1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月七日(木曜日)
午前十時七分開議
出席委員
委員長 伊能繁次郎君
理事 小山 省二君 理事 高鳥 修君
理事 中村 弘海君 理事 村田敬次郎君
理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君
理事 三谷 秀治君
片岡 清一君 亀山 孝一君
住 栄作君 武藤 嘉文君
保岡 興治君 井岡 大治君
岩垂寿喜男君 小川 省吾君
細谷 治嘉君 山田 芳治君
多田 光雄君 小川新一郎君
小濱 新次君 折小野良一君
出席国務大臣
自 治 大 臣 町村 金五君
出席政府委員
自治政務次官 古屋 亨君
自治大臣官房審
議官 山下 稔君
自治省財政局長 松浦 功君
自治省税務局長 首藤 堯君
委員外の出席者
大蔵省主税局総
務課長 渡辺 喜一君
大蔵省主税局税
制第三課長 西野 襄一君
国税庁直税部所
得税課長 水口 昭君
厚生省保険局国
民健康保険課長 下村 健君
建設省都市局都
市計画課長 野呂田芳成君
建設省住宅局住
宅企画官 村本 勝彦君
地方行政委員会
調査室長 日原 正雄君
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委員の異動
三月六日
辞任 補欠選任
住 栄作君 河本 敏夫君
保岡 興治君 中垣 國男君
小川 省吾君 楢崎弥之助君
同日
辞任 補欠選任
河本 敏夫君 住 栄作君
中垣 國男君 保岡 興治君
楢崎弥之助君 小川 省吾君
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本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/0
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001・伊能繁次郎
○伊能委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますのでこれを許します。片岡清一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/1
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002・片岡清一
○片岡委員 地方税の改正について、大臣並びに局長各位に若干お尋ねしたいと思います。
まず第一の問題でございますが、自治大臣は今度の法律の改正の理由の御説明の冒頭に、今度の改正案の理由は、住民負担の軽減をはかることが第一である、第二は地方税源の拡充と充実をはかる、こういうためとおっしゃっておられます。この二つの項目は、これはお互いに相乖離することになるわけでございますが、こういう御説明の結果、私は自治省の未定稿の財源の増減収調べを見ますと、減税分が三千六百六十三億円、増税分が千九百三十一億円、こうなっておりまして、差し引き千七百三十二億円の赤字といいますか、マイナスになっておるわけでございます。
わが国の国政の方向が、かつての経済の高度成長、経済成長優先ということから国民福祉優先へと大きく切りかえられたわけでございます。その結果、地方財政の需要は一段と非常に増大をしてまいりました、こういうことがいえると思うのでございます。ところがそれに反しまして、一般的な傾向といたしましては、経済の発展というものが、上昇率が非常に鈍化してくる、こういうことは当然のことでございます。かつて毎年一〇%以上の伸びを示しておった経済の発展も、これからなかなかそうはいかぬ、非常に低位もしくはマイナスになるかもしれぬ。こういう状況になりますと、したがいまして法人税割とかあるいは法人事業税というものの伸びも、自然、鈍化してまいりますことは当然でございます。そうなりますと、この地方財政というものの切り盛りはますます困難さを加えてくると思うのでございまして、こういうときに地方財政の充実強化の必要にこたえる道は一つは交付税、それから国庫交付金の増額ということが第一の方法でございましょうし、第二の方法としては地方税の独立財源としての充実強化、こういうものが考えられるわけでございます。
この二つの方法のうち、まず第一のほうは、いずれの方法によってその充実をはかっていくべきかという問題に対してはいろいろの考え方があると思いますが、一つの方法としては、ナショナルミニマムがなかなか地方によって確保できない、非常に貧富の差が大きい、こういう今日の地方自治体の状況から考えますと、これは独立財源というよりも、交付税なり国庫交付金というものの増額によってこれをまかなっていくべきであるという考え方。第二は、ナショナルミニマムとかあるいはシビルミニマムというものも、概念的には非常にむずかしい問題である。その上に、本来は地方自治の確立をはかっていくということが今日の憲法上からも当然考えらるべきことであるという考え方。こういう二つの相対立する考え方があると思うのでございますが、自治大臣はこの二つの考え方のうちのどれを基本としてお考えになっておられますか。その根本的な態度について御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/2
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003・町村金五
○町村国務大臣 最近におけるわが国の経済情勢というものが非常な変動を遂げ、しかも国際的要因によって、日本の経済というものがいままでのような順調な伸びを今後とも遂げることができるかどうかということは、たいへん実は疑問視されるような諸般の情勢に相なっておるわけでございます。したがって、国税あるいは地方税を通じまして、いままでのように税収というものが順調な伸びを示すことができるかどうか、はなはだ懸念にたえないというような状況にあるわけでございます。しかも、国としましてもあるいは地方にいたしましても、財政需要というものはいろいろな角度からたいへんにふえていくという情勢にある。需要はふえてまいりまするのに、はたして収入が予期のとおりにふえていくかどうかはわからないというような状況にあるように私どもは見ておるわけでございます。
したがって、そういう情勢の中にあって、今後地域住民の福祉の向上に一そうのなすべきことがふえてきておる今日、地方自治体においてその必要とする資金をどうやって一体これから調達をしてまいるか、この点については、ただいまも御指摘がございましたように、国庫の交付金なりあるいは交付税というものに一面大きく期待をしていかなければなりません。しかし、これとても、先ほど申し上げましたように、国全体の経済力の伸びが鈍化するということになりますれば、こういったものの収入もおのずから減る。したがって、国庫交付金なりあるいは交付税の伸びもそれほど大きく期待できないかもしれないというような事態も考えられるのでございます。そういったことをあれこれ勘案いたしてまいりますると、今後の地方財政の将来への展望ということは、たいへんに私はむずかしい要素をばらんでおるというふうに見ておるわけでございます。
ただいま御指摘のございました点につきましては、私はそのいずれを重んずるということでなくて、両々相まっていかなければならない。いわゆるその両者の調和をはかるといったようなところにめどを置きながら今後の地方財政の運営に当たってまいるべきものでなかろうか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/3
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004・片岡清一
○片岡委員 ただいまの御所見のとおりに、私もやはり、これは一方に偏すべきものでなしに、今日の地方財政に非常に大きな格差があるということから考えますと、これは独立財源だけではなかなかやっていけない。したがって、やはりこれを調整する交付税の方式あるいは補助金制度というものも、これは当然大きく加味していかなければならぬという考えでございまして、その点については、自治大臣のいまの御所見と私も同じ考えを持っておる次第でございます。
ところが、このいずれの方法によりましても、今度の地方税の改正で、私がさっき申しましたように千七百三十二億円という減収が見込まれておるのでございます。しかるにかかわらず、明年度の交付税として当然地方財政に繰り入れられなければならない額の中から、特別措置として、これは前の借金を返すという意味でございますが、千六百八十億円の特別措置を講ぜられた、こういうことをこの機会においてやることが適当であるかどうかという点について私はたいへん疑問を持ち、しかも、こういう際にはひとつすんなりと繰り入れをそのまま交付税として使わせていただくということが適当ではないかというふうに思うのでございます。
それに関連しましてもう一つお伺いいたしたいのは、三月三日の読売新聞で各都道府県の四十九年度の当初予算の総括が発表せられておるのでございます。この中で、たとえば千葉県の財政責任者である人が、ことしの予算は「元寇以来の危機」だというような、若干オーバーだと思うんですが、そういう表現をして、予算編成が非常に苦しかった点を指摘しておるのでございます。したがいまして、ほとんどの地方自治体では、前年度対比で国の地方財政計画の一九・四の伸びを下回る予算をたいてい組んでおる。ただ、国の伸びである一九・七%を上回っておりますのは、東京、埼玉というような革新知事の都県と、また比較的財政規模の小さい愛媛県とか香川県だけが、国の一九・七%を上回っておるということになっておるようでございます。それが出ております。
その理由は、どうしてこういう国の伸びよりも下回る財政計画を組まなければならなかったかというと、これはまあ、国の至上命令である総需要の抑制ということのために財政を圧縮することが必要であったことは当然でございます。ところがもう一つの大きなことは、起債が全然、ばっさり切られてしまったというところに大きな原因があったということがいわれておるのでございます。起債の伸び率は、これはいままで四十五年、四十六年、ずっとやってみますと、一五・七%、一九・六%、それから四十七年度においては五九・一%、四十八年度においては三〇・四%という、そして二兆円の大台に乗ったというふうに、相当大幅な起債が認められてきたのが、今度の新年度では三・八%の伸びにとどまった。そして二兆三千三百九十億円であった。これがその予算を組む上においてたいへん大きな苦しみをした原因であるといわれておるのでございます。
そのほかに、やはりいま私が申しました千六百八十億の借金を返済するための特別措置というものが、これは非常に痛かったということが指摘せられておるのでございますが、いま申しましたように、今回特別措置を講ぜられたことと、今度さらにこの起債が認められなかったということで、これは二つ、三つのダブルパンチ、トリプルパンチも受けたようなかっこうになると思うのでございますが、それらの点について大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、御所見を承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/4
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005・町村金五
○町村国務大臣 御指摘がございましたが、確かに明年度の各地方自治体の予算編成は、従来の予算編成に比べてみまするとたいへん難渋をしたであろうということは、ただいま御指摘のございました数字の上から見ても、私どもにも十分理解のできるところでございます。すなわち、従来の考え方からいうならば、かなりきびしい緊縮予算を編成せざるを得ないという状況にあったわけだと考えるのでございます。
申し上げるまでもなく、この交付税を千六百八十億円減額調整をするという措置を講じましたことは、これはすでに本会議等でもお答えを申し上げておるのでありますけれども、何と申しましても、今日わが国が当面しておる最大の課題は、物価の安定をできるだけすみやかに実現をしていかなければならない。そのためには、財政的には総需要抑制という、従来考えられないやり方を思い切ってやらなければこれを鎮静させることはできないという政府の判断に基づいて、各方面にわたりまして予算の圧縮、財政規模の非常な圧縮を強行するということに相なったのであります。
いまも御指摘がございましたが、たとえば起債等につきましても、本年はわずかに三・八%程度。それが前年あるいは前々年はその十倍あるいは十数倍というような起債の伸び率であった、それに対比してみますれば、まことに思い切った実は削減といわざるを得ないのでございますから、従来そういった伸びる体制のもとに予算を編成をいたしておりました各地方団体の財政当局にしては、ほんとうに血の出るような苦しい思いをせざるを得なかったということは、私は想像にかたくないわけでございます。
しかし、私どもは、今日最大の課題は何といっても物価の安定をはかることだ。これにはいろいろな手段を、それこそ総合して実行していかなければならぬということに相なったのでございますから、今度の交付税の減額措置にいたしましても、あるいは起債の伸び率を従来に比べてみますればはなはだしく圧縮をいたしたということも、こういった緊急事態における緊急措置だということで、私どもはやむを得ないものと、各地方自治体の皆さん方にも御協力を願わなければならぬ。いまのような物価高騰の情勢がますます激しくなっていくということになりましたならば、地方財政ばかりでなく、国民全体の生活が破壊をされてしまうというおそれがございますので、いわゆる当面する問題というものはたくさんある、非常に地方団体としてはお困りになる、いままで計画をしておったものをにわかにやめなければならないというようなことが多々あるであろうと私は思いますので、その辺はまことに関係者としては困難をきわめられたという事情は私どもわかるのでありますけれども、これまた、ある程度落ちついてまいりますれば、おのずからそういった問題は自然に回復をしていくことの機会があるわけでございますから、それまでの間ひとつ特にごしんぼうを願い、御協力を願わなければならぬ、かように考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/5
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006・片岡清一
○片岡委員 ただいま自治大臣の非常にお苦しい立場も私も十分わかるわけでございます。しかしながら、今日の地方における財政需要の非常に増高しておるという状態から、また福祉予算その他においていろいろ歳出が非常にふえておるという立場から考えますと、そういう立場を私は考えましても、これはどうしても、従来国の主税からもらっております三二%の交付税の額ですら、これはすでに改革を要するのではないか、もっと増額を要するのではないかということが強く叫ばれておるときでございますので、ただいま大臣がおっしゃったように、当然、いまの日本経済の異常九状態、ことに物価が非常に上昇してインフレが進みつつあるという状態においては、これを鎮圧する、これを押えるということが至上目的である、そういう立場からこれはやむを得ない一つの緊急の措置であった、こういうふうに私も理解をいたすのでございますが、ただいま大臣もおっしゃられましたように、そういう事態がおさまればひとつぜひこの地方財政の苦しい立場をお考えいただく。
と同時に、私は次の問題として、国の事務と地方の事務との配分、国と地方の事務の配分、これにどうも税金がマッチしていないという実情、こういうことがございますので、私はそういう立場からもぜひこの問題は根本的にひとつ将来お考えいただきたい、こう思うわけでございます。今日、国民の租税負担を国と地方とでどういうふうに割り振るかということの問題は、これは結局国と地方の事務の配分の問題のうらはらの問題になると存ずるのでございます。この事務の配分も必ずしも明確には区分はできないのでございますが、どうもこの税源の配分を考えてみますと事務量と見合わないものがあるということがいえるように思われるのでございます。
昭和四十八年度の地方財政白書によりますと、国と地方の歳出の純計額は、国が五兆二千四百五十一億円、地方が十一兆七千三百九十三億円、合わせまして十六兆九千八百四十四億円となるのでございますが、これによりますと、地方の占める割合が大体六九・一、すなわち三対七の割合になっておるのでございます。ところが、租税の収入の配分はどうもこれと全然反対の、国税七、地方税三という割合になるようでございます。すなわち、国税のほうが八兆四千四百三十九億、地方税のほうが、これは四十六年度の統計でございますけれども、地方税が四兆二千三百五十七億、総計十二兆六千七百九十六億円というこの数字を比べますと、これはどうしても七対三という割合になるわけでございます。こういうものから考えますと、やはり国と地方との税源の配分をもう少し大幅に考え直さなければならぬ問題があるように思われるのでございますが、これはたいへん重要な問題であると思いますので、ぜひ大臣の御所見を承りとうございますし、また、大蔵省の税制第三課長が来ておられるようですが、私はほんとうは大蔵大臣にお伺いしたいのですが、ひとつ大臣にかわって責任のある御答弁をお願いしたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/6
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007・町村金五
○町村国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、私どもの承知しておるところでは、国と地方との税収入の比率は大体七対三ぐらいというふうに私なども承知をいたしておるわけでございます。これが一体現状に照らしてはたして適当なのかどうかという問題は、実はなかなかむずかしい問題であることはいま片岡委員もおっしゃったとおりでありまして、やはり行政事務の配分といったようなものとにらみ合わせて考えてまいりませんと、この比率がはたして妥当であるかあるいは妥当を欠くのかという判断はなかなか実はむずかしい問題だ、こう思うのであります。私ども、地方団体の側から考えてみますと、どうも現在の情勢では、地方団体は多くの新しい仕事を次第に負担をいたさなければならない。それに対して必ずしも税収入はこれに十分マッチできるような情勢になっていないという感じを私どもはもとより持っておるわけであります。しかし、他面、国のほうから考えてみますと、おそらく大蔵省当局としては必ずしも私どもと同一の見解を持っておるかどうか、にわかにここで私がお答えはできませんけれども、そういった両者の問題を十分比較検討をいたしてみませんと、直ちに現在におけるいわゆる七対三というものが非常に均衡を欠いておるということがいえるかどうかは、私なお問題はあると存じます。
ただ、先ほどもお答えを申し上げましたが、いずれにしても、今日地方は、国のほうもそうだと思いますけれども、地方は特に新しい財政需要というものが非常にふえてきておる。ことに大都市等におきましてはそういった財政需要の伸びが顕著である。それにはたして十分対応できるだけの税源が確保されているかどうかということになりますれば、少なくともその立場から見ますれば非常に不足だという感じを持っておられることは、これは明らかでございますので、今後はそういった点を特に重視した地方税対策というものも考えていかなければならない、私はかように考えるのでございます。いずれにいたしましても、今日地方の立場から申しますると必ずしも十分でないということは、私どもも大局的にはそういう判断をいたしておるのでございまして、今後、事務の配分と同時に、地方の財政収入をどういうふうに確保してまいるべきかということは、地方行政上の重大な問題として今後私どもはさらに真剣な検討を重ねてまいるべき事柄だ、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/7
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008・西野襄一
○西野説明員 いま先生御指摘のございましたように、国税と地方税との税収の割合はおおむね七対三という割合で推移しているわけでございますけれども、しかし、地方交付税、地方譲与税、国庫支出金等を通じて、国から地方への財源の移転が行なわれておりまして、その点を考慮いたしますと、国と地方との実質的な財源の配分の割合というのは、おおむね国が三、地方が七というような結果になっているところでございます。
地方団体の自主財源の問題につきましては、これを強化すべきではないかという意見が強く出されております。しかし、社会情勢の変動に伴いまして地域間の格差、経済基盤の格差というものが拡大しておりまして、税源の偏在が著しくなっているという面もございます。また一方、国民の福祉行政に対する水準の同一化を望む情勢というものも強くなっておりまして、これらの点を考慮いたしますと、単に国税の一部を地方に譲るというような方法だけでは必ずしも問題の解決にはならないのではないかというふうに思います。したがいまして、地方団体の自主財源の問題につきましては、単に税の配分の観点からではなくて、広く地方交付税制度等も含めまして、国、地方を通ずる財源の配分の問題として考える必要があるのではないだろうか。さらに基本的に申しますと、国と地方との行政事務の配分のあり方といった面とも密接に関連する問題でございますので、こういったふうな点を総合的に勘案いたしまして、慎重に検討してまいりたいというように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/8
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009・片岡清一
○片岡委員 ただいま自治大臣は、所管の事務の立場からたいへん自治体に対して好意的なお考えのようでございますが、どうも大蔵省のほうは……。それは交付税その他を入れればそうなりましょう。しかし、やはり何というてもある程度独立の財源を付与していただかなければ、地方自治体というものが大きく伸びるといいますか、本来の使命を果たす上においてやはり支障がある、こういうふうに思います。したがいまして、これらの問題は、国と地方の税の配分という問題はたいへん重要な問題でございますので、いまおっしゃった点もわからぬではないのですが、しかし将来十分お考えをいただいて、自治大臣がいま述べられたように、そういう立場からも十分ひとつ考えていただいて、単なるそのときの言いのがれでなしに、ほんとうに自治体の立場というものを考えながら、もう一ぺん根本的に検討していただくということを私はお約束いただきたいと思うのですが、大蔵省、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/9
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010・西野襄一
○西野説明員 ただいまの税源の充実の問題でございますが、この点につきましては四十九年度の税制改正におきましても十分に配慮したところでございまして、ことに法人所得課税の評価にあたりまして法人税率の引き上げというのが国税のほうで行なわれております。とれに伴いまして法人住民税が増収になるわけでございますが、さらに加えまして、道府県民税法人税割の税率の調整を加えながら市町村民税の法人税の税率を九・一%から一二・一%に大幅に引き上げてその充実をはかっております。今後につきましても、先ほど申し上げましたような基本的な考え方に沿いながら、さらに慎重に検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/10
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011・片岡清一
○片岡委員 ただいまお話しのように、今回地方税の改正で、市町村民税の法人税割が大きく引き上げられたという点、それからまた自動車取得税の税率を引き上げた、こういう点は高く評価せらるべきで、一段の進歩であると思います。
しかし、さっきから申しておりますように、地方の財政需要がかさんでおるときでございますので、これからふえこそすれ減ることはないと思います。そういうことを考えますと、その税制調査会の四十九年度の税制改正に関する答申で、いわゆるかねて問題になっております事務所税あるいは事業所税というものがこれからも大いに検討せらるべきであるという書き方ではございますが、これらについてやはり大いに検討をしていただく時期が来ておるのではないかと思うのでございます。このことについて自治大臣はどういうふうにお考えになっておりましょうか、御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/11
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012・首藤堯
○首藤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、地方税源の増強、その中で特に都市的なところにおきます税源の増強ということが緊要だと私ども考えております。そこでその代表的なものといたしまして、今回事業所事務所税というものを創設してはどうかということを考えまして、税制調査会等にも提案をいたしまして御審議をいただいたわけでございます。ただ、残念ながら、ことしは法人課税全般につきましての負担増というものが国税、地方税を通じてはかられたばかりのときでもございましたし、また年末、ちょうど税制調査会等の審議が終わります時点に非常に経済界の混乱がございまして、先行きの見通しがなかなか困難だというような事情もございました。かてて加えて、各省から、事業所事務所税といったようなものの創設のあり方あるいは費用の使い方等について意見がいろいろございました。これを取りまとめるだけの時間的な余裕もございませんでした。そういう理由で、一応残念ながら見送りになりました。ただ、税制調査会におかれましても事柄の必要性は十分お認めをいただいて、今後引き続き検討しろ、こういう御下命をいただいたものと考えておりますので、私どもはこれの実施のためになお一生懸命努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/12
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013・片岡清一
○片岡委員 おっしゃるとおり、今回法人税も引き上げられるし、法人税割も引き上げられたということでございますので、将来の日本の経済の先行きを見越しながら考えるべき問題であるということも了承できるわけでございます。なお、事務的に十分詰められなかったという点もありますので、将来の問題としてひとつ十分お考えをいただきたいと思います。
