1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月四日(木曜日)
午後一時十五分開議
出席委員
委員長 徳安 實藏君
理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君
理事 中山 正暉君 理事 野呂 恭一君
理事 服部 安司君 理事 上原 康助君
理事 大出 俊君 理事 中路 雅弘君
越智 伊平君 大石 千八君
笠岡 喬君 近藤 鉄雄君
竹中 修一君 旗野 進一君
林 大幹君 藤尾 正行君
三塚 博君 吉永 治市君
木原 実君 吉田 法晴君
和田 貞夫君 木下 元二君
鈴切 康雄君 受田 新吉君
出席国務大臣
通商産業大臣 中曽根康弘君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 山中 貞則君
出席政府委員
公正取引委員会
事務局長 吉田 文剛君
防衛政務次官 木野 晴夫君
防衛庁参事官 大西誠一郎君
防衛庁参事官 長坂 強君
防衛庁参事官 岡太 直君
防衛庁長官官房
長 丸山 昂君
防衛庁防衛局長 久保 卓也君
防衛庁人事教育
局長 高瀬 忠雄君
防衛庁衛生局長 鈴木 一男君
防衛庁経理局長 小田村四郎君
防衛庁装備局長 山口 衛一君
防衛施設庁長官 田代 一正君
防衛施設庁総務
部長 安斉 正邦君
防衛施設庁施設
部長 平井 啓一君
通商産業政務次
官 森下 元晴君
通商産業審議官 森口 八郎君
中小企業庁長官 外山 弘君
中小企業庁次長 小山 実君
中小企業庁計画
部長 吉川 佐吉君
委員外の出席者
警察庁刑事局保
安部保安課長 相川 孝君
沖繩開発庁総務
局調査金融課長 松岡 宏君
大蔵省銀行局総
務課長 米山 武政君
国税庁直税部所
得税課長 水口 昭君
厚生省社会局生
活課長 田川 明君
労働省労働基準
局監督課長 岸 良明君
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委員の異動
四月三日
辞任 補欠選任
笠岡 喬君 越智 伊平君
同日
辞任 補欠選任
越智 伊平君 笠岡 喬君
同月四日
辞任 補欠選任
丹羽喬四郎君 林 大幹君
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四月四日
内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
号)
同月二日
軍事基地の撤去等に関する請願(岩垂寿喜男君
紹介)(第三一六九号)
同(岩垂寿喜男君紹介)(第三三一九号)
非核三原則の立法化等に関する請願(石母田達
君紹介)(第三三五二号)
同(加藤陽三君紹介)(第三三五三号)
同(中路雅弘君紹介)(第三三五四号)
同(増本一彦君紹介)(第三三五五号)
靖国神社の国家管理反対に関する請願外三件
(河上民雄君紹介)(第三三五六号)
は本委員会に付託された。
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四月三日
旧軍人恩給等の改善に関する陳情書
(第三五五号)
靖国神社法制定に関する陳情書外二件
(第三五六号)
靖国神社法案反対に関する陳情書外八件
(第三
五七号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三〇号)
国土総合開発庁設置法案(内閣提出、第七十一
回国会閣法第二三号)
内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
第七十一回国会閣法第二七号)
靖国神社法案(橋本登美三郎君外九名提出、第
七十一回国会衆法第三二号)
中小企業庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第九号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/0
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001・徳安實藏
○徳安委員長 これより会議を開きます。
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、去る二日、すでに質疑を終了いたしております。
ただいま委員長の手元に、加藤陽三君より本案に対する修正案が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/1
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002・徳安實藏
○徳安委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。加藤陽三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/2
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003・加藤陽三
○加藤(陽)委員 ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文は、お手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、原案のうち、航空手当等の最高支給割合を引き上げる改正規定は、昭和四十九年四月一日から施行することとしておるのでありますが、すでにその日が経過いたしましたので、これを公布の日から施行し、本年四月一日から適用することに改めようとするものであります。
よろしく御賛成をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/3
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004・徳安實藏
○徳安委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/4
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005・徳安實藏
○徳安委員長 これより討論に入ります。
原案及び修正案を一括して討論に付します。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/5
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006・上原康助
○上原委員 まず、原案並びに修正案に対する反対の討論をいたしたいと思います。
この法律案は、原案のほうは、航空手当等の最高支給割合を改めること、自衛隊職員の任期期間を定めて、任用されている自衛官に対する退職手当を増額するということが原案のおもな趣旨になっております。
委員会審査を通して明らかにされたことは、まず任用自衛官に対する退職手当をなぜ増額をせねばいけないのか、確たる根拠というものが十分明らかにされなかった点は、きわめて遺憾であります。
さらに、政府側の御答弁の中でも、自衛隊の足どめ策の一環としてこういう退職手当の増額がなされたというように受け取れる御発言もございました。
そういうことで、私たちは、防衛庁職員の待遇改善あるいは給与の面において、全面的にすべて否定する立場にはございませんが、十分な根拠が示されないままに法律案の改定を提出するということは、きわめて根拠が薄弱でございますので、原案並びに修正案、いずれに対しても反対をせざるを得ないことを明らかにいたしたいと思います。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/6
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007・徳安實藏
○徳安委員長 中路雅弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/7
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008・中路雅弘
○中路委員 原案並びに修正案に反対の討論を行ないたいと思います。
本改正案の重点は、任期制隊員の二、三期退職金の大幅増額に置かれています。自衛隊の新規入隊は、三自衛隊で約三万人、このうち初任期で退職する者五〇%、さらに二、三任期で退職する者がその五〇%で、とどまる隊員は当初の二五%になっています。今回、第二、第三任期満了の隊員の退職手当を大幅に増額したのは、初任期終了の隊員を、二、三期へつなぎとめるための施策であり、自衛隊の定員充足率を高めることに主眼を置いたものであります。山中長官の答弁にもあるとおり、退職防止策、隊員引きとめ施策であることは明白であります。
わが党は、自衛隊は憲法違反であり、対米従属の補完部隊であり、その解散を目ざすことを基本方針としているものであります。本改正案は、この方針と全く反する自衛隊強化策の一つであり、よって、本改正案には反対であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/8
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009・徳安實藏
○徳安委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、加藤陽三君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/9
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010・徳安實藏
○徳安委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/10
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011・徳安實藏
○徳安委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/11
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012・徳安實藏
○徳安委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/12
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013・徳安實藏
○徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/13
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014・徳安實藏
○徳安委員長 内閣提出、第七十一回国会閣法第二三号、国土総合開発庁設置法案、同第二七号、内閣法等の一部を改正する法律案及び橋本登美三郎君外九名提出、第七十一回国会衆法第三二号、靖国神社法案の各法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/14
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015・徳安實藏
○徳安委員長 各案につきましては、第七十一回国会におきまして、趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/15
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016・徳安實藏
○徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
この際、暫時休憩いたします。本会議散会後、委員会を再開いたします。
午後一時二十三分休憩
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午後三時二十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/16
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017・徳安實藏
○徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
中小企業庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/17
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018・上原康助
○上原委員 中小企業庁に小規模企業部を設置するということで、法律改正の提案がなされているわけですが、すでに趣旨の説明がなされておりまして、おおむね本法案の改正をするにあたっての要点については、理解し得ないわけでもありませんが、特に最近の経済状況なり高物価、悪性インフレという状況下で、中小企業の方々が最も大きなダメージを受けている、あるいは今後の経済変動によって不安定な立場に置かれていると思うわけです。公共料金の値上げが相次いでおりますし、伝えられるところによりますと、電力料金の大幅値上げ等も、すでに企業から申請がなされているか、あるいはなされつつある。政府は、これらの経済状況あるいは金融逼迫等をとらまえて、今後、具体的に中小企業全般について、どのように対策を立てていこうとしておられるのか。また、中小企業庁に小規模企業部を設置することによって、いま二、三点指摘をしましたような問題点が、より具体的に解決することができる、あるいはし得るであろうというような御判断でこの法律の改正を求めておられるのか。そういう基本的な点について、あらかじめお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/18
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019・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 中小企業政策は、通産省としては最も重要視しておる政策であり、政府としても同様でございます。昨年来、正月からは物資の不足、原料、資材の不足それから円のフロート制への移行、それから夏になりますと、いろいろ石油化学の爆発その他によって塩ビその他が不足するとか、秋になりますと、石油危機が発生いたしまして、それらの経済変動の波をもろに実は受けてきておるわけでございます。倒産件数その他を見ておりますと、最近は、総需要抑制の影響を受けて、次第に不況の色も出てきております。
われわれとしては、中小企業がわが国、国民経済における重要な使命を果たしているのにかんがみ、中小企業により光明をもたらされるような、希望が出るような仕組みなり政策を強力に推進していく考え方に立って、金融制度やあるいは組織の問題や税制、そのほかの諸般の問題にいま取り組んでおるところでございます。
何といっても、一番大事な問題は、末端の零細企業に、かゆいところに手の届くような現実的指導をしてあげるということが、今日非常に重要な問題になっております。その一例として、例の経営改善資金というようなものも、昨年は三百億円でありましたが、ことしは千二百億円に一挙にふやしまして、経営改善指導員等も、思い切ってことしは大幅増をやっておるわけでございます。そういうように、末端の足腰、手足を強化して、かゆいところに手が届くということに、ことしは特に重点を入れるという意味で、中小企業庁を改組いたしまして、中小企業の零細方面に対する指導部を設けて、力を入れていこうとしておるところでございます。
最近の総需要カットにかんがみまして、四月から六月ぐらいにかけて、中小企業の前途も、深甚の注意をもって見守らなければならないところもございまして、金融その他の面におきましても、遺憾なきを期してやっていくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/19
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020・上原康助
○上原委員 これまで中小企業の件について、その対策なりいろいろな面で、財政面あるいは行政指導面でかなりてこ入れをしてきているということを、全面的に否定するものではございません。しかし具体的にこれからお尋ねをしてまいりますけれども、総需要抑制あるいは石油危機、特に最近の金融情勢の逼迫等によって倒産をする中小零細商工業者といいますか、その方々が続出をする傾向にある。さらに五、六月から秋にかけて最も深刻な影響を受けるのじゃないかという気がするわけです。
そこで、中小企業といいましても、これは非常に間口が広くて、いろいろの問題があるわけですが、特に中小零細企業の分野においても大きなウエートを占めている小売の商工業者、そういう面の振興計画といいますか、俗にいわれている経営の近代化のための事業の実施など、そういった小売商工業の面について、これまで具体的にどういうふうに進めてこられたのか、また今後どのように進めていかれようとしているのか、その点の御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/20
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021・外山弘
○外山政府委員 御指摘のように、中小小売業の分野というのは、中小企業の中でもたいへん大きな割合を占めておるわけでありまして、中小小売商業が、生産と消費のパイプ役として、また安定した経営を営むための多くの従業員の働く場所として、その振興につきましては、たいへん重要な意味があると存じます。
ただ、非常に地域性の強い業種でございますから、したがいまして、これに対する抜本的な対応策というのは、なかなかむずかしいわけでございますが、従来も、たとえば中小企業振興事業団によります小売商業の高度化融資とか、あるいは共同化融資といったものにつとめてまいりましたし、また政府系の三機関、特に中小公庫、国民金融公庫等につきましては、小売商業のための流通近代化資金とか、その他の近代化のためのいろいろな諸手当て、安全の貸し付けとかいろいろなものを含めまして、いろいろ特ワクを設け、運用してまいったわけでございます。
しかし先ほど御指摘のような重要性にかんがみまして、昨年、御承知のように、中小小売商業振興法という法律を御提案申し上げまして、国会の御承認を得たわけでございまして、私どもは、従来の考え方を、さらに、この法律の制定を機会に、ことし以降、大いに中小小売商業の振興策を強化してまいろう、こう考えているところでございます。
それで、何よりもまず、その法律に基づく振興指針というものをきめることになっておりまして、これをきめまして、その内容に沿って施策の充実をはかっていきたいということで考えているわけでございますが、まず、四十九年度に考えております第一の施策の柱でございますが、これは一般会計予算による振興行政ということにまとめられるかと思います。地域商業の近代化のためのビジョンづくりである商業近代化地域計画というのを、従来からやっておりますが、これを一そう強化するとか、あるいは商店街の近代化を促進するための商店街振興組合連合会への補助金、あるいは商店街の改造計画を作成する都道府県への計画作成費補助金、あるいはボランタリーチェーン等の小売商業者の共同事業の普及、発展、そういったことを推進するための指導費、あるいは小売業従事者の資質向上をねらいとして、日本商工会議所等が行なう小売商検定試験制度に対する補助金、あるいは小売店の経営改善を推進するための研究費、こういったような項目につきまして、四十九年度につきましては、一般会計の予算の充実をはかっているわけでございまして、二億二千万円ぐらいの予算を計上しているわけでございます。
それから、第二番目の柱は、都道府県等の行ないます診断指導事業、これに対する助成でございます。内容といたしましては、都道府県の商店街振興組合連合会の商店街指導員あるいは商店街情報連絡員、こういったものに対する補助金、あるいは都道府県が行ないまする商店街診断あるいは商店診断、こういったような一般診断及び資金の貸し付け、こういったことに関連して行ないます近代化診断、こういうものに対する補助金がございます。四十九年度におきましては、この診断指導関係の施策の充実に特に力を入れているわけでございます。
それから、第三番目の柱としては、中小小売業者の行なう近代化事業に対する金融面の助成が指摘できるかと思います。中小企業振興事業団の高度化事業融資、あるいは中小企業金融公庫及び国民金融公庫の流通近代化融資、あるいは小売商業高度化融資、生鮮食料品小売業近代化融資、こういったような特別貸し付け制度が幾つかございますが、これの融資規模の拡大を現在計上しているわけでございます。さらに金融面の助成措置といたしましては、都道府県におきます設備近代化貸付制度あるいは貸与制度、信用補完措置としての中小企業信用保険制度、こういったものも指摘できるかと思います。
それからまた、いま大臣が御指摘になりました国民金融公庫の小企業経営改善資金貸付、これは無担保、無保証人による融資でございますが、多くの中小企業者が利用しておりますけれども、小売業者の利用が、やはり一番大きな割合を占めているというふうな状況でございまして、これも一つの小売業に対する重要な施策になるかと存じます。
以上のような三つの柱をもとに、私どもとしましては、御指摘の中小小売商業の振興対策の充実を期してまいりたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/21
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022・上原康助
○上原委員 いま、たくさんお述べになったのですが、昨年の国会で、中小小売商業振興法というのが立法化を見まして、さらに、いま説明がありましたように、中小企業の全般的な経営安定といいますか、近代化へ向けての指針というものも御説明のように出されております。
そこで、法律が昨年制定された関係もあって、まだその法律の内容にのっとって十分な施策が、時間的な関係もあってできなかったということもあろうかと思うのですが、要するに、この法の適用を受けるのは、組織化されたいわゆる中小企業でなければならないというのが大前提に、簡単に申し上げるとそういうことになるかと思うんですね。
そこで、認定を受けて、いわゆる店舗共同化計画なり、そういう八割無利子の融資を行なうということが法律でうたわれているわけですが、そういったのが過去一年間にどの程度の実績になっておるのか、あるいは都道府県の行なう設備貸与制度の適用というものもございますし、そういった国、都道府県、さらに何といっても経営改善をやっていく中小企業をより充実化さしていくという意味においては、企業者自体の自力といいますか、努力というのも大事な点でございまして、小企業経営改善資金制度の適用等を受けて、みずからそういった組織化をしながら改善をしていく、近代化に向ってやっていくという企業はどういう状況になっているのか、そういった面についても、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/22
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023・外山弘
○外山政府委員 確かに御指摘のように、中小小売商業振興法に基づきます認定行為が、やはり当初の予想どおり早く取り運びませんで、若干その実績が少ないというふうな感じが私もいたします。三月二十九日現在におきまする認定件数は、商店街の整備計画が十七件、それから店舗の共同化計画が九件、合計二十六件でございまして、こういった共同化、協業化の仕事が、一番この小売商業振興法の中で優遇されておりますし、御指摘のように、それが公共性に富んでおり、かつ零細事業者がメンバーである限り、八割無利子というふうな非常に優遇した制度を裏づけておるわけでございます。
〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
これはもっと利用してほしいし、また私どもも利用できるように今後も努力をしてまいらなければいかぬ、こう思っておるわけでございます。
もう一つ御指摘の、設備近代化資金制度あるいは設備貸与制度、これは各都道府県が具体的に実施しているわけでございまして、これも小零細企業者に対するかなりの優遇した措置だと思います。
ただ、今回の法律を機会に、この制度がどのように運用されているか、つまり新しく小売商業が、この制度の中でどのような動きを見せているかという点については、私、いまつまびらかにしていないわけでございますが、従来からの考え方で、これは、それなりの利用をされているというふうに考えます。
そして、もう一つ、自助努力が一番大事なんだろうという御指摘でございますが、確かにそのとおりでございまして、私どもは、やはり小売商業者が一つの組織をつくる、あるいは共同していろいろな新しいことをやろう、そして、みずからの使命を自覚し、また防衛も含めて新しい発展をするというふうなために協業化をしたり共同化をする、それに対してやはり優遇した制度を設けようということでございまして、店舗の共同化にいたしましても、商店街の近代化にいたしましても、そういったことが基本的に企業の間に芽ばえてきませんと、私どもが幾ら助成をしようとしましても、うまくいかない。
それは同時に、ただ手をこまねいているのではなくて、私どもが指導診断の上でそれらを、そういう考え方を刺激することも大事でございましょう。それから同時に、その人たちが持っている具体的な事情に適応した助成をすることも大事だと思います。その両々相まっていかないと、この小売商業の近代化という点もなかなかむずかしいと存じますが、法律が制定されたのを機会に、私どもは、そういった意味で小売商業者の自助努力というものが一そう刺激されまして、この法律のねらっている近代化が、従来のテンポよりももっと早目に、もっと速度を増して実行されていくのではないか、こういうふうに期待もしておりますし、また、そういうことが実現の運びになるように、私ども大いにPRもし、努力もしてまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/23
