1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十三年五月九日(木曜日)
午前十時四十九分開会
—————————————
委員の異動
四月二十六日
辞任 補欠選任
土屋 義彦君 森 八三一君
杉原 荒太君 堀本 宜実君
五月七日
辞任 補欠選任
田村 賢作君 大竹平八郎君
温水 三郎君 江藤 智君
佐藤 隆君 赤間 文三君
五月八日
辞任 補欠選任
大竹平八郎君 田村 賢作君
江藤 智君 温水 三郎君
赤間 文三君 鬼丸 勝之君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 和田 鶴一君
理 事
高橋雄之助君
任田 新治君
川村 清一君
中村 波男君
宮崎 正義君
委 員
青田源太郎君
櫻井 志郎君
田村 賢作君
温水 三郎君
野知 浩之君
山崎 斉君
武内 五郎君
達田 龍彦君
鶴園 哲夫君
村田 秀三君
浅井 亨君
衆議院議員
発 議 者 草野一郎平君
国務大臣
農 林 大 臣 西村 直己君
政府委員
農林大臣官房長 檜垣徳太郎君
農林省畜産局長 岡田 覚夫君
食糧庁次長 田中 勉君
水産庁長官 久宗 高君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
—————————————
本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○魚価安定基金の解除に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査
(飲用原料乳の価格対策等に関する決議の件)
(汚染米対策に関する件)
○競馬法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/0
-
001・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
この際、連合審査会に関する件についておはかりいたします。
都市計画法案及び都市計画法施行法案の両案について、建設委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/1
-
002・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/2
-
003・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
速記をとめて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/3
-
004・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記を起こして。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/4
-
005・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 魚価安定基金の解散に関する法律案を議題といたします。
まず、提案理由の説明を聴取いたします。西村農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/5
-
006・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 魚価安定基金の解散に関する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
御承知のように、魚価安定基金は、昭和三十六年に、当時のサンマその他の多獲性魚の生産及び流通をめぐる諸事情の推移にかんがみ、漁業生産調整組合、水産業協同組合等がこれら多獲性魚の価格安定のため自主的に行なう調整等の事業につき助成することを目的として、同年八月に施行された魚価安定基金法による特殊法人として設立されたものであります。
その後の魚価安定基金の運営状況を見ますと、昭和三十六年、三十七年及び四十年には、助成対象魚種たるサンマの価格が暴落したため、同基金による交付金の交付が行なわれ、魚価の安定のために相応の寄与をしてきたのであります。しかしながら、この助成対象魚種がサンマ以外の多獲性魚にまで拡大されるには至らず、また、サンマにつきましても、近年その漁獲量が漁海況の変動等により大幅に減少していること、水揚げ地における冷凍保管、輸送施設等の処理能力も相当程度整備されてきていること等のため、サンマの価格が暴落して同基金が機能するという事態も少なくなり、特殊法人として魚価安定基金を設立した当時と今日の事情とは著しく異なってきております。
このような多獲性魚の生産及び流通をめぐる諸事情の変化にかんがみまして、特殊法人の整理統合に関する政府の方針に沿って、この際特殊法人たる魚価安定基金を解散することとし、これに伴い同基金の清算の手続及び剰余財産の帰属について定める等の必要からこの法律案を提出いたした次第であります。
次にこの法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、魚価安定基金は、この法律の施行の時において解散することといたしております。なお、この法律は公布の日から施行することとしております。
第二に、魚価安定基金の解散後における清算手続について、農林大臣による清算人の任命、清算人の行なうべき職務、清算事務の監督等につき所要の規定を設けることといたしております。
第三に、清算人は、魚価安定基金法の規定により残余財産を分配した後なお剰余を生じたときは、これを魚価安定基金の目的に類似する目的のために処分することができることとする等、剰余財産の帰属についての規定を設けることとしております。
第四に、以上のほか、関係法律の規定等につきまして所要の整備を行なうとともに、必要な経過措置を定めることといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容でございます。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/6
-
007・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 次いで、補足説明及び資料説明を聴取いたします。久宗水産庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/7
-
008・久宗高
○政府委員(久宗高君) 魚価安定基金法の解散に関する法律案の提案理由につきまして補足して御説明申し上げます。
本法案は、提案理由で御説明申し上げましたとおり、魚価安定基金の解散及び清算に関して定めることとしておりまして、法案の内容といたしましては、第一には、魚価安定基金の解散の時期、第二には、魚価安定基金の解散後における清算手続、第三には、剰余財産の帰属、第四には、関係法律の規定等についての所要の整備及び経過措置について規定いたしております。
以下その細目につきまして若干補足いたします。
まず第一に、魚価安定基金の解散の時期についてでございますが、これは第二条に規定しております。特殊法人の整理統合に関する政府の方針に沿って、この法律の施行の時期において解散することといたしております。この法律の施行のときは、附則第一条に規定しておりますように、公布の日といたしております。
第二に、魚価安定基金の解散後における清算手続についてでありますが、これは第三条から第六条まで及び第八条から第十条までに規定しております。清算事務を適正に行なわせるため、農林大臣は清算人を任命し、清算人は基金の財産の現況を調査するとともに、農林大臣の定める清算計画に従って清算を行なうことといたしております。この場合、財産目録等の作成や基金の財産の処分等、基金の財産の管理、処分に関する行為については、農林大臣の承認ないし認可を受けることといたしております。
第三に、剰余財産の帰属についてでありますが、これは第七条に規定しております。清算人は、魚価安定基金法第四十三条第一項及び第二項の規定により、残余財産を各出資者に対し、出資額を限度として、出資額に応じて分配した後に剰余を生じたときは、これを基金の目的に類似する目的のために処分することができることとし、なお処分されなかった剰余財産は、国庫に帰属することといたしております。
第四に、関係法律の規定等についての所要の整備及び経過措置についてでありますが、これは附則第二条以下におきまして規定しており、附則第二条で魚価安定基金法を廃止するとともに、関係法律の規定等について必要な整備を行なうことといたしております。経過措置としては、解散後の清算所得等についての所得税、法人税等の非課税措を講じております。
以上をもちまして、魚価安定基金の解散に関する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
引き続きまして、お手元にお配りしております資料につきまして若干御説明をしておきます。
「魚価安定基金の解散に関する法律案参考資料」という横書きのものが配付されております。
一ページをお開きいただきますと、ここは基金の概要が出ておりまして、すでに御承知でございますので省略いたしますが、一番下のところに年度別事業実績が出ております。後に漁獲高のところで申し上げますが、三十六年に発足いたしまして、三十六年、七年と稼働いたしたわけでございますが、その後漁況の事情の変化によりまして開店休業ということにならざるを得なかった事情がここに出ておるわけであります。
二ページは、基金の組織──役員、職員の関係でございますが、ごらんのとおり最小限度の組織でやってまいったわけでございます。
三ページに生産の推移と価格の経過が各種の多獲性魚について書いてございますが、問題のサンマは一番しまいから二番目の欄に出ております。三十三年、四年当時約五十万トン程度近いものがあったのでありますが、三十六、七年に約四十万トン台、それ以降急速に減りまして、二十万トン台に減少いたしております。価格もそれに沿って若干の大きな変化があるわけでございます。
四ページをお開きいただきますと、その間におけるサンマ漁船の年次別階層別の隻数の変化が書いてございまして、一番下の欄をごらんいただきますと、隻数にいたしまして三十三年当時は約千九百隻ございましたものが四十年には隻数では約半分になっております。平均トン数といたしましては五十トンぐらいのものが六十三トンに上がっておるわけでございます。隻数は非常に減っておるわけでございます。
それから、五ページはかすでございまして、サンマの漁獲高と照応いたしまして、左の欄をごらんいただきますと、三十七年以降のかすの関係も非常に減ってきております。それに対応いたしました価格関係が右の表に出ておるわけでございます。
六ページは、年次別の冷蔵施設の能力がどのくらいに当時と変わってきておるかというのを御参考までに掲げたわけでございますが、これをごらんいただきますと、三十三年と四十一年を比較していただきますと、一番上のSAと申しますのは、御承知のとおり二十度以下にできる装備でございますが、これなどは工場数にいたしまして約七倍、能力にいたしまして約十倍ということで相当整備が進んだわけでございまして、一番下の冷蔵の計のところをごらんいただきましても、工場数におきまして、また能力におきまして相当の整備がこの期間においてできたことを示しておるわけでございます。一番最後の段には凍結関係の数字を御参考のためにあげておいたわけでございます。
簡単でございますが、資料といたしましては以上のようなものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/8
-
009・川村清一
○川村清一君 ただいま資料の説明をいただきましたが、これに追加して資料をいただきたいと思いますので、ちょっと要求いたします。
まず、三ページ「多獲性魚の年次別漁獲量、生産額および価格」の一覧表がございますが、これにスケソウダラを入れていただきたい。これにはイワシ、アジ、サバ、サンマ、スルメイカとありますが、スケソウダラがないので入れていただきたい。
それからタラに関係してまいりますけれども、すり身の年次別生産額、これが一つと、それからその生産で要するに陸上で幾ら、母船式で幾ら、母船式をさらに分けますと、たとえば大洋と日水とがありますね、あの会社別で幾ら、その他で幾ら、それと、さらに四十三年度の生産計画、これをひとつわかるように出していただきたいと思います。
それからいまこの基金を解散いたしますね。必然的に財産を処分いたしますね。財産をどういうふうに処分されるのか、その考えられておる構想、それがこれに出ておりませんので、それをひとつお示しいただきたいということ。
それからこれは白書でも出ておるのですが、北洋底びき、北転の底びきの隻数の推移、これは年々大臣許可数がふえていっておりますが、その推移、それからトン数がずいぶん大型化されていっていますね。そのトン数の推移がわかるような一覧表。それから、北転の底びきによるスケソウダラの生産の推移、こういったことがわかるような資料をひとついただきたいと思います。それから基金の役員の氏名、これを出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/9
-
010・宮崎正義
○宮崎正義君 私のほうからお願いしたいのは、ソ連のサンマ漁船がいつどのくらい日本の近海のほうに来ているか、それでその量の推移がわかればその量、その与えられた日本の影響性、そういうものがわかれば幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/10
-
011・久宗高
○政府委員(久宗高君) いま御要求のございました資料につきましては、至急調製いたしまして御提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/11
