1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月四日(木曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 角屋堅次郎君
理事 坂本三十次君 理事 登坂重次郎君
理事 林 義郎君 理事 森 喜朗君
理事 渡部 恒三君 理事 島本 虎三君
理事 土井たか子君 理事 木下 元二君
近藤 鉄雄君 田中 覚君
小林 信一君 米原 昶君
坂口 力君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(環境庁長官) 三木 武夫君
出席政府委員
公害等調整委員
会委員長 小澤 文雄君
公害等調整委員
会事務局長 宮崎 隆夫君
環境政務次官 藤本 孝雄君
環境庁長官官房
長 信澤 清君
環境庁長官官房
審議官 橋本 道夫君
環境庁企画調整
局長 城戸 謙次君
環境庁自然保護
局長 江間 時彦君
環境庁大気保全
局長 春日 斉君
環境庁水質保全
局長 森 整治君
厚生省環境衛生
局長 石丸 隆治君
農林大臣官房技
術審議官 遠藤 寛二君
通商産業省立地
公害局長 林 信太郎君
運輸政務次官 増岡 博之君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 住田 正二君
労働省労働基準
局安全衛生部長 中西 正雄君
建設政務次官 内海 英男君
委員外の出席者
通商産業省立地
公害局鉱山課長 石川 丘君
資源エネルギー
庁長官官房鉱業
課長 斎藤 顕君
建設省道路局企
画課長 浅井新一郎君
特別委員会調査
室長 綿貫 敏行君
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委員の異動
四月四日
辞任 補欠選任
松本 十郎君 近藤 鉄雄君
同日
辞任 補欠選任
近藤 鉄雄君 松本 十郎君
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四月二日
有害鳥獣の捕獲に関する請願(加藤紘一君紹
介)(第三一六八号)
自然保護の見地より山梨県の自然公園道路計画
中止に関する請願(瀬野栄次郎君紹介)(第三
二五〇号)
同(林孝矩君紹介)(第三四六二号)
自然保護のためビーナスライン美ケ原線等の建
設中止に関する請願(岩垂寿喜男君紹介)(第
三二五一号)
同(中澤茂一君紹介)(第三二五二号)
同(原茂君紹介)(第三二五三号)
同(林百郎君紹介)(第三三〇八号)
同(大石武一君紹介)(第三四六三号)
は本委員会に付託された。
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四月三日
自然環境保全のため緑地保存に関する陳情書
(第四四四号)
生活環境保全のため北海道縦貫高速自動車道の
江別市通過路線計画変更に関する陳情書
(第四四五号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
公害紛争処理法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七二号)
公害対策並びに環境保全に関する件(大気汚染
及び水質汚濁対策等)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/0
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001・角屋堅次郎
○角屋委員長 これより会議を開きます。
公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤鉄雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/1
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002・近藤鉄雄
○近藤委員 環境行政が三木環境庁長官のもとに、日本の社会のために、特に環境を汚染から守るために、たいへん前向きな行政をしておられることに対しまして、私は敬意を表するものであります。このように環境汚染が、人体やまた日本の自然に与えるいろんな影響について私たちは十分にきびしくなければならないと思いますが、しかし同時に、それが正しい科学的な根拠に基づかないで、かりに思惑だとか憶測のもとになされたとする場合に、住民に対して不必要な不安感を与えるような場合もあることを私たちは知らなければならないと思うのであります。たとえば先般、いわゆる魚の汚染の問題について厚生省が不用意にと言うと、ことばが過ぎますけれども、必ずしも十分説明をつけないで発表したことが、たいへんな恐慌状態を日本の社会の各層において起こしたような事実もあると私は判断せざるを得ないわけであります。そういう観点に立ちまして、私は本日、この委員会においていわゆるカドミウム公害の問題について少し具体的な点を詰めて、一体それが人体に対して、その他生物体に対してもしかりでありますが、特に人体に対して具体的にどのような影響を与え得るのか、それがどのような実験結果なり研究調査に基づいて判断されているかについて、少し技術的ではございますけれども、御質問をして明らかにしていただきたい、かように考える次第であります。
いわゆるカドミウム公害については、富山県神通川流域に発生したイタイイタイ病、これは世界にまれな奇病であるわけでありますけれども、どうもこれがカドミウムを長時間経口摂取した結果である、こういうような判断から、いろいろ注目を受けてまいりました。まさにカドミウム公害がこれだけ世間の注目を浴び、また世界的にも注目を浴びたのは、どうもこのカドミウムとイタイイタイ病との関係からではないかと思うわけであります。しかし最近、いろいろな研究や調査がイタイイタイ病患者について行なわれておるようでございますし、また神通川流域以外のいわゆるカドミウム汚染地域についても相当広範な調査がなされた結果、どうもカドミウムがイタイイタイ病の原因ではないのではないか、こういう説が最近はきわめて有力になってきたのではないかと私は考えるわけであります。
そこで、まず環境庁にお伺いしたいわけでございますけれども、最近のいろいろな調査結果の実績に照らして、いわゆる昭和四十三年五月八日に厚生省の発表されました「富山県におけるイタイイタイ病に関する厚生省の見解」、この見解の内容は何かということを要点をかいつまんでお話をしていただき、しかも現代のいろいろな、先ほど申しました調査、研究に基づいても、なおかつ、この厚生省見解なるものを厚生省、それから環境庁としては依然と支持されておるのか、それともこういった新しい実験結果に基づいて訂正されようとしておるのかについて承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/2
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003・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問のございました昭和四十三年五月の厚生省見解は、主として昭和四十年にまとめられました金沢大学の総合研究班の成果というものをもとにして、行政的な見解としてあらわしたものでございます。それ以降現在まで六年足らずの歳月がたちまして、いろいろの研究が進みましたわけですが、政府といたしまして、基本的にカドミウムが主因となってかんでおるということにつきましては、いささかも変化はございません。
ただ、病気のメカニズムの中に、厚生省見解で、「まず腎臓障害を生じ、次いで骨軟化症をきたし、」という病気のメカニズムのポイントがございますが、これがどうも最近の研究では、この点についていろいろ議論があるということでございまして、特に今年の研究成果としては、相当はっきりしたものが出てきておりますので、そのようなものを参考として、将来対処していきたいというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/3
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004・近藤鉄雄
○近藤委員 ただいま橋本さんから、そういう御答弁があったわけでありますが、それでは承りますけれども、あれ以来、一体全国のいわゆるカドミウム汚染地域についてどれぐらいの調査をしていらっしゃったか、そして、神通川流域以外の地域において具体的にイタイイタイ病患者と判ぜられる患者が何人、調査の結果発見されたかについて承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/4
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005・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 従来の調査についてでございますが、そのカドミウム環境汚染につきましての観察地域といたしましては、全国で七県七地域ございまして、四十五年度以降二万八千人につきましての健康調査をいたしまして、そのうちで要鑑別診断患者といたしまして、延べ六百九十一人の方を、骨あるいはじん臓の問題につきまして詳しい鑑別診断を行なってまいりましたが、現在なお、このうち八件について追跡をしながら検討をいたしておるという段階でございます。
要観察地域以外におきましては、県自身が調査をいたして、そのうちの報告の来ておるもののみを申し上げますと、兵庫県の生野の地域におきましては、四十六年以降一万人をこえる住民をいろいろ健康診断をいたしまして、十三名が国の鑑別診断研究班に送られてまいりました。最近、この鑑別診断研究班に送られてきた者以外の問題も、非常に大きな学会報告としてなされてきておるという実情もございます。また、吉野川流域の問題につきましては、四十歳以上の女子千十五人を対象といたしまして検診をいたしましたが、尿中のカドミウム濃度が三十マイクロ以上の人は発見されませんでした。骨あるいはじん臓につきまして、カドミウムによるものという障害は現在のところ認められておりません。そのほか、青森県の川内町というところにおきましても、三十歳以上の住民四百七十五人を対象としましたが、異常は見られておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/5
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006・近藤鉄雄
○近藤委員 ただいま橋本審議官から御説明があったその数字からも明らかだと思うわけでありますが、二万八千人の調査をされて八件疑わしいと言いますが、疑わしいといっても、それはほんとうにイタイイタイ病に非常に近い症状を呈している人が八名いるということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/6
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007・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 いまの八人の方につきましては、一つは骨の所見で骨軟化症の問題につきまして、そこまではっきりしていない者が多うございますが、いろいろ議論があるというもので持ち出されてきたものと、じん臓の所見といたしまして、カドミウムによるじん障害として実験的に考えると、低分子たん白の出るじん尿細管の障害があるということが学問的にございますので、それにきわめて類似しているということで鑑別診断を進めている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/7
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008・近藤鉄雄
○近藤委員 しかしこれは、二万八千人の、日本人の女性ですね。いわゆる五十歳以上で、たくさん子供を産んだ経験のある女性ということでお選びになったと思うわけでございますが、二万八千人ものそういう御年配の女性の方で、たいへん子供をたくさん産まれた方の中には、おそらくカドミウム以外の要因で、たとえばじん臓に病気を持っていらっしゃる方とか、骨に対していろいろ障害をお持ちになっている方がいらっしゃっても、私はふしぎではないと思うのでございますが、いわゆるカドミウム対象以外の地域において、かりに二万八千人もしくは三万人の診断をされた場合に、大体これぐらいの症状を呈する方が——私は専門家ではないからわかりませんが、あってもふしぎじゃない。ことに日本の農家の場合には、たいへん過重な労働を長い間やっていらっしゃっているわけでございますから、したがって、そのカドミウムだけでなしに、いろんな障害をこれまでの苦しい農作業の結果お持ちになっていらっしゃる方があるに違いないのですが、その点については何と判断されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/8
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009・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 いま先生に申し上げました人数は、その中で特別に疑わしい者の人数を申し上げましたわけでございまして、異常を発見された者の数から申しますと、いま正確な数字は、ちょっとお答えできなくて恐縮でございますが、かなりの人数にのぼるものでございます。
この点につきましては、このカドミウムの影響についての解明は、現地の調査と、それから動物実験と、それから個人、人間のいろいろ標本、尿のこまかな生化学的な研究というような問題と、臨床的な解明と、全部並行して進めておりますので、四十八年度の研究成果から見ますと、従来とは非常に違った新しい、カドミウムを裏づける説が強くなってきているということは、私ども感じているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/9
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010・近藤鉄雄
○近藤委員 先ほど橋本さんのお話の中にもあったのでございますが、厚生省が厚生省見解を述べるにあたって、いわゆる金沢大学を中心とした研究班の実験、研究に基づいてなされたというお話でございますが、どうもあれ以来、まさに当金沢大学においても、必ずしもカドミウムがイタイイタイ病の原因ではない、こういうことをおっしゃる先生方が非常に出ていらっしゃる。たとえば金沢大学内科の武内先生とか、同じ金沢大学病院の梶川先生だとか高瀬先生、その他群大野見山先生だとか、神戸大学の喜田村先生とか、こういう、当時厚生省見解をつくるときに一緒になって勉強して研究されて、そういう結論を出された方が、いまやどうもその原因に対して非常な疑問を持っていらっしゃる。
ここに私持ってまいったわけでございますけれども、昨年の「日本臨床」の六月号の中で、その中のお一人、金沢大学の内科の武内重五郎先生が、「イタイイタイ病の病因、カドミウム原因論に対する批判」という論文をお載せになっているわけでございます。
結論を申し上げますと、「イ病の原因をめぐり、」——イ病はイタイイタイ病でありますが、「(一)「イ」病はカドミウム蓄積により生じた尿細管障害にもとづく腎性骨軟化症であるとする説と、(二)これを疑問視し、「イ」病はビタミンD欠乏性骨軟化症であり、最近の「イ」病患者の示す尿細管障害はむしろ治療として用いられた大量のビタミンDにより生じた可能性を考慮すべきである、とする二つの説が対立している。
(一)の説は疫学的・病態生理学的・病理学的および動物実験のいずれの面においても充分な医学的根拠に乏しいことが明らかにされた。(二)の説もなお推測の要素を残しているが、」——すなわち、そうじゃない説もある。「なお推測の要素を残しているが、(一)説に比べより矛盾なく「イ」病の全貌を説明しうるものと思われる。
カドミウム原因論は先入観にとらわれることなく根本的に再検討すべきものと考えられる。」これが、まさに厚生省見解をつくられた御本人が、学者の中の一人が、こういう説をいっていらっしゃるわけであります。
さらに、私も専門家じゃないからわかりませんが、日本公衆衛生協会の「環境保健レポート」「イタイイタイ病およびカドミウム中毒に関する学術シンポジウム」また同じく「環境保健レポート」「環境と公害情報資料カドミウム中毒」これに相当こういった学者の方々が研究していらっしゃいますが、私はさっと目を通しました。
いま橋本さんがおっしゃったように、カドミウムがイタイイタイ病の原因であるということを裏づける推論、実験見解よりも、むしろそれとは関係がないんだ、こういう推論をするような実験が多いわけでありますが、こういう最近の研究結果に基づいても、なおかつ環境庁は、イタイイタイ病がカドミウム中毒によって生ずるんだという結論を依然として固執される根拠はどこにあるのか。先ほど申しましたように約二万八千人、もっといえば四万人調査したんだ、しかしほとんど出なかったじゃないかというような意見すらある状況において、私は率直にいって、なおかつ環境庁が、この問題にこれだけ固執する理由がよくわからぬのですが、あらためて御解明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/10
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011・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問のような研究発表のあることは事実でございまして、カドミウム研究班におきましては非常に公正に、賛否両論の方の学問を自由にやっていただいているということでございます。そういう意味で、カドミウムにつきましての学問的な学説は完全に完成したという段階ではございません。カドミウム説をきわめて強烈に主張する人と、また片一方、カドミウム反対説を強烈に主張する両派がございまして、そのまん中のグループが一番どちらにも片寄ら、ず研究しているという状況でございます。
四十七年までの状態におきましては、先生のような議論がかなり大勢を占めてはおりましたが、この春以来の研究報告をながめてまいりますと、カドミウムの代謝あるいはカドミウムによるじん障害あるいはカドミウムによる直接の骨の侵襲というところにつきまして、非常に実験あるいは生化学的な分析という点の問題が進んでまいりました。
また、最近問題になっております生野の問題にいたしましても、従来竹内先生の論拠は、よそにイタイイタイ病が一人も発見されておらないのではないかということが一つの大きな論拠になっておりましたが、それにつきまして非常に大きな問題があらわれできているということでございます。
なお、日本の学者以外の、国際的なカドミウムを長く研究してきたスウェーデン学者の意見は、どちらかというとカドミウム原因説のほうを強く支持をしておるという全体の大勢をながめますと、行政としては本来の見解を変える必要はないというぐあいに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/11
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012・近藤鉄雄
○近藤委員 ただいま国際的なとお話があったのですが、いわゆるワールド・ヘルス・オーガニゼーション、WHOのテクニカルレポートシリーズの中で、このカドミウムの問題についての論及があるので、私もこれを読んでみたわけでございますけれども、この中でイタイイタイ病のことに触れておりますけれども、いろいろ私が調べてみますと、WHOの非常に権威のあるレポートになっていますが、これ自身も率直にいって、スウェーデンのフリバーグという学者——スウェーデンも、そうたくさんの学者がこの問題を取り上げているようではないようでありまして、たまたまごく少数の学者がこういうことで問題を研究しておって、したがって極端にいえば、自分たちの自説をある程度裏づけるためにも、この中にちゃんとイタイイタイ病を書いているわけです。
日本におけるイタイイタイ病の原因もカドミウムのようだということになっておるわけでございますけれども、私もそう英語に強くありませんが、非常に遠慮して、ライクリー・コース・オブ・イタイイタイ・ディジーズ・イン・ジャパン、イタイイタイ病もひょっとしたら、そうかもしれないというぐらいのことなんですが、しかし、こういう形でりっぱなレポートが出ますと、いかにも権威があるように考えられますけれども、このレポートの根拠が、イタイイタイ病がカドミウムから来たのだということを主張している日本の一部のお医者さん、学者の意見に基づいてなされておると考えれば、私は、国際的な研究結果についても、どれだけ真理性があるのかどうか疑問だと思うわけであります。
しからば承りますけれども、国際的に日本以外に、カドミウムで具体的にどれだけの病状が起こったのか。そういう例がどこか世界にあるのか、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/12
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013・橋本道夫
○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問になりましたWHOの専門委員会に私も出席しておりました。そこで、あれは完全な学問ベースの問題でございますから、学問ベースにいけば、先生のおっしゃったライタリー・コーズという形の英語の文章になるのだろうと思います。そういうことで、WHOでは少なくとも学問的な所見については、そう割り切りをしないことを旨といたしておりますので、当然そのような表現になると思います。
それからもう一つは、カドミウムによってイタイイタイ病と同じような骨の病変が起こったケースがあるかという御質問でございますが、これは労働衛生の分野でイギリスとフランスに十五例ございます。
ほかの国に、これはないかという御質問でございますが、御承知のように先進国では、日本のような地形形態のところで、かんがいされている米を食べている国というのは、私はよく存じません。これは非常に特異な形態でございます。あるいは日本は魚を食うとか米を食うという、きわめて特異な人種的な習慣もございますので、そういう点から見ると、先進国の労働衛生の中にあったということは事実でございますし、これについての否定的な見解は現在までのところありません。きわめて数の少ないものであろうということは、イタイイタイ病のカドミウム説を主張する人々においてもいわれているところでございます。
以上のようなことで、私どもは行政的にはこの見解を変える必要はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/13
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014・近藤鉄雄
○近藤委員 ただいま労働衛生のお話が出ましたが、労働省の安全衛生部長がお見えだと思うわけでありますが、しからば、こういうカドミウムを通常の食生活から吸収するような者と比較して、カドミウムが粉末なりヒュームの状態で多数発生する職場において働いている労働者、これはもっと直蔵にカドミウムの影響を受けると思うわけでございますが、現実に日本の各工場においてカドミウムによってどういうような病状を呈しておるか、具体的な例があったら御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/14
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015・中西正雄
○中西政府委員 お答えいたします。
職場におけるカドミウムの中毒は、もっぱら呼吸器を通じて起きております。カドミウムは、その粉じんやヒュームを吸いますと、胸痛あるいは呼吸困難、せき等を来たしまして、気管支炎などを起こすことがございます。また、微量であっても、長期間暴露いたしますと、じん臓障害などの慢性中毒にかかる。そういった有害物であるとされております。
職場での、いままでの中毒事例を申し上げますと、昭和三十九年の七月に、化学工場でテレフタール酸製造反応塔内のカドミウムが付着した巣板を取りはずすために、その取りつけボルトをガス切断いたしておりました労働者八名が、熱のために発散しましたカドミウムのヒュームを吸入しまして、急性気管支炎を起こした、こういう事例がございます。それから次は顔料、これはペイントでございますが、顔料製造工場におきまして、顔料に使うカドミウムを焼成する作業を二十年余り続けていた労働者一名に、じん臓障害を中心としました慢性中毒が発生いたしております。そのほかに、最初に申し上げました急性中毒と全く同じような状態で中毒を起こした事例がもう一件ございます。
