1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十五年十二月十八日(金曜日)
午前十時四十二分開会
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委員の異動
十二月十八日
辞任 補欠選任
井川 伊平君 中村喜四郎君
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出席者は左のとおり。
理 事
大谷藤之助君
川上 為治君
近藤英一郎君
竹田 現照君
委 員
赤間 文三君
稲嶺 一郎君
植木 光教君
剱木 亨弘君
中村喜四郎君
平泉 渉君
八木 一郎君
山本敬三郎君
大矢 正君
小柳 勇君
林 虎雄君
上林繁次郎君
矢追 秀彦君
田渕 哲也君
渡辺 武君
国務大臣
通商産業大臣 宮澤 喜一君
国 務 大 臣 佐藤 一郎君
政府委員
経済企画庁審議
官 西川 喬君
経済企画庁国民
生活局長 宮崎 仁君
通商産業大臣官
房長 高橋 淑郎君
通商産業省公害
保安局公害部長 柴崎 芳三君
通商産業省繊維
雑貨局長 楠岡 豪君
通商産業省公益
事業局長 長橋 尚君
工業技術院長 太田 暢人君
中小企業庁長官 吉光 久君
事務局側
常任委員会専門
員 菊地 拓君
説明員
厚生省薬務局薬
事課長 山高 章夫君
運輸省港湾局技
術参事官 竹内 良夫君
建設省都市局下
水道課長 久保 赳君
建設省河川局水
政課長 堺 徳吾君
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本日の会議に付した案件
○水質汚濁防止法案(内閣提出、衆議院送付)
○下請中小企業振興法案(第六十三回国会内閣提
出、第六十四回国会衆議院送付)
○商工会経営指導員等の身分保障に関する請願
(第三二〇号)(第三三九号)(第四一四号)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
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〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/0
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001・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
水質汚濁防止法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/1
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002・小柳勇
○小柳勇君 水質汚濁防止法案について質問いたします。
現在、公害国会といわれまして公害関係法案が十四出て、最終段階の討論でありますが、一般的な感じとして公害の発生源である事業者に対する怒り、あるいは問題を集中していることはわかりますけれども、国民全部が傍観者的、被害者的立場であって、企業、事業者側全部加害者としての立場での対立感があります。この対立感というものが、いま新聞なんかでいわれるように、たとえば事業者は事業者で団結して自民党あるいは政府に圧力をかけて、この法案をなるべく金がかからぬように修正しようという空気になっているのではないか。われわれは国民として、公害をなくするという大きな立場に立つならば、国民みずからが加害者であり被害者であるという両面に立たなければ、ほんとうの公害対策はできぬのではないかと思います。新聞論調を見ましても、あるいは国会の衆議院、参議院段階の公害論争を聞きましても、事業者なり企業、発生源を憎むのあまり、それをただどうやってたたくかということにのみ意見が集中しておるというような気がいたします。私どもは商工委員会に席を連ねておりますし、企業を発展させ、企業の生産を伸ばせという面も考えておかなければならぬ。同時に、その企業の中に働いている労働者、これは国民個人でありますが、家に帰りますと被害者である。ところが工場におりますと加害者の中の一員としての仕事に加担している面もあるのではないか、そういう気もするわけです。したがって、いま過去一年有半、約二年ばかりの世論なり新聞論調なり、あるいはジャーナリズムの風潮が、公害に対して非常に大きな問題を提起したために、かえって事業者は萎縮し、反発し、国民はただ感情的にその公害を憎むという面にのみ、いま議論が集中しておるのではないかと思います。こういう面で、これはまあ公害の法案に入る前の、私の商工委員として、国会議員としての立場からいま発言しておりますが、そういうものを政府はどういうふうに国民にPRし、全体的な、国民的なものとして、国民が加害者であり被害者であるという立場から、今後こういう公害を全滅させるには一体どうしたらいいかということをお考えになっているのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/2
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003・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) 小柳さんの御指摘になった点は、一面においてそうした面も私もあろうかと思います。まあ確かに公害問題は昔から存在したわけでございまして、そしてそれが今日の事態になるまで放置されてまいりました。それについては当然企業がみずから自分でもって自覚すべき筋合いのものでありますけれども、昔からの日本の経済成長の体質というものを考えてみますと、やはりもう少し被害者が被害者としての立場から声を大にすべきであったと思われる点もありますし、それからまた、被害者といわれる方々が同時にまた御指摘のように加害者の立場に立つところもございます。そういう点においては関係が非常に複雑になっていると思います。結局、やはり昔から日本は海に囲まれ、そうして川がたくさんあって、この川に流せばいずれは海にそれが届いて何となく汚れというものは消されてしまうと、こういう日本独特のそうした風土的な条件も加わりまして、汚水についての感覚というものも必ずしも諸外国ほどきびしくなかった。よくヨーロッパの海のない国に下水が一番最初に発達したといわれるように、それぞれの風土の条件もあったかと思います。長いそうした一つの風土的な感覚というものがあって、それがある意味におきましては鈍感にした点もあるかもしれません。ここのところへきて、これはいやおうない現実としてきびしい汚濁の現状に直面して、そうして急激に公害問題の意識が盛り上がってまいりました。ですから私たちは一面におきましてそういう過去の経緯も頭に置き、しかしながら同時にこの現実を直視することの必要性も当然忘れてはならない。ただ、その政策を実施する過程におきましては、いま御指摘がありましたように、いたずらに相手を刺激するだけが能ではございません。最も客観的に適正な方法によって汚濁を防止する政策というものを推進していく。決してムード的に、ただ心情だけでもってこれをあるいは罪人呼ばわりをしたり、あるいはまた全く不可能なことを呼号してみても始まらないわけでありますから、今日における日本の成長した経済力というものを十分に使うならば、十分これだけのことはできるのだ、こういう見きわめをつけて、そうして客観的冷静に、ただ怒号するだけでなく、この政策を着実に遂行してまいる、そういうことで、せっかくこういうふうに公害意識が高まってきたところでございますから、政府といたしましては、基本的なやはりかまえをまずつくる。今回の臨時国会の意義はそこにあったと思います。政府が公害についてのかまえをこれだけつくったわけでございますから、いま御指摘のような点も十分に頭に入れまして、着実に政策を推進していかなければならない。そうしてやはり公害問題についての認識というものを十分に浸透させる必要がある。このためには、政府としても十分努力をしなければならない、こういうふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/3
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004・小柳勇
○小柳勇君 工場の中には多かれ少なかれ働く人がおりますが、加害者であり、被害者であるという立場をとりますならば、労働組合などもみずからの問題として公害の発生源を除去するために努力しなければならぬ。ただこれは会社の社長だけの責任じゃないと思うのです。したがって、いま労働組合の団体なども公害問題を積極的に取り上げて、みずからの問題としてこれを除去するために、公害を実際なくするためにいま立ち上がっておりますので、今後これらの関係法案が成立すると同時に、労働運動の中にも、いままでと一そう違った面の、公害を中心とする対立もまた発生するのではないかと思います。したがって、そういう場合、いま大臣の言われたように加害者であり被害者であるという国民の立場から、労働運動が鋭く対決した場合にも、それを特殊な現象ととらえないで、正しい労働運動のあり方として指導助成する方向でなければならぬと思いますが、政府の見解をただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/4
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005・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) 労働運動の一つの目標として公害問題を取りあげになる、私はこれはこれでもって十分意義のあることであろうと思います。別に政府がそれについて特にそれを押えるとか、そういう考えは当然持つべきでもありません。ただ先ほどからも議論がありましたように、お互いにその解決は冷静にやってまいる。そして科学的、客観的に適正な政策の実行を進めてまいる、こういうことがあるだけだと、私はかように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/5
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006・小柳勇
○小柳勇君 建設省にお尋ねいたします。建設省どなたか見えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/6
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007・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 建設省は堺水政課長、久保下水道課長、岡崎治水課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/7
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008・小柳勇
○小柳勇君 川に「この川にごみを捨てないでください」という立て札がございます。これはどういう法的根拠でだれに対して立て札を立ててあるのか見解をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/8
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009・堺徳吾
○説明員(堺徳吾君) お答えいたします。
根拠と申しましても、河川法二十九条の委任の政令がございまして河川法の施行令の十六条の四でございます。それは清潔の観点からの規制でございまして、中身はこういうふうに言っております。「河川区域内の土地に土石またはごみ、ふん尿、鳥獣の死体その他汚物もしくは廃物を捨てる」とか、みだりにこういうことをやってはいかぬ。これは何びとも。こういうことでございます。国民全般に対してということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/9
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010・小柳勇
○小柳勇君 河川だけでございませんが、沼もございましょうし、みぞもございましょうし、たとえば私のほうの故郷の柳川でございますが、これは水郷として有名な柳川市でありますが、最近もうよごれまして、ほとんど舟で下るような情景でないわけです。したがって至るところに立て札が立ちまして、「ごみを捨てないでください」という立て札がございます。もちろん下流のほうに干拓ができまして、干拓でその水流を押えたという面もございますけれども、国民全般的に、汚物を川に捨てない、川をきれいにするという、そういう思想が充実すれば、もっと早く河川の清浄化ができるのではないかと思うわけですが、今度の公害国会を顧み、十四法案を見ましても、事業者に対する責めはあらゆる法案にありますし、いろいろの場で聞きましたけれども、国民個人の公害もなくさなければなりません。国民全部でなくしましょうという呼びかけというものが法案にも少ないし、論争というものもあまり聞かないような気がしますが、経企長官のお考えを聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/10
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011・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) これはまあ基本法におきまして、望ましい環境基準を実現しなければならないと、こういうことで、基本的な精神はやはり出しておると思います。国民一人一人というような表現は用いておりませんけれども、政府として、やはり国全体としてこれを進めていかなければならない。それは国だけでもなければ地方だけでもない。また企業というものが、しかし同時に今日の発生の中心になっていることも事実であります。また一方においては、家庭の汚水のように、家庭自身の問題もございます。これらはやはり別の法体系においてこれの規制が御存じのように行なわれています。全体としてやはりこの方策を進めていかなければならないということは、おのずから明らかであろうと思われるのであります。また、いまおことばにありましたような点は、今後やはりわれわれが公害問題の認識を浸透させる過程において十分心に置いていくべき点であろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/11
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012・小柳勇
○小柳勇君 経企庁でおつくりになりました水質汚濁防止法案草案には、第三条に水質の汚濁防止、「何人も、公共用水域及び地下水の水質の汚濁の防止に心がけなければならない」とございます。これは今度の法案から削除されております。削除されました理由を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/12
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013・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) 現在あります水質保全法第二条の規定のようでございますが、今回の法律では御承知のように公共用水域についてはたびたび説明いたしておりますような全国一律の基準をつくって、全水域を対象とする。さらに都道府県がこれに上乗せ基準といっておりますが、よりきびしい基準をきめるというような体系でやっております。そういう形で整備をいたし、さらに罰則その他の強化をいたすと、こういう体系にいたしました。同時に地下水につきましても、若干訓示規定的ではございますが、第十四条にその規定を設けるということにいたしましたので、第二条の訓示規定の形は、今度の新法では入れなかったわけでございます。これは決して全体の姿勢が後退するというようなことには私どもはならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/13
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014・小柳勇
○小柳勇君 それでは長官、削除しても訓示規定であったから水質を汚濁する思想は助長しないということでございますが、今後、国民的なものとして河川をよごさない、水というものをよごさない、そういう思想をもっと高めるためにはどういう政策をとられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/14
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015・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) いまお話がありましたように、いままではどっちかというと訓示規定でありました。そしてよごしてはいかぬ。そして具体的には一定の、特定の地域だけを指定いたしまして、それだけに規制をかけておる。今度は単なる訓示規定から一歩進めましていわゆるシビル・ミニマムと称しまして、どこの水域においても一定限度の基準を設けて、そして何びとといえども守らなければならないということで、単なる訓示規定から一歩前進いたしまして、そして直接、法の規制対象になる、こういうことになったわけでございますから、そういう意味において従来よりももっと具体的になり、一歩前進をしたと、こういう体制がここに初めて確立された。そして特定の地域だけを指定して規制の対象にするという態度を放てきしたわけでございます。特に都道府県にも上乗せ権限を与えまして、そして地方の住民の立場というものからこの規制というものは行なわれるという点についても、一歩前進したわけでございますからして、そういう意味においては私はいままでの訓示規定より、はるかに進んだものになってまいる。問題は、このできた新しい制度というものをいかにして着実に運用していくか、こういうことだけが残された問題であると、そういうふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/15
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016・小柳勇
○小柳勇君 いま長官が言われた地方の首長の権限を上積みし、訓示規定から実質的にもっと強めたからさらによくなったとおっしゃいますけれども、法律にはどこに書いてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/16
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017・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) これは第三条です。第三条に、これは非常に技術的に書いてございますけれども、要するに、この総理府令で排水基準を定めると簡単に第一項で書いてありますけれども、これは全国一律の基準を設けると、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/17
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018・小柳勇
○小柳勇君 私は排出基準のことを言っているんじゃないですよ。前の素案では「何人も、公共用水域及び地下水の水質の保全に心掛けなければならない。」と書いてあります。これは工場から排出するものじゃないですね、この条文でいけば。たとえばごみを捨てたり、あるいはバケツを持っていってよごれた水を川に捨てるようなことをやりなさんなということが読めますね。この排出基準の第三条には、そんな「何人も」なんて書いてないですよ。どこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/18