-
012・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 本案についての質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/12
-
013・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 中村君から発言を求められておりますのでこれを許します。中村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/13
-
014・中村波男
○中村波男君 この際、私から飲用原料乳の価格対策等に関する決議案を提案いたします。
本決議案は、自由民主党、日本社会党、公明党三党の共同提案によるものでございます。案文を朗読いたします。
飲用原料乳の価格対策等に関する決議(案)
現行価格制度のもとにおいては、加工原料乳
は、加工原料乳生産者補給金制度の発足により、その再生産を確保する制度が確立されている一方、飲用原料乳価格については、取引き当事者間の自由な価格形成によって適正な価格水準の形成を図ることとなっている。
しかし、飲用原料乳については、現状は、必らずしも所期の通りの価格形成が実現しがたい事情にあるので政府は、飲用原料乳についても、下記にもとづき、適切な措置を実施し、新鮮な牛乳の消費を促進する措置を講ずべきである。
記
一、飲用原料乳生産地域の生乳の再生産確保を
基本として、飲用原料乳取引指導価格をきめ、
これを基準として、取引価格が形成されるよ
う指導する制度等価格支持に関する各種制度
を速かに検討すること。
二、当面の飲用乳の価格交渉については、政府
は、適切な飲用乳価格の形成が実現するよう
指導あっせんに努めること。
三、還元乳の増大が、国内飲用原料乳の価格圧
迫と生産停滞をもたらすおそれがある状況に
かんがみ、つぎのような措置を検討するこ
と。
(イ) 還元牛乳の販売が漸減するよう適切な措
置を講ずること。
(ロ) 加工乳については、生乳以外の他物が混
入されていることを消費者が充分に識別で
きるよう適切な表示制度を講ずること。
右決議する。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/14
-
015・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) おはかりいたします。中村君提出の飲用原料乳の価格対策等に関する決議案に賛成の方の挙手を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/15
-
016・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、西村農林大臣から発言を求められておりますのでこれを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/16
-
017・西村直己
○国務大臣(西村直己君) ただいまの御決議に対しまして、内容を十分検討の上善処をいたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/17
-
018・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、提案理由の説明を聴取いたします。発議者衆議院議員草野一郎平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/18
-
019・草野一郎平
○衆議院議員(草野一郎平君) ただいま議題となりました競馬法の一部を改正する法律案について、その提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
御承知のとおり現在行なわれております地方競馬は、競馬法第一条に基づき、都道府県または指定市町村がそれぞれ施行者となって施行しておりますが、このうち指定市町村は、著しく災害を受けた市町村またはその区域内に地方競馬場がある市町村に限られ、しかも財政上の特別の必要を考慮して、自治大臣が農林大臣と協議の上、指定するたてまえとなっております。
地方競馬についてのこのような規定は、昭和三十七年の競馬法の一部改正によって設けられたものでありますが、改正法律には、その附則において、「この法律施行の際、現に指定を受けている市町村は、昭和四十年三月三十一日までは、改正後の第一条第二項の規定による指定を受けたものとみなす。」との経過規定が設けられ、さらにこの期限は、昭和四十年三月再び三年間延長されて、昭和四十三年三月三十一日まで従来の指定市町村の地方競馬施行権が認められてきたのであります。
しかし、本年三月三十一日をもってこの経過期間が満了し、これまで附則第七条によって競馬を施行してきた市町村は、新たに競馬法第一条第二項によって指定を受けない限り、今後は競馬の施行はできなくなったわけであります。
もちろん、地方競馬の制度改正以来すでに六年を経過し、経過措置として十分な期間であったわけでありますが、その実情について考慮いたしますと、競馬を施行してきましたこれら市町村の財政事情は、その多くは、大都市あるいは大都市周辺都市または地方中心都市に位置しており、人口の急増等に伴う公共投資等の財政需要はきわめて旺盛で、多額の財源を必要としており、しかもこれら財源のうちに占める地方競馬の収益の割合は毎年度かなりの比率を占めてきているような状況にあったのであります。したがいまして、いま直ちにこれらの市町村から地方競馬の開催による収入を全く絶つことは、これら市町村の財政に衝撃を与え、各種施策の遂行に支障を来たすことも予想されるのであります。
したがいまして、附則第七条に規定する市町村で経過措置期間の経過により本年四月一日以降競馬を施行できなくなった市町村につきまして、暫定的、段階的に収入の激変を緩和する措置を講ずることが必要であると思われるのであります。
以上のような趣旨から、昭和四十二年度限りで地方競馬施行権を失った指定市町村につきましては、地方競馬の施行の廃止に伴う急激な財政上の影響を緩和するため、競馬法第二十三条の三の規定にかかわらず、都道府県は、農林大臣の指定を受けて開催した競馬の収益の一部をこれら市町村に交付することができるよう措置することといたしたいのであります。
また、東京都の特別区につきましては、特別区の特殊性にかんがみ、地方競馬場の存在する特別区以外の特別区につきましても、当分の間、場の存在する市町村とみなして地方競馬の施行権能を与えることが必要であり、かつ実情に沿うものと考えられますので、これらの特別区に対しても施行権を与えることといたしたのであります。
なお、衆議院農林水産委員会におきましては、このような原案に対し、民主社会党委員の動議により、都道府県の開催する競馬の収益の一部をこれら市町村に交付することができる期間を、一ヵ年間短縮して二ヵ年間とするよう修正がなされた次第であります。
以上がこの法律案の提案の趣旨及び内容であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/19
-
020・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記をとめて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/20
-
021・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 速記を起こして。
これにて暫時休憩いたします。
午前十一時十四分休憩
—————・—————
午後一時二十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/21
-
022・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) これより委員会を再開いたします。
魚価安定基金の解散に関する法律案を議題といたします。
本案に対し質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/22
-
023・宮崎正義
○宮崎正義君 魚価安定基金の解散に関する法律案について若干お伺いしたいと思います。
まず最初に、四月十七日の衆議院の農水のときに長官がこういう御答弁をなさっているんです。「漁況が相当大幅に変わりまして、発表当時予想しておりましたような形の運用にならないまま今日に至ったわけでございます。さような観点で、私どもといたしましても、この問題をどう処理すべきか検討いたしておったわけでございますが、ただいま特殊法人の整理問題も出てまいりましたので、両方考え合わせまして、この際一応この問題につきましては廃止をいたしまして、さらに本格的な将来の対策を考えたいという気持ちで提案をいたしておる次第でございます。」と、こういうふうに長官がおっしゃっておられますが、私の伺いたいことは、その解散後の将来の価格安定対策ということを立てられてから、当然この本案の行き方等も考えるべきじゃなかったかとこう思うわけですが、まず最初にこの点について御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/23
-
024・久宗高
○政府委員(久宗高君) 衆議院におきます審議におきまして、その点いろいろ御指摘があったわけでございますが、サンマに限定して考えますと、御承知のように基金の発足以来海況が非常に変化をいたしまして、大体二十万トンをちょっと上回る程度の計画をいたしておったわけでございます。したがいまして、諸般の情勢から考えまして、ここ当分の間サンマそれ自体につきましてその基金を発足させました当時のような大漁貧乏が全般的に起こるということは比較的予想しにくい、さように考えましてまた基金自身がいろんな経緯で特殊な魚種に限定せざるを得ない形になっておりましたために、私どもといたしましては、サンマそれ自体を対象といたしますと、いまのようなかまえでそのまま続けるよりは、これを一たん打ち切りまして、サンマも含めました多獲性魚につきましての本格的な対策にとりかかるべきだというふうに考えて踏み切ったわけでございます。したがいまして、サンマにつきましても、もちろんこれはある時期、しかも非常に局地的には若干大漁貧乏的な現象も起こり得るかと思いますが、この際におきましては、調整組合におきます機能を存続させまして、さような対処のしかたで当面は過ごしてよかろうというふうに考えて踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/24
-
025・宮崎正義
○宮崎正義君 調整機能のことにあとはゆだねていきたいというふうなことなんですが、あくまでも日本の漁業の全般的な考え方の上からいっても、魚価の安定対策という面から、全体観の上に立っての考え方から当然こういうふうに進めるべきであるという一つの方針を定めて、それを指示すべきが私は当然じゃないかと思うのですよ。したがいまして、いまの御答弁によりますと、ゆだねてしまうというように私は聞いたのですが、それではまるで主客伝倒したような形じゃないかと、こう考えるわけですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/25
-
026・久宗高
○政府委員(久宗高君) ことばが足りませんで申しわけございません。私が申し上げましたのは、この基金が発足いたしました当時、もちろんサンマに限定いたしませんで、魚価一般についての構想で出発したわけでございます。いろいろな経緯からサンマに限定した運用にならざるを得なかったということでございます。したがいまして、サンマそれ自体につきましては、ただいま御説明いたしましたように、このような形で対処するよりも、もっとやはり本来の価格制限全般につきましての対策の一環として考えてよかろう、しかも、その間に若干の時間的な余裕が現在の漁況の関係から見られるということで踏み切ったわけでございますが、御指摘のように、魚価全般につきましては、確かにこの基金ができます際に、当委員会におかれましても、いろいろ附帯決議までつけられまして、いろいろな御注文がついたわけでございます。一応私どもといたしましては、その附帯決議の趣旨に沿いまして、個別には普及宣伝でございますとか、あるいは加工施設の問題、あるいは保存施設の問題、それぞれの強化をはかってきたわけでございます。どうも根本的に考えてみますと、さような個別な施策の総合性に欠けておったというふうに反省せざるを得ない問題がございまして、これをぜひこの段階におきまして、他の条件も含めて総合的な対策を考えるべきだ、ある程度問題は煮詰めつつあるわけでございますが、この切りかえの際に具体的に御提示できないのを非常に遺憾とするわけでございます。水産庁におきましても、昨年の秋以来、特別な班を設けまして、この問題、特に流通問題と関連いたしました総合対策についていま鋭意検討しておるわけでございます。いましばらくお時間をいただきたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/26
-
027・宮崎正義
○宮崎正義君 この件につきましては、三十九年の九月には臨時行政調査会から、当面魚価安定基金を解散して、別に必要に応じて総合的な価格調査機構といいますか、機構の設置を検討するということが適当と考えられるというふうな意見が出されておったと思うのです。ついでまた二月でございましたか、二月には行政管理庁から、魚価安定基金をすみやかに解散して、生産調整及び流通調整の事業は漁業生産調整組合等にゆだねること、農水産物全般に関する総合的価格調整機構の設置について価格安定施策の具本化のための早期検討を行なうべきであるというようなことがいわれているわけであります。したがいまして、これから考えましても、この当時にすでにやらなきゃならないのが約四年でございますか、を経過しているという、この間の、検討し続けているというようなことが、いま、さらにまたこの法案の廃止に伴って、さらに特別の班をつくって検討していくんだというふうに結びつけて考えざるを得ないですが、当然三十九年から総合的な価格調整機構というものの中から全般にわたる魚価の安定対策というものが当然今日まで考えていなきやならなかったのじゃないか、こう思うわけです。この点についての経緯等どういうふうになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/27