なお、これらにつきましては、治療処置を行なった結果、急性中毒につきましては、短期間で回復をいたしております。それから慢性中毒にかかりました者につきましては、発病後約五カ月間入院治療いたしまして、現在は月に二度検査のために通院しているという状況でございます。
それから、いま申し上げました慢性中毒は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/15
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016・近藤鉄雄
○近藤委員 その場合、カドミウムだからそういうことになるのか、それとも、それ以外の金属、鉄とか鉛とか銅とかいろいろありますけれども、その粉じんだとかヒューム状態のものを吸収して同じような病気になるのか、その点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/16
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017・中西正雄
○中西政府委員 この点につきましては、やはりカドミウムによる中毒ではなかろうかと考えております。少なくとも急性中毒につきましては、二件全く同じような状態で発生いたしておりますので、これは間違いなくカドミウムではなかろうかと思っております。慢性中毒につきましては、いろいろそういった点も考えられるわけでございますが、二十数年同じような焼成作業に従事していた、しかもカドミウムはじん臓をおかすとされておりますので、じん臓障害があったということで、カドミウムによるものではなかろうかと考えておるわけでございます。
なお、この慢性中毒患者を発見いたしましたのは、実は昭和四十六年の三月に、カドミウム関係業務に従事している者につきまして、労働省が全国一斉に特殊健康診断を実施いたしまして、その結果発見されたものでございますので、その特殊健康診断の状況をちょっと御参考までに申し上げます。
健康診断を実施いたしました事業場が二百三十八でございます。受診した労働者数が三千八百五十七名。この中でカドミウム中毒にかかっている者が一名いるとされたのでございますが、そのほかになお、カドミウムによる影響を受けているのではないかという一応疑いがあって、観察を要するとされた者が三十六名、まあ受診者の一%以下でございますが、ございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/17
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018・近藤鉄雄
○近藤委員 ただいま安全衛生部長からの御説明があったわけでございますが、いわゆる私たちがイタイイタイ病、カドミウムという関連で、たいへんカドミウムというのは人体に対して害毒があるのだというふうな感じでものを見ておりますと、いま安全衛生部長からお話があったわけでありますけれども、そういういろいろカドミウムを吸収する職場は、私は日本国であっちこっちあると思いますし、世界的にもたくさんあると思うわけであります。それに基づいて病気を起こされた例が、そのカドミウムがたいへんだたいへんだと騒いでいるのから比較いたしますと、私はたいへん少ないのではないかということだと思うわけであります。
このイタイイタイ病とカドミウムの関係につきましては、いま環境庁のほうから御説明がありましたけれども、私は、医者でも何でもない、専門家ではありませんが、非常に常識的に考えても、あれだけの大ぜいの人を調査対象としながら、同じような病気がほとんど起こってないという事実、それからいろいろな先生方の研究に基づいても、これがどうもはっきりしない。それは、イタイイタイ病の原因は、むしろカドミウムから来るよりも、ほかのいろいろな要素から来ると考えるほうがより自然ではないか、こういうような、最近の分析結果から考えても、私は、その厚生省見解というものを、この際、少なくとも再検討されてしかるべきと考えるわけであります。
しかし、同時に、私は、このイタイイタイ病だけの問題でなしに、こういうことでいわゆるカドミウム公害が大いに世間の注目を浴びて、そして食品中に含まれるカドミウムの量を規制していこうじゃないか、こういうことでありますが、まあ、いまの労働省の安全衛生部長の話でも明らかであると思いますが、やはりカドミウムというのは全然人体に影響がないわけじゃない、ある程度、非常に高濃度のものを摂取すれば、これは人体に影響を与える、これももちろん事実だと思うわけでありますが、しかし、あえて申し上げますけれども、それはもうあらゆるものが、それは私たちの日常飲んでおります薬だって何だってそうだと思うのです。
これは適度に飲むから薬なのでありまして、ある一定限度を越して飲めば、何を飲んだって何を食べたって、たばこだって酒だって何だってかんだって、それはもうおかしくなってしまうのであって、現にカドミウム津らじん臓障害、そしてイタイイタイ病と、こういうような推論をされた場合のそのじん臓障害も、いろいろ調べてみると、骨軟化症の治療のためにビタミンDをめちゃくちゃに投入した結果、じん臓障害を起こしたというようなことまでいわれているわけでございますから、ですから問題は、その量の問題であって、絶対的にこれがいけないということではなしに、どの程度以上のものをどのくらい長く飲めば悪くなるか、これが私は科学的な判断でなければならないと思うわけであります。
ですから、環境庁長官もいらっしゃいますけれども、やはり最初申し上げましたように、私は、こういうものが人体や自然に対していろいろな影響を与える、これを防がなければならない、こういう気持ちにおいては決して人後に落ちるものではないわけでございますけれども、しかし問題咲その量の問題であって、たいへん安全なものを、これまでも飲んではいけないという形で、世間に、また一般の国民、消費者に、たいへん不必要な不安感を与えることが、私はやはり正しい政治だとは絶対に思わないわけであります。いけないものはいけない、しかし、これはだいじょうぶだというものをはっきりして、そして国民の皆さんに安心して食生活、社会生活をしていただけることを担保することこそが、私は政治の正しいあり方じゃないか、かように考えるわけであります。
そういう観点で、実は本日ももうちょっと時間をいただいて、そしてこの問題から、さらに米に含まれておりますカドミウムの許容限度を一PPMというふうに食品衛生法できめていらっしゃる、このことについても、私は少しじっくり、具体的なデータをもとにして御質問いたしたいと思っておったわけでありますが、残念ながら時間がたいへん少なくなってしまって、もう時間がない、こういうことでございますから、私は本日の質問は、これで終わりますけれども、近い機会に、委員長、時間を与えていただいて——非常に大事な問題だと思うのです。ですから、ぜひこの問題を国民の前ではっきりさせていただきたいと思いますので、よろしく御配慮のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/18
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019・林義郎
○林(義)委員 同僚委員の質問に関連いたしまして、一言委員長にお願いをしておきたいのです。
カドミウムの問題は、カドミウムが経口汚染によってじん障害を来たし、さらに骨障害を起こす、こういうふうなことが定説であるということになっておりましたが、先ほど来の質問及び答弁によりまして、だいぶ学界の御意見も相当に違ってきておるように見受けられます。
私も、この問題につきましては、過去三年か四年ぐらいずっと当委員会においても議論したところでありますし、やはり問題は学問的また科学的な究明というものをしなければならないだろう、こう思うので、かつて行ないましたように、カドミウム関係の学者に当委員会に御足労いただきまして、最近の学界の情勢なり、また学説なり、学問の進歩につきまして報告を求め、また質疑をする機会をぜひ委員長につくっていただきたい。事態がだいぶ変わってきておるように私は見受けますので、そういったことをぜひやっていただききい。委員長に、ぜひひとつこれをお願いしておきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/19
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020・角屋堅次郎
○角屋委員長 ただいまの林委員の申し出の点については、本件について第六十八国会の際に、昭和四十七年五月二十五日の委員会において金沢大学武内教授以下八人の参考人を呼んで意見聴取をしたことがございます。今日の時点で、さらにお申し出のとおり参考人を呼ぶかどうかについては、理事会で御相談をいたしたいと思います。
木下元二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/20
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021・木下元二
○木下委員 公害隠しで社会的な糾弾を受けております東邦亜鉛の対州鉱業所の問題を、まず初めにお尋ねをいたします。
対馬の厳原町佐須地区で、鉱石を採掘するために古い時代の坑口を再開発し、大量のズリを出して、谷間に放置をしておきながら、これは江戸時代のものである、こう言って、うそを言い続けてきたことが明らかにされております。
この問題の鉱山は、大正坑と呼ばれるものでありまして、佐須地区の椎根川上流の鬼ケ陳地区と呼ばれる地域の一部であります。福岡鉱山保安監督局が提出をしました資料によりますと、鬼ケ陳地区では明治以降、東邦亜鉛対州鉱業所時代を含めて全く採掘されていない、この地区に堆積をしたズリというのは、すべて江戸時代末までに掘られた旧鉱山によるものであるというふうな報告がされてきたのであります。で、東邦亜鉛は同地域のズリによる椎根川の汚染防止対策については、全く責任をとろうとせず、これは昔の鉱山なので国に責任があるという立場をとってきたのであります。ところが、事実は違っております。通産省、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/21
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022・林信太郎
○林(信)政府委員 お答え申し上げます。
対州の鉱害隠しの問題につきましては、許すべからざる問題でございますので、私のほうといたしましても、当初より徹底的にまずこの事態を究明するという方針で、なお現在も調査を進めております。
御指摘の鬼ケ陳のズリの問題につきましては、いままでのところ確認できておりません。御指摘のような問題をほかからも伺っておりますので、現地でなお早急に、的確に、それが事実であるかどうかを福岡監督局を通じて調べさせることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/22
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023・木下元二
○木下委員 まだ調べていないということですが、これは会社側も認めておるのですよ。会社側はこれまで、いま申しましたように、もう明治以前の採掘によるものだ、こう言ってきたんですけれども、問題が大きくなりまして、会社側もそうではなくて、これは新しく採掘したものによるということを認めておるのです。
たとえば、先般、わが党の調査団が現地に行きまして、会社側の鉱業所の斎藤取締役——副所長でありますが、と交渉をいたしておりますが、その際、これは「昭和二十四、五年ごろから三十年すぎまで東邦亜鉛が採鉱していたのは事実だ、こんご被害補償額の算定にあたっては、こうしたことも考慮する、ズリによる川水汚染防止については早急に手をうちたい」こういうふうに言っておるのです。会社側がこういうふうに認めておるわけなんですけれども、いまだに通産省は、こうした事実について調査をしていないと言われるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/23
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024・石川丘
○石川説明員 お答えいたします。
四十三年当時、カドミウムが鉱害源として重要視されてまいりましてから、対州につきましては古代のズリが問題になりました。と申しますのは、古代におきましては銀を中心に採掘しておりまして、それ以外の重金属は捨てておったわけでございます。
したがいまして、会社側に報告を求めまして資料を提出さしたわけでございます。それで四十四年に、その量の確定に調査員が参っておりまして、ただいま先生御指摘のありました福岡監督局の資料は会社側から出たものでございます。したがいまして、量の確認は一応概査でございますけれども、監督局がやったわけでございます。それで当時といたしましては、古代のズリというものが監督局にとりまして鉱害源として重要であったということでございまして、古代のズリを中心にチェックをいたしました、こういうことでございます。したがいまして、このただいま先生御指摘のありました資料は、会社側よりの報告の資料でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/24
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025・木下元二
○木下委員 これはよく調べればわかることなんですよ。このわが党の調査団が調査をいたしましても、そういう古い坑口ではなくて、新しい坑口を発見しているわけです。会社側の言うままの報告を、あなた方は確認しておるというだけじゃないですか。これはあなた方が独自の立場で調査をすれば、古いズリか、新しいズリか、新しい坑口があるかないか、こういうことは調査をほんとうにやればわかることなんです。これがやられていないから、もう会社の言っていることを、そのままうのみにしたような資料を玉つくりになる、こういう結果になっておるんだと思います。
この長崎県の重金属汚染原因調査班報告、九州大学の青峰教授を班長にした報告書がつくられておりますけれども、この報告書を見ましても、一三ページ、三ページ一四ページに、福岡鉱山保安監督局の資料がそのまま援用されております。これを見ましても、この鬼ケ陳のズリというのは一万五千五百トン、これは古代のズリである。
〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
古代というのは、西歴六七四年から一八六六年ということで、そういうふうな資料がこの鉱山保安監督局の資料としてつくられ、援用されておるのですね。だから、会社側の言いなりになって、その資料をおまとめになるという、そういう姿勢がこうした問題を起こしてくるわけなんですから、これはひとつ深く反省をしていただきたいと思うのです。
会社側がこれまで唱えてきました、このいわゆる自然汚染説、そしてそれを裏づけておりました報告書の根拠がここにくつがえったと思います。通産省の、会社側の主張をうのみにしてきた企業寄りの姿勢、これも明らかになったと思うのです。この点をどのように反省されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/25
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026・林信太郎
○林(信)政府委員 お答え申し上げます。
企業側の数字をそのまま信用して行政をやっておるというわけではございませんので、行政を的確にやる以上、多数の事業所がございますので、そこからまず報告をとる、そしてそれを現地で必要に応じてあるいは事前に監督官が確認をしていく、こういう方法をとっておるわけでございます。
あまりにも対州の場合には企業が悪質でございまして、社会的な通念をもっては想像できないような措置に出たわけでございますので、いま問題になっておりますような結果になっております。したがいまして、この三月八日に問題が起こりまして以来、再度にわたりまして多数の監督官を現地に出し、かつ、ただいま木下先生が御指摘になられました、このズリの古代のものか、あるいは事業所の責任にかかわるものかという点につきましても、確認を進めておる段階でございます。
御指摘のように、調査が手間どっておるではないかというふうな御叱責があろうかと思いますけれども、まず問題になりましたのは、現在の排水がどういう状況にあるか、あるいは最も大きく問題にされました注水、いわゆる水増しでございますが、この状況がどうかというふうな点に力点を置いて調査をただいままで進めてきておる状況でございます。で、引き続き、御指摘の自然汚染を作為したというふうな問題につきましても、今後厳正に進めていく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/26
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027・木下元二
○木下委員 このズリが古代のものかどうなのか、この点について調査を進めておるというお話なんですが、これは会社側は、さっき私申しましたように、実はこれまでは隠してきたけれども新しいものだということを認めておるのです。この点は、あなた方のほうで調査を進められてもいまだにわからぬわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/27
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028・林信太郎
○林(信)政府委員 お答え申し上げます。
ただいま先生から御指摘のように、会社側の言い分だけで判断すると、とんでもないことになるというふうなことでございますので、この注水一つとってみましても、いろいろな人から聞きますと、まちまちでございます。初め三回ないし四回と言ってみたり、あるいは人がかわりますと五、六回と言ってみたり、いろいろ調べていきますと、大体私どものほうで十三回というふうな、これも的確じゃございませんが、判断をしております。そういうふうに、会社側といいましても、いろいろな人がおり、しかもどの程度に反道徳的なのかというようなことも、根本的に私どもは対州に関する限り疑ってかからざるを得ないわけでございます。
したがいまして、先生が御指摘のような情報も聞いておりますので、それを現地につきまして監監官が直接確かめる、こういう手続を現在進めておる段階でございます。そういう形で、会社も言っておることでございますし、確認ができ次第、当然それをもとにして、しかるべくその後の措置をとるべきだというふうに考えております。特に一つの調査方法といたしまして、毎年施業案が出ております。施業案と現実の作業あるいはズリ等をチェックするというふうな方法も援用してやっておる状況でございますので、しばらくの期間御猶予いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/28
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029・木下元二
○木下委員 会社側がうそを言っておったときには、そのまま信用して資料もつくっておきながら、それがうそであったということを会社が認めた段階になって、いや、会社の言っていることは何を言っているのかわからぬ、そのままうのみにするわけにはいかぬ。うそであったということを会社が認めた段階でそういうことを言われるのは、私はどうも通産省の立場がほんとうに厳正公平な立場に立っておるのかどうか疑わしいと思うのです。
〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
いま会社がこのように認めておる事実について調査を進めておるということを言われますので、これはさっきも私申しましたように、会社側といってもいろいろ人がおるかもわかりませんけれども、その会社側の責任ある立場の人たちがこれを認めておるのです。取締役が認めておる、副所長が認めておるのです。ですから、これには私は間違いないと思いますが、なお調査中ということでありますので、十分に徹底的に調査を進めて、この問題を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/29
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030・林信太郎
○林(信)政府委員 お答え申し上げます。
鉱滓を上流に散布しまして自然汚染を作為するということは、ただいま先生が御指摘になられました鬼ケ陳、この地区だけではございませんで、実は私どものほうの調査では告発者から直接、そのほかの地域についてもやった、結果はうまくいったのだ、こういう事情を聴取いたしております。したがいまして、その点も含めて徹底的に調査をしておる段階でございますから、重ねてしばらく時間的な猶予をいただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/30
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031・木下元二
○木下委員 これまでの通産省の姿勢というのは、この問題でも明らかなように、あなた方がどう弁解されようが、悪質な企業を擁護する立場に、立っていたことは事実なんですから、こうしたことについても深く反省をしていただいて行政を進めていかれるように私は切望いたします。
この問題はおきまして、瀬戸内海の問題をお尋ねいたします。
新しくできました臨時措置法の四条一項によりまして、COD、汚濁負荷量の府県別割り当てが、先般きめられました。三年以内に四十七年当時の二分の一程度に減少させることを目途として定められたということであります。これにのっとって各府県は、そのCOD汚濁負荷量の割り当て量に従って上のせ排水基準を設定いたしております。
先般私、この点につきまして当委員会で質問をいたしました。これは三年以内に減らせばよいということで、その中途でふえてもいいのだというふうなことであってはならない。段階的に減らす。これは臨時措置法でもはっきりうたっておりますが、段階的に減らすということであって、これはつまり徐々に減らしていくということである。したがって、現状のまま放置をしておいて三年目に一ぺんに減らすとか、あるいはその三年間の過程においてかえってふえるとかいうふうなことがあってはならないのだということで、そういう趣旨で私は質問をいたしまして、環境庁のほうも原則としてそれをお認めになって、そのように指導を強めるという答弁をいただきました。
ところが、その後私、調べてみますと、たとえば兵庫県の場合を申します、従来の上のせ基準を見直す条例がつくられました。「四十九年四月一日から施行する。」とされながら、この「経過措置」というのがありまして、これによりますと、「この条例の施行の際特定施設を設置している者の当該施設を設置している工場又は事業場については、本則の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる期間は、本則の規定は、適用しない。」こういうふうにいっているのです。どういう区分に従っておるかと申しますと、「瀬戸内海水域内にあるもの」これについては「この条例の施行の日から二年間」とあるのです。つまり瀬戸内海地域については、二年間は、この見直し条例の適用をしないということをうたっているわけですね。この二年間というのは、いつまでになるかと申しますと、これは条例が四十九年四月一日から施行されますので、五十一年三月三十一日までは見直し基準は適用されない。せっかく新しい条例をつくったわけでありますが、二年間は適用しない。結局三年目というのはいつ来るかと申しますと、五十一年の十月末なんですね。つまり三年目の六カ月前まではこの新しくつくられた見直し条例の適用はしない、こういうことなんですね。
三年以内に段階的に減少をする、五十一年十月末までに減少をしていく、こういうことなのに、もうその直前ごろまでは、そのままでやっていくということなんですよ。現状のままほとんど放置をしておいて、三年経過の直前に、つまり一ぺんに減らすというやり方なんですね。なぜこういうやり方をとるのか、私ははなはだ疑問だと思うのです。一体この点はどういう指導をされたのか、伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/31
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032・森整治
○森(整)政府委員 御指摘の問題につきまして、まず私ども聞いておるのを申し上げますが、もちろん新設については新しい適用がある、それから既設のものにつきまして、これは業種別に段階的に兵庫県は規制をしていくというふうに聞いておるわけでございます。先生が言われましたものは、二年間いまのものを、そのまま存続させるというものも多少あるかもしれませんけれども、業種別にもっと早く規制をかけていくという考え方というふうに実は聞いておるわけでございます。
