1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年三月七日(木曜日)
午前十時二十二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 青柳 秀夫君
理 事
植木 光教君
小林 章君
柴谷 要君
中尾 辰義君
委 員
伊藤 五郎君
田中 茂穂君
徳永 正利君
藤田 正明君
木村禧八郎君
田中寿美子君
戸田 菊雄君
野溝 勝君
政府委員
大蔵政務次官 二木 謙吾君
大蔵省主計局次
長 相沢 英之君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
大蔵省関税局長 武藤謙二郎君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
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本日の会議に付した案件
○交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣送付、予備審査)
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣送付、
予備審査)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣送付、
予備審査)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣送
付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/0
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001・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。二木政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/1
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002・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) ただいま議題となりました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案外三法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
最初に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
今回、政府においては、国及び地方を通ずる財政運営を円滑化し、あわせて地方財政の健全な運営に資するため、昭和四十三年度から昭和四十六年度までの各年度における地方交付税の総額の特例を設けるほか、昭和四十三年度から昭和五十六年度の各年度について特別事業債償還交付金を交付することとし、別途、今国会に地方交付税法の一部を改正する法律案を提案いたしておりますが、この地方交付税にかかわる特例措置に伴い、交付税及び譲与税配付金特別会計法について所要の改正を行なおうとするものであります。
すなわち、その一は、昭和四十三年度において、地方交付税交付金の財源として一般会計からこの会計に繰り入れる金額を、所定の額から四百五十億円を控除した額とし、他方、昭和四十四年度から四十六年度までの三年度において繰り入れる金額を所定の額に毎年度百五十億円を加算した額とするものであります。
次に、昭和四十三年度においては、この会計の負担において二百五十億円を限り借り入れ金をすることができることとし、この金額を昭和四十四年度から昭和四十六年度までの三年度間にわたり償還ができるよう措置いたしております。さらに、昭和四十三年度から昭和五十六年度までの各年度に交付することとされた特別事業債償還交付金に相当する金額を、予算で定めるところにより、一般会計からこの会計に繰り入れることとするものであります。
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次に、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
政府は、昨年十二月、税制調査会から提出された昭和四十三年度の税制改正に関する答申及び税制簡素化についての第二次答申を中心にさらに検討を重ねた結果、昭和四十三年度におきましては、最近における国民負担の状況及び経済情勢の推移を勘案し、中小所得者の負担軽減に重点を置いて平年度一千二百五十億円の所得税の減税を行なうとともに、輸出の振興、技術開発の促進、中小企業の構造改善等、当面の経済施策に即応する税制上の措置を講ずるほか、所得及び物価の水準等の状況に応じた間接税負担の調整等により歳入の充足をはかることといたしたのであります。今回は、これらの税制改正のための諸法案のうち、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
まず、所得税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
第一は、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかっていることであります。すなわち、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除をそれぞれ一万円引き上げるほか、給与所得控除につきましても、その最高限度額を六万円引き上げることといたしました。また、これらの控除の引き上げと関連いたしまして、最低税率を九%から九・五%に引き上げることとしております。なお、これらの諸控除の引き上げによりまして、夫婦と子供三人の給与所得者の課税最低限は年収約八十三万円となって、現行より十万円程度引き上げられることになるのであります。
