1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年十二月一日(水曜日)
午前十時三分開議
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○議事日程 第十号
昭和四十六年十二月一日
午前十時開議
第一 琉球諸島及び大東諸島に関する日本国と
アメリカ合衆国との間の協定の締結について承認
を求めるの件、沖繩の復帰に伴う特別措置に関す
る法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関
する法律案、沖繩振興開発特別措置法案、沖繩振
興開発金融公庫法案、沖繩開発庁設置法案、沖繩
における公用地等の暫定使用に関する法律案及び
沖繩の復帰に伴う防衛庁関係法律の適用の特別措
置等に関する法律案(趣旨説明)
第二 昭和四十六年度分の地方交付税の特例等
に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/0
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001・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
日程第一 琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案、沖繩振興開発特別措置法案、沖繩振興開発金融公庫法案、沖繩開発庁設置法案、沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案及び沖繩の復帰に伴う防衛庁関係法律の適用の特別措置等に関する法律案(趣旨説明)
八件について、提出者から順次趣旨説明を求めます。福田外務大臣。
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/1
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002・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 本年六月十七日に署名いたしました琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、趣旨の御説明をいたします。
戦後二十数年間異国の施政下にあった沖繩同胞の祖国復帰は、わが国国民の悲願であり、平和条約発効以来歴代内閣にとり最も重要な政治的課題であったのであります。しかるところ、去る昭和四十四年十一月佐藤総理大臣とニクソン大統領との間の共同声明において、いわゆる核抜き本土並みの沖繩の返還について合意が成立し、自来両国政府間でそのための具体的な取りきめについて交渉が行なわれていたのでありますが、これが最終的妥結を見て、去る六月十七日に愛知外務大臣とロジャーズ国務長官との間で署名の運びとなった次第であります。
この協定は、前文と本文九カ条からなっておりますが、各条について御説明申し上げます。
協定の前文におきましては、佐藤総理大臣及びニクソン大統領が一九六九年十一月に琉球諸島及び大東諸島の地位について検討し、これらの諸島の日本国への早期復帰を達成するための具体的な取りきめに関して両国政府が直ちに協議に入ることに合意したこと、並びに両国政府がこの協議を行ない、これらの諸島の復帰が同年十一月二十一日に発表された両国首脳の共同声明の基礎の上に行なわれることを再確認したこと等、この協定の締結の経緯を述べております。
次に、第一条におきましては、米国が琉球諸島及び大東諸島に関して平和条約第三条の規定に基づくすべての権利及び利益を日本国のために放棄し、日本国がこの協定の効力発生の日からこれらの諸島の行政、立法及び司法上のすべての権力を行使する権能及び責任を引き受けることを規定しております。その具体的地域に関しましては、合意議事録で経緯度をもって確認されております。
第二条におきましては、日米安保条約及び関連諸取りきめ等の日米両国間の条約は、この協定の効力発生の日から琉球諸島及び大東諸島に適用されることが確認されております。この規定によっていわゆる本土並みが確認されているのでありまして、復帰後は基地の自由使用などということはあり得ないことが明らかとなっているのであります。
第三条におきましては、日本国政府は日米安保条約及び関連諸取りきめに従い、この協定の効力発生の日に米国に対しこれらの諸島における施設及び区域の使用を許すことになっております。
この規定は、わが国の独立回復時に行なわれたいわゆる岡崎・ラスク交換公文方式や、奄美、小笠原返還協定にあった特定用地の引き続き使用を許すとの規定を設ける方式を排除したものでありまして、これにより日米間における施設・区域の提供手続については、本土と同一の方式をとることとしているのであります。
第四条は、日本国は米国の施政期間中にこれらの諸島において生じた米対請求権を放棄するが、この放棄にはその期間中に適用された米国の法令またはこれらの諸島の現地法令により特に認められる日本国民の請求権の放棄を含まず、このような請求権については米国政府が復帰後沖繩に職員を置いてその処理に当たる旨を定めております。また、米国政府は、高等弁務官布令第六十号によって原状回復のための支払いの対象となった土地と同様の損害を受けながらその対象とならなかった土地の所有者に対し、その支払いとの均衡を失しないよう原状回復のための自発的支払いを行なうこととなっております。
第五条は、日本国は民事事件及び刑事事件に関し、原則として沖繩における裁判所が行なった最終的裁判の効力を認め、また、係属中の事件について裁判権を引き継ぐこととなる旨を規定しております。これにより、円滑な沖繩復帰にとってきわめて重要でありますところの復帰前後の沖繩の社会秩序と法的安定性の維持を確保することができるわけであります。
第六条は、琉球電力公社、琉球水道公社及び琉球開発金融公社の財産並びに復帰の日に米国に提供される施設・区域外にある米国政府の財産は原則として日本国政府に移転される旨及び米国政府が保有している埋め立て地は日本国政府の財産となる旨を規定しております。このようにして日本国政府に移転される財産には、三公社のほかにも那覇空港施設等がございますが、これらは復帰後も沖繩県民の方々の民生福祉にとってきわめて有益な役割りを果たしていくものと信じます。
第七条は、日本国政府は、米国の資産が日本国政府に移転されること、米国政府がこれら諸島の返還を一九六九年十一月二十一日の佐藤・ニクソン共同声明第八項にいう日本国政府の政策に背馳しないよう実施すること、米国政府が復帰後に雇用の分野等において余分の費用を負担することとなること等を考慮して、協定の効力発生の日から五年間に三億二千万ドルを米国政府に支払う旨を規定しております。この条項について特記すべき点は、核抜きに関する佐藤・ニクソン共同声明の骨子が条文化されたことであります。すでに申し述べましたごとく、第二条において「本土並み」が明文化され、ここにまた「核抜き」が明示されたことによりまして、「核抜き、本土並み」の沖繩返還が返還協定中においても確保されましたことは政府の最も欣快とするところであります。
第七条でもう一つ重要なことは、在沖繩軍労務者の方々との関係であります。この規定及び合意議事録の規定により、これら軍労務者の方々は、復帰前の勤続期間を含む全勤続期間を算定した退職金を受け取り得ることになり、間接雇用の適用と相まって、軍労務関係はきわめて安定した基礎の上に置かれることとなるものと確信いたします。
第八条は、日本国政府は協定の効力発生の日から五年間沖繩島におけるVOA中継局の運営継続に同意し、両政府は同日から二年後にVOAの将来の運営について協議に入ることを規定しております。
第九条は、この協定は東京で行なわれる批准書交換の日の後二カ月で効力を生ずることを規定しております。
この協定の効力発生によりまして、戦後二十数年間異国の施政権下にあって廃墟の中から立ち上がり、復興と発展のためにひたむきな努力を続けてこられました沖繩同胞の方々とその愛する島々を祖国の胸に迎え入れることができるのであります。政府といたしましては本土及び沖繩の国民とともに、その日の一日も早からんことを切に念願するものであり、明るく豊かな沖繩県の建設のためにあらゆる努力を惜しまないものであります。
沖繩の復帰をもちまして平和条約第三条の規定に基づいて米国が施政権を有していたわが国の領土はすべて返還されることとなるわけでありまして、ここに日米関係は文字どおり、戦後の時代を終え、一そう強固な友情と理解の基礎の上にその発展を期することができるのであります。
以上が琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/2
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003・河野謙三
○議長(河野謙三君) 山中国務大臣。
〔国務大臣山中貞則君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/3
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004・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案、沖繩振興開発特別措置法案、沖繩振興開発金融公庫法案及び沖繩開発庁設置法案について、その趣旨を御説明いたします。
わが国民多年の悲願である沖繩の祖国復帰がいよいよ明年に実現する運びとなったことは、国をあげての喜びであります。沖繩はさきの大戦において最大の激戦地となり、全島ほとんど焦土と化し、沖繩県民十余万のとうとい犠牲者を出したばかりか、戦後引き続き二十六年余の長期間にわたりわが国の施政権の外に置かれ、その間沖繩百万県民はひたすらに祖国復帰を叫び続けて今日に至ってまいりました。祖国復帰が現実のものとなったいま、われわれ日本国民及び政府は、この多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖繩県民の方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考えます。祖国復帰というこの歴史的大事業の達成にあたっては、各般の復帰諸施策をすみやかに樹立し、かつ、沖繩県の将来についての長期的な展望を明らかにして、県民の方々が喜んで復帰の日を迎え得るような体制を早急に整えることこそ政府に課せられた最大の責務であります。
このような観点から、沖繩の祖国復帰の円滑な実現と、明るく豊かで平和な沖繩県の建設こそ沖繩復帰の基本的な目標でなければならないと存じます。このためには、まず第一に、沖繩の復帰に際し、県民の生活に不安、動揺を来たさないよう最大の配慮を加えつつ、米国施政権下の諸制度からわが国の諸制度への円滑な移行をはかるため、必要な暫定、特例措置を講ずることが肝要であります。第二に、沖繩が戦争で甚大な被害をこうむり、かつ、長期間米国の施政権下にあった事情に加え、本土から遠隔の地にあり、多数の離島から構成される等各種の不利な条件をになっていることに深く思いをいたし、まずその基礎条件を整備することが喫緊の課題であり、進んでは、沖繩がわが国の東南アジアの玄関口であるという地理的条件と亜熱帯地方特有の気候風土を生かし、その豊かな労働力を活用して、産業の均衡ある振興開発をはかることが必要であると考えます。
政府は、このような見地から、従来より関係諸機関の総力を結集して復帰対策に取り組み、同時に沖繩の各界各層の方々の意見を取り入れ、琉球政府と十分な調整を行ない復帰対策要綱を決定し、この要綱を基礎として関係法律案の立案を進め、今日ここに成案を得て国会の御審議をいただく運びとなった次第であります。
まず初めに、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案についてその趣旨を御説明いたします。
この法律案は、沖繩の復帰に伴い、県民の生活の安定に配慮しつつ、従前の沖繩の諸制度から本邦の諸制度への円滑な移行をはかるために必要な特別措置を定めたものであります。
その第一は、従前の沖繩県は、当然に地方自治法に定める県として存続すること、また、沖繩県の市町村は地方自治法の規定による市町村となるものとするほか、沖繩県及び市町村の発足に際しての必要な措置を定め、第二に裁判の効力の承継等に関し、民事関係では事件の手続の承継等、刑事関係では罰則に関する経過措置、手続、執行の承継等についての措置を定め、第三に、琉球政府並びに琉球水道公社、琉球電信電話公社、沖繩放送協会等沖繩の法令に基づく特殊法人の権利義務の承継等についての措置を定め、第四に、通貨の交換とそれに伴い必要とされる印紙、切手類の交換等についての措置を定めております。
第五は、その他法令の適用に関する特別措置を定めた規定でありますが、まず、沖繩法令による免許等の効力の承継等の通則規定を置いた上、各省所管の法令について、たとえば、交通方法等に関する経過措置、外国人弁護士に関する特例、直接税、間接税及び関税に関する特例、沖繩の学校その他の教育機関に関する経過措置、介輔、歯科介輔についての特別措置、小作地所有制限、食糧管理法等に関する特例、特許法等に関する特例、自動車の検査に関する特例及び自動車損害賠償責任保険契約等に関する経過措置、電話の設備料に関する公衆電気通信法の特例、労働者災害補償保険、失業保険等に関する経過措置、土地区画整理に関する経過措置、地方税法に関する経過措置等を定めており、また、この法律に定めるもののほか、沖繩の復帰に伴い必要とされる事項について、政令、最高裁判所規則等に委任するための規定を設けております。
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次に、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、第一に沖繩の復帰に伴い、従来沖繩がわが国の施政権の外に置かれていたために必要とされていた法律の廃止または特別に必要とされていた規定の削除もしくは改正、第二に個別に置かれる国の出先機関の設置、管轄区域の追加等のため必要とされる各省設置法の改正その他沖繩の復帰に伴い必要となる規定の整備等をその内容とするものであります。
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次に、沖繩振興開発特別措置法案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、沖繩の復帰に伴い、総合的な沖繩振興開発計画を策定し、これに基づく事業を推進する等特別の措置を講ずることにより、その基礎条件の改善並びに地理的及び自然的な特性に即した沖繩の振興開発をはかり、もって県民の生活及び職業の安定並びに福祉の向上に資することを目的とするものであります。つまり、この法律案は、本土において従来の地域立法でとられている振興開発の手法を総合的に駆使するとともに、沖縄の実情に合った産業の振興開発の方策を講じ、それらを計画的な沖繩の県づくりに役立てようとするものであり、他方こうした施策がとられても、制度の変更、米国軍隊の縮小、撤退等に伴う失業等の避けがたい事態も予想され、これに対処するため職業の安定をはかるための特別の措置を講ずることにしております。
この法律案においては、第一に、土地の利用、産業の振興開発等十三項目にわたる十カ年を目途とした総合的な沖繩振興開発計画を策定することにし、その策定については、沖繩の自治を尊重するたてまえから沖繩県知事が原案を作成し、内閣総理大臣が沖繩振興開発審議会の議を経て決定することにいたしております。また、振興開発計画に基づく事業のうち土地改良、道路、港湾等この法律案の別表に掲げる事業について、同表に掲げる率の範囲内で国の高率の負担または補助の特例を設けることができることにいたしております。さらに、振興開発計画に基づいて行なう県道または市町村道の新設または改築、二級河川の改良工事、維持または修繕及び港湾工事について、県、市町村等からの申請に基づき国が直轄で行なえる道を開いたほか、二級河川に設けられるダムについて特定多目的ダム法を適用して国が直轄で建設または管理を行なうことができることにいたしております。
第二に、産業振興開発のための特別措置として、工業開発地区の指定制度を設け、農用地等の譲渡にかかる所得税の軽減、事業用資産の買いかえの場合の課税の特例、減価償却の特例、地方税の課税免除または不均一課税に伴う措置、特定事業所の認定の制度の創設とそれに伴う税制上の優遇措置、工場用地、道路、港湾施設等の整備及び農地法等による処分についての配慮につき規定の整備をはかっております。また、沖繩の中小企業については、沖繩経済の振興のために特に必要と認められる業種について近代化基本計画を定めて近代化を促進するとともに、これらの業種のうちさらに必要なものについては、構造改善計画の承認を行なって、緊急に構造改善をはかることにし、これらの業種に属する中小企業者に対し、金融上、税制上特段の優遇措置を講ずることにしております。
第三に、沖繩における企業の立地を促進するとともに貿易の振興に資するために必要な地域を自由貿易地域として指定することができることにし、自由貿易地域内における事業の認定を受けた法人について税制上の優遇措置を認めるとともに、国において必要があると認めるときは、別に法律で定めるところにより、自由貿易地域内の土地及び施設に関する事業を行なうことを目的とする特別の法人を設けることにいたしております。
第四に、電気の安定的かつ適正な供給をはかるため、沖繩の電気事業について資金上、税制上必要な助成を行なうとともに、米国民政府布令で設立され、沖繩における発送電の中核的機関である琉球電力公社の業務を引き継いで実施させるため、新たに特殊法人として沖繩電力株式会社を設立することにいたしております。
第五に、沖繩の労働者の雇用を促進し、その職業の安定をはかるため、職業紹介、職業訓練、就業機会の増大のための事業等に関する計画を作成し、必要な措置を講ずるとともに、沖繩振興開発計画に基づく事業等への失業者の就労を促進し、さらに一定の事由による失業者に対しては就職活動を容易にし生活の安定をはかるため、有効期間三年の求職手帳の発給、手当の支給その他早期再就職のための各種の援護措置を講ずることにいたしております。
以上のほか、無医地区における医療の確保等その他離島及び過疎地域について必要な定めをするとともに、国有財産の譲与等の特例、地方債についての配慮等に関して必要な規定を設けております。
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次に、沖繩振興開発金融公庫法案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、沖繩の振興開発に資するため、本土における日本開発銀行、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の業務並びに船舶整備公団及び公害防止事業団の融資業務に相当する業務を、一元的にかつ沖繩のみを対象として行なう総合的な政策金融機関として、沖繩振興開発金融公庫を設立し、沖繩の産業開発を促進するための長期資金の供給並びに沖繩の国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金の融通が円滑に行なわれることを目的とするものであります。
この法律案においては、まず、公庫はその成立の際、米国民政府機関である琉球開発金融公社、琉球政府関係機関である大衆金融公庫及び琉球政府の産業開発資金融通特別会計等五つの特別会計の権利義務を承継することにしております。また、公庫の資本金は、その承継した純資産額に相当する金額としておりますが、政府は予算で定める金額の範囲内において公庫に追加して出資することができることにしております。公庫の貸し付け条件については、義務方法書で定めることになりますが、沖繩の現行の貸し付け条件及び本土の各公庫等の条件を勘案してでき得る限り有利な貸し付け条件を設定することにしております。
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最後に、沖繩開発庁設置法案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、ただいま述べました沖繩振興開発特別措置法及び沖繩振興開発金融公庫法に定める国の諸施策を積極的に推進し、豊かな沖繩県の建設に政府が直接の力添えをするため、総合的な計画の作成並びにその実施に関する事務の総合調整及び推進に当たることを主たる任務とし、国務大臣を長とする沖繩開発庁を総理府の外局として設置しようとするものであります。
