1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年五月二十四日(金曜日)
午前十時十二分開議
出席委員
委員長 角屋堅次郎君
理事 坂本三十次君 理事 登坂重次郎君
理事 森 喜朗君 理事 渡部 恒三君
理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君
理事 木下 元二君
大石 千八君 田中 覚君
戸井田三郎君 野中 英二君
羽田野忠文君 橋本龍太郎君
八田 貞義君 山埼 拓君
岩垂寿喜男君 小林 信一君
佐野 憲治君 岡本 富夫君
坂口 力君 折小野良一君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(環境庁長官) 三木 武夫君
出席政府委員
環境庁長官官房
長 信澤 清君
環境庁長官官房
審議官 橋本 道夫君
環境庁企画調整
局長 城戸 謙次君
環境庁大気保全
局長 春日 斉君
環境庁水質保全
局長 森 整治君
通商産業省立地
公害局長 林 信太郎君
委員外の出席者
海上保安庁警備
救難監 船谷 近夫君
特別委員会調査
室長 綿貫 敏行君
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委員の異動
五月二十四日
辞任 補欠選任
染谷 誠君 野中 英二君
松本 十郎君 山崎 拓君
同日
辞任 補欠選任
野中 英二君 染谷 誠君
山崎 拓君 松本 十郎君
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五月二十三日
有毒物質等による公害防止に関する請願(染谷
誠君紹介)(第七一七五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八五号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/0
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001・角屋堅次郎
○角屋委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、大気汚染防止法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/1
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002・島本虎三
○島本委員 大気汚染防止法の一部を改正する法律案について、私どもはいままでの質問を顧みてダブらないけれども、重要な点は一、二再びこれを記録にとどめさせておいてもらいたい。したがって答弁は的確にして、あまり冗漫な答弁にしないように初めから要請しておきたいと思います。
まず、環境保全を優先させるということ、それから人間優先、人間尊重の立場から、環境公害対策は未然防止の立場からの対策の先取りでなければならないのだ、これが最近の一つのやり方であります。まさに、それは自明の理ということであります。環境庁設置法の改正法案も、きのう内閣を通り、きょう本会議に上程になります。そしてまた、誇り高い環境庁長官として、英国やフランスからの招待までされて、見聞を広めて帰ってきております。副総理としての地位と実力も十分備わっているわけであります。列島を公害列島から立ち直させるためにも一大奮起のときであります。しかし、この一助として大気汚染防止法の一部を改正する法律案が出たものであるとすると、今後はこれに対する取り組み方、いわゆる企業優先、産業優先の立場から今度はぐっと離れなければならない、一大飛躍の土台にしなければならない、こう思うのであります。この法律を通したあとの決意をまず承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/2
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003・三木武夫
○三木国務大臣 総量規制を導入したいということは、かねがねから思っておったところであります、いまのような個別規制であっては、全体としての良好な環境というものを維持することは困難でありますから。ところが、これは、各国においても総量規制をやっておる国はないというところを見ますと、やはりなかなか困難な問題がそれに伴うわけでありますが、いま御指摘のように、日本の場合の諸条件にかんがみて、日本は優先して環境政策、公害政策を、世界に率先して、できる限り前向きの法案を用意することが必要である。こういうことで、いまお話のあったように、これからが環境元年である、こういう決意で取り組むために、この法案を出したわけでございまして、まさしく企業優先でなくして、人命優先という一つの考え方に基づくものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/3
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004・島本虎三
○島本委員 福祉元年は去年のこと、本年は福祉二年目であって、現在の社会保障の状態はまだ微々たるものであります。環境元年だといういまの言明、それとあわせて総量規制方式を導入する理由、これが現行の汚染物質の排出濃度による規制または排出口の高さに応じたいわゆるK値規制、これでは地域の排出、それから総量を押えるには必ずしも十分じゃない。一部の地域においては、このような規制のみによっては、とうてい環境基準の確保は困難な状態に立ち至っているわけであります。
長官、現行の排出基準は、環境基準が維持達成できるように定められたはずなんです。それが環境元年に至って、この自信を持ってやった環境庁が、今度はまた別な方式、総量方式をやる、こういうようなことになっているわけであります。いかにいままでは企業寄りの対策であり、法案だったか、このことがはっきりわかるわけであります。これは維持達成できるように定められたはずなんですが、どういうようなわけでこうしなければならなくなったのですか。当初の意向と相反したじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/4
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005・春日斉
○春日政府委員 先生御指摘のように、例をとって申せば、硫黄酸化物の量的な規制と申しますものは、理屈から申しましても、一本の煙突の拡散するという理論からK値規制という方向でいままでやってきたわけでございます。ところが、それが多数の煙源が密集して存在するような地域におきましては、そのK値規制の効果というものは、だんだん弱くなってまいります。そういう意味合いから、先生の御指摘のような環境基準を達成するには、どうしても総量規制という新しい方式を導入しなければ達成し得ない、こういう結論に達したためでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/5
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006・島本虎三
○島本委員 ここで明らかになったのは、現行の排出基準は、環境基準が維持達成できるように定められた、この現状に合わなくなった、こういうようなことがいまや明らかになった。そうすると、今回の総量規制の導入にしても、地方公共団体が条例なんかで、もうすでに実施しておる総量規制のあと追い行政が、いま国によってまた行なわれた。地方よりおくれている。公害防止行政は、未然防止を主眼とするようなやり方でなければならないし、当然先取り行政でなければならない。政府は従来の大気保全対策に対して、やはり反省しなければならないということです。なぜ総量規制の導入が早急にできなかったのか、この点も反省の一つとして承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/6
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007・春日斉
○春日政府委員 総量規制の必要性については、先ほど申し述べたとおりでございますが、総量規制を実行するにあたりましては、まず、その汚染物質のその地域におきます許容排出総量を算定しなければならぬわけでございます。そういった手法というものは、必ずしもいままで完成されていなかった。試行錯誤的に先進的な一、二の自治体が行なっておったことは事実でございますが、それを日本全体の問題として導入するには機が熟さなかった、こういうことでございまして、私どもは決して総量規制の導入をためらっておったというのではなくて、慎重を期しておったのは、そのような理由からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/7
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008・島本虎三
○島本委員 今後前向きにこれを取り上げる、このことばを高く評価し、環境元年にしたいという三木環境庁長官のことば、これを今後の一つの基本にして進めていってもらいたい。そのためには総量規制の概念と基本的な考え方、これをはっきりこの際ですから、尋ねておきたい。
公害規制の原則、これは汚染物質の排出量を環境容量の範囲内に規制することであるということは、もうはっきりしているわけです。総量規制の導入に際して過去を反省して、なぜ地域の自然浄化能力を基礎とした環境容量の考え方をとらなかったのか。一歩前進だというのなら、これをとるべきです。依然として環境基準達成のための総量規制だということになれば、環境元年にして、また再びある時期において反省を繰り返さなければならなくなる、こういうようなことになるではありませんか。総量規制の導入には、地域のこの自然浄化能力を基礎とした環境容量の考え方をとるべきです。この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/8
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009・春日斉
○春日政府委員 先生の御指摘、ごもっともでございます。また学者の中には、そういう御意見を強力に出していらっしゃる方もございます。しかしながら、地域の自然浄化能力というものをもって総量規制とするということは、概念的にはもっともなんでございますが、それを定量化し、絶対量として表現するということは、現在のところ不可能に近いわけでございます。私、最も先進的な総量規制の考え方を導入しております大阪の例を見ましても、定義は、まさに環境容量というのは自然浄化能力であるというふうに定義している。しかし、それを実行する段階になりますと、やはり環境基準に照らして算定した総量ということでおやりになっておるわけでございます。これは若干の学問的な進歩、研究というものを待たなければ、いますぐ自然浄化能力をベースにするというのは、現実には無理である。しかし、概念的には先生のおっしゃることは、まさにそのとおりであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/9
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010・島本虎三
○島本委員 環境元年にして再びまた反省を繰り返さなければならないようなことになるのをおそれて、いまの答弁に対して——水でも大気でも、自然連関サイクルに乗ってこの自然浄化能力が発揮される、これが平常の状態、昔のことばで、三尺川が流れたならば、もうすでに清流であって飲料に適するんだ、これが環境保全に対する基本じゃありませんか。この地域の自然浄化能力が定量的に把握されるように環境容量の科学的な解明研究、これは進めておりますか。今後これを取り入れる見通しはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/10
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011・春日斉
○春日政府委員 そういう方向の研究は私ども行なっております。たとえて申しますと、光化学スモッグの問題でございますが、従来のオキシダントの定量その他の問題にとどまらず、植物を指標といたしまする新しい自然浄化能力の算定方式、すなわち光化学オキシダントの新しいとらまえ方というものを、ことしから行なっておるわけでございまして、将来の問題ではございますが、十分研究を進めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/11
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012・島本虎三
○島本委員 まあ将来の問題で、これは研究を進めていきたい、見通しはまだない。これはやはりちょっとさびしい。環境元年にしては少し能力が不足である。昭和四十四年二月に設定された従来の硫黄酸化物に係る環境基準、これはいろいろ論議されました。「人の健康を保護するためには不十分であること」これが指摘されて、去年の五月に改定されました環境基準は、「人の健康を保護し、」「生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい」という行政上の目標として、環境行政上の基本的な基準であるべきはずなのに、人の健康に影響が及ばないような安全性が十分見込まれていなかった。そんなことでは、国民は国の施策を信頼し、安心することは、とうていできなくなるのではないか。環境基準、これは常に科学的な調査結果の基礎の上に立って、十分な安全性が見込まれているかどうか、この点を詰めておきたいのであります。
少なくとも総量規制を導入するにあたっては、環境基準を確保するというこの目標だけではなくて、動植物をも含めて人間に快適な生活環境を確保することでなければならないし、この点から見ると、まだ甘い目標としか考えられないのじゃないか。甘い目標にして環境元年では、これまた再び反省の機会が近い将来に来るということになりはせぬか、最後にこのことを私は指摘しておきたいと思います。これはどうでしょうか。やはり事務的なほうから先にお聞きしましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/12
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013・春日斉
○春日政府委員 硫黄酸化物の環境基準でございますが、これは確かに先生がいまお話しになりましたような経緯もございまして、昨年改定したわけでございます。すなわち、従来の環境基準ではなおかっ、健康に障害を及ぼすおそれがあるということで、さらに、それに安全度を見込みまして一時間値〇・一PPM、二十四時間値〇・〇四PPMというものを算定いたしたわけでございます。さらに浮遊粒子状物質とか、あるいは窒素酸化物との共存によります硫黄酸化物の影響の増悪というものも算定いたしまして、あるいは病人、老人、幼児といったものに対する特別な配慮もいたしまして、そのような値をきめたわけでございまして、これは世界でも最もきびしい基準であろう、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/13
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014・島本虎三
○島本委員 動植物をも含めて人間に快適な生活環境を確保すること、これまで至っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/14
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015・春日斉
○春日政府委員 環境基準を設定いたしますときに動植物、まあさらに進めば無機物にまで、そういう一つの標準が必要なのかもしれませんが、私どもは人間を主として、動植物ということを含めまして、環境基準の設定を行なっております。ただし、植物のみの特別の環境基準というものではございません。そういう概念を含めての環境基準の設定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/15
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016・島本虎三
○島本委員 では、次に進めましょう。
本法で定められている指定地域、これは政令で指定することになっておりますが、硫黄酸化物については、どういうところを指定するのでしょうか。環境基準の不適合な地域を漏れなく指定すべきであるが、これはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/16
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017・春日斉
○春日政府委員 硫黄酸化物の地域におきます環境基準に照らした適合度と申しますものを見ますと、非常に低いことは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもはK値の改定強化によりまして、それを一般の地域におきましては十分適合させることができると考えております。今回はK値規制という従来の排出規制では不十分な地域に、この総量規制を導入することによりまして、両々相まって硫黄酸化物の濃度を減らそうというわけでございますので、現実にはいわゆるK値のランク一、ランク二、こういった地域から指定することに相なろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/17
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018・島本虎三
○島本委員 ランク一、ランク二、それは何地域ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/18
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019・春日斉
○春日政府委員 十三地域でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/19
