1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月三日(水曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 田村 元君
理事 金子 一平君 理事 毛利 松平君
理事 山中 貞則君 理事 渡辺美智雄君
理事 只松 祐治君 理事 村山 喜一君
理事 竹本 孫一君
大久保武雄君 大村 襄治君
奥野 誠亮君 河野 洋平君
小山 省二君 笹山茂太郎君
四宮 久吉君 砂田 重民君
地崎宇三郎君 西岡 武夫君
古屋 亨君 坊 秀男君
村上信二郎君 村山 達雄君
山下 元利君 吉田 重延君
阿部 助哉君 井手 以誠君
加藤 清二君 中嶋 英夫君
平林 剛君 広沢 賢一君
広瀬 秀吉君 武藤 山治君
岡沢 完治君 河村 勝君
田中 昭二君 広沢 直樹君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
通商産業大臣 椎名悦三郎君
出席政府委員
経済企画庁国民
生活局長 八塚 陽介君
大蔵政務次官 倉成 正君
大蔵大臣官房長 亀徳 正之君
日本専売公社監
理官 前川 憲一君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
大蔵省国際金融
局長 柏木 雄介君
通商産業省公益
事業局長 井上 亮君
食糧庁次長 田中 勉君
委員外の出席者
大蔵大臣官房日
本専売公社副監
理官 平石 茂義君
国税庁次長 高柳 忠夫君
国税庁間税部長 佐藤 健司君
厚生省公衆衛生
局企画課長 江間 時彦君
通商産業省通商
局次長 後藤 正記君
通商産業省貿易
振興局為替金融
課長 宮本 四郎君
通商産業省公益
事業局業務課長 塚本 保雄君
日本専売公社総
裁 東海林武雄君
日本専売公社総
務理事 牧野 誠一君
専 門 員 抜井 光三君
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四月三日
委員野口忠夫君及び中野明君辞任につき、その
補欠として加藤清二君及び広沢直樹君が議長の
指名で委員に選任された。
同日
委員加藤清二君辞任につき、その補欠として野
口忠夫君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
物品税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第五号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三四号)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
七号)
製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三号)
酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/0
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001・田村元
○田村委員長 これより会議を開きます。
物品税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。武藤山治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/1
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002・武藤山治
○武藤(山)委員 租税特別措置法並びに物品税法の質疑もいよいよ最後に近づいたわけでありますが、あまり重複をしないという考慮をしながら二、三点伺いたいと思います。
今度の租税特別措置法の改正の中で、新たに民間外貨債の利子について所得税を免除する、こういう特別措置を行なわんとしておりますが、この政策的ねらいは何か、これをまず最初にお尋ねをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/2
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003・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、本年度の予算の編成にあたりまして最も大きな問題として提起されました事柄は、わが国の国際収支が悪化しているということでございます。この国際収支の改善としては、もちろん基礎的な貿易収支の改善ということが必要なことは言うまでもございませんが、安定した外資の導入ということもまた考えなければならぬということになるわけでございます。そこで、国際収支の非常に悪化する見込みのある期間に限り、民間外貨債の発行を容易にするということによって健全な外資を導入したいという趣旨でございます。御承知のとおり、欧州市場では各国とも免税の外貨債を出しております。わが国は、国債、政保債につきましては免税の措置をとっておりますが、民間債につきましては、いままで、軽減はいたしておりますけれども、免税をいたしておりません。したがって、契約をいたします際に、税金をこちらが持つというような契約をしたり、あるいはそうしないと非常な不利な条件になるという結果にもなりますので、この二年間の時限法といたしまして利子免税をいたしまして、外国の外貨債の発行と対抗し得るような措置をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/3
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004・武藤山治
○武藤(山)委員 国際収支の赤字を改善するためにこういう政策的な租税特別措置をやるのだ、こうおっしゃいますなら、国際収支の赤字基調というのを大体二年間と一応見越した理由は何ですか。日銀総裁などの判断は、来年の年度末には収支は均衡するだろうと言っておる。そういうときに二年間の立法にして、さらにおそらくこの既得権がその先へ先へと継続をされるであろうという心配が私どもはあるわけであります。過般の公定歩合が二厘移動した場合には、特別償却を直ちに廃止するという非常に弾力的な運営をするのだと言いながら、この委員会で約束をしておきながら、とうとうあの償却制度も発動はしない。大蔵省はそういう不信行為をいままで行なっておりますから、これもおそらくそういう態度になるのではないか、こう私は案ずるのでありますが、国際収支が均衡基調になり改善をされればこういうものはほんとうに完全にやめるかどうか、そういう点を私もう一回確認をしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/4
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005・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 先生御案内のとおり、外貨債を出しますまでには、いろいろな事前の折衝その他がございまして、話がまとまるまでかなりかかるわけでございます。そういう点から、現実に国際収支の非常に悪化する期間というものを対象に考えましても、やや余裕を持って考えなければいけないという点で二年間といたしたわけでございます。私どもとしては、これが所期の目的を達すればできるだけ早くやめるというつもりで実はやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/5
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006・武藤山治
○武藤(山)委員 この制度を創設してほしいという陳情のあった団体は、どういう団体ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/6
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007・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは陳情は全然ございませんでした。やはり国際収支対策という点から総合的に政府として考えたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/7
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008・武藤山治
○武藤(山)委員 しからば、国際収支対策に議論を進めなければこの特別措置の是非について論ずることができない、こういうことになると思います。
そこで、少々国際金融局長にお尋ねをいたしますが、わが国の外貨債発行額の現在残は何億何千万でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/8
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009・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 昭和三十三年度、新規に戦後初めて外貨債を出すようになりましてから発行いたしましたものは、これは昨年末の数字でありますが、国債で一億三千三百万ドル、政保債で三億二千三百万ドル、民間債で二億五千六百万ドルでございますが、本年の二月に、武藤委員御承知のように、マルク国債が二千五百万ドル出ております。それから民間債では、ヨーロッパで一千万ドル二月に発行がございました。したがいまして、ただいままでに発行いたしました分は七億四千八百万ドルになりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/9
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010・武藤山治
○武藤(山)委員 そういたしますと、大体三月末現在の外貨債の発行額は合計現在七億四千万ドルぐらいですね。そうすると、それの金利というのは大体年間どのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/10
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011・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 外貨債の条件、各国いろいろ違っておりますので、ちょっとはっきり覚えていませんが、五%ないし六分台のものが多いかと思いますが、かりに五分とすれば、三千万ドル強、六分平均とすれば四千万ドル強の利息が毎年払われておるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/11
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012・武藤山治
○武藤(山)委員 これはアメリカのドル防衛政策に協力をするというねらいから、すなわち、アメリカにおける起債市場というものがドル防衛上あまり好ましくない、日本政府の判断は。そう考えて、ヨーロッパ債をこれからはふやしていこう、マルク債やスイスやその他のヨーロッパ諸国から起債を仰ごう、こういう考え方で立案をしたものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/12
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013・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 ただいま発行されております七億ドル余りの分について、三億九千万ドルぐらいがアメリカで、三億ドル余りがヨーロッパでございます。今回特にヨーロッパでの発行をするために、つまりドル防衛に協力するためにやったという趣旨ではなくて、現実問題としまして、これから日本として多額の長期外資を入れようと思う場合に、やはりヨーロッパの市場というものを活用するのが必要だ、そういう判断から立案したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/13
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014・武藤山治
○武藤(山)委員 アメリカの市場で発行するよりもなるべくヨーロッパに移行してほしい、そういう希望もアメリカにはあったやに——ホノルルにおける会議あたりでも、できるだけヨーロッパを使うようにという希望があったように私たちは承っております。いずれにしても、そういう形でヨーロッパで民間債を発行させる場合に、国際収支を改善するための金融引き締めをいま国内では行なっているが、民間債の発行がかなり多額になれば、引き締め政策というものはしり抜けになる、そういう心配もあるわけですね、そういう心配は全くありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/14
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015・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 お説のとおり、外資の導入を無制限に認めれば、それが国内引き締めのしり抜けになるという危険もございます。したがいまして、国内の引き締めを考える場合には、やはりどの程度の外資が入ってくるかを勘案をしながら締めぐあいをきめていく。でありますので、日本銀行の窓口規制を行なう場合にも、その辺の事情も十分勘案してやっておられるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/15
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016・武藤山治
○武藤(山)委員 そういたしますと、四十三年度の民間債発行額は、大体どの程度に押えることが国内の金融引き締めにマッチした政策であるか。大体額はどの程度を一応予想するのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/16
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017・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 四十三年度中にどの程度の民間外債が出るか、これは実は私どもも非常に知りたいというか、検討いたしておりますが、正直のところ、年間幾らかという数字はなかなかむずかしいと思います。むしろ向こう二、三カ月後にどのくらい出るかということを考えております。したがって、日銀のほうの金融政策上の引き締めも、年間幾らの規制をするというよりは、当面、金融政策も弾力的に運用いたしますし、それから機に臨んで運用するということでありますので、四月から六月にかけて、夏にかけて、どのくらい出るかということを勘案しながら日本銀行のほうで考えておられると思います。私どもとしては、大きな目安として、いままで民間債が一番多く出た年、これは三十八年度でありますが、一年間に九千五百万ドルぐらいの民間債が出た実績がございます。それより上回るか、あるいはそれほどいかなくなるのか、その辺は、一つには海外市場がどういうふうになるかということできまるかと思います。三十八年度ころに比べると、一方では海外の市場は拡大し、金利も高いという面もございます。しかし反面、海外のユーロダラー市場というものは、この四、五年来非常に発達しまして、昨年のいわゆるユーロダラー市場における外債発行というのは実に十七億ドルも出ておるわけであります。三十八年ごろはたしか五、六億ドルの市場でありました。四、五年間に三倍以上にも拡大しております。したがって、私どもとしては、三十八年度当時のものよりは多く出るのではなかろうかと期待いたしておりますけれども、いまのところ、政府として幾らの数字を持っておるかと聞かれましても、正直のところ申し上げられる数字はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/17
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018・武藤山治
○武藤(山)委員 しかし局長、それは幾ら国内で金融引き締めをやっても、外貨債のある程度の目安を持たなかったら、引き締め効果はしり抜けじゃありませんか。そういう目安がないなんというずさんな行政指導はあり得ないと思うのですよ。具体的には新聞の報ずるところでは、大体民間では四億ドルぐらいの希望額がある。あの新聞記事は全く当てにならぬ数字ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/18
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019・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 四億ドルという数字は私存じません。そういう数字じゃないと思います。そんなに大きな金をかりに期待しても、とても現在の海外市場のもとにおいては発行は不可能だと思います。先ほど申し上げました、三十八年度には九千五百万ドル出ております。それを少しふやすとすれば月に一千万ドルという、その辺のところが一つの目安かと思います。あるいはそれよりふえるかもしれません。あるいはそれほどいかなくなるかもしれない。いずれにしても四億ドルというような数字はとても出ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/19
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020・武藤山治
○武藤(山)委員 ちょっとこれは話が違うのだけれども、数字の点ですが、あなたの言っておる数字はどうも合わぬですね。三十八年度に一億七千五百万ドルの英貨債を発行しておるという。この月報に書いてある。三十九年はマルク債が一億ドル、さらに英貨債が三千五百万ドル出てますね。そうすると三十九年が一億三千五百万ドルじゃありませんか。三十八年は一億七千五百万ドルとこの月報ではなっておる。この大蔵省が出しておる月報が正しいのか、あなたの答弁が正しいのか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/20
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021・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 三十八年度の外債の総額は一億九千四百万ドルでありますが、民間債というお尋ねだと存じましたので、民間債は三十八年が九千五百万ドル、そのほかに同じ年度に国債が五千三百万ドル、政保債が四千五百万ドル出ております。三十九年度につきましては、総額では一億七千四百万ドル出ておりますが、うち民間債は五千七百万ドル、国債が五千万ドル、政保債が六千七百万ドルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/21
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022・武藤山治
○武藤(山)委員 月報、持っているでしょう。月報の百八十六号、七三ページ、これによると、民間債というところの内訳を見ると、英貨債は三十八年度一億七千五百万ドル、三十九年度三千五百万ドル、マルク債が三十九年度一億ドル、これはどういう見方をするんだろうか。あなたのいまの答弁と全く合わないんだけれども……。これをちょっと見てください。ここに書いてあるこれはどういう数字なんですか。
〔武藤(山)委員、柏木(雄)政府委員に書類を示す〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/22
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023・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 外貨債発行額内訳と申します中に、これは国債、政保債、民間債と分けておりますが、その政保債の中をまたさらに細分しております。ですから、ここにある数字を全部足すと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/23
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024・武藤山治
○武藤(山)委員 一番下の右側に書いてあるでしょう。民間債の合計になっているでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/24
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025・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 民間債の合計額は全部で二億四千百万ドルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/25
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026・武藤山治
○武藤(山)委員 その内訳が民間債というところにどうして入るんですか。政保債や何かがどうして民間債の合計に入っているのか。そうすると、その月報のとり方が間違っているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/26
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027・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 国債、政保債、民間債と三本並べてございます。民間債の合計が二億四千百万ドル。私が先ほど二億五千六百万ドルと申し上げました……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/27
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028・武藤山治
○武藤(山)委員 この内訳についていまぼくが指摘した——万年筆でしるししてあるでしょう。それは政保債もみんな含まれているの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/28
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029・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 民間債の中に含まれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/29
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030・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、一億になるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/30
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031・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 一千万……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/31
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032・武藤山治
○武藤(山)委員 一千万か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/32
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033・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 三十九年度のマルク債は一千万ドルです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/33
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034・武藤山治
○武藤(山)委員 一億ドルの見違いか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/34
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035・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 一億と申しますのは政保債でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/35
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036・武藤山治
○武藤(山)委員 それでは去年一カ年間の民間債の発行額が、四十二年の十二月に一千五百万ドル、四十三年、ことしの二月に一千万ドル、さらに三月にマルク債が二千五百万ドル、産投関係で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/36
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037・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 二月です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/37
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038・武藤山治
○武藤(山)委員 二月だけれども、実際には三月になっているんじゃないの、大蔵省の発表では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/38
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039・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 三月一日に入金しましたので、三月でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/39
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040・武藤山治
○武藤(山)委員 そこで、民間債、一応四十二年度中のものは合わせて五千万ドルですね。そうすると、今度は租税特別措置で利子を課税しないという制度を設ける場合に、四十三年度はこれが大体幾らくらいになるだろうか。去年のものを基礎にして考えた場合、この五千万ドルがことしはどのくらいになるのだろうか。大体目安というものはあるでしょう。四億ドルは民間からの希望が多過ぎる。新聞では小松製作所は幾ら、どこが幾らという会社別まで全部希望額が出ておるわけですよ。あなたがそれを見てないだけで、新聞もそうでたらめな報道をしているわけじゃないと思う。しかし、四億ドルはとにかく多過ぎる、しからば、去年の五千万ドルは一体少ないのか、妥当なのか。それとも、ことしの国際収支の状況やあるいはアメリカの金利の動向から見て、この程度は妥当なんだという数字くらいは、大蔵省としては当然頭の中に浮かべておかなければうまい行政指導はできないと思うのです。それは日銀にまかせておるのだ、日銀が自由に弾力的にやっておるのだでは、大蔵省としてちょっと無責任過ぎるのではないか、こういう感じがするわけです。大体どの程度をめどにしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/40
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041・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 先ほど御説明いたしましたように、三十八年度、一番多く出た年に一億九千四百万ドル出ております。そのうち半分が民間債、半分が国債ないし政保債で、民間債につきましては、達観して九千五百万ドルですから、約一億ドルを上回るか下回るか、その程度のものは期待できるのではないか、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/41
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042・武藤山治
○武藤(山)委員 それでは、まず国際金融局長の答弁の一億ドルを大体めどにして論議をしてみた場合、ヨーロッパはことし金利が上がって発行条件もかなりきびしい、大体七分をこすのではないか、大体こういう新聞報道ですね。そうすると、三月一日入金した産投国債の二千五百万ドルのマルク債は金利はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/42
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043・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 マルク債発行の条件は、七分で九十八円売り出しにいたしたと思います。そうすると、十五年の期間のものですから、利回りとすれば七・二近いものかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/43
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044・武藤山治
○武藤(山)委員 七分二厘あるいは七分と計算をして、一億ドルの民間債発行に対する利子を免税にすると、主税局長、大体大ざっぱにお幾らぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/44
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045・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 一億ドルで七分ちょっとといたしますと、大体三百六十億円の七分、約二十五億円になる計算になります。それの一〇%でございますから、二億五千万円というのが平年度の年間ということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/45
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046・武藤山治
○武藤(山)委員 平年度にして二億五千万円の税金をまけてやるということは、あなたの頭の中の感じではごく微少ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/46
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047・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 実は、いま御議論ございましたように、この制度をとって外貨債の導入をはかるといたしましても、欧州市場その他が現在見通しがつきませんものですから、私どもとしては、二億五千万円というのは決して微少ではないと思いますけれども、まず初年度といたしましては、全然減収はないという前提でございます。なぜかと申しますと、発行ベースでございますから、利払い期がまず到来しないであろうと見られますので、そういう意味でことしは減収額を見ないで済むというつもりでございます。決して二億五千万円が少ないという感じではおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/47
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048・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、主税局長、私どもの勉強会で、これは一体減税幾らになるかという私の質問に対しては、あなたは微少でありますと、とうとう金額も言わないのです。だから、二億五千万円というのは、主税局長の頭から見て微少なので、説明の要はないという解釈を私はしておった。そこで、実は私きょうこの問題を取り上げて質問してみたら、平年度二億五千万円というのは、そう微少ではないですな。前に私どもの質問したときに微少と言ったことは、これは誤認であった、認識不足であった、それを取り消して、ここで答弁の二億五千万円が正しいのです、それは微少ではありません、こういうことにいたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/48
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049・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 その当時私が申しましたのは、私、初年度のことを頭に置いていたものですから、たとえ利払い期が到来するようなものが出てきても、四月、五月ころ発行のものは、半年分で出てくるからという感じでございましたので、微少だと申し上げたわけでございます。そういう意味で、平年度的に考え、かつ一億以上出るということになれば決して微少ではない、そういう意味であれば前回の発言を取り消さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/49
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050・武藤山治
○武藤(山)委員 あなた、いまでも半分くらいは言いわけ的な気持ちが入っておる。あのときは初年度幾ら、平年度幾らという形で聞いておって、ほかの項目は全部あなたはそう答えておるのですよ。たとえば国際観光ホテル整備法による今度の耐用年数の問題でも、初年度は二億円、平年度十億円、あるいは試験研究費にしても、初年度五億、平年度二十億、そういうふうにちゃんと親切に初年度、平年度とあなたは説明しているじゃありませんか。いまのように、初年度大体微少だからといってごまかして言わなかったということになると、けしからぬ態度ですよ。やはりこれは私がさっき言ったように、微少と言ったのは間違いです、二億五千万円というものはやはりはっきり言うべきでした、こうすなおに主税局長答弁しなければ、私は今度は微少と言ったやつをみんな聞きますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/50
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051・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 その点、確かに仰せのとおりであって、微少であったというのは私申し過ぎであったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/51
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052・武藤山治
○武藤(山)委員 次に、いまの問題については国際金融局長、国内の国際収支改善の政策がしり抜けにならないように、やはり大蔵省としては、十分日銀とも、あるいは民間債を希望する企業者側とも調整をはかって、これだけいま真剣に取り組んでいる国内の政策がしり抜けにならぬという方向でひとつ行政指導をすべきだと思いますが、その見解に対してはどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/52
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053・柏木雄介
○柏木(雄)政府委員 先ほど私は、金融政策全般につきまして、日本銀行としてもしり抜けにならないように配慮すると申し上げましたが、そのほかに、やはり外債の発行は個々に為替の許可が要るわけでございます。したがいまして、私どものほうでも外債発行につきましては、許可をするときに、しり抜けにならないというか、全般の体制をくずさないように配慮してまいりたいということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/53
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054・武藤山治
○武藤(山)委員 ついでに、この印刷物の次の項にある問題にもちょっと触れていきたいのですが、国際観光ホテルの固定資産の耐用年数を短縮一するこの特別措置これは一体ねらいは何なんですか。政策的効果は何をねらっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/54
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055・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは先般申し上げましたとおり、従来から法律で耐用年数の短縮はきめてあったものを租税特別措置法に移して、かつその後の一般耐用年数が短くなりましたので、それに応じて修正をしたわけでございますので、政策の意図は当初にさかのぼると思いますが、御承知のとおり、外客誘致ということが非常に緊急と考えられます。現状でもそうだと思いますが、国際観光ホテル、外客に適したホテルが少ないということが外客の誘致に支障になるという点から、いろいろ国際観光ホテルにつきましてはきびしい条件を設けておりまして、普通のホテル以上に設備が要るわけでございます。そういうものを早期に償却をするということによって、この設備の完備を期するということがこの法律の趣旨であったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/55
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056・武藤山治
○武藤(山)委員 それでは、国際観光ホテルというのはいま幾つあって、部屋数が幾らあって、一挙に外人が日本にばっと押しかけてきたときに、何人収容できて、どのくらい足りなくて、どのくらい要るのですか。ねらいはどのくらいのホテルをつくりたいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/56
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057・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 四十二年十一月末で国際観光ホテルで登録ホテルになっているのが百五十六社くらいございます。それから登録旅館というのが八百五社ございまして、合計いたしますと九百六十一社になるわけでございます。現在登録ホテルに泊まっております客の大体三分の一ないし二分の一が外客という実績になっているようでございます。私、このほうは所管外でございますので、よけいなことを申し上げるとしかられますが、かなりの数の外客が来ても、いまの段階ではそろそろ受け入れられる態勢になっているのではないか。地域的に申しますとまたいろいろ問題があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/57
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058・武藤山治
○武藤(山)委員 主税局長ともあろう者が、そういう確たる数字を持たないのに、なぜこういう特別措置をつくるのかと私は小言を言いたいのです。どこから要求があったのですか。運輸省ですか、外務省ですか、どこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/58
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059・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは所管省としては当然運輸省でございます。御説明申し上げましたとおり、これは国際観光ホテル整備法の中に法律で規定してある事項でございます。それを、従来国際観光ホテル整備法のほうで書いておりましたのは、租税の統一性から好ましくないというので、租税特別措置へ移したという趣旨でございまして、その際に、国際観光ホテル整備法では、法律であるために耐用年数が直し切れなかったという点を、今回直したという趣旨のものでございますので、やはり所管省の一つの考え方をこちらで容認をして認めたというふうにお考え願いたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/59
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060・武藤山治
○武藤(山)委員 平年度十億の減税をするということは、これは業界にとっては大問題。特に私はここで言いたいのは、国内の普通の温泉旅館、しかも山の中にある温泉ほど、湯元に近かったり、あるいはほんとうのお湯が出ているために腐食が激しくて、畳もふとんも柱もいたみが温泉場の旅館ほど非常に早い。そういうものに対して、国税庁長官の認可をとれば特別償却を認めるという法律の制度になっている。なっているが、事実それを認めるのはほとんどないと思う。あるかどうか、その数字をひとつ明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/60
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061・高柳忠夫
○高柳説明員 ただいま資料を持っておりませんので、直ちに調べてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/61
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062・武藤山治
○武藤(山)委員 直ちに調べて資料を出すというが、私は、三、四年前に国税庁長官にこの問題でこの場所で質問した覚えがある。そのときにこういう許可をしている業者はありません。そうすると、国際観光ホテルなるがゆえに十億円の減税の恩恵を受けて、国内の農民や年寄りを慰安する温泉場の旅館で、畳やふとんや柱が非常に腐食が激しいものについては考慮しない。法のもとに平等であるべき業者が、法のもとに平等であるべき国民がこういう差別待遇を受けるということは、はなはだ納得いかぬ、けしからぬと思う。温泉地におけるそういう業者の実態というものもすみやかに調査をして、それらの実情に合うような特別償却制度をすみやかに行うべきであると私は思うが、主税局長の見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/62
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063・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 浴室につきましては、腐食が非常に激しいということで、耐用年数はかなり短くしていることは、これは御承知と思います。あとその付属する建物等についての腐食の問題、これはやはり個別に耐用年数の短縮の承認で処置をしていくような制度が一番適当じゃないかと思います。この観光ホテルの制度は、確かに旅館の間では一種の差別待遇だと思いますけれども、これは諸外国でもやっておりますが、観光客の誘致というためにやや犠牲を払い、それによって観光収入、外貨を獲得することにつとめるということは、政策として、一般の租税特別措置と同じ意味の不公平はございますけれども、一応政策目的としては、現下の外貨収支の点から申しますと、依然としてその政策目的は残存しているのではないかということで今回の措置をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/63
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064・武藤山治
○武藤(山)委員 だから、今回の措置をとったのは、この法案として出ておるのだからわかっておるのです。後段の私の質問に答えていないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/64
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065・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いま申し上げましたように、そういう事実に即して耐用年数の短縮をはかっていくという制度は、個別的でないとなかなかむずかしいと思います。その点はそれぞれの申請に応じてやっていくことが必要であろうか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/65
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066・武藤山治
○武藤(山)委員 法的にはそういう腐食の激しい現状にある場合には国税庁長官の認可を受けて短縮することが可能である、割り増し償却を認めるという法律になっておるのですね。実際にはそれは認めてないのですよ。片方、国際観光ホテルには、外貨をかせぐために、外国のお客さんが来るようにというので、しかも局長は、何室あれば足りるというのか、国際観光ホテルとして完備したものだとか、その数字を言いなさいと言っても、わからぬというのでしょう。そんなあやふやなことを、租税特別措置法や国際観光ホテル整備法にあるからといって、シビアーな大蔵省がゆるふんにこういうものを認めておきながら、片方のものについては、それは国際観光ホテルでないからといって非常にきつい、こういう答弁はいただけませんよ。公平じゃありませんよ。だから、やはりそういうものは実態に即して十分検討して、法律の制度にあるものは認めるようにしたいというのがあたりまえじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/66
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067・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 できるだけ機動的にそういう措置がとれるようにというので、昨年の税制改正で、御承知のように承認を下におろしまして、簡素化をいたしまして、国税局長の承認におろしております。できるだけ実情に即して、制度が生きるように運用してまいるのが筋道と思いますが、これは国税庁の所管でございますので、私としてはそういう希望を述べておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/67
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068・武藤山治
○武藤(山)委員 長官がいればその問題はきちっと締めくくりたかったのですが、長官が来てないからやめますが、十分今後の検討事項に、ひとつ国税庁としてもしてもらいたいと思います。
