1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月二十二日(金曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 徳安 實藏君
理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君
理事 中山 正暉君 理事 野呂 恭一君
理事 大出 俊君 理事 中路 雅弘君
大石 千八君 近藤 鉄雄君
竹中 修一君 旗野 進一君
藤尾 正行君 木原 実君
吉田 法晴君 和田 貞夫君
鈴切 康雄君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(行政管理庁長
官) 保利 茂君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 山中 貞則君
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 森山 欽司君
国 務 大 臣
(環境庁長官) 三木 武夫君
出席政府委員
行政管理庁長官
官房審議官 木下 薫君
防衛庁参事官 大西誠一郎君
防衛庁参事官 長坂 強君
防衛庁長官官房
長 丸山 昂君
防衛庁防衛局長 久保 卓也君
防衛庁人事教育
局長 高瀬 忠雄君
防衛庁経理局長 小田村四郎君
防衛庁装備局長 山口 衛一君
防衛施設庁長官 田代 一正君
防衛施設庁総務
部長 安斉 正邦君
防衛施設庁施設
部長 平井 啓一君
科学技術庁長官
官房長 片山 石郎君
環境政務次官 藤本 孝雄君
環境庁長官官房
長 信澤 清君
委員外の出席者
外務省アメリカ
局外務参事官 角谷 清君
外務省欧亜局外
務参事官 加賀美秀夫君
水産庁漁政部沿
岸漁業課長 平井 義徳君
海上保安庁警備
救難部長 船谷 近夫君
内閣委員会調査
室長 本田 敬信君
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委員の異動
三月十三日
辞任 補欠選任
近藤 鉄雄君 山崎 拓君
同日
辞任 補欠選任
山崎 拓君 近藤 鉄雄君
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三月十五日
防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律
案(内閣提出第四五号)
三月十四日
靖国神社の国家管理反対に関する請願外一件
(河上民雄君紹介)(第二五八八号)
同外一件(河上民雄君紹介)(第二六二六号)
同(河上民雄君紹介)(第二六四二号)
同(吉田法晴君紹介)(第二六四三号)
同外三件(河上民雄君紹介)(第二六六六号)
同月十八日
公務員・公共企業体等職員の賃金引上げ等に関
する請願(安里積千代君紹介)(第二七〇二
号)
同(池田禎治君紹介)(第二七〇三号)
同(受田新吉君紹介)(第二七〇四号)
同(内海清君紹介)(第二七〇五号)
同(小沢貞孝君紹介)(第二七〇六号)
同(折小野良一君紹介)(第二七〇七号)
同(春日一幸君紹介)(第二七〇八号)
同(河村勝君紹介)(第二七〇九号)
同(神田大作君紹介)(第二七一〇号)
同(小宮武喜君紹介)(第二七一一号)
同(佐々木良作君紹介)(第二七一二号)
同(竹本孫一君紹介)(第二七一三号)
同(玉置一徳君紹介)(第二七一四号)
同(塚本三郎君紹介)(第二七一五号)
同(永末英一君紹介)(第二七一六号)
同(宮田早苗君紹介)(第二七一七号)
同(渡辺武三君紹介)(第二七一八号)
同(稲富稜人君紹介)(第二八八〇号)
同(小平忠君紹介)(第二八八一号)
同(和田耕作君紹介)(第二八八二号)
靖国神社の国家管理反対に関する請願(上原康
助君紹介)(第二八三〇号)
同外三件(河上民雄君紹介)(第二八三一号)
同外一件(小林信一君紹介)(第二八三二号)
同(吉田法晴君紹介)(第二八三三号)
同外三件(河上民雄君紹介)(第二八七九号)
旧満州国開拓団員、国策農業移民及び青少年義
勇軍に対する恩給通算に関する請願(旗野進一
君紹介)(第二八七八号)
恩給の不均衡是正等に関する請願(旗野進一君
紹介)(第二九〇八号)
同月二十日
横田基地の撤去等に関する請願(小林政子君紹
介)(第二九六八号)
軍事基地の撤去等に関する請願外一件(岩垂寿
喜男君紹介)(第三〇二二号)
は本委員会に付託された。
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三月十八日
旧軍人恩給の改善に関する陳情書
(第二一七号)
靖国神社法制定に関する陳情書外三十八件
(第二一八号)
恩給、共済年金の改善に関する陳情書外一件
(第二一九号)
国土緑化推進の日制定に関する陳情書
(第二二〇号)
同和対策事業予算の増額に関する陳情書外一件
(第二二一
号)
自衛官募集事務中止に関する陳情書
(第二二二号)
憲法改正に関する陳情書
(第二二三号)
公用文書横書きに関する陳情書
(第二二四
号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第七号)
環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改
正する法律案(内閣提出第八号)
防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律
案(内閣提出第四五号)
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三〇号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/0
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001・徳安實藏
○徳安委員長 これより会議を開きます。
この際、保利行政管理庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。保利行政管理庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/1
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002・保利茂
○保利国務大臣 私は、昨年十一月以来、行政管理庁長官の職を受け持たしていただいておるわけでございますが、内閣委員会の委員各位に対してごあいさつを申し上げる機会を、今日まで得ていなかったことをはなはだ遺憾に存じておる次第でございます。
旧来、内閣委員諸公から、行政管理庁所掌業務に対しまして御理解ある御審議をいただいておりますことは、まことに感謝にたえないところでございます。私もせいぜい努力をいたすつもりでございますから、何とぞ委員各位も法案の御審議、所掌事務の御審議等につき格段の御協力を賜わりますよう、切にお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/2
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003・徳安實藏
○徳安委員長 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案、環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律案の各案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/3
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004・徳安實藏
○徳安委員長 順次、趣旨の説明を求めます。森山科学技術庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/4
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005・森山欽司
○森山国務大臣 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
原子力の開発利用は、わが国のエネルギー資源を確保するため大きな役割りを果たすものであり、政府としては、着実にその推進をはかってきたところであります。
一方において、石油の安定確保がきわめて困難となり、国民生活に深刻な影響を与えている今日、原子力の開発利用の推進に従来以上に一そうの努力を傾注する責務を痛感いたしております。
原子力の開発利用にあたっては、安全性の確保が大前提であることは、もちろんでありまして、政府としては、従来から安全性の確保に大いに努力をしてきたところでありますが、今後なお一そうの安全対策を強力に講ずる必要があります。
この法律案は、このような観点から、原子力利用に関する安全関係業務を一体的かつ効率的に処理する体制として、原子力局に安全部を設置するとともに、その所掌事務を定めようとするものであります。
なお、これらの改正とあわせて、原子力局次長の定数を二人から一人に減ずるため所要の改正を行なっております。
以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。
エネルギー危機への対処にあたって、原子力が果たす役割りの重要性について、皆さまの深い御理解をいただき、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/5
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006・徳安實藏
○徳安委員長 三木環境庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/6
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007・三木武夫
○三木国務大臣 ただいま議題となりました環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
御承知のとおり、環境庁は、昭和四十六年七月に発足し、今日まで各種公害規制の強化、被害者救済制度の整備、自然環境保全施策の充実等環境の保全に関する行政を総合的に推進してまいったのでありますが、このような施策の拡充と相まって、行政の運営体制をさらに強化することが必要となっております。
このため、環境行政の一そうの推進をはかるべく、今回この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の内容について御説明を申し上げます
第一は、環境庁設置法を改正し、企画調整局に環境保健部を設置することであります。
さきの特別国会において成立した公害健康被害補償法の実施に万全を期するとともに、公害に係る健康被害の原因の科学的究明等環境保健に関する事務を一元的に処理するため、新たに部を設けることとするものであります。
第二に、行政管理庁設置法を改正し、行政管理庁の地方支分部局に、環境庁の所掌事務の一部を分掌させることであります。
全国各地に発生する環境問題を迅速かつ的確に把握し、環境行政の適切な運営に資するため、管区行政監察局及び沖繩行政監察事務所が、環境庁長官の指揮監督を受け、環境庁の所掌事務に関する調査、資料の収集等の事務を行なうこととするものであります。なお、これらの事務を含めた業務の執行体制の整備をはかるため、関東管区行政監察局及び近畿管区行政監察局に、総務部を置くこととしております。
以上が、この法律案を提出した理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/7
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008・徳安實藏
○徳安委員長 山中防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/8
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009・山中貞則
○山中国務大臣 ただいま議題となりました防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
従来、防衛施設周辺の民生安定施策としては、昭和四十一年に制定された防衛施設周辺の整備等に関する法律に基づき、障害防止工事及び民生安定施設の整備の助成、建物の移転の補償等の諸措置が講じられてきたところであります。
しかしながら、最近における防衛施設周辺の都市化の進展、住民の生活環境保全に対する意識の高揚等に伴って、従来の施策では諸般の要請にこたえることが困難となってきており、ために防衛施設周辺の生活環境等の整備について、新たな観点からその施策を強化、拡大することが強く望まれ、特に、航空機騒音に係る飛行場等周辺の環境改善については、諸施策の大幅な拡充をはかる必要が生じてきているところであります。
このような実情にかんがみ、今回、政府としては、防衛施設周辺における生活環境の整備等諸施策を抜本的に強化する必要があると考え、新たにこの法律案を提案したものであります。
次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
第一は、自衛隊等の特定の行為により生ずる障害の防止等のため、特定の公共施設等について必要な工事を行ない、または学校、病院等の防音工事を行なう地方公共団体その他の者に対し、国が補助するものとしていることであります。
第二は、特定の飛行場等の周辺について、自衛隊等の航空機の音響に起因する障害の度合い等に基づいて、外側から第一種、第二種及び第三種の区域の指定を行ない、国は、第一種区域に所在する住宅について防音工事の助成を行ない、第二種区域内から外に移転を希望する者に対する移転の補償及び第二種区域内の土地の買い入れを行なうとともに、移転先地における公共施設の整備について助成を行ない、さらに第三種区域に所在する土地については、緑地帯その他の緩衝地帯として整備するよう所要の措置をとるほか、国が買い入れた土地を地方公共団体が広場等の用に供するときは、これを無償で使用させることができるものとしていることであります。
第三は、防衛施設の設置または運用により、その周辺の住民の生活または事業活動が阻害されると認められる場合において、その障害の緩和に資するため、生活環境施設または事業経営の安定に寄与する施設の整備について、必要な措置をとる地方公共団体に対し、国が補助することができるものとしていることであります。
第四は、防衛施設の設置または運用が、周辺地域における生活環境または開発に及ぼす影響等を考慮して、内閣総理大臣が特定防衛施設及び特定防衛施設関連市町村を指定することができるものとし、国は、特定防衛施設関連市町村に対して、公共用の施設の整備に充てる費用として、特定防衛施設周辺整備調整交付金を交付することができるものとしていることであります。
その他、防衛施設周辺の整備等を行なう地方公共団体等に対する資金の融通、あっせん、普通財産の譲渡等について、所要の規定を設け、また、自衛隊の航空機の離着陸等のひんぱんな実施その他の行為により農業、林業、漁業等を営む者に、事業経営上の損失を与えた場合における補償について、所要の規定を設けることとしております。
以上の諸施策をとることにより、現行の防衛施設周辺の整備等に関する法律は廃止することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/9
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010・徳安實藏
○徳安委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/10
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011・徳安實藏
○徳安委員長 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤陽三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/11
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012・加藤陽三
○加藤(陽)委員 防衛庁職員給与法の改正案につきまして、若干の質問をいたします。
山中長官は、「朝雲」なんかによりますと、内政の年といって部隊生活の内容の充実にたいへん力を入れていらっしゃる、けっこうなことだと思うのでありますが、四十九年度の予算におきまして、この法律案もその一環でありましょうけれども、いわゆる内政の年の実現でどういうふうな事柄を予算化しておられますか、まず、それからお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/12
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013・山中貞則
○山中国務大臣 内政の年、すなわち隊員に対して、もう一ぺん脚下照覧と申しますか、それでよろしいかという問いかけを、まず内に対して行なってみるという点を点検をいたしました結果、現在、御審議を賜わっております四十九年度予算案の内容に、その具体的なものとして盛り込んだものがございます。
それは、まず隊員そのものの処遇改善としては、曹の定員増、これは御承知のとおり、一応の定めとしては内規でありますが、四十三歳、四十五歳停年が残っております。しかしながら自衛隊に、青春時代から生産をささげようと決意した者にとって、そしてまた、幹部学校その他への道を選ぶことが困難な者たちにとって、やはり四十三歳、四十五歳の停年というものは、きわめてきびしい行き先の見通しとしか映らないであろうと思います。そこで、これが実質上五十歳停年になるように予算措置をいたしました。それは、すなわち曹の定数を増員したということであります。
さらに曹は一曹どまりでありますから、もうすでに御設定を願っております准尉という階級について、さらにこれの若干の定員増を行なうとともに、戦前も存在しなかった——私たちは、戦前と比べる組織等を持っておりませんが、いわゆる制度上は存在しなかったものですが、そのような手段を講じて曹の停年を五十歳まで延伸いたしました結果、選ばれた者と申しますか、そういう条件に合致した者は准尉という階級に進める。しかしそれも、いままでの停年から申しますと、残り五年間が停年が延長されて、そして准尉以上になることはないんだということは、逆に言いますと、せっかく准尉制度を設けても、それが曹の行きどまりであり、吹きだまりであるという感じになって、正常な勤務の中において、その意識と申しますか、がんばるのだという意識が逆に安易なムードに流れていってもよくない。そこで准尉の階級が設けられても、なおかつ試験その他を受けても、全般的な下級指揮官としての試験には合格をしないし、また受ける意思もない、しかし曹時代を通じ、准尉を通じて特殊な部門においては、三尉としてのりっぱな指揮統率能力を持つ者がある、これは技術的な分野も含めてですが、そういう者は、三年間の准尉としての実績を見て、試験を受けることなく、選考によって残り二年間を三尉の階級としてつとめさせよう、それによって准尉は曹の吹きだまりではない、がんばればまだ先が、三尉への道があるという励みを持たせたいと考えまして、これに対しては、さしあたり該当者の一割と見られる八十六名を予算化いたしておるところであります。
それから、これは隊員募集と申しますよりも、入隊した隊員が一任期中においてやめていく者が非常に多い。この点は、せつかく自衛隊に入ってくれた青年たちが、自分たちの前途というものを考えて、ある意味では精神的なもの以外に物質的なものを考えるでありましょうから、そのときに、二任期目についての特退官手当というものが、現行百日分でありますが、これをせめて二百日分にしてやることによって、あるいは二任期から三任期へ進んだ者には、さらに五十日乗せてやることによって——入隊した者のやめていく比率が非常に高くなりつつありますから、この傾向というものをむしろ募集以前の問題として、入隊した者に対する配慮というものをわれわれは持つべきではなかろうかということを考えて、そういう措置をいたしました。
その他、航空手当その他の非常に必要なものの手当等についても、めんどうを見ておりますし、また賞じゅつ金や特別弔慰金が三百万円頭打ちであるということは、これは比較してどうかと思いますが、やはり現在の道路特会の財政事情その他によることも理由でありましょうけれども、私どもが予算要求をいたしますころは、まだ交通事故による死亡者及び後遺症の最高限度額は五百万でありました。そこで五百万の要求をいたしたのですが、その後、自賠責特会の好転によって、もっと大きな金額になるらしいということになりまして、やはり国家のために、公務によってまだ先長い若者が散っていくという場合において、せめて交通事故の被害者の程度は見たらどうだろうかということで、一応これはわが自衛隊だけではありませんで、公安職と横並びに相談をいたしまして、その結果、大蔵省とも合意に達した限度額一千万というもの、約三倍以上に引き上げたという点が人に対する問題であります。
