1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十八日(木曜日)
午前十時三十一分開会
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委員の異動
四月十六日
辞任 補欠選任
須藤 五郎君 岩間 正男君
四月十七日
辞任 補欠選任
岩間 正男君 須藤 五郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 青柳 秀夫君
理 事
植木 光教君
小林 章君
西田 信一君
柴谷 要君
中尾 辰義君
委 員
青木 一男君
伊藤 五郎君
大竹平八郎君
大谷 贇雄君
西郷吉之助君
田中 茂穂君
徳永 正利君
林屋亀次郎君
藤田 正明君
木村禧八郎君
田中寿美子君
戸田 菊雄君
野上 元君
瓜生 清君
須藤 五郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
国 務 大 臣 木村 武雄君
政府委員
行政管理庁行政
管理局長 大国 彰君
大蔵大臣官房長 亀徳 正之君
日本専売公社監
理官 前川 憲一君
大蔵省主計局次
長 相沢 英之君
大蔵省主税局長 吉國 二郎君
大蔵省理財局長 鳩山威一郎君
国税庁長官 泉 美之松君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
人事院給与局次
長 渡辺 哲利君
日本専売公社総
裁 東海林武雄君
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本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
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001・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/1
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002・戸田菊雄
○戸田菊雄君 非常に両長官ともお忙しいところを時間を繰り合わせてもらって、ありがとうございました。それで、内閣委員会もあるそうでございますから、三十分程度ぜひひとつ質問をさせていただきたいと思います。
一つは、四十三年度の予算の内容にも明確になっておるわけですが、行政管理庁として、今後公務員の数を五%程度減らしていく、こういう声明でありますが、その削減の具体的内容ですね、この内容についてひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/2
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003・木村武雄
○国務大臣(木村武雄君) 内容につきまして、局長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/3
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004・大国彰
○政府委員(大国彰君) 三年間に公務員総数の五%を削減する計画になっておりますが、定員の縮減は目標をきめて計画的に行なわなければならないわけでございます。で、これを何年間に何%削減するかといったようなことにつきましては、従来、三十九年以来やってまいりました欠員不補充制度の実績等を勘案いたしまして、さらに最近におきます公務員の年間の離職率等を考慮いたしまして、出血整理ということにならないという前提のもとに、しかも、最少限度必要な新規採用を確保することというたてまえから、三年間に五%程度であればこの目的を達するということでこの方針をきめたわけでございます。なお、この場合におきまして、すでに一般の職員につきましては、欠員不補充の原則によりまして各省に凍結されました定員がございますので、これを四十三年度に落とすと約七千七百人でございますが、これもこの五%の中に織り込むということをいたしまして、今後三年間に、これを計算に入れますと、一般の職員につきましては大体三・五%程度の縮減をすると、こういうことにきめておるわけでございます。なお、この各省庁別の削減目標につきましては、それぞれの職種等の関係を考慮いたしまして、職種による差等をつけるという点で、目下検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/4
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005・戸田菊雄
○戸田菊雄君 事務内容についてもう二、三質問をいたしますけれども、結局各省画一的に削減をしていく、こういう方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/5
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006・大国彰
○政府委員(大国彰君) 三年、五%の対象になりますのは、全公務員のうちで、自衛官を除く全員でございますが、各省一律に五%になるわけではございませんで、欠員不補充の場合にも、教育職、税務職その他につきましては特別な措置をとっておったわけでございます。今回もそれらの実績を踏まえまして適切な処置をとりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/6
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007・戸田菊雄
○戸田菊雄君 ことしの国税庁からの増員要求が具体的に出ておると思いますが、行管庁としてはそれを掌握されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/7
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008・木村武雄
○国務大臣(木村武雄君) 千六百八十三人の増員要求がありました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/8
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009・戸田菊雄
○戸田菊雄君 その要求のうち、実現されたのは何名ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/9
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010・木村武雄
○国務大臣(木村武雄君) 二百七十八人です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/10
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011・戸田菊雄
○戸田菊雄君 この四十年以降、国税庁の業務量と定員増の内容について、国税庁は、数年前でありますけれども、税制調査会にメモ提出をした、こういう具体的な事実があるわけですけれども、そのメモ提出の内容によりますると、十年間で事務量が六〇%増大、人員はわずかに一%しかふえておらない、こういう状況だと、で、四十三年度も具体的にいま長官がおっしゃられたとおりでありまするけれども、これでいきますと、いまのこの税務署全体の業務量というものは、今後やはり経済が相当増大をしてくることは間違いないのであります。税額総体を見ましてもどんどんふえておる。こういうことになって、相当労働条件が低下をしていく一方、労働強化ということになることは間違いありません。ことにこの増差額の大幅な増大、あるいは税務調査の仕事のあれが非常にふえているとか、こういう内容が一つ一つの項目を見てもふえてきておる。そういうときに、担当官庁がこれだけは絶対必要だ、少なくとも、いま長官が言われましたように、千六百八十三名ですか、これでも私は控え目に要求しているのじゃないかというように考えるのだが、それがわずかに二百七十何名と、こういうことでは、非常に私は、滞納率をどうのこうのと言っても、完全な職務遂行ということにはいかないのじゃないか。ですから、もっと要員の配置という問題については弾力的な運用措置があってもいいのじゃないか、こういうように考えるのでありますけれども、その辺に対する長官の考え方をひとつお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/11
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012・木村武雄
○国務大臣(木村武雄君) 戸田さんも御承知のように、私のほうの立場は、各省庁の要求を押えるような立場になっておる。原則がそういう立場になっておる。しかし、何から何まで押えるという考えは持っておりませんけれども、とにかく原則的な立場は各省庁の要求を押えるという立場に立っておるのであります。そういう立場に立っておりまするときに大蔵省は財政の硬直化を唱えられたのでありまして、私はその大蔵省の要求と私のほうの立場というものを勘案いたしまして、これだけの要求がありましたけれども、時局がら、その要求をなるべく控え目にしてもらいたいと、こういう気持ちが出たのであります。そうして昨年度と比較いたしまして、昨年度は百八十三人増員したのでありまするが、百八十三人よりも多く認めたならば大体やってもらえるのじゃないだろうかと、こういうような気持ちで二百七十八人に押えた次第であります。そういう点につきまして、いま戸田さんのお話のような、労働強化になりはしないか、こういうお話でありまするが、これはいろいろな角度からもう少し勉強させてもらいたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/12
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013・戸田菊雄
○戸田菊雄君 国税庁長官にお尋ねしたいと思うのですが、国税庁職員の一年間の自然減耗、そういったものは全体を含めてどのくらい減っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/13
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014・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 年々で若干相違があるのでございますが、最近の数字で申し上げますと、年間に約千二百名退職ないしは死亡によって職場を離れる、こういう状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/14
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015・戸田菊雄
○戸田菊雄君 長官、いまおっしゃられたように、年間千二百名ずつ減っているのですね。片っ方はそれでわずかに二百何名くらい、減った要員の五分の一にも満たないですね。一面、業務量はどんどんふえていく、こういうことですから、この国税庁の職員の定数というものは相当ひどい状況にあるということだけはうなずけると思うのですが、こういうものに対してどういう一体検討を行管庁としてはするつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/15
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016・木村武雄
○国務大臣(木村武雄君) 担当の者ともいろいろな点で話をしてみたのです。そうすると、まあ事務処理の簡素化、合理化をまずはかる、それから事務処理の機械化をはかる、それから税務署専門官の設置と、重要事案の重点処理をはかってもらう、それから税務署の分割統合によって合理的配置の検討などもやってもらう。定員の再配分のことでありまするが、事務量の増加の著しい都会地の税務署のほうには地方署の定員を振りかえてもらうことも考えてもらうことと、間税及び徴収系統定員を直接税に振りかえることも考えてもらう。それから、職員の教育訓練のもっともっと高度化などをはかってもらいましたならば、要求事項は千何百名でありまするけれども、去年よりも多く増加することによって事業量の多くなった部分は何とかやっていけるのじゃないかと、こういうような考えで大体そういうように裁定してみたのであります。しかし、こういうことをやってもらいまして、なおかつ戸田さんのおっしゃるような、労働が非常に強化、過重になったと、こういうような場合には、何もこれを永久固執しようとは思っておりませんから、そのときはそのときでもう一ぺん考えてみたい。しかし、財政硬直化が叫ばれて、何とかしなければならないという今日でありまするから、先に立つ張本人が大蔵省でありまするから、大蔵省でも思い切ってこの際は考えてくださったらどうかと、こういう話もしてみてこれで押えてみたのであります。しかし、いつまでも押えようなんという気持ちは毛頭持っておりません。事実が労働量が強化されるのであったならば、その限度において考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/16
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017・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これは国税庁の調査でありますが、昭和四十年の三月末現在で、全職員の三九・二%が健康を何らかの形でおかされている。ことに最近は税務署の税務署病といわれるような病気が、たとえば結核であるとかノイローゼ、あるいは糖尿病、高血圧、胃病、心筋梗塞、腱鞘病、こういったものが疾病として多く罹病者が出てきている。ことに東京国税局の管内ですと一日一四・五人ぐらいノイローゼで医師の診断を受けなければならない、こういった状態が、非常に労働強化と、そういう条件低下のためにどんどん生まれている、こういう具体的な調査があるわけです。ですから、これはやはりとどのつまり、いま長官もおっしゃられましたけれども、機械近代化であるとか、電子計算機の導入であるとか、一面、事務の簡素化に向けてのそういう合理化政策もとってはおられるけれども、これが追いつかないという状況ですね、こういう状態について長官はやはり検討中と言いますけれども、具体的にこれはやはり要員の少ないところにその主たる原因があるのじゃないかと思う。早急に検討を要すると思うのでありますけれども、長官の決意といいますか、対処策、これの具体的な内容についてひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/17
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018・木村武雄
○国務大臣(木村武雄君) 戸田さんのお話のような税務署病の話は相談中に聞かなかったのであります。そういうようなことがあったならばたいへんだと思っておりますが、そういうことまで考慮に入れまして、根本的な改革案は三年間に行なっていく、そうして具体案は八月一ぱいまでにつくる、こういう考えを持ちまして、いまそれと取り組んでいる最中なんであります。でありますから、こういうことも私はきょう初めてお聞きいたしました。税務署病という病気のあることも初めてお聞きをいたしましたから、そういうことも三年間の行革の中に織り込みまして、十二分に検討さしてもらいたいと思います。ただ、おっしゃいますような、労働強化をやるなんという気持ちは毛頭持っておりませんから、そういう点がありましたならば、私のほうに直接でも、あるいは大蔵省を通して間接でもけっこうでありますが、十二分におっしゃってくださることを私から特にお願い申し上げておきます。何としても行政改革だけはほんとうに国民に喜ばれるように、全体に喜んでもらうような改革をしたいという念願でありますから、いろいろな点でそういうお気づきのことをおっしゃっていただきますれば、そういうものをすべて織り込ませて、そうして行政改革をせしむるように私からもお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/18
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019・戸田菊雄
○戸田菊雄君 内閣総理大臣の指示に従って各省庁一局削減、同時に、人員削減、こういう問題につながっていると思うのでありますが、そういう模範を大蔵省は示さなければいけない、こういう考え方で、ことさら大蔵省は、ことに国税庁等にきつい削減をしいたのじゃないかと思うのでありますが、大蔵大臣、そういう考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/19
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020・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 大蔵省が模範を示すという意味で、ことにきつい査定をやっているというような事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/20
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021・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これは具体的に国税庁としても四十三年度は千六百何がしと、こういうことであって、いま長官が説明した、あるいは削減全体のいろいろの数字を合わせてみると、どうしてもやはり四十三年度裁定は、国税庁が申請をした程度のものは、これはぜひ必需要員となっているのじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、ぜひひとつ長官としては八月ごろまでに具体的にその内容というものを検討する、こういうことでありますから、そういうものをひとつ実現するような方向で私は内容を検討していただきたい、こういうふうに考えます。
時間もありませんから、この程度で一応終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/21
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022・木村武雄
○国務大臣(木村武雄君) 戸田委員のお話の点は十分に考慮して、行革の中に織り込む考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/22
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023・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちょっと関連して。
