1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月二十二日(金曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 濱野 清吾君
理事 稻村左近四郎君 理事 塩川正十郎君
理事 田中 六助君 理事 武藤 嘉文君
理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君
理事 神崎 敏雄君
天野 公義君 小川 平二君
粕谷 茂君 小山 省二君
島村 一郎君 田中 榮一君
丹羽喬四郎君 橋口 隆君
松永 光君 保岡 興治君
岡田 哲児君 加藤 清政君
上坂 昇君 野間 友一君
米原 昶君 近江巳記夫君
松尾 信人君 内海 清君
出席国務大臣
通商産業大臣 中曽根康弘君
出席政府委員
通商産業政務次
官 森下 元晴君
中小企業庁長官 外山 弘君
中小企業庁次長 小山 実君
中小企業庁計画
部長 吉川 佐吉君
委員外の出席者
公正取引委員会
事務局取引部下
請課長 相場 照美君
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
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委員の異動
三月二十二日
辞任 補欠選任
越智 通雄君 丹羽喬四郎君
宮田 早苗君 内海 清君
同日
辞任 補欠選任
丹羽喬四郎君 越智 通雄君
内海 清君 宮田 早苗君
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三月二十日
石油の安定供給に関する請願(林百郎君紹介)
(第三〇四八号)
京葉ガス料金の値上げ反対に関する請願(野間
友一君紹介)(第三〇四九号)
中小企業の経営安定に関する請願(鈴切康雄君
紹介)(第三〇五〇号)
勉学・研究に必要な用紙の安定供給に関する請
願(瀬長亀次郎君紹介)(第三〇六一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六二号)
輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二七号)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、工業品検査所の出張所の設置に関し承認を
求めるの件(内閣提出、承認第一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/0
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001・濱野清吾
○濱野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。野間友一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/1
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002・野間友一
○野間委員 中小企業の資金繰りの悪化の大きな原因として取引条件の悪化、すなわち、支払いにおいては現金比率が非常に高くなっておるということ、それから手形サイトが短縮されているということがあります。ところが、中小企業が受け取る手形のサイトがこの石油需給の逼迫に特に関連して非常に長期化しておるというのが実態でありますが、このような取引条件の悪化が中小企業の資金繰りを一そう苦しくしておる、この事実はもうすでに明らかであります。
そこで、最初にお伺いするのは、いま申し上げた昨年の石油需給の逼迫と、このころから後において、通産省あるいは中小企業庁は、この取引条件改善のために、大企業あるいは親企業に対してどのような具体的な是正の要請をされてきたのか、行政指導をされてきたのか、まずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/2
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003・外山弘
○外山政府委員 昨年の十一月二十六日に、まず私どもの立場を詳しく書きまして、長官名で親事業者あてに、また親事業者の属する団体あてに、下請代金支払遅延等防止法のたてまえに基づく、あるいは下請振興基準に基づくいろいろな下請への諸要請を書きまして、これをこういう際であるから特に順守するようにということを出しております。さらに、ことしに入りまして、二月の中旬にこれを繰り返しまた申し述べまして、やはり親事業者の団体あるいは親事業者に対しましてその旨を通達しているわけでございまして、全体の状況が少しずつ好転するよりもむしろ悪化する傾向にあると思いますので、そういった意味で重ねて二月の中旬に通達を出したというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/3
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004・野間友一
○野間委員 そのような要請に基づいて取引条件の改善がなされたのかどうか。どのように把握しておられるのか。その点についてお答えを求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/4
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005・外山弘
○外山政府委員 その通達に基づきまして親事業者団体として親事業者連中がどういうことをやったか、あるいはどういう措置をとったかというふうな点についての報告をいま求めつつあるところでございます。
それからもう一つ、別に、その後、下請取引条件がどのような状況に推移しているかというふうなことでサンプル調査をいたしまして、そして一月の末でございましたけれども、全体の動向の進み方を昨年の秋と比較しまして、たとえば現金比率とか、あるいは手形サイトの期日とか、そういった点がどのように推移しているかというようなことをサンプル調査をしたことがございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/5
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006・野間友一
○野間委員 そのサンプル調査の具体的な内容と方法なんですけれども、これはどういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/6
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007・外山弘
○外山政府委員 四十八年の十月と四十九年の一月とにつきまして、手形サイト、現金比率、収益動向、この三つがどのように推移しているかということをとりあえず調べたわけでございまして、手形サイトにつきましては、昨年の十月が百十七・九日というのが平均でございますが、四十九年の一月には、これが若干延びまして百十九・三日というふうにサンプリング調査で出ております。それから現金比率も、昨年の十月は四六・四%、ことしの一月は四五・五%というふうに下がっております。それから収益動向も、上昇したとする企業から減少したとする企業を引いてその比率を見るわけでございますが、昨年の十月は一三・八%プラスでございます。しかし、ことしの一月は二二%のマイナスということで、収益動向も悪化している企業がふえてきている、こんなようなことが、サンプリング調査でございますけれども、数字的に出ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/7
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008・野間友一
○野間委員 その調査の対象ですが、これは親企業、つまり元請ですね、ここから調査されたのか、あるいは下請関係についての実態調査もやられたのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/8
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009・外山弘
○外山政府委員 ただいまのサンプリング調査は、下請企業からとっております。
そしてもう一つ、親企業の状況について報告をいま集めているというふうに私が申しましたが、これは上場親企業約千三百というものをピックアップいたしまして、その関係する下請企業三千というくらいの把握のしかたでいま調査を実施しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/9
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010・野間友一
○野間委員 七十一国会のときにも私は提起をしたわけでありますけれども、下請代金支払遅延等防止法では、三条によって書面の交付が義務づけられておるわけであります。しかしながら、これは下請事業者に対して書面を交付するということだけですね。そうすると、元請と下請との力関係からいたしまして、なかなか真実を述べることができない。いま下請についての調査も進めた、こういう話がありましたけれども、この法律が厳格に守られておるかどうかということについて、これについて何かのクレームをつけますと、これはさらに親企業から圧力を加えられる、圧迫される、これが実情であります。したがって、このような調査そのものの問題と同時に、調査に対して正確に答えることができるかどうかということが力関係の中で一つ出てくると思うのです。
そこで、お伺いするわけですけれども、このような単に元請が下請に対して三条に基づいて書面を交付するということだけで事が済むのかどうか。私はそうでなくて、たとえば下請中小企業振興法、これに下請企業振興協会、こういうのがありますけれども、こういうところに下請関係のこの書面を全部出さす。そしてここで客観的にこれを把握するということでなければ、これは実際に事が起これば、中小企業庁がいろいろな調査、いまサンプリング調査の話がありましたけれども、そういうことをしなければならぬと同時に、常時、不断にこのような法律が守られておるかどうかのチェックができない。したがって、このような法律があってもなかなかこれが十分機能を果たすことができない、こういうことに私はなろうかと思うのです。これは七十一国会のときにも私は提起したのですけれども、こういう点から、この書面の交付について、これを単に親と下ということだけじゃなしに、このような客観的な、これが守られておるかどうかを調査と申しますか、そういうことができる、それが担保できる、そういうところに書面を届け出をさせる、こういう方向に変えるべきじゃないか、そうでなければなかなかこれは実態の把握ができない、これが現状だと私は思うのです。またあとで触れますけれども、いろいろな報告書によりましてもなかなか守られていない。この点について、私はぜひこれは改善する必要がある、こういうように考えますけれども、長官の御意見をお伺いしたいと思うのです。と同時に、公取のほうにも同じようなことについての答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/10
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011・外山弘
○外山政府委員 親と下請の関係は、いわゆる強弱の関係がございますから、なかなか実際の強制力と申しますか、そういったものが働いてうまく整とんするということがにわかには進まないというふうな要素があるということは御指摘のとおりでございまして、私どももよく下請企業者の方々からもっとわれわれにもいろいろな連絡をしてほしいと思うわけでございますが、なかなかいろいろなことを考えて、陰ではいろいろ問題があるにもかかわらず表にはなかなか言おうとしないというふうな傾向も基本的にはございます。それからまた逆に、われわれが応援したことがかえって実際の取引関係にマイナスになるというふうなことをおそれる傾向も確かにあると思います。したがいまして、調査という場合にもそういう点を頭に置いて把握しなければいけないし、また理解しなければいけないと思いますが、先ほど申し上げましたような調査も、したがってサンプリング調査でございますし、ある種の平均でございまして、個々にはもっとひどいケースがあるのだろう、こういうふうに理解するわけでございます。
ところで、そうだからといって、それではその関係を頭に置いて、現在の下請代金支払遅延等防止法の法規制をもっと変えたらどうだろうか、こういう御意見でございますが、確かに現在の下請代金支払遅延等防止法の罰則を伴う規定は、いまのように書面交付の規定と、もう一つは書類の保存の規定と二つしかございませんで、あとはいろいろなことが規制の対象にはなっておりますけれども、罰則を伴っているわけではない。しかし、これはまた同時に、立ち入り検査ということによりまして、できるだけそのことも守られているということを推進するというふうになっておるわけでございます。もともと関係の問題であるがゆえにそういった考慮を払って、罰則を伴うものと、それからそういった指導の対象にして立ち入り検査で強制するというものと二つの体系に分けた法規制になっているのだろうと思います。
これの改善につきましては、公正取引委員会のほうの問題でもございますので、そちらの御意見もあると思いますが、私といたしましては、これの改善をするために、いま御提案のように、たとえば下請振興協会を使ったらどうだという御意見でございますが、これは確かに理屈から申しますとそういうことをやったらもっとベターかなという感じもいたします。しかし同時に、下請取引というのはたいへん膨大な量でございますし、それが一々下請振興協会に全部行くとなると、これはたいへんな量にもなりましょう。あるいはそういうことを強制することがかえって取引の迅速性というふうな点でマイナスのある面が出てくるかもしれません。いずれにいたしましても、そういうふうなことについての配慮を一応法的にはしていないということには、それだけの理由があると思います。いま御指摘の点は私もよく考えてみたいと思いますけれども、なかなかむずかしい問題を同時にはらんでいるのではないだろうか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/11