さらに、障害者控除や寡婦控除等の人的控除につきましても、それぞれ一万円の引き上げを行なうほか、特に重度障害者の障害者控除については五万円の引き上げを行なうこととし、また、配偶者のいない世帯の一人目の扶養控除を二万円引き上げることといたしております。
第二は、所得税制の整備合理化をはかっていることであります。すなわち、適格退職年金及び地方公共団体が心身障害者に関して実施する共済制度の掛け金を生命保険料控除の対象とすることとし、また、寄付金控除の足切り限度額を現在の二十万円から十万円に引き下げるほか、雑所得の計算上生じた損失の金額については、他の所得との損益通算はできないことといたしております。このほか、雑損控除や医療費控除等の所得控除につきまして、配偶者控除や扶養控除等の人的控除と同様に、確定申告書にその記載がない場合でも控除ができることとする等、所要の規定の整備合理化をはかることとしております。
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次に、法人税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
第一は、法人税の課税所得の計算について簡素化をはかっていることであります。すなわち、貸し倒れ引き当て金等のいわゆる各種引き当て金制度の適用について青色申告書を提出する場合に限る旨の要件を廃止すること、欠損金の繰り越し控除について欠損金の生じた事業年度に青色申告書を提出していれば、その後の各事業年度には青色申告書を提出することを要しないものとすること等の措置を講ずることとしております。
第二は、主として中小企業者が加入している適格退職年金契約等の退職年金積み立て金に対する法人税の税率を一・二%から一%に引き下げることとしております。
第三は、圧縮記帳の特例の対象となる工事負担金の範囲に、主として農業協同組合等が受け取る有線放送電話についての工事負担金を追加する等、所要の規定の整備合理化を行なっております。
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最後に、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
最近における内外の経済情勢の変化及び関税一括引き下げ交渉の妥結等の関税面における国際的動向に対応して、関税率及び関税の減免制度について所要の調整を行なうとともに、不当廉売関税制度の整備、開港の追加等を行なうため、関税定率法、関税法及び関税暫定措置法についてそれぞれ所要の改正を行なう必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一は、関税率について必要な調整を行なうことであります。すなわち、関税定率法及び関税暫定措置法を通じて六十二品目の実行税率を変更いたしますとともに、暫定税率の適用期限が本年三月三十一日とされている七十二品目につきまして、その適用期限を一年間延長いたしますほか、二十二の品目につき同種の品目の税率を統一する等の改正を行なうことといたしております。実行税率を変更する六十二品目の内訳は、税率を引き下げるものが関税割り当て制度の二次税率の引き下げを含め六十一品目であり、残りの一品目は、配合飼料用以外のトウモロコシの関税割り当て制度につきまして、その適用期限を一年間延長するとともに、二次税率を引き上げ、一次税率の一部を引き下げるものであります。
第二は、本年三月三十一日に適用期限が到来する重要機械類の免税制度等関税の減免税または還付制度のうち、十一の制度についてその適用期限を一年間延長することであります。
第三は、別途国会の御審議をお願いしております関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(一九六七年)による協定税率の引き下げに応じ、入国者の携帯貨物に対する簡易税率を引き下げることであります。
第四は、これも別途国会の御審議をお願いしております関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定を受諾することに伴い、現行不当廉売関税制度につきまして規定の整備を行なうことであります。
このほか、最近における港湾施設の整備状況、外国貿易船の入出港状況及び輸出入実績等を考慮いたしまして、新たに開港として、千葉県の木更津港、広島県の土生港及び福岡県の苅田港を指定することといたしますとともに、若干の規定の整備をはかることといたしております。
以上が交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案外三法律案の提案の理由及び内容であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/2
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003・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 次に、補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/3
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004・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を補足して御説明申し上げます。
昭和四十三年度における地方交付税につきましては、第一に、国、地方を通ずる財政運営の円滑化及び年度間の財源調整をはかる見地から、同年度における地方交付税の総額を四百五十億円減額すること。
第二に、将来にわたる地方財政の体質改善をはかるため、資金運用部引き受けにかかる地方債二百五十億円を地方団体が繰り上げ償還することに伴い、交付税及び譲与税配付金特別会計において資金運用部から同額を借り入れ、昭和四十三年度の地方交付税の総額に加算して地方団体に交付すること。
