1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年十月二十九日(金曜日)
午後零時三十分開議
出席委員
委員長 齋藤 邦吉君
理事 宇野 宗佑君 理事 木野 晴夫君
理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君
理事 山下 元利君 理事 松尾 正吉君
理事 竹本 孫一君
上村千一郎君 奧田 敬和君
倉成 正君 佐伯 宗義君
坂元 親男君 地崎宇三郎君
中川 一郎君 中島源太郎君
松本 十郎君 三池 信君
村上信二郎君 毛利 松平君
森 美秀君 吉田 重延君
吉田 実君 阿部 助哉君
佐藤 観樹君 藤田 高敏君
堀 昌雄君 貝沼 次郎君
伊藤卯四郎君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
出席政府委員
大蔵政務次官 田中 六助君
大蔵省主計局次
長 平井 廸郎君
大蔵省主計局次
長 吉瀬 維哉君
大蔵省主税局長 高木 文雄君
大蔵省理財局長 橋口 收君
委員外の出席者
大蔵委員会調査
室長 末松 経正君
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本日の会議に付した案件
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇号)
農業共済再保険特別会計における農作物共済に
係る再保険金の支払財源の不足に充てるための
一般会計からする繰入金等に関する法律案(内
閣提出第一九号)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/0
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001・齋藤邦吉
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
租税特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案及び農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案の各案を議題といたします。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/1
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002・齋藤邦吉
○齋藤委員長 これより各案について、政府より提案理由の説明を求めます。田中大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/2
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003・田中六助
○田中(六)政府委員 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案外二法律案について、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
初めに、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
政府は、アメリカ合衆国における輸入課徴金の賦課等の国際経済上の調整措置の実施により、事業活動に支障を生じている輸出関連の中小企業者に対して総合的な措置を講ずるため、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案を提出して御審議を願っているところでありますが、これとの関連におきまして、税制上、純損失または欠損金の繰り戻しによる還付制度の特例等を設けることとし、この法律案を提出いたした次第でございます。
以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
第一は、純損失または欠損金の繰り戻しによる還付制度の特例であります。
現在、青色申告書を提出する個人または法人につきましては、純損失または欠損金が生じた場合には、既往一年間の所得につき納付した税額のうちこれらに対応する税額を還付する、いわゆる純損失または欠損金の繰り戻しによる還付の制度が設けられているところでありますが、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律により、アメリカ合衆国における輸入課徴金の賦課等に伴って事業活動に支障を生じているとの認定を受けた中小企業者及び資本金一億円以下の法人でこれに準ずるものについては、一定期間内に生じた純損失または欠損金に限り、繰り戻しによる還付を既往三年間にさかのぼって認めるというものであります。
第二は、事業の転換を行なう場合の施設の償却の特例であります。
すなわち、中小企業者が現に営んでいる事業を転換するため、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律により、事業の転換計画について認定を受けた場合には、その計画に従って処分することとなる施設について、計画期間内に償却できることとしております。
次に、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
政府は、最近における経済情勢にかんがみ、去る十月十一日税制調査会から提出された当面の税制改正に関する答申に基づき、景気振興策の一環として相当規模の所得税減税を早期に実施するため、千六百五十億円の所得税の年内減税を行なうこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
今回の年内減税にあたりましては、所得税制の基本的方向を踏まえて、できるだけ幅広く減税効果が及ぶように配意することとし、昭和四十六年度当初の改正に引き続き所得控除の引き上げを行ない、あわせて税率の緩和をも行なうことといたしております。
まず、所得控除の引き上げでございますが、本年度の当初改正に続き、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除をそれぞれ平年分で一万円、昭和四十六年分で七千五百円引き上げることとしております。この結果、たとえば、夫婦と子供二人の給与所得者の課税最低限は、本年度の当初改正によりまして、昨年の約八十八万円から約九十六万円に引き上げられておりましたのが、さらに約百万円に引き上げられることになります。
また、障害者控除等の特殊な人的控除につきましても、一般的な控除にあわせて引き上げを行なうこととしております。すなわち、障害者控除、特別障害者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除及び配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族の控除をそれぞれ平年分で一万円、昭和四十六年分で七千五百円引き上げることとしております。
次に、税率の緩和につきましては、一〇%の最低税率から二%ずつの税率の上昇となっている部分が適用される所得階層が、現在三十万円刻みとなっておりますのを、四十万円刻みに拡大することとし、これに伴いまして、その上の階層についても均衡のとれた税率構造に改めることとしておりますが、課税所得金額千二百万円をこえる階層については現行どおりに据え置くことといたしております。この結果、ある程度広い範囲の納税者について所得水準の上昇に伴う負担の累増が緩和されることになります。
以上の改正による昭和四十六年分所得税の減税につきましては、給与所得者については年末調整の際に、事業所得者等については確定申告の際に負担の軽減を受けられることになっております。
最後に、農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案について申し上げます。
昭和四十六年度におきまして、北海道を中心とする異常低温及び全国各地における集中豪雨、台風等により水陸稲の被害が異常に発生したことに伴い、農業共済再保険特別会計の再保険金の支払いが著しく増加するため、同会計の農業勘定の支払い財源に不足が生ずる見込みでありますので、一般会計から四十九億四千二百十二万円を限り、同勘定に繰り入れることができることとするとともに、同勘定における積み立て金を歳入に繰り入れることができることとしようとするものであります。
なお、この一般会計からの繰り入れ金につきましては、将来、農業共済再保険特別会計の農業勘定におきまして、決算上の剰余が生じた場合には、再保険金支払基金勘定に繰り入れるべき金額を控除した残額を一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。
以上が、租税特別措置法の一部を改正する法律案外二法案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/3
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004・齋藤邦吉
○齋藤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
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005・齋藤邦吉
○齋藤委員長 租税特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案の両案について質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/5
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006・堀昌雄
○堀委員 大蔵大臣にお伺いをいたします。
この臨時国会に、補正予算に伴って、今回千六百五十億円の所得税減税案を提案されました。その主たる目的は一体何か、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/6
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007・水田三喜男
○水田国務大臣 政府は、不況対策として、公共事業費の繰り上げ及び公共事業費のさらに事業量の増加というような措置をとっておりますが、それにあわせて、国民の可処分所得をこの際増して景気に刺激を与えるという減税政策が、やはり不況対策として非常に有効であるということを考えまして、来年度に予定されておった所得税減税を繰り上げて年内に実施するということを最後にきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/7
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008・堀昌雄
○堀委員 いまおっしゃったことを所得税に関してだけ申し上げると、不況対策として、可処分所得の増加が個人消費をふやして、個人消費をふやすことが需要を増加することになるから景気対策として有効である、こういう判断に基づいて所得税減税を行なった、こういうことですね。そこのところだけもう一ぺんちょっとお答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/8
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009・水田三喜男
○水田国務大臣 可処分所得をふやすという方法は他にもたくさんございますが、しかし、これが補正予算をもって対処することがいいか、もうすぐに来年度の予算編成が迫っておりますので、その際に考えるのがいいかということを考えた結果、今回は所得税だけに限るという方針をとったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/9
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010・堀昌雄
○堀委員 私は前回も触れたわけですが、可処分所得をこの際ふやす方法は、いま大臣がおっしゃったようにほかにもあるわけですね。まず第一は、この国会にかかっておるところの公務員給与、これは率その他は人事院勧告そのままにするとしても、五月実施というのを四月実施に繰り上げれば、それだけ可処分所得は公費——国家公務員、地方公務員合わせて相当な人たちに可処分所得として増加になる、こういうことで、ぜひそういうふうにしていただきたいとお願いをしたけれども、それは見送られた。それは当面のここの審議ではありません。しかし、減税は少なくとも可処分所得の増加が需要につながるということが前提でなければいけませんね。それでなければ需要につながらない可処分所得の増加を考えてみても、それは不況対策にはならない、私はこう思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/10
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011・水田三喜男
○水田国務大臣 それは需要につながることが最も望ましいことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/11
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012・堀昌雄
○堀委員 事務当局にちょっと。主として大臣に伺うのですから、事務当局とはあとでゆっくり論議をいたしますから、簡単に答えてください。
いま八百三十五億が基礎控除の引き上げ、その他の控除の引き上げに充てられておりますから、これは下からずっと、特に下のほうに影響をもたらして減税効果が非常に大きい。そのことは、いまの所得階層別にものを見ますと、実際に減税イコール可処分所得の増加が直ちに消費にはね返る層は、七百万円や一千万円の所得層ではないと私は思うのです。要するに、収入と実際に要る生活費とがぎりぎりになっておるところは、収入イコール可処分所得がふえれば直ちに消費に転化する。しかし、年収五百万円、七百万円、一千万円のところは、五百万円の収入のある人が五百万円使い切っておるとは私は思わない。大体三百万円なり四百万円なりは使うけれども、あとはほとんど貯蓄に回るというのが現状だと思うのですね。
そこで伺いたいのは、問題は税率の緩和なんですが、税率の緩和の項で、あとでこまかいことを聞きますから一番簡単に伺うのは、三百万円超のために一体幾らの財源を使ったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/12
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013・高木文雄
○高木(文)政府委員 ただいまのお尋ねに対するお答えの適当な資料を持ち合わせておりませんが、控除と税率と両方合わせまして、いい統計がございませんのでいろいろ推計を重ねますと、千六百五十億円のうら、五百万円超で大体三百四十億から五十億ぐらいという推計が一応手元に出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/13
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014・堀昌雄
○堀委員 大臣、よろしゅうございますか。五百万円超でもよろしいですが、実は、今度の減税案というのを、各所得階層別で所得一万円当たり一体幾らの減税になっているのか計算してみますと、こういうことになると思う。夫婦子供二人の、われわれの考えておる標準世帯ですが、百万円のところで二万円当たり二十七円、百五十万円で三十四円、二百万円で四十三円、三百万円で九十四円、五百万円で百七十六円、七百万円で二百三十六円、一千万円で二百二十八円。これを、百万円の一万円当たり二十七円を一〇〇としてみますと、百五十万円が一二六、二百万円が一五九、三百万円三四八、五百万円六五一、七百万円八七四、一千万円八四四。要するに今度の減税は、皆さんのほうは二百万円から三百万円のところに焦点を合わせて税率の調整をしたい、こう言っておられる。実際に出てきている中身は、要するに所得別一万円当たりの減税は、いま申し上げたように七百万円のところが一番よくきいておるのです。そしてそのきき方は、百万円の人の一〇〇に対して八七四。七百万円、一千万円には八倍も減税効果が及んでおる。五百万円で六倍、三百万円のところで三・四倍、こういうきき方になっているわけです。よろしいですか。いまのは、私は三百万円で計算をしておるのですけれども、いま五百万円と言われたから、五百万円から一千万円という階層というのは、給与所得者と申告所得者と合わせて、昭和四十四年分では四十九万人しかいないのです。いま言われた三百五十億という金が、四十四年で四十九万人、いまふえて倍にしても八十万人ぐらい、全納税者はその当時二千六百万人ですから、当時で見れば五百万円超の所得者というのはわずかに一・八%しかない。一体これがあなたがいまおっしゃった、要するに減税をして可処分所得をふやすことによって消費につながり、需要につながるかといったら、三百五十億円というのはむだづかいじゃないですか。
私は当初あなたに、九月二十二日、あなたがワシントンにお出かけの前の日に、年内減税をぜひしていただきたいといって要請に行きました。そのとき私は、そういうことが起こると思ったから、控除だけでしていただきたいというふうに強く要請したわけです。ここでわれわれが年内減税をしなければならぬという最大の必要は、あげて、いまあなたが前段でおっしゃったような、どうやって可処分所得を広い範囲でふやし、直ちにそれが消費につながり、その消費が直ちに需要になって、多少でも景気上昇の引き金にならないかということが、この所得税減税の最大の目的であったと思うのです。それを、いま主税局長の答弁でも約三百五十億というものは、これは貯蓄には回るかもしれないけれども、消費に直ちに回るような性格のものではないわけです。人数は、四十四年分で見れば約五十万人。いまは主税局長、四十六年度で五百万円超の所得者の給与、申告の納税者数は、推定幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/14
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015・高木文雄
○高木(文)政府委員 ちょっといま、大体の見当でも、給与の上がり方が大きいので見当をつけかねておりますので、ごかんべん願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/15
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016・堀昌雄
○堀委員 ですから大臣、私はこういうような税制改正はこの際改めていただいて、税率の問題はあとへ延ばしてもらいたいと思うのです。大臣は、きのうでしたか、過去の税率の関係もあるから、こうおっしゃっているのですけれども、四十五年の税制では、決して上のほうの税率緩和がほっておかれたわけではないわけです。四十五年のやはり四人家族で所得別の軽減税率を見ますと、百五十万円で一八・七、二百万円で二一・一、三百万円で二〇・〇、五百万円で一八・二、七百万円で二二・六、こういうふうに、四十五年の税制改正では、軽減税率は上のほうにけっこう働いておるわけなんです。四十六年度の当初の分は、これは基礎控除だけですから確かに働いていないけれども、私は、あなたが最初に言われたような考え方ならば、当然これは控除だけで行なうことが、景気対策としては最も必要な処置ではなかったか、こう思うのですが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/16
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017・水田三喜男
○水田国務大臣 私も景気対策ということだけから考えましたら、そういう考慮も必要だろうと思います。そこで、一番最初に考えましたことは、この際、いままでのような所得税の改正ではなくて、臨時の減税として、たとえば二百万以下が何割、幾らから上は何%というふうに、差をつけた一回きりの臨時の減税が、むしろその目的に沿うのではないかということを考えて、いろいろ研究いたしました。ところがむずかしいことは、一ぺん臨時の減税をやりますと、今度は現行の所得税法に沿った新しい次の改正をやるというときに、いろいろの支障が出てくる。それを一応考えてみますと、今回臨時減税によって減税になった人が、今度は本法の改正のときに増税になるという階層が出てくるし、いろいろそこに問題が出てきますので、次の所得税改正ということを考えると、なかなか臨時減税というものはむずかしいということになりましたので、結局制度である以上、やはり次にも通ずる、後年度にも通ずる税制の改正で対処するよりほかないという考えにまた最後は変わって、こういう形になったわけでございます。その場合でも、やはり私は年度内減税に今度は終わりたい、減税を来年度に残したいと考えておりましたが、それはあなた方のほうからもいろいろ要望がございましたし、その点を考えて四分の一の減税ではいま言った目的には達しないので、そうなればもうこれは思い切って年内減税に踏み切って繰り上げの減税を行なうことがいいんじゃないか、こう考えて、当初予算でやったときの減税と同じくらいの幅を今度年内減税でもう一回やるということにいたしますと、税率の問題でも同じ年度内に二度行なうわけでございますから、この二つをいろいろ勘案して、その均衡をはかるということをやることがやはりいいことと考えてやってみますと、ああいうことになる。二百万程度の所得者が非常に今度は減税率が低いようで、三百万が多くて百五十万が多い、その間ではさまっておるようですが、最初の年度初めの減税とあわせて考えましたときには、税率の緩和はなだらかになって、二百万前後の人が特に減税率が少なくなっておるということはございませんで、姿は直されておりますので、そういう形をとったということでございます。特に高額所得者への減税を企てたわけではございませんが、現行の所得税を臨時減税ということによらないでこれを訂正しようということになりますと、やはり控除によるものと税率によるものと、二つを考える以外には適当な方法はないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/17