いまの税務署の定員の問題ですね、いわゆる署員の手不足というのですか、いわゆるこれと税制との関係について、これは大蔵大臣でも国税庁長官でもけっこうですが、これまで特に物価値上がりもございまして、いわゆる税の自然増収が急速にふえてきているわけですね。それで所得税の納税人員が急速にふえていることは事実であります。そこで、その処理に税務署員の定員をふやさないと手不足が生ずるんですが、しかし、その手不足を緩和する一つの方法として、名目的に所得がふえると、そのために自然増収が多くなって納税人員がふえる。それについてはもっと税制上考慮する余地があるんじゃないか。税制上もっと思い切って、たとえば課税最低限をもっと引き上げる、そういうことによりまして、いたずらに名目所得がふえることによって納税人員がふえると、こういうのを緩和する、そういうこともやはり考慮されなきゃならないじゃないかと思うのですが、そういう点どうですか。ただ所得がどんどんふえて納税人員がふえている、そこで署員が足りないという、そういうだけじゃなく、もっと課税最低限を引き上げて所得税の納税人員を減らして、まあ絶対的に減らすのはそれは困難かもしれないが、ふえる程度をもっと緩和して、それで署員の不足というものを緩和するということを考慮さるきべじゃないかと思うのですがね。そっちのほうでかりにまた余った人員があったら、それを脱税の多い法人税とか、そういうほうをもっと徹底的にこれを調査し、これをなくす方面にもっと力を入れるべきじゃないかと、こう思うのです。これは税制上にも一つ問題があるんじゃないか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/23
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024・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) もうそれはすでにやっておることでございまして、今度の税制改革でも、課税最低限を上げるということによって、もしそれをしなかった場合と比べたら、百六十万というようなものがもっと納税人員がふえるはずを、ふえなくて押えたというようなことで、現在もうそういう調整はやっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/24
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025・木村禧八郎
○木村禧八郎君 程度が少ないということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/25
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026・戸田菊雄
○戸田菊雄君 人事院の次長にちょっとお伺いしますけれども、この国税庁関係は、税務の特殊性というのですかね、従来一般公務より二五%程度他号俸との比較におきまして賃金が高かった。四十三年度はどの程度の比較ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/26
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027・渡辺哲利
○説明員(渡辺哲利君) お答えいたします。
税務職俸給表の適用を受ける職員につきましては、非常に複雑な税法を公正に適用いたしまして業務を執行する必要がありますとともに、他面、心身の危険、あるいは不快性等もございまして、それらの特殊性が考慮されまして、いま先生お話のございましたように、二十二年につきましては二五%の特別手当がついておったようでございます。ただ、金額にいたしますと、二五%で四百円程度であったようでございますけれども、ただ、それが二十三年の二千九百二十円ベースになりましたときに、その前特別手当を本俸に吸収をいたしまして、一般の職員の俸給表に比べまして、税務につきましては大体等級によって違いがございますけれども、五号俸ないし七号俸程度の高い俸給に切りかえられたわけでございます。その後、さらに二十六年に各俸給表の水準差の調整がございまして、その場合に税務職俸給表は大体四号程度一般より高い俸給表に切りかえられたわけでございます。ただ、この当時の四号と申しますのは半年昇給の四号でございまして、現在の俸給表で申し上げますと二号俸になるわけでございますが、そんなような関係で、三十二年の現行俸給表体系に切りかわりましたときに、一応四号を踏襲いたしまして、二号になったわけでございます、実質的には変わりはございませんが。そういうふうにいたしまして、われわれといたしましては、従来のそういういきさつを考えまして、その有利性を現在まで引き続き保持しておりますが、年々それが少しづつは改善されてきておりまして、現在の俸給表では、おおむね一般俸給表に比べまして、等級によって異なりますけれども、二号ないし二号半、半と申しますのは、九百円ないし千五、六百円の二号にプラスがあるわけでございますけれども、そういうことで、パーセントで申し上げますと、全部平均をいたしまして、大体一般に比べまして一〇から二%程度高くなっております。現在の有利性はそういう事情を踏まえましてできておるわけでございますけれども、過去の二五%、四百円というときとは、職員構成あるいはその後の給与水準の向上もございますので、特段の比較はできかねるわけでございますが、特に有利性を論ずる場合に、号俸差でいくかパーセントでいくかという問題もございますが、私どもといたしましては、一応号俸差という面では、過去のそういういきさつから比べまして、現在は決して不利な取り扱いをしていないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/27
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028・戸田菊雄
○戸田菊雄君 割合はどのくらいで開いているか、四十三年度は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/28
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029・渡辺哲利
○説明員(渡辺哲利君) 割合は二号ないし二・五号俸で、一〇ないし一一%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/29
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030・戸田菊雄
○戸田菊雄君 当時三十一年発足をして、職務給導入をいたしまして、他号俸との比較で二五%、これは税務という特殊性からそういうことをやらなければいけないという判断をしておったわけですね。そうしますと、いま一〇%ということになると、はるかに下回っていることは間違いない。これは方針が変わったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/30
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031・渡辺哲利
○説明員(渡辺哲利君) 最初の二五%と申し上げますのは、二十二年の最初の税務特別手当のときのパーセントでございまして、それが二十三年の税務職俸給表に切りかわりました以降につきましては、二五%というこの数字のはじき方はいろいろございまして、なかなかむずかしい点もございますけれども、一応税務特別手当から変わりまして、俸給表体系になりましてからは、ずっと昔の段階で現在推定をいたしますと、一二ないし一七%程度の格差があった。ただ、これは先ほど申し上げましたように、二十六年の全俸給表にわたります水準差の半減措置と申しておりますけれども、水準差を半減いたしました場合に、全部の俸給表について半減をいたしまして、その分は本俸そのもので考えていくというような考え方でございますので、その水準差を半減いたしましたときに、ややパーセントが下がってきたというようないきさつはございます。ただ、税務につきましては、その後も鋭意改善に努力を重ねまして、現在も従来の、このときの四号の差以上にプラスアルファということで、九百円ないし千五百円の上積みを乗せているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/31
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032・戸田菊雄
○戸田菊雄君 公務員の賃金については、近く人事院の勧告が行なわれると思いますが、そういう勧告内容についていろいろと検討されておると思うのですが、この国税庁の給与体系について具体的に何か検討されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/32
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033・渡辺哲利
○説明員(渡辺哲利君) 現在、今年度の勧告の準備といたしまして民間給与調査を行なっておるところでございますけれども、もちろんわれわれといたしまして、その民間給与調査を土台といたしまして、税務職のみならず、すべての公務員の給与につきまして適正なあり方を検討いたしたいと思っております。特に税務職につきましては、なお本俸のきめ方以外に、等級別定数、あるいはその他につきまして、やはり税務の特殊性を考えましていろいろと考慮を払っている次第でございまして、そういう事態もあわせまして、今度の勧告につきましては十分税務職の俸給表を考慮いたしまして、適当な配慮を払いたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/33
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034・戸田菊雄
○戸田菊雄君 今年度の勧告については具体的な改善施策を織り込むと、こういうことで確認していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/34
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035・渡辺哲利
○説明員(渡辺哲利君) ほかの俸給表といろいろ関連がございますけれども、いずれにいたしましても、現在の民間給与調査の結果に基づきまして、妥当な公務員給与のあり方をいろいろな俸給表にわたりまして十分深く研究をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/35
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036・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いや、研究じゃなくて、勧告内容に具体的にそういう改善策は織り込む考えかどうか、この点を確認してもいいかというのが私の質問。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/36
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037・渡辺哲利
○説明員(渡辺哲利君) いま特段にどういうふうになるかということは申し上げかねる段階でございます。いずれにいたしましても、調査結果を待ちまして、十分研究をした上で妥当な改善策を講じたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/37
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038・戸田菊雄
○戸田菊雄君 最近、税務職員が途中で希望を失ってやめていくような事態が非常に多いと聞いている。それは、一つは、こういろいろ理由をさぐっていきますと、賃金もあまりよくない、仕事が非常にきつい、それからいろいろと労務政策上、昇格問題等についても非常に不公平、こういうものがあったりして、非常に内部的には不満が増大している。そういうところから退職者というものが非常に多いと聞いているんですが、やはりその一つの要因である賃金については、もっと当初に出したいわゆる他公務員といったって、これもまだまだ低いんですね、実際は。そういうほかとの比較対象で税務上特殊性を設けて若干のアップを認めておったんですから、その割合ぐらいは最低やっぱり今年度で勧告をして、実現の方向に人事院としてはやるべきじゃないか、こういうように考えております。いわゆる二五%発足当時のその度合いまで私は引き上げるべきじゃないか、こういうように考えるのですが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/38
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039・渡辺哲利
○説明員(渡辺哲利君) 先ほどからも申し上げておりますように、公務員全体の賃金のあり方等についてずっと検討してまいりますが、今年度の勧告につきましても、民間給与調査にいま入っておりますが、いずれにいたしましても、税務職につきましては、そういう職務の特殊性、あるいは危険性等、いろいろございますので、十分その点を配慮いたしまして検討をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/39
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040・戸田菊雄
○戸田菊雄君 大臣はどういう考えでおりますか、国税庁のこの給与改定の問題について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/40
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041・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 長官から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/41
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042・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 税務職員俸給表におきます一般行政職員との水準差の問題でございますが、私どもとしましては、現在、先ほど人事院の給与局次長からお話がございましたように、三−五等級平均で一一・四、三−七等級平均で一一・〇、こういった数字になっておるわけでございます。まあ二五%というのは、実は実施された期間が二カ月しかございませんでしたが、私どもはそこまで要求するのは無理かと思っておりますが、昭和二十六年から三十二年のいまの俸給表体系ができ上がりますまでは、大体水準差が一七%程度あったのでございます。その一七%程度あった水準差に比べていま一一%程度にまで下がっておるということは、ぜひ回復をお願いしたい、こういう気持ちでおります。ただ、一挙にそこまでいかないとおっしゃれば、逐次にでもけっこうですから、だんだんと改善をしていただきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/42
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043・戸田菊雄
○戸田菊雄君 人事院のほうはけっこうです。
それじゃ所得税等について質問をしてまいりたいと思いますが、四十三年度の税制改正の要綱はどういうことになっておりますか、大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/43
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044・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 本年度の国税改正は、一方において最近における国民負担の現状、経済情勢の推移を見まして、まず中小所得者の負担軽減に重点を置いて、平年度一千五十億円程度の所得税の減税を行なうということがまず一つでございます。そうして輸出の振興、あるいは技術開発の促進、中小企業の構造改善等に資する税制上の措置を講ずるという特別措置を行なうこと、他方、酒税の税率の調整、たばこの小売り定価の改定というようなことをやって歳入充足をはかるという、これが大体今年度の税制改正の骨子でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/44
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045・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いま大臣が説明をされましたように、まず所得税関係について質問をしてまいりたいと思いますが、一応所得税減税につきましては、課税最低限の引き上げその他、こういうふうになっているわけでありますが、確かに課税最低限につきましては、昨年よりかは若干今度引き上げられておりますが、この基礎控除について今年度は十六万円、こういうことになるわけですが、一体十六万円でわれわれが生活ができるとお思いになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/45
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046・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、控除は基礎控除だけではございませんで、給与所得者であれば給与所得控除がございますし、夫婦であれば配偶者控除がある、そういうことで各世帯に応じて控除ができておるわけでございます。基礎控除だけの適用があるという例はきわめて少ないと思いますが、この基礎控除は、御承知のとおり、一般的な観念からいえば、いわゆる最低生活に食い込まない前提に立っていると思いますけれども、これは全体としての世帯ごとの課税最低減として具体的には実現する問題でございます。そういう意味では、十六万円の基礎控除というものをそれだけ取り出して抽象的に生活に十分であるかどうかということは、各世帯別に課税最低減としてお考えを願えばいいのではなかろうか、かように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/46
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047・戸田菊雄
○戸田菊雄君 諸外国では、従前から、基礎控除、扶養控除、こういったものについては大体同額の体制をとってこられたと思うのです。日本の場合は、四十三年度で初めてそういう体制を一応つくられた。どちらも十六万円ということになりました。しかし、いまの実際総理府あたりでいろいろ生活統計その他をとっておりますが、生活保護基準以下になっておるのじゃないかと思うのですね。たとえば山谷、釜ケ崎、ああいうところへ行けばボーダーライン層といわれる人たちが生活している。こういった生活内容を調査しただけでも、優にこの基礎控除をこえているんじゃないか、あるいは扶養控除の金額というものをこえているんじゃないか、こういうふうに考えるのですが、そんな低い控除額に日本の税制というものはあるんじゃないかと思うのですが、この辺の見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/47
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048・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 控除額が毎年引き上げられてまいりましたことは御承知のとおりでございまして、現在諸外国の控除を見ましても、わが国の控除は、ことしになりますと、大体近代諸国に追いついてきておると私は思っております。結局給与所得者の子三人の計算でまいりますと、一番高いのはアメリカで、百三十万円程度になっておりますけれども、ドイツが八十八万円程度、また、イギリスは、これはポンドの引き下げの関係もございましたが現在七十八万円程度になっております。大体しばしばいわれます百万円程度のところまでいけばほとんど世界の水準に達しておると思いますし、ことしの八十三万円という数字も、ほぼ現状から申しますと各国並みに近づいてきておると思います。ことに一人当たり国民所得がほかの国よりもだいぶ低いことを考えますと、かなり高いところまできておると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/48
