1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年三月二十二日(金曜日)
午前十時五十分開議
出席委員
委員長 田村 元君
理事 金子 一平君 理事 毛利 松平君
理事 山中 貞利君 理事 渡辺美智雄君
理事 只松 祐治君 理事 村山 喜一君
理事 竹本 孫一君
大久保武雄君 奧野 誠亮君
河野 洋平君 小山 省二君
四宮 久吉君 地崎宇三郎君
西岡 武夫君 古屋 亨君
村上信二郎君 村山 達雄君
山下 元利君 吉田 重延君
井手 以誠君 佐藤觀次郎君
中嶋 英夫君 広沢 賢一君
広瀬 秀吉君 武藤 山治君
岡沢 完治君 河村 勝君
田中 昭二君
出席政府委員
大蔵政務次官 倉成 正君
大蔵省主計局次
長 相沢 英之君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
委員外の出席者
自治省税務局府
県税課長 森岡 敞君
専 門 員 抜井 光三君
―――――――――――――
三月二十二日
委員岡沢完治君及び松本忠助君辞任につき、そ
の補欠として西村榮一君及び広沢直樹君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員西村榮一君辞任につき、その補欠として岡
澤完治君が議長の指名で委員に選任された。
―――――――――――――
三月二十一日
農地の相続税及び贈与税の評価方法に関する陳
情書(第一一五号)
売上税創設反対に関する陳情書
(第一一六号)
勤労所得税の課税最低限度額引上げ等に関する
陳情書外九百六十二件
(第一五一号)
売上税創設反対等に関する陳情書
(第
一五八号)
中華人民共和国からの輸入品に対する関税格差
撤廃に関する陳情書
(第一五九号)
国立療養所の特別会計制等に関する陳情書
(第一九四号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
七号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/0
-
001・田村元
○田村委員長 これより会議を開きます。
所得税法の一部を改正する法律案及び法人税の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。岡沢完治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/1
-
002・岡沢完治
○岡沢委員 私は、約四十分ほどいただきまして、最初に税体系の問題、それから所得税の税率の問題それからサラリーマン減税の問題、住宅減税の問題、最後に徴税機構の一元化あるいは税制機構の一元化、合理化の問題等についてお尋ねをいたしたいと思います。
最初に、税体系の問題でございますけれども、申し上げるまでもなしに、いかなる税目によって税体系を構成するかということは、きわめて重要な問題でございます。その構成が、個々の納税者の間に配分される税負担に異同を生ずることはもちろんでございますけれども、一国の、日本の経済一般に対しても、大きな影響を与えると私は考えます。税体系の問題につきましては、従来から直接税、間接税の割合をどうするかということ。が、しばしば議論されてきたわけでございますが、以下、二、三の点について大蔵省の、特に大臣と主税局長——大臣はおられませんから、倉成次官の御見解と主税局長の御見解を伺いたいと思います。
最初に、四十三年度の税制改正によりまして、直接税と間接税の割合がどういうふうになるのか、お尋ねいたします。
〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/2
-
003・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 四十三年度の税制改正を実施いたしますと、四十三年度の直接税と間接税の比率は、直接税が五九・七%、間接税が四〇・三%程度になる見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/3
-
004・岡沢完治
○岡沢委員 昨年及び一昨年の比率をちょっと聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/4
-
005・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 四十二年度の補正後の姿で申し上げますと、直接税が六〇・一%、間接税が三九・九%でございまして、四十一年の実績は、直接税が五九・三%、間接税が四〇・七%でございます。したがいまして、四十三年度の予算で見積もったところでは、四十一年度よりは間接税の比重が下がっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/5
-
006・岡沢完治
○岡沢委員 いま、お答えがございましたが、少なくとも、四十二年度と四十三年度を比較いたしますと、間接税の比重が上がる。かつて田中大蔵大臣の時代に、間接税中心の方向に移行するという意味の発言がございました。今回の間接税の増税、あとでたばこその他の議論になりますけれども、間接税中心の税体系に移行しようという田中前大蔵大臣の考えの方向にわが国の体系も進もうということのあらわれと見ていいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/6
-
007・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 今回の改正は、毎々申し上げておりますように、一方においてはわが国の税制におきましては、所得税、法人税から生じまする自然増収が大体七割近くを占めるわけでございます。したがいまして、ほうっておきますと、直接税のウエートは、だんだん高くなります。その中で負担の過重を来たしておると見られる所得税については減税をする。一方、酒、たばこにつきましては、たとえば酒でございますと、ここ十年程度の国民総生産に対する酒税の弾性値を見ますと、〇・七七ということになっておりまして、毎年ウエートがむしろ減ってくる傾向にあるわけでございます。租税全体の弾性値は一以上でございます。これが一つの理由としては、酒、たばこについては従量税率がとられておりまして、全体の所得、物価水準が変わってくるのにかかわらず、定額に置いてある。そのために相対的に税負担が低下する。その他の税は大体所得、物価にスライドして税が上がってくるものでございます。それを直そうという趣旨でございますので、したがいまして、いま御指摘がございましたが、四十二年度に対しては、確かに若干、間接税の比率は上がりますけれども、その前の年から比べますと、むしろ下がっておる。まだ直し切れないという姿でございます。
たとえば、昭和三十年の初めごろは、大体間接税が五〇%程度に近づいた時期がございます。その後、毎年毎年負担が下がってまいります。現在四〇%程度になっているわけでございます。ですから、今度の改正の意図というのは、間接税移行というような意味ではなくて、むしろ租税体系の中の経済の動きに対応するズレを修正しようという意図が強かったとお考えいただきたいと思います。
なお、中間答申におきましては、直間比率というものを画一的にきめることはできないけれども、日本の現状から見ると、大体いまの直間比率程度を維持するように将来考えていくべきだということをいっておりまして、その意味では、主として所得税の軽減、同時にこういうふうに負担の見えざる軽減が行なわれます租税に対する調整、これを続けていくべきではないかという考え方を明らかにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/7
-
008・岡沢完治
○岡沢委員 それでは、水田大蔵大臣も昨年、いわゆる法人税斜陽論というのをお唱えになりました。大蔵省といたしましては、将来法人税にかえて、一般売り上げ税を創設すべきであるというような考え方を持っておられるというようなふうにも感じられるのでございますけれども、近い将来、一般売り上げ税の創設を行なうおつもりがあるかどうか、次官からでも、局長からでもけっこうでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/8
-
009・倉成正
○倉成政府委員 ただいま主税局長からお答えいたしましたように、直接税、間接税というのは、一定の比率があるわけではないけれども、大体税制調査会の答申等でも、現状程度のものは維持すべきではないかという中間答申が出ているわけであります。わが国の租税体系でも、国税についてみますと、戦前、昭和九年から十一年ころは、直接税が三四・八、間接税が六五・二というふうに間接税の比率が大きかったわけでございます。それからまた、欧米諸国をとりましても、アメリカ、イギリスは大体直接税中心、それからフランス、イタリアが特に間接税中心、西ドイツも日本よりは間接税のウエートが重い、こういう関係になっているわけであります。
そこで、わが国の租税構造をこれからどう持っていくかという問題は、ただいま税制調査会でいろいろ御議論いただいておるところでありますけれども、御案内のように、現在日本の間接税は、酒とたばこというのがその大宗をなしておるわけでありますけれども、酒税あるいはたばこ税は、年年ある程度増加しておりますけれども、おのずからこういった個別消費税については、そのほか物品税等については限界がある。したがって、包括的なそういう間接税をとってみたらどうだろうか、特にいまEEC諸国においては売り上げ税、あるいはほとんど今回付加価値税に統一されましたが、そういった税制があるわけでありますから、そういったことを踏まえて御発言になったと思いますけれども、まだ十分に固まったものではない。まあ個別消費税については限界があるし、また所得税だけにウエートを置くのもどんなものであろうかという、一つの将来の税制構造に対する疑問というか、そういう問題点を大臣として御提起になったというふうにわれわれ理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/9
-
010・岡沢完治
○岡沢委員 それでは、その問題は時間の関係でそれくらいにいたしまして、もう一つ、私はきわめて大事な問題だと思っております所得税の税率の問題について、お尋ねいたしたいと思います。
きのうも社会党の井手委員も御質問になりましたけれども、私は、現行の税制がきわめて強い累進課税を持っている、そのために、最近のように経済成長が非常に激しい速度で続きます場合に、所得税負担の急激な増加をもたらすというところに問題があろうかと思うわけであります。このような事情に対応して、毎年所得税の課税最低限の引き上げの問題は、議論もされ、また実現もされてきておるわけでありますけれども、所得税の税率構造については、昭和三十二年の改正があった以後、四十一年度にたしか中堅所得層について一応緩和がはかられましたが、それ以外税率の改正は全然行なわれていないのでございます。そのために税率適用の階層の幅がかなり狭くなっているということが指摘されるのではないかと思います。最近十年間の平均で二・二倍という諸外国にも例を見ない高い税収の弾性値は、こういうような累進構造に原因があるように私は思うのでございます。昨年の税制調査会の中間答申でも、所得税の課税最低限を八十三万円に引き上げる目標とともに、あわせて税率改正の問題も指摘されておるわけであります。この課税最低限の問題は、今度の改正案でも盛られておりますけれども、税率の問題は、いわば無視されているというような感じを私は受けるわけでございます。中堅所得者階層のために、この際やはり累進税率の緩和をはかることが現実の問題としてきわめて必要ではないか。ここで私が申し上げるまでもなく、中堅負担層の育成と申しますか、これは日本の経済の発展だけではなしに、国民生活の安定のためにも、あるいは政治の方向としてもきわめて重要な問題である。そういう点から、税率改正について、政府としてどういう方針を持っておられるか、これは政務次官からも主税局長からもぜひ具体的に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/10
-
011・倉成正
○倉成政府委員 ただいま所得税の構造に関する非常に重要な問題の御提起がありました。わが国の所得税の累進構造というか、弾性値が高いのは二つ原因があると思います。
一つは、経済成長が、過去十年を平均いたしますと一〇%をこえるという異常な高い経済成長でございますので、したがって、それに見合って税が非常に累進していくというやはり一つの宿命を持っていると思うわけであります。欧米については、御承知のとおり、せいぜい三%ないし四%というわけであります。
それからもう一つは、やはり税の段階のきざみが、間が非常に離れておるということは御指摘のとおりでありまして、今度最低税率が九・五になりましたけれども、あと一〇、一五、二〇、二五、三〇というふうにきざみが非常に大きいものでありますから、ちょっと所得がふえますと、上の段階の税率が適用される。そういうことで累進的な効果をもたらした。アメリカのような所得税になりますと、非常になだらかに一ないし二のきざみくらいでいっている。ですから、御指摘のように、将来はやはりこの税の構造をできるだけなだらかにもっていく。こういう一〇とか一五とか二〇とかいうようなものでなくて、もう少し小きざみにもっていくというのが将来の理想ではなかろうかと思うわけであります。