この法律案においては、第一に沖繩開発庁の所掌事務及び権限について、沖繩振興開発計画の作成及びその作成のため必要な調査並びに振興開発計画の実施に関する関係行政機関の事務の総合調整及び推進に当たるとともに、関係行政機関の振興開発計画に基づく事業に関する経費の見積もり方針の調整を行ない、及び当該事業のうち、沖繩の振興開発の根幹となるべき社会資本の整備のための事業に関する経費を沖繩開発庁に一括計上し各省庁に移しかえる等、振興開発関連予算についての権限を同庁に与えることにしております。このほか、沖繩振興開発金融公庫法に関する事務を所掌し、また当分の間、沖繩の復帰に伴い政府において特別の措置を要する特定の事項に関する施策の推進に関する事務を行なわしめることにいたしております。
第二に、沖繩開発庁の内部部局として、総務局と振興局の二局を置くことにし、また附属機関として、沖繩振興開発審議会を置き、沖繩の振興開発に関する重要事項について調査審議することにいたしております。
第三に、沖繩総合事務局の設置及びその所掌事務等に関する規定であります。沖繩県民の便益に資するため、許認可、補助金交付等の行政事務あるいは沖繩の振興開発に関連する建設工事等について、沖繩現地に関係各省庁の通常のブロック機関の長の有する権限をおろし一元的な事務処理を行なうため、沖繩開発庁の地方支分部局として沖繩総合事務局を置くことにいたしております。
すなわち、総合事務局は、沖繩開発庁の所掌事務を分掌するほか、公正取引委員会の事務局の地方事務所、財務局、地方農政局、通商産業局、海運局、港湾建設局、陸運局、地方建設局等の地方支分部局において所掌すべきものとされている事務等を分掌することにしております。また、これらの地方支分部局において所掌すべきものとされている事務等については、当該事務に関する主務大臣または公正取引委員会が総合事務局の長を指揮監督することになっております。
第四に、この法律の施行に伴い従来の沖繩・北方対策庁設置法は廃止されることになりますので、北方領土問題に関する事務については、新たに総理府の機関として総理府総務長官たる国務大臣を長とする北方対策本部を設置して、沖繩・北方対策庁が所掌する北方領土問題に関する事務をこれに引き継がせ、本問題の解決の促進をはかるため、この法律案の附則において総理府設置法の所要の改正を行なうことにいたしております。
なお、以上五法案の施行期日については、沖繩振興開発金融公庫法案は公布の日から、その他の法律案は原則として琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日から施行することにし、また、これらの法律の内容について沖繩県民に対し周知徹底をはかるため、内閣総理大臣は琉球政府行政主席に通知することにいたしております。
以上が五法案の趣旨でありますが、これらの法律案は、いずれも沖繩県の自治権を最大限に尊重しつつ新しい沖繩県の伸長、発展に取り組む政府の基本姿勢を明確にするためのものであることを申し添えておきます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/4
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005・河野謙三
○議長(河野謙三君) 西村国務大臣。
〔国務大臣西村直己君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/5
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006・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、沖繩の復帰に伴い、沖繩における公用地等のために必要な土地または工作物に関する暫定使用について特別な措置を定めるものであります。
いわゆる沖繩返還協定の効力発生の日から沖繩はわが国に復帰することとなり、わが国はこの地域に対する施政の権能と責任を持つこととなりますが、アメリカ合衆国が現在施政権者として公の目的のために使用している土地または工作物のうちには、国等がそのまま引き続き公用地等として使用することを必要とするものがあります。
これらのものを大別いたしますると、第一に、現に米軍が使用している土地等のうち、沖繩の復帰後も引き続き自衛隊の部隊の用に供するものであります。これは、復帰後の沖繩の防衛責任はわが国が負うこととなるので、本土と同様に、自衛隊による局地防衛、民生協力、災害救難等を実施することが、政府の当然の責務となり、そのため、所要の部隊を復帰時またはできるだけこれに近い時期に配備することが必要であるからであります。
第二に、現に米軍の用に供されている土地等のうち、沖繩の復帰後も引き続き駐留米軍の用に供するものであります。これは、日米安全保障条約及びこれに関連する取りきめに従い、米軍の駐留をわが国及びわが国を含む極東における国際の平和と安全のために、わが国が必要と認めているからであります。
第三に、現に水道、電気、飛行場、航空保安施設等、航路標識及び道路の用に供されている土地で、沖繩の復帰後も引き続きこれらの用に供されるものであります。これは、住民の日常の生活や福祉に密接な関係を持つ施設などであるので、復帰の日以後もその機能をとどめることがないように保障しておく必要があるからであります。
国などがこれらの公用地などを引き続き使用するにあたっては、できる限り、従来これらの公用地などを提供しておった所有者その他の権利者との円満なる契約によるべきことは申すまでもありません。しかしながら、現在沖繩では、三万数千人に及ぶ多数の所有者及びその他の権利者が数えられ、しかも、そのうちには相当数の所在不明者、海外移住者などが含まれておる状況でありますので、わが国の施政権の外に置かれている沖繩において、これらの人々とあらかじめ話し合いをし、復帰日までにそのすべてについて契約の締結に至ることは容易ではないのであります。また、復帰の日以降、国などがこれらの公用地等を米国にかわって引き続いて暫定的に使用する場合でも、従来の使用関係の範囲にとどまるのであります。したがって、これらの事情を勘案すると、経過措置として暫定的に一定期間これらの土地等の使用権を設定して、その間に契約その他必要な措置をとることとすることは、やむを得ないことであると存じます。もとより、この法律による使用の開始後であっても、使用者たる国などは、土地などの所有者などとの合意によりこれを使用するようできる限りつとめるべきであり、このことは、法律案の第一条において明確に規定されております。
次に、この法律案で規定しております土地等の暫定使用の内容の概略を申し上げます。
第一に、この法律の施行の際沖繩において米軍の用に供されている土地等のうち、引き続き自衛隊の部隊の用に供するもの、引き続き駐留米軍の用に供するもの、またはこの法律の施行の日から一年以内に米国から返還され引き続き自衛隊の部隊の用に供するもの。
第二に、この法律の施行の際琉球水道公社または琉球電力公社が水道事業用施設、電気工作物等の用に供している土地で、引き続きこれらの用に供するもの。
第三に、この法律の施行の際沖繩にある飛行場、航空保安施設、航空通信用電気通信設備または航路標識の用に供されている土地で、引き続きこれらの用に供するもの、またはこの法律の施行の日から一年以内に米国から返還され引き続き航空保安施設の用に供するもの。
第四に、この法律の施行の際沖繩において一般交通の用に供されている米軍の築造にかかる道路の敷地で、引き続き道路法上の道路の敷地となる土地については、国などがこの法律の施行の日からこれらの土地などについて権原を取得するまでの問、使用することができるというものであります。ただし、この暫定使用期間は、この法律の施行の日から五年をこえない範囲内で土地等の種類などを考慮して政令で定める期間に限っております。
以上のほか、この法律案では、土地などを使用する場合の手続に関する事項として、使用する土地など及び使用の方法の告示並びに所有者などに対する通知などについて規定し、あわせて土地などの使用に伴う損失の補償並びに使用をやめた場合の返還及び原状回復の義務について定めております。また、この法律は、一部の規定を除き、沖繩返還協定の効力発生の日から施行することとしております。
以上がこの法律案の趣旨であります。
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次に、沖繩の復帰に伴う防衛庁関係法律の適用の特別措置等に関する法律案についてその趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、沖繩の復帰に伴い、防衛庁関係法律の適用についての暫定措置その他必要な特別措置などを定めるものであります。
その第一は、防衛庁職員の給与などの特別措置に関する規定であります。これは、琉球政府の職員で、沖繩の復帰の日から引き続いて防衛庁の職員となる者及び復帰の日以後沖繩県で勤務する医師または歯科医師である防衛庁職員につきましては、一般職の国家公務員の例に準じ、政令で定めるところにより、当分の間、特別の手当を支給することができることとし、また、琉球政府に在職中公務上の災害を受けた琉球政府の職員で、復帰の日から引き続いて防衛庁の職員となる者につきましては、その災害を防衛庁職員としての公務上の災害とみなして一般職の国家公務員の例に準じ政令で定めるところにより処理するものであります。
第二は、人身損害に対する見舞い金の支給に関する規定であります。これは、沖繩におきまして、昭和二十年八月十六日から昭和二十七年四月二十八日までの間に、合衆国の軍隊などの行為により人身にかかわる損害を受けた沖繩の住民またはその遺族のうち、一九六七年高等弁務官布令第六十号に基づく支払いを受けなかった者またはその遺族に対しまして、その支払いを受けなかった事情を調査の上、必要があるときは、同布令に基づいて行なわれた支払いの例に準じて、見舞い金を支給することができることとしたものであります。
第三は、防衛施設周辺の民生安定施設の助成の特例に関する規定であります。これは、沖繩における防衛施設周辺の民生安定施設の助成の対象といたしまして、市町村のほかに沖繩県を加え、かつ、補助率を十割とすることができることとし、もって基地周辺の民生安定策の強化をはかることをその内容としております。
第四は、沖繩の軍関係離職者に対する特別給付金の支給に関する特例についての規定であります。これは、現在沖繩におきまして、沖繩法上の特別給付金を受けるべき地位を持っておりながら、合衆国の軍隊等に再雇用されたため、その支給を停止されている者がおりますが、その者が有する特別給付金を受けるべき地位を本土法の駐留軍関係離職者等臨時措置法上の特別給付金を受けるべき地位を持っている者とみなして、その者が復帰後において駐留軍労務者の職を失ったときに、特別給付金が支給されるよう措置したものであります。
第五は、政令への委任に関する規定であります。これは、防衛庁関係法律の沖繩への適用上必要とされる事項につきまして政令に譲ることとしたものであります。
最後は、沖繩の復帰に伴う防衛庁設置法の一部を改正する規定であります。これは、防衛施設庁の地方支分部局としまして、沖繩県那覇市に那覇防衛施設局を設置し、その管轄区域を沖繩県とすることなどを定めたものであります。
以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/6
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007・河野謙三
○議長(河野謙三君) まず、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑を行ないます。順次発言を許します。森元治郎君。
〔森元治郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/7
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008・森元治郎
○森元治郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件のみについて質問をいたします。(拍手)
自由民主党は、衆議院においてこの重大ないわゆる沖繩返還協定をまたまた強行採決の暴挙に出たのであります。国会の審議権無視、議会政治の冒涜、まことに痛憤の至りにたえません。佐藤内閣成立以来、この種の無法なことは、去る昭和四十年の春、スーパーマーケット法案単独採決以来、十五の法案について約三十回ぐらいやっておるのであります。沖繩の人々の心をもとに行なわれるべきこの国会において、沖繩選出の安里、瀬長両議員には質問の機会も与えず、また、県民の総意を代表して建議書を携えて上京した屋良主席の日程を承知しながら、国会に到着する寸前に強行手段に訴えたことは許せません。総理の責任を追及するものであります。総理がかねてから、いや、去る六日にも、非核三原則は政府の断固たる方針であるから国会の決議は求める考えはないと答弁しております。ところが、強行採決後の去る二十四日の本会議ではこれを受け入れているのはどういう理由であるか、明らかにすべきであります。
さて、協定に入ります。この際政府は、サンフランシスコ平和条約第三条による施政権が日本に返されてくるという歴史的経緯を明らかにすべきであります。第三条の趣旨によれば、アメリカは、沖繩を信託統治にするつもりである、それまでの間、アメリカが沖繩の施政権を行使するというのであります。いま施政権が返還されるわけでありますが、この前提となるアメリカの信託統治ということは一体どうなっておるのか。日米両政府ともこの点には一言も触れておらないのは、はなはだ不可解であります。私が言わんとするところは、もしアメリカが信託統治にする意思を放棄したというのならば、極東に脅威と緊張の状態が存在しなくなったら返すかもしれぬなどという理屈をつけずに、きれいさっぱりに日本に返還すべきが当然であろうと思いますが、いかがでありましょう。
政府は、沖繩を本来の姿に戻すということは施政権を取り返すことであると説明をされています。私は、それでは大事なことが落ちていると思います。返還される。もちろんその上に基地も核もない、戦前の平和な島沖繩、まる裸の沖繩になって戻ってくるべきであると思うのですが、どうでしょう。この第三条に施政権の返還のしかたについて別に定めてないところを現実の政治家はうまく利用しました。今日のようにややこしく事態をしてしまったのであります。政府が、アメリカが信託統治の意思を放棄したことをいち早く見抜いて、すみやかに堂々と返還をアメリカに要求する外交を展開しなかったことは、怠慢のそしりを免れないと思うのであります。いかがでありましょうか。
また総理は、沖繩は戦争で失った土地である。これが返るということ、これはたいへんなことだと言いますが、私は、これは敗戦の結果、勝者アメリカの力で押えられ、本土から引き離されてしまっただけのことでありまして、当然返るべきもので、アメリカの恩恵的なものではないという歴史的な事実はこの際はっきり国民に示して、後世の者にも誤解のないようにしておくべきであろうと思います。総理の、返ってくるという歴史的事実を認識するのが大事で、あれこれ論議するのはよけいなことだというような言論封殺の高圧的な態度というのは、これは民主国家の宰相としてやるべきことではありません。私はだれを責めなくてもいいから、総理大臣は冷静に客観的事実について丁寧な御答弁をしていただきたいと思うのであります。外交については論議の限界のあることは私も承知して伺っているのであります。
続いて本土並みということについてお尋ねします。アメリカの軍事基地の規模、機能、特殊部隊の存在、VOAなど、どこをとっても本土並みなどということは見当たりません。安保条約と関連取りきめがそのまま沖繩に適用されるから本土並みと言いますが、条約は自動的にその国の領域に及ぶものでありますから、あたりまえの話であります。アメリカ軍基地の自由使用を事前協議条項で押えたんだということをさすのでありましょう。アメリカは自由使用をあくまで日本に対して主張して、なかなかこちらの言うことを聞かなかったのかどうか、交渉の経過を御説明願います。また、第七心理作戦部隊とかSR71偵察機とか、煙のような忍者のような性格で、事前協議にいう配置、装備、戦闘作戦行動の網にもかけようのないしろもの、これをどうして安保のワク内でその行動を制御できるのでしょうか。福田外務大臣は、何とかする、何とかしますと言いますが、条約のワクで締めるというのですから、条約的に根拠を示してもらいたいと思います。いたずらに他国を挑発するおそれのある特殊なものはすみやかに撤去させるべきであります。
VOA放送も冷戦の遺物であることはすでに承知しているところであります。アメリカは協定締結を切ってもという強い態度でわれわれのほうに譲らなかった。そしてこちらはこれに負けてしまったという、これも交渉経過をはっきり伺いたいのであります。この放送は、客観的なニュース放送であると言いますが、その放送というものは、同時に諜報関係——インテリジェンス・サービス、こういう関係の大きな作用をしていることも、隣近所の軍事国家は先刻承知であります。この種のものは平和に逆行しますので、すみやかに、これからでもいいから、強力な交渉をもって撤去さすべきであります。
核の問題について伺います。これは返還協定の最も重要な問題点であります。これが協定に明記されていないところに問題があります。政府は、第七条に書き入れてある、きわめて明瞭だと言い張っております。政府によりますと 協定第七条、いわゆる財政支出の項に、アメリカは沖繩返還を「千九百六十九年十一月二十一日の共同声明第八項にいう日本国政府の政策に背馳しないよう実施すること」、これで十分だと言い張っております。しかし、肝心の核兵器という文字は見当たりません。これでは、この当事者しかわからないのであります。前記第八項にはちゃんと「核兵器」という文字が入っているのに、なぜこれを入れないのでありますか。協定前文に共同声明を基礎としてうたってある以上、これを挿入することに何のこだわりもないはずであります。政府は、国会での質問の矢を浴びまして窮した結果、アメリカ政府から何らかの裏づけの確認を取ろうとして努力しているようであります。しかし、条約協定は国家間を拘束する最高の権威のあるものであります。単にロジャーズ国務長官から何らかのお墨つきの書簡をもらったといたしましても、それはあくまで補足的な効果でしかありません。また、はなはだおもしろくないことは、核抜き条項を第七条財政支出の項に入れたことであります。お読みになるとよくわかりまするが、その前のほうには財産の移転があり、うしろのところには米軍退職者退職金増額の件があります。そのまん中にそっくりとこれは入っているのですね。こういうことは、何か疑いを持って見れば、はなはだ理解に苦しむところであります。私は、政府が真に核抜きを明らかにしたいならば、なぜ新しく一条を設けて核兵器を置かないと書かなかったのか。アメリカは承知すまいと言うでありましょうが、今日アメリカ議会でも、核の所在公表などについてかなりルーズに話し合っている事実があるじゃありませんか。こちらから強く押せばやれたものだったと思うのでありますが、どうでありましょう。
次に、核についての事前協議についてであります。佐藤総理は、たとえアメリカから事前協議の話があってもノーと言いますと再三答弁をしておられます。ところが、アメリカ側では、ジョンソン国務次官の上院外交委員会での証言に見ますと、特に核兵器の場合には日本と協議するアメリカの権利を非常に注意深く留保していますという証言をしておるのであります。何かこれを見ますと、総理の明快な発言が曇らされたような感じがしますが、それはどう受け取っておられますか。総理は非核三原則の堅持、事前協議の申し入れは断わると断言し続けております。このことは、沖繩を含めて日本は核兵器には無縁なもので、日本は非核地帯であると断言をされる自信がおありかどうか。これまで総理は、お話しになる限りは、当然非核地帯、核兵器無縁をぜひとも宣言を願いたいのであります。施政権が返還されるときには、政府はこれを受け取る実際の措置、行動があるべきものだと思います。たとえば、かの大石内蔵助が赤穂城を明け渡したときに、幕府より城受け取りの使者が参って、しっかりと現状を確認して引き取っておるのであります。沖繩は二十七年ぶりに平和憲法の祖国に復帰するのでありまするから、政府は人を派遣して、軍事基地はもちろん、全基地をくまなく見回って、現状を確認する義務があると思うのであります。これをどうお考えになるか。こういうことをやることによって、核兵器の有無はもちろん、今後の施策を進める上に大きな効果が期待されると思うのでありますが、どうでありますか。