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012・相場照美
○相場説明員 御説明させていただきます。
ただいまの長官のおっしゃったこととほぼ同じように考えておりますが、一つは、やはりこの三条書面と申しますのは、親事業者が発注のつどその単価、数量、それから納期、こういったものを書いて下請業者に渡せ、こういうことになっておるわけでございます。取引の内容を明確にするということがその主眼でございます。そのために、ただいま長官のおっしゃいましたように、発注のつど出しますためにかなり膨大な数量になることは間違いございません。したがいまして、こういったものを振興協会で取り扱うといたしましても、その事務は相当膨大なものになろうかと思いますし、私どもの立場から申しまして、下請振興協会と申しますのは、やはり下請のあっせん、あるいは下請企業の育成というようなことを主たる業務にしている機構であろうかと思うわけでございます。そういったところに、こういった監視といいましょうか、あるいは親事業者の規制にわたるような事項、こういった業務をやらせるのもいかがなものか、これは私ども担当外でございますけれども、そのようにも考えているわけでございます。検討すべき問題だと思いますけれども、なお問題がいろいろあろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/12
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013・野間友一
○野間委員 私はいま両者から答弁を聞いたのですけれども、一つは事務上の繁雑な手続、つまり下請企業が膨大であり下請契約が非常に多い。これを一々把握と申しますか、書面を出させることが、手続的に事務的に非常に繁雑であるというような答弁の趣旨じゃなかったかと思うのですけれども、だからこそ逆に私は、これは実態を把握させる必要があるのじゃないかと思う。確かに下請というのはものすごく多いと思うのですね。そのつど契約をします。しかし、それは単なる一回的な契約でなくて、これは長期継続的な取引をやるわけですから、こういう意味において、単なる一回的な取引と違うということが一つと、それからそれだけ下請企業の数が多いわけでありますから、特に実態を把握するためには、単なる抽出とかいうようなことでは実態の解明はできない。いま長官も話がありましたけれども、平均値は確かにサンプリング調査で出るかもしれません。しかしながら、最も劣悪なたくさんなものはなかなか実態を明らかにすることはできない。これは力関係、先ほどからありますけれども、これもいわば一つの要素になっていると思うのですね。ですから、やはり私は、多少繁雑でも、繁雑であればあるほどこういうものを調査する必要がある、こういうように思うわけですね。
それからもう一つ、振興協会にこういうことをさせるのはどうか、これは制裁とか、そういう側面の機能を持たせるようなお話がありました。私はそう言っておるのじゃないのですね。実態を報告させる、つまり親と下請との関係だけではなしに、この書面を振興協会に出すことによって実態の把握が容易である、そして行政指導が容易に行なわれる、そういう意味で、事実の報告を求めているだけで、この振興協会に一々具体的な制裁を加えてのチェックをしろということを私は申しておるわけではないのですね。そういう意味において誤解のないようにしていただきたいと思います。ですから、これは私は、振興協会にこういう仕事、権限を与えるという方向がいいと思いますけれども、この点やはりこの三条だけでは十分事情を把握することができないということについては、両者のお答えにも私はあったと思うのですね。ですから、これをほんとうに改善させて、下請業者にこういう法律がありながらこれは守られない、こういう事態をなくするために、どうしてもこれはやらなければならぬ一番大きな課題じゃないかと私は思うのです。この点について長官、再度ひとつ答弁を求めたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/13
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014・外山弘
○外山政府委員 取引の安定性、下請企業の現実的な保護という点から見ますと、確かに傾聴に値すべき措置だろうと思います。ただ、それが先ほど申しましたように、膨大な下請取引契約を全部下請振興協会に届け出させるということになりますと、そのこと自体がやはりたいへんな、何と言いますか強弱の関係を伴っている関係者からの届け出でございますから、はたして画一的に法律的に規制することが適切な推進のしかたであるかどうかという問題もあるかと思います。同時に、先ほど申しましたように、かえってそんなめんどうなことならというふうなことで忌避されてもこれは困るわけでございます。その辺のこともございますので、もう少しその辺の、どういうふうにすることが一番弱い人の立場に立った、しかも実態調査のための一番大事なポイントであるかということにつきましては、いろいろな角度から勉強をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/14
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015・野間友一
○野間委員 次に、運用についてお伺いしますが、代金の支払い期日ですね。二条の二なんですけれども、これは給付の内容について検査をするかどうかを問わず、給付の受領の日から六十日以内、こういう規定があるわけですね。この二条の二の一項ですが、これをどう解釈するかということについてちょっと公取の解釈をお聞きしたいと思うのです。
わが党の神崎委員が二月十五日の当委員会においてこの点についての質問をしておるわけですが、これは事務局長が答弁されておるわけですね。これによりますと、公取は、手形サイトを百二十日から百五十日までは行政指導、百五十日から百八十日は行政指導と監査、百八十日以上は勧告、こういう運用をされておるように思うわけですが、この点について、どうなんでしょうか。法律では、支払い期日六十日以内、こうあるわけですね。これについて、手形の関係では支払い期日は、支払い期日が手形の満期の日だ。というのは、手形そのものはこれは支払いにかえて振り出すものじゃない、支払いのための振り引しが企業の手形ですね、ですから、六十日というのは手形の満期の日が即支払い期日である、こういうふうに読むのがまっとうな読み方なんですね。ところが、いま公取がとっておる措置は、先ほど指摘したような形で、それよりはるかに長期の百二十日から百五十日までは行政指導、あるいは行政指導と監査、あるいは勧告、こういうランクづけをしてやっておりますけれども、いずれにしても六十日よりははるかに長期のものからチェックの段階に入っておる。これは私は二条の二、この解釈とは違うと思うのですが、ひとつ見解を聞かしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/15
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016・相場照美
○相場説明員 御説明さしていただきます。
御指摘の二条の二の条項でございますが、これは、検査するとしないとを問わず、受領の日から六十日以内に支払えということを定めておるわけでございます。ともかく「下請事業者の給付を受領した日から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。」これは支払い期日をそういうふうにきめろということでございますので、納付の日から六十日以内に払いなさいということをきめておることは事実でございます。
他方、この支払いの方法でございますが、これにつきましては明確な規定はないわけでございまして、一方、下請代金支払遅延等防止法の四条第二項二号は、手形による支払いを前提といたしまして、「下請代金の支払期日までに一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。」これによって下請代金を支払うことを禁止しておるわけでございます。下請代金の支払いにつきまして、手形の交付ということにつきまして、支払いのためにとか、あるいは支払いにかえてとか、いろいろいわれておるわけでございます。私どもこの現行法では、手形による支払いを全面的に禁止しているものというふうには解釈はいたしておりません。ただ、手形につきましては、支払い日において一般の金融機関におきまして割引が困難であるという手形による支払いを禁止しておるという趣旨に解釈しておるわけでございます。そういう意味で、もちろん親事業者、下請業者間の取引におきましては、下請の取引条件というのは極力悪化していくおそれがございますために、私ども下請代金という以上できるだけ現金払いという形で事実上指導はいたしておりますけれども、なお、手形による支払いにおきましても、それが納付の日から六十日以内に定められております支払い日において交付される手形であって、かつ、直ちに一般の金融機関において現金化し得るものであれば、これは一応支払いと認めていくという立場をとっております。この法律第四条第二項第二号は、一定の期日といいますか、手形期間一定以上のものを禁止しているということではございませんけれども、私どもといたしましては、法運用におきまして、それぞれを指導していくために、あるいはそういう勧告あるいは行政指導等を行ないます場合に、割引が困難であるかどうかという点につきまして、これを一律に——本来は個別に検討すべきものかとも思いますけれども、一応私どもといたしましては、長期の手形についてはやはりこれは下請に不利益をもたらしているものだというふうに考えまして、御指摘のような一般の基準で当面法を運用しているというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/16
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017・野間友一
○野間委員 どうもかみ合わないと思うのですけれども、そうすると、私、質問を変えますが、公取のほうでいま指摘を申し上げた行政指導あるいは監督、勧告の、この期日百二十日とか、あるいは百五十日、百八十日以上、こういう三つのランクがありますが、これは下請から物を受領した日が起算日になっておるのかどうか。ですから、もしそうであれば、私はこれは法の二条の二の一項とは違うと思うのですね。つまり受領した日から六十日以内に支払い日をきめなさい、こういうことになっておるわけですね。ですから確かに手形か現金か、これについては二条の二では明確ではない。むしろ四条からすれば手形でもいいのだ、私はそうだと思うのです。ところが、私がここで指摘しておるのは期日なんです。これは六十日以内と限られておるわけですね。ところがそうでなくて、実際に下請業者はそれよりはるかに長期の手形をつかまされておる。そうなると、支払い期日を六十日を過ぎた日にきめること自体が、これは二条からして違法になるわけですね。私はそう解釈をする以外にないと思うのですが、そうするといまの三つのランクに分けて行政指導をされておることは、これはちょっと法を逸脱しておるというふうに考える以外にないと思うのですが、これは私の誤解かどうか、その点について答弁を求めたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/17
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018・相場照美
○相場説明員 補足いたして御説明いたします。
この百二十日、百五十日、百八十日というのは、現在における私どもの手形に対する法運用の実態でございます。基準でございます。そして、この百二十日、百五十日という起算日は、これは振り出し日でございます。したがいまして、この振り出し日と申しますのは第二条の二でいいます下請代金の支払い期日がほぼこれに当たります。(野間委員「法的にどうかと聞いているのだ」と呼ぶ)法的には、直ちに現金化し得る手形でございますならばこれは支払いと認めておりまして、したがいまして、この支払い期日が二条の二に申します納付の日から六十日以内であればこれは有効な支払いであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/18
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019・野間友一
○野間委員 どうもちょっと私、これは錯覚、誤解でしょうか。私がお聞きしておるのは、給付の受領の日から起算して六十日以内に支払い期日をきめる、それで支払いをする、こういうふうになるわけですね。ところが、百二十日とか百五十日というのは六十日をはるかにこえておるわけですね。ですから、起算日を給付の受領があった日とすれば、百二十日とか百五十日というのは二条の二とは違うわけでしょう。ですから、起算日から、つまり給付を受けたときから六十日以内に現金を払うか、あるいは手形であれば六十日以内にその満期日をきめるかのどっちかだと思うのですね。そうすると百二十日とか百五十日というのとは一体どういう関係にあるのかということがわからぬので私は聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/19
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020・相場照美
