1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十六年十一月十六日(火曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 齋藤 邦吉君
理事 宇野 宗佑君 理事 木野 晴夫君
理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君
理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君
理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君
上村千一郎君 小沢 一郎君
倉成 正君 地崎宇三郎君
中川 一郎君 中島源太郎君
坊 秀男君 松本 十郎君
村上信二郎君 毛利 松平君
森 美秀君 吉田 重延君
吉田 実君 阿部 助哉君
佐藤 観樹君 中嶋 英夫君
藤田 高敏君 貝沼 次郎君
二見 伸明君 伊藤卯四郎君
津川 武一君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(総理府総務長
官) 山中 貞則君
出席政府委員
沖繩・北方対策
庁長官 岡部 秀一君
沖繩・北方対策
庁総務部長 岡田 純夫君
大蔵政務次官 田中 六助君
大蔵大臣官房審
議官 中橋敬次郎君
中小企業庁次長 進 淳君
委員外の出席者
大蔵委員会調査
室長 末松 経正君
—————————————
委員の異動
十一月十二日
辞任 補欠選任
藤田 高敏君 卜部 政巳君
同日
辞任 補欠選任
卜部 政巳君 藤田 高敏君
同月十六日
辞任 補欠選任
奧田 敬和君 小沢 一郎君
同日
辞任 補欠選任
小沢 一郎君 奧田 敬和君
—————————————
十一月十一日
元満鉄職員等の共済年金通算に関する請願(宇
野宗佑君紹介)(第一二四二号)
自動車損害賠償責任保険料の算定に関する請願
(足立篤郎君紹介)(第一三四四号)
同(大石八治君紹介)(第一三四五号)
同(大坪保雄君紹介)(第一三四六号)
同(神田博君紹介)(第一三四七号)
同(塩谷一夫君紹介)(第一三四八号)
同(西村直己君紹介)(第一三四九号)
自動車損害賠償責任保険に関する請願外一件
(藤本孝雄君紹介)(第一三五〇号)
同(藤井勝志君紹介)(第一三五一号)
同外七件(三木武夫君紹介)(第一三五二号)
同外二件(加藤常太郎君紹介)(第一三五三
号)
同外三件(加藤六月君紹介)(第一三五四号)
同(大村襄治君紹介)(第一三五五号)
同外三件(木村武千代君紹介)(第一三五六
号)
同外二件(笠岡喬君紹介)(第一三五七号)
同(亀山孝一君紹介)(第一三五八号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第一三五九号)
同外一件(福田繁芳君紹介)(第一三六〇号)
同月十五日
自動車損害賠償責任保険料の算定に関する請願
(高見三郎君紹介)(第一三六四号)
自動車損害賠償責任保険に関する請願外一件
(秋田大助君紹介)(第一五六七号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇号)
沖繩振興開発金融公庫法案(内閣提出第四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/0
-
001・齋藤邦吉
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。佐藤観樹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/1
-
002・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 きょうは、八月の十六日以降のドル・ショックによるところの日本経済に与える、特に中小企業に与える影響大なるものがあるということで、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案、これの金融、税制部分が私のほうの委員会に回ってきているわけです。
まず、基本的にお伺いをしたいのですけれども、この国際経済上の調整措置、つまり輸入課徴金の問題、あるいはこれからの国際通貨というものがどうなっていくかということが、あまりにも意見がかけ離れておりますと、ここで当面するいろいろな諸措置といっても、いろいろこれはやり方が変わってくると思うのです。そこで、これは大蔵省でも非常にむずかしい問題ですから、あるいは水田大蔵大臣に聞いても確答が出ない問題ですから、何ぶん相手があることですので、出ない問題ですから、一がいには言えないのですけれども、一応指導官庁として中小企業庁は、この国際通貨情勢等について、いま私が申し上げましたように非常にむずかしいのですけれども、ばく然として大体こうなるのではないか、その辺のところは一体どういう見通しを基本的にお持ちになっているか、その辺をまずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/2
-
003・進淳
○進政府委員 今回のドル・ショックによりまして、特に中小企業庁といたしましては、中小企業の輸出関係に特に集中的に影響があらわれてくるというふうに見ておりまして、当初は輸出成約が平常ベースの約二割程度まで急減いたしております。しかしその後毎月二回ほどいろいろ産地の事情を調査いたしておりますが、約百産地でございますけれども、毎月回復してまいりまして、現在では約六、七割程度まで輸出の新規成約の状況が、通常ベースに比べまして回復してまいっております。
私どもといたしましては、そういうような輸出の停滞ということを最も憂慮いたしまして、そのための滞貨、減産等につきましての緊急融資措置を講じたわけでございます。それからさらに年末金融措置も講じておりますので、とりあえずいわれておりますドル・ショックに対する金融補完措置といたしましては、大体この程度で十分いけるのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/3
-
004・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 その問題は二番目に聞くのですが、私のお伺いしたのは、八月十六日のニクソン大統領のいわゆる新経済政策八項目があって、輸入課徴金の問題、金とドルとの交換停止の問題が直接日本にはかぶってくるわけです。それでこの調整が先進十カ国間で行なわれているわけですけれども、私が申しましたように、大蔵省としてもあるいは国際金融局としても非常に見通しはむずかしいわけですけれども、これから、とにかく中小企業庁としても対策を立てていかなければいけないわけですね。それでは一体、これから国際通貨情勢がどうなっていくか、あるいは本年で終わるものなのかあるいはもっともっと半年くらいかかると見るのか、これによって対策の立て方が基本的に変わってくると思うのです。それで、コナリー財務長官が来たときに、この委員会で一時間ばかり水田大蔵大臣ともお話をしたわけですけれども、それにしても水田大蔵大臣自体が正直いって見通しというものが非常にはっきりしたものが出ない。それはおそらく出ないと思うのです。その辺のところを、この国際通貨情勢というものが今後どういうふうになっていくのかという見通しについて、一応見解がないと、今後の対策を立てるにあたっても、やはりその情勢いかんによって、これが非常に長期になるという見通しになればそれのような立て方をしなければいけないし、これが年末で終わるんだというふうな見方になれば、それなりにまたやり方があると思うのですね。その辺のところ、非常にむずかしい問題ですけれども、一応頭の中ではどういうような情勢で終わるかというふうに考えられて——これは私もたびたび申しますように、見通しについてはこれは大蔵省でもなかなか見当がつかぬことですから、非常にむずかしいのですけれども、やはり指導官庁として基本的にどういうふうにお考えになっているか、その点をお伺いをしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/4
-
005・進淳
○進政府委員 御指摘のとおり、今後予想されます円の切り上げ幅がどのようになるかということが大きな前提になるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、中小企業庁といたしましても、今後の長期的な中小企業のあり方を基本的にどう考えるかということが最も重要であると考えまして、実は先週の金曜日、十二日に中小企業基本法に基づきます中小企業政策審議会を開催いたしまして、今後の中小企業のあり方あるいは中小企業の範囲をどうするかというような問題を含めまして、基本的な検討を進めたいということで諮問いたしております。そこで私どもといたしましては 今後できるだけこの検討を詰めてまいりたいと存じております。全体的な基本政策としてはそういうふうに考えております。
さらに、個々の業種別に国際競争力という点におきまして非常に強い業種、弱い業種いろいろございます。特に問題のある業種について個別にどうするかということにつきましては、この基本政策と別個に、並行いたしまして、中小企業の個々の業種の構造改善政策を従来から個々の業種ごとに進めてまいっております。今後もこれを進めまして、この基本的な政策を検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/5
-
006・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 私も、おそらく次長からでは、非常にむずかしい問題ですから、国際通貨情勢の見通しについてお答えも出ないし、あるいは大蔵省に聞いてもこれはおそらく出ないと思うのですね。そういうことで、国際通貨情勢の見通しいかんによって、これはいろいろ考え直さなければいけないと思うのです。
それでは問題を変えますが、中小企業政策審議会への諮問は、ドル・ショックによって従来やってきた中小企業対策を基本的に変えなければいけないということなのか、それともこのベースでさらに強化をしていかなければならぬ、こういうことなのか、その辺の諮問の内容というのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/6
-
007・進淳
○進政府委員 特に諮問の内容と申しますのは、これは実は意見を出すことができることになっておりまして、従来から中小企業の範囲でございますが、御承知のように資本金五千万円または従業員三百人以下、商業、サービス業につきましては資本金一千万円または従業員五十人以下という定義がございます。これが、その後貨幣価値が下がってまいっておりますし、流通機能も拡大してまいっておりますので、これを再検討すべきであるという意見が前々からございました。政策審議会におきまして検討すべきであるということになっておったわけでございますが、それに今回のいわゆるドル・ショックが加わりまして、さらに中小企業政策全般について再検討すべきであるという議論になったわけでございます。しかし、私どもといたしましては、政策そのものを根本的に変えるという意味ではなくて、従来の政策を適用します場合に今後どういうふうにしてやっていくか、根本には業種別の産業構造と申しますか、その中で特に大部分を占める中小企業業種につきましてどういうふうに指導していくかということが基本であろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/7
-
008・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 少し話が先にいってしまいましたので戻しますが、出荷額の中で中小企業が占める割合、それとその中で輸出が占める額、これをちょっと数字をあげていただきたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/8
-
009・進淳
○進政府委員 出荷額で申し上げますと全体の四八%が中小企業の出荷額でございます。輸出比率につきましては全体の三八%ということになっております。特に対米輸出は三九%、ちょっと比率が高くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/9
-
010・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 四十四年しか出てないのですが、四十四年度の中小企業の総出荷額、それとその出荷額に占める輸出の額、パーセンテージはどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/10
-
011・進淳
○進政府委員 通関統計上特に中小企業だけの輸出というのを明確に把握しておりませんですが、約四割程度ということで見ているわけでございます。全体の出荷額で申しますと約五十兆円程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/11
-
012・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 私の質問はそうじゃないのです。そういう質問じゃなくて、資本金五千万円以下、従業員三百人以下を中小企業というわけですが、中小企業が現在次長言われたように、国民総生産の三八%ですか生産をしておるわけです。その額があるわけです。その額があって、そして総生産の中で輸出をしておるわけでしょう。中小企業がつくった総生産額の中で輸出をしておる。その輸出の額と割合はどのくらいになっておりますかという質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/12
-
013・進淳
○進政府委員 金額は後ほど御説明させていただきたいと思いますが、中小企業の輸出の比率は全体の中で約三八%程度を占めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/13
-
014・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 どうもその辺が私の感覚及び数字と少し違うのです。私の数字では四十四年度の出荷額が大体二十八兆円、その中で四十四年の輸出額が二兆二千億ですね。ですから輸出実態としては、中小企業がつくっているもので輸出が占めている割合というのはわずか八%ぐらいという数字を見ているのですけれども、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/14
-
015・進淳
○進政府委員 失礼申し上げました。ただいま私が御説明申し上げましたのは全体の輸出の中で中小企業製品の占める輸出比率が約三八%程度というふうに申し上げたわけでございまして、全生産額の中で輸出の占める割合といいますのは一〇%以下、八・六%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/15
-
016・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 いや、八・六%というのは全輸出の中で占める中小企業の割合ですか。——どうも数字がおかしいな。四十四年度の数字があるわけですね。四十四年度の中小企業、いわゆる資本金五千万以下従業員三百人以下の中小企業がつくった総出荷額ですね——つくった総出荷額ということばはないですが総出荷額、GNPに数えられる額ですね。これはでは幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/16
