1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年十一月五日(金曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 齋藤 邦吉君
理事 宇野 宗佑君 理事 木野 晴夫君
理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君
理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君
理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君
上村千一郎君 奧田 敬和君
木村武千代君 倉成 正君
佐伯 宗義君 坂元 親男君
中島源太郎君 坊 秀男君
三池 信君 吉田 重延君
吉田 実君 阿部 助哉君
佐藤 観樹君 藤田 高敏君
堀 昌雄君 貝沼 次郎君
寒川 喜一君 小林 政子君
出席政府委員
大蔵政務次官 田中 六助君
大蔵省主税局長 高木 文雄君
大蔵省銀行局長 近藤 道生君
自治省税務局長 佐々木喜久治君
委員外の出席者
通商産業省企業
局企業第二課長 福川 伸次君
運輸省航空局監
理部長 住田 正二君
大蔵委員会調査
室長 末松 経正君
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十一月四日
付加価値税創設反対に関する請願(石橋政嗣君
紹介)(第四一一号)
同(堂森芳夫君紹介)(第四一二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇号)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/0
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001・齋藤邦吉
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
租税特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/1
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002・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 前回若干質問をいたしまして、資料を要求したわけでありますが、この大蔵省から提出をいただいた資料によりまして、なるほど昭和四十三年、四十五年、今回の改正、こういうように見てまいりまして、軽減割合というのを対四十三年からでも五十万円のところで四八%、以下百万、百五十万、二百万、三百万、五百万、七百万、一千万とこういうところが軽減割合として、二九・二、三九・六、四二・九、四四・八、四一・五、三三・七、二四・三、さらに三千万七%、五千万六・四%、八千万六・六%、こういうように順序よく大体並んで、軽減がこのようになっているということになるわけであります。いかにもこのことは、同時にそれをグラフ化してみれば、その税率の構造がなだらかな上昇になっていく、姿のいい上昇カーブになっていく、こういうことになるわけでありますが、しかし、一般国民大衆はこのカーブがどうであるかというようなことでその問題を判断はしないのであります。皆さんの資料をいただきましても、「一万円当たり負担・軽減状況」こういうのが出ておるわけですが、夫婦子二人のところで考えてみますと、負担額、軽減額、こういうのがありますが、その軽減額のところをまず国民大衆は最も注意深く見るわけであります。
そこで、夫婦子二人のところで百万円のところでは、四十三年分に比較して今度の改正までに一万円当たりで二百十三円軽減された。それが五百万のところにまいりますと、一万円当たり一千百五十二円六十九銭、そういう多額の減税額がある。七百万のところで同じく一千百六十六円十四銭、一千万のところで千一円十銭、こういうぐあい。三千万のところで三百八十八円、五千万のところで三百八十円四十銭、こういうようになるわけですね。このように数字を見てみますると、これはやはり高額所得者に対して減税の恩恵というものが非常に強い形で働く。小額のところはなるほど比率としては高い数字が出ておるけれども、このようにして一万円当たりの減税額が幾らであったかというようなことを見てみますると、わずかに百万円のところで二百十三円の軽減にしかなっていない、こういうことであります。
また負担額のところで見ましても、対四十三年に比較いたしまして、八千万円のところでは、一万円当たりですから六千二百七十八円の負担になっている。また一千万のところで三千六百七十四円である。あるいは五百万円のところで二千五百七円三十銭である。これに対して百万円のところでは、やはり二百十三円である。あるいは百五十万円のところで六百三十八円程度である。こういうことをやはり大衆は実感として受け取るわけであります。こういうようなことでありますから、依然としてここ四十三年、四十五年、四十六年と、ことしは二回にわたって改正が行なわれて四回行なわれておりますが、ずっとここ四年間というものは所得の低いところに比較的減税の恩恵がいかないで、高額所得者にいっている。中小所得者の税率緩和あるいは中堅所得者の税率緩和あるいは減税を——ちょっとがやがやしておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/2
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003・齋藤邦吉
○齋藤委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/3
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004・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そういうところに減税の恩典を与えるのだ、中堅所得者以下に与えるのだ、こういうかけ声でやってきたのだけれども、現実の姿としては、先ほど数字を援用したような、皆さんの資料による数字でありますが、こういう状態になっているということが、この減税における上厚下薄、上に厚く下に薄いという結果がきわめて明確に出ておるわけであります。こういう問題について、私どもの見解からするならば、たとえば今日の段階で五百万円以上というようなところは、まさに高額所得層であろうと思うわけであります。そういうところに、そして数千万円の、五千万なり三千万なりあるいは八千万なりというような、そういう階層に減税をやるどれだけの合理的な理由があるのかということは、どうしても納得ができないわけなんです。そういう金があるならば、もっとボーダーラインといいますか、課税最低限をほんのわずか越えたというようなところ、こういうようなところにまだまだ減税を集中させる段階ではなかったのか、このように考えるわけです。
そこで、前回の私の質問に対して、福田大蔵大臣が答えておるのでありますが、来年減税をやるとすればやっぱり低所得層のための課税最低限——これはことしの四月でありますから、今日あることは予期してなかった。おそらく四十七年度の改正というもののあり方について大蔵大臣は、まずやはり課税最低限を中心にやるのが正しい、そういう気持ちでありますと、最初から税率でいくというような議論も参議院であったけれどもというわざわざ断わりをして、課税最低限の引き上げということに重点を置いてやるんだと、そういう気持ちであるということを明確に四月の——ことしの四月に通ったこれは三月段階での私の質問でありますが、そういうことを答弁をされておるわけなんです。そして、まあ今回の改正を年内減税という、特にドル・ショックの問題等をめぐって景気の落ち込みに対する景気浮揚対策としてやられた、こういうようなことから見ても、これは大蔵大臣が前国会において答弁された思想とも違う。そうしてまた、いま私が数字を引用したように、まさに上厚下薄である。数千万円というところにまであるいは一千数百万というところに減税効果を及ぼすどれだけの効果というものがあるのか、こういう点で非常に疑問を持たざるを得ないわけであります。その点についてもう一度御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/4
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005・高木文雄
○高木(文)政府委員 ただいま御質問のございました、私どもから御提出いたしました資料の右側の軽減額の欄を見ていただきますと、対四十三年分軽減額と対四十五平年分軽減額と二欄並んでおりますのですが、四十三年分の軽減額では、御指摘のようにかなり広範囲に軽減が行なわれております。これは昭和三十二年に大幅な税率の改正がございまして以来かなり久しい間税率の改定がございませんでしたので、税制調査会の御答申をいただきまして、四十四年度と四十五年度にかなり基本的な改正がなされます際に、大幅に改正をお願いする際にこのような改正が行なわれたわけでございますが、今回の場合には、しばしば申し上げておりますとおり、各階層にできるならば同じくらいの割合で、あまり厚くなく幅広く減税の効果を及ぼしたいという気持ちではございましたが、しかし、御指摘のような点がありますので、あまり上の階層には及ぼしたくないということで、税率は上までずっと階層を引っぱらずに、千二百万円のところでとめましたので、一番右の欄にありますように、三千万円あたりからのところはずっと税率の改定効果は減衰をしておるわけでございまして、そのあたりは、四十三年の軽減カーブと四十五年の軽減カーブを見ていただきますれば、前回に比べれば今度の税率の改定は、特に上のほうはかなり慎重にやったつもりであるということを読み取っていただきたいと思うのでございます。
おっしゃいますように、また先般来いろいろ各委員から御指摘がございますように、少し上に寄り過ぎているではないかという点が問題になっているわけでございますが、その点につきましては、しばしば申し上げておりますように、今回のどうして年内減税をやるかという気持ちの中に、長年の勤労の結果として経済が強くなったのはよかったけれども、通貨の調整を迫られるに至ったということから、何らかの形で国民にそれをお返しするというか、そういう気持ちをあらわしたならばということがありましたので、特に特定階層に寄らないようにという気持ちがありましたものですから、ある程度の層までは減税効果が及ぶようにという考え方であったわけでございまして、それについてはいろいろ御批判もあろうとは思いますが、私どもの気持ちはそういうことであったということを申し述べておきたいと存じます。
それから、前大臣が答弁しております点は、まさにいま広瀬委員がおっしゃいましたように、二月十三日の衆議院の予算委員会と三月十一日の衆議院大蔵委員会におきまして、福田大蔵大臣は、御指摘のように、課税最低限を引き上げることに重点を置いていきたいという答弁をいたしております。それは例年の所得税の減税は、ここ五、六年の経過をたどりますと、大体平均にしまして千四百億くらいの減税になっておりますのですが、現在の所得税の税収規模から申しますと、千四、五百億の減税の規模でございますと、やはり現実問題として、人的控除を中心とした減税しか事実上できないということであろうかと思います。で、今回それを、前大臣はそう言っておりましたのが、そういう方式でなしに税率まで及ぼすことにいたしましたのは、突然のことではありましたのですが、かなり大規模な減税を行なうことができるようになりまして、当初と合わせまして三千三百億の規模の減税ということになりましたので、そこで控除と税率と一緒にやってできないことはないということでございますので、こういう機会に税率を直させていただく。で、当初と合わせれば、控除は大体四分の三、税率が四分の一くらいのウエートで財源を引き当てるということでやらしていただく。普通のいわば常識的な考えといいますか、普通の年の普通の程度の規模の所得税の減税でございますと、いま申しましたような程度の規模でございますと、当然控除をある程度引き上げますのがやっとかっとくらいのことでございますので、前大臣も、そういう先の見通しのこともございますからそういう答弁をされたと思いますが、今回具体的に年内減税の日程にのぼりました際には、規模とにらみ合わせまして、こういう機会であれば税率もやらしていただいてもいいのではないかということで、双方を組み合わせるという形をとらしていただいた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/5
