1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十九年二月二十五日(月曜日)
午後一時五分開議
出席委員
委員長 田代 文久君
理事 田中 六助君 理事 地崎宇三郎君
理事 山下 徳夫君 理事 多賀谷真稔君
理事 渡辺 惣蔵君 理事 多田 光雄君
愛野興一郎君 岡田 春夫君
塚田 庄平君 鬼木 勝利君
松尾 信人君 小宮 武喜君
出席国務大臣
通商産業大臣 中曽根康弘君
労 働 大 臣 長谷川 峻君
出席政府委員
通商産業省立地
公害局長 林 信太郎君
資源エネルギー
庁石炭部長 高木 俊介君
労働省労働基準
局賃金福祉部長 大坪健一郎君
労働省職業安定
局失業対策部長 佐藤 嘉一君
委員外の出席者
科学技術庁
資源調査所所長 酒井忠二三君
大蔵省主税局
税制第一課長 伊豫田敏雄君
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
—————————————
委員の異動
二月二十二日
辞任 補欠選任
愛野興一郎君 上田 茂行君
同月二十五日
辞任 補欠選任
中村 寅太君 愛野興一郎君
中村 重光君 塚田 庄平君
同日
辞任 補欠選任
愛野興一郎君 中村 寅太君
塚田 庄平君 中村 重光君
—————————————
二月二十二日
電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法
律案(内閣提出第六一号)
同月十八日
炭鉱離職者緊急就労対策事業の延長等に関する
請願(吉田法晴君紹介)(第二一四八号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法
律案(内閣提出第六一号)
石炭対策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/0
-
001・田代文久
○田代委員長 これより会議を開きます。
去る二十二日に付託されました内閣提出の電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/1
-
002・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
石炭鉱業につきましては、石炭鉱業審議会の答申に基づき、昭和四十八年度からいわゆる第五次石炭対策を実施しているところでありますが、昨年秋の中東紛争を契機として石油の供給削減等の事態が生じましたことに伴い、こうした新しいエネルギー情勢の進展をも考慮して石炭対策を進めることが必要となっております。
このため、政府におきましては、第五次石炭対策における諸施策を引き続き推進するとともに、昨年十二月に提出されました石炭鉱業審議会の中間報告の趣旨をも尊重し、当面の石炭対策を強力に推進してまいる所存でございます。
本法案は、こうした石炭対策を推進していく上で不可欠な法制面の整備をはかるためのものであります。
本法案は、三つの部分に分かれており、第一に電力用炭販売株式会社法の一部を改正する、第二に石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部を改正する、第三に産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する、等をその内容とするものであります。
まず、電力用炭販売株式会社法の一部改正でありますが、同法は、昭和三十八年七月に制定された電力用炭代金精算株式会社法をその前身としており、同法について昭和四十年に全面的改正を見、今日の形となったものであります。同法は、昭和四十四年の改正により、廃止期限の延長が行なわれ、現在、昭和四十八年度末がその廃止期限となっております。同法は、電力用炭販売株式会社の業務を通じて、電力用炭の価格の安定、石炭の供給の円滑化及び流通の合理化に重要な役割りを果たしておりますが、今後も、石炭特に一般炭需要の大宗を占める電力用炭の価格と引き取りの安定等をはかる必要性は、なお継続するものであり、その延長が石炭対策上重要であります。このため、同法の廃止期限を昭和五十一年度末まで三年間延長するものであります。
次に、石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正でありますが、同法は、国の財政資金を受ける石炭企業について、所要の経理面の規制を行なうことにより、経理の適正化と経営の合理化をはかることを目的として昭和三十八年七月に制定され、その後の改正により、廃止期限の延長が行なわれ、現在、昭和四十八年度末がその廃止期限となっております。しかしながら、石炭企業に対する国の助成措置が今後も継続実施されることに伴い、石炭企業に対する経理規制を実施する必要があり、このため、同法の廃止期限を昭和五十一年度末まで三年間延長するものであります。
最後に、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部改正でありますが、同法は、石炭鉱山の休廃止により移転、転業し、あるいは経営不安定におちいった中小企業者に対して、その信用力を補完し、経営の安定や企業の再建に必要な資金を確保することを目的として昭和三十八年八月に制定され、その後昭和四十四年の法改正により廃止期限の延長が行なわれ、現在、昭和四十八年度末がその廃止期限となっております。しかしながら、産炭地域の現状にはなおきびしいものがあり、逐年、産炭地域振興対策の強化をはかっているところでありますが、同法についても、産炭地域振興対策の一環としてその延長をはかることが必要であります。このため、同法の廃止期限を昭和五十一年度末まで三年間延長するものであります。
以上が、この法律案の提案理由及び要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/2
-
003・田代文久
○田代委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/3
-
004・田代文久
○田代委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺惣蔵君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/4
-
005・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 石油危機、石炭見直し論のさなかにおいて、久しぶりで開かれました石特委員会におきまして、特に中曽根通産大臣に質疑をしたいと思います。
質疑の冒頭にあたって、私は中曽根通産大臣に対して同情、といいますと非常に恐縮ですが、を持つものであります。そればいまエネルギー危機の問題が集中的に通産省に集中されて、ゼネラル石油の問題や伊藤忠石油の問題あるいは石油連盟の問題、通産省の新設の資源エネルギー庁の汚職事件等、いま通産大臣の周辺に非常に問題が集中しておりますときに、特段の勇気を持ってこの危機打開のために石炭政策に対して積極的な前向きの姿勢を示していただきたいことを、冒頭に希望するものであります。
特に、最近の、去年の十一月以来今日に至る石油危機、石炭見直し問題が天下をおおい尽くしております中に、政府関係の四つの機関からそれぞれ文書が発表されております。
第一の文書は、十一月二十七日に科学技術庁の資源調査会が発表いたしました「我が国エネルギー経済に占める石炭の評価に関する調査報告」であります。これは通産省の所管であるはずの石炭政策が、実は科学技術庁の発表が一番具体的なんであります。膨大な資料を添えて発表しております。石炭問題に関しまして、通産省でなくて科学技術庁のほうがより熱意を示しておる証左であると思います。
次に出ておりますのは、十二月七日の石炭鉱業審議会におけるいわゆる第五次中間答申であります「エネルギー情勢の激変に伴う石炭対策について」、この文書であります。これを論議の主体にする以外にない状況であります。
第三の問題は、十二月十八日に出ております「新エネルギー技術開発の進め方について」、これは工業技術院の産業技術審議会の提案であります。
最後に問題になりますのは、「今後の総合エネルギー政策の進め方について」、これはまだ答申が出る段階でなくて、諮問したばかりであります。一月二十九日でございますが、一番新しい関係文書であります。この産業構造審議会が提案しておりますのは、今年の六月もしくは八月までに結論をつける、答申を出す予定だという、きわめてマンマンデーであります。これはおそらく明年度の予算要求に合わせばいいという、今年度の話ではないと思います。
こうした非常に急激な変貌の中にありますエネルギー対策につきまして、政府の諸施策というものは、各省、各審議会ばらばらで何ら具体的にまとまったものが見出せないのであります。こういう状況の中で、特に当面の認識の問題が非常にきわ立って出てきております。
石炭対策は恒久対策と緊急対策の二つに分かれなければならないと私は考えます。
恒久対策では、資源エネルギー一般の問題として長期展望の問題が必要でありましょうが、石炭政策の場合では、緊急に措置を要する幾多の問題があります。これらの文書、政府の見解を総合してみますと、ほとんどの問題はいわゆるサンシャイン計画に解消する、長期展望の名においてそれが西歴二〇〇〇年を目途にした、もしくは昭和八十五年を目途にしたというような長期の展望であります。
長期の展望はなるほど非常に大事であります。しかし長期の展望が大事であるということは、その前提として緊急の対策が必要であると思います。緊急の対策を抜きにした長期展望だけを追いかけることは、石油危機、石炭危機という問題をいたずらに視点をすりかえようとする危険もありますし、当面の石炭対策の措置を誤ることになると思いますが、この点につきまして特に通産大臣に、エネルギー問題特に石炭の位置づけに関する当面の問題に対して明確な所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/5
-
006・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 最近における石油事情の変化というものは、単にこれは過渡的にあるいは短期間の現象としてとらうべき問題ではなく、歴史的な一つのエネルギー構造の転換への波頭であるように私は感じております。これはOAPECの諸国の政治的自覚、長い間石油価格が安く据え置かれたことに対するそういう国際的反動というものからきておりますし、それにイスラエル問題という問題がからまって出てきておる問題であります。しかし、非常に大きな部分は、そういう経済構造の問題、いわば経済的ニューオーダーを求めるという動きであるだろうと私は思います。そういうような情勢から、これが世界のエネルギー供給の問題、それから価格の問題等にどういうふうに響いていくか、深甚の注意をもって見守る必要があると思います。
そういう意味におきまして、いままで何回か石炭政策の見直しをやってまいりましたが、今回の見直しというものは、いままでの見直しと根底を異にする見直しを行なうべきである、非常に総合的に、そしてかつ技術的に、いままでの立場を離れて考うべきである、こういうように私は心得ておるわけであります。それだけに非常に慎重にかつ根深く検討する必要があると思いますので、この間総合エネルギー調査会に諮問いたしまして、十九日から第一回の審議が始まったところでございます。
一つの大きなポイントは、この石油というエネルギーが今後どの程度いままでのような力をもって持続できるか、また、代替エネルギーがそれに対抗してどういうふうに現出してくるであろうかというような見通しが、また一つの大きなポイントでありますし、そういうエネルギー構造の変換に基づく国のセキュリティー、国民経済的セキュリティーという問題もまた見直すべき時代に入っているように思います。そういう観点から、いまエネルギー情勢全般の見直しをやってもらっておるのでございますから、この石油の問題一つ見ても、まだ安定構造に入っておるわけでございません。供給の問題にしてもあるいは価格の問題にしても、まだまだこれから流動的に動いていく要素は非常に多うございます。そういう情勢をよく把握して、まず長期的にこういうふうにとらえて間違いがないというポイントをつかみ出して結論をつくるべきであるという考えに立ちまして、このエネルギー調査会における答申をわれわれは見守りたいと思っておるわけでございます。
若干時間がかかりますのは、そういうような対象自体がまだ流動的でありますために把握しにくいという要素もあると思うのでありますが、しかし従来の立場を離れて、もう一回根底から洗い直せという要請は、これは現実化しておると思うのであります。そういう意識に立って、この答申を得て、それに基づく改革を実行してまいりたい、そう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/6
-
007・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 大臣の意見の中に、やはり当面する石油の需給状態について、非常に不安定感について心配しているという気持ちがあらわれておりますが、それにしては政府自身が石炭政策よりも、ほとんどの文章を見ますと、サンシャイン計画に中心を置いている。昭和八十五年まで一兆数千億円の金を投ずる。石炭政策に対するいろいろな予算よりも、今年度だけでも、石油の問題と石炭政策のごたごたしている最中に、まあ悪いことばで言えば火事どろ式に石油危機と石炭危機を利用して、従来からもあったであろうサンシャイン計画に対して膨大な予算をかけていながら、石炭政策に対する基本の問題についてはほとんど力点が置かれておらない。石炭の問題は、このままでいきますと完全にサンシャイン計画の中に解消されてしまう危険を感ぜざるを得ないのでありますが、サンシャイン計画と石炭政策との関連につきまして大臣からお答えを得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/7
-
008・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 サンシャイン計画は、日本の総合エネルギーの開発研究という面からさまざまのエネルギーについてその可能性と開発を行なわんとするものでありますが、その中でもわれわれが特に重点を入れているのは、石炭のガス化及び液化の問題であります。サンシャイン計画全般について、ことしの予算は、たしか二十億円強でございますけれども、その中でもかなりの部分は石炭のガス化及び液化の研究に注ごうと考えておるわけであります。それから、各国との経済あるいは技術開発研究という面も、石炭のガス化という問題にかなりの力を入れてやろうとしておるのでございまして、そういう点におきまして、サンシャイン計画の一つの大きな柱は石炭の利用である、そういうようにお考えになっていただいてけっこうであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/8
-
009・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 大臣も言われるように、サンシャイン計画は今年度だけでも実に二十四億四千万円という膨大な費用をかけております。そのうち太陽熱エネルギーであるとか地熱エネルギー、水素エネルギー、総合研究その他を含めましても、いま問題になりました合成天然ガスの四億四千万円の支出のうちに、特にこの部分だけふしぎなんですが、ほかは全部一般会計から支出されると思うのですが、合成天然ガスの分だけが特に石特会計から一億七千万円振り向けておられます。にもかかわらず、こういう長期的な計画について膨大な調査費をつけておりながら、石炭の当面する政策につきましては、たとえばあとで問題にいたしますが、深部開発の問題とかあるいは新鉱開発、再開発等の問題につきまして、ほとんど目新しい政府の施策が打ち出されておらない。このことにつきましては、合成天然ガスの問題はわかりますが、当面した石炭の新鉱開発の問題や再開発の問題、あるいはそれに当然伴うところの炭鉱の深部開発等の当面した緊急な課題の問題につきまして、大臣はどういう姿勢をとっておられるのか明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/9
-
010・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 石油事情の大きな変化によって新しい見直しをやって、それについて石炭の比重というものをいままでと変えるというのは、総合エネルギー調査会の答申を得て、そして来年度予算から正式に取り組んでいこう、そういう考えでございました。それまでに石油情勢のいろいろなデータもつかみ得るであろう、そういう考えがまた背景にあるわけでございます。
本年度は第五次答申を実施していく、特に十二月の中間答申を実行していく、そういう基本ベースに立ちまして予算要求をしたのでございまして、いまいろいろ指摘された問題等は、これを拡充強化するという場合には、これは第五次答申以上の線に向かって進む、そういう可能性が出てくる場合には、これはエネルギー調査会の答申等によってそういう可能性がなきにしもあらずでございますが、そういう場合において、来年度予算からさらに大がかりの方策を検討していきたい、そう考えておるわけでございます。
ことしの事業規模につきましては石炭部長から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/10
-
011・高木俊介
○高木(俊)政府委員 ただいま先生から御質問のございました合成天然ガスでございますけれども、合成天然ガスのほうは、これは一般予算のほうから支出いたしておりますので、御訂正させていただきたいと思います。
石特会計から支出いたしておりますのは、いわゆる低品位炭関係のガス化発電の研究でございまして、これについて一億七千万、石特から出しておる。
それにもう一つは、石炭ガス化の実用化ということで、ルルギの試験炉を導入いたしまして、電発で試験していただくということで、これは二カ年計画でございますけれども、初年度二億という金を石特のほうから出す予定にいたしております。
なお、予算関係でございますけれども、いま申し上げましたいわゆる石炭のガス化、液化に対する研究費のほかに、いわゆる緊急対策としましての需要増大という見地から、産炭地火力発電所の建設に対しまして、これは四カ年で二十七億を支出する予定にしておりますけれども、初年度といたしまして五億四千九百万円を補助する予定にしております。
なお、緊急対策の意味を持つものといたしましては、安定補給金の増額、これはトン当たり五十円ないし二百五十円を現行制度にプラスして出すようにいたしておりますし、なお、一番炭鉱の基盤をなします骨格構造につきましては、四億九千二百万円の増額を予定しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/11
-
012・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 いま、この石炭鉱業審議会の中間答申も、実は昭和五十一年には二千二百五十万トンにする、現在の状況から見ると相当量ふえる、一割近く増産をされるということになりますが、その石炭はどういう方法で増産される計画でおるのですか。いまの炭鉱の状況の中で、そういう展望が具体的にかけ声だけでなしに、どこから増産されるか明らかにしてもらいたいと思います。
まずそういう前提条件で、第一に一番問題になりますのは、現在の山をこれ以上つぶさないということが明らかにされなければならぬと思います。たとえば夕張の北炭にいたしましても、平和鉱は夕張新鉱に合併いたしまして、この十月ごろには消滅するという状況になっております。こういう三年も前からきまっておった、協定されておった事実の問題はかりに別といたしましても、現存する炭鉱を今後閉鎖しないということの明らかな取りきめが行なわれなければ、増産どころじゃないです。どんどん崩壊していくと思います。この点につきまして、一体昭和五十一年度二千二百五十万トンというのはどういう方法で確保しようとしているのかという点の計画を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/12
-
013・高木俊介
○高木(俊)政府委員 当初の「二千万トンを下らざる」という線に対しまして、二千二百五十万という数字を中間答申でいただいたわけでございますけれども、二百五十万トンにつきましては、現有炭鉱の能力増でございます。と申しますのは、現在需要の面から生産を制限している山がございます。ここで山名を申し上げてもあれでございますけれども、そういう一、二の炭鉱の増産によりまして九十万トンは可能でございます。なお、残りの百六十万トン近い数字でございますけれども、これは露天掘りの炭鉱の生産を目標にしておりまして、こういう露天掘りと現在の能力増というものをもちまして、二百五十万トンは可能であるというふうに見たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/13
-
014・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 露天掘りの点についてはいろいろ問題がたくさん出てきているのです。したがって、露天掘りの問題についてだけ、それに非常に依存しようというのは非常に危険があると思います。開発方式による山の荒廃その他の問題が起こっておりますし、鉱害問題もぼつぼつ出始めている。したがって、いまの骨格構造の改善や深部開発等の困難なところに目を向けないで、非常に安易なところに期待しようとしているところは、非常に石炭政策の甘さ、底の浅さ、金をかけないで当面目標を糊塗するために増産だけをやればいい、こういう考え方におちいる危険がありますが、もう少し、一体どこの山に露天掘りの増産を求めているのか、露天掘りというのはどれくらい増産の中に位置づけられているのか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/14
-
015・高木俊介
○高木(俊)政府委員 先ほど申し上げましたように、現有炭鉱の増産及び新鉱のほうの現在手をつけております北炭新鉱及び三池の新鉱での、当初の計画の増産という分も一応見込んでおりまして、そのほかに北海道を主体にしました露天掘りの生産量を百三十万トンというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/15
-
016・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 これは考え方を根本的に改めてもらわないと、露天掘りなんというのは石炭のうちに入らないのですからね。炭鉱のうちに入らぬですよ。土壌の表皮をひんめくって、山も木もみんなあと始末もしないで、一番安易な、組夫か下請の会社がやっている仕事にすぎない。三井、三菱あるいは北炭とか住友という基本的な会社は露天掘りなんかしておりませんよ。露天掘りをやると問題が起こる危険があるから、みんな下請会社の組に責任をおっつけて、したがって補償能力も何もないという状況です。そういう露天掘りといまの炭鉱の本質的な形とは、どだい根底が異なると思います。その根底が異なるところの石炭政策に金をつぎ込まないで、露天掘りで、いつ食い逃げしてもいつやめてもいい、立て坑も坑道も何も要らない、山の表皮だけ、木を抜いて表皮をひっぱがして、いつやめてもいいような、放棄してもいいような危険な状況の中で出炭を求めるということは、われわれは根本的にそういう考え方では受け入れられない。石炭政策でも何でもない。下請け会社の組夫のやることです。無規律にやることです。むしろ本来言うと、いま石炭が重大なときですから、露天掘り制限の方針をとらなくちゃいかぬ時期に、露天掘りに依存して二千二百五十万トンの増額分を補給しようなんという考え方は甘過ぎると思います。ですから、私どもは石炭政策について疑念が晴れないのです。
石炭政策について根本的に変えるといえば、その一番根底をなしている石炭鉱業合理化臨時措置法、昭和四十四年に改正した法律ですが、この中で坑口の開設等を制限しておる。山を取りつぶすために、石炭鉱業の合理化方針が法律の第一条で規定されておる。開坑を制限する等という山の取りつぶしの法律が基礎になっているのですから、したがいまして、この山の取りつぶしを重点に考えているところの合理化法自身を改めてもらわなければ、石炭の見直しにならぬのです。こういう法律を存在させておいて、石炭の見直しなんというのはおこがましいと思うのです。これは全然問題にならぬと思います。
その第二は、このような規定をしている、山の取りつぶしをやらせるという目的でつくられた合理化法、この合理化法を改正する用意があるか、これを削除する、そして改正する用意があるか、もしくはこの項目について凍結をする、たな上げするという用意があるかどうかについて所信を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/16
-
017・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 合理化措置法を含めまして、現在の石炭政策はスクラップ・アンド・ビルドという方向でやられておるのでありまして、スクラップだけではない、ビルドというものがついておるわけであります。それで、立て坑の開発とかあるいは深部の採炭であるとか、そういうような点につきましても、いま積極的に進めようとしているわけであります。単にスクラップだけではないというふうに御理解いただきたいと思います。
しかし、その合理化臨時措置法全般も含めまして、今回の総合エネルギー調査会等の答申の情勢も見まして、もし必要あらば、もう一回それら全般を見直すことにやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/17
-
018・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ちょっと関連して。大臣は石炭鉱業合理化臨時措置法はスクラップ・アンド・ビルド、こうおっしゃいました。なるほどビルドのことも書いてあります。しかしこの法律は、基本的にはやはり山を縮小していく、こういう点がかなり重点になっておるわけです。
そこで、私はビルドのほうは大いにやっていただきたいのですが、スクラップのほうの規定は今日の段階においては凍結をすべきではないか、こういうように思うわけです。見直す見直すと言いながら、一方においては山がどんどんつぶれていく。ですから社会はふしぎに思って、軍艦島なんかの問題を取り上げるわけですね。石炭見直しといっているのになぜ山がつぶれていくのだろうか、これはきわめてふしぎに一般は考えておるわけです。
そこで私は、ひとつスクラップのほうの規定というものは一時凍結すべきだ。それは大臣、いま石油問題その他をはじめとして指導でおやりになっているのですから、指導でけっこうです。ですから指導をして、スクラップは一時停止をする、凍結をするのだ、こういう決意はないかどうか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/18
-
019・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 スクラップはできるだけ回避する、そういう方向で政策を進めていきたいと思います。スクラップ化するという場合には、経済的可採炭量がもうすでに枯渇したとか、あるいは保安上著しい危険が出てくるとか、そういう場合に行なわれるとわれわれは理解しておりますが、今回のこういう石油情勢全般も考えてみまして、行政指導上も、従来もそうでありましたけれども、さらに一そうスクラップ化はできるだけ回避する、そういう方向で指導を強力に進めてまいるつもりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/19
-
020・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは、今日のエネルギー問題は、もう労使の問題を越えておると思うのです。でありますから、合理化法のその趣旨となるものは、労使さえ納得をし協定をしたら、政府は自動的に買い上げるのだというのが大体趣旨です。