佐藤・ニクソン共同声明と返還協定の関係について、政府はこれまで現行安保条約の説明にあたっては、日本の防衛義務は日本の領域に限る、武力攻撃には日米は共同して当たる、アメリカは外のほうの極東の平和と安全に当たるということでありました。ところが、一昨年の共同声明を見ますと、総理は、台湾地域と韓国の安全も日本にとってそれぞれ重要、緊急なものであると述べています。このことは、台湾、韓国という日本の外の地域の防衛に関心を示し、深くかかわり合いを持つという全く新しい防衛態度を初めて公式に表明したものとして注意されるものであります。さらにまた、日本本土防衛の第一義的なたての責任は日本が負い、アメリカはうしろに控えて、やりの役目を果たすと変わったのであります。たいへんな変わりようであります。私は、この共同声明は、返還協定の基礎になることによって新しい条約的効果を帯びるようになりました。また返還協定は、共同声明を組むことによって第三の安保条約になったと思うのでありますが、総理のお考えはどうでしょう。アメリカのフルブライト外交委員長が上院で、技術的にはこの協定は安保条約ではないかもしらぬが、実質的には安保条約であるという発言があることは総理も注目してもらいたいと思います。それから二年たった今日、共同声明を振り返ってみますと、アジアの緊張緩和への事態からこの協定、共同声明などというものは浮き上がっております。いまやニクソン大統領の訪中の日取りも確定し、ニクソン・毛両巨頭の会談が行なわれようとしております。そして日中国交回復は、自民党を含めて日本の大勢であります。やがて遠からず日中政府間接触もありましょう。その際、相手国の領土である台湾を日本の防衛地域の関心の地域という、いわゆる台湾条項を残しておくことは、国交回復への大きな妨げとなります。これをすみやかに取り除く方策をとるべきであります。
福田外務大臣は、緊急緩和はまだムードであって定着していないとの判断を示しておられますが、ムードをつくること、ムードに乗ることが外交でありまして、定着したときはおそいのであります。この点を伺います。
来年は朝鮮問題が大きくにぎやかになります。日本が日韓関係を結んだ、例の、韓国は朝鮮の唯一の合法政府という、こういう問題も国連の場で取り上げられるようになってまいります。政府は、こういうことに対処する対策はどうでありますか。
久保・カーチス取りきめ、西村長官に伺いましょう。沖繩住民にとって統治者の交代は、われわれのはかり知れない不安が、彼らのはかり知れない不安があるということは想像にかたくありません。そういう際には、まず人心の安定が政治の要諦であります。ただしゃくし定木の自衛隊派遣は見合わせるべきであります。もし、あえて自衛隊を派遣すれば、返還協定になじまないもの、ことに強行採決に対して沖繩の人々は踏みにじられたと感じておる人もたくさんありましょう。旧軍の再来と思って、苦い思い出とからみ合わせていろんな複雑な感情にありましょう。したがって、住民と駐留米軍とのいざこざでも起これば、出動の場合もあるかもしれません。それはたいへんなことであります。自衛隊の派遣はやめるべきであります。なぜ、こういうやらなくてもいいようなことをやったかというと、これは想像するに、日本が信頼をされておらないからじゃないか。すなわち、日本が繊維の自主規制をやろうと言ったところが、アメリカはどうしても書いた政府間協定にしたいと言うのと同じように、派遣すると言って逃げられてはたいへんということもあるんでしょう。一本書かされたんじゃないかと思うが、いかがでありますか。
尖閣列島について伺います。アメリカ上院の審議の過程において、この尖閣列島だけが特に問題として取り上げられたのを見て奇異の感じを免れません。アメリカの言い分によれば、尖閣列島の施政権は日本に返すことになるが、その領土主権の帰属については関与しない、もし領有権を主張する国がありとすれば、関係国の話し合いによってきめたらよかろうというもののようであります。一体、アメリカは、どこの国のものかわからないこれらの島々の施政権を押えていたというのでしょうか。そのくせ、返還後も演習場として使用するということになっております。キツネにつままれたようでさっぱりわかりません。何とも不愉快な話であります。その間の事情を外務大臣からお伺いいたしたいと思います。
山中長官ちょっと一点だけお伺いいたします。基地をこのままにしておいて、豊かな平和な沖繩ができると思いますか。真の沖繩の復興開発には、基地撤去の計画的実行なくしてはやれないと思いますが、この一点だけを見通しをお伺いいたします。
終わりに、いよいよ来春早々、サンクレメンテで佐藤・ニクソン会談が行なわれますが、アメリカは日本に何を語りかけようとしておるのか、政府がつかんでいる関係の情報を御披露願います。
私は、こちらからはどういうことをその際ニクソンに言ったらばいいかといえば、何といっても基地の整理縮小、そうして長期的には、アメリカ軍の撤収についてのプログラムの作成の申し入れであろうと思います。
第二には、たいへんなズレを示している日米共同声明 ズレは今度ばかりでもありません。保利書簡でもそうでありますが、事態は非常に早いテンポで進んでおるのであります。冷静な洞察をもって事態をしっかり認識しなければ、いつでも置いていかれるのであります。誤った前提、一年半前の認識、それでつくったところのこの共同声明、これが、先ほど申し上げたような誤りがたくさん入っておりまするから、おそらくニクソンとの会談では、お話しの結果のコミュニケもありましょう。共同声明でもあるんでしょう。そういう機会に、ぜひとも頭を出しておいてもらいたいと思います。
日中関係もこの議題になりましょう。アメリカはアメリカ、日本とは立場がいろんな点で違います。時間もありませんから詳しく述べません。したがって、日本はようやく自民党内も、野党も与党も、けんかしながらも、国交回復への大きなレールはもう方向がきまったようであります。あとは技術的なこまかい点でありまするから、アメリカとの話し合いになった際に、アメリカと一緒に行こうか、同一歩調のほうがよかろうなどというややこしいことはやめて、既定の方針に向かって日中国交に邁進されることを希望します。同時に、この国会においても、ぜひとも政府も与党も腹を大きくして、技術の問題を政治にあんまり入れないで、全会一致の決議案の成立を見るように努力されることを願って、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/8
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009・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。
まず最初に、衆議院における沖繩返還協定の採決のあり方について御批判がありました。私は、御意見を謙虚に承り、みずからを省みて正すべきは正し、議会主義の健全な発展のため一そうの努力をいたしたいと念願しております。何とぞ各位の特段の御協力をお願いする次第でございます。
非核三原則を順守することは、私がこれまでも繰り返し繰り返し申し述べてきたところでありますが、このたび、衆議院における「非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議」が採決されるにあたり、政府として非核三原則を順守する旨をあらためて厳粛に声明した次第であります。核問題についての国会における真剣な審議、その良識を尊重したものであることを御認識いただきたいと思います。
平和条約第三条と信託統治の問題並びに沖繩返還との関連につきましては、これは外務大臣からお答えをいたします。お聞き取りをいただきます。
次に、沖繩復帰の本来の姿とは何か、また、沖繩は戦争で失った領土ではないのではないかとのお尋ねでありました。確かに、戦前の沖繩は平和な緑の島々であったわけであります。太平洋戦争の末期において一転して祖国防衛の第一線となり、その苦難は今日にまで及んでおります。そこに沖繩県民の言い知れぬ苦悩と悲しみが存在するのでありますが、今日われわれに課せられた使命と責任は、まず沖繩を祖国のもとに返すことにあるのではないでしょうか。誤った認識のもとに出発したとの御批判でありますが、私は、沖繩の置かれてきたきびしい現実をしっかりととらえ、返還の早期実現に向かって最善の道を選んだと確信しております。私は、沖繩返還問題をここまでこぎつけることができたのは、ひとえに、沖繩県民をはじめ、全国民の総力を結集することができたたまものであると考えております。だれがどれだけ努力したかというものではなく、国民の悲願が戦後二十六年にしてようやく実ったのであります。森君のように、沖繩返還がいままで実現しなかったのは過去の内閣の怠慢だとの責められ方もあろうと思いますが、私は、そのことばにもありましたように、やはり、何といっても、歴史の重みというものをひしひしと感じている次第であります。この点では、森君の御指摘のとおり私も感じておることを、率直に申し上げておきます。
私が七二年・核抜き・本土並みと申した「本土並み」の意味でありますが、沖繩返還にあたって安保条約並びに関連取りきめがそのまま適用されること、すなわち、本土と同様に事前協議制が当てはめられるという点を申したものであることを御理解いただきたいと思います。
次に、核抜きの問題でありますが、共同声明第八項を本協定第七条において明文化しておりますので、これ以上の保証はないものと考えます。しかし、先般の衆議院における決議の趣旨を体し、政府として、返還時に核抜きがさらに明らかとなるよう適切な措置を考究する所存であります。わが国に対する核の持ち込みが事前協議の対象となることは御承知のとおりであります。昭和三十五年安保条約締結の際、核兵器持ち込みを事前協議の対象とすることに合意したのは、当時わが国に核兵器がないという事実が前提にあってのことであります。安保条約が発効以来、核持ち込みの事前協議は一度も行なわれておりません。政府は責任を持って日本に核兵器が置かれていないことを申し上げておきます。
次に、事前協議制についての見解は日米両国とも全く一致しております。重ねて申し上げますが、核の持ち込みについて米側から事前協議を受けた場合、政府としてはこれを拒否する方針であることをはっきり申し上げておきます。
本土、沖繩を含め、わが国を非核武装地域として宣言すべしとの御意見でありますが、政府としては、国際社会の現状にかんがみ、はたしてこのような一方的な宣言のみによってわが国の平和と安全を維持し得るかいなか疑問に思うところであります。簡単に同意するわけにはまいりません。
軍事基地をそのままにしたこの返還の姿は、施政権と基地の分離返還と言われてもしかたがないのではないかとのお尋ねがありましたが、日米共同声明に基づく沖繩返還協定は安保条約の変質をもたらすものであるとの御意見でありましょうが、この点は、これまでも再三申し述べたとおり、沖繩が祖国に復帰するのであることをはっきりと御認識いただきたい。したがって、安保条約の性格が変わることは絶対にありません。沖繩の基地は、本土と同様安保条約の目的に従って提供されるのでありますから、返還前とあとでは、その存在理由が大幅に変わるわけであります。したがって、政府としては、返還後、基地の統廃合に積極的に取り組むべく、すでに米側と機会あるごとに話し合っております。御鞭撻を賜わるようお願いいたしておきます。
復帰時に、沖繩全島をくまなく見て回り、核及び基地について点検すべしとの御意見でありますが、返還時に沖繩に核がないことは、もはや全く疑いの余地のないところであります。政府としては、復帰の暁には、できるだけすみやかに沖繩の現状を把握し、民生上また経済上、各般にわたって積極的な施策を講ずる方針であります。
沖繩のVOAは、協定上五年に限って存続を認めるものであり、御指摘のような性格のものではありません。
また、特殊部隊は、安保条約のワクの中でのみその行動が許されるのでありますが、これらの問題の詳細につきましては、外務大臣からお答えをいたします。
最後に、来年一月六日と七日、サンクレメンテで行なうことになった私とニクソン米大統領との会談についていろいろと注文をつけられました。貴重な御意見として承っておきます。
いずれにいたしましても、私は、アジアの緊張緩和、国際社会の発展並びに日米間の友好促進のため、忌憚のない意見の交換を行なう考えであります。このためには、与党はもちろんでありますが、野党の諸君とも十分御意見を交換をいたしまして、実りある会談にいたしたい、かように思っておりますので、この上とも御協力をお願いいたします。
以上お答えをいたします。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/9
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010・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
平和条約第三条と沖繩返還との関係でございますが、平和条約第三条は、森さんの御指摘のように、前段におきまして、米国を唯一の施政権者とするいかなる信託統治の提案を米国が行なっても日本はこれに同意する、こういうふうにいっております。しかして、その後段におきましては、米国の信託統治が決定するまでの間は米国が施政権を有する旨を規定しております。この条文を見ますと、アメリカは、いつ幾日までに信託統治を行ないたい、こういう提案を行なう義務はありませんです。また、現実の問題といたしまして、提案を行なうという動きも、いささかも見られなかったわけであります。さような状態において今日まで推移してまいりましたが、しかし、もし、かりにアメリカが信託統治を主張し、わが国が条約に従ってこれに同意する、こういうふうになったら、一体、今日沖繩の運命はどういうふうになっておったであろうかということを考えるのであります。
私は、沖繩の地位というものは非常に複雑な問題である、そういうふうに考えるのでありまして、今日このような状態において早期返還が実現をするということになったのは、私は、はなはだ、沖繩にとり、わが国にとり、幸いなる道筋をたどったと、かように考えております。
次に、VOAの問題につきまして補足いたします。VOA、これはわが国の電波統一行政の見地から見まするときに、これは重大な例外をなすものである。これは御指摘のとおりであります。しかし、いままでアメリカが、アメリカの施策を東南アジアにおいて解明をするその手段としてのVOAというものを持っておった。しかも、このVOAというものは世界各地に持っておるのです。その一環としての米国の施策浸透の機関を、返還と同時に直ちに打ち切るということは、またこれが非常に困難な問題があるということは、森さんも御理解がいくだろうと思う。そこで、これはまあ交渉事でありまするから、妥協をせざるを得ない。妥協の点は、五年を限り、ということにいたしたわけであります。ただし、積極、消極の二つの例外があります。もし、万一不測の事態が生じまして、代替施設が五年の時期においてできないという場合におきましては、五年後のことをどうするかということについてあらためて協議をする。それで、そういう際には、あるいは五年後にこれが延ばされるかもしらぬと、こういうこともある。不測の事態の場合であります。しかしながら、また積極の部面もあるのでありまして、このVOAは、二年たちましたならば、その二年後の将来における運営について日米両国間において協議をする、こういうふうに取りきめておりますが、この協議の結果、すみやかに返還をする、五年以前といえども返還をするという可能性を残しておる、かように御了承を願いたいのであります。しかし、いずれにいたしましても、これはわが国の電波行政に対する重大な例外をなすものでありまするので、法律をもって皆さんの御賛同も得なきゃならぬわけでありますが、しかし、その運営にあたりましては、これは、どうしても、わが国といたしましてはこれが適正に運営されることに留意しなければならない、そういうふうに考えるのであります。さきの予算委員会におきましても申し上げたとおりでありまするが、皆さんからも御意見があった、そういう御意見にも従いまして、傍受制をとるということにいたしておるのであります。なお、番組につきましても、概要につきまして事前にこれを入手するというような方法をとりまして、この適正な運営を期してまいりたい、かように考えております。
次に、特殊部隊の問題でありまするが、これは森さんも十分御承知のとおり、今度、沖繩がわが国の施政権下に入る、わが国に完全復帰するわけであります。したがいまして、わが国とアメリカとの間で結ばれました安保条約及びそれに関連する諸法令、これは全部そのまま沖繩に施行するわけであります。したがいまして、安保条約関連法規の規制のもとにこの特殊部隊というものも置かれる。同時に、特に重要な問題は事前協議の対象になり得ることになるのであります。いやしくも沖繩諸島から、特殊部隊に限らず、いかなる部隊といえども自由出撃ということは許されない、そういうことになるのであります。なおまた、これはわが国の施政のもとにおける米軍基地でありますので、わが国といたしましては、特殊部隊といえども、これに対しまして国際法を順守すべきことを要請をする、順守しなければ、しないということに対する措置をとるという考えでありますので、このことは御安心願いたい、かように考えております。なおまた、皆さんから、特殊部隊はいろいろ問題を起こしやすいから撤去させるように努力せよということは、私もよく承知しております。そういうようなことで、太平洋陸軍情報学校、陸軍混成サービス群につきまして、すでに撤去する予定であることが確定をいたしておる次第でございます。
次に、尖閣列島の問題でありますが、御指摘のように、確かにアメリカ上院の外交委員会はその報告書におきまして、この協定は、尖閣列島を含む沖繩を移転するものであり、その次が問題なんですが、尖閣列島に対する主権に関するいかなる国の主張にも影響を及ぼすものでない。こういうふうに言っておるわけであります。これは米上院の外交委員会の報告書の中にそう言っているわけでありますが、このことをとらえての森さんのお話だと思います。私は、このことをとらえてのお話、御心情はよくわかります。私といえども不愉快なような感じもいたすわけでございます。おそらくこれは他の国からアメリカに対していろいろと話があった、それを反映しているんじゃないかというふうな私は受け取り方もいたしておるのでありますが、この問題は御指摘を受けるまでもなく、すでに平和条約第三条において、これは他の沖繩諸島同様にアメリカの信託統治地域、またそれまでの間の施政権領域というふうにきめられておりますので、それから見ましてもわが国の領土である。つまり、台湾や澎湖島と一線を画しておるそういう地域であるということはきわめて明瞭であり、一点の疑いがない、こういうふうに考えております。
次に、沖繩の問題に関連して、皆さんから、沖繩の軍事的な価値というものは最近の極東情勢の変化、こういうことで基本的に変わってきておるのではないかという御指摘がある。それに対しまして私は、極東には確かに変化が見られつつある、ニクソン大統領の訪中、あるいは南北朝鮮間の赤十字を通ずる交渉、そういうような動きはありまするものの、つまりムード的には緊張緩和の方向であるとはいうものの、しかし、まだこれは定着しておるとは考えない。私は、森さんの御指摘しておるとおり、また、すでにしばしば申し上げておるとおり、との緊張緩和の動きというものは、私は、動きではあるにいたしましても、この動きをますます助長していきたい、そういうふうに考えておるんです。しかし、大事な国の安全保障の問題を、ムードだけでこれを論ずるわけにいかぬということを申し上げておるわけであります。このことはぜひとも御理解願いたいところであります。
以上お答え申し上げます。(拍手)
〔国務大臣西村直己君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/10
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011・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 自衛隊配備に関してのお尋ねでございます。特に自衛隊配備は、アメリカから不信があって強要されたんではないかというようなお尋ねがありました。しかし私どもは、沖繩が施政権が返還されます、言いかえれば、本土に戻ってまいるわけであります。本土に戻ってまいりますれば、本土の施政権の一環として、国土の防衛ということは当然の責務になってくるわけであります。したがって、私ども政府といたしまして、当然これに対して自衛隊の配備というものは考えてまいらなければならぬのであります。言いかえますれば、これを局地防衛と申しますか、民生協力、救難活動等を含めた自衛隊の活動というものは、当然政府の責務としてやってまいらなければならぬと思うわけであります。そこで、久保・カーチス取りきめというものがございます。しかし、これは自衛隊を配備いたします場合に、沖繩の米軍の使っておった基地、あるいは施設等を使います場合には、かなり技術的な、円滑な引き受けの段取りが必要であります。したがって、そういう意味の文書は取りかわしておりますが、アメリカ側の意思でなく、あくまでも日本の自主的な立場で自衛隊配備という考え方を進めてまいりたいと思っております。