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020・島本虎三
○島本委員 十四じゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/20
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021・春日斉
○春日政府委員 最近改定されまして、十四から十三になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/21
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022・島本虎三
○島本委員 少し答弁のほうもきちっとしないといけません。
現在の大気汚染、これは汚染物質によって汚染されて、広域的な複合汚染物質の相乗作用が起きておる。これはすでにおわかりのとおりなんです。汚染物質を総合的に抑制するためには、硫黄酸化物以外の窒素酸化物、ばいじん、その他の物質についても、早急に指定する必要があるはずであります。その指定のめどがはっきりありますか。これが一つ。
それともう一つは、光化学スモッグの原因物質である炭化水素の環境基準を、やはり夏に向かっておりますから、至急に設定するとともに排出基準も設定すべきであるが、この点の準備状況はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/22
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023・春日斉
○春日政府委員 総量規制に、硫黄酸化物以外に政令で何か定めよ、こういうことでございますが私どもは再三御答弁申し上げておりますように、当初は硫黄酸化物を指定し、プライオリティーに応じて、次は窒素酸化物、次はばいじん、こういう順序で定めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(島本委員「年度はまだはっきりしてないのですか」と呼ぶ)窒素酸化物の政令指定と申しますのは、いまここで軽々にお約束できませんが、できるだけすみやかにということでございます。
それから炭化水素の環境基準につきましては、中公審の専門委員会で鋭意検討中でございます。私どもは、ぜひともことしの当初に、環境基準の設定を目ざしたのでございますが、炭化水素と申しますと、測定の問題あるいは基礎的データの数の問題に非常に限りがございまして、ノンメタンの炭化水素のデータ不足ということで、早急にことしの夏集めることが前提であるという中公審の専門部会の先生方の御意見でございました。これを集めて、本年度中には環境基準をつくってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/23
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024・島本虎三
○島本委員 総量規制の具体的な内容をきめる特定工場の規模の基準であるとか、総量規制基準及び特別総量規制基準の設定方式であるとか、環境基準レベルの総量の算出方式とか、こういうような重要な事項が総理府令で定められることになっておりますね。この規制の具体的な内容が、この法案を通してでは、まだ十分理解ができない。したがって、特定工場等の規模は知事がきめることになりますから、その基準となる総理府令の内容というもの、これはどういうものであるか、この際、はっきりさせておいてもらいたい。一定規模の基準、これは何を基礎として一定規模の基準というものをきめるのか。この点も明確にしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/24
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025・春日斉
○春日政府委員 指定ばい煙の削減量をその地域内のすべての工場、事業場にさせるという考え方も確かにあるわけでございますけれども、その場合には中小企業が多数設置されているような地域では、全体の総量から見ると、きわめてわずかな量しか排出していない、おびただしい量の零細企業を規制の対象としてとらえなければならないということで、あらゆる面から見て、これは不適当である、むしろ地域全体の排出総量の大きさを占める一定規模以上の工場、事業場に対して、その規模に応ずる社会的責任及び排出規制に対する対応力を考慮して負担させる、こういう原則でございます。
したがいまして、ただいま御質問のとおり、どういう基準を国は考えておるかということでございます。特定工場となる一定の規模、総理府で定める基準というわけでございますから、それに応じて知事さんがおきめになるわけで、私どもは指定地域におきます指定ばい煙の排出量の相当部分たとえば八〇%、こういったところとか、あるいは九〇%というようなところが、めどになろうと思いますが、そういったシェアを占めるような工場が含まれるように定める予定でございます。その具体的な基準は、今後地方公共団体や学識経験者の意見を聞いて決定するわけでございますが、知事はこのような基準に従って工場全体の排出ガス量が一定量以上のものを規模として定めるということになろうと思います。
たとえて申しますと、倉敷では百六十六工場がございますが、上位二十六工場だけでSOxの排出量の九五・五%を占めてしまうわけでございますから、私どもは上位二十六工場を特定工場とするならば、あとの百四十工場は総量規制でなくて、いわゆる燃料規制だけで、これはいけるのではないか。また四日市の百五十九工場のうち、上位十四をつかまえれば、全体の八六・六%のSO2を把握できるわけでございます。そういうふうに地域によって多少の違いはございます。たとえば東京、大阪のように中小煙源の多いところは、また大煙突の占めるシェアというものは低いわけでございます。地域によっては違いますが、そういったことできめるように指示をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/25
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026・島本虎三
○島本委員 都道府県知事がきめる規模というのと、総理府令の基準との関係は、地域の事情に応じて選択できるし、矛盾はない。こういうふうに了解すべきでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/26
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027・春日斉
○春日政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/27
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028・島本虎三
○島本委員 この総量規制の基準の設定方式、総理府令で、これもきめることになっておりますがその内容というものも依然として明らかになっておらない。その設定にあたっては実効性、公平性これがやはり担保されるように十分検討する必要があるわけであります。とりわけ工場の公害防止施設、これは排煙脱硫装置の設置状況、主要原燃料の硫黄含有量、公害防止に対する実績を考慮する必要、これは当然あるわけでありますが、こういうような点も十分考慮されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/28
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029・春日斉
○春日政府委員 御指摘どおり十分考慮いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/29
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030・島本虎三
○島本委員 排煙脱硫装置、これに対しては火力発電にして三十五万キロワット、これをやろうとする場合には、実際は、つい最近まで三万キロワット程度、現在までは乾式、湿式それぞれ数値は違いますが、三十万キロワットくらいしかできない。三十五万キロワットのものをやりますといっても、やりましたという免罪符になるおそれがある。十分実情に即しておらないけれども、これに対しては通産省あたりは十分指導すべきでありますが、確固たる信念を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/30
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031・林信太郎
○林(信)政府委員 お答え申し上げます。
硫黄酸化物の汚染の原因者といたしまして、電力が非常に大きなウエートを占めておることは御案内のとおりでございます。したがいまして、電力企業におきます公害防止の努力に対しましては、従来から強力に指導してまいっております。当初は燃料のローサル化ということで進めてまいっておりますが、御案内のとおり、ローサル原油にも限度があり、さらに石油工場におきますLS化にも限度がございます。したがいまして、電力企業それ自体において、ただいま御指摘のように、排煙脱硫を強力にやる必要がございます。
各産業横並びで見てみますと、ただいま島本先生が御指摘になられましたように、他産業に比べまして、電力は排煙脱硫装置の導入についておくれております。これは排煙脱硫技術あるいはその装置の規模等におきまして、中規模程度のものは何とかやれるけれども、規模が大きくなるにしたがいまして、試行錯誤的にならざるを得ないという事情があったわけでございます。
しかし、そういった困難にもかかわらず、今後の姿勢といたしましては、他産業におくれをとらないように、電力企業におきましても、大規模容量の排煙脱硫装置の設置につきまして、最善の努力を尽くすべきであり、通産省といたしましてもそういう方針で指導しておる状況でございます。今後も引き続き、その姿勢を堅持いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/31
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032・島本虎三
○島本委員 その答弁、その姿勢、それを貫いてもらいたいのであります。
ところが実際は、この実効性と公平性、これが担保されるような現状になっておらない。と申しますのは、排煙脱硫装置、これをやるためには、土地が必要であります。その土地が十分確保されてないのが、現在の電力会社の火力発電の実態になっておるわけです。土地がないから、幾らやろうとしてもできない。もしやっても、三十五万キロワットの場合は、現在開発されているのは、湿式で二十二万キロワットしかやっていない。これはやはり一種の隠れみのになるおそれがある、免罪符にしてはならない、こういうようなことであります。今後は、環境庁もそういうような点を十分考えて、総量規制基準の設定方式に——特に総理府令できめることになっておりますが、その内容等についても、この実効性と公平性が担保されるように十分これは指導すべきであり、通産省もいまの答弁がありますから、それとあわせて、そしてこれは完全に実効をあげてもらいたいのです。そういうのを特に要請をしておきたい。現実の面ではそうなっておりません。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/32
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033・三木武夫
○三木国務大臣 そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/33
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034・島本虎三
○島本委員 それで、本法律案によりますと、指定ばい煙ごとの削減計画と規制措置がとられておりますけれども、現在の大気汚染は、いろいろな汚染物質によって汚染されているために、広域的な複合汚染、汚染物質の相乗作用、第二次的に生成する汚染物質——オキシダントのようなものですけれども、これらの影響などについて総合的に把握して、削減計画の策定に際しては、地域のばい煙総量の削減にも、これらの影響を十分考慮すべきであります。そうでないと、やはり効果があがらない、こう思うのでありますが、この点等については、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/34
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035・春日斉
○春日政府委員 御指摘のとおり、十分配慮いたすつもりでございます。特に県と県の接しておるような、いわゆる県際の広域汚染につきましては、その辺を十分に考慮すべく本法案の作成に努力したつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/35
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036・島本虎三
○島本委員 県際といいますか、県境を隔てて、そして隣接する指定地域においては、お互いの地域から排出するばい煙、これによって相互に汚染している場合が多いわけであります。その地域における指定ばい煙の総量削減計画、それと総量規制基準を設定する場合には、どういう措置を考えるか。たとえは東京、神奈川——県は違います。しかしながら、川崎から東京のほうに流れ、あるいは千葉県のほうにも流れていっているわけであります。
そういうような点を考えると、第五条の三第四項の、環境庁長官の当該計画作成に関する必要な助言または勧告によって、十分これを調整できるかどうか。これが一つです。
それともう一つは、ついでですから言っておきますが、隣接県相互の調整については、何かはっきりしたものを持たないとだめなんじゃないか、効果があがらないのじゃないか、こう思うわけであります。幸い都道府県に対しては、助言または勧告によってやることになっておりますが、十分調整ができますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/36
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037・春日斉
○春日政府委員 ただいまの御指摘のように、私どもは、国として必要な助言または勧告を行なうことによって、円滑な、広域汚染の防止をはかってまいりたいわけでございます。現実問題としてたとえば東京だけ指定をするというようなことは私どもは考えませんで、東京に隣接いたします千葉、神奈川、場合によりますと埼玉の南部、そういったものを同時に指定をするというような方向でまいりたいと考えております。したがって、その前段階といたしまして、それぞれ一部三県にわたる広域の汚染状態の共同調査、こういったかっこうで対処することになろうと思っております。現在でも、一都三県の協議会というもので行なっていることは事実でございます。そういったことを、もっとしっかりやらせるということで対処してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/37
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038・島本虎三
○島本委員 一都三県でこれはいろいろ話し合いをしている、こういうようなことは伺っております。これは正式な協議の機関として、これを設置してやる、こういうようなことが実効をあげる一つの具体的な方法になるのじゃないか。あるいは便宜そういう話し合いをしているように承っておりますが、正規の協議機関が設けられてありますかどうか。もし設けられていないとするならば、こういうのをこの際、設けてやるべきじゃないかと思います。見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/38
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039・春日斉
○春日政府委員 正式の二県あるいは複数の県の協議会を正式なもの、あるいは法律に乗せたものとしての位置づけを与えよというお話でございましょうが、確かにその点、今回の法改正では明確にいたしておりませんが、実質的にはそれができるような仕組みで、私どもは法案作成に当たったつもりでございます。したがいまして、長官の助言、勧告、こういったところを十分に生かしまして、私どもは行なってまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/39
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040・島本虎三
○島本委員 念を押しておきますが、長官の助言勧告、これで十分調整できる具体的な方法としてまたは受け入れ側の受けざらとして最もいい具体的な方法としては、関係自治体の話し合いのための協議機関、こういうようなものも、やはりつくらしておいたほうがいいし、それが必要なんじゃないか。つくっていない場合では、個々で受ける態度も違いましょうし、それが違ったならば、これまた実際の規制に障害を来たすわけですから、やはりこういう点は踏み切るべきだ、こう思います。これは研究して、そういうふうにしてもらいたいという要請を含めて、答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/40
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041・春日斉
○春日政府委員 ただいまの御提言につきましては、私どももまことにそのように考えますので、十分検討いたしまして、そういう方向で進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/41
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042・島本虎三