-
028・檜垣徳太郎
○政府委員(檜垣徳太郎君) 行政管理の観点から農林水産物の価格安定機構について全般的な統一的な機構というものを検討すべきであるという示唆があったのは御指摘のとおりでございますが、その点につきましては、私どもも政府内部として意見の交換は自来やってまいったのでございますけれども、農畜産物、あるいは農水産物の価格の安定ということは、それぞれ基本には農産物、畜産物、水産物の生産行政といいますか、全般的行政の一環として運営される必要がある、そういう意味では性格の著しく異なる農産物、畜産物、水産物を統一的な単一の機構によって運営をすることが適当であるかどうか、また可能であるかどうか、効率的であるかどうかという点については、実は農林省としては多分になお疑点を持たざるを得ない。そういう意味で、自来私どもも、たとえば畜産振興事業団というようなものが中核的なものとしてというような示唆もございましたが、畜産振興事業団におきましては、指摘がございまして以来、自後輸入乳製品を含めた価格安定の制度でございますとか、あるいは輸入牛肉を含めました価格の安定のための操作でありますとかいうようなことを制度として改善はされてはまいったのでございます。ございますが、農畜産物、水産物を含めた単一の機構による価格安定ということについては、私どもとしてはなお問題が非常に多いというふうに考えておるのでございまして、むしろ水産物は水産物、畜産については畜産というようなことで行政運営と一体となれるような機構ということが筋ではなかろうかということが現段階における私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/28
-
029・宮崎正義
○宮崎正義君 この提案理由の一つの中に、諸情勢の変化というのは、最近の漁獲量の大幅減少というものを指していると思うのですが、当時のサンマがとれてどうにもならなかったという点から考えられてきているものを、この基金の目的としたと思うのですが、多獲性魚の価格安定というものの魚種の面から考えていきまして、この法律等は確かに生産者のほうに保護政策をしたというような感じを受けるわけです。消費者のほうにはこういう価格はどんなふうになろうともかまわない、生産者のほうの擁護のために考えられてきたんじゃないか、こういうふうに一面とられているわけです。この点もどうなんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/29
-
030・久宗高
○政府委員(久宗高君) 確かにこの制度が発足いたしました当時の、たとえば消費者行政と言われるものに対する認識に若干欠けておった点がないとは言えないと思うのでございます。ただ多獲性魚──サンマにいたしましても、当時四十万トン、五十万トン台というものが集まりました場合に、それを処理する能力がございませんために、相当むだにした経緯もございますし、しいて言えばさようなことが、当然消費者の食ぜんにのぼせ得るものをのぼせ得なかったという問題もあろうかと思うのでございまして、価格の問題が入ってまいりましたので、受け取るほうとしては、生産者保護というふうにお考えになるかもしれませんけれども、これはやはり多獲性魚をしかるべき配給ルートに乗せて消費者の食ぜんにのぼすという観点ももちろんあったけれども、結果におきまして、この運用から見てさような点に非常に欠けるところがあったというふうに考えておるわけでございますが、今後の問題といたしましては、当然このような多獲性魚が有効に処理されるようなことという点になりますれば、産地におきます体制だけではございませんで、当然その中間の問題、また消費者に至りますまでのルートの問題、この問題を取り上げていく必要があるわけでございまして、別途御審議いただいております一連の卸売り段階以降の合理化につきましても、農林省といたしまして本格的に取り組もうとしておるわけでございます。
ただ、多獲性魚全般につきましての対策といたしましては、サンマをやってみました経緯から見まして、イカの場合、あるいはアジ、サバの場合におきましても、やり方はそれぞれ相当違うんではないかという問題がございまして、先ほど官房長から農林水産物全体をまとめてということは非常に問題があるというふうなお話があったわけでございますが、水産物それ自体につきましても、やはりものによりまして対処のしかたが相当違うのではないかという問題が一つ大きな問題であるように考えるわけでございまして、さような点をいま、一昨年度からでございますか、流通改善事業といたしまして、実験的な操作を一部やっているわけでございます。やりながら、いろいろな問題に気がついてまいりまして、それをもう少し干し上げまして、何らかの形で制度化したいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/30
-
031・宮崎正義
○宮崎正義君 昨年のこれは新聞記事によるわけですが、北海道で、オホーツク海のサンマがたいへんとれたわけです。ところがちょうど悪いことには、室蘭本線ががけくずれで不通になりまして、それで、しかも現地でははけないためにだぶついてしまって、そうして東京では、その当時三陸物が一匹約五十円から七十円の価格をしていた。ところが、いま言いましたように交通遮断になり、貨車輸送ができなくなった。そのためにただ同様で全村にやらなければならなくなった。サマン一匹が八十円ぐらいでさばかなければいけないときに、それでも買う者がいないというような状態になっていたことを、私はいま新聞記事を通して、その当時のことを思い出すわけです。いずれにいたしましても、この基金制度がこういう事態におけるときに、組合の基金制度ですから、私が申し上げるまでもなく、入っていなければ当然対象にはならないといわれると思うのですが、このときの事情について、基金の立場ではどういうふうな考えをお持ちになったかどうか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/31
-
032・久宗高
○政府委員(久宗高君) いま御指摘のございました問題につきましては、たまたま私もテレビで拝見いたしました。まことに残念なことだと思った記憶がございます。サンマにつきましては、この基金が発足いたしました当時は、いずれにいたしましてもこれは集中いたしますので、漁期前に運輸関係も含めまして相当突っ込んだ大会議がございまして、貨車の問題、あるいは配船の問題、相当協議いたしまして対処してきたわけでございます。ずっと漁況がああいう状態になりまして、もちろん最近でも漁期前にはいたしておりますけれども、発足当時のような非常に大げさな、そう大問題という形では必ずしも処理されていないところにこういう問題が起こったようにも思います。
ただ御指摘の点は、非常に室蘭線という特殊な形の中で起こった突発事故でございまして、サンマのみならず他の貨物につきましてもいろいろな支障があったようでございますが、制度といたしましては調整組合なりあるいは基金がその問題にすぐ対処できる形にはなっておりませんで、一応普通に漁獲がございまして、たまたま多獲性魚でございますので、予定されておった港湾に入ってまいります場合にも、処理能力をオーバーするという場合に、一部の方に他の港に回っていただく、それに対して裏打ちをするという制度になっておりますので、室蘭線の事故と関連して起こりましたようなものに機敏に対応できる形に実はなっておらぬわけでございます。
さような意味で、局部的にはあのような事態が起こったのは非常に残念でございますが、現在の場合には、制度自体にそれに対処する方法が実は欠けてるわけでございます。しいて申し上げれば、組合の内部におきまして、さような場合によそへ船を回せるような態勢があり得れば、あのような事態は避け得たのではないかというふうに実は考えられるわけでございますが、ただ、今後の問題といたしましては、そういう問題を含めて何らか調整する方法がないかどうかという問題につきましては、検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/32
-
033・宮崎正義
○宮崎正義君 これは、こういう事態は、予測することは残念ですけれども、これからも起きる可能性は十分あるわけなんです。調整等の機構を十分にこれは研究をして、早くそういう事態のときには、抜本的な対策をすぐに政府が決断を下してやるべきが私はあたりまえだと思うのです。こういう意味合いにおきましても、先ほどお話がちょっと出ましたけれども、流通機構の問題等もこれは当然取り上げていかなければならない問題だと思うのです。
で、この流通機構の件につきましても、これから——先ほどお話の中では、来年度市場関係の整備をやってやりたいというようなことをおっしゃっておられますけれども、すべてが、一つの事件が起き、一つの問題が起きてそれから考えられるというような行き方が今日まで繰り返されていると、私はそう思うわけです。そうでなくて、あらゆるものを総合した、包括した将来の行き方というものを考えなければならない。流通機構の問題におきましても、いまのようなことでも流通機構の態勢が整っておればすぐに船輸送をしていくとか等も考えられ、また冷凍魚などに変えていくことも考えられていくというふうに当然ならなければならないと思うのですが、こういう点についての考え方も一応承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/33
-
034・久宗高
○政府委員(久宗高君) 流通問題と申しましても非常に範囲が広いわけでございまして、しかし水産に限定いたしますと、御指摘のように個々の問題につきましては一応の施策が特にこの基金のときいろいろな御注文がつきましたので、私どももそれをよりどころにいたしましてやってみたわけでございます。先ほども申しましたように、どうもそれらの一連の施策の横の関連に若干欠けるところがあったのではないかというふうに思うわけでございまして、ことばで申しますと非常に簡単でございますが、これは何と申しましてもこの種の問題は総合的な対策が必要であろうということで、生産部面からあとの幾つかの流通の面につきまして組織的にそれを組み立てていく努力が必要であろう、そういうことを念頭に置きまして実はもう一度組み立て直しにかかっているというのが現状でございます。
ただ、水産物でいまやっております実験でございますが、ある時期に冷凍魚を、多獲性魚を買いましてそれを保管しておきまして調整に当たる、こういうやり方を実はやってみておるわけでございますが、実はやってみますと非常にいろいろな難点がございまして、そういうような形を骨格にしてものを考えてよろしいのかどうか、この点若干実は疑問が起こってまいりまして、実はこの時期に間に合わせたいと思って実験をしておったわけでございますが、もう少しこれを詰めてみたいと思いまして、この切れ目にその案を軸にした将来の対策が実は出せなかったわけでございます。
また一方、施設関係を見てみますと、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、まだ必ずしも十分じゃございませんけれども、当時から見ますと相当充実はしてきておるわけでございますが、個々に見ますと、倉庫の稼動率と申しますか、冷凍の稼働率といったものにつきましては必ずしも十全でない。そこでそれらのものをもっと有機的に結び合わせて処理ができないものだろうかという問題が一つ大きく浮かび上がってきておるように思うわけであります。さような点で、もちろん私どもといたしましては、なお産地におきます設備なり、消費地におきます設備なり、その充実をはからなければならぬと思うのでありますが、やや個別にそういう施設を充実したにすぎませんで、その総合効果が発揮できてないというところがいま一つのポイントではないだろうか。そこをぜひ結び合わせる考え方をもう少し詰めてみたいというふうに考えておるわけでございます。
なお全般といたしましては、漁獲高の推移から見まして、全体としては需要が非常に強い伸びをいたしておりますので、それにやはり対応できるような生産増強の体制を科学的につくる必要がございますし、また産地におきましては、昨年御審議いただきました系統の末端組織が全国的に見ますと必ずしも十分ではございませんし、特に、経済行為という問題からややそれまして漁業権管理のほうにウエートがあったために一番末端のところが弱いわけでございますので、この辺のところをしっかり固めることが、とらえた魚というものをルートにきちんと乗せて消費者のところまで持ってまいりますについて基本的に必要ではないか。ここが非常に弱いわけでございますのでそこをまずしっかり固めたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/34
-
035・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 本案についての質疑は後刻に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/35
-
036・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 農林水産政策に関する調査として、汚染米対策に関する件を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/36
