1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年十一月十二日(金曜日)
午前十時十一分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 前田佳都男君
理 事
柴田 栄君
嶋崎 均君
成瀬 幡治君
多田 省吾君
栗林 卓司君
委 員
青木 一男君
伊藤 五郎君
大竹平八郎君
河本嘉久蔵君
棚辺 四郎君
津島 文治君
西田 信一君
桧垣徳太郎君
小谷 守君
竹田 四郎君
戸田 菊雄君
松永 忠二君
渡辺 武君
野末 和彦君
政府委員
経済企画庁調整
局長 新田 庚一君
経済企画庁総合
計画局長 矢野 智雄君
経済企画庁調査
局長 小島 英敏君
大蔵政務次官 船田 譲君
大蔵省主計局次
長 平井 廸郎君
大蔵省主計局次
長 吉瀬 維哉君
大蔵省主税局長 高木 文雄君
大蔵省国際金融
局長 稲村 光一君
自治大臣官房参
事官 森岡 敞君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
経済企画庁国民
生活局参事官 斎藤 誠三君
大蔵大臣官房参
事官 上野 雄二君
大蔵省主計局主
計官 吉野 良彦君
厚生大臣官房企
画室長 柳瀬 孝吉君
自治大臣官房参
事官 石川 一郎君
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本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○農業共済再保険特別会計における農作物共済に
係る再保険金の支払財源の不足に充てるための
一般会計からする繰入金等に関する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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001・前田佳都男
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
「所得税法の一部を改正する法律案」及び「農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案」を、便宜一括して議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。船田大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/1
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002・船田譲
○政府委員(船田譲君) ただいま議題となりました「所得税法の一部を改正する法律案」外一法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
初めに、「所得税法の一部を改正する法律案」につきまして申し上げます。
政府は、最近における経済情勢にかんがみ、去る十月十一日税制調査会から提出された「当面の税制改正に関する答申」に基づき、景気振興策の一環として相当規模の所得税減税を早期に実施するため、千六百五十億円の所得税の年内減税を行なうこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
今回の年内減税にあたりましては、所得税制の基本的方向を踏まえつつ、できるだけ幅広く減税効果が及ぶように配意することとし、昭和四十六年度当初の改正に引き続き所得控除の引き上げを行ない、あわせて税率の緩和をも行なうことといたしております。
まず、所得控除の引き上げでございますが、本年度の当初改正に続き、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除をそれぞれ平年分で一万円、昭和四十六年分で七千五百円引き上げることとしております。この結果、たとえば、夫婦と子供二人の給与所得者の課税最低限は、本年度の当初改正によりまして、昨年の約八十八万円から約九十六万円に引き上げられておりましたのが、さらに約百万円に引き上げられることになります。
また、障害者控除等の特殊な人的控除につきましても、一般的な控除にあわせて引き上げを行なうこととしております。すなわち、障害者控除、特別障害者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除及び配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族の控除をそれぞれ平年分で一万円、昭和四十六年分で七千五百円引き上げることとしております。
次に、税率の緩和につきましては、一〇%の最低税率から二%ずつの税率の上昇となっている部分が適用される所得階層が、現在三十万円刻みとなっておりますのを、四十万円刻みに拡大することとし、これに伴いまして、その上の階層についても均衡のとれた税率構造に改めることとしておりますが、課税所得金額千二百万円をこえる階層については現行どおり据え置くことといたしております。この結果、ある程度広い範囲の納税者について所得水準の上昇に伴う負担の累増が緩和されることになります。
以上の改正によります昭和四十六年分所得税の減税につきましては、給与所得者については年末調整の際に、事業所得者等については確定申告の際に負担の軽減を受けられることとなっております。
次に、「農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案」につきまして、申し上げます。
昭和四十六年度におきまして、北海道を中心とする異常低温及び全国各地における集中豪雨、台風等により水陸稲の被害が異常に発生したことに伴い、農業共済再保険特別会計の再保険金の支払いが著しく増加するため、同会計の農業勘定の支払い財源に不足が生ずる見込みでありますので、一般会計から四十九億四千二百十二万円を限り、同勘定に繰り入れることができることとするとともに、同勘定における積み立て金を歳入に繰り入れることができることとしようとするものであります。
なお、この一般会計からの繰り入れ金につきましては、将来、農業共済再保険特別会計の農業勘定におきまして、決算上の剰余が生じた場合には、再保険金支払基金勘定に繰り入れるべき金額を控除した残額を一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。
以上が、「所得税法の一部を改正する法律案」外一法律案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/2
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003・前田佳都男
○委員長(前田佳都男君) 引き続き補足説明を聴取いたします。高木主税局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/3
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004・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 「所得税法の一部を改正する法律案」につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
まず、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除につきまして、本年度当初の改正に引き続きそれぞれ平年分で一万円、昭和四十六年分で七千五百円引き上げることといたしております。これによりまして、たとえば、夫婦と子供二人の給与所得者の課税最低限は、昭和四十五年分の八十八万円に対して、昭和四十六年分では百万三千円、改正後の平年分では百三万七千円に引き上げられることになります。これは、アメリカの百三十一万四千円、フランスの百六万二千円には及ばないとしても、イギリスの八十六万円、西ドイツの七十八万四千円をかなり上回るものとなっております。
なお、障害者控除等の特殊な人的控除についても、昭和四十六年度の当初改正に加えて平年分で一万円、昭和四十六年分で七千五百円の引き上げをはかっております。
次に、税率の緩和でございます。現行税率は、最低の一〇%から二%ないし五%刻みで上昇して、最高七五%に至ることになっておりますが、その二%ずつ上昇する課税所得階層は三十万円ごと、三%ずつ上昇する課税所得階層は五十万円ごとに区切られております。今回の改正は、この三十万円ごとの区切りを四十万円ずつの幅に、五十万円ごとの区切りを六十万円ずつの幅に拡大して累進構造を緩和しようとするものであります。なお、この上の階層についても適用税率は逐次下がることとなりますが、課税所得金額千二百万円をこえる階層からは、現行の税率をそのまま据え置くこととしております。
以上のような課税最低限の引き上げと税率の緩和によりまして、たとえば年収百五十万円の夫婦と子供二人の給与所得者は、昭和四十六年分所得税につき一〇・八%程度その負担が軽減されることになります。
なお、以上の改正による昭和四十六年分所得税の減税は、給与所得者にとっては年末調整の際に、事業所得者等にとっては確定申告の際に、それぞれ行なわれることとなっております。
以上、所得税法の一部を改正する法律案の提案理由を補足して説明いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/4
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005・前田佳都男
○委員長(前田佳都男君) 吉瀬主計局次長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/5
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006・吉瀬維哉
○政府委員(吉瀬維哉君) 「農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案」の提案の理由及びその概要を補足して御説明申し上げます。
昭和四十六年度におきましては、北海道を中心とする異常低温、東海、九州をはじめとする各地における集中豪雨及び台風等により水陸稲の被害が多発いたしまして、農業共済再保険特別会計の農業勘定における水陸稲にかかる再保険金の支払いが大幅に増加し、同勘定の予備費の減額修正による充当等の措置によっても、なお、同勘定の支払い財源に、七十九億六千九百万円余の不足が生ずる見込みであります。
この再保険金の支払い財源の不足に充てるため、一般会計から農業勘定に、四十九億四千二百十二万円を限り、繰り入れることができることといたしますとともに、同勘定の積み立て金が、現在、三十億二千七百三十四万円ございますので、この積み立て金を同勘定の歳入に繰り入れることができることとしようとするものであります。
また、この一般会計からの繰り入れ金は、保険計算の長期均衡性にかんがみ、後日、被害の少ない年があってこの会計の農業勘定に剰余を生じた場合において、農業共済再保険特別会計法第六条第二項の規定により、農業勘定から再保険金支払基金勘定に繰り入れるべき金額をまず控除して、なお残余があるときは、これを一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。
以上、「農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案」の提案の理由及びその概要を補足して御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/6
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007・前田佳都男
○委員長(前田佳都男君) これより両案の質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/7
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008・竹田四郎
○竹田四郎君 ことしの自然増収見込みというのは、当初一兆五千億円を見通ししたと思うんですけれども、今回の場合ですね、それが一体どういうふうになって、見通しとして今日どういう状態になってきているのか教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/8
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009・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) お手元に配付されておると思いますが、参議院予算委員会提出資料、昭和四十六年十月二十八日という横に長いつづりがございまして、そのしまいのほうに、「昭和四十六年度補正予算の各税見積り概要」というつづり込みの紙がございます。その一ページに今回の補正予算の際に見積りました歳入の見積り減少額の内訳が出ております。その左から二段目の覧の一番下の覧に三千百七億円という数字が出ておりますが、それは現在見込んでおります今回の所得税法の改正によります減収額を除きました税収の見積り減少額でございまして、ごらんいただきますように、法人税が二千九百億円で一番大きい見積り減少となっており、ほかに酒税、揮発油税、関税、印紙収入等の減少を見積っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/9
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010・竹田四郎
○竹田四郎君 そこで、今度のこの減税の趣旨というものは、特に後半期におけるところの景気不況に対する減税によって、その景気不況の浮揚力をつけていく、まあこういう趣旨が税制調査会の答申にも書いてありますし、今度の減税というのは、佐藤総理のほうからむしろこうした減税をやれと、こういうことで出てきたと思うわけでありますが、この千六百五十億円というのは、全体の数字でどういうふうにこの千六百五十億円というのが景気浮揚のためにはじき出されてきたのか、そういう意味での千六百五十億円の根拠ですね、出てきているのだろうか、その点をひとつ。一体これによってどのくらいの景気浮揚を考えているのか。あるいは公共事業によってどのくらいの景気浮揚を考えているのか。あるいは公務員賃金の引き上げというのも景気浮揚の中に入ってくるんだろうか。そういうものでどのくらいを考えておるか。そして全体としてどのくらいの需要の増加を考えておるのか。この点を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/10
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011・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 今回の所得税の減税は、御指摘のように現在の経済情勢が停滞気味である。それを多少とも浮揚する効果を持たしたいということで、公共事業等の公共投資の増加とあわせて、そのような意味を持たせるということで行なわれたということは御指摘のとおりでございます。ただその場合に、減税の規模をどの程度のものにしたらいいかという判断の基準でございますが、その点につきましては景気浮揚という点からだけ申しますれば、大きければ大きいほどいいということになるのかもしれませんが、一方におきましてやはりそのいわば減税によります不足財源は、公債の発行によって調達をされるという関係になりますので、あまり大きな減税になりまして公債発行額が大きくなる。それが消化の程度を越すということになってもいけないということで、きわめてある意味では大ざっぱな判断ということになるかもしれませんが、本年度の当初の所得税の減税が、つまりこの三月、四月にきまりました所得税の減税の規模が、四十六年度において千六百六十六億円でございましたので、ほぼそれに見合った規模の減税を行なうという程度にしてはどうか。一つの大きな目安としてこの春の減税とほぼ同じ規模の減税にしてはどうかということが、一つの目安になったわけでございまして、それを目安に一方に置いて、控除、税率等の組み合わせでどういう案ができるかということを考えました結果、千六百五十億円という見積もりを立てたわけでございます。これによります景気浮揚効果ということにつきましては、いろいろな見方があると思います。現在の理論的な検討によりますと、減税による経済刺激効果といいますか、乗数効果をどう見るかということについては、いろいろな御意見がございますが、まあいろいろな御意見の中で、現在私どもがほぼ見当をつけておりますのでは、乗数効果が一・七ぐらいではないか。つまり一年間に減税一に対して一・七ぐらいの国民総生産への寄与があるのではないかという前提で、したがって、約三千億円程度の刺激効果があるのではないかというふうに考えております。
他の公共投資等の合わせました景気刺激効果につきましては、それぞれ御担当のほうから答弁をさしていただいたほうがよろしいかと存じます。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/11
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012・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) ただいま主税局長から答弁がありましたように、減税の効果につきましては、いろいろ私どもモデルで計算してみますと、モデルによっていろいろな数字が出るわけでございますが、ただいま答弁申し上げましたように、所得税減税につきましては、平年度で約三千億、四十六年度で千七百億という数字を一応試算しております。なお、その効果は、補正予算による公共投資、それから財投による政府固定資本形成、そういったもの含めますと、平年度で、全体で一兆円、GNPに対する上昇率が約一・五、それから本年度につきましては、さっきの減税も含めまして約七千億、今年度のGNPに対しては約一ポイント上昇、こういうふうな次第になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/12
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013・竹田四郎
○竹田四郎君 主税局長さんにお聞きするのですが、そうしますと、ただ単なる、今度の減税規模というのは、当初の減税規模に見合う程度な目標ということで、別にそれ以上の大きな根拠というものはないわけですね。たとえば、先ほどもお話の中に、国債の消化の問題が、まあ七千九百億、これ以上消化ができない、公共事業にしてもまあこれ以上なかなか消化ができない、こういうような明確な根拠のもとにこれがはじき出されたということではなくて、当初の減税額に見合うというだけの根拠ですか、その点の根拠をもう少し明確にしてほしいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/13
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014・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 税のほうのサイドで申しますと、一つには、従来の所得税の減税のまあ先例といいますか、実績というものがございます。で、いろいろとり方はあると思いますが、昭和四十年度から今日まで、この春、四十六年度の、先ほど申しました千六百六十六億円の減税まで、七年間の減税の規模をきわめて単純に算術平均をしてみますと、約千四百億ぐらいになっております。これは年によりましてかなり大規模の減税をやっておる年もありますし、さほどでない年もございます。それから経済全体の規模が大きくなり、財政の規模も大きくなってきておりますから、単純算術平均というものにいかなる意味があるかというのは問題がございますけれども、毎年のまあ平均ではそのぐらいの規模になっております。
したがって、この春お願いをいたしました千六百六十六億円という所得税の減税の規模というものも、例年の所得税の減税の規模から申しますと、まあまあかなりの規模のものであったと思われます。そこで、それを倍程度ということであれば、所得税のサイドからだけ見ました場合に、まあまあかなりの規模のものであるということは言えるのではないかということが一つの判断の基準であることは先ほど御説明いたしましたとおりでございますが、それでは、それだけが今回の減税の規模をきめた基準かというと、必ずしもそういうことではございませんので、そこはやはりあくまで租税制度が歳入調達手段でございますから、歳入歳出を全体としてながめまして、その結果今回の公共事業費の増額等も含めまして、御案内のとおり七千九百億円の公債をこの十一月から発行するということになった。そうしますと、四月から十月までに発行されました公債が四千三百億円でございます。これはほぼ、御案内のとおり消化をすでに終わっておるわけでございますが、あとの半年の問に倍の規模の公債の消化ということになりますと、これはかなり努力を要する数字であると思われます。減税が大きくなりますれば、その補てん財源として公債の発行額が自然ふえることにもなりますので、その辺を総合的に判断をされまして、租税だけでなしに、歳入歳出総合的に判断されましてきめられたものと了解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/14
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015・竹田四郎
○竹田四郎君 二回にわたる御説明を聞いておりまして、率直に言うと、ある程度の目の子勘定といいますか、目の子勘定だというふうに私は理解する以外にはないと思うわけです。そういう意味できめられたということになりますと、非常に固定的な考えをする必要もない、こういうふうに理解せざるを得ないわけでありますが、今度こうした経済不況、それから特に八、九月からの物価の騰貴、こういう情勢というものがさらに加わってきていることも御承知のとおりであると思いますが、今度の千六百五十億円を減税をするという一番おもな目的、これは一体なんなのか。先ほどのお話ですと、どうも当初の千六百六十六億に見合うという付近が一番大きなねらいのように受け取ったわけであります。政策的な意図は一体何を意図しているのか、何を一番ねらっているのか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/15
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016・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 昨年来全体として景気が停滞をしておりまして、いろいろな指標を見る限りにおきましては、七、八月ごろからようやくそれがのほりカーブになりかけてきたときに、今回のような通貨問題が起こってきた。そこで、やはり何らかの意味において財政による下ざさえの必要があるというふうに判断されるわけでございます。その場合に一いろいろな経済政策があり得ると思いますが、その場合に、減税がそのうちの一つとしてとられましたのは、言うまでもなく民間設備投資はすでに冷えぎみであり、また過剰ぎみであるという現状から、これをもってこれを刺激して景気浮揚をはかるということは現実的でない。そこで、公共投資をふやすか、減税を行なうかということになるわけでございますが、公共投資につきましても、やはりいろいろ用地の問題であるとか、公害の問題であるとか、また設計の監督等いろいろ急激にふやすということの困難性があるということがございます。またいろいろとタイムラグがございます。ということなどが考えられまして、そこで即効性という点からいいますと、減税、特に年内減税が比較的幅広く効果があるのではないかという学者、評論家等の御意見もあり、政府もそのような判断に立って、景気停滞を上向きにしたい、あるいは下ざさえしたいという政策の一つとして、この際年内の減税を行なうことにしたということであると理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/16
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017・竹田四郎
○竹田四郎君 減税分が景気浮揚に幅広く即効的な効果がある、こういうふうにいまお聞きをしたわけですが、いままで公共投資、公共事業への投資というものが景気浮揚にかなりの効果があるというふうに言われてきたんですが、今回の場合に、一体その公共投資の浮揚と、この減税による浮揚との効果というのはどのぐらいの違いがあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/17
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018・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 必ずしも主税局長が答弁いたすべきことではないかもしれませんが、大蔵省といたしまして感じましたところで申しますと、御存じのように、何回かにわたりまして財政投融資を追加する等の措置を行なってきたわけでございますが、その場合に、必ずしも公共事業等についてそう強い需要が期待できない。御存じのように、政府並びに政府関係の仕事というのは、やはり非常に役人仕事というふうに批評されますが、前年あるいは前々年に比べまして、そう急激に事業をふやそうとしましても、なかなかうまく一ぺんに伸びない。そこへもってきて、最近の用地難ということもございますし、公害に対する、いろいろな意味での公共事業に対する不安感というようなものもありまして、なかなかうまく景気浮揚のためだからといって公共事業をふやそうとしても、いいタイミングにうまいぐあいにすぐふやすというわけになかなかいかないという感じが、財政投融資計画を拡大をする計画を立てました時分に感じられたことでございまして、従来から学者の方々も言っておられますように、また理論的にも減税よりは公共投資のほうが乗数効果は大きいと思います、景気浮揚効果は大きいと思います。ただ現在のような状態において、そしてまたどちらが早くきいてくるかという点については、減税のほうが早くきく可能性があるのではないかという点においても、学者や評論家の御意見はほぼ一致しておると思います。それらのことを頭に置きまして、過去におきましては、必ずしも減税ということを景気浮揚政策として常にとらえておったわけではないのでございますが、しかも、年内減税というようなことは、昭和二十六年以来全くやっていないのでございますが、今回はそういう意味ではかなり異例の措置でございますが、いま申しましたような判断から、今回のような場合には減税にかなり期待が持てるのではないかというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/18
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019・竹田四郎
○竹田四郎君 企画庁の方にお聞きしますが、企画庁のほうとしては、現在の景気動向から見まして、明年度の大体経済成長率というものは、きのうも大蔵大臣八%にいけば上々だというお話のように承ったわけでありますが、大体現在の情勢で、一体どのぐらいに来年度の成長率というものは見込めるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/19
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020・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 御承知のように、先月私ども本年度の経済見通しの算定の改定をいたしました。当初の見通しの実質一〇・一%は、五・五%に下がるだろう、こういうふうに見通しの改定をしたわけでございますが、問題は、先生御指摘の来年度どういうふうに動くかという問題につきましては、いろいろな流動的な情勢の中でございまして、どういうふうな前提を立てるか非常に技術的にもむずかしい問題がございます。
来年度の予算編成と関連しまして、本年度の見通しをさらに詰めると同時に、来年度の経済見通しをつくらなければいけないわけでございまして、ただいま目下大わらわに作業中でございまして、何%になるだろうというふうなことを申し上げる段階にはなっておらないのでございますが、ただ感じといたしましては、本年度予想外にやはり成長が落ちておりますので、年度の水準として何%、たとえば、一〇%とかいうふうな水準に持っていくためには、途中のカーブが相当上がっていかなければならない。ただいまの感触では、やはり最近までの景気の主導をしておりました設備投資の伸びというものは、そんなに期待できないというふうなことから見ますと、一〇%成長ということはかなりむずかしいというふうな感触を持っております。ただ、本年度よりは上昇率は高まると思いますけれども、一〇%まではいかない。何%かという点については、まだ数字を持っておりませんので申し上げかねますが、大体そういう感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/20
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021・竹田四郎
○竹田四郎君 企画庁の方にさらにお尋ねしますが、経済社会発展計画も直さなくちゃならぬということの作業中である、期待する成長率といいますか、その辺は一体企画庁では、今度の発展計画の作成にからんで、大体どの辺を目安にしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/21
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022・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 経済社会発展計画の改定問題につきましては、ただいまその改定の準備に取りかかっておるということでございまして、改定の作業そのものにはまだ本格的に入っておりません。おそらく来年一ぱいくらいかかるだろうと思いますが、発展計画の考え方、それから成長のテンポそのことも検討の対象になるわけでございますが、したがいまして、ただいま現行の発展計画の平均成長率一〇・六%がどうなるかということにつきまして、ここで申し上げる立場にないわけでございますが、ただ、私ども内部でいろいろディスカッションしておりまして、やはり一〇・六%というのは、最近の経済情勢から見ましてかなり無理があるんじゃないかという感じがただいま出ております。ただ、これは経済審議会でいろいろ議を尽くして、今後検討、策定されるべき問題でございますので、これ以上のことは申し上げかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/22
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023・竹田四郎
○竹田四郎君 だいぶいま調整局長は大きな数字を基準にしてものをおっしゃっていたわけですけれども、きのうの大蔵大臣の話でも、八%は無理だろう、こういうお話でございました。そういたしますと、どうも公共投資のほうが無理だという中で、減税によるところの景気浮揚力というものが即効性があってかなり期待ができるということであれば、私は千六百五十億というものに金額を限る必要はなかろうと思う。それをあえて千六百五十億というふうに限ったということになりますと、どうも減税の目的、主要なねらいというようなものから少しずれているのではないか。率直に言って、今度の不況というのはいままで以上の大きな影響を与えていくということは事実であります。将来に対する回復の見通しというものも、いままでの御答弁のとおりに、あまりすぐ明るい見通しというのは立てられない。こういう情勢であれば、もしこの減税政策というものが、ほんとうに御説明のような効果のあるものならば、私は、これはもっと当然ふやすべきである、こう思うわけであります。これは政務次官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/23
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024・船田譲
○政府委員(船田譲君) 先ほども主税局長から御答弁申し上げましたように、昭和四十年度から四十六年度までの七年間に、その年度の当初の減税平均を申し上げますと、千四百十何億円という額でございます。それに比べましてことしは、年度当初が千六百六十六億円で、今回を合わせますと三千三百億円をこす大幅な減税だと私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/24
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025・竹田四郎
○竹田四郎君 政務次官にお聞きしたいのは、そういう過去の数字ではなくて、これからの景気動向との関連で、一体千六百五十億というもので景気対策としても十分であるかどうか、あるいはもっとこれは拡大すべきであるのではないかと私は思いますけれども、そういう点で、これだけで景気対策としてもあなたは十分である、こういうふうに思っていらっしゃるのか、もっと拡大すべきであると思っていらっしゃるのか、その点だけお答えいただきますと——過去の数字は先ほど聞きましたからけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/25
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026・船田譲
○政府委員(船田譲君) 必ずしも十分な数字とは思っておりませんけれども、ただ、現在の財源状況を見ますと、この辺がぎりぎりではないかという感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/26
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027・竹田四郎
○竹田四郎君 今度の千六百五十億の減税分のうち、資料の中で、課税最低限を引き上げたことによる減税額、あるいは税率改正によるところの減税額、その点はわかったわけでありますが、三百万円を一つの境にいたしまして、年収三百万円以上の階層の減税総額と、それからそれ以下の階層の減税総額は一体幾らになるのか、その対象人員は一体どのくらいに推定されるのか、この点も明らかにしていただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/27
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028・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 階層別の納税人員を最初に申し上げます。
三百万円のところで申し上げますと、源泉で納めていただいておる方と、申告の方との単純合計、したがって、一人でダブっている場合がありますが、その単純合計で、昭和四十四年までしか実績数字がまだ統計上できておりませんので、その数字で申し上げますと、全体で所得税の納税者は二千六百万人でございます。そのうちで人員で申しますと、三百万円以下、これは課税所得階層でございますから、収入階層ではなくて課税所得階層でございますから、諸控除を差し引きましたあと——失礼しました。所得階層別で三百万円以下の人員が九七・五%になります。それで、その九七・五%の方の所得金額が約八五%、税額が六〇%になります。これでおわかりいただけますように、人員では圧倒的に三百万円以下が多いわけでございます。税額ではかなり上の階層に集中的に寄っておるということになっているわけでございます。
そこで、今回の減税によります軽減額が各階層別にどういうふうに軽減になるかということを試算をいたしますと、これはただいま申しました四十四年実績、四十四年の階層別の実績をベースにいたしましていろいろな意味でのかなり思い切った推計を加えまして出しました数字でございまして、ただいま御指示がありました三百万円のところでちょうど実は計算をしておりませんので、ちょっとうまく合わないのでございますが、二百万円以下のところで八百五十億円、千六百五十億の約五二%、それから上のところが八百億円、四八%ぐらいになろうかという推計をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/28
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029・竹田四郎
○竹田四郎君 こまいことで申しわけありませんが、いま主税局長の答弁では、三百万円以下で六〇%、こういうことですが、六〇・九%じゃないですか。これは大蔵省の資料によってきたやつですが、六〇、九%じゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/29
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030・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 失礼しました。端数を切って申し上げました。六〇・九%、おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/30
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031・松永忠二
○松永忠二君 関連。その中で、税率による減税額と、それから控除の減税額の内訳をちょっと話してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/31
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032・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) この計算の方法なんでございますが、一人一人の所得階層別に、幾らの所得で、そうして幾らの税金を納めていただいているという統計は出るわけでございますが、所得税の額は、収入金額から控除を引いて、そうして税率を掛けて出すということになっておりますので、その掛け合わせで答えが出てきますものですから、控除による減の分と、税額による減の分をさらに階層別に出すということは、非常に作業が現在の統計の上からは困難でございまして、はなはだ申しわけございませんが、しばしばそういう資料は出ないかというお尋ねがあるのでございますが、従来から、ちょっといまのところ技術的にそれが非常にむずかしいので、御容赦願っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/32
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033・松永忠二
○松永忠二君 それで、いま竹田君のほうからこれから話に出ると思うのですが、もうすでに御承知のように、この減税について批判というのがもう出ているわけなんでしょう。つまり、言われているように、五百万から七百万にかけての税率の軽減というものが、少し、そこにいかないで、むしろ控除額のほうに回したらどうだとか、いろいろな批判が出ているので、私は、大蔵省が積極的に自分たちの減税のやり方がいいというならば、その根拠になる資料を出すべきではないかと思うのですよ。いまお話のように、三百万という話が出ても、それじゃその税率、控除がどのくらいで、いわゆる控除額のほうの減税がどのくらいというわけがわからなくちゃ、これはやはりその辺あたりが明確にならない。
私は実は、別の資料がほしいのですよ。四%減税したのは四百万から一千万の所得者について、それから三%減税をするのは二百万から四百万、二%は二百万以下の税率軽減をやっておるわけだけれども、そこのところが一体納税人員の比率からいってどういう比率を持っているのか、それから減税総額の比率はどうなのか、こういうものが出てこないと、はたしてこのところの税率が、軽減のしかたが妥当かどうかという話が、根拠がわからぬわけですね。だから四十四年でもけっこうだけれども、そういう構成別の減税額、減税比率というようなものが出てこないと、実際は積極的にあなた方の言っているのがいいという理屈に、根拠がないじゃないですかね。当然やはりそういう審議をするにあたって、むしろ逆に調査室の資料にそういうのが出ていて、おたくの資料には全然そういうものが出ていないで、聞けばそういう計算をしてないというようなことでは、実際問題としてはそういう点の積極的な解明がなされないのじゃないかと思うのですがね。こういう点はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/33
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034・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、現在の所得税は、言うまでもなく収入から控除を引いて出た金額に税率を掛けて税額が出るわけでございます。そこで、税率だけ直せばどうなるか、控除額だけ直せばどうなるかという計算は、それは機械的に出るはずでございます。ところが同時に、両方直しますと、控除額と税率両方直しますと、どっちの分のどういうメリットかということは計算が不可能でございます。掛け合わせたようなかっこうで出てきますから。でございますから、一応いろいろな前提を置いていろいろな資料はつくっておりますが、いまおっしゃいましたのは、総体的にはいろいろ前提を置いて出せば出ますのですけれども、非常にこまかく階層別に推計値を出しますということにつきましては、実はその資料の正確性——大体見当をつかむというようなことであればいろいろつくりようがあるかと思いますが、推計のしかたがあるかと思いますが、非常に正確な資料という角度を、正確といっても、ことばは悪いのですけれども、ある程度の正確性を求められますと、ここは非常につらいという事情なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/34
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035・松永忠二
○松永忠二君 ただしかし、ここに基礎控除の引き上げの減税総額が三百四十四億出ているのですからね。だから、この数字の総額というのは、一応推定とかそういうものできちっとやって出たと思うのですよ。だから推定できる根拠というものは私はあるのじゃないかと思っているのですがね。
それで、私が関連して要求したこの資料は出せましょうか。四%今度減税をした四百万から一千万の人たちは、一体納税人口の中のどのくらいな比率を占めているのか、何%になるのか、それからこの人たちの階層の今度の減税総額に対する比率はどうなっているのか、三%減税を受けた二百万から四百万の所得の人たちの納税人員の比率はどうなっていて、一体どのくらいのいわゆる減税総額に比率を占めているのか。それから二%今度は減税になった二百万以下の収入の人たちは納税人口の何%を占めていて、今度の減税で減税総額の何%を減税してもらっているのか、こういう資料は出してもらえるでしょうか。これがわからなけりゃ、われわれには一体どこが重くてどこが軽いとか、そういうようなことがわからぬのですよ、われわれのようなしろうとには。こういうものを出してもらいたい。その一つの、何か根拠として、いま竹田さんが三百万という限界で出していると思うのですがね、そういうことを言われていると思うんだが、そうしてまた、推定はできませんというお話だけれども、大体この減税総額の千六百五十億の中の八百十五億が税率緩和であって、八百三十五億が控除の減税だというならば、その推定の根拠というのが出てくれば、区別はあるはずですよね。だからこの数字だって、極端にいえば推定じゃないんですか。
だから、そういう推定ができないということは、私はないと思うので、まあそういうことがはっきりできると、あなた方が言っているように、たとえば、いやそんな高額所得者を優遇したんじゃありません、そしてまた全体的に景気浮揚との関係で、ここにやることが効果があるんですという積極的な説明はできるし、私たちには逆に、そこにたいした減税比率もないじゃないか、減税人口もほんのわずかじゃないか、そんなら景気浮揚策としてはそんなところやるより、もっと下やったらどうだという理屈が成り立つので、この根拠になる考え方をお互いに示してもらわないと、実際問題としてこの減税が正しいかどうかというようなことは、判断が私はできないと思うのですよ。そういう意味で、そういうものを出していただきたい。それからまた、いま言った五二%八百五十億だと、こう言うならば、その八百五十億の一体税率緩和に伴うものはどうであり、控除の引き上げに伴う減税額は幾らとかというのがわかるはずなので、こういうものはわからないものでしょうかということなんです。ひとついま申しましたような資料を出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/35
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036・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 当然いろいろな資料お出しして御審議をお願いいたしたいと思いますが、総体としての数字を推計する場合と、階層別の数字を推計する場合と、非常にいろいろな意味での、何というのですか、困難がございまして、ちょっと口で申し上げにくいんでございますが、御要望の資料、うまくできますかどうか、それを決して出したくないとかなんとか、そういう意味ではなくて、なかなかうまく御納得いただけるような数字が出せますかどうか、あとで御相談いたしたいと思いますが、ただ、先ほどおっしゃいました四%下がるとおっしゃいますのは、どういう意味でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/36
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037・松永忠二
○松永忠二君 ここに、あなた方のほうから出ているのですが、現行の百二十万、一六%の課税税率であったものが、百二十万の方が一四%の課税率になるわけですね。だから二%、それから上へいくと三%になる。たとえば四百万は三四%の課税率であったのが、今度は三〇%になるから四%、つまり減っているわけですね。私たちは、上にいくに従って税率の、軽減の率が多くなってくると、それがまあ今度の減税の一つの性格でしょうから、そういう意味で、四%台の減税をしたところの人たちの一体納税人員はどのくらいあって、減税総額はどのくらいそこのところで減税するんだと、こういう数をもらうと大体判断ができると、こういうことで申し上げたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/37
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038・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 一つお願いしておきたいのは、いまの税率表のところでございますが、従来三十万円以下の金額については一〇%でございましたものを、四十万円以下の金額まで一〇%にした。こういうことでございますので、その二百万円以下の金額が従来一二であったのが一八に下がったということではなくて、その上積み部分の限界税率のところの問題でございますので、この税率というのは、幾らまでの金額について何%、それをこえると何%、何%というふうに上積み税率で上がってまいりますから、上積み累進税率構造になっております。