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019・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) おっしゃっておられるのは、旧水質保全法案第二条の規定であると思います。いま長官から御説明いたしましたように、今度の体系では公共用水域というものはこういうものですという定義が第二条にございます。これは河川、湖沼その他、要するに一切の公共の水域でございます。そういうものについて排水基準を設けていく。それによって排水の規制をするわけでございます。水質保全法の場合とこの体系は同じでございますが、ただ今度の場合は、ただいま御説明申し上げましたように、第三条第一項で総理府令による一律の基準をきめるという規定がございます。さらに第三項で上乗せ基準と、こういう体系でいく。いま御指摘の点は、公共用水域の水質保全のためには、たとえば下水道の整備でありますとか、あるいは投棄物を規制するというような問題とか、そういうことも同時にこの第二条で言っておるではないか、こういう御指摘ではないかと思いますが、そういうことでございましたとすれば、今回下水道法あるいは廃棄物処理法、いずれもそういったものが整備されまして、あるいは河川法の条項もございます、他の法律でございますが、そういった形でそれぞれ規制が行なわれ、その水を排出することに伴って水質を汚濁するというものにつきましては、この法律によって全部が規制される、こういう形でいま法律としては一応でき上がっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/19
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020・小柳勇
○小柳勇君 ことばのあげ足を取るんじゃありませんけれども、このいま答弁された新しい第三条で排出基準がきまります。これはたとえば公共水域などでもありますが、それがきまるのでもなかなかたいへんなんですね。水質保全法ができましてもう十二年、できましてもなかなか水質基準もきまらないし、公共用水域というのはどういうものかきまらなかったから、今度のような公害国会を開かなければならなくなったわけでしょう。私が言っているのは、もっと広く国民的に川をよごすまい、湖をきれいにしようというような、そういう具体的な基準などというものは全然ないではないか。これはもうほとんど企業、いわゆる事業あるいは家庭から出る下水、そういうものはわかるでしょう。わかりますが、個人的にそういう、この素案に書いてあるような、何人も川をよごすまいよというようなものを削除してあるから、そういう面では、国民的観点から言うならば後退ではありませんかということを言いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/20
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021・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) 素案、素案とおっしゃるので、われわれもよくわからなかったのですが、われわれのほうの原案が、別に途中でなくなったとか、そういう経過はございません。御指摘の点は旧法の二条ということでありますならば、これはもともといわゆる公害の基本法というものがございまして、まずこの基本法の第一条で、この公害防止全体についての責務をはっきりとさせておるわけであります。そうしてこの基本法を受けてそれぞれの法律において、それぞれの限定した目的のもとにおいて、それぞれの規制についての事柄が規定されておるわけでございます。でありますから、もともと水質保全法自体を引き継いでこの法案というものはできておるのでございますから、この限りにおいては従来の水質保全の対象というものを広げこそすれ、狭めたこともございませんし、全体としてこの法律は具体的なものでございます。ただ従来は非常に水質保全法に穴がありました。この穴のあることをやはり前提にいたしまして、多少訓示規定めいたものを二条として置いておったわけでございます。今度はその点は従来の水質保全法の考えておった対象を、さらに具体的にも規制が進んでくることになった。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/21
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022・小柳勇
○小柳勇君 それではいままでの水質保全法あるいは工場排水法などでは十分の取り締まりもできなかったと、水がきれいにならなかったから、今度の法律でさらにこれを補完し、この法律ができれば完全に公共用水域はきれいになると、こういうことと確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/22
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023・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/23
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024・小柳勇
○小柳勇君 それでは、たとえば特定施設の設置を許可する、あるいは届け出をこれを認めるというようなときに、一つ一つの工場の水質は基準になりましょうとも、全部集まりますと量がふえますというと水が濁ってしまいますね。そういうような全般的な、この工場から見ませんで、逆に水域のほうからながめました規制というもの、言うならば工場立地の規制などについては、どのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/24
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025・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) もちろんこの水の汚濁を防止しますには、この法律だけでは不十分であります。これは主として工場、事業場から出る排水の規制をやっております。でありますから、下水道も入りますし、それから実際上のしゅんせつその他の事業も必要でございましょう。そういうものがいろいろと全部総合的に行なわれて、ほんとうの意味の防止ができますが、しかしその中で最も重要なところの工場、事業場の排水を、本法律でもって規制のしかたを規定しておると、こういうことになろうと思っております。そこで、当然のことですけれども、この法律のほかにそういう下水道も必要であれば、しゅんせつのような、いままでのすでにたまった汚水の処理も必要でありますれば、いま御指摘になった、さらに一歩進んで立地の規制ということが当然これから起こってまいります。御存じように、現行法でも、いわゆる首都圏あるいは近畿圏、こうした特に問題の地点につきましては、立地規制を行なえる体制ができております。でありますから、今後はこの運用基準というものを改めまして、さらに立地規制を一歩具体的に前進させなければなりませんが、そうした法的根拠は備わっております。それからまた首都圏あるいは近畿圏以外につきましても、都市計画法あるいは建築基準法、あわせ用いましてある程度の規制を行なえる仕組みにはなっております。しかし、まあわれわれもこういうふうになってまいりますと、今後規制というものの必要性はさらに高まってくるのじゃないか、こういう感じは持っております。具体的に言うと、水質基準を今後相当きびしくやっていきますと、この間もお聞き及びの、たとえばカドミウムを使ったところのメッキ工場などが、もうカドミウムによるメッキをやめる、そういう意味ではやめてしまう、廃業してしまう、こういうふうなことも、結局規制の結果行なわれてくるようになりましたが、だんだんとそうした効果をこの法律自身も一面において持ってくるかもしれません。しかし全体的な立地規制の問題を今後さらに推進していかなければならない、こういうふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/25
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026・小柳勇
○小柳勇君 通産省に質問します。かつて通産省が立法化を検討した工業立地適正化法というようなものをいま経企庁長官は考えておる、この立法化を考えておるというようなことでございますが、政府は工業立地の規制をどうしようと考えておるか、御見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/26
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027・柴崎芳三
○政府委員(柴崎芳三君) 御指摘の工業立地適正化法の点でございますが、これは、かつてつくりました法案の内容は、二つに分かれておりまして、一つは、過密地帯における工場の立地制限をする。第二番目の柱は、そういったことで追い出されてまいります企業に適正な立地条件のもとに企業活動に適した用地を準備するという二つの体系になっておったわけでありますが、第一番目の過密地域における立地制限につきましては、その後できました新都市計画法あるいは農業地域振興法、その他の関連の法律によりまして、大体地域的な線が引けまして、まあそういったところで相当の効果が出てくるであろうということで、立地適正化法に盛りました内容そのものは二重になるのではないかということで、実は引き下がったわけでございますが、第二番目の新しい立地条件、新しい工場用地を準備するという体制につきましては、内陸の団地造成につきまして、地方公共団体を主体にいたします内陸団地造成計画に対しまして、起債その他でカバーするということで現在約百億くらいの起債でその政策を推進しておるわけでございます。かたがた、現在問題になっております大規模工業立地というような問題も取り上げまして、臨海性の工場用地を建設するということで実は対応しておるわけでございます。したがいまして、長官が御説明申し上げましたような首都圏並びに近畿圏の工場立地制限等の方向を今後強化することによりまして、以上のような対策を総合いたしますと、以前考えておりましたような目的はほぼ達せられるのではないか、かように考えまして、現在その総合的な効果をはかっておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/27
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028・小柳勇
○小柳勇君 長官のほうの答弁は、いまの通産省の立場ともちろん違いますから、若干考えが違うようです。私が質問いたしておるのは、一つの工場からの排水はその水質基準以内であっても、工場がたくさん集まるというと、河川の流れがゆるやかであったり水の面積が小さいというと濃度が濃くなりますから、水質基準をこすでしょう。したがって、そういう公害防止の面からも工場立地の条件をいろいろ検討しなければならぬ、その準備がありますと言っておられるわけです。通産省の工場立地の規制の立場はわかりますが、通産省としても公害発生源をチェックするという意味で工場立地の規制を考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/28
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029・柴崎芳三
○政府委員(柴崎芳三君) 現在きめられた排出基準そのものの中には、それぞれの地域におきます集中性と申しますか、集積性と申しますか、そういった公害因子の集積も十分中に織り込んだ形で基準が設定されるというぐあいにわれわれは考えておるわけでございますが、個々の工場の立地につきましては、各地域につきまして産業公害総合事前調査というような調査も実施いたしまして、五年先、十年先を見込んだ形でその地帯がどういうぐあいに汚染されるか、それに対する対応策はどうかというようなことをいろいろ検討しておりまして、そういった検討に基づきまして、工場の立地についても、あるいは工場の施設の設置につきましても事前に指導するという体制をとっておりますので、先生御指摘のような、集積の結果、排出基準を守っておっても公害が防除できないというような点は、できるだけそういったことがないような形で強力に指導をしておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/29
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030・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) 私どもと通産省が非常に考えが違うようにおとりになったとしたらば問題あると思うのですが、要するに、たとえばいまの首都圏の規制にしましても、今日までの運用は必ずしも公害的な観点が十分でなかったという点もありますので、そういう点は今後ひとつ大いに変えていかせるようにして、そうして、せっかく規制できる法律があるのですから、それの運用を、公害ということを頭に置いた方法で運用をさせていこう。あるいは、先ほども説明がありましたけれども、たとえばこの前、立地問題が起こりましたときに、建設省と通産省がそれぞれ立場の違いもあったと思いますけれども、使用目的的に都市計画を立ててそうしてやっていけば十分規制できるんじゃないか、こういうことで、さっき通産省の説明があったような経緯があったと思うのですが、これらの現在の体制というものの運用を、できるだけ公害ということを頭に置いた運用に持っていかなければならぬ、これは私は当然そうあるべきだと思いますし、そういう意味において直すべき点があったらば直していかなければならぬ。そうして、いま一方において、いろんな団地をつくったりその他いろいろ指導しています。ですから、当然行政指導という面からもこれを行なっていく。これらはいまの公害部長の発言どおりであろうと思います。そういうことで、全体として規制というものを、公害の立場からできるだけ進めるように持っていく、こういうことを強化していく、こういうことを私申し上げておるのであります。
そこで、具体的にいわゆる公害だけを目的とする規制法を立てるかどうか、これらはよく政府部内で意見の統一をいたしまして、そうして今後一体そのほうに持っていくのが適当であるかどうか、そういう具体的な問題についてはこれから十分に判断もし、検討もしなければならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/30
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031・小柳勇
○小柳勇君 通産大臣が見えただけで質問するのは無理かもしれませんが、公害部長聞いておりますから打ち合わせして答弁してもらっていいですが、水質汚濁防止の法律がいろいろいま論議されております。一つの工場から出る排水は水質基準以内であるかもわかりません。ところがそういう工場がたくさん集まりますと、河川に入りましたまとまったもの、あるいは湖沼に入りましたまとまったものは、その水質基準をこす場面もあるかもわからぬ。もちろんその河川には水質基準ありますけれども、逆に、それじゃどの工場からよけい出るかわかりませんから、そういう面から工場を適正に配分しなければならぬ。もうこれ以上工場が出ればこの河川は使いものにならぬからこの工場やめましょうという、いわゆる、かつて通産省が考えられた工業立地適正化法などというものを考えなければならぬのではないか。経済企画庁長官の答弁は、そういうもののいま行政指導しておるし、考えなければならぬであろうとおっしゃっておりますが、通産省として、大臣として、公害を除去するという立場から、工場をここにつくりたいというその企業者の意図に反して、そこは困りますよと言うか言わないか、大臣の見解を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/31
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032・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) おそくなりまして失礼いたしました。
その点についての問題意識は、実は私も以前から持っておるわけでございます。そこで、現在のたてまえだけを、もう御承知かと思いますが申し上げますと、水質基準は環境基準のもとにきめられるわけでございまして、そうして現在の法律並びに今度改正になりますと、さらにそれが強化されるわけでございますが、公害発生施設というものは届け出の段階でチェックされる。場合によっては撤回あるいは改善命令というようなことにもなっていくわけでございます。そうして今回はこれが全国一律に施行になりますので、従来と違いまして、いかなる場合にもそのような措置がとれるということでございますから、まずそのチェックをちゃんとすれば問題は処理できるのではないかというようなこと、さらに首都圏、近畿圏には別の規制が、立地の規制がございますし、それから都市計画による線引きという問題もございますし、さらにあとで立地するものについては規制基準がきつくなるというようなことも実際上の行政としてはやっております。で、それらのことでまず問題は処理できると考えておるわけでありますけれども、御指摘のような問題意識が私にもないわけではない。と申しますのは、かりに公害の点の処理はできたとしましても、全国に無計画に工場が建っていいのかという、環境といったような問題は、やはりないわけではございませんから、問題意識がないわけではございません。しかし、他方で一般に企業の立地といいますと、大企業ということを比較的すぐに考えやすいわけでございますけれども、昨日もお話がございましたように、製造業の六割以上は中小企業でございますので、立地は許可制にするという段になりますと、理屈を申せば、許可というのは原則は一応禁じてそれに対する許可ということになろうかと思いますが、中小企業の人たちの営業の自由というものと許可とがどのような関係に立つであろうか。これは私専門ではございませんので、それ以上詳しく詰めて申し上げる能力がございませんけれども、その問題とはどういう関係に立つであろうか、おそらく公共の福祉ということで営業の自由を制限するという発想になっていくものであろうかと思いますが、どういう土地に対しても公共の福祉というものが働くか働かないか、そのほうが優先するかしないかということになりますと、過密地帯でありましたらあるいはいける。しかし、過疎地帯ではそういうことはないというようなことになってまいりましょうか。ともかく問題意識は持っております。それから、そういうむずかしい問題に発展しそうだということも実は考えないではない。そこで、まあ落ち着きますところは、首都圏、近畿圏あたりの過密地帯は現実にそういうことが行なわれておるのでありますので、一応これで、このたてまえでやってみていいのではないかというような暫定的な結論に私としてはなっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/32
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033・小柳勇
○小柳勇君 いま地方などでも、工場廃液が悪いというところでは住民運動としてこの工場がここに来てはならぬというような反対運動がやられますし、そういうものが方々で起こったといたしますよ、首都圏以外ですよ、地方で。この工場が来たら廃液がたいへんだから、ここには来らせないという運動が起こります。その運動の法的根拠、それを通産相としても経企長官としてもお認めでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/33