しかし、何といっても、税収をある程度確保しなければいけないということを前提に置いて、また同時に、ただいま御指摘のような中堅所得層の負担の軽減をはかるということを考えてまいりますと、二つの目的を達するためにはどうしたらいいかということになってまいりますと、いま直ちにこの税率の段階を変えるということは、非常に多額の財源を要するということになりますので、中堅層あるいは独身者の負担を軽減するという点については、やはり課税最低限を上げるということが、現段階における一番適切な方向ではなかろうかということで、今年も十万円の引き上げをいたしまして、夫婦子三人で八十三万円という課税最低限を設けたわけであります。こういうことになっておるわけでありまして、決してこれで満足しておるわけではございませんで、将来御指摘の方向にだんだん向かっていくことが理想ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/11
-
012・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま政務次官が言われたことで尽きていると思いますが、御承知のとおり所得税の税率というものは非常に伝統的と申しますか、従来からの継続性というものがございますので、なかなか緩和がむずかしいという点がございます。たとえばわが国では、戦後シャウプ税制によって、大幅な税体系の変革が行なわれた。シャウプ税制は、日本の税制に対して非常にこまかい、公平という観念を導入したわけでございますが、何と申しましても、当時の財政事情から申しまして、いわゆる垂直的公平という点は十分はかられなかった点がございます。ですから、当時は課税所得が五十万円をこえると最高の税率を適用するというようなきびしい税率でございます。しかし、当時の国民所得は低かったわけで、現在は当時から見ると、国民所得が十倍近くになっております。それを考えますと、当然その間に、税率の緩和が行なわれてしかるべしということになると思うのでございますが、それが昭和三十二年に相当思い切った緩和をいたしましたが、その後さらに所得水準が上がりましたので、おっしゃったとおり、税率構成というものが実態に沿わなくなってきつつあるということは事実だと思います。ただ、いままで日本の所得構成というものが、どちらかと申しますと、小さいほうの所得に広く広がっておりました。
そこで、三十五、六年当時でございますと、給与所得の収入金額が百万円をこえるという人が二、三%しかなかった。したがって、そういうところでは税率の緩和よりも、課税最低限の引き上げによる影響のほうが、はるかにきくものでございますので、課税最低限の引き上げということにどうしても片寄らざるを得なかったと思います。しかし、現在になってまいりますと、おそらく昭和四十三年度——四十三年度の実績がまだ出ておりませんのでわかりませんが、推計をいたしますと、給与所得の収入が百万円以上というのが納税義務者の二割をこえると思います。これは三十五、六年当時の十倍以上の数字になっているのではないかと思います。そういうことになってまいりますと、やはり税率に対しても手を加えないと、さっきおっしゃいました大きな弾性値というものは救えないのではないか。弾性値が生ずる理由として、一つは課税最低限から出てまいりますし、一つは税率から出てまいりますが、課税最低限のほうから出てくる部分が非常に大きいかと考えられます。ところが、いろいろ推算してみますと、百五十万円程度の所得者のところでも、弾性値を計算してみると、やはり二・二に近くなる。そうしてみると、あの辺のきざみはかなりきついなという感じはございます。そういうことで、私どもといたしましては、所得税の理想的な体系としては、課税最低限がここまで上がってまいりますと、もはや課税最低限と税率と二つに分けて減税財源をあんばいするところまで近づいてきたのではないかという感じはいたしますが、何せ税率に手をつけますと、かなりの財源が要るわけでございまして、その財政事情を勘案しながらも、意図的にはその方向をだんだんと強めていく必要があるのではなかろうかという感じがするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/12
-
013・岡沢完治
○岡沢委員 お答えにもございましたし、私も指摘しましたように、昭和三十二年の税率改正以来十二年間そのままである。しかもその間に世界でも珍しい、またわが国としてもかつて経験しない経済成長を見ている。こういう場合に、この税率をそのまま適用するということは、どう考えても納得できないわけでございますし、次官の御答弁でも最初は、税率改正の必要を認めておられる意味のおことばのように聞いておりますと、最後では、やはりあまり積極的ではない、きわめて慎重な御答弁であったわけでございます。私たちも、もちろんその課税最低限の引き上げの問題については、これはもう必要性をしばしば指摘し、また、それについては政府もある程度努力していることは認めるわけでございますけれども、案外忘れられているのが税率の問題ではないかと思う。私は、わが党の、全国民の中産階級化ということと結びつけて申し上げるわけではございませんけれども、先ほど指摘いたしましたように、中堅所得層の育成、保護、助成という点からいたしましても、国民生活の安定からいたしましても、税率改正につきましては、答申もございますし、ぜひ着目していただきたい。来年度あたりからの具体的なお答えを注目さしていただきたいと思うわけでございます。
次に、サラリーマン減税の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
戦後の所得税に関する大きな特徴は、納税人員の著しい増加であろうと思います。昭和三十一年に約一千百万であった所得税の納税人員は、昭和四十二年度には二千百万をこえると見込まれております。中でも、増勢の目ざましいのは、私が申し上げるまでもなく、サラリーマンの納税者でございます。三十一年に約八百七十万人でありました給与所得者の納税者数は、最近では千八百万人になっておりまして、所得税の納税人員に占める給与所得者の割合も八四%にのぼっているのが、御承知のとおりの現状でございます。このような現象がどうしてできたか。いろいろ指摘できる点もあると思います。特に、この間における農家あるいは商工業者の納税者の推移から見て、これと比較すると、特に対照的な数字を示しているわけでございますが、これは、日本全体の社会、経済的な情勢の変化に由来するということは考えられはしますけれども、またサラリーマンだけが所得税を納めるという結果であるというような簡単な結論は出しちゃいけないということはわかりますけれども、やはり、この数字を見ますと、所得税のあり方を検討する場合に、サラリーマンの負担の軽減について、優先的に配慮する必要があるということを端的に示しているのではないかと私は思います。
先ごろ三月六日に、北海道で例の町長さんが背任罪に問われて、その結果旭川地裁では無罪を言い渡した。その背景には、この町長さんは二十年来の町長の経験のあるベテラン町長であり、しかも、その町は農民が主体なところだそうでありますが、単に選挙目当てとか、あるいは人気取りであれば、農民に有利なことをするならわかりますけれども、数少ない給与所得の納税者を保護しようということは、やはりその町長のお気持ちの中に、公平の原則からいって、どうしてもサラリーマンが不当に不利益をこうむっているという背景があったのではないかというふうに考えられるわけでございます。また、裁判所が無罪を言い渡しました理由につきましても、法律的にはいろいろ考えられますけれども、やはり給与所得者である裁判官としても、サラリーマンに対する課税が、他の所得者に対するのと比べて、かなり不公平な面があるということを前提にしてああいう判決が生まれたのではないかというふうに見てもいいのではないかと思うわけでございます。同じような問題が和歌山でもございました。また、ここに申し上げるまでもなしに、京都の裁判所では、同志社大学の大島教授が、別の観点からではございますけれども、サラリーマン課税に関連した訴訟まで提起しておられるわけであります。
サラリーマンの課税が不公平であり、不利益であるということについては、九・六・四ということばが示すニュアンスにも、端的に国民感情としてあらわれているのではないかというふうに私は考えるわけでございます。特に、サラリーマンはその所得を自分の健康と労働力に依存するものでございます。ほかの資産所得なんかに比べて、むしろ不安定でございます。またこれは、健康なときだけというような有期的なものではあるという特徴もございます。普通は、サラリーマンの担税力というものは、ほかの資産所得より低いと見ていいのでありますが、課税の点では、ここにむしろその逆が行なわれている。これもここで申し上げる必要もないことでございますけれども、給与所得者は、その支払いも源泉で徴収されている。所得の捕捉率は一〇〇%に近いものだといえるかと思うのであります。そういうことを考えると、給与所得者が、いわゆる租税の大原則であります公平の原則に全く反して、一番不利益な取り扱いを受けているという感じを持つのはもっともだと私は思うのであります。これは、単に訴訟にあらわれたからという意味ではなしに、形式上は別として、実質的には実際不公平だと断定して間違いないというような感じを私は持ちます。
もう一つ、やはり給与所得者の不利益の点は、所得控除の点でございます。これも専門家の政府委員に御指摘をすることもないわけでございますけれども、現行の給与所得者に対する税制から見ますと、低い金額で控除の額が頭打ちされている。これを他の事業所得等について見ますと、事業所得については、もちろん経費の頭打ちの制度はございません。ここでもやはり大きな不利益を給与所得者が受けているということも指摘できるかと思います。
そこで、お伺いしたいわけでございますけれども、昭和四十三年度において、四十二年度に引き続いて、給与所得者の控除の引き上げをはかってはおられるようでございますけれども、今後サラリーマン納税者のために、どのような配慮をしていこうという御用意をお持ちであるか。このままでいいと考えておられるか。その場合に、具体的に給与所得控除の大幅な引き上げというようなことをお考えになる意図があるのか。あるいはそうではなしに、給与所得者がサラリーを取る場合に必要と認められる経費について、個別の事情をしんしゃくして、事業所得と同じような方向で優遇措置を講じようというふうにお考えであるのか。その辺の事情を、次官と局長の両方からお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/13
-
014・倉成正
○倉成政府委員 昨日、平林委員の御質問に対しまして、主税局長からるるお答えした点で一応尽きていると思いますけれども、ただいま御指摘のとおりに、給与所得者の所得税納税人口の中に占める数が、昭和四十二年で千八百十六万、比率にいたしますと、給与所得者が八三・九、農業所得者が二十七万七千で一・三、それから、農業所得者以外の事業所得が百五十八万で七・三、その他の所得者が百六十二万で七・五と、圧倒的に給与所得者が多いわけであります。また、御指摘のように、いろいろな理屈は別として、サラリーマンは税金が重い、そして給料袋から天引きされるということで、税の捕捉が完全に行なわれている。こういう意味から、他の事業所得等との不均衡があるではないかという御指摘はまことにごもっともでありますし、実感としてそういう感じをサラリーマンが持っておるということは私も率直に認めたいと思います。したがって、この問題につきましては、税制調査会の四十二年の中間答申でも、給与所得控除についての考え方について、どういうふうな考え方があるかということをるる述べておるわけでありますが、結局は、サラリーマン特有のこういう費用を、どこまで控除すべきかということを考えることは非常にむずかしい、個別のケースについてやることは非常にむずかしいので、やはり包括的に何らかの基準で概算的に控除を認める以外にないのではないかという、非常に何というか、ただいまの御質問からいたしますと、あまり歯切れのよくない答申が出ているわけでございますけれども、しかし、この問題については、やはり将来、十分検討していかなければならない点だと思いますので、主税局長からひとつ、なお補足していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/14
-
015・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 給与所得者の負担が、ほかの所得者に比して重いのではないかという問題は、税制面と執行面と両方で考えなくちゃならぬ問題だと思います。御承知のとおり、源泉徴収をされている給与所得者の場合は、これはほとんど一〇〇%近く捕捉される。これに対しまして、申告納税義務者の場合は、こういう言い方はいけないのかもわかりませんが、何といっても、自主的な納税ということになっております。その納税者の自覚が高まって、正しい所得を申告するという習慣が、漸次確立しつつありますけれども、まだ戦後二十年でございまして、そこまで十分いっていないという点から、徴税機構といたしましては、調査をして更正をやるというのはまだしばしば行なわれております。しかも、その更正も部分的であって、もっと更正があってしかるべしじゃないかという御意見もあるわけでございます。しかし、これは幾ら手を尽くしましても、納税者自身の自覚の向上がなければ百年河清を待つということになると思うのでありまして、私どもは、この所得税の納税義務者の申告納税に徹するという立場を、できるだけ税務行政の上では誘導していくということに努力を続けているわけでございます。