○島本委員 この燃料の使用量であるとか、燃料の需給であるとか、それから汚染物質排出量に対する見通しであるとか、ばい煙発生施設の新増設に対する見通しであるとか、こういうようなものも、はっきりさせておかなくてはならないわけでありますけれども、指定ばい煙総量削減計画の策定について、「工場又は事業場における使用原料又は燃料の見通し、」これを勘案してきめることになっておりますが、低硫黄の燃料が入ってこないときには、これはどうなりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/42
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043・春日斉
○春日政府委員 これは計画でございますので、十分計画を事前に立てることによって、さようなLSのサプライ計画というものが、そごを来たさないようにするということが前提でございます。したがいまして、どうしてもLSが入らないような場合には、操業率を落とすとか、場合によれば、なまだき、あるいはナフサの混焼、あるいは灯油の混焼、そういったもので切り抜けるとか、いろいろな対応策はあり得るものと考えております。したがいまして、当初の計画に際しまして、低硫黄燃料の供給計画というものは十分に立てておく必要があろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/43
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044・島本虎三
○島本委員 これは立てておかないとだめなんですね。立てておくべきだと思いますじゃなくて、立てておかないとだめなんです。五条の三で特定工場等以外の施設のばい煙の排出状況の推移等を勘案するといっているけれども、これは勘案するというのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/44
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045・春日斉
○春日政府委員 総量規制の対象となりますものは、一定規模以上の特定工場でございますので、それにかからない中小企業の煙源、あるいは自動車、これは窒素酸化物等におきましては、自動車が非常に重要になってまいりますので、自動車あるいは一般家庭の煙源、ことに先生のいつも御指摘になるような札幌のごとき冬場の家庭燃料の占めるシェアというものは無視できないわけでございますから、そういったものを勘案するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/45
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046・島本虎三
○島本委員 では、それからそれへと進んでまいりまして、工場または事業場がさらに伸展する地域においては、将来、新増設される工場等のために、地域の排出総量のうち留保される量、これはどの程度の比率がとられてございましょうか。リザーブする分です。
〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕
それが一つと、もう一つは、特別総量規制基準、どの程度のきびしい基準が設けられるのであるか、総理府令の内容等にかんがみて、ひとつこの際、明確にしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/46
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047・春日斉
○春日政府委員 留保するパーセンテージは幾らかというお話でございますが、これこそ地域の状況によりまして、あるいは汚染度によりまして大いに違うことであり、これは知事の独自な判断によって行なわれるものであろうと考えております。したがいまして、一般論からいえば、きわめて汚染度の高いところでは、リザーブは少なくなることは当然であろうと考えております。
なお、留保分の中で、新増設をする場合、特別の規制はどのぐらいになるかということでございますが、めどといたしましては、おおよそ二倍ないし三倍のきびしさをもって対処する方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/47
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048・島本虎三
○島本委員 いわゆるリザーブされている分、留保された一定量が、新増設によって全部割り当てられてしまうた場合はどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/48
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049・春日斉
○春日政府委員 そのような場合があろうかと思いますが、これはなるべくそういうことのないように考えたいわけでございますが、もしそういうことがあり、なおかっ、新しい新増設分の要請が必要ならば、さらにそこで計画を練り直して、全体の中でリザーブ分というものを考えるという段取りになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/49
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050・島本虎三
○島本委員 そういうような点については、やはり公害防止を先取りする、公害行政は先取り行政であるということからして、一たんやったものをもう一回直す、これがなかなか至難でありますから、今後これを、基準を立てる場合にはきちっとして先を見通してやっておいてもらいたいし、そういうような配慮が十分必要だ、このことだけは特に申し上げておきたいし、満ぱいされたあとなんか、これは当然やり直すでしょうから困るだろう。困ることがないように、これはあらかじめ計画の段階できちっとしてきびしくしておく必要があろうかと思います。
次、総量規制の実効、これを確保するためには指定地域内における特定工場または事業所のばい煙発生施設の新増設について、これは当然許可制をとる必要があると思うのですけれども、許可制をとらなかった理由はどこにございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/50
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051・春日斉
○春日政府委員 ただいま申し上げましたように、新増設と申しますものは、留保分の中から認めていくわけでございます。しかも、その基準は二倍ないし三倍きびしいものを適用するわけでございます。したがいまして、事実上は新増設はきわめてむずかしくなるということでございます。それを乗り越えてできるものならば、これは非常にクリーンな排出なのでございますから、そういうのからいたしますと、私は、事実上、先生のおっしゃっておるような届け出でなくて、許可制にするということと実質的にはそれほど違わない、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/51
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052・島本虎三
○島本委員 では、問題はやはり許可制にするほうが、実効をあげさせるためにも、監視、指導するためにも、これは必要である、こう思いませんか。届け出だけでしょう。届け出制が許可制にまさるという理論的根拠を明確にしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/52
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053・春日斉
○春日政府委員 御承知のとおり、大気汚染防止法の一環で工場の立地を規制するということは、やはりなじみにくいものではないかと思います。この工場立地法制としては、そのほか工場立地法とか工業再配置促進法とかいろいろなものがあるわけでございまして、そういった体系の中でやることのほうが、なじみやすいと私どもは法体系上は考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/53
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054・島本虎三
○島本委員 総量規制の実効を確保するために必要だというこの考えを前提にして、許可制が届け出制よりも、これは有効じゃないのかということを言っているわけです。なじまないというならば瀬戸内海で、今度は瀬戸内海環境保全臨時措置法この中では、施設の新増設については全部許可制をとっているじゃないですか。一方で許可制をとって、水の場合は許可制をとって、その法律をつくって、今度はそれより一歩環境元年にふさわしいような法律にするのに、これがなじまないということでは、少し考え方のほうがなじまない。これはもう一回検討事項として検討する必要がありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/54
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055・春日斉
○春日政府委員 私ども、もちろん先生の御提案でございますから検討いたすつもりではございますが、しかし、先ほども申し上げておりますように、新増設工場の規制値というものは、既存工場に対するよりも、はるかにきびしいものとするわけでございますから、これによって工場の新増設を実質的に抑制する効果があるわけでございます。そういった点が、私ども必ずしも許可制を導入していない理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/55
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056・島本虎三
○島本委員 人間の性善説、これを基調にして考えても、いままでの法律ができても環境がだんだん汚染されていった。昭和四十五年公害国会以来何本法律ができましたか。若干はよくなっても、見るべき成果はあまりない。やはりこの点は行政の姿勢なんです。したがって、これは届け出制にしておいたら、届け出をして、そのまま自分らが操業いたしますから、その場合にはやはり許可制をとるよりも自由にやれるわけです。瀬戸内海の施設の新増設の場合は、いま許可制になっているのです。水の場合は許可制なんです。空気の場合には、これは届け出制でいいというのは合わないじゃないか。そこなんです。これはもう許可制は必要ないのだと言うならば、許可制が必要ない——なじみにくいなじみにくいと言うけれどもその考え方がおかしい。では、瀬戸内海環境保全臨時措置法、これは施設の新増設は全部許可制になっている。これは現在きちっと発動し、いまやっているじゃありませんか、この点に対しては
一考を要するのじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/56
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057・春日斉
○春日政府委員 私ども煙突を、届け出がございますと、それが現在でございますと、硫黄酸化物に対するにK値規制のためにいろいろな規制をかけてまいります。また、さらに総量規制につきましても、環境基準を達成するようなものであるかどうかということを調べてまいります。したがいまして、現実的にはそれを達成することができないということならば、計画を廃止あるいは変更させる、そういうことになろうと思いますし、実質的には私ども届け出制と申しましても許可制と何ら変わりない厳密な行政を行なうよう指示するつもりでございます。
それから先生の御趣旨につきましては、十分私ども今後とも検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/57
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058・島本虎三
○島本委員 それについて環境庁長官に、この辺は大事ですから、いまの受け答えおわかりでしょうか、ひとつ御所見を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/58
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059・三木武夫
○三木国務大臣 新しい工場立地に対しては規制がきびしいのでありますから、実際に届け出といっても、規制の効果はあがると思いますけれども、しかし、この点は十分検討をいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/59
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060・島本虎三
○島本委員 これはもうK値規制と総量規制と合わせたものですが、今度はK値規制と燃料使用規制の面、これはもう特定工場以外の施設の規制について、これは汚染が進展しないように防止するためには燃料使用規制を行なうということになりますが、これで十分効果があげられますかどうか、これが一点ですね。
燃料使用量の増加と施設の新増設について届け出だけでなしに、これはもう許可制でないまでも、もっときびしいチェックが必要じゃないかと思いますが、それに対してどのようにお考えでしょうか、この二点をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/60
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061・春日斉
○春日政府委員 御指摘のように、中小煙源は総量規制をかけなくて燃料規制を行なっていくわけでございますが、届け出制であるがゆえに、どんどんその煙源がふえていく、そういうおそれがあるではないかということでございますが、もちろん私どもは、この総量規制の計画を立てるにあたりまして、そういったことを勘案して、使用量の増加というものを計画の中に織り込んでやるように考えておるわけでございます。
それから、なお特定工場だけをやって、あとは燃料規制で実効あがるかというお話でございますが、先ほど申しましたように、特定工場は少なくともその地域のSO2の排出量の八〇%、九〇%というところを押え込みますので、十分に私はあげ得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/61
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062・島本虎三
○島本委員 現在地方公共団体が条例でもうすでに総量規制を実施しているところもございますね。この制度が実施された場合には、矛盾なくこれを取り入れられるかどうか、これに対する配慮をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/62
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063・春日斉
○春日政府委員 現在地方公共団体において実施されております総量規制と申しますものは、基本的に国の制度に吸収していく考え方でございます。
ただ、直ちに吸収できないものもあろうかと思いますけれども、法的秩序の安定性というもの、それは保たなければいけないわけでございますから、現在実施されている規制の効力を経過的に存続させるというような方法で処理してまいりたいと思っております。
しからば、国の制度による規制が、現に行ないつつある地方公共団体の規制よりもゆるいのではないかというような御指摘もあろうかと思いますが、これは具体的に一々比べてみるよりしようがないわけでございますので、一がいには何とも申せませんけれども、一般論としていえば、地方自治体の総量規制も環境基準の確保を目的としておるわけでございます。国の規制も全く同じことでございますから、結論的にはほぼ同程度になるのは当然なことでございまして、国の基準より、ことさらにきびしいものになり得るというような地方自治団体の総量規制というものは、存在しないものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/63
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064・島本虎三
○島本委員 公害国会で昭和四十五年の十二月、公害関係の場合は、条例によって定めるその範囲は法律を上回ってもよろしい、横出し、上のせはよろしいという基本原則は確認されておりますので、いまの答弁とちょっと相反するように思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/64
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065・春日斉
○春日政府委員 上のせ、横出しその他の地方公共団体に許されている権利と申しますものは、あくまでも環境基準を達成せんがために、従来の方法ではいかんともしがたかったので、上のせ、描出しをする、こういうことでございますから、今回はそういった環境基準達成のための総量規制を引くわけでございますので、地方自治団体において、さらにその上に、上のせをするということは、現実にはあり得ないことだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/65
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066・島本虎三
○島本委員 この総量規制の実効を確保する上から、地域の大気汚染状況を的確に測定評価する、そうして対応措置の実施とその判定に資するためには、即刻これを行なうというような監視体制が必要だ。そうすると、テレメーターシステムによるところの監視測定体制の整備が、これは必須だと思うのです。現在の整備状況はどうなっておりますか。それと同時に本年度の予算はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/66
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067・春日斉