ですから、そこの部分だけをつかまえるということは、実は私のほうは統計上その他であまりやっておりませんで、総額の所得では所得階層別にある程度押えておりますが、ちょっとその上積み税率適用部分がどういう人数がいいかという統計がうまくつかまりますかどうか。ちょっとそれはここでお答えいたしかねるのでございますが、課税総所得金額に対応する、したがって、上積み税率幾らの適用がある、人員が幾らというのはあるいは出るかもしれませんが、そこのあたりはちょっと二八とか一八とかいう税率が一人で歩いているわけではなくて、そこの上積み部分がそこに働くということでございます。実効税率は下からずっと加算してきた平均でいっておりますものですから、一〇とか一二か一四とかという税率は世の中に歩いているわけではございませんので、その金額に一〇を掛け、その上の金額は一二を掛け、その上には一四を掛けて足したものが税率になるわけであります。税率というのは、法人税のように所得にぽんと三五%掛けるとかなんとかいうものではございませんので、所得税の構造というのは、最初の三十万円については一〇を掛け、次の三十万円から六十万円の金額についてはそのこえた部分について一二を掛ける、こういう構造になっておりますから、ある人にそういう特定の一二とかなんとかいう率が適用になるわけではございませんが、比例税率の場合と累進税率の場合とちょっと違ってまいりますことだけお含み願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/38
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039・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ぼくも関連して。あなたの説明されたときに松永君が要求したところは、一番初めに申し上げましたように、減税を、たとえば、百万まで何人おる、年収ですよ。二百万までの人が今度は何人おる。三百万がどれだけおる、四百万がどれだけおるというようなふうの員数が出ないのか、議論がしたいというのは、あなたのほうは重役減税じゃない、景気浮揚のためにやっておるんだ。こういうのは、そうじゃなくて、景気浮揚とするならもっと下のほうの人たち、たとえば、二百万円末満の人たちは何人一体おるんだ、そしてそれが総額としてどれくらい減税分になるんでしょう、そうすると、それは貯蓄に回らず消費に回るのか。たとえば、年百万円以下なら八五%くらいは生活費になっちゃって、一五%がどうだとか。あるいは三百万以上なら生活費のほうに七五%とられて、二五%の余力があるとか、いろんな問題出てくると思うのですよ。そういうことで議論したいんだから、そういう所得階層の員数の、人数の資料が出ないだろうか。それとともに減税分はつかめぬだろうか、こういうことだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/39
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040・松永忠二
○松永忠二君 私の言ったのはそうなんで、実効税率があなた方の出しているところに出ているわけですね、このほかに、この表が。だから、五百万なら五百万のところの所得のものについてこれだけの減税が行なわれたというふうに出ているわけでしょうが、だからそういうことを言っているんであって、課税の実態はそういう状況ですという、おっしゃることはわかる。たとえば、四%とかなんとかいうのは、私が言ったのは、いまその四%上積みしたところの税率が、四%軽減をされているんだから、二%に課税するものより、三%に率を高く幾分でも税率の緩和をさせているところのそのものを対象にして、そういう限界でいまいったようなものの数字が出てこないだろうかということを言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/40
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041・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 御質問に対するぴたっとしたお答えになりませんですが、一応、人員と所得と税額を四十四年度の実績で申し上げます。まずそれから申し上げます。
四十四年の実績は、先ほど申しました二千六百万人の分布を申しますと、人員で百万円以下というのが千七百四十八万一千人、六六・九%。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/41
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042・松永忠二
○松永忠二君 比率だけ言ってみてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/42
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043・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) その方の所得が四一・八%、税額が一八%。二百万円以下と申しますのは、二百万円と百万円の間という意味でございますが、二百万以下が二七・一%、所得で三五・四%、税額で二八・七%。三百万円以下が三・五%、人員でございます。所得が八・四%、税額が一四・二%。五百万円以下と申しますのは三百万円との間でございますが、人員が一・七%、所得が六・二%、税額が一四・六%。五百万円から上、これはあとは刻んでございません。五百万円をこえたるもの〇・八%、所得が八・二%、税額が二四・五%となっております。
そこで、いまの御指摘は、この人員なり階層別に減税額を計算してみたらどうか、それを示せというお話でございますが、それは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/43
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044・松永忠二
○松永忠二君 その減税額と、その減税額の中の税率緩和と控除緩和の総額と内訳は出ないものかということを言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/44
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045・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) それの減税額は、いま言いました人員別の減税額は、まず百万円の六六・九のところが一八%……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/45
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046・松永忠二
○松永忠二君 減税総額のね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/46
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047・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) そうです。二百万円以下のところが三四%、三百万円以下のところが一二%、五百万円以下のところが一五、五百万円以上が二一、合計一〇〇、大体の見当です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/47
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048・松永忠二
○松永忠二君 それを内訳にして税率緩和のほうと控除緩和……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/48
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049・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) これは税率と控除は非常にむずかしいと思うのです。掛け合わして出てきますので、両方掛け合わした答えで出てきますものですから、ちょっとむずかしい……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/49
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050・松永忠二
○松永忠二君 それではこの額はどうして出したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/50
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051・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) これは総額計算では、かなり率直に申し上げて、何といいますか、勇敢な推計を下して、大体……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/51
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052・松永忠二
○松永忠二君 勇敢な推計をこれに下してみてください。勇敢な推計を下してみてくれたらどうです。勇敢な推計を下してみて、国会へ出す資料の明確なものを、こういうものを出しているのだから、勇敢な推計をこれにできないわけはない。この国会に出しているこの資料が勇敢な推計であるので、しかも、これを根拠にしていろいろなことを言っている。だからその内訳の階層別の構成の、これの内訳が出ないものですか。それができないなら別表のこの表は一体どうしてつくったのか。これを階層別に区分けをすれば、いまあなたの言ったようになるのだから、当然それは区分け別にできなければうそなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/52
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053・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ちょっと議事進行で。それは資料の点で、あまりどうこうするわけにいかぬから、その辺検討してみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/53
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054・松永忠二
○松永忠二君 わかりました。
委員長、私は出るはずだと思うので、それを出してもらうとだいぶわかるので言っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/54
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055・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 検討してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/55
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056・竹田四郎
○竹田四郎君 どうも局長の、私は、いまやりとりを聞いていまして、基本的な姿勢にまた問題が返ってこざるを得ないと思うのです。
局長の話は、結局それは計算できない、そういうことを計算するのは非常にやっかいだ、それはすぐ出ない、こういう話が主体なんですね。しかし、税の基本的な方針というのは、やっぱり公正でなくちゃいかぬでしょう、公平でなくちゃいかぬでしょう、各階層にとって。私どもはそれをここで見るためにいろいろ資料を要求しているんです。しかも、今度の減税の主要な点は、三百万円から上の、いわゆる中堅層かどうかしりませんけれども、それからまあ一千万円近くのその層に、いままでそのカーブが立ち過ぎていたと、そのカーブを今度はゆるやかにするのだという御説明もついているわけです。ですから、そこが一体全体として公平であるかどうか考えてみなくちゃならぬわけです。それとその他の政策と組み合わせてみて、適当であるかどうかということをわれわれは判断しなくちゃならないわけです。それにもかかわらず、公平であるかどうか、そういうことについては何ら資料を出してくれないわけです。それは計算できません、計算するのがやっかいです、いままではそういう統計をとったことはありません——事務的なことでこの公正の問題を、あるいは他の政策の問題を、事務的な問題でぼくは犠牲にするというのはけしからぬと思う。そういう姿勢で国民が税金を取られているということになると、これはたいへんなことですよ。大蔵省の事務的な関係でとられているということになりますとね、これは問題じゃないですか。
ですから、あなた方がこういう問題でこういう提案をするというならば、当然私はそれに見合ったところの一番公正であるか公正でないか、そういう資料が、少なくともここで三百万円を一つのめどに、その上と下との問題で減税問題を論じようという提案をしているのに、どうもそういう資料が出てこないということは、公平かどうかの審議をすることはできないじゃないですか。減税額がほんとうに公平に各階層に配分されているかどうかもわからないじゃないですか。それで審議をしようというのはずいぶん私はひどいと思うのですがね。次官、どうですか。こういう状態で審議をわれわれに強制するのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/56
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057・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 私も答弁が非常にまずかったかもしれませんが、私どもは、一番問題は、各所得階層別にどういう税金を納めておられて、そうしてそれが今回どれだけ軽減されて、今後どういう負担軽減になるかというところが非常に問題であろうと思います。で、それは前々から御提出申しております印刷物等におきましても、各階層別にどういう軽減額になり、どういう軽減割合になるかという表はお示ししておるわけでございますし、本日、委員部のほうから配付していただきました資料の中にも、階層別の軽減をいろいろな形で出したつもりでございます。
で、いま問題になっておりますのは、税収見積もりとの関連のことで御質問になっておるんではないかと思います。全体として千六百五十億円程度の税収見積もりになるであろうということでございます。税収見積もりというのは、これはまた所得が動くことによって動いてまいるわけでございます。そこで、そういう意味におきましていろいろな推計値が入ってくるということでございます。ですから、必ずしも私どもとしては、どういう軽減になるかという問題と、それからこの千六百五十億をどういうふうに割りつけるという関係にはございませんので、所得税をどう直すかということは、どういう方のどういう税を軽減するかということに問題があるのではないかというふうに私どもは考えておるのでございまして、決してそういう意味での何かやるべきことをやっていないというおしかりを受けるのは、その点はできるだけのことはいたしますけれども、その点はお含みを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/57
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058・竹田四郎
○竹田四郎君 そんなことは理屈にならないですよ。今度の減税で、各個人個人は一体どれだけ減税になるかということは非常に重大な問題ですよ。あなたの考えているような私は簡単な問題じゃないと思う。しかも、具体的に一人一人検討するわけにいかぬでしょう、ここで。だれがどれだけ減税になると、ここで一人一人やっていくわけにいかぬでしょう。だから、ある意味で当局のほうが出している三百万円という一つの線、その線でわれわれはその公平度を見ていこうじゃないか、適当であるかどうかということを見ていこうじゃないかということで資料を要求しているのでしょう。三百万の要求資料を私はここでいま言っているわけじゃないですよ、もう事前に言っているのですよ、これは。きょうになってもそれが答弁できないじゃないですか。私はそういうことでこの税金を審議するというわけにいかないですよ。いつまでに出してくれますか。冗談じゃないよ、前々から言っているのですよ、その資料は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/58
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059・前田佳都男
○委員長(前田佳都男君) 私から申し上げますが、ただいま竹田君から御要望の点、確かに私もそういうふうに感じますので、大蔵省におきましては、この竹田君の発言の趣旨にできるだけ沿うように資料を積極的に提出するように御努力を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/59
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060・船田譲
○政府委員(船田譲君) ただいまの竹田委員並びに松永委員及び成瀬理事からいろいろ御注意がありました点に着目をいたしまして、事務方で私もしろうとでございますからどこまでできるかということはよく存じませんけれども、積極的にできる限りの手を尽くさしたいと思います。ただ、これは私の非常に抽象的な言い方で恐縮なんですけれども、所得が、事業所得者についても、給与所得者につきましても、三百万円、三百万円でこういうケース、つまり配偶者がいて、扶養家族が何人というようなそういうケース、それぞれのものに着目した減税額はここに出ている表のとおりになるわけでございますが、それを今度は全部千六百五十億をどういうふうに寄与していくかという推計値をぴしゃっとしたものを出すという点につきましては、これはむずかしい点はあると存じますけれども、先ほど申し上げましたように、御注意のとおりに従いまして、積極的に資料を出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/60
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061・前田佳都男
○委員長(前田佳都男君) 極力善処を希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/61
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062・竹田四郎
○竹田四郎君 これはひとつ早く出してもらいたいと、こう思う。
もう一つ、給与所得者と申告所得者別のそうしたものを一緒にひとつ示してもらいたい。もちろんその中にはダブる分があることは承知の上です。そういう点でもひとつ出していただかないと、はたして公平な税金になるのかならないのかという点の判断ができないと思いますので、そのようにお願いいたします。
それから企画庁の方、物価担当の方、いらっしゃっていますか。——今後の物価動向というのは一体どういうふうに見ておられますか。特に消費者物価動向。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/62
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063・斎藤誠三
○説明員(斎藤誠三君) 消費者物価につきましては、春以来比較的落ちついてまいりましたが、御存じのとおり八月以降の低温、累次の台風等によりまして、野菜を中心として九月相当上昇したわけでございます。そういうことで、十月には東京都においては若干物価指数は下落しておりますが、九月までの上期の平均をとりますと、対前年比七%の上昇でございます。今後の見通しにつきましては、大体例年物価指数は十月が一番上がりまして、急騰いたしまして、十一月−三月はやや落ちつく傾向でございます。そういう過去の趨勢と、それから今後におきましては景気停滞による商品市況の悪化等も若干影響が出てまいるとともに、また円高に伴います輸入価格の低下が消費者物価にどういうぐあいな影響、むしろ、むしろといいますか、下がる影響を理論的に持ち得るわけでございます。そういういろいろな条件がございますので、本年度下期にどうなるかという確たる見通しはないわけでございますが、われわれといたしましては、当初見通しの、極力五%に押えるべく、政策の努力目標として全力を尽くしてまいりたい所存でございます。
ただ一つの推定といたしまして、十月の東京都の物価指数で大体横ばいになるという想定をとりますと、年度平均いたしまして、約六・三%の物価の上昇になる、対前年比。そういった試算が得られるわけでございますが、先ほど申しましたように、われわれとしましてはできるだけ当初目標を達成するよう諸般の努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/63
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064・竹田四郎
○竹田四郎君 まあ、企画庁の消費者物価に対する見通しというのは、非常に政策的なもののような感じがいたします。で、ここ数年まず当たったことはない、だいぶ上がっているというのが実態でありますから、いまお述べいただいた点でも、年間通じて、この前出されたのはたしか五・五ぐらいという数字を出されていると思います。これもおそらく政策数字であって、実際上は、さらにそれを上回ることはいまの御説明でもはっきりしております。それから、おそらく明年度においても、過去の不況の例から見ましても、消費者物価は下がるという例はあまりないわけです。むしろ上がっていく例というものが非常に多いわけです。いま御説明の円高に基づくところの輸入物資、これがはたして下がるかどうかということも、流通機構その他から考えてみて、そう下がるということは国民は期待もしていない。そこで、総理府はことし御調査になっていると思うんですが、経企庁で出された生活白書でも、一体国民は物価に対してどういう考え方を持っているのか、御調査になっていると思うんです。国民の物価に対する感じ方というのはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/64
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065・斎藤誠三
○説明員(斎藤誠三君) 最近の、企画庁で行ないました先行度調査によりましても、国民の物価に対する関心はきわめて高いわけでございまして、一つの例で申し上げれば、経済成長よりも物価の安定が重要であるという回答が八割に及んでいるわけでございます。そういう意味で、物価安定の重要性というものについては、われわれも十分肝に銘じておりまして、不断の努力を重ねておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/65
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066・竹田四郎
○竹田四郎君 その調査の数字を言ってください。国民生活白書、そういうものが述べてあるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/66
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067・斎藤誠三
○説明員(斎藤誠三君) ちょっといま資料を持ってまいりませんでしたが、最近における先行度調査によりました私のお答えしたものは、八〇数%がいわゆる成長よりは物価の安定を期待するということであったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/67
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068・竹田四郎
○竹田四郎君 それじゃ、私のほうから申し上げますけれども、四十五年度の一カ年の上昇というのは七・七%というのは、あなたさっきおっしゃったとおりですな。ところが、国民の意識調査から見ますと、一〇%未満上がったというのがこれ一〇%ですね。一〇%から一四%上がったというのが二〇%、二〇%程度だというのが一八%、三〇%以上というのは実に二五%、これは国民の意識調査です。だから、七・七%総理府の統計では上がっているにもかかわらず、実際は一〇%以上上がっているという人が六割から七割というのが実態です。ですから、消費者物価指数の統計が正しいのか、国民の意識が正しいのか、これはわかりませんけれども、とにかく国民の意識としてはたいへん上がっているということでありますけれども、消費者物価が上がり、物価が上がるときの国民の貯蓄に対する行動というのはどういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/68
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069・斎藤誠三
○説明員(斎藤誠三君) ちょっといま数字でお答えできませんが、ここ数年相当、六%前後物価は上がっておりますが、貯蓄率も若干ずつ上がっているように思います。そうした貯蓄率が、そういう生活の余裕があるための順当な貯蓄であるのか、あるいは将来の生活の不安に対するそういう貯蓄衝動といいますか、そういったものであるのか、いろいろむずかしい点がございますが、いままでの傾向で申し上げますと、非常に物価が上がってはおりますが、賃金、所得その他も相当大幅な上昇を来たしておりますので、その結果として貯蓄率も漸増しているように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/69
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070・竹田四郎
○竹田四郎君 企画庁、こういうものを出しているのですね。おたくのほうは「国民生活白書」というものを出されているわけですね。これにちゃんと書いてあるのですね。ですから、企画庁で出しているのだから、その辺はもう少し明確に答えてもらわなければ、何が何だかわからぬような答弁じゃ、私これは非常に困ると思うのですがね。現実におたくのこの白書の中でも、いまおっしゃったような所得が上がってきているということがあるのです。物価騰貴が行なわれるときのほうがむしろ貯蓄率は高まっているわけです。これはさらに総理府で出しております貯蓄動向調査報告、これを見ましても、所得の高まるに従いまして、貯蓄の純増減傾向という調査が実は出ているわけですね、この調査を見ましても、たとえば、百万円台の年収の人の場合の貯蓄率というのは大体二〇%台。ところが、二百五十万円からそれ以上になりますと、これは大体三〇%台に上がっているわけですね。それはお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/70
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071・斎藤誠三
○説明員(斎藤誠三君) ただいまちょっと資料を持ちませんが、そういうことは確かであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/71
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072・竹田四郎
○竹田四郎君 さらにお聞きしますが、限界貯蓄性向ですね。これはどういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/72
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073・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 四十五年度の限界貯蓄性向の数字は二四%でございます。これは国民所得統計に基づく数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/73
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074・竹田四郎
○竹田四郎君 消費性向は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/74
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075・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 七六%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/75
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076・竹田四郎
○竹田四郎君 それと所得階層別の数字というのはどういうふうに出てまいっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/76
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077・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) ただいま申し上げましたのは、国民所得統計の数字でございまして、総理府の家計調査のそれに相当する数字は貯蓄性向として二七・五%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/77
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078・竹田四郎
○竹田四郎君 階層別の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/78
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079・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 階層別の数字は総理府としても発表しておりませんが、私どもこの家計調査の階層別の収入と、それから消費と貯蓄率というので試算をいたしますと、四十四年の、これは暦年でございますが、四十四年で申し上げますと、たとえば五十万円未満では一八・九%、百万円未満では二八・四%、それから百四十万円未満では二丁九%、二百万円未満では三三・八%、三百万円未満では四三・六%という数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/79
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080・竹田四郎
○竹田四郎君 そういたしますと、いまの数字から見てまいりますと、今度の減税分というものと、それが消費に回る関係というものはかなり私ははっきりしてきたと思います。
そうしますと、階層の上のほうがより多く貯蓄に回している。消費性向の分でも、これは総理府の家計調査から見た消費性向の中でも、やっぱり第一階層と第五階層を見ますと、消費性向で一〇%違っているわけです。そうしてみますると、ここで年内減税をやったその減税額というものが、はたして消費に回っていくかどうか私はきわめて疑わしいし、この減税の大きな目的と、その効果は、そのとおり出てこないではないか、こういうふうに私は思うんです。その点明確に、必ずその減税額というものは消費に回り、それが景気浮揚の力になるのかどうか。この点明確にひとつ数値をもって答えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/80
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081・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 減税分が全部消費に回るわけでないことは自明の理でございますので、したがって、減税が直ちにそのままそっくり消費の全部刺激になることでないことはおっしゃるとおりでございます。
それから二番目に、減税をする場合に、どういう階層の減税がより消費需要を刺激することになるかという点につきましては、一般的に言います限りにおきましては、所得の小さい階層のほうの限界消費性向が大きくて、所得の大きい階層の限界消費性向が小さい。これも一般的に言えることだと思います。
ただ問題は、所得税の納税階層でありますところの、課税最低限以下の階層を別にして考えました場合に、限界消費性向が、所得階層別に非常に明快な形でなだらかにカーブを描いているかどうかということにつきましていろいろ検討してみたのでございますが、これは所得階層と申しましても、階層別に見ましても家族構成とか年齢構成とかがいろいろになっている関係があるのか、どうもいまの統計では必ずしも所得階層別に限界消費性向が、所得が少しでも大きいとそれが小さくなるという形にはいまの統計上からは読み取れないようでございます。しかし、単に消費需要を刺激するという角度だけから言いますならば、御指摘のように低所得階層と高所得階層、いずれの減税がより消費需要効果が大きいかという点につきましては、これは一般論としましては、低所得階層のほうが消費需要効果が大きくなるということが言えることだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/81
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082・竹田四郎
○竹田四郎君 どうも非常にその辺が明快でないわけですが、いま最後におっしゃった形で言えば、低所得層のほうが一般的に消費的な効果があらわれる、こういうお話です。そうなれば、今度の減税の大きな目的と、実際の減税のやり方というものと違っているじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/82
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083・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) その点が今回の減税の一番、どういうふうな形で減税を実施すべきかということについて問題となった点でございます。
まず一番初めに、こういう事態のもとにおいて年内減税をやるとするならば、今回のような形で所得税法を改正して、税率、控除全体を通じて所得税の構造を直すという形をとらないで、従来の現行法をもとにして算定した額の一定割合をたとえば減税するというようなやり方があり得るのではないかというようなことが、ある段階で、私どもの内部でございますけれども、いろいろ議論をされたのでございますが、この所得税の現在の仕組みが、控除と税率の両方からでき上がっております関係、それから来年度以降の見通しが必ずしもはっきりいたしません関係から申しますと、やはり恒久法としての所得税法を基本的に直すという形をとったほうが、いろいろフリクションも少ないのじゃないかと判断したわけでございます。
その場合に問題は、御指摘のように——御指摘は、要するに低所得層にウエートを置いた控除、すなわち控除にウエートを置いた減税の内容にしたらどうかという御指摘だと思いますが、そういうかっこうをとりました場合においては、この春の改正の際に、諸控除——人的控除と給与所得控除の改正によって、千六百億というかなり大きな規模の所得減税が行なわれた直後でございます関係もあり、四十四、四十五両年度にわたりましてかなり大幅な税率改正が行なわれた際に、三百万ないし五百万くらいのところから限界税率の構成が、いわゆる税率の取り戻しということばを使っておりますが、限界税率の、いわゆるこの階段の上がり方が急カーブになっておりますために、増加いたしました所得に対します限界所得税負担が、現在かなり急激に高まるという所得税構造になっておりますので、所得税の本来の姿との関連で言いますと、現行所得税法にはかなり無理があるという感じを持っております。
現在、御存じのように、給与が毎年相当伸びておりますし、その他の給与以外の所得も伸びておりますので、その増加所得部分に対する負担割合が高いということが、所得税の負担感につながっております関係もございます。それもあり、さらに限界税率が急激は上昇するということは、どうしても実際問題として所得分散ということが急激に起こることになる関係もございますので、先ほど来申しましたように、今回減税を行なうことになりました契機といたしましては、景気刺激、特に消費需要の刺激ということに重点が置かれたわけではございますが、さてそれを具体的にどういう内容を盛り込むかということを考えます場合には、やはりどうしても所得税の構造ということを考えながらやらざるを得ないということで、この春控除で全部の所得税減税をやっていただきました関係もありまして、ほぼ控除と税率に半分ぐらいのウエートを置いてやるということであれば、年全体を通じてみますと、四分の三が控除に当てられ、四分の一が税率に当てられるというような、大ざっぱな感じでそういう感じになりますものですから、その程度であれば、全体としてバランスのとれたものになるんではないかというふうに判断をしたわけでございまして、おっしゃるように、まさに景気刺激、消費需要を刺激するんだという点だけから申しますと、現在御提示しております案以外の案も考えられ得るわけでありまして、そこはしかし、所得税全体の構造との関係を考えなければならぬという立場から、このような案を御提示申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/83
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084・竹田四郎
○竹田四郎君 局長、どうもますますわからなくなってくる。と申しますのは、今度の減税の非常に大きな目標というのが、景気浮揚に重点を置いた——これは景気浮揚というのはある程度してもらわなければ困ると思うんですね。現実に低所得の人は職場を追い出されたり、残業時間を規制されたり、一方では物価が上がっている、こういう状況ですよ。そして収入のほうは、そうした関係から、どちらかというと予想以上には伸びていかない。おそらくこれから、年末のボーナスを考えてみても、公務員は大体いいでしょうが、民間企業につとめている人のボーナスというのは、かなりこれは減るだろうという予想が一般的でありますし、私もそのとおり思うわけです。そうしてみますと、なるほど確かにカーブをある程度是正をする、このことについては私も反対するものではないんですけれども、しかし、減税というのは一つの政策であります。そうすると、その時期に合った形での減税をやはり考えていかなければならぬ。全体として公正が得られるような形も一方に考えなければならぬ。こう考えてみますと、やはりその時期、減税をどういうふうに行なうかという場合、時期との関連というものも私は大いに出てくるはずだと思うんです。そうしてみますと、減税の当初の政策にはあまりマッチしていない。大蔵省の主税局の、ただ単なるカーブを直す、こういうところだけに私は重点が今度の税法はあると思うんです。ただ、そのカーブを直すということも、一体どれだけ直したらいいかということも、これはあまりはっきりわかったことではありません。どういうカーブのしかたが一番公正であるかという基準があるわけではない。
こう考えてみますと、どうも今度の減税案というのは、負担の公平がはかられているかどうかについては、資料が出ておりませんからよくわかりません。これはさらにこれから審議をしていかなくてはならないわけですけれども、どうも一般的な傾向から、その他のいろいろな資料から考えてみまして、物価は上がっていく。そうすれば、その減税分というものは、考え方からすれば、貯蓄に回っていって消費にはあまり回らない。こうなってくれば、景気浮揚策とは、無縁とは言えませんでしょうけれども、縁が薄くなる。どうもその辺が納得できないのですけれどもね。提案した趣旨と、実際の具体的な税率改正あるいは課税最低限の問題、こうした問題とどうもぴったり合わないわけです。局長自体はこれを合っていると思いますか。自分がつくったから——これは政務次官に聞きましょう。政務次官は合っていると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/84
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085・松永忠二
○松永忠二君 関連。一緒に答弁してください。
あなたがさっき出した資料によって見ると、今度、納税者の人員からいうと、九七・五%の人たちに六四%の減税が行なわれて、二・五%の人たちに三六%の減税が行なわれているのですよ、減税総額について、出した資料によれば。こんなばかなことがあるかという感じがしますね、数字が出てくると。そうでしょう。景気浮揚という意味からいったって、またそういう意味からいうと——所得総額からいうと、八六・四%対一四・六%ですよ。だから、消費性向の話を盛んにされていることも、それとかみ合わせてみても、九七・五%からの人に六四%の減税を総額でやっておいて、二・五%の人に三六%の減税をやって、それで非常に景気浮揚になるし、また他面公平もはかったというのじゃ、ちょっと数字が合わないのですよ、その言うとおり。だから、そういう点、やっぱり数字が出てくるとわれわれもぴんときてわかるので、全く竹田君の言ったとおりだとぼくは思うのです。いま政務次官に質問しているようなんで、ちょっとどういうことでこういう数字をはじいた上でやられたのでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/85
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086・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 政務次官に御答弁いただきます前に、その前にちょっと申し上げさせていただきたいのは、先ほどの資料で御説明をいたしましたように、非常に大ぜいの方が納税者になっております。しかし、今度は税額は、非常に少数の方がたくさんの税額を負担しておるという構造になっておりますが、これはあたりまえのことでありまして、所得税は所得再分配効果を考えて累進税率をとっているわけでありますから、高所得者がたくさんの税金を納められるということは当然初めから予定しておることだと思うのでございます。
ところが、それが今度はどの程度の所得再分配機能を所得税に期待するかということが非常に問題のところでありまして、その累進構造が急激に高まるということになってきますと、いろいろな所得分散のことが起こってまいります。従来からしばしば国会の御審議等を通じまして、たとえば、租税特別措置法による特例措置を廃止したらどうだとか、いろいろ分離課税とかなんとかというのをやめたらどうだというような御議論がございますのですが、私どもぜひそういう方向に進みたい。本来所得税は総合課税であるべきだと思っておるわけでありますが、総合課税のほうに進みますために考えます場合には、なかなかそうまいりません一つの理由は、やはり累進構造があまり急激になり過ぎますと、そこのところが、なかなか総合課税に持っていくことがむずかしくなっていきまして、それが所得税全体を通じて絶えず持っている悩みであるわけでございます。
で、何がどの程度の累進構造がよろしいのかというのは、非常にむずかしいことでございまして、私どもも決して自信を持ってこうあるべきだというようなことを申し上げられないのでございますけれども、しかし、現実のいろいろな動きからいたしますというと、現在の累進構造というのには少し無理があるのではないか。それがいろいろのまた税制上のゆがみにもつながってくるのではないかというふうに考えられるわけでございます。いま御指摘のように、減税額自体は、どういう階層に、どういうふうにするかというふうな——表をごらんになりますと、確かに意外と、上の階層によけい減税することになるのではないかという御指摘でございますが、これ逆に申しますと、現在の納税額が上のほうに相当寄っているという結果でもあるわけであります。
そこで、そういう構造を前提にしました場合に、年内減税をやるという、どういうわけでやるかという契機といたしましては、もちろん経済政策の一環として行なわれるわけでありますけれども、このことのために、公平といいますか、そういうことで、現在の、非常に起こっております、各方面に言われております所得税に対する不平、不満というものが、ますます拡大をする。分散等を通じていろいろなことが言われるということを、少しでもさらに拡大するという傾向だけは、私どもとしては何とかこの際、よりいわば弊害を拡大することだけは避けたいという気持ちが非常に強いのでございます。そういう前提での案でございますので、いろいろ御批判はあることと思います。
以上だけを補足させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/86
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087・船田譲
○政府委員(船田譲君) 主税局長から詳しい答弁がございましたので、私は、今度の減税の概括的な考えだけを申し上げたいと思いますが、なるほど乗数効果から言うならば、公共事業に重点を置くのがよろしいとは思われますけれども、今回の場合は、何よりも景気浮揚に対して即効性ということを考えたわけでございますから、そのために多少乗数効果が公共事業では落ちましても、年内に所得減税をやるということの積極的な意味をわれわれは考えたわけでございます。しかし、税法というものは、長い将来にまで一つの理論的な整合性がなくちゃいけないことだと、われわれしろうとながら考えますものですから、その意味で、どの部分を控除で持っていくか、どの部分を税率緩和のほうに持っていくかというような場合に、たとえば、限界税率の階段型のカーブにいたしましても、従来は比較的、控除で下のほうから切ってまいりましたから、いわば課税最低限をこえまして税がかかり出します段階から、急激に階段のいわばけ上がりの部分が上がっていくわけでございます。これもやはり相当直していくことが必要ではないかという考えになりまして、先ほど高木主税局長が申しましたような、景気浮揚だけに着目いたしました場合には、少し考え方が徹底しないじゃないかという御指摘の、言われるとおりでございますけれども、同時に、将来の税率、税制のあり方を考えながら手直しをしたと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/87
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088・竹田四郎