-
037・宮崎正義
○宮崎正義君 テレビや新聞等ですでに問題となっておりますカドミウムを含んでいるお米の件で、三井金属神岡鉱業所から出ている汚水が原因であるイタイイタイ病が公害として取り上げられたということは報道関係で知らされてあります。そこで私二、三点お伺いいたしたいのは、富山米がそのイタイイタイ病の源であるというようなことで配給を非常に辞退しているわけです。この対策についてどういうふうにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/37
-
038・田中勉
○政府委員(田中勉君) お答えいたします。
富山県は富山米の生産県でございまして、相当量が消費地向けに発送されておるわけでございますが、特に大きな発送向けの県といたしまして大阪、兵庫、京都、愛知、この辺に大体富山米が送られているわけです。したがいまして、問題のカドミウムの汚染地帯の米と称される婦負郡婦中町の米は、現在政府が買っております総量が一万トン程度であるわけでございます。富山米全体の県外搬出量というものは約二十九万トンでございまして、この問題の地帯の米は約一万トンということになっております。この米につきまして、このものが富山米の中の割合として京都なり大阪なり兵庫なり愛知なりの消費地に持っていかれると推定されるわけでございます。そこで、現在政府が持っておりますこの地帯の米、消費地において持っているこの米の処理につきましては、いろいろ京都なりまた大阪方面から以前からこの地帯の米についてはどうなのかというような苦情があがってきていることも事実でございまして、この間におきまして、食糧庁といたしましても厚生省の総合的なこの地帯の公害調査を待っておったわけでございますが、昨日この厚生省の公式見解といたしまして、カドミウム汚染地帯で生産された米は配給米として食べても人体に影響がないということが公式見解として発表されたわけでございます。しかしながら、消費地の大阪なり京都なりの地帯において苦情が出ておるということの現実もあるわけでございますので、そういう公式見解の発表は発表といたしましても、さしあたりのところ配給を一応停止いたしまして、今後これらの公式見解の発表の趣旨なり、そういうものを理解した上で今後の措置をはかってまいりたいというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/38
-
039・宮崎正義
○宮崎正義君 この原因についてはいろいろ言われているわけですが、後日また私は農薬問題についてはこの委員会で取り上げてやっていきたいと思いますが、くさい米、くさい米と言われるのは富山県ばかりではなくて、宮城県等の産出米の中にもくさい米、くさい米と今日まで言われておるものがある。その米に対する農薬の許容量というものは、まだこれはきめられておりませんし、米麦等の許容量等もどの程度の毒性があるのかということも研究されている途上だと私思うのですが、日本人の主食である米に農薬が含有されているというようなことになる。くさい米の中に、多くのものが、水銀とか、水銀剤などというものが含まれているということになりますと、これはえらい問題になると思うのです。したがいまして、この際私要求しておきたいことは、米に対する許容量を早く定めるべきでないか、許容量というものを早く制定して、そして明らかに国民全体にわからせるべきじゃないかということをまずお伺いしておきたいと思います。
それから現地の人の心配していることは、高い米を食わされるのじゃないかということを非常に心配しているわけですが、その点についてもはっきりしたことを伺っておきたいと思います。
それから神岡鉱山から農民に支払われている農作物の減収その他に対する補償金というものが毎年三万から十万出されておるのがこれを県でピンはねしているというようなことも言われているのですが、この神岡鉱山から農民に対する補償金というものは今日まで出ておりますかどうか、この三点について。
第一点は、農林大臣から、今後農薬の許容量をどのように検査していくか、どのように対処していくか、農薬に対する被害、加害、そういうものの所信を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/39
-
040・田中勉
○政府委員(田中勉君) いまのお尋ねの点でございますが、また後ほど大田から答えられるかと思いますけれども、くさい米というお話がございました。異臭米と私ども食糧庁では申しておるのでございますが、ここ数年米先ほど御指摘ございました宮城県とか若干の県等でそういうにおいのする米が出てきていることは事実でございます。この異臭米につきましては、それぞれ各県の研究機関、それから農林省でもこれがどういう原因に基づいてこういうにおいが出てくるかというようなことについていろいろ検討をいたしたわけでございますが、決定的なこの原因の追及はなかなかできない現状でございますけれども、農薬に非常に関係があるのではなかろうか。あるいは農薬を使った時期、生育段階との関係、そういうようなことが一応関係があるのじゃないかというようなことが出ているのでございます。そうしてこのにおいが有毒であるか、無毒であるかということにつきまして、これははっきり毒性はないということは、一応見解として統一されておるわけでございますが、何ぶんにもこのにおいの原因がどうもはっきりつかめていない。ただ、非常に農薬に関係があるということが言われておるわけでございます。現に水銀剤農薬というようなことについても、関係が現在言われているわけでございます。
それから許容量というような問題は、たとえば今度の場合カドミウムというようなものがございますが、この点につきましては、食糧庁といたしましてもやはり国民に配給する責任を持っているわけでございまして、この毒性の限界というようなことについて早急にやはり厚生省方面においてその結論を出していただくようにお願いはいたしているわけでございますが、先ほどの富山の汚染地帯につきましては、この程度のものであれば配給米を食べても人体に影響ばない程度のものであるという結論が出ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/40
-
041・檜垣徳太郎
○政府委員(檜垣徳太郎君) 神通川流域の農民に対しまして神岡鉱山から減収等のための補償金を支払っているかどうかという御質問でございますが、たいへん申しわけないんですが、私あまりその点についての勉強をいたしておりませんので出しておる、あるいは出していないということをお答えできないのでございますが、取り調べまして後日御報告申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/41
-
042・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 農薬に対していろいろ害、影響というようなものにつきまして先般予算委員会で詳細に承っておりますが、御存じのとおり、厚生省のほうで逐次研究して、すでに野菜等の四品目については許容量が発表になっている。農林省としては、これを全国的にその許容量の範囲内にとどめるように指導しているわけであります。お説の米につきましても、私はやはりあってしかるべきものじゃないかとは思います。ただ、問題はこれは技術の問題になりますから、どういうふうな形でどういうふうにこれを厚生省のほうでやっていただけるかの問題でございましょうが、私のほうもできるだけこういうことが実現し得るように、厚生省のほうとも話をして態度をきめていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/42
-
043・宮崎正義
○宮崎正義君 これは本日の法案の議題からはずれている問題でございますので、これで私はこの問題についてはとめたいと思います。
やみ価格のないように配給をひとつ厳重に取り締まってもらいたいということ、この一点とそれからただいまの大臣の御答弁がありましたけれども、農薬を出す前にすでに解毒ということが考えられていなければ当然いけないんじゃないか、こういう観点から今後の農薬の許可というときにはすでに許容量はこのようになっているんだ、あるいは解毒はこういうふうになっているんだということが証明された上で市販されていくということが至当だと思う。これは私の考えでありますが、こういう観点から考えまして、後日またこの農薬については、その許容量等をはかっていく厚生省と農林省を呼んで質問をしていきたいと思いますが、いずれにいたしましても、日本人の食生活の中で一番大きく占めている米にどれほどの農薬禍、農薬の毒性が含まれているかということは、早急に私は研究をしていかなければならないんじゃないかと思うんです。それがいまのカドミウムが含まれているのを長い間食べていけば、やはりそこには被害があるんだという証明も聞いておるわけでありますが、この点から考えていきましても、一ときも早く国民の生命を守っていく立場において、当然この問題は早急に取り組んでいただきたいことを私は要望しておきたいと思いますが、やみ価格を厳重に取り締まる点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/43
-
044・田中勉
○政府委員(田中勉君) 政府は食管法によって米を管理しているわけでございまして、したがって、生産者価格また配給価格、これは法律の定めるところに従って適正にこれを執行していかなければならぬわけでございます。やみ価格というようなものが配給制度を乱しておるというような事態も見受けられるわけでございます。これらの点につきましては、政府の側におきましても特にこの配給担当の米屋なり、こういうものの自覚と、また消費者の配給米に対する理解、こういうようなものと相まちまして、行政面においていやしくも政府が公定価格で売却して適正な配給価格が維持されるように、政府配給業者、消費者相ともに確実に守られるように努力いたしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/44
-
045・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 本件につきましてはこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/45
-
046・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 再び魚価安定基金の解散に関する法律案を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/46
-
047・宮崎正義
○宮崎正義君 今回の魚価安定基金の解散後における剰余財産、この処分についてお伺いいたしますが、まず最初に、現在の段階で収支がどういうふうになっているかお伺いしたいと思います。それから、いま申し上げましたような剰余財産の処分についてどんなふうにお考えになっているか伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/47
-
048・久宗高
○政府委員(久宗高君) 四十二年度の関係を、若干予想を含んでおりますが、収入といたしましては千五百万程度、それから支出、これも予想でございますが、役職員給与が四百四十七万一千、事務費が百八十六万九千、その他二十万ということで六百五十四万でございます。
それから基金の剰余財産の処分問題でございますが、これは資料の御要求もございましたので別途お出しする予定ではございますが、とりあえず申し上げますと、残余財産の処分方法といたしましては、魚価安定基金法の第四十三条の第一項及び第二項の規定によりまして、各出資者に対しましては出資額を限度として分配することができるとされております。したがいまして、出資額見合いの分が約一億六千万、これはそれぞれの出資額に応じまして分配することといたそうとしておるわけでございます。その後なお残余を生じました場合、この予想は約四千万程度見込まれるわけでございますが、そのうち必要と思われます額、おおむね千五百万程度を予想しておりますが、これを基金の目的と類似します目的を有する団体、これは全国サンマ漁業協会というものを公益法人としてつくりまして、これに対しまして寄付するという形を考えたいと思っておるわけでございます。なお、残余の二千五百万程度は国庫に帰属することといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/48
-
049・宮崎正義
○宮崎正義君 そこで、政府に帰属する二千万円なんですが、なぜそういうふうにしなきゃならないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/49
-
050・久宗高
○政府委員(久宗高君) 御承知のとおり、この基金におきましては多獲性魚を対象にいたしまして仕事を始めたわけでございますので、かような形の終末は実は予想をしておらなかったわけでございます。したがいまして国と県、それから漁業団体が出資いたしましてその基金が構成されたわけでございますが、処分といたしましては出資額をこえた処分はできないという形になっておるわけでございます。そこで、出資額に応じました処分をいたしました後に残りますもの、これは約四千万、先ほど申しましたような予定になるわけでございますが、そのうち、現在の基金と目的が類似しておりますものに対して寄付するということは可能でございますので、また、この基金がなくなりましたあとにおきましてもさような調整機能が、自主的な組合員におきまして必要な限度におきまして継続されることが必要と考えられまするので、その分に相当する分を寄付することにいたしまして、あとの残余は結局持ち主がないという形で国庫に帰属する。つまり、出資者としての国に返すということじゃございませんで、必要なるものを差し引きました残りのものは国庫に帰属せざるを得ないという形をとるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/50
