1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年四月五日(金曜日)
—————————————
議事日程 第十五号
昭和四十三年四月五日
午後二時開議
第一 訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
第二 石炭鉱業経理規制臨時措置法の廃止期限
等を変更するための法律案(内閣提出)
第三 沖繩におけるテレビジョン放送に必要な
設備の日本放送協会による設置及び無償貸付
けに関する法律案(内閣提出)
—————————————
○本日の会議に付した案件
村山喜一君の故議員伊東隆治君に対する追悼演
説
沖繩島那覇に駐在する諮問委員会の委員となる
日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案
(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
日程第一 訴訟費用臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
日程第二 石炭鉱業経理規制臨時措置法の廃止
期限等を変更するための法律案(内閣提出)
日程第三 沖繩におけるテレビジョン放送に必
要な設備の日本放送協会による設置及び無償
貸付けに関する法律案(内閣提出)
午後二時二十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/0
-
001・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/1
-
002・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御報告いたすことがあります。
議員伊東隆治君は、去る三月二十八日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
同君に対する弔詞は、議長において昨四日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
〔総員起立〕
衆議院は多年憲政のために尽力された議員従三位勲一等伊東隆治君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
————◇—————
故議員伊東隆治君に対する追悼演説発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/2
-
003・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) この際、弔意を表するため、村山喜一君から発言を求められております。これを許します。村山喜一君。
〔村山喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/3
-
004・村山喜一
○村山喜一君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員伊東隆治君は、去る三月二十八日、東大附属病院において逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。
ここに、私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼のことばを申し述べたいと存じます。(拍手)
伊東君は、鹿児島県大島郡龍郷村という鹿児島市から四百キロの海上に浮かぶ大島本島の小村に明治三十一年七月お生まれになりました。父君は、長年にわたり村長をつとめられた人格、識見ともに高い名望家でありました。そのすぐれた資質を受けられた君は、幼少より俊秀の誉れ高く、小学校を終えるや、単身故郷を立って鹿児島市の県立二中に進み、第一高等学校を経て、東京帝国大学法学部に学ばれました。
在学中すでに高等文官試験の行政科及び外交科に合格された君は、大正十一年三月卒業とともに直ちに外務省に入り、漢口在勤の領事官補として赴任し、外交官生活の第一歩を踏み出されたのであります。その後、本省の通商局課長、欧米各国の大公使館書記官、漢口総領事、興亜院中支文化局長、大使館参事官等を歴任し、いよいよその大成が期待されているときに、わが国の敗戦に遭遇され、昭和二十一年三月、君は二十有余年にわたる外交官生活に終止符を打たれたのであります。退官直前、米軍の鹿屋基地進駐に際してその衝に当たられた君は、敗戦国の外交官としてたえがたいものを身をもって味わわれました。
時に、君の郷土奄美群島は本土から行政分離され、狭隘な離島内には二十万島民がひしめき、塗炭の苦しみにあえいでいたのであります。一刻も早く本土復帰を実現することこそ、みずからの使命であるとかたく決意した君は、率先して復帰運動に立ち上がられたのであります。君のこの呼びかけは、たちまちにして東京、関西、鹿児島をはじめ、全国各地の奄美出身者の共感を呼ぶところとなり、昭和二十二年四月に行なわれた戦後第一回の参議院議員通常選挙に際しては、これらの人々の輿望をになって全国区より立候補し、みごと当選されたのであります。(拍手)
参議院議員として島民の期待を双肩にになわれた君は、当時禁句となっていた占領政策にも言及し、批判してはばからなかったのであり、君の議員の職を賭しての言動は熱情と勇気にあふれ、聞く者に感動を与えずにはおかなかったのであります。(拍手)
昭和二十五年五月、参議院議員の任期が満了した後は、政界進出の機に恵まれなかったのでありますが、君は、この不運にも屈することなく、野にあっても復帰促進会の副会長として復帰運動の先頭に立って献身され、その対外折衝に当たっても、長年つちかった外交手腕を遺憾なく発揮されたのであります。ことに、昭和二十八年春、ルーズベルト元米大統領夫人が来日した際には、婦人から婦人へとの考え方から、奄美の婦人代表二人を帯同した君は、面会至難の環境のもとで、旅行中の夫人と車中で会うことに成功されました。このとき、伊東君たちから深い感銘を受けた夫人は、帰米後、朝野をかけ回って、早期復帰実現の機運をつくられたとのことでありまして、民間外交に君のあげた成果はまことに大きなものがあります。(拍手)
かくて、昭和二十八年十二月、奄美群島の本土復帰が実現し、二十万島民の悲願がここにようやく実を結んだのでありまして、この間に処して燃ゆるがごとき情熱を傾け、復帰運動に挺身してやまなかった君の功績は、永遠に不滅のものと申せましょう。(拍手)私も、昭和二十八年十二月二十五日、復帰の喜びにわき立つ奄美の土を初めて踏んだのでありますが、ありし日を振り返り、感無量なるものを覚える次第であります。(拍手)
本土への復帰がかなったとはいえ、奄美群島の現状はあまりにも荒廃しておりました。君は、新たな決意のもとに、これが復興のため、再び情熱を燃やして、粉骨砕身、邁進することを誓われたのであります。
昭和二十九年、奄美群島復興特別措置法が施行され、奄美復興がその緒についたのでありますが、この法制定にあたっても野における君の尽力はまことに顕著なものがありました。
昭和三十年二月、第二十七回衆議院議員総選挙に際し、君は鹿児島県奄美群島区から立候補して当選し、本院に初めて議席を得られました。本院議員としての君は、国政の審議に真摯かつ熱心な態度をもって当たられ、その活躍も多方面にわたりました。しかしながら、奄美群島を代表する唯一の議員として、郷土の特殊性を国政の上に反映させることが君に課せられた大きな問題であり、君もまた住みよい、暮らしよい島をつくることを念願して、献身的な努力を傾けられたのであります。
すなわち、地方行政委員会の委員として、第二十八回国会には、奄美群島復興特別措置法の第二次五カ年計画の樹立に、また第四十六回国会には、さきの復興十カ年計画を補完すべき奄美群島振興特別措置法の成立に努力され、奄美の産業、文化の復興と振興に、また公共施設の整備充実に大いに貢献されたのであります。また奄美最大の砂糖産業が、砂糖の自由化により危機にさらされた際、君は農林水産委員会において甘味資源特別措置法の早期成立につとめられたのでありまして、これによって国内糖は危機から救われると同時に、西南暖地の生産を飛躍的に伸長せしめる原動力となったのであります。さらにまた、奄美信用保証協会を設立して金融の流通をはかるなど、奄美の問題に取り組んで終始奮闘された君の活躍は、高く評価さるべきものと存じます。(拍手)
私は今日まで七たび奄美大島を訪れましたが、そのつど面目を一新していく姿をまのあたりに見て、伊東君の苦心経営に思いをいたし、敬服の念を禁じ得なかったものであります。(拍手)
君は、また、奄美と沖繩とが古来密接な関係にあることから、かねて沖繩の復帰が一日も早からんことを願っておられたのでありますが、最近は沖繩及び北方問題等に関する特別委員会の委員として、みずからの体験を生かして活躍すべくファイトを燃やしておられました。なお、離島振興対策審議会委員として、離島の文化、衛生、経済等の改善充実に、また台風常襲地帯対策審議会委員として、その対策樹立に豊かな経験と知識を傾け、貴重な役割りを果たされました。