そこで私は、スクラップというのは今後認めない、新政策が出るまでは凍結するのだ、こういうことをひとつ政府としてきめてもらいたい。もし炭量が枯渇してどうにもならない場合は、それは政府の責任でひとつつぶしてもらいたい。ですから、私は労使は、これはもうやむを得ないと言うかもしれません。しかし、政府としては、このエネルギー事情のもとでは、ひとつぜひ掘ってもらいたいということで、その存続は政府の責任において、閉山も政府の責任において、これを認める。この態度がいまの時期一番必要ではないかと思うのです。この法律を直すといってもたいへんな作業ですから、それをすぐ直せ、いつまでに出しなさいということは私は言いません。言いませんが、少なくとも今日、日本経済の根底をゆるがすような問題が起こっておるときに、次から次へ炭鉱がつぶれていくということは、これは日本経済にとっても大きな損失です。でありますから、それについては政府の責任において処置をする。あえてもう一歩言うならば、政府がとめたらとめたで、それだけの補給をしてやる。幸いにして今度の第五次答申の中には、個別的炭鉱の安定補給金ができることになっておる。個別的炭鉱の補給金ができることになっておる。しかし、今度の予算を見ると、まだ炭田別しか出ていない。しかし、個別的にできるわけですから、もし政府全体としてその石炭は必要であると考えれば、個別的な安定補給金の制度を活用すべきである。これは何も法律は要らない。行政処置でやっておるわけです。そうして、これはやっぱり残していくように努力をする。ですから、政府の責任において閉山あるいは存続をきめてもらいたい。これに対して御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/20
-
021・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 先ほど来御答弁申し上げましたように、政府としては極力これを回避する、閉山は政府におきましてもできるだけ阻止する、そういう方向で行政指導等によりまして努力していきたいと思っております。
具体的には、石炭部長から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/21
-
022・高木俊介
○高木(俊)政府委員 閉山につきましては、これまでもできるだけそれを避けるという方針で、閉山前に企業のほうからお話がありましたときに、何とか掘れないものかということで指導していたような次第でございますけれども、最終的には、労使の話し合い、企業の判断ということに基づきまして閉山したのが事実でございます。
今後は、自然条件の悪化あるいは可採炭量の枯渇による、すでに労使でお話し合いができておる一、二の炭鉱もございますけれども、それを除きました炭鉱につきましては、今後、政府としてはもちろんでございますけれども、合理化事業団の中にございます管理委員会の場におきましても、いま先生御指摘になりましたような補助金の制度あるいは経理改善資金の制度、そういうものを動かしながら、できるだけ存続するようにつとめたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/22
-
023・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 この第五次答弁申の役所から配付した。パンフレットがありますね、この第八ページ、最後のページ、いま石炭部長から管理委員会のお話が出ましたが、この管理委員会の任務の規定の二項に、「石炭鉱業合理化事業団所有鉱区及び消滅鉱区の鉱区調整による活用に関して助言指導を行うこと。」という一項目がありますが、これはどういう意味ですか。
これは言いかえますならば、従来の石炭政策で閉山をした山の中にたくさん残量炭がある、石炭事業団が買い取ったものやその他の鉱区の中にたくさん残量炭があるのだ、あるからそれをもう一ぺん再開発をしようという助言指導を行なうという意味に受け取ってよろしいですか。でなければこういう条項がここに出てくるわけがない。
ということになると、従来の炭鉱の閉山は非常に粗雑であって、至るところにたくさん石炭が残されたままで、無理なエネルギー事情で、石油優先の事情のために、石炭がゴリ押しに取りつぶされたということを示すものである。いまになって、膨大な経費をかけて国が山をつぶしたやつを、もう一ぺんこの合理化事業団の所有のものを再開発をさせよう、こういう企て、考え方をしているということが管理委員会における指導事項であるかどうかということを明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/23
-
024・高木俊介
○高木(俊)政府委員 ただいま先生の御指摘の点でございますけれども、例の閉山炭鉱の再開発あるいは新鉱の開発というものについて、確かに中間答申におきましては、企業別の事業遂行に対する助言指導ということと、もう一つは、事業団が所有します所有鉱区あるいは消滅鉱区の鉱区調整による活用というような点が出ておるのも事実でございます。
現在、合理化臨時措置法の三十五条の十という項目によりますと、放棄されました鉱業権につきましては、鉱区調整を除きまして、出願の不許可という規定になっております。現在、実施しておる山の隣で事業団が所有しておる鉱区あるいは放棄された鉱区につきましては、合理的に開発ができる場合は、それが鉱区調整という形で鉱業権を付与するようになっております。しかし、消滅されました鉱区におきまして、全然隣に稼働炭鉱がないという場合につきましては、いま申し上げましたように、鉱業権の出願の不許可という規定がございますので、この点今後、いま先生御指摘になりましたような、いわゆる事業団が所有しております鉱区でも、いわゆる経済性のあるという鉱区も中にはあろうと思います。しかし、単にそれを再開発というだけで安易に許可もできぬことではなかろうかと思いますけれども、これは保安上の問題もございます。いろいろ検討する事項がございますので、そういう点を検討いたしまして、なお価値があるという点が出てきた場合は、管理委員会のほうにおきましても、この取り扱いをどういうふうに持っていくかということの助言指導をしていただくようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/24
-
025・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 科学技術庁の資源調査会の報告書のほうによれば、日本の現存する石炭の埋蔵量、現にこの時点で埋蔵させているのは百九十二億トン、亜褐炭でいきますと十七億トンという可採炭量がある、こう発表しております。これは同じ系列の役所のデータですから、この数字は間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/25
-
026・高木俊介
○高木(俊)政府委員 通産省で調査いたしました結果の数字は、二百二億トンという数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/26
-
027・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 これは通産省のが科学技術庁よりもずっと多いわけですね。たいへんけっこうなことです。
そこで問題は、一体全国で取りつぶされた鉱区、未開発の鉱区やその他取りつぶした鉱区も含めて、いま通産省は、全国にわたって、特に北海道地域にわたって、休鉱の復活の問題や再開発の問題あるいは新鉱開発の問題等に対して調査をしておりませんか。現実に調査しておりませんか。その調査の結果はどういうふうになっているか明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/27
-
028・高木俊介
○高木(俊)政府委員 二百二億トンと申し上げましたのは、これは理論可採埋蔵炭量でございまして、このうち幾らが堀れるかというのが一番問題になるのじゃなかろうかと思います。昨年、一昨年の五次政策のときに、当時生きておる山の二十一炭鉱と、新鉱の二炭鉱を入れまして二十三炭鉱の炭量を、企業から資料も出していただき、なおうちのほうもそれをベースにしましていろいろ検討したわけでございますけれども、そのときの新字といたしましては、二十三炭鉱で五億九千万トン。これは、当時コストが四千五百円が平均でございましたので、倍の九千円以内のコストで掘れる炭量ということで試算したのが五億九千万トンでございます。しかし、その後閉山した炭鉱も五炭鉱ございますし、これの炭量が約三千万トンございますので、そういう見方でいけば五億九千万トンは減っておるというふうに見れますけれども、現在のコストを幾らにセットして炭量を見るかという点においては、五億九千万トンが何ら固定するものではないと思います。
なお、閉山しました炭鉱につきましては、事業団がいろいろ資料を持っておりますので、事業団に命じまして、このうち、保安上の問題あるいは経済的な問題、そういうことを加味いたしまして今後掘れる炭量は幾らぐらいあるのかということをいま指示している最中でございます。これも当然将来のコストというものを想定いたさなくちゃなりませんので、現在は二万円までで掘れる炭量は幾らであろうかというようなことで一応計算をさすようにいたしております。
なお、現有の炭鉱分につきましても、企業のほうにそういう図面を提出してもらうように準備をしております。
なお、北海道のいま先生の御指摘の調査でございますけれども、事業団あるいは試験所でやっておるんではなかろうかと思いますけれども、うちから特に北海道にどうこうしろということで指示したあれはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/28
-
029・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 その百億トン埋蔵量があるという問題につきましていろいろな諸説があるようです。あなたは五億トンと言っておりますが、少なくとも最近出ていますいろいろな資料によると、石狩炭田では六十三億トン、釧路地帯では二十億トン、天北炭田で十億トン、留萌炭田で五億トン、その他で二億六千万トンある、こう伝えられておりますが、あなたは初めから、いま電力用炭の価格がくぎづけになっている状況の中で、電力会社を助けるような、石炭の資源を大事にするか経営本位にものを考えるかという意味で、可採炭量がまるきり転倒してしまっていますが、こういう現実にあるかどうかということをひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/29
-
030・高木俊介
○高木(俊)政府委員 いま先生御指摘の天北地域につきましては、先ほど申し上げました二百二億トンの理論可採埋蔵炭量の中では約十億トンというふうに記載されているんじゃなかろうかというふうに思いますけれども、そのうち実収炭量といたしましては、掘れるという炭としては約七千五百万トンではなかろうかというふうに私なんかは見ております。しかし、七千五百万トンといいますのも、当然掘り上がってくるプライスなりコストなりというものを前提にしておりますし、なお技術上、炭たけの薄い、いわゆる三十センチから以上のやつが全部この二百二億トンの中に入っておりますので、事実三十センチぐらいの炭が掘れるかどうかというのも問題がございますし、なお、天盤、下盤の状態、保安上の問題、あるいは先ほど申し上げました閉山炭鉱におきましてはガスの問題、水の問題そういうことも十分検討し、採算に乗る炭であるならば、これはエネルギーの多様化という点からも再開発ということもいずれは考えなくちゃならぬ問題ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/30
-
031・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 いまの露頭炭など、非常な不安定な危険なものに増産を依存しない限り、新鉱開発や再開発の問題が当然課題になってまいります。現実にあなたはいま、買い取り鉱区を持っておる石炭合理化事業団に調査を命じていると言いますが、それは通産省の仕事じゃないですか。通産省はそういうことを調査できないのですか。
現にいま札幌通産局の調査資料を私は持っているんですよ。あなたはそういう北海道における新鉱開発やあるいはこれらの百億トンをめぐる北海道地域における産炭地の——これはそれではどういう意味で調査しているんですか。精密な調査ですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/31
-
032・高木俊介
○高木(俊)政府委員 おそらく局のほうから先生のほうにお出しした資料は、うちのほうも実は写しを持っております。しかし、これはうちから指示したのじゃございませんで、最近、去年の暮れから例のエネルギー危機に対する石炭の見直しというような機運のもとで、札幌通産局独自でいろいろな研究をやり、今後そういう問題が発生した場合できるだけ早急にその資料が使えるようにというようなことで、独自に研究しているものでございます。
なお、事業団の資料につきましては、これは事業団が閉山炭鉱を買収いたしますときにいろいろな調査を、小さな計算をいたしております。炭層の厚さあるいは傾斜の問題とか、そういう資料が豊富にあるという点をベースにいたしまして、事業団で見直していただいたほうが一番正確な数字が出るのじゃなかろうかということで、事業団に依頼しておるというのが事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/32
-
033・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 どうも答弁があっちゃこっちゃになってきたですね。あなたは、札幌通産局に本省が命令して調査させているのだと、そういう先の展望をとらえてやっているのだという受けとめ方をしたのですが、これは単独の調査で、本省がノータッチで、何もそういう調査なんかしてないということだね。意外な答弁を聞くものだと思う。これは無責任でサボタージュじゃありませんか。当然本省関係が、石炭部自身がそういう北海道における百億トンという膨大な石炭の埋蔵量に対しては調査し、掌握し、できるだけ精密に、科学技術庁の調査や本省の調査がもっと科学的に、実態的に裏づけられるような、調査費を積んでも現地のあらゆる正確な調査をやる段階ではないですか。本省自身は全然やってないのですね。新鉱開発や再開発の新しいいわゆる国内資源の石炭に関する調査は何もやってないということになる。これは札幌通産局かってにやったということ、おかしいでないですか。あなたのほうがやらしたんだというなら話はわかりますが、かってにやったんだという話じゃ、全然石炭政策を放棄しているということ以外にないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/33
-
034・高木俊介
○高木(俊)政府委員 先生が先ほどお話しになりました資料の数字は、局が独自でやっておりますので、それ以外に、今回、先ほどから申し上げますように、事業団に指示すると同時に、企業のほうも図面その他、先ほど申し上げますように、コストを幾らで掘れるかという見方の本格的な作業に入っておるわけでございます。
ただ単に炭量が幾らあるかというだけでは、これは二百二億トンのすでに資料が出ておりますので、それ以上の詳細掘れる炭が幾らあるかというふうに検討したほうがよりベターではないかという考えのもとで、資料を九北そろえたような形で調査するようにいま指示しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/34
-
035・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 話がいよいよわからないのですが、一体通産省は石炭見直しというのは、どこを見直しているのか。こういう点を、新鉱開発や再開発の問題を見直さなければいかぬ。現実に片方の答申の中で、先ほど指摘しましたような、合理化事業団が鉱区の問題、一ぺん買い上げた鉱区の再検討をするという、こういう姿勢が出ているのです。すでに出てきているのですよ。それなのにかかわらず通産省は何も実態的にやってない。おかしいと思うのです。
ここに、これは民間の資料で役所にはかかわりがないのですが、これは閉山になりました三笠の奔別炭鉱、住友の炭鉱です。奔別炭鉱、深部一千メートルに近い有名な炭鉱だったのですが、閉山になった。しかし何とかして——閉山するときにゴリ押しに突然会社の都合で閉山させられた。昔働いておったこの周辺の労働者の諸君が何としてもこれを復活させたい。残量炭が二億トンあるというのです。二億トンですよ。深部であるけれども、いい原料炭です。一般炭も出る。それで何とかしたいというので、彼らが、全く山がつぶれてしまって失業している人たちが寄り集まって、古い炭鉱の技術者を訪問したり会社を訪問したりして、いろいろ深部の鉱区、鉱脈の状況を調べて、二億トンの残量炭がある、開発すべきである、こういうことで書類を出してきているのです。
至るところに石炭の埋蔵量があり、無理に閉山させられて、石油の値段とつり合わないためにつぶしていったという状況、あなた自身がおわかりなはずだと思う。大臣もおわかりだと思う。だから残量炭が膨大な埋蔵量が眼っているということは間違いないのです。だから、私は先ほどサンシャイン計画の中で質問しているように、合成ガス化の問題もさることながら、それはそれとして、研究は正しい、けっこうだが、なぜ一体、深部開発ですね、再開発に対する調査、研究をしないのかということを言っているのです。
その点につきまして大臣のもう一ぺん明確な、こういうような新鉱、深部開発あるいは再開発の方法について、ひとつ国策としても石炭資源のために積極的、前向きな姿勢で検討を加えるという意思を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/35
-
036・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 先ほどの五億九千万トンの数字というものは、電力用炭その他の旧価格を基準にしておそらく算出した経済数量であるだろうと私は思います。今度重油の値段が六千円から七千円になり、八千円になり、あるいはもし一万円とかそういうふうになれば、経済ベースに合う炭量はもっとふえてくる可能性が当然あるわけです。したがいまして、そういうふうな重油の値上がりの情勢を踏まえまして、この段階ではどの程度、この段階ではどの程度、そういう再検討を行なうべきである、そういうような再評価を行なわせさして、それによって石炭の将来の対策の資料をできるだけ早く得たいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/36
-
037・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 その原料炭の問題は一応別といたしまして、一般炭のことがいま電力用炭にからまって非常に焦点になってきています。たとえば石炭部長がいう露頭炭のごときも、これはいわば電力用炭の尤たるものであります。したがって問題は、今度石油危機突破の一つの方法として、通産省で、四十九年度五億四千九百万ですか、石炭火力発電所の設置に関する予算を組みましたね。これは四年計画だと思いますが、総予算幾らですか。それからもう一つ、この三十五万キロワットをつくるのに、土地代金を含む総工費は一体幾らに推定して、そして補助率を出そうとしているのか。たしか四年計画で一五%の補助率ということで計算をしていると思いますが、総工費の予算及び昭和四十九年度を初めとする年度別——予算はことししか組まれていませんから、その先、五十二年度まで幾らずつ補助金を出す見込みでおられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/37
-
038・高木俊介
○高木(俊)政府委員 三十五万キロワットの電力につきましては、工期は四十九年から五十二年度まででございます。石炭の消費量は年間八十六万トンということを計画いたしております。
なお、総工費は二百十七億でございます。これに対しまして、先ほど先生御指摘のように、四十九年度は石特から五億四千九百万円の補助金を出し、四年間合計で二十七億二千三百万を支出する予定にいたしております。初年度五億四千九百万、五十年度八億八千五百万、五十一年度八億二千三百万、五十二年度四億六千六百万を予定して、トータル二十七億二千三百万を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/38
-
039・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 これは、石炭特別委員会でしばしば大臣が表明された。電発の総裁に会って、石炭火力発電所をつくれ、しばしば打診されたと発言されておったはずですがね。
そこで、実は今度問題になりますのは、この四億九千万円、補助金合わして二十七億円という膨大な工事金を出す企業主体が、場所も明らかになってないのです。これはたしか暮れの予算折衝の段階で、中曽根大臣は、特に起業地である北海道に対して設置する、したがって北海道の土地自身の指定については北海道知事から確約を取りつけるという異例の予算措置で、場所も個所づけもきまっていないのに、大臣が北海道知事から特に一札をとって予算をつけるという経過があったはずですが、その当時知事から一札とっておられますか。その中身はどういう意味のものであるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/39
-
040・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 暮れの大蔵省とのときに、大蔵省側は地点が明確にならないと予算というものはつけにくい、そういうような話がございました。そこで、大蔵省を説得いたしまして、いままでずいぶん努力をしたんだけれども、予算づけまでになかなか地点が明確になるということはむずかしい、しかし国策として、これは第五次答申にも書いてあることであるから、われわれはどうしてもやらなくちゃならぬし、私も議会で言明しておる。そういうわけで、できるだけ早く北海道の関係者に地点をきめてもらうから、ともかく予算づけだけはしてくれ、そういうことで大蔵省を説き伏せまして、予算をつけてもらったわけです。
それと同時に、北海道の知事さんからも石炭火力の要請があり、北海道議会からもございましたから、知事さんにお願いいたしまして、こういういきさつで予算づけをしたから、できるだけ早期——私は三月末までにとそう言っておきましたが、できるだけ早期に場所をお示し願いたい、そういうことを頼んだわけであります。そして十二月二十五日に北海道知事から「石炭火力発電所(三十五万キロワット)の立地地点については、地元としては昭和四十八年度中に選定いたしますので、この助成予算の確保について御配慮をいただきたい。」こういう文書をもらいまして、昭和四十八年度中に選定してくれるということでありますので、それを期待して待っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/40
-
041・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 私は、中曽根通産相のその努力に対して非常に敬意を表するものであります。さすがに党内実力閣僚だけあって、個所づけもないのに予算を取りつけていただいた。これは冗談ではなしにその苦衷と努力に対して敬意を表しておきます。
しかし親の心子知らずで、まだ北海道では個所づけがきまっていないような状況であります。しかも、予定されてうわさにのぼっております苫小牧東部開発が難航しておりまして、御存じのように、港湾審議会の堀り込み港の問題も問題になりまして、暮れの十二月十九日の運輸省港湾審議会はお流れになってしまい、一月の十一日にあわてて港湾審議会を開いて無理やりにあれしましたが、しかも苫小牧からあがってきているいわゆる苫小牧港湾管理担当者、市長でありますが、市長の上申書をめぐりましていろいろな問題が出まして、ついに異例の、これも港湾審議会から条件つきの承認を取りつけるという始末で、その条件を満たすことができないために、いまでも苫小牧市では十九日には港湾管理組合の議員総会が六時間にわたって混乱して、ついにお流れになってしまっておるという状況であります。
問題は、このさなかに、同じ十九日に、一方では北海道の堂垣内知事は、大臣はこの国会の委員会でしばしば電発をもってやらせるように努力をしているのだという表明をしておりましたが、どういう行き違いか、立地をきめるのを委任したはずの知事のほうは、札幌で発表された意見によれば、立地のほうはきまらない、それはたな上げにしておいて一大臣との約束はそのままにしておいて、経営主体は北電にやらせるという経営主体のほうを先に発表しまして、新しい問題の渦を起こしておるような状態です。
大臣は、北電にやらせることにした、土地は苫小牧で企業体は北電という、こういう重ね合った統一見解は私はまだ公式の席では承っていない。だから大臣はそういう発言をしていらっしゃらない。
ところが御了承のように、北海道の電力をめぐる諸事情というものは、伊達火力発電の問題をめぐって紛糾を続けております。重油専焼火力発電所であります。それからもう一つは、北海道の岩内につくられる原子力発電所の問題も紛争のまま三年を経過しておる状態であります。したがって、そういう苫小牧、かりに東部に位置づけされるといたしましても、どこの電力会社が出るにいたしましても、いま紛争中の伊達火力とそれから原子力発電所の問題をかかえたままで、それを未解決のままで、紛糾のままで、北電がここに居続けるということになりますと、非常に問題が多くなりまして、いよいよどろ沼に入ってしまう危険があるのではないかと思いますので、その点については、電発の大堀総裁としばしば会談をして意見を打診していらっしゃる、しかも膨大な予算をつけていただいた中曽根通産大臣として、こういうことに対する統一的な所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/41
-
042・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 私は、この問題を早く推進するために、渡辺委員に、電発の大堀総裁と話してみたことがあるということは御報告申し上げましたが、私は電発であろうが北電であろうが、とにかく折り合いのついた早くやれるほうに早くやってもらいたい、こちらからは特にどこということを強く指定するということは適当でないので、地元の皆さんが、これが折り合いがいい、それで早くできる、そういうところを地元のほうで折り合いをつけていただけばけっこうである、そういうように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/42
-
043・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 とにかくこの問題については、用地もきまっておらないし、企業体の主体も明らかでない。大臣にわずらわすところがこれから非常に多いと思いますので、あらかじめひとつお含みおきを願いたいと思います。一段の御努力を期待するわけです。
そこで、もう一つ質問いたしたいのですが、これは石炭鉱業審議会の中間答申の部分ですが、特に七ページの冒頭(2)の項であります。「需要を充足するため、必要な一般炭の輸入について検討すること。この場合において、国内高硫黄炭との混炭用としての石炭を輸入する等、国内炭の引取りに悪影響を及ぼさないような方策を講ずることについてとくに配慮すること。」こういうことになっていますね。ところがこのときに、この答申は通産省が説明したんですね。通産省が外国一般炭を輸入したらどうかという提案を石炭鉱業審議会に諮問したのでしょう。石炭鉱業審議会が独自でこういう答申をつくったんじゃないでしょう。一般炭の火元の出どころはどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/43
-
044・高木俊介
○高木(俊)政府委員 中間報告につきましては、総合部会から建議になったということでございまして、うちのほうから諮問しているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/44
-
045・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 この項目は建議であって諮問ではないというんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/45
-
046・高木俊介
○高木(俊)政府委員 そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/46
-
047・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 そうすると承りたいのですが、この場合、審議中の中で答申をめぐって一般炭の長期海外開発の問題が問題になって、議論が沸騰してこの答申から削除することになったと聞き及んでいますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/47
-
048・高木俊介