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034・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 法的根拠と申しますよりは、住民は自分たちの住んでおります環境を維持する、あるいは改善するというために、これはもう法以前の当然の権利を持っておるというふうに、権利と呼ぶことは不適当かもしれません。法以前のそういう主張というものはあると考えますから、それが住民運動の形で出るということは、私は少しも不自然なことではない、また非難すべきことでもないと思います。要は、私どもの希望から申しますと、そのような運動というものを合理的な根拠の上にやってほしい、現実にこれだけの環境の汚染が起こり得るというようなことにつきましては、客観的、学問的基礎に立ってほしいと思いますが、それであります限り、そのような運動が発展いたしまして、当該公共団体なり何なりが特定の立場をとる、あるいは企業といろいろな協定を結ぶ、そういうようなことになりますことは、私は別にとやかく申すべきことではないという考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/34
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035・小柳勇
○小柳勇君 もう少し聞きとうございますが、時間がありませんから先に進みます。
いままでも工場排水規制の法律及び水質保全の法律がございました。できて十二年でございますが、その法律によりますと、工場排水が水質基準に適合しないと認めるときには主務大臣は計画の変更を命令することができる、この命令に違反した者は一年以下の懲役または十万円以下の罰金に処する、こういうことになっております。新法は命令権者が都道府県知事となり、罰金が十万円から二十万円になったにすぎません。はたしてこの十万円の差が悪質の事業者にどれほどの効果をあげ得るか、一般の法律が二つあったにかかわらず、今日こういうような公害国会を開くように水がよごれてしまった。この法律がで一きますと、さっきの長官の答弁では、もうだいじょうぶですと、県知事が上乗せできますし、条例の上乗せができますからだいじょうぶですとおっしゃいましたが、法律からいいますと、わずかに金額が十万円が二十万円になったにすぎない、しかも主務大臣から都道府県知事に権限が変わった、これで一体所期の目的が達せられるとお考えであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/35
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036・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) 御承知のとおり新法では、旧法にございませんでした排出基準に違反した排出をしたならば直ちに罰則適用といういわゆる直罰規定というものが入っております。いま御指摘の計画変更命令の問題は、いわば事前チェックの規定でありまして、排出基準違反の行為を堅持せしめないための予防措置として計画変更命令という規定があるわけでございます。これにつきましては、ただいま御指摘のように、罰則としては従来ありましたものよりも若干の強化が行なわれただけでございますが、直罰というようなことも取り入れましたし、他の行政取り締まり法における命令違反に対する罰則とのバランスというような点から見ましても、これで十分の効果を発揮できると、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/36
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037・小柳勇
○小柳勇君 法律はできますが、あと行政は出先機関ですから、出先機関に対する皆さんの指導、監督、その見解を経企長官から聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/37
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038・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) いま政府委員から答えましたが、罰則につきましても、実はいまの常識からいいますと、御指摘のような点が私は多少あろうと思います。実はこの点については法務大臣自身もそう言っているんですが、何しろ天井になっておる、刑法の罰金刑が非常にいま低いのです。天井が低いものですから、そこで上げようにもある限度しか上がらない、そういうことで、この罰則の規定をきめますときには必ず法務大臣の意見によって全体のバランスを見ながらきめられるのですが、そういうこともあっていまのようなお感じがあったのかもしれません。従来よりは上がったのですけれども、なかなか上がらない。法務大臣もできるだけ適当な機会にこの刑法の罰則の天井をもっと上げようと言っていますが、刑法典は御存じのように大法典でありますから、なかなか思うようにすぐあれしませんが、そういう気持ちをはっきり言っておられます。そういうようなこともありまして多少不十分な感じもありますが、何といってもいままでと違って、一ぺんいままでは計画の変更命令を出して、それが守られないと初めて罰則というのが、今度は違反したらいきなり罰則がかかる、このことは非常に大きな制度の進捗でありまして、そういうことにわれわれも十分期待できる、府県知事が今度引き受けるにつきましては、やはりこういう前提でやるということになりますれば、だいぶ従来と違ってくるのじゃないかと大いにわれわれも期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/38
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039・小柳勇
○小柳勇君 建設省にお聞きいたします。
下水道の整備、水質汚濁防止法に関連しましてどのように予算規模なり計画が前進、拡大しておられますか、説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/39
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040・久保赳
○説明員(久保赳君) お答えいたします。
下水道の整備につきましては現在下水道整備五ヵ年計画というのが、これは第二次の五ヵ年計画でございますが、昭和四十二年から四十六年度までを計画期間といたしまして、総額九千億の五ヵ年計画が進行中でございます。しかしながら、環境基準が水域ごとにきめられたり、あるいは都市計画等の施行によりまして市街化区域が設定をされてくる、こういう状況には現行の五ヵ年計画ではとても対応できないということから、明年度新たに第三次下水道整備五ヵ年計画を策定をいたしまして、財政当局に現在折衝をしている段階でございます。その第三次の五ヵ年計画は、四十六年度から五十年度までを計画期間といたしますが、総額二兆六千億を予定をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/40
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041・小柳勇
○小柳勇君 次は中小企業庁長官に伺います。
中小企業もこの公害を防止しなければなりません。公害防止対策の行き詰まりから倒産する企業も相次いで起こっておると聞いておりますが、公害防止に対しての公害倒産などの対策について長官の抱負をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/41
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042・吉光久
○政府委員(吉光久君) お示しのように中小企業もやはり公害防止に万全を期さなければならないわけでございます。ところが、御承知のように何ぶんにも資金力あるいは技術力等につきまして他の大企業に劣っておるというふうな面もまた多分にあるわけでございます。同時にまた中小企業の公害と申します場合には、中小企業が、御承知のとおり業種も非常に多様でございまして、あるいは汚水公害もあれば騒音、振動、大気あり、各般にまたがりました公害の発生源というふうなことにもなっておるわけでございます。それに、さらにまた先ほど来のお話の中にもございましたように、従来の現実にございます中小企業の立地の問題でございますけれども、いずれかといえば住民区域に密着したようなところに存在しているものも多いというふうな状況であるわけでございまして、したがいまして、これらの前提に立ちました中小企業に対する公害防止施策は、やはり大企業に対する防止策と違いまして、きめこまかな施策を準備してまいる必要があると考えるわけでございます。立地問題に関連することはおくといたしましても、技術上の弱さをカバーいたしますために積極的に技術指導を強化する、あるいは公害防止技術で中小企業に適したものがまだ開発されていないというふうなものもあるわけでございますので、そういう技術開発の問題につきまして国なり公共団体の試験研究機関がさらに一段と努力しなければならない、こういう問題もあるわけでございます。それからさらに、従来、金融あるいは税制上いろいろの公害防止のための制度を準備いたしておりますけれども、先ほどお答え申し上げましたような多種多様な公害の発生源に対し、多様に応ずることができるように、現在ございます制度の内容の拡充——たとえて申し上げますれば、金融の対象となる施設、あるいはまた金融の規模、あるいは融資条件、そういうふうなものにつきまして、さらに一段の拡充をはかってまいりたいと考えておりますが、同時にまた税制上につきましても、いま申し上げましたような公害防止施設の多様化に対応いたしまして、それぞれ相当の優遇措置を講じてまいるということが必要になってまいると思いまして、現在財政当局とそういう点につきまして積極的に前向きの姿で検討を加えておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/42
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043・小柳勇
○小柳勇君 わかりました。そこで、今後、県に相当の権限が移ってまいりますが、県の公害防止条例の規制対象の工場の施設も融資の対象にしていただきたいという陳情が出ておりますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/43
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044・吉光久
○政府委員(吉光久君) 従来法律のたてまえが、たとえば、この水質汚濁でございますと、指定水域という制度がとられておったわけでございます。したがいまして、一般的に融資の対象にはなっておりましたけれども、特利特ワクで融資いたしておりましたのは、たとえばいまの水の問題で申し上げますと、指定水域にかかるものというふうなことで一部限定があったわけでございますけれども、制度が全国一律というふうなものに今回改正されることになりましたので、したがいまして、条例によるものとそうでないものというふうなところに差別のない形でこれらの優遇措置が適用になるよう現在努力いたしておるところでございますし、これはぜひ実現さしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/44
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045・小柳勇
○小柳勇君 これから公害が、いわゆる水質公害が起こらないようにということは、いままでの話でわかりました。過去に起こりました被害に対しましてはどのように国は補償いたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/45
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046・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) 実はこの法律自身は、いままでに申し上げましたように、これからの汚水を出すことを規制する、こういう一種のまあ予防的な法律体系でございます。したがいまして、過去に出ました、よく問題になっているヘドロの問題であるとか、そうした問題については、この法律は直接には規制はいたしません。まあこの基準をきびしくすることによりまして、ヘドロ等が発生しないようにする、そういうことはもちろんこの法律でもって今後アフタケアも含めて考えなければならぬことですが、過去の堆積につきましては、これはいま公害対策本部で検討いたしておりますが、主としてしゅんせつであるとか、埋め立てであるとか、廃棄であるとか、そうしたいわゆる事業の関係になろうかと思います。これについてはまだはっきりときまってはおりませんが、対策本部長の意見では、こうしたものの事業を相当府県を中心にひとつ計画的に推進していかなければならぬ、いわば公害関係についての公共事業の推進をはかっていく、こういう考えを持っておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/46
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047・小柳勇
○小柳勇君 それからこの法律ができましたあと、政令や省令が出てまいります。実際は出先機関は政令や省令で仕事をしていくわけです。先般、恩給法の改正がありまして、私どもが扱いました問題が、この委員会の答弁では、大臣や局長が、非常にわれわれの質問に答えるような答弁をされるが、出ていった省令やその通達を見ますと、もう全然ここの論議と違ったものがいっているわけです。県や市はその通達や政令で仕事をしているわけですね。だから、このきまります法律のあと、関連する省令、政令あるいは通達については、おもなるものはこの委員会の委員に見せるぐらいの親切さがあってしかるべきと思うが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/47
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048・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ非常に短期間にこの法律を練り上げた関係もありまして、正式に政令として出るというのにはもうちょっと時間が要りますけれども、しかし、おおよそこの法律を書く以上は、大体政令においてどういうようなことを考えておるかという考え方は持っております。いつでもまた御説明をし得るつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/48
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049・小柳勇
○小柳勇君 時間もないようでありまするから、具体的な問題を……。
福岡県の洞海湾の問題をぜひここでやっておかなければなりませんが、昨年の夏に経済企画庁が行なった洞海湾の水質調査では、日本一よごれているという。しかもその結果が五月に発表された。なぜ調査してすぐ発表されなかったのかということが一つ。それから日本一悪いということがわかって、具体的な対策というものがほとんどない。これはどういうことでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/49
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050・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) 御指摘の洞海湾については、非常に汚染の状況がひどいということで、なかなか深刻な問題がございます。で、この水域につきまして水質保全法による水質基準を設けて規制をしようということが問題になりました。昭和四十三年度、四十四年度と二年間にわたる調査を通じまして、その結果が本年三月にまとまったわけでございます。これをさらに解析をいたしまして、五月に公表するという形になったのであります。一方、水質基準のほうは、この調査に基づきまして本年十一月にこれは決定をいたしております。こういう形で、あそこの地域についての五年後の望ましき環境基準というものを定め、それに対応するような規制がこの水質基準を守っていけばできるわけでございますが、一方あの地域で特に問題になっておりますのは、従来からのよごれによるヘドロの問題がございます。これにつきましては、どういうような形でこれを措置していくかということについて、技術的にもいろいろと問題がございます。そこで、本年の国土総合開発事業調整費から、とりあえず一千万円を支出いたしまして、現在運輸省においてこの水質汚濁のメカニズムとヘドロとの関係、またさらにこれをどういうふうにやっていったらいいだろうかという問題を緊急に調査をいたしまして、本年度末にはまとまるわけでございます。こういった形で調査の結果を見まして、さらにその対策を考えてまいりたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/50
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051・小柳勇
○小柳勇君 運輸省を呼んでおりますから、運輸省から答弁願います。いまのヘドロの除去の計画です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/51
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052・竹内良夫
○説明員(竹内良夫君) 洞海のヘドロの調査につきましては、いま企画庁から言われたとおりでありますけれども、本年の調査といたしましては、調整費で一千万円、それから運輸省の調査費といたしまして百二十万円、そのほか港湾管理者等が持ちまして、大体二千三百万円で本年の事業を実施しております。その調査の内容は、この洞海湾は湾になっておりまして、潮流の動きが非常に少ない、そういうような特殊事情の湾形における汚染のメカニズムというようなものを、主として国の調査費でやっておりまして、地元のほうの管理者のほうの調査費は、どちらかといいますと現在の状態、ボーリングなどをいたしまして、どのくらいの深さまでよごれておるかというようなこと等をやっておるわけでございます。実際しゅんせついたしまして、なくしてしまえば一番いいというようなこともございますけれども、しゅんせつそのもの自体の影響もございます。また新しい水をここに入れましてフラッシュするというような説もあるわけでございますが、そのような工事自体が他に影響を与える可能性も非常にあるという見解から、このような調査を実施いたしまして考えていきたいというように思っております。一般にヘドロ、ヘドロと申しますけれども、人間が全然いないところにもヘドロがあるわけでございまして、シルトと称する粘土と土のあいのこのようなものをヘドロといままで称しておったわけでありますけれども、現在はヘドロが汚染されている場合に非常に問題になるわけであります。たとえば洞海の下には二メートルくらいのヘドロがございますが、このヘドロが汚染されているかどうか、どのくらいの深さまで汚染されているかどうか、こういうふうなことを調査いたしまして、それの対策を立てなければいけない。なお、工事といたしましては、現在までに航路のしゅんせつ事業を行なっております。これは関門海峡から若戸大橋、若戸大橋からその中の奥洞海というところに対しまして、幅三百メートルから二百メートルくらい、水深が九メートルあるいは八メートル五十というような規模で工事を行なっておりますし、また、船がとまるための泊地もしゅんせつしております。これは大体昭和四十三年から四十七年の五ヵ年計画で、約六百五十万立方メートル程度の泥を掘ることにしているわけでございますが、この部分の大部分はいわゆる地あまでありまして、どちらかといいますと汚染されていない部分ではないかと思います。問題はその沈澱しているところの問題でございまして、これは港湾管理者の維持工事とかあるいはそういうところで沈澱しているものを掘っていく。この沈澱しているものは非常に汚染されている可能性があるのではないか、こういうふうに思います。なお、もしこれをしゅんせつするということになりますと、それの処理の問題が非常に大きな問題になりますので、現在におきましては、埋め立て地にこれを捨てていく。あるいは響灘というところに捨てるための囲いをつくりまして、その囲いのうしろのほうにビニールを張りまして流出しないような、これはどちらかといいますと公害面というよりも漁業面という点を非常に考えまして、従来までそのような形で土砂を捨ててきたわけでございますが、この方法は公害面に対しましても非常に効果のあるやり方ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/52
