1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月五日(金曜日)
午前十時二十六分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 青柳 秀夫君
理 事
植木 光教君
小林 章君
西田 信一君
柴谷 要君
中尾 辰義君
委 員
青木 一男君
伊藤 五郎君
大竹平八郎君
大谷 贇雄君
林屋亀次郎君
田中寿美子君
野上 元君
須藤 五郎君
衆議院議員
大蔵委員長代理 山中 貞則君
政府委員
大蔵政務次官 二木 謙吾君
大蔵省銀行局長 澄田 智君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
大蔵大臣官房財
務調査官 細見 卓君
国税庁間税部長 佐藤 健司君
通商産業省重工
業局電機通信機
課長 久留 義雄君
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本日の会議に付した案件
○中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行
法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内
閣送付、予備審査)
○金融機関の合併及び転換に関する法律案(内閣
送付、予備審査)
○物品税法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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001・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案、金融機関の合併及び転換に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。二木政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/1
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002・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) ただいま議題となりました中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案、及び金融機関の合併及び転換に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
最近における金融機関を取り巻く環境の変化に対応して、金融制度調査会では、わが国金融制度全般の再検討を開始し、その第一段階として中小企業金融問題を取り上げ、昨年十月、中小企業金融制度のあり方についての答申を行なったのであります。
この答申の基本的な考え方は、中小企業金融の円滑化のために、民間中小企業金融専門機関の必要性を認め、相互銀行、信用金庫及び信用協同組合の三種類の金融機関について、融資対象、融資限度等に関し、それぞれの業務の態様に差異を認めつつ、中小企業金融専門機関としての性格を明確にし、あわせて、各金融機関がより広い範囲で適正な競争を行なうことができるような環境を整備し、もって金融の効率化をはかろうとするものであります。
政府といたしましては、この答申に基づきまして鋭意検討を行なってまいった結果、相互銀行、信用金庫及び信用協同組合について、それぞれの法律に所要の改正を行なうこととし、また、異種金融機関の合併、転換につきましても、これを可能ならしむるよう、法律上その道を開いておくためのこの二法案をここに提出した次第であります。
まず、中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
第一は、相互銀行法についての改正であります。この関係では、まず、相互銀行の融資対象を、主として従業員数が三百人以下または資本金が政令で定める金額以下の中小企業者とすることとし、中小企業金融の専門機関たる性格を明確にすることとしております。
次に、最低資本の額の引き上げであります。相互銀行の最低資本の額は和昭二十六年に法定されたままでありますが、その後の事情を勘案し、これを三年の経過期間を置いて現行の十倍に引き上げることとしております。このほか、営業区域の廃止、銀行との関係等について所要の規定の整備を行なうこととしております。
第二は、信用金庫法についての改正であります。この関係では、まず、信用金庫の会員となり得る事業者の範囲について、資本金基準を新たに設けることとしております。すなわち、現行の従業員基準のほか、資本金の基準を設けて、このいずれか一方を満たせばよいこととしております。
次に、さきに述べた相互銀行の場合と同様の考え方から、金庫の出資の総額の最低限度を現行の十倍に引き上げ、相互銀行と同様の経過措置を設けることとしております。
また、現行法では、内国為替取引及び有価証券の払い込み金の受け入れ等の業務は、会員のためにする場合に限られているのでありますが、これを会員以外の者に対しても行なうこととし、あわせて、政令で定めるところにより、会員以外の者に対しても融資を行ない得ることとして、金融の円滑化をはかることとしております。このほか、会員一人当たりの出資の最低限度額を定め、一会員に対する貸し付け等を自己資本の二〇%以内に制限し、総代制度を改善する等の所要の規定の整備改善をはかることとしております。
第三は、信用協同組合についての改正であります。この関係では、まず、信用協同組合について、組合員のためにする内国為替取引及び有価証券の払い込み金の受け入れ等の付随業務を新たに行なうこととし、また、信用事業を行なう連合会について、連合会の会員である信用協同組合の組合員に対する貸し付け等を加えることとし、金融の円滑化をはかることとしております。
次に、さきに相互銀行及び信用金庫において述べましたと同様の考え方から、地域により、信用協同組合の出資の総額の最低限度を、現行の四倍または五倍に引き上げ、相互銀行と同様の経過措置を設けることとしております。
このほか、一組合員に対する貸し付け等を自己資本の二〇%以内に制限する等、所要の規定の整備改善をはかることとしております。
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次に、金融機関の合併及び転換に関する法律業について申し上げます。
第一は、異種の金融機関相互間において合併及び転換を行なうことができることとしております。すなわち、この法律案で異種の金融機関とは、普通銀行、相互銀行、信用金庫及び信用協同組合の四種類をさしておりますが、これらの異種金融機関相互間における合併または転換につきましては、従来、法律上その道がなく、営業を譲渡し、あるいは一たん解散した上で異種の金融機関を新たに設立するという方法のみが可能であったのであります。この法律案に基づきまして、これらの間での合併または転換の道が開かれることにより、たとえば株式会社組織と株式会社以外の組織との間の合併または転換ということ等も可能となってまいるのであります。
第二は、合併及び転換に際し、国民経済的観点に立って認可の基準を定めたことであります。すなわち、異種の金融機関の合併及び転換には認可を必要とすることとされておりますが、その際の審査の基準といたしまして、「金融の効率化に資すること。」、「当該地域の中小企業金融に支障を生じないこと。」、「適正な競争関係を阻害する等金融秩序を乱すおそれがないこと。」等、特に重要な四項目を列挙して、認可にあたり、これらの諸点をも十分考慮することといたしております。さらに、その審査にあたっては、同種の金融機関相互間の合併を妨げることのないよう配慮しなければならないこととされております。
第三は、利害関係者の権利の保護についてであります。この点につきましては、異種の金融機関相互間の合併、転換でありますので、法律上特段の配慮を加えております。すなわち、合併または転換に反対する銀行の株主等については、株式買い取り請求権または支払請求権を認め、また、信用金庫の会員または信用協同組合の組合員については、持分払い戻し請求権を認めることとしております。また、合併または転換を行なう金融機関の債権者の利益を保護するため、債権者の異議申し立ての権利を設けることといたしております。
第四は、業務の継続の特例についてであります。すなわち、合併または転換前の金融機関の業務のうち、合併または転換後の金融機関が法令上行なうことができなくなったものにつきましては、合併または転換後でも、一定期間、継続することができることとし、この制度の円滑な運営を期しているのであります。
以上、中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫等の一部を改正する法律案、及び金融機関の合併及び転換に関する法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し述べました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/2
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003・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 次に、補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/3
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004・澄田智
○政府委員(澄田智君) ただいま議題となりました二法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
まず、中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
第一は、相互銀行法についての改正であります。相互銀行は、元来、民間中小企業金融機関として発足したのでありますが、現行法では融資対象についての具体的な規定がなく、その目的として「国民大衆のため」と抽象的に規定されているのみでありますので、相互銀行を中小企業専門の金融機関として特色づけて存続させるため、主として中小企業に対して金融を行なう機関である旨を規定することとし、この種中小企業者の範囲を従業員の数が三百人以下または資本の額もしくは出資の総額が政令で定める金額以下の事業者としております。
次に、最低資本の額を東京都または大蔵大臣の指定する人口五十万以上の市に本店を有する相互銀行にあっては三億円、それ以外の相互銀行にあっては二億円と、それぞれ現行の十倍に引き上げることとし、三年間の経過期間内にこの限度に到達すべきこととしております。また、相互銀行は、営業区域を定款に定めることとされておりますが、相互掛金業務の比重が大幅に低下した現在では、営業区域を設定することの実質的な意義がほとんど失われてきておりますので、これを廃止することとしたほか、規定の整備をはかることとしております。
第二は、信用金庫法についての改正であります。まず、最低出資金の引き上げでありますが、東京都の特別区の存する地域または大蔵大臣の指定する人口五十万以上の市に主たる事務所を有する信用金庫にあっては一億円、その他の信用金庫にあっては五千万円と、それぞれ現行の十倍に引き上げることとし、三年間の経過期間内にこの限度に到達すべきことといたしております。
次に、会員資格要件の緩和であります。信用金庫の会員となり得る事業者の範囲について、現行の三百人という従業員基準のほかに、資本金または出資の総額一億円以下という資本金基準を設けて、そのいずれかを満たせばよいこととしております。
次に、会員一人当たりの最低出資額を設けることとし、東京都特別区及び指定市は一万円以上、その他は五千円以上で定款で定める額とすることとして、睡眠会員等を排除して会員制度の特色を発揮し得るようにしたほか、信用金庫の員外預金者の保護をはかるため、信用金庫の持ち分譲り受けの制限を設けることとしております。
次に、信用金庫の総代制度の改善をはかるため、総代についての定款記載事項を整備することといたしました。また、金庫の解散、合併及び事業の全部の譲渡についても総代会において議決し得ることといたしましたが、この総代会の議決については、会員からの請求により、さらに臨時総会を招集し得る道を開くこととしております。
次に、業務の範囲についての改正であります。従来信用金庫は、内国為替等の付随業務については「会員のためにする」場合に限られていたのでありますが、利用者の便益等も考慮し、会員以外の者についてもこれを利用し得ることとするとともに、会員に対する融資業務を妨げない限度において地方公共団体、金融機関その他会員以外の者に対し、政令で定めるところにより融資をすることができることといたしております。
次に、一会員に対する融資は自己資本の百分の二十に相当する金額をこえてはならない旨の規定を設けて、金融機関としての資産内容の健全性を確保することとしたほか、所要の規定の整備を行なうこととしております。
第三は、信用協同組合についての改正であります。まず中小企業等協同組合法を改正いたしまして、信用協同組合の業務の範囲を拡大し、組合員のためにする内国為替取引、組合員のためにする有価証券の払込金の受け入れ等の業務を新たに行ない得ることとし、また、信用協同組合連合会について会員である信用協同組合の組合員に対する貸し付けの道を開くこととしております。
次に、協同組合による金融事業に関する法律の一部改正でありまして、この関係では、出資の最低限度額を東京都の特別区の存する地域または大蔵大臣の指定する人口五十万人以上の市に主たる事務所を有する信用協同組合にあっては二千万円、その他の信用協同組合合にあつては一千万円に改めることとし、三年間の経過期間内にこの限度に到達すべきこととしております。
さらに、先に申し上げました組合員のためにする内国為替取引及び信用協同組合連合会の間接構成員に対する貸し付けについては行政庁の認可を要することとし、また、信用協同組合の一組合員に対する融資はその自己資本の額の百分の二十に相当する金額をこえてはならないこととしたほか、所要の規定の整備をはかることとしております。
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次に、金融機関の合併及び転換に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
まず、この法律案は、普通銀行、相互銀行、信用金庫及び信用組合の四種類の異種金融機関の相互間における合併及び転換の制度を設けようとしているものであります。したがいまして、主として株式会社組織と協同組合組織との間の合併・転換でありますので、その両組織の間にまたがる技術的な問題がきわめて多いということをあらかじめお断わりしておきたいと思うのであります。
第二に、合併、転換の認可の点でありますが、法案の第六条第二項にあります認可の審査基準は、本法案の趣旨から見て最も重要な諸点を列挙したものでありまして、個々の案件の処理にあたっても、各基準について具体的に十分審査してまいりたいと思っております。また、同条第三項におきまして同種の金融機関の合併について言及いたしておりますが、これは地域性の強い中小企業金融機関につきましては、原則的には、中小企業金融の疎通の上で、同種合併の方が自然であるというような見地から、同種合併と異種合併と両方の動きがありますときは、同種の合併を原則として優先させるような配慮が必要であるということであります。さらに、同条第四項におきましては、必要な限度で認可に条件を付することができることとなっておりますが、これは異種合併または転換によって摩擦を生ずるようなおそれがないようにこうした規定を設けたものでありまして、たとえば合併を行なう金融機関の当該地域の中小企業向けの融資比率を低下させないことといったものが考えられるのであります。