-
017・進淳
○進政府委員 失礼しました。先ほどの資料は対米輸出のほうと間違えておりまして、全出荷額に占めます中小企業の輸出比率は七・九%と訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/17
-
018・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 いや、そうじゃないのですよ。それは全輸出の中で中小企業がつくっているものはどれだけかという話でしょう。そうじゃなくて、私のお聞きしているのは、いわゆる国民総生産の中で中小企業がつくる部分というのはあるわけですね。四十四年度で中小企業が出荷する額というのはあるわけですね。その額が幾らかということ。それから中小企業がつくるものの中で外国に輸出をするわけですね。その輸出しているのは幾らで、それは中小企業がつくったもののうちの何%ぐらいを占めるのか。日本全体の生産量、あるいは日本全体の輸出額に占める割合じゃなくて、中小企業というのはいま一体どのくらいの年間生産額を上げて、その生産額のうちのどれだけがアメリカなり、その他東南アジアなり、ヨーロッパなりに向けられるわけですね。ですから中小企業がつくる総生産額ですね、それと輸出の額、それから総生産額に占める輸出の割合、これをちょっとお伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/18
-
019・進淳
○進政府委員 中小企業の全出荷額は、工業統計でございますが四十四年度約二十八兆円になっております。その中の輸出額が約二兆二千五百六億円になっております。全体の中の比率で申し上げますと、出荷額では中小企業比率が約四九%、それから輸出額の中では約四〇%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/19
-
020・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 いま数字が出ましたように、つまり四十四年度の出荷額がほぼ二十八兆円。中小企業がつくった二十八兆円の中で輸出に向けられる分というのは約二兆二千五百億円ですか。そうしますと、中小企業がつくったものの中で輸出に向けられる分というのは、計算をしてみますと大体八%ぐらいになるわけですね。二十八兆円のうち二兆二千五百億円ですから八%強になるわけでね。それでそのうち対米輸出額というのは、大体幾らぐらいという数字はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/20
-
021・進淳
○進政府委員 対米輸出額につきましては、約七千五百四十六億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/21
-
022・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 そうしますと、私は大体一兆円と踏んでいたのですけれども、その四分の三ぐらいしかないわけですね。そうしますと、中小企業がつくった製品の中で、これは大体三%を切る二・八%程度が対米輸出の額ということになると思うのです。そうすると、話を簡単にして三%にしてもいいと思うのですね。そうしますと、中小企業がつくった二十八兆円のうちの大体三%がアメリカに輸出されているのだということになれば、これは実は三%という数字はたいしたことはないと私は思うのです。日本の対米輸出の全体から見れば三五%という対米依存率を考えれば、中小企業のつくったもののわずか三%弱、三%を切る額が対米輸出に向けられているということですね、数字的には。よろしゅうございますね。——そうしますと、やはりここで問題なのは何かというと、私はここでこれから論議する場合に、中小企業一般ということではこれは論議にならぬと思うのです。つまり、いま申しましたように中小企業でつくっているものの大体八%強ですか、これが輸出に向けられ、それから中小企業でつくっているものの三%を切る額がアメリカに向けられているのですから、そういう面では今度のアメリカの課徴金の問題あるいはいわゆるこれから行なわれるであろう円切り上げの問題、そういう問題に中小企業一般として対策を立てることはやはり私は問題だと思うのですね。そういう見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/22
-
023・進淳
○進政府委員 私ども、特に影響がありますのは輸出産業であることは事実でございますが、その前に御承知のように、今年当初から一般的な産業界の不況がございまして、その不況がやっと回復のきざしが見えたところにドル・ショックが起こってまいりましたために、いわゆるなべ底といいますか、不況の回復がいつになるかわからない、全般的に中小企業業界全体が非常に苦境におちいったという事情がございます。特に、私どもが今回の措置といたしまして特別に考えましたのは、輸出関連産業に対する金融、税制等を考えたのでございますけれども、中小企業全般につきましては、輸出関連を含めまして輸出が停滞いたしますと国内向けにもそれが波及するというようなことを各産地からいってまいっております。そういうようなことから全般的に年末金融対策であるとか税制対策であるとかいうことを来年度施策を含めてお願いしているわけでございますが、その中でも特に御指摘のように、輸出関連につきましては特段の措置をとるという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/23
-
024・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 円切り上げの問題あるいは輸入課徴金の問題、これは当然輸出入に関係するいわゆる貿易上の問題ですから、当然それは輸出関連になるわけですが、不況対策あるいは年末の融資、これはある意味では従来からやられていたことですね。それに加えてここで出されているいわゆる国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案というものは、この時期に至っていわゆる不況の問題、確かにあります。それからもう一つは課徴金の問題、円の切り上げの問題、非常に変動相場制で成約がしにくいという問題、そういう問題が上積みをされているんだと私は思うのです。
それでよく数字を見てみますと、どれくらい影響があるかというふうによく見ると、二十八兆円のうちの輸出に関連する部分としては八%強の約二兆二千五百億だ、しかも対米貿易はその中でも七千五百四十六億円ですか、三%を切る額だということになると、これは私は今度のそういう国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置というのは、この場合の中小企業というのはいま次長も言われましたように、もちろん輸出関連企業でございますけれども、問題なのはむしろいわゆる地場産業というか、ある特定の地域に非常にかたまって企業がある。これが産地産業といわれるものが、たとえば四日市の陶磁器にしろあるいは福井、石川の繊維にしろあるいは愛知県の窯業にしろ、こういうふうにその地域においてその産業が非常に高いパーセンテージを占めているもの、こういうものに対する助成措置というか対策というか、そういうふうにこの問題というものはしぼられていいのじゃないかと思うのですが、そういう見解でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/24
-
025・進淳
○進政府委員 御指摘のとおりでございまして、今回の措置のうちで特に法律的な手当てを必要といたしません金融措置でございますとか、あるいは為替の予約の制度につきましてはすでに実施いたしておりますが、これらを実施いたします場合には、御指摘のとおりに、特に輸出比率の高い産地ということで選定をいたしまして、たとえば緊急融資、これは六・五%の特利をいたしておりますが、たとえば業種なり産地を選びます場合には三割以上の輸出比率を要するもの、これは対米だけではございませんけれども、そういうことで選定をいたしております。為替予約も比率は違いますけれども、同じような趣旨で若干の成約をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/25
-
026・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 そこで、今度のこのドル・ショックによるところの問題から発生して、いろいろと私は中小企業問題というものはある意味では原点に戻ったのではないかと思うのです。と申しますのは、いままで国際競争力をつけるつけるということでいろいろ指導して構造改善もやってきたわけですね。普通ならば貿易の競争の中でやるべきであったのですけれども、それが、これはIMF体制なりガット違反であることは私は間違いないと思うのですが、いわゆるアメリカの輸入課徴金の問題なり国内的には変動相場制への移行なり、こういう形で中小企業に対して非常に荒波が迫ってきた。従来なら徐々に来るべきものが一挙に今度は中小企業にかぶさってきたと思うのです。そういう面で、はたして従来からやってきた中小企業対策、これはいわゆる国際競争力を強めるということでやってきたわけですけれども、それがはたして正しいやり方できたかどうかということが問われているときだと私は思うのです。これから私の質問は、今後の中小企業対策というものの基本について、従来からやってきたその関連においてお伺いをしたいのです。
そこで、まず九月二十三日に閣議で今度のドル・ショック以来のいわゆる米国の輸入課徴金制度の実施等に伴う当面の緊急中小企業対策についてとして五項目、まあ六つに分かれておりますが、内容的には五項目でございますが、そういう金融財政上の措置がとられているわけですけれども、まず九月二十三日に閣議が決定したいわゆる当面の緊急中小企業対策、この案の基本と申しますか、「当面の」というところは一体どのくらいの期間を考えていらっしゃるのか。それからもう一つは、従来やってきた中小企業対策、ずっと流れがあるわけですね。その中で一体今度の緊急対策というものは将来に向けてその基本的な方針を変更しようとしておるのか、あるいは基本的にはその上に乗ってやっているのか、この閣議決定の内容が具体的には今度の法案になっているわけですから、この閣議決定の内容というのは基本的にはどういう点にポイントを置いてなされているのか、その点についてまずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/26
-
027・進淳
○進政府委員 この閣議決定自体は、従来中小企業施策、諸般の施策をとっておりますけれども、この基本的政策そのものを変えるというつもりではございませんで、いわゆるドル・ショックをやわらげるための緊急措置ということで、従来の施策に上積みいたしまして、たとえば激甚災害のときにとりますようないわば経済的な、一種のそういうものに似たような特別の非常措置であるというようなことから、金融なり税制なり為替予約制度なり一連の措置をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/27
-
028・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 その辺で私は、今度の法案及びこの閣議決定のことについて若干疑問を持つわけなんです。というのは、確かに次長が言われるように、当面というのはどのくらいの期間かわかりませんけれども、いま言われたように、ある意味では、悪くいえば当面起こってくる問題についてばんそうこうを張るような政策だと思うのです。やはりこれだって国民の金を使うことですから、それなりにやはり次のステップ——従来からやってきたいわゆる中小企業対策、これは私があとから申しますけれども、いわゆる規模の拡大あるいは輸出産業奨励、こういう面で大きく進められてきたと私は思うのです。このことについてはもう少しあとで論議するわけですけれども、そのことではたしてよかったのかどうなのか、その路線でいいのかどうかということを考えて、そしてそこで新しいこのドル・ショックということがあり、今後の中小企業というのはどうあるべきかという政策を考えると、この閣議決定にあらわれている内容というものがはたして将来の新しい方向というものを考え直して出されているのか。どうも私はそういう感じがしないわけなんですね。
それで、まずちょっとお伺いをしたいのですけれども、最近の中小企業の輸出構成ですね、この中でも、従来の日本の中小企業というといわゆる軽工業というふうに簡単にいわれておりましたけれども、私は、このごろは中小企業でもかなり重工業化が進んでいるのではないか、こう思うのですけれども、現在の中小企業の中で、特に輸出関連の企業の中で重化学工業が占めている割合というのはどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/28
-
029・進淳
○進政府委員 ちょっと手元に資料が見当たりませんので、ちょっとお待ち願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/29
-
030・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 ちょっと調べておいていただきたいのだが、私が知った範囲では、中小企業の輸出構成の中でも四十五年度くらいで約五五%くらいがもう重工業化している。四十五年度で五五%くらい重工業化しているということを、私はいろいろな資料でいま覚えているわけですが、こうなってくると、かつてのいわゆる低賃金依存による商品輸出、中小企業はそういうものだという概念というのは、私はかなり薄れてきているのじゃないかと思うのです。そしてこれからもやはり日本がやっていかなければならない方向というのは重工業化、中小企業自体の重工業化だろうし、それから非常に労働生産性の高いものにだんだん変わっていかなければいけないと思うのです。その辺のところは基本的には一致しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/30
-
031・進淳
○進政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、大企業、中小企業を問わず、近年の輸出構造は次第に重工業化率を高めてまいっております。中小企業は従来雑貨関係が比較的多かったのでございますが、今後私どもといたしましても中小企業の産業構造自体あるいは輸出構造におきましても、従来からいわゆる発展途上国の追い上げであるとか特恵関税の実施であるとかいうような問題に関連いたしまして、中小企業の構造改善と申しますか、構造の高度化ということを政策の基本にしておったわけでございますが、このドル・ショックによりましてその政策を急速に進める必要があるということを痛感いたしております。そこで、先ほど申し上げましたように、今後の中小企業はいかにあるべきかということで至急検討を進めるために審議会を開いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/31
-