君の御活躍はこれにとどまらず、かつて芦田内閣において、外務大臣を兼任していた芦田均氏を外務政務次官として助け、戦後の多難な問題の解決に尽瘁されたのをはじめ、その後経済企画政務次官あるいは自治政務次官の重任につかれ、その力量を遺憾なく発揮されたのであります。
かくて、伊東君は、本院議員に当選すること三回、また参議院議員に当選すること一回、国会議員として在職十年九カ月に及び、その間、国政に残された功績は、まことに偉大なものがあります。(拍手)
思うに、伊東君は、謹厳寡黙なお人柄で、またまれに見る努力家でありました。一見近寄りがたい印象を受けるのでありますが、一たび君に接するや、南国人特有の情熱と明るさに、だれしも魅せられずにはおられなかったのであります。
「誠実に生きたい」、これは君が口癖のように言っていたことばですが、君には何の邪心もなく、みずからを信じ、また人を信じ、人の立場を尊重するという方でありました。しかしながら、一たびみずからきめたことは、どんな障害をも乗り越えてこれをやり遂げるという旺盛な精神の持ち主でありました。君は過去幾たびか選挙戦に苦杯を喫しながら、挫折することなく、むしろ常にうい陣のごとき気概をもって選挙戦に臨まれたのでありました。私は、去る四十一年暮れ、解散を前にしたある日、院内の医務室で偶然に伊東君とお会いしたことを思い出します。その際、君は、政治に対する国民の不信の声が高まっていることに深い危惧の念を示し、清廉であるべき選挙を毒する人たちに対する心からの憤りを率直に表明されました。私は、伊東君の政治に対する、また選挙に対するなみなみならぬ決意のほどを知り、深い感銘を覚えたのであります。
最後まで君の念頭を去らなかったのは、郷土奄美のことであったとのことであります。近時青少年男女がおしなべて都会に職を求めて故郷を去る現状を見て、君は心から憂慮し、産業開発を急ぐとともに、文化の光を島のすみずみにまでさし込ませようと念願しておられました。そのためには奄美群島振興特別措置法をさらに五カ年是が非でも延長させなくてはならないと、病を押して日夜東奔西走されておったのであります。「奄美をよろしく頼む。」これは病のため口をきくことができぬ君が、奥さまの手に指で書きつづられたことばでございます。そして君は静かに六十九年の生涯を閉じていかれました。まことに痛恨限りないものを覚える次第でございます。(拍手)
小笠原諸島の本土復帰も目前に迫り、沖繩の返還問題も現実の政治の日程にのぼっているこのときにあたり、奄美の復帰と振興に半生をささげられた清廉達識の士を失いましたことは、本院にとっても、国家にとっても、大きな損失であると申さなければなりません。(拍手)
ここに、つつしんで伊東君の生前の功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りいたしまして、追悼のことばといたします。(拍手)
————◇—————
沖繩島那覇に駐在する諮問委員会の委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/4
-
005・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 内閣提出、沖繩島那覇に駐在する諮問委員会の委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣田中龍夫君。
〔国務大臣田中龍夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/5
-
006・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 沖繩島那覇に駐在する諮問委員会の委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、沖繩の復帰に備え、本土との一体化を進めるとともに、沖繩の住民の福祉等を増進するため、琉球諸島高等弁務官に対して助言し及び勧告することを目的として、このたび那覇に設けられることとなりました諮問委員会の委員となる日本国政府代表を総理府に置くこととし、その任務、給与等について所要の事項を定めようとするものであります。
以下、この法律案の概要につきまして申し述べます。
すでに御承知のように、昨年十一月に行なわれた佐藤内閣総理大臣とジョンソン米国大統領との会談において、日米両国政府が、沖繩の施政権を日本に返還するとの方針のもとに、沖繩の地位について共同かつ継続的な検討を行なうことに合意を見、さらに沖繩の施政権がわが国に返還されるときに起こる摩擦を最小限にし、沖繩の住民とその制度の日本本土との一体化を進め、沖繩住民の経済的社会的福祉を増進するための措置を講ずることとし、このために、琉球諸島高等弁務官に対する諮問委員会を那覇に設置することにつきまして意見の一致を見たのであります。さらに、この諮問委員会の組織及び任務につきましては、過般アメリカ側と公文により合意いたしたのでありますが、この諮問委員会は、日本国政府、アメリカ合衆国政府及び琉球政府をそれぞれ代表する三名の委員で構成され、沖繩の社会経済構造の本土との一体化を進めるとともに、沖繩住民の福祉を増進するために、高等弁務官の権限内にある経済的及び社会的事項並びに関連事項について高等弁務官に対し、助言し、及び勧告する任務を有する常設の機関として設置されることとなったのであります。このほか、諮問委員会は、沖繩の経済的及び社会的発展の状況を検討し、高等弁務官に対し、沖繩の長期経済計画に関する勧告を行ない、また、高等弁務官は、諮問委員会の作業状況を日米協議委員会に通報することとなっております。
政府といたしましては、この諮問委員会の積極的な活動によって、本土との一体化がより一そう促進せられることを期待するものでありまして、諮問委員会の委員となる日本国政府代表が十分な活動と円滑な職務執行ができるようこの法律を制定し、その任務、任免、服務規律等を明確にすることといたしたのであります。政府代表の職は、当諮問委員会の性格及び任務等を考慮いたしまして、総理府に置くこととするとともに、政府代表の任務が国際的機関たる諮問委員会において渉外的事務をあわせ行なうこととなりまするために、内閣総理大臣と外務大臣との共管によって関連事務を処理することといたしております。また、任免は内閣が行ない、服務規律につきましては国家公務員法の規定の一部を準用し、給与等につきましては外務公務員の大使の例に準じて取り扱うことといたしております。
以上が、沖繩島那覇に駐在する諮問委員会の委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案の趣旨でございます。(拍手)
————◇—————
沖繩島那覇に駐在する諮問委員会の委員とな
る日本国政府代表の設置に関する暫定措置
法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/6
-
007・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。中谷鉄也君。
〔中谷鉄也君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/7
-
008・中谷鉄也
○中谷鉄也君 ただいま趣旨説明のありました本法案に対し、私は、日本社会党を代表しで、総理並びに関係閣僚に質問しようとするものであります。
まず第一は、政府の沖繩問題に対する基本的態度についてであります。
昨年十一月、佐藤・ジョンソン共同声明は、中国の核脅威をことさらに強調し、米国の軍事介入、なかんずく北爆さえも支持し、最大の国民的課題であった沖繩の祖国復帰については、単に、両三年内合意に達したいとの一方的な主張にとどまり、返還はもとより、その返還のめどさえ取りつけることができなかったのであります。その無能と不手ぎわをとりつくろい、全国民の沖繩祖国復帰の熱望をはぐらかすために設置しようとしたのが、この日米琉諮問委員会であります。(拍手)それは有害無益の政治的な落とし子であります。
しかしながら、いまや、ベトナム和平会談開始を迎えて、アジアの情勢は大きく転換し、アメリカの軍事介入政策は破綻を来たしているのであります。(拍手)ベトナムへの軍事介入と北爆支持を表明した昨年十一月の佐藤・ジョンソン共同声明はその実質的基礎をすでに失っております。この共同声明の落とし子である諮問委員会に、いまどき日本代表を送ろうという話は、たとえていえば、夜が明けてから幽霊を出そうという話であります。
総理は、このようなアジア情勢の大転機に直面して、日米琉諮問委員会の設置よりも、沖繩の即時祖国復帰実現について、直ちに対米交渉を行なうことを真剣に検討すべきだと考えるのであるが、この点について総理の所信をまず第一にお伺いいたしたいのであります。(拍手)
次に、日米琉諮問委員会の本質及び性格についてお尋ねをいたします。