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049・戸田菊雄
○戸田菊雄君 その扶養控除の場合ですね、日本は一人当たりどのくらいの金額だと思いますか、控除金額は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/49
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050・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ことしの改正によりまして一万円引き上げておりますから、八万円ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/50
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051・戸田菊雄
○戸田菊雄君 一人当たりどのくらいですか、月に割って。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/51
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052・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 八万円を十二で割っていただきますと、六千六百六十六円という勘定になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/52
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053・戸田菊雄
○戸田菊雄君 とにかく一人の子供を養っていくのに、いま主税局長が言ったように、六千六百六十七円、一体これで子供さんを幼稚園にやるのにどれくらいかかると思いますか。これでは養い切れないでしょう。どうですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/53
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054・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 課税最低限というものの限度の置き方でございますけれども、御承知のとおり、所得税は課税最低限をこえたものを全部とるわけではないのでございまして、課税最低限をこえた場合には、まず今度の改正では九・五%の税率で、そこに当然九〇%以上残余が残る。漸次累進的に税率を引き上げていくわけでございますから、課税最低限によって標準的な生活費を全部カバーしてしまうということではないと私ども考えておるわけでございます。いま例にあげられましたような生活保護基準よりはかなり上回ったところまで生活は課税最低限で保障されることは必要だと思いますけれども、課税最低限を、非常に全体の所得がふえた理想的な姿で想定いたしますと、通常の生活をしている者は税がかからないということは考えられると思いますけれども、現状から申しますと、いまの課税最低限というものは、たとえば夫婦子二人でただいまお話がございました生活保護の基準でまいりますと、十二カ月で三十一万八千五百円ということになっておりますが、課税最低限を夫婦子二人で申しますと七十一万円でございますから、そういう意味では現在の課税最低限というものがもちろん高過ぎるということはございませんけれども、かなり高いところまで引き上げられてきたという感じを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/54
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055・戸田菊雄
○戸田菊雄君 大都市の生活保護は大体どのくらいですか、一人当たり。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/55
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056・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 実は私、担当でございませんので、詳しいことは存じておりませんが、現在東京等の一級地で標準四人世帯の生活保護の基準は、四十三年度生活扶助で二万六千五百円、それに住宅扶助が二千八百円、教育扶助が三百六十五円、合計しまして二万九千六百六十五円というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/56
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057・戸田菊雄
○戸田菊雄君 大体いま扶養控除の金額とほぼ合致するんじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/57
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058・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 先ほど私申しましたのは生活保護基準で、いまの次長の説明でまいりますと、大体月三万円ということだと思います。年間に換算いたしまして三十六万円程度だと思いますが、夫婦子二人の場合に給与所得者の課税最低限は七十一万でございますから、そこはかなり差があるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/58
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059・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私は、いま扶養控除の一人当たりの月額を引き合いに出したのですが、これを見ていきますと、ほんとうに子供一人を養う——税法上からいういわゆる生活費には税金はかけない、こういうたてまえからいっての控除額というのは不当に低いのではないか、日本の場合は。もう少しこれらを改善検討する必要があるのではないか。基礎控除にしても、あるいは扶養控除にしても、その控除全体を私は引き上げる必要があるんじゃないか。確かに、昨年ですけれども、大蔵大臣や総理大臣は、四十五年までに総体的には百万円、こういうことで引き上げをしていく、こういうことにはなっておりますけれども、しかし、いまの物材費の値上がりその他から考えますと、百万円では私は四十五年度実現というものは非常に内容としては不満足なものになるのではないかと思うんです。これをもう少し引き上げていく必要があると思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/59
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060・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 四十五年に百万円というのは、一応百万円程度という目標を示したものでございましたが、四十五年には、いまのところ百万円以上、百万円をこえた最低限を実現することは可能であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/60
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061・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これは内閣総理府の家計調査でございますけれども、これによりますと、四十年の場合、二人世帯で食費が一万二千二百八十円、住居費が五千三十円、光熱費が千七百五十二円、被服費が三千七百七十九円、そのほか一万二千五百十四円、全体で三万五千三百五十五円一応生活費にかかる。五人世帯の場合は五万七千七百九円、こういうことになる。そうしますと、大体四十三年でとられました十万円引き上げの最低限、これは八十万ですね、平年度で八十三万、こういうことになると思うんですが、はるかに生活費を下回っているんじゃないかと思うんですが、これはどうですか、具体的に計算して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/61
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062・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ただいまお示しいただいたのは、たぶん四〇・五という世帯のところの月平均五万三千円、年額六十三万円の部分の生計費調査の結果だと思いますが、先ほど申し上げましたように、四人のところで申しますと七十一万円というのがことしの課税最低限でございますから、その意味ではかなり接近はしておりますけれども、家計調査は、御承知のとおり、かなりゆとりのあると申しますか、いわゆる最低生活費の家計調査ではございませんが、標準と申しますか、大体普通の世帯の家計調査でございますので、これと比較してなお上にいっておるということになりますと、まあまあというところではないか。たとえば平均国民所得に対する課税最低限の高さというものは、たとえばアメリカとかイギリスあたりになりますと、平均国民所得に対して課税最低限は大体三割程度のところに置いております。わが国の場合は大体現在四割五分ぐらいのところに置いてあると思いますが、やはりその一般的な平均というものに対して考えた場合には、御指摘のように、差が少ないとは思いますけれども、課税最低限という観点から申せば、むしろ他の国よりも平均国民所得に対しては高いところまで課税最低限がきていると思います。もちろん一人当たり国民所得が少ないという点から申せば、実はそのくらいであっていいのだと思いますけれども、各国に比べて、平均の家計というものに対してきびしい課税最低限になっているということはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/62
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063・戸田菊雄
○戸田菊雄君 まあ主税局長が言われるのは私はだいぶ違うと思うんです。たとえばイギリスあたりでは社会保障が相当充実をしておりますし、生活内容というものは十分に保障されておる。日本の場合はそういうことは全然ないのですね。それで、一面、税金だけはどんどんとられていくというわけですから、そういういわば何といいますか、租税負担割合といいますか、そういうものについてもそれぞれ税金の徴収割合だけでは言えないんじゃないかというように考えます、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/63
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064・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) もちろん財政の支出によって受ける利益と歳入の面から失う金額、これを両面から考える必要があることはもちろんだと思います。しかし、わが国の社会保障費も、年率で申し上げますと、大体国民総生産が一二、三%しか伸びてないところに、大体一七、八%のスピードで伸びているわけでございます。その過程においても減税を続けてきて現在程度の課税最低限になったわけでございます。もちろん生活保護等、あるいは医療等については、かなり社会保障が進んできておりますが、この両面からながめるのは非常に比較はむずかしいとは思いますけれども、御指摘のような点から、わが国の課税最低限がまだ平均国民所得に対してはほかの国に比べてかなり高いところに置かざるを得ないという事実は、これはもう認めざるを得ないと思いますので、そのかわり来年度と続いて課税最低限を引き上げるということを大臣が考えておられるというのも、そういう意味からだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/64
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065・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いろいろ理屈はあるでしょうけれども、大蔵大臣、いずれにしても、これは四十五年度までに百万円までに引き上げる、これは絶対公約ですね。その具体的な引き上げ内容というもの、方針ですね、たとえば来年度十万円、その次に十万円、それで百万、こういうかっこうになっていきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/65
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066・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) どうして百万円にするかというお尋ねがございましたときに答えましたが、まだそういう計画を立っているわけじゃございませんが、かりにあと二年で十万円ずつということに課税最低限を引き上げることにいたしますというと、平年度百三万円になる計算でございますが、いずれにしましても、四十五年度は百万円以上に最低限を引き上げるということにできるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/66
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067・戸田菊雄
○戸田菊雄君 四十三年度は四・八%の物価上昇、おそらくは来年もそれに近い物価上昇が出てくると思うんです。そういうことになりますと、当初昨年見通しをしたことは、結局そういうものを含まれて大蔵大臣は公約をされているのですか、百万円の内容は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/67
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068・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) それは四十五年度に最低限を百万円にするということは、四十五年度になったときの百万円ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/68
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069・戸田菊雄
○戸田菊雄君 その辺の物価上昇に対する最低限の問題ですね、この関連で何か考えている点はないのですか。その分ぐらいもう少し百万をオーバーして引き上げる必要はないか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/69
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070・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) そういうことも考えまして、私は、百万円程度というのが一つの私どもの公約になっておりますが、実際には四十五年度は百万円以上に最低限を上げるというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/70
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071・須藤五郎
○須藤五郎君 関連。大臣、この前田中寿美子さんが質問したときに、現在の物価水準をそのままにしてそうして上げていくのだ、こういうふうな意味の答弁があったように私は思うのですが、いまのですと、物価が上がっていくのにそれは野放しで、そうして百万円という見当を立てていらっしゃるようですが、それではいま思っている百万円と四十五年度に出てくる百万円というものは価値がずっと違ってしまって、何ら意味のないことだと思うのですが、今日の物価をそのままとして、そうして四十五年度に百万円にするという意味と違うのですか、そこをはっきりしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/71
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072・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 普通、来年度五十万といったときの五十万は、来年度物価はこうなるであろうから五十何万を意味するなんと言って五十万と言っているのではございませんが、昭和四十五年度に最低限を百万にするというときは、そのときの所得百万円まで課税しないということを言っているのです。そう科学的に厳密な意味で何万円ということを言っているのではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/72
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073・戸田菊雄
○戸田菊雄君 政府は昨年までは大幅減税と大々的に宣伝してきたんですが、実際は税金はさっぱり減っていない。私は具体的に聞きますけれども、四十三年度の年収百万円標準世帯で、これで四十二年度の税額総体はどのくらいですか。四十三年度はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/73
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074・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 百万円の給与所得者夫婦三人で申し上げますと、四十二年度分の税額二万二千八百十円でございますが、四十三年度分同じく百万円でございますと、一万五千五百七十二円、七千二百三十八円現実に減るという数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/74
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075・戸田菊雄
○戸田菊雄君 勤労者であれば、従来の平均割合からいきますと、一二%程度毎年給与が名目的に上げられる。そういうものを加味したらどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/75
