坂野重信
○坂野政府委員 四十一年度の調査でございますが、その結果によりますと、全国で土石流発生の危険な渓流は、一万五千六百四十五渓流ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/48
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049・伏木和雄
○伏木委員 約一万五千渓流の中で、今回の五カ年計画でどれくらいの河川が改修できるか、この点を説明しておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/49
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050・坂野重信
○坂野政府委員 そのうちで、特に人家の戸数の多い、経済効果の多いものを対象に考えますと、約千八百渓流、重点といたしまして新五カ年計画では大体千八百渓流を対象にして考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/50
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051・伏木和雄
○伏木委員 昨年集中豪雨が西日本あるいは新潟の方面にあったわけです。この昨年の集中豪雨における被害はどのくらいありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/51
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052・坂野重信
○坂野政府委員 ちょっと土石流だけ切り離した資料は、なかなかむずかしいものですから、申し上げておりませんが、そういった河川、砂防全体を含めた公共土木災害額は、たしか大体八百億程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/52
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053・伏木和雄
○伏木委員 昨年の水害のときも言われたことですが、天災ではなく、人災ではないかという議論が各所に見られておりました。この河川に関する災害は非常に大きな災害を起こしております。そこで、本日は電発にも来ていただいておりますので、若干趣を変えまして、いま問題になっている黒又水系にある黒又第二ダムについて若干お伺いしておきたいと思います。
最近この黒又第二ダムが非常に危険ではないかという住民の声が出ておりますが、このダムに関して建設省は何か報告を受けているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/53
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054・坂野重信
○坂野政府委員 このダムにつきましては、昨年の九月に北陸地方建設局の担当官が現地を見ておりまして、報告はございましたが、この報告の内容はあまり詳細には私聞いておりませんが、その当時の報告としては、たいした危険なことはあるまいというようなことであったと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/54
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055・伏木和雄
○伏木委員 たいしたことないというのは、どの程度の報告を受けておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/55
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056・坂野重信
○坂野政府委員 問題の意識があるいは当時薄弱だったかもしれませんけれども、漏水があるというような話で、現地の担当官、か行って——まだ科学的に詳しくは調べていないのでございますが、現地を目で見た感じを言っておると思います。ですから、そういうことでざっと見た感じではそれほど心配ないだろうということで、もちろん詳細なデータ等につきましてはまだ承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/56
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057・伏木和雄
○伏木委員 現地では相当の不安が出ております。きょうの東京新聞にも現地の人々の声が出ております。ことしは特に三十年来の大雪であった。これから雪解けを迎えるわけですが、現在漏水があるということで、この大量の水が流れ込んできた場合に万が一ということを住民が感ずるのは、当然のことであると思います。建設省のほうの調査では、科学的な根拠も別に求めていないようですし、見た感じか何かで危険がないというようなことを言っておるようですが、これでは住民は納得できないのではないか。むしろかえって不安がつのるのではないかというように感じますが、建設省に対する報告というものは、見た感じ程度の報告しかきていないのかどうか。これは大臣がいれば大臣に聞いてみたいのですが、大臣いませんので、政務次官どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/57
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058・坂野重信
○坂野政府委員 これは先ほど申し上げましたように、地方建設局で現地を見たわけでございますので、特に現地を見てこれは問題があるということならば、詳しくまた本省のほうにも上がってくると思います。現在のところ、あるいは地建のほうがうっかりしているかもしれませんけれども、地建のほうの判断では、たいしたことはあるまいということで、本省のほうにも現在のところ詳報が入っておらないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/58
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059・伏木和雄