第三に、利害関係者の権利保護という点でありますが、まず、合併や転換を行なうという意思決定自体を総会における特別多数決によることといたしまして、慎重な手続を要することとしているのであります。また、普通銀行または相互銀行が合併または転換により信用金庫になるという場合には、その信用金庫の会員となる資格を有しない株主による特定株主総会の合併決議をも必要としているのであります。さらに、合併や転換に反対する信用金庫の会員や信用組合の組合員につきまして持ち分の払い戻し請求権の規定を設けてありますが、この払い戻し請求の要件は合併総会の前に書面による通知だけで足りることとされており、株主の株式買い取り請求権の場合と比べても、その権利保護をより徹底いたしておるのであります。また、利害関係者として、質権者や差し押え債権者がありますが、株式や持ち分を目的といたします質権や差し押えの効力が、合併後または転換後の株式、持ち分または金銭にも及ぶことといたしまして、これらの質権者や差し押え債権者の保護をはかっているのであります。
第四に、業務の継続の特例についてでありますが、合併または転換により行なうことができなくなった業務の例といたしましては、相互銀行の掛け金業務のようなものが考えられます。また、こうした業務を継続することができる暫定的な期間といたしましては、期限の定めのあるものについては期限満了まで、期限の定めのないものについては一年以内ということになっており、この間に残務整理をいたさねばならないこととなっております。
以上をもちまして補足説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/4
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005・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 以上の二法案に対する質疑は後日に譲ります。
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006・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 次に、物品税法等の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
まず、四法案に対する衆議院における修正点について、衆議院大蔵委員長代理理事山中貞則君から説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/6
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007・山中貞則
○衆議院議員(山中貞則君) 最初、修正案の提案者としての説明を要求されるつもりで準備いたしておりましたが、きのう当委員会の内意として、衆議院大蔵委員会の理事として来いということを承りました。その意味は、私といたしまして、いかなることであるかが十分わかりますので、そういう角度からの御説明をしたいと考えます。
内容につきましては、それぞれテクニックの面において日にちを操作したり、あるいは事業開始年度をずらせたりなどいたしまして、了測せざる事態によって、当初予定いたしておりました四法案が三月三十一日に終わらなくて、年度を越してずれ込みましたために起こる減税法案については、納税者の受くべかりし恩典並びにそれに対する期待、こういうものを、四月一日から施行されたのと同じ恩典と期得にこたえる内容を目的とした修正であります。他の法案につきましては、ことに物品税等につきましては、これは現在の提案されておりまする政府の原案は、現行暫定税率据え置きもしくは若干引き上げの内容のもので、増税法案の一部にもなるものではありますけれども、現在、先ほど申しましたように、年度内に成立しなかったという現時点においては、税法上、厳正に言うならば現行本則税率のより高い税率で、増税で徴収されておらなければならない。しかしながら、これも、関係業界はもちろん、流通物資につきましては、卸、小売り、消費者等の一般国民大衆に迷惑を及ぼす点があるだろう。したがって、できるならば、なるべく早く日にち等を修正可決することによりまして、本来の予期しておりました税率によってそれらの混乱なり、あるいは、また、一般消費者の迷惑なりを回避するような内容を主眼としたものでございます。
そのような趣旨によって技術的な点がそれぞれの所得、法人、物品、租税特別措置の四法案についてなされておるわけでございますが、その内容の御審議は後日いただくことにいたしまして、先ほど冒頭申しましたように、その背景を申し上げますと、形は、委員会におきましては、衆議院において自民党の議員による修正提案でございます。社会党、民主社会党、公明党の三党は反対でございます。したがって、多数可決ではございますが、しかしながら、その内容につきましては、ただいま申しましたような趣旨を各党間におきまして十分相談をいたしまして定めたものでありますが、しかしながら、なおかつ問題点となって皆さま方の間にはおそらく議論されるであろう二つの点についてだけ具体的に御説明をいたします。
一つは、物品税について施行の期日を十日間ずらして、はっきり四月十日よりと明定いたしておる修正案についてでございます。これは衆議院における期日の確定は、政府原案の年度内の意思の確定と異なりまして、それぞれ各党が衆参両院に議席を持っております構成から、一院のみでもって他院の議決の期間をあらかじめ定めておくということは、反面、他院の審議権を制限するような形にもなるおそれがございますので、私どもといたしましては、十分にその間の事情については各党と御相談をいたした結果でございます。その御相談が、結果的には形は反対でございますが、内々できました理由は、先ほども少し触れましたけれども、物品税の主たる今度の対象品目は、ほうっておきますと現行の本則税率に戻るわけでありますから、一五%ないし二〇%の高い税率にそのまま四月一日から移行するのが、冷酷むざんと言えばそのままでございますが、冷静にやれば税法上そのとおりに課税を強行しなければなりません。しかし、原案はそのような現行本則に一ぺんに戻るような課税を予期いたしておりませんので、そこで、行政指導、あるいは、また、業界との相談という形で、行政当局たる大蔵省からそれぞれの各界に相談をいたしましたところ、倉出しをしない、すなわち、課税の発生をしない状態にとどめて置ける期間はおおむね一週間ぐらいが限度であるという返事であった由でございます。すなわち、工場は生産をやめるわけにはまいりませんが、流通段階に乗せるときに課税が発生いたしますので、それを取りやめるためには手持ちでかかえていなければなりません。その限度が一週間という意味であります。しかしながら、野党の御意思もございまして、まるめて十日というぐらいで業界のほうに無理を言わせろという内意もございました。それで、さらに折衝をいたしまして、十日間のめどでございまするならば、その間に課税の発生しない状態、すなわち、工場は運転をいたしましても、課税の発生する流通段階への品物の動きを何とか停止さしておきたいと思いますと、こういう見通しが立ちまして、その結果、各党の内部において、それぞれ表向きではございませんが、御相談の上、十日ほどの期限をつけて、それを十日には成立するという期待のもとに行政指導するということを前提に期限を付した次第でございまして、参議院の審議権を——日までに成立せしむべしという衆議院の期待とか、あるいは希望とかいうものでないことを申し添えておきたいと思います。
さらに、やや、しさいな点でございますが、他の法律案は、恩典は全部四月一日に施行されたと同じ効果を持たせるために、四月一日に施行することをはっきりと明示いたしておりまするけれども、所得税について「施行の日」といたしておりまする理由も一つございます。これも本来何らの疑いのない修正、すらっといく修正をするならば、四月一日よりと、明らかに遡及効果を明示すべきが法律のあたりまえの姿であると私ども思ったのでありますが、現実にはその日その日の支払い関係で、その日その日が納税義務者であり、あるいは徴税された者であるという立場の、主として職場を転々と変わるおそれのある日雇い労務者等の関係、この問題は、税法上は、当然理屈で言うならば、年度末にそれぞれの納税義務者——支払いをした者の書類と本人の申告等を受け付ければ、年度末調整で、成立しなかった間の恩典の四月一日までにさかのぼることは可能なのでありますけれども、現実にはそのようなことがはたして可能かといいますと、非常にむずかしゅうございます。そこで、かりにそれがむずかしくても、税法上の恩典は平等に及ぼしておくということで、四月一日にいたしますと若干のそこに予期せぜる弊害の起こるおそれもございます。すなわち、かわって徴収をしてくれました源泉徴収の納税義務者、このところには明らかに還付されますが、その間に税金を納めておりました労務者、あるいは日給をもって支給を受けておりまする勤労者というものが、その払い戻しをされた時点に同じ源泉徴収義務者のもとで働いていれば的確にそれが返付されるということが、これは一〇〇%可能であるとは考えられません。そこで、不測の事態としては、せっかく国が払い戻したものが肝心の勤労者の手元には払い戻しをされないまま、税法上は源泉徴収の納税義務者のところでとどまって、いわゆる不当利得を国が場合によっては認め得る余地も残るのではないか、このようなことを考えまして、そのような疑問点を生ずるくらいならば、むしろ「施行の日」と定めまして、それらの人々は税法上許容された日に書類をととのえて年度末に申告をしていただきたい、年度末調整にゆだねられたいという現行税法によっていただくということにおきまして「施行の日」といたしたわけでございまして、別段他意があっていたしたわけではございませんが、少しこまかい施行された場合の技術的な面に立ち入ってそのような修正をいたした次第でございます。
以上、問題点と思われる二点を中心に、多数決になりました背景を申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/7
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008・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 四法案に対して質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/8
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009・中尾辰義
○中尾辰義君 ただいまこの物品税法等の一部を改正する法律案に対する衆議院側の修正意向につきましてお伺いをいたしましたが、この物品税法は非常に物価とも関係がありますし、重要なる法案であります。したがって、この修正に対しては、参議院の意向については何ら私どもは相談を受けてない。ただ、その点が非常にこれは参議院の審査を無視しているのじゃないか、こういうふうに、これはまあ私だけじゃございませんと考えておりますので、その点について、まず提案者側の意向を聞きたい、これが一つ。まずそれをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/9
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010・山中貞則
○衆議院議員(山中貞則君) 差しさわりがありますので、私はただいまあいまいと申しますか、適当な限度でお話を申し上げたわけでありますが、しかし、各野党、ただし、衆議院、大蔵委員会には共産党はおられません。社会、民主社会、公明の三党をさして言うのでありますが、それぞれの党の間には、その内容について政策審議会、あるいは党の部会等に持ち帰って相談をしたということもはっきりいたしておりまするし、けさ大蔵委員会の理事会の席におきまして、提案者代表ではいかぬ、理事として来いということだから、他党の事情も聞かれることがあるかもしれぬぞということを私ははっきり申し上げてまいりましたが、一応私どもとしては、各党それぞれどのような形で御相談になったか、これは知りません。あるいは衆参両院の合同部会等をお開きになったか開かれなかったか等も知りません。しかし、衆参両院を含む野党としての意思としては、私どもはけっこうであろうということを確認をいたしまして修正案を作成したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/10
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011・柴谷要
○柴谷要君 委員長、関連して。
本日は、山中議員にはたいへん御苦労さまでございます。修正にあたりましての御努力をるる開陳をされまして、私ども参議院といたしましてもその趣旨に沿って努力をしたいということで、実は本日本会議があるにもかかわらず、大蔵委員会は並行審査を要求をいたしまして審議をするという熱意を示したわけでございます。これと申し上げますのも、実は本日と九日と二日間しか審議日数がない、こういう事情でございます。しかしながら、事前に私のほうにはそのようなお話がございましたので、私は、まあできるだけ衆議院のお考えになっておりまする考え方が最もこの法律を処理するにあたって適正である、かような意味から、実は内心協力をいたそうと、こういう決意をいたしたわけでございます。まあしかしながら、参議院があまりにも審議日数が少ないという点も多少危惧をいたしました。この点で私なりに党の各機関におはかりをいたしまして、いろいろと努力をしたわけではございますが、そのような経緯をたどって本日審査をいたしておりますけれども、実は、聞くところによるというと、私の党ほど連絡が密で各機関で十分審議したところはほかにはないようでございます。でありますから、ただいまのように、公明党さんなり、あるいはほかの党からはいろいろ異論が出るかと思いますが、私のほうは正式機関を通じて徹底的に討議をして、しかる上に参議院は十日に間に合わせよう、こういうことに相なった次第でございますけれども、しかし、この問題は、率直に申し上げて、たいへん国民に与える影響が大きいという点を考慮しての参議院としての最大の努力でございます。こういうことがたび重ってはたいへん迷惑をいたしますので、この点だけはぜひひとつお含みの上で、衆議院としては、自後の問題についてはぜひひとつ御配慮を願いたい、このように私は考える次第でございます。これらの点についてちょっと申し上げて、山中先生のもう一段の御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/11
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012・山中貞則