032・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 私がいま重工業化についてお伺いしたのは、ある意味では逆にいえばこういうことがいえるのじゃないかと思うのです。つまり重工業化していない部分の中小企業というのは、いわゆるアメリカに入った、まあ簡単にアメリカというふうにいえると思うのですが、アメリカに入った場合にその製品コストが一〇%安いとか二〇%安いということで、いわゆる従来日本の労働力というか労働価値がアメリカに比べれば賃金はおそらく四分の一くらいだと思うのですけれども、それに伴ってくるところの低コストですね、低コストで持っていた部分の中小企業というのはずいぶんあると私は思うのです。それがやはり今度の場合に一番ドル・ショックを受ける。いわゆる一〇%の課徴金をかけられたことによって、いままで価格の面で、商品の性能なりあるいは中身と申しますかまあ性能ですね、それで太刀打ちはしなかったけれども、まあ安いということで売れていた部分、こういうものが今度のドル・ショックによって非常に影響を受けると思うのです。そういう面からいくと、今後は単なる安い商品だけをつくればいいのだというふうに私はならないと思うのです。私は今後中小企業対策として基本的にはそういう面での重工業化あるいは労働生産性を高めるようなもの、こういうふうに変わっていかなければいかぬと思うのです。今度の閣議決定の対策の中にはどうもそういうところが見えないのじゃないか。それは確かに短期だということで、ばんそうこうを張ったようなというふうに言われるかもしれませんけれども、これも貴重な金を使うことでございますから、やはりその辺のところを指向してやっていかないと、私は、非常に税金のむだづかいになるのじゃないか、そう思うのですけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/32
-
033・進淳
○進政府委員 御指摘のとおり従来でも、ただいま先生の御質問のように次第に労賃が上がってまいりますし、国際競争が韓国、台湾、香港等の追い上げ等がございましてきびしくなっておったわけでございます。そういう中での輸出でございますので、そういう意味で日本の輸出商品も次第に高級化する、あるいは技術的にも現在では世界じゅうで非常に強いといわれている商品も中小企業の中からも出てまいっておるわけでございますが、そういうふうに持っていく必要があるということで進めておりますが、今回の閣議決定の中でも、今後の対策といたしまして、私どもといたしましては近代化計画なり構造計画の見直しを中長期の、まあ中期の計画といたしましては現在でも各業種別に構造政策を進めておりますが、業種によっては見直しをしまして水準を上げていく必要がある。たとえば製品の高級化であるとか、さらに一そう機械化を進めるとか、そういういろんな意味で従来の構造政策を改善する必要があろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/33
-
034・阿部助哉
○阿部(助)委員 議事進行。委員長、少し法案を審議する熱意が足りないのじゃないですか。さっきから言っているのだけれども、あなたになってからだけですよ、こんなに少ないのは。大蔵委員会はいままでだって一応数をそろえてやっているのがたてまえなんだ。この委員長になってからしょっちゅうこういうことがあるのです。私はいままでがまんしておったんだけれども、これじゃしようがないので、もう少し数をそろえて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/34
-
035・齋藤邦吉
○齋藤委員長 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/35
-
036・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 それでは話をまた続けますけれども、ところがそういう考え方からいくと、いわゆる従来のものに事業転換の部分、今度のこの委員会に出されておる法案にもありますけれども、事業転換の部分については私も非常にいいと思うというか、ある意味ではこれではやり足らないのじゃないかと思うのですが、従来の形の企業、いわゆるそういうふうに価格差だけでやっと持っていたような企業、業種、こういうものに長期、低利のお金を貸して、はたしてこれでこのドル・ショックというか、いわゆる変動相場制から固定相場制に戻ったとしてもはたしてやっていけるのか、またこれは同じ繰り返しになるのじゃないか。いわゆる高級品かあるいは労働生産性を高めるような産業に転換をさせるような措置というのが、このドル・ショックを利用してというか不幸を幸に転ずるようなやり方でやっていかなければいけないのじゃないか。その点から見ると、このいわゆる閣議決定の中小企業対策というのは、これは今度出された法案そのもので、それが法案になったのが今度出されたと思うのですけれども、それからいくとどうも従来の価格差だけでいわゆる安い、アメリカに輸出する場合でも一〇%なり二〇%なり安いというだけで、製品の内容はよくなくてもあるいは製品の内容は向こうと同じでも、安いというだけでやってきた企業というのをそのまま温存するようなかっこうにはなってないだろうか、そういう気がするのですけれども……。
そこで私は、先ほどの閣議決定というものが一体今後の中小企業対策にどういう性格を持つかというふうにお伺いをしたいのですが、その辺の見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/36
-
037・進淳
○進政府委員 確かにこの九月二十三日の閣議の対策につきまして、転換対策ということも私ども考えておりました。中小企業振興事業団の高度化資金、中小企業金融公庫の特別貸し付けという特ワクを設けておりまして、低利資金を転換業者に貸し付ける制度が現在ございます。これを活用いたしまして、転換を希望する業者につきましては、できるだけ指導をしてまいりたいと存じております。しかし、確かに高級品化、生産性を高めるということにいたしましても、賃金の引き上げ等ともからみまして、今後、現在の輸出産業の中である程度高級品化し得る企業を除きましては、どうしても転換を余儀なくされる場合もあろうかと思います。しかしその点は、前回の閣議決定では今後の検討事項ということになっておるわけでございまして、通産大臣からもそういうふうに発言いたしております。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、現在約百四十余りの近代化基本計画を業種別に進めておりますが、これらにつきましても業種によっては今後さらに再検討するとか、今後のあり方というものを検討させていただきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/37
-
038・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 それを早いところやらなければいけないわけなんですが、私が冒頭申し上げたように、今度の問題というのは、単に中小企業一般ではなくして、いわゆる産地産業、それにしぼられてきていいと思うのです。それでお伺いしたいのですが、いま次長も言われたように、転換というのは非常にむずかしいことなんです。それで今度のドル・ショックの問題というのは、中小企業一般ととらえるべきではなくして、いわゆる産地産業がどうあるべきか、産地の再開発をどうやってやっていくかという非常に大きな問題を含んでいると思うのです。
ちょっと法案に触れたいのですけれども、これは大蔵省でも中小企業庁でもどちらでもいいのですが、今度の臨時措置に関する法律案の中で、いわゆる大臣が認定する中小企業ということがありますけれども、これは具体的には最終的には政令できめられると思うのですが、あれはたしか八月の末でしたか、地域産業と輸出産業ということで、たしか七十八業種だったと思うのですが、指定をされたと思うのです。今度はこの大臣の指定する、この臨時措置法のところでは第三条の認定ですね、三条の部分というのは、この前通産省が発表したいわゆる七十八業種に加えてさらに広まるものなのか、大体あの七十八業種というか、七十八カ所というか、そのくらいのつもりなのか。これは政令でこれからきめるということになるかもしれませんけれども、この第三条の認定ですね、これはやはりこの法案の非常に大きな中身だと思うのですが、この認定の部分について、大体どういうような方針できめられるおつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/38
-
039・進淳
○進政府委員 現在のところ作業を進めておりますけれども、おおむね百近い業種になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/39
-
040・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 そういうことになりますと、大体その百業種について考えなければいかぬわけなんですが、いま申しましたように、地域産業としてその地域に対しては非常に大きな影響を持つ中小企業が多いわけですね。それでこの開発ですけれども、私は先ほどから申しましたように、単なる物が安いということだけでは、もうこれからなかなか国際的にはやっていかれぬ。そういう面では内容のある商品をつくらなければいかぬと思うのですけれども、その面では百なら百として、百地域に対してどのような転換というか、開発というか、計画を考えていらっしゃるのか、その辺をお伺いしたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/40
-
041・進淳
○進政府委員 現在のところ、個別業種につきましてまだ具体的な転換策をどうするということまでは考えておるわけではございませんので、これらにつきましては、やはり通産省の各原局でございますとか、先生御指摘のように、産地を形成いたしております地元の産地の府県あるいは業界団体等とも相談いたしまして、やはり業界自体の自主的なある程度共同化施策がどうしても必要になってまいります。通産省の近代化施策もできるだけそういうような、共同しての構造改善ということを中心に進めてまいっておりますので、今後業種別に、通産省の原局において、そういう具体的な施策を検討していただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/41
-
042・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 それはある意味では従来からも研究をしていたと思うのですけれども、四十七年度の予算までにはつくるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/42
-
043・進淳
○進政府委員 四十七年度の予算はすでに大蔵省に予算要求を出しております。私どもといたしましては、現在でも百四十の近代化基本計画、業種別の構造改善計画を進めております。ですから、この計画の見通しということは、従来のやり方の中で、運営の問題として部分的にはできようかと存じますが、基本的には、やはりこれは相当大きな問題でございますので、先ほど申し上げました中小企業政策審議会におきまして、基本政策を御検討願うとともに、今後取り上げるべき問題につきましては、場合によっては新しい業種を取り上げなければならぬ場合もございましょうし、これらは業種別の構造改善政策をじっくり検討してもらいたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/43
-
044・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 そこで、今後の中小企業対策の基本の問題なんですけれども、いわゆるアメリカへの輸出ができなくなった、それで変動相場制で輸出成約があまりうまくできないとか、そういうことで、この閣議決定によるような税制、財政上の措置がされるというふうに理解するわけですけれども、再び今度、今後の措置はまたアメリカならアメリカ、そういう輸出型の産業育成というふうに向かっていくのか、あるいは中小企業は中小企業で、輸出の部分じゃなくて国内で流通できるような、そういうものに変えていく必要もあるのではないか。いわゆる従来の路線からいくと、構造改善によって規模を拡大しろ、あるいはもう一つは、国際競争力ができるような産業にしろということで、貿易中心型になっていたと思うのですけれども、その辺のところの基本線について、いま見直さなければいけない時期に来ているのじゃないか。私が先ほど中小企業問題が一番原点に戻ったのじゃないかと言ったのもそういう意味なんですけれども、その点のところは基本的にはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/44
-
045・進淳
○進政府委員 基本的に輸出振興ということばがいいかどうかは別といたしまして、やはり日本全体としましては、中小企業を含めて、輸出の問題というのは重要であると思っております。しかし輸出の内容が、やはり発展途上国との関係もございますし、対米輸出急増という問題が現に起こっておりますので、そういう新しい意味での国際的な新しい協調体制と申しますか、そういう中で調和のとれた輸出の伸びというものを考えなければならないと思います。今後やはり日本の産業を伸ばしていくためには、輸出全体を伸ばすということは、やはり考えなければならないと思います。従来やりました方法はそう間違っていなかったと思います。ただ、その中のやり方をどういうふうに手直ししていくか、場合によりましては、新しい施策を考えなければならない場合もあろうかと思いますけれども、その点につきましては、今後検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/45
-
046・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 どうもこれからの中小企業対策について、いわゆるドル・ショック以後について、中小企業庁としても、あまり大きな政策の転換というか、思考の転換というか、私は考え方が転換されてないのじゃないかと思うのです。それは全部中小企業政策審議会のほうにおろすと言いますけれども、この法案の中に、国際経済上の臨時措置に関する法案の中に、いわゆる転換計画の認定というところが第六条にあるわけですね。これは「行なおうとするものは、当該事業の転換に関する計画をその住所地を管轄する都道府県知事に提出して、その計画が適当である旨の認定を受けることができる。」ことになっているわけです。ということは、あとのほうで基本の考え方があって、中小企業の方々が、このままでは労働集約的であり、しかも東南アジアなり発展途上国の追い上げがあるので、どうもこの業種としてはやっていかれないというように考えられたときに、私はこの都道府県知事に出すと思うのですけれども、その基本は、認定しなければお金を貸してくれないのですから、認定するというからには、やはりこちら側というか、つまり認定するほうに基本的ないい、悪いの判断の基準がなければ、私は、これはできないと思うのです。おそらくこの部分は、また政令できめられると思うのですけれども、その辺の基本的な今後の——ドル・ショック以来の転換、私はかなり転換をしなければいけないと思うのですけれども、転換の基本方針について、どうも非常にあいまいだと思うのです。この第六条に関して、それでは今後どういうふうにやっていくのか。その点についてはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/46