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018・堀昌雄
○堀委員 たいへん歯切れの悪い答弁ですが、時間がありませんから、もう一つ重ねて伺いますが、来年の減税は、いまこういう減税はここでして来年減税をさらにされるつもりがあるのか。いまの私の感じでは、こういう減税のしかたをすると来年は減税しないでほおかぶりでいくことになるのじゃないか、こういう感じがするのです。ここでひとつあなたは、来年の自然増収の見通しなどというものは、おそらくそう十分なものはないと私も思っています。そうすれば公債発行のワクの問題だけ、こういうことになるでしょう。ですから、そこの間の問題で、減税をやられる意思があるのかどうか、ちょっとそれだけ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/18
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019・水田三喜男
○水田国務大臣 これだけ歳入欠陥が出ておるときに年内減税という処置はけっこう思い切ったものでございまして、通常ならこれはやることではないだろうと私は思います。したがって、これは来年度の問題として考えておりましたが、こういう経済情勢でございますので、これを本年度繰り上げてやるという考えで今度の減税案をつくったことでございますから、これは当然来年度適用される減税案だというふうに私は考えております。
じゃ、来年減税をするつもりはないかと言われるのですが、今度の減税が来年に続くということによって、来年度の平年化は四千億以上の減税に事実上はなっております。私としてはこれを来年度適用すれば、それで来年度は減税になっておるわけでございますから、これ以上の余裕が来年度の歳入の見込みからはむずかしいのじゃないかというふうに考えていますが、きのうも答弁しましたように、税制は税制調査会にかける問題でございますし、またそういう案をいかに出してもきめるのは国会でございますから、来年は来年でまた何らかの手直しをされるかどうか、そういうことはこれはまた国会のされることでございますから、私どものほうとしてはそういう気持ちで今度の減税案を出したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/19
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020・堀昌雄
○堀委員 いまの答弁で、これは来年度減税を繰り上げてやったんだ、来年は新たな減税は四十七年度当初には行なう意思はない、こういうふうに確認してよろしいですね。——答えてください。それを速記に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/20
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021・水田三喜男
○水田国務大臣 大体そのつもりで提出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/21
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022・堀昌雄
○堀委員 最後にもう一点だけ、ちょっと理財局にお伺いをいたします。
昭和四十一年に六千七百五十億円の国債が七年もので発行されました。これは昭和四十八年に償還をすることになりますね。これは四十八年にやはり六千七百五十億円まるまる償還ということだと思いますが、理財局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/22
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023・橋口收
○橋口政府委員 四十二年に歳入補てん債として発行いたしました約二千億円がございますが、これにつきましてはその後の国債整理基金特別会計の金繰り等勘案いたしまして相当額は償却いたしておりまして、現在の残高約千億程度でございます。
四十一年度に発行されました国債の四十八年度の償還につきましては、今後どういう方針をとるか検討いたしておりますが、御承知の定率繰り入れという分がございまして、発行残高の百分の一・六は毎年繰り入れとして一般会計から金をもらっているわけでございます。したがいましてそれの七年分が累積をいたしておりますから、大体一割程度は現金として確保されているわけでございます。そのほかに剰余金の二分の一とか、あるいは予算繰り入れ等相当の額が国債整理基金特別会計に留保してございますので、四十八年度以降どういう償還なり借りかえの方針をとるかは今後の問題でございますが、少なくとも一割程度は現金償還ができるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/23
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024・堀昌雄
○堀委員 そこで水田さん、私は四十七年度でなく四十八年度の財政のことをちょっと聞いておきたい。
いま公共事業をどういうふうに伸ばすかは別ですが、公共事業をもしかりに二〇%ずつ伸ばすということに仮定をいたしましょうか。そうすると本年度の公共事業としては一兆六千八百億くらいですから、来年度が約二兆百六十億くらいになりますか、それを二〇%伸ばせばその次は二兆四千億くらいになるのですね。二兆四千億になる中で、いまの六千七百五十億、七百五十億落としたとしましょう。六千億借りかえしなければいかぬわけですね。二兆四千億から六千億借りかえするということは、四十八年に実質的に公共事業として新たに発行できる国債というのは、六千億だから一兆八千億、こういうことになるわけですね。ことしは総計で一兆二千二百億皆さんのほうでは出される。来年度はどういうふうになるか、これからの予算の問題でありましょうけれども、二兆円をやや下回る国債ということでなければ来年度は処理ができないだろう。そういうような財政構造でいって、その次に一兆八千億にぽんと落として
一体予算が一あなたはきのうの話で早くやめたほうがいいのだという話だから、四十八年の予算をやられるかどうかそれは疑問だけれども、大蔵大臣の立場としては、この際やはり四十八年度の予算も考えておいていただかなければいかぬのですが、ここでは私は財政収入の欠除というか、非常に不足をしてくる情勢になると思うのですね。これにあなたのほうでは税で対処するという考えがあるのかないのか。もし税で対処するとすれば、その税は何かということをちょっと伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/24
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025・水田三喜男
○水田国務大臣 まず今後の予算の伸び率の問題でございますが、いままで成長時代に毎年相当大きい伸び率をもって予算が編成されておりましたが、もう予算全体の絶対額が非常に大きくなっているんですから、根っこが大きくなったときに同じような率で今後伸びるということは考えられません。同様に、いままで公共事業も二割ずつ伸びておったから今後もずっと二割続けるかというと、そうではなくて、大もとが非常に大きい数字になっておるのですから、率としては今後その率のとおりにはいかないということになるだろうと思います。そうしますと、また一方、政府の持っている長期計画と財政の編成のしかたが合わないんじゃないかというような問題も起こすと思われますので、私は政府の長期計画もここでもう一ぺん見直しをやらなければならないと思っています。きょうもその話が出ましたが、日本経済が大きくなって、GNPがあれだけ大きくなるのに、毎年何%の伸び率ということを見ていろいろ計画されておりますが、それでいったらたいへんなことであって、この数字が発表されているだけでも、今度私は国際交渉をやってつくづく思ったのですが、日本のこの計画は何だ、あと五年たったら世界の黒字を全部日本がさらって、世界各国は国際収支が全部赤字にならなければならないじゃないか。いろんなものがここから出てあれを指摘されましたので、とうとう私は、これはずさんな計画であって当然早晩変更されるだろうが、これは当てにしてくれるなと言ったのですが、たいへんな計画になってしまうのでありますが、こういうことは現実にあり得ないと思うので、やはりそういうものを現実にあり得る計画にするということになりますと、予算の編成方針もこれによって変わってくるということが一つと、もう一つは、いま言われましたように、今後のものを全部国債でまかなうということはやはり問題でございますので、そうなりますと、財政方針を変える、社会資本の充実に力を入れるということになりますと、いままでの成長期時代には何とかやってこれましたが、自然増収のあるときにはやってこれましたが、きょうの予算委員会でも出ましたように、健康保険財政以下、食管問題にしましても何にしましても赤字を出して、未解決の赤字がもうたれ流しで出てくるというようなだらしない会計を国がやっておる余裕というものは今後ない。こういう問題をもう厳密にきちっとするんでなかったら、今後の財政にはたえられないということも考えられますので、財政政策を転換するということは簡単でございますが、それをほんとうにやるということにしましたら、これは思い切ったたいへんな仕事をこれから覚悟しなければならぬだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/25
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026・堀昌雄
○堀委員 それはわかります。その話と、具体的には長い話じゃないのですからね、来年、再来年ですからね。来年の問題はあとでまたゆっくり聞くとしても、ちょっと気になるのは、要するに四十八年に国債は弾力性がなくなるわけですね。それからは御承知のように四十一年からのやつが毎年出てくるわけですから、だからここでは完全に弾力性がなくなる。そこで、あなた方のほうでは、弾力性がなくなったもののカバーは税金でやるということになれば増税しかないのですね。だから、四十八年から増税することになるかどうかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/26
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027・水田三喜男
○水田国務大臣 償還期限の来た国債は、従来もそうでございますが、必要な限りは借りかえという措置を講ずる考えでおりますので、それはそう心配はないんだろうと思いますが、しかし、今後の発行余力というものが縮まってきた場合に増税という問題が起こるかということについては、私は起こるというふうに思っております。
直接税はもうあと四、五年で行き詰まるのじゃないか、直接税による財源の調達というものは行き詰まるのじゃないかと思いますので、そうしますと、国民所得水準が上がり、そうして国民の消費生活が多様化し、相当水準が上がってきているという事実がさらに一そう出てくるというようなときには、やはり国民の生活環境を整え、自分の環境をよくするというようなものへかかる費用というようなものは、国民が何かの形でこれを負担するということを考えますと、やはり一般消費税というようなものが今後は研究されてこないと、行き詰まってしまうような気がいたしますので、そういう意味でこの研究を税制調査会には始めてもらっておるんですが、そうかといって、これはむずかしい問題で、ここ一、二年で実施案ができるというような問題でございませんから、相当長期的な観点でこの問題と取り組んではおりますが、必要性というものは必ず四、五年先に私は出てくるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/27
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028・堀昌雄
○堀委員 いや、私は四、五年先の話をしていないんです。私が四十八年度と言ったら、あなたは増税が必要だろうとはっきりお答えになりましたね。そうすると、その増税は何でするのかということを聞いているんです。それは直接税でするのか、間接税でするのか、大まかにどちらでということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/28
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029・水田三喜男
○水田国務大臣 まだ四十八年度のその問題までは、私ども具体的なことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/29
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030・堀昌雄
○堀委員 要するに、そうすると、四十八年度増税をしなければならないようになるだろうけれども、それについての具体的な税の種目は現在考えていない、そういうことですね。——はい、けっこうです、大臣の答弁は。
いま国債関係をやっていますから、ちょっとここだけを引き続いてやっておきたいと思います。
理財局長にお伺いをしますが、さっき私、借りかえの話をしましたけれども、借りかえというのは、具体的にはこれは七年国債ですから、一回償還になりますね。償還になるから、次に出るものは新規に国債を発行するという手続になるというのは間違いがありませんから、私が言ったように、四十八年度における財政法四条に基づく国債発行というものは、そのときの国債発行に見合う公共事業のワクから、いまの六千七百五十億からマイナスアルファ、ここは動くでしょうが、一〇%程度というものをここで差し引いた約六千億くらいがいまの公共事業として予算総則等で書いておるものから差し引きになって、実質的その年度における新たな国債発行というものは、要するにその差し引きされた残りだ、こういうふうに私は理解をしておるんですが、それでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/30
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031・橋口收
○橋口政府委員 昭和四十一年度以降は建設国債として発行いたしておるわけでございますから、公債で調達した施設の耐用年数は、おおむね平均しまして六十年というふうに考えております。したがいまして、六十年に見合う期間は原則として国債は借りかえで対処したいというのが基本的な考え方でございます。ただ、借りかえ債につきましては、国債整理基金特別会計の負担において起債をするということが許されておりますので、四十七年度以降建設公債の償還の財源に必要な国債の発行は、整理基金の負担において発行できる、一般会計で発行される国債とは別に、整理基金の負担の国債が発行されますし、また、日本銀行にオペで吸収されております国債につきましては、予算総則でお許しを得まして、日本銀行引き受けで国債を発行できるような体制ができております。したがいまして、先生が御心配になりますように、マーケットに対して四十八年度債と借りかえ債とが競合するということは万ないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/31
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032・堀昌雄
○堀委員 きょうは税法ですから、これは日を改めて——国債発行の諸問題は、ちょっとそれでは問題があり過ぎる。七年債といいながら、実質的にはそれが六十年債と同様な効用を持つなどということは、財政法の期待しておるところでもないしするので、それではあらためて別の日の論議にいたします。
そこで、それでは主税局にもう少し今度は具体的にお伺いをいたしますが、要するに今度の税率改正によりまして、一〇%の税率のものが現行は三十万円以下のところが一〇%。三十万円以下の金額ということは要するに一円から三十万円までの間は一〇%の税率がかかる、こういうことになっておるわけですね。そうすると、今度改正で一〇%のところは四十万円以下の金額が一〇%になりましたから、これまでの考え方からすれば三十万円から四十万円の間は実は一二%の税率であったから、三十万円から四十万円に至るまでは二%税率の軽減の恩典に浴したわけですね。しかし三十万円以下は今度は税率を改正した恩典には何も浴しない。この三十万円の部分に該当する所得階層、独身者、夫婦と子供一人、二人、三人、こういうふうに見て税率改正の恩典に浴さなかった層の所得対象人員というのはどのくらいで、その所得金額というのは一体どのくらいあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/32
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033・高木文雄
○高木(文)政府委員 税率別家族構成は統計を持っておりませんものですから、いまおっしゃいます三十万円、現在の段階でちょうど一円から三十万円までの所得階層の人の家族構成別の人員というものを把握しておりません。したがって、申しわけございませんが、その数字を持っていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/33
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034・堀昌雄
○堀委員 この審議が終わるまでに、最後にもう一ぺん締めくくりで私、質問させていただくので、ひとつ一ぺんこれを推計してもらいたいのです。ここが実は今度は四十万になりますから、要するに一〇%というところの税率を受けておる人が、今後いつも要するに疎外をされるということになってくるわけですね。ここは税率改正がいつもきかなくなってくる。おそらくこの次はこの四十万を五十万にし、六十万にするような時期がくると思うのです。きても上からおりてきたものだけはごくわずかに減税の恩典に浴するけれども、根っこに残っておる三十万の者は何回やっても恩典に浴さないということになる。そうすると、私はこれは非常に問題があるところだと思うのです。その下はゼロなんですよ。要するに一円から下はゼロなんだ、税がかからないわけだから。税のかからないところからその次の段階の一〇%部分のところはぐんと税金がかかるわけですよ。税金がかかっておりながら税率改正の恩典にはいつも取り残される。こういう層が年々広がってくる可能性が実はあるわけです。だからこれはひとつこまかい分析を一ぺんしてもらいたいと思う。
私、ちょっと自分で調べてみたけれども、「民間給与の実態」というので調べてみますと、この中には要するに「配偶者のある納税者」として五百万円までしか出ておりませんが、五百万円までについては配偶者がある者の扶養者数に伴った家族構成の人員が所得階級別に出ているわけですね。独身者も出ています。配偶者のない、しかし被扶養者のある人もここに出ておるわけですね。これは私は計算すればこれだけの資料があるのだから——これは四十四年の資料ですが、四十五年の九月の発行ですから、ことしの九月には四十六年分が出ておるのだろうと思うのですが——まだ出てない。もう出るでしょう。これはずっと見ると毎年——私のところにもないから、四十四年分で計算してみたのだけれども、国税庁は四十五年九月、その前は四十四年九月と、ずっと出しているところをみると、当然あるはずですね。だから、これをもとにして一年分くらいは推計できることでしょうから、推計をして、一ぺんここの層を少しはっきりつかんでもらいたいと思うのですよ、独身者でどうだとかいうように。私は、ちょっとここで概算してみますと、「配偶者のない納税者」というところで見ると、大体基礎控除が三十九万二千七十八円、そのくらいに今度なるわけだから、それに三十万を足すと、七十万円以下で四十万円のところまでが実は今度の改正に入るわけですね。四十四年分で見ると、独身者が六百九十七万四千人おりますよ。四十四年分でいま私が言った独身者で課税所得でなしに所得が七十万円から五十万円の者が三百九万四千人、五十万円と四十万円の間が二百三十六万七千人。だから、そうすると五百四十五万人の独身者は、実は今度の税率改正には、このときといまは多少違うでしょうが、四十四年分で見たとして、それだけくらいの者が実は減税の恩典に浴しない、こういうことが起こるわけで、これは配偶者のある人、その他ずっと階層別にとってみれば、かなりの層が実はここで所得税の税率改正の恩典に浴さない。そうして基礎控除が上がってくるたびにそこから端っこはストンとゼロになる。それからふあっとここの部分だけ課税されて、それからあとはまた減税を受けるというきわめて気の毒な層が毎年出る。ですから私は、この際ここを一挙に五%おろせと言うのは、あるいは無理かもしれない。そうすれば、何らかのかっこうで一応それを財源の関係もあろうけれども、一〇%の下にもう一ぺんやっぱり少し段階をつけて、できれば何年かの後には五%くらいの刻みになればその幅はぐっと平らかになる。こういうことなので、私は、少なくともこの点いま一〇%階層の分析というものをこの際やってみて、そうしてその中から今後の税率改正の中で、そういうギャップが残らない税率改正というものを考えておく必要があるのじゃないか、こう思いますけれども、ここらについて主税局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/34
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035・高木文雄
○高木(文)政府委員 ただいまの御指摘の点は非常に大きな問題点でございます。そこでなかなかそういう資料がむずかしいのでございますが、いろいろ推計をお許し願って出してみたいと思います。ただ、まさにその点がいまの所得税の構造の問題点でございまして、ある意味から申しますと、さればこそ所得税を直しますときには税率と控除の組み合わせをある程度考えていきませんと、控除だけでやりますと、またほかのところにひずみが出てくる。税率だけでやりますと、いまおっしゃったところにひずみが出てくる。そこでどの程度に税率と控除とを組み合わせながら、だんだん名目的に給与が伸びたり、所得が伸びたりすることによる負担の増というものを軽減していくか。従来は戦後長年財政の事情等もございまして、かなり課税最低限が下のほうにございました関係上、早く課税最低限を少し上へ上げたいということで控除中心に見たわけでございますが、これからは私は、諸外国とのバランス等から見ましても、控除と税率との適当な組み合わせによってだんだん所得税の構造を直していく時期に入ってきたのじゃないかと思いますので、その意味から申しましても、いまの御指摘の点は非常に問題だと思います。