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024・上原康助
○上原委員 ちょっと誤解があっては困ると思いますので……。私は、自助努力も大事な点だと申し上げておりますが、それが主だとは主張しておりません。自助努力をする方向にどう金融面の手当て、あるいは行政的な面——そういったものがまず大前提になって、初めて自助努力、自主的な努力というのも出てくるわけですから、そういった総合的な点でいまお尋ねをしておりますので、その点、御理解をいただきたいと思います。
そこで、三月二十九日現在、わずかに二十六件しか、認定を受けて共同化計画なりいろいろ進められてきていないというわけですが、なぜ、こういう件数にならざるを得なかったのか、御答弁にもありましたように、少ないように思われる、まだまだもっとPRをして、大いにこういった制度なりを活用してもらいたいということですが、そのネックになっているのは一体何なのか、どういうふうに受けとめられておられるのか、二十六件に要した融資の予算額は、どの程度になっておるのか、そこらについても、これからいろいろ議論する上で参考にしたいと思いますので、もしおわかりでしたら、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/24
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025・小山実
○小山(実)政府委員 お答え申し上げます。
現在までに認定いたしました二十六件によりまして融資が予定されております高度化資金の金額は、これは県の窓口を出ます金額のベースで二十三億二千五百万円ということになっております。
それから、認定件数が、中小小売商業振興法以来、比較的少なかったというのは、どういう点に問題があったかということでございますが、それは高度化資金のうち八割無利子分の融資につきまして、小売商業振興法の認定が必要になっているということで、各都道府県は、年度内に高度化資金の無利子貸し付けが期待されている案件を優先して認定事務処理を行なった、こういうことから全般的な金額の伸びが比較的少ない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/25
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026・上原康助
○上原委員 二十三億円余りとなりますと、昨年度の八割無利子で融資できよったであろう予算額というのは、大体幾らだったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/26
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027・小山実
○小山(実)政府委員 当初の予定額は、県ベースの金額で十八億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/27
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028・上原康助
○上原委員 それは県ベースで十八億円といいますと、国のほうからの融資の額を含めてはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/28
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029・小山実
○小山(実)政府委員 私の発言が、若干舌足らずだったかもしれませんが、県ベースという表現を用いております場合には、県の自分の財源分と事業団から参った分を合わせて、一体として県から窓口を出ていく金という意味でございます。でございますから、その中に事業団の負担分も含まれているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/29
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030・上原康助
○上原委員 そういたしますと、政府がこの振興法を制定後、大体、年次的にどのくらいの認定をしてどういうふうな組織化をはかっていく、近代化をはかっていくという計画があったんじゃないかと思うんですが、その計画との比較においては、先ほど少ないという点は御指摘があったのですが、どういうふうな関係になっているのか。時間的な関係があったにしても、あまりにも少ない気がするわけですね。そういう年次計画というのはなかったのかどうかという点も、説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/30
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031・小山実
○小山(実)政府委員 中小小売商業振興法を提案いたしましたときに、はっきりとした、長期的にどれだけの認定件数が毎年出ていくかというようなことを予定しておったわけではございませんが、とりあえず四十九年度におきましては、四十八年度の実績の四倍程度の貸し付け規模になっても、実行可能なような予定をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/31
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032・上原康助
○上原委員 四倍といいますと、いまさっき御説明のあった二十六件の大体四倍という御計画ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/32
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033・小山実
○小山(実)政府委員 金額で四倍ということでございまして、実績を見ましても、一件当たりの金額は非常に差がございますので、件数で直ちに四倍になるかどうかというのは、一がいに予想できないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/33
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034・上原康助
○上原委員 いまの点、若干納得しかねる面もありますが、進めていきたいと思うのです。
いわゆる振興指針をおつくりになっても、あるいは法律をつくっても——今度の場合も、法律の改正を出されているわけですが、政府がこの種の法律を提案なさる場合は、非常にうまく説明をするし、ことばは少し妥当でないかもしれませんが、美辞麗句を並べて、りっぱな法律だからぜひというようなことをおっしゃる。たとえば経企庁に物価局を設置する場合も、経企庁に物価局があれば物価問題は解決できるのだ、物価抑制は調査をやって、いろいろ行政指導をやっていくのだということを、本委員会で議論をしたことがありますが、物価局が設置されると同時に、物価はどんどん上がったという皮肉な例もありまして、今回の場合も、法律は改正されたものの、それが実をあげ得ないということじゃいけないと思うんですね。
そういう意味で、振興指針をおつくりになる、あるいは中小企業対策を具体化していく上では、先ほど大臣の説明にもありまして、まあ予算面では三百億から千二百億、約四倍にこれも増額されているわけですが、そういった、ただトータルだけを議論しても、中身の、具体的にどういう分野にどう資金が融資をされ、あるいは実際に中小企業の方々が経営を営んでいく、事業を近代化していく上で役に立ったのかという実績が私は問題だと思うんです。そういうことからすると、いまの御答弁では、必ずしも十分でないような感を受けるわけです。
そこで、進めてまいりたいと思うのですが、小売商の振興対策に関する予算について、もう少しお尋ねをしておきたいのです。中小企業振興事業団として利用できる、いわゆる中小企業金融公庫の次年度予算というのは一体どのくらいあるのか、流通近代化資金に割り当てられている面はどういうことになっているのか、あるいは小売商業高度化資金、先ほども説明がありました流通安全のために利用できる資金、こういった具体的な資金の内容というのは、一体どうなっているのか、四十八年度と比較をして御説明をいただきたいと思います。さらに、国民金融公庫の場合にも、流通近代化資金はどうなっているのか、小売商業高度化資金もどういうふうになっているのか。いま一つ、生鮮食料品等小売近代化資金というものは、どういうふうに手当てをされているのか、具体的に四十八年度と四十九年度の伸びなど、そういう中身といいますか内容を明らかにしていただければ、親身に振興方針をお考えになっているのか、あるいは予算措置はどうなっているのかということも、もう少し明らかになると思いますので、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/34
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035・小山実
○小山(実)政府委員 まず、中小企業振興事業団の関係でございますが、いわゆる中小小売商業振興法の認定を条件とする貸し付けのワクといたしましては、商業高度化の連鎖化事業貸付、これが積算の基礎の数字でございますが、四十八年度一億八千万円に対しまして四十九年度、今年度は三億五千万円を予定しております。また特定高度化事業貸付につきましては、四十八年度の十八億円に対しまして七十二億円を予定しております。このほかに中小小売商業に対しますいろいろな共同施設貸付とか、あるいは事業団の貸付制度がございますが、これは一般案件というワクの中で処理しておりまして、四十八年度六百九十三億円に対しまして四十九年度は八百三十二億円というふうにふやしておりまして、この中で見ていく、こういうことに予定いたしております。
次に、中小公庫及び国民公庫の関係でございますが、近代化貸付につきましては、四十八年度の四百五十五億円に対しまして五百七十億円、そのうち流通近代化貸付につきましては、二百十五億円に対しまして三百五十五億円を予定しております。次に、構造改善等貸付につきましては、五百十億円に対しまして六百五億円という予定をしておりまして、そのうち小売商業高度化貸付につきましては、八十億円に対し九十億円を予定いたしております。さらに安全・公害防止貸付につきましては、二百二十五億円に対しまして三百三十五億円、うち産業等安全貸付につきましては九十五億円で横ばい、こういうことを予定しております。その他、国民金融公庫におきます生鮮食料品等小売業近代化貸付という制度がございますが、これは四十八年度四百五十億円に対しまして、四十九年度五百三十億円を予定しております。さらに、先ほども申し上げましたが、小企業経営改善資金貸付というのがございまして、これは三百億円が千二百億円、四倍になっているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/35
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036・上原康助
○上原委員 予算面の数字的な面においては、かなり改善をされてきているわけですが、そこで四十九年度、具体的にこれをどう融資し、その実をあげていくかということになろうかと思うのです。
お尋ねしたい次の点は、中小小売商業振興法の四条に基づいて、いろいろ高度化事業計画というのがうたわれているわけですが、先ほどの点と若干重複をするかもしれませんが、商店街の整備事業計画で、実際に商店街として改善された事業というのはどのくらいあったのか、また共同施設の事業としては、どういうふうに改善されてきたのか、あるいは連鎖化事業、共同店舗の面、そういった高度化事業の進捗状況は、先ほど二十六件で、大体その四倍程度というふうにおっしゃっておったのですが、実際に計画が具体化したのは、そういうあれであっても、相談件数は一体どのくらいあったのか、あるいはまた事業診断をした件数というものは、どのくらいあったのか、申請件数とかそういうようなものについても、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/36
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037・小山実
○小山(実)政府委員 先生もよく御存じだと思いますが、この高度化資金の融資制度は、具体的には各県が窓口になっておりまして、私どもといたしましては、毎年度、予算要求をいたしますときに、ある程度各県の要望というものを、ヒヤリングをいたしまして、それも勘案しながら予算要求はしておるわけでございますけれども、各県もまた、具体的には、国の予算が本格的にきまってから、県会でいろいろそれに見合う自己資金の予算要求をするという面もございますので、具体的には、これから本格的にこの制度が、四十九年度の貸し出しが動き出すことになってから、各県のいろいろ要望を聞いて配分を考えてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/37
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038・上原康助
○上原委員 予算の配分とか予算の執行については、当然、そういう手順になろうかと思うんですね。しかし中小企業を、確かに各県なり都道府県で窓口になってやるという面もあるわけですが、全体として掌握をする、実態をつかむという意味においては、もっと国のほうでも、政府のほうでもやらねばいかない問題だと思うんですが、そういう面についての実態の掌握というのはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/38
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039・小山実
○小山(実)政府委員 中小小売商業の事業所数というのは、非常に膨大な数でございまして、それを全部精査いたしまして、具体的に、全国についてこの商店街にこういう計画をというところまでまとめた計画も実はございませんし、また十分調査を行なっていないわけでございますが、部分的ではございますが、先ほど予算を説明した際に申し上げましたように、商業近代化地域計画を策定するとか、あるいは各県の診断等によりまして、いろいろなデータを集めまして、それに基づいて各県からの要望をもとにして事業を毎年度実施していく、こういう運用をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/39
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040・上原康助
○上原委員 どうもそこいらが、行政指導という面あるいは——確かに全国的な実態を掌握するのは、むずかしいということはわかるんですが、そういたしますと、この法律改正の趣旨にも出されているんですが、より的確な情報を収集していく、あるいは実態を掌握していくという意味で改正案が出されているわけですが、どうもいまの御説明では、そういう実態については、都道府県がやる仕事なんで、政府はなかなかできないのだということで、若干矛盾するような気がするわけです。そこらの点はどういうふうにお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/40
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041・小山実
○小山(実)政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、商業近代化地域計画の作成とか広域商業診断とか商店街診断等を通じまして、実態把握につとめてまいるわけでございますが、それでカバーしております範囲というのは、中小小売商業の一部でございます。
今回、お願いしております設置法の改正でございますが、これは中小企業庁に小規模企業部をつくって、人をある程度増員させていただく、さらに通産局にも増員を予定しておるわけでございます。
中小企業行政と申しますのは、もうよく御存じだと思いますけれども、国及び国の出先だけで決して十分カバーしきれるわけではございませんので、中小企業庁としては、こういうことで機構の充実をお願いしておりますが、さらに、それにも増して都道府県なり市町村というもの、地方公共団体と三位一体となっていろんな行政をやっていく、こういうことを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/41
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042・上原康助
○上原委員 そこで、そういった相談件数なり企業の診断件数なども十分つかんでおられないとなると、こういう小規模企業部を設けても、はたしてどういう効果があるのか、疑問をますます抱かざるを得ない気がいたします。
そこで、では具体的に、たとえば商店街の改造事業を進めていくという場合に、政府としてはどういう指導をなさるわけなのか。商店街の改造計画、これも、たてまえとしては、あるいは商工会、協同組合、そういった面が計画を立てて、都道府県なりに上げていく、事業団と相談をする。そこで、それぞれの窓口ということにもなろうと思うのですが、具体的な、政府としての行政指導——商店街の改造計画を進めていく、あるいは職員の研修指導というようなことも、最も大事な点になっているわけですが、そういう面の行政指導ということと、それに充てていく資金の融資というような面は、政府はどういう立場でやっていかれようとするのか、そういったことについてのお答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/42
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043・小山実
○小山(実)政府委員 商店街の振興対策の関係につきましては、商店街振興組合連合会に対する補助、さらに商店街改造計画作成費補助、この予算を計上いたしまして、それを通じていろいろな計画をつくることを助成しているわけでございますが、国の一般的な方針と申しますか、これを直接、具体的にあらわしておりますのは、先ほども申し上げましたけれども、小売商業振興法に基づく振興指針にあらわれているわけでございます。長官も申し上げましたけれども、小売商業と申しますのは、地域的、立地的な分野が非常に多うございますので、なかなか一律に、国としてかくあるべしというはっきりしたものが非常につくりにくいわけでございますので、そういう、ある程度抽象的でございますが、振興指針を受けまして、それぞれケース・バイ・ケースで、都道府県あるいはそれとの関係で事業団等が相談をしながら、それぞれの地域に応じて具体的に即した計画をつくっていく、こういうことを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/43
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044・上原康助
○上原委員 そういった手続面については、私も少しばかり勉強しましたのでわかるのですが、私が申し上げているのは、たとえば中小小売店が経営上最も問題にしている点が、皆さんの御調査によっても出ているわけですね。人手不足の点とか、あるいは他の大型スーパーの進出等によって、いろいろ問題が起きる。また働いている労働者の宿泊施設の問題なり、中小企業を抜本的に——近代化と一口で言えませんが、より安定をした経営方向に持っていくには、そういったきめのこまかいところまて配慮をしないと——確かに画一的にできない。地域性があるし、また、それぞれの商法なりが地域、都道府県にあるわけですから、上から押しつけはできないにしましても、そういった面に対しては、金融面のてこ入れ、利子を安くしていくとか、あるいは融資ワクを広げていく、そういったことは、都道府県の仕事というよりも、むしろ国が積極的にやるべき業務だ、政策だと私は思うのです。そのことをお尋ねしたいわけですよ、私の質問のまずさもあるかもしれませんがね。
そうでないと、何か都道府県やあるいは各協同組合なり、商工会なりそういった面が自主的にあげてこなければ、それに対してどうと言えないというようなことでは、先ほど言いました基本的な中小企業対策というものが、今日の状況下で、実際に政府がこういう法律もつくりました、こういうふうに中小企業にはいろいろの予算措置もやっていますと言ってみても、なかなか具体的に実が結ばない。そのことが、いまさきの件数になってあらわれていると思うんですね。そういう面については、政府はどうやろうとしておられるのかということを、お尋ねをしているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/44
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045・外山弘
○外山政府委員 先ほど申しました認定件数が少ないというのは、今回の法律に基づいて新しく打ち出しました制度の認定が少ないということでございまして、実は、小売商業問題というのは、先ほども申し上げましたように、従来からもいろいろな施策がとられておったわけでございます。そして商店街の共同施設とか店舗の共同化、商店街の改造につきましても、すでにこの振興法制定前にも幾つかの実績はあるわけでございます。
ただ、これを一そう助長し、かつ公共性の高い内容を持ち、かつ零細企業も有利に利用できるというふうな配慮のもとに、新たに法律の根拠を置きまして、税制、金融上の措置を加えて、そして金融上も、従来の措置よりも一そう緩和して、その対策の推進に当たろうということでございまして、国の心がまえとしましては、そういった中小企業者の計画に対して、従来よりも増した金融、税制上の配慮をいたしましようということを鮮明にしたわけでございます。その内容は、振興指針でこれをうたっているわけでございます。
ただ問題は、御指摘のように、それでは、それが実現を見るために、政府はもっとどういうことをすべきなんだろうかという角度から見ますと、ただ制度を用意しただけでは、やはり不十分でございます。これは中小企業政策のもう一つ基本的な大事な柱として、指導診断という事業がございます。これは、やはりそのときの情勢に応じまして、また相手の業種によりまして、また相手の地域によりまして、きめこまかく指導診断が行なわれれば行なわれるほど、それだけ有効に中小企業政策も利用されるし、また結論としての中小企業者の発展も期せられるわけでございます。そういった角度で見ますと、この小売商業振興法を生かすもう一つの大事な点が、指導診断にあるということを、私どもも思うわけでございまして、先ほど中小小売商業振興法に基づく今後の考え方はどうかという御指摘に対しても、その点を一つの柱として申し上げた次第でございます。
そういった意味におきましては、今後も小売商業に対する指導診断ということは、大いに強化していかなければいけない。これは振興事業団のやる診断もございましょうし、あるいは都道府県のやる診断に対する助成もございましょうが、両々相まってわれわれはそれを強化していかなければいけないと思います。同時に、具体的に中小小売商業者が、一つの商店街の近代化を考えるというた場合に、これを、その地域の実情に即してどういう内容にすることが妥当であるかということの具体的な事前の診断、これは非常に具体的でございますけれども、それがまた非常に大事だと思います。
それがしっかりしておりませんと、金融上の配慮がつながっても、結果として、はたしてうまくいくかいかないかという問題があると思います。また、そういうことを配慮する場合の診断の内容は、小売商業の性格から見て、非常に地域性があるということが問題でございまして、どこの場所でやったことが、そのままどこの場所にも当てはまるというようなことは、必ずしもないかもしれません。大きさの上におきましても、整備すべき施設の内容につきましても、いろいろ差はあると思います。しかしその辺が、指導診断の生かし方にもなるかと思います。
私どもは、そういうことを助長するような人の養成にもつとめなければいけませんし、また振興事業団が、そういった資金上の配慮をするにあたって、事前の診断を的確にするということについての指導もしなければいけない。両々相またないと、なかなか小売商業の振興、そのための商店街の近代化なり店舗の共同化、その他のボランタリーチェーン等の共同化事業というのも、結果として実りの多いものにすることが、なかなかむずかしいというふうな問題も介在しているのではないだろうか、こういう自覚のもとに、私どもとしては、先ほど申し上げました三つの柱を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/45
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046・上原康助
○上原委員 たとえば具体的にお尋ねしますと、確かに税制面、金融面の措置をやってきているのだということですが、国民金融公庫からの貸し付け条件ですね、いわゆる貸し出し限度というのは二百万円以内、ただし運転資金というのは五十万円を限度とする、こういうふうになっているわけですね。そういたしますと、現在のいろんな物価高の状況から、はたして運転資金は五十万円を限度にするんだというようなことで、いまおっしゃるように税制面あるいは金融面でいろいろ緩和をし助成をしていくのだということですが、中小企業が経営をしていく、企業を合理化をしていく、そういうことに実際の融資ワクというもの、限度というものがマッチしているかどうかということは、当然、政府の立場で検討をしてしかるべきだと思うんですね。