-
047・進淳
○進政府委員 今回の転換政策はとりあえずの措置でございますので、ただいま申し上げましたような基本的な将来のあり方を考えた上での転換ということよりも、当面のドル・ショックによりまして、どうしても売れ行き不振から転換しなければならない中小企業が出た場合に、転換をしたい、ほかの業種にかわりたいという場合に、特別の金融上の助成措置あるいは税制上の助成措置をとっていただこうということでありまして、したがいまして、今回の知事の認定につきましては、特に業種などを指定するということではなくて、ネガリストといいますか、たとえばバー、キャバレーはだめだとか、あるいは現在でもすでに設備制限をしておるような業種がございますので、そういう新規参入はいけないとか、そういうようなきわめて狭い範囲のところをだめだということにしまして、あとはとりあえずの措置でございますので、他の、自分の判断で適当な業種に転換したいという場合には、そういう非常にぐあいが悪いといいますか、そういうものを除いては認定してよろしいという通牒を出したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/47
-
048・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 これからのやり方もあまりまだきめられてないようですので、その辺のところがわかったということで、ひとつ構造改善問題について、ちょっと触れたいと思うのです。
これは非常に大事な問題だと思うのですけれども、繊維なんかでも構造改善、構造改善というこので、いわゆる古い機械と新しい機械、北陸のほうでは、古い機械三台に新しい機械一台ということで構造改善を考えてきたわけですけれども、現在の機械というのは、いま最高一人で四十台くらい持っている機械があるわけです。そうなると、非常に高生産でいいわけなんだけれども、なかなかそれだけかけた減価償却ができないし、あるいは借り入れた金利負担が非常に重いということで、生産性を上げたわりにはなかなか構造改善がうまくいかないという事例があることを、私はこの前北陸に繊維の視察に行ったときに非常に感じたわけなんです。
それから、たとえば私の知った範囲では燕のいわゆる金属洋食器、これなんかにしても、この三年間で構造改善が約七〇%進んだ。ところが、これは特恵対策としてやってきたのですけれども、現在アメリカの洋食器の輸入関税が一七%ですが、この構造改善によって燕のほうは一五%から一六%に値が下がっておる。これで発展途上国との格差がつけるというふうに踏んでいたわけなんですが、御存じのように、今度燕のほうの金属洋食器については、非常な打撃があるわけですね。輸出のたしか九二%くらいだったと思いますが、占めておるということで、構造改善というのも、いわゆる資本をそれだけ投下したわりには償却の部分なり、あるいは利子の部分で食われてしまって、なかなか実をあげていない例がかなりあると思う。この辺のことについて、中小企業庁としてはどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/48
-
049・進淳
○進政府委員 御指摘のように、具体的の業種別の構造改善政策、これは業種別と申しましても、実施する組合が産地別にまとまりまして、その計画が妥当であると認定いたしました場合に実施することになっているわけでありますが、全体といたしまして、私どもは個々の業種別の問題点があることは承知いたしておりますけれども、構造改善計画全体としましては、日本の中小企業の輸出の振興なり産業全般のレベルアップに非常に効果があったと存じております。したがいまして、今後も構造改善計画は、その内容の計画の基準のきめ方であるとか、たとえば生産性が低い場合の基準のきめ方等については再検討する必要があろうかと存じますが、構造改善計画自体は進めさせていただきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/49
-
050・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 そこでちょっとお伺いをしていきたいのですが、今度の臨時措置の中に、いわゆる政府が構造改善で貸したお金ですね、資金、これを一年なり三年なり支払いを猶予するという項目がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/50
-
051・進淳
○進政府委員 中小企業振興事業団が構造改善に融資をいたしておりますが、これにつきましては、この構造改善をやっております実施状況によりまして、非常に苦境におちいっている場合には猶予するということを認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/51
-
052・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 私もこの前、北陸地方を回ったときの現状では、織屋さんが最低三百万の借金が、構造改善であるわけですね。中小企業庁あるいは通産省の行政指導によって、構造改善しろ、構造改善しろということでお金を借りてやってきた。ところが、いわゆる無登録織機があるし、そういうことで今度は自主規制、その上に今度は政府間協定ということで、たいへんなことになっておるわけです。そこで皆さん方が言うことは、一人当たり最低三百万まで、織機が四台か五台くらいのところですが、最低三百万あるわけですね。そうしますと、たとえ織機を買い上げてくれたとしても、一台たかだか三十五万くらいですから、その構造改善で借りたお金が返せない、したがって転業ができない、こういう状態になっておるのが非常に多いわけですね。
そこで私は、おそらく金融措置の中で、項目としては返済の猶予ということは書いてないけれども、中小企業事業団の融資のお金の中に、今度政府が配られたお金の中に、そういう支払い猶予、一年なり三年なりの猶予というものが含まれるべきだと思うわけなんです。それは特に希望なんです。政府間協定については、これは特に述べませんけれども、繊維に関して、そういうふうに非常に構造改善をしてきたけれども、政治的な問題で非常に苦境に立たされるというものについては、私はやはり政府から貸したお金の支払いの猶予ということをかなり考えていかなければいけないのじゃないかということを要望いたしまして、この問題については終わりたいと思うのです。
それで、今度は大蔵省にお伺いをしますが、こういう状態の中ですけれども、この前コナリー財務長官が日本に来る前に、閣議でいわゆる円対策八項目を堅持をする、従来どおりやっていくということで、いわゆる私たちが前から言っていた輸出振興税制ですね、これも廃止の方向で考えるということになっておりますが、そのことについては、そういうふうに従来から変わりないというふうに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/52
-
053・中橋敬次郎
○中橋政府委員 いま御指摘の輸出振興税制の問題でございますけれども、当委員会におきまして、先日大蔵大臣が申し上げましたように、これはいまお尋ねのように廃止の方向で考えております。先ほど来通産省からもいろいろ輸出の将来についてお話がございましたけれども、私どもも、輸出が日本経済にとって重要であるということは将来とも変更はないと思いますけれども、従来とってまいりましたように、税制上いろいろな助成措置を講ずる必要があるかどうかということについては、この際とくに反省をいたしまして、そういう問題についてはできるだけ早く別途の措置を考えるということはありましょうけれども、輸出振興税制という形では廃止いたしたいということで検討いたしておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/53
-
054・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 ところが、佐藤首相が三年前に本会議の席上で、銀行の貸倒引当金は実態にそぐわないから廃止しますと言ったって、いまだになされないわけですから、前の福田大蔵大臣も、この輸出振興税制についても、あるいは他のいろいろ問題のある租税特別措置についても廃止の方向で検討いたしますというふうに言ったけれども、ちっともこれについてはやらぬわけですね。輸出振興税制についても水田大蔵大臣も言っていらっしゃるけれども、どうもその辺、私は正直言っていまの内閣はあまり信用できないわけですね。それで、いまは中小企業庁ともお話をしたように、やはり税制上あるいは金融上で優遇をして企業を甘えさせるというか、単なる商品の価格競争だけでやっていく時代というのは私はすでに過ぎているんではないかと思うのです。そういう面で、非常に税の面で不平等性のある輸出振興税制については、ぜひとも、これはもう外貨が非常にたまっているときでございますので、ひとつ前向きに約束どおり考えていただきたいと思うのです。
それから、いまお話があったように、別途で何かを考えるかもしれませんけれどもというおことばがちゃんと逃げ道としてあるわけなんですが、そこでちょっとお伺いしたいのですが、最近ささやかれていることで、銀行の貸倒引当金というのは、この前も当委員会でもいろいろ御質問があったように、非常に実態にそぐわない。一つけたが違うぐらい、十倍ぐらい貸倒引当金というのは認められておるということで、非常に問題があるということで、これも検討をする、あるいは廃止の方向で考えるというふうになっていたわけなんですけれども、何かその代償のような形で、いわゆる変動相場制の時期に入り、これからの国際通貨情勢がどうなるか非常にわからない情勢の中で、いわゆる為替差損準備金制度、こういうものをつくるのではないかというふうにささやかれているのですけれども、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/54
-
055・中橋敬次郎
○中橋政府委員 確かに今回の通貨変動の反省から、将来に対しまして為替変動によります差損に対して税制上準備金の制度を設けてはどうかという議論がございます。もちろん検討の対象でございますけれども、私どもといたしましては、現在こういうふうに考えております。
と申しますのは、為替の変動に対しまして準備をいたすということになりますと、わが国の通貨の状況だけでございませんで、将来相手国の通貨の事情もございますから、外貨建ての債権に限りませず、債務についてもいろいろ準備をしなければならないということになります。それで、外貨建ての債権を持っておる企業、債務を持っておる企業につきまして広くそういった準備をするということは、かなりの財源を食うということになります。今回の変動相場制に移行しました状態をまだ私ども数字的には十分に追跡をいたしておりませんけれども、かなり今回の変動につきましてよそういう差損を受けたところと、いわゆる差益を生じた企業というのもございます。
そういうことを考えますと、外貨建ての債権を持ち、あるいは債務を持っておる企業について税制上の準備金を立てておりましたといたしました場合に、将来の通貨変動が上下どういうふうに向かうかということによりまして、その準備金が効果を発する企業と、全然効果を生じない企業というのが生ずるということになるわけでございます。広くかなりの金額を投じて為替変動準備金制度というのを設けるのがよろしいのか、あるいは、たとえばいま御審議をいただいております中小企業関係につきまして、現実にそういった為替変動から起きました損というものを今回考えておりますようなことで救済をするというのも一つの方法でございますから、そういった方法で効果的にやるほうがいいのではないかというようなことで、現在検討いたしておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/55
-
056・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 検討している最中だということでございますので、差損についてはそういう措置がされますけれども、今度は差益ですね。為替差益だと、何にもしなくて、ちょっとレートを変えれば左うちわでもうかるわけですね。そこで、差損についてはそういうことでございますけれども、差益のほうですね。差益のほうについても、これは具体的には、法人税の中にいわゆる収益があがったということで組み込まれると思うのですね。ところが法人で、あくせくと働いて得たものと為替差益、為替の変動だけでもうけたものとでは、やはり性格が違うと思うのです。そういう面では、法人税の部分だけで考えるのも考え方としては少しおかしいんじゃないかと思うのですね。そこで、為替差損についてはいまいろいろの問題点があります。これは私たちもいろいろな点で考えなければいかぬと思うのですが、為替差益の部分ですね、これについてはどういうふうにお考えになっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/56
-
057・中橋敬次郎
○中橋政府委員 一がいに為替差益と申しますが、その中には二通り種類があると思います。
その第一の種類は、単に外貨建ての債務を持っておりまして、輸入を主としております企業が、単に相場が変動することによりまして差益を生ずるという企業がございます。これにつきましては、もちろん法人税制では、それによって生じました利益というのは法人税の課税が行なわれるわけでありますけれども、主としましてそういう輸入物資を扱っておる企業といいますのは、むしろそれに対して税金をとりますよりは、その利益を物資の値段に還元をする方向に持っていくのがいいのではないかというふうに私どもは考えております。
それから第二の範疇といたしましては、先ほど来いろいろ議論が行なわれております、たとえばドルを売ったということによりまして差益を生じたという企業がございます。これもいろいろ内容を分析いたさなければなりませんけれども、かなりの企業というのがそのままでおれば生じたであろう差損を埋めるという意味においてそういう行為をやった、その益が問題になっておるわけでございます。その益だけを取り上げて課税するという方法ももちろんございますけれども、それは一方におきまして、それに対応する損というものがそにあるわけでございますから、益だけを取り上げるということの効果が一体どのようにあるのかという問題がございます。
そういう意味におきましては、差益というものは、やはり益がそのままふえたものに対しましては法人税で、損を埋め合わせたものに対しましては、そのネットの益に対して法人税でというのが現在の私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/57
-
058・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 前者の部分ですけれども、私はいずれ一度これは流通過程の問題として、たとえば石油にしても、これはとにかく原価が、変動相場でいま円高が九・九%ですか、くらい高くなっているわけですから、今度は原油自体が仕入れのときに安くなっているわけですね。この部分が本来、いまの論理でいけば消費価格に反映をしなければいけないはずですけれども、それがいろいろ業界の事情もあり、なかなか消費者のほうには環元をしてこないという実態があるわけです。