○高木(俊)政府委員 審議の過程で海外の開発ということが出たのは事実のようでございます。なお、その件につきましては削除したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/48
-
049・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 それは建議事項ですか。審議会が自主的にそういう意見を出して、あるいはもみ消したりつぶしたりしたのですか。それとも、通産省自身の一般炭の輸入計画に関連して、海外に長期にわたる一般炭の開発をやろうという計画は、通産省自身の見解はどうだったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/49
-
050・高木俊介
○高木(俊)政府委員 事務局としての意見は入っておりますけれども、あくまでもこれは建議でございまして、うちのほうからどうしていただきたいということではございません。ただ、事務局でございますので、いろいろ意見は申し上げておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/50
-
051・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 どうもおかしい。これは諮問に対する答申でしょう。建議なら建議書というのが別にあるべきですよ。科学技術庁などは、これは、答申でなくて「書簡、要旨」ということで、ちゃんとこの文書の性格を明らかにしておりますよ。一体答申と建議はどこでこんがらかっているのですか。諮問したから答申したんじゃないですか。諮問していないのですか。それとも、諮問してないとすれば、通産省の見解は輸入炭に反対だということですか。賛成なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/51
-
052・高木俊介
○高木(俊)政府委員 第五次石炭対策のときは、通産大臣名をもちまして諮問いたしております。しかし、この十二月七日に出ました「エネルギー情勢の激変に伴う石炭対策について(中間報告)」というのは、これはうちから諮問はいたしておりません。審議会の総合部会といたしましていろいろ御検討いただき、中間報告という形で建議になったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/52
-
053・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 私はこの一般炭の輸入問題をめぐる論争というものは、きわめて実は重大だと受けとめておるわけです。これが国内における石炭産業が立ち直るかどうかという一番の中心の課題であります。また、経営者のほうも、これは無理な企業投資をするよりも、同じ価格で外国炭が来るなら、原料炭のみならず一般炭も輸入しよう、こう企てるのは、いまの経済的な理念、機構からいけばあたりまえ、当然そういう措置に出ると思います。そういうふうになった暁は国内の炭鉱は全滅します。あなたが先ほど指摘した露頭炭なんか一発で吹っ飛んでしまいますよ。二千二百五十万トンはずっこけですよ。一般炭輸入で一ぺんに消し飛んでしまいます。現に一般炭の問題については、日本の国内の炭鉱、石炭経営者も着目しておりますし、現に海外投資をしている会社も、三井とかその他三菱とかそれぞれカナダとかオーストリア等に原料炭輸入のために投資をしておる会社もあるわけです。
いわんやごく最近の情報によると、いわゆる石油のメジャー、これは中曽根大臣の専門でありますが、世界のメジャー八社のうち五社までアメリカのメジャーです。国際石油資本のほうは石油だけを輸入しておるかと思ったら、外国一般炭の輸入も計画するという情報が入っております。しかも日本でいきますれば、アメリカのメジャーのうちでもモービルオイルのように、アメリカ系統だと思っていましたら、アメリカの石油輸入会社であると思ったら、これは日本にたくさん傍系の子会社、半額出資の会社がもうできておって、たとえばモービルの場合は、モービル石油一〇〇%、極東石油が五〇%、東亜燃料工業が二五%というアメリカ資本で、現に輸入及び販売あるいは精製事業等を行なっております。あるいはアメリカのエクソンという会社は、エッソスタンダード石油会社一〇〇%。一〇〇%という意味は東京に支店を設けているということです。アメリカのメジャーが支店を設けて東京で商売をやっているということです。それが中心になって日本国内に、メジャーの資金は外資審議会の制約があるから半分で終わっていますが、エッソスタンダード石油会社、ゼネラル石油——問題のゼネラル石油もここへ登場します。東亜燃料、いずれも五〇%もしくは二五%モービル系であります。日本石油精製だとか、日本石油、興亜石油、日本石油化学という会社はカルテックスの会社の子会社です。いまでこそ石油を輸入しているこれらの会社が、もし一般炭の輸入まで踏み切ったら、日本の炭鉱は吹っ飛んでしまいますよ。そう思いませんか。しかもインドネシアその他で炭鉱の開発をやっているのです。インドネシアの炭鉱で一般炭の開発をやるということになりますれば、それは石油を運ぶよりももっと便利がいい。日本は外国市場の食いものになりますよ。
経済ベースだけで採算がとれるからとれないからとさっきお話がありましたが、とれなければとれるようにすればいいんですよ。資源を大事にする、日本の産業を守るという意味で、そういう意味で、日本の国内資本よりももっと強力なこういうメジャーが、国際石油資本が石炭会社に化けて、日本に一般炭を輸入するというようなことを計画したらどういうことになりますか、秩序ある統制ができるのですか。そこまで外国の石油会社、国際資本メジャーが日本の一般炭をもねらっている。しかも、ねらわれたら一発でまいっちゃうという状況にあるということを検討してみたかどうか、その点について大臣並びに関係部長の答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/53
-
054・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 メジャーであろうとあるいは国内業者であろうと、ともかく日本の石炭産業を保護育成しようというのがわれわれの考えでありますから、その保護育成に妨害になるようなことはさせたくないという、そういう方向でいまの答申もそういう趣旨で御答申になっているんだろうと思います。つまり国産炭というものの使用について障害を起こさない、そういう条件つきで海外一般炭の輸入の問題も検討してみるという意味のことではないかと思うのです。国産炭を優先して使うということはあくまで基本である、私らもそう考えております。これはメジャーであろうが国内業者であろうが、そういう方針で私たちはやっていくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/54
-
055・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 全くいまの通産省の考え方は、石油と石炭とを対立して考えて、対立の中でこういうところに追い込まれてきたわけですが、結果は、石油も石炭も一体だ、メジャーの一般炭の支配が日本に及んでくるということになりますから、断固たる決意をもって当たっていただきたいと思います。
質問はいろいろたくさんございますが、塚田君が見えておりますので、残念ですがこの程度で終わることにいたします。長谷川労働大臣が初登場されたのに質問できないのはまことに心残りですが、またあらためて質問をさせていただきます。どうも失礼しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/55
-
056・田代文久
○田代委員長 塚田庄平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/56
-
057・塚田庄平
○塚田委員 去年の十二月七日に「エネルギー情勢の激変に伴う石炭対策について」こういう報告が実は出されたのでありますが、この報告の骨子をなすもの、つまり激変に対応して基本的にどういう方針で中間報告がなされておるかということについて、簡単にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/57
-
058・高木俊介
○高木(俊)政府委員 十二月七日に中間報告になりました「エネルギー情勢の激変に伴う石炭対策について」というこれでございますけれども、これは一番初めに書いてございますように、十一月十九日に総合部会のほうで検討することを決定いたしまして、なお、その後小委員会を設け、エネルギー情勢の変動下に石炭企業がどうあればいいかということを審議会の総合部会でいろいろ御検討していただいたのでございます。
このときの趣旨といたしましては、いわゆる石炭の積極的な活用問題あるいは国内炭の供給余力をできるだけ活用するようにというような意味から、そうすることがまた当時のエネルギー危機を乗り切れる一つの大きな石炭対策ではないか、と同時に、石炭のいわゆる資金経理の問題あるいは需要の問題技術開発の問題ということもあわせて建議いただき、これを予算上実施することにより、国内の石炭企業の基盤がしっかりするという趣旨のもとで、こういう御建議をいただいたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/58
-
059・塚田庄平
○塚田委員 ことばじりをとらえるようじゃないのですが、いまの答弁の中で、当時のエネルギー事情、こう言いましたね。現在はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/59
-
060・高木俊介
○高木(俊)政府委員 まあことばじりがあるかもしれませんけれども、当時は、昨年の時点ではそういう見方でございましたし、現在は総合エネルギー調査会のほうに石炭の位置づけというような点、これは当然石炭のみならず将来のエネルギー全般についての位置づけということで、いま、先ほど大臣からもお話がございましたように、十九日にエネルギー調査会のほうに諮問しておるのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/60
-
061・塚田庄平
○塚田委員 そこで、私も中間報告をいろいろと読んでみましたが、やはりこの中間報告は第五次石炭政策の基本を踏んまえた報告であって、したがって、たとえば出炭規模にしても百万トンプラスするという全くその場限りの手直しに終わっておるわけですが、ここで大臣、エネルギーの激変に対応した新しい石炭対策、こういうことになると、たとえば昨今のように、価格は別にして一応石油についての数量はいろいろな努力でとにかく見通しのついておるという段階では、これまたあの当時の情勢と比べて一つの激変だ、見通しが立たなければまた激変だ、激変、激変に対応した石炭対策であっては——おそらくこれは渡辺議員からいろいろ質問があったと思いますが、これではならぬのではないか。
いま調査会に諮問という、こういうことばがありましたが、私はこの際、むしろ国家の安全といいますか、ナショナルセキュリティーといいますか、そういった基本的な立場に立って、まあ六次対策といってはなんですが、とにかく基本的な根本対策をいまあらためて審議会に大臣のほうから諮問をすべき時期に来ておるのじゃないか、そうすべきである、こう考えるのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/61
-
062・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 激変はまだ続いておるのでありまして、量の激変がありましたが、価格の激変という問題はまだどこへ落ちつくかわからぬ情勢であります。そのほか、さらに国際収支における大きな国際的な大問題が次に隆起しつつあります。そういうようなことは、必然的に世界のインフレーションとかあるいは場合によってはデフレーションとか、ともかくいろいろな激変がまだ続く可能性はないとしておりません。そういう中において、石炭というものを日本としてどういうふうに考えるかという見直しをやろうとして、エネルギー調査会に諮問したのでありまして、その答申を見て、そしてその激変の情勢をもう少し見据えてから、第五次答申というものをどういうふうに取り扱うか考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/62
-
063・塚田庄平
○塚田委員 これまたことばじりをとらえるようですが、いまの日本のエネルギー事情、情勢あるいは国際的な情勢を激変ととらえる、それは続く、私もそう思うのです。激変が続くというよりも、むしろ今日の激変が形こそ変われ、いろいろな情勢で恒常化していくというふうに考えていいのじゃないか。だから、長い先を見越した基本的な石炭の見直しというか、単に百万トン量をふやすとか、そういったあれじゃなくて、もう少し掘り下げた石炭対策というものをいま樹立すべき情勢に来ておるのじゃないか。
この情勢を予想して、たとえば西ドイツはもうすでに数年前から、あるいは石油ならアメリカのごときは十数年前から、その対策を立てながら今日に至っておる。固有燃料といえば、日本ではいま石炭が最高で、若干あと地熱その他がありますか、そういう情勢の中で、石炭に対してはこの際六次答申を求める、六次対策を立てる、こういう決意で、しかもそれば基本対策だということで臨むべきだと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/63
-
064・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 事と次第によってはそういう必要が出てくるかもしれません。しかし、まだそういうことが全般的に見通し得る段階ではないのでありまして、この石油事情の大変化をもう少し末長く展望しながら、エネルギー総合調査会の答申をまって検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/64
-
065・塚田庄平
○塚田委員 末長くと言っていますがね、炭鉱というのは人間の年齢と同じで、一年一年年をとっていくんですよ。最近は炭鉱に付随した人間も、つまり労働力も、平均年齢四十三歳などという考えられない事態にきておるわけです。もう少し見通しを立ててと言いますが、私は、基本的には資源ナショナリズムといいますか、だんだんと深刻に深まっていくと思うのです。そういう見通しは立て得るのじゃないですか大臣。
そういう中で一体石炭をどう活用するかということは、日本の資源活用あるいは国家の安全という面からいって、当然いまから、これはおそいのですが、やらなければならぬ時期じゃないですか。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/65
-
066・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 当面の措置としては、中間答申を出していただいて、「二千二百五十万トンを下らざる」と心得てそういう模様がえをやったわけです。したがって、その新目標に向かって私たちは懸命の努力をして、当面はそれで続けていく。そして、さらに長い将来的展望については、先ほど申し上げましたこの大激変の前途を見きわめて、第六次答申をやるかやらぬか、第五次答申でいいか悪いか、そういう根本的な点まで洗ってみたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/66
-
067・塚田庄平
○塚田委員 二千二百五十万トンというのは一、二年、二、三年の、ほんとうに短期の目標でしょう。これではだめだと言うのですよ。石炭は目標計画を立てて達成するまでには、対策というのは相当の時日を要するのです。新鉱開発一つとってみましても、五年、十年とかかるでしょう。そういう炭鉱の特殊事情というものを大臣やっぱりよく心得なければならぬと思うのです。だからいまから着手して、いまからでも残念ながらおそいのですが、われわれは第五次答申までは、その政策まではとにかく基本的な石炭の位置づけをやれ、こう叫んできましたが、残念ながらこういう事態になりました。いまここで死んだ子の年を数えるようなことはしません。だけど、将来に向かっては早くやらなければならぬ。これはもう石炭のそういう対策の性格からいって、当然そうしなければならぬと思うのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/67
-
068・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 おっしゃる理由はよくわかりますが、長期計画となりますと、やはり基本をよく踏まえて調査を的確にしてやらぬと事を仕損じますから、事長期計画については、やはりステディーに進まなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/68
-
069・塚田庄平
○塚田委員 調査をしっかりやらなければならぬ、これは大臣、いまのこの段階におけることばとしては、第一次から第五次までずいぶん調査を進めてきたと思うのです。ただひとつわれわれはその調査の中で、その調査をとらえて、どう一体われわれはそれに対処していくか、その姿勢がいままでうしろ向きだったと言うのですよ。その姿勢を前に向けて、いままで積み上げてきた調査というものを最大限に活用して生かしていく、こういう作業をしなければ、これから調査してというようなことでは、百年河清を待つことになるのではないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/69
-
070・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 事は国際経済条件の変化とかあるいは技術的事情の転換とかそういう問題でありまして、そう簡単においそれとできるものではありません。やはりよく見きわめなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/70
-
071・塚田庄平
○塚田委員 これはまた一番最後に質問をしたいと思いますが、第二点は、石炭対策についての財源問題です。
最近こういうエネルギー事情の中で、たとえばあすから大蔵委員会あたりでは、関税定率法の改正をやっていきます。つまり、石油が入りやすいようにするために税金を下げていく、ことばをかえていえば、石炭特会の財源がだんだんしぼられてくるわけです。まして、これは大臣もおわかりのとおり、最近の石油は現地精製主義、産油地精製主義とか、あるいは産油地の中で税金をかける、どうせ日本の障壁を通るときには税金をかけられるのですから、産油地でかけて無税で入れると同じじゃないかというような議論さえ出てきている。そういう中で、私は、石炭対策についての特会の財源というのは、先行き決して楽観を許さない時代に来ていると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/71
-
072・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 産油国側にはそういう要請も強いようでございますから、そういう点は深甚の注意をして取り扱っていくべきものであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/72
-
073・塚田庄平
○塚田委員 そこで、その結果財源が非常に先行き不安だ。どうしたらいいと思いますか。これをいまこれから調査して、末長くひとつ対策を立てていこうというのですから、相当長期にわたった財源確保という見通しを立てなければならぬと思うのですが、どうですか。どうしたらいいのですか。いまの特会でいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/73
-
074・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 石油の値段が上がれば、やはり関税も多くなる、収入も多くなる、そういうことになります。それを石炭保護のためにどの程度使うかという目の子算もして、そして、どの程度の関税にしたら国内石炭政策に有効に活用できるか、その水準を見るという作業も必要になってくるだろうと思います。いたずらに石油を安くする、あるいは産油国のほうのことばかり考えて国内的要因を忘れていいという問題ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/74
-
075・塚田庄平
○塚田委員 大臣はまだ、石油の税金がどうなっているか十分御理解していないと思うのですよ。基本的には従量税ですよ。なるべく税金を上げないように、最近はむしろ税率を下げてきているわけです。しかも、量は最近二、三年大体コンスタント、そうなると税金は下がってくるのですよ。値段が上がったから直ちに上がるものではないのです。特に最近は、生活関連物資と称して、灯油だとかあるいはガスあるいは燃料用ナフサ、これは今度の改正でがたっと下がるのですよ。当然そういう税金の構成になってくるのです。特会の財源がだんだんとこれから減っていくという事態について、一体どうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/75
-
076・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは、機に応じ情勢に応じて大蔵省とも相談して、国内炭を保護していくということは国の大政策であり、われわれも五次答申を守っていくということをやっているわけですから、知恵をしぼってやるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/76
-
077・塚田庄平
○塚田委員 私は、この財源の問題ということになると、実は非常に矛盾を感じておるのですよ。それは競合燃料でしょう。大臣のように、いま値段も上がるのだから税金もごっそり入ってくるということになれば、それを税金で押える。そうすると、片方は財源がなくなる。どんどん入れる体制になると固有産業の保護という目的が失なわれる。これは、いわば競合しておる二つの資源、石炭はその一つに財源的にがったりとおぶさっておるようなかっこうなんですね。そこに財源構成としての矛盾が私はあると思うのです、ほんとうにやるということになれば。
そこで私は、この特会についてはできるだけふくらます、と同時に、石炭予算の中で、これは特会よりはむしろ一般財源の中で確固不動な位置を与える、一般財源で処理していく、こういうようなつもりは、大臣どうでしょうか。大蔵省はなかなかたいへんだと思いますが、大臣としてはそのくらいの気持ちを持たなければならぬ時期だと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/77
-
078・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 石炭特別会計の財源がどういうふうになるかという全般を見通した上、それは大蔵省ともいろいろ知恵をしぼって考うべき問題で、いまどの方面に財源を求めるということを言っても意味のないことであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/78
-
079・塚田庄平
○塚田委員 意味がないとはまたにべもない返事で、私は、今度の中間報告といいますか、その中では技術的な開発についての予算がぼつぼつと出てきておると思うのです。たとえば石炭の液化の問題こういった研究というのは日本は一番立ちおくれている。だから長期に、しかも相当の予算をこれから投入していかなければ、それらの国々に追いつく筋合いのものじゃないわけです。だから大臣として、通産省としては、これらの研究開発、技術開発等の問題については、できるだけ安定した一般財源の確保に向かって今後努力するという答弁があってしかるべきだと思うのです、ほんとうにそういう気持ちがあるならば。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/79
-
080・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 日本の石炭ガス化の研究はそう外国におくれているとは思いません。通産省工業技術院でやっているものも、あるいは三井が大牟田でやっているものも、かなりいい成績を示しておって、アメリカのほうからも資料交換をしようと言ってきているくらいであります。ですから、私は劣っていると思いませんが、しかし技術開発ということは、国の政策上からも非常に重要なポイントでございますから、あらゆる方面から財源を捻出して、積極的に推進していくべきものであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/80
-
081・塚田庄平
○塚田委員 科学技術庁からだれか来ていますか。——いま大臣の答弁で、石炭の有効利用というか、ガス化その他一切含めまして決して外国に劣るものではない。これは、試験管の中の研究なら別ですけれども、文字どおり石炭の有効利用なわけですね。実際に利用される、そういう研究でなければならぬわけです。また、そういう諸準備が並行してなされなければならぬ。そういう面で、アメリカや西ドイツあるいはイギリスに比べて決して劣らないといえますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/81
-
082・酒井忠二三
○酒井説明員 お答え申し上げます。
現在の時点におきますと、米国、西ドイツは進んでおります。でございますが、戦前におきましては、北鮮の阿古地で石炭液化の問題、また、海軍でもって石炭の合成と合成油を生産するという技術研究が非常に進んでおりました。その貴重な資料等はまだ相当残っております。その成果は生かせると思います。また戦後におきましても、工業技術院の当時の資源技術試験所で加圧ルルギ法でもって非常に大きな成果をあげて、北海道で、あるガス会社で適用されたこともございます。でございますが、先ほどからいろいろな御質疑が出ておりますように、競合燃料というような関係で現在中止になっております。
現在、日本におきましては基礎研究は相当進んでおりますが、そういうような実用化研究というのは、いろいろな石炭の炭質ということが問題になります。特に一般炭を使った完全ガス化または完全液化ということになりますとアッシュの問題とかカロリーの問題だけではなくて、いろいろな条件がございます。そういうようなものにつきましての実際の研究開発というのは、日本の石炭についてもこれからだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/82
-
083・塚田庄平
○塚田委員 科学技術庁のほうでは大臣、これからだと言っていますよ。あなたは世界的な水準からいって決して下がっていない、劣らないと言うでしょう。大体ここ一、二年でアメリカは、たとえば液化についでは、もう実際生産する、そういう段階になっているのですよ。西ドイツはもう百万トン、ガスをつくっておるのですよ。イギリスだって同じですよ。決して劣らぬとは——そういう認識で中間答申を受けとめたりやっているから、私はいい計画が出ないと思うのですよ。もう一ぺんひとつ訂正してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/83
-
084・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 たとえば三井鉱山の大牟田でやっておる成果は、私は見ましたけれども、かなり性能がいいようです。これはまだしかし工業化というところまでは至っておらぬけれども、少なくとも実験室における成果はかなり成果として評価すべきもので、アメリカのほうでも資料交換したいなんて申し込んできているようです。しかし、いまのお話にありましたように、炭質が日本の炭と外国の炭と非常に違うものですから、そういう点で日本の炭は非常に競争力が弱い。どっちかというと損な条件からスタートしておるわけですね。
そこでことしは、工業技術院でもドイツから中間プラントを買って、それで実際やってみよう。それで日本の成果とそれを比べてみながら、どうこれを開発していくかということをやろうというので、たしか二億円ばかり予算とって、それを買い込んで、とりあえず中間プラントをつくる。そういうところへいま進めようとしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/84
-
085・塚田庄平