その他は、生活環境改善ということでありますが、これも私が考えておりましたことの中で果たせなかったことは、総需要抑制に伴い、隊舎建設その他については、やはりこれは、わがほうも姿勢を一様にしなければならないということと、公害その他の関係から全部重油専焼ボイラーに変えようと思っておりましたものを、来年はいままでどおりの石炭でがまんするということで、公害行政には若干逆行と申しますか、沿えない事情がございましたが、しかしやはり、それには金を食うことでありますし、油の問題が、その当時は先行き非常に量が少ないだろうという心配がありましたから、それらについて、若干、改装については来年度は見送るということにいたしました。
その他、いまの若者たちの集団でありますから、食堂の炊事を自分たちがしなければならぬとか、雑役を自分たちがするというのは、一体自衛隊法の目的に定められた自分たちの仕事の分野なんだろうかという、現代の若者らしい疑問が、相当やはり無視できないところまできております。そういうものの機械化、外部委託、そういうもの等を考えまして、本来の目的に邁進する集団にしたいというようなことを考えて、いろいろと予算措置を講じたのがその内容であります。
たいへん答弁が長くなりましたが、内政の年の重点施行項目でありますので、一応私のほうから概略を御説明をさせていただいた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/13
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014・加藤陽三
○加藤(陽)委員 たいへんけっこうだと思うのですが、いまお話の中に賞じゅつ金を一千万にした、これは非常にけっこうなことなんですが、これは警察官、公安職の者と一緒だということをお話になりましたね。この間、新聞で見ておりますと、今度の教員の人材確保法案の通過に伴うベース改定の措置に関連いたしまして、閣議で町村自治大臣が、これは警察官や消防官にも同じような配慮をしてほしいというような要望をされたということが出ておりましたが、自衛官については、どういうふうにお考えになりますかということが一点。
もう一点は、昨年のこの委員会で私、申したと思うのですが、いまの長官の話を聞いて、曹に対する配慮を非常によくやられたと思うのですが、前から私感じておりましたのは、いま自衛隊の中の人事の扱いが、幹部とそれから曹・士と一本にしておるわけですね。曹と士を一本にしておるが、これは、どうも隊内の実情から見て、もう少し曹というものを、幹部に準じて一般隊員と扱いを異にすることのほうが、私は隊の運営がうまくいくのではないかという考え方を持っておるのですが、この二点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/14
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015・山中貞則
○山中国務大臣 まず人材確保法案に伴う、さらにまた、最近行なわれました人事院勧告に伴うわがほうの姿勢でありますが、これは、なるほど自治大臣のほうは、消防と警察を直接所掌しておられますから、やはりそういう発言をなさるのは、私もよくわかります。しかし自衛隊が、やはり公安職としてそれにならうべきであるという原則は私も認めますが、また、そうでなければならないと思いますが、それは、あくまでもそういう賞じゅつ金等が、きちんと警察、公安職、あるいは海上保安庁の職員も入りましょうが、そういうものが全部手当てをされて、さて、自衛隊はどうするかという、客観的にも主観的にも問いかけを受ける時期がくるまでは、先憂後楽と申しますか、自衛隊本来の任務——そのためにこそ入隊したのでありますから、自衛隊のほうが先に、自治大臣と相前後して名のりをあげるということは、御遠慮申し上げるべき姿勢をとるべきではなかろうと思っております。しかし将来、各公安職が全部そうなっても、自衛官だけは別だという姿勢はとれないと思いますし、また、そのときにはとってはならない、そう思っております。
なお、曹の問題については、三曹に任命をされた、しかしながら位は三曹になったけれども、俸給のほうは相当年月の長い士長よりも低い者がいる、あるいはまた官舎等の充足が足らないために、曹になったことによって、かえって生活が苦しくなり、手取りが少なくなるというようなこと等もまだございまして、これらの矛盾は五十年度予算をめどに解決をしていく、取り残された問題であるということを私も感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/15
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016・加藤陽三
○加藤(陽)委員 最初のお答えは、それでいいのですが、問題は、曹の問題ですね。私が申し上げたいのは、たとえば曹の諸君に会ったときよく聞くのですが、営門を出たり入ったりしますときに、曹は一般隊員と同じような扱いなんですね。私、具体的なことはよく知りませんが、幹部は敬礼して通ればいいのですか、何か知らぬけれども、そういうところへやはりプライドを持たせてもらいたい。人事の扱いですね。そういうことなんですが、その辺はいかがにお考えでしょうか。一般の隊員と曹を区別して扱う問題……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/16
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017・山中貞則
○山中国務大臣 そういう問題について、私は直接、数多くの隊員と話をしたりなどいたしておりますが、いま提起された問題として私は受けとめます。なるほど営門出入りの場合のそういう幹部と曹との関係というものもありましょう。しかし営門を出入りするときに幹部、曹ともに制服で出入りしているかというと、全般的にそうなっていない傾向もありますし、なかなかその区別がむずかしい、あるいは曹が非常に多いということ等もありましょうが、やはり自衛隊の任務の基幹をなすものは、骨幹は指揮官である、しかし実際に行動に移った場合の中心は曹である、これは変わりはない事実だと思うのです。その意味において、曹の諸君の任務の重要性、精強さの要求性というものは非常に高いと思いますから、曹自身のプライドというものもあると思いますが、そういうもの等については、さらに私ももう少し勉強さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/17
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018・加藤陽三
○加藤(陽)委員 その点は、ひとつ御研究を願います。
その次に、これは一昨年からですか、給与制度調査会というものを防衛庁内につくられまして、自衛官の給与制度全般についていろいろ御検討いただいておるということでございますが、この給与制度調査会の審議は、どういうふうに進んでおるでしょうか。これは事務当局でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/18
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019・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 防衛庁職員給与制度等研究調査会というのは、御指摘のように、これは昨年の五月から開催をいたしております。それで民間の学識経験者それから人事院、総理府等の、そういった給与担当の専門家に集まってもらいまして、そして会合を開いておりまして、昨年の五月から毎月一回ずつやっております。もっとも暮れの十二月は休みましたけれども、この二月で十回の会合をいたしております。
それで状況といたしましては、審議の内容は、もともと自衛官の俸給は、現在、公安職にリンクされておりますけれども、こういったことの是非とか、あるいは現金給与と現物給与との二本立ての方式をとっておりますけれども、そういったものはどうであろうかという、そういったことの是非とか、それから任期制の隊員は、二年または三年というような短い期間雇用されておりますが、そういった者の俸給の体系が、長期勤務者と同じような俸給体系の中の一部分として切られたような形でいいだろうかというような、いろいろな問題がございますが、そういった問題につきまして、委員の先生方に、いろいろ現状を説明をいたしまして、ことしから新たにそういった問題を、実質的な研究をいたしてもらいまして、そしてことしの五、六月ごろまでに、とりあえず俸給の問題につきましての答申をまず得まして、そしてでき得べくんば、五十年の予算に間に合うようにする。その他、退職手当の問題とか、それから公務災害補償の問題とか、それから停年の問題とかいろいろございますが、これは一挙にできませんので、最初から二年というような見当でございましたので、五十年ごろを目安に全般的な答申をしていただくというようなことで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/19
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020・加藤陽三
○加藤(陽)委員 全然、答申が出たものはないということですね。そう了解していいですね。——わかりました。
それから、これも去年だったかおととしだったか、ここで増原前長官でしたかに私もお尋ねしたと思うのですが、田中総理大臣が隊員の隊内における教育が、そのまま一般の国家資格になるようなことを検討しろという御指示があったように聞いておりますが、その作業はどういうふうに進んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/20
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021・山中貞則
○山中国務大臣 これは私も、そのような指示を総理から受けました。その趣旨は、まことに私もけっこうだと思うのです。しかし総理にも、その際申し上げたんですが、とにかく、そういう離隊後の各種資格の付与だけに熱中すると、本来の任務の問題もどうかと思うし、任期が来たら、あるいは防大卒業したら、みんな会社に行ってしまうというようなこともありますよと言って冗談話をしたのですが、しかしその後、総理の指示を受けました後の一年間にたしか六つ、現在手続中が一つあると思いますが、資格の付与ができるようなことに各省との合意ができております。具体的なものは事務当局から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/21
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022・大西誠一郎
○大西政府委員 具体的に申し上げますと、従来七件の資格につきまして、公資格の認定が行なわれておりましたが、一昨年の総理大臣の御指示もございまして、その後、関係各省との間で話を詰めまして、五件が関係各省の認定を得られました。資格の種類について申し上げますと、特殊無線技士(多重無線)、移動式クレーン運転士、ガス溶接技能者、二輪自動車運転免許、そのほか現在運輸省と基本的に合意が成立しているものとしては事業用操縦士がございます。自衛隊のパイロットは、大体二百四十時間訓練をしたあとで技能証明を受けるようになっております。それから民間の航空機の免許の中で事業用操縦士というのがございますが、これは大体二百時間程度飛行すれば資格をもらえる。もちろん、そのほかいろいろの資格がございますが、この問題につきまして、われわれのほうとしても、できるだけ認めてもらうように相談いたしまして、自衛隊の教育訓練課程を一部手直しをすることによって、運輸省の認定を受ける方向で現在作業を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/22
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023・加藤陽三
○加藤(陽)委員 その点はけっこうです。
次に、法案の内容に入りまして少し伺いたいと思うのですが、今度、航空手当の引き上げを提案しておられるわけですが、自衛隊員の受ける手当の中には、航空手当以外にもたくさんのものがあると思うのですが、これは引き上げられるものは全然ないのですか。たとえば私の知っているのでも機雷の掃海手当とか、それから危険物の、不発弾の処理手当とかいろいろなものがあると思うのですが、これはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/23
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024・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 防衛庁の職員に支給される手当はたくさんございますが、今度の改正で、たまたま航空手当だけは法律に頭を出しておるものですから、法律改正を要しますけれども、その他一般職の手当に準じて改正される諸手当がたくさんございます。幾つもあるのですが、ちょっと読んでみますと、一般職の諸手当に準じて改善される諸手当の改善事項といたしまして、ただいま申し上げました航空手当、それから小笠原手当、これは適用期間を一年間延長する。それから機関部作業手当、これは曹士のみに支給される手当でございます。それから同じく炊事作業手当、これも曹士のみでございます。それから潜水作業手当、これは深度によりまして支給される手当です。それから爆発物取扱手当、不発弾処理等の関連で支給されるものであります。それから航空作業手当、それから危険航空作業手当、それから低圧作業手当等ありまして、こういった一連の手当が一般職に同じレベルで改善されます。
それからもう一つ、私どものところの独特なものといたしましては、先ほど大臣から御説明ありまして、また、この委員会に提案されています特別の退職手当。それから高圧作業手当、これは高圧度によりまして支給される作業手当なんですが、これが新設されました。それから小笠原手当では、従前は硫黄島と父島が一緒だったわけですが、硫黄島と父島を分けまして、硫黄島の手当の額を上げるというような、これは私どもの特別なあれだと思いますが、そういう諸手当の改善がなされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/24
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025・加藤陽三
○加藤(陽)委員 この法律以外にも、それぞれ国家公務員の規則に準じて手当を増額なされておるというのなら、それでけっこうでございます。
それで、この航空手当ですが、最高がここに規定してあるわけですが、これはジェットパイロットが最高だと思うんですね、百分の六十五が百分の七十五と。そうするとレシプロのパイロットはどれくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/25
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026・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 ただいま百分の五十でございますが、これは百分の六十に改善されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/26
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027・加藤陽三
○加藤(陽)委員 そこで一つ伺いたいのは、レシプロのパイロットとジェットのパイロットと一五%の差を設けておられる、この理由はどういうことかということと、それからもう一つ伺いますのは、ジェットパイロットでも、いままではF86にしても104にしても、パイロットは一人だったわけですが、F4になりますと二人になるのでしょう。その場合でも、私、よくわからないけれども、乗員の手当というものは、いままでと同じような考え方でいいのかどうかという点について、御検討なさったことがあるかどうか、ちょっとおお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/27
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028・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 ただいま御指摘の、ジェットで二人乗りの場合におけるその塔乗員が受けるいろいろ身体的な疲労の程度とか危険の度合いとか、そういったものがどうかということについては、私どもまだ十分な研究をいたしておりません。ジェットとレシプロを分けましたのは、従前の例が大体一五%というようなことなものですから、そのまま踏襲しておりますが、今後、いままでのお話のように、ジェットにおきましても、いろいろな事情がありましょうし、それからレシプロにつきましても、いろいろあるだろうと思いますので、きめのこまかい手当の制度としては、そういった研究が必要かと思いますけれども、まだ、いまのところ研究はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/28
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029・加藤陽三
○加藤(陽)委員 これは、やはりF4Eの場合など、その疲労度とか何だとか、そういうものも一応検討なさる必要があるのではないかと私は思うのです。
それで、いまの手当の制度は、レシプロの飛行機のパイロットは百分の六十ですか、ジェットの飛行機のパイロットは一律に七十五、こうきまっておるわけですが、飛行機の種類によって、ジェットエンジンの飛行機でもいろいろあると思うんです。練習機もありましょうし、実用機もありましょうし、そこらのところは、いまどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/29
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030・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 ジェットの操縦士につきましては、あるいはレシプロの操縦士につきましては、レシプロ、ジェットそれぞれ同じ率でいまのところ支給されることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/30
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031・加藤陽三
○加藤(陽)委員 その辺は検討する必要が、また今後あるのじゃないかなという気が私はいたします。
それで、現在のジェットとレシプロのパイロットの充足状況をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/31
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032・久保卓也
○久保政府委員 現状におきまして、操縦士について見ますと、陸上自衛隊について、定員が七百六十名、それに対しまして現員が六百三十名、それから海上自衛隊は、定員が七百十名に対して現員が九百八十名、航空自衛隊は、定員が千二百十名に対しまして現員が千二百二十名、陸上自衛隊の場合には、ヘリコプターの増員、増強に対しまして、教育がちょっと間に合っておらないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/32
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033・加藤陽三
○加藤(陽)委員 いまの空のは、ジェットのパイロットも含めての数字ですか。ジェットとレシプロと分けて答えていただければ、そのほうがいいのだがな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/33
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034・久保卓也
