1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年二月十五日(金曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君
理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 文生君
理事 佐藤 守良君 理事 兒玉 末男君
理事 三浦 久君
阿部 喜元君 唐沢俊二郎君
國場 幸昌君 宮崎 茂一君
山村新治郎君 綿貫 民輔君
金瀬 俊雄君 久保 三郎君
神門至馬夫君 梅田 勝君
石田幸四郎君 松本 忠助君
河村 勝君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 徳永 正利君
出席政府委員
運輸省航空局長 寺井 久美君
委員外の出席者
環境庁大気保全
局特殊公害課長 鈴木 善晴君
大蔵省銀行局特
別金融課長 山田 幹人君
運輸省航空局飛
行場部長 隅 健三君
運輸省航空局飛
行場部騒音対策
課長 棚橋 泰君
運輸委員会調査
室長 鎌瀬 正己君
―――――――――――――
委員の異動
二月十五日
辞任 補欠選任
石田幸四郎君 矢野 絢也君
同日
辞任 補欠選任
矢野 絢也君 石田幸四次郎君
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二月十三日
国鉄輸送の正常化確保に関する陳情書
(第一八五号)
紀勢新幹線鉄道建設に関する陳情書
(第一八六号)
地下鉄建設費国庫補助率引上げに関する陳情書
(第一八七号)
北陸鉄道株式会社のバス運賃値上げ申請に関す
る陳情書(第一八
八号)
国鉄奈良線複線電化促進に関する陳情書
(第一八九号)
北陸本線犀川、浅野川間の連続立体化促進に関
する陳情書(第一
九〇号)
栗原電鉄線存続に関する陳情書
(第一九一号)
大型タンカー等の瀬戸内海乗入れ規制に関する
陳情書(第一九二
号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
委員派遣承認申請に関する件
参考人出頭要求に関する件
公共用飛行場周辺における航空機騒音による障
害の防止等に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出、第七十一回国会閣法第七一号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/0
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001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
第七十一回国会から継続審査となっております公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/1
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002・三池信
○三池委員長 本案につきましては、第七十一回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/2
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003・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/3
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004・三池信
○三池委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
ただいま本委員会において審査中の本案について、参考人の出席を求め意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/4
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005・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、参考人の出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/5
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006・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/6
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007・三池信
○三池委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。
ただいま本委員会において審査中の本案について、審査の参考に資するため委員を派遣いたしたいと存じます。つきましては、議長に対し委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/7
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008・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、派遣地、派遣の日時、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/8
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009・三池信
○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/9
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010・三池信
○三池委員長 これより本案について質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。金瀬俊雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/10
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011・金瀬俊雄
○金瀬委員 航空機騒音防止法の一部を改正する法律案について、大臣及び関係政府委員に質問いたします。
第一点は、この法改正案の提案理由を見ますと、航空機騒音による障害の実態にかんがみ、周辺住民に対し新しい方式の騒音対策を講ずる必要があると述べている。したがって、この法案の審議にあたっては、第一に障害の実態を明らかにすること、第二点はその原因を追及すること、第三点は現行法の不備のの解明をすること。第四点は、今回の改正案による新しい方式の騒音対策が有効であり、正しいものであるかということ。第五点は国の政治上の責任が誠実に履行されているかどうか。この五つの点について十分明らかにされなければならない、さように考えておりますが、大臣の所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/11
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012・徳永正利
○徳永国務大臣 提案の理由の説明の時点においても申し上げておりますように、この航空機の騒音というのは、いま御指摘のございましたように、いろいろな面からこれを規制してまいらなければなりませんが、ただいま御指摘のございましたようないわゆる騒音の防止は、音源の対策と周辺の対策、これは中央公害対策審議会においてもそういうような御答申が出ているわけでございますが、そういう面について今日まで鋭意、発着の時間とか、あるいは回数とか、あるいは飛行方法の規制とか、低音の飛行機の導入とか、いろいろな面において努力をしてまいったわけでございますけれども、さらにこの法律案によりまして、御指摘のような地方公共団体等にもよく御協力を得まして、さらに徹底した騒音対策を進めてまいるということでございまして、御指摘の点につきましては、私どももそういう姿勢で今後進めてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/12
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013・金瀬俊雄
○金瀬委員 いま私が申し上げました五点について大臣は認めたということでございますので、次の質問を申し上げます。
それは、航空機による障害の実態ということがここに出されておりますが、その実態というのはどんなことであるか、それをはっきり個条をあげて御説明願いたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/13
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014・寺井久美
○寺井政府委員 航空機騒音の障害と申します点につきまして、私どもは、まず音そのものがある特定の地域についてはかなり激しい、したがいましてこれがこの地域に居住されておられる方々にとってはかなり迷惑な状態になっておる、こういう音の量というものを軽減していかなければならないであろう。これが通常の生活上障害を起こすというようなことではやはり迷惑をかけるということになっておりますので、こうした御迷惑をかけないようにあらゆる手段を講じていきたいということが、音の障害ということでございます。
もう一つ例示を申し上げますと、たとえばテレビなどを見ます場合、画面のゆれというものと音によって難聴を起こすというような点がございます。あるいは電話等につきましても、やはり聞き取りにくいというようなことが音による障害というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/14
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015・金瀬俊雄
○金瀬委員 航空機の騒音障害、その実態ということでいまあなたは、音が激しいので居住している人がたいへん迷惑しておるということが第一点、第二点はテレビが見えないということ、二つをあげたわけですね。その中で、第一点の居住についてたいへん住民に迷惑をかけているということは、どういうこととどういうことと、どういうことか、個条書きにちょっとあげてみてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/15
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016・寺井久美
○寺井政府委員 具体的に例を申し上げますと、たとえば夜間、音のために安眠ができない。あるいは病気で伏せっておる方々が十分安静に療養できないというようなこともございましょうし、あるいは夕刻家庭団らんの時期に、音のために会話が十分できないというようなこともあろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/16
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017・金瀬俊雄
○金瀬委員 そうすると、いま局長が幾つかあげたわけですが、この問題についてはもっとたくさんあると思いますが、その点はあとでまた追及することにしまして、いま説明のあった障害の実態というのは、航空機騒音の防止法の目的にある「関係住民の生活の安定及び福祉」に重大な悪影響があると考えてもいいかという問題です。そう考えてもよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/17
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018・寺井久美
○寺井政府委員 私どもは、ただいま先生のおっしゃいましたように、重大な悪影響があるというふうには必ずしも考えておりませんけれども、相当の御迷惑をかけておるということは事実であろうかと存じます。これもその場所等によりましてかなりの差がございますので、一般論として重大な障害があるというふうには必ずしも考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/18
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019・金瀬俊雄
○金瀬委員 局長、あとでこれは出てくるけれども、重大な障害がないとすれば、それでは、そこに住んでいる人を片づけるということが出てくるのですが、片づける必要がないということになりますよ。重大な障害がないというふうに考えていれば、この法案をつくったことがおかしくなる、障害も何もないということであれば。そうでしょう。障害がないのに何で騒音の下にいる人を片づけなければいけないか。おかしいじゃないの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/19
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020・寺井久美
○寺井政府委員 その重大ということでございまして、私どもがただいま申し上げましたのは、必ずしも一般論として重大な被害があるというふうには考えておりませんし、ただいま御指摘のありましたように、その音の非常に激しい地域、これは確かに空港の近接部分にございますし、そういう地域につきましては、やはり居住には不適当であろうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/20
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021・金瀬俊雄
○金瀬委員 居住に不適当であるというのは、そこに人間が住めないということなんですよね。住めないということは重大な影響ではないですか。きわめて簡単な影響なんですか。人間が住めないということは私どもは重大な影響であると考えるけれども、あなたは人間が住めないということは重大な影響でないというふうに判断するなら、重大な影響でないと言ってください、いいから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/21
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022・徳永正利
○徳永国務大臣 いま何か局長は一般論をいろいろやったようでございますけれども、先生御指摘のように、確かに重大な影響を及ぼすものもございます。また地域によってはそうでなくて、必ずしも重大といわれない影響を及ぼすところもございます。そういうふうに一がいに全部がどうこうということでなくて、確かに御指摘の点はあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/22
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023・金瀬俊雄
○金瀬委員 大臣の答弁でその点は了解いたしました。
それから、こういうふうな障害の実態というのは、いまの航空機騒音防止法の制定時、昭和四十二年の二月、それ以前にこういうことがあったかどうかということについて、局長の答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/23
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024・寺井久美
○寺井政府委員 このいわゆる騒音防止法が四十二年にできました理由でございますが、やはりそれ以前から、そういう問題、障害といいますかがございました結果、こういう対策を講じる必要があるということでこのいわゆる騒音防止法が制定されたわけでございまして、それ以前からやはり音の被害というものが存在しておったと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/24
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025・金瀬俊雄
○金瀬委員 そうすると、その当時でも騒音防止をすべきであったと考えられるのにかかわらず、今回このために改正しなければならないということになったとすれば、この前の法律が不備であったということは考えられるわけですね。そうでしょう。不備な法律をつくった、だから間違っておったから今度は直すのだ、こういうことでしょう。そう考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/25
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026・寺井久美
○寺井政府委員 この法律が制定されました当時といたしましては、この程度の対策で一応対策が講じられるというふうに考えられておりました。ところがその後いろいろ情勢も変わってまいりましたし、対策の方法等も新たに考える必要が出てきたということでございまして、やはりいままでやっておった現行法で実施いたしております対策では不十分であるというふうに考えられる状態になったので、いま改正をお願いしておるという次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/26
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027・金瀬俊雄
○金瀬委員 そうすると、前の法律では不十分であるし不備であったから新しく改正しなければならなくなった、そう理解しまして、これから先の質問を申し上げます。
そうしますと、いま局長の答弁では、その後に情勢の変化があったのでこの法律を改正すると言っている。情勢の変化というのはどういうことなのか、具体的に説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/27
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028・寺井久美
○寺井政府委員 その後、航空機の運航、つまり輸送需要もふえましてジェット機の運航の数もふえてまいりました。また、まわりの人口も増加してきております。同時に、環境庁を中心といたしますいわゆる環境基準というようなものの考え方も出てまいりました。こうした環境整備の観点からも、やはり現行の法律では不十分であるというふうに判断せざるを得なくなった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/28
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029・金瀬俊雄
○金瀬委員 これはあなたの話によると、都市へ人口が集中し過ぎた、簡単に言えば空港周辺へも人口が集中し過ぎた。それからもう一つは、いまあなたの話で言うと、運航が多くなった、この二つが原因だ、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/29
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030・寺井久美
○寺井政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、つまり運航が多くなったために騒音量がふえましたというのが一つ。それからそのためにもちろんその被害が及ぶ範囲も広がったわけでございますが、空港周辺に居住する方々も、その制定当時に比べますと増加してきておる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/30
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031・金瀬俊雄
○金瀬委員 まああなたの説明ではきわめて不十分ですが、結局考え方というのは、私どもの考えでは飛行機が非常に発達をしたということも原因の一つだと思います。それからもう一つは、政府が航空業界に対する過保護の政策をとり過ぎているということがまず第一考えられることだと思います。その結果としてジェット機が多くなった。ジェット機が多くなったということは、高速化してきた、もう一つは飛行機が大型になったということが言えますね。非常に大型になってきた。それから便数が非常にふえてきたということは、これは障害を起こす最大の原因になっているわけですね。結局、そういうことを中心にして航空機による輸送が非常にふえてきたということが最大の原因であると、私どもはそう考えていますが、局長の考えはその点にについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/31
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032・寺井久美
○寺井政府委員 航空機がジェット化いたしまして、またジェット化の過程において大型化いたしました。そういうことによりまして、交通の利便というものが増加され、かつ輸送量もふえてまいる。その結果、音の量というものがふえたという点の御指摘につきましては、全く先生の御指摘のとおりと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/32
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033・金瀬俊雄
○金瀬委員 もしそういう私のいま言ったことを認めるとすれば、政府の航空行政の、はっきり言えば不足というか、不十分であったためにこういうことが起きてきたと考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/33
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034・寺井久美
○寺井政府委員 先生御指摘の前段の点でございますが、政府の航空政策が不備であったためにこういうふうになったというふうには、必ずしも考えておりません。やはりこういう輸送手段の合理化、あるいは能率化という一つの趨勢の中で、速く快適に旅ができるということになりました結果、やはり飛行機で旅をしたいという方々がふえておりまして、それらが両々相まちまして輸送量の増という結果になっておるというふうに考えておりまして、必ずしも航空政策が間違っておったからこうなったのだというふうには了解いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/34
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035・金瀬俊雄
○金瀬委員 この問題については、国鉄とか、私鉄とか、あるいは海運とか、そうした他の運輸省の所管になっておる交通機関に対する政府のいろいろな対策、そういうものと比べてみると、航空業界に対する対策というのは非常に政府の過保護であるということを私どもは考えていますが、それはあらためてまた航空法の審議のときに御質問したいと思いますので、この際その点については保留しておきますが、この障害の実態というのは、いまの法律あるいはその他公害対策基本法、そうしたものの運用で防止できないかどうか。改正しなくても防止できるのじゃないかということが考えられます。その第一点は、飛行場の運用時間、それから飛行経路の問題、あるいは便数の制限、そうしたのはいまの二つの法律で防止できると思いますが、それはどうですか。その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/35