○春日政府委員 御指摘のとおり、この測定体制の強化ということは、非常に大切な問題でございまして、私どもは測定局の設置あるいは先生のおっしゃるようなテレメーター化等の監視測定体制の整備というものは、これは総量規制をやる上につきましては、有効にするか、あるいは適切に運営できるかというために非常に大切なことは言うまでもないわけでございまして、国としては、従来から都道府県等に対して助成につとめてまいりましたけれども、さらにこれを強化してまいりたいと思っております。
四十九年度におきます大気汚染等監視設備整備費補助金は、かなりの増額を見ることができたわけでございますが、そういう意味から、今後とも計画的にその整備拡充につとめてまいるつもりでございます。特に発生源の測定器と監視センターとを結ぶテレメーター装置につきましては、発生源からの排出を常時監視することができるわけでございますから、これは総量規制の実効をあげる上に非常に重要なわけですから、今後とも助成を強めてまいりたいと考えております。
予算的な問題でございますが、四十五年は大気汚染監視整備費補助は約九千万であったのでございます。煙道テレメーター等の補助金はなかったわけでございますが、四十七年から補助金額は五億三千九百五十万ということになりまして、そのうち、テレメーター分が一億七千九百万というふうに上がってまいります。四十八年度になりますると、補助金総額は五億三千数百万と、あまり変わりませんけれども、さらに煙道テレメーター用の補助金六千九百万を計上することができております。四十九年度は約七億の補助金で、テレメーターが約二億、煙道テレメーター分が約八千万、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/67
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068・島本虎三
○島本委員 大気汚染に対しての測定効果をあげるための監視測定体制の整備、テレメーターシステムによるところの実施、これはけっこうであります。しかし、大気の場合はいいが、水の場合に対しての監視体制はどうなっているか。油の問題は、もっぱら海上保安庁にゆだねられているわけであります。海に注ぐ排水口がある。こういうような工場の排水口にも、やはりテレメーター方式によるところの監視測定器を取りつけて、汚濁の状況が即刻わかるようにしたほうが、水質汚濁防止の上からも的確な効果をあげることができるのじゃないかと思うのです。私はこれをすべきだと思う。大気のほうはテレメーター方式、わかりました。予算も組んである。水質の場合は、なぜこれをやらぬのでしょうか。技術がまだ至らないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/68
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069・三木武夫
○三木国務大臣 私も、大気のほうはだんだんと進んでまいりますし、総量規制も水を入れていかなければならぬわけですから、水に対しても自動測定器のようなものをつけて、そして環境の現状というものを把握することができるようにすることが必要でありますので、ぜひやりたいと思うのですが、ネックになっているものは、技術の開発がまだそこまでいっていないということで、今後そういう方面のメーカーにも、できるだけそういう開発の促進を要請して、ぜひ近い将来に、そういう技術の開発を行なうようにやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/69
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070・島本虎三
○島本委員 以前、二、三年前ですか、水の場合の測定も、ある物質については可能である、これは東北大学で検討の結果成案を得た、こういうようなことを私は承知したことがございまして、この委員会でも、それを発表したことがあったわけであります。物質によって、それが可能だとするならば、空は、大気汚染の場合は監視測定体制をテレメーター方式によってやるとしたならば、日本は水の場合がまだ一番おくれているわけであります。いまこれをやって、実際きめ手がなくて一番困っているのも、これまた海上保安庁じゃないか、こう思うのでありますが、東京湾や瀬戸内海やそれから琵琶湖もそうでありまするけれども、いろいろと問題があります。これは可能なのか可能でないのか、保安庁のほうから専門官が来ておると思いますが、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/70
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071・船谷近夫
○船谷説明員 海上保安庁のほうとしましては、そういう測定方式でなく監視をしておりまして、工場につけなくてはいけない、そういったメーター類につきましては、実は海上保安庁の所掌というわけにはまいらぬわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/71
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072・島本虎三
○島本委員 ちょっと誤解している。汚染状況の調査、これは油濁、油で汚染されておるこの状況を、皆さんのほうで発表なすっているじゃありませんか。瀬戸内海がきたない、東京湾はよごれている、大阪湾はよごれている、そういうような汚染状況もはっきりさしておる。それを聞いているのです。それに対して、きめ手があるのかないのか、それを聞いているのです。ありませんか。簡単でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/72
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073・船谷近夫
○船谷説明員 当庁が海水の汚濁に関しまして監視しておりますのは、飛行機を飛ばして、主として油による海水の汚濁の監視をやっております。また事実一年間の二千四百六十件くらいの汚染の大部分が、油による汚染でございます。工場から出てきております産業廃棄物等による汚染、それの違反等につきまして極力巡視船艇を使って採水して、そして分析し、違反しておるかどうかということの監視、取り締まりをやっておりますが、非常にむずかしい問題がございまして、決定的に絶対にというところまではいっておりません。というのは、われわれの勢力がそこまで達しておらないということもございますし、また海をよごす原因としまして、河川に流すということが相当にあるわけでございます。これは、われわれの権限の外でございまして、警察のほうにお願いしなければいかぬ部分であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/73
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074・島本虎三
○島本委員 それで長官、あわせてこれは水質汚濁の方面にも十分テレメーター方式というものの技術開発を急いで、排出口につけておいたら、その会社から何を排出物として流すのかということがわかっているはずです。それ以外の濃度のもの、それ以外の物質を流した場合に、それにぴんと反応するようなもの、これは現在の科学技術で、ないということはないと思う。これを十分考えて、空も水も、ともに一目わかるような監視体制の整備をはかられたい。このことを強く要請しておきたいと思います。
それと同時に、次に移りますが、地域開発における公害の未然防止の徹底、これは大切です。したがって、有効適切な環境アセスメントの手法を確立して、すみやかに実施する必要があります。事前の厳格な環境アセスメントが要求されるのでありますけれども、これも十分やらないままにこれが出発して、四日市や鹿島、水島のような臨海工業地域は事前予測調査が不十分であった、こういうようなことからして、汚染地域として問題をかかえていることになっております。
環境庁は工業開発にあたっては厳格に環境アセスメントを実施すべきであって、その手法等ははっきり確立しておかなければならないと思います。いままでのよごれたものに対しての手当ては、今回第一歩を踏み出した。今後よごさないための手法がまだ十分整っておらない。これでは環境元年にして、どうも憂うべき問題をかかえているようにも思いますので、今後環境アセスメントを実施する内容等を充実させておくようにつとめてもらいたい。これは長官にお伺いすることになりますが、たとえば苫小牧でいろいろ議論があったとおりでありますから、そんなことがないように当然すべきでありますが、この際、御高見を拝聴させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/74
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075・三木武夫
○三木国務大臣 島本委員の御指摘のように、環境行政の中心は、私は、アセスメントだと思うのです。そういう意味において、この手法というものも、いま検討を加えておるわけでありますが、いろいろな点で、まだこの手法などについて検討を要する点があります。これが環境行政の中心であるということからして、これには特に力を入れて、そしてアセスメントをやりまして、——ただアセスメントということでなしに、開発をこういうものにしたならば環境保全のためにベターだというところまで、地域住民に対して親切なアセスメントの報告ができるようにして、これを公表して、さらにこれを公聴会にかけてやる、こういう手法と手続というものを整備していきたい。
環境庁はアセスメントを中心とした役所で、公害が起こって、あとから追っかけていく役所でない、こういうふうに持っていきたいものである。しかも環境庁のアセスメントというものに対して広く国民の信頼を得られるようなものに持っていきたい、私自身こういう考えで、いま申したような方向に進んでいきたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/75
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076・島本虎三
○島本委員 やはりそれが今後一つの大きい命題であって、環境庁の命運にかかわるような重要性を持ってくる。
その際、環境濃度の把握、こういうのはもちろん必要でありますけれども、長官、今後公開の原則と手続、これはやはりかぎですから、十分その点を考えてやっていただきたいし、いままでのように秘密主義に終始しないように、これはもうやるべきである、この二つだけは、はっきりと申し上げておきたい。
それと、漏れている問題では、高層気象データ、NO2、浮遊粒子状物質、一年以上連続測定データ等の積み重ね、それと地域の気象状態、海流、それから自然保護関係の植生図、文化財や健康の影響評価、こういうような点も十分考えて、そしてそつなくやってもらいたい、こういうように思うわけです。したがって、最低限度必要な評価や調査項目というのをはっきりさせてやるように、これも私、あわせて強く要請しておきたい、こういうように思うわけです。
それで、水質汚濁について、都市周辺の河川の水質の悪化、これは目に見えています。それから、いろいろな水域における赤潮の発生状態、富栄養化の進行及び有害物質による汚染等の問題が現在深刻化しておりますが、当面最大の課題として、総量規制を早急に水質保全のほうまで導入して排水規制を強化するとともに、排水処理に関しては、通産省ではクローズドシステムをやることになっておりますけれども、当然これをもう十分に確立するようにしてやる必要があると考えます。
それと、琵琶湖等についても、五十一年までにこれはもう総量規制も考えたい、こういうような答弁も、きのうあったように新聞で承知いたしましたけれども、水質関係の総量規制、これをいつ導入する考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/76
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077・三木武夫
○三木国務大臣 先ほどから申し上げておるように、大気だけでは問題の解決にならない、どうしてもやはり水質というものに対して、水質の保全というものが必要になってくるわけでありますから、ぜひともやりたいと思っております。
ことに、問題は、いま御指摘のような都市の河川であるとか、水の流れの悪い内海であるとか、湖沼とかいうところの汚染というところに非常に問題があると私は思うのでございます。一日もすみやかに、そういう方面にまで伸ばさなければ、総量規制といっても、その目的は十分に達せられないわけでありますから、できるだけすみやかにということでありますが、日にちを切って、いつまでというのには、これはいま言ったような前提として、いろいろな技術開発も要りますし、検討をしなければなりませんので、島本委員のようなやかましい委員に期日を切って申し上げるということは、少し大胆に過ぎると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/77
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078・島本虎三
○島本委員 もう時間にもなりましたので、余分な時間のとれないのを残念に思います。
この大気汚染防止の実効をあげるためには、いろいろな点で考えなければならない点が多いわけです。日常生活にも関係してくるわけです。ことに、通産省関係では、やはりいろいろ業者の立場から、公害防除という立場に踏み切ってもらわなければならない、こういうような段階にもう一つ来ておる、このことを指摘しなければならないと思うのです。
それは、地域冷暖房事業だとか熱供給問題であるとか、こういうようなものを都市の中心に入れてしまう。そうすると、個々から発生するこういうような一つの汚染発生源が整理されることになるのです。札幌等においては、都市の中心では、熱供給公社で一括して全部ボイラーなどへ熱を供給しているのです。これを公害対策の一つの基本にして、冬季オリンピックにこれを導入したのです。そして成功し、いま青い空も見られるようになっているのです。
ところが、これができたあと、直ちに熱供給事業法という法律が通産省から出されたのです。これには補助がないのです。そうしてこの利息は七分七厘の金を借りるわけです。公害関係であっては五分五厘の金でやっているのですが、これは利益を対象にしてやるような法律をまた考えた。もうすでに実施になっているのです。こういうふうにして、まちまちな状態でこれが行なわれるんじゃ、やはり公害対策の実があがらない、こういうふうなことになるわけでありまして、この点等も今後十分考えておいてやっていただきたい。このことを強く要請しておきたいのであります。
ことに、私どもとしては、環境庁長官、まあ初めに戻るわけでありますが、初め長官は、はっきり環境元年がことしだ、その第一歩が大気汚染防止法のいわゆる総量規制に踏み切ったときから始まる、こういうふうなことを申されました。やはり長官としても、今後は、副総理という立場、それから環境庁長官というこの立場、いままでいろいろな大臣がございましたが、いまにして公害対策と環境保全をやれる大臣の一番最有利な立場にあるのが三木長官なんです。まして現在は環境元年であるとさえ、ここではっきり言明なすったわけであります。
〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕
私はその意味で、他の通産行政、運輸行政その他いろいろございましょうけれども、その中で調整権というものを極端にこれを発揮して、そうして今後やはり一番大事なのは緑である、そして、おかしてはならないのは環境である、こういうふうにして、おかされたものは救済しながら、住みよい日本にしてもらいたい。私はそれを要請したいのであります。ことに、第一歩である、この法律ができるのを機会にして、ひとつほかのほうは勇断なんかふるわぬでもいい、靖国なんかの場合は何も勇断をふるわなくてもいい、この問題だけは、まさにあなたは勇断をふるってもらいたい、このことを強く要請し、最後に決意を聞かしてもらいたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/78
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079・三木武夫
○三木国務大臣 調整権を発動せよということですが、各省、通産省も、従来は産業優先という立場にあったわけですが、最近は、この環境問題、公害問題というものに機構も強化しましたし、どの役所も、産業官庁といえども、環境の保全ということを前提にしなければ産業開発は成り立たない。やはり国民が、そういうことを望んでないのですから、環境を破壊され、公害が続発するような中での産業の発展を望んでないというのが国民の意思ですから、産業官庁といえども、みなやはり発想の転換を行なっておる。調整権の発動は、そんなにしばしばしなくても、みなそういう考え方で、政府が全体となって今後の行政を進めていく決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/79
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080・島本虎三
○島本委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/80
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081・角屋堅次郎
○角屋委員長 木下元二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/81
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082・木下元二
○木下委員 大気汚染防止法の改正によりまして、総量規制を行なうわけでありますが、水質汚濁防止法のほうも改正いたしまして、総量規制を取り入れる方向に進むべきだと思います。水だけを取り残すというふうなことにならないように、先ほども島本委員から質問がありまして、これに対しまして長官から、できるだけすみやかに、そういう方向で進むという御答弁があったわけでありますが、確かに、時間を切っていつまでにやるということは、これは言いにくいと思います。けれども、ただできるだけ早くやるということでは、少し空虚な感じがいたします。