○塚田委員 アメリカから資料交換というような話もあって、たいへん高く評価されている。ところが、確かにアメリカはそういうような申し入れがあるでしょう、日本にはごく数少ないですけれども。これは数少ないけれども、先ほどの答弁にあったとおり、戦時中からのいろいろな研究を集積しながら成果をあげておるところはあります。そういう人たちもおります。研究所もあります。アメリカはそういう頭脳をもらいたいのですよ、交換というのは。
私は、そういう頭脳を向こうにやるのじゃなくて、日本で、たとえば日本にいろんな研究所がある。それを一括統合して、アメリカのように石炭技術局というのがあるのですから、そういう機構をもっていま真剣にやらなければならぬと思うのです。ほんとうにいま石炭技術について苦労しておるのは、ごく限られた五本か六本の指にしかならないそういうわずかな人なんですよ。これは大臣御存じでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/85
-
086・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 ですから、今度の予算が通りましたら、工業技術院の中にサンシャイン計画推進本部というものをつくりまして、工業技術院長が本部長になって、そこに管理官を置いて、そしてその中の一つの仕事として、石炭ガス化というものを重要なプロジェクトとしてプロジェクトチームを組んで、各研究所、官民にわたるそれを統合しながら、いまのプロジェクトを進めていくという新体制に切りかえて強力に推進しようとしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/86
-
087・塚田庄平
○塚田委員 サンシャイン計画等についてはまたいずれ時間を見て質問したいと思います。もうだんだん時間が迫ってきておるので。
労働省来ておりますか。——あ、大臣、どうもどうもすっかり目に入っちゃって。
そこで大臣、これはたいへんあれなんですが、労働省から毎月の勤労統計が出ていますね。そこで、これは勤労統計による資料ですが、昭和四十八年の十二月、この辺が一番新しいところでしょう。金属鉱業、これは坑内ですが給与のこれは平均です。十二万三千五百七十一円という数字が出ております。金属の坑内です。石炭の坑内、これは十万一千八百十五円、こう出ています。ものすごい違いですね。これはもちろん賃金というのは労使の交渉できまる問題ですから。しかし、その労使の交渉というものを離れて、片方は金属鉱業という同じ坑内労働者、石炭という同じ坑内労働者でこれだけ開きがあるということについて、大臣、一体それは妥当だと思いますか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/87
-
088・長谷川峻
○長谷川国務大臣 いま直接その統計、それだという感じはありませんけれども、金属関係をあげていろいろな統計を見ていると、低いという感じを私は持っておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/88
-
089・塚田庄平
○塚田委員 そこで私は少なくとも同じレベルに上げるべきだと思うのですよ。同じといっても、ぴたり両方とも何十何万円まで一緒にせいということではありませんが、大体同レベルをいくような、そういう賃金構成をしなければならぬというふうに私は思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/89
-
090・長谷川峻
○長谷川国務大臣 いまおっしゃった金属関係から見て私は低いという感じ方を持っておるわけです。また、先生おっしゃるように、賃金は労使関係だ、こういうこともわかっております。私のほうの最賃関係では金属と大体同じ程度のものを出しているのじゃないかと思います。ただその場合に、今度は労使関係で中小炭鉱の場合には多少条件が違うというふうな感じ方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/90
-
091・塚田庄平
○塚田委員 大臣、今度の春闘では、あなたものっけからとにかく正面に出て、労働団体とのいろいろな交渉に当たっておるわけですね。
そこで、いま大臣の話で、低い。昭和四十七年をとってみますと、同じ統計で実は差が二万七千円あるわけですよ。だからこの二万七千円というのは春闘その他にかかわらず、とにかくとりあえずこれを埋める、そのほかに春闘は一律三万円というような要求を出していますが、そういうことは触れません。とにかく坑内の金属と石炭との格差というものをなくするという方向にあなたがやはり指導していかなければならぬと思うのですね。とにかく矢面に立つのですから、そのくらいの責任を持ってやらなければならぬと思うのですね。幸い低いと思うということですから、私は、とりあえず二万七千円を埋めてから、それから春闘が始まるというふうに受け取っていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/91
-
092・長谷川峻
○長谷川国務大臣 これは労使関係のことでございまして、私は、ほかのいままでの数字から見て低いなという感じ方は率直に持っております。そういう意味からしますと大事な二千二百五十万トンというときであるから、魅力のある産業になってもらいたい。そういう意味でのいろいろな御加勢を申し上げたいという気持ちを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/92
-
093・塚田庄平
○塚田委員 大臣は、今後そういう方向で努力するという答弁に受け取りたいと思います。
そこで、大蔵省、来ておりますか。——実は、ことしの所得税の改正で、人的な控除をずっと上げたわけですね。そこで、いま労働大臣からの話もあったとおり、とにかく炭鉱の労働者というのは、賃金も非常に低い。他の同じような職種に比べて低い。かたがた非常に老齢化してきております。さっきちょっと私が言いましたが、四十二、三歳というような——そしていま通産大臣から答弁があったとおり、これから石炭は見直してやらなければならぬ。といっても、労働力の不足というのは、これはもう決定的な要因になっているわけです。労働大臣の言うとおり、魅力のあるということになれば、いま言った賃金格差の解消ばかりではなくて、そういった面で優遇措置をとらなければならない事態に来ているのじゃないか。そこで、ひとつこれについては、坑内勤務者について、これは炭鉱だけとは言いません。特別控除ということを検討するに値するのじゃないか。それで、私もいまここでどのくらいにせいとは言いませんが、しかし悪条件の中で働き、そして政策的にも必要だという事態になれば、私は、坑内勤務者の控除を考えるべきだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/93
-
094・伊豫田敏雄
○伊豫田説明員 お答えいたします。
所得税につきましては、御承知のとおり、所得の大きさに応じて税金を課税していくというのが本来でございまして、もちろん政策目的がございます場合には、特別償却——特定の機械を買った場合には特別償却とか、その他いろいろの措置が講じてございますが、ただ、給与所得者につきまして、この中から特定の給与所得者のみを取り出しまして、これについて特別の措置を講じますことは、非常に波及するところが多く、非常に実現のむずかしい問題だと考えております。したがいまして、坑内労働者だけについて特別の控除を設けよという御趣旨でございますが、もちろん検討はさせていただきますが、非常に実現のむずかしい問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/94
-
095・塚田庄平
○塚田委員 こういった特別控除の制度は、他の国ではないわけではないのです。そこで検討する、こう言っていますが、他に波及しない、つまり坑内勤務者という特別な太陽を見ないで働いておるそういう人たちに限るということで、ぜひその問題について前向きでひとつ検討を進める。きょうは主税局長にぜひ色よい返事をもらいたかったわけですが、あなたではそのくらいの答弁しかできないだろうと思うが、どうでしょうか。とにかく前向きに部内では検討を進めるという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/95
-
096・伊豫田敏雄
○伊豫田説明員 お答えいたします。
いろいろ申し上げるようですが、たとえば夜間の勤務者とかいろいろの職業につきまして区別——あるいは太陽を見ないで働いていらっしゃる方がほかにも非常におられると思います。それに類する問題もいろいろございますので、もちろん検討はさしていただきますが、非常に実現のむずかしい問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/96
-
097・塚田庄平
○塚田委員 これまた太陽を見ないと言えば、すぐ夜と言うのだからどうにもならぬですね。太陽を見ない、確かに夜は太陽は出ないのですが、坑内勤務者というのは、非常に高温あるいはまた多湿、そして爆発の危険にさらされながら太陽を見ないで——これはあと労働大臣に聞くのですが、三交代という、いやな三番方ということばがあるでしょう。そういう労働の中で生活しているのです。だから、太陽を見ないから夜間勤務者なんということでは、それは観念が違うのじゃないかと思うのです。そういう答弁は承服できないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/97
-
098・伊豫田敏雄
○伊豫田説明員 お答えいたします。
実は、夜間労働者の問題を申し上げましたのは、今回の税制改正の要望のときに、交代勤務者について全く同じような問題が出まして、議論をいたしたことがございます関係でただいま申し上げたので、坑内である、それに対して夜間とこう申し上げたわけではございません。
おっしゃるとおり、労働条件の悪いことはよくわかっておりますが、できれば、基本的には給与の支給面で考慮していただくことを第一、なお、税においても十分検討さしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/98
-
099・塚田庄平
○塚田委員 賃金のかさ上げについて検討してくれと言ったけれども、労働大臣は、それは労使の問題だ。いま政府でやり得る最大のことは、税金をまけるということぐらいしかできないのじゃないですか。それしかできないのじゃないですか。いま政府がそういう労働条件についてやれるものといったら、私は、年金を上げるか、あるいは税金を下げるか、あるいは失保についても特別な措置をするか、そういうことしかできないでしょう、政府の責任でやれることは。そういう逃げ口上じゃなくて、その面についてひとつ十分、前向きで検討する、こういう態度でなければならぬと思うのですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/99
-
100・伊豫田敏雄
○伊豫田説明員 やはり税全般のバランスを考えまして、検討さしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/100
-
101・塚田庄平
○塚田委員 まあこれはいずれ大蔵委員会あたりで取り上げてやりたいと思います。
いまちょっと夜間勤務の話が出ましたが、大臣、ILOから週四十時間の勧告が出ておるのですけれども、これを早急に実施させるという腹がまえと見ていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/101
-
102・大坪健一郎
○大坪政府委員 ILOの週四十時間の労働時間の勧告でございますけれども、労働時間の勧告は、これは一国の労働政策としてそういう形をとるのが望ましいという勧告でございますから、もちろん、それを基準にして労使間で問題を十分煮詰めるということが大前提であろうかと存じます。
私どもとしても、ILOの勧告を行政的にどう取り入れるかということは検討いたしておりますけれども、週四十時間にいきなり現状から近づくというのはなかなかむずかしい問題でございますので、なお検討の時間をかしていただきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/102
-
103・塚田庄平
○塚田委員 これはまあ十分ひとつ検討してもらいたいと思います。検討を基本的にしてもらう。大臣どうですか、三番方夜勤についての勤務時間というものについて考慮する、少なくともいま、そういう考え方はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/103
-
104・長谷川峻
○長谷川国務大臣 ILO問題については、この国会でも、労働省としては、労務災害、通勤途上の災害等々で条約について御批准をお願いするようなかっこうにしておりますが、全般的にここまで伸びてきた日本でございますから、国際的なレベルでものを考えよう、そういうふうな心がまえでございますが、いま具体的におっしゃった三番方の問題等々については、私自身がいままで研究もしておりませんので、いまのような気持ちで問題を一ぺん研究してみたい、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/104
-
105・塚田庄平
○塚田委員 どうも、やはり石炭あるいは石炭と取り組んでおる労働者あるいは産炭地における人たちの生活状況というものを十分つかんでないと私は思うのですね。三番方はわかりませんでは、これは炭鉱わからぬと同じではないですか。そういうことではならぬと私は思うのですね。
そこで、これは石炭部のほうに聞きますが、四番目、たいへん技術的な問題になりますけれども、だんだんと炭鉱は深部に移行していきます。これからおそらくいろいろな計画を実施するにおいても、この辺がたいへんだと思うのです。深部に移行するということは、フィールドの展開がたいへんおくれてくるということで、たとえば七百、八百のレベルで採炭するにしても、まだ前進方式をとらなければならぬというような事態もあるわけですね。これは保安上たいへんな問題だと思うのですよ。そこで、これから炭鉱を見直していくためには、この掘進のやり方、掘進のおくれ、これを一体どう解決していくか。いま出ておる予算の程度であっては、これはそういう大改革というのはできないと思うのですけれども、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/105
-
106・高木俊介
○高木(俊)政府委員 石炭鉱山が年々深くなっていくことは、いま先生御指摘のとおりでございまして、これには保安上の問題もございますし、特に原料炭山でございますと、ガス突出とかそういう大きな問題がございます。なお、深部に入るということによりまして、地圧の増加あるいは作業個所における温度上昇、そういう点多々ございますので、これらを防止するために、四十三年度から本年度まででございますけれども、大きい項目で分けますと、いわゆるガス突出対策あるいは山はね対策あるいは高温対策ということで、約八千万の金を石炭技研に突っ込みまして、いろいろそういう防止対策を実施しているのが現状でございます。
なお、昨年十二月でございますけれども、今後石炭を維持するという見地からいきますと、いまの山をぜひ生きてもらわなくてはならぬという一つの大きな命題がございます。と同時に、山そのものは深部に移るという点がございますので、その点をもう少し具体的に研究してもらおうということで、これは鉱山保安のほうの関係になりますけれども、立地公害局のほうの石炭課のほうに深部開発委員会というのを設けまして、これは早稲田大学の房村先生を中心にしていただきまして、いろいろ検討を重ねておるのが現状でございます。
なお、深部に関しますいわゆる骨格構造の整備という点では、先ほどもお答えいたしましたけれども、骨格構造のいわゆる整備拡充補助金を本年度は増額いたしておりますし、なおそういう研究等まちまして、片一方では、例の安定補給金でございますけれども一応傾斜配分ということで、できるだけ企業の基盤ができますように、いろいろな小さなところまで行き届いた対策を立てているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/106
-
107・塚田庄平
○塚田委員 時間もありませんからこれで終わりますが、いま小さなところまでいろいろ注意してというような答弁がありましたが、確かにいろいろ新規のものも出ておりますが、全体的に非常に予算も不足で、相当長期間かからなければならぬ状態になってきていると思うのですよ。いまやはり、保安の問題とかもうこれ以上山を殺してはならないという面については、急いだ手を打たなければ、つまりどっと予算を組み入れなければこれは生きてこないと思うのですね。そういう点でひとつ十分御配慮願いたいと思うのです。
最後に大臣、非常にくどい話になりますが、炭鉱は、戦時中、戦後の復興期、昭和三十五年十二月ですか所得倍増が出てからのあれと、とにかく激変、激変、激変にほんろうさせられてきたというのが炭鉱であり、炭鉱の労働者だと思うのですよ。そこで、私はこの際、激変に対処するということもさることながら、やっぱり石炭の基本的な位置づけというものをはっきり見直していくということ、これは通産大臣、そういう心がまえでひとつぶつかってもらいたいと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/107
-
108・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 冒頭に申し上げましたように、石炭の使命は私は非常に重要であると思っております。それはナショナルセキュリティーというものの比重が強くなってきたからでございます。したがいまして、国民経済上並びに国民生活上の観点から基本的に洗い直してみまして、適切なる対策を講じていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/108
-
109・田代文久
○田代委員長 多田光雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/109
-
110・多田光雄
○多田委員 きょうは通産大臣、労働大臣お二人見えておられますので、私、時間もございませんし、ごく基本的な問題について何点かお伺いしておきたい、こう思います。
前回の当委員会の通産大臣の石炭対策に関する所信表明、それから今国会の予算委員会における田中総理、通産大臣の——エネルギー問題、石炭対策について政府のお考えを述べておられましたけれども、きょうも通産大臣は、根本的に改める云々というようなお話もございました。それにもかかわらず、日本の国民、炭鉱労働者、炭鉱関係者、この人たちは政府のエネルギー政策に満幅の信頼をまだ持っていないし、とりわけ炭鉱関係者は、ほんとうに石炭が見直されるのか、こういう不安を拭い切れないわけです。これは先般、私、通産大臣の職場の労働組合の方々や合理化事業団の若い方々の話を聞きましたけれども、やっぱり政府が根本的に石炭を見直すという姿勢がない限り、将来にわたって仕事をやる上でも安心感がない、こう述べておられました。私は、もっともな意見だ、こういうふうに思っております。
そこでひとつお伺いしたいことは、第一に、この間の御発言あるいは予算委員会でもこういうふうに述べておりますね。可及的すみやかに総合エネルギー政策の検討に着手する、あるいはまた、石炭についてはエネルギーの安全保障の見地から国内炭の最大限の活用をはかりたい、こういうことを強調しておられるわけですが、政府として、今回、総合エネルギー調査会に研究をゆだねようとしている総合エネルギー政策並びに石炭政策の基本を、どのような観点から諮問されたのか、これについてひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/110
-
111・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 総合エネルギー調査会に対する諮問は、「今後の総合エネルギー政策の進め方について」という検討内容でありまして、一つは、エネルギー供給をめぐる内外情勢の変化——国内情勢の変化、国際情勢の変化、第二に、各エネルギーの位置づけ、昭和五十五年度、六十年度における一次エネルギーの供給可能量、これは価格、立地可能性、技術開発の評価が入っております。それから、各エネルギーについての主要な問題点及び方向づけ、たとえばセキュリティー、価格、環境問題との関連性、それから国内エネルギー、非石油エネルギー、無公害エネルギー等の優先的開発利用、新エネルギー技術開発等エネルギー関係投資のあり方、それから当面する輸入石油依存との関連で国際エネルギー政策のあり方等の検討、こういうようなことをやって、その中に、石炭については、石炭の評価、これは国内炭、輸入炭、一般炭、原料炭等、それから石炭火力の問題石炭のガス化、液化の問題、石炭対策の方向の問題、こういう点を主としてやっておるわけであります。
それで、この総合エネルギー調査会の審議と並行して、石炭鉱業審議会におきましてもいろいろ検討願うことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/111
-
112・多田光雄
○多田委員 その長期的な見通しというのは、大体どれぐらいの期限を持ったものとして大臣はお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/112
-
113・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 一年以内に答申してほしいと言っていますが、重要な問題で急ぐ問題については半年以内にお願いしたい、六月までにお願いいたしたい、そう言ってあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/113
-
114・多田光雄
○多田委員 ちょっと私のお話のしかたが悪かったのですが、これから立てられる政府のエネルギー政策は、どれぐらいの期間的な展望を持たれて立てようとお考えですか。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/114
-
115・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これはいまここで読みましたように、昭和五十五年度、六十年度における一次エネルギーの供給可能量、そういうものをまず出してみて、それに対するいろいろな評価、関係というものを諮問しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/115
-
116・多田光雄
○多田委員 そうすると、昭和五十五年度それから六十年度、その辺に一つの目安を置いて諮問なされた、そういうように理解しておきます。
そこで、実は政府は、三十年代以来、一次−五次政策の各対策を立ててこられて、大体四年なり五年なりの締めをもって計画を立ててこられたのですが、ほとんどこれが目標未達成、そしてまた二年、三年、その程度でこれが変わってきているわけです。文字通り、これはネコの目のように石炭政策は変わってきているのですが、この根本原因を、為政者の中心に立つ通産大臣としてどこに一体その原因があったというようにお思いになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/116
-
117・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは、やはり一九六〇年代に非常に安い石油が各地に出てまいりまして、それが非常に大きな世界的な経済エレメントとして影響を与えてきた。その影響を日本は一番もろに受けた、そういうことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/117
-
118・多田光雄
○多田委員 いま大臣のお話されたことは、予算委員会でも、その前、私が当委員会で質問した場合でも伺っているわけです。もう一つおさらいのようなことを言えば、安い石油が入ってきた、そしてまた臨海地帯に大型の船を入れた、そこで安い原料で安い品物をつくって海外に送った、そしてドルをため込んできた、そこにひずみが生まれたんだ、こういうことなんですね。これは雨が降ったら地面がぬれるというようなことばとあまり変わりがない、問題の本質を突いた御発言ではないように私は思っているわけです。
私がお伺いしたいことは、日本だけが特にそういう顕著な変化があったということですが、私もその点は一般的に賛成であります。たとえば、石油が安かったということは、日本だけではなくして、これは欧米においても同じようなものであったろう、こういうように思うのです。しかしながら、たとえば石炭についていえば、イギリス、西ドイツにしても、まだ日本の数倍の石炭を掘っている。こう申し上げますと、技術屋の中では、条件がよかったからというふうなことも述べられる方もおりますし、それからまた、田中総理は、日本とヨーロッパの違いは、ヨーロッパには一社があって、そして石油もやる、石炭もやる、他の企業もやるからだと、こういうふうに言われておったわけです。それは一つの条件だろうと私は思うのです。しかし、やはり大事なことば、もう一歩突っ込んでこの問題をえぐっていかなければ、かりにいま中期、長期の政策がつくられてみても、私は、二の舞いを踏むのではないかという不安を持つのです。この不安は、冒頭申し上げました石炭関係者、日本の国民もそうだろうと思います。ですから、なぜ日本にそういう片寄ったエネルギー政策——片寄ったといいますのは、石油に七四%まで比重がかかって、大事な資源が投げ捨てられていった、こういう意味での片寄ったということですけれども、その根本は一体何でしょうか。おわかりになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/118
-
119・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 やはり経済政策というものが非常に大きな要素を占めておるだろうと思うのです。これは、国際比価論といいますか、各国がみんなおのおのの資源を持って、またいろいろな自然的条件、立地条件を持って、その中で国際競争をやっておる。そういう中で石炭ば豊富で安いものをかなり持っておる国と、比較的貧鉱というべきものしか持ってない国と、それから大陸の国と島国の国と、そういうようないろいろな自然的条件、経済的条件が違うので、経済プランナーがそういう国際競争力その他も考えてみて、その国の経済政策の基本の立て方が違ってきている、そういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/119
-
120・多田光雄
○多田委員 政策を語る場合、これは当然、大臣、いわゆる政治的な意味のポリシーというものがあるでしょうし、経済政策というものもあるだろうこう思うのです。再三、政府側の意見を伺っていますと、やはり経済的な条件、特に炭鉱、石炭について見ますと、コスト問題そこに力点を置かれてお話されているし、それからまた、予算委員会での通産大臣の御発言も、資源とそれからコストの問題、ここに力点を置いて言われているのです。私はその点はわからぬわけじゃありません。もちろんコストの問題を無視して、産業、経済政策を語ることはできないと思います。ただ、為政者として、政治家として、そしてほんとうの意味でのポリシーとして、今日の事態を招いた根本の問題を、政治のどこに問題があったのかということをえぐって、お話なさらないと、日本は自然条件がよくなかった、そして石油に、固体エネルギーから流体エネルギーに変わったのだという、いわばそういうことの御説明では、ほんとうの政治としての反省もございませんし、そしてまた、これからエネルギー調査会に御諮問される場合であっても、この点が反省点であるということが為政者の口から出なければ、私は、エネルギー調査会の答申というものも、幾らか変化があったとしても、あまりかわりばえのないものになるのではないか、こういう不安を持つわけです。
ですから、私の申し上げたいことは、つまり、通産大臣を含めて、どこに政治の上で改善すべき点があったのか、どこに問題点があったのか、この点を伺っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/120
-
121・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 やはりコストエフェクティブネスということを基本にし過ぎて、そのために公害問題とかあるいはエネルギー問題について今日の問題を惹起してきた、そういう点をわれわれは考えなければならぬと思っております。しかし、コストエフェクティブネスを無視して経済政策や経済構造というものが完全にできるはずはありません。また、一億の人口を養い得るはずもありません。日本のように資源がなくして加工貿易で生きていくという国から見れば、やはり国際比価、国際競争力というものは経済政策をやる上に当然考うべきものなのでありまして、そういう点において政策の基本が間違っていたとは私は思いません。しかし、いまのような二つの問題がこういうふうに現出してきたところを見ると、調整を要する、そういう段階であると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/121