さて、それでは最低税率を下げるのがいいのかどうかという点につきましても、これは個々においては現在の一〇%よりも低い最低税率を使った時期もあるわけでございまして、そのときにはそのときなりに、あまり複雑になるからということで、簡素化する趣旨や最低税率のあり方等を考えていまのところに持ってきたのだと思いますので、御趣旨のようにしていきますと、絶えず低いほう低いほう一つずつつくっていかなければならないことになるわけでありますので、そこで過去に簡素化等をはかった経緯等も考えてみなければなりません。今後ともそれらの点もあわせて考えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/35
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036・堀昌雄
○堀委員 実はこれは、どっちかというと大体給与所得が主体なんです。いま申告所得と給与所得と比べると、給与所得が約二千万くらいですか、それに対して申告所得が四百万くらいですか、まあそんなものでしょうから、比重としては給与所得というものを総体で考えればいい。そうすると簡素化問題というのは、われわれはあのとき反対したけれども、結局できてしまった。簡素化、税の問題というのは、皆さんのほうがいま税法を急がれておるのは、源泉徴収のための表を早く印刷しなければいかぬから、早くあげてほしいという気持ちはわかるわけです。そのくらい実は簡素化されているわけだ。表を見れば八%とか一〇%とか関係ない。ちゃんと金額を独身者で幾らの月給なら幾らだというふうに皆さんのほうはたいへん親切に計算をするわけですから、見かけ上の何か一〇%の下に八%があったらおかしいのだとかという話は、実態面では私はあまり意味がないと思うのです。そうすると、税というのを公平な負担の原則ということから考えていくと、いまのゼロから次へ行くところがゆるいカーブで入っていくということが、非常にこれは——ここらは言うならば実は一番減税を必要とする層で、またその次の年には落ちていく可能性はありますよ、だんだんと。落ちていく可能性はあるけれども、所得はまだ一五%くらい伸びるわけでありますから、その関連から見ると、常にここらの層というところに実はずいぶんたくさんな納税者がいるという判断なんです。いまたまたまここで単純に独身者だけで見ても五百万くらいいるということは、あと家族構成で所得をずっとあれしてみれば、そこの幅にいる者というのが私はあと二、三百万いるのじゃないかと思うのです。そうすると納税者二千万の中で七、八百万もがそこにいるということになる。これはなかなか重大な問題ですから、税の簡素化というようなことで軽々に処理できる問題ではないということで、もう一ぺんここを見直す必要があるのじゃないか。戦前は御承知のようにスタートが二%でしたか、そのくらい。戦前は確か所得税の最低税率を二%くらいだったと記憶しているのですが、戦前はどうでしたか、ちょっと答えてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/36
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037・高木文雄
○高木(文)政府委員 いま手元の資料では二%かどうかわかりませんが、ただ頭はいま七五%でございますが、その当時の頭はたしか三六%だったと思いますから、税率全体が現在よりずっと低かったことは確かでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/37
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038・堀昌雄
○堀委員 ですから、この点をまず十分やっていただきたいのです。
それからもう一つ、私は今度の税制改正でどうしてこういう数が出てくるのからちょっとわからないので、皆さんのほうはいろいろ前提をとっておられるからかもしれませんが、給与所得者の現行昭和四十六年分と今度改正する昭和四十六年分というのがありますね。これの課税最低限が今度は三十九万二千七十八円になるのです。四十六年分は三十八万二千四十二円なんです。その差額が一万三十六円あるのです。ところが基礎控除だけしかここへ働かないとすると、これは七千五百円なのですね。七千五百円しか働かないのがなぜ一万三十六円、課税最低限で差が出てきたのか、これをちょっと説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/38
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039・高木文雄
○高木(文)政府委員 これはなかなか口頭で説明しにくいのでございますが、実は課税最低限は、たとえば控除で一万円上がりますと、給与所得者の場合の課税最低限は大体一万二千円から三千円くらい課税最低限としては上がる計算になります。それはなぜかと申しますと、給与所得控除の二割の定率というものが逆に働きまして、一万円控除がふえますと、ふえた分は収入が一万円ふえただけかといいますと、サラリーが一万円ふえるとまたふえた二割が給与所得控除がふえるわけですから、そこで大体八割で割ったような数字だけふえていくわけです。ですから、たとえば控除が四万円基礎控除でふえますと、課税最低限の計算では五万円ぐらい上がってくる、そういう関係になります。それは給与所得控除の定率部分の最後の一番下のところの二割の働きの関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/39
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040・堀昌雄
○堀委員 わかりました。私もちょっと七千五百円上がるのにしては、社会保険料控除なりいろいろなものもあるでしょうから、こまかいことはあれですけれども、二千五百円というのはちょっと大きいですから、どうしてこれが出てきたのか、なるほどいまのお話で二〇%のはね返りがありますから、そこはわかりました。
そこで、さっきちょっとかけ足で議論した今度の税率改正の問題点でありますね。今度は結局標準のわれわれの四人世帯で見ますと、さっきのお話は一万円当たりで出してみたのですが、実質的には百万円のところで二千七百四十円、百五十万円で五千百円ですか、二百万円で八千七百円、三百万円で二万八千二百五十八円、次は八万八千三百四十七円、だんだんふえてきて、やはり七百万円のところが金額としても非常に大きな金額になっておる。それを私は、これは事実上比較できないですからね、こういうものでは比較ができないから、所得一万円当たりにこれを置きかえてみれば非常に比較がしやすいということで、所得一万円当たりの軽減額というものをさっき割り出してみると、百万円のところに対して七百万円のところがある。これがピークで、八七四ということでピークになるのですね。これは一千万円までしか出してないけれども、この上は——しかし実質的には今度の税制改正の仕組みから見ると、実は一千万円のところから先はもうさわってないことに実はなっていますね。さわってないことになっているけれども、実質的には下からこういってきたのが、このままですとんとそこで落ちるわけがないと思うので、一千万円から上のほうの減税になる額というのを、ちょっとわれわれがいただいた資料では一千万円までしかないので、税率きざみではあとここは千二百万円というのが改正案では五〇%で出てくるわけですが、もう少し上のほうがどのくらい減税になっているのか、あわせて答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/40
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041・高木文雄
○高木(文)政府委員 ちょっといま手元に、いまおっしゃいましたのはこの案の四十六年分のところで二千七百四十円、五千百円と、この欄を横に追っていかれたわけでございますが、私の手元にありますのは、その下の平年分の数字が横に延びている数字だけでございますので、平年分の数字で申し上げます。
平年分のところの一千万の欄が三十万一千六百円と書いてございますが、その右に、隣三千万の数字を出してみますと、四十一万八千円になります。そうして五千万になりますと、四十二万円になります。それから率で申しますと、一千万のところで一〇・一という平年分の率が出てございますが、それを三千万の欄をとりますと二・九になります。それから五千万をとりますと一・六になります。そういうかっこうで、効果は減衰はいたしますが、その上にも及んでいくわけでございます。
それからちょっとお断わりをしておきたいのでございますが、先ほどおっしゃいました一万円についての軽減額が幾らになるかという点でございますが、それは私どもは割れば出るわけでございますが、確かにその金額はおっしゃるとおり高額所得者ほど大きく出るわけでございますが、それは実は元額が幾らで、現在の負担額が幾らで、それで今度の改正による負担額が幾らになって、それで軽減額が幾らになって、その軽減額の部分が一万円につき幾ら、こういうことだったと思うのでございますけれども、低所得層の場合は元額も小さいものですから、軽くなる額も、もとの負担額も——もともと実額も小さくて、したがって軽減額も小さいということで、その点はどうしても、どういう案をつくりましても、上へいくほうが一万円当たりでは大きくなるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/41
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042・堀昌雄
○堀委員 いや、もちろん上にいく当たりそれはそうなりますけれども、要するにそのなり方の違いが結局——あとこまかくほかを計算していないけれども、今度の改正案を見ますと、当初の改正後の減税が、たとえば二百万円のところは六・九%だったわけですね。それが一四・四%に今度なったということは、要するに今度だけの改正によれば七・五%ですよね。今度の改正だけが七・五一%で、それに前回の六・九を足して今回の改正案の最終案というものが一四・四、とこういうことでしょう。だからそういう形で見ると、実は今回の改正案というのは、上へいくほど高くなっているわけですよ。七百万円のところでは、前回の基礎控除だけの改正案なら一・四%しかきいてないのにもかかわらず、今回一一・七%ということは、今回の改正だけで一〇・三%実は七百万円のところは減税したということですね。だからあなたがいま言われることは、それがここへもろにはね返っているわけですよ、実は。だから私はここで——皆さんのほうは当初改正案と今回改正案というものを並べてここに書いておられるけれども、今回だけの改正案というものはここに出してないわけだ。実は金額でもパーセンテージでも出していない。そこで私がその部分をちょっと計算をしてみて、そうしてそれを一万円当たりで割ったらこうなったと、こういうことですから、そういう意味では、私は確かにそれはあなたの言うように、多少、一・四%としたところで根っこのほうが大きいから金額は大きくなるということはあっても、それは少なくとも所得一万円当たり軽減されたものがこれだけであるには相違ないわけだし、そうすると、その小.さいものに比べて大きいものが——ここの場合には実際には二百万円の一四・四%ということは、金額では八千七百円ですね。しかし、率としてはそんなに幾らも変わらないところでも金額は十倍くらいになるのですよ、実際。
たとえば二百万円と五百万円のところの差を見れば、今回の軽減割合というのは八万八千三百四十七円、片方は八千七百円ですから、この間ですでに十倍になっている。所得金額は二百万円と五百万円の違いがある。今度の合計した減税率は一四・四、一三・〇だから、そんなに変わらないのにもかかわらず、実際にはここで十倍にも軽減ができるというのは、やはり私は今度の税制改正というものが、当初に話したよりも、可処分所得の増加が需要に回るようなためにやってもらいたいというのが年内減税の主要な趣旨であったにもかかわらず、ごく少数の者のために多くの財源が費消されて、さっきあなたが三百五十億円ぐらいじゃないかと言われた部分は、私はこれは実は貯蓄に回ると思うんですよ。この層は、この程度の、減税額としては十六万とか八万とか二十万とかいう程度の年間のものでは、この人たちの階層では直ちにそのものがきたから所得に回すということにならない。要するに、言うなれば多少余分な収入の部分がふえるという範囲に終わったんじゃないかという点では、さっき大臣いろいろ言われておったけれども、せっかくの財源を使いながら、それがこの時期に——さっきも水田大蔵大臣が歳入欠陥があるときの減税をするんだからと言う。それだけ重要な減税なら、それが主要な目的に焦点が全部合わされて減税に使われるのが相当ではないのか。そのことがまた幅の広い所得階層にプラスを与えることになるという意味でも、私は非常に重要な意義があったと、こう考えておるわけですね。
ひとつ委員会として、要するに基礎控除に関する部分の所得階層別の配分、それから税率改正に基づくところの八百十五億円分の正確な所得階層別の推計の資料を委員会に提出をしていただきたい、こういう要求をひとつしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/42
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043・高木文雄
○高木(文)政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたのですけれども、これはひとつ御理解願いたいと思いますのは、確かに今回の減税が景気浮揚ということをねらいとして、その意味で年内減税に踏み切るという方針をとられたことは事実なわけでございますが、さてそれを受けとめまして、私どもとしてどういう形での内容の案を組みますかということになりますと、どうしても後年度への影響ということも考えなければならず、制度としてどういうものがよろしいかというようなことを考えざるを得ませんでしたので、そこで控除と税率の組み合わせという形をとった、こうならざるを得ないという判断をしたということを御理解願いたいと思います。
それから第二に、いまの資料のことでございますが、何とかいい資料を出したいのでございますが、もともと非常に税率と控除とがかみ合って出てきておりまして、階層別の統計資料が十分整備しておりませんので、非常に勇敢な推計にならざるを得ないと思いますし、それからそれをある程度階層別に出せるとは思いますが、もう一つ控除と税率の効果がどういうふうにきいてきたかということについては、先ほどから見ていただいております控除だけでやれば、たとえばこういう率に各階層ごとになる、それから税率だけでやればこういうことになるというようなことを、何かかなり乱暴に推計をしてみていただくということ以外に方法がないんじゃないかと思いますが、できる限りで調整をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/43
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044・堀昌雄
○堀委員 実は少し前の税制のところを振り返って見てみたのですが、四十三年の税制改正のときには、いまの四人所帯ですが、百万円のところが二二・八%、百五十万円が一二・七%、二百万円が八・一%、このときは三百万円が抜けていますね。それで五百万円が二・六%、七百万円が一・七%、一千万円が一%、こういう実は税制改正があるわけですね。ですから過去のいろいろな税制改正の実績がその次の民間給与の実態にはね返ってくると実は思うのですね。だからそこらをにらんでもらって、やはり今後の税制改正をやるためには少しスタンダードになる、そういう所得階層の分析、これを過年度別に一ぺん、すでにデータのいろいろ出た部分から一ぺんもう少し精密にやってもらってみたらどうだろうか。特にこれまで私どもそうこまかいこといわなかったと思うけれども、これからはやはりもう少し、要するにただこれまでは所得階層で人数が何人なんということでしたけれども、せっかくここに民間給与の実態をここまで正確にとっている以上、この場合は独身者はどうなる、夫婦二人はどうなる、扶養者がある本人の場合はどうなるというデータがせっかくあるわけですから、このデータをもとに、土台になる基礎統計というものが一つ何年か出てくると、われわれそれを横ににらんでみても、なるほどこのときの税改正というのはこういう影響がここへはこうきたな、このときはこうきたなというのが、——いまのでは課税最低限がぽんと出ると、あとの減税額とか率だけが出るものですから、ちょっと全体を見通すのに非常に不十分なところがあるものですから、何かそういう土台になるものを少し資料として提供していただけば、われわれも今後の税制改正を考える場合に非常に参考になるんじゃないかと思いますので、いまお願いしておる資料にあわせて主税局として、われわれが税制改正のときにそこに当てはめてみると、基礎控除が一万円ふえると、ここへこう当てはめると大体こうなるなとか、そういう一つのものがあれば非常に好都合だ。それは年々変わってくるのですけれども、しかしそれは二年前でも、だんだん新しい人が入ってきて所得も上がっていけばそんなに変わりないんじゃないかという気がするのです。多少の変わりはあっても、次々と押せ押せになっていくんだろうから、そんなに変わらないんじゃないだろうか。ただ問題は、所得の伸び率が一五%くらいあるときに税率の関係というのはちょっとそれに見合わないかっこうになっている点があるでしょうから、どこで切れるかという点は問題があると思いますけれども、ひとつそういうものを考えてもらえないかと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/44
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045・高木文雄
○高木(文)政府委員 御納得のいけるような資料になるかどうかわかりませんが、努力してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/45
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046・堀昌雄
○堀委員 私の所得税に関する本日予定をいたしました問題は、大体以上でございます。
最終的に私は、せっかくの今度の歳入欠陥がありながら年内に減税をしてもらったという問題について、税率改正のために八百十五億を使ったということが需要効果に結びつかないという点で財政のむだ使ではないのかという点をはっきり指摘をしておきたいと思います。二点目は、さっき申し上げた、せっかくの減税ということになりながら三十万円以下の課税所得金額の人が税率改正の恩典からはみ出しておる。そしてそのところがゼロから突然として非常に課税されておるという点にはやはり今後改善の必要がある。この二点を特に強く指摘をして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/46
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047・齋藤邦吉
○齋藤委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後一時四十五分休憩
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午後二時三十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/47
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048・齋藤邦吉
○齋藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。貝沼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/48
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049・貝沼次郎
○貝沼委員 年末もだんだん近づいてきたわけでありますが、最近はボーナス論議がずいぶんあちこちで聞かれるようになりました。今回の所得税の減税につきましても、週刊誌等で、これは国からのボーナスだといっているけれども、いうほどのことはないというような議論がかなり出ております。私は、国ではこれは減税だというし、受け取るほうはそんなものは減税のうちに入らないというし、この辺の考え方の食い違いがあると思うのです。
そこで、大蔵当局としては、減税というのはどういう定義を下しているのか、その点を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/49
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050・高木文雄
○高木(文)政府委員 私どもは、現行税制で課税が行なわれ、それに基づいて税を納めていただく場合には幾ら幾らの金額になる、それが法律が変わって、その新しい法律のもとにおいて納めていただく税金が変わる、その両方の金額で、前の金額に比べたときにあとの金額が減るという場合はすべて減税だ、法律的にはそういうことだというふうに理解しておりますのですけれども、ただ、世の中でよく言われますものは、給与が伸びる、その他所得が伸びる、それは所得が伸びたから、名目的に計算上どうしても収入を基準にして税の計算が行なわれるものでございますから、その結果として異常に税を徴収されることになる、それをただ減らしただけではないか、そういうものを減税というのはおかしいのではないかという議論があるということは事実でございます。しかし、私どもとしましては、税法上とにかく現行税法と新しい税法との間で、納めていただく税の額が減れば、それは減税だというふうに概念規定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/50