この為替差益というのは、おそらく一時的なものだと思うのです。大体、世界的には変動相場制じゃなくて固定相場制へこれから戻りたいという方向で、これはいろいろ論議のあるところですけれども、そういう方向でいきますと、この前の八月の十六日から八月の二十七日までの間の問題、あるいは将来またそういうことが起これば、その間のわずかな期間の問題だと思うのです。そうなると、それだけのものを一週間かどれくらいになるかわかりませんが、二回目が起こったときの処置は、それを今度は商品価格に反映したほうがいいのじゃないかということは、具体的には私はできぬと思うのです。そういう面でひとつ、為替差損について何らかの措置を考える場合には、それの逆の位置にある為替差益についても、やはり慎重にと申しますか、不労所得としてかなり考えていかなければならぬのじゃないかというふうに思うのです。それで、大体大蔵省はそれほどこの問題についてまだ考えが固まってないようですので、この問題はこれだけにします。
もう一つは、今後の財政の問題として、非常に全体的に税収が落ちているわけですね。国債を発行することになっているわけですが、増収の部分、つまり本来課税されなければいけないもので課税されてないものが租税特別措置法に数々あるわけですけれども、特に私たちが今後見直していかなければならないのは交際費課税ですね。それから広告費課税。これは前国会で平林委員のほうから広告費課税については話がありましたけれども、特に交際費課税、これなんかが非常に、この前も論議をしましたように、まだまだ私は——いま一兆円、一兆円と申しますと、国民消費の中の約二%というのですから、たいへんな額になると思うのですね。アメリカが国民消費の中の〇・四%ですから、アメリカの交際費の約五倍を使っているということで、これに伴ういろいろな好ましからぬ点が、これは多くを申す必要はないと思いますけれども、あると思うのです。この前の法改正で、四百万円プラス資本金の千分の二・五というふうに変わったわけですけれども、それによっていわゆる不算入割合というのが、四十四年が二一・六%でしたけれども、これが幾らかふえていますね。これは四十五年度の数字はまだおそらく出てないと思うのですが、そういう面で、やはりこれからも健全な経営をさせるための手段としても、また、国家財政の面でも、交際費課税というのはさらに重課していく必要があるのじゃないかと思うのですが、まずその点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/58
-
059・中橋敬次郎
○中橋政府委員 交際費課税につきましては、御承知のように、年を追いまして強化をしてまいりました。本年の春の改正におきましても、従来の否認割合が六〇%から七〇%にあげられたところでございます。交際費にまつわりますところのいろいろな難点というのは、まさに御指摘のとおりでございまして、私どもも全くそのように考えております。ただ、一つ考えなければなりませんことは、やはり交際費が適正に支出せられる限りにおきましては、それも企業の拡張の一つの手段でございますので、それが新規の企業を抑制しないという意味におきましては、交際費のある程度の支出というのは認めざるを得ないと思います。
もう一つは、中小企業の問題でございまして、現在、いまおっしゃいましたように、四百万円プラス何がしというのは、実は中小企業につきましてもそういった配慮をしているところでございます。このいわば最低限の金額と、それから否認の割合というものをかみ合わせまして、今後もなお交際費の検討は続けてまいらなければなりませんが、この春何しろ六〇%から七〇%に引き上げていただいたばかりでございますので、もうしばらくその経過を見たいというのが私どもの現在の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/59
-
060・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 交際費が額が非常に大きく、しかもそれが経営の正常な状態を脱しているという例が数々あるわけなので、さらにこれも大蔵省としても考えていただかなければならぬと思うのです。
それから、この前の日曜日、菊花賞があったわけですけれども、いわゆるギャンブル課税ですね。これも少し考えていかなければいかぬじゃないかと思うのです。特に入場税は、競馬、競輪、こういういわばギャンブル性のものについては、いまだに三十円が免税点になっているわけですね。映画館とか演劇場が免税点が百円で、競輪、競馬というギャンブル性のものがいまだに三十円に据え置かれているということについては、この前入場税法の改正のときにもいろいろ論議があったわけです。これはいま普通のときには競輪、競馬場は、私は行ったことはないのですが、百円だそうです。それで、百円を免税点にすると一銭も取れなくなるということになると思うのですけれども、この前の菊花賞の売り上げが一レースで六十五億円ですか、これはやはり一億一千万がギャンブル人口だそうですから、一億一千万というとかなりほとんど——行っている人の回数、行かない人の分を割ってみますと、たいへんな数になるわけですね。ギャンブルがはたしていいか悪いかということについては、一応いま国としては公認をしている形になっておる。これが地方財政に援助を与えておるわけですけれども、これがいいか悪いかは別の問題として、やはりこれだけのものについて、入場税も他の興行物よりも安い。それでいて一レース六十五億もかかるものについて全然税金がかかっていないということについては、やはり国民として納得ができないわけなんですね。大蔵省としては、このギャンブル課税についてどういうふうにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/60
-
061・中橋敬次郎
○中橋政府委員 おっしゃるように、いわゆるギャンブルにつきまして、最近非常に活況を呈しております。私どもは、一つには、来年度の税収の状況が非常に窮屈でございますので、何か経済に悪影響を及ぼさないで、しかも税収を上げ得るものがないかということを現在検討中でございます。その一つといたしまして、いま佐藤委員が御指摘のようなギャンブルというのも確かに私どもも同じように注目をいたしております。おっしゃいますように、延べ一億人の人たちがそこに入場しておる、あるいは一レース六十五億円という、おそらく十一年前とは比べものにならないくらいの金額の伸びを示しておりますが、入場料金にいたしましても、日本のギャンブルは諸外国に比べますと、むしろ入場料でそう収入をあげないということのようでございますので、これが過去十何年前の金額とそう変わっていないというような事情でございます。したがいまして、私どもは、こういう財源事情でもございますので、まさに佐藤委員おっしゃいましたように、私どもも、ギャンブルの是非ということはこの際問題にはいたしませんで、何がしかの、ギャンブルに参加する人たちがもう少し多くの税金を納めるような措置がないかということを現在検討いたしております。確かにいまギャンブルの売り上げの中で、国なりあるいは地方団体なりにその一部が収入となってあがっておることは確かでございますけれども、もう少しあげ得る余地がないかということで、現在検討いたしております。もちろん、そのやり方といたしましては、いま御指摘のように、入場料というような形で取るのがよろしいのか、あるいはギャンブルの売り上げに対しましてもう少し取るのがよろしいのか、あるいはまた、払い戻し金そのものについてもう少し納めてもらうような方法がないものかということで、現在検討いたしておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/61
-
062・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 この問題については、本年の三月に堀委員が福田大蔵大臣とも話をしておるわけですけれども、いわゆる税金を取るというと、何かそのことについて、ギャンブル性のものについて認めているというか、非常に税金がたよっているというようなやり方でまずいという考え方も一方には確かにあると思うのです。ただ消極的な意味で、一レース六十五億も金が動くようなものに対してほうっておくというのもどうかと思うし、いま非常に税収が乏しいときでありますので、言われたように、経済活動に対してあまり影響のない部分で考える必要があるのではないだろうか。ただそのやり方について、私個人としては、ギャンブルというのはあまり好きじゃないものだから廃止の方向で考えるし、私の市町村の中でも、競輪に市の財政が非常にたよっている部分もあるわけですけれども、それに伴って付近の住民の方々が非常に迷惑をしている部分もあるということで、これは非常に考えなければいかぬところでありますけれども、それにしても、消極的な意味でもやはりこれは考えていかなければならない。ただやり方として、国家がこういうギャンブルに財政をたよるということはあまり好ましいことではないという考え方で、それはひとつ別な目的で、たとえば堀先生なんかは、これは社会福祉の目的税という形にしたら、やすく納められるのじゃないかということも考えられているわけです。この辺で、まだこれも私たちの党の見解としてもはっきりしておりませんけれども、現在のギャンブルについてもやはりいろいろな形で、まず討議の資料として考えていく必要があるのじゃないか、こう思う次第でございます。
ちょうどお昼になりましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/62
-
063・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 関連して、簡単に数字だけお聞きいたします。
大蔵省にお伺いいたしますが、今度の、特別措置法の改正案を出しておられるこの減収見込み額は、一体幾らあるのかということが一つ。
それからもう一つは、最後に佐藤委員が触れたギャンブル課税の問題ですが、このギャンブルの売り上げ高、馬券、車券等、あるいはその他競艇などもあるわけでありますが、大蔵省としては、ギャンブルとしてはどういう種類があるのか、そうしてその年の売り上げ高は大体どのぐらいあると推定されておるか、この二つだけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/63
-
064・中橋敬次郎
○中橋政府委員 第一の、今回の租税特別措置法によりますところの減収の見込みでございますが、これにつきましては実は非常に不確定の要素がございまして、先ほど来の御議論もございましたように、まず、どういった業種を指定するかということがございます。それからその業種に該当しましても、一体欠損をどの程度に出しまして、それをどの程度前三年に繰り戻していくかという問題も、正直申しまして実はほとんど見当がついていない状況でございます。しかし四十五年に、一年間でございますけれども、現在の制度のもとにおいて繰り戻し還付金というのが一体どのくらいあったかということを申し上げますと、これは六十五億円ございました。そのうら税務署所管の中小企業分のものが三十五億円ございましたから、これを使いまして——これは一年間分でございますから、もう二年間余分に繰り戻しができますけれども、先細りといいますか、過去に戻るほどその量が少なくなりますから、概算といたしましてこの一・五倍くらいあるといたしますと、約五十億円という計算が出てまいります。したがいまして、年間この制度をフルに活用せられましても、五十億円ぐらいの減収ではなかろうかと見込んでおります。四十六年度につきましては、今回の法律が成立いたしますれば、大体八月の事業年度以降のものからでございますので、約その半分でございますから、多くて二十五億円ぐらいの見当かと思っております。
それからもう一つ、転換につきまして、企業が持っておりますところの機械装置を早く償却してしまうというものがございますけれども、この分は現在すでに特恵産業についてお認めをいただいておりますけれども、これがまだほとんど動いておりませんので、見当もつけにくうございますし、またかたがた、先ほど来御議論もございましたように、業種の指定から計画の認定という行為もございますので、本年は減収額はゼロというふうに考えております。
それから、第二の御質問の点でございますけれども、現在公営ギャンブルといたしましては、中央と地方に競馬がございます。それから地方団体が主催いたしておりますものに、そのほか競輪、競艇、小型自動車競走の三種がございます。この競馬の中央、地方とそのほかの三種と合計いたしまして、四十四年度の総売り上げ金額は約一兆五千億円でございます。これがその後もかなり伸びておりますので、私どもは四十五年ないし四十六年には大体二兆円をこえる金額になっているのではないかというふうに見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/64
-
065・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 競馬だけじゃなく、そのほか全部を合わせて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/65
-
066・中橋敬次郎
○中橋政府委員 いま約二兆と申しましたのは、中央、地方の競馬と競輪、競艇、小型自動車競走を含めまして、その総売り上げを申し上げたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/66
-
067・齋藤邦吉
○齋藤委員長 貝沼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/67
-
068・貝沼次郎
○貝沼委員 初めに、基本的なことで政務次官にお尋ねいたします。
それは、先日の本会議におきまして佐藤総理大臣が、輸出重点主義という考え方は今後発想の転換をする必要があるという意味の答弁をしております。そこで、この内容は大蔵官僚ではちょっと大き過ぎる問題でありますから、政務次官としては、その発想の転換というのはどういう評価をされておるのかということですね。それは、ただ、いままでの状況がこうだったから、これからはこうというようなものではなくて、もっと具体的に、たとえば対米輸出とほかの国との輸出の問題、あるいは国内経済の発展と輸出の関連性の問題、さらに外貨準備高というものは今後どういうふうに考えていくのかとか、また先ほどから話が出ておりますように、外国から日本の国に対する圧力としてフェアな取引でなければいけないということに対する考え方、これについての見解をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/68
-
069・田中六助
○田中(六)政府委員 総理が、これから発想の転換をして輸出重点主義を変更するということを言ったわけですが、それは政府全体の考えでございまして、外貨準備がどれだけあったらその国に十分かということは、いままでいろいろ議論がなされておりますが、御承知のように、百四十億ドルもあるような外貨というのは非常に異常でございまして、これが数年前まで国際収支のことにだけ頭を持っていったということがやはり問題でございますので、その間国内の情勢はどうかといいますと、つまり社会資本の充実という点では、GNPでは世界で二番とか三番とかいわれておっても、下水道の普及率とか公園の整備あるいは緑地あるいは道路の舗装率などからいたしますと後進国並みでございますので、そういう点の社会資本の充実ということが、やはり発想の転換の大きな目安にもなると思います。