それで、私はその点について次にお伺いいたしたいのでございますが、今度法人税の税率が三六・七五から四〇%に引き上げられた。配当分についてもこれに準じて税率が引き上げられる。こういうことになりまして、地方税においても市町村、特に都市税源の充実をはかるという意味で法人税割が引き上げられたことはまことにけっこうでございます。
そこで、この法人所得というものに対して、これは国と地方との配分をどうすべきかという配分割合についての御所見を承りたいのでございます。
それとあわせまして、東京都において法人事業税の引き上げを今回企図せられて、そして定例都議会に提出されておると聞いておるのでございます。これは御承知のように、都知事の諮問機関である新財源構想研究会というものの提言によるのだそうでございますが、今度これをきめられた本旨は、書かれておるものを見ますと、これは東京都の法人税について報道せられた「トピックス」というものに載っておるのでございますが、「税財政を、行政を担当する立場からみるのではなく、自治の担い手である都民の立場から、税財政制度の枠組の中で、市民的法解釈を使い、都財政の自主、自律性の拡充を追求、しかも課税を通じて産業活動などの規制、誘導をはかり、直接に市民の生活と生活環境を守る」そういう姿勢から検討を続けてきたということが述べられておるのでございます。それで私は、この立場からこの法人事業税が取り上げられたことに対して自治省のお考えをお伺いいたしたいのでございます。
先ほどから問題になっておりますように、すでにこの法人税については、国の法人税、それから法人税割、そういうものが引き上げられましたほかに、さらにこういうものを計画されたということには、何かすんなりした立場でなしに、政治的な偏向——ここにも書いてありますように、環境整備や生活環境を守る、この税によって産業活動の規制、誘導をはかるというようなこともおありでございましょうが、何かもっとそれ以上に政治的偏向をしたところの意図があるのではないかというように思われて、二重、三重に企業に対して重課したというようなきらいがあるのではないか。本来現在の日本の立場は自由経済の立場でございます。したがって、企業もある程度営利が出てきてもうけないと、やはり経済の発展というものは期せられないわけでございます。それを意図的に重課するということについては私は若干の行き過ぎがあるのではないか、こういうふうに思われるのですが、これについてどういうふうにお考えになっておられますか。ことに私はこの不均一課税というものは、これは御承知のように地方税法の六条二項に出ておるのでございまして、「地方団体は、公益上その他の事由に因り必要がある場合においては、不均一の課税をすることができる。」ということでございます。さような立場からいたしますと、この法人事業税を引き上げるということが適当であるかどうか、これについて自治省としてどういうふうにお考えになっておるか、政務次官または局長からでもよろしゅうございますが、ひとつ御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/13
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014・首藤堯
○首藤政府委員 二つお尋ねがございまして、一つは法人課税の程度、それからこの税の帰属を国と地方でどう分けておるのかという、こういう御質問でございます。
法人課税の実情は、現在の実効税の負担水準が現在では四五・〇四%でございますか、この程度でございまして、これは税制調査会等でも議論になりました過程におきまして、世界各国の法人課税の実情等を勘案をいたしますと、大かた平均的なところが五〇%見当、こういう状況でございますので、国際水準における競争力といったような問題も含めて大かたその見当を軸として考えたらいいだろう、こういうような御説があったように承っております。今回の法人税及び法人住民税関係の引き上げによりまして、この実効税率が四九・四七%に相なるわけでございまして、四五%からその約一割程度の引き上げ、ほぼ五〇近いところ、このように設定をされたように承っておりまして、この法人の租税負担の水準が幾らでなければならぬという理論的な根拠はなかなかなかろうかと思いますけれども、そういった世界の状況等を基盤にいたしまして、学識経験者の方々の御意見、こういったことを尊重しながらこのような税率に設定をされたものと存じております。
なお、この増加分の国と地方との配分でございますが、国のほうが法人税で増収をいたしまして、地方が法人税割で増収をいたしますが、この法人税のうちの三二%は御承知のように地方交付税で地方に配分をされる、こういうことに相なりますので、地方交付税税分を含めますと、この増加分の約五%程度の半分より少し多目が地方に参りまして、国よりも地方のほうが少し多目になった、こういうことを申し上げておきたいと思います。
それから第二は、東京都の法人事業税の超過課税の問題でございます。
御承知のように、地方税法は地方の自主性を尊重いたしますために標準税率制度を設けておりまして、特別の財政の需要がありますときには標準税率によらずに超過課税をやることは差しつかえない、こういう制度になっておりまして、その制度から申しますならば、超過課税を行なうということは標準税率のあるものについては可能でございます。ただその場合に一番問題になりますのは、特別な財政需要があるかどうか、財政事情があるかどうかというところが一番の問題であろうと存じます。税の増徴でございますから、やはり税を賦課される人の立場に立って考えてみますならば、それに見合うだけのやむにやまれぬ需要があって、それをこなすためにこういった超過負担をすることもやむを得ないというコンセンサスが生ずると申しますか、これが自治の基盤であろうかと考えておる次第でございます。したがいまして、東京都の場合におきまして、ただいま条例が提案されて御審議中と承っておりますが、そういった関係、つまりそういった法人に課税をいたします原因としての特別の財政需要のあり方、それに対する負担の程度のあり方、こういう点について十分御議論が行なわれ、コンセンサスが成立をして行なわれるものであるならば、こういうように感じておる次第でございます。地方の自主性を重んじたための税制度でございますから、自主性の発揮の裏にはやはり地方の自主性に基づきます責任と申しますか、そういうことも貫かれてしかるべきだ、こう考えております。
それから不均一課税の問題でございますが、これは税法上、ただいま御指摘をいただきましたように、公益上特別の理由があるときには不均一課税ができるわけでございます。これも、公益上の特別の理由の判定をどう考えるか。それからまたもう一つの問題といたしましては、不均一課税を行ないます場合のやり方の問題でございますが、不均一課税という制度でございますから、何か不均一課税を行なうことによって、裏から申しますとごく特定の一部のものだけに課税が増加をするというようなあり方というものがもし生ずるとすれば、こういった点は不均一課税のあり方としてあまり望ましいことではないのではないかと考えております。いずれにいたしましても、そういった二つの問題点が今後都議会でも十分御議論があろうかと思いますけれども、そういった点について十分なるコンセンサスが生ずるならば、税法上許された制度である、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/14
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015・片岡清一
○片岡委員 ただいまの御説明で、特別な税を課す場合には、そういう需要があるかどうかということの判定の問題が第一に大事であると同時に、という御答弁でございますが、これは、おそらくこういう方式はいま大阪にも伝播していくというようなことがいわれております。おそらく革新系の知事さんのところにはそういうことがだんだん行なわれるようになるのではないかというふうに思われます。ただ、いまお話しのように、それが都民なり市民のコンセンサスが得られるということになればこれはそれでいいと思うのですが、必ずしも必要がないのに特に一つの意図を持って重課をされるということについては、公平なる税の負担というようなことから考えて、私はこれはやはり考えるべき問題であるというふうに思うのでございまして、その点について自治省においても十分推移を見ながら、必要によって何らか抑止、監督、指導の権限を発動していただきたいと思うのでございます。そういう点を要望しておきたいと思います。
それでは次の問題に移りたいと思いますが、明年度の所得税においてはサラリーマンを中心として大型の減税が行なわれまして、給与所得者標準家庭において課税最低限が百五十万七千円というふうに大幅に引き上げられたのでございます。住民税においても明年度は課税最低限の引き上げによる減税がはかられて、給与所得者の標準家庭の課税最低限が百一万六千円に引き上げられたのでございます。これはまことにけっこうなことでありますが、住民税は前年の所得を課税標準として課税されるものでございますから、その課税最低限も前年の所得税と比較することになると思うのでありますが、一般住民の感情からいたしますと、私は、所得税と住民税の課税最低限に差があり過ぎるように思うのでございます。もちろんこれは地方税と国の税とではその立場が違います。地方税としては、できるだけ自治行政にみんなが参加しておるのだ、同時にその責任を持っておるのだ、こういうことを自覚さす意味で、納税義務をなるべく広い人たちに負ってもらうということがたいへん大事なことであると思うのでございますが、しかし、やはり低所得者の負担軽減という社会政策的な見地から、もう少しこれは近づけてもらうなり、同じにしてもらうなり、何か考えらるべき問題でないかと思うのであります。その点についての自治省の御所見を承りたい。
それからまた、所得税においては税率の緩和がはかられましたが、住民税においてもその税率の緩和をはかるべきで.ないかという点について、これは局長でよろしいのですが、局長の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/15
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016・首藤堯
○首藤政府委員 住民税の課税最低限の問題でございますが、ただいま御指摘がございましたとおりの状況でございまして、住民税の課税は前年の所得に対して課せられておりますので、去年の国税の夫婦子二人の標準家庭におきます課税最低限百十二万余り、これに対応する今回の課税最低限が百一万余り、こういうかっこうに相なるわけでございます。この住民税の課税最低限を国税の所得税のそれと一致さすべきではないかという御議論はしばしばあるわけでございますが、ただいま先生の御指摘をいただきましたとおり、住民税と所得税の性格の差から、できるだけ住民税については、いわばこれは住民会費とでも申すべきものでございますので、もちろん応能性は考慮しなければなりませんけれども、能力のある方々はなるたけ広くこの負担を分け合っていただく、こういう考え方もあるわけでございまして、両方を一致をさすということは、小さな市町村等におきましてはひどく納税義務者が減少するという事態も生じますので、一致をさせる必要はない。しかし、所得の増加あるいは社会生活程度の増加、こういうものに対応いたしましてできるだけ引き上げていくべきだ、こういうふうに考えておる次第でございます。そういう考え方で今回は百一万円までの引き上げをいたした次第でございます。
それから税率問題でございますが、これは税率につきましても見直しをする必要があるのではないかという御意見ももちろんございます。四十八年に一応の見直しをいだしたのでございまして、ことしにおきましては主としてこの課税最低限の引き上げによる減税、これを重点的に考えていくという方針をとった次第でございまして、ことしの所得税の課税最低限の引き上げ、つまり給与所得控除の引き上げ等が明年度の地方住民税にも影響してまいる事態もございますので、そういった事態を考慮しながら税率については今後検討していきたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/16
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017・片岡清一
○片岡委員 時間があまりありませんので先を急ぎます。
次は小規模住宅用地についての軽減措置の問題について四点お伺いしたいのでございます。
小規模の住宅用地についての軽減措置を講ぜられることになったのでありますが、この固定資産税はその価格を課税標準としておるので、今後まだまだ、なるべくそういうことは望ましくないのですが、地価が引き続き上昇するというようなことが考えられますので、これが上昇すれば、これに応じて固定資産税の負担もだんだん増加してくるということになります。こういう小規模住宅の方たちはそこに長く住むということを一応の目標にしておるので、その地価が上がったからというてすぐ受益をすることではないものですから、地価が上がることによって非常に固定資産税がふえるということになることについては、これは耐えられないものがあると存ずるのであります。こういう意味において、地価が異常に上昇しておるという場合には時価を課税標準とすることは問題であるという意見もありますので、今後における土地の評価がえ及びその税負担のあり方について何かいい方法がないか、それをどういうふうに考えておられるか、ひとつお伺いしたいことが第一点。
それから、小規模住宅地について税の負担が軽減されることとなりまして、評価額の四分の一になりましたが、評価額の四分の一に達していないものについては税額を据え置くということとされました。このようなものの中には、昭和四十八年度においてすでに税負担が相当大幅に増加した土地もあると思うのでありますが、税額の引き下げを行なわずに据え置きをするだけということで、それで十分であると考えておられるかどうか、その点をお伺いしたいのが第二点。
第三は、政府は、生産緑地法案を今度新しく提案されました。ところが、生産緑地に指定された市街化区域農地については、昨年の附帯決議もありまして、一般農地並みの課税とする。この問題について、いろいろ地方の自治体において、その農地並み課税をされなかった、市街化区域において宅地並み課税をされた、その差額を各市町村が補助をしておるというような制度をとっておることは御承知のとおりでありますが、これが今度生産緑地の法案が出たことについて、将来これをどう措置をせられるのか、自治省の方針をひとつ承りたいと思うのでございます。これが第三点。
それから、土地対策は一番緊要なことであります。あらゆる手段をもってこれに対処しなければならぬのでありますが、この見地から、固定資産税等の地方税は土地対策に十分寄与しておるものと考えられておるかどうか、そういう点についての御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/17
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018・首藤堯
○首藤政府委員 第一点は、土地にかかわります固定資産税のあり方の問題でございまして、御指摘のように非常にむずかしい重大な問題を内包しておると思っております。もともと固定資産税は、御案内のように固定資産自体の持つ価値に着目をしまして、その財産を持っておるということに担税力を見出すわけでありますから、時価で評価するというのが理論的には原則的に一番正しい、こう考える次第でございます。ただ土地の場合は、現状におきましては地価というものが御指摘のように異常に上昇いたしておりまして、物価の値上がり率、所得の増加率、こういうものに比べてもいかにも異常な値上がりである、こういう事態を前提といたしました場合には、御指摘がございましたように、長年それを使用して、たとえば住宅等に使用しておるというだけの場合に、増加をいたしました地価に応じた、その評価額に応じた税負担をかけていいのかという問題はやはり生じてこようかと思う次第でございます。
そこで基本的な問題は、昭和五十一年度に三年おきに行なわれる評価がえがあることになりますので、その評価の際に、あわせまして土地における固定資産税のあり方というものをまた抜本的に、御意見を承りながら考え直していきたい、こう考えておる次第でございますが、そのつなぎの措置といたしまして、住宅用の土地につきましては、去年全般的に評価額の二分の一までにする、それから今回小規模の六十坪以下のものは四分の一にする、暫定的ではございますがこういう特例措置をとりましてその負担の増加を押えていく、こういう体制をとった次第でございます。
それから二番目の問題でございますが、小規模住宅用地を四分の一に軽減をいたすわけでございますが、それに達してないものは四十八年度の税額に据え置きをいたしたわけでございます。この点は、その据え置きだけでよろしいかという御指摘でございますが、四十八年に住宅用地の引き上げが行なわれましたやり方は、いままでどおりの各評価倍率によります調整税率によって負担増をはかってまいりましたけれども、最低限度の底上げをいたしまして、評価額の百分の十五にまで達しない宅地についてはこれを十五まで持っていく、こういうことをいたしましたので、大都市周辺でございますけれども、そういったごく特殊の土地だけがかなり四十八年度で負担が増加をしておる、こういう事態が生じておるのでございます。
しかし今回、いずれにいたしましても二五%に達しませんものは四十八年度のままに据え置きをいたしますので、そういった土地におきましても一五%を最低限として据え置きをされる、こういうことになるわけでございまして、御設問が、四十七年度まで戻ったらどうかというようなことでもしございますとすれば、その分は評価額の一五%にまでも達していないというところでございますので、いわばその土地相互間の均衡の問題、こういう点から考えても一五%程度まではごかんべんをいただいて、そこまで負担をしていただいて、そこで据え置き、こういうかっこうが適当ではなかろうかと考えた次第でございます。
それから三番目の生産緑地の問題でございますが、これは現在提案予定の生産緑地制度、これが成立をいたしますならば、生産緑地になります市街化区域農地については農地並みの課税に戻す。もしことしの年度途中に生産緑地に指定をされますれば、すでにかけられました税金は還付をする、こういう体制をとったわけでございます。
そこで、この生産緑地制度そのものが、御案内のように、市街化区域の農地に対して適正課税を行なって土地政策に資しようという一つの考え方と、それから市街化区域内においてもやはり生産緑地とでもいいますか、そういった緑地なり農地なりの都市計画上のその効果、こういうものも無視できないではないかという考え方との中間点と申しますか、調整策として出てきたものだと考えておりますので、この制度ができ上がりますれば生産緑地に入るものについては農地並み課税、それ以外のものについてはやはり市街化区域内の宅地並み課税という原則が貫かれてしかるべきものだろうと、原則的には考えております。しかし、いずれにいたしましても、ここ当分の間はこの生産緑地の指定が続くと思いますが、事務的にこの指定が行なわれておりますある程度の期間、こういった場合に、現在市町村が行なっておりますような独自の補助金制度といったようなものが経過的には存続をすることもあり得るかなと、こういうように考えておる次第でございます。生産緑地制度が整備をされますならばこれに乗りかわるべきが至当かと、このように自治省としては考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/18
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019・片岡清一
○片岡委員 時間がありませんので次にいくことにいたしまして、今度電気ガス税の改正が行なわれ、これは電気税とガス税が分離せられる、そしてそれぞれの免税点が引き上げられたのでございます。これはまことにけっこうなことで、合理化がはかれた点は深く敬意を表しますが、ところが、これはどうしても大衆の日常に非常に関係の深い税でございます。どうかすると、これがやはり大衆の、悪税であるというふうな批判もなきにしもあらずでございます。
ことに私はこの点で、今回の免税点の引き上げによりまして、この総需要世帯数に対する免税対象になった世帯数はそれぞれ何%ぐらいになっておるか、ちょっと聞かせていただきたいと思うことと、もう一つは、今度おそらく、石油の異常な値上がりによりまして、これはいつの日にか石油製品の価格改定が行なわれ、同時に私はそれに伴って、電気の料金も相当値上がりは免れないというふうに思われるのであります。そうなりますと、せっかく今度免税点を上げましたけれども、まただんだんその免税点を上回ることになってきて、結局税金が一般の人に転嫁されるという心配があるように思われるのでございますが、その場合に負担軽減についてどういうふうに考えておられるか、これをお聞きしたいことと、最後にもう一つの第三点として、自治省は電気ガス税の産業用の非課税についての特別措置について全面的な洗い直しをするという点を言明しておられるのでありますが、今回の改正では非課税品目の整理が行なわれてないのはどういうわけであるか、この点をひとつお考えを承りたいと思います。局長にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/19
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020・首藤堯
○首藤政府委員 電気ガス税につきまして、現在ややもすると、大衆の日常生活必需品に対する課税で、悪税ではないかという御意見が生じかねないという御批判につきましては、しばしば耳にいたしておるところでございます。ところが私どもは、従来からいろいろ論議をされておりますけれども、電気ガス税は、電気やガスの消費量と消費者の所得の間に見られる相関関係と申しますか、御案内のように非常にパラレルな関係を持っておりますものですから、そこに担税力を見出しまして、いわば所得課税の補完的な意味で地方財源として適当なんではないか、こう考えて実は電気ガス税を徴収いたしておる次第でございます。こういう点からは、生活必需品そのものにかかる税金というようには御観念をいただかないようにというような希望を私どもとしては考えておる次第でございます。
しかし、この電気ガス税につきましては、やはり日常生活に最低限度必要な程度のものまで課税をするという点は、これは適当でないことは申すまでもございませんので、御指摘のように免税点を設けまして、必要最小限度のものは免税点以下にする、こういう措置をとっておるのでございますが、この免税点対象需要家の割合は、電気税におきまして現在の千二百円という想定をいたしました場合、世帯数の約二七%余りくらいが免税点以下になろうと考えております。二七・一%だと想定をいたしております。それからガス税の場合は六二・三%、こういうところが免税点以下になると考えておる次第でございます。
それから、電気料等が今後値上げになりまして、こういった免税点以下の需要家戸数の比率が非常に下がるという事態が将来生ずるということに相なりますれば、また今後の検討におきまして免税点の引き上げ等は十分考慮をしていかなければならない、またそのように検討をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
それから産業用の非課税措置の廃止につきましては、先年から申し上げておりましたとおり、私どもといたしましてはぜひ洗い直しをやりまして、できる限りこれを排除していきたいという方針をとっておるのでございまして、現在もその気持ちは変わりはございません。ただ、ことし御指摘のようにこれが実現に至りませんでしたのは、最近の物価値上がり等の動向もございまして——現在産業用電気の非課税をいたしておりますのは重要産業物資でございまして、しかも電気料が生産コストとして五%以上のもの、こういうような限り方をいたしておりますので、この点の免税ないし非課税措置の廃止を拡大をいたしますと、こういった基礎資材のコスト、値段に非常に大きな影響が出るのではないか、こういったことも勘案をされます。そういった含みもございまして今回は見送りをいたしたのでございます。今後ともこの点についてなお一そう洗い直しを行なって、できるだけ非課税措置の廃止、こういうことに努力をしていきたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/20
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021・片岡清一
○片岡委員 時間がだいぶ来ましたので、もうあと二点くらいについてお伺いしたいのでございますが、一つは、地方税にかかる租税の特別措置については、電気ガス税の問題についてはお話がございました。四十八年度の地方税法の改正に対する附帯決議においても、「できる限り整理するよう、引き続き検討する」旨が指摘せられておるところでありますが、今回の税制改正において整理しようとしておる内容がどのようなものであるか、ひとつ承りたいと思いますとともに、この特別措置については今後ともひとつ可能な限り整理し、また合理化をはかっていただきたい、こう思うのでありますが、この点についてどういう方針であるか、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/21
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022・首藤堯
○首藤政府委員 地方税におきます非課税、軽減等の特例措置でございますが、御案内のように、国税において定められておりますものが自動的に地方に及びますものと、それから地方が独自でやっておりますものと、二通りあるのは御承知のとおりでございます。私どもといたしましては、できるだけこの特例措置は整理をし、廃止をしていくということが税負担の公平上妥当なものだと考えておりますので、毎年この洗い直しを積極的に行ないながら廃止につとめたい、またつとめてきておるところでございます。それからまた、国税のこの措置が自動的に地方税に及ぶということもできるだけ排除いたしたい、こういう基本的な考え方に立っておる次第でございます。
ただいま、ことしにおいてはどういう点を整理をしたかという御質問がございましたが、一番大きゅうございますのは発電所にかかわります固定資産税の特例措置、これを廃止をいたしました、ないしは軽減をいたしたわけでございまして、これは金額的にもかなり大きな、七十億余りの金額になるわけでございます。それからそのほか、重要産業用合理化機械にかかわります固定資産税についての特例措置も廃止をすることにいたしました。それからまた国税との関係では、交際費課税の強化、それから異常危険準備金制度の縮減、こういった措置が国税においてとられましたが、これは地方税にも影響を及ぼす、こういうかっこうでいわゆる整理の項目の中に含めておる次第でございます。なお、今後ともこういった点については鋭意洗い直しを行ない、整理につとめてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/22