第二番目に、自衛隊配備は治安のための目的でないか、こういうようなお尋ねのように承ったんでありますが、今日、自衛隊法には、もちろん防衛出動以外に治安出動という規定もございます。しかし、わが国の自衛隊は、発足以来今日まで、そういうことを国内、本土におきましても行なったことはございませんし、また、現在の沖繩、これからの沖繩も、そういうような状態にあってはならぬし、また、ならないと考えております。ただ、社会秩序の維持ということは、当然警察によってやってもらわなければならぬと思うのであります。
それから三番目に、沖繩で自衛隊が好ましくない、こういう感情が流れておる。もちろん、中には私ども自衛隊に、やはり配備すべきだという声も相当あると私どもは聞いておりますが、しかし、また一面そういうような声も聞いております。御存じのとおり、申し上げるまでもなく沖繩というものは、戦中におきまして連隊区司令部等以外には、旧軍というものは戦時末期以後ございませんでした。この理由は、御存じのとおり、外国との直接の接壌地帯ではないという関係もあったと思うのであります。しかし、いずれにしてもそういう経験がない戦後におきましては、米軍の支配下にありましていろいろな苦労の道もたどっておられます。沖繩の軍に対する一つの気持ち、アレルギー、こういうものは十分私どもも考えなければなりませんが、しかし、それだからといって、国土の防衛をそれじゃ放てきするというわけにはいかぬ。また求めている方々もあるわけであります。したがって、配備にあたりましてはもちろん、この自衛隊の旧軍と違う性格、また、その活動、特に今日は、戦争そのものを考えている自衛隊よりは、戦争の抑止力としての自衛隊、民生等、あの離島の多いところで、あるいは救難活動するような意味での新しい自衛隊の性格を十分御納得の上に私は配備は進めてまいりたいと、こう考えておる次第であります。(拍手)
〔国務大臣山中貞則君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/11
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012・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩における軍用地の所在と開発計画の問題は、まさにお話しのとおりの問題点を含んでおります。ことに、沖繩の中の本島においては、戦場になりました関係もあって、アメリカ軍は、いいところだけを軍事基地にしておることは明々白々であります。したがって、これを今後、衆議院の決議もありましたし、また総理もただいま答弁もされましたような、今日以後も、あるいは復帰後も、沖繩開発のために必要とする基地、あるいはまた、われわれから見て、客観的にこれが不必要な基地等——不急不用の基地等、関連施設等は返還を求めていく旨の答弁があったわけでありますが、私の開発を担当する立場から考えても、一例をあげれば、那覇市の都市計画を考えた場合に、上之屋地区にある通称牧港住宅街といわれておるあの一帯を返してもらわなくては、どうしても那覇市の都市計画はかくことができない。この一つをもっても推して知るべき沖繩の基地の現状であります。したがって、総理の御答弁のように、今後外交折衝を通じ、そうしてまた復帰後、沖繩県たる沖繩県民の、わが国民の要望をくみながら、御趣旨のような方向に向かって私たちは進んでいかなければならぬと考える次第でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/12
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013・河野謙三
○議長(河野謙三君) 米田正文君。
〔米田正文君登壇、拍手〕
〔議長退席、副議長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/13
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014・米田正文
○米田正文君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま政府より説明のありました琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件に対しまして、佐藤総理大臣をはじめ関係閣僚に若干の質問を行ないたいと存じます。
二十六年間の長期にわたりまして米国の統治下にありました沖繩が晴れて祖国日本に復帰する日が近づいてまいりました。このことは全国民かねての悲願であるだけに、まことに喜びにたえないところであります。
沖繩返還は、わが国の悲願達成というきわめて重大な意義があるにもかかわらず、国民の一部ではこれを正しく理解しようとせず、かたくなな反対の態度に終始し、最近、ますますそれをエスカレートしておることはまことに遺憾千万と申さなければなりません。
およそ外交交渉は、両国の友好と信義の上に立ち、互譲の精神によって最大公約数を求めながら、その中において大筋だけは厳として貫いていく態度でなければならないと思います。ただ一方的にわがほうだけの希望をごり押しに押しつけるやり方では交渉は成立するものではありません。
本返還協定の交渉が共同声明以来実に三年にまたがり、佐藤総理をはじめとする外交担当者の英知と忍耐によって合意に達したものでありまして、沖繩返還を当然のこととして主張することには断じて賛成できないものであります。
日本は沖繩返還が実現をすればそれだけでよいものではありません。今後長く日米の友好を継続維持し、世界各国、特に近隣諸国とは一そうの友好を増進していかなければならぬとき、本協定は現時点における最大の成果であり、佐藤内閣苦心の結晶であるとしてわれわれの高く評価いたしておるところであります。沖繩県民百万の方々は、戦後長い間、基本的人権を奪われ、苦難と忍従の生活を続けられましたが、本協定批准の上は、最大の誠意と熱意とをもってその御労苦に償いをいたすことがわれわれの責務と考えておるものであります。
以下数点について、総理大臣及び関係閣僚にお尋ねをいたします。
まず第一にお伺いをいたしたいのは、沖繩返還が実現した場合のアジアにおけるわが国の平和と安全についてであります。
グアム・ドクトリン、ベトナム戦線の動向、米中接近、南北朝鮮における話し合い、最近の中共の国連参加・国府追放等、アジアにおける国際情勢は佐藤・ニクソン会談による共同声明が行なわれた二年前と著しく変化をしておりまして、緊張緩和の方向にあるやに見えますが、いまだきわめて流動的で楽観を許さぬものがあると思います。かかるアジアの国際情勢の激しい変遷の中で今回沖繩が返還され、沖繩の米軍基地はその機能を縮小することになりました。沖繩の米軍基地はアジアの戦略上のかなめ石といわれ、アジアの防衛上きわめて重要な役割りを果たし、その平和と安全を確保してきたものであります。わが国の驚異的な経済成長をなし遂げたのも、また、国内に自由過ぎるほどの言論、行動がはんらんいたしておるのも、わが国の平和と安全が確保されてきたからではないでしょうか。この際、深く思いをここにいたし、今後ともわが国の平和と安全を確保し、いささかの欠陥も来たすことのないよう十分なる備えをなすべきであると思いますが、この際、総理の御見解をお伺いします。
第二は、沖繩返還後の日本外交の最大課題たる中国との国交正常化の問題であります。これは、沖繩との関係も非常に深いので、この際付言してお尋ねいたしますが、いまや日中正常化の原則を確立して、政府間交渉を展開すべきときだと思います。昨今、わが国内には、日中国交回復論議が花盛りの観を呈しておりますが、これに呼応して、ぜひ中共も熱意を見せてほしいものであります。およそ二国間交渉は、両者の意気が合ってこそ開始されるべきものであります。相手に交渉の積極的意思がなければ、相撲にならないのであります。両者対等の立場に立って堂々たる交渉を開始すべきであります。総理及び外務大臣の所信をお伺いいたします。
第三のお尋ねは、ただいま趣旨説明のありました沖繩返還協定に対する国民世論を政府はどう受け取っておられるかであります。
われわれは、本協定は大綱において妥当適切なものであるとして、国民大多数の賛同を得ておるものと確信いたしております。それは、最近の新聞の世論調査によっても明らかであります。すなわち、去る九月二十七日の朝日新聞が行なった世論調査によりますと、返還協定に満足しておるものと、不満だが復帰できるからよいというものを合わせますと、本土六八%、沖繩六一%になっております。これから見ても、沖繩返還協定が国民の意思を反映していないというがごとき非難は全く的はずれの意見でありまして、本協定は明らかに国民大多数の賛同するところのものと確信をいたしております。総理は、本協定に関する真の国民世論をどう受け取っておられるか、御所見をお伺いいたします。
第四のお尋ねは、核抜きについてであります。協定第七条で「日本国政府の政策に背馳しないよう実施すること」と規定されておりまして、これは核抜きに関する佐藤・ニクソン共同声明の骨子を条文化したものであることは政府がしばしば言明しておるところであります。アメリカにおける核に関する公表は、大統領以外は極度に制約されておるたてまえから、これ以上の表現は因難であり、また、条約技術の上から見てもこれで十分であります。これで佐藤総理の非核三原則が、協定本文にりっぱにうたわれておるのであります。さきに、アメリカ上院外交委員会における核撤去に関するロジャーズ国務長官やパッカード国防次官の証言は、沖繩県民の不安、疑念をきれいに晴らすことができたのであります。それにもかかわらず、核撤去についての確約、確認の方法について、繰り返し繰り返し野党側の質問が続いておりますが、これ以上、なおその疑問に答えるものがあるかどうか、総理にお伺いをいたします。
第五に、本土並みについてお伺いをいたします。沖繩は、長い間米軍基地として活躍してきた関係上、基地面積の密度が高いことは事実でありますが、今回の返還によって逐次縮小されることになりました。すなわち、愛知・マイヤー了解覚書により、施政権返還までに、那覇空港をはじめ、三十三カ所の基地が返還されることになりましたほか、十二カ所は復帰後適当な時期に返還をされ、八十八カ所が継続使用されることになりました。ところが、反対派の諸君は、これでは本土並みでない、ぜひ基地縮小の再交渉をせよと強く主張しておりますが、現時点ではこれは困難なことであり、非常に無理なことだと思います。屋良琉球政府主席すら、本協定については、交渉やり直しを要求するものではないと言っておるのであります。まずは沖繩返還を実現さした上で、本土の例のように、逐次縮小するよう努力していくのが、私は現実的には可能で適当な措置であると思いますが、あらためて総理の御見解をお伺いいたします。
次に、基地使用の態様についてお伺いをします。協定第二条の規定により、日米安保条約及びその関連取りきめがそのまま何らの変更もなく沖繩に適用されることになるのでありますから、もし米軍が沖繩基地から直接戦闘作戦行動をとる場合には、当然日本政府と事前に協議があり、また、政府の非核三原則のたてまえから、核の再持ち込みは絶対にさせないのでありますから、まさに本土並みと言うべきであります。これらのことはすでに幾たびか総理の言明しておるところでありますが、何といいましても最も重要なことでありますので、この際、あらためて総理から御答弁をお願いいたします。
第六のお尋ねは自衛隊の沖繩派遣についてであります。自衛隊の沖繩派遣は、沖繩米軍の撤退、縮小に肩がわりするものであるから反対であるという意見もありますが、私は、これらの意見は、国際情勢に対する認識の甘さと自衛観念の不足から来るものであって、全く私は問題にならない意見と思います。沖繩は日本本土に復帰してくるのでありますから、わが国の法規に従って、沖繩の局地防衛の必要上自衛隊を派遣するものであります。自衛隊によってみずからの国をみずからの力で守るのであって、当然のことであると思いますが、防衛庁長官の御見解をお尋ねいたします。
第七にお伺いをいたしたいのは、請求権の放棄についてであります。協定第四条は、日本は沖繩において、米軍により受けた損害の補償については特別のもののほかは請求権をすべて放棄すると規定をしております。沖繩は、米国の施政権下において、米国、米軍人等により多くの物的、精神的被害を受けております。今回の復帰に際し、従来の沖繩県民の御苦労を察し、わが国は、これらの被害に対する権利の請求のうち、未解決のものはでき得る限りの補償を配慮いたすべきものだと思います。請求権の問題は、内容的には複雑多岐でありまして、今後の対策樹立にまつものが多いと思いますが、今後どのような具体的方針で措置せられる所存でありましょうか、外務大臣にお伺いをいたします。
第八として、最後にお伺いしたいのはVOAについてであります。わが国の電波法上、外国政府には電波の使用を認めぬというたてまえから、このVOAの存続は、協定交渉で最も難航をいたしたところであると聞いておりますが、交渉の結果は、協定第八条により、この存続を五カ年間暫定的に認めることとなり、協定発効の日から二年後に将来の運営について協議することとなっております。もともとVOA放送の内容は、反対の諸君の言うような謀略や軍事を目的とするものではなく、米国の政策を正しく宣伝周知させようとするものであるといわれておりますが、対外関係、電波障害等から適当でないという意見があり、問題となっておるところであります。したがって、復帰の二年後に日米両国政府の協議が開始せられた場合には、でき得る限り早期に移転が実現するよう努力すべきであると思いますが、外務大臣の御所見をお伺いいたします。
以上、八項目について政府の方針をお尋ねいたしましたが、佐藤総理は新春早々ニクソン大統領と会談される予定と聞いております。その好機に、日米友好の上に立って沖繩返還の早期実現を推進せられることを期待して私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/14
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015・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 米田君にお答えいたします。
まず、沖繩返還によってわが国の平和と安全がそこなわれないように配慮せよとの御意見でありますが、私はごもっともであると存じます。政府といたしましては、今後とも国際間の緊張緩和にできる限りの努力を払うことはもとよりでありますが、国民の国を守る気概のもと、国力、国情にふさわしい自衛力を整備するとともに、日米安全保障体制を堅持して、極東の平和とわが国の安全を確保する方針であります。
次に、日中間の国交正常化はかねてから政府の念願とするところでありますが、特に最近の中国をめぐる国際情勢及びわが国世論の動向から見ても、いまや政府が、この問題の解決のために積極的に取り組む時期に来ているものと考えております。このため政府としては、北京政府が応ずるならば、日中双方が相互の立場を尊重するという原則のもとで、日中関係正常化の問題を含め、双方に関心のあるあらゆる問題について政府間の話し合いを行なう用意があり、北京政府がこれに応ずることを期待しております。
次に、沖繩返還協定に対する国民世論をどう受けとめているかとのお尋ねでありますが、私は、核抜き本土並みの原則を完全に貫き、沖繩県民をはじめ全国民の十分な理解を得られる協定に合意することができたものと確信をしております。政府としては、この協定があらゆる努力を積み重ねて妥結に達したものであり、現段階では、これ以上のものは望めないものと考えておりますが、だからといって、これが完全無欠なものであって、一点非の打ちどころのないものと、かように考えているわけではありません。ただ、一番大切なことは、一億国民、特に百万沖繩県民が長い間待望していた祖国復帰を一日も早く実施することであり、足らざるところはその上でさらに補っていきたいと考えている次第であります。この上とも御理解を賜わりたいとお願いをいたします。
沖繩の核抜き返還につきましては、たびたび御説明したとおり、一昨年十一月の日米共同声明第八項にある核抜きに関するニクソン大統領と私との約束が今回の沖繩返還協定第七条により条文化されたのであります。また、米国議会における証言でも明らかなとおり、政府としては返還後の沖繩に核が存在しないことには何らの疑いも抱いておりません。しかしながら、政府としては核に関する沖繩住民の気持ちも十分理解できるので、協定上の約束以上に必要であるという意味ではなく、念には念を入れるという意味で、核が存在しないことを確認するため、何らかの方法がないものか、目下米側とも話し合いを行なっておりますが、今後とも、なお最大の努力を払う所存であります。
最後に、基地縮小の問題と事前協議についてのお尋ねがありましたが、政府としては、御指摘のとおり、返還後は段階的に基地の整理統合を実施していく考えであります。本土の場合も、平和条約発効後逐次基地の縮小をはかったことは御承知のとおりでありますが、特に沖繩の場合は、ただいまからこの問題に取り組み、沖繩県民の福祉の向上に一そう努力してまいる所存であります。また、返還協定第二条に明記されているとおり、復帰後の沖繩には安保条約とその関連取りきめがそのまま適用されるのであります。お尋ねのように、沖繩における基地から米軍が直接戦闘作戦行動に出る場合は事前協議の対象となることは言うまでもありません。復帰後の沖繩への核兵器の持ち込みも事前協議の対象となりますが、非核三原則を堅持する政府としては、本土と沖繩を問わず、核兵器の持ち込みに関する事前協議に対しては常にノーということは政府がたびたび明らかにしているとおりであります。この機会に、重ねて以上の政府の所信を明らかにしておきます。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/15
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016・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) まず第一は、中国問題に対して私の所見いかんというお話でございまするが、これはただいま総理からお答えがありましたとおりのことを私は考えております。結論的に私の信条を申し上げますれば、日中国交の正常化は歴史の流れである、そういうような認識に立ちまして、日中問題にはまっ正面から取り組んでいくという決意であるということだけを申し添えておきます。
次は、未解決のいわゆる請求権問題の処理はどうするのか、こういうお話であります。御承知のように、協定第四条におきまして、アメリカ側が支払いの責めに任ずべき事項が掲げられておるのでございますが、このアメリカ側の支払いに漏れたもの、これをどうするかという問題でございます。このいわゆる請求権問題といわれる案件は、これは千差万別と言うか、無慮無数にあると思います。それらの実態は今日なお把握しておらないのであります。ただいまその努力を続けておるわけでありますが、特に来年度予算におきましては、このための調査費等も考えまして、徹底的な調査をいたしてみたい、そうしてこれが何らかの措置をとる必要があると認めるものに対しましては、妥当適正な措置をとりたい、かように考えて、もしそういう結論が出ますればこれを実行するために予算上法律上必要な措置をとるということをはっきりここで申し上げておきます。
次に、VOA、これは一応五年の期限ということになっておるが、五年前になるべく急いでこれが撤去されるようにという要請を込めての御質問でございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、今後のことにつきましては、条約発効後二年後にVOAの将来の運営について協議を行なうと、こういうことにいたしておるのでありますが、この協議を通じまして、なるべく早くこれが撤去されるということにつきましては最善の努力を尽くしたいと、かように考えております。(拍手)
〔国務大臣西村直己君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/16
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017・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 米田議員にお答えいたします。