-
122・多田光雄
○多田委員 繰り返し申しますが、私もコスト問題を抜きにして論じようと思っているわけじゃありません。しかし、そこに主要な力点が移ってきたのじゃないか、つまり総理大臣は、この間の予算委員会で中島委員の質問に対して、こう言っているのですね。あまり経済性を強調したあまり長期性を失った、総合性を失った、これは正確ではございませんが、そういう意味の御発言を、きょういまも読んでみましたけれども、やっておられると思うのですが、私は、その言は正しいというふうに思うのですね。たとえば、昭和三十七年に石油業法ができた。石油業法の内容はるる申し上げるまでもないと思うのですが、そしてこの年、いわゆる炭価の千二百円の引き下げがやられたんですね。この一次、二次、三次、四次、ずっと見てみますと、私は率直に言って、日本の石炭政策というのはこれはユーザーの立場、つまりもう少しはっきり言えば、主要なユーザーである鉄鋼それから電力がどうやって高度経済成長のもとで生き抜いていくか、ここに視点を合わせた石炭政策であった。そしてまた、実際に総合エネルギー調査会に御参加をされている委員の方々を見ても、やはり経済性というものを強調する方々が大体中心になっておられる。だから、私の知る技術屋が、もっと技術家やあるいは第三者を入れて日本の長期エネルギー政策を検討することができないのか、ということを私は最近伺っていますが、これは正当な御発言だというふうに伺っているわけです。
ですから、石油が安くなれば石油に飛びついていく、そしておっしゃるような高度経済成長を遂げてきたわけですね。しかしそのことは、実は前から言っている国家百年の大計といいますか、そこに私はこの問題がひそんでいた。そういう意味で、資源がないというふうにおっしゃるんですが、終戦直後のことをお考えになっていただきたい。石炭と水力。油はあまりなかった。それであの困難を乗り切ってきているわけです。私は、日本に石油がないのに石油を一滴も入れるななどというばかなことを言った覚えもなければ言おうとしているのでもないのです。ないものはこれは平等互恵の立場で各国から買わなくちゃなりません。しかし、一番大事なことは、日本のこの資源を最大限度に活用していく。あるときは若干コストに合わないときもあるでしょう。この立場がほんとうに貫かれたのかどうなのか、ここをいま一度私は大臣にお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/122
-
123・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 終戦直後のときは、石油もこんなに安くないし、大量にまだ見つかっていなかったときで、マッカーサー司令部の政策で日本に石油をそういうふうに供給するということも制限されておった時代ですから、ある程度やむを得ず国内炭の活用ということで傾斜生産をやってあの時局を切り抜けた。ほかに世界から供給されてくるエネルギーがあまりなかったからであります。これは世界じゅうがそういうふうな貧乏な状態であったから、日本も傾斜生産方式をとって、われわれも石炭国管を推進してやった一人であります。今日はまた、それと全く条件が変わってきておるのであって、あの終戦直後の状態をそのまま今日やれといったって、それは無理な話であります。やはり日本の国の構造的あり方というものを考えますと、貿易加工で生きていく国なのでありまして、そういう貿易加工で生きていくという宿命を考えてみますと、国際競争力というものを無視して一億の人間の食糧を買い、あるいはそのほかの必要な資材を買うということはできないわけであります。そういう一番政策のメーンカレントになるポイントは、私はそう間違っていたとは思わないのです。ただ、それに熱中し過ぎたあまり、公害問題とかあるいはセキュリティーという問題について考うべき問題が現出してきた。これは今日反省して調整を要するということなのであって、コストエフェクティブネスを捨ててものが成立するというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/123
-
124・多田光雄
○多田委員 私どもが心配していますのは、石油だけではないんです。これも当委員会で述べて、そしてまた、さきの予算委員会の一般質問でも多くの野党の方が述べられ、与党ですらも心配しておられる食糧の問題一つにしてもそうじゃございませんか。今日、カロリー当たり半分程度の自給率になってしまったんです。だから、まあ石油でよかった、食糧であったらどうなったろうかという不安は、これは皆さんがお考えになるより以上に国民の中にその不安が深くわだかまっているのです。それじゃ日本に、たとえば大豆その他について一〇〇%とは言わない、しかしながら外国がたとえばこの大豆にしても輸出を調整してくるという場合に、最小限度に食いとめていく、自給率を高めていく、これこそが政治家にとって——一般的に言っているのじゃありません。日本の国民が将来を託する政策、これをとる者が考えることではないか、こう思うのです。ですから、いま多くの国民やあるいはまた石炭関係の人がサンシャイン計画を立てました。あるいはまた、二百五十万トンを下らず、こうおっしゃっても、炭鉱労働者が増産に応ずることができない。あるいはまた国民が、一体政府のエネルギー政策はどっち向いているんだろうか、この不安を持つのは、貧しくても、不十分でも、自国のエネルギーに立脚してそれをベストに使っていく、そうしてそれをたとえば土台にしながら日本のエネルギー政策を立てていくという、この自立というか自活というか、あるいは自給度を高めていくというか、この基本姿勢に立たないところに、国民が今日の政府のエネルギー政策になお多くの不安を持っている理由の一つがあるのです。
そういう意味で、せっかくいま政府が二百五十万トンを下らずという一定の手直しをされたこと、これ自体として私は反対するものではございませんが、そういう意味で大臣、どうでしょうか、国内の石炭、水力というものをただ図面の上で、将来何年後には油がどれだけ入るという、こういう計画だけではなくして、一%、二%、三%でも、日本の水力や石炭の自給度を高めていく、国民これに協力してもらいたい、もしそう訴えるならば、日本の国民は私は納得できるだろうと思うのですが、どうでしょう、大臣、石炭の自給度を高めるという方向で総合エネルギー調査会やこれからの政策をお立てになるのかどうなのか、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/124
-
125・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 水力や石炭を活用するという方向にできるだけ進んでいきたいと思います。そのためには、ダムをつくるということも必要でありましょう。また水力発電をやることも必要でございましょう。石炭火力を増設することも必要でございましょう。どうぞ、そういう点についてはぜひ御協力願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/125
-
126・多田光雄
○多田委員 いや、私の伺っているのは、石炭専焼火力発電をつくるとか、そういうことではない。もっと基本について伺っているのです。つまり、日本の持っている国民的な資産である石炭、水力を全力をあげて自給度を高めていくという方向でエネルギー政策をお立てになるのかどうなのか、そのことを伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/126
-
127・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 用途を見つけなければ自給力を高めてもできないことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/127
-
128・多田光雄
○多田委員 それは逆なんですよ。そこで用途というのはユーザーでございましょう。五次答申のときにユーザーの集計したのは千五百万トンと聞いております。つまりユーザーというのは、今日の日本で最大のユーザーは鉄鋼と電力でございましょう。そのほか、最近このエネルギー危機の中でセメントその他で若干石炭を使うようになりました。そういうものの余波を受けて政府が手直ししているということも、私は否定しているのじゃありません。問題は基本姿勢。今度のエネルギーの危機の問題から、あるいは食糧の問題でも同じでございます、国内の資源を自活さしていく、自立さしていく、自給度を高めていくというこの基本的な政治姿勢の上に立たれるのか。ということは、自給度を高めていく方向に努力されるというのかどうなのか、この一点を聞いているのです。そうすればユーザーに対してももっとアプローチのしかたが違ってくると思う。今日、電力、鉄鋼をはじめとして大商社その他が、もうけのためにはどういうことをやったかというのは天下周知の事実ですよ。その本質が変わったのか。私は、きょうの参考人の話を間接に伺っていても、彼らの経済姿勢が根本的に変わったというふうには理解していない、お話のついでに申し上げますけれども。大事なのはそこではないかということなんです。私どもは、いま五千万トンの石炭が一、二年後に掘れるなんて夢にも思っておりません。二年後に四千万トン掘れるということは、これは技術的に困難なことでしょう。しかしながら、このエネルギーの問題で、石油の問題については非常にお悩みのようでございます。どこに悩みの根源があるのか。メジャーを通じて中近東から八〇%買っている。日本のエネルギーの大半は外国依存である。そのメジャーは、とうの昔に他国の炭田その他を買いあさっている。つまり、あちらまかせなんです。ないものはやむを得ないとおっしゃればそうでしょうけれども。そして中近東の情勢は、大臣も御承知のとおり、きわめて流動的です。歴史の流れの発展としては、民族自決の運動は、これは押えることのできない力で前進していくでしょう。量、価格の問題これはもっと深刻なパンチを受けないという保証は一つもないのです。そういう中で、いま国民も為政者も、特に為政者が真剣に考えなくちゃならないことは、その日本の資源をフルに活用していく。コストの問題も出てきます。政府もいままで電力や鉄鋼のために一定の金を出してきました。ですから私どもは、そういう方向で国民に訴えるならば、国民も納得できる面があるのですよ。だから、そういうことにお立ちになるのかどうなのか、このことを今度のエネルギー危機の問題から私は反省点の一つとして訴えているわけだし、またお伺いしているのですが、再度その点について、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/128
-
129・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 私は実際家で、行政を担当しているものですから、エネルギーをつくっても何に使うか、方向や目標がない場合には使ってもむだになります。結局一体化してそういう計画は進めなければならぬのであって、そういう意味で、ダムをつくるにせよ、石炭火力をつくるにせよ、そういう点で御協力願えなければ、いたずらにエネルギーをつくったってむだになってしまう、そういう使用の方途についても御協力願いたいと申しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/129
-
130・多田光雄
○多田委員 それから、先ほど日本の石炭はメジャーであろうが、だれであろうが、掘ったらいいのではないかというふうに大臣はおっしゃいました。「中曽根国務大臣「そんなことは言いませんよ。」と呼ぶ)メジャーであれというふうにおっしゃっておりませんか。これはあとで速記録を見てみましょう。そういうことをおっしゃったじゃありませんか。(中曽根国務大臣「まるっきり逆だ。」と呼ぶ)それじゃ、それはどういう意味だったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/130
-
131・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 日本の石炭を保護するために、たとえメジャーであろうが、国内業者であろうが、かってに入れてくるということは許しませんと、そういうことを言ったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/131
-
132・多田光雄
○多田委員 そうですか。じゃ、それは取り消します。
そこで大臣にもう一つお伺いしたいわけですが、長期計画を立てる場合の基本姿勢について大臣からいまお話がありました。しかし、この長期計画をつくる場合に、総合エネルギー調査会にかけておられるわけですが、この総合エネルギー調査会のメンバーをひとつ見てみましょう。業界の代表が、半分以上入っているわけであります。そういう意味で、ほんとうの長期計画を立てるために、それにふさわしい、そして国民の期待にこたえるようなエネルギー調査会につくり変えていく、こういうことをお考えになっておられるかどうか、ひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/132
-
133・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 エネルギーに関係する諸分野の方々が入っておるので、学者も入っておれば、評論家も入っておる。必ずしもいわゆる財界人とかなんとかに類する者だけではございません。メンバーをごらんになればわかっていただけると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/133
-
134・多田光雄
○多田委員 それでは次の問題に移りたいと思うのです。
それは、二月八日の総括質問で、中島質問に対して、昭和三十一年に通産省の炭量調査での実収炭量は三十一億八千万トンと算定して、昭和四十六年度における経済性を加味した炭量を五億九千万トンとされておりますけれども、その経済的根拠として生産原価をトン当たり九千円として積算しておりますが、この積算は何を基礎としたのかということ。
それからいま一つは、当時、これは御答弁でも、生産原価は四千五百円であった、こう言っておりますね。それが二倍の九千円、これを経済的炭量として積算しているわけですが、これは一体何年を目標として九千円という炭価を立てられたのか、あるいはその積算の根拠、これをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/134
-
135・高木俊介
○高木(俊)政府委員 当時四千五百円のコストというのは、中には三千円あるいは二千数百円で掘れる山もございました。また半面、当時から五千円、六千円というコストで掘るところもあったわけでございますけれども、一応平均値というのは四千五百円でございましたので、四千五百円から五百円刻みで一応九千円までのコストを試算し、その九千円までのコストで掘れる炭が五億九千万トンということでございます。それで、当時の生きていた山、二十三炭鉱、二十一の大手と新鉱二炭鉱、二十三炭鉱の当時の骨格構造から見まして九千円までで掘れるという炭量を計算したわけでございます。何年先に九千円になるとかあるいは何年先に六千円になるとかいう計算ではございませんで、一時点を区切っての試算、四十六年の十一月ごろだったと思いますけれども、その時点における九千円で掘れる炭量はどこまであるかあるいは七千円までで掘れる炭量は幾らあるかということで試算しておりますので、九千円が将来の何年時点を予想してのコストかという試算ではございません。
それから二百二億トンという数字、これは通産省のほうで出しております。これは埋蔵炭量調査の結果でございまして、当時のいわゆる理論値でございます。いまこの数字を直ちに見直す必要はないものと考えます。ただし、二十年を経過いたしました今日でございますので、現有稼行区域以外の新規区域の炭量や終閉山による消滅区域における残炭量というものは、もう一ぺん、いま申し上げましたような経済性をある程度加味いたしまして、幾らのコストならば掘れるかということで見直さなくちゃならぬというふうに考えておりまして、現在合理化事業団及び各企業の現在の骨格構造をベースにいたしまして、二万円までで掘れる炭量は幾らあるのだろうかと、これは一応二万円というのもただ単に置いただけでございまして、いつが二万円になるとかいつが一万円となるとかいうことを前提にしたコスト目標ではございません。ただコスト別に、幾らの金額ならば幾らの量が把握できるかということを見直す作業をいま実施しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/135
-
136・多田光雄
○多田委員 それでは聞きますけれども、当時四千五百円でしたね。四千五百円でその採算に合う実収炭量というのは幾らだったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/136
-
137・高木俊介
○高木(俊)政府委員 いまここに資料を持ち合わしておりませんので、幾らということはちょっと数字は申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/137
-
138・多田光雄
○多田委員 量は多かったですか、少なかったですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/138
-
139・高木俊介
○高木(俊)政府委員 ちょっと記憶はしておりませんけれども、資料を持ってきておりませんので、申しわけございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/139
-
140・多田光雄
○多田委員 この間の予算委員会で、通産大臣はこういうふうなことを述べていますね。「この経済性を加味したというものは、客観条件によっていつでも動くものでありますから、この量をできるだけ多くできるように私たちも努力していきたい、」こういうふうに述べておられるわけです。それからこの五億九千万トン、これは九千円で炭価を計算して九千円で間に合う炭鉱、しかもこれはビルド鉱ですね、当時存在していた。これも存在していた炭鉱と言っております。ここではじいたものだ、こう言っているのですね。つまり五億九千万トンというのは九千円を基礎にした炭量であるということですね。同時に、経済性は客観的条件で変化するものだという、これは通産大臣の御答弁でございました。これは三段論法で言うわけじゃありませんが、そうすると結論というのは、経済炭量というのは客観的な条件で変化するものだということにこれはなってしまうのですね。こういうように理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/140
-
141・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 そう思います。やはり対抗エネルギーの値段というものが、経済採算というものを企業の上で行なっていくとすれば、当然影響は出てくるのでありまして、そのときの経済性のある可採量というものは当然対抗エネルギーにも影響されて、可採量というものは上がったり下がったりするものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/141
-
142・多田光雄
○多田委員 二つの問題があるのです。一つは私も前回質問したとき、政府側からこういう答弁を聞きました。多くの国民は二百二億トンという、これは三十年代の初めに調査されたもので、これは一応動かないとしてもよろしいでしょう。それから実収炭量が三十一億トン、それから経済炭量が五億九千万トン。多くの国民の受けるのは、掘れる石炭は五億九千万トンしかないというこの考えなんです。ここに落とし穴がある。これはそのとき生きていた山の炭量なんです。しかもいま大臣がおっしゃったように、客観条件によって経済炭量は変わってくるわけであります。私がコストの問題よりも言うのはそこのことなんです。だから、率直に言って、実収炭量が三十一億トンある。また一部の研究者に言わせれば、安全率と実収率をかけて、もし二百二億トンとするならば、六十億トン前後がまだ掘れるのではないか、こう言う研究者も少なくないのです。そうすると、大体掘れる石炭というのは政府の言っておられる三十一億トンから六十億トン、こうなるわけです。どこに線を引くかは、まだこれは調査をしなくちゃなりませんでしょう。だから五億九千万トンというのは九千円という原価ではじいた、つまりコストではじいた炭量なんだ、このことがはっきりしてきた。そうすると、われわれは掘れる石炭はまだ相当にあるということです。このことを予算委員会やきょう大臣の御答弁によって国民の前にはっきりされたということは、一つは国民にとって石炭を見直す上で非常に明るい展望を与えるものだ、私はそういうふうに思うわけでございます。
それから、この問題でもう一つ伺いたいのですが、政府の買い上げた閉山鉱、これは一体何億トンございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/142
-
143・高木俊介
○高木(俊)政府委員 六十二億トンでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/143
-
144・多田光雄
○多田委員 この六十二億トンというのは、これは国、つまり国民の税金で閉山交付金その他でまあいわば買い上げたものであり、これは国の財産ということになるわけですが、この六十二億トンとそれから五億九千万トン、これはどういう関係になるのでしょう。つまり五億九千万トンは、この六十二億トンに含まれるのか含まれてないのか、一部ダブっているのか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/144
-
145・高木俊介
○高木(俊)政府委員 六十二億トンと申し上げますのは、いわゆる閉山した山の炭量でございまして、先生御指摘のように評価して買い上げた炭量でございます。規模としては約六千万トンの炭鉱を買い上げたということになると思いますけれども、その六千万トンに見合う山の炭量が、評価の対象になった炭量が六十二億トンということでございます。
なお、五億九千万トンと申しますのは、当時生きていた二十三炭鉱の炭量でございまして、その後五炭鉱が閉山しております。五炭鉱の炭量が、当時の五億九千万トンに当たる炭量は約三千万トンでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/145
-
146・多田光雄
○多田委員 先ほどもちょっと話が出ましたけれども、当時経済性に合わないということで常磐の炭鉱を閉山いたしました。それがいま再開届けが出ているわけです。私はこの中にも、コストというものが客観条件によって変わる、あるいは鉱区というものが変わるという、このことをはっきり示しているというふうに思うのですね。これをお認めになりますか。つまり認可されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/146
-
147・高木俊介
○高木(俊)政府委員 常磐のほうは鉱区調整によって認可する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/147
-
148・多田光雄
○多田委員 一事が万事というふうに、万事これを引き延ばすということはかなり適切でないと思うのですが、私の調べたところによっても、相当閉山したり、あるいは廃山した山、ここで鉱区調整その他をすればまだ膨大な石炭が掘れるということは、これは多くの技術者が認めているところなんです。つまり、客観条件が変わってきた。石油危機が来たのだ。それで石油が値段が高くなった。思うようにこれは手に入らなくなったという段階では、殺された山が生きてくるのですよ。採算性に見合わなかったものが採算に見合ってくるのです。なぜなら、業者は採算に乗らなかったら絶対掘らないからです。あっても掘らないからです。こんなことは企業のやり口を知っているものだったら、中学生でもわかることなんです。私がさっきポリシーが大事だと言ったのは、大臣、そのことなんです。
かつて石油がとうとうとして入ってきたときに石油業法をつくった。そうして石油のどんどん入ってくる道を開かれた。これが政策だという、政策ないとは言いません、これが政策である。そうして当時、高度経済成長の入り口ですね、鉄鋼、ガス、電力、これらをどう安くやらせるかということで炭価の引き下げ、ここから石炭の後退が始まり、あわせて炭鉱がどんどんつぶれていったのです。まさに政策なんです。経済の動向だけで引っぱられているのだったらば、大臣は要らないのです。日経連か経団連の会長を大臣か通産大臣にしたほうがはるかにましなんです。なぜなら石油の輸入量だってわかっているのだから、そこを押えて日本のエネルギー政策のかじをとるというのが、これがポリシーなんです、ほんとうの意味での。これは大臣とはなかなかかみ合いませんので、これ以上この問題についての論議を進めていくことをやめたい、こういうふうに思います。
そこで、いまセメント業界でも石炭の使用者がふえてきていますね。去年ですか、東ガスでも石炭の設備をつくってくれというのが出ています。政府もまた今度北海道にですか、石炭専焼の火力発電所を二つつくるということも予算も組まれているようです。私はこの方向を大きく一歩前進させる必要があるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。したがって、総合エネルギー調査会に諮問されるときも、そういう積極的な立場、つまり一般的にこれをどう位置づけるかということになれば——総合エネルギー調査会にいる人は半分以上は大企業の代表です。そして、先ほど大臣はニューオーダーをつくらなければならぬ、産業構造を変えなければならぬとおっしゃったが、経済界には簡単に産業構造を変えるなどと考える人はだれもおらぬでしょう。私は、国家百年の大計というのは最もすぐれた政治の分野だと思っている。そうすれば、エネルギー調査会に対して、もっと自国資源を見直すような立場で検討してもらいたい、こういう諮問にあたっての政府の立場を述べられるというのが至当だろうと思うのですが、そういうこともおやりにならなかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/148
-
149・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 やっております。セキュリティーの問題というのはそういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/149
-
150・多田光雄
○多田委員 大臣はセキュリティーということばを使われるのですが、セキュリティーというのはどういうことでしょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/150
-
151・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 経済的安全保障と申しますか、つまり国産資源を使って、外国資源ばかりに依存して外国側の事情によって国内的変動があまりひどくなるようなことをできるだけ防ごうという、そして国内的な政策によって安定性を持続していこうという政策だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/151
-
152・多田光雄
○多田委員 この間の予算委員会でも、石油よりも石炭、これは発電の場合ですが、幾らか安くなってきたということがありました。そして北海道、九州ではかなり前からこれが安かったのです。これも当委員会で明らかにされていることなんです。つまりコストということからいうならば安くなってきているのですが、どこに障害があるのでしょうか。
それからついでに申し上げますと、原料炭についていえば、強粘結は日本にはないから、これは入れていくということもやむを得ない処置だろうと思うが、最近一般炭の話も出ている。そしてまた、この中間報告にも、外炭を入れなければならぬ。外炭を入れる道は石油と同じ道です。またその繰り返しだと思う。そういう意味で、どこに障害があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/152
-
153・高木俊介