○相場説明員 最初に申しましたように、支払いの方法として、現金で支払う、あるいは手形で支払うということについては、これはどちらでなければいけないということはこの法律は規定いたしておらないわけでございます。したがいまして、手形払いの場合に、支払いにかえて支払う、あるいは支払いのために振り出す、この二つの手形行為があろうかと思うわけでございます。そこで私ども法律的には、この支払いのために振り出しているのだ、要するに、それで支払いを完了する趣旨でもって払っているのだ、したがいまして、そういった手形は受領と同時に一般の金融機関において割引が困難なものでは困るというのが四条二項の趣旨でございます。したがいまして、百二十日割り引くという手形でございましても、それを受領と同時に一般の金融機関で割り引けるようなものでありますならば現金における支払いと同様に解釈をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/20
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021・野間友一
○野間委員 どうも私よくわからないのですけれども、長官、この点について私誤解があるのでしょうか。というのは、手形そのものは、ためにとか、かえてとかいうような機能があるのはそのとおりだと思うのですけれども、実際手形の機能そのものは、支払いのために振り出されるのが普通なんです、この場合。それは別にして、いずれにしても、手形の振り出しが給付を受領した日、こう起算した場合ですね、それから六十日以内に現金で払うか手形で払うか、これはどっちかなんですが、そうすると、手形の場合には、受領の日から満期日は六十日をこえてはならぬというのが二条の趣旨だと思うのですね。ですから、たとえば百二十日とか百五十日というような振り出しから満期日までの間に期間がありますが、これは二条の二に違反しておるということになると思うのですよ。これはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/21
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022・外山弘
○外山政府委員 二条の二の規定は六十日以内に支払わなければならないと書いてあるわけですが、支払いの方法は、たとえば現金で支払いなさいとは書いてない。手形で払ってもいいわけでございますね。その場合に手形で払うのに、先生御指摘のように六十日の手形だったら、これはもちろん文句ないわけです。しかし百二十日の手形でも、六十日のときに銀行に持っていって割り引いてくれればそれでも支払いは可能だということになりますから、この法規違反にはならない。ただ問題は、そのときに銀行に持っていったところが銀行が割り引いてくれなかったといいますと、これは問題なんですね。そこで、そのときには、この手形ではだめだ、この法律違反ではないかというふうなことを下請事業者が親に対して言うということは可能でありますし、そういうことを言うだけの根拠にはこの規定はなるんだろう、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/22
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023・野間友一
○野間委員 それは私はおかしいと思うのですよ。現金であれば六十日以内に払わなければならぬ。しかし、手形の場合にはそれより期日が長くていいということになりますと、これは現金と手形の場合に支払いが全く変わるわけですね。長期の手形であれば、これは割り引いた場合にかなり天引きされますよ。現金に比べてはるかに不利益な条件になる。特にその法の解釈としていまの四条の二項、これは二条の二の例外規定ではないわけですよ。いまのお話を聞いておりますとあたかも例外規定のような、そういう解釈をされておるんじゃないかと思うのです。二条の二では明らかに六十日以内に支払い期日をきめなさい、支払いなさい、そういうことになっておるわけでしょう。それで、それを受けましてその四条は、手形の場合には六十日来れば満期が来るわけですけれども、それ以前に現金化したい場合がある、その場合にはその割引者の、リスクを伴いますけれども、しかしそれでも、それよりも下請業者の利益を守る、そういう意味から、割引が可能な手形でなければならない、つまり六十日たたなくてもそれはいつでも割り引くことができる手形を差し上げなさい、こういうことになっておるわけですね。ですから、二条の二の例外規定としてこの四条の二項を解釈されるのは、これは法の解釈を間違えておる、こういうふうに考える以外にないと思うのですよ。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/23
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024・相場照美
○相場説明員 補足いたしまして御説明いたします。
最初に申しましたように、二条の二というのは支払い期日をきめておりますが、その際における支払い手段についての規定はございません。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ現金払いということで行政指導を進めておりますけれども、手形支払い、この四条の二項二号にいう手形というもので払われる場合、これは二条の二とは——二条の二はこれは支払い期日をきめているだけでございまして、支払い手段についてきめておるわけでございませんので、この二条の二と四条の規定、これは例外規定とか本則規定とかいう関係にはございません。したがいまして、二条の二できめております期日と、それから支払い手段をきめております四条の二というのは直接例外規定というような関係ではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/24
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025・野間友一
○野間委員 そうしますと、例外規定でなければ、私のような解釈以外にはしょうがないんですよ。これは法律家であれば当然それ以外に解釈のしようがないんですよ。次官、これはどうなんでしょう。通産省はそういうような見解をとっておられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/25
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026・森下元晴
○森下政府委員 公取の御説明のとおりでございます。例外規定であるかないかということで四条と二条のつながりぐあいは、通産省としても、一応公取の御意見のとおり指導をしていきたい。
ただ、いろいろ先生の御質問の中で、下請がいわゆる手形の決済において非常に不利な状況に追い込まれる、この点は、われわれも実例においてよく承知しておりますし、特にこういうような緊急事態におきましては、平時でない指導、また取り扱いをしなければいけない。下請は常に親企業と、また原燃材料との間にはさまれまして、この手形決済というものについてこれが倒産につながったり、また営業につながる、非常に神経質にもなっておりますし、倒産の原因もほとんど不渡りを出して倒産をしていくということを考えました場合に、この法の解釈上の問題はいろいろ疑点もあるし、またわれわれといたしましても、私個人としては絶対自信を持って言っておるわけでございませんけれども、事態をよく考えて、法の精神は何であるかということの観点に立って、やはり下請企業というものはこういう事態においてはあたたかい法の精神でもってこれを保護救済しなければいけない、こういうふうに実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/26
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027・野間友一
○野間委員 どうもぼくは、政府の解釈は誤っておるとしか言いようがないと思うのですよ。四条の二項、これは「下請代金の支払につき、当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。」これが禁止されておるわけです。ですから、当然六十日以前に満額とにかく現金化できる手形を交付しなければならぬ。ただ、支払い期日まで支払いを待っておるならばこれは資金繰りが困るという場合に、六十日以内にでもこれは手形を割り引いて現金化する、そういう制度にこれは道を開いておるわけですよ。そうでなかったら、この六十日というのは全く意味がないでしょう。受領した日から起算して六十日以内に払いなさいといいながら、手形であれば百二十日でも百五十日でもよろしい、そういう根拠がどこから出てくるか。そんな長い手形で割り引いたら、割息をべらぼうに取られて、結局下請業者は手形の金額は確かに一定の金額があるかもわからぬけれども、しかし手に入る金というのはわずかの金ですよ、六十日の時点でこれを割り引いたとしたらですね。そうすると、これは二条の二の趣旨から全く離れるわけですよ。なぜこんな解釈をされるのか、私は理解に苦しむわけですよ。どうなんでしょうか。
私はさらにこれらの質問を保留して、ひとつ政府も検討して、そういう態度で解釈されるなら、私は下請がたまったもんじゃないと思う。その点については質問を保留して、さらに続けたいと思うのです。ちょっと研究しておいてください。
もう私の持ち時間がありませんので、もう一つだけ公取にお聞きしたいと思いますが、このいまのところですが、割引を受けることが困難であると認められる手形、これは一体どのような基準で判断されるのか。というのは、同じ振り出し人で、同じ手形のサイトで、同じ金額の場合でも、これは実際割引をする銀行が、銀行の裁量によって、これは一つのワクとか、いいろいろな関係でやられるわけですね、これは割れるとか割れないというようなことを。これは銀行業務の常識なんですよ。そうすると、これは手形の券面を見たところで判断できるものじゃない、一体だれがどういう基準で判断するのか、この点についてお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/27
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028・相場照美
○相場説明員 先生おっしゃるとおりでございます。同じ期間、同じ振り出し人の手形におきましても、これは下請業者の資力に応じまして、この手形が割れたり割れなかったりいたしますことは事実でございます。したがいまして、割引が困難な手形というのを一律に定めることは、それこそ困難でございます。
ただ、私どもといたしまして、立ち入り検査その他をいたします際に、下請業者のところにも回りまして、現在もらっている手形が割れているかどうか、すぐ割り引けるかどうか、こういった点も聞いているわけでございますが、そういった形で、割り引けないということであれば、これは割引困難な手形であるというように判断いたしておりますし、また、そうでなく、一般的な基準としては、先ほど先生おっしゃいましたように、百二十日とか百五十日とかというようなのを一般的には考えておりますけれども、あくまでこれは一般的な推定でございまして、現実に割り引けるか割り引けないかというのがこのきめ手でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/28
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029・野間友一
○野間委員 その点について、もう時間がありませんから保留しておいて、もう一つ最後にお聞きしたいのは、行政指導の内容として監査とか勧告というのをやっておられますが、これの法律上の根拠はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/29
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030・相場照美
○相場説明員 勧告は、御承知のとおり、この法律第七条の規定によりまして勧告いたしております。
行政指導と申しますのは、これは勧告に至っておりませんけれども、勧告ができるわけでございますので、さらにそれに基づきます行政指導権というようなものもあろうかと思います。特段の行政指導をすべきだということを積極的に規定した規定はございませんけれども、勧告権ということから当然に派生してくる権限であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/30
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031・野間友一
○野間委員 私が聞いておるのはそうじゃなくて、百五十日とか百八十日が一定の基準になって、勧告するかどうか——こういうことをやられるわけでしょう。その根拠は一体どこにあるのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/31
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032・相場照美
○相場説明員 割引困難な手形であるかどうかというのは、先生おっしゃるとおり、きめ手でございます。ただ、百八十日あるいは百五十日というのをあくまでも便法としてやっておるわけでございます。これは市中の金融機関の意見あるいは中小企業者の意見、そういったものを考慮いたしまして、現実の割引条件、こういったものを考慮して、そのときそのときの条件においてきめていくべき性質のものだと思っております。したがいまして、百八十日、百五十日というのは各行一律のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/32
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033・野間友一