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023・片岡清一
○片岡委員 最後にお伺いいたしたいのは国民健康保険税についての問題でございます。
市町村の国民健康保険税は市町村によって非常に格差が多うございます。一世帯当たりの税金あるいは保険料、そういうものは、段階別に調べた市町村数というものの表を見ますと、全国の市町村数三千四百六十四市町村について調べたものを見ますと、二万円以上の市町村が千二百四十九で三八・二%、それから二万円以下一万六千円以上というものが千百十五でございまして三四・二%、それから一万六千円未満一万円までというものが七百五十九でございまして二四・八%、それから一万円未満五千円までというのが八十四で二.七%、それで五千円未満というものがこれは一つでございます。そういうことで、全国の各市町村で差が非常に多うございます。ばらつきが多うございます。
そこで、その理由は、これはいろいろありましょうけれども、大体総じて考えられますのは医療給付の差が基本でございますが、受診件数の多少、それから住民の所得水準の高い低いというものにもよりましょうし、またお医者さんの分布にいろいろな差があるということもございましょうし、それから一般会計からの繰り入れができるところ、できないところという、これは結果論になるかもしれませんが、そういうようなことからいろいろな理由で税金が違い、料金が違うということになっておると思うのでありますが、これは、財政の非常に豊かなところ、この料金が高いというふうになればこれはいいのですけれども、財政力あるいはまた市町村民の富の程度というものの非常に低いところで、しかもこの保険税が非常にかさんでおるところもあると私は存じます。そういう点で赤字が出て非常に困っておるところもたくさんあると思います。これが住民に非常に大きな負担になっていると私は思うのでございます。これをどう解決していくか。これは国のほうでめんどうを見てもらうということに全面的になれば非常にけっこうなんですが、その前に考えられるのは、全国プール制で、何か一律の保険税で税率を一様にするような方法はないものか、そういう点について何か自治省でお考えになったことがあるかどうか、検討されたかどうか、それについての御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/23
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024・首藤堯
○首藤政府委員 国民健康保険税についての御質問でございますが、ただいま御指摘のように、保険料の負担が非常に増加をしてまいりまして、しかも国民健康保険に所属をしております住民の方々は、比較的に申しますと所得の少ない方々でございますので、この負担が住民税よりずっと負担がきびしいと申しますか、そういう負担感があるといったようなことについては私どももよく承知をいたしております。そのためまた、国民健康保険会計の特別会計の運営についても、市町村がなけなしのさいふをはたいて非常に苦労しておるという点も、私ども存じておるわけでございます。
この点につきましては、何と申しましても現存の国民健康保険制度そのものをどう考えるかという、この制度改正の問題につながる問題だと思いまして、現在厚生省におきましても、この国民健康保険料のあり方、それから標準保険料のあり方といったようなものを検討されておるように承っておるのでございますが、まだ、負担等の問題もいろいろ関連がございましてか、結論を得ていない事態である、こう承っておるわけでございます。私どもといたしましては、この国民健康保険の実態にかんがみまして、できるだけそういった標準保険料的な明確な制度を打ち出されるとともに、これに対する国庫負担の増加等の充実も考えていただきまして、住民の国民健康保険料の負担が適正な規模に軽減をされますようにぜひお願いをしたい、またそのように努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/24
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025・片岡清一
○片岡委員 もう一つだけお願いしたいのですが、地方道路の財源を増強するために、今度は自動車取得税の税率が引き上げられましたことはまことにけっこうなんでございますが、ところが国道に比べまして地方道、特に市町村道の整備がまだ非常に立ちおくれておりますことは御承知のとおりでございます。国といたされましても、市町村道の道路財源、市町村道の整備ということに今度は非常に重点を指向してやられるということになっておるわけでございますが、しかし、これは何といっても市町村自体に、いろいろ改良、舗装等の住民の要望が非常に多うございます。したがってこれに対する財政需要がたいへん多いわけでございまして、今回の自動車取得税の税率を引き上げられたというのも、これは一段の進歩でありますが、今後これらの財源措置についてさらに考えていただく必要があると私は思うのです。現在ではまだ不十分であると思うのありますが、これを最後にひとつ考えを承って、それで私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/25
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026・首藤堯
○首藤政府委員 地方の道路財源の問題でございますが、御指摘のように、地方の道路財源はその整備の必要性に比してまだ非常に乏しい、このように考えておる次第でございます。今回も、ただいま御指摘ございましたように、自動車取得税の増加、それから国税の増加に伴います地方道路譲与税の増、それから自動車重量税関係の譲与税の増、こういったものを企図いたしたわけでございます。この金額が、昭和四十九年度においては九百八十三億円、アバウト千億でございます。必ずしも十分だと考えておりませんが、現在の状況ではできるだけの努力をいたしたつもりでございます。この増加が見込まれました結果、昭和四十九年度の地方道路財源における特定財源比率でございますが、これは予算ベースでございますけれども約五〇%見当に相なります。
特に、御指摘がございましたように、市町村の道路、これの整備の必要性が高うございますし、またこの財源充当率が非常に低うございますので、市町村にできるだけ財源を回したいという考え方を持ったのでございまして、取得税を増加をいたしましたのも、その大部分が、七割が市町村に参るというようなこともありまして取得税を増加をすることにいたしたのであります。その結果、市町村の特定財源比率が、現在まででございますと二五%余りでございましたのが、今回の改正の結果三九%余り、約四割見当までやっとこぎつけることができた、こういう事態に相なった次第でございます。なお、今回のこの措置は、現在の道路整備計画の前提条件からいたしまして、四十九年度、五十年度の二年間のつなぎの暫定措置、こういうことに相なっておりますので、こういった暫定措置の経過とともに、今後ともこの地方道路財源、特に市町村道、身の回り道路の財源充当費を上げていくという点については鋭意検討を続け、またその実現を目ざしたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/26
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027・片岡清一
○片岡委員 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/27
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028・伊能繁次郎
○伊能委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
午前十一時三十一分休憩
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午後一時四十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/28
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029・伊能繁次郎
○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山田芳治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/29
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030・山田芳治
○山田(芳)委員 一番最初に、きのう立川市がアメリカ軍の私用車、私の用に供する自動車の課税について日本人並みにするということで、全国で初めて議会に提案をしたということがあるわけですね。前からこういうことをするということは市長が言っておったわけでありますが、きのうは正式に提案をされた。そのとき市長は、市民感情から考えて米軍人、軍属に対する特別扱いをやめるのは当然だというふうに説明をされているわけであります。米軍の軍用車については地位協定により免税となっているわけで、地位協定は条約と同等の効力を持つということになっておるようであります。軍人、軍属のプライベートな車に対しましては、地位協定の中にも第十三条であるわけでありますけれども、地位協定第十三条第三項には、「私有車両による道路の使用について納付すべき租税の免除を与える義務を定めるものではない。」という条項があるわけであります。そういう立場に立つと、今回の立川市の改正案というものはそういう点に立って提案をされているということであろうというふうに思うわけです。一方自治省は通牒の中で、これは昭和二十九年でありますけれども、この地位協定自身が昭和三十五年にできておりますから、この通牒がそのまま生きているかどうかという問題はあると思いますけれども、この点について、われわれとしてはやはり市民感情という立場を考えた阿部市長の立場というものが了解をされるわけでありますが、自治省当局としてはこの問題についてどういうふうに考えておられるかということをまずお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/30
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031・首藤堯
○首藤政府委員 ただいま御質問のございました合衆国軍隊の構成員等の私有車両にかかわる問題でございますが、ただいま御指摘ございましたように、地位協定の十三条の三項によりまして、私有車両による道路使用について納付すべき租税、これは免除されないけれども、その他の動産の保有等についての租税は免除されているわけでございます。
そこで、この道路使用について納付すべき租税の額がどの程度になるかという点につきまして、ただいまこれも御指摘がございましたように、二十九年の日米合同委員会の場におきまして、当時は主として軍用トラック等の道路損傷状況と比率といったようなものを基礎にいたしまして、それぞれ現行税率がきめられておるわけでございます。したがいまして、法的な構成から申しますと、ただいま御指摘の地位協定という条約に基づいて、日米合同委員会でその具体策が詰められて金額がきまっておる、こういうかっこうに相なっておりますので、これを標準税率のとおりの税額で取るということは、その条約に違背をする、こういうかっこうに相なろうかと思うわけであります。ただ、この自動車の道路損傷分といわれます現行の税率の問題でございますが、これはただいまも申し上げましたように、かなり長い時間をけみしておりますので、現在の金額が適当なものであるかどうか、この点については再検討を要するだろうと思っておるわけであります。この再検討につきましては、今後日米合同委員会の場において詰めていって、了解を得られました金額、了解のついた金額で課税をしていく、こういう体制に進みたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/31
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032・山田芳治
○山田(芳)委員 日米合同委員会でその道路の使用について納付すべき租税の額というものをきめていくべきだというお話ですが、具体的、積極的に自治省としては、こういう具体的な事例が出てきているわけでありますから、二十九年の自治省通達などというものはもう二十年も前のことでありますから、これを契機にはっきりした考え方を出してもらいたいし、われわれとしてはやはり、現在でもプライベートな車を免除していくということは国民感情が許さないという立川市長の立場というものを支持する立場に立って、われわれと同じように、自治省当局としては外務省並びに合同委員会の中にその意見が反映され、適正な課税ができる、立川市の言うているような課税ができるように努力をされる意思があるかどうか。
それからもう一つは、この通牒について、そういう場合にはっきり改定をする、改定して通牒を出すということについての見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/32
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033・首藤堯
○首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、この税率はきめられましてからずいぶん長い期間がたっておりますので、積極的に外務省等を通じまして日米合同委員会に持ち込んで、適正な金額にしていただくように努力をするつもりでございます。
なお、そういった話がまとまりますれば、もちろん通達もいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/33
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034・山田芳治
○山田(芳)委員 それではこの問題はその努力の結果を見て、ひとつまた別の機会に質問をすることにいたしたいというふうに考えております。
次に、個人住民税の問題についてお伺いをしたいと思います。
わが社会党といたしましては、低所得者層の住民税負担の軽減をはかるために、標準世帯について、道府県民及び市町村民税のそれぞれ二万円程度の税額控除をすべきだという意見を持っております。たとえば本人から一万円、配偶者五千円、扶養親族一人について二千五百円というような程度のものを考えたらどうだろうかというような案を持っておるわけでありますが、こういう税額控除という点について、自治省当局としてはどういうふうにお考えになるか、まず承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/34
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035・町村金五
○町村国務大臣 低所得者層の負担の軽減をはかりますために、標準世帯について二万円程度の税額控除の方法を取り入れたらどうか、こういう御所見でございます。自治省といたしましては、住民税につきまして負担軽減をはかるためには課税最低限の引き上げをはかることが適当だというふうに考えておるのでありまして、四十九年度におきましても課税最低限を相当大幅に引き上げることにいたしたいと考えておるわけであります。と申しますのは、もし御提案のような方法によります場合には、納税義務者というものがたいへんに減るわけでありまして、住民税の性格から申しましても非常に問題がある、また地方財政にもきわめて大きな影響が起こるということに相なりまするので、現段階におきましては、自治省が考えておりまする課税最低限の引き上げという方法で低所得者層の負担の軽減をはかることが適当であろう、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/35
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036・山田芳治
○山田(芳)委員 もちろん、減税をすれば自治体の財源が減るということはわれわれもわかるわけでありますが、これからは、私が質問いたすように、もっと法人関係から多く取るべきだというふうに考えて低所得者層の住民税というものはやはり税額控除すべきだというのがわれわれの意見であることをまず申し上げて、次に移りたいと思います。
次は、道府県民税の税率がフラットである、一つしかないということです。これは、われわれは案としても考えておりますように、五段階説というものを出しているわけであります。百五十万円以下と、百五十万円をこえ二百五十万円、二百五十万円をこえ四百万円、四百万円をこえ六百万円、六百万円以上のものという五段階程度のものを考えているわけであります。この道府県民税の経緯というものは、市町村税から分離をしている過程があるわけでありますけれども、相当の期間がたっている。そういう関係から考えると、現時点においてはやはり累進構造を強めるべきだということが時代の要請であると思うのですね。ですから、所得割、そういうものについての調整をするということについて、そういう意思があるかどうか。どういうふうに考えるかをお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/36
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037・町村金五
○町村国務大臣 現行の道府県民税につきまして、これを現在の二段階から五段階にするという一種の累進税率方法を採用すべきである、こういう御提案と伺ったわけでございますが、御承知のように、現在所得課税については、申し上げるまでもなく、あるいはいまの道府県民税、それに市町村民税、所得税、そういったものを通じて総合的な検討の上に、いまの道府県民税の二段階制というものが、そういったものを総合した場合にはこれが適当であるというふうに判断をいたしておるわけでございますので、したがって、いまこの道府県民税だけを取り上げてこれに累進課税的な制度を取り入れるということについてはそういった全体を総合して判断をいたしませんと、これだけをいま取り上げて累進税を採用するということには、にわかに御賛成申し上げかねるというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/37
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038・山田芳治
○山田(芳)委員 ちょっとそこがわからぬのです。たとえば六百万をこえるようなものについては、百分の四というようなものをやはり百分の六というふうに上げていくほうが現在の時代に合っている。総合的に考えるという意味はわかります。ですから私どもの党としてはこういう提言があるわけです。御承知のように所得税と住民税とを総合的に課税をしていくというようなところで、総合的に課税して税率をそこで一本にきめていこうというような案も提案されているというふうになっているわけであり、私どももそれを真剣にいま討議をしておる段階でありますが、少なくとも所得割については所得に比例していくべきであるという考え方のほうが現在の時代に合っているというふうに思うのです。当然税務当局としてはその点を考えていかなければならないことなんじゃないかと思うので、税務局長にひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/38
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039・首藤堯
○首藤政府委員 道府県民税の所得割の税率を、現在の二段階制をもっと多段階にしたらどうかという御説でございまして、そのような御説がございますことはよく承知をいたしております。これもまた、先ほど御指摘くださいましたように、昭和三十七年度の税制改正にあたりまして、地方税の税源の充実をはかるという意味で、国、地方の税源の再配分をやったわけでございます。その場合に、地方税という取り分を取りました中で、これをまた市町村と府県に分けたわけでございますが、この府県の場合の構造は、府県と市町村との両方の総合的な地方住民税の段階制を前提としながら、これを府県に分けるときには、むしろ府県のほうは簡単でフラットのほうがいいだろう、こういう考え方で二段階をやっておられましたことは御承知のとおりでございます。そういったようないきさつがございますとともに、また一方では、住民税のほうでも市町村民税のほうは十三段階というかなりの累進構造を持っております関係もございますので、そういったいきさつを総合的に勘案をして、またもし税段階制を変えるとすればその付近に根本的な再検討を加えなければならぬ、こういうことに相なろうかと思うわけでございます。
したがいまして、先ほど大臣が申し上げましたように、所得税、それから住民税、この全般の累進度合いというものをどう持っていって、それをどう分けるか、こういう観点からの検討が必要でございますし、またこれをいじるとなりますと階層別になりますが、非常に税負担の増減が起こりますし、それから地方団体においても歳入の増減というものが大きく起こるわけでございますから、そういった点について慎重に配慮をする必要があるというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/39
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040・山田芳治
○山田(芳)委員 昭和三十七年のときの経緯は私も自治省におりましたのでよく知っておるのですが、その当時は、所得税を下げるけれども、民税を上げる、論理的にははずが合っているんだけれども、一方は国税であり一方は自治体の税であるというので、理屈では総体といたして減税であるという説明がなかなか入りにくかったという経緯があるのですね。だから私は、所得税と一緒にしてやっていくというようなやり方をむしろしていくべきであって、そのためにはやはり私がいま提案をしているような段階説というものをかみ合わしていくということのほうがよいのではないか。確かにお答えのあったように、そういう点をそういうふうにすれば総合的にどういうふうな税率にすべきかというような問題は確かに起こってくるでしょう。だから何もわれわれが言った税率が絶対的なものだとは申しませんけれども、少なくともものの考え方として、累進的にやっていく、そして所得税とのかみ合わせというものを考えて、国民の税負担というものを全体としてどう取り扱うかということを考えていただきたいということを強くこれは要求をしたいし、われわれとしてはそういう提案を今国会においても行なうわけでありますから、その点を十分検討していただくということをひとつお願いをしておきたいと思います。
次に、白色申告についての事業専従者控除が二十万円が限度であるということでありますけれども、青色の申告者に比べて非常に格差がある。五十五万くらいまで引き上げるというわれわれの案についてはどういうふうに考えるか、こうすべきだと私どもは思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/40
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041・首藤堯
○首藤政府委員 白色申告者につきましての事業専従者控除の金額でございますが、これは国税の所得税のほうで四十八年度の所得改正による引き上げ、これを参考にいたしまして、それに対応したかっこうでことし二十万というかっこうにいたしたわけでございます。これが青色と比べまして実質上かなり差があるという点は御指摘のとおりでございますが、これは国税のほうで青色申告の奨励とでも申しますか、そういった意図も含めまして、片一方は現状を認容するし、こちらでは概算的に控除額をきめる、こういう制度をとられているように承っておるわけでございます。したがいまして住民税の場合は、これは今回所得税では四十九年から二十万円が三十万円に引き上げられる、こういうことになっておるように承っておりますので、過年度の収入に対する課税でございますから、この場合住民税は昭和五十年から、いろいろ財政状況等も勘案をしなければなりませんけれども、この三十万を参考にして幾らにするかを今後なお検討していきたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/41
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042・山田芳治
○山田(芳)委員 これはそれじゃ来年度に検討されるということでありますから、一応努力をしてもらうというふうにお願いをしたいと思います。
次に、障害者や寡婦等の非課税限度額を五十万というのでありますが、もうこれだけ物価が上がっておりますし、こういう事態において五十万ではとうていいけない、六十万程度にすべきではなかろうかというふうに考えるのですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/42
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043・首藤堯
○首藤政府委員 障害者、寡婦等の非課税限度額を幾らにするかという問題でございますが、引き上げという点においては考え方は同じでございますけれども、その程度につきましてはいろいろ配慮をいたしたのでございます。かなり大幅な引き上げをいたしたつもりでいるわけでございまして、現在四十三万を五十万に七万円引き上げる、こういう措置をとりまして、全般的な住民税の減税額をどの程度までにセットするかという問題ともからみますので、総合的に勘案をした結果、この程度にいたすことにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/43
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044・山田芳治