第三に、昭和四十一年度に発行した特別事業債の元利償還に伴う財政需要に対処して、昭和四十三年度以降、特別事業債償還交付金を交付することの特例措置を講ずることとし、別途、今国会に地方交付税法の一部を改正する法律案を提出いたしております。この地方交付税にかかる特例措置を実施するため、交付税及び譲与税配付金特別会計法につきましても、一般会計からこの会計への繰り入れについて特例を設けるとともに、この会計に借り入れ権限を付与する等、所要の措置をとる必要があるのであります。
法律案の内容につきましては、先ほどの提案理由説明といささか重複する点もあるかと存じますが、かいつまんで申し上げます。
まず、本特別会計法によれば、地方交付税の財源に充てるため、毎年度、一般会計からこの会計に繰り入れる金額は、当該年度における所得税、法人税及び酒税の収入見込み額の百分の三十二相当額に過年度の精算過不足額を控除または加算することとなっておりますが、昭和四十三年度にあっては、同法により算定した額から四百五十億円を控除した額とし、他方、昭和四十四年度以後三年度にあっては同法により算定した額に毎年度百五十億円を加算することとしております。この改正案に基づき、昭和四十三年度一般会計予算においては、この四百五十億円を差し引いた繰り入れ金額一兆九百二十三億円を計上しているのであります。
次に、昭和四十三年度においては、この会計の負担において二百五十億円を限り借り入れ金をすることができることとしていることは前述のとおりでありますが、この借り入れ金は一年内に償還するものとし、昭和四十四年度または昭和四十五年度におきましてもこの金額から毎年度八十五億円ずつを順次控除した金額の範囲内で同様の借り入れ金をすることができることとしているのでありまして、本件借り入れ金は、実質的に昭和四十四年度から昭和四十六年度までの三カ年度間にわたり償還が行なわれることとなるのであります。
さらに、昭和四十三年度から昭和五十六年度までの間において交付する特別事業債償還交付金に相当する金額を、予算で定めるところにより、一般会計からこの会計に繰り入れることといたしております。昭和四十三年度予算における繰り入れ額としては九十億円を計上いたしています。
以上、この法律案の提案の理由を補足して御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/4
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005・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を補足して御説明申し上げます。
まず、所得税法の一部を改正する法律案について御説明いたします。
今回の所得税法の改正は、最近における所得税負担の状況にかえりみまして、中小所得者に重点を置いて所得税の負担を軽減するとともに、あわせて所得税制の整備合理化を行なうことをその内容としております。
第一は、所得税の減税でございます。すなわち、夫婦と子供三人の給与所得者の課税最低限を前年度に引き続きまして十万円程度引き上げることを目途といたしまして、先ほど提案理由で御説明申し上げましたように、基礎控除等の諸控除の引き上げを行なうこととしております。この結果、昭和四十三年度の所得税の納税人員は、改正前でございますと約二千三百三十三万人と見込まれておりますが、改正後では約二千百六十五万人となりまして、約百六十八万人の減少となるわけでございます。さらに、障害者控除や寡婦控除等の人的控除につきましても、現行の七万円の控除額を八万円に引き上げますとともに、特に障害の程度が重いいわゆる重度障害者については、現行の七万円の控除額を十二万円に引き上げて、実情に即するよう配慮しております。また、母子世帯等の負担の軽減をはかる見地から、配偶者のいない世帯の一人目の扶養控除額につきましては、現行の八万円の控除額を十万円に引き上げることとしております。
第二は、所得税制の整備合理化でございます。すなわち、適格退職年金の従業員掛け金及び地方公共団体が心身障害者に関して実施しておりますいわゆる心身障害者保険扶養制度に基づく掛け金は、従来所得税の課税上控除の対象とされていなかったのでありますが、今回、新たにこれらの掛け金を生命保険料控除の対象としてこれを控除することといたしますとともに、心身障害者保険扶養制度に基づいて受けまする給付につきましては、これを非課税所得に加えることといたしております。また、寄付金控除につきましても、いわゆる足切り限度額を現在の二十万円から十万円に引き下げまして、中堅所得者層の私学等に対する寄付をしやすくするよう配意しております。
さらに、税制の簡素合理化の一環としまして、雑損控除や医療費控除等の所得控除につきましては、確定申告書に記載がない場合でも控除することができることといたしまするとともに、確定申告書の提出の要否についても、これらを控除したところでその判定を行なうこととしております。また、白色申告者の専従者控除等については、確定申告書の提出がない場合でも、やむを得ない事情があるときはこれを認めることといたしまして、純損失の繰り越し控除についても、純損失が生じた年分について青色申告書を提出しておれば、自後の各年については、提出している申告書が青色申告書でなくてもこれを控除し得ることとしております。このほか、雑所得の計算上生じました損失につきましては、他の所得との損益通算はできないことといたしました。また、年末調整の対象となる給与について、毎日徴収される税額が百円未満であるときは、その月分の源泉徴収は要しないこととする等の措置を講ずることとしております。
次に、法人税法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
企業に対する税制改正は、輸出振興のための措置等、租税特別措置法の改正案によっていたすことといたしまして、法人税法の改正は、主として税制の簡素合理化に関するものであります。