○衆議院議員(山中貞則君) どうもいつも全法案を通じて、参議院にどかどかっと衆議院の事情によって最後に押し込む、これは絶えず私どもの党も参議院から苦情をいわれている同じ悩みが各党おありと思います。そこで、大蔵委員会に限って申し上げますと、まことに申し上げにくいのでありますが、もう一つ皆さま方の絶対反対をされる予定の増税法案そのものが近くもし衆議院を上がりますると、これはまあ五月一日ということにほぼなるかと思いますが、期限があるにいたしましても、やはりもう少し十分審議させる期間がほしいという御意向もまたこれについてもあるかと存じますが、その他の予算関連法案でなくとも、われわれは参議院の審議日程というものを、ことに立ち入った話でありますが、三年に一回の参議院選挙の直前でもありますから、それらの事情も考えまして、なるべく早目に参議院に送りたいということは、これは私どもの党ばかりでなく、与野党みな心がけておりますが、みな各党ともメンツやかけ引きがございましたり、また、私どものところの政府の官房長官の失言が飛び出しましたり、二、三日前は、また大蔵省の役人が勇み足をいたしましたり、いろいろな突発事故が起こりまして、よたよたいたしております。まことに残念なことでありますが、皆さま方にも、同じ立場の大蔵委員でございますので、同じ立場の審議が平等にできるように、私どもは、私ばかりでなく、みな心がけてまいりたい。このことは、私帰りましたら、間違いなく参議院大蔵委員会の、ただいまは社会党の柴谷さんでございますが、各位も同じ御意向であろうと思いますので、そういう御注意のあったということを伝えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/12
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013・須藤五郎
○須藤五郎君 関連。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/13
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014・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 山中さんに対する質問ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/14
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015・須藤五郎
○須藤五郎君 いまの問題で関連して、私、共産党の須藤です。衆議院のほうには、残念ながら大蔵委員はおりません。しかし、各党の意見を聞いたという以上は、たとえ大蔵委員会に共産党の委員がいなくとも、やはり共産党にも連絡すべきものだと私は思うのです。ですから、私は、衆議院のほうの共産党からもこの問題について何ら聞いておりませんし、ほんとうにもう突然こういうことを聞いたようなことなんで、これでは全く困ると思うのですね。かねがね私は衆議院のほうの大蔵委員会の審議の様子などは非常に注意して、いろいろ友人などにも審議のおくれているということを聞き、そしてそれじゃ大体こちらへくるのはこういうころになるのかというめどを自分でつけておりましたが、もう何だか突然上がっちゃって、こういうことは困るのですね。ですから、今後これは前例としないようにしてもらいたいということ。それから、各党の意見は聞かれたと思うのですが、共産党を抜いて。しかし、参議院のほうのこの大蔵委員会に対する連絡があったかどうか、いわゆる委員長なり何かに、こういうことになっているが、どうだろうという意見を求められたかどうか、その点もひとつ伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/15
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016・山中貞則
○衆議院議員(山中貞則君) これは衆議院大蔵委員会には共産党の方はおられませんので、そう言われると一言もないわけでございますが、ただ、委員会の運営は、そこの委員会におられまする各党の代表者、あるいは各党というものとお話をいたしまして委員会運営をいたします。本会議の運営になりますと、当然これは共産党を含めて、議運その他において、賛否なり、あるいは上程期日なり等が審議されるわけでございまして、今後も委員会の中に所属しない党の連絡まで原則としてやれという御意思でございますと、これは単に大蔵委員会のみならず、ほかの委員会等の運営においても、基本的に議運の何かの基準でも定まりませんと、目下のところは全法案についてそういうことになるわけでありますから、いままでの前例としてはございませんので、党機関の中でどのような形でそれを反映させるかもそちらのほうでもお考えをいただきまして、私ども、目下大蔵委員会といたしましては、大蔵委員会に党員を有しない党に対してどのような了解をとるかということについては、ちょっと即答できかねるということでございまして、悪しからずお許しをいただきたいと思います。
それから、参議院の大蔵委員長に連絡したかということでございますが、これは私の権限を越えておりまして、委員会で修正案を上程いたしますときの内容を作成して趣旨を説明いたしましたという立場の理事でございますので、その点は私からはごかんべんを願いたいと思います。先例も後例も、委員会にその政党の代表のいない党員に対して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/16
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017・須藤五郎
○須藤五郎君 こういう短い審議期間を参議院に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/17
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018・山中貞則
○衆議院議員(山中貞則君) わかりました。御趣旨を取り違えておりました。それは先ほども御説明申し上げておりましたので、重複するかと思いますが、私どもは意識的に参議院にわざわざ短い期間をやっても参議院はかまわないというようなつもりは決してございませんで、同じ大蔵委員会として、衆参両院として同じ審議期間を持つのが原則だと思います。しかし、先ほど申しましたように、付託された最初の院である衆議院でいろいろ予測せざる事態等が起こりまして、一方、期限の定めのある法律になりますと、その期限は容赦なく異常事態等には関係なく迫ってまいりまするので、そこらのところはもちろん前例とこれはいたしませんし、今後、先ほどもお答えいたしましたように、参議院大蔵委員会とされても、ことに歳出等の予算が成立しても、歳入が成立しなければ執行できないような歳入欠陥を生ずるわけでありますから、それらの案件等も、ただいま重要な委員会として、これに慎重審議の期間を十分考えて、参議院の委員会日程も考えてやれという御注意がありましたことを、再び繰り返しますが、持ち帰りまして委員会に正式に報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/18
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019・中尾辰義
○中尾辰義君 まず、最初にお伺いしたいのは、四十一年度に物品税の改正がありまして、当時一〇%ないし一五%電気器具等が下げられたそのときにも問題になりましたのは、物品税が下がって、はたして小売り価格が下がるのかどうか、これはまた委員会でも審議の的になったわけですが、その当時の模様を、どういう器具が物品税がどのくらい下がって、小売り価格がどのようになったか、その辺の模様をひとつ最初にお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/19
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020・細見卓
○説明員(細見卓君) お答え申し上げます。
四十一年に物品税をかなり大幅に体系的に下げたわけでございますが、そのときに、御案内のように、物品税を下げても、それが業者の段階にとどまって、国民にまでその恩典が及ばないのでは減税の意味がないじゃないかということが強く言われました。そこで、私どもは通産省その他の関係各省に強く働きかけまして、減税額が少なくとも国民の皆さまに均てんするように行政指導を強く働きかけてほしいということをいたしました結果、ここに若干の当時の事例がございますので申し上げてみたいと思いますが、おおむね一番悪いものでも減税額の七割ないし八割程度は下がっております。ものによりましては一〇〇%を上回るというようなものもございます。あまり下がらなかったと申しますか、七〇%台の引き下げにとどまったものが白黒のテレビ、当時のテレビでございますが、テレビ、それから電気冷蔵庫なども一部は八〇%を若干切るような引き下げになっております。その反面、非常に需要がふえてまいりまして、コスト的にも安くなった面があったかと思いますが、扇風機のようなものを見てまいますと、減税額を上回りまして、減税額の一二七%の引き下げ額というようなことになっております。また、小型自動車にいたしましても減税額がそっくり引き下げになるというようなことでございまして、おおむね物品税の引き下げ額に見合った引き下げが行なわれたということを申し上げられるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/20
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021・中尾辰義
○中尾辰義君 それでは、減税額だけ下がらなかったのもいまの報告ではあったようでありますが、それはどういう理由で下がらなかったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/21
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022・細見卓
○説明員(細見卓君) ちょうどこのころ、まあこれが全部であったとは申しませんが、国鉄の運賃の値上がりもございました。その反面、人件費等の値上がりもあって、私どもとしては一〇〇%をということで強く働きかけたのでありますが、いま言ったようなこの物品税引き下げ以外の値上げ要因というようなものと相殺されてこのような結果になったのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/22
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023・中尾辰義
○中尾辰義君 今度の改正法案が、昭和四十三年度中に期限の到来する特別措置の期限の延長と、この中で現行税率をそのまま延長するものと、現行の税率を漸進的に引き上げて延長するもの等が出ておりますけれども、今度は、物品税は、税率の面からいえば若干これは増税になるわけですね。したがって、今度は小売り価格に対してどういうふうになるのか、値上げになるのか、その辺のところをどういうふうに判断をして、どういうような業界に対する指導をやるのか、それをひとつ聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/23
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024・細見卓
○説明員(細見卓君) 今回の改正と申しますか、暫定措置の打ち切りによりまして税率が上がりますものは、税率といたしますと、大体製造場を出ます価格の五%程度であります。したがいまして、小売り段階での負担として見ますと、まあ一%前後というようなことになります。しかも、これらの物品は、いずれも、どちらかといえば大衆的に消費されるようになって製造量がふえたものであります。したがって、どちらかといえば、価格競争というものにさらされておる品物でありますので、私どもといたしましては、これはおそらくメーカーなり、あるいは流通段階なりで吸収されて、最終消費にまでは反映しないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/24
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025・中尾辰義
○中尾辰義君 それでは、こういったトランジスターテレビ、温蔵庫等が、これは現行税率よりか五%ほど上がるわけでありますが、合理化等によってこの増税分は吸収される、こういうように判断してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/25
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026・細見卓
○説明員(細見卓君) ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/26
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027・中尾辰義
○中尾辰義君 それでは、次に、これはアメリカのドル防衛の一環としてただいま問題になっておりますアメリカの輸入課徴金制度の問題ですが、もしそういう制度をアメリカが採用した場合に、その対抗策としていろんなことを考えられておるでしょうけれども、輸出品に対しての間接税の課税ですね、これは間接税はないと思いますけれども、物によってはあるかもわからぬ。その辺の事情と、それに対して大蔵省としてはどういうような考えを持っておるのか、その辺をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/27
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028・細見卓
○説明員(細見卓君) 物品を輸出いたします場合に、いまいわば輸出に際して還付いたしております制度としては、一つは御案内の関税でございます。関税のかかったものについてこれを還付する方法がございます。それから、いま一つは、日本は個別的に物品税をかけておるわけでありますので、そうした個々の品物について、もし物品税が課せられておる品物でありますと、輸出に際してその物品税を課さない方法によりまして、間接税負担の排除ということによって輸出ドライブをかける方法をやっております。おっしゃるように、アメリカが輸入課徴金等を考えました場合に日本としてどのような措置をとるかということでございますが、御案内のように、同様な輸入課徴金を取るということにいたしますと、日本の場合、多くの品物が原材料であるというようなことがありまして、しかく簡単に対抗措置もとれないということでもありますし、また、日本のように、ある程度の経済成長を遂げながら、しかも、国際収支につきましても若干の問題があるにしましても、それほどの深刻な事態でないのにそういう対抗措置をとるということになると、アメリカ以外の国がどういうふうに日本に対して考えるかというような点も考えてまいらなきゃならないと思います。そういうようなことを考えまして、ただいま御提案して御審議を願っておりまする特別措置におきまして、輸出割り増し償却制度の拡充とか、あるいは海外市場開拓準備金制度の拡充というようなことをいたしまして、日本側からの積極的な輸出体制の強化というような措置で対抗してまいるのが一番よいかと考えていま申したような措置を提案しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/28