○久保政府委員 ジェットで申しますと、航空自衛隊の場合が、定員が千名に対しまして現員が千二十五名、それからレシプロにつきましては、陸上自衛隊で、定員がこれは七百五十五名に対して七百五十六名が現員であります。それから海上自衛隊が、八百十二名の定員に対しまして現員が八百四十一名、それから航空自衛隊は、定員が三百五十七人に対しまして三百四十七人、以上がパイロットであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/34
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035・加藤陽三
○加藤(陽)委員 大体けっこうです。
それでは、次に退職手当のほうについて、若干お尋ねいたしますが、その前に、現在の隊員の充足状況ですね、このうち二年任期の隊員が何ぼで、三年任期の隊員が何ぼかということをお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/35
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036・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 三年任期の隊員は、御承知のように海空の任期制の隊員は三年でございまして、航空が一万二千、それから海上が一万三千かと思います。合計で二万五千ぐらいでございます。それで陸の隊員の大部分が、任期二年制の隊員でございますが、陸の中でも一部、二千三百名ぐらいでございますけれども、三年制の隊員が入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/36
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037・加藤陽三
○加藤(陽)委員 わかりました。
次に、四十八年度の採用計画及びいままでの実数、どれだけ採用できたか。それから退職者の一応の計画と、いままでの退職者の実数をお答え願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/37
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038・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 四十七年度の退職者の状況は、三万名でございます。それから逆になりましたが、四十七年度の採用者が二万九千五百名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/38
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039・加藤陽三
○加藤(陽)委員 ちょっとわからなかったが、四十七年度は退職者が三万名で、採用者が二万九千五百ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/39
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040・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 四十七年度の採用者の数は二万九千五百名でございまして、それから退職者が三万名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/40
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041・山中貞則
○山中国務大臣 私は、この数字が非常に重大だと思います。逆転状況の始まったのが四十五年からなんです。それで四十六年、四十七年と年を追うごとに、採用する人員よりもやめていく人員のほうが上回る比率が高くなりつつある。充足率八〇何%という議論を、絶えずいままでしておりましたが、見通しがあるかないかという努力目標などは、とんでもない話であって、入った者よりやめていくほうが多いのですから、これじゃ充足率はもう努力どころか、低下していく数字がはっきり出ているのです。
そこで、せっかく自衛隊に入ってくれた者が、なぜ新しく入る者よりも上回って減っていくという、そういう現象が起こっているのか。それは隊内居住環境や上官あるいは部下との関係の対人交流の問題もありましょう。あるいは若者たちの集団の、抑圧されたいろいろな耐えられない、自由を求める空気もありましょうが、それは、きょうに始まったことではない。最近、この傾向が続いているが、これは、やはり一般の求人倍率が非常に高くて、そして民間の給与も高くなっているというときに、自衛隊の給与必ずしも高からず、そうすると、二任期まで進んでみたところで、せいぜい退職金は百日分しかもらえないのかという、そこのところに問題があるのじゃないかと考えて、先ほど冒頭に申し述べました二百日分というものを二任期制についてとる、それで三任期について五十日を乗せるという、百日、五十日の案をやってみたわけです。
それで、大蔵も理解を示しまして、これは私の要求どおり、査定で全く数字も変更しないで認めたわけですが、その後、檜町に、各駐とん地から参ります第一線部隊の諸君と必ず交代ごとに私、対話しているのですが、どうじゃ、一任期制の連中で、さもしいような話だが、特退官手当が予算上は一応二倍になった、その影響あるかと言いますと、非常に影響あります、みんな、それならば自分たちは二任期制にいこうというようなことを言っております。これは、もうたびたび聞いております。
パーセンテージは、いまのところ、二任期に進む者の中で、進もうと思っている者の中で、特退官手当が二倍になったからそうしたんだというものは三〇%ぐらいだという一応の数字は出ておりますが、ちょうどいま一年半くらいになる、二任期制に進もうか、やめようかと思う連中の空気を、ある時期にちょっと父兄の口から聞いたことがありますが、これが予算できまったときに、じゃ残ろうじゃないかという意見が非常に強かったそうであります。なるほど金額から見ると、今日の時代で陸で四年働いて、そしてやめるときにわずか三十万そこそこかと思いますが、しかし年齢的に考えると、四年つとめれば、それだけの金額が手に入ることについては、ある意味の魅力がやはりある金額だ、そういうふうに私は解釈します。
したがって、いまのところの問題を、私としては、むりやり募集をして、俗にある場所では、ポン引きと協定を結んでいるというようなことまで陰口言われるような募集のあり方等については、今後、募集の実績が非常にいい、たくさんとったという者に感謝状、表彰状を出しておるのをやめる、質のいい者をどれだけとったかということを——今度は募集に当たった者も、自分があそこの町角で会って、喫茶店で話をして自衛隊に行ってくれたあの青年が、一年たったいま、どこに行っているだろうと手紙を出すか電話をかけるかして、そうか陸士長になったか、よかったなとか、つらいことがあったら相談せいよというフォローをしているかどうかか。私は、どうもそういう点に欠ける点があると思う。
だから、これからは、そういう表彰のしかたも違ったものさしでやる、そういうことを考えて、要するに、悪い表現で言うと、かき集めるという意味での募集の実績を向上させるよりも、入って一定期間規律になじんで、何となくどうもこのままじゃやめたいという者が残っていくような努力のほうがまず先じゃないか。それを怠っているじゃないかということから、まず金銭面では、いまの特退官手当の増額ということに結びつけたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/41
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042・加藤陽三
○加藤(陽)委員 非常に私もけっこうだと思うのです。
そこで現在、これから改正しようというのですが、いままで最初入った隊員で二回目の任期をやろうとする者が何%くらいいたか、それが、さらに三回目に任用されようとする者が何%くらいいたか、その数字をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/42
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043・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 大体、毎年約三万名程度採用しておりますけれども、第一任期が終わりますときに、各年度似たような傾向でございまして、そのときに五〇%大体やめております。それからさらに、その残りの五〇%のものが、二任期に進むわけでございますけれども、二任期になりますと、昇任する者が出てまいりますが、さらにその五〇%のうちの二五%が第三期に進むということでございます。そういうような傾向を、大体従前からいまのところまで示しているということがいえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/43
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044・加藤陽三
○加藤(陽)委員 二任期の者が昇任して曹になる者もおると思うんですが、曹になる者と、それから第三任期に進む者と合わせてどれくらいになりますか。ちょっといまよくわからなかったが、曹になる者と、とにかく二任期を済ませた者で、それ以後続いてなお任用されよう——それは曹になってもいいですし、隊員として三任期に進む者でもいいんですが、二任期に残った者のうちのそれは何%くらいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/44
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045・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 二任期中に曹に昇任します者が約四%、それから任期満了が一四%、それから継続任用の者が二五%、これは先ほど説明を間違えましたけれども、当初入りました三万名の二五%が第三任期に進むということでございます。ですから、曹の昇任者と継続任用者の二五%を加えますと、二九%の者が残っておるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/45
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046・加藤陽三
○加藤(陽)委員 じゃ、この点はこれで終わります。
次に、予備自衛官の問題についてちょっと伺いたいと思います。
まず最初に伺いたいのは、自衛官の給与改定が毎年あるわけですが、いま予備自衛官の手当、これは、どういう考えでつくっておられ、また隊員の給与改定とどの程度関連して考えていらっしゃるかということをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/46
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047・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 予備自衛官手当の性格でございますが、これは、いわゆる俸給、サラリーというものとは違いまして、予備自衛官が防衛招集あるいは訓練招集に応ずるという、そういったいわば精神的な拘束、それに対する対価というようなことでこの手当の性格を考えております。
それで、予備自衛官制度ができましたのは、二十九年でございますが、そのときの手当が千円、それからずっと据え置かれまして、四十三年に千五百円に上がりました。それから四十七年に二千円になったわけでありますけれども、この上げ方の考え方でございますが、これは、いわゆるベースアップというようなのとは性質を若干異にいたしまして、物価水準の上昇といいますか、そういったことに重点を置きまして、それで逐次上げていくというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/47
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048・加藤陽三
○加藤(陽)委員 私は、いまの二千円というのは、低いように思うのですが、現在、予備自衛官はどれぐらい採用しておられるのですか。毎年とる者と予備自衛官をやめていく者との数字をお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/48
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049・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 予備自衛官は、四十七年度末におきまして、三万六千三百人の定員に対しまして三万四千七百名でございます。それで採用は、四十八年度の計画では七千名。毎年七、八千名前後を見当にいたしまして、採用することを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/49
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050・加藤陽三
○加藤(陽)委員 やめていく者をつけ加えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/50
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051・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 四十七年の退職者数は、七千八百八十四名でございます。その前年の四十六年度が六千九百名、約七千名と、大体七、八千名前後の者がやめていくというようなかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/51
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052・加藤陽三
○加藤(陽)委員 さっき長官が、隊員のことについて、たいへん心配しておられたが、予備自衛官自体も、採用者よりか退職者のほうが多いのですか。減っていっているのですか。ちょっと明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/52
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053・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 七、八千名程度を採用いたしておりまして、退職者の数は、平均しますと約五千名から七千名というのが従来の平均でございますから、退職者のほうがむしろ採用者よりは少ないかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/53
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054・山中貞則
○山中国務大臣 これも四十六年から、採用者が六千九百二十九名に対して、わずかですが、退職者が六千九百五十一名と、少し多くなっております。そして四十七年になりますと、顕著な傾向になりまして、六千六百二十五名の採用が、退職者で七千八百八十四名と、こうなっておる。
ですから、この問題は、先ほど提起されました問題点の二千円据え置きの問題は、その根拠がきわめて薄弱なんですね。これは一般職の諸手当と見合ってやっているというんですけれども、拘束日数が一年に五日とかいうこと等もありますが、しかし、それにしても、もし急迫不正の侵害等を受けて、実際上に自衛隊が本来の目的を遂行しなければならない場合に現在の欠員を急速に埋めるのは、まずこの予備自衛官だと思うんですね。そういうことを考えますと、これは、やはり放置できない問題がある。しかも予備自衛官にみずから進んでなってくれた人たちに対して、若干の見直しをしながら昇進等もさしておるようでありますが、もう少し——予備自衛官で、まじめに、ふだんの社会人としてもよき社会人でありながら、予備自衛官の心がまえを終始忘れず、防衛訓練招集に積極的に応じ、その成績きわめて抜群という者については、予備自衛官であっても、あてはめられる階級というものが招集のときにあるわけですから、非常の場合には、上の階級にだんだん予備自衛官の中でなっていけるように、少しは配慮しているようでありますが、そこらの点等をもう少し配慮しませんと、やはり予備自衛官というものに対する懐疑心あるいは積極的に予備自衛官を志そうという者が減っていくのではないか。なった者もやめていく数がもっとふえていくのじゃないかという基本的な御指摘が私はあったと思うのですが、この二つは今後の研究課題として取り組んでみたいと考えておる点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/54
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055・加藤陽三
○加藤(陽)委員 私もいま数字を聞いて驚いたのですが、こんなことではいかぬと思うんですね。もっとやはり予備自衛官の問題について関心を持って取り組んでいただかなければいかぬと思うのです。二千円の手当の問題でも、根拠はありましょうけれども、現実に減っていっているということではどうにもならぬわけですね。
予備自衛官の諸君に会いましたときに、いろいろ聞きますのは、いま長官もおっしゃったけれども昇任ですね。昇任させてもらいたいという希望が非常に多いんですが、実際どの程度やっていらっしゃるか。その次は、実費弁償がきわめて低いということを訴えますが、いまの昇任は、どの程度やっていらっしゃるかということと、実費弁償はどうなっておるかということをお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/55
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056・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 予備自衛官の昇任の問題でございますが、陸上自衛隊におきましては、毎年千二百人から千五百人程度の昇任を行なっております。海上自衛隊では、発足後まだ日が浅いので昇任者が出ておりません。ただ昇任は准尉までに限られておりまして、それ以上の昇任がございませんで、曹のクラスだけにつきまして、先ほども申しましたような数字の昇任者が出ております。
それから次に、訓練招集の手当の額の問題でございますが、訓練招集時には、往復の旅費が支給されます。そのほかに食事が支給され、それからけがをした場合におきましては、療養費が支給される。そのほかに訓練招集手当といたしまして、日額三百七十五円が支給されるということです。この三百七十五円というのは、一般職員が出張して昼食などを支給される場合の半日当という日当の計算に準じてなされている額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/56
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057・加藤陽三
○加藤(陽)委員 昔とはだいぶ考えが違いますから、それがいいとは言わぬけれども、昔は長官も御存じだろうと思うが、営門伍長といって郷里へ帰って伍長だというと非常にいばれたものだ。私は幹部に昇任せいとは言いませんけれども、それくらいの配慮はされていいのじゃないか。もう少し、昇任について考えてやられたらいいのじゃないかと思うのです。
それから訓練招集手当が、いま聞きますと一日三百七十五円。これは一年に一回くらいみんな集まるわけですよ、部隊で一緒だった連中が。帰りに、せっかくの機会だから、一ぱい飲もうじゃないかという、飲みしろにもならぬ金だね。これをもう少しふやしてもらいたいという希望が非常にありますが、三百七十五円というのは、半日当だというだけで、どうも私はあまり根拠がないように思うのです。もっと別のきめ方ができぬものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/57
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058・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 実は予備自衛官手当の二千円にかかわる分、それから、ただいまの訓練招集に応じた場合の手当の問題につきましても、先ほど申し上げました給与制度調査会の一つの議題になっておりまして、ただいまのお話も、委員の先生から御指摘がございまして、これも問題にして検討しようということにただいまのところなっておりますので、今後、これにつきまして、いろいろ意見を申し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/58