○山田(芳)委員 障害者や寡婦等はそれほど税額にこたえるというふうには思いません、数が少ないですから。いま物価が二十数%、卸売り物価は二月の二十日で日銀が発表したのが三六・七%上がっているということであります。数カ月すれば卸売り物価というものは消費者物価にはね返ってくるということでありますから、この点、やはり障害者、寡婦等については十分ひとつ、税額それ自身がいま首藤局長さんのおっしゃったような地方財政に影響を持つというほどのことではないので、四十三万を五十万といえば十数%でありますが、せめてやはりわれわれの言う六十万くらい、二〇%をこえる程度まで上げてやらなければ現実に寡婦、障害者等の生活は困ると思うのですが、もう一度ひとつそこを御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/44
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045・首藤堯
○首藤政府委員 非課税限度額を幾らにするかにつきましては、仰せのように各種の要素を勘案いたしまして考慮いたしたわけでありますが、現行に対します引き上げの割合が約一六%余りと相なったわけでございます。五十万でございますが、これも御承知のように、給与の収入金額にこれを換算いたしますと、七十七万八千円未満の者についてはかからない、こういうかっこうに相なるわけでございまして、これを非常に大幅に引き上げるということになりますと、他の者の税負担との間の均衡というような問題もございますものですから、いろいろあわせ考えて決定をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/45
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046・山田芳治
○山田(芳)委員 ちょっと、ここらあたりはそれほど他のほうに影響を及ぼすというように思いませんので、これはひとつもっと考えるべきものというふうに思います。これは多くの国民の同意の得られるものであるというふうに考えるので、この点はひとつ強く要求しておきたいと思います。
それから、住民税の法人税割の問題に入るのですが、その前に、いま国税の関係において超過利得税というものが論議をされております。超過利得税の取り方については各党それぞれ案が出ておるわけでありまするが、私ども社会党の考えている法人税の累進方式というものが、先ほどの都道府県民税の税率の問題にも申し上げたように——やはり法人においても擬制説や実在説とかいろいろありますけれども、現実にはやはりこれだけ法人が石油危機、つくられた物資不足の中で大もうけをしたということだけは事実であります。したがって、この利得税がわが社会党の言うような累進付加税的な要素でもって課税されるならば、当然それの三二%というものは地方に還元をされるわけです。しかし、いまの自民党の案とかその他の党の案では地方には還元をされない。われわれとしてはそれが非常に不服であるわけであります。もちろんこれは自民党の案がどうきまるかわかりませんけれども、その超過利得税というものがきまってくる段階において、自治大臣としては積極的に、地方にも少なくとも三二%分がはね返るように、交付税にはね返るような意見を、大臣ではありますけれども、やはり自民党の有力なる党員の大臣でありますから、これを強く申し出て、地方にも少なくとも法人がもうけたものについての三二%というものは還元されるべきだということを申し出て、地方財政が非常に苦しくなる状態の中でその要求をやっていただきたいというのがわれわれの意見であります。もちろん私どもの提案をしております法人税累進付加税方式であれば、これは問題はないわけでありまして、当然三二%が自動的に交付税に繰り入れられるということになるわけでありますが、それができないということでは、われわれは地方に対してやはり三二%を交付できるような措置を大臣として強く党側に申し出てもらいたいというふうに考えるのですが、この考え方はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/46
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047・町村金五
○町村国務大臣 いま問題になり、各党の間で真剣に検討が行なわれておりまするいわゆる超過利得課税というものがどういうふうなことに最終的にまとまりまするものか、まだ私もいまここで意見を申し上げる段階ではございませんが、いずれにいたしましても、もしこの超過利得税が、いま山田議員が御指摘になりまするように法人税に対する累進課税のようなことになりますれば、現在の交付税のたてまえ上、これが交付税に繰り入れられるということはこれは当然でございましょう。しかし、今度の超過利得税というものについては、それぞれの御意見がまだ集約されるに至っておりませんが、見ようによりましては、こういった非常の際に、いわば一種のごたごたに乗じて非常な利得を得たというものを、これを一時的に懲罰的にいわば吐き出させるという性格のものでございまして、いわゆる一般の法人税とはかなり違う性格のものになるのではないであろうか。そうだといたしますれば、そういう形のものを法人税割あるいは法人事業税の対象にするというようなことは、どうも必ずしも適当ではないのではないかというように、いまの段階では私はそう判断をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/47
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048・山田芳治
○山田(芳)委員 自治大臣がそれでは困るのでして、自治大臣はやはり地方のことを考えていただくせめてもの大臣であってほしい。私は本会議の中においても、自治省の権限をもっと強化すべきだということを総理にも質問をしたわけであります。私は常に、やはり自治省は、その運営を民主的にやっていただかなければいかぬけれども、基本的には地方自治体のためにもっと権限を強化をして、政府部内における発言権をもっと留保してもらいたいということを考えている。その意味においては、野党の立場ではありますけれども、自治省がしっかりやってもらわなければいかぬという立場に基本的に立っておるわけであります。
そういう立場に立って、懲罰的であればあるほど、地方にもこれは還元してもらわなければいけないのであって、税の種類がちょっと違うんだというようなお答えのようでありますけれども、少なくとも法人から税を取るわけでありますし、法人の利潤に対して税をかけるのでありますから、やはり法人税の一種であるというように思うのです。罰金ではない、刑法上の問題ではないのでありますから、やはり法人税の一種でありますから、そのうちの三二%は当然地方に還元をされる。法人がその地域において集積の利益を受けながら活動することが、地域のいろいろの関係、行政との関連があるということで、交付税という税の中に三二%を固有の財源として地方団体が持っているという立場からいえば、超過利得をしたものも当然地方にも還元されるべきだというのが自治省としての立場ではないだろうか。大蔵省はあるいは違った意見があるかもしれないけれども、自治大臣としてはせめてそのぐらいの気持ちを持って折衝していただくということは私は当然のことではないかと思うので、もう一ぺんひとつ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/48
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049・町村金五
○町村国務大臣 今日、地方自治体が決して十分な財源を持っておるわけではございません。したがって、できるだけ地方自治体の財源を拡充をしたいということは私も重々考えておるところでございます。したがって、ただいま御指摘になりましたようなお考えも私は確かに一つの有力なお考えであろう、こう思うのであります。しかし、先ほども私ちょっとお答えを申し上げましたように、いわゆる一般の法人税とは非常に内容の違うものである。したがって、御承知のように地方に対して安定的な財源を供給するというような立場の交付税というものには、どうも必ずしもこれはなじまないのではないかというような考えを私は持っておりましたので、先ほどああいうようなお答えをいたしたという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/49
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050・山田芳治
○山田(芳)委員 私は交付税にせいという意味で申し上げているわけではなくて、そのうちの三二%に相当するものは地方に還元されるようにしてほしい。利得税というものは臨時的なものだというのであれば、臨時的に三二%相当額を何らかの形において地方に還元できるようにしてほしい。わが党のようにずっと将来にわたって法人税の付加税方式であれば、別に臨時的なものではない限りにおいては、三二%は自動的に交付税に行くと申し上げただけであって、いまの利得税がそのまま三二%交付税に入るということを前提として申し上げているわけではなくて、三二%相当額が地方団体にも還元され、交付される方途を大臣としてもやはり検討をしていただきたいということを申し上げているわけであります。この点は、やはり自治大臣でございますから、地方の現在の財政というものが非常に苦しい、国に交付税を千六百八十億弱貸しているというような状態なんですから、こういうふうに懲罰的な税をかけるというのなら、その税からやはり三二%相当分は何らかの形において還元されるということを考えていただくのが至当であろうというふうに考えるのです。時間の関係もありますから次に進みますけれども、私としてはこれはよい提案だと思うので、ひとつ大臣も十分考えて、税務局長もひとつ大臣を十分補佐して、財政当局と一緒になってがんばってほしいという要望をつけて、次に移りたいと思います。
次は、住民税の法人税割の税率の引き上げでありますけれども、これは自然増との関係において、道府県民税は一応下げ、市町村民税については上げるという操作をしたのでありますけれども、道府県民税については現行税率に据え置いて、市町村民税についてはもっと上げていくというように考えたらどうか。たとえば、百分の十二・一というのが市町村民税の法人税割でありますが、十五・五ぐらいに引き上げる、あるいは制限税率も百分の十四・五を百分の十八程度に引き上げる、あるいは道府県民税の法人税率の百分の五・二を五・六にするというようなこと、あるいは制限税率の百分の六・二を百分の七に引き上げるというような一つの考え方をわが党は持っているわけでありますが、この点についてはどういうふうにお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/50
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051・首藤堯
○首藤政府委員 現在の地方税源におきまして、特に市町村の税源におきまして、法人にかかわる税収入のウエートが非常に少ないことが問題だということを私どもも常日ごろ考えておるところでございまして、今回の法人の総合負担を引き上げるという際にもぜひこの線に沿って、特に都市税源の増加をはかりたいと考えたわけでございます。
今回の措置でございますが、これももう御承知のとおりに、法人全般の実効税率がどの程度まで許容されるのか、どの程度でありてしかるべきかといったようなことが政府の税制調査会でも議論の中心になったわけでございますが、結論的には、世界各国の動向等を勘案をいたしまして五〇%近くの見当、四九・四七といったような実効税率に設定をされたわけでございます。これは現行の四五%余りから約五%弱、四・四%余り増加になっておるのは御承知のとおりでございます。
そこで、このような実効税率を前提にいたしました場合に、国と地方とこの増加分をどう配分をするかということがその次の問題になります。私どもとしましても、できるだけ地方税の現況にかんがみ、地方税源としてたくさん付与してもらうように努力をいたしたつもりでございます。結論といたしましては四五・〇四の実効税率が四九・四七になりました。その差の四・四三でございますが、これは交付税を勘案をいたしますと、国が二・一一、地方のほうが二・三二、こういうことになりまして、若干でございますが地方団体のほうがよけい配分を受けたという結果に相なりましたので、決して十分だとは考えておりませんけれども、努力をいたした結果がそのようになったものと考えておるわけでございます。
なお、ただいま御指摘の、道府県民税について税率を下げて市町村民税において上げておるが、道府県民税を下げる必要はないではないかという御指摘でございますが、この点は、今回の法人住民税の増収分、平年度約二千億になりますが、これを実態的にはあげて市町村に交付をしよう、こういう態勢をとりました。いわば税率の実質上の繰作でございます。法人税の引き上げによりまして自動的に法人税割は増加をする分がございますから、その分だけを都道府県から吐き出させて、と言うと語弊がございますが、ほとんどゼロに近い程度、約二十億残る程度にとどめまして、残りを全部市町村税に回す、こういうかっこうにやりました結果、道府県民税は若干滅になり、市町村民税は三%の増税の率になった、このようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/51
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052・山田芳治
○山田(芳)委員 次に、個人の事業税については二重課税ではないかという意見があります。個人の事業税は、経費的にいえば営業税的な性格だといわれていながら、現実には所得というものに寄与していますから、所得税なり、法人税の個人の事業税であれば、個人の所得課税的な要素があるということが強くいわれているわけでございます。そういう立場に立って、事業主の控除をもっと引き上げるべきではないだろうか。百五十万まで上げたわけでございますけれども、二百万円程度に引き上げるべきではないかというふうに思うわけです。また一方、専従者控除についても上げていくということを考えるべきではないかというふうに思うのですが、事業主控除の引き上げを二百万くらいまで持っていくということについてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/52
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053・首藤堯
○首藤政府委員 個人の事業税につきまして零細負担を排除をするという点につきましては、御説のとおり私どもも異議はございません。そこで、この事業主控除の額をどの程度にするかについていろいろ検討をいたしたのでございますが、結論的には、現行の八十万円から百五十万円に、七十万という近来にない大幅な引き上げをしたつもりで実はおるわけでございます。と申しますのは、この百五十万円に引き上げることによりまして、納税義務者数が約七〇%減少いたします。それから税収入につきましても、現在徴収をしております税額の約四〇%を若干こえます三百二十億程度のものが減収となるわけでございます。その程度の大幅な引き上げを行なって、零細負担をできるだけ排除をしていくという考え方をとったつもりでございまして、これ以上にやるという点におきましては、これもまた財政上そのほかに与える影響も非常に大きいものかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/53
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054・山田芳治
○山田(芳)委員 個人事業税を廃止するという考え方は全然ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/54
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055・首藤堯
○首藤政府委員 御承知のように、事業税というものは、その事業が当該地域に所在をして、地方公共団体からいろいろな利益を受けて存立をしておる、そのために支払う負担である、こういう考え方に立っておるわけでございますので、法人でございましょうと個人でございましょうと、やはり事業税そのものはあってしかるべきものではないかと考えておるわけでございます。ただ、個人の場合は規模も小そうございますから、できるだけ零細な所得者の負担を排除をしていく、こういう考え方でセットしていくべきものではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/55
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056・山田芳治
○山田(芳)委員 これはいろいろ意見があるので、これをやり出すとこれだけで一時間もかかるだろうと思うので、次へ移ります。
小規模住宅の固定資産税の減免に関して、今回の改正案では六十坪以下を四分の一、評価額の四分の一に達しないものについては四十八年の税額に据え置くというふうにしているわけでありますが、四十八年度に大幅な引き上げを行なっているわけです。だからわれわれとしては、四十七年度の税額に据え置くということが必要ではないかということを考えているわけですが、この点についてお答えをいただきたいのが一点。
もう一つは、私は、最近の税というものが単に応益負担、応能負担といういわゆる税プロパーの理論から相当はみ出して、いわゆる租税政策というものが国民生活に大きな影響を及ぼすということに立って、ある意味においては租税政策が従来の租税理論とは相当変わってきている感じがする。たとえば、われわれが税の理論で習ったのは、基礎控除と免税点というものは一緒にやらないので、免税点のあるものはそれだけの租税負担能力があるのだから、それを越えれば一律にかけるということであるのに、免税点がありながら基礎控除をやるというような——われわれが習ったのが古いのかもしれませんけれども、租税理論から相当変わってきている。租税政策というものが、はたしてどの程度までそういう経済政策なり国民生活の領域まで及ぼしていくのが妥当なのかという問題は、これは非常に理論的にむずかしいことだと思うのでありますけれども、それが非常に入ってきたというふうに思うわけですね。
そういう中で、小規模住宅用地について固定資産税を減免するということについて私は異論はありませんけれども、これをやるならば、先ほども首藤局長が前の片岡さんの質問にお答えをなすっておったように、先ほどもこの問題は出ていたわけですが、固定資産税は、財産を持っているのだから、それだけの租税負担能力があるかないかは別として、とにかくかけていかざるを得ないというようなお話であったと思うのです。それはそれとして、借家に入っている人、家を持っていない人、土地を持っていない人、こういう人にはもっと考え方を打ち立てなければ政策のアンバランスじゃないか。それは財産形成のような別の政策でやるのだとおっしゃるかもしれませんけれども、それがきわめて不十分である。地方税の中で小規模の住宅用地についてこれだけの政策をやるならば、土地を持っていない、家を持っていない人に対する政策というものをどういうふうに考えているのかという点について、ひとつ大臣の政治家としての立場からの御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/56
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057・首藤堯
○首藤政府委員 先に質問のございました事務的な点からお答え申し上げます。
固定資産税を今回小規模住宅用地につきまして四分の一にいたしまして、四分の一に達していないものにつきましては昭和四十八年度の税額に据え置いたのでありますが、御質問は、四十八年度の税額に据え置いたのでは、四十八年にすでに非常に上がってしまったところがあるが、その分がちょっとかわいそうではないか、こういう御指摘であったと承るのであります。
御承知のように、住宅用地につきましては、いままでは課税標準を二分の一にしますとともに、従来の負担調整措置、つまり評価の倍率に応じまして最高一・四倍までの調整措置、こういうことで通常の住宅用地に対します土地の固定資産税は推移してきておったのでありますが、ただいま御指摘のように、四十八年度に非常に上がったといわれます分については、そのような負担調整措置をとりながら、四十八年度はいわゆる底上げと称しまして、評価額の一五%までに達していないものについては一五%まで徴収する、こういう措置をとりました分、これが四十八年度にかなり税額が上がったという状況を示した例になるわけでございます。このような土地は、御案内のように大都市周辺のごく限られた地域、特に地価が急上昇いたしまして評価が上がった地域にだけ限られるわけでございますが、いずれにいたしましても評価額の一五%にまで達するようにやっとなったと申しますか、その程度の税負担に実はなっておるわけでございます。今回、六十坪未満の小規模住宅用地を、評価額の四分の一までを限度として課税をいたしますけれども、それとの均衡におきましても、一五%程度しか払っていない分でございますから、せめてその程度までは、他の土地との比較均衡の上からも税負担を忍んでいただくのが妥当ではないか、こういう考え方、それからもう一点は、四十八年度にすでにそのような固定資産税を収入をいたしております当該市町村の財政問題、こういう点もございまして、四十八年度の税額に据え置くという措置をとったわけでございます。
したがいまして、これは非常に特異の例でございますから、全国平均的なものの言い方をいたしますと、平均的な規模の住宅用地にありましては、都市計画税を含めまして、昭和四十八年からは実質的には税額は減ってまいります。四十八年度に一万二千五百円弱ぐらいでありました平均が、四十九年には五百円余り減額になるというのが平均的な扱い方ではなかろうかと考えておる次第でございます。
それから、固定資産税の小規模住宅用地の減税に関連をいたしまして、土地を持っていない階層に対する税制上の配慮という御指摘があったわけでございますけれども、ただいまの地方税法の範囲内では、そういったものに対する政策、配慮という点は適当なものがなかなか見つからないのではないかと実は考えておる次第でございます。もっとも、住宅建設等につきまして、御案内のように新設住宅に対します固定資産税の特例の扱い、それから高層住宅に対する特例の扱い、こういったようなものはあるのでございますが、土地、住宅を所有していない人に対する措置という点につきましては、残念ながら的確な措置をいま持ち合わせておりません。もっとも、この小規模住宅用地の減税に伴いまして、借地借家人が支払います地代家賃等におきます影響、これは従前よりずっと軽いものになってくるであろう、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/57
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058・山田芳治
○山田(芳)委員 だから、地方税の中にあるかないかということについては、先ほどの質問もそれは適当でないかもしれない。そこで政治家として、大臣として、地方税でこういう一つの租税政策をおとりになるならば、ない人のためにどういう政策が適当であるかということをお伺いをしたので、税務局長さんにお答えをいただくのは無理だということはわかっているのですが、私は、政策がアンバランスではないかということを指摘をしたいし、おそらく税務局長さんもそうお考えになるのじゃなかろうか。持っている人はまだいいわけです。持ってない人のためにやる政策というものが何か租税政策の中であり得ないのかどうか、他の政策にないのかどうか、こういうことを質問しているわけであります。なかなかそれは自治大臣としてお考えをいただけないだろうとも思いますけれども、政治家としてお考えになっているような点があったらお聞きかせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/58
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059・町村金五
○町村国務大臣 このたびの小規模住宅用地に対する固定資産税の減税は、私は、小さな土地の上に小さなマイホームを持っておられる人にとっては、これがはたして満足できるものかどうかは知りませんけれども、少なくともいままでよりはこういう方々にとってはたいへんな実は福音になるのであろうと思うのでありますが、いま山田委員が御指摘になりましたように、それじゃ一体土地を持たない者に対してどういうことを考えているのか。これは実はいまの段階では私適当なお答えがいたしかねるのでありますけれども、要は、何とかしてマイホームを持ちたいというのは数多くの方々のひとしく念願をしておられるところでありますし、またそれくらいのことはできなければ、私はほんとうの福祉国家だというような大きなことは言えないのではないかという感じも深くいたしておるわけでございます。
ただ、御承知のように、少なくとも現在のような非常な地価の暴騰の場合においては、大都市においてはマイホームをつくる夢というものはほとんど実現できないような現状になってしまっておるのでありまして、やはり地価に対するもっと徹底した対策と申しましょうか、それほどの多額の所得者でございませんでも土地が手に入るということがまず基本であり、それなくしては、いろいろのことを考えましても、結局はアパートに入っていただくとかあるいは公営住宅に入っていただく、そういう方面の施策をやるという程度にならざるを得ないのが現状でございますけれども、しかし、多くの方々のほんとうの希望、できるなら小さくてもマイホームを持ちたいという願い、これを何とか実現できるようにいたしてまいりますためには、たいへん実はむずかしいことで、現在の政府のとっております地価対策ではそこまではどうもいかないというのが残念ながら現状であろうと思うのでありますが、私は、長い目で考えます場合には、やはり日本人はみな、小さくてもわが家を持ちたいという強い希望を持っておるものと判断をいたしておりますので、まず地価対策から始めていかなければいかぬのじゃないか。お答えにはなりませんけれども、一応いま感じておることだけを申し上げることにさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/59
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060・山田芳治
○山田(芳)委員 まあ、自治大臣という立場では無理だと思っておるのですけれども、私は、小規模の住宅については一定の前進でけっこうなことだと思うのですが、持ってない人のために何をするかということもきわめて大事なことだというふうに考えております。政策のアンバランスではないかということを指摘をして、ひとつ引き続いてまた検討をいただきたいというふうに考えるわけであります。