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053・小柳勇
○小柳勇君 時間がありませんから最後の問題になりますが、洞海湾の水質基準が先月十一月に公示となりました。なぜいままで公示しなかったのかということも問題ですが、もう時間がございません。その公示を見ましたところが、来年の十一月二十日から適用する、それから昭和四十八年の一月一日から適用するというような水質基準ですね。現在はもう日本一よごれておるということでこの数字を見ましたが、たいへんよごれておるにかかわりませず、水質基準の適用というものは来年のちょうど一年後及び三年後ということなんです。一体これはどういうことであろうかと思うわけですね。企業はどんどんやっっている。で、法律の精神から言うならば、日本一悪いともう測定してはっきりわかっているのだから、一年あるいは三年間操業やってよろしい、そうしてその一年後あるいは三年後にこの水質の基準に合わせようというようなことが公示されている。一体この水質基準の公示なんということはどういうことでございましょう。現在こうなければならぬということなのか。何年先こうしなさいということなのか。何年先こうしなさいということならば、政府みずからが水質汚濁を認めておるということになります。こんな法律、論議したってしようがないということになります。どういうことでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/53
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054・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) 水質の基準を決定いたします場合に、現在の水質の状況に対して相当それよりきれいな形にしなければならぬということで基準をきめるわけでございますが、そういたしますと、工場ではこの処理施設等を整備いたしまして水の処理をいたさなければならないわけでございます。通常の場合ですと、そういった処理施設の設置の期間ということを考えまして、大体六カ月の猶予期間を置いて適用する、こういう形になるわけであります。ただ非常に大規模な施設を必要とする、あるいは非常に高度の技術を必要とするようなものになりますと、設計から工事までかなりの時間がかかる場合もございます。たとえば洞海湾の場合ですと、有機化学工業の製造業にかかるものというようなものでいま御指摘の四十八年一月というものがございますが、こういうものにつきましては、とりあえず一年後ぐらいを目ざしまして暫定基準をつくりまして、さらにその間において設備を行ないまして、四十八年から完全な形にしていくというやり方になっております。これはまあ若干例外的なものでございますが、いずれにいたしましてもこういった形で新しい施設をつくって、そして除害をやってもらわなければならないものでございますから、その設計工事の期間というようなことを考えてこの適用の期間がきめられている、こういうたてまえでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/54
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055・小柳勇
○小柳勇君 その考えが今回の国会で、どの委員会でも言われておることですけれども、公害基本法からは「経済との調和」というものは削ったけれども、政府並びに自民党の思想は、やはり経済優先ではないか、企業優先ではないか。国民生活を優先するというならば、それでは日本一の悪い水質だということがわかったならば、直ちに操業を停止するとか、機械設備をするように勧告するとか、いろいろ法律も条例もあるんですから、それで水質の基準はこれですよ、現段階における適用の基準はこれですと、それを公示するのがほんとうではないでしょうか。一年後とか三年後にこうしなさい、それまでは工場をやっておいて、それで一年後になったらやめましたと、極端に言えば工場をやめましたといえば一年間の操業はできます。三年間だけやってやめました、全然金かけないで三年だけ操業してやめることも、悪い企業者などはやるかもわからぬ。水質の基準というなら、いまの現在の水質基準を出さなければ、工場の操業を考えて、改造を考えてこの期間を出しましたなんということは、この法律と矛盾しませんですか。その考えが今度の国会でずいぶん問題になった点ではないかと思うんですが、長官いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/55
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056・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) そうした計画期間を不当に引き延ばすというようなことがあればそういうことになりましょうが、まあ審議会においても衆知を集めてそうした決定をしたわけでありますし、工場をやめてしまえとおっしゃればそれまでかもわかりませんが、そうもいかないでしょう。そこのところは今日におけるやはり技術というものを前提にして、そうしてそれが私が先ほど申し上げておったやはり客観的に行なわれなければならない点だろうと思います。すべて一切のものをやめてしまうという前提でありますれば、また苦心もそれほど要らないんじゃないか、こう思っています。でありますから、私たちはできるだけその期間を圧縮してまいる、この必要は認めます。いわゆる便乗的なことを許さないようにする。そして現在として考えられるぎりぎりのつまり期間の中で可能な限り基準の取り締まりのできるような、そうしたはっきりした基準を設けてまいる、こういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/56
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057・小柳勇
○小柳勇君 時間をとって申しわけないが、各工場についてはこまかく書いてありますよ。ところが洞海湾全体についての水質基準ですね。その水質基準から割り出していって、さっきから論議しておりますように、一つ一つの工場はこれで処理できるかもしれませんが、全般的にたまりますと規制できない。だから工場立地規制の法律をつくってくださいということまで言ったんですけれども、これはもう法律で論ずるときはきれいなことを言われますけれども、実際のこういう基準などが、政令や省令が出るとアッと驚くタメゴローです。とにかくそういうことでは時間かけて論議することが全くもうむだなような気がするわけですよ。通産大臣どうですか。私の言うことは無理ですかね。基準はいまの基準を出さなければ一年先、三年先の基準なんと言ったって基準にならぬのじゃないかと思うんですがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/57
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058・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) そんなに無理なことをおっしゃっておるとは思っておりませんけれども、まあ正直申してそれだけ病気を重くしてしまったわけでありまして、これはまあいろいろ反省しなければならないわけでございますけれども、したがってそれを健康体に回復させるにはおのずから物理的な時間がかかる、これはもうどうもここまで病気を悪くしてしまいますと、そういう事実に即して解決するしか方法がないというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/58
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059・小柳勇
○小柳勇君 もう時間がありませんから質問できませんが、この問題はまた私は別途、別の時間をもらって質問したいと思います。きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/59
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060・大矢正
○大矢正君 公害に関連をいたしまして通産大臣に二点お伺いいたしたいと思います。それは通産省の公害防止に関する姿勢の問題です。最近新聞を見ましても、またその他報道機関等おしなべて見ましても、通産省に関係のある内容のものが一日として出ない日がないわけであります。たとえば日米繊維交渉、たとえば鉱山の爆発、あるいはテレビの問題公害の問題、これら毎日新聞をにぎわしておる問題の行政の責任は通産省にあるわけですね。ですから、そういう意味ではたいへん国民の中に通産省という名前は有名になっておると思うんです。しかし、その有名になるのも二色ありまして、悪くなるものといいものとあるわけであります。特に、最近の公害等から見ますと、公害による地盤沈下というやつは通産省それ自身に及んでいるのではないかと思う。通産省というものを最近国民はあまり信用しておりませんから、そういう意味では通産省それ自身がもう地盤沈下を起こしておると言っても差しつかえないんです。国民のきびしい批判が集中しておりますし、私もたとえ野党ではありましても商工委員会に籍を置きまして、たいへん残念に思うわけです。
そこで、まず第一にお尋ねいたしたいことは、公害の発生に対する予防措置としての監視、監督体制の問題です。これは衆議院の段階におきましても監視官制度をつくらなければならないというようなことが政府側からも意思表明され、野党はもちろん早急にこれを制度化すべきである、こういう主張をいたしておるのでありますが、これはどちらかといいますと、一つの省にその責任を及ぼすものではなくして、公害全体に対しての監視の体制だと思うのでありますが、しかし、たとえば大気汚染、海洋汚染、水質の汚濁それから廃棄物、これらはもう大部分が通産行政に関連がある。そこで政府が将来監視官制度をつくるということはけっこうなことでありまして、われわれは大いにこれを促進をいたしたいと思いますが、同時に通産省としても公害を未然に防止するための監視あるいは監督体制というものはあってしかるべきではないか、こう思うのでありますが、現状、通産省はどういう体制を持っておられるか。たとえば、先般労働省の調査によって有毒物質の排出が統計的に明らかになりまして、私はそのとき労働省はなかなかいいことをやってくれるなと思った反面に、私自身商工委員会に席を置いて、もしこれが通産省の手において出されていたならばもっと喜ばしいなと実は感じたわけであります。そういう私の気持ちも含めて、ひとつ大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/60
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061・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 行政各部が公害問題についての気のつき方がおそかった、対処をする態度が不十分であったということは、これはもう御指摘のとおりでありまして、通産省もその例外たり得ないということは私ども反省をいたしております。
そこで、まあ最近と申しましょうか、近年、たとえば今回も十四本の法律案を御審議願っておるわけでございますけれども、この中には産業行政に相当の関係のあるものがかなりございます。しかし、御承知のとおり、これらの法の立案の過程におきまして、通産省がいわゆる産業代表という形で、法案の緩和を求めるとか、あるいはもう少しそこを甘くしてくれといったような態度を今回とりませんでしたことは、これはおそらくお認めいただけるところでありまして、私どももただいま、過去に行政各部でありましたようなおくれた認識を持っておるわけではございません。
そこで、通産省の公害に対する常時の監視体制でございますけれども、鉱山保安のほうは御承知のように非常に歴史も長うございまして、かなりしっかりした体制を持っております。問題は通産局の体制になるわけでございますが、これも行政各部の例外ではなかったわけでございまして、ことしになりまして公害関係の特定の部門を置きまして、そしてこれが監視並びに調査について重点的に人間をそこへ振り向けまして動いておるわけでございます。したがってカドミウム等につきましても全国の広範な調査もいたしましたし、またこれは実際、足で歩き切れませんので、書類等による報告を求め、あるいはその後改善命令の結果を現場に行きまして検討する、チェックするというようなこともいたしておるわけでございます。で、かなりの部分が知事の権限になっておりますけれども、どっちかと申しますと専門的な知識を要する場合もございますから、通産局と地方公共団体が一緒に協力をしておりますわけで、たとえば先ほどの洞海湾のような問題になりますと、地元の通産局と、鉱山保安監督局と、県と、北九州市というような協議会の体制を組むというようなこともしばしばあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/61
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062・大矢正
○大矢正君 そこで私は、具体的にお尋ねをするより、私自身の提案をしてあなたにその可否について御答弁をいただきたいと思うのでありますが、さっきから申し上げているとおり、繊維の交渉にしても、テレビの二重価格にしても、非常に通産省に対する国民の不信感というものは高まっておりますね。せめてこの公害で、より前向きな姿勢をとることによってこの汚名を挽回しなければならぬ使命がいま通産行政の中にあると思いますよ。ですから、一つには、国の監視体制というものが将来でき上がるでしょう。あるいはまた、都道府県、市町村、そういう中における地方自治体においての監視体制あるいは監督体制、そういうものが、法律に基づくもの、あるいは法律以外にそれぞれの条例等によってきめられてそういう制度ができるでしょう。しかし私は、それでは通産省はあくまでももう生産一本やりの行政だといわれることになりゃしないかと、国民に縁もゆかりもない、国民には決してプラスにはならない行政機関、それが通産省だと、こういうふうにいわれやしないかと。そこで私は、もっと通産省自身が他省にそれをゆだねるのではなくて、みずからの手でやはり監視、監督というような体制を機構的にも充実をする必要性があるんじゃないか。いまあなたが、たとえば地方における通産局、それから保安監督局、こういうものを有効に利用してというお話がございましたが、私はこの際、どちらかというと、通産局というのはやはり生産面を重点にした機能になっておるわけで、そういう意味では中心的な役割りが鉱山における保安監督行政にありとはいいながら、いまの地方における保安監督局というような機構を充実強化をして、そして監視、監督体制、予防措置等に通産省は正面からやっぱり取り組む姿勢が必要ではないか、こう思うのですよ。そこで、来年度予算にももちろんこれはからむ問題でありますので、私のそういうことを申し上げる内容について、あなた自身どういうふうにお考えになるかお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/62
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063・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民の生活水準があるところまで上昇してまいりましたし、そういうこともございまして、公害という意識がここまで高くなってきた、私はこれはけっこうなことだと思っておりますが、しかし生産というものが国民生活に関係がないというようなことはむろんございませんので、公害を発生させないような形でやはり生産というものは伸ばしていかなければならないと思っておりますから、そういう意味での通産省の使命というものは、私はやはり従来と変わりなくあるものと思っております。ただ、現在の段階において、いかにも公害の問題を長いこと放置しておったという印象は、これはもう行政全体としてぬぐえませんので、何としてもこの問題、それも長年の蓄積でございますから、これを何とかして除去しなければならないということで、通産行政もいわば産業に一番関係がございますから、先に立ってそういう心がまえで指導をしていかなければならないと思っております。
そこで、ただいまの大矢委員の御指摘のことでございますが、本省におきまして鉱山保安局を公害保安局に改組をいたしました。で、同様なことを、これは地方の鉱山保安監督局はもちろんでございますけれども、同様なものの考え方を通産局の中でやはりやっていく方法はないか、これはやはり公害部門をつくるのはつくりましたので、これを充実していくという形で進めてまいりたいと、ただいま考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/63
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064・大矢正
○大矢正君 以前から議論がありました、たとえば炭鉱に関する保安監督行政というものは本来的には労働省にあるべきである、こういうことを私たちは主張いたしましたが、政府はやはり生産と全く隔絶した形で保安監督行政というものを持つことはできないということで通産省に置かれているわけです。しかし、置かれているけれども、それは同一の局長の中に生産も保安も置くのじゃなくて、別個に切り離すことによってせめてもその効果を発揮しよう、その力を発揮しようというような意味で保安局というものが今日まで残ってまいりましたし、それに最近の公害が付加されたという形になっておりますから、私はあなたのいまの答弁というものは、そういういままでの姿勢というものをここでくつがえして、公害行政、保安監督行政というようなものは一般の生産を中心とした機構の中に埋没させるようなことはないだろうと、こういうふうに私は期待をいたしたいと思いますし、十分ひとつ御考慮願いたいと思います。