あるいは長期、低利融資ということばをいろいろお使いになり、表現をしているわけですが、実際に長期、低利に値する融資制度になっているのか。そういった面をより改善をしていくお考えはないのかということも含めて、私はいま聞いているつもりなんですが、そこいらについては、四十九年度予算がほぼきまりかけたので、今後ということになるかもしれませんが、実際の現在の経済状況あるいは特に金融引き締めで、もう中小企業の方々は銀行から借り入れができない、そういう状況下に追い込まれつつあるわけですが、そこいらを、もっと政府はどうやっていかれようとするのか、その点もぜひお聞かせをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/46
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047・外山弘
○外山政府委員 私が先ほど申しました法律に基づきます税制上の配慮と申しますのは、小売商業振興法を提出いたしました際に、そういう措置を伴ったわけでございまして、これは、この小売商業振興法自体に伴うものとしましては、一定の減価償却資産につきまして、取得額の十分の一の特別償却を認めるというのが一つございます。それから特別土地保有税の課税対象からの除外というふうなことを、税制上の配慮としてやったわけでございまして、それを申し上げたわけでございます。
それからもう一つ、御指摘の国民金融公庫の貸し出しが、実態に合っているだろうかという御指摘でございますが、これは二つの面がございます。一つは、御指摘の小企業経営改善資金制度、これは先ほども申しましたように、無担保、無保証の制度でございまして、昨年の十月から発足したわけでございます。無担保、無保証という非常に優遇したやり方でやるだけに、これは、できるだけ多くの小企業者に早く均てんしてもらおう、そして経営の安定に資してもらおう、しかも零細でございまして、従業員五人以下の製造業あるいは二人以下の商業というふうな定義でやっているわけでございまして、非常に零細な人たちのために、運転資金の面では、できるだけ多くの人に行き渡るようにというふうな配慮も伴いまして、五十万円という制限をつけているわけでございます。
これは何と申しましても、無担保、無保証というようなやり方でやるわけでございますから、できるだけ多くの人の経営の安定に資するようにという配慮でございますから、実態から見ますと、確かに五十万円で何ができるかというふうな規模の企業もございましょう、しかし実際は、その小企業経営改善資金の目的から見ますと、やはり五十万円というのは、いずれはふやしたいと思いますけれども、それは、もう少し多くの人に均てんしてから考えたい、設備資金だけは、とりあえず初年度百万円を二百万円まで上げて、そして期間も二年を三年に延ばすというふうなことも含めて改善の足取りを少しでも実現していこう、こう考えておるわけでございます。
それからもう一つ、国民金融公庫がやっている問題は、先ほども御指摘がございましたような、いろいろな小売業者に対する近代化貸付がございます。これは小企業の経営改善資金とはまた違っているわけでございまして、冷凍設備を一つ入れるにしても、もう五百万円以上の金がかかるというふうなことも反映して、これは逐年上げてきております。現在は、たしか八百万円が限度だと思いますが、これも一ころに比べますと、だいぶ上げてはきているわけです。今後の大口傾向に対応いたしますと、これでも、またいずれは上げなければいかぬ、こう思いますが、国民金融公庫は、何と申しましても中小企業のまた小さいほうの部分の人たちのお客さんが多いわけでございます。したがいまして、単に実態に合わせてこれだけを大口化いたしますと、国民金融公庫の対象となるべき人の大部分に対して、かえってまずいということもあるかと思います。したがいまして、貸し出し限度につきましても、中小公庫とは違った限度を設けて、これの利用をはかっていく、こういうのが現状でございます。金額だけで時代に合わせるかどうかということは、その制度の内容によって違ってくるわけでございまして、いまの生鮮食料品の近代化貸付といったものも含めまして、実情に合った改善は、いままでもしてまいりましたし、今後もしてまいりたい、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/47
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048・上原康助
○上原委員 趣旨については、ある程度わかるのですが、そうしますと、より広範な零細企業の方々に利用をしてもらいたい、あるいは回転を速める、そういうことで融資ワクを五十万に押えているのだ——ではこの利用者はどのくらいいるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/48
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049・外山弘
○外山政府委員 現在、発足してからの大体の平均で申しますと、十月以降、大体平均しまして毎月一万件ぐらいの零細企業者が、これを利用しているわけでございます。それは四十八年度の十月からことしの三月までの状況でございますが、今後は、先ほども大臣がおっしゃいましたように、ワクが大幅にふえたわけでございまして、それだけ対象となる人は多くなるだろう、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/49
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050・上原康助
○上原委員 それと、先ほど少し申し上げました中小零細企業の場合に、労働力の確保ということと、店員のといいますか労働者の定着率が非常に悪い、そういうことが統計資料にも出ているわけです。そうしますと、定着率の問題というのは、労働条件なり賃金の改善も当然でしょうが、宿泊施設の整備といいますか、共同化も、商店の共同経営なり共同化と同時に、特に五人以下の零細企業あるいは一人か二人しか雇用してないというような家族労働的な面でも、何としても自分の住む場所といいますか部屋を、アパート的なものを持ちたいという強い要望があると思います。また今日の社会状況では、それは当然だと思うのです。
だが、いまの国民金融公庫にしても、いわゆる中小企業三機関といわれているほうからは、そういった面への融資なり資金の手当てというのは、なされていないのじゃないのか、それなども当然考えるべきだと思うのです。それは雇用促進事業団にまかすとかいうことで、そういうところに、より零細企業の方々が労働力を確保できない、あるいは働いてもなかなか定着をしないという逆現象といいますか、が出てきていると思うのです。
ですから、そういうような配慮も、当然この小売業あるいは全体的な中小企業の対策というものを考えるならば、やってよいことだと思うんですが、なぜ、これを除外しているのか、そういった点等についてのお考えと、そういった面も改善する御意思があるのかどうか、もっと低利の、分のいい融資というものを充ててしかるべきじゃないかという気がするんですが、この点についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/50
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051・外山弘
○外山政府委員 御指摘のように、中小企業者が、大企業と比較して人手を集めるのにたいへん不利な点の一つに、いま御指摘の福利厚生施設の問題があると思います。私どもも、中小企業の振興をはかるという意味で申しますと、単に経営の安定をはかるということだけに、あるいは企業の合理化をはかるということだけに施策を限っているのではなくて、もっと広い視野から中小企業の発展をはかるように、つまり、いまのような宿泊施設の問題を含めまして、働きがいのある職場に助長するようなことを、いろいろな面で応援しなければいけないというふうに考えるわけでございます。
ただ、その点、いまも御指摘がございましたが、雇用促進事業団というふうなところがやっているではないかというふうなことを言われますと、その辺の競合ということについても、行政上の問題があるのかもしれません。しかし私どもとしましては、できるだけやはり中小企業のために配慮したいということで、一つ、最近実現を見ましたのが、振興事業団を利用する共同で行なう宿泊施設でございます。中小企業者の一軒だけのものではなくて、中小企業者が共同して自分らの従業員のための福利厚生施設としての宿泊施設をつくろうじゃないか、つまり一種の共同施設でございますが、これをつくるならば、事業団の高度化融資の融資をいたしましょうということで、これをいま実現さしているわけでございます。御承知のように六五%、二分七厘ということでございますから、一般の金融に比べて、かなり有利な貸し付けが可能になるわけでございます。これは、ひとつ大いに利用してもらいたい、こう考えるわけでございます。
そのほかに、御指摘のように政府系三機関、特に中小公庫や国民金融公庫等が、こういった意味の労働上の配慮というものを、もっと融資面に反映させるということにつきましては、引き続き、私どもとしましても、個別金融もやる場合を頭に置いて考えてまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/51
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052・上原康助
○上原委員 いまの御答弁では、共同の場合ですと、振興事業団資金のいわゆる六割五分の二分七厘の融資が受けられるわけですね。従来は、従業員宿舎などについては、雇用促進事業団が融資をしているが、いわゆる九割で、ワクは高いのだが、六分五厘という、これしか利用できないという主張を中小企業の方々はやってきたんじゃないかと思うのです。いま言うこの六割五分の二分七厘の、共同の場合にもちろん条件が限られるわけですが、そういった制度を適用できるというのはいつからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/52
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053・外山弘
○外山政府委員 昨年からと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/53
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054・上原康助
○上原委員 私がちょっと調べた範囲では、そういった面に利用できる融資は、これまではないというような話もあったわけですが、昨年からそういった方法もある。そこで概していえることは、まだまだ中小企業者の皆さんに、政府のいろんな金融制度とかあるいは法律、そういった面の周知徹底というものが十分でないという感を非常に受けるわけですね。いま一つは、公庫を利用する、各種の金融機関を利用する場合も、手続面が非常にうるさくてなかなか利用しない、だから、もうあまりうるさいものだから、信用組合を利用するとか農協を利用するとか、そういった不利益を受けている面もなきにしもあらずと思うんです。
そこで、やはりそういった利用をする場合に、無保証、無担保ということもあるわけですが、それにしても非常にきびしい条件——借りるほうにとっては、まだまだきびしい条件と感ずるでしょう。ですから、そういった簡素化ということも、この際あわせてやるべきだと思うんですが、そういった点は、どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/54
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055・外山弘
○外山政府委員 周知徹底という問題は、私どもも、いろんな中小企業施策についてどの程度承知されているだろうかということを、ときどき調べているわけでございますが、何と申しましても、中小企業の層が広範でございますし、同時に、零細企業の方々になじむ制度、信用補完制度とか国民金融公庫の制度とか、そういったものの普及率、周知徹底率というものが一番高い業種、業態に即していろんな施策がとられるだけに、中小企業全般から見ると、周知徹底のされ方について、もう少し一くふうも二くふうも要るような余地があるように思いますし、同時に、特定のところによく周知徹底しなければならないということを、あらためて感じさせられることもあるわけでございます。この辺は、私どもも、中小企業施策というものは、利用されなければ何にもならないわけでございますから、できるだけその辺の努力はしてみたいと思います。
それからもう一つ、実際に今度は承知されていても、手続面がめんどうであったりして、非常に困るのではないかという御指摘でございます。まあ私どもから見ますと、ずいぶんその点の努力はしておるわけでございますが、たとえば金融機関一つとりましても、中小公庫のような金融機関になりますと、平素から預金業務をやっておるわけではないわけでございます。そうしますと、どうしても来たお客さんが初めての場合は、その人について非常によく調べると申しますか、よく聞きただすと申しますか、そういう余地が多いことになる。現実問題として一度窓口を通れば、そういうことはないと思いますが、そういった意味で、預金業務を伴わない政府系機関であるばかりに、最初なかなかめんどうなことを要求されるというふうな話もよく耳にするわけでございます。
ある程度やむを得ない点もあるかと存じますが、同時に、政府系機関である以上、できるだけ利用の便がはかられるようにしなければならぬ、こうも考えますので、その辺の指導には、遺憾なきを期するようにしなければいけない、こう考えるわけでございまして、そのほかの点で、いろいろ手続上の問題等がありますれば、そのつど私どもとしては、改善をはかってまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/55
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056・上原康助
○上原委員 中小企業の問題は、いま若干申し上げましたように、いろいろあるわけですが、特に沖繩の場合ですと、まず組織化されていないという大きなハンディといいますか障害が現在あるということ、さらに復帰前には、中小企業対策というのがきわめて不十分であったということなどあわせて、本土の中小零細企業の皆さんよりも各種制度を利用していく、あるいは金融面においても、なおかつ深刻な問題が現在出ているわけですね。
特に後ほど、ちょっとお尋ねしたいのですが、海洋博の関連工事がどんどん進捗していくのと相まって、中小企業の受けている金融面あるいは労働力不足その他の面での圧迫というのは、本土以上にきびしい面があるのじゃないかという気がするわけです。
そこで、今度の法案改正の中でも、若干そういう面は補強されているような感も受けるのですが、沖繩の中小企業対策について、どのように実態を政府の立場で掌握をして、今後どういう方向で、少なくとも本土の中小企業が受けている水準、制度なり行政面、金融面を含めて、そういう水準に引き上げていくために、どう具体的に進めようとしておられるのか、そこらについて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/56
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057・外山弘
○外山政府委員 沖繩の事情につきましては、まず第一に、内地の事情に比べますと、中小企業のウエートが非常に高いわけでございます。特に商業、サービス業の割合が高いというふうな実情にございまして、大企業の割合が非常に少ない。つまり大部分が中小企業の分野に属する状態にあるということが一つの特色だと思います。それからもう一つは、それなのにかかわらず、いま御指摘のございましたように、協同組合の組織率とかあるいは商工会の指導員の設置とかいう点になりますと、内地の平均よりも、またはるかに悪いわけでございまして、組織率も低いし、それから未設置の商工会等も数が多いというような実情にございます。何と申しましても、その辺のギャップを埋めていくことが、まず基本的に大事だろうと思います。
そして組織化という中小企業の振興のための最も大事な基礎的な事情につきまして、これを大いに進めていくということ、さらには診断指導のためにも、商工会等の動きというものが、せめて内地並みになるように、私どもも指導員の強化なり、未設置商工会の設置への指導なり、そういったことについての配慮を、今後は基本的にしていかなければいけない、こう考えるわけでございます。
さらに内地では、中小企業対策がいろいろな面で、近代化の促進というふうな面あるいは技術指導といった面あるいは診断指導といった面で、いままでそうした環境変化の中で、いろいろな充実した措置をとられてきているわけでございますが、しかし沖繩の場合に、そのままそれを適用しただけでは、決して十分ではないのではないだろうか。近代化の問題一つとらえましても、やはり業種上の特殊性もあると思います。それから従来からやってまいりました経緯もあると思います。その辺も踏まえて、具体的な実情に即した中小企業振興策の適用ということを、私どもは今後も進めてまいりたい。両々相まって、今後の沖繩の中小企業に対する振興対策について、私どもとしては、努力をしてまいりたいと思います。
また、特に金融上の問題につきましても、信用補完措置、これについての保証料率が高いというふうな点も、内地と比較しての一つの問題点だろうと思いますので、この辺も今後、改善の余地が非常にあるというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/57
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058・上原康助
○上原委員 そこで、いまちょっと相対的なお答えがあったのですが、本土ですと、国民金融公庫そのほか利用できる金融機関というのが沖繩よりあるわけですね。しかし沖繩の場合は、御承知のように開発金融公庫に一本化されている。これも復帰特別措置法を審議する過程で、若干議論になったことですが、窓口を一本化したことによって、ある面では、中小企業の皆さんの金融機関の利用度という面で、本土よりもハンディがあると思うんですね。
そういう点については、どうお考えになっているかということ、さらに企業の指導員あるいは補助員なども、四十八年度より若干増員をしているわけですが、いま長官から御説明がありましたように、そういった大きな格差があって、組織化もまだ非常におくれている、本土に比べて。なお、金融面においても、いろいろな利用価値といいますか、利用する面でチャンスが少ないというような問題を考えた場合には、指導員とか、あるいはこういった中小企業対策に従事をしていく職員の定数については、もっと政府の立場で、人員を確保して、それなりの指導をさせていく、予算措置も含めてやるのが、少なくとも本土並みに引き上げていく上において非常に重要だと私は思うのです。大切なことだと思うんですが、今回出されている法案の中では、若干の増員はしているものの、まだまだ不十分な感じを受けるわけです。
そういった面については、これで十分やっていけるというお考えなのか。現在の開発金融公庫で中小企業関係のいろいろな融資もやっているわけですが、それも、ずっとそういう方向でいいというお考えなのか。開発庁もいらしておると思いますので、あわせてこの組織化の問題、いまの金融面の手当ての件を含めて、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/58
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059・外山弘
○外山政府委員 前半の点につきまして、私から先にお答えをいたしたいと思います。
沖繩開発公庫の中に、私どもといたしましては、中小企業に対するワクというものを設けまして、そして、できるだけ中小企業に対する配慮をした資金融資ができるようにということをお願いもし、また開発庁も、そういう指導をしているわけでございまして、その辺の行き方で、当面、私どもとしては、いいのではないだろうか、こう考えるわけでございまして、将来の問題として、どんな事態が起こるかによっては、また考えなければいけないかもしれませんけれども、当面は、それでよろしいのじゃないか。そして同時に、商工組合中央金庫というような組織金融、これは協同組合とうらはらになって金融上の活動をするわけでございますが、これは別個に沖繩に事務所を設けるというふうなことで、取り運ばれているわけでございます。ですから、両々相まって、中小企業金融は適切に動けるのではないかというふうに期待をしているわけでございます。
それからもう一つ、指導員の増加についての御指摘でございますが、これは、私どもも先ほど申しましたような前提に立ちまして、できるだけ指導員の増員に今後とも努力してまいりたい、こう考えます。
あとの点につきましては、沖繩開発庁のほうからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/59
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060・松岡宏
○松岡説明員 沖繩振興開発金融公庫の総合公庫としてのあり方につきまして、御説明をいたしたいと思います。
上原先生御指摘のように、沖繩振興開発金融公庫は、本土でいいますと、開発銀行、国民公庫、中小公庫、農林公庫、住宅公庫、医療公庫、環境衛生公庫、こういったような各種政策金融機関を一元的にまとめたものでございますが、この総合公庫であるところの基本的なメリットは、資金種別間の資金の総合的な、効率的な運用ということでございます。この具体的な事例といたしまして、昭和四十八年度におきましては、中小企業関係の資金、すなわち本土で申しますと、国民公庫と中小公庫に相当する資金、これが当初予算において百三十三億円準備されておりましたのですが、四十八年度の実績といたしましては、約二百二十六億円の実績になっておるということでございます。
〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕
これは年末におきまして、中小企業に対する追加の割り当て額というようなことのほかに、その他の資金種別におきます余裕部分を、中小企業のほうへ回して、重点的に運用をしたという結果でございまして、当初予算に対して約七〇%の増額が実績として実現しているということは、ひとえに沖繩公庫が総合公庫である、そして四十八年度においては、他の資金需要に比較いたしまして、相対的に中小企業の資金需要が強かった、それに弾力的に対処し得たという結果でございまして、この点は、沖繩の地元の有識者を中心といたしました沖繩公庫の運営協議会におきまして高く評価され、やはり沖繩には総合公庫を設けてよかったというふうに、現在、評価されているところでございます。今後とも、この総合公庫のメリットをますます高めて運営してまいりたい。沖繩開発庁といたしましては、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/60
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061・上原康助
○上原委員 やっているうちに時間が来たようですので、あと二、三点、急ぎたいのですが、いまの説明は、聞いていると、確かにりっぱだと思うんですね。しかし、その二百二十六億の金が、一体どういう企業に具体的に融資をされたかという中身、これは、あとでいいですから、資料も出していただきたいと思います。
そこいらが問題であって、当初予算が百三十三億であったのが二百二十六億になったのだ。数字を言えば、それだけ中小企業の皆さんが利用したということになっていると思うのですが、実際問題として、これはもっと検討すべき問題があるわけですね。海洋博ブームに当てられて、実際の中小企業じゃない方向に行った面がないのかどうか、そういう疑問もわれわれとしては持つわけですよ。
特に、これは総合事務局がつくっている資料を見ても、沖繩の最近の金融動向というのが、預貸率にしても、本年の一月末で民間金融機関の預貸率というのか、実に八七・五%——九〇%近く来ているわけですね。それだけに金融情勢というのが非常に逼迫をしておる。この一点を見ても、いかに中小企業の皆さんが、開発金融公庫を窓口にして、いろいろ——私は、その努力は買いますよ。わかるのですが、もっと重点的な政策をいまやらないと、たいへんな結果になるということも申し上げておきたいと思うのです。
さらに、中小企業で、四十八年度において、九月から十二月に一千万円以上で、すでに銀行の取引停止処分を受けた中小企業なり、いろいろあるわけですね。八件も出ている。先ほども申し上げましたように、今後、沖繩においては、そういった——本土もそういう傾向、危機にあるでしょうが、より以上に、銀行の金融情勢を見て、預貸率の面、いろいろな面を考えても、中小企業に与えている影響というのは、大きいと思います。ですから、窓口を一本化して、総合金庫みたいになっているかもしれないのだが、多くあれば多く利用できるという主張もできるわけですから、そこいらについても、金融の手当ての問題と実態というものをぜひ十分つかんでいただいて、対策を早急に考えていただきたいということを強く要望をしておきたいと思うのです。
そこで、あと二点ばかりお尋ねをしたいのですが、これは大臣のほうにお答えをいただきたいと思うのです。
一つは、通産大臣は海洋博の推進本部長でもあられるし、担当大臣ですから、簡単にお尋ねしたいのですが、いろいろの事情で海洋博の開催が、三月二日から七月二十日に延ばされて、現在いろいろな問題をかかえながらも進んでいる。特にこの間、沖特の皆さんが行って聞いた段階でも、いわゆる輸送の問題、海洋博期間に本土からあるいは外国から沖繩までの輸送をどうするかということと、また沖繩へ行ってからの本島内の、那覇周辺から会場までの輸送をどうするかということは、関係者は自信がないというんですね。そういう状態。