自衛隊の沖繩派遣の必要性はどうなのか。——先ほど御演説の中でも申されたように、施政権返還になりますと、沖繩が本土の一部になる。したがって、その地域における防衛責務というものは、国の責任として当然なってまいるわけであります。特に自衛隊は、もちろん国の安全のための防衛努力と同時に、民生協力、災害派遣等を実施いたしてまいりますが、これは、本土の場合と全く同様で、また、その責務も同様であります。現在、沖繩には、安保条約に基づく米軍は復帰後も残るわけでありますが、これは安保条約上のいわゆる諸義務を持っておるわけであります。われわれの自衛隊は、当然国の作用の一つとしての防衛の責務を果たしてまいります。ただ、部隊配置につきましては、最小必要限度の部隊というふうに考えてまいりたい。ただ、最小必要限度と申しましても、相当な距離がございますから、必要最小限度の基幹部隊、支援隊等は送らなければなりません。ただ、それも一挙にというのではなくて、私どもは段階的にというような配備の方法、また、一部にある自衛隊を御理解いただけない方々に対しては、われわれは極力自衛隊をよく理解していただくように、その点も努力いたす次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/17
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018・森八三一
○副議長(森八三一君) これにて午後一時まで休憩いたします。
午後零時三分休憩
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午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/18
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019・河野謙三
○議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑を続けます。峯山昭範君。
〔峯山昭範君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/19
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020・峯山昭範
○峯山昭範君 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のありました沖繩返還協定に対し、総理並びに関係大臣に若干の質問を行ないます。
政府は去る十七日、沖繩返還協定を審議中の衆議院特別委員会において、抜き打ち的に強行採決を行なったのであります。これは議会制民主主義のルールを踏みにじった全くの暴挙であり、きわめて遺憾なことであります。総理はこのような最悪の事態を引き起こした自由民主党総裁として、その政治責任を一体どのようにおとりになるつもりか、最初にその所見を伺いたいのであります。
次に本論に入ります。
まず第一に、極東の安全と平和という視点からの沖繩の位置づけについてであります。さきの国連総会において、圧倒的支持のもとに中華人民共和国の国連復帰が決定したことにより、世界秩序の新しい編成が進むことはいまや必然の情勢であります。これにつれアジア並びに日本の平和と安全の問題も全く新しい視点から見直していかなければなりません。沖繩返還協定はまさにその代表的なものであります。ニクソン訪中をきっかけに、戦後二十数年間続いてきたアジアの冷戦構造は、いま、なだれを打って崩壊しようとしております。たとえば、これまでアジアの緊張激化の源となっていたベトナム戦争も終局に向かう努力が続けられております。一方、最近の朝鮮半島におきましても、三十八度線における南北赤十字会談の成功により、朝鮮統一への雪解けのきざしが見え始めてきました。このように、米中接近を背景に、極東の平和は一歩一歩と新しい明るさを取り戻しつつあるのが現状であります。来年二月二十一日に、ニクソン訪中が実現すればその影響は決定的なものになるでしょう。私たちも、当然こうした新しい歴史の開幕にあたって平和の歯車を回していかねばなりません。沖繩がこれまでどおり、軍事基地の島として生き抜く限り、アジアの緊張は緩和されないでありましょう。
そして、そうした時代おくれの政策をとり続ける限り、わが国は、アジアの冷戦解体に背を向けて、孤立化の一途をたどることは必至でありましょう。
ところが、政府、特に福田外相は、かかる極東情勢について、本日の午前中の答弁においても、緊張緩和のムードは出てきたが、まだ定着していない、などと述べており、極東情勢の現状分析について本質的に誤った認識を暴露しております。総理は、極東の緊張緩和について、外相と同様に単なるムード的なものであると本気で見ておられるのか、あるいは、現に緊張緩和がすでに進んでいると考えておられるのか、真意のほどを伺いたいのであります。
第二は、核の問題についてであります。アジアの緊張緩和にとって最も重要な問題は、返還後における沖繩に核が存在するのかしないのかということであります。核抜き本土並みという政府のうたい文句には国民は聞きあきているのであります。特に政府の沖繩の核に対する認識は、VOAと同様に、全くもって浅薄な認識であり、高性能爆薬HEの資料などによるわが党の追及により、最近になってやっと核に対する認識を新たにしたといった現状であります。高性能爆薬HEの移送の危険は、ランドルフ米軍基地発行の資料ですでに明らかなように、五万人の住民が被害を受け、沿道の住民を避難させない限り、重大な事態に立ち至ります。沖繩県民の人命尊重の上からも無視できない問題であります。このHEの安全対策についても、ただ話を聞くだけで政府は何ら手を施しておりません。全くもって行政上の怠慢もはなはだしいと言わざるを得ません。また、辺野古弾薬庫や南部弾薬庫の核倉庫の拡大とともに、知花弾薬庫の中心地に核倉庫と見られる建造物が、今春すでに完成されているともいわれており、衆議院においてわが党の渡部委員からも、この建設に伴う設計図を明示してまでの追及に対し、政府は誠意のない無責任な答弁に終始しております。これは、核抜きの背信行為であります。政府は、核抜きの点検、調査については、さきのランチャーの撤去と同様に、日米両国による共同査察をも否定しているのであります。このような米国追随の腰弱は断じて許せません。政府は、核撤去のため、本土の岩国基地と同様に、まず立ち入り検査を行なうとともに、民間の学術専門家をも立ち会わせるという新しい方式の採用を強く米国に主張すべきであると思うが、総理の所見を伺いたいのであります。
一方、最近特に国民の恐怖と不安をかもし出していることに、本土における核の存在についてであります。国民は少なくとも本土には核はないと信じてきましたし、政府もそのことを主張し続けたのであります。ところが、先日、岩国基地に核が持ち込まれているとの疑惑に引き続き、さきの衆議院沖繩・北方領土特別委員会におきまして、わが党の伊藤委員の調査により、新たに東京都下の横田基地に核が持ち込まれている疑いが明らかになったのであります。すなわち、伊藤委員は、一昨年十二月、横田基地でヨギベアを運搬中、二回事故が起こったことを示す資料が手元にある。ヨギベアとは、核を示す暗号名だ。また、基地内では、核事故の訓練が昨年二十回、一昨年十回行なわれていると、核存在の新事実をあげております。この横田基地の核の存在について総理は、さようなことがあろうはずは絶対にない、非核三原則に反する場合、その政治責任は重大である、私が疑惑があると思えば、国民の納得できる処置をとると答弁をされたのであります。このような危険な横田基地で、もしも事故が起こったとしたら、それこそ取り返しのつかない大惨事になりかねないのであります。特に、総理は去る二十四日の衆院本会議において、非核兵器並びに米軍基地縮小決議が可決された後、発言を求められ、決議を順守することを厳粛に声明すると誓われたのであります。その精神からも当然、総理は一刻も早く立ち入り調査を行ない、その疑惑を晴らすべきだと思うのでありますが、総理の所見を伺いたい。さらに、核の存在が国民の前に明らかになった場合、総理はその政治責任を一体どのようにとられるつもりなのか、あわせて所見を伺いたいのであります。
第三は、自衛隊配備と基地の問題についてであります。政府は、沖繩の防衛上の位置づけについて、旧態依然たるニクソン・ドクトリンあるいはPATO構想などといった米国の軍事的役割りの肩がわり政策を完全に放棄し、極東における冷戦構造の解体へ大きく方向転換すべきであります。さらに、極東における緊張緩和の現状から見ても、沖繩に六千八百名もの自衛隊の配備を約束している久保・カーチス協定は当然に廃棄されるべき性格のものだと考えます。もともと六千八百名の自衛隊を配備することが沖繩返還の取引条件になっていることは明らかであり、これは日本国主権に対する侵害であり、わが国への内政干渉であると思うのであります。特に、沖繩返還後、沖繩米軍がなおかつ米比、ANZUS両条約の範囲内に入っていることは、わが国を他国の戦争に巻き込ませることになります。これはわが国の安全保障にとって非常に危険なことであります。さらに、米国が、返還後においても、沖繩米軍の行動の自由並びに基地機能を維持しようとしていることは、ジョンソン国務次官、スナイダー駐日公使など、米高官の証言で明らかにされております。重大なことは、それが佐藤・ニクソン共同声明に基づいていると証言されていることであります。これに対し政府は、沖繩米軍の出動は事前協議の対象となり、認めるかどうかは、その時点の客観情勢を見て国益中心に判断するとか、事前協議にはどこまでも独立国家として独自性を持って対処するなどの見解に終わり、抽象論の域を出ていないのであります。政府が真に沖繩県民をはじめとする国民の心を尊重するならば、あまりに本土と格差のあり過ぎる現在の米軍基地機能を低下させ、自由行動の歯どめをさせる責任があると思います。そのため、政府は米極東戦略の目玉商品と見られている核はもちろんのこと、第三海兵師団やSR71偵察機などの撤去を求める再交渉をすべきであります。そうでなければ、本土並みの公約は全くナンセンスであると思うのであります。政府は、抽象論でなく、実質的に米軍の基地機能及び自由行動を縮減させるために具体的な方途について強く米国と交渉すべきであると思うのでありますが、総理の所見を伺いたいのであります。
また、自衛隊の配備は、極東の安全と平和に逆行するものであり、軍国主義化を助長するとともに、アジアの諸国に刺激を与えることからも、断じてやめるべきであります。少なくとも、四次防の縮小と並行して大幅な予算の削減をはかり、もって、自衛隊及び装備の縮小を思い切って断行されんことを国民とともに切に要望するものでありますが、あわせて総理の所見を伺いたいのであります。
また、自衛隊の綱紀についてでありますが、報道によれば、朝霞の自衛官殺し事件に、事件当時現職の自衛官が関係し、制服購入などを手助けしたために逮捕されたといわれている。これが事実とすれば、実に重大な問題であるが、防衛庁長官より詳細に経過と対策を報告願いたいのであります。
最後に、沖繩経済の問題についてであります。沖繩の経済は、基地経済という特殊な経済構造であり、その上、経済立地の最もすぐれたところは、すべて米軍基地内に存しているという特異な経済情勢の中にあることを知らなくてはなりません。このような経済の環境から見て、単なる小手先の振興開発や政府の助成措置では、真に沖繩県民の心を満足させることはできないと思うのであります。一九七五年に政府は、「海洋と人間精神」のテーマで沖繩海洋博の開催を計画しているとのことでありますが、一応の復興経済の刺激にはなるにせよ、根本的な経済的解決にはならないと思います。沖繩の振興開発を本質的に進め、ほんとうの意味の本土並みの経済秩序を確保するためには、何といっても基地を撤去し、基地の中の沖繩から基地のない沖繩に大転換することが第一義的条件であります。ところが政府は、かえって逆に、現在の米軍基地を切れ目ないよう強制的に使用できる暫定措置法案を提出しているばかりでなく、米軍基地の撤去されたところに自衛隊を配備し、実質的に基地の存続を行なおうとしております。沖繩の総合開発をはばんでいるのは米軍基地であり、その存続に大なたをふるわない限り沖繩は永久に後進地域として取り残されてしまうのであります。このように、政府の沖繩経済に対する考え方は根本的に誤りをおかしており、本土並み復帰を願っている沖繩の心をここでもまた傷つけようとしているのであります。政府は、沖繩の基地経済を転換して正常な経済構造と経済体質にいかにして改善しようとしているのか、あるいは、いままでの基地経済に固執するつもりなのか、今後の沖繩経済のビジョンと方途について総理の所見を伺いたいのであります。
以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/20
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021・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 峯山君にお答えいたします。
まず、衆議院における沖繩協定の採決につきましては、午前中にも社会党の森君にお答えいたしましたように、私もこれにつきましては十分反省をしております。与野党の立場は違っても、国民のための政治であることにおいては変わるところはないのでありますから、お互いに行き過ぎがあれば戒め合い、足らざるところは補い合い、そうしてわが国の議会政治の健全な発展に尽くすことを念願するものであります。特に今国会における審議は、戦後長きにわたって外国の施政権下にあった沖繩の返還を実現することに主眼があるのでありますから、十分に論議を尽くし、問題点を解明し、その上でできるだけすみやかに沖繩の祖国復帰を実現することが国民の期待にこたえるゆえんであると信ずるものであります。今後とも御協力をお願いする次第であります。
次に、最近のアジア情勢をながめると、ニクソン大統領の訪中決定をはじめ、中国の国連参加、韓国と北朝鮮赤十字会談など種々緊張緩和のきざしが見られることは確かでありますが、他方、アジアの諸地域における対立抗争など、なお流動的な面が存在することを考えますと、緊張緩和が定着したと言い切るのは多少早計に過ぎると私は考えます。したがって、私としてもアジアにおける緊張緩和を心から望むことは当然でありますが、現時点においては、やはり今後の事態の推移を慎重に見きわめる必要があると考えております。
次に、核撤去の点検についてお尋ねがありましたが、共同声明八項の文言、さらに返還協定第七条での条文化、あるいは米国上院におけるロジャーズ国務長官の証言など、返還後の沖繩に核が存在しないことについては一点の疑いもございません。すでに何度も繰り返してお答えしているとおりであります。しかしながら、政府としては沖繩県民の気持ちも理解できますので、念には念を入れるという意味合いで、核の不存在を確認するため何かよい方法はないかと米側と話し合いを続けているところであります。
横田基地の問題について、衆議院でも公明党の伊藤惣助丸君に十分お答えしたとおりであります。日本本土の米軍基地には核はございません。したがって、横田基地の立ち入り検査をする考えも、ただいまのところはございません。万一わが国に核があるというようなことが明らかになった場合には、たびたび申し上げているように、当然負うべき政治責任を負う考えであることを、この際にはっきり申し上げておきます。
返還後の沖繩には安保条約とその関連取りきめがそのまま適用されることになるのであります。そうなれば、沖繩の米軍は本土と同様に安保条約のワク内でのみ駐留を許され、かつ、事前協議制の適用を受けるのでありますから、基地の機能も米軍の行動もおのずからそれなりの制約を受けることになります。第三海兵師団もその例外ではありません。政府としては、その取り扱いにつき再交渉する考えはございません。現在考えている沖繩への自衛隊の配備計画は、沖繩の本土復帰によってわが国が当然に負うこととなるこの地域の局地防衛、民生協力等の責務を果たすための最小限のものであると考えます。このために適正な規模の予算や装備は当然に必要であると考えます。
最後に、沖繩経済についてお尋ねがありました。政府としては、復帰後における沖繩経済の振興開発をはかるため、新全国総合開発計画を改定するとともに、今国会に提出している沖繩振興開発特別措置法案に基づいて計画を策定し、総合的な施策を推進して、基地経済の是正等、各般にわたる本土との格差をすみやかに是正するとともに、沖繩の特性を生かした振興開発をはかってまいりたいと考えております。
詳細につきましては山中総務長官から答弁をいたします。お聞き取りをいただきます。
以上。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/21
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022・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私が、極東の緊張緩和の傾向はまだムードであって定着しておらない、こういうことについて重ねてのお尋ねでございます。
私は、森議員に対してお答えいたしたとおり、ムードが出ておるということは、率直にこれを認めるものであります。しかし、これが固定化しているかというと、なお今後の情勢の推移を見なけりゃならぬ。いま、われわれが問題にしておるのは沖繩の問題である、わが国の安全保障の問題である、安全保障のこの大事な問題をムードだけで論ずるわけにはいかぬ、こういうふうにいま思っておるわけであります。そのことは先ほどもお答え申し上げたとおりでありまするが、そのとおりのことを峯山さんにもお答えを申し上げる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣西村直己君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/22
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023・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 朝霞駐とん地の中におきまする自衛官刺殺の事件につきましてお尋ねがございました。この事件そのものは目下捜査関係当局で捜査は進行中でありますから、いずれはさらにはっきりしたものになると思いますが、ただいままで私い聞きましたところ、被疑者の中に元自衛官が三名関係をいたしております。特にそのうち一名は、遺憾ながら、事件当時は現職自衛官であったわけであります。この点は特に、まことに申しわけないと存ずる次第であります。
自衛隊は、申し上げるまでもなく、私も着任以来、国民の自衛隊としての原点に戻って自衛に徹する。そこで、国民の自衛隊である以上は、自衛隊は国民の信頼を得なければならない。このためには、もちろん隊務を遂行するのでありますが、その基準になるものは規律であり、責任であり、そして同時に、共同生活をいたす以上は、そこに、その分担を持ちつつ相互が共同意識を持って、強固の団結のもとに国民に奉仕をしていかなければならないわけであります。
そこで、特に隊員の服務規律の指導、あるいはまた駐とん地の警備等については、従来も指導はされておったんでありますが、しかし、今回こういう事件が起こりました。特に、隊員の服務規律の問題であります。特に私は、九月の全日空事故のあと着任いたしまして、一番大事なのはいわゆる中堅幹部、言いかえますれば、率直に具体的に俗なことばで申します中隊長、第一線の隊員に直接心情的に接しておる人間の心情把握というものに中心を置くように、最高首脳会議を開きまして、陸海空に広くやったわけでありますが、今回こういう事件を起こしましたことにつきましては、まことに申しわけないのでありますが、こういった趣旨、厳正な規律を保持して、そしてこの種の事件が再び起こることのないように今後も指導してまいりたいと思います。同時にあわせまして、駐とん地の警備をやはりきちっとさせなければなりません。これらをあわせて、本日、この趣旨に基づいて各実施部隊並びに付属関係諸機関に対しまして次官通達をいたしておるのであります。
重ねて申し上げますが、今後、二度と現職自衛官等がこういう事件に巻き込まれないように、厳重に指導して、国民の御信頼にこたえたいと思う次第であります。(拍手)
〔国務大臣山中貞則君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/23