○竹田四郎君 次官ね、今度の減税が出てきた根源というのは、あれでしょう、景気浮揚のために総理から話が直接きたんでしょう。そういう、今度のこの減税の出てきた根源というものを考えてもらわなければ私は困ると思うんですね。あなたも佐藤内閣の、政府の一員ですよ。総理大臣の言っていることと、実際やっていることとずいぶん違うわけですね。これはどう思いますか。もしあなたが、その答弁と同じような答えだというようなことになると、この委員会にひとつ総理に出て来てもらって、一体いいのか悪いのかということを私どもきめなきゃいかぬと思いますが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/88
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089・船田譲
○政府委員(船田譲君) もちろん、総理からも指示がありましたことは事実でございます。われわれもそれに従いまして鋭意やりました結果がこの形になったわけでございまして、これについてはいろいろの御批判はあるかと思いますけれども、しかし、私どもは、たとえば、限界消費性向につきましても、所得の階層によって多少の数字の動きはありましょうとも、大体最低七割、七〇%というものは考えられていいんじゃないかというようなことから考えてまいりますと、千六百五十億の減税というものによって、少なくとも当面千二、三百億円の有効需要の創出ということができるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/89
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090・竹田四郎
○竹田四郎君 どうもここでナマズ問答をやったって、ちっとも当初の政策と税制というものと一致できないわけですね。——これは委員長に、ひとつこの席に総理大臣出て来て、政策と具体的の税制との関係、こうしたものを明確にしてもらわないと、どうも私ども——これは国民全般もそうだと思うのですよ、納得できないと思いますから、この点、ひとつ委員長にお取り計らいのほどを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/90
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091・前田佳都男
○委員長(前田佳都男君) ただいまの竹田君の御要望に対しましては、理事会において十分協議いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/91
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092・竹田四郎
○竹田四郎君 その件は、ひとつ総理にお出ましをいただいて、その席で明確にしていただきたいと思うわけでありますが——いまの議論でおわかりいただいたと思います。
こういう事態で、なかなか不況を脱出することのできない一年間、スタグフレーションが進んでいくであろうと言われている一年間、これは非常にたいへんなことだろうと思います。いずれにしても、低所得層に対する冷たい風というものは、非常に私は、きびしいものとして出てくるであろうと思いますけれど、それがある意味では今後の政治的な紛争へと発展していく可能性も私はないことはない、こういうふうに思うわけであります。
きのう多田委員のほうから大学の授業料の問題一つ見ても、これはかなり関心を呼んでいるわけです。こうした問題で、学生運動がどうなっていくかということも、当然これは懸念される一つであります。そうした点を考えてみますと、来年度、そうした低所得層に対しての減税というものは一体考えているのかどうなのか。新聞によると、その減税を考えていないということでありますけれども、しかし、税調あたりの意見を聞いてみますと、来年度も減税をやれという意見がかなり有力な意見として出されているようであります。来年度の減税は一体どうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/92
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093・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 今回の所得税の改正につきましては、一応、四十七年度以降の所得税ということを頭に置いて所得税法の改正という形をとらえているわけでございます。したがいまして、来年度以降どうするかということにつきましては、切り離して、来年度の予算編成の問題として、歳入歳出全体の問題として考えられることになるはずの問題でございます。ただ、先般も衆議院におきまして、この法案の御審議の段階において、大臣からも御質問にお答えしておりますのですけれども、来年度は、かなり、税収全体の先行きが、まあいわば悲観的であると申しますか、かなり、税収の伸びがほとんど期待できないような見通しでございます関係もありまして、一方において、来年こそは、いよいよ景気浮揚のために相当思い切った公共投資の増加というようなことも考えられなければなりません。そのために公債の増額も必要であろうかという状態でございます。そういう財政事情を頭に置いてのことだと思いますが、大臣からは、かなり来年度の所得税の減税はむずかしいという旨の御答弁があったわけでございます。
一方、ただいま御指摘の、政府の税制調査会におきましては、数日前に来年度の税制改正の審議のためのいわば事実上の第一回の総会が開かれたわけでございますが、その総会では、主として各委員からフリートーキングで御意見が出たわけでございますけれども、その席上、必ずしも所得税には限定されませんで、いろいろな税の問題につきまして、やはりいろいろ現在の負担が重いということとの関連もあり、また景気浮揚対策との関連もあり、いろいろとかなり積極的な減税の御意見があったことは事実でございます。一方において、税制調査会の中におきましても、公債発行にもやはり限度があるべきだという見地から、減税に節度があってしかるべきではないかという御意見もございました。何ぶん第一回のその税制調査会の議論は、いわばフリートーキングの議論でございましたので、各委員がいろいろ御意見を述べられたということでありまして、それを相互に交換して統一したものにまとめるという会ではございませんでしたけれども、御指摘のようにそういう御意見があったことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/93
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094・竹田四郎
○竹田四郎君 これは税制調査会だけではなしに、各新聞の社説でも、来年度の減税、特に低所得層に対する減税をやれという社説等々もかなり多く出ております。そうした意味で私は、もしいまのこの税制を提案されているものを修正して、低所得層に減税の幅をさらに大きくしていくというならば別でありますが、それでないということであるならば、これは当然私は来年度低所得層に対する減税というものをやっていくべきだと、こう思いますが、政務次官どうですか、これはやはりやる気はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/94
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095・船田譲
○政府委員(船田譲君) 来年度の財源の見通し等もまだ全然立っておりません時期でございますので、ここで私ごときが確たることを申し上げられませんけれども、先生の言われた点についても十分検討してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/95
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096・竹田四郎
○竹田四郎君 どうもあまりはっきりした御答弁をいただけないので非常に残念でございますが、税金問題よりちょっと離れますけれども、おそらく百万円、百五十万円の年収の人の年末減税はわずか二千円から五千円ぐらいのものでありますが、おそらく物価と引き違えになりまして、むしろ赤字を残すという形にたるだろうと思うのです。それでも減税対象になっている人たちはまだ幾らか、極端な数字をあげて言えば一円でも二円でも返ってくるわけです。減税対象になっていない人たち、これは一体どのくらい給与所得者の中にあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/96
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097・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 必ずしも的確な資料でございませんのですが、現在所得税を納めないで住民税を納めるというかっこうになっております住民税のみの納税者の数が千四百万ぐらいございます。このほかになお住民税も納めない方があるということになりますので、その数字はいまここにちょっと持っておりませんが、この住民税のほうから見ました数字では、所得税を納めて住民税も納めておられる、両方納めておられる方が二千二百万、それから所得税は納めないで住民税だけ納めておられる方が千四百万、合計三千六百万でございまして、このほかになお住民税も納めないという方も若干あるわけでございますが、その数はちょっといま手持ちがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/97
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098・竹田四郎
○竹田四郎君 当然こういうものは今度のこの減税の中で問題になるんじゃないですか局長。そういうものもつかんでおられないということになると、一体どうも審議をわれわれがまじめになって進めていく価値のある答弁なのかどうなのか私は疑うんですがね。これは当然自治省あたりの数字から推計すれば大体出るわけでしょう。たとえば、均等割りだけ納めておる人数がどのくらいあるかというようなことから考えてみても大体推計がつくわけでしょう。自治省の推計からいけば大体六百万人くらいいるわけですよ、所得税を払っていないで地方税だけとられている者は。もちろんそのほかにもあるでしょう、その辺はなかなか捕捉できないでしょうけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/98
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099・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 所得税を納めないで住民税だけ納めておられる方が千四百七十万でありまして、そのうち所得割りを納める方が五百八十万、均等割だけの方が八百九十万、そのほかにもあってちょっとわからないというのは、住民税も納めておられない方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/99
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100・竹田四郎
○竹田四郎君 だから、私は給与所得者の中でと申し上げたわけです。給与を全然もらっていない人は別ですよ、給与所得者の中でと申し上げたはずですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/100
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101・石川一郎
○説明員(石川一郎君) ただいまのは昭和四十五年の統計でございますが、五百八十二万のうち給与所得者で三百九十七万九千人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/101
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102・竹田四郎
○竹田四郎君 その人たちに対しては政府としてどういうふうに考えているんですか。一方では所得が課税の対象になっている人たちは減税になる、所得税を払っていない人たちに対しては政府としては一体どう考えておるか、非常に風は冷たい、一体どう考えておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/102
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103・船田譲
○政府委員(船田譲君) いま仰せの部分につきましては、新年度の政策において社会保障費等において及ぼしていくという形を考えるほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/103
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104・竹田四郎
○竹田四郎君 厚生省の方が来ていらっしゃると思いますが、そういう保険とか年金とかで救われる人は大体どのくらいですか、これはちょっと数字的にはわからないでしょうけれども、相当おられるだろうと思うんですが、そういうものに対して一体どういう措置を今度の減税あるいは物価の上昇、そういうものと対応してどういうことを考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/104
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105・柳瀬孝吉
○説明員(柳瀬孝吉君) 減税の対象にならないと申しますか、あるいは減税の恩典に浴さない老人とか、あるいは身体障害者、それから母子とかいう方々につきましては、これは経済の発展からともすれば取り残されがちな方々でございまして、まあ私たちも従来の経済成長第一主義というようなことから脱皮をいたしまして、国民生活優先という立場からこれらの方々の施策について今後強力に対策を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
で、社会福祉施策関係のおもな点について若干申し述べてみますと、まず福祉年金の問題についてでございますが、福祉年金は大体対象が現在三百三十万人ほどが受給しております。その中で、老齢福祉年金につきましては、現在月二千三百円の年金額をできるだけ早い機会に五千円まで引き上げたいということで、大幅な引き上げをはかってまいりたい。これは従来の上げ幅に必ずしもとらわれずに、従来は百円あるいは二百円、三百円というふうな上げ方であったわけでございますが、大幅に引き上げてまいりたいというふうに考えております。
それから障害年金、母子年金につきましても、同様大幅な引き上げを考えてまいりたいというふうに考えております。
それから老人対策といたしましては、いま申し上げました老齢福祉年金のほかに、老人医療の医療費の公費負担の問題でございますが、これも保険で支払ってもらう以外の一部負担部分につきまして、公費で負担する制度を創設するようにしていきたいというように考えておるわけでございます。そのほか寝たきり老人、あるいは一人暮らしの老人というようなものの、在宅の老人なんかに対する対策も拡充強化をはかっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
それから心身障害者の対策についてでございますが、これも先ほどの障害年金の引き上げのほかに、障害の発生原因の究明と、早期治療というようなことに重点を置きたい、さらに今年度、重度身体障害者につきまして、福祉向上の制度を創設したわけでございますが、特に今後重度身体障害者の対策につきまして重点を置いてまいりたいというふうに考えております。
それから母子福祉についてでございますが、これも母子福祉年金の引き上げのほかに、児童扶養手当の引き上げ、あるいは母子福祉資金のワクの拡大とか、貸し付け限度額の引き上げとか、あるいは利率の引き下げ、そういうようなことについてひとつ改善をはかってまいりたいというふうに考えております。
それから社会福祉施設の整備充実でございますが、これも昭和五十年度までには寝たきり老人の収容施設、あるいは重度の障害者の収容施設、あるいは保育に欠ける児童保護のための保育所等の整備につきまして、五十年度までに収容、あるいは保護を必要とする方々をすべて収容できるように施設を整備したいということで年次計画をもって進めていく計画でございます。
それから生活保護でございますが、これも生活保護を受けている方の七四%は老人あるいは心身障害者、それから母子世帯でございますが、今年度も保護基準を一四%引き上げてまいったわけでございますが、特に老人は一七%の引き上げをはかっておりますが、来年度も物価上昇、その他国民生活の動向を勘案しながら必要な引き上げをはかっていきたいというふうに考えております。
以上、大体おもな点につきまして御説明を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/105
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106・竹田四郎
○竹田四郎君 いま厚生省で言われたこと、私は決して十分じゃないと思います。非常に不十分な点がたくさんあると思うのです。政務次官、この厚生省の予算というのは、財源が足りないときには一番先にやり玉に上げて切るのですが、来年度はどうしますか。この人たちは、私は、そういう意味では非常にこのままではきびしい生活におとしいれられると思うのですが、いつも大蔵省、切りますね。今度はいま述べたくらいの程度のことは全部実施してくれますね、先ほどのお話の点ではね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/106
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107・船田譲
○政府委員(船田譲君) 佐藤内閣の二大政策というのは、社会資本充実、国民福祉の向上ということでございますから、いまの線につきましては十分前向きに進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/107
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108・竹田四郎
○竹田四郎君 しまいのほう、よくわからなかったのですが、認めますね、認めるか認めないかはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/108
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109・船田譲
○政府委員(船田譲君) 社会保障の充実の点につきましては、十分努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/109
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110・竹田四郎
○竹田四郎君 まあおそらく私はそのとおり——これでも足りないのですからね、決して多いわけではないのですから、このくらいのことは——三百万円以上のほうに、この冷たいあらしの中で、たくさん減税やっているのですから、私は当然ここには、みずから生活していく能力のない人たちは多いのですから、片方に所得割り等の減税をやっていくならば、こっちだってやるのがあたりまえだ、減税の恩典受けてないのですから。で、そういう施策のある人はまだいい。こういう施策のない人に対してはどうしますか。たとえば、極端な例で恐縮ですけれども、まあ学生なんかを考えてみますとね、必ずしもいま学生というのは、親元から生活費を含めて全部きているという学生というのは私は決してそう多くないと思う、全体から占める割合は。若干きていても、自分でアルバイトをやっていく、そうして生活費あるいは学費をかせいでいる学生というのは全国で相当な数だと思う。この人たちも減税の恩典というのには現在浴さない人です。これまた非常にエネルギーが固まっている人たちでありますから、考えてみればたいへんな問題もその中には含まれている層だと思う。そうしてさらに先ほど言われました三百九十万です、地方税だけ納めていて所得税の恩典にはあずからない、しかし所得があるからというので、いろいろな厚生省関係の福祉の救済にはあずからない人、こういう人たちが先ほど申しました経済の落ち込み、物価高、こういう中で一番いじめられる、冷たい風にさらされる層だと思う。これ、どうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/110
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111・船田譲
○政府委員(船田譲君) いわゆる社会保障政策の対象からははずれ、この所得減税からもはずれている階層の問題を取り上げていらっしゃるのだと思いますが、所得税減税の問題だけですべてこれ解決するということは確かに無理があると存じます。したがいまして、今後の政策の進め方におきまして、この限界の間にある層についての施策をやはりきめこまかに考えていかなければならないと私は考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/111
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112・竹田四郎
○竹田四郎君 きめこまかに考えていかなくちゃならないというようなことは三歳の童子だって同じような答弁ができる。あなたは各官庁の中の一番実力を持っている大蔵省の次官でしょう。つとめていきますくらいでは、目の前に差し迫った問題はどうにもならないですよ。これひとつどういうふうにするか出して下さい。具体的に。そうでなければ、片方ではこういう減税やる、片方では物価は上がる、職はなくなる、一体この層をどういうふうに救済するつもりですか。これ明確に出してもらわなければ、努力をするとか、検討してみますでは問題は済まないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/112
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113・平井廸郎
○政府委員(平井廸郎君) 先ほど御指摘の、国税は納めていないが、地方税のみは納めているという階層、これらにつきましては、確かに国税の減税の問題では処理できませんし、一方そういった担税力のある階層でございますので、社会保障の対象にもならない。したがいまして、そういう谷間の層をどうするかという問題は、確かに御指摘のようにむずかしい問題でございますが、まあ率直に申しますれば、それはまず第一義的には地方税の問題であろうかと思います。ただ地方税の問題は、(「地方税の減税にならぬでしょう」と呼ぶ者あり)地方税の所得税割り等を納めている階層が主力でございますが、それらにつきましては、地方税の問題ではございますが、来年度の地方財政の状況その他非常にむずかしい問題がございますので、現在の段階でどのような施策をとるということは残念ながらまだ申し上げるところまで至らないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/113
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114・竹田四郎
○竹田四郎君 それではどうにもならぬじゃないですか。それでいいと思っていらっしゃるのですかね。それは地方税の問題という人のふんどしに期待をかけているというのではこれは困ると思うのですね。具体的にそれどうするのか。この減税と対応して一体どうするのか。救済措置のある厚生省関係のほうではこうすると言っている。あなた方のほうではこういう層に対して一体どう処置していくか。きのうも大蔵大臣は、大学の授業料は上げる、上げなくちゃならぬと思うとおっしゃっておられる。公共料金は上がってくる、一般物価も上がってくる、仕事はない、減税の恩典には浴さない、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/114
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115・船田譲
○政府委員(船田譲君) たいへんむずかしい問題でございます、正直に申し上げますと。確かに地方税の均等割りも納める階層までいってなくて、そして社会保障の対象にもならないという間の階層というものをどう救済していくかというような問題は、ほんとうにむずかしい問題でございます。それで実はきのう大蔵大臣の御答弁の中に、大学の授業料の話が出ましたが、国立大学の問題でございますけれども、負担の公平化という点に着目すると問題があると申し上げたのでございますが、必ずしも幾ら上げるということを申し上げたわけではございませんが、いずれにいたしましても、勤労しながら、つまりアルバイトをしながら大学に通っておる学生諸君の救済の問題でありますと、どうしても奨学資金制度の充実ということにならざるを得ないと思う。またその社会的な環境をどういうふうに整備していくか、国立大学の寮の問題とか、いろいろございますが、そういう特に個々のケースに応じてやっていかなければならない問題がございますからむずかしいと申し上げたのでありますが、われわれも一個の政治家といたしましても、その問題については十分先生の御指摘を腹におさめまして、検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/115
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116・竹田四郎
○竹田四郎君 時間ですからもう一問で休憩していただければ幸いと思うのですが、自治省の方お見えになっておられますか——自治省の方、いま大蔵省のほうでは、地方税均等割りまでなくしちゃって、そういうところへ減税の恩典をそういう形でやったほうがいいという趣旨に聞こえる御発言があったのですが、自治省としては、均等割りまで含めて減税されるのですかどうですか。所得割りのほうは所得税の減税があればそれに応じていきますから、幾らか間接的に恩典があるわけですけれども、均等割りの人はない。自治省はそうした点で来年度の減税、こうしたものをやらざるを得ないことになりそうなんですけれども、やる気はあるのですかないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/116
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117・石川一郎
○説明員(石川一郎君) 御案内のように、昭和四十七年度の地方財政の見通しというものを、国と同様に立てることは非常に困難でございまして、現在の見通しでは、かつてない苦しい状態になるのではないかといま考えられるわけでございます。したがいまして、昭和四十七年度の地方税の減税を考えるにあたりましては、住民負担のことも当然考えなければなりませんが、あわせて地方財政の実態、これに対する対策というものを考えながら検討を進めていかなければならないと思うのでございまして、政府の税制調査会でこれから検討が進められますが、その御審議を得て慎重に考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/117
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118・松永忠二
○松永忠二君 ちょっと関連。先ほど給与所得者の話が出ていましたね。今回は給与所得控除が行なわれないのに、当初は七百五十二億もやられていたわけですが、ここに調査室の資料で「昭和四十四年度分所得階級別、人員、所得、税額」というのが出ているわけです。ちょっと見て下さい。これのひとつ給与所得者と申告所得者のこの階層別で、一体今度減税が総額どのくらいずつあったか、これをひとつ出してみてください。申告所得者と給与所得者があって、五十万以下、七十万、百万、百五十万と出ています。この層が今度の減税でどのくらいずつあったのか総額だけでけっこうです。この総額へ当てはめてみてください。私たちは、給与所得者の問題、やはりあるのではないか、それと、今度の減税の場合に、給与所得控除を全然やらないわけですからね、だから、四十四年の所得階級別のこれに今度の減税がどのくらい該当するのか。これひとつ出していただくと、一体今度の減税で給与所得者なり申告所得者のどこの層がどのくらい一体減税を受けるのか、これははっきりするわけです。その減税の額を階層別に当てはめてひとつ出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/118
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119・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 先ほど来のお話ありました資料と一緒に大至急検討して提出申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/119
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120・前田佳都男
○委員長(前田佳都男君) 御提出願います。
午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時三十八分休憩
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午後一時三十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/120
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121・前田佳都男
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、「所得税法の一部を改正する法律案」及び「農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案」を便宜一括して議題といたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/121
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122・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私は、きょうは所得税法の改正だけに限定をして質問をしてまいり、農業共済再保険については十六日に触れることにいたしますので、御理解をいただきたいと思います。
まず第一に聞いておきたいんですけれども、きのう、相当膨大な資料を要求したんですけれども、成瀬理事のほうから連絡がありまして、その資料については主として四十七年度の見通し関係だから、あとで大臣の出たときに、しかし、きょうの質問については、政務次官なり、あるいは主税局長なり関係局長の中で、質問できるものはその範囲内でやっていただく、こういうことでやってまいりたいと思うんで、その点をあらかじめお断わりしておきたいと思います。
まず第一に、四十六年七月の三十日ですが、長期税制のあり方の答申がありましたね。この答申は、今回の減税対策にも適用されると理解していいですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/122
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123・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 長期税制に関する答申は、長期という意味は別に何年というあれはございませんけれども、先々の見通しを持った税制調査会の御意見ということでございますので、七月三十日の段階で、今回のように所得税の減税がとられるということは、予想はされておりませんでしたけれども、逆に、今回私どもが所得税改正の具体案を立てさしていただくにつきましては、長期税制の考え方を、いわば横に見ながら、それにはずれないようにという気持ちでやったつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/123
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124・戸田菊雄
○戸田菊雄君 はずれないというのは適用と見ていいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/124
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125・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) これは毎年の税制改正についての御答申と違いまして、大体の御方針でございますから、適用というのはちょっと強過ぎるかもしれませんが、大体その線に沿ってという意味ではおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/125
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126・戸田菊雄
○戸田菊雄君 四十六年七月三十日の「長期税制のあり方についての答申」の骨格は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/126
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127・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) まず第一は、基本的な考え方は、税全体としての負担水準は、国民所得がだんだん伸びていくということとの関連で、税負担がなだらかに上昇していく、急激になってはいかぬが、少しずつ税負担が上昇していくということは、従来もそうであったが、今後もそういう方向ではないかということが一点でございます。ただし、高福祉、高負担ということが言われておるけれども、しかし、高福祉なるものの内容などが明らかでないし、それからまた最近非常に経済事情が変化を来たしておって、諸計画等がはたして妥当するかどうかが問題なので、そういう点を考えて、最近の情勢を前提としての国民が納得できる経済計画なり、資源配分計画なりがまず示されるべきであろうということが言われており、また歳出の効率化と、負担の公平ということはたえず注意しなければならないということが言われております。それが税負担に関する事項でございまして、税体系としては法人税と所得税と間接税とがそれぞれ大体三分の一ずつをいま占めておるが、所得税負担、法人税負担は現在のような地位でいいのではないか。このままであると間接税の地位がだんだん低下することになるのだが、その点については今後とも、間接税の具体的な内容にもよるけれども、はたしてどんどん低下していくということでいいかどうか検討の必要があるという角度かと思います。
〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
あとは国税、地方税についてたいへん御議論があったわけでございますが、この点については一面においては税体系としての整合性、国税、地方税を結ぶ整合性の確度、それから当然地方税には地方自治の問題がからんでくるので、そういう点からの関係で、なお検討すべきであるということで、必ずしも地方税については明確な結論が出てございません。
最後に、租税特別措置につきましては、従来も同様でございますが、特定の政策目的を達成するための手段としてあるものなのだから、たえず経済効果等を洗い直してみて、情勢の変化に応じた整理統合を行なうべきであるという御意見でございまして、その四点が主たる内容で、あとは細目にわたるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/127
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128・戸田菊雄
○戸田菊雄君 まあ結局いま主税局長も言われたように、一つは高福祉高負担、それからもう一つは税負担の公平論じゃないですか。そういうものを土台にして、直接税中心から間接税移行態勢ということで構図を描いた、これが端的に言ったら、さきに出された長期税制答申の内容じゃないですか。そう理解していいですか。もちろんこの直接税から間接税への直間比率関係から言って、いままで福田大蔵大臣もいろいろ答弁をしておりましたけれども、その辺の論拠が土台になって付加価値税の導入検討云々ということも出されてきておりますね。結果的にEC体制というものが一番いいのではないかということが税調の中ではいろいろ論議をされている、これはあとで触れますけれども、いずれにしても骨格はそういう理解でいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/128
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129・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 大筋はそういうことだと思いますが、ただ間接税については、現在まあ三分の一というウエートを占めている間接税が、だんだん三分の一以下に落ちていくと、それについて間接税が税体系において適切な位置を維持するよう配慮を加えることは必要であるということを言っておられるが、さて、具体的にどういう方法で間接税が適切な地位を占めるべきかということについては、一般消費税の検討もあげてはおられますけれども、必ずしもいま言われましたような意味で、明快に付加価値税を導入すべきだというふうなことではなく、綿密かつ掘り下げた検討が必要だという程度にとどまっていると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/129
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130・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いま答えがありましたように、そうしますと、私はここで一つ確めておきたいのは、高福祉、高負担の問題は、あとで財政主導型の問題と、財政に関係がありますからそっちに譲りますが、問題は、税負担の公平、こういうものは今次の——ただ今回のやつは千六百五十億の減税体制ですから、全体の課税を含めて税負担の公平ということがいわれるわけですから、一面通行でちょっと理解しにくいかもわかりませんけれども、この税負担の公平論は、やはり減税に対しても私は当然適用されていくべきものだと思うのですね。ですから、そういうものが十分加味をされてやられておる、こういう理解でいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/130
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131・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 当然税の公平は、租税制度として公平性が基本でございますから、御指摘のようなことであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/131
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132・戸田菊雄
○戸田菊雄君 ついでに、税調の関係で、もう一つは課税単位の変更ですね、この時期的見通しを、主税局長として持っておれば聞かしてもらいたい。内容は、稼得者単位から消費世帯単位、あるいはわれわれが主張してまいりました二分二乗方式、こういういろいろ内容があると思うのですが、その他含めてけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/132
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133・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 課税単位の問題は、税制調査会の答申においても指摘されておりますとおり、私どもといたしまして大至急に検討されるべきものと思っております。ただし、課税単位をもし改むべきであるということに結論がそういう方向になります場合には、かなり多額のいわば減税財源が切りかえの時点において必要になるということになりますので、そこでいかなる時期にどういうふうな形で導入されることになるかという時期の選択は非常に問題があろうかというのが一点と、その前に、税制調査会の答申の中におきましてもきわめて詳細に触れられておりますが、いろいろ、たとえば二分二乗でございますと、独身世帯であるとか、共かせぎ世帯であるとかが相対的に不利になるという問題がございましたり、また税務執行上もいろいろと問題がありますので、現実的に公平論として各世帯間のバランスとして国民の納得が得られるものかどうか、また執行上何とかある程度簡素化をはかりながら実現可能なものであるかどうか、これを具体的に詰める作業をまずやるべきものと思っておりますし、すでにこれは着手しておりますけれども、今年はこういう緊急の事態になりましたので、見送らざるを得なかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/133
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134・戸田菊雄
○戸田菊雄君 もう一点、主税局長が従来主張してきたように、四十八年ということで時期的には差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/134
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135・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 経済情勢がかなり急変をいたしまして、四十七年度以降の財政事情がはなはだ見通しがむずかしくなってまいりました。四十七年度はおそらく相当な国債を大きく発行しなければならないような事態になると思いますし、四十八年度は、どういう事態になるかわかりませんが、はたして相当積極的に減税を押し進めることになるかどうかがわかりません。ただいま申しましたように、課税単位の変更はかなり多くのいわば減税財源があるというときでないとできないものでございますから、私が数カ月前に考えておりました時期に比べますと、ややちょっと問題が遠のいたと申しますか、財政事情がこうなってまいりましたので、なかなかむずかしくなってきたなという印象を率直に持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/135
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136・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それでもう一点聞きますが、年次計画で、たとえば三年計画で、四十七年からやるとすれば三年計画でやる、四十八年からやれば二年計画でやると、そういう段階的にやっていくのか。
もう一つは、それに要する、おおむね概算でけっこうですけれども、財源はどの程度考えられておるか。もしその辺まで検討が入っておるとすれば聞かしてもらいたい。
〔理事嶋崎均君退席、理事柴田栄君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/136
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137・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 切りかえにあたって一番重要なことは、独身世帯とか共かせぎ世帯と夫婦世帯とのバランスが課税単位の変更によって現在よりもよくなるかどうかという問題でございますので、まずいろいろ検討した上で、それをまあ一般の世論に問うといいますか、そういう手続が必要になるだろうと思います。そこで、その場合に経過的にやることができるかどうかは、ちょっとまだ具体的にその案ができませんと、その案のいかんによりましては、段階を追うていくこともできるかもしれませんけれども、まだ私どもの頭の中では段階的にやれるような性格のものなのか、一挙に切りかえていかざるを得ないものなのか、その辺の検討が十分でございません。
それから財源の問題につきましては、ちょっとまだそこまで検討はいたしておりませんが、おそらく相当、先ほど午前中の委員会で御説明いたしましたように、毎年平均の減税額千四、五百億というような程度のものでは、切りかえ時にはとてもその程度の財源では不足でございまして、それに数倍する財源がある時期に、いわば使えるというかっこうでないと切りかえがなかなかむずかしいのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/137
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138・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そのよくなるかどうかの検討ということは、これはよくなるのじゃないですか、明らかに。これは主税局長どこかで発言していると思いますが、だから一人三百万円所得があるという場合に、それを消費世帯単位に変更すれば、おくさんと半分になるということになりますね、あるいは共かせぎの場合は子供さんも含めて三人ということになれば百万ずつになりますね。当然やっぱり課税額というものは低くなっていくことは間違いない。その限りでは変更ということはよくなっていくのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/138
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139・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) すべてのどのような家庭についても制度の切りかえに伴って結果的に増税が起こるということは考えられませんので、ただいま御指摘のように、特に夫婦世帯についてはよくなりますし、共かせぎの場合でもよくなることは間違いないと思いますけれども、しかしよくなる程度が、みな世帯の姿によりまして、よくなる程度がたいへん違うことになりますし、所得階層別にもたいへん違うことになります。諸外国の例を見ましても、一ぺんにこう切りかえをやっておいて、少し夫婦世帯がよくなり過ぎたからということで、アメリカのように独身世帯についてあとで手直しするというようなやり方をしている国もございますし、いろいろでございます。よくなることは間違いありませんけれども、相対的に一方がよくなり過ぎと申しますか、独身世帯のほうはあまりにもよくなる程度が少ないというか、ほとんどよくならないというか、そういう問題がいろいろあると思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/139