-
051・宮崎正義
○宮崎正義君 どうも私はその点納得できないのですが、大体一千五百万を全国サンマ漁業協会ですか、そこの任意団体に肩がわりしてやる、では、その財団法人に、あるいは公益法人として一千五百万をやって、その機構をそのままにしていくんじゃないかと、こういうふうに思えるのですが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/51
-
052・久宗高
○政府委員(久宗高君) いまの基金におきます基金の活動といたしましては、御承知のとおり調整組合それ自体では処理できない問題、たとえば分散させる場合の、一部の組合に迷惑をかけるといったような問題もございましたために、ああいう基金の制度をとったわけでございますが、いずれにいたしましても現在の段階で、急に寄港地におきましてこれを大幅に散らしまして処理に当たるといったようなことは、いまの段階では予想を必ずしもしないでよろしい関係にございまするので、私どもといたしましてはせっかく魚価安定基金というものをおつくりいただいたわけでございますけれども、これが全体としての多獲性魚に適用するのには若干問題が残っておりますので、さような問題については、もう根本的な対策を考えるといたしまして、当面サンマにつきましても、これは漁況の問題でございますから不測の問題あるべしということで、少なくとも現在までサンマにつきまして処理をしてまいりました程度のことは、調整組合の活動を基礎にいたしましてできるような形を残していきたい、さように考えまして、いまの、そのために必要なる金額を考えてみますと、いま申しましたような千五百万円の寄付ということでほぼその目的の規模に達しますので、残余の財産につきましては先ほど申しましたように出資の限度で限定されておりますので、これを国庫に返さざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
なお、率直に申しまして私どもといたしましては、サンマそれ自体につきましての機能は、さようなことで一時根本的な制度ができますまでの間は少なくとも現在の調整組合が主体になりましてかような機能を残したいわけでございますが、かりに私どもがいまいろいろ検討しております根本的な魚価安定対策ができます場合の必要な金額と申しますのは、これは相当な金額になり得ると考えるわけでございますので、この関係はここではっきり切りまして、あらためて魚価安定対策ができましたときには本格的な援助を得たいという気持ちで、ここではとりあえずサンマだけに限定いたしまして、しかもその目的に限定されました公益法人に寄付をいたしましてこの機能を過渡的に保存しておきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/52
-
053・宮崎正義
○宮崎正義君 それはわかります。いま御答弁でわかりますけれども、一面イカだとかサバだとかスケソウダラ、早く言えば大漁貧乏といいますか、それらの問題について総合的な魚価の価格安定対策という面が同時に推し進められなければならないのではないか、こう思うわけです。それでいまサンマの分だけはそうやって取り上げられたけれども、北海道の場合スケソウダラなんかそれこそどうにも処分に困るというほど問題がもう年を追うごとに出ておるわけです。こういう、一方は基金の制度を設けて、しかもそれを残していこう。また半面においては、イカとかサバとかスケソウダラとかという大漁貧乏と言われる、大量に入ってくる漁獲量のあるもの、それに対する考え方、価格安定の考え方というものに対する両方面にいくべきじゃないか。先ほども申し上げましたけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/53
-
054・久宗高
○政府委員(久宗高君) 先ほどもちょっと触れたわけでございますが、同じ水産物特に多獲性魚と言われるものの中でもどうもいろいろ扱いがしさいに検討いたしてみますと違いがあるように思うわけでございます。と申しますのは、基金が多獲性魚全般をねらいまして発足いたしまして、結局それがサンマだけという形になりましたにつきましても、やはり同時に若干の漁況の変化はございますけれども、たとえばイカについて申し上げますれば非常に関係者が多数でございますけれども、零細な経営者でございますために資金を積み立てるということについて相当の難点がございまして、必ずしも制度にいきなりは乗りにくかったという経緯もあるように思います。また、サバ等そういったようないわゆる巻き網関係でございますけれども、こういう場合もいわばサンマのようにある漁港に集中してすぐにそれを散らすという必要よりも、一せいにたとえばある量を一定時期とめますとか、そういう形のほうがこういう漁業種類に合うのではないかといったような問題も出てまいりました。
それから御指摘のスケソウダラでございます。これは別途資料の御要求もあり、御質問もあろうかと思うのでございますけれども、これもいわば、たとえばサンマのように回遊して来てしまう、来てしまったものをどうさばくかという問題と若干性質が違うのじゃないかというふうに思うわけでございます。つまり回遊性の漁業と申しますよりは、いわゆる底魚の範疇でございますし、それがたまたま画期的な技術革新との関係におきまして急速にそれが商品化の可能性が出てまいりましてそこに漁獲努力が集中してきて、それに対するいろいろな対応が必ずしも十分でなかったという問題のように思うわけでございまして、若干たとえばサンマと比較いたしました場合に同じような形で調整してしかるべきかどうか、この辺相当実は問題があるように思います。特にスケソウダラにつきましては各種の漁法が個々に競合いたしますし、いろいろな経営体の違いもございますので、現在北海道を中心といたしまして、また私どもも入りまして、このような魚種でしかも急速に需要が開けてまいりました場合に、その需要と供給のアンバランスをどういう形で調整したらいいだろうかということは、私どもも入りまして、いまちょうどぎりぎり詰めている最中でございまして、幾つかの例を申し上げたのでございますが、みなそれぞれ若干やり方が違うように思うわけでございます。それを連係さしてどう組み立てるか、あるいは一つの機構がいいのか、あるいは幾つかの機構に分かれて、その相互の関連をとるべきなのか、その辺のところを実に詰めきれませんので、苦悶いたしておるわけでございます。
いずれにいたしましてもさようなものの調整には御指摘のようにきわめて総合的な対策が必要でございまして、しかもそれも漁港設備その他も含めました一連の考え方が必要かと思いますので、実は漁港計画との関連もございまして、そこを実は詰めている最中でございます。ここで決定的に申し上げられないことははなはだ遺憾でございますが、さような検討をいま鋭意いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/54
-
055・宮崎正義
○宮崎正義君 いまスケソウダラとかサバとかイカとか、すり身の問題とかは、あとで、資料を川村委員のほうからも御要求がございますので、そのおりにまた関連をさせていただくようにしまして、次に進みたいと思います。
先ほど流通機構の話が途中で切れたわけですが、サンマのコールドチェーンに全漁連の気仙沼工場が取り組みまして、ちょうど安いころに七百五十トン買い込んで、そしてかなりの成果をあげたというわけであります。それは御存じだと思いますが、ところがサンマ漁が不足してくる。そういうところから今度はまたコールドチェーンの作業というものもこれは考え直さなければならないというような状態にもなっているわけですが、こういう基金の設定されたときの状態と、漁獲量が少なくなって値上がりしていく、そういう今日における機構に対してどういうふうに今度はしむけていかなければならないのかというような点も一応伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/55
-
056・久宗高
○政府委員(久宗高君) 先ほどもちょっと触れたわけでございますが、いわゆる産地におきます冷蔵設備なり冷凍の機能なりを見てみますと、少なくとも発足当時より飛躍的にふえているわけでございます。ただ、私どもがそれをいたしました場合に、全体のやや広域な考え方を頭において必ずしもやったとは言えない問題がございまして、それぞれの施設ができるところでそれぞれの基準に従いまして指導もし補助をしてきたような、結果におきましてはそういうような形になっておるわけでございます。したがいまして個々の冷蔵庫なり冷凍の機能を考えてみますと、漁況の変化その他によりましてたびたび御指摘を受けますように、ある地帯が非常に稼働率が悪い、また、それが漁協の経営に影響があるというような御指摘をしばしば受けているわけでございます。今日までに集積しましたそれらの設備を少し達観してみますと、それらのものがみな総合的に動かせるならばもっと相当保蔵の機能、冷凍の機能、あるいはそれがひいては価格安定の機能にも貢献し得るのじゃないかというふうに思われる節がだんだんはっきりしてきているように思うわけでございます。したがいまして、私どもも新たな設備を付加してまいります場合に、さような考慮がやはりぜひ必要だし、そういうものを動かすような何らかの機構が要るのではないかというのが、現在おぼろげながら私どもの気持ちの中に、また業界とも御相談しております中でだんだんと浮かび上がってきているわけでございますが、何ぶんにも詰めますのにいろんな要件が多うございまして、十分詰め切れないで、もう少しというところまで実はきておるわけでございます。おそらくその場合におきます一連の金融といったような問題が相当実際問題として重要になってくるのではないかという感覚も持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/56
-
057・宮崎正義
○宮崎正義君 いずれにしましても、水揚げ地における冷凍あるいは保管、輸送施設の処理能力等、各方面の地域におけることは当然考えられなければならない。これが大きな流通機構の問題を解決していくということは当然の理であります。いずれにいたしましても、流通機構の一時も早い整備が、早く消費者の側における価格の差を縮めていくという結論になるわけですが、この点についてはいま御答弁がありましたけれども、先ほども申し上げましたように、北海道でサンマがはけ口がなくて、それこそただでくれている。片一方東京のほうでは、消費者が一匹五十円も七十円も出して食べなければならない。そういうような面を考え合わしても、気仙沼あたりは船でいきなり北海道から持っていけるというふうな考え方等も当然なされていいわけなんでありますし、そうして消費者には流通機構の完備によって生産地とそうたいして変わっていかない。消費者が食生活で高い金を払わないで栄養のとれていく行き方を考えていくべきが至当だということは、私が言うまでのこともありませんけれども、いずれにいたしましても、今日までの漁協に対する考え方というものが、非常に抜本的な対策というものからの立場に立って一つ一つが行なわれていない。何か一つのサンマがうんととれたらば基金制度を設けていかなければならない。ほかの大量に漁獲していくイカ、あるいはサバ、あるいはスケソウダラ、そういうものに対する考え方も、言わなければやらない、問題が起きなければ、その対策を講じないというようなことでは私はならぬと思うのです。こういう点について、この機会を通して基金制度等につきましても十分に将来を考えていかなきゃならない。この点私は希望を申し上げて私の質問を終わりたいと思います。いずれにいたしましても、共同出荷体制等の面につきましても、どういうふうに将来は考えていくのか、そういう点を含めて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/57
-
058・久宗高
○政府委員(久宗高君) 御指摘を受けました点、一々私どもも全くそう思っておる問題でございまして、繰り返し申し上げますが、確かに非常に問題がむずかしいために、個々の施策は相当やったつもりでございますが、やはり総合的な効果が十分出ていない、その点を反省いたしまして、思い切って基金をやめることによりまして、退路を遮断して本式に取り組みたいという気持ちでございますので、若干の時間をいただきたいと存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/58
-
059・川村清一
○川村清一君 それでは、時間があるようでございますので、私、基本的な問題にのみしぼりまして若干質問申し上げて、具体的な問題等につきましては、次の委員会で質問させていただきたいと思います。きょうは大臣がおいでにならないのは残念なことでありますけれども、私は、まずこの機会に、政府の水産行政に対する基本的な姿勢についてお尋ねしたいと思います。特に昨年に比較してことしの姿勢というものを私は問題にしたいのであります。
昨年四十二年度におきましては、御承知のように、国会に対しまして政府は四つの水産関係法案を提案されておるのであります。すなわち漁業災害補償法の改正法案、それから漁業協同組合の合併法案、さらに外国漁船の寄航を規制する法案、そして中小漁業の振興法案、四つの法案を国会に提案されたということは、これはまさに画期的なものである、こういうようなことで、水産庁のその積極的な姿勢というものが高く評価されたことは御承知のとおりでございます。で、私どもも、非常に日本の漁業発展のために慶賀にたえないことである、かように喜んでおったところでございます。