次に、時間がありませんから、もう一問。現在資本金一億円以上の会社の資本金総額は、どのくらいになりますか。一億円以上の資本金の会社の資本金の総合計です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/68
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069・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 約六兆二千億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/69
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070・武藤山治
○武藤(山)委員 六兆二千億円の資本金の千分の二・五というと幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/70
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071・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 概算で百五十億程度になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/71
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072・武藤山治
○武藤(山)委員 概算で百五十億円——私がいま何をこれから調べようとしているかは、大体おわかりでしょう。寄付金の問題です。法人の寄付金は、政党に寄付しようが、右翼に寄付しようが、暴力団に寄付しようが、だれに寄付してもいいんですね。法的には別に問題はない。そして資本金千分の二・五とその会社の所得の百分の二・五の合計額の半分まで寄付してもよろしいことになっている。そこで、資本金の額からいくと百五十億円まで、一億円以上の会社はまず計算が出てきますね。会社の所得の実績そこでわかるのは何年度がわかるかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/72
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073・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 四十一年度です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/73
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074・武藤山治
○武藤(山)委員 四十一年度の一億円以上の資本金の会社の所得合計額は幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/74
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075・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 概算で一兆九千億円程度になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/75
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076・武藤山治
○武藤(山)委員 概算で、一億円以上の資本金の会社の所得は、四十一年度ベースで一兆九千億円、それの百分の二・五は幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/76
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077・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 概算で五百億程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/77
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078・武藤山治
○武藤(山)委員 そういたしますと、いまの法人税法の規定に基づく寄付金額は、一億円以上の会社の可能最大限は三百二十五億円の献金ができる、寄付ができる、こういうことになりますね。一応数字的にはそういうことになりますね。間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/78
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079・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 限度額といたしましては、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/79
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080・武藤山治
○武藤(山)委員 これだけの膨大な金をどこへ寄付してもいいという税制上の規定をこのままにしておくことは、主税局として妥当であると考えるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/80
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081・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これもしばしば問題になる点でございますが、御承知のとおりわが国の税法では、所得というのは総益金から総損金を引く、そうして計算する、ロスであっても会社純財産が減少すればそれは総損金であるという考え方であったものですから、御承知のように寄付金は全部みんな損に見ておったわけです。戦時中に非常に税率が高くなりまして、臨時租税増徴法などで九〇%近い税金になりましたので、寄付金を損で見ますと実際は九割は国が寄付した結果になるというので、寄付金を否認することになりました。そういう意味では、むしろ法人の本来の損金のものを否認をするということにしたために、ある程度の限度額を設けて容認範囲をつくろうとしたのがこの制度でございます。この余裕範囲が多過ぎるかどうかという点は、今後私どもとしても十分検討していく必要があると思いますけれども、そういう制度的な意味があることを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/81
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082・武藤山治
○武藤(山)委員 今後十分検討するに値するというのですが、本気で検討しますか。いつごろまでにその検討をしたいということになりますか。めどまでひとつちょっと明らかにしてください。ただ検討だけでは逃げられますから、私が国会議員をやめてから検討しましたでは困るので、なるべく早い機会に検討してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/82
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083・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私どもといたしましては、交際費寄付金という二つのものは、ある程度性格は違いますけれども、法人の損金というものを否認してきた、いわば法人の所得計算というものをだんだん所得税のような必要経費に近い考え方に切り直してきた過程を考えますと、やはり交際費寄付金というものは両方一緒に考えていく必要があるのではないか。交際費につきましては、御承知のとおり来年度制度が切れてしまいます。全部が損金になる形に戻りますから、これは私この間申し上げたように、これはぜひ存続をしたい。これは特別措置でございますが、存続をして、さらに合理化したいという気持ちを持っております。それとあわせて検討いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/83
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084・武藤山治
○武藤(山)委員 主税局長がいま答弁をされたことは、いまこの問題は非常にタイミングがいいのですね。政府も佐藤さんも、しぶしぶではあろうが政治資金規正法の改正案をあしたあたりいよいよ国会に出す。政治資金規正法でもらうほうを制限をしても、税法上、法人税法にはっきり、資本金の千分の二・五と所得の百分の二・五まではだれに寄付してもだいじょうぶなんだ、経費に落ちるのだという制度が存続する限り、どうもちぐはぐに私はなると思うのであります。そこで、そういう会社の資本金別に、あるいは限度額をきめるなり、あるいは目的別に限度額をきめるなり、何でも一からげにいまの基準で三百二十五億、最高限度まで寄付ができるというようなこういういまの規定ではなくて、もっときめこまかい寄付の対象別、目的別に、こういうものはやはり大法人については規制をすべきである。特に政府関係からの融資を受けている会社や、政府機関の補助金をもらっている会社などについての寄付金なんというものは税法上これを禁止する、あるいは徹底的に禁止できないならば、かなりきつい規制が行なわれるような法改正を私は必要とすると思うのであります。特にいまタイミングがいい。国民の世論は政治資金規正法に目が注がれているときでありますから、主税局としても、すみやかにこの寄付金控除、法人税法上の規定というものを再検討すべきだ。あなた再検討する、検討してみたい、研究に値すると言いましたから、ひとつ早急にこの問題に手がかりをつけてもらいたい、こう思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/84
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085・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 規正法の問題は、実は私どもの手元にちょっと及ばないようなことになっておりますが、新聞等で拝見するところでは、この寄付金とは別ワクのように伺っております。
なお、問題といたしましては、毎々問題になりますが、指定寄付金という問題がございます。こういうものも含めて私は寄付金の問題を検討いたしたいと思います。寄付金と申しますのは、税法上はいわゆる贈与一般を寄付と称しておりますので、ある意味では会社が存続する上に近隣に対していろいろな贈与をしなくちゃならぬ場合が起こると思います。そういうものも無償である限りは寄付になりますので、そういう点を考慮して、現在は会社の活動を最もあらわすような資本金と所得をとっていると思います。そういう意味で、贈与の寄付金の範囲がかなり税法では広くなっている点、それからいまおっしゃった目的別というようなことになると、その点をまた別に考えるかどうか、いまのように、目的別にいたしますと、別ワクとかいろいろな問題が起こります。そういう可否論その他、指定寄付金も含めて私どもは検討いたしたい、かように思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/85
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086・武藤山治
○武藤(山)委員 大体いまの答弁でよろしいと思います。早急に検討願いたい。
最後に、たいへん今回慎重審議をいたしました所得税法、租税特別措置法、物品税法、法人税法、この四法案の審議がいよいよ終わらんとするわけでありますが、頭脳明晰の主税局長は、野党委員の質疑を聞き、答弁をしながら、この問題はどうしても主税局として再検討しなければならぬが、これは前向きの姿勢でひとつ考えてみたい、こういうような感じを持たれた質問事項というもの、どういう問題点をあなたは認識されておりますか、ちょっと確認の意味で明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/86
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087・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 実は私、この委員会、初めて局長として出席させていただきました。税法の審議に入りまして以来非常に長時間にわたって、しかも改正法だけでなくて、税法の基本に関する問題について非常に詳細な御質問をいただきまして、非常に感銘を深くいたしております。
国民の税負担のあり方、あるいは所得の課税最低限や税率のあり方、また企業課税の基本的な方向はどうすべきか、あるいは直接税と間接税はいかにその分担をすべきであるか、さらにこまかくは物品税の課税品目の選定の条件はどうか、きわめて広範な問題を分析していただいたわけで、私どもとしても、非常に今後の税法の研究について大きな示唆を与えていただいたと思うのでございます。私としては、これらの審議を通じていただきましたいろんな有益な意見を、できるだけ今後の検討に生かしていきたい。
なかんずく大きな筋で申し上げますと、私どもが今後とも早急に考えなくてはいけない問題として御指摘を受けた点では、所得税における給与所得控除というもののあり方、さらにこれをさらに引き上げるべきではないかという問題、また最近の状況から見て、所得税の累進税率について考うべきではないかという問題、交際費の課税についていかなる合理化をはかるべきかという問題、さらに、非常に広範な問題ではございますけれども、土地税制を確立すべきであるという問題、さらに全般を包括いたしまして、租税特別措置について流動的な改廃を進めるべきであるという問題、こういう点については、私どもとしても早急に検討していくべき問題であると認識いたしております。さしあたりといたしましては、税制調査会が七月には長期の答申をまめることになっておりますので、できるだけこういう問題についての審議を——もちろん議題にあげておりますけれども、この委員会を通じての御意見を反映をいたしまして、できるだけ合理的な答申が得られるように努力をいたしたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/87
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088・武藤山治
○武藤(山)委員 主税局長が野党議員の質問に対して感じた感触は大体わかりました。しかし、それはそう感じたというだけじゃなくて、いまあなたがお答えになりましたように、税調に十分ひとつこういう野党議員の意見を反映できるように大蔵省としても最善の努力を傾けていただきたい。
さらに、いま主税局長が答弁をした以外にも、たとえば輸出所得控除の制度を設けたが効果はどうであるか、その効果についてこの委員会に報告をする義務を答弁の中で負ったと思います。あるいは国税庁は、地主が脱税をしておる、あるいは権利金というキャピタルゲインについての課税の問題などもたいへんルーズになっている、そういうようなものについては適切な調査と徴税が必要であるという点を指摘されております。あるいはホテルの特別償却の問題としても、その固定資産の中身について、個々の問題についてもたいへん問題があるであろう、これらの問題もすみやかに再調査をして適切な措置をとるということも答弁の中に含まれておるわけであります。そういう数々の問題をわれわれはこの委員会において指摘したのでありますから、それがただ単なる論議に終わらずに具体的な行政となってあらわれるように、ひとつ最善の配慮を心から期待をいたすわけであります。
最後に政務次官に、初めて大蔵政務次官になられたあなたのこの税法審議を通じての感想を一言お聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/88
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089・倉成正
○倉成政府委員 当委員会での御審議は、きわめて御熱心にまた専門的に、私どもしろうとにとりましては非常に勉強になりました。国民と最も深い関係のある税については、私はもっと掘り下げて、さらに長期の税制はいかにあるべきかという問題を含めて、これからも論議をすべき問題であろうと思います。せっかくこれからいろいろな問題についても御教示をいただいて勉強いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/89
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090・武藤山治
○武藤(山)委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/90
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091・田村元
○田村委員長 加藤清二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/91
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092・加藤清二
○加藤(清)委員 ただいま上程されて審議されております物品税並びに租税特別措置法の二点についてお尋ねしたいと存じます。
私が承りたいことの第一は、租税特別措置法は目的があって行なわれているはずでございます。その目的がはたしてりっぱに完遂されているかいないかという点でございます。まずそこからお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/92
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093・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 仰せのとおり、租税特別措置法は、一方では租税負担の公平を害するという点がございまして、その目的を実現するためでなければやってはならないはずでございます。
〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
そういう意味では、量的な把握はできなくても、租税特別措置法の仕組みその他でその目的は果たせるように措置をしてまいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/93
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094・加藤清二
○加藤(清)委員 目的は達成されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/94
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095・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 目的を達成するような法律構成をとり、その目的のために設けておりますので、いま申し上げたように、量的な把握というのはなかなか困難でございますが、現存している措置については、租税特別措置の目的を果たしていると考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/95
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096・加藤清二
○加藤(清)委員 租税特別措置法と申しますると、名前はりっぱに聞こえますけれども、内容は特殊な部門に特別な減税の恩典を与える、こういうことでございますですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/96
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097・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 概括して仰せられるとおりだと思いますが、租税特別措置の内容は、主として準備金を設ける、あるいは特別の償却をするというのがほぼ中心になっておりますので、少なくとも、租税の繰り延べが行なわれ、租税の利子分というものが減免されることは明らかでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/97
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098・加藤清二
○加藤(清)委員 その恩典に浴したものを金額にしてみると、昭和四十三年度では一体全体でどれだけあるか。それから開設以来今日まで、昭和四十二年度まででけっこうですが、一体何ほどあるか。それから、関連いたしまして地方税の減免が行なわれるわけですね。たとえば工場誘致条例等々によって、租税特別措置法と同じような意味において地方税の減免が行なわれるわけでございます。これは一体四十二年度ではいかほどであるか。それから、これが設けられて以来、四十二年度まででは一体総トータル幾らであるか。以上を簡潔に述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/98
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099・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 現存する特別措置による当年度減収額はすでに提出してございますが、四十三年度で二千六百四十八億余円でございます。二十五年以後の租税特別措置によるそういう意味の毎年度の減収額を合計いたしますと、二兆一千五百億円程度になると思います。
地方税につきましては、私の所管ではないものでございますから正確に申し上げかねるわけでございますが、本年度そういう意味の国税の二千六百億に対応するような減収額としては約八百億……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/99
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100・加藤清二
○加藤(清)委員 そんなことないよ。そんないいかげんなことを言ってはいかぬよ。知っておって聞いておるのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/100
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101・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 地方税固有のものが八百億円でございます。それで法人税の減収をいたしますと住民税にはね返るという意味であれば、それが約七百億、合わせまして千五百億円程度と考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/101
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102・加藤清二
○加藤(清)委員 総トータルは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/102
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103・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私、その所管でございませんので、総トータルまではちょっといま正確な数字を申し上げかねるわけでございますが、地方税につきましては、私いま合計は把握いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/103
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104・加藤清二
○加藤(清)委員 もちろん、担当が違うからわからぬと言われても無理からぬことですがね。これは租税特別措置法という法律がもとになって地方税へはね返っていき、その地方税のはね返りが、やがてあなたのところへお世話になるところの再建整備になっているのだから、そんなことを本家本元が知らぬなんて言ったって通りませんよ。おのれが法律改正をすれば、これがいかなるところまで影響を及ぼすかぐらいのことはちゃんと試算してしかるべきだ。それがやってなかったら怠慢だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/104
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105・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 もちろん、毎年の分はやっておるのでございますが、ここにいま総合計をしておりませんものですから……。
はね返りの程度から申しますと、御承知のとおり、地方税には大体四割程度のはね返りかと思います、実績的に申しますと。そういう点から申しますと、いまの二兆一千億に対する累計は、これはもうあくまでも私の推計でございますから正確な数字ではございませんが、おそらく八千億程度であろうか、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/105
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106・加藤清二
○加藤(清)委員 あなたの数字はどこを基準におっしゃっていらっしゃるかは知りませんけれども、ただいまお答えの租税特別措置法の免税総トータルにしても、この金額は三年前の金額より少ないのだ。それからいま、地方税のあれは八千億程度だ、こうおっしゃられましたね。それは何年のトータルです。私は昭和四十二年度まででいかほどになるかと聞いておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/106
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107・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私が申しました国税の総トータルは、二十五年から四十三年までの毎年度の減収額を合計したものでございまして、それから推計をした地方税の分は同じ期間の約四割程度であろうかと思います。これは私、数字を持っておりませんから、推計して八千億と申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/107
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108・加藤清二
○加藤(清)委員 それは概算だろう。君のほうは、租税特別措置法の風当たりが強いから、影響がなるべく少ないように少ないようにときのうから答弁しておる。前から聞いておると、なるべく少ないように少ないようにと答えておる。ところがそれは、頭は隠れておるけれども、しっぽはまる出しだ。だから、そんな答弁ではだめですよ。
次にお尋ねいたしまするが、かりにあなたのおっしゃられるとおりの数字で話を進めていきましょう。二兆一千五百億円、かりに二兆円といたしましても、それだけこれを受ける企業に国家は貢献をしているわけだ。その結果、企業としてはそれに報いるにいかなることをやったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/108
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109・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 租税特別措置の目的は千差万別でございます。たとえば輸出に関するものであれば、輸出の伸長ということで貢献をするであろう、こういうことでこれを認めております。あるいはこまかいところで申しますならば、私鉄が都市内に乗り入れる際には地下化をするということで、地下化を促進しておるとか、貯蓄の奨励であれば、毎年の貯蓄額が御承知のとおり、その結果であるというふうに申しますとしかられますけれども、やはり貯蓄がふえておることも事実である、かように考えますので、その目的がそれぞれによって果たされておるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/109
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110・加藤清二
○加藤(清)委員 では、例をとって説明しましょう。租税特別措置法の最たるものは、アメリカの売りたいという機械を日本の工場が購入して設備をする。その償却にあたっては、初年度でその半額をさせる。翌二年度で分割して、つまり三年間で償却ができるようにする。しかし、その設備の耐用年数は十年から十五年もたえ得る耐久力がある。普通の減価償却は十五年程度のものを三年で償却させる。その目的は何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/110
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111・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いま御指摘になりましたのは、合理化機械の償却の前の制度をおっしゃっているのだろうと思います。現在ではこれは四分の一償却になっておることは御承知のとおりです。それから、三年とおっしゃいましたが、これは繰り越し期間を三年に認めているわけで、五割の二分の一……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/111
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112・加藤清二
○加藤(清)委員 君とそんな論争をしようとはしていない。君がかってな例を出すから、こっちもかってな例を出したのだ。それだけのことですよ。君の答弁いかんによって、どうにでも質問は変わるのだ。原稿が書いてあるわけじゃないんだから。そこで、機械工業振興法によってはそうなっているのだ。だから、君がかってな例を出すからこっちもかってな例を出しただけだが、しからばその目的は何です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/112
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113・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これはアメリカの機械をということではございません。いかなる機械でも、合理化機械として指定をした機械については、それを設置することによって企業の合理化をはかるという意味で償却を早目にやらせるという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/113
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114・加藤清二
○加藤(清)委員 その目的は何かというのだがね。
それでは次に進めましょう。そのときの機械工業振興法の立法の場合に、やがてこのことは消費者に恩恵をもって還元させられるということを時の大蔵大臣も通産大臣も再三にわたって答えておる。はたしてそれが行なわれたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/114
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115・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 そのときのお答えは、おそらくこの機械が企業の合理化をはかるために、合理化を促進する機械として指定をいたしております関係で、初年度に大きな償却をいたしますにしても、それによってそういう合理化機械が設置されれば、企業の合理化がはかられ、生産費が漸次減少するという意味で、最終的には消費者に対する恩恵としてあらわれるだろうという意味で言われたのだろうと思います。その結果等につきましては、具体的に数量的に把握することは非常に困難かと思いますが、それぞれ担当原局においては検討をしていると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/115
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116・加藤清二
○加藤(清)委員 租税特別措置法だけではございませんけれども、あなたの施策によって、大企業の設備が近代化されます。ある部面では、あり余るほど設備が行なわれます。過剰設備となります。遊休設備ともなっておる現状でございます。ところで、設備が近代化され、生産性が向上され、付加価値がふえたら、これは当然その会社から生産される物の値段が下がる。すなわち消費者にもその恩恵が与えられてしかるべきである。にもかかわりませず、経済学者の間では、こういう基幹産業の物価、すなわち卸売り物価の下方硬直・性ということばが定説になっている。それが今日の状態でございます。池田内閣以来ずっとそうでございます。しかし、近ごろは卸売り物価までが上昇の一途でございます。はたして効果があったのかないのか、国民はきわめて疑問でございます。田中大蔵大臣はそのときの予算の答弁で、いましばらく待ってくれ、これは国際競争力を養成するために必要な制度であるから、そうそう言わぬでおいてもらいたい、いましばらく長い目で見てくれ。何年くらい長い目で見たらよろしゅうございますか。まあせいぜい二、三年だろうと、こういう話であった。あれからすでに五年もたっておる。下方硬直性は一向に直らない。すなわち大企業が国家から受けた恩恵、それによって生産された物の物価にその恩恵を施す、すなわち国民に恩恵を返す、このことがすっかり忘れられている。この点について、ほんとうは大蔵大臣に承りたいのだが、あなたどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/116
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117・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いわゆる管理価格の問題とか卸売り物価の下方硬直性ということがよくいわれておることも承知しております。ただ一方において、わが国の経済は毎年年率一〇%近い成長を遂げており、所得も、御承知のとおり賃金にいたしましても一〇%以上の上昇をしております。その中で卸売り価格というものは御指摘のように下がりませんが、最近ちょっと上がっておりますが、大体安定をした姿になっておる。そういう点から申しますと、経済の全体のバランスとしては、この制度が全くその効果を無視されてしまっているとも言えないのではないか。これは私の個人的考えでございますが、専門ではございませんのではなはだ不十分な答弁ですが、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/117
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118・加藤清二
○加藤(清)委員 私は、この物品税法、租税特別措置法を通じて物価との関係を主としてお尋ねをいたします。ところでこの物価の問題でございまするが、大企業に、租税特別措置法をはじめとしてあの手この手で恩恵的な措置がいろいろ講じられております。税制面も金融面も設備の面もいろいろ施されております。しかし、それが国民に反対給付として行なわれていないだけでしたらまだしんぼうができるのでありまするが、これが同じ時期に、大企業へならば安く、中小零細ならば高く、国民に対してならばより高くという価格構造が行なわれておるのでございます。これについて一番いい例は、ここで実物で討議をしたほうがいいと思いまするから実物であれしましょう。
今度の租税特別措置法に送配電設備の整備ということがございますね。これは地下ケーブルの設備の特別償却のことじゃないかと思いますが、その内容はあとで聞くとして、たとえばこの電力料金、一キロワット幾らになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/118
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119・塚本保雄
○塚本説明員 四十一年度の平均の実績単価、仕上がり単価でございますが、これを全国平均で申し上げます。四十一年度の平均の仕上がり電灯は十二円八銭であります。それから小口電力が七円二十一銭、大口電力が三円七十九銭、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/119
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120・加藤清二
○加藤(清)委員 これはあくまで全国平均ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/120
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121・塚本保雄
○塚本説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/121
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122・加藤清二
○加藤(清)委員 家庭用電灯の場合が十二円八銭というのはいつのあれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/122
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123・塚本保雄
○塚本説明員 九社平均の電灯の仕上がり単価であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/123
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124・加藤清二
○加藤(清)委員 仕上がり単価が販売単価でないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/124
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125・塚本保雄
○塚本説明員 必ずしも個々の家庭における販売単価とは違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/125
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126・加藤清二
○加藤(清)委員 販売単価は幾らです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/126
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127・塚本保雄
○塚本説明員 販売単価は各社それぞれ異なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/127
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128・加藤清二
○加藤(清)委員 そのとおり。だから平均を聞いた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/128
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129・塚本保雄
○塚本説明員 平均で申し上げますと、全国の電灯の総収入を電灯に対するキロワットアワーで割り算したものが十二円八銭であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/129
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130・加藤清二
○加藤(清)委員 いま十二円八銭、七円二十一銭、三円七十九銭、こうおっしゃいましたね。これは仕上がり単価だとおっしゃいましたが、仕上がり単価と販売単価と同じ意味ですか、あなたの言うのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/130
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131・塚本保雄
○塚本説明員 同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/131
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132・加藤清二
○加藤(清)委員 はい、わかりました。
それではお尋ねします。電発が各電力会社に売っておりますね。それの平均単価は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/132
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133・塚本保雄
○塚本説明員 電発の資料はちょっとここに持ち合わせておりませんけれども、電発のは発電所ごとに全部違っております。高いものは六円ぐらいから、安いものはおそらく二円台ぐらいのものもあったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/133
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134・加藤清二
○加藤(清)委員 ある程度お認めになりましたから、ここでこの問題を締めくくってみたいと存じます。
電力を起こすときに、これは消費者にとか、これは中小企業にとか、これは大企業にとかというように、注文でつくっているんじゃないんです。政務次官いいですか。よく聞いておってくださいよ、大事なところに行きますから。あなたの得意わざへ行きますから。
農業用の水揚げポンプその他の電力料金は幾らになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/134
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135・塚本保雄
○塚本説明員 農事用の資料が手元にございませんので、ちょっと詳細はわかりませんけれども、大体農業用に対しましては農事用電力料金という、そういう範疇で販売をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/135
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136・加藤清二
○加藤(清)委員 幾らになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/136
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137・塚本保雄
○塚本説明員 ちょっと手元に資料を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/137
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138・加藤清二
○加藤(清)委員 それではあとで……。
排水ポンプだとか、もみすり機だとか、近ごろ農業用に大口電力が使われるわけです。小口家庭用電灯でなくて動力用電力が使われるわけなんです。ところで非常に値段の設定がおかしいですね。消費者は十二円八銭とおっしゃられましたが、わが党の政策審議会の調査によれば、一番高いところは、これは四国のほうが高いのですが、二十四円余になっているのです。それから中小企業の平均は、大体いまおっしゃられたとおり、七円前後になっております。これが深夜の電気となりますというと、大体五円前後でございます。ところが大企業になりますと、これは三円七十九銭とおっしゃられましたが、大体三円六十銭程度になっているのです。しかも最も安いところはどうなっているか。一円六十銭なんです。通産大臣の特別許可を受けますというと一円六十銭。そういう恩典があるわけなんです。同じ電力が片や二十四円、片や一円六十銭。十対一よりももっとひどいですね。私どもは、ただ物価が高い、税のあり方が間違っているということを言うておるわけではございません。なぜ同じ電力料金でもこんなに違うのだろうかというんです。農業の場合は大体中小企業並みです。特別措置をしてもらってもなお中小企業並みなんです。ひとしからざるを憂えますね。電力の発生は同じなんですよ。最初から、これは農業用とか、これは小口の消費者用なんていってつくっているのではないのですよ。にもかかわりませず、末端でこれを販売するときに、とたんに値が変わってくるわけなんです。しかし、租税特別措置法の恩典は、消費者に送電するから与えない、農業用に送電をするから与えないというものじゃないでしょう。一斉に与えるんでしょう。
お尋ねしましょう。地中送配電のケーブルの設備、これはどうなっておるのです。「大都市」と説明書に書かれておりまするが、大都市とはどことどこのことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/138
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139・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 通産から専門の方が来ておられますので、大都市と申しますのは、大体六大都市を中心にしたものでございますが、詳しくは通産省のほうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/139
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140・加藤清二
○加藤(清)委員 時間がないから、簡単に大都市とは何かというぐらいは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/140
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141・塚本保雄
○塚本説明員 大都市とは、おおむね七大都市及びその周辺ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/141
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142・加藤清二
○加藤(清)委員 そこで地下ケーブルの設備、これの指導はどうなっているのですか。電力会社に対する指導です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/142
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143・塚本保雄
○塚本説明員 現在は、送電あるいは配電方式には二つの方式がございまして、架空による送電方式あるいは配電方式と、地中による配電方式あるいは送電方式がございます。地中のほうが非常に経費が高くつきますので、今日までのところは、ほとんど架空の送配電方式で行なわれております。ところが、最近の情勢にかんがみまして、私どものほうでは、大都市及びその周辺部につきましては、極力地中化を促進しようと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/143