なお、先生の御指摘のような点があるのかどうか、いま私どもちょっと手元に条例がございませんものですから、はっきりいたしませんけれども、私が聞いているのは、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/32
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033・木下元二
○木下委員 私の手元に条例があるわけですが、確かに業種別にきめられておりますけれども、大体二年間の五十一年三月末までは、せっかく新しくつくった条例を適用しないで「従前の例による。」ということで進めていくということなんですよ、原則は。新しい条例をつくって四十九年四月一日から施行するというふうにしておきながら、しかも古い条例は廃止をするというふうに規定をしておきながら、経過措置として「なお従前の例による。」というようなことで、古いやつをそのまま生かしていく。せっかく環境庁が定められたCOD、汚濁負荷量の府県別割り当て、これを実施をしていくために新しい見直し条例をつくりながら、その適用をずっと先の三年目の直前まで放置をしておく、こういうやり方というのは、私は納得できないのです。こういうことが起こってはならないと思って、私はつい先般質問をしたわけです。そうした際にも、環境庁は原則として、そういうことのないように進めていくという答弁をいただいた。にもかかわらず、こういう結果があらわれておる。
そこで伺いたいのは、一体なぜこういうことを兵庫県がやるのか、あるいは環境庁がそういうことをどんどんやれというふうな指導でもしておるのかと思って聞いているのです。この前答弁されたような趣旨の指導をされておるとすれば、兵庫県としても、こういうことはやりにくいのではないか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/33
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034・森整治
○森(整)政府委員 手元に条例がございませんので、非常にお答えしにくいのですが、考え方としまして、先生御指摘のようなことを私も御答弁申し上げました。いまもその気持ちは変わりございません。
それからいま具体的に兵庫県がやられておるのは、経過措置としての規定を設けられておる、その経過措置が業種別に一いろいろ県の事情によることと思いますから、そういう措置がとられておるというふうに思いますけれども、考え方としまして、先生のおっしゃることに私ども異存はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/34
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035・木下元二
○木下委員 そうしますと、私の趣旨に異存はない、そういう異存のない、私の言っているような趣旨で指導をされた。指導をされたけれども、兵庫県のほうがどうしたわけか、こういうかってなことをやっておるということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/35
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036・森整治
○森(整)政府委員 私申し上げましたのは、段階的に汚濁負荷量を減らしていくという指導をしておるわけでございます。兵庫県の場合、いま先生の御指摘の点があるとすれば、おそらく経過的に業種をながめて措置がとられておるのではないかというふうに考えておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/36
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037・木下元二
○木下委員 確かにこの条例を見ますと、その業種によって時期が幾らか違うのはありますよ、たくさんありますから一々申し上げませんけれども。けれども、業種によって幾らかのそういう差を設けるというのはわかりますけれども、だからといって、もう原則的に三年直前まで現状のままでやっていくんだということであっては、これはちょっと当初の趣旨からはずれてしまうと思うので聞いているのですよ。そういうことを環境庁としては決して指導もしていないし認めていないのだ、こういうふうに伺っていいわけですね。——私はどうもやはりあなた方のほうの行政指導が、この問題については不十分であったと思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/37
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038・森整治
○森(整)政府委員 私ども何も県をそういう延ばせというような指導をしている——逆に姿勢の問題として、私ども段階的に汚濁負荷量を減らしていくということの指導をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/38
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039・木下元二
○木下委員 この瀬戸内海地域最大の大県である兵庫県において、原則がはずれておるということなんです。しかも兵庫県ばかりではありません。
ここに実は広島県の条例も持ってきているのです。広島県の場合を申しますと、もっとひどいのですよ。「経過措置」がある。これも施行期日はこの条例公布の日ということになっております。ところが「経過措置」がありまして、「既設の特定事業場等については、改正後の上乗せ排水基準の適用を昭和五十一年十月三十一日まで猶予し、それまでに排水処理施設等の改善を行わせることとする。」とある。つまりこれはもっとひどいのですよ。三年を目途として段階的に減らしていくということで、環境庁がCOD、汚濁負荷量を割り当てましたね。それに基づいて府県が排水基準をきめるのでしょう。これは条例は見直しの条例をいまつくりながら、結局この適用を一二年先まで延期しているのですね。猶予期間を置いているわけですよ。つまり三年間はどうでもいいということなんです、この条例でいくと。
私、いまこの事実を指摘しましたけれども、こういうことは御存じなかったですか、環境庁は。あるいは知っておられたのか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/39
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040・森整治
○森(整)政府委員 広島の場合は先生御指摘のように、兵庫とちょっと違った事情があるようでございますが、広島につきましては、われわれもその内容につきまして、県にもう少し事情を聞いた上で指導してまいりたいと思っております。県から事情を聴取いたしまして、その内容を聞いた上で、もう少し段階的にできないのかどうか、もう一回事情を聴取してみたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/40
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041・木下元二
○木下委員 そうしますと、私がいま申しました点は、環境庁としてこういう条例がつくられたということは御存じだったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/41
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042・森整治
○森(整)政府委員 つくられておるということは、ただいま承知しておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/42
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043・木下元二
○木下委員 知っていた……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/43
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044・森整治
○森(整)政府委員 おりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/44
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045・木下元二
○木下委員 いまのお話だと、こういう条例はつくられたけれども問題があるということで、さらに広島県側とこの問題について煮詰めてみるということですので、それはぜひやっていただきたいと思いますが、どうも私、環境庁としての指導不足ではないかと思うのですよ。これはこの問題だけでなくて、いろいろほかにも、一般的にもそうかもわかりませんけれども、そういうふうな環境庁の姿勢が、この問題にもあらわれておるのではないかと思います。
時間がきましたので、簡単にもう一言だけ申しますけれども、この問題について申しますと、水質汚濁防止法の三条の五項というのがありまして、府県のほうは排出基準をきめた場合は、あらかじめ環境庁長官に通知をするということになっております。四条では、公共用水域の水質の汚濁の防止のために特に必要があると認めるときは、都道府県に対し、排水基準の変更等を勧告することができるということになっておるのです。
環境庁はいま言われましたように、広島県で当初の趣旨と相反するような、こういう条例がつくられたということを御存じである。そうすれば私は、当然これは四条に基づいて、しかるべき勧告がなされるべきだと思うのです。これが発動されていないのは、どうしてなのか、当然発動すべきだと思います。
長官いかがでしょうか。これは発動して、そしてひとつこういう方針からはずれたようなものは改めさせるようにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/45
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046・三木武夫
○三木国務大臣 瀬戸内海の環境保全に関する臨時措置法は、瀬戸内海をできるだけ短期間にきれいにしていこうということですから、したがって、そうみなが猶予期間をぎりぎり一ぱいまで、上積み規定をそれまで延ばすということは、立法の趣旨にも反するわけでありますから、実情を調査して指導を強化いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/46
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047・木下元二
○木下委員 ぜひやっていただきたいと思います。その実情を調査して指導を強化するという中には、法的な問題としては、いま私が申しましたように、水質汚濁防止法四条による勧告権の発動ということもあり得るわけですから、これをも含めて、ひとつ指導を強めていただく、こう伺っていいわけですね。ちょっと返答だけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/47
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048・三木武夫
○三木国務大臣 必要があれば、そういうこともやりますけれども、いまのところは勧告権というのでなくして、行政的な面で指導を強化していきたい。しかし必要があれば、それはそういうことにもいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/48
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049・木下元二
○木下委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/49
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050・角屋堅次郎
○角屋委員長 坂口力君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/50
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051・坂口力
○坂口委員 きょうは国定公園内の事業につきまして、お伺いをしたいと思います。
国定公園内の特別地域におきましては、都道府県知事の許可を、事業をいたしますときに受けなければならないことになっておりますが、普通地域におきましても、その風景を保護するために必要な限度において、当該行為を禁止することができるというような項目もございます。
そこで、国定公園内の採石というようなことについて一般的な、基本的なお考え方というものをまずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/51
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052・江間時彦
○江間政府委員 採石という事業は、建設業その他にとっては必要な事業ではございますが、自然景観を阻害する、あるいは自然を破壊するという点では望ましくない行為でございますので、できるだけ消極的な方針で臨んでまいりたいというのが方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/52
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053・坂口力
○坂口委員 きょうは非常に時間が短時間でございますので、具体例をまとめて申し上げたいと思いますので、あとでひとつまとめて御答弁をいただきたいと思います。
実は三重県の一志郡美杉村川上地区というのがございますが、ここに採石の申請が出ておりまして、ここは国定公園、詳しく申しますと、室生赤目青山国定公園指定地域に入っております。この中の、いわゆる普通地域でございますが、これは雲出川というものがございまして、その一番上流にあたっている地域でございます。
ここはいわゆる過疎対策地域として第一次指定を受けております山村僻地でありまして、全地域緑におおわれた美しい環境のところでございます。先ほど申しましたとおり、一級河川雲出川の水源地でもあるわけであります。そして、ここでは、また、二、三年前から、いわゆるアマゴの養殖が始まっておりまして、県当局からも、いわゆる補助金が六百数十万出ているところでございます。
地元の人たちが、この採石に対して反対をいたしております理由は大体三つございます。
一つは、あの伊勢湾台風のときに、この地域は非常に大きな被害を受けたわけでありますが、それはおもに山津波による、大小支流を含めての河川はんらんであった。そういうふうな意味から、いわゆる砂防堤をその後数多くつくった。こういうふうな自然環境にあたるために、採石等を行なうことによって出てくる土砂その他によって、一たんこういうふうな台風等になった場合に、おそらくまたこの轍を繰り返すのではないか。その心配が一つでございます。
もう一つは、非常に細い県道しかございませんで、大きいトラック等でここを何回か行き来するということになりますと、一般住民はもちろんのこと、特に子供たちの通学ということに対して大きな影響を持ってくる。子供たちの安全という意味から、あるいはまた住民の安全という意味から、さらにまたその騒音、振動あるいは道路の細さからくるところのもろもろの危険というようなことが二番目にあげられようかと思います。
もう一つは、先ほども申しましたとおり、非常に山村僻地であって、何か新しい事業をやらなければならないというので、ようやくにして、いわゆるアマゴ養殖というものを始めた。最近十三名の組合員が、その振興パイロット事業に着手をして、ようやくその緒についたというところである。もしも採石等によって水が非常によごれた場合に、この事業は中止せざるを得ない。
要約いたしますと、大体この三つのことが地域住民の皆さん方の反対理由になっているようであります。
また、この一志郡美杉村の議会は、意見書を三重県知事に提出をいたしておりまして、この意見書といいますのは、やはり先ほど申しました点が中心でございますが、二つに分かれておりまして、一つは、「本村の立地的諸条件による自然環境の中で川上地域は雲出川水系の水源地帯として治山治水に果す役割が大きく国土保全と災害防止を基本として当該地域周辺における自然環境の破壊的行為は当然規制されるべきでありこれらに対する安全保障が立証されない限り原則として反対である。」
もう一つは、「本計画に関しては川上地域(学区)の全住民が真剣に反対の意志を表明している事実に鑑みこれら地域住民の理解が得られかつ諸条件の整備が実行されることが必須要件である。随って条件を付して認可されるような場合に於いては必ず事前に地域住民の了解を得られるよう要請します。」こういったものを知事あてに出しているわけです。
概略申しまして以上のような地域であり、問題の要点でございますが、こういうふうな国定公園内の採石ということについて具体例を申しましたので、ひとつこれについての御見解をお伺いしたいと思います。資源エネルギー庁のほう見えておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/53
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054・斎藤顕
○斎藤説明員 お答え申し上げます。
三重県美杉村のこの採石は、有限会社八幡砂利という会社が四十八年九月二十六日に、三重県に対しまして事業計画の申請をしております。この区域は、私ども調べた範囲内では、先生御指摘の室生赤目青山国定公園の特別地域になっております。したがいまして、かかる特別地域における岩石の採取につきましては自然公園法に基づく知事の許可が必要である、したがって、この許可証をつけて申請しない限り、採石法に基づく許可はできないことになっております。いわんや先ほど県議会が知事に対してそのような勧告をなされたという事実もあるようでございます。
また私どもも県も、採石の許可にあたりまして地元との調整ということを一番大きな問題の一つとして取り上げております。したがって、いまのような過程がございますならば、この採石の許可というものは、現在のところ、たいへん困難であろうというふうに私どもは一般的な行政的な判断からしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/54
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055・坂口力
○坂口委員 私、普通地域と申しましたけれども、どうやら私の間違いのようでございますので、訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/55
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056・斎藤顕
○斎藤説明員 私どものほうで調べた限りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/56
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057・坂口力
○坂口委員 環境庁として、いまエネルギー庁のほうからはこういう見解が示されたわけでございますが、環境庁の側の御見解をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/57
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058・江間時彦
○江間政府委員 本件につきましては、採石法によります申請書は四十八年九月二十五日に出ておるようでございますが、自然公園法に基づきます申請書は四十九年の一月八日に受理されたばかりでございまして、まだ十分な検討がなされてない、まあ具体的には書面の不備その他でまだ書類が整理されてないという段階だろうと思うわけでございます。
この地域は国定公園の地域でございますので、この種の案件は県知事限りでも一般論としては判断ができる事項ではございますが、非公式に聞きましたところによりますと、県当局も、この件はかなり重視しておりまして、われわれのほうに具体的に相談をしてまいりたいということのようでございまして、当方といたしましてもいろいろ事情を調べまして、自然破壊につながるというようなことでありましたならば、消極的な方針で臨みたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/58
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059・坂口力
○坂口委員 この中には幾つかの問題が含まれていると思いますが、一つは、いま言われましたとおり、自然破壊の問題がございます。それからもう一つは、その地域の住民に対するその採石の運搬によります影響というものがあるわけでございます。
環境庁としては、この二面があるわけでございますが、後者の運搬等について、前者のほうの自然環境を破壊するということがもしないと仮定した場合、後者の運搬ということにおいて非常に住民に危険がある、こういう事例だけに限られた場合には、どういう御見解を示されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/59
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060・江間時彦
○江間政府委員 お尋ねの案件は、法的な権限という点からいいますと、われわれないわけでございましょうが、しかし事実上の問題といたしましては、そういう配慮もわれわれ社会通念として入れまして、事実上の指導をするということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/60
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061・坂口力
○坂口委員 最後に、大臣の御見解をひとつ賜わっておきたいと思いますが、これは先ほどまとめて御紹介申し上げましたような事例でございます。住民の方の三木長官に対する陳情書というものも出ております。私、写しをいただいてまいりました。すでに長官のほうに届いているかどうかはまだわかりません。その中でも、先ほど御紹介いたしましたとおり、いわゆる山津波等が非常に起こりやすい場所である。それからもう一つは、その運搬によって同地域での住民にいろいろの影響を与える。こういうふうなところから、どうしても私たちは賛成をすることができないという陳情書が出ております。ひとつ長官の御見解を賜わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/61
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062・三木武夫
○三木国務大臣 まだこの問題は具体的な問題として県からも、環境庁に何の申請もきてないわけですが、この問題は特に慎重に対処していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/62
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063・坂口力
○坂口委員 県からはまだ詳しくは出ていないと思いますが、しかしいま申しましたことで、もうあらあら尽きていると思うわけでございます。これ以上のことはないかと思います。ですから、いまお聞きいただいたような内容であるとお考えいただいていいと思います。村議会もこういう決議をして、そして県知事に対しまして、こういう文書を出している。またそこに住む住民のほぼ一〇〇%の人が、これに対してはどうしても賛成することはできない、こういう態度を示し、また現在までの台風その他のことを考えますと、非常に大きな影響を与える可能性が少なくともある、こういう地点について、長官としては基本的にはこれは反対の立場をとる、こう言っていただけるものと私思うわけでございますが、もう一度おことばをいただいて、おしまいにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/63
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064・三木武夫
○三木国務大臣 この問題は地元住民の意向もあるでしょう。きわめて慎重というのは、消極的な立場をとりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/64
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065・坂口力