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059・加藤陽三
○加藤(陽)委員 それから、これは長官にお伺いしたいのですが、予備自衛官は、私の記憶では、いまは尉官くらいまでしか採用しておられぬわけですが、佐官以上の予備自衛官をおつくりになる意思がありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/59
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060・山中貞則
○山中国務大臣 昇進基準の問題にも、私は問題があると思っております。たとえばいま准尉への昇進を考えていると申しましたけれども、これは、まず第一に、十年以上一曹として予備自衛官でなければならないし、その他の条件もありますけれども、十年というのはいかにも長い気もしますので、先ほど私は、今度は在官中の者の准尉から尉への昇進の道を開くことにしたと申しましたけれども、それらと平仄を合わせて、十年というものは、やはり相当長いという感じがしますから、ここらの問題点が一つと、いま一尉までに御承知のようになっておりますが、それを佐官にするには、場合によっては、非常な日進月歩の中での佐官の地位というと、一般的には指揮官の相当地位の高いところに位しますので、職種にもよりますけれども、そこらのところは、一尉から三佐への昇進については、ただ年月だけではいくまい、そのためには、最新の兵器その他の知識あるいはそれに基づく立体的な応用訓練、研修、そしていつでも佐官クラスの指揮官として第一線の後方からまず入っていける、そういう特殊な、相当高級幹部要員としての研修等が伴わないといかないのではないかという気がしておりますが、これも確かに問題点の一つで、一尉頭打ちというのも、いかにもおかしな話でありますから、そういう点も今後の検討課題として進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/60
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061・加藤陽三
○加藤(陽)委員 お考えは、よくわかりましたが、私は、やはり佐官クラスで退職した人も予備自衛官に採用なさることをお考えになっていいんじゃないかというふうに思うのです。これは私の意見です。
以上をもって質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/61
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062・徳安實藏
○徳安委員長 大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/62
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063・大出俊
○大出委員 防衛庁の職員給与法の一部改正でございますが、私どもは、現においでになる皆さんですから、たとえば公務員の退職金なども、かれこれ十年がかりで実はこの前の国会で引き上げたわけでありまして、あれはたいへん苦労して改正を見たわけでございまして、そういう純粋な意味でものを考えれば、おやめになる方々に退職手当をふやすというようなことにはやぶさかでないわけでありますが、任期制の問題とからみまして、どうも長くいてくれればよけい払いますよという形のものは、ある意味では隊員の諸君の引きとめ策というふうに受け取らなければならぬ面もある、ほんとうのところ、少し隊員が集まりにくい、特に陸上なんかそうでありますが、したがって、この際、引きとめ策を考えなければならぬという気が率直のところあるんじゃないですか。そこはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/63
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064・山中貞則
○山中国務大臣 これは率直なところを申しますと、引きとめ策です。引きとめ策というのは、本人の意に反してではなくて、本人が引き続き残って、自衛官としてのつとめを果たそうという気になってもらうよすがとしてやったわけです。しかも昭和二十八年以来、二十年変えてない制度でありますから、この際、それにメスを入れなければならない時期に来ているという気持ちを、私としては決断をしたわけでありまして、もう包み隠しなく申し上げます。それは、やはりせっかく入ってくれた者が、もしたった百日分かという気持ちで任地へ行くのをちゅうちょするということであるならば、そのことのよすがになってもらいたいという切実な気持ちであることをむしろ訴えたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/64
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065・大出俊
○大出委員 となりますので、実はどうもなかなか私どもの側からすると賛成しにくいという問題になるわけでありますが、非常に事務的な中身でありますから、その問題について議論をしてみたところで、お互いの立場ということになりますので、多く申し上げませんが、長官が率直におっしゃいますので、私どもも率直に、実は昨年たいへん苦労して、十年がかりで一般公務員の方々の、あるいは地方公務員の方々の退職金を、三十五年ぐらいつとめた人は、何とか一千万ぐらいにしたいというふうに考えたのですけれども、九百万ちょっとのところでとまりましたが、そういう意味で、自衛隊の方々の退職金を引き上げるということであるならば、また別な考えが出てまいりますが、引きとめ策となりますと、実はふやしたくないという気持ちに立つ私どもでございますから、賛成いたしがたい、こういう態度でございます。
貴重な時間でありますから、事務的な議論をしても、しかたがないと思います。関連をして幾つか承っておきたいことがございますが、その一つは、国防報告が、いま新しい国防長官のてによりまして明らかにされております。シュレジンジャー氏がなりましてから、これだけのものが出てきたのは初めてです。この中に幾つか問題がありますが、一つの問題は、ソビエトのインド洋艦隊に対するある意味の対抗策の部類に入るのだと思うのでありますが、このインド洋のジエゴ・ガルシア島、これは英国との間で新協定が、二月二日に結ばれたのですが、これを補給施設という形で一大拡張をしようというので、二千九百万ドル追加予算をアメリカ議会に出されております。
一体、このアメリカ側のねらい——このガルシア島という地域は、有名なマラッカ海峡防衛論なども出てきている昨今の事情の中で、マラッカ海峡のところから赤道がこう走っておりますが、赤道の少し手前のインド洋のまん中であります。片や左のほうはペルシャ湾、はるか向こうはスエズ運河、こういう地域でありまして、それだけに、第七艦隊の守備範囲というのを、いつかここで議論したことがありますが、このインド洋地域を含んでいるわけでありまして、ペルシャ湾のこちら側までが第七艦隊、湾岸六カ国を控えまして、向こう側の地中海側を第六艦隊が守備している、こういうかっこうであります。
したがって、日本という国にとりましても、無関係なできごとではないのでありまして、第七艦隊の守備範囲でありますから、そういう意味で、一体このガルシア島の基地の拡張、これを防衛庁の側は、まずどういうふうに見ておられるのか。皆さんのところには、防衛研修所等がございまして、ここらでたいへん御研究なさっておられるようでありますが、そこらのところをひとつ、一体ねらいは何であり、どういう結果になるのかということを、皆さんの側の御研究の結果を明らかにしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/65
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066・山中貞則
○山中国務大臣 シュレジンジャー新国防長官になりましての顕著な問題は、いずれ御議論になるでしょうが、相当長い期間定着していたICBMの、第二報復力というものを含めた上の第一撃を行なわせない抑止力というものの上に成り立ったものを、相当基本的な組みかえを行なった、この点が一番大きな問題であろうと思う。そして、いまのジエゴ・ガルシア島の問題は、一九六九年ころまでソ連艦隊と称すべきほどのもの、いわゆる戦力的なものがなかったインド洋において、印パ戦争の関係等も相当強く影響したようでありますが、相当な規模の艦艇の進出を見ている。そういうようなことから、さらに最近の中東紛争の結果として、スエズ運河というものが再開をされるという見通しも、ほぼ時期的に明らかになる。しかし、それにはアメリカも加勢をして、日本もまた加勢をするわけでありますが、その結果として、軍事的に見れば、ケープタウン回りよりも五分の一の距離でもって、黒海その他のソ連艦隊というものがインド洋に出てこられるという、これは物理的な現象なんですね。
そういうことで、反面アメリカは、それに対して、それだけ極端なメリットを持たないということがあるだろうと想像しておりますが、これは日本の戦略じゃありません。そうすると、やはり労働党内閣になって、若干感触が違ったようなことを聞かぬでもありませんが、英領であるジエゴ・ガルシア島に、現在の滑走路を三千六百メートルまで延長して、そして補給、修繕あるいは港湾その他を基地にして、そこにアメリカの実質上のプレゼンスを示すということによって、インド洋のバランスを保とうとしているのではないかというふうに見ております。しかしこれは、あくまでもアメリカの戦略でございまして、現在の日本とかかわり合いのある安保条約及び第七艦隊とジエゴ・ガルシア島を含むインド洋の情勢という問題は、外務省のほうからの説明にまつべきだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/66
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067・大出俊
○大出委員 外務省の方にもお見えをいただいたのでありますが、いま山中長官からごく概略の見方が表に出てきたわけでありますが、ソ連が最初にインド洋に出てまいりましたのが、一九六八年三月二十二日ゴルシコフ元帥のインド訪問の一カ月あとであります。スベルドロフ級一隻、これが中心で、あとカシン級といわれるものが二隻タンカーを引き連れまして、七月十五日にインド洋を出ていっております。これから次第に、インド洋へのソビエト軍の艦艇の進出が目立ってくるようになってきたわけであります。
そこで、まずソビエト側がインド洋に、これだけの、いま二十隻ともいわれ、三十隻ともいわれるわけでありますが、艦艇を持ち出してまいりました意図というのは、一体どこにあったのだと分析なさいますか。外務省にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/67
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068・加賀美秀夫
○加賀美説明員 私ども考えますには、ソ連がインド洋に出てくる考え方、このソ連側のインド洋への進出というのは、前から考えておった当然の戦略的配置であろうと存じます。特に最近、ソ連はインドとの間に友好関係を結んでおりまして、ソ連側からいたしますれば、インドその他第三世界に対する政策というものを、友好的に進めていくということは当然でございます。また、それとバランスいたしまして、軍事的にもソ連の目から見て、ソ連側の安全というものの考え方、そういう点は当然のことだろうと思います。これに対しまして、従来からその方面に大きな関心を持っておりますイギリスなりアメリカなり、これがまた、それに対応する考え方をする、これは当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/68
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069・大出俊
○大出委員 つまり片一方が出てくる、それに対応する考え方を持つ、ここに実は今度の国防報告の一つのポイントがあるわけですね。だから、このインド洋進出のほうから承ろうと思って、口火を切ったわけでありますけれども、山中長官がおっしゃっている核戦略の大きな変化、これも今回の国防報告の第一に問題にしなければならぬ問題点だと思っております。つまり相手がこういう対応をしたから、こちら側もこういう対応をするという旧来からのパターンがあるわけであります。そこで、歴史的にインド洋進出を考えていたといういまの説明が一つ。ソビエトとインドとの友好という形のものが、印パ戦争等の中でもあらわれましたが、これが、もう一つの理由としてソビエトの艦艇が出てきたといういまの説明なんであります。
そこで、続いて承りたいのでありますが、この二十隻ともいわれ、三十隻ともいわれておりますものは、つまり艦艇の種類でありますが、どういう装備の種類だというふうに御判断でございましょうか。これは防衛庁のほう、久保さんの所管ではないかと思いますが、たとえばSSMを積んでいるとすれば、これは空母用だということになる、あるいはASWなどの関係からすれば、対潜水艦ということになりかねないような気もするのでありますけれども、そこらのところは、どういうふうにごらんになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/69
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070・久保卓也
○久保政府委員 インド洋に所在しますソ連の艦艇は、ときによって、もちろん内容は異なってまいりますが、通常ミサイル巡洋艦一隻、それから駆逐艦三隻ないし五隻程度、それから補給艦その他の補助艦艇が多うございまして、それらを合わせまして二十数隻程度。そしてミサイル巡洋艦でありますから、これは対空対艦ミサイルを持っておりまするし、駆逐艦の場合も通常艦対艦のミサイルを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/70
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071・大出俊
○大出委員 そうなると、歴史的にそういうことを考えていたはずだといういまのお話でございますけれども、出てまいりました意図というのは、歴史的であっても目的がなければならぬわけであります。何を対象に装備をし、何を対象に二十隻ないし三十隻の艦隊の配置をしたかという相手があるわけであります。そこらのところは、これは外務省の分野でありますが、どういう御判断でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/71
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072・加賀美秀夫
○加賀美説明員 私どもは、ソ連艦隊のインド洋進出ということにつきましては、これをどうするという何か特定の政策目的をもって特に進出してきた、そういう具体的な目的があるとは考えておりません。海軍力、これは多くの国がそうでございますけれども、一つの力の発揮でございまして、わが国は違いますけれども、あらゆる力、物理的な力、軍事力、これをもってそれぞれの目的を達する、つまり広い目的でございますけれども、それを達するというのが、現在の外交と軍事、これの結合した実際の多くの国の動き方であると思います。
ソ連側がソ連艦隊をインド洋に進出させたということは、やはりソ連の国力と申しますか、ソ連の外交と一体になった進出であって、その軍をもって、艦隊をもって、特にどこに威圧を加えようとか、あるいはどこを焦点として圧力をかけるとか、そういうことは軽々に判断できない問題じゃないか。もちろん私どもといたしましても、また各国とも、ソ連艦隊の動きということについては、非常な注意を払っておるわけでございますけれども、そういう観点から、それが一体どこを指向していくか、今後どういうふうにいくだろうか、そういうことについては、注目いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/72
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073・山中貞則
○山中国務大臣 私は、純軍事的に見て、確かに背景にそういう——戦略は外交でもありますから、外務省のそういう見方というものも正しいと思うのです。しかし局限して考えますと、印パ戦争を契機とするインド及びバングラデシュに対するソ連の急速なる接近というものとパキスタンと中華人民共和国との関係というものを踏まえて、私はソ連艦隊は、アメリカをむしろ念頭に置かないで、中華人民共和国を念頭に置いてインド洋の足がかりをつかもうとしたのではないかという判断を別途持っております。これは正しいかどうかわかりません。
いま一つは、大きな外交のワクとして、戦術面のワクですが、アジア安保というものに対する確かな布石の一つであろう、そういうふうに見て、そう大きな間違いではないのではないかという考えであります。あくまでも推測です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/73
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074・大出俊
○大出委員 私は、外務省がおっしゃるようにそう簡単なねらいではないというふうな見方を実はするのでありますが、いま軍事専門家の間で、これはたいへんな議論になるところでありまして、したがいまして、幾つかの問題が提起をされております。
その一つは、いま久保さんがちょっと触れられておりましたが、ポラリスならポラリスに対応するASWなどを考えて出てきているとすれば、当面は、いまのアメリカのポラリスA3、この射程は二千五百マイルですね。そうすると、インド洋、たとえばペルシャ湾近辺からでも実際には届かない、ソビエトということになると。そうすると、A3の段階ならば、そういう対応は要らない。だが、これはアメリカの国防報告とも関連をいたしますけれども、ポセイドン型あるいはトライデントミサイル、こういうものを配置しようというアメリカの将来計画が一面明確にある。そうだとすると、ポラリスそのものだってポセイドンあるいはトライデント1型、この1型を例にあげれば、射程が四千マイルですね。あるいはトライデント2型ならば六千マイルですね。そうすると、届かぬどころか届くわけですね
そうなると、インド洋のこの地域に新しい国際的な角逐がございます。バングラデシュの問題でもそうです、いま長官がお触れになりましたが。あのときも、ソビエト艦隊は、インドのところに出かけていって、それなりの体制をとっていた。片やベトナム戦争等の関係で、御存じのようなエンタープライズを中心とするアメリカの原子力艦艇、これもSSMを装備しているソビエトの艦艇の前に相対峙をすれば、アメリカ側にとってもたいへんな脅威だろうという気がする。艦対艦の強力なミサイルを持っているわけであります。これは中東戦争のさなかでも、簡単に艦艇がロケット艇に沈められるという事態もあったわけであります。
そうだとすると、そう、いまのお話のようなわけにはいかない。もう少し将来を展望した議論がなければならぬ筋合いだろうと思うのです。いまの外務省のお話ならば、単なる国益擁護論、こうなるわけですね。もちろん通商路妨害論だとか、いま長官がおっしゃっていた中国の封じ込め論だとか——中国の封じ込めといってみたって、経済的な封鎖をするというならば、東シナ海なりあるいは台湾海峡のほうでやったほうが、より有効であろうということになる。
そうだとすると、今度のアメリカの国防報告にあらわれているジエゴ・ガルシア島を中心にする対応のしかた、ここらを考えてみると、そう簡単なものではない。だから、そこのところを、長い議論をする時間がありませんから、いま概括的な言い方を私のほうもしておりますけれども、もう少し突き詰めた議論が出てきて、お答えが出てきてよかりそうな気が実はするのであります。そこら、いま私が一つの例をあげましたが、この国防報告等を踏まえまして、そこらのところをどういうふうに考えるかという点、実は防衛庁なんかでも、防衛研修所の方々が書いている論文なども最近は目にいたします。したがって、そこらのところを、もう少し突っ込んで、幾つか考えられる点を詰めてみたらこういうことになる、そこらのことを実はまず承りたいのであります。