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029・中尾辰義
○中尾辰義君 私が申し上げたいのは、輸出品に対しては関税あるいはその他の物品税等はかけない。けれども、たとえばそういう物品の製品を運送する、そういった場合には、当然揮発油に対するところの物品税等は、これはどういうようになるか。まあ、外国等はこういうものにも税金はかけないように聞いておるわけですが、その辺に対する大蔵省側の意向はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/29
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030・細見卓
○説明員(細見卓君) いわゆる隠れた間接税と申しておりますが、直接そのものにかかっておるのじゃなくて、間接的にそのものの生産の過程でかかった間接税を還付するということをおさしになっておるのかと思いますが、かつてイギリスがそういうことによりまして、輸出リベート制度をとったわけでありますが、こうしたリベート制度をとる場合におきましても、一つは、どの程度の額をどの品目に返したらいいかということについて、国際的にも了解を得なければならない。御承知のように、非合理な、あるいは国際的に受諾されない措置をとりますと相手国の対抗措置を呼ぶわけでありますから、そういう意味で、外国からも了承を受けるような根拠のある合理的な制度をとろうということになりますと、かなり綿密な計算をしなければならない。イギリスで見ましても、この輸出リベート制度をとるために一年有余の準備をしたということがいわれておりますが、わが国の場合は、そうした準備もさることながら、基本的な統計の整備の問題もございます。そうした技術的な困難のほかに、いま一つ日本でいわれておりまする対米輸出等の困難な問題と申しますのは、主として軽工業用品であるわけでありますが、軽工業用品ということになりますと、いま申される隠れた間接税というのは、どちらかといえば、たとえば物を運ぶときの運賃であるとか、あるいは、また、ガソリン税であるとか、あるいは極端な場合はエアコンデションにした工場のそうした電気器具に対する間接税であるとかいうようなことになるわけでありますが、いま輸出上問題となりまする中小企業の商品とかあるいは、また、軽工業の製品というものにこうしたものが実金額として入らないというような悩みもございまして、この問題はなかなかむずかしい問題であろうかと思っております。なお、日本が、かりにそういう措置をいたしますといたしましても、すべての国に大体そういう意味での隠れた間接税というのはあるわけでございますので、結局相互に対抗措置をとれば一種の一律の関税引き上げというようなことにもなろう。まして、御案内のように、日本は、輸出税——間接税と直接税の割合で見ましても四割程度で、世界的に見ても、どちらかといえば間接税の低い国でありますので、それを還付するという場合は、それほど有効な手段になり得ないという問題があることも御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/30
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031・中尾辰義
○中尾辰義君 念のためにお伺いしますが、先ほどの答弁で、今度の物品税が多少増税になる。その場合には増税分は合理化によって吸収される、こういうふうに考えられるとおっしゃったのですが、その点は、そうしたらその税金の分だけ物価は上がらない、こういうふうに考えられるわけですか、その点をもう一ぺん念のためにお伺いしておきます。私はどうしても今回は上がるように思うわけです。それによってやはりこれは賛成か反対か、態度をきめなければなりませんので、ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/31
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032・細見卓
○説明員(細見卓君) 私どもが把握しております事情に関する限りは、この問題で上がるということはないと思います。ただ、全体といたしまして、物価が他のいろいろな要素で上がっておりますので、そうしたいわゆる便乗というようなものが起こらないようにするのが私どもの当面の行政指導であって、ただ、一般的にこうした間接税が若干でも重くなったものがいつまでも上がらないかどうかということ、これはまた別の問題として御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/32
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033・中尾辰義
○中尾辰義君 それじゃ本論に入りまして、いつもいわれることですけれども、物品税を課税する根拠ですね、根拠についてひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/33
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034・細見卓
○説明員(細見卓君) 御承知のように、物品税は北支事変のときに始まった制度でございますが、その当時は奢侈品の課税ということであり、それがさらに財政事情で一般的な消費抑制というような観点まで加わりまして、そうした性格が今日の物品税の中に二つの性格として残っておろうかと思います。ただ、現在の物品税をどのように考えておるかということでございますと、これは奢侈品とか、あるいは趣味、娯楽にわたるもの、あるいは嗜好品といったようなものに対しましてかける。なお、特殊なものとして非常に便益性の高い、たとえば自動車といったようなものでありますが、そういう消費に示されますいわば高価なものにかけるという、担税力に応じてそこに課税の原因を見出しておるというのが物品税の税としての性格であろうかと思います。したがって、課税の対象になっておりますのは、御承知のように、高級な消費財が選定されており、それにも段階税率を設けておるというようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/34
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035・中尾辰義
○中尾辰義君 物品税は消費抑制と、こういう意味合いがあるといまおっしゃったわけですが、現時点におきましてはこういう考えは若干不適じゃないかと思うわけです。ぜいたく品には課税をして、生活必需品に対してはなるべく非課税にする、これがほんとうだと思うわけですが、そこでお伺いしたいのは、この消費税にはいろいろ種類があるわけです。消費税の体系に入っておるのは税法上どういうような税法があるか、まずそれをひとつ最初に税法の名目だけあげてみてください。これは国税と地方税に分けて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/35
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036・細見卓
○説明員(細見卓君) 国税から申し上げますと、国税で代表的なものは酒に対する酒税、物品税でございまして、そのほか現在非常に課税が高くなっているものとして石油に対する揮発油税、地方道路税がございます。それから、それと並ぶものとして石油ガス税が創設されております。それから砂糖消費税、入場税、それから、消費税の一つの体系としては、たばこ専売制度でございますが、たばこ専売益金というものを加えていいのではないかと考えます。
地方税で申しますと、揮発油に見合いまして軽油引取税というのがございます。それから娯楽施設利用税、電気ガス税、それから料理飲食等消費税、いわゆる料飲税といわれるものがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/36
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037・中尾辰義
○中尾辰義君 それでは、ただいま言われました消費税ですね、これを国民の立場から、こういった消費物資に対してどのくらいの税金がかかっているのか、それを知りたがっているところですから、なかなかめんどうでしょうが、それの税目と、それから課税対象、それから品目、それから単位ですね、それと小売り価格の値段、それと税の負担割合、それをずっとひとつ報告してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/37
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038・細見卓
○説明員(細見卓君) 申し上げます。
ただ、最初にお断わりしなければなりませんのは、小売り価格でございますが、この点は、私どもの調査は大体標準的なものをとらまえたつもりでございますが、小売り価格でございますので、若干移動があることをあらかじめ御了承置き願いたいと思います。
まず、酒税について申し上げますと、これは課税の対象は酒でございます。で、清酒につきましては、特級、一級、二級という級別制度によって級別課税を行なっているわけでございますが、これは便宜上、一・八リットル単位のものを申し上げたいと思います。特級でございますと小売り価格が千五十円で、現在の税額四百五十三円七十八銭、四三・二%、これは改正前の現行でございます。それから、一級の小売り価格は、これも単位は一・八リットルでございますが、七百五十円で、二百七十三円七十八銭、三六・五%、御案内のように、この特級、一級につきまして若干の値上げを改正案として御提案しているわけでございます。それから、二級は小売りが五百五十円で、百五十四円四十四銭、二八・一%となっております。それから、ビールが六百三十三ミリリットルのびんで小売り価格が百二十円、税額が六十円十三銭、五〇・一%の負担になります。しょうちゅう甲類、二十五度のものでございますが、同じく一・八リミットルで小売り価格は三百六十円、税額が八十七円四十八銭で、負担割合は二四・三%、対小売り価格でございます。
それから物品税、これは品目が非常に多種多様でございますので、若干代表的なものを申し上げますと、ダイヤの指輪で申し上げてみますと、これは価格はいろいろあろうかと思いますが、十万円のもので見ますと、これは御承知のように、小売り課税になっておりますが、一万六千六百六十六円六十六銭、一六・七%の負担になります、それから銀ギツネの毛皮のえり巻きでございますが、これは大体四万円くらいの小売り価格のものといたしますと、六千六百六十六円程度の小売り課税になりまして、一六・七%、小型乗用車でございますと、これは一五〇〇cc程度のものでございますが、一台かりに五十六万二千円の小売り価格のものをとってみますと、五万六千二百円の負担で、一〇%ということになります。それからゴルフクラブでございますが、ウッドの国産のもので見てみますと、一本四千円くらいで、これに対する課税が八百円、二〇%の課税となります。それからテレビジョンの十九型のもので申しますと、一台五万九千八百円程度になっておりますが、税額が四千八百三十六円で、八・一%、電気冷蔵庫百リットルのもので六万一千五百円の小売り価格で、五千五十三円程度の負担で、八・二%に負担割合はなっております。サイダー、これは人工甘味料を併用したものでありますが、三百四十ミリリットルで二十五円、物品税の負担が七十九銭で、三・二%の負担になります。それから砂糖消費税で申し上げますと、白砂糖で申し上げまして一キログラムが百三十円で、これに対する砂糖消費税が十六円、負担割合は一二・三%になっております。それから揮発油税及び地方道路税で申しますと、揮発油が、単位で小口用の一リットル、かりにこれも小売り値段いろいろあろうかと思いますが、五十五円で見ますと二十八円七十銭の負担で五二・二%の負担になります。それから石油ガス税でございますが、これはもちろん石油ガスが課税対象で、同じく一リットルでいいますと十七円二十八銭の小売り価格で五円六十銭、税額負担は三二・四%となっております。それからトランプ類です。先ほど品目をあげるときにあるいは忘れたかと思いますが、トランプ類税がございまして、これはたとえばマージャンで申しますと、一組五千五百円のものでありますと、税額が、五百円、九・一%、入場税で申しますと、映画入場料金、まあこれもいろいろあろうかと思いますが、一人一回四百五十円の入場料金といたしますと、入場税は四十円九十一銭で、九・一%の負担になります。それから、たばこは、これはいろいろなものがありますが、両切りピースで申しますと、四十円で二十二円三十二銭が専売益金になり、負担で申しますと五五・八%、ハイライトが二十本入りで七十円の小売り価格に対して、益金は四十円六十銭、五八%というようなことになっております。
地方税で申し上げますと、ほぼ大同小異ではございますが、軽油引取税で申しますと、一リットルが三十円四十銭、軽油税十五円、負担割合は四九・三%、それから娯楽施設利用税のゴルフ場の使用税でございますが、ビジターフィについてかかるわけでありますが、かりにビジターフィ四千六百円の場合として計算いたしまして、娯楽施設利用税が六百円かかりまして、二二%という負担割合になります。電気ガス税でありますと、電気料金が四人世帯一カ月かりに千四十五円程度の電気料金を払ったといたしまして、税額が六十八円三十六銭、六・五%ぐらいの負担になります。それから料理飲食等消費税でありますが、これはまさに小売り価格はわからないものでありますが、かりに二千九百二十円ぐらいの宿泊費、普通旅館に泊って一泊二食程度で二千九百二十円程度の小売り価格であったとしますと、税額は百七十円で、負担割合は五・八%、先ほども申しましたように、この小売り価格のところはいろいろ御議論もあろう数字であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/38
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039・中尾辰義
○中尾辰義君 いまお伺いしたのですが、非常にまあこういった物品税の中にも、われわれが聞いて非常にアンバランスがあるように思うわけです。この物品税の第一種の物品に対しては、これはまあ貴金属類は二〇%程度になっている。それから高級自動車で四〇%ですね。それから、あるいはマッチに対しては千本につき一円と、こういうような生活必需品にも税金がかかっておりますが、このアンバランスはあなたのほうで考える必要があるのじゃないかと思うわけでありますが、それでお伺いしたいのは、なぜこの貴金属なんかが二〇%くらいになっておるのか、あるいは自動車の四〇%、このマッチの一円、こういったような点について若干説明を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/39
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040・細見卓