次にもう一つは、これは電力にからむ問題でありますが、最近はこれは全国至るところで電力の立地問題は地域住民との間に非常に摩擦を起こしております。産業的に見ますれば、電力の供給が需要を下回るようなことになりますると、これは国の経済にとりましても、また国民生活の上におきましても非常に重大だと思います。できることならば、やはり電力が供給を完全に円滑にされるような体制をつくらなければならぬと思いますが、一方においては公害問題があると思います。そこで、いまの九電力は、言ってみますれば地域の独占権を与えられておるけれども、同時に完全に供給をするという責任も課せられているわけであります。しかし最近のようにこう公害問題がきびしくなり、特に電力に関連のある亜硫酸ガスの問題や、あるいはまた温排水の問題、それから重油火力の場合における海洋汚染の問題等々考えてまいりますと、なかなか電力の立地問題はそう簡単には解決をしないんじゃないか、そこへ持ってきてやはり私企業だということに対する不信感というものが地域の住民にあります。とかく私企業でありますから、最初はいい条件で協定をいたしましても、後日これを破られてしまうということに対するおそれ等々がいろいろあるわけであります。まさか一たんでき上がった電力発電所を途中で協定違反だからといってこわすわけにもまいりませんし、そういう意味で立地問題はなお難航していく、私はこう思うわけです。そこで、わが国の公害をできるだけ防止をするというような意味におきましては、やはりなるたけこの水力の開発、公害の比較的少ない電源開発ないしは電力の供給、そしてその発電の方法を私は考えていくべきではないかと思います。しかし今日私が申し上げるまでもなく、水力発電というものは当初において設備に多額の資金を要しますから、勢い九電力は電源開発については結局のところ水力よりも建設費の安上がりな火力ということをねらっていきます。それが結局は公害を起こす、あるいは立地条件で地域住民との間に摩擦を起こさせるということにもなっているわけなんです。よって私は、現在まで水力開発の中心は電源開発がこれを果たしてきたわけでありますが、これは国に関係の深い機関としてそれ相応の役割りを果たしてまいったのでありますが、公害を出さないということになりますれば、やはりこういうものの機能なり機関というものをむしろ積極的に通産省が有効に利用するということ、そして積極的に公害のない電力を起こすような方途についてやはり努力させるということが必要じゃないか、こう思うのであります。それからまた地域住民も、やはり相手が九電力という場合、営利を一応目的としている九電力というものと、国の一つの機関としての電源開発というものに対して、おのずから見方も違ってまいりますし、最終的には何か問題があったときには国が責任が負うだろうというような、地域における安心感も私はあるんじゃないかと思います。そういう公害の問題それから地域住民に対する多少なりとも安心感、安堵感といいますか、そういう意味においては、既存の電源開発というものにもっと新たな役割りを果たさして、そして建設費に金がかかるとしても、それが無公害の発電であるといたしますれば、そういう方途を積極的に政府が選んでいくというようなこともやはり必要なんじゃないかと私は思うわけでありますが、あなたのひとつこの際御見解を承っておきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/64
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065・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は基本的にはいま大矢委員の言われましたとおりと思っております。電源開発株式会社にできるだけ水力の地点の開発を進めさせるということが、ちょうどいままさに申されましたとおりの御趣旨で必要なことでございますが、他方で、だんだんかっこうな地点がなくなってまいります。新たに選ぼうとすれば、ちょうどいま御指摘になりましたように相当の高いコストになる。その高いコストの電力を当該地域の電力会社が電発から買うということになりますが、そこにやはり問題があるわけでございます。私は、さりとて電力料金を値上げするということは、これはまた国民生活に大きな影響を与える問題でございますから、何とかそれは避けたい。まあ発電のコストはどうしても上がっていくわけでありますが、それはやはり合理化努力等々によって補っていくべきだと考えておるわけでございまして、ただいまの御指摘の御趣旨というものは私はそのとおり自分も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/65
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066・上林繁次郎
○上林繁次郎君 時間も幾らもありませんので要点だけをお尋ねしてみたいと思います。
今後の水質汚濁防止法案の中に、水の色とそれから熱、これが加えられたわけですけれども、実際にこの水の色、それから熱、これに対してこれによる汚染、その防止について、今度の法案がどの程度これを規制する力があるのか、その実効性の問題ですけれども、その点どういうふうにとらえておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/66
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067・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) 今回の水質汚濁防止法案におきまして、いま御指摘の熱汚染の問題、それから色の問題も対象とするというふうにいたしました。
そこでまず熱の問題でございますが、現在のところ問題になっておりますのは、火力発電所あるいは原子力発電所等からの冷却水の問題、これが漁業に影響がある、主としてノリでございますが、そういう問題が出ております。で、これについては、この法律のたてまえからいきまして、いわゆる排出基準をきめなければならないわけでございますが、何と申しましても、いまのところ熱排水とそれによる漁業被害との関係というものは化学的にまだ明確でない点が非常に多うございます。したがいまして早急にこれの基準をきめてというわけにはいまのところまいりませんが、こういうところの解明をこれから精力的にやりまして、そうしてこの基準をきめて規制をしていく、こういうことで、若干これは年数がかかる、こういうふうに考えております。
それから色については化学工業、染色工場等が問題になります。これについてはすでに旧法におきましても加古川とか川内川の水域で指定をしたものもございますが、これについてもやはり脱色処理の技術開発の問題等いろいろまだ技術的な問題もありまして、こういった点の解明を急ぎまして前向きにひとつこの基準の設定をしてまいりたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/67
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068・上林繁次郎
○上林繁次郎君 いまのお話ですと、だいぶこれから先その基準をきめるには相当期間がかかるということですけれども、その間は、それがきまるまでは従前どおり、言うならばたれ流し、それでもやむを得ない、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/68
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069・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) 現状を申しますと、たとえば温排水の問題等につきましては、具体的に発電所の立地等にかかわりまして、影響調査というのを、主として水産関係のほうの調査をやりますが、そういうことによりまして、影響があるということになれば補償をしていく、こういう形で問題が解決されておるわけでございます。温度差の問題が主たる問題になると思いますが、そういう形で現実には支障なく行なわれておるのではないかと思っております。
それから色の問題については、先ほど申しましたように、特に問題があります場合には現在でも規制をいたしております。ただ一般的にどういうような基準にするかということになりますと、まだ技術開発の問題等もからみまして、一般的基準というものがちょっときめにくい。これはできるだけ早くそういった点を解明したい。こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/69
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070・上林繁次郎
○上林繁次郎君 その辺のところをもう少し詰めてみたいんですけれども、時間がございませんので、具体的な例をあげて先に進めてみたいと思います。特に温水の問題ですが、この温排水の例証として香川の番ノ洲という工業地帯がございますけれども、ここに四国電力の坂出火力発電所、これがありまして、ノリの被害が出ている、こういうことなんです。温排水による公害の実態また現在までの漁業補償の実態といいますか、その点をひとつお聞かせ願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/70
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071・長橋尚
○政府委員(長橋尚君) 御指摘の坂出火力発電所は、香川県の番ノ洲地区臨海工業用地造成計画に基づきまして、そこに立地します企業の一つとして建設が計画されたものでございまして、用地造成埋め立てにあたりまして、すでに湾の奥部につきましては、地方公共団体と関係漁業組合との間で捕獲漁業権につきましての話し合いがつきまして、その漁業権の消滅補償が行なわれているわけでございます。すでにそれはもう済んでいるわけでございます。
そこで、坂出火力発電所におきましては、現在一、二号機が建設中でございます。あと三、四号機の増設に関連いたしまして、増設完了後の蒸気タービンの復水器の冷却水につきまして前面海域におきます排水の温度が上がる、そうしてノリに害がある。こういうふうな関係で漁業組合の苦情が出てまいったわけでございまして、この点につきましては、関係者の話し合いに基づきまして、客観的に公正な調査をまず行なう必要があるということで、日本水産資源保護協会において委託調査が行なわれたわけでございます。
〔理事大谷藤之助君退席、理事近藤英一郎君着席〕
その結果が出てまいっておりまして、それによりますと、種々の悪条件が重なった場合、具体的に申しますと、冬におきまして西風が吹いて、しかも引き潮のときである、こういうふうな非常に悪条件が重なりました特殊な場合には、湾口部の沿岸沿いに若干の温度の拡散が生ずることがある。かような報告に相なっております。四国電力株式会社におきましては、こういった報告に基づきまして、冷却水の取水、排水の方法についていろいろくふうをいたしますと同時に、この復水器の運転方法の適切化というふうなことにつきましても、必要な措置を講ずる計画をいたしているわけでございます。それと同時に、先ほどの調査結果を尊重いたしまして、万一に備えて漁業補償を行なうことにいたしまして、関係漁業組合との間に話し合いを進めておりまして、私ども得ております報告では、すでに基本的な了解が会社と漁業組合との間において、いま具体額について折衝が大詰めに向かいつつある、かようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/71
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072・上林繁次郎
○上林繁次郎君 そうすると、いま私がお尋ねしたのは、温水排水による公害の実態と、それから漁業補償、その実態についてお尋ねしたわけですけれども、詳しいことはわからないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/72
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073・長橋尚
○政府委員(長橋尚君) いま報告を受けておりますのは、調査結果に基づきます話し合いとしまして、すでに基本的な了解に達し、いま具体的な補償の態様、金額についての折衝が進んでいるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/73
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074・上林繁次郎
○上林繁次郎君 そこで、いまそういう被害については——公害については漁民との間には補償をもって解決をしておる、こういうお話がありました。で、そこでこの法案は、法律によって環境を整備するといいますか、環境を守る、そういうためにあるわけですね。ですから、そういう立場から言うと、補償ができたからそれでいいんだというわけにはいきませんね、この法律から言うと。その辺のからみ合いはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/74
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075・長橋尚
○政府委員(長橋尚君) 水質汚濁防止法に基づきまして、熱汚染の問題が非常に影響があるというふうな客観的な基礎に基づきまして排出基準が定められました場合には、当然この関係事業者はその排出基準の順守の義務があるわけでございます。で、一方、そういった排出基準を順守しておりましても、局部的な被害があるというふうなことで損害補償の民事上の問題が出てくる可能性は別途にあろうかと思います。さように区別して考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/75
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076・上林繁次郎
○上林繁次郎君 その点はそれでいいです。次に移ります。
坂出火力発電所の今後の拡張計画、こういうものについてお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/76
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077・長橋尚
○政府委員(長橋尚君) 番ノ洲地区臨海工業用地造成計画に基づく坂出火力発電所の建設計画といたしましては、先ほど御説明いたしましたように、すでに一、二号機につきまして建設中でございまして、目下三号機、四号機の増設計画が進められている、かような段階でございまして、この三号機、四号機の建設をもちまして計画は一応完結する、かようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/77
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078・上林繁次郎
○上林繁次郎君 最終的には百二十七万キロワットという大火力発電所を目ざしているというふうに聞いておりますけれども、そうなりますと、この冷却用温排水というものが漁業にどのような影響を来たすか、これは非常に大きな問題だと思うのです。そこでその調査の結果をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/78
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079・長橋尚
○政府委員(長橋尚君) 三号機、四号機が完成いたします場合の漁業に対する影響といたしましては、先ほど御説明申しました日本水産資源保護協会に委託して調査を行なったわけでございます。その客観的な調査結果に基づきますと、完成時におきまして種々の悪条件が重なった特殊な場合に、湾口部沿岸沿いに若干の温度拡散が生ずることがある、そういう特殊な場合におきまして、当該地区で行なわれておりますノリの操業にも影響を及ぼすことがあり得ると、かような結果でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/79
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080・上林繁次郎
○上林繁次郎君 温排水によって温度が上昇する。その影響を受けていく範囲ですね。これはいままでいろいろ調査されたと思いますけれども、ここの場合その影響を受ける範囲というものはどのくらいに押えていくのですか、どのくらいに見ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/80
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081・長橋尚
○政府委員(長橋尚君) 申し上げるまでもないことでございますが、温排水の影響につきましては、その地区の地形その他によって非常に違ってまいります。また技術の向上に伴いまして排水溝の取りつけ口、あるいはその設計をどうするか、あるいは流れを悪い影響を起こさないように導くための導流堤の建設等、いろいろなことによって状況が変わってまいったわけでございまして、そういった点につきましてはいろいろ技術的な研究もいま進められ、現に深いところの冷い水をとって排水の温度を下げる、こういうような設計も実用化しつつあるわけでございます。
一般的に申し上げますと、温排水の影響は、一般の当該流域の温度に対しまして五度ないし八度くらいの開差がある、かようなことでございます。
それからまた、その影響範囲につきましても一般的には六、七百メートルくらいの範囲で冷却が行なわれて、あと、その先にいくまでには通常の温度に戻るというようなデータを得ております。当該地区につきましての影響範囲につきましては、ただいま具体的な資料を持ち合わせておりませんので、後刻御報告させていただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/81
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082・上林繁次郎
○上林繁次郎君 ここの場合は県が今度委託したのですね。いまあなたがおっしゃっているように、日本水産資源保護協会、ここに県が調査の委託をして、依頼をしている。その調査委員会でまとめた結果は、冬は東のほうに約六キロぐらい離れた坂出市の松浦港地先、この辺まで及ぶというのですよ。それからさらに季節風などの悪条件が重なると、松浦港を越えて、約七キロ離れた乃生岬ということろがあるのだそうですが、その近くまで及ぶのだと、こう言っているわけです。
そこで、こういったいままでの影響の範囲は排水口から数百メートル、こういう見方をしているわけであります。ところが、この調査によると、こういうふうにたいへん広い範囲に影響が起きてくるわけなんです。こういったことを知った上で、こういうことについてどういう防止対策、こういうものを当局は考えておられるのか、この点、ひとつ明らかにしていただきたい。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/82
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083・近藤英一郎
○理事(近藤英一郎君) 委員の異動について報告いたします。
本日、井川伊平君が委員を辞任され、その補欠として中村喜四郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/83
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084・長橋尚
○政府委員(長橋尚君) 御指摘の点につきましては、当該電力会社自体におきましても、できるだけその影響の範囲を少なくする——漁民に対する補償の問題と切り離しましても、できるだけ影響を少なくするために、排水口の取りつけの位置とか、方向とか、あるいはまた復水器運転の方法等を適切なものにいたしますよう、いろいろとくふうをいたしておるわけでございます。
ただいま御指摘の影響範囲につきましては、実際問題といたしましては、温水が流れ出ます場合に、それが冷い水とまざり合うことによる温度の低下並びに大気と接触いたしましてそっちに熱が放射されるということに伴います低下、両面の影響等が一つの考えられるわけでございまして、そういった温度の低下効果というふうなものを考えますれば、ただいま御指摘のような広い範囲に実際の問題として及ぶことはないのではないか、かような見方もあるわけでございまして、そういった点につきましては、さらに私どもといたしましても十分技術的に詰めまして、極力影響範囲を狭めるように指導してまいりたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/84
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085・上林繁次郎
○上林繁次郎君 結論として言えば防止対策なんというところまでまだいってないということですね、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/85
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086・長橋尚