第一は、青色申告要件の緩和であります。昭和二十五年のシャウプ勧告による税制改正で青色申告の制度が設けられまして以来、すでに相当の期間を経過しておりまして、法人の記帳慣行もほぼ確立してまいりましたので、貸し倒れ引き当て金等のいわゆる各種引き当て金制度の適用について青色申告書を提出する場合に限る旨の要件を廃止いたしまして、税制の簡素化及び青色申告制度の運営の適正化に資することといたしております。また、これと同様の趣旨で、欠損金の繰り越し控除について欠損金の生じた事業年度に青色申告書を提出していれば、その後の各事業年度については青色申告書の提出を要しないものとする等の規定の整備を行なうこととしております。
第二は、加入者の大部分が中小企業者でありますところの適格退職年金契約などの退職年金積み立て金に対する法人税の税率について、この税率計算の基礎となっております給与所得者の平均上積み税率の変化等の状況を勘案いたしまして、一・二%から一%に引き下げることとしております。
このほか、税制の整備合理化の見地から、主として農協等が受け取る有線放送電話の工事負担金につきまして圧縮記帳の対象に追加して、農林漁業の近代化の一助とする等の改正を行なうこととしております。
以上、簡単でございますが、二法律案の提案理由を補足して説明いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/5
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006・武藤謙二郎
○政府委員(武藤謙二郎君) 関税定率法等の一部を改正する法律案の補足説明を申し上げます。
第一は、関税率等の改正でございます。まず、関税定率法及び関税暫定措置法に定める関税率等の改正について御説明申し上げます。
今回の改正の内訳は、御参考までに提出いたしました「昭和四十三年度関税改正案一覧表」、こういう横刷りの資料でございますが、これにございますように、関税率を改正するもの百五十六品目、暫定関税減免制度または還付制度の期限を延長するもの十一制度、簡易税率採用品目のうち、税率を引き下げるもの九品目となっております。これらの関税率等の改正は、いずれも最近における内外の経済情勢の変化に対応するものでありますが、ケネディラウンド交渉の妥結等の国際的動向を背景とすることも今回の改正の特色となっております。御承知のように、昭和三十九年五月に開始され、昨年の六月に妥結をみました関税一括引き下げ交渉、いわゆるケネディラウンド交渉でございますが、これにおきましては、わが国は関税率表上の総品目数二千三百十品目のうち、その大半の千九百十七品目につき譲許を行ない、本年七月一日以降昭和四十七年一月一日までの間に、この譲許を段階的に実施することといたしておるのでありますが、このケネディラウンド交渉の内容につきましては、今国会に、別途、関係の諸条約を提出して御承認を願うことになっております。今回の国内法上の関税率の改正にあたりましても、そのような背景がありますことを御承知おき願いたいと存じます。
なお、関税率等の改正の内容は、関税率審議会に諮問いたしまして、すべてその答申のとおりとなっております。
以下、今回の改正の概要につきまして、順次御説明申し上げたいと存じます。
第一は、関税率の改正でございます。先ほど政務次官から御説明申し上げましたとおり、関税率を改正する百五十六品目の内訳は、実行税率を変更するもの六十二品目、税率の規定の調整に関するもの二十二品目、暫定税率の適用期限を延長するもの七十二品目となっております。なお、若干技術的になりますが、これを関税定率法と関税暫定措置法とに区分いたしますと、関税定率法の別表の改正となるものが三十七品目、また、関税暫定措置法の本文の改正となるもの、これはすべて製造用原材料品の減免税の対象品物に関係するものでありますが、これが、延長五品目、新規一品目、同じく別表の改正となるもの百十三品目、こういうことになっております。
次に、税率改正のおもなものについて簡単に御説明申し上げます。
第一は、トウモロコシにつきましては、配合飼料用のものを除いて、昭和四十年度以降、暫定的に一次税率一〇%、二次税率二五%という関税割り当て制度を実施してきたのでありますが、最近におけるコーンスターチ及びイモでん粉の原料価格の変動に対処いたしまして、水あめ、ブドウ糖用でん粉、すなわち、糖化用でん粉でありますが、その需給の安定をはかるために、関税割り当て制度をさらに一年間延長いたしますとともに、糖化用トウモロコシの一次税率を無税に引き下げ、二次税率をキログラム当たり八円六十銭引き上げることといたしております。なお、その他のトウモロコシ、たとえば繊維用あるいは段ボール用のトウモロコシの一次税率は従来どおり一〇%に据え置くことといたしております。トウモロコシは、国際的な貿易商品として、先進国も開発途上国も、いずれも関心の深いものでございますが、したがいまして、税率引き上げには慎重を要するのでございますが、国産イモでん粉保護のためやむを得ないものとして、必要な限度において引き上げを行なおうとするものでございます。
第二は、本年七月、ケネディラウンド譲許による関税率の第一次引き下げが予定されている品目のうち、大豆、銑鉄等につきましては、その国内需要の動向等から見て、ケネディラウンド譲許の効果が及ぶ国と及ばない国との間に税率の格差の生ずることは適当でないと考えられますので、今回ケネディラウンド譲許に合わせて関税率の引き下げを行なうことといたしております。
第三に、羊の皮、コショウの種等の発展途上国の関心産品につきまして、ケネディラウンド交渉の際の経緯及び南北問題をめぐる最近の諸情勢にかんがみ、発展途上国に対するわが国の特別の配慮を示すため、通常のようなケネディラウンド譲許の段階的実施によることなく、一挙に最終譲許税率までの引き下げを繰り上げて実施することといたしております。なお、これらの品目をA・I品目、繰り上げ実施品目と呼んでおりますが、今回の改正の対象となりますものは二十六品目、このうち、今回基本税率を引き下げるものは二十三品目、残りの三品目につきましては、現行の暫定減税を延長することといたしております。その他の品目につきましても、国産原料の供給不足、国内産業の合理化の進展等の経済情勢の変化に対応して関税率の引き下げを行ないますほか、通関実務の便宜をはかるため、食用植物油の税率の統一をはかる等、それぞれ所要の調整を行なうことといたしております。