なぜこれを持ち出すかといいますと、もう一つ、皆さんのほうでいろいろ情報をおとりになって分析をした結果と称するものが新聞に書かれている、真偽のほどはわかりませんが。いま長官が二つ目の例としてあげられました中国に対する意識、ソビエト艦隊のインド洋進出の背景にあるものの中の一つの見方、つまり中ソ関係というのは、一体どうなるのだということ、ここに「大規模な衝突ない、防衛庁緊張緩和を予想」ということで、この中にも問題点がございますから、これが事実だとすれば、あとで承りたいのでございますが、ここにペンタゴンだとかいろいろなところからの情報収集をなさって、皆さんのほうで見解をまとめておられる、これとの関連もございます。したがいまして、いまの点を、もし必要ならばあわせて御答弁いただいてけっこうなんですけれども、総括的にどういうふうにながめておられるかという点を再度承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/74
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075・山中貞則
○山中国務大臣 いまソ連側の意図というものの中で、対米ということを落としておりますが、しかしアメリカ側から今度これを見ますと、アメリカのほうとしては、ポセイドンあるいはトライデント、こういうもの等が就役をいたしますと、射程はモスクワからレニングラードまでかぶるということになりますから、これに対応するとすれば、ソ連は当然自分のほうも、アメリカの大西洋に一応潜水艦を置いているにしても、シュレジンジャー長官のそういう戦略的な発想の転換等が背景にありますから、これに対して神経過敏になるということは、今度はソ連側のほうが、アメリカのそういう行動に対して反応したということがいえると思うのです。
私が言ったのは、なぜアメリカが、ジエゴ・ガルシア島ということに英、米で取り組んだかということを言ったわけであって、アメリカ側の意図に対してソ連が受け取っているのは、そういうこともあるだろう、御指摘のとおり、お互い想像ですけれども、非常な神経戦と申しますか、情報戦、そういうことをやっておるわけでありますから、御指摘はたしか間違いないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/75
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076・大出俊
○大出委員 もう一つ申し上げておきたいことがあるのでありますが、この国防報告の背景になっておりますアメリカの国防予算、これは約八百八十億ドルですね。この八百八十億ドルという巨額な予算は、過去十年間振り返ってみましても、ベトナム戦争をやっていたアメリカの軍事費であっても、八百八十億ドルなどという予算を組んだことはない。史上最高、空前の国防予算を、ここ数年来、初めて戦争遂行に関係のない国防予算であるにもかかわらず組んでいる。しかもガルシア島に関するものは、二千九百万ドルという追加予算なんですね。実はそう簡単なことではない。
まして横須賀を母港にしておりますミッドウェー、これは第七艦隊の空母でありまして、間違いもなく攻撃型空母でございます。間違いなくインド洋を守備範囲にしている。そうだとすると、空母のみならず潜水艦というものも出てくる。そうすると、第二潜水艦隊が、横須賀に海上自衛隊がおりますけれども、私の調べた限りでは、実はアメリカの原子力潜水艦の母港は、すでに横須賀になっている、ここまで実は申し上げたいのでありまして、そうだとすると、今回のこの現象というのは、わが国に全く無関係ではない。だから、そこらのところは、ぴしっとものごとを分析し、幾つかの将来への見通しという意味でのはっきりしたものを、皆さんのほうで立てておく必要がある、将来の日本周辺の平和というものを考えますと。その上で日本は、外交を通じまして、緊張緩和という方向に持っていくのにはどうすべきかという考え方をはっきりさせなければならない、こういうふうに実は思っているわけであります。
したがって、いまこの問題を提起してみたわけでありますけれども、そこで、あわせて幾つかひとつ承りたいのでありますけれども、ソビエトと中国の関係を、長官さっきちょっと触れられておりますけれども、皆さんが、防衛庁が情報をおとりになって、一つの結論をお出しになったというふうに新聞には書いてありますけれども、そういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/76
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077・山中貞則
○山中国務大臣 まだ、そういう結論を出すところまで私の段階で議論はしておりませんが、観測はしていると思うのです。ということは、一部に、これは外国の報道ですけれども、ことしじゅうに全面的な中ソ衝突があるという報道が流れました。私どもは、そういうふうに見ておりませんでしたので、したがって、そういう可能性がほんとうにあるのかという問題等を点検してみたのですが、そういうことは考えられないという結論に到達せざるを得ないということを言ったまでであります。まだ表に言ったわけじゃないのです。その段階で言っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/77
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078・大出俊
○大出委員 この書いてある記事がどうこうということにこだわりませんが、この記事の中に、中ソ両国が、その長大な国境線沿いに強力な軍隊を配備している、極度の緊張状態にある、これはまあ、そうでしょう。だが、しかし、長官がおっしゃるように、ペンタゴンなりあるいはNATOなりからの情報を得てみた結果として、それを分析してみると、予防戦争という意味における戦争というふうなものは起こり得ないのではないか。
だが、しかし、かつての例のダマンスキー島、中国流に言えば珍宝島ですかね、こういうふうな小さい紛争が起こる可能性というのは、これはあり得るという予測をしている、こういう記事が実はここにあるわけであります。こだわっているわけではありませんが、いま西欧の軍事専門家筋からしきりに伝えらえるというこの中ソ戦争というもの、そういう情報をもとに分析してみたが、起こり得ないという結論になった、しかし、その分析の中に、あわせて小規模な衝突というのは、あり得るという予測をしているという面があるのでありますが、そういう予測は成り立つわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/78
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079・山中貞則
○山中国務大臣 これも、まだそういう——ことに外国と外国の間の問題ですから、われわれとしては、いろいろと分析、情報収集その他やっておりますが、ダマンスキー島、いわゆる珍宝島の争いというものは、これは小さな川中島ですね。そういうものであれだけのことがあったわけですし、ことにウイグル州、蒙古、その周辺等に相当巨大な兵力の結集があることは、双方事実である、しかし、それが全面衝突をするかどうかというような問題についての確たる見通しも反面ない、かといって、なぜ五十個師団、戦車数千台というそういうものが置かれているのか、そういうこと等については、なお私たちは疑問に思われる点があります。
ということは、同じ共産主義社会であって、かつては一枚岩の団結を誇っていたのが、一説によると、原子爆弾のトリガーの部分を教えないでソ連のほうが引き揚げていっちゃったという、そういうことも契機になったと聞いておりますが、そういうこと等で、まさか全面的な国境紛争が起ころうとは思えない。しかし中華民共和国のICBMの開発のスピードも相当なものであります。ソ連のMIRVのスピードに及びもつかないものでありましょうが、かといって、遠からず、中華人民共和国のICBMによってモスクワその他の心臓部に届くような開発が、もう行なわれつつあるということを踏まえてのソ連の一種の焦燥感というものがあり得るであろう。そこらのところで、全面戦争は考えられない、かといって、そういうことを踏まえると、小ぜり合い的なものが起こる可能性があるかもしれないという程度のものであって、これは全く群盲象をなでる域を出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/79
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080・大出俊
○大出委員 これは、やはり記事になりますと——いま長官お答えになっているのは、この記事のアウトラインとそう変わったことを言っておられない。しかし記事になりますと、やはりそれだけの波及効果がございます。防衛庁内部には、純軍事的観点から、中国が準中距離弾道弾、これはMRBMですね、あるいは中距離弾道弾、IRBM、これを展開したことが、すでに確認されている。これが一つ。また射程距離の制限をされた大陸間弾道弾、ICBMですね、これも、ことし後半には展開されよう、これはムーラー米統合参謀本部議長なども新聞発表したことがあります。したがって、こういう現状に、ソビエトの側から見れば、中国から非常に大きな脅威を受ける、この点を軍事的にながめた場合に、中ソ紛争の可能性が皆無とはいえないという、こういう書き方になっているわけであります。
そこで、今回の国防報告にも、中国の弾道弾問題が触れられておりますけれども、そこらのところを、一体防衛庁としては、どの程度のことに——いつごろ、中国の核ミサイル開発の度合いというものが進んでいくのかという時間的な判断、大体量的な判断、そこらのところは、どう考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/80
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081・山中貞則
○山中国務大臣 ムーラー統合参謀本部議長の表現は、中国の戦略核戦力については、MRBMとIRBMが実用化されていると思うが、その配置はまだ確認されていない、第三のものとして、小型ICBMが本年の終わりに展開されると考えられるが、これはソ連深くには到達できるが、アラスカを除いて米本土には到達できないであろう、これはアメリカですから、自分の国のことを言っておるわけですね。しかしソ連のほうは深部に到達できると言っております。第四のものとしては、タイタンまたはSS9クラスのものが展開されつつあると思われるが、反面、技術者が少ないこと、資材が制限されていること、さらに開発に長期計画で取り組んでいると見られることからも、昨年の見積もりもおくれ——昨年は、ちょっともう少し早いと見ておりましたが、おくれて、早くても一九七六年または一九七七年までに実用化されることはないであろう、こういうことを言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/81
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082・大出俊
○大出委員 そうすると、防衛庁としては、アメリカの分析を、大体そういうことだというふうに受け取っている、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/82
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083・山中貞則
○山中国務大臣 私どものほうは、中国及びソ連の機微にわたる軍事情報は、率直に言ってあまり入手できません。しかしスパイ衛星の米ソ両方の今回の中東紛争におけるみごとな使い方、これは一方的にソ連、アラブ諸国のほうがじょうずに使ったというか、ちゃんとうまくそれを利用しておるわけですが、アメリカのほうは、その前日に地上に回収してしまっていたすきをつかれたという話もあるやに聞きますが、このスパイ衛星の地上物件の分析の力というものは、実に驚異的なものを持っておりまして、いまや地上物件で存在が確認され、移動も確認され得ないのは、弾頭が多弾頭なものであるか、そして、それが各個の誘導される多弾頭核のものであるか、これらがわからないくらいで、地上物件はほとんどわかるといわれております。これは米ソ両方ともです。
そういうところから、われわれがとり得る情報というものの限界内でいいますと、やはりどうしてもアメリカのそういうことを踏まえた分析というもののほうが、私どもが伝聞やその他によって手に入れる情報よりも正確なものであろうということは、科学的にもそういう事実の証明がなし得ると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/83
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084・大出俊
○大出委員 ここらの問題とからみまして、幾つか承りたいのですが、日本の周辺にもソビエトの艦艇がいろいろ入ってきております。先般オメガ通信基地などの調査に本委員会から視察に参りました。このときも壱岐、対馬周辺でソビエトの艦船が停泊をしている。これは場所は公海であります。何日も動かない。それが軍事的な目的を持つ艦船であるかどうかということもさだかでない、これは海上保安庁の観測であります。またトロール漁船その他の形で、これまた軍事目的を持つかもしれないといわれるようなものが、伊豆七島から、三陸沖から向こうのほうにしばしばあらわれる、こういうことが伝えられている。最近は、またソビエトの漁船団、サバなどをとる漁船団が大挙して三陸から下って、さらに伊豆七島の周辺まで来て操業をやっておる。
私は、神奈川におりますが、地元の新聞がここに書いておりますが、三崎のサバ釣り漁業協同組合、これはサバを釣っている関係の組合でありまして、三浦半島を中心とした県下の沿岸漁業団体、これが——ソ連の大型漁船団が最近、関東近海に続々出てくる。それがすべてトロール漁法である。ところで、実は一都三県、東京、神奈川、千葉、静岡、ここの漁協が相談をして、サバ資源の確保のために、つまり、あの伊豆七島周辺がサバの産卵場でございますから、したがって漁法というのは一本釣りだけにしよう、こういうふうなことで協定までしているわけでありまして、出漁については、知事の認可を必要とするなんということにしているわけでありますが、そこへやってきて、やたらトロール漁法で根こそぎ持っていってしまうというかっこうでは、資源保護はできぬじゃないか。おまけに刺し網その他の網がばっさり切られる。つまり、この大挙して入ってまいります船団の廃棄物によってであります。また網を引き上げてみたら、麻袋であるとか、かんであるとかいう廃棄物がいっぱい入ってきたという例まで出てきた。その損害を一体どうしてくれるんだという問題にまで実は発展をしてきた。
だいぶ日本の周辺騒がしいわけであります。そう意味で、きょうはどうなっておるのか承っておきたいのでありますが、ソ連のまず軍事的な目的を持つと思われる艦船、これは最近、私どもは直接見てまいりましたが、どんなふうになってきているのかという点、これは防衛庁長官、どうでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/84
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085・山中貞則
○山中国務大臣 大出先生なんかが、おそらく委員会で行ってごらんになったのも、そうでしょうが、大体三カ月ぐらい、同じ船がほとんど同じ場所で動いておりません。もちろん公海でございます。しかもこれは、対馬海峡近海の、軍事的な海に関するデータの収集船であることは間違いありません。しかし、かといって、これが戦闘手段としての能力を持つ船とは思われません。しかもそれは、定期的な交代をして、乗員をウラジオストックに送り返しては、また船が来ておるようであります。これは、ある意味で公海でありますから、われわれは何の干渉もできません。
一方これは水産庁、外務省からの話になりますが、私も先般、P2Jに乗りまして、九十九里の先の、もちろん公海ですが、三十隻の船団、母船数隻で大がかりなトロール漁をやっているところを超低空で見てまいりました。全部武装はしていないようであります。また軍事的な意図もないようです。もっぱら資源の問題だと思いますが、あの漁法でやられますと、カモメの群がり方から見て——私も漁業のほうは、漁連の会長なんかもしておりますので、ややプロなんですが、相当な根こそぎ漁獲をやっておるような、しかも、かん詰め装置まで船に持っておるわけでありますから、これは沿岸、沖合い漁業者にとっては、たいへんなことであるというふうに思います。
しかしこれは、わが防衛庁の所管ではありませんで、ヘリかP2Jでどういう状態かを見るくらいのものであって、向こうも、私どものP2Jが参りましても、全然反応を示さないという状態でありますから、これは、やはり外交交渉で資源問題として——漁民の方々の御心配というものは、二、三年前から三陸沖をはじめ、これがほとんど定着した状態で、それが、ことし伊豆のほうまで下がってくるということになりますと——トロールというのは、どんな魚でも稚魚でも何でも全部引いてしまうわけですから、そこらのところは、わが国周辺の沖合いの沿岸漁業の貴重な資源の問題として、外務省あるいは農林省あたりで御相談をなさって、やはりお互いが認め合う範囲のところでやめようじゃないかという相談をぜひしてもらいたいものだと、私もしみじみ思いました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/85
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086・大出俊
○大出委員 これは、いま長官からお話がございましたが、外務省の方に承りたいんですけれども、日本もやっているわけですね。豪州なんかへ行きますと、評判悪いですね。マグロなんかとりに行きまして、インドマグロなんかもございますが、こまかく調べましたから、どこかで一ぺん質問もしなければならぬと思っておるんですが、実は日本のマグロ船というのは、魚影がなくなるまでとってしまう。最近は、魚をさがすのが、科学的に非常に進歩しておりますから、全くなくなるまでとってしまう。日本の側は、みずから海賊と称するというんですね。だから、その周辺諸国からは、たいへん大きな反感を買っているという現実があります。しかし日本の周辺でやられる場合には、やはり放任できないということになる。そういう意味で、これは損害も出ている。
そこで、順番に承りたいのですが、どのくらいの船が来て、どのくらいの期間にわたってやっているかというのを、海上保安庁のほうからまず承りたい。
それから、どのくらい地元から苦情が、農林省、水産庁等に出されているか、これは農林省関係の方に承りたい。
それから外務省には、どのくらい網を切られたとかいろんな被害について、これは損害補償となれば、外交ルートに乗せて交渉しなければなりませんが、農林省の側でもお調べになっていると思いますが、外交交渉を、もしやっておるとすれば、どうなっているのか、やっておられないとすれば、将来どういうふうにお考えになるのか、そこらを三つの部門に分けて、御回答いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/86
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087・船谷近夫
○船谷説明員 海上保安庁の巡視船や航空機が視認しましたソ連の漁船の規模ですが、通常一万トンクラスの母船か八隻ないし九隻——特に多い船団はあとで申し上げますが、それにトロール漁船なんかの随伴船を十隻ないし二十隻伴って、そのほかにタンカーとか中積み船とか救難船とかいうようなものを伴いまして、全体の船団隻数としましては二十隻ないし五十隻来ております。時期的には、北海道の南東津は一月、それから十月から十一月、三陸沖は一月から五月、それから十月から十二月、銚子沖では一月から三月、それから十二月というふうに参っております。やっております魚種につきましては、サンマ、サバ、底びきの漁でございます。特に多いと申しますのは、三陸沖で十月から十二月に来ておったのを視認しましたが、母船が十五、六隻、トロール漁船が合計で八十隻ぐらい、そのほかの船が三十隻、合計百三十隻くらいの船団が来ておるのを見ております。いま申し上げましたのは、四十八年一年間のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/87
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088・大出俊
○大出委員 そこで、いろいろなトラブル等はなかったのかもしれませんけれども、損害というようなものは起こっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/88