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036・寺井久美
○寺井政府委員 ただいま先生の御指摘になられました飛行場の運用時間の制限、あるいは飛行経路の指定、便数の制限等、もちろんこれはわれわれも現在できる限りの範囲内で実行いたしております騒音対策の一つの方法でございます。これらはどちらかといいますと、先ほど大臣が申し述べました音源対策の一環でございます。もちろんこれも重要な対策でございますが、同時に、やはり周辺の対策というものも並行して行なわなければ、全体としての騒音対策の効果は必ずしも十分にあがらないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/36
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037・金瀬俊雄
○金瀬委員 あなたの考えはちょっとおかしいと思うのですけれども、第一点の飛行場の運用時間、これを非常に極端に短くし、飛行経路を直して便数の制限をすれば、騒音公害というのはなくなるのですよ。そうでしょう。こういうことをやりたくないから、この法律を出して住民を飛行場の付近から退去させるというのがこの法律の目的なんでしょう。ですから、あなたの考え方は違う。周辺の者に対する待遇じゃなくて、そういう人たちを追放するというのがこの法律のもとになっているのですよ。飛行場周辺に住んでいる人たちを追い出すというのがこの法律の基本になっている。そういうことをやる前に、飛行場の運用時間を短くしたり、飛行経路を直したり便数を制限すれば、騒音防止というのはできるはずですよ。騒音防止ができないから新しい法律をつくって、逆に今度はまわりにいる人を追い出すことにしたのでしょう。そうじゃないですか。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/37
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038・寺井久美
○寺井政府委員 まず航空輸送というものが戦後非常に発達いたしまして、これが社会生活の中で非常に有効な手段としての地位を占めておる。現在置かれております航空輸送の状態から考えますと、相当程度に公共性の高いものであるというふうに考えますと、やはり航空輸送としての手段がかなり有効に維持される必要が背景としてはあるかと存じます。確かに先生御指摘のように、音源面の対策というものも重要でございます。これを極論いたしますと、飛行場がなければいいというふうにつながってまいりますが、それではやはり輸送の任務が果たせないということに相なります。中公審あるいは国際民間航空機関でございますICAOにおきましても、騒音対策というものは、音源対策と周辺の土地利用対策、この二つから行なうべきであるというふうな考え方でいろいろの意見が述べられておりまして、この二番目の土地利用対策を行なうためには、やはり今回お願いいたしておりますような法改正が必要であろうか。これで必ずしも十分ではないかもしれませんが、こういうことを行なわざるを得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/38
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039・金瀬俊雄
○金瀬委員 局長の飛行場がなければいいというのは、どういうことなの。いまの発言の中で私が三つのことについて、現行の法律でも、公害基本法でも運用でできるのじゃないかということを言った。これは国の法律でいまあることですよ。それを飛行場がなければ一番いいということはどういうことなの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/39
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040・寺井久美
○寺井政府委員 飛行場がなければと申しましたのは、一つの極端な例として申し上げましたので、必ずしも適当ではないかと思いますが、要するに音をなくすという音源対策の観点から見ますと、一つの極限がそういう状態であろうかということでございまして、飛行場の機能を維持しつつ騒音対策をするというのがわれわれの立場でございます。したがいまして、音源対策の面でとれる手段、静かなエンジンを使った飛行機を飛ばす、あるいは飛行経路を考えまして騒音の及ぶ範囲をできるだけ住宅地から離すというようなこと、運用時間も夜間は制限する、もちろんこういうことを行なわなければなりませんし、また現にわれわれは行なってきておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/40
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041・金瀬俊雄
○金瀬委員 この問題についてはあとでまた質問申し上げることにしますが、いま局長の答弁の中にあった音を低くするための政策で、航空会社のジェットエンジンの低騒音化改修に対して長期、低利の日本輸出入銀行の融資を確保するということがここへ書かれていますが、これはどんな方法で確保し、どの法律の適用によってこういうことができるのかどうか。そのことについて御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/41
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042・寺井久美
○寺井政府委員 この融資につきましては、法律に基づくというよりも、むしろ予算措置の一環といたしまして財政当局にお願いをし、そういう融資が可能になっておるわけであります。エンジン改修のための融資、これはすでにそういう手配を済ましております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/42
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043・金瀬俊雄
○金瀬委員 大蔵省の人は来ていますか。いま局長の言ったように、そういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/43
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044・山田幹人
○山田説明員 お答えいたします。
ただいま御答弁ございましたように、私どものほうで持っております日本輸出入銀行の輸入金融という制度がございまして、その中に航空機輸入を含めて運用しております。その一環といたしまして、ただいま問題になっております公害防止関連器材も融資可能でございますので、今後具体的な案件が出てまいり次第、これにつきまして前向きに融資の方向で対処するつもりにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/44
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045・金瀬俊雄
○金瀬委員 この法律が通過してからやるという意味ですか。それとも、輸出入銀行にそういうワクがあるので、いつでも貸せる体制にある、こういう意味ですか。どういうことなの。申し込みがあれば考えるということですか。どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/45
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046・山田幹人
○山田説明員 ただいま御審議いただいておる法律とは関係ございませんで、日本輸出入銀行の制度として融資可能である、こう申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/46
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047・金瀬俊雄
○金瀬委員 これに書いてある、そういう政策をとるということと関係ないというのですね、局長さん。いままでもそういうことができたということ、輸出入銀行がいままでもできたという意味だ、それは。いままで、ずっとやることができた。じゃ、やらなかったということだよ。やらなかったのを今度やるように法律に書いたということだよ。そういうことに解釈していいの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/47
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048・寺井久美
○寺井政府委員 お答えいたします。
まず、ただいま御審議願っております法律の改正とは、本件は関係ございません。それから、いままでもちろんやれたわけでございますが、ただ残念なことにはエンジンを改修するキットがまだできていなかった。これが開発されましてようやく実用化される。したがいまして来年度から実用できるということで、来年度の輸出入銀行の融資をお願いをしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/48
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049・金瀬俊雄
○金瀬委員 そういう制度があったけれどもいままでやらなかった、来年からはエンジンの改修のめどがついたからやるということでしょう。エンジンの改修なんというのはいままでもできたはずだよ、幾らでも。そんなばかなことはないですよ。エンジンの改修がいままでできなかったということはないですよ。航空局長、そんなことがわからないではおかしいじゃないか。エンジンの改修というのはできないということはないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/49
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050・寺井久美
○寺井政府委員 先生のあれがよく私、理解できませんけれども、ボーイング727と737のエンジンの低騒音用のキットというものは、ようやくそういうものができて実用化する段階に入ったというふうにわれわれは了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/50
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051・金瀬俊雄
○金瀬委員 そういうことは関係なくて、たとえば飛行機の騒音を防止するためには、吸音装置をつけるとかエンジンを騒音の少ない新しいものに交代する。エンジンというのは年じゅう同じものを使うんじゃなくて交換するんでしょう。そのとき新しいもの、いいものをつけるとか、いろいろあるはずだよ。特に公害対策基本法の中にこういうことが書いてある。「国又は地方公共団体は、事業者が行なう公害の防止のための施設の整備について、必要な金融上及び税制上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない。」とちゃんと法律に載っているよ。そういう法律をあなたは知らないと言うんだ。そういう法律も何もないということだよ。航空局長、こういう法律を読まないし知らないということ自体がおかしい。それから大蔵省の人も、この法律に基づいて融資できるとちゃんと書いてあるのに、そういうことでなくてできるとあなたは言っているんだな。やらなければならないと法律に書いてある。そういうことは研究してなかったら、してないと言ってみてください。知ってるかい、この法律を。局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/51
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052・寺井久美
○寺井政府委員 その法律は存じ上げておりましたが、その法律に基づかないでわれわれは実は融資の方法を考えておった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/52
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053・金瀬俊雄
○金瀬委員 法律に基づかなくて輸出入銀行の金が貸せるということなんだ、あなたは。そうすると、いままでも貸せたわけなんだよ。いままでも出すことができたわけだ、騒音防止のために、音を小さくするエンジンを据えつけるために。そういうことを怠っていたということになるわけだが、そう考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/53
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054・寺井久美
○寺井政府委員 ただいまわれわれが計画いたしております改修エンジンにつきまして、やや私の説明が不足のようでございますので、担当の者から説明させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/54
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055・棚橋泰
○棚橋説明員 お答えいたします。
ただいま私どもの国内にございます利用しております航空機は、御承知のように全部アメリカ製でございまして、ダグラスとボーイングという会社が主力になっております。これらの会社の航空機のうち、従来から使われておりますダグラスのDC8、それからボーイングの727、737、これらの航空機のエンジンの改修につきましては、生産国でございますアメリカにおきまして、アメリカの航空局が委託費を出しまして長年かかって研究をいたしておりまして、その結果、この実用化のめどがつい昨年あたりから具体化をいたしまして、現在使っております航空機のうちの727と737のエンジンについて、先ほど先生の御指摘のございました、実際に吸音板を張りつけて、そしてその外側にナセルをかぶせるという改修が実用化したわけでございまして、それを受けまして、来年度から関係航空会社にこの改修をやるようにということにいたしまして、それに対し、先ほど局長が御答弁申し上げましたような財政融資を財政当局にお願いをして措置することとした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/55
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056・金瀬俊雄
○金瀬委員 日本航空も全日空もたいへんもうかって困るということが新聞に出ている。あとでこの問題については質問しますが、そういうところに対してエンジンの改修に融資するということであるから、それは騒音対策の一環としてあなた方がやるとすれば、それはたいへんいいことだから、悪いとは思ってませんが、いままでできることをなぜやらなかったかということなんですよ。それをあなたが、いままでエンジンの開発ができなかったと言っていますが、新しいエンジンの開発ができる前に、開発された新しいエンジンでなくても、新品をつけることによって飛行機の音は少くなるんですよ。いつまで同じものを使っていれば音が激しいんですよ。そういう方法ででも交換するということも必要なことなんですよ。そういうことをあなた方は怠っておった。怠っておったということは、要するに航空会社のもうけには協力するけれども、航空会社が騒音に対して十分な対策を立てるということについて、いままであなた方は怠っておったということの一つの証明にすぎない、そういうふうに私は考えるわけです。だから、そういう観点に立って聞きますと、環境庁からの航空機騒音に対する一連の法的な措置、及びこれに対する運輸省のあなた方が考えてきた反応を見ますと、運輸省は航空機騒音に対する公害対策基本法の適用の必要を認めていると考えていいかどうか。運輸省は公害対策基本法の適用を航空機騒音に対しても適用することを考えているかどうか、そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/56
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057・寺井久美
○寺井政府委員 それは当然航空機騒音にも適用になるというふうにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/57
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058・金瀬俊雄
○金瀬委員 そうすると、あなた方が大阪国際空港あるいは東京国際空港の発着時間の制限を政策の一つとしていまやっていますね。ある程度制限をやっていますね。そういう行政措置の法的根拠というのは、いま私が言った公害対策基本法に基ついてそうやっておると考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/58
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059・寺井久美
○寺井政府委員 公害対策基本法そのものはやはり基本的なものでございまして、個々の対策そのものは個々の法律に施行をゆだねられる面が多いかと思います。ただ、その精神というものはあくまで受け継いでおりまして、その精神に基づいてわれわれはやはりいろいろな手段をとっておるというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/59
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060・金瀬俊雄
○金瀬委員 あなたの言う個々の法律というのは何か。飛行機の制限をしたりコースを変えたりする個々の措置はどの法律でやっているの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/60
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061・寺井久美
○寺井政府委員 現在行なっております時間制限あるいは飛行コースの指定、これは法律ではなく行政手段としてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/61
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062・金瀬俊雄
○金瀬委員 これは行政手段でやっておるんですか。法律でやらなくて行政手段でやっている、そうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/62
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063・寺井久美
○寺井政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/63
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064・金瀬俊雄
○金瀬委員 そうじゃなくて、あなたのほうで、いま航空機騒音防止法の中にあるのだから、その法律に基づいてやっていますといえば普通の考え方だ。行政措置でやるというのはおかしいじゃないか。法律にちゃんとある、そういうことをやれということが。だからあなたの答えというのは、ちょっと法律をどういうふうに考えているかわからないけれども、この法律の中にあるのだ。いまのコースのこととか発着時間の制限というのは法律にある。だけれども、あなたは行政措置でやっているということですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/64
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065・寺井久美
○寺井政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/65
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066・金瀬俊雄
○金瀬委員 それではその問題については、あとでひとつあなたのほうの見解を聞かしてください。時間がありませんから先へ進みます。
その次は、公害対策基本法は環境基準が達成されるよう総合的かつ有効適切な施策を講ずることを国に義務づけている。これは基本法にあるわけです。それから、環境庁からいろいろな航空関係の環境基準というのが告示されて、そしてあなた方に対して義務づけてきている。そうすると、この法律を改正するということは、いわばいま環境庁から出してきている一連の法律に対してあなた方が対応策として出したもの、そういうふうに理解してよろしいかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/66
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067・寺井久美
○寺井政府委員 それはそのように御理解いただいてけっこうでございます。そういうことで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/67
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068・金瀬俊雄
○金瀬委員 それではそのことについて御質問申し上げます。
いま航空機の騒音による公害というのは、航空会社が空港を使って事業活動をやっておるために発生するものであると考えるのか、それからもう一つは、空港の設置管理者がみずからの事業活動に伴って発生するというふうに考えるのか、どちらかですよね。これはどちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/68
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069・寺井久美
○寺井政府委員 私どもは、これはどちらか一方ということではなく、双方に原因があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/69
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070・金瀬俊雄
○金瀬委員 環境庁の人は来ていますね。これはどちらですか。飛行機が大きな音をたてて公害を出しておる、それは航空会社に原因があるのか、設置者である国に原因があるのか、どっちが原因者か、これははっきりさせてください、環境庁の考え方を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/70
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071・鈴木善晴
○鈴木説明員 飛行機の発着に伴う騒音というのは、飛行機を飛ばしている航空会社にももちろん原因がありますけれども、そのひどい音を出す飛行機を発着させている空港の管理者のほうにももちろん責任があるということで、環境庁としましても、騒音公害の原因者は設置者と同時に航空会社の両方であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/71
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072・金瀬俊雄