一方においては、何と申しましても、先ほど来お話がございましたように、税負担が重いということが申告の自覚をある程度曇らせている。やはりある程度毎年のように減税をしていく過程において、自覚も向上していくんじゃないか、また、 その過程において、不均衡もだんだん是正されていくんではないかという期待を持っておりますので、税制の改正と相まって、税務行政の改善ということで、税務行政を通じた納税者の申告の改善ということで長期的には解決していく問題だと思うのでありますけれども、短期的には、きのうも申し上げたのでございますが、そういう把握率が九・六・四と世にいわれるほど明らかに差があるなら、給与所得については特別の控除をしたらいいじゃないかという、把握控除というような現実的なお考えもあるようでございますが、これは前前から申し上げておりますように、もしそれをとりました場合には、他の所得者の申告の向上ということは望めなくなるわけでございます。給与所得者は八割でいい場合、申告も八割でいいじゃないかということになると、申告納税は根本からくずれますので、そこはどうしてもできない点でございます。
ただ、給与所得の中には、きのうも申し上げましたが、担税力の問題源泉徴収の問題、さらに一番大きな問題としては、概算経費の問題が一つの理由づけになっておるわけです。担税力の問題は、最近は、中小企業の方から逆のことを言われておりまして、給与所得者については、だんだん社会保障制度、退職年金制度とか、あるいは失業保険制度とかいうものが整備されてきて、むしろ安定性を持っているのは、つとめ人のほうが安定性がある。中小企業は、ちょっと引き締められればすぐ倒産してしまうじゃないかという反論もございまして、むしろ事業所得者の負担を軽くしろということを事業側からは言っておるような実情もございますが、何と申しましても、所得の概算経費というものが給与所得控除の一番大きなポイントだと思います。そういう意味で、給与所得控除が、いまの最高額を今度は引き上げまして二十八万円にいたしましたけれども、これでいいのかどうか。きのうも御意見がございましたが、また、さっき私が申し上げましたように、昭和二十五年から所得水準がすでに十倍近く上がっております。物価水準も上がっておるとすると、給与所得控除についても、やはり絶えず何らかの形で見直しが行なわれてしかるべきだという感じはいたしております。最近、ここ三年ばかり続けて給与所得控除を上げました。きのうは、七年間据え置きだというお話がございましたが、七年間据え置きのものを三年続けて上げておりますのも、そういうことだと思います。今後こういう点を税制調査会等でもさらに深く分析していただきたいというのが私たちの希望でもあるのでございます。私ども自身も努力をしてまいりたいと思っております。
〔金子(一)委員長代理退席、毛利委員長代理
着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/15
-
016・岡沢完治
○岡沢委員 時間の関係で次に進ませていただきまして、いわゆる住宅減税についてお尋ねをいたしたいわけであります。
佐藤総理も、あるときの新聞記者会見で、現在の国民の消費傾向と関連して、国民の消費がいわゆる三Cに向いているのを、住宅のほうに目を向けるような施策を講じたいということをおっしゃったわけであります。そうしてまた、住宅建設が現政府の大きな緊急課題として取り上げられておることも申し上げるまでもないのでございますが、税制面に関する限り、そういう政府の意図あるいは総理の発言が、具体的にあらわれているところはないような感じがするわけであります。しかも、住宅建設につきましては、政府は、その相当数をむしろ民間の自力建設にたよるという方策をとっているわけであります。しかし、現実には、中堅サラリーマンといわれる方々が、自分の持ち家を持つという場合には、きわめてきびしい税制上の、あるいは金融上の隘路があることは言うまでもございません。
そこで、このような持ち家制度に関連をして二、三点お伺いいたします。
まず、主税局長にお聞きいたしますけれども、政府としては住宅対策として税制上どのような措置をとってこられたか、最初にお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/16
-
017・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、住宅対策がいわば日本として最後に残った政策じゃないかという気がいたしますが、この住宅対策の基礎になりますのは、実は、やはり土地問題の解決ではないかと思います。その意味で、実は、税制調査会でも、土地税制部会を特別につくりまして検討を続けてきたわけでございますが、中間的な結論といたしましては、何と申しましても、税制というのは補完的機能を果たすので、その前提として土地制度がある程度確立されなければ、実効のある税制はできないのじゃないか。たとえば開発利益を微収すると申しましても、開発地域というものがはっきりきまってこないとなかなか実行できないし、また、空閑地税と申しましても、どこの地域を空閑地税の対象にするかということも大きな問題でもございます。
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
そういう点で、そういう制度が確立してくれば、それを裏づけるものとしては強力なものになると思いますけれども、税制だけがそういうものを自主的にきめてしまうということは、これは土地政策に対してたいへんな制約になりますので、そういうことから、あるものがきまれば方法はこれだけありますという検討はいたしておりますが、ついに結論が出ずに、四月以降の検討に延ばされて、そういう意味では、その点まだ税制としては完全な解決をはかっておりませんが、とりあえずは、例の住宅の買いかえ制度ということで当面の問題は防いでおるわけでございますが、具体的な住宅対策としてとっておりますのは、国税ではこの一月から実施に入りました住宅貯蓄控除制度、これは、一定の積み立て期間三年間で積み立てをいたしまして、長期、二十年以上七分五厘以下という融資を受けました場合に、三年間、その積み立て額の四%——失礼しました。二年間でございますが、積み立て額の四%相当額、最高一万円を税額控除するという制度、これがことしから始まったわけであります。
それから、企業の従業員が住宅を低廉な価格で譲渡を受ける、あるいは安い利息で住宅金融を受けた場合、これは従来でございますと、その適正な価格あるいは適正な利息との差額を経済的利益として課税しておりましたが、住宅のためである場合にはそれを非課税とするという制度をとりました。
それから三番目には、これは逆の立場でございますが、特定の大規模な住宅造成をやります場合に、その土地取得を容易にするために、土地譲渡者に対しまして三百万円の特別の控除を、四十三年から二年間認めることにいたしまして、その促進をはかっております。それから一般新築貸し家住宅につきましては、その取得したときから五年間二十割増し、耐火構造の場合は三十割増しの特別償却を認めまして、貸し家住宅の建設を容易にすることをやっております。それから個人が住宅を建てた場合には登録税を減免をいたすということをいたしております。それから地方税では、新築住宅並びに新築住宅用の土地につきまして不動産取得税を一部軽減をいたしますし、さらに固定資産税につきましても、新築貸し家住宅については三年間減額をいたしております。さらに新築の中高層住宅について固定資産税の軽減を行なっているわけでございます。これらが住宅に対する直接の税制としての対策でございます。
ちょっと私間違いまして、貯蓄の分は三年間でございます。それから三百万円の特別控除も三年間でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/17
-
018・岡沢完治
○岡沢委員 こまかい点ではかなり詳しい配慮はしておられるようでございますけれども、やはりきめ手になるような住宅政策というのはまだ税制上は、まあおっしゃるように税制そのものは補完的な要素しかございませんけれども、しかし、やはり金融と税制というのは、きわめて大事な住宅政策の一環だと思うのでございますが、その点で特にこれからの前向きの政策について、これは次官からぜひ、特に持ち家制度を奨励するという意味から、これはもう政府の一枚看板といってもいいくらいの建設的な政策のシンボルでもあるわけでございますから、住宅政策として、税制上こういう構想を持っている——構想を持っているとおっしゃったからといって実現すると、そこまで一足飛びに責任を追及するつもりはございませんが、むしろ国民に希望を持たすという方向からも、将来の見通しについてお答えをいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/18
-
019・倉成正
○倉成政府委員 税制につきましては、主税局長からもお話し申し上げたとおりでございますが、政府といたしましては、御案内のように住宅建設五カ年計画というのがございます。四十一年から四十五年までの問の五カ年計画であります。四十三年度はやはり最重点施策の一つとしまして、政府施策住宅を、四十二年度四十五万二千戸でありましたが、四十三年度は四十九万六千戸、四万四千戸増加さしておるわけであります。それから一般会計では六百四十九億の四十二年度予算に対して七百一億、財政投融資で昨年三千百四十億を三千六百六十三億、住宅公庫と住宅公団に対する財政投融資であります。結局これによって政府施策住宅を四十九万六千五百戸、こういう計画にいたしておりまして、一応中堅勤労者向けの持ち家を推進していく、あるいは公共賃貸住宅を増加さしていくというような施策をいたしておるわけであります。
これとあわせて土地開発等に施策をいたすというのが現在の政府の住宅政策のあらましであります。しかし、ただいま御指摘のように、いま主税局長からもちょっと触れましたように、住宅政策の基本は土地問題にあるといっても過言ではない。しかし、土地問題と申しましても、私はその前提に人口の集中、今日の都市化現象、また一方における過疎化の現象、これをどう考えるかということが、やはり住宅政策を考える場合に、さらに深めて考えなければならない基本的な問題である。もっと突き詰めて申しますと、全国の総合開発と申しますか、全国の土地を一億の国民が、最も理想的に、最も効率的に、最も愉快に住むにはどうしたらいいか、そういう一つの構想があって、これに基づいてやはりこれから先の日本の国土計画というものを考えていかなければならない。その一環としての住宅政策でなければならない。ただ、人口が集まって家が足らないから、ほんとうに食うや食わずの、マッチ箱みたいな住宅をむやみにつくっていくのがいいかどうかということで、これは一つの哲学と申しますか、ものの考え方と申しますか、やはりそういう基本に触れる問題ではなかろうかと思っているわけであります。この基本的な問題を十分踏まえてこれから先の住宅政策を推進していくことが、やはり大切であると考えますので、私どもこういう問題について、いまいろいろと勉強させていただいておりますので、そういう方向について皆さま方からもいろいろ具体的な御提案をいただき、この御提案について、取り上ぐべき問題があればひとつ思い切って財政あるいは財政投融資について考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/19
-
020・岡沢完治
○岡沢委員 問題意識は十分お持ちいただいているようでございますし、いろいろの御検討はいただいているようでございますが、具体的なものになるとわれわれの知恵を借りて、無い知恵を出すといいますか、これは国民が喜び、あるいはまた政府の住宅政策は単に看板だけでないということを納得する上からも、住宅不足者の生活問題だけではなしに、国民生活安定という点からも、いま一番おくれております住宅問題について税制面からもぜひ御検討をいただきたい。
それとも関連いたしますので、主税局長に、諸外国で住宅対策について特別な政策をとっている国の例がございましたらお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/20
-
021・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のように、各国は土地制度がかなり確立しておりますので、日本でいわれます空閑地税をやっておったりするようなことが国によってはできております。
これは別といたしまして、直接の住宅対策につきましては、アメリカでは一般の借り入れ利子と同じく、住宅借り入れ金にかかる利子を控除するというような制度があるようでございます。イギリスは特別の住宅政策は税制上はないようでございますが、ドイツでは日本によく似た制度がございまして、新築住宅の特別償却という制度をとっております。ドイツの税制では、御承知のとおり自家用住宅の用益につきましては、いわゆるみなし所得といたしまして、発生所得としてその用益に対して課税をしております。その関係で、住宅については減価償却を認めるわけでございます。日本では自家用住宅の用益に対しては課税しないかわりに、減価償却を認めない、課税外に置いておりますが、ドイツの税制は、一応自分の住宅をつくっても、かりに貸し家として貸したら幾ら用益があるかということを推定して課税をしておるわけでございます。それに対して償却がございますが、新築住宅については八年間割り増し償却を認める、そういう制度をとっております。