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144・加藤清二
○加藤(清)委員 簡単にお尋ねします。東京都内には高圧線がたくさんあるはずですけれども、高圧電力を通す架空線というものは一つも空にはございませんですね。ところがいなかに行くと、電力は空を走っていますね。東京の場合ここからながめて、ないですね。三十六階ができますが、あれもずいぶん電力が要るでしょう。あれの送電はどうなっているのですか、東京都内は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/144
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145・塚本保雄
○塚本説明員 東京都内は、架空の送電もしくは架空の配電というのは非常に困難になっておりますので、逐次地中に送配電が進みつつあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/145
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146・加藤清二
○加藤(清)委員 七大都市はそのように全部指導されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/146
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147・塚本保雄
○塚本説明員 そういう方向で今後指導していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/147
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148・加藤清二
○加藤(清)委員 それはいつまでの期間ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/148
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149・塚本保雄
○塚本説明員 相当膨大な経費を要しますので、二十年ぐらいかかるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/149
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150・加藤清二
○加藤(清)委員 二十年先のケーブルの租税特別措置法をきょう行なわれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/150
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151・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま御説明いたしましたのは、二十年間に全部を整備しようということで、すでにもう始まっておるわけでございますから、そこでことしから特別措置を認めたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/151
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152・加藤清二
○加藤(清)委員 その始まっている分の指導、これは先ほどおっしゃられました七大都市は、その行政区域内は全部これでいけという方針ですか。それとも二十年かかって、二十年分割でこれをやるという方針でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/152
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153・塚本保雄
○塚本説明員 当面は東京都を中心に始めまして、やがて大阪、名古屋、やがてその他の七大都市にも及ぼしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/153
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154・加藤清二
○加藤(清)委員 そんな説明しておってはだめだよ。大阪だって名古屋だってもうとっくに始まっているんですよ。東京が済んでから大阪をやって、大阪が済んでから名古屋、そんな冗談言ってはだめですよ。そんなこと言ったら、関電だって中電だっておこりますよ。もう一ぺん言い直しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/154
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155・塚本保雄
○塚本説明員 ただいま私が言いましたのは、まず地中化の重点は東京から、それから関西、中部、名古屋、そういうぐあいに進むだろうというふうに申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/155
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156・加藤清二
○加藤(清)委員 いますでに行なわれつつあるという。行なわれつつあるというんだから、租税特別措置法をきょう改めるというのじゃないですか。東京だけほんの少しだけやるんだったら、こんな全国的な法律は要らぬですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/156
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157・塚本保雄
○塚本説明員 先生お説のとおり、いま各地で逐次行なわれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/157
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158・加藤清二
○加藤(清)委員 ところが、これはいま現在、大阪市周辺、名古屋市周辺、そこで十五万ボルト以上の高圧線の線下には住まううちをつくることはできないのですね。にもかかわりませず、これが横行しているところがある。これをどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/158
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159・井上亮
○井上(亮)政府委員 お答えいたします。
〔毛利委員長代理退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
非常に強い高度の超高圧の線の下に民家ができるということは、私どもとして好ましくないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/159
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160・加藤清二
○加藤(清)委員 好ましくないじゃない。住んだら生命に危険がある。したがって、十五万ボルトの線下は、大体幅三十メートルは危険地帯とされておる。そこにつくってはいけない。ところが、これはそれを所有する地主にとっては、その土地が拘束されたと同じことなんです。したがって地下ケーブル、これは私は反対じゃない。当然のことなんです。それに費用が要る、したがってそれに租税の恩典を与える、それもけっこうなんです。ところが、これが先ほどの電力料金と同じように、これにまた区別がついておる、設営するときに。だから先ほどから何べんも、どのように指導してみえるかと指導方針を聞いておる。それほどよき恩典を受けながら、その恩恵は一体だれに与えられるかというと、住居を持つ国民大衆ではない。そこに問題があるんです。大企業とかあるいは大官庁、そこに迷惑のかかるところだけは地下ケーブルにするけれども、それ以外のところはなかなかにやろうとしない。しかも因縁をくっつけて、理由をつけて、絶対にうちをつくってもよろしいという指導までやっておる。しかも、その線下三十メートルの拘束された土地についての責任は、電力会社はあれこれ言うて回避しておる。これが実態なんです。そういうものになぜこのような恩典を与えなければならないのであろうかということになると、今度の参議院選挙に、政府は国民大衆の電灯料はこんなに高くしておいてこんなですよ、と同時に、それに対して政府から与えられる恩恵はこれまたこんなかっこうですよと言うて説明したら、これでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/160
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161・井上亮
○井上(亮)政府委員 地中化政策は、ただいま先生からいろいろお話がありましたが、私どもといたしましては、やはり都市の都市計画が進捗してまいっておりますし、したがいまして、その都市計画にあわせまして、逐次、都市の保安上の見地、あるいはアメリカあたりではビューティーシティ政策と申しておりますが、そういう美観の問題環境の問題、そういった点を考慮しまして、過密地帯につきまして地中化を行なってまいりたいという指導を行なっております。したがいまして、特定の大企業、特定の大ビルとかいうようなものについてやるわけではございませんで、過密地帯について、逐次道路計画等とあわせまして地中化を進めていく、これが私どもの方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/161
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162・加藤清二
○加藤(清)委員 建設省の指示によって区画整理事業が行なわれておる。それは住宅をつくるためである。その上に十七万ボルトの高圧線が走っていたら、これはどう指導なさいますか。大阪の中にもありますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/162
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163・井上亮
○井上(亮)政府委員 すでに過密になり、住宅計画が現にできておるところに、超高圧をその上を通すということは、計画としてちょっと適当でない。ただ、超高圧の送電線や何かありました場合に——つくりましたときには農地等であったものが、最近の都市の発展に伴ってだんだんその地帯が過密化していく、その場合も私は高圧線下というものは非常に問題だと思いますが、住宅計画をその線下につくるということは問題があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/163
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164・加藤清二
○加藤(清)委員 問題があるからどう指導なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/164
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165・井上亮
○井上(亮)政府委員 少なくとも、現に過密の人家のある上を超高圧を引かせるということはいかぬという指導をいたしたい。しかし、かつてまだ過密でない農地等の上を超高圧が走っておった、それをあとから都市計画、住宅計画をつくるという場合には、これはやはり住宅計画として避けるように指導しなければいかぬものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/165
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166・加藤清二
○加藤(清)委員 それでけっこうです。
渇水準備金はいまでも行なわれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/166
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167・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 制度は現在も残っておりますが、実質的に渇水準備金による減収額というのは、だんだん電力会社の発電の状況が変わってまいりましたので、ことしは全然ないという姿になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/167
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168・加藤清二
○加藤(清)委員 渇水準備金の租税特別措置ですね、これはいま行なわれておるか行なわれてないかと聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/168
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169・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 制度はございます。制度はございますが、いま申し上げたように、当年度の減収額というものは生じない現状になっておるということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/169
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170・加藤清二
○加藤(清)委員 それではこれは継続になっておるのと違いますか。今度の改正案で、渇水準備金の制度を続けてもらいたいということになっておるのと違うかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/170
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171・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これはことしの制度で延長するものではなくて、期限の定めがございませんので、今度延長をお願いしておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/171
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172・加藤清二
○加藤(清)委員 きのうの大臣の答弁にいわく、もう用をなさなくなったものはカットしていこう。これは予算委員会でも答えておる。あなた、用をなさなくなったらなぜカットしないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/172
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173・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のように、渇水準備金は一定の基準で積み、一定の基準でくずしておりますから、くずすのは今後だんだんくずしていくのであります。公益事業の関係で渇水準備金の制度がございますから、それがくずれていくのをそのまま認めなければならないという意味で制度は残っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/173
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174・加藤清二
○加藤(清)委員 そんなことはわかっている。あなたの答弁は、この間じゅうから聞いておると、頭隠してしり隠さずです。風当たりが強いからなるべく少なくしようという努力をして、頭を隠してしりはまる出しだと言うておる。それがいまでもそうでしょう。減収額は一厘もございませんと言っておるが、減収額を聞いておるのではない。継続しておるのか、してないのか。いま一体どのくらい渇水準備金を電力会社は蓄積しておるかということを聞きたいのである。継続されるでしょう。これはまだ法律として生きておるでしょう。生きておるなら現状を言いなさいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/174
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175・塚本保雄
○塚本説明員 渇水準備金の残高を申し上げます。四十二年上期末の九社の渇水準備金の残高は百十六億であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/175
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176・加藤清二
○加藤(清)委員 ついでと言っては失礼ですが、銀行の貸倒引当金の蓄積総トータルは、いま幾らありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/176
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177・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 銀行が大部分でございますが、金融機関だけを区別しておりません。総体で大体金融機関が多いわけでございまして、四十一年では、現在高七千三百十九億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/177
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178・加藤清二
○加藤(清)委員 それは市中銀行だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/178
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179・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 金融、保険業を合わせまして三千九百八十四億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/179
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180・加藤清二
○加藤(清)委員 そんなこと言っておるのじゃない。それは間違いだ。知らぬで聞いておるのじゃないんだ。知っておって聞いておるのだから、もうちょっとちゃんと答えなければだめだよ。あなたが先に答弁なさった七千三百十九億というのが最も近似値だ。ただし、それは今日、中小企業が不渡りを出した、返済不可能になったという場合に、銀行はこれを取りくずして、それに利用したためしがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/180
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181・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、昔の制度は、毎年引き当てていってある額まで準備をするという形でございましたから、そこから取りくずしていくということになっておりましたが、いまの制度は、毎年積んだものを全部取りくずして、また新しく積む制度になっております。そういう意味では、この取りくずすという操作はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/181
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182・加藤清二
○加藤(清)委員 そんなことを聞いているんじゃなくして、この制度が必要であるかないかを検討したいわけなんです。銀行には貸倒引当金の制度というものが現存しておる。それをあなた方は廃止しようとはしていない。ところで、私の尋ねることは、中小企業が毎日倒産しますね。一日に四十件以上ずつ倒産しておる。その場合に、この制度を適用して、この貸倒引当金をそれに穴埋めした例がありますかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/182
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183・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 そう働くべきでございますが、この制度からごらんになると、毎年新しく積むわけでございますから、その結果は充当したことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/183
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184・加藤清二
○加藤(清)委員 あなた充当したと言ったね。それほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/184
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185・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 充当した結果になると申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/185
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186・加藤清二
○加藤(清)委員 結果とはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/186
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187・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 期末の貸し金に対して一定の金額を積み、翌期に全部それをくずします。それが益金になります。そのくずしたときに損金になっておれば、その損金と益金が相殺されるわけですから、そこで結果は取りくずしたことと同じことになる、そして期末には新しくそれを積む、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/187
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188・加藤清二
○加藤(清)委員 その制度はわかっておる。しかし行なわれたためしがない。ただ、これは社内保留の資産になるだけである。なぜかならば——あなたは首を振っておられますが、それではなぜ歩積み・両建てをやるのですか。同時に、なぜ担保を同等額の三倍も取るのですか。あなた何を言っておるのか。いま中小企業が銀行から金を借りようとすれば、たとえば百万円を借りる場合に、大蔵省の指導は、それと同額の担保を要求してもよろしい、こういう指導をしておる。この間、全銀連から何かから全部を呼んで私は聞いておるから、それはわかっておるのですよ。予算の特別委員会をやって、これは毎年私がやってきておる問題だから、きのうきょうの出だしじゃないのだ。これは三倍は取っている。八、八、六十四で取って、それがまた二倍くらいは取るのだから。中小企業が倒産するというのはどこで発見できるか。これは銀行の不渡りから出てくるのだ。そこで不渡りが出そうになると、取引停止、この担保を処理する。第一に取るのです。しかも労働者の預けておいた社内預金までこれに充当するのです。なんでこんなものまで充当するのですか。もしも、これを貸倒引当金に充当しているなんて言ったら、たいへんなことですよ。それじゃ銀行は三重取りだ。なぜかなれば、担保物件を処理しただけで、こげついた金よりも数倍のものを取っているんですからね。おわかりになりませんか。いままで倒産した会社は預金残のほうが不渡りの発生額よりもはるかに大きいんですよ。しかも、そのときに担保は凍結させられているんですから、この担保を処理する場合に、貸した金のこげつきよりもはるかに大きな財産を取っているんですから、こんなものは充てられたためしがないじゃないか。あなた、あると言うなら、具体的に何々銀行の何々支店で、何々中小企業が倒産したときに幾ら引き当てられたという例を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/188
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189・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私が申し上げたのは、一つ一つの銀行の引き当てのことを言っているわけではないのでありまして、制度として準備金というものが益金に総額算入される、貸し倒れがあって損をすれば、その分は損金として出るはずでございます。先生も金融機関が損失に計上した貸し倒れが全然ないとはおっしゃっていないと思います。その分が貸倒引当金の益金と相殺されて、そこで取りくずした結果になる、期末にはまたあらためて埋められることになるということを申し上げているのであって、どの中小企業の損失がどう引き当てられたかということは、制度上あり得ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/189
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190・加藤清二
○加藤(清)委員 あなたの立場は苦しい立場だ。そう言わぬと首が吹っ飛んだらたいへんだからね。しかし、これは引き当てられたためしがないということを銀行がもう言うている。大蔵大臣みずからが、これは社内保留の資産であるということを言っている。中小企業に金融機関が金を貸す場合には、その金額以上のもの、平均三倍以上のものを取るのです。同時に、百万円貸す場合に歩積み・両建てで二十万円から三十万円は積み立て置かれているのです。したがって、倒産といったって、全部がゼロになるんじゃないですからね。百万円借りている人が十万円の不渡りを出しても、これが倒産の原因になってくるのですから。だから、死ぬ死ぬと言ってもまだ余命があるのですが、その余命のあるところから担保物件として吸い上げるんですよ。凍結しておいた歩積み・両建ての金を倒産の場合の穴埋めにするのです。貸倒引当金なんていうものは、これが充てられたためしがない。あったら具体的に承りたい。あなたは、あると想定せんければこの制度を存続させることができなくなるから、そう答えられるのだろうけれども、しかし、きょうのところはこの程度にして、これはよく検討してみてください。ただ、金融機関がより補完の意味においてこれを行なう、そこまでは私も認めましょう。しかし、今日これが倒産の決損の穴埋めに充てられたためしはない。したがって、この制度は、銀行をより太らせ、よりもうけさせ、より資産をふやさせるための制度ではあるけれども、これによって中小企業が倒産する場合に救われたためしは一つもない、かように申し上げておきます。だからこの制度も、上に厚く下には恩恵がないということなんです。つまり結論的にいえば、租税特別措置法の制度は、常に上に厚く下に薄く、同時にまたその下に差別があって、国民大衆にはほとんど恩恵がない。乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂えるわけでございます。税はあくまで公平でなければならぬはずでございまするにもかかわりませず、この租税特別措置法はその公平の原則を破っている、こういうことを申し上げます。それについてどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/190
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191・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いまいろいろ御指摘がございましたが、貸倒引当金は、中小企業の倒産の際にそれに当てられるという性質のものではなくて、貸し倒れが生じたときに貸し倒れを埋めるものでございますから、これは本来性質が違うと思います。もちろん貸倒準備金の率が甘過ぎるじゃないかということはやはり一つの問題であると思いますが、貸倒準備金は、常に金融機関にだけ認めているものではなくして、中小企業の売り掛け金にも認められておりますので、率が妥当であるかどうかという問題はあるといたしましても、貸倒引当金という制度自体は積極的に貸し倒れになった損をカバーするものである、そういう意味では、先生のおっしゃるように、中小企業の倒産の際にこれを救うという性質ではないことは事実でございます。
〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/191
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192・田村元
○田村委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/192
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193・田村元
○田村委員長 速記を始めて。
午後一時二十分再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時三十四分休憩
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午後一時三十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/193
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194・田村元
○田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
物品税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案についての質疑を続行いたします。
加藤清二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/194
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195・加藤清二
○加藤(清)委員 私は、ただいま提案になっておりまする租税特別措置法並びに物品税法、これについて午前の質問に引き続いて質問を続行いたしたいと存じます。
第一番、今度の租税特別措置法の一部改正に海外市場開拓準備金制度の問題がございまするが、これは言うまでもなく、中小企業の貿易振興のための助成策と心得ておりまするが、それは私の誤りでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/195
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196・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 海外市場開拓準備金は、一般に輸出促進のための特別措置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/196
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197・加藤清二
○加藤(清)委員 特にアメリカの日本品の制限、やがて行なわれるであろうところの後進国、発展途上の国の特恵関税等々で、中小企業の貿易はますます圧迫を受け、言うなればはさみ打ちの状況でございます。したがいまして、この市場開拓並びにいままで開拓した市場の維持継続、これには相当の努力が要ると存じます。したがって、この制度が設けられている点につきましては私はけっこうだと存じまするが、この制度の活用につきまして、午前にも申し上げましたけれども、常に上に厚く下に薄い、国民には一そう薄い、こういうことがこの項についてもいえるわけでございます。したがいまして、私はこの上に厚く、下に薄いという制度を直す必要があると存じますが、通産大臣のお考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/197
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198・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 もちろんそういうへんぱなことはできません。やはり輸出市場の開拓のために努力すれば、規模の大小にかかわらずそれを支援するというのが、制度の本来の目的だと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/198
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199・加藤清二
○加藤(清)委員 支援されることはけっこうでございますが、その支援の内容が上に厚く下に薄いという制度であったならば、これを改めるべきだと存じまするが、その点大臣いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/199
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200・宮本四郎
○宮本説明員 若干、数字のことになりますので、私、補足説明させていただきます。
先生御案内のとおり、現在の開拓準備金の積み率につきましては、メーカーが一・五%、大商社が〇・五%、中小の商社が一%になっております。私ども、現実にどのように運営されているかということで、これは実態調査、サンプル調査でございますがやります。これを見ますと、たとえば小商社は、市場開拓費といたしまして四億五千万くらい使っております。他方、これに対しまして準備金として、四十一年度でございますが、同じく四億九千万くらい積んでおるわけでございます。その実効の比率は相当高くなっているわけでございます。これに対しまして大商社のほうは、百五十億くらい使っておりまして、積んでおりますのが大体百三十億でございます。この辺は少し中小商社のほうが余裕があるかのごとく感じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/200
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201・加藤清二
○加藤(清)委員 そういう認識だからだめですよ、君は。そんな認識をしているから、いつまでたっても中小企業の倒産は絶えないのです。しかも、時間がないのだから私は簡潔に言いますが、そもそもこの制度は、現行制度が行なわれる前は、御案内のとおり輸出所得控除制度というものがあった。それが三十九年の四月に改定され、四十一年四月に改定され、今度また改定されようと、こういうわけなんです。改定されるたびに、わが党は上に厚く下に薄い制度を変えなさいと言うてきたわけなんです。ところが、それが一向行なわれていない。それは君はパーセンテージのことを言ったんですけれども、この開拓準備金制度は金額に応じて行なわれておる。ところで、中小の貿易商並びに輸出品加工業というのは非常に零細なんです。だから、目的の金額を達成するなどということは、これはなかなかできない。具体的にいえば、糸へんのネクタイをつくっている、それを輸出するという場合と、鉄を輸出するという場合では、金額がまるっきり違うんです。だから、きめこまかくこれをせんければ、ほんとうに中小零細企業の困難を救うということはできない。ただ時間が二十分しかございませんので、私は簡潔に申し上げますが、たとえていうと、年間輸出取引高十億円以下層、それは五億円に刻んでもいいのですが、それはせいぜい二%ぐらいまでは認めてやる、十億円以上五十億円以下までは一・五%くらいにするとか、あるいはそれ以上は一%にする、〇・五%にするということ、事こまかに、きめこまかくきめてこれを行なえば、中小零細にかゆいところに手の届くという制度になるわけなんです。それが、何回もわが党がいままで申し上げてきたにもかかわりませず、行なわれていない。ことしまた四回目の改定にもかかわりませず、またそれがそのままのかっこうで出てきている。ここに問題があるということを申し上げておる。すでにこの租税特別措置の制度は、効果を発揮して、もう抜けがらになったものはやめるということを、大蔵大臣は再三申し述べておるのです。だから、言うなれば大企業のほうについてはさほどこの必要性はないわけなんです。最も必要なのは中小零細企業なんです。大臣の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/201
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202・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 税制のことは、私は技術的には存じませんが、とにかくあなたの言われるように、やはり中小の連中あるいは零細の連中にも十分に均てんするようにいく方法が私はベターであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/202
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203・加藤清二
○加藤(清)委員 ベターであると知ったならば、この提案は原局は通産省ですから、したがって通産大臣に、ベターであるほうをとられまするのか、それともベターであっても中小零細企業のほうはあえて顧みないとおっしゃるのか、その点承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/203
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204・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 顧みないというようなことは言えないはずなんですが、そういう場合の技術上の運用の問題ですね、そういったようなことについてやはり主管当局と十分に協議をして、そしてその趣旨をなるべく生かしていく、こういうようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/204
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205・加藤清二
○加藤(清)委員 私がたとえばといって例をあげましたような、そういう制度に将来——きょうできなければ、ほんとうは私はここで修正案を出したい、いままでの約束もこれあり、修正案を出したいところであるけれども、それでは引き延ばしの材料に使ったと言われては片腹痛いわけだから、そこで将来について大臣の見解を承るわけです。ベターであってもなおとらぬのか、とるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/205
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206・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 でございますから、趣旨はそれでいいと思いますけれども、これを運用する上においてのいろいろな技術上の問題があると想像されます。そういう点につきまして十分に大蔵当局と協議をして、そして一致点を見出していきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/206
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207・加藤清二
○加藤(清)委員 将来これを、いま私が申し上げましたような制度、すなわちきめこまかく中小企業がほんとうにこれを活用できるという制度に改定する用意があるかないか、そういう気持ちがあるかないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/207
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208・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 いまお話ししたとおり、そういう趣旨で大蔵当局と協議をしていきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/208
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209・加藤清二
○加藤(清)委員 それでは申し上げます。
物品税と物価の問題でございまするが、先ほど申し上げました物価が高い物価が高いというけれども、高いだけならばしんぼうができる。同じ日本人でありながら、大企業ならば安く、中小企業ならば中かげんで、国民一般ならなお高い。大企業の十倍から十五倍の消費者価格、これではしんぼうができない。乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂えるのだ。これは電気料金に例をとって申し上げたわけでございまするが、今度私がもう一つの問題について申し上げたいと思いますのは、同じものでありながら、外国人に売るならば安く、日本人に売るならば高い。こういう物価構造も改めなければならぬと思います。同時に、もう一つの問題点として、外国ではたいへん安いけれども、これが輸入されるととたんに高くなる。その一番いい例がバノコンでございます。したがってバノコンについてお尋ねいたします。
第一番、そのバノコンに入る前に砂糖の値段。これはもう日本国民全部が消費するものであります。キューバ糖一キログラム幾らでございますか。——大臣に聞いている。——じゃあ、急ぐから申し上げていきましょう。大体一斤換算にしますと十九円ですね。ところで、一キログラムにすると三十五円から四十円、これは間違いありませんか。時によってちょっと相場が違うのですけれども。それで進めていきましょう、そう出てくるにきまっているのですから。
ところが、砂糖の小売りは幾らでございますか。東京市場で小売り相場は一キロ幾らになっていますか。(只松委員「通産省どうした、答弁するのがおらぬのか。農林省だってちゃんと呼んであるだろう」と呼ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/209
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210・田村元
○田村委員長 所管はだれですか。砂糖の値段ぐらいだれか答弁しなければだめだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/210
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211・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 所管外でございますが……。
上下がございますけれども、小売り価格は一キロ大体百三十円程度ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/211
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212・加藤清二
○加藤(清)委員 それは一斤の値と間違えておるのではないの。私は一キロを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/212
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213・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 一キログラムでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/213
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214・加藤清二
○加藤(清)委員 どこで買えます、冗談言うておってはいかぬよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/214
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215・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 普通の小売りでは百三十円程度、スーパー等ではやや低いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/215
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216・加藤清二
○加藤(清)委員 いまの答弁では承服しがたいが、いたずらに時間かせぎをしていると思われたくないので、先に質問を続けます。
あなたもの知りのようですから承りますが、アメリカの砂糖の小売り相場、イギリスの砂糖の小売り相場をひとつどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/216
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217・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これも所管外でございますが、アメリカは大体九十五円程度、イギリスが七十二円、西ドイツが大体百七円ぐらいというような統計資料が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/217
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218・加藤清二
○加藤(清)委員 その数字もだいぶ古い数字でございまして、承服しがたい。ほんとに予算委員会だったらこのままでは進みません。
日本だけがたいへんに高い。なぜ高いだろうか、これは家庭を守る主婦の方々の疑問の第一点でございます。なぜ高いでしょうか。なぜそんなに高くなるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/218
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219・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、日本ではいわゆるてん菜糖が一部できておりますが、大部分が輸入でございますので、相当高い関税がかかっていることは事実でございます。国内消費税としては大体各国あまり変わりませんが、関税が少し高いということが一つの原因かと思いますが、その他いろいろな理由があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/219
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220・加藤清二
○加藤(清)委員 関税と、それから製造段階における物品税、消費税、これはいかほどになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/220