○金瀬委員 そうすると、運輸省も環境庁も、飛行場で大きな音がして騒音公害を起こすということについては、責任は航空会社と国と両方が持つべきものである、そういうふうに統一見解を持っておると思って差しつかえございませんか。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/72
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073・徳永正利
○徳永国務大臣 いろいろむずかしい問題もあろうと思いますけれども、常識的にはいま御指摘のように双方に責任があろうと思いますが、その軽重はおのずからまた議論のあるところだと思いますけれども、そういうふうに私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/73
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074・金瀬俊雄
○金瀬委員 そうすると、公害対策基本法の第二条ですが、航空機の騒音公害とは、航空機騒音によって「人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。」ということになっているが、このことについては運輸省は認めますか。航空機の騒音によって人の健康または生活環境に被害が生ずることを公害というと書いてあるのですよ。運輸省は認めますか、その環境庁が出している公害対策基本法については。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/74
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075・寺井久美
○寺井政府委員 私どもの考え方といたしましては、生活環境には被害が確かにございますと考えておりますが、身体について被害があるかどうかについては、必ずしもさようには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/75
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076・金瀬俊雄
○金瀬委員 おかしいよ。公害対策基本法の航空機騒音公害とは、航空機騒音によって「人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。」と書いてある。そうしてあなたのほうはこの公害対策基本法は認めないということだ。その中の生活環境には被害があるけれども健康には被害がないと認めている、こういうことだね。健康に被害はないと考えている。どうなのか、それをはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/76
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077・寺井久美
○寺井政府委員 健康に被害があるかどうかについては明らかでないというふうに考えておりますが、生活環境には被害がある。したがいまして、基本法の「又は」のあとの生活環境に被害があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/77
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078・金瀬俊雄
○金瀬委員 これは重大なことだよ。法律をあなたは無視することだよ。航空機騒音によって、健康と生活環境に被害があると書いてあるのだよ。これを航空機騒音と言わないで何を言うの。健康に被害がない、おかしいじゃないか、局長がそう言うことは。大臣、これはどう思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/78
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079・徳永正利
○徳永国務大臣 書いてあるないにかかわらず、私は健康にも被害のあることもあると思います。これはいろいろ人の差もありましょうけれども、やはり人の健康に被害も出てくる、こういうふうに考えるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/79
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080・金瀬俊雄
○金瀬委員 いま大臣から健康にも被害があるということをはっきり答弁されましたので、局長の答弁は大臣によって否定された、さように考えますので、次の質問をさせていただきます。
そうしますと、この改正案の底に流れるものについて御質問いたしますが、この改正案は「航空機騒音による障害」と書いてあるんですよ。そうしますと、いま大臣の答弁によれば、航空機騒音による被害ということに直さなければならないことになるわけです。被害と障害ということの関係ですが、私はこれは被害だというふうに思いますが、国の考えはどうですか。これは被害なのか障害なのか。障害が出ても被害が出ないことがある。だから、被害か障害か、はっきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/80
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081・徳永正利
○徳永国務大臣 まあ私は法律的な用語はよくわかりませんけれども、障害というのも、大体同じような読み方、ものの考え方じゃないかというふうに考えるわけでございますが、これは厳密な法律用語となりますと、ちょっと私ここで解釈に苦しむわけでございますけれども、健康とは一体どういうものが健康かという、その健康議論と同じように、こういう問題は一般の通常の認識に立った常識的な判断というもので処理していくべきじゃないだろうか、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/81
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082・金瀬俊雄
○金瀬委員 これは障害と書いてあるから、障害があっても被害が出ないことがあるんですよ。これは法律用語でないけれども、私は辞書を引いて研究してみたんですよ。これは被害と書くのがほんとうか、障害と書くのがほんとうか、これは法制局であとで聞いてください。障害というのは、道路なんかに大きな石が落ちてきて車が通れないというのが障害だ。だけれども、車がそこであぶないと思って引っ返していけば人命に被害はない。ところが被害というのは明らかに、引っ返すことのできない、いわゆる黙っていても損害を受けるというのが被害なんですよ。航空機の騒音というのはそういうものであるのですよ。被害のほうなんですよ。ところが航空局は一貫して、被害というものは出ない、障害は出るということを昔から言っているんですよ。被害が出るということを極端に避けようとする発言を用いているんですよ。これは官僚特有なことばだよ。だけれども私は、これは被害が出るなら被害が出ると明らかにすべきである、さように考えています。だから政府の統一見解というのを、この次の質問のときまでにはっきりさせてください。障害なのか被害なのか。
それから、この改正案の全体を流れる一つの考え方として、周辺の住民を片づけることばかり書いてある、これを見ると。そうして、さっき言った航空機の騒音の発生源、発動機とかいろいろなものの規制を強化するような姿勢がこの中にあまりない。どういう理由か。これはこの法律のきわめて不備な点ですよ。第一に飛行コースとか飛行場の運用の時間、これは運輸大臣でできることなんですよ。そういうことについて規制が全然ないわけだ。片づけることばかり書いてある。だから、これは大臣にひとつ私の意見として申し上げますが、この法律を運用する場合には、一番被害を受けるのは飛行場の周辺の住民なんですから、住民の声をどういうふうに意見として吸い上げるか、またそういう制度をつくれるのか、あるいはどういう形で運輸省は運営に当たるのか、そのことについて御答弁を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/82
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083・徳永正利
○徳永国務大臣 住民の追い出しということばは、私どもはそういうことばは非常に胸打たれるものがあるわけでございますが、決して追い出すなんというようなことを考えているわけではございません。騒音対策は航空機の音源対策と周辺対策両方からやらなければならぬというのは、最初前段で私が申し上げたとおりでございまして、これから先いろいろな施策があろうと思いますけれども、住民の皆さん方の御意見も十分聞き、また地方公共団体の御協力も得て、一番被害のないように、障害のないように、御迷惑のかからぬようにというのがこの法律案の趣旨でございますから、その趣旨に沿って善処してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/83
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084・金瀬俊雄
○金瀬委員 大臣から答弁がございましたが、ひとつ被害を受ける住民の声というのをいかに航空行政の中に吸い上げていくかということについては、十分対策を講じていただくことを心からお願い申し上げます。
それから、この航空機騒音の発生源に対する規制の中で、便数制限というのだけが抜けてますね。これは抜かしてあるのはどういうわけか。特にこの飛行場では、成田はまだできてないから羽田でいいですが、この羽田の空港では、航空機の騒音を検討してみて、最大許容便数はどのくらいが理想的であって、これ以上は無理だという便数があるわけであります。いまは安全のほうで検討していると思いますが、安全でなくて騒音のほうで、これ以上音が出ればだめだという一つの便数制限というのができるわけだけれども、この便数制限ということがこのあれに載ってないけれども、そういうことをやる気があるかどうか。いまあなた方がやっているのは飛行場の運用時間と飛行コースだけですよ。便数制限ということをこれに載せてないのです。それに対する考え方を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/84
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085・寺井久美
○寺井政府委員 便数制限につきましては、これは一応空港の設置管理者の立場からある程度の規制はでき得ると考えております。ただ、ただいま先生がおっしゃいましたように、一体騒音量のほうから便数制限をやる考えはないかということでございますが、これもある時期にはそういうことを考えなければならないと思いますが、実は機種が一定いたしておりませんと騒音コンターそのものが狂ってまいりまして、一便減らせばどうなるというのが、静かな飛行機とややうるさい飛行機とではかなり条件が違ってまいります。単純に便数制限ということをいますぐそういう音の総量との因果関係で行なうのは、技術的にやや問題があろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/85
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086・金瀬俊雄
○金瀬委員 飛行機が飛んでいく方向、積んでいる荷物、遠くへ行くか近くへ行くかによって音が違うということはわかっていますよ。あなたの説明は、それはしろうとにする説明だよ。羽田空港はどのくらい騒音が出ているかということはわかるわけだ。大阪空港はどうだということはわかるわけだ。そうした場合、これ以上飛行機を飛ばすことは困難だというのは、安全の立場以外に騒音の立場で、これ以上飛行機を飛ばすことはできないという一つの限界があるわけだ、許容量というのが。それをこの中に入れておかないということはおかしいと思うのだよ。こういうものは航空行政のもとになるものじゃないか。そういうものが入っていないのはおかしいということなんですよ。それを入れる気があるかどうかということをはっきりしてもらいたい。これを改正する気があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/86
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087・寺井久美
○寺井政府委員 いまの便数を、つまりその便を着陸させるか出発させるかということは設置者の側から規制できますので、必ずしも法律の中に盛り込む必要もないかと存じます。それから現在の三条の規定と申しますのは運航者に対する規定でございますので、ちょっとそこにほうり込むというのはなじまないかと思いますが、別条を起こすということはもちろん技術的には可能かと思います。ただ、私が申し上げましたように、これは実行上可能でございますので、必ずしも法律に組み込む必要はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/87
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088・金瀬俊雄
○金瀬委員 その問題は十分検討していただきたいと思います。便数の制限というのは大事なことである、やはり三本の柱の中に入ると思うのですよ。だからそれはひとつ絶対に再検討していただきたいと思います。
それから航空会社、日本でいえば日航とか全日空とか、そうした飛行機を利用している、いわゆる飛行機によってもうけている事業会社、あるいは飛行機に乗っているお客、そういうものに対して公害対策費を将来負担させる考えがあるかどうか。あなたさっき、公害の発生源というのは国と飛行機会社だと言っているのですよ。そうなってくると、発生源の会社に公害対策費というのを将来負担させるべきであると私どもは考えますが、航空局の考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/88
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089・寺井久美
○寺井政府委員 その点は私どもも先生と全く同意見でございまして、これは旅客が運賃という形で負担する形にある部分なる可能性もございますが、やはり原因者負担という考え方のもとに何らかの形で負担していただく必要があろうかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/89
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090・金瀬俊雄
○金瀬委員 以上の航空局あるいは運輸大臣の答弁を通じて感じられますことは、発生源に対する規制というのに対してこの法律では十分でないということが考えられるわけです。だから、これについては十分将来検討していただきたい、さように考えております。その理由は、将来もっと被害が発生するということが考えられるというものに対しては、十分な発生源に対する対策がないと被害というのはだんだん拡大していくわけですよ。これから先やらなければいけないことはそれが一つと、もう一つ、いままでに被害を受けた人たちに対する救済対策というものがあまりないわけですね。いままでに被害を受けてきた人たち、それに対する救済対策というのがこの法案にないわけですよ。それについては十分検討していただきたい、さように考えておりますが、それに対する航空局の考え方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/90
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091・寺井久美
○寺井政府委員 ただいま先生の御意見十分承って検討させていただきたいと思いますが、環境基準というものが定められておりますので、それに基づいてわれわれは判断していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/91
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092・金瀬俊雄
○金瀬委員 時間があまりないようでございますので、途中抜かしまして最後に御質問申し上げますと、この改正案にある新しい方式、いわゆる騒音対策事業というのは周辺住民の生活環境を保全することが目的であるわけですか、どうなんですか。この法律というのは、飛行場の周辺の住民の生活環境を守るということを基礎にして考えたかどうかということなんですよ。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/92
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093・寺井久美
○寺井政府委員 この改正案の基本的な考え方と申しますのは、空港周辺で騒音障害を受けておられる方々の生活の環境を保全するということに主眼点を置いてございます。したがいまして、みずからはとても音がうるさくてそこに居住したくないというような方々については、移転先を見つけて移転をあっせんするというようなことを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/93
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094・金瀬俊雄
○金瀬委員 この法律によると、周辺住民を保護する、生活環境を守るという名前はうまいこと書いてあるのですよ。だけれども、本質的には生活を保全するということは不可能であるにもかかわらず、それが可能であるがごとく錯覚を起こすようにこの法律は書いてあるのです。そうして錯覚を起こすように書いてあって、その対策というのは国と地方公共団体が多額の金を出すことによってやらなければならないと書いてある。そうでしょう。国と公共団体が多額の金を出すことによって整備機構というのをつくるのですよ。これは新しい公団をつくるのと同じだよ。公団というのは国だけが金を出すけれども、これは地方公共団体に出させるために整備機構といううまい名前をつくったわけだ。つくったけれども、これは整備機構によって生活を保護するんじゃないですよ。そうでしょう。音の一番激しい人はどこかへ出ていけということだよ。二番目の人には防音工事をやってやるということだ。三番目の人には幾らか金を出すということしか書いてない。追い出したあとは国と県でめんどうを見る、こういうことだ。追い出したあとへ緑地帯をつくるとか公園をつくるとか、そういうことを書いてある。結局は住民を保護するのじゃなくて、住民を追い出すためにつくった法律だ、この法律自体に流れている精神というのは。そうでしょう。考え方によればそう考えられるわけだ。だからその法律というのは、考え方によると非常に航空機の会社を保護しているわけだ。新幹線の場合これをやりますか。新幹線の場合、騒音が激しいからやってくれといったら、今度新幹線の道路の端を、全部整備機構というのをつくって、それで木を植えたり緑地帯をつくって騒音が出ないようにしますか。運輸省として重大問題だと思うのだ、この法律は。飛行場だけこれをやるということは不公平ですよ。やるとすれば新幹線もやらなければいけない。公害が出て住民が困っているだから。新幹線の沿線の整備機構というのをつくって、音の激しいところは直すということになる。だからこういうことはできないことをできるごとく錯覚を起こさせるようなやり方だ。県と国が発生源に対する責任を肩がわりしていることだよ。航空会社には負担させないで県と国が金を出している。しかも大阪空港なんか十年間に五千三百億も金を使うといっている。そうでしょう。当然航空会社はもうけているのにあなた方はそういうことをやっているとしか考えられないわけだけれども、それに対する大臣の考え方をひとつ聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/94
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095・徳永正利
○徳永国務大臣 騒音公害あるいは振動公害、まあ新幹線等におきましては振動公害もございますが、そういう新しいと申しますか、在来からもありましたけれども、近年こういう問題の対策が非常に重大になってまいりましたことは、先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、この法律を提案いたしましたゆえんのものも、提案理由の説明の中にも申しておりますように、住民から航空機騒音をできる限り遮断するという基本的な方針のもとに、空港の周辺地域の整備、再開発を含む抜本的な対策を実施することとして、必要な法的な整備をはかるための根幹として御審議をわずらわしているわけでございますが、いま御指摘の点はいろいろまた私どもも考えなければならない点もあると思います。そういうような点については、十分今後御意見を尊重いたしまして努力してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/95
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096・金瀬俊雄
○金瀬委員 日本の国における発生源の責任者の大もとというのは、国と航空会社だ。さっき言ったように国と航空会社と両方にある。まあ外国の飛行機も来ていますが……。日本の国の航空会社の例で言うと、これは最近新聞に出たからだれも知っていることだと思います。日本航空あるいは全日空、これは同じですが、日本航空のことだけ例をあげて言いますと、日本航空のボーナスは、四十七年度の夏期が六十九億円、四十八年度の夏期が百二十六億円と倍近くにはね上がっている。大学卒の三十歳で九十一万円のボーナス、高卒の女職員が十八歳で四十四万円。これと同じ交通機関、国鉄や私鉄とか政府関連のいろいろな交通機関に働く人と比べた場合は非常な差が出ている。イギリスの石炭ストというものは、デパートで働いている女職員の俸給と炭鉱で働いている四十歳過ぎた人たちの俸給を比べてみた場合に、デパートで働いている女の子のほうが俸給が多いということがこのストライキの一番もとになっていると新聞に出ている。調査でもそうなっている。そういうことが始まるもとはそうだったと書いてある。
そうすると、同じ交通機関に働いておる従業員でこれだけ差が出るということ、しかもそういうばく大な金をもうけて日本で最高のボーナスを払っている会社に対して、なおあなた方が飛行場とかいろいろなことでめんどう見る。国鉄のほうはあれだけ赤字出してもなかなかめんどう見ない。新幹線公害が出たって、こういうことをやってまでめんどう見るということは、あなた方は言ってない。そうすると、同じ政府の交通機関に対して国のとっている態度ということに対して、ざっくばらんの話を申し上げますと、義憤を感ずるような交通対策だというふうに考えますが、これに対して大臣がどういう考えを持っているか、ちょっと聞かしてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/96
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097・徳永正利
○徳永国務大臣 先生、いまそういう実例をあげられまして、他の点と比較していささかおれは義憤を感ずるとおっしゃいますが、実は私もいろいろな思いをしているわけでございます。こういう問題については、いまここですぐどうするという、実はそのきめ手になる対策を申し上げる材料を持ち合わせませんけれども、この点については十分先生の御意見を体していろいろな面で対処していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/97