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051・貝沼次郎
○貝沼委員 そうしますと、たとえば現行税制でもってやっていくならば、当然このくらいになるという見通しがつきますね、それから税法が改正されて、その後ものすごく物価が上昇したり、経済の面で変動があった場合に、結果として税収が多くなった、こういう場合は増税になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/51
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052・高木文雄
○高木(文)政府委員 税法が変わりませんでも、見込み税収を立てます前提となりました要件といいますか、経済の前提が変わりました場合には、税収が動くことになりますが、それは別に法律が変わってではなしに、前提となるいろいろな条件が変わって、その結果税収がふえるという場合には、私どもは普通増税ということばは使っておりませんで、一般にはいわゆる自然増収というようなことばを使っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/52
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053・貝沼次郎
○貝沼委員 そこで、大蔵省が減税をする場合に考える要素、これはどういうことを要素にされるのか。今回は景気対策の一環としてというふうになっておりますけれども、普通どういうことを要素にされるのか、そして普通の場合と今回との違いはどこにあるのか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/53
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054・高木文雄
○高木(文)政府委員 通常の場合は、二つの面から考えると申し上げればいいのではないかと思います。
その一つは、税制全体がいわゆる国のもろもろの需要を調達するための歳入調達手段としての制度でございますから、その歳入調達手段としての税制として適当かどうか、前年に比べてさらに歳入調達をはかるべきかどうか、あるいはむしろ別の歳入調達手段によるか、あるいは歳出の節減等をはかるかということを中心にして増減税について考えることになる。そういう意味で歳入調達手段としての税ということで考える面が一つの面でございます。
もう一つの面は、租税制度それ自体の問題といたしまして、いわゆる主として負担の公平がうまくいっているかどうか、所得税なら所得税の場合におきましても、各種所得層の間において、あるいはいろいろな職業層の間においてバランスがとれているかどうか、あるいは所得税と法人税とのバランス、または直接税と間接税とのバランスというような意味におきまして、税制自体の問題としての負担の公平がうまくいっているかどうかという角度での問題提起ということで、この二つの面から主として考えられると思います。
そのほかに、常時ではございませんが、景気が過熱をいたしました場合とかあるいは景気が停滞いたしました場合におきまして、税の制度を変更することによって経済政策、特に財政政策として税の制度をいわば使っていくというふうに考えることが、特に経済の動向の屈折点においては必要になるかと思います。
今回の場合におきましては、減税を年内にいたしましょうという意味におきましては、第三番目の経済政策、財政政策としての意味においてその重要性が取り上げられたという点が、いつもの減税と多少ニュアンスが違っている点だと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/54
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055・貝沼次郎
○貝沼委員 今回のものは、いま述べられましたように三番目であるということですが、先ほどの大蔵大臣の答弁でありますと、大体来年度もこの税法のまま本法はほとんど変えないでいくようなニュアンスの発言だったと思うわけですけれども、そうすると、これはいわば来年度のことをやったことになるわけですね。
ところが、景気の浮揚策の一環としての意味が非常に強い税法であるならば、それでもって来年度のものをカバーしてしまうということは少し問題があるのではないかと思います。したがって、さらに今度来年度に向かっては、この景気浮揚策とは別に個人個人の生活の立場からの意見というものを取り入れた税法の改正というものが必要ではないか、こう思うわけでありますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/55
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056・高木文雄
○高木(文)政府委員 年内減税ということはかなり異例の措置でございまして、戦後では二回目でございます。かつて昭和二十六年に一回このような措置がとられましたが、それ以外には、所得税法の改正は通常の国会、春の国会で御審議願ってというのが通常でございました。年の進行中に、しかも年内にそれが効果が及ぶようにという形での減税が行なわれますのは昭和二十六年にあっただけでございます。その意味で、いわゆる景気浮揚対策の一環として減税が行なわれることになったわけでございますが、その場合にこれを具体化いたします方法が二つあるかと思います。
一つは、今回御提案申し上げましたように、所得税法そのものを改正いたします。したがって、四十七年度以降のことを頭に置きました改正を考えまして、それをさかのぼらして、いわば繰り上げて四十六年から効果あらしめるようにするというやり方が一つの方法でございます。
もう一つの方法は、所得税法のようないわば恒久制度とは切り離して、臨時的に何か措置をとるという方法も、方法論としてはあり得るだろうと思いますし、私どもも研究はいたしました。先ほど大臣も申されておりましたとおり、最初はそのような方法はどうだろうかということで研究が進んだわけでございますが、いろいろ長所、短所を考えました上で、やはり恒久制度のほうを直して、それを年内に及ぼすということのほうがよりいいであろうという道を選んで、御提案申し上げることにしたわけでございます。
その結果として、改正の内容を考えます場合に、基本的に所得税法の内容を直すというかっこうをとったわけではございますが、しかし、いまおっしゃいますように、これで四十七年度には全く何も改正をしないのかというお尋ねでございますとすれば、その点につきましては、まだ四十七年度の予算編成は今後日を追いまして具体的に進んでまいりますわけですから、その機会に歳入歳出あわせていろいろ検討が行なわれると思いますので、その機会になお見直す余地はあるものと思っておりますけれども、大臣も申しましたとおり、来年度の歳入の見通しとの関連上、非常に大きな規模のものはなかなか現実問題としては困難であろうかと見通しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/56
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057・貝沼次郎
○貝沼委員 非常に慎重な発言で、結局来年度は税制改正はあり得るわけですね。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/57
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058・高木文雄
○高木(文)政府委員 あり得るか、あり得ないかというお尋ねでございますれば、もちろんあり得る、いずれかといえばあり得る、可能性としてはあり得るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/58
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059・貝沼次郎
○貝沼委員 あり得るとするならば、どの辺にあり得ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/59
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060・高木文雄
○高木(文)政府委員 これはなかなかむずかしいことでございまして、いま事務的にいろいろ準備をいたしておりますが、まず所得税以外に法人税の問題もございますし、間接税の問題もございます。それらの中でどのようなものが具体的に日程にのぼってくるか、まだほんの案の段階で事務的に検討しているだけでございますので、私がいまここで申し上げるには、ちょっと私自身成案を得ていないわけでございます。
その場合に、所得税につきましても、全くこれで今後四十七年度に向けて改正案を考えられないということではないわけでございまして、現に役所間におきましても各省から、来年のいろいろな施策を進める上において一種の特別措置のようなものを考えてはどうかという具体的な提案が出ておるのですが、今回はこのような状況で年内減税を緊急にいたすことになりましたので、それらは一切取り上げておりませんから、これらの中からも具体案として取り上げるべきものが出てくるかもしれぬとは思っております。しかし、現段階でさらに具体的にどのような税のどのようなプランが考えられるかということについては、まだあまりにも検討が未熟の段階でございますので、御寛恕いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/60
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061・貝沼次郎
○貝沼委員 いまの段階ではまだそれくらいだということでございますが、しかし、予算の編成の日程もできているわけでありますから、今後その税制の改正がされるとすれば、その内容が大体いつごろ明らかになるのか、その日程はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/61
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062・高木文雄
○高木(文)政府委員 毎年の例によりますと、十二月の二十日前後には予算の大蔵省の原案がきめられるわけでございまして、その前には税制に関しましても具体案ができてこなければならないわけでございます。したがって、それを一つの目安にしまして、それまでの間に具体的には、たとえばいろいろと政府の税制調査会におはかりするとか、あるいはその他各方面に御相談するとかいう作業があるわけでございますので、通常どおりの日程で予算編成の手続が進められます場合には、十二月の中旬には相当具体化してこなければならないという日程になるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/62
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063・貝沼次郎
○貝沼委員 われわれとしてはなぜこういう質問をするかというと、やはりこのままではわれわれとしては非常に納得のいかない税法でありますから、できるならば、これは来年度の税制改正でもってさらにりっぱな税制にしていかなければならない、こういう要求があるからこれをただしているわけであります。
そこで、これは官報に出ているわけでありますが、先日のわが党の矢野書記長に対する総理大臣の答弁の中に、大幅減税であるというところがあるのですが、この大幅とか小幅とかいうのは何を基準にしておっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/63
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064・高木文雄
○高木(文)政府委員 所得税の減税は毎年度行なわれておりますが、比較的大規模な所得税減税が行なわれましたのが昭和四十四年度と四十五年度でございます。これはいわゆる長期税制に関する答申を受けまして、税率、控除の両面にわたりましてかなり基本的な改正が行なわれたわけでございますが、このときの減税の大きさは四十四年度が一千五百三億円でございます。四十五年度のほうが二千四百六十一億円でございます。それから最近、四十年以降の毎年の所得税の減税の大きさを見てみますと、これは経済の規模がだんだん伸びておりますから、単純な平均は意味がないかもしれませんが、最近七年間の、四十年からこの四十六年度までの平均を見ますと、千四百十二億円ということになっております。本年度はこの春御審議をお願いいたしました減税が千六百六十六億円でございますので、それと今回の千六百五十億円の減税とが一緒になって四十六年度に減税として実施されるわけでございますから、それを合わせて三千三百億と考えますと、まあ従来のものに比べて決して小規模なものではないということは、数字の上では言えるのではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/64
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065・貝沼次郎
○貝沼委員 そこで、そういう数字だけを出してきますと実は私も言いたくなるのでありますが、これは前回の税制改正が行なわれるときの話ですけれども、税調の中の意見としては、大体三千億円くらいのマキシ減税をすべきであるという声がかなりあったようですが、この点はあったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/65
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066・高木文雄
○高木(文)政府委員 ただいまのお尋ねの意味がちょっと明確にわかりませんでしたが、前回の政府の税制調査会という意味でございますと、政府の税制調査会の中での議論としてはあまり減税の規模に触れた議論はございませんでしたので、あるいは別のところであったかもしれませんが、私ども承知いたします限り、いわゆる政府税調では三千億というような数字を含めての御議論はなかったように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/66
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067・貝沼次郎
○貝沼委員 私もそこへ出ていたわけじゃないので、はっきりは申し上げられませんけれども、たとえば四十五年十一月十九日の新聞によりますと、「大蔵省は来年度の所得税減税を千五百億円前後のミニ減税にする考えだが、税制調査会(東畑精一会長)には、三千億円を越えるマキシ減税をやれとの意見が強い。」そのほかずっと書いてあるわけでありますけれども、こう名前まではっきり出されておると、ひょっとしてこれはうそではないんじゃないか、あるいはそういう空気はあったんじゃないかと私は思うわけですが、全然なかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/67
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068・高木文雄
○高木(文)政府委員 税制調査会全体の空気としてそういうことを規模に触れて議論されたことはなかったのではないかと私、思っておりますが、ただ、税制調査会の構成員である各委員の間では、いろいろな御意見の方がございますので、当時四十四年度、四十五年度の大改正がありましたあとでございますから、まあしばらく減税をいわば小休止したような形にするかという意見と、いやいや、やはり所得税については今後も継続してかなりの規模で行なうべきだという意見の方と、ある種の個人的な御意見としてそういう意見があったことは想像されますが、税制調査会の会の意見として出たというふうには私は承知してないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/68
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069・貝沼次郎
○貝沼委員 会の意見はこれは答申でありますから、私もないことはわかっております。しかし、いま主税局長がおっしゃったような理由も、ここにはこまごまと書いてある。そういうところから、私は案外これはほんとうのことを書いてあると思うのです。
そこで考えてみるに、やはり三千億くらいの減税は、これは当時そういう意見が出ても決してふしぎでもなかったし、現実にいま政府がやるわけでありますから、これはできないという理由はなかったと思うのですね。政治的な理由があれば別として、とにかくできないという理由は少なくともいまとしてはあり得ない、現実にやるわけですから。そうすると、当時それをやらなかったということに対して、私は、一つは大蔵省の認識として、できないという認識であったのか、それともできるけれどもやらないという認識であったのか、ここのところを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/69
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070・高木文雄
○高木(文)政府委員 私、実はそのときその衝にありませんでしたので、ややお答えが不正確になるかもしれませんが、実は昨年のいまごろと申しますか、秋の状況といたしましては、だんだん景気が停滞ぎみでございました。そこで、四十六年度の税収見積もりにつきましては、二つの見方がございまして、そのとき時点では、まだまだ民間の経済活動が落ちぎみとはいえ、なおよかったものでございますから、そう心配する必要はないよという見方と、かなり行きつくところまで行きついたので、これからは経済活動は沈滞をしてくるのではないか、したがって税収も落ち込むのではないかという見方が大蔵省の中にもございました。そこで、どちらかといいますと、安全を踏んで、あまり大きな歳入見積もりを見込むことは無理ではないか、したがってあまり大きな減収を招く大規模な減税は無理ではないかというような意見が、率直に申し上げて、省内の空気としては強かったわけでございます。まあそれはどちらがよかったかは、いろいろ論議があると思います。しかし、結果といたしましては、今回、はなはだ残念ながら三千億をこえます自然減収を立てなければならないような事態になったわけでございまして、しかもこれも必ずしもいわゆるドル・ショックの影響による減収というよりは、どっちかと申しますと、この春以来の、春から夏にかけての景気停滞の影響で法人の企業活動が不活発になり、そして法人税収が落ちてきたということのあらわれであるわけでございますので、それはいまの貝沼委員の御質問の点につきましてはいろいろ見方があるかと思いますが、要するに、そこは昨年のいまごろの時点における先の見通しのいかんによっていろいろな考え方が成り立ち得たであろうし、そしてそれはいずれがよかったかということはもう少し時間がたってから批評を仰ぐよりしかたがないのじゃないかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/70
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071・貝沼次郎
○貝沼委員 いま主税局長は、景気浮揚策の一環の中身について、ドル・ショックよりか春から夏にかけての不景気のためが多いのだというような意味に聞こえたわけですけれども、そうしますと、これはドル・ショックはことばのとおりショックできたわけですけれども、春から夏にかけての不景気は、これは大蔵省としては当然ねらいをつけておかなければならない問題ですね。経済がどう変わっていくかわからないで税制を考えているとは私は思えないわけです。であるならば、それだけの見通しができなかったのか、それとも見通しに誤りがあったのか、その辺のところをはっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/71
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072・高木文雄
○高木(文)政府委員 ことしの経済の見通しとしては、経済の成長実質で一〇・一%で見込みまして、それを全体として予算をはじめいろいろな計画を立てたわけでございます。それが最近補正予算を組みますにあたりまして、正式な改定見通しを立てたわけではございません、一応の試算を行なっただけではございますが、一〇・一と見ました実質のGNPの伸びの見込みはまあ五・五くらいに落ちるのではないかというふうに見込まれておるわけでございます。
と申しますことは、つまり、もちろんこれは私が先ほど申しましたドル・ショックが起こります前からの停滞の影響とドル・ショックの影響と重なって五・五ということに見込まれておるわけでございますが、そのドル・ショック外の部分による停滞ということにつきましては、昨年の暮れに立てられました見通しが甘かったということが結果としてもう事実起こっておるわけでございますので、その点は見通しが少し甘かったというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/72
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073・貝沼次郎
○貝沼委員 そこで、この前の税制改正のときも、各野党の同僚からこの減税はミニである、だからもっと減税すべきであるということをずいぶん主張したわけでありますけれども、大蔵省はがんとしてそれを受け入れなかった。その結果、いま、簡単に言えば、もう一回減税し直しますというような、そういう非常にみっともない現象が起きているわけですけれども、一体この責任はどこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/73