それから、今回のドル・ショック、ニクソンの声明でもわかりますように、なぜわが国だけが外国為替市場をオープンにしておかなければいけなかったかということは、やはりドル建ての輸出が非常に多かった、対米輸出が多かったということが問題でございますので、やはりこの対米依存——まあ日本は貿易立国でいく以外にないのでしょうが、この貿易のやり方を変えていく。東南アジアあるいはアフリカ、対中共貿易もあるでしょう。そういうように変えていかなくちゃいかぬということもございます。そういう点で、国際収支の問題、それから貿易の各国とのバランス、そういうようなことを含めて言っておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/69
-
070・貝沼次郎
○貝沼委員 項目が幾つかあがりましたけれども、確かに政務次官がおっしゃるように、社会保障の充実、これは大事だと思うのですね。後進国並みである、全くそのとおりだと私は思います。先日もこの委員会におきまして貯蓄の話をしたわけでありますけれども、あの貯蓄高が世界最高であるということも、やはり社会保障、社会資本というもの、これが少ないから、だから日本の国はそういう貯蓄もしなければならない、こういうような状況になっておるわけですね。
もう一つその中に、対中共貿易という話がいま出ました。これはことばだけでなく、それならば具体的にいまどのような姿勢になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/70
-
071・田中六助
○田中(六)政府委員 これは非常にデリケートな問題でございまして、いまのところ輸銀の問題とか具体的にいろいろございますが、吉田書簡というようなものをいつまでも固執するというのは、これは私はナンセンスだと思っております。それで、そういう点では輸銀ベースで向こうから申し入れがあればちゃんとこたえるということは、政府もたびたび各委員会で言明しておりますので、その方向で行くと思います。
それから、私は腹を打ち割って申しますと、中共の約八億の国民、そういうものの生活、つまり消費水準といいますか、消費性向といいますか、そういう点を考えますときに、日本があくまでも貿易というものが至上命題であるならば——この中国のマーケットは非常に各国のねらうところで、ニクソンが日本を飛び越えて、アメリカと中共といろいろなことをやっているというのも、私はやはり資本の流れがそういう人口を目当てにしておるということは一面から言えると思うのです。それで、日本もそういう面から対中共貿易というものは、向こうの中共の国民の生活水準を上げるという面と、日本が貿易をやっていくという両面から考えていかなくちゃならぬというふうに考えております。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/71
-
072・齋藤邦吉
○齋藤委員長 この際、本案に対する質疑を暫時中断し、沖繩振興開発金融公庫法案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/72
-
073・齋藤邦吉
○齋藤委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。山中総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/73
-
074・山中貞則
○山中国務大臣 ただいま議題となりました沖繩振興開発金融公庫法案について、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
わが国民多年の悲願である沖繩の祖国復帰がいよいよ明年に実現する運びとなったことは国をあげての喜びであります。
沖繩はさきの大戦において最大の激戦地となり、全島ほとんど焦土と化し、沖繩県民十余万のとうとい犠牲者を出したばかりか、戦後引き続き二十六年余の長期間にわたりわが国の施政権の外に置かれ、その間沖繩百万県民はひたすらに祖国復帰を叫び続けて今日に至ってまいりました。祖国復帰が現実のものとなったいま、われわれ日本国民及び政府は、この多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖繩県民の方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考えます。祖国復帰というこの歴史的大事業の達成にあたっては、各般の復帰諸施策をすみやかに樹立し、かつ沖繩県の将来についての長期的な展望を明らかにして、県民の方々が喜んで復帰の日を迎え得るような体制を早急に整えることこそ、政府に課せられた最大の責務であります。
以上のような観点に立って、政府は、種々の施策を講ずることにしておりますが、復帰後の沖繩における経済の発展、社会の開発を促進するためには、現在、本土において政策金融機関が行なっているそれぞれの業務を一元的に、かつ沖繩のみを対象として行なう強力な政策金融機関が不可欠と考えられますので、沖繩の各界各層の方々の意見を取り入れ、琉球政府と十分な調整を行ない、ここに沖繩振興開発金融公庫を設立することにした次第であります。
以上が、本法案を提案した理由であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、沖繩振興開発金融公庫は、現在本土にあります日本開発銀行、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の業務並びに船舶整備公団、公害防止事業団の融資業務に相当する業務を復帰後の沖繩において、一元的に行なうことにしております。
したがって、本公庫の設立により、沖繩における産業の開発を促進するための長期資金の供給と、沖繩の国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金の融通が円滑に行なわれることが期待されるのであります。
第二に、本公庫は、現在沖繩において営業を行なっている米国民政府機関の琉球開発金融公社、琉球政府関係機関である大衆金融公庫及び琉球政府の産業開発資金融通特別会計、運搬船建造資金融通特別会計、住宅建設資金融通特別会計、農林漁業資金融通特別会計、本土産米穀資金特別会計の五つの特別会計の権利義務を承継することにしております。
なお、これら各機関に勤務している職員は、本公庫の発足に際し、本公庫に受け入れることにしております。
第三に、本公庫の貸し付け条件は、業務方法書で定めることになりますが、その条件の設定にあたっては、沖繩の現行の貸し付け条件及び本土各公庫の条件を勘案し、沖繩の産業経済の発展をはかるため、でき得る限り有利な貸し付け条件を設定することにいたしたいと考えております。
第四に、本公庫の資本金は、前に述べました本公庫が承継する各機関の純資産額に相当する金額としておりますが、予算で定める金額の範囲内において、本公庫に対し追加して出資を行なうことができることにしております。
第五に、本公庫の運営が健全に行なわれるよう、役員の任命など公庫の組織に関すること、予算、決算その他の公庫の会計方法、公庫の業務についての内閣総理大臣及び大蔵大臣の監督その他必要な事項については、他の金融公庫の例にならって適切に規定することにしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/74
-
075・齋藤邦吉
○齋藤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/75
-
076・齋藤邦吉
○齋藤委員長 租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。貝沼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/76
-
077・貝沼次郎
○貝沼委員 途中で切れてしまったのですが、吉田書簡の問題について、これはナンセンスだという話がありました。廃棄するほうがよいということですね。それで、先日政府代表的な意味のある保利幹事長から周総理に対して書簡が出されました。ところが、これはまやかしであるといってずいぶん非難を受けました。そういう状況下にあって、いま政務次官が考えておるような対中共貿易というものがはたして可能なのかどうか、こう考えた場合に、私は非常に疑問だと思います。なぜあのようにまやかしであると非難をしたかといえば、私の考えるところによれば、やはりこれは台湾との問題だと思うのですね。日台条約、これを破棄しなければ具体的なものとしてはおそらく中共は考えないと思うのですね。したがって、政務次官がいまそのように対中国貿易というものが大事であるとお考えならば、この日台条約に対しては今後破棄するような方向で動かれるのかどうか、またどうすべきとお考えなのか、この点について一言伺っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/77
-
078・田中六助
○田中(六)政府委員 この問題は一言では言えないと思いますが、日本は国連中心主義だということを主張しておりますし、国連でアルバニア案がああいうふうになりまして中国が参加をするということがきまって、すでに代表者もニューヨークに行っておりますので、あとは台湾の処理の問題は中国と台湾との関係で、これも政府がたびたび言っておるように、台湾と中国で解決すべき問題で、日本としては、やはり国連でそうきまった以上その線に沿っていくという基本方針を貫く以外にないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/78
-
079・貝沼次郎
○貝沼委員 国連でそうきまった以上その線で貫くということですけれども、これはぼくはほんとうは長くやりたくないのです、予算委員会じゃないから。しかし、国連できまった方針の解釈の問題があると思うのですよ。国連できまったのは、中国の代表政府は毛沢東の政府である。その線でいくなら日本もそう認めるということに考えておるということですか。ここのところはちょっとはっきりしておかなければならぬと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/79
-
080・田中六助
○田中(六)政府委員 私、こういう質問が出ると思っておりませんでしたが、国連中心主義でいきますし、台湾のことを、日台条約をここでいろいろ論議いたしましても問題があると思います。やはりあくまで国連というところできまった以上、その線に乗っていきますし、保利書簡もそのいきさつは私よく知りませんが、やはり中国を認めていこうということになりますその精神は少しも変わっておりませんでしょうから、結局、台湾という問題は、日本が、ここでとやかく私どもが言うことよりも、そのまま中国と台湾との問題で処理していただく以外にこちらからいろいろ、国連でそういうふうになった以上、申し上げることはむしろ内政干渉というような線にまで発展するんじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/80
-
081・貝沼次郎
○貝沼委員 いや、政務次官、そんなことを言っちゃだめです。これは内政干渉にならないのです。認めるか認めないかというのはこっちのことなんです。自分の国を自分で認めるなんという人はいないのであって、そこの国の政府はどこであるか認めるのは、こっちの側なんですよ。これは内政干渉にならない。そうしなさいとかすべきである、こういうふうに言うのは内政干渉かもしれませんけれども、わが国としてどれを認めるかということは内政干渉じゃないのです。だから、認めるということは日本の国としてやらなければならない。それをいま佐藤政府はやらないから、こうして国会で問題になっておるわけです。したがって、その点はっきりしておいていただきたいと思うのです。私はこの問題もほんとうはやるつもりではないのです。あとでまた次の機会に時間があれば、あるいは大臣のときにでもそういう問題——これは大蔵省の考え方というものがはっきりしないと、各省の考え方は、大蔵省の顔を見ながらやっているわけですから、はっきり言って。だから、これはやはり聞いておく必要があると思っておったわけですから聞いたわけです。したがって、そういう問題は保留します。
それからもう一つ、さっき申し上げましたように、フェアプレーですね。きょう配付されておりますこの「調査月報」の中にもちょっと載っております。先ほど読みましたら「生活水準を上げろ、公害と同じく、そうした問題を抱えながら競争を行なうのはアンフェアではないか」と載っておりますけれども、この公害の設備もやらない、他国に比べて日本は労働時間も長い、さらに今度は社会資本の充実もやらない、そうして労働賃金も低い、こういうような条件のもとで外国と取引の競争をやるとしても、他国がこれに対していちゃもんをつけてくるのは当然だと思うのです。したがって、今後、単なる為替レートがどうとかこうとかいうことも大事ですが、しかしそれ以外に、その底に流れておる問題、たとえば労働問題あるいは公害の問題について大蔵省としてはどういうふうに考えていくのか。それに対して積極的に、たとえば予算編成のときは予算をつけるとか、あるいは調査を開始するとかいうような方法がありましたら、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/81
-
082・田中六助
○田中(六)政府委員 先ほどから申し上げていますように、抽象的にいえば、つまり民間主導型で設備投資をやって、それぞれ企業がうんと輸出をして金をもうけていく、それを政府があと押しをするというような方向がいままでだったと思うのですが、それをひとつ、これはそういうことではいけない、国内の社会資本の充実、社会保障制度をはじめそういうことで財政主導型というような方向でいこうというのが抽象的な大きな眼目でして、その内容は、先ほどから申しておりますように、公園とか道路の舗装とか、あるいは上下水道とか、緑地とか、そういうようなことをやっていかなければいけない。それで、今回の補正予算から来年度予算の中に流れる思想といたしましても、公共事業とそれから減税というものを二本の柱にして予算を組んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/82
-
083・貝沼次郎
○貝沼委員 その面をうんと進めていただきたいと思いますが、先日も私は公害の多い水島方面へ行きました。そうしたら、たとえば川崎製鉄の部長さんですか、これは公害の問題か何かもありまして自殺をしております。こういうのは、かわいそうだ。かわいそうはかわいそうでありますけれども、やはりその根底にあるものは——しかし、戦後日本の国が焼け野が原から復興するためにどうしてもやらなければならなかったとはいうものの、この大企業を擁護するという政策、復興しなければならないという立場から特別措置法であるとかいろいろやってきたわけでありますけれども、それが戦後二十六年も続いて、そしていまだに、それがもう必要のないものであるにもかかわらず、それを何ともしない。したがって、大企業のほうでは、それを既得権としてもう当然であるというふうに思っておる。ところが、世界の情勢はそうならないで、公害問題などは、これはもう当然企業としてやらなければならないというところまできてしまった。そしてその間にはさまれて、こういう自殺とかそういうことが起こっていると私は思うのです。これは単なる公害だけの問題ではない。ほかのことにもあり得ると思います。したがって、こういう悲惨な現象が起こっているということ、そういう問題の根底は、これは政府の政策そのものにあるのです。この辺をもっともっと考え直して、そしてこういう税制の公平を犠牲にした制度である租税特別措置法、こういうものを、先ほどの答弁だけでなく、もっともっと積極的に洗い直す必要があるのではないか、また、社会資本の充実というようなことも当然一生懸命やるべきではないか、私はこう思います。その点は要望しておきますので、お願いいたします。