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221・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 関税が四十一円五十銭、砂糖消費税が十六円程度ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/221
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222・加藤清二
○加藤(清)委員 それは何%に当たりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/222
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223・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 双方合わせまして、小売り価格に対しては大体四五%程度になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/223
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224・加藤清二
○加藤(清)委員 冗談言っちゃいけませんよ。原糖は四十円ですよ。四十円のものに関税が四十一円五十銭かかったら一〇〇%だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/224
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225・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私、申しましたのは小売りでございます。これに対して四五%……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/225
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226・加藤清二
○加藤(清)委員 それは製造段階においてかかる税金なんです、四〇%というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/226
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227・田村元
○田村委員長 加藤君に申し上げます。
通産大臣がいま他の本来の委員会に出なければなりませんので、時間がきておりますから退席をされますが、もし御質問があればいま一点だけにしぼって簡単に御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/227
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228・加藤清二
○加藤(清)委員 いや、あなたも答弁ができないから別な人が発言をしているのでしょう。これはやむを得ないですよ。おってもらっても答弁ができなければしようがない。
この税金について、幸い大蔵大臣がいらっしゃったから……。砂糖のような生活必需物資に輸入で一〇〇%、製造段階で、いま問題になっております物品税が四〇%余もかかる。これは世界一の高い値段でございます。同時に、それが材料となってつくられるお菓子、これもいま免税点がございません。全部この課税された砂糖でつくられるお菓子でございます。一体、世界広しといえども、赤ん坊の口の中から税金を召し上げるという国家がどこにあるでございましょうか、大蔵大臣にお尋ねします。あったら例を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/228
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229・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 技術的なことなのでちょっと申し上げますが、幼児の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/229
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230・加藤清二
○加藤(清)委員 委員長に申し上げます。
私は、委員長の命に従って、いま通産大臣に出て行っていただきました。私は大臣にお尋ねをいたしております。大臣が答弁ができないとおっしゃれば別でございますが、しからざれば大蔵大臣にお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/230
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231・水田三喜男
○水田国務大臣 局長に答弁してもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/231
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232・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 砂糖の税負担が重いということは事実でございますが、育児食、育児用の練乳については御承知のとおり原料免税をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/232
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233・加藤清二
○加藤(清)委員 そんなことは承服しません。とにかく、それでは育児用に使うからというて店頭に行って砂糖を買うときに、どこが税金を安くしてくれます。そんな店があったら教えてもらいたい。いいかげんなことを言っちゃいかぬですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/233
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234・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私は原料免税と申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/234
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235・加藤清二
○加藤(清)委員 答弁がすれ違いじゃ、そんなことで時間を費やしたくない。だから、私は委員長の命に従ってなるべく時間内に事を運びたいと協力しているんだから、答弁のほうもちと協力してもらわなければ、逃げて逃げて逃げまくって、それでかってなことを言って事が足りるなんて思ったら大間違いだ。
それでは次、もう一度わかりやすい問題でお尋ねいたします。
このお尋ねはすでに過ぐる五十一国会、これは補正予算でございます。日韓会談が行なわれた直後の補正予算において、横路君、辻原君、かく申し上げております加藤清二、これが質問に立ちまして、時の通産大臣は三木さん、いま帰られました椎名さんが外務大臣、時の農林大臣が坂田さん、それから大蔵大臣等々と御存じのとおり話し合って約束した問題がございます。それが今日なお行なわれていないという具体的事実を私はつかんでおります。したがってお尋ねいたします。
いまバナナは一体台湾の生産者価格は幾らでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/235
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236・後藤正記
○後藤説明員 お答えいたします。
現在バナナは四十五キロの一かご当たりで取引されておりますが、台湾と日本とはそれぞれ業者団体が民間の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/236
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237・加藤清二
○加藤(清)委員 余分なことを言わぬでいいから、幾らかと聞いている。そんなことで時間をかせいだらだめだよ。君のほうが損だよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/237
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238・後藤正記
○後藤説明員 日本への輸入はCIFハドル、七ドルの二本立てになっておりますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/238
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239・加藤清二
○加藤(清)委員 生産者の価格は幾らかと聞いておる。輸入CIFだの何だの聞いておるんじゃない。浜相場じゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/239
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240・後藤正記
○後藤説明員 農民の手取りは、一かご当たり円に換算いたしまして約千七百八十二円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/240
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241・加藤清二
○加藤(清)委員 それはいつの値段だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/241
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242・後藤正記
○後藤説明員 最近の一番新しい値段でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/242
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243・加藤清二
○加藤(清)委員 最近の値段は、ワンバスケット千四百八十五円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/243
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244・後藤正記
○後藤説明員 いま加藤先生のおっしゃいましたのは、一かご当たりの千七百八十二円に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/244
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245・加藤清二
○加藤(清)委員 いいですよ、ぼくが説明する。台湾値段で百六十五元だ。そういうものの値段はしょっちゅう調べておかなければだめだ。それを円に直したら千四百八十五円、これは間違いなし。新聞にも出ている。
さて、ところでこれは一本当たりにすると幾らか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/245
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246・後藤正記
○後藤説明員 ただいま先生のおっしゃいましたのは日本へ大体七ドルで入ってくるものでございまして、八ドルのものと二口ございまして、八ドルのもので計算いたしますと、大体一本当たり日本円にいたしまして六円程度かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/246
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247・加藤清二
○加藤(清)委員 君、それは浜相場のことを言っている。私は、お百姓が出荷組合、農業合作社、これに提供するときの値段を聞いておる。順番に聞いていくから、そうあわてなさんな。大体安値が一円八十銭、高値が三円なんです。そんなことをびっくりしておってはだめだよ。
それじゃもっとわかりやすい話を聞こう。ところで、これがこの国会の中で幾らで売られているか。大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/247
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248・水田三喜男
○水田国務大臣 食べたことがないのでわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/248
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249・加藤清二
○加藤(清)委員 食べたことがあっても、銭を払ったことがないでしょう、自分で銭を払ったことがないからわからない。安値でいって二十五円から三十円、コーヒー店でいただくと五十円。何倍になっていますか。三十倍の余になっている。これは一体なぜそうなるだろうか。これも疑問の種でございます。エクアドルバナナ、広東バナナみなしかりでございます。なぜそうなっておるか、なぜそうなるだろう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/249
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250・後藤正記
○後藤説明員 大体バナナ取引は台湾が基準になるのでございますが、御承知のとおりに八ドル、七ドルの二本立てのCIF価格で日本の輸入組合との間に一括契約をしておるわけでございます。その八ドルのものをCIF価格で円に換算いたしまして大体二千九百四円、それに輸入税の千八百七十二円、通関諸掛かりの百四十七円、銀行諸掛かり九十二円、それから一般の管理費その他の二百七十一円というのが入りまして、合計いたしまして五千二百八十六円、したがって八ドル標準のものは一かご当たり五千二百八十六円。同じように七ドルのものは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/250
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251・加藤清二
○加藤(清)委員 わかった。そんなことで時間をかせがれてはかなわぬ。あなたがよう勉強してみえることはよくわかりましたが、それは机の上の勉強のようでございます。
そこで、問題は流通機構の改善です。約束しておったことでございます。それが一向に直っていない。特に中間利潤と申しましょうか、中間搾取が非常に多いので、そこでわんさわんさとしろうとがこれに詰めかけてきておる。輸入商社が何軒あるか御存じですか、あなた勉強しておるから聞くが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/251
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252・後藤正記
○後藤説明員 現在約二百六十社……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/252
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253・加藤清二
○加藤(清)委員 そのとおりです。バナナの輸入だけで二百五十九社。たいへんなことなんです。これについて、ほんとうに日本のてん菜糖を救うということならば、これはけっこうでしょう。私は、いまそこに中澤予算理事も来ておられますが、先般予算委員会で北海道のてん菜の農園を親しく調査いたしました。砂糖が輸入されるからそれでたいへん困るということは聞いておりませんし、砂糖が高いからそれでたいへん北海道のてん菜糖がしあわせしておるということも聞かなかったのです。バナナが高いからそれじゃ弘前のリンゴが高値に売れるかというと、そういうわけでもない。理屈はそうなっているが事実はそうでない。したがって、これに対する関税も流通機構もともに検討をして、これを是正し、より安いバナナが子供の遠足にも持っていけるようにと、このときに約束をしたのだ。それをすると言われた。それがされていない。
次に、時間がございませんから結論に導きますが、ノリも同じことでございます。大臣にお尋ねする。朝鮮ノリ御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/253
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254・水田三喜男
○水田国務大臣 存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/254
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255・加藤清二
○加藤(清)委員 お召し上がりになったことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/255
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256・水田三喜男
○水田国務大臣 始終食べています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/256
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257・加藤清二
○加藤(清)委員 どんな味がしますか。うそをつかれると突っ込みたくなる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/257
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258・水田三喜男
○水田国務大臣 私は特別変わらないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/258
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259・加藤清二
○加藤(清)委員 あなたそう思っておられる。それじゃあなた朝鮮ノリをどこで買われましたか、どこの小売り屋で。うそ言ったらだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/259
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260・水田三喜男
○水田国務大臣 一般の市販の中には入っていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/260
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261・加藤清二
○加藤(清)委員 入っていると思うだけでしょう、あなた。朝鮮ノリをどこの店で幾らでお買いになりました。それともあなたの奥さんなりあなたの料理をつくってくれた人が、これは朝鮮ノリでございますといって出してくれたのですか、うそでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/261
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262・水田三喜男
○水田国務大臣 私は、いま市販の中にすでに朝鮮ノリが入っているというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/262
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263・加藤清二
○加藤(清)委員 入っておる事実があるけれども、これが朝鮮ノリであるという確認をなさってお召し上がりになったことがあるかと聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/263
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264・水田三喜男
○水田国務大臣 もう平常食べておる中には入っておると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/264
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265・加藤清二
○加藤(清)委員 それはあなたが、私は朝鮮ノリを食べたということは事実でしょう。しかし、これが朝鮮ノリであるというてお召し上がりになったことはないと思います。なぜかならば、これは輸入されたらとたんに日本ノリに化けるからでございます。日本へいま、ことし五億枚、また裏四億枚、十億枚近く入っております。生産は朝鮮は十五億枚ある。ところが朝鮮は食べない。全部日本へ輸出される。だから表の数字と裏の数字は違っておる。いずれにしても、十億枚にしても、一億の人口に対して十億なら一人十枚当たり。ところが一人も食べた人がいない。いや、食べたことはあるけれども、自覚して食べたことがない。なぜか、化けて同じ値段で売られておるからだ。国籍不明のままだ。朝鮮ノリは品質が悪い。だんだんよくなりつつあるけれども悪い。それが日本へ入ってくる。生産者は買いたたきにあう、なぜ買いたたきにあうか。これは元値が八十銭なんです。せいぜいCIF価格で——毎年違いがありますけれども、五円から六円。ところでこれが市販になりますと二十五円から三十円。日本ノリに全部化けて、その利潤が山本山のビルになったり某々派閥への献金になったり、これは事実でございます。これは私は、安いものが輸入されることがいけないと言うておるのではございません。しかし、せっかく安いものが入ったにもかかわらず、国民はこれを安く買うことができないのみならず、競合の生産者がこれによってたたかれることを遺憾とするものでございます。同時に、国民がごまかされてこれを消費せんければならぬということをまことに遺憾とするものでございます。
そこで、流通機構の改善並びに品質の表示、同時に、もうかるものは食管会計に入れて、さなきだに赤字といわれる食管会計を立て直そうではないかという提案をすでに何回かやった。それを検討するとお答えになった。今日どうなっておりますか。大蔵大臣、通産大臣、農林大臣に承りたいと思います。約束があるからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/265
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266・後藤正記
○後藤説明員 若干技術的でございますので、私からかわってお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/266
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267・加藤清二
○加藤(清)委員 いや、大臣の約束不履行を聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/267
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268・水田三喜男
○水田国務大臣 私は、まだいま食管でこの問題を検討しておるということは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/268
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269・加藤清二
○加藤(清)委員 約束不履行のままほおかぶりで逃げるということですか。時の大臣は全部現存です。時の大蔵大臣は幹事長。全部現存です。
時間のようですし、理事からのお話もございますから、私はこれで質問を本日のところはやめますが、いまの答弁、答弁なきままに終わるというわけにはまいりませんので、ぜひひとつこの答弁を後刻書類にして出していただきたい。もしなければ、私は衆議院議長に質問状を発します。そして答弁をいただきます。したがって、本日の質問は委員長の命もこれあり、命に従って留保のままでこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/269
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270・田村元
○田村委員長 加藤君にちょっと申し上げますが、加藤君の質問をもってこの二法案質疑が終了いたします。でありますから、留保をされましても、因果関係が時間的にあとに残りますから、あらためて、時限としては切り離して、大蔵大臣からでもまたいずれかの機会に答弁することとして、一応質問は終わっておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/270
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271・加藤清二
○加藤(清)委員 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/271
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272・田村元
○田村委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/272
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273・田村元
○田村委員長 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、物品税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
四法律案につきましては、質疑は終了いたしております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/273
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274・田村元
○田村委員長 この際、以上の四法律案に対しましてそれぞれ山中貞則君外二十一名より修正案が提出されておりますので、提出者の趣旨説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/274
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275・田村元
○田村委員長 提出者山中貞則君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/275
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276・山中貞則
○山中(貞)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま提案されております所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案、物品税法等の一部を改正する法律案並び、租税特別措置法の一部を改正する法律案、それぞれの修正案の大要を申し上げます。
修正案はすでに各位のお手元に配付してございますので、その朗読は便宜上省略させていただき、修正の趣旨について申し上げます。
これらの法律案は、それぞれ昭和四十三年三月三十一日までに成立することを目途にいたしまして御審議を願っておったような次第でありますが、御承知のような事情によりましていまだに成立を見ておりませんので、とりあえず成立までの間のそれぞれの法案に対して経過措置を講じようとするものであります。
まず、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案につきましては「昭和四十三年四月一日」を「公布の日」と改めることとし、また、これに伴い法人税法の改正規定の適用の時点について、施行日以後開始する事業年度について適用する旨の規定を、昭和四十三年四月一日以後に開始する事業年度について適用することに改め、施行期日のおくれに伴う所要の修正をはかることとしております。
以上が、本年度税制改正による減税が、実質的に四月一日から実施されたのとひとしい効果を確保するための本修正案の内容であります。
次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案の修正案につきましては、その善後処置といたしまして、施行の日につきまして「昭和四十三年四月一日」を「公布の日」と改めることとし、また、これに伴い租税特別措置法の改正規定の適用の時点について、法人税の特例に関するものについては、施行日以後開始する事業年度について適用する旨の規定を、昭和四十三年四月一日以後開始する事業年度について適用することに改めるほか、減価償却に関するもの等については、施行日以後に取得しあるいは施行日以後の取引による収入金額または施行日以後にする財産の贈与または遺贈、施行日以後に行なった特定合併、施行日以後に発行された利付外貨債とあるのを、昭和四十三年四月一日以後に取得しあるいは昭和四十三年四月一日以後の取引による収入金額または昭和四十三年四月一日以後にする財産の贈与または遺贈、昭和四十三年四月一日以後に行なった特定合併、昭和四十三年四月一日以後に発行された利付外貨債と改め、また、法人の申告要件の緩和等については、昭和四十三年四月一日以後に終了する事業年度より適用する等、所要の修正をはかっております。
さらに少額国債の別ワク非課税措置におきましても、昭和四十三年一月一日より三月三十一日までに発行された国債で同日前に購入したものについても適用を認めている原案につきまして、この改正法の施行期日のおくれに伴う所要の修正をはかっております。
以上が、改正案によって納税者が受けることを期待していた税法上の得典について、法案成立の予期しなかった遅延によって思わざる不利益をこうむることをできる限り救済することを目的とした本修正案の大要であります。
さらに、物品税法等の一部を改正する法律案について申し上げますと、政府の提案にかかる物品税法等の一部を改正する法律案は、本年三月末または九月末に暫定的軽減または非課税の措置の期限が到来する十品目のうちトランジスタテレビ受像機等につきまして、その暫定措置の期限の延長または税率の段階的引き上げ等、所要の税負担の調整措置を講じようとするものでありますが、この法律案が本年三月末日までに成立しなかったことによりまして、同日に期限の到来するトランジスタテレビ受像機等三品目につきましては、四月一日から直ちに本則税率の適用を受けることになりました。すなわち、政府提出の原案によれば、四月一日以降トランジスタテレビ受像機、電子楽器及び温蔵庫は、従来の非課税措置から五%の軽減税率の適用または非課税の措置をとることとしておりましたところ、政府原案の成立がおくれましたため、直ちに二〇%または一五%の本則税率が適用されることとなるわけでありますが、四月十日に本法が成立いたしますと、再び軽減税率が適用され、または非課税の措置が講ぜられるという予測し得なかった事態を生じ、取引市場を混乱させるばかりでなく、関係業界はもちろん国民大衆にも迷惑をかけるおそれもあると考えられます。
そこで、このような変則的な税負担の変動に対処するための修正案を提案したわけでありますが、その修正案の内容の概要について申し上げます。
まず第一は、政府原案の施行日である「昭和四十三年四月一日」を十日間ずらして「四月十日」とすることであります。なお、この程度の短期間の施行日のズレの範囲内であれば、次に申し上げますような内容の修正が可能と考えられます。
第二は、すなわち四月一日以降本則税率が適用され、改正案の成立後には再び税率の軽減または非課税の措置がとられることとなっておりますトランジスタテレビ受像機、温蔵庫及び電子楽器の三品目につきましては、改正案の税率の軽減または非課税の措置を四月一日に遡及して適用することとしております。
第三は、トランジスタテレビ受像機、温蔵庫等につきまして、四月一日現在の販売業者の手持ち品に対しまして、改正前の二〇%または一五%の税率によりいわゆる手持ち品課税が行なわれることとなっておりますが、ただいま申し上げましたような物品に対する税率の軽減または非課税の措置との関連で、その手持ち品課税について所要の調整を行なうこととしております。
以上が修正案の内容でございますが、このような調整措置をとることによりまして、四月一日以降改正案が成立いたしますまでの間の一時的な混乱を避けようとするものであります。したがって、政府におかれましてもこの趣旨を十分周知徹底させることにつとめ、関係業界及び一般消費者に対し無用の混乱を生ぜしめることのないよう、特にその運用について配慮していかれることを要望いたしておきます。
以上をもって所得税、法人税、租税特別措置、物品税法の四法案の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨説明といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/276
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277・田村元
○田村委員長 これにて各修正案の趣旨の説明は終わりました。
各修正案については、それぞれ質疑の申し出もございません。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/277
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278・田村元
○田村委員長 これより四法律案及び四法律案に対するそれぞれの修正案を一括して討論に入ります。
通告がありますので、順次これを許します。村上信二郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/278
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279・村上信二郎
○村上(信)委員 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外三案、並びにこれら各案に対する修正案について、私は、自由民主党を代表して賛成の意見を表明するものであります。
これら各案は、別途提出されました酒税法改正案及び製造たばこ定価改正案とともに、今次税制改正の一環をなすものでありまして、歳入の確保の点からいわば不可分一体の関係に立っており、今次税制改正の特色を示すものであります。
すなわち、四十三年度の経済は、経済を安定成長の路線に乗せるための調整の年であり、国際収支の均衡回復が第一義的に目標とされるものであります。しかもポンド切り下げ、ドル防衛などにより、海外経済環境は一段ときびしさを増している中において、このことを遂行しなければならないという苦境に立たされているのであります。したがいまして、四十三年度の財政運営にあたっては、財政規模及び公債発行額を極力圧縮することによって財政の景気調整機能を強めなければならないということは当然でありますが、同時に、財政硬直化を打開しつつ、重点施策を果敢に推進することによって財政の資源配分機能を果たさなければならないことも、財政の重要な使命であります。
このようないわば二律背反的な要請にこたえて、いかにして両者の調整をはかるべきかは容易ならざることでありますが、いずれにせよ、四十三年度の財政事情のもとでは、従来のような減税を続けることは非常に困難とされたのであります。しかしながら、周知のように累進構造のきわめて強いわが国の所得税制の現状と、最近における急速な所得水準の上昇に伴う納税義務者数の増加並びに家計に及ぼす物価上昇の調整等を顧みるときは、所得税減税は何をおいても優先的に取り上げなければならない重要な政策課題であるということは言うまでもありません。ことに所得税減税はわが自由民主党の厳粛なる公約であります。したがいまして、今回政府が課税最低限を十万円引き上げ、初年度千五十億円、平年度千二百五十一億円の所得税減税に踏み切ったことは、その英断に対して深く賛意を表するものであります。
その他、今回の改正は、租税特別措置においては、輸出の振興、技術開発の促進、中小企業の構造改善等、当面緊急な課題として要請されるものに限りこれが特別措置を拡充する反面、これに必要な財源を他の特別措置の整理圧縮によってまかなうこととし、また税制の簡素化においては、今回さらに申告要件の緩和等をはかり、納税者の便宜を旨とし、制度の改善を推進されていることはまことに適切妥当な措置と認めるものであります。
なお、これら各案に対する修正案の趣旨は、要するに、これら各案がその目途と考えられた三月三十一日までに成立を見ておりませんので、施行期日を改めるとともに、遡及適用の規定を設けて、原案のとおり納税者の利益をはかろうとするものでありまして、きわめて適切妥当な措置と認める次第であります。
以上、私は、四案並びにこれに対する修正案に対し、それぞれ賛意を表明して討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/279
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280・田村元
○田村委員長 広沢賢一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/280
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281・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私は、日本社会党を代表して、所得税、法人税、租税特別措置法及び物品税法の一部を改正する諸法案並びにこれらに対するそれぞれの修正案に対し、反対する討論を行なうものであります。
所得税法一部改正は、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除をそれぞれ一万円引き上げるほか、給与所得控除につきましても最高限度額を六万円引き上げることにしたものでありますが、これによって四人世帯の給与所得最低限は年収約八十三万円となり、十万円程度引き上げられることになります。しかしながら、最近引き続く諸物価の騰貴のもとにおいては、これだけの控除引き上げでは物価調整のためのいわゆる減税にすぎないことは明らかであります。政府はみずから、予算編成の基礎となしている消費物価四・八%の上昇は、米価スライド制による消費者米価その他がこれに含まれていないことを自白している状況でありますから、これだけの物価調整では、もし物価に追いつくための給与ベース引き上げが行なわれた場合等を考慮してみれば、きわめて不十分であることは明らかであります。
さらにその上、次の二点を考えたとき、今回の減税は庶民、大衆にとっては減税にあらず、大衆増税であり、高額所得者にとっては若干の減税になる、全く順逆転倒したものとなるのであります。
問題の第一点は、これは政府側も認めているとおり、今日の所得税の累進構造が、年収百万円付近が小刻み累進になっているため、今回のいわゆる減税措置によっても、年収五十万円の独身者は千六百五十円の減税に対し、年一千万円独身者は二十五万九千五百円の減税となる。こういうように話が逆になるような結果を生むものであります。この点は、税の公平を期するため今後早急に改めなければならない点であります。
問題の第二点は、今回のいわゆる減税千五十億円は、財政硬直化のおりからという口実で、その反面、千五十億円にのぼる酒税、たばこ、物品税の一部等の増税を予定しているのであります。その結果、政府はこれで差し引き減税ゼロと申しておりますが、事実は全く反対に、ゼロどころか、所得税の減税に浴しない二千万近くの勤労大衆は、むしろ、たとえば一日当たりたばこ一箱十円、ビール一本七円の値上がりで、これを年にすれば総計六千百二十円程度の増税となるわけであります。したがって、さきに申しました月収四万円、年収五十万円の所得税納税者までが、所得税の減税どころか、差し引き四千四百七十円の増税となるわけであります。これはまさに文字どおり羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいであります。かかるにせの減税政策は許すことはできないわけであります。
しからば、今日までの経済の高度成長、去年の九月期決算、ことしの三月期決算に見られるように、十分な減税の財源がないかというと、そうではないのであります。独占的な大企業はかってない大きな利益をあげております。問題は、これらが正しい税制のパイプを通じて十分に予算財源にくみ尽くされないところに、今日の財政硬直化、税制の硬直化の真の原因があるわけであります。それは租税特別措置法に基づく大資本の特別減免税措置その他によるものであります。この点、法案審議に入る前の本会議でのわが党議員の基調質問に対して、佐藤総理は、租税特別措置法に基づく減収は大企業のみを有利にしているものではない、中小企業のほうが減収額は多い、社会党はためにするために申しているという意味の全く非科学的な放言を行ないました。これに対してわが党側が当委員会で質問追放いたしました結果は、御承知のとおり、総理は、この大企業と中小企業の区別が資本金一億円か五千万円かどちらにあるのかさえも知らないでかかる放言を行なっているということは、明らかに政府答弁として許すべからざることであり、不謹慎といわねばなりません。
根底となる大蔵省資料を検討した結果、この大企業、中小企業の区別の中には、千六百十六億円に及ぶ貯蓄の奨励の項目は大中小の区別には中立であるからはずすというのであります。その中には悪名の高い、年収二百三十六万円までの高額資産者四人世帯は無税であり、勤労者は年収四十万円以上には税金がかかるといういわゆる配当所得の課税の特例や、国民の貯蓄増加減少とは何らの相関関係もないことが立証されているいわゆる利子所得の分離課税及び税率の軽減なとがこれに含まれているのであります。生命保険料控除五百億円等は別として、だれが見ても、これら利子配当の減税が圧倒的に高額資産階級に有利であることは明らかであります。
総理の答弁の根拠は、これらの項目を除外しているばかりではありません。たとえば九電力会社に許されている渇水準備金は、もはや用をなさなくなっているにもかかわらず、明らかに会社経理の中では益金不算入となっているにもかかわらず、それは次第に取りくずされているからむしろ取りくずしの分だけ増税であるという、白を黒とした言い方で、ばく大な各種引当金、準備金がこのように取り扱われています。政府公式の国会提出資料がこのような一方的な会社会計学の解釈のもとに取り扱われ、結果としてばく大な大資本に対する特別減免税額が隠されているという、こういうことは、国会審議上今後許し得ないことであろうと思います。
そればかりではございません。こうした大資本に対する租税特別措置が、野党ばかりでなく世間一般に評判が悪いことも一因となって、すでに貸倒引当金、返品調整引当金、賞与引当金、退職給与引当金、特別修繕引当金が法人税法に組み入れられております。今後も引当金、準備金が各種名目のもとに法人税法に組み入れられ、この減収額は租税特別措置法からは表だけ消え去りながら、巨額の大資本の特別減税が会計制度の中に隠されていく、制度化されていく傾向を厳に警戒しなければならないのであります。現に法人税法の一部を改正する法律案の中には、欠損金の繰り越し控除についての適用要件の緩和をはじめ、わが党として数々の賛成すべき諸点があるにもかかわらず、五つの引当金制度が、負債性の強いもので将来確実に発生する費用だからということで、青色申告の特典とせずにこれを一般化するという動きに、私たちは一面強い警戒を持たざるを得ないのであります。
特に、今回の租税特別措置法の一部改正法案におきましては、租税特別措置は本来税の公平を阻害するものであるから、これを制度化、固定化してはならない、政策効果を厳に吟味して常に洗い直す必要があると、毎年の税制調査会でこのように繰り返し言われているにもかかわらず、今回また中小企業に比較的に利用度の高い価格変動準備金制度は積立率を引き下げ、さらに米価予約減税、医師に対する特別措置はことしで限って、次年度は検討すると言いながら、資本構成是正のための減税措置や、その他の期限延長をはじめ、最近の国際経済のきびしさに対応するということを名目として、輸出振興のための輸出割増償却、海外市場開拓準備金制度の拡充、技術開発から、さらにまた国際観光ホテルの減価償却資産耐用年数の短縮、国税庁汚職で有名になった電子計算機の下取り買い戻し準備金まで拡充するというありさまであります。
最近の土地価格の騰貴、大会社の子会社による土地買い占めと脱税等で、きわめて重大な社会問題となった土地税制については、事業資産の買いかえの延長だけにとどめて、何ら根本的対策を明示していないのであります。これも重大な政府施策の失態と言わざるを得ません。
以上の諸点からしまして、わが党は所得税、法人税、租税特別措置法及び物品税法の一部改正案に対して反対の意を表するものでありますが、最後に、本委員会に見られる国会審議のあり方について、一言しなければなりません。
わが党は、以上の諸点について、一つ一つ具体的事実を明示して、政府の失態をついて、酒税増税の引き延ばしをはじめ、数々の大きな国民のための成果をあげたと確信しています。このように、国民のためにきわめて大切な税制について、わが党はときには夜おそくまで慎重審議を続けてまいりましたが、これら増減税法案の採決が四月一日を越えました現在、これに対して新聞に伝えられるところ、与党の一部から一括強行採決の企てが強要されたとのことでありますが、これに対してわが大蔵委員会は、与野党一致して堂々たる慎重審議に努力しました。これは議会政治確立の上から、さらにもう一つ大きな成果であると確信いたします。
反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/281
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282・田村元
○田村委員長 河村勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/282
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283・河村勝
○河村委員 私は、民主社会党を代表して、所得税法、法人税法、物品税法、租税特別措置法等のそれぞれ一部改正に関する法律案に対し、反対をするものであります。
すでに質疑の過程において述べたように、昭和四十三年度予算編成に対する政府の態度に対し、われわれは全く容認しがたいものがあるのであります。
財政硬直化の是正、国際収支の危機打開という名分のもとに、みずから尽くすべき手段を十分に尽くすことなくして、しわ寄せをもっぱら国民生活に及ぼすという性格がきわめて明らかになっておりますが、特に増減税法案についてその性格がきわめて顕著にあらわれております。
所得減税について、いわゆる標準家庭に対して課税最低限度の十万円引き上げを行なっていることは、形式的には一応の改善であります。しかしながら、昭和四十五年までに百万円減税を実施することは政府自体の公約であります。とどまることを知らない物価上昇を考慮するならば、実質百万円減税を達成するためには、この程度の減税テンポをもってしてはとうてい及ばないはずであって、それ自体きわめて不十分なものであります。
さらに、決定的に容認しがたいことは、千五十億の減税財源を大衆課税による増税に求めていることであります。酒、たばこの値上げによって一千億、それでも足りないところを物品税の引き上げによって捻出しようとする方法は、財源調達だけにとらわれた無責任かつ便宜的なものであります。このため、形式的に増減税差し引きゼロであるが、実質的には一般物価の上昇分は増税という結果になることは明白であります。いかに財政圧縮の必要ありとはいえ、何ゆえに当然のごとくに大衆課税によって財源補てんをしなければならないのでありましょうか。