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074・高木文雄
○高木(文)政府委員 別にその責任を逃げようというわけではございませんが、全体としてどのような見通しを立て、そして歳出をどういうふうに組み、そしてまた減税なりその他の歳出政策をどう立て、公債をどう見るかということで、歳入、歳出全体を通じてこの財政計画が立てられておるわけでございますので、その財政計画にもし——この点は若干私は貝沼委員の御意見に異論があるわけでございますけれども、もしそれが誤りであるとおっしゃいますならば、これは財政当局全体としての問題であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/74
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075・貝沼次郎
○貝沼委員 私がそれを言うのは、一たん一つの法律を通す以上は、幾ら短くても一年ぐらいは民衆が安心してたよっていけるような法律でなければならないと思うのです。それがちょっとしたことでがたがたしているようでは、これは信用がなくなってしまう、あるいは大蔵委員会で議論しておる議員というのは何やっているんだということになりかねない。私はそういうことを実はおそれるわけであります。したがって、今後はさらに野党の意見もよく聞き入れて、そして立案をされたほうがよろしいと思います。
それからさらに、この減税の規模の問題でありますけれども、たとえば自然増収というものとそれから減税規模というものを考えてみた場合、私は今年当初の減税というのは必ずしも納得のいく規模ではなかったわけでありますけれども、このパーセント、比率を四十年くらいから教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/75
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076・高木文雄
○高木(文)政府委員 自然増収のうち、いわゆる所得税の自然増収額と申しますか、所得税に関します自然増収額と所得税の一般減税の割合で御説明をいたします。
四十年が二千七百四十億の増収に対して八百二億円の減税で二九・三%、四十一年が千八百九十三億円に対しまして千三百二十億円の減税で六九・七%、四十二年が二千二百四十五億円に対しまして減税分が千八十四億円で四八・三%、四十三年は三千九百二十四億円の増収に対しまして千五十億円の減税で二六・八%、四十四年は五千八百五十五億円の増収に対しまして一千五百三億円の減税で二五・七%、四十五年が六千四百八十億円の増収に対しまして減税額が二千四百六十一億円で三八%、四十六年が六千九百四十八億円で減税が千六百六十六億でございましたから二四%、これはこの春の改正までの分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/76
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077・貝沼次郎
○貝沼委員 ただいまの数字からも明らかのように、当初においては明らかにこれは、ミニであったわけですね。だから、そのときにさらに多くの減税をすることは当然可能であったと私は思います。
それから次の問題は、この減税をしたならば一体どれだけ納税者に対して返ってくるのかということでありますけれども、これが非常に少ないわけですね。思ったより少ない。そしてけさも、たしかきのうあたりから議論が出ておりますけれども、この減税の重点が三百万円から五百万円のところにかかっているのではないか。そしてそれ以下のところは非常にその恩典が少ない、こういうようなことが言われておるわけであります。そこで、この三百万円ないし五百万円のところをうんと減税したということには、それは全然わからぬわけではありませんけれども、やはりサラリーマンの大部分がほとんど二百万円以下であるという現実を踏まえた場合、やはりこれは国民全体として納得のいかない線ではないか、こう思います。
そこで、たとえば収入階級を二十万とか五十万というふうに区切って、そうしてそのおのおのについて納税人員というか、それがどれくらいあるのか、また金額にしてどれくらいあるのか、三十万、五十万、それから二百万あるいは三百万、五百万、千万、大体それくらいの順序でお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/77
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078・高木文雄
○高木(文)政府委員 統計がまだ新しい数字が出ておりませんので、四十四年度の所得税の数字で申し上げます。それから区分が、いま貝沼委員がおっしゃったのよりこちらの持っております区分がちょっと大きくなっておりますけれども、それはお許し願いたいと思います。
五十万以下が五百八十六万八千人、それから次が七十万以下、これは七十万から五十万までという意味でございますが、五百十三万五千人、百万以下が六百四十七万八千人、二百万以下七百九万八千人、三百万以下九十二万四千人、五百万以下が四十三万七千人、それから五百万をこえます人数が二十万六千人、合計して四十四年度の納税人員が二千六百十四万六千人ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/78
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079・貝沼次郎
○貝沼委員 構成比はどうなりますか。たとえば二百万円以下の累計の構成比はどれくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/79
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080・高木文雄
○高木(文)政府委員 人数での二百万円以下の構成比は九四%になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/80
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081・貝沼次郎
○貝沼委員 所得の額ではどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/81
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082・高木文雄
○高木(文)政府委員 二百万円以下の所得の分布が、いまの人員に対応する所得額の分布が七七・二%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/82
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083・貝沼次郎
○貝沼委員 ただいまの数字は二百万円以下の所得階層が圧倒的に多いということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/83
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084・高木文雄
○高木(文)政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/84
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085・貝沼次郎
○貝沼委員 したがって、現在のサラリーマンが重税を訴えているというのは大蔵省もよく御存じだと思います。国税庁でもやっておるし、あるいはまた朝日新聞社あるいはいろんなところでその調査をやっておりますけれども、重税を訴えているのが非常に多い。ところが、その重税というのはどの辺が重税なのかというのが非常につかみにくいわけでありますけれども、サラリーマンの大部分が二百万円以下であるということは、やはりその辺の人が重税を訴えていると見て差しつかえないと思いますね、九四%ですから。ところが、その方面はこの減税が薄くて、そして三百万円以上のほうが厚い減税になっているということは、これは納得できかねるところであります。これを説得するだけの理論をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/85
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086・高木文雄
○高木(文)政府委員 一つ申し上げておきたいのは、先ほどのお話のように、二百万円以下でございますと、人員では九四%になりますし、所得金額では七七%になりますが、その七七%の方が納めている税額は四六・六%になります。逆に上の階層は、五百万円超は二十万六千人と申しましたが、その人員構成は一%に満たないわけでございますが、一%に満たない人員の方が税額で二五%の税金を負担しておられるという関係になっております。これは累進構造をとっております関係上どうしてもこういう形になるわけでございまして、人数としては当然所得の少ない方が大ぜいになりますが、その一人当たりの負担額はどうしても少なくなりますし、上のほうは少ない人数の方が多くの税額を負担するということになるわけでございます。
そこで、本来の所得税のあり方として所得階層別にどのような分布が望ましいのかということは非常にむずかしい理論でございまして、今回いろいろと御批判いただいておりますけれども、私どもといたしましては、必ずしも意識的に、いわゆる高所得層の減税をやろうという気持ちはなかったのでございますけれども、しかし、一方においていわゆる負担の公平論というようなこともあり、一方において税の執行の都合等のこともあり、また一番問題は、実は所得税の負担感という問題でございまして、サラリーが一割伸びました場合にその伸びました一割について負担がかかってくる、限界税率が各階層を通じてどうも重いということがたいへん現在の所得税が重い重いといわれておるもとをなしておりますので、それを若干とも緩和してまいりたいという問題があります。
これらのことから考えますならば、いわば静態的にどの層に片寄っているではないかという御批判がありますけれども、私どもは若干動態的に見ていただいて、所得が伸びた場合の限界税率が少しいままでよりはなだらかなものになりますように構成をしたいという気持ちを持っておりまして、それは今度の程度のものでは実はあまり役立つほどの大きな緩和にはなっておりませんけれども、多少とも税率を緩和しますればそういうことに役立つという見地から、税控除のみならず税率制度、税率の緩和を含めて改正案の具体案をつくったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/86
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087・貝沼次郎
○貝沼委員 いろいろいまおっしゃっておりましたけれども、これが低所得層に対するいままでの税制というものがうまくいっているのであれば、そういう話も私は成り立つと思うのです。しかし、いままでは低所得層の人たちは納得していないのですね。非常に不満が多いのです。そちらのほうももっとウエートをかけて考えなきゃならないのですね。確かにカーブ自体はすぐ上がっていくとかいろいろあるでしょう。それも大事でしょうけれども、それよりも以前に、現在非常に重税感を感じている人たらに対して手を加えてやるということが、私は大事ではないかと思います。
同時にまた高額の人たち、あるいは大蔵省では五百万あたりを中堅層とにらんでいるようでありますけれども、五百万円というのはかなり多いのであって、必ずしも中堅層ではないわけであります。その解釈はいろいろあると思うのですが、いずれにしても二百万以下の人たらとそれ以上の人たちとはずいぶん違う。
試みに申告所得者についても、申し上げるならば、大体同じような傾向があるわけですね。これはいつか大蔵省からいただいた資料によって私は見たわけでありますけれども、その比率においては給与所得者とそれほど大きな差はないのですね。そして、この人たちが年末にどれだけのお金が返ってくるかという具体的な例をもって考えてみますと、これはあちこらにいろいろ書いてありますけれども、たとえば夫婦子二人の標準家庭においてよくいわれておるのが、年収百万円ぐらいの人であればせいぜい二千七百円ぐらいのものではないか、あるいは百五十万円ぐらいの人であれば五千百円ぐらいだろう、そして二百万円ぐらいの人であれば八千七百円ぐらいである。それに比べて三百万円をこえるような人は大体二万八千二百六十円ぐらいとか、あるいは五百万円をこえるものは八万八千三百円とか、一千万円クラスにおいては二十二万八千円という、いわばその辺の下っぱサラリーマンのボーナスをはるかにしのぐようなこういうお金が返ってくる。たくさん納めているのだからたくさん返ってくるのだという理屈もあると思いますけれども、これだけを考えると、必ずしも大蔵省がいうような、年末には国からボーナスというようなものではないのではないか。その上さらに物価の上昇がどんどんあるわけでありますから、一〇%も物価が上がってしまうと、これはもうどこかへすっ飛んでしまって何にも残らない。こういうようなことになると思うのですが、この点についての見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/87
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088・高木文雄
○高木(文)政府委員 いまおっしゃった各階層ごとの軽減額の数字は、まさにおっしゃったとおりでございますけれども、たとえば夫婦子供二人のサラリーマンの家庭におきまして、今回の改正によりまして軽減になります額は二千七百四十円であるということでございますが、これは実は現在の負担が二千七百四十円でございまして、それがゼロになる。つまり一〇〇%軽減になるということでございますけれども、もとが何せ二千七百四十円でございますから、ゼロになっても二千七百四十円という意味でございますし、それからたとえば五百万円のところで八万八千三百四十七円だけ軽減になる。ずいぶん多く軽減になるではないかというお話でございますが、これは改正がなければ七十九万七千八百六十円のところが七十万九千五百十三円になるということでございまして、どうしてもそこは、現行の制度のもとにおいて納めていただいている額が幾らであるかということの額が大きいか少ないかということによって軽減される額も動いてくるわけであります。絶対額だけを比較されますならば、極端に申しますと、どのような減税をいたしましても、高額ほど軽減額が多いということになってしまうわけでございます。
そこで、私どもといたしましては、今回の減税の性格から、いずれかの階層にウエートが寄るということがないようにいたしたいという気持ちで、なるべく各階層に同じくらいの割合で減税が及ぶようにいたしたいという形で、控除と税率と組み合わせて、そういうことで仕組んだつもりでございまして、前にお配りいたしてございます改正要綱でごらんいただけると思いますが、大体各階層とも平年分で二二%から一四%ということで、率で同じくらいになるように仕組んだつもりでございます。
それから物価との関係でございますが、物価の問題は、最近になって消費者物価の値上がりがこの九月になって急激になってきたという問題はあるわけでございますが、この問題を全部税のほうで始末をいたすというわけにもまいらないわけでございまして、もちろん物価のことは税の制度を考えます場合に十分織り込まなければなりませんけれども、それを頭に置いた改正でなければならぬとは思いますけれども、片方において物価の上昇がかなり激しいので、これでは不十分ではないかと直接結びつけて御議論いただいて、それを全部税のほうで見ろといわれましても、実は私どものほうとしてはとても見きれない。特に税はまだまだかなり広い層の方に納めていただいておりますとはいいながら、なお低所得層については、いわゆる課税最低限以下の方は税の対象になっていないわけでございますので、特にまたそういう層こそ物価の影響を受けられる層でございますので、物価の問題を税のほうだけでということだけはごかんべんを願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/88
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089・貝沼次郎
○貝沼委員 私は物価までも税金でめんどうを見るという議論はしていないわけであります。ただ、非常に小さなものである、少ないものである。そこで、現在の不安な経済状態のもとではそれこそ微々たるものであるという議論をしたわけであります。ひとつ誤解のないようにお願いをいたします。
そこで、いまも話がありましたけれども、また午前中に堀委員のほうからも話がありましたが、税制で直接かからない人、この人はどういう恩典に浴するのか、これが一つ。それからもう一つは、これだけの減税をしてやったらどういうメカニズムで景気が浮揚していくのか。たくさん金が返ってきたからたくさん使うという、こういう議論もちょっと乱暴ですし、うんと返ってきた人が一つの品物に対して高く払うという理屈もないと思うし、この辺はどういうように考えておるのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/89
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090・高木文雄
○高木(文)政府委員 いわば景気浮揚策としていろいろ考えられるわけでございますけれども、その場合に大きく分けて、いわば民間主導型の経済といいますか、民間設備投資を刺激して景気の回復をはかるという方法と、財政主導型といいますか政府主導型といいますか、政府の施策を中心にして浮揚をはかるという考え方があると思いますが、その政府主導型の場合のやり方として、公共投資や社会保障事業を拡充する方法と減税とによる方法とがあると思うわけでございます。本来ならば、低所得層対策ということをも含めながら景気浮揚策を考えるという場合には、社会保障制度について何らかの措置をとるということもあるいは必要ではないか。そうでないと、税では及ばないフィールドがあるということはおっしゃるとおりなのでございます。しかし、今回は減税も小さいとはおっしゃいますが、御批判はございますが、行なうことになっておりますし、公共投資の増加もはかられることになっておりますが、社会保障の充実だけは今回の補正では見ていないわけでございます。
それはなぜかということになるわけでございますが、これは私どもの領分ではないのでございまして、その点についてはやや責任ある御答弁をいたしにくいのでございますが、現在の社会保障制度というものはいろいろなたくさんの社会保障制度が仕組まれておりますので、そのうちの特殊な部分だけを、ある分野だけを抜き出して景気浮揚策のために充実をはかるということは、一つは社会保障制度の体系としてのバランスを欠く心配があるということが一つと、もう一つは、どうしても社会保障関係経費というものは後年度においてとうていいわば圧縮できない、一度広がりますと広がる一方でありまして、後年度に規模を小さくするということができない性格のものでございます。別の表現をとりますれば、非常に財政硬直性の高い性質の経費でございますので、先々の公債発行下の経済、財政運営についての心配も一面においてはございます。現状におきまして社会保障費の拡充を景気浮揚策の一つとして考えるということについては、いわばちゅうちょをしたというのが正直なところでございます。
それから第二の御質問の、減税がどういうメカニズムを通じて景気浮揚になるのかということでございますが、これは先ほどの休憩前の御議論にもございましたように、減税はそれだけ可処分所得をふやすわけでございますから、その可処分所得が消費を刺激する、消費に回る。そこで、消費関係の産業の循環を、活動を活発ならしめるということを通じて経済界全体、そして国民生活全体に影響を及ぼしていくという順序であろうかと思います。
今回の減税が経済政策として、景気浮揚政策としてどのような意味があるだろうかということにつきまして、若干学者や経済評論家の意見もお尋ねしてみたいのでございますが、その方々の御意見では、公共投資でやる場合に比べると、非常にいわば薄くきいてくるけれども各層にきいてくる。公共投資の増加の場合には、特定な、たとえば鉄とかセメントの需要がふえるという形で、特殊な産業なり特殊な分野にまず最初にきいてくるということになるけれども、減税を通じて消費を刺激するというやり方の場合には、非常に広い層の産業といいますか、フィールドにきいてくるという差がある。ただ、問題はそれがどうしても即効性ということについて欠ける。だから、やるならばなるべく早くやらないと意味がない、こういう見解が学者や経済評論家の中に多かったわけでございます。
私どももその辺の詳しいことはよくわかりませんが、またそれでいまの御質問に対するお答えになっているかどうかわかりませんが、私どもはそのように理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/90
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091・貝沼次郎
○貝沼委員 ただいまの答弁の中から、まず一つは消費に回る。その消費はどれくらい消費に回ると考えておられるのか。たとえば減税された分はみな使うと考えておるのか。一面貯蓄する人もおるでしょうし、いろいろあると思うのですけれども、それが一点ですね。
それからもう一つは、公共投資と税制の問題でありますけれども、公共投資は確かに——これは政務次官に実はお願いしておきたいのです、関連ですから。それは、たとえば直接ではないのですが、過疎債というのが現在あるのです。これは御存じだと思いますが、過疎債は八月に大蔵省から自治省に対して額が決定されていっておる。ところが、それが各地方公共団体に額が決定されていくのは、政務次官、大体いつごろだとお考えですか。それをちょっと政務次官にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/91
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092・田中六助