それから住宅貯蓄所得控除というものがございまして、それが建築資金の貸し付けを受ける目的で建築積み立て金をした場合、その積み立て金のうち独身者の場合千百マルク、約十万円でございますが、所得控除をやるということになっております。この点日本でございますと一万円の税額控除でございますから、かりに最低税率の九・五で逆算をいたしますと、ちょうど九万五千円で、ほぼ似たような制度でございます。ただ、ドイツの場合は、高額所得者になればなるほど税額控除が大きくなります。その点は日本は一番税率の低い人が、ドイツと同じくらい、税率が高くなると、ドイツよりだいぶ差ができてまいります。その点からいえば、低額所得者の住宅を確保するという点では、ほぼ似たような制度であるということがいえるかと思います。なお、ドイツでは公共性を持つ住宅組合等については法人税を免除するという制度があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/21
-
022・岡沢完治
○岡沢委員 この問題は、税制面だけからで解決できる問題ではもちろんございませんけれども、持ち家制度というのは、先ほど来繰り返しております中堅サラリーマンにとっての夢でございますし、佐藤政権の表看板でもあるわけでございます。私、数年前、地方議員をしておりましたとき、スウェーデンに参りましたら、スウェーデンでは少なくとも結婚して、しかも普通の定職を持ったサラリーマンであれば、自分の家が持てるという、これは税制だけでなしに、金融面からの措置もあると思いますけれども、制度が確立しているようであります。日本の場合も、ここまで経済成長した現在において、少なくともまじめな職業についた国民が、自分の家は持てるのだという税制上、金融上その他の制度上の確立ということが私は必要ではないか。頭のいい大蔵省の皆さんに、特にこれはお願いをして、次官からも哲学問題まで出して御答弁がございましたので、ぜひこの点は御一緒に何とか前向きで検討してほしいと思います。
最後に、国税、地方税を通じての税制の一元化と徴税の合理化の問題についてお尋ねをいたします。
私から言うのもおかしいのでございますけれども、御承知のように、個人の所得につきましては、国税は所得税、地方税の場合は住民税、事業税がございます。また法人につきましては、国税では法人税、地方税につきましては住民税、事業税があるわけでございます。いわば重複構造をとっております。もちろん地方自治の原則という憲法上の要請がございましてこういう制度も確立されたと思いますし、そういう面での必要性はもちろん、また意義は無視できないとは思いますけれども、しかし、これを納税者という面から見ますと、これは税務機構が複雑化し、また徴税コストの上からも、納得できない感じを否定できないと思うのです。また、アダム・スミスの祖税原則を持ち出すまでもなしに、納税者の便宜からいいましても、国税は税務署に行く、地方税は府県務事務所に行く。非常にむだでございますし、最小徴税費の問題からいいましても、これはやはり無視できない問題ではないか。この国税、地方税を通ずる税制の一元化の問題と徴税の合理化、能率化の問題についていかなるお考えをお持ちであるか、現状に満足しておられるのか、問題点はどこにあるのか。大きな問題ではございます。
その前に、自治省もお見えのようでございますから、徴税人員の数等も明らかにしていただいて、国税関係の徴税にはどれくらいの人員が現在従事しておられるのか、地方税にはどれくらい従事しておられるかということを明らかにしていただいた上で、この合理化、能率化の問題について、税制と機構の両面からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/22
-
023・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 国税職員は、四十一年度の調べで、五万一千百五十一人という定員になっています。地方のほうは、府県では二万五千八百二十六人、それから市町村が六万二千三百八十九人という数字が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/23
-
024・森岡敞
○森岡説明員 いま主税局長から御説明いただきましたように、地方のほうは概数で都道府県が二万五千人、市町村六万二千人、そういう数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/24
-
025・岡沢完治
○岡沢委員 これで明らかになりましたように、国税で五万人、地方税の場合はむしろそれより多い九万人がこれに従事しておる。どう考えましても、私は別々の機構で——昔のような付加税に返れという意味ではございませんけれども、便宜性からいいましても、納税者の負担の点からいいましても、先ほど言いました最小徴税費の原則からいいましても、このままでいいという感じは率直にいってしないわけです。これは時間をかけて検討してもらわなければいかぬ問題であるということもわかりますけれども、ぜひこの問題についても前向きな御答弁をいただきたい。税制簡素化の一環として、所得税と住民税、事業税については申告の一本化ということははかられたようでございますけれども、いま申しました機構とか、あるいは税制、その本来のものについての一元化等についてはまだ手がつけられていないようでございますが、この辺について、これは政策的な問題ですから、やはり次官からも、それから主税局長、自治省、それぞれのお考えをぜひ聞かしておいていただきたい。あるいは、これから慎重に検討するということでもけっこうでございますけれども、このままでいいという気はどうしてもいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/25
-
026・倉成正
○倉成政府委員 ただいま御指摘になりましたように、国税に従事している人員が約五万、それから地方の税務機構の方々が約九万ということであります。私は大蔵省に参りまして、国税庁、税関、そういうところの、実際仕事をやっている実情をいろいろ伺ってみますと、現場の第一線の諸君が非常に苦労しており、とにかく仕事は非常にふえてまいりますのに定員で押えられるために、非常に表に出ない苦労をしているということ、また、最近民主主義の時代でありますから、非常にやりにくくなってきておる、そういう面をいろいろ伺っておりまして、何とかひとつこれらの諸君がもっと仕事のやりやすいように、もしふやすことができるなら、もっと定員をふやすことができるようにということに努力してまいりました。そのときやはり、ただいま御指摘の、国と地方と同じ徴税に従事している人員が、税金の額は国税、地方税大体同じ程度だと思いますが、これが五万と九万という徴税人員であるというのを、何かもう少しお互いに協力し合って、合理的にする方法はなかろうかということを、ちょうど同じことを考えまして、これらの点について、行政管理庁の木村長官に、この話も実は私からいたしたこともあるわけであります。しかし、御指摘のようにこの問題については、国税と地方税の税の配分をどうすべきかという問題、それからまた、地方自治の本質に触れる問題、その他いろいろ基本的な問題がありますので、いま直ちに一本化してやったらいいじゃないかという単純な議論は、結論が出てこないと思いますけれども、しかし、少なくとも税務の仕事に携わっている人たちが、非常に現場の第一線で、国税も地方税も苦労してやっているわけでありますから、そういう方々の苦労をもっとやわらげて、もっと能率的にやるためには、何らかの相互の調整をはかっていくことが大切なことではないかと考えておりますので、私も大蔵大臣とも相談しまして、この問題は前向きに考えていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/26
-
027・岡沢完治
○岡沢委員 いまの次官の御答弁の趣旨は、むしろ徴税側の苦労を強調されておると思う。私は国民側から見まして、二重機構のためにたいへんな不便をこうむり、しかも税負担を加重されておる。そういう点からもこれの合理化、簡素化ということは、ぜひ必要じゃないかという意味でお尋ねしているわけなので、まあ次官のお立場としては、官吏もかわいいかもしれませんが、納税者の側からもぜひ積極的なお答えをいただきたかったのでありますが、主税局長と自治省のほうからも御意見がございましたら、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/27
-
028・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま政務次官が言われたとおりだと思うのでございますが、戦前は御承知のとおり大体付加税制度でございまして、一部徴収を市町村が受け持つというような形をとっていた。戦後、ことにシャウプ税制ができましてから、地方税が中心で、付加税の禁止というような形ができたわけでございます。いま一番問題な点は、おそらく納税者の側から見ますと、一つは固定資産税の評価という問題と相続税の評価という問題が一元的でないということ、それからことに住民税と所得税の問題というところにあると思います。住民税につきましては、双方の納税者になっているものは、大体課税標準が統一されておりますので問題ございません。ただ問題は、この問から御指摘がありましたように、地方税としては、地方の住民にできるだけ経費の負担をしてもらうという意味で、住民税の課税最低限と所得税の課税最低限とが、若干考え方を異にしておりまして、標準世帯で三十万円ぐらい差があるわけであります。これらの人たちはやはり地方独自で調査をしなければならぬので、付加税にいたしますと、その下の三十万の差というものは上まで全部響きますから、たいへんな額になります。それだけでなくて、今度は市町村においては、もしいまの所得税程度の課税最低限にいたしますと、ほとんど納税者がいないというような市町村もできてしまう。そういたしますと、かえって国のほうからも、いまの交付税のような調整機能というものをもっと強くしなければならない。そうなると地方の自治を害するではないかという議論も出てまいりまして、非常にいまむずかしい問題になっております。昭和三十六年までは地方税と国税がほとんど一致していたわけでございますが、分離いたしましてからこの問題がかなりむずかしくなってきております。しかし、確かに仰せのとおりなので、税制調査会でも常にこの問題が出て、検討はし尽くしてはおりませんが、ずいぶんやっております。一つの解決の方法を求めたいとは私ども思いますが、そういう財政全般、地方財政と国の財政のあり方というところまで関連してくる問題になってまいりますので、やはり相当時日をかけて検討する必要があるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/28
-
029・森岡敞
○森岡説明員 地方税につきまして、地方税コストがかなり高いのではないかというふうな御意見でございました。私ども現在、税制の仕組みにつきましては、先ほど来御説明がございましたように、住民税や事業税につきましては、所得計算は法人税、所得税のようにやるということで、計算の仕組みは同一のものになっているわけであります。同時にまた、申告につきましても、お話のございましたように、所得税の確定申告がございますれば、住民税の確定申告は不要である、そういうふうないろいろな仕組みをとって、納税者の立場からの簡素化、また徴税コストの削減という面につとめてまいっておるつもりでございます。
さらに、府県税と市町村税の問につきましても、住民税については市町村が一括して賦課徴収いたしまして府県に納入する。また、不動産取得税と固定資産税、同じように不動産を対象とする税につきましては課税標準価額を統一するというふうに、税制の仕組みとしてかなり関連づけまして、簡素化につとめておるつもりでございますが、しかし、現実にはそのほかに、府県税で申しますと自動車税あるいは料飲税あるいは娯楽施設利用税というふうに、国税といわば関連のない税がございます。市町村はすでに御指摘の固定資産税の評価問題を含めてかなり事務量が多うございます。そのほかにも軽自動車税でございますとか、都市計画税でありますとか、かなり課税対象が零細でございまして捕捉徴収に非常な事務量を必要とするというものがいわば地方税として配置されておりますので、どうしても徴税吏員の数が多くなってまいる、こういう傾向にあるのではないか。しかし、御指摘の点につきましては、私ども大蔵省当局とも十分御相談いたしまして、慎重に時間をかけまして検討してまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/29
-
030・岡沢完治
○岡沢委員 確かにお答えにもございましたように、この問題は将来の問題として、時間をかけて検討してもらわなければならぬ問題だということはよくわかりますので、ぜひ前向きの国民の納得する方向で改正について御配慮願いたい。
それでは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/30
-
031・田村元
○田村委員長 武藤山治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/31
-
032・武藤山治
○武藤(山)委員 まず最初に、事務当局のお考えをただしたいのでありますが、なぜ本年千五十億ぽっちの減税をしたのか、それがまず第一。減税の精神というか、趣旨というか、目的というか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/32
-