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006・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 どうもいろいろ御答弁なさったけれども、私どもは納得をいたしません。この皆さんの資料でも、今回の改正と四十三年の比較をいたしましても、夫婦子二人で、百万円のところで四十三年に比較して減税額はわずか二万一千三百十円である。百五十万円のところで五万七千二百円である。ところが、八千万円のところでは三百四十二万八千円の減税額になっておるわけなんですね。こういう数字というものは、やはり税率改正がこういうところに結果として及んでいるわけでありますが、八千万という高額な所得者にはわずか四、五年の間に三百四十二万八千円減税をする、片方の低額のところは二万一千円あるいは五万七千円という程度である、こういうような状況なのであります。しかも今日、ドル・ショックだといわれる。こういう所得の低い層が、すばらしい、優秀な頭脳とファイトをもって長い時間働いている、働き過ぎということがよく言われますが、そういうことをやっている階層であります。しかもこの階層は決して豊かな階層ではないと思います。そういうところに対する減税額がいかにも少ない。八千万円というようなところに三百四十万も減税をする妥当性というか、そういうものが認められるのかどうか。なるほど、税率のカーブをいいかっこうにするんだということは事務的にはあり得るかもしらぬけれども、私は前回にも、カーブにはこぶがあってもいいじゃないかということを言ったわけでありますが、なだらかな上昇カーブを描くというそのかっこうにだけ目をとらわれて、こういう実態の面について目をおおうたということについてはどうしても納得ができない。したがって、もう少し課税最低限を引き上げるということで、今回の改正等におきましても基礎控除を一万円ではなくて、少なくとも倍ぐらいにしてもらいたかった。あるいはまた、ことしの年度当初の四月の改正におきましても、いわゆる給与所得控除をせめて五万円はぎりぎり上げてもらいたいんだというのを三万円しか上げなかったわけですから、これをあと二万円ぐらい積んでいく、そして合わせて五万円の給与所得控除の引き上げがあった、そういうようなことをされるなり、あるいはまた税率におきましても、税率改正で課税所得の四十万までは一〇%ということで、いままでは三十万だった。その三十万をこえて四十万に至るまでのところはわずかに税率の恩恵というものを受けるわけだけれども、それ以下の人たちは税率については全く恩恵を受けない、こういうことになるわけであります。特に今回の改正というものがドル・ショックによる景気後退に対して景気を浮揚させようという政策の一環として非常に重要な意味を持つ、むしろそのことが今回の減税に踏み切らせた主たる理由なんでありますから、かつて八%であったのですが、四十三年でございましたか九・五%、一〇%というように持ってきたのですから、それを八%ぐらいに税率をむしろ下げる、こういうような配慮があってしかるべきではなかったか、このように思うわけなんです。
そこで、この減税額の問題ですが、千六百五十億ということについて、これは財源の問題とかいろいろあるわけですけれども、不況時における減税額というものをちょっと調べてみますと、四十一年には、自然増収が千八百九十三億であったのに対して千三百二十億の減税をやっている。これは減税割合としては六九・七%である。当時の不況よりも今度の不況はかなり長期であるし、しかも深刻なものがある、こういう事態でありますから、少なくともこのぐらいのところまでは減税規模も広げるというような形をとる、そういうことも当然できたのではないか、こういうように思うわけなんです。
以上二つの問題、もっと低所得層のところに減税を、税率の面でも、最低税率の引き下げなどを含んでやっていくというやり方を考えてよかったのではないかということと、減税の規模についても、不況対策とするならば、昭和四十一年より以上の景気落ち込みということなんですから、少なくとも六五%ぐらいやってしかるべきではなかったか。今度は大体六千九百四十何億というものが所得税における自然増収として見込まれておった。ところが、給与の上昇等によって、さらに八百億をこえる額が自然増収として少なくとも所得税においては見込まれる、こういうような状況なんですから、そうすれば七千七、八百億にはなるはずであります。六五%をかりに減税するとしましても、この前の千六百六十億と加えてちょうど五千億になるような、五千億から千六百六十億を引いたぐらいのところ、三千四、五百億ぐらいまでは、やっていいはずだ。そうなればこれは景気浮揚対策としてもかなり意味を持つ、かなり効果を発揮する、しかもその効果が即効性を持っているということで、かえって景気を上げることを早めて、税収もかえって落ち込みはなくなってくるというようなことにも通ずるわけであって、財政政策の面におきましても、この千六百五十億というものは中途はんぱ過ぎやしないか、こういう見解を持つわけですが、以上二つについてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/6
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007・高木文雄
○高木(文)政府委員 第一点の、現在最低税率が一〇%になってございますけれども、これをたとえば四十年当時八%という例もございましたので、もう少し下げてはどうかというお話でございますが、これはなかなかむずかしい問題だと思います。むずかしいというのは、それが悪いという意味でむずかしいというのではなくて、どういう税率の仕組みをとるべきかというのは、いろいろな考え方があるところだと思います。最近では、四十年の十二月にこの問題を政府の税制調査会でいろいろ議論をしていただきました。それで、その当時の判断としてでございますけれども、従来は比較的低額の所得階層の者にも所得税の負担を求めざるを得ないということがあったので、最低税率はその段階における所得の限界負担能力ということを考えて低率であったのだが、今後はむしろ課税最低限の引き上げをだんだんはかっていって、そのかわり税率は若干引き上げたほうがいいのではないかという意見にまとまっておりまして、それで当時一〇%に直したという経緯がございます。もちろんそれはそのときの経緯でございますから、またいろいろ研究してみるということではないかと思いますが、ただ諸外国の例に徴しましても、アメリカの最低税率は一四でございますし、西ドイツは一九というふうな非常に高い率を使っております。諸控除と税率の組み合わせでいたします場合には、一〇%と申しましても所得から、所得というか収入から控除を引いたその残りに一〇がかかるわけですから、収入全体に対して一〇がかかるわけではなくて、控除を引いたところに一〇がかかるわけですから、課税最低限をちょっと越えたところが一%とか二%という実効税率になっておるわけでございますので、さらにそこへもっと低い税率を設定すべきかどうかというあたりについては御意見も先般来出ておりますので、なお検討させていただきたいと思います。
それから、いまの減税の規模の問題でございますが、これは御指摘のように四十一年度のときには当時の自然増収に比べますと非常に大きな規模の減税が行なわれたわけでございます。今回もそれを頭に置きまして、どの程度の規模の減税をなすべきやということで議論をいたしました。議論をいたしましたが、どちらかというと、前回の反省といたしましては、規模はかなり大きかったのでございますが、少し時期を失したという反省がございまして、前回の場合は四十年の五月、六月から景気が悪くなってきたのですが、減税は四十一年度にいたしましたわけです。ところが、かなり不況は深いといわれておりましたが、案外思い切って公債発行したということの効果もございまして、回復も早く出まして、四十一年の中ごろからは浮揚していったわけでございます。今回も規模の問題も十分検討はいたしましたが、御存じのようにむしろ時期を早くする。公共投資は場合によりますと減税よりは乗数効果が大きいのですが、効果が出る時期がおくれるということもございますので、まず比較的即効性のある減税のほうを先にやって、そして公共投資のほうをあとからやってという形でやったらどうかという政策判断がとられたわけでございます。
そこで、考えようによれば、一方からいえば減税も大きければ大きいほどいいという判断もございましょうし、片一方からいえば、公債の発行額との関係上あまり大きいと心配だということもございまして、率直に申しまして、私どももなかなか適切な判断がつきませんで、結局当初の千六百六十六億のほぼ見合った規模というところに落ちつかせたわけでございます。
なお、これでは小さいのではないかという御批判は各方面から承っておりますが、私どもも、私ども御提案申しております規模が必ずしも唯一無二の理想的なものであるとも思っていないわけでございますけれども、しかしこれでもなおかつ七千九百億円の公債の増発を必要とするわけでございまして、これ以上の減税をいたしますと、いまの状況では、他の歳出を削らない限りさらに公債発行額がふえますので、五月から今日まで四千三百億円の公債を消化してきたのを、残りの半年で倍の公債を消化するということはかなりの骨の折れることでもございますと考えますならば、まずまずこの辺ではなかろうかと判断したわけでございます。私どもといたしましては、そういう意味で年内に減税が行なわれますことの効果は、従来のように翌年度になって減税をいたします場合と比べて、より効果が大きいことを大いに期待をしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/7
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008・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 財源の問題とからんでおりますから、この問題、そう深くやろうとは思いませんが、もう少しいろいろ主税当局としても、こういう事態で、特にドル問題、国際通貨問題、こういうような問題等があるわけなんですが、そういう場合に景気落ち込みの中においても、たとえば為替差益がむしろ出るような業種、こういうようなところに対する税金を、新しい税をそういうところに求めていくというような配慮なども考えるべきだったし、あるいはギャンブル課税などの問題もこういう際に取り入れていくというようなことも、これは国民に容易に受け入れられる状況もあったのではないかと考えられるし、あるいは航空機のガソリン税の特例、これなどは小さい額ではあるけれども、そういう問題などもある。あるいはまた租税特別措置の中でも洗い直しをするというようなこともあったろうし、あるいはいわゆるキャピタルゲイン課税などについてももう一歩を進める。あるいは特に土地税制の問題等につきまして、土地の値上がりというものによっていわゆる長者番付の構成をまるきり変えてしまうというような土地の譲渡による所得の増加というようなものがあるわけでありますから、こういうような問題にもう少し目をつけて、新しい、しかも国民的な合意を得られるものが幾らもあると私は思うのです。そういうようなものによってある程度税源を確保してでも、所得減税をもう少し大幅にやるべきであったのではないか、こういうように考えるわけであります。
そこで、時間があまりありませんので質問を変えますが、土地税制の問題で、今日いわゆる分離課税が行なわれているわけでありますけれども、こういうものに対して、総合課税の原則からいえば問題はあるのですけれども、こういうもので特に法人がいわゆる仮需要というような形において土地を取得をして保有をしている、こういうものが非常に多いわけである。そしてその含み資産として保有されているものが非常に多い。こういうようなものについて数字的にちょっと伺いたいのですが、一体土地の売買の際に、最終需要家、これに土地が売られる額と、それから投機的に土地を保有する額と、どういうことになっているか、その数字をちょっとお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/8
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009・高木文雄
○高木(文)政府委員 さきの国会におきましてもその点が問題でございまして、一、二の税務署でサンプル的に調べたのでございますけれども、どうも一種のアンケート調査のような形でございまして、思うように一種の仮需要的なものとそれから最終需要的なものとを十分把握できないままで申しわけございませんが、不完全な調査のままで終わっておるということでございますので、ここで御説明できるほどの十分なものを持ち合わせていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/9
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010・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 不完全なものでもいいですから、その資料をあとで出しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/10