日本政府代表が、米国政府の現役職業軍人にすぎない一高等弁務官の隷下に参加することに、私は日本人として、民族的抵抗を感ぜざるを得ません。(拍手)このような諮問委員会が、はたして、沖繩の本土復帰、及びこれに関連する国民的課題の解決をはかることができるでありましょうか。この諮問委員会の本質は、米国軍人の隷下にあって、米国の沖繩統治に協力する機関以外の何ものでもないと考えるのでありますが、総理は、このような機関に対して何を期待しているのですか。何を期待できると考えているのですか。答弁を求めたいと思います。(拍手)
四十年八月、沖繩を訪問された総理は、「沖繩の祖国復帰なくしては、戦後は終わらない。」と強調されたのでありますが、その後における沖繩の現状は、ベトナム戦争の激化に伴い、その前進基地としてますます軍事的な支配が強化されてまいりました。すなわち、すでに沖繩本島の約一三%に及ぶ軍事基地は、さらに新規接収によって拡張され、基地の拡充工事は戦後最大の規模となっており、空からは米軍機の投下物が落下し、地下からは基地の廃油やガソリンが、水田、井戸、水源地に流出し、また米兵による殺人等の凶悪犯罪が頻発しているのであります。
このような事態の中で、土地接収や基地公害に対する補償についての司法的救済はほとんどなきにひとしい状態であり、また、米軍人、軍属の犯罪については、裁判権はもちろん、逮捕権すら琉球政府には与えられておりません。日本弁護士連合会の沖繩調査団は、沖繩におけるあらゆる人権侵害の解決は、日本国憲法下に復帰する以外に根本的解決はあり得ないと、この状態を強く指摘しております。(拍手)政府は、いままでどのような措置をとってきたのか。十分な対策を行なってきたと考えているのか。人権問題を日米協議委員会の議題に供した事実があるのか。今日までこのような問題を放置してきた佐藤内閣の政治姿勢の中で、はたして諮問委員会は、これらの諸問題の解決ができ得ると考えているのか。総理の明確な答弁を要求するものであります。(拍手)
また、いわゆる自治権の拡大はきわめて不十分であり、一片の大統領行政命令のもとに、高等弁務官が、司法、立法、行政の三権を統括する機能を有していることは、世界にその例を見ないのであります。しかも、行政命令第十一節の非常大権によれば、公選された行政主席をはじめ、琉球政府の公務員のみならず、市町村の吏員に至るまで罷免できるという生殺与奪の権も依然として弁務官が掌握しているのであります。また、十一月には主席公選が実施されることになりましたが、その主席の権限は何ら変わらないのであります。渡航制限の事例もあとを絶たず、日本政府は、同胞である沖繩県民に対して、形式的な旅券の発給権しか与えられておらないのであります。
このように、軍事基地維持のために、沖繩百万県民の人権侵害を許している行政命令の改正や渡航問題などは、この諮問委員会の権限事項とはなり得ないではありませんか。このような基本的な問題の解決すらできないようでは、真の本土との一体化など、とうていできるものではないと考えるが、総理の所信を伺いたいのであります。
第三に、日米琉諮問委員会をめぐる具体的な諸問題について、質問したいと思います。
まず、この諮問委員会の権限事項については、日米協議委員会で十分解決することができるにかかわらず、さらに、それよりも権限を持たない単なる諮問の委員会を設けることは、屋上屋を重ねる以外の何ものでもありません。また、その構成について見ると、米国政府代表は、ベトナム軍事介入を遂行してきたジョンソン政権によって任命された出先の一役人であり、沖繩代表に至っては、みずから沖繩の帝王と称している米国の陸軍将校にすぎない高等弁務官が承認した行政主席によって指名された代表であり、いずれも一億国民と百万沖繩県民の意向を反映し、これを代表するものとはなり得ないと断ぜざるを得ません。はたせるかな、日本政府任命にかかる高瀬代表は、「次期主席公選で与党側は勝ち抜かなければならない。」など、きわめて政治的な発言をしているのであります。この発言は、公務員の服務規律に反するだけでなく、さらに重要なことは、沖繩県民の心情をはなはだしく傷つけるものであると考えるのであります。これについて総理はどう考えるか、答弁を求める次第であります。
また、この諮問委員会は、勧告事項については、各委員の意見の一致を必要とされておりますが、このことは、実質的に各委員が拒否権を持つこととなり、いろいろな提案をしたとしても、米代表に拒否権がある限り、諮問事項の結論さえ、アメリカ側の同意なしには得ることができず、極言すれば、やれるのは、デモを弾圧する警察力の強化など、悪法だけの一体化に終わるのではないかを危惧するものであります。さらに、たとえ勧告が行なわれたとしても、その高等弁務官の勧告の尊重、また実施の義務はどうなっているのか、これらの点について、総理及び外務大臣の所見をお伺いしたいのであります。
日米会談の直後、政府は、ことさらにその共同声明の成果を強調するため、日米琉諮問委員会は高度の政治的判断を下し得る機関であり、国政参加や主席公選の政治的問題も取り上げるかのような発言もしてきたのでありますが、その後の交換公文等によれば、その権限はますます縮小されていると考えざるを得ないが、当初の構想と著しく変更した理由は何か、お伺いをいたしたい。
この際、再度確認をいたしたいことは、この諮問委員会は、はたして沖繩県民が最も期待している国政参加という政治問題について、ほんとうに取り上げることができるのかどうか、総理及び外務大臣の明確な答弁をお願いしたいのであります。
最後に、米国も、去る四月一日のジョンソン声明により、北爆を縮小することを決定したのでありますが、沖繩におけるB52は、なお依然としてベトナムヘの発進が行なわれておると伝えられております。これが事実とするならば、事は重大であります。アジア情勢が平和に向かって一歩踏み出そうとしておるこの重大なときに、いまこそB52の撤去を要求し、百万沖繩県民の不安の解消とアジアの平和回復にあらゆる努力を払うべきであります。いま政府がその撤去を実現できないという政治姿勢のもとでは、この諮問委員会などにおいて、平和と復帰について一歩の前進も期待できないと思うのであります。あらためて、B52の撤去について総理の決意を承りたい。
さらに、米国人である元駐日大使のライシャワー教授でさえ、いま日米関係で最も重要なものは、第一にベトナム戦争に対する日本国民の嫌悪であり、第二に、沖繩に対するアメリカの半植民地支配であり、今日なお百万沖繩住民がアメリカの支配下にあることは、きわめて好ましくないと言い切っておるのであります。いまや、米国のアジアにおける軍事並びに外交政策は、根本的再検討段階に入っているのであります。アメリカの軍事介入政策は歴史に残る誤りであります。佐藤内閣のジョンソン追従も大いなる誤りであります。その上に、有害無益な諮問委員会をつくることは一そうの誤りであります。古人は、「あやまちは改むるにはばかることなかれ」と教えております。総理、いまからでもおそくはありません。有害無益な諮問委員会設置などということは直ちにやめて、沖繩の無条件祖国復帰のため、えりを正し、姿勢を改めて直進していただきたい。あなたの選ぶ道は、一億国民の悲願にこたえてアジアの真の平和に寄与するのか、それとも同胞百万を見殺しにしてアメリカの軍事政策に依然として盲従するのか、二つに一つである。総理の明快な答弁を要求して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/8
-
009・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 中谷君にお答えいたします。
沖繩問題と取り組んでおる基本態度、これは私しばしば申し上げましたように、もうそこには何ら重ねて申し上げるものもないように思いますが、私が昨年ワシントンを訪問いたしまして、そうして共同コミュニケを発表いたしました。そして、その際に、今後両国政府は沖繩返還について継続的に協議を遂げる、こういうことを実は申してまいりました。したがいまして、もうこの問題について多くを申し上げません。その際に、ただ、いま直ちに返還ができるわけではない、本土と沖繩との間には、制度上におきましても、その他の面においても、相当の格差がある。今日から、祖国復帰が実現するときに備えて本土との一体化をはかろう、これがいわゆる日米琉諮問委員会でございます。したがいまして、ただいま申し上げるように、日米琉諮問委員会は、本土との一体化をはかるための諮問委員会であります。いま御指摘になりましたような本土復帰、それをやらないで、ごまかしにこの制度を設けた、かようなものではございません。どうかはっきりとこの諮問委員会の性格を御理解いただきたいと思います。
そこで、ライシャワーその他の言まで引用されまして、この際に、情勢も変わったのだから、直ちに諮問委員会というようなものを開かないで、端的に祖国復帰の交渉をしろ、かように言われますが、私はいままでの方針をただいま変えるつもりはございません。