○坂口委員 終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/65
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066・角屋堅次郎
○角屋委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
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午後零時四十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/66
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067・角屋堅次郎
○角屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。島本虎三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/67
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068・島本虎三
○島本委員 きょうは私は、環境アセスメントについて国鉄新幹線、航空並びにこれから大規模の開発をする際に、どういうような状態で政府は、環境庁はこれを行なおうとしているものか、現在行なわれているものに対しての措置を順次聞きたい、こう思っておるわけであります。
その問題に入る前に、一応環境庁長官に大意を伺っておきたいと思うのです。
三月八日、三月二十二日と、世界に類例を見ない巨大なるコンビナート、すなわち苫小牧東部大規模工業開発についてのアセスメント、これが不備であることを指摘してまいりました。しかし環境庁は、今後やはりこのアセスメントに対しては主要なる役割りをつとめるのであります。この行ない、結果においては重大な一つの責任も発生するものである。いわば開発に対する免罪符を与えることになる、こういうことを一番おそれるのであります。−したがって責任は重大である、こう言わざるを得ません。
きょうの報道によりますと、苫小牧東部の大規模工業開発について、伊東正雄氏を委員長とする日本弁護士連合会の公害対策委員会で、弁護士二十名を動員して現地調査を行なった。その結果、三日にこの案をまとめて三木環境庁長官並びに内閣総理大臣や大蔵大臣を含めて十一省庁の大臣並びに北海道知事、苫小牧市長等にその実態の報告書を提出して、現在行なわれた開発計画の白紙撤回を提言した、こうあるわけであります。私はその点に重大な関心を持っております。日弁連は環境庁が欠陥アセスメントを承知で計画を進めれば、不法行為の法的責任を問われるであろう、こう警告されておるのであります。
これは長官、まことに重大であります。長官は当然警告、提言を受けられたと思いますが、これに対してどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/68
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069・三木武夫
○三木国務大臣 昨日でありました、日弁連からいまお話のあった苫小牧東部大工業基地開発に関する日弁連の見解について、報告書を環境庁に持参されたわけであります。きのうのことで、私はまだ詳細にはそれを検討はいたしておりませんが、ちょっと一読はいたしたわけでございます。なかなかその内容は傾聴すべきものがありますので、事務当局に対して、この報告書については十分検討をして、そして取り入れられるものは取り入れるようにという指示を与えてあるわけでございます。ただ白紙撤回という説には賛同はいたすわけにはいきませんが、いろいろと環境アセスメントについて提言を行なっております。その提言には傾聴すべき点があるので、十分検討をいたすように指示した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/69
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070・島本虎三
○島本委員 過去の事例に徴しまして、初めは工業立地を先行さして、あとから環境アセスメント、極端にしぼったSO2の問題、それだけではだめで、今度は大気の調査、そういうふうにしながらも、あと追いばかりしておったのが大分であり、水島であり、鹿島であるというこの事例に当てはめて、初めからきちっとしないで、あとから補完する、補完するでは環境庁ができた意味がない。初めからきちっとして、地域開発と環境保全が両立する開発のみを認めたい、また認める。それが均衡がくずれる場合には中止もやむを得ない、これは長官の言明であります。
したがいまして、その場合にはこの欠陥アセスメントをそのまま認め、補完、補完でいくことは過去の例を再び繰り返すことにつながるし、アセスメントそのものが免罪符にされるおそれがあるから、これはもう重大な問題であるということを指摘しておったのです。その点まさにそのとおりでありませんか。長官はなかなかりっぱな方であると私は尊敬しておるのですが、しかし、いままで通産省がやったことを、今度環境庁が肩がわりするにすぎないようなこういう行き方は、断じて長官とるべきじゃありません。ことに三月の八日、二十二日、これに対しましての御答弁がございました。この中で——まだ議事録か出ておりませんので、いずれ出た段階で重大な問題を指摘して、環境庁自身の今後の行き方に警告申し上げなければならない点があるのであります。ただ私どもは自分の耳で聞き、それを総合した点でありまして、いずれ議事録が出ましたら、深くこの問題を追及さしてもらいたい、こう思うのです。
いわゆる環境アセスメント、環境評価、この評価の中には長期的な評価と短期的な評価があるのだ、これを私どもは質問いたしました。しかし春日大気保全局長から返ってきた答弁は全部長期的な評価で、これに満足しておる、こういうような答弁でありました。そして最後には、短期的な評価は年間を通じてのその地域の汚染の状況把握には用いないのが通則であります、通則である、こういうようなことばがあったように記憶しております。そうすると環境基準に適合するということについては、地域の大気汚染の評価は長期的評価が原則である、こういうようなことになってしまう、これをおそれるのであります。はたしてそういうような行き方でいいのかどうか。私はこれは重大だと思いますが、長官、これでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/70
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071・春日斉
○春日政府委員 短期的評価と長期的評価がSO2あるいはNO2にはある、これはもう先生御承知のとおりでありまして、その二つの二者択一論ではございませんで、それぞれ短期的評価を行なう段階、それから長期的評価を主とする段階、二つに分かれるということを私は申し上げておるわけでございます。
たとえば年間を通じまして、ある地域がSO2によって汚染されているかどうか、それを判定する場合、またいままでいろいろSO2の排出規制を行なってまいりまして、その結果、その地域がどういうふうにきれいになったか、あるいはよごれてきたか、そういうことを考える場合、あるいはまた環境アセスメントとして将来を予測するような場合、こういったときには長期的評価を主にいたします。それが通則であると申し上げておるわけでございます。短期的評価は現在われわれがその地域で吸っておる空気、その一時間値、あるいは朝、昼、晩と違うでありましょうから、二十四時間の平均値、そういったものを、ただいまどうであろうかというときに短期評価を用いるわけでございます。
ただ長期評価をいたしますときに、二十四時間値の九八%というところを用いますけれども、これに対しましては、話が長くなりますから省略いたしますけれども、やはりいろいろな誤差も入ってまいります。その誤差にはいろいろございますけれども、そういった事情から九八%値で評価をする、こういうふうに申し上げておるわけでございまして、短期的評価というものは意味がないというようなことでは毛頭ございません。ただいま一時間値あるいは二十四時間値をもって、これはどうであろうかとおっしゃれば、そのとき、その・日の評価は、まさに環境基準に適合している、適合していないということが言い得るわけでございます。長期評価はまた別の観点からながめておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/71
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072・島本虎三
○島本委員 したがいまして、短期的評価で見ると、先般八日並びに二十二日の質問の際に、苫小牧の勇払地区のSO2のデータ、これが問題になったわけです。それは隠したんではない、決して隠匿したんじゃない、こういうような答弁で問題になったのです。しかし、もうそのデータによると、短期的評価で見ると、測定データは現状ですら、はっきりと環境基準をこえている亜硫酸ガス汚染があることを示しているではないかと、現状でも示しているのです。それが東部の大開発、そこに大企業を誘致した場合には、当然現状でもよごされておるのに、それにプラスアルファー——必ずその地域が移転するかどうか、それでなければその全体が汚染されてしまうから、これは重大だぞ、したがって、このアセスメントそのものも重大な引き金になってしまうじゃないか、この点を警告したのに対して、春日大気保全局長は長期評価の九八%値で環境基準を満足しているからいいんだと。これなんです、問題は。
私は、念のためにきょう、去年の六月十二日にこの通達を出した山形前大気保全局長に真意を確かめてみました。短期的評価適合も行政上の目標だと言っている。そして短期的評価はその場その場でわかる方法をとりたい、しかし昔は一年間を振り返ってみなければわからなかったんだ、それでは困るし、急のときにはやりようがないからだ、時期によって汚染度の激しくなるときもあるけれども、一年を通じて見なければわからなかったのがいままでのやり方だった、しかし一日だけを見ても、自動車が何台も列をなして通ったり、家の取りこわしなどが一日中あったりすると、その周辺はどうしても、じんあいやNO2やSO2がめちゃめちゃに出る。それだけの基準だけで示すのも、これでもまた困るのだ、したがって長期と短期をあわせて見て行政上の目標とすべきだということだと、はっきり言っているのです。この耳で確かめたのです。
春日局長に言うと、これは一年間を通じて見て、地域の大気汚染の評価は長期的評価が原則だ。こうだとすると、山形前大気保全局長の考えと現在の局長の考えがずっと違ってくる。環境庁が変心したのか。それが今後の工業開発の一つの指導指針になるのか。環境アセスメントの一つの基本になるのか。これじゃ重大な変心じゃありませんか。私はこういうのはとるべきじゃない。前山形大気保全局長の言っていること、それと違うような答弁ではどうしても満足できない。そういうふうにして、言われたときにまたこれを繰り返して、それを補完していく。こういうような答弁が公害の源泉になっておると言っておるのです。そうなると、これはまた当然答弁の補完じゃありませんか。長官、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/72
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073・三木武夫
○三木国務大臣 環境アセスメントというのには、やはり長期的に観察をするというのが一つの手法になっているという点を申し上げたと思います。しかし短期的にも、ある異常な状態が続くということになれば、これは行政の目標として十分なアセスメントをしなければならぬわけで、いま言われておることも、島本委員の発言とあんまり違いはないのじゃないでしょうか。(島本委員「原則だと言った」と呼ぶ)いや、環境全体の環境アセスメントというのは、結局一日なら一日ということだけで環境のアセスメントの評価ということにはならぬと思います。しかし異常な状態がある短期間でも続いたということになっては、これは十分に検討しなければならぬ行政目標になるわけですから、そのことを否定しておるのではないと思いますので、根本においてはそう認識は違ってないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/73
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074・島本虎三
○島本委員 根本的に認識が違っていないと。長官、これも前山形大気保全局長が環境庁ができた三年前に、いままでのデータはすべて一年を通算して見ていたデータばかりであった。しかし、それだけではどうも不十分である。したがって短期で見る必要もある。短期的な評価も必要だという、行政上の目標としてきめたのだと言っているのです。ところが、いまの春日局長の場合には、前に言ったように、これはもうはっきりと環境基準の適合については、地域の大気汚染の評価は長期的評価が原則だ。原則だと言うから、変心じゃないか、こんなことを原則にされてどうなるのだ。短期的なもの、たとえば苫小牧の勇払、あれは冬場が大事なんです。冬場の大事なデータがこれに載っていなかった。ですから、これはだめではないかというのに対して、一年間通算して長期的な評価が満足しているからいいではないか、こう言うのです。
たとえば私の住んでおる札幌、いまさほどでもなくなりましたが、冬場は全然問題なんです。十一月から四月、暖房のために各戸が全部いろいろなものをたくからです。肺ガンの発生率も日本では一番高くなったのです。ですけれども、一年間通算してみたら、まことにいい環境になっているのです。半年間薄められるからです。なぜ五カ月間を基調にしてはっきりしたデータを、人間のからだに当てはめ、健康に当てはめて対策を練らないか、練る必要こそあるじゃありませんか。
いま苫小牧の場合も同じなんです。冬場の場合は風も違う、測定点も違う、全部違うのに、そのデータが抜けてしまっていた。しかし長期評価だからいいんだ、こういうようなことでは、だめだというのです。原点に返って、あくまでもこの問題に対しては、長期的評価と短期的な評価、これは合わせて行政上の目的とすべきなんだ。これ、違いますか、今度は春日局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/74
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075・春日斉
○春日政府委員 まさに先生がおっしゃっておりますように、短期的評価も長期的評価も合わせて、われわれは環境基準を評価するときに用いるわけでございまして、私は決して長期的評価だけを用いて環境基準の評価の基準としておるなんということは申したことはございません。
私が申しておりますのは、環境アセスメントの資料として、将来予測をするようなときに使う場合とか、あるいは過去の観測データから、その地域がよごれているかどうかということを端的にあらわすのは長期的評価がよろしいと、こう言っているわけです。そしてその日その日、あるいはその日その時間、そういったピーク値を見るような場合には、当然短期的評価を行ないます。そして短期的評価によって適、不適をきめるわけでございます。山形前局長が申しておったことは、全く私も賛成でございまして、私もそれから変身したということは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/75
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076・島本虎三
○島本委員 問題は長期的な評価を中心にして、これを原則にするというのが間違いなんです。もしそうだとするならば、あなたの答弁の中に前回、短期的評価では年間を通じてのその地域の汚染の現状把握には用いないのが通則である、こういったこのことばは取り消しですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/76
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077・春日斉
○春日政府委員 取り消すつもりは毛頭ございません。私が再三申しておりますように、短期的評価も長期的評価も、環境基準を評価するときには、それぞれ用いる場所があるということを申し上げておるわけでございます。
勇払でたとえば二月とか一月に一時間値が〇・一PPMをこえた日が、時間がある。それはまさに短期の環境基準をオーバーしている。その時間は不適なんです。それを適応しているなんということは、私申しておるわけではございません。ただ勇払そのものが一年間を通じてきれいかどうかということを判定する場合には九八%値を使う、こういうふうに申し上げておるわけで、私は技術者でございますから、抽象論でなくて現実問題として、そういったことを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/77
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078・島本虎三
○島本委員 なおわからぬじゃないか。技術者であるから抽象論でなく、具体的に現実論を言っている。そうすると、あなたの現実論は、当然長期的評価九八%という環境基準を満足している。だから勇払のデータ、あれは問題にならないのだ。したがって、現在でもよごれているのに、その上にまた大規模工業開発をしてもよろしいんだ、科学的データはそういうふうになるということになるじゃありませんか。だから欠陥データだと言っているんじゃありませんか。それを依然として同じようなことを言って言を左右にしている。そんなことでは、とうていだめです。
そういうようなことからして私どもは、いま、原則とするんだ、こういうようなことがはっきり、あなた言っていた。それが議事録に載っているのです。じゃあこれは、原則とするのじゃない、こういうようなことだね。やはり長期的評価を原則とするのですか、しないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/78
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079・春日斉
○春日政府委員 再三申し上げますが、勇払の年間を通じて長期評価をいたしまして、環境基準に適応しているかどうかということは九八%値を用いるのが通則である、原則である、こう申しておるわけでございます。
それから数時間あるいは数日、短期評価に照らすと環境基準をオーバーして不適な日があったことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/79
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080・島本虎三
○島本委員 したがってアセスメントはどうだということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/80
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081・春日斉
○春日政府委員 ですから、アセスメントとして、これは二者択一論でございませんで、長期評価においては適合しておる、短期評価において若干適応していない日があった、あるいは時間があった、そういうことが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/81
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082・島本虎三
○島本委員 言える問題だ、そうすると結局はどうだというのですか。いいというのですか、悪いというのですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/82
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083・春日斉
○春日政府委員 四十七年度の日本の大気汚染測定データを見ますると、長期判定によってSO2環境基準を満たしているところはきわめてわずかでございます。十数%の地域にすぎない。そういう点から見ると、長期評価で環境基準に適応しているということは、かなりきれいなところである、こういうようなことが言えます。ただし短期的評価で数時間あるいは数日という不適が出ているというところは、今後警戒すべき問題を内蔵しているのではなかろうか、こういったことはやはり考えられる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/83
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084・島本虎三
○島本委員 千百戸、五千四百人、その勇払は、そのまま移転するかどうかが、環境庁を含め北海道開発庁、北海道、その中で重大な問題になったでしょう。その際に、移転しなくてもよろしい、環境基準はりっぱに全うできる、そして移転をさせない計画を進めたでしょう。ところが、現在の苫小牧の工業開発自身のこの被害をもろに受けて、それだけでももうすでにあの地域は、そういうふうにして短期的評価では問題が出ている。長期的評価でも一〇〇%じゃないのです。まして、風の向きによっては、全然それをもろにかぶる場所です。それも全部やらないで、もうすでに巨大苫小牧東部開発はやってもよろしいとう環境アセスメントをだれが出したのです。
そういうような態度だから、日本はだんだん公害列島になってしまったじゃありませんか、いままで。環境庁が出ない間は、この引き金を通産省が引いていたのです。環境庁ができたから、これによって今後はこういうようなことが全然なくなった、これを思っているのは国民だったのです。ところが、依然として同じようなことを環境庁がやる。まさにこれは重大でありませんか。こういうような計画をそのまま承諾して進めるということになると、不法行為だとして法的な責任を問われるだろう、これは日弁連の指摘です。警告です。何ら反省もしないで、そのままの状態が正しいんだと言う。環境保全局長、あなたは環境保全局長でしょう。環境汚染局長じゃないでしょう。十分その辺を考えて今後はきちっとやっていかなければならない。私は、この問題ではまだまだ十分な不信を持っております。長期的な評価、これのみを今後も原則にするんだというこの考え方、これ自身重大な一つの変身的な考え方です。
長官、せっかく昨年の六月十二日にりっぱな通知を出した。まありっぱでもありませんが、一応納得できる通知を出した。それよりもっと弱めるようなことをしてはならない。いまの場合は、ほんとうに変身するほど長期的な評価、これのみ重点を置いているわけです。こういうようなことでなしに、短期的評価、これをあわせて行政の目的値にして完ぺきを期さなければならない。したがって苫小牧の場合には、これがないから欠陥品だ、こういっていたじゃありませんか。ここだけじゃないです。もう日弁連からも警告されている。内部でもう少しきちっとしたような指導体制を確立する必要が長官あるじゃありませんか。ひとつ長官の御高見を拝聴します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/84
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085・三木武夫
○三木国務大臣 春日局長と島本委員、そんなに大きな根本的な認識の差があるとは私は思わない。環境アセスメントというときには、どうしてもやはり全体として長期的にみるということになると思いますが、一方において短期間であっても異常な数値というものを発見するということは、今後の立地計画等において十分警戒をしなければならぬわけでありますから、したがって、まだこれは工場の立地ということは具体化していないのです。具体化した場合には、その工場の立地ごとにわれわれは厳重な環境に対する影響を評価して、そしてこれに対してノー、イエスを言うわけでありますから、そういう点は、そういう長期的あるいは短期的なデータも基礎にして、工場の具体的立地の場合には十分なアセスメントをいたす決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/85
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086・島本虎三
○島本委員 長官はそう言いますけれども、このアセスメントが出されて環境庁がそれを認めたために、あの大規模の苫小牧東部の工業基地が出発したのです。その内容をなすのが、こういうようにして手抜きがあったり手抜かりがあったり欠陥品になっているわけです。まして長官は、これから十分やらなければならない、補完しなければならないと言う。いま問題のこういうようなデータが出た。勇払地区の地域懇談会にも市民との対話の中でも、覚えていながらこれを全然説明もしないで、そしてこれでもう全部住民が納得した、こういうように言ってきたということ、先般以来、これもはっきり表明されているところでしょう。ですから、そういうようなものはもう一回やり直す必要があるんじゃないかということなんです。