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076・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ことしの私の見込みで立てましたところで給与は一一%伸びるんじゃないかと見ているわけですが、それで申しますと、四十三年度分は百十一万ということで計算いたしますと、二万五千五百九円ということになりますので、昨年百万円のときに払った税金が二万二千八百十円、今度は百十一万円になって、払う税金が二万五千五百九円、差額が二千六百九十九円ふえますけれども、これは所得が一一%ふえますので、比例税率からいっても一一%ふえるのはあたりまえで二千六百九十九円というこのふえ方は、計算いたしますと、約一一%ちょっとでございます。ですから、減税によって、所得が一割伸びたにかかわらず、今度の改正では実効税率が前と同じであるという結果になるわけでございます。いわば所得税は累進税率でございますから、所得が百万から百十一万になれば、実効税率自体は上がらなければならないわけですが、今度の税率は、百万円程度のものであれば実効税率は上がらないで、結果において比例税率と同じであるというようなことに今度の計算ではなるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/76
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077・戸田菊雄
○戸田菊雄君 結局この所得関係は名目所得ですよ、ずっとみな上がってきているわけですからね。当然一一%の中にそういう割合が入っている。ところが、税金のほうは名目所得でどんどんかけていきますから、結局いま言ったように、一一%程度ことしも上がるとすれば、二千六百何がしというものは高くなる、税金が。こういうのがいまの税金の取り方だと思う。ですから、国民感情からいけば——感情ではなくて、実態から言っても、政府は、いろいろ税金は高くならない、減税だと言うが、まあ四十三年度の場合は実質減税ゼロだから、プラスマイナスなしということになると思うのですが、しかし、国民が実際納める税金は、このように名目所得が上がることによってどんどん高くなる、こういうのがいまの実態だと思う。こういう問題について、私はやっぱりこの税率に問題があるのではないか。税率の検討をする考えはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/77
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078・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) いま仰せのとおり、所得税制は累進課税構造をとっておりますので、所得が伸びますと実効税率は上がっていく。これは、まあ事柄から言って当然でございますけれども、その上がり方がはなはだし過ぎるというのが一つと思いますし、それから、名目所得と実質所得が食い違っている部分については、実質所得が上がっている以上に実効税率が上がり過ぎるというこの問題、いわゆる物価調整減税として問題になっている問題でございます。ことしは、計算いたしますと、千五十億のうち、約三百四十億くらいはこの調整減税の部分であるという計算になると思いますが、調整減税の部分はことしはそれだけ行なわれているというふうに申していいと思いますし、それから、いま御指摘のように、累進課税構造による税負担の急激な増加があるということは、一つは課税最低限という問題、もう一つは税率と、両方でやはり響いてまいると思います。で、日本の場合、課税最低限は毎年上げておりますので、大体課税最低限の面で、低額所得者のほうは、いま申されたような物価調整の問題とか、それを含めて、所得が上がった部分もかなりカバーして税負担を軽減しておりますけれども、税率部分は、三十二年に大幅減税をやって以来、あまり動かしておりません。その間に所得の構成がずっと上のほうに片寄ってまいりましたために、税率の面でも、確かにいま御指摘のように、非常に所得に対して税額のふえ方が大き過ぎるという問題は生じてきたと思います。たとえて申しますと、一応昭和三十五、六年ころでございますと、給与所得者であって年間収入金額が百万円以上という者は、全体の納税者のうちで三%程度でございましたが、現在四十三年度で推計いたしますと、おそらくこれが二〇%以上になってまいると思います。そういたしますと、二〇%と申しますけれども、人数は相当な多数でございますので、この人々は課税最低限の引き上げだけではそういう問題が救えなくなりつつあるという意味では、税率についても将来問題が生じてくるだろうと思いますし、税制調査会の中間答申も、その意味で三百万円程度の収入のところまでは税率を調整するということを中間答申で適当であると認めるということを言っておるわけであります。まあそういう点から、税率について手をつける時期もかなり迫っておるというのが私たちの率直な感想でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/78
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079・戸田菊雄
○戸田菊雄君 まあその主税局長の御答弁、やや満足なんですが、もう少し確かめておきたいんですが、過去税率改訂は二回やったと思うのですね、私の記憶ですと。しかし、昨年ですか、一部手直しをした程度で、それは本格的な改訂ではない。ですから、どうしてもいま主税局長が言われますように、税率部面について何らかの改訂措置をはからなければいけない、こういう段階にきているだろうと思う。少なくとも、八月になれば税調の答申があるいはあるかもしれない。時期的には一体いつごろを考えているのか。四十三年度の中で税調答申があれば直ちにその税率改訂に踏み切るというのか、四十四年度に入ってそういう税率改訂をやろうとしているのか、その辺の見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/79
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080・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) まだいつやるということはきめてはございません。私どもの考え方は、四十五年度までに課税最低限を百万円という方針をはっきりとっておりますので、このときに、いま申しましたように、百万円以上私どもはやりたいと思いますが、その際、まあ一応いままでの公約に従って百万円という、これを越せるというところまできましたときには、この百万円の上、課税最低限をもっと上げるということをすべきか、いま言った、もう税率の調整をやるべきかということで四十五年ごろがこの問題を考える時期じゃないかと、一応私どもはいまそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/80
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081・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そうしますと、いずれにしても、大臣自身としてもこの税率改訂は必要である、時期的には四十五年度あたりまでは根本的に改訂をはかる考えである、こういうことで確認をしていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/81
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082・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) やはり少額所得者にとっては課税最低限を上げるということのほうが重要でございますので、やはり四十五年ごろまでにはそちらのほうへ力を入れて、少なくとも百万円というところまでは早く持っていきたい、それから税率の問題を考えたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/82
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083・須藤五郎
○須藤五郎君 ちょっと関連で。
大臣、そういうふうにおっしゃるならば、何でことし最低限の課税率を〇・五%上げたのですか。あんなもの上げる必要ないじゃないですか。ことしは九・五になっちゃったでしょう。最も所得の少ない人の税負担を〇・五%ふやすなんという、そういう了見はどこから出てくるのですか。いまの戸田さんの質問は税率を下げろという御意見なんでしょう、税率下げろと、(「いや、そうじゃない。累進度を」と呼ぶ者あり)累進度を上げろというのでしょう。それならば低いところはもっと下げるのが本筋じゃないですか。それを〇・五%上げちゃったのはどういうことなんですか。それで、あれでどれだけの増収になったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/83
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084・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 増収じゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/84
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085・須藤五郎
○須藤五郎君 増収になっているはずですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/85
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086・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘の点は、御承知のように、八%の最低税率が三十七年に地方税との関係でできたわけでございますが、それを課税最低限を引き上げる際に徐々に〇・五%ずつ引き上げ、ことしは九%であったものを九・五%まで上げたという点だと思いますが、これにつきましては、御承知と思いますが、税制調査会でもいろいろ議論がございまして、所得税の最初の税率をどうするかという問題につきましては、所得税の機能から申しますと、所得再分配機能というものが非常に大きいだけに、所得税は大体全員にかかるものではない。むしろある程度以上担税力のある者を対象として課すべきである。たとえば日本でございますと、納税人員に対して五割以下の人しか所得税がかかっていない。そういたしますと、この所得再分配機能を高めるためには、できるだけ課税最低限度を引き上げていくということが必要だ。そういたしますと課税人員が非常に減りますけれども、これは担税力のある人々になるわけだけれども、その場合には課税最低限に相当な幅がとってありますので、この最初の課税所得に対する税率はかなり高いところがら始めたほうが所得再分配機能の目的に適する、つまりそれだけ少数の人からできるだけ多くの税金をとれば、課税最低限はできるだけ引き上げる、大きくなるわけでございます。そういう意味では、最初の税率はアメリカは一四%から始める。また、イギリスは二〇%から、西ドイツは一九%から始めているわけでございます。そういう意味では、いま八%というのをできるだけ一〇%程度に近づけていきたいけれども、それは課税最低限を引き上げていくつどやるべきだ。それをやれば、御指摘のように、ことしも七十億程度の増収になりますから、それだけ課税最低限の引き上げがよけいできるわけです。そうして、できるだけ所得税の機能を理想的に発揮していこうという意味で、さしあたり一〇%程度の課税最低税率から出発するのが適当ではないか。課税最低限というものがございます限りは、最初の出発点としての税率はかなり高いところからいくというのがいまの一般理論でございます。そういう意味で、いまことしのように、たとえば給与所得者でございますと基礎控除が一万円上がり、配偶者がある場合は、配偶者でさらに一万円上がり、それから定額控除で二万円上がる、四万円も控除が上がる場合には、夫婦だけの世帯でも四万円上がるわけでございますから、そのときに〇・五%程度の引き上げをはかるということは、負担としてもそう無理ではないということで、去年、おととしと、続けてこの給与控除を引き上げた際にこの最低税率を引き上げたわけでございます。と申しますのは、独身者で課税になっておりますものは、もうほとんど例外なしに給与所得者です。したがいまして、独身者の場合は、基礎控除を一万円上げただけで〇・五%の最低課税率の引き上げをいたしますと、そのところでは一時減税がないという結果になります。しかし、去年、おととしと続けて定額控除を引き上げておりますので、一番苦しい独身者のところも、ほかの人に比べて、相対的に課税最低限税率の引き上げが高いものでございますから、この機会に税率の構成をできるだけ適正化しておこうという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/86
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087・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それに関連してちょっと。
いまの問題で二つ問題があると思います。一つは、なるほどいまの説明で一応まあ筋が通っている、説明のしかたとしては。しかし、課税最低限自体が非常に低いんですよ、そこが問題なんです。
それから、もう一つは、資産所得の課税率といまの最低税率との関係なんですよ。そうでしょう。たとえば不労所得とわれわれ言っていますが、資産所得、たとえば配当とか、あるいは利子ですね、このごろは少し上がってきたからいいようなものの、前はあんな不均衡な、不労所得とそれから税率の最低とほとんど変わらないようなあれがあったでしょう。その権衡が一つ問題があると思うのです。不労所得と勤労所得との間の権衡の問題、それから、最低課税限が低いものですから、中学を出たくらいの人がすぐ税金がかかる、その税率自体が重いという問題が起こってくるのですよ。そういう意味で問題なんです。この二点について、やはり戸田委員の質問している問題点はそういう点だと思うのです。その二点についてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/87
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088・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 確かに御指摘の点はあると思います。それは一つ利子配当の問題として三年後に一ぺん解決をはかるべき問題だと思っておりますが、いま実は実効税率でお考え願いますと、独身者でも実効税率が一五%、いまの利子の税率に達するには、給与所得の収入金額二百万円、独身者でそのところが実効税率一五でございますから、利子所得の場合は控除も何もなしに、いきなり一五でございますから、そういう意味では、実効税率として考えれば、一般大衆から見れば相当高く課税されておる。それはもっと課税されるべき人が課税されていないという点はあるかもしれませんが、実効税率として考えた場合は、大体収入二百万円程度の給与所得者の実効税率とひとしいところにあるという点が一つございます。
それから、もう一つ、独身者が高校を卒業するとすぐ税がかかる、そういうことでやるのはどうじゃという話は、これはよくわかるのでございますが、そこで、実はこの〇・五%の引き上げをやる時期というのは、ずっと問題を考え抜いておったわけでございますが、一昨年、昨年、ことしと、続けて従来あまり給与所得控除を上げるという問題はなかったのですが、この三年間に給与所得控除を急激に上げてまいりました。その給与所得控除を大幅に引き上げた時期に負担がかなりそこで大幅に変わってきたという意味で御了承願いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/88
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089・木村禧八郎
○木村禧八郎君 もう一つ関連して。
いわゆる資産所得に対する課税の率と、それから、いまの所得税の最低税率との関係ですが、まあ前はもっとひどかったんですよ、その不権衡が。ですから上げたいと思うのですよ、資産所得のほうの税率を。だけれども、いま本則はどうなっているか、本則は総合課税なんですよ。そうでしょう。それで、源泉で本則のほうが二〇%でしょう。源泉で二〇%とって、しかも、これは総合課税になっているのですよ。それがいかに優遇されているか。これまでは極端だった、一〇%だったでしょう。とにかく利子、配当なんかの不労所得が一〇%で、それで最低税率が、高校を出たくらいの人の税率が九・五%だった、そんなにひどかったんです。それが今度一五%ぐらいに上げましたけれども、それでもまだ不権衡だと思うのです。われわれは本則に帰れといっている。だからいま資本蓄積の名においてずいぶんそういう優遇措置を講じてきて、それで資本の蓄積が行き過ぎちゃって、四十年度なんかそれでデフレ、不景気がきたりなんかしているでしょう。そういう非常に不権衡があるのです。そういう点を言っているのです。だから、多少ずつは直ってはきておりますけれども、これがまだまだこんな程度じゃ、本則から考えたらたいへんなまだ差があるわけなんです。資本蓄積はわれわれ不要とはいいませんが、あまり不権衡過ぎて、そのために急速に資本蓄積が成功して、世界第二位くらいの生産力にはなったけれども、そのために非常にいろいろなひずみが出てきちゃっている。ここを問題にしている。それはその点、大蔵大臣いかがですか。基本的な問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/89
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090・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) そういういろいろな問題もございまして、昨年私は、いろいろ御批判はございましょうが、非常にむずかしい問題であったにかかわらず、五割税率を上げるということは、私としては非常に去年は英断をやったというふうに自分では思っております。しかし、さらにあと期限があることでございまして、あと二年の間に期限がきますから、その間にいままでやったこの実績を見て次の措置を考えるということでいいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/90
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091・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いまいろいろと問題になった点ですけれども、もう一点だけ質問しておきたいと思うのです。結局四十三年度の所得二十万、これは据え置きですね。十万以下の最下限、これは逆にいまいろいろ問題になったのですが、従来八%、八・五%、四十三年で九%で、九・五%、こうなっている、ここが私は問題じゃないかと思う。こういう問題について大蔵大臣は、先ほど四十五年までにそういう問題を含めて、税率も含めて改訂する措置をとる、こういうことなんですが、これは早期にこういう不合理な点については手直しをしていく必要があるのじゃないかというのが私の質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/91