次に、これも一つの提案でありますが、この税法と直接関係ありませんが、都市計画税が土地と家屋を基準にしながら課税されているのですが、いわゆる償却資産というものが固定資産税の中にあるのですから、その償却資産というものを含めて課税すべきではないかという考え方、そういうのはとり得ないのかどうか。都市計画によって恩恵を受けるのは単に土地と家屋だけではないはずなんで、そこにおける償却資産的なものも大いに便益を受けるという立場からいえば、当然それを含めるべきではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/60
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061・首藤堯
○首藤政府委員 都市計画税の課税対象範囲に償却資産を加えることの可否についてはよく論議があるのでございまして、論議は承っておるのでございます。いままでの考え方では、都市計画事業の実施によりまして直接利便を受けて価値が増加をするという意味で、土地と家屋が一体になって利用されるものでありますからそういったものに該当するという考え方で、土地と家屋にかかっておることは御承知のとおりでございます。償却資産につきましても、この事業の影響を受けることももちろんあり得るわけでございますけれども、逆に、たとえば船舶とか車両とか航空機とかいったようなたぐいのものでございますと、所在が転々とするといったような点もございますし、また工場内の施設として直接に都市計画税の影響が及んでいるとはなかなか見がたいという分野のものもあるわけでございます。そういった点から、従前から償却資産を都市計画事業の受益関係に入れるということはなかったわけでございます。なおこの問題についてはいろいろ問題を含んでおりますので、今後とも慎重に検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/61
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062・山田芳治
○山田(芳)委員 私は船舶のようなものを言っておるのではなくて、構築物といいますか、そういうものを、そこに所在をするものについて含んで検討をしてもらいたいということを申し上げているので、これはひとつ次の機会にぜひお願いをしたいと思います。
次に、昭和四十六年の国税年報調査書によりますと、全国で法人の数が九十六万七千七百あるのです。そのうち利益があるというもの、これは四十六年ですから古いのですが、それしかないのでやむを得ないのですが、利益を得ている法人の数が六十五万五千四百、欠損を出している法人の数が三十一万二千三百、三二・三%というふうになっております。ですから三割以上のものが欠損を出しているけれども法人だ、こういうことであります。
そこで、これが、先ほどもお話があったように、地方の団体にいろいろ便益を受けながら法人活動をしているわけであります。したがって所在のところに対して、欠損だからといっても何らかの税負担をすべきであるということが当然だと思うのです。そこで考えられたのが例の事務所事業所税という問題になるわけでありますし、もう一つは、欠損法人でも法人の均等割の税率の引き上げという問題にからんでくるのではないか、こういうふうに思うのです。欠損をしようとしなかろうと、そこで法人が事務所をかまえ、そこに人がおるという以上、地方団体に多くの負担というものをかけているのですから、欠損であるかないかということを問わず、当然一定の負担をすべきである。そのためには事務所事業所税をかけるべきではないかという議論が出てきて、自治省も検討されるということを言われたわけでありますが、残念ながら見送りになった。税調の答申も「引続き検討すべきである。」というふうになっております。どうしてそうかといわれれば、おそらく、法人税率を上げたから今回は見送りだということばが返ってくるのでしょうが、私が先ほど言ったように、法人税率というものを上げたとしても、それは利益がある法人にしかかからないのでありますから、私の言っているこの三二・三というような欠損法人は負担をしない形になる。そのためにこそ事務所事業所税というものの意味がある。それからもう一つは、あわせてお伺いをしたいのは、法人の均等割の税率が県民税にあっては千円または六百円、これは資本金額に応じてですが、これは資本金規模も非常に低いと思います。もっと上げるべきだと思います、いまの時代においては。また市町村民税にあっては四千円または二千四百円なんという、まるっきり何といいますか、法人としてみればものの数でもないような均等割しかかけないということについて全然触れておられないということは、私はこれはおかしいというふうに思います。
だから、第一点は、事務所事業所税というものが、いま言ったように、欠損法人がやはり当該地方団体から受ける便益から考えて、積極的に創設をさるべきであったにもかかわらず、法人税率を引き上げたということを理由に見送られるということは納得ができないということが一つ。この点についてどうお考えになるかということが一点と、その法人の均等割の額が低いということに全然おさわりにならない。いま言ったようにほんとうに零細な負担しかかけていないということをどういうふうにお考えになるかという、この二点をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/62
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063・首藤堯
○首藤政府委員 事務所事業所税につきましては、特定の大都市地域にございます事業所が集中の利益を得ておる、あるいは都市の再開発を必要とする原因をつくっておる、こういったようなもろもろの視点から考えまして、やはり当該地域の事務所、事業所にそのような事業財源の負担を求めるのが適当であろう、こういう考え方からぜひとも創設をしたいと思って、事務所事業所税につきましては私どもは検討をいたしておったわけでございます。この事務所事業所税が、ただいま御指摘のように赤字法人、損失法人においても応分の負担をするという点においてもあわせて効果があるという点は全く御指摘のとおりだと思う次第でございます。ただ、やはり御指摘がございましたように、この事務所事業所税は、法人の全般の負担率を引き上げましたこと、あるいは年度末における経済事情の変動、そのほか事務的な理由も若干ございましたが、ことし実現を見るに至らなかったことはまことに残念であると考えておるわけでございますが、政府の税調におきましてもなお引き続き検討すべきだ、こういう答申を得ておりますので、私どもといたしましてはなお積極的に進めていきたい、こう考えておるわけでございます。
それから均等割の問題でございますが、均等割が昭和四十二年に改正が行なわれたものの、その後そのままでございまして、金額的に非常に低いという点につきましては、全く私どもも同感と考えておるわけでございます。その引き上げをはかるべきだという強い意見もございます。均等割の負担のあり方から見ても問題であると思われますので、今後十分検討いたしたいと思います。個人の均等割等の問題もございますので、あわせまして、税制調査会等の審議も得ながら前向きに検討してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/63
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064・山田芳治
○山田(芳)委員 非常に紋切り型の答弁でちょっと残念なんですが、私、わざわざ国税の調査書まで調べてきたのは、一体どれくらい法人税を払うのがあるのだろうと思って調べてきたわけです。そうすると三二・三も払っていないというのですね。集積の利益を受けるということはもうお認めになっているし、たとえ都会でなくて、事務所事業所税等が指定都市等において行なわれても、そうでない都市においてはおそらく事務所事業所税はかからない。そうすると、膨大な事務所をかかえ、そこに多くの住民がおり、水道も下水も、ありとあらゆる便益を受けていながら、当該法人が欠損であった場合、一体当該地方団体にどういうものを負担しておられるか、そういう点については自治省としてはどうお考えか、ちょっとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/64
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065・首藤堯
○首藤政府委員 欠損法人でございましても、当該地方公共団体の各種の施設なりサービスの受益を得ていることは御指摘のとおりでございまして、そういったことのために応分の負担をすべきであると私どもも考えておるわけでございます。ただ、一般的にはどういう負担をしておるかという点につきましては、固定資産税そのほかの負担はもちろんしておるわけでございます。
それからもう一点、このような考え方から、事業税の課税標準に所得というとり方だけをせずに、何か外形的な標準を導入する方法について考慮せよという問題点もあるわけでございまして、この問題は税制調査会等においても長い問いろいろと検討していただいておる次第でございます。ところが、ただいまの時点におきましては、実施上の税負担を考えます場合に、かなり大きな負担の変動が現状と比べて生ずるであろう。それからとりわけ、経営基盤が脆弱な中小企業ないしは個人企業、こういうところに対する影響が非常に大きいだろう、欠損法人のウエートもかなりそういったところに高うございますので、そういった点も彼此勘案をしなければならない問題がたくさんあるわけでございます。したがいまして、なおこの点については引き続き十分な検討を加える必要がある、このように私どもとしては考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/65
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066・山田芳治
○山田(芳)委員 固定資産税については、先ほど言いましたように担税能力のない人でも財産があれば取るのだというかっこうになっておるわけですから、私の質問しているのは、それだけ大きな事務所をかまえ、人間がおって、そこで企業活動をしておるというその活動の分野、その活動する中に集積の利益なり都市のいろいろの便役を受けている点について、税負担にどうはね返しているのだろうかという点をお伺いしたのです。将来、事業税にそういう外形標準的なものを加えるということが論議されているというお答えですが、私の言いたいのは、均等割等は千円とか六百円とかいうようなものでなしに、これをうんと上げることが必要だ。これは何百万と上げたっていいではないか。これはもちろん資本金その他によるかもしれませんけれども、この千円とか六百円なんというのではまるっきり話にならぬという点に主眼を置いて質問したのでありますけれども、この点の答弁が不十分であるというふうに思います。現実にないということは地方財源という立場から非常に遺憾だ。だから、指定都市等においては事務所事業所税、そうでないところについては法人の均等割の税額というものを大幅に上げるということをひとつ考えていただかなかったら、地方団体は欠損法人のためにもいろいろなことをやっているという点を強く要求いたしておきたいと思います。
次に、都道府県と市町村の間の税源配分でありますが、特に指定都市においては、都道府県がいま取っているところの不動産取得税あるいは料理飲食等消費税を市町村に移譲すべきであるという意見が強く出されております。これはもう御承知のとおりであります。私はあとでも伺いますが、料理飲食等消費税というものは非常に捕捉が困難です。ですから、これは取るところはたいへんな努力をしているという立場から直ちに移譲という問題も、そういう点の考え方をもう少し整理すべきだという考え方を持っておりますけれども、これに対する考え方はどうですか。ひとつお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/66
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067・首藤堯
○首藤政府委員 最近におきまして特に市町村の財政需要が増高いたしておりまして、それからまた市町村における税収入のウエートが低下をいたしておりますので、これに対処するために市町村の財源を増強するということが大切なことであるということは、私どももそう考えております。そのために、先ほどからお答えいたしておりますような住民税の法人税割の増強等を行なったわけでございますが、それに関連をいたしまして、やはりこの際都道府県税の一部を市町村に移譲したらどうか、たとえば料飲税とかあるいは不動産取得税の一部であるとかいったようなものの一部を市町村に移譲したらどうかといったような意見があることは私どももよく承っておるところでございます。しかし、全般的に考えてまいりました場合に、市町村財源を増強するということは一番大事なことでございまして、それの目的に邁進をしなければならぬと思っておるわけでございますが、府県と市町村の財源の配分という点につきましては、原則的に申しますならば、府県と市町村の間のそれぞれの税源の配分はできるだけ独立税的なものでさい然と配分をしておくことが制度上は望ましいと、こうも考えますし、それからもう一つは、道府県と市町村との間の事務配分の関係、こういったものとも関連をしなければならぬと思うわけでございます。申すまでもなく、府県においてもそれほど財源が裕福であるとは私どもも考えていないわけでございますので、そういった各般の問題を総合的に勘案をしながら、総合的な見地から慎重に検討せざるを得ないのではないか、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/67
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068・山田芳治
○山田(芳)委員 次に、料理飲食等消費税が出た関係で、関連してお尋ねをしたいのですが、一流のホテルその他は課税というものが、料理飲食等消費税の場合に非常に適正に行なわれているわけでありますが、バーとかキャバレーとか、いわゆる風俗営業等にかかわるようなものについては申告所得である。通常これの捕捉率は、大都会においては三割ぐらいではないか。まあひどければ一割と違うかという説もあるぐらいでありますが、これの捕捉の方法というものはどうか。申告すると、それがはたしてどれだけ売り上げがあるのか。昔われわれが徴税に携わっているときには、酒をどのくらい買ったかというような伝票を調べて、それによって課税せいというようなことを言われたのでありますけれども、そんなことは実際上現実にできることではないわけですね。だから、こういう税に対して現実に、お客さんに支払わせるといいながら外形的な課税しかやっていないというのが実情だと思うのです。これについて自治省として、われわれというか、かつて第一線で徴税をしておる者は非常に苦労をしておるという点で、何か改善策の妙案がないかどうか、ひとつお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/68
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069・首藤堯
○首藤政府委員 料理飲食等消費税の徴収が実際問題としてなかなか困難な面が多々あることにつきましては、全く御指摘のとおりでございまして、各都道府県の税務当局もこの徴収のためには非常に頭を悩ましておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、この料飲税の徴収につきましては公給領収証制度というものでもってささえられておるわけでございますので、業者の理解、協力を得る、こういうことが第一義かと考えておるわけでございます。なかなかこれといって、とりたてて申し上げるだけの名案はないわけでございますが、そういう意味で納税意識の高揚をはかる。それからまたかたがた、公給領収証につきましてできるだけ簡素化をしていって申告しやすいようにするといったような点も現在検討しておるわけでございますが、納税意識の高揚というような事柄、それから納税貯蓄組合等の設置の奨励、こういったような事柄も通じまして徴収の適正化をはかってまいりたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/69
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070・山田芳治
○山田(芳)委員 そこで、私は実は昨年、江崎自治大臣にその点に関連をして質問をしたのです。どういう質問をしたかと申しますと、公給領収証というものをちゃんととるべきだ、これはごもっとものことなんですが、それならせめて、現在商社等が銀座あたりで相当金を使っている交際費ですね、これはたいへんなものだといわれていますが、少なくとも、交際費を非課税にするのなら、その交際費については、公給領収証がついているような交際費でなければ租税特別措置による免税の対象にすべきでないように大蔵省にひとつ申し入れをしないかという提案をしたところ、江崎自治大臣は明快に、一つのよい提案であるので、大蔵省に対して申し入れをするよう検討いたしますというお答えをいただいたのですが、具体的にやられたかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/70
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071・山下稔
○山下政府委員 公給領収証の交際費における取り扱いにつきましてはすでに閣議決定に基づきまして、国の税務官署は、法人税の調査にあたりまして、公給領収証を発行することになっているものにつきましては、それが損金の計算上添付されていないというような場合を発見したときにおきましては、その経費支出の実情を念査するとともに、その旨を道府県の税務機関に通報することとされているわけでございます。この趣旨に沿いまして公給領収証の励行ということを努力しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/71
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072・山田芳治
○山田(芳)委員 それはわかるのですけれども、前にそういうことを私は江崎大臣に質問をして、何兆といわれる交際費の課税の中で遊興飲食については完全に公給領収証があれされているかどうかということについて、ひとつその点ははっきり大蔵省あたりがしてもらうようにしてほしいということを申し上げて、大臣も、そういう点は一つの提案だからということで、国税当局と話し合いを十分いたしたい、こういうふうに四十八年四月二十七日にお答えになっているので、国税当局とお話し合いをされましたかということをお伺いしているので、されていないのなら、これからでもよろしいからやっていただきたいということをお願いをしたいのです。
それから、同じような問題で、いわゆるモーテルとかアベック旅館あるいはスナックというようなものは現実に把握ができてない。地方の職員が非常に困っているので、せめてこれについては免税点の適用を排除していったらどうかという提案をしておるのですが、この点は一体どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/72
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073・山下稔
○山下政府委員 御指摘のように、モーテルの利用形態というのがきわめてさまざまでございまして、宿泊料金として取っている場合もあり、休憩として取っている場合もございまして、非常に把握が困難でございます。御指摘の免税点につきましても、宿泊の場合の免税点、それから休憩の場合の免税点がそれぞれ違っておりますので、実際の利用形態を判断しなければならないという問題がございますが、モーテル旅館の使用の実態から申しまして、その認定が非常に困難であることは事実でございます。私どもといたしましては、宿泊料金で取っている場合には一応宿泊扱い、それから休憩料金で取っている場合には休憩料金扱いというような区分をいたしまして、できるだけ免税点の厳格な判定をする、これが課税の公平につながりますので、そういう努力をいたしております。御指摘のように、実態から申しましてなかなか努力を要するところではありますが、一応そういう方向で努力をいたしております。
なお、モーテルの場合、実際の料金を調べてみますと、一般の旅館に比べると比較的安い料金のようでございまして、一例を申し上げますと、二人で二千円ないし四千円、あるいは休憩料金の場合は二人で千二百円もしくは二千円程度と定めている場合が多うございますので、大体、宿泊においては七〇%以上、それから休憩の場合には半分程度のものが免税点以下になっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/73
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074・山田芳治
○山田(芳)委員 昨年同じく尋ねた問題で、免税に関係したことなんですが、いま都道府県民税と市町村民税は一括して市村町で徴収をし、交付金として政令に定める金額を交付しているという考え方なんですが、免税について、市町村民税が免税にされれば自動的に都道府県民税も減税をされるということは、一体的運用だからその程度のことはやむを得ないんだというのが昨年の佐々木税務局長の答弁であったのであります。それは、減免をする理由は、都道府県であろうと市町村であろうと同じ理由で減免するということの立場はわかるけれども、私はそのときに大臣に、県と市町村の間において、市町村が減免するときに、特に指定都市のような大きな都市が減免するときには、都道府県というものは非常な影響を受けるから、せめて減免しようとする内容については市町村が都道府県に相談をするとかあるいは協議をするという、ワンクッションを置くくらいの指導をしていただけないかということを質問をいたしましたところ、これは、都道府県も市町村も具体的な意見を聞くことはきわめて簡単でありますから、そういう意見なども十分徴しながら検討したいと言われておるのでありますが、検討されましたかどうか、ひとつお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/74
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075・山下稔
○山下政府委員 事務的に検討をいたしたのでございますが、たとえば市町村長が減免の必要ありとして判断したものを知事において否定をする理由が乏しい場合がおおむね多いと考えられますし、住民税が、県民税と市町村民税が全く一体的に取り扱われているという実情から申しまして、市町村長が減免し、知事がそれをしないという場合が起きることもいかがかというようなこともございますので、いま直ちに御指摘のように扱うということの結論が出なかったのでありますが、確かに問題点の一つでもございますし、前に大臣がお答えしているところでもございますので、引き続き検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/75
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076・山田芳治
○山田(芳)委員 法的にそれが自動的に行なわれるということは法律条文としても、やはり相談くらいするという指導はしていただかなければ、都道府県の税務当局が、減税によってどれだけ影響を受けるかという、予算措置なりあるいは徴税見込みを立てるときにすら差しつかえるという形になっている。これは小さな市町村ならいざ知らず、指定都市のようなところであればごそっと落ちますから、だから御相談、協議くらいをするのが当然ではないか。課税権はそれぞれの団体にあるのですから幾ら一体性といっても課税権まで一体ではないはずなんで、それぞれ複合して行なわれるという観念に立っておやりになっておるんだろうと私は思うので、この点はもうちょっと真剣に御検討をいただきたいということをお願いいたしておきたいと思います。
次に、固定資産税の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、先ほどもちょっと触れましたように、固定資産税は財産税であるから時価によって課税することが当然であるというふうな意見もあります。私も、時価は時価として、税率を下げるべきだという意見を持っておるわけでありますけれども、しかしながら現実には、生活に最小限度必要な土地というものについては、負担能力というような点を基準にしながらやっていくということが必要であるということですが、現在の状態において、財産を持っている者と負担能力のある者とはイコールであるというふうにはなりません。先ほど大臣からもお話がありましたように、大都会においては土地が高くなっているから、それを売って買いかえるというような流動性がほとんどないという状態において、そういう点について根本的に考え直す必要があるというふうに思うのです。要するに、負担能力に応じて課税をする、そして零細負担というものを排除する、そのためには累進税率や基礎控除制度を政策的に導入をするというような点について、固定資産税の基本的なあり方についてひとつ検討する必要があるのではないかというふうに思うのですが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/76
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077・首藤堯
○首藤政府委員 固定資産税が財産税でございますから、本来からいえば、その財産を所有することによってあらわされます担税力に対して課税をするという意味で、時価を課税標準にすることが理論的には正しいということに相なろうかと思います。しかしながら、特に土地の場合におきましては、現在の物価水準、それから所得水準等の伸び率をはるかに上回るような異常な地価上昇がございますものですから、そういう点から考えてみまして、時価によって課税を行なうということはその負担との関係で非常に大きな問題点が出てくるという点は、全く御指摘のとおりであると私どもも考えておるわけでございます。