いま一つは、宿泊の問題をどうするのか。これなども、ただ県や関係市町村にまかせばいいという問題じゃないと思うんですね。これまでも物価問題あるいはその他いろいろ委員会などでも要望を申し上げたり、指摘をしてきましたが、一体、政府の立場でこれをどう具体的に解消していく政策を進めようとしておられるのか。この点はきわめて重要な問題だと思いますので、お考えをいただきたいということ。
また、海洋博に対して担当大臣として、関連工事の現在の進捗状況などを勘案して、政府が当初言っておられたような形で、はたして十分その期間、開催できるのかどうか。私は、残念ながら、まだ非常に危惧の念を抱かざるを得ません。その点を明確にしていただきたいということ。
いま一つは、海洋博は起爆剤だということを言っていましたが、ポスト海洋博と沖繩の振興開発なり、そういったあと利用の問題は、担当大臣としてはどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/61
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062・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 海洋博の進捗状況は、開催を昭和五十年七月二十日と延ばしましたので、この間も前田顧問に行ってもらって、報告も聞きましたが、大体、順調のようであります。基幹施設や民間展示館の建設等も着手いたしておりますし、日本政府出展施設も、海洋文化館、水族館等もすでに着工の運びであります。
御指摘の輸送関係、それからホテル関係、それから医療関係、そういう点についても、われわれはかねていろいろ心配しておるところでございますが、これらについても、運輸省や厚生省その他とも連絡をとりまして、大体心配がないという方向に進め得ると考えております。具体的には担当者をして御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/62
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063・森口八郎
○森口政府委員 大臣がお答え申し上げましたように、海洋博の会場の建設は、大体予定どおり進んでおりまして、会期に十分間に合うというような状況に相なっておるわけでございます。
御指摘ありました問題の宿泊、輸送の点につきましては、現在いろいろな手段を講じております。輸送につきましては、道路整備を急いでおり、さらに本土からの輸送につきましては、航空機の増便等について目下検討を重ねておりますが、何ぶんにも会場と那覇市というのは、御存じのとおり非常に離れておるところでありますので、その点について、さらに一そうの輸送対策の検討が必要かというように考えております。
宿舎につきましては、ホテル等の整備が、御指摘のとおり現在ある程度、民間のほうのホテル建設はおくれておるわけでございますが、これを補完する措置というものを、現在、私のほうと沖繩県といろいろ相談をいたしておりまして、宿泊についても、問題のないように対処いたしたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/63
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064・上原康助
○上原委員 この点は、またいずれお尋ねもしたいのですが、そう楽観は許さないと思うんですね。特に会場周辺の宿泊施設といいますと、開催期間中、会場周辺に必要な職員といいますか、労働者の数でも四千から六千人といわれているわけですね。その方々の宿泊施設は、一体どうするかということもまだめどが立っていない。ましてや五百万とも一まあ、こういう引き締めムードですから、あるいは五百万までは行かないかもしれませんが、三百万前後行くとしても、六割ないし五割程度の宿泊しか確保できないじゃないか。先ほど申し上げた金融逼迫で、ホテルをつくろうにも、民間企業もなかなか手が出ない。そうしますと、当然、国の行事であるならば、仮の宿泊施設というものは、政府の立場でも緊急対策としてやらざるを得ない場面も出てくると私は思うのです。そこらもあわせて、この点はお考えにならないと、ますますたいへんな混乱が起きるのじゃないかという気がしますので、特に御配慮をいただきたいと思います。
そこで、最後に一点だけお尋いしたいのですが、冒頭申し上げましたように、電力料金の値上げ問題が、新聞報道なりいろんな面で出ております。最近のインフレ、物価上昇の状況下で、東京電力が平均で六八・一%、中部電力が平均で七七・七%、あるいはほかの残された七社についても、おそかれ早かれ申請が出るというふうにいっているわけですね。そういたしますと、電力料金のあとには私鉄の運賃の値上げ、トラック運賃、秋には国鉄、消費者米価と軒並みに公共料金の値上げが待っている。ますますインフレの中で物価高ということになりますと、庶民、国民大衆の生活というものが圧迫を受けるのは、火を見るよりも明らかだと思うのです。
田中総理は、ついこの間まで、石油製品価格の引き上げは認めても、電力の値上げは認めないという主張といいますか、言い分を、国会でも、あるいはマスコミを通して言ってこられたのだが、最近の状況からして、ある程度の値上げはやむを得ないという言い分も、主張もありますし、また、もし電力会社が主張しているような、大幅な値上げがかりに認められたという場合は、それこそ国民生活はずたずたになる危険性にさらされると思うのです。
担当大臣として、この問題について、どう対処していかれようとしているのか、通産省としての方針はきまっているのか、これは電気事業審議会などでも、これから審議をして、最終的には、経企庁なり閣議なりいろんな面で総合的に検討して結論は出されると思うんですが、あまりにも大幅な値上げを断行された場合に、一般家庭の電灯料を含めて、それのはね返りであらゆる製品に物価高というものを誘導していく、誘発をしていく、また、何とか下降現象とはいわないにしても、ようやく停滞しつつある消費者物価なり卸売り物価というものを、さらにコストプッシュをするという結果を招くと思うのですが、これに対する担当大臣としての所見を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/64
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065・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 電力の問題が物価に及ぼす影響については、われわれも慎重に対処しようと思っております。電力会社から申請が出始めておりますけれども、これらの査定にあたりましては、物価等も考え、また国民生活等も考え、エネルギー事情等もまた考え、適切にこれを審査しなければならぬと思っております。
電力の物価に対する影響につきましては、いろいろ数字がございますが、われわれが聞いておる範囲内では、ある説によれば、卸売り物価に対しては一%程度であろうという説もありますし、またある説によれば、いや二%ぐらいにはなるという説もございますが、いずれにせよ、これが口実となってほかの物価を値上げするという、誘発をするという口実に使われないように、また便乗値上げを起こさないように、審査についても、まだ時間もあることでございますから、いろいろな物価対策に十全を期しまして、適切な処理をしてまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/65
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066・上原康助
○上原委員 そうしますと、大幅値上げの申請がなされているのですが、現段階において、それをどうするか、結論は出していないということでいいのか、というように受けとめるわけですが、それを、卸売り物価や消費者物価に与える影響はさほどないのだという、これも値上げを認めたいがための予防線かもしれませんが、しかし昨年からの石油危機、石油の問題をとらえても、与える影響というのは、一%以下とか二%前後だということにはならないと思うのです。
先ほど言いましたように、電力料金が認められることによって、次はやれ私鉄だ、次は消費者米価だ、トラック運賃だ、あらゆる面に波及していく。タクシーだって、またやりかねない。そのことも含めて判断をしていただきたいと思うのです。かりに、よしんばある程度の値上げというものは、やむを得ないというような結果になったとしても、社会的な弱者の立場にある方々、生活保護者とか年金生活者あるいは母子家庭、そういうような家庭に対しては、極力据え置きをしていくとかいう政策、方針なども、あわせて最終的には結論を出すべきだと考えるのですが、この点についても、大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/66
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067・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 申請が出てまいりまして、いずれ審査して結論を出さなければなりませんが、原油の値上げが相当大幅でありますから、これは、ある程度査定をして、認めざるを得ないという情勢にあると考えております。しかし、その際におきましては、御説のように民生及び電力と電灯の落差の問題等につきましては、適切な処理をしていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/67
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068・上原康助
○上原委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/68
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069・徳安實藏
○徳安委員長 鈴切康雄君。
〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/69
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070・鈴切康雄
○鈴切委員 先月の八日の予算委員会の第二分科会におきまして、私は拘束預金、いわゆる歩積み両建ての実態について、福田大蔵大臣、吉田銀行局長、公取事務局長に御質問をいたしました。本日も、中小企業問題にとって重大な問題でありますだけに、この点について触れさしていただきたいと思います。
まず、中小企業庁長官にお伺いいたしますけれども、政府が金融引き締め政策をとられて、いわゆる過剰流動性の吸収をはかってこられておりますが、その結果の影響というのは、むしろ中小零細企業にしわ寄せがされてきております。四十八年一年間の傾向、さらに本年に入ってから中小零細企業の倒産が目立ってきておりますが、具体的に数字によって、その傾向を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/70
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071・外山弘
○外山政府委員 最近の倒産の動向でございますが、負債金額一千万以上の分について見ますと、昨年の八月ごろから、御指摘のように増勢が高まっておりまして、年間の倒産件数は八千二百二件ということで、前年比一四・九%増という程度にとどまっておりますが、後半非常にふえてきているということが一ついえます。さらに四十九年、本年に入りましてから、一月の倒産件数が八百二十一件、それから二月が八百五十七件、高水準が続いておりまして、このいずれも、前年同月に比べまして八割ないし七割の増加でございます。つまり、一月、二月といたしましては、非常に高い件数が示されておるというふうにいえるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/71
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072・鈴切康雄
○鈴切委員 企業が倒産をするということは、これは、たいへんなことであります。社会的な責任、それからまた従業員の問題等を考えたときに、最大の努力を払っているにもかかわらず、あえて倒産に追い込まれたということに対して、企業はいろいろな倒産の理由等があると思いますが、大別してどういう理由があるでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/72
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073・外山弘
○外山政府委員 昨年の後半、やはり物不足問題あるいは原材料の高騰問題、こういったような原因によります倒産が若干ふえぎみになってきた、こう思います。ことしに入りましてから、その辺の傾向がさらにふえてきておる。それからもう一つは、建設業等の業種について、わりあいに多かったのが、つい最近までの状況でございますけれども、ことしに入りまして業種が若干広範になりつつある。繊維業等についても、非常に懸念のある状況が続いておりまして、件数も若干そういった業種についてふえぎみである。むしろ今後は、それがさらに機械工業のほうにまで及ぶと、件数の上でも非常に大きな動きを示しやしないだろうか、こんなような懸念を持っております。
全体としまして、最近は——最近といいますか、ことしに入りましてからの動きは、むしろ金融引き締めと申しますか、原材料問題よりも、そっちの問題のしわのために、倒産する件数が、若干でもそのシェアを広げつつあるのではないだろうかというふうな感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/73
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074・鈴切康雄
○鈴切委員 やはり金融引き締めによるところの影響というものは、大きな倒産の要因になっているのじゃないか、私はこう思うわけであります。昨年の上半期、それから後半、ことしの傾向なんですけれども、金融引き締め等によりまして、倒産の数字もかなり上がってきていると思いますが、大体どのぐらいの状態の上昇率なんでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/74
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075・外山弘
○外山政府委員 先ほども申しましたように、昨年の十二月に九百件台の数字が初めて出たわけでございますが、ことしの一月、二月は八百件台の数字でとどまっております。ただ、これは先ほども申しましたように、一月、二月としては、非常に高い数字だと思います。私ども数字を見る際に、やはり一つのものさしと申しますか——これは、かつて四十三年ごろに数カ月一千件をこえたことがございます。たしか千件台あるいは千百件台のことがございましたけれども、そのころの状態のことを考えますと、今後そういったような傾向になっていきはしないだろうかという懸念が、私どもにはあるわけでございます。今後、状況を注視していかなければならない、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/75
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076・鈴切康雄
○鈴切委員 おたくからいただきました資料を、私も分析をいたしてみました。東京二十三区内の小口の倒産状況、負債金額が一千万円未満というので数字が出ております。四十七年、一千万円未満で倒産をした件数が五千五百六十五件、百七十四億九千二百万円。四十八年、同じく一千万円未満で倒産した件数は五千八十三件、二百十三億八千百万円。件数に対して負債金額が大きくなっていることが目立っておるのであります。さらに昨年の十二月では、一カ月間に五百件、二十七億四百万円で、昨年の最高であります。ことしは昨年の四十八年一月の三百五十件の十二億八千七百万円を、件数にしても金額にしてもはるかにオーバーをして、四十九年の一月には三百七十件で二十二億三千九百万円となっております。
こういう推移から見ますと、先ほど中小企業庁長官が言われたように、小口の倒産もたいへんにふえてきている。しかも、そういう一つの経緯から見ますと、これからさらに大幅にふえていくのではないかというふうにたいへんに心配をされるわけであります。これから四月、五月、六月、そういう月を追うごとにかなりこういう問題が深刻化してくるのではないかというふうに思うんですけれども、その点について中曽根通産大臣は、どのようにお考えになっておられますか。また、それに対して具体的にどういうふうにされようとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/76
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077・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 四月−六月ごろの時期をかなり心配しております。特に繊維、建設業関係あるいは機械、そういうような関係のものについて、特にわれわれ心配していかなければならぬと思っております。
昨年の暮れには、約三千四百億円ばかりの政府系三機関の特別のワクをつくりまして、年末対策をやりました。また本年度末には、三月末までに約五百五億円の同じような対策をやりましたが、これからも情勢によりまして、大蔵当局とも相談をして、そういう万全の対策を講じていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/77
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078・鈴切康雄
○鈴切委員 これで年度はかわるわけでありますけれども、私は、やはり政府関係三機関の中小零細企業に対する融資というものは、今後たいへんなウエートを示してこようと思うわけであります。もうすでに、年度のかわるときを迎えようとしているわけでありますが、その三機関に対して、上半期には大体どれくらいの金額を予測されておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/78
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079・外山弘
○外山政府委員 ことしは、財投につきまして、スタートから二兆円をこえる貸し出し規模を予算に計上しているわけでございます。そして年々ふえてはいるわけでございますが、ことしは伸び率も、ひときわ高いというふうなことで数字を計上しております。
いまのところ、第一・四半期でございますけれども、四−六の第一・四半期につきましては、五千五百億円の計上をしております。これは全体として四分の一を若干上回った金額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/79
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080・鈴切康雄
○鈴切委員 大体、中小企業に対して政府の関係機関が、これをバックアップするということは、私はたいへんな努力が必要であろう、こう思うわけでありますが、政府のほうは、そういうふうな対策をとって中小企業、零細企業に対しての救済をはかる。しかし市中銀行においても、それなりの、中小企業、零細企業に対して、あたたかい手を伸べていかなければならないと、私は常々思うわけです。
ところが、私、この間、予算の第二分科会で質問をいたしました。質問の内容は、大体こういう内容でありましたので、一応質問の内容を申し上げながら、こまかい点に入っていきたいと思います。
歩積み両建ての拘束預金については、これは独占禁止法の「不公正な取引方法」という、すなわち「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」ということで、特に厳重な監視をされ、五月と十一月の二回、実態の上から調査した内容を分析しているのが公取委員会であります。ところが一方、大蔵省においては、五月と十一月に拘束預金について金融機関に報告を求めておられます。その結果、大蔵省の拘束預金の調査表と公正取引委員会との実態に大きな開きがあり、しかも表面的には改善されてきているかのように数字には出ておりますけれども、その実態は全く改善をされていないのです。むしろ内容的には巧妙、悪質になっているのが現状であります。あまつさえ、報告にないやみ拘束預金と金利措置をしていないやみ金利で、これは私が試算をしたわけでありますけれども、数千億円にのぼるばく大な金利をかせいでいるのが金融機関の実態であります。そういう実態を示しながら、しかも大企業に優先をし、零細中小企業に対しては拘束預金を特にきびしい、そういう問題を取り上げた、それが大体の内容の骨子でありました。その上に立って、さらに質問を進めてまいりたいわけであります。きょうは銀行局長をお呼びをしておったのですが、銀行局長、きょうは御都合が悪くて、課長さんがおいでになっているわけでありますが、私は、前に質問をしたその内容から、さらに深く問題を煮詰めていきたい、このように思うわけであります。
そこで、確認をしておきたいわけでありますが、吉田銀行局長は、先般の予算の第二分科会で、拘束預金に関し金融機関が大蔵省に対して報告する拘束預金の調査表の中に、虚偽の報告をしている事実について、確かに私の指摘しているとおりであると答弁され、これについては、少なくとも去年一年あるいはその前に、検査の結果、その事実をつかんでおるものがかなりあります、こう答弁をされておりますが、そのとおりでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/80
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081・米山武政
○米山説明員 先生が御指摘のように銀行局長、確かに答えております。「虚偽の報告をしているということも、そのとおりだと思います。」、こう言っておりますが、「虚偽の報告」という意味が、要するに銀行の報告と銀行検査の結果、そこに両者の間に判断の食い違いというもの等も含んだものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/81
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082・鈴切康雄
○鈴切委員 あなたは、だいぶお話を曲げて答弁をされております。ですから、もう少し前から、私、それじゃ申し上げましょう。私は、こういうふうに言っているわけであります。
私は、やみの拘束預金だというように思うのです。この実態は、それはとても大蔵省が検査をされてもわかりません。
ですから私は、少なくとも国会に、この拘束預金監視委員会あるいは地方の都市にそういうふうなものを徹底的につくって、そして監視しなければ、こんなやみの拘束預金が改善されるわけはないじゃないですか。あなたのほうの、いわゆるこの表面的な拘束預金は、それはだんだんと改善されてくるでしょう。しかし、一方のほうが改善されると、さらに一方のほうが悪くなるのです。これが実態なんですよ。それを裏づけているのが、公取委員会の実態におけるところの、いわゆる拘束預金のアンケートなんです。ですから私は、そういうところまで気を使わないと、この問題は解決しませんよ。あなたは、たとえば銀行に行って調べたって、それは調べようがないじゃないですか。その点はどうなんですか。
私はあのときにこう質問をいたしました。
それに答えて吉田政府委員は、
確かに、お話しのように限界があると思います。検査の場合に限界があると思いますが、しかし、少なくとも去年一年あるいはその前に、私どもが検査の結果つかんでおるものもかなりあるわけでございます。こういうことを繰り返しやり、それから、先ほど先生の御指摘のように、虚偽の報告をしているということもそのとおりだと思います。これについては、今後こういう虚偽の報告をしない、実績をつかむことによって、是正と責任を追及していきたい。それを遠からずやっていきたいというので、いま準備を進めておるのが実態であります。
しかし、何ぶん検査が二、三年に一回ということでございますから、同時点に金融機関を見るわけにはいきません。検査のたびごとにつかんだということをもって、その報告と照らし合わせることによって、その報告をできるだけ真実なものに近づけていくように努力を続けていきたい、かように考えております。
このとおりの答弁が返ってきているわけですが、それに間違いありませんねと、私はお聞きしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/82
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083・米山武政
○米山説明員 御承知のように、これは虚偽の報告ということばの意味が、いろいろあると思いますが、やはり正確でない報告といいますのは、検査の結果と報告は違うという事実が相当見られます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/83
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084・鈴切康雄
○鈴切委員 それじゃ、虚偽の報告じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/84
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085・米山武政
○米山説明員 初めからだましておるというふうな意味でなくて、いろいろ経済の実体の判断でございますので、報告者である銀行と検査官の判定等で、そこに解釈の相違等も相当あります。ただ、局長答えておりますように、一部確かに、事実と違って、単なる解釈の相違というより、ある程度作為的なものも、ごく少数ではございますが、見られます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/85