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011・高木文雄
○高木(文)政府委員 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/11
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012・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そこで主税局長に伺うのですが、この土地の譲渡所得の場合にも、なかなかこれは税務行政としてはむずかしい面があるかもしれないけれども、最終需要家の手に渡るような譲渡、こういう場合と、中間的に投機的に仮需要として保有をするために土地の売買が行なわれ譲渡が行なわれる、こういうようなものとを区別をし七、税制におけるその取り扱いをきちんとする。最終需要家に渡るという場合には若干のメリットをつけても、そうでない、投機的に土地の譲渡を行なうというような面ではかなりシビアな税制を適用していく、こういうようなことも考えていいのではないかと思うのですが、いかがでございましょうか、考え方として伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/12
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013・高木文雄
○高木(文)政府委員 この問題は、かねがね建設省のほうからも何かいい案がないかということで、法人の仮需要を抑制することを税制上考えたらどうかということについて御要望がございます。私どものほうも何度かそれに対して研究はいたしております。ただ非常にむずかしいのは、法人はいろいろ事業をやっているわけでございますので、その事業の中に、たとえばデベロッパーのような事業があって、そしてそのデベロッパーが土地を手に入れまして、それを非常に適正な価格で住宅用地として供給をしておるというようなことであれば、それは何も押える必要はない。それから今度は、土地を法人が買ってじっとただ保有をしておる、もし値上がりをすればそれを売ろうとはかっておるというならば、これは何か考えなければいけない。それからまた、法人はとりあえず土地を買っているが、それは将来工場を移す計画だというのであれば、これも押える必要がないだろうというようなことを考えていきますと、それを外形標準的にどうやってとらえて、どういうものだけを押えるかということは非常に技術的にも困難でございます。
そこで、たとえば現在、土地、建物を取り扱う業界、業者というものについて何か非常に強い規制といいますか、監督が行なわれておって、そしてそういう法人しか土地を扱うことができないんだというような取り扱いにでもなっておれば、またいろいろ方法があろうかと思いますが、現在届け出でございましたか、わりあい比較的簡単な手続でだれでも土地を扱えることになっておりますので、そういうこともなかなか、基本法といいますか土地を扱う業者に関する規定があまり整備されておりませんので、はっきりしないものの上に立って税制だけで何かやれという御注文になかなか応じにくいということで、繰り返し繰り返し建設省との間でときどき議論をしておりますが、うまくいっていないということでございます。私どもも、さればとて、これは全く放置していていいわけではないのでございまして、うまい方法があれば、土地問題は現在の非常に大きな問題でございますから、何か合目的的にいく方法があれば乗っていきたいなあという気持ちを持っているのでございますけれども、ここ数年間やってもなかなかうまく見つからない。また、かつて税制調査会の中に臨時に土地の問題の部会を設けまして、各方面の権威に特に臨時に委員になっていただいて、お集まりいただいて検討を願いました際にも、その辺も議論を願いましたけれども、どうも現段階ではうまい方法はないということで終わったわけでございまして、とりあえず法人についてだけ御存じのような制度をとり、それから保有課税の強化を地方団体のほうにお願いをして固定資産税の強化等をお願いをするということで現在進んでおるわけでございまして、今後とも研究課題ではございますが、いま直ちにことしから来年にかけての税制として何か名案があるかと言われますと、いまそういうある程度の可能性を持ってお答えをすることは困難な事情にあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/13
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014・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 自治省の税務局長来られておりますが、法人が持っている土地は固定資産税の評価額と台帳価格でどのくらいと推定されておりますか、数字を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/14
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015・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 固定資産税の上におきまして、法人所有の土地に対する課税状況から調べまして、法人の所有しております土地の全体の面積が百二十四万ヘクタール、その価格が十三兆三千二百三十四億円ということになっております。これに対応いたします法人の帳薄価格というのは、私ども調査いたしておりませんのでちょっと全体の数字はわかりませんけれども、総体的な傾向を申しますとだいぶ古い所有、特に昭和二十五年ごろ以前の所有にかかるものは大体固定資産税のほうが高く、それ以後の分につきましては、特に最近の売買にかかる分は固定資産の評価額よりは高いというふうな傾向にあるだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/15
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016・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 百二十四万ヘクタール、十三兆三千二百三十四億、これは固定資産税の評価でそういうことになっておるという、たいへんな保有の状況であります。こういうものについてやはり的確な税制ともう少し真剣に取り組んで、いわゆる土地の値上がりを待っている保有というようなものに対する課税評価の方法というものについて十分ひとつ考えていただきたい。きょうは土地税制だけやっているひまがありませんので、そのことだけお願いをいたしたいと思います。
それから自治省に、続いてお伺いをいたしますが、秋田自治大臣の当時、自治大臣ここにおいでいただきまして私も質問をいたしました。課税最低限におきまして夫婦子供二人で昭和四十五年度で所得税が八十六万五千七百七十二円、住民税が六十二万九百十三円、あまりにも開きが大き過ぎるではないかということで、この差を詰める方向、やがては一致させるような方向に持っていくべきではないか、そういう形で質問をしたわけでありますが、そういう方向で引き続き努力をしてまいる、こういうことで四十六年の当初においてやや差を詰めたわけであります。ところが今回若干でも基礎控除等三控除が引き上がりましたために、またこの開きが大きくなってしまっているということなんでありますが、この住民税における課税最低限について、前の委員会において秋田自治大臣が表明をいたしました所得税との差というものをできるだけ詰める方向に持っていくという考えに変わりはないと思うのでありますが、今回は見送られたわけであります。本来ならばまあ地方財政もなかなか苦しいところではあるけれども、少なくともこれに見合う、あるいは所得税の課税最低限の引き上げに見合う、あるいはそれ以上の差を詰める形での、少なくとも住民税の課税最低限の引き上げというものを私どもは期待しておったわけだが、今回見送られてしまった。とすれば四十七年度でやってもらう以外にないわけなんだけれども、そこで、先ほどから引用しておりました秋田自治大臣がここではっきり答弁をなさっておるわけであります。総理もなさっておるわけなんです。そういう点について次の四十七年度における地方税法改正において、この点はそのとおりの気持ちでやっていくということを確認してよろしいかどうか、この点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/16
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017・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 ただいま御指摘のとおり、ここ数年住民税におきまして、課税最低限をできる限り所得税の課税最低限に近づけるという方向で税制改正が行なわれてまいったわけでございます。税制として考えてみますと、確かに御指摘のとおり今回の所得税の改正によりまして、課税最低限においてさらに差が広がったという点から見ましても、この課税最低限をできるだけ近づけていきたいということは当然考えられるわけでございます。ただ、来年度の地方財政の状況を推定いたしてみますと、財政収支の面から見ますと、減税が非常に困難な状況にございます。減税をいたします場合には、その減税に対応する何らかの財源措置が講ぜられない限り、税制だけで減税を行なうということは非常に困難な状況にあるだろう、そういう意味におきまして、そうした財源措置の状況等あるいは財政事情全般を考えながら、税制としてできる限りそういう方向で処理してまいりたいというふうに考えておりますが、来年度の税制改正は非常に困難な事情にあるということで、私ども慎重にこの問題について対処いたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/17
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018・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 税務局長にも特に要望しておきますが、来年度の住民税改正にあたってはぜひひとつ、大臣がここではっきり言明されていることですから、これは速記録を調べていただけばよくわかることなのですが、地方財政の苦しさということはよくわかるけれども、それはそれなりに別途の方向で処置をして、やはり住民税の課税最低限と所得税における課税最低限とはあまり離れないように、差をどんどん、毎年少しづつでも詰めていくという方向をきちっとひとつとっていただくように、このことをもう一ぺんそういう方向をできる限りとるのだということを、ひとつ答弁願いたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/18
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019・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 確かに前の大臣の時代におきましても、その方向は大臣として確認をいたしております。私どももできる限りそういう方向での税制改正を行ないたいという気持ちは変わりはないのでございますが、そのためには、来年度の場合にはそれ相当の財源手当てというものが要ることになります。そうした財源手当ての方向ともにらみ合わせながら、できる限り大臣が前に言明した方向での税制改正を行ないたいというふうに考えております。どの程度のものか、これからいろいろ私どもも検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/19
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020・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 それで、もうあと五分しか時間がないのですが、最後の一問だけ申し上げますが、中小企業庁でも実はこの税制改正の意見として、個人事業主の所得に対する課税方式について、法人課税方式に準ずるいわゆる事業主報酬制度を創設する、すなわち、その所得を勤労性所得と事業所得に分け、勤労性所得に対しては給与所得控除を適用し、事業所得に対しては法人税率を適用する、こういうようなことをいっているわけです。これは当然に個人事業者のいわゆる個人事業に対する地方税における税金というものにはね返ってくるものがある。そういうことで私ども前にもこの点論議をしたわけでありますが、少なくとも所得税において、やはり個人事業であっても青色申告の場合には、事業所得と勤労性の所得というものとがはっきり区別をされる、そういう形式になっておるわけですから、したがってこの事業主報酬制度を導入するということについて、いささかもおかしい点はないわけなんです。こういうような時期に、中小企業を擁護し育成していくという立場からも、これだけの減税をやる段階において、これらの問題の解決についても考慮があってしかるべきではなかったか、このように思うわけでありますが、このことは地方税に及ぼす影響というような問題も含めて非常に大きな問題である、この点について十分考えるべき段階に来たのではないか、こういうように考えるのですが、この点について主税局長と政務次官の御見解をこの際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/20