そこで、この問題についてはいずれ抜本的な考え方を税調そのほかにもおはかりをしながらきめていかなければならぬと思うわけでございますが、御案内のように土地の評価がえが三年おきに行なわれることになっておりまして、次の評価がえの時期が五十一年に当たっておりますので、この五十一年の評価がえの時期におきまして、評価、それから課税の方法等をあわせて抜本的にどのような扱い方を土地に対してやっていくか、このことについて根本的な検討をやりたいと思うわけでございます。その間のつなぎといたしまして、今回も行ないましたように、住宅用地の二分の一軽減、さらに小規模住宅用地の四分の一軽減、こういう措置をとりまして、その間の急激な税負担の変動というものを防いでいく、こういうように考えたわけでございます。
それから、負担能力に応じて課税をするために、累進税率とか基礎控除制度を導入することを技術的に考える必要があるのではないかという御指摘でございます。この点はいろいろ問題点がございまして、まず累進税率の場合は、御承知のように所得税のような応能的な人税について採用されている手法でございますので、これを市町村税である、しかも財産税である固定資産税にそのまま持ち込めるかどうかという点についてはかなりむずかしい問題があろうと思います。たとえて申しますならば、理論的な問題は別といたしましても、同一の人が違った市町村にいろいろ土地を持っておるといったような場合の扱いはどうするのかというとすぐ困るわけでございまして、非常にむずかしい問題があろうかと思います。
それから基礎控除制度は、元来所得を得るために必要な最低生活費を保障するといったような趣旨で、所得課税的なものに設けられておる制度でございます。先ほど、基礎控除制度についてもいろいろ乱れがあるではないかという御指摘がございまして、ごもっともでございますけれども、このような固定資産税の場合に基礎控除制度を設けることにつきましては、やはりそのような税本来の性質からかなり問題があろうかと思っております。したがいまして、私どもといたしましては、今回小規模住宅等における税の軽減、こんなような考え方で対処をしてきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/77
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078・山田芳治
○山田(芳)委員 建設省からおいでをいただいておるのでちょっと伺いたいのですが、昭和四十八年に評価がえが行なわれました。実はきのう私も京都府についてちょっと調べてきたのでありますが、山林や田や畑は大体四%から七%程度しか上昇しておりません。これは四十五年度分の四十八年度で、四十五年と四十八年の評価がえですが、しかし宅地は七三%上がったという数字がございますし、家屋については新築で五九%、非木造で四六%というような数字があるのです。
自治省にまずお伺いをしたいのは、固定資産税の評価がえに基づくところのアップによって地代家賃等にどの程度響くのであるかということをひとつお答えをいただきたいとともに、建設省の住宅企画官の方には、地代家賃統制と固定資産税の評価がえとの関係について、どのくらい影響があるのか。また、現実に建設省が見ておられる数字等も私実は持っておるのでありますけれども、たとえば一万九千円の家賃に固定資産税のものが五百三十七円かんでいるとかいうような数字をいただいておるのですけれども、はたしてそんなものであるのかどうか。便乗値上げというものが絶対にないかどうかという点であります。固定資産税が四十八年度に上がったのは、これが直ちにかかってくるというわけではなくて、一月一日に課税されたものが四半期ごとにやられると、四十九年、現在あたりが家賃の値上げの問題というものに響いてくる。固定資産税のアップだけじゃなくて、諸物価の値上がりまで家賃に響いてくるのじゃないかという点を憂えるので、そういう点についての考え方をひとつお示しをいただきたい、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/78
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079・首藤堯
○首藤政府委員 昭和四十八年度におきます固定資産税の改正が地代家賃にどの程度影響を与えたかという点につきましていろいろ調べておるわけでございます。たとえて申しますと、四大都市におきます統制対象及び対象外の地代家賃について調べてみましたところ、平均的な額でございますが、四十七年の地代家賃の額が一万五千九百円余りでございまして、その中で固定資産税、都市計画税の額が九百六十七円、約千円程度でございます。これが四十八年度に千三百五十円程度に上がったと計算をされますので、この比率をとってみますと二・四%という比率になっています。土地柄によりましていろいろ違うかと思いますが、大体三%見当のところではないかと私ども想定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/79
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080・村本勝彦
○村本説明員 四十八年度の税制改正によりまして影響がどう出ておるか、二つ問題があろうかと思います。
一つは、税金が直接家賃に転嫁される、こういう性格を持っておりますので、直接的に、税金が上がった分はほとんど通常の場合ですと地主のほうから借り主のほうに家賃の上昇という形で請求されるのじゃないか。それがストレートに請求されたといたしましても、先ほど自治省のほうからお答えのとおり、私ども、平均的には家賃の中には三%程度上昇の影響が出てくるのではないか、かように考えております。もちろん、先ほどのお話にもございました統制対象の物件につきましては、これは単に税金だけではなくて、地代全体が課税標準を算定の根拠としておりますので、約二〇%程度の増額請求をし得るのではないかと思っております。ただ、これは現在まで、水準としては一般よりもかなり低く押えておりますので、ある程度やむを得ないと思います。
もう一つの点でありますが、間接的にはやはり便乗値上げが、税額が上昇したということで出はしないか、こういうことでございます。私どももその点、非常に懸念いたしまして、自治省のほう、ともども、通達その他で公共団体を通じて指導をいたしております。その結果でございますが、現在までのところ、地代家賃全体の動向でございますが、税制改正以後、それ以前の状況とほとんど傾向としては極端な違いは出ていないと存じております。これは総理府の統計局で調査した結果でございますが、四十七年以前と四十八年度と比べましても、上昇率につきましては年々大体七、八%、四十八年度が特段上昇したということはいまのところ出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/80
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081・山田芳治
○山田(芳)委員 七、八%上がっているというお話ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/81
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082・村本勝彦
○村本説明員 一年間の地代家賃の上昇の指数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/82
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083・山田芳治
○山田(芳)委員 その資料をひとつ出していただけませんか。固定資産税で受ける影響は三%である。七、八%で、そのうち固定資産税の分が三%程度である、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/83
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084・村本勝彦
○村本説明員 これは全部家賃として持ち主のほうから請求されたといたしまして、そういうことになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/84
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085・山田芳治
○山田(芳)委員 そうすると、それより高く上がっているならこれは便乗値上げと考えてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/85
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086・村本勝彦
○村本説明員 地代家賃の増加の原因につきましては、単に税額が上がるということだけではございません。物価も上昇しておりますし、御存じのとおり建築費、地価も上昇しておるわけでございまして、それによります増加要因というのは当然ございますので、税額のみが地代家賃の上昇要因ではない、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/86
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087・山田芳治
○山田(芳)委員 家賃が、生活費なりあるいはつくった建物、まあ修繕するのは別ですけれども、そうでないのに、これが上がったからということは私はわからぬのです。固定資産税、そういうものやその他、当然家屋等について当該年度に必要としたものが上がったというならわかるのですけれども、そうじゃないものは便乗値上げというふうに思うのですが、いまの御答弁は若干そうでないようなニュアンスがあるので、もう一ぺんちょっとはっきりしておいてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/87
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088・村本勝彦
○村本説明員 地代家賃の上昇の原因につきましては、先ほどお答えいたしましたようにもちろん税金が上昇するというものも一因をなすわけでございますが、現在貸し家経営の実態を見ますと、ほとんどが退職金その他で建てられたものを貸しておられるというケースが非常に多いかと思います。要するに零細な経営をやっておられる方が大半だと思います。その場合に、やはりそれを生活のかてにしておられるわけでございますので、当然物価が上がればその点を家賃として増額してほしい、こういう要望で請求されるのではなかろうか、こういう点はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/88
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089・山田芳治
○山田(芳)委員 これは私も、そういう答弁をまずいただいておいて、これからちょっと実態調査をしますので、一ペんあとでこの点はまた違った機会にゆっくりお話を聞きたいと思いますので、この点は後日に質問を留保させていただきたいと思います。
次に、生産緑地の問題なのであります。建設省はいま生産緑地法案というものを提案をしておられるわけでありますが、これは相当きびしい状態で認めていくという考え方のようであります。わが党で調査をいたしましたところ、多くの市町村は生産緑地をぜひもっと置きたいということを言うておるわけでございます。この点に関して、生産緑地以外の農地についてもやはり保全ということが必要であるというような場合、市町村の実情に応じて税負担を軽減するということを認めてもよいのではないかと思うのですが、ひとつ建設省から、生産緑地の制度化について具体的にどの程度をどういうふうに考えておられるのかということをまずお伺いをして、自治省には、それが非常にきびしいものであるなら、生産緑地でなくても、保全の必要があるということを市町村長が認めた場合には、それと同じように税負担を軽減して緑地として保全をしていくという考え方はないかどうか、この二点をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/89
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090・野呂田芳成
○野呂田説明員 私どもが考えております生産緑地と申しますのは、市街化区域内にありまして、良好な都市環境の形成に役立つような農地をつかまえまして、これを生産緑地としては一種と二種の両方のものをつくりたい。一種と申しますのはどういうものかと申しますと、いろいろな指定の要件、御指摘のとおりございまして、まず公害災害等の防止に役立つような、ことばをかえますと良好な生活環境の保全に相当効用がある、しかも将来公共施設の用に供するに適しているということが一つの要件でございます。この要件は二種についても同じでございます。
次に大きな要件といたしましては規模の問題でございまして、一種につきましては一ヘクタール以上の農地を対象にするということになっております。ただし、宇治の茶畑とか川崎の果樹みたいに、かなり環境機能が高い、しかも、これは動かしてもすぐそういうものをつくるに適した土地というものはなかなか造成されないという要素がございますので、こういうものにつきましてはおおむね〇・三ヘクタールでございまして、そこまで下げられる。それから公園緑地等がありまして、その周辺に介在する農地につきましてはやはり〇・三ヘクタールでいいという要件にしてございます。二種は〇・三ヘクタールということにしてございます。
なぜ〇・三ヘクタールというふうに考えたかというと、ただいまも述べましたとおり、現在百八十二の市町村、かなりの数の市町村が農地の環境機能に着目しまして、固定資産税の全部または一部に相当するものを補助金等の名目で交付をしている、こういうものを都市計画上整理統合いたしまして、都市計画の制度として構築したという一面がございますので、都市計画の制度として構築する以上、都市計画の側から見て意味がないとなかなか都市計画制度として乗ってこない。つまり、先ほど申し上げましたように良好な生活環境の確保に非常に効用がある、あるいは将来使おうと思えば、これは市街化区域内の農地でございますから、公共施設としても相当適していなければいかぬという客観的な要件が具備されなければならぬ、その場合に最低規模を、こういう要件を備えたものとして、農地の所有者等の意向も入れながら実は一年近く模索した結果、やはり最低規模が〇・三ヘクタールぐらいないとなかなか問題である。〇・三ヘクタールといいますと、現実に都市計画制度として構成されておる施設としては児童公園が〇・二から〇・三ヘクタールでございまして、このくらいの環境機能がないと都市計画制度としてはなかなか乗らないということで、それを面積要件としたわけでございます。
もちろん、この生産緑地を定めるにあたりましては、市町村が農地の所有者等の同意を得まして、知事の承認を得て定めるということになっておりまして、指定されますと、第一種については十年後にはその買い取り請求権が発生する。第二種については五年後には買い取り請求権が発生する。もちろん例外はございまして、死亡したりあるいは故障が起こりまして、農業が継続しがたいという場合にはいつの時点でもそういった買い取り請求ができる。もちろん農地としての転売はいつでも可能でございます。ただ、買った方々はやはり農地として適切に管理しなければいかぬという制約が働く。で、指定されますと、農地として管理する行為以外の行為——あるいはこの制度ができる前からしかけていた行為あるいは非常災害等の応急措置の行為等は別でございますけれども、それ以外の行為、たとえば建物をつくるとか、土地を造成するとか、水面を埋め立ててしまうとか、こういった行為は全部禁止されております。
〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕
ただ、この十年、五年、それぞれたちまして、何らかの事情で市町村が買い取れないという場合は、そういった行為禁止が一切解けまして、自己の用に使えるということになってくるわけでございます。
大体そういうふうに構築しておりますけれども、私どもといたしましては、実はいま御指摘いただきましたように、地方の農協等からは〇・三という規模がかなりきびしいんじゃないかという御指摘もいただきましたが、ただいま申し上げましたとおり、これを都市計画制度としてつかまえる以上は、やはり必要最小限度の環境機能と、公共施設として将来使う場合の適正規模がなければいかぬという理由でこのような規模をとらえた。しかも一定期間、この地域地区としてつかまえる以上、地域地区として一度指定されますと途中で解ける、失効するということはほとんどないのでございますけれども、二種につきましては十年間で失効するというふうに、都市計画の地域地区としては例外中の例外の規定を設けてこれらの事情を何とか救済しようということで、無理をした法律になっておりまして、ここいらが、いろいろ関係者が集まってつくり上げた法律制度としては限界であったという事情をひとつ御了解賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/90
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091・首藤堯
○首藤政府委員 生産緑地地域、ただいま御説明ございましたような考え方で新たに法案として提出されるようでございますが、この制度によって生産緑地に指定をされましたものについては、一種であっても二種であっても、いわゆる市街化区域内の農地の宅地並み課税という範疇からはずしまして農地並みの課税にする、こういうふうに私どもとしては考えておるわけでございます。しかし、この生産緑地地区に入るのがなかなかむずかしい場合に、当該市町村で緑地保全の必要があると認めた場合には税をまけてもいいではないかという御説でございますが、御案内のように、この生産緑地制度は、市街化区域における土地の利用という一つの要請、それから緑地保全の必要性と申しますか、もう一つの要請、こういったようなことの一つの調整点とでも申しますか、そういうかっこうで制度として起こったものであろうと考えておるわけでございます。したがいまして、このような生産緑地制度が確立をされまして、それによる指定が行なわれてしまったという事態の以後になりましては、やはりこのような生産緑地に指定をされた地域において農地並みの課税をし、その他の地域においては市街化区域内の宅地並み課税が行なわれることが妥当であろう、こう考えておるわけでございます。
ただ、この指定は住民の全部の同意とかそのほかの手続的なことも要りますので、指定までにかなりの時間がかかろうかと思いますけれども、そういう経過的な事態においては、現在百八十余りの市町村が行なっておりますような補助金交付というようなこともあり得る事態ではないか、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/91
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092・山田芳治
○山田(芳)委員 昨年、御承知のような当委員会における経過があって、いわゆる宅地並み課税というものができたわけですね。そこで各市町村においては現実に宅地並みの課税はするけれども、そういう生産的な農地に対する補助金を計上して還元をしていくという措置が相当とられているというふうに考えられておるわけです。ひとつ資料を御提出願いたいのは、例の三大都市圏の中において宅地並み課税を実施されたところで、それに見合う交付金、何らかの形における交付金、それが交付せられておるという実態、ひとつそれを調査の上、この税の審議が終わるまでの間に各委員に配付をしていただきたい。把握をされておるかどうか、その点を含めてひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/92
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093・首藤堯
○首藤政府委員 調査をいたしまして、資料、できるだけのものは御配付申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/93
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094・山田芳治
○山田(芳)委員 その資料をいただかぬとちょっとわからぬのですが、いま野呂田都市計画課長が答えたように相当きびしい条件があるわけですね。ですから現実に、きびしい条件の中で生産緑地に指定はされない。しかし当該市町村は、いま首藤局長がおっしゃったように、それと同様の部分がある場合に市町村も非常に住民の要求の中で苦慮されるし、また現実にいま言った交付金すら出して処置しているという点が多いのではないかと私は思うので、こういう点は弾力的な運営をしなければ、せっかく都市における緑地というものの保全にことを欠く。都市計画上の措置なんだから一定の手続なりきびしさがあるということは、あらかじめこれは承知しているというか、あらかじめわれわれもわかっておったことでありますけれども、現実になかなかそういう事態と現実とは合わないわけでありますから、この点についてはまた後に各委員からも質問があろうと思いますので、この点はひとつ十分配慮してもらいたいということをとりあえず私から申し上げて、資料要求をして、いただいたその上でまた質問をしたいものだというふうに考えておりますので、この問題はこれで私は終わります。
次に、これは地方団体から非常に要望が多いのでありますけれども、自動車税及び軽自動車税の徴収事務が非常に増加をしている。しかも昭和五十年になると、車検のときには自動車税及び軽自動車税の徴収をされたという証明書を持っていかなければ車検をしてくれないという制度に変わるので、月割り課税を絶対に廃止してもらえないか、何かよい方法をぜひ考えてもらいたいということが今度の税の改正にあたって私のところにも相当強い要望がございます。これについて、まあ直接この税法には関係ありませんけれども、地方団体から相当強い要望がございますので、これは何とか考えてやってほしいと思うのですが、税法が変わっておりません。どういうふうに考えられるか、ひとつお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/94
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095・首藤堯
○首藤政府委員 最近、地方団体の税務事務が、この自動車税、軽自動車税の徴収事務において非常に繁雑化をしておりますことは御指摘のとおりでございまして、何とか徴税の簡素化をはかっていきたいということは常日ごろ私どもも考えておるところでございます。年二回徴収を年一回にいたしましたのもその一つの方法であったわけでございます。
この月割り課税の廃止の問題でございますが、月割り課税を廃止いたしますと、徴収事務の簡素化、合理化だけでなくて、納税者の手続そのほかの面でも非常に簡素化をされて便利になるということは御指摘のとおりでございます。しかしまた別途、月割り課税を廃止しました場合には、一方では賦課期日後に自動車を取得しました者はその年度分の自動車税が徴収されないことになりますけれども、逆に年度途中で廃車をした場合に、使っていないのに一年分やはり納めなければならぬという問題も起こるわけでございます。それでも期日をきめてそうすればいいじゃないかと割り切ってしまえばそれでよろしいわけでございますが、この付近、若干納税者としての権利義務の問題もございますので、なお十分検討をいたしてみたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/95
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096・山田芳治
○山田(芳)委員 自動車税は都道府県でやっておられるので、大体コンピューターを導入して、自動車税は、税務事務所等に行けば簡単に納税証明は出されると思うのです。ところが市町村の軽自動車税になりますと、一々そこまで現実にやっておりませんから、それを月割りにあれしておかなければならないという問題があるのですね。だから軽自動車については、転嫁のことは当然転嫁されるにしても、所有したときに一括してかけて、あとは転嫁にまかせるというようなことを思い切ってやらなければいかぬのじゃないか。自動車税についてはいま言ったように便利にしてもらったほうがけっこうだと思いますが、やはりコンピューターシステムでやっておりますからある程度やれると思いますが、市町村の軽自動車税については何とか考えられないか、もう一ぺんひとつお伺いしたい。
〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/96
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097・首藤堯
○首藤政府委員 自動車税と軽自動車税の取り扱いの関連等の問題もいろいろございますものですから、ただいま申し上げましたように簡便化をするということについては非常に私ども賛成でございますが、なお権利義務の移転等の問題もございますので、それをあわせてもう少し検討させていただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/97
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098・山田芳治
○山田(芳)委員 来年の車検の時期の問題があるのでそういう点が強く要望されているわけですから、その時期を失しないように、せっかく検討していただくならやっていただきたいというふうに思います。
次に、電気ガス税関係についてひとつお尋ねをしたいというふうに思います。
電気ガス税については、昭和十七年に国税の電気ガス税として創設をされたわけでありますけれども、電気とガスがいつも一諸になっているわけですね。この点が今回分離をして、電気税とガス税に分かれたわけでありますが、昭和十七年以来一体として運営されてきたのを分離をするという、その積極的な理由は一体何かということをお伺いしたいのと、ガスについてのみ税率を下げている、電気については下げていないという点は一体どういうことなのか。それからガス税等について将来これを廃止するという考えは、ある意味において全部廃止するということもいかがかと思いますが、いわゆる生活に必要な部分については廃止をしていく、産業その他についてはこれは別でありますけれども、そういうような点ですね。だから免税点ももっと上げる、三千円程度に上げるというような点、あるいは電気の免税点をもっと上げるというような点についてどう考えるかということをお伺いしたいのと、先ほども話がありましたように、産業用の電気ガスの非課税措置が十分でないという点についてはお認めになったわけでありますが、この点はもう一ぺん全面的に洗い直しをすると言われておったわけでありますから、これはどうしても来年度なり何なりに洗い直しをして、非課税品目の整理を行なってほしいということを申し上げたいと思います。