○伏木委員 このダムについて定期検査は行なわれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/59
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060・坂野重信
○坂野政府委員 実はこのダムは、一級河川になる前に、県知事さんの管理しておられた時代にできたものでございまして、実は県と電発との関係でございまして、建設省の立場は、その後一級河川になってまいりましたので、そういう観点から現地を見たわけでございます。したがって、定期的な検査のほうは建設省では現在まではあまりやっておりませんが、今後は、新しい検査規程もできてまいりましたので、定期的に現地を十分調査するようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/60
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061・伏木和雄
○伏木委員 これでは住民は納得できぬと思うのです。三十九年に完成してから今日まで別に定期検査もやっていない。また、そのデータについては科学的な根拠に基づいてやっているわけでもない。単に見た感じである。住民のほうは非常に不安を感じているが、それに対して何ら説得力のある説明が加えられていない。現実に新潟地震以来漏水が多くなってきた、このように住民は言っております。
お伺いしておきたいことは、それでは、漏水というものはどの程度漏水量が出てきたならばダムに対する危険度として見られるのか、こういった科学的な根拠に基づいて調査をされているのか、その点をまずはっきりしておいていただきたいと思うのです。何らかの根拠に基づいてやるべきものなのか。黒又第二ダムの場合、漏水量がどのくらいになったら危険なのか、いまどのくらいだから危険でないということが建設省のほうでおわかりになっているのか、そういったものもわきまえずに、軽々に、危険はございませんということは、ちょっと答弁にはならないのではないか。
いまの点は局長にお伺いしますが、その前に、大臣がお見えになったので、この黒又第二ダムの漏水が多くなって現地住民が危険を感じているという報告を大臣は受けているかどうか、大臣からお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/61
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062・保利茂
○保利国務大臣 けさほど、ある新聞で大きく取り上げられておって、実はびっくりしておるようなわけであります。私はこの黒又ダムのことについては今日まで具体的にお話を伺っておりません。お話しのように、所管がどこであろうと、とにかく河川管理の任務を持っておりますから、そして河川管理は、住民の方々に、災害ではなく、しあわせを持ち来たらすという積極的な任務があるわけでございますから、たといどういうことであろうと、住民の方々に不安を起こすようなことに対しては、これはもう気をつけなければならぬことだと思います。必要があれば、建設省が直接当局調査をして必要な措置を講ずるなら講ずるというように、地域住民の方々に不安のないような処置をとるべきことは当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/62
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063・伏木和雄
○伏木委員 局長、さっきのことを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/63
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064・坂野重信
○坂野政府委員 漏水の問題でございますが、漏水につきましては、特に幾らまではいいとか、幾らまではいかぬとかいうような基準は、現在のところございません。問題は、ダムの周辺の地質の問題あるいは漏水の個所、漏水の状態、それからダムの水位との関係、そういうようないろんな関連がございまして、私どもとしては、まあ大体毎分三百リットルから六百リットルくらいまでは漏水を少なくともその程度に持っていきたいという一応常識的な考え方はございますけれども、それもはっきりした基準ではございませんので、その場その場の状態等に応じて判断いたしまして、出ている水の出方の状態、それから貯水位との関係、それから水が濁っているかどうかというような問題、そういうことも総合的に判定して、これならばだいじょう、ぶじゃないかという総合的な判断で考えているわけでございます。非常に判定がむずかしいわけでございますけれども、もちろん、漏水の状態の経年的な変化というものは十分——これはあぶないというような個所がごさいましたら、そういうところを重点的に経年的に調べてまいりまして、そして何らかの措置をそこで考えていくということで、いろんなダムにつきましても漏水のないダムは実はほとんどございませんので、ダムはほとんど例外なしに漏水があるわけでございますけれども、その漏水が危険であるかないかということが問題になるわけでございます。地方建設局の担当官が現地に行った判断では、まずまずたいしたことはあるまいということで判断したことだと思いますので、これはあぶないということならば、すぐに本省のほうにも詳細報告してまいるのは当然でございますけれども、現在のところ、地建のほうではそういうぐあいにいままでは考えておったということでございます。もちろん、大臣がおっしゃいましたように、住民に非常に不安があるということでございましたら、私どもも早急にひとつ調査班でも編成いたしまして現地につきまして十分調査をいたしまして対策を講じたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/64
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065・伏木和雄