ところがことしはどうか。四十三年、この五十八回国会に提案されました法案というものは、ただいま議題になっております漁価安定基金の解散についての法案ただ一つでございます。これは現在あるものを解散して無にする、何ら前向きの意図的なものではない、後退的なものである。いわばこの法案を審議している本委員会はまさにお通夜、この法案の、いま法律のお葬式をやっておる委員会である、こう言っても私は過言でないと、こう思うわけであります。
日本の漁業は非常にたくさんの問題をかかえていることはしろうとの私が言うまでもなく、これは白書にも明らかにされておるところである。あなたがた専門家は重々御承知のはずなのであります。しかるにこれを積極的に解決しようとする姿勢が何ら示されておらないということは、私はきわめて遺憾に思うわけであります。一体全体、昨年のあの前向きな積極的な姿勢はどこへ行ったのか、こう言わざるを得ないのであります。
こういう姿勢の転換というものは、一体原因はどこにあるか、問題はどこにあるか。このことは、西村農林大臣の所信表明の中に端的にあらわれておるように、まさに水産行政というものに対して無関心である。このことは大臣の責任はきわめて重大であると私は思うのであります。このことを私は大臣にいま聞きたいのであります。大臣がいないことはまことに残念であります。長官、いかがでございますか。去年の国会も長官はあなたである。この四つの法案、この趣旨説明をされたのはあなたです。われわれの質問に答えて、そうして日本の水産をこうするのだ、水産に従事している漁民の生活をこうするのだと抱負を述べられたのもあなたである。一体あなたの姿勢はどこへいったのだ。いま葬式をやらせようとしている、私どもに。ひとつ率直な責任ある御見解をここで述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/59
-
060・久宗高
○政府委員(久宗高君) 施政方針の関連で前にもお話しになりまして、大臣からも所信をあらためて申し上げたわけでございますが、ただいまお話しのございました昨年の意気込みはどうしたのかというお話でございますが、昨年四法案──試験研究まで入れますと五つの法案を通していただいたわけでございますが、そのとき再々申し上げましたように、私といたしましては、あれは全部宿題、当然前にやっておくべきものをいろいろな関係でおくれまして、数は非常に多かったのでありますが、宿題をやっとやったにすぎませんというふうに申し上げたつもりであります。一応それで最小限度の当面の宿題をやりまして、同時に、これは法律の関係ではございませんでしたけれども、懸案でございました一斉更新の問題も一応の片をつけまして、本年度が、私どもといたしましては、いわば戦後から申し上げれば非常に一つの切れ目にきておりますので、少し長い目で見た作業に入りたいということを再々昨年も申し上げたつもりでございます。本年度におきまして、たまたま法案の用意が真珠の関係が一つございましたけれども、いろいろな関係で提出するまでに至りませんでした。たまたまこの魚価安定基金の解散ということだけになってしまったわけであります。
この問題につきましても、ただいま申し上げましたように、私どもとしては諸般の情勢から考えて、サンマについてはこの形のいき方ではなしに、もっと別の形がいるであろうということを考えまして、本格的に魚価安定の問題と取り組みますために、あえてこの段階におきます解散を決意したわけであります。閣議におきます最終的なお話しにいたしましてもこの廃止は決意した。しかし水産行政としては、魚価安定は本格的に取り組みたい、これについては別途研究するのだということを申し上げて、この決定を見て、ここにおはかりしておるわけであります。したがいまして、法案の数その他の問題はあろうと思うのでありますが、私どもといたしましては、まだここで御説明をしておりませんので申し上げにくいのでありますが、本年度の漁業白書におきましても、洗いざらい、ほとんどまさに白書そのものの気持ちを全部問題点を洗いざらい出したつもりでございまして、それを基礎にいたしまして、本格的に少し長い長期の取り組みをいたしたいというふうに思っておるわけでございます。
予算面におきましても、新しい芽といたしましては三つ四つ出しておるわけでございまして、長年の懸案でございました新漁場の開発に手をつけますと同時に、沿岸におきましてもこれの若干の自然改造を含みますような本格的な浅海漁場の造成につきまして一歩を進めたいと考えております。また同時に、試験研究の分野におきましては、長年問題でございました日本列島周辺におきます資源の総合的な把握をいたしますためにどのような手段が今日利用できるか、これは方法論の問題であるわけでございますが、さような点を幾つか将来にわたります芽をここで出したつもりでおるわけでございますが、全体の施策といたしましては、昨年度も申し上げましたように、残された大きな問題といたしましては漁港の問題があるわけでございまして、漁港という問題につきまして、四十四年度以降これらを基礎といたしました、やや従来の狭義の漁港から、もう少し大きな施策と結びつき得るような立案をいたしたいということで、これも調査費が出ましたので、目下それと関連をいたしまして検討しているわけでございます。
いずれにいたしましても、本年度限りといったような施策ではございませんで、若干長期にわたる施策でございますので、私どもといたしましては、ここしばらくはその問題に沈潜させていただきたい。若干の時間がかかりますが、そういうものをやはり全部組み立てて、しばしば御指摘を受けますような総合的な施策でございませんと、やはり水産行政としての体をなしませんので、さようなものを組み立てて御審議をいただくように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/60
-
061・川村清一
○川村清一君 ただいま白書の問題が出まして、白書には洗いざらい問題を提出しておる、こういうようなお話がございました。いずれ白書に対する質問等は本会議においてさせていただきまして、そのとき白書に対する問題点を投げたいと思いますが、私個人といたしましては、正直に言って、ことしの白書はただいま長官が言われたとおり、問題を隠すところなくきわめて大胆率直に、洗いざらいという表現が当てはまるかどうかは別として、出しておる。勇敢に出しておる。この姿勢に対しましては私は敬意を表しておるわけであります。
ただ残念なことには、出されたその問題を積極的に解決しようとする姿勢が見られないということであります。ただいまのお話では、いまこういうような施策をやっておる、もろもろの施策をやっておる、予算の中にも出ておる。ただしかし、総合的にやらなければならないので、しばらくの間時間をかしてもらいたい、こういうようなお話であったと思うわけでございますが、私といたしましては、もちろん一ぺんにすべてをというわけにはまいりませんが、あの白書に出ております、たとえば漁場の問題、あるいは資源の問題、あるいは労働力の問題、そういうもろもろの問題のうち優先順位をつけまして、一つでも二つでもこれを具体的に解決しようという姿勢が出てきておらなければ、予算面にも明らかに出てきておらなければ、あるいはそれを制度的にも解決しようとする姿勢が法案提出という形においてなされなければ、やっておると言われても、はあそうですかと私は納得できかねるのであります。非常に姿勢が消極的であるというのはそういうことを私は申しておるのでございまして、残念だと思うわけであります。
そこで、お尋ねいたしますが、漁業の問題はいろいろ海況の変化であるとか、あるいは漁業自体の経済的な問題の変化であるとか、資源の変化であるとか、あるいは消流上のもろもろの問題等のために変わってくることは、これはやむを得ないことであります。したがって、昭和三十六年当時制定いたしました魚価安定基金法というこの制度がもう必要がなくなった、したがって解散するのだ、やむを得ないんだという、私どもが納得できる理由があって解散するならば、これまたやむを得ないことだろうと私は思うわけであります。しかし解散するならば、当然それにかわるものを用意して、具体的なものがここに明示されないにしても、こういうような構想でこうするんだという何らかの姿がそこに提示されて、そうして解散されるのでなければなかなか私どもは納得できないのであります。しかも私はこの魚価安定基金法という法律を解散しなければならないという、このことに納得できかねるのであります。この法律をどうしていまなくさなければならないんですか。私はこの法律をなくする法案がいま出ておるのでありますから、必要のない法律かと思って実はきのうこの第一条総則からずっとそれを読み直してみましたが、一体法文のどこがこれは必要がないのですか。この三十六年に制定された法律の第一章総則の第一条の(目的)、すなわち「魚価安定基金は、漁業生産調整組合、水産業協同組合等が多獲性の水産動物の価格を安定させるために行なう調整等の事業につき助成をすることにより、漁業経営の安定に資することを目的とする。」というこの法文のどこが一体必要なくなったんですか。第二条、第三条、第四条、ずっと読んで見ましたが、この法律が不要になったひとつ理由を私が納得できるように説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/61
-
062・久宗高
○政府委員(久宗高君) この廃止法案を提案いたしました理由につきましては、すでに大臣から正式のお話をしておりますのでそれに尽きるわけでございますが、御質問しておられます意味は、まさにこれをやめるについてその対策がはっきりしていないのはおかしいじゃないかということに尽きると思うわけでございます。
そこで率直に申しまして私どもは出直したいわけでございます。もちろん魚価安定基金はそんなに限定されたものではありません。しかし発足以来の経緯から見まして、先ほどもちょっと触れましたように、それぞれのまき網なり、あるいはイカつりなり、さようなものが当時これに参加し得なかったいろんな経緯を考えてみますと、それぞれにつきまして若干違ったやはり調整が要るのではないか。それを現在の機構に連綿といたしましてそのままの形で拡大していって処理ができるかどうかという点に若干疑問がございますので、この際サンマ自体につきましては先ほどるる申しましたように、この過渡期におきましては基金がいまのような体制ではございませんけれども、一応の処理ができると考えられますので、その問題に限定いたしまして、これをすっきりしまして、これを契機といたしましてもう一度本格的に、多獲性魚の問題、あるいは広く多獲性魚も含めました魚価安定の問題に取り組みたいというのが私どもの率直な気持ちでございます。
もちろんきっかけになりましたのは行政管理庁その他の一連の公団、事業団問題と関連はしたわけでございますが、また当時私どもといたしましては、火事がありますのでポンプをつくった、ところが火事が少なくなったのでポンプが要らぬというのはおかしいじゃないかというので、気持ちの上では反発したのでございますが、いろいろ冷静に考えてみますと、やはりこの問題が真剣にわれわれとして取り組むべき問題だと考えまして、法文を見ますと全般的な書き方になっておりますので、これらの問題に対する対処のしかたは、その後の経験から申しますといまのような形でよろしいかどうか、そういう疑問がございますので、実はそういうことを頭に置きまして、関係者とも突っ込んだ御相談をしてみたわけでございます。サンマの御関係の方もいろいろな経緯から見て、これはこの際終末をつけて、そうしてもっと本格的な取り組みをしようじゃないかという気持ちがはっきりいたしましたので、私どもも腹をきめましてこの解散を提案いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/62
-
063・川村清一
○川村清一君 この法律が昭和三十六年に制定されました当時、私は北海道の議会の議員であり、しかも水産常任委員会の委員でありまして、この年は非常にサンマが大漁でございまして、陸揚げ地の釧路港におきましては、あらゆる処理機関を動員しても処理し切れないといったような状態であったのでありまして、北海道あたりからも何とかこの魚価安定のための制度化をしてほしいというような陳情等もなされ、国の非常な御配慮をいただいてこういう制度化していただいたことについて深く感謝をしておった、こういうことで知っておるわけであります。
しかし、もちろん当時サンマをこれは目的としてつくられたといたしましても、法律そのもののどこにもサンマなんというのは書いてないのであります。これは当時衆参両院の附帯決議にもありますように、また後ほど申しますけれども、漁業生産調整組合等とこれはセットで、組み合わせのような形で出てきたところのこれは法律でありまして、サンマ、サンマと言われますが、当時もちろんサンマの魚価対策を直接の目的にしておりますけれども、そのことはいわゆる魚価安定基金法第二十九条第二号の製品を定める政令と魚価安定基金法施行規則にいわゆるサンマというのが出ているのであって、サンマの価格がキロ十三円を割った場合においてどうするかと、かすにしてそれの保管料、倉敷料をどうするかといったようなことで、生産者のいわゆる大漁貧乏を救ってやる、こういうことをねらいにしたのでありまして、その後一体国は何をなされてきたのか、いわゆる第一条にはっきりうたってありますように、漁業生産調整組合あるいは水産業協同組合とタイアップしてやっていかなければならない、水産庁御当局はその後この漁業生産調整組合の育成のために、そしてそれをこの安定基金法に出資させるためにサンマだけでなく、あるいはサバを、スルメイカを、あるいはスケソウを、アジをというようにこの安定基金の対象にするような御努力を今日までなされたのか、なされないのか。サンマ、サンマと言われますが、ほかの漁業が対象になるような御努力をなされてこなかったのかどうか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/63
-
064・久宗高