それから次の問題でありますが、通産省にお伺いいたします。
この租税特別措置法の話をするには、どうしてもその本法であります国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案、これについての審議をしておかなければならないと思うのです。
そこで第一番目にお伺いいたしますが、この「国際経済上」ということばであります。これは何を意味するものなのか。何となくばく然とわかるようでありますが、具体的に私が尋ねますから、それにお答え願いたい。一つは、これは、まだ円切り上げはやっておりませんけれども、円切り上げ後のことも入れてあるのかどうか。この点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/83
-
084・進淳
○進政府委員 円切り上げも入れてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/84
-
085・貝沼次郎
○貝沼委員 円切り上げも入れるということは、その円の切り上げというものはある程度予想して、したがって、それによる中小企業の被害というものはこれくらいあるという調査の上にこれをやっているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/85
-
086・進淳
○進政府委員 円切り上げが実際上幾らになるかは別といたしまして、国際経済上の調整措置の実施に伴います中小企業対策を検討いたしました際に、私どもはいわゆるドル・ショックというのは、課徴金の実施と円の自由変動相場制への移行とその二つが現実にございました。しかし、将来円の切り上げなりあるいはドルの切り下げなり、国際的な通貨調整があるであろうという想定のもとに、それらが実施された場合の中小企業に及ぼす影響もこの救済策の対象として考えようということで、私どもは検討してきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/86
-
087・貝沼次郎
○貝沼委員 その想定でありますが、この想定については大蔵当局とは相談の上で、大体一致した意見でこれをやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/87
-
088・進淳
○進政府委員 円切り上げがあるかどうかは別といたしまして、とにかくそういうものが起こった場合に、それによる影響、それからそれまでの課徴金その他による影響とはなかなか区別しにくいものでございますから、それらが起こった場合には、それらの影響も含めてこの措置の救済策の対象にしようということは大蔵省とももちろん意見は一致いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/88
-
089・貝沼次郎
○貝沼委員 その点は、大蔵省に尋ねますよ。いま一致しておるということです。したがって、大蔵省としては、今度は税制問題を考えたわけでありますが、おそらくそれによって税制にどれだけ影響するかということを見るためには、その対象となる法人企業、こういうものがどれくらいの資本金のものがどれくらいある、どれくらいの損害をこうむる可能性があるということは一応調査された上で、あるいは何らかのモデルをつくった上で大蔵当局は計算をされたのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/89
-
090・中橋敬次郎
○中橋政府委員 先ほども御質問にお答えをしたとき申し上げましたように、今回の特別措置法の改正の対象となります法人は、私どもで言っておりますところの中小企業でございます。これは法人数といたしますれば、いま日本にありますところの法人の大体九九%ぐらいはそれに該当するわけでございます。ただ、そこの中で一体どういう業種指定が行なわれるか、あるいはその業種に属しました企業でも一体どれくらいの赤字が、対象としております暦年なり事業年度に生じてまいりますか、あるいはまた、その生じました欠損金を将来への繰り越しで持ってまいりますか、あるいは今回の改正の内容といたしておりますところの繰り戻しの特例の措置で持っていくかは、実は私どもとしては見込みは立たないわけでございます。そこはもうしょうがございませんから、そういう制度のワクをつくりまして、あとは現実に赤字を生じた企業の選択にゆだねたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/90
-
091・貝沼次郎
○貝沼委員 そのことはまたあとでお尋ねいたします。
そこで、中小企業庁、この法律の第三条第一号、「その業種の事業活動が全国的に輸出取引に密接な関連を有すると認められる業種であって、アメリカ合衆国における輸入課徴金の賦課、本邦における外国為替相場の変動幅の制限の停止」ここまでわかります。「その他これらに準ずる国際経済上の調整措置」となっておりますが、この「その他」というのは何を想定されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/91
-
092・進淳
○進政府委員 ただいま申し上げましたように、たとえば円切り上げでございますとか、ドルの平価切り下げでございますとか、そういう国際的な通価調整を、現段階では私どもはそれをこの「その他」ということで考えようということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/92
-
093・貝沼次郎
○貝沼委員 大蔵省にお尋ねします。いまのところです。
大蔵省と通産省は話し合いがきまった上でこれをやっているということなんですよ。したがって、大蔵省もわかっていなければならない問題ですから大蔵省に尋ねますが、それならば「その他」の中には、先国会立法化されました特恵関税に関する問題は含まれないわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/93
-
094・進淳
○進政府委員 特恵関税につきましては、以前に御承知の特恵関税に関する特別法を御制定いただきましたので、特恵関税に関します対策はそれによって実施するというたてまえにいたしております。ただ、現実に中小企業が影響を受けます場合に区別しがたい場合がございますので、その辺は若干問題がございますが、論理的には特恵関税を受けるのは輸入のほうでございまして、アメリカはまだ特恵関税を実施いたしておりません。したがいまして、現実の中小企業の経営上そこまできっぱり分けるのは非常にむずかしゅうございますけれども、考え方といたしまして、特恵関税の法律は法律として先かしておきまして、それはそれで適用いたしたい。今回のドル・ショックのほうは、国際経済上の調整措置ということで別個にやりたいということにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/94
-
095・貝沼次郎
○貝沼委員 特恵関税は日本がやったというだけでなく、アメリカが特恵関税をやる可能性がこの前十分あったわけですね。それで日本の雑貨製品というものは、台湾からのアメリカへの輸出によってかなりの打撃を受けるということで騒いだわけでありますけれども、それに対してのあの立法だったわけでしょう。ところが、いまのお話ですと、これは別々であるということは、たとえば雑貨製品——その前に、アメリカが特恵関税を採用するということは今後ないという見通しですか。当時あの特恵関税に対する法律をつくった時点での見方と現在の見方とは大きく変わったわけですか、この点お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/95
-
096・進淳
○進政府委員 これは中小企業庁よりも当省の通商局なり外務省のほうで御検討いただく問題であろうかと思いますが、いずれにいたしましても、私どもが当初考えたよりも相当先になっておりますので、現段階では、私どもといたしましては輸入のほうを目下考えておるわけでございまして、見通しにつきましては、中小企業庁ではいまのところちょっと判断いたしかねますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/96
-
097・貝沼次郎
○貝沼委員 大蔵省ではどう見ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/97
-
098・中橋敬次郎
○中橋政府委員 私のほうも、申しわけございませんけれども、特恵関税につきましては全くの門外漢でございますので、アメリカがどういうふうに動くかということについてはお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/98
-
099・貝沼次郎
○貝沼委員 門外漢と言いますけれども、これは大蔵省でも大体アメリカが特恵関税をするかしないかぐらいのことはぴしっと見ておかなければならぬものなんですね。日本の経済に大きく影響するのです。日本の雑貨がつぶれようとつぶれまいと税金は税金で取るのだという考えなら、それは見る必要はありません。しかし、影響度に応じて税制というものも負担にならないように考える必要があると見れば、これはどういう影響を受けるかぐらいのことを全然知らないでは通らないと私は思います。これは問題だと思いますよ。
調べてなければもうしかたがありませんけれども、たとえばこれは見通しでありますから、やらないだろうということでしょう。しかし、アメリカのことですからこれはわかりません、やるかやらないか。中国なんか行かぬだろうと思ったら、頭越しにぽんと行ってしまった。あるいはドルのショックの問題にしてもそうです。日本の政府で判断することは少なくともアメリカに関してはいままで当たらない。一番よく当たりそうなところだけれども、残念ながらその観測は当たっておりません。したがって、それを中心にして私たちは安心するわけにいきません。そこで、もしもアメリカが特恵関税をやりまして、そして日本のたとえば雑貨とかあるいはいろいろなそういう業者に影響が出てきた場合、これは先ごろ国会を通過した法律によっても助成されるし、さらにまた、これは貿易上の問題でもあり、今回ドル・ショックでもずいぶん影響を受けているわけでありますから、この両方の法律によってこれは援助されるわけですね。たとえば金を借りるような場合は、両方の法律に基づいて両方から借りることができるわけですね。またその予算は、財政投融資のほうから出ているお金はその法律に応じて両方ダブルで金は出ているわけですね。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/99
-
100・進淳
○進政府委員 特恵関税が実施されるのは当分ないであろうと私どもは実際上想定しているのでございますけれども、もしアメリカが特恵関税を実施いたしました場合には、これらにつきましての救済措置、金融措置につきましても、この辺は現実にこの影響がどちらによって発生するのか区分しがたい面もございますので、私どもといたしましては特利融資なり金融措置等につきましては適用いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/100
-
101・貝沼次郎
○貝沼委員 特恵関税についてもあとでもう一度お尋ねします。
そこで、この第三条の一号、二号、三号にありますことばでありますが、主務省令でこの認定の基準については定めることになっていますね。ところが、業者が一番心配しているのは、この認定を受ける場合にどういう基準になるかということなんです。これがただ「定める」だけでは実はわからないのでありまして、少なくともこういう方向のものを考えておるというぐらいのことは私は示されていいのではないかと思います。たとえばその企業の対米輸出率であるとか、あるいは輸出量の何%ときめるのか、生産量の何%ときめるのか、いろいろあると思いますけれども、とにかくどういうような骨組みでその認定の基準というものがきめられるのか。これは省令の範囲でありますからきまってはいないと思いますけれども、考え方を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/101
-
102・進淳
○進政府委員 現在考えております省令の主要項目といたしましては、認定されました業種をきめました中で個別の企業を知事が認定いたします基準をきめたいと思いますが、その基準の一つといたしましては、八月十六日以前にこの当該業種を営業しておったということ、これはその後の営業は入らないということでほとんど問題はございませんけれども、確かに八月十六日までその業種を営んでおったということがまず第一点でございます。それから、この国際経済上の調整措置によりまして輸出に影響があったということで、現在のところではおおむね私どもといたしましては五%程度将来減少をするという見込みであるということ。その二つを主とした基準にいたしたいと思っております。もちろんそれ以前に業種なり産地業種を指定いたしますから、その指定は主務大臣がいたしますので、これは明示いたしますから知事としては当然判明するわけでございます。要件といたしましてはその三つになろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/102
-
103・貝沼次郎
○貝沼委員 この認定をする場合に、どれくらいのスピードでやるかということでありますけれども、これは申請をして認定をしてもらうわけですね。その場合にあまり時間がかかりますと、これは何のための対策かわからなくなってしまいますので、スピーディーにやってもらわなければいけない。そこで、いま考えておるのは、大体この申請をしてから何日以内ぐらいに認定がなされるのか、その日にできるのか、そしてそれに対する対策はいつごろ手が打たれる可能性があるのか、この辺のところを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/103
-
104・進淳
○進政府委員 これはすでに金融措置につきましては、法律改正を要しませんので、実施いたしておりますが、私どもが調べたところによりますと、最も早いところでは二日ぐらいで認定をいたしております。
それから、本件は法律改正を要しますので、その実施が法律成立後になるわけでございますけれども、事前準備を十分いたしまして、法律成立と同時にすみやかに実施できるようにいたしておきたいと存じておりますので、少なくとも金融措置と同じように、できるだけ早く認定できるようにする心がまえにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/104
-
105・貝沼次郎
○貝沼委員 もう少しお尋ねいたしますが、この認定をする場合、ことに金融措置の場合でありますけれども、ちょうどつぶれそうな企業、こういうつぶれそうな企業というのは、資産もないし非常にあぶないわけですね。ところが、金融という以上は、やはり何らかの担保も要るとかいろいろ条件があるわけですね。そうすると、ほんとうに救われてしかるべき企業というものが、この認定に漏れるのではないかという心配がございます。