長官はこれから補完すると言っていますが、もう大もとが狂っているのですよ。大もとが狂っているのをいかに補完してもだめですよ。ガンも悪くなってしまったら、手術してももう一回ぶり返してしまうでしょう。そういうようなことをいままで繰り返してきたのです。今度だけはそれをやってほしくなかった。これは第一回目でしょう、環境アセスメントを出した環境庁として、かなえの軽重を問われる第一回目なんです。それがこのような欠陥品だったのです。日弁連からも指摘を受けているのです。長官、依然として部下をかばって今後補完するからいいと言う。しかし住民は何も知らぬじゃありませんか。住民が知らないままに、こういうようなものを押しつけてやって、それでだいじょうぶなんだ、確かに副総理としてだいじょうぶかもしれません。しかし、住民の場合どうなるのですか。移転もできない、そこに住み込んでいる五千四百人の住民はどうなるのですか。そこを考えてもらいたいということなんです。
私は、この問題でははっきり議事録ができてきた段階まで他の方面は保留しておきたい、そう思っております。この問題について、あとから土井委員もこの同じ問題であるようでありますから、この問題に対してはそっちへ譲り、いずれ議事録ができてきた段階で、この問題を掘り下げて伺っていきたい、こう思います。
次に、苫小牧の東部開発、この問題については、御承知のようにこういうような事前調査の面で、アセスメントの面で重大な欠陥が暴露いたしました。新幹線が今度行なわれる際に、事前に自治体の意見を聞きたい、こういうようなことを運輸大臣が言っているようであります。もうすでに名古屋では、御承知のように新幹線による被害を裁判によって解決するために住民訴訟が提起されたようであります。そういうような段階で運輸大臣が、騒音や振動、こういうようなものが新幹線の公害のトラブルになっている現状から、新幹線の工事の実施計画作成の前に通過予定地の地元の自治体の意見を聞く、こういうことをあらためて指示されたようであります。自治体の意見を聞くということ、これはどの程度までお考えでございますか。この際、一歩前進した運輸省のその態度を評価し、この内容を聞かしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/86
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087・増岡博之
○増岡政府委員 運輸大臣がそのようなことをおっしゃったという報道がなされておりますけれども、運輸大臣の頭の中でお考えいただいておりますが、まだ現実の指示としてはいただいておりませんけれども、しかし騒音、振動につきましては十分な対策を考えてまいりたい、そういう方針でやっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/87
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088・島本虎三
○島本委員 そうすると、今後設計段階から公害防止の配慮を加える、こういうようなのがねらいだ、これはいままでにかつてないような、おそきに失するけれども、いい発想である、こういうふうに思っているわけです。環境庁のほうでは、この新幹線の騒音、振動の環境基準、これについて中間報告だけは出したようであります。しかし、これはまことに不完全なようでありますが、今後これに対して新たな騒音や振動の基準、こういうようなものをいっ出すのですか。そして工事の実施計画、こういうようなものとあわせてどのようにこれを考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/88
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089・三木武夫
○三木国務大臣 既設の新幹線に対して八十ホンという音源の一つの基準を出したわけです。これは環境基準というよりも緊急の指針として出したわけでありますが、この八十ホンというものは、やはり高過ぎるという感じをわれわれは持っておるわけでございます。したがって、今度は騒音に対する環境基準を出したいということで、いま中公審で審議をいたしておるわけでございます。新たなる新幹線の計画もあるわけですから、今後の新幹線にはその騒音の環境基準というものが適用されるわけでありますから、できるだけ早く、(島本委員「いつごろ出ます」と呼ぶ)まあ秋までにはこれは出せるという事務当局の見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/89
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090・島本虎三
○島本委員 秋までに出る。そして事前に自治体の意見も聞くように大臣としては配慮したい。運輸大臣の指示、はっきり指示というようにわれわれ理解していましたが、自治体と話し合うということ、これはもうはっきり考えられていることなんですか。それとも、政務次官はそういうことでもないような御答弁なんですが、こういうようなことを考えられておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/90
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091・増岡博之
○増岡政府委員 先ほど申し上げましたのは、まだ運輸大臣からはっきりした御指示がございませんけれども、私どもは私どもといたしまして、そういうことを検討いたしておりますと、そういう意味合いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/91
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092・島本虎三
○島本委員 検討はしているわけですか。検討の場合には、自治体と話し合うということも入っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/92
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093・増岡博之
○増岡政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/93
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094・島本虎三
○島本委員 いままでいろいろ問題ありました中に、自治体と話し合う、了解を得るということは、たいがいその都道府県知事並びに市町村長の意見を聞くことがそれに該当しておったわけです。それだけでもトラブルが絶えなかった。したがって、自治体と話し合うということと住民の意見を聞くということ、これを並行して考える意思はおありなのか、考えていないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/94
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095・増岡博之
○増岡政府委員 住民ということばの定義づけといいますか、概念といいますか、非常にむずかしゅうございますので、当面自治体ということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/95
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096・島本虎三
○島本委員 そこなんです。自治体の長は促進派です。したがって、自治体の長は何でもオーケー派です。そういうふうになるのです。おそらくそういうふうな状態で、それをもって住民の意見を聞いた、こういうだけでは依然としてまたトラブルが出てくることになってしまうじゃありませんか。そういうようなことを言ってごまかそうと思っても、それはいまや通じないのです。増岡さんも社会労働委員会では重要なポストを占めたことのある人で、あなたはそういうようなことに対しては経験者です。それがいま運輸政務次官としてそういうようなことでは少し、一歩踏み足りないじゃありませんか。住民の意見——公有水面埋立法というのがあるでしょう。もうすでに法律の中にまでそれが入れられている段階じゃありませんか。いかに公害関係の諸法律の規範から脱しているといいながらも、国鉄ではそれくらい考えてもいいのです。住民の意見を聞くというところまでこれは考えるように大臣と相談する意思がありますか。——あると言えばいいのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/96
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097・増岡博之
○増岡政府委員 いま先生のおっしゃるように、私どもと意見があまり違わないと思うのですけれども、私どもは、住民の代表が自治体であるというふうに考えますし、市町村議会は当然住民の代表として出ておるわけでございます。がしかし、先生の御指摘のような御心配がないように今後配慮してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/97
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098・島本虎三
○島本委員 そういうふうに配慮するということであるならばけっこうでありますが、それなしではだめです。もうすでに公有水面埋立法の中に、縦覧に供し、意見の具申の手続が必要だ、こういうようなことがちゃんとあるのです。そういうようなことをわざわざ御忠告してくれた向きに感謝して、これはあなたに申し上げておきますが、自治体の意見を聞くというのは、そういうようなことまで十分考えてやる、こういうふうに理解しておいて、十分大臣と相談しておいてやってください。
それと同時に、建設省のほうの副大臣も来ておられますけれども、これはどうですか、道路であるとか、こういうようなものをつくる場合、たとえば高速自動車道、こういうような場合にはこの環境アセスメント、こういうようなものをきちっとして、その道路の造成そのものが自然環境を破壊しない、地域開発そのものが環境保全と合致する、こういうようなことも十分考えた上でこれは進めるべきじゃないか、こう思っているのですが、道路の場合はそれらを全部無視して計画されているように思われますが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/98
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099・内海英男
○内海(英)政府委員 環境保全ということにつきましては、島本先生のおっしゃるとおり、いま国内で重要な問題になっておることでございまするし、こういった観点を十分配慮の上で施工個所あるいは施工方法等につきまして、具体的に環境保全ということに万全を期して措置を講じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/99
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100・島本虎三
○島本委員 では念のために・……。本四架橋、これは国家的な事業だとして経済的に、政治的に急にきまった問題であります。水の生態系であるとか景勝保全であるとか、こういうようなことを考えて、あれをきちっと計画を立てられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/100
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101・内海英男
○内海(英)政府委員 十分配慮してあの計画が出たものと思いますけれども、不明にして私、まだ具体的な詳細なことを存じ上げませんものですから、いまのところ、はっきりしたお答えできませんけれども、十分配慮してやったものと解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/101
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102・島本虎三
○島本委員 やっていないんじゃありませんか。やっていないで、これをそのまま一では水のほうを聞きますが、水の生態系に対して十分調査ができましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/102
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103・浅井新一郎
○浅井説明員 本四の架橋にからむいろいろな環境上の問題につきましては、かなり前から広範な調査をやっております。御指摘の海の中の生態の問題について具体的に、そう深い調査をやった報告がございませんが、今後いろいろ並行的に調査を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/103
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104・島本虎三
○島本委員 そういたしますと、これはやはり景勝保全のことについては、環境庁、十分配慮しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/104
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105・江間時彦
○江間政府委員 瀬戸内海の問題につきましては、具体的に工事を施行する者の側におきまして行なった環境アセスメントはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/105
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106・島本虎三
○島本委員 やはりないとしても、環境庁自身にこれはお伺いしなければなりませんけれども、四十八年十月十五日に環境庁としても、環境アセスメント実施マニュアル案というようなものを作成して、そのいろいろな実施手順、注意事項、その他計画の内容の設定なんかをそれぞれ考えられたようであります。その中には、把握すべき自然条件、こういうような項目がりっぱに、手順そのものもできているはずじゃございませんか。そしてそういうようないろいろ長い手順がございますが、それらも、なお三年程度の連続観測による平均値も、偏差も、頻度も、最大値、最小値、合計値、こういうようなものもきちっとやれ、環境庁自身もそういうようなお考えがあるはずじゃございませんか。
そうすると、やはりこれをきちりとやらないと、水の生態系だけじゃなしに、肝心のこの環境保全そのものが根本から破壊される結果になってしまう、こういうようなことになるじゃありませんか。それで、いまこれもまた、おそまきながら着手しようとする。こうなると、いかにもこれも民意であると称して、知事も盛んに促進されているように承ります。しかし、それに押されて百年の大計を誤ってはならないと思うのであります。その誤ってはならない、まさに遠山の金さんということばは俗的でありますけれども、その重大な任務がいま環境庁にあるわけであります。ですから環境庁としては、りっぱな指針のあることです。百年の大計を誤らない、この見地に立って、大きくこの問題に対して取っ組んでもらいたい。そうでなければ、これはもうほんとうにとんでもないことになるのじゃないか、こういうようなことを私はおそれるわけなんです。こういうようなことを十分にして、それからやってもおそくはないんじゃなかろうか、こう思うわけなんです。
やらないで急いでやって、あとから問題を起こした例、たくさん数限りもない。まして建設省は、そういうようなことに対しては、予算はちゃんととっているんでしょう。予算をとっていながらも、さっぱりそれをやらないで、いままで着工してきた。今後もそれをきめて、それをどういうふうにしてやるのか、また、やろうとしている。これは裁判になったらどうするんですか。同時に騒音と振動、こういうようなものの被害は十分考えているんですか。この補償、こういうようなものに対しても十分考えているんですか。あわせて地域的な指定された特別地域もありますけれども、この指定地域内の規制をどうするんですか。またこれをはずすつもりなんですか。環境庁並びに建設省、それぞれの当局の御答弁を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/106
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107・浅井新一郎
○浅井説明員 先ほど申し上げましたように、本四架橋にからんではかなり広範な調査をやっておりまして、昭和四十四年からは海の水産資源とか漁業に与える影響というものについては調査としては着手いたしております。そういうことでいろいろ検討はしておりますが、何ぶんにわかに結論を出すというようなことにもいたしかねますので、今後も引き続き十分な調査を進めてまいりたいということでございます。
それから振動その他の影響等につきましても、これはいろいろ光の影響とか騒音、それから汚染の影響というようなものも若干考えられます。そういうことで、今後とも工事を進める上に必要な環境対策につきまして十分な検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/107
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108・江間時彦
○江間政府委員 先生がおっしゃいますような環境アセスメントをさらに推し進めて行なうということもございます。われわれ、現在の段階におきましては、まだ具体的に個々の行為につきましての申請も受けていない状態でございまして、これからそれらにつきましても、きわめて綿密な検討を行なわせるということでございますし、また自然景観との関係におきまして著しく変化が起きるということならば、公園計画そのものについても再検討を加えるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/108
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109・島本虎三
○島本委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/109
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110・角屋堅次郎
○角屋委員長 土井たか子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/110
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111・土井たか子
○土井委員 環境庁が昨年の十二月の十日に、関係十一省庁連絡会議で環境影響評価報告書をお認めになって、そして運輸省に対して港湾計画決定の同意を、北海道の苫小牧東部開発計画に対してお出しになりました。
この苫小牧東部計画の環境影響の事前評価報告書をめぐって最大の問題点というのは、こういうところにあると思うのです。それは一つは環境影響評価の際に、勇払地区のSO2測定データが欠落していたこと、二つ目にその測定データが短期的評価で環境基準をこえているという事実があること、実はこの二つの問題点というのがたいへんに私は大きいというふうに思うのです。先ほど島本虎三議員のほうから御質問がございましたその御答弁に、春日大気保全局長お答えになって、私は技術者であるから具体的な事柄について具体的に確かめるということを前提にお話しになったわけでありますが、そこで私ひとつ具体的にお尋ねしたいので、具体的にお答えを願いたいのです。
三月の八日の当委員会における島本虎三議員の質問で、実は勇払SO2データというものが欠落しているということが事実となって、これは非常に大急ぎで環境庁のほうは勇払のSO2データをお取り寄せになったわけでありますが、私も実はこれは正式に請求をいたしまして、この資料をいただきました。
これを見てまいりますと、四十八年の二月の末から三月初めにかけまして、この勇払のSO2データの高濃度というのが短期的評価からして合致していないと思われます。特に、これは具体的に日をあげてまいりますと、もう局長は御承知のとおりでありまして、三月一日の一日平均値〇・〇四二PPM、三月二日の午前八時から九時にかけては〇・一一PPM、この数値は環境基準の一日平均値〇・〇四、一時間値〇・一PPMというものをこえているということが具体的に言えるわけでありますが、この事実については、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。先ほどは短期的評価では、事実において基準値をこえている部分があるということもお認めになって御答弁になっておりましたけれども、ひとつ具体的にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/111
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112・春日斉
○春日政府委員 ただいまの数字は確かに環境基準値をオーバーいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/112
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113・土井たか子
○土井委員 そこで短期的評価から判断すると、これは不適合ということになる部分ですね。
ところで、四十八年の一月から三月の三カ月分というものを評価してまいりますと——これはいま申し上げたのは短期的評価、一月から三月の三カ月分を評価してまいりますと、この資料に従って計算を進めた結果、勇払のSO2による適合率というのは一日平均値の長期的評価で二日が〇・〇四をこえておりますから、したがって八十一日分の七十九日、適合率は九七・五%となるわけであります。長期的評価からすれば九八%値というのがたいへん問題になってくるわけでありますから、九八%値というのを充足していない九七五%というのについては、長期的評価の観点から考えても不適合と言えるのじゃないか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/113
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114・春日斉
○春日政府委員 長期評価と申しますのは、年間を通じてと申しておりますが、年間を通じなくともあるいは半年以上。それでは三カ月ではどうか、こういうことになると思いますが、やはり三カ月程度ではなくて、私どもは半年以上ということが一応長期評価、年間を通じての評価ということになろうと思いますので、私は三カ月で九七・五%、これは長期的評価から落ちているとか落ちてないとか、そういった問題ではないと思います。ただし、慎重に検討しなければいけないデータだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/114
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115・土井たか子
○土井委員 いま年間を通じての年間が三カ月程度というのでは不十分だ、できるなら半年以上というふうな御発言でございましたが、年間ということに対して半年以上をさして年間というというふうな告示なり通達なり、あるいはそれをきめている法の根拠というのはどこにございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/115
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116・春日斉
○春日政府委員 これはございません。長期という意味、あるいは年間を通じてという意味で申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/116
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117・土井たか子