三月三十一日におけるジョンソン大統領の演説、これは国際的な大きな波紋を投げかけておりますが、それによって全部和平になったというものではありません。北ベトナムもこれに弾力的な態度を示している。私どもはこれをたいへん歓迎いたしております。このきっかけをぜひとももり育てて、そうしてベトナムに平和が招来するようにしたい、こういうことで各界にも注意を促しているわけであります。しかし、今日のこの段階で、三十一日に演説が行なわれ、そうして北ベトナムがようやくそれを受けとめた、その形において、今後の成り行きを即断するわけにはいきません。まだまだ私、山あり谷あり、こういうものだと思います。したがいまして、この沖繩の問題につきましても、そういうことを考えて交渉を持かなければならない、かように私は思います。
そこで、ただいまも御指摘になりましたが、日米琉諮問委員会というものは、これは日本の代表が一職業軍人の下になるのではないか、かようなことが国家としてたえられるかというお話であります。私はこの機会に申し上げておきますが、施政権がアメリカにありましても、日本の代表が沖繩に常駐するようになったということ、これはたいへんな進歩であります。しかも、この常駐する日本の代表は、身分上も、職務上も、高等弁務官の指揮監督を受けるものではありません。したがいまして、これはただいま御指摘になりましたような一職業軍人の指揮に入る、こういうような民族的屈辱、こういうようなことには当たらないということをはっきり申し上げておきます。
また日米琉諮問委員会は、先ほど申しましたように、返還の際の摩擦を最小限度にとどめる、そのために制度の一体化をはかっていく、経済的、社会的福祉の増進をはかる、こういうものであります。いわゆる日米の相互信頼関係の上に立って、そうしてこの問題を進めていくわけであります。
そこで、先ほど来御指摘になりました人権問題、それについてどういうような扱い方をしたか。すでに昨年の八月、塚原前総務長官が沖繩に参りました際、また本年の一月田中総務長官が沖繩に参りました際、直接アンガー高等弁務官と折衝しております。人権侵害の問題は、日本政府といたしまして重大なる関心事であります。したがいまして、この問題を真剣にアンガー弁務官と交渉しておる、この事実を申し上げておきます。
さらにまた、自治権の拡大については、今回の主席公選によりまして、これははっきり一歩拡大される、かように私は確信しております。裁判権あるいは渡航問題等々につきましていろいろお話がありましたが、こういうような点がただいま沖繩と本土との間にある障壁であります。これらの点も、今後とも一体化をはかっていくという努力がなければなりません。日米琉諮問委員会が全部の問題を取り上げる、かように私も理解しておりません。しかし、日本政府として、これらの問題と真剣に取り組んで、継続的な交渉でそれぞれ実をあげていくようにしなければならぬ、かように思っております。
さらにまた、高瀬発言というものにお触れになりました。いわゆる高瀬発言というものは私もいろいろ伺ってみましたが、これはどうも高瀬君の発言ではなかったようであります。出席者の他の発言であったようでありますので、これは事実に反するので、さように御了承いただきます。
B52の問題は、私、ただいまの状況のもとにおきまして、もう国際緊張が非常に緩和された、まだかような状況ではないように思いますので、時期が来れば必ずこの問題は再検討されるものだ、かように思います。そうして、すでに申し上げておりますように、アメリカ自身もB52を常駐さすということは申しておりません。したがいまして、国際緊張が緩和されればこれが再検討されること、これははっきりいたしております。
また、その他の点については、外務大臣からお答えいたさせます。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/9
-
010・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 中谷君の質問に総理大臣がほとんどお答えになりましたが、残っておる点を私からお答えをいたします。
中谷君は、諮問委員会が三政府代表の合意でなければ問題が処理されないということでは、ほとんど実効が薄いのではないかというような御質問であったと思いますが、とにかく三政府代表がそこできめられたことは、やはり実行が確保されなければなりませんから、意見がばらばらに違ったような場合においては、なかなか実行が確保できないのであります。したがって、諮問委員会は日米琉三政府の代表の意見が一致するということが、やはり実行を確保する上において必要でありますので、そういう手続をとることは当然と思います。この三政府の代表によってきめられたことは、当然にアンガー高等弁務官としても実行の道義的大きな責任を持つことは当然のことと考えるものでございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/10
-
011・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 折小野良一君。
〔折小野良一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/11
-
012・折小野良一
○折小野良一君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました法案に関連いたしまして、二、三の問題について質問を申し上げます。
去る三月三十一日のジョンソン大統領の演説を契機といたしまして、ベトナム情勢に大きな転機が訪れることになりました。これにこたえた北ベトナムの柔軟な態度は、極東の平和について明るい希望の灯を点ずるものでありました。これを実りある成果に結びつけるためには、今後なお多くの困難があり、努力が必要であると思われます。
このような情勢のもとで、わが国がみずからの問題としてまず考えなければならないことは、沖繩の問題でございましょう。沖繩は戦後二十有余年、極東の平和と安全のためにという名のもとに、米軍の支配下に戦後の苦しみを続けてまいっております。ベトナム情勢が好転し、極東に平和がよみがえるであろうという希望は、沖繩の人々にとりまして、やがて沖繩が祖国に復帰し、沖繩の戦後が終わるであろうという期待につながるのは当然なことでございます。このような期待にわいております沖繩の人々にとりまして、昨日の総理の御答弁、沖繩の返還についての基地の取り扱いについては、いまだ白紙である、このような御答弁はまことに冷たいものに響いたことでございましょう。(拍手)
ジョンソン大統領がアメリカの威信をかけて戦ってきたベトナム戦争につきまして、百八十度の政策転換を行なうというその決意に対して、そしてこれに基づく極東の新しい情勢に対して、わが国はわが国なりの立場において、重大な決意を要するときであると思うのであります。特に沖繩の問題は、極東の情勢と最も緊密な関係のある問題でございます。その新しい情勢に対して新たな決意をもって、前向きに取り組むという積極的な姿勢がなければならないと思うのでございますが、総理の所信をお伺いいたしておきたいと思います。
なお、当面の問題といたしまして、常駐化いたしておりますB52の撤去の問題がございます。ただいま中谷君の御質問もございましたが、朝鮮の緊張を理由といたしまして、沖繩に配置されたB52は、現地沖繩住民の大きな不安となっているのでございます。極東の平和と安全についての客観的情勢の重大な変化を見た今日、当然これは撤去さるべきものでございましょう。また、政府は直ちにこれを米軍に対して要求すべきでございます。去る予算委員会におきまして、私の質問に対して三木外務大臣は、いまだ客観的情勢が熟していない、このような御答弁をされたのでございますが、今日の新しい情勢のものにおける外務大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。(拍手)
さて、このたび、昨年十一月の佐藤・ジョンソン会談の共同コミュニケに基づきまして設置された日米琉諮問委員会についてお伺いいたします。
第一は、去る三月一日に発足し、これから実質的な活動に入ろうとする諮問委員会は、当然に新しい極東の情勢を背景にし、これに出席する政府代表は、今後の新しい情勢のもとにおける政府の沖繩政策についての決意を反映して出席すべきであると思うのでございますが、これに対する政府の指導方針をお伺いいたしたいと思います。
第二は、諮問委員会の協議の対象についてでございます。去る一月十九日に、日米間で取りかわされました諮問委員会に関する交換公文におきましては、委員会の協議対象を「経済的、社会的事項並びに関連事項」といたしまして、「関連事項」という四文字を挿入することによって、沖繩と本土との一体化を目ざす諮問委員会の協議対象が限定されるのを防ぐ、こういうふうに伝えられておるのでございます。また、このことは、三月一日に開かれました諮問委員会の発会式におきます日本側高瀬代表の発言、「委員会ができるだけ広い範囲の問題を取り上げる」、こういう提案からもうかがえるのでございます。