○田中(六)政府委員 十一月ごろかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/92
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093・貝沼次郎
○貝沼委員 これは私も、去年から始まった制度でありますから見ておるのですけれども、去年は十一月、ことしは十二月なんです。ところが、過疎というところは大体雪が降るところです。雪が降るところで十二月に額が決定しても、これは何にもできないのです。そういうようなこともあるので、公共投資という名前もちょっと出ておりましたから言うわけですけれども、そういったことのないように、ひとつ政務次官のほうからも、それが順調にいくように、ことに財源がないからそういう過疎債なんかもらうわけですから、だからそういう点をひとつ心にとどめておいていただきたい、こういうことです。これはほんとうは自治省の関係になるのですけれどもね。
それから、いまの局長の答弁の中で、先ほど申し上げましたように、消費というのは、実際に使われる消費、それはどれくらい見込まれておるのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/93
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094・高木文雄
○高木(文)政府委員 消費にどのくらい向くかということについての必ずしもいい統計が整備されていないわけでございますが、いろいろ統計をもとにいたしまして推計をいたしますと、年によって若干の違いがありますが、大体一〇〇に対して七五から八〇くらいの間のものは消費に回る。逆にいえば、二〇から二五くらいのものは貯蓄に回るというかっこうのようでございます。これは若干年によっても違いますし、統計によっても違いますが、大体の傾向はそういうようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/94
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095・貝沼次郎
○貝沼委員 貯蓄に回るのは二五%くらいということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/95
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096・高木文雄
○高木(文)政府委員 二〇から二五の間でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/96
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097・貝沼次郎
○貝沼委員 では、どの階層の人が貯蓄するのかということになると、この減税した分がはたして景気浮揚になるのかならないのかということが問題になると思うのです。その辺の認識はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/97
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098・高木文雄
○高木(文)政府委員 その点は今回の減税が景気浮揚ということを一つの契機としておりますだけに、たいへん神経を使いまして、実はいろいろ調べてみたのでございますが、結果としてはどうもあまり的確なる統計といいますか、資料がなかったわけでございます。ただ、一般的には、当然高所得層と低所得層と比べてどっちが消費性向が大きいかといえば、言うまでもなく低所得層のほうが大きい、これは理論的にも考えられるわけでございますし、非常にマクロ的にはそういうことは言えるということのようでございますし、学者もそういうふうに言っておられます。
ただ、私ども問題にいたしますのは、まず納税者階層、つまり課税最低限以下を除きましたその上の階層で、しかも今回のたとえば税率で申しますと、千二百万円から上は全然効果なしということでやっておりますし、また三百万から七百万くらいのほうが非常に大きいという御非難を受けておりますけれども、その上はもうずっと効果は減衰しておりますので、その辺のところで所得あるいは収入階層別に消費性向がどういうふうに違うかということを、家計調査であるとか貯蓄動向調査であるとか、その他いろいろの統計をひねってみたのでございますが、いまある統計では直に出てきませんので、それをいろいろ組み合わせてやってみたのでございますが、どうも残念ながら調査対象のたとえば戸数——戸数といいますか、統計の対象となっている数が少ない。したがって各層に分けてみると、各層ごとには非常に少ない数しかそれが出てこないというようなこと等がありまして、たとえば百万よりは二百万のほうが消費性向が小さいとか、二百万より三百万がさらに小さいとか、順々にこうなっておるというふうな感じの数字にはつかめない。非常に離れて、たとえば百万と何百万というようなふうに見ますと、これは明らかに出てくるのでございますが、そういう微分的に見ていきますと、その辺のところで限界消費性向に差があるという数字はうまくつかめなかったわけでございます。
しかし、私どもとしては決して、よくいわれておりますように、一般的にいって、上のほうと下のほうとで若干の消費性向の差があるだろうということを否定するものではないのでございまして、しかしまた同時に、どうも一般にいわれるごとくには、所得税を納めていただいておるような階層の中相互間では、そんなに貯蓄性向、裏から申しますと消費性向に大きな差はなさそうだという感じを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/98
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099・貝沼次郎
○貝沼委員 私もいろいろ統計等を調べてみたわけでありますけれども、ここで日本の変なことが——実は、変なというよりも重大なことが発見されました。それはどういうことかといいますと、確かに単なる貯蓄だけでは判断ができないということですね。これは高額の人がわりと貯蓄をするというデータもあるし、あるいはまた低所得の人が多いという場合もあります。そういうところをずっと見ますと、何のためにこの人たちは貯蓄をしているのだろうかということが明らかになる。それは結局——たとえばこれは貯蓄増強中央委員会のデータでありますけれども、貯蓄の目的というものが出ております。一番多いのが、病気や不時の災害の備えとして貯蓄するというのですね。これが四十四年度は七七・三%であったのですが、四十五年度では七七・七%とのぼっておるわけです。それから二番目が子供の教育費や結婚資金に充てるため、これもふえておりますね。これが今年で五二%。それから老後の生活のためというのがやはり三七、八%というふうになっておりますけれども、これは何を物語るかというと、結局はわが国の社会保障が行き届いていないということをいっておるわけですね。したがって、この貯蓄というものを見た場合に、所得の少ない階層の人たちがわりと多いわけでありますけれども、これは決して裕福だから貯蓄するのではなくて、生活がたいへんだし将来の見通しが暗い、こういうところから副業とか残業をして、そうして貯蓄をしなければならないという日本の社会情勢というものをはっきりとあらわしておると思うのです。したがって、この税法においても、この段階の調整も必要でありますが、さらに課税最低限を上げるということはもっともっと大事なことではないか、こう思いますが、その点についていかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/99
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100・高木文雄
○高木(文)政府委員 現在所得税はたいへん重いということを言われておりまして、確かに私どもも仕事を通じてそういう実感を持っているわけでございます。そこで、税はどうしても皆さんにお納め願わなければならぬわけでありますから、せめて重いという感じを少しでも払拭しながら納めていただくということにしなければならぬわけでございまして、それにはどうしたらいいかということは、昨年来税制調査会においても十分検討していただいたわけでございます。あまり従来と違った議論ではなくて、ある意味ではきわめて陳腐な議論ということになるかと思いますが、やはり控除で今後ともある程度は手直しをしていかなければならないだろう。物価も上がってまいることでございますし、それから所得も伸びていくことでございますから、夫婦子二人の給与所得者で百万円までは税金はかからない。課税最低限は百万円までなったといいましても、今後といえどもまだ若干の手直しをしていかなければならない。しかし、さはさりながら税率のほうも、とかくいままではあと回しという感じであったけれども、これもある程度の手直しをしてまいりませんと、累進度が急カーブになりますと、先ほどちょっと触れましたように負担感が非常に重くなる。実態以上に重くなる。負担感を重いと感じさせるのは、実効税率、実際に皆さんが負担をしておられる実際の税率よりは、ちょっと所得がふえた場合の限界税率が重いかどうかということのほうがより多く負担感に影響があるということが一つと、それから累進度が高くなりますと、どうしても所得分散が行なわれる。いわゆる脱税ということではなくして、節税という形を通じて所得分散が行なわれるということがありますので、どうしても税率についても質していかなければならないということであったわけでございます。私どももいまの税制調査会の御議論のように、今後とも所得税は絶えず手直しを行なってまいらなければならないと思いますが、その際には税率、控除ともいわば並行的にやっていくべきではないか。その場合にただいまの貝沼先生の御質問では、控除はまだまだ考えないと、日本の低所得層のところは税金が重いと言っておるよという御議論であると思います。私もその点は全く同感ではございますが、一面において、所得税制自体に非常に内面する悩みを持っておるということも御理解いただきたい。これらを両方にらみながら直していくべきであるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/100
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101・貝沼次郎
○貝沼委員 私もわからぬわけではありませんが、やはり納税者の立場になりますと、実はこれが一番大きな問題、こういうことですね。
そこで、この貯蓄も、実際よくよく内容を見てみますと、日本の場合、貯蓄する人は非常に多い。世界で一番ですね。しかしながら、その保有貯蓄額のほうはあまり多くない。さらに今度は、貯蓄をしてそうしておろす。このおろすのがまた非常に多い。実際残っておるのは二七%ぐらいといわれております。そうすると、日本の納税者というのはほんとうに苦労しておるということがはっきりわかると思うのです。よろしいですか。その辺を考えて、先ほどの控除とかあるいは課税最低限というものをもっと上げるべきではないか、こういうことですね。
それからもう一つは、日本勧業銀行というところで調査した結婚に関する調査によりますと——これは昭和四十六年五月ですから一番新しいのです。これによりますと、結婚するときに非常に金がかかるわけですね。いままで結婚した人から聞くと、大体三十三万六千円、未婚者の予想は三十六万八千円というふうに金がかかるわけです。そうして新婚旅行とかいろいろありますけれども、相当の金がかかる。しかし、結婚する人は二十代の青年であり、また所得の少ない人たらであります、全般的には。そういうような人たちが結婚するのにそんなに金をかける必要はないじゃないかといわれればそれまでですけれども、現在の社会の平均というものがその辺にいっている以上、やはりこれらの人に何らかのあたたかい手を税制においても差しのべてやってしかるべきではないかと思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/101
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102・高木文雄
○高木(文)政府委員 実は御質問に対するお答えにはならないかもしれないのでございますが、先般来税制調査会におきましても、いわゆる二分二乗制度を採用したらどうか、少し研究してみろということになっておりまして、私どもの手元でもぼつぼつ、ごくゆっくりではございますが研究を始めておるわけでございますが、そこでいろいろ議論をしてみますと、現在はそれぞれ稼得者単位で課税になっております。したがって、結果としては夫婦の一方が働いている片働きの家庭の場合と夫婦の両方が別々に共かせぎでやっているという場合と比べて、どっちが税金が重いか軽いかというようなことが問題になるわけでございまして、いろいろの方の御意見が、それは片働きのほうが気の毒だ、亭主が一人で所得を得ている場合には、どうしても累進税率で高い税金を取られるから気の毒だという御意見と、それから共働きの場合はそれぞれ自分が労働を他に提供して所得を得ているのだから、それはやはりそっちのほうが少し税金が軽いのは当然だという議論が交錯して、なかなか二分二乗論というのはにぎやかなわけでございますが、そういった議論の過程におきまして、いまお話がありましたような最近の若い独身の男性、女性についての税金が重いか軽いかということについては、見方によっていろいろ議論があるわけでございます。中には、独身の若い男の人あるいは女の人で最近レジャー等にお金を回す余地の多い人がなかなかあるではないかということから、むしろ子供を学校へやったりあるいは嫁にやらなければならなかったりする中年以上の方の税が重いのではないかという方もございますし、結婚する前くらいまではもう少し何か税でめんどうを見たらどうかという御議論もあります。その辺は率直に申し上げていろいろな御意見がございまして、私どももどっちがどうと判断していいのかなかなかむずかしいところだと思うのでございまして、ただいまの貝沼委員の御提示になりました御意見も各方面からしばしば伺う御意見ではありますけれども、にわかにそれでは結婚について特別な何か税制上の優遇措置みたいなものを考えることがいいかどうかということには、ほかの方からはまた相当違った意見が出るのではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/102
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103・貝沼次郎
○貝沼委員 現実に結婚にこれだけ金がかかっておるわけでありますから、ひとつ前向きに検討していただきたいと思います。
それから、景気浮揚策の一環として税制改正を行なう、そしてまた大臣の答弁ですと、本来、来年やるべきものを早くやっているのだ、こういうふうに言われると非常にかっこうがいいわけであります。しかしそれならば、来年やるべきものを全部やっておかなければならない。本法だけがそうなんだということはちょっと片手落らなんですね。たとえば今度また議論されると思いますけれども、租税特別措置法であるとか、いろいろなことについての意見というものが毎回毎回出ているわけなんですね。そららのほうはぱっと何も手をつけないでおいて、税制改正という名前のもとに、にしきの御旗を立てて、政府はこのようにみんなによくやっているのだというふうなかっこうだけでは、私はいけないと思うのです。なぜほかのものについては手をつけなかったのか。あるいはそれをいまつけなかったのはまあまあしかたないにしても、これはどうしてもつけなければならないと思うので、今度の税制改正にはそれをどうするのか、その辺のところを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/103
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104・高木文雄
○高木(文)政府委員 大臣も御答弁申し上げましたし、私からも先ほど申し上げましたように、年内減税というのは急な話が起こりまして、そしてそれをやる形として所得税法を改正して、それを年内に及ぼす、こういうことになりましたものですから、とるものもとりあえずやったという形でございまして、それがためにまだほかのほうには手を触れていないわけでございます。
それでは、所得税はこれから先どうするのか、もう四十七年度はこのままでいってしまって一切手を触れないのかといわれますと、そういうことはないので、四十七年度の税制改正については、所得税も含めまして全体としてまだまだこれから先議論をするというふうに申し上げるわけでございますが、ただいろいろな措置の場合と違いまして、所得税の場合にはもし何か手を触れるということになりますと、かなり多くの減税財源を要することでありますので、先ほどの大臣の御答弁のニュアンスで御理解いただけますように、なかなかそう楽観的な見通しを所得税について立てることは、現在の段階ではむずかしいということであるのが現状でございます。他の措置についてはなぜやらなかったかと言われましても、それはむしろまだやる時期に来ていないのであって、所得税のほうが先に出てしまったということでございますから、他の措置、特に租税特別措置法の洗い直し等につきましては、当然これから十二月末までの間に私どもは作業をいたし、所要の機関にそれぞれ御相談をいたしまして成案を得たいということでありまして、このまま何もしないでいるということではございませんので、御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/104
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105・貝沼次郎
○貝沼委員 では、具体的に聞きますけれども、輸出振興税制はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/105
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106・高木文雄
○高木(文)政府委員 輸出振興税制については、現在非常に微妙な段階でございます。と申しますのは、一時例の経済総合対策八項目ということで、いわば諸外国の感触等も考えまして、ある程度輸出振興税制をやめるような方向で考えたらどうかということで作業を進めていた時期もあったわけでございますが、いわゆるニクソン・ショックといいますか、八月十五日以来たいへん情勢が変わってきているわけでございます。そこで、このように変わったままでございますので、いまのところ、さあ具体的にどういうふうにするかということについては、まず平価調整の問題を中心として対外経済政策を基本的に交通整理をはからなければならない時期に来ているわけでございます。私ども税だけの立場で申しますと、そっちのほうのめどをなるべく早くつけていただいて、それとの関連でこれからの判断をしなければならぬというふうに考えるわけでございます。私どもとしましては、この春の国会で一応直していただいて、だいぶ輸出振興税制の優遇措置を圧縮しておりますけれども、できるならば、税の立場からだけ申しますれば、さらに一段とこれを圧縮するか、場合によっては一挙にやるかということをも考えたいという立場でございますけれども、しかしまたこのように大きなショックがありまして、今後どういうふうに輸出関連産業がなっていきますか、かいもく見当がつかないという段階におきまして、あまり大きなショックを与えるのはどうかという通産省サイドの御意見もごもっともであると思います。これは私どもよりもさらにハイレベルをも含めてよく御相談いたしたいと思っております。今日の段階ではいずれとも申し上げかねる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/106
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107・貝沼次郎
○貝沼委員 それはまたそのとき議論することにいたしまして、私は結論を申し上げたいと思うのでありますが、いままで議論してきたことは、現在かかっておるこの税法改正は、本来ならばもっと早くやってもいいわけだし、気がついてもいいわけだし、また当初においてやってもいいわけですけれども、現在こういう不況が来ておるために出てきた。そして景気浮揚の一環としてという大義名分のもとに出てきたわけですけれども、出ないよりはよかった。しかし、もしこれがこういう経済状態でなかったならば、これは出てこなかったわけですね。しかし現実に出ているところを見ると、出せるものなんです。出せるものなんだけれども、いままで出てこなかったし、こういう状況がなければ出てこなかった、こういうことは非常に問題だと思います。しかもその出方が、国民生活が非常にたいへんであるとか、あるいはみんなの世論の結果がこうだとかいうことではなくて、生活ということを根本にしたものではなくて、景気の浮揚ということが大義名分になっておるわけですね。私はこういう出方というものがはたして正しいのかどうかというのを疑問に思います。やはり税制というのは確かにそういう面もありますけれども、それよりもさらに国民の生活を優先して考えていくという考え方が大事ではないかと思うのです。もし国民生活優先という考え方があったならば、本年当初においてもっともっと減税がなされたでありましょうし、あるいは今回のこの減税についても、もっと規模が大きく行なわれてもよかったと思います。また、先ほどからいろいろ議論してまいりましたけれども、たとえば課税最低限の問題あるいは諸控除の問題につきましても、もっと考えるべきではなかったか、こういうふうに思っているわけであります。この点は特に大蔵当局、政務次官も今後さらに心して当たっていただきたい。これは政務次官からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/107
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108・田中六助
○田中(六)政府委員 おっしゃることは非常にもっともでございまして、私どもも今回の所得税の減税は景気浮揚策というふうに銘打っておりますが、これは根底にはやはり、あなたのおっしゃるように国民生活を優先しているわけで、もしもこのまま景気がずっとずるずる悪くなっていくならば、失業というような大きな問題にも波及いたしますし、そういう観点からやはり景気浮揚というのが優先しなければならないということが根本概念でございまして、そういうことを中心に今回千六百五十億という所得税減税の措置を講じたわけでございます。