○政府委員(長橋尚君) ただいま三号機、四号機の増設計画を進めるにあたりまして、まだお話し合いを一部残しているような状況でございますので御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/86
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087・上林繁次郎
○上林繁次郎君 これは聞こうということではないのですけれども、もちろんその点はこれだけのものをつくるわけですから、その辺のところまで——水質、こういった問題についてやはり調査を進めてきているわけです。その結論が出ているわけです。ですから、当然これに対する防止対策というようなもの、これに対する進んだ考え方をもっと持っていいんじゃないか、こう思いますね。ですからもう、そのままずんずんいけば何にもこの法案によって実効性が上がってこないというようなことも考えられるわけです。ですから、これはやはり後手にならないように、先手先手でもって取り組んでいかなければ何にもならなくなる、こういうふうに感じられますので、いまお尋ねしているわけです。
そこで、養殖のノリというのは、これは御承知のように非常に温度に敏感ですね。一度か二度の温度が変わると直ちに影響を受ける。で、その結果は成長が不良になる、また腐ってしまうなんというような問題が起きてくるわけです。で、この温水の好んで集まってくる魚というものもあるようですね。だけれども、しかし、それは夏だけとかいう季節的なものだ。そういった場合にやはり水が濁ってくると酸素がなくなってくる。こんなことで初めのうちはあったかい水を求めて集まってくるような魚も酸素不足でやがては魚が住めなくなる、こういうおそれもあるということが考えられるわけですね。その辺の実態調査はできているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/87
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088・長橋尚
○政府委員(長橋尚君) 水産庁のほうでいろいろ調査をしておられるように聞き及んでおりますけれども、一般的に申し上げまして、御指摘のように、水温の上昇に伴いまして、たとえば、ハマチとか車エビとかアワビ、そういうふうなものの成長が非常に促進される。特に冬、水温の低下に上りまして成長が鈍る段階が温水の影響で回避される、こういうふうなことも聞き及んでいる次第でございます。そういった意味では電力業界自体も、そういう温水の効果ということにつきましていろいろ研究をいたしているところでございます。御指摘の、濁るという点につきましては、発電所の温排水に関します限りは、いままでこういった面での苦情はまずまずないものと承知している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/88
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089・上林繁次郎
○上林繁次郎君 あなたの話を聞いてみると、非常にその辺があいまいですね。ですから、そういうおそれはないと言うが、夏の暑いときにあったかい水が出てくる。そして、それが永続的に続いていった場合に、その酸素不足ということもないとは言えないでしょう。ですから、そういう意味で、さっきも言ったように先手を打っていくためにはそういったところの調査も十分に進めていく必要があるんじゃないか、こういうふうに心配して聞いているわけです。非常に建設的にお話をしているわけです。それで、何かさっぱりわからないようなことでは、私はまたこれは後手になる、こう申し上げたいのですね。
問題が今度は変わりますけれども、この火力発電所の温排水の影響を受ける漁民の漁場の侵害問題と、こういうふうに考えられる問題がいま起きているわけです。というのは、備讃瀬戸北航路及び南航路ですね。この建設計画、これがあるわけです。この建設計画の概況、また建設過程における漁業補償をどのようにいままでしてきておるか。あるいはまた考えられているか、その辺のところはわかっておりますか。だれでもいい、答えてください。
〔理事近藤英一郎君退席、理事大谷藤之助君
着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/89
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090・竹内良夫
○説明員(竹内良夫君) 備讃瀬戸の工事は運輸省のほうで担当しておりますので、運輸省のほうからお答えいたします。
昭和三十八年から大体四十七年を目標といたしまして事業を進めているわけでございますが、北航路は深さが十九メートル、幅が千ないし七百メートル、二十二キロメートルの長さでございます。南航路は水深は十三メートルで、幅が千メートル、延長同じく二十二キロメートル、そのほか水島備後航路というものをつくっております。目標は、大体十万トン級の船舶を目標といたしまして、しゅんせつ総土量が三千五百万立方メートルでございます。そのうち本年までに施工する予定のものが約三千三百万立方メートルでございますので、四十六年度と四十七年度で約百五十万立方メートル掘りまして、備讃瀬戸の航路改修事業は一応完了というような形でございます。
なお、この間に当然、漁業の操業に対しまして一時停止をお願いしたり、あるいはしゅんせつするときの土砂といいますか、しゅんせつするときの濁り、これによる影響がございます。それに対しましては現在まてに——昭和三十九年から昭和四十五年度までに影響補償という形で漁業補償を行なっておりまして、国の事業費といたしまして二十三億二千七百万、こまかくいいますと二十三億二千七百三十四万六千円を四十五年度までに支払いをしております。四十六年度と四十七年度につきましてはまだ未定でございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/90
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091・上林繁次郎
○上林繁次郎君 そうすると、いま漁業補償の問題を言っていただきましたが、この航路ができますと——この辺は漁民にとって非常に重要な漁場になっているんですね。これができるために、まあいわばそれが侵害される、これからは漁業権を放棄しなければならないというような事態も生じかねないということですね。そうなると、これらの漁民の現在の、あるいはこれらの人たちの今後の生活の問題、こういうものが非常に大きな問題としてあらわれてくると思いますけれども、こういう、いうならば転業対策ですね。いわゆる公害によるためその職を離れていかなければならない、その人たちにどのように転業対策を考えていくかということが、これは一つの大きな問題になってくると思うんです。ほんとうに国民の生活という、国民の立場に立ったときには、当然それは大きな問題として取り上げていただかなければならぬ問題です。そこで、そういう転業対策をどのように考えておられるか。この点ひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/91
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092・長橋尚
○政府委員(長橋尚君) 先ほど来御質問の坂出火力発電所を含めます香川県の番ノ洲地区臨海工業地帯造成計画に基づきます地元漁民の転業というふうな問題につきましては、県当局におかれましても非常に配意をしておられるところでございまして、この計画の推進に伴います転出対策といたしましては、必要に応じて進出企業が雇用の機会を造出する。そしてできるだけ離職者の方々の問題に協力をしていく。かような話し合いが県当局と進出企業との間で行なわれているということを聞き及んでいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/92
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093・上林繁次郎
○上林繁次郎君 そこで、いまのお話だとたいしたことはないのですけれども、いま言ったような転業対策というものは非常に重要な問題だと私は思うのです。そこでいい例があるわけですね。そのいい例、御存じですか。皮肉な言い方をしますけれども、どういうものができているか御存じなければ私のほうから申し上げますがね。転業対策に成功した例としては大分県の鶴崎陸海運、また千葉県の柏商事、八千代商事、こういうものがあるのですね。これは非常に成功しているのです。これは転業対策の一環として行なわれたものです。こういう転業対策が成功している実例をやはり国としては早くキャッチしなければいかぬと思うのです。そこまで考えていかなければならぬと私は思うのです。そこでまごまごしておりますと、番ノ洲工業地帯の誘致がこれからどんどん発展していくでしょう。そういう場合に、下請企業の誘致ですね、大企業がこれに乗りおくれるのじゃないか、まごまごしておればこういうことも言えるわけです。そういうものにかませていい実例があるのです。いま申し上げたように、そういうものにかませて早く転業対策というものをとっていかなかったら、この漁民の転業対策というものは失敗に終わってしまうのです。これもやっぱり先手ですよ。そこまで私は国としてはあったかい手を差し延ばしていく、また、その点に十分配慮していくという姿勢がなければならぬと思うのですね。その辺どうですか。これは通産省ということになりますかね。乗りおくれはしまいかという、その辺の関係はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/93
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094・柴崎芳三
○政府委員(柴崎芳三君) ただいま先生御指摘の千葉県の八千代商事の件につきましては私も若干その実例として聞いております。この番ノ洲のケースでございますが、番ノ洲に誘致されます企業はただいまの四国電力をはじめといたしまして、三菱化成、亜細亜石油、川崎重工業なんというようなところでございまして、土地の面積そのものも御引例の鶴崎とか、あるいは千葉等と比較いたしまして非常に小さい面積でございます。企業の数も比較的少ないようでございます。特に川崎重工業につきましては御指摘の下請関係その他につきまして若干の進出の可能性もあるようでございます。これらの下請を含めました総合的な開発といいますのは、県当局で相当真剣に考えております。その計画にのっとりまして通産省といたしましては、融資面その他におきまして必要なものは責任を持ってごあっせんするというような態勢は実は準備を整えているわけでございまして、その辺ただいま県とそういった面について緊密な連絡のもとに処置しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/94
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095・上林繁次郎
○上林繁次郎君 そうしますと、いまあなたの話によると、その番ノ洲は非常に規模が小さい、だから結論的に言って、そういったことは考えられないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/95
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096・柴崎芳三
○政府委員(柴崎芳三君) 決してそういう意味ではございませんで、鶴崎、千葉等と比較いたしまして下請の数はおそらく少なくなるであろうし、大企業との結びつきで総合的にこの地帯がどういう形で総合開発されていくか、その開発の形態も規模としては小さくなるかと思います。ただ、当然これを中心にいたしまして下請その他を含めました新しい工業地帯というものが造成されるわけでございますので、その点は県の計画に従いまして、通産省としてできる限りの、十全の対策を考えていきたい、また現在そういう相談をしておりますという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/96
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097・上林繁次郎
○上林繁次郎君 本腰を入れてそういった点を——一つの問題を例をあげて提起したわけですから、真剣に私は考えていってもらいたい、こう思います。
最後に——いろいろとこういった点、もっともっと突っ込んで対処していかなければならないんじゃないかという問題点を例証をあげていままで話をしてきたわけです。そこで、これからこの法案の実効性というものを上げていくというか、そのためにはどうしても行政府の姿勢というものが最も大事な問題になってくる。その行政府の姿勢いかんでそういった問題が解決するかしないかということが結論的に出てくると、こう思います。いままで申し上げたのは、この法案とのからみ合わせでお話してきたわけですけれども、この法案の内容からいって、この実効性と合わせて、経企庁の決意と言いますか、そういうものをひとつお聞かせ願って終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/97
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098・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) 私も、いまだんだんとお話を伺っておったのでございますけれども、こうした問題、いわゆる産業間の調整という問題も非常に含んでおるように思いますし、また、もちろんわれわれとしましては水質の規制であるとか、そうした方針を積極的に進めていかなければなりませんが、同時にいまのような関連の問題も起こってくることでございますから、こうした問題については、これはもちろん政府全体としてもその調整、水産業とあるいは電力業との調整の問題であるとか、いろいろ起こってまいると思います。また全体の産業のあり方、まあいわば産業政策というほうが適切だと思いますが、そうした面も今後いよいよ各方面でそうした問題が発生してくることが予想されるだけに、立地問題、産業調整の問題、政府としてもそうした政策を今後十分に推進していかなければならない、こういうふうに感じて伺っておったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/98
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099・上林繁次郎
○上林繁次郎君 最後に、きょうは通産省のほうにもゆっくりと質問さしていただきたいと、こういうふうに思っておりましたが、関係の方が多数お見えになっておりますが、時間の関係でそれができなくなりまして、ほんとうに申しわけないと思います。これは委員会運営の事情で時間の制限がありましたのでやむを得ません。その点ひとつあしからず御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/99
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100・渡辺武
○渡辺武君 この法案によりまして、都道府県知事に公害防止の権限が委譲されているという点については、私は従来に比べて前進している面だと思いますけれども、なおこの点について若干不徹底な面があるというふうに思います。そのうちの一番大きいものは、第五条の届け出制の問題であって、私どもはこれを許可制にすべきだというふうに考えておりますけれども、この問題についてはすでに各党ともに質問をしております。私は、時間の都合でこの問題ははしょりまして、もう一つの問題について御質問してみたいというふうに思います。
まず、この法案によりますと、排水基準の上乗せ権限、これが各都道府県知事に与えられておりますけれども、しかし、環境基準の問題、この点については基本法第九条の第二項で「二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型をあてはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、」つまりこれは、おそらく生活環境項目のことを言っているだろうと思いますけれども、その場合には「政府は、当該地域又は水域の指定を都道府県知事に委任することができる。」というふうになっておりまして、明確に都道府県知事に上乗せ権を与えるという形にはなっていないわけです。私は、この環境基準についても、排水基準と同じように都道府県知事に上乗せ権を与えるべきだというふうに思いますけれども、その点の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/100
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101・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) 御指摘のように、今回公害基本法第九条を改めまして、生活環境項目にかかわるような当てはめ行為を必要とするもの、これを都道府県知事に委任することができるというふうにいたしました。実際の運用としては、私ども、都道府県が上乗せ基準をきめる際に、環境基準の当てはめ行為というものも一緒に作業して、そうして一律にきめるという運用を原則としたいと思っております。ただこれを「できる」といたしましたのは、ときに数府県にまたがる河川などの場合におきまして、環境基準の当てはめ行為をいたします場合に、関係府県の意見がどうしても合わないことがございまして、そういうことでじんぜんとして基準が設定できないということになっては困りますので、そういう際に例外的に国がきめるということを予想をして、そういうことにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/101
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102・渡辺武
○渡辺武君 従来水質基準によって政府が指定水域を設けておりますね。これは指定水域は、この法案がもし成立した場合に解除されるのか、それともまた維持されるのか、あるいはさらにまた拡張されるという方向にあるのか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/102
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103・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) この新法が施行されましたときにおきまして、指定水域を解除してしまうということになりますと、規制ができなくなりますから、したがいまして、いわゆる一律基準というものがつくられますが、これよりきびしい規制が行なわれておる指定水域についての水質規制というものは、経過規定によりまして上乗せ基準とみなしていこうと、こういうつもりでございます。そして、ある時期がくれば、またそれに都道府県知事がさらに上乗せをするということもできるようにしております。そういう形で運用してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/103
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104・渡辺武
○渡辺武君 そうしますと、政府の指定水域が一定期間はこの法律が施行されたのちも残るという御答弁だと思いますが、そうしますと、その残っておる間は、政府の従来の指定水域の中で、都道府県知事は従来の指定水域できめられている基準に上乗せをすることができますか、できないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/104