○野間委員 そうでしょう。ですから、法律上の根拠はないのですよ、百五十日、百八十日に。これをかってにそういう基準を——かってにと申しますか、これは公取のほうでそういう期間を設定して、そして勧告しておるわけですね。この期日そのものが私はおかしいと思うのですね。これは長過ぎる。このことが二条二項との関係でそのような解釈をされるからこういうべらぼうな長いものでなければ勧告できない。そういう態度に出てくると思う。この点について、私は質問を保留して、またあらためてやりたいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/33
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034・濱野清吾
○濱野委員長 近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/34
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035・近江巳記夫
○近江委員 昨年からの経済環境というものが非常にきびしくなってきておるわけであります。御承知のように、金融の引き締めあるいはオイルショック、原材料の不足あるいは高騰、こういうようなことが中小企業にたいへんな影響を与えてきておるわけでありますが、こういう問題に対しましてどういう措置を今日までとってこられたか、いろいろこまかい点もあろうかと思いますが、簡潔にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/35
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036・外山弘
○外山政府委員 昨年秋以来、金融の引き締めの問題とそれから原材料事情の悪化という問題と、両面が中小企業にとっての大きなきびしい条件変化であったかと思います。
これに対応いたしまして、原材料面につきましては、物資のあっせん所というものを重要物資につくりまして、そうして少しでも取引条件の弱い人たちが、小口の需要が満たされるように、そういう意味の手配を各物資担当原局にお願いをいたしまして実施をいたしたわけでございます。それから一方、下請問題につきましては、親事業者に対して下請関係の適正化に努力をするように、後退しないようにということでたびたび通達を出しているわけでございます。それからさらには年末財投、これは例年やっているわけでございますが、これにつきましては、いつもよりも早目に、しかも多目にやったわけでございまして、十月の末には約三千四百億の追加財投を行ない、三機関に対する追加融資のワクを実行したわけでございます。
その後、原材料事情の若干の好転ということもございましたが、引き続き金融の引き締めのしわはますます寄りそうであるというふうなことを考えまして、その後の倒産状況の推移とか求人倍率の推移とかいった点を注目しながら一月、二月の推移を見守ったわけでございますが、先般、三月の初めに、さらに年度末に対する金融の引き締め状況の影響が健全な中小企業経営に対しても問題がありはしないかという点にかんがみまして、三月末までの分としまして五百五億の融資のワクの追加を行なったわけでございます。
さらに、今回法律改正をお願いしている中小企業信用保険法につきましても、これがもしも通りますと それにつきまして信用補完の限度が一般的にも上がるし、個別的にも業種によっては上がる可能性が出てくる。これらのことと、もう一つは、今後も、金融の事情がどうなるか、どういうふうな影響を与えるかということを注視しながら、政府としても、弾力的に機動的に今後の融資の問題を考えてまいりたい、こういうふうなかまえ方で現在いるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/36
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037・近江巳記夫
○近江委員 一時はオイルショック対策としまして、ドル対的な構想を持っておられたように私も聞いておったわけです。それで、その立法につきまして断念をされたのか、今後さらにお考えになっておられるのか、その辺の問題について聞きたいということが一つです。
それから、いま経過的に見ますと、オイルショック対策として、今回お出しになっている法律による倒産関連ワクの拡大あるいは保険限度額の引き上げ、こういうことで措置をしようとなさっておられるわけでありますが、ここにポイントをしぼったその経緯といいますか、この二点につきましてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/37
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038・外山弘
○外山政府委員 私どもも、昨年秋以来の中小企業に対する問題が非常にきびしいということを認識いたしましていろいろ勉強をしたわけでございますが、ドル対策のときと違いまして、中小企業の各面に広範に、しかも広範ではあるけれども、跛行的な面を含みながら影響が全般的に浸透していくのではないかというふうな認識を持ったわけでございます。と申しますのは、ドル対法のように、輸出依存度とか、あるいはその産地の輸出に対する依存状況、そういったことが他の中小企業分野と画然と違いまして、そうしてその人たちに対する、つまり輸出によって影響を受けることが中小企業の特定の分野として非常に明確になるというふうな点があったのとは影響の見通しが違うのではないかということが一つでございます。
それからさらに原材料不足の状態、金融引き締め状態の浸透速度というものがなかなか見きわめがむずかしかったという点がございます。これは秋口から十二月にかけて非常に問題が多いというふうに判断されましたが、むしろ年を越しますと若干好転のきざしもある、しかも今後がむしろ問題であるというふうな感じもいたします。
〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕
そういう意味で一挙に急速に激しくくるというのじゃなくて、やはりじわじわと全般に広範に影響がいくのではないか、しかも、その影響の程度は分野によって非常に違うというふうなことが予想されるわけでございます。
今後どうするのかというふうなことでございますが、今後は、いまのところ、先ほど申しましたように、金融上の配慮と今回の保険上の配慮というものを基本にいたしまして、適時適切な手を打ちたい、こう考えておるわけでございますが、もしも広範な影響が全般的に起こって、しかも金融措置だけではなくて、もっといろいろな措置を必要とするような状態になる、その場合にはいろいろな措置ということになりますと、法律事項も入ってくるかもしれません。これは労働の問題もあるかもしれませんし、税法上の問題もあるかもしれません。そういった意味の大きなショックが中小企業の相当広範な部分に起きてくるということになりますと、とても単なる金融だけでは足りない、あるいは保険法の措置だけでももっと十分にしなければいけないというふうな問題点になって、立法事項が必要になるという場合もあり得るかもしれません。これはそういうふうな事態にならないことが望ましいと思いますが、そういう事態がくれば、それはまたそのときで考えなければいけないというふうに考えるわけでございます。
ところで、保険法につきましては、そういった今後の事態に対して、少なくとも従来は、親企業者、取引先の企業が倒産することによって、その取引をしている中小企業者が影響を受ける、その影響について保険上の配慮をしたわけでございますが、しかし今回は、そのことももちろん大事だけれども、さらに加えて、今回のように原材料事情とか製品の需給事情といった点が非常に大きな影響を業種によっては与えるというふうなことがかなり予想されるわけでございます。そういった場合には、従来の倒産関連保険の定義では適応できない、しかし、今回のようなことにすればそういった場合にも対応できるということで、今後の事態に備えるという意味ではたいへん有効な措置になると思いますし、それから、すでに過去の事例でも、場合によってはこの法律ができていれば適用できた例もあったかもしれないというふうな感じもするわけでございます。いずれにいたしましても、今後の事態の推移の中で万全の対策をとる、その一環として保険法の措置も役立つのではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/38
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039・近江巳記夫
○近江委員 事態が悪化するということはでき得る限り政府としては避けなければならぬわけでありますけれども、どういう最悪状態になるかわからぬわけでありますけれども、そういう事態になった場合は立法をする、立法も考えるということも長官おっしゃったわけですが、最悪のそういうような事態というものをどういうように想定なさっておるかということが一つであります。
それから、そういうような事態に立ち至ってからばたばた立法化するというようなことになりますと、これはやはり手おくれという問題もあるわけでありまして、やはり先を見通して対策を立てておくということが非常に大事じゃないかと私は思うわけです。今後の危機というものについてどういうような見通しをなさっておられるか。
もう一度まとめますと、どういう事態の場合を想定されておられるか、また、事態に立ち至るまでに、想定によって立法をすべきじゃないかという問題、今後の危機というものについてはどのようにお考えであるか、この三つについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/39
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040・外山弘
○外山政府委員 あまり悪い状態を想定すること自体問題があるかと思いますが、私がもしもそういう御指摘で考えるといたしますと、いわゆる一種のパニックと申しますか、もうある業種全体が壊滅してしまうとか、その業種が相当広範になるとか、しかも、製品需要の停滞からなかなか急速な回復がむずかしいとかいうような事態だろうと思いますが、そういう事態を生じさせないための手段としては、一番問題は金融引き締めのたずなの使い方でありまして、これが非常に影響してくると思います。そういった場合に、総需要抑制も大事でございますけれども、同時に、中小企業に致命的な影響のあるようなこともまた問題であると思います。その辺、最悪の想定というものは必ずしも十分にやっているわけではございませんけれども、そういう事態を招かないような他の諸措置が基本的には大事ではないだろうか、私はそういうふうに考えるわけでございます。
そしてまた、見通しという点から見ましても、私は確かにこの一、二、三月に比べて五月、六月あたりにやはりもっと懸念があると思いますし、事態の推移を慎重に見守らなければいけないと思います。いけないと思いますが、しかし最悪の事態になるような状態にならないように私どもとしては努力してまいりたい、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/40
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041・近江巳記夫
○近江委員 そういう事態は何としても避けなければならぬことでありますが、やはりそういう見通しと対策は手おくれにならない段階でやるということが非常に大事だと思うのです。こういう点については、政府部内におきましても十分ひとつ立法も含めてお考えになる必要があるんじゃないかと思うのです。これにつきまして、長官とそれから次官にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/41
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042・森下元晴
○森下政府委員 年末十二月二十三日に緊急事態を宣言いたしまして、この危機を乗り切るべく通産省も全力をあげております。総需要抑制、いわゆる短期決戦型で緊縮財政をしいております。その効果はインフレ、物価高を早急に鎮静するために、ちょうどお湯の中に氷をほうり込んだような状況が現在の情勢であると思います。そういうことで、インフレ、また物価高の悪影響もさることながら、オーバーキルによるデフレ、またスタグフレーション、こういう事態も私はもっと危険だと思うのです。そういう中において一番しわ寄せを受けるのはやはり中小企業でありまして、特に下請業界なんかはもろに被害を受けまして、その倒産の例が月々多くなっております。また、内容的にも非常に心配するような状況になっておる。年末は物がなかった、また年始になりまして物が上がった、その次にくるのは、物はあるけれども結局は金がない、そういう事態が来ているような感じすらいたします。四月から六月が非常な危機であるというような一般の声もございますけれども、通産省としては、そういうことがないように、いま提出しておりますこの法案もまたこの危機を救うための一つの法案でもございますし、全力をあげて対処していきたい、そういう非常な決意でやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/42
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043・外山弘
○外山政府委員 私としては、一つは、生じた事態に対して適切な中小企業対策を打ち出すということが大事でございますが、同時に、中小企業対策だけではどうにもならないようなたいへん大きな影響が中小企業に起こらないように、私どもとして政府部内で中小企業政策の立場から発言することも大事であろう、こういうふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/43
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044・近江巳記夫