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140・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これは要望ですけれども、すでにアメリカ、フランス等でも実行済みですから、そういう意味合いでは、日本もGNP第二位ということなんですから、早急に検討してもらうことを要望として話をしておきたいと思います。
それで問題は、今回の改正ですけれども、さっきお答えがありましたように、景気浮揚対策、こういうことで千六百五十億円の減税対策をとったわけですね。過日のわが党の衆参大蔵部会の中で、主税局長等が来られまして、いろいろ説明を聞いた際に、その効果ですね、消費需要効果についてはどのくらいだ、こういうことに対して一・七%ですね、それから景気浮揚に寄与する、これは公共事業ですけれども、これは一・八%、こういう説明があったのですが、それは間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/140
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141・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 一・七%ではございませんで、いわゆる、私も詳しく存じませんが、乗数効果が一・七ということでございまして、たとえば一億減税をしたら一億七千万円の刺激効果があるという意味で一・七という数字を申し上げたわけでございます。で、そのときに、あるいは公共事業についての乗数効果は一・八と申し上げたかもしれませんが、その辺はまだ、いろいろの公共事業についての乗数効果については、いろいろな数値があろうかと思いますので、企画庁のほうから答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/141
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142・戸田菊雄
○戸田菊雄君 じゃあいいです、ちょっと関連して。それはまあ乗数効果と、こう言い直されましたけれども、景気浮揚効果としては、いずれにしても一・八%。そうしますと、きのう、大蔵大臣の今後の経済成長との関係、一度に景気が落ち込んで、いま不況状態になっている。企画庁の調べですと、四十六年度当初見積もり予算の際には一〇・一%、これがこの調子でいくと、補正予算段階で五・五%程度に落ち込むんじゃないか、こういうことですね。今回の減税効果によって浮揚寄与率というものはわずか一・八%ですから、五・五%と一・八%、水田大蔵大臣としては少なくとも七、八%の成長台に乗せたい、こういうふうに言っていますが、そこまでは到達しかねると思うのですが、その辺の見解はどうですか、企画庁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/142
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143・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) ただいまのお話、私どもの昨今改定しました経経見通し五・五%ということでございます。で、これは公共投資を含む、補正予算、それから所得税減税の効果というものを織り込んだ見通しでございます。で、先生いま言われました七、八%というお話は、おそらく来年度の見通しに関連した数字じゃないかと思いますが、まあ来年度の問題につきましては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/143
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144・戸田菊雄
○戸田菊雄君 補正後ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/144
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145・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 補正後の年度の見通しとして五・五%というのを、本年度の見通しとして出してあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/145
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146・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 昨日大臣が八%と申しましたのは、来年度であると思います。八%いくのがなかなかむずかしいと申しましたのは、来年度の話であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/146
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147・戸田菊雄
○戸田菊雄君 だからぼくは補正後と言っているのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/147
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148・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 補正後ではございません。本年度ではなくて、来年度として大臣は言われたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/148
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149・戸田菊雄
○戸田菊雄君 ぼくのきのう大臣への質問は、正確に読んでみますと、四十六年度の経済成長は、当初の一〇・一%が、今回の改定試算で五・五%、半分になった。したがって、四十七年度の経済としてはどんな見通しを持っているか、こういうことです。だから、補正後来年の見通しをどうするか、いまの質問と変わってないと思うのですが、企画庁どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/149
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150・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 補正を織り込みました本年度の見通しが五・五%という成長率になるわけでございます。で、来年度の見通し、当然今度の補正の効果というものも年度内よりはもっと本格的に出るということが期待されるわけでございますが、そのほかに、来年度予算の財政の積極的な運営その他によりまして、来年度の経済をできるだけ早く浮揚したいというふうな考えになるわけでございます。
どういうふうな見通しになるかというと、なかなか現在内外の情勢非常に流動的でございまして、的確な見通しが困難でございますが、年内にはある程度の見通しをつけなければいけないと、こういうふうに考えております。ただ感じとしましては、最近まで、昨年の上期まで景気を引っ張ってきました設備投資というものが、おそらくここ当分弱いものであるということと、それから今度の国際通貨不安の関連で、輸出についてもかなりの問題が出てくるという点で、そう大きな急上昇ということはなかなかむずかしいのじゃないか。ただ消費——個人消費とか、あるいは住宅投資、それから在庫投資が非常に異常な低水準になっておりますと、これがマイナスにならない、むしろプラスの方向に動くというふうな一つの基盤の一応固さというものがあるわけでございます。その上にこの財政の運営によってどれだけ景気が浸透していくかということにかかってくるわけでございますが、私どもとしましては、まあ本年度より落ち込むことはないと思いますが、年度内に逐次需給関係というものが改善されまして、景気が浮揚していくということを期待したい。また、そういうふうな政策運営が必要であるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/150
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151・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これは四十七年度の見通しになるのですけれども、せんだって大蔵大臣が、四十七年度には五千億減税をやりたいという構想を発表したことがある。主税局長、御存じだろうと思うのですね。しかし、今回、年内減税ですね、補正減税で千六百五十億しかやらないのですから、だから、大臣がいればその見通しについて当然質問するところですが、それは省略します。まあ、いずれにしても、千六百五十億円と五千億ですから、そうすると三千三百五十億ですか、これが今回の減税対象からはずされたという理解をわれわれは持つのですがね。ですから、そういう角度からいけば、当然四十七年度はそれに見合う、当初大蔵大臣が発表した五千億に近い減税措置というものを打ち出すべきじゃないかというふうに考えるのですが、その辺の検討内容はどうですか、事務当局として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/151
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152・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 五千億という数字は、当時新聞等でよく出ておった数字でございます。ただ、大臣は、そういう数字はどこでも申していないと思いますが、これは大臣にお聞き願いたいと思いますけれども、そこで、いずれにしても来年度を中心にしてかなり大幅な減税をしたらどうかなということを大臣が言っておられた時期がございます。ところが、その後減税も、こういう景気情勢のもとにおいて非常に経済政策として有効であろうということになりましたのですが、その場合に、どうも規模の問題よりは、むしろ早くやるということが非常に問題ではないか。特に減税の効果というのは、先ほど来いろいろ御質問でございましたように、消費を刺激するということでございますので、一番消費意欲の旺盛な年末にかかるほうがより効果的であるということが一点と、普通に減税いたしますと、サラリーマンの場合でございますと、毎月毎月の給与から引かれる税が去年よりは減っていくというかっこうになりますけれども、年末調整なり確定申告で減税効果があらわれますと、そこでまとめて減税効果が出ますから、そういう意味で繰り上げ減税というのは、額はわりあいに小さくても効果は早く出る可能性があるということで、多少考え方を変えられて、年内減税のほうに踏み切られたものというふうに私どもは理解しておるわけでございます。いまの御質問とほぼ同趣旨の御質問が他の場においてございましたときの大臣の答弁でも、確かにもう少しできれば大きい規模のということを考えていないではなかったけれども、それよりも、むしろ時期ということを選んでこういうふうにしたのだというふうな答弁をしておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/152
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153・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それで、企画庁にお伺いするのですが、きのう大臣が、四十七年度七、八%まで伸ばしたい——その心境は、おそらく自分の心の中には、四十七年度五千億減税を見送って一もちろん、この景気浮揚対策は減税だけではないけれども、財政、金融各般の問題があるでしょうけれども、減税面からの浮揚策は大体五千億見当、こういう心境じゃなかったかと思うのですね。ですから大蔵大臣が言った七、八%までいくということであれば、企画庁としてもおおむね減税部面に金額にして五千億程度なっていかなければいけないのじゃないかと思うのです。その辺の心境はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/153
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154・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 大蔵大臣の七、八%と言われたこの数字の根拠を、私どもは存じておりませんけれども、先ほど私が申し上げましたような感じで、来年度の成長率を一応ラフにながめた場合の姿としましては、おそらくいままでのように一〇%成長にはなかなかいけないということ、それから、少なくとも本年度の成長率を割るということは、これは絶対あり得ない。そういうことで、まだ精密な作業はやっておりませんけれども、一つの現在の状態を、実勢というものを考えて、またその政策的な判断を加えた場合の一つの姿として、そういうふうな数字を言われたのではないかと想像しますが、細部については私存じ上げておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/154
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155・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 衆議院の大蔵委員会におきまして、大蔵大臣が御質問にお答え申したものの速記メモでちょっと申し上げますと、「これは来年度の問題として考えておりましたが、こういう経済情勢でございますので、これを本年度繰り上げてやるという考えで今度の減税案をつくったことでございますから、これは当然来年度適用される減税だというふうに私は考えております。」——途中飛ばしまして、「私としては、これを来年度適用すれば、それで来年度は減税になっておるわけでございますから、これ以上の余裕が来年度の歳入の見込みからはむずかしいのじゃないかというふうに考えています」というふうに実は衆議院のほうでは答弁をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/155
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156・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それで、この財政主導型問題と若干関係がありますから質問してまいりますけれども、補正予算以降、だいぶ最近財政主導型、いわゆるこの主導型の経済運営が必要だというようなことを言っているわけですね。
〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
それが今日GNP中心、民間設備投資型の経済運営の、今日ある面での破局を救う政策である。これが財政主導型の国民福祉への充実になる。こう言っているのですが、それはそのとおりと理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/156
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157・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) それは、大臣のお考えはそのとおりであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/157
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158・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そこで、この財政主導型によって政府投資ないし移転的経費ですね、社会保障費、これが大幅にふやされるということは私も賛成でございますけれども、しかし、政府がいま言っている財政主導型というのは、歳出面の、しかも国民の受ける部分なんですね。これは言っている。言っているのですけれども、財政主導型をほんとうにやるとすれば、一方の歳入、これを私は当然問題にしてこなければいけないと思う。この財政主導型の場合の国民負担というものは一体どういう構想なのですか。その辺、主税局長どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/158
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159・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) その財政主導型という場合の、主として来年度に関連して申し上げますと、公共投資を相当増額をして、そして景気刺激をはかろうということだと思いますが、その場合には、相当思い切って建設国債を発行してででも公共投資をやるべきだ、こういうお考えだと思います。その結果租税負担がどうなるかということにつきましては、経済全体がうまく運営がいきまして、国民所得が大きくなるか、それほどいかないかということによって、つまり負担率の分母の部分がふえるかどうかということによってきまりますので、何とも言えませんですけれども、来年度のような場合には、負担率は常識的にはそう上がるはずはないという傾向になるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/159
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160・戸田菊雄
○戸田菊雄君 結局、私は、四十年当時ですか、財政新時代をうたったことがあるのですけれども、そんなものじゃないかと思うのですけれども、いずれにしても、ここで財政主導型の裏側は、さっき言ったように高福祉、高負担、その高負担に該当するのではないかと私は考えるのですね。ですから、そういうことで考えてみますと、財源調達を財政主導型の中で、どういう方法でやっていくか、こういういわばプランというものがなくちゃいけないと思うのですね。そのプランがおありですか。あればその内容を発表してもらいたい。財政主導型におけるところの財源調達法。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/160
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161・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 来年度の問題としては、あまり多くの新しい税源を求めるということは、こういう経済情勢のもとにおいては考えられないのではないか。主としてそういう大規模の歳入の財源は公債に依存せざるを得ないのではないか。ただ、もちろん手直し程度にはいろいろいまくふうをいたしたいと思っておりますけれども、大きな規模のものはあまり考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/161
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162・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いまの主税局長の答えでも、歳入面の具体的な計画というものは明らかにされてないのですね。それはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/162
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163・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 実は歳入につきましては、経済がこういう状態でございますので、おそらく法人税等につきましても、いわば非常に見込みは暗いのではないかと思っております。御存じのように、いわゆる自然増収額は四十六年度の当初予算では約一兆五千億でございましたけれども、その前の四十三年度は一兆三千七百億ということでございました。またその前の年も一兆二千億というかなりの大規模のものでございましたが、四十七年度にはとても一兆にのるというような大きな自然増収は期待できないわけでございまして、先ほど来企画庁から御説明がございますように、経済の見通しがわかりませんので、私どものほうも歳入見通しを立てるに至っておりませんけれども、見当としては、ここ数年来の歳入見積もりから比べれば、非常に小さい自然増収しかないであろうと思われます。
しからば、その不足額を何か新しい措置によって期待するかということでございますけれども、もちろんいろいろ租税特別措置等のかねてからの懸案事項もございますが、金額として大きな税収の期待というものができるような事項はあまりないのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/163
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164・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私は、過日の予算委員会の審議の議事録を見まして、どうもやっぱり、いま主税局長もちょっと漏らしましたけれども、国債発行と、こういうことですね。四十年当時もそうだったと思うのです。不況、そうして赤字公債を発行する、特別措置を立法化さして、そうして当時一千九百億ですか、初めて国債発行に踏み切った。当時、言い方としては財政新時代ということで、これさえ、公債を発行して建設公債を回していけば非常に景気はよくなる、こういうバラ色を描いたと思うのです。今回も不況になって、大量に国債をかかえて、やはり国民に対して、バラ色で、これさえやっていけばよくなるのだよというようなことを言ってる。そういうものとやや同じ内容というものをやってる。当時の財政新時代というものはやっぱり破綻したんでしょう。これからより一そう多額の公債を発行するという、そういう意味合いでは、私は一種のごまかしではないかと思うのです。そこで結局は、この国債発行の土壌づくりということになりますかね、そういう理解はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/164
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165・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 土壌づくりというか、税収は減りますし、一方において公共投資をふやして景気刺激をはからなければならないということで、率直に申し上げて、やむにやまれず公債によって財源を調達する、そうせざるを得ない、率直のところ、そういうところに追い込まれて国債を発行せざるを得ないという現状ではないかと理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/165
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166・戸田菊雄
○戸田菊雄君 大臣は予算委員会で、国債政策は臨時的で、一時的な景気浮揚対策として採用してきた、こういう趣旨の答弁をしているのですね。でき得れば四十八年ごろでこの国債政策から脱却をしたい、こう言っておる。そういうことになりますと、四十八年まで景気浮揚ができて完璧な財政体制がとれるか。そうでなければ、その国債依存体制というものを脱却したあとは、何にたよって歳入の確保をはかっていくかということになると思いますが、それは税金しかないんじゃないですか。そういう面についての見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/166
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167・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) その点についても、先般の国会の他の場所での大臣の答弁では、景気浮揚対策は四十七年度一ぱいにはやって、そして四十八年度以降は公債発行額をすみやかに縮小することができるようなほどに来年度の景気が浮揚するようにしたい、こう言っておられますが、その後のことにつきましては、当然ある程度景気が上がってくれば税収に期待することができるであろう。さてそれだけでは不十分で、何か大規模の増税をはかるような考えがあるかないかということについては、まだ先々の問題であるし、たとえば、付加価値税というような問題についてもなかなかむずかしい問題があるので、そこまで具体的には、そう短期の問題としては考えていられないように答弁をしておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/167
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168・戸田菊雄
○戸田菊雄君 どうもそれでは私は矛盾を感じてしかたがない。財政主導型、国債依存、それで財政の確立をはかる。財政主導型というのは、長期展望に立った政策だ、こう言うんですね。しかし、一面国債を四十八年で打ち切るというんでしょう。そうすると、一体長期か短期かという疑問が出てくるのです。そう感じませんか。一体財政主導型というのは長期に及ぶ政策ですか、短期ですか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/168
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169・船田譲
○政府委員(船田譲君) 長期の財政政策だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/169
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170・戸田菊雄
○戸田菊雄君 現行の税制体制からいって、ここ四十八年ごろまでに国債をやめるような状況に、日本の財政はいきますか。見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/170
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171・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 前回の四十年のときからの経過を見ましても、とうてい国債の発行をなくすとか、それから発行額を急激に減らすということは現実問題としてはなかなか困難だと思いますが、四十年来四十五年までの足取りでもおわかりいただけますように、ある程度のテンポでの減少、削減は可能ではないであろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/171
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172・戸田菊雄
○戸田菊雄君 もっと一ぱいあるのですが、あとは全部大臣に関係することですから、政策上の問題ですから、ここで財政主導型の問題は一応打ち切っておきます。事務当局の見解は一応聞きましたから、あとで大臣とかみ合わせてひとつ質問していきたいと思います。
そこで、当面の減税対策について具体的な問題を質問したいと思います。
まず、いまの税金は、どこから見ても、大蔵省がどう弁解しようと、所得税に限っては生活費に課税されているのは間違いないと思います。あとから具体的に指摘したいと思いますが。
そこで、いま税金の種類は何種類ありますか。国税、地方税、法定外税、三段階でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/172
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173・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 国税の歳入税目で、ちょっとお恥ずかしいのですが、二十二、三かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/173
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174・戸田菊雄
○戸田菊雄君 地方税は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/174
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175・石川一郎
○説明員(石川一郎君) 地方税の法定税は二十五税目あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/175
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176・戸田菊雄
○戸田菊雄君 法定外税は。道府県の場合、市町村段階。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/176
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177・石川一郎
○説明員(石川一郎君) 道府県関係では法定外税はございません。市町村関係では八税目程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/177
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178・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いまの答弁の中で、私の資料と合っているのは一つだけです。国税は二十種類じゃないでしょうか。これはあとでひとつ資料で出してください。それから地方税は二十三種類と私は調査しているのですが、これも二十五種類ということであれば二種類多い。これもあとで資料等で。それから法定外税は、都道府県税の場合四種類あると私は理解しているのですが、その辺あとでひとつ資料で出してください。ゼロと言っていましたね。いわゆるいま税種目を質問したように、いまの日本国民はありとあらゆる網の目で課税されておるわけなんです。出ていくふところは一つなんですから。そういう中で、ことに所得税というのは捕捉率がきわめて高いし、源泉徴収、その他があって非常に捕捉率がいいんですね。これの重圧が非常に加わっている。これは間違いのない事実だと思います。そこで一番問題になることは、課税最低限が低いということだと思うのです。主税局長、いま課税最低限が低いというのは理由はどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/178
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179・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 課税最低限は、最近約五、六年の間にかなり私どもは改善をされてきたのではないかというふうに実は考えております。今回の改正で、サラリーマンで夫婦子二人の場合に、まあようやくでございますが、百万円になった。で、地方税との開きがまたかえってできたわけでございます。諸外国と比べるということは適当ではないかもしれませんが、そもそも経済事情、家庭の事情が違いますから適当でないかもしれませんが、よその国と比べましてもそう悪い事情にはなっていないわけでございます。もちろん、なお年々物価の問題、あるいは全体の水準が変わってくる等の関連で今後とも直していかなければならぬと思いますが、戸田委員御指摘のように、現在非常に低いと、まだあまりにも不十分であるというふうには、実は私どもは理解をしていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/179
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180・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そこでこの資料ですね、ひとつお願いしたいのですが、いま答えられるならひとつこの場で答えてもらいたい。世帯者、独身者で、所得税の課税最低限の戦前比較においてどういう状況になっておりましょうか。補正の段階でけっこうです。資料は三十五年以降、あとでひとつ提示をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/180
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181・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 戦前の独身者の最低限は、昭和九年十一年のベースでは千五百円であったわけでございます。その後戦争が始まりまして若干所得税の増徴が行なわれまして、昭和十六年の段階では七百二十円ということであったわけでございます。
それに対して夫婦子二人の場合は——当時は納税者本人が非常にウエートが高く見られておりましたので、九 十一年では夫婦子二人では独身者とあまり差がなく、千七百五十円であり、昭和十六年には千三百二十円であったわけでございます。ただし、当時と現在とでは税収全体が若干、戦後の税体系では直接税主義に変わってまいりました。戦前は間接税なり、あるいは地租というようなもののウエートが高かった時代もございますので、ちょっと比較はできないと思いますが、戦前に比べますれば、おっしゃいますように非常に最近は課税最低限は下がってきておる。つまり所得税の納税者の数に関する限りは、戦前と戦後では全然比較にならない。非常にいまは大ぜいの方に所得税を納めていただいているというふうに、これは全くのさま変わりになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/181
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182・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私は古い統計ですから、幾ら調べても最近のことはちょっとわからなかったのですが、四十一年の統計でいきますと、独身者の場合は戦前は、いま主税局長が言ったように千五百円、今日四十一年の場合は二十二万円、三八%ですね、当時と比べて。それから夫婦の場合は千五百円、同じ。これが三十八万七千円です、六六%。それから夫婦子供三人、五人の場合ですが千八百七十五円、これが六十一万三千円、四十一年、六六%、この戦前の独身、夫婦五人世帯、これを現行の税控除その他でもって、倍率でもって掛けてみますと、独身者の場合五十八万九千円、それから夫婦の場合も同じ。五人世帯の場合九十二万四千円、それがいまや、四十一年の統計で言ったとおりですから、いかに戦前と比較して——もう九年から十一年ですから、満州事変が勃発をして、中日事変の勃発直前ですよ。戦争はなやかなりしころ。それですら当時はこのくらい。いまこの高度経済成長が資本主義世界第二位だといばっているけれども、税金だってこの程度しか減っていないのですよ、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/182
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183・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) その点は先ほどのまさに御指摘のとおりでございます。ただし、それは税構造も全く違っておるわけでございますし、それから納税者の数が非常に少なくて、たとえば、最も端的には農村なんかの場合でございますと、ごく少数の地主さんだけが所得税の納税者であったと。そこで面積の小さい、たとえば自作、小作の方々は地主さんとの間で何らかの負担関係を持れされておって、国との関係では地主さんだけが納税者であったと、こういうかっこうになっておったわけでございますので、若干構造が違っていたわけでございます。その意味で、いかようにいたしましても、どうも現在の税体系を前提といたしますならば、戦前のような高い課税最低限を今日まで持ってくるということでは、なかなか全体の必要最小限度の政府の財政需要をまかなうだけの税収をあげることは困難になってしまうのではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/183
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184・戸田菊雄
○戸田菊雄君 まあ結局戦前は食べてから納めるというようなことだったのですね。いまの税制というものは、食わないで納めろということじゃないですか。まず納めてそれから食え。非常に過酷なんですね。このことだけは否定できないと思うのです。いずれにしても、戦前と比較してもたいへん課税最低限というものは低いのです。ここにやはり、幾ら政府が減税減税と宣伝をしても、国民の税に対する重圧感というものは解消しない。だから根底がだめなんですよ、根底が。そういう意味合いにおいては、抜本的に税制全般を洗い直す必要があろう。ことに所得税の、こういう高額課税をしてきたというのは、シャウプ税制なんだから、そういう面について私は、四十七年度等からこの景気転換の経済政策全般を切りかえていかなければいけないという、そういう状況に立ち至っているわけですから、もっと真剣にこの税収関係については検討すべきであると考えるのです。これは要望としてお話をしておきます。
それから基準生計費は最近全然採用しておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/184
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185・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 以前にはいわゆるマーケットバスケット方式による食料費を基準として生計費を算定しておりました。それを一つの課税最低限の算出のときの参考にいたしておりましたが、そのやり方は昭和三十九年でこの作業は打ち切りにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/185
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186・戸田菊雄
○戸田菊雄君 その後ずっと減税を幾ばくかずつやってきてるわけですから、そのたびに基礎控除というものを引き上げて、まあ四十六年度当初予算でも一万円、今度の補正予算でも一万円、こういうことになってますね。この一万の積算基礎ですね、何か減税というと総額をきめちゃって、そうしてあとは基礎控除も少し引き上げなくちゃいけないから割り勘でひとつやっちまおう、こういうような印象をどうしても受けるんですね、これはどうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/186
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187・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 御指摘のように、控除の引き上げにつきましては、毎年一万円ずつ上げられてきております。で、それは、やはり基礎控除と配偶者控除と技養控除とにどう割り振るか、それによって独身家庭とそれから夫婦の家庭と子供のある家庭とのバランスをある程度とりながら直してきたものと考えます。その結果として、いわゆる課税最低限がだんだん引き上げられてきたわけでございますが、その個別の、いまの基礎控除がなぜ一万円かと、扶養控除がなぜ一万円かということにつきましては、従来からあまり一万何千円というような端数がつくということになりますと、非常に大ぜいの所得税でございまして、大ぜいの納税者の方の計算の問題でございますので、まあ端数をつけないでやっておるということではないかと思います。そうして大観して、独身家庭、夫婦家庭、子供さんのある家庭でどのくらいの課税最低限の引き上げになるかということで、その引き上げ幅の組み合わせで考えておるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/187
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188・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これは何と主税局長が答弁しようと、四十年当時までは大蔵省も基準生計費というのはこうでございますと。そのメニューがさんざん問題になった、大蔵委員会、予算委員会。それでごまかすために引っ込めて、いまは基準生計はやっておりません、こういうことです。当時は国立療養所の、ちゃんと一日成年男子二千五百カロリー、全部計算して、予算委員会へおぜん立てまで療養所のを持ってこられて盛んにやった。しかし、これは正しいことじゃないですか。これは復活してやっぱり積算基礎に置いて、それで明確に基礎控除の対象にしていくという、これどうですか、考えは、復活する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/188
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189・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 申しわけございませんが、その当時の事情は私詳しく存じておりませんが、当時はいわゆる仮定生計費と課税最低限がもうぎりぎりにくっついておったわけでございます。で、基準生計費のほんとにぎりぎり一ぱいで課税最低限がきめられるというほど、いわばかなり所得の低いところからも所得税をいただいておるという状況であったわけでございますが、その後はかなり課税最低限の引き上げ率が高くなってきておりますので、必ずしもそういうぎりぎりの計算をしなくても、現在の課税最低限は当時の基準生計費的な考え方による生計費を優に上回っておるという関係もございますので、その作業はやっていないというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/189
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190・戸田菊雄
○戸田菊雄君 過去のことはわからないと言うんですが、今回の補正予算で一万円上げたというのは主税局長はどういうふうに考えるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/190
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191・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) この春の改正のときに、やはり各控除一万円ずつ上げていただいたわけでございます。で、そこで——基礎控除、配偶者控除、扶養控除、各一万円上げ、今回はいたしませんでしたが、この春では給与所得控除の定額控除の三万円の引き上げが行なわれました。それによりまして各世帯を通じまして約一〇%前後の課税最低限の引き上げが行なわれました。で、その後たいへん物価度上がってきておりますが、物価の上昇率と比べましても、この春の改正で物価上昇率に追いつかれるほどのことではないということでございますので、来年度におきましても、この春の基礎控除の引き上げ率と同額程度——物価がどうなるか見当はつきませんけれども、同額程度上げることによりまして、来年度の課税最低限が本年のこれで約七%ぐらい上がることになりますので、物価のことも考えましても、その程度上げておけばまずまずだいじょうぶといいますか、最小限度のものとしては御満足いただけるのではなかろうかと思ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/191
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192・戸田菊雄
○戸田菊雄君 局長、私の聞いているのはその経過措置と将来の見通しじゃないのです一万円今回上げたという積算の基礎はどういうことによるのか。ちょっと答弁の中で物価というようなことも出ましたけれども、その積算基礎はどこなのか。主税局長、過去のことはわからないというのだが、今回は主税局長がやったのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/192
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193・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) やはり基礎控除と配偶者控除、扶養控除の、要するに組み合わせで各世帯別の課税最低限がきまるわけでございますから、それをかりに一万円ずつ上げて計算した場合の課税最低限の現行制度との引き上げ率の幅を見ますと、そうすると、今度の案でございますと大体七%程度になるわけでございます。七%という課税最低限の引き上げ幅というものが妥当かどうかというところに判断の基準があるわけでございまして、その判断をする場合の非常に重要な要素としては、消費者物価指数の今後における見通しということが重要な要素になるものと考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/193
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194・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そうすると消費者物価の上昇だけですか。消費生活は入ってきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/194
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195・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 消費者物価の値上がり率程度に課税最低限を見ておけば、少なくとも前年度と同じ程度の生活がいわば保障できるといいますか、そういう関係になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/195
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196・戸田菊雄
○戸田菊雄君 基礎控除、扶養控除、配偶の配分を考えて七%台に置けばちょうど妥当だ、こう言ったのですね。だから配分と、七%に到達する積算基礎は一体何か。これは消費者物価の値上がりだと、こう言うのですね。じゃそういうことを言うならば、前にも質問いたしましたように、景気浮揚政策一・八%、今度の減税に物価上昇と見合わせて入っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/196