○高木(俊)政府委員 確かに先生がおっしゃいますように、積み地、いわゆる産炭地でございますけれども、産炭地における発電につきましては、石炭のほうが油に比較して安いというのは事実でございます。ただし、産炭地でつくっております発電所は、いわゆる低カロリーの、いままでであるならば捨てられるべき性質であったような炭を産炭地火力として使ってもらうように、需要開拓という面からいったのが北海道の低品位炭の発電所ではなかろうかと思います。今後建設します場合も、低品位炭は、遠くまで持っていきましても、これは輸送費の問題、いろいろございますので、いずれにせよ、産炭地域内に発電所をつくってもらうというのが一番大きな問題ではなかろうか思います。
なお、石炭火力につきましては、そのほかはいじんの問題、あるいは北海道炭につきましてはさほどのことはございませんけれども、九州炭につきましては硫黄の問題もございます。こういう点も、現在、その後の技術開発によりまして脱硫装置が完成し、集じん装置の技術上の問題でも解決できる点がございますので、今後は産炭地においてできるだけ火力発電のほうを建設していただくようにというのが、石炭部としての要望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/153
-
154・多田光雄
○多田委員 一つ伺いたいのですが、閉山した山、六十二億トンございますね。先ほど大臣からこれもできるだけ見直していきたいというふうな話がありましたが、閉山した山についてもう一度厳密な調査を、この場合、会社の一方的な資料だけではなくして、第三者、技術者、これらを含めた調査というものを計画しておられるでしょうか。もしおるとすれば、いつからどのようにしておやりになるのか、ひとつ伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/154
-
155・高木俊介
○高木(俊)政府委員 閉山しました山につきましては、合理化事業団のほうで詳細な資料を持っております。むしろ、合理化事業団にそういう技術委員会みたいなものをつくりまして、事業団で検討していただいたほうがいいという結論のもとに、すでに昨年の末だったと思いますけれども、石炭部のほうから合理化事業団のほうに、いま先生御指摘の六十二億トンの山についての見直しをさせております。ただし、保安上の問題もございますし、閉山したところの山の炭が全部掘れるというわけにはいかぬと思いますけれども、当然保安上の問題あるいはある程度さき申し上げましたコスト的な考えも入れまして、どれぐらいその死んだ山からまた生き返る炭があるかということは、現在指示して作業させておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/155
-
156・多田光雄
○多田委員 そういう指示をしたのはいつされて、いつ結論を得られるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/156
-
157・高木俊介
○高木(俊)政府委員 昨年の十月だったと思います。
結論をいつまでということは、当時言っておりませんので、これはすでにもう作業はやっておりますけれども、総合エネルギー調査会のこともございますので、できるだけ早く結論を出してもらうように、再度事業団のほうには指示する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/157
-
158・多田光雄
○多田委員 これは大臣に伺いたいのですが、その場合ですね、いまの石炭の需給関係からいって、政府が買い上げた、これはまあいえば国民の財産、国有といってもいいでしょう。それを掘らなくちゃならないという事態ができると想定する、想定するというよりも、そういう場合も十分あり得ると思う。その場合、どういう方法でそれの採掘、採炭をおやりになる予定ですか。あるいはそこまで考えておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/158
-
159・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは調査して実態を見て、鉱区調整等の結果もよく把握した上で、検討すべきものであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/159
-
160・多田光雄
○多田委員 政府は、いままで総合的なエネルギーということをあまり口に出しておっしゃいませんでした。しかし、最近特にそれを強調するようになったのですが、私どもはすでに十年前、石油業法が出されたときもそういう立場でこの法律に対して反対したわけであります。そしてまた私どもは、五、六年前から、かりに石炭を国有化しても、あるいは公社化しても、安い石油——当時安かった。これが、日本の市場を半ば独占しているメジャー、あるいはまた日本の石油精製あるいは石油化学、これらの工場に膨大な投資をしてそれを牛耳っているメジャーが、日本の資源をあるいはマーケットをねらってきた場合に、これはなかなか太刀打ちできない、そういう意味で、公社をつくって電力、石炭、原子力、新エネルギー、これらを含めた総合的なエネルギー政策をと訴えてきたわけですが、いまこそ総合エネルギー政策をつくる上にあたっても、大事な問題は、やはり日本の資源をしっかりと愛するというだけならば、通産大臣も、資源を愛することは中島さんに落ちないと言っていましたが、愛するということはだれでもできることです。それを政策化するということが戦いであり、困難な問題なんです。そういう意味で、私はぜひ、日本の石炭あるいは水力、これを最大限に政策化して生かしていくという方向で、総合エネルギー調査会に対しても対処していただきたい。このことを心からひとつお願い申し上げる次第でございます。
次に、二千二百五十万トンを下らずということでございましたが、政府は四十九年度で約四百万トンですか、三百万トンでしたか、閉山の計画を持っておりますね。数字はあとで速記録のほう、正確に入れてください。それから労働省のほうで炭鉱の離職者対策として九千人ですか、この予算を組んでおられるわけですね。そこで伺いたいことは、これは通産省のほうに伺いたいのですが、二百五十万トン、これはいわば増産ですね。これをしていく上にどれだけの労働力が必要になるとお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/160
-
161・高木俊介
○高木(俊)政府委員 二百五十万トンの量でございますけれども、本件に対しましては、渡辺先生からの御質問のときにもお答えいたしましたけれども、例の現有鉱における需要がいまつかないということで、生産を押えておる山がございます。その山における増産と申しますか、そういう点で労働者を特にかかえなくてはならぬということではないと思います。こういう点で約九十万トンの増産は可能であるというふうにうちのほうは見ております。なお、ほか、新鉱関係で当初予定いたしました生産量の一部の増産及び北海道を中心といたします露天掘りの量でございます。露天掘りにつきましては、特に労働者を確保しなくてはならぬという点はないのではなかろうかと思います。一応請負その他において露天掘りが実施されるのが事実でございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/161
-
162・多田光雄
○多田委員 かりに二百五十万トンを掘るとすれば、最低どれだけの労働者が要りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/162
-
163・高木俊介
○高木(俊)政府委員 約二百名から三百名の間ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/163
-
164・多田光雄
○多田委員 二百名から三百名の労働者で、坑内外含めてですよ、二百五十万トンの石炭を掘れますか。能率どれぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/164
-
165・高木俊介
○高木(俊)政府委員 いま申し上げましたのは、いわゆる増産に伴う二百五十万トンでございまして、新たな二百五十万トンの山を開坑するというでんでいった場合の労働者数は、おそらく能率九十トンといたしまして……(多田委員「能率九十トン……」と呼ぶ)七十トンでもよろしゅうございますけれども、ちょっと計算さしていただきますので、申しわけございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/165
-
166・多田光雄
○多田委員 能率その他を試算して、私ども最低これは千名、最低ですよ、必要だろうと思うのです。いま炭鉱労働者の平均年齢はもう四十数歳で、おそらくほかの産業に見られないほどの高年齢になっているのですね。そしてまた炭鉱労働者というのは、一日や二日で掘れるものではございません。一方では新陳代謝が——新陳代謝というよりも、むしろやめるほうが非常に激しくなってきている。一つには、政府の炭鉱政策にいまだに希望が持てないということ。どこかへ行きたいということ。もう一つは、炭鉱の保安条件その他、労働賃金、先ほどお話のあったように、あの一番困難な地下産業の労働者が、他産業に比べて決して高くないどころかむしろ低いという状況。その上へもってきて、保安という生死にかかわる問題を常時二十四時間かかえているという職場。こうしてみれば、政府が五十年、五十一年を目ざして二千二百五十万トンを掘ると言うが、二千万トン下らずという方向で進めてきて、いま二千二百五十万トン掘るといって、一体労働者がほんとうに確保できるでしょうか、いまの条件で。そう思っていらっしゃいますか。どうですか、確信ありますか。これは通産省に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/166
-
167・高木俊介
○高木(俊)政府委員 先ほどの新鉱二百万トンの山をつくるとした場合、能率七十トンとしますと約三千人近い坑内外の労働者が必要になってまいります。さっき二、三百名と申し上げましたのは、露天掘りその他を入れての増産余力のあるところで、増産余力があるところは現在すでにほとんど労働者を確保しておられますので、要りません。そういう点からいいまして二、三百名と申し上げましたけれども、新規の二百万トンの山を開坑するとすれば、能率七十トンとしても三千名弱の労働者が必要になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/167
-
168・多田光雄
○多田委員 私は、昨年の暮れの連合審査でも伺ったときに、いま一番の隘路の一つは労働力だというふうな御回答があって、これに類した質問をしたわけですが、かりにこれから石炭をもっと掘っていくようにユーザーが要求してきたという場合に、この労働力の面から破綻することは火を見るよりもはっきりしているのです。
そういう意味で、私、ひとつ提案を申し上げたいのですが、ことし平和鉱を含めて閉山を予定されている山もあるようです。しかし一方では新鉱計画もあります。そこで、閉山資金あるいは労働省の場合のこの九千名の退職に対する政府からの援助がございますね。私は、これを炭鉱労働者の労働条件の改善であるとか、あるいは新たに就職する者に対する就職支度金、こういう思い切った措置をおとりにならないかどうか。というのは、すでに北海道の道では、ことし千名の炭鉱労働者を新たに採用し、また炭鉱労働者になってもらいたいということで、わずかであっても、一人三万円、四十九年度三千万円の就職支度金の予算を初めて組んだのです。これは御承知だろうと思う。そのように地方自治体は乏しい中で何とかして地場産業を守っていく、炭鉱労働者を何とかして優遇していきたいという立場をとっておるわけですが、こういう思い切った措置をとられないでしょうか。
これとあわせて、九千名の離職者対策のお金と、それから閉山資金は合わせて幾らくらいになりますか。何百くらいになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/168
-
169・佐藤嘉一
○佐藤(嘉)政府委員 現在、来年度予算に計上いたしてございます援護関係の予算額は、約三十億だと承知をいたしております。先生御指摘のように、私どもといたしまして、従来、炭鉱閉山になりました場合に、再び炭鉱に再就職を希望される方につきましては、たとえば再就職奨励金ということで、一年未満で炭鉱に再就職されますれば七十五日分すでに予算で措置をいたしておるわけでございますし、また、来年度も予算審議をわずらわしておるところでございますが、そのような措置をいたしてまいったところでございます。
現実に閉山がないことを私ども期待をいたしておりますが、先生御指摘の労働力確保につきましても、非常に大事な問題でございますので、私どもとしまして、現在の援護措置でとられておりますたとえば移住資金制度、再就職奨励金制度というようなものを活用して、安定機関の総力をあげまして炭鉱へのあっせんに最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
ただ問題は、何と申しましても、炭鉱におきます経営基盤の確立と労働条件の問題もございます。また、保安の確保の問題もございます。こういった経営の基盤の確立、保安の確立につきましては、私どもといたしましても通産省に従来から強くお願いをいたしておる点でございますが、労働省といたしましても、今後さらに努力を続けてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/169
-
170・高木俊介
○高木(俊)政府委員 四十九年度の予算といたしましては、一応百五十万トンという閉山量をベースにいたしまして、七十四億という計算をいたしております。ただし、百五十万トンはおそらく四十九年度には閉山は起きないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/170
-
171・多田光雄
○多田委員 時間も来ましたので。炭鉱労働者はいま春闘で五万七千円ですか、この賃上げを要求しているわけです。賃金というものはもともと労使の関係で決定するという問題でございますが、しかしながら、いま石炭を見直していかなければならない。政府は二千二百五十万トン、これもやがては大きな隘路にぶつかってくることははっきりしている。そうすれば、政府としても炭鉱経営者に対して、幾らの額にしろということはおっしゃれないでしょう。しかし、ほんとうに炭鉱労働者の生活条件改善、労働条件改善、基本的には生活を安定さしていくという意味で、ひとつ積極的な指導あるいは援助というものをやっていただきたい。間違っても、それ以上上げれば炭鉱がつぶれるからというふうなことで変なブレーキをかけないようにしてもらいたいというふうに思います。
きょうの質問で、大臣からは、石炭の自給度を高めていく、水力の自給度を高めていく、こういう問題については最後まで御回答いただけませんでした。この限りにおいては、国民は依然として政府のエネルギー政策に大きな不安を持たざるを得ないし、石油やメジャーに鼻っ先を振り回されるようなエネルギー政策というものに対して、この不安はなくなっていかないだろうというふうに思います。引き続く委員会でこの問題をさらにお伺いしていきたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/171
-
172・田代文久
○田代委員長 鬼木勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/172
-
173・鬼木勝利
○鬼木委員 私が聞こうと思っておるようなことは、大体皆さん方が詳細にわたって大臣の所信をただされましたので、重複する点はなるべく避けたいと思いますが、大体大臣の所信表明につきまして、それを中心に、軸にして私はお尋ねしたいと思うのです。
きょうは、長谷川労働大臣は時間がないから、私はお尋ねしません。後日またゆっくりお尋ねいたします。
いまの失対部長の答弁なんか、すごぶるまずい答弁で、あれであなたは卒業されたつもりで喜んで引き下がられたが、あれは全然なっていない。ああいう答弁ではまずい。ところが、この所信表明を拝見しましたところ、遺憾ながら、中曽根大臣の所信表明も、作文としてはまことにごりっぱです。しかしながら具体性がない。非常に抽象論で、いままでもう言い古されたことをそのまま羅列しておられるようでございます。
中東石油への依存傾向というようなことは、程度の差こそあれ、欧米も同じことで、今回の国内資源の開発あるいは促進という自給体制の強化が強く打ち出されたときに、石炭鉱業審議会から先般中間答申が出ております。それによりますと、中曽根大臣もその中間答申に沿って努力をするんだ、こう言っておられますが、今後のエネルギー危機に備えて石炭の安定的供給拡大をはかる、そのためには、先ほどからずっとお話がありましたように、石炭の長期的意義づけ、位置づけ、ビジョンというものがもう少し正確にはっきりならなければいけないと私は思うのです。鉱業審議会から、二千二百五十万トンだ、大体二千万トンを下らないという最初の答申が、今度は二千二百五十万トンをやるんだ。その位置づけをはっきりさせるんだということを大臣はおっしゃっておるようだが、先ほどからの答弁を聞きますと、すこぶるあいまいだ。ことしは増産を二百五十万トンの予想をしておるんだ。二百五十万トンの増産をするには、新鉱ということになれば三千人の人間が要るんだ。露天掘りをやれば従来ある既設の炭鉱に加えて二、三百人でいいと。すこぶる答弁があいまいであって、労働省と通産省が合議の上、これは二千二百五十万トンははっきり確保できるんだ、そのためにはこれだけの人間は必ずできる。あるいはまた安定補給金は、これだけの人間のためにはこれだけ上げなければならぬ。ただ行き当たりばったりで、一般炭が百円だとか二百円だとか。じゃ、それを上げて足らなければどこから金を持ってくる。先ほどから聞いていると、労働大臣の答弁もすこぶるふざけた答弁だ。魅力があるようにいたせばよろしいと思います——魅力あるようにこのように労働者を優遇いたします、このように予算を組んでおります、このように賃金も上げます、みな喜んで来るようにいたします、こういうような具体性は何にもない。ただ魅力あるようにいたします。そういうことでどうして石炭の位置づけができるか。
これは石炭産業には最もベテランの中曽根大臣、私も常に信頼を申し上げておる中曽根大臣の、的確な明快な、このようにして国内資源の確保、エネルギー政策はこのようにやるんだ、鬼木安心しろ、ひとつそういう点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/173
-
174・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 いろいろ御批判をいただきまして恐縮に存じます。鬼木先生からは引き続いていろいろ御指導をお願いいたしたいと思います。
まず申し上げたいことは、石炭関係の従業員の皆さんにいろいろ御不安、御心配を与えておりまして、まことに恐縮に存じておるところでございますが、自分の感じでは、去年から申し上げておるところでございますが、石油事情の大きな変化もこれあり、石炭の新しい価値づけ、新評価というものはいよいよ出てきたように自分は思うのであります。したがいまして、そういう基本線を心に持ちながら、前向きにこれを推進していく、そういう気がまえをもちまして総合エネルギー調査会にも諮問もいたしましたし、その結果によりまして、第五次答申も含めて基本的に洗い直してみる用意があります。そういうことをまず基本的に申し上げてみたいと思うのであります。
とりあえずは、中間報告をいただきまして、二百五十万トン増量させていただきましたが、これを完遂するために、四十九年度から予算その他の措置につきまして一生懸命やってまいりますが、これは予算をつくる過程において、大体九十万トンはこれこれ、残りはこれこれ、そういう一応の目算を立てて予算をつくったのでございますが、これらにつきましても、的確に計画をさらに固めてまいりまして推進してまいりたいと思うところでございます。
さらに需要につきましても、産炭地火力その他について、かねて申し上げておるところを実行してまいりたいと思っておるのであります。とりあえずは、北海道に優先してまずやり、また九州においても地点その他が解決すればこれも相次いで実行いたしたい、こう思って、需要面におきましても積極的に努力してまいりたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/174
-
175・鬼木勝利
○鬼木委員 大体大臣の御説明を承って、非常に私も明るい見通しはついたのでございますが、これはただ、いま大臣のおっしゃるように、このようにいたします、こういう考えでございますという信念だけではいきませんので、これをあくまで私は具体化していただきたい。そういうこまかい具体化の問題につきましては、あるいは大臣は大まかなことをおきめになるから直接お尋ねしてもどうかと思うのですが、そういう点はひとつ部長や局長連中でよく検討をしてもらいたいと思うのです。
この需給の問題も、あるいは需要確保の問題についても、この答申を見ますというと非常に心配になることは、まあこれは読むと時間がかかりますので読みませんけれども、「国内炭の供給余力」というところに、この答申の四ページに、二千二百五十万トンと、まあこうなると答申してあるのですが、先ほど申したとおりですが、これには、先ほど部長が言ったように露天掘りというようなことも考えられるでしょう、あるいは新鉱ということも考えられるでしょうが、私はもう国内炭の出炭ということには、あるいはもうほとんど余力がないんじゃないか。どんどん新鉱を開発するとか、あるいは先ほどからお話があっておったように、露天掘りでも大々的におやりになるとかいうことをやられないというと、これはなかなか簡単に二百五十万トンの位置づけということが、大臣は非常に自信満々でおっしゃっておるが、私はこれは容易なことじゃないと思うのです。これからまただんだん新たに深部を掘進していくというようなことになると、これはまた鉱害設備なんかも要りますし、これはたいへんだと思う。あるいは、先ほど言った労働力の確保というような問題もあるので、大臣は御自信満々であるが、そういう点はどうですか。ひとつ高木石炭部長、あなたはこれをもう少し数的に、計数上からもう少し納得のいくような説明をしてみてください、二百五十万トンはどのようにしてどうやるのだという。ただばく然と、二百五十万トンはだいじょうぶだ、可能であると思いますというようなことを、先ほど高木部長が答弁されたが、そういう答弁ではちょっと納得ができない。もう少し合理的に計数的に、そろばんをはじいてひとつやってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/175
-
176・高木俊介
○高木(俊)政府委員 現有鉱の増産分でございますけれども、名前を申し上げますと、御存じのとおり太平洋あるいは三池あるいは赤平という点の現有鉱の増産ということになろうと思います。
太平洋炭砿につきましては、実は私社長にいろいろお話を聞いたのでございますけれども、技術屋の社長でございますけれども、現人員、現坑内の構造をもって十分生産の増はできるという御発言でございますし、また技術屋として見ましても、その点は可能であろうと思います。
なお、三池でございますけれども、三池につきましては、いわゆる需要面のほうから工業炭を押えて採掘している。これは同じように、赤平については原料炭を主体に掘っている、一般炭のほうをのけて掘っているというような、いわゆる累層採炭をやっている炭鉱でございます。
こういう山は需要さえつけば人員をふやさなくても現人員でもって増産ができるという点で、いま申し上げました三炭鉱を中心に、まだほか少数の山がございますけれども、現有としての九十万トンの増は可能であるというふうに見たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/176
-
177・鬼木勝利
○鬼木委員 太平洋炭砿あるいは北海道の赤平、この炭鉱で増産をどのくらいに見込んでおられますか。
それから三池炭鉱、これは御承知のとおり非常に高サルファですから、硫黄が高いのだから混炭しなければいけませんよ。そうすると、そういう点をよく考慮に入れられて、たとえば輸入炭ですね。無造作に輸入炭をやられたのでは困るのですよ。めくらめっぽうに輸入炭をやられたのじゃ、海外炭をどんどんやられたのじゃ国内炭の引き取りが困る、どうして引き取ってもらうか。だから、まず国内炭に支障を来たさない、影響を来たさないように海外炭を持ってくる。そういう点もよく考慮の上——それも審議会からちゃんと出ている。報告がここに書いてある。その点はよく注意をするように「一般炭の輸入に際しては、国内炭の引取りに悪影響を与えない形で輸入が行われることが前提となる。」こう書いてある。そこで、そういう点を見込まれてどこからどう持ってきてどこからどうする、どこはこうやる、人間はどうするというような点を、くどいようですが、これははっきり計算ができておりますか。
大臣は、だいじょうぶだ、二百五十万だいじょうぶ、確保する、鬼木安心せよ、こう言われた。先ほど私は、大臣がそういうことを言われるから、前途は明るい、喜んでおりますと申し上げたが、実際実務に携わっておるあなた方が、どのようにこういう点は計算しておられるのか。文句言ってあなた方を責めるんじゃないけれども、これは一番大事なことじゃないですか、石炭の位置づけということが。これから始まるのですね。これから鉱害の問題、産炭地の問題、それから離職者の問題いろいろ全部、枝葉末節と言うとはなはだ申しわけないけれども、結局、幹は位置づけだ、これが根本だ、石炭産業は。それからあとはずっと出てくるわけですからね。その点をひとつここではっきりきょうは承りたいと思うのですよ。
いいですか、石炭部長。あまり気にせぬでもいいよ。わからにゃわからぬ、これから調べますとか研究すると言えばいいんだから。鬼木があまりやかましくて、あした病気になって休んだなんというんじゃ困るよ。軽い気持ちでひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/177
-
178・高木俊介
○高木(俊)政府委員 現有鉱の九十万トンの増産でございますけれども、北海道のほうが約六十万トンでございます。これは先ほど申し上げましたように、太平洋、赤平等の増産、これは二千万トンのときの計画に対しての増産でございます。なお九州のほうは三池あるいは松島も一部ございますけれども、先ほど申し上げましたように、高硫黄炭ということで、その層をよけて低サルファの層を掘っておるということもございますので、その辺が需要をつければ掘るということで、約三十万トンの増ということで九十万トン。
〔委員長退席、多田委員長代理着席〕
なお、輸入炭との混炭の関係でございますけれども、これはサルファの規制という点からいきますと、かりに三池炭を例にとりますと、三池炭十トン使うためには二十トンの低サルファ約〇・四%ぐらいの輸入炭が必要となり、三池炭と輸入炭を混炭して一%以内のサルファ分になるわけであります。すなわち、約倍の輸入炭が必要ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/178
-
179・鬼木勝利
○鬼木委員 時間があとわずかしかありませんので、石炭の位置づけということにつきましては、もっと私らは真剣に掘り下げてこの点は研究いたしたいと思いますので、皆さんのほうにおいてもこれは十分練っていただきたいと思います。
なお、大臣の所信表明につきまして、項を追ってお尋ねいたしたいのでありますが、「石炭鉱業安定補給金の拡充及びその傾斜配分、石炭鉱業合理化事業団による経営改善資金融資制度の拡充等を行ない、国の助成の大幅拡大をはかることといたしております。」このように書いてありますが、「助成の大幅拡大」ということは、予算面においてどのように大幅に拡大してあるか。これはもし大臣がなにでございましたら石炭部長でもいいが、予算面で大幅拡大、どういうふうに大幅に拡大になっているか。
〔多田委員長代理退席、委員長着席〕
私も予算面をよく検討して見ておりますので、ここだという点をひとつ指摘していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/179
-
180・高木俊介
○高木(俊)政府委員 補助金関係あるいは融資関係、いろいろございますけれども、まず補助金関係で申し上げますと、構造補助金、それに保安補助金、安定補給金、元利補給金、再建交付金——これは肩がわりでございます。それに合理化事業団への出資金という、大きく前向き予算として考えられるのはこういうものじゃなかろうかと思いますけれども、これが四十八年度はトータルで四百三十二億になっております。四十九年度は四百九十一億という金額をとっておりまして、トン当たりに直してみますと、四十八年度は千七百三十一円の石炭に対する援助をしていたのが、四十九年度は二千二百三十六円ということで、五百円のアップになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/180