○近江委員 これは私がいま申し上げたように、そういう手おくれにならないための立法措置も含めて十分ひとつ検討しておいてください。これを強く要望しておきます。
それから他の委員からも出ておるわけでありますが、石油問題、電力の供給削減あるいは今後値上がり等によります影響というものはあらゆる点に出てくるわけでありますが、この関連下請中小企業者の取引条件というものが非常に最近は悪化をしてきておりますし、そういう点におきまして、遅延防止法等の強化ということもあるわけでありまして、いろいろ対策をお立てになっておられると思うのですが、今後これがさらに一そう激しくなってくる、これは十分予想されることでありまして、現状も非常にきびしいわけでありますから、それで今後いまの時点からどういうふうにその辺の対策をお立てになっておられるのか、ポイントをひとつお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/44
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045・外山弘
○外山政府委員 下請企業がどういう影響を受けるかという点につきましては、中小企業の最も弱い部分として今回のような措置が一番響いてくる分野だろうと思います。そういった意味で、昨年の秋からいろいろな配慮はしてまいりましたが、最近に至りましても再度親事業者に対して条件の適正化を要望し、かつどういう措置をとったかというふうなことについての報告を求めるというふうなことで、今後の悪化の懸念に対する親事業者の配慮を要請しているわけでございます。また、先般の五百億の追加に対しましても下請事業者に対する金融について十分配慮するようにということで、重点事項の一つに下請に対する配慮も加えているわけでございます。問題は、いままでの繊維業、建設業等に若干出ておりまする影響が今後さらに機械工業の面に出てくるというふうなことになりますと、下請企業の相当部分を占めております機械工業でありますゆえに、問題が非常にむずかしくなってくると思います。私どもは、その際に備えて、どういうふうな金融措置なり保険法の措置なりあるいは親事業者に対する配慮なり、そういうことが必要であるかということをよく関係原局とも打ち合わせいたしまして、適切な要望をしてまいりたい、また適切な配慮をしてまいりたいと思うわけでございます。いずれにいたしましても、今後いままでより以上にきびしくなってくるのではないかということを頭に置いて適切な措置を考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/45
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046・近江巳記夫
○近江委員 手形のサイトであるとか現金比率の問題等は、さらに非常にきびしくなってきておるわけです。適切な手を考えて打っていくということをおっしゃっているわけですが、その適切な中身を聞いているわけです。もう一度長官と次官に具体的に聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/46
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047・外山弘
○外山政府委員 適切な手の一つは、やはりいまいろいろの調査をしておりますけれども、親子関係の基本的な関係がございますからなかなかむずかしい点が多うございますけれども、やはり従来からやっております立ち入り検査によりまして立法上の配慮を実現するように今後も努力をしてまいりたいと思います。
それからもう一つの適切な配慮というのはやはり金融問題だろうと思います。金融につきましては、今回も措置をいたしましたけれども、今後も、政府系三機関の運用にあたりましては特にそうでございますが、そういった点についての十分な配慮をするように、また一般の金融機関に対してもその辺の注意を促すようなことは今後もやってまいりたい、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/47
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048・森下元晴
○森下政府委員 下請がいろいろな不利をこうむる、その形態はいろいろあると思います。たとえば親企業が非常に受注が少ないためにそのしわ寄せを下請に持ってくるという方法、また親企業が、事業は続いておりましても経営状況が非常に悪くなった場合、それが下請に対して手形サイトを縮めるとか現金化を要請するとか、そういうケースもあると思います。それから親企業は健全でございましても、その下請のまた下請、いわゆる孫請、そういうようなところからの手形決済を縮めてくれとか、また現金で支払ってくれ、また原燃材料関係が非常に高くなる、また高くなるばかりじゃなしに非常に品不足になって仕事ができない、したがって親企業に対しての納入もできない、いろいろなケースが予想されるわけでございます。
〔田中(六)委員長代理退席、委員長着席〕
そういうことで、いま長官からお答えしましたように、やはり親企業を適切に指導する、また同時に、この原燃材料が安定した価格で供給される、こういうような指導も強力にしなければいけないわけでございますし、また特にこういうようなデフレ傾向が非常に強くなってきた場合に、そのきめ手はやはり融資の方法でございます。手形は、上の払いは長くなるし、また原燃材料の支払いは短くなるというような悪影響を受けるわけでございまして、そのためにこの中小企業三金庫等を利用する適時適切な融資の方法、いわゆる融資によってこの危機を打開する方法が一番適切であると私は思います。
幸い四十九年度の予算には、この政府関係の中小三金庫には二兆円の予算を組んでおりますし、また弾力条項を使えばそれに一兆円、約三兆円、それと今回法案を出しております信用補完制度、これを適切に運用すればかなりの金融ができると思います。ただ、制度だけの問題じゃなしに、やはりこういう緊急事態に際して私は従来にないような法の精神に基づく配慮、しかも早急に手を打たなければ、もう一週間おくれることによって手形が落とせないために倒産をするという例もずいぶんございますから、やはりそういう緊急事態の上に立って法の運用を適切に、しかも迅速に行なうのが私どものつとめである、そういうような非常な決意をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/48
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049・近江巳記夫
○近江委員 それからこの倒産につきましては、インフレ、物不足の倒産というものが非常に増加しておるわけであります。それでこのデータを見ましても、倒産件数としまして一月が八百二十一件、二月が八百五十七件、その中でインフレ、物不足倒産というものが一月が二百六件、それから二月が二百三十二件、こういうように出ておるわけでありますが、今後さらに金融引き締めの浸透あるいは総需要抑制の効果等によってこの倒産というものがふえるのじゃないか、そのように考えられるわけですが、この倒産問題についてはどういう見通しを立てられておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/49
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050・外山弘
○外山政府委員 昨年の十二月末に昨年一年間の傾向から見ますと最高の件数までいきまして九百件をこえたわけでございます。ことしに入りまして八百件台で推移しておりますけれども、やはり一月、二月という月の特殊性から見ますとかなり多いというふうな状況になっております。三月が私どもとしては一つの心配な月でございますが、現在までのところあまり詳しい事情を聞いておりませんが、三月末にどのような数字になるかということが一つの懸念でございますし、さらに四月以降製品需要の停滞と総需要抑制の効果がきいてくればくるほど中小企業にしわが出てくる可能性があるわけでございまして、そういった面から四月以降も倒産件数が減るよりもむしろふえてくるのではないかというふうな心配がございます。その辺の状況を今後も注視してまいりたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/50
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051・近江巳記夫
○近江委員 対策につきましては先ほど長官がお答えになりましたので、重複しますからもうお聞きしませんが、いずれにしても、長官もおっしゃったように見通しはさらに暗い、こういう状況でありますし、いまこそひとつ万全の対策をとっていただきたいと思うわけであります。これも強く要望いたします。
それから倒産の関連保証の拡大につきまして、「原材料等の供給の著しい減少、需要の著しい減少」となっておるわけでありますが、こういう事態を倒産関連のワクに入れられる理由をひとつ簡潔にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/51
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052・外山弘
○外山政府委員 従来の倒産関連は、御承知のように、中小企業者が取引の相手としている企業が倒産をしたり、あるいは事業活動の縮小を行なう、それによって影響を受けるという場合に限った運用でございました。今回は、供給とか需要の著しい減少というふうな問題をとらえて、それを業種別につかみまして、同じように倒産関連保険の対象にしようということでございまして、取引先の事情ではなくて、その業種が業種として受ける影響ということをとらえた考え方をとったわけでございます。もちろん著しい減少でございますし、著しい需要の不足でございます。したがいまして、通常の経済、景気変動の中で予想されるような、つまり平素、企業家としては当然こういうことを予想するようなそういう事態の変化はあえて問題にしないわけでございますが、ここに「著しい」ということを書きまして、それによってその辺の具体的な事情を業種、業態に応じて、またそのときの経済現象に応じて判断したい、こう考えておるわけでございまして、今後その機動的な運用と申しますか、適切な運用によりまして、保険限度が中小企業によっては拡大されるということで効果が大きいのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/52
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053・近江巳記夫
○近江委員 こういう倒産関連のワクに入ることによりまして、逆から考えますと、指定された業種に属する中小企業者というものは、倒産寸前みたいならく印を押されることになるんじゃないか。その辺についての心配はないのかどうか。
それから、指定された業種に属する中小企業者が、その後、親事業者の倒産の余波を受けることもあるわけでありますが、こういう場合はどういう措置をなさるのか、この二点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/53
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054・外山弘
○外山政府委員 まず第一点のらく印を押されたことになりはしないか、こういう御指摘だと思います。確かに、あなたの業種は非常に影響を受けてたいへんですということを政府が言うことになるわけでございますが、しかし、それよりも何よりも、救済策の適切な手が打たれることは基本的に大事なことだろうと思いますし、それから前回のドル・ショックの際にも業種指定の経験がございます。そのときの経験から見ましても、らく印を押されると申しますか、そういうことに指定されることによる心配よりも、やはり、指定を受けて施策の適用を受けようというほうが強いと思います。したがいまして、御懸念のようなことはまずないのではないかというふうに考えるわけでございます。
それからもう一つの御質問でございまする事業者の倒産ということとの関連でございますが、これはもちろん倒産関連保険で一号、二号、三号と書いておるわけでございますが、一号、二号、三号のいずれかに指定されれば倍額の保険ができるわけでございますが、二つの号に指定されたからといってその額がふえるわけではないわけでございます。これはドル・ショックや何かのときの特別法でやったのと違うわけでございまして、倒産関連保険の範囲内で保険限度を上げるわけでございますから、かりに業種が指定されて、その経営の安定に支障を来たしている中小企業者と見られた場合には、倍額の保険限度になるわけでございます。したがって、かりに自分の取引先の倒産企業が出たとしても、その範囲で保険上の対策をとってほしい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/54
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055・近江巳記夫
○近江委員 政府のお考えはよくわかったわけですが、これは筋論でいきますと別ワクで設けるのが筋論じゃないか、私はこのように思うわけです。これは私の意見として申し上げておきます。ですから、これはよくお考えになっていただきたいと思うのです。
それから、この著しい減少につきまして、零細企業の多い業種と、そうでない業種によって影響の度合いというものが非常に異なってくると思うのです。これは一律に線は引けないと思うわけでございますが、この点につきましてはどのようにお考ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/55
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056・外山弘