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092・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘の点でございますが、税率九%の課税所得、現在十万円の範囲でやっておりますが、この分は九千円の税金をとられている。ところが、今度は、たとえば基礎控除だけ上げたという前提で考えましても、一万円上がりますから、課税所得は九万円に減ります。それに対して九・五%でございますから、税金は八千五百五十円、やはり四百五十円の差はできてくるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、給与所得の独身者であっても、控除引き上げは今回は一万円ではなくて、定額控除が二万円でございますから、三万円引き上げられているわけでありますから、相当大きな減税になっているという点で、とにかく九とか九・五とかというはんぱな税率は、この次に機会があれば一〇%に戻るわけでございますが、ほかの税率等も考え合わせながら、できるだけ税率の適正化をはかっていきたいということで、一〇%からさらに引き上げるということは当面考えておりません。その辺を御勘案の上、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/92
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093・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いろいろ財政硬直化を理由として、自然増収九千五百億という政府の見積もりもあるにもかかわらず、大体税調の答申からいけば、一つは国債削減でありましょうし、減税措置でありましょう。そういういろいろな内容というものが、方針というものがきまっているはずなんですね。それを今回どうして物価調整減税というものはできなかったのか、この辺の問題について大臣にちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/93
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094・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 三十九年でしたか、税調の意見の中に、やはり自然増の二割程度は減税に回すのがいいというようなことでございましたが、これは国債を発行するということを考えていないときの税調の考えでございまして、その後国債を発行するということになってきますというと、現在はこの税調の考えも変わってきております。で、私ども、今年度の予算の編成におきまして、減税をするのがいいのか、この国債の発行額を減らすべきであるかという問題になったときに、私どもは、今度は国債発行という新しい事態ですから、この事態に対して、当面、私どもの政策として、減税にこの自然増を一部回すべきだという考えから、千六百億円の、減税じゃなくて、国債の削減ということを、今年度は去年の八千億に対してやったわけでございまして、税調の精神はやっぱり私は生かされておると思います。自然増になったものだけ全部歳出に使ったわけじゃございません。千六百億円を国債の発行を減らすことにこれを使って、そうして財政全体のワクをできるだけ圧縮するということに意を用いたということでございまして、この税調の国債発行前の精神と、今度私どものやった考え方は食い違っていないと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/94
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095・戸田菊雄
○戸田菊雄君 まあこの税調答申の物価調整というものは、これは減税じゃないと思うのですね。当然これは過日の大蔵大臣の答弁にもありましたけれども、一%物価上昇すれば、それに対する七十億の自然増、これは生活にはね返りがあるんだから、そういう意味合いで税調は政府に対して答申をしてるんだろうと思う。それは当然やるべきことじゃないですか。それは減税や何かでないんですから。それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/95
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096・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 所得税の面におきましても、物価調整減税は、先ほど御説明いたしましたように、三百四十億程度でございまして、千五十億の初年度減税の中に含まれておるとお考え願ってけっこうだと思いますが、そのほかに増税をやっておるじゃないかというお話だと思います。物価調整の問題というのは、所得税の税率構造から生ずる所得税のいわば実効税率の引き上げという問題を解決をする問題でございますので、その点としては、今回の税制改正も十分それを含んでやっておる、こう考えておりますが、総体の税収としては増減税なしというかっこうになっていますけれども、これはまあいま大臣がお話になりましたとおり、全体の税負担自体も、昭和四十一年度に自然増収がほとんどないというときに三千億程度の減税をいたしました。他方、公債を発行しておったということで、御承知のとおり、国民所得に対する税負担率も、税調が想定していたころの二〇%に比べまして、四十一年度は一八・六%、四十二年度は当初予算では一八・五まで下がっております。それがいわば今度の税制改正を経て、ことしは一九・六まで、ほぼ前の水準に下がったというところでございますので、自然増収と申しましても増税と申しましても、国民からどれだけ前よりもよけいの税金をとるかという話でございますが、諸外国では日本のように自然増収が多くないために、直ちに増税に訴えないとこういう事態に対処できません。日本の場合は国民所得が非常に伸びますので、その点で自然増収でことしはまかなえるということだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/96
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097・木村禧八郎
○木村禧八郎君 関連。大蔵大臣はさっき非常に重要な発言をされているんですよ。前の中山伊知郎氏の税制調査会の会長のときに、三十七年でしたか六年でしたか、物価調整減税を答申しました。その物価調整減税については、公債発行の段階に入ってから税調の考え方が変わってきているのだという、そういうお話なんですよ。そんなはずはない。いま千五十億の中には三百幾らの調整減税が入っていると、こう言っているのですから、ですから、それは物価調整減税に対しては、これはいま戸田君も言われましたように、実はもしそれを行なわなければ増税になるんですよ。増税になるものだから、そこでこれは物価調整と言っていまして、そこでほんとうは減税じゃないけれども、実質的には増税にならないように調整をするということなんでしょう。これが変わってきたというのじゃたいへんなんですよ。それと、大蔵大臣、もう一つ、さっき総理大臣も、ぼくは速記録を見たらはっきり言っているんですよ。四十三年度は実質減税ゼロということをはっきり言っておりますよ。そうすると、増税でもない、減税でもないと、こう言っているのです。それはたばことか酒とか、物品税の増税分も含めて言っておる。千五十億の所得税を減税するが、他方で間接税の増税でこれが帳消しになっているということをはっきり言っているんです。にもかかわらず、物価調整減税は千五十億の中に入っているという言い方は、それは理屈としてはそうでしょう。しかし実質的にはそうじゃないのですから、そうすると、千五十億の所得税の減税を間接税の増税で帳消しにしていると言っているのですから、ですから、物価調整減税はないというのと同じことになるわけですよ。実質はそれだけ増税であると実質的に言えるんですよ。そういう論理から言えば、それはごまかしだと言っているんですよ。じゃ千五十億から調整減税を引くと、あと六百幾らになるでしょう。ところが、千五十億の増税から六百億引けば、残りが増税になるということですから、同じですよ。それはごまかしですよ、さっきの説明は。国民は実質的な減税を望んでいるのですからね。地方税においても同じようなことが問題になる。それはごまかしですよ。実質減税ゼロ、ゼロというのは、率直に増税なんだと言えばいいんですよ。それでなければ財政硬直化は打開できないものだということをはっきり言えばいいものを、そうじゃないそうじゃないと言うからわれわれはおかしい、立場が違っても、はっきりほんとうのことを言うべきですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/97
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098・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 最初のあれは木村さんの誤解だと思います。私の言ったことは調整減税の問題を言ったのではございませんで、その年の自然増の二割ぐらいは減税に充てろということでしたが、今度は自然増があったのを少しも減税に充てていないじゃないかという戸田君の御質問に対して、税はそうなんだが、これを公債の削減に使ってこれに充てているのだということを言ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/98
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099・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いまぼくの質問に対しては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/99
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100・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘がございました点でございますけれども、どうも理屈っぽくなりまして恐縮でございますが、先ほど私が申し上げましたように、所得税については、まさに負担増という問題が税率と物価との関係で生ずる、それだけは所得税体系では消しておかなければならないということは明らかだと思います。そういう意味で、ことしの税調は、極端なことを言う人は、差し引き減税なんか税もしなければいいという考え方もあるわけですが、御承知のとおり、いまの日本の税体系は、所得が伸びて、あるいは物価が上がれば矛盾が生ずる体系であるとも言えるわけです。その矛盾だけを直しておこうということ。酒、たばこについても、これは物価水準より所得水準が上がりまして矛盾が生ずるものなんでございます。その矛盾を調整しておるわけで、そういう意味で切り離して物価調整減税は行なわれているということも決してうそではないというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/100
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101・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ゼロゼロと言っている。それが正しくないということを総理大臣によく話したほうがいいですよ、違うということを。切り離して説明すればいいですよ。それをゼロゼロと言っているから国民に錯覚を与えるでしょう、もっとはっきりその点言わないと。ごまかしているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/101
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102・戸田菊雄
○戸田菊雄君 じゃ具体的にお伺いをしたいんですが、この前ちょっとお伺いして、議事録を持っていませんから内容を見てないので、もう一度お伺いしたいんですが、所得税の納税人口のうち、給与所得者、これは大体どのくらいですか、あるいは全労働者の雇用人口、このうち一体どのくらいの割合を占めているか、この点について説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/102
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103・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 所得税の納税義務者のうち、給与所得者の占める割合は八三・九%ということになっております。それから、総体の給与所得者数のうち、納税者の割合は、今度の減税後で申しますと五八・二%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/103
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104・戸田菊雄
○戸田菊雄君 所得税の負担割合というと、階層別に見て非常に労働者関係が多くなっている、こういうことだと思うんですね。いまおっしゃられましたように八三・九%、雇用人口に対して五八・二%、こういうことですが、半分以上はほとんどが勤労所得、こういうものにかけられている。そういった人たちの収入割合というものは非常に低額なのに、逆に負担というものがかぶさっていると思いますがね。百万円以下の所得者は一体どのくらいいるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/104
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105・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 実は階層別の調べが四十一年の実績でございますので、先ほど私が推定して申し上げた率とちょっと違いますが、四十一年からの実績で申し上げますと、百万円以下の人が八七・五%を占めるという結果になっております。これは給与の所得者の中ででございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/105
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106・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そういうぐあいに、いまの税率というやつは比較的低所得層に向けられる、労働者に。給与所得者に向けられている。こういうことで負担割合というものが非常に増大をされつつある。やはりこの問題を、私は、さっきから問題になっているところの最低限の問題と税率と、こういうかみ合いの結果、非常に問題が出てきているんじゃないか。ですから、こういう問題については、大蔵大臣は、四十五年度までに具体的に税率改訂その他の問題、最低限を含めて所得税改訂については抜本的改訂をやりたい、こういうことですから、その点は了承するんでありますが、百万円以下に四十五年度までに免税点を引き上げていくという方針なんですから、その前に、私は一歩進んで、これらの税率改訂というものを一たん手直しをする必要があるんじゃないか、そういう意味合いで、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/106
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107・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) やればやれないことはないんですが、結局これは財源の問題で、いまのところは私どもは非常にむずかしい。したがって、課税最低限は早く百万円まで持ってきて、それからのことというふうに、長期税制のあり方という中へ入れて、いま税制調査会にもこれを研究してもらっているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/107
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108・戸田菊雄
○戸田菊雄君 大蔵大臣は財源がないと言うんですが、われわれの主張の一部を入れるだけで財源が出てくるんじゃないかと思う。一つは、特別措置等による減収、この面をやはり税法に従って適当な合理化をしていくなら、そこからも一つの財源が出るんじゃないか。さらに自然増収、こういったものからも、やる気なら財源の一部は私はさくことができるんじゃないか。さらに、広告費等については全然かけておらないんです。年間五千億もあって、四十三年度は幾らあるのかわかりませんが、こういう歳入面について、そういう硬直化のいわば打開策といいますか、所得税の全体の改廃をめぐって、私はもう一回政策的に検討してみる必要があるんじゃないかと思うが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/108
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109・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 租税特別措置というものは非常に問題になっておりますが、いまあらゆる財政需要に関してこの予算をなぜふやせないか、ふやす方法としてはこういう特別措置の問題がある、それをやればこれだけ予算がふやせるという、私の受けているいまあなたのおっしゃられる特別措置に対しての要望だけでも、国会関係で一兆円をこえる要望になっておるところでございますので、問題は、そこに種があるからと言って、全体の財政需要の調節ということから考えましたら、なかなかこれを考慮の対象にして、いま言った所得税の税率にすぐ入っていくという余裕は実際においてはないというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/109
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110・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そこまできますと、ちょっと財政問題に触れなければいけないと思うのですが、結局一つの例ですが、四十三年度の補助金総額は一体どのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/110
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111・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 間違っておったらいま訂正しますが、補助金総額は一兆五千億円前後じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/111
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112・戸田菊雄
○戸田菊雄君 四十二年度の比較増でどのくらいふえておりますか、割当と金額で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/112
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113・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 四十三年度の補助金等の総額は、いま手元にある資料では一兆六千五十八億ぐらいでございます。四十二年度は一兆四千二百四十七億でございますので、概数で申し上げますと、約一千八百十一億でございますか、増額しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/113