○政府委員(久宗高君) 御指摘を受けますと確かにその努力が足りなかった点もあるかと思います。しかし実情から申し上げますと、漁業の種類によりまして相当やはり違うわけでございますので、したがいましてこの基金ができましてこれを拡大していこうとしております際におきましても、先ほどちょっと申し上げましたように、イカの場合とか、あるいはアジ、サバの場合、それぞれ関係者としても、かりに大漁貧乏的な要素が起こった場合に、どういう方法で対処したらいいか、それのためにたとえばどのくらいの金を積むべきか、積むべからざるかといったようなことについて多少御意見が違うわけでございます。もちろんこの基金ができましたときには、その数年前に五十万トンといったような年が二年も続きました。サンマということになればほんとうに大問題でございまして、非常な緊迫した空気の中で意見が盛り上がりまして、ここに魚価安定基金ができたわけでございます。そうなれば当然サンマ以外にも多獲性魚に適用されるべきだということで立案されたものと思います。しかし結果から見ますと、その一番基礎になりますサンマの魚獲が激減し、それからアジ、サバその他につきましてはいわばサンマのように一部のものを他の漁港へ回すといったような方法ではないもっと違った調整のほうが適しているといったような問題、あるいはイカの場合のように相当な金を積むということ自体に非常に困難があります場合、こんなことが相関連いたしまして、それから全体といたしましてはやはりあの非常に高度な成長期におきまして需要が予想以上に伸びましたために、全体としては不足ぎみの中で経緯いたしましたことも多少影響があったと思います。かようなことで結果におきましては、法案が予想しましたような、他のものを全部含んでそうして大きな体系になっていく状況とは違った形に今日動いてきたということも結果的に言えると思うわけであります。
そこで、私どもといたしましてはこの段階におきまして、さような経過があるにもかかわらず、これにいわばとらわれて本式な多獲性魚の問題にむしろ取り組めないような形よりは、思い切ってこの際にわれわれのかまえも変えたい、またそれが関係者の御納得を得るならば、そこへ踏み切りたいという気持ちで御相談いたしました上で、サンマについての行き方をここで打ち切りまして、そして、繰り返し申しますように、もう一回想を新たにしまして多獲性魚を含む全体の魚価安定の問題に本格的な総合的な取り組み方をしたい、こう踏み切った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/64
-
065・川村清一
○川村清一君 具体的な質問はこの次にいたすことにいたしまして、私はきょうの最後といたしましては、ただいままでの長官の御答弁ではなかなか納得できかねるのでございます。この基金はこれで解散する、しかしこれにかわるものとして、これよりもっと進んだものとしてこういうことをやるのだ、こういうことをやるのだということが現時点ではまだ具体的にはまとまっていないけれども、しかし大体こういうような構想を持っているのだというくらいはお示しいただかなければ、何らこれを示さないままにいまこの法律の弔いをせいといっても、なかなか私は心からその御焼香をするような気持ちには何としてもなれないのであります。
なぜ一体これは急いでこれを解散するか、長官がいろいろ理由を言われますが、私は勘ぐるわけではないのですが、ただ、何と言われましても臨時行政調査会の勧告によって特殊法人を整理する、その整理の対象の中に第一にあげられたのがこれなんです。しかも他の公団公社については何とかかんとかうまいことを考えて何らかの形で居残りを策しているのが多いのです。ところが、まあ水産庁という役所は非常に正直な方ばかりいらっしゃると見えまして、魚価安定基金のみがまさに正真正銘で完全に整理して姿を消してしまう、こういうことになるわけです。
そこで、それではこの基金はもはや必要がなくなったのか、この法律はもはや無用になったのか、検討してみますと、無用になったとも思わないし、必要がなくなったとも思わない。ところが、これをなくしてしまう、必要があるにもかかわらず。この閣議の決定どおり農林大臣はこの基金を解散することに腹をきめた。そこで農林大臣に対しては佐藤総理や行政管理庁長官の評価がきわめて高くなる。総理大臣と行政管理庁長官だけが喜んで、反対に漁民は困ったことになったと思っている。まあこの次やりますが、長官の考えられているその総合的な次の対策がいつ生まれてくるのかわかりませんが、一体この次法律をここで審議するのは早くても来年の国会でございましょう。
しからば長官、ことしの秋にあなたはサンマは絶対に大漁にならないということをここで保証できますか。心配するな、ことしの秋にはサンマはそんなに来ないぞ、私に約束できますか。三十六年、三十七年のときにももし——これは海の変化ですからまたあとで聞きますよ、どうしてサンマは近年不漁になったのか、不漁の原因を水産庁は一体どう把握されておるのか、あとで聞きますが、三十六年、三十七年とあれほどとれておったサンマがさっぱりとれなくなった。一体これの原因が何かわからないのと同じように、ことし絶対来ないとはまたこれも断言できないでしょう。秋、大量にとれた場合に一体どういうことになるのですか。さあ、安定基金の法律はないし、総理大臣と行政管理庁長官は喜んだかもしれないが、漁民はたいへんな迷惑をこうむることになる。そのことを私は言っているのです。あなたの言われておるようなそういう構想をまとめられまして来年の国会には必ずその法案を提案されるということをいまここで約束されますか、できますか、責任のある御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/65
-
066・久宗高
○政府委員(久宗高君) 魚価安定基金の解散に踏み切りましたことにつきましてはいろいろ毀誉褒貶があり得ると思います。いろいろな考え方があり得ると思うのでありますが、私どもは正直に申しまして最初は反発を感じたわけです。機能としてはこれは要るわけでございまして、年々予算で処置しておりましてそこがございますので、
〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
こういうような基金の設定になったわけでございますし、御指摘のように漁況、海況でございますので、いついかなる変化がないとも限らない。当面はこういうことであるがということで、この廃止問題につきましては率直に申しまして非常に反発をむしろ感じておったわけでございますが、外からの問題としてではなく、私ども自身が多獲性魚の問題がああいうふうに取り上げられてそして基金ができてそれを運用してみてこういう形にしかなっていないということについての反省をいたしてみますと、やはりこれじゃいけないと考えまして、また、あの法案をつくっていただきましたときにいろいろ国会での御論議が出ました経過も読んでみますと、どうもそういう形になっておらない。そこで、先ほど申しましたようにやっぱり出直してもう一度仕切り直したいということで、外からの問題ではなくして、私ども自身の気持ちで実は踏み切ったわけでございます。もちろん関係の漁民の方にも相当に突っ込んだ御相談をいたしまして、よかろうということで踏み切ったわけでございます。
なお、さような意味でございますので、たとえばことしの一かりにこの法案が通るといたしまして、廃止になって、そしてこの秋の漁況は一体どうなるかというお話でございますが、もちろん海況のことでございますから決定的なことは申し上げられないと思いますけれども、少なくとも私どもが今日の段階で試験研究の関係者、あるいはサンマ自体の当事者の方々と突っ込んで御相談した感覚といたしましては、少なくともこの秋に非常な問題を起こすような事態は客観的にはないと思っております。そのことがやはり踏み切る相当大きな要因にもなっておるわけでございます。しかしながら、一応現在の基金が、サンマについてやっておりますような機能はたまたま剰余財産もございますので、それを引き継ぎまして一応の対処ができるようにいたしておるわけでございます。また、これはもちろんいままでの実績から見ましてこの程度という数字でございますので、川村先生の御指摘のように、そういうようなことが海況の状況で非常に変化していく、また非常に大きな漁獲があるというようなことが絶無とはいえないわけでございます。さような場合におきましては、もちろん政府といたしましてもほうっておくわけにはまいらぬのでございまして、私どもといたしましても、さような事態におきましてはしかるべき処置が必要であろうと考えておるわけでございます。
なお、魚価安定の基本的な構想についていつ固まるかという問題でございますが、価格政策というふうに限定いたしました狭義のもので追っかけてまいりまして実は失敗を繰り返しておりますので、私どもといたしましてはもう少し幅の広いものに考えてまいりたいと思っておるわけでございます。したがいまして、たとえばこの次の国会には必ずお出ししますといったような実はお答えはできにくいと思います。もちろん全力を尽くしていたしますけれども、小手先のものをつくってはいけないというふうに心底考えておりますので、若干の時間がかかっても本式に取り組みたい、こう思っておるわけでございますので、ちょっとこの段階ではお約束申し上げかねるのでございます。全力をあげての努力は庁をあげてやっておりますので、若干の時間をいただきたいと思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/66
-
067・任田新治
○任田新治君 同僚の宮崎委員やまた川村委員からいまお話がありましたが、今度の解散の法律の中身を見てみますと、何といってもこれに対処する対策があるのかどうかということに焦点がいくようです。ただいま長官のお話を聞きますと、非常に大きな問題でもあり、また大きな問題として新しくとらえて仕切り直しをして出かけていくのだということで、そのためには若干時間もかかるということのようですが、これに関連しまして幾らか気にかかることをお尋ねしてみたいと思います。
先ほども話がありましたが、大体今度のこの漁価安定でやった仕事というのはサンマに集中されておったようですが、もう少し詳しくなぜそこに集中されていったのか、そういう問題があろうかと思います。それをまず第一にお聞きしたいと思います。
また第二点として、サンマ以外の多獲性の魚種のもの、これらに対して今後いろいろ漁船の能力というものから割り出しましてますます能力がよくなるだろうと思いますが、そういう点からいって、他の種類においても多獲し得るようなそういうことが今後起きてこないか。起きてくるとすれば、この基金制度というものはやはり必要なような気がするわけですが、そういう点でまず二点を伺ってみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/67
-
068・久宗高
○政府委員(久宗高君) サンマに限定された経過でございますが、御承知のとおり、この基金ができます数年前には例の五十万トン台が二年続きまして、ほんとうのいわゆる大漁貧乏で水産庁あげての大問題になったわけでございます。もちろん国会におかれましても、これはほうっておけないということでいろいろ論議がございまして、たしか三十四年からでございますけれども、いわゆる予算措置で年々この種のことをやっておったわけでございます。たまたま非常にフレがある漁況でございますので、予算を準備いたしましたところがその年は要らないというようなことが二、三回繰り返されまして、そういうことで非常に予算処理上も困るし、また、少なくともそのときの感覚でいえば四、五十万トンのものは必ずくるといったような状況でございましたので、調整組合法と組み合わされまして基金の出資体制がサンマを中心に動き出しまして、それと同時に基金ができたわけでございます。
そこで、もちろん政府といたしましては、この法案の最初に書いてございますように、いわゆる多獲性魚についてこの種のものを推し進めていく必要がございますので、いろいろ検討をいたしたわけでございますが、たとえばサバなんかにつきましては、当時といたしましては比較的漁獲量が少なかったという問題がございますのと、価格もやはり相当堅調であったということ、ちょうど非常な経済の成長期でもございました点もあると思いますが、そういうようなことで、かりに問題があろうといたしましても、たとえば一斉にある時期休漁してしまえばそれでもって事足りるのではないか、そのためにわざわざ非常な金を積んで漁港に入ってまいりますのを散らすということまでやらなくてもよかろう、こういったような感覚がまき網関係にはあったようでございます。
それからイカにつきましては、何と申しましても非常に零細経営でございますのと数が多うございますので、いわば基金に加入するといったようなことが非常に困難な業界、まとまりの非常にしにくい業界でございますので、そういうような意味の出資体制を整えるということが非常に困難だといったようなこともございまして、その間にだんだん時期が推移いたしまして、三十七年には発動いたしましたけれども、三十八年以降ほどんど発動しなくなるというようなことで自然に活動が鈍ってしまったという経過がございます。
そういう経過がございますので、法案自体といたしましては、あくまで多獲性魚を対象といたしまして調整組合を中心にしていろんなことのできる体制にはございますけれども、これを発足いたしましたときの何といっても中心はやはりサンマでございましたのが全く漁況が変わってまいりましたのと、それから、その後におきまして先ほど御説明しましたような貯蔵設備その他が相当できてきたことと関連いたしまして、このような体制で進むべきかどうかということが実は問題になったわけでございます。
それから、もちろん、今回、公団、事業団と関連いたしまして、御指摘のあった、どの機関からの御指摘でも、魚価安定そのものについての機能が必要であるということはどの機関も述べておられるわけであります。ただ、いまのような形で基金がいるのはまずいのではないか、しかし、そうかといって魚価安定の必要性は全く認めないわけでもないし、特に多獲性魚についてはもっと総合的な対策が必要ではないかということを繰り返し御指摘もあり、私どももそう思っておるわけであります。そこで、いろいろな経緯を経てここまでまいりましたのと、サンマ自体が非常に事態が激変しておりますので、やはりこれにこだわって本格的な取り組みができないよりは思い切ってここで切りかえて本式な取り組みをしたいということで実は踏み切ったわけでございます。