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021・高木文雄
○高木(文)政府委員 青色の事業所得者の事業主報酬の問題につきましては、昭和四十六年度の税制改正、特に所得税の税制改正の中で最も重要な、かなり税制の基本に触れる問題として議論されましたことは御承知のとおりでございます。その結果、どうもまだ正面からそういう制度を採用するということには踏み切りかねるということで、青色事業主特別経費準備金という制度で、いわば暫定的な解決がはかられたわけでございまして、私どもとしては現段階ではこの制度の成り行きをしばし見送って様子を見たいという気持ちでおるわけでございます。
どういうわけで事業主報酬制度について消極的であるかと申しますと、結局いまの中小企業の方々が主張しておられる根拠としましては、端的に申しますと、サラリーマンについては給与所得控除の制度があるので、事業所得の中には勤労性の部分があるんだから、したがって事業主についても何らかの意味で勤労性所得についての一種の概算控除的な制度を認めたらどうだという御議論だと思うのでございますけれども、そもそも給与所得控除というのはいかなる性質のものかということについては、いろいろ説明がなされておりますが、やはり主体はサラリーマンについての必要経費の概算的控除であるという性格が最も強いのではないかと思います。サラリーマンについての所得の勤労性ということに着目したというよりは、必要経費というものを個別に算定しないで、概算的に算定するんだという思想から包まれてきたものだと思われるのでございます。もしそういう考え方からスタートいたしますと、事業主につきまして勤労性所得なるがゆえに給与所得控除を導入するということについては相当問題がありまして、もう一度もとへはね返ってきて、給与所得者についても勤労性部分について何か考えるべきだという議論をまた誘発してくるということがありまして、なかなかそのあたりがむずかしいということでございます。そもそもそういうふうに考えてみますと、事業所得についてのいろいろな考え方をもっと突っ込んで考えるべきではなかろうか。そこで、みなし法人税課税はどうかというような議論になってくるわけでありまして、なかなか議論は尽きないわけであります。私どもも、決してこの問題はこのまま放置しておくべき問題ではなくて、やはり真剣に考えなくてはいけない問題だと思っておりますが、あまりにも所得税制の基本に触れてまいりますので、いろいろ影響が大きいという点で簡単にはいかないと思っておるわけでございます。今後とも検討は続けてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/21
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022・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 自治省の税務局長、個人事業税は、これはやはり勤労性所得——本来ならば、たとえば法人成りをそのまましたとすれば、そのままの形で法人成りをした、同族法人に切りかえたということになれば、はっきりそれは別のことになるのですが、個人でやっているという場合に勤労性所得までが含まれてこの個人事業税になるということについては、やはり自治省としても地方税における矛盾を感ぜられておるだろうと思うのです。東京都などにおきましても、小額の場合には個人事業税を免除するというような特別な条例をつくっておられるということも聞いておるわけでありますが、そういうようなこともやはりいま私が質問申し上げたような問題点というものを踏まえた上でのことだろうと思うのです。そういう点について、個人事業税はずいぶん古くから、これは二重課税であるといわれ悪税であるということをいわれておったわけでありますが、自治省としてはどういうようにその点を割り切って整理をして考えておられるのか、その点について、これは廃止の方向で検討するというようなことになっているのか、この辺のところをひとつお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/22
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023・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 事業税の場合には所得税と若干税の組み立て方が違っておりまして、確かに御指摘のとおり、事業に対して課税をするというたてまえから、現在控除につきましては事業主控除という制度が設けられております。この事業主控除の額が現在年額三十六万円ということになっております。これが一体事業主控除として適正な額かどうかという点については非常に問題だろうと思います。私どもも、現在の専従者控除等の額の問題等ともかね合いまして、この事業主控除につきましてはさらに財政上許す限りこうした点につきましては適正な額に持っていけるように努力してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/23
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024・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 時間がありませんので、これで終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/24
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025・齋藤邦吉
○齋藤委員長 松尾正吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/25
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026・松尾正吉
○松尾(正)委員 きょうは通産省それから自治省にも出席を要求してありますが、最初にお断わりしておきたいのですけれども、私の答弁を考えた時間では質問に入れるのですが、そちらさんの答弁の都合で延びればあるいは触れられなくなるかもしれない。せっかく要求しておったのですが、責任は全部そちらさんにありますので、あらかじめ御了承をお願いしておきたいと思います。
まず最初に、実は私どもでは、もうきょう最後になりますから大臣に詰めを伺いたい、こういう気持ちでおりましたが、大臣が予算委員会のほうにおりますので、政務次官を中心に詰めの形で伺いたいと思います。
そこで、総理大臣は、今回の年内減税は緊急な景気対策として行なうのだ、こういうふうに言われております。また大蔵大臣は、国民にこの際何とか報いたい。緊急減税なのか一般減税なのかということがはっきりしてないのですが、この点は政務次官、どちらなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/26
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027・田中六助
○田中(六)政府委員 景気浮揚ということが前提でございますから、まず何よりも早いということで緊急だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/27
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028・松尾正吉
○松尾(正)委員 緊急減税ということになりますといろいろ問題点があるわけですから、この点について順次伺ってまいりたいと思います。
まず千六百五十億円というこの年内減税、これは緊急不況対策減税である、こういうことで明年度分を繰り上げて実施したものであります。したがって、当然来年度の所得税減税については、いままでの議論の結果、大臣は、この改正案を適用する以上の減税はいまのところ考えられない、こういう答弁でありましたけれども、これで間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/28
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029・田中六助
○田中(六)政府委員 大臣の答弁はそういうことであったのですが、しかし大臣の意図も、景気が浮揚して税金を取り立てられる条件が整うならば、またそういう減税をする方向にある気持ちは底流にあったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/29
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030・松尾正吉
○松尾(正)委員 大臣は確かにそういうふうにおっしゃった。政務次官は、来年度この景気は立ち直る、そして大臣が言ったように立ち直った分が減税に回せるというふうに考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/30
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031・田中六助
○田中(六)政府委員 私どもは何とか景気浮揚を一日も早くということに考えておりまして、来年のことははっきり言えというとちょっと因るのですが、見通しとしては、来年のいまごろからは何とか景気は上向くのではないかという見通しを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/31
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032・松尾正吉
○松尾(正)委員 これは政務次官の見解ですからそのように承っておきますが、私は、非常にきびしい、こういうふうに見ておるわけであります。したがって、そういうふうにこの場で言いわけしている、非常に苦しい立場で答弁しているという意味で私は受けておきます。
ただいま、緊急対策であるから一般減税でなく緊急減税だ、こういうお話があったのであります。とすると、これは四十七年度分の繰り上げであって、早くいえば三時のおやつを十二時に食べさせるようなものだ。これと同じで、結局大蔵大臣が国民の労に報いたいんだ、そのための措置なんだ、したがって国からの国民に対するボーナスだ、こういったことがいわれておるのですけれども、こういうことは当たらないと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/32
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033・田中六助
○田中(六)政府委員 年度内減税というものは最初から打ち出しておりましたので、これは国民の皆さんも当然だと思っておったところに年内減税、しかも四月からさかのぼってやるんだということは国民に心理的に非常に明るい効果を与えたと思うのです。しかも経済は御承知のように理論的な面だけではなくて非常に心理的な面がございますので、その影響はかなり大きいというふうに踏んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/33
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034・松尾正吉
○松尾(正)委員 いま政務次官が言われるように全般的に明るい気持ちを抱くということは、これは理解できます。けれども、緊急減税措置で国民に報いるというのであれば、今回のドル・ショックその他不況の影響で一番被害を受けている、一番困っている者の場合にはこの減税率その他で報いられないという立場をどう考えますか。——ちょっとわかりにくいかもしれませんが、国民全般には、年内減税で来年度分を繰り上げて暮れに出しますよといえば、全般的には確かにああそうかという明るい気分は抱けましょう。けれども、生活に不安を感じているような人の場合には幾ら返ってくるんだ、一万円足らずという場合に明るい気持ちが持てるかどうか。そういう点を含めて、いま田中政務次官は明るい気分が抱かれたと、こういうふうに判断しているのかどうか、その点をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/34