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114・戸田菊雄
○戸田菊雄君 結局は財政の硬直化だからといって、政府は具体的に歳出増を食いとめていかなければいけない、こういうことを言うのですが、補助金の一つの例をとってみても、去年と比較して全然減っていない、むしろふえている。ただ、財政硬直化と口ではいろいろ言って、一面では増税体制をとっているけれども、出すほうについては全然引き締めなどはやっていないですね。こういうところにいわば歳出欠陥が出てくるのではないか、財政硬直化といわれる問題が出てくるのではないか、もう少し政府はこれに対して抜本的な検討をして歳出の削減をはかっていくべきだと思う。ことに補助金というものは言ってみれば、議員なんかの何か選挙用に地元からきたやつをどんどんやって、全く無政策に出していると思うのですね。国家政策の高度の判断からそういうものが適切に行なわれている、そういうものもあるでしょうけれども、大部分はそういうケースでやられているものがある。ですから、補助金というのは何々議員の補助金、そういうところまでいっている。そういうことになったら、一体何を土台にして国税全般の歳入歳出というものをはかっていくのか、そういうことを大いに検討されなければいけないと思うのですが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/114
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115・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) それはそのとおりだと思いますが、問題は、補助金といえども、やはり法律、制度の上に支出されているものでございまして、根本は、そういうものをこれからどうするかということできまる問題だと思います。私の一兆五千億と言いましたのは地方財政に対する補助金でございますが、これも全部法律に基づいた補助金の計上でございまして、もし財政の硬直化というようなものを根本的に解決しようとするなら、やはりいままでの法律、制度、慣行というものに対してここで再検討を加える必要があるというふうに考えられますので、これはいま財政制度審議会の議に移して、部会を設けて検討してもらっておる問題でございますが、そこまで入らなければこういう問題の解決はできないだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/115
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116・戸田菊雄
○戸田菊雄君 財政制度審議会にはかって具体的に検討してもらっておると、こういうことですが、それならば、私は、当然四十三年度予算編成時に間に合うようないわば財政制度審議会の審議というものを進めてもよかったんじゃないか。非常にその辺に政府の考えと実際検討する段階というものはずれてきていると思うのです。だから、そういう面で多く方針上の問題に欠陥があったんじゃないか、私はこう考えるのですが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/116
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117・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) この法律、制度の改正というところまでは本年度入りませんでしたので、それに触れない範囲で硬直化打開に一歩を踏み出したいということで、できるだけのことは今年の予算編成のときに私どもは努力したつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/117
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118・戸田菊雄
○戸田菊雄君 具体的に、この補助金の例でけっこうですが、削減した項目、あるいは制度的、法律的にそういうものを検討する必要のあるもの、こういうものについて一定の、何といいますか、考えというものを大蔵省では持っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/118
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119・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 補助金等の整理、合理化に関しましては、すでに三十九年でございましたか、補助金等合理化審議会の答申が出ておりまして、自来、大蔵省といたしましては、その答申の方向に従って毎年度その整理、合理化につとめてまいっておるわけでございます。その補助金の整理に関しましては、この合理化審議会のほかに、行政管理庁からも意見が出ておりますし、また、行革の答申にもございます。そういう各方面からの意見なり答申なりというものを参考にしまして、毎年度補助金等の整理、合理化に関しては、方針をきめまして予算編成に臨んでおるわけでございますが、何ぶん、なかなか過去のいきさつ等がございまして、私どもが考えているようにその合理化が進んでいないということは遺憾に思いますけれども、その努力は決して怠っておるわけではございません。四十三年度におきましても、私どもは零細な補助金の整理、これは、たとえば府県に対しましては五十万、市町村に対しましては五万という金額未満のものはこれを整理する。整理しきれないものは、補助金に関しまして終期、たとえば四十五年度までというような終期を設定するとか、あるいは統合いたしまして、それをメニュー化方式によって執行するとかいうような合理化も行ない、さらに収益を伴うところの事業に対する補助金につきましては、これを極力融資に切りかえていくとか、あるいは自前でやるように打ち切るとか、また、地方公共団体に対しますところの補助金につきましては、これを一般財源に移しまして、たとえば交付税の基準財政需要額に算定をするとかいうような方法によって整理するとか、また、民間に対する補助金につきましても、金額の小さいもの、また、収入額において補助金の占める割合の低いものというものに重点を置きましてその整理をするという方針を立ててやったわけでございます。結果は、四十三年度は、廃止八十六件を含めまして、総数三百三十七件、これは目の細分以下の件数も含めておりますが、三百三十七件につきまして整理、合理化を実施した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/119
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120・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それから、これは二月六日の新聞でございますが、税調としましては宣伝広告費に課税する、こういうことでございますが、この点についてはどういうふうなお考えをお持ちになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/120
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121・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 二月六日のたぶん朝日新聞だと思いますが、突然に、税調においては広告費課税を検討する予定でやっておるという記事が出ました。これは私どもも実は関知しない観測記事でございます。税調としては、今度の長期税制答申におきましては、かなり大きな線で検討いたしますので、もちろん税調の検討されることでございますから、広告費課税というのは交際費課税と関連して議論されることもあるかもしれませんけれども、それを政府として税調に依頼をしてやっておるという形でないのでございまして、これは全くの観測記事でございますから、実際にどういうふうに検討が行なわれるかは、まだ何とも申し上げる段階ではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/121
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122・戸田菊雄
○戸田菊雄君 もし税調でそういう答申が出たら、政府としてはこれは実行しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/122
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123・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 税調がどういう答申を出すかということがまず先決でございます。その上で税調の答申を検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/123
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124・戸田菊雄
○戸田菊雄君 新聞によりますとこういうことになっているんですね。「税制調査会(東畑精一会長)は、六月ごろ佐藤首相に出す「長期税制のあり方について」の答申に、企業の宣伝広告費を新しく課税の対象とする方針を織り込むことにしている。」と、断定的です。「大蔵省も四十四年度の税制改正に、交際費課税の強化とともに、宣伝広告費を課税の対象匠加える方向で検討をはじめた。」と、こうなっているんですが、これは大蔵大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/124
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125・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 新たに検討を始めたということはございません。宣伝費、広告費についての課税はいかにあるべきかということは、これはもう前から十分大蔵省では検討しておるところでございますが、いまのところ、これはなかなかむずかしいということになっておりまして、また、新たにこれをいま税調にかけて云々という事実はございませんが、これはふだんから検討しておる問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/125
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126・戸田菊雄
○戸田菊雄君 結局こういう税の公平の原則からいっても、私たちは非常に不公平ないまの税徴収ということになっているし、その代表的なものにこういった宣伝広告費などが含まれるんじゃないか、あるいは交際費もそうだろう、特別措置なんかもその一つだ。ですから、総体的にそういうものの税体系の中で考えるこの税収面を、根本的に財政硬直化と含めて検討する段階ではないかと思うんですが、そうすれば十分われわれが言う最低限の問題、税率の問題、いろいろ不都合の点については財源というものは捻出をされることは当然予想されると思うんですが、それは大蔵大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/126
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127・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 検討すべき問題でございますので、いま申しましたように、これはずっと以前から検討しております。しかし、これは交際費などとは全く性格の違うものでございまして、業種別に見ましたら、これは全く必要な業種もございますし、この取り扱いいかんは、いまいったほんとうにそれこそ不公平な税制になりますので、技術的にも非常にむずかしい問題を含んでおりますので、検討はずっとしておりますが、まだ結論を出していないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/127
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128・戸田菊雄
○戸田菊雄君 時間がありませんから、特別措置等の問題について若干お伺いをしたいんですが、この四十三年度の税制改正の要綱、この特別措置等に対する整備合理化、この中身はどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/128
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129・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 整備合理化の内容は、第一点は、価格変動準備金の積み立て率の引き下げでございます。従来対象別に八%、六%、三%という積み立て率を定めておりましたが、これを六%、四%、二%ということに切り下げをいたしました。第二は、四十一年度に設けました合併の際の税額控除並びにスクラップ化をいたしました場合の税額控除につきまして、合併につきましては、全体のその産業を通ずる構造改善計画に基づいたもの以外はその利益を半分に削減をする。スクラップ化につきましては、同じような意味で、その産業全体を通ずる構造改善計画にのっとって必要と認められるスクラップ化を行なった場合に限り適用して、一般の適用を排除するという縮減を行なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/129
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130・戸田菊雄
○戸田菊雄君 その価格変動準備金の積み立て率の引き下げ、この特別整理によって一体増収金額がどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/130
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131・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 初年度におきまして三十九億、平年度におきまして、端数を切りまして百五十七億という増収になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/131
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132・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それは主としてどういう方面に使っていきますか、内容は。項目でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/132
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133・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) これは、一般的にこの財源が、今年度、輸出振興、あるいは技術開発促進、中小企業の構造改善ということで新たに講じました措置による減収額に相当することになっておりますので、今回の新設ないし拡充された租税特別措置による減収額総体に対応しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/133
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134・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私の計算したところだと、初年度四十一億円の増収体制になるんじゃないかと思うんですね。そのことは、結局いま主税局長が言われた輸出振興、技術開発促進、中小企業構造改善、おもなる項目はこの辺にひとつつぎ込んでいく、こういう考え方で、そこで、問題は、いまの海運会社の配当は一体どのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/134
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135・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 海運四十一社のうち、四十二年の九月期におきまして配当をしておりますものは十三社でございまして、その配当率はすべて六分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/135
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136・戸田菊雄
○戸田菊雄君 四十三年度の予算を見ますと、貿易振興費を含めると四百八十一億大体いっているのですね。いろいろと政府の言い方は、国際収支が悪化をした、こういうものを正常な軌道に乗せなければいかぬ、いろいろ理屈はあるでありましょう。結局昨年と比較をいたしますと三四%もふくらましている。そして、一方、国民の税金で援助しながら、かたわら配当を六分も出している。そして、なおかつ、特別措置等に基づいて直接的に税金をこちらのほうにまた回してやる。この二重、三重の恩典を加えながら保護政策をとっているということになるのですけれども、そういう問題については、大臣、矛盾を感じませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/136
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137・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 本年度打ち切りの問題が出ましたが、予算編成のときに、再建整備の期間が一年でございますので、それに合わせて本年度はそのままにして、来年度から打ち切りにするという方針がきまっておりますので、本年度だけの問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/137
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138・戸田菊雄
○戸田菊雄君 この海運会社の利子補給の問題は時限立法になっておって、ことしで切れるわけですね。それを一年延長したのです。大蔵大臣のいまの答弁ですと、来年はそれを廃止をする、こういうことだそうですが、それは確認していいですか、来年は廃止をすると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/138
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139・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) ええ、廃止いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/139
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140・戸田菊雄
○戸田菊雄君 時間がありませんから、簡単にもう一点だけお伺いしたいと思うのですが、今回の特別措置等に基づいての減収総額は幾らくらいになっておりますか、四十三年度の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/140