なお、御指摘の漁船の能力の問題と漁獲努力がふえてまいります問題でございますが、たしか資料でも御説明いたしましたように、階層別に申しますといろいろな動きがあるわけでございます。必ずしも統一的に読み切れないわけでございますが、一応私どもで判断いたしておりますのは、サンマの専門という形は少ないわけでございます。ことに、最近のように各種の漁業関係が資源的に若干の題題があって詰まってまいりますと、いわゆる裏作の問題が出るわけでございます。サンマにおきましてもサケ・マスの裏作でございますとか、カツオ・マグロの裏作関係になるもの、いろいろございます。そちらのほうはそちらのほうでひとつの近代化なり、大型化という問題が進行いたしまして、それのはね返りでサンマを見ますと、非常にばらつきが出るわけでございますが、全体としては近代化、大型化が大勢でございますので、そういう問題はあろうかと思います。ただ、大きく分けまして、いわゆる回遊性のもので来てしまったものはとらざるを得ないという漁業の種類と、ある程度人為と申しますか、こっちがとるつもりでとってそのとりっぷりが行き過ぎて価格関係に大きく影響するもの、この二つあると思うのであります。この二つの仕訳をよほどうまくいたしませんと問題があるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/68
-
069・任田新治
○任田新治君 大体様子はわかりましたが、そこでサンマ以外の団体のほうで、端的に申しまして、今度の解散の法律案というのはどうも残念だというような考え方であるのか、あるいはまた、腹の中ではそうではなくて、あんなのはもうなくなったほうがいいのだというふうに考えておるのか、その点どうですか、端的にひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/69
-
070・久宗高
○政府委員(久宗高君) のど元過ぎれば熱さを云々という感じが実はあるわけでございます。しかし、実感といたしましてはサンマの関係の方々でいえば、これができました当時は全くたいへんなことであったわけでございます。大騒ぎをしてつくって動かしたわけでございますが、まさかその後におきましてこれだけ大きく漁況が激変するというふうには実は考え及ばなかったわけでございます。役所におきましても業界においてもそうだと思います。そういうことからみましてサンマにつきましてはその後の経過がああいうふうに非常に激変いたしておりますのと、若干その間に逆に設備のほうが相当進みました関係もございますので、いまのような形であくまでやらなければならないというようにはサンマに御関係の方々も率直に申しまして考えておられません。しかし、ああいうものがあるからこそ安心してできたのである、全然こういうものがなくなってしまうということは、もちろんこれはサンマの場合に困るし、いまの基金の現状の形で無理やりにやるか、それともあれは一たん打ち切ってでも、本格的にもう一回多獲性魚の問題に取り組んだほうがいいのではないかというのが、私どもの聞きました大勢の感じでございます。
それから他の漁業種類の方で、理論的にはこの基金に参加できる方たちも、その後の基金の運用を見まして、やはりもう少し、たとえばやり方をそれぞれの漁業種類に合った形を考えてやったほうがよろしいのではないか、つまりいまの基金の形のまま残して、それに新たに拠出をして入ってこようという御希望は必ずしもないように見受けておるわけでございます。さような点を考えまして、業界としての全体の感じであれば、それからまたサンマの漁況の非常な変化、経緯、これまでの少なくとも数年の見通しからいえば、早急にまた大騒ぎするという形にも客観的には見えませんので、この若干の時間を利用いたしまして、もう一度本格的な取り組みをしてみたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/70
-
071・任田新治
○任田新治君 今度の法律案が通るとすればさっそく解散ということになる。それから清算人をきめて清算事務に入るということになるんですが、私自身いろいろ過去の経験からいきまして、ある団体が解散するということになって、その解散がきまってから財産の処理のしかた、清算のしかた、そういうことでたいへんなひまがかかって、しまいには、一体清算人がそれでめしを食っているだけじゃないかというような印象を受けた経験がありますので、この際お聞きをしたいわけですが、大体この安定基金の制度ができてから年々人件費なり事務費なりというようなものがどの程度使われてきたか、それから今度解散になるとすれば、清算人を筆頭にして何人かの人がさらに事務をとるわけですが、そういうのは一体どのくらいの金額に考えられるのか、また解散の事務が終わるというような時期がどのくらいを目標にしておられるか、こういう点をひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/71
-
072・久宗高
○政府委員(久宗高君) 先ほどもちょっと触れましたように、この基金がそういう形でできました経緯もございますので、非常に限定いたしましてごく少数精鋭でやるというたてまえでまいったわけでございます。それでございますために、逆にこの整理法が問題になりました当時には、役員が一人で職員が何人しかいない機関であるというふうな御指摘を受けたのであります。むしろ私はその御指摘があたりまえなんであって、よけいな人を置いたわけじゃございません、ほんとうの最小限度の人でやってまいったわけでございます。経費といたしましては四十二年度あたりで申し上げますと、役職員の給与、事務費その他合わせまして六百五十万程度で処理をしてまいったわけでございます。そこで今度解散の法律がかりに通るといたしまして、私どもといたしましてはできるだけ早く処理をいたしたいと思っておるわけでございます。もちろんこれには都道府県の御出資の関係もございまして、また関係漁民の出資もございますので、きわめて慎重に扱う必要があるかと思いますが、そもそもこういう法案を出すか出さぬかにつきましては、一応それぞれの御意向を相当突っ込んで伺っておりますので、法律が通りますと、あとは農林大臣が清算計画を定めることになっておりますので、私どもといたしましては、これをただべんべんと残すということではなくて、すでに大半が実質的には御了解がついておりますので、早急に清算事務を処理いたしまして、おそくとも五カ月以内には完全に終結ができるような形に運用してまいりたいと思うわけでございます。実際にはこれ以上にもっと早くできるのではないかと思うのでありますが、いずれにいたしましても財産処分の問題がございますので、相当やはり慎重に、内容、形式もきちんとやりまして処理に当たりたいと思っております。大体そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/72
-
073・任田新治
○任田新治君 まあ額はそう大きくはありませんが、なるたけ早く始末をするということが必要だろうと思います。そこで政府の出資額、政府のほうでは清算が始まると出資額を限度にして分配をするという話があるようですが、大体清算事務をやるその上での剰余金が出るわけですが、一方分配の方針と同時に、いままでやってきた業務に類似する業務をやってみたいというようなことが書いてあるわけですが、先ほどの長官のお話のように、いまこれを解散しても、それにかわるということ、ないしは大規模な魚価安定の方針というものは一応ないんだというお話であるとすれば、まあわれわれとしてはこれに類する仕事をするんだというようなことに勢い関心が向くわけなんですが、どのような範囲の仕事を計画しておられるか、そういうものがあったらごく大まかでけっこうですからお話を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/73
-
074・久宗高
○政府委員(久宗高君) 先ほど残余財産の処分と関連いたしまして、一応御説明したわけでございますが、何ぶんにもこういう形の解散を予想しておりませんでしたのと、それから多獲性魚の問題というのは年々むしろ持ち出しになるぐらいな気持ちでおりましたので、出資額を限度として処理するということで、このような残余財産が出るということはほとんど感覚的にも考えてなかったわけでございます。たまたまこういう形になりましたので、国と都道府県それから関係漁業関係者ということでございまして、出資相当分までのところはそれに基づいて返しまして、あとざっと四千万円ほど残るわけでございます。一つの考え方といたしましては、これだけむだづかいもせず、利子がたまっておったわけでございますから、それをそっくりもらってもいいという感じもあったわけでございますが、少し欲ばって考えますと、たまたまサンマに限定せざるを得ないいろいろな経緯もありましたけれども、魚価安定ということに基本的に取り組むといたしますと、けた違いにもっと金がほしいという気持ちもございまして、返すのならしっかり返して、要るときは取ろうという気持ちであるわけであります。ただ先ほども申しましたように、海況、漁況の問題もございますので、不測のことはあるべしということと、またサンマの関係それ自体といたしましてはせっかく集めた金で散らしたくない、もっとしっかり全体の組み立てができれば、それに乗っていきたいというお気持ちで、これを分けてしまうお気持ちは関係者の中にもないわけでございます。
そこでたまたまサンマのほうの社団法人が予想されておりますので、そこが過渡期におきます機能と並びに現在までやっております程度のことならば、できる範囲にとどめてやっておって、そこにうまくいけば新しい機構ができて、それに合流するという形をとりたいという、きわめて実際的な考え方で、かような処分を考えておるわけであります。国に入るというのは、どうも私どもはあまり何か釈然としないのでありますが、これはいわば類似の目的には使用できますが、類似の目的以外には使えませんので、これ以上の金をかりに回しましても、使途が限定されますので、いわば実益がないという問題もございます。そこで最小限度必要なものをとりまして、あとはちゃんと返したぞということにしておきまして、いいものができたらもっとけた違いにほしいというのが率直な気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/74
-
075・任田新治
○任田新治君 いま類似の仕事ということになっても基金の運用だけに限っているということでありますが、けさほどいただいた資料を拝見しますと、ずいぶん十年間というか、九年間の間に冷蔵施設とかあるいは凍結の施設、ああいう倉庫の数もふえるし、能力もふえてきているのですが、この安定基金の中での役割りというものがあるいはなかったかもしれないけれども、一方においてこういう資料を出されているということは、この冷蔵庫あるいは凍結の倉庫というものが相当の安定の面での役割りを占めているから出されたのだというふうにも解釈しているのですが、この方面で多獲性のものが水揚げされた場合に、相当の役割りを果たしておったと思います。そういうような面についてこれからの魚価安定の対策としてどんな考え方を持って進まれますか、これをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/75
-
076・久宗高
○政府委員(久宗高君) 御質問の趣旨がちょっとのみ込めないのでありますが、いまの冷蔵施設その他も魚価安定に寄与したので、そういう方面にもあれしたらいかがかという御質問でございましょうか、あるいはそういう御趣旨かと思うのでありますが、実際問題といたしまして発足の経緯からも国が出しました以外に県が出し、関係者が出した大部分のものはサンマが中心であったわけであります。おそらく県でこれに寄与されたのもそういう趣旨が多かったと思いますので、一般的に申し上げますれば多少そういうことも考え得ると思うのでありますが、現実の問題といたしましてはやはりサンマについて今日まで基金がやってまいりましたものに限定せざるを得ないと思うわけでございます。これを一般的に広げますと非常に抽象的になりまして区分にも問題があろうかと思いますので、やはりサンマについて支出したこの基金が活動してまいりましたもの、その自体を対象において新しい社団法人にその機能を持続させるのに必要な資金だけに限定する、こうしたわけでございます。いろんな考え方があろうかと思うのでありますが、一応法制局その他にも当たってみまして、さような厳密な解釈がよかろうということでございましたのでそういうふうに限定して考えたいと思うのであります。なお冷蔵施設その他につきましてはこれは別途一連の施策をとってやっているわけでございまして、これにつきましてはもっと増額ももちろんしたいし、またその運用につきましては先ほど来ちょっと申し上げておりますような一種の冷蔵庫網と申しますか、ネットワークのできるようなものを頭に置いて今後は考えてまいりたいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/76
-
077・和田鶴一
○委員長(和田鶴一君) 本案についての質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。午後三時三十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105815007X01319680509/77
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。