○伏木委員 本庁のほうの問題に対する見方が非常に甘いんじゃないか。地建のほうで報告がないからというようなことを言っておりますが、そんなことをやっている間に万が一このダムに支障が起きたような場合は、やはりこれは本庁で責任をとるべき問題でありまして、地建のほうからの報告がなかったからということでは済まされない問題ではないかと思います。現実に私は現地から写真をとっていま手に入れておりますが、普通のダムですと、コンクリを打つ継ぎ目のところから出てくるのが漏水の常識ではないか、こういわれておりますが、これを見ますと、穴から出ている。にじみ出ているというのじゃなくて、まるで滝のように流れている。この写真を見ていただけばおわかりになります。毎秒二十リットルくらい出ているんじゃないか。毎秒二十リットル出たら、これは相当量になってまいります。先ほど、一分間に五十リットルとか六十リットルとかいうお話でしたが、毎秒そのくらい出ている。この写真を見ますと、滝のようになっています。しかも穴から出ているわけです。継ぎ目からにじみ出ているということではないわけです。これで現地の人が不安に思わないということは、不安に思わないほうがむしろおかしいのです。それに対して建設省は、出先から何も報告がない、見た感じでは何でもない、科学的な根拠はといえば、別に科学的な根拠に基づいたわけではない、これでは住民の不安はますますつのるばかりであります。現実にこのダムを見てみますと、アーチ式ダムですから、コンクリは薄く打ってあるそうですが、もしもアーチ式ダムが根元の岩盤のところにひびでも入ったならば、もう致命傷になる。この写真を見ますと、岩盤のきわに亀裂の入ったような姿も出ております。これでは万が一のことがあったら大問題ではないか。まして、私はこれでさらに不安を感ずるのは、水の中に入っている部分は見えないとしても、上部のほうはもうコンクリが欠けてぼろぼろしている。ここにも写真をとってあります。現実に現地の人から私はコンクリを持ってきてもらったわけですが、このコンクリは一番いいものだそうです。一番いいところでもこんなような状態になっています。ちょっと大臣見ておいてください。そういう状態になっておりながら、現地の指示を待つだけ、これはもう建設省の怠慢ではないか、こう思うわけですが、それにつきまして、どうしてそのコンクリの部分がそんなにぼろぼろ欠けるような工事をやったか、あるいはそのように漏水がたくさんある原因は一体何なのかという点について、きょうは電発から見えておりますから、電発の方からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/65
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066・浅尾格
○浅尾参考人 浅尾でございます。お答えいたします。
ただいま先生からいろいろ御心配をされた点がございましたが、黒又川第二ダムにつきましては、本体からはほとんど漏水はございません。いまそこの写真で見ますと非常にわかりにくいのでございますが、アーチダムでございますので、コンクリートのブロックとブロックのジョイントに、最後にコンクリートが冷えたときにセメントミルクを注入するわけでございます。この残りをあとで掃除すればよかったのでしょうが、一部残っておるわけでございます。
なお、この漏水につきましては、基礎部に、岩盤を処理するためにコンクリートの基礎の上流側にセメントで高圧注入を行ないまして、カーテングラウトを行なって、さらにそれから出た水をボーリング孔によって集めるというような仕組みになっておりますが、これから出ておる水を集めまして、これはダム主任者を置きまして毎月検査しているわけでございます。それで、その報告は、私どものほうは河川堰堤規則によって管理されるとともに、電気事業法によりまして発電用ダムとして管理されておりまして、通産省に毎月報告されております。
その漏水の実績は水位に伴いまして変化するわけてございまして、ダムの高さが八十二メートル幾らございますが、一番満水の場合、それから一番水位が低い、いわゆるローウォーターといいますが、この間三十七メートルございます。この間におきまして変化いたしますが、その変化の量は毎分四百リットルから毎分四十リットルという間を毎年毎年同じ経過をたどっておるわけでございまして、新潟地震におきまして非常に心配したのでございますが、その間におきましてもほとんど変化はございませんでした。
なお、ああいうアーチダムでございますので、特に注意して安全に万全を期したいというふうに考えております。
なお、コンクリートの凍害でございますが、本体コンクリートにはいささかもそのいうものはないのでございますが、あいにくあの工事は積雪時にやった関係上、工程のズレが出まして、ちょうどダムの本体が終わった後、ダムの頂上におきます高欄、それから取水口におきます階段というものが最後になったわけでございます。十二月の雪の降る前に仕上げようということでやった関係で凍害を受けたものと思っております。そういう無理をさせなければよかったと私ども思っておりますが、何分アーチダムというもので非常に薄いので、上を歩くにも非常に危険を感ずるということで、急遽寒いときにやりました関係上こういう弱いコンクリートができまして、申しわけなく思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/66
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067・伏木和雄
○伏木委員 いま電発のほうのそういうお答えですが、現実にはこちらには亀裂の出ている部分もあるわけです、穴だけでなく。まあこれはあとでお見せいたします。
本会議の都合で時間がないそうですから、先へまいりますが、大体この工事をやった際、現場の工事をやった人に聞くと、あのダムほどかわきがおそかったダムはない、いままで幾つか工事を経験しているけれども、かわきがおそかったというような声も聞いておりますし、また、一番問題になっているのはこのコンクリート打ちに使った砂利ではないか。当初川砂利を十万立米このダムに使う、黒又川から掘り上げたものを十万立米使うということに当初の計画がなっておったところ、実際は三万立米しか掘れなかった、残りは山砂利を持ってきてこれを砕いて使ったというようにいわれております。中には、あの程度の山砂利を使って工事をやっていいのならば、建設省の検査なんというものは簡単なものだというような現地の土建屋さんの声も、私、耳にしております。実際、当初の計画が川砂利でやるべきこのコンクリートの工事が山砂利に変わってしまったということにも、大きな原因があるんじゃないか。当初の計画と変わってしまった点については、電発のほうでは御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/67