○説明員(細見卓君) 最初の貴金属等に対する課税でありますが、これは小売りに対する課税方式で、税率も、したがって対小売り価格ということになっておるわけです。これを自動車のような製造場からの引き取り価格に対する課税としてかりに置きかえてみますと、大体三〇%よりも四〇%に近いくらいのところに——もちろん小売り利潤その他によって違いますので、一がいには言えませんが、それくらいのところになろうかと思います。したがいまして、物品税全体としてまあ二〇%ないし一五%のところに標準税率を置いて、あまり奢侈的なものは加重していく、三〇%あるいは四〇%の課税をしてまいり、一方、生活必需品に近い、あるいは生活に日常親しまれておるというようなものは軽減して、一〇%とか五%とかの税率を置いておることは御案内のとおりでありますが、その意味におきまして、現在の物品税の中で一番高い税率四〇%というところに高級自動車だとか、あるいは大型のモーターボート、あるいは宝石、あるいは貴金属、あるいは貴金属製の時計といったようなものが入っておりまして、現行の物品税体系を是認いたします税率としては、これをまあ一〇〇%も二〇〇%も全体として取れというお話であれば、これは別でございますが、全体としては大体バランスがとれておるのではないかと思います。マッチについて申し上げますと、確かにマッチに税をかけておるわけでありますが、これが必需品であることもわれわれもよく承知してます。ただ、御承知願いたい点は、マッチは、実は広告用が六割近い需要になっております。家庭用で消費いたしますものは四割程度でございまして、まあそうした事情もあろうかと思いますが、マッチに課税をいたしておりますのは日本だけではなくて、アメリカでありますとかイギリス、ドイツ、イタリア、フランスといったような、特にイタリア、フランスといったような国は専売制度にいたしておるようなわけで、大体このマッチに対しては、かなり歴史的な、あるいは沿革的な理由があるのだとは思いますが、課税が行なわれております。日本におきましても何回かこのマッチに対する課税は問題になってきてはおりますが、現在家庭用大箱、一箱千本入りのものでありますが、これに対して一円かかっておるわけでありますが、この小売り価格が四十五円になっておりまして、まあ一円程度というようなことで、なお、これは正式に申し上げることははばかるべきことなのかもしれませんが、業界のいろいろ統制上の問題等もありまして、まあ一円というのが今日まで残っておるわけです。私どもも、物品税を見直します機会に、このマッチの課税というのはやはり見直さなければならない問題だということは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/40
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041・中尾辰義
○中尾辰義君 そのマッチの場合ですね、まあ広告をしないのがあるわけですね。ですから、広告をしたものが六割もあるとおっしゃれば、広告をしたものだけに対して税金をかける、こういうふうにしたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/41
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042・細見卓
○説明員(細見卓君) おっしゃることはよくわかるのでありますが、担税力を考えます限り、御趣旨のような方法というのは一つの方向だと思います。ただ、現実に執行いたします場合に、広告用に詰めかえますのは製造所を出たあとになるのでございますので、その辺をどういうふうにしてチェックするか。先ほどちょっと申しましたように、千本一円の課税、確かにまあおかしいといえばおかしいのでありますが、この中には、マッチのメーカーが大体中小企業でありまして、いわゆる団体としての調製証紙といったような、マッチメーカーとしてのいろいろな調整規則によりまして、つまり何といいますか、ある程度の生産をコントロールしておるようなその調製証紙を貼付しておるわけですが、そういうことが必要であるように、非常に中小メーカーが多いのでございますから、ましてそれを工場を出た外で家庭用と広告用というようなものを振り分けるということになりますと非常にむずかしいので、むしろその場合は一切免除するという方向での検討のほうが技術的には可能なことじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/42
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043・中尾辰義
○中尾辰義君 今度の改正案で、新しくドリンク剤が、現在は非課税のものが五%これから課税をされる、こういうようになっておりますが、ドリンク剤というのは、これは飲料剤になるのか、それとも薬品なのか、そういう点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/43
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044・細見卓
○説明員(細見卓君) 二種類あると申せば一番的確なのかもわからないのでございますが、ドリンク剤として栄養になり、あるいは体力を回復するものもございますし、どちらかといえば、いわゆる嗜好的な飲料に近いようなものもございまして、今回の課税の改正にあたっては、その薬品を課税するのではなくて、非常にいま嗜好品的なものであって、広告等もはでであり、あるいは、また、一日に何本飲んでも同じこと、効果はあるでしょうが、一日何本でも飲めるというようなものは薬でないというような点を考えまして、本来、薬として飲ませるべきものは非課税にし、そうでない一般の清涼飲料、あるいは果実水等と近い性質のものは、これは課税していいんじゃないかというような考え方になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/44
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045・中尾辰義
○中尾辰義君 そうすると、いまのところ、厚生省の判断はどういうふうにドリンク剤を認めておるのですか。ものによっては薬品と認め、ものによっては飲料剤だと、ケースケースによって違うわけですが、その点をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/45
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046・細見卓
○説明員(細見卓君) 私ども医薬としての厳密な点は実はわからないのでございますが、課税するしないの問題として考えられます一つの観点は、非常にはでに大量的に販売するようなものが果実水等に対する圧迫になるという点からドリンク剤の課税ということが考えられた経緯からいたしまして、物品税としてのドリンク剤を考えるときには、そうした本来課税されるべきものでなく、医薬品としてのドリンク剤が医薬品らしく売られ、医薬品らしく保管されるということを要求したいということで、厚生省と話合いまして、厚生省としてはそういう方法できつく取り締まるというふうに私どもに連絡がございますので、そうした措置を待ってそうした医薬品として扱うべきものの非課税を考えてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/46
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047・中尾辰義
○中尾辰義君 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/47
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048・須藤五郎
○須藤五郎君 まず、通産省のほうから御質問いたします。通産省のほうにまず質問をいたしたいと思いますが、今度の物品税法によりまして、小型カラーテレビ、温蔵庫、大型ルームクーラーは税率を引き上げられ、その適用期限が延長された。また、カラーテレビ、カラーフィルム、小型レコード、ステレオ演奏装置、ドリンク剤、カークーラー、この六品目は暫定軽減税率が打ち切られて、基本税率に戻される、そのため税率が上げられることになりました。これらの品目の最近の生産量と販売量のうち、一般家庭に売られたものの比率をひとつ示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/48
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049・久留義雄
○説明員(久留義雄君) 私、実は電機通信機課長でございまして、したがいまして、いまいろいろ御質問のございましたうちで、私の担当しておりますのは家庭用電気器具でございますので、それだけに限ってよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/49
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050・須藤五郎
○須藤五郎君 ほかのものは答えができないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/50
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051・久留義雄
○説明員(久留義雄君) 私だけしか出てきておりません。したがいまして、ステレオとかカラーテレビでございますね、それからトランジスターラジオ、こういったものについてはわかっておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/51
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052・須藤五郎
○須藤五郎君 出てきてないのじゃ、それはまたあとのことにしまして、わかっておるだけ答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/52
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053・久留義雄
○説明員(久留義雄君) まず、生産を申し上げますが、四十二年度でございますが、これは一部推定が入りますが、カラーテレビを申し上げますと、百二十四万台の生産が行なわれました。そうして四十三年度におきましては二百十五万台ということで、約七三%アップの生産を見込んでおります。それで、現在どれくらい在庫があって、どれくらい消費されておるかということについては、ちょっと生産統計がございませんけれども、大体非常に売れ行きがいいという状況でございますので、ほとんどこの程度のものはタイムラグがあるといたしましても、一応消費されておると言っていいのではないかと思います。それから、パッケージ型ルームクーラーでございますが、これにつきましては、四十二年度におきましては、産業いたされましたのが大体七万九千台でございまして、本年度、四十三年度におきましては九万八千台ということになっております。それで、このパッケージ型ルームクーラーにつきましては、これがほとんど業務用でございまして、家庭用に使われているものではございません。それから、ステレオでございますけれども、生産が昨年におきましては百六十八万台に対しまして、本年度の生産は百八十五万台ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/53
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054・須藤五郎
○須藤五郎君 カラーテレビなどはこれからどんどんと利用者がふえるんですね。私の知っている店でテレビを販売するところで聞きますと、これまで白黒を持っておった人が買いかえるときは必ずカラーを買うそうですね。ですから、カラーテレビはこれからいわゆる一般家庭にどんどん入っていく方向にあると思うのですね。それで、もう一つお尋ねしますが、通産省はこれらの物品は一般家庭用耐久消費財であると、こういうふうに考えていらっしゃるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/54
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055・久留義雄
○説明員(久留義雄君) 家庭用の耐久消費財であるということは言えるかと思います。もちろん先ほど申し上げましたように、パッケージ型ルームクーラー、あるいは温蔵庫、先ほど温蔵庫の数量を申し上げませんでしたが、温蔵庫等につきましては、これは業務用でございますから、家庭用ではありませんが、それ以外のステレオ、トランジスタテレビ、あるいはカラーテレビでございますか、こういうものは一応家庭用と申していいと思いますが、ただ、一般的な、あるいは大衆的と言いかえましょうか、大衆的な耐久消費財であるかどうかということにつきましては、やや疑問があろうかと思うのでございまして、実はまだカラーテレビの普及率は現段階におきましてはわずか一・六%でございますし、ステレオのごときも二〇%弱というような状況でございますので、家庭用の耐久消費財とはいいながら、まだ一般化されていない状況ではなかろうか、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/55
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056・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、いまの話で伺っておりましても、税率引き上げを行なったのは一般家庭が日常使うところの耐久消費財、こういうことが大体言えるのじゃないかと思いますが、今度の税率の引き上げというものは大衆課税だと、こういうことは私は大衆増税だということが言えるのじゃなかろうかと思うのです。大蔵省は、これらの物品は一体奢侈品、こういうふうに考えておるのかどうかという点をちょっと聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/56
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057・細見卓
○説明員(細見卓君) 奢侈品とか一般家庭用品とかいう区別はなかなかむずかしいものでありますが、たとえばカラーテレビで申し上げますと、一般のテレビはすでに一五%になっているわけです。まあそういう意味ではカラーテレビのほうが通常より高級なものだと考えられますので、それに税率が合ってくるということは、私はそれほどのカラーテレビが大型テレビに比べて、より大衆的であるということはないかと思います。ほかのものにつきましても、先ほど通産省からもお答えがありましたように、手持ち率というような点から考えてまいりますと、たとえばラジオ、あるいは一般の蓄音機というようなものに比べまして、ステレオ装置というのはより高級な耐久消費財である、かように考えまして、また、そういうように考えましたから、この点ほかのものとの税率の調整をはかった上で、育成段階が終わって、まあ先生がおっしゃったように、だんだん家庭用品になっていく過程であろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/57
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058・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、カラーテレビは奢侈品じゃないのだ、そういう見解ですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/58