033・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいまお尋ねのございましたことしの減税の額でございますが、ことし九千五百億近い自然増収が見込まれたことは事実でございますが、同時に、毎々御指摘のように財政の硬直化問題があり、また、将来の財政の健全性を確保するために、国債発行額を減縮するという問題があり、それらを勘案いたしますと、この自然増収でも足りないというような数字になってまいります。私どもとしては——私どもと申しますか税制調査会といたしましては、その歳出面をできるだけ圧縮するということを主眼に努力してもらいたいという気持ちはあったわけでございますが、しかし、客観的にはきわめて削減もむずかしい。かたがた国債への依存度も押えていかなければならぬというような客観情勢を見まして、ことしはとにかく税体系のうちで、経済の動きに即して負担が重くなる所得税について、必要程度の減税をやっていこうではないかということになってきたわけでございます。
そのめどといたしましてはどれくらいを必要とするか。これは低ければ低いほうがいいということであれば限りがないわけでございますが、こういう財政事情のもとでまず必要と考えられることは、課税最低限の引き上げである。課税最低限の引き上げについては、税制調査会の態度としてはすでに中間答申に示しております。その中間答申で示しておる線は、昭和四十四年度程度を考えていたと思いますけれども、課税最低限を八十三万円までに引き上げたい、税率も緩和したいという意思が出ておったわけでございますが、ことしは税率はできないけれども、一年前ではあるけれども、八十三万円はとにかく実施したい。また政府側といたしましては、毎々御指摘になりますように、四十五年度には百万円の課税最低限を実現したいということもございます。それらを勘案すると、まずことし標準世帯で十万円の課税最低限の引き上げはどうしても必要であるということから、いろいろ計算をした結果あのような数字が出たということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/33
-
034・武藤山治
○武藤(山)委員 従来、昭和三十五年を除いた各年度とも、大体自然増収の二〇%くらいをめどに減税をしたい、こういう方針で、政府はかなりの減税を進めてきたわけですね。ところが、ことしは九千五百億だから一〇%ちょっとですか、二〇%にはほど遠い。これは従来の財政運営の方式を大きく転換した。特に国民に対する、自然増収をできるだけ減税に回そうという方針を転換した画期的な年である、こう理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/34
-
035・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 画期的に転回をした年だということではないと考えております。従来、税制調査会でもいっておりました二〇%というラインは、昭和三十年代の財政におきましては、一方において自然増収が相当多い、その自然増収の中から減税をした後でも、実際に財政の伸長度を見ますと、財政支出は大体において国民総生産の伸びよりもやや上回っておる。そのうちで公共投資それから社会保障などの伸長率は、国民総生産の伸長率を三、四割程度上回った伸長率で組んでこられた。そういう財政状況を考えると、今後の一般的なめどとしては、二〇%程度の自然増収を減税に振り向けることが可能であろうということをいっておったわけです。しかし同時に、新しい税制調査会では、こういう前提が——昭和四十年度に相当な不況がまいりまして、赤字を出した。そして四十一年度になって、片一方で公債を七千三百億出しながら、平年度三千億をこえる大減税をやったわけでございまして、このときは自然増収に対して二六一%の減税をやってしまったわけであります。そういうことから、当面国債を抱いた財政の中の減税政策というものは、これはやはり財政と相当見合った動きが必要であるということから、新しい角度で考えなくちゃならぬ、転回をするという意味ではございませんが、そういう前提をひとつ考えなくちゃいけないということで考えてまいったわけであります。たとえば租税負担率にいたしましても、国民所得に対して従来は二〇%程度というのがほぼ毎年の姿でございましたが、四十年、四十一年を通じまして、税の増収額は減ったにかかわらず大減税をいたしましたから、四十一年度には租税の負担率は一八・五%になり、一・五%落ちてしまった。それが四十二年になりましても、当初予算では一八・六%、最近自然増収が大きく出てまいります見込みでございます。大体実績見込みでは一九%程度になる。いわばいまの段階はなお相当な公債を出しているわけでございますから、従来租税でまかなった部分が、国債でまかなわれている姿になっておる。国債をそういう形で継続的に使っていくということは、これは世界的に見ても財政として不適正なところがあります。財政の国債依存度を五%程度まで縮減するというのは、そういう点から出てきておりますが、そういう点を考えますと、ある程度租税の姿をもとの姿に戻してくる必要が一方ではある。国債を減額しながら、租税の力を回復していく必要もあるわけです。大体ことしはそういうことで一九・六%と、ほぼ昔の水準に返ったということになるわけです。
おそらく、これから先の考え方といたしましては、これは私一人の考えで恐縮でございますけれども、今後は財政需要を見ながら考えていく余裕が出てくるのでないかと思いますが、一方において税制調査会自身も、今後の財政というものはやはり財政支出がふえていくのじゃないか。経済社会発展計画におきましても、四十五年度では最初の計画年度から見ると二%程度は税負担率がふえるという見込みを立てております。そういうものに即応して、ある程度租税負担率は上がらざるを得ないかという見通しを持っております。しかし、私ども見たところでは、いまのままほうっておけば、それ以上の租税収入があると思いますから、その辺が今後の財政収支を見ながら減税政策を立てていく一つのめどになるか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/35
-
036・武藤山治
○武藤(山)委員 問題は、やはり大蔵省の財政運営をする姿勢の問題だと思うのですよ。財政原則というのは、いずるをはかって入るを制するとわれわれは教わりましたね。したがって、どちらを選択するかといえば、出るほうの需要のほうをいかに切り詰めて国民大衆の負担を最小限にするかというのがいい制度のはずですよ。ところが、需要はどんどんぶんどりで、あるいは五カ年計画、十カ年計画で、いいときにばたばた策定してしまって、その支出だけはまかなわなければならぬ、そこで国民の負担率というものは上がらざるを得ないのだ。私は、こういう姿勢の政治というものは、国民にあまり思いやりを持たないもので、財政運営としては逆だと思うのですよ。これはあなたに言ったって、あなたは税のほうの担当だけだから、それは主計局長がおるのだ、大蔵大臣がおるのだということになると思いますが、そういういまの、財政原則というものをあまり重視をしないで、もう収入がこのくらいあるだろうからこのくらいの支出をという、収入のほうを先にまず考えて、だから減税はまずこのくらいにしておこう、こういう姿勢のあり方に私は問題があると思うのであります。しかし、主税局長としては、これだけの需要があるのだから、これだけの税は確保しなければならぬという命令を大臣から受ければ、やむを得ず減税幅はわずかで、隠れみのの税調に頼んで、まあこの程度しか財政硬直化でできぬという、一千五十億の減税というのは私は減税に値しない、こういう断定をいたしたいのであります。
特に本年は、物価がたいへん高騰する傾向にあって、おそらく六%か六・五%の消費者物価上昇になるだろう。そういうときに、大蔵省の主税局の試算でも、一%物価が上がれば七十億ぐらいの減税をしなければ実質生活水準というものが低下する、そういう意味合いからいったって、六、七、四十二、四百二十億円のものは調整だけでもう食われてしまう。そうすると、あと残った分の六百億というのは、今度は公共料金の値上げだ、やれ、たばこの値上げだ、ビールの値上げだということで、大衆の負担感というものは本年は全然軽くならないと思うのです。あなたは、その辺は大衆の立場に立った場合どう思いますか。負担感は軽くなる年だと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/36
-
037・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いまのお話は、大衆の感じというもの、そういう面で、あると思いますが、何と申しましても日本の場合は、所得税の負担が重くなるというのは、所得がそれ以上に伸びているということからきている。所得が伸びるから負担が重くなる、また所得が伸びるのにいわば起因して物価が上がるという面もございます。そういう意味で、所得がふえるという面を考えますと、総合的な負担感というのは、これは感じの問題でございますからどうとも言えないわけでございますが、理論的には所得の伸び、可処分所得の増加ということを考えれば、負担感が重くなったということはないはずだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/37
-
038・武藤山治
○武藤(山)委員 ことしの源泉所得の伸びは、給与総額が一四%伸びるという見通しなんですね。ところが、政府の予算編成の態度は、総合予算主義をとって、公務員には五%以上の賃上げは認めない、人事院勧告が出ても政府は補正予算を組まない、こういうきつい態度を再三言明していますね。公務員の場合そうでしょう。米価と公務員賃金は、いまの予備費でベア分を見積もって、それ以上は補正予算を組まぬというのでしょう。大臣はそういう答弁をしているでしょう。大体物価上昇率の四・八%の見合い程度しかベアは認めない、こう言っているわけですね、政府は。言っていませんか。何回も予算委員会でそういう答弁をしているでしょう。政府は補正予算は組まない、人事院勧告があっても、それを補正で組むようなことはしないと言っているでしょう。そうなると、政府のほうは五%程度で公務員の賃上げを押えようとし、主税局のほうは給与総額で一四%伸びるという見方は、そういう点、同じ政府でありながらかなり食い違っているのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/38
-
039・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いまお話がございましたが、補正予算を組まないということと、人事院勧告が出てもそれは認めないのだということとは一致しないと思います。政府として五%以下に押えるというようなことは言っていないはずでございます。補正予算を組まないとは言っております。人事院勧告が出たからといって、補正予算は組まない程度の用意はしてあるのだということは言っておりますが、五%以下に押えるということは言っていないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/39
-
040・武藤山治
○武藤(山)委員 それでは幾ら予算に見積もってありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/40
-
041・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私、専門でないので申し上げかねますけれども、総体の予備費の中に入っている、幾らということは予定していないのだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/41
-
042・武藤山治
○武藤(山)委員 それでは、いまのは主計局を早急に呼んでもらって、総合予算主義という企画庁長官や総理大臣の答弁と違っておるから、同じ政府の主税局長が、総合予算主義の中で、人事院勧告があった場合に幾ら予算を計上するかということは、米価の問題と——米価は現在の価格に買い入れ石数をかけてこれだけだ、賃金は大体この程度しかもう予算は措置しない、そういうことをはっきりと予算委員会で大臣が答弁しているじゃないですか、それを知らぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/42
-
043・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 財政演説でも申しておりますけれども、千二百億円の予備費というものを置いて予備費の充実をはかり、そして給与改定等に備えておるのだということを言っておりますけれども、幾らを引き当てにするということは言っていないはずであります。私もまだ予算委員会でもそこまでは聞いておりません。そういう意味で政府の……(山中(貞)委員「吉國君、君の主管外のことをむきになって答弁して、間違えていたらどうするのだ。主計局に答弁させるのがあたりまえだ」と呼ぶ)私の答弁、少し行き過ぎておりましたので、ここは取り消して申し上げますが、私としては政府が五%の伸びで押えるということは言っていないという前提で申し上げたいと思うのですが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/43
-
044・田村元
○田村委員長 吉國君、所管外の答弁は禁じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/44
-
045・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 一一四%の伸びを見込みましたのは、これは御承知のとおり、経済企画庁の見通しになった数字を基礎にとりまして、経済企画庁の伸びと課税給与所得の伸びとの開差の修正をいたしますと、人員の伸びを加えて一一四%になる。いわば従来の課税実績を見、同時に経済見通しの伸びを見てやったわけでございまして、その点で矛盾はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/45