しかるに、アンガー高等弁務官は、諮問委員会の任務と運営に関する六項目の指示の中におきまして、「委員会の取り扱う問題は、経済開発、教育、保健・福祉の三分野」と、このように限定をいたしまして、「弁務官の権限を越える事項と政治に関連する事項は含まない」という、わが国の主張を一蹴するような指示を出しているのであります。このことは、さきに発表されました交換公文にも違反するものでございます。政府は、アメリカ側あるいは高等弁務官に対して、その指示の再検討を要求し、その是正を求むべきであろうと思うのでございますが、この点についての外務大臣あるいは総務長官の見解を求めたいと思います。
第三は、今後検討さるべき具体的な問題についてでありますが、沖繩と本土との一体化を促進するためには、まず行政機構の合理化とその機能の充実をはかることが、何よりも大切でございます。幸い、この十一月には、政府主席の公選が決定いたしております。これを機会に、住民自治の意識を高め、自治機能の拡充をはかり、一体化促進の基盤を固めるべきであると思うのでございます。
現在、沖繩における各行政の水準は、本土と比較いたしまして、きわめてその格差が大きいのであります。最近、住民の生活水準も向上し、援助もまた増加したとは申しながら、その規模は、おおむね本土の五〇%にすぎないのであります。しかも、住民の税負担はきわめて高く、月収四万五千円の給与所得者の場合、本土におきましては税負担が約六千三百円であるのに対しまして、沖繩におきましては二万五千二百円、実に四倍の負担をしいられているのでございます。したがって、このような過酷な負担と低い行政水準を解消するためには、何をおいても援助の増額をはかることでなければなりません。将来、当然にわが国の自治体として運営されなければならない地域でございますから、この際、早急に、本土の地方交付税法に基づく相当の額の援助を行ない、行政水準の向上をはかることが先決でありましょう。政府は、このような用意をもって、具体的に一体化の促進をはかるべきであると思うのでございますが、総務長官のこれに対する御見解をお伺いいたしたいと思います。
第四は、沖繩と本土との間に、経済的、社会的に、きわめて大きな格差が存在しておりますことは、申し上げるまでもないところでございます。近く、実質審議に入ることが予想されております諮問委員会の議題といたしましても、長期経済計画があげられておるのでございますが、沖繩と本土との一体化を考える場合、実質的な問題として、この点は最も大切な問題でございます。
現在、沖繩の一人当たり国民所得は本土の約六〇%、しかも、高い物価と税負担を考えますならば、沖繩における生活水準の低さが想像できるのでございます。しかも、沖繩経済は、いわゆる基地経済にその半ばをおぶさっているのでございます。
一九六六会計年度における米国の琉球経済への寄与」と題する民政府発表の資料によりますと、直接の基地収入が一億四千三百六十万ドル、県民総所得四億三千五百五十万ドルの約三分の一、これにアメリカ政府及び個人の援助、投融資を加えますと、二億二千九十万ドルに達します。県民総所得の半ばを上回るのでございます。基地がなくなれば、直ちに職を失うという三万七千人の米軍雇用労務者の問題を含めて、基地経済に依存している沖繩経済の開発とその自立化こそは、今後の一体化政策の中で政府が最も力を入れなければならない点でありますが、政府のこの問題に対する心がまえのほどをお伺いいたしたいと思います。(拍手)
最後に、ジョンソン大統領は、北爆停止声明とともに、次期大統領選挙不出馬の声明を行なったのでございます。したがって、この秋には、いずれにせよ、新しい大統領が誕生することになります。ベトナム情勢も新しい段階を迎えているでございましょう。極東の平和と安全についても、新しい客観情勢が生まれているはずであります。
そこで、佐藤総理は、新しい情勢のもとにおける沖繩返還の問題について、新しいアメリカ大統領と会談をする用意はございませんか。両三年内に返還の時期についてのめどをつける、こういうようなことでなしに、本土並み基地による具体的な返還の時期を明確にするための再交渉に臨まれる御意思がありますがどうか、お伺いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/12
-
013・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 折小野君にお答えいたします。
私は、沖繩問題の祖国復帰について、私の基本的な考え方を申して、その他の点については、所管それぞれの大臣からお答えすることにいたしたいと思います。
御承知のように、三月三十一日にジョンソン大統領が演説をして、そうしてベトナムにおける新しい方針を明確にいたしました。しかし、これは、ただいま折小野君が御指摘になりましたように、これだけで問題が解決したわけではありません。ただいま言われるごとく、この平和への芽をりっぱに育てて、そうして実りあるものにしなければならない、その点では私も同感であります。
ただいま申し上げるようなことを背景にいたしまして、ぜひとも私どもに都合のいいような発展をするように心から願っておりますので、そうなれば、必ずや沖繩問題も日本国民の満足のできるような方向で取り組めるものだ、かように私は思います。私、昨年の十一月にワシントンに参りまして、ジョンソン大統領と話をし、共同コミュニケで一通りの方向はきまりましたが、しかし、新しい事態に立って、さらにこれと真剣に取り組むというのが政府の本来の姿勢であります。ただいま必要なことは、沖繩の祖国復帰、たびたび私が口に申しておりますように、一日も早く実現するように努力をささげなければならないこと、これは政府に課せられた重大なる課題、使命である、かように私は考えております。したがいまして、今後ともこの情勢の推移に対応いたしまして、そうして基本的な態度を変えることなくアメリカと交渉を持つこと、これが私の考えであります。
そこで、ジョンソン大統領は次期大統領として立候補しない、こういうことを声明いたしました。したがって、新しい大統領ができるでありましょうが、私は沖繩の祖国復帰のためなら、いつでも、いかなる場所にでも出かける決意でございます。(拍手)この点は、はっきり申し上げまして、そうして、ただいま言われますように、十二分にアメリカと意思の疎通をはかって、そうして祖国復帰を実現したい、かような念願でございます。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/13
-
014・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) B52が沖繩に移駐したに対しては、極東情勢の緊迫ということが理由になっておったわけでございます。また当時、極東情勢は相当緊張しておったことは事実でございます。しかし、アメリカとしては、むろん沖繩に対しては施政権を持っておるわけでありますから、基地の自由使用は可能なのであります。しかし、B52については恒久の基地にする意思はない、こう言ってきておるわけであります。最近、ベトナム戦争に対して、アメリカとハノイとの間に直接話し合いに入るという極東情勢平静化への可能性というものも生まれてきておるわけでありますから、こういう極東情勢の変化とも相まって、B52の問題も解決をするものと期待するものでございます。
また、諮問委員会について、諮問委員会が政治問題などに対して、これが議題として話し合うことができないということは、諮問委員会の権限というものが非常に狭いものではないかというお話でございます。日米琉の諮問委員会は、これは総理と大統領の共同声明によって生まれたものでありまして、沖繩と本土との一体化に伴う社会・経済上の障害を除去しようという目的でつくられた。したがって、この諮問委員会が政治問題を直接に取り扱うという性質のものではないし、もしそういうことであれば、これは外交機関でやるほうが適当だ。ただ、しかし諮問委員会が社会・経済の障害除去ということばかりでなく、これに関連する事項ということになっておりますから、やはり今後は、あまりその諮問委員会の権限を狭くしないで、これは関連する事項という中には、解釈すればいろいろな問題があるわけですから、弾力性を持った運営をしていくようにしたいと考えております。
また、高等弁務官の権限以外のことがこの諮問委員会で議題にできないということですが、これは当然のことでしょう。高等弁務官の権限以外のことは、これまた外交機関を通じて話し合いをすることが適当だと思いますから、今後の運用を通じてできるだけ弾力的な運用をいたしまして、この諮問委員会に意義をあらしめたいと願っておる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣田中龍夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/14
-
015・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