以上のほか、バター、米、ハードボード等七十二品目につきましては、現行の暫定税率をなお一年間延長することといたしております。
第二番目が関税の減免制度の調整でございます。関税暫定措置法に規定されております関税の減免制度または還付制度の改正に関するものでございます。現在設けられております減免制度または還付制度は、すべて本年三月三十一日限りとなっておりますが、これらのうち、給食用脱脂粉乳の免税、農林漁業用重油の免税等、十一制度につきましては、その適用期限をなお一年間延長することといたしております。
第三が簡易税率の改正でございます。これは入国者の携帯品に対する簡易税率でございますが、この改正について御説明いたします。
簡易税率は、旅客及び乗り組み員が本邦に入国する際、携帯輸入する貨物に対して、関税及び内国消費税を統合して適用される税率であり、昨年新設されたものでありますが、簡易税率により計算した税額が条約による税率を基礎として計算した税額をこえる場合には条約による税率を適用することにいたしております。条約案件として、別途、国会の御審議をお願いしております「関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百六十七年)、」いわゆるケネディラウンドの議定書でございますが、これによる税率の引き下げに伴ないまして、ケネディラウンド譲許による税率引き下げに合わせて簡易税率を改正する、こういう内容のものでございます。
その次の問題は、不当廉売関税制度の整備でございます。この改正について御説明いたしますと、これも条約案件として、別途、国会の御審議を願っておる関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定、いわゆるダンピング防止協定でございますが、これを受諾することに伴いまして、現行の不当廉売関税制度につきまして規定を整備する、こういう内容のものでございます。
なお、ダンピング防止協定は、ねらいとしては、不当廉売関税の調査手続を乱用することにより輸出国の利益を不当に侵害することのないように、課税の内容や手続等を明確に定めようと、こういう内容のものでありまして、わが国にとっても多大の利益があるものと考えております。
第三がその他の改正でございますが、開港につきましては、先ほど政務次官から御説明申し上げたとおりでございます。その他、若干技術的な規定の整備をはかることとしております。
以上、関税定率法等の一部を改正する法律案について補足説明を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/6
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007・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 以上四法案に対する質疑は、これを後日に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/7
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008・柴谷要
○柴谷要君 資料を請求しておきたいと思うのです。
交付税と、それから譲与税の借り入れ金をめぐって自治大臣と大蔵大臣との間に覚え書きが締結されているわけです。これはあるでしょう、覚え書きが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/8
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009・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 昨年度末そのことを両大臣の間で協議いたしました際に申し合わせをいたしまして、そのことを一応確かめる意味で覚え書きをつくっております。その内容はすでに外にも出ておるはずと思いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/9
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010・柴谷要
○柴谷要君 その覚え書きを印刷をして配付してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/10
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011・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) その覚え書きは、当時、これはまあ外部に発表しないでおこうというような話になっておったものですから、ちょっと相談してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/11
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012・柴谷要
○柴谷要君 そんなばかなことがありますか。自治大臣と大蔵大臣との間に交付税のあれをめぐって覚え書きが締結されている。そんなものをいまごろ隠したってだめだよ。何ならこっちが印刷してそっちに配ってやる。いいかい。そんなものは出せる、出しなさいよ。皆さんに見せるといいから。その資料を要求して、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X00419680307/12
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013・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二分散会
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