-
181・鬼木勝利
○鬼木委員 予算のことについては、またたっぷり検討せなければ、こういう急行でいったのでは話にならぬが、石炭鉱業安定補給交付金、これも単価引き上げが一般炭五十円、石狩地区が二百円、その他の地区が百円、このようにトン当たり安定補給金——これはどういう基準かな。算定基準をどういうところから算定されたのか。これによってはたして、また三千人からの労務者がふえるとかあるいは賃金アップとかいうこと、これはどういうふうな算定基準になっておるのか。これがまた私はわからぬことの一つですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/181
-
182・高木俊介
○高木(俊)政府委員 安定補給金は石炭の生産量に対して補助する制度でございまして、こういう安定補給金で入ってきました金額が経営の基盤に寄与し、ひいては賃金というほうにもはね返っていこうかとは思いますけれども、直接とっております制度は、生産そのものの量に対する補助金でございます。現在までは、いわゆる大手炭鉱あるいは中小炭鉱、そのうち原料炭、一般炭といろいろ分けた、いわゆるトン当たりの補助を出していたわけでございますけれども、それを一応一般炭と原料炭の区分をなくいたしまして、一般炭、原料炭ともに一様に安定補給金を出してあげましょうという制度に変えたのと、もう一つは、いわゆる傾斜配分と申しますか、石炭の一番中心でございます石狩を中心にいたしまして、石狩のいわゆる経営面における苦しさというものを、輸送費その他——当然輸送費もほかのところに比べて高くかかるとか、そういう点がございますので、石狩地区を中心にした傾斜配分というふうにいたしまして、五十円から二百五十円の、いわゆる現行制度にかさ上げをした安定補給金の決定をさせていただくという予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/182
-
183・鬼木勝利
○鬼木委員 石炭部長は少し考え違いしておるな。安定補給金のその内容を私は聞いておるのではありませんよ。安定補給金、それはわかっていますよ。トン当たりに生産量によってそれだけアップしてやらないと、働いたって損ばかりするのでは困るから、だからアップしてやる、そのぐらいのことはわかっていますけれども、それじゃ、もとは一体どのように計算の基礎をこまかくデータを出して、これはトン当たりこのぐらいやらなければ採算がとれないという基準はどういうところから見てやったかということをお尋ねしておるのですよね。それは宿題にしておきます。時間がないから宿題。この次また連続だ。そんな内容を聞いているのじゃないですよ。
それから、中曽根通産大臣の所信表明に、全部私は項を追ってお尋ねしようと思っておる。全部しるししているんだから。
その次に「保安対策につきましては」と、こう書いてある。「監督、指導の一そうの強化をはかるとともに」云々。そこで、中曽根大臣の先日の所信表明に「最初に、去る二月一日に北海道万字炭鉱におきまして、死亡者二名を含む罹災者二十名」云々。そこで、「保安行政面において今後一そうの努力を払う決意をここにあらためて表明する次第であります。」と、こう書いてある。災害があった場合にはいつでも大臣がこれとほとんど同じ文句で言うんですよ。委員長もにっこり笑っているけれども、いつもあなたが言うのはこれだ。いつもこう言うけれども、同じことばかりやるじゃないか、絶対あとを断たないじゃないか、田代委員長式にいえば、こういうことになる。だから保安のことを「一そうの強化をはかるとともに」「石炭鉱山の保安の確保に万全を期してまいる所存であります。」と中曽根大臣がおっしゃっている。まことに力強い、信頼の置けるおことばでございます。おことばはまことにありがたいが、実際はいつも同じことを繰り返している。
そこで私は、ここらでひとつ中曽根通産大臣のときに、何かここにもっときびしく、保安に対してはっきりした提案をしていただきたいと思うのですね。ただ抽象的に、保安確保の努力をいたしますというようなことは、これはいままでだれでも言ってきたことなんです。ことごとく言ってきた。現内閣の最も有力なる閣僚である中曽根通産大臣、私が最も信頼している、尊敬している大臣、それがいままでのと何も変わらぬ。同じこと。千編一律。これはもう少し何かはっきり責任体制を明らかにするとか、罰則でも設けるとか、私はもう少しきびしく規制すべきだと思う。責任を明らかにすべきだと思う。人間尊重とか人間優先と言いますけれども、いささかもそういう点は見受けられない。この点はひとつ大臣、御答弁願いたいと思うのです。どのようにお考えになりますか。炭鉱においては人間は尊重しなくてもいいと解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/183
-
184・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 炭鉱においては人間は最大限に尊重されなければならぬと思います。
炭鉱の保安につきましては、近年におきまして幸いにわりあいに災害が少なくなってきたところでございますが、この間またそういう事故が起きまして、まことに残念にたえないところであります。去年いろいろ災害が起きまして、保安についてきびしく示達をし、また、順次現場を回って督励するようにやってきたところでございますが、この際、また引き締めまして、無災害月間と申しますか、もう日本じゅうどこでも災害が起きない月を毎月毎月積み重ねていくように、今後また引き締めてやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/184
-
185・鬼木勝利
○鬼木委員 これはひとつ中曽根大臣が通産大臣——将来は総理になられるだろうか、総理になられればなおさらだ。ひとつ厳重にいまおっしゃったようにやっていただきたいと思うのです。ことに炭鉱というところは、御承知のとおり、先ほどもお話があっておったように、非常に一生懸命働いている労務者の皆さんに対しては、私らはできるだけの優遇措置をとって尊敬しなければならぬと思うのですね、大事なお仕事をなさっておるのですから。しかも日の目を見ない、暗い炭坑で——暗くもないようにいまはしてあると思いますけれどもね。私はお気の毒な方だと思うのです。そういう方を十分に守っていく、これが私は大事なことだと思う。ことに、石炭の見直しがされておる今日、ますますこれから石炭産業というものに対しては注目をいたしておりますので、ほんとうに魅力ある山にしなければならぬ。それには、安心して皆さんが石炭産業に従事されるように、いささかも御心配のないように、不安のないようにしてあげるということが私は一番大事なことだと思います。その点どうでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/185
-
186・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 全く御趣旨に同感でございます。われわれもいろいろ引き締めてまいっておりますが、さらに念には念を入れて、炭鉱保安関係の者を督励いたしまして、三月にもう一回総点検をやって、そうしてさらに引き締めてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/186
-
187・鬼木勝利
○鬼木委員 三月に総点検をやると仰せになっております。まことに私は機宜を得た大臣の卓見だと思います。ぜひそれは実行していただきたい。
時間がなくてほんとうにこれはなんですが、まだたくさんお尋ねいたしたいのですが、またあとを楽しみに、中曽根大臣にはまた万障を繰り合わせて来てください。予算委員会も忙しいでしょうが……。
もう一つ、二つお尋ねしたい。先ほど大臣が御説明になっておりました、クリーンエネルギーとして有効利用するためにサンシャイン計画を科学技術庁でやっている、予算も二十億組んであるというようなお話であります。その予算の中心は石炭だ、ガス化とか液化とかいうことにやるようにしておる、こういうふうにおっしゃっておったのですが、この予算面を見ると、ほんのわずかの一これはこちらではわずかだが、科学技術庁のほうではたくさんやっているとおっしゃることかどうか知りませんが、ことしの予算では石炭ガス化技術開発委託費として一億七千二百万だけ組んであるようであります。ぼくの予算の見方が悪かったら訂正してもらいたい。一生懸命あちこち見たけれどもない。一億七千二百万しかない。そこで、大臣の御説明では、そういうことをやる、「着手することとしております。」ということで、また実際は二十億の予算は組んでいらっしゃるが、それは一体どういうふうになるのか。科学技術庁のほうでやるのでこちらのほうは関係ない、こういうことに解釈していいわけですね。こちらはわずかに一億七千万だからあとの二十億は全部向こうでやっている、科学技術庁のほうで石炭のことを一生懸命やっておる、こういうふうに解釈していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/187
-
188・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 それは工業技術院に組みました二十四億の予算で、通産省がやる分です。その中で、ことしさっそく着手する幾つかのことの中で、石炭のガス化というものは重点の一つに取り入れよ、そういうことを言いまして、それに沿ってことしからスタートを始める。ただ研究要員とか進行度合いから見て、一ぺんにまだ大きなお金を投入してすぐ動けるという段階にまで至っていない、そういう意味で、その準備体制をつくり、大がかりなものへ着手する第一年として予算を計上して段取りをやっておる。
その二十四億の内容及びガス化の内容につきましては、係から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/188
-
189・鬼木勝利
○鬼木委員 部長、何かあるのですか。じゃ、ひとつ承りましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/189
-
190・高木俊介
○高木(俊)政府委員 石炭関係でガス化の予算でございますけれども、いま先生御指示の一億七千二百万、これはいわゆるサンシャイン計画の一環としてやるガス化でございまして、このほかに石炭予算といたしまして二億四百万、電源開発株式会社が実施いたします。これは西独のルルギ炉を導入する予定でございますけれども、二カ年計画で六億五千、いわゆる初年度に二億補助を出すという二つがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/190
-
191・鬼木勝利
○鬼木委員 この点につきましてもまたあとでゆっくりよくお話を承りたい。
それから、大臣にお尋ねしたいのですが、中曽根大臣が以前通産大臣をなさっているころ、盛んに私どもがお願いして、火力発電所、専焼火力発電所、これを北海道につくっていただくように、全く大臣のお骨折りであったと思いますが、今度は九州に火力発電をひとつぜひ設置してもらいたい。これもここに具体的には書いてないが、所信表明にはそういう意思表示があったようですが、その点ひとつ大臣に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/191
-
192・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 石炭火力につきましては、私は非常に強く推進したいと思っておりまして、北海道をまず第一にとらえ、次いで九州も推進したいと思っております。九州につきましては、最近一、二の場所からこういう話はどうであろうかと言ってきておるのがございます。私は非常に賛成いたしまして、地元でその点について御了解いただくならば、私としては異存ないから推進いたしましょう、ぜひ地元の皆さんの御了解を取りつけるようにしてくださいとお願いして、期待しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/192
-
193・鬼木勝利
○鬼木委員 まことにありがとうございます。またその節は、いよいよのときには何かとお世話に相なりまするが、くれぐれもよろしくお願いを申します。
次に、時間がございませんので最後にちょっとお尋ねしたいのですが、労働対策につきましては、これは先ほど言ったように後日あらためて。
鉱害復旧が七番目になっておる。これも詳しくお尋ねしたいが時間がありませんので、所信表明の六番目の産炭地振興対策ということでございますが、大体分けると、これに二つあるようです。産炭地域振興臨時交付金制度の充実、工業再配置・産炭地域振興公団による産炭地部門の事業規模の拡大、この二つのようでございます。これもすこぶる抽象論であって、はっきり具体的にお話がないようで、ございますので、一、二お尋ねしたいのでありますが、先般、全国の産炭地の関係市町村議長会がありまして、その場に私も列席をいたしまして御祝辞を申し述べたわけでございます。その場合に異口同音に皆さんの御要望がありまして、産炭地域におきまして、産振法の第十一条の問題でありますが、公共事業に対する高率の補助制度を確立していただきたい、これは皆さん御承知だけれども、産振法の十一条にありますように、地方公共団体に対するところの補助でございます。そういう法の改正といいますか、そういうことはお考えになっていただけるかどうか。はなはだ失礼ですけれども、もし大臣がそういうこまかいことはおれは知らぬとおっしゃれば、そっちのえらい人たちでもいい。(「大臣よりえらいのか」と呼ぶ者あり)仕事の上じゃ大臣よりも少しえらいかもしれぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/193
-
194・高木俊介
○高木(俊)政府委員 産炭地域振興臨時措置法第十一条の点でございますけれども、いわゆる十一条に基づく市町村の公共事業に対する補助率の引き上げという点だろうと思います。これは財政力の乏しい六条市町村に広く適用されていないという問題の指摘がございまして、昭和四十七年の六月の石炭鉱業審議会の答申及び産炭地域振興審議会の建議においてもその点が指摘されたところでございます。政府としましては、上記答申及び建議の線に基づきまして、四十八年度におきましては、産炭地域振興臨時交付金のうち特定公共事業に対する調整額を新設いたしまして、予算措置をもって補助率の引き上げの措置をいたした次第でございます。なお、これによりまして四十八年度におきましては、約三億円の交付金が産炭地域六条市町村に対し交付される見込みでございまして、従来五十ないし六十の市町村しかなかった補助率引き上げが全六条市町村、いわゆる百五の市町村に及ぶこととなった次第でございます。
なお、法律改正の点につきましては、前々から御指摘がある点でございますけれども、上記予算措置等引き続き講ずることをもちまして、本国会での改正は一応見送らせていただこうということでございますけれども、なお継続的に検討していきたいと考えております。
なお、四十九年度の予算額は、昨年度の三億円に比しまして五億二千万円を計上いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/194
-
195・鬼木勝利
○鬼木委員 その程度で、ことしは法改正というようなこともまだ考えていないということでございます。そういうことで、知ってか知らずかとにかく強力な市町村議長の陳情があったのだと思いますが、閉山地区なんかにもいままで四年であったのが今度五年と補助金を一年延長した。そういうこともありますので、特別補助金が五年までは二百万円ですか、それから先が六年目から百万円というふうに、非常によくしてはいただいておりますけれども、そういう点もひとつ考えていただきたい。詳しいことはまた大臣にもよくあなた方からおっしゃっていただいて、こういうふうなことでございますので、こういう点はひとつ大臣お考え願いたい。そういうふうにあなたたちが何でも、大臣はわからぬ、われわれが答弁するじゃなくて、よくあなた方が大臣にお話を申し上げて、かようかくかくしかじかでございます、鬼木が言っておるのはこういうわけでございますというふうに、それが大臣を守ることであって、大臣がえらいからといって遠くから見ておそれることはありません。親しまなければいけない。また、中曽根通産大臣は非常にそういう人情味あふれた、ほんとうに見ているといい相をしておる。よろしゅうございますか。私も長年中曽根大臣にはお引き立てにあずかっている。
では、時間も来ましたので、またゆっくりひとつ委員長やってくださいよ。これは、石炭政策は大事なことですからね。ようございますか。では、また後日ゆっくりお目にかかりましょう。大臣どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/195
-
196・田代文久
○田代委員長 小宮武喜君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/196
-
197・小宮武喜
○小宮委員 先ほどから各委員から石炭の見直しの問題についていろいろ言われておりますけれども、そのときにあたりまして、御存じかと思いますが、長崎県の軍艦島で知られる端島炭鉱が一月十五日に閉山をいたしたわけでございます。
そこで、現在県にしても町にしても、それから、労使ともに就職あっせん中でありますが、その矢先に、ちょうど離職者の一人である四十七歳になる人が実家の熊本で首をくくって自殺するという事件が起きて、非常に関係者はショックを受けているわけです。そこで、本人の遺書もないので、何が自殺の原因かについては明らかではありませんけれども、警察の調べでは、高年齢でもあるし、やはり再就職の問題に悲観して自殺をしたのではないかということを言っておるのです。したがって、端島炭鉱のこの離職者たちの就職あっせん状況はどうなっておるのか。それと、この離職者対策について国としてどのような施策を講じておるのか。まずこの点を最初に質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/197
-
198・佐藤嘉一
○佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。
本年一月十五日に端島炭鉱が閉山いたしたわけでございますが、この炭鉱の閉山に伴いまして、本鉱は離島でございますので、全員が移転就職をせざるを得ないという実態がございます。そういった関係もございまして、私どもといたしましては、長崎県当局とも連携をとりまして、地元に臨時職業相談所を設置するというようなこと、また、需要地の職業安定機関の職員によります現地相談等を実施して、現在就職あっせんに鋭意努力をいたしておるところでございます。
最近の、二月二十日現在の数字でございますが、現在まで申し込まれました求人は、県内県外合わせますと約八千二百名ばかりの求人が参っております。このうち炭鉱関係は約五百近い四百九十七名でございます。
こういった求人受理状況でございますが、現存の就職あっせん状況を申し上げますと、現在まで求職を申し込みされました方は六百六十五名でございます。そのうち炭鉱等への再就職を含みまして就職されました方は百九十九名、二九・九%、約三〇%でございます。
なお、残っております四百六十名の方を、私どもとしては要対策者としてあっせんをしていかなければならぬということでございますが、四百六十名の中で、訓練校へ入校を予定されている方が二十三名、現在就職内定照会中というような方が三百十一名、その他九十名、そのほか、この際軍艦島から移転をしてしまうという方が四十二名おられるわけでございます。
そのような状況でございますので、私どもといたしましては、現在の要対策者、すでに三〇%の就職は決定いたしておりますけれども、要対策者につきましては、どういう点が就職の阻害要因になっておるかということで、個別に要因等を調べまして、現在あっせんに努力をいたしておるわけでございます。
中に身体障害者の方、未亡人の方等もおられます。身体障害者の方については、十名ばかりの身体障害者がおられますが、すでに二人の方は就職が決定したように承知をいたしております。未亡人の方につきましては、まだそういった就職決定という状況には至っておりませんが、今後とも過去の炭鉱離職者対策の経験を生かしまして、しかも異常な離島ということで全員が移らざるを得ない、しかも四月には新しい学期が始まるわけでございます。そういった中で一私どもとしては現在鋭意努力をいたしておるというような実情でございます。
なお、住宅問題がございますが、長崎県当局が非常に御配慮をいただきまして、現在長崎県内の県営、市営の公営住宅で、もし希望がございますれば優先入居させるというような住宅は七百戸用意をいたしております。そのほか、私どもの雇用促進住宅七十戸ばかりの余裕もございますので、住宅問題につきまして、県内への就職を希望される方につきましては、そういう手も打ってございますので、御希望に応じまして具体的なあっせんを進めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/198
-
199・小宮武喜
○小宮委員 この問題については、時間がございませんから、あとで詳しく聞くことにしまして、また再度質問する時間を持ちたいと思います。
そこで、本題に入りまして、石油ショックの問題で非常に石炭が見直されてきたというのは、各委員からもいろいろ強調されておるところであります。しかしながら、石炭が見直されたといっても、はたして現状のままで増産体制がとれるかどうか、またそのためには労働力不足の問題、あるいは公害問題あるいは企業の赤字の問題、いろいろあるわけですから、そういうような問題をやはり根本的に解決されなければこれは非常にむずかしい問題だと思うのです。したがいまして、私は、石炭問題はこれからが新しいスタートに立ったというふうに理解しております。そのためには、スタートに立つ以上は、これまでの政府がとってきた石炭政策に誤りがなかったかどうか、その点についてまず政府の反省が必要だ。
したがいまして、これは通産大臣にお聞きしますが、これまでの政府がとってきた石炭政策に誤りがなかったかどうか、反省すべき点はなかったかどうかということについて、まず通産大臣の所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/199
-
200・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 反省すべき点は非常にあるように思います。先ほども申し上げましたように、六〇年代に安い石油が非常に利用できるということから、そのほうに傾斜し過ぎまして、そのために石炭産業が荒廃するという面が著しく出てきた。もちろん、経済性というものを無視するわけにはまいりませんけれども、国のセキュリティーとか資源活用というような面、長期的に見ましてこの点は考うべき問題ではないかと思います。
最近の数字を見てみますと、大体石炭と重油との比を見てみますと、四十八年の上期におきまして、揚げ地で石炭がトン五千円ぐらい、重油が八千八百円ぐらい、カロリー両方九十銭ぐらいの由であります。そうなりますと、かなり石炭は対抗力が出てきておるように思います、重油が非常に上がってまいりましたから。しかし、それでもいろいろ公害関係あるいは扱いの問題、そういう諸般の問題を考えると、まだ経済性において実際面では劣るようであります。しかし、この正月以降になりまして、また重油の値段等が上がっている可能性がございます。そういう面を見ると、石炭もわれわれの政策いかんによってはかなり活路が見出される可能性もなきにしもあらずであります。そういう面も考えてみて、過去においてわれわれがとってきた石炭の政策が必ずしも十全ではなかったのではないか。経済変動によってそういうことが現出してくれば、これは結果論ではありますけれども、われわれとしては大いに先見の明を見て対策を講じなければならぬところでもあったと思います。そういう諸般の点をわれわれは反省して政策を是正していかなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/200
-
201・小宮武喜
○小宮委員 大臣も反省しておられるということでございますが、やはり政府として一貫したエネルギー政策というものは持ち合わせておらない。ただ、いまも話が出ましたように、重油と石炭が、重油が上がるとこれで何とか競争できるというような考え方、コストの面からだけ考えて、それで石炭が太刀打ちできるようになったから石炭を活用するとか見直すということだけでは、私はまだ安心できないと思うのです。問題はやはり、いままでの石炭にしろ食糧にしても、安ければ外国から買うというような政策をとってきたからこそ、今度の中東紛争の問題に端を発して石油危機が起こり、そしてまた石炭が再見直しをされるということになってきた。いまでも、ただ値段が、コストが合うから石炭を見直しするということについては、根本的に私は問題を感じます。
その意味では私は、基本的に国としての石炭の位置づけの問題、これは先ほどから各委員から言われておりますが、通産大臣が答弁したところをちょっと書いておきましたけれども、石炭は国民生活にきわめて重要であるので、基本的に洗い直して方向づけをする。私は、ただ方向づけと石炭の位置づけということとは若干異なると思うのです。ただ方向づけだけでは、この石炭産業というものは、ほんとうにそこに働く労働者が安心して働けない。石炭の位置づけをこうするという位置づけと方向づけとは、私は若干違うと思うのです。
あとからも質問しますけれども、日本は石油の依存率が一番高いわけですね。アメリカ、イギリス、西ドイツ等では、日本に比べて石炭の依存率が非常に高い。それはなぜかというと、ただ将来の方向づけということではなくて、先進諸国では、石油というのは有限である、有限である以上はいつかはなくなるという思想に立って、石油の次の安定したエネルギー源としてはやはり原子力だ、しかしながら、いまのような原子力の状況では、廃棄物の処理の技術問題あるいはその安全問題からなかなかそこまではいけぬので、その間のつなぎエネルギーとしての石炭の位置づけというものがはっきりしておる。
ただ日本では、いま方向づけと言われるけれども、それなら石炭の位置づけというものをどういうふうにするかということと方向づけとはやはり違う。そういうふうな意味で、諸外国のようにやれとは申しませんけれども、日本では位置づけというものをどういうふうに考えておるのかということを私はここで明らかにしてもらいたい。
そういった意味で、通産大臣が先ほど言われておるように、総合エネルギー調査会に諮問するにしても、日本の石炭産業の位置づけをこうするんだということを明確に打ち出してもらわないと、いま石油危機がこうなった、石油事情がまた好転をしてきたという場合、価格の問題で、たとえば原料炭が一般に上がっていく、労働者の賃金が上がっていく、コストが高くなったということで、またこちらにいきなさい、あるいは海外炭を輸入するということになる。海外炭のほうがコストが安ければ、そこに傾斜をしてしまう。そういうことになると、石炭産業の将来というのは、ここで各委員がるる言っておるけれども、私はそれでは根本的な対策にならぬと思う。
そういうような意味で、私は、ただ方向づけじゃなくて、石炭の位置づけというのをここでひとつ大臣に明確にしてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/201
-
202・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 位置づけは、先ほど申し上げましたように、総合エネルギー調査会の答申をもって正式にやりたいと思っておりますが、先ほど鬼木先生に御答弁申し上げましたように、私は、客観情勢その他を見ましても、積極的に前向きに石炭を活用していくという方向に時は来ている、そういう考えをもってこの問題を取り上げてみたいと申し上げました。そういう考えに立ってこの石炭の評価と総合エネルギーにおける位置づけというものをやってみたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/202
-
203・小宮武喜
○小宮委員 総合エネルギー調査会の結論は、先ほどの答弁では一年以内とかなんとか言っておりましたけれども、大体いつごろ出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/203
-
204・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 一年としておりますけれども、そういう大事な要点については六月ごろまでにというふうにお願いしておったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/204