○土井委員 そうすると、それは局長解釈であり、局長個人の意見でありますね。具体的に、これを客観的にはっきり裏づけるこの告示なり通達なり、あるいはもう一ついうと、法律的根拠というものがあれば別でございますよ。けれども、これがないんですから、適当に年間というやつについて、年間を通じてというのについては、半年ぐらいはオーバーしていればいいのじゃないかというお考えが局長にあるということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/117
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118・春日斉
○春日政府委員 いいかげんということではございませんで、長期的という意味は、私は少なくとも半年以上のデータが必要であろう、こういうことを申しておるわけでございます。確かに法的な裏づけはございませんし、通達で長期的評価は何日以上でなければならないというきめもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/118
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119・土井たか子
○土井委員 それでは申し上げましょう。通達とおっしゃいましたが、その通達はおそらくこの通達をさしておっしゃっているんだろうと思います。四十八年の六月十二日、環境庁から出ている第百四十三号、当時の環境庁大気保全局長の通達、つまり春日局長の前任の山形局長の通達であります。これを称して「大気汚染に係る環境基準について」というふうに私たちは略称しているわけでありますが、その中のいま御答弁の「長期的評価」というところについて、「年間にわたる測定結果を長期的に観察したうえで評価を行なうことが必要である」と書いてある。年間というのは、これは常識的に考えますと一年、通年ということだと思うのですよ。わざわざこれは半年に限るとか、半年ぐらいが適当だとおっしゃるなら、これはたいへん大きな意味を持ってくる。何らかそれについては、これによって考えますという根拠がなければならぬ問題だと私は思います。長期的評価ということについて、大体期限をどういうふうに考えるかという問題ですから、評価をする際の基準ということから考えたら、非常に大きい意味を持つ。したがいまして、通達には「年間にわたる」と書いてある。はっきり書いてあるんです。いまの局長答弁は私はどうも解しかねます。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/119
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120・春日斉
○春日政府委員 原則的には、一年間の多少の欠落データがあってもやむを得ないといたしましても、一年間の連続測定データがあることが最も望ましいと思います。しかしながら私は、若干欠けた場合、少なくとも半年以上あれば、その地域がよごれているかどうかという判定をいたしますときには有力なる指標になる、こういうことを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/120
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121・土井たか子
○土井委員 半年とおっしゃいましても、いま私がここに、なぜ具体的に一月から三月というふうなこと、二月から三月というふうなことを勇払のSO2のデータについて問題にしているかというと、先ほどの島本議員の発言の中にもございましたが、冬場が高いのですよ。高濃度なのです。したがいまして同じ半年でも、夏場だけを測定する場合と、冬場だけを測定する場合とぐんと違ってきますよ。客観的にこれは明らかな事実なんです。半年とおっしゃっても、こういうことになってくると、それは意味が違いましょう。
そうしますと、客観的にだれでもが納得し得るような測定データでなければならない。その測定データに従っての評価でなければならない。そうなると、通年という意味は、いま局長がおっしゃるとおり半年ぐらいで評価しても差しつかえないのじゃないかということで済ますわけには行きません。いかがです。この具体的に勇払のSO2データについて、一月から三月の三カ月分というのを評価すると抜群ですよ。これは九七・五%、長期的評価をオーバーするというのは、ちょっとそうざらにある例だとは思わないのですが、ここに出ている。これはいまおっしゃったような半年評価というふうなことから考えていくと、わずか三カ月じゃないかというお気持ちで御答弁なすっているのかもしれませんけれども、軽く見過ごすわけにはいかない具体的事実を物語っているデータだと私は思うのです。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/121
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122・春日斉
○春日政府委員 勇払のデータは一月から十月までが一応あるということでございまして、私どもは一月から十月までのデータを長期評価して云々と言っておるわけでございます。その中には一月からの冬場が一応入っておる。まあ望むべくんば昨年の冬からことしの冬に至るまでのデータがあればよろしいわけですが、それがないゆえに一月から十月でやむを得ず見ておるわけでございます。もちろん夏場だけの半年というようなものをとれば、それは問題があることは先生のおっしゃるとおりでございまして、そういったとり方等も一応勘案しながら環境アセスメントにそういったデータを利用する、こういうことで、先生のおっしゃることは一々ごもっともだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/122
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123・土井たか子
○土井委員 だいぶ中身をはぐらかした答弁になっているわけですが、あまりこれに時間をかけるわけにいきませんので、一つ確認しておいて先に急ぎましょう。
そうしますと、短期的評価という側面から判断をいたしますと、三月一日、三月二日等々に見得るように、環境基準に不適合という事実がこの勇払のSO2データによるとある。さらに長期的評価についても、一月から三月の三カ月分を評価して見た場合に九七・五%という適合率が出るわけであるから、不適合ととたんに言い得るかどうかは別として、これを十分に資料の中に織り込んで考えなければならない部分がここにあるということを確認させていただきます。ようございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/123
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124・春日斉
○春日政府委員 大体ようございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/124
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125・土井たか子
○土井委員 さてそこで、いまは勇払のSO2データが問題だったのですが、私は手元に「苫小牧港東港地区港湾計画資料」をいただきました。これを見てまいりますと、お手元にあれば、ひとつごらんいただいて確認をお願いしたいのですが、この五ページから六ページにかけて(表2−1)から(表2−3)というのが掲載されております。この(表2−1)という部分にはSO2に係る環境基準との比較表というのが載っておりまして、四十七年度の年間にわたる適合率を見ているわけであります。これを見ますと、明野という地点で測定した場合、一日平均値が九六・二%の適合率で不適合となっている事実を、まず確認させていただきます。ようございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/125
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126・春日斉
○春日政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/126
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127・土井たか子
○土井委員 そうしてその次の六ぺ−ジ、(表2−2)と(表2−3)の表は、四十八年の四月から十月までの七カ月間と、同じく四十八年の六月から十月までの五カ月間で、適合率が、いずれ本一〇〇%ということを強調して明野の場合には書かれているわけであります。そうでございますね。それをまず確認します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/127
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128・春日斉
○春日政府委員 必ずしも一〇〇%を強調したといいますよりは、2−2の表の注にございますように、大体測定データと申しますものは、新しく設置するのに伴いましては調整期間を二カ月くらい見るのが通例でございますので、二カ月分を除いて六月から十月までを見た、こういう意味であろうと解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/128
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129・土井たか子
○土井委員 具体的にこのもとになっているところのデータを見てみますと、欠落している、つまり欠測している日数というのが、実はこのデー々よりも以前にある。つまりいろいろと機械を調整する期間中に、十分に測定しているという事実があるわけです。むしろこういう調整期間をはずした場合に、この欠測している日数のほうが多いしいう事実もあったりいたしますが、まずいまの問題は、そこまで答えていただく要求をしてないわけであります。そういう一〇〇%というふうに書かれてありますねという確認をしているわけです。確認はされたというふうに理解をして、先に進みます。
明野の場合は、勇払の場合と同じように冬場の一月から三月にかけて高濃度が発生するのですよ。そこで先ほど申し上げたこの環境庁大気保全局長通達、昨年の六月十二日の通達の中身で「年間にわたる測定結果を長期的に観察したうえで評価を行なうことが必要であるが、」云々と書かれている。長期的評価の方法というふうなものを考えた上で、資料の中に保全計画の具体的な裏づけになっているデータはこうでございますということを掲載するのが当然であるのに、会計年度でわざわざ区切って、そうしてわずか七カ月と五カ月で適合率をここに見ているわけです。先ほどの御答弁からすると、まあ半年ぐらい見なければならないということから考えても、五カ月というのはおかしいです。この七カ月と五カ月で適合率を見ている見方というのは、一体どういう見方なんですか。短期的評価でもなければ長期的評価でもない。どういう評価基準によって問題にされていると具体的にいえるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/129
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130・春日斉
○春日政府委員 これは長期的評価をとろうとしたものだと思います。しかし、ただいま申しましたように欠落があったり、あるいは調整期間があって、やむを得ず数カ月という短い期間になったものだと思います。そういう意味では、先生御指摘のように年間を通じてという一つの考え方からは、やや不適合なデータであることはいなめない事実だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/130
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131・土井たか子
○土井委員 いま不適合なデータであることはいなめない事実とおっしゃいましたが、わざわざこれを会計年度で区切らなくたって、年間を見ることが可能であるわけですよ。四十七年の十一月から四十八年の十月にかけて、年間こういうふうな測定結果がございますということを掲載しようとしたら、できるわけでありますし、さらに四十七年の十月から四十八年の九月にかけてこうでございましたというのが、年間を通じての測定結果として、年間のデータとしてここに掲載されたら、何の文句はございません。
さて、なぜ私がこういうことをるるいままで言ったかというと、五ページのところを見ますと、上から六行目でございます。「現在では、概ね環境基準に適合していると思われる。」というふうに報告書は記載してある。そうして「現在では、概ね環境基準に適合していると思われる。」というこの報告書に従って、最初に私が申し上げたとおりに、環境庁はよろしかろうということで、十一省庁連絡会議で運輸省に対して、港湾計画決定に同意されたといういきさつがあるのですよ。
こういう不十分なデータに従って「現在では、概ね環境基準に適合していると思われる。」というふうな、この環境汚染の現状に対する概況報告、これは、いまの環境保全計画に対して、中身を見た場合に、評価する場合に、おそらくこの概況報告という点は非常に中心になると思います。どういうふうに読んでいるか、総合的に考えて資料に当たって評価をし、さらにその評価結果として、一体それではどうなのかということが、ここにこういうふうに記載されてあるわけであります。これはどうも結論として不的確な結論ではないか、どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/131
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132・春日斉
○春日政府委員 苫小牧市、いわゆる現苫につきましては、勇払を除きましても六測定点、勇払それからもう一つ測定点が、市がつくっているのがあるわけですが、それを入れますと八測定点、そういったものを総合評価してみますと、四十七年度については明野で若干問題もあるだろう、長期評価で九六・二%というものもあるし、それから沼の端あるいは勇払でも一時間値あるいは一日平均値で若干こえているものもあるけれども、全体として見ると、ここにあるようにおおむね適合していると思われるという書き方は、それほど間違っているとは考えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/132
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133・土井たか子
○土井委員 非常にずさんなお考えであり、そうしてまたこの評価に対しては非常にずさんな御答弁だと思うのですよ。もう時間はありません、本会議があと五分で始まるわけでありますから、私はきょうは、これで切り上げたいと思うのですが、一つここで申し上げたいことは、このいろいろなデータを見てまいりまして、こういうふうなことがあります。SO2の適合率の比較表というのは、NO2や浮遊粒子状物質が月別の一時間値の最大値、一日平均値の最大値、月平均値をずっと示していますね。これと比較していきますと、一切具体的な濃度を示すデータはございませんよ。適合率だけをここに示しているにすぎないのです。ここに出しているのは、四十七年度の年平均値がたった一つです。SO2についての資料というものは、これで十分だとはとてもいえる中身じゃない。どの程度の汚染があったか、どの程度の汚染があったということによって、どういうふうに判断をすべきであるか、一体これによって判読できるのですか。なぜSO2だけを特別扱いしたのか、この点不審のあるところであります。
こういうことからいうと、この環境保全計画についての部会資料そのものが非常に手抜きだということをいわなければならない。作為があったのかなかったのか、その点はわかりませんが、作為的であったとすら憶測をされても、私は返すことばがなかろうと思うのです。こういう欠陥資料をもとにして、環境庁がさきに港湾計画決定に対して同意をされたということ、その同意の中身も私は問題だと思いますけれども、こういう資料に基づいて環境アセスメント第一号として環境庁が取り扱われたということは、あとあと私は禍根を残すと思う。ひとつこの部会資料について、再度十分な資料としてつくり直すということを考えられませんか。
私はあと、さらに長期的評価や短期的評価について質問を用意いたしておりましたが、時間がきょうはありませんから、これは次の機会に必ず続行させていただきます。しかし最後には、いま申し上げたことについて御答弁をいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/133
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134・春日斉
○春日政府委員 苫小牧港の港湾管理者が提出いたしました環境保全計画、昭和四十八年十二月の資料でございますが、これにつきまして詳細に先生からの御指摘ございましたように、確かに問題点は内包しておると思います。ただし、これで環境アセスメントの資料に全く役に立たないかどうか、私はそうは考えないわけでございまして、一〇〇%満たした報告書ではないけれども、これで所期の目的は一応達せられるに違いない、かように考えておるわけでございます。
環境アセスメントと申しますことにつきましても言及したいわけでございますが、時間がございませんから申しませんが、したがいまして私は、苫小牧港湾管理者に対して、この環境保全計画すべてをやり直しさせる必要はないのではなかろうか、必要なものは私ども補完させつつあるわけでございますので、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/134
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135・土井たか子
○土井委員 おそるべき認識であります。この部会資料について、欠陥資料である、不十分な資料であるということを認めつつも、補完させつつあるから、だいじょうぶというふうな御答弁、私はとてもいただきかねます。少なくとも私がここでいま申し上、げたのは、こんなものは初歩的な問題ですよ。私が質問している中身というのは、まことに初歩的であります。こういう中身ぐらいは、少しは関係当局に対して、港湾管理者に対してどうかこうかということを——それならお伺いしたいのですけれども、資料要求をされているかどうかですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/135
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136・角屋堅次郎
○角屋委員長 ちょっと、質問の時間がもうありませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/136
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137・土井たか子
○土井委員 裏づけについての資料要求をされているかどうかです。その点をひとつ最後にお伺いして、私は終わりにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/137
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138・春日斉
○春日政府委員 幾つかの問題点につきまして、先生の御指摘になったことも含めまして、資料要求をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/138
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139・角屋堅次郎
○角屋委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後二時休憩
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午後三時三十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/139
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140・角屋堅次郎
○角屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出の公害紛争処理法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。田中覚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/140
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141・田中覚
○田中(覚)委員 私は、ただいま上程されております公害紛争処理法の一部を改正する法律案につきまして、都道府県における審査会の実際の活動の状況なども踏まえまして、若干の質問をいたしたいと思います。
内容に入ります前に、一言伺いたいと思いますことは、この法律は、昭和四十五年に制定をされましてから、すでに満三年を経過しておるわけでありまして、この間、四十七年度には、裁定制度の導入などもございましたが、これによって、公害紛争の処理はどのように行なわれたか。件数なり、あるいは提起された内容なり、あるいは解決の態様、そういうものがどういうふうな結果になっておるか。そういう点から見て、本法による公害紛争処理制度というものが、わが国の公害紛争の解決の上にどれだけの役割り、あるいは貢献をしてきたか、それについての評価をどういうふうに見ておられるか、その点をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/141
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142・宮崎隆夫
○宮崎(隆)政府委員 お答え申し上げます。
お尋ねの御趣旨を二つに分けさしていただきまして、前段の、国の公害等調整委員会及び地方におきます都道府県公害審査会における各種事案の処理状況につきまして、まずお答え申し上げます。
四十五年十一月以降四十九年三月三十一日までに、国の公害等調整委員会に係属いたしました事案は、総件数にいたしまして五十七件、申請人数にいたしまして一万七千七百八十七名でございます。また、地方の都道府県公害審査会等に係属いたしました事案は、件数にいたしまして七十八件、申請人数にいたしまして七千六十五名でございます。このうち、国の公害等調整委員会に係属いたしました事案は、いずれも調停申請事件でございます。また、地方の公害審査会等に係属いたしました事案は、手続別に申し上げますと、和解の仲介に関する事案が十七件、調停申請が五十八件、仲裁の申請が三件と相なっております。
また、特に地方におきます公害審査会の申請事案を内容別に申し上げますと、大気汚染にかかるものが十三件、水質汚濁に関するものが十六件、騒音、振動に関するものが四十件、土壌汚染に関するものが四件、悪臭に関するものが五件と相なっております。
また前後いたしましたが、国の公害等調整委員会に係属いたしました事案は、水質汚濁によるものが一件へ工場排水による漁業被害に関するものが一件、また水俣病に係る損害賠償調停事件が四十件、渡良瀬川沿岸における鉱毒による農作物被害に係る損害賠償調停事件が四件、大阪国際空港騒音調停事件が十件、及び徳山湾における赤潮による漁業被害に係る損害賠償調停事件が一件、合計五十七件と相なっております。
なお、これら国、地方を通じまして、すでに解決を見ましたもの、あるいはまだ終局に至っておりませんものを各別御説明申し上げますと、国におきます、国の公害等調整委員会に係属いたしました事案五十七件のうち、事案が終結いたしましたもの、処理済みのものが十二件、未済のものは四十五件でございます。また地方におきます係属事案七十八件のうち、すでに解決を見ましたものが五十七件、いまだ解決を見ておりませんし、係属いたしておりますものが二十一件でございます。
なお、この事情を踏まえまして、現在どのように考えておるかというお尋ねでございますが、その点につきましては、委員長から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/142
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143・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 委員会の処理した件数、あるいは係属している件数等については、ただいま事務局長から申し上げましたとおりでございます。
結局、お尋ねの御趣旨は、特に処理済みの事件について、その問題に対するどの程度の影響を持っているかということについての評価のお尋ねかと思います。