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098・金瀬俊雄
○金瀬委員 時間が参りましたので、これで質問をやめますが、次の航空法の審議の際には、いま保留になっております問題につきまして御質問をしたい、さように考えております。特にこの改正法というのは、元来が被害者救済のためにやらなければならない法律なのに、全体を流れる法の精神というのはそうでなくて、航空産業がたれ流している公害を国や県が強力に保護するという保護政策としか受け取れないという感じがあるわけです。したがいまして、この法律案につきましては、このままでは賛成することができないという感じを私は持っております。この点について運輸省は、国鉄あるいはその他の交通機関と航空産業、航空機産業、そういうものに対する考え方ということについて、政府が統一した考えをはっきり確立していただきたい、さように考えております。その点を要望申し上げまして質問をやめます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/98
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099・三池信
○三池委員長 梅田勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/99
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100・梅田勝
○梅田委員 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案について、私は日本共産党・革新共同を代表いたしまして質問をいたします。
まず第一に御質問したい点は、航空機騒音問題における基本問題とは何かという点であります。政府はこの法案提案にあたりまして、「ここ数年航空機需要が激増し、航空機の大型化、ジェット化が進み、このため航空機騒音問題は、年々深刻化し」、あるいはまた大きな社会問題となった、こう述べておりますが、しかし他人事ではございませんでして、自然にそのようになったわけではないのであります。利用者が多いという口実のもとに増発を認め、大型化を認め、そして空港の拡張をどんどん行なってきた、その結果そういう現象が生まれておるということを認めなければならないと思うのです。巨大な推進力を持つジェットエンジンが開発をされ、大型機が出現することによって騒音公害、大気汚染公害が発生をしたのは、明白な事実だろうと思います。ジェットエンジンの出す音響出力は百キロワットに達するものまで今日あらわれておりまして、トラックに換算いたしますと十万台に達するぐらいのでかい音が出てくるわけであります。また、この巨大なジェット機がはき出す排気ガス、これまた非常に大きな問題を残しております。空港周辺における汚染が進行し、地域住民はたいへんな迷惑を受けておるわけであります。
私は、昨日大阪空港周辺へ参りまして、実際にその状況を見てまいりました。そして一番近くの勝部地域の方々から直接のお話を伺いましたが、今日なお鼻血を出す子供たちがあとを断たない、これがどんどんふえておるという状況であります。夏場が一番多いのでありますが、この寒い冬場におきましても鼻血を出す子供たちがあとを断たないのであります。かかる迷惑を受けておる人たちの問題、また騒音やそういった排気ガスによって大気が汚染される、こういった問題で苦しんでいる空港周辺の住民の立場に立って問題を解決していくのか、あるいは航空機を運用する側の立場に立って問題の処理に当たろうとするのか、問題はこの二つの立場ですね。どちらの立場をとるかということがこの問題における基本的な問題だろう、私はさように思うわけであります。
従来から、騒音公害の解決方法の問題といたしましては、三つの対策が必要だといわれております。第一には発生源での騒音の制御。騒音を発生源でなくするか、あるいは減少させる。二つには空港周辺における航空機の運航方式の改善、平たく言えば飛行機をなるべく遠いところへ持っていく、遠いところを飛ばすというような方法。三つには騒音を受ける側での騒音を防御する問題で、この場合にはその及ぼす経済的損失をだれが補償するかということが明確になされなければならぬわけであります。要するに、発生源規制の原則、住民被害救済の原則、そして原因者負担の原則、この三つの原則というものが基本的に必要じゃないかと思うわけであります。
そこで、政府、運輸大臣におきましては、まずこの住民が実際に迷惑を受けている実態についてどう考えているのか、騒音公害における基本問題はどこにあるか、このお考えをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/100
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101・徳永正利
○徳永国務大臣 先生御指摘のように、この法律案の提案にあたりましても、その提案理由の趣旨説明で述べておりますように、いままでも、学校とか病院等の防音工事、これは非常に消極的な、さっきおっしゃいました第三の防御の面でございますけれども、対策から進んで、住民から航空機騒音をできる限り遮断するという基本的な方針のもとに、空港周辺地域の整備、また再開発を含む抜本的な対策をひとつ実施したい。いろいろな面でまた問題があろうと思いますけれども、これに必要な法制の整備をはかるためにこの法律案を提案いたして御審議をわずらわしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/101
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102・梅田勝
○梅田委員 昨年の三月十七日に、豊中市勝部自治会の渡辺美治郎さんという方が、地元の自治体である豊中市長あてに陳情書を出されております。これをちょっと読ましていただきますと、「勝部地区は航空機がB滑走路を離着陸するとき、誘導路を通過するとき、頭上をA滑走路へ着陸するとき、東行きが通過するときの騒音はすべて影響を受け、また航空機排気ガスの悪臭のため、食欲不振を訴える人も多く、一刻も航空機公害から逃れられない毎日であります。そのため病人は療養も出来ず病状は悪化し、別紙赤印のように、殆んどの人が鼻出血し、また不眠症、耳鳴り、頭痛、めまい、高血圧、気管支炎等に悩まされている人が続出しております。」こういうようにその実態を訴えられておるわけであります。鼻血の状況はほんとうにひどくて、私、実物をいただいてきたわけでありますが、そこの周辺のいろいろな方々から集まった鼻血は、部屋にいっぱい山のようにあったのでございますが、その中の幾つかをいただいてきたわけでございます。たとえば四歳の土田幸世さんのものがございますが、これは昨年の九月二十七日に、午前一時、夜中ですね、鼻血を出す。それから、これはやはり昨年のものでございますが、山内恵美子さん十一歳、夜九時ごろ出されておる。それからことしの一月二十一日に実松美智代さん、幼稚園へ行っておられる人がやはり夜中に鼻血を出しておるわけです。これはもう山のようにあって、被害の実態を見てくれという直接の訴えがあったわけでございます。大体勝部地域がこのような被害をひどく受けるようになりましたのは、B滑走路ができてからでございます。御承知のようにB滑走路は昭和四十五年二月から使用開始されております。A滑走路の場合は、少し先でございますので、それまでは比較的ましであったのでありますが、これがもう間近くにできてから顕著にこういう被害があらわれてくるようになったわけでございます。洗たく物がよごれる、これも大きな不満でございますが、直接健康がむしばまれるということになりますと、これは命の問題でありますから、きわめて生活が不安におとしいれられるということになりまして、この解決というものは緊急を要するわけであります。そこで、運輸省としてこういった実情に対していままでどういう対策を講じてこられたのかを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/102
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103・寺井久美
○寺井政府委員 ただいま先生から勝部地区の鼻血の問題を例にあげられて、どういう対策をとってきたかという御質問でございますが、まず鼻血の問題につきましては、運輸省といたしまして、航空公害防止協会を通じまして診療等のあっせんをいたしますとともに、鼻血の原因究明のためにいろいろ調査を依頼いたしております。確かにあの勝部地区というのは、一番音源に近いという事情もございまして、音の障害の多いところでございまして、従来までわれわれが行なってまいりました騒音対策と申しますものは、この騒音防止法制定以来、まず学校、病院あるいは共同利用施設というようなものの騒音防止工事を行ないますとともに、そういう学童の勉学のために共同利用施設というようなものの建設にも補助をいたしております。また、特に移転を御希望の方には、その家屋、土地などを買い上げるというような施策をとって今日に至ったわけでございます。しかしながら、これではやはり不十分ということで、現在改正をお願いいたしておりますような改正案を提案しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/103
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104・梅田勝
○梅田委員 きわめて弱々しい答弁でございまして、要するに健康の問題については何もやってない。その背景には、先ほど来追及されたように、この法律は移転の問題とか学校、病院における防音の工事をやる程度であって、健康の問題まで見るようにはなってない、だからそんなことは力を入れてやれないという。そこで確信がないものですから、きわめて弱々しい答弁にならざるを得ない。けしからぬと思うのですね。もともと生活というのは一体どういうことですか。生活という問題についてあなたはどういうぐあいに考えるのか、ひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/104
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105・寺井久美
○寺井政府委員 生活ということをどういうふうに考えるかという御質問でございますが、これは人によりましていろいろ考え方も違うかと存じますが、私個人の考えといたしましては、生活と申しますのは、やはりそこに仕事をし休養をし一定の生活ができるものを生活というふうに考えております。そこにはもちろん自由も必要でございましょうし、いろいろな娯楽というものも必要であろうかと思います。私個人といたしましては、仕事ができ、かつ食事ができ、睡眠がとれ、そこに自由のあるというのが生活であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/105
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106・梅田勝
○梅田委員 憲法も示しておりますように、健康にして文化的な日々の営みを続けることを生活という。ところが、生命の危険にさらされ、テレビを見ようと思っても騒音によって楽しみを奪われる、これは明らかに地域住民がきわめて重大な生活の脅威にさらされているということだと思うのですね。しかもこの法律の目的を読みますと、「航空機の騒音により生ずる障害の防止」、続いて「航空機の離着陸のひん繁な実施により生ずる損失の補償その他必要な措置について定めることにより、関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与することを目的とする。」こう書いてございますね。「航空機の離着陸のひん繁な実施」という場合は、ようけ出たり入ったりするという中で吐き出す大気の汚染の問題についても、当然この法律の目的からいくと救済の対象になる、このように考えるのが相当だと思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/106
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107・棚橋泰
○棚橋説明員 航空機騒音防止法と申しておりますこの法律の対象といたしましては主として障害でございますけれども、そのひんぱんな離着陸に伴います障害に類似する行為というものも一応含まれるというふうに解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/107
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108・梅田勝
○梅田委員 したがって大気汚染の場合も含まれるということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/108
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109・棚橋泰
○棚橋説明員 大気の汚染が著しい障害であるというような場合には含まれるというふうに解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/109
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110・梅田勝
○梅田委員 それだったらこの勝部地域に対する今日までの処理というものはきわめて不十分じゃないですか。新聞にも昨年ごつう出ましたね。豊中の勝部地域の公害ということで大阪府も調査をしておりますが、慢性気管支炎症状の患者が他の地区と比べて非常に多い。二・七%の有症者率を示しておる。明らかにその地域がよそと比べて、ここに統計がございますが、多い。この陳情書にもありますように、この狭い地域に対して、こういう鼻血を出す方が二十八件もあるのですよ。こういうところに対して医療費の補助でもしたことがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/110
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111・寺井久美
○寺井政府委員 医療費の補助をしたということは、過去においてまだございませんが、そういう診療等のあっせん等の措置をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/111
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112・梅田勝
○梅田委員 大臣、いまお聞きになりましたように、勝部地域の住民がいかに困っているかという実情はおわかりいただいたと思うのです。ところが、それに対して法は、離着陸に伴う損害は救済の対象としておるという明確な答弁があったにもかかわらず、全然これに対しては救済の措置はなされていない。さっそく実情を調べて救済の措置をとるということをお約束いただけますか。——大臣に聞いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/112
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113・徳永正利
○徳永国務大臣 実情をよく調査してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/113
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114・梅田勝
○梅田委員 いや、調査だけでは——私は善処を期待しておるのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/114
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115・徳永正利
○徳永国務大臣 実は私、いま突然のことで、その経緯等も詳細にいまここで明確には、それじゃすぐ医療補償をやりますと言うだけの資料も持ち合わせませんから、そういう点も十分ひとつ研究させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/115
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116・梅田勝
○梅田委員 それでは、もう一度大臣にお聞きいたしますが、目的は騒音だけではなくて、そういう生活環境の問題、健康の破壊の問題に対しても明確に対策を講ずる、救済をするということについてよいのでございますね、大臣にお伺いしますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/116
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117・徳永正利
○徳永国務大臣 この目的を私、実はいまここで拝見するわけでございますが……(梅田委員「大臣が何だ。」と呼ぶ)いや、昔の騒音による障害等に関する法律でございますよ。「この法律は、公共用飛行場の周辺における航空機の騒音により生ずる障害の防止、航空機の離着陸のひん繁な実施により生ずる損失の補償その他必要な措置について定めることにより、関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与することを目的とする。」こういうりっぱな目的があるわけでございます。したがいまして、いまここにありますその因果関係というものが、どういうふうに明確になってくるかというような点についていろいろ問題があろうと思いますが、この目的の趣旨に沿って善処することはお約束いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/117
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118・梅田勝
○梅田委員 政府提出の法律の改正案をわれわれは議論しているわけです。審議をしているわけです。大臣がこの場に来て、目的をただいま拝見では困るわけですね。少なくともよく研究をされておることだと私どもは思っておるわけです。だから念を押して、生活の問題についても、健康の問題についてもちゃんと救済の対象になるんだということをいまお伺いしたわけでありますが、係官の言うのとあなたの言うのとちょっとニュアンスがまた違ってくる。これは困るわけですよ。健康の破壊の問題についても明確に対象としているということをもう一度おっしゃってくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/118
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119・徳永正利
○徳永国務大臣 御承知のように、四十二年の八月一日に制定されました法律第百十号によりますと、その第二条に、離着陸の「ひん繁な実施により生ずる騒音等による障害が著しいと認めて政令で指定するもの及び」云々とありますが、この「等」という中にそういうものが含まれるかどうかという点につきましては、私も十分前向きに善処いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/119
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120・梅田勝
○梅田委員 さいぜん、ちゃんとうしろから答弁していて、あなたは前向きだから、ここでこれ以上の追及はやめますけれども、問題は、私が言いたいというところは、せっかく法律をつくって目的に魂を入れたのに、その魂が生かされておらないということに対して、やはり政府はもっと被害者の立場に立って積極的にものごとを解決していくということをお願いをしたいわけです。実際にそのことを切実に要望しているわけでございますから、もう一度念を押してお願いを申し上げておきたいと思います。
さて次の問題は、先ほども申し上げましたように、今回の改正案におきまして、提案理由を聞いておりますと、ここ数年来の航空輸送需要の激増並びに航空機の大型化、ジェット化の進行による航空機騒音問題の深刻化、社会問題を強調しておられます。しかし、こういう言い方は、昭和四十二年、現行法提案の際にも同じことがいわれてきたわけであります。問題は、そのせっかくつくられた法案というものが、実際に音を出している発生源に対してきびしく規制するものではなかったというところに一つは問題があるということと、もう一つは、せっかくつくられた対策が、実行上においてきわめて不十分にしかやられなかったのではないか。だから、同じことが今日問題になってくるのではないかというように私は思うわけであります。
そこで具体的に問題を展開していきますが、現行法第三条第一項によりますと「運輸大臣は、公共用飛行場の周辺における航空機の騒音により生ずる障害を防止し、又は軽減するため必要があると認めるときは、航空交通の安全を阻害しない限度において、当該飛行場において航空機が離陸し、又は着陸することができる経路又は時間その他当該飛行場及びその周辺における航空機の航行の方法を告示で指定することができる。」かように書いてございます。これ実際にやられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/120
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121・寺井久美
○寺井政府委員 ただいま御指摘の第三条の告示は現在実施いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/121
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122・梅田勝
○梅田委員 なぜ告示をしないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/122
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123・寺井久美
○寺井政府委員 この規定によりますと、離着陸の経路あるいは航行の方法を告示で指定することにできるようになっておりますが、経路あるいは航行の方法を指定いたすことはできましても、これを十分にパイロットが順守するというような地上の航行援助施設あるいは航空機自体の施設等にまだ十分開発されていない面がございまして、一つ実施上の問題がございますこと、また、この航路を逸脱した場合に、これを立証することも困難であるというような問題がございます。操縦士が安全上とった措置というものが、そのために音が大きくなる、あるいは航路をはずれるというようなことがございましても、これを安全上とったのか、不測の状態でやったのか、というようなことの判断も技術的に非常に困難な問題がございます。そこで、これは実は罰則がございまして、順守をしないと罰則がかかることになっております。そこで、罰則を適用するには、やはり実施上まだ現段階では技術的に不備な面があるという判断から、告示をするに至っておりません。
なお、運航時間については多少実行の余地がございまして、現在行政措置でやっておりますが、これはかなり守られる面もございます。ただ、長距離を運航いたします外国向けの航空機等につきましては、必ずしも時間どおりに出発あるいは着陸できるということでございませんので、多少の時間的な伸縮はやむを得ない面もございます。したがいまして、告示で一律に罰則をかけて縛るという状態には現在まだなじんでおらないということから、告示をしておらぬということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/123