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089・平井義徳
○平井説明員 損害は出ております。詳しくは、また別途御報告したいと思いますが、全体といたしまして、昭和四十八年の一月から十二月まで十三件、十九隻、約一千万円、それから一月に北海道で約九百万円、千葉県で百八十万円、その他の県からも報告されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/89
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090・大出俊
○大出委員 外務省の皆さんのほうは、損害が起こったような場合には、おそらくこれは、外交ルートに乗せて話していただかなければならぬ筋合いだと思うのですが、どんなふうなぐあいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/90
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091・加賀美秀夫
○加賀美説明員 私どもは、こういう被害が生じますと、水産庁のほうから、その被害の報告の通報を受けまして、そしてソ連側に対して、その被害の状況を申し入れて、厳重な注意を喚起して、その善処を要求する、そういうことをやっております。この申し入れは、最近すでに二月十四日、三月十二日、三月十四日の三回、これは最近だけのものでございますけれども、やっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/91
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092・大出俊
○大出委員 旧来、その損害補償を相手方にさせたという例はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/92
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093・加賀美秀夫
○加賀美説明員 損害賠償がソ連から行なわれたという例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/93
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094・大出俊
○大出委員 そうすると、これは、国が補償するのでない限りは、その個人の泣き寝入り、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/94
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095・加賀美秀夫
○加賀美説明員 私どもは、ソ連側に対して、繰り返し注意を喚起して、操業をやめてくれ、こういうことを言っております。ですから、ソ連側の回答がまだないという段階でございまして、私どもは、その回答が非常におくれるという場合には、また重ねてこれを申し入れるという態度でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/95
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096・大出俊
○大出委員 これは読売新聞の夕刊ですけれども、神奈川版ですが、こんなにたいへんな船なんですね。これは長官、行ってごらんになったら、おわかりだと思うんですが、漁網を切られたり、何かでたいへんな被害があるんですね。この写真の手前側は日本漁船です。並んでやっているんですね。地元の新聞の記事によりますと、お役所は、どうもさっぱり気のきいたことをやってくれないというわけです。これは神奈川新聞でございます。これでは一体、何のためにわが国があるのだということになるという書き方なんですね。これは、もう関係の漁業団体の怒りがここににじんでおるような記事になっております。
だから、やはり関係省庁でぜひひとつ、これは軍事目的で入ってきておる船もいろいろあるわけですから、複雑でございましょうけれども、そこらのところは、やはり外交ルートを使って、さっき長官もちょっと触れられましたように、何らかの形の取りきめぐらいはしなければ——それは沿岸何海里とか、領海というものに対する開発途上国とわが国との違い等もあります。ありますが、やはりそこらのところは、何かお考えいただきませんと、このままで放置されたのでは、おさまらぬと私は思うのです。そこらのところは、所管はどこになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/96
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097・山中貞則
○山中国務大臣 ここには閣僚は、私一人しかおりませんから——私は、ソ連に対する、もちろん外国全部に対してそうですけれども、なかんずくソ連に対する正式なそういう損害の賠償申し込みとかなんとかいうことは、具体的な事実関係というものを明らかにしていくと、ソ連という国は、大ざっぱのようでありますが、具体的な事実があると、案外これを認める国であるとも思っております。ということは、最近わが国の礼文島の上を、ソ連の戦闘機が領空を明らかに侵犯をいたしましたが、その際、直ちに機を失せず、その日のうちに外務省を通じてソ連に抗議を申し込みました。ソ連のほうは、まず第一番には、受け付けたときに、そういうことはなかったと思う、しかし、あったとしても、悪意じゃないと思うから、調べてみるという返事でしたが、そう時間がたたないうちに、正式に、その事実があった、それを認める、しかし、それは悪意ではなかったので、ひとつ了承してほしい、今後は、この種のことの起こらないように、わがほうが責任をもって対処しますという返事が来たのです。
私は、これを見ますと、やはり漁業被害なども——それは、なるほど領海説もいろいろ分かれておりますから、北洋においては、カニがはうとか泳ぐとか議論しておりますけれども、やはり日本の沿岸漁業着に、確かに網を切られて、一統幾らという損害が出た場合、これは、たとえば自衛隊とか、今後、御審議願う新しい法律あるいは現行法律でも、米軍でさえも支払いをするわけですから、その意味ではソ連に対して、水産庁が具体的なデータを、何月何日どの時点において、このような事故で金額は幾らである、そうして、あなたのほうの切った船は名前が書いてありますから、何万トンのこの船であるということをはっきり言えば、私は、ソ連のほうは、それを全然返事をしないというような子供っぽい国ではないような気がしているのです。この点は、農林大臣、外務大臣等に、私のほうから機会を見て横への連絡として話しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/97
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098・大出俊
○大出委員 お忙しいところ、関係各省庁お呼び立てして申しわけないのでありますが、これは地元の沿岸漁業をやる方々の直接的な脅威につながります。しかも先ほど問題になりました資源保護という意味でまさに、これは——伊豆七島周辺というのは、サバの産卵場ですから、あそこまで下っていまのような大規模なことをやられると、私もあの辺を回ってよく知っておりますけれども、これは日本の沿岸漁業に大きな影響を与えることになります。このあたりは、やはり農林省あたりも十分考えて、外交ルートに乗せての相談をぜひひとつ進めていただく必要がある、特にこれは強調しておきたいと思うのであります。
次に、個条的にずっと簡単に承ってまいりたいのでありますが、一つは、先ほど例にあげましたシュレジンジヤー報告との関係もございますが、相模原の例の補給廠をめぐりまして、かつていろいろ問題がございました。何とか皆さんとの話し合いの中で解決しているわけでありますけれども、最近、特に地元からの声がありまして、M42、M113もう一つ車両としてはM548、こういうものがたいへん数多く相模補給廠に運び込まれ、修理をされて運び出される、こういうわけであります。
私も、いまいろいろ調べておりますけれども、一つは、ベトナム戦争を昨年一月二十七日に停戦いたしましたが、どうもこれがうまくいっていない、つい最近でも、中部高原等における南ベトナムのレーンジャー大隊壊滅、行くえ不明というような事件が起こりましたり、たいへん大規模な戦闘にこれは発展している分野があります。このことが、相模補給廠で修理されたのが、どうも次々に戦闘地域、準戦闘地域に送られている、そう見られる節々が実はある。そうすると、いままでの取りきめ等からいたしまして、どうもこのままでいたし方なしというわけに参らぬ点がございます。
そこで、これを外務省のほうが、まずどうごらんになっているかという点。昨年——いまからいうと、年が明けましたから、一昨年の十一月になりますか、幾つか日米間での合意が行なわれているはずであります。そこらのところに触れて、この問題をどういうふうに見ておられるかということを、まずお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/98
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099・角谷清
○角谷説明員 お答え申し上げます。
相模補給廠において搬入あるいは搬出されました戦闘車両の数が最近多くなっているじゃないかという御指摘でございますが、この数字につきまして、われわれが了知いたしておりますところは、たとえば昨年一年間におきます搬入車両といたしましては百十六台、それから搬出車両といたしましては三百七十六台というものがございます。この中で戦車、これは数といたしましては、きわめて少のうございます。なお戦車につきましては、昨年七月修理を了しました十一台というものが搬出されまして、それ以後は搬出に付されておらない、このように聞いておるわけでございます。それから本年に入りまして、一月から三月十八日現在の数といたしましては、搬入といたしまして三十七台、搬出といたしまして二百一台、これは、いずれも戦車というものは含んでおりません。以上のような数字をわれわれは了知いたしておるわけでございます。
それで、これがベトナムとの関係でございますが、この搬出されたものがどこへ行っておるかということは、これは必ずしもわれわれ明らかでございません。
〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
他方、先生御指摘のとおり、四十七年の十一月にアメリカ側との了解というものがございまして、ベトナム和平成立後においては、修理のための戦闘車両の新規の搬入は原則として停止される、ベトナム向けに搬出されることも原則としてなくなる、それからもう一つ、現存の戦闘車両の修理を了した段階で、同補給廠の修理機能は大幅に縮小する、こういうような点を骨子といたしました了解があるわけでございます。
したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、この搬出された車両がどこへ行っておるかということは、個々の車両について、われわれ必ずしも了知しておりませんけれども、もしベトナムへ若干のものが行っておるとすれば、例のベトナムの和平協定というものがございまして、これの第七条に基づきまして、一応、ともかく一対一の交換と申しますか、補給と申しますか、こういうものは認められておるということがございますので、その関係で行っておるとすれば行っておるのではないかというように推測いたすわけでございます。
それでは、その米側との了解との関係はどうかという点でございますけれども、これは、その当時も原則としてそういうことはなくなるだろうということでございまして、この和平協定の一対一の実施上の措置というものも踏まえまして、当時原則としてということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/99
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100・大出俊
○大出委員 国防報告を見ますと、ベトナムの停戦はしたのだが、どうもうまくいかない。いかないで、一九七五会計年度の南アジア向け支出総額十九億ドル、この中に南ベトナム軍事援助費が十四億五千万ドルあるんですね。十四億五千万ドル、これは国防報告で説明しているんです。このように南ベトナム援助が増加した理由というのは三つある。停戦がわれわれの希望のように順調に運んでいない、したがって南ベトナムへの軍事支出は予想を大幅に上回っている、ここから始まって幾つかここに理由が述べられている。装備損失の補償、ここに触れて書いている。つまり装備損失の補償にたいへんな金をかけている。これはプノンペンをめぐるカンボジアの問題もございます。
だが、最近は、前と違いまして、だいぶ米軍の側も警戒的でございまして、搬出先CLがありますけれども、なかなか見て——こうこうこういうことになりますという報告は、私は受けておりますけれども、現物をわっと持ってくるわけにいまのところいかない。だから先ほど形跡があると、こういう言い方をしたんですけれども、ただ単に一対一の交換どころではない、たいへんに急いでいる、こう見なければならぬ事実がございます。あるいはそのうちに入手できるかしれませんけれども、こうなっていますという報告を承っている。
そこで、どのくらい行っているかという点、また種類でありますが、M42、これは自走高射機関砲。M42というのは中型戦車なんですね。それからM113、M548、これは去年一年間で三百六十九両の搬出、搬入が百八両。ことしに入ってもM42が搬出されております。M42、M113を中心に、三月の段階で搬入が三十九両、搬出が百三十九両。これは地元の諸君がずっと監視団を組織して、連日チェックしているわけです。だから、そう間達った数字じゃない。
ということになると、これは穏やかならぬことになると私は思っているので、現在、一体どのくらいあそこにこれらの車両が現存するかという点、これは防衛庁でございましょうか、施設庁でございますか、おわかりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/100
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101・平井啓一
○平井(啓)政府委員 相模総合補給廠の中に、どれだけ車両が搬入されて、どれだけ現存しているかという数字については、残念ながら当局では把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/101
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102・大出俊
○大出委員 これは、ほかのほうは縮小しておりますけれども、これらの車両整備をする整備局の日本人従業員というものは千十二名で、他の部門より圧倒的に多くなっているんですね。これは、やはりベトナム戦争と関連がある。だから、これは国防報告にもあるんでありますから、状況証拠からいったって、そういうことになるんですから、したがって、ここは、いまのような通り一ぺんでなしに、ぜひひとつ外務省、防衛庁の側でお調べをいただきたい。米軍との間で一体どうなっているかという点も明らかにしていただきたいのでありまして、この点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/102
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103・角谷清
○角谷説明員 先ほど私が申し上げました数字と先生のおあげになりました数字と若干違っておるようでございますから、私のほうといたしましても、さらに数字を詰めてみたいと思います。
それから、整備局につきまして御言及でございますけれども、整備局は、われわれの了知しておりますところは、昨年の九月三十日現在で千十二名、これが本年の五月三十一日には約四百名程度に縮小されるのではないかということでございます。したがいまして、そういう意味からは仕事が非常に縮小の方向に向かっておるのじゃないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/103
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104・大出俊
○大出委員 そこら確かめていただきたいのであります。
次に、SRFにかかわる問題でございますけれども、四十九年の二月十四日でございますか、合同委員会で合意が行なわれたわけであります。
そこで、何点か承りたいのでありますが、これは本来一−三は自衛隊でございます。四、五というのは全面返還の形の話し合いであったはずであるわけでありますが、これが共同使用に変わったわけであります。この四、五号について共同使用に変わったというのは、一体なぜ共同使用に変わったのか。これは運輸省との共同使用でございます。ここがどうも明らかでない。ハワイの計画であって一年以内に云々というようなこともございまして、非常にすっきりしないわけであります。
したがって、そこらが一体どういうことになっているのかという点。それから二の協定の概要の(5)に条件というのがございまして、条件のbに「緊急の必要があれば、日本側は四十八時間以内に退去する。」これが一項入っていますね。全面返還どころではない。さっきも原則ということばが、外務省から相模補給廠のほうで出ましたが、とかくそういう字句があると、いつの間にかそれがとんでもないことになっていく。同じ意味で「緊急の必要があれば、日本側は四十八時間以内に退去する。」、これが入っているわけであります。これは一体、何が目的でこういうことになっているのか。交渉の過程でいろいろなことがやりとりされておりましたのを、仄聞いたしておりますけれども、そこらのところは一体どうなっているのか、明らかにしていただきたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/104
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105・平井啓一
○平井(啓)政府委員 まず第一番目の問題についてでございますが、これは先刻御承知のとおり、長い経緯がございまして、昭和四十五年の十二月、第十二回の日米安保協議委員会で取りきめられた時点におきましては、SRFにつきましては、一号から五号までは日本側に返還するという取りきめになっていたわけでございまして、この取りきめの基本的方針については、現在もなお変わっておりません。
しかしながら、その後、日米間でいろいろ折衝いたしました過程において、この一号から五号までのドックを日本側に返還した後、アメリカ側に艦船の修理の必要が生じた場合、その修理をどういうふうにしてやるかという、いわゆる日米間の契約ベース等を含めた取りきめについての折衝を続けておったわけでございます。いろいろ技術的な細目につきまして、契約ベースの違いだとか、その他の問題で、今日なお日米間折衝を要する問題が残っておるわけでございます。そこで、いつまでもこういう状態で置いておくよりも、中間的措置といたしまして、日本側の艦船修理に所要な何らかの形を取りきめることによって、あのドックを有効に日本側においても使うのが適切ではなかろうか、そういう判断に立ちまして、日米間で並行的にそういった面についての協議も行ないました。
その結果、先ほどお話のありましたように、本年の二月十四日に、日米間で地位協定二条4項(a)に基づきますところの共同使用の取りきめが行なわれたわけでございまして、これは、あくまで基本方針とは別個に、現実の状態に立って中間的にも有効な使用をしたいということで取りきめた次第でございます。
なお、第二番目の四十八時間の条件の問題につきましては、ただいまも御説明申し上げましたように、あくまでこれが二条4項(a)という、アメリカ側が一時的使用をしていない期間、日本国または日本国民が使用できるというあの地位協定の条件の趣旨と申しますか、たてまえに沿いまして、アメリカ側としても、一応二条4項(a)の姿として、この条件はつけておきたいということでつけた条項でございますので、実際は年間の日米双方の艦船修理、ドックのスケジュール等につきましては、あらかじめ十分の調整を行なった上で日米双方使ってまいりますので、よほど緊急の問題等が発生しない限り、この条項が適用されることはないんじゃなかろうか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/105
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106・大出俊