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086・鈴切康雄
○鈴切委員 それじゃ、虚偽の報告じゃないですか。
またその前に、私、こういうことを申し上げてありますよ。吉田銀行局長は、
ただ、引き締め下になってまいりますと、やはり実際問題として、中小企業の方々はどうしても弱い立場にあり、無理をさせられるというようなことがあることは、私は、いなめないところだろうと思います。現に、私どもが昨年四月から十二月まで、いわゆる定例検査、金融機関の検査をいたしました場合に、四十五の金融機関を調べてみましたところ、件数にいたしまして三百件以上、四百件近く、金額にしても相当の金額が、不適正ないいですか。ここを、もう一度申し上げましょう。
四百件近く、金額にしても相当の金額が、不適正な歩積み預金であるとして認めております。大体、件数にして十三%ぐらいが、やはりわれわれから見て、どうもおかしいのじゃないかというような感じがしております。その結果、そういう金融機関については、全部の債務者についてもう一度調査をし直すように命じまして、あらためて報告を、それらの金融機関から求めましたところ、件数としてはかなり高い件数になっておるというところから見まして、確かに
いま御指摘のような事実はあろうかと思いま
す。こう銀行局長は言っております。正直です、銀行局長のほうがずっと。あなたは、カバーをしようと思えば思うほど、おかしくなる。お認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/86
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087・米山武政
○米山説明員 四十八年の四月から十月に、四十五行、百三店につきまして検査の結果、いま先生御指摘のような件数の自粛対象の未整理預金があったことは事実でございます。ただ、これが全部虚偽の申告とか、そういうものに該当——一部確かにそういうものがあったかと思いますが、やはりこれは、大部分は検査官と銀行の間の判断の相違というものでございます。しかし私どもは、なるべくこういうものは、きびしい目に指導する必要がありますので、こういった点について指摘し、そのとおり改善させるわけでございます。
たとえば、先生御承知だと思いますが、一例を申しますと、手形の割引の際には、一部歩積みとして預金させるのが商慣習でございますが、これも、あんまり巨額になってはいけない。まあ、これは大体割引額の一%ないし二%、累積限度で大体一五、六%というのが、許容される限度でございますが、それを一度に一、二%でなくて、許容される累積限度の一五%の半分くらいの七%くらいやるというようなものがございます。こういう点につきまして、これを虚偽の申告と申すかどうか、その辺判断の差がございますが、私どもは、不適正と認めて、これは不適正なものとして今後直すようにというふうに指摘したようなケースがございます。こうした指摘が大部分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/87
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088・鈴切康雄
○鈴切委員 銀行というのは、信用を旨として、やはり企業の社会的責任を果たそうとしているわけでしょう。それが不適正なそういう内容を大蔵省に報告をして、平然としていられるというものの神経、そして、それをあえて平気で、そのことについて、ただ不適正であるから、それに対してもう一度調べてこい、そういうことをあなたがおっしゃるなんということは、銀行法を全く知らない公務員だといわなくちゃなりませんよ。虚偽の報告をしているということを、あなたここで言っているじゃないですか。虚偽の上の報告をしているのは、銀行法違反じゃないですか。いかがですか。
〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/88
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089・米山武政
○米山説明員 先生、銀行法違反のどの条項を御指摘かよくわかりませんでございますが、銀行法三十四条に、「業務報告書又ハ監査書ノ不実ノ記載、虚偽ノ公告其ノ他ノ方法ニ依リ官庁又ハ公衆ヲ欺罔シタルトキ」は云々、こういうふうに規定されておりますが、その条項に該当するかどうかというふうなお尋ねでございますといたしますと、局長通達に基づく報告が正確でなかった、こういう点が、この「其ノ他ノ方法ニ依リ官庁又ハ公衆ヲ欺罔シタルトキ」、これに該当するかどうか、こういう点なかなかむずかしい問題で、やはり非常に重大なそういう作為をもってした場合には、これに該当するケースがあるとは思いますが、先ほど申しましたように、確かに報告が検査の結果と違ってはおりますが、それが、やはり作為によって、特に重大なそういう欺罔ということを意図したかどうか、そういう点につきましては、いろいろ問題があるのではなかろうか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/89
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090・鈴切康雄
○鈴切委員 あなた、そんなことをおっしゃるなら、昨年、三百件から四百件近く、いうならば不適正であるというふうに指摘した、その内容を全部ここに資料として出してください。私は徹底的にそれを調べます。いいですか。調べますよ。
いまあなたがおっしゃる「業務報告書又ハ監査書ノ不実ノ記載、虚偽ノ公告其ノ他ノ方法ニ依リ官庁又ハ公衆ヲ欺罔シタルトキ」でしょう、「公衆を欺罔シタルトキ」ですよ。あなた、行政指導に関して、金融機関が行政官庁に報告すべき報告書、それが言うならば虚偽の報告をしているわけじゃないですか。虚偽の報告をしていなかったら、なぜもう一度やり直しなさいなんて、そんなことを言うのですか。あなたに、もう一度やり直しなさいという、そんな権限がどこにあるのですか、この銀行法で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/90
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091・米山武政
○米山説明員 先ほどから御説明申しましたように、確かに検査の結果と違う、私どもが、適正でないと思われるようなものが報告以外にあることは、先ほど申し上げたとおりで、しかも、それは相当の件数にのぼっていることも事実でございます。しかし御承知のように、やはりこの経済取引の実態、非常に複雑な問題でございますので、これが一がいに直ちに虚偽であるかどうかというのは、問題がなかなか多いのじゃなかろうかということを申し上げているものでございますが、ただ中には、確かにそういうケースがあると私ども思います。ただ、先ほど申しましたように、一三%がそういうものであるということではございませんということを、申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/91
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092・鈴切康雄
○鈴切委員 そういうものがあるならば、直ちにあなたのほうは、銀行法に基づいて司直にゆだねなくちゃならぬじゃないですか。あなたがそんな指導をする権限がどこにあるのですか、この銀行法に。銀行法にはないのです。すでに「代表者ヲ一年以下ノ懲役又ハ十万円以下ノ罰金ニ処ス」と書いてあります。あなたのほうで十万円のお金を取ったり、懲役にすることができますか。「官庁又ハ公衆ヲ欺罔」したという中に該当するものが、あなたあると言うんじゃないですか。あるというものに対して——全部ではない、それは私もわかります。全部でないかもしれません。しかし、そういうものがあったなら、なぜ、あなたは司直の手にゆだねないのですか。あなたのほうで、そんなものを、ナーナーで書き直してこいなんて言える権限は一つもない。あなたのほうに、拘束預金調査表をちゃんと出しなさい、そういう行政指導はしているにしても、そういう不実な内容を含んだものが出た場合には、あなたたちは、それをきちっと銀行法に照らさなくちゃならぬじゃないですか。そうじゃないですか。どこに、あなたがそれを戻して、言うならば不実というか、虚偽の報告をしているものに対して、直していらっしゃいという権限がありますか。ないのです、銀行法はそんなこと書いてありません。それだけきびしいのです。きびしい銀行法の中であればこそ、その信用も絶大じゃないですか。絶大なんです。これは、まず銀行法第三十四条に抵触しますよ。
それから、第三十五条を読んでください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/92
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093・米山武政
○米山説明員 第三十五条は、「左ノ場合ニ於テハ一万円以下ノ過料ニ処ス」と書いてありますが、その中で先生御指摘の項は、三号で「本法ニ依リ銀行ニ備ヘ置クベキ書類ノ備付若ハ主務大臣ニ提出スベキ書類ノ提出ヲ怠リ、之ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ又ハ之ニ不実ノ記載ヲ為シタルトキ」、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/93
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094・鈴切康雄
○鈴切委員 そうでしょう。そのとおりになっているでしょう。「一万円以下ノ過料ニ処ス」と書いてある。そして、ただしその行為に「付刑ヲ科スベキトキハ此ノ限ニ在ラズ」、それよりもたちの悪いものは、さらに重い刑があるのだということをいっているわけでしょう。そして三号には、「本法ニ依リ銀行ニ備ヘ置クベキ書類ノ備付若ハ主務大臣ニ提出スベキ書類ノ提出ヲ怠リ、之ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ又ハ之ニ不実ノ記載ヲ為シタルトキ」、これは全部不実の記載をなしたからこそ、あなた適正でないといって書かせたんじゃないですか。全部該当するんじゃないですか。だから、銀行法にみんな抵触しているんじゃないですか。どうしてくれるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/94
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095・米山武政
○米山説明員 三十五条の規定の読み方、なかなかむずかしゅうございまして、「本法ニ依リ銀行ニ備ヘ置クベキ書類ノ備付若ハ主務大臣ニ提出スベキ書類ノ提出ヲ怠リ、之ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ又ハ之ニ不実ノ記載ヲ為シタルトキ」、こういうことになっておりますが、御承知のように、本法により主務大臣に提出すべき書類の提出に不実の記載をなしたるときが、この銀行法の第二十条の「主務大臣ハ何時ニチモ銀行ヲシテ其ノ業務ニ関スル報告ヲ為サシメ又ハ監査書其ノ他ノ書類帳簿ヲ提出セシムルコトヲ得」、しかしこれは、この二十条の規定に基づく大臣の依命による通達に基づいてとっているものではございませんで、これは一応、私どもは行政指導に基づく報告の聴取と、こういうふうに考えておりますので、それが不実の記載をなしたるときに、もちろん行政上の責任は追及すべきかと思いますが、この三十五条に該当するかどうかというのは、ちょっと問題があるように思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/95
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096・鈴切康雄
○鈴切委員 拘束性預金に関する報告書というのは、業務報告書の一部分でしょう、一部分にあるんですよ。当然、業務報告書の一部分になるのです。あなたたちは、それを違うといって理屈をつけるでしょう。しかし、これは当然業務です。そのために行政指導に関して、金融機関が行政官庁に報告すべき報告書というものを出しているわけでしょう。いわゆる主務大臣に対して提出するそういう書類等に不実の記載をなしたときには、こういうことになるじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/96
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097・米山武政
○米山説明員 ただいま先生のお話になりました業務報告書と申しますのは、銀行法施行細則の第八条に、「銀行法第十条ノ規定ニ依ル業務報告書」云々と、こう書いてありまして、歩積み両建てに関する報告書は、この銀行法施行細則第八条に基づくものではございません。この業務報告書ではございませんで、昭和四十一年の十一月の「拘束性預金等に関する報告書提出について」という銀行局長通達に基づく、いわゆる行政指導に基づく報告でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/97
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098・鈴切康雄
○鈴切委員 銀行法第二十三条は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/98
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099・米山武政
○米山説明員 銀行法二十三条は、「銀行が法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スベキ行為ヲ為シタルトキハ主務大臣ハ業務ノ停止若ハ取締役、監査役ノ改任ヲ命ジ又ハ経営ノ免許ヲ取消スコトヲ得」、こう書いてございます。この歩積み両建ての報告の不実の記載が、二十三条に該当するものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/99
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100・鈴切康雄
○鈴切委員 それじゃ三十四条に該当するんじゃないですか。三十四条に該当するとあなた言ったじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/100
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101・米山武政
○米山説明員 三十四条は、「業務報告書又ハ監査書ノ不実ノ記載、虚偽ノ公告其ノ他方法ニ依リ官庁又ハ公衆ヲ欺罔シタルトキ」ということで、私どもは、「其ノ他ノ方法」、これでもし官庁を欺罔したるとき、こういうふうに判断した場合には、この三十四条に該当すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/101
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102・鈴切康雄
○鈴切委員 「其ノ他ノ方法ニ依リ官庁又ハ公衆ヲ欺罔シタルトキ」、これに、言うならば三百件から四百件に近い、そういうふうな検査の中に、そういうのもあるだろうとおっしゃったでしょう。それに対して、どうして警察庁のほうの司直の手にゆだねないのですか。そういう場合は、あなたは、こういうふうな問題については、こういう虚偽の報告があるということで、当然、警察庁に言わなければならないのです。警察庁、おられますか。その点、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/102
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103・相川孝
○相川説明員 お答えいたします。
ただいま御指摘のございました点ですが、銀行等の業務に関する指導ということは、行政当局、大蔵省が所管官庁としておやりになっておるわけでございます。私ども、銀行業務に関する犯罪、広く金融犯罪というものに取り組むといいますか、検挙いたします場合には、原則といたしまして、よく関係当局と密接な連絡をとりましてから、実態を把握して、違法かつ悪質なものについて、これを検挙していくというふうな方法をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/103
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104・鈴切康雄
○鈴切委員 まだそういうのは、たとえば銀行局のほうからおたくのほうへそういうふうな通知がなかった、しかし事実そういう問題があった場合には、あなたのほうは独自に、やはり当然それに対しては調査されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/104
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105・相川孝
○相川説明員 この種事犯の端緒といいますか、事実を明確に把握するということは、私どもも常日ごろ情報活動その他でやっておりますけれども、十分把握できるというケースが少ないわけです。そして行政官庁が行政指導を担当しておるわけですから、そういうところと密接に連絡をとりまして、端緒といいますか、そういうものを、通報なり連絡なり、あるいは告発というものによって把握して、捜査を進めていくというふうなケースが多いわけですけれども、しかし私どもの情報活動というもの、あるいは内偵活動の中で、いま御指摘のような銀行法違反だとか、その他の金融事犯というものが認知できる場合がございます。そういうときは、私ども独自でもちろん必要な捜査を進めていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/105
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106・鈴切康雄
○鈴切委員 銀行局は、そういう事実があったときには、直ちに警察のほうへ相談しなければならぬでしょう。あなたのほうで独断でそういうものを判断して、そして、過料とか体刑を加えるなんてことはできるわけがないのじゃないですか。そういう虚偽の報告をしたる者に対しては、こういう問題があるということで言うべきが当然じゃないですか。あなたは、いわゆる金融機関となあなあになっていると言われてもしようがないですよ。そうじゃないですか。この点、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/106
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107・米山武政
○米山説明員 この三十四条に該当するような場合には、やはりそういうことを、法の定めるところによって手続をする必要があると思います。ただ、御承知のように、こうした歩積み両建てと申しますのは、銀行と借り入れ者の間のいろいろの取引の態様がきわめて複雑でございまして、一がいに、これを直ちに法のさばきにゆだねるというのは適当かどうか。やはりこうした問題は、行政指導によりまして、できるだけ改善を加えて、そしてだんだんそういうものの改善をはかっていく。しかも、その過程におきまして、非常に悪質なものにつきましては、その法の定めるところに従ってさばく、こういうことが適当ではなかろうかというのが、私どもの基本的な考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/107
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108・鈴切康雄
○鈴切委員 あなたは改善を加える、改善を加えると言っておられますけれども、公取委員会が実態を調査した状況から見ますと、そんな改善をされている状態ではありませんよ。公取委員会から、昭和四十三年の十回以後の調査結果が出ておりますから、もう十九回ですが、十九回の内容をつぶさに検討してみますと、実態は何にも変わっておりません。あなたが言う、そんなに改善をされるような行政指導をして、直っているという状態ではないんじゃないですか。そういうふうなあいまいなことを、あなたたちがやっているから、だから、金融機関は図に乗って、大蔵省はこの問題については十分に目こぼしをしてくれているという、言うならばなめ切っているじゃないですか。だから変わらないじゃないですか。変わらないのです。十九回も公取委員会が実態を調べた、内容がどれだけ変わっていますか、変わってはいません。片一方が、表面的な数字が変われば、今度裏のほうの数字がずっとふえてくるじゃないですか。また大蔵省のほうでは、このいわゆる歩積み両建ての行政指導を何回やったのですか、回数を言ってください。いままで通達の行政指導を何回やったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/108
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109・米山武政
○米山説明員 これは、いろいろこういう引き締め下に、そうした状況が多くなりそうなときには、そのつど指導はしておりますが、特に大きな指導、通達等によりまして大きな措置をしたものは、三十九年六月、四十一年十一月、四十四年九月の三回でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/109
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110・鈴切康雄
○鈴切委員 そのようにして大きな通達をしたのは三回、小さい通達みたいなものを、歩積み両建てに関してやったのは、もう何回かやっていますね。それでも変わらないんですよ、これは。要するに大蔵省が、銀行法に照らしてこうなんだという断固とした姿勢を示せない限りは変わりっこないのです。いいですか、もう少し今後、大蔵省としては、この問題に対して真剣に取り組んでいかれますか、その御決意をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/110
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111・米山武政
○米山説明員 確かに先生おっしゃるように、最後の手段としましては、法に照らして厳重な処罰をすることもあると思いますが、私どもは、まだまだ行政指導を強化することによって、その状態の改善をはかれる余地がある、こういうふうに思っております。前から、三十九年の通達によりましても、この整理に当たりましては、担当重役をきめまして、その担当役員が先頭に立って十分チェックして報告を出すようにと、こうしております。そうして、その結果、依然として改善が進まないなら、銀行の最高責任者の責任の追及をも含め、厳重な行政上の措置をとる、こういうふうにやっておりました。私どもは、いままで何回か、累次の検査によりまして、そのつど一応警告を発しておりますが、今後、やはり先生の御指摘のように、まだこういう態度を——これから、さらに厳格な行政指導を行なうこととしまして、現在、報告にあたりまして、担当役員のチェックを一そう厳重にさせまして、なお検査の結果と著しく相違があるような場合には、その役員の身分上のいろいろの責任を追及するというふうなことを含めまして、行政上の措置をとるということを銀行に強く伝えるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/111
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112・鈴切康雄
○鈴切委員 役員のいわゆる責任を追及するのはあたりまえなんです。銀行法からいけばあたりまえのことです。そのほか具体的に銀行局長の答弁からいきますと、「虚偽の報告をしているということもそのとおりだと思います。これについては、今後こういう虚偽の報告をしない、実績をつかむことによって、是正と責任を追及していきたい。それを遠からずやっていきたいというので、いま準備を進めておるのが実態であります。」と答弁されておりますけれども、もっと具体的なものがなければ、とてもとてもこの問題は是正されるはずがありません。その点、どんな考え方がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/112
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113・米山武政
○米山説明員 私ども検査の結果、どういう点に、銀行の歩積み両建ての報告について間違った点があるか、そういった点につきまして、よくケースを各金融機関に連絡しまして、報告にあたっては、そういうことの絶対にないように、担当重役が十分チェックして報告するように、それから、もしそうした報告が、検査の結果と違う場合には、責任者の責任を追及する、こういうことで私は相当の効果があがるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/113
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114・鈴切康雄