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105・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) それは、指定水域としていま水質基準をきめておりますものは、経過規定で水質基準そのものが残りますけれども、これについて都道府県で上乗せをしたいというときには当然できるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/105
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106・渡辺武
○渡辺武君 つまりその上乗せということでございますけれども、たとえば私きのう——おとといでしたか、問題にしましたけれども、東京の隅田川の場合、都民が求めておるのとはかなりほど遠い基準になっておるわけで、Eの八つまり五年以上の年月をかけて、具体的に言えば建設省の推定によれば二十年間もかかって、しかもその目標は一〇PPM、やっと川のにおいがとれる程度のことで、いまのどぶどろの状態とほとんど変わりないという、それも二十年かかってやっと達成されていくというのが、いまの政府の設定している基準なんです。もし東京都知事がこれよりももっと強い基準を当てはめたいと思ったときにどうなりましょうか、そういうことは可能でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/106
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107・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) いま御指摘の問題は、私が申しました排水基準ではございませんで、公害基本法にあります環境基準の問題だと思います。この環境基準につきましても、先ほど言いましたように、原則としては都道府県知事にこれから委任をしてまいりたいと思っておりますが、この隅田川についての基準はつい最近きめたばかりでございまして、五年後の段階で暫定目標、そして二十年とおっしゃいましたが、大体私は八、九年と考えておりますが、それぐらいでこの基準に持っていく。このためには膨大な下水道投資その他が必要でございますが、そういう形で運用してまいりますので、直ちにこれをまた環境基準の当てはめ行為を改正するということは必要がないのではないか。また、それをやろうといたしますと非常にばく大な投資をまた必要とするわけでございますが、ちょっと現段階ではこの程度のところが大体達成し得るぎりぎりの線ではないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/107
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108・渡辺武
○渡辺武君 つい最近きめたのであって、したがって本法が施行された後でも即座に知事に権限を与えるということは行政上いろいろ問題があるということだと思うんですが、私は、やはり行政上そういう点が確かにあるかもわかりませんけれども、原則としては当てはめについて、これはつまり排水基準じゃなくて環境基準のことですから、環境基準についてもやはり原則として知事に上のせ権を与えるというふうにすることが、これが公害防止を進める上で特に重要じゃなかろうかというふうに思います。
さて、それでは政府の水域指定がなお残らないところ、あるいはまた従来指定されていなかったところ、ここについてはどうですか。知事がそれぞれ独自に当てはめることができるということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/108
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109・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) それは、これから必要な調査をいたしまして、そして環境基準の当てはめ行為を知事のほうでやっていただくことになると思いますし、またそれに基づいての上乗せ基準ということもできるわけでございます。こういったことに対する予算措置等も四十六年度には講じてまいりたいと思いまして、いま折衝をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/109
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110・渡辺武
○渡辺武君 それでは、いまは生活環境項目について伺ったわけですけれども、いわゆる健康項目ですね、この点についてはこの政府の定める環境基準が全国一律に適用されるというふうに私理解しておりますけれども、この点についても各都道府県知事が政府のきめたこの環境基準以上に上乗せすることができるというふうにすべきだと思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/110
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111・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) この健康項目と申しておりますが、特定有害物質と申しますものにつきましては、現在の環境基準も全国一律の基準として環境基準がきめられております。これについていわゆる当てはめ行為ということは事実上なかなかむずかしい問題でございますので、これは考えておりません。ただ、排水基準として上乗せをしたい、これはいろいろの事情があろうと思いますが、それはできるようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/111
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112・渡辺武
○渡辺武君 排水基準については私承知しております、伺っているのは環境基準のことです。それで、この健康項目については当てはめなんという問題は起こらぬですよ。各規制物質ごとにちゃんときまっているわけですから、当てはめなんということは起こらぬですがね。ちょっと答弁が少し問題の焦点をはずれた答弁になっていると思うんですよ。時間もないので、簡明にひとつ御答弁いただきたいと思うんです。
そこで伺いたいのは、健康項目についての上乗せ、つまり政府が各有害物質ごとに環境基準をきめておられる。私はしろうとですから、あまりその点で当否はわかりませんが、専門家に聞いてみますと、まあこの基準については大体この辺で、それ以上きびしくするという必要もないんじゃないかということを専門家も言っております。しかし、考えてみると規制項目ですね、規制項目そのものに私は問題がありはせぬかというふうに思います。従来政府がこの健康項目に基づいて規制している物質はわずかに八項目ですね。有害物質として八項目をあげているにすぎない。ところが、たとえば水産用水基準の急性毒物質、これは十七項目も規制されている。それからまた飲料水の水質基準の規制項目は約十六項目ぐらいあるわけですね。魚がつまりいろんな有害物質で被害を受けるというので十七項目に近い物質が規制されている。一体魚について有害なものが人間の健康について有害でないということは私は言えないと思うんですね。つまり、健康項目で規制されている物質を八項目以上にふやす必要がある、こういう問題が当然今後起こってくるし、また現に起こっているんじゃないかというふうに思います。なおこれに加えて、やはり物質がいろいろ変化する場合がある。これはもうすでに皆さんも御存じのとおりだと思いますけれども、初めは有機水銀が有害だというので、有機水銀だけが規制項目の中に入っておりましたけれども、無機水銀も水中に流されて、プランクトンあるいは魚介類のからだの中に入ることによって、有機水銀に変化するというような事態もあらわれておりますし、また各有害物質の複合という問題も、それぞれの地域の特性に応じてあらわれてくるのじゃないかと思うのです。ですから今後、規制項目として追加しなければならぬものがたくさん出てこやしないか。これはやはり従来の政府の非常に緩慢な公害対策にまかしておくということだけでは、私は不十分だと思う。やはり知事が地域の住民の要求と一体となって、こういう規制項目の上乗せについても権限を持ってやっていけるようにすべきじゃないか。そう思いますけれども、 この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/112
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113・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) 御指摘のとおり、有害物質について現在八項目が環境基準できまっておりますが、これでは不十分であると思っております。この法律施行の際には、有機塩素とかトータルクロムというようなものを追加して、大体十項目でやるつもりでおりますが、現在検討中ですが、その後も項目追加の必要なものが幾つかあるということでございまして、これはその実態を鮮明次第追加をしていく、こういうことにしたいと思います。これにつきまして項目の追加を都道府県ごとにまかしたらどうかという御指摘のようでございますが、やはり人の健康にかかわる問題でございますので、これは国のほうでそういった問題のあるものは積極的に追加をしていくという形で、私どもやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/113
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114・渡辺武
○渡辺武君 時間がないので次の質問に移らざるを得ませんが、人の健康にかかわる問題であるからこそ、私はつまり、国できめたよりももっと低い基準をきめていいというのじゃないのです。もっときびしい基準です。したがって項目についての追加、こういう権限も都道府県知事に与えるべきじゃないかということを主張しているわけです。その点はひとつよく検討してほしいと思います。
さて、その次に移りますが、この法案ではいま申しましたように、各都道府県知事に公害防止の権限が委譲される、しかし知事の権限というのは当該の都道府県の範囲内にしか及んでいないわけですね。しかし公害というものは、水質汚濁の場合でも同じでありますけれども、広域的に起こる場合が非常に多い。先ほど来問題になっております瀬戸内海の汚染、これなんかも各県それぞれずっと瀬戸内海の汚染については責任を持っているような事態だと思うのです。で、さっきは番ノ洲の話が出ましたけれども、番ノ洲だけに限っていえば、これは温水の及ぶ範囲がこれこれだというようなことでいろいろ議論はできると思うのですけれども、しかしながら温水の問題も起こるけれども、工場廃液等もいろいろ問題を起こしている。瀬戸内海全体が、このままでいったらどぶどろ同然に、近い将来になるのじゃないかというような事態が、すでに目の前にぶら下がってきている。あるいは九州の有明海、ここでもそうですね。カドミウムその他の有害物質によってノリや魚介類が非常に汚染されているという事態が起こってきている。その原因は何かといえば、大牟田の三井の製錬所が一番大きな根源なんです。ところが、それによって被害を受けている人たちは、これは福岡県だけじゃない。佐賀、熊本、長崎、これらの諸県にも及んでいるという状態で、広域的に問題が起こっている。特に川の場合、これはイタイイタイ病でもはっきりわかっておりますように、発生源は岐阜県にあって、被害を受けているのは富山県の住民というふうな事態になっているわけです。こういう広域的な公害、これについて本法では私はあまり十分に防止対策が規定されていないのじゃないか、そう思います。どのようにやろうとしておられるのか、まずその点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/114
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115・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) 本法ではいわゆる上乗せ基準というような形できめますきびしい基準を都道府県に全部まかせる、こういう原則をとりましたために、ただいま御指摘のように、かなり広域にわたる場合には若干問題があるという、そういう場合もあり得ないとは私言えないと思います。したがいまして、環境基準の委任の問題でも申し上げたように、必要があれば国がそういった調整をする。本法でも、あらかじめ都道府県知事から通知を受けまして、必要があれば経済企画庁長官の勧告もできるようになっております。そういうことで行政的にはやってまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、瀬戸内海とか東京湾、大阪湾というような、非常に広い水域につきましての汚染問題というのは非常にむずかしい問題でございます。現在こういった問題につきまして、私どもの中でも調査をいたしておりますし、通産省等でもやっていただいておりますが、これからの運用といたしましては、やはりそういった場合におきましては、たとえば東京湾であれば、東京湾の沿岸の県の協議会というようなものができておりますが、そういったところで関係県の知事さんに十分相談していただきまして、そうして必要な排水規制をやっていただく。こういう形に持っていくことになるだろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/115
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116・渡辺武
○渡辺武君 やはり法にはっきりと、そうきめたほうがいいのじゃないかと思います、行政指導、行政措置という形ではなくして。私は、やはりこういう広域的な公害については、被害の大きい県と、そしてあまり大きくないが発生源であるという県もあるわけですから、したがって必要がある場合には、都道府県知事あるいは関係都道府県に対して、そこでの環境基準もしくは排水基準をもっときびしくしてほしいということを要請することができる。そうしてまた要請を受けた都道府県のほうは、その要請を尊重して、それぞれの県の排水基準、環境基準をきめるというような点を、やはり法の項目にはっきり盛り込んでおいたらどうだろうというふうに思います。また、いまお話のありました経済企画庁長官の勧告権、これも第四条に述べられておりますけれども、私は、この第四条の後段に、上乗せした「排水基準を変更すべきことを勧告することができる。」という規定がありますけれども、これは変更ということになりますと、知事がきめた排水基準をもっときびしくするという意味もあるけれども、同時に、もっとゆるめるように長官が勧告する可能性も出てくるわけですね。いまお話のとおり、東京都知事その他関東各県の知事が集まって協議する場合、どうも東京都のきめたものはきびし過ぎる、したがって千葉県のほうが困っているのだということになって、まとまらない。そこで経済企画庁長官が、いや東京都のほうはもう少しゆるめたらどうだという、足して二で割る方式で勧告するということも私は可能性としては残されていると思う。それではぐあいが悪いわけでありますから、公害防止という見地からすれば、この「排水基準を変更すべきことを勧告することができる。」という字句を、きびしくしてやることを勧告することができるというふうに直したほうがいいのじゃないかというふうに思います。その点、長官どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/116
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117・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、いままでの例でもそういうことはございませんで、大体企画庁はきびしいほうを要求しております。もっとも京都府みたいに困った所もありまして、これは公害防止条例を出していない所もありますから、さらにわれわれとしてはそういう点は実行上も問題が起こってくるのですが、しかしわれわれ別に——渡辺さんに御安心願いたいのですが、これでもって緩和させる気持ちはございません。まあこういう法律上の条文ですからこういう規定をしておりますけれども、もともときびしくする場合で、従来の実行でもそうでございました。まあ何か技術的に間違いでも発見して——一けた違うということもありますから、それが絶対ないとは限りませんが、そういうものは事前に発見されるでしょう。一般の場合にはそういうことはない。運用で十分考えられることでございますから、どうぞその点は御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/117
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118・渡辺武
○渡辺武君 時間ももう過ぎたようですから、最後に一問だけで終わりたいと思います。
もう一つ本法の足りない点として申し上げなければならぬことは、地下水対策です。先ほどほかの委員も指摘しておりましたように、過去の汚染の蓄積、こういうような点が非常に抜け穴だと思います。もう一つ申し上げれば地下水対策ですね。十四条三項に「地下にしみ込むこととならないよう努めなければならない。」というふうに述べておりますね。これを見てみますと、具体的にはどういうことをやろうとしておられるのかさっぱりわかりませんし、どうも単なる訓示規定であって実効のないものになるんじゃないかという気がするんです。一々御答弁をいただかなければならないんですけれども、時間がないので質問だけまとめて申し上げますから、それぞれひとつお答えいただきたいと思う。有害物質を含んだ排出水が地下にしみ込んで地下水を汚染しないようにする対策として、私は、どうしてもこの法案の中で、公共用水域に排出しちゃいけないような排出水、これは当然地面にも出してはいかぬということをはっきりきめるべきだと思うんです。地下水がそれによってほんとうに汚染されているかどうか、これは調べていては時間がかかって間に合わぬわけですね。地面の汚染、それを通じての地下水の汚染というのは、長期間にわたって蓄積して初めてあらわれてくるものです。もうすでに御承知のように、長野県の岡谷とかあるいはその他の所で、シアン化合物による井戸水や上水源の汚染という問題が起きてきて、現に大きな問題に今後なる可能性を持っているんです。したがって、少なくとも公共用水域に出すことができないというようなものは、やはり同じ基準で地下にもしみ込ましちゃいかぬということをはっきりきめなければならぬと思うんです。そうしませんと、こんなきめ方をしておきますと、公共用水域に排出する場合はきびしく規制する、しかし地上にこれを流していく、あるいは地下にしみ込ましていく——こんな訓示規定にとどめておきますと、そうしますと、企業の中に炉でもつくりまして、その上澄みは公共用水域に流し、しかし濃厚なところは地下にしみ込ませるということをやるおそれが十分出てくると思うんです。こういうことをどうしても防がなければならぬと思います。その点をまず一つ伺います。
それから、せっかく厚生省からおいでいただいておりますので、毒物、劇物取締法によって地下への有毒物質などの放出がいろいろ規制されていると思いますが、どの程度まで規制されているのか。私は、シアン化合物については二PPMということで具体的に規制されているという点は聞いておりますけれども、その他の毒物、劇物については非常にあいまいな規定しかないんじゃないかというふうに思いますが、具体的にどのように規制されているのか。その点もあわせて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/118