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059・細見卓
○説明員(細見卓君) 現在のテレビよりも高価であるという意味では高価なものであると思います。しかし、同時に、人間の情操と申しますか、見て楽しむことについての、そういう目の肥えてまいりますのにつれて、普通の白黒テレビよりもカラーテレビが喜ばれてきて、国民の所得水準の向上とともに、より普及してまいるものであろうとは思いますが、いま申し上げられることは、白黒のテレビよりはカラーテレビがより高級だということは言えようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/59
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060・須藤五郎
○須藤五郎君 じゃ、ステレオは奢侈品ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/60
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061・細見卓
○説明員(細見卓君) 高価なものでありますが、だんだん日常生活に出てきておる、まさに奢侈品と日用品との間にだんだん近づいてきておる、かように申し上げる以外にないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/61
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062・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、奢侈品だから税をかけるというのじゃなしに、値段が高いからかけるという、そこはどうなんです。物の性質によって税金をかけるのか、値段によって税をかけるのか。それならカラーテレビ、ステレオがいま十五万円くらいしているものが普通のテレビと同じような価格にできるようになる。それからカラーテレビもステレオも、みんないまよりずっと値が下がってくれば、もうそのカラーテレビにかけた税とステレオにかけた税率というものはもとに戻すのですか、どういうものなんですか。物の税率、これは奢侈品だから税率が普通のものよりも高いのか、それの値段が高いから税率は高いのか。値段が高いからというなら、これまでの普通のテレビの税率で、値段が高ければそれだけ税率が高くなるので、税率まで引き上げる必要はないのです。税率をなんで変えるのか、奢侈品だからといって変えるのか、値段が高いからというのでこういうふうに税率を変えるのか、そこをちょっと聞いておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/62
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063・細見卓
○説明員(細見卓君) カラーテレビは普通の白黒のテレビと同じ税率になりまして、いままでの一三%というのは、普及生産の拡充段階に対する一種の税制上のインセンティブとして一三%という、特別の文字どおり暫定軽減税率を適用しておったのでありまして、普通の白黒のテレビと同じ税率になるということであります。
なお、奢侈品であるとか、あるいは高価であるとかいう概念と同様、先ほどもちょっと申し上げましたように、娯楽性ということも物品税の課税の一つの要因に入れております。ただ、その娯楽性と、あるいは生活奢侈性といったようなものにつきましては、先ほども申しましたように、所得水準とか、あるいは生活水準とか、あるいは、また、文化生活の水準といったようなものは、これは年々変わってまいり、または向上するものでありますので、その意味におきまして、あるときには奢侈であり、あるいは娯楽的だと思われたものが、たとえばより生活に日常的なものになってくる。それは、そのために物品税については五年程度の期間を置いて見直していかなければならないことになるのも、そうしたところに一つの原因があるのだ、かように考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/63
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064・須藤五郎
○須藤五郎君 白黒のテレビが高いということ、この場合、それの私は意見があるのですよ。そんなものは、むしろカラーテレビはそのままにしておいて白黒を下げるべきなんですよ。上のほうへ合わすというのはどうしてもわれわれは納得できないのですね。そうすると、カラーテレビは値段が高いから上げるのだ。あなたいま言うた奢侈品じゃない、値段が高いから上げるんだ、これもおかしい理屈だと思うのですね、値段が高いからというのは。そこらがまた税をかけられる性格がはっきりしないのですよ。一体奢侈品だから、奢侈品的な性格を持っているから税を上げるというのか、値段が高いから税を上げるのか、そこがどうもはっきりしない。奢侈品だというなら、ぼくは奢侈品でないという論争をしたいのです。カラーテレビが奢侈品か、ステレオが奢侈品かということなんです。そうすると、どこかでその税をかける限界というものは、一切値段でかけるなら値段で線を引かなければならない。白黒でもカラーでもステレオでも、これだけの値段のもの以下のものは税を下げる、これ以上は税をかける、値段でいくならばその一線を引かなければならない。奢侈品だというなら、これは同様に考えていかなければならない。それは奢侈品であるかどうかという論争をしなければならない。何だか税の対象にする目的がはっきりわからないのです、大蔵省の言っているのは。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/64
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065・細見卓
○説明員(細見卓君) 先ほど中尾先生にもお答え申し上げましたように、日本におきまする消費税としての物品税は、一般的な売り上げ税というのではなくて、ある程度便益がある一種の耐久消費財のようなものが中心になりまして、その辺が大体一五ないし二〇%程度の税率で、その前後に物品税全体としての課税体系が構成されておるわけでありますので、そういう意味で一五ないし二〇という税率の現在の物品税がかかっておる。普通のあたりまえのものというふうに考えて、私どもは、物品税をやめるということであれば別でございますが、物品税制度を残す限り、やはりその辺のところを一つのめどにして、制度上からの取得価格に対する一五ないし二〇というところを物品税としての普通の、かなり耐久性のある、あるいは便益性の高い商品に対してはその辺のところでかけるのが、少なくとも、これは物品税でございますので、かなり沿革的な面もございますが、そういうものとして価格にも転嫁されておるし、税として受け入れられておると、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/65
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066・須藤五郎
○須藤五郎君 それじゃもう一ぺん聞きますが、音楽はぜいたく品ですか、何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/66
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067・細見卓
○説明員(細見卓君) 音楽の問題は先生のほうにお伺いしなきゃなりませんのでわかりませんが、私どもは、楽器とかにつきましては、やはりその消費の態様、そういうものが一般の家庭にどの程度持たれておるかということを考えまして、普通の物品税率一五%程度のものは課せられても、現在のところまでは少なくとも受け入れられてきたと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/67
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068・須藤五郎
○須藤五郎君 テレビはいま二千万台出ているんですね、NHKの発表では。そうすると、一億の人口で二千万台テレビが出ておるといえば、これはもうぜいたく品じゃないでしょう、生活必需品ですよ、これは。それで、テレビ、ステレオという生活必需品なりはどんどんふえていくんですからね。もう白黒にかわってカラーが入るんですよ。だから、カラーテレビの税率を上げるということは大衆課税を引き上げるということなんです。あなたたちは税金を取ることだけ考えて、何も大衆の立場に立ってものを考えないからそんなことを考えているんですよ。音楽は、これは生活必需品であり、人間の教養に絶対なくちゃならぬことなんですよ、そうでしょう。それを税金を上げるなんて何です。普通のなまの音楽を聞きに行くと入場税を取るでしょう、これまた税金を出さなきゃ音楽をわれわれ聞くことができない。ステレオというのは、よりよく音楽を聞く一つの機械ですよ。普通のラジオじゃ聞けない音が出てくるんです。だから、音楽を愛する人は、より一そういい機械を買い求めたいんですよ。それをステレオへも税金をかけてくる。なまを聞きに行けば入場税を取られる。ステレオを買えばまた税金を取られる。あなたたちは音楽に税金をかけるという、全く文化性もないじゃないですか。そんなことで日本人の教養なんて問題にできますか。税金を取るだけが大蔵省の役目じゃないんですよ。こういう点をよく考えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/68
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069・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) ただいま音楽はどうかというお尋ねでございますが、音楽は、これは私どもは、人間の情操を養う上に、また、われわれ娯楽上ぜひ必要なものである、こういうふうに考えておるのでございます。で、いまのカラーテレビに税金るかけると、こういうことで、これはもういまでは一般大衆用品になっておるじゃないかと、こういうお説がございましたが、まだほかの白黒に比べればカラーテレビを買う人が少ないのでございまして、これもだんだん日本の経済が発展して、国民が全部これを用いるということになれば税金を私はかけぬようにしなければならぬ、かように考えておるもので、いままだその段階でございませんので、ひとつ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/69
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070・須藤五郎
○須藤五郎君 それはあなたの考え方とぼくの考え方がさか立ちですわ。音楽は聞かさなきゃならぬ、カラーテレビは大衆化しなきゃいかぬと、そのためには税金を取るべきじゃない、値段を下げなきゃならぬ。税金をかければ値段は下がらないですよ。値段が上がればよけいに買いにくくなるんですよ。だから、大衆化さすためには税金を下げる、カラーテレビ、ステレオ、全部税金をやめるということです。そして音楽なりテレビを大衆化するということ、これが日本人の教養を高め、娯楽性を豊富にしていくということです。あなたたちの大蔵省のやり方は税金を取ることだけ考えていて、こういう面を全然抜きにしているから話にならないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/70
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071・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) 税金を取ることばかり考えておりません。いまあなたがおっしゃるように、これがほんとうに国民大衆に行き渡っていったならば私は税金をやめるべきである、かように考えておるが、現段階においては、まだまだカラーテレビというものは上層階級のほうに多いのでございまして、まだ一般大衆のものというわけにいきませんからかけておるわけでありますが、いまの御説のようになるようなことをわれわれは希望いたしておりますから、その点は御了承を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/71
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072・須藤五郎
○須藤五郎君 私の意見とは全く違う。音楽論、芸術論をこの人たちとやっても、みつぎ取りと芸術論をやっても話にならない。全くわからぬ人たちが相手ですからどうにもならぬが、しかし、私の意見は正しい意見ですよ。だから大蔵省は考えなければいかぬ。むしろカラーテレビの率を白黒テレビの率に下げるというこの工作が必要なんですが、それを上げていくことはわれわれはどうしても納得できない、そういう点を私は言うわけですよ。
それじゃもう一つはっきりしておきたいのは、品物にかけるのか。ぜいたくということで、また、利用者が少ないから税率を上げるというカテーテレビに対する考え方なら、これは品物ですよ。値段じゃない、そうすると、大蔵省の人は、値段が高いから税金をかける。そうすると、値段が高いからかけるのか、品物がぜいたくだからかけるのか、そこなんですよ、私ははっきりしておきたいのは。そうじゃないとどうもわからない点がある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/72
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073・細見卓
○説明員(細見卓君) そこは、先ほども申し上げましたように、消費の性質と、それに払われております担税力、この両面をとらまえて課税いたしておるわけでございますので、それを見る一つの準拠するものとして、一面に高価性ということがあると思います。それから、一面に奢侈、あるいは奢侈性というようなものがあろうかと思います。それから、他面、先ほど申しましたように、娯楽性とか、あるいは日常生活との関連性の薄さというような面、そうしたものがございまして、これは一つの品物が厳密にいずれかに分類できるかということになれば、それはおっしゃるように、いろいろ見解もございましょうが、多分に物品税は沿革的な面もございますし、それから、一つの物品が課税され、同種類の物品が課税されないということになりますと競争上適正でない、競争条件を乱すという要素もございますので、そういう意味での横のバランスもとらなければならないいろいろな要素があって課税をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/73
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074・須藤五郎