-
205・小宮武喜
○小宮委員 それでは、石炭の位置づけについてはことしの六月ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/205
-
206・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 六月です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/206
-
207・小宮武喜
○小宮委員 ことしの六月ごろまでにはその位置づけを明確にさせるというふうに理解していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/207
-
208・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 六月に中間答申みたいなものをいただいて、それで取り上げて考える、そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/208
-
209・小宮武喜
○小宮委員 第五次石炭政策、二千万トン体制ですね、これは五十一年には二千二百五十万トンということで、審議会からの修正提言もあったわけですが、この第五次石炭政策については、いまの時点で修正する意思はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/209
-
210・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これも先ほど御答弁申し上げましたように、総合エネルギー調査会の答申を得て、その上に立って第五次答申というものを全面的に根本的に見直すべきか、部分的に修正すべきか、そのほか諸般の問題について検討してみないと、と申し上げたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/210
-
211・小宮武喜
○小宮委員 石油の問題ですが、やはり石油と石炭というのは非常に関係が深いので、いま大臣がことしの六月ごろには石炭についての位置づけをするということを言われましたけれども、やはりそれでも私まだちょっと心配になりますので、いわゆる石油の寿命というのは一説には三十年説、四十年説、五十年説、いろいろありますね。こういった石油の寿命というものと石炭の位置づけというものは深い関係が出てくるわけですが、そういうような意味で、今後発見されるであろうものも含めて、石油の寿命というのは大体何年ぐらいと見ておられますか。これはどなたでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/211
-
212・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 サウジアラビアであるとかイランであるとか、アメリカであるとか、国によって違いますが、大体中近東においては三十年とか四十年とかいっております。イランあたりでは八十年とか九十年とかいっております。しかし私の勘では石油というものは案外しぶとくて、各方面にだんだん発見されてくるのではないか。かつて六〇年代に中近東に大量に発見されましたけれども、そういうようなことが北海においてもあるいはノーススロープにおいてもあるいは東南アジアにおいても、いままでわからなかったところに、石油の探鉱、掘さく技術が非常に進んでまいりまして、案外しぶとく出てくるのではないか、そういう感じが、これは感じでございますけれども、私はしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/212
-
213・小宮武喜
○小宮委員 一方、原子力が安定したエネルギーとして期待される時期は大体何年ぐらいと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/213
-
214・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは八〇年以降ではないかと思うのです。一番安定するということになりますと、高速増殖炉が動き出すときで、最大の安定は核融合でございましょうけれども、これはまだ当分むずかしいと思いますが、高速増殖炉がかなり可能性がいま出てきておりまして、それも八〇年代ではないか、そう見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/214
-
215・小宮武喜
○小宮委員 それでは、わが国におけるエネルギーの依存率、石炭にどれだけ依存しておるか、石油に幾ら依存しておるか、水力とか、これはそれぞれパーセンテージでひとつ説明してもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/215
-
216・高木俊介
○高木(俊)政府委員 一次エネルギーの構成について申し上げますと、日本では石炭が一七・九%でございます。それから石油が七三・五%、ほか原子力、天然ガス、水力というものもございますけれども、大きくは石炭の一七・九と石油の七三・五%でございます。
ちなみに外国の例を申し上げますと、イタリアは石炭が九・九%、それから石油が七七・三%でございます。それからフランスは石炭が二五・四%、石油が六五%でございます。西ドイツで石炭が三八%、石油が五六%、それからイギリスが石炭が四三・九%、それから石油が四九・五%でございます。それからアメリカで石炭が二一%、石油が四四・六%でございます。数字が一〇〇にならぬと思いますけれども、その間は天然ガス、水力あるいは原子力の数字が入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/216
-
217・小宮武喜
○小宮委員 いまの説明によっても、石油への依存率とというのは、アメリカで四四・六%、イギリスで四九・五%、ところが日本では七三・五%、非常に高いのです。石炭はわずかに一七・九%。これを、いまの石炭への依存率というのをこれからどれぐらいまで引き上げるお考えですか。石炭の活用とかいろいろなことを言っておるけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/217
-
218・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 それを総合エネルギー調査会でいろいろ評価を願って、検討していこうというやさきなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/218
-
219・小宮武喜
○小宮委員 それでは、石炭鉱業審議会でも、この石炭の果たすべき役割りを増大させるため、火力発電所における石炭利用の拡大方針を出しているわけですが、現在、重油と石炭の混焼火力発電所がほとんどですね。そうすると混焼水力発電の中で、石炭の利用率はどれくらいまで上げていきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/219
-
220・高木俊介
○高木(俊)政府委員 九電力会社におきます全火力発電所の年平均の利用率は、四十七年度でございますけれども、五七・五%でございます。このうち石炭火力の年平均利用率は四七・七%になっております。中間報告では、石炭火力発電所の利用率を六五%に引き上げたいということで建議をいただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/220
-
221・小宮武喜
○小宮委員 それから、審議会では、さらに石炭の利用率を高めるために石炭専焼の火力発電所問題も提言しておりますが、大臣も、いまも答弁がありましたように、石炭専焼の火力発電所をつくるということで、今年度、四十九年度は北海道ということで、九州にも一カ所つくりたいということでございますが、九州はそれでは五十年度で予算化されるのですか。その点いかがですか。ただ、つくるということで、いつ建設構想があらわれるのか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/221
-
222・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 九州のほうはまだ予算的措置はないそうであります。しかし、もし九州のほうでそういう空気が醸成されて、地元でも御了解が得られるということになれば、将来補正予算や何かのチャンスがある場合にはぜひ速急に実現していくように努力してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/222
-
223・小宮武喜
○小宮委員 それから、火力発電所の建設問題についても、これまでの歴史を見てもおわかりのように、新たに火力発電所をつくるということになると、これはいろいろ公害問題で必ず住民の反対運動が起きておるわけです。したがって、そういうような公害問題を解決しなければ現実には火力発電所の建設、それから石炭の再活用の問題にしても非常にむずかしい問題が出てくるのではないかと思いますけれども、そういった公害対策の問題についてはどのように対策を立てておられるのか、その点もひとつ質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/223
-
224・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 もちろん当然でございまして、それには排煙脱硫を中心にして公害対策には万全を期して、住民の皆さんに御迷惑をおかけしないような措置をした上でこれを発足させる、そういうことでございます。
排煙脱硫については、相当な技術的な成果が出ておりまして、多少お金はかかりますけれども、私は、住民の皆さんが納得できる水準までいっていると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/224
-
225・小宮武喜
○小宮委員 そこで、石炭を安定したエネルギー源として使うためには、どうしてもやはり無公害の液化、ガス化の問題が一番問題になるわけですが、先ほどから、研究は日本が進んでおるのかアメリカが進んでおるのかという問題がありましたけれども、それは抜きにしまして、大体大臣は、かなり日本でも技術開発が進んでおる、研究も進んでおるということのようですけれども、実際実用化されるのは大体いつごろの見通しになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/225
-
226・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは専門家の話を聞いてみないとわかりませんが、石油の値段がどの程度まで上がってくるか、そしてそれが横ばいに長く続くかということにもかかっておりますが、現在の見通しで見ますと、私はわりあいに可能性がもう出つつあるのではないか、そういう気がいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/226
-
227・小宮武喜
○小宮委員 液化、ガス化して発電した場合のコストと、いま大臣言われたように、石油を使って発電した場合のコストの問題は相当むずかしい問題と思いますけれども、そういうようなコストの問題とやはり見合うものがなければ、なかなか実際液化、ガス化してみても、やはり石油との関係で非常に実用化の問題はむずかしいというふうに考えておられるのですか。このコストの問題はどうなるのか、その点もわかっておればひとつ説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/227
-
228・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 コストの問題はまだ太刀打ちできないだろうと私は思います。しかし、クリーンエネルギーという面から見ますと、ガス化した石炭というものは完全クリーンエネルギー、つまり水素だけの要素になっておりますから、都会で発電所をつくるという場合には一番いいものじゃないか。そういう意味で、発電、送電のロスあるいは公害問題に対する手当て、住民の反応、そういういろんな面を見ると、案外そういうものは可能性が出てくるのではないかと、私見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/228
-
229・小宮武喜
○小宮委員 労働力確保の問題については、先ほどから質問が出ておりますからやめますけれども、いま各国の石炭企業ではかなり赤字をかかえて困っておるというような中で、こういった石炭の見直しの問題、再活用の問題、こういうようなことを考えた場合に、この石炭企業の赤字対策についてもやはり抜本的な対策を考える必要があるのではないかというように考えますけれども、この企業の赤字問題についてはどのような対策を考えておられるのか、ひとつ質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/229
-
230・高木俊介
○高木(俊)政府委員 企業の赤字に対する抜本的対策でございますけれども、御存じのように、一次から三次にわたります債務の肩がわりを実施いたしております。そのほか安定補給金、そのほか各種の補助金の交付を行なっておるのが実情でございます。しかしながら、年々のコストアップを吸収できないために、採算割れで販売しているというのも実態でございます。したがいまして、基本的には需要家の協力を得まして適切な価格の幅の単価アップをお願いせざるを得ぬのではないかというふうに考えております。現に四十八年度の見込みでございますけれども、山元手取りで四千九百六十円、これは大手八社の平均でございますけれども、トン当たり四千九百六十円という山元手取りに対しまして、自産炭総費用、いわゆるコストでございます。これが七千二百十円というようなことで、二千二百五十円の赤字が出ておる。これに営業外の損益とかあるいは経常対策額等を入れまして、対策後の経常損益では千六百五十円というのが現在の赤字の状態でございます。これは八社の平均値でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/230
-
231・小宮武喜
○小宮委員 それでは最後に今後の石炭産業のあり方の問題ですが、これまで石炭産業というのは、非常に斜陽化していった場合にどうなるかということで、やはり石炭産業の国有化の問題とかあるいは公社化の問題とか、いろいろな試案とか、いろいろなものが出ておったようですけれども、この際、今後の石炭産業のあり方について通産大臣として考えておられる何らかの構想があるとするならば、ひとつその構想を説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/231
-
232・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 石炭産業のあり方につきましては、国有化案とか公社案とか一元化の案がいろいろございます。しかし私は、企業の協力、つまりいわゆる自由主義経済を基本にして、企業がみずから努力して雇用並びに地域社会の発展に貢献していくという、その努力をやはり評価したいと思うのでございます。なるほど、いま非常に苦しい部面がございますけれども、政府としては、石炭産業を助成して、そうして企業の努力によってこの事態を克服するように、できるだけの保護政策も加えて、そうして将来明るくなるように努力してまいりたいと思うわけでございます。いま一番苦しいときであると思います。それにつけても、経営者や労働者の皆さんの御苦労をわれわれは非常に感謝しているところでございますが、今後とも政府としても積極的にめんどうを見まして、この危機を切り抜けるようにいろいろ施策も講じていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/232
-
233・小宮武喜
○小宮委員 これで質問終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/233
-
234・田代文久
○田代委員長 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/234
-
235・多賀谷真稔
○多賀谷委員 時間がございませんが、一言だけ。
大臣、前の国会までは五次対策というのは非常に大臣の執念でした。しかし、この中間答申報告というものは、これは五次政策をどちらかといえば否定しているでしょう、中間答申というのは。五次政策というのは、その需要を見てもなかなかはかばかしくない。原料炭も、鉄鋼が不振で、海外に開発した石炭すら引き取り得ない、こういう状態のもとに、しかし、労働者に対しては第四次答申には目標を掲げなかったから、一応この際目標を掲げましょう、こういういわば非常に消極的な状態だった。ところがこの中間報告は、御存じのようにがらっと変わっておるわけですね。ですから、もう五次政策というものは、個別の小さな政策は別として、大筋というものはこの際変わっておるんだ、今後、総合エネルギー調査会なりあるいは石炭鉱業審議会にお願いをして新政策を出すんだ、こういうように踏み切られたらいいと思うのですよ。何か五次政策がしょっちゅう大臣の答弁について回っておるんですよ。しかし、この前書きを見ますと、その基調というものは全然変わっておるんですからね。その点は大臣もそうだろうと思うのですよね。これをひとつお聞かせ願いたい。
それから、きょうは時間がありませんからもう申し上げませんが、要するに労働者としては、永続的なしかも魅力ある職場でなければ結局労務の確保は不可能である、だから永続的な魅力ある職場をどういうように制度的につくっていくか、これが一つの大きな課題であると思います。ですから、そういうようにひとつ大臣のほうではっきり態度を示してもらいたい。そうして、先ほどからお話があっておりますけれども、日本の経済フレがひどいのです、ゆれが。やはりゆれを安定さすのは政府の役目ですから、ですから利害関係者の意見だけでは私は不動の方針というものは出ないと思う。なるほどいまは、今度は石油が高くなったから石炭見直されるだろうという。もし情勢が変わるとまただめだということになるとたいへんですから、やはり不動の方針というものを政府がはっきり示して、その具体的な問題は、これは私はエネルギー調査会なりそういうところで審議したほうがいいと思う。ですから、この点をひとつ、ぜひ不動の対策と、それから魅力ある永続的な職場にいかにしてするか、それは機構を含めての問題ではないか、こういうように思うのですが、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/235
-
236・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 その点につきましては、さっき鬼木先生に私が御答弁申し上げましたように、石炭産業の活路を見出す、あるいは明るいものにしていきたいという自分の非常な悲願、意欲を持っておる、そういうことを申し上げたことでもある程度御了解いただけると思いますが、その際に、五次答申も含めてこの総合エネルギー調査会の答申によっては洗い直してみる、そういうことを申し上げた。しかし、現在五次答申をやっておる最中ですから、これを否定するということはできません。現にその土台の上に乗っかってやっておるわけであります。しかし、かなり大きな変動がいま起きつつあると私は自分で感じておるわけであります。したがいまして、この総合エネルギー調査会の答申を得たら、そのときのいろんな情勢を把握しつつ、情勢によっては五次答申自体も点検し直す、そういう余地を持っておるということをお示ししたので、あの中間報告というものはびしっと一むち入って馬が少し元気になり始めた、そういうようなものであると私自体は感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/236
-
237・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣がそう言われれば、私、質問せざるを得ないのですけれども、五次答申の基調というのはいまの情勢と全然違うでしょう。それはいま経過的に五次答申を、政策を進めざるを得ないから進めておるのです。五次答申の基調というものは全然変わっておるのですよ。五次答申の基調を読んでごらんなさい。全然変わっておる。ただ、いま経過的に政策を進めておるだけなんですよ。五次答申というものは経過処置になってしまったのですよ。ですから、もうここまで情勢が来たら、経過的処置としていまわれわれは評価せざるを得ない。ですから、五次答申を含めて検討する、あたりまえのことです。情勢が全部変わっておるわけですから、気持ちはそう違わないと思いますけれども、五次答申は現在つなぎの政策にしかすぎない、新政策が出るまでは。こういうようにひとつはっきりされたらいいんじゃないかと思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/237
-
238・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 そこはなかなかデリケートなところで、五次答申を必ずしもつなぎの政策とばかり断定するにはまだ早い。五次答申にもいろんな内容が含まれております。しかし、五次答申の予見しなかった大きな変動が起きておることも事実であります。そういう場合にどちらに重点を置いていくかということになりますと、大きな変動というものを自覚せざるを得ない、そう私は思います。率直に言って、総合エネルギー調査会の各見識ある人々の判定を自分でもう一回よく消化しながら、この五次答申を含めて石炭の新しい進路をどこに見出すか考えてみたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/238
-
239・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣、予定の会議があるそうですから、この問題はあとに保留しておきたいと思います。
そこで、これは労働大臣にお尋ねいたしたいと思うのですが、おそらく労働者確保の問題が最大の問題ですよ。なるかならないか、すなわち再建できるかどうかというものは、労働者をどう確保するか、こういう問題に尽きると思うのです。従来は何とか確保ができたのは、閉山炭鉱がありました。ですから、その閉山炭鉱から別の炭鉱に来る労働者をいわば引きとめて、そして何とか確保できた。しかし先ほどからの議論のように、もう閉山炭鉱というものはほとんど予定できない。そうするとどうしても年齢が高年齢になりますから、新規労働者を入れざるを得ないという事態になるわけです。ですから新規の労働者をどうして確保するか。しかも職場が非常に不安定な職場では困ります。また、不安定な職場ならわれわれも認めるわけにいかない。若い諸君をそんな不安定な職場に入れるわけにもいかない。ですから、かなり永続的な職場であるということ、これが必要であります。これがためには、通産行政が抜本的対策をしていただかなければなりませんが、何か労働省のほうでも手伝いができないものだろうかという感じですね。労働省のほうも労務確保として援助をできないだろうか、こういうように考えるわけですが、何か施策がありましたらお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/239
-
240・長谷川峻
○長谷川国務大臣 石炭を見直すほんとうに大事なときだと思っております。従来は、多賀谷議員のおっしゃるとおり、求人があった場合にほかの離職者より先に炭鉱離職者の方々をごあっせん申し上げる、こういう姿勢をとりながら、一方においては、何といたしましてもあれだけの炭鉱ですから、鉱山の安全、こういうものにはさらにほんとうに気をつけなければいかぬ。私自身も気がつくのですが、やはりおやめになった方はなかなか戻らない方もあるでしょうし、ことにあなたのおっしゃるとおり、新しい労働力を入れるということになれば、やはりこれは国全体として——従来も国の助成、援助などがありましたが、通産省との連絡のもとに、また、私のほうでできるいい知恵などがありましたら、そういうものなどについて御見解を示していただきながら、私は、エネルギーの大事な問題としてここまで踏み切ったときに、労働省としてせっかくできるものがあった場合には懸命に御加勢申し上げたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/240
-
241・多賀谷真稔
○多賀谷委員 いままでは流出する労働者の住宅確保——先般も予算委員会で問題になっておりましたが、雇用促進事業団を通じての住宅確保の問題がありました。いまは合理化事業団を通じてこの住宅確保の融資がいっておるわけですがね。労働省も、一方は離職者、一方は雇用する労働者と、こうなかなか割り切れないところもあるでしょうけれども、しかし事実上、これが日本の炭鉱の姿なんですよ。この矛盾したような政策が出てくるのはやむを得ないのですね。ですから、先般もお話がありましたように、一回封鎖した炭鉱をまた掘らしてくれ、これは日本の炭鉱のいまの政策が行ったり来たりしている、試行錯誤している、これは残念ながらやむを得ないいまの現状じゃないか。そこでやはり労働省のほうからも、たとえば住宅の確保問題、こういうのも失業保険会計その他から援助してもらいたい、こういうように考えるわけです。これもひとつ御答弁を願いたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/241
-
242・長谷川峻
○長谷川国務大臣 やはり環境というものがなかなか大事だと思うのです。でありますから、従来も雇用促進事業団などが環境づくりにお手伝いなどもしておりましたが、そういうものをさらに見直すこういう時期に御加勢申し上げるとか、あるいは住宅のほうは、実をいうと余っているものなどもあり、補修とかいろんな問題等々もあるようでございますが、いままで縮小したために余っているという話なども出ておりますので、いますぐどれはどうこうというわけにいきませんけれども、なるほどあなたのおっしゃる住宅の問題等々も一つの問題として私のほうで検討することが必要ということであれば、これは総合的に考える大事なときでございますから、やはり安全の問題と、雇用が安定してそこに働いていただく、しかも力仕事、こういうことを思いますと、ちょうどお互いが一生懸命やる大事なときじゃなかろうかという感じ方を持っておりますので、御指示いただいた点は検討さしていただきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/242
-
243・多賀谷真稔
○多賀谷委員 最後に例の緊急就労対策事業の閣議決定の期限が、ことしの三月三十一日で一応切れることになる。四十九年度からいわばそういう閣議決定はないのですが、しかし、努力によりまして予算がついております。
そこで、これはどういうふうに閣議決定されるつもりであるか。この特別会計は昭和五十一年度まであるわけです。ですから、三年間予算措置としてそのまま継続するという閣議決定をされるつもりであるかどうか、最後にその点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/243
-
244・長谷川峻
○長谷川国務大臣 炭鉱離職者の緊急就労事業については、多賀谷さんのおっしゃるとおり四十九年度は予算をつけてあります。いまから先の問題は閣議決定でございますが、期限延長については、今後の事業の継続方式について検討をしておりまして、近く何らかの措置をしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/244
-
245・多賀谷真稔
○多賀谷委員 何らかの措置というのはどういう意味ですか、もう少し具体的に。どうせ三月の初めごろ出されるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/245
-
246・長谷川峻
○長谷川国務大臣 歯切れが悪くて悪かったのですが、やるという気持ちでその方式について検討している、こういうことで御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/246
-
247・田代文久
○田代委員長 次回は来たる二十八日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204589X00419740225/247
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。