いずれにいたしましても、国民生活優先ということを中心にこれから諸政策を進めていくことには変わりなく、これからも心してやっていこうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/108
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109・貝沼次郎
○貝沼委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/109
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110・齋藤邦吉
○齋藤委員長 丹羽久章君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/110
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111・丹羽久章
○丹羽(久)委員 許しを得ましたのでちょっと質問いたしたいと思いますが、それぞれいままで多数の方々の質問がありましたので、重複していく点がたくさんあろうと思いますが、その点はひとつ理解をしていただきまして御答弁をいただきたいと思います。
今回の所得税の減税案は、考えようによっては早急な景気の浮揚策の一つとして年内減税を行なおうとしているものと思います。また、その内容は、所得控除の引き上げと税率の緩和の二本立てのあり方のようでありますし、所得控除の引き上げは、いわゆる低所得者の税負担を軽減するというものであるが、税率の緩和は、先ほど話がありましたように、中堅層の額税をねらったもののようであって、それも年間五百万円のサラリーマンというように、かなり高い所得層が一番減税の恩恵を受けるようになっておると思うのです。これに対して、二百万円以下の人の減税額は非常に少ないのではないか。調査をいたしました私の結果は、そのように出てきたのです。たとえば夫婦子供二人の平均的なサラリーマンの場合の減税額をひとつ御答弁願いたいと思いますが、どういうふうに御答弁を願うかということを私のほうから申し上げましょう。給与収入百万円、百五十万円、二百万円、三百万円、五百万円、七百万円、一千万円、こういうふうにひとつ区切って、百万円の場合は減税を幾らする、百五十万円の場合は幾らする、二百万円の場合は幾らにする、いま言った金額に見ならってひとつ数字を示していただきたいと思います。これも同じようなことになりますけれども、やっぱりもう一度よく聞きながら話を進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/111
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112・高木文雄
○高木(文)政府委員 お答えいたします。
給与所得者の夫婦子供二人の軽減額、四十六年分で申し上げます。実額で申し上げますと、百万円が二千七百四十円、百五十万円が五千百円、二百万円が八千七百円、三百万円が二万八千二百五十八円、五百万円が八万八千三百四十七円、七百万円が十六万五千六百二十五円、一千万円が二十二万八千二十五円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/112
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113・丹羽久章
○丹羽(久)委員 いま、百万円が二千七百四十円、百五十万円が五千百円、二百万円が八千七百円、三百万円が二万八千二百五十八円、五百万円が八万八千三百四十七円、こういうことで、七百万、一千万も私が調べたのとただいまの局長の御答弁とは一銭も違っておりません。これはもっとも、あなたのほうから出してもらった資料ですから、間違いないはずでしょうということになるわけなんです。
そこで、百万円は二千七百四十円減税していただくとゼロになる。ゼロになるということは、百万円まではもう一銭も出さなくてもいいということになる。これはもう方法はないですね。これ以上まけたいときは、それはあなたのほうからお金をやるということになります。それはもうそれでよろしい。
ところが、百五十万円を五千百円引いていただきますと、出す税金というのは幾らになりますか。それから二百万円で八千七百円引いていただくと、いまと同じことになりますが、今度出すほうは幾らになるかということをちょっと言っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/113
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114・高木文雄
○高木(文)政府委員 百五十万円は四万二千四十二円、二百万円が九万八千六十一円、三百万円が二十五万一千五百七十二円、五百万円が七十万九千五百十三円、七百万円が百四十一万八千三百二十五円、一千万円が二百七十五万五千七百二十五円、以上が四十六年の納めていただく額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/114
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115・丹羽久章
○丹羽(久)委員 ただいま、百五十万は五千百円引くと四万二千四十二円払わなければならぬ、二百万円は九万八千六十一円払え、三百万円は二十五万一千五百七十二円払え、五百万円はこれこれ払えとおっしゃいました。その金額は間違いありません。これもあなたのほうの資料ですから、間違いないだろうと思うのです。
それで、こういう計算でいきますと、先ほどからも話がありましたが、いいですか、局長さん、年収二百万円をこえるサラリーマンは、昭和四十四年で全体の何%ぐらいになるのですか。もし四十四年がわかりにくかったら四十五年でいいです。四十四年は私のほうから申し上げましてもいいですよ。三・四%程度だというふうに調査してありますが……。四十四年がわかりにくかったら、申し上げるように四十五年でもいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/115
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116・高木文雄
○高木(文)政府委員 四十四年で四・二%ではないかと思います。二百万円以下が九五・八%ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/116
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117・丹羽久章
○丹羽(久)委員 これは数字的問題でありますから、私のほうも調査室で調べた数字であって、私のほうもきのうのように質問時間を間違えられて、少しぐらい数字が違っているかもしれませんけれども、大体四%ないしは三・五%程度かもしれません。
そこで、それはそれとして——ちょっとこちらを向いて聞いてください。そこで、二百万円以下の人たちでありますが、これは税を納める全体の何%ぐらいになるのですか。たとえば、五%引くと、二百万円以下が九五%になりますね。そうでしょう。もう一度申し上げます。——私の質問のしかたが悪いからわかりにくいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/117
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118・高木文雄
○高木(文)政府委員 二百万円以上が四・二%で、二百万円以下が九五・八%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/118
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119・丹羽久章
○丹羽(久)委員 だからこまかい数字を切って、九五%くらいが二百万以下の人ですね。こういう人は、先ほど堀さんも言っておられましたが、私は堀さんとは立場上——自民党、与党という立場から聞くのですから、穏やかに聞くのです。だから局長をいじめるとか、局長に腹帯を締めろとか、そういう聞き方ではないのですが、実質的な問題からいくと、あなたのおっしゃるように二百万円以下が九五%ある。その人員なるものは一体どれだけあると調査していらっしゃいますか。これは堀さんが聞かれたかもしれません。そのとき私は少しほかのことを考えておりましたので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/119
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120・高木文雄
○高木(文)政府委員 四十四年の給与所得者の総員が二千百九十四万五千でございますが、そのうち二百万円以下が二千百三万四千人になります。全体が二千百九十四万五千人で、ただいまの九五・八%に当たる二百万以下が二千百三万四千人になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/120
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121・丹羽久章
○丹羽(久)委員 局長のおっしゃるとおりなんですね。大体二千二百万の九五%というのが、二千百数十万というのが二百万以下の人になるわけですね。そうなると、その人たちの今度恩恵を受ける減税というのは、比較的低い。二百万以下は低い。低い者は、ははあ今度は税金まけてもらったらひとつ物を買おうかという、そういう気持ちになり切れないというと、景気浮揚というものが、この数多い人たらから考えてみたときに、あまり大きな役割りにならないということは、これは先ほど堀さんが言われたかどなたかが言われたのと私は同じような考え方を持つのです。野党でもなければ与党でもない、大蔵委員会全体が、多数の人たちのために考えてきたときには、そういう感じを持つのです。
そこで、いろいろ御苦労していただいて、百万円までは、それだけ引くとゼロになる、だからもうこれ以上の方法はない。けれども、そこが考え方のしどころだと思う。これからひとつこうしてやったらもっといいうまいことができるのじゃないかというようなことをお考えにならなかったか。局長、どうですか、御苦労のほどはわかりますけれども、そこが私の与党としても聞きたいところなんです。ここなんですよ、問題は。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/121
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122・高木文雄
○高木(文)政府委員 今回の所得税の減税の内容を仕組みます場合に、考え方といたしまして、規模をどのくらいにするかという問題が一つあるわけでございます。規模を大体この春の改正の千六百六十億とほぼ同じくらいということを前提にして、さてそれではいわゆる控除だけで減税の案をつくりますか、それとも控除と税率の組み合わせで案をつくりますかということを比較検討をしたわけでございます。で、控除のほうは、御存じのように定額で、各層からみな一定額を引きますから、どうしても収入の低いほうのところの階層が減税額が大きくなりますし、税率は、各階層——下のほうの階層は所得が少ないものですから、少ないのに率を掛けますから、税率を直しましても、税率による減税効果は、どちらかというと収入の少ない階層には大きく及ばないということになります。
そこで、そのいずれをどういうふうに組み立てるかということなのでございますが、所得税のとき一番困っております点は、所得税が税の制度の中で一番基本的な税制だと私ども考えておるわけでございますが、この所得税について、ほかの税よりも何よりも一番負担感が重い。重い重いという声が非常に強いわけでございます。税でございますから、もちろん法人税についても重いという話は聞きますし、間接税についても重いという話は聞きますけれども、どうしても所得税について重いという声が一番私どもの耳に強く響くわけでございます。そこで、所得税の減税具体案をつくります場合に、やはり負担の公平を考えながら、所得税の負担感をどうやって少しでも緩和するかということを考えながら具体案を立てなければならないだろう、ということからいろいろ考えたわけでございまして、その意味から申しますと、先ほども貝沼委員の御質問にお答えしたときに申し上げましたとおり、現在の状態での負担率ということも問題ではございますが、もう一つは、給与所得者の場合には、特にサラリーが少し伸びた、一割なら一割サラリーが伸びたときに、その伸びた部分についてどういう税率がかかってくるかというのが負担感に非常に影響があるのでございます。
そこで、今回の案によりますと、たとえば二百万円のところでございますと、給与収入が二百万円の方がサラリーが一〇%ふえたといたしますと、これまでの現行法では二百万円について一三・九%の税金がかかってくることになっておりましたのが、今回の案では一二・四%で、少しでございますが、とにかくそこが下がります。もし、今回のように税率の改正は全くいたしませんで、同じ程度の千六百五十億の減税をやることにして、それを全部控除でやるということにしますと、今度の案よりもっとうんと下のほうに喜ばれることになりますけれども、二百万円の方が一〇%ふえた、そのふえた部分についての限界税率は、その場合には一三・一%ぐらいの税率になりまして、もちろん現在よりは下がってきますけれども、今回私どもが御提示いたしました案よりはだいぶ限界税率が高いわけでございます。やはり、せっかく去年よりベースアップになったとか、一生懸命働いたのでボーナスをよけいもらったというときに、そのもらった部分について、何と、すぐえらい税金がかかるではないかということが負担感につながるわけでありますので、そこの限界部分の負担の問題というのは、私どもとしては何とかして少しずつ下げていきたい。そこで、先ほど来お話しでございますように、サラリーマンの中ではやはりどうしても収入二百万円というあたりの方の負担感をどうするかということが非常に問題でございまして、この二百万円あたりの方の負担感が、静態的に見れば確かに控除だけでやったほうが負担が軽くなりますけれども、ふえた部分の税金ということになりますと、もうすでに二百万円の段階で控除だけでやるよりは、税率と控除を組み合わせてやったやり方のほうが軽くなりますものですから、負担感の軽減ということを何とか早く実現をしたいものだということを、念願というかふだんから考えております私どもから見ますと、この限界税率といいますか、所得増加、上積み部分についての税率が少しでも大きく下がるほうがいい。それには控除だけでやるよりはそっちでやったほうがいいという考えをとったわけでございます。
なお、参考までに申しますと、給与収入、サラリーが百五十万円の方が、サラリーが一割、したがって十五万円去年よりふえたとした場合のその上積み分についての税率は、現在は一〇・三でございます。それがもし税率を直さないで控除だけでやりました場合には全く変わりませんで、一〇・三で改善されないわけでありまして、今度の私どもの御提示申し上げております案ですと、わずかでございますが一〇・一と下がる。これはいずれも夫婦と子供二人の場合について御説明しているわけでございますが、給与収入百五十万以下の場合になりますと、それはやはり下のほうは控除がきいてきますから、上積み部分につきましても、控除だけで改正案をつくりましたほうがより有効にきいてまいりますが、百五十万円のところから上は全部この限界点の実効税率が下がりますので、その辺のところを考えて、この際としては、その負担感の問題にかなりウエートを置いて案をつくるということによって所得税の負担感を軽減していきたいというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/122
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123・丹羽久章
○丹羽(久)委員 よくわかりました。局長がずいぶん御苦労をせられて、それぞれの方と相談をせられて、そして先ほど言うように、二千百万人からある二百万以下の人々のために、何とかもっといい知恵はないだろうかと知恵をしぼりしぼりつつそういう結論が出たんだという、その考え方には敬意を表するのでありますが、実質的にはもう少し何とかならぬかという考えが、これがテレビ、新聞等で報道せられたときの声なんですよ、実際。それはあなたの耳にも入ったはずだと思うのです。だからもう、いままでの御苦労のほどは御苦労のほどですけれども、この案に対してはとやかく言うものではないが、先ほどから希望しておるように、先ほど大臣出席せられておりましてどなたかが質問せられたように、来年度はどうするかとこうおっしゃったときに、来年度は来年度によって考えてみたいという意見のようでありましたが、それはなるほどそうなるかもしれませんが、(堀委員「そんなことはない」と呼ぶ)しかし、そういうような考えがもしあるとするならば、来年度の見通しというものは、景気が回復してくるということは、きのうの質問のうちにも、一年や一年半ではなかなか困難だと思うけれども、できることなら自分の力で一日も早く景気回復をしてみたいと言っておりますが、景気回復というものは、いかに日本の大蔵大臣が何と言われても、世界の中に日本というものが立っておる今日、日本だけによって景気回復ということはなかなか困難な情勢だと私は思うのです。そういう意味から、われわれが一番考えていかなければならぬのは、いまのこの二千数百万人の人々のことなんです。私の聞き間違いであったかのように、うしろのほうから、そうでないということでありますので、来年は必ずやってくれればけっこうでありますが、御苦労のほどはわかりますけれども、来年度は十分これを考えていただいて、二百万以下の連中にももっと減税できるような何か方法を講じてもらいたいということをひとつお願いしておきたいと思います。
それはそれとして、景気浮揚に対して新聞、テレビ等の報道によりますと、減税を千六百五十億円今度はやるのだ。一・七倍に当たる二千八百億円程度の消費の増加があるということが盛んにいわれておりまするが、あなたのほうもほんとうにそのような消費の増加があるというふうにお考えになっておるのか、どうでしょうか。この点をひとつお尋ねいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/123
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124・高木文雄
○高木(文)政府委員 減税がありますと、それだけ皆さんのふところに残って、先ほど御説明いたしましたように、それが一部は貯蓄に回って一部が消費に回る。また、その消費に回った分が経済を循環してまいります。そこのいわゆる乗数効果がどのくらいあるか。一年間に千六百五十億減税したほどの効果が、景気刺激効果がどのくらいあるかという乗数効果につきましては、非常に議論のあるところでございます。だいぶいろいろ経済理論も発達してまいってはおりますけれども、いわゆるいろいろな計量モデルによりまして、減税効果の乗数効果についての指数はいろいろ出ておるわけでありまして、必ずしも統一をした指数というものがまだ確立をしていない段階ではございますが、一応私どもの大蔵省の中でいろいろ議論しておりますところでは、過去のいわゆる中期モデルというのがございますが、その中期モデルによる乗数効果として一・七くらいというふうに見ておるわけでございます。これは千六百五十億が刺激効果になって回っていくうちに一年間ではどのくらいになるかということでございます。したがって、千六百五十億の一・七ということは、いまおっしゃいましたように、二千八百ないし三千というくらいの数字になるかと思います。
ただ、減税の効果というのが、先ほど申しましたように、年内減税というようなやり方は今回が全く初めてでございます。過去のモデル——モデルというのは過去の経験値から積んでいくわけでございますから、年内減税をやったような場合にどういうふうになってあらわれてくるかというのは、いわば全く新しい実験をやるようなものでございますので、あるいはそれよりももっと大きい効果が出得る可能性もあるわけでございます。
と申しますのは、平年度でやりますときには、減税をしましても、十二月までの間に毎月毎月源泉徴収額が減ってくるとか、翌年の三月十五日の確定申告のときに減税効果があらわれるわけでございますけれども、今度の場合は、いままでこれを予定しないで徴収をされていた税収額が、年末のところでぽっと年末調整の際に一ぺんに返ってくる。返るということばは悪いのですが、そこで効果があらわれますから、確定申告の方についても、すぐまたわりに近い三月十五日にあらわれますから、案外早く出てくるのではないかという見通しも立てられるわけでございます。これはいずれにいたしましても経験がないことでございますので、私どもは、過去のモデルの数値によりまして一・七、三千億くらいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/124
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125・丹羽久章
○丹羽(久)委員 新しいケースであるから、一・七倍の三千億近い購買力、消費の増加というものがおそらく出てくるだろうと思うという想像論だと思いますね。私はまたあなたと全然逆な考え方——この二千万近い、千九百万ですか、二百万以下の人々の減税点から考えてみますと、こんなに景気が悪くなってくれば、貯蓄もしなければならぬし、あまり物を買わないほうがいいだろうという心配感から、購買力は減退するのじゃないかという考え方を持っているのですよ。そういうところがあなた方の考えと私どもの考えと少し違うのだろうと思うが、それは結果が出なければわからないことであるから、それは将来に延ばして、そしてまた局長とお話を申し上げることにいたしまして、この問題は一応打ち切っておきましょう。