○鈴切委員 そんなことでは、あがりっこないですよ。たとえば、おそらくあなた方は考えられておると思いますけれども、そういうような状態になった場合には、懲罰的な意味を含めて新しい店舗の進出は認めない、こういう問題とか、あるいはおたくのほうで実態をもっと調査をするという方法を何か考えておられるかどうかという問題もあるでしょう。あるいはこういうような手口でやっているけしからぬ金融機関があるということを、皆さん方が金融機関を集めて言わなくちゃならぬ、そういう問題もあるでしょう。それからまた利用者は、こういう問題については、わからないわけですから、何らか利用者に対して、具体的に、こういうふうになりましたといって知らせる方法だってあるでしょう。そういう点をお考えになっていないのですか。一体どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/114
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115・米山武政
○米山説明員 先ほど申しましたように、最高責任者の責任も含めまして、その他の行政措置も含めて厳格に責任を追及する、こういう中には店舗の問題も当然入るわけでございます。これは銀行にとりましては、一番痛い問題でございますが、私は、その点あまりここで申し上げるのは、何だと思いましたので、あえて触れなかったわけでございますが、当然、行政処分の中にはそういう問題は入ってまいります。
それから、いま先生指摘されましたように、財務局には歩積み両建ての苦情相談所というのが、金融課長が中心になってあります。ただ、これが、いままでは苦情が来るのを漫然と待っていたというのが実情でございます。件数も年に二件とか三件といったような苦情を、ただ漫然と役所のほうで待っている、やはりそうした状態でございますので、もう少し、たとえばこれはアンケートを、あまり記名式でやりますと、ほんとうのことが出てこない場合もありますので、アンケート調査等も役所みずからそうした点をやってみたらどうかというようなことも検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/115
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116・鈴切康雄
○鈴切委員 やらぬよりはましでしょう。やらぬよりはましだと私は思うが、それくらい厳格な大蔵省銀行局の姿勢がなければ、金融機関はこの歩積み両建ての問題については、ちっとも変わってきませんよ。そういう点をさらに研究されて、最後はやはり銀行法を改正しなくてはだめです。どういうふうに改正するかというと、歩積み両建ての拘束預金に関して虚偽の報告をし、金利措置をしない場合は云々ということで、過料を加えるぐらいの内容を当然入れての銀行法改正ということも、今後考えていかなければだめなんです。いいですか。やみ拘束預金は金利措置してないじゃないですか。どうですか。やみ拘束預金は金利措置していませんよ。だから、あなたがどれだけ変わるかは、これからの数字が示すでしょう。あるいは数字は大きくなるかもわかりません。しかし、もう二重構造のやみ拘束預金などというのは、徹底的に追放して、ガラス張りに金融機関はやらなければ、これは言うならば、信用の美名に隠れた全く悪質な行為です。そうじゃないですか。
石油業界は、諸悪の根源であるなんて田中さんは言われたが、金融機関が諸悪の根源です。銀行法を改正して、もし行政指導が行き届かなかったら、それくらいの決意で臨むとあなたは言えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/116
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117・米山武政
○米山説明員 私どもは、できるだけ行政指導を積みまして、改善に努力してまいりたいと思います。それでもなおかつ、依然として改善が見られない場合には、やはりいろいろの方面の検討が要るんじゃなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/117
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118・鈴切康雄
○鈴切委員 ちょっと具体的な問題ですが、あまりひどいので、この点については私は申し上げたいと思うわけです。金融機関名をあえて申し上げます。あまりにたちが悪いから申し上げます。播州信用金庫東支店です。場所は姫路市神屋町であります。そして私の調査によって判明をした相手は、ある建設工業株式会社、そのように申し上げましょうか。さらに、あるというのがわからなければYにしましょう。なぜ私がそう申し上げるかというと、こういう問題になりますと、たちまちのうちにして、また金融機関は仕返しをしかねないから、私はそう申し上げるのであって、それについてあとでそういうことは絶対にさせないということを、あなたが確約してください、いいですね。
実は、借り入れ総額は、昭和四十九年三月五日現在で一億三千万であります。その内訳は、播州信用金庫九千六百万、それから全信連三千四百万であります。拘束預金の内訳について申し上げますと、定期が六千五百万、積み立て利益が五百万、出資金が百万、だいぶ拘束をされております。しかも姫路市の一等地にある家、時価にして一億四千万。ですから播州信用金庫が根抵当としてとっているのは五千万、全信連が根抵当としてとっているのは四千万、九千万です。ですから、一億四千万くらいの時価のものだということであります。これについて、もちろん金利の措置はされておりません。お調べになってください。それから拘束預金の通知、これは、やってないわけであります。
ところが、この内容たるや、まことにけしからぬ内容であります。昭和四十七年四月十七日、この方が二百万円借りたいというふうに信用金庫のほうに申し出をしましたときに、二百万円お貸ししましょう、ただし千二百万円借りたということにして、一千万円は定期にしてください、この定期は拘束されました。それから四十七年九月十六日、前の支店長だという男が業務の成績をあげたいから協力してくれ、こういうふうに言って、定期をお願いしたいというふうに来たのです。そのときに定期を積み立てる金がないと言ったら、不動産から出しますと言って二千万円出して、二千万円その日に定期ですよ。これは悪質な即時両建てじゃないですか。
それから、昭和四十八年の九月の八日、六百万円借りたい、こういうふうに言ったら、先ほどの例と同じように、お貸ししましょう、ただし、二千六百万円借りてください、二千万円は定期にしてくださいと言って、二千万円は定期になっておる。
もう一つあります。四十七年の十一月の二十九日、先ほどの全信連、それからこの信用金庫を通じて設備資金にぜひともほしいからといってお願いをして、その信用金庫を通じて全信連から四千万円を借りた。ところが、その四千万円は、四十八年の一月二十三日付の通知預金として播州信用金庫に保管された。そして四十七年の十二月の六日、その通知預金であったのが、いつの間にか四千万円が、今度は播州信用金庫の借り入れ分に充当されてしまっている。
これは、どういうことなんですか。私、あなたに何も通告をしなかったから、あなたは内容を知らないでしょう。内容を知るはずはありませんが、これではひど過ぎやしないか。全信連から借りた四千万円の金なんというのは、全然、自分が使える金ではないんですよ。そして毎月毎月七十何万円、元金が四十万円、利息三十何万円ずつ払っているんですよ。こんなことを許していいのですか。私は、これがもし事実だとしたら、たいへんなことだと思います。こんなことをされたら、中小企業、零細企業は全部倒産しますよ。このところは幸いにして資産があるものだから、まるで資産に食いついた吸血鬼みたいな状態じゃないですか。それが信用を大事にする金融機関の実態ですよ。直ちに調査しなさい。直ちに調査して、あなたたちが、それに対してどういうことをされるか、報告してください。いいですね。
しかも、この人は勇気をもって言ってくれたと私は思うんですよ、実際において。しかし、その仕返しがこわいと言っていました。仕返しがないように、監督官庁である大蔵省は、その最後まで見届けてあげてもらいたいと思うんですが、よく調べて、その御返事をいただきたい。答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/118
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119・米山武政
○米山説明員 いま先生の御指摘が事実でありますなら、まことにけしからぬ、私どもの通達の全部が無視された措置でございます。厳重に調査いたしまして、何らかの措置をいたしたいと思いますし、お知らせしていただいた方には、絶対に御迷惑がかからないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/119
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120・鈴切康雄
○鈴切委員 公正取引委員会の事務局長さんが来ておられると思いますが、不公正な取引ということ、優越した地位を利用してはいけないということでありますけれども、この不公正な取引というのは非常にあいまいですね。
そこで、昭和四十八年度に、不公正な取引において摘発した例がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/120
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121・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 それは歩積み両建てでございますか。(鈴切委員「そうじゃない、全部です」と呼ぶ)それはございます。不公正な取引方法と申しましても、一般指定、特殊指定ございまして、一般指定はかなりございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/121
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122・鈴切康雄
○鈴切委員 不公正な取引による優越した地位の基準というのは、どこにあるのですか。歩積み両建てに対して、あなた方はどういうふうに基準を考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/122
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123・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 十号の優越した地位の乱用、その基準というのは、なかなかむずかしいのでございまして、業種によって違うわけでございますが、歩積み両建てについては、まだはっきりした基準はできておりません。これは昭和三十七、八年ごろ、いろいろ検討したわけでございますが、実態面、技術面から非常にむずかしいということで、明確な基準はまだ持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/123
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124・鈴切康雄
○鈴切委員 銀行局長をやっておられた方が、公取のほうにお行きになって、やはりこの歩積み両建ては、特殊指導しなければ、とてもじゃないけれども、不公正な取引、優越した地位を乱用した、そういうものに対しては取り締まることはできない、こういうふうに言われて、そのときに検討されたと思うんですけれども、私は、いまこういうような状態になって、どんどん問題が出てきているときこそ、特殊指定をする時代だと思うのですが、検討する余地がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/124
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125・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 これも、なかなかむずかしい問題でございまして、確かに先生おっしゃいますとおり、三十七、八年でございましたか、渡邊委員長、この方は大蔵省から来られた、国税庁長官をしておられたわけですが、何とかして特殊指定をしなければならないということで、おそらく三年ぐらいかかって検討いたしたわけでございますが、技術的にも実態の面からも、何をもって不当な拘束預金とするのか、その具体的な基準づくりが非常にむずかしいということで、そのままになっておるわけでございます。
しかしながら、それと同時に、三十九年から五月、十一月の二回にわたりまして、毎年、五千万円以下の中小企業を対象として、実態調査を行なっているわけでございます。ただ、これは私がするとかしないとかを、事務局長でございますから、きめられる問題じゃございませんけれども、当面いますぐ特殊指定をするという考えは、委員会としては持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/125
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126・鈴切康雄
○鈴切委員 こういう問題が次から次へと出てくる以上は、少なくとも公取においては、厳格な歯どめをかけなくてはならないと思うのです。いままでは、そうであったかもしれないけれども、今後、検討する余地はまるきりないのか。百貨店における特殊指定とか、いろいろ特殊指定がありますが、そういうことできちっと綿密に細分をして、特殊指定をやっているのがあるわけですけれども、そういうことをしないと、歩積み両建ての問題は、ただばく然として不公正な取引ということだけでそれを取り締まることは、全く不可能に近いわけですから、それを今後は検討の課題にしていったらどうなんですか、私はそのように御提案申し上げているんですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/126
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127・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 これは、やはり委員会としてきめていただきませんと、私だけで検討いたしますと申し上げても、事務局だけの見解になりますが、先生の御趣旨は、同感でございますので、十分委員会にもお伝えしたいというふうに考えます。
ただ、一般指定の十号の優越した地位の乱用、これに基づいて、これは最近ではございませんけれども、歩積み両建ての事例を調査したという事例はございます。しかし非常に数は少のうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/127
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128・鈴切康雄
○鈴切委員 公取も、もう少し独立した機関として、あなたたちは実態を調べているのですから、出てきた内容におかしいものがあれば、ただ呼んで指導する、金融機関だから信用を大事にするから、その程度にとどめておこうなんて、そんな——しかも公取委員会の第一条の精神からいいますと、これじゃ全く国民はがっくりきますよ。公取委員会は、そういうふうな問題があったら、さらに細部まで調べて、そして、そういう問題があったならば勧告もしたり、いろいろ摘発もしたりしなくちゃならぬじゃないですか。そういう姿勢があるかどうかということを、私はお聞きしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/128
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129・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 それは、ただ単に年に一回、毎年調査を行なうというだけじゃございません。実際に目に余る過大な歩積み両建てというものがございますれば、これは調査をいたしまして、不公正な取引方法の規定によって処分をしたい、そういう姿勢でいることは、これは間違いございません。
ただ、今後ますます金融情勢が逼迫してまいりますので、より一そう厳重に監視して、違反については是正勧告をしたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/129
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130・鈴切康雄
○鈴切委員 先ほどの播州信用金庫の件につきまして、あなたのほうで調査されるでしょう。それで、こんなひどい状態であれば、あなた方は何らか手を打たなくちゃならぬと思うのですが、そういう問題については、警察庁はよくひとつ大蔵省と連絡をとってください。いまのような内容が許されたら、もう中小企業、零細企業は全部つぶれてしまいますよ。たいへんな金利を払っております。高利貸しと同じだ。ていのいい高利貸しですよ。
だから、そういう点で連絡をおとりになっておやりになるかどうか、調べられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/130
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131・相川孝
○相川説明員 ただいま先生の御指摘を待つまでもなく、先ほど具体的な事例をあげられましたが、よく大蔵当局の調査の結果もお聞きしまして、私ども警察としても、十分に検討を加えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/131
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132・鈴切康雄
○鈴切委員 私も与えられた時間がもうありませんので、結論に入ってまいりますけれども、中小企業庁長官並びに中曽根通産大臣、いまお聞きになりまして、いわゆる金融機関が大蔵省に報告をしている表面的な、言うならば拘束預金とは別に、やみの拘束預金、やみの金利、これを取って何千億という金を、金融機関はもうけているかっこうになっているわけです。そして新しい店舗を、一坪何百万円もする場所に建てて、どんどん増設をしているという状態です。苦しんでいるのは中小企業、零細企業です。こういう状態は、私は見るに忍びない。中小企業庁長官としても、やはりあなたは、零細企業、中小企業を守らなくちゃならない、言うならばその責任者でしょう。また中曽根通産大臣も、そういう点については、御理解のある大臣だ、私は、そのように思っております。
そういう点について、今後どういうふうに、この問題についても、また中小企業の問題についても、取り組んでいかれるか、御決意のほどを伺っておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/132
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133・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 いま事例を伺っておりまして、もし、これが真実であるとすれば、ひどい例があるものだと思いました。われわれが中小企業の金融対策のために、一生懸命やっている裏に、こういう隠れた事実がもしありとすれば、これは、ゆゆしき事態である。今後とも大蔵省と連絡をとりまして、そういうことの絶滅を期し、かつ、そういうケースに落ち込まないように、政府系三機関等を誘導いたしまして、中小企業を守っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/133
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134・外山弘
○外山政府委員 御指摘のとおり、中小企業者にとって金融は、非常に大事な政策でございますし、それが、いま御指摘のような歩積み両建てによって致命的な影響を受けているということになりますと、これは、たいへんな問題でございます。かねがね私どもも、実態をできるだけつかみたいということで、地方の商工会議所とか商工会等を通じて中小企業者のこの点についての不平、不満をできるだけ吸収するようにつとめておるわけでございますが、さっきも先生がおっしゃいましたように、なかなか御自身で申し出てくる人が少のうございます。私どもも実態を、いろいろ大蔵省なり公取等から伺いまして、できるだけ是正のお願いをしてまいったわけでございますが、今後も私ども実態を、少しでもつかめるようにしたいし、また、それに応じて従来より以上に、大蔵省なり公取なりが適切な措置をとっていただけるように、お願いも強めてまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/134
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135・鈴切康雄
○鈴切委員 時間になりましたので、これで質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/135
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136・徳安實藏
○徳安委員長 吉田法晴君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/136
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137・吉田法晴
○吉田委員 私は、中小企業も、特に部落産業の問題を取り上げて、特別措置法に基づく特別措置を御要請したいと思います。
実はお手元に「部落解放国民運動中央行動」という通産省の資料があります。それをごらんいただいて、まず部落産業ということについての御認識をいただきたい。特に通産大臣あるいは中小企業庁長官——うしろにおられます課長さんたちには、何べんもお目にかかりまして、私も過去三回の通産省の交渉に列席をいたしましたし、今日ここで中小企業庁設置法の改正に伴いまして取り上げるについては、私自身が少し実態を知っておかなければなりませんので、振興課長さんに教えられてといいますか、大阪、それから奈良に渡りまして、三、四カ所見てまいりました。それから要望も聞いてまいりました。それを、あとでお尋ねするつもりであります。
まず最初に、通産省に出して、何回か折衝してまいりました通産省に対する要望、「中小企業対策、部落産業についての要望」を中心にして、まず御説明をする意味でお尋ねをいたしたいと思います。
未解放部落というものは御存じだと思います。それから特に同対審、部落問題についての審議会を総理府につくってもらいまして、その答申が出ました。そして、それからその答申に基づいて特別措置法が制定をされました。これは、この内閣委員会で各党の議員提案によって満場一致で成立をした法律でございますが、そのことは、通産大臣あるいは中小企業庁長官は御存じなのかどうか。これをまず承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/137
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138・外山弘
○外山政府委員 よく存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/138
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139・吉田法晴
○吉田委員 それでは、過去何回か——実際には中小企業庁次長が何回か出られました。長官も出られたことが、あるいはあるかもしれないと思うのでありますが、その模様はお聞きになり、どういう要望を持っておるかということも御存じでしょうか、あわせて承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/139
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140・外山弘
○外山政府委員 実は私、長官になりましたのは、昨年の七月でございますが、その二年前に次長を、一年半ほどやっておりまして、当時と問題が同じものもございましょうし、さらに情勢の変化の中で新しい要求もございますと思いますが、当時、一年ほどこの問題には取り組んだ記憶がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/140
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141・吉田法晴
○吉田委員 これは、時間をかけて説明をしなければなりませんけれども、大臣は、部落問題あるいは特別措置法、それから通産省関係でどういう要望をしておりますかは、御存じでございましょうか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/141
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142・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 私も特別の関心を持ちまして、りっぱな政策をやりたいと念願しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/142
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143・吉田法晴
○吉田委員 私も三、四度、一緒に交渉いたしましたが、正直に申し上げまして、よくやっていただいていると言いたいのですが、どうも画期的な法律ができたにかかわらず——それから、これは十年間の時限立法で、五年をすでに過ぎております。この部落産業について、決定的な対策が立てられ、そして進んでおるかといいますと、努力はしていただいておりますが、残念なことに、まだこれこれと、それからこの調子でいけば、この問題は片づくというところまでいっていないことを残念に思います。そして正直申し上げまして、そのことは、実際には部落問題というものについて、あるいは部落産業というものについて御理解がないのではないかと思います。