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068・浅尾格
○浅尾参考人 お答えいたします。
黒又発電所につきましては、ダムと発電所を合わせまして約十二万立米かのコンクリートでございまして、このうち六万立米ですか、山砂利によって施工されました。当初は、仰せのように大部分を川の堆積物によるということでスタートしたのでありますが、現地調査の資料によってこれくらい使えるという見込みでスタートいたしましたが、非常に古い堆積物でございまして、その上の一ないし二メートルの部分が非常に有機物が多うございまして、木の根っこやその他いろいろ腐ったものが入っておる、これをいろいろ洗いましてコンクリート打ちをいたしましたら非常に強度が不完定であるというようなことで、これを捨てざるを得なくなった。それで山の採取場のいいところをさがしまして、そこで石を掘りましてコンクリート試験をいたしましたところ、十分アーチダムのコンクリートとして強度が期待できるということが判明いたしましたので、これをあとから追加して使うようにいたしたわけでございます。ですから、コンクリートの性能といたしましては、ほかの大きなダムでも砕石の砂利を使っておりまして、特に私どもはあれによって黒又川第二ダムが予定より劣化したというような考え方は持っていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/68
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069・伏木和雄
○伏木委員 この砂利については二千五百万円もかけて試掘をやっているはずですよ。一体その試掘はほんとうにやったんですか、二千五百万円も予算をかけて——答弁は簡単にしてください、時間がありませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/69
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070・浅尾格
○浅尾参考人 それにつきましては、金のほうは、調査費で——ちょっといま覚えておりませんが、確かに調査所というのができまして、調査いたしました。その関係で、こういうような、あとになって足りないという結果が一応出ましたので、これは工事の調査所長につきましては、当社といたしましても予定が狂いまして、懲戒の処分をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/70
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071・伏木和雄
○伏木委員 その調査をし、試掘をやった会社に対しては、責任の究明をやったわけですか。やったか、やらないかでよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/71
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072・浅尾格
○浅尾参考人 これはどこの業者がやりましたか、私は知りません。これは本工事を着工するずっと前のことでございます。しかし、この判定はあくまでも調査所に出ておりました技術者の責任でございますので、そういう処置をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/72
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073・伏木和雄
○伏木委員 私はしろうとですし、あなた方は専門家ですから十分御承知と思いますが、この山砂利を使うためには、これは砕石しまして相当の水洗いをやらないと、あとでコンクリの硬化が悪いということで、これはしろうとでもわかることです。このコンクリ山砂利の洗い出しについては、川砂利を洗うようなポンプでしかやらなかった、こういうところにも——ほかにも大きな問題があるわけです。
それから、このダム全体に山砂利を何%くらい使ったか、この点もはっきりしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/73
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074・浅尾格
○浅尾参考人 アーチダムのコンクリートでございますので、特に私どもは、洗浄、それからあとの製造につきましては注意を払ってやらしております。なお、この山砂利を使いましたために川砂利よりも値段は確かに上がっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/74
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075・伏木和雄
○伏木委員 何%くらい使っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/75
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076・浅尾格
○浅尾参考人 使用量といたしましては、全体といたしまして、発電所を含めまして十二万立米でございます。この中で、採掘によりますコンクリートは、約五〇%の六万立米でございます。
ダムにつきまして申しますと、九万一千立米のダムのコンクリートでございまして、それにつきまして約四万立米の砕石コンクリートが使用されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/76
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077・伏木和雄