総量規制を水について行なうめど、見通しといったことについて、ある程度言ってもらえなければ、具体的な展望を持つことができないわけでございます。一体そうした見通しなり展望なり、幾らかでもけっこうですから、もしあれば、おっしゃっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/82
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083・三木武夫
○三木国務大臣 できるだけすみやかにということは、だれが考えても、やはり総量規制がいまの限度で終わったのでは目的が達成できぬですから、すみやかにというそのことばで御了承願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/83
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084・木下元二
○木下委員 そうしますと、環境庁のほうとしては、まだ具体的なこの問題についての取り組み等はなされていない。したがって、展望等についても明らかにするわけにはいかないという段階ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/84
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085・三木武夫
○三木国務大臣 こういう国会の席上で、木下委員を前にして期日を切るということは、やはりそれは約束を守らなければいけませんから、まだわれわれとして準備段階でありますので、文字どおりすみやかにであるという、われわれの意図を御了承願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/85
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086・木下元二
○木下委員 準備段階と言われますが、どうもあまり準備が進んでいないようであります。それだけに、ほんとうにできるだけすみやかに準備に取り組んでいただきたい。特に要望しておきます。
その問題と関連いたしまして、瀬戸内海環境保全特別措置法ができまして、CODを三年間で段階的に二分の一に減少することがきめられたわけでありますが、この前私、この委員会で広島の問題を質問いたしました。この特別措置法によってつくられた条例では、段階的に減少することになっていないわけです。そのことを私は明らかにいたしました。環境庁は、私が質問いたしました翌日に、広島の県当局を呼んだということを聞いております。一体どのように指導をされたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/86
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087・森整治
○森(整)政府委員 その後、広島県といろいろ話し合いをいたしまして、結論を先に申し上げますと、公害防止協定によりまして、五十一年までに段階的に削減をしていく。そのスケジュールにつきましても、広島県当局から説明を聞きまして、われわれとして、それは実行可能であろうという判断で、それを了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/87
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088・木下元二
○木下委員 私、ほかの問題で質問したいので、この問題に時間をとれませんが、前の質問をしましたときに、広島県の条例も提示をして質問したのですが、段階的に減少するということになっていなかったでしょう。ずっと現状のままの状態が進んで、いきなり三年目に、さっと二分の一に減らすというふうなことになっておったので、そういうことでは困るではないかということで、環境庁のほうとしても、そういう方向で指導をするというふうに聞いたんですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/88
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089・森整治
○森(整)政府委員 条例はそのままにいたしまして、ただ、公害防止協定で計画的に削減をはかっていく。要するに、協定で削減をきめて、それを守っていくということの公文書をちょうだいいたしましたので、条例の変更を指示はいたしませんでした。こういうことでございます。だから、実質的に形式論といたしまして、条例は五十一年までの暫定猶予期間になっておるけれども、個々の契約によりまして、工場、業種別に削減をはかっていく。それについての正式の県の意思表示をいただいております。そういう意味でお答え申し上げまして、必要とあれば、また別途資料で御説明をいたしたいと思います、時間をとるのは恐縮でございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/89
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090・木下元二
○木下委員 その点も若干問題があるようにも思いますが、またあらためてその点について質問もし、また内容も明らかにしてもらいたいと思います。
本論としまして、法案に即してお尋ねをしたいのでありますが、すでに参議院のほうで先議されまして、わが党のほうからも沓脱委員が質問をしておりますし、また、時間も少ないわけでありますから、私は法案については二点にしぼってお尋ねをいたします。
一つは、この法案の第五条の三であります。これは指定ばい煙の総量削減計画の規定であります。この削減計画で定められる事項と、その作成にあたって勘案されるべき点や意見聴取等の手続が規定をされております。特に伺いたいのは、この四項でありますが、「環境庁長官は、前項の報告を受けたときは、当該計画の作成に関し必要な助言又は勧告をすることができる。」ということになっています。この環境庁長官の助言、勧告制度というのは、削減目標の強化、計画達成期間の短縮など、総量規制を一そう強化、前進させる趣旨のものと私は理解をいたしたいのであります。したがって、助言、勧告は、そうした方向で発動されるべきものと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/90
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091・春日斉
○春日政府委員 そういう方向で対処する所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/91
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092・木下元二
○木下委員 そういう、内容を強化する方向ではなく、逆に削減目標を緩和する方向でも、助言、勧告は働き得るのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/92
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093・春日斉
○春日政府委員 法的にはそういったこともできるわけでございます。しかしながら、良識を持った都道府県知事がお出しになるものでございますから、そういったマイナス面に働くような助言、勧告ということは、起こり得ないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/93
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094・木下元二
○木下委員 そうしますと、この助言、勧告は、総量規制を進めるために使うのだ、そのための助言、勧告制度であるとすれば、そういうふうな法的制度にすればよいと思うのですが、制度上はそうなっていないわけですね。そのワク組みがつくられていない。いま認められましたように、逆の方向に、緩和する方向にも働き得る規定になっておる。実際はそういうことをしないのだ、こう言われるとすれば、そういうことが実際に起こらないように、法的ワク組みをきちんとして、緩和の方向で働く余地のないようにすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/94
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095・春日斉
○春日政府委員 実際に助言、勧告を必要とする場合は、複雑で非常に高度な技術を要する総量規制のシミュレーションの算定がございますから、そういったものが適切に行なわれているかどうかというようなこと、あるいは計画の作成にあたって勘案すべき事項が四つばかり法にはあげてございますけれども、そういったことが十分配慮されているかどうか、それから、先ほども話のありましたように、隣接する他の都道府県の総量削減計画との関連が十分考慮されているかどうか、こういったことは、国の立場から必要なアドバイスをする、そして知事のつくる計画をより適切なものにしよう、こういう趣旨でございまして、十分こういったことが必要であろうと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/95
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096・木下元二
○木下委員 いまいろいろ言われましたが、結局、国の立場からアドバイスをする、計画をより適正なものにしていくという趣旨を言われたと思うのです。そうすると、そういう趣旨も含めて勧告制度が働くとすれば、総量規制を強化していくという方向だけでなくて、プラスアルファとして、そうした計画の適正化をはかっていくという、そういう面もあるのだということになると、初めに言われた趣旨とちょっと違ってくると思うのです。そういう趣旨が加わっているわけですか。つまり総量規制の内容を強めていく、これもあるでしょう。それがおもなものだとは思いますが、それとは別個に、勘案事項の配慮がどうかとか、あるいは隣接県との問題がどうかとか、そうしたことについても十分配慮がされるような助言、勧告を行なっていくんだ、別個のことですね。そういう別個のことも加わるということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/96
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097・春日斉
○春日政府委員 そのとおりでございまして、この助言、勧告ということが、先ほど島本先生の御質疑にもございましたが、県際問題等については、重要な役割りをするであろう、かような意味で私は必要であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/97
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098・木下元二
○木下委員 それは私、おかしいと思うのですよ。この五条の三による総量削減計画というものの柱は、削減目標量と達成期間及び方途ですね。これを知事が何の制約もなく無条件に無限定にきめていくということにはなっていないのですね。この法律の五条の三によりまして、まず第一に、一定の総量にまで削減するという目途があるわけです。それから第二に、五条の三の一項所定の、さっきも言われました四点の勘案事項というものがあるわけです。さらに第三に「政令で定めるところにより、」一項四号、五号の事項を定めるという規定になっておるのです。つまり「政令で定めるところにより、」というのは、四点の勘案事項の勘案のしかたとか、あるいは隣接県との調整の問題などが政令で定められると思うのですね。
つまり政令等による相当こまかいワクづけがありまして、その中で知事が計画の中身を定める、こういうことになっているのでしょう。しかも知事が、これを定めるにあたっては一定の手続上のチェックがあります。五条の三の二項ですか、関係市町村長の意見を聴取する、あるいは都道府県公害対策審議会の意見を聴取する、そういうチェックさえあるわけなんですね。そうだとすれば、いま言われた計画の適正化なんというのは、こうしたことによって十分保証されていると思うのです。その上に、なお、環境庁長官が計画の適正化をはかっていくというようなことは、もう屋上屋を重ねるにひとしいと思うのです。だから私は、少なくとも助言、勧告制度というものが設けられる以上は、総量規制について設けられるのですから、これを進めていくためのものでなければいけないそれ以上の別の意図なり目的、それは必要ないし第一、そういうものは置くべきではないと思います。
かりに環境庁がさらに立ち入って、こまごましたことをアドバイスする必要があるとしましても、それは何も環境庁長官の助言、勧告制度によらなくても、事実上そのつどやることができるでしょう。実際に、ほかにもいろいろとやっているわけでしょう。だから、そういったアドバイスのために長官の助言、勧告制度をつくるというのは必要ないと思う。いま、あなたはそういうふうに言われましたけれども、この助言、勧告制度というのは、総量規制を前向きで進めていくためのもの、その趣旨で設けられたもの、こういう私の理解が正しいというふうに答弁願いたいと思うのです。長官いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/98
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099・三木武夫
○三木国務大臣 それでけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/99
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100・木下元二
○木下委員 そうだとすれば、私が初めに申しましたように、これを法制度上もそういうふうに前向きで総量規制が進められるような助言、勧告制度にしていただきたいと思います。いや、実際やるからだいじょうぶというようなことでなくて、法制度上は逆に足を引っぱるようなことにもなりかねない。そういうことを許し得るものになっているわけでしょう。だから、それはひとつワクをはめていただいて、制限をするということでなければいけないと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/100
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101・春日斉
○春日政府委員 私ども知事の良識を信じておりますし、かつまた、知事がいろいろな計画をお立てになるにつきましての政令あるいは府令での縛りもございます。しかしながら、先生が先ほどからおっしゃっておりますように、私どもはさらにそれを積極的に、運用の妙を発揮するための助言勧告という意味に考えておるわけでございますので、これは私、そういう立場から特に断わる必要もないことではないかと考える次第でございます。決してうしろ向きの助言、勧告をするようなことはないと明言しておるわけでございますから、その点は法的なワク組みでも、そこまで縛る必要はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/101
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102・木下元二
○木下委員 いまの点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/102
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103・三木武夫
○三木国務大臣 いま政府委員の説明したように私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/103
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104・木下元二
○木下委員 長官また環境庁のいまの考え方なり気持ちは、私はわからぬでもないんです。お気持ちはわかります。けれども、それがそういうふうに運用されるという保証はないわけですね。第一、長官もそういうふうに言われますけれども、では、長官がかわれば一体どういうことになるのか。これはもう人の善意、悪意の問題ではなくて、法的制度としてそういう法的保証を取りつけるということが私は一番必要だと思うのですよ。そういうふうにマイナスの方向にも、足を引っぱる方向にも働き得る制度だということは、私はそういう制度をつくること自体環境庁としての見識を疑われる問題ではないかと思うのです。
現行法の五条には、排出基準に関する環境庁長官の都道府県に対する勧告制度がありますけれども、やはり「大気の汚染の防止のため特に必要があると認めるときは、」という限定づけがあります。こういう限定づけ、ワクづけを総量規制におきまして、あえてはずすというのでは、これは将来において足を引っぱるという運用上の問題もありますが、第二私は環境庁としてかっこうもよくないと思うのです。そうだとすれば、これは大気汚染の防止のために必要な場合に限って助言、勧告できるというふうに改めたほうがいいんじゃないかと思うのです。こういうふうに改めることについて、あなた方のほうで、それはぐあいが悪いとか、それではこういう支障を来たすんだといった理由があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/104
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105・春日斉
○春日政府委員 大気汚染防止法の一部改正でございまして、まさに大気汚染防止法の条文でございますから、大気汚染防止のために積極的に助言勧告をするのはあたりまえでございまして、そのマイナスという、足を引っぱるような助言、勧告というものは、最初からこの法律で想定しておるわけではございませんので、先生のおっしゃることも私わかるわけでございますが、必ずしもそこまでする必要はないのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/105