先日、いままで倒産をしたものの資料をいただきましたけれども、それによりましても非常に規模の小さい企業が倒産が多いと思うのです。あとでもこの問題に触れますけれども、たとえば、いままで大体三十社ぐらいだと思いますが、そのうち、資本金で見ますと、大部分が四百万とか三百万とか二百万とかという小さなものであり、まあ四千万をこえるものは三つばかりです。こういうような現状からも資本金の非常に小さいものが危険である。ところが、私どもはいままで何回も国民金融公庫であるとか中小企業金融公庫であるとか、そういうところに申し込んでいる方々の話を聞きますと、その条件がきびしくてなかなか借りられない、こういう声が圧倒的にあります。そこで、この倒産しそうな業者こそほんとうは手を加えてあげなければならないのに、この人たちがあるいはその網の目から漏れるのではないかということが心配されます。そういうところに対しては特に留意されるのか、そしてまた何らかの方法があるのか、その点についてお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/105
-
106・進淳
○進政府委員 今度の法律改正によりまして、特に信用保険公庫の保険の引き受けワクを、特別ワクを設けまして、御指摘のような零細業者につきましては、従来無担保、無保証の信用保険が八十万円限度でございますが、これを百六十万円と倍にする、それから無担保の三百万円の小口保険につきましては、これを倍の六百万円にするということで、要するに、御指摘のような零細企業のような場合には、確かに信用力が欠除いたしておりますので、それを補うための道といたしましては、信用保証協会を活用するほかはないと存じまして、そのための法律改正をお願いしているわけでございます。これによりまして保証ワクを早く広げてやりたいということでございまして、あとは運用の問題でございますので、できるだけそういう信用保証あるいは保険の引き受けについて便宜を計らうように保証協会が、特に県がいろいろ実際上監督、指導をいたしておりますので、地元の産地の県当局とも相談いたしまして指導してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/106
-
107・貝沼次郎
○貝沼委員 こういう中小企業の方々とお話をいたしますと、私たちが困っているということも重大問題でございますが、しかしながら、これがあまり大騒ぎされますとまた困ることがある。それはいま次長が申されましたように、信用がないということでありまして、銀行から金を貸してくれない。銀行だけではありません、株式であるならば、その株の値打ちが下がるのでありますから、こういう面で困る。しかしながら、ある程度騒がないとまたこの措置は講じてくれませんというわけで、非常に困った、板ばさみになったところもあるわけですね。これは中小企業庁と全く同じ立場にあるんじゃないかと私は思いますけれども、したがって、そういうような信用の問題については特に力を入れて援助をしていただきたい、この点をお願いいたします。
それからさらに、下請あるいは当該業種に属する中小企業というふうになっておりますけれども、この下請という範囲はどういうふうにしてきめるのか。下請といってもいろいろあるわけですね。大きな企業の下請であれば、ちゃんとした会社がある。しかしながら、もう家内工業みたいな中小企業でありますと、その下請というのは、下請といっていいのか悪いのか知りませんが、いろいろありまして、家内工業的なものもあれば、内職が圧倒的な率を占めるものもございます。こういうようなところをどう判断されておるのか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/107
-
108・進淳
○進政府委員 下請につきましては、下請に対します法律がございまして、すでに課徴金の実施されましたあと、親企業の団体に対しまして、下請企業に対する特段の配慮をするように中小企業庁長官名で通知を出しております。
御指摘のように、下請に関じましては、大企業からの一次的な下請、それから二次的なあるいは一番末端の零細な賃加工をしておりますようなところまで何段階もの縦の経路がございます。しかし、その辺につきましては、法律で取り締まっておりますのは、いわゆる大企業と下請中小企業との関係でございますので、それにつきましては、私どもは不当なしわ寄せ、いわゆるドル・ショックに名をかりた不当なしわ寄せが起こらないように指導をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/108
-
109・貝沼次郎
○貝沼委員 当該業種に属する中小企業というのは、どういうものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/109
-
110・進淳
○進政府委員 下請の取り締まりに関しましては、業種を限定いたしておりませんで、親子の関係でございますので、親の大企業から中小企業に対して発注します場合には該当するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/110
-
111・貝沼次郎
○貝沼委員 そこで、親会社があってその下請があるわけですが、これは原則的にたとえば親会社にぽんと渡して、そして何とか子会社に対してもというようなことは絶対ありませんね。あくまでも下請の会社一つ一つに対しての話し合いでいくわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/111
-
112・進淳
○進政府委員 下請につきましても、下請の協会が、全部の県でございませんが、かなりできております。この協会に対しましても通知を出しまして、これを密告というと変でございますが、親企業から過酷なことをいってきた場合あるいは過去の取引について変なことをいってきた場合は、直ちにこちらに通報するようにという通知を出しております。そういうことで、親企業に対しても指導をいたしておりますし、下請企業側にもそういう指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/112
-
113・貝沼次郎
○貝沼委員 そこで大蔵省にお伺いいたします。
大蔵省のこの法律案要綱によりましても、「臨時措置に関する法律に規定する認定中小企業者である法人及び資本金一億円以下である法人」云々と書いてありますけれども、この「認定中小企業者」というのは、これは通産省と全く同じ解釈ですね。よろしいですね。全く同じですか、その点を答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/113
-
114・中橋敬次郎
○中橋政府委員 いまお読みになりました「認定中小企業者」に関する限りは全く同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/114
-
115・貝沼次郎
○貝沼委員 そこで、大蔵省では中小企業というのは資本金一億円以下で従業員が三百人以下。通産省では資本金五千万以下ですか、違いますね。これはどこから違うのでしょうか。これは両方から答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/115
-
116・進淳
○進政府委員 中小企業庁の関係といたしましては、中小企業基本法を定めます場合に、当時の全体の状況を勘案いたしまして、資本金五千万円あるいは従業員三百人以下というふうにきめたわけでございます。この点は特に税のほうを考えてというよりも、総合的に中小企業金融、税制あるいは構造改善計画、その他いろいろなことを実施いたします場合のおおむねの基準ということで、そういうような数字をきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/116
-
117・中橋敬次郎
○中橋政府委員 税につきまして、いろいろ中小企業関連の制度がございます。その中で、たとえば特別措置法で近促法なり構造改善をとります中小企業について税制上の措置をとるという場合には、全く中小企業基本法によりますところの中小企業に該当するものについて、それぞれの租税特別措置を行なっておるというのが大体の原則でございます。
いま御質問の、資本金一億円以下というのを、特別に法人税に関しまして中小企業的に扱っておりますのは、実は昭和四十一年からでございまして、そのときに税率の適用につきまして、資本金一億円以下のものについて、一億円超の法人よりも有利に扱うような措置を講じたわけでございます。
そのときに、実は中小企業基本法によりますところの資本金の基準なり従業員の基準なりによるべきかどうかということが議論せられたわけでございますけれども、その場合には、税金のほうとしましては、実は一つには従業員基準というのは、非常に画一的に取り扱います税金の問題としては、変動の多い従業員数をとるのはいかがということからとらなかったわけでございます。
それから、出資の金額につきまして一億円というのをこの場合にとりましたのは、やはり税金の取り扱いがやや有利になるということで、中小企業の増資の意欲をそこなってはいかがかというような観点から、少し高い目にいたそうではないかということで、一億円という線をとったわけでございます。したがいまして、今回の改正法案におきましても、そういう意味におきましては、中小企業基本法等によりますところの中小企業よりは広い範囲の中小企業というものが今回の対象になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/117
-
118・貝沼次郎
○貝沼委員 そうしますと、いま中小企業庁では、中小企業と言いました。それから大蔵省では、中小企業的ということばを使いました。中小企業というのはどっちのほうが正しいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/118
-
119・進淳
○進政府委員 私、中小企業的と申し上げたのか、ちょっとうっかりいたしておりましたけれども、中小企業の範囲をきめます場合にいろいろ検討いたしまして、昭和三十八年に現在の基本法の定義がきめられたわけでございまして、その後近代化促進法等によりましては、一部従業員の数の場合に拡大した業種が例外的にございますが、基本法といたしましては、中小企業者の範囲を明確にきめるために、そういう資本金五千万円、従業員三百人と規定したわけでございます。的と申しましたのは、特に特別の意味があって申したわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/119
-
120・貝沼次郎
○貝沼委員 時間が来ておりますから、あと一問題聞きます。
そこで、なぜこういうことを聞いておるかというと、この要綱の中に「資本金一億円以下である法人で認定中小企業者に準ずるものの」云々、こうあるわけです。これは結局中小企業庁、通産側では、認定の対象外のものですね。これを認定しなければならないわけですね。この認定は一体だれがするのかということが一つなんです。この認定のしかたも、通産当局で考えているような、中小企業をほんとうに守っていくという立場からのものなのかどうかというのが問題点であります。
それからさらに、一億円とかあるいは五千万円というふうに言っておりますけれども、たとえば法人全体で見ますと、五千万円以下くらい、まあ五千万円未満ですね、これらの人たちの比率は全体の大体どれくらいかということですけれども、これはほとんど九九%くらいになると思うのです。だから一億円という数字もこれは〇・数%にすぎないのであって、ことさら、こういう零細中小企業が主体になっている、またその人たちを守るための法律を云々する場合に、審議する場合に、どうして大蔵省は一億円というものに固執しなければならないのか。私は、そういう全体を含めてしまったならば、非常に数少ない業者のほうにたとえば金融措置的なものも片寄る可能性があるのではないかと心配をするわけであります これに対しては、しかしそうではないと言えないと思うのです。現実の実態、先ほどから聞いておりますけれども、あまりはっきりしません。もしそれがそうでないというならば、今回のこのドル・ショックによって影響を受ける企業というものは資本金別に何社ある、そしてそのうちのどれくらいの資本金のものは何%くらい影響を受けているから、したがってこういうところまで加えなければならないという、そういう証拠でもあるなら示していただきたいけれども、それがなければ、私は、一億円とそれから通産省の五千万というものが両方何となくがちゃがちゃと組み合わされているような感じのもので、ちょっとはっきりしないのじゃないかと思います。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/120
-
121・中橋敬次郎
○中橋政府委員 まず第一点の御質問で、資本金一億円以下である法人でございまして中小企業基本法で中小企業でないものについてどういうような認定をやるかということでございますが、これは措置法の法文にもございますように、政令で定めることになっております。
大体私どものいま考えておりますことは、業種は、もちろん同じ業種指定を受けるという、その業種指定を受けたものに属する企業であるということにいたしたいと思っております。それから個別的な認定でございますが、これは通産省のほうの御提案の法案によりますと、県知事が認定することになっておるのに対しまして、それ以外の資本金一億円以下の法人につきましてはそれぞれの主務大臣が認定するということにいたしたいと思っております。もちろんその認定について硬軟のないように十分配慮をいたしたいと思っております。
それから第二の御質問の、資本金一億円という基準を別個につくったのは混淆を来たすではないかというお話でございますが、確かに私どもも四十一年のときにはそういうことを議論いたしました。その場合には、先ほど申しましたように、まず従業員基準というのをとりますと、毎月毎月の従業員の数の変動というものについて税金の措置をとります場合に一々チェックしなければならない、その手間を避けたいということがございます。
それから出資の金額のほうで、それでは五千万円で押えればいいではないかということでございますが、一つには、中小企業基本法のほうでは資本金が、たとえば製造業でございますれば五千万円以下または従業員三百人以下となっておりますから、資本金がたとえこえておりましても、従業員基準で中小企業に該当するというものがございます。そういうものも救わなければならないということが、一つ資本金の基準をとった場合に出てくるわけでございます。それから第二の問題は、先ほどお答えいたしましたように、やはり税金の制度でございますから、そういうことから増資の意欲を阻害しないでやや高目にきめておこうということで、一億円という線をとったわけでございます。
それで五千万円から一億円についての企業はどれくらいあるかと申しますと、最近の数字では約六千七百企業ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/121
-
122・貝沼次郎
○貝沼委員 まだ問題はたくさんありますけれども、約束の時間が来ておるようでございますので、以下の問題につきましては保留したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/122
-
123・齋藤邦吉
○齋藤委員長 次回は、明十七日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時八分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106704629X01019711116/123
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。