今回の租税特別措置法案を見れば、悪評さくさくたる利子配当分離課税には手も触れず、また六千億にのぼる交際費に対する課税の強化にもまた手をつけていないのであります。所得減税の最小限度の必要性は、言うまでもなく物価の上昇と高率累進税率の影響を調整することであります。しからば、その財源は大衆課税によるのではなくして、少なくともこれらの特別措置の廃止によってカバーすべきであり、また、これが可能であるにもかかわらず、あえてそれを回避することはわれわれの最も遺憾とするところであります。
以上申し述べるところによって、所得税法、租税特別措置法並びに物品税法の一部を改正する法律案に対して反対をいたします。
なお、法人税法の一部改正については、特に論ずべきものはないが、抜本的改正を要すべき時期にありながら、その意欲を欠いて形式的な改正にとどまっていることに対し、同様の趣旨で反対の意を表します。
また、各法案に対する修正案についても同様の意味で反対をいたすものであります。
以上で私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/283
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284・田村元
○田村委員長 田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/284
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285・田中昭二
○田中(昭)委員 私は、公明党を代表いたしまして、所得税法、法人税法、租税特別措置法の一部を改正する法律案並びに物品税法の一部を改正する法律案に対し、反対の意を表明するものであります。
所得税法は、諸控除並びに課税最低限が引き上げられたが、諸外国に比べ、国民所得また課税最低限度額が低いために、国民の税負担感は軽減しておりませんし、ましてや諸物価の上昇、昇給による所得の自然増加に伴い、また現行の累進課税制により、より多くの租税負担となっておるのであります。また、最低税率を〇・五%引き上げ、九・五%にしたことは、最低税率を漸次低くしていくべきだとする正論に逆行するものであります。好ましい状態ではありません。所得税に関しては、諸控除の再引き上げ、最低税率の引き下げ、課税最低限度額を早急に百万円まで引き上げるように主張する次第であります。
次に、法人税については、大企業並びに高額所得法人の税負担は軽く、逆に中小法人、低額所得法人の負担は高くなっているが、諸外国の大企業の法人課税はわが国より高い税負担となっており、大企業の税率を高く、中小企業の税率を下げるべきであります。
次に、租税特別措置法であるが、昭和四十三年度は拡充分及びその整理分は初年度、平年度ともとんとんとなっている。政府の整理合理化といううたい文句がどれだけ真剣に実践されたか。また、二千六百四十八億円という大幅な財政措置を与え、財政硬直化を理由に、一般大衆に転嫁される間接税を増徴するということは、矛盾の大きい特別措置による不公平をさらに大きくするものであります。また、大企業、特定企業のためのものとなり下がっていることは、税負担公平の原則を踏みにじるものと断ぜざるを得ない。
わが党は、この租税特別措置を漸次撤廃し、それにより財源を求め、少額貯蓄の利子を除き、利子所得の分離課税及び税率の軽減と、配当所得に対する課税の軽減を廃止し、交際費の課税のワクを広げることにより十分なる財源を確保できるはずであります。この利子配当の分離課税の悪弊につきまして、私も当委員会におきまして再三追及したのでございます。その具体例をここで申し述べますと、同じ二百万円の所得者が、片方は資産家であり、株の配当の所得者である場合には一銭の税金も納めることが要りません。また片方は同じ二百万の所得者でありながら、その営業であるたばこ小売り店において例をとりますと、約五十五万円という税金を納め、その上に二千三百億余り国に納める専売納付金、いわゆる税金を納める手伝いまでさせられるという実例があるわけであります。このような不公平をもたらしております特別措置については、断固政府も整理されまして、公平な姿にすべきであると思います。
また、物品税については、大衆品目に対する税率が高く、奢侈、高級品に対して税率が低いという根本的な欠陥がある。このように大衆課税の重税に関しては断固改正さるべきである。今回の改正で数品目が増税されるわけであるが、大衆品目になりつつあるこれらの品目に対する増税は改めるべきであります。
以上の理由により、今回改正される四法案、並びに同法案に対する修正案に対し、反対の意見を表明する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/285
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286・田村元
○田村委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより順次採決いたします。
最初に、所得税法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。
まず、山中貞則君外二十一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/286
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287・田村元
○田村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次いで、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/287
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288・田村元
○田村委員長 起立多数。よって、修正部分を除いて原案は可決し、本案は修正議決いたしました。
次に、法人税法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。
まず、山中貞則君外二十一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/288
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289・田村元
○田村委員長 起立多一数。よって、本修正案は可決いたしました。
次いで、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/289
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290・田村元
○田村委員長 起立多数。よって、修正部分を除いて原案は可決し、本案は修正議決いたしました。
次に、物品税法等の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。
まず、山中貞則君外二十一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/290
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291・田村元
○田村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次いで、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/291
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292・田村元
○田村委員長 起立多数。よって、修正部分を除いて原案は可決し、本案は修正議決いたしました。次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。
まず、山中貞則君外二十一名提出の修正案について採決いたします。本修正案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/292
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293・田村元
○田村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次いで、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/293
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294・田村元
○田村委員長 起立多数。よって、修正部分を除いて原案は可決し、本案は修正議決いたしました。
おはかりいたします。
本日議決いたしました四修正案について、字句の整理を必要とする場合は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/294
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295・田村元
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
ただいま議決いたしました各法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/295
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296・田村元
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/296
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297・田村元
○田村委員長 次に、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。広沢賢一君。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/297
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298・広沢賢一
○広沢(賢)委員 酒、たばこ改正法案について、これから若干の御質問をいたしたいと思います。
まず第一番目に、先ほどの所得税法、法人税法の改正の反対討論とも関連しますが、さっそくですが、大体ビール一本七円、それから酒だったら一級酒一合三円九十九銭、まあ四円ですが、これを一日ビール一本、それからたばこ一箱のむのが平均としますと、ビールは月で二百十円、それから年で二千五百二十円、それから今度はハイライトのほうが、ピースでもあれですが、十円値上げして月にして三百円、それから年にして三千六百円、大体こういうことにすると、一人六千百二十円ぐらい負担が多くなると思うのですが、これを、所得税を納めている人たちで、月に四万円の収入の人、これは大体サラリーマンとしては大学を卒業したらすぐこうなると思うのですが、年収五十万円の独身のサラリーマンが、四十二年の所得税と、四十三年の所得税の改正でその差額の減税が千六百五十円、そうすると、かえって四千四百七十円の実質的には増税になると思いますが、どうでしょう、主税局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/298
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299・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 そのような計算をすれば、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/299
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300・広沢賢一
○広沢(賢)委員 次に、月八万円、政府が目標としている百万円までの減税、その年百万円の人たちが四人世帯、標準ですが、そうすると、大体計算しますと、とんとんか若干減税、年に六百円ぐらいの減税になると思うのです。大体この計算も間違いないですね。あと今度は、月に四十万円、年収五百万円の人が、四人でいまの計算をしますと、これは減税になる。私が計算すると、七千百四十五円ぐらいになるのですが、端数でちょっと違う点があっても、これは大体間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/300
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301・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 若干考え方によって計数の差はあると思いますが、大筋はそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/301
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302・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、今度の一連の税制改正は、八万円ぐらいを境にして、それ以下の給与所得者あるいは所得税を納めていない人にとっては増税である。それからそれ以上の人あるいは高額資産階級にとっては減税になる。そのように解釈していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/302
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303・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 静態的にお考えになりますと、そういうことになると思いますが、これは毎々申し上げておるとおりで、今回の酒の税率の調整、たばこの価格の引き上げということは、この両税が従量税をとっておりますために毎年事実上減税になっておるものを、従来の税負担の近くまで修正をするという意図を持っておるものでございますので、一年度をごらんになるとそのような形になりますけれども、従来から通じた税負担のバランスを考えれば、負担としては、所得税が適正化され、酒税、たばこ専売益金の負担が適正な水準に戻されたという性質のものだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/303
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304・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その問題についてはあとでまたあれしますが、私はいま事実を聞いている。この数字に間違いがなければ、やはり私の言ったとおりになるということですね、あと説明は今度また議論することにしまして。そうしますと、所得税を納めていない者は大体どのくらいいると思いますか、主税局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/304
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305・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 有業者で考えますと、大体二千万を若干こえるところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/305
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306・広沢賢一
○広沢(賢)委員 納税世帯が九千六百七十二、非納税世帯が一万二千八百八十二、五七・一%という数字がありますが、大体それで計算しても、それから所得税を納めていない人は五八%だという計算をしても大体そのくらいになりますね、この人たちにとっては増税ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/306
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307・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 現在の単年度で考えれば、まさに増税ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/307
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308・広沢賢一
○広沢(賢)委員 これはもう非常に重要だと思うのです。いつもわれわれは、税金というと所得税を納めていない人については十分考えていないですね。それからわれわれがいろいろ議論をしている中小企業対策という、その中小企業についても、大蔵省は何と一億円以下を中小企業という。そういう状況ですから、中小企業法人を主として対象にしていますが、零細企業についてはわれわれはあまり議論の対象にしない。その数が非常に多い、低所得者が非常に多いということですね。こういう点に非常に欠陥があるのじゃないかと思いますが、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/308
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309・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 よく指摘されますけれども、有業人口に対する課税割合が、給与所得の場合は六〇%を上回っておりまして、事業所得の場合は三〇%前後であるということから、それを御指摘だと思いますけれども、これにつきましては、税法上の問題といたしましては、先般も御説明申しましたとおり、給与所得控除をのけた諸控除で申しますと、給与所得と事業所得は同じ課税最低限を持っているということはできるわけであります。ここにもしそういうアンバランスがあるとすれば、日本の零細企業の所得が非常に低いのか、あるいはまた執行上の問題のある点もあるのか、これは常に問題になっている点だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/309
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310・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私はなぜこれを言うかというと、私も含め、国会議員全部含めまして、それから大蔵当局も含めまして、十分に貧乏は頭で知っていても貧乏を感じていないと思うんですね。酒、たばこの今回の値上げが一番生活の苦しい人たちにとってどんなに苦痛であるかということについて、主税局長どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/310
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311・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私は、その点は広沢先生御指摘のとおり、何事も消費物資は安いにこしたことはないわけであります。それが一部財政上の理由で上がるとすれば、その負担がいま直ちには重いという感じが強くなる、また苦しいということもこれも事実だ、率直に認めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/311
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312・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そのとおりだと思います。しかし、ほんとうに数字であげないとその苦しさはわからぬと思いますから、平均四人世帯として、大体東京とか横浜に住んでいる人たちで標準世帯ですね、さっきあげた百万円なんというのじゃなくて、月に四、五万円の収入の人たちの月の主食費はどのくらいだと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/312
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313・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 主食費と言われるとちょっと困るのですけれども、エンゲル係数で食料費をとれば収入の大体三六%前後が実態だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/313
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314・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そのくらいですが、大体もうちょっと貧しいところで、神奈川県の横浜生協で調べたところによると、四十九軒調べた生計費の統計がありますが、大体主食費が三千八百七十三円かかるのです。それでたばこに該当するもの、酒に該当する項目がないのですが、総理府の統計や何かでどのぐらいになっているかわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/314
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315・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のように、総理府の家計調査の中では、酒、たばこという嗜好品についての出現率が非常に悪いものでございますから、それを前提でお聞き取りいただきたい。大体総理府統計局の資料によりますと、四万円から五万円の世帯で、現行法で酒税が三千六百四十五円という計算が出ます。それからたばこのいわば消費税に相当する部分が三千四百七十一円という数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/315
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316・広沢賢一
○広沢(賢)委員 これは年でしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/316
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317・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 年でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/317
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318・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、これを月に直すとほんのわずかですね。そうしますと、ビール一本、これはぜいたくではないですね、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/318
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319・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ビール毎日一本飲むということになると、これはかなり相当な生活ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/319
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320・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私もそうなりたいと思っているのですが、まだそこまでいかないけれども。それで、うんと飲むときもあるし、それから飲まなかった場合もあるけれども、結局平均してビール一本ぐらいは、まあこれは上は大臣から下は筋肉労働者、くず屋さんまで一日の仕事がたいへんだったらば飲むということになる。そうすると、私がさっきあげました数字ですが、一カ月二百十円ビールが値上がりすると、これは相当響きますね。たばこも一箱、値上がりをすると大体月三百円くらい、相当響きますが、いまこれを十二カ月で割った計算でしてみるとどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/320
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321・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ちょっと御質問の趣旨がわかりかねましたが、先ほどの資料についてのお話でございますか——先ほどの資料でございますと、酒税で今回の改正によって二百四十四円、これは年間でございますけれども。それからたばこ専売益金で七百十六円、合わせまして九百六十円ということになりますので、十二で割りますと月間八十円。これは先ほど申し上げましたようにだいぶ出現率が悪いのか、あるいは総体の平均で見るとそんなに飲んでおらぬのか、その辺がちょっとわかりかねますけれども、私ども原資料で調査いたしませんと。月当たり約八十円というくらいになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/321
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322・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そこで私は、先ほど一番初めに申し上げたんですよ。ビール一本、一日に一本、まあ疲れたといって飲む、それを一カ月のうち二十日間でいいですよ、これはぜいたくじゃないでしょう。ぜいたくじゃないですよ。くず屋さんや肉体労働者がビールを飲むのはけしからぬというわけにはいかぬでしょう、いまの世の中で。というと三千六百四十五円を十二で割るとほぼ三百円、ビール一本を三十日全部飲むとして二百十円、そうするともうほとんど値上がりによってかつかつになってしまう。たばこも同じです。これはそう生活が悪いほうではないのですよ、私が申し上げましたのは。私はそう生活の悪いほうの人のことを言っているのじゃないのです。そうすると、日本の労働人口が四千万、その二千万人以下といったら半分、その半分の人にたいへんつらい思いをさせるということになると思うのですが、どうでしょうか。
〔渡辺(美)委員長代理退席、毛利委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/322
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323・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 まあいまお互いに数字が食い違っておりますので、どうもその点はっきりいたしませんが、一体いまの非課税の実態はどうかといいますと、御承知のように五百万戸の農家というのはほとんど所得税は非課税、農業世帯が相当部分を占めておると思います。そういう面から見ますと、農家の習慣としては、むしろビールを飲まないで二級酒とかしょうちゅうを飲んでいるところが多いのじゃないか、ビールはやはりかなりハイカラなところが飲むように思うのです。そういう意味では酒の負担の増というものは、わりに私は今回の改正では低所得者には響かない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/323
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324・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それはもうお百姓さんだからビールを飲んじゃいかぬというわけにいかない、最近は非常に近代化してきた、だから私はそういう区別は受け取れないのです。しかし、それだったらばお酒にかえていいです。お酒にかえた場合には四円、それを三十日、農家のおっさんはとっても労働がひどいからこれはやりますね、一ぱいやる。そうすると百二十円。農家は現金収入が少ない。そうすると、さっき申しました月々三百円くらいの割り当ての中で、つまり半分減らさなければならぬという事態になるかもしれぬ。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/324
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325・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 先ほど申し上げた数字を換算いたしますと、これは不自然な形だとは思いますけれども、酒で申しますと、月に三百円というのは二級酒を約七合ぐらい飲んでいるという計算でございますね。ですから、先生のおっしゃる税収の増加とぶつけますと、これはちょっと無理なんで、先生の場合、一日一合飲んでいるという前提になると思いますから、いまの増税分ということではちょっとぶつからないと思いますね。
それから、先ほど申し上げましたように、二級酒は上がっておりませんから——農家は一級酒を飲んじゃいかぬということではありませんけれども、二級酒をお飲みいただくと、これは関係ないということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/325
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326・広沢賢一
○広沢(賢)委員 お百姓さんが二級酒を飲んで、都会の人は一級酒を飲まなければならぬということはよもや申されないと思うのですが、お酒は必需品といわれておりますが、仕事を終わったあとに、やれやれと一服するというたばこが、やはり同じような形になると思いますね。そうすると、これは非常にお気の毒な場合、たとえば日雇い労働者の人、生活保護世帯の人、内職、家内労働者にとっては、たいへんな苦痛になるということはよくおわかりになると思うのです。この法案がかかってきたときに、私、日雇い労働者の組合の人たちに会いました。そうしたら、これでもうはっきりと、たばこを半分にしなければならぬかもしれないし、ほとんどやめなければならぬ。だから半分に切って吸っているんだと、半分に切って吸っていましたよ、私の目の前で。ということになるのです。こういうことは残酷な政治と思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/326
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327・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 先生のおっしゃるのもまことにごもっともだと思うのですが、反面において、日雇い労務者にしても、御承知のとおり賃金は上がっております。生活保護にいたしましても、先般大臣が言われましたように、十何%引き上げをしておる。つまり、こういう生活費のバランスのシェアから申しますと、この値上がりというものはその中に吸収されるという性質のもの。つまり、前々から申し上げておるように、諸物価が上がっても、たばこ、酒の税負担が上がらないような税制の仕組みになっている。所得税を重課して、間接税を軽課してしまうという結果を生んでいるわけであります。ですから、そういう意味でこれを是正した。是正した年は確かに重くなりますけれども、その年、ほとんどあらゆる階級において、収入の増加が増税の割合以上にふえているわけです。それがふえないとすれば、たばこ、酒に対する消費支出金額がだんだん下がっていく。現にたばこ消費支出金額が生活費の中に占める割合というものは毎年低下してきております。この十数年間に約六割に下がっておるわけでございます。これはそういう現象である。私はそれが悪いとは申しませんが、全体の税のバランスを直すというときにその一部を修正するということは、長い目で見ればやむを得ないことじゃないかと思いますし、ことしだけ見ても、これが一般の収入の増加のバランスをくずすほど高く上がっているとは考えないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/327
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328・広沢賢一
○広沢(賢)委員 比較をすれば、二、三年前と比較してとか、五年前と比較してとかいうように、比較にもいろいろな尺度があります。戦前と比べる比較もあれば、外国と比べる比較もあります。それでは、ビールの値段全部の中で占める税金の割合、よその国、ドイツとかイギリスと比べたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/328
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329・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 広沢先生、非常によく知っておられますものですから、一番いやなものを持ち出されたわけですが、ビールは、日本では世界各国の中で特色のある課税をしております。それは、明治時代にビールが入ってまいりましたが、舶来品と申しまして、非常に高い税負担にしてしまったのでございます。したがいまして、おっしゃるとおりビールに関しては世界中で一番ビール税は高い。しかし、その反面では、ビール税が高いために、御承知のとおりビール会社というものは少数で非常に大きくなって、生産性を増強いたしまして、ビールの値段は戦前に比べて、一般物価が五百倍になったのに三百倍程度でとどまっております。つまり、生産を増強した分はほとんど税金にしてしまったという点はございますけれども、ビールの値段は各国に比べてそんなに高くない。税負担は御承知のとおり日本が一番高くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/329
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330・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それだから、比較をするということは尺度があると思うのです。都合のいいときの比較だけ持ってきて、それで盛んにそれが調整だ、調整だというのは、私は聞こえないと思う。いまの大衆の生活状態がどうか、ではほかに財源があるのかないのかという点で、もっと大蔵省はあたたかい政治ということを考えないと、一番ぎりぎりで——私がさっき申しました、総理府の統計でも出ている三百円というのも、それから、さっき日雇い労働者の人が言った、切り詰めて一本を半分にしてのまないとどうにもならぬという、そういうぎりぎりの切り詰めたところに追い詰めないで、ほかに余裕があるじゃないかということで私は申し上げたのです。
時間がないので、数字について若干この間の結論をつけたいと思う。つまり数字とか金額というのは、その中身のない比率とか、中身のない金額ではやはりあれでして、生活実感からいって中身のあるところからいかなければならない。
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
そこで、一つお聞きしたいのですが、この間は総理大臣の租税特別措置の——先ほど申し上げましたが、大資本、大法人に得になるか、中小法人に得になるかという議論をしましたが、この中で、われわれがいまここで議論しているのは大体法人、会社なんですね。中小企業がそれ以下にずっと広くある。これはさっき加藤さんもおっしゃったとおりです。それで考えますと、たとえば大体形式だけの税額は半分半分としても、現在日本の会社、法人はどのくらいあるか、一億円以下と以上ではどのくらいの数になるか、ひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/330
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331・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 法人は、一億円超の部分が、中小法人を入れて約四千五百という数字になります。以下、全体の数字は、中小法人を入れますと七十九万でございますから、これはほとんど全部が一億円以下ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/331
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332・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、これは一方が七十九万、一方が五千くらい。これでもって割っていきますと、一社当たりは、言うまでもなく大法人にとっては決定的に有利だということは言えますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/332
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333・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この特典の減収額というのは、数だけではなくて課税額で考えなければいかぬと思います。たとえば大法人については、一億円超で税額は、払っている税金に対してまけている税金が幾らかということを考えなければいけないものですから、その点から申しますと、大体、いまこれでいっておる大法人が私の記憶では六割、中小法人が四割、所得税の事業所得者を加えましても、まず半々かと思います。そういたしますと、その払っているものに対して減額を幾ら見るかという問題であると思いますので、そう考えれば、五十五対四十五というのは、やはり中小法人には有利ではなかろうかと、まあがんばるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/333
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334・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それだったならば、たとえば八幡製鉄では、この問も話をしましたが——八幡製鉄ばかりずいぶん出てくるけれども、これは大体貸借対照表から計算しますと、法人税と引き当て金ですね、それでもって計算しますと、これは住民税入っていますが、大体二〇%という純利益に対する割合が出ます。だからこれは実効税率が、泉国税庁長官は四六%と言っていますね。いろいろな本で言っています、きょうは来ておりませんが。それじゃなくて、私は、実際は八幡製鉄はそのくらいになるのじゃないか、そのように思うのです。そうすると、中小法人よりも税率は実際上、軽いのじゃないか。これはどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/334
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335・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これには二つ理由があると思います。一つは、御承知のように合理化機械として、当時の数字では、高炉ができたばかりでございますので、非常に大きな特別償却がある。ですからこれは特別償却の影響があったことは事実だと思います。八幡製鉄は株主に対する配当が非常に高いわけです。そこで配当軽課税率がほとんど八割近く適用されている。このことは、株主のほうでは配当控除をそれだけ削られておりますから、減税ではないわけなんです。そういう意味で実際の負担率が安く見えますけれども、この二つの理由だと思います。翌年からは、今度は高炉の減価償却は前にたくさんしちゃったんで、今度は逆に少なくなりますから、それを適正な償却率に比較してみますと、実効税率は今度は逆にうんと上がるだろうと思います。そういう全部を通じた計算をやりませんと、一単年度では、非常に大きな特別償却があった場合には大きな狂いが出てくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/335
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336・広沢賢一
○広沢(賢)委員 ここでは租税特別措置をずっと突っ込んでいきませんが、いまおっしゃたのは、大体必要だということについては——必要か必要ではないかという議論はまな別として、事実上はこれは非常に有利になっている場合があるのですね。一社一社を比べてみても、それから実際の税率で比べてみても、やはり有利になっているということを私は申し上げたわけです。
そこでもう一つありますが、これは水田大蔵大臣が口ぐせのように、最近は法人税は斜陽税だと言うのですね。御承知のとおり、百万円までは課税最低限を引き上げていく、基礎控除を引き上げていくということになると、斜陽税だと言って、この前は口をすべらして売り上げ高税になってしまいましたが、どうも間接税増徴のほうにだんだんと誘導していく伏線が張られているのじゃないかというような感じがします。これに対してこの間吉國さんは、間接税増徴には反対である、私が新聞に発表したのは、これは売り上げ高税に反対であるという意味だとおっしゃいました。これもどうもずいぶん範囲が広いからあれですが、倉成政務次官にお聞きします。これはよもや間接税をずっと増徴していく伏線ではないでしょうね、大蔵大臣のことばは。大蔵大臣いれば一番いいんだけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/336
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337・倉成正
○倉成政府委員 法人税は、御承知のとおりに、昭和十五年に所得税から分離しまして、昭和二十六年ごろ酒を追い越しまして、国税の税収の中で第二位になったわけです。その後だんだん法人税の国税に対する比率が御承知のとおり少し減ってきておるというので、そういうことを反映して、大臣がそういうことばを言われたのではないかと思っております。しかし、現在法人税で考えられているのは、この前からの議論がありましたように、現在の法人税をどう考えるかという法人税の性格の基本の問題が中心であろうかと思うわけでありますけれども、これが直ちに間接税増徴論ということにはならないと思います。むしろ、いま直接税、間接税の比率が国税で大体六、四くらいになっておりますけれども、この程度は一応維持していこう、こういう考え方が現在の考え方の中心だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/337
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338・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、それは間接税増徴のほうに今後税制の基本方針がいくというわけではないという御判断ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/338
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339・倉成正
○倉成政府委員 間接税増徴の方向ということを大臣が打ち出したのではなく、直接税と間接税と適当なバランスをとっていくべきだ、こういう御趣旨の御発言だと思います。将来直接税と間接税がいかにあるべきかという問題については、やはり税制調査会その他で基本的に議論すべき問題ではなかろうか。特にわが国の所得税の構造が非常に累進的でありますから、これが非常に大幅に減税ということになれば、国の財政収入をどこに求めるかということになりますと、やはりある程度間接税にも負担がかかってくる、そういう意味合いになると思いますので、そういうバランスをとるという意味だと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/339
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340・広沢賢一
○広沢(賢)委員 ちょっとわからないのですよ。間接税の増徴のほうではないけれども、所得税のほうは課税最低限を上げていかなければならぬから、そのバランスをとるとすれば、どこへ持っていくつもりですか。それをちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/340
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341・倉成正
○倉成政府委員 現在のところは大体六、四くらいの比率になっております。この程度はぜひ維持したいということがしばしば言われておるわけでありますが、最終的にどこに持っていくかということについては、大蔵省としてもまだ意見がまとまっておりませんし、また税制調査会でもまた確固たるものはない。これは長期税制のあり方として基本的に検討すべき問題であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/341
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342・広沢賢一
○広沢(賢)委員 これは重要ですから最後にあれですが、つまり法人税は斜陽税であると大蔵大臣がきめつけたのですね。何回も繰り返しておられますが、これがやはり重要だと思うのです。法人所得はこれは景気のいい悪いによってずいぶん上下しますね。それで法人税の弾性値が大体どのくらいになっておるか、まずお聞きしたいと思います。主税局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/342
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343・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 法人税は、最近の三十二‐四十一年の平均で申しますと、弾性値は一・二四という数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/343
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344・広沢賢一
○広沢(賢)委員 この間までは〇・九六だったこともありますね。それで、所得税の弾性値が二・三くらい、それから税金全体が一・六くらいですが、法人税の弾性値だけがいつもこう低いのですね。こうなったのは、どういう理由でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/344