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035・田中六助
○田中(六)政府委員 非常に心理的な問題でございますのでむずかしゅうございますが、私は、低所得者層も上のほうも全般的に気分の上からは明るい気持ちを持ったというふうに思っておりますし、私どもの意図するそのものも、ここまで日本経済を持ってきた全般的な勤労者に対する感謝の気持ちという気持ちはどの階級にも持っておるわけでございまして、私どもの立場としては差別をしたというような考えはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/35
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036・松尾正吉
○松尾(正)委員 ここらの判断に非常にいつもいわれる官僚的なものがあると思うのです。今度の緊急対策でアメリカの輸出関連事業等が明るい気分なんかこのくらいの減税で持てるなんという判断をすること自体にとんでもない誤りがあるわけですよ。けれども、この輸出関連事業の人たちには、中小企業特別措置法その他で何らかの手当てがしてもらえるのです。ところが、中小企業その他の人たちは手当てをしてもらった上にも明るい気持ちなんか持てない。ところが、企業をしている人たち以外に、所得の低い人たちというのは今度の不況で非常に大きな生活の不安におちいっておるわけですよ。こういう人たちが今度の減税によって明るい希望が持てたなんという考え方はぜひひとつ改めてもらいたい。そういう発想がいまのようなこういう不公平な税制を生んでいるんだ、こう思います。
心理的でむずかしいというのですけれども、政務次官はいま課税最低限すれすれの人たちが今度の減税でほんとうに明るい気持ちを持ったとは、これは立場上政務次官は答えたでしょうけれども、自分の腹の中ではこんな苦しい答弁はいやだなという気持ちで答弁していると思うのですよ。局長にもあとで聞いていきたいと思うのですけれども、笑っている問題じゃなくて、確かにおれはこんなところにおらなければ逆にもっと何とかしろという立場なんだがなという気持ちは、主税局長、お持ちじゃないですか。ほんとうのことを言ってください、もう一回。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/36
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037・田中六助
○田中(六)政府委員 ほんとうのことを言えといわれても困りますが、私はほんとうのことを言っているつもりですが、ただ考え方の相違があるんじゃないかと思いますのは、やはり減税というときに、いわゆる今度は税金を負担をするという立場から考えて、それから私ども全体に税に取り組む人間といたしましては、税制というものが根本的概念にございますので、やはり控除とそれから税率の緩和というものをミックスしていくということが一つの税体系上必要である。しかも、低所得者に低いということに対しましても、ちょっと言わしてもらいますと、たとえばあまり低いところに税を軽くすると所得の分散というようなことを、脱線じゃなくて節税だというふうに表現されておりますが、そういうことも起こり得ますし、税の執行面でかなりの苦労もしなきゃいかぬし、といって、私ども根本概念としましては、先に申しましたように、景気が非常に悪くなった、心理的に国民の皆さまに喜んでもらわなくちゃいかぬということと、勤労意欲や企業意欲といいますか、そういうものを刺激してもらわなければいかぬ、そういうものを加味してみますと、今回とった措置は、今回の補正予算だけで見ますといろいろな批判もございましょうが、四十六年度あるいは前年度からそういう体系的なものを加味して通して見ますと、やはりこういう方法がよかったんじゃないかという気持ちになって、しかも悪かれかしと思ってやったことじゃなくて、そういう一つの税体系なども踏んまえた上で、しかも景気を一日も早く浮揚しなければいかぬ、そういうものも一緒に加味した総合的な判断からやったものでございまして、これが下に薄い、上に厚いというようなことはどうかと思いますし、それからもう一つ私が思っておることは、やはり日本の社会で中堅階層というものは非常に大事じゃないか。中産階級がこわれた社会、こわれた国というものは非常に大きくダメージを受けるわけで、私ども戦時中あの中産階級がもしも健全であったならば国民全体が迷惑せずに済んだという気がしているわけです。したがって、中堅階級が一番健全であるという社会、そういう国柄というものがやはりとうといのだという意識もありまして、そういう判断でやったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/37
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038・松尾正吉
○松尾(正)委員 あなたは憲法をほんとうに読んだことがありますか。いまのは問題だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/38
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039・田中六助
○田中(六)政府委員 私は憲法を一条から全部、自分ではよく研究しているつもりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/39
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040・松尾正吉
○松尾(正)委員 中産階級が——いわゆる中堅階級ですね、中堅階級が健全ならば、じゃ、それ以下はどうなってもいいということですか。政務次官の言う中堅階級というのはどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/40
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041・田中六助
○田中(六)政府委員 中堅階級、中産階級という意味はどうだというのですが、私は別にこの階層とか階級という意味じゃなく、私は所得の割合でいえば三百万前後くらいが一番そういう階級になるんじゃないかという意識から言っておるわけでございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/41
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042・松尾正吉
○松尾(正)委員 別に階級論をここでやるわけじゃありませんから先に進みますが、主税局長、今回の減税措置で年収二百万の四人家族、数字的にはいままで各委員からこまかい詰めが行なわれたのですが、ここで一つだけ。四人家庭の減税額、これは八・一%で、年末に返ってくるのは八千七百円ですか。それから百五十万の四人家族の場合に一〇・八%で、年末に返ってくるのは五千百円というふうにあるのですけれども、これと、それから全納税者の中で二百万円以下は何人になるか。納税人員とパーセントと、それから二百万、百五十万の四人家庭の年末に受ける額、これだけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/42
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043・高木文雄
○高木(文)政府委員 夫婦子二人のサラリーマン家庭におきまして、現在御審議願っております今回のこの所得税の改正で軽減される額が、百五十万で五千百円、二百万円で八千七百円でございます。それが返ると言われましたが、これはサラリーマンの場合には最終の支払い報酬の際に年末調整という制度がございますので、その年末調整の計算の際に計算をし直すことになりますから、そこで現実にお金が返るという形ではなくて、年末調整の際に納めていただく税額がそれだけ減るというかっこうになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/43
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044・松尾正吉
○松尾(正)委員 だから、減るのは返ると解していいのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/44
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045・高木文雄
○高木(文)政府委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/45
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046・松尾正吉
○松尾(正)委員 この額でいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/46
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047・高木文雄
○高木(文)政府委員 この額でよろしゅうございます。人数は、四十四年実績で二百万円以下の申告と、したがって営業その他を含みますが、それとサラリーマンと合わせました人員が二千四百五十万くらいでございます。四十四年統計でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/47
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048・松尾正吉
○松尾(正)委員 何%ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/48
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049・高木文雄
○高木(文)政府委員 全体が二千六百十五万で、九四%になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/49
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050・松尾正吉
○松尾(正)委員 いま政務次官から、年末には今度の減税で非常に明るい希望を持ってもらったのだというお話なんですけれども、現実に四人の家族が生活しておって、そうして年収百五十万の家庭では五千百円、多少前後あるでしょうけれども、五千百円返ってくるのです。こんなものは物価上昇で食われちゃって何にもないですよ。田中政務次官、よく聞いてくださいよ。あなた高給取っているからわからないのです、こういうところの気持ちが。年収二百万円の人でも年末にはわずかに八千七百円前後だ。これではたして、数字がはっきりしたときに国民の皆さんがああ政府は善政しいてくれたと喜べるか。これじゃ明るい希望なんか持てません。根本的にもっと国民の側に立ってもらいたいということです。
それから、いま自治省で広瀬委員に答弁がありましたけれども、来年度の地方税については努力はするけれどもということで、非常に歯切れの悪い——まあこれはできないというふうに受け取れるのですね。そうすると、これらの人は実際に国税では減税はしてもらった、ごくわずか。けれども、県民税や市民税がくるのだということでおののいておるわけです。この実態が総理府の世論調査に発表されておるのですけれども、総理府で生活上の基盤を中心に調査をしたこれによりますと、まずその日その日の生活に差しつかえますかという問いに対して、五五%、過半数が生活に差しつかえますと答えている。さらに何かあったときに不安を感じますか、こういう問いに対して、三九%の人たちが何か起こればたちまち不安を感じます、こういう答弁。その内容を見ますと、生活の基盤の不安定を訴える者は労働者や農林漁業の世帯の年収の少ない者が多い、こういうふうに明白になっているわけです。いわゆる低所得者層というのがたいへんなんだ、生きるために不安を感じているんだ。この数字の中にはもちろん課税最低限以下、いわゆる税金を納めていない人も含まれておることは事実です。けれども、大多数の人は、この今度の恩典に浴した人たちも含まれている、これも事実です。こういう実態なんです。さらに、先ほども申し上げたように、今回のドル・ショックで不安を感じ、その上に不況とそれから物価高、一番打撃を受け、深刻な生活に耐えていかなければならないのはこういう人たちです。これが何と九〇%もおるのですよ、二百万円以下が。もし、政務次官がさっき大臣がおっしゃったのだからと言われた国民に報いるための緊急減税措置、不況に対処する措置であったならば、これは税の体系は別です。税の体系は別ですけれども、ほんとうに国民のために報いる措置だというのであったならば、この人たちに何をおいてもまずやるのがほんとうじゃないかと思うのですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/50