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024・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 総理からおおむねの方向についてお話がございましたが、補足いたしますと、沖繩の今日の基地経済に依存しておる景況が最も強く出ているものは、三次産業のウエートの異常な高さであると考えます。したがって、沖繩においては今後これらの基地依存経済というものを脱却していかなければなりませんので、沖繩について雇用に貢献のある企業、あるいはまた、それが沖繩の振興開発に貢献するであろう企業について、今後慎重に選択をして、二次産業のウエートを高めていかなければならないと考えます。しかしながら、今日私どもが考えておりますものは、内陸型工業——弱電その他の部門になりましょうが、あるいは石油精製、アルミ、造船等について、それぞれ進出企業等をバックアップするための開発金融公庫の融資体系等についても配慮をいたしておるわけでありますが、この比重を高めていくにあたっては、すでに現在ガルフやエッソその他が中城湾にかたまっておりますために、先般も一部油漏れ等がありまして、あのきれいな沖繩を、今後、三次産業の拠点を、観光も一つの大きな柱にしたいということを考えておりまする際、美しい海をよごすような企業の立地であってはなりません。そういうことに十分配慮しつつ、二次産業のウエートを高めてまいらなければならぬと考えます。しかしながら、沖繩の有人離島四十六から構成される島々のすべての人たちが豊かになる道を講じなければなりません。そのためには、本土における設計とはまた別の意味から、一次産業の農林漁業に従事する人々の心情にも深く配慮する政策の展開をなさなければならないわけでありますが、沖繩の持っておる本土農業に比べた有利な作物といえば、やはり、サトウキビであり、パイナップルである。いわゆる亜熱帯性の気候というものからのみ有利性を持ち得る作物というものを、その基盤を整備するとともに、ことしの不幸なできごとでありました干ばつの被害等を二度と起こさないような、水資源に対する措置等について今後十分の配慮をして、急速にそれらの不安を除いた上で、さらに共済制度への新しい考え方の導入、価格の体系等について、農民の立場から、今後、一次産業の従事者であっても、なおかつそれぞれの数多くの島で生活できるように配慮をしてまいりたいと思います。
さらに、沖繩で今日まだ、くり舟型の小さい漁業に従事しておる比率が非常に多いために、あたら、魚の宝庫というものを目の前にしながら、本土から魚を輸入して、物品税をかげておるというような現状にありますことは、まことに遺憾でありますので、これらの漁船の大型化、近代化、漁場開拓、こういうものを通じて、それぞれ海に囲まれた島としての特殊性のある漁業による収益の向上にも配慮してまいりたいと考える次第でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/24
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025・河野謙三
○議長(河野謙三君) 栗林卓司君。
〔栗林卓司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/25
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026・栗林卓司
○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定について、政府の見解をただしたいと思います。
しかし、その前に、まず私は、佐藤総理に対して、今後どのような姿勢で本協定の審議に取り組もうとされるのかを伺いたいと思います。すなわち、本協定は衆議院における強行採決によって自然成立の軌道に乗り得たかもしれません。しかし、これは、沖繩百万県民の口を封じ、参議院の審議に背中を向けたにひとしい暴挙であります。しかし、憲法の示すところは、参議院において議決ができなかったときには自然成立という規定であり、両院において十分な審議を尽くして議了することが憲法の精神であることは言うまでもありません。しかるに、政府・自民党は、この憲法の精神を踏みにじり、これを逆用して暴挙に訴えたものであり、われわれは断じて許すことができません。この上は、本院の審議において、足らざるを補い、国民の要望に謙虚に耳を傾け、より前進した内容の確保に全力を尽くすことが佐藤総理に託された重大な使命と言わざるを得ません。この点について総理の率直な見解を明らかにしていただきたいと思います。
また、あわせて、沖繩県民の切実な願いを集約した屋良主席の建議書について、総理はどのような認識と配慮で取り扱われようとするのか、御見解を伺いたい。
さて、返還協定の内容について、時間の制約上、幾つかの問題にしぼりながら質問をいたします。
まず、最初にお尋ねしたいのは、最近の国際情勢の変化と今回の返還協定をどのように結びつけて考えているのかという点であります。協定の前文に明らかなごとく、木協定は、二年前の佐藤・ニクソン共同声明と一体のものであり、同時にまた、同じく二年前の佐藤総理のナショナル・プレス・クラブにおける演説と一体のものとされてまいりました。そこに一貫して流れているものは、米国の極東における軍事行動に対する日本政府の積極的理解と支持の表明であり、そのための基地使用の容認であります。しかし、問題は、この二年前の判断が、今日急激に変化し緊張緩和の方向に向かいつつあるアジアの情勢に正しく適合したものであるかどうかという点であります。
佐藤総理は、衆議院において、わが党の曽祢議員の主張に答え、ナショナル・プレス・クラブ演説の一部、すなわち、韓国に向けられた米国の支援軍事行動に対し前向きに対処するという発言を撤回されました。それと全く同じ理由で、台湾に対する米国の軍事行動についても、二年前の判断を修正する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
今日、不幸にして分裂国家の実態にあり、しかも、三十八度線をはさんで軍事的緊張が現在する韓国に対しては、前向きの発言を撤回し、一方、中国の一部である台湾については、中華人民共和国の国連加盟という現実にもかかわらず、依然として米国の中華民国に対する条約上の義務遂行の決意を十分に評価して対処するというのでは、理屈の筋が通りません。しかも、今日のアジア情勢を踏まえ、アジアの平和とわが国の安全の立場から考えるならば、台湾に関しては中立の立場を厳守し、台湾海峡の平和をあくまでも希求するという以外の言及は避けるべきであります。
以上要するに、沖繩返還協定によって将来に禍根を残さないために政府としてまず急ぐべきことは、二年前の共同声明並びにナショナル・プレス・クラブ演説の徹底的見直しと大胆な修正であると言わなければなりません。
以上の観点から、私は、次の三点を質問いたします。
まずその第一点は、来年初頭に予定されている佐藤・ニクソン会談において、二年前の共同声明を再検討し、アジアの緊張緩和をさらに促進する方向で新しい共同声明を発表する意図があるかどうか。
第二点、あわせて台湾に関し、台湾地域における平和と安全の維持が日本の安全にとってきわめて重要であるとした共同声明を修正し、日本の中立的立場を明らかにする意図があるかどうか。
第三点、沖繩返還協定は、日米安保条約の沖繩への適用を規定しております。ところが、現在沖繩にある特殊部隊、すなわち、アジア全域における謀略活動、対ゲリラ作戦を任務とする米陸軍第一特殊部隊あるいは第七心理作戦部隊、さらには、中国大陸の上空偵察を主任務とするSR71戦略偵察機、これらは日米安保条約のワクから完全にはみ出した性格と機能を持つ部隊であります。もちろん政府は、事前協議の存在を指摘するでありましょう。しかし、事前協議の対象でありさえすれば、いかなる性格、機能を持つ軍隊あるいは兵器が日本に存在していいとは日米安保条約はいっていないはずであります。わが国に対する不当なる誤解を回避するためにも、また、本土並み沖繩返還を主張する政府の立場からも、退去を要請すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
次に私は、核撤去の問題について政府の明確な答弁を伺いたいと思います。総理は、核の配置は米国大統領の専決事項であり、その有無を論ずることが核兵器の軍事的価値と直接のかかわり合いを持つ問題である以上、「日本政府の政策に背馳しない」という米国大統領の約束を信用してもらうしかないと言われるかもしれません。しかし、核撤去にとって最も重要なことは、撤去の事実をだれにも誤解の余地を残さない明白な形で示すことであります。言うまでもなく、米国大統領は米国の国益を第一義に置いて行動する責務を負っております。しかも、米国にとって核兵器は、他国の主張に妥協するにしてはあまりに高い軍事的、政治的価値を持った兵器であります。その配置と使用について常にフリーハンドでありたいと願うことは、米国大統領の当然の態度と言わなければなりません。その米国大統領との間の、きわめてあいまいな表現に満ちた約束を唯一の根拠として、信用しろと言われても、国民はもとより、アジアの近隣諸国にとってもとうてい理解し得るところではありません。しかも、アジアの近隣諸国に理解されないということは、核の有無にかかわらず、常時日本に核兵器が存在しているにひとしい危険をわが国に及ぼすということであります。一方、米国の上院では、核の有無は論ずべきでないという佐藤総理のたびたびの言明にもかかわらず、ロジャーズ国務長官、パッカード国防次官は、返還時には沖繩に核兵器が存在しないことを明らかに証言しております。このときにあたり佐藤総理がなすべきことは、従来のあいまいな発言を放てきし、核撤去の約束を日米両国の外交文書によって明瞭に確認するとともに、その事実を検証し、沖繩に核兵器が存在しないことを内外に明らかにすることだと思いますが、いかがでしょうか。
核撤去問題について、さらに一点お伺いいたします。政府が核撤去費用の日本政府負担額として合意した七千万ドルは、毒ガス撤去費用の日本政府負担額二十万ドルに比べ、きわめて多額であります。これは核撤去作業の異常性を物語るものと考えてよいか。もしそうだとすれば、その安全対策をどのようにしてはかるつもりなのか。また、かりに安全面に心配がないとするなら、なぜ七千万ドルもの高額な核撤去費用を想定し、承認したのか、見解を伺いたい。
次は基地の問題であります。沖繩返還後、政府として基地の縮小、統合、再編に取り組む意思があることは、先ほど来たびたび言明されております。そこで、これをさらに具体的に伺う意味で、端的に次の四点を質問いたします。
その一は、すでに述べたごとく、日米安保条約のワクからはみ出した特殊部隊の基地について撤去、返還を交渉する意図があるかどうか。
第二点、ゴルフ・コース、海水浴場等、軍事施設と認めがたい用地について、直ちに返還交渉を始める意図があるかいなか。
第三点、北谷村の場合を含め、現在、空閑地もしくは空閑地と認め得る用地について、直ちに返還交渉を始める意図があるかどうか。
第四点、たとえば嘉手納空軍基地の場合、基地用地として提供されている七百万坪のすべてが基地機能維持に不可欠であるとはとうてい考えられません。国土の狭い日本に基地を設置する以上、その規模と態様は、日本における常識的基準に従うべきであります。この見地に立って沖繩の全米軍基地を再点検し、住民福祉並びに沖繩開発の立場から、基地用地縮小の交渉に取り組む意図があるかいなか。
次に、対米請求権及び米資産買い取りの問題についてお伺いをいたします。政府は、協定第四条によって対求請求権を放棄いたしました。しかし、このことが、現実に被害を受けた人たちが権利として持つ請求権の消滅を意味するものでないことは政府も異論がないと思います。したがって、政府は、実態を詳細に調べて、足らざるを補うことはもちろんとしても、同時に、本来米国が負うべき債務を日本政府が肩がわりすることを法律で明記し、県民が持つ請求権を法律上の権利として明らかにすべきだと思いますが、この点について政府の見解を伺いたい。
また、米資産買い取りの問題について、しょせん交渉過程での妥協の産物だとは思いますが、琉球政府が沖繩県民の財産だと主張している資産まで、なぜ代価を払わなければならないのか、政府の見解を伺いたいと思います。
最後に私は、政府に対し、沖繩返還協定の審議にあたっては、いたずらに自画自賛することなく、国民の期待にこたえた真の核抜き、本土並みの実現に真剣に努力されるよう心から切望して、民社党を代表しての質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/26
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027・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 栗林君にお答えをいたします。
まず、衆議院での審議の足らざるところを補って、より前進した内容の確保につとめるべきだとのきわめて建設的な御意見がありました。私も全く同感であります。国会審議を通じて、沖繩返還の意義や問題点、さらには返還後のあり方などについて十分な論議が尽くされることは最も望ましいことであります。かねがね申しておりますとおり、政府としては、今回の取りきめにあたり、ベストを尽くしたという自負はありますが、といって、これがすべてであるとは考えておりません。すでに各党から御指摘のあったように、基地の整理縮小など、今後多大の努力を要する点も現に存在することは十分認識しております。これからの実りある審議によって、これらの点がさらに浮き彫りされるものと思われますので、政府としては、国民の疑問に答えつつ、積極的に対処してまいる考えでございます。
政府は、従来から沖繩に関する施策の策定にあたっては、琉球政府をはじめ沖繩県民の意思を十分に尊重するようつとめてまいりました。今回、国会に提出している諸法案の作成にあたっても、これまで琉球政府から出された要請書を最大限に考慮することはもちろん、琉球政府とも十分調整を行なっており、すでに県民の十分な理解を得ているものと考えている次第であります。
また、自衛隊配備についての問題点、公用地等暫定使用法案、対米請求権の処理のあり方などについての政府の基本的方針は、すでに機会あるごとに明らかにしてまいったところでありますが、今回あらためて提出された屋良主席の建議書につきましては、従来の琉球政府の要請と異なるものもあり、また、問題の性質上、実施が困難と思われるものもある半面、政府としても、政令の段階で、あるいは運用の際に実施を予定しているものも含まれております。いずれにしても、建議書の内容をさらに検討の上、できる限り県民の要望に沿い得るよう、今後とも格段の努力をしていく考えであります。
次に、一昨年十一月の私とニクソン大統領との共同声明第四項において、韓国及び台湾について私が示した見解は、わが国が自国の安全との関連で極東地域の安全を一般的にどのように認識しているかを明らかにしたものであります。また、この共同声明発表の際の邦人記者会見及びナショナル・プレス・クラブにおける演説において、特に韓国、台湾に触れたのは、これら諸国の安全とわが国の安全との関係についての政府の認識を率直に述べたものであります。しかし、幸いにしてそのような事態は予見されないのでありますが、曽祢君にお答えしたとおり、事前協議に際してこれがイエスを確約したものであるとの印象を与えているとすれば、これは事前協議制の本質から見て妥当でないし、かつ、私の真意でもないので、訂正するにやぶさかでないと申したのであります。事前協議に際しては、イエスもあればノーもあることを、いままでもたびたび申しておりますが、この機会に重ねて申し述べるものであります。
次に、明年早々に予定しております私とニクソン米大統領との会談についてのお尋ねでありますが、まだ共同声明を出すかどうかなど細部については米側と打ち合わせておりません。したがいまして、いろいろ具体的なお尋ねがありましたが、これらの点は、ただいままだはっきりきまっておらない問題でありますので、御意見は御意見として承っておくつもりであります。ただ私は、ニクソン大統領が中国を訪問されるその前に友邦諸国と忌憚のない意見の交換を行ないたいという趣旨でありますから、私としても、国際社会の平和維持、友邦諸国の均衡ある発展という見地から、全般的な諸問題について率直な意見を交換する考えであります。また、与党の諸君とはもちろんでありますが、先ほどもお答えいたしましたように、これは野党各党とも十分話し合いをした上で私のニクソン大統領との会談の腹ごしらえ、決意を固めたいと、かように思っております。
次に、返還時において沖繩に核の存在しないことは、栗林君も十分御理解いただけたものと思います。なお、この問題に対する栗林君の御意見は、政府としても十分参考にしたいと考えております。
また、沖繩から核が撤去されたかどうかを査察する問題は、国際法上きわめて困難な問題であることは理解していただきたいと思います。でありますが、政府としては、沖繩県民に不安が残らないよう、何らかの確認を得るよう、との上とも努力する考えでございます。
請求権の問題は、すでに方針の決定しているものはこれに基づいて処理する方針でありますが、それ以外のものは事実関係を十分調査し、適切な措置を講ずる所存であります。その際、必要があれば立法措置をとることも考えております。
以上、私からお答えをいたしまして、その他の問題につきましては、それぞれ所管大臣からお答えいたすつもりであります。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/27
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028・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 質問の第一点は、特殊部隊を撤去すべきではないかという御意見を含めてのお尋ねでございます。
これは先ほども森元治郎議員に対してお答えいたしたところでございますが、特殊部隊、特殊部隊とおっしゃいますが、これは沖繩がわが国に返還いたされました以上は、安保条約並びにその関連取りきめのこの制約下に入るわけであります。また、当然国際法を順守しなければならないというようなことで、御心配をおかけするような事態には万々ならないことをはっきりと申し上げます。いままでの話し合いによりますると、太平洋陸軍情報学校、陸軍混成サービス群、これは返還時までには撤去されることになっております。まだ、その他のものにつきましては、これが返還後といえども残留をするというようなことになりましょうかと存じます。いま全面撤去の交渉を行なうべしというようなお話でございまするが、全面撤去のための再交渉、これはいたす考えはございませんので、まことに申しわけございません。
次に、わが国のアメリカに対する支払いの考え方についての問題でございます。わが国は、この協定においてアメリカ政府に対しまして三億二千万ドルの支払いをいたすことにいたしました。それの経過を申し上げると御理解がいいかと思うのでありまするが、いま御指摘の資産承継に見合う分といたしまして一億七千五百万ドル、それから米軍基地に働く軍労務者、その退職金が、米軍の取り扱いでいきますると、これは内地とはなはだ均衡を失する低いものであります。そこで、その退職金を内地並みにして支払うことにする、そういうための支払いといたしまして七千五百万ドルとなるのであります。以上を合計いたしますると、二億五千万ドルと相なるわけでございまするが、アメリカはこれに対しまして、将来におきまして米軍が、沖繩を去りゆく、米軍は沖繩に対しまして軍事施設を、多額のものを保有しておるわけでありますが、それを無償で残していく、また核撤去という問題もある、それらを考えまして多額の要求があったわけであります。私どもは、その多額の要求に応ずることはできないというので応酬いたしましたが、何といたしましてもこの協定はまとめなければならぬ。私どもの考え方といたしましては、その米軍の残していくところの資産、軍事資産の無償引き受け、また核撤去、そういうようなものを考慮いたしまして総額七千万ドル、これはまあ高度の政治判断という形できめたわけでございます。そのとおりに御了承願いたいと思いますが、したがいまして、ガスの撤去には二十万ドルしかかからないじゃないか、核撤去には七千万ドルじゃないか、こういう御比較でございまするが、そうじゃない。七千万ドルというのは核ばかりじゃないのです。いろいろなものを含めましての七千万ドルである。高度の政治判断としての七千万ドルであるということであって、これを御比較くださることはまあ当を得ないのではあるまいか、さように考えます。
さらに、栗林議員におかれては、基地の問題についてのお尋ねでございます。特殊部隊のことは先ほど申し上げました。ゴルフ・コースやあるいは基地機能維持の必要以上のもの、まあ、それをまた空閑地とおっしゃられるのかもしれません。それらの問題につきましては、ただいまアメリカ当局とも話し合っております。非常に熱心に話し合っておるわけであります。なお今後とも鋭意この問題を推し進めてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣西村直己君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/28