諮問委員会の権限の問題は、ただいま外務大臣からるるお述べになりましたので、あえて蛇足を加える必要はございませんが、ただ、高等弁務官のもとにある諮問委員会ではなく、高等弁務官に対して意見を述べ、勧告をすることのできる代表機関でございますので、その点を特に申し添えておきたいと存じます。
第二の問題の、沖繩の現在の状態が日本の相当県と比較いたしまして非常に低い、これを救済いたしまするために、地方交付税法に基づくこれを適用してはどうかという御意見でございまするが、ただいまの施政権下におきまして、直ちに地方交付税法の適用はできないことは当然でございます。しかしながら、日本政府の援助、特に御案内のごとくに、一般会計におきましても、町村に対しまして今回は十億にのぼりまする援助をいたしておりまするし、あるいはまた、長期資金等に対しましても百五十三億の中の二十八億という資金を投下いたしておりますので、これらのいわゆる相当県並みに一日もすみやかに向上してもらいまするように鋭意努力を惜しまないものでございます。なお、これは、日米琉諮問委員会を通じまして、この一体化の施策の中においてあらわれてまいるであろうと存じます。
第三の基地経済を離れて、ここにあくまでも長期的な展望のもとに経済の建設計画をなさなくてはならないという御高見に対しましては、全く同感でございまして、なお、民政府におきましては、日本経済センターに調査を委託いたしまして、長期経済の検討をいたしておりまするし、また日本、沖繩両財界によってできておりまする懇談会におきましても、振興計画を立てておりまするし、また諮問委員会におきましても、長期的な計画のすみやかな樹立を日本政府に期待いたしておるような状態でございます。
以上、お答えをいたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/15
-
016・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 伊藤惣助丸君。
〔伊藤惣助丸君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/16
-
017・伊藤惣助丸
○伊藤惣助丸君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました沖繩島那覇に駐在する諮問委員会の委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案に関し、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
まず本法案の背景にある沖繩返還という根本問題について、考えてみなければなりません。
沖繩返還問題は、沖繩同胞百万の悲願であるとともに、日本国民にとっても最重要問題の一つであることは言うまでもありません。国連憲章にはすべての同権と自決の原則をうたい、特に第十五回国連総会では、「すべての人民は自決権を有し、この権利によって自己の政治的地位を自由に決定し、自己の経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求し得ること」を宣言しております。戦後の沖繩を語るとき、復帰運動を除いて沖繩の歴史はない、われわれは日本人であるから日本に帰るのは当然であるという沖繩住民の意思は、一九五一年、平和条約第三条の締結により沖繩が米国の統治下に置かれたときから、すでに復帰運動となって始まっております。今日において、ますますその運動は熾烈になるばかりであります。このような沖繩住民の民族意識は、民族自決の原則からも容認されるべきであり、だれ人も無視することはできないのであります。
総理は、昨年秋の佐藤・ジョンソン会談によって、両三年以内に双方が満足し得る返還の時期について合意を見ることができたとしておりますが、これは総理の一方的な理解でありまして、ジョンソン大統領が確約したものでないことは、日米共同声明でも明らかであり、沖繩は依然としてアメリカの極東戦略下に組み込まれているのであります。
今回のジョンソン提案と北ベトナムの応諾によって、幸いにもベトナム和平への道が開かれつつあると同時に、アメリカのアジア政策の重大な変更を意味することは明らかであります。そこで、総理にお尋ねいたしますが、政府は、ベトナム和平が沖繩返還によい影響を与えるとの見解を発表しておりますが、この見解は確固たる根拠があって言われたのか、それとも単なる希望的観測にすぎないのか、御説明願いたいと思います。
また、沖繩住民の反対と不安をよそに、今日もなお基地の整備、拡張が現実に進められております。これはい実質的には沖繩基地の軍事的機能の無制限な拡大を意図し、さらにはメースBにかわる最新の核ミサイル兵器を設置して、これで中共の核攻撃に対処しようとするものではないかとの動向もうかがわれるのであります。今回のベトナム和平によって、逆に沖繩がアメリカの極東戦略の最前線として、一そう重要な役割りを果たすための要請が強化されるような懸念はないかどうか、総理の考えを伺いたいのであります。
いずれにしても、政府のように、米国の極東戦略の意義を一〇〇%容認する立場から、沖繩の返還を推進しようというのでは、何年たっても沖繩返還は実現不可能な問題であります。固有の領土である沖繩は、当然かつ無条件に返還さるべきであるという確固たる信念と、今日もなお百万の同胞が異民族によって統治される状態は、一刻も早く解消さるべきであるという確信に立って交渉に当たらなければ、沖繩の返還の実現は期待できないのであります。
昨日、総理は、わが党の竹入委員長の質問に対して、相も変わらず、返還方式については白紙論を繰り返しております。核抜き返還のためには、総理も三つの条件を示しておりましたが、この三つの条件はいずれも満たされたと判断すべきでありますが、総理は、この三つの条件についていかように考えられているか、伺いたい。この際、返還方式について明らかにすべきであると思うが、総理の具体的な構想を承りたいのであります。
また、総理は、去る二月二十六日の衆議院予算委員会におきまして、沖繩の復帰は、非核三原則などの前提をきめてかかると、非常に困難になると言っておりますが、これは具体的に何を意味するのか、あわせてお伺いしたいと思います。
また、米軍による北爆の部分的停止、戦線の縮小及びベトナム平和への動向等によって、極東の軍事的緊張は緩和されるわけであります。したがって、当然に沖繩のB52は撤去さるべきであると考えるものでありますが、撤去要請を行なう考えがあるかどうか、総理の所信を伺いたい。わが国には施政権がないので、そのような要請はなし得ないという冷淡な態度を私ははっきりと非難いたします。もっと血の通ったあたたかい政治を強く要請するものであります。
私は、今回のジョンソン声明によるアジア政策の転換によって、昨年の共同声明の両三年の意味は大きく変化したと考えるものであります。いまや、われわれの努力によって、沖繩は両三年を待たずに返還できると確信するものであります。総理の所信を明確に伺いたいと思います。(拍手)
次に、この暫定措置法案についてでありますが、昨年十一月の佐藤・ジョンソン共同声明で、諮問委員会の設置に合意されたことをめぐって、政府・与党は、あたかも画期的なできごとのように礼賛し、主席公選や国政参加はもとより、祖国復帰の法律的、政治的問題をもこの諮問委員会で討議されるのだと過大の期待を抱かせたのであります。
また、一方においては、政府は、今年一月十九日に日米交換公文が発表されるまでは、佐藤・ジョンソン会談の成果をことさらに強調したいあまり、この諮問委員会は、あたかも高等弁務官と対等で勧告できるのだとか、政治問題も勧告できるとかといった発言をしてきたのであります。ところが、実際に諮問委員会の任務に関する交換公文によれば、高等弁務官の権限内にある事項、すなわち、経済的及び社会的福祉に限って助言し、勧告できることになっているのであります。早期祖国復帰を願う沖繩の人たちの期待に反し、このように当初の構想から大きく後退したことは、対米追随の外交姿勢そのものであり、国民の期待を裏切るものであるといわざるを得ません。この点について、佐藤総理の所見を伺いたいのであります。
次に伺いたいのは、高等弁務官に対する委員会での合意される問題についてお伺いいたします。
すなわち、勧告は日米琉三委員の一致が必要であり、各代表はそれぞれ拒否権を持つことになるのであります。アメリカの代表が米高等弁務官の意向に反するような内容の勧告に賛成したり、高等弁務官にとって都合の悪い問題の討議に賛成することはとうてい考えられないのであります。すなわち、アメリカ側に都合のよいこと以外は、いかなる助言も勧告もできないことになるのではありませんか。このような拒否権を認めている諮問委員会で一体どの程度の勧告ができるのか、はなはだ疑問であるといわざるを得ません。したがって、われわれが期待していた実のある成果を期待することはとうてい不可能ではないかと考えるものでありますが、外務大臣の所信を明らかにしていただきたいのであります。