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051・田中六助
○田中(六)政府委員 私どもも気持ちとしては十分わかるのですが、税の負担能力それから相対的なもの、そういうような比較は、課税する場合に、あるいは減税する場合にどうしても起こる問題でございまして、理論的な理詰めの構成の上に累進構造というものでやっておりますし、そういう部分と、気持ち、ムード、つまり政治性、一プラス一を三にしあるいは四にするということをやらなくちゃいかぬという面と、二つあると思うのです。それで税体系上税の基本をくずすということをできるだけ避けつつ、しかも減税をしなければならないというところに事のむずかしさがあるのでございまして、大臣もはっきり国民の前に公言しておりますように、日本経済をここまで持ってきた国民の勤労に報いるという精神には少しも変わりはなく、私どもも低所得者に過酷にしようという気持ちはないのですが、税の体系上、そんなことじゃないというふうにおっしゃいますけれども、そのワクを大幅に踏み出して減税をするということがどうしてもできない。その上に立ってこの減税をやった。しかも財源はどうかと振り返って考えますときに、公債を発行してその財源にもいろいろ充てなくちゃいかぬ。それ以上のことをまた減税をしていくと、今度は景気浮揚どころか、いろいろな面にマイナスの効果があらわれてくるということにもなりかねませんし、まあこの程度でぎりぎりのところだという気持ちでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/51
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052・松尾正吉
○松尾(正)委員 どうもよく理解できないのですよ。
もう一つ、税の形をあまりくずしてはということは公平を考えてという意味であろうと思うんですけれども、ここに十一月二日にサンケイの千人調査というので、税金についての調査があるわけです。これごらんになったと思うんですけれども、これによると、課税は公平だと思いますかという問いに対して、何と商工業者の中でも六九・七%、これが公平ではない、こういうふうに言っている。さらに給与生活者になりますと七四・六%の人が、公平ではない。この調査の中に、わからないというのが三・五%、それから商工業者では三・七%おりますが、あとは何ともいえないということで、公平だというのは一つもない。この調査に答えた人たちの層というものは、これはどういう層が答えたかということはわかりませんけれども、いずれにしても不公平を訴える人というのは、ずっとこの委員会で今回の税制改正について論議されている、議論されている低所得者、いわゆる中堅以下の所得者層が多い、こういうふうに判断できるわけですが、こういった点を考えてみましたときに、この実態を通して私はさっき考え直してもらいたい、こういうことを申し上げたのですが、時間がありませんから結論を述べますと、いわゆる年内減税というのは四十七年の分の先食いである、ねらいはどこまでも景気浮揚第一主義で、緊急対策、緊急措置というけれども、これは景気浮揚のためで、ほんとうに国民を考えた減税じゃない、こういうことを言わざるを得ないと思うのです。この公平の調査あるいは総理府の世論調査等を中心にし、また今日までここで議論をされた点を考えて、私はどうしてもそういうふうにしか判断できない。したがって、このままでは私は断じてこの所得税の改正案には賛成できません。
ここで、もう要望以外にありませんから、要望を申し上げますけれども、今度の千六百五十億円、これは全額低所得者の課税最低限の引き上げに回すべきである。もう一つ、四十七年度は、もちろん税体系が多少くずれますから、これを徐々に是正する形はとらなければいけないけれども、さらに不況が続いてよけい低所得者の不安がつのりますから、これに対する大幅な減税を行なうべきである。そうして国民の不安を除くべきである。この二点を強く要求して次に移りたいと思います。
先ほどの政務次官の答弁で、緊急減税だということははっきりしたわけですが、ここで問題点は、景気浮揚対策のための緊急減税であるとしたならば、二つ問題点がある。その一つは、この緊急減税のあと始末はどうするか。来年四十七年以降国債は締めていきたいということは大臣が言っております。そして減税の要求も非常に強いとすれば、新税その他を考えなければいけないではないだろうか。
それから第二点は、減税と並行して、こういう結果をもたらしたたとえば輸出振興税あるいは金融機関の特例、これらの優遇してある分の抑制策をとらない、これをやらないのは大きな片手落ちじゃないか。これらに全然触れていない点が理解できないわけでありますので、これらに対してはどう政府は考えているのか、政務次官、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/52
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053・田中六助
○田中(六)政府委員 まず、第一点の今回のあとのあと始末はどうするのか、国債などを含めて問題をどうするかということでございますが、四十七年度予算につきましては、いま各省からの資料も出ておりますし、検討中でございますが、はっきり申しまして、やはり非常にシビアな線でやらなくちゃいかぬのじゃないか。楽観的な資料はほとんどなく、私どもも国債にまた頼らなくちゃいかぬのだが、その国債が発行限度まで建設公債の中で処理しなければいけないという至上命題もありますし、そういう点でいま考えて検討中でございます。
第二点の新税その他もしたがって考えなくちゃいかぬのじゃないかということでございますが、やはりいまの税体系を見ましても、所得税、法人税、間接税とございまして、やはり日本の税体系は直接税に片寄っておるということは前から指摘されておりますし、付加価値税というものは、頭に浮かぶわけでございますが、これも早急にすぐやるということはちょっと困難じゃないか。PRの面、あるいは日本にすぐそれを取り入れてどうだ、まあEC諸国は何とかしておりますが、これも問題がございますし、新税につきましてもいま即答はしかねると思います。
それから、輸出振興税その他優遇措置の抑制でございます。これはニクソン声明がございましてちょっと停滞してございますが、八項目の中にすでにうたわれておりますし、これを実行に移すという基本方針は変わりはないわけでございます。ただ、アメリカとの戦術上、これをどうするこうするということは、八項目そのまま実行する精神はあっても輸入課徴金などとの問題がございますので、そこら辺は政治的な判断がときおり必要でございますので困っておりますが、しかし根本精神といたしましては、こういうものは一日も早くないように処置をしようという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/53
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054・松尾正吉
○松尾(正)委員 私のことばがちょっと足らなかったのですが、税の上でこういう緊急減税政策をとったんだから、税の上での抑制措置等、いわゆる税の優遇措置について同時に行なわなかったのは片手落らじゃないか、こういう意味です。それで、したがってこれに関連して私は伺っていきたいのですけれども、まず抑制策として前委員会でもここで議論されました輸入振興税についての特例はこれは廃止する、こういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/54
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055・田中六助
○田中(六)政府委員 大体その方向でいくという方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/55
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056・松尾正吉
○松尾(正)委員 この際、特に輸出振興税をとにかく切ってしまうのじゃなくて、中小企業に対してはこれは十分配慮してもらいたい。これを一緒くたに、うるさいから切るんだというようなことがあったのでは、踏んだりけったりという結果は十分配慮してもらいたいということを特に要望しておきます。
それから、この際特に輸出に関連して、税制以外に金融の問題について伺っておきたいのですが、輸出金融というものがいままでも論議されましたが、特にこの際は今日の黒字大幅増、円の調整というようなところへ追い込んだ一つの大きな要因は輸出であるということはもう論を待たないところであります。したがって、日銀の制度融資、それから輸銀の融資、これはどういうようになるのかという点であります。
まず、日銀の最近の融資残高は幾らになっておりますか、銀行局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/56
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057・近藤道生
○近藤政府委員 日銀の最近の融資の残高を申しますと、十月末現在で七千四百九億円、そのうち、大きく分けまして貿易関係と一般とそれから証券関係、三つに分けられるわけでございますが、貿易関係が六千四百六十九億円、証券関係が三百七十六億円、一般が五百六十三億円で、ただいまお述べになりましたように貿易関係が八七・三%、これはたいへん大きなウエートを占めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/57
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058・松尾正吉
○松尾(正)委員 それから輸銀の融資の内訳はどうなっておるか、これも伺いたいと思うのであります。輸出、輸入それから海外投資、この三つくらいに分けて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/58
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059・近藤道生
○近藤政府委員 輸銀の一番新しい数字、ことしの三月末でございますが、総融資残高一兆五千九百六十七億円でございます。それをただいまの分類で輸出、輸入、投資、それから直接借款くらいに分けますと、輸出が一兆一千三百八十六億円、輸入が四百四十三億円、それから投資が千百十億円、直接借款が三千二十九億円、ただいまお述べになりましたように輸出が全体の七一・三%で、たいへんウエートが高くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/59
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060・松尾正吉
○松尾(正)委員 こういう内訳を見ましても、明らかに先ほど申しましたように、こういう税の面での優遇、さらに金融面での保護、こういったことが輸出過超という国際問題を起こしておる大きな要因だということははっきりするわけですね。したがって、この輸銀のあり方について、前から比べてみると、海外投資も多少ふえてはおりますけれども、とにかく七一%余りという輸出重点、これが原因であることははっきりしておりますので、いままでの輸出第一主義から、輸銀のあり方を海外投資、それから輸入重点、こういう方向で改めていく必要があるのではないか、こう思いますが、この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/60
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061・近藤道生
○近藤政府委員 御指摘のとおりであろうかと存じます。そういう方針で輸銀当局もだいぶ最近は努力をいたしておりまして、たとえば貸し付けの純増ベースでまいりますと、かなり輸入金融、投資金融の割合が上がってはきております。ただ残高ベースで申しますと、ただいま御指摘のとおりまだ微々たるものでございますので、今後輸入金融、投資金融、そういった方面に大いに努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/61