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029・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 特に私に直接のお尋ねはないと思います。総理から大体の大綱をお話しになりましたので、御了承願いたいと思います。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/29
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030・河野謙三
○議長(河野謙三君) 岩間正男君。
〔岩間正男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/30
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031・岩間正男
○岩間正男君 日本共産党を代表して、沖繩協定をめぐる若干の問題について佐藤総理に質問します。
まず伺いたいことは、衆議院における強行採決の問題であります。
いまさら多言を費やすまでもなく、先月十七日から一週間の衆議院における事態は、国会の法規、慣例を無視した不法、不当なものであり、安保国会、日韓国会を上回る許しがたい暴挙であります。わが国政の基本路線にかかわる重大案件が、国民に納得のいく審議も尽くされず、いつもこのような手段によって処理され、そのたびに議会制民主主義が踏みにじられて今日に至った。いま、沖繩県民をはじめ国民の怒りと不信は極度に高まっています。また、沖繩協定の自然成立を意図的に推し進めた今回の衆議院での暴挙は、憲法で定めた二院制の基本精神を踏みにじったものであります。
総理は、衆議院での不法採決と参議院無視という、この二重の議会制民主主義のじゅうりんに対してどのように責任を感じておられるのか。また、自民党の総裁でもある総理は、今後、沖繩協定と関連法案について、国民が納得できるような審議をどのように保障されるつもりか。冒頭に、まず総理の明確な答弁を願います。
これまで、協定についての衆議院の審議はわずか数日間で、核心に触れた問題の解明はほとんどなされていません。協定に対する国民の疑惑は深まるばかりです。
まず、協定の眼目とも言うべき核問題であります。
沖繩における核の存在、核撤去の点検と確認、撤去作業開始の時期、撤去費用七千万ドルの積算の根拠等々、たび重なる追及に対して、政府は何一つ納得のいく答弁をしていないではないですか。特にわが党は、沖繩の現地調査によって手にした米軍資料に基づいて、第十八戦術戦闘航空団の核投下訓練、第三海兵師団の核武装、第四〇〇弾薬整備隊の核安全点検作業などの実態を明らかにし、現実に沖繩に核部隊が存続し、訓練していること、しかも、この部隊が返還後もそのまま残ることをあげ、施政権返還後は核抜きになるという政府の宣伝が全く根拠の薄いことを追及しました。しかるに政府はこれに対して、「立ち入り検査はできない」「調査をする」と答えただけで、いまだにその結果を正式に報告していないではありませんか。謀略放送、特殊部隊についても、また基地問題、自衛隊の配備等についても同様です。資産買い取り、賠償請求権の問題、裁判引き継ぎの問題などは、ほとんど審議されていないありさまです。このような審議の状態で、論議が尽くされているなどと言えるでしょうか。沖繩協定の審議はまさにこれからであり、参議院で十分審議を尽くすべきだと思いますが、総理の見解を伺います。
今回の沖繩協定は、国際法上不法不正なサンフランシスコ条約第三条を容認し、沖繩百万県民を塗炭の苦しみにおとしいれた米軍の不当な軍事占領を合理化たしものであり、返還協定の名に値しないものであります。
さらに、沖繩協定がいかに危険な軍事的性格を持つかは、本協定と安保条約の関連を具体的に検討すれば一そう明白なのであります。
まず第一に、総理は、本協定第二条について、安保条約とその関連諸取りきめが何ら変更なく適用されるから沖繩は本土並みになると再三言明し、さらに、沖繩に安保が適用されれば核も自由出撃もなくなり、侵略的な米軍や特殊部隊の性格は変わると答弁しております。しかるに、過日の米上院軍事委員会の聴聞会でウエストモーランド陸軍参謀総長は、「沖繩の大規模な基地施設は、出撃基地、兵たん基地、補給基地、通信基地である。この基地複合体は米軍の東南アジア作戦にとって死活の貢献をし、さらに沖繩に引き続き軍事駐留することは将来も無期限に必要となろう」と述べ、施政権返還後も沖繩の戦略的重要性や基地機能が何ら変わるものでないことを強調しているのであります。しかも、総理はこれをあたかも裏書きするように、一昨年の日米共同声明で、沖繩にある米軍が重要な役割りを果たしていることを認め、日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行を妨げることのないことをニクソン米大統領に約束しているのであります。総理、一体これで、安保が適用されれば米軍の機能や性格が変わるなどとどうして言えるのですか。変わるのはむしろ安保条約そのものであり、極東戦略のかなめ石を日本全体の中にかかえ込むことによって本土までが沖繩化される以外の何ものでもないではありませんか。
そこで、総理並びに外相に具体的にお聞きしますが、米第十八戦術戦闘航空団所属のF105やF4戦闘爆撃機が現に行なっている核模擬爆弾による核投下訓練は、安保が適用されれば一切なくなるとここで明言できますか。政府が核抜きを言明する以上、それがたとえ訓練といっても、これを続けさせることは、有事の際の核攻撃の準備をしている証明であり、重大な問題なので、この点について明確な答弁をお願いします。
また政府は、協定成立後は沖繩での第三国人の訓練は、安保条約の目的に反し、禁止されるとしばしば答えています。しかし、安保条約下にある富士演習場に来て、一昨年来常時原子砲の砲撃訓練を行なっている米第三海兵隊の中に、現に東南アジアの第三国軍人がまじって訓練を受けている確固たる事実があります。これは明らかに安保条約の範囲を越えるものと思いますがどうでしょうか。
次は、返還後沖繩に適用される安保条約は、単に従来のものをそのまま継続するのではなく、日米共同声明で、一そう侵略的なアジア安保に改悪されたものであるということであります。それは従来の安保条約では、「日本国の安全に寄与」するとうたわれていたものが、共同声明では、「日本を含む極東の平和と安全」にというふうに変更され、その適用範囲が日本から外へ向け拡大されていることを見ればきわめて明らかであります。この共同声明の合意事項を法的拘束力のある条約にしようとするのがまさに今回の沖繩協定であり、前文に「共同声明の基礎の上に」と明記していることが何よりのこれが証拠であります。
そこで、安保の抜け穴とも言うべき事前協議問題について具体的にお聞きしたいと思います。
一昨年総理は、ナショナル・プレス・クラブで、事前協議については前向き、かつ、すみやかに対処すると言明しました。この総理の発言は、極東条項、韓国・台湾条項などと合わせて、アメリカ議会における沖繩協定成立の重要な前提条件であり、根拠とされているものであります。総理は、過般の衆議院協定特別委員会で、事の重大性を感じてか、「前向き」の部分を改めると答弁されました。
そこで、私はあらためて総理にお聞きします。総理は、アメリカ政府に対して、この発言の取り消しを正式に申し入れるつもりかどうか。そうしなければ、アメリカ側か日本国民側かのいずれかる欺く結果にならざるを得ない性質を持つ問題ですから、ここで明確にしていただきたいと思うのであります。
最後に、総理に端的にお聞きします。総理は、一体この沖繩協定によって日本全土の今後にどのような新しい事態が起こるというふうに考えておられますか。少なくとも日本全土の米軍基地は、沖繩を含めれば、その数は二倍、さらにその基地は、その機能や行動範囲において全く異質の侵略的、謀略的なものを多数かかえ込むことになることは、いままでの論議の中で繰り返されてきたところであります。その結果、沖繩を含めた日本領土から米軍が出動して他国を攻撃すれば、わが国は基地提供の共犯者として報復攻撃を受けても、国際法上抗議することもできないという立場に立たされることになります。これは少なくともアメリカがアジアにおける軍事侵略をやめない限り、日本の米軍基地を撤去しない限り、いつも一億国民の頭上に重くかぶさってくる問題であります。総理は一体このことを真剣にお考えになったことがありますか。アメリカの朝鮮やベトナムの侵略戦争に沖繩が踏み台として使われたことも、沖繩がアメリカの施政権下にあったればこそ、わが国は直接その責任を問われることはなかったのです。しかし、協定発効後はそうはまいりません。日本全土、そして、一億国民の生命がここにはかかっているのであります。この意味からも、危険きわまりないこの沖繩協定は撤回すべきものであります。真に沖繩百万県民の心を心とするなら、当然核もない基地もない無条件返還をかちとり、自衛隊の配備を取りやめるべきであります。
総理の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/31
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032・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 衆議院における採決につきまして、日本共産党からもおしかりを受けましたが、すでに、これまでの質問者にお答えいたしましたように、私は謙虚に反省をしております。私といたしましては、今後参議院において十分議論が尽くされ、沖繩県民をはじめ全国民待望の沖繩の祖国復帰が一日も早く実現するよう衷心より願っている次第であります。
次に、復帰時に沖繩に核が存在しないことにつきましては、日米共同声明、沖繩返還協定のみならず、米国上院の審議に際しての米当局者の言明により、もはや疑問の残る余地はないものと考えます。
その他、基地縮小の問題や自衛隊配備等に対する政府の考え方は、すでに御理解いただけたものと信じますが、その他なお御疑問の点については、今後の参議院の審議の過程で重ねて明らかにしてまいりたいと存じます。
岩間君は、本協定の発効によって沖繩の地位がどのように変化するかという点を十分に認識しておられないのではないかと私は思います。沖繩の施政権がわが国に返還されるということは、必然的に米軍の機能や性格に重大な変化が生ずるわけであります。申すまでもなく、現在沖繩の米軍は自己の自由意思によって行動することが可能であり、基地もそのような見地から使用されておりますが、返還後の米軍は、わが国並びに極東の安全を確保するという安保条約本来の目的にのみその行動が許され、同様の目的のために施設・区域の提供も行なわれることとなるのであります。この点を十分認識され、かつ国家間の公の約束事というものの本質を理解していただければ、沖繩返還協定の持つ意味がおわかりいただけるものと思います。また、安保条約の運用解釈について日米間には意見の相違は全く存在しないことを重ねて明確に申し上げておきます。
事前協議についての政府の態度は一貫しております。すなわち、事態に即応し、国益に照らして判断するということであり、したがって、イエスもあればノーもあるわけであります。私のナショナル・プレス・クラブでのこの問題についての発言については、衆議院で民社党の曽祢君にお答えしたとおり、私の心がまえを申し上げたものであって、もし誤解を招く点があるとすれば訂正するにやぶさかでないということであります。したがって、米政府に取り消しを申し入れるというような性質のものではありません。したがって、米国政府に取り消しを申し入れろと、こういうことを御提案になりましたが、私はそのとおりはいたしません。
最後に、岩間君から沖繩協定の批准は新しい危険を招くという趣旨の御発言がありましたが、私には全く納得のいかないことであります。いろいろ伺っておると、米軍に基地を提供する、そのことは同時に、米軍が自由に発進するから、いわゆる基地提供の日本が共犯者になる、こういう意味で新しい危険を招く、こういうことを言われるようであります。しかし、私は先ほど来申し上げるように、今回の祖国復帰、これは安保条約の中身を御理解いただくなら、ただいまのような非難は当たらないと思います。したがって、私は先ほど申し上げるように、もっと理解していただきたいと、こういうことを申したのであります。
沖繩返還は全国民的悲願であり、国民の熱意と努力によってようやくこの願いが達成されようとしているととは喜ぶべきことではないでしょうか。緊張緩和に向かって全世界的な努力が重ねられているとき、いたずらに危機感をあおることはいかがかと思います。ともあれ、政府といたしましては、今後ともすみやかな復帰実現に向かって全力を傾ける決意でありまして、沖繩返還協定を撤回するなどというような考えは全くないことをこの機会に明確に申し上げておきます。
また、その他の問題についていろいろお尋ねがありましたが、それらにつきましては所管大臣からお答えをいたします。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/32
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033・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 岩間議員から伊江島で核投下訓練をしておる、そういうお話でございます。私はそういう情報に接しておりませんです。いずれにいたしましても、協定が発効した後におきましては、沖繩はもとより日本いずれの地域におきましても核は存在しないのであります。したがいまして、沖繩において返還後において核投下訓練が行なわれるというような事態はあり得ざることでございます。
それから次に、米軍が日本の基地において第三国人の訓練をしておる、こういうお話でございます。安保条約はわが国の施設・区域を米軍に提供するものでありまして、第三国人に対して提供するものではありません。したがいまして、第三国人の訓練をわが国においてこれを行なうというがごときことは許されないことです。(「証拠がある」と呼ぶ者あり)いま証拠があると言って御指摘の、沖繩の海兵部隊が富士演習場で第三国人の訓練をしておるということでありますが、さような事実はありません。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/33
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034・河野謙三
○議長(河野謙三君) 喜屋武眞榮君。
〔喜屋武眞榮君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/34
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035・喜屋武眞榮
○喜屋武眞榮君 私は沖繩からの証言をいたし、そして幾つかの質問をいたしたいと思います。
議会制民主主義の鉄則を踏みにじって、沖繩返還協定は衆議院で去る十一月十七日沖繩返還協定特別委員会において強行採決をされ、続いて十一月の二十四日、変則的な本会議において可決をされました。
本来ならば、終戦以来いちずに祖国復帰を願い、訴え続けてきた沖繩県民は、協定が可決されたその日こそ、宿願がかなえられた歴史的な瞬間の日として感激し、万歳を叫び、沖繩は、島をゆるがす喜びにわいたでありましょう。だがしかし事実はさにあらず、可決の報をニュースで知った県民は、一瞬耐えがたい怒りをかみしめて、ほとんど声もなく、まことに重苦しい空気に閉ざされておるということが現実であります。そして、われわれが十一月二十四日という日を忘れることができないばかりでなく、われわれの子や孫たちも、あらゆる意味において議会制民主主義に対するきびしい告発を含めて、永遠にこの日を記憶し続けるであろうと現地新聞は社説できびしく報じております。私はその社説を取り上げて質問をいたします。
佐藤総理、沖繩協定に関する限り、その内容は実質的に自民党の単独審議と言わなければなりません。なぜかといえば、本会議場における公明、民社両党の激しい反対討論が何よりもこれを物語っているではありませんか。その本質は、一点も疑う余地がなく、去る十七日の衆議院における沖繩返還協定特別委員会における強行採決の再現そのままと言ってもよいでしょう。特に、去る二十二日の協特委において、沖繩選出の安里、瀬長両議員が、ピエロになりたくないと言って補足質問を拒絶したことは、沖繩にとってまことに重大な意味を持つものだと言わなければなりません。(拍手)みずからの将来が、そして国の進路がまさにいまきめられようとする決定的な時点において、みずから沈黙し、無言の抵抗を示す以外にすべがないとすれば、これほど過酷な選択はないと言えましょう。しかも、そのまことに悲痛な、ことばさえなき抵抗も多数によって葬り去られたのであります。このことは、返還協定の内容において、また審議の過程において、まぎれもなく沖繩県民が最もおそれておった琉球処分と言うべきでありましょう。沖繩戦におけるあの悲惨な犠牲、そして、それに続く異民族の軍事優先支配の中で基本的人権を奪われ、のみならず、生命、財産をも脅かされ、さらに政治的自由を大きく制約されながらも、この四半世紀にわたる二十六年間、ただひたすらに平和を願い、平和憲法のもとに生きる人間として、権利回復を求め続けてきた沖繩百万県民に、この内容とこの手段をもって報いるということは、あまりにも非情過ぎるではありませんか。数をもって反対勢力を問答無用と封じ、さらにまた、委員会における発言討論と本会議出席を拒否しなければならないような状況をつくり出し、そこへ強引に追い込んでいきました。そういう手段に何らの疑念を持たず、これが多数決の原理であり、正義であるというならば、まさに議会制民主主義の冒涜と言わねばなりません。(拍手)沖繩の運命はもちろんのこと、わが日本の将来は一体どうなるでありましょうか。
佐藤総理、この六十七国会はいわゆる沖繩国会であります。総理は一貫して、明るく平和で豊かな沖繩づくり、そして、あたたかく迎えようと強調されました。しかし、協定可決に至るまでの間、その審議の中身ははたして沖繩国会にふさわしいものだったかどうかということであります。答えは明らかにノーであります。逆に国政の中における厳然たる沖繩疎外をまざまざと見せつけられたのであります。住民の意思を基盤とすべき民主主義政治の正義と良心は沖繩のために一体存在しないのか、こう問い詰めてきたとき、私は言いようのないいら立たしさとむなしさに襲われてなりません。そしてまた、ここに新たな軍事支配の足音をひしひしと感じ取ることができます。そこで、沖繩県民は、あらためて、日本にとって沖繩とは一体何なのかということを問わねばなりません。それに対する答えは、日米共同声明や、今回可決された返還協定、さらに自衛隊の大量配備を取りきめた久保・カーチス協定に照らしてあまりにも明白であります。一言で言うならば、米軍の強大な基地の島であり、日米アジア軍事戦略の上できわめて重要な価値ある島であるということであります。そこでは軍事が優先し、住民の反戦、平和の願いは常に退けられてきました。そのことの危険性は、これまでにも何回となく指摘し、批判してきたのであります。したがって、返還の中身をさして本土並みと言い、平和憲法のもとに帰るのだという論は、およそその実体においてもはや幻想であり、虚構であると言わなければなりません。もしこれを否定するならば、あの共同声明において日米が合意した重要な事項はすべて根本的に修正されなければならないと思いますが、いかがでございましょうか。
次に私は、沖繩にとって復帰とは何かということについていま一度考えてみたいと思います。沖繩の歩んできた過去、現実の歴史の中で、あまりにも長く、そしてあまりにもきびしく沖繩は疎外されてまいりました。そして、いままた主人公たる沖繩県民の意思を問うことなく返還が実施されようとしております。総理、将来もなお国益の名のもとに犠牲をしいられるということでありましょうか。沖繩の苦難の道、犠牲について、この悲運、この歴史の重みを心から理解するのでなければ、それは皮相的なものとなりましょう。いま、沖繩に求められているものは単なることばではなく、そのことばを裏づける内容であるということであります。残念ながら、沖繩の基本的な要求にこたえるものではないということを率直に指摘せざるを得ません。当然のことながら、沖繩県民はいささかも復帰そのものを拒むものではございません。沖繩県民が心から求めているものは、単なる施政権の返還ではなく、軍事的危険と重圧からも解放され、人権を回復し、自治を求めることであります。それはすなわち、日本国憲法に規定された反戦の論理を、沖繩が返るこの機会に国の進路として再点検するということであります。(拍手)そして、さらに憲法の規定を正しく踏まえ、国政の中に名実ともに自治の本旨に完全に沿った市民権を取り戻すことを要求するものであります。いわゆる、いかなることがあっても主権平等の立場を回復し、小の虫として数の恣意のもとに存在することを拒むものでありますが、この沖繩の心を総理はいかに受けとめておられるか、率直な御見解を承りたいのであります。