その点では、処理済みの事件というのは、いま事務局長から申しましたように、それほど多くはございませんけれども、その中には瀬戸内海の赤潮被害とか、それから水俣湾の健康被害とか、そういう大きな問題を含んでおります。そして瀬戸内海で起きた工場排水によるといわれておりました赤潮の被害を主とする漁業被害につきましては、これはもし問題を掘り下げるとしますと、赤潮そのものと工場排水との関係がまだ学会でも確定しておりませんので未定の問題でございますが、未定であるということを前提にして突き詰めていきますというと、これは決して被害者の救済のためには、そうやすやすたるものではないことは明らかでございますけれども、この事件につきましては、委員会で双方を説得しました結果、そういう被害も含めて当事者の合意する金額に達しまして、調停が成立しております。こういう方法はおそらく今後も科学的な証明のつかない、しかし、公害として一般に考えられている問題について一つの解決の方法を示したものであろうかと思っております。
それから水俣湾の健康被害につきましては、これは因果関係については、すでに政府の公式見解も表明されてはっきりしているのでございますけれども、さて、その健康被害の程度に対する賠償の額、損害の額をどのように見るかということについては、非常にむずかしいいろいろな問題がございます。しかし、この問題につきましては、たまたま判決が昨年の三月でございますが、調停とは別に訴訟係属中の事件について判決がございましたが、その判決の線に沿いまして、一時金としての補償額は、調停を申請している者に対しても、それを説得して了解を得まして、それで済んでおります。
ただ、そのほかに重症患者に対して毎月一定の金額を支給する、そういう方法もこの当委員会で出した調停が最初でございまして、現在それに従って水俣事件の処理は逐次行なわれておりますし、それからおそらくこの方式は今後起きるほかの健康被害に関する紛争につきましても、一つの例、一つのモデルになるのではないかとひそかに思っている次第でございます。
私どもとしては、与えられた職務をフルに動かしまして、適切な解決に至りたいものと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/143
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144・角屋堅次郎
○角屋委員長 答弁者のほう、声が少し小さいようですから、速記がとりにくいのじゃないかと思われるので、これからの答弁で御注意願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/144
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145・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 はい、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/145
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146・田中覚
○田中(覚)委員 ただいまの数字を伺いますと、この制度発足以来、それなりの成果をあげておられる。またいろいろ御苦心もおありのようでございまして、私もこの点については一応の評価をするわけでございますが、実は私が前提としてそういうことをお尋ねしたのは、従来、日本国民の間には、裁判というものは金と時間がかかり過ぎる、そういう意味で庶民は裁判にはどうもなじまない、そういう傾向が一般的にあったと思うのであります。しかるに、公害紛争に関しましては、四大訴訟事件をはじめといたしまして、最近は大阪空港の騒音だとかあるいは名古屋の新幹線の公害だとか、いずれも裁判によって紛争の解決を求めておりますね。
こういうような事態をながめてみますと、せっかくこの法律に基づいて紛争を処理する制度ができたにもかかわらず、この紛争処理の花形というかあるいは切り札というか、そういうものは裁判のほうにとられてしまっているんじゃないかというような感じが実はするわけです。
実はきょう、私は法務省に出席を求めて、この公害訴訟についての件数だとかあるいは関係者の数だとか、いま局長からお答えのありました数字に対応したものをお聞きしたかったのでありますが、先ほど法務省のほうから連絡がございまして、裁判所の所管に属することで、すぐにはわからぬというようなことであったものですから、的確にその数字を押えることが実はできぬわけであります。
私は、三重県出身ですが、三重県内の情勢を見ますと、どうも大きいものは大体裁判にいっているが、小さなものがこの本法による処理、そういうものになっているのではなかろうかというような感じがしております。しかし、これは後刻、法務省から数字もいただけるそうでございますから、その上で判断をいたしたいというふうには思っておりますが、公害等調整委員会のお立場からごらんになって、このように公害紛争が大きな裁判ざたになっていっておる、世間の関心がこの裁判のほうに、公害紛争というのは、やはり最終的に解決するのは裁判だというような受け取り方をしておる。こういうことについて、この公害紛争処理法を所管される立場から、これをどう受けとめておられるか、これをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/146
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147・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 御指摘のとおり、四大公害訴訟あるいは五大公害訴訟と申されまして、いままでの類型に入っていないような公害問題が訴訟で解決されておりますけれども、これはやはりそれぞれの訴訟についての訴え提起から解決に至るまでの期間というものを見ると、相当長いのでございまして、しかも、そのために当事者の払っている犠牲というものは、たいへんなものだろうと思います。もちろんそれには若い有能な弁護士が利害を離れて応援しているというようなこともあるとか伺っておりますけれども、とにかくたいへんなものだろうと思います。それに対しまして、それと比較いたしますと、私どもの取り扱っている事件処理のほうは、当事者にも負担をかけることが非常に少のうございますし、そして特に有能な弁護士でもつかなければ処理し切れないような問題でも、私どものほうでは直接本人を相手にしてやっております。
それでございますから、たとえば水俣の事件にいたしましても、それから大阪空港の事件などにいたしましても、これはまさに訴訟とそれから調停と両方を並行しているような形になっておりますが、実際はその制度を利用して自分の救済を求めている被害者の数は、はるかに公害等調整委員会に求めている者の数が多いのでございまして、実質的には、あの判決のようにはなばなしく世の中に反響のあるような形ではございませんけれども、私どもとしては、自分たちの処理については自信を持ってやっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/147
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148・田中覚
○田中(覚)委員 ただいまのお話は私も実はよくわかるわけですが、ただ私は、最近のこういう公害裁判を通じて言えることは、住民と裁判との間の距離というものがだんだん近くなってきた、そして住民の権利を守ってくれる最後のとりでは、やはり裁判所だ、こういう住民意識が定着してきておるのではないかというふうに実は見ておるわけです。そのことが、この公害紛争処理法による公害紛争の解決というものにどういうふうな影響を及ぼしてくるかということに注目しておるわけなんですが、しかしその反面におきまして、いまお話がございましたように、住民の気持ちからいえば、それにもかかわらず、やはり裁判というものは金と時間もかかるし、できることなら、もっと迅速的確に簡易に解決をしてもらいたい、こういう気持ちは確かに私はあると思うのです。
従来はこれにこたえる唯一の道は行政的な措置であったわけでありますが、しかし、最近は公害問題がだんだんと複雑化し、非常にむずかしい問題を包蔵いたしておりますために、どちらかというと行政官庁、ことに知事とか市長というのは選挙で出ておりますから、こういう問題にかかわることからだんだんに逃避したい、そういう気持ちがあることは、これは事実だと思います。そういうこともございますし、それからまた一般官庁がやるよりは、やはり第三者的な専門機関によって解決をしてもらうということのほうが望ましい。そういう意味で私はこの公害紛争処理法による公害紛争の処理制度というものの必要性があるというふうに考えております。
ただ、先ほど伺ったこの数字を見ますと、なるほど三年余の間に中央で扱ったのが五十七件、都道府県で扱ったものが七十八件ということでございますから、相当の件数にはなっていると思いますが、しかし、われわれが承知をしておる公害に関する苦情、これはたいへんな数に実はのぼっておりますから、そういう点から見て、まだまだこの法律に基づく公害紛争処理制度というものの利用が十分でないのじゃないかという感じがするわけです。そういう意味におきまして、この利用をはばんでいるようなことが一体ないのか、そういったことにつきまして何か反省があるかどうか、あればひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/148
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149・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 御指摘の点は、私どももかねがね痛感しているところでございまして、そもそもこの制度が発足したときには、もう公害紛争はすべて裁判所にいかずに、全面的に私どものほうで処理しなければならないくらいの予想をして臨んだわけでございますけれども、結果はそのとおりになっておりません。これはまことに私どもとしても、PRの不足とかいろんなことがあろうかと思いますし、また一方には、公害被害者のうちの一部の人が非常に果敢な法廷を通じてのはなばなしい法廷闘争などというものに、あるいは一部光を隠されているということなのかもしれませんけれども、この点は私どもPRなどについても遺憾のないように、そして地方の公害苦情相談員との接触などを通じまして、とにかくこのよい制度を知らないために利用ができないというようなことのないように、今後とも力を尽くすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/149
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150・田中覚
○田中(覚)委員 PRの不足というようなことも確かにあるだろうと思いますが、私はあとからまた伺いたいと思いますけれども、予算とか人員とかその他いろんな点について問題があるのじゃないのかというふうに実は思わざるを得ないのでありまして、この点は、実はあとから時間があれば、さらに伺うことにいたします。
この内容の点につきまして、若干伺ってみたいと思います。今度のこの法律改正の主要なポイントが三つあるということは提案説明で承っておるわけでございますが、その改正の第一のポイントは、申請を待たずに新しくあっせんを行なう制度を設けられたことであるということに実はなっておるわけでございます。この点につきまして、なぜこういう当事者の申請を待たずしてあっせんする道を開かねばならなかったのか、そのねらいが一体どこにあるのか、まずその点から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/150
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151・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 従来の和解の仲介、調停、いずれもこれは申請によってなされているわけでございますが、実際紛争の実情を見てみますと、ときには当事者間の問題が非常にこじれて、そして申請そのものが非常にむずかしくなるというようなこと、あるいは実際はこういう機関を利用したいのだけれども、さてどちらから申請するかということになると、これまた妙なことでございますが、言いだしたほうが一体利益になるか不利益になるかなんというような問題もございます。どうも公害を合意により解決する意思はありながらも、申請がなかなかできないというような実情があるように見受けるのでございます。
ですから、そういう場合には、こちらのほうから積極的に乗り出していって、当事者間の自主的な紛争解決の方法を促進するように働きかける。それから場合によっては、さらに和解のみならず調停とかそういう道があることも、あるいはそのほかの道があることも指導しまして解決の道を開く、そういうふうにしたい、そういう趣旨でこれができたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/151
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152・田中覚
○田中(覚)委員 これはたいへん初歩的なことで教えてもらいたいのですが、この法案の条文を見ますと、従来の「和解の仲介」というのを「あっせん」に変えておられますね。この「和解の仲介」というのと「あっせん」というのは、法律的にどう違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/152
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153・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 「和解の仲介」は、当事者間が和解契約をするについて、それの中を仲介するというのでございまして、大体が申請によってやるものでございます。ところが、今度考えました「あっせん」のほうは、和解の仲介を含み、さらに、単なる和解だけではなくて、そのほかの解決方法がある場合には、それもできるように、要するに、当事者がその紛争を終局的に解決する道を委員会のほうであっせんし援助する、そういう趣旨でございます。ですから、職権でやれるようにしょう、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/153
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154・田中覚
○田中(覚)委員 「和解の仲介」と「あっせん」の差は大体わかったのですが、本来この制度の趣旨は、やはり当事者間の自主的な交渉というものを基礎にし、お互いの譲歩によって解決に導くということが、本来のこの制度の趣旨であるわけですね。そういうところへ、申請もないのにあっせんに乗り出していくということにつきましては、無制限にこれをやられたのでは問題が当然出るだろう。おのずからそこに何らかの制約があり、あるいは条件があるんじゃないのか。むしろ端的に言うならば、必要最小限度において申請のない場合でも、あっせんに乗り出すというようなことではなかろうかと思うわけでありますが、その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/154
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155・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、私どものほうでも、この案を考えますについて、当事者が好みもしない、あるいはいやがるのに、無理やりに人の紛争に割り込んでいって、権力でもって解決を押しつけようなどという考えは全然ございません。
ただ、あくまでこれは、当事者の自主的解決を側面から援助する。そのためには自主的交渉をする場をこちらで用意する。そしてさらにいろいろな解決の方法などについて助言し、あるいは指導をする。そういうことによって自主的な解決にこぎつけるようにしよう、そういうことだけでございまして、しかも、それでもとにかく職権であっせんに乗り出すのでございますから、どんな紛争でも何でもやろうというようなことでは適当ではございませんので、それでもう例外的に、必要やむを得ない場合だけこれをやろうというわけでございます。
それで、どういう場合にその例外として乗り出すかということになりますと、まず、この条文にございますように、「被害の程度が著しく、その範囲が広い公害に係る民事上の紛争」それが第一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/155
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156・田中覚
○田中(覚)委員 第二十七条の二ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/156
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157・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 はい、さようでございます。
そしてその次、第二に、このような紛争について「当事者間の交渉が円滑に進行していない」という場合でございます。たとえば、当事者の一方が交渉を拒否するとか、あるいは双方の主張が対立して交渉が行き詰まり、それ以上進行しない、当事者に互譲による解決の意思はありますけれども、事態がそういうふうになっている、そういったような場合であることが第二の要件でございます。
そうして第三の要件として、このような状況下で、紛争を放置するときには社会的に重大な影響があるというふうに考えられる場合、そういう場合には例外的に職権で乗り出すということになる、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/157
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158・田中覚
○田中(覚)委員 その点につきましては、これはもう申し上げるまでもないことですが、当事者の自主的な解決によって円満に解決できる見通しのあるのに、上から積極的に介入していって、その自主的な努力に水をさすというか、そういうようなことにならぬように、これはもう当然のことでございますが、強く希望しておきます。
次に伺いたいのは、このあっせんが成立をしなかったときにどうするかという問題でございまして、その場合には、調停に移行する道を開かれておるようでございますが、このあっせんと調停ですね、これはどういう違いがあるものか、まずその点から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/158
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159・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 あっせんは、先ほどから申しましたように、当事者の間に立って自主的な交渉を促進するというのでございまして、これはあくまで主眼は当事者の自主的な解決を目標とし、それについてお手伝いをするという程度でございます。
ところが、調停は、もう少し進んでこちらが手を貸すわけでございまして、当事者の合意による解決を引き出すために、場合によっては当事者を呼び出す。もし出てこないときには無理にでも出てきてもらって、そうして当事者の双方の言い分を聞く。そうして必要がありますれば、ある程度の調査もする。そうしてたとえば因果関係などの不明な点が障害になるというような場合には、その点についての調査もし、そうして委員会としてどういう解決方法がよいかという線を考えて、それを当事者にすすめるということになりますし、さらに進みまして、もし委員会の最も妥当と考える解決案について、当事者が、立場上か何かの関係で、すぐその場でよろしゅうございます、そういうふうにお願いしますというふうに合意しない場合がございますが、そういうときには、一応委員会の解決案を当事者に示しまして、そして受諾を勧告する。この受諾を勧告すれば、場合によっては、その受諾勧告に対して一定の期間何も言わなければ、それで調停が成立するというような、これは現行法でそうなっておりますが、そういう方法で解決をはかるのでございまして、あくまで委員会が中に相当タッチしていくという点の違いがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/159
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160・田中覚
○田中(覚)委員 そういたしますと、いまの新しく挿入された第二十七条の三、この条文によりますと、「中央委員会又は審査会は、前条第一項の規定によるあっせんに係る紛争について、あっせんによっては当該紛争を解決することが困難であり、かつ、相当と認めるときは、あっせん委員の申出により、当事者の意見を聴いた上、その議決に基づき、当該紛争に関する調停を行うことができる。」こうなっておりますけれども、その「当事者の意見を聴いた上、」というのは、当事者の意見を聞いて、当事者がノーと言った場合でも、当事者の意思に反して調停に持ち込むことができるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/160
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161・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 制度としては御指摘のとおり、当事者の意見を聞いた上、当事者がそれに反対であっても、調停に入ることができることになっております。ただ、実際は、この趣旨からいって、たとえ調停に入るといたしましても、調停も当事者の合意の上に基礎があるのでございますから、この当事者の意見を聞いたときに、その当事者の意見がほんとうに合意による解決に反対であるというようなことがわかっておるときに、それを無理に調停に移行させるというようなことは考えられないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/161
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162・田中覚
○田中(覚)委員 時間のあれもありますので、次に、改正点の第二の問題、現行の調停、仲裁及び裁定の制度について、その整備充実をはかった。その一つといたしまして、調停委員会、仲裁委員会または裁定委員会は、それぞれ調停、仲裁または裁定の手続中において、仮の措置として、当事者に対し、調停、仲裁または裁定のために必要と認める措置をとることを勧告することができるということになっておりますね。これは第三十三冬の二で、(調停前の措置)ということで、あと仲裁、裁定にも準用されておるようでございますが、調停前の、つまり事前措置ですね。事前措置の勧告というものは、この調停制度の中で一体どういうふうな意味合いを持つものでございましょうか。そしてまた具体的にどういう内容のことか考えておられるのか、承りたいと思います。
と申しますことは、本来本法に基づく調停制度というものは、当事者同士の話し合いによって自主的に解決を促進していくというところが、みそであるわけですね。そういう制度の中で、調停前に必要な措置を勧告する、こういうやり方はいかにも何か当事者に任意的な履行を求めるだけの勧告にすぎないようでございますけれども、しかし、この公害等調整委員会のような第三者機関で、しかも国家機関ですね、こういうものが法律に基づく一定の権限、手続によってこういうことをやるということになりますと、受け取るほうとしては何か強制される感じを当然持つだろうと思うわけですが、本来の、本法に基づく調停制度の中で一体そういうことが許されるのかどうか、どうも何か矛盾する点があるのじゃないのかというふうな感じがするわけですが、その点についてはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/162
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163・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 調停前の措置はあくまで仮の措置でございまして、将来成立する調停の結論、調停で予想される調停の結論をあらかじめ仮に命じておく、勧告しておく、そういったような趣旨のものではございません。全く中間の仮の措置でございまして、最後に成立する調停の内容そのものをあらかじめ先に出しておくというような趣旨のものではございません。