○伏木委員 この山砂利が現地でもって非常に評判が悪い。鉄道においてもこの山砂利を使った。国鉄の只見線でこの山砂利を鉄橋に使って、最近、風に当たって風化して非常に心配で、これを新たに改修をやっているということを私たち聞いております。この辺の山砂利は、水に入っている部分はいいとしても、風に当たるとすぐ風化するという評判の砂利だ、こういうことも聞いておるわけです。ですから、過去にその実績として、国鉄自身が橋げたの改修をやっている。これはわずか十年しかたっていない橋げたですが、改修をやっておる。こういう過去に実績も出ているわけです。こうした問題の砂利を、しかもポンプも、川砂利を洗うようなポンプで簡単に洗って、そうしてこの中に大量に、六〇%も使用してしまった、そういうことから、現地では、このようにぼろぼろ欠けてくれば不安が起きる、あるいは水が流れて出ている姿を見れば、もしも決壊があったならばという不安を感じるのは、当然のことであると思うんです。
時間がありませんから、この問題はこのくらいにしておきたいと思います。
先ほど建設省のほうでも、科学的な調査に基づいていない、ただ見た感じで言っているということで、これは早急に調査団を派遣すべきだ、私はこう思うのですが、この点について、先ほど政務次官から、調査団を派遣したいというような意向もありましたが、大臣からお伺いしておきたいと思います。この問題について建設省として調査団を出して厳重に調査をするお気持ちがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/77
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078・保利茂
○保利国務大臣 とにかく、このダム流域の方々がそのダムによって不安を感ずるというようなことは、もうこれはたいへんなことでございますから、そういうことのないように積極的な姿勢をとるべきだと思います。
私ばきのうの地震で一番心配しましたのは、関係地帯のダムに影響はなかったろうかということが一番心配だったのです。幸いにそういうことがないようでございますので、安心しております。
ただいまの第二黒又ダムにつきましては、建設省として果たすべきことは当然果たさなければなりませんから、それにはやっぱり実態を見きわめなければならない。見きわめるために調査団を派遣するということは、至急取り計らいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/78
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079・伏木和雄
○伏木委員 ダムについては調査団を出していただくということで……(発言する者多し)ちょっとうるさいですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/79
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080・加藤常太郎
○加藤委員長 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/80
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081・伏木和雄
○伏木委員 にぎやかだと、静かになるまで黙っていますから……。
この黒又水系に関連して、只見川からの黒又に対する分水について、トンネルをつくってここへ分水をやるという計画があったはずでございますが、この計画が、実際、三億にのぼる予算を組んでおりながら、途中まで工事をやってこれを中止してしまった。一体何のために計画して、何が理由でこれを変更してしまったのか、この点を電発のほうからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/81
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082・石井由太郎
○石井参考人 ただいまお尋ねがございました黒又川の分水の中止の経過でございますが、只見川の開発計画ができましたときに、只見川本流系におきまして電気を起こしますと同時に、新潟県における主として農業用の水を確保するために七千三百万トンを奥只見から黒又ダムに流せということが決定されたのでございます。ただし、三千八百万トンほどをさらに豊水期には黒又川水系から只見川へ揚水して戻すということもつけ加えられまして、当時そのような計画が決定いたしておりました。てまえどもはそれに従いまして工事を進めておったのでございますが、この計画は、電気的に見ますと、只見川本流筋におきまして水を発電に使いましたほうが、より多くの電気を起こすことができ、有利であると考えられたのでございますけれども、農業用その他の必要があるといたしますればやむなしとして決定をされたわけでございます。ところが、ただいま問題になりました黒又川第二ダムを建設する段階になりまして、電気のほうから申しますと、ますますピークの大電力が要るという事情が一方にあり、かたがた、ダム建設の技術がだんだん進歩いたしまして、御指摘のアーチ式ダムによりましても相当高堰堤がっくれるということになりましたので、ここに六千万トンの総貯水量、有効貯水量五千万トンの大ダムをつくったわけでございます。このダムの水を農業に放流いたしますれば、信濃川流域の水の確保には問題なかろう、このような見地からいたしまして、新潟県方面からの御意向がこれをやめてもよろしいということでございましたので、新潟県とも相談して只見川からの分水の工事を中止し、後、電源開発調整審議会の議決を経まして正式にこれを中止いたしたわけでございます。
以上が中止の経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/82
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083・伏木和雄
○伏木委員 この工事について、当時吉田内閣のころでしたか、相当国会でも問題になって、その最後に、只見川の分水につきまして、総合開発について閣議で決定されたことというように聞いております、それがいつの間にか中止されてしまった。一体どこと相談してこの工事を中止したか、また、中止するまでにこの工事はどのくらい進んだのか、総予算のうちどのくらいまで支払ったのか、この点をはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/83