○須藤五郎君 それじゃ同じ物品税を上げるなら、先ほど中尾さんも質問なさったのじゃないかと思いますが、物品税を上げるなら、何でダイヤモンド、サファイヤ、こういうものこそ私は奢侈品だと思うのですよ。そういうものの税率を上げないで、それで一般家庭用のいま言ったような品物ですね、この税率を何で引き上げるのですかという点なんですね。銀ギツネは一六・七%、ダイヤモンド、これも一六・七%でしょう、率が低い。そうしてテレビなんか一五%に今度なるのですか、そういうことをするのです。おかしいじゃないですか。だから奢侈品にかけるのか値段にかけるのかと聞いているのですよ。性格がわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/74
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075・細見卓
○説明員(細見卓君) これは先ほど中尾先生にお話をいたしたわけですが、もし先ほど申されました数字を比べられましたら、この宝石とか貴金属に対する課税は対小売りの価格でございますので、これをメーカー段階に還元いたしますと、これが四〇%、あるいは三十数%、いわば最高の税率になるわけであります。そういう意味で、先ほども申しましたように、二〇%ないし一五%というところを基準にして、一番高級品には四〇%の税率を適用する、四〇%の部類に入っておるということだけは申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/75
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076・須藤五郎
○須藤五郎君 ダイヤモンドのこの間新聞の広告を見ておりましたら、課税すれすれのダイヤモンドと書いて、〇・一カラットだかどれだけか忘れましたが、白金台で、そのくらいのダイヤモンドの指輪が一万四、五千円なんです。これが課税の最低限のすれすれだという広告でお客さんを集めておりました。そうすると、ダイヤモンドの白金台の指輪といえども、一万五千円なら税金をかけない、それ以上はかけるということ、これはダイヤモンドだから税金をかけるというのじゃなしに、やはり価格によって税金をかけるという線が引かれている。そうすると従来どうなんだということになる。そうすると、ステレオとかそういうようなものは、問題は価格じゃなしに、ステレオというものに税金をかける、合わないじゃないですか。どうですか、そこらは私はどうも納得がいかぬ。ダイヤモンドは価格によって税金をかける、ステレオは価格によらない。カラーテレビは価格によってでなく、物の性質によってかける、合わぬじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/76
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077・細見卓
○説明員(細見卓君) ダイヤモンドの課税につきまして免税点を置いておりますのは、これは小売り課税でありまして、免税点を置かないということになりますと、非常に多数の小売り店はみんな納税義務者になっていただかなければならないということで、町の小さな小売り店、一万五千円以下のようなダイヤモンドということになりますと、ダイヤモンドとしてはかなり低いグレードのものだろうと思いますが、そういうものを扱う店まで全部課税対象に拾ってくるというのは、執行上もたいへんでありますし、また、物品税というか、そうした小さな小売り店も全部納税のわずらわしさを忍んでもらわなければならないというようなこと、両方を考えまして、この際免税点を置いたほうがいいのではないか。したがいまして、ほかにも家具類とか、その他みんなある程度低価なもの、中小企業でつくっておられる値段の高くないものは免税するという措置をとっておるのと一連の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/77
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078・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、ダイヤモンドだけは、何ですか、一万五千円以下のものは税金を取るのはめんどうくさいから、だからかけない、それは大蔵省の一方的な都合で便宜主義なんですよ。これはそれじゃほかの品物も一万五千円以下は税金を取らないことにしたらどうですか。ほかの品物は百円のものでも税金の対象にする。たばこ一つ買うても税金の対象にする。ところが、ダイヤモンドに限って一万五千円以下は税金の対象にはならない、これはおかしい。どう考えてもそこらの区別が合わない。ほんとうに大蔵省は便宜主義ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/78
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079・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) 便宜主義ということでもございませんが、まあいまダイヤモンドのお話がございましたが、一万五千円ぐらいの価格であれば一般大衆がこれは買う。それから、また、高額な品物になれば、これは上層の者でなければ買わない。そういうことでございますから、一万五千円くらいまでならば税金をかけぬでもよかろう、こういうことでございまして、いまの奢侈品にかけるか、あるいは価格でかけるか、こういう御質問もございましたが、それは両方相勘案して税金をかけるということに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/79
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080・須藤五郎
○須藤五郎君 どうもおかしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/80
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081・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) いや、そりゃ品物だけでかけるというわけではございませんから、それは価格の高いものは上層の者でなければ買いませんから、それには税金をかける、大衆の買われるものに対してはなるべく税金をかけない。いま中尾先生からも前にお話がございましたが、マッチなども、これは私は考えなければいけない問題であろうと思う。今日マッチなどは、これはもう日用品ですよ。日本に入った当座はマッチもまことに貴重品であったから何でありますが、今日では日用品であるから、これはひとつ考えなければならぬ。いまあなたのお説もよくわかりましたが、また物品税については検討をしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/81
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082・須藤五郎
○須藤五郎君 ダイヤモンドは値段できめるのですよ。ぼくらはダイヤモンドこそ値段できめないで、ああいう貴金属ですね、一万五千円といえども貴金属です。プラチナは貴金属ですし、ダイヤモンドは貴金属です。だから、そういうものには一万五千円の指輪といえども税金を取ったらいいと私は思うのです。そうしたらステレオが一万五千円でできるようになったら税金を取らないですか。そりゃやはり取るでしょう。いまの価格で線を引かないで、品物できめているのですからステレオも税金を取る、それで、一万五千円でステレオができても税金を取る。ダイヤモンドは一万五千円で線を引いているそういうやり方がおかしいじゃないかというのですよ。そりゃやはりダイヤモンドを買う人たちの立場に大蔵省が立っているのですよ。大衆の立場に立たぬからそういうものの判断が出てくるのですよ。政務次官、これはいけないですよ。やっぱり税金というものは大衆の立場に立って、そうして大衆の負担をできるだけ少なくしていくという方向で税金をきめていかなきゃならぬ、こんなきめ方はないですよ。大蔵省が税金を取りやすいところから取ってやろうと、大衆のふところばかりねらっているというところに私は問題がある。どうですか、もう一ぺん答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/82
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083・二木謙吾
○政府委員(二木謙吾君) いま御説明がございましたように、あるいは価格の問題できめるか、あるいは奢侈品によってきめるか、こういう問題は両方私は考えてきめるべきであろうと思うのです。いまお話のとおりに、大衆の使うものに対しては、これは税金をかけないということが原則でなければならないと、かように考えておるものでございます。しからば、この大衆の持つものは何でもかでもみんな税金かけぬか、そういうわけにもやはりまいりませんから、それは品物によって考慮しなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/83
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084・須藤五郎
○須藤五郎君 まあこの議論はこれで打ちどめましょう。
それじゃ、この税率の引き上げによりましてこれらの製品の価格が引き上げられて一般大衆に転嫁されないかどうか。転嫁されないと言われるならば、その保証はどうかという点を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/84
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085・細見卓
○説明員(細見卓君) この点は、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、製造段階での五%程度でありますから、小売り段階では、大体小売り価格に対しては一%ぐらいの負担増になります。その程度のものでありますれば、カラーテレビにいたしましてもその他のものにいたしましても、どんどん生産が拡大されてきておる過程でございますし、それから、最近の市場の状況を見ますと、かなり買い手市場になりつつあるやに見えます。そういうこともございますので、私どもとしては通産省に強くお願いして、こうしたものができるだけ業者の段階で吸収されるように強く要望いたしたいと思いますし、また、そういうことはできる程度の範囲のことであろうと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/85
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086・須藤五郎
○須藤五郎君 いわゆるあなたのコスト低下によってこれがカバーされて、価格を上げなくてもやっていけるようになると、こういうことですか。通産省、そうでしょうか、どうなんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/86
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087・久留義雄
○説明員(久留義雄君) いま大蔵省から御説明がございましたように、私どももそう考えております。今回の物品税の引き上げ幅もそう大きなものでもございませんし、需要も順調に伸びているものでございまして、大量生産によるコスト引き下げ、また、各企業者による企業努力、合理化努力といったものによりまして物品税引き上げ分が十分吸収されるのじゃなかろうかと、また、それを期待したいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/87
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088・須藤五郎
○須藤五郎君 まあきょうは大蔵大臣がここにいらっしゃいませんけれども、大蔵大臣は、酒、たばこ、物品税を含めて、今後間接税は一定期間ごとに見直す必要があると、こういうように衆議院でお答えになっているわけですね。これは家庭電気製品も今後やはりこの方針で上げていくというふうにとれるのですが、そういう方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/88
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089・細見卓
○説明員(細見卓君) これはごらん願いますように、こうした商品の普及の十分でない段階に、こうしたものの生産を助長するという意味で暫定的に軽減いたしておったものをいわば本則税率に戻すわけでございまして、その意味でこれが前例になるということはないので、むしろこれは暫定育成期間が終わって本来の税率に戻ってもらうということであります。ただ、一方、大臣がお答え申しておりまする五年か、あるいは数年を契機にして間接税を見直すべきであろうということは、先ほど来いろいろお話もあったように、かつて高級品であり、あるいは奢侈品であったと思われるものも、生活水準、あるいは所得水準の向上に伴いまして、新しい角度ではより日常性があり、必要性がふえてくるとかいうふうな、そういう角度でものを見直す必要があろうと、こういうことを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/89
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090・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、何ですね、税率を上げていくという方向で見直すという意味じゃなしにですか。何か衆議院じゃ、見直すということは、今後やはり物品税というものはだんだん引き上げていかなくちゃならぬ、こういう見直し方だったように私は受け取っているのですが、あなたのいまの話はそうじゃなくて、むしろ下げていくというふうに見直すのですか、どちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/90
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091・細見卓
○説明員(細見卓君) 下げるものもございましょうし、上げるものもあろうかと思います。今回の税制改正におきましても、結果的にはそうしたものは出てまいりませんでしたが、たとえば三CよりHだというような御議論もありまして、やはりそのときそのときで置かれました国全体の財政需要、あるいは、また、国民生活に対するいろいろな配慮というようなものをいたしながら、上げるべきものもあろうし、下げるべきものもあろうし、いずれにいたしましても、新しい時代に即応した税制に改める必要がある。かような意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/91
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092・須藤五郎
○須藤五郎君 通産省に伺いますが、これらの製品の税率引き上げによりましてこれらの商品の国際競争力に影響しないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/92
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093・久留義雄