最後に私は大臣に……。租税特別措置法というものが国税に行なわれるとともに、ある程度自動的といっていいほど地方税に非常に多く組み込まれてくるということについては、私は非常に遺憾だと思います。地方には、国の政策に応じてそれは従っていかなければならないものもあるだろうけれども、少なくとも税というようなものについては、地方の独自の財源については租税特別措置法を遮断をしていくという形をとっていくのが本来の姿であると思うのですが、従来それが相当抵抗なしに取り入れられておったのではないか。これをもう一ぺん全面的に反省し、洗い直す必要がある。電気、ガスだけでなしに、全体的に非課税措置を国の特別措置に応じて自動的にとっておるということは残念に思うのですが、この点について最後に大臣にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/98
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099・首藤堯
○首藤政府委員 電気ガス税についての御質問でございます。電気税とガス税が一体のものとしていままで取り扱われてきましたことは御指摘のとおりでございますが、今回電気税とガス税とを分離いたしましたのは、最近の電気、ガスの用途とか消費の実態等から、両者を区分したほうがいいのではないかという考え方でございます。と申します理由は三つほどございまして、一つは、電気は全国的に津々浦々まで普及いたしておりますが、ガスは比較的都市部に存在しておるわけでございます。それから、電気は家庭用と産業用という考え方をしました場合には、家庭用より産業用のほうに多く使用されておりますが、ガスの場合はほとんどが家庭用であって、日常的な厨房用とかふろの湯わかしとか、こういうことに使われておるのではないか、こう思ったのでございます。それから三番目には、電気には代替物がございませんが、ガスには御承知のプロパンガスという代替物がございまして、実はプロパンガスの捕捉ということが非常に問題がございまして、事実問題として一本売りのプロパンガスに課税をしていくということが非常に困難なわけでございます。そこでこのプロパンガスと都市ガスとの税制上の不均衡、これがあるのではないかという御指摘もございまして、その均衡も考えながら、ガス税についての負担をなるたけ軽減をしていきたい、こう考えたような次第でございまして、かれこれそのような理由で電気税とガス税を分離し、電気税につきましては税率を据え置きましたが、ガス税につきましては一%引き下げた、こういう措置をとった次第でございます。
それからガス税の廃止問題についてでございますけれども、これは現在におきましては電気、ガスとも市町村の非常に貴重な財源に相なっておりますので、ガス税の場合もそういった財政に及ぼす影響もございますし、それからまた電気税との均衡の問題等もございますので、これは免税点の引き上げ等を行ないまして、負担の軽減は将来とも努力してまいりたいと思いますが、廃止ということは考えていないのでございます。
それから第四点は、電気税の産業用非課税の特例措置についての洗い直しが今回行なわれていないではないかという御指摘でございます。全くそのとおりでございまして、私どももことし電気税の産業用非課税の洗い直しを行たうべく努力いたしたのでございますが、ことしはついにこれは果たすことができなかったのでございます。そのおもな理由は、先ほども申し上げたのでございますが、最近の物価の大幅な上昇に伴いまして、主として産業用の基礎資材で、電気を原料としてたくさん使うというものについての産業用非課税の措置でございますので、これを廃止いたしますことは物価に及ぼす影響がいかがかということが考慮されましたので、しばらく見送ったということが一つ。それからもう一点は、これも別途国税で考えられておるわけでございますが、電源開発促進税という税が創設をされるように法案が提案をされておるようでございまして、この分につきましては産業用電力に対する税も当然賦課をされますので、こういった負担増等の諸情勢もあったわけでございます。したがいまして、そのような事情で実現を見なかったわけでございますが、私どもとしてはぜひこの産業用非課税の見直しということは強力に進めていくべきだという信念を持っておりますので、今後ともその点の洗い直しについては努力をいたしたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/99
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100・町村金五
○町村国務大臣 国税の特別措置の影響が自動的に地方税に及ぶというものについては、従来自治省としては可能な限り避けるように努力しておるのであります。また地方税において独自に定められておるものにつきましては、今回の税制改正に際しまして、発電所及び重要産業用合理化機械にかかる固定資産税の特例措置を廃止することにいたしておるのでありまして、政府としては社会経済情勢に即応いたしまして整理、合理化を要するというものにつきましては、今後ともでき得る限り整理をはかるように努力してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/100
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101・山田芳治
○山田(芳)委員 最後に、いま言ったように産業用関係あるいは租税特別措置関係について非常に不十分な点があったし、従来は何か自動的というか、盲目的に租税特別措置法を引き入れておったという点は反省をされなければならない時期が来ているので、この点は来年度においてはぜひとも大胆に洗い直しをしていただきたいということを強く要望をいたして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/101
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102・伊能繁次郎
○伊能委員長 小川省吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/102
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103・小川省吾
○小川(省)委員 いずれにしても五時過ぎになるだろうと思いますが、勤務をされておる方もおるわけでございますから、一応五時くらいまでをめどにして、あとはあすやらせていただきたいと思っております。そういう意味で、自治省以外からおいでをいただいておりますので、その点からお尋ねをしてまいりたいと思っております。
まず最初に、税制調査会の答申についてお伺いをしてまいりたいと思います。
税制調査会は四十六年の十月七日、内閣の諮問を受けて発足をしたわけでありますが、四十七年、四十八年、四十九年と税制改正についての答申を行なってまいりました。諮問機関の答申ですから当然尊重されなければなりませんけれども、今年度の答申を見てみますと、政府はそのまま改正案として提案をしているようでございます。私は、このくらい諮問機関の意見というものがそのまま反映をしている機関はないだろうと思うのであります。
税調の委員の構成の問題なんですが、全部で委員は何人であって、その中に主として地方税の関係で出ている人というのはどのくらいいるのか、まず最初にお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/103
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104・渡辺喜一
○渡辺説明員 税制調査会の現在の構成は、委員三十名というごとになっておりまして、各界の税制についての意見が十分反映されるようにということで、いろいろな方面からの学識経験者で構成をしておるということになっております。特に地方税関係とか国税関係、何関係ということではございませんで、一般的に税制についての学識経験者というたてまえでございますが、具体的には、地方税関係と考えられます方といたしましては、自治省の行政経験者の方が現在は二名委員として参加されております。それからそのほかに、地方自治団体の関係といたしまして現職の知事さんが一名、それから地方市町村長の方、市長一名、町村長一名という構成になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/104
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105・小川省吾
○小川(省)委員 また、私どもがいういわゆる働く国民といいますか勤労階層といいますか、そういうものを代表する委員は何人ぐらい入っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/105
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106・渡辺喜一
○渡辺説明員 そういう方面のはっきりした色分けというのはなかなかむずかしいのでございますが、一般的に、学者でありますとか評論家の方方、これは女性も入っておりまして、消費者代表的な感じの方もおられます。学者、評論家を合わせまして十一名でございます。それから労働界の関係から二名、中小企業団体の関係から二名というふうな構成になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/106
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107・小川省吾
○小川(省)委員 わかりました。
そこで、委員の委嘱の問題でありますが、委員を委嘱するにあたって、地方税を担当する自治省の意見というのをどの程度大蔵は勘案をするわけですか。そしてまた、これは自治省にお伺いするわけですけれども、自治省はどの程度大蔵に対して税調の委員の委嘱についての意見を申し出てきているわけですか。その点について大蔵省と自治省にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/107
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108・渡辺喜一
○渡辺説明員 先ほども申し上げましたように、自治省の行政経験のある先輩の方、それから地方公共団体で現に地方自治行政に携わっておられる方等々につきましては、もちろん自治省の御意見等が反映されておるものと思います。同様に、国税のほうにつきましても、大蔵省の行政経験のある人というふうな方も同様な形で入っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/108
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109・首藤堯
○首藤政府委員 ただいま大蔵省のほうから御答弁がありましたとおりでございますが、学識経験者等におきましても、それぞれの分野でるる御活躍のあれがございますので、人選等につきましてはよく相談をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/109
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110・小川省吾
○小川(省)委員 これは首藤税務局長にお伺いをいたすわけでありますが、四十八年十二月二十一日の税調の第四十二回総会でまとめられた四十九年度の税制改正に関する答申と、いま提案をされておりますところの地方税法の改正案への取り入れでありますが、税調の答申を大体大綱においてはそのまま受けているわけでしょうか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/110
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111・首藤堯
○首藤政府委員 大きな問題点につきましてはいずれも税制調査会の御審議をいただいておりますので、大きな問題につきましてはただいま御指摘のように税調の答申、それを大綱として受け入れておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/111
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112・小川省吾
○小川(省)委員 受けとめ方の問題でありますが、当然税調の答申が出る、そしてまた自治省としてはその税調の答申を慎重におそらく討議をされて、いま言われるように大綱については税調の答申を受け入れたということであります。その間にかなりな慎重な論議がされておると思うのですが、法案作成の段階の論議、討議で、特に税調の答申を受け入れた点で、税調の答申と自治省の税務局の考え方の中で、特に討論の中で重点的に考え方が相違をしておった、自治省としてはかく考えたというふうな点で重点的な問題があったらお聞かせをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/112
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113・首藤堯
○首藤政府委員 税調の答申におきましては、住民税の課税最低限の引き上げでございますとか、個人事業税の事業主控除の引き上げでございますとか、あるいは固定資産税の小規模住宅用地等に対します軽減でございますとか、あるいは法人課税で住民税の法人税割、それから道路財源で自動車取得税の税率の引き上げ、こういったようなものがいずれも答申をされたわけでございまして、税調の審議の過程でも私どもとしては十分意見は開陳をしたわけでございますけれども、結論につきましては、その大綱をお示しをいただいたとおりこれを取り入れたわけでございまして、特にその方針に異なって論議をしたといったようなものは記憶がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/113
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114・小川省吾
○小川(省)委員 答申の内容について若干お伺いをするのですが、まず課税最低限に関する問題であります。これはもちろん、当然改正案とも関連をしてくるわけでございますけれども、直接の基本は人的控除になっているわけですね。所得税では、基礎控除や配偶者控除あるいは扶養控除をそれぞれ二十四万円ということで統一をされているわけであります。住民税では、統一することを目途として漸次この差を縮小をするといいながら、基礎控除と配偶者控除はそれぞれ十八万となっていますし、扶養控除は十四万円になっているわけですね。これは改正案もそのとおりになっているわけです。なぜ国税と地方税で、片や国税のほうでは二十四万円で統一して、地方税においては十八万、十八万、十四万というぐあいになっているのか。扶養控除だけを十四万円に据え置いて、なぜ十八万円に引き上げられなかったか、理由はどこにあるのか、お尋ねをいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/114
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115・首藤堯
○首藤政府委員 住民税の減税を課税最低限の引き上げという方法で実施をいたしたわけでございますが、減税を実施いたします場合、その課税最低限をどの程度までに持っていくかという点については、御承知のようにいろいろ論議があるわけでございます。私どもといたしましては、所得税のそれと一致をさす必要はございませんけれども、できるだけ所得の増加とか生活水準の向上等に伴って引き上げていくべきだ、こんな考え方で対処をいたしたわけでございます。
それから、御指摘の三控除を一致させることを目標に引き上げていくという点につきましては、全く私どもも同じ考え方を持っておるわけでございますが、今回十八万、十八万、十四万というように差ができましたのは、この減税の全般的な規模——初年度千七百七十三億、こういう規模になるわけでございます。こういった減税規模の財政に及ぼす影響等の制約もございますので、そういったこととあわせ勘案をしながら、ことしはさしあたり基礎控除と配偶者控除を一致をさす。あと、扶養控除につきましては、財政の状況等を勘案をしながら一致の方向に持っていくように引き上げていきたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/115
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116・小川省吾
○小川(省)委員 私は、扶養控除だけを十四万で、なぜ十八万にしなかったかという点については、非常に実態に即していないと思うのです。いま大体、全国的にも高校教育というのが義務教育化をしてきている。それからまた中年の者にあっても大学教育を受けさせるというふうな傾向になってきておりますし、子弟の教育というものが非常に大きな実は生活の中のウエートになっているわけでありますから、当然教育費の負担にもたえられないというのが実態ではないだろうかというふうに思っています。そういう点では、私はやはり扶養控除はもっと大幅に引き上げるべきだったというふうに思うわけなんです。改正案が答申をそのまま受けてこうなったのだろうというふうに思いますけれども、答申があっても、この点だけとは限りませんけれども、自治省独自で答申をかりに上回ったような形を打ち出すということになりますと、税調ににらまれるとか、あるいは、税調にはかなり先輩の官僚諸公がいるわけでありますから、そういうことで、答申をそのまま受けないで、自治省独自で検討をして答申を上回るような案にするということになりますと、やはりこれは税調に対してまずいわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/116
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117・首藤堯
○首藤政府委員 扶養控除の引き上げにつきまして十四万といたした点は、先ほども申し上げましたように、全体の課税最低限をどの程度までに持っていくか、それから全体の減税額をどの程度まで持っていくか、こういった諸般の事情を考慮しなければなりませんのでこの程度にとどまったわけでございます。御案内のように、この三控除をやります場合には、扶養控除の引き上げというのは非常に数が多うございますので、ウエートが高くなりまして減税額が大きくなるわけでございます。そういった事情もありましてこの程度の額にとどまったわけでございます。
それから、税調の答申を上回ってやればしかられるとかいうようなことは全然ございませんで、税調の答申がありますまでの経過におきまして諸般の事情の御検討もいただきますし、また私どもも事務当局としての意見は十分開陳をいたしまして、そういったものを総合された結果として税調の答申が出ておる、このように心得ておりますので、その答申を尊重しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/117
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118・小川省吾
○小川(省)委員 自治省の考え方のようでございますけれども、目途としては扶養控除をぜひ引き上げていくように、少なくとも今後についてはぜひそういう主張をしていっていただきたいと思うのであります。障害者控除なりあるいは老年者控除なり寡婦控除その他については、先ほど山田委員が触れましたから私は触れませんけれども、少なくともこれらについてももっと引き上げるのが現在の情勢の中に適応しているのではないかといいうふうに考えているわけであります。私は、自治省が税調に意見を申し上げた時代というのは、大幅に物価が値上がりをする前だろうと思いますからあるいはやむを得ないかもしれませんけれども、少なくともその種の控除について当然もっと引き上げていくべきであったろうというふうに思っています。非課税限度額についても同様であります。もう少し大幅に引き上げなければ、特に現在の物価高やあるいはインフレの影響というのを一番厚く受けている層でございますので、そういうものに対する税制上の配慮というものも当然なされなければならぬというふうに思っているところでございます。
それから、厚生省から実は来ていただいておりますので、国民健康保険税についてお伺いをいたしたいと思うのであります。
今回、課税限度額を八万から十二万に実は引き上げておるわけであります。時宜に適応しているのかもしれませんけれども、しかしながらいま全国の至るところの各市町村が実は国保の特別会計で軒並みピンチの状態であります。これは自治省はとくと御承知のところだと思うのであります。
そういう意味で厚生省にまず最初に伺いますが、国保の国庫負担率をもっと大幅に引き上げていく考え方はないのかどうか。それから自治省としては、自治省独自に関係があるわけでありますけれども、国保財政についてはどうお考えになっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/118
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119・下村健
○下村説明員 国保財政の状況でございますが、最近数年間比較的安定した状態で推移してきたわけでございますけれども、四十七年度の決算では、お話しのように赤字団体の数が若干増加してきているわけでございます。国保財政はもともと国庫負担と保険料収入によってまかなうたてまえになっておりますので、医療費が伸びておる状況でございますと保険料負担もそれに伴ってある程度の上昇はしてまいるわけでございます。
これに対しまして、最近の状況としては、老人医療費の問題でありますとか、それから四十八年度から新たに着手いたしました高額療養費制度というふうな給付改善の問題という要素もございまして、特に厚生省としましては、保険者間の格差が非常に大きい、財政力の弱い市町村について非常に困難な面があるということで、国民健康保険につきましては従来から、給付費に対して申しますと約三分の二近い、保険といたしましては非常に高い国庫負担をいたしているわけでございますが、そういう財政力の脆弱な市町村の状況をも考慮いたしまして、四十九年度におきましては既定の国庫負担のほかに臨時財政調整交付金という形で三百五十億円、国庫負担の割合でいきますと、医療費に対しましては約二・三%程度になるわけでございますが、そういう新たな予算を増額いたしましてそれに対処するというふうなことで、国庫負担の面につきましてもいろいろ配慮をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/119
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120・松浦功
○松浦政府委員 ただいま厚生省からお話がございましたが、四十七年度の決算で、四十六年度に五百十一団体赤字がございましたものが、八百七十三団体にふえております。もともと国庫支出金と保険料あるいは税でまかなうべき性格のものでございましたて、こういう赤字が出ておるということは地方財政のために非常に困ったことだ、たいへんな問題だというふうに考えておりますので、関係省にお願いをいたしまして、ぜひ赤字が出ないように措置をしていただくということを今後も続けてお願いをしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/120
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121・小川省吾
○小川(省)委員 厚生省は、だいぶ安定をしてきたと言うのですが、いま自治省財政局長の答弁のように、五百十一団体から八百七十三団体に赤字団体がふえたということは、一般会計で繰り出しをしてもなおまたたいへんだというのが現状であります。御承知のような国保の被保険者の状態でありますから、何としても抜本的な手を打っていかなければならぬと思うのであります。いま課長のほうからも答弁がありましたように、最近における危機の原因の一つは確かに老人医療費の公費負担の問題であると思うのですね。しかし、老人医療費の無料化といっても、実際には七割国保におんぶをして残りをやっておる、そういうことで、三百五十億の臨時財政調整交付金を組んだことはわかるわけでありますけれども、もっと多額に国費を継ぎ足していかなければ国保会計というのは市町村の命取りになってくるだろうというふうに私は思っているわけであります。厚生省としてこの国保全体の会計というものについてどのように考えているのか。まず三百五十億をつけたのはわかるわけでありますけれども、今後どうするのか、お伺いをいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/121
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122・下村健
○下村説明員 国保財政の状況につきましては、御指摘のようにいろいろな問題があるわけでございますが、厚生省といたしましては、国保財政の現状について最も大きな問題は、保険者間で非常に大きな格差がある。非常に負担の重い市町村とそれからそうでないものと、かなり保険者におきまして差が開いているわけでございます。したがって、すでにかなり高率の国庫負担ということがなされているということもありまして、臨時財政調整交付金という形で、財政力の弱い保険者を中心にいたしまして手厚い負担を行なっていくということで、公正な負担ということを第一義に置いて考えているわけでございますが、ただいまお話が出ましたように、老人医療の問題でありますとかあるいは高額医療の問題でありますとか、非常に新しい問題が発生しているわけでございまして、事情が非常に流動的であるというふうな面もありますので、今後とも状況の推移を見ながら適切な方策を考えてまいりたいということで、国庫負担につきましても十分努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/122
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123・小川省吾