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084・石井由太郎
○石井参考人 ただいま御質問のございました分水の工事は、三億二千万円の予算をもって約三キロのトンネルを掘るという計画であったわけであります。そのトンネルを、物理的な進行程度では約三分の一、すなわち約千メートルほどのトンネルができました段階で、工事費的には約一億六千万円ほどの工事費、すなわち約半額の工事費を支出したところで中止いたしております。
なお、きまりました計画が変更されました事情と申しますか、背景と申しますか、これは結局いたしまするに、只見川からの分水を必要といたしました……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/84
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085・伏木和雄
○伏木委員 背景はいいから、どこと相談してきめたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/85
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086・石井由太郎
○石井参考人 これは新潟県の御意向が——新潟県にございました県会特別委員会というものがいろいろ御調査になりまして、ただいまの黒又第二の水で大きな貯水池をつくって流してくれるならば、下流の農業用水その他には一応差しつかえないという御検討から、てまえどものほうと相談の結果、中止をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/86
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087・伏木和雄
○伏木委員 その答弁はちょっと合わないと思うのですが、これは県会ではあまり問題にならないうちに——当時知事は病気であったそうです。副知事も何か入院しておったそうですが、何か電発と県の総務部長との話し合いでこれがきまってしまったというようなことを私たちは聞いておりますが、それは一応置いて、この工事が全長三キロのところを三分の一の一キロしか工事をやらない。正確には九百十五メートルだそうです。予算が三億一千九百万、そのうちこの工事に一億六千三百万、半分以上を三分の一に支払ってしまった。しかも、そのトンネルは、コンクリを打ったわけでない、巻き立てをしたわけでなし、ただ素掘りのままである。工事は三分の一しかやっていない。支払いのほうは総工費の五〇%以上も払っている。一体これは何をやっておったのかという問題が出てまいると思います。
時間がありませんので、この点はあとでやるとして、さらに私はふしぎに思うのは、これを中止したことによって、分水計画を中止した当時、関係町村に対して協力費を支払っている。一体こういうものが法律で認められるものであるかどうか。何の目的をもってこういった協力費を支払っているのか。二億三千万円支払いがされているわけです。中止ということになったことと、その二億三千万円の支払いとは一体どういう関係になっているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/87
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088・石井由太郎
○石井参考人 当時私どもが黒又川の分水計画を中止することは新潟県のほうの御要望としては差しつかえないけれども、ただ、ただいままで黒又川第一発電所を建設し、また第二発電所ないしは第三発電所等を建設することに伴って地元がいろいろな要求を持っている。たとえて言えば、従来黒又第一発電所建設過程におきまして私どもは解決したと考えておりますけれども、地元の町村等におかれましてはまだ未解決であると言っております林道の開発でありますとか、あるいは只見の開発でありますとか、そのような要求、あるいはし尿処理、衛生施設、このようなもろもろの要求を各町村が持っておったわけでございます。このような問題をすべてこの場合解決してもらわなければならぬという御意向がございまして、これらのものとして二億三千万円、また県がこの分水利用を中止いたした善後措置、このために五千五百万円、締めて二億八千五百万円というものの経費を出してくれるかどうかというお話がございまして、いろいろな見地から政治的な判断をいたしたのでございますが、われわれとしては、経済的に各種の経費の節減あるいは電気出力の増加、そのようなものと見合って有利であるというように判断して、これを出したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/88
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089・伏木和雄
○伏木委員 おかしいじゃないですか。これはそうした施設をつくる、あるいは黒又第二ダムの工事に伴うところの——何かいまの答弁ですと補償的な感じがするのです。これは補償なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/89
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090・石井由太郎
○石井参考人 いろいろな地元の御協力に対するお礼といいますか、謝意といいますか、このようなもの、あるいはわれわれが施設しなければならないものの施設費の支出、あるいは県が地元に対して分水開始に伴いまして各種の措置をとらなければならぬ費用の負担、弁償といいますか、このようなものが含まれたものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/90
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091・伏木和雄