○説明員(久留義雄君) これは直接的な影響と間接的な影響があろうかと思いますが、直接的な面におきましては、輸入品がわが国に入ってきた場合にどうなるかという問題でございますが、輸入品が入ってまいりましても、これは国内市場に流通いたします場合には当然に物品税がかかるわけでございますが、これにつきましてはほとんど影響がない、競争力は平等であるといっていいかと思います。ただ、幸いなことに、今回税率を改定されますところの品目につきましては、輸入はほとんどないという状況でございます。それから、輸出面についてでございますけれども、これはもちろん物品税を課税されないわけでございますから、直接的な影響はないといっていいかと思います。それから、間接的にどうなるか、つまり物品税が引き上げということになりまして、そのために小売り価格が上がり、そして需要が抑制せられまして、大量生産によるコスト引き下げが実現されないというようなことによるところの国際競争力の低下ということがもしあるとするならば、これは問題かと思いますが、先ほど申しましたように、この程度の物品税の引き上げでは大体企業努力によって吸収できるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございますので、ほとんど国際競争力弱化というような悪影響はなかろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/93
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094・須藤五郎
○須藤五郎君 もう時間も迫っておりますから質問を急ぎますが、大蔵省に伺いますが、租税特別措置の期限を延長するものの中に、資本構成を改善した場合の税額控除がありますね。また、増資または合併による新会社設立の場合の登録税の軽減措置も今度延長されておるわけですね。租税特別措置法によるいろいろな減税措置というものはずっと延長されることになっておるわけですね。もし資本金一億円をこえる家庭用電気器具製造会社があるとして、それが資本構成を改善したら税額控除が得られるわけでしょう。どうです、はっきり答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/94
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095・細見卓
○説明員(細見卓君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/95
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096・須藤五郎
○須藤五郎君 そうですね。そうすると、こういう租税特別措置のいわゆる減税措置というものはずっとあらゆる面で延長されていくということですね。そこで聞くわけですが、物品税では期限のきた家庭用電気器具の税率を上げる一方、他方では租税特別措置で資本構成改善のため減税の期限を延長しようという。そうすると、資本のほうではこういうふうに減税措置がなされ、それで、いわゆる商品資本のほうでは増税だと、こういうことですね。これもずいぶん私はおかしいことじゃないかと思うんですね。同じ資本に対しまして反対のことをやっておる、これは矛盾じゃないかと思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/96
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097・細見卓
○説明員(細見卓君) それはまったく違った観点から事柄を行なっておりますので、たまたま一つの企業を見ますと、その二つの措置を同時に受けるからということで須藤先生おっしゃっておるのだろうと思いますが、一方の資本構成是正のほうは、日本の企業は配当軽課とか、いろいろな措置をとってまいってはおるのでありますが、なお資本の構成は悪化の一途をたどっておるわけで、そういう現状におきまして新しく資本の自由化というような問題も控えまして、資本構成の是正は当面の緊要な事柄であろうということで、業種を問わず、取り上げているわけです。なお、これを一億円以上の資本金に限定はいたしておりますが、それに見合いまして、一億円以下の企業につきましては貸し倒れ準備金の積み立て率を引き上げまして、そういう意味で一億円以下の企業にとって実質的に企業体質の強化になる措置と並行して行なっておるわけであります。この両方の措置を同時に引き延ばしておりますが、一方、この物品税の引き上げの問題は、国内市場を十分開拓することによって大量生産が可能になり、それが輸出競争力のもとになる、その育成期間に暫定的に軽減していくというのが趣旨でございます。その意味でカラーテレビ等、ここでいずれも本則に戻りましたものにつきましては、何回か段階的に税率を引き上げてまいりまして、市場における競争力、あるいはマーケットの確保というようなものができることによって、国内的に大量生産の余力をもって輸出競争力の強化になったと、そういうものがほぼ目的を達した段階であると、いわば育成措置としては打ち上げのときにまいったと、かような意味で行なっているわけでありまして、全く違った角度のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/97
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098・須藤五郎
○須藤五郎君 そうじゃなくて、実際は買うのは一般の家庭で、弱い消費者だという点、だから物品税は増税をするんだと、消費者に転嫁できるから。これは物品税を上げる、租税特別措置のほうをいろうとすれば、これは資本家ですよ、強い。自民党の最も弱い点ですよね。だからそちらのほうはいらわないで減税措置を延長して、そうしてせっかく下げておったものまで上げるという、これは消費者だから文句を言うまいということでこういう措置をとってきたんだと、こう私たちは判断する。先ほど通産省は合理化でコストが下がると、こうおっしゃいましたが、コストが下がれば価格も下がるのが私は当然だと思うんですよね。コストが下がれば、われわれ消費者の買う価格が下がってくるのが当然だ。コストが下がっても、税金を上げることによって価格が下がってこない、これも私はおかしなことだと思う。全く大衆を忘れた人民不在の税率だと言わなければならぬですよ。人民不在ですよ。人民不在の課税ですよ、これは。そんなことはおかしい。消費者に増税分を転嫁して特別措置による減税を受けられる、こういうことをしているから資本家は今度の措置に反対をしない、こういうふうに私たちは思うのです。これは議論はやめましょう。
そこで、最後に一つ。国犯法の第一条第一項に基づく調査と、それから物品税法四十一条第一項に基づく調査、これ同時に同一の人間が二つの権限を持って調査することできるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/98
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099・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) 国犯法上の質問調査権というのは国犯法の第一条に書いてございます。それから、いわゆる物品税法に基づきますのは、実体法に基づく質問調査権は、物品税法上でございますと四十一条にあるわけでございますが、これをそれぞれの調査をいたします場合には、国犯法上でございますと「収税官吏」ということでやるわけでございまして、物品税法の質問調査ということになりますと、これは「当該職員」といいますか、物品税担当の「当該職員」ということでございます。ただ、税務署の間税課につとめております間税課の職員、これが物品税を担当しておる。そういう職員でございますと、税務署の場合には、収税官吏としての身分と、それから物品税法の四十一条に基づく質問調査権を持つ「当該職員」としての権限と両方併有しておる場合がございます。ただ、その場合に、たとえば犯則の事実があるということになりました場合には収税官吏の身分でやることになりますので、その場合には収税官吏証というものがございますし、それを相手方に提示することはもちろんでございますが、そのほかに、やはり私どもの内部的なやり方といたしましては、国犯法にこれから移るということを上司に報告をいたしまして、それの指示を受けて収税官吏としての国犯法上の質問調査に移ると、こういうふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/99
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100・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、国犯法でいく場合は令状を持って行くのでしょう。時間がないからぼくは質問を少しまとめますが、そうすると、いまあなたは、物品税法のほうと両方兼ねることができるが、しかし、物品税法上の調査で行った人が国犯法上の調査に移る場合は上司に報告して、そしてその許可を得なければならぬということでしたね。間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/100
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101・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) これは国犯法上のいわゆる質問、検査その他の調査でございますが、これは任意調査と強制調査とございます。もし国犯法上で強制調査ということに移ります場合は、第二条によりまして裁判所の許可状、こういうものによりまして、令状を持って執行するということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/101
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102・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、その令状を持って行く場合はその令状を示す、こういうことが一つのケースとして起こっているわけなんですね。とにかく、ある商人のところへ税務署から調べに来た。そうすると、国犯法で調べられているのか物品税法のほうで調査を受けるか、本人は提示がないからわからない。本人が聞かぬのも悪いとおっしゃるかもしれませんけれども、これはみんなこんなことは知らない。法律はわからない。そうすると、国犯法でいきますと、いわゆる黙否権といいますか、黙否権とは書いてないけれども、しかし、自分に都合の悪いことを聞かれても黙っておってもいいのです。処罰の対象にならないのです、国犯法のほうでいくとね。ところが、この物品税法のほうでいくと、調べられたことを答えないと、これまた処罰されることになるのですよ。こういう矛盾したもの二つが、同時に同一人が二つのこういう資格を持ってやることができるかという点なんですね。非常に混乱するのですよ。その場合に自分はどちらでやられているかわからぬ。これ二つ同時に持っているといったらオールマイティですよ。税務署員がオールマイティになって納税者をとっちめるということですよね。だから、もうひどいのですよ、調査のしかたが。身体検査までするのですよ。懐中電灯を持ってきて家のすみずみまで、金庫の中はもちろんのこと、机の中から婦人の部屋から全部調べているという事実があがってきているのです。きょうはその事実を示しません。また機会があったらやりましょう、国税庁長官に来てもらって。しかし、そういう不当なことができるかどうか。やはりこれは、私はきょう国犯法でやって来ましたということははっきり明示してやるべきです。きょうは物品税法のほうでやって来ました、こういうふうにはっきり分けてやらなければ困っちゃうのですよ。ところが、それを両方兼ねてやる税務署員がこのごろたくさんあるわけですよ。きょうは事実を私は示しませんが、そういう点は正しいのですか。どうしたらいいのですか。そのために非常な混乱を来たしておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/102
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103・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) 先ほども申し上げましたように、やはり犯則の事実が出てまいりますと、その場合には収税官吏としてやるわけでございますが、この場合には収税官吏証というものを相手方に明示をする。それから、上司の許可はもちろんでございますけれども、さらに相手方に収税官吏の証を見せまして、そうして収税官吏として国犯法上の調査に入るということを明らかにするようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/103
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104・須藤五郎
○須藤五郎君 私は、いまあなたが言ったように、ちゃんと別々にはっきりしてやるということならば、まあわからぬでもないですよ。しかし、同一人が同時に明らかにしないでそういうことをするということ、それは私は違法だと思うのです。法の精神に反しておると思うのです。それで、きょうはわざわざ私はこの参議院の法制局から一人専門家に来ていただいて、そういうことがほんとうに法的に見て間違いないことかどうか、そういう場合はこうすべきだという意見を伺っておきたいと思って、見えているので、ひとつ意見を聞いてください、法制局の。——それじゃ大蔵省に最後に言っておきますが、こういう混乱がいまほうぼうで起こっている。この調査のしかたにも非常に問題があるし、それ事実を出せというなら事実を出しますよ。こういうことがはたして正しいのか、こういう二重人格ですよね、この場合。だから、そういう場合にはどうしたらいいのか、混乱が起こらぬように大蔵省として、国税庁として、やはり私はこの点税務署に注意を与えておく必要がある、こういうふうに私は思うんです。
これで私の質問を終わりますが、どうぞ最後に意見を聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/104
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105・佐藤健司
○説明員(佐藤健司君) この当該職員としての調査と収税官吏としての調査、この関係につきましては、収税官吏として国犯法上の調査に切りかえるときは、そういう上司への報告、あるいは指示、それから収税官吏証の提示ということを必ずやるように、これは十分に注意をしてやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01219680405/105
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106・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
午後零時四十二分散会
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