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106・木下元二
○木下委員 しかし、五条には現にあるじゃないですか。あたりまえのことだから、なくてもいいと言われますけれども、五条には、ちゃんとあるわけでしょう。だから、やはりきちんとこういうふうに書いたほうがいいのじゃありませんか。かえって、こういうものがあるとややこしい、ないほうがいいのだというのですか。いかがですか。私の質問に答えてください。ないほうがいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/106
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107・春日斉
○春日政府委員 現在、私どもいろいろ検討してまいりましたけれども、私どもの考え方としては、ないほうがよろしい、よりベターであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/107
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108・木下元二
○木下委員 その理由を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/108
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109・春日斉
○春日政府委員 先ほどから申し上げておりますように、大気汚染防止法の中での助言、勧告でございますので、大気汚染防止のために必要なことだけを助言、勧告するというふうに、そこまで書く必要はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/109
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110・木下元二
○木下委員 あなた、そんなことを言われますけれども、では現行の五条に「大気汚染の防止のため特に必要があると認めるときは、」というふうに書いておるのは、もともと書かないほうがよかったのに、つい書いてしまったのだということになってしまう。そうではなくて、これは環境庁としてそういう環境保全のために、大気汚染防止のために働き得るものにきちんと明定する、これが私は必要なことだと思う。もし、ないほうがいいということを、ほんとうにお考えになっておるとすれば、それこそ私の疑いをますます深めると思うのです。そういうものをなくしておいて、将来において地方自治体等で総量規制がどんどん進んでいく、その際に、場合によっては足を引っぱることも必要なんだという考えがあるからこそ、ないほうがいいという考えが出てくるのではないかと思うのです。そういうことがもし考えられないとすれば、ないほうがいいなどという考えは出てこないですよ。環境庁長官、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/110
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111・三木武夫
○三木国務大臣 これは大気汚染防止法の中でですから、そういう法の体裁もあるでしょうから、——何か木下委員はみんな疑ってかかるのですけれども、総量規制をやろうということは環境をよくしたいというのが立法の精神です。それを都道府県が法改正の趣旨に反して、足を引っぱるようなことはあり得ないことである。法律をみんな疑ってかかりましたら、人間の行動を全部法律で規制することはできないので、法律をささえるものは国民の良識というものがささえでなければ、全部一々人間の行動を法律で規制することは不可能なことですね。だから、いろいろお疑いになる場合も、わからぬではないけれども、そんなに疑ってかかって、都道府県の中に、うしろ向きにこの法案を利用するものがあるとは、私は考えられないわけでございます。したがって、がんじがらめにしておくということも私は必要ないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/111
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112・木下元二
○木下委員 いま、この制度を運用するのに前向きで運用するのだということを強調されたわけでありますが、参議院のほうでの環境庁の答弁を見ますと、地方自治体が、あるいは場合によっては一歩踏みはずしてむちゃをやるかもわからぬ、そういうことをなくするのだという趣旨の発言もあったのです。ここに議事録がありますけれどもそういうひどい場合をチェックするといいますかそういった役割りを持たせる意味であるのだという答弁があったと思うのです。だから、そういう考えがあるのではないですか。そういう考えがあるからこそ、ないほうがいいという考えが生まれてくるのでしょう。あなたはいいかっこうばかり言って、問題の本質を隠さないように、明確に言ってください。もしそうでないとすれば、参議院でどうしてそういう答弁をしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/112
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113・春日斉
○春日政府委員 あとの答弁をお読みいただくとわかりますが、環境庁の長官の当時の答弁に尽きておると私は思うわけでございますが、先ほどのないほうがいいというのは、私、必ずしも妥当なことばであったとは思いません。(木下委員「訂正しますか」と呼ぶ)それは訂正いたします。しかしながら、私はなくても、先生のおっしゃっている趣旨は十分生かしておるもの、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/113
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114・木下元二
○木下委員 私は時間がありませんので、とにかくいまの点は現行の五条と同じように、大気汚染の防止のために必要な場合というワクづけをすることが必要だという問題の指摘をしておきます。
それから次の問題でありますが、十四条の問題であります。
改善命令等に関する規定でありますが、この三項で「総量規制基準に適合しない指定ばい煙が継続して排出されるおそれがある場合において、その継続的な排出により人の健康又は生活環境に係る被害を生ずると認めるとき」というふうな構成要件があるわけでありますが、これは一項と同じ構成の条項になっております。したがって一項、三項ともに問題であると思うのですが、この「継続して」という要件、それからまた「人の健康又は生活環境に係る被害を生ずると認めるとき」という要件、これは削除したほうがよいのではないかと私は思うのです。規制基準に適合しないばい煙が排出されるおそれがあると認めるときは改善命令を出すというように改めてはどうかと思うのですが、特にこの要件が加わっておるということの意味ですね、これはどういうところにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/114
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115・春日斉
○春日政府委員 御質問の趣旨は十分私も理解できるわけでございます。第十四条の第一項及び第三項の規定は、現実に排出基準違反の事態が発生している場合はもちろんのこと、発生していなくても、そのおそれのある段階で、予防的に発動できる命令でございますので、発動要件をきびしいものとしたのでございますが、実際の運用にあたりましては、必ずしもこの要件を厳格に適用せずに、弾力的な運用を行なってきているのは御承知のとおりでございます。今回の総量規制につきましても、規制基準の違反のおそれの段階で発令する命令でございますので、現行法の第一項と同様な規定を第三項に設けたというわけでございまして、その運用は第一項と同様に弾力的に行なっていく考え方でございます。したがって、これを削除しなくても支障はないものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/115
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116・木下元二
○木下委員 この「継続」というのは、どのように解釈をされているのでしょうか。たとえば操作ミスであるとか、事故による単発的な排出基準違反が起こった場合には、これは継続性がないというふうに思いますが、しかし間断がありましても、ときどき同じ違反状態があらわれるといった場合がありますが、これは一体継続性はあるのでしょうかないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/116
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117・春日斉
○春日政府委員 そのような場合、ケース・バイ・ケースによって違うでしょうが、ただいまお示しになりましたような例でいえば、継続性ありと考えてよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/117
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118・木下元二
○木下委員 継続性ありと言われますが、それだってやはり頻度が問題になるのじゃないですか、社会通念的に見た頻度と申しますか……。ときどきといいましても、半年に一回とか三月に一回とか、そういうことだと、ちょっと、ときどきというふうには言いがたいし、これは継続性がないというふうに解釈されやすいと思うのです。少なくともこれは刑罰が問題になってくるのですからね、厳格な解釈が必要なんです。だから非常にこの解釈がややこしくなると思うのですよ、この継続性ということになりますと。また、この継続ということを要件にいたしますと、この程度ならかまわぬということで、改善命令がどうしても消極的になりがちな運営になるのではないかと思うのです。むしろ単発的な場合も改善命令を発し得るということにして、個々のケースごとの状況を判断して処理していけばいいのじゃないかと思うのです。構成要件として、その継続性ということをうたうのでなくて、結局改善命令を発し得るというたてまえになっているわけですから、問題が起こった場合には必ず改善命令ということにはならないわけでしょう。ですから一回的な場合、継続的な場合を問わず、改善命令を発し得るという制度にしておいて、個々のケースごとに状況判断して処理をしていく、これが望ましいと思うのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/118
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119・春日斉
○春日政府委員 御趣旨の点もよく理解できるわけでございますが、私どもは今回につきましては、こういった方法で行なうことといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/119
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120・木下元二
○木下委員 あなた方がそういう考えだから、こういう提案をしたんで、それはわかり切ったことなんで、私の質問に答弁を願いたいと思うのです。
時間もありませんけれども、もう一点問題を指摘しますと、この継続の要件、それから被害の要件ですね、これは水質汚濁防止法十三条にはありませんね。これは大気汚染防止法と同じように、前の公害国会で同じような内容のものとして提案されて修正をされ、削られたものでしょう。この改善命令を出し得る場合というのが、大気の場合と水質の場合で条件を異にするというのは、なぜ
でしょうか。理由があるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/120
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121・信澤清
○信澤政府委員 両方の法律にわたることでございますので私から申し上げたいと思いますが……(木下委員「いや、理由があるかどうか」と呼ぶ)はい。これは国会の御修正でございまして、当時、私、事情をつまびらかにいたしておりませんが、水質のほうだけ御修正があった、こういうことで
ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/121
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122・木下元二
○木下委員 国会が修正したからというのですがその理由があるとお考えですか、理由があると。それはあなたのほうで直したわけじゃないんだから、それはわかりますよ。けれども、一体あなたのほうから見て、こういうふうに水質の場合と大気の場合と違った扱いをすることについて理由はないでしょう、だれが見ても、考えても。ありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/122
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123・信澤清
○信澤政府委員 行政的な権限で諸般の命令を下すという場合においては、実質的な相違があるべきはずはないと思います。したがって、ただいま大気局長が御答弁申し上げましたように、行政命令を出すという要件としては、水質の場合にも大気の場合にも同じような考え方で処理をしている実際上処理をしている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/123
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124・木下元二
○木下委員 だから、なおさらのこと、法文の条項として、そういうふうな違ったものを置いておくということには理由がないということでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/124
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125・信澤清
○信澤政府委員 行政命令を出すという点では、違いありません。ただし、これは実は参議院でも今回提案いたします改正案につきましても、修正のお話がございました。その際も御議論があったわけでございますが、問題は、これは罰則の適用とのからみがあるわけでございます。と申しますのは、先生御案内のように、現行の十四条違反は直罰よりは刑が重くなっているわけでございますね。つまり行政命令違反でありながら、それに対する罰則が重くなっておる。その重くなっている理由は、当初、私どもがこの原案、水質についても同じような規定があったものを、先ほどのお話のように修正されたわけでございますが、やはり健康に対して直接的な影響があるような、そういう事態を前提にして出す命令であるから、したがって、その命令違反に対する罰則は重くなるのだ、こういうことで政府部内の考え方をまとめたわけでございます。
ところが、この要件を落としますと、単なる行政命令違反になりますので、直罰の場合よりも罰則の適用にあたっては量刑上軽い刑を科する、こういうのが通常の例だと思います。そういう罰則とのからみ合いで、この規定はやはりこのままにしておこうというのが、参議院でこの問題を議論したときの御論議であったというふうに私は記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/125
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126・木下元二
○木下委員 いや、どうもあなた、そんなことを言われるけれども、ますますわからぬようになりましたよ。そうしたら、水質汚濁防止法のほうはどうなんですか。水質汚濁防止法のほうは、こういうふうに継続も、被害も、要件に入ってないけれども、刑の点では大気汚染防止法と同じような刑罰体系になっているでしょうが。だから、この点からいうとますますおかしいのですよ。大気と水質で、この罰則の定めが違う。罰則の内容は同じですね。罰則を科するところの構成要件が違うのですよ。おかでやった場合と、それから海でやった場合、水でやった場合と、その構成要件が全く違う、それで罰則が同じだ、これはおかしいじゃないですか。おかしくないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/126
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127・信澤清
○信澤政府委員 おっしゃるとおりでございます。おっしゃるとおりでございますが、こういう申し方をいたしますと、たいへん恐縮でございますが水質のほうの修正の際に、その点の御配慮をされるべきであったと私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/127
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128・木下元二
○木下委員 同じ公害立法でありながら大気と水で取り扱いを異にする、これは非常におかしい。おかしいというより言いようがないと思うのです。行政側による公害対策の発動のしかた、また刑罰の発動のしかたが異なるというのでは、これは私は法の均衡の問題としても、あり得べからざることだと思うのです。そうでしょう。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/128
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129・信澤清