○小川(省)委員 いま言われるように、老人医療費の問題しかりでありますし、さらにまた乳幼児の医療費の無料化の問題等、当然社会保障制度としてやっていかなければならぬ問題が山積いたしているわけでありますから、老人医療費無料化といっても国保におんぶしたような形での無料化であってはならぬはずでございます。そういう意味で、三百五十億の大蔵との折衝の過程でもいろいろあったでしょうけれども、大蔵折衝にかなり努力をされていると思いますけれども、大蔵との折衝の状況はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/123
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124・下村健
○下村説明員 財政の現状に対する認識等については、大蔵省、厚生省問においてあまり大きな差はないと思うわけでございます。ただ、具体的な財政の見方についてはそれぞれの立場もございますが、私どもとしては三百五十億円確保したことによりまして、現在予測し得る問題につきましては一応四十九年度、対処できるというふうな見方をしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/124
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125・小川省吾
○小川(省)委員 また別途、国保関係についてはわが党の委員から触れますけれども、厚生省としては、国保会計が軒並みたいへんであるというような状態にかんがみて、国保について抜本的な対策を講じていただかぬと自治体はたいへんでございますから、そういう意味で強く厚生省の努力を要請をいたしておきたいと思います。
次に、地方税に関連する問題として大蔵省にお伺いをいたしたいわけでありますが、農業所得の関係であります。農業所得の課税についてどういう形でやられるのか、私も詳細にはわかりませんけれども、今年度農業所得が二倍になった、三倍になったということで、各地の農村で非常に問題化をいたしておるわけであります。そういう点で、具体的に本年度課税標準なりを変えたのかどうかわかりませんけれども、農業所得のとらえ方の具体的な手順、あるいはことしどのように変えたのかどうか、その辺についての御説明を受けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/125
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126・水口昭
○水口説明員 ただいま農業所得についてのお尋ねでございますが、御案内のように、農業所得者というものはかつては非常に多かったのでございます。たとえば昭和二十三年ごろは全納税者の半分が農業所得者であった。ところがその後どんどん減ってまいりまして、たとえば昭和四十七年について申しますと二十三年の十分の一以下に減っておる。また税額も非常に少なくなっておりまして、四十七年分では全申告所得税の税額の一%にも満たない、こういうふうな状況でございます。
そこで、昔は農業所得は全部税務署でやっておったのでございますが、最近では、農業所得者の方は国税を納められる方よりもむしろ地方税を納められる方のほうが多い、こういうこともございますので、だんだんと仕事を地方のほうにお願いをいたしまして、十年ぐらい前から漸次仕事の分担を移しておるわけでございます。たとえば普通田畑のようなものにつきましては市町村のほうにお願いする。そして非常に特殊なもの、たとえば果樹の畑とか野菜の畑とか、そういったものは従来どおり税務署がやる、こういうふうになっているわけでございます。
去年に比べて非常に高くなったというお話でございますが、具体的にどういうことをさしておられるのか承りたいと思いますが、農業所得全般につきましては決してさようなことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/126
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127・小川省吾
○小川(省)委員 農業所得が実際に二倍なり三倍なりにふえたということで大きな問題になっているわけですが、農業所得の課税標準協議会というものが各市町村にあるのかどうかわかりませんけれども、具体的な手順といいますか、農業所得を把握するところの事務的な問題についてどのようにやられているのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/127
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128・水口昭
○水口説明員 ただいま協議会のお話が出たわけでございますが、協議会と申しますのは、先ほど申しましたように、最近農業所得者に対する課税の問題が税務署の手からだんだんと市町村の手へ移っていく背景のものに、昭和四十年七月であったかと思いますが、自治省の税務局長の通達によりましてそういった協議会を設けたわけでございます。協議会のメンバーといたしましては、市町村長と県の税務課長さんがお入りになっていたかと思います。税務署長のほうはいわば顧問の形で参加をしているわけでございます。そこでもって、先ほど申しましたように、たとえば普通田畑の所得標準率を作成いたしまして、公開をしているわけでございます。その作成にあたりましては、いろんなやり方がございますけれども、実地にいろいろ農業所得の収支計算をいたしまして、どのくらいの所得があるかということを調べてみましたり、あるいはいろんな農業関係の統計資料、こういうものを参考にいたしましたり、また農業関係のいろいろの団体の方とか、そういった各方面の御意見を聞いて妥当と思われる標準をつくる、こういう手順になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/128
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129・小川省吾
○小川(省)委員 そうすると、大蔵じゃなくて自治省に聞いたほうがよろしいわけですね。
じゃ自治省にお聞きいたします。農業所得の一つの基準値をとってくるわけでしょうけれども、基準値の選定の方法というのはどういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/129
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130・水口昭
○水口説明員 基準値と一口に申しましても、お米の場合であるとか、麦の場合であるとか、野菜の場合であるとか、あるいは養蚕の場合であるとか、いろいろあるわけでございます。一般的に申し上げますと、先ほど言いましたように、たとえばお米で申しますと、十アール当たりどのくらいのお米がとれるかということは、実地に農家におもむきましていろいろ調べるわけでございます。そういう実地に調べたものと、そのほかに、先ほど申しましたようにいろいろな統計資料、それから各方面の御意見、こういったものを織りまぜて妥当と思われる率をつくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/130
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131・小川省吾
○小川(省)委員 あなたに聞いていけばいいの……。あなたのほうでは自治省のほうに移して、自治省の税務局長の通達が出ているわけで、主として農業所得は市町村でやって、現在国税は少なくなっているから、むしろ自治省のほうが主なんでしょう、あなたの答弁のように。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/131
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132・水口昭
○水口説明員 農業所得の種類によると思いますが、先ほど申しましたように、たとえば普通畑、お米、そういったものにつきましては市町村のほうが中心でおつくりになっておりますし、それから特殊なもの、たとえば野菜畑、果樹畑あるいは養蚕、こういったものは税務署のほうでつくっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/132
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133・小川省吾
○小川(省)委員 わかりました。
そうすると、養蚕所得について伺いたいわけですが、養蚕の所得を税務署が捕捉する場合には、現在どういう形で捕捉をするわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/133
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134・水口昭
○水口説明員 養蚕のほうは非常に専門的でございまして、私も実はあまり詳しくは存じないのですが、存じているところを申し上げますと、たとえば蚕を飼うために桑が要るわけでございます。農家の方は桑畑をつくっておられる。その桑畑の面積はどのくらいあるか、それを把握いたしまして、これぐらいの桑畑であれば蚕をこのぐらい飼うことができるであろう。それによって繭がこれぐらいとれるであろう。そうすると所得は幾らぐらいになる、こういったようなやり方が基本であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/134
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135・小川省吾
○小川(省)委員 確かに桑園面積を基準にいして収繭量はこのくらいだということで課税されてきたと思っているのですが、今回この方式を改めて、掃き立てをする蚕の卵の量に変えられたことによって、養蚕所得のみなし課税、桑の面積がかりに三反歩しかない場合でも、農家は卵量をふやして桑を買って蚕を飼う場合があるわけです。そういうことで、卵量によって捕捉するように改めたというふうに聞いていますが、そういう事実はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/135
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136・水口昭
○水口説明員 実は養蚕農家の課税につきましては、各国税局あるいは各税務署にまかせておるわけでございまして、国税庁が全部把握しているわけではございませんが、おそらく先生のいまお話しの分は関東信越国税局内の主として群馬県、そのあたりのお話であろうと思います。
そこで関東信越国税局を通じまして、どういうことであったのかということを聞いてみたわけでございますが、御説明しますとこういうことのようです。と申しますのは、昨年までは、先ほど私が説明しましたような、まあ桑畑をどのぐらいつくっておるかということをもとにして標準をつくったわけでございます。その場合に、農家のほうから御申告があった桑畑の面積、これを大体そのままで信用いたしまして標準をつくってまいったわけでございます。ところが地元のいろいろ御意見を聞いてみますと、それが必ずしも正確に税務署のほうに出てないのではないか、総面積が正確ではないのではないか、こういうふうな御意見もございましたので、昭和四十八年分の農業標準をつくるにあたりましては、その辺を正確に調べたわけでございます。そのために、農家によりましては畑の面積がふえたとか、あるいは畑をつくってなくてもほかから桑の葉を買ってまいりましてそれによって蚕を育てているというふうな例もございまして、したがって税額はふえる。そのほかにもう一つ大きな要因といたしまして、昭和四十八年は非常に繭の値段が上がった、前年に比べて一・五倍とか二倍とかいうふうに非常に上がった。そういうふうな両方の面がございまして、したがって、群馬県下の養蚕農家は昭和四十八年分については税額が相当上がったところがある、こういうふうな事情のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/136
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137・小川省吾
○小川(省)委員 いま、国税庁じゃなくて関東信越国税局だというお話でございますが、国税庁は養蚕をやる農家というのは信用できないというふうにお思いなんではないと思いますが、いずれにしても、結局桑を買うことによるところの卵量で査定をするということになれば、仮定の桑畑ということになるわけですね。仮定の桑畑によるところの、みなし課税という形に私はなるんじゃないかと思うのですが、それほど養蚕農民を信用してないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/137
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138・水口昭
○水口説明員 先ほど申しましたように、国税庁といたしましては、全国の五百の税務署のそれぞれの管内の状況を詳しくは存じ得ないわけでございますが、署からの報告によりますと、先ほど御説明しましたように、昭和四十七年分まではまあ農家から申告された面積をそのままもとにいたしまして計算したんだけれども、地元でも非常にそれが不公平であるというような声が多かった。そこでよく調べてみましたらそういうふうなことであったので、昭和四十八年分からは公平な課税をしていきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/138
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139・小川省吾
○小川(省)委員 確かに税は公平でなければならぬことはわかるわけでありますが、ことしになって一挙に二倍なり三倍なりに上がってくるというのは、従来の国税庁、これは本庁ではありませんけれども、各税務の出先がやはりそういうのに対するところの把握が不十分であったということをみずから認める以外の何ものでもないというふうに思うわけであります。そういう点から考えるならば、一挙に二倍なり三倍なりに上げるようなことでなしに、やはり自分たちの捕捉の方法にも誤りがあったわけでありますから、そういうふうな急激な状態の変化が起こるとするならば、これは局なり各税務署にまかしているなどということじゃなくして、やはり全体的な、たとえば先ほど言われたように、従来のように桑園面積でやるんだとか、あるいは卵量なら卵量でよろしいわけでありますけれども、そういう基準を——日本の産業の中だって養蚕というのは、私の県では第一位なんですけれども、かなり重要なウエートを持っている産業の一つなんですから、そういう意味でそういう点はひとつはっきりしていただかぬと困ると思います。国税庁としても、これは出先でやっておりますからというふうなことではなしに、ぜひひとつそういう点を大蔵のほうでも把握をしていただかぬと困ると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/139
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140・水口昭
○水口説明員 確かにことしはきわめて異例でございまして、農家によりましては、群馬県下の養蚕農家は例年に比べて二倍あるいは三倍になった、こういうところもあるようでございますが、これはただその税務署がかってにやったというふうなものではございませんで、地元の市町村のほうからも、一昨年までいろいろ不公平なこともあったというふうな声もございましたし、四十八年分の農業標準をつくるにあたりましても、いろいろ地元の市町村はもちろん、各団体の御意見を聞いて、まあそういうことでよかろうという御了承を得てやったと聞いておりますので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/140
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141・小川省吾
○小川(省)委員 いまのお答え、納得できませんけれども、そういうふうな形で二倍なり三倍なり、あなたの言われるように群馬県だけなんということでは、まるっきり群馬県だけをねらい撃ちにしたようだけれども、それは困るわけです。そういうことのないように、もちろん税は公平でなければいかぬし、ごまかしてはいかぬし、協力をして納税をするような頃向にならなければいかぬわけでありますが、急激に二倍なり三倍なりに上がるなどというふうな方向はぜひ今後とらないように注意をしてもらいたいということを申し述べて、一応終わります。
次に、先ほど山田委員からも御質問がありましたけれども、都市財源の充実強化についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
法人の実効税率を高めて、市町村民税の税割税率を高めたということはよくわかるわけであります。この中で、都道府県の税割税率を落とした理由は先ほどもお話があったわけでありますが、不明確であります。おそらく自然増収があるから落としても差しつかえない、市町村を厚くするので、その中から府県の分を削ったのだといえばそれまででありますが、具体的になぜ落としたのか、その理由をもう一回聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/141
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142・首藤堯
○首藤政府委員 道府県民税の法人税割の税率でございますが、今回の法人税割の増収は、御案内のように、一つは、国の法人税の税率が上がりましたことに伴いまして、当然地方税の法人税割の額が上がってくる分野と、それから独自に地方税の住民税の法人税割の税率を引き上げたということに伴って増収になります分と、二つあるわけでございます。先ほど申し上げましたように、その両方を合わせまして平年度二千億をこえる増収になるわけでございまして、この増収額を全部市町村に回すという措置をとりますために、市町村の法人税割の税率を三%引き上げました。都道府県の分は、別途その法人税の税額の増加によって出てまいります法人税割の増がございますから、その分の該当分を平年度約二十億程度府県に残すようにいたしまして、そのあとを全部市町村に回す、こういうかっこうをとったわけでございます。したがいまして、府県の法人税割の税率がその分だけ引き下がりの措置になった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/142
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143・小川省吾
○小川(省)委員 私どもは、そういう点でやはり全体の中の市町村に回すという理由はよくわかるのですが、何も府県を落としてしなくもよろしいのではないかと思いますので、その点をお聞きしたわけですが、そういう御答弁でございますから一応そういうことといたして、しかし、この措置は全市町村に均てんをする措置なんですね。私どもがかねて主張をしてきた、要望をしてきたのは、いわゆる集中、集積の進んでいる大都市に対する税源の確保を要求をしてきたわけであります。税調が、事務所事業所税をなお引き続き検討するということになった具体的な理由ですね。なお引き続き検討するなんて、おそらく自治省はかなり強硬な主張をしたんだと思いますが、それがなお引き続き検討することになったのは、自治省の主張が、税務局長の主張が弱かったのか、あるいはどういうことでなお引き続き検討するとなったのか。自治省はおそらくここを先途とがんばっただろうと私は思っているのですけれども、その辺のところはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/143
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144・首藤堯
○首藤政府委員 法人課税の増加がすべての市町村に均てんをするという点は、御指摘のとおり制度的にはそのとおりでございますが、何しろ法人税割でございますので、わりに都市的なところに法人が多いのは当然でございますので、都市的なところにより多くこの税源が付与される、このように考えておりまして、市町村、特に都市的税源の増強という点について一番かっこうな税目ではなかろうかと考えておる次第でございます。
それから二番目の点でございますが、事業所事務所税の創設につきましては、私ども、税調におきましても、この本来の趣旨、毎度申し上げておりますような趣旨からぜひ実現をすべきであるということで主張をいたしたのは当然でございます。ただ最終的な結論において、なお引き続き検討となりましたのは、一つには、本年度においては法人全般の負担率をかなり大幅に引き上げるという事態であったこと、それからもう一点は、年末になりましての長期的な経済見通しが非常に混乱をいたしまして、今後長期的な税制として考える場合になおいろいろ検討する必要があるだろうといったような意見が出ましたこと、それから最後には、事務的なことでございますが、各省からもいろいろこれに類似した税が提案をされておりまして、この調整の時間がなかったこと等によるものでございまして、この事業所事務所税の本来の趣旨が否定をされたものではないと私どもかたく信じておりますし、また答申にも、今後引き続き検討しろというように記載されておるとおりでございます。したがいまして、私どもとしては今後ともこの点については積極的に検討を進め、実現に邁進をいたしたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/144
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145・小川省吾
○小川(省)委員 私はどうも自治省の主張が弱かったんではないかと思うのですがね。実際にこの法人税割税率を九・一%から一二・一%に引き上げて、標準都市、十万ぐらいの都市あるいは三十万ぐらいの都市で具体的に数字的にどのくらいの増加になるか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/145
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146・首藤堯
○首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、この法人税割の増は平年度で約二千億、それから四十九年度で千億余り、こういう金額になるわけでございまして、市町村民税の中にあっては約二四%ぐらいの増加に相なるものと思っております。
具体的な例示でございますが、これは推計でございますけれども、たとえば人口五十万程度の首都圏の都市では大かた六億見当ぐらいの増収、それから四十五万程度の東海地方のある市では五億円程度の増収、こういったような程度の増収に相なろうかと推計をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/146
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147・小川省吾
○小川(省)委員 個人事業税で、先ほど山田委員のほうからも御質問がありましたが、百五十万に引き上げたことによって納税人員と納税額の変動といいますか、これはどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/147
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148・首藤堯
○首藤政府委員 事業主控除を八十万から百五十万まで引き上げたことによりまして、納税義務者数は六七%減少するだろうと推計をいたしております。約七割。数にいたしまして百十万見当ぐらいの減になるかと思います。それから税収入でございますが、これは四〇%強の減収でございまして、約三百二十億程度の減であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/148
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149・小川省吾
○小川(省)委員 三百二十億ぐらいだとするならば、個人事業税を撤廃をしてもよろしい時期に来たんではないかというふうに思うけれども、自治省としてはやはりこの税を残しておかなければ地方税の中に多大な影響があるというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/149
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150・首藤堯
○首藤政府委員 事業税は、御承知のように事業がその活動を行なうのにあたりまして地方団体の各種の施設の利用あるいはサービスの享受、こういったことに伴います経費を負担する、こういう基本的な性格を持っております。したがいまして、そういう観点からは、法人であれ個人であれ、やはり事業を営んでおります者がこのような形で事業税を負担していただくということは望ましいことだと考えておる次第でございます。もちろん、非常に零細事業でございますとか所得の低い事業でございますとか、そういった小規模事業者の納税というものはなるたけ排除していきたい、こう考えて事業主控除等の引き上げを行なっております。個人事業税を廃止するということは適当でないというふうに私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/150
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151・小川省吾
○小川(省)委員 私どもは前々から、昨年も主張したわけでございますが、個人事業税は撤廃すべきであるという主張がありますので、百五十万まで引き上げた段階でございますので、ぜひひとつそういう方向で努力を要請いたしておきたいと思っています。
委員長、あとの質問は税目の中に入りまして一つ一つが相当こまかに具体的になってまいりますので、本日はこの辺のところで一応打ち切らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/151
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152・伊能繁次郎
○伊能委員長 次回は、明八日金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X01219740307/152
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