-
046・武藤山治
○武藤(山)委員 主計局がおらなければ、この公務員給与の引き上げと給与総額の伸び率との矛盾というものを解明することができませんし、一応委員長が所管外のものは発言を禁止するというから、この質問はあとで保留をしてやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/46
-
047・田村元
○田村委員長 武藤君、もし可能であればだれか呼びますか。おそらく参議院の予算委員会の関係があるから来れないかもしれませんけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/47
-
048・武藤山治
○武藤(山)委員 時間がないから保留をしておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/48
-
049・田村元
○田村委員長 大臣がもう間もなく来ますが、大臣に質問してもらいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/49
-
050・武藤山治
○武藤(山)委員 はい。
次に、四十二年度の税収の見通しですが、三月十五日で確定申告の締め切りをやりましたね。その後の大体の状況からいって、四十二年度の税収見込みというものは達せられる、あるいは少し欠陥が出るか、それとも剰余金がかなり出るか、この三月十五日の決算を契機にして見込みはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/50
-
051・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 たいへんむずかしいところにいま来ております。つい先日発表いたしました
一月末の租税収入で見ますと、ことしの補正後の予算に対しまして、一月末の累計でちょうど八〇%まで入っております。あと二、三、四という月があるわけでございますが、去年の最終の決算額に対して、振り返ってみて、この時期が幾らの収入歩合であったかと申しますと、八一%でございますから、一%の狂いがあるわけでございます。ところが、本年度の税制改正のうち、登録税、印紙税等の改正の実施時期が七月になっております。後半までに増収が出る形になりますので、この一%はそういうもの、それからいま御指摘の申告所得税の増加というものでカバーできるのではないかと思いますけれども、実は三月十五日の申告があった集計は、どうしても二十五、六日過ぎでないとわかりません。そこを見ますと大体見当はつくと思いますが、かなり申告が伸びておるという報告も聞いておりますが、同時に延納も相当ふえておりますので、最終の徴収額としては幾らになるか、これはちょっとまだ見当がついておりません。まあ相当大きな自然増収を思い切って組みましたから、増収が出るということはまずなかなかむずかしい。しかし、大体近くまではいくだろうというのがいまの私どもの率直な見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/51
-
052・武藤山治
○武藤(山)委員 しかし、三月十五日の申告状況というのは、それぞれの税務署で集計して、ややのめどというものはすでに国税庁あるいは主税局で握っておるのじゃないですか。三月十五日の、各税務署管内の大体の集計というものは、すぐして、報告していますからね。それでいくと、大体目一ぱいだという意味でしょうね。少し足りないという感じですか。いまのあなたの答弁では、少し足りなくなるのかなあという感じですか。私の感じでは、少し予算よりも上回るのではないかという感じもするのです。というのは、大法人の十一月決算の会社の数字が新聞にも報道されていますね。これによると、前年よりも三九・三%所得が伸びている、そういうような発表を大蔵省はしておるわけですね。これは全体の税収の大体一〇%をこえるのだという発表があるわけであります。ですから私は、この三月の確定申告によってかなりの税収の伸びがあるのではないだろうか、こう見ておるわけですが、その見通しは全く狂っていますかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/52
-
053・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いまおっしゃいました十一月決算の数字は、一年決算の法人と六月決算の法人の対前年同期の数字だと思います。つまり対前期じゃないので一年前、これは大体私どもの予測していた数字ではございます。ですから、私どもとして予測していた数字から申しますと、大体その辺、法人の伸びはほぼ間違いないと思いますし、それから年末のボーナスの金額は若干私どもの予想を上回りましたが、三月十五日の結果は、武藤先生よく御承知なので、いま握っているだろうとおっしゃいましたが、徴収面が、延納の程度がまだつかめないわけでございます。そういうわけで、もう少し時日をかしていただかなければいかぬと思いますが、予算をオーバーするということは、ちょっと私どもいまのところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/53
-
054・武藤山治
○武藤(山)委員 きょうは、実はこまかい改正をそれぞれ一条、一条、全部お尋ねをしようと思っておったわけですが、前回所得税法の改正のときにあまりこまかい点を見なかったために、たとえば互助会の掛け金についての課税の問題なども見落として、法改正のときにうっかりいたしました。ですから、今度は一条、一条、逐条的に質問をしておかぬと、何がこの改正の中に書かれているかということを見落として、国民から大蔵委員会ちょっとうかつじゃなかったかというたいへんな非難を受けますので、一条、一条、尋ねたいと思っているわけでありますが、その前に、申告所得の中のその他事業というのが一八%伸びる、営業は一一%、農業は三%、その他事業は一八%、たいへん高い率の数値が出ているわけでありますが、その他事業の一八%伸びるという根拠は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/54
-
055・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 その他事業の相当大きな部分を占めているのは医業の所得、医者でございます。これは診療報酬の改定で七・七%のアップがございます。それを計算に入れますと、普通の事業所得の伸びにその分を加えまして計算をいたしました結果、大体いま御指摘のような数字になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/55
-
056・武藤山治
○武藤(山)委員 それからその他の一〇%の伸びという、その他は主として何ですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/56
-
057・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 去年のウエートで考えますと、大体おもなものは給与所得の申告分、それから譲渡所得、それから不動産所得、これがおもなものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/57
-
058・武藤山治
○武藤(山)委員 これが前年より一〇%伸びるという積算の根拠は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/58
-
059・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 それぞれいまの見通しで伸びを計算いたしまして、その平均をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/59
-
060・武藤山治
○武藤(山)委員 その伸びというのは過去三年間ですか、どういう形でそういう伸びというものの基礎を出したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/60
-
061・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 過去の伸びにいまの見通しを加えまして推算をしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/61
-
062・武藤山治
○武藤(山)委員 それをはっきりとひとつ出してください、どういう積算で出たのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/62
-
063・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 例をもって申し上げますと、たくさんありますが、たとえば配当所得がございますが、その配当所得の伸びを見る場合には、源泉分の配当の伸びの比率、これが響いてくるわけでございます。それが四十二年が一一〇%の伸びで四十三年は一一〇・四%の伸び、これは源泉のほうでこまかい計算をいたしましてそうなっておりますので、去年が一一〇と見ておりますが、ことしも一一〇・四というようなことでございます。
それから不動産等につきましては、課税実績と一人当たり所得の伸びとを考えまして、去年が一二〇の伸びでありますが、ことしは一一二というふうにそれぞれ計算をいたしまして、その総平均、ウエートをかけていたしますと一一〇%ということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/63
-
064・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、利子所得も、利子税もこのその他に入っているわけですか。配当や利子所得、利子税……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/64
-
065・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 利子は源泉だけでございますから、ここには入らないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/65
-
066・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、ここはまず配当が入っておりますが、受け取り配当の総額はどのくらいと予想して、それに対する税額は幾らくらい見込んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/66
-
067・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 申告されると見込んだ配当は、千五百十七億円でございますが、この申告される場合には、源泉徴収分の一五%を差し引いて計算をすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/67
-
068・武藤山治
○武藤(山)委員 配当と名のつく所得は、総額でどのくらいあると大体予想しておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/68
-
069・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ことしの見込みでは、八千五百億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/69
-
070・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、この税収見込みの、税制改正要綱によると、所得金額が二兆六千六百九十三億五千五百万円ですね、総所得金額が。一一ページ。この内訳というものは大体どういう分類になりますか。配当が幾らで、不動産取得関係の所得が幾らで、譲渡が幾らでというこの内訳をちょっと教えてもらいたい。ちょっと額が大きいものだから、二兆六千億が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/70
-
071・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これはいまのように配当所得などは個別に数字が出ますけれども、先ほど申し上げましたように、その他所得の内訳というのは実績で何%ということになっております。その何%のそれぞれの伸びを計算をしてウエートをかけて総合の伸びを出しまして、四十一年度の課税実績に乗じて計算をしておりますので、そこのところは積み上げ計算というよりは、総体計算になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/71
-
072・武藤山治
○武藤(山)委員 総体計算になっていても、さっき主税局長は、配当は四十二年が一一〇で、四十三年が二〇・四と見た、さらに給与、不動産、譲渡、そういう種目をあなたは言ったから、種目別くらいは、二兆六千億のうち、何が幾ら、何が幾らくらいは、主税局としてはおそらく数字を持っておるはずだよ。持っていないで目見当でごっちゃにして、ただパーセントをかけてこうなったということではあまりにもずさんな積算ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/72