○信澤政府委員 先ほど来申し上げておりますように、水質汚濁防止法と大気汚染防止法の違いというのは、国会の御修正の結果なった、こういう経緯がございます。したがって、両方の間にお話のような不整合がございますということは、これは御指摘のとおりでございますが、実際の運用にあたりましては、水質はきびしく行政措置をする大気はゆるやかにやる、こういうことはやっていないわけでございますので、いわば実際の運用の問題として従来も処理してまいりましたし、今後もそのような考えでいけるのではなかろうか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/129
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130・木下元二
○木下委員 この問題、これで終わりたいと思いますが、これは国会で修正したから、やむを得ぬということでは済まない問題が含まれておるのですよ、少なくとも国民の立場からいえば。刑罰の構成要件が全く違う、大気と水質で。一体そんな法の不均衡をほうっておいていいものでしょうか。今度の改正は、そういう予盾をますます拡大する方向に改正するわけでしょう。大臣、今度の改正は、そういうふうな現行法体系の不均衡といいますか、矛盾をますます拡大する方向で進めていくことになるわけです。だから、それは国会の修正だから、やむを得ぬなんということではなくて、少なくとも国民の側に立つならば、そういう不均衡の是正こそ、私は必要だと思うのです。これはひとつ政府の問題としても早急に考えてもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/130
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131・三木武夫
○三木国務大臣 これは経緯はいま政府委員から申したように、水質のほうだけ国会が修正をしたわけですから……。しかし、実際の運用は変わらないようにやるわけでございますから、したがって、そういう法の体裁で異なったようになっても、実際の運用については変わらないようにやりますから、弊害はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/131
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132・木下元二
○木下委員 だから実害が起こらないとか、運営上問題がないとか、それはわかるのですよ。けれども、それはあくまで運営の問題であって、私は、法体系として問題にしているのです。法体系として、同じ公害立法でありながら、そういうふうに大気と水で違った扱いを制度上、立法上しているわけでしょう。そういう違いがあるわけですよ。これがおかしい。だから、そういう法制度上の不均衡の是正ということを、政府としてやる必要があるのではないかという問題提起を私はしておる。これは、そうではないという理論はないと、私は思うのです。ぜひこれはひとつ、特に長官は副総理でもあるわけでありますから、この点について再検討を願いたいと思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/132
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133・三木武夫
○三木国務大臣 立法権は国会が持っているわけですから、それで国会が修正をしたわけですから、やはり水質だけでなしに、大気もあるいは一緒に同じように規制しておったほうがいいのかもしれませんけれども、とにかく立法府がこれに対して修正を加えたわけでありますから、したがって、われわれ行政の面においては、これに対して取り扱いが異なるようなことをしないで、実際の運用については弊害の起こらないようにするということでございますが、非常に熱心なお話でもありますから、よく検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/133
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134・木下元二
○木下委員 それはおきまして、もう一つの問題であります。法案については以上でありますけれども、光化学オキシダントの問題であります。
大気汚染防止法二十三条による緊急時の措置の問題です。これは都道府県知事が、ばい煙発生者等に対して、ばい煙量の減少等について、一つは協力もしくは勧告を求めることができる、これは一項及び三項であります。それからもう一つは、命令ができる、これは四項の規定であります。光化学オキシダントの被害は年々増加をいたしております。被害届けも特に最近は増加の傾向が著しいのであります。注意報の発令回数も相当なものに及んでおります。ところが、この二十三条の四項によって命令できる事態、これは重大警報が発せられる場合でありますが、これまで一度も生じておりません。なぜかと申しますと、この重大警報が発せられる場合というのは、政令によって〇・五PPM以上と定められておるからであります。これまで〇・五PPMの光化学オキシダントは一度も発生していないのですね。たくさん発生件数はあるし、増加をしておりますけれども、もっと少ないのであります。
ここに三重県の例がありますけれども、これによりますと、四十七年、四十八年を見ましても、相当な件数が発生しておりますが、いずれも〇・一PPMないし〇・一五PPM、あるいは〇二一PPMまでのところでありまして、〇・三PPMさえないのであります。全国的には〇・三PPMというのは、まれにはあるようでありますが、こういう状態で光化学オキシダントが現実にはどんどん発生をし、増加をしておるということです。この事態は、私は理解に苦しむのです。このように重大警報が発せられる場合、つまりこの大気汚染防止法の二十三条の四項が発動される場合というのを〇・五PPM以上としておくところに問題があるわけです。これを私は改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/134
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135・春日斉
○春日政府委員 現在まで私ども中公審の大気部会の専門家の御意見を伺っておりましても、必ずしも重大緊急報を出します〇・五PPMの基準について改めるべしという御意見は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/135
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136・木下元二
○木下委員 光化学オキシダントの事態というのは、きわめて深刻であります。そしてまた、これから季節的にもそういう時期に向かうわけでありますが、この二十三条四項が現状において空文化しておる、実効性が失われておるということなんです。この四項による必要な措置の発動がびしびしできるようなものに手直しをする必要があるのではないかと私は思います。そのためには、この重大警報を発して命令できる場合というのを、〇・五PPM以下にすべきではないかと思うのです。いまの状態だとすれば、これはせっかく二十三条の四項というのをつくったけれども、意味ないじゃないですか。これだけ事態が深刻になっておるのに、この二十三条四項が生きてこない。この点、長官いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/136
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137・三木武夫
○三木国務大臣 私、よくわからないのですが、出ないのはけっこうじゃないですか。出ないのはけしからぬというふうに、こう響くのですけれども、これは低いほうがけっこうじゃないかと思うのですが、よく御質問の真意がつかみかねる。間違っているのかもしれませんが、一ぺんも発動しないような状態というのは、まことにけっこうなことで、どうもそのことがけしからぬと言われましても、私よく御質問の趣意が受け取りがたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/137
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138・木下元二
○木下委員 その〇・五PPM以上の事態が生じないのは、まことにけっこうなことだと思うのです。しかし、せっかくこの二十三条の四項というのをつくったわけですね。これによって、政令で定める場合に該当する事態が発生したときは、ばい煙発生者に対して、ばい煙量またはばい煙濃度の減少、ばい煙発生施設の使用の制限その他必要な措置をとるべきことを命じ得る、そういう命令ができるわけですね。その命令は、この二十三条四項によって初めてできるわけでしょう。二十三条の一項、三項、これは軽い場合ですね、注意報等の場合。その場合は命令できない。単に協力を求め得るというだけなんですね。
だから、私は、もっと事態が深刻だから、もっと命令できるようにせい、こういうことを言っているのですよ。あなた方のほうは、〇・五PPM以上の場合に、初めて命令できるというふうにしておるから、これが全然発動されぬようにしておる。だから、これはもっと、少なくとも〇・三とかその程度にすれば、この四項によって、悪質な場合にこういうふうにしなさいという命令ができる、必要な措置をとり得るということなんです。私はそういう方向で、ぜひこれは御検討を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/138
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139・春日斉
○春日政府委員 私ども、重大緊急報を出します要件としての〇・五PPMと申しますものは、先ほども申しましたように、アメリカの実態あるいは規制等も勘案しながら、専門家の御意見によって定めたわけでございまして、先生の御質問のように、たとえば〇・三PPMでそういったことができる、あるいは〇・二PPMでできるとなりますと、たとえばボイラーの四〇%のカットを命ずることができる、あるいは自動車の運行停止をするというような、非常に重大な社会的な問題が起こるわけでございまして、これはやはり医学的な見地と社会的な見地と二つ合わせてきめられたわけでございますので、私ども現在の〇・五PPMというのは一つの妥当な基準であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/139
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140・角屋堅次郎
○角屋委員長 木下君に申し上げます。理事会の申し合わせの線もありますので、それを踏まえてひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/140
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141・木下元二
○木下委員 終わります。
この問題については、私はいまの答弁では納得できかねます。せっかく四項というものがあるのに、かっこうだけ四項をつくって発動されぬような形で縛ってしまっておる。こういうことでは困ると思うのです。この点については、もっと詰めてお尋ねしたい。
測定点の問題についても実は聞きたかった。それからまた、光化学スモッグと電力の問題についてもお尋ねをしたかったのでありますが、時間が来ましたので、この問題については、ぜひ機会をあらためて質問をすることにいたしまして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/141
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142・角屋堅次郎
○角屋委員長 折小野良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/142
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143・折小野良一
○折小野委員 大気汚染防止法の一部を改正する法律案につきましては、これまですでに同僚各委員から具体的にいろいろと御質問がございました。どうやら最後になっておるようでございますから、そういう面とは別に基本的な一、二の問題につきまして、御所見をお伺いいたしておきたい、こういうふうに考えております。
今回、総量規制方式を大気汚染防止について、とっていただいたということは、私どもといたしましても、公害防止につきまして一つの前進であるというふうに評価をいたしております。実は公害対策基本法の審議の際におきましても、個別の排出規制だけではとうてい環境基準を守っていくことはできないであろう、したがって、近い将来にぜひ総量規制方式を採用すべきであるということは、いろいろと論議があったわけでございます。ところが現実には、この方式を採用するにつきましては、これに伴う公害防除技術あるいは監視測定技術その他もろもろの技術的な面におきまして、いろいろと難点がある。そういう面を一つ一つ克服することによって、さらに総量規制方式ができるようにというようなことで今日までまいったわけでございます。
幸いにいたしまして、そういう面の科学技術も相当程度進んでまいったわけでございますが、今後さらに公害対策を進めていくためには、やはり基本的に公害に関するもろもろの科学技術というものが、もっともっと進んでこなければならない、こういうふうに私ども考えるわけでございます。もちろん、そういう面について環境庁がすべてのお仕事をやっておられるということではございませんが、しかしながら、環境庁が公害対策の中心になって努力をしておいでになる、また各省間のいろいろな業務についての調整をはかっていかれる、こういう立場からいたしますと、やはり基本的に、こういう点に一そう努力をしていただかなければならないのじゃないか、そのことが今後の公害対策を進めていく上の基本的な方策になるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。そういう点についての三木長官の基本的なお考えを、まずお伺いしておきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/143
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144・三木武夫
○三木国務大臣 日本というものは国土が狭いし、しかも人口は一億の人たちが住んでおるし、GNPからいえば、自由世界で二番目だが、公害の密度は世界一だということを認識することが前提だと思う。そういうことで、今日国民からしても、もう量的拡大を望んでいない、もう少し生活の質的な充実を望んでおるわけでありますから、この国民的コンセンサスの上に立って今後の環境政策公害対策というものを進めていかなければならぬわけであります。
そうなってくると、従来のような個々別々の排出基準ということで濃度規制をやったのでは、濃度を少しゆるめてもいいのかということにもなりまして、やはり全体として、日本全体の環境をよくするということがねらいでありますから、まだこれは第一歩で、いろいろもの足らぬこともあると思いますが、しかし、これを一つの出発点としまして、いろいろ窒素酸化物に対しても、ばいじんに対しても、あるいはまた水質における汚染物質の問題に対しましても、できるだけ速度を速くして、日本全体の環境というものを高度経済成長の前にまで戻さなければいかぬ。こういう目的の達成のために各省の協力を得て環境庁がイニシアチブをとって努力をしたいというのが基本的な考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/144
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145・折小野良一
○折小野委員 ただいまのような基本的な考えの上に立って、特に公害に関する科学技術の振興が今後の公害対策の死命を制すると申しますか、そういうことになってまいろうかと思っております。もちろん科学技術と申しましても、公害対策の面では直接それに関連する技術だけでなくて、あるいは今後産業構造全体の改善と申しますか、そういう面の技術の振興というのも公害に関係をしてまいりますでしょう。あるいは現在問題になっておりますエネルギーの問題、新しいエネルギー革命あるいはクリーンエネルギーの開発、こういうようなものも必然的に公害対策の上からは非常に重要な問題になってきておろうかと思います。こういう面からは、環境庁の立場といたしまして、非常に幅広い立場から検討をしていただく必要があろうかというふうに考えるわけでございますが特に公害対策、環境保全という面から、ただいま長官がおっしゃったイニシアチブをとるという立場に立って、科学技術に対する今後の具体的な進め方、あるいは現在の進行の状態、見通し、こういう面について具体的にひとつお知らせいただけると、ありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/145
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146・春日斉
○春日政府委員 ただいま御指摘のとおり、公害科学と申しますものは、単に理学部あるいは工学部といったものに限りませんで、医学、農学、気象学、その他ありとあらゆる学問の横の連係が必要になってくることは当然でございまして、そのために環境庁といたしましては、これらの研究を実施しております国立の試験研究機関が四十七ございますけれども、それらの公害に関する研究予算というものを一括計上いたしまして、各省庁における試験研究の総合調整を行なっておるわけでございます。効率的な研究の推進に、そういう意味からつとめておるわけでございます。
また、他の面から見ますと、生産技術と密接に関連する公害防止技術の問題があるわけでございまして、これは科学技術庁、通産省において開発促進をはかつていらっしゃるわけでございますが環境庁といたしましても、こういうものに対しましても、さらに促進をはかるように各省に要請してまいりたいと思っております。
もちろん環境庁といたしましても、去る三月に、国立公害研究所をようやく発足したわけでございまして、同研究所におきまして、監視測定技術の問題、あるいは環境情報の処理機構の整備、そういったものから、まず、とっかかってまいろうかと思っております。今後とも、先生の御趣旨に沿って科学技術、公害技術の促進整備につきまして、努力してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/146