○大出委員 これの四、五号ドックの付属建物について、もう一点承りたいのですが、付属建物のA82、これはA82工場ですが、海上自衛隊の第二潜水艦隊司令部というのは、どうなっているのですか、これが一つ。それからもう一つ、A80、これはA80工場ですが、これがいま補給倉庫、それを機関工場にというんですね。それからA78、これを船体工場。
ですから、これはミッドウエーの母港化あるいはアメリカの潜水艦隊の母港化——皆さんは、外務省の方々は、これは否定されるんでしょうけれども、私は、まさに母港化であろうと思っているのでありますが、そこらの問題とも関連をして、暫定的に、話がつかないから基本線は基本線でたな上げしておいて、運輸省との共同使用にしておく。だがしかし、これは一つ間違うと、潜水艦の陸上の訓練場に使いたいなんということを——いま防衛庁でも、六カ所かそこら陸上の潜水艦の訓練場はお持ちでしょうけれども、アメリカでも、コネチカットあたりには原子力潜水艦用の陸上の訓練場が幾つもあります。それらとのからみも出てくる。そこらのことが、どうもハワイの計画だから地元にはわからぬ、こっちにはわからぬ、こういういい方になっているのではないかという気がするわけでありますが、そこらは具体的にはどういうことになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/106
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107・平井啓一
○平井(啓)政府委員 ただいま第五ドック、第五バース付近に、海上自衛隊が前々から共同使用しております御指摘の建物があることは事実でございます。これらは、今回の共同使用の取りきめに伴いまして、その地域及び建物は、民間側の使用する対象になるわけでございますが、海上自衛隊のほうは、一ドックから三ドックにかけての地域のほうに、これらの使用を移すことを考えております。
なお、米側の計画につきましては、一部、新聞等にも報道がございましたが、この交渉の過程において、一時、米軍が建物を二棟ほど一年後か二年後にもう一度使いたいという計画があるのだという程度の話が出たことがございましたが、最終の取りきめ段階においては、この問題は立ち消えになって、合意の内容には入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/107
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108・大出俊
○大出委員 そうすると、これは訓練施設に使うというふうなことはないと明確にしてよろしゅうございますか。外務省の方々も、それはそういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/108
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109・角谷清
○角谷説明員 ただいまの御質問の趣旨は、アメリカ側に確認してありまして、そのような計画はないという回答を得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/109
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110・大出俊
○大出委員 そこだけ確認をしておきたいのであります。
次に、もう幾らも時間がかかりませんが、池子の弾薬庫でございます。これは私、かつて入れていただきまして、つぶさに中を調べてまいりました、もちろん弾薬が入っている、そこの中に入ったわけじゃありませんが。ところで、弾薬が置いてあります場所は、たいへん局限をされているという説明でございます。ここに地図がございますけれども、この一般火薬庫のある弾薬庫地区として三つの地域に分かれております。一番逗子市のほうに寄ったところ、こう三つある一番こっちの端、この辺に置かれている。
そこで、いま問題になっておりますのは、横浜市と逗子市との境界線がございまして、横浜南バイパスが入ってきている地域がございます。こちらのほうの地域は、この周辺の状況その他からいたしまして、こちらの南バイパスが入ってきておりますところは——弾薬庫の中に含まれているB地区三十五万四千六百五十八平米、それから新規分の接収地が、弾薬庫の外にありますが、この地域、つまりAとBですね。この辺のところを、接収地から解除して返してもらいたいという地元の非常に強い要望がありまして、私が入りましたときに、いろいろ話をいたしましたが、この地域についての弾薬庫が必要であるないという問題をめぐりまして、返還可能である雰囲気を実は感じているのでありますけれども、この池子弾薬庫の、いま私がちょっと指摘をいたしました地域、その後の皆さんの考え方としては、どういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/110
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111・平井啓一
○平井(啓)政府委員 ただいま御指摘のような御要望を、地元の逗子市及び横浜市のほうから、かねて出してきておられることは、私ども十分承知しております。また的確に、A地区、B地区が私の考えておりますところが当たりますかどうかわかりませんが、その池子弾薬庫約三百万平米のまん中部分にありますところは、比較的高性能の弾薬を貯蔵するような形になっておりますが、横浜市側の部分及び逗子市寄りの西側の部分につきましては、必ずしもそういう高性能のものは貯蔵してない。しかしながら、そういった地元の御要望等を踏まえながら、私ども米側といろいろ折衝している過程におきましては、現在の時点においては、アメリカ側からも、直ちに部分的に、そういう部分を地元の御期待にこたえて返還できるというところまでの答えは得ていない状況でございます。
なお、横浜市側の部分につきましての、高速道路が走る部分につきましては、せっかくの道路の計画でもございますし、いろいろそういう部分を通過することについての技術的な検討は、横浜防衛施設局及び道路公団、地元等との間でお話し合いは進めさせていただいておる、さよう承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/111
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112・大出俊
○大出委員 最後に、横浜の海浜住宅の問題でございますが、最近、審議会の答申が、これは大蔵省あてでございましょうが、出ておったりいたしますが、それらと関連をいたしまして、どういう進捗をしておりますか、ひとつ現状報告をしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/112
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113・平井啓一
○平井(啓)政府委員 横浜海浜住宅の移設及びそれに伴う返還の問題につきましては、かねてからの問題でございまして、御存じのように、昭和四十四年の三月には、海浜住宅一号地区の四百二十七戸の住宅及び付帯施設を対象とした移設計画について、日米の合意を見ているわけでございます。その後、アメリカ側とこの問題の技術的な詰めを行ないながら、あわせて二号地区、新山下住宅、チャペルセンター等、その他の施設もあわせた全体の移設計画をどう考えるかということについて、さらに詰めを行なっている次第でございます。
なお、すでにきまっております四百二十七戸及び付帯施設の移設先地としましては、現在の横須賀市にあります横須賀海軍施設の中にこれを移設するということで、一部あの中にあります泊湾の埋め立て等につきましては、昭和四十四年以来埋め立て工事を行ないまして、来年度で工事費全体約十億で完了する予定でございます。
なお、本年度及び昭和四十九年度予算案にも、一部建物等の移設所要工事費を計上さしていただいておりますが、基本的には、そういう全体計画という方向でいませっかくまとめつつありまして、なお米軍との間で全体計画の最終的な詰め及び横浜市との間であの海浜住宅地区が返還になりました場合の都市計画、そういった問題をせっかく詰めさしていただいておりますが、まだ具体的に建物の工事そのものに入るという段階まで至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/113
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114・大出俊
○大出委員 国有地が、いまの海浜住宅には三十八万一千平方メートルあるんですが、これが非常に分散しているわけですね。一カ所にまとまっていない。ということになると、この国有地の間に民有地、公有地が入り組んでいる、こういうかっこうなんですね、したがって、どうしてもこれは区画整理をして片をつけなければいけないことになる。ところが、地元では減歩率その他をめぐってなかなか問題もある。国がやっていただければ、一番簡単ですが、これは、おやりにならぬとおっしゃる、できないとおっしゃる。横浜市がかぶってやらなければならぬことになる。そういうことになると、これは、たいへん骨の折れる仕事になるわけでありまして、今回、国有財産中央審議会が「周辺地区の状況をも勘案しつつ、同地区全体を通じて、土地の区画整理を行い、国有地の集約化を図り、都市再開発の用に充てる方向で処理することが適当」である、こういう趣旨の結論なんですね。したがって、これは区画整理をやるとすれば、当該の市がやるわけでございますから、大蔵省も関係がございますけれども、地元市のものの考え方というものをできるだけひとつ中心にお詰めをいただきますようにお願いをしておきたいのですが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/114
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115・平井啓一
○平井(啓)政府委員 横浜海浜住宅の移設に関しましては、ただいま御指摘の点は、あと地の利用計画、また、これが特特会計ということで、移設計画を進めさせていただく上においては、国有財産としてはこれが処分財源になるわけでありまして、当庁並びに大蔵省といたしましても、たいへん関心のある問題でございます。そこで、この問題は、やはり工事を進める大前提でございますので、この問題を、市とそれから関係所有者と政府関係機関の大蔵省、われわれのほうで至急に詰めていきたいと思います。いろいろまだ地元の問題等も複雑な問題がありますので、よろしく御協力をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/115
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116・小宮山重四郎
○小宮山委員長代理 中路雅弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/116
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117・中路雅弘
○中路委員 きょう御質問したい問題で、いま資料をいただいた問題がありますが、十分見ていませんから、本会議の時間もありますので、その部分だけ次回に回させていただいて、若干御質問したいと思うのですが、防衛庁職員給与法の一部改正ですが、私どもも昨年の党の大会で、これは新しい政府のもとですが、自衛隊の転職希望者に対しては、政府が責任を持って平和産業や官公庁への転職を保証して、その場合の退職金は、全額支給するということを明らかにしているわけですが、今度の場合は、やはり退職金の問題ですが、法案をよく見てみますと、自衛隊の縮小の方向ではなくて、先ほど御答弁にありましたように、自衛隊の引きとめ策としてこの退職金の増額が出されているわけですから、方向が違います。したがって、同じ退職金でも、この法案について賛成するわけにはいかないと考えるわけですが、一、二点最初に法案についてお聞きしておきたいと思います。
今度の法案では任期制隊員の初任期、第一任期は退職金はそのままで、二任期、三任期の隊員について、第二任期の隊員の場合は現行百日分を二百日分、それから第三任期の場合に百日分を百五十日分と増額になっているわけです。先ほど大出議員の質問にも、率直に長官お答えになっていましたけれども、今度のこの任期制隊員の退職金の増額、これが先ほどの御答弁のように、率直に言って自衛隊の引きとめ策、防止策というのが中心で考えられていると私は思うのですが、もう一度最初にこの点、この出された法案の意図を率直にお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/117
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118・山中貞則
○山中国務大臣 あなたの党、すなわち日本共産党が示される現在の自衛隊の将来についての構想は承っておりますが、しかし私どもとしては、それは本人たちの意に反してやめさせられる形の退職金だと思いますので、どうもその議論をここでする気にはなりません。まあ、するならば、共産党がみずから天下をおとりになったときの本来の姿である憲法、そして天皇制その他を含む問題、これは自衛隊と関係ないにしても、解放軍か人民軍かの存在はどのようなものであるのか、そういうような問題についての御意見であるならば、基本的な問題としてやはり議論をしなければならない、国民にも知っていただかなければならない価値ある問題だと思います。しかし、その中間の措置についての見解は、私としては表明する必要がない、そういうふうに思います。
そこで、前置きは——あなたも前置きされたのですから、私も前置きさせていただきますが、先ほどの、これは引きとめ策ではないか、退職金という名の引きとめ策、これはそのとおり受け取ってもらってけっこうであります。要するに、しゃにむに自衛隊に勧誘するというようなことが、一部行き過ぎだというような指摘等もありますし、あるいはまた自衛隊に勧誘されて入隊した隊員の質の問題、こういう問題等もなしとはいたしません。現に、アメリカ等においては、志願兵制度に切りかえた際に、知能指数をランクを設けまして、最低の知能指数の者を一八%以内にとどめるべく、隊員の知能指数の限度を示したりしたようでありますが、わが自衛隊といえども、その悩みには同じものがございます。
そういうこと等がございますが、今回の退職金問題、これは自衛隊に入って、なおかつ継続して自衛隊員として二任期目に進んでも、自衛隊の隊員としてりっぱに貢献をする能力を持ちながら、意思の問題として、心の問題として、一期目でやめよう、やめてしまおうという率が、結果的にあまりにも多い、これは物質で解決できる問題だとは思っておりませんが、そのことのよすがになるならばと考えまして、二十年も据え置かれた百日分でありますから、私この際に、これは、やはり時世の変遷、そして充足率の議論の前に、入った者が出ていく問題というものを、まず、みずから戒めて対策を立てなければならぬということで、先ほど大出委員にお答えしたとおり、包み隠しなく、自衛隊に残りたい意思を持ちながらやめていくという人たちが、この退職手当が二倍になったということによって、それならば自分としては残ろうという気持ちになっていただく数字を期待したものである、その比率の向上を期待したものであるということは、偽りのない事実と申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/118
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119・中路雅弘
○中路委員 自衛隊の大量退職の防止といいますか、隊員の引きとめ策だという率直なお話もありまして、私もそのとおりの法案だと思うのですが、先ほど、これも簡単にパーセントでお話しになりましたので、もう少しお聞きしておきたいのですが、現在、自衛隊の新規入隊は約三万人くらいになると思うのです。それで先ほど、このうち初任期で退職するのは五〇%、さらに第二、第三任期で退職するのがその半分ですか、二五%くらいというお話でしたが、陸海空にとってみて、これは大体共通の傾向なのか、この点もう少し詳しく御説明願いたいのと、それからもう一つは、今度の改正に伴う退職金の増加分、全体として四十九年度のこれに充てられる予算、この点も一言御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/119
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120・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 任期制隊員が一任期つとめ、二任期つとめ、三任期をつとめというこの傾向を知るためには、少なくとも三任期目まで見ますと六年の間のことでなければなりませんので、その間の追跡は、必ずしも十分にやっておりません。したがいまして、先ほど二任期目に残る者はどのくらいであるか、三任期目に残る者はどのくらいであるかということで、大体の傾向として申し上げましたわけでございますが、これにつきまして、実は私のところに陸海空別のこまかいデータというものがございませんので、遺憾ながら……。ですから、そういう傾向であるということを申し上げて、御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/120
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121・中路雅弘
○中路委員 こまかいパーセントは別にしまして、陸海空でほぼ共通の傾向なのか、それともいまの五〇%、二五%というのは、陸と海に大きな特徴があるのか、その点だけでも、できましたらお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/121
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122・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 ただいまの問題、こまかい資料を見ましたけれども、大体、陸海空とも共通であるというふうに見てよろしいかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/122
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123・中路雅弘
○中路委員 自衛隊員の募集の問題ですが、四十九年度の自衛隊員の募集計画、ごく概略でいいのですが、陸海空の、特に一般隊員の募集計画について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/123
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124・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 四十九年度におきまして、全体で三万七百二十四名の募集の計画を立てております。そのうち二士が二万八千百名、その他二士のほかに、外部から幹部候補生を採用するとか、あるいは看護婦を採用するというようなことで二千六百二十四名採用する。合計で三万七百二十四名というのが、四十九年度の計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/124
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125・中路雅弘
○中路委員 特に一般隊員の募集の方法ですが、広報活動その他あると思うのですが、いま自衛隊員の募集について、おもにどういう方法でこの募集計画を進めておられるのか。少し詳しく自衛隊員の入隊勧誘は、一般的にどういうやり方をとっておられるのか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/125
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126・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 募集事務の実施は、自衛隊自身といたしましては、地方連絡部という組織が五十カ所ございます。さらに、その下部組織として県内に幾つかの出張所あるいは事務所等を置きまして、そういった組織的な募集をいたします。と同時に、募集事務は、都道府県または市町村への委任事務ということになっております。それで市町村、都道府県に、事務の内容はそれぞれ違うわけでございますけれども、大体におきまして広報宣伝をする、それから窓口事務をするというようなことを委任をしております。