-
073・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いま申し上げたのは、個別に種目ごとに伸びを計算し、そのシェアごとに換算をして総合の伸びを出しておりますから、その伸びを課税実績総体にかければ、しいて出せば、それをまた内訳に分ければいいわけでありますが、見込みとしてはその計算で正確を得ておる、こう考えております。
〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/73
-
074・武藤山治
○武藤(山)委員 この二兆六千億のうち、八千五百億ぐらいが配当ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/74
-
075・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 八千五百億というのは総体の配当でございまして、そのうち源泉選択をしているものもあり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/75
-
076・武藤山治
○武藤(山)委員 だから、この中に幾ら占めているかと聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/76
-
077・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 千五百億くらいは申告をして課税を受けるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/77
-
078・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、二兆六千億のうち千五百億が配当所得だとすると、まだあと二兆五千億もあるのだから、それが数字の中身が説明できないなんてばかなことはないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/78
-
079・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは課税実績に総合の伸びをかけておるわけですから、計算を出そうと思えば出るわけです。(武藤(山)委員「それを聞いているのだよ」と呼ぶ)それはすぐ計算をいたしまして、後ほど提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/79
-
080・武藤山治
○武藤(山)委員 それは後ほど出してもらう。
それから法人税の生産が一一四%になる、物価は二%伸びる、この基礎は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/80
-
081・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この計算は、経済企画庁の鉱工業生産の伸びをとりまして、各申告時期の課税実績にそれぞれかけていって総体の所得を出し、それを平均いたしますと一一四ということになるわけでございます。たとえば来年は経済企画庁の見通しでは九%でございますが、来年の税の対象になります時期というのは、一年決算法人でございますと去年の四月に開始した事業年度、六カ月決算法人でございますと去年の十月に開始してことしの三月に終了する事業年度までが入るわけでございます。そこで、ことしは九%でございますけれども、去年が一九%伸びております。それを各月別の申告税額がずっと実績で出ておりますから、それにずっとかけて総体の計算をしておりますが、それを総平均いたしますと一四%の伸びということになるわけで、来年度の経済企画庁の見通し九%とは違っておりますけれども、基礎は同じでございます。課税年度が企画庁の見込み年度とずれておるということから一一四という数字が出ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/81
-
082・武藤山治
○武藤(山)委員 ここもどうもわれわれしろうとにはよく理解できない。これもひとつ、一一四になった積算の基礎を書類にして提出願いたい。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/82
-
083・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは各期のものに一々かけておりますので、非常にこまかいものでございますから、ひとつ計算方式として出させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/83
-
084・武藤山治
○武藤(山)委員 それから卸売り物価が企画庁の経済見通しでは一%上昇、それが主税局では二%の上昇、これはどういう食い違いから出てくるのですか。卸売り物価もやはりいまの年度のとり方が違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/84
-
085・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは各対象期間ごとに生産、物価の相乗でまいりますから、物価もいまと同じような計算をするわけでございます。それで企画庁の単年度計算とは、ずれるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/85
-
086・武藤山治
○武藤(山)委員 どうもこの税収の見積もりは、過去の実績を基礎とし、「所得の発生期間及び月別決算利益の割合等を勘案し」ということで、中身がいつも明示されない。だから、ことしはひとつこういう中身の積算の方式もぜひ出してもらって、主税局がどういう科学的な根拠でこういうことをやっておるのかを少し明らかにいたしたいと思いますので、ぜひひとつその点は資料で出してもらいたい。
それから主税局長、ことしの減税によって、独身者は賞与をかりに四カ月分もらったと仮定して、独身者の場合月給幾らから所得税がかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/86
-
087・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 一万九千三百円からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/87
-
088・武藤山治
○武藤(山)委員 独身者が四カ月分賞与をもらう場合に、月給だと一万九千三百円から国税所得税がかかる。いま高校を卒業した初任給が大体この程度ですね。もう高校卒で二万円をこしているところもかなりあります。中学校卒の給与、それから高校卒の給与が初任給大体一万八千七百円から二万円の範囲内、そうすると、本年の減税でも、独身者の減税というものはほんとうに実情に合わない。新就職の者にも税金をかけるという結果になりますね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/88
-
089・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のように、公務員につきましては高校卒の初任給は一万七千三百円、中学卒が一万四千三百円、(武藤(山)委員「それで来る者はいないよ」と呼ぶ)いや、公務員はそれでちゃんとつとめているわけでございます。それから就職早々でございますと四月からつとめますので、普通の高校卒ならばまずその年は課税されない。二年目からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/89
-
090・武藤山治
○武藤(山)委員 じゃ、いまの新就職というのは除きましょう。就職して一年とたたぬうちに国税を取られる。これはまことに過酷な税金ですよ。吉國さん、戦前の昭和九年‐十一年を基準にして、いまの物価上昇や貨幣価値というものをインフレートして、当時の課税最低限をいまの貨幣に直すと独身者は幾らになりますか。——たぶん昭和九‐十一年が千五百円だろう。それにいまの倍率をかけてみたら課税最低限が幾らになるか。四百倍にしたってどうだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/90
-
091・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いま御指摘のとおり、当時の独身者の課税最低限は千五百円でございますから、約五百倍になりますので七十五万ということになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/91
-
092・武藤山治
○武藤(山)委員 いま局長が答弁したように、戦前は独身者の課税最低限がいまの貨幣に直すと七十五万円、それが今度の改正でよくなったといえども平年度三十一万五千円。戦前の半分ですよ。これじゃ独身者に対してまだまだ減税の恩恵というものが少な過ぎる。もっと独身者の課税最低限にライトを当てて引き上げていいのではないか、なぜ独身者の課税最低限を三十一万五千円というふうにとどめておくのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/92
-
093・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは毎々申し上げておりますように、昭和九‐十一年当時というのは、直接税の未発達と申しますか、非常に限られた者に直接税をかける、収入の大部分と申しますか、六五%は間接税で徴収するという時代であった。その後、昭和十年台に直接税の課税が非常に進んでまいりました。しかも一方において戦時中のインフレーションの問題があり、先ほど御説明を申し上げましたように、シャウプ税制で改正をいたしましたときに、財政事情その他から従来の課税を引き継いできたわけでございますから、いわば日本の税制の進歩の姿、それがずっと継続していま出てきておる。そのかわり間接税は現在四〇%の負担率、また当時の税負担は地方税を含めても一三%であったわけでありますから、全体の税は五割ぐらいふえておる。そういう意味で戦前と直ちに比較していただくのはちょっと無理がある、かように思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/93
-
094・武藤山治
○武藤(山)委員 ちょっと無理であるだろうけれども、とにかく国民の実質生活水準というものを考えたときには、どうも戦前と比較して独身者の課税最低限というものがまだ重過ぎる。だから、今度の改正で独身者は税額で一年間に幾ら安くなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/94
-
095・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは収入によって異なるわけでありますが……(武藤(山)委員「それはちょっと変えよう、三十万円のところで」と呼ぶ)三十万円はゼロでございます、千七百円引きますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/95
-
096・武藤山治
○武藤(山)委員 三十万はゼロだけれども、これは幾ら安くなったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/96
-
097・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 失礼いたしました。千二百七十円安くなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/97
-
098・武藤山治
○武藤(山)委員 独身者は一年間に千二百七十円安くなる。この一年間に独身者でたばこを吸う者を考えてごらんなさい。今度はハイライトが十円上がる。大体、一箱二十本入りが十円上がる。そうすると、たばこの値上げだけで一日十円ずつ負担増ですね。そうすると、一年は三百六十五日でしょう。たばこを吸うのは日曜日はないんですよ。そうすると三千六百五十円、たばこだけで負担増になる。それで減税のほうは千二百七十円。だから、国民はいまの政府は悪い政府だと思っている。いい政府だと思っている人はいない。主税局長にもその一半の責任がある。こういう減税のやり方でいい政府だと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/98
-
099・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 千二百七十円、これはこれ以上まけようがないわけです、それしか払ってないわけですから。ですから、減税というのはその部分は頭を打っていたわけなんで、それは別といたしまして、所得税を払ってない人は、先生がおっしゃるような問題があることは事実でございます。