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147・折小野良一
○折小野委員 今回、大気汚染防止について総量規制方式を採用されるということになったわけでございますが、とりあえずは硫黄酸化物ということでございますが、私どもできるだけ近い将来に窒素酸化物、あるいは光化学オキシダント、あらゆる有害物質の対策につきまして、さらに一歩も二歩も前進をしていただきたい。さらに、大気だけでなしに、水質の面につきましても、総量規制という考え方あるいはそういう手法を取り入れることも、これは必要なことであろうと思っております。そういう面で、今後ひとつ、関係科学技術の振興、それの実用化、技術の開発、こういう面について一そうの努力をお願いをいたしたいと思います。
それから第二は、今回、そういう立場におきまして法の改正が行なわれるわけでございますが、しかし、これを具体的に実施してまいるにつきましては、今後、いろいろと行政上の作業が残されておるわけでございます。たとえば、どういう有害物質をとらえるかということになりますと、これは新たに政令できめなければならない。それから、どういう地域を指定するかという問題も、政令できめるということになっております。それから、さらに総量規制計画をつくる、あるいはその計画に基づいて総量規制基準をつくっていく、あるいは燃料使用基準を定めていく、あるいはそれの計画達成の期間をきめていく、こういうような事柄は、この制度の採用に伴いまして、今後、政令、省令あるいは条例、こういうようないろいろな段階において具体的にきめられております。
問題は、この制度が採用されたということの効果を具体的に発揮するのは、今後の段階におきまして、それがどういうふうにきめられていくかということ、どういうふうに運用されていくかということが、一番大切な問題であろうと思っております。私どももこういう面については、今後さらに十分関心を持ってまいりたいというふうに考えるわけでございますが、新たに総量規制方式を今後採用していこうというふうにされております環境庁としての、これらの仕事に対する基本的な取り組みの姿勢と申しますか、あるいは最高の責任者であられる大臣の決意と申しますか、それをここでお伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/147
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148・三木武夫
○三木国務大臣 先ほども申し上げましたように、これは出発点であるということで、いま折小野さんも御指摘になったように、これからは窒素酸化物とか、ばいじんとか、あるいは水質の汚染物質であるとか、こういうふうに拡大して、環境全体をよくしていくように、これを持っていかなければならないわけであります。
しかし、それは政令できめられることが多いわけですから、その政令でいろいろ制定する場合においても、これがねらっておるものは何か。このねらっておるところは、高度経済成長の初期ぐらいのところへは日本の環境を持っていかなければ、幾ら量的に拡大しても、生命や健康に悪い影響を与えることでは真の発展ではないのだということで、この問題を、政令をきめる場合においても、そういう目的に沿うて政令をきめるようにいたしてまいりたいという所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/148
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149・折小野良一
○折小野委員 ただいまのような御方針に基づいて、今後制度の運用をはかっていかれる、まさにそうあるべきだというふうに考えます。実は、先ほどの御質問の中で問題もございましたが、やはり個々の運用にあたりましては、目的を踏まえてやっていくということが一番大切なことだと思います。そしてまた、目的に沿った個々の運用ということが必要であろうと思います。もちろん、この大気汚染防止法につきましては、第一条に、この法律の目的が明らかに示されております。個々の制度がどうあろうとも、それはやはり第一条の目的に沿った運用がなされなければなりません。そしてさらにはその上に、公害対策基本法というものが母法としてありまして、やはり国民の健康を保持するための基本的な環境基準というものは基本法において定められておる。これを実現していくというのが個々の制度の運用であろう、こういうふうに考えております。
具体的には、今後いろいろときめていかれることになろうかと思いますし、いろいろと、また指導に当たっていただかなければならないことになろうかと思っておりますが、当面する今後の仕事の中心になられる局長の今後の進め方、これについてのお考えを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/149
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150・春日斉
○春日政府委員 御指摘いただきましたとおり、総量規制の制度は政府令にゆだねられている点が少なくないわけでございまして、今後の功を奏するかいなかという点は、政府令の内容にかかっている点が多いわけでございます。したがいまして私どもは、今後の運用にあたりましては、十分、以下の点を配慮したいと思うのです。
一つは、まず合理的、効果的なものでなければならぬ。しかも、それは社会的公平性が十分でなければならぬということで、特にこの点は総量規制基準の設定方式のときには、十分配慮してまいるつもりでございます。
第二の問題は、やはり科学的、合理的な方法をとらなければいけないわけでございますが、これは、地域全体が環境基準を満足するために許容される排出総量の算定にあたって、一番重要な点であろうと思います。しかも、こういった問題は、技術は日進月歩でございますので、常に最新の手法に改定いたしまして、もう一回申しますと、公平かつ科学的な方法によって運用してまいりたいかように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/150
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151・折小野良一
○折小野委員 今後の行政運営上の配慮と、目的に沿った一そうの努力をお願いして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/151
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152・角屋堅次郎
○角屋委員長 これにて内閣提出、参議院送付、大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/152
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153・角屋堅次郎
○角屋委員長 本案に対し、木下元二君から修正案が提出されております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/153
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154・角屋堅次郎
○角屋委員長 まず、修正案について、提出者から趣旨の説明を求めます。木下元二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/154
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155・木下元二
○木下委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対するわが党の修正案提案理由と、その概要を説明いたします。
私たちは、現行の大気汚染防止法による、いわゆる高煙突拡散方式では、国民の健康と生活を守ることは不可能であり、汚染物質の総排出量をきびしく規制することがどうしても必要であると早くから主張してまいりました。同時に、現行の公害対策基本法をはじめとする公害関係諸法は不徹底、不十分なものであり、これを抜本的に改正するよう要求してまいりました。すでに衆議院において日本共産党・革新共同が提案している公害対策基本法案、大気汚染防止法の一部を改正する法律案などは、このような考え方に立つものであり、真に国民の健康と生活を守るためには、どうしてもこれらの抜本的改正を実現する必要があると確信しております。
事実、すでに多くの積極的な地方自治体におきましても、住民の命と暮らしを守るため、国の法改正を待つことなく、法を乗り越えて総量規制に踏み切っているのであります。
今回の原案は、私たちが提起しているような抜本的改正案ではなく、現行の大気汚染防止法の体系の中での部分的改正案ではありますが、総量規制方式の導入をはかるという点では、おくればせながらも一歩前進であります。
しかし、この原案では、総量規制方式の重要な点は、ほとんど政令、総理府令にゆだねられていますので、それをどう定めるかによって、規制の実効性に大きな影響が及ぶことになります。また、環境基準がいまだ達成されていない汚染地域にあっても、工場の新増設が認められるというような、幾つかの欠陥が本法案には含まれています。
そこで、私たちは、これらの欠陥を是正する最小限の修正として、地方自治体が住民の要求に従って、政令、総理府令に制約されず、自主的、積極的に総量規制を推進できるようにするとともに、環境基準未達成地域においては、立地規制が強化されるように、ここに本修正案を提出した次第であります。
以下、私たちの修正案の概要を説明します。
一、総量規制を行なう汚染物質、対象地域は、政令で定めるとありますが、汚染物質については、硫黄酸化物、窒素酸化物及びばいじんを法律で定め、対象地域については、都道府県が条例で定めることにいたしました。
二、対象工場等の規模、地域の許容総量及び総量規制基準は、総理府令で定めるところにより定めるとありますが、総理府令の制約をはずし、これも都道府県で定めることができるように改めました。
三、工場等による使用原料または燃料の見通しを、ばい煙総量削減計画作成時の勘案要件から除きました。また、同計画は、政令で定めるところにより定めるとなっていますが、これも政令の制約をはずし、都道府県知事が定めることができるように改めました。
四、ばい煙総量削減目標は、大気環境基準に照らし算定するとありますが、これを大気環境基準が維持されるために十分なものであるように算定すると改めました。
五、環境庁長官は、ばい煙総量削減計画の作成に関し、必要な助言、勧告をすることができるとありますが、これを大気汚染の防止のために必要な場合に限って助言、勧告ができると改めました。
六、新増設されるばい煙発生施設に対しては、特別の総量規制基準を定めることができるとありますが、これを新増設に対する総量規制基準は、大気環境基準が維持されるのに十分なものでなければならないと改め、環境基準未達成地域における規制の対象となる大工場の新増設はできないように明確にしました。
七、総量規制基準に適合しないばい煙が継続して排出されるおそれがあり、それにより被害を生ずると認めるときは、改善命令を出すことができるとありますが、これを総量規制基準に適合しないばい煙が排出されるおそれがあると認めるときは、改善命令を出すことができるように改めました。
八、規制対象事業者には、自動連続測定記録の義務づけを新たに規定しました。
以上が、修正案の概要でありますが、本委員会におかれましては、慎重に御審議の上、すみやかに可決されるようお願いいたしまして、私の提案理由の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/155
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156・角屋堅次郎
○角屋委員長 これにて本修正案の趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/156
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157・角屋堅次郎
○角屋委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、内閣提出、参議院送付、大気汚染防止法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、本案に対する木下元二君提出にかかる修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/157
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158・角屋堅次郎
○角屋委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、本案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/158
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159・角屋堅次郎
○角屋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/159
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160・角屋堅次郎
○角屋委員長 次に、本案に対し、登坂重次郎君、島本虎三君、岡本富夫君、折小野良一君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者から趣旨の説明を求めます。島本虎三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/160
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161・島本虎三
○島本委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、内閣提出、参議院送付、大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を付すべしとの動議について御説明いたします。
まず、案文を朗読いたします。
大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、大気汚染防止行政をさらに一段と推進するために、以下の各項について努力すべきである。
一、窒素酸化物の根本的な防除技術である脱硝技術の開発を強力に進め、それと相まつて窒素酸化物を指定ばい煙として指定するよう努めること。
二、指定地域は、都道府県の実情を十分に勘案しつつ、必要な地域をもれなく指定すること。
三、特定工場等の規模、地域の指定ばい煙排出総量の算定及び総量規制基準に関する総理府令の制定にあたつては、指定地域の特性を十分反映しうるよう配慮すること。
四、指定地域における工場等の新増設については、規制基準を厳格にすることによつて、立地規制の効果をあげること。
五、総量規制基準の設定にあたつては、特定工場等の規模の差による対応力の差を考慮すること。
六、いおう酸化物に関する総量規制の徹底を期するため、特定工場等における排煙脱硫装置の設置の促進に努めること。
七、監視測定体制の整備強化を図るとともに、これらの整備について地方自治体に対する助成に努めること。
八、中小企業の公害防除施設の整備に対する金融上、税制上の優遇措置をさらに拡充するよう努めること。
九、今後の大気汚染防止対策の課題として、複数の汚染物質による複合影響や相乗作用を考慮した総合的な対策を検討すること。
以上であります。
この動議の趣旨につきましては、案文中に尽くされておりますので、省略させていただきます。
何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/161
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162・角屋堅次郎
○角屋委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/162
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163・角屋堅次郎
○角屋委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
この際、三木環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。三木環境庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/163
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164・三木武夫
○三木国務大臣 ただいまの御決議に対しましては、その趣旨を体して、今後十分に努力する決意であることを申し添えておきたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/164
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165・角屋堅次郎
○角屋委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/165
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166・角屋堅次郎
○角屋委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/166
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167・角屋堅次郎
○角屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02719740524/167
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