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197・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 今回の減税は、四十七年度税制を前提としておりますものですから、当然来年度一年間のことを考えておかなければならないわけでございます。そういたしますと、来年度の物価上昇ということはやはり考えておかなければならぬわけでございます。その場合、過去の物価上昇率等から考えまして、来年の経済がどうなるかということは、いまの段階からとうてい見込みをつけることはできませんので、過去の物価上昇率を考えまして、来年度それ相応に物価がかりに上がったといたしましても、いわばだいじょうぶなように織り込むという趣旨で、具体的に来年度の経済がどうなるかということとは直接関係なくても、過去の物価上昇率等の経験値から申しますと、七%程度見ておけば、かりに不幸にして過去と同じように、あるいは過去よりも若干上回った物価上昇があっても、それに比べて課税最低限の引き上げが小さかったということにならぬだろうというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/197
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198・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これは主税局長、うそ言ってもだめです、そういう答弁は。さっきも聞いたように、景気浮揚策だと言うんでしょう。一・八%だと言うんでしょう。さっきの竹田君の企画庁への質問に対しては、当初四十五年度予算に比べて五・五%の物価上昇率を見込んだけれども、すでに七%台に到達するであろうということをさっきちょっと答弁した。そういうことだとすれば、物価見合いだけに今回の減税というものはやったわけですか。景気浮揚策というものにはいかないのですか。どっちなんですか。だから私は、積算基礎をどこに置いたか——いま主税局長は、物価上昇の見合いということだけは答弁をしました。しかし、物価上昇だけじゃないでしょう、減税対象というものは。確かに目標はありますよ。しかし、これは消費需要効果とか昇気浮揚ということを考える。だけれども、一万円という査定基準の積算というものは、物価上昇では今回は合わないのじゃないですか。昇気浮揚政策だ、一・八%、こう言っておる。どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/198
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199・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) ちょっと整理して申し上げます。私の説明のしかたが悪いのかもしれませんが、整理して申し上げますが、減税というのは景気浮揚策として有効であるという前提に立ちまして、そこで減税をする場合にいろいろ考え方はありますが、具体的には四十七年度の所得税制をどうするかということを一つ考えまして、そして四十六年度の所得税制の改正はもうすでにこの春にお願いしたわけでございますけれども、それを重ねて四十七年度の税改正を繰り上げて四十六年度に実施いたしますことにいたしますれば、四十六年分の年末調整と確定申告とによって、いわば予想外に、若干ではあっても収入はふえますから、それは景気刺激効果、消費需要効果としてあらわれてくるものというふうに理解するわけでございます。
ところが、さて今度は、その制度は、四十七年度においては当然所得税として、物価や賃金の上がりのことを考えながら、どんな税制であるべきかということを考えなければなりません。そうすると、景気刺激という問題と離れまして、そもそも毎年課税最低限の引き上げを行なってきておりますから、四十七年度としてはどの程度の課税最低限の引き上げを行なうべきかということになります。そうしますと、その点につきましては、やはり非常に重要な要素として、四十六年度に比べて四十七年度はどのくらい物価が上がるかということが重要な要素になる。その場合に、過去の消費者物価の上昇率が五%前後、ときによっては六%であったり七%であったりいたしますので、今回のように七%程度見ておけば最小限度のものは見たということになるのではないかというふうに理解をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/199
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200・戸田菊雄
○戸田菊雄君 どうも主税局長の答弁はわからぬですがね。じゃちょっと整理して私も聞きます。四十六年度の減税は当初予算で二千億でしょう。これは割合にして減税率何割ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/200
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201・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 四十六年度の当初の減税は、初年度ベースで千六百六十六億……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/201
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202・戸田菊雄
○戸田菊雄君 平年度二千億ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/202
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203・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 平年度約二千億でございますが、率とおっしゃいますと、何に対する……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/203
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204・戸田菊雄
○戸田菊雄君 予算に対する……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/204
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205・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 御質問の御趣旨は、所得税の自然増収に対する減税の規模かと思いますが、その意味でございましたら、ことしの所得税の自然増収見込みは六千九百四十八億であったわけでございまして、それに対して初年度分減税額千六百六十六億の割合は二四・〇%になりますが、その率でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/205
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206・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それから物価は、物価減税はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/206
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207・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) その御趣旨でございましたら、いわゆる物価調整減税というのは七百四十億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/207
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208・戸田菊雄
○戸田菊雄君 割合は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/208
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209・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 千六百六十六億分の七百四十億という意味では四三%。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/209
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210・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それは所得税の総収入とのかね合いだけでは正当な割合にはならないじゃないですか、減税の割合から見て。どうなんですか。二千億の当初予算の減税割合は、所得税の総収入六千九百何がしでしょう。物価見合いは減税額に対する何がしですか、それでいいんですか。四三%と言うんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/210
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211・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 私は御質問の意味が十分のみ込めませんですが、物価調整減税という概念で従来から議論されておりますものは、前年までの所得税の諸控除の総額が、物価が上がりますと諸控除総額が同じ額であっては実質的に意味が下がる。物価が上がり意味が下がるという意味で、幾らふえるかという計算を慣例的に行なっておりますが、その額が七百四十億でございまして、ただいまおっしゃいます率というのは、ちょっと私は物価調整減税の額を、何かはかのものと比較して議論したことは今日まであまりないように記憶しておりますので、ちょっとよく理解できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/211
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212・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それではその点はいいですが、いずれにしても、今回の減税が物価上昇の見合いではなくて、景気浮揚の対策なんですから、主税局長、そういう意味でははっきりしているのですね。だから物価減税という意味はどこに入っておらないですよ。だから、そういう間違った答弁はひとつ差し控えてもらいたい。当初から説明しておるのです。ですから、そういうことになるとすれば、当然積算基礎というものは別な角度になければならんじゃないですか。だから私が前に指摘しましたように、物価上昇とかそういろ見合いの関係でなくて、景気浮揚対策の一環としてやるのですから、浮揚効果というのは公共事業として一・八だとはっきり言っておるのですから、それに合わしていったということではないですか、端的に言うと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/212
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213・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 多少どうも私の理解が誤っておるかもしれませんが、従来から所得税の減税の場合に、物価との関連がいつも議論になっております。で、所得税の減税というのは、本来必ずしも物価と直結した問題ではないと思います。所得税は所得税自体の問題があると思いますし、所得税では所得税を納めておられる納税者の部分についてだけしか何とも手が出ませんので、物価対策として所得税の問題を考えることは、本来問題はあると思うのでございますが、従来から所得税を考える場合に、物価との関係を関連しながら考えるということが慣例的に現実問題として実は行なわれておるわけでございます。その意味で、特に課税最低限の額をきめるときには、絶えず物価の上昇率との関連が、いつも、何といいますか、センシチブな事項として見られているわけでございます。そこで、諸控除を上げるときに何を目安にしたかという御議論でございますと、過去におけるやはり控除最低限を改善してきた足取りというものも一つでございますし、同時に、来年度におきますところの物価の上がる心配ということを横目でにらんでおるというふうに申し上げる以外にないと思うのでございます。ただそれは、今度は何か一つの税制改正が、一方において物価調整のためであり、一つの面において、いわば景気浮揚のためであるというふうに説明したように見られるかもしれませんですけれども、それは、いまの物価との関係というのは、いつの所得税の改正におきましても、控除を上げることの意味づけとしては、従来からそういう説明が行なわれてきたものと私どもは理解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/213
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214・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そういう経過説明だったんですよ、いままでも。それは間違いない。だけれども、今度は違うでしょうと言うのです。税額が。景気浮揚政策の一環としてやったわけですから、減税を。だから、そういう意味じゃ、まさしくあれじゃないですか、いままでの減税は税制上の減税ですよ。しかし、今回は景気浮揚政策の一環ですから、税制上の減税じゃないのです。だから、その点に対する基礎控除の引き上げというのは、一体積算基礎は何なのか。それがなくて、各基礎、扶養、配偶の一万円の額が出てこないんじゃないですか。これはあとの税率との関係もありますからね、今回のやつは。私は、今回の改正というのは、三点よりほかないと思います、重要事項は。これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/214
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215・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 今回の減税が、いつもと違って年内減税として行なわれた。この春減税をお願いいたしましたのに、重ねてまたこの秋に年内減税ということで行なわれたということは、昭和二十六年にありまして以来なかった年内減税が行なわれたというのは、これはもう明らかに景気浮揚のためだということは言えると思うのでございます。そういう意味で、今回の年内減税は、景気浮揚をねらったものであるということは言えると思うのでございます。ただ、しからばその具体的中身ということになりますと、これはごらんのように、毎年度と同じように所得税の普通の改正と同じように、控除と税率を組み合わせるという内容になっておるわけでございますから、そのうち人的控除の分は、これは所得の上昇、名目的な上昇や、物価の上がるということを見合ってきめたものというふうに御理解願いたいと思うのでございます。したがって、少し私どもの理解が違っておるかもしれませんが、景気浮揚という意味と、物価対策というものと、一つの金を両方に使うというような意味ではないというふうに御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/215
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216・戸田菊雄
○戸田菊雄君 主税局長ほんとうのことを答弁しないから、私は納得しませんがね、この点だけで時間をとるわけにまいりませんから、以下また具体的に、関連してあとで聞きます。
次に、国民総所得、雇用者所得、賃金・俸給、この統計を四十年度から、さっき係官のほうに要請しておったのですが、それはいまできませんね、資料。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/216
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217・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 四十四年だけございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/217
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218・戸田菊雄
○戸田菊雄君 四十四年だけ。それが最新ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/218
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219・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 四十四年度と四十五年度につきまして伸び率で申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/219
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220・戸田菊雄
○戸田菊雄君 五年も入っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/220
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221・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 四十五年度が一番新しいものでございます。
国民所得、四十四年度一六・一、四十五年度一八・一、その中の雇用者所得、四十四年度一八・二、四十五年度二一・四、その中の賃金・俸給、四十四年度一七・二、四十五年度二一・八でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/221
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222・戸田菊雄
○戸田菊雄君 額はわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/222
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223・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 額を申し上げますと、国民所得、四十四年度四十九兆三千——百億以下省きます、それから四十五年度五十八兆二千億、雇用者所得、四十四年度二十六兆九千億、それから四十五年度が三十二兆七千億。それから賃金・俸給の四十四年度二十二兆一千億、四十五年度二十六兆九千億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/223
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224・戸田菊雄
○戸田菊雄君 構成比わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/224
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225・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 国民所得におきます雇用者所得の構成比は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/225
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226・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それは、総所得は一〇〇になるんですから、あれでいいんですよ、雇用者所得と賃金・俸給。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/226
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227・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 雇用者所得の構成比を申し上げますと、四十四年度が五四・七、四十五年度が五六・三でございます。それから賃金・俸給は四十四年度四四・九、四十五年度四六・三でございます。これは国民所得に対する構成比でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/227
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228・戸田菊雄
○戸田菊雄君 主税局長、いま企画庁が発表された国民所得、雇用者所得、賃金・俸給、これは大蔵省どうですか。間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/228
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229・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 間違いないと思います。企画庁のほうでやっておられますので、いつも私どものほうはそれをいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/229
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230・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これを見ますと、実際生産を上げて働いておる労働者、勤労者ですね、構成比で見ても国民所得の五四・七%、これは四十四年度で、四十五年度五六・三%、あとの残額はほとんどが大財閥というところへ行っちゃっている、これは。そういう角度から見て、なおかつ、この大蔵省の資料によって今回の所得税の階層別分布の中身を見ますると、百万円以下が一千七百四十八万一千人でしょう。これによって所得は十兆九千九百五十億、税額にして二千六百七十六億、こういうことで、二百万以下が全体で九四%も税額を占めるという状況になっている。還元はきわめて薄くて、税金のほうは高く取られている。生産は勤労者がやってですよ。こういうことになっておる。だから、政府は減税をするたびに大減税を云々という宣伝はしますけれども、具体的な数字で見る限りは、こういう状況になっているのです。こういう現状を一体どういうふうに主税局長考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/230
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231・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 先ほど申しましたように、現在の所得階層別の税額負担をどう読み取るべきかということに関連する問題だと思うのでございますが、人員では百万円以下のところが六六・九%で、所得では四一・八%、税額では一八%で、それに比べて漸次少ない人員で多くの税額を負担するという累進税率になっていることについて、カーブをさらにいわば寝せるといいますか、上層所得層との負担割合を低くするということにするべきなのか、それともずっとカーブを立てるといいますか、上層階層に寄せるということにすべきなのか、その辺は非常にむずかしい問題だと思います。軽々に税だけの問題でなく、非常にむずかしい問題だと思います。
ただ私どもといたしましては、一般的な議論もございますけれども、現実の問題といたしましては、所得税行政のいわば執行ということを考えてみました場合に、午前中にも申しましたように、限界所得についての限界負担の問題、それから実効税率の所得階層が高くなるにつれてその負担が急激に上昇することに伴いますいろいろな摩擦を生じているということも御理解いただきたいわけでございまして、どの程度の累進構造がよろしいかという、本来あるべき理論的な問題が一つございますけれども、現実行政の問題といたしますと、やはり限界税負担の問題なり、とかく所得分散が非常な勢いで行なわれがちであるという現状も放置はできないわけでございまして、その意味で、今回、控除と税率との組み合わせという方式をとったということは、前回申し上げたとおりでございます。あるいは御質問そのものにお答えになっていないかもしれませんが、それだけお答えしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/231
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232・戸田菊雄
○戸田菊雄君 全く質問の回答になってないですよ。しかし時間が迫ってきましたから、あと一時間しかないから、膨大になるわけですから、本論に入るわけです。
じゃ、ずっと見ていきたいのですけれども、国民総支出、個人消費支出、家計消費支出、これをひとつ四十四年、五年、これまでできていると思うのですが、それをひとつ説明していただきたい。額と構成比、割合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/232
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233・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 国民総支出、四十四年度六十二兆四千億、一八・三%、四十五年度七十二兆七千億、二八・五%、個人消費支出三十一兆六千億、一五・五%……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/233
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234・戸田菊雄
○戸田菊雄君 個人消費支出構成比……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/234
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235・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) いま伸び率で申し上げました。構成比は後ほど申し上げます。四十五年度が三十六兆八千億、一六・二%、そのうちの家計消費支出、四十四年度三十兆八千億、一五・四%、四十五年度三十五兆八千億、一六・一%、GNPを一〇〇にした場合の構成比は、四十四年度、個人消費支出五〇・八、四十五年度五〇・七、それから家計消費支出は四十四年度四九・四、四十五年度四九・三%です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/235
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236・戸田菊雄
○戸田菊雄君 この統計も主税局長、企画庁ですから承認をいたしますね。
総支出で見ましても、いま見ましたように個人消費支出、これは大体国民総所得の雇用者所得、これもそうするとややこの割合は同じになっているのですけれども、半分以上が大体低所得者層で、これには保護対象に入っている。そうするとこれには間接税が入っているのですから、そこでまた国民は税金を吸い取られている。そこでひとつ聞きたいのですが、生活保護対象者というのは、いまどのくらいありますか。これは主税局長ではわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/236
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237・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) ちょっと十分間ばかり待っていただいたら、電話か何かで照会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/237
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238・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それではいいです。あと回しにいたします。
いまの国民総支出関係について主税局長はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/238
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239・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) ちょっと御趣旨がよくわかりませんですが、国民総支出についてどう考えるか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/239
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240・戸田菊雄
○戸田菊雄君 ぼくのさっき言ったのは、個人消費支出の総額の四十四年度三十一兆六千億、構成比五〇・八%あるいは四十五年度三十六兆何がし、こういう中において、いわゆる、あなた方が言われた比較的低所得といわれる二百万以下の収入階層の人たちがどのくらい占められているのか、具体的にひとつお伺いいたします。家計総支出と同じ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/240
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241・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 先生の御質問は、消費支出の中の階層別支出の構成ということじゃないかと思いますが、これは総理府の統計からはそういう計算はできないのだそうでございます。現在そういう数字はないと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/241
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242・戸田菊雄
○戸田菊雄君 大蔵省にはできるのじゃないでしょうか。できませんでしょうかね。総支出に対する、家計支出に対する間接税の課税総額、そういうものはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/242
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243・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) そういう統計持っておりませんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/243
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244・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いや、できないかと聞いているのです。たとえば、私案ですけれども、物品税四十八品目ありますね。その平均は、こういろいろありますけれども、課税割合、平均値をとっておおむね出していくわけにいかないですか。各税日ごとの収入大勢はわかりますね。予算に載っているのですから、わかるでしょう。四十八種類あるこの税目については、幾ら上がるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/244
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245・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 物品税の課税物品別のいろいろな各種の統計はございますけれども、家計別には、ちょっと私どものほうではわからないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/245
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246・戸田菊雄
○戸田菊雄君 じゃいいです。物品税関係のやつはそれはあとで出していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/246
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247・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/247
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248・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それからもう一つは、国民所得の租税負担率、これは全体わかりますから——四十六年度出ておりますね。今度の補正でその割合はどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/248
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249・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 四十六年度の国民所得推計は、その後改定作業がいまのところ出てないように聞いております。私どもでは特に補正後の数字において、国民所得に対する租税負担率がどうなるかという数字はいま出していないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/249
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250・戸田菊雄
○戸田菊雄君 ここで一つ私は明確に質問しておきたいのは、大体私の統計によりますと、これは「国会統計提要」です。これを見ておるのですが、概要です。これによれば、四十五年の場合一八・八%、ですから、国税と地方税と合併したものですから、大体七、三と見て差しつかえないと思うんですが、割合は。これをよく主税局で国際収支の比較において非常に低いと、こう言っているわけですね、租税負担率は。だからもっと上げてもよろしいというような発展の方向をとっているわけです。しかし私は、国際比較の中ではあまり意味をなさないと思う。それはなぜかというと、諸外国の場合は生活環境が違うのです、大体。それから収入が違うのです。アメリカなんか日本の賃金の三倍ないし四倍近いわけですから、そういうものとの割合比較じゃ私は意味をなさないと思う。その点はどう理解しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/250
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251・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) これは税の問題を議論いたします場合にしばしば問題になるところでございまして、まさにおっしゃるとおりいろいろ社会経済事情が違いますので、単純に国民所得に対する租税負担率を比較して高い低いを議論することはできないわけでございます。たとえば、日本が諸外国に比べていろいろな数字が、負担率が低いから、そのこと自体からだけでさらに租税負担率が上がってもいいんだという議論をすることはきわめて危険であろうと思いますけれども、しかしながら、いかにもよその国と比べると率の開きが大きい、わずかの差ということでなしに、あまりにも大きいということはあるわけでございまして、しかも、違去におきまして昭和二十五年とか二十六年とか、非常にいわば苦しい時代の租税負担率よりも現在下がっておるという環境からいたしますと、先ほど御指摘がございました税制調査会において御議論のありましたように、若干の負担率の引き上げは、あるいはやむを得ないのではないかというふうに私どもも考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/251
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252・戸田菊雄
○戸田菊雄君 たとえば「国会統計提要」の七一ページですが、これを参考にいたしますと、主要国の国民所得に対する租税負担率、日本の場合は七〇年度は一八・八%、アメリカの場合は六八年ですが二九・一%、イギリスは三八・八%、西ドイツが三〇・三%、フランスが二七・一%、イタリアが二五・四%。これは収入の面で見ますると、さっきも御指摘をしましたように、向こうははるかに高いんですから、そういうものを考えなくちゃいけないし、社会保障制度の充実体制なり社会資本の充実なり、あるいは生活環境の整備問題、いわゆる公共投資といわれる——各般の住宅その他一切入ります一こういうものを比較したら問題にならないですよ。日本の労働者の賃金は世界二十一番目あたりですよね。だからこういうことを全体比較をしていけば、決して租税負担率は日本が軽いなんということは私は言えないんじゃないか。その辺の見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/252
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253・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) ただいま御指摘のような議論が、税制調査会で、たしか専門家の間で議論したときにも出ておったように思います。しかしながら、そこではいろいろ議論がございまして、たとえば、日本の場合には非常にいわば個人における所得が不足しているというようなことを考慮しなければならないというような議論もございます。しかし、一方において次第に国民所得が大きくなっておるということも事実でございます。そうしますと、同じ二〇%前後という租税負担率でございましても、ベースになる所得が大きくなれば限界部分についての負担感は小さくなるわけでございますので、同じことを繰り返しますが、先ほども申しましたように、急激な変化はいけませんけれども、多少の負担増はやむを得ないではないか、こういう御判断をされたわけでありまして、私どももまあまあそういう方向ではないかと考えているわけでございまして、その点は、戸田委員の御指摘ではございますが、やはり多少の上昇はやむを得ないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/253
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254・戸田菊雄
○戸田菊雄君 もう一つ。所得税納税人員とその税負担の推移を見ますと、これは資料であとで出してもらいたいと思うんです。いまは私は時間がありませんから、自分の持っている資料で質問をいたします。四十五年は二千三百七十八万九千人、勤労所得者の所得金額は二十四兆五千二百二十一億円、一人当たり所得が百三万八百円です、四人世帯の場合。それから一人当たりの所得税額四万九千五百円、こういうことになっているんです。これを見ますと、政府は毎年減税減税と言うけれども、一面では納税人員はずっとふえてきている。それから税額もふえてきている。たとえば、昨年度は、一兆数千億の自然増収など見込んだ当初予算を立てているわけでしょう。これは不景気によって落ち込んで押せ押せとなったとかいうことでいま心配しているわけです。そういうことを考えると、どこで一体減税したかということになるんですね。どうですか、その見解は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/254
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255・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) おっしゃるとおり最近納税人員が急激にふえております。それで、課税最低限の引き上げ率は、先ほどもいろいろ出ましたけれども、大体七%、八%、一〇%くらいのところで毎年推移をいたしております。ところが給与の伸びのほうはそれをはるかに上回った水準で伸びております。特に初任給水準の伸び率は非常に高くなっております。したがって、もし納税人員だけに着目いたしますと、どうしてもそれは現在のところでは給与の納税者の数というものはふえていかざるを得ない情勢にございます。
これを絶対にふやさないようにしようということであれば、たとえば、給与の伸び率と同じように、課税最低限を上げていけばあるいはそういうことになるかもしれませんのですけれども、現在そういうことの可否ということは、いろいろ問題があろうかと思っております。現在所得税の減税は毎年毎年行なわれておりますが、そして所得税だけにとってみますと、確かに減税が行なわれましても、所得税の税収の中における負担率は上がってきておりますけれども、税全体の負担率は一九・何%、国民所得に対する負担率は一九・何%ということで、多少の上下はございますが、一九%台をまあポイント幾つというところで動いているわけでございます。そこで、そういうことを前提にして国税負担がその程度になだらかに上がっておるということについて、ただいまのような御批判もございましょうが、国民所得全体はだんだん大きくなっていくということと考えあわせますならば、まずまずがまんし得る程度ではなかろうかと思っておる次第でございます。
〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/255
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256・戸田菊雄
○戸田菊雄君 賃金の上昇も相当上がっておるからと、こういうことですが、じゃ常用労働者一人平均の月間の現金給与総額、産業別、これをひとつ資料として出していただきたい。
それからもう一つは、経営規模別賃金格差及び上昇率、これをひとつ出してもらいたい。
それから主要国の賃金、まあ資本主義の主要十カ国でいいですから、基軸通貨国に入っておる国でいいです、それをひとつ出してもらいたい。
と同時に、これは古い資料ですから、一番最近の新しいのは、すでに四十四年度が出ているのじゃないかと思うのですが、四十四年度の国民所得、これが三十五年を一とすれば倍率どの程度になっているか、労働者の名目賃金は何倍になっておるか、消費者物価は何倍になっておるか、税金は何倍になっておるか、この四つ、ひとつ資料としていま教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/256
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257・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) すぐわかると思いますから、資料でお出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/257
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258・戸田菊雄
○戸田菊雄君 常用労働者のはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/258
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259・小島英敏
○政府委員(小島英敏君) 常用労働者の賃金額でございますが、昭和三十五年を一といたしますと、昭和四十五年度の平均が約三・二倍になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/259
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260・戸田菊雄
○戸田菊雄君 昭和何年ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/260
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261・小島英敏
○政府委員(小島英敏君) 三十五年に対して四十五年度は三・二倍です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/261
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262・戸田菊雄
○戸田菊雄君 労働者の名目賃金は三・二倍。
〔理事柴田榮君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/262
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263・小島英敏
○政府委員(小島英敏君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/263
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264・戸田菊雄
○戸田菊雄君 一人平均の現金給与総額、産業別はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/264
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265・小島英敏
○政府委員(小島英敏君) 産業別には非常にこまかく分類されておりますので、後ほど資料として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/265
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266・戸田菊雄
○戸田菊雄君 主税局長、あとですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/266
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267・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/267
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268・戸田菊雄
○戸田菊雄君 常用労働者一人平均月間現金給与総額(産業別)これは提要の二七〇ページ、これは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/268