○外山政府委員 確かに中小企業の業種は多種多様でございますし、一律な線で引きますと、その影響のつかみ方が適切でないという場合があると思います。零細企業の多い場合のつかみ方と、そうでない場合のつかみ方でやはり違うだろうと思います。業種、業態によりまして、その著しい減少のつかみ方について十分適切な配慮をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/56
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057・近江巳記夫
○近江委員 それで業種指定は、この問題が起きてから指定したのではおそいわけでありまして、場合によっては事前に先行きを予想して指定をしないと効果はあがらないと思うわけです。そして指定条件である「著しい減少」というのは、すでに問題が生じて指定されることになるのかということが一つであります。
それから、本法のこの解釈では、事前に予想して業種を指定することは可能であるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/57
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058・外山弘
○外山政府委員 指定の要件といたしまして、中小企業者の経営の見通しが立たないというふうな不安定要因も入っておるわけでございますから、先生の御指摘のような点が非常に明確に出てきている場合には、はっきりとした事態が生ずる前に指定をすることは可能だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/58
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059・近江巳記夫
○近江委員 認定につきましては、市町村長または特別区長の認定が必要であるということになっておるわけですが、この認定のきびしい市町村と、そうでない市町村があったのでは非常に不公平になると思うのです。この認定の基準につきましては、どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/59
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060・外山弘
○外山政府委員 御指摘のように、その業種に属する企業者がどこにいるかによって認定の尺度が違っているために差別を受けるというなことになっては、これは政策としては不適当でございます。私どもは、いまの倒産関連保険の運用でもそうでございますが、やはり指定した場合にどういうふうな趣旨で指定したかということが大事でございますが、同時に、その個々の中小企業者を対象とする認定、市町村長のやる認定については、一つのきちっとした尺度をこの際設けて、たとえばどのくらい減産をしているとか、需要がどのくらい減っているとか、そのために中小企業者としてどのような在庫状況であり、どのような影響を受けているかというようなことを一律に数字的にきめられるような基準をそのつど設けまして、全国的に不公平がないように運用するようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/60
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061・近江巳記夫
○近江委員 そこで、現在すぐ指定する見込みの業種はどういうものをお考えになっておられるか。また、今後についてはどういうような業種が対象になると見ておられるのか。これにつきましてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/61
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062・外山弘
○外山政府委員 現在全部業種別の数字をつかんで申し上げるわけでございませんけれども、私の感じで申しますと、当面の事態の推移で見ますと、中小建設業あたりはまず指定の可能な業種ではないだろうか、こう思います。と申しますのは、公共事業の縮小、設備投資の縮小等によりまして、全般的にたいへん大きな影響を受けているということがまずいえるわけでございまして、中小建設業あたりが一つの業種になるのではないかと思います。今後の点になりますと、今後どういうふうな事態の推移になるか、またその際にどういうふうなつかみ方をするかというふうなことが前提でございまして、的確には申し上げられませんが、今後予想されますのは、私の一番懸念されますのは、むしろ機械工業の面から来る影響だろうと思います。その面から来るいろいろな業種がどういうふうな影響を受けるかによりまして、この保険法の対象として指定されなければならない、倒産関連保険の対象として指定されなければならない業種がその分野から出てくるのではないか、こういうふうな感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/62
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063・近江巳記夫
○近江委員 それから市町村長等の認定によるものは間違いなく保証が受けられ、確実に融資が受けられるかどうかです。これまでの倒産関連保証では確実に融資が受けられておったのかどうか、この点につきましてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/63
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064・外山弘
○外山政府委員 もちろんたてまえといたしましては、保証のワク、保険のワクがふえたということでございまして、保証そのものがそれと同時にきまるわけではございません。しかし、従来から、御承知のように、保証需要というものに対して保証のつけ方が特別に問題のない限りは付保率は非常に高いと思います。したがいまして、まずその倍額の保険限度を設けられた場合にはその分の信用保証は受けられると思いますし、信用保証を受けられれば、また一般の市中金融機関を含めて金融上の有利性が取り運ばれる、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/64
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065・近江巳記夫
○近江委員 それからこの業種指定は細分化して指定されるのか。たとえば繊維ではどういうような指定になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/65
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066・外山弘
○外山政府委員 どういう分類でやったらいいかと申しますのは、やはりそのときの影響のあり方をどういうふうなつかみ方でやったらいいかということになると思います。大分類でやった場合には不適当な中分類の業種が入る場合があるかもしれませんし、あるいは全部一括してやったほうが適切であるという場合もあるかもしれません。それはやはり業種、業態の受ける影響によって具体的に判断をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/66
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067・近江巳記夫
○近江委員 特別小口保険が百万円から百五十万円に引き上げられるようになったわけでありますが、同じ無担保無保証である小企業経営改善資金融資制度、これは四十九年度百万円から二百万円に引き上げられておるわけであります。こういう点からいきますと、なぜ二百万円まで引き上げなかったのか、この理由をひとつお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/67
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068・外山弘
○外山政府委員 まず第一に、小企業経営改善資金とこの無担保無保証の、つまり特別小口保険制度とは相補い合いまして、中小零細企業者のための金融上の措置になるかと思います。
今回、特別小口保険の限度を百万から百五十万に上げましたのは、いわゆる国民金融公庫の融資対象になっておりまする特別の小企業者、その人たちの借り入れ残高の平均を最近においてはじいてみたわけでございますが、四十九年度に予定される伸び率でいきますと約百三十四万円前後の数字が出てくるわけでございまして、特別小口保険を百五十万まで上げれば、そうした零細企業者の資金需要に一応対応できるのではないかというふうに考えたわけでございます。一方、特別小口保険そのものを二百万円まで上げればそれだけ中小企業者にとっては有利だろうと思います。しかし、御承知のように、特別小口保険そのものは無担保無保証でございますし、たいへん他の保険とも違って特別な保険制度でございますし、いろいろな信用保証上の措置として特殊な制度でございます。したがいまして、できるだけ上げたいとは思いますけれども、同時に信用保証協会の経営的基礎とか、あるいは財政の応援とか、そういったこともかみ合わせまして適切な範囲にとどめるべきであるという点も一つあると思います。私どもとしましては、必ずしも多ければ多いほどいいというわけではない、適切な引き上げが大事であるというふうな判断から、先ほどのようなベースを根拠にいたしまして百五十万円の引き上げをはかったわけでございます。一方、実態面として、御承知のように百五十万円をこえて特別小口保険を実行している協会が若干ございます。しかし、今回の百五十万でほとんどの協会が救えるのではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/68
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069・近江巳記夫
○近江委員 毎国会、法改正を提出して、少しずつ付保限度額を引き上げておられるわけでありますが、こういうことを見ておりますと、長期ビジョンがないか、あるいは引き上げ幅の判断を誤っておるとしか考えられないわけであります。長期見通しを立てて思い切って引き上げるべきじゃないか。中小企業対策を常に重点視しておるということをおっしゃっておられながら、いつもこういうように後手に回っているように思うわけであります。この点につきまして長官と大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/69
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070・外山弘
○外山政府委員 確かに御指摘のように、ことに普通保険と特別小口はここ数年毎年上げているわけでございます。これはやはり経済の事情の変化、つまり中小企業者の資金需要の変化というものをとらえまして、そのときそのときの最も適切な配慮を保険限度に加えているわけでございます。今回、無担保保険はしばらくぶりで三百万から五百万に上げたわけでございまして、むしろこれは多年の懸案を今回は一挙に果たしたというふうなことになるかと存じます。もちろん御指摘のように、もっと引き上げておけば毎年やらなくても済むというふうな余地があるかもしれません。しかし同時に、先ほど申しましたように、信用保証協会の経理的な基礎とか財政事情とか、そういうことも勘案し、適切な保険限度にしておくということも大事なことだろうと思います。私どもは、やはりそのときの事情に最も適切な範囲で保険限度を設けるということが施策としては一番適切ではないだろうか、こう考えて毎年おはかりするわけでございますが、資金需要の点と財政事情の点と両方勘案した保険限度ということが毎年行なわれていく、それが大事ではないだろうか、こう考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/70
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071・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 中小企業のために信用補完制度を充実さしていくということは、わが国中小企業政策の重大な仕事の一つであると思います。今回の改正もそれを目ざしたものでございますが、御指摘の小口の分について経営改善資金のほうは二百万円になっているということを考えてみますと、やはりある段階においてこれも改善して前進させる必要はある、そのように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/71
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072・近江巳記夫
○近江委員 それから保証料の問題でありますが、このデータを見てみますと、たとえば沖繩の場合は一・五%になっているわけですね。これは先国会の審議と同じく一・五%である。そこでわれわれとしては、附帯決議におきましても保証料率を引き下げるようにということをいっているわけですね。そこで、引き下げることができない特別な理由はどういうものがあるかにつきましてお伺いしたいということが一つであります。
それから、全国各地のそういう協会の保証料を見ましても非常にばらつきがあるわけですね。一・〇七%から一・五%の間でそういう差があるわけです。一・一七から一・二が四協会あるわけです。一・二一から一・二五が十四協会、一・二六から一・三〇が十七協会、一・三一から一・三五が十三協会、一一三六から一・三八が二協会、それで沖繩は一・五、こういうようになっておるわけです。