○伏木委員 この金は分水のトンネル工事を中止したことによって支払われたわけですよ。中止をするということに伴って支出されているのですから、ここのところはちょっとおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/91
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092・石井由太郎
○石井参考人 私どもから、黒又第二発電所のダムから必要時には水を出すということによりまして、分水の目的でありました農業用の水量確保ということはこれでできるわけでございますけれども、この問題を解決すると一緒に、従来電発と地元町村との間でいろいろひっかかりがあります各種の問題、今後黒又川の第二建設をやるにつきましての対地元関係で出てくるであろう諸問題、並びに県が分水廃止のために地元に各種の措置をしなければならぬ、このような経費を含めて二億八千五百万円を払ってくれればというお話がございまして、これを支払ったものでございまして、時間的には分水廃止と一緒ではございますけれども、分水停止の対価あるいは牽連関係というものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/92
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093・伏木和雄
○伏木委員 時間がないようですから、これはまたの機会にやらしていただくとして、この地域開発費ですか、二億八千五百万、これが黒又水系とは全然関係のない湯之谷村に払われているというのは——あなたの答弁でいくと、水系を中心とした地域の開発ということですが、この湯之谷村は黒又水系とは全然関係のないところだ。こうした問題、それからこれらについて工事中止を理由に払った二億八千五百万円——本来三億一千九百万円かければこのトンネル工事は完成するということでありますが、これに対して、中間的に一億六千三百万、また、この工事中止という理由のもとに二億八千五百万円、合計で約四億五千万円支払われている。三億一千万円あればできるものを、三分の一の工事もやらないうちに四億五千万円も支払わなければならないというところに私たちは非常に政治的な暗い感じがするわけです。しかも、閣議でもってあれほどにもまれた問題が、県の総務部長と電発との間の話し合いによってこれが中止されてしまった、しかも経費も四億円以上が支出されている、なお黒又水系以外の湯之谷村までもこれが支払われている、こうしたことから私は非常に政治的なものを感ずるわけですが、これは時間がありませんからまたの機会に譲ることとして、こうした河川改修あるいは河川の利用に伴って行なわれるところの政治的な問題は、もっと住民本位に国家予算というものを……(「国家予算じゃない、株式会社だ」と呼ぶ者あり)株式会社でも、電発は九九%は資本金が国から出ておるのです。電発は、株式会社といっても、国民の会社です。ですから、あえて申し上げておくわけです。なおこの問題については今後機会を得ましてさらにこちらの資料に基づいて追及してまいりたい、こう考えるわけです。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/93
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094・石井由太郎
○石井参考人 私、先ほどの御説明の中に一言申し落としましたが、湯之谷村に対しましては五千五百万円払いましたが、これは私どもが払ったのではございません。あそこに奥只見発電所をつくるときに、約四十億円かけまして道路をつくったわけでございます。この道路に対しまして、向こう四年間固定資産税をかけないという約定をつくりまして、この問題が時を同じくして解決されたのでありまして、決して分水廃止の対価という意味ではないということを申し上げておきます。したがって、四年間の固定資産税が一億五千万円に相なりますが、これの利益というようなものを考慮して経営判断をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/94
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095・加藤常太郎
○加藤委員長 これにて本案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/95
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096・加藤常太郎
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/96
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097・加藤常太郎
○加藤委員長 これより討論に入るのが順序でありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/97
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098・加藤常太郎
○加藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
おはかりいたします。
ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/98
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099・加藤常太郎
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/99
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100・加藤常太郎
○加藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる二十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02319680517/100
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