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269・小島英敏
○政府委員(小島英敏君) その統計をまだ存じませんので、チェックいたしませんとあれでございますけれども、間違いないとは存じますが、後ほど調べまして提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/269
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270・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それではあとで資料で出してください。一応これを使わしてもらいます。これを見ますと、四十五年一月の鉱業、建設業、合計、繊維、衣服、木材、化学、石油、鉄鋼、機械、小売業、保険業、不動産業、運輸、通信、電気、ガス、水道業の区別になって、それぞれ常用労働者一人平均月間現金給与総額というのが掲載されている。一番低いのは繊維関係です。四十五年九月現在三万四千二百二円の月給にしかなっておらない。これが大体手当その他を含めますと、おそらく四十万見当になっていく、そうすると、いままでの独身者の課税最低限というのは三十八万、こういう人にも税金はかかっていく。それから日本の労働者の平均は、建設業で見ても六万一千七百九十三円です。これは年間平均トータル、税金が約二割取られる。二割。このくらい過酷な税金が課せられているというのが、いまの常用労働者の実態なんです。これをどう一体考えますか。これは主税局長、あとから言った国民所得、三十五年を一として四十五年現在何倍になっているか。これと消費者物価、税金、これを出していただくと比較対象がもっと鮮明になる。それを先に出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/270
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271・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) ただいまの御質問のありましたうちの繊維でなしに、建設業の独身者の六万一千七百九十三円ということをおっしゃいましたけれども、今回御提出申し上げております所得税法の改正法によりますと、六万一千円以下六万二千円までの俸給月額の方の独身者の税額は、扶養親族ゼロの場合二千三百九十円でございますから、二割というような非常に大きなことにはとてもなっていないはずだと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/271
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272・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それはいま国税、地方税全部合わしてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/272
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273・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 国税だけでございます。国税だけで、所得税だけで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/273
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274・戸田菊雄
○戸田菊雄君 住民税が入ってきます。住民税を入れなければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/274
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275・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) それにしても所得税が二千三百円でございますから、六万円に対して二千三百円ということは、三%ぐらいでございますから、地方税を入れたといっても、二割というようなひどい率にはならないはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/275
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276・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それでは私もあとから調べますが、じゃ主税局のほうも明確に資料で出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/276
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277・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/277
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278・戸田菊雄
○戸田菊雄君 国民所得、その他の倍数はどうですか、四十五年。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/278
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279・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) すぐ出します。——三十五年度と四十五年度の国民所得を申し上げますと、三十五年度が十四兆二千億、四十五年度が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/279
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280・戸田菊雄
○戸田菊雄君 倍数で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/280
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281・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 三・四七倍。それから所得税が三十五年と四十五年で四・四倍。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/281
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282・戸田菊雄
○戸田菊雄君 消費者物価指数はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/282
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283・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 消費者物価指数は単位にとる品物その他を四十年に改定したのでございまして、三十五年と四十五年を比較することが非常にむずかしいといま言っておりますですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/283
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284・戸田菊雄
○戸田菊雄君 税金の一番大事な所得税……。全体の税金。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/284
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285・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) これは地方税を入れてでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/285
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286・戸田菊雄
○戸田菊雄君 入れまして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/286
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287・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 地方税を入れて……。ちょっとお待ちください。すぐ出します。——申しわけありません。訂正いたします。
まず、国民所得のほうは、三十五年度は十三兆二千億で、四十五年度は四・四倍で五十八兆二千億。税のほうは国税、地方税合わせて三十五年度が二兆五千四百億、四十五年度が十一兆飛んで八百億、倍率は四・四。国民所得のほうも税のほうもちょうど四・四倍だそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/287
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288・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いま発表になったような状況ですね。国民所得は四・四倍、労働者の名目賃金は三・二倍しか上がっていない。それから税金の所得税関係が四・四倍ですね。これを四十年度で、私の資料で見ますると、国民所得が一。八九倍、生産は一・七三倍、労働者名目賃金は丁六五倍、消費物価が一・三五、税金が一・八六と、これも最高。だから、ほんとうに大蔵省や大臣が減税やったやったというけれども、納税人員はふえてくる、物価指数や所得や、各般の比較においても税金は一番倍率が高い。だから、それだけ税金によって国民は苦しめられているし、搾取されるものが多いということですよ。過酷なんです、日本の税制全体が。だから、もっとこういう問題については私は検討すべきだと思いますから、きょうは時間がありませんから、いずれ通常国会で洗いざらいやっていきたいと思うのですが、そこで資料をお願いしておきます。さらに、このいまの比較の、戦前とそれから四十五年度でけっこうですから、その比較、これを同じようにひとつ出してください。
それから日銀券の発行は一体どのくらいであるか、それもひとつ出してください。
それからもう一つは、減税と自然増収の関係。私は大蔵省から出ているこの資料なんかは非常に不親切だと思うのだ、減税一覧だけでね。この資料全部出ているのですけれども、だけれども、自然増収との見合いの関係はどうなっておるか、そういう適正に比較判断のできる資料を出していただきたい。私はこれは三十年から三十九年の十年間の統計をとったんですけれども、おそらく四十年以降もこれの倍額ぐらいになっていると思うんです、私の想定では。それによりますと、国税で税制上の減税、これは四千四百六十八億円しかやられていない。それに対して当初から予算に見積もった当時は二兆五千七百九十三億円ですよ。当初予算より増収が一兆四千四十二億円、増収の合計が三兆九千八百三十五億円、差っ引き正味の増収が三兆五千三百六十七億です。割合にして一一・二%、ほかに地方税がある。これを全体含めますと六兆円も増収しているんですよ、六兆円も。この十年間、その中においてわずかに減税総額というものが国税四千四百六十八億円、地方税が一千七百三十五億、合わせて六千二百三億円しかやっておらないんですよ。こういうのがいままで大蔵省がやってきた実体なんです。これで国民に税金安くなったなどと大きな声で私は言えないと思うんですね。だからこの同じ資料を四十四年以降四十五年まで出してください。減税額と自然増収の見合い、これはいいですか。
それから、ついでですから、もういろいろ比較対照は一ぱいあるんですけれども、この主要家計費指標、これひとつ。それから消費水準の推移、年齢別勤労者の一カ月の消費、都市一カ月間の消費支出、これは五万以上の都市のあれでけっこうです。それから収入階級別貯蓄及び負債現在高、主要耐久消費資材の普及率、それから栄養摂取量、生活保護者の間接税免税措置に対する資料、これだけはひとつ、きょうやる時間はありませんから出していただきたい。
そこで、もう一つ、私はこの機会ですから栄養摂取量、日本がどのくらいやっておるか、これはわかりますか。これは厚生省ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/288
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289・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) ええそうです。栄養研究所です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/289
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290・戸田菊雄
○戸田菊雄君 あとでこれはやることにしまして、まあこれも非常に日本人は低いですね。これじゃやはり——最近は七十歳をこえたようですけれども——あまり長生きできないんじゃないかと思うですね。ですから大体基準生計費としていままで大蔵省が大蔵メニューをつくった当時は二千五百カロリー、これは日本の標準摂取量になっていることは間違いありません。しかし、アメリカやフランスやイギリスは三千二百カロリーぐらいいっているんですね、全部。だからそういう意味合いにおいてもたいへんな摂取カロリーの相違がありますし、それが栄養、健康に影響してくるという状況になります。ですから、そういう問題についても結局はふところぐあいだと思うんですね。ふところぐあいが悪ければやっぱりうまいものを食べようといってもこれは食えないということになるんですから、だからこの面においても生活を切り詰めて、一たん緩急あったら困るから、貯蓄の方向に少しでも回していかなければならない。
さっき竹田委員が指摘をしましたけれども、そういう問題について、食えなければ食えないほど貯蓄ということを低所得者層というものは真剣に考える、こういう状況なんです。それから消費財の普及率を考えてみましても、すでにテレビなんか九二%も普及しているんですから、景気浮揚政策をどこに向けるかということになりますと、残っているのはゴルフ用具とか奢侈品とか、こういうことになるんですよ。はたしてこれで消費傾向として、景気浮揚政策としてうまくいくかどうか、こういう点について毛非常に多くの疑問があるんです。ですから、ほんとうに景気浮揚政策として、大蔵省は今次減税対象としてどの辺に一体向けて消費体制というものを需要供給ですね、こういうものを拡大していくかと、その辺のねらいは、さっきの竹田委員の質問にあったようですけれども、もう一度ひとつ主税局長の見解を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/290
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291・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 私どももその意味では経済の専門家ではございませんので、明快には申し上げられませんけれども、しかし、一般的に減税によって納税者の可処分所得がふえることだけは事実でございますし、それから先ほど政務次官が申し上げましたように、それが貯蓄と消費に回りますけれども、消費に回る割合は従来の所得統計によりますと七割ないし八割といわれておりますし、消費をそれだけ刺激するということは間違いない事実であると思います。その場合にどこにどういう刺激になるかは、いろいろ御指摘のような問題があると思います。しかし、総体的にいって七割ないし八割の消費需要が起こってくるということは間違いないと思いますし、消費需要が起これば経済循環を通じて——全体的に一・七になりますかどうかは、もっと大きくなりますか小さくなりますかは、いろいろ御議論のあるところと思いますが——乗数効果は出てくると思います。したがって、減税が景気浮揚という意味においてどうかということであれば、やはりそれなりの効果はあるものと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/291
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292・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そこで、結局私は結論として、この所得税の増加原因というものは、一つはやっぱりこの免税点が低いというところに起因するだろうと思うんです。何といってもそうだと思うんです。もう一つはこの高い弾性値ですね。これがやっぱり問題だろうと思うんです。それからもう一つは超累進税体制になっておるということです。たとえば今回の改正でこの大蔵省提示の「補正予算に伴う税制改正の要綱」、これの六ページですね、これをちょっと私試算をしてみたんです。どういう試算かというと五十万円で軽減額が四十六年分で七百五十円、平年分で千円。割合にいたしまして八・四、一二・四とそれぞれあるわけです。そうすると百万、百五十万、二百万、三百万、五百万、七百万、一千万とこうありますけれども、この五十万円の百円当たりの税額を一として累進倍率をずっと見ていったら、これはあとで大蔵省も計算してもらって間違っておったら指摘してもらいたいと思うんですけれども、百万円でいきますと二・八倍ですね、それから百五十万円で四倍強、二百万で五倍強、三百万で七・一倍強、五百万で十・七倍、七百万で十三・二倍強、一千万で十八倍強、こうなっている。この百万近いところが累進倍率としては一番大きいわけです。ですから結局は二百万以下の税体制というものは、それだけ税率においても過酷な税率を課せられておるということが言えると思うんです。
こういう点の税率体制というものをやはり抜本的に改正をしなければ底辺の引き上げというものは私はできない。この課税最低限と税率の改廃等を含めて今回にやるならば、そこの配慮をしていくべきじゃないか。ですからこの前ページの四ページ、五ページで若干の試算をしてみますと、給与所得者の独身者の場合ですね、これは改正案でいきますと四十六年分で一万三十六円、それから平年分で一万二千五百十二円。夫婦子供二人の場合においては三万九千七百十四円、五万二千九百五十二円今回払い戻しになってくるわけです年末調整の段階で。だけれども実際問題として税率と控除と二つ並列でいった場合において、従来の割合で私は計算しますと九百何億——約一千億近いものが本来ならこの納税額の実績からいって、大蔵省の資料ですけれども、九百九十億程度本来なら控除額のほうに回して、そうして税率は残額千六百五十億差っ引きした額に大体合致さしていったらどうかということになれば、税率もこの超累進体制というものをどこかで緩和する、二百万、三百万以下を。ところが今回の場合、そういうものはそのまま素通りしちゃって、そして三百万以上にウエートがかかっていることは、これは間違いないんですね。だから、そういう点について主税局長はどう一体判断をされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/292
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293・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 今回の減税は、今朝来御説明いたしましておりますように、大体控除と税額とで半分ずつぐらいということになっております。したがいまして、今回の減税だけで見ますと、確かにおっしゃるとおり、低所得層への配慮は不十分だという御指摘が各方面からあるわけでございます。
ただ、そこで二つのことを申し上げておきたいのでございますが、一つは、今回まあ減税が行なわれます際に、もちろん直接的には景気浮揚ということであったわけでございますけれども、やはり今度の平価調整問題に関連をいたしましていろいろと暗いニュースが重なっておるということもあり、多分に心理的効果をねらうといいますか、そういう意味も考えられたわけでございまして、そして今度まあ通貨の調整という問題が起こりますのも、いろいろと長年にわたる各層、各界の方々の御骨折りの結集ではないかということから、なるべくならば特定階層あるいは特定の職業の方によらないで平均的に、まあ少しずつであってもお返しすることができないかというような気持ちがかなり強く働きまして、そこで各階層別の軽減割合をあまり軽重をつけないでという配慮があったというのが一つでございます。そのことのために、まあ見方によっては低所得層については不十分だという御批判を受けることになったかと思います。
それからもう一つは、今回の改正は、この春の改正とあわせて行なわれることになったわけでございまして、所得税は年分課税でございますので、今回の改正だけを切り離して見るというだけではいけないのであって、やはりやや長期に所得税制として見ていただきたい。特にこの春の改正とあわせて見ていただきたいという気持ちがあるわけでございまして、ただいま御指摘ありました、私どものほうから御提出申し上げました補正予算に伴う税制改正要綱の二二ページの最後に付しております参考表を見ていただきますと、この春の改正の分と今回の改正の分と総合した軽減額を御参考までに添付してございますが、この表でごらんいただきますように、この春にはもっぱら控除によります減税が行なわれました関係がございました。したがって、この春の減税分と今回の減税分を合わせて考えていただきますれば、税率、控除を組み合わした、あるバランスのとれたものになっているものと考えているわけでございます。
そこで、ただいまの御指摘の中で、特に低所得層のところの税率を少しいじることを考えたらどうかという御指摘でございますので、その点についてなお若干触れておきますが、現在は税率も、御承知のように、一〇%から始まっておりますので、その税率を若干下げたらどうかと、あるいはそういう御指摘かと思いますが、この点はいろいろ各方面から御議論のあるところでございまして、ただ一〇%でございましても控除が働いていくわけでございますから、世の中に現実に実効税率として一〇%という税率があるわけではございませんので、実効税率としてはやはり一%なり〇・一%くらいのところから始まっていく結果になります。所得から控除を引いて税率を掛けますので、その最初の三十万までの分について一〇%がかかります。たとえば三十万円であれば三万円でございますが、それは所得全体については一割になるわけではございませんので、もっと低い率でございます。
そこで現在各国の所得税制から見ましても、控除と税率との組み合わせ制度をとっておりますところでは、最初の税率の出だしはやや高目のところから出ておるわけでございまして、御指摘のように、今後税率を考えます場合に、低所得層の税率をもうちょっと何か考えたらどうかということは、今回も各方面からも言われておりますのですが、本来控除と税率の組み合わせということを考えますならば、やはり一〇%というなまの税率が働いているわけではないということをひとつお含み願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/293
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294・戸田菊雄
○戸田菊雄君 まあいまの主税局長の答弁よくわかるんですが、確かに実効税率一〇%になっておるのであって、社会保険料その他はすでに控除したもので計算されておりますから、それは当然そうでしょう。まあそれにしても、いま指摘をしたような状況になっておるわけですから、その辺のことを十分検討願って——これはたとえば、軽減額を見るともっとはなはだしいんですよ。たとえば五十万円とそれから三百万円を比較をいたしますと、軽減額は四十五・九倍、五百万ですと百五十倍です、実に驚くなかれね。額にしますと、そういう倍率になっている。税率はいま言ったようなかっこうです。だから、そういう矛盾が大きく出てくるわけですから、上厚下薄と言われてもこれはしようがないですから、その辺もう少し私は是正する必要があるのではないか、こういうふうに考えますので、いま主税局長が言ったような内容で今後十分ひとつ検討していただきたい。
それからもう一つは、今回の確かに社会保険料等があらかじめ引かれているということはわかりますが、生命保険等の控除額が依然として何ら改善をされないまま、あらゆる控除額が基礎控除とかなんとかいうことでやられているんですが、生命保険等にからまる控除ということは全然やられておらない。こういうものに対しても四十七年度に向けて私は検討すべきじゃないだろうか、こういうふうに考えるのですが、その辺はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/294
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295・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 先ほど申しましたように、かなり来年度の財源事情等を考えますと、所得税の大幅な減税ということはなかなか現実問題としてむずかしいことと考えられますが、さりとて、そのことは決して所得税につきまして一切全然手をつけないという意味ではないわけでございまして、四十七年度の予算編成時期に向けて、もろもろの各方面からの御要求、あるいは示唆に基づきまして、いろいろ四十七年度予算編成時期までに研究したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/295
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296・戸田菊雄
○戸田菊雄君 時間もありませんから、あと二点ほどで終わりますけれども、一つは住民税ですね、本来なら税制土の減税の中に必ずこの基礎控除と住民税というものは大体ついていままでやられた。今回だけはこれは除かれたんですね。これは四十七年度に向けて検討する考えはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/296
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297・石川一郎
○説明員(石川一郎君) ただいま御指摘がございましたように、四十三年以降所得税の各種控除の引き上げが行なわれましたときには、住民税におきましてもほぼ同様の引き上げをやってきておるわけでございまして、昭和四十六年においても控除の引き上げを行なっております。四十七年度の問題につきましては、何ぶんにも地方財政の見通し、かつてない非常に困難な状況にあるというふうに考えられるわけでございまして、この辺の見通しを得、地方財政対策とも関連いたしまして、政府、税調で検討を重ねていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/297
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298・戸田菊雄
○戸田菊雄君 一括最終的に質問をしますが、一つは税外負担の問題ですね。ことに医療費、米価、国鉄——まあ国鉄に限らず、公共料金ということになりましょう。そういった値上げ等に対して関係者のほうからひとつお答えを願いたいと思うんですが、それと、主税局長に、いま公団住宅の市街地賃貸が一般で一万八千五百円ぐらいしているんですね。これは前から問題になっておりました教育費控除も含めまして、まあこの教育費の直接父兄負担費は、大体小中校で二万円ですね。高校で五万、大学で十万。実質的には医科大学なんか五十万円以上。その他寄付金や何か取られるということがありますから、実際はそれ以上になっていると思うんですが、こういういわば控除の問題、それから未成年者の労働者に対する課税の問題ですね。だからこれは所得、住民税ともに控除したらどうか。控除の中身の問題あるでしょうけれども、基礎控除あるいは成年に達しないという理由づけなんかも大蔵省とよく検討されているようでありますから、そういう各般の諸事情を反映さして、こういう問題について四十七年度に向けて検討の用意があるかどうか。
もう一つは、あとで租税特別措置法の中小企業の当面の緊急措置に出てまいりますけれども、何といってもこの利子配当ですね。こういういわば特租の抜本改正は、こういう機会にこそ私はやるべきじゃないか。ことにこの交際費課税とか、これは前から言ってきたわけでありますけれども、そういう問題についても十分配慮していくべきじゃないかと思うし、電気ガス税とか入場税とか、これは戦費調達の手段としてやられて、佐藤総理自身が、これは悪税だと認定されている。これは再々言われてきている問題ですが、そういういわば税制上の大きな欠陥があるわけですから、でき得るだけ経済転換に伴って四十七年度でひとつ検討していってはどうかという考えなんですが、その辺の見解を聞かしてもらって私の質問はきょうは終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/298
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299・船田譲
○政府委員(船田譲君) まず一番最初に戸田先生から御質問のありました、いわゆる三K問題について申し上げたいと思うんでありますが、米価にいたしましても、国鉄にいたしましても、また政管健保にいたしましても、いずれも非常に重大な段階にきている問題でございますが、他面、物価に与える影響を考えますと、これまた軽々にこういうふうにするという具体的なことを急いで出せないような状況もございます。したがって、これに対しましては政府をあげまして前向きに取り組んでいかなきゃならぬと思いますが、詳細なことにつきましては担当の者にお答えさせたいと存じます。
それから先ほどお話がございました、勤労者の所得に対しまして、国民所得に対しまして、租税の負担の率が諸外国に比べましてなるほど日本は低うございますけれども、しかし欧米の環境とまたわが国の環境がだいぶ違っております。そういったようなことでわれわれも決してこれは軽々に高負担、高福祉ということで上げていこうということを積極的に考えているわけではございませんで、ただ今後国の施策を進めていきます場合に、特に来年度は非常な財源難時代でございますので、これに対処するためにはよほどわれわれも腹をくくって立ち向かわなければならぬという気持ちでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/299
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300・戸田菊雄
○戸田菊雄君 最後に。資料は主税局長いいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/300
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301・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/301
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302・戸田菊雄
○戸田菊雄君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/302
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303・多田省吾
○多田省吾君 今回の所得減税は、早急な景気浮揚をはかるためという名目がありますので、私はまず最初に経企庁にお尋ねしたいんですが、第一に、今回の不況というものが昭和四十年の不況と本質的にどう違うのか。また同じであるのか。まあ昨年後半から不況に入って、本年度におきましても景気の停滞基調というものが続いたわけです。ようやく七月になって景気指標等が若干好転のきざしが見えたのでありますけれども、八月十六日のいわゆるアメリカの新経済政策あるいは日本がとった変動相場制への移行等によってこの不況というものがさらに深刻になったわけでございますが、この不況が、一部にはまあ来年の下半期まで続くのではないかとさえいわれているわけでございます。ですから経企庁として、昭和四十年の不況と今回の不況が体質的に違うのか、同じであるのか、またどう違うのか、またいま言ったように、いまの不況というものがいつごろまで続く見通しなのか、まずそれをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/303
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304・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) お尋ねの御指摘のとおり、最近の景気は、昨年の下期から非常に景気が停滞しておりまして、まあそれは一昨年の秋以来続きました総需要抑制の過程におきまして、特に第一は、在庫調整が非常に急テンポに進んだということでございまして、昨年の春、年率三兆八千ぐらいの在庫投資が、本年の四−六月に一兆一千に落ちたということがその第一点でございます。もちろんその底流には、もう一つは、昨年の春あたりから耐久消費財、これが四十年以降の景気を引っぱってきたわけでございますが、これが景気要因というよりも、むしろ自律的な要因ということによりまして、普及度の向上とか、あるいは公害問題とかいろいろな面から需要が落ちたというようなことで、そういった需要の鈍化というものが片っ方にございまして、一方、これは基本的に大きな影響力を持っておりますけれども、設備投資が過去四、五年非常に二〇%以上の強い、高い投資の伸び率を示してきた。それが製造業につきましては非常に大きな供給力になって出てまいったわけでございまして、したがいまして、需要の鈍化と、そういった供給力のギャップ、いわゆる需給ギャップというものが逐次拡大して、それがGNPの中でかなり大きな部分を占めております設備投資、需要要因としての設備投資が鈍化するというようなかっこうで今日のような停滞状況になっている。
先ほど先生のお話ありましたように、それが一応在庫調整もかなり進展しまして、また一方、輸出も本年の上期におきましてかなり好調だったという面を反映しまして、六月、七月ごろから製品在庫もかなり減りましてやや回復のきざしが見えておったのでございますが、御指摘のように、今度のドル防衛措置によって、やはり輸出成約がかなり減少する。それから企業としても減産体制が強化される。あるいは先行き不安に基づいて設備投資がかなりさらに冷え込むような状態になっておるというのが現状ではなかろうかと思います。
四十年不況との相違はなかなかむずかしい問題でございますけれども、やはり四十年不況のときにも三十五、六年以降の設備投資がかなり供給圧力になって、それが四十年不況の原因になったという点、そういった点においては共通性があるんじゃないかと思います。ただ、今後の先行きにつきましては、やはりあの当時、三十五、六年ごろから四十年あたり、三十年代におきましては、技術革新というものが非常に激しくあった。それが今後その当時よりは技術革新というものが弱いという意味におきまして、やはりこの不況が克服された場合に、もう一度またもとの高度成長に戻るというふうなことにはならないんじゃないかという感じがしますが、そこら辺はちょっと見通し困難でございますが、そういったことと、それから今度の通貨調整という要因が新たに加わったという点が若干、かなり違うと言えば違うという感じがいたします。
ただ、不況の程度というのは比較して公表するというのは非常にむずかしいのでございますけれども、マクロ的な指標で見る限りは、景気の山と谷というような深さというものはそう大きな——四十年不況以上に大きくない。これはドル防衛措置前の段階でございますけれども、今後どうなるかわかりません。ただ、需給ギャップは四十年当時よりもかなり大きい。したがいまして、個個の企業にとっては四十年当時よりも苦しい面もかなりある。ただ、この四、五年間の高度成長でかなり社内蓄積というものが厚くなっておりますので、その関係でしたがって、現在まではそう大きな影響はなかったと思いますけれども、今後はさらに新しい問題が加わりましたので、今後の景気停滞というものには多分の懸念を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/304
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305・多田省吾
○多田省吾君 ですから、いまお尋ねした二番目の問題ですね。大蔵大臣は今後実質八%ですか、名目上一二%ぐらいの成長率で来年度はいきたいというような希望的観測を述べられましたけれども、一般には、この前の経企庁長官が、十一月の五日ですか述べられた中にも、非常にたいへんだということで、不況はさらに長期化するのじゃないか、五日の経済関係閣僚協議会で経済月例報告を説明したわけですが、そのときにそう言っているわけですね。経済企画庁としては、現在の不況というものが、来年度において、特に下半期ぐらいまでは不況が続くのじゃないかと言われておりますけれども、具体的にどうお考えになるか、それをいまお尋ねしたわけでございますが、御答弁がありませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/305
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306・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 今後の見通しにつきましては、確かに私いま申し上げましたように、かなり景気が停滞しておるのでございますけれども、来年の経済を見ます場合に、一つの基盤としまして、確かに最近の所得の鈍化傾向その他を反映しまして伸び率は鈍化しておりますけれども、消費支出、これがGNPの約半分を占めておるわけでございますが、これがやはり安定した伸びを示すであろう。それから住宅投資も最近鈍化しておりますけれども、最近の金融の緩和で若干回復のきざしが見えておる。それから在庫投資が先ほど申し上げましたようにかなりの低水準に落ち込みましたので、今後は在庫積み増しということが考えられるというふうなこと。それから先ほど弱いと申し上げましたけれども、申し落としましたが、四十年当時と違いますのは、設備投資の約半分を占めております非製造業の設備投資がかなり強い。そういった一つの底ささえというものがございますので、今度の補正予算、公共事業の執行あるいは減税その他によりまして、これはいままでも財投その他の追加投資が行なわれておりますが、そういった効果と、来年度の財政の積極的な運営によりまして逐次総需要が拡大していくということを期待しまして、来年度に入りまして逐次景気がなだらか——急上昇はないと思いますが、なだらかに回復していく、そういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/306
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307・多田省吾
○多田省吾君 昭和四十年の不況のときと比べて現在の不況は非常に大型であり、デフレギャップも大きい、こういう話でありますが、大体現在のデフレギャップはどのくらいだとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/307
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308・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 一応私ども、いろんなデフレギャップの計算の方法ございますけれども、経済企画庁のマクロモデルというモデルで計算しますと、これはGNP全体でございますけれども、昨年度四十五年度が一・九、それが四十六年度、最近私どもが見直した見通しの五・五%でいきますと六・八くらいになるわけでございます。さかのぼって、四十年度は六・五くらいに年度としてはそういう数字になりますので、四十年度と四十六年度と比べますと、ほぼ同じぐらいのデフレギャップになっている、こういうふうな数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/308
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309・多田省吾
○多田省吾君 そうしますと、大体その計算でいきますと、何兆円ぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/309
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310・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 四十六年度約四兆でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/310
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311・多田省吾
○多田省吾君 昭和四十六年度のデフレギャップというのは四兆円ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/311
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312・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) このマクロモデルで計算した数字は、一応四兆円という数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/312
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313・多田省吾
○多田省吾君 たとえば、国民経済研究所なんかは一兆七千億から二兆円というような計算もありますけれども、大蔵省では大体デフレギャップはどの程度に見ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/313
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314・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) ちょっと担当が参っておりませんので私からお答え申し上げておきますが、企画庁のほうとそう大きな相違はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/314
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315・多田省吾
○多田省吾君 そんなに大きなデフレギャップを考えておられるんでしたら、その対策は相当深刻にならざるを得ませんけれども、このような、補正予算のような程度で、どの程度挽回できるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/315
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316・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 私がいま申し上げた需給ギャップの絶対額でございますが、これはモデルによって非常な、数字の差がいろいろございまして、私どもとしましては、この絶対額も重要でございますけれども、一つのギャップ率の推移というものでこの不況の程度というものを判断をするというようなことで、この絶対額ということについて、金額的にモデルの性格によっていろんな数字が出ますので、その点御考慮願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/316
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317・船田譲
○政府委員(船田譲君) いま多田委員の、大蔵省はデフレギャップをどのくらいに見るかという御質問でございますが、担当の調査の者がちょっと連絡がとれておりませんので、至急とりたいと思っております。ちょっとお待ち願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/317
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318・多田省吾
○多田省吾君 経企庁では、先ほど四十年の不況と対比いたしましてお述べになりました。われわれも設備過剰あるいは技術革新は一巡しましたから、景気浮揚対策を考えても、今後はやはり昭和四十年のときと同じように考えてはならないと、このように思います。また、いまおっしゃったように、アメリカのドル防衛という要因が加わっているわけです。したがって、この景気浮揚対策においても、昭和四十年の時点のときとまた本質的に違った景気浮揚対策を考えなければならないと一思いますけれども、ですから、当然公共投資とかあるいは減税とか、あるいは国債発行とか、こういった景気浮揚対策のほかに、やはり産業の再編成問題、あるいは経済構造の改善問題、さらには生産第一主義から福祉優先の政策への切りかえ、こういった本質的な問題が考えられなければならない。したがって、私はやはり社会福祉、社会保障等も考えながら景気浮揚対策をやらなければこれはまたたいへんなことになると、このように思いますけれども、経企庁はいかがにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/318
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319・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) やはり景気回復につきましては、設備投資をはじめとしましてかなり総需要が弱くなっておりますので、やはり今度の補正によります減税、公共投資、そういったものを中心にしまして、財政によってこの景気の拡大をしていくということが、当面の対策ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/319
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320・多田省吾
○多田省吾君 ですから、私は、昭和四十年のときだったら財政措置で景気浮揚対策を考えれば、まあ事済んだような姿もあったでしょうけれども、今回は、そういうわけにはいかないのじゃないかと、こういうことを言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/320