この保証料率の引き下げということは非常に大事な問題でありますし、重複しますけれども、それは先国会でも附帯決議をつけていっているわけですね。この点につきまして、なぜ沖繩は下げることができないか、また全国的なばらつき、それをさらに引き下げることがなぜできないかにつきましてお伺いしたいと思います。これは長官と大臣にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/72
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073・外山弘
○外山政府委員 保証料は、貸し出し金利のほかに加わる中小企業者の負担でございますから、これをできるだけ下げなければならないということは当然でございますし、いつもその点の御指摘をいただいているわけでございます。それで、今回もこの引き下げにつきましては、四十八年度におきまして、保険料を引き下げるとか保証協会の自己努力といったようなことで、平均基本料率では四十七年度の一・三五%から一・二八%というふうに〇・〇七%の引き下げが行なわれました。四十九年度におきましてもさらに保険料を八%ぐらいは引き下げる、あるいは融資基金の低利融資を行なう、これがいつもに比較してたいへん増額されましたので、これの低利融資を重点的に行なうといったことによりまして一そうの引き下げができると思います。そして早く一%ぐらいのところまで持っていきたいと思っているわけでございます。
それから、いま御指摘の沖繩の保証協会が下がっていないではないかというふうなことでございますが、私もいま詳細承知しておりませんが、おそらく県の財政事情ということが一番大きく影響しているかもしれません。
なお、個別協会ごとに引き下げできない事情というものを私どもよく見まして、そうして応援も重点的にやっていく、融資基金の融資先、低利融資の融資先といったことについても、そういった意味の配慮をするということで、できるだけ多くの協会が引き下げができるようにしてまいりたいと思います。
そして同時に、ばらつきがあるのはおかしいではないかという御指摘でございますが、信用保証協会というのは地域の特性というものが一つの事情でございますし、また信用保証協会ごとの財政的事情というのが各県にあることによって違っております。そういったことから見て、できるだけならすようにつとめたいと思いますけれども、やはり保証需要の伸び方とか、そういった先ほど申しましたような二点の事情とかいったこともございまして、どうしても保証協会ごとのばらつきは起こると思います。できるだけ全体が引き下げられるように私どもとしては努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/73
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074・近江巳記夫
○近江委員 大臣にお答えいただく前にもう一度申し上げておきたいのですが、沖繩は御承知のように復帰をいたしまして、基盤におきましても非常に脆弱なものがあるわけです。ましてや中小企業者においてはなおさら本土よりもきびしい状態にあるわけです。ところが保証料率は全国一なんですね。先国会でもあのように附帯決議をつけながら沖繩は下がっていないわけです。それであるならば、県財政がそういうふうにきびしい状態であるなら、政府としても何らかの措置をおとりになるとか、むしろ沖繩などは全国で一番低くしてもいいんじゃないかと思うのです。全国の中小企業者はみな同じ苦しみを味わっておるわけでありますが、これは特に配慮をする必要があると思うのです。これはひとつ大臣の政治的な決裁をいただく必要があると思うのです。この点について再度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/74
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075・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 保証料の引き下げについては今後とも努力してまいりたいと思います。
沖繩の場合は、復帰いたしましてスタートしてからまだ日が浅いという点もあるようだと承っておりますが、今後とも沖繩の利率を引き下げていくように努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/75
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076・近江巳記夫
○近江委員 それから付保限度額が引き上げられることによりまして、いままで協会の保証なしに融資を受けられた中小企業者が協会の保証をつけさせられることも考えられるわけでありますが、これに対してはどういうように措置をなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/76
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077・外山弘
○外山政府委員 いままで保証なしで融資ができたものが、限度の拡大で新たに保証を必要とさせられるというふうなことはまずないだろうと私は思います。そういう意味の新しい負担が加わるようなことはまずないというふうに申し上げさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/77
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078・近江巳記夫
○近江委員 それではもう時間がありませんから終わりたいと思いますが、最後に、大臣がお見えになる前に中小企業庁長官にいろいろお伺いしておったわけでありますが、長官の見通しとしては、この二月、三月も非常に倒産も多いし、たいへんであるけれども、むしろ新年度になってから、四月、五月、六月のほうがきびしい情勢を予想しておる、それに対しては、この法案による金融措置であるとか、そういう金融対策をはじめとした万般の措置をしたいということをおっしゃっておられるわけでございますが、見通しとしてはそういうように非常に一段ときびしい、こういう見通しをおっしゃったわけです。そういう点につきまして、そういう倒産の中身も、物不足あるいは材料の高騰であるとか、いままでにないそういう要素が加わって非常に倒産がふえておりますし、これにつきましてはたいへんな社会問題でございますし、最後に大臣のそういう決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/78
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079・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 私も長官の言われましたように四−六というものは非常に注意を要する時期ではないかと思っております。それだけに、単に信用補完制度だけでなく、そのほかの万般の面につきましても深甚の注意を払いまして、中小企業者のために努力しなければならぬとわれわれはかたく心できめているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/79
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080・濱野清吾
○濱野委員長 中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/80
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081・中村重光
○中村(重)委員 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案は、大臣はきょう初めて御出席になったわけです。外山長官は十分勉強されて大いに奮闘された。まず理解はできたわけであります。私どもこれを賛成の方向でいきたいと考えております。ですけれども、質疑応答の中で将来に期待する問題が非常に多いわけです。その点から意見を申し上げまして大臣の見解を伺ってみたいと思っているのですが、普通保険を今度は三千五百万から五千万に引き上げる、無担保保険を三百万から五百万に引き上げるということになったわけですが、現在のところの平均額が非常に低いわけなんです。普通保険の場合に五百万に達しないですね。無担保の場合におきましても二百万に達しないわけです。これはどこに原因があるのであろうか、このことについてやはり調査をされる必要があるだろうと思う。
それともう一つは、大臣御承知のとおり、この信用補完制度の発足というものは、銀行から金が借りられない人たちのために信用補完をしていこうというのが目的というか、そういう趣旨で発足をしたということです。その点から考えてみますと無限に広がっていいのかどうか、額を拡大することは反対ではありませんが、やはり広げることによってどのような影響を他に及ぼすかということを考えてみなければいけないのではなかろうかというような感じがいたします。と申しますのは、大蔵省がこの保証ワクというのを各保証協会に四十二・八倍ということで押えているわけなんです。大口の付保をいたしますと、どうしてもほんとうに保証を受けなければならないところの小零細企業の保証ワクというものが相対的に縮まってくるという形になってくる可能性もなしとしないわけです。
それから倒産関連保証の特例の問題につきましても、いま近江委員からもいろいろ質疑がなされたわけであります。制度といたしましては三つぐらいあるようでありますが、その中に大臣の裁量という点があるが、その裁量にあたってはできるだけゆるやかに弾力的にやっていく必要がある。ところが、それをやりますと、したがって、保証するという形がもっと広くなるということになるわけですね。ですから、この保証ワクの限度と申しますか、先ほど申し上げました四十二・八倍ということで押えられている関係との関連はどうなるのであろうか。広げてはいくけれども、保証ワクというそのワクが頭でぐっと押えられてくるということになってまいりますと、ここでチェックされるということになってまいりますとやはり問題がそこにあります。ですから、大蔵省がいま指導をしております四十二・八倍というこの大蔵省の指導というものも、もっとゆるやかにしてもらうのでなければ、せっかくその倒産関連保証というものをできるだけゆるやかにやるといたしましても、その点に問題が出てくるし、先ほど申し上げましたように、普通保険等の付保限度額を引き上げていくということになりますと、相対的にそういうマイナスの面が保証をしてもらわなければならない小零細企業の上におおいかぶさってくることになるという問題が出てくるわけであります。ですから、これらの点に対して私の認識というものが間違っていれば幸いなんですけれども、私の認識のとおりであるといたしますならば、やはりこの大蔵省との折衝、それから普通保険の付保限度額の引き上げということについても十分ひとつ内容を検討の上、これを改善する点は改善しなければならないのではないか。
もう一点申し上げたいことは、この信用補完制度というものですが、何と申しますか、危険負担というものをできるだけ銀行が回避していこうというような傾向が出てきているということです。この間、実は中小企業庁長官に陳情団が参りまして、いま出席をしております次長が応対に当たったわけなんです。その際に、五千万円実は歩積み両建てを要求されてやっております、金を借りているのは三千万円です、ところが手形を割り引くのに保証協会の保証をつけろという要求を受けているのです、こういうことを言っているのです。これは銀行のわがままというものか、全く銀行というものが危険負担というものをできるだけ避けていこう避けていこうというような態度で、本来銀行のあるべき姿ではないのではないかという感じがいたします。ですから、これらの問題点というものも十分検討をして、そして改善すべき点は抜本的にこれを改善して、信用補完制度というものがほんとうに当初発足のとおりの精神、趣旨に基づいて運営されるようにしていかなければいけないのではないか、そのように感じます。それらの点に対しましての大臣の御見解、まあ大臣も十分詳しいわけですからそれらの点に対しての考え方をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/81
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082・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 いま中村委員から御指摘の四点はいずれもごもっともであると思います。特にワクの問題につきましては、これはせっかくいろいろ施策を及ぼそうといたしましてもワクに拘束されてできないということでは困ります。一面において銀行の準備金制度というようなことも頭にあって大蔵省はそういうワクをつくっておると思いますけれども、この点につきましてはよく協議いたしまして実情に合うように改革していきたいと思っております。
それから、銀行が責任回避をしてできるだけ自分のほうに火の粉が降り注ぐのを逃げたいとか、事務が複雑だから避けたいとかいうようなことは十分想像されるところでございますし、いままでもそういう弊害がございました。それらの点につきましても、大蔵当局とも連携して円滑に行なえるように努力いたしたいと思いますし、また必要とする部面にその金融が行なわれるように積極的に内容の調査も行ないまして努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/82
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083・中村重光