以上の証言に立って私は次の質問をいたします。
一つ、総理に、沖繩県民の求めている平和と人権と自治にかかわる沖繩協定の内容について、総理は、復帰までの過程において、また復帰後直ちに再交渉する、内容を前進させるための再交渉するという意思がおありでありましょうか、お伺いいたします。
二つ、外務大臣に、返還後沖繩は本土並みになると言いますが、実質的に密度の上で本土並みになる時期はいつか、その具体的計画を明示してもらいたい。
三つ、防衛庁長官に、核の撤去の時期とその確認方法を明示してもらいたい。
四つ、外務大臣に、沖繩における米国資産は当然沖繩に無償で譲渡すべきものであるにもかかわらず日本政府が買い取ることを約束した理由は一体何なのか示してもらいたい。
五つ、同じく外務大臣に、沖繩県民の請求権処理に関する特別法を制定すべきであると思うが、その意思がおありかどうかお伺いしたい。
六つ、総務長官に、基地はほとんど現状のまま残るのに、基地労働者が大量整理されつつあるが、その理由は一体那辺にあるのか。また、その軍離職者対策をどのように考えておられるかお聞きしたい。
七つ、防衛庁長官に、本土における米軍関係損害補償法令を復帰前の沖繩に遡及適用すべきであると思いますが、いかがでありましょうか。どうお考えでありましょうか、お伺いいたします。
八つ、外務大臣に、VOAは復帰後二年後に将来の運営について協議に入るというが、五年後に撤去させるという意味なのか、また、延期もあり得るという意味なのか、はっきりした御見解を承りたい。
九つ、防衛庁長官に、返還されるのはもろもろの島々、そして岩礁とその周辺三海里の水面領海であるといわれている。その他の部分の上空は公空であるが、現在米軍が設けている防空識別圏との関係はどうなるのであるか。すなわち、アメリカの立場をそのまま日本の自衛隊が引き継ぐという意味なのかどうか、御見解を承りたい。
十、事前協議制が歯どめとなり得るためには、個々の行動についてなすべきものではなく、可能性のあるものは置かないという機能面でチェックするのでなければ効果はあり得ない、こう思います。そのことについて外務大臣の御見解を承りたい。
十一、防衛庁長官に、自衛隊の沖繩配備について再検討の意思はないのか。また、六千八百名配備の基準は一体どこにあるのか、そのことを承りたい。
十二、尖閣列島につきましては、いまや国際問題化する懸念がありますが、日本政府としてどう対処されるのであるか、このことを外務大臣に承りたい。
以上、総理以下関係大臣の具体的な答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/35
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036・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。
前の質問にもお答えいたしましたとおり、衆議院における採決のあり方につきましては、私も反省をしております。今回のこの国会における審議は、喜屋武君にとっては最も関心の深い沖繩返還協定並びに関連諸法案がその中心課題であります。喜屋武君が身をもって体験してこられた沖繩県民の苦しみや悲しみを、われわれ本土の者は少しでも理解しようと努力する責任があると私は考えております。それは、何にも増して祖国復帰を一日も早く実現することであると思うのであります。私は、就任以来、一日として沖繩の人々の心を忘れたことはありません。沖繩の返還は、私に課せられた歴史的使命であるとも考えている次第であります。幸いにして、沖繩県民をはじめ国民各位の御努力によって復帰実現の見通しもつきつつあります。私もさらにいままでに倍する努力をする決意でありますが、国会におかれても、審議を尽くし、そうして、一日も早く沖繩の人々をあたたかく迎え入れたいと切望しております。何とぞよろしくお願い申し上げるものであります。
また、しばしば申し述べますとおり、今回の協定で県民の要望が十分に取り入れられていないものにつきましては、政府として今後改善に最大の努力をする方針であります。特に基地の問題は、その整理縮小をはかるべく、すでに現在の時点で米側と機会あるごとに話し合いを行なっております。屋良主席からも建議書が出されておりますが、これには、問題の性質上実施が困難と思われるものもございますが、その反面、政令の段階やあるいは運用の際に実施を予定しているものも含まれております。政府としては、この建議書も含め、できるだけ県民の要望に沿い得るよう、今後とも格段の努力をいたす考えであります。御鞭撻を賜わりたいと思います。
いろいろお尋ねがありましたが、具体的なお尋ねにつきましては、問題ごとに関係大臣からお答えをいたします。お聞き取りをいただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/36
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037・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 喜屋武議員にお答え申し上げます。
基地密度が非常に高い、このことは私も十分承知しております。また、それに伴うところの沖繩県民の感情、またこれが経済再建に及ぼす影響、そういうものにつきましても十分承知しております。そういう認識の上に立ちまして、アメリカとの間にいま基地の縮小整理に関する交渉をいたしておりますが、この交渉の成果は、これは国際情勢が将来どうだとか、アジア情勢のいかん、また、それに伴うところのアメリカの極東政策、さらにはアメリカの財政政策、こういうものも大きく響いてくると思います。そういうようなことで、ここでプログラムを示せというお話でございまするが、さようなことはできません。精一ぱい努力をいたすということをはっきり申し上げます。
それから次には、アメリカの資産につきまして、これを支払いをするのはどういうわけだ、こういうお話でございますが、私どもは買い取りとは言っておらないのです。資産を承継する、それに対して支払いを行なう、こういうふうに申し上げているわけでございます。私どもは買い取りの観念を持っておらないのであります。しかし、三公社の資産に見られるように、沖繩県民のずいぶん福祉に役立つところの資産があるわけであります。これはいろいろいきさつがあることは私も承知しております。それをアメリカ政府が沖繩に置いていくということに対して支払いを行なうということは、社会的に妥当な受け取り方がされるのではないか、さように考えております。
次に、VOAの問題でありまするが、先ほどもお答え申し上げましたが、この問題につきましては、復帰後二年後に将来の運営に対して協議をするということにいたしておりますが、このVOAの存続の期限は五年となっております。これを非常にまあ理屈ぜめで言いますれば、五年をこえることもありまするし、五年を引っ込むこともあるのでありまするが、私どもの今後のこの協議に臨む考え方といたしましては、なるべくこの基準である五年の期限を短縮をいたしたい、かように考えております。
次に、事前協議の問題でございますが、事前協議、これはまあ在留部隊の出撃、そういうような場合の事前協議のことかと思いまするが、喜屋武議員は、部隊の能力や機能、そういうものを基準として考えるべきではあるまいか、こういうような御意見を込めてのお話でございまするけれども、私はこれは非常にむずかしいと思います。私どもはどこまでも、能力、機能ではない、行動を基準といたしましてこの問題を考えていきたい、それが妥当な考え方である、さように考えております。
次に、解決漏れになる請求権の処理に対して特別立法をする考えはあるか、こういうお話でございまするが、解決漏れになりまするところの請求権、これはまあたくさんの種類のものがあります。これらを精査いたしまして、何らかの措置を要するというものにつきましては予算上の措置をとるものもあります。また、必要な場合におきましては立法上の措置をとることもあります。いずれにいたしましても、適正な処置をとるということをはっきり申し上げます。(拍手)
〔国務大臣西村直己君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/37
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038・西村直己
○国務大臣(西村直己君) 喜屋武議員から、ただいま、第一には、本土におきまする米軍関係損害補償法令を復帰前の沖繩にさかのぼって適用したらどうか、こういう点が一点ございます。で、今回の防衛庁関係法律の適用に関する特別措置法案によりまして処理しようとするいわゆる講和前人身損害補償漏れ、この事案につきましては、本土法令を適用いたしますよりは、布令六十号に準じて補償するほうが、請求する方にとり得策であると認められますので、この措置をとりつつあるのであります。
なおその他に、ただいまもお話が出ましたが、返還協定等によって米側が処理することになる以外の請求権ないし諸請求、これにつきましては実態をやはり明らかにしたい。その実情調査の上、適正に処理をするという考えは当然でありまして、その処理の方法にあたっては、それぞれの事案に応じて妥当と思われる方策を検討してまいりたい、こう思います。
それから第二点は、防空識別圏のお話が出ております。で、防空識別圏につきましては、現在はアメリカの施政権下でありますから、米軍の防空識別圏を持っております。元来この防空識別圏は、直接の領土とは関係ございませんが、国土を防衛する場合に各国でやっておりますが、自他の航空機を一応レーダーその他で識別をする一つのラインであります。で、われわれの国といたしましても、沖繩が復帰いたしますれば、いずれは航空自衛隊が沖繩の復帰後におきましては対領空侵犯措置をとることになる日が来るのでありますが、その場合には、われわれの自衛に必要な防空識別圏というのを検討をする、米軍のをそのまま引き継ぐという考えではありません。具体的にはレーダー・サイトの能力とか航空機の能力とか、こういうような諸事情を勘案していきたい。目下検討中でございます。
それから、最後の第三点であります自衛隊の配備であります。これは一応、まだ最終決定ではございませんが、当初三千名余、やがてだんだんに六千八百名、これ以上は、ふえるつもりはありません。ただ、これが多いじゃないかと、よく言われる方があります。ただ密度の関係からまいりますというと、北海道はこれは密度がかなり高い。これはもう御存じのとおりです。それから九州全体よりはむしろ沖繩のほうがまだ低いのであります。それで、——密度であります。いわゆる人口割りの密度であります。人数の問題ではありません。人口割りの密度としてなぜそういう形がとられるかというと、一つは、遠隔地でありますから、そういう意味が一つ。それから、部隊をかりに配置いたします以上は、ただ少数であればいいというものではない。一応の作業なり機能なりが動けるような一つの基幹部隊、それからあるいは支援部隊、たとえば沖繩には御存じのとおり施設部隊も参ります。これはむしろいろいろ工事とかあるいは災害復旧、あるいはその他救援、これらもやはりある程度の組織がないとそういう作業はできない。こういうふうに御理解をいただきたい。もちろん、具体的配置につきましては沖繩の土地の方々の十分なる御理解を私どもは得るようには努力しますが、いずれにしましても、こういう形で配置してまいりたい、こういう考えであります。(拍手)
〔国務大臣山中貞則君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/38
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039・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 基地がほとんどそのままあるのに解雇がどんどん発生することは一体どういうことなのかということに関連しての御質問であります。
米側のこれに対する意見としては、予算が縮小、経費が削減されてきたとか、あるいは米軍部隊の整理縮小によるものだというような意見を言っておりますが、この経費の削減等によって、たとえばクラブ等——将校クラブ等のいろいろな従業員を解雇するとか、あるいは間接雇用に契約をしていくとかということも、うなずけない点もなくはありませんが、米軍部隊の整理縮小に伴うものであるという理由等については、それならば、整理縮小されたと同時にその基地がやはり整理縮小されなければならないはずでございますから、そこらのところがやはり問題の存するところであろうと思います。したがって、総理、外務大臣からもたびたび答弁がありますように、復帰を待つまでもなく、今日以後の時点も含めて、この基地のさらに合理的な整理縮小の方向に、日本政府側としても琉球政府と連絡をとりながら努力をしていくということにおいてこれはカバーしていかなければならぬと考えます。そこで、不幸にして、結局は、いかなる理由であっても解雇されてしまったという人たちに対しては、これはもう御存じのように、今日まで琉球政府の軍関係離職者等臨時措置法に基づく各種手当の支給、その他本土政府のほうで本土の全駐労、駐留軍労務者並みの諸手当、あるいはまた就職施設等についてめんどうを一応見ているわけでありますけれども、しかしながら、復帰後については、単にそれだけの失職をした事態をとらまえるだけではなくして、やはり、先ほどもお答えの中に申し上げましたように、産業の振興その他による雇用需要の振興、あるいはまた万博等大型プロジェクトの遂行に伴うところの公共投資あるいはそれらが永続して残るための建設に関する現地における雇用に対する貢献、こういうもの等をいろいろと含めながら、今後さらに沖繩の現地における雇用需要の振興につとめ、そして、相なるべくんば、本土との間にかきねがなくなっても、沖繩から貴重な働き手の流出することのない島にしたいと考えますし、また、今回提案いたしておりまする沖繩振興開発特別措置法案の中で、今日まで何の手だてもできませんでした三種、四種の軍関係の雇用者の方々についても、復帰後は、訓練手当その他について同じような配慮ができるように処理いたしているところでございます。(拍手、「答弁漏れ」と呼ぶ者あり)
〔喜屋武眞榮君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/39
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040・河野謙三
○議長(河野謙三君) どうぞ御登壇の上——答弁漏れですか。答弁漏れ、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/40
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041・喜屋武眞榮
○喜屋武眞榮君 尖閣列島についてはまだ答弁がありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/41
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042・河野謙三
○議長(河野謙三君) じゃ、その席から。外務大臣ですか。外務大臣わかっていますか。外務大臣。
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/42
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043・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 尖閣列島のことにつきまして落としましたようです。
尖閣列島は、日清戦争ですね、あのときの講和条約におきましても、わが国が割譲を受けました台湾、澎湖島には入っておらない。また、先ほども申し上げましたが、平和条約第三条、これによりましてアメリカが施政権を行使することになった、それから台湾並びに澎湖島は日本が放棄した、こういうことになりましたが、そこで画然と区別はついております。そういうようなことで、歴史的に見ましても、尖閣列島がわが国の領土であるということは一点の疑いもないんです。ですから、まあこの問題はもうこれ以上お聞きにならぬでくださいと私お願いしたいくらいの気持ちでございます。もう、一点の疑いもありませんから、自信を持って尖閣列島はわが国の領土である、こう御主張願いたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/43
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044・河野謙三
○議長(河野謙三君) これにて琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑は終了いたしました。
沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案外六件の趣旨説明に対する質疑は次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/44
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045・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/45
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046・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第二 昭和四十六年度分の地方交付税の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長玉置猛夫君。
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〔玉置猛夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/46
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047・玉置猛夫
○玉置猛夫君 ただいま議題となりました昭和四十六年度分の地方交付税の特例等に関する法律案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
本法律案は、地方財政の状況にかんがみ、所得税の減税に伴う地方交付税の減収を補てんするため、臨時地方特例交付金五百二十八億円を一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れ、地方交付税の減収分及び地方公務員の給与改定に要する経費千二百九十六億円を同特別会計において借り入れることとするほか、給与改定に伴う単位費用の特例、借り入れ金の償還に伴う昭和四十七年度から昭和五十四年度までの各年度の地方交付税の総額の特例等について所要の措置を講じようとするものであります。
委員会における質疑の詳細は、会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して神沢委員より反対、自由民主党を代表して増田委員より賛成、公明党を代表して藤原委員より反対、民社党を代表して中沢委員より反対、日本共産党を代表して河田委員より反対の意見がそれぞれ述べられ、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本案に対しましては、各派共同の提案にかかる附帯決議を付することに決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/47
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048・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/48
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049・河野謙三
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106715254X01119711201/49
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