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124・梅田勝
○梅田委員 環境庁の鈴木さん、来ておられますね。昭和四十六年の十二月二十七日に中央公害対策審議会の答申を受けて、その翌日に環境庁長官から運輸大臣あてに勧告が出されておりますね。その中におきましても「第三条第一項に基づく告示等により、その実効を期すること。」かように明確に述べておられますが、これは行政上の指導でも一定のことはできるけれども、なお告示をやったほうがいい、出す必要がある、こういうように判断してそのように勧告されたと思うのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/124
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125・鈴木善晴
○鈴木説明員 ただいま先生御指摘の、四十六年十二月の航空機騒音緊急対策の勧告の趣旨は、告示あるいは行政指導によりまして運航規制の強化などをはかっていくようにということでありますけれども、運航規制の強化につきましては、現在のところ運輸省の行政指導などによりまして、夜間の郵便機を除きまして、実施されておるという状況でございますし、また、夜間の郵便機につきましても、三月から廃止されるということになっております。こういうような意味におきましては、勧告の趣旨は行政指導によっておおむね達成されているというふうに環境庁としては考えておりますけれども、もちろん、夜間の時間規制とか航行の方法等について、告示をして法的に明確にするということがより望ましいものであるということは、私どもも当然考えておりまして、その点につきましては、今後とも運輸省と協議して、できるだけ早い機会に告示ができるようにしたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/125
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126・梅田勝
○梅田委員 環境庁のほうは、この第三条第一項に基づく告示をしたほうがいいとはっきりおっしゃっておる。ところが運輸省のほうは、いろいろ理由をあげてまだこれは実施ができない。大体おかしいんですね。第三条があって第一項、私が指摘をしているわけでありますが、これが現に法律としてある。しかしこれが使えない。もっと極端に言えば、なくてもいいのだ。これはちょっと法律の趣旨かどうかということはきわめて疑問になってくるわけであります。もともとこの法案を作成した当初のこの騒音問題における該当空港は、羽田、大阪、それから成田ですね。現在は福岡に鹿児島、この五つが対象になっているようでありますが、それは間違いございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/126
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127・棚橋泰
○棚橋説明員 騒音防止法のいろいろの障害対策を実施いたします特定飛行場は、いま先生御指摘のものと、新東京国際空港、これはまだ開港しておりませんが、これが法定されております。ただ、いま御質問にございました運航規制の問題につきましては、それだけの飛行場のみでございませんで、公共用飛行場すべてに適用があるという条文になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/127
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128・梅田勝
○梅田委員 そうしますと、対象空港は明確に存在をしておる。法律をつくるからには、対象空港なしに条文を考えたりはしなかったと思うんですよ。対象空港は非常にはっきりあるのだ。特定飛行場があるし、一般空港に対しても適用するのだ。ところが、いまとなればそれはあれこれ言うてできないということになると、われわれ国民の側からしますと、きわめておかしい問題になってくる。実施ができないようなものを法律としてつくったのか。一体どういうつもりでつくったのだ。最もひどい空港周辺における騒音に悩む住民を救済する目的でやったものが、空文になるということになりますと、一体どういうつもりで入れたのだ。初めからやる気がないのではないかというように追及されても、答弁のしょうがないじゃないですか。ごまかしのために入れたのだと言われてもしようがないじゃないですか。そこのところ、もう一ぺんはっきりさせてください。できないほんとうの理由はどこにあるのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/128
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129・棚橋泰
○棚橋説明員 確かにこの条文は、わが国の公共用飛行場のすべてを対象といたしまして、運航方法の規制等ができることになっておるわけであります。ところが、先ほど局長がお答え申し上げましたように、実際にこの告示を制定しようとしたわけでございますけれども、現実にこれをやってみました場合には、航空機の現在の航行技術ないしはそれを援助する技術、またそれを下から監視する技術等を勘案いたしますと、必ずしも正確に、これを運航するパイロットのほうが守ろうと思って守れるという確証はないわけでございます。そうなりますと、そういうものに罰則をかけるということは、いわゆる構成要件が不確定になるというようなこともございまして、非常にむずかしいという政府部内の意見がございまして、今日まで告示ができないで、行政措置でやっておるという実情でございます。
ただ、先ほど局長がお答え申し上げましたように、環境庁から勧告のございました時間の規制につきましては、特に大阪国際空港というふうに一つを特定してやる場合には、たとえばそこに着陸できない場合には東京国際空港へ行くというような代替手段もございますので、これらの点についてはある程度法制技術的に告示が可能ではないかということで、ただいま検討している段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/129
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130・梅田勝
○梅田委員 そんな、パイロットに責任を転嫁したり、あるいは監視体制が十分できぬからだと、そういうような問題に真の理由をすりかえたらいかぬですよ。
さらに聞きましょうか。豊中市長から、また豊中の市会議長から運輸省に対しまして、昭和四十六年十二月二日、陳情が出ていますね。夜九時から翌朝七時までの夜間飛行禁止の要請というのが出ておりますね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/130
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131・棚橋泰
○棚橋説明員 航空機の運航時間の規制につきましては、地元からいろいろな御意見が出ておりまして、いまちょっと手元にございませんが、そのような御意見は出ておるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/131
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132・梅田勝
○梅田委員 ところで、この第三条第一項の規定に基づいて運輸大臣が告示をする場合には、手続問題が第二項に書いてございますね。「運輸大臣は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、当該指定に係る公共用飛行場の周辺地域を管轄する都道府県知事の意見をきかなければならない。」手続的にはこれをやらなければならぬわけですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/132
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133・棚橋泰
○棚橋説明員 先生おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/133
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134・梅田勝
○梅田委員 そうしたら、その告示をやろうと思うならば、今度は意見を求められた都道府県知事はどういうことをしなければならぬのですか。普通どういうことをやりますか。これは必ず関係市町村の意見を求めるのが通例でしょう。どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/134
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135・棚橋泰
○棚橋説明員 都道府県においては、通常そういう手続をとられるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/135
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136・梅田勝
○梅田委員 当局が、かりにいま陳情が出ているような問題に対してどういう態度をとるか。行政指導としていま念頭に考えられておる夜間は十時以降の問題、それで告示をやろうとした場合、これは第三条第二項に基づいて大阪や兵庫の知事さんに意見を求めなければならぬ。そうすると、知事は当然、関係十一市がございますが、その意見を求めなければならぬ。そうなってきますと、住民は夜間九時以降翌朝の七時までの飛行禁止の訴訟を起こしている、関係の市長さんは、そういう現実に訴訟まで起きておる問題について、皆さん方のほうが考えておる十時の線でこれでけっこうでございますということにはならぬですね。かりに、それはぐあいが悪い、九時にしてくれというようになってきた場合、あなた方はどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/136
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137・棚橋泰
○棚橋説明員 この騒音防止法の三条の二項の規定の趣旨は、立法の当時といたしましては、運航の航路をきめます場合に、どこの上空を飛ぶかと・いうことについて、非常に関係の地元に利害関係がある、たとえばAという県とBという県の、まあ大阪にいたしましても、その他の空港にいたしましても、そういう実例があるわけでございますけれども、県境等を飛行いたすわけでございまして、その場合に、どちら寄りのコースをとるかということについて、これは地元の十分な意見を聞いておくようにと、こういう趣旨からこの規定が置かれたものだというふうに解釈をいたしております。
ただ、先生いま御指摘のように、時間の問題につきましても、規定上は同様の取り扱いでございますから、当然そういうことについて意見を徴しました場合には、先生おっしゃるような御意見が出てくるかと存じております。ただ、私どもが現在大阪空港におきまして、もしこの規定に基づきまして地方公共団体に協議をするといたしました場合には、当然ただいまやっております十時から午前七時という運航規制について、都道府県知事の御意見を聞くという手続がとられる、ないしは過去においてもし告示で指定した場合でございましたら徴していたかと存じております。これにつきましては、私どもは十時から七時というものが妥当な線だというふうに判断をいたしておりますので、当然そういう線に沿って意見を伺うという手続はとられるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/137
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138・梅田勝
○梅田委員 だから困るわけですね。運輸省はかってに、あなた方がかってに夜十時以降でいい、それで告示をしたいと思うということで意見を聞く。ところが、地域住民からは、十時じゃ困る、午後九時以降にしてくれ。全く違った結論が出てくる。そうすると、せっかく意見を聴取した、これを全く無視するわけにはいかぬ。したがって告示は出せない。あなた方が仮定している、想定している、また現にやっている時間帯の問題については、告示が事実上できないというのが実態じゃないですか。ほんとうの理由はそこにあるんじゃないですか。本音はそこでしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/138
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139・棚橋泰
○棚橋説明員 いささか弁解をするようでおしかりを受けるかもしれませんが、実はただいまの十時から午前七時までの時間規制というものにつきましては、かつて地元からも、そういう時間規制をするようにという御要望がございまして、環境庁からそのような勧告を受けまして、その線に従って私どもは規制をしたわけでございます。したがいまして、この条文に基づきまして、これが告示ができるかできないかという問題は、実はその以前からあった問題でございまして、いまもし先生のおっしゃるような線でございましたら可能であると判断しておりましたら、環境庁の勧告の出ました時点において、地方公共団体にこれについて御意見を伺った場合には、当然御同意をいただけた条件だというふうに思っております。その後、九時以降ないしはもう少し八時以降というような御意向が出てまいっておりますが、この規制を定めました時点においては、先生のおっしゃるようなことで地元と協議をして告示をするというのを避けたのではないというふうに申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/139
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140・梅田勝
○梅田委員 こう言えばああ言うで、たいへん困ったものです。あなた、夜十時以降はゼロにすると、昭和四十六年十二月に勧告が出て、そして航空局が四十七年三月に措置をして、そして現在、夜十時以降は一応飛ばしてない。この間、二月十二日にそちらから統計数字をいただいたのですけれども、これを見ますと、からくりが非常にはっきりしてくるのです。といいますのは、勧告の時期の午後九時の時間帯ですね。それから、四十七年五月の実施の時間帯を調べてみますと、火、木、土と三つの資料が出ておりますが、時間帯のトータルにおきまして、火曜日は十一本であったものが、十九本になっているのです。十時以降はゼロにするかわりに、それをぐっと前に持ってきて、十九本、これは八本ふやしているのですよ。それから、木曜日のトータルは十本が十九本になっている。プラス九本。これは大かた倍です。土曜日は十一本を十八本にしている。七本ふやしているわけですね。
こういうぐあいに、午後九時の時間帯が従前と比べてぐっと本数がふえた。そうなったら、午後九時も規制してくれということになってくるのはあたり前ですよ、これは。総本数におきましても、土曜日は少し減っておりますが、火曜日と木曜日につきましては、一日の総本数がふえておる。こういうことでは、実際に地域住民が騒音に悩んでおる、大体、夜九時以降になったら、電話かけるのも非常識といわれるくらいに、普通は平穏にお休みになる時間ですよ。そこを従来に増して倍くらいの本数を入れてくるのですから、地域住民が頭にくるのはあたり前じゃないですか。そこでもって、告示の要求が出た。この三条第一項の規定は、時間指定ができるという点で、大臣に与えられた騒音規制をする重要な権限なんですね。そのせっかくの、いわば伝家の宝刀のようなものを抜く機会があるのに、わざとやらないというのは一体どういうことか、大臣、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/140
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141・徳永正利
○徳永国務大臣 いろいろ御指摘のあった点は、私よくわかりました。四十二年にできた法律で、今日までこういう状態にあるわけでございまして、これにはいろんな原因があったろうと思いますが、私、いまここで、それではすぐ第三条の一項を発動します、と言うほどの資料も持ち合わせませんけれども、御意見のあったところは十分承知いたしまして、検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/141
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142・梅田勝
○梅田委員 運輸大臣、地域の人の立場に立ちなさいということを、初めから何べんも言ったように、あなたはたまに飛行機に乗る利用者の立場。そこの地域の人は、毎日毎日静穏権という、国民が静穏に暮らすということの権利を侵されているわけです。それを、大臣がその権限を運用するならば解決できるかもわからぬわけですね。幾らかでも緩和することができる。どうぞ、その点について前向きに検討するということをもう一ぺんおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/142
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143・徳永正利
○徳永国務大臣 これはひとり大阪ばかりではなくて、航空機の騒音の問題は、全国的に発生している問題でございます。したがいまして、いま御指摘になった点は、私、先ほど来申し上げましたように、先生の御趣旨のことは十分わかっております。地域住民の皆さん方が、いろいろな面で御迷惑をこうむっておられることも十分承知しております。よって、十分検討させていただくということをいま申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/143
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144・梅田勝
○梅田委員 次に移転補償の問題をお聞きしたいと思います。
移転補償が予算化されましたのは昭和四十五年度からでありますが、法律のほうは四十二年にできておりましたのに予算が計上されなかった。これは住民要求がなかったから予算を出さなかったのですか、ちょっとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/144
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145・寺井久美
○寺井政府委員 四十二年に法律ができまして、当初騒音対策関係の予算が非常に少なかったために、そこまで手が回らなかったというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/145
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146・梅田勝
○梅田委員 予算がないということを口実にして、あまり熱心でなかったということですね。ところが、せっかく予算がつきました年からずっと振り返って見てみますと、資料をいただいておりますが、毎年予算を使い残して繰り越しをしておりますね。四十五年度におきましては二億八千七百万円、四十六年度におきましては五億五千百万円、四十七年度におきましては六億四千三百万円。これはどこに原因があるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/146
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147・寺井久美
○寺井政府委員 移転補償が予定どおり実施できなかったという理由につきましては、まず第一点といたしまして、買い取りの土地の価格がなかなか一致しないという点がございます。第二には、移転を希望いたしましても、適当な移転先がなかなか得がたい。第三といたしましては、この移転補償事務というものは、移転交渉、土地の評価、建物、立木あるいは門扉に至るまでの移転費の算定など、相当複雑な手続が必要でございますけれども、まことに残念なことに、これが事務的にスムーズに処理できなかったというような理由から、現在までのところ、移転補償が予算どおり、予定どおり遂行できておらないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/147
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148・梅田勝
○梅田委員 大阪での移転補償の担当職員は何人おるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/148
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149・棚橋泰
○棚橋説明員 大阪におきましては、大阪航空局補償課というのがこれに当たっておりますが、補償課にはそのほかにもいろいろな業務がございますし、また移転補償事務そのものも、大阪空港のほか、福岡とか鹿児島等、他の空港の事務もやっておりますので、必ずしも大阪自体の問題についての職員数というふうには申し上げられませんが、主としてほぼ数名でこれに当たっておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/149
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150・梅田勝
○梅田委員 大阪空港周辺でこういった騒音問題について対象地域の世帯数は幾らあるのですか。間尺に合わぬじゃないか、そんな数人では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/150
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151・棚橋泰
○棚橋説明員 対象戸数につきましては、ちょっと正確な数字をただいま持ち合わせておりませんが、非常に戸数が多いというのは事実でございまして、先ほど局長がお答え申し上げましたように、非常に能力的に不足しておるということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/151
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152・梅田勝
○梅田委員 結局、さいぜんからも声をからして言うておるように、現行法でもできることができない。予算がないと言うてみたり、職員の数が足らぬと言うてみたり、それから補償単価が合わぬ、こんなものは、全部実際にこの法律に基づいて騒音問題を解決しようという政府の政治姿勢がそもそも弱いからです。弱いというよりも、むしろ航空資本に対しては目を向けるけれども、地域住民に対しては正しく目を向けない。
実際に豊中の具体的な例を申し上げてみますと、昭和四十五年度以来今日まで、移転補償希望者は三百三人、申請を出された人は百七十人、契約が成立したのは、昨日一番新しい資料をもらってきましたが、五十九人でございます。四十六年度は一人、四十七年度が三十八人、四十八年度が二十人ですね。なかなか進捗しない。いろいろ聞いてみますと、問題は三・三平米当たり、坪当たりでありますが、補償するほうは約二十万。ところが、多くの場合は、移転しようと思いますと三十五万ないし四十万円はかかるわけであります。それから、前渡金制度というものが昨年十月からようやくできたので金繰りのほうは少しましになったのでありますが、それでも土地をさがし、家を移しかえる、あるいは建て売りを求めたりする場合には、相当な費用がかかるわけであります。補償金は全額入らぬわけでありますからね。