○中村(重)委員 それから近江委員の質疑に対して大臣からも答弁がありましたのは、保証協会の保証料率というものを引き下げていこう、中小企業庁の方針としましても一%にしたいという指導方針を出しているわけです。まだ一・二九でございますか、残念ながら私のほうの長崎県なんか最も高いほうで一・三五なんというようなことになっております。まあ保証料を引き下げるということになってまいりますと、どうしても保証協会の基本財産というものがふえてこなければならないわけですね。出捐金というものも都道府県というものは十分ひとつ市町村も含めて出してもらわなければならぬ、銀行も出してもらわなければならぬ、そのかわり銀行は出捐金を出す場合、交換条件みたいに出捐金は出すから自分のほうの要求する保証はつけなさいなんというような、そういうことになりがちなんですね。そこら要求するものは要求する、チェックするところはあくまで本筋によってチェックしていくということが必要でしょう。
それから政府として改めてもらいたいのは、融資基金の利率を保証協会のほうが暮らしがいいのだからというので毎年上げっぱなしなんです。これでは困るわけです。やはり保証料率を下げるということは国が貸し付ける金の金利も下げるということです。そうしなければ保証料率を下げることにつながってまいりません。だから、その点は大臣からぜひ大蔵大臣ともお話し願って、そして融資保険の保険料率を下げさせる、これもぜひ実行してもらいたい。そうして大臣がお答えになりました保証協会の保証料率を引き下げるということが単に答弁に終わらないで、どうすれば引き下げられるのか、どこに問題があるのかということを十分ひとつメスを入れられて、ほんとうに大臣の答弁が実るようにやっていただかなければならないと思います。その点に対する大臣のお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/83
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084・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 信用補完制度は中小企業に対する、ある意味においては緊急的援助という性格があるわけでございます。したがいまして、保証料率の引き下げはもとより、金利の引き下げもそれと相応ずるように行なわれることが望ましいと思います。これらについては、あるいは政府関係の出資金の増大であるとか、あるいはそのほかの措置も必要になってくるのではないかと思いますが、それらの問題も含めまして、大蔵省といろいろ協議してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/84
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085・濱野清吾
○濱野委員長 神崎敏雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/85
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086・神崎敏雄
○神崎委員 大臣、この法案で初めてなので一言だけ確約的な御答弁をいただきたいのですが、一昨日、私この法案について質問をさせていただいて、その中で金融問題の拡大強化、特に金融公庫の人員増加の問題等含めまして、森下次官やら中小企業庁長官あるいは銀行局の総務課長、この方々から非常に前向きないい答弁をいただいて、中小企業もこれが実施されたら相当改善するんじゃないか、こういうふうに思いますが、その内容についてはここでは繰り返しませんから、よく三人の方々から聞いていただいて、そういうふうに大臣も積極的にやっていただけるかどうか、お約束をひとつしていただきたい、これだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/86
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087・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 森下政務次官や中小企業庁長官がお答えいたしましたことは、私の責任においても極力実行いたすようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/87
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088・濱野清吾
○濱野委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/88
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089・濱野清吾
○濱野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/89
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090・濱野清吾
○濱野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/90
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091・濱野清吾
○濱野委員長 本法律案に対し、武藤嘉文君外四名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党五党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者より趣旨の説明を求めます。板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/91
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092・板川正吾
○板川委員 附帯決議案につきまして、提出者を代表して私からその趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行にあたり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 新たに追加された倒産関連保証の特例については、実態に即してできる限り広く業種を指定するよう努めること。
二 特別小口保険の付保限度額の引上げについて引続き検討を加えるとともに、小規模企業者への円滑な保証が行なえるよう信用保証協会の機能強化について積極的な指導を行なうこと。
三 中小企業信用保険公庫の融資基金及び保険準備金の拡充と保険料率の引下げに努めるとともに、信用保証協会の保証料率を更に引下げるよう指導すること。
以上であります。
附帯決議案の各項目の内容につきましては、審査の過程及び案文によって御理解をいただけるものと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。
委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/92
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093・濱野清吾
○濱野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/93
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094・濱野清吾
○濱野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/94
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095・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、中小企業の信用補完制度の運用について万遺憾なきを期する所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/95
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096・濱野清吾
○濱野委員長 おはかりいたします。
本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/96
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097・濱野清吾
○濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/97
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098・濱野清吾
○濱野委員長 次に、内閣提出、輸出保険法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、工業品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件の両案件を順次議題とし、それぞれ政府より提案理由の説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/98
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099・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
わが国経済が今後とも世界経済と調和のとれた発展を遂げていくためには、重要物資の安定的供給確保をはかるとともに、輸出構造の高度化を進めていかなければなりません。なかんずく今後の輸出構造の高度化の中核をなすところのプラント類の輸出につきましては、発展途上国の発展に寄与し、国際的な摩擦を惹起しない輸出であると考えられますが、これらの輸出は発展途上国の資金不足等から代金の回収が長期間にわたるため、流動的な国際通貨情勢の影響を全面的にこうむる状況にあります。したがって、これらの輸出取引の安定化をはかるため、外国為替相場の変動にかかわる危険を担保する道を開く必要があります。
また、国内資源に乏しいわが国においては、原油等鉱物のほか、国民生活に不可欠な羊毛、綿花、木材その他の農林畜水産物の長期かつ安定的な輸入の確保が重要な問題となってきておりますが、そのため海外投融資の推進が必要であると考えられます。
輸出保険制度は、輸出、海外投資等の対外取引に伴って生ずる種々の危険負担を分散し、軽減することによってわが国対外取引の健全な発達をはかろうとするものでありますが、現行の制度は、以上述べたような今日の国際環境下におけるわが国対外取引の実態に十分対処し得ない面があり、かねてよりその拡充の必要性が痛感されていたところであります。
このような実情にかんがみ、現行の輸出保険制度に所要の改正を加えることとし、本改正案を提案した次第であります。
次に改正案の内容を御説明いたします。
改正点の第一は、為替変動保険の新設であります。
代金等の回収が長期にわたる貨物の輸出または技術の提出もしくはこれに伴う労務の提供をした場合に、特定の外国通貨建てのものについて、その輸出取引等の安定化をはかるため、西ドイツ、フランス等においてすでに実施を見ている為替変動保険を新設することといたしました。これは保険契約の締結の申し込み後決済期限までに外国為替相場が三%をこえて円高になった場合に、輸出貨物の代金等について受ける損失を一定の範囲内においててん補しようとすることを主たる内容とするものであります。
改正点の第二は、海外投資保険の拡充であります。
現行におきましては、付保の対象となる海外投資は、経営参加株式の取得、経営参加外国企業に対する融資等のほか、長期契約に基づき輸入される鉱物の開発のための現地企業に対する融資等に限られておりますが、鉱物以外の重要物資につきましてもその開発のための融資等を新たに付保の対象とすることといたしました。
以上がこの法律の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いいたします。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、工業品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
工業品検査所は、東京の本所をはじめとして全国に十二カ所の事務所を置き、繊維製品以外の工業品について通商産業行政上必要な検査、商品テスト等を行なっておりますが、当初輸出検査を主体に発足したため、東北地方及び北海道には事務所を置いておりません。
近年、商品に関する消費者の苦情の増加に伴い、これら地方においても種々の商品テストの実施、商品テスト技術情報の提供等の要請が増大していますが、その要請に十分こたえられない実情であります。
また、消費生活用製品安全法の施行に伴い、特定製品の検定等の事務が新たに生じてまいりましたが、検定等のたびに東京から検査員が出向く場合には、事務処理上支障があるばかりでなく、受検者の負担を必要以上に加重することになります。したがって、製品の安全性の確保等に関し検査・検定体制等の充実をはかることにより、消費者保護行政を強化するため、東北地方及び北海道にそれぞれ工業品検査所の出張所を設置する必要があります。
本件は、これらの出張所を設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、国会の承認を求めようとするものであります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/99
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100・濱野清吾
○濱野委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
両案件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
次回は、来たる二十六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01919740322/100
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