また、この諮問委員会の助言、勧告は、高等弁務官に対しては何ら拘束力を持たないものであります。かりに合意に達して勧告がされたとしても、高等弁務官はこれを履行する義務がないということになると、せっかく諮問委員会を設置した意義が認められなくなると思うのであります。この点についての見解のほどをお尋ねいたします。
さらにまた、沖繩と本土の一体化が強く叫ばれておりますが、布令第百十六号は軍労働法とさえいわれて、労働三法の適用を除外しております。軍政下とはいえ、労働者の基本権は、これによって大きく制限されておるのであります。本土の駐留軍労働者はストライキ権を認められております。沖繩では、重要産業におけるストライキを禁止しているが、その範囲に電気、ガス、水道等の事業をはじめ、ミルク工業でさえもストライキ規制、禁止規定を受けております。このいわゆる弾圧立法といわれる布令第百十六号は、今年二月、国際自由労連より撤廃を決定されておりますが、沖繩と本土との一体化のためにも諮問委員会で審議検討して、廃止の勧告をすべきが妥当と思うのでありますが、労働大臣の見解をお伺いしたい。(拍手)あわせて、沖繩住民の自治と自主を制約している高等弁務官の拒否権についてもお伺いしたいと思います。
高等弁務官は、琉球政府の法案または法律を拒否し、琉球政府の公務員を罷免する権限を持っており、このことは沖繩の自治権拡大に障害となっております。この拒否権を撤廃し、立法院の立法権限を拡大し、民立法に対する布告、布令の優先を撤廃し、もって沖繩住民による自治権の拡大に政府は努力すべきだと思うのであります。総理の所見を求めるものであります。
次に、沖繩における産業の振興開発のための資金貸付けに関する特別措置法案に関連して質問いたします。
まず第一に、先日来日したインドネシアのスハルト大統領は、一億ドルをこす経済借款をわが国に申し込まれ、政府は、現在国会開会中で、インドネシアヘの経済協力の問題も含めて検討しているので、その額については決定額を約束いたしかねるということで、スハルト大統領は、外交儀礼上異例ともいえる共同声明を取りやめて帰国したのであります。その際、木村官房長官は特に六千万ドル・プラス上積みになる談話を発表しておりますが、一方、この特別措置法による沖繩に対する資金貸し付け額は、本年度予算については二十億円、つまりインドネシア借款の二十分の一以下であります。この事実を知ったならば、沖繩の人たちは何と受け取るでありましょうか。外国に貸す金があったら、われわれにもつと回してもらいたいというに相違ありません。今次太平洋戦争における最大の激戦地区となり、ばく大な被害をこうむった沖繩の人たちに対し、政府はもっともっとあたたかい手を差し伸べるのが当然の義務ではないでしょうか。(拍手)二、三千万ドル程度の貸し付け額を考慮できなかったものか、この点に関する総理の見解を求めたいのであります。
次に、この法案に基づく資金の貸し付け条件は、内地並みの年利六・五%を予定しているやに承っております。この点に関しましては、さらに寛大な優遇した貸し付け条件を考慮する政府の思いやりのあるあたたかい親心がほしいと思いますが、この点についての総理の見解をお聞かせ願いたいと思うのであります。
以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/17
-
018・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 伊藤君にお答えいたします。
伊藤君が御指摘になりましたように、ベトナムに幸いにして和平がもたらされれば、それだけ極東の緊張は大きく緩和されることになります。したがいまして、ベトナム和平は、沖繩返還、これにたいへん好都合に、またいい影響を与えるものだ、かように私どもは判断しております。昨日お話ししたとおりであります。
また、第二の問題で、沖繩はただいま米国が施政権を持っております。したがいまして、施政権者であるアメリカが、これを自主的な判断に基づいて自由に使用し、また基地もつくっております。したがって、ただいま基地の整備等の問題について、米側の考え方は私は存じません。明らかではございません。
第三の問題、しばしば申し述べましたように、沖繩の返還交渉にあたりまして、その基地をどのように扱うかというその問題は、現在のところ白紙でございます。昨日もお答えしたとおりであります。今後継続的に米側と交渉し、最も国益に沿う方向で早期返還を実現したいのであります。したがって、現在返還方式をきめて米側との交渉に臨む考えはございません。
非核三原則を沖繩に適用するかどうか、こういう問題につきましては、これまでの国会論議でしばしば申し上げたとおりでございますので、省略さしていただきます。
次に、早期返還を実現することが最大の眼目であります。相手のある外交交渉に最初からこちらの態度をきめてかかることは、交渉を有利に導くものとは言えません。交渉を通じて沖繩基地の実態を見きわめ、国民世論の動向に留意しつつ政府の態度を固めていく方針であります。
次に、沖繩におけるB52の問題でありますが、先ほど三木外務大臣がお答えしたとおりでありますので、省略さしていただきます。
次に、ジョンソン大統領の和平提案及びこれに対する北側の柔軟な反応は、私どもの歓迎するところであります。ただし、交渉の方式、場所等につきましては、当面、米国と北ベトナム両者の話し合いにまかせるべきであり、われわれとしては、せっかく芽ばえた和平の芽を大事に育てるという態度が望ましいと思います。ベトナムに和平が招来されることは沖繩返還にもプラスになると思われますが、これによって沖繩が両三年を待たずして返還されるということには必ずしもならない。国際情勢の現実を直視しながら、この問題と取り組むべきである、かように私は信じます。
いろいろその他お尋ねがございましたが、その他の問題はそれぞれの大臣から答えていただきます。
最後に、この特別措置法による沖繩の援助額はたいへん少額だ、インドネシアに対する経済援助は多額ではないか、こういうようなお話でございますが、特別措置法による沖繩援助はすでにきまったものでございます。しかし、スハルト・インドネシア大統領との交渉は、ただいままで金額はきまっておりません。したがいまして、これはいろいろ想像はあるようでございますが、共同声明も出なかったこと、それ自身で両者の間に意見が一致しなかった、かように御了承いただきます。(拍手)
〔国務大臣田中龍夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/18
-
019・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
諮問委員会の問題につきまして、御案内のとおりに、これは助言をし、勧告をいたすことができるわけでございまして、日本政府代表といたしましては、わがほうの主張をあくまでも堂々とこの委員会を通じて述べる次第でございます。ただ、これが弁務官の権限外の問題でありまする場合におきましては、日米協議委員会のほうに通報いたして、協議委員会においてさらに交渉いたす、こういうことに相なります。
なお、布令第百十六号の問題でございまするが、これに関しましても、この日米琉諮問委員会におきまして、日本政府代表からこの件につきましては主張をいたすことに相なっております。
さらに、最後に二十億の財投の問題でございますが、これは年度的に申しますると、四十三年度二十億でございまするが、この予算といたしましては、百五十三億の中のいわゆる長期融資といたしまして二十八億円を計上いたしてある次第でございます。
以上、お答えいたします。(拍手)
〔国務大臣小川平二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/19
-
020・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 沖繩における軍労働者につきましても、労働条件の改善、地位の向上をはかることが当然望ましいことだと存じております。この観点から、御指摘のありました布令百十六号につきましては、諸般の事情を考慮しながら十分検討が行なわれてしかるべきだ、かように考えております。さしあたりましては、これが日米琉諮問委員会におきまして検討されることを期待いたしております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/20
-
021・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————
日程第一 訴訟費用臨時措置法の一部を改正
する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/21
-
022・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 日程第一、訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/22
-