そこで、時間がございませんので、詳しく各国の例を取り上げて質問をいたしたいと思いますが、それは省略いたしまして、最近、二分二乗課税方式、妻の座を高めるというような話が出ております。これはもうすでにどの程度までお考えになっておるかということを、新聞報道等で私どもは知る範囲ですけれども、ごく簡単でいいから、これのわかっておる範囲でひとつ話していただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/125
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126・高木文雄
○高木(文)政府委員 本年の八月四日付で前の税制調査会から御答申をいただきました。御答申をいただく前に、その事務局をつとめております私どものほうで、いろいろ二分二乗について研究をし、いろいろな角度から長所短所を拾い上げまして、それを税制調査会で議論をしていただきました。その結果、二分二乗を採用すべきかどうかということはにわかには判断をしがたいが、とにかく採用するかどうかということをきめる時期はそう先に延ばすべきではないだろう、至急に作業を進めて、二分二乗を採用するかどうかを早く決心をすべき時期にきたのではないかという式の御答申をいただいたわけでございます。
ところが、現段階では非常にむずかしいことがございますのは、一般的に二分二乗と申しますのは、家にあって家事をやっている奥さんを持っている御主人の所得税が相対的に安くなるということでございまして、逆に申しますと、独身とか共かせぎとかいう方はあまり有利でないという関係になります。従来の制度と二分二乗とを比較してみて、どっちが相対的に大きく減税になるかといいますか、効果が大きく出るかと申しますと、サラリーマンの奥さんで家で仕事をしている人とかいう人のほうが大きく効果が出てくる、こういうことになります。
そこで、そういうところの減税を大きくしたほうがいいかどうかということについては、これはいわば国民の選択といいますか、広く世論に問うてみなければならないわけでございますが、その前に、もう少し具体的にいろいろ問題がございまして、特に現実にそれをやります場合に、相当複雑になる面がございます。二分二乗という場合には、御主人の収入と奥さんの収入とを両方足しまして、それを二つに分けて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/126
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127・丹羽久章
○丹羽(久)委員 局長、せっかく答弁しておっていただきますが、時間の関係で、非常にいろいろこむずかしいところはあるけれども、それを研究しながらやろうと考えておるのか、考えていないのか、その点だけお聞きすればいいと思います。もうその詳しいことは、私もこれからまた時間があったら、ゆっくり聞きたいと思いますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/127
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128・高木文雄
○高木(文)政府委員 はい、わかりました。
そこらが非常にむずかしいので、やるとしたらどういうことになるかということで、いま研究中でございまして、それがために学者にお願いして、現在諸外国の実情を調べていただいております。その結果等も見た上でこれから判断をする、皆さんに御相談する、こういう時期が参ろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/128
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129・丹羽久章
○丹羽(久)委員 そうすると、答申はそういうような答申が税調から出てはおるけれども、まあ当局としては、これから研究してみて、それを採用するしないという決定的なものはまだ出ていない、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/129
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130・高木文雄
○高木(文)政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/130
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131・丹羽久章
○丹羽(久)委員 それでは、その次にちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、このごろ交際費が非常にたくさん使われる。そういうことから、昨年の報告と比べましても、もう一兆円近い九千億ですか、八千何百億だったか、たいへんな金が交際費として使われておるが、これが最近取り上げられてまいりましたし、当委員会でも、この点が論議をせられたと記憶いたしております。そういう点と同時に、新聞報道によりますと、政府は交際費の課税の強化として、現行の四百万円の一律なあり方に対して縮小を考えているようであるというようなことがいわれておりますし、あるいはこれをこのままいくのもおかしいし、限度額を超過した分だけに対しては七〇%をいま課税しておるけれども、これをもっと率をふやして、七〇%から八〇、九〇にするような場合もあり得るような方針を立てておるというようなことが報道せられておりますが、この問題も、詳しい説明はまた時間があったら十分聞くが、そういうこともいま考慮に入れつつ、四十七年度予算のうちに考えておられるかどうかということを、この際お聞きしておきたいと思いますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/131
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132・高木文雄
○高木(文)政府委員 いずれの方向とも方向は出しておりませんが、四十七年度の問題として検討事項だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/132
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133・丹羽久章
○丹羽(久)委員 その次には、同じようなことでありますが、少し形式が変わりますけれども、交際費でなくて広告費ですね。これはもう広告することによって物を売る、物を売ることによって利益を得る、得るから広告費というものも大きな数字を示しております。たとえば、私が調べた範囲においても、四十三年は五千三百二十一億円、年々上がりまして、四十四年には六千三百二十八億円、四十五年にはもうすでに七千五百六十億円というような広告宣伝費が使われておる。これにも今後の考え方を入れていくように言われておるようでありますが、当然これは考えるべきであって、最近自粛してはきたようでありますけれども、いまだ必要でないとわれわれが考えるような広告費が使われております。これはたいへんなことだと思う。こんな金額が広告によって免除せられるということは、当然取り入れて考慮していかなければならぬし、四十七年度の予算措置としてもお考えいただくのは当然だと思うが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/133
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134・高木文雄
○高木(文)政府委員 だいぶ前の税制調査会で、広告に関する税制を何か考えてはどうかという御議論がありました。しかし、なかなか技術的といいますか、いろいろな面でむずかしいということで今日まで実現してないという経緯がございます。ただ、この春の当委員会におきまして、附帯決議で、これを研究したらどうだという御意見をいただいております。私どもとしても、ただいま丹羽委員からおっしゃいましたように、非常に広告費の額がふえておりますので、これは確かに一つの問題点であるということでございまして、先ほど御指摘の交際費と同様、検討事項として考えておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/134
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135・丹羽久章
○丹羽(久)委員 主税局長、ありがとうございました。あなたに対する質問はこれで終わりたいと思いますが、大体アウトラインだけをお尋ねいたしたのでありますので、こまかい点についてはまた委員長のお許しを得ていろいろとお尋ねいたすことにいたしたいと思います。
国有財産の問題につきまして、理財局長に御出席いただいておりますし、次長にも御出席いただいておりますので、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
物納の際、すなわら物納というのは、現金で払えない、現金で払えないから、本人は四方八方飛んで歩いて、金にしてお支払いしようと思っても思うようにいかない、いろいろ税務署からはやかましく言われるということで、一応財産を評価していただいて、そしてその金額の価値としてそうしたものを納めるわけなんです。これはおわかりだろうと思いますが、そこで、これを受け取っていただいてからその土地家屋はどこへいくかというと、今度はそれは理財局のほうへいく。出先でいうならば財務局へいくというわけなんです。その財務局へ今度はその土地を買いたいという人——それを買いたいという人はどういう人かというと、建物が建っておってそこに住んでおった人たち、そういう人たちが、税務署へ納める当時には金がなくて困っておったが、何とか金のくめんがついたから、半年後に財務局のほうへ行って、あの土地は私どもが住んでおるところであるし、家であるから、ぜひひとつお分けをしていただきたいと言うと、物納せられたときの金額と財務局で算定せられた金額の差がたいへんな開きがあるのですけれども、この点について一体理財局長は御存じになっておるかどうでしょうか。そういうようなことは、きめられた財産の処分であるから、何ともいたし方ないとお考えになっていらっしゃるのか、この点をひとつお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/135
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136・橋口收
○橋口政府委員 丹羽先生が御指摘になりました問題は、相続税の現金納付にかえて物納いたしました財産について、これが国有財産になった後において払い下げを行ないます場合の払い下げの価格と、相続税納付の場合の計算の基礎になった財産価格の評価との間に非常に距離があるのじゃないか、こういう御指摘かと思います。この問題に
つきましては、問題が二つあるのじゃないかという感じがいたしておるわけでございます。
第一の問題は、相続税の相続財産価格の評価は、政策的な要請もございますから、時価よりもかなりかために、低目に評価がしてあるようでございます。それに対しまして、物納された財産の払い下げ価格は、国有財産の払い下げでございますから、いわゆる時価主義と申しますか、正常な取引関係において成立した価格ということに、財政法の精神等から見てそういう取り扱いになっておるわけでございます。したがいまして、物納された財産について、同じ時点において払い下げが行なわれましても、その間にある程度の格差があるのは、それぞれ国有財産法なりあるいは相続税法で予定する目的が異なっておりますから、これはある程度避けられない面があるのじゃないかという感じがいたします。これが第一の問題でございます。
ただ、いま御指摘の中にもございましたように、第二の問題は、むしろ物納関係の物納手続がおくれる問題、あるいは物納された財産を財務局において処分をいたします場合に時間的にズレがあるという問題、この問題がまさに御指摘の問題の中心ではないかと思います。相続税の場合には、あくまでも相続開始の時点で評価をいたしますので、それからたとえばそれを以後相続開始後実際に相続税の物納が許可されたというのがかりに二年後になると仮定いたします。さらにそれが財務局に仕事が引き継がれまして実際に処分するまでにまた相当時日を要するというようなことになりますと、現在の地価というものは年々上昇いたしておりますから、実際に払い下げを受ける時点におきましては非常に価格が上がってしまう。
こういう点につきましては、物納事務の処理を早めるとか、あるいは物納された財産の払い下げを早めるとか、事務の処理につきまして、従来、とするとおくれがちであったと思います。少なく
ともそういう点に関しましては、国税庁ともよく連絡、相談をいたしますと同時に、財務局の事務を督励いたしまして、できるだけそういう時間的な差、つまり運用の配慮の足らなさのために非常に払い下げ価格に相違が生じて高い価格でお買い取りをいただくということのないように、この点は十分勉強もいたしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/136
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137・丹羽久章
○丹羽(久)委員 第一点も第二点もあなたの答弁には納得できないのです。まず第二点のほうから申し上げますと、財務局のほうが事務的におくれておって、その時差があるのだというのだが、なるほど土地の値上がりというものから考えてみれば、一年、二年と経過すればそれは相当変わってくるでしょう。しかしそれは一般論であって、
一般の人たちが売買するときの値段の格差というものであって、そこは物納という精神からいって、処分が自分ができ得ないからといって国税のほうへ納めたものである。納めたものを、今度同じ国税の局が分かれておるからといっても——理財局のほうで算定をする。そして一年の間に、一月ごとに何割ずつ上がりますよというような上げ方で処分をするとするならば、たとえば一つの例をあげると、大家さんはこういうことを言う。
私は八百万円の借金があります。国税を納めなければならぬ。おやじの財産の相続税が八百万円あります。どうしてもあなた方に土地と家を買ってくださいとお願いした。そうするとその大家さんに対して、一部の人たちが、そんなものを何も八百万円も出しておれたちが四人で買う必要はな
い、四十年間も住んでおった家だからもっと安く売ってくれ、五百万円くらいにまけてくれたらひとつ買おうじゃないか、こういうことになった。そこで、税務署のほうへ行って——何とかこれはひとつ買うという人と買わないという人とが別々で受け取ってくれないかといって大家さんと話し合ったら、大家さんは、それはだめだ、総括して一ぺんにおまえたちが金を持ってくれば税務署は受け取ってくれるが、ある人は買う、ある人は買わないというめんどうくさいことはやってくれない。だからもう、私はあなた方に売ってあげよう、八百万円できれば税金は全部済むのだから八百万円で売ってあげよう、そう言っておるにかかわらず、あなた方がどうしてもよう買わぬというなら、このまま物納いたしますといって八百万円で物納した。そして受け取った税務署側は、税金はそれで清算できたということなんです。ものの一月たたないうちに、処理が済むと今度は財務局へ回った。財務局へ回って今度は三月目に、本人たちは、これは何とかそんなめちゃなことを言っておってもいかぬといって、買わぬという人を納得させて、税務署へ行って、どうでしょうか、あれをひとつ私たちに分けていただきたいと思うがとお願いすると、所管が違うからそれは財務局へ行きなさいということでしたのでこちらへ来ました。二割や一割は高いと思いますけれども、それは承知で来たのです。ひとつお分けしていただきたいと言ったときに、幾らの金額になったかというと、千六百万円近い金になっておる。一年や一年半足らずでそういう金額になっておる。
一体、大蔵省と名のつくところで、そうして国税庁と理財局という——国税庁というものと理財局というものとどう違うのでしょうか。そして税務署と財務局というのとどういう違いがあるのでしょうか。大蔵省でもって、こんな高利貸しよりもっとひどい、こういうやり方が一体あるものでしょうかと言うのです。これが一体国民感情として許されることだとお考えになるのでしょうか。これをどうお考えになるのですか。これは極端な例ですよ。そんなにひどいという数字は言わないけれども、極端な例であるけれども、それにやや近い数字をあげておるじゃありませんか。それは事務的の処置がおくれて、三年も五年もたったあとだったら、それでまたあなたのおっしゃるような、考えられる面もあるでしょう。しかし、それを一年や一年半に——一体政府の経済上昇率というのはどれだけと発表しておるのですか。一年間にすべての物価の上昇率というのは一〇%だとか一五%だと言っていないのですよ。たったの五%だとか八%だと言っているじゃありませんか。それが十倍の八〇%も一〇〇%も上げて、法律上やむを得ないとおっしゃるあなたの気持ちはわかるが——理財局長、こちらを向いて聞いてください。財務局の人たちは、こういうようなことを私たちはやることは実際忍びないことだから、これは何とかいい話はできませんでしょうかと言っておる現実があるのだ。実際私どもも同じ国税でありながら、片や受け取ったら、こちらでは鑑定士を呼んできて評価させた金額で売らなければならぬ。片方は、もらうために損がないようにすればいいという受け取り方だ。これはどちらにしても一応法律的に済んでおる物納というものに対する考え方をもう一度考えてもらいたい。こういうことなんですよ。だからこれは、時間がもうありませんので……。(「参考人を呼んで、やれ」と呼ぶ者あり)もう一ぺんゆっくり——何か参考人を呼んで話をせよということだが、参考人も呼ぶし、一ぺん事実、これはやはり変える必要があると思うのです。どうですか、局長、もう変えるというようなことについて——もしそういうことがあったら、やはり国民感情として許されることでないから、何とか少しこれは考え方を変えていかなければならぬなというようなお考えがあなたの胸中に少しでもあるのかないのか、伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/137
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138・橋口收
○橋口政府委員 先ほどちょっと基本的な考え方を申し上げたつもりでございますが、もう一回繰り返して申し上げますと、国有財産の払い下げの場合は建設省の公示価格、これを原則として援用をいたしておるわけでございます。ただいま御指摘になりました問題は、おそらく——間違っておりましたら後ほど訂正いたしますけれども、相続の開始の時期から相当期間がたっておるという問題が一つあろうと思います。先ほど申しましたように、その相続税の評価というものは、やはり政策的な配慮もございますから、時価の七掛けとか、あるいは六掛けとか、そういう評価になっております。それに対しまして、国有財産のほうは、時価主義をとっておりますので、そこには本質的な法の目的の相違から来る違いがあります。そのほか一番大きな問題は、やはり相続開始以後実際に物納されるまでの間の時間的な経過、さらに物納されてから財務局が払い下げをするまでの時間的な経過、その間における地価の指数の高騰というものが、やはり御指摘のような、たとえば一例でありますが、二倍というような価格になる場合もこれはないとは言えないと思います。したがいまして、先ほど申しましたように、まあ国有財産のほうの時価主義という考え方を変えることはむずかしいと思います。したがって、相続税の物納の事務手続を早めるとか、あるいはそれが承継されて物納された資産の払い下げを早めるとか、そういう事務的な手続の合理化、改善、これに最善を尽くしたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/138
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139・丹羽久章
○丹羽(久)委員 時期的には三年も五年も日がたってからの問題なら、局長さん、そう論議をするところは私はないと思うが、(発言する者あり)一年や二年の間でそう倍近い金を取るというようなことは、それを苦労して買っていく人たちの立場に立ってみると、なかなか理解できないのですよ、実際。だからそういう点を、局長さん答弁は要りませんから、一ぺんよく研究してみて、そういうのに対して、いまうしろのほうで堀さんは、受け取ったときの価格が安い価格で取ったのではないかと言ったが、そういうことなら税務署のほうから割り戻しをもらわなければいかぬ。そうでしょう。だから、あんまり高く売れたら半分くらいは返してやるということを考えてみたらどうですか。それはほんとうにそうですよ。それは主税局長、あなたのほうの問題になるが、あなたのほうもこれは関係があるから聞いておって——笑いごとでない、そういうようなのが、この一億の国民のうちに苦しみあえぎながら親財産を泣く泣く納める。納めたときの評価が安い。片一方で高く売る。指をくわえて、ああ取られてしまったら、あんな高う処分したのかということがあり得るから、これはひとつ、私は理屈っぽいことを抜きにして、一ぺん両方でよく研究してくれませんか。そしてきょういらっしゃる皆さん方は、何もそういうことに対して反対して、それはだめだという人はおそらくないと思うんだ。そんなことに全然関係のない国有地を売るというのならこれはまた別だが、いま言うように、先祖代々のものを、金が払えないで物納するという相続税なんというのに対しては、特例的な考え方をひとつよく考えて、評価をして、どちらかが間違っておるとするならば、それは十分考えるという余地があると思うから、課題にしておきますから、一ぺん研究してくれませんか。お願いいたします。声を少し大きくしましたのは、私は耳の遠い人たちにもようわかってもらいたいと思ったから……。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/139
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140・齋藤邦吉
○齋藤委員長 次回は、来たる十一月二日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00419711029/140
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