それで、たとえば具体的にはどんな場合が考えられるかと申しますと、健康被害で数千万円の被害の賠償について調停申し立てがあるというふうなことを考えました場合に、現に被害者が健康被害のために生活に困窮しておる、それで調停成立して相当多額の金は得られても、それまでもたないというような場合が考えられますが、そういうときには必要な生活費だとか、あるいは医療の費用などを、一時、加害企業とされている企業にそれを支払わせるなり、あるいは貸し付けるなり、何かそういう方法をさせる。あるいは公害企業から公害源が排出されている、しかし、それが公害源となるかならないかについて争いがあって調停が行なわれているというふうなときに、一時、かりにその公害源の排出をとめておくとか、あるいは仮囲いでもするとかなんとかということにして、調停中に一時その被害を軽減しておくというような措置をする、そういったようなこと、そのほかにもございますけれども、そんなようなことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/163
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164・田中覚
○田中(覚)委員 よくわかりましたが、たとえばいまの公害源について議論がある、とりあえずとめるということなども含むというお話でございましたが、よく実際の場合に直面することでございますけれども、たとえば話がつくまで、とにかく操業を停止しておくというようなことが要求が出るわけでございますが、そういうこともできるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/164
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165・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 これはあくまで調停成立に備えての仮の措置でございますから、最初から、たとえば操業を全面的に停止させて企業そのものが成り立たくなるというようなことを、仮の措置として途中でやるということは、普通は考えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/165
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166・田中覚
○田中(覚)委員 もしそういうことでありますと、これは単なる勧告であって、加害者である企業がその勧告を受けても、その勧告を受けて実行させる強制力というものは何もないわけですね。そういう場合には、たとえば何か罰則でも適用させるとかなんとかいうことがないと、これは単なる机上の案になってしまって、事前措置の勧告の意味というものが果たされないことになるんじゃないのか。これはまた逆の立場からのお尋ねですけれども、そういう点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/166
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167・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 仰せのとおり、勧告でございますから聞かなければそれまでだということになりますけれども、この勧告をするときには合理的な勧告をいたすのでございまして、おそらくこの委員会が合理的な勧告をしたときに、その勧告を拒否するということは、容易なことじゃないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/167
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168・田中覚
○田中(覚)委員 先ほど調停案の受諾勧告ができるというお話がございましたが、新しく挿入された第三十四条の二に、「調停委員会は、前条第一項の規定による勧告をした場合において、相当と認めるときは、第三十七条の規定にかかわらず、理由を付して、」これを「公表することができる。」ということになっておりますね。いわゆる調停案の公表、これは、現在のこの三十七条が「調停委員会の行なう調停の手続は、公開しない。」つまり非公開の原則をとっておりますね。そういう点から見て、調停案を公表するというのは、第三十七条の非公開の趣旨と矛盾することにはなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/168
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169・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 この調停手続の非公開は、一つには、当事者のプライバシーを守るということと、それからまたそれだけではなくて、調停の進行中に、その条件などが外へ漏れますと、できるべき調停もできなくなるといったようなことも一つの効果としてあるものと考えております。ところで、最後に調停の受諾を勧告するというときには、もう調停手続で達し得る最後の段階に来ておりますし、それから調停案そのものでございますから、もはや公害紛争などについては、その内容が明らかになっても、当事者のプライバシーをこわすというようなことは、あまり考える余地がないのではないかと思います。
そういう点で、特にこれは非公開の原則に対する例外として、法律に盛ることをお願いしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/169
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170・田中覚
○田中(覚)委員 しかし逆に、公表されれば、なるほど公害等調整委員会は、そういう内容の調停案をぶつけておるのかということが関係者にわかるわけですね。しかもそれを、たとえば加害者である企業側が受け入れておらないというようなことになりますと、住民パワーを誘発し、あるいはこれがむしろ旗を立てる一つの理由になって、調停の本来の趣旨に合わぬような結果になるのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/170
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171・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 その受諾案の公表は、一つには当事者に、その調停案の内容を十分に理解し、同時に一般の人の意見も聞ける、社会の反応も見て、それで受諾するかどうかをきめるという一つの材料を提供することになります。
それから委員会自体にとりましても、これは理由を明示して公表することになりますので、その理由に対する世論の批判というものは十分考慮しなければならないのでございまして、この点で公表することによって委員会の案そのものが十分に吟味されることになりますし、また内容自体が不当なものを、無理に住民パワーで押し通すなんということにはならないはずのもの、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/171
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172・田中覚
○田中(覚)委員 次に、新しく挿入されたこの第四十三条の二、いわゆる(義務履行の勧告)の条項でございますが、中央委員会または都道府県の審査会等は、「権利者の申出がある場合において、相当と認めるときは、義務者に対し、」「定められた義務の履行に関する勧告をすることができる。」それからさらに第二項で、「前項の場合において、中央委員会又は審査会等は、当該義務の履行状況について、当事者に報告を求め、又は調査をすることができる。」ということになっております。
これは、調停なり仲裁なり裁定において、まとまったことを確実に履行させる、そういう意味で設けられた規定であると思われますので、この制度の拡充、整備という点から見ると、大きな前進であるように私も見るわけでございます。しかし、これとても単なる履行に関する勧告であって、先ほどの調停前の措置の勧告と同様に、ただ単なる勧告だけでは効果があがらないのじゃないかというような気もいたしますが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/172
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173・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 御指摘のような懸念ももちろんございますが、ただこの委員会は、その性格上単なる行政委員会でございまして、この委員会のなした結論に対して、直ちに判決と同じようにこれを債務名義として強制執行をする道を開くといったようなことは性格上できないのでございまして、強制執行権がないのは、これはやむを得ないことかと思います。
ただ、とにかく定められた義務で、そしてもはや義務は確定しておるのでございますから、これの履行をしなければならぬことは当然でございまして、あるいはその当該義務の履行そのものについて、履行を勧告するなどということは余分なことかもしれません。しかし今度の案におきましては、そういうことのほかに、履行に関する勧告としまして、履行に関し、いろいろこちらがアドバイスしなければならぬような場合が出てくるかと思います。
たとえば金銭の支払いでございますれば、その履行状況を見て、場合によっては、本人に資力がないときには、その家族とかそういう人に助けてもらうとか、あるいは保証をさせるとか、あるいは義務そのものは何月何日一時払いとなっていても、その履行状況を見て、これをできるように分割払いの道を開いてそれを勧告する、そういうようなこともございましょうし、それから物的なことでございますと、たとえば公害源からの排出をしないことというような条項になっている場合に、しないことになっているのだけれども、実際はそれをどうするかということになると、具体的なことで、いろいろまたこまかい問題が出るかもしれません。そういうときには、たとえばもう排出していないといい、いやまだ出ているといったようなときに、調べて、そして排出しないことを確かに確保させるために、もう一つ何かの手当てをさせるとか、そういうことの勧告をしようということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/173
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174・田中覚
○田中(覚)委員 そういたしますと、この定められた事項の履行につきましては、委員会として、かなりかゆいところに手の届くような指導、助言、そういうものをこういう形でやろう、そういう趣旨でございますね。
そういう意味で、私はこれはうまく運用されれば、たいへんいい結果を生むのではないかというふうに思いますし、それからまた、この定められたことの履行につきましても、履行のしかたいかんによりまして、いまおっしゃったように、また新しい問題が出るという場合ですね。たとえば、公害防止施設の整備あるいは改善ということをやるにいたしましても、どの程度までやれば一体きめたことの履行に合うのか合わないのかというようなことで、当然問題が出ることもあると思いますが、そういう義務の履行に関して、二次的、三次的に発生する諸問題についても、この義務履行の勧告の一環として、とことんまでめんどうを見る、こういう趣旨でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/174
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175・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 全く御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/175
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176・田中覚
○田中(覚)委員 ちょっと前にさかのぼりますけれども、第三十八条の改正が行なわれております。(事件の引継ぎ)に関する条項でございます。「審査会等又は連合審査会は、その調停に係る事件について、相当と認める理由があるときは、当事者の同意を得、かつ、中央委員会と協議した上、これを中央委員会に引き継ぐことができる。」これはつまり地方のほうから中央へ引き継ぐ場合の規定だと思いますが、その第三項に「前二項の規定は、中央委員会の調停に係る事件について準用する。」ということで、読みかえをする規定がございますね。
これはつまり逆に、中央のほうから地方へ引き継ぐ場合だと思います。地方の調停にかかる事案を中央のほうへ引き継ぐというのは、われわれもよく理解できるわけでございますけれども、中央の扱ったものを地方へ同じ規定で引き継ぎができるようにするというのは、一体どういう考え方でございますか。悪くいえば、中央と地方の間で責任転嫁のキャッチボールをやるようなことになってしまうのではないかというような感じもいたしますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/176
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177・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 中央委員会と地方との管轄につきましては、現行法の二十四条に規定がございまして、中央委員会では、この二十四条の各号に列挙しているような重大な事件をやる。重大な事件とは何かということは、この各号に書いてございますけれども、振り分けをするとすれば、こういう規定のしかたになるのでございますけれども、さて具体的な実際の事件になりますと、たとえば第一号の事件にいたしましても、被害の実質がそれほど重大ではないとか、あるいは全国的な見地から高い立場で解決しなければならないという必要性がそれほど高くない、むしろ地方問題にすぎないといったような事件も、どうしてもこの各号の中に入ってくるわけでございます。
それで中央でやるよりも、むしろ地方的な問題については地方で処理するほうが適当と思われる、しかも当事者も地方で処理するほうを望む、中央まで出てくるとすれば、いろいろ費用もかさむことでございますから、当事者もそういうことを希望する、そういったようなときには、これを地方で処理するようにする道を開くというのが、この趣旨でございまして、中央で手がけた事件を途中から地方に回すとかということは、普通は起こり得ないことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/177
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178・田中覚
○田中(覚)委員 そういたしますと、いまの第二十四条第三項の「前二項の規定にかかわらず、仲裁については、当事者は、双方の合意によつてその管轄を定めることができる。」ということだと、結局、管轄の区分を規定をしておりますけれども、当事者が双方で合意をすれば、地方へ持っていくべきものを中央に持っていっても、あるいは中央でやるべきものを地方へ持っていってもいいということですか。その一環として、こういうことがいわれているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/178
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179・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 この第三項は仲裁だけでございまして、仲裁の本質上初めからこうなっておりますけれども、調停はそうなっておりませんので、調停について協議による管轄を定める制度を開こうとするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/179
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180・田中覚
○田中(覚)委員 時間がなくなってしまったのですが、それでは前へいきまして最後に、今後の改正のポイントといたしまして、公害に関する苦情処理の円滑化と迅速化をはかるために処理体制の整備をはかったというふうに説明をされております。これは第四十九条を見ますと、公害苦情相談員の所掌事務につきまして、従来は「住民の相談に応じ、その処理のために必要な調査その他の事務を行なうものとする。」と、きわめて抽象的な表現になっておるのが、今度は一々「住民の相談に応ずること。」だとか「苦情の処理のために必要な調査、指導及び助言をすること。」だとか、あるいは「前二号に掲げるもののほか、関係行政機関への通知その他苦情の処理のために必要な事務を行うこと。」と具体的な規定をいたしております。
しかし、特に公害苦情相談員に対しまして、何か権限の強化をやっているというようなことは別に何もないわけでございまして、ただあと、この四十九条の二によりまして、苦情処理の状況を中央で報告が受けられるという制度にはなっておりますが、実はこの程度のことでは公害苦情処理の体制が整備されたというふうには私は、ちょっと受け取れないのであります。
〔委員長退席、坂本(三)委員長代理着席〕
ことに、今回の改正で新しくあっせんの制度がとられた。これによって簡便に申請ができるというようなことにもなりましょうし、あるいは申請を待たずして積極的にあっせんをする道も開かれていくということでございますから、いろいろ事務処理の体制というものが全般的に相当強化をされないといけないのじゃなかろうかというような感じが実はいたしております。そういう意味で、一体この程度のことで苦情処理の体制整備ということがいえるかどうか、この点についてのお考えはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/180
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181・宮崎隆夫
○宮崎(隆)政府委員 お答え申し上げます。
ただいま、公害苦情相談員の制度が今回の改正で十分な措置といえるかという御趣旨のお尋ねでございますが、御承知のように現行法におきまして、公害等調整委員会は、地方公共団体が行なう公害に関する苦情の処理について指導等を行なう責務を与えられておるわけでございますが、仰せになりました四十九条に掲げてあります公害苦情相談員の任務に関する規定では、わずか一項、「住民の相談に応じ、その処理のために必要な調査その他の事務を行なうものとする。」という簡素な規定が設けられておるだけでございます。
しかしながら、すでに御指摘もありましたように、地方公共団体におきます公害苦情処理の行政は、つとに高い意識と関心を持って、それぞれがおやりいただいておるところでございまして、私どもとして必ずしも最小限度の処理、最小限度の改正をここで行なっておるという理解はいたしておりません。しばしば公害苦情相談員あるいはその指導者の皆さんとも東京でお目にかかり、あるいは私どもが地方に出向きましてブロック別にお目にかかりまして、いろいろ意思の疎通をはかり、情報の交換も行ない、あるいはまた御意見もちょうだいいたしておりますところ、率直に申しまして、この四十九条で申し上げますと、第四項の規定をさらに具体的に分割して、その任務の内容を明確にしていただくというようなことが多数の御意見として出ておったところでございまして、これをすることによって必ずしも制度的にその任務が明確になり、体制が充実されたということになるとは私ども思っておりませんけれども、申し上げましたように、各地方団体における問題意識の漸次高まってまいりました今日におきましては、最小限度これで十分であろうというふうに考えておるところでございます。
また、関連いたしまして予算上あるいは人員の面において、はたして十分であるかという趣旨のお尋ねもございましたけれども、あっせんという事柄が新しくつけ加わりましたことによって、公害苦情相談員等の仕事を含めて、公害に関する地方団体の仕事が特別に増加いたしまして、たとえば実質的に大規模な調査をするとかいうようなことが大量に輩出してまいりまして、各審査会の負担を多くするというようなことになるということにつきましては、私どもとりあえずは、この一年間の経験なり実績なりを見さしていただきまして、また来たるべき機会に必要があれば、その措置をさしていただく、とりあえずは従来の考え方、従来の制度の運用の上で、この面を取り入れて善処していただくことを期待いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/181
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182・田中覚
○田中(覚)委員 時間がなくなりましたので、実はほかにちょっと伺いたいこともあるのでございますが、これで打ち切りまして、一言最後に要望だけしておきたいと思います。
冒頭に申し上げましたように、この法律による公害紛争処理制度というものは、法廷闘争に訴えないで、あるいは訴えるまでの間、金や時間をかけずに、しかも適切な解決がはかられるというところに、そのねらいがあるわけでございますから、したがって、この中央の公害等調整委員会なり、あるいは各都道府県の審査会のやることには間違いがない、これらの機関が出した判断というものは、きわめて公正である。そういう国民からの信頼をかちえられるように実績を積み重ねていくことが肝要じゃないかと思うわけでありまして、そういう意味合いから、この法律の運用にあたりましては十分慎重に善処をされるように強く希望いたします。
それとともに、いま局長からお話もございましたが、私は四十九年度の予算などを拝見いたしまして、結果を見て、また考えるということではございますけれども、相当事務量等がふえてくる。それに対して、いまのたった三名をふやして四十名程度の職員で、二億三百万ぐらいの予算ですが、しかも承るところによると、人件費が一億三千万円余で、事務費は七千万円ぐらいだということでありますが、そんな程度のことで、ほんとうに中央、地方を通じまして、この法律による公害紛争処理制度がうまく処理できるのかどうかということを実は心配いたしております。
でありますから、せっかく法律改正はしても形ができただけで、実際は思うようにできないということにならぬように、とにもかくにも一方において行政上の措置と、他方において裁判があって、その中間にある、この法律に基づく公害紛争処理制度というものが、一方ではあっせんで行政官庁のやるほうへ分野を広げる。他方では、四十七年に裁定制度を設けて、裁判というか訴訟のほうの側に近いところまで範囲を広げていかれたという、この考え方は確かに当を得ておるし、この制度は必要だ。ますます拡充し、願わくは、これからさらに起きるであろういろいろな公害の紛争が、この法律の運用によってうまく解決されていくというふうにぜひ持っていってもらいたい、こう思いますので、その点を強く要望いたしますと同時に、一日委員長の所信を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/182
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183・小澤文雄
○小澤(文)政府委員 御指摘の各点、適切な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。
御指摘のとおり、われわれ、いま伺ったことは今後とも十分服膺して、この制度を健全な、そして能率の高い制度に推し進めていきたいと思っております。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/183
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184・田中覚
○田中(覚)委員 質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/184
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185・坂本三十次
○坂本(三)委員長代理 次回は、来たる四月十一日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X01619740404/185
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