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345・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 弾性値があるということは、国民所得のふえ方よりも——一・一以上であるということは、国民所得のふえ方よりも法人の税収がふえているということでございますから、法人税収はふえておる。法人税は比例税率でございますから、法人税収がふえるということは法人所得がふえるということになる。ですから、斜陽という意味は私よくわからないのですが、かなりふえる。そうして、所得税のほうは累進課税でございますから、所得がふえると、ふえた割合より以上に税額がふえるのは当然でございます。それが二・一九というような弾性値になっているわけであります。それを全部含めまして国税の弾性値が、かつて三十九年までの平均で申しますと約一・五だった。最近はやや落ちておりまして一・四程度になっておりますが、この弾性値を非常に大きくしている最大の原因が所得税であることは言うまでもないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/345
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346・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうしますと、いま吉國さんが言われましたが、大蔵大臣が、どうして法人税は斜陽税だと言うか意味がわからぬというが、私もいまの倉成政務次官のお話を聞くとわからなくなってしまった。こんなに高度成長を遂げて、大きな会社や工場が一ぱい建っているという場合に、減価償却がよその国よりも非常に進んでいる。減価償却が進んがいるということが法人税に出てこない一つの証拠、一つの理由かもわかりませんが……。だから、よその国と比較しての話なのかどうなのか、これは一回大蔵大臣に尋ねないといかぬですがね。弾性値が上下するからわからぬけれども、税制を変えてもっといろいろくふうしてみれば、大きな法人で基礎産業というか、輸出に直接関係のないところでもっと税収が上がる方法があるのではないかと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/346
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347・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 法人に業種別に差別税率を設けるとか、あるいはきのう御指摘のあった選択雇用税をかけるとか、方法はあると思いますが、従来の考え方から申しますと、差別課税というのは、少なくとも水平的公平という意味からは、なかなかむずかしい問題だと思います。差別課税を徹底していきますと、極端なことをいえば、額にほくろのある人は幾ら課税するという比喩にもなってくるわけでございまして、同じ条件にあるものには平等の課税をするという意味の水平的公平でいくという考え方は、まだ一般的ではなかろうかと思います。ただ、御指摘のように、大法人、中小法人に対して特別措置を与える場合に、その程度をどうするかといったような、今度は逆に特別措置の面ではいろいろ配慮ができると思います。現にそういう配慮をしてまいりましたので、広沢先生にしかられましたが、四十年度の実績でいうと、七割くらいが大法人へいっていた特別措置の利益が、三、四年の間に逆転をしたという結果にもなったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/347
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348・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その問題は間接税に関係ないから深入りしませんが、法人所得税でなくてもそのほかのやり方はあるかもしれないが、垂直的にくふうすれば、段階別に累進をすればそういうことは可能だし、それから政策目的では、さっき言った租税特別措置の形があると思いますが、問題は、たとえばある学者がこういうふうに計算しておるのです。所得税の弾性値どおり法人税を伸ばしていくならば、所得税はみな給与所得者ですから、給与所得者が営々として働いてそれだけ税金を取られているくらいまで弾性値を伸ばしていってかりに計算しますと、たいへんな税収が上がるという計算をしていますね。大体年に六千億くらい上がってくるのではないか。こういうことについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/348
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349・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 累進課税というのは、やはり所得の最終帰属者である個人についていえる原則だと思うのでございます。法人というのは、何といっても最終の所得を稼得するものではなくて、その法人が得た所得が分配されて個人へいって、初めて社会福祉という意味にもつながってくるし、厚生という意味にもつながってくる。そうしますと、法人は、十人で構成しておる法人もあるし、百人で構成しておる法人もございますが、その場合に、その十人のほうの法人が一千万円の所得であり、百人の法人が一億円の所得であったとすれば、個人別に考えれば、これは全く同じ所得であるにもかかわらず、そこで法人の所得だけを見て法人累進課税をやれば、非常に不平等な結果になる。そういう点から、従来から法人税につきましては比例税率というのが、世界各国のほとんどの例でございます。これについては、法人を実体的に存在すると考えるか、つまり法人が所得を稼得すると考えるか、個人が所得を稼得すると考えるかという一つの哲学的な問題もございますけれども、実際には、法人は多数の株主からなっていて、法人の所得は多数の所得者に分配されるという前提で、税法はほとんど現実的には構成されておると思いますので、法人に極端なる累進税率を適用するということは、ちょっと各国見られないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/349
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350・広沢賢一
○広沢(賢)委員 所得税の累進を法人にぶっかけろとは私は言いませんが、たとえていえば、こういう形で相当税収が上がるのではないか。だから、それを緩和するやり方ももちろん考えなければならぬ。私は、段階別の比例というか、累進的比例ですね、そういうふうになると思いますが、問題は、なぜこれを私がやかましく言ったかというと、この間私が話しましたとおり、大法人に有利か中小法人に有利かという問題も一つそれにからまっています。つまり、いまの景気過熱の根本的な原因、これの真犯人はだれかと去年の秋から言っていたが、やはり真犯人はわかったわけですね。なぜかといったら、所得の伸びの大部分が設備投資、民間資本形成にある。これはおわかりになっておると思いますが、それをどういうようにコントロールするかということで、いま日本経済の一番の中心問題がそこにある。したがって、こういうところから取って、先ほど言った間接税でこれはとても残酷だという問題、国民が政府に、それから税金の制度に対して信頼感を持たないような諸問題——租税特別措置、それからさっき言った酒、たばこに直接ぶっかけていく問題。大衆は自分の実感として、毎日毎日たばこが前より半分しか吸えないために、交際費の問題といい、利子配当の問題といい、それからいろいろな問題について、政治に対し、国に対して不信感を持っておる。これが一番いけないことであるからやはり改めなければならぬということなんです。
そこで、最後にお聞きしますが、吉國さんは売り上げ税について、あれは反対だとこの間明言しましたね。新聞には間接税反対と書いてあるが、あれは売り上げ税反対だということですね。私はもう一回倉成政務次官にもお聞きしたいのですが、売り上げ税はいけないという理由について、ひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/350
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351・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 これは私、公式の立場ではないので、私個人の思想でありますので、これを申し上げるのはいかがかと思うのですが、私が申した趣旨は、売り上げ税というのは、何と申しましても、いま御指摘のように、いまの日本の消費税どころではなくて、あらゆる物品に一律に課税する結果になりまして、その負担者というのは、結局一番重くなるのは大衆である。しかも現在の、たとえばいま問題になっておりますボーダータックス・アジャストメントにいたしましても、あれは売り上げ税の一形態といわれております。付加価値税をかけると、それだけ国内物価が上昇をするわけです。したがって、ほかの国の物価水準と差ができるから、それを調整する意味で、輸出するときにはその付加価値税相当分だけを引く、輸入したときには付加価値税相当分だけをかける、こういう性質のものであります。つまり、国内物価を上げて消費者に転稼をするという性質のものでございますので、よほどの事情がない限り、無理やりに売り上げ税を採用するのは私自身としては好まない、こう私は申しておるわけでございますが、西欧各国は、この付加価値税中心にどんどん動いておりますので、そこから大蔵大臣が法人税斜陽説を出されたのではなかろうかという感じもいたします。その辺、私の考えが間違っているかもしれませんが、私個人としての見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/351
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352・広沢賢一
○広沢(賢)委員 最近、輸出品に対する間接税の免税、売り上げ税の採用による戻し税ですね、御承知だと思うのです。
〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
倉成さんも御承知だと思うのですが、これはやっぱり売り上げ高税を予想しておるものだと思いますがね。こういうものがどんどんいろいろなところから出されていく、財界から。非常に空気をあおっておる、そういうときに売り上げ高税に対して主税局長がいま言ったのは、これは正論ですよ。だれが見てもそうであると思います。断固として佐藤内閣がある限りは反対しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/352
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353・倉成正
○倉成政府委員 主税局長もお答えしましたように、西欧各国、特にEEC諸国は、売り上げ税、最近は付加価値税に統一してやっておる。アメリカのボーダータックス・アジャストメントが問題になりました際に、特にヨーロッパのこういった売り上げ税、付加価値税というのが一つの問題になったことは御承知のとおりであります。そこで、日本で一体付加価値税あるいは売り上げ税をとるかという問題でありますけれども、私もやはりこの問題は、税制調査会でも言っておりますように、慎重に考えるべきじゃなかろうかと思っております。ただ、今日日本でとっております消費税——酒、たばこが中心でありますけれども、これもやはりおのずから担税力というものに限界がある。物品税についてもいろいろ問題があるということになりますと、やはりこの間接税の体系をどうするかという問題と関連してこの問題は検討すべきだ。これは全然一顧に値しない問題ではない。これはやはり十分検討に値する問題であるから、慎重に考えなければいけないだろうというのが私の個人の見解です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/353
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354・広沢賢一
○広沢(賢)委員 どうも歯切れが悪いあれで、やはり反対と言ってもらうと非常に安心するのですけれども、売り上げ税というのは、これはもちろん御承知のとおり戦時中にできた。松隈さんが言うとおり、戦時中とか非常事態以外には予想されないような悪法だと言っておるわけですが、いまの税制制度を見ると、公債政策はとりましたね。それからその次に今度は間接税がだんだん増徴されます。戦前の型は間接税が多いタイプですね。その上で売り上げ税が新設されるということになりますと、だんだん非民主的な戦前の租税構造になっていくおそれがありますから、そこでこの問題については、日本の税制——これは日本の運命に関しますから、政治の構造にも反映すると思いますから、やはり反対すべきではないか。大体、松隈さんでも吉國さんでも言っておる売り上げ高税反対という、これは非常に広範な中小企業の意見であります。ですからその点について十分考慮していただきたい。
以上で私は終わります。
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/354
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355・田村元
○田村委員長 岡沢完治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/355
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356・岡沢完治
○岡沢委員 私は、約一時間いただきまして、たばこと酒に関連する質問をいたしたいと思います。
最初に、たばこ関係の質問をさせていただきます。これはやぶへびになるかもしれないのでございますけれども、製造たばこの小売り定価を昭和二十六年以来据え置いてこられた理由はどこにあるのか。その十七年間も据え置いたたばこの値段を、いま佐藤内閣として、国内政治の上で一番取り組むべき物価抑制という問題と反対の結果をもたらすであろう、また国民世論にも逆行してこの際あえて値上げに踏み切られる理由はどこにあるのか。特に間接税がいわゆる逆進性の強い税だといわれる観点からいたしましても、いささか納得できないのでございますが、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/356
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357・前川憲一
○前川政府委員 たばこの値段につきましては、いまお話しのございましたように、二十六年ごろに、それまではインフレでございましたので、たとえばいまの新生でも六十円でございましたが、いろいろなものが大体落ちついてきましたので、このときに四十円にいたしましたりして、そのときに一つの価格の水準、価格の体系というものができてきたわけでございます。その当時におきましては、間接税等の収入に占めるたばこの役割り、いわばたばこの財政に対する寄与貢献度と申しますか、それは約四割であったわけであります。ところがその後は、たばこも大いに増産もいたされましたし、いわゆる消費生活も上昇いたしまして、ある程度たばこが量的に伸びてくる、こういうことでございましたので、徐々に下がって、三十年ごろは三割ぐらいであったわけです。それから二割ぐらいのところまで来ましたが、今度は別のほうでもって日本の経済が構造的、量的に非常に発展をいたしまして、たとえばガソリン税のごとく、いろいろ別の税目でどんどん収入がふえてまいりました。したがいまして、たばこの財政貢献度の低下というものは、別の面における貢献度がふえるものによりましてある程度カバーされてきたというのが実情であったかと思うのであります。ところがここ数年来は、一方におきまして、高度成長の影響でもって基本的に人間のサービスの値段が上がり、労働賃金あるいは葉たばこ耕作の中に含まれますところの農民の方々の勤労の価格、そういうものが上がってまいりました。これはお米の値段が急速に上がりましたことによって象徴されるような、そういう現象が出てまいりました。そこで、後ほど公社から御説明があると思いますけれども、近代化、合理化ということによりまして、そういう原料面のコストプッシュを吸収すべく努力をいたしたのでありますけれども、いかんせん、たばこ産業というものは加工度がそれほど高い産業ではございません。たとえば石油化学のような加工度の高いものではございませんので、吸収の努力にもおのずから限界がございます。
まあ、そういったようなことで、ここ数年来急速に益金率も低下いたしまして、先ほど来申し上げました財政に対する寄与貢献度を間接税の中におけるたばこの役割りということで当たってみますと、もはや二〇%を割って、去年のごときは補正後一七・幾らというところまで来たわけであります。この辺の事情に御着目に相なりまして、政府の税制調査会等におかれましても、昭和四十一年度答申以来重ねて、たばこの小売り定価を改定してはどうか、かようなことがあったわけでございます。その点につきましては、もう先般来、政務次官やあるいは主税局長からもるる御説明がございましたので、私から繰り返しませんけれども、そういう事情があった……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/357
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358・田村元
○田村委員長 前川君、質問者の質問時間に迷惑をかけることがあり得ますから、演説はなるべく短く願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/358
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359・前川憲一
○前川政府委員 そういうようなことで、ここ数年来ずっと考えてまいったわけでございますが、そこで、値上げをすると申しましても、もちろん一方においては物価政策の問題もございます。一方においては、先ほど来お話のあった家計に対する影響ということもございます。それからまた、あまり極端な値上げをいたしますと、今度は逆に売れ行きが悪くなります。安定した財政収入が得られません。そこで、いわば手直し程度のモデレートな値上げをさしていただいたということなのでございます。
こまかい数字は、時間もございませんので、御質問があればあとで申し上げます。どうも長くなりまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/359
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360・岡沢完治
○岡沢委員 時間の関係で次に進みますが、いまのお答えの中にもあったわけでございますけれども、税調の答申等にうたわれております、たばこの税負担の相当分が相対的に低下している、その実情を具体的にお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/360
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361・前川憲一
○前川政府委員 どういうところで見ますか、たとえばかりに新生という銘柄を一つとってそれで見ますと、昭和二十六年当時におきましては、二十本一箱をお吸いになっていただきますと、大体三十円ぐらいが税金であったわけでございます。ところが、たとえば昭和三十年ごろに十本当たり十四円の倍ですから二十八円ぐらいでございましたが、だんだん下がってまいりまして、四十二年でとりますと、二十一円ぐらいが税金だというところまで下がってまいったわけでございます。今回十円値上げさしていただきますが、それによりまして、十本当たり十四円三十銭ですから、二十本当たりになりますと二十八円六十銭、ほぼ二十九円というようなところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/361
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362・岡沢完治
○岡沢委員 これも税調の答申にいっていることでございますけれども、間接税の間の負担のアンバランスということばがございますが、具体的にはどういう事情をさしておるのか、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/362
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363・前川憲一
○前川政府委員 たばこや酒につきましては、歴史的、沿革的に、他の物品税がたとえば二〇%であるとか、宝石その他でも四〇%であるとか、そういうものに比べましてわりあい高うございます。これは諸外国の例などを引きますと長くなりますけれども、イギリスは八〇%であるとか、イタリアは七五%であるとか、そういうふうに高うございます。したがいまして、たばこをその何%という絶対値でもってほかと比べてどうこうということはいえないわけであります。そこで、先ほど来私が申しておりますような、間接税全体として見た中でたばこがどれくらいの役割りを占めているかということでバランスを見るよりしかたがない。かようなことになりますと、先ほど来申しておりますように、昭和二十六年ころには、お酒もたばこも間接税の中でほぼ同じように四割くらいを占めておりました。これが三十一年ころになりますと、たばこがちょっと低うございますけれども二八%、酒が三一・四%であったわけです。その後お酒のほうは、大体いま二四%から二五%ぐらいのところを維持しておるにかかわらず、たばこのほうは、先ほど申しましたように、四十二年では二〇%を割りまして、いまや一七・五%に落ち込んでいる。そこで今回改定をさしていただきまして、一八・六%ぐらいに直そうというのでございまして、そんなに極端に昔に戻そうとか、極端に酒に近づけようというふうな大げさなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/363
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364・岡沢完治
○岡沢委員 いまの答弁の中にもありました益金率の低下、これのおもな理由、それから低下の実情を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/364
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365・前川憲一
○前川政府委員 これはおかげさまで全体としての売れ行きもふえておる、それからまた消費が高級化いたしまして、たとえば昭和二十六年ごろには十本当たり二十一円二十銭でありましたたばこが、昭和四十二年におきましては三十一円四十一銭というようなことであるのでございますけれども、先ほど来申しておりますように、やはりコストプッシュというものは避けがたい状態であったわけでございます。もちろん、こまかい経費等の問題になりますれば時間もかかりますし、また後ほど公社から御説明もあろうかと思いますが、たとえて申せば、原料の葉っぱのごときは最近特にコストプッシュがひどい。昭和三十五年を一〇〇といたしますと、それが、たばこの値段そのものといたしましては、ほぼ二倍近くの一八九でございますから、一・九倍くらいに上がっておるわけです。それから労働賃金も、三十五年を一〇〇といたしますと、二六六、ほぼ二・七倍に上がっております。もちろんこれは、葉たばこ等につきましては歩どまりをよくするとか、あるいはフィルターたばこができましたので、多少本当たりの葉たばこの使用量目も少なくなるということがございますので、原価といたしましては一割五分程度のアップにとどまっております。労働賃金自体の絶対額は二・七倍でございますけれども、労働の能率をあげる、いわゆる生産性をあげるということによりまして、労務費は一・六倍の増加に食いとめておる。しかし、一・六倍あるいは原料費も一・五倍に上がっておるということは、これはいかんともしがたい事実であったわけでございます。かようなものがコストプッシュの大きな要因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/365
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366・岡沢完治
○岡沢委員 経企庁にお尋ねしたいのですけれども、今回のたばこの値上げが物価にどの程度影響するか、一般家計に及ぼす影響はどのくらいか、経企庁はどういうふうに見ておられるか。
それから、あわせまして、最初の質問でもちょっと触れましたけれども、たばこはもう公共料金の一種だというふうに見ていいと思うのでありますが、あえて政府が物価値上げの先端、主導権を握ったというような感じを、たばこの値上げ、酒の値上げで感じさせるわけですが、そういう点について経企庁としてはどういう見解をとっておられるか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/366
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367・八塚陽介
○八塚政府委員 すでに申し上げてあったかと存じますが、物価に対する影響は、たばこにつきましては約〇・二%程度でございます。もちろんこれは御承知のように、四十年における家計調査をもとにいたしましたウエートでございますから、あるいはその後のいろいろな需要の変化等がございますし、また家計という点につきましては、この物価指数は、これも御承知のように、いわば平均的な家計の四十年の状況をもとにいたしておりますから、個々の家計あるいは所得階層別にもっと細分いたしますならば、個々の家計におきましては、たばこの吸い方というのもおのずから異なると思いますから、そういう意味では、家計そのものではたして〇・二であるかどうかという問題はございますけれども、消費者物価指数というものが家計に対する影響をあらわしておる、そういう限りにおきましては〇・二%程度というふうに考えられるわけであります。
それから公共料金という点についてでございますが、公共料金ということば自体が、法律的にどうこうという点から申し上げますと、必ずしもはっきり定義されておりませんが、やはり政府が許可をしたり認可をしたり、あるいは政府の企業で、あるいは地方団体の企業、公企業で物品なりサービスの価格をきめるというようなものを一応公共料金というふうに考えますならば、当然たばこは公共料金の一つというふうに考えていいと思います。そういう意味におきまして、私どもは一般に物価政策といたしましては、もちろん公共料金が主導しておるという印象を与えることは決して好ましいことではないわけであります。ただ、これはなぜ値上げをするかということにつきましては、すでに専売の監理官その他大蔵省等からもお話があったと思いますが、そういう観点からすればやむを得ないのじゃないかということで、私どものほうも了承したというかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/367
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368・岡沢完治
○岡沢委員 いまの問題につきましては、経済企画庁がそういう弱気では何をか言わんやでございますので、次に進みます。
これは言い古されたことでございますけれども、今度の値上げは、所得税減税の恩恵を受けない低所得者層にとっては、まさに増税であると言わざるを得ないと思うのですが、主税局長と次官、両方から、どういうふうにお考えになっておるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/368
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369・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、静態的に見ますと、まさに増税という姿になると思います。ただ、趣旨が御承知のとおり、いま監理官から申しましたように、酒の税あるいはたばこについては、従量税であるというために毎年負担低下が起こっておる。それをある時期に直すということでございまして、それをたとえば支出金額の中で見ましても、酒、たばこが持っておるシェアが毎年下がってまいりますのは、その値段が相対的に下がる。その下がる理由というのは、酒税なりたばこの税負担が他の物価水準につれて上がらないというところに原因があるというのが事実でございますので、ことしそういうことを取り返すという意味でやっておるわけであります。
なお、確かに負担は多くなりますけれども、先ほども申し上げましたように、酒の値上げにしても五・四%程度であって、しかもなお一級酒以上ということでございますので、全体の給与所得を中心とする所得の上昇割合から見れば上がり方が少ないわけで、相対的な消費支出としては、この部分がふえてしまうということではないというふうに思います。私どもとしては、その酒の上がった分だけは増税であるけれども、実体的には税負担の調整であるというふうに申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/369
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370・倉成正
○倉成政府委員 岡沢委員の御指摘、非常にごもっともな点だと思います。そこで、たとえば生活保護世帯が昭和四十一年で六十五万七千戸でございます。たばこについて申しますと、昭和二十六年の生活扶助基準が五人世帯で五千八百二十六円、これが四十三年の四月一日で計算いたしますと二万九千六百六十二円と、大体五倍になっているわけでございます。それから所得税の課税最低限も、昭和二十六年で十二万二千三百五十三円。ことしは、今度改正になりますと、御承知のように八十万円をこす、こういう状態でございます。そこで、たばこは昭和二十六年からずっと据え置きになっている間に、ほかの物価を考えてみますと、これは監理官の分野でありますが、一応私から申しますと、理髪代、これが平均をとりますと、大体百七円というのが四百十七円。髪つみ代が大体四倍になっている。あるいは入浴代金も大体三倍近くになっている。それから新聞代が大体四六八という指数でございます。諸物価が大体三倍、四倍、五倍上がっている中に、たばこだけが据え置かれているというわけでありますから、ここで十円刻みの値上げをお願いするということは、私は、やはり間接税と直接税のバランスをとるという意味から、あまり無理なことではないのではないかというふうに思っております。また百歩譲りまして、いまいろいろ議論されていますのは、全体としての議論ですけれども、酒を飲む人とたばこをのまない人というふうに、いろいろ組み合わせがございますので、個人個人にとっては非常に負担感が違うのじゃなかろうか。酒も飲むし、たばこもむやみにのむという人にとっては、これは非常に大きな負担になるのではないかという感じがするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/370
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371・岡沢完治
○岡沢委員 次官も局長もなかなか御説明がうまいので、つり込まれそうでございますが、このたばこの価格と税負担分、これを外国のそれと比較してどういう水準にあるか、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/371
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372・前川憲一
○前川政府委員 結論から申しますと、外国に比べて決して高くはございません。いま値上げになりましたあとの新生で見まして五十円でございますが、日本のそれを、労働賃金が各国によって違いますから、一時間当たりの労働賃金で何個買えるかというふうに見てみますと、新生は四・七個買えるわけでございます。それが西ドイツあたりでは二・七個、イギリスでは一・七個、それからイタリアでは一・八個、フランスでは二・七個、こんなような感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/372
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373・岡沢完治
○岡沢委員 外国との比較はわかりましたけれども、それはともかくとして、いただきました資料でも、四十一年度でなお六〇%の益金率でございます。これは、ほかの間接税、物品税、酒税に比較しても、高率に過ぎるんじゃないかという感じがするわけですが、これはどういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/373
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374・前川憲一
○前川政府委員 ━━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/374
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375・倉成正
○倉成政府委員 ちょっと補足いたしておきます。
いま監理官からばく然たるお話がございましたけれども、実はたばこの税率は世界各国やはり非常に高いわけです。先ほどもお話がありましたように、フランスが税率で大体七〇%、イタリアが七五%、イギリスが八〇%と高いわけです。この沿革を調べてみますと、大体東西を通じまして貴重品時代があった。それからこれを禁令の時代、たばこを禁止する時代、それからこれを懲罰的に重課税をする時代、それから財政物資としてこれを目をつけて、たばこから税金を取っていこう、こういうことにだんだんなってきたわけであります。やはり重要な国家の財源として、世界各国そういう税の中で重要な地位を占めてきたわけであります。したがって、沿革的に非常に高い税率を占めてきた、こういうわけでございます。
〔只松委員「そんな答弁をするな、政務次官の答弁はまともだ」と呼び、その他発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/375
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376・田村元
○田村委員長 政府側に申し上げますが、答弁は、事務当局は事務的に、かつまじめに答弁をされるように、もし委員長において不穏当と認める個所があればその部分を削除いたします。
只松君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/376
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377・只松祐治
○只松委員 いまの発言はきわめて私は重要だと思います。国民が今度の国会のある意味の最大の焦点として増税法案を注目しているときに、ただいまみたいな、私は全部いまは詳細に、多少興奮して暗記しておりませんけれども、あとで速記録を見てみますけれども、そういうばかな答弁をして本委員会を通過させようと思ったら通過させてけっこうです。われわれはあらゆる力をもってこれを阻止する、このことだけをいま言って関連質問を終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/377
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378・田村元
○田村委員長 ちょっと申し上げますが、先ほど私が発言いたしましたように、もし不穏当の個所がありましたならば、委員会においてこれを削除等善処するようにいたしたいと存じますので、この際質疑を続行していただいて、委員各位におかれても穏当な御処置をお願い申し上げます。委員長からこれをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/378
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379・岡沢完治
○岡沢委員 たばこに関する最後の質問でございますけれども、たばこ専売についての経営の合理化、能率化また経営努力等について税調のいう消費税制度への切りかえという問題を含めて専売公社のほうでどういうふうに考えておりますか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/379
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380・東海林武雄
○東海林説明員 お答えいたします。
われわれの仕事といたしましては、これは当然合理化というものは推進すべきものなんでありまして、ことにいまお尋ねがありました消費税制度ということになりますと、これは税調のほうから出てまいったのでありますが、われわれのほうでももちろんこの問題を取り上げております。そして同時に、この消費税制度に移行するということになりますと、企業というものの責任が非常に重大になってまいりますので、そういう面からいきましても、いままでの合理化の進め方というものをもっと、つまり企業的に見てこういうものを推進しなければならない、そういう面で現在こういうものの問題の特別委員会をこしらえてこれを推進しているようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/380
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381・岡沢完治
○岡沢委員 この問題に時間をかけて論議したいのでございますが、持ち時間の関係でたばこ関係は終わりまして、酒税についてお尋ねをいたします。
今度、たばことも同じような趣旨になりますけれども、この際、特に物価問題がやかましいときに酒税を増徴することにされた基本的な理由はどこにあるか、考え方の基礎をまず聞きたいと思います。
〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/381
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382・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、先ほど監理官からも申しましたが、昭和二十五年当時、酒の税は大体国税の中で一六、七%を占めておりました。それが漸次減税等によりまして下がってまいりまして、現在一〇%程度に下がっております。ところで、酒の税が戦中戦後を通じまして非常に高くなった時期がございます。たとえば一例をあげますと、清酒特級などは昔は現在よりも高い時代がございました。たとえば昭和二十五年四月には、一升、千八百ミリリットルでありますか、これが千五円であった時代がございます。現在に比べると高い。二級酒でもその当時は七百円しております。いま五百五十円でございます。そういうことで、酒については非常に高いということで、むしろ減税を続けてまいりまして、昭和三十七年には大幅な減税をして、これで大体平時的な意味の酒税の負担というものになったということを当時申したわけでございます。ところが御承知のとおり、それからあと所得も相当に水準が上がってまいりまして、不可避的に物価水準も上がってまいりまして、酒の価格自体も、米の値上げその他によりまして上がってまいりました。そのために、昭和三十七年から現在に至る経過を見ますと、たとえば特級酒の小売り値に対する税負担は、三十七年当時におきまして約五〇%でございましたが、それが現在四三%程度に下がりました。一級酒も四三%程度のものが三六%程度に下がります。二級酒は大体三三%だったのが二八%に下がるということで、物価水準というものに沿って価格が上がっていくと、酒の税の部分だけがだんだん低くなっていく。物品税その他は比例税率でございますので、従価税率でございますので、物価が上がっていくのに応じて税がふえていきます。その結果を見てまいりますと、所得税は御承知のとおり、所得が伸びればそれ以上に税率がふえ、税額がふえるということで、時の経過をながめますと、一般の従価税による税は時の経過に応じてふえていくし、今度所得税は時の経過に応じて幾何級数的にふえていく。ただ、従量税をとっている税だけが、消費の伸びがあっても相対的に下がっていく。たとえばたばこでいくと一番わかりやすいのでございますけれども、たばこの十年間の販売の対所得弾性値を見ますと、〇・六五という数字でふえておりますが、たばこの税のほうは〇・五六という弾性値、一年の間にそれだけの差ができて相対的に下がってまいりますから、ほかの税に比べて、所得税に対しては問題なく相対的に下がります。一般の従価税である物品税等に対しても、かりに従価で考えると、三十七年から四十三年までの間に一五%も税率が下がったことになります。そういう点を今回是正をしないと、だんだん日本の税体系の中で消費税のウエートが下がってくる。これは現に昭和三十年ごろは五〇、五〇という比率までいっておったわけでございます。その後所得税はあれだけ減税しながら、所得税はふえていって酒税は下がる。そのために、ついに四十二年度では四〇%を割ってしまったわけです。そんなことから、今回は酒税についてできるだけ国民負担に大きな変動を与えないように、一級酒以上というものを対象にして引き上げをはかって、その税負担の適正化という意味でも税率の引き上げを行なった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/382
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383・岡沢完治
○岡沢委員 やはり企画庁に、先ほどのたばこと同じ趣旨で、今度の増税の物価に対する影響ですね。物価上昇をどの程度に見るか、政府の一枚看板の物価抑制策との関連を、たばこのときもお答えいただきましたが、関連してお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/383
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384・八塚陽介
○八塚政府委員 私どものほうのいわゆる公共料金ないしは物価の観点から申し上げますと、たばこも、あるいは酒も、いずれにいたしましても、税の関係あるいは益金の関係で上がるわけでございますが、そういう考え方につきましては、先ほど申し上げましたのとほぼ同じということに尽きると思います。消費者物価指数に対する影響といたしましては、これは御承知のように、たばこのように、最終的に小売り価格がどうなるか、若干問題が残っております。したがいまして、大体〇・一%前後の影響があるのではないか。たとえば今回の場合に、酒のウエートといたしましては、全体として一万分の二一六あるわけでございますが、そのうちに大きいのは、清酒の二級が七七というようなことになっております。幸いにしてと申しますか、二級についてはやはり物価政策の観点からの配慮を加えたというふうなことで、物価政策の観点からいえば歓迎すべきことではございませんけれども、財政政策その他の関連からいえば、こういう配慮をした上で、やはりやむを得ないのではないかというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/384
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385・毛利松平
○毛利委員長代理 速記をとめてください。
〔速記中止〕
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/385
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386・田村元
○田村委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/386
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387・岡沢完治
○岡沢委員 それでは質疑を続行いたします。
酒のことでございますが、先ほども御答弁の中にありましたけれども、たばこと違いまして酒は自由価格制がたてまえでございます。そういたしますと、増税に伴って酒の値段が引き上げられることは当然だと思われますけれども、増税分とは別に、原料米その他のコストアップによる価格の引き上げも便乗的に行なわれるということも考えられるわけでございますが、これの見通しについて、これは次官と主税局長、そしてまた経企庁のほうもお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/387
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388・倉成正
○倉成政府委員 私からお答えいたします。
酒米が上がったりあるいは麦が上がったりいたしまして、原料が上がっていることは事実であります。その他人件費その他の上昇があるということで、業界としては上げたい、こういう御要望があることも事実であります。
〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
この問題は、御承知のとおりいわゆる自由価格をとっているわけでございますから、形式的に申しますと、やはり消費者が納得いく形でその問題は処理していくというのがたてまえでございます。それがたてまえになっておるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、今度の酒税の増徴、調整と直ちにこれを結びつけて、コストの値上がり分を値上げするということは極力避けていただきたいということを業界に要望しているというのが現在の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/388
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389・八塚陽介
○八塚政府委員 私どもももちろん、酒税の増徴に伴いまして、あるいはそれを契機として最終的に小売り価格が上がるということについては、望ましくないというふうに考えておるわけでございます。それにつきましては、いま倉成次官からお話がありましたように、もちろん大蔵省のほうでも極力御指導を願いたいというふうに思っております。私どものほうでも、もし相談がありますならば、やはりそういう点のないようにお願いをしていくというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/389
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390・岡沢完治
○岡沢委員 いま次官と経企庁のほうから値上げをしないように指導したいというか、お願いをしたいという趣旨でございましたが、特に巷間伝えられますように、ビールの場合は七円というはんぱな値上げであるだけに、十円アップされるのではないかという懸念が巷間でも伝えられておるわけでありますが、これについて指導の見通しですね。指導されたのか、あるいはそれに対する業界の反応はどうなのか、あるいはこれからどういうふうにしようとされておるのか、その辺の見通しについてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/390
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391・佐藤健司
○佐藤説明員 酒並びにビールにつきましても、増税以外の値上げの要素といたしましてコストアップ事情があるという申し入れが業界からございまして、私どもも現在いろいろ検討をいたしておりますけれども、清酒につきましてはやはり製造原価の中の六割ぐらいは米でございます。米の価格が昨年食管の関係で上がりましたことは御承知のとおりであります。そのほかにいろいろコストアップの要因がございます。それからビールにつきましては、製造原価の中で六割程度がやはり麦芽の価格が占めておるわけであります。これもまた年々上がっております事情は御承知のとおりかと思います。そのほかにいろいろ労務費やその他アップ要因はございますけれども、また生産性の向上によって消せる部分もあるわけであります。それらの点を現在いろいろと検討中でございますが、業界に対しては、増税による値上げとは切り離しまして、できるだけ自粛をしていくようにお願いをしておりますけれども、やはり価格そのものは自由価格のたてまえをとっておりますので、合理的な範囲といいますか、消費者の納得できるような合理的な範囲のものであれば、これはいつまでも押えるということはできないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/391