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321・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 景気の停滞から脱出するためには、やはり経済の環境をこの際よくして、一つの成長ラインというものをこの際確立しなければいけない。で、当面そのためには過度の落ち込みを防いで、そして安定成長ラインに逐次向かっていくということが必要かと思いますが、この際政策としてやり得る、または速効性のありますのは、財政の主導による景気回復策ということじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/321
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322・多田省吾
○多田省吾君 それから、経企庁に伺っておきたいのは、物価問題です。
幾らこのたびの所得税減税によって景気浮揚を考えても、いま生鮮食料品のものすごい高騰に見られるような物価値上がりがあれば、全部相殺されてしまってかえって、マイナスになる、こういうことが考えられます。今度の緊急的な経企庁の発表によっても、まあ物価の値上がりを五・五%以内に押えたいと、これはあくまでも努力目標であると、このように経企庁長官も予算委員会等で述べられているわけでございます。ほんとうに経企庁としてそういう五・五%に押えるための具体的な方策というものを真剣に考えておられるのかどうかですね。今後の見通しはどうなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/322
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323・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 年度当初の五・五%という目標、これは確かに現在の状態では非常にむずかしい状態になっていることは御指摘のとおりでございます。
経済企画庁としましても、特に九月の暴騰、これは異常天候が原因でございますけれども、そういった生鮮食料品対策という点につきまして、農林省と十分連絡をとりまして今後の安定をはかりたいと思います。
さらに、今後の物価対策の問題としまして、特に為替の切り上げ、フロートによりまして輸入価格が安く入ってくるといういい要因がございます。ただ、これが流通の段階で吸収されて、消費者段階まではね返らないというふうな問題がございます。その点につきまして、十分関係省と連絡をとって、物価安定に結びつけるようにしたいと、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/323
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324・多田省吾
○多田省吾君 次に、主税局長にお尋ねしたいのですけれども、今回の所得税減税は、まあ総理のお話にもあり、また今回の「当面の税制改正に関する答申」という税制調査会の答申にもはっきりありますように、「早急な景気浮揚をはかるために、相当規模の所得税減税を早期に実施することが最も効果的であると認め、」と、このようにありますけれども、このような千六百五十億円の所得税減税というものが、ほんとうに最も効果的であると認められるようなものであるということを、主税局長も、胸を張って申されるかどうか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/324
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325・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 景気を浮揚といいますか、停滞を回避するために、減税、特に年内減税が効果があるということは、確信を持って言えると思いますが、その場合に、どのくらいの規模であれば、今回の景気状態に即応することになるかという点は、非常にむずかしい点だと思います。過般来、いろいろの場におきます御審議におきまして、今回、御提案いたしましたような千六百五十億円という程度の年内規模の減税で、はたしてどの程度の浮揚効果といいますか、停滞防止効果があるかということについて、疑問ではないか、ないしは、もっと大きな減税であるべきではないかという御議論が、各方面から出ておることも事実でございますし、私どもといたしましても、ちょうどこれでぴしゃっとうまくまいりますという確信を持った御返事をできるということではないわけでございます。
午前中の他の委員の御質問にもお答えいたしましたように、千六百五十億という規模をきめましたのは、何らかの意味において、理論計数をはじき出しまして、こういう計算では、現在の景気判断から、これだけの効果があるから、これでだいじょうだということで、算出したものではございませんので、できるだけ大規模なものにしたいが、しかし、一方において、その財源と申しますか、見返りには、公債を発行することになりますので、その発行されます公債の消化ということも考え合わせ、平常時のものではございますが、過去における所得税の減税規模等々考えますならば、年度当初のものと合わせて三千三百億になります減税というものは、かなり大きいものではないかということでございまして、いま鋭く御質問がございましたように、これで十分停滞をとめることができるか、それだけの計算になるのかということにつきましては、まさに御指摘のように、それだけでいくものではないと思っております。ただ、過去において、今回の補正予算以前において、財政投融資等の増額も行なっておることでもございますし、今回、補正予算におきまして、約五千億円にのぼりますところの公共投資の増額も行なわれておるわけでございますので、一方、財政の事情等ともにらみ合わせながらのものとしては、まあできる限りの努力をしたものというふうにおくみ取り願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/325
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326・多田省吾
○多田省吾君 なるべく重複することは避けたいと思いますが、きょうの午前中からの審議にも見られますように、今回の所得税減税は、上厚下薄であるということが強く言われているわけです。まあ、今回の所得税減税の経緯を見ますと、九月の二十九日に佐藤総理が、東大の内田忠夫教授等と会食をしたときに、内田教授からも、いろいろ提言があったということで、その日の午後に鳩山大蔵次官に減税を指示した。そういうことはどうでもいいことでありますけれども、内田教授の論文等を見ましても、年収百万円以内の減税、こういった低所得者の減税が非常に効果があるんだ。これは主税局長が答弁で何回もおっしゃっておるように、結局高額所得者では貯蓄に回る率が多いんで、低所得者の減税こそ、やはり消費効果があがるのだというようなことを、はっきり言っているわけです。そういたしますと、今回のいわゆる税率の面を約八百十五億円ですか、それから控除の面は八百三十五億円ですか、こういった割り振りというものは、先ほどから言われておりますように、非常に景気浮揚という面からも、また国民の心理から考えても、これはあくまでも上厚下薄であって、そしてまた景気浮揚対策にも効果が薄いし、また福祉優先というたてまえからも反するんじゃないかということが言われるわけです。
ですから 初めの内田教授の提言とか、あるいは佐藤総理の初めの考えからはほど遠い所得税減税になったのではないかと、このようにわれわれには思われるわけでございますが、主税局長はこれをどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/326
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327・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 内田教授は税制調査会の専門委員としていろいろ御指導を仰いでおりますので、しばしば御意見も承っております。そこで内田教授の御意見として、お話しのような点があることは事実でございます。ただ、今回の減税の具体案を考えます際に、先ほどから御指摘の限界消費性向というものが、所得階層別にどういう数字になっておるかということについては、決して私ども研究をしていなかったわけではございませんので、いろいろ調べてみたのでございます。
そこで、その結果を申し上げますと、大局的に考えれば、先ほども申しましたが、低所得層と高額所得層と比べて、いずれが消費性向が強いかということでございまするならば、低所得層よりも高額所得層のほうが限界消費性向が小さいということは、これは一般的常識でございますし、いろんな統計資料等からも導き出される結論でございます。
ただ、たとえば、百万円の所得層と二百万円の所得層、三百万円の所得層、四百万円の所得層というふうなこまかい各所得層別の区分けをしてみまして、その各階層別に限界消費性向がどのくらいの違いがあるかということをできるならば把握をいたしたいということで、いろいろ調べてみたわけでございますが、残念ながら、現在政府関係で持っておりますもろもろの統計では、そのあたりの階層別の限界消費性向というものは必ずしも明快にならないわけでございまして、私どもは今回の減税案が、しかく消費刺激効果という意味において全く無意味なものであるというふうには考えておりませんので、やはり各階層に一割ぐらいずつの減税になっておりますから、それなりの相当の効果があるものと信じておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/327
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328・多田省吾
○多田省吾君 主税局長のいまの御説明は、ためにするような非常に苦しい御答弁だと思うんですが、限界消費性向というものが統計でははっきりあらわれないと、このようにおっしゃっておられながら、その反面、全体的な傾向としては所得が大きいほど限界消費性向が落ちる、所得が小さいほど限界消費性向が大きいということは間違いない事実でありますと、はっきり衆議院でも、また本委員会でも述べておられるわけであります。
それならば、やはり低所得層に所得減税を強化すると、すなわち先ほどから言われますように、税率よりもむしろそういった控除のほうに大きく減税をさいていく、このほうがすなおにこれは景気浮揚対策にもなるんだということになると思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/328
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329・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) その点は、税制調査会の各委員の間でもたいへんいろいろ議論されました。それで、たとえば、非常に低所得階層——所得税を納めておられない低所得階層については明らかに、非常に消費性向は大きいということは、これは間違いない。
それから非常に高所得階層の場合には、これは消費性向が強いとはいえない、これも間違いないということなんでございまして、したがって、大局的に見ました場合に、低所得層と高額所得層と比べてどっちだといえば、これは間違いなく高額所得層のほうが消費性向が小さいということであるということについては、私はそのとおりだというふうに御説明をしているわけでございますが、さて、たとえば、二百万円と三百万円と五百万円とでどういうふうになっているかということについては、これはいろいろな御議論がございます。
で、二百万円といってもいろいろ家族構成も違っておりますし、三百万円といってもいろいろ家族構成が違っておりますものですから、そういうものの統計等もございませんので、一体、そういう百万、二百万、三百万といったあたりのきわどい階層別の、どういうことになっておるのかということについては、必ずしも明確なものがなかったということを申し上げておるわけでございまして、そうしてたとえば、かりにあるといたしましても、現在の限界消費性向は、先ほどから申し上げておりますように、各階層とも七割ないし八割というあたりで動いておるところでございますので、そこで、その場合に減税割合は著しく上のほうが高いというならとにかくとして、ごらんのように大体一割くらいずつの平均率になっておるわけでございますから、その意味において、それが御指摘のように、消費刺激効果として働かないというふうには私は考えないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/329
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330・多田省吾
○多田省吾君 それからもう一つは、先ほど戸田委員も独身者を例にとられてこまかく述べられましたが、夫婦子供二人の四人家族の場合でも、大蔵省から出た資料によりますと、四十六年当初改正の平年分と、それから今回改正案の分とを比べた場合に、百万円の所得の場合に、一年間に千百四十円の減税だと、これは月に直せば百円足らず。それから百五十万円の所得の場合は、一年間に六千五百二十二円の減税で、これは一カ月五百四十円。それから二百万円の場合は、年に一万一千六百円の減税ですから、月に約九百五十円。それから三百万円の所得層では、年に三万六千六百六十二円の減税ですから、月に約三千円。五百万円になりますと、年に十一万四千六百五円で、月に約一万円弱。七百万円の所得になりますと、年に二十一万八千四百円の減税ですから、月に約一万八千円強と、こういうことになると思いますけれども、そういたしますと、やはり庶民感情といたしましては、せっかく千六百五十億円の減税とはいっても、夫婦子供二人の四人家族の場合で、百万円あるいは百五十万円の所得層におきましては月に百円とか、月に五百四十円の減税とかということになりまして、これはもうこの十月、十一月の生鮮食料品のものすごい高騰等を考えますと、こんなのはもう大根五、六本で吹っ飛んでしまうんじゃないか、こういう庶民感情になるんですから、これは主税局長のおっしゃったように、景気浮揚策や心理的感情をねらったといっても、心理的感情からいえば、かえって逆効果じゃないか、逆効果とまでは言いませんけれども、ほんとうにこれは効果がないと言わざるを得ない。ですから、むしろそういう二百万円とか、三百万円以上の高所得者向けの減税ではなしに、控除を中心にした、やはり低所得者の減税のほうが景気浮揚策からいっても、心理的感情からいっても、心理的効果からいってもよかったのではないかと、このように思いますけれども、主税局長はどのように思いますか。また、先ほどあげた数字はそれでよろしいと思いますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/330
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331・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) ただいま御指摘の数字はまさにそのとおりでございます。ただ、一つ申し上げておきたいことは、ただいまおっしゃいました数字は、今回の改正案によります軽減額の数字をおっしゃったわけでございますが、たとえば、百万円の欄で今回の措置は千百四十円の軽減でございますけれども、これは実はこれでもうあとはゼロになるわけでございまして、現在納めていただいております全部がなくなるわけでございますので、たとえば、この欄でいえばもうこれ以上は軽減ができないわけでございます。それから、上のほうへいくと額がふえるのは事実でございます。しかし、問題は、現在納めていただいている税額をどの程度軽減するかという軽減額を見ます場合には、これはどうしても現在納めておられる額が多ければ軽減額もどうしても多くならざるを得ないと申しますか、そういう宿命にあると私どもは思うのでございまして、軽減額だけで比較されますと私どもとしてはたいへん説明がつきにくいと申しますか、そういう感じがするわけでございます。
そこで、その次の欄にございますように、大体各階層を通じて一〇%ぐらいの軽減ということになっておるわけでございますが、これこそまさに、今回の措置は、多田先生も触れておられますように景気浮揚という意味が主体ではありますけれども、しかし、おっしゃるような意味、心理的効果というような意味もないわけではなくて、前にも申し上げましたように、こういうときにおいて、多少、一種の何か明るいニュースをというような意味もあるわけでございます。したがって、各階層にある程度のバランスがとれたという意味もありまして、そこで、その下の欄にありますように、軽減割合等におきまして、あまり各階層別に差がないようにというような気持ちがあったということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/331
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332・多田省吾
○多田省吾君 先ほども午前中に松永委員がお述べになったように、結局、先ほどいろいろ百万円以下は何人、二百万円以下は納税者は何人と数字を聞いたわけです。それによりましても二百万円以下の納税者は——約全納税者二千六百万人のうち二千五百五十六万人、九四%に及んでおります。この二千五百五十六万人、九四%に当たる納税者に対する減税額が五二%であって、結局わずか六%の九十万人と四十五万人と二十万人をプラスいたしますと約百五十六万人ぐらいですか、このような高所得者に対する減税が全部で四八%にも及んでいると、そのようにも言えますし、先ほど述べましたように、心理的効果等を考えましても、三百万円以上の高所得者がそのような大きな減税額であるにもかかわらず、三百万円以下の所得者においては減税額が非常に小さいということから、はっきり言えばありがたみも非常に薄れるわけです。その問題ですねへこれはどう考えてもおかしい。
それからもう一つは、先ほど主税局長は午前中、累進構造が急カーブになっているから、それをなだらかにしたいんだという意味で、税率を半分は考えたんだと、こういうお話でございました。そしてその中で、将来はいまの分離課税を総合課税にする場合でも、どうしても急カーブだとやりにくいというようなお話もあったわけです。だけれども、こういうなだらかにするほうに先走ってしまって、じゃ利子・配当の分離課税なんかは一緒に総合課税にもっていったかというと、全然今回やらないじゃありませんか。そういった点も非常に矛盾だと思う。主税局長がそうおっしゃるんでしたら、今回も利子・配当の分離課税なんか撤廃しちゃって、そして総合課税にすべきじゃなかったですか。そういった点から見てどうも御説明のつじつまが合わないように思います。これはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/332
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333・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 一つは、御指摘のように、九四%の方について年内減税額が五二%だということはおっしゃるとおり、そうであります。しかし、その前提としては、その九四%の方は現在四六・七%の税額を納めているというふうに推定されるわけですから、残りの六%の方が五三・三%の税額を負担しているという関係にあるわけでございますから、そこのところは非常に見方でむずかしいところだと思うのでございますが、非常に少ない人数の方ではございますが、それが非常に多くの額を負担しているということが、どうしてもいろんな意味での分散につながる、いろいろな総合制度へのじゃまになっておるということを申し上げたわけでございます。確かに九四%の方がそのために減税額が五二%だといえば、非常にそのバランスは悪いじゃないかというふうにごらんになると思いますが、その方の負担額は現在四六・七%だということをお含み願いたいと思うのでございます。
それから、いまの利子所得の分離の問題でございますが、これは昭和四十五年度の税改正でいろいろ直していただきました。ことしの春から源泉の分離選択税率が従来一五であったものが二〇に上がったわけでございます。そして来年までが二〇でございまして、四十八年から五十年までが、二五と、一五から二〇に上がり二五に上がるということを四十五年から四年かかってやりまして、五十年までの暫定措置がきまっているわけでございます。そこで、一方においてこのようにして所得税の軽減が行なわれることによりまして、相対的に源泉選択による分離課税の優位性というのはだんだん失われていくという形になっているわけでございまして、どうしてこの貯蓄・配当についての分離制度を一挙にやめないかということでございますけれども、それは一つには、四十五年度のときにたいへん長い間御議論を願いました末で、源泉選択制度ということで一応安定を得まして、五十年までそういうことでやることになっておりますので、その点はしばらく様子を見守るということでお許し願いたいし、またその後所得税のほうの総合のほうの控除、税率の改正によりまして、所得税のほうの総合分のほうの実質負担率はだいぶ下がってきておりますので、この分離の二〇とか二五というものの持ちます意味はだんだん上がってきているわけでございます。したがって、分離課税はだんだん不利といいますか、そういうかっこうになってきているわけでございます。長期的には、私が午前中申し上げましたような意味はそれなりに持っているものと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/333
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334・船田譲
○政府委員(船田譲君) 先ほど多田委員よりデフレギャップについて大蔵省はどう見ておるかという御質問がございました。大蔵省といたしましては、デフレギャップについては、特に試算はしておりませんけれども、設備の稼働率、稼働状況等から見ましてかなりなギャップがあるというふうに判断せられるものでございます。たとえば、この七月の民間のある機関の調査によりますと、設備能力に対しまして稼働率が九五%という数字が出ているところから見ましても、かなりのギャップがあるというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/334
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335・多田省吾
○多田省吾君 そのギャップにしましても、民間のいろいろな試算が出ているわけですね。大蔵省はなかなかそれははっきり言えない立場にあると思いますけれども、かなりのギャップだけじゃなしに、さっきも経企庁は四兆円とかなんとかおっしゃいましたから、今度の補正予算におきましても、やはりこういったデフレのギャップをどうするかということで、景気浮揚対策を考えたのでしょうから、ある程度見通しをおっしゃってもいいんじゃないかと思うんですが、まあそれほど、かりにどうこうということじゃありませんから、大体どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/335
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336・船田譲
○政府委員(船田譲君) 先ほど経企庁の調整局長さんから言われました数字は、かなりわれわれとしてもこれを認めていかなきゃならない数字じゃないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/336
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337・多田省吾
○多田省吾君 先ほどの主税局長の分離課税に対する考え方、われわれはまだまだそれはびほう的な予算であって、最初分離課税がつくられたときでさえ、大蔵省でもだいぶん反対が強かりた経緯もありますし、そういう御説明は私たちは絶対納得はできないし、そういう効果がなくなりつつあるというならば、さっそくそれを廃止して、すぐさまこれは来年からでも総合課税に改めるべきだと思うんです、そういう効果がないならば。それを置いておくというのが、やはりそれなりの効果を認めているから置いてあるんじゃないかと、こう思うわけです。
それから、自治省も来ておると思いますので、お伺いしますが、今度臨時地方特例交付金五百二十八億円を地方公共団体へ交付しておりますけれども、これは所得税減税千六百五十億円に伴う地方交付税の穴埋めだと、こういうように見てよろしいのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/337
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338・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) 御質問の五百二十八億円の特例交付金は、所得税の減税に伴う地方交付税の落ち込みということで設けたもの、かように考えております。御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/338
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339・多田省吾
○多田省吾君 この措置というものが、昭和四十六年度限りの特別措置といわれておりますけれども、それじゃ大蔵省にお聞きしますが、今度は政府がいわゆる政策減税を行なったとしても、地方財政の欠陥の穴埋めはしないということなのかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/339
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340・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 本来主計局が答えるべきことと思いますが、その問題はいずれにしましても、四十七年度の問題としては、この問題に限らず、地方財政の問題が非常に大きな問題でございますので、全体としてどう処理するか、四十七年度の予算編成の最大の問題の一つということで、主計局のほうでたいへん苦慮しておることを聞いておりまして、ただいまの御質問に対する答えにはなりませんが、もう少し全体として、地方財政の組み方について、来年度非常に苦しい問題だというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/340
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341・多田省吾
○多田省吾君 政務次官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/341
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342・船田譲
○政府委員(船田譲君) 地方財源の逼迫状況というものは、私ども大蔵省におりましても、非常にたいへんな問題だということは推測いたしております。そこで、たとえば交付税の、国税三税の歳入欠陥による波及効果的な地方交付税の落ち込みということを一つとりましても、あるいはこちらが国債を発行いたしまして、公共事業を行ないますときの自己負担分の財源の手当て等を考えましても、たいへんな問題であろうと思っております。いま、主計局といたしましても、鋭意対案を練りつつあるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/342
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343・多田省吾
○多田省吾君 じゃ、話を先に進めまして、きのうも大蔵大臣に昭和四十七年度の所得税減税を聞きましたところ、非常に消極的な態度であったわけです。十日の税制調査会のいわゆる総会におきましても、政府が諮問するときにはっきりと、結局自然増が見込めないので所得減税はあんまり考えたくないというような方針を述べられているわけですね。それは私は逆であろうと思うんです。やはり景気浮揚を考えて、この際大幅な所得税減税を昭和四十七年度においてもやり切って、それで自然増収を考えたほうがこれはスムーズであって、そのほうが正論ではないか、このように思うわけでございますが、主税局長、いかにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/343
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344・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 先般の税制調査会では、私どものほうからは、所得税の減税についての事務方の意見というものは別に申しているわけではございませんですが、ただ来年の税収見込みはどうかということを委員から参考意見を聞かれておりますので、その意味で、現状の見込みを先ほどこの席で御答弁申し上げましたのと同じような程度に申しましたんで、まあ当然各委員さん方はかなり自然増収が小さいといいますか、税収見込みが小さいということから、委員さんの一部の間では公債を思い切って発行してでも所得税減税をやれ、法人税減税をやれ、その他の減税をやれといういろいろな御意見もあり、いやあまり減税をやるといっても、それは異常な公債発行を来たすということは、将来非常に問題だという御意見もありで、それぞれの一人一人の委員の個人の御意見のいわば開陳ということで終わったわけでございまして、それが新聞の報道になっているわけでございます。
で、ただ、私ども率直にどうだということになりますと、いまおっしゃいますように二つの説がいまあるわけでございまして、思い切った浮揚をはかって、来年のことは 将来のことはあまり心配しない、と言ったら語弊になりますけれども、先のことを言うよりは、思い切った積極政策を歳出についても歳入についてもとったらどうだという御意見と、それからやはり非常な落ち込みになるのでありますので、また公債政策というものは非常に将来いわば財政の硬直といいますか、将来負担が大きく残りますので、それは避けるべきだという御意見と、両方あるわけでございまして、これは四十七年度予算編成のときまでに首脳部において決断をされなければならぬ問題であるわけでございますが、私どもといたしましては、今回の改正案を提出させていただきますに際しまして、千六百五十億という規模を考えます際には、これは平年度ではどうなるかと申しますと、約二千四百億ないし五百億になるわけでございまして、二千四百億ないし二千五百億ということであれば、所得税減税の規模としては例年に比して決して小さくないものでございます。ただ景気浮揚ということをそれに今度は持たせるということであれば、それはいかなる意味を持つかということは問題があろうと思いますが、所得税が例年の規模であれば、二千四、五百億というのはかなりこれまで数年の減税規模と比べて大きなものでございますので、特別な財政政策の見地からするならばともかくとして、租税制度の問題として考えます場合には、必ずしも来年大規模な減税ということを強く主張できる立場ではない状況にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/344
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345・多田省吾
○多田省吾君 佐藤総理も参議院の予算委員会で、今回の補正予算においては政府が転換した経済政策、すなわち福祉優先の経済政策から見れば、まだそのきざしがちょっとあらわれている程度だ、今度こそ本物なんだ、四十七年度予算こそ政府がかなえの軽重を問われるような本気になった新しい経済政策、転換した経済政策を考えるんだということをはっきり答弁しているわけです。これはもちろん福祉優先ということもありましょうし、まあ景気浮揚ということもありましょうし、そういった柱があるわけでございますが、いま主税局長が答弁なさったように、景気浮揚ということを考えましても、やはりこの補正予算でやった年内減税、これをさらに来年度予算において押し進めてこそ、景気浮揚が着実にその芽がふき出す。ここでその芽をつんでしまっては、その効果もはっきり私はあらわれないんじゃないかと思う。こういう意味で、やはりこの所得税減税を昭和四十七年度に新たにやるべきだということを主張しているわけです。
それで、主税局長は十日の税制調査会の総会で、いわゆる検討点をいろいろ大蔵省それから自治省でも項目を述べられたそうでございますが、簡単でけっこうですから、そのおおよその内容をお知らせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/345
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346・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 申し上げます。
一応検討テーマとして御説明いたしましたのは、いわば目録みたいなものでございますが、所得税については、そういう一般減税を行なうべきかどうかということが一つと、第二は、先ほども他の委員からお話のございました課税単位の問題をどうするかという問題。この点については、かなりはっきり私どもとしては、諸準備がまだ間に合いませんものですから、来年度はむずかしいというふうに考えております。その他の所得税関係では、その他多少手直し減税は考えなければならぬものがある。たとえば老人対策とか何かそういうものがいろいろいま検討課題となっておるということを申し上げております。
法人税については、一番問題は来年の四月末をもって切れますところの臨時加重税率一・七五%、現在基本税率三五でございますが、その上に一・七五%というものが二年間臨時に加重されておりますが、これを現行制度どおり来年の四月末をもって打ち切るか、それとも延長するかという問題が中心でございます。
相続税が三番目でございますが、これは昭和四十一年以来改正が行なわれておりません。ところが、これは累進税率になっておりますし、課税物件の中で土地が非常に多いものでございますから、土地の価格の上昇、特に評価額を漸次実態に近づけておりますので、非常に課税標準額が上がってきております。その問題がございます。
それから夫婦間の相続税、財産移転についての疑問が各方面から出されておりまして、夫が死んだ場合に妻が財産を相続した場合の課税について、もう少し何かやはり配慮が要るという御要請が各方面から強いのであります。これが検討項目ではないか。
間接税につきましては、物品税については四十一年以来手直しをしておりませんので、これをどうするかという問題があり、四十年の景気浮揚のときにやはり物品税を直しておりますので、これをどうするかという問題が残っております。また砂糖消費税につきましては、消費物資の値下げという問題と、それから菓子の自由化対策ということで問題があるということ、あといろいろ租税特別措置にいろいろ問題があること、それから新税問題として航空用燃料課税の問題と、ギャンブル課税の問題がまだ公式に申し上げるには至っておりませんが、ごく内々検討中の段階であるというようなことを申し上げたのが大筋であります。
地方税については自治省のほうから御説明がありましたので、私からは以上にとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/346
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347・多田省吾
○多田省吾君 その中でふに落ちないのは、やはり所得税の中で課税単位変更、すなわち二分二乗方式にする気かどうかという問題で、大蔵省側は準備不足だからこれはできないだろうというようなことを言って、研究テーマにすることは非常に私は消極的じゃないかと、ほんとうはこの今回の所得税減税のときからそうしていただきたいという希望が非常に強かった、また長年の懸案でもある、それを来年度においてもなおかつ準備が整わないのでというような消極的な諮問をなさったということは非常に大きな問題で、これをもっと積極的に二分二乗方式というものを考えるお考えはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/347
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348・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 二分二乗の問題は私は非常に大きな問題だと思っております。ただ、けさも申しましたが、夫婦世帯と、なかんずく夫婦の一方だけが所得があって、夫婦の一方は所得がないという片働き世帯にとりましては、二分二乗は非常に有利になりますが、独身世帯あるいは共働きの世帯の場合にはそれほど——相対的にではございますが、それほど有利にならないという関係がございますので、一体現在のような所得単位の、稼得単位の課税方式がいいか、消費単位の課税方式がいいかというのは非常に重要なテーマではあり、すみやかに研究はしなければなりませんけれども、さりとてそう簡単に結論づけるべきものではないのではないかというふうに考えておりまして、私どもは各方面の方々の御意見を、しかるべき場所でいろいろ御討議をしていただこうと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/348
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349・多田省吾
○多田省吾君 次に話を進めまして、厚生省にお尋ねしたいのですけれども、今回の所得税減税が低所得層に非常に薄かったという面で、その恩恵を受けていない方々に対する社会保障の問題でお尋ねしたいと思うのですが、先ほど午前中も大要述べられましたので^私は重複してそれを述べていただきたいとは思いません。で、特に社会保障の中でも老齢福祉年金等、現在の月二千三百円を早く五千円にしてやりたい、厚生大臣も予算委員会等で、来年は三千六百円ぐらいにしたいという、こういうお話でございます。また老人医療費の公費負担につきましても、七十歳以上の問題が出ておりますけれども、それに対する予算の見積もり額はどうなるのか、老人福祉だけに限ってひとつお答え願いたいと思います。
それからもう一つは、いわゆる厚生年金、国民年金等の問題でございます。私も本会議で厚生大臣からお答えいただいたのでございますけれども、現在の厚生年金の積み立て方式を西ドイツや諸外国並みに賦課方式に改めようという意見が最近だんだん強くなっているわけです。現在大蔵省の運用部資金ですか、これを大蔵省の資料をもって見ましても、大体四十六年度におきましても十七兆円になろうとしております。郵便貯金が大体八兆円、それから厚生年金及び国民年金で六兆円、その他で二兆円と、こういったものがほとんど財政投融資に、本年度におきましても今度の補正予算でふやされて、大体四兆九千億くらいになる、来年度は七兆円を突破するのではないかといわれております。しかもこの六・四%に達している勤労者の方々に対する見返りというものが非常に薄いわけです。これは外国と比べてもとんでもないことであって、これは決して先進国の姿ではなくて、後進国型のいわゆる年金制度でございますけれども、そういったこともやはり将来は改めていかなければならないのじゃないか、このように思うわけです。それを厚生省が何らか気がねをしておられるのか、積極的じゃないということは非常に遺憾だと思うのです。それでどのようなお考えに立っているのか。老人福祉の問題とともに、厚生年金の賦課方式の問題についてもお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/349
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350・柳瀬孝吉
○説明員(柳瀬孝吉君) 最初にお尋ねの老齢福祉年金、それから老人医療費の負担を予算的にどういうふうに考えておるかというお話でございますが、ただいま私ども厚生省が大蔵省に要求をいたしております金額について申し上げますと、老齢福祉年金の関係では、昭和四十六年度で七百四十二億五千二百五十九万七千円でありますのが、千百三十三億一千六百二十六万四千円に相なるということでございまして、これが先ほどの大幅な引き上げに基づく金額の増になるわけでございます。
それから、老人医療対策の関係で、老人医療の特別措置制度の創設につきましては、来年度は十一月からの実施を予定しておりまして約百九十一億円を要求しておるわけでございます。これは平年度化をいたしますと、公費負担分が一千百七億円、国庫負担分は三分の二を見込んでおりますので、そのうちの三分の二で七百三十九億円を要するというふうになるわけでございます。
それから、二番目のお尋ねの問題でございまして、厚生年金、国民年金を賦課方式にしたらどうかというお話でございますが、この点につきましては、現在、非常に急激に、日本の人口構造が変わってまいっておりまして、老人の比率が非常に高まってきている。これは欧米では一世紀ないし二世紀でふえてきたような人数が、この構成比が、わが国では二十年、三十年ぐらいの間に、老人のいわゆる構成比というものが欧米諸国と同じようになってくるというふうな状況でございまして、これは現在、たとえば六十五歳以上の老人の人数を見てみますと、約七百三十万人でございますが、二十年後には一千万人をこえ、二十五年後には大体倍近い人口構成になるということでございまして、したがいまして、これを賦課方式というものをとりますと、次代の生産年齢人口、現在の青少年、幼少年人口というものが大きくなってまいりまして、その負う負担というものが非常に大きくなってくる。こういう点から考えまして、なかなかこれはむずかしい問題ではないかというようなことで、一応検討はいたしておりますけれども、そのような点から、ちょっと困難な点があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/350
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351・平井廸郎
○政府委員(平井廸郎君) まず、第一点の老齢福祉年金の引き上げ並びに老人医療対策の問題でございますが、これは来年度の厚生省の要求の中の最も重点的な項目とされておりますので、現在私ども真剣に検討中でございまして、現在のところ、まだその結論は得ておりません。
第二に、厚生年金なり国民年金の積み立て方式は、現在のところ、修正積み立て方式という形をとっているわけでございますが、これを賦課方式にかえるということは、先ほど厚生省からも御説明がございましたように、後代の負担を著しく高からしめるという問題を含んでおりますので、そういう点を勘案しながら、慎重に検討していかなければならないというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/351
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352・栗林卓司
○栗林卓司君 所得税法の一部改正案で長時間の論議になっておりますが、ほとんどの問題に触れられてきたと思いますので、なるべく重複を避けながら御質問をいたします。質問の中で回答済みのものがあれば、その旨を言っていただければけっこうです。なるべく簡潔に伺っていきます。
まず、所得減税の年内実施ですけれども、これが思い切った政策であるという点を評価するにやぶさかではございません。ただ、そういうなりふりかまわない政策をとらざるを得ない経済状態に日本を押し込んでしまったこれまでの経済政策のあり方に、たいへん遺憾なものを感じます。まあそれはそれとして、年内減税はいいとして、問題は千六百五十億ということになると思います。先ほど来、いろいろ御議論がありましたけれども、端的に伺いたいのは、この千六百五十億というのは、年内減税という話が出る前に、来年度減税試案としてすでにあたためていた数字なのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/352
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353・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 突然、年内に減税をしたらどうかというのは、かなり最近と申しますか、税制調査会に御審議を求めます時点に近くなってから出た話でございまして、ある時期には、たとえば、年度内減税というようなことで、今国会に所得税法の改正法案をお願いをして、そうして、通常でございますと、四月からその効果が及ぶのを、そうでなしに、一月から効果が及ぶようにしたらどうかというようなことは検討いたしておりましたが、年内にまで及ぼすということまで踏み切るようになりましたのは、かなり突然のことでございまして、必ずしもあたためていたものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/353
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354・栗林卓司
○栗林卓司君 私が伺ったのは、千六百五十億という減税規模、年内あるいは年度内減税というものでくる前に、すでに構想としてあたためていたかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/354
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355・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) その点は、規模を含めて、別にあたためていたわけではないというふうにお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/355
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356・栗林卓司
○栗林卓司君 そうしますと、千六百五十億円の規模をきめるときには、景気浮揚ということが不可欠の考える条件になっていたはずだと思います。先ほどの御返事ですと、なかなかそれは検討しかねたということに私は受け取りましたけれども、そういうことで、今日の景気の状態の中で、異常な年内減税を実施するというその減税規模をきめるときに、総体の千六百五十億円というのが景気浮揚としてどの程度の納得度を持った数字であるかということを検討できなかったというのは、どの点に問題があったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/356
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357・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) この所得税の減税をいたします場合に、その景気浮揚効果と申しますか、景気停滞を防止する効果と申しますか、それはそれだけの角度から申しますれば、これはやはり大きければ大きいほどよろしいということになるわけでございます。あとは、あまり大き過ぎると、そちらのほうの効果はよろしいかもわかりませんが、その不足財源を補てんするための公債発行額が大きくなる、そちらのほうに影響が来るということが一つと、それから、今回のように、所得税法を改正しての減税のことでございますとしますれば、後年度の所得税収入の弾力性に影響が出る、この二つでございます。その両方の角度から、おのずから、いわば歯どめといいますか、そう大きなものにはなり得ないということに判断したわけでありまして、その場合の目安が、先ほども申しましたように、当初減税額の千六百六十六億ということが非常に有力な目安になったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/357