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062・松尾正吉
○松尾(正)委員 時間が迫ってきてしまいましたので端的に伺っていきますが、日銀の制度金融の内訳、商手割引等の内訳をちょっと聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/62
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063・近藤道生
○近藤政府委員 まず、公定歩合の種類別に申し上げますと、商手割引と国債または特に指定する債券を担保とする貸し付け利子歩合、これの適用を受けますものが大体四千八百億余りでございます。十月末の数字でございます。それから期限つきの輸出手形の割引、これがずっと減ってまいりまして十二億でございます。それから輸出前貸し手形を担保とする貸し付け、この適用を受けますものが千億強でございます。それからその他のものを担保とする貸し付け利子歩合、これが八百三十億ぐらいでございます。
以上が公定歩合の範囲内の数字でございますが、このほかに外国為替の資金貸し付け、これが約六百九十億、全体で七千四百億ぐらいというのが十月末の内訳でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/63
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064・松尾正吉
○松尾(正)委員 公定歩合というと五・二五%……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/64
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065・近藤道生
○近藤政府委員 公定歩合は、御承知のようにただいま四種類あるわけでございますが、そのうちの並み手その他のものを担保とする貸し付け利子歩合、いわゆる並み手担保、これだけが五・五%でございまして、そのほかは全部五・二五%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/65
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066・松尾正吉
○松尾(正)委員 これを見ましても、その他というのはもうごく一部分で五・五%、大部分は公定歩合によるいわゆる五・二五%、非常に優遇されているわけですね。しかもこの中で無審査で通るのはどれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/66
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067・近藤道生
○近藤政府委員 いわゆる制度金融と称するものが、無審査ではございませんが、まあいわば無審査と申しますかつうつう金融と申しますか、そういう形になっておるわけでございます。制度金融がほとんど大部分でございまして、むしろいま申し上げましたうちの制度金融以外のものと申しますと、最初に申し上げました商業手形割引歩合及び国債または特に指定する債券を担保とする貸し付け利子歩合のうちの輸入資金貸し付け約三千八百億を除きました千億円、それからさらに証券関係の四百億円を除きました要するに六百億円だけがつうつうではないいわゆる一般金融でございまして、そのほかはいわゆる制度金融、つうつう金融。ただ審査はもちろん一応いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/67
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068・松尾正吉
○松尾(正)委員 したがって、この際税の措置と並行して、私は日銀の制度融資を改めていかなければいけないと思う。いわゆる審査は受けるというのですけれども、ほとんどつうつうで四千五、六百億円というものが行なわれて、日銀で締めようとしても締められない。こういう実態はきわめて不公平であろうと私は思うのです。こんな過保護が、いまもうこういうふうに輸出がオーバーをして困っているというときにこのまま温存されるということは、これは金融制度の大きな欠陥だというふうに指摘せざるを得ないわけです。したがってこの制度を、金利についてせめてその他の五・五%以上にする、そうして当然これらは全部審査の対象にする、こういうふうにしていくべきであると考えるのですけれども、そのあり方についてどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/68
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069・近藤道生
○近藤政府委員 大きな方針といたしましては、ただいま御指摘のとおりのことを日本銀行当局も考えているようでございます。もちろん私どもも同感でございまして、まず金利の面につきましては数年前まで大体二%ぐらいの開き、優遇度合いであったわけでございますが、それをだんだんと縮めまして、四十四年、四十五年にかけまして先ほど申し上げましたように全部同じ五・二五にそろえてきたということ、また制度金融のいわゆるつうつう金融につきましても、方向といたしましては次第にその範囲を狭くいたしていくという方向で日本銀行当局も研究をいたしております。私どももただいまお示しのような方向でできるだけ努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/69
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070・松尾正吉
○松尾(正)委員 これはひとつ早急に努力していただきたいと思います。
それから、これと関連して今度は税の問題ですが、いわゆる銀行の貸し倒れ引き当て金、これについては前回も努力をするという答弁しか得られなかったのですけれども、これは当然大幅な改廃が必要であろうと思うのですが、局長の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/70
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071・高木文雄
○高木(文)政府委員 かねてからその問題は御指摘を受けておりまして、私どものほうも銀行局とも相談いたしまして研究を進めております。現在来年度の税制の改正について検討中でございますので、だんだん具体化してまいることと思っております。ほかの事項と一緒に税制調査会等にもはかる手続等もございますので、ここで最終的なことは申し上げられませんが、私どもとしてはそのような方向で努力をいたしたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/71
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072・松尾正吉
○松尾(正)委員 そういう方向で努力するということがあんまり実現していないので、ここで念のために貸し倒れの実態がどうなっているか、その内訳を——いや、その前に貸し倒れ引き当て金の内訳を銀行局長に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/72
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073・近藤道生
○近藤政府委員 まず、貸し倒れ引き当て金の内訳でございますが、都市銀行の場合に貸し倒れ引き当て金が四十五年下期で四千七百四十五億円、それから信託銀行の場合に同じく二百九十三億円、地方銀行が二千二百九十億円、相互銀行が九百九十三億円、いずれも四十五年下期の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/73
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074・松尾正吉
○松尾(正)委員 これだけの大きな額がありますが、銀行の貸し倒れ引き当て金は期末残高の千分の十五、これに対して一般事業の場合には千分の二十、こういうふうになっておるわけです。
そこで、貸し倒れ発色状況についてですが、私の調査したところでは、一般の事業で見ますと卸業が四・九%、製造業が四・一%、その他が五・五%、まあ大体こんな実態になっておると思うんですけれども、主税局ではどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/74
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075・高木文雄
○高木(文)政府委員 私のほうでは法人数が八十万ございますし、業種別に統計をとったものがございませんのでその数字を申し上げかねるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/75
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076・松尾正吉
○松尾(正)委員 実態がないと言うんですから、これは私の調査で比較する以外にないのですけれども、金融機関の実態は銀行局長どうでしょう、貸し倒れ実態の比率。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/76
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077・近藤道生
○近藤政府委員 金融機関の場合には金融検査によりまして償却証明を出したもの、そして実際に償却が行なわれましたもの、その実績でまいるわけでございますが、これはいずれも貸し倒れのいわゆる千分の十五に対しましてははるかに下回った実績でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/77
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078・松尾正吉
○松尾(正)委員 何%ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/78
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079・近藤道生
○近藤政府委員 まず都市銀行でまいりますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/79
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080・松尾正吉
○松尾(正)委員 全体の平均でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/80
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081・近藤道生
○近藤政府委員 全体の平均はございません。都市銀行でまいりますと四十五年上、下を通じまして〇・三でございます。それから地方銀行でまいりますと〇・一九でございます。それから相互銀行でまいりますと〇・八でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/81
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082・松尾正吉
○松尾(正)委員 銀行、金融機関の場合は貸し倒れ実態というものが非常に低い、ほとんどゼロにひとしい状況だ。これに対して一般事業の場合には、私の調査ももちろん一部分の調査ですからこれは的確にはいえませんけれども、問題にならないほど高い。金融機関の十倍以上あると思う。さらにこれが今年度並びに来年度の不況を見ますと、もっと大幅な数字が出てくるであろう。こういう実態を見たときに、あまりにも金融機関がずっと過保護されてきた。したがって、いまのような状態を乗り切っていくためには減税、そうして財源がないから国債というのでなくて、そういうふうに安心して事業をやっていけるようなところの過保護というものに対しては絶対のチャンスだ、こういうときにぴしっと手を打って、そうしてまた不況があったときにはそれに応じた手を打つというのがほんとうの政策であろう、こういう感じからこの点もむしろ一般事業並み以上に高率にしていくべきだ、こう思いますので、この点についての所見を局長に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/82
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083・近藤道生