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119・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) この十四条三項の規定は、御指摘のような問題を含んでおります。私どもとしても、これはやはりきっちりした規定にできるだけ早く整備しなければならないと思っているわけでございます。ただ何ぶんにも現段階で、地下にしみ込むこととなりました場合の地下水あるいは土壌中にそれが蓄積するということに対するメカニズムが十分わかっておりません。したがって、公共用水域に出す基準でやればそれで十分なのかどうかということも十分わからないというようなことから、ここに基準を定めるということは現段階で無理でございますので、こういうふうに規定したわけでございますが、この辺はこれから科学的に解明を進めまして、そうして規定を整備してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/119
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120・山高章夫
○説明員(山高章夫君) 毒物及び劇物取締法によって地下水の汚染がどのように防がれておるかという御趣旨の御質問だと思います。ただいまの御質問のように、シアン化合物については二PPM以上のものを地下水、土の中にしみ込ませることは禁止されております。それ以外のものにつきましてはすべて毒物及び劇物取締法の別表及び指定令がございますが、この指定令に掲げております物質についてはすべて廃棄の技術上の基準に従わなければならないというぐあいに規制されておりますので、そういう面から本法は本来直接的な保健衛生上の被害の防止を目的とするものでございますが、あわせて御質問のような点の防止の効果もあがっておると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/120
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121・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/121
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122・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。午後三時三十分まで休憩いたします。
午後一時二十一分休憩
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午後三時三十七分開会
〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/122
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123・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
下請中小企業振興法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/123
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124・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/124
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125・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
下請中小企業振興法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/125
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126・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
竹田君から発言を求められておりますので、これを許します。竹田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/126
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127・竹田現照
○竹田現照君 ただいま可決されました下請中小企業振興法案に対し、自由民主党、日本社会党、公開党、民社党共同提案による附帯決議案を提出したいと存じますので、御賛同を願います。
案文を朗読いたします。
下請中小企業振興法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当り、次の諸点に留意すべきである。
一、逐次適用業種の拡大に努めるとともに、振興事業計画の作成等について十分な行政指導を行なうこと。
一、下請企業振興協会の機構を拡充強化するとともに、下請取引に関する紛争については、十分な調整機能をもち得るよう改組すること。
一、下請中小企業に対する税の減免ならびに金利及び償還期限等の融資条件の緩和について特別の措置を講ずること。
一、下請代金支払の適正化を期するため、公正取引委員会事務局その他関係機関の機構、人員、予算等の充実を図ること。
右決議する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/127
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128・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) ただいま竹田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
竹田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/128
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129・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 全会一致と認めます。よって、竹田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し宮澤通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/129
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130・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決議のありました件につきましては、御趣旨を十分尊重して善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/130
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131・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/131
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132・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
暫時休憩いたします。
午後三時四十三分休憩
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午後六時四十五分開会
〔理事大谷藤之助君議長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/132
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133・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
水質汚濁防止法案を議題といたします。
渡辺武君から、委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容は、お手元に配付のとおりでございます。
本修正案を議題といたします。渡辺君から修正案の趣旨説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/133
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134・渡辺武
○渡辺武君 日本共産党を代表して、水質汚濁防止法案に対する修正案の提案理由を御説明いたします。
本法案は、旧水質二法に比べ一歩前進しておりますが、なお多くの点で不徹底な個所を含んでおります。わが党は、人の健康と生活環境をさらに徹底して守るため、本修正案を提出した次第であります。
修正の第一点は、第三条第一項で、排水基準は環境基準が確保されるように定めることを明文化した点であります。これは、国もしくは都道府県知事が定める排水基準を、環境基準を確保達成するために実効あるものとし、また環境基準も単なる望ましい基準ではなく、現実に達成されるべき実行目標とすることを趣旨とするものであります。また、同じ趣旨に基づいて個々の特定施設ごとに排出水を規制するだけでなく、排出水の総量を規制するために、同条第二項で、排水基準は「特定事業場から排出される排出水の量に応じ」て定めるという趣旨に改め、さらに新しく設置した同条第三項では、「排出水の量が多い特定施設ほどきびしい許容限度が適用されるよう定めるものとする」という規定を入れたのであります。
修正の第二点は、都道府県の権限を一そう強化した点であります。すなわち、本法が都道府県知事に認めた排水基準についての上乗せ権をさらに環境基準についても認めて、各都道府県で実情に合った対策が徹底できるようにしたのであります。また、特定施設の設置を届け出制から許可制に改め、知事の完成検査の確認を受けた後でなければ使用してはならないなどとしたのであります。
修正の第三点は、新しく第三条第八項、第九項を設置し、二以上の都道府県の区域にまたがる広域的な汚濁防止のために、知事は、関係都道府県に対して排水基準をきびしくすることを要請することができることとし、また、その要請を受けた都道府県は、これを尊重して排水基準をきびしくするようつとめなければならないこととしたのであります。これと関連して、経済企画庁長官の排水基準に関する勧告は、都道府県が定める排水基準をきびしくすべきことに限ることに第四条を改正したのであります。
その他排出水の汚染状態についての企業の報告義務、住民の閲覧権など所要の改正をしたのであります。
以上、慎重な御審議の上、可決くださらんことを強く希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/134
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135・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) それではただいまの修正案に対し質疑のおありの方は順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、これより原案並びにただいまの修正案について討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/135
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136・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。
それではこれから採決に入ります。
まず、渡辺君提出の修正案を問題に供します。渡辺君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/136
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137・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 少数と認めます。よって、渡辺君提出の修正案は否決されました。
それでは次に原案全部を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/137
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138・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
竹田君から発言を求められておりますので、この際これを許します。竹田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/138
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139・竹田現照
○竹田現照君 ただいま可決されました水質汚濁防止法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党共同提案による附帯議案を提出いたしたいと存じますので、御賛同をお願いいたします。
案文を朗読いたします。
水質汚濁防止法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行にあたり、次の諸点に留
意すべきである。
一、水質汚濁防止の実効を期するため、工場立
地の適正化を図るとともに、汚水処理施設とく
に中小企業向け処理施設の開発に努めること。
一、下水道整備計画を促進するとともに、地方
公共団体に対する財政援助に特段の配慮を講ず
こと。
一、水質汚濁防止に万全を期するため、とくに
地方自治体の機構、人員、予算等の充実を図る
こと。
一、中小企業に対しては、汚水処理施設に関す
る税の減免ならびに金利および償還期限等の融
資条件について特別の措置を講ずること。
一、鉱山保安法、採石法その他本法に関連する
法令をすみやかに整備して、水質汚濁防止に万
全を期すること。
右決議する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/139
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140・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) ただいま竹田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
竹田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/140
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141・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 全会一致と認めます。よって、竹田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、佐藤経済企画庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許可します。佐藤経済企画長長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/141
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142・佐藤一郎
○国務大臣(佐藤一郎君) 政府といたしましては、ただいまの附帯決議を尊重し、水質汚濁防止対策の推進にさらに努力を重ねてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/142
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143・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/143
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144・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/144
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145・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 次に、請願第三二〇号外二件を議題といたします。
本件につきましては、便宜理事会においてあらかじめ慎重に検討いたしました結果、請願第三二〇号、第三三九号、第四一四号については、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。
この際、おはかりいたします。ただいまの請願第三二〇号、第三三九号、第四一四号は、理事会決定のとおり、いずれも議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/145
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146・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/146
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147・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/147
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148・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 継続調査要求に関する件についておはかりいたします。
産業貿易及び経済計画等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/148
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149・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/149
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150・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/150
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151・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) この際、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
三井鉱山砂川鉱業所におけるガス爆発事故の実情調査のため、閉会中、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/151
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152・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。
なお、派遣委員の人選、派遣の時期及び議長に提出する委員派遣要求書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/152
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153・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時五十三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106414461X00719701218/153
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