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358・栗林卓司
○栗林卓司君 先ほど経企庁のほうから、デフレギャップ四兆円、いろいろな数字があるけれどもというあと書きがつきましたけれども、話があります。四兆円については大蔵省としてもその数字を尊重して考えていかざるを得ない。この間も水田大蔵大臣から、かなりのデフレ効果が出ると見ざるを得ないというお話もございました。四兆円が合っているかどうかは別にしまして、相当りつ然とする数字であることは事実だと思うのです。
そこで、ただいま歳入歳出の関係を言われたのですけれども、関連して一つ伺いたいのは、たまたまきょういただいた資料の中で「既定経費の節約に関する資料」というものがあります。そこの中で、特定経費を除いて八あるいは四%という節約目標がありましたけれども、その数字はどういう経緯と判断できめたのか、聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/358
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359・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 主計局の吉野主計官から御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/359
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360・吉野良彦
○説明員(吉野良彦君) 節約の八%の根拠いかんという御質問かと思いますけれども、従来毎年補正予算におきまして財源に不足を生じます場合に、予算の執行状況をにらみまして、大体最近は節約をやりまして財源の捻出をするということをやっておるわけでございますが、本年も前年と同様に八%という率で各省の御協力をお願いした次第でございます。ただし、本年におきましては、現に補正予算におきまして公共事業等の追加によりまして景気の浮揚をはかるというようなこともあわせてやっております関係上、たとえば、前年におきましてはいろいろな施設費のたぐいにつきましても同様に節約をお願いしておったわけでございますけれども、本年はさきに申しましたような事情を勘案いたしまして、節約の対象からは除外をするというような考慮をいたしてございます。
それから、ただいま申しました八%というのは原則でございます。これは、一般のわれわれ公務員が使います旅費あるいは庁費といったような行政経費のたぐいについてでございますが、試験研究機関におきます試験研究費等なかなか節約が困難なものにつきましては八%の半分でございますが、四%の節約をお願いをするというふうにいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/360
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361・船田譲
○政府委員(船田譲君) デフレギャップの大蔵省の見方につきましては先ほど戸田委員に私が答弁申し上げましたが、なお補足することがあると感じられますので、上野参事官から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/361
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362・上野雄二
○説明員(上野雄二君) それでは簡単に御説明申し上げますが、いわゆるデフレギャップという考え方は、過去の民間の設備投資、設備能力、そういうものを前提にいたしまして能力資本係数というものをとりました。これでGNPが民間の設備をフルに稼働した場合どの程度の伸びができるかということを算定いたしまして、それに対して現実にどのくらいのレベルにあるかということでございます。これは先生よく御承知のとおりでございますが、そこで、たとえば本年度の当初の政府見通しによりますと、実質GNPの伸びは一〇・一%であったのでございまして、これは御承知のとおりでございますけれども、そのような考え方は、要するにいままでの設備能力を完全にフルに稼働いたしました場合にはおそらくそこまでいけるだろうという考え方であったと思います。ところが、現実には、今年の上半期には不況の傾向が強くなったということでございまして、その水準で見ますと、との間の経済企画庁の算定にございますように、実質五%台というところへ現実の経済活動が落ちているわけでございます。その差額というのはやはりある意味では需給ギャップということを言っていいと思います。これと関連いたしまして、政府の景気対策が十分かどうかという場合に、四十六年度の景気浮揚効果がこれこれであるということを申しますが、実はこれは、景気対策を打ち出しましてから四十六年の末までの効果と言っておりますので、当然のこと、先生御承知のとおり一年間をとりました需給ギャップと、それからこれこれの政策の浮揚効果というものとは時期においてかなりのズレがある、その点だけひとつ考えおき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/362
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363・栗林卓司
○栗林卓司君 いまの説明わかります。で、先ほど主税局長だったと思います、景気浮揚ということを考えてデフレギャップの意味を考えるなら、その観点だけでものをいうなら、相当の額の、多額の所得税減税を実施したほうがいいということであるけれども、歳入歳出を考え、今後の租税政策ということを考えていくと歯どめが入ってくるという御答弁だったものですから、その歳入歳出の歳出について二、三実は付随して伺っているわけです。いま八%、四%の説明、簡単に要約すれば従来どおりというお話だったと思うのです。その意味で来年の歳入の伸びを考えてまいりますと、歳出の節約ということは大きな課題になるのだと思います。その意味で八%なり四%にそれが入っていないということを踏まえて、そのいただいた資料の下にある節約額というのは、目標に対してどのくらいの充足度になっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/363
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364・吉野良彦
○説明員(吉野良彦君) 八%、まあ前年どおりと申し上げたわけでございますが、実は前年まで、つまり四十四年度までは七%の節約というのがむしろ一般的でございました。四十五年度はかなり高い人事院勧告がございまして、給与改定に要します財源も相当多額にのぼるというようなこともございまして、実は四十五年度、昨年度は八%の節約をするというようなことをいたしたわけでございます。で、本年もいろいろな税収が伸び悩んでいるというような非常な財源の異常事情でございましたので、前年に踏襲して八%ということをいたしたわけでございます。
なお、後段の、目標に対してどの程度になるかという御質問でございますが、との八%と申しますのは、私どもが各省庁と相談をいたしまして、当初の予算に計上されております経費のうちで、この経費は節約可能であろうと思われますものを御相談をしながら抽出をいたしまして、その経費にそれぞれ先ほど申しました八%あるいは特定のものにつきましては四%というような節約率を掛けまして節約額を捻出したということでございます。それで、なお、全部一律に節約がかかっておるわけではございませんで、四%の節約もかからない、いわば節約の対象外になる経費も相当あるわけでございます。なお、こういうことで節約をいたしました金額は総額で百六十二億九千六百万円になるわけでございます。今回この金額は先般御審議をいただきました補正予算におきましてそれぞれの省庁で修正減少額ということで減額の補正をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/364
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365・栗林卓司
○栗林卓司君 この資料ですけれども、節約額の科目別内訳、これがいまそれぞれ認定率を掛けた総計額だと思いますが、百六十二億九千六百万、これがいまの話にからむわけです。そうしますと、いまお伺いしている意味は、歳出を効率的に節約をしていかないと、ということを主張したいために、若干横道に入っているんですけれども、最後に一点だけこの機会に伺いたいのは、目標額を見ますと、補助金等というのが三十億五千三百万、それで補助金並びに委託費の総額を見ますと、その下の資料にありますのは二兆九千九百三十八億二千三百万。そこで補助金全部が全部悪いということを私は言っているわけじゃありませんが、ただ困るのは、租税特別措置法と同じで既得権化してくると一番いかぬと思いますので、そういう意味でこれまでも再々問題になってきた補助金並びに委託費について使途別に見ると、総額二兆九千九百三十八億二千三百万、節約目標がただいまのとおり三十億五千三百万。その背景にはいろんなむずかしい問題があることは私も知ってはおります。ただ、先ほどのデフレギャップなり景気浮揚ということを考えれば、もっと多額の政策減税年内実施をすればいいんだけれどもということの見合いで考えますと、今後この辺の整理が来年度の予算編成にからんで大きな課題になってくると思います。そのことを一つ確認の意味で伺ったので、その旨の御返事をいただければけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/365
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366・吉野良彦
○説明員(吉野良彦君) 御指摘の補助金等につきましての合理化でございますが、これは従来から年々私ども努力をいたしまして、補助金の整理合理化ということで、不急不要になった補助金は廃止をしていく、あるいは効率の悪いものは廃止をしていく、あるいはまた非常に零細な補助金で末端までいきますとごくわずかな金額になって効果がどうも明瞭でないというようなものにつきましては、これも整理をしていくという努力を実は年々重ねてまいっております。
なおこの資料にあがっております三十億五千三百万というこの節約額は、ただいま申しました年々私どもが努力をいたしております、いわば補助金の整理合理化という問題とは一応別の問題でございます。と申しますのは、補助金の中にも県あるいは市町村といったような事業の実施主体の職員の旅費でございますとか、あるいはその事業を実施いたしてまいりますために必要ないろいろな事務費、これが補助対象になっている場合がございます。で、国のほうも財源の事情で節約をいたすわけでございますので、この補助金の中に入っておりますそういう事務費的なもの、これはやはり国に準じて節約をしていただく。そうなりますと、四十六年度の当初予算に予定をしておりました補助金も、そういう旅費、庁費等の節約によりまして、補助金の中に含まれておりますその部分が一部節約化される、という結果出てまいりましたのがここに書いてある節約額でございます。ですから整理合理化ということで私ども毎年やっております、いわゆる補助金整理合理化の問題とは、一応次元のいささか違った事柄であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/366
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367・船田譲
○政府委員(船田譲君) ただいまの補助金の問題は姿勢の問題も含まれますので、政務次官としてもお答えしておきたいと思います。
毎年、零細補助金あるいは総花的な補助金につきましては、地方六団体などから、あるいは特に知事会などからもしかるべく整理すべきではないかという一種の御勧告等を受けております。しかし個々のものになりますとまたいろいろなそれぞれの歴史的な背景等がございまして、勇断をふるうことはなかなかむずかしゅうございますけれども、そう言っておりましたのでは、先ほどの御質問の趣旨にも沿いませんから、この機会にいまのこととはまた別でございますけれども、補助金全般に対する財政当局の姿勢といたしましては、あくまで効率的に、しかも総花的、零細なものはできるだけ整理をしていく、また歴史的な使命をすでに終えたものについては、惰性的に出されているようなものについては十分検討していくということの前向きの姿勢でやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/367
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368・栗林卓司
○栗林卓司君 千六百五十億については、これはもう一つ主税局のほうへ伺いたいのですが、国税収入の科目別内訳ということでたまたま三十六年と四十六年、四十六年度は当初予算ということで比べてみました。これは四十六年度実績でも三十六年でも別に変わりません。十年ということでアトランダムにひいた比較です。所得税の構成比、全体の総国税収入に占める構成比を見ますと、昭和三十六年が所得税が二二・二%、四十六年が三二・一%、ほぼ一〇%構成比が高まっております。法人税は昭和三十六年が三二・一%、昭和四十六年が三二・五%、まずはほぼ構成比において横ばいということです。千六百五十億円、これは一つの減税規模として見まして、この十年間で所得税の構成比が一〇%高まったということも踏まえた検討数字かどうかを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/368
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369・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 所得税の税体系におきますポジションがだんだん上がってまいっておることは御指摘のとおりでございます。それは二つございまして、一つはやはり経済の非常な膨張に伴いまして個人所得の伸びが大きいということと、それからもう一つは、所得税の構造が累進的になっておるということのために年々の減税が行なわれましてもなおウエートが高くなっているということであり、一方においては間接税等がいわば弾力性が小さいということによるものだと思っております。そこで千六百五十億というのは、いまのように所得税がだんだん大きくなっていくということを頭に置いたかという御指摘でございますが、先ほども申しましたように、最近五、六年の毎年の所得税の減税規模は単純算術平均では千四百億ほどになるわけでございまして、それを見ますと、まあいわばこの春の千六百億、この秋も千六百億でございますから、単純算術平均からいけばかなり大きいということが言えますが、しかしまさにいま御指摘のように、どんどん所得税の規模が大きくなっているということから言いますれば、はたしてどういう評価をされるべきものかということになると思います。その意味では、いろいろたとえば四十年不況のときの処理に比べて今度の場合は規模が若干、四十年不況のときに四十一年にいたしました所得税の減税などと比べますと、若干小さ目ではないかという御批判が出ておるわけでございます。私どももそういう御批判は甘受しなければならぬと思いますが、ただ問題は、今回の場合には年内減税をされたということで、したがって、その効果という点では規模としては必ずしも私は歴年のものに比べてそう大きいものだとは誇示するつもりは決してございませんが、年内減税であったという点で効果はかなりのものであるということは言えると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/369
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370・栗林卓司
○栗林卓司君 では、先に進んでお伺いします。
年内減税という、景気浮揚ということで、先ほど来いろいろ御議論がありました。つけ加えて、ひとつ、具体的に伺いたいんですけれども、今回の所得税に関する資料を見ますと、全額を控除に使った場合、それから今回の改正案がある、両方、線が引っ張ってあります。それぞれ考え方だろうと思うんで伺うんですが、千六百五十億円全額を控除引き上げに使った場合と、今回の八百十五億、八百三十五億に中身を分けた減税案の使い方の場合、景気浮揚という観点で、どちらのほうが有利だとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/370
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371・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 景気浮揚という点、つまりすみやかな刺激効果という意味においては、控除に全部使ったほうが有効的であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/371
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372・栗林卓司
○栗林卓司君 そうしますと、年内減税、これは心理的な要素がもちろん入るんです。入りますけれども、問題はやっぱり中身だろうと思います。そうすると、わざわざ景気浮揚の効果が、程度はわからないにしても、減殺される減税案の配分内容にしたということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/372
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373・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 今回の減税の具体的内容を考えます場合には、先ほど来御説明いたしておりますように、所得税法そのものの改正ということをいたす、臨時の措置ということでなしに、所得税法そのものの改正ということをいたす。したがって、今後も改正されるかもしれませんけれども、四十七年度も一応これでいけるという案であるという前提になるということになります。そういたしますと、所得税の姿として、所得税の構造として、御存じのように、所得税は控除と税率との組み合わせでできておりますので、そこで、所得税の構造としてまずまずのものでございませんと、後年度において、税率と控除の組み合わせの割合がいわばいびつのものになりますと、後年度においていろいろの問題を発生してまいりますので、景気浮揚ということでスタートはいたしたわけでございますが、具体的な内容を考えます場合には、やはり控除と税率の適当な組み合わせということでないと、うまくいかないのではないかと判断をいたした次第でございます。
そこで、お手元の資料でごらんいただきますと、控除だけでいたしました場合という線が入っておりますが、これは、私どもも、控除だけでいたすことも、一つの案として、ある段階において考えたことを示すものでございまして、かつ、先般、衆議院の委員会の段階で、その資料を求められましたので、参考配付をさしていただいたわけでございますが、この表でごらんいただきますように、控除だけでいたしました場合には、増加所得に対しますところの限界負担率は現在非常に高くなっておるわけでございまして、そこで、その問題が非常に所得税の負担感ということにつながっておりますので、増加所得分に対する限界負担率を多少とも軽減するような所得税構造にさしていただきたいという趣旨で、今回の内容の案を組んだわけでございまして、この表はそれを意味しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/373
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374・栗林卓司
○栗林卓司君 先ほど、主税局長が千六百五十億円の税額にからんで、特殊の財政政策的な配慮をする場合にはこうだけれども、通常の租税政策という観点で考えればこうなんだと、問題を二つに分けて御答弁されました。今回の年内減税というのは、特殊な財政政策的な目的で出てきたものなのか、あるいは通常の租税政策で出てきたものなのか。租税という長続きがするものについて、そこでつながっているということは、それは常識です。今回、特に、取り上げた理由として、どちらに重点があったのか、あらためてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/374
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375・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 年内減税をやると、この春に一度減税をしていただいたのに、さらに重ねて年内減税をやるという意味において、むしろ財政政策が、あるいは経済政策が強く前面に押し出されているということでございます。ただそれを具体的にどういうふうな案でつくりますかということになりました場合に、全く臨時に四十六年度限りの措置としていたしまして、四十七年度は一応元に戻すんだという形で具体案をつくるということになりますれば、あるいは別の案が考えられたかと思いますが、来年度以降にそのまま尾を引いていくといいますか、逆に言えば、四十七年度にはどういう最低限、どういう所得税の減税が行なわれるべきかということを、所得税の問題として考えまして、それを繰り上げて、その四分の三だけを年内にやるんだというかっこうをとるといたしますと、その意味では、内容としては、財政政策的な見地よりは、やはり租税政策といいますか、所得税自体の問題として考えるということが本筋ではないか。
そうしませんと、所得税と申しましても、他の個人営業と、法人営業との境目の問題なんかになってまいりますと、相互に関連もございますしいたしますので、やはり制度として考えます場合には、しかも、恒久的制度として一応考えざるを得ない状態にありますので、四十七年度税制として考えます場合には、どうしても財政政策的な見地よりも、所得税減税としての見地のほうが前面に押し出されてくるものだというふうに、私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/375
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376・栗林卓司
○栗林卓司君 四十七年度の税制のことをいまここでお伺いしているつもりはありません。千六百五十億円について例年の、通常の減税規模ということを考えたら、いろいろの御議論があるかもしれないけれども、年内減税ということで言えば、これも一応評価にたえ得るものだと先ほど御答弁になりました。したがって、年内減税というすぐれた財政政策的な目的がその主眼であったことは、先ほどの御答弁からもごく自然に導き出されている結論だと思います。しかも、この一部を改正する法律案の理由としてあげているのはたった一言です。「最近における経済情勢にかえりみ、」これだけです。そう考えますと、通常の租税政策を無視していいとは申しません。ただそれがなぜそこに入ってくるのか、入ってくるなら理由の中にもしかるべく書かれるべきではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/376
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377・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) ただいまおっしゃるとおり、四十六年中の所得税の軽減ということが契機になって、そうして、こういう改正が行なわれるわけでございますが、形としてはごらんのように、あくまで所得税法の改正ということでございます。で、ほぼ四分の三が四十六年に繰り上げて実施される、その四分の三という点は、法律的には、税法では附則その他でそこが明らかになっております。で、そういう意味におきましては、私どもはやはり先ほど申しましたように、景気浮揚、そういう財政政策が非常に強く前面に押し出されてはおりますけれども、その具体的な仕組みとして、所得税というものが使われると、そうして、それが基礎構造を変えるという形であれば、やはりそれは四十七年度だけではなしに、四十七年度以降の所得税の構造の問題として考えざるを得ないということは御理解いただけるのではないかと思うのでございまして、その意味で申し上げたわけでございます。なお、理由としてそのことが書いてないという御指摘については、確かに書いてございませんので、それはあるいは不十分ということかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/377
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378・栗林卓司
○栗林卓司君 いま法律案の審議をしているので、フリートーキングをしているわけではないんです。私が、最初今回の減税案というのは、年内減税という財政政策的な要因が出る前に、机の中にあたためていたのかと聞いたのはそのためなんです。あたためておりません、千六百五十億というのは景気浮揚ということを考えたら小さな額です。一方ではデフレショックという問題確かにあります。しかも、これを見ると「最近における経済情勢にかえりみ、」としか書いてありません。伺いますと、何かの間違いかもしれません、これはそれでは済まされないと思うのです。
もう一度御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/378
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379・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 提出しております所得税法一部改正法律の理由として私ども掲げておりますのは、御指摘のように「最近における経済情勢にかえりみ、基礎控除額、配偶者控除額、扶養控除額、障害者控除額等の引上げ及び税率の緩和を昭和四十六年分の所得税から実施し、その負担の軽減を図る必要がある。」というのを理由として掲げておるわけでございますので、私はこれで足りるのではないかと思うのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/379
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380・栗林卓司
○栗林卓司君 あえて付言して申します。いまのところで、「最近における経済情勢にかえりみ、」これが先ほど来言われているようにすぐれて財政政策的な目的であるその年内減税に、昭和四十七年度に予定されているものが入り込んでしまっているところに大体いまの論議がかみ合わない最大の理由があるわけであります。
そこで、重ねて伺いますけれども、かりに今回は全部控除引き上げのほうが景気浮揚効果が強いと言われたのですから、それでやったとして、その手直しに昭和四十七年度の所得税体系として一体幾らかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/380
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381・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) かりの計算でございますが、全部を控除——税率、控除でなしに、控除だけでやった場合に、四十七年度への影響はどうかということでお答えいたしますと、多少の違いはありますが、四十七年度への影響というものはそう大きな違いはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/381
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382・栗林卓司
○栗林卓司君 よくわからないのですけれども、租税の体系、租税政策というものを考えまして、どうしても実質四分の一くらいは使って税率の緩和はしなければならないと言われていて、それは景気浮揚という特殊な財政政策的な目的には合わないとおっしゃって、しかも、全部を控除に引き当てて四十七年度所得税体系として大きな不都合はない。これはどう考えても理屈が私には合わないように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/382
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383・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 控除と税率と両方かみ合わせた改正でございます場合と、控除だけでやる場合とが四十七年度以降にどういう違いがあるかということになりますと、一番大きいのは、四十七年度以降の所得税の体系としての問題でございます。で、具体的には一番問題は、実効税率の姿ということもありますけれども、所得税でやはりいま一番問題になっておりますのは、最近のわが国の経済の場合には、給与をはじめとして所得の伸びがかなりの額になっております。年によっても違いますが、一〇%ないし一五%ぐらい所得が年々伸びてまいります。そうすると、その伸びた部分に対する税額負担というものが、個々の納税者の負担感として感ぜられるわけでございます。そこで、その意味で限界負担部分、言いかえますと、増加所得部分に対する限界税率がどういうかっこうになるかということは、それが非常に負担感につながるものと思うのでございます。
第二に、所得階層別に限界税率構造が急激に上昇するという形をとりました場合には、法律の範囲内において合法的に所得分散をはかった場合の有利性というものが非常に大きくなりますので、累進構造が急激であります場合には、所得分散をしようという動きがどうしても積極的に出てくるわけでございます。そのことが所得税の体系の問題としてのほかに、現実の実際の問題として非常に強く響いてくるわけでございまして、あまりこれを、この春千六百六十六億の減税をやっていただいた。これは主としてその半分を給与所得控除をやっていただきました。それをこの秋に重ねて控除をやるというかっこうをとりますと、この累進の度合いというものは、かなりいわば急激な累進の度のものになりますから、したがって、現行制度に比べましてかなりそういう要因になると思われるのでございます。したがって、税率と控除を組み合わせました場合と、控除だけやります場合の違いというものは、財政的にといいますか、歳入の弾力性という点から申しますと、先ほどの説明は不十分であったかもしれません。それはあまり大きな差はございませんが、所得税自体の問題としてはかなり深刻な問題になると判断したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/383
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384・栗林卓司
○栗林卓司君 いまお答えになったことを実は聞いたわけではないんです。で、今回の年内減税を作業するにあたって、大蔵大臣指示というのはどういう内容の指示だったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/384
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385・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 大臣からは、ぜひ年内減税をやるべく具体案を考えろという御指示でございまして、私どもとしては二つの案を考えたわけであります。
二つの案というのは、臨時に、たとえば、現行税法のままで一応税額を算出いたしまして、一応算出した額に四十六年に限り、たとえば、一定率を掛けて軽減する。たとえば、五%とか七%とか、一〇%とか軽減する。基本税法は全然直さないで軽減するというやり方が一つあり得る。
もう一つはここにお示ししましたような形で税法を全体として直し、そして四十七年度、つまり平年度での所得税法の組み立てを直しまして、これを繰り上げて四十六年度にも繰り上げ実施をする。この二つの案が考えられるわけでございまして、その両案に基づいてのいわばメリット、デメリットについていろいろ御相談申し上げて、御判断を求めるという形でございました。あとは、規模その他につきましては、歳出との関係もございますし、借り入れ、国債発行額との関係もございますから、その辺の総合判断をお願いしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/385
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386・栗林卓司
○栗林卓司君 重ねて大蔵大臣指示を伺いますけれども、年内減税しろと言われたら、なぜかと、異常な事態ですから、当然聞くはずだし、その説明は大臣からあったと思うんです。その理由というのは、国際通貨不安というものを背景にして、日本がこの先どういう不況に入っていくのか、なかなか見通しがつかない。ニクソンでさえ新経済政策で減税の実施期日を一月一日に繰り上げたり、そういう背景の中で何とか安心感、景気浮揚感を与えるためにも、しかも、所得減税というのは速効性があるわけですから、その速効性に着目して公共投資の支出増額と合わせてこれをやったんだということだと思うんです。この委員会でもそういう趣旨説明が大蔵大臣からありました。どこをどう押しても景気対策という観点から出た異常な財政政策措置でしがなかったと思います。そういうときに、歳入価では特に問題ないんだけれども、所得税体系として云々というお話はあまりに専門家の舞台に入りすぎて、だから国民にも私はわからないはずだし、先ほど来の議論になっている問題だと思うんです。しかも、これがどちらをとってもあまり大差がないということだったら、それはそれ、いろんな意見があってもけっこうです。全部を控除引き上げに使ったほうが景気対策という面ではより生きてくるという御判断があるわけですから、そうであればあるほど、いまの御提案の内容というものは、どう考えても理解できないほうが私は普通だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/386
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387・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 大臣が今国会におきまして、衆議院と参議院におきまして、冒頭に申し上げました財政演説がございますが、財政演説の中でかように申しております。「税制面につきましては、これまでの国民各位のたゆまざる御努力に報い、また、景気のすみやかな回復に資するため、所得税の減税を特に繰り上げて、年内減税に踏み切ることいたしました。」こういうふうになっておりますが、私どもがこの財政演説とは別に御指示をいただきましたときの大臣のお気持ちとしては「景気のすみやかな回復に資するため、」ということと並行的に、大臣のお気持ちとして「国民各位のたゆまざる御努力に報い、」というお気持ちがあるものと私は了解をいたしております。そこで、この「国民各位のたゆまざる御努力に報い、」ということばは一体これをどういうふうに受けるかということでございますが、具体的には私どもとしては所得税を納めていただきます各層の、たとえば営業とサラリーマン、あるいは所得層というふろに、いろいろの、どこに重点を置くかというときに、比較的重点をどこかに寄せるということでなしに、どこの層にも同じ程度にという感じが強い、それが、この国民の「たゆまざる御努力に報い、」という気持ちに沿うものと受けておるのであります。
そこで、税率と控除を組み合わすか、あるいは税率だけでやるかということと、そのことをつないでものを考えてみますと、控除だけでいたします場合には、確かに低所得層に非常にきいてまいります。ただ、百九十万ぐらいから上では非常にはっきり軽減効果が急激に、控除だけで見ますと減衰をしてまいるわけでございます。そこで、そういうことも頭に置きまして、控除と税率を組み合わせる、さらに年度当初においては控除だけでありましたということも頭に置いて、控除、税率組み合わせがよろしいのではないかということでございました。あと基本税法を直して、それを四十六年度に繰り上げるかどうかというあたりのところは、そのいずれの方法をとるかは別といたしまして、控除か税率かというあたりはここらの気持ちをくんだつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/387
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388・成瀬幡治
○成瀬幡治君 関連して。
所得税法の減税だけで議論すればいろんな議論ができてくると思うんです。ですけれども、今度は景気対策ということが一つ入ってくるわけです。これはちょっと大臣等にお聞きするのがほんとうなんですが、ぼくはそれじゃこれだけ、千六百五十億減税をしたことによって、景気浮揚にどれだけ貢献するか、いわゆる総需要というものをどのぐらいそれじゃ刺激するということを期待して減税をおやりになったのか。これがたとえば、預貯金等に回っていくということも考えられる。片方じゃ銀行は金がだぶついちゃったので、日銀が振り出し手形をやって、準備率の引き上げをやって、今度は準備金に利子つけようじゃないか、そういう動きもあるわけですね。ですから、総需要にそれではこの減税がどれだけ貢献をして、そして、所期の目的を達していくのかどうかということが一つと、もう一つ景気浮揚対策として、今度の場合は租税特別措置法の改正というものは、あくまでも救済措置だと思っている。景気対策じゃない。そうすると、景気対策として、それじゃほかにどういうことが考えられておるのか。全く本来の減税だけを考えておられるのかどうか。これは大臣でなければいかぬことになるかもしれませんけれども、一応、大蔵省なりあるいは経企庁がお見えになっているわけですから、どちらでもいいですから、御答弁願えればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/388
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389・高木文雄
○政府委員(高木文雄君) 大蔵省に関する限りで申しますと、やはり財政投融資及び一般会計の公共投資の増額というものと減税というもの、両方使うという考え方であると思います。その使い分けは、一般会計による公共投資と財政投融資のほうが、景気浮揚効果としては、長期的に見る限りは大きい、減税のほうが小さいという判断だと思います。ただ、あるいは前にも申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんが、何回かやはり六月ごろから財政投融資を二度ほど追加しましたのでありますが、そのときに、むしろ大蔵省サイドのほうから、もっと追加をできないかということをいろいろ提案しました場合に、各省のほうの処理能力が必ずしもそうたくさんはない、設計とか監督とかという関係もありますし、特に用地の問題等がありまして、それほどはないということで、どうも思うほど公共投資だけでは伸びていかない。
で、それにもやはり、単に公債の発行額に限度があるということだけでなしに、公共投資を幾らここで急激に、長期であるならば別でございますが、臨時の措置として、特に補正というようなことで急激にふやしても、そう急には伸びない。そこで減税のほうが早期効果としては大きい、こういうことで減税と公共投資の組み合わせで、明年度以降としては、むしろどちらかといえば政府主導型という場合の政府というのは公共投資主体になると思いますが、早期効果という意味でございますので、減税にむしろ今回は重点を置いているということであると思います。で、その辺につきましては、私どもも所得税のほうにつきましても、年内減税でございますと、特にこの十二月に間に合う場合でございますと、この普通の減税の場合毎月毎月の納税額が減るという形でなしに、一ぺんにまとまるということになりますので、いままでの減税とは違った意味での効果があるのではないか。これはちょっとその差がどのくらいの景気刺激として出てくるかということは計数ではつかみかねるのでございますが、しかし、常識的に、まとまって軽減されるということでございますので、効果は大きいものと言えるのではないかと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/389
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390・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ボーナスを出すとき、今度はボーナスを、いままではいろいろなことがあったけれども、ひとつ景気対策から見ればボーナスもたくさん出してもらいたいということになる。それから、ボーナスをたくさん出すということになると、法人税の減税ということもひとつ大きな問題になると思うのです。ですから、景気対策としていろいろな点で考えていくなんということになると、来年のこと等を踏まえると、やはり会社は減収ですね、主として受け取り額として。ですから、法人税の減税というようなことも考えなければならないだろうし、これがまたベースアップを拒否してくるというようなことになってくると、いろいろなことになってくる。片方では物価インフレの問題がある。非常に私は経済政策というものを誤るとたいへんなことだと思うのです。それで預金金利が引き下げ方向になる。そうすると預金をするよりも、ひとつ大いに使ってくれとこう言うが、ところが先き行きを見ると不安なので、引き下がっても預金はしなければならないということでくるから、僕は大きな、たとえば、これは全く意見なのですが、公共投資なんかでも今年一年ぽっきりでのもの、たとえば、建設会社で言うなら、人を雇おうとしても来年どうなるか、先き行き心配なのでやれないのです。だから、百の能力があるならば、百二十のことを人を雇ってやっていっても、来年は仕事がなくなったらまた整理しなければならぬわけです。
そこでたとえば、五年間くらいの計画を立てて、国債も出していきましょうと、意見はありましょう、ありましょうが、そうやって、たとえば、大きな住宅を中心としたプロジェクトをやりましょうというようなことを立てるほうが、むしろ景気浮揚の大きな柱じゃないか。いまあなたも財投が大きいよとおっしゃる、私もそう思うのです。とするならば、それにもっと長期的な展望を与えるということがより大切だと思うのです。ですから、そういう、何というのですか、小出しの景気対策というものではなくて、初めてのことだからやむを得ぬけれども、四十七年度予算編成等にあたっては、そういうようなことを考えてやってもらえないものだろうか。とにかくいま人心が不安というのですか、先行きみんな心配しておる。それに対して、こうですよという、あるいはまた社会保障制度も、たまたま病気になってもおまえ医療費のことは心配しないでいいから使いなさい、子供のほうのことはめんどう見てやる。学校のほうもめんどう見る。みんな使いなさい、心配ないということになれば、みんな使っていくわけです。だから、いろいろな意味で関連があるから、そういう総合的な景気対策というものを踏まえて今回のものをお出しになっているのかと、そうではなくて、いまお聞きしても、とにかく何とか十二月に一ぺんに金を与えて、何かに使ってくれるだろう。それが一つささえになりはしないかと、こういうのが案外ささえにならないでいってしまうのではないかということを非常に憂えているのです。
貯蓄されるなら貯蓄したにしても、それはそれで私は意味があると思うのですが、いいのですが、少なくとも鳴りもの入りでこれが景気浮揚対策ですよと言っておきながら、全く、何というか、ちょっとした、こう、ぺっとやっただけで長続きしない。いまはもう長期的な景気浮揚対策というものが立案されて、そしてお示しになる、その期間もこうですよといってお出しになったら、もっとみんな議論がかみ合ってくると思う。そうじゃなくて、減税で議論しているのか、景気対策で議論しているのか一どうも聞いておると、減税のほうじゃなくて景気対策のほうにウエートを置いた議論をすると、あなたのほうは減税のほうの税体系の議論になってしまって、ちっともかみ合っていかない。私は、大蔵省も迷って、口では景気対策ということを言うけれども、ほんとうはどうもそうじゃないような、自信がない問題だということになる。これはまあ意見ですからね、いいですよ。まあ少しそういう点で、ひとつ大きくかまえたぼくは景気対策というものを立ててもらえぬだろうかということだけ希望として申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/390
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391・栗林卓司
○栗林卓司君 別に政府内のあちらこちらということで聞くわけではありませんけれども、いまの委員の発言に対して、企画庁の御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/391
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392・新田庚一
○政府委員(新田庚一君) 景気対策としましては、先ほど来申し上げましたように、すでに財投の追加を二回やっておりまして、公共投資の契約ベースの規模で五千億やりました。今回の補正予算におきまして、減税とそれから公共投資、両面から景気の浮揚をはかろうという考え方になっておるわけでございます。
公共投資の景気浮揚効果と減税の効果をよく比較されますけれども、公共投資の場合には直接金が出る、そうして、建設資材の購入に向かう、あるいは労働力の吸収になるという面から見まして、理論的には効果がすぐあがるわけでございますが、用地難の問題等があって、一つの実際問題として限界があるという面が片方にある。そうして減税につきましては、これは可処分所得の増加というものを経由しまして、それが消費に向かい、あるいは住宅投資に向かう、それがGNPをふくらまし、それがまたほかの需要項目に波及するというような経路をたどる。そういったおのおの特色のある波及効果を持っておりますので、こういったものをからめて同時にやるという点、さらには来年度財政も当然積極的な姿勢で運営さるべきものと思いますが、そういうものを含めまして総合的に景気浮揚の効果があがる。ただいまの御審議になっております減税の問題、公共投資の問題も、本年度としての効果と、それから来年度に入りましてさらにそれが波及効果が大きくなるというふうな問題もございまして、そういったことで、来年度財政の問題も含めまして、今後の来年度以降の景気浮揚に効果があがるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714629X00419711112/392
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393・前田佳都男
○委員長(前田佳都男君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
次回の委員会は、十一月十六日午前十時から開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時十九分散会
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