何といいましても、広報宣伝が非常に大事でございますので、自衛隊におきましては、テレビを利用するとか町の中の立て看板を利用するとか、いろいろな考えられるあらゆる方法を使いまして広報宣伝、それから都道府県にもお願いしまして、各種の広報宣伝をしてもらっております。それから防大の学生の募集、少年工科学校等の生徒の募集などにつきましては、高等学校や中学校等におきましても広報宣伝をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/126
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127・中路雅弘
○中路委員 これは、たびたび新聞にもあらわれるわけですけれども、たとえば私服の勧誘員の形で、街頭などでいわば人狩りみたいな形で、ポン引きまがいで自衛隊の入隊を勧誘する、そういった方法というのは、全国的にとられておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/127
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128・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 ただいま申しましたように、広報宣伝の方法としてビラその他いろいろな手段を用いますが、そのほかに地方連絡部等には、広報員というのがおりまして、広報員が街頭に出まして、そして街頭で宣伝活動などを行ないます。そういう場合に、応募者がそういう宣伝をしている人のところへ来まして、入りたいがどうかというようなことがあります。それから、まあその辺に居合わせた者にどうだというようなことで勧誘することがありますけれども、いまのようなポン引きというのはちょっとあれだと思いますが、そういうふうなことを言われないように、私どもは注意しながら、しっかりした隊員を入れるために努力をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/128
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129・中路雅弘
○中路委員 一つ具体例でお尋ねしたいのですが、なるべく最近の事実がいいと思うので、これは三月十一日ですが、北海道の石狩管内にあります身障者の施設、社会福祉法人の北海道リハビリー、五年前からここで働いている高橋工君という二十四歳の青年職員ですが、これは新聞でも報道されていますが、三月十一日に、美唄の職業訓練学校へ適性検査に行った帰りに、札幌のステーションデパートで、陸上自衛隊札幌地方連絡西地区隊の根本孝一という二曹につかまって、新聞の報道によりますと、帰らなければならないといやがる高橋君を、まあ、いいから、いい話があるからと、あらかじめ用意したジープに乗せて、札幌駐とん地内に、隊内に連れ込んで、四日間、入隊のいろいろ手続その他でとめておいた。十三日には、家族とその施設から、捜索願いが警察に出されているわけですが、この問題については御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/129
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130・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/130
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131・中路雅弘
○中路委員 これは四日間隊内にとじ込められて、そこに事実上いて、本人が十五日に、この高橋さんというのが、本人の要求で給料を取りにいかなければいけないということで、この施設に帰って、心配していてさがしていたこの施設の職員等に、そこで初めて真相がわかったという事実なわけですけれども、いま私がお話しした事実は、ほぼ間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/131
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132・高瀬忠雄
○高瀬(忠)政府委員 広報宣伝を受けたその人の名前は高橋ではありません。高瀬工と申します。
それから事実がわかったのは、十四日ではございませんで、十五日でございます。
それで、実は十一日の日に、いまの西地区隊で広報宣伝をしておった先ほど申されました広報員と一緒に部隊に参りましたのですが、その日はおそいので、まあどうだという話をしましたら、泊まりますということで、それじゃ、うちには連絡しなくてもいいかという話をしたら、いいですということでございまして、二十四歳でございますので、まあ未成年の場合だと、すぐこっちでやるんですけれども、本人がそう言うものですから、ちょっとその辺やったらよかったんでありましょうが、そういうことがありました。
それで、十二日に筆記試験など、所要の手続を全部済ませまして、簡単な身体検査も済ませまして、まあ、それでいいということになって、大体よかろうということであったわけであります。ですから、その日にもう帰ってもよかったわけでありますが、何か本人はもう少しいたい、帰らなくてもいいのかという話をしたら、実は十五日が月給日で、彼のつとめているそこに行って月給をもらうのだ、こういう話で、十五日の日にあれは会社に参ったわけです。
そこで、そのときに会社で、自衛隊のその広報員に対しまして、どうして四日も帰さなかったのだというような話があったようでございます。まあ、私のほうで無理に引きとめて、泊めたということではないというのが現地からの報告でございますけれども、実は部隊のほうも、捜索願いが出たことは知らなかったようでありますが、ああいうふうにとめておくというのは、どうもぐあいが悪いのじゃないかと私ども思っておりまして、このことにつきましては、地連のほうにも、常識を働かしてやりなさい、本人がそう言ったところで、きちんとやらなくてはおかしいじゃないかという話はいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/132
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133・中路雅弘
○中路委員 この十五日の日に、本人が施設へ給料を取りに戻った、そのときに、これは御存じのように、十三日には捜索願いも出ていたわけですが、この根本という二曹が一緒についてきたわけですね、そして、そこの施設の職員に質問されて、自分は、高瀬さんというのですか、これの親戚の者だということを言ったわけです。それで、その家族にも連絡しましたら、また長沼の町ですか連絡したら、親戚にそういうのがいないということで、さらに追及されて、やっと自衛隊だ、本人を一応勧誘したその本人なんだということを、そこでいわば追及をされて、身分を明らかにしたというのが事実なわけですね。
本人が自衛隊に勧誘した、それでついて戻ってきたわけですが、その場合にその身分も名のらない、その高瀬という青年の親戚の者だということで身分も秘匿する、こういう形で実際に四日間隊内にとめられたわけですが、こういう正規の手続もとらない、また家族や職場にも連絡をしない、四日間も、いずれにしても隊内にとどめる、こういう募集方法について、はっきりとこれは誤ったやり方だと私は思うのですが、いままでもしばしば、こういう街頭で勧誘をして、無理に、相当強引な形で入隊を勧誘するという記事も出ているわけですが、こういう方法について、長官は、いろいろのいきさつ、本人との間の話もあるそうですが、大筋経過については間違いないわけですが、こういう募集方法、勧誘方法についてどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/133
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134・山中貞則
○山中国務大臣 募集に苦労しておることは、私もよくわかっておりますが、そのしかたには問題がある。ただ、いまの青年は、ずいぶんドライでして、いやならいやとその場で言いますから、それを引きずって入隊させるなんということがあり得ないことは、もう当然のことなんです。この場合でも、本人が駅前のステーションデパートの地下で話をして、そして自衛隊まで本人の意思で一緒に行ったわけです。そこでおそくなったから送ってあげると言ったら、いや泊まってもいいなら泊まるというやりとりがあって、そして、そのあくる日は、十時から筆記試験を受けたり——本人もしゃにむに引っぱられていったというものではないし、また、そういう試験も受けたり、また、そのあとも自分の意思で泊まって、半日、試験が何にもないときには、自由行動をとったり隊内でしております。
ですから、ここらのところは、よくわからないのですけれども、十五日は給料日だから、とにかく給料を取りに帰ります、こう言って自分の職場に帰ったきり出てこない、そこで一緒に行った地連の者が、いまおっしゃったように親戚だと言ったという、そこらの心理状態また私もよくわからないのですが、本人が入ったきり出てこなかった理由もよくわかりませんし、また中に呼び込まれて、そして組合の人たちに謝罪文を書かされた、その謝罪文も読んでみました。読んでみましたが、それは、その募集行為がいけなかったというふうに書けとは、組合も言っていらっしゃいません。そういう連絡をしないで隊内に泊めておいた行為について、謝罪をしておるようであります。その限りにおいて、私もいきさつに不審、遺憾な点もややあると思いますが、身分を秘匿するような必要は何らないのじゃないかということを考えます。
その他にも、いろいろなケースが一ぱいありまして、私は先ほど大出議員に答えたとおり、ただ数を集めれば、何年かたつと表彰状を受けられるというような、いままでの考え方の募集は取りやめである、これからは質の問題として取り上げていく、そのものさしを変えるということを命令しております。
そういうことでありますから、この過程において、個人の人権なり何なりにきわ立って傷つけた点があるとも見られませんが、そういうような、だれかと聞かれて親戚だと答えたような、ちょっと解せない行為等がありましたから、この点は今後戒めるように、このケースのみならず、全国に対してきちんとした正規の募集をするようにさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/134
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135・中路雅弘
○中路委員 これは朝日新聞で出ていますが、この施設の管理部長の談話が出ています。浅間という人ですが、「自衛隊のやり方は非常識過ぎる。誘拐罪で募集係を警察につき出そうと思ったほどだ。ここへ来ても身分も名乗らず、つけ馬みたいなやり方をしている。きっとやましいところがあるのだろう。」というような談話も出ていますけれども、向こうの北部方面総監部の大西幕僚長に、地元の私たちの議員がこの問題で抗議をした際に、北海道の北部方面総監部のことしの募集人員が全道で二千三百人、札幌、旭川、帯広、函館の四地方連絡事務所から、大体このような私服の勧誘員を三百人から四百人派遣しているということを大西幕僚長が答弁をされています。だから、相当全国的に大量にこういう勧誘もやられているんだろうし、その際に、いまの一例であげました事実のように、いわば家族、職場にも連絡をしない、どういう理由があったにしても、四日間も連絡しないで隊内にとどめた、正規の手続もそういう意味ではとらないというような募集方法が行き過ぎであることは明らかですし、こういう募集業務のあり方を、いま長官も言われましたが、根本的に再検討する必要があるのではないか。
こういった行き過ぎた募集業務、しかも、この青年——もちろん応募するかどうかは、本人の意思にあるわけですけれども、この青年は施設で働いている職員であるわけですね。いま身障者の施設では非常に人手もない。施設で働くという職員も足りなくて、施設が困っているわけですから、そういう点で、これは本人の意思の問題でもありますけれども、客観的にいえば、施設の職員を、こういう街頭で引っぱって勧誘するというようなことについても、社会的に見れば、よく検討する必要があるのではないかというふうに私は思います。
いままでも、こういう街頭での行き過ぎた勧誘の問題ついて、しばしば問題にもされてきましたが、私は、この際に、やはりこういう募集業務のあり方の問題について、もう少し明確な指示も出していただいて、こういう行き過ぎがないようにしていただきたい。このことをもう一度要請をして、長官からも、もう一度このことについて、一言明確に御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/135
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136・山中貞則
○山中国務大臣 基本的な姿勢は、おっしゃるとおりの姿勢をとらなければならぬと思います。また本人のやや意に反したようなものは、何かその場の雰囲気でもう入らなければしかたがないように追い込まれていったというようなものは、先ほど統計の数字をお示ししましたように、任期半ばでさっさと、無届けで帰隊しない、大出先生から、いわゆる脱さくということばを使っておるじゃないかという御話がありましたが、これは、さくという字を改めて、無届け離隊ということにしましたが、そういう現象に結局は結びつきます。だから、無理やりという感じは全くあってならない、私もそう思いますから、この問題は、一つの教訓を与えた実例として、むだにしないようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/136
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137・中路雅弘
○中路委員 きょう私は、自衛隊の隊員——沖繩なんかでも、先日、沖繩視察に行きました際に、陸上の鬼沢司令等も、自分の経験を話しまして、ハイヤーに乗って夜家へ帰った、そのハイヤーの運転手にお茶を出したら、最近沖繩では、自衛隊の隊員が一番礼儀正しい、商社マンと比べて礼儀も正しいし、事故もないんだという説明を私たちにされたんですが、実際、沖繩に行ってみますと、人権擁護委員会に提訴されている、訴えられている自衛隊員の事故の問題も幾つか聞きましたし、あるいは電信電話局、そういうところの組合から訴えられた問題もあります。
自衛隊の隊員のこういった問題について、きょう少しまとめてお伺いしようと思っていたのですが、資料が先ほどきたものですから、時間もありませんので、この問題については、あらためて御質問したいと思いますけれども、終わりに一言だけ、これは地元の問題でもあるのですが、施設庁の皆さんにお聞きしておきたいのは、横須賀にあります衣笠弾薬庫、これは反還されましてから、一応一年限りということで自衛隊がいま使用されていると思いますが、すでに一年以上たっているわけです。この衣笠弾薬庫の使用の現状は、どういう状況にあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/137
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138・長坂強
○長坂政府委員 この弾薬庫は、四十七年三月、米軍から返還を受けまして、現在、大蔵省の横浜財務部の依頼によりまして、海上自衛隊が警備、管理をいたしております。それから昨年の十二月二十六日であったと思いますが、この弾薬庫の約三分の一に相当する部分の一時承認を大蔵省から受けておりまして、一応一時使用ということでいまやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/138
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139・中路雅弘
○中路委員 それじゃこの弾薬庫は管理をしているだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/139
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140・長坂強
○長坂政府委員 実際問題といたしまして、現状といたしましては、管理をいたしておるのにとどまっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/140
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141・中路雅弘
○中路委員 きょうお見えになっておりませんが、市のほうではいまこのあと地の計画を、墓地公園ですか進められているわけですが、大蔵省の国有財産の係のほうの話では市と防衛庁の間で、このあと地利用の問題について話をするということを前提にして軍転審議会にかけるというお話も聞いているわけです。
それで、期限も一応一年たっているわけなんで地元から返還の要請あるいはあと地の計画、いま墓地公園というのが進んでいますが、この問題が具体化されれば、また要請が防衛庁のほうにありましたら、市との話し合いをして、方向としては、これを返還するということで理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/141
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142・長坂強
○長坂政府委員 これは、いきさつがございまして、四十六年十一月二十六日に、横浜の防衛施設局長から横須賀の市長あての文書の中で、この衣笠弾薬庫の取り扱いにつきましてうたってございまして、それには「当該施設については、すでに貴市の都市計画の決定があり、これとの関連において米軍から返還後、当面、当局が大蔵省から一時使用の承認を受けて、」云々となっておりますが、これは現在、大蔵省の普通財産でございますから、私どものほうから、実はあまり直接的にお答えをするのは、適当ではない立場にあるわけでございますけれども、この横須賀市の都市計画用地として払い下げを希望しているという事実は、私ども聞いておりましたので、そういう計画実施に支障を来たさないように、私どもとしては、十分考慮をいたしまして、対処してまいりたい、十分に考慮の中に置いてまいりたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/142
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143・中路雅弘
○中路委員 それでは防衛庁としては、これを、今後弾薬庫として継続して使用していく、そういう考えはないということで理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/143
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144・長坂強
○長坂政府委員 先ほどの四十六年十一月二十六日の横浜防衛施設局長から横須賀市長あての文書の中にも、これは「一時使用の承認を受けて、海上自衛隊の用に供するもので、長期使用を意図するものではありません。」と書いてございます。私ども、そのとおりその態度を受けておりますので、そのように御承知いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/144
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145・中路雅弘
○中路委員 これで一応終わりますけれども、もう一つ、この弾薬庫と関連して、先ほど大出議員も質問されました池子弾薬庫ですが この池子弾薬庫を共同で使用するという意向はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/145
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146・長坂強
○長坂政府委員 池子弾薬庫について、自衛隊側がそれを使用する意図を持っているかどうかというお問い合わせだろうと思いますが、現在のところ、実務担当者といたしましては、そういうところまで考えてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/146
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147・小宮山重四郎
○小宮山委員長代理 次回は、来たる二十六日火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01419740322/147
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