具体的な個別の例で申し上げますと、豊中市の利倉東二丁目のある方の場合は、四十七年六月に移転をされたのでありますが、ことし十一月にはもう五十五歳で定年になる方であります。移転に際しまして、まず会社から二百万円借金した。これを頭金にして友人の紹介で建て売り業者と、もとの家をこわしてからでないとお金が入らないということを了解してもらった上でうまく話を進めた。本人は、できたら航空局のほうで低利の融資をしてほしかったというようにおっしゃっておるわけであります。古い家は、土地が四十二坪、建物が十四・五坪、補償金は八百九十万円。家をこわすのに十二、三万円かかって、そのほかに登記料、手数料等がかかっております。そして、移転先は土地が三十坪、建物は少し大きくなりまして二十坪。そこでどうなったかといいますと、毎月一万二千円ほどの借金ができた。結局土地は十二坪取られてしまう。十二坪減る。借金が二百万円残った。家が少し大きくなっておるからその分差し引きましても、少なくとも百万円は損をした。土地の十二坪というのは大きいですよ。これは両方とも合わしたら相当の損害になっておるわけであります。
こういう状況があるものでありますから、なかなか話をしてもそれは折り合わぬですよ。だから、国がほんとうに誠意を持ってこの問題についての解決を進めるためには、今度改正をして、より積極的に解決をしていこうと思うのであれば、まず現状の格差、この差額をなくするということで積極的な施策を講じなければ、私は住民の不満というものはなくならないと思うのでありますが、この補償金額を実情に合わすよう増額するというお考えはあるのかないのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/152
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153・寺井久美
○寺井政府委員 まことにただいま先生御指摘のような実態でございます。そういう状態でございますので、実は今回の法改正で、周辺整備機構を通じてこういう業務を促進したいというふうに考えておるわけでございますが、土地の価格の問題につきましては、一般の公共用地の取得の場合、その近傍類地の価格を標準にして算定いたしますので、空港の移転補償だけその例外といたしますことはできない事情にございます。しかしながら、これにつきましても、できるだけ時点修正等を行ないまして現実に近づけたいという努力はいたしております。
ただいま御指摘のように、要するに移転先の代替地というものが安く手に入らないということがまた一つの原因になっております。そこで、ここでお願いしておりますように、周辺整備機構を使いまして、こういう代替地の造成というものも行ないまして、適当な代替地をごあっせんして移っていただくということを考えておるわけでございます。
また、この事務能力につきましても申し述べましたけれども、この周辺整備機構ができますれば、国の業務でございますが、そこへ委託いたしまして、この業務を促進させたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/153
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154・梅田勝
○梅田委員 新しい機構をつくっても、なかなかそれは保証されるかどうかわかりませんよ。いままであってもやらぬのだから。これからやりますといったって、住民の人はすぐに、はいそうですかというふうにはいきませんよ。いままでも全部誠意を示して、これからもやりますと言ったら、それは納得するかもしれませんけれども、いままでがいままでですから。しかも予算の関係等もつきましても、対象地域等のことも考えると、うまくいくという保証はない。
それから、よそと比較をされまして、騒音の移転補償だけよくするわけにいかぬとおっしゃいますが、共同利用施設の問題をそれなら聞きますけれども、この共同利用施設は、一般住民の学習等の用に供するための施設として、国が補助いたしまして建設するというのでありますが、現在補助額は第三種五百平米以上、六百一世帯以上で千九百八十万円、こうなっておりますね。ところが、豊中市で聞きますと、用地費等もございますし、いろいろ含めますと一億五千万円から一億八千万円は実際問題としてかかるというのですよ。いわゆる超過負担にならざるを得ない。それから、公営住宅の建設単価は、いろいろ聞きますと、昭和四十二年と四十八年の比較でいきますと、二万四千六百五十七円から四万七千四百八十六円に上がっている。一・九一倍。ところが共同利用施設補助額のほうは、同じく四十二年、四十八年を比較いたしますと、三百万が四百七十万にしか上がっていない。一・五六倍しか上がっていないわけです。これは公営住宅建設単価の場合とやや違うわけですね。共同利用施設のほうの値上がり方というものは非常に低い。昨今の建築費の異常な値上がりという問題を考えますと、いま政府がきめておられるような単価では実際上できない。ことしはちょっと上げるようになっておりますけれども、それでもきわめて不十分だ。もっと実情に合うように上げるという考え方はないのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/154
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155・寺井久美
○寺井政府委員 この共同利用施設の補助額、これは大体学校等の建築構造と同程度のものを行なうという前提で積算いたしまして、その建築費の三分の二に見合う額を計上いたしております。ただいま御指摘のように、その後の物価の上昇等に基づきます修正をやっておりますが、多少公共住宅と差があるようでございますが、物価の上昇に伴ってできる限りの修正をしてきたつもりでございます。
最近の異常な物価の中におきましては、やはりこれを配慮していかなければならないと考えておりますけれども、来年度予算におきまして、現実に建築にかかります場合に、そういう物価の値上がりというものを勘案いたしまして、やはり建築費の三分の二というような線になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/155
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156・梅田勝
○梅田委員 時間が参りましたので、また後日機会をいただきまして質問さしていただきたいと思いますが、現行でさえ十分に遂行されてこなかったということは明白でございます。また、改正案におきましても、それが十分に実施されるという保証はない。住宅の改良工事にいたしましても、一つの部屋、それだけを防音したって、家全体ではあかんわけでありますから、しかも全額補償ではないということで、きわめて不十分な改正案だと私は思います。
したがいまして、もう一度大臣のほうにおかれまして、私が最初申し上げましたように、発生源規制、それから住民被害を救済するという原則、そしてさらには、原因者負担で財源も考えていく、積極的にやっていくということで、もう一度再検討していただきまして、ほんとうに地域住民の騒音を解消してほしいという願いにこたえていただきたいと思います。
まあ関西の大阪空港における訴訟の判決も二十七日におりるわけでありますが、国が負けましたら、観念して控訴はしないということをひとつお約束いただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/156
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157・徳永正利
○徳永国務大臣 御指摘の三点につきましては、先ほど来金瀬先生からもいろいろ御指摘のあったところでございます。また、先生からもいまるるいろいろな実例等をあげて御指摘がございましたが、この空港周辺整備というのは、なかなか一片の法律で完ぺきにこれがすぐ右から左にできるというものでもないと思いますけれども、私どもは、少しでも都市の住民の方々に御迷惑がかからないように、全力をあげてその対策を進めてまいりたいと思います。
なお、判決につきましては、いまどういう判決が出ますか、私ここで、判決が出ましたらそのとおりにいたしますという御返事をいたしかねます。判決を見た上でひとつ態度をきめさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/157
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158・梅田勝
○梅田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/158
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159・三池信
○三池委員長 この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。
午後一時六分休憩
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午後二時七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/159
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160・三池信
○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。松本忠助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/160
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161・松本忠助
○松本(忠)委員 今朝の毎日新聞で私、拝見いたしましたが、羽田空港を沖合いの第五夢の島に移転するという方針を固めたという新聞の記事を拝見いたしました。東京都などと協議を始めたということでございますが、このことにつきまして大臣は十分御存じのことと思いますが、これは運輸省の方針としておきめになったものか、あるいはまた、さらに閣議の了解まで得てあるものかどうか、その点をひとつ確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/161
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162・徳永正利
○徳永国務大臣 実は私、毎日新聞を見てびっくりしたわけでございますが、私は、少なくともその件については承知しておりませんし、昔いろいろな話があったそうでありますが、その件等につきましては、要すれば昔話を知っている政府委員からでもお答えさしていただきたいと存じます。きょうの毎日新聞に関する限り、私の承知していることでもございませんし、また、もちろん、したがいまして閣議などで話が出たような問題ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/162
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163・隅健三
○隅説明員 本日の毎日新聞に掲載されました件につきまして、われわれ航空局といたしましてもこれを決定したものでもございません。ただ、環境基準が十二月二十七日に出されまして、各空港につきまして五カ年計画を新たに策定するについていろいろの勉強をいたしております。そういう場合に、われわれ事務当局といたしまして、羽田の空港をどのようにすれば環境基準が守られるかということを、私のところで検討をいたした事実はございますけれども、これを航空局として決定したり、あるいはこれを幹部会で上げて討論したということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/163
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164・松本忠助
○松本(忠)委員 そうしますと、飛行場部長に重ねてお伺いしますが、これは記者会見で発表したものじゃないということですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/164
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165・隅健三
○隅説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/165
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166・松本忠助
○松本(忠)委員 この羽田沖の移転という問題について、私ども党としましても十分まだ検討はされておりませんし、私自身も毎日新聞を見てびっくりしたわけでございまして、こういう問題を御研究なさるのは自由でございますけれども、毎日新聞のこの記事によると、全く運輸省の方針として発表されたようにしかだれにも受け取れないわけです。これに対して、毎日新聞に対して何かお話をなさった事実がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/166
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167・隅健三
○隅説明員 この件につきましては、前から羽田の空港についての対策をいろいろ毎日新聞のほうで御検討、御研究をなさった事実はあったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/167
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168・松本忠助
○松本(忠)委員 私は、この記事をそういうふうに言われるならば、これ以上追及しようとは思いませんけれども、ただ、いま御承知のように、東京新国際空港も施設その他はできたといいながらも、肝心のパイプラインがまだ三年もかかるということで、これは先日の大臣の答弁でもわかるわけでございますが、開港はことしのうちに、しかし肝心の本格パイプラインのほうはまだまだ三年も先になるということをわれわれも聞いておるわけであります。こういう点を考えますと、いわゆる成田さえまだまだ先だ。しかも、その次に一番問題になるのは関西の伊丹のこのあとのいわゆる関西新国際空港をつくるのかつくらないのかという問題、こういう問題がいま運輸省としても一番頭を痛めておる問題じゃないかと思います。そうした中において、またもや羽田沖に新しくできるというようなことになりますと、一体運輸省は、国民に対して大ぶろしきだけ広げるけれども、いつになったらできるんだろうかということを、国民のだれもが思うのじゃないかと思うわけです。
こういうふうに考えますと、成田も第二期工事というのもあるわけですし、いまの関西空港の問題もございます。そうした点から夢のような話を第五夢の島につくるということは、どうも私どもも理解できないわけです。そして、お役所でそういう方針を発表しないのに、新聞社がその問題を取り上げて書いたということに対して、新聞社に対して何か手を打たれたかどうかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/168
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169・寺井久美
○寺井政府委員 私どももけさの新聞を見て驚いておりまして、実はけさからこの委員会に参っておりまして、その新聞社に対して、どういうソースで、どういうふうに、どういうことでそれを書いたか、というような事実関係の問い合わせなど現在のところまだいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/169
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170・松本忠助
○松本(忠)委員 そうすると、毎日新聞は全く推測の記事を書かれたという趣旨にあなた方はとられておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/170
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171・寺井久美
○寺井政府委員 航空局といたしましては、その記事自体は、推測といいますか毎日新聞が独自にお書きになったのではないかというふうに考えております。飛行場部長から話がありましたように、そういう羽田沖に滑走路をつくるという考えそのものは十年前からございまして、この問題はかつて検討されたこともございます。したがいまして、そういう考えが全然存在しなかったということは申し上げられませんけれども、けさの記事にあるような取り上げ方につきましては、当方は関知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/171
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172・松本忠助
○松本(忠)委員 そういうことでございますれば、私もこれ以上は詰めませんけれども、やはりこういったことが、この新聞を見る限り、私どもは運輸省の方針として発表されたとしか受け取れないわけですよ。そうなりますと、世間の人もやはり私と同じような見方をしているんじゃないかと思うのですね。だから、よしそういうことが事実じゃないのだ、まだほんとうに研究の範囲だとおっしゃるなら、研究の範囲ということを毎日新聞に言って、記事の訂正を求めるとか、そういう処置がとられるのが当然じゃないかと私は思うのです。いずれにしましても、この問題は、私もびっくりしたものですから、お尋ねを申し上げたわけでございます。
計画があるということもうすうすは知っております。しかし、現実に六十年の事態において羽田がどういうふうになるか。あるいはまた、成田ができて、その乗降の人員あるいは貨物量、それも国際線、あるいはまた国内のローカル線、あるいはまた国内幹線、いずれにしましても相当に乗客もふえるし、貨物量もふえるであろうことは、われわれも推測がつくわけであります。そうした時点において、それらの見込みというものを十分に検討した上でこういうものがなされているものだと私たちは思うわけでありますけれども、まあ新聞社が推測の記事を書いたとあなた方が言われるのならば、これはそのように処置をとられたほうが私はいいんじゃないかと思うわけです。
それでは本題に入りまして、将来関西新国際空港が建設される——これはまた当然されなければならないと私思います。現に伊丹があのままの状態でいくということに私たちは大きな危険を感じているわけです。したがいまして、伊丹よりもむしろ新しい関西の空港をつくるべきじゃないかというのが私たちの考えでございます。現在あの市街地のまん中にある飛行場、そしてまた、万が一の場合があったれば、人命に、そしてまた財産にたいへんな重大な損害を及ぼす。そうなったらば、たちまちにしてもうあの空港を閉鎖しなければならない、私は、人道上そうなるだろうと思うわけでございます。先般もそのことを申し上げたわけでございますけれども、そういう点からすれば、当然新国際空港というものを関西にもつくらなければならぬと思います。まあ、つくることについては、審議会にすでに大臣から諮問をしているわけですし、その答申が近く出るであろうことも私も聞いておりますけれども、一体、新国際空港が完成しました暁に、現在の伊丹というものはどういう位置に置かれるのか、この点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/172
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173・徳永正利
○徳永国務大臣 新関西の国際空港ができ上がりました時点で、まだこれはだいぶん先のことになると思いますけれども、その時点でいまの伊丹の国際空港をどういうふうにするか、いろいろなことが考え合わされるだろうと思いますけれども、その構想なり、あるいはまた、そのでき上がる状況ともにらみ合わせまして、そこで決定していかなければならないことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/173
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174・松本忠助
○松本(忠)委員 私はやはり長期的な計画がなければならないと思うのです。一体、伊丹がどうなるのかということが一番の関心事だと思うのです。ですから、もし新国際空港ができるならば、伊丹は当然これを廃止するという前提のもとに新国際空港をつくるべきじゃないかと思います。また、新国際空港をつくるのはずっとずっと先の話だ、これもまた夢のような話なんだ、だからその間は、やむを得ないからここに金をつぎ込むんだ、こういうことになるんじゃないかと思います。そういうことで、私は、一応併用存続ということを大臣は頭の中に考えられているんではないかというように推測をいたしますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/174
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175・徳永正利
○徳永国務大臣 そういうことを頭に描いて、決定的なものを頭に描いてものを言っているわけではございません。審議会の御答申もちょうだいしなければなりませんし、まだその答申も承っておりませんし、いろいろなことを考え合わせた上で、国際空港ができ上がりました時点で、閉鎖するのか、あるいは併用するのか、どういうふうな形で存続するのか、いろいろなことが考えられるだろうと思いますけれども、いま御指摘のように、併存するんだという前提において私はものを考えているわけではございません。全く白紙で申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/175
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176・松本忠助
○松本(忠)委員 何年先のことかわかりませんけれども、いずれにしても新空港はつくらなければならない。つくるとすれば、そっちのほうへ金をかけて、現在の伊丹に対してたくさんの金をつぎ込む必要は少しもないんじゃないかと私は思うのです。大体いろいろのお話を聞いておりますと、関連施設まで含んで一兆円をこす、こういうこともはじき出されるそうでございます。実際一兆円もの金をあそこにつぎ込む、その必要があるかないか。それよりもむしろ新国際空港をつくったほうがより有利じゃないか。現在の場所がどんなに危険な状態であるかということは、もう大臣も十分御承知だと思う。そうなれば、当然新しい空港をつくる、だからつくるまではもうこっちのほうには金を入れないんだ、むしろ新国際空港をつくることに全力をあげるんだ、このほうがすっきりしていいと思うのです。前の航空局長がどこでしたか、私ちょっと場所を、それから時間、日にちをうっかりして、ゆうべも調べてみたのですが、はっきりしなかったのですけれども、私の耳に残っておりますのは、新国際空港ができれば当然伊丹は廃止するんだというような趣旨のことを、この前述べられたように記憶をいたしておりますが、この私の記憶が間違いかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/176
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177・寺井久美