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392・岡沢完治
○岡沢委員 今度の酒税の増徴の範囲を清酒の特級と一級とビール、ウイスキー類に限定された理由はどこにあるか。それから清酒の税率の引き上げの幅を、特級で六十円、一級で四十円、ビールの税率の値上げ幅を七円とされた根拠とか、あるいはこの数字が出た妥当性といいますか、そういう点について聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/392
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393・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 酒の税率を上げますについて、私どもも非常に苦慮いたしたわけでありますが、一番基本になる問題といたしまして、酒類の間で一番力の強いもの、販売力の強いもの、したがって転嫁率の強いものというものが一つ問題になると思います。消費の程度の高いもの、これはやはり考えなくちゃならない。そういうことからいろいろ検討いたしましたら、一つの問題といたしまして、清酒につきましては、三十七年の税制改正の際に、従来ございました準一級酒というものを一級酒と合併いたしまして新しい一級酒をつくりました。その際の税率の引き下げ幅が相当大きかったために、従来一割五分くらい、税率で一五%くらいの差がありました一級酒と二級酒の間差が九%程度に縮まったわけでございます。それは当時特級、一級がたいへん売れませんでしたので、おそらくそれでバランスがとれるかと思っておりましたら、その事後の経過を見ますと、一級酒が年率で一四〇%ぐらいずつ伸びまして、二級酒が逆にほぼ横ばいという姿になってしまった。そのために清酒業界のいろいろなバランスがくずれてまいっております。この税率の改正のためにバランスがくずれるというのでは非常に困るのじゃないかという問題が一つございます。そこで、二級酒というのは、一般に大衆酒でもありますし、その一級酒と二級酒の間差をやや高めるという観点から、一級酒並びにそれに付随する特級酒というものを対象に選んだ。そういたしますと、一級、特級と同じような形で、ビールの場合はやや幅が広いわけでございますが、しかし、いわゆる飲食店等で主として用いられるというものが特級、一級であれば、それに付随して必ずビールがあるということから、ビールというものを課税をしなければならないのじゃないか。続いて、ビールと競合関係から申しまして、ウイスキーというものが一般的に競合しておる。そういうことで範囲を定めたわけでございます。
その際に、税率のきめ方でございますが、一級酒について一つの基準を考えまして、一級酒について税負担率を二級酒との間差を一〇%程度に広げる。その値上げ幅というのは大体税率で一三、四%上げる。これは一三、四%上げるのではなくて、一割三分の税の引き上げという意味でございますが、引き上げをいたします。それと大体あわせて特級酒を上げる。その割合を大体適用をいたしてビールを上げるということにしたわけでございますが、先ほど申し上げましたような意味でございますと、ビールは価格をほとんど上げておりませんので、三十七年当時の対消費者税負担率というものが一%程度しか下がっておりません。そういう意味ではビールにかなり無理がある点もございますので、ビールを一〇%の引き上げということをめどにして権衡をとったわけでございます。ウイスキー特級、一級については、それぞれ同じような意味で、最終の税負担が清酒の特級、一級を下回らない程度で引き上げる。ただ、ウイスキーの二級について引き上げをいたしましたが、これは二級全体でございませんで、御承知のようにウイスキーにつきましては、四十三度以上が特級で、四十度以上が一級で、三十七度以上が二級という分類になっております。それに対して、一度上げるたびに加算税がついておりますが、この加算税の上げ方が三十七年の改正で甘かったと申しますか、特級、一級、二級の間に非常に大きな税負担の差があり、度数加算が、それぞれの酒の一度当たりの税率を上げておりますために、たとえば三十九度の二級酒というものがいま出ておりますが、これは実際問題としてウイスキーの一級よりもコストは高くなる。それにかかわらず、税負担が安いものですから、非常にいい酒が安く出てしまうという結果になっておる。そういうものだけを先に着目して二級酒について税負担の変更を行なうというような、大ざっぱに申しますと、そういう経過で範囲をきめ、税率のバランスをとった。酒類間のバランスというのは非常にむずかしいものでございますから、全体のバランスを見てきめたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/393
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394・岡沢完治
○岡沢委員 ウイスキーの一級、二級の一部のものについて、新たに従来の従量から従価税制度を採用された。これは税調の答申にも、酒税については全体として従量から従価税に切りかえよという意見もあるということの指摘もございますが、そういう指摘とも関連して、どういうところに従価税に切りかえられた理由があるか、聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/394
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395・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、ウイスキーの特級、一級、二級の差別は、モルトの入っておる程度と度数でございます。実際には度数が非常に強く影響いたしております。たとえば一キロリットル当たりで申しますと、特級の場合、原価で八十四万円でございます。それに対して一級は三十九万円、二級が十五万円、非常に大きな差があるわけです。ところが、その度数加算は一度当たりを加算するものですから、三十九度の二級というもの、あるいは四十二度の一級というものを出しましても、税率はほとんど上がらないわけです。ところが、実際飲むとなると、ほとんど同じだということになるわけです。ことにモルト関係は嗜好の問題でなかなかはっきり区別がつきません。そんなことで、最近出ております二級のウイスキーの中には、さっきも申し上げましてように、一級よりも生産者のコストが高い。それだけコストがかかっておるのにかかわらず、税率が非常に差があるものですから安く出せるというものが出てきておる。ほとんど一級と同じでございますので、むしろこういう酒については従価税をずっと採用したほうがいいのじゃないか。現在従価税は特級の上の部について例外的にやっておりますけれども、度数加算の問題を解決するとすれば、二級、一級についても、一定価格以上のものには従価税をとったほうが、より負担が適正化するのではないかということで、今回従価税を採用したわけでございます。これは非常に急激な負担の変更を来たすというおそれがございますので、その間に調整ができるように三年間だけ施行を見送っておりますが、その間に、とりあえずそれに相応ずるように度数加算額を引き上げまして、今度新しく設けました従価税の適用になる最下限の価格をとった場合に、従価税による税負担にひとしい程度になるように加算税率を、たとえば二級でございますと従来四千円であったところを一万八千円まで引き上げまして、そのバランスをとるようにいたしたわけでございます。ですからウイスキーだけは例外で、二級と申しましても実質一級のものを上げております。従来二級二級と言っておりました安いウイスキーでございますが、これは全然引き上げにならないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/395
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396・岡沢完治
○岡沢委員 それではいまの点は、税調の指摘しておるような、酒税全体について従量から従価税に移行するというのとは無縁と考えていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/396
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397・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 一応やはり無縁であると思いますが、税調では同じ問題は各清酒類にもあるのではないかという強い御指摘を受けておりまして、将来私どもも、その点を実際の課税技術とあわせて、また業界の実情とあわせて検討はしていかなくちゃならぬと思っておりますけれども、早急に各酒類についてこれを実行することは、さしあたり考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/397
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398・岡沢完治
○岡沢委員 手持ち品の課税の点についてお聞かせいただきたいのですけれども、たしか二十九年の改定のときは、五百リットルを単価にしてそれ以上のものに課税する。今度は九百リットル以上の手持ち業者あるいは料飲業者に課税するというようになっておるようでございますが、その辺の理由はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/398
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399・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 従来から、酒税を増徴いたしました場合には、それを見越して先に仕入れるというようなことがございますと、実際の必要量以上のストックを持つという結果によって増税を免れるという結果にもなります。そういう意味の在庫調整を押える。またやった場合には、税負担自体を公平化するという意味で、あまり多量にストックを持っておれば、その分が流通過程に実際入る段階では増税をしょっていくべきではないかという考え方から、ストック課税というものをやっておるわけです。ただこれは、非常に少量のものを追求するとなりますと、十万軒の小売りがございますから、課税技術上も無理がございますし、少額不追求というたてまえで、一定の数量以上のものからストック課税をやることにしました。二十九年当時には、いま御指摘がございました二石から——当時石というのが単位でございます。いまで申しますと三百六十リットルでございます。その三百六十リットルで切っておりましたが、その後非常に酒類の消費がふえまして、大体数量で申しますと三倍になっております。しかし、店舗も二割ふえておりますから、それを加除いたしまして大体三百六十リットルが九百リットルくらいに相当することになっております。全体の課税のバランス、酒類業者の大きさから見て、ストック課税を受ける限度というのを従前と同じ程度に考えるということで、九百リットルという線を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/399
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400・岡沢完治
○岡沢委員 九百リットルということになりますと、小売り業者では課税の対象になるのは一割程度だというふうにいわれているわけでございます。そうすると、国民は高い値上がりした酒を飲まされる一方で、売るほうの業者は九百リットルまでは値上がり分だけ得をする。どうも感情として納得できないものがございますし、また具体的に、業者は九百リットルぎりぎりまで、八百五十リットルくらい買いだめするというのか、ストックするというのか、上がることがわかっているのですから、前々から予告されていたことでございますし、そうすると、当然取れるべき税金が取れない額が考えられますが、大体どれくらい課税対象外に逃げられるというか、九百リットル以内で業者のストックあるいは料飲業者のストックというものを見積もっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/400
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401・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 いわゆる前買いの数量の問題でございますが、これは私どもとしては卸関係ではほとんど課税になると思いますし、今度の課税対象になりますものが、何と申しましても特級、一級、ビールというものに片寄っております関係で、それほど大きな数量にはならぬと思っております。むしろ卸等で課税されるストック課税のほうが大きいと思います。
〔金子(一)委員長代理退席、毛利委員長代理着席〕
これは、ストック課税を取る分が大体二十億程度の金額になると思います。おそらくそれを免れるものは、それよりはるかに下である。ちょっと推定でいまできかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/401
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402・岡沢完治
○岡沢委員 いま数字が出かねるとおっしゃることもわかりますけれども、小売りが十万軒あれば、十万軒とも値上がりがわかっているのですから、やはり九百リットルぎりぎりまでストックを持つというふうに考えるのが常識じゃないかと思うのです。そういう点からぜひ、きょうでなくてもけっこうですから、やはりこの際国民には、どれくらい免れる額があるかということも明らかにしてもらうほうが、むしろ、小売り業者はこの際もうけたのだからサービスせいというような点からも、お答えいただいたほうがありがたいと思います。
それから最後に、酒税法の一部改正、これはいただきました案によりましたら、附則の第一条でいう四十三年の四月一日から施行、これはもう過ぎてしまいましたから不可能になったわけでございますし、また、今後の委員会の成り行きによってどうなるかわかりませんが、一応仮定的にいわれますような五月一日施行ということを考えました場合に、四月一日施行との比較において、税収にどれくらいの差があり、また実際の業者、販売業者、卸、小売りあるいは国民が、一カ月の延期によってどういう利点とマイナス点を受けたか、この辺について聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/402
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403・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 この酒税法の一部改正法案がいつ成立するかということは、委員会を中心とした国会の問題でございますので、私がこれを仮定して申し上げるとたいへん申しわけないのですが、岡沢先生が仮定しておっしゃいましたから申し上げますと、今度の酒類の税率の引き上げによる増収額は、御案内のとおり初年度四百五十億を前提といたしております。四百五十億と申しますのは、酒類の課税申告が一カ月後になっております関係で、初年度は大体十一カ月というのが原則でございますから、それで割ってみますと、一カ月分の税額はほぼ四十億ということになるわけでございます。もちろん時期によって違いますけれども、私どもこまかく計算してみましても、大体四十億前後というところは間違いないようでございます。これは政府の収入がそれだけ減ることで、そういうことになると非常に重大だと思いますが、同時に国民の面から見ますと、この花見どきに酒が上がらなかったという結果になりますので、この面は。プラスだと考えられますが、同時に、メーカーによってはいろいろ損得があるんじゃないかという気もいたします。たとえば今度バランスが変わってまいりまして、二級酒メーカーは大いに売れると思っていたかもしれませんが、その点が四月をはずしてどうなりますか、そのマイナスがあるかもしれませんし、先ほどお話しの、ストックをうんと仕入れたところが、当てがはずれて一カ月おくれてしまったというものもございますし、実際の業界の流通面から若干の乱れが生ずるかとは思いますが、いつからということがはっきりしてまいればそれでまた落ちついてまいるのではないかという感じがするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/403
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404・岡沢完治
○岡沢委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/404
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405・毛利松平
○毛利委員長代理 広瀬委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/405
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406・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 酒税及びたばこ定価法の改正について質問をいたしたいと思います。
まず最初に、酒税の関係について質問をいたしますが、政府提案の原案によりますと、酒税を四百五十億円増税をする、しかもこれを四月一日から実施をするということになっているわけでございますが、審議も今日もうすでに四月に入っておりまして、まだ質問が始まったばかりというようなことでございまして、一体大蔵省として、この酒税法の改正を依然として四月からやられるつもりなのか、どこまで時期を延ばすつもりなのか。そういうことで、官房長官が五月もやむを得ないというような意味にとれる発言を記者会見でしたというようなこともあって、その点で陳謝を本委員会にするというようなことなども経過としてあったわけであります。この機会に、まずこの審議が始まる前に、大蔵省として、この実施時期をどうするのか、こういう点についてまとまった見解があったら、この際はっきりさしていただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/406
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407・倉成正
○倉成政府委員 酒税につきましては、広瀬委員御案内のとおり、政府といたしまして今回の歳入の中に酒税の増徴ということですでに組んでおりますので、一日も早く国会の御審議を終了していただきまして、国会の議決が終わりましたら、これに基づいて改正をいたしたい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/407
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408・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 すでに本委員会の理事会等においても、大体においてもう五月実施ということはやむを得ないのではないかというような話も出ておるわけでありますが、そういうところまでいっておる今日、これは私ども、何もそういうものがあるからといって特段に引き延ばしをはかったり何かしようとするものではない。しかしながら、今回の税法改正が、ここしばらくなかった明らかな増税というものを含んでいるということから、慎重に税法全体についての論議を尽くしてきたわけであります。そして、こういう事態になっておる。技術的にこれが本委員会を一体いつごろ通過をし成立をするかというめどについても、これは質問者がまだ十数人も残っておるという現状の中で、おそらく中旬を越えるであろう。これは当然常識的に考えて、国民のために慎重審議を尽くすという立場でいけば、おそらくそのくらいには当然なるだろうと思います。そういった事態の中で、これはもう大体のところは、衆参を通じておおよそのめどというものはそこからではないかというようなことにもなっておるわけですが、もう少しはっきりしたものをここで示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/408
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409・倉成正
○倉成政府委員 国会の運営に関する問題は、私のほうから申し上げるわけにはまいりません。政府といたしましては、一日も早くひとつ御審議を終了していただいて、国会の御議決を賜わりますよう心からお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/409
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410・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 まあそういう立場もあるわけでありますが、技術的に、たとえば国会の審議が参議院を通過して成立をするという時期が中旬を越えるというような段階では、五月実施もやむを得ない、こういうようなことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/410
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411・倉成正
○倉成政府委員 現在のところ政府といたしましては、一日も早く国会を通過いたしまして実施に移したい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/411
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412・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 それじゃ重ねて聞きますが、大体この法律が国会で成立したその段階から、これを公布をし施行をするというためには、どのくらいの準備期間というものが要るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/412
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413・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 それは国税庁からお返事するのがいいかと思いますけれども、当初の原案のように四月一日ということにしておりますと、関係業界もそれを覚悟をしていろいろ記帳等を行なっております。それでぎりぎりに成立をいたしましても間に合うということでございますが、公布の日から即日ということになりますとややそういう準備——さっき話が出ました手持ち品課税といったようなことも困難でありますので、準備期間としては最低一両日は余裕がなければならない。もっと慎重にとれば、もっと多いほうがという考え方もあるかと思いますが、少なくとも公布の日即日ということはなかなかむずかしいということはいえると思います。先ほどの手持ち品課税等、その他業界のいろいろ流通過程を考えたら、やや余裕があれば、それは業界としては助かるということはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/413
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414・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 この問題、いつまでたってもなかなか政府の答弁が変わらぬとすれば、何回も質問しなければならぬわけですけれども、大体もう政府の腹も見えたというようなことになっておりますので、それ以上ここで問題にいたしません。
ここで、食糧庁お見えになっておりますからちょっとお伺いいたしますが、現在酒米に売り払っておる米の量はどのくらいでございますか、これが一つ。さらに、酒米については政府買い上げ価格との間に全然逆ざやはないのかどうか、その価格等についてお示しをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/414
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415・田中勉
○田中(勉)政府委員 まず最初の、酒米に対しましてどの程度の数量を食糧庁が売却しているかということでありますが、酒米につきましては、清酒用といたしまして、ことしの米穀年度の計画といたしましては、清酒用で国内産米四十七万六千トン、それから準内地米二万トン、合計清酒用として四十九万六千トンと見ております。そのほかにも若干合成清酒あるいはみりんというようなものがございますが、この数量はたいしたものではございません。主たるものは清酒用の数量でございます。
それから、政府の酒米の売り渡し価格についてのお尋ねでございますが、酒米の売り渡し価格につきましては、従来からも生産者価格に対しまして食管の経費というものを加えて、いわばコスト価格主義ということで売り渡すたてまえをとっておるわけでございますので、少なくとも酒米につきましての政府の売り渡し価格におきましては、生産者価格との間におきまして逆ざやはもちろんございませんし、また政府としてもそのために一応財政負担は考えてない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/415
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416・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 準内地米の二万トン、これは外国から輸入したものですね。これの価格は大体どのくらいで入ってどのくらいで売っておりますか。これは別な意味での逆ざやになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/416
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417・田中勉
○田中(勉)政府委員 準内地米として私ども一応予定いたしておりますのは、アメリカの加州米、それから台湾米、こういうようになっておるわけでございますが、この売り渡し価格を一応申し上げますと、加州米は玄米でトン当たり十万四百十円でございます。それから台湾米はトン当たり八万五千二百四十円ということになっておるわけでございます。それからこれらの米を食糧庁が外国から買い付けに要する価格でございますが、ことしは加州米につきましては政府自体としては買ってはおらないわけでございますが、先般酒造組合中央会から要望がありまして、加州米の玄米を三百トンばかり輸入をいたしました。いわば試験用ということで三百トン輸入をいたして売却をするということになっておるわけでございます。この価格は、三百トンでございますので、いわば輸送途上におきましても、経済ベースによる輸送ではございませんので、いろいろなチャージ等がかかりまして、実際は普通大量に買う場合よりも高くなっておるということも事実でございますが、現実問題としてこれは三百トンでございます。台湾米の価格を申し上げますと、政府の買い上げ価格というものがトン当たり大体七万二、三千円程度ということになっておるわけでございますが、もちろんコスト価格として売る場合には、政府経費を加算しなければならないわけでありますが、輸入価格に比べまして、その売り渡し価格の面におきましては若干の益が出ている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/417
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418・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 その益はどの程度でございますか。輸入価格と売り渡し価格との差益は、いままで二万トンという実績に対してどのくらいありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/418
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419・田中勉
○田中(勉)政府委員 二万トンと申しますのは、ことしの米穀年度ということでございますので、まだ実績として酒屋さんに売ったという全体の数字ではございませんが、先ほど申し上げましたように、台湾米の買い付け価格が七万二、三千円ということになりますと、それに食管経費の五千円を加えますと七万七、八千円ということになりますので、この間の差額は、八万五千円で売るわけでございますので、大体トン当たり七千円程度の益になろう、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/419
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420・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 いま酒造業界でもカリフォルニア州あたりに使節団を派遣して買い付けをするというような動きもあったようでありますが、その結果三百トンの試験的な輸入というようなことにもあるいはなったかと思いますが、将来、酒米の問題が相当部分内地米にとってかわるという可能性、そしてそれが品質にどういう影響を及ぼすか、こういうようなことについてはまだ試験研究の段階ですか、それともかなり確信を持った段階に立ち至っているのでしょうか。そこらのところをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/420
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421・田中勉
○田中(勉)政府委員 海外からの米を酒米に使う場合においてのいろいろな問題点があるわけでございますが、国税庁といたしまして、醸造用の観点から技術的な問題があることも事実でございます。と申しますのは、アメリカの加州米につきましては、いまから数年前に一度相当大量なものを、万トン単位なものを入れて実は使った経緯がございますが、その際におきましての輸入の時期等が必ずしも適切でなかったというようなこともございます。また、加州米自体におけるいろいろ醸造上の難点も出たということも事実でございます。そこで今回は、加州米につきましては、加州のいろいろな地域に対して、米等につきまして、かなり種類の多いものを三百トンばかりテストいたしておるわけでございますので、そういう意味で、その結果が出ないと何とも申し上げるわけにはまいりませんが、何といたしましても、海外からの輸入ということになりますと、やはり向こうでできたものをまず船輸送をしてこっちへ持ってくるわけでございます。私ども専門家ではございませんけれども、醸造用の適期から見ますと、その辺にいろいろ問題があるのじゃないか。と申しますのは、醸造の最盛期を過ぎたころにものが着いてくるというようなことも予想されるわけでございます。その辺、品質上あるいは価格上望ましい結果が出たといたしましても、やはり買い付け技術上のそういう時期の問題等もございます。また、醸造の仕込み時期等の関係もございますので、なかなか大量に消化できるというぐあいにはなりにくいのじゃなかろうか、私はそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/421
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422・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 主税局にお伺いをいたしますが、今度の酒税の値上げは、それぞれ銘柄によってパーセントも違いますが、いずれにしても酒税が上がる。清酒の一級、二級、あるいはウイスキーその他雑酒といわれているもの軒並みに上がるわけですけれども、これは物価との関係で具体的に、たとえば清酒の一級が税金で上がった分だけ現在の価格に上積みされるか、あるいはそれをラウンドナンバーを押して、そのパーセント以上に上げたいというような酒造業界等の要望もあるようでありますが、一体その点についてはどうお考えでしょうか。これは企業の合理化なり、あるいはその他の方法での生産性向上なり、そういうようなもので吸収し得るのか。酒税増税分だけそのまま、あるいはそれにプラスアルファして酒の小売り価格が上がる、こういうことになるとお考えでしょうか、それともならぬとお考えでしょうか。どっちでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/422
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423・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 生産者価格の引き上げによりまして、二級酒で一升当たり七、八円のコスト高になるということ、これは計算上出てまいります。従来酒の値上げにつきましては、毎年のように生産者価格の引き上げがございますが、その場合直ちに引き上げるということではなくて、二年に一回くらいの割合で実は引き上げをやっております。ところで、私どもといたしましても、合理的な理由があって酒の価格が上がれば、それが経営に非常な負担になるような状態になれば、消費者の納得のいく線で値上げが行なわれることを否定するものではございません。
今年度米の価格の引き上げによって酒の価格はどうなるかという問題は、この税の引き上げとまた別個の観点で考えるべきものだと思っております。と申しますのは、二級酒もやはりコストが上がっているわけでございます。税率の上がったものだけを上げてしまうということはこれはおかしいのでございまして、やはり二級酒、一級酒、特級酒を通じて合理的な計算が成り立つ、また企業努力によってそれが吸収できるかどうか、そういうことから慎重に決定すべき問題だと思います。ただ、言うまでもございませんが、清酒の価格ばかりではなく、酒類の価格につきましては、公定価格を廃止いたしまして、酒類業組合法による基準価格というものがしばらく行なわれておりましたが、基準価格も三十九年には廃止になりまして、現在は形式的には自由価格ということになっております。しかし国税庁としては、やはり国民の生活に重大な影響のあるものでもあるし、また酒類業の健全な経営という見地もございまして、おそらく実際的にいろいろ行政指導というものを発揮しているものと思いますので、私は、やはり合理的な、消費者の納得のいく形で調整さるべきもの、税率が上がったからついでにということではあり得ない、また、そういうことでは困るというふうに考えております。詳しくは国税庁間税部長が参っておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/423
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424・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 同じ質問に対して国税庁からひとつ答えてください、どういうお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/424
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425・佐藤健司
○佐藤説明員 先ほどちょっと申し上げましたように、やはり清酒につきましては、酒米の価格が昨年百五十キログラム当たり千六百六十円、これは硬質のウルチ一等米でございますけれども、それに関連しまして、その後関連のウルチ米が全部上がっておるわけでございますが、そういう事情がございますし、また労務費のアップ事情もございます。あるいは包装関係におきますところのコストアップの事情もございますので、業界からは、それらについて値上げをしたいという要請が出されております。私どもとしては、やはり生産性の向上によりましてカバーできる部分もあることはあるわけですから、それらの点、いろいろといま慎重に調査をいたしておる状態でございます。いままだ結論的なものは持っておらないわけでありますけれども、何かやはり消費者が納得できるという合理的な一つの線というものが出てまいりますれば、そういう合理的な範囲内のものであれば値上げをすることもやむを得ないのではないだろうか、いつまでも押えておくことはできないものじゃないだろうかというふうに考えておりますが、増税とは切り離して考えるべきものであろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/425
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426・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 酒は昨年も上げましたね。昨年のたしか一月だと記憶いたしますが、昨年も上げた。ことしも酒税の値上げとからみ合わせてまた——昨年も、米価も上がっておるというようなこと、労務費も上がった、あるいは包装コストも上がっておる、こういうようなことで、昨年の値上げはそういうものの値上がりというようなものを織り込んだ値上げではなかったのですか。
それともう一つ、いま合理的にきめたいというのですが、それは一体いつごろきめますか。そしてその合理的にという基準は一体どういうところに目安を置かれるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/426
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427・佐藤健司
○佐藤説明員 これをどういうふうにやるかという合理的な算定の問題からまいりますと、これは毎年実態調査というものをいたしております。
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
それによりまして実績が出てくるわけでありますが、それらにつきまして、私どものほうは、しさいにコストの各項目について平均的な一つの線というものをいろいろ計算いたしておるわけでありますが、いつごろそういう計算ができるかということは、現在のところサンプルを集めまして、それでしさいに検討している段階でありますので、できるだけ早い機会に検討を終わりたいと思いますけれども、まだはっきりしためどを持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/427
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428・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 先ほど主税局長のお話は、基準価格制度というのはなくなった、もういわば自由価格制度なんだ、そういう中では業者がかってに上げれば、それで国税庁も大蔵省も何もできない、こういう仕組みでございますか。自由価格ではあるけれども、これは酒税の税源になっておる、大蔵省としてはかってにどんどん値上げをするというようなことについては、税源を確保するという面からも至大の関心というものが当然なければならぬわけですね。基準価格がなくなったということについても、それはいろいろ議論はあるでしょうけれども、そういう事態というのは、どの程度大蔵省がその価格を業者が決定する段階においてタッチできるか、あるいは具体的にどの程度の規制力を持ち得るのか。自由価格だということが文字どおりそのとおりだとするならば、もうノータッチということにならざるを得ないと思う。その点については、どういう角度でどういう程度の規制なり大蔵省の意向というものを、あるいはまた物価対策というような観点からもそれをどの程度にやられるのか、その限度というのはどこらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/428
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429・佐藤健司
○佐藤説明員 これは昨年もやはり過去二、三年分につきまして、計算をいろいろやりました。私ども、合理的な範囲のものがどの程度のものであるか、この程度であれば一般の理解も得られる、やはりコストアップというものが実際上この程度計算されるであろうというようなものを計算しまして、これによってやってきておるわけでありますけれども、やはり価格そのものは、先ほど主税局長からお話がありましたように、自由価格のたてまえをとっておりますので、私どもとしては、そういう価格のいわば値上げというような問題につきましては、酒そのものが国民の嗜好飲料としても非常に大きなウエートを占めておるものであるだけに、できるだけ慎重にこれを扱ってまいりたいということで、業界に対してはもう少しやはり自粛はできないかというようなことを申し上げているわけであります。合理的な一つのコストアップの事情がある場合に、いつまでもこれを押えておくということは不可能であるというふうに申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/429
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430・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 まあそういうことで、業者との話し合いの段階というものが当然あるだろうと思うのですが、五月一日から酒税がおそらく上がることになる。少なくともそれ前に上がるということは絶対ない。それ以後、五月以降どのくらいの期間を置いて検討をするか。いま部長が言われたような立場で、それぞれ生産性向上でどの程度吸収できるのか。それから、国民の嗜好飲料として非常に国民生活に定着をしている、そういうような毎度やあるいは物価等の関係、こういうような問題点を煮詰めて話し合いをしてみる。まあ自由価格なんだから向こうがかってにやるというのならば、それを押えることもできないかもしれないけれども、しかし、かなりの指導性というものは発揮できる余地はまだあるのだろうと思います。そういう点で、一体その時期はどのくらいのところにいまめどを持っておられるのですか。業界の値上げをしたいという要請はもう出ているはずですから、その要請に対して、いつごろそういう問題で大体結論に到達して、国民の前に値上げになったというようなことがあらわれるのはいつごろになりますか、その点見通しを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/430
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431・佐藤健司
○佐藤説明員 私どもとしては、現在の検討をできるだけ早く進めてまいりたいと思いますが、なお相当な時日を要するのではないか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/431
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432・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 今度の酒税の増税について、特に私どもこれをながめまして、たとえば特級、一級、これが上がるわけですけれども、その引き上げ率が、一級は一四・六%だ。あるいは特級は一三・二%だ。特級酒を飲む階層というのは、これはかなり裕福なクラスだと思うのです。こういうところが、本来ならばこの引き上げ率、増税率というものは逆になってしかるべきだと思うのです。そのほか、清酒ばかりじゃなしに、ウイスキーの特級あるいは一級についても、特級は一〇%だ、一級が一四%だ、二級が一七・九%、約一八%というような、こういう逆の現象。少なくとも、一級酒を飲む階層は比較的余裕があるにしても、特級酒を飲む階層よりは担税能力というものは少ないはずなんですね。どうしてこういう逆をやったのか。この点は一体どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/432
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433・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 先ほど御説明申し上げましたが、今回の税率の引き上げを行ないます際に、大体幅としては一〇ないし一五%というところに置いておりまして、その場合に一番問題になりましたのは、一級と二級の間差の問題が問題になったわけであります。先ほど申し上げましたが、三十七年の改正前の税率で申し上げますと、小売り価格に対する負担率と申しますものが、特級が六〇・七、一級が五五・一、準一級が五〇、二級が四〇というバランスでございました。そのときに改正をいたしました結果といたしましては、特級が六〇・七から五〇・七に下がりまして一〇%引き下げになりました。それから一級は五五・一が四二・八ということで、一二・三%の引き下げ率になったわけでございます。それから二級が四〇・一%が三三・六、六・五%の引き下げ。これはまあ税率の低いほうが、どうしても割合から申しますと引き下げ率が小さくなりますけれども、そこで顕著に出てまいりましたのが一級が非常に大きく下がったということです。その後販売の経過を見てみますと、先ほど申し上げましたように、一級は非常に伸びが大きくて年率で一四三%の伸び率、二級が相対的にほぼ横ばいということで、そういう意味では、消費が一級のほうに片寄ったと申しますか、移行したという点がかなり顕著に見られます。そういう点で、一級の引き下げ幅が二級との関係では少し大き過ぎたのかという問題がございますが、そのために一級は一四・六、一五%、一番上のところまで引き上げたわけであります。特級もほぼ一級と同じ引き上げ割合。ただ、税率が御承知のように大きな税率になっておりますので、端数等を整理いたしますと結果において一三・二%という数字になりましたが、特級については、先生御承知のとおり、一定の価格をこえますと従価税率がございまして、これが四五%になっております。そういう関係で、特級が今度の改正後四六・三になりまして、従価よりもやや高めになってまいりますので、一三・二にとどめたということでありまして、一級がやや引き上げ幅が大きくなったのはそういう理由であります。
それからウイスキーの特級は、引き上げ後の負担率が四九・六ということになりますので、かなり高くなります。そういうことで一〇%の引き上げということにとどめたわけでございます。二級が非常に大きく見えておりますのは、二級と申しましても度数が三十九度のものでございますが、それは先ほど申し上げたような理由によって小売りの負担率は二二・一、清酒の二級の二八に比べてはるかに低くなっておりますので、大体清酒の二級程度のところまで引き上げる必要があったということで、引き上げ幅としてはかなり高くなりましたけれども、負担率としては清酒二級とほぼバランスがとれる。そういうことで、結果を横へ並べますとややかっこうが悪いところがございますけれども、全体のバランスとしては、最終的にバランスがとれたと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/433
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434・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 あとでその引き上げ後の清酒及びウイスキー、それからビールもあれですが、増税を実施した後の税負担をきれいに全部整理した表をひとつ出してください。