そこで、部落問題について若干申し上げますけれども、農村でいいますと、封建時代に、徳川時代に部落がつくられた、あるいは部落差別が完成されたといいますが、土地を離れた農民が、これは罰も含めてでございましょうけれども、田や畑の生産土地から隔絶された山陰やあるいは堤防の下であるとかあるいは湿地であるとか、そういうところに住みついて、生産の土地は与えられなかった、あるいは耕すことを許されなかった、そこで条件の悪い一部に住みついて、死んだ馬や牛の死体を片づけるとかという仕事を始めた。
ですから、遠くから見ますと、家もみすぼらしいし、あるいは道も狭く、曲がりくねって消防車も入らぬ。遠くから見て、あそこは部落だということはわかると先輩等も数えてくれたり、私ども見て回っても、そういう感じがいたしました。そして上下水道もなければ、あるいは区画整理や土地改良も行なわれないで——私、北九州で市長をしておりました間に、小倉やあるいは八幡で水道を引きました。市になって何年たったかといいますと、三十年たっておる。ですから、市に合併されても、三十年も行政の恩恵に浴しなかった。おそらく何百年と政治なり行政の恩恵に浴していないと思うのです。そのことについては、おそらく皆さんも、十分御存じないのではなかろうかと私は思います。
部落産業についていいますと、いわゆる原始蓄積はありません。イギリスの産業革命に代表されますけれども、資本主義の発達の初期は繊維産業、軽工業ですね。それにしましても、原始蓄積がなされて産業が興ってきた。日本の場合にはどうしてこれが行なわれてきたか。あるいはその間に、封建的な生産関係あるいは労働の関係が利用され——日本の資本主義の発達の特殊性を、ここで長々と述べようとは思いませんけれども、実態を見てみて、とにかく蓄積はありません。封建時代の、皮をはいで、そして加工をしておったその当時の工場に以たようなものがやはり使われている。
皮革産業を、大阪であるいは奈良で三、四カ所見てまいりましたが、それに対して特別措置法というか、特別な措置をしておる、あるいは近代化資金も借りられます、こういいますが、いまから申し上げますけれども、共同化をすることによって、近代化におくればせながらでも追いつこう、土地を県、市等で確保してもらって、そこで四十軒あった皮革産業、なめしの仕事に従事する人が、もう十軒ほどになっているが、その人たちが、共同で仕事をすることによって設備を新しくし、そしてまた、協業的近代化をはかろうとするけれども、それに対しては金は貸します、融資はあっせんいたしますけれども、補助はいたしません。
いわば前近代的な生産方法をやっていて、それか、おくればせながら——日本でいいますと、明治の初めから今日まで百年かかっております。その百年おくれているのにおいつこうとするのに、特別な措置を講じてやらなければ、これは、どうにも追いつけないというのが実情であります。
他方、皮革の関係でいいましても、皮革の輸入から販売あるいはくつの製造あるいはなめし、そういう皮製品の生産、販売の分野に大資本が入ってまいっております。私の県でいいましても、久留米の日本ゴムあるいは月星ゴム等は、昔は和服ではくたびをつくっておりました。たびから地下たび、そして、このごろではズック、すでに紳士物のくつも、大量生産をしております。イタリアと技術提携をして、日本ゴムや月星ゴムがくつをつくっている。そこで、くつをつくっている産業を見ますと、女のくつは流行が激しいし、いろいろあるから、辛うじてつくっておりますけれども、紳士ぐつは大企業に対抗すべくもない、こういう実態であります。
その実態に対する要望が、お手元でごらんいただいております通産省に対する要望になっておるところでありますが、最初、通産大臣なり企業庁長官に、この部落産業に対する特別措置法に基づく通産省なりあるいは中小企業庁としての指導、援助の決意を、ひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/143
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144・外山弘
○外山政府委員 同和地区の部落産業が、同じ中小企業ではございますけれども、中小零細企業としての弱点と申しますか、そういった点を、ことさら強く持っている存在である、そして、そういったことを配慮して、中小企業政策の中でも、とりわけその点を頭に置いた助成措置を考えなければいけない、こういう基本的なかまえ方で、私どもとしては従来やってまいったつもりでおります。
もちろん御指摘のような、たとえば共同化の事業を助長するということは、中小企業がみずから育成されていくと申しますか、向上していくための非常に重要な手段でございますが、その共同化に対する助成手段につきましても、他のもの以上に有利な条件というものを、この部落産業には必要であろうというふうな配慮もできるだけしているつもりでございますし、また、たとえば輸入の自由化問題あるいは資本の自由化問題におきましても、部落産業の関係の融資というものにつきましては、やはり特別な配慮をするようにお願いもし、また事実そういう取り計らいもしていると思います。
それから、金融につきまして、金を貸すだけであって、ただの金は出さぬのじゃないかという御指摘がございましたけれども、これはなるべく自己リスクのもとにこれが向上することが基本であるというかまえ方で、金融上の配慮はいたしますけれども、技術関係の問題あるいは指導関係の問題、そういうことに対しての一般会計の助成は、できるだけ強化する、指導員もふやすし、助成対象もふやすし、かつ産業振興のための委託費といったものも強化するということはいたしますけれども、金融上の手段でこれを応援していくというかまえを基本に持ちながらいろいろくふうしていく、そういったような基本的なかまえ方でいままでやってきておるつもりでございますし、そういう態度で、やはり部落産業の実情に即した、中小企業対策の中でも、とりわけそういった点を考慮した政策を今後も充実していくべきであろう、こういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/144
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145・吉田法晴
○吉田委員 普通の中小企業対策だけではいかぬという点は、お認めいただきましたが、それから先については、金融的な援助はする、特別に金融の措置あるいは金融についての利子補給でありますか、何でありますか知りませんけれども、多少特別のものを考えよう、しかし、それ以上のことは、やはり云々というお話、私ども、やはり通産省、特に中小企業庁と折衝をしておりまして、資本主義のことだから、レッセフェアの原則が働くということは、わからぬことはありません。しかし中小企業対策で、大資本と対抗をして、それこそ大きくなるものは大きくなって、小さいもの、あるいは条件の悪いものは落ちていく、これでは問題が片づかぬということは、お認めいただけるのじゃないかと思うのです。
ところが、実際に見ておりますと、全国的に見ましても、部落産業というものは、皮革産業が多いのですが、全国的にいえば、ほとんど、やはりそれが半減といいますか、崩壊の危機といいますか、私の出身の福岡県の、小さいときから見ておりますいわゆる皮革産業等部落産業は、ほとんど壊滅しております。福岡県の分につきましては、もう救いようがないと思うのです。それから一番ひどいのは産炭地です。炭鉱に働いておりましたが、炭鉱が全部なくなってしまったから、一ぺん都会に出てきました。しかし家族や年寄りを残しておりますから、結局また帰る。そして地元にあります仕事は、生活保護か失対か、せいぜいいいので市町村役場の清掃などの現業関係、そして残っております部落産業については、レッセフェアの原則で、自由競争で大きくなるものは大きくなって、小さくなるものは死んでもしようがない——死んでもしようがないといいますか、中小企業としては、なくなってもしようがないということでは、これは問題の解決にならぬことは、お認めいただけるのじゃないでしょうか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/145
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146・外山弘
○外山政府委員 一口に中小企業と申しましても、私どもが対象として考えております中小企業は、非常に多様でございます。その多様な中小企業の中の一つとして、きわめて特色的と申しますか、問題性を非常に持った分野であるという自覚のもとに、中小企業対策の範囲内で、やはりこの分野の中小企業対策は、その実情に即し、業種、業態に即するということを十分考慮して、内容を的確に形成していくということが大事であろうと思うのです。つまり中小企業対策の範囲内で、業種業態に即した適切な政策を考えていく。その一環として部落産業に対する育成策を、私どもは、先ほども申しましたような考え方で、助成条件の有利化とかあるいは国際化の問題との調和とか、そういった点を、ほかの産業とは違って考えるというふうな基本的態度で来ておるつもりでございます。
それからもう一点は、やはり部落産業と申しましても、個別業種の問題であろうと思います。したがいまして、その業種に即した近代化政策、業種に即した振興策ということも、やはりこれは大事であろうと思います。そういった意味の特色を、業種ごとに、実情に即した振興策をとっていただく。それも、やはり部落産業が、その相当分野を占めておるということを頭に置いた振興策を業種ごとに考えてほしい、こういうことを私どもとしては進めてまいりたい、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/146
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147・吉田法晴
○吉田委員 農業問題もたいへんむずかしい。農民の一人一人が農業を経営している。中小企業もそういう意味ではたいへんむずかしい。全体の中小企業対策というものも、これは通産大臣も含めてお考えをいただいていると思いますが、特に部落産業については、日本の資本主義の発足当時から百年、それを、部落産業として共同化、近代化を進めていくということになりますと、一応やはりみんなを救ってやるということを考えなければならぬ。私は、日本の農業問題あるいは日本の中小企業対策と、それから、あまりよその国のことは、知りませんけれども、中国の例をしばしば見るのですが、違うのは、ふるい落としをやるか、あるいは農民なら農民、中小企業なら中小企業を全体としてみんな救う道を考えてやるか、そこに大きな違いがあるように思います。
私は、少なくとも部落産業の問題についていえば、その中でふるい落としがあってもいい——現地を見ましたところでは、奈良で見ましたところでは、小さい工場を経営している。それから、その下請をやっている、これは一人で下請をやっていて、完全な家内労働。それから問屋があります。その問屋は、多少経営はどうかしれませんけれども、これは一応商売として立っている。資産も相当です。そのそれぞれについて考えなければなりませんけれども、私は、いわゆる部落産業の中心だと考えられる、小さい、何人かを使ってやっておる企業の人は、これはやはり協業化、近代化を促進しなければならぬ部分だと思います。
それからもう一つ、そこに使われている人、あるいは下請をやっている人、これは実際には中小企業者というよりも労働者です。その問題があると思います。問題があると思いますが、部落産業としての中小企業云々ということになりますと、その下請を何人か持ち、それから何人か使っておる企業者が、近代化し得るような、あるいは製品についても、生産費についても、争い得るだけの——大企業が進出している、先ほど日本ゴムや月星ゴムのことを言いましたけれども、それだけのことをしてやらなければならぬ。それには、やはり共同化しかないのではなかろうか。その共同化を機会に、おくれております百年の原始蓄積相当の部分を援助をしてやるというのが、私は部落産業の中小企業対策だと思うのです。その点は、大体、御賛成いただけましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/147
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148・外山弘
○外山政府委員 私は、先ほど中小企業対策の中で占める共同化、協業化の重要性を一つ触れたかと思いますが、そういう点で申しますと、いま先生の部落産業についても、全く同様の見解であって、その中から中小企業は救われていくべきであろうし、それから部落産業も、ただ、それの程度は別といたしましても、やはりそういう方向でいくべきであろうという御指摘だと思いますから、全く同意見ではないだろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/148
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149・吉田法晴
○吉田委員 具体的に何カ所かの業種についてお尋ねをしたいのですが、その前に通観をして、みんなに共通をする問題で、いまお話しのとおりに、これは、やはり業種ごとに共同化あるいは近代化をはからなければなりませんが、その同じ業種の同じ地域におる人たちについては、全部を共同化に協力させなければならぬ。それに最近は、いろいろな意見の違い、政治的な意見の違いもあって、それが障害になっておるのを、それぞれのところで感じました。一つの地域で、そして一つの業種ならば、残りなく共同化に参加をさせるべきだと私は思います。
そういう意味では、特別措置法については、各党が全部賛成をしてくださったのですから、それぞれの党派の利害でなしに、ほんとうに部落民のために、おくれた部落民のために御協力を願うように、私どもも努力をいたしますが、行政庁として、通産省あるいは中小企業庁で、その点については、みんなのためにぜひ協業化できますように、はんぱの取り扱いができぬように、差別的な取り扱いができませんようにお願いをしたいと思います。これはお願いです。
次は、具体的に、吹田で皮のなめしに従っておりますところを何軒か見ました。そこで、時間がございませんし、私も、きのうまで参っていて、まとめておりませんから、四カ所、四業種ぐらいについて、個別的にお尋ねをし、あとで総括の際に、大臣と長官とに承りたいと思います。
皮のなめしをやっておりますが、吹田市で、かつては四十軒ほどあったそうです。現在では十一、二軒ということであります。これは昔の方法ではなくて、なめしの方法も多少近代的になって、くささはなくなっている、全くなくなったというわけにはいきませんけれども。ただ、共同化いたしまして、クロムなめし等をやっていきますと、そのほうの公害問題等を考えなければならないのじゃないかとさえ思ったのです。
ところで、外国からどんどん入ってくる。あるところで見ましたら、大部分、その八〇%近くがアメリカ、それからオーストラリアから一割、内地産が一割というぐあいに、内地産のなめしの量が非常に減っておる。そういう中で、対抗をして生産の近代化、あるいは生産性を上げるには、どうしても共同化をしなければならない。それで千三百平米ほどの土地は、府と市とで確保をしてくれた。機械のほうは、古くなったのもありますし、新しいのもあります。ある一軒は比較的新しい。しかしこの機械設備については、それぞれの間の連携というものはあまりありません。流れ作業にはなっておりません。それから二軒は、十年以上たっておる機械で、共同化をするとすれば、そろそろ買いかえなければならぬと思うのですが、機械については、補助があるけれども、しかし作業所自身については、何ら補助の方法もない。
そこで、その建物の建設について、防災街区については補助があるが、同じような環境改善街区補助というものを制度として考えられないだろうか。幸いに、去年オーストラリアで調査、見学をさしてもらったが、オーストラリアで皮革のなめしをやっておられます工場は、れんが建てで、外観から見ますと、オフィスと何ら変わりがない。やはりいまのこの建物のお粗末さ、あるいは外観の悪さというものは、環境の不良とつながっておるところだが、そこの人の言うのには、共同作業所については、昭和二十九年まで補助制度があった。
そこで、厚生省が制度として持っておられる大型共同作業所の制度を利用して共同作業所はつくれないか、あるいは政府として、これは建設省になるかもしれませんが、中小企業対策として、共同化の可能な方法として防災街区的な環境改善街区補助というものはできぬか、こういうのですが、厚生省にも来ていただいておりますけれども、これは中小企業の近代化、共同化のかぎですから、まず中小企業庁、あとで厚生省にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/149
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150・小山実
○小山(実)政府委員 先生御指摘の、建設省でやっておられます防災街区並みに補助を考えられないか、こういう点でございますが、これは御存じかと思いますけれども、建設省のこの補助は、その建物、添えもの自体が対象になっておるわけでございませんで、不燃建築化に対しまして、その設計料とか除去費、仮設店舗、共同付帯施設たとえば水道、ガスというようなものについて補助が行なわれるものであるというふうに伺っております。それは私の聞き違いがあるかもしれませんが……。
中小企業の高度化施策としては、先ほど長官も申し上げましたが、協業化というのが、同和地区についても、同じように非常に有効な施策でございまして、特に四十七年度から、中小企業振興事業団の高度化資金の中に、同和ワクというものを設けまして、一般の場合には、所要資金の六五%を、金利二分七厘で融資を行なうわけでございますが、本件につきましては、八〇%までを無利子で融資を行なう、こういう制度をつくっておるわけでございます。この制度を四十九年度も大いに拡張いたしまして、事業団に対する出資の規模で十二億円のものが、二十六億円というふうに広がっております。これは国と県と同額を負担して、さらに自己資金が二〇%になりますが、事業規模として六十五億のものが行なわれる、こういうことになっておるわけでございます。
それで、私ども通産省の同和対策といたしましては、地区の産業を、近代企業として自立させるということに中心を置いておるわけでございますので、特にその施設から利益を生むような工場施設そのものにつきましては、八〇%無利子という、上記のような融資ベースによる助成が限界ではないかというふうに考えておるわけでございまして、これ自身が、よくよく考えてみますと、非常に有利な制度であるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/150
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151・吉田法晴
○吉田委員 あとで大臣、長官には承りましょう。
お手元にあります通産省に対する要望の資料の五のところに、「大型共同作業所設置および指導業務は、」うんぬんと書いてございますが、三カ所、四カ所回りました地域と業種に共通してあるのが共同作業所だものですから、あとでまたもう一ぺんお尋ねをいたしますが、厚生省から来ていただいておりますので、厚生省で持っておられます大型共同作業所の設置に対する助成予算について、それがいま申し上げますような近代化、共同化の一つの場所として考えられないか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/151
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152・田川明
○田川説明員 お答え申し上げます。
厚生省といたしましては、いまお尋ねの大型共同作業所のほかに、やや小規模の共同作業所というものも、従前から推進してまいっているわけでございますが、お尋ねの大型につきましては、昭和三十八年度から、やはり情勢の変化、それから同和対策の推進という観点から始めております。これにつきましては、地域の地理的な条件あるいは経済的な条件、そういうものを勘案いたしまして、地域の実情に合いました共同利用施設、そういう考えといたしまして大型共同作業所の設置を推進してまいっております。
四十八年度までに、五十四カ所設置されておりまして、たいへん効率的に運営されております。今後とも、この大型共同作業場につきましては、何ぶんその経済向上、効率的な経営、そういうことが重要でございますので、その効率的な経営という面に着目いたしまして、その設置の時点から、当該地方公共団体の商工部局、何ぶん厚生省といたしましては専門分野でございませんので、商工部局などの御協力を得まして、さらに地域の実情に応じまして設置を推進してまいりたい、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/152
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153・吉田法晴
○吉田委員 現在の制度の説明をしてもらおうというのじゃなくて、次長さんですか、防災街区の話がありましたが、この防災街区の制度があるのを——これは、私も自分で経験を持っておりますが、市場が焼けました。あるいは戸畑の駅前の、これはマーケットを含みます木造の建物が焼けたわけです。そのときに、防災街区という制度を利用して、防災街区の建設については、国は三分の一の補助、地元が三分の一、それから当事者が三分の一、それは防災街区をつくるという理由だけれども、それだけにこれは貸すのじゃなくて、補助をするんですよ。
これは、普通の——普通と言ったら、おかしいですけれども、部落産業ほどマイナスのないところについて、自分の家を建てるのだけれども、店を建てるのだけれども、火災の多発を繰り返さないように防災街区に改善をしなさい、そうしたら三分の一を国から出そう。マーケットが焼けた理由とは、それはいろいろ違います。しかし、その制度を利用しながら、それだけでは、三分の一では済みませんから——あなたは仮設店舗の話をされましたが、仮設店舗は全く市の負担でつくって、これも商売ですから、にぎやかな通りにつくらなければなりませんから、つくって、防災街区をつくりたい、そして、その防災街区の三分の一の自己負担についても、融資の道を世話します。
問題は、部落産業の共同化、近代化というものが、共通してみんな考えられるところだから、防災街区をつくるのでさえ、それだけのことができるのだから、部落産業の中小企業について援助しようというのなら、そのくらいのことができるのじゃないか。制度をつくったらどうですか。
それから、いまの厚生省のお答えには、厚生省が大型共同作業所という制度を持っていなさるから、それを、市町村の商工部の指導というか、あるいは経営にまかせるかどうか知りませんけれども、その制度を利用して近代化、共同化の施設をつくることはできぬか。さっき申し上げましたけれども、オーストラリアは、これは植民地でしたけれども、百年近い間に、同じ皮なめしをする同業者がレンガ建てで作業所をつくって、外から見ればオフィスと何ら変わりはない。ああいうものを、日本でつくるとするならば、どういう制度をつくっていただけるだろうか。あるいは防災街区といったような制度は利用できぬだろうか。そういう意味で環境改善街区補助制度というものができぬだろうか。それから共同作業所というものは、その共同化の施設としては利用できぬだろうか。こういうわけで、現状の説明でなしに、前半は中小企業庁長官に、それから厚生省は、大型共同作業所がそういうものに使えぬかどうか、ひとつあらためて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/153
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154・外山弘
○外山政府委員 協業化、共同化が非常に大事である、そのために、いま御指摘のような応援ができないかというお話でございますが、先ほど次長がお答えしましたように、現実に工場施設としてリスクをもって運営し、そして、そこから利潤を生み出すという性質のものであれば、やはり金融で行なうのが筋だろうと思います。それが基本的な態度だろうと思います。ただ金融の条件等につきましては、先ほどからお話が出ておりますように、やはり協業化、共同化が大事でございます。同時に、自己リスクをもってそれを推進することが、もう一つ長期的に見て大事でございます。したがいまして、条件についてできるだけ緩和に努力するということも大事でございますし、振興事業団の高度化融資につきましては、用地も対象にして融資をしているはずでございます。その辺のことを考えますと、やはり基本的には、いまのかまえ方でいくべきであろうというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/154
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155・田川明
○田川説明員 先生のお尋ね、私が、あるいは理解が欠けているかと存じますが、いまお尋ねの共同化、協業化、これは先ほど、現在までに設置されておりますと申し上げました五十四の大型共同作業所すべてが、共同化あるいは協業化、そういうかっこうで進められているものでございます。まさに、それが大型共同作業所のねらいでございます。
もう一つ、これは個々のお宅の中で、作業を個別になさっていらっしゃいますと、これは経済的な面と別に、環境上もよろしくございませんので、これを近代的に集約をするという面もございますけれども、やはり経済面から申しますならば、先生お尋ねのような、まさに、それをねらいとしたものが、大型共同作業所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/155