○近藤政府委員 その点につきましては、先ほど主税局長から御答弁申し上げましたのと全く同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/83
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084・松尾正吉
○松尾(正)委員 それから次に、航空機用揮発油の免税措置、これがいよいよ四十七年三月で切れます。そこで運輸省おいでになっているでしょうか——伺いたいのですが、この航空機用揮発油に対する特別措置を設けた目的は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/84
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085・住田正二
○住田説明員 航空機の燃料につきまして、民間航空の再開以来免税しているわけでございますけれども、当時民間航空企業がまだ発達しないということで、保護育成の措置であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/85
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086・松尾正吉
○松尾(正)委員 そうしますと、現状ではもうニアミス等が起こるほどに育った、この目的は達成されたのではないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/86
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087・住田正二
○住田説明員 航空会社が使っております燃料には二つの種類がございます。一つはケロシンでございまして、これはジェット機とかあるいはターボプロップ機が使っております。もう一つは小型の飛行機、ピストン機が使っておりますガソリンでございます。先ほど御指摘のありました四十七年三月に期限が切れますのはガソリンでございまして、ガソリンの消費量は航空会社が使っております航空燃料全体の一%程度でございます。したがいまして、現在この特別措置法によって保護されている面というのは非常に少なくなってきていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/87
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088・松尾正吉
○松尾(正)委員 そうすると民間航空を育成しようというこの発想は、そのあとからジェット機等が出てきたので当然これらは含まれなければならない分が、いままで知らぬ顔をしておったんだというふうにしか解釈できないわけです。当然含まれなければならないものである。そういう意味で、この揮発油の免税措置についても、私はもう十分目的が達成されたのであるからこの措置ははずさなければならない、当然課税していかなければならない、こう思いますし、この際にあらためてそのケロシンについても課税していくのが当然ではないかという理論になるわけですが、その前に、せっかくおいでですから……。
民間航空は育ったのですけれども、御承知のように、航空機は大型化した。したがって、最近事故も多発しております。こういった経過を見ましたときに、いまの保安設備というものはこれで十分であるといえるかどうか、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/88
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089・住田正二
○住田説明員 本年七月に二回の大きな事故を起こしたわけでございますけれども、航空保安施設の現状は十分なものとはいえないと思います。それで、昭和四十六年度から五カ年計画をもちまして航空五カ年計画をつくっております。その中では航空保安施設を優先的に取り上げております。したがいまして、現状では不十分でございますけれども、五カ年計画が達成されれば少なくともヨーロッパ並み程度にはなろうかと考えております。
先ほどちょっと説明が十分でなかったのですが、特別措置法の対象になっております小型機でございますが、これは約五十社くらいございます。その大半は農薬散布であるとか、あるいは広告宣伝であるとか、写真撮影であるとかいうような事業をやっている業種でございます。民間航空のいわゆる定期航空のほうはお客さんが非常にふえておりますけれども、この小型機のほうは農薬の公害問題であるとかあるいは騒音問題であるということで事業量が非常に減っております。現在では五十社のうち大半が赤字であるという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/89
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090・松尾正吉
○松尾(正)委員 比率は一%、これは間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/90
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091・住田正二
○住田説明員 全体の使っております燃料は一%程度でございます。
なお、五カ年計画の財源でございますが、これは本年度五カ年計画を作成といいますか、大ワクを閣議了解できめておりますが、その際一応の財源手当てはいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/91
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092・松尾正吉
○松尾(正)委員 保安設備といってもいろいろありますし、たとえばコントロールタワーとか、あるいは航空気象観測機能とかその他いろいろな設備があって、大体この五カ年計画で欧米並みになるということでありますけれども、しかし、これから航空機の開発はどんどん進んでいきますので、いままでのわが国のいろいろな景気見通しあるいは経済政策、住宅計画、下水計画、これらがことごとく五年間で大体目的が達成されると打ち出したものが中途でほとんど改められている。こういう現状から見ましたときに、いまあなたはこれで大体の設備は整う、こういうふうにおっしゃったのですけれども、これによって、一機落ちれば場合によっては二、三百人ないし五、六百人という多くの犠牲を払う、こういう事故を防止できるのだ、おそらくこういうふうにはっきりは言えないと思うわけです。
時間がありませんから結論に入りますけれども、そういった五カ年計画で、あなた方から見てもっとほしいが、というものもあると思う。したがって、これらを充足していくために、いわゆる航空機というものを育成する目的でこの免税措置をとっておる。これがごく一部分の農薬散布等に使われる軽量の飛行機ということでありますので、この際ケロシンに対する課税ということを考えて、そしてこれをはっきりこの保安設備に向ける。保安設備のためにはさらにそれに対する人員等も当然必要になってくると思いますが、これらを考えれば、当然財源はもう足りないと思う。そういうふうに考えるのですけれども、主税局長、この点についてはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/92
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093・高木文雄
○高木(文)政府委員 私どものほうは、租税特別措置としての減免がたいへん長期にわたっておりますし、ただいま質疑応答の過程でお示しがございましたように、免税措置がとられた理由も若干希薄になっておると思いますので、この辺で洗い直しの機会ではないかというふうに考えておりますが、そのことは一方におきまして航空運賃へのはね返りの問題もございますし、ただいま一部お触れになりました歳出との関係の問題もありますし、税の問題だけではなしに、総合的な問題であると思いますので、関係各省庁の間で相談してまいりたいと思っております。かなり今回は基本的に検討すべきいい機会に来ておると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/93
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094・松尾正吉
○松尾(正)委員 軽減措置の検討ですか、それともジェット機燃料に対する課税の検討ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/94
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095・高木文雄
○高木(文)政府委員 双方含めてでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/95
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096・松尾正吉
○松尾(正)委員 あと五分になってしまいましたので、どうも通産省その他申しわけないのですが、ひとつ先ほど話のありました社会保障診療に対する特例です。これはもうずっと私も何回か質問を繰り返して、どうもこの保険制度の改正とからんで、議員立法だというようなこともありました。しかし先ほど局長の話を内々伺いますと、絶好のチャンスだ、こういう非常に力強い発言があった。
それでひとつ伺いたいのですが、前回の診療辞退の問題がありましたときに、新聞に、辞退した者に対しては実額課税をやるんだということが大きく報道されておったのですけれども、この点はあの報道どおりやるのですかどうか、その点ひとつ局長から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/96
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097・高木文雄
○高木(文)政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/97
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098・松尾正吉
○松尾(正)委員 あの新聞では、お医者さんの経費の実態は大体二七%程度、こういうふうに出ておりましたけれども、この実額課税をやりますとその実態はつかめるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/98
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099・高木文雄
○高木(文)政府委員 現在租税特別措置法の二十六条によりまして、例の七二%を経費として認めるという制度がございますが、これはあくまで社会保険診療報酬の課税だけに限られておりますので、当然に自由診療の場合はこの規定は働かないということでございます。そこで、その場合に実態はそれでわかるかということでございますが、その点につきましては、いずれにしましても申告に基づいて納税が行なわれ、これによって不審に思われるものについては税務署が調査する。しかし税務署の調査も全部はできないわけでございますから、どの程度のことになりますか、いまの段階では、来年の確定申告期の申告を待ち、その後の調査を見ませんと、しかとしたことはちょっと申し上げかねるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/99
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100・松尾正吉
○松尾(正)委員 局長とここでやりとりしても結論が出ないと思いますので、これはあとで詰めたいと思います。
新税について四つほど伺う予定で準備してありますが、時間になってしまいましたので、ギャンブル税その他、これは大臣に直に伺いたいと思います。自治省その他おいでいただいた人には申しわけありませんが、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/100
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101・齋藤邦吉
○齋藤委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時三十五分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X00619711105/101
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