○寺井政府委員 新空港の建設費として約一兆ということがいわれております。新空港を建設いたしますのに七年、十年というようなかなりの年月がかかることが予想されます。その間、現在の伊丹空港を現状のまま放置しておくわけにはいかないと考えております。したがいまして、伊丹空港周辺につきましても相当の金額——われわれが概算いたしますと五千億くらいになるかと思いますが、をつぎ込んで周辺整備を行なっていく必要がある、こういうふうに考えております。
いま御指摘のありました、現空港を廃止するという趣旨のことを前航空局長が述べたという点でございますが、これは十一市協に対しまして、関西新空港ができ上がりました時点において、その存続、あり方につきましては、廃止をも含めて検討する、こういう趣旨の意思表明を行なっております。したがいまして、新空港ができた時点において、現在の伊丹空港というものが不必要である、あるいはその時点においては航空機の騒音自体も少なくなっておる、この程度の使い方ならいいんだ、いろんな意見があるかと思いますが、こういう点につきましては、地元の地方公共団体の意思を十分尊重して、その後の現空港のあり方について決定をしたい、こういう趣旨だと理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/177
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178・松本忠助
○松本(忠)委員 確かに私の聞いたことは、廃止を含めて検討するということだったかもしれません。しかし、いずれにしましても、いままで現行法でやってまいりましても全く遅々として進まなかった。そこでまた新しい方法で今度やるんだということで新提案があった。そういう点から考えまして、私はほんとうにここに金をつぎ込むということがむだなような気がする。むしろ新国際空港を早く建設する方向に運輸省が馬力をかけたほうが得策じゃないか。五千三百億もの金をかけても、いままでの過去の経験からいって、実際上事業は進捗しないと私は見ている。ましてや最近の物価高、物不足、そういう点から考えまして、これが予算に組んだとおり進行するかどうかということに非常に疑問を持っておるわけです。したがいまして、むしろそういうことに金を使うよりは、新しいほうをつくって、できたならば伊丹のほうは廃止する、このほうがすっきりしていいのじゃないかと思うのです。
そういうことになれば、地域の住民の方々も、あと二年で新国際空港をつくるんだ、じゃ、その二年間はがまんしようじゃないかということになれば、いっそのことこのほうが経済的にもよほど得じゃないかと私は思うのですが、重ねて大臣、この点はどうなんです。ほんとうに大臣が、新国際空港ができたならばこっちは廃止するんだと言ってくれたほうが、話は早く片づくと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/178
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179・徳永正利
○徳永国務大臣 新しい空港を早くつくって、いまの周辺のことに金をかけるよりもそのほうがすっきりするのじゃないかというお話でありますが、あまりすっきりし過ぎた面もあると思いますけれども、現実にいま伊丹空港の周辺にいらっしゃる住民の皆さん方にもたいへん御迷惑をかけておりますし、これをどういうふうに対策を立てていくかということも、あわせて並行してやっていかなければならないと思いますし、また、おっしゃるように、新国際空港を早くつくるという努力と熱意を傾けることにはやぶさかではございません。その点につきましても、全力をあげてやってまいらなければならぬと思います。またその決意でございますが、さりとてこれを、いまおっしゃるように一年や二年ぐらいでできるからといって、簡単に私は新しい国際空港ができるというだけの見通しもまだございませんし、したがいまして、この空港の周辺の住民の皆さん方に対する対策を重ねつつなるたけ早くつくっていく、また、先ほど来申し上げましたように、伊丹空港の存続問題につきましては、先ほど航空局長が申し上げましたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/179
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180・松本忠助
○松本(忠)委員 私は、海上空港であるならば、成田のようなああいうふうなぶざまなことはしないで比較的早く片がつくのじゃないかと思う。そういう点から、むしろ現在の伊丹というものが非常な危険な状態にあるわけです。それだけに私は、一刻も早く関西新国際空港をつくって、それも海上空港をつくってそちらに移転する、そうして伊丹のほうは廃止するという方向のほうが、より得策じゃないかと思うわけでございます。
それでは、ひとつ話題を変えますが、昨年の七月十三日に唐沢君が質問をしておりますが、そのときに、寺井当時の航空局次長、現在の航空局長が、十カ年間で五千三百七十億、大体そういう金額が出てきたわけでございますが、現状でもこの見込みは変わっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/180
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181・寺井久美
○寺井政府委員 その当時一応この機構をつくります機構の業務内容として試算いたしました数字でございます。もちろんその数字の根拠は当時の物価になっております。ですから、物価の変動によって金額はより多くかかるという可能性はございます。しかし、現在考えておりますといいますか、計算上一応予定いたしておりますのはその五千三百何がしでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/181
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182・松本忠助
○松本(忠)委員 それではひとつそれを事業種目別に局長述べてみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/182
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183・棚橋泰
○棚橋説明員 ただいま局長から申し上げましたように、これは一応の試算でございますが、周辺整備機構の事業といたしましては、大きく分けて二つございまして、一つは周辺整備機構自身の事業でございます。それからもう一つは、国が行ないます事務を国から委託を受けて行なう事業でございます。
まず周辺整備機構自身のやる事業といたしましては、まず空港の周辺に緑地を造成とするという事業でございます。それからもう一つは、空港の周辺のかなり広い地域を再開発をいたしまして、そこから移転を希望される方には、土地を買収いたしまして、それを再開発して、騒音に比較的影響の受けにくい倉庫とか工場とか体育施設とか、そういうようなものに再開発して分譲するという事業でございます。それからもう一つは、それらの地域から移転を希望されます方に対します代替地を造成する事業、大体これでございます。そのほかに、こまかいことでございますけれども、間借り人等の皆さま方の対策といたしまして、アパートを委託して建築するという事業がございます。ざっと想定いたしておりますこれらの直轄事業が約四千六十二億というふうに計算をいたしております。内訳は、周辺の緑化事業が約十九億、周辺の再開発事業が三千億、それから代替地造成事業が九百億、それから共同住宅事業が約八十億、都合いたしまして約四千億というふうに見ております。
それから、二番目の大きな仕事といたしましては、国自身が元来やるべきでございます移転補償、それから民家の防音工事というのは、国の事務能力ではなかなかできにくいということで、これも委託を受ける事業でございます。これが大体千三百億というふうに踏んでおります。内容といたしましては、移転補償が約九百四十億、民家の防音工事が約三百四十億、その他こまかいものを加えまして、総計で大体五千三百億というふうに計算をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/183
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184・松本忠助
○松本(忠)委員 一応四千六十二億プラス千三百億ということで、大体五千三百七十億という金額になることと思います。
そこで、それらの計画を立てますけれども、これの資金調達のめどはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/184
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185・棚橋泰
○棚橋説明員 ごく大まかなお答えを申し上げますと、これらの事業に要します経費のうち、まず五千三百七十億の事業のうち、国費といたしましては、先ほど申し上げました国の代行事務、それから国からの補助金、これは代替地等を造成いたします際に、単価が高くならないように、道路等の負担部分について補助を出すわけでございますが、その補助金、それから金利を下げますための無利子融資、これを合わせまして国費といたしまして約二千億、それからそれに見合います地方公共団体のほうでお出しいただきます補助金と無利子融資、これが約四百六十億でございます。残りの資金につきましては、その七割を国の財政投融資でまかない、残りの三〇%は縁故債等の一般市中金融においてまかないたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/185
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186・松本忠助
○松本(忠)委員 もう少し具体的な数字で言ってみてください。二千億と四百六十億はわかりましたけれども、そのあと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/186
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187・棚橋泰
○棚橋説明員 まず国費でございますが、国の代行事務として移転補償その他民家の防音工事等の合算額約千二百億、それから先ほど申し上げました代替地等を造成いたしますときの道路とか公園等の補助金、これが国費で出ます分が七十七億、それから無利子融資が約八百十七億というふうに予定をしております。それからこれに見合う金額といたしまして、国の七十七億の補助金に見合います地方公共団体の補助金として五十八億。それから国の八百十七億に見合います無利子貸し付けといたしまして約四百一億、都合四百五十九億、これが国及び地方公共団体から出る資金でございます。残りの資金につきましては、残りの資金の七割を財政投融資の低金利の資金でまかなう、こういうふうに予定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/187
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188・松本忠助
○松本(忠)委員 それでは地方公共団体が出すお金を府県別に言ってみてください、ひっくるめてけっこうだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/188
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189・棚橋泰
○棚橋説明員 実は、御承知のように、大阪空港周辺は大阪府と兵庫県にまたがるわけでございますが、この資金の配分といたしましては、兵庫県の事業にかかわる部分は兵庫県、それから大阪府にかかわる部分は大阪府ということの一応の原則だけ、できております。ただ、その中身のこまかい点につきましては、もう少し周辺整備計画等をこまかく具体化いたしまして、府県においてそれぞれ負担分をおきめいただく、かようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/189
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190・松本忠助
○松本(忠)委員 そうしますと、大阪府にしてみても、兵庫県にしてみても、それらの金が具体的にきまってくれば当然お金を出しますということの了解は得てあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/190
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191・棚橋泰
○棚橋説明員 この周辺整備機構を設立いたしますというお話し合いを申し上げましたときには、実はかなり長い過程がございまして、その間にいろいろ意見の交換をいたしたわけでございますが、最終的には、ほぼ大まかに申し上げまして、たとえば無利子融資については、国が二に対して地方公共団体が一の比率で負担をしよう。それから補助金等につきましては、先ほど申し上げましたように、大阪府と兵庫県におきまして、事業内容によって、その事業内容が再開発、これは元来府県がおやりになる事務の責任分野が大きいわけでございますが、その分については府県と国とで半々に負担する。移転補償等にかかわる代替地の造成のように、元来国が直接責任を持つべき事業については国の補助金で見るという、ごく大ざっぱな合意ができております。その結果、先ほどから申し上げておりますようにそれをあてはめまして大阪府、兵庫県において試算をいたしました額が五千三百億でございます。したがいまして、具体的にどの程度の資金を出していただくかということについては、両府県のお立てになる整備計画、私どものほうとの間でもう少し詰めまして具体化をいたしたい。大筋においては合意をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/191
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192・松本忠助
○松本(忠)委員 一応伺っておきましょう。
そこで、私も具体的な問題について伺いたいわけでございますが、現行の航空機騒音防止法、四十二年のですね、それによって移転補償の対象地区として、いまの伊丹の滑走路の南北の末端から千六百メートル、東西三百十五メートル以内を規定して実施されているわけでございますけれども、このきめられておる補償金では、実際問題として代替地を買うようなことはできないということも私ども聞いております。実際問題として土地が八十件、建物が百九件、百八十九件ぐらいしかできなかった。そうしますと、五十八億の予算のうち、実際は三十一億ぐらいしか消化してない。実績率が五三%だということを私ども伺っておるわけでございます。
こういった点から見ましても、これらの予算が現在残っておるということは、事業が進捗してないということ、要するに、ここには重大な障害があるからこうしてできないんじゃないかと思います。その重大な障害は一体どうしたら排除できるのかということです。これは局長、どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/192
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193・寺井久美
○寺井政府委員 移転補償業務が予定どおり進捗いたさなかった原因としては、私どもが考えますところ、まず第一に、移転補償費といいますか、土地の代金等がなかなか話がつかないということ、これは土地の評価の問題あるいは移転補償の評価の問題とからむ問題でございます。しかしながら、土地の買収につきましては、通常の公共事業、あるいは道路等をつくります際に買収するという一つの仕組みの中で行なわれますので、なかなか現実に合わないという面が出てきておるのも事実でございます。私どもといたしましては、この点は時点修正等を行ないましてやっていきたい。それから、その移ります代替地の獲得がなかなか困難でございます。これが一番大きなネックになっているかと思いますが、そこでこの代替地を安く造成いたしまして、そこに移っていただけるようなことをやらなければならないということから、この周辺機構という考え方が一つ出てまいっておるわけであります。
それからもう一つは、事務能力がなかなかついていけなかったという点も事実でございます。この点は、やはり、こういう新しい機構の中で十分の人手をかけ、事務能率を上げることによって、現在よりは改善されて事業が進展していくのではないかということでございまして、われわれといたしましては、この周辺整備機構の今後の活動に非常に大きな期待をかけているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/193
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194・松本忠助
○松本(忠)委員 要するにいままでちっとも進まなかった。進まなかったのは、要するに能力がなかったのだ、代替地の造成ができなかったのだ、だからそういうものを今度はつくるんだ、だから今度の新しい機構に対して私たちは大きな期待を抱いているんだ、こういうわけですよね。いままでできなかった原因も、ほんとうに補償の単価というものについて、あまりにも現実の問題とかけ離れているがゆえにできないのではないかと私は思うのです。ですから、今後もそういう面に対して、十分な配慮がなされなければやはりできないのではないかと思うわけです。そういう点が一つ。
それから、代替地を造成する、一体それは具体的にどこを一つの目安にしているのか、目当てにしているのか、こういう点はいま伺っておきたいわけです。いかに予算を組もうとも、それを実施するという段階において対象になるところは一体どこなのか。しかしそのことをいま発表すると、そっちの方面の値段が高くなってしまうから発表できない、こうきっと逃げるのではないかと思いますけれども、大体、代替地の造成というものは、伊丹の周辺に住んでいる人はやはり遠くに離れたくないという気持ちはあるだろうと思います。そういう点から考えて、一体どこら辺にそういうものを建設をしようとする目途があるのか、計画があるのか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/194
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195・棚橋泰
○棚橋説明員 先生御指摘のように、一番困難な問題は、あの周辺において適当な代替地を見つけることであろうというふうに私どもも存じております。
まず大阪側につきましては、現在豊中市におきまして若干の代替地を先行的に御手配をいただいておりまして、一部先行造成等も始めていただいております。ただ、規模的にはまだ小さいものでございまして、そのほかにも豊中市といたしまして二、三先行的にお考えになっているところがあるということでございますけれども、それらを合計いたしましても、規模といたしましてはそれほど大きくございませんので、機構が成立いたしました後は、できるだけ広い範囲に代替地を求めてさがしていきたいというふうに思っております。
それから、兵庫県側につきましては、大阪府側に比べますと空地もございますけれども、御指摘のように、大規模な代替地に適当な土地がそうたくさん見つかるかという問題については、いろいろ問題があろうかと思いますが、一応、たとえば川西市の山寄りのほうの部分等に一部適地があるというようなことも検討いたしております。それらを総合勘案いたしまして、機構が発足いたしましたら、関係の府県の御協力も得まして、代替地の造成を早く進めたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/195
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196・松本忠助
○松本(忠)委員 事務能力の面でありますけれども、はたして今度の新しい機構ができれば、その事務を完全に遂行するだけの能力ある人間が集められるか、こういう点について局長、どう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/196
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197・寺井久美
○寺井政府委員 御指摘のように、土地買収あるいは移転補償というような特殊な業務を行ないますエキスパートというものがそれほど多いとは考えられませんけれども、現在航空局がやっておりますような——数名程度の人間でやっておるというのが実情でございまして、こういう機構の中には、大阪府あるいは兵庫県から、それぞれ過去にこういう方面の経験をされた職員を派遣していただくというような話もございますので、この点は大いに改善されるものと期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/197
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198・松本忠助
○松本(忠)委員 それもとらぬタヌキの皮算用で、大阪なり兵庫県がはたしてそれだけの人材を新しい機構のために放出してくれるかどうかということは、これは全く局長の期待だけですよ。実際問題としてなかなかそういうエキスパートを手放すわけがないのです。ですから、やはりこういう機構をつくってみても、予算面ではさまってみても、実施がはかどらないということでまた同じことになると思う。そうなってくると、またもとへ戻って新しい法律を早くつくったほうがいいよ、こういうことになるわけでありますけれども、それはそれとしまして次の問題に入りますが、第九条に「政令で定めるところにより、予算の範囲内において、当該移転又は除却により通常生ずべき損失を補償することができる。」という規定がございます。この「通常生ずべき損失」とは具体的には何をいうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/198
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199・棚橋泰
○棚橋説明員 九条の規定は、この騒音防止法の中の損失補償の規定でございます。それで、これは元来、航空機が離発着をいたします影響を受けまして、たとえば農業とか漁業というような事業に従事されておられます方が影響を受けて、損害を受けるという場合を考慮した損失規定でございます。これにつきましては、従来まで防衛庁関係の施設におきましては、この損失補償を実施をしてきておりますが、民間航空関係の飛行場につきましては、それによって算出できる具体的な営業の損失というものが考えられないというところから、現在までこの損失補償の規定は実施をされていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/199
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200・松本忠助
○松本(忠)委員 それではもう一点伺います。
三十七年六月二十九日の閣議で、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の施行についての了解事項があります。この中で、事業施行に伴う損害等の賠償については「損害等の発生が確実に予見されるような場合には、あらかじめ賠償してさしつかえない」という了解がなされております。したがいまして、社会生活上受忍限度を越えるところの航空騒音公害については、通常生ずべき損失補償のほかに、損害賠償を含んだところの体系の補償を考えるべきではないかと私は思いますが、この点についての当局の見解を述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/200