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141・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 二千六百四十八億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/141
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142・戸田菊雄
○戸田菊雄君 おもなるものの免税は何と何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/142
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143・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) この二千六百四十八億のうち、約千六百億というものが貯蓄奨励等のものでございます。で、生命保険料控除が五百億程度、それから百万円以下の少額貯蓄免税が約五百億、その他配当、利子の分離課税分が合わせまして約六百億。千六百億程度が、それで落ちまして、あと千億円程度のうち、百億以上の減収額というものになりますと、輸出割り増し償却が約二百五十億、それから試験研究費の税額控除、これが約百三億、合理化機械等の特別償却、これは中小企業を含めまして約百三十億、それから収用の場合の課税の特例及び事業資産の買いかえ、居住用の財産の買いかえ等、いわゆる買いかえに関します特別措置関係が合計で約二百八十億、さらに社会診療報酬の所得計算の特例、医師の特別課税の分が百四十五億、これが大体百億以上の大きなものの総計でございまして、あとはほとんど額としては問題にならないような小さなものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/143
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144・戸田菊雄
○戸田菊雄君 時間がありませんから読み上げますけれども、配当所得の課税最低限が二百三十六万三千八百六十六円、これに対して全く無税であるにもかかわらず、市町村の給与所得の場合を見ますと、所得税は二十七万九千二百円、住民税が十二万六千七百六十八円、合計四十万五千九百六十八円、事業所得の場合は、所得税が三十三万五百七十八円、事業税が八万五百十三円、住民税が十三万一千百七十二円、合計五十四万二千二百六十三円、こういうことになっているわけですね。この開きはきわめて不当で、一方はいわゆる免税措置が与えられている。こういうものは私は早期に改正されてしかるべきじゃないかと思うのですが、先ほど大蔵大臣は、そういう問題についても、従来一〇%から一五%ですか、英断をもって引き上げる、こういうことを言われておったのですが、もう少しこの問題については私は抜本的な改善策をやるべきじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/144
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145・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘になりました点は配当控除の問題であろうと思いますが、先ほど大臣が申しましたのは配当の分離課税の問題でございます。配当控除の問題は、これは私も問題として意識すれば問題のある点だと思います。と申しますのは、御承知のとおり、法人課税に対する学説と申しますか、また、実際の課税の面におきましても非常に各国まちまちでございます。大きな考え方としては、法人に対する課税は、それを通じて株主に対して課税するものだという考え方と、法人と個人は別々で、法人に対しては課税し、また、受け取った個人に対しては一般所得と同じ課税をするという考え方が二つ対立していると思います。現在の日本の税制は、シャウプ税制以来、一応法人を通じて所得を獲得する場合も、直接自分が事業をやって所得を獲得する場合も、税負担は同じでなければならぬという前提で、株式に対する配当に対しましては所得税をフルに課税するかわりに、法人段階で課税になっていた分を全額控除のかっこうで返すというたてまえをとっております。こういうたてまえをとっておりますのは、従前のイギリス、それから、最近のドイツもそれに似た形、フランス等がございます。で、この考え方からまいりますと、いま仰せられた二百三十六万という配当に対しては、すでに法人段階で、住民税を含めて、百十七万円の税金がかかっておるわけです。それを配当控除をいたしますから税金が所得の段階ではかからぬ。これは、私どもが給料をもらいまして、五百万以下であれば、ほかに所得がない限りは、源泉徴収されているので、再び申告所得税では課税にならないのと観念的には同じだという考え方が一つあるわけでございます。それに対して配当と株主と法人とはまるきり違うのだという点から申しますと、法人は法人で課税し、個人は個人で配当に課税したらいいじゃないかという考え方から申しますと、先生のおっしゃいますように、配当に対して二百三十六万に達するまで課税されないのはおかしいという考え方も出てくるわけでございます。そういう点から、御承知のように、税制調査会は中間答申におきまして、この問題を、いわゆる法人二重課税問題としてとらえて研究対象とすることにいたしておりますが、この間も申し上げましたように、そういう考え方をとった場合に、なぜ全然別個の人格を考えている株主に対して支払う配当を法人の所得の中に入れて課税するのかという大きな疑問が出てまいります。それは借り入れ金に対する利子と同様に、損金に算入すべきではないか、損金に算入しておいて、受け取った人に全額課税するのは当然だ、しかし、なぜ法人で支払うにかかわらず、それを総額として法人税を課し、しかも、所得に対して二重課税するのかという問題がまた出てまいります。そういう点がございますので、実はこれから長期答申の場になりまして、税調で十分にその点を検討するということになっております。その結論を待って私どもも考えたいと、さように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/145
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146・木村禧八郎
○木村禧八郎君 関連しまして。最後に課税標準に抜け穴が非常に多いといわれておるのですが、いまどういう抜け穴があって、それに対してどうこれを改善しようとしているか、最後にこれだけ聞きたい。私の質問の最後です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/146
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147・戸田菊雄
○戸田菊雄君 じゃついでに、時間がきましたから、私も最後に。いま若干ではありますけれども、特別措置等の内容全般についてそういう矛盾なり不合理性があるということを指摘したつもりですけれども、やはりこれらの問題については、早期にやはり整理、合理化、文字どおりの内容の改廃というものを行なうべきじゃないか、こういうように考える。ところが、いままでの事例からずっと追ってみますと、一応政府としてはこういう審議としていろいろそういうことを答弁をなされるのですけれども、実際出てくる案というものはそれよりも強化して、不合理を拡大していくようなそういう面に私たちとしては受け取れる。ですから、そういうものを、今回を契機にいたしまして、抜本的に改善施策を全体としてとっていく必要があろうと思うのですが、その辺の方針上の問題について、できれば大臣から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/147
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148・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、租税特別措置による減税額は、大体三十五、六年ごろから全体の税収に対して割合がだんだん減っております。これはやはり種々改廃をいたしておりまして、新しい措置をとるかわりに古い措置もやめる。今回の場合は新しい措置と改廃をした措置がとんとんでございますので、制度としては拡大はしない。ただ、自然的に対象が伸びたことによる増加が約二百億ございます。その税全体の伸びのほうがそれより大きいのでありますから、実際は去年よりも割合は減っております。そういう意味で、ただいま御指摘のありましたような特別措置については、その政策目標が十分に達せられたというもの、あるいはやってもあまり効果がないというものは順次整理をするという態勢をこれははっきり私ども持っておるわけでございます。木村先生の御指摘のございました課税標準の脱漏という問題、これも、実を申しますと租税特別措置で抜けておる。たとえば配当所得にいたしましても利子所得にいたしましても、本来課税標準に算入されるべきところが、抜き出されて別建ての課税をする。さらに、山林所得にいたしましても五分五乗という問題がございます。退職金も、ある程度やむを得ぬかと思いますが、これも分離課税で、総合の立場から申しますと、分離をするということは税率構造を全部破壊するということになりますので、将来のあり方としては、税率をもっと合理化して引き下げていくということが長い将来考えられますし、それに応じて脱漏されておる所得をできるだけ課税標準に繰り入れるという努力が必要である、これは一般論として当然だと私ども考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/148
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149・木村禧八郎
○木村禧八郎君 具体的にどうするか、ほうっておけないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/149
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150・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 具体的には、この特別措置のそのつどの改廃ということにおいても、常にこれを念頭に置きましてやっていく必要がある、かように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/150
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151・戸田菊雄
○戸田菊雄君 最後に、一点だけ大蔵大臣にお伺いしますが、売り上げ税を設定する意思ですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/151
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152・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 一応税調で検討してもらうことになっていますが、まだ本格的な検討には入っていない段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/152
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153・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 午後一時二十分に再開するとしまして、それまで休憩いたします。
午後零時三十七分休憩
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午後一時二十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/153
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154・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
休憩前に引き続いて質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/154
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155・中尾辰義
○中尾辰義君 大臣お急ぎのようですから、最初に総括的に聞きますけれども、まず、最初に、減税と国債の減額の点につきまして、自然増収が九千五百億もあって、減税額はわずか千五十億である。けれども、酒、たばこ、物品税を差し引いた実質減税ゼロと、こういうことになったのですが、その理由は、午前中の委員会での大臣の説明を聞きますと、国債の減額のほうを優先した、こういうような説明を聞いておりますが、国債減額というのは、これは佐藤内閣の経済政策の失敗からきて赤字国債を発行し、それからその国債が累増して今日に至った、そのために既定経費も物価も上がって、既定経費がふえて財政硬直化になってきたのでこういったような措置をとられたのでしょうけれども、それはやはり財政事情の問題であって、減税も財政事情の問題でありますけれども、国民生活の面からいいまして、やはり国債減額を減税に優先したということは、私はどうもふに落ちないのですが、その点をもう少し説明を願いたいと思います、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/155
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156・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 今年度の予算編成の主眼は、やはり何といっても、国際収支の均衡を回復するということと、物価を上げないで安定成長を確保するということでございます。そのためには、本年度は何としても内需を押える、景気調整をやる、総需要をここで抑制するということをやっぱりいたしませんと、そういたしますというと、それをやって予算の規模を大きくしないということが今年度の予算編成における中心問題だというふうに私どもも考えております。もしそういう政策をとるのだとすれば、いままでは不況を克服するフィスカルポリシーとして公債を発行して需要をふやす、それとあわせて大幅な減税をやるということをやってきて経済の調整をやったのですが、今度のように、経済を押えて、そうして総需要の調整をしなければならぬということのための財政政策としてはこの逆であって、減税を多くするという年ではございませんし、そして国債を多く発行するのじゃなく、国債を思い切って削減するというのが本年度の財政政策としては適切な行き方だろうということは考えられると思います。その線に沿って今度の予算編成を私どもはやりました。そういう意味で減税をできるだけ押えて、すれすれのところまで持ってきて、そうして公債の発行を切れるだけ切るという措置をとったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/156
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157・中尾辰義
○中尾辰義君 要するに、政府は、国際収支の赤字対策のために、九千五百億という自然増がありながら、そちらのほうの国債減額を優先した、この答弁を何べんも聞いておりますけれども、実際国民の素朴な立場から考えると、この実質減税措置ということは、非常に国民をばかにしたような政府の減税政策じゃないか。酒、たばこ、そのほか国鉄等を初め、物価がどんどん上がっておりますね。非常に給料生活者は苦し生活に追い込まれている。ですから、減税がやはり優先をして、財源の節約につきましては政府はいろいろな手を打ってこられたでしょうけれども、ほかの面から考えるべきじゃなかったか、こういうふうに思うわけですね。それで、日本の税金そのものは、物価が上がるから物価調整のために減税をする、それだけでなしに、税金そのものがいろいろな角度から考えてみて高いから、当然これは物価とは別に減税していかなきゃならない、こういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/157
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158・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 仮に税率が諸外国と同じとした場合には、国民所得の水準の高い国民ほど、同じ税率なら税の負担は軽いということになります。そういう意味から申しますと、日本の国民所得の水準というものはまだ諸外国に比して低いのでございますから、そういう意味では日本の税金は税の負担は重いということは言えると思います。しかし、これは先ほど主税局長から言いましたように、これを是正するために課税最低限というものを年々上げるということをやってきましたが、本年度程度の最低限を確保するということになりますというと、大体諸外国の水準並みにその点は日本は近づいたということが言えるのじゃないかと思っております。したがって、最低限ということからきますとそういうことでございますが、まだこの税全般から見ますと問題はたくさんございますし、税率の問題もございます。今後そういう問題を十分検討していかなければならぬと思いますが、日本の国民所得もこの三、四年の間に急速に水準が上がってきておりますので、そういう意味から申しますと、日本の税制問題というものは今後わりあいに解決が年々楽になっていくのじゃないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/158
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159・中尾辰義
○中尾辰義君 それじゃ日本の国民所得と課税負担率の関係ですね、これは大蔵省から出ておりますが、国民所得に対する課税負担率は、国税、地方税を通じて一九・六%になっておりますね、そうですね。これを国民一人当たりの国民所得に直した場合はどういうようなことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/159
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160・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 一人当たりに直しました場合の税負担額でございますが、合計で、金額で申しますと七万三千三百六円ということになります。率は、やはり両方同じもので割りますので、一九・六%は変わりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/160
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161・中尾辰義
○中尾辰義君 それでは、この国民所得の伸びと租税の伸びの関係はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/161