これも毎度申し上げておりますが、実はたばこのみは、昭和二十六年以来ほかの物価が上がっても非常に安いたばこをのんでいたことも事実でございます。酒につきましても、ほかの物価が上がっても、酒は税金分だけは安くなっておりましたから、ほかの物価よりも一割五分ぐらい安い。税金を上げますと大体同じになる。そういう意味では、知らない間に税金が安くなっておったものを長年のんでおっただけ得だ、その点をことしから少し修正さしていただく、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/99
-
100・武藤山治
○武藤(山)委員 こういうやり方の政治がいい政治か悪い政治かということに答えてもらおうと思ったのです。あなたにも一半の責任がある。どう感じておるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/100
-
101・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私たち税制を担当しておる者としては、税体系の均衡というものをやはり考えざるを得ない。ある税が間接税として同じ負担を課そうとしておるにかかわらず、片方は従価税であり、片方は従量税であるために負担がどんどんずれていく。いまのが高いか安いかというこれは議論がございましょうが、あるときに予定したものが知らない間にずれてバランスがとれなくなるということになりますと、これは税体系がゆがんでまいります。そういう意味では、私ども税制担当者としてはこれを直す努力、しかも国民に至大の影響を与えないで直すことにくふうをこらすというのがわれわれの任務である、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/101
-
102・武藤山治
○武藤(山)委員 そのくふうが、私の見るところではあまり適切なくふうがなされていない。
もう一つ、給与所得者は四十三年分で三十万七千七十五円まで税金はかからない。事業所得者は十六万九百二十六円で、それ以上はかかる。約倍ですね。給与所得者の半分でもないが、半分近く、十六万と三十万。差があり過ぎるような気がするわけですが、この事業所得者の専従者のいない独身者の場合、この比較をしてみるとあまりにも差があるような気がするのだが、これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/102
-
103・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この差がついておるというのは、先生よく御承知のとおり、給与所得の定額控除が上がっているというところからきているわけですね。事業所得者の場合は、事業経費は十分に引いてあるわけでありますから、そこのところは事業経費にある程度相当する給与所得控除を含んだところで課税最低限を給与所得者の場合は見ております。企業の収益には企業の収益としての課税最低額があるから、どうしてもこういうようになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/103
-
104・武藤山治
○武藤(山)委員 私が聞いているのは、事業所得と給与所得の差が、課税最低限を見る限り少し開き過ぎておるのではなかろうか。したがって、給与所得のほうがいいからだということを聞こうとしておるのではない。事業所得のほうが少し手入れが不足しておるのではないか。したがって、事業所得のほうの課税最低限十六万は、もうちっと上げる必要があるのじゃないか。そこはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/104
-
105・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 所得を出してしまったあとは全く同じなのでございます。その課税最低限の出し方が、給与所得の場合、給与の収入金額幾らに対してやっておるものですから、経費相当分——経費相当分といっては少し言い過ぎですが、経費相当分であるべき所得控除が、働いておるところで課税最低限が出ておるものですから、このまま比較するといかにも給与所得者ばかり得をしているように見えますが、そうではなくて、逆にいえば、給与所得を控除したあとの課税最低限を両方並べますと全く一致する。事業者のほうは経費に相当するものを課税標準の加算のときに落としております。これをこのまま比較するのはちょっと無理だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/105
-
106・武藤山治
○武藤(山)委員 せっかく主計局おいでをいただきましたのは、ことしの予備費の計上ですが、その予備費を総合予算主義と称して、大体使い道はやや大ワクがきまっておると思うのです。そこで、予備費のうち公務員給与の部分に引き当てようと予想される額はどのくらいになりますか、こういう質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/106
-
107・相沢英之
○相沢政府委員 御案内のとおり、四十三年度予算では予備費を千二百億円組んでおりますが、これは従前の災害対策そのほか、総合予算主義のたてまえに基づきまして公務員の給与改定等にも備えてその充実をはかったわけでございます。前年の七億円に対しまして五百億円ふえておりますから、その五百億円が給与改定財源というふうに見ておるのではないかというお考え方と存じますが、そういうつもりはないのでございまして、大体千二百億円程度見ておけば、まあまあ給与改定、災害対策、その他の当初予算において予期しがたい需要には対処し得るのではないか、かように考えて計上しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/107
-
108・武藤山治
○武藤(山)委員 それでは、前年の七百億円はどういう使い方をなされましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/108
-
109・相沢英之
○相沢政府委員 前年の予備費は補正予算において、正確には覚えておりませんが、若干減額しております。その使途は、河川その他公共施設の災害復旧等がかなりの部分を占めております。ちょっと手元にいま数字を持っておりませんのですが、後刻調べます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/109
-
110・武藤山治
○武藤(山)委員 相沢さん、あれでしょう。企画庁長官なり、総理大臣なり、大蔵大臣は、補正予算は組まぬと再三予算委員会で答弁をしておりますね、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/110
-
111・相沢英之
○相沢政府委員 私どももことしの予算につきましては、総合予算主義のたてまえで編成するということでございますので、補正予算は組まないということに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/111
-
112・武藤山治
○武藤(山)委員 そういたしますと、去年七百億円組んで、大体七百億円は少し減額して使い切ったわけでしょう。それは災害その他の支出で終わりだ。ことしは千二百億円になったから、差は五百億円だ。その五百億円で公務員給与の引き上げ分を手当てする以外に、方法はほかに何かあるのですか、何かお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/112
-
113・相沢英之
○相沢政府委員 四十二年度の予備費は七百億円でございしたが、補正で百七十億円減らしまして、五百三十億円というふうになっております。五百三十億円のおもな使途は、災害対策で四百二十三億円、その他で百三億円というふうになっております。災害対策の四百二十三億円のうち公共施設等の災害復旧費が三百四十二億円でございまして、その他の災害対策が八十一億円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/113
-
114・武藤山治
○武藤(山)委員 そこで、大体災害というのはいままで通常の年で五百億円程度はかかっておるでしょう。全く災害がないという年はないと思いますが、その過去の趨勢はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/114
-
115・相沢英之
○相沢政府委員 災害対策の経費は、緊急のものは予備費で支出いたしまして、自余は補正のチャンスに補正予算に組んでおります。両者を合わせまして、過去三年について申し上げますと、四十年度が五百五十億円、四十一年度が四百七十四億円、四十二年度が五百七十億円でございます。したがいまして、まあまあ平均で五百億円程度と御承知おきいただけばけっこうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/115
-
116・武藤山治
○武藤(山)委員 そういたしますと、千二百億円から五百億円を引いて七百億円残る、この七百億円を全部かりに公務員賃金のベースアップに充てたとして何%くらいに該当しましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/116
-
117・相沢英之
○相沢政府委員 これは何月から実施するかということにも関係いたしますが、ことしの給与改定費は、一般会計でございますが五百四十四億円、これが八月実施でございましたか、七・九%ということなので、それから推計すれば、もし八月実施ならば一〇%ぐらいになりましょうか、ちょっと計算してみないとわかりませんけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/117
-
118・武藤山治
○武藤(山)委員 主税局長、いまお話をそばで聞いていて、相沢さん補正予算は組まないという政府方針であること、同時に予備費で千二百億円、うち約五百億円が災害と見ても、よく見て大体一〇%、あるいはもっと減らされて五百億円ということになれば、ベースアップ分はおそらく五%程度になるのではないか、五百億円の場合はいかがですか。相沢さん、もし五百億円をベアに充てたとした場合には、かりに八月実施とした場合に何%に当たりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/118
-
119・相沢英之
○相沢政府委員 去年が五百四十四億円で七・九%でございますから、ことしもやるとしますと、そのベースが、昇給原資とそれから給与改定でもって約一割程度上がりますから、まあ大体五百億円ですと七、八%になりますか、そういう数字になるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/119
-
120・武藤山治
○武藤(山)委員 どうも主税局の給与総額一四%の上昇という見積もりの根拠は、そういう政府の予算編成方針というものを十分勘案しておらない、こう私は思うのですが、いまの相沢さんの説明で、主税局長どう感じますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/120
-
121・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この一四%と申しますのは、雇用の伸びが御承知のとおり経済見通しで三・三%ございますから、それとの相乗でございます。したがって、大体一〇%程度が所得の伸びでございます。これには定昇も入っておるわけでございますから、大体経済見通の数字が、やはり予算とコーディネイトできているわけでございます。これを前提にしてつくっておりますから、そこに矛盾はないとわれわれ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/121
-
122・相沢英之
○相沢政府委員 ちょっと補足いたしますと、公務員の場合には、七・七とか八とか申しますのは、いわゆる給与改定による上昇でございますので、そのほか定期昇給の問題がございます。定期昇給分が御案内のとおり三%弱ぐらいありますから、それと合わせますと四十二年でも一〇%強ぐらいになるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/122
-
123・武藤山治
○武藤(山)委員 一〇%強になっても、やはり一四%という給与総額の算定基礎には私は納得いきません。これはこういう積算でこういう方式でこうなったんだというものを、あとでひとつ資料で出してもらいたい。
約束の時間が一時までということでございますから、きょうの質問は一応これで終わりまして、また来週資料が出てからその資料に基づいてじっくりひとつ討議をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/123
-
124・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 先ほど申し上げましたが、公式をお出しをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/124
-
125・毛利松平
○毛利委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
午後零時五十九分休憩
————◇—————
〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01319680322/125
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。