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201・棚橋泰
○棚橋説明員 御承知のように、公共用地の取得に伴う損失補償基準と申しますものは、たとえば道路とか港湾とかそういうふうな事業を行ないます場合の用地取得をはじめといたしまして、私どものやっておりますようなものまで含めましたかなり広い範囲の用地取得の際の補償の基準を定めているものだというふうにいわれております。ただいま先生御指摘のところがどこに書いてあるのか、私、ちょっと手元に見つからないわけでございますが、先生のお話の点につきましては、たとえば道路をつくるために、その道路をつくる工事によって生ずる損失、そういうものはそれに加算して補償する、かような規定ではないかというふうに存じます。
で、私どものやっております移転補償等は、すでにできました飛行場の航空機の離発着によります障害に伴います土地の買い取りとかそういう関係でございまして、そういう意味におきましては、先ほど御説明を申し上げました飛行機の離発着に伴います損失がございましたら、現実にこの補償の対象になるわけでございますけれども、移転補償を逆に加算して補償するという性格ではないというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/201
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202・松本忠助
○松本(忠)委員 当然私どもの生活の上に、もう限度を越えたところの航空騒音公害というものが、実際問題で伊丹の人たちは苦しんでいるわけです。そうしたことを考えてみましたときに、いわゆる通常生ずべき損失補償のほかに、こういうものを含んだところの損害賠償というものが当然私はあっていいのじゃないかというふうに思いますけれども、これはどうしてもだめですか、規定の上では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/202
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203・棚橋泰
○棚橋説明員 まことに申しわけございませんが、私、先生の御質問を若干誤解したかもしれませんので、私がいままで申し上げておりましたのは、いわゆる損失補償の、この法律に基づきます損失補償として十条に規定されておる補償の話を申し上げておりまして、先生の御指摘の点は九条の二項の「除却により通常生ずべき損失を補償」、この点を御指摘になったのではないかと思います。その点につきましては、現在、移転補償をいたします際には、たとえば立ち木、門扉その他を取り除くということに必要な損失というものは現在の移転補償の中に加算をして算定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/203
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204・松本忠助
○松本(忠)委員 時間もありませんから、それじゃ先に進みますが、土地の買い取り価格ですね。鑑定評価で決定されるわけですが、この鑑定の要素の中に、騒音によるところの減価、要するに値打ちがなくなったという減価、価値がなくなったという減価ですよね、及び事業の損失、たとえば飛行場があるがゆえにそこのところはもう開発されないんだ、そんなところはできないんだということの事業の損失、こういったものを考慮して、たとえていうなら、市内で同じ面積の宅地が入手できるような買い取り価格を決定すべきじゃないかと考えるわけです。さっきも梅田君の指摘にありました、土地が十何坪減ってしまったというようなことですね、家屋は若干ふえたけれども、土地が減ってしまった。大きな財産が損失をするわけですね。そのほかに、運輸省の計画でございますと立ちのき移転の補償だけをして、あとはごかってだ、こういうことになりますと、これはもう住民無視の姿勢じゃないかと思う。やはり新しい移転先居住地に対する配慮が欠けていると思うわけです。そういったところから新しく宅地を造成するんだと言うけれども、その宅地造成も一体いつのものだかわからない。立ちのくほうだけどんどんどんどん立ちのけ立ちのけといっても、これは人間性を無視したことで、とてもじゃないけれども、こういうお役所のやり方では納得できない、ついていけないというのが住民の考えでございます。特に伊丹の場合でも、市内の大部分が騒音の地帯であります。したがいまして、たとえ移転してもあまり変わりはないと思うのです。したがって、その立ちのきの意味がないというふうに私どもは考えておるわけです。いまさっき言われました川西のほうのあの土地がたいへんいいところなのかどうか、そこへ移っていけばほんとうにもう騒音公害からのがれることができるのかどうか、こういうこともあらかじめはっきりしないことには、移る気にもならないだろうと思うのです。これはほんとうの話だと思います。移れ移れといって、移転料は出すからあとはおまえさんのほうでかってにやれというやり方では、私は身もふたもない話だと思う。そういったことで住民感情も、非常に土地に対する愛着というのはあるわけですから、そういう点の配慮を欠いていると、いかに組織ができてもなかなか進捗しないだろう、私はこういう点を心配するわけでありますけれども、この住民の意思をどう反映させ、どう受けとめていくかということについて、大臣はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/204
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205・徳永正利
○徳永国務大臣 御承知のように、ただ立ちのけ立ちのけではいけないと思います。やはりその間によく御了解を得て、話し合いの上でそういう問題は進めていかなければならぬ。先ほど来御説明申し上げておりますように、少ない人員でやっておりますけれども、法律の御審議をいただいた暁には、また地元の皆さま方公共団体の応援も得まして、いま御指摘にあるようなことのないような方策を熱心に進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/205
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206・松本忠助
○松本(忠)委員 その実施の関係の方々のお考えというものも、ほんとうにそれが住民の意思というものが完全に反映されているものかどうか、これはまだ私は非常に疑問な点があると思うのです。ほんとうに住民の中で、とてもじゃないけれども、いまのような状態じゃ離れられない、こういう人もかなりいるように見受けられます。こういった点は、現地調査なり、あるいはまた参考人を呼んで聞いてみればはっきりするわけでございます。私どもはあえて誇張して申し上げているわけじゃないわけであります。そうした点を考えましたときに、ほんとうに住民感情というものに対しさかなでするようなやり方ではものごとは運びませんよ。ほんとうに住民の方々のコンセンサスを得た、移転するについても何の心残りもない、むしろ騒音から今度解放されて住宅環境のいいところに住める、感謝されるような方向に持っていかなければ、金は、移転をすればしただけにかかるけれども、それに対する補償が完全でない。そういう点を考えてみますと、ほんとうにこうやりますよ、安心しておまかせくださいと言えるようなものの打ち出しがなければ、私は、とてもじゃないけれども、ついていけないと思う。そういう点に対して重ねて十分な配慮をなさるようにひとつお願いしたいと思うわけです。
それで次の問題でありますが、民家の防音工事の問題であります。一住宅一室、これを国の助成でやる。これは七五%の負担を行なうということでございますけれども、具体的に言った場合に、一体一軒当たりどれぐらいの金額を見積もっていらっしゃるのか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/206
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207・棚橋泰
○棚橋説明員 民家の防音工事につきましては、御承知のように当四十八年度予算に約三億円計上されておるわけでございますが、法律の成立が延びております関係でいまだに実施に至っていないわけでございます。したがいまして、法律が成立をいたしました段階において、財政当局との間で実際上の補助基準というものをきめるわけでございます。それはいまだ定まっていない段階でございます。ただ、予算の積算上といたしましては、一軒の一室当たりの工事額を百万円というふうに算定いたしまして、その七五%の七十五万円というのが予算額として四十八年度、四十九年度計上されておる額でございます。ただしそれは昨年の予算時に算定いたしました金額でございまして、そういう点については実際に実施をする際の補助基準において再度実情をいろいろ検討してきめたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/207
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208・松本忠助
○松本(忠)委員 そうしますと、一応国費で負担する分は百万円のうち七十五万円だ、こういうことになるわけですね。それも去年算出した金額でありますし、当然物価が高騰しておりますので、それだけではできないだろうと思いますけれども、はたして一世帯で一室だけ防音工事ができた、それではたしてほんとうに騒音からのがれて安心してそこで生活できるかというと、なかなか私はそうもいかないと思います。やはり家族構成にもよりますけれども、一軒のうちで二室は必要じゃないかというふうに考えますが、これはあくまで一軒一室あるいは一軒二室ということは、要するに居住している人たちの希望によってきめられるものでしょうか、あるいはまた家族構成等によってきめるものでしょうか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/208
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209・棚橋泰
○棚橋説明員 先生御指摘のように、一室でいいかという点は私どもも十分感じておるわけでございます。したがいまして、四十八年度、四十九年度の当面の予算は、一室でいいから早くやってほしい、たとえだ病人がいるとか、そういうような御事情で早くやってほしいという方を優先的に一室の御希望の方からやりたいというふうな予算を計上いたしておりますが、最終的には二室まで防音工事をできるように財政当局と話を詰めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/209
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210・松本忠助
○松本(忠)委員 具体的にそういう家庭が何軒あるかということ、希望して早いところ防音工事をやってもらいたいと希望する家庭が何軒あるかということを、実際つかんでいらっしゃるんですか。ほんとうにつかんだ上でやっているんですか。三億円というものを計上するについても、ただばく然と三億円計上したにすぎないのじゃないかと私は思うのです。ほんとうにそういう点に対する見込みといいますか、算定の基礎といいますか、そういうものがあったのかしら。一体ほんとうに希望するものが何軒あるか、その点つかんでいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/210
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211・棚橋泰
○棚橋説明員 その対象区域の中にどの程度の民家があるということについては、これは数字は私どもわかっておりますが、その方々が、まず一室を希望される方がどのくらいで、二室を希望される方がどのくらいでという調査はまだいたしておりません。
それから、四十八年度予算では三億円、また四十九年度予算でさらに計上いたしておりますが、まことにあれでございますが、当初の三億円という積算基礎は、民家の防音工事は初めてでございますので、たとえばそれを実施いたします仕様の様式とか、工務店とか、資材とか、そういうようなことを考えまして、当初スタートにおいては、予算をたくさんとってもそれほどの量を実施するということは物理的に不可能ではないかということで、財政当局との間で、当初年度三億円ということで定めたわけでございますが、その後の二年度、三年度以降は急速に戸数をふやしていこう、かように計画をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/211
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212・松本忠助
○松本(忠)委員 私は、そういう点はあまりでたらめ過ぎると思うのです。大臣、三億円計上すると言ったって、それは天から降ってくる金じゃないのですから、国民の税金なんですから、それを使うわけです。そこへもっていって、一体何軒入るかわからない。そんなことも調査もしていない。一室で大体百万円程度かかるだろう、初めてやることだからわからない、これじゃ全くでたらめ過ぎると私は思う。もう少し精密な調査をして、そしてほんとうにこういう人たちが、いま病人をかかえてる、あるいは移転したくても移転できないから防音工事をしたい、そういうことに当然なってくると思うのですよ。そういう点に対して、あまりにもずさん過ぎやしないかと思いますが、大臣、どうですか、お考えは。ずさんと思わない、それでよろしいのだとおっしゃれば、私そのことは別にあとは追及しません。そういうやり方についてのみ、私は政府の態度というか、運輸省の考え方というか、そういうものをそれだけに評価しておきますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/212
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213・徳永正利
○徳永国務大臣 初めてのことでもございますし、あくまでも予算でございまして、大体の積算の基礎というものについては、ただいま課長から御説明申し上げたわけでございます。
なお、この点につきましては、もしも御希望の方が多いということになれば、それに対する対策は、至急またあらためて立ててまいらなければならぬと思いますが、四十八年度としては一応そういうふうな予算を計上した、こういうことでございますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/213
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214・松本忠助
○松本(忠)委員 それでは、残りの二五%は住民負担、こういうことになるんだと思いますが、その住民負担の場合、二五%の金額をまるまる個人が持つのか、あるいは地方公共団体等の補助があって、それを幾らかでもカバーできるのか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/214
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215・寺井久美
○寺井政府委員 この点につきましては、実は前国会でも御答弁申し上、げたことがあるかと思います。残りの二五%のある部分につきましては、やはり個人に負担をしていただくべき筋だというふうに考えておりますが、その他の相当部分につきましては、やはり住民の福祉増進という観点から、地方公共団体が何らかの助成を講じていただくことを期待しておるわけでございます。また、国といたしまして、地方公共団体がこういう経費を負担する場合に、何らかの財政的な裏づけを考えていく必要があるというふうに考えまして、目下財政当局といろいろ話を詰めている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/215
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216・松本忠助
○松本(忠)委員 とにかくあまりすっきりしませんね。ほんとうに金があってだぶついてれば、もうそんなところに住んでませんよ。騒音がうるさくてしょうがないんだ、病人かかえている、とても人間が住めたものじゃないのですから。しかし、そこを移転できない事情があるのです、その人たちには。そういう人が、国から七五%の補助があったから、じゃ残り二五%は自分で負担するんだ。たとえば地方公共団体がそれを助成してくれるとしても、一部を補助してくれるとしても、やはり一時は立てかえるなり何なりしなければならぬわけでしょう。そういう金がなかなか右から左というふうにないのが実情なんです。そういう実情に対してあまり御認識がないんじゃないかと私は思うのです。そこであえてお伺いしたわけですが、もう時間もありませんので、もう一点聞きます。
借家人、要するにアパートなんかで部屋を借りてる場合、そのアパート全体が、ある期間内にみんなが合意のもとに移転するということがはたして可能かというと、これはむずかしい問題だと思うのです。そうなった場合に、要するに一世帯一部屋、借りてる人の単位で補償が行なわれるのが当然だと思いますけれども、越していくたびに補償が行なわれていく、全体が越してしまわなければ補償はしないというようなことも私は聞いてるわけでありますけれども、それはやはり実情に合わないんじゃないかと思う。実情に合わせるならば、やはりアパートに住んでいる人には、越していくたびにそれだけの補償というものをきちっとしてあげて、そうして出ていっていただくというふうにしなければ、だれだって先に出ていきませんよ。そうかといって一緒に出ていくなんということはなかなかこれはできない問題で、そういう実情にそぐわない点についてどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/216
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217・寺井久美
○寺井政府委員 借家人の問題につきましては、実は私どもも非常に頭を痛めております点でございまして、ただいま先生御指摘のような問題がございます。問題は、出ていく方に補償をすることはよろしいのでございますが、その次に新しく入ってくる方を押える方法がございません。したがいまして、これは無限にこの補償を繰り返さなければならないという事態になるおそれがございます。そこで私どもが現在考えておりますのは、そのアパートならアパートごと全部移っていただくという方法が一番よろしいということで、今度の周辺整備機構の事業の中には、そういう共同住宅を移転先に建てる、そしてアパートごと移っていただくというようなことを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/217
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218・松本忠助
○松本(忠)委員 その新しく共同住宅を建てて、そっちのほうへすっかり行ってくれれば一番いいのですけれども、なかなかそういかないのが現状じゃないかと私は思うのです。
なお、防音工事をしました場合に、やはり常識的にいえばクーラーをつけなければならないと思うのです。クーラーがついたような場合の暖冷房の維持管理費というものは、一般の家庭よりは高くなると思うのです。それだけ、いままでやらなくても済んだものですから。そういったものについての負担増となる分に対する措置は考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/218
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219・寺井久美
○寺井政府委員 クーラーというお話がございましたが、こういうことによって必要な電気代等を補償するということは現在のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/219
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220・松本忠助
○松本(忠)委員 どうもお役人さんの考えというのは全く机上の空論だと私は思う。実際問題として、防音工事をやって、その暖のほうはともかくとして、冷房のほうは、なければやはり人間として、ましてやさっき局長が言われたように、病人があるという家は早く防音工事をしてもらいたい、こういう希望があると言われたけれども、一体、病人がむんむんする暑さの中で、冷房もなしにそういうところに住んでおられるというような認識をしておる点にも、そもそも間違いがあると思うのです。暖冷房の暖のほうはともかくとしましても、冷房に対することぐらいは少し考えてやったほうがいいのじゃないかと私は思いますけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/220
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221・寺井久美
○寺井政府委員 ただいま先生の御指摘でございますが、現段階ではやはりそういうクーラーの維持費を見るというところまで、いまの体制では考えられないというふうにお答え申し上げるよりしかたがないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/221
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222・松本忠助
○松本(忠)委員 いろいろとお伺いしたいことがございますけれども、とにかくこういう状態でいったのでは、計画だけでなかなか実際問題として進まないだろうと思います。現地住民の声というものも、きょうの理事会において聞く機会もできましたし、あるいはまた参考人の意見も聞き、さらに連合審査等によって、十分この問題点を把握した上でこれに対処していかなければならないと思います。
とにかく相手は人間でございます。機械じゃないんですから、人間を移動させるということなんです。そうして移動させるについては、それだけのものがやはり費用もかかるわけですし、感情を無視して、感情をさかなでするようなことでは、とうていこの事業が円満に遂行されるとは思いません。いままででも、現在の現行法でもできなかったものが、新しいその第三セクターをつくれば、それで何でもすらすらというように思っていらっしゃるけれども、とうてい私はそれではできない、こういうふうに考えておるわけでございます。
まあ、あなたのほうは確信がおありでしょうけれども、きょうの答弁を通じてみましても、完全な確信があるというふうには受け取れません。この問題に対して私たちはなおさらに問題の追及をし、そして実態を明らかにして、その上で態度をはっきりさせたい、このように思っております。
きょうはこの点でとどめておく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/222
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223・三池信
○三池委員長 次回は、来たる十九日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107203830X00719740215/223
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