023・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。法務委員長永田亮一君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔永田亮一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/23
-
024・永田亮一
○永田亮一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、最近における物価の状況その他諸般の事情を考慮し、民事及び刑事の訴訟における証人、鑑定人等の日当の最高額を増加しようとするものであり、その内容は、第一に、民事訴訟の当事者及び証人並びに刑事訴訟の証人の日当を千二百円以内とし、第二に、民事訴訟の鑑定人、通事、説明者並びに刑事訴訟の鑑定人、通訳人、翻訳人及び国選弁護人の日当を千円以内とし、第三に、この法律は、昭和四十三年四月一日から施行しようとするものであります。
本案は、三月二十一日当委員会に付託され、二十六日提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、四月四日質疑を終了したところ、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党共同提案にかかる本法案に対する修正案が提出されました。
その内容は、改正法の施行期日「四月一日」とあるを「公布の日から起算して七日を経過した日」に改めることであります。
次いで、討論もなく、直ちに採決した結果、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/24
-
025・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/25
-
026・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
————◇—————
日程第二 石炭鉱業経理規制臨時措置法の廃
止期限等を変更するための法律案(内閣提
出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/26
-
027・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 日程第二、石炭鉱業経理規制臨時措置法の廃止期限等を変更するための法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/27
-
028・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。石炭対策特別委員長堂森芳夫君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔堂森芳夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/28
-
029・堂森芳夫
○堂森芳夫君 ただいま議題となりました石炭鉱業経理規制臨時措置法の廃止期限等を変更するための法律案につきまして、石炭対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
エネルギー革命の渦中にあるわが国石炭鉱業の安定につきましては、すでに昭和四十五年度を目標年度とする再建整備計画を中心として、各般の対策が講じられてまいっておりますことは御承知のとおりであります。
石炭鉱業経理規制臨時措置法の制定及び臨時石炭対策本部の設置は、石炭対策の一環として、昭和三十七年に実現を見たものでありまして、経理規制法は、石炭鉱業のうち特に指定を受けた企業について、経理の適正化と経営の合理化をはかることを目的としており、臨時石炭対策本部は、九州地方の産炭地域において生ずる諸般の石炭問題に関する対策を、迅速かつ適確に実施するための推進機関として福岡市に設置されたものであります。
本案は、石炭鉱業経理規制臨時措置法及び臨時石炭対策本部が今後の石炭政策を遂行するため、なおその存続が必要とされておる実情にかんがみ、昭和四十二年度末をもって終了する経理規制法の廃止期限及び臨時石炭対策本部の存置期限を、合理化基本計画の目標年度に合わせて、昭和四十六年三月三十一日まで三年間延長しようとするものであります。
本案は、去る二月二十七日当委員会に付託され、三月六日椎名通商産業大臣より提案理由の説明を聴取し、自来慎重に審査を重ね、四月四日に至り質疑を終了しましたところ、本案の施行期日「昭和四十三年三月三十一日」を「公布の日」に改め、「臨時石炭対策本部は、この法律の施行の日に新たに置かれるものとする。」旨の四党共同提案になる修正案が提出され、採決の結果、全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/29
-
030・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/30
-
031・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
————◇—————
日程第三 沖繩におけるテレビジョン放送に必要な設備の日本放送協会による設置及び無償貸付けに関する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/31
-
032・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 日程第三、沖繩におけるテレビジョン放送に必要な設備の日本放送協会による設置及び無償貸付けに関する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/32
-
033・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。沖繩及び北方問題等に関する特別委員長床次徳二君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔床次徳二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/33
-
034・床次徳二
○床次徳二君 ただいま議題となりました沖繩におけるテレビジョン放送に必要な設備の日本放送協会による設置及び無償貸付けに関する法律案について、沖繩及び北方問題等に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、沖繩におけるテレビジョン放送の普及を援助するため、日本放送協会が沖繩島那覇地区にテレビジョン放送に必要な設備を昭和四十三年度において設置し、これを沖繩放送協会に無償で貸し付けることができることとするものであります。
かねて、琉球政府及び沖繩放送協会は、那覇地区に開設するテレビジョン放送局の設置について、日本政府及び日本放送協会に援助の要請を行なってまいりました。この要請にこたえて、日本放送協会は、放送法が定める業務のほか、この援助を行なうことにより、沖繩の文化の向上、さらに、本土・沖繩の一体化の促進に寄与しようとするものであります。
なお、この法律案は、公布の日から施行することといたしております。
本案は、去る三月十九日本委員会に付託され、同月二十一日小林郵政大臣より提案理由の説明を聴取し、日本放送協会から参考人を招致する等、慎重に審査を進めてまいりましたが、それらの詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
かくて、四月二日質疑を終了し、四月四日採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/34
-
035・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/35
-
036・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/36
-
037・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後四時三分散会
————◇—————
出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
法 務 大 臣 赤間 文三君
外 務 大 臣 三木 武夫君
郵 政 大 臣 小林 武治君
労 働 大 臣 小川 平二君
国 務 大 臣 田中 龍夫君
出席政府委員
内閣法制局第二
部長 田中 康民君
通商産業政務次
官 藤井 勝志君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805254X02119680405/37
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。