それから、国税庁にもう一つだけ聞いておきたいのですが、一級で現在の七百五十円の小売り価格が、今度が酒税が一四・六%上がる、この上がった分よりも上回る、たとえばさらに特級の場合には一三・二%上がる、それを上回るような形で新しい価格というものが形成されるかどうか、この点についてのおおよその見通しだけでも伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/434
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435・佐藤健司
○佐藤説明員 増税分につきましては、やはりその分だけ増税時におきまして価格が上がることはやむを得ないだろうと思います。そのほかのコストアップ分につきましては、先ほど申し上げておりますような線で現在検討いたしておる段階でございます。なお相当やはり時日を見まして検討を続けてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/435
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436・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 二級酒については七、八円というようなコストアップがある、先ほど主税局長かどなたかからそういう話があった。七、八円ということが、かりに一・八リットルについてそのくらいということになれば、おそらくこれもまるくして端数をつけないで十円ということになる。やはり二級酒もそのぐらいは当然ということで、この問題は二級酒に今度は転移をするという問題も出てくるでしょうし、そういうような配慮もあって、今度は二級酒の定価の上げ幅というようなものが、一級酒などよりもっと上げ幅としては大きくなる、というところまでいかなくても、税金が上がらないにもかかわらず価格はわりあい上がったというような結果になるのじゃないかと思うのです。そこらあたりのところはどうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/436
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437・吉國二郎
○吉國(二)政府委員 私が申し上げましたのは、米の値上がりだけで七、八円ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/437
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438・佐藤健司
○佐藤説明員 これは一級、二級につきまして、増税と切り離しましたいわゆるコストアップ分といいますか、米代とかその他のコストアップ分で、いままでの状況を振り返ってみますと、昨年もそういう値上げがあったわけでありますが、やはり一級と二級とを比べますと、一級よりも二級のコストアップが上回るということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/438
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439・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そうしますと、一級酒は大体四十円ぐらい今度のあれで上がるわけですか。税金分だけで大体四十円ぐらい、二級酒も、増税分はないけれどもまあ二十円ぐらいは上がる、このぐらいのところを考えておられるのですか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/439
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440・佐藤健司
○佐藤説明員 このコストアップ分につきましては、私ども現在まだ検討中でございますので、なお慎重に検討を続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/440
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441・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 酒税の問題は、あとまだたくさんの方が質問されますから、きょうはこの程度でとめておきます。食糧庁はけっこうでございます。
次に、たばこの問題に移りたいと思いますが、一体たばこというのは、最近健康に有害ではないかというような問題が提起をされてからかなり久しい時間もたつわけであります。たとえば肺ガンの原因にかなりなっているのではないか、こういうようなことなどもあるわけであります。しかも一方において、ある程度どうも有害らしい、これは結論がきちっと出たとも思われませんけれども、有害ではないかという説がかなり有力なものもある。アメリカあたりではもう有害だと断定している。世論や学者の見解も大体統一されたような形もあるわけです。ところが、日本の場合にはこれを財政専売として、より一そうどんどん国民大衆にもたばこをPRし、のましていく、こういう方向で専売益金をどんどんあげていこう、こういう努力が非常になされている。この点について、まず、総裁に尋ねる前に厚生省が来ておりますから、一体日本の厚生省としては、国民の健康あるいは生命という大事なものを預かる立場として、たばこが今日有害なのかどうか、こういう問題について厚生省の見解をひとつ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/441
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442・江間時彦
○江間説明員 お答えいたします。
ただいま先生がおっしゃいましたように、たばこと肺ガンの関係につきましてわりあいに権威のある調査報告というのは、たしか昭和三十八年の暮れにアメリカが出した報告書でございまして、大ざっぱにいいますと、たばこを吸う人は吸わない人の大体数倍の割合で肺ガンが多く発生するというようなことになっておると思います。その限りにおいては、たばこというものは非常に注意しなければならぬものでございまして、またわが国におきましても、その報告書を学識経験者を集めまして評価もいたしましたし、また専売公社あたりと相談いたしまして、必要な行政的な指導も行なっておるわけでございます。
現在わが国の肺ガンはどんなふうかということを一口に申しますと、もともと日本では、アメリカやイギリスに比べますと、ガンそのものの発現率はまだ少ないわけでございますけれども、死亡率でいいますと、アメリカは大体日本の五割くらいガンの死亡率が高い。イギリスの場合には大体倍くらいの割合でガンの死亡が多い。その中で肺ガンだけをとってみますと、非常な少なさでございまして、大体肺ガンの死亡率は、日本はアメリカの四分の一、イギリスに比べますと大体九分の一か十分の一くらいになるかと思います。まだ日本におきましては、ガンそのものが、どちらかというと消化器系のほうに重点がございまして、肺ガンの脅威というものはそれほどないように思われるわけでございます。ただ、この増加率を見ますと、これは比較的注目すべき点がございまして、昭和二十五年、ですからいまから十七、八年前になりますが、十七、八年前に比べますと、現在はガンの死亡率は五倍くらいにふえております。この増加率は相当なものであります。われわれも注目しております。ただ現在の状態では、まだ絶対数としてはさっき申し上げたようなぐあいでございます。われわれといたしましては、アメリカのようにかなり強い行政的な規制を行なっておる国もございますけれども、現在の段階では過度の喫煙は有害である、できるだけ節煙をされることをおすすめするというような形でPRをしてまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/442
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443・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 厚生省の見解としては有害説を肯定されていると思うわけでございますが、きょうはそのこと自体を特に問題にするつもりはないんですけれども、ただ非常に政策的な大きい問題としてこれは政務次官にお聞きしたいと思うのです。
日本の場合には、特に最近財政硬直化問題というようなことから、専売公社に対する国庫納付金の増加をはかりたいというようなことから、第三次五カ年計画ですか、そういうようなものでも、少なくとも昭和四十五年あたりには五千億程度を国庫納付金及び消費税であげたいというようなめどを立てて、それだけのものを得るためには、これはこういう定価を上げる、増税というようなことをやると同時に、販売数量もどんどんふやさなきゃならない、こういうようなことになるわけですね。専売公社は、これは公共企業体、公共性を持つと同時にやはり企業体であるということで、それだけの納付金を財政の立場からそういうふうに迫られてくるということになりますれば、これは有害であろうが、何であろうが——独自の研究なんかもしておられるようでありまして、そしてできるだけ害のないようにということも技術的にも開発を進められておるようだけれども、しかし、いずれにしてもこれは有害であるということを無害に完全にすることはできないだろう。その限りにおいてはこれは必要悪みたいなもので、私もかなりのヘビースモーカーですが、そういうことで国民生活に定着している。それをいいことにして、どこまでも財政の見地から、財政専売の見地からこの国庫納付金を上げていこう、消費税を上げていこう、こういうようなことで専売公社にどんどん利益を上げ、納付金をふやすということを強制するというような立場に今日あるだろうと思うのです。こういうものが国家全体の百年の大計というか、政策として矛盾がないのかどうか、矛盾を感じておられないのかどうか、そういう点について政務次官の見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/443
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444・倉成正
○倉成政府委員 たばこが財政物資として世界各国で取り入れられてきた歴史は、広瀬委員御承知のとおりでございます。その過程を経まして今日に至っておる。最近になりまして、ただいま厚生省からお話のありましたような、またアメリカでいろいろ議論になっておりますような肺ガンの問題、健康の問題が起こっておるということも事実でございます。しかし、たばこの喫煙の習慣というのは、私も広瀬委員と同様ヘビースモーカーでございまして、なかなかこれはやめるわけにはいかない。過度の喫煙をすると確かに健康に有害だといえますけれども、適度の喫煙がはたして健康に有害であるかどうかということについては、まだ確たる結論が出ていないわけでありまして、麻薬のような特殊なものについては、これは全く禁止しなければいけないということになりますけれども、やはりたばこについては、過去の習慣、それから財政物資として今日まで確立した歴史を考えてまいりますと、私はやはり国家の財政の中でかなり重要な地位を占めてくると思います。
したがって、広瀬委員の御指摘は、とにかく無理やりに専売公社を督励して専売納付金を納めさせる、それはけしからぬという御指摘だろうと思いますけれども、そういうことはわれわれは考えておりません。公社にも十分企業の合理化の努力をしていただきますし、またたばこの販売については小売り人の方々が非常な努力をされておる。また、葉たばこの製造にあずかっておられる耕作者の方々も非常に努力をしておられる。こういう方々の御協力を得まして、合理的な納付金を納めていただくということが政府の立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/444
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445・田村元
○田村委員長 広瀬君の御発言中ではありますが、委員長より申し上げたいことがあります。
先ほどの前川監理官の発言はまことに不穏当と思考せられますので、その全文を速記録より削除し、かつ前川君の退場を命じ、後日委員長より出席を要求するまで、当委員会へ出席を禁じます。
なお、今後の答弁は官房長をもっていたさせるべく、大蔵大臣に申し入れます。
〔前川政府委員退場〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/445
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446・田村元
○田村委員長 広瀬君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/446
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447・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 いま政務次官からお答えがあったわけですが、そうしますと、今日われわれがこの問題を審議するにあたっても、そしてまた、この値上げというものが出てきた場合にも絶えず引き合いに出されるのは、たとえば国民所得に対する比重がどうだとか、あるいは特にたばこ総売り上げ高と専売益金の関係、いわゆる益金率というものがすぐに引き合いに出される。
〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
まあ昭和二十六年からもうずっと上げていないのだ、その間いろいろと葉たばこのほうは上がったとか、あるいはその他のコストが上がったとかということで益金率が非常に下がった、こういうことがいわれるわけです。益金率はなるほど昭和二十六年当時七三・六%のものが四十一年では六〇・三%、四十二年度はまだ推定であるけれどもおそらく五八、九%にまで下がるだろうというようなことをいわれておるわけです。そしてこの益金率というものを非常に重大視して、こういうような状態だ、六割を割った、かつては七三%だったのだというようなことを常に値上げするときにいわれるわけですが、そうすると、そういうものは一つの目安になる。いま政務次官が言われたことと、これはまあことばではそういうようにおっしゃるけれども、現実には大蔵省から、ことしは財政が非常に苦しい、専売でたばこを上げてもらいたい、まあ二十六年から今日まで意図せざる減税をやってきたのだというようなことまで持ち出して——意図せざる減税であろうと何であろうと、減税は国民にとってはたいへんけっこうなのですね。それをそういうことまで言って、益金率を上げていこう、納付金をふやそう、こういうわけですね。それで一体、この益金率というものに対してどの程度ならば大蔵省は満足するのか、この点についての見解をひとつ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/447
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448・倉成正
○倉成政府委員 益金率はどの程度が適当であるかということは一がいに申すことはできないと思うのです。しかし、昭和二十六年に七三・六%でありましたのが、四十二年で大体われわれの計算では五七・六%程度、今度の値上げを国会で御承認いただけば五九%程度ということでございます。大体昭和三十年で六七・三、四十一年で六〇・三ということでありますから、たばこの値上げというのはそう毎年毎年できるわけでもございませんから、大体この程度の益金率は将来も維持していきたい、こういう考え方、これは固定したものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/448
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449・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 六〇%程度であればまあまあということだという御見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/449
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450・倉成正
○倉成政府委員 大体の目安として、ちょうど直接税と間接税との比率を見てどの辺が適当であるかということはまだきまっていないわけです。しかし、現在大体六、四の割合になっておりますので、この程度は維持していきたいというようなことがいわれておりますけれども、専売益金についても大体そういう感触でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/450
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451・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 感触として六〇%程度というお話でございましたけれども、総裁いかがですか。専売益金率というものは公社自体ではどの程度にしたいとお考えでしょうか。これはいろいろな基準に基づいていいか悪いかということはあるけれども、経営の最大のメルクマールになるのじゃないかと思いますが、その点について総裁はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/451
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452・東海林武雄
○東海林説明員 たいへんむずかしい御質問なのでありますが、どの程度がいいかいま政務次官がお答えしたようなわけでありまして、われわれとしましては、財政専売というたてまえからいたしますと、政府の方針に従っていかなければならないと思いますけれども、非常に高い益金率をやるということは、今後の問題としてはとても考えられないのじゃないか。現在上げていきましても、いまお話がありましたように六〇%程度のものというのは、これから努力していかなければなりませんけれども、非常に困難な事態がくるのじゃないかと思います。と申しますのは、原材料の値上がりからいたしますと、大体コストの八〇%を占めておりますために、これが上がっていくということは、そのコストのほとんどの重要な部分になるわけなのです。残りの二〇%で非常な合理化をしていくといっても、それにはやはりおのずから限度があるだろうと思います。これらの問題につきましては、なお十分ひとつ検討してみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/452
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453・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 この問題は益金率という問題で、非常にむずかしい問題だとは思いますけれども、専売制度ができた最初の出発点というものも、日露戦争の戦費調達というところに問題があった。
〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
これを戦後について見ましても、ちょうど二十六年というのは、朝鮮戦争が二十五年にあって、二十六年まで続いておったというようなこととも関係があるのじゃないかと思われる。また最近、日本の第三次防衛計画が始まって、何か再軍備について新しい時期を迎えるのじゃないかというようなところへきて、これでまた値上げという形が出てきた。こういうようなものは、日本の政策がそういう危険に近づくようなときにたばこの値上げがあるということを国民ははだで感ずるのです。だから、そういう意味でもこの問題は非常に重大だと思うのです。たまたま今度は消費税と国庫納付金の合計額で大体四千二、三百億になる。日本の防衛費がやはり大体四千二、三百億円になる。これは軍備の増強の度合いと国庫納付金及び消費税というものがおよそ並行してきているというようなことも考えられるわけですね。そういうことから、どうもやはりその出発点が軍事的なものであったというものが、いまでもつきまとっているような気がしてしかたがないわけなのです。そういう点、一体政務次官どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/453
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454・倉成正
○倉成政府委員 ただいまの広瀬委員の御発言は、専門家の広瀬委員とも思えないと思うのであります。その点は、今度のたばこの値上げというのは、そういうものとは全然関係がございません。国家の財政の現況から考えまして、どうしてもある程度の財政支出をしなければならない、また、国債は減額しなければならないという立場から考えまして、やはり間接税の調整をとったというのが今回のものでございます。またちなみに、昭和二十六年のは何か朝鮮動乱というようなお話がございましたけれども、あのときは、御承知のように一部の銘柄について値下げをしておるわけですね。こういう調整でございますから、この点は少し思い過ごしではなかろうかと思います。
〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/454
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455・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 思い過ごしならばいいのですが、あとで防衛庁の費用と国庫納付金、消費税の合計額をずっと合わしてみてください。おおよそトレンドを同じくするのです。まあそれはきょうの問題ではないのですから、注意を喚起する程度にとどめておきます。
次に、専売公社の今年度の予算を見てみますと、増税額は五百五十億だ、こういうようにいわれておるわけですが、私どもがちょっと計算をしてみましても、消費税で百五十億ふえておるわけですね。それで国庫納付金の面で昨年の一千六百八十億に対して二千三百四億ですから、六百二十四億ふえている。実際には五百五十億だというけれども、消費税は、これは地方の消費税ですから、ここでの直接の論議の対象ではないけれども、本来ならば、この七百七十四億というものがとにかく今度の定価法の一部改正によって、これだけやはり国民の負担がふえる。負担がふえて、それだけ消費税もふえるし、納付金もふえる、こういう勘定になるんじゃないかと思うのですが、五百五十億とこの関係について、これはどういう見解なんでしょうか。数量は逆に減っているわけですね。数量は特別ふえたんだというようなことではないはずです。そして特に経営面におけるこれこれの合理化が進んで経費もうんと安くなりましたということで国庫納付金がこれだけふえました——この六百二十四億なり百五十億なりについて、いわゆる増税分としてのものは幾らなのか、さらに合理化メリットといいますか、そういうもので生み出したものが幾らなのか、こういう内訳を示してもらわないと、私どもは五百五十億というのは七百七十四億である、こう理解せざるを得ないわけです。この数字の関係を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/455
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456・倉成正
○倉成政府委員 こまかくは副監理官からお話しいたしますが、定価の改定の分は五百五十億で、その他の部分は広瀬委員よく御承知のとおり、やはり自然増収、それからだんだん所得が上がってまいりますと上位に転位いたしますから、そういう方面からの増収ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/456
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457・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そういう説明ではとても納得できません。一体この数字はどういうことで出ているのでしょうか。このことははっきりしてください。五百五十億増税だと私どもはいわれておるし、政府の提案もそうなっておるわけです。予算書にも、一般会計の予算書にはそう書いてあるのです。ところが専売公社の予算書を見ますと、消費税は百五十億ふえているのですよ。これはさておいても、昨年の国庫納付金とことしの国庫納付金の差は六百二十四億だ。当初予算に比べれば七百億円多くなっている。四十二年の当初予算に比べれば、ことしの当初予算では七百四億円増税じゃないか、こう私どもは思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/457
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458・牧野誠一
○牧野説明員 お答え申し上げます。
ただいまの御質問の増収額七百四億円、そのとおりでございます。これはたばこの販売手数料だとか、あるいは塩事業の赤字であるとか、その他資産控除額の、これは社内留保でございますが、そういうようなものの増加であるとかいうものによりまして何がしか落ちまして、定価引き上げによる増収は五百五十億というようなことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/458
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459・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そういう数字の説明を聞いたわけだけれども、消費税も百五十億がふえる、これも出ているわけですね。それで六百二十四億から五百五十億を引きますと七十四億の差も出ます。その七十四億と百五十億、これは企業努力で生み出した、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/459
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460・牧野誠一
○牧野説明員 実はちょっとこれはややこしいのでございますけれども、専売公社のたなおろし資産に対する増加分を、従来は在庫がふえるのですが、これをみんな専売益金として利益として納付しておりまして、そういうような分百三十四億がこれから落ちます。実はこれを昨年法律改正をお願いしまして、それによりまして、全部ではございませんけれども、幾らかでも企業の健全性を保つために社内留保をふやそうということで、百三十四億社内留保がふえます。それから塩事業の欠損が、これは塩会計の事情で定価引き上げもできませんし、長年据え置いておりますけれども、どうしても欠損がふえてくるということで二十三億ふえます。それから、そのほか雑益などでふえるものも何がしかございます。しかし、そういうようなものを結局調整いたしまして五百五十億ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/460
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461・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 その数字はこの予算書だけではわかりません。特に増税のからんだものですから、詳しく一覧表にして提出してもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/461
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462・牧野誠一
○牧野説明員 お話のありました資料、詳しく書きまして提出させていただくようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/462
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463・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 その提出をお願いいたします。
そこで、このたばこの増税の問題で一番問題なのは、五百五十億なら五百五十億でかりにいいとして、それだけの負担が国民大衆にふえるわけです。しかもそれがどの階層に分布しておるのか。私どもは所得税をきょうここで採決をして上がったわけでありますが、その中で七十一万三千円、昭和四十二年度の課税最低限がそういうことである。そういうことで、それ以下の所得階層というのは、これは独身者の場合はもちろん違うわけですけれども、五人世帯の場合にそれ以下の収入階層のところは減税の恩恵というのはないわけです。そういう課税最低限以下の所得のところが五百五十億のうちどれくらい負担をするであろうか、このことが非常に問題なんです。一体年収七十一万三千円以下の所得階層のところがどのくらい負担をするか。どのくらいの人数がおって、五百五十億のうちどのくらい負担するのかという資料をぜひほしいわけです。すなわち、それ以下の収入階層別にして資料をまず出してもらわないと、私どもは国民の前に責任を持って、いわゆるこれは増税じゃないのだ、片方において減税があるんだから、減税との差し引きにおいて増税はないのだ、実質減税ゼロなんだということに全く確信が持てないのです。そういう階層が非常に多いわけです。どうしてもこの審議をする際には、そのことをはっきり出してもらわないといかぬわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/463
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464・倉成正
○倉成政府委員 竹本先生からの御要求で、大体収入階級別に世帯人員、家計調査も分析した資料を一応お手元に提出していると思います。ただし、家計調査につきましては、御承知のとおりたばこを家計簿につけて出すという比率が非常に少ない、大体カバレージが一八%程度。そのほか、主人の小づかい、あるいは同居の子弟の給料、あるいは社用の消費とか贈答品とか、そういうものでございますので、家計調査を中心としていろいろ議論しましても、ただいま広瀬委員の御要求になるような資料というのはなかなかつくりにくいと思います。一応家計調査を中心とした分析については、お手元に資料要求で提出した程度の資料があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/464
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465・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 竹本委員要求の資料は私もここへいただいて持っております。これは単に。たとえば二万円から三万円くらいの月収のところでは、現行法では二千七百四十八円くらいたばこ専売益金を負担しておる、それが三千三百七十二円になります、こういうことですね。しかし全体的に五百五十億のうちで何億円か何百億か一おそらく私どもは少なくとも六、七割くらいはあるんじゃないかと思うのですけれども、そのくらいはおそらく年収七十一万円以下の大衆が負担をしているんじゃないか。増税五百五十億のうちで六、七割は所得減税に浴しない階層が負担をしているんじゃないか、そういうように一応思うわけです。しかしそう思っても、これを審議する材料というのはない。まあ個別に何万円から何万円の人たちはどのくらいの負担がふえるかというだけでは、総体の問題としてつかめないのです。それで私どもは、専売公社から当初に、二カ月も前にこの説明を聞いた際に、そういう資料を出してくれと言っておったんですが、一向出てこない。こういうものしか出てこないですね。こんなことで、これだけ重要な画期的な、十何年ぶりに行なわれるたばこ定価法の値上げについて審議できませんよ。二カ月も前に言っておったんです。そのような資料の収集の努力もしないで、こういうていのものしか出さないというのでは、こんなことではこの増税法案に対してこれはできないです。こういう資料を出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/465
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466・倉成正
○倉成政府委員 もう専門家の広瀬委員がよく御承知のとおり、われわれとしては家計調査その他きちっとした統計をもととして資料をつくらないとまずいものですから、そういうものを中心として考えてまいりますと、やはり家計簿にたばこの消費、幾らピースを買った、幾ら新生を買った、幾らハイライトを買ったというのをつけるのが、たばこの販売高から逆算しますと大体一八%程度ということになっているわけでございます。これを加工して、若干いろいろ推測することはできますけれども、ただいまおっしゃったように、きちっとこの階層は幾らたばこを吸ってこうなっているということは、ちょっとできかねると思うわけであります。ただし、専売公社のほうで消費者のパネル調査というのをいたしまして、喫煙の男子についての調査をしたのはございます。それにしても、やはりこれもごく限られたものでございますので、広瀬委員の御指摘のようなのはちょっとむずかしいんじゃなかろうか。われわれもしっかり勉強したいと思いますけれども、ちょっと既存の統計を利用する限りにおいては、また、これをやはり一カ月あるいは一週間というわけにはまいりませんから、どうしても年間を通じてということになると、これはもう膨大なものでございますから、やはり急につくれと仰せられましても、なかなかこれはむずかしいんじゃなかろうか。ただ推測以外にないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/466
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467・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 それじゃ専売公社の総裁にもお伺いしますけれども、五百五十億増税になると、標準世帯で七十一万円くらいの所得階層がそのうちどのくらい負担増になるのか、そういうような点について考えられたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/467
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468・東海林武雄
○東海林説明員 その数字ははっきり申し上げられませんけれども、これは、低所得階層におきましても相当たばこを吸っておりますだけに、その負担が非常にかかるということは当然考えました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/468
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469・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 こういう画期的な増税をやるにあたって、大体、これだけの五百五十億の負担増がどの階層にどの程度かかるかという程度のことを調べてほしいということを、私どもは要求していたにもかかわらず、二カ月以上たっても提出をしない、こういうようなことでどうして——特に私どもは、政府が実質減税ゼロ、こう言っていらっしゃる。このことは総理大臣にも本会議で伺ったわけですけれども、総理大臣はその点に答えない。大蔵大臣も答えない。一体、たばこが低所得階層も高額所得者も同じように——同じようにというよりも逆進性を持った税金であるだけに、私どもは、所得減税の恩典に浴しない階層がこれだけ増税になるのだという姿を、やはり国民の前にはっきりさせる責任があるのです。それでなおかっこうだから納得してほしいということでなければ、これは審議できませんよ。何らかの努力をして、かりに近いものであってもいいです。そういうものを出せませんか。出せない限り私は質疑を続行できないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/469
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470・倉成正
○倉成政府委員 先ほど来しばしば申し上げておりますように、家計調査というのが、やはりいろいろな分析をする場合に一つの基礎資料になることは、広瀬委員もお認めになると思います。したがって、家計調査を中心としてたばこの消費ということを考えてまいりますと、やはり一八%程度のカバレージの統計を出す以外にはないということになりますので、これを広瀬委員の御要求に従って、加工して一つの推定をするということはできるわけでありますけれども、喫煙人口も、男が大体四十一年に八三・六、女が一七・七ということで、いろいろ違うわけでありますから、なかなかそう厳密な資料をここで提出することはむずかしいと思います。広瀬委員の御審議の参考になるように何か加工して、こういう推測をしろということであれば作業いたしますけれども、実態ということは、もう広瀬委員、統計も、またたばこの専門家でありますから、よく御承知で御質問なさっておると思いますけれども、これはやはりそういう意味で御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/470
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471・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 政務次官が、私は専門家だとかなんとか言っておりまするけれども、私は別に専門家でもないのです。
〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
それはどうしてもやはり——実態の調査したものがなくても、いろんな角度からの推計というようなことだって可能なはずです。そういうものを出してみなさいと二カ月前から言っているのですから、そのくらいの作業はできないはずはないのです、これだけのものを出してくるからに。そういう不誠意なことで私ども審議できませんよ。階層別の消費量というものを出してくださいということを言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/471
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472・倉成正
○倉成政府委員 専売公社で、先ほど申しました、やっておりますパネル調査、成人の男子の喫煙人口の調査をした資料、これは提出できると思います。ただ、これもカバレージが非常に——これは、男でもたばこをのむ人は八四%程度、女になりますと非常に少ないわけです。男が八三・六、女が一七・七ということでありますから、そういうことで推計したわけですから、これもまた実際とは非常に異なる。ただ一つの傾向を示すこととしては参考になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/472
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473・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 収入階層別の所得者の数というのはおおよそわかると思うのです。二万円から三万円、三万円から四万円というそういう資料を出しておりますから、このパネル調査によって。また、大体女性が何%ぐらいのむか、男性の喫煙率は何人に一人かという数字はわかるわけであります。そういう数字を操作すれば、ある程度の推計というのは可能ではないですか。可能であるにもかかわらずそれを出してないという、そういう不誠意な態度に対しては、私どもその資料を待ってやはり論議したい、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/473
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474・倉成正
○倉成政府委員 パネル調査は至急に出させます。どうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/474
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475・田村元
○田村委員長 広瀬君、資料を出すと言っているからいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/475
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476・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 それはいつ出しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/476
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477・倉成正
○倉成政府委員 パネル調査は阿部委員の資料要求のあとに一応簡単なのは出しているようでございますが、さらに広瀬委員とお打ち合わせして、必要なものについては早急に徹夜してでも作業させて提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/477
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478・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そのパネル調査そのものを出してもらってもたいして意味がないのです。だからそれを使って、専売公社として推計でもけっこうですから、ある程度客観性を持った推計だということで、このパネル調査を基礎にしながら、収入階層別にどれくらいの喫煙人口があるか、そういうようなことをやれば、これは出ないはずはないわけですから、可能な限り私の趣旨に沿う努力をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/478
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479・牧野誠一
○牧野説明員 ただいまのお話でございますが、消費者パネル調査というのを、てまえどものほうでやっておることも事実であります。その資料ございますのですが、ただそれも、全国の都市、町村をあわせまして六千三百人の男のたばこを吸う人だけから集めました資料なんでございまして、この数字はございますし、お出しいたしますけれども、これをもとにしましてよほど大胆な推計でもしないと、いまお話しのような資料というのはちょっとできかねるのじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/479
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480・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 まあとにかくパネル調査からある程度の専売公社としての立場での推計を出してください。そうでないと、われわれは国民の立場において審議をしておるわけですから、そこらあたりをいいかげんにして審議を進めるわけにまいりません。
次に、専売公社がたばこの定価を上げて増税をしなければならない、これは本来ならば専売公社の正しい意味での合理化といいますか、いわゆるむだというものや、世間から疑惑を受けるようなことのない経理をやっておるということが当然前提にならなければならぬと思うのです。ところが、ここに国会新聞というのがあります。この新聞がどの程度の権威のあるものかは、私もこれは全面的に信頼するわけじゃないが、これに「優雅なる天下り専売官僚」という見出しで、二回にわたって専売公社の問題が出ております。これはいずれも専売公社の資料購入にからんで、たとえば専売公社でどうしても買わざるを得ない資材、フィルターであるとか、ライスペーパーであるとか、アルミ箔であるとか、そういうものをほとんど独占的にといいますか、納入をしておる会社に、ほとんど専売の高級官僚が天下っている、こういうようなことがいわれておるわけです。これは予算委員会において民社党の小沢貞孝さんも提起された問題であります。こういう問題があり、また最近、問題になっている日通が、専売公社の葉たばこの輸送あるいは製造たばこの輸送をほとんど独占的にやられている。この問における輸送価格の協定と申しますか、そういうようなもの等についても、独占的な立場での独占利潤が相当日通にも与えられておるのじゃないかという問題がある。こういうようなこともあるわけなんですね。私はこれを全面的に信頼した立場ではないですけれども、非常に大口の資材購入の中で、先ほど申しましたような、フィルターであるとか、ライスペーパーであるとか、あるいはアルミ箔であるとか、こういうようなものなどを購入している会社の名前、そしてそこにいわゆる専売の官僚で、かつて官僚であり、また専売公社の役員とか相当な高い地位におられた職員の方、公社移行の職員の方などが、どの程度重役なり相当重要なポストについておられるか、そういうようなものをやはりひとつこの際お出しをいただきたいと思うのです。そうでないと、こういうことがほんとうのことだということになるし、しかもこの報道によりますと、いずれも非常に高収益をあげて、もう不景気知らずの高率配当もやっておるというようなことにもなっておるわけです。したがって、そういうような問題についてその表を出していただくと同時に、一体どういう形の契約をそういう業者との間にやっておられるのか、ここらのところを明らかにしていただきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/480
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481・倉成正
○倉成政府委員 御趣旨に沿うような資料を提出いたしたいと思います。またなお、私も事実は存じませんが、もし万一いろいろ専売公社で不適当なものがあれば、これは十分姿勢を正すべく努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/481
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482・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 この大事な増税を論議するにあたって、やはり専売公社のそういった面でのきちんとしたものが私どもの前に提示されない限り、きょうはこれ以上質問を続けられないと思うのです。したがって、明後日の冒頭にまた残りの部分を、まだたくさん予定したものがあるので、それをやっていただかないと議論できません。この増税の討議というものは、やはり経営自体の中でどれだけ姿勢が正されているかということをはっきりさせた上で論議しないと、私は本物ではないと思うのです。そういう立場で、私の残りの質問は保留をさしていただきたいと思います。その資料提出を待ってやらしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/482
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483・田村元
○田村委員長 次回は、明後五日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804629X01919680403/483
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