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162・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 国民所得が一単位伸びました場合に税が幾ら伸びるかという計算をいたしまして、それを割りましたものが弾性値といっておりますが、わが国におきましては、弾性値は、三十二年——四十一年平均で申し上げますと一・三五となっておりまして、三十七年から四十一年の平均で申しますと一・二一と、ここはちょっと低いときでございます。マイナスが出たときでございますが、低くなっておりますが、三十二年から四十一年の十年平均では一・三五というのが全体の租税収入の弾性値でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/162
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163・中尾辰義
○中尾辰義君 それでは、租税収入は国民所得の一・二ですかの伸び、その場合の所得税と法人税と別々に見た場合には、所得税の伸びは所得の伸びに対してどのくらいになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/163
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164・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 所得税は、同じく三十二年から四十一年平均で、対国民総生産で申しまして二・一九ということになっております。全体が一・三五の際に所得税は二・一九、それから、法人税は一・二四という数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/164
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165・中尾辰義
○中尾辰義君 そうしますと、いろいろな税金がありますが、この中で一番所得の伸びの割合に税金の伸びの大きいのが所得税である、所得が一伸びたら所得税は二・二伸びると、こういうことですね。これはどうも私は納得がいかぬのですが、どういうわけでこういう数字が出るのか。税制の税率の関係もあるのでしょうが、その辺のことをひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/165
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166・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) この弾性値が所得税で大きいという点は、所得税には、一つは課税最低限がございまして、たとえば百万円の所得者でも、夫婦子三人の場合は八十万なら八十万の課税最低限でございますが、二十万が課税所得になっております。そこで、一割所得が伸びますと、百万のものが一割伸びれば十万伸びるわけでございますが、課税所得のほうは、二十万に対して十万伸びますから、非常に大きな伸びになるわけですね。そういう課税最低限からくる理由が一つと、それから、税率が累進課税になっておりますから、新しくふえた所得は、次の段階の税率にかかりますと、そこで五割とか三割とかに税率が上がるという問題がございます。この両面から弾性値がこれだけ大きくなってくるわけです。大体現在の日本では一人当たり国民所得が低いものでございますから、課税最低限によって、総所得のうち、課税所得として課税される部分が非常に小さいために、所得の伸びがございますと、課税所得としての伸びが非常に大きいという、結果として大きな弾性値が出てまいると思います。つまり日本の場合は一人当たり国民所得が小さくて、しかも、伸びが非常に大きいというところに原因があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/166
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167・中尾辰義
○中尾辰義君 ですから、所得の割合に税金の伸びがこういうふうに大きいわけですから、もうこれは私が言うまでもないことですから、当然これはまだまだ日本の税金は下げなければならない。ですから、私は冒頭において、国債よりは、やはりまだ税金のほうを優先して減税をすべきじゃないか、こう大蔵大臣に申し上げておるわけです。それで、この減税のしかたに、課税最低限を引き上げる方法と、税率を引き下げる方法と、こう二つあるわけでしょう。これは両方どういうような結果的に減税の特色があるのか、それをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/167
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168・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) 課税最低限を引き上げるということになりますと、ただいま申し上げましたように、課税所得の小さい人、つまり総体の所得が小さい人は非常に大きく影響を受けます。ところが課税所得が大きい、つまり総所得が非常に大きい人は、課税最低限を少々上げてもほとんど影響がございません。したがって課税最低限を引き上げるという方法による減税は、小さい所得者に対して非常に有効でございます。税率を引き下げるという方法によりますと、これは大体その税率によって弾性値が出てくる部分というのが実効税率が二〇とか三〇とかいう人でございますから、かなり高いところに影響がある。したがいまして、現在百万円以下の所得者がまだ八〇%を占めている段階でございますので、いまのところは課税最低限を優先するということで進んできたということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/168
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169・中尾辰義
○中尾辰義君 それで、午前中の大蔵大臣の説明を聞いておりますと、まあ課税最低限を標準五人世帯において百万円まで上げるということは政府の公約である。ただし、それが昭和四十五年をめどにしたい。それから、税率のほうはその時点においてまず考えると、こういうようなお話でありましたが、この点は、われわれ野党が百万円まで免税にせよと何回も言っておりますし、百万円というこのことばに便乗して政府がうまくごまかしているような感じがするのですね。われわれ公明党も、昭和四十年度において百万円までに標準五人世帯で課税最低限を上げると、こういうことは政府に要求してきております。それは昭和四十年度で私どもは要求したのでありましたが、それからずっと物価が五、六%七、八%上がってきておるわけです。政府が昭和四十五年度をめどにして百万円まで上げると言いましても、われわれはこれに納得するわけにいかない、どうしても。ですから、あらためて私どもは申し上げたいのですが、標準五人世帯で、現時点において百三十万円まで公明党としては課税最低限を引き上げてもらいたい、このように大蔵大臣に要求したいところですがこの点について大臣のお考えをお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/169
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170・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 問題は、やはり財源の問題になりますので、できるだけ最低限は引き上げたいということを私どもは考えておりますが、昭和四十五年までに最低限を百万円に引き上げるということがまあせいぜいのところじゃないかというふうにいまのところは考えております。それで、ただ、先ほど申しましたように、この前、野党の皆さんからの決議もございまして、できるだけ四十五年といわずに、四十四年度にやれるように努力せいということでございましたが、四十四年度までにはなかなか百万円まで持っていくことはできない。そのかわり、四十五年度には百万をこしたところまでいけるという自信は持っておりますので、いまでは大体そういう方針でいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/170
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171・中尾辰義
○中尾辰義君 それで、大蔵大臣はすぐ答弁としては財源の問題を云々と、こう言われるのですが、要するに、出るほうを先に考えて、支出のほうを先に考えて、減税をあとから考えるからそういうことになるのですね。ですから、先ほどから申し上げますように、物価も上がってきたし、また、弾性値の面から見ても二・二倍なんだから、当然これは早急に改正すべきであると私どもは思うわけです。ですから、財源の問題は、財源財源といってもこれは財源は幾らあっても足らぬですよ、そういうことを言えば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/171
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172・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) さっき申しましたように、本年度の財政政策としては、この財源を国債の削減に充てたいという方針をとったと申しましたが、それじゃ減税をやらぬかということになりますと、いまあなたのおっしゃられるように、所得税というものは累進構造を持っておりますので、特に中小所得者にとってはこの負担がつらいというのが実情でございますから、減税はできないということを考えた年でも、所得税の減税だけはやる。そうして、同時に国民所得の水準が引き上がるのに伴って相対的に税負担が下がっていくという、この間接税の調整をやって財政の不足を充足するという措置をとったというのが今度の税制でございまして、全体としての減税はできなかったが、必要な差し迫った減税は今回の場合もやったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/172
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173・中尾辰義
○中尾辰義君 ですから、財源の問題でも、よく考えてみますと、まあ政府は財源財源とおっしゃるけれども、公共投資なんかは簡単に繰り延べをしたり、ああいうことは簡単にできるわけですね。去年は幾ら公共投資を繰り延べたのですか。ところが、税金のほうはなかなかそう簡単にいかない。そういうところからも、どうも私どもは納得がいかないんです。財源なんか、政府のやりようによってどうにもなるのですね、わずか千億や二千億ぐらいは。しかも、また、税制の面から考えても、午前中も話があったような利子配当の分離課税のほう、こういうものを先に手をつければ出てくる。もう一ぺん答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/173
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174・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 歳出のほうは、もう御承知のとおり、今回は思い切っている。公共事業費においても、もう伸び率は御承知のとおりでございまして、政府事業全体としては五・五%という伸び率で、いまだかつてない財政の切り方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/174
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175・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/175
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176・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございます、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/176
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177・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。
まず、所得税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/177
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178・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 多数と認めます。
次に、法人税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/178
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179・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 多数と認めます。
次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/179
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180・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 多数と認めます。
よって、以上三案は、いずれも多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/180
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181・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/181
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182・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 引き続き質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/182
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183・柴谷要
○柴谷要君 酒、たばこの問題で、ごく簡単にきょうは質問をいたします。
酒が四月一日から値上げになるということになっておったのが、国会審議が慎重審議せられた結果、衆議院修正で五月一日ということになりました。それによって減収になること四十億、しかし、予算はすでにその以前に通過しているわけです。この四十億の減収に対してどういう見解を持っておられるか、これをまず聞かせてもらいたい。それについては、四十億の減収で予算が通っても一向に差しつかえないような顔を政府はされているが、そうすると、もう一カ月くらい延ばしても差しつかえないように、こう思うのですが、その回答いかんによっては慎重に審議していきたい、こういうふうに考えますので、この点をまずお伺いしておきたい。
それから、もう一つ、たばこの問題ですが、たばこは、さすがにどうも知恵のある人がいるとみえて、四月一日施行ではありますが、値上げは五月一日なんといううまい手を打ってきたので、これを何とかしようと思うけれども、さて問題は、衆議院における専売監理官の、なんか立て板に水を流すような答弁がわざわいして登院停止になったと聞いているが、この点については、参議院においては万が一にもさようなことが起き得ないと私は思いますけれども、心境の一端を披歴しておいてもらいたいと思う。これによってまた登院停止になるということになると、法案撤回を要求しなければならない、こういうことになるわけです。この二つの問題をまず冒頭にお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/183
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184・吉國二郎
○政府委員(吉國二郎君) ただいまお尋ねがございましたが、当初予想しておりました四月一日の酒税法の改正の実施が一カ月おくれましたので、実質的には、先般衆議院の理事から御説明がございましたように、約四十億円程度の減収が見込まれるわけでございます。一方、予算がすでに成立をいたしまして、この四十億円は四百五十億円の増収の中に含まれておりますので、私どもといたしましては非常に苦慮をいたしておるわけでございますが、しいて申しますれば、税収の見積もりはきわめて厳格に、適正にやっておるつもりでございますけれども、前例から申しますと、経済の見通し等が変わってまいりました関係で税収が狂ってまいることもこれは事実でございます。一方、また、歳出の面におきましても、節約、不用等の措置をとることによりまして何とかこの予算を執行していくことが可能であろうかと存じておるわけでございます。将来最終的な予算不足を生じないように、歳入、歳出両面において努力をいたしていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/184
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185・亀徳正之
○政府委員(亀徳正之君) 衆議院の大蔵委員会におきまして、監理官が、まあ誠心誠意やっておったわけでございますが、若干不適切な表現がございまして、たいへん御迷惑をおかけいたしまして相すまないと思っておりますが、しかし、監理官は、今後当委員会におきましては、誠心誠意答弁に当たる所存でございますので、何とぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/185
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186・柴谷要
○柴谷要君 きょうは理事会の決定もありますので、質疑はこの程度で終わっておきたいと思うのですが、あすから増税法案については慎重に審議をいたしますから、政府当局においては十分なその答弁資料を持って臨んでもらいたい、これを要望しておきます。
それから、ただいま官房長が言われましたけれども、人柄といい、その他は申し分のない人だと思うのだけれども、つい含蓄があり過ぎるためにすべったと、こういうふうに私はまあ善意に解釈をいたしますので、ひとつ慎重にこの点は御配慮の上で委員会に臨んでもらいたい。とかくどうも官僚陣営が議員を何か軽く見ているような傾向が新聞にも出ておりますので、これだけは特に慎重審議をする上に必要なことでありますので、申し上げておきたいと思うのです。本日は、どうも専売公社の総裁にまでおいでいただきましたが、質問が進んでいきませんから、御足労いただきましたが、明日からは真剣な討論が行なわれますので、その点お含みの上で御出席をいただきたい。
以上をもって本日の質疑は終わりといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/186
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187・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X01619680418/187
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