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156・吉田法晴
○吉田委員 それでは、その共同化、協業化、近代化の具体策については、あとでまた伺います。
それから、これは、あるいはあとでも出てまいりますけれども、そこで働いておる人たちについては、一日五千円で月五万円というのですから、十日しか働かぬ。あるいは五千円になるときにもあるし、あるいはそれ以下のときもあるし、平均をしてみると、月五万円になるというのかもしれませんけれども、要するに熟練労働者で日に五千円になればいいほう、あるいは月にならすと五万円程度。したがって、その労働者の社会保障についても、保険だとか退職金だとかあるいはボーナスだとか——ボーナスが社会保障だとはいわれませんけれども、これも賃金の一部だと思いますが、それから保養所だとか、そういう労働条件と、それから福祉施設なり、あるいは社会保障の制度がない、十年働いてなれた者が、そういうことだから、市のほうで就職ができるならば、やはりそこへ流れていく、こういうお話がございました。
仕事を頼まれて世話をしても、結局は、皮革産業に働くということになると、世話をした上に恨まれるといったような実態がある。そのことと近代化、高度化とは矛盾するかもしらぬけれども、働く労働者にとって生活の安定あるいは社会保障について考えてもらいたいという話がございましたが、これは中小企業庁直接でないかもしれませんけれども、それを可能にするいわば事業の向上、共同化あるいは近代化、そして生産性の向上、大企業と太刀打ちできる、あるいは外国の製品と太刀打ちできる、公正な利潤をあげ得るだけの育成というものは、これは中小企業庁のあれでしょう。それから直接的には、こういう問題について、あるいは仕事の転業等についても、特別に施策が必要か、法律が必要かといったようなところまで私は考えますが、労働省にも来ていただいておりますが、中小企業に働いておって、特に危機にあるのは、あるいは四十軒もあったのが、いまでは十軒そこそこになっているその危機は、中小企業庁の施策にも関係をいたしますけれども、たいへん危機的な状態にあります中小企業、部落産業に働いております労働者に対して、こういう要望に対してどうしたらいいか、ひとつお教えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/156
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157・岸良明
○岸説明員 ただいまのお尋ねの件でございますが、特に労働省におきます基準行政につきましては、重点を中小企業に指向いたしまして、災害防止また労働条件の向上等に監督指導を強化しておるわけでございますが、お尋ねの同和地域の企業の実態については、これは確かにいろいろな問題がたくさんございます。監督機関におきましても、それを重点に置いて、十分指導を強化しているわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど来、先生の御指摘がございますように、企業の基盤の問題ということが非常に重要な問題でございまして、私どもといたしましては、関係労働基準法あるいは安全衛生法、また関係がございますところについては、家内労働法その他周知をはかるとともに、今後とも労働条件あるいは労働者の保護の問題に十分に注意を払ってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/157
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158・吉田法晴
○吉田委員 またあとで、返ることにいたしますが、難波の皮革関連組合、見てまいりましたのは皮革の卸商、それから、くつをつくる製靴工場で部品をつくっておりますところ、くつの型の、下の革を打ち抜いておる、それから、下請からでき上がってまいりましたものを集めて仕上げをしておるところ、製靴工場も違ったところを二、三見、それから先ほど申し上げたサンダルにしましても、上部についてはいろいろ変化もし、あるいは手工業に耐えておるところも見てまいりました。それから廃品処理をしておるところもございました。
そこで、要望として出ておりましたのは、デザインの研究開発、それから皮革関係の学校をつくってくれぬか、それから貿易についての研究あるいは情報の提供、外国の研究調査もさしていただきましたが、毎たび変わっていて、同じようなことを聞いている。それから皮革産業の発展のためには、具体的に人間が同じ人間云々ということを望むのは無理かもしらぬけれども、やはり皮革産業から継続的に見学をさしてもらいたい、勉強さしてもらいたい、こういう要望もございました。それから従業員の福祉対策については、同じような要望がありました。あるいは寄宿舎だとか、働いても学校に入れるように、勉学の援助をしてもらいたいという話もございました。これは、かつて繊維産業で近江絹糸の人権問題ではございませんが、その後の教養あるいは学校に行けるような施設が、軽工業についても全国的に行なわれましたが、そういうものをいうのだと思います。最近になりますと、部落といえどもやはり人間は、そう豊富ではございません。働くにしても、賃金あるいは労働条件だけでなしに、福祉施設といいますか、あるいは勉強ができるようにということは考えてやらなければならぬことです。それを可能にするにはどうしたらいいか。それから業種別の協業化について、業種別に二十億程度の融資制度は考えてもらわなければならぬのではないか、こういうお話がありました。
大阪府の同和金融公社、初めは二千万円の大阪府の出資、市が一千万円、合わせて三千万円から発足したけれども、現在では年に二十億の融資制度がある。そして、これは償還率もたいへんいいけれども、新大阪タクシーあるいは人造真珠なり、あるいはガス協業なり、あるいは同和食肉協組あるいは海外視察あるいは同和建設等、多方面に融資をされておる、しかし、それぞれの業種について協業化、近代化を進めていくについては、各業種ごとに、やはり二十億程度の金が要りますから、ぜひ金融制度も考えてくださいというお話でありました。
それからもう一つ、具体的に関連をしまして要望がございましたのは、昨年ですか、最近、行なわれましたイタリアのボローニャにおける国際はきもの見本市に参加をした。そして、くつの見本を四十足ほど輸入する契約を結んできたけれども、さて実際に入れるとなると、なかなかむずかしい。大阪府から通産局を通じて通産省にお願いをしてあるけれども、参加をして、そしていわば研究をしてきた、そこで、くつの見本を輸入したいと思って契約をしたけれども、LCを開くについては、許可が要るという話もございましたが、これらの点について、どう考えられますか。特に最後の点は御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/158
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159・小山実
○小山(実)政府委員 御質問の点が多岐にわたりましたので、逐次、順を追って御説明をいたします。
まず、技術開発と申しますか、デザインの開発、それから皮革学校の拡充、それから海外市場の調査、情報提供というような関係でございますが、中小製靴業の近代化を促進するためには、付加価値の高いファッション性に富んだ新製品の開発ということが非常に必要でございます。このため、通産省におきましては、四十七年度から同和商品開発事業といたしまして、新デザイン、新製品の開発のために必要な経費の三分の二を県に補助をしておりまして、製靴業でも、東京都や長野県では、すでにこれを利用しておられるわけでございます。
また、海外市場の調査に関しましては、ジェトロ等の在外施設を利用することもさることでございますが、やはり直接業界の方に現地を見ていただくということも効果的でございますので、四十七年度から海外調査団を三分の二補助ということで派遣しておりまして、製革業でも、東京、滋賀などがこれを利用しておられます。四十九年度は、七チームを派遣する予定でございますので、必要に応じて、これの利用も考えてまいりたい、こういうふうに思います。
それからなお、これに関連いたしまして、新製品の開発に資するために、四十八年度から優秀海外見本の収集も補助対象といたしております。東京、和歌山などの県で、すでにくつの収集を行なっております。こういうようないろいろな制度を御活用いただくということで、われわれも対策を考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
それから、福祉対策の件での寄宿舎の問題でございますが、これは、共同で寄宿舎等を備えます場合には、高度化資金の対象ということになりますので、この辺が一つの道であろうというふうに考えます。
それから、くつの見本輸入の問題について御指摘がございましたが、現在、わが国の製靴業は、典型的な中小零細業者でございまして、製品開発、製造技術、生産能力の点におきまして、諸外国に比べて非常におくれておりますので、皮製はきものが輸入割り当て品目ということになっておるのは、御高承のとおりでございます。しかしながら、一般的に皮製はきものは、デザインとか規格、品質等の点で、市場の流行なり消費者の嗜好動向に非常に左右されやすいものでございまして、不断のデザイン開発、品質改善を推進することが、わが国製靴業者の企業体質を強化し、欧米諸国をはじめとする諸外国製品と対等に伍し得るゆえんであることにかんがみまして、四十六年度から輸入割り当て制度のもとでサンプル輸入というのが行なえるようにしてございます。このサンプル輸入は、皮革製のくつの製造業者でございまして、かつデザイン等の研究開発のために、見本用の皮製のくつを輸入しようという方に対しまして、一社当たり年間千四百ドル、半期で七百ドルのワク内で輸入を認めている制度でございます。
先ほどの件につきましては、まだ通産局から具体的に話が参っておりませんのですが、ただいま現在、部落産業の保護の観点も踏まえまして、外貨割り当て制度の運用を、実質的にも手続き的にも、厳格に行なっているという事情もございますので、ただいまの御指摘の案件の処理については、十分内容を確かめた上で考えていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/159
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160・吉田法晴
○吉田委員 製靴について、先ほど申し上げましたが、大企業が、日本ゴムについて言いますと、イタリアとの技術提携をして皮ぐつを製造しておる。それ自身を買ったことはないのですが、久留米に行った際に聞きますと、普通でいいましてやはり何千円、そして特に上等なものについても、イタリアのくつと同じようないいものでも一万円出せばある、こういうわけなんです。それに対抗して製靴業者を育成をするということになりますと、いまの、くつをイタリアの見本市から買ってくるだけでなくて、提携というのですか、イタリアの、これは技術提携というわけにはいかぬかと思いますが、その大企業の技術提携をやってつくっておりますのに対抗をして、中小企業の製靴業者が共同をして対抗してやっていけるにはどうしたらいいかということを考えるわけですが、これについてはどう考えられますか、対処法は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/160
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161・小山実
○小山(実)政府委員 一つの方法は、大手が外資導入といいますか、技術提携をしておるのに対抗いたしまして、関係業界が共同して一つの技術提携といいますか、というのをやっていかれるというのが、その方法だろうと思います。現在、外資導入は自由化をしておりますので、その辺の制度的な障害はないわけでございます。
それから、もう一つの方法といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、やはり共同化し、協業化してデザイン開発能力を高めていくということであろうかと思います。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな助成制度を設けておりますので、その点をひとつ大いに御活用いただいて進めたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/161
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162・吉田法晴
○吉田委員 くつの製造業者が何人といいますか、何社あるのか。それから共同化をして共同作業をするとして、それが資本の金額にしてどのくらいになるのか。いま技術が自由化してあるから、技術提携をされようと思えば共同化してやれる、こう言われますけれども、これは、やはり金に関係がございますが、それについても融資をするというのですか。援助をする、こういうことがあるからそれは可能であると言われるならば別問題でありますが、自由化しておりますから、共同化して技術提携されたらできるでしょうでは、実際にはこれは現実的なものになりません。
そこで、具体的な方法があったら聞きたいのですが、デザイン開発は、とにかく——しかし、そのデザイン開発も、ほんとうの零細企業が何十社寄ったにしても、それは研究所かあるいは共同開発の施設をつくってやらぬことには、実際には大企業に対抗して、大企業がイタリアと技術提携をしながら、あるいは一年一ぺんではなくて、しょっちゅう交流をしながらやっておりますのに対抗をしてやっていくということは困難だと思いますが、もう少し具体的に、その技術提携を可能にする援助の方法、あるいはデザイン開発ならデザイン開発について、研究施設といいますか、あるいは学校といいますか、そういうものを考えていただかぬと実際には絵にかいたもちだと思う。口ではりっぱなことを言われるけれども、実際には可能になりません。それをひとつ、お尋ねをいたしかけましたから、具体的にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/162
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163・徳安實藏
○徳安委員長 時間がだいぶ迫ってまいりましたから、どうぞ説明も答弁もできるだけ要領を得てやっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/163
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164・小山実
○小山(実)政府委員 先ほど技術導入が自由化されていると申し上げたわけでございますが、技術導入に必要な資金につきましては、協同組合等を通じて行なう場合には、商工中金等の資金の融資が可能になることと思います。
〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
それから、デザイン開発につきましては、業種別に、地域別に計画がまとまりましたならば、高度化事業のいわゆる知識集約化の融資制度というのがございまして、それの中で、いわゆる商品開発センター等についての融資が可能になるわけでございます。
それから、現在ございます公設試験研究機関に対する補助制度、これが一般的な制度としてあるわけでございますが、これは公設の試験研究機関のいわゆる施設費の補助、たとえば開放試験室とか指導施設の設置についての補助あるいは共同研究関係の補助、こう二つの制度がございます。これにつきましても、くつの関係についていろいろ御要望があれば十分活用が可能である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/164
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165・吉田法晴
○吉田委員 先ほど申し上げました大阪府は、府と市と出し合っていま年間二十億の融資制度を持っておるわけです。これは部落産業といいますか、あるいは同和事業全部に対して、タクシーもあれば人造真珠もあれば、あるいは同和建設もあれば、同和食肉もあるということですが、各業種ごとに、やはりまとまった金が借りられなければ、それぞれの近代化、協業化というものはむずかしかろう、それは、私も現地に行ってそう思います。この金融制度については、統一要求の中にもございますが、これは長官なり、あるいは大臣にお尋ねをしなければならぬところですが、お考えを願えるかどうか。ぜひ考えていただきたいところであります。そして、それは府と市とで二十億原資をつくって貸しておるのですから、府にあるいは県、市に、業種ごとの協業化、近代化についても云々ということにはいかぬと思うのです。一つ一つに二十億とはいいませんけれども、業種ごとの協業化、近代化ということになりますと、真珠なら真珠について、あるいはくつならくつについて、あるいは皮なめしなら皮なめしについて、共同化の場所も必要ですし、入れものも必要だ、あるいは機械も必要だ、こういうことになります。御検討をいただきたいと思いますが、それについての、大臣なり長官のお答えをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/165
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166・外山弘
○外山政府委員 業種別の近代化のために、中小企業振興事業団によりまして、高度化融資なり、中小企業金融公庫の業種別近代化融資なりが基本的に当てはまるべきものだろうと私は思います。
いま御指摘のように、その業種の近代化のために、また、その地区の業種の近代化のために、まとまったお金が要るということは、実態上十分あり得ることだと思いますし、その点は高度化事業が、それに対応できるような制度として用意されているというふうに考えますが、なお、そういう先ほどのお話のようなことで、具体的な数字が足りないとか、そういうふうな問題がございましたならば、振興事業団なり、中小公庫なりの貸し出しぶりとその要請とを比較しまして、私どもとしても検討いたしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/166
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167・吉田法晴
○吉田委員 時間がございませんから先に進みます。
部落問題というものは、十年間で一応基本的には片づくようにという努力をお互いにしているわけであります。そうしますと、必要ならば借りに来たらいいじゃないか、こういうことでは、実際に片づかぬのです。これは同和対策全体として、各町村ごとに基本計画を立てますが、中小企業なら中小企業として、それが大阪府を経て、あるいは市町村を通じてでもかまいませんけれども、やはり通産省なら通産省として、中小企業対策、この基本についてはこういう計画を持っておる、同和対策全体の中で中小企業対策をどう持っている、こういうビジョンが必要だと思うのです。
〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
このことは、この中に書いてあるのですけれども、実際には府県から通ってきたものに対して、それがいいとか悪いとかいう話で、それは高度化資金があるじゃないか、高度化資金の別ワクがあるから、それを使ったらいいじゃないかということでは、これは他力本願ではございませんけれども、ほんとうに片づかぬということを申し上げて、お考えをいただきたいというわけです。
時間がございませんから次に移ります。
和泉の人工真珠、大体は御存じのようでありますが、ドル・ショックでアメリカへの輸出が三分の一に減った。三分の一減ったのじゃなくて、三分の一に減った。少し回復をしたけれども、やはり半分以下にはなっている。そして昨年からの石油パニックの影響で、材料が異常に値上がりをし、ガラスの玉もプラスチックの玉も、プラスチックの玉は特に化学製品の値上がりによって三倍になっている。昨年の八月、八円しておったのが、現在では二十一円から二十四円する。そして輸出は半減をする、材料代は三倍になる。そうすると売り上げに影響をし、生産がたまっているわけです。何らかの方法はなかろうか、あるいはガラス、プラスチックの玉の原材料を自分で製造する、あるいは協同組合で製造する、そういう方法を考えたらどうだろう、それを可能にする方法を共同化、近代化で助成をしてもらう。それからアメリカの輸出激減にかわる生産販売の保証あるいは融資を考えてくれぬか。それからもう一つ、人工真珠もだいぶ減ったようです。
そこで、時間がございませんから、お手元に差し上げておきましたが、四十九年度の事業計画案ということで、海外調査も含み、あるいは指導教育事業、情報あるいは資料の収集及び提供事業、調査研究事業等、あるいは共同作業、こういうこと、それからここに書いてございませんが、たとえば長崎のべっこう細工は、長崎の観光ルートに入っておる、輪島塗りは輪島の観光ルートに入っておる、そういう方法を考えられぬだろうか。これは地元の県や市町村の問題になりますけれども、要するに材料は上がったわ、それから輸出は減ったわ、惨たんたる状態の中から、ぜひ共同化も進めたい、あるいは材料の共同生産もやりたいが、近くに自衛隊の土地がある、その中からぜひ二万坪ほど分けてもらえぬだろうか、なお転廃業のことについても制度を設けてくれぬか、こういう話等がございました。これらの点について、転廃業の制度あるいは協業化、高度化について、その団地の点についても、これは地元の協力も必要でございましょうが、援助が願えないだろうか、こういう点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/167
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168・小山実
○小山(実)政府委員 団地の問題でございますが、これが、もし共同施設ということでございますれば、内容によりまして、同和高度化資金の対象にもなれるかと思いますので、具体的な計画はよく承って検討させていただきたい、こういうふうに考えます。
それから、転廃業の問題でございますが、これは例のドル対策の緊急法は、この前延長していただきました。もし、それの影響が大きいということであれば、それの認定企業ということで、認定を受けるということも可能でございます。そうしますれば、いわゆる転業のための必要な資金については、中小公庫にそういう転廃業資金の融資制度がございます。また共同で設備廃棄を行なうというようなことがございますれば、これも一定の要件がはっきりいたします場合には、振興事業団の設備共同廃棄の融資の対象にということも一応考えられる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/168
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169・吉田法晴
○吉田委員 人工真珠の実態は、御存じかどうか知りませんけれども、設備といえば家とそれからガラスの玉あるいは塩化ビニールの玉をつけて加工する箱があるくらいで——実際に私も炭鉱の合理化の方法、あるいは中小企業の転職の、いわば買い取りの方法についても、若干知らぬことはありませんが、人工真珠については、特に考えてやらなければならぬものがあるから、そういう話があるのだろうと思います。
具体的に折衝するひまがございませんから、別の機会に譲ることにして、時間がございませんから最後の、場所は奈良県の伊駒郡三郷町の下之庄、そこでも卸売りセンターの団地化の問題、あるいは家と作業所は、近代的な作業所つきの住宅が、アパート式に建てられておりますけれども、それの共同化、近代化のためにはやはり土地が必要だ、そこの下之庄の改造計画あるいは古い家と屋敷とを売って、別に移った人もございますが、その部落の中に共同作業所を確保すべき土地がない、だから、県、市なり、あるいは国の資金的な援助も得て、土地も確保したい、あるいは環境改善と結びつけてこの共同化、近代化の施設をつくりたい、こういう要望がございました。それだけに、先ほど申し上げました共同作業所についての制度的な援助というものが必要ではないかと思うのであります。それから原材料対策、それから下請と労働者の関係、重複するところは省略をいたします。
最後にもう一度、これらの点について総括をして、お手元にあります「中央行動資料」。通産省のあれを含めまして、厚生省の共同作業所は、私が言いますような共同化、近代化の作業所として使えるというお話がございました。これは、それぞれのところで、厚生省とそれから中小企業庁の対策を結びつけて推進をすることができるということでありましたが、通産省としてあるいは中小企業庁として、特別の融資金融機関あるいは共同作業を可能にする作業所の建設についての制度、厚生省の共同作業所を利用するだけでなしに制度的に考えてもらう、その他産炭地の問題は別にいたしますが、この通産省関係についての要望で、具体的な例をいままで幾つかあげてまいりましたが、最後に、通産大臣としての御決意を承り、具体的な構想について御検討いただけるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/169
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170・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 いろいろ吉田先生から具体的なケースについての御要望も承り、また四十八年七月の中小企業関係の御要望も拝見をいたしました。この内容を拝見いたしますと、ごもっともの内容が非常に多いように思います。いままで政府委員が御答弁申し上げましたように、現行の法令あるいは政策を、最大限の努力を傾けまして、いろいろ御協力申し上げたいと思いますし、中には、いろいろ資金関係等につきまして、われわれのほうで新しい発展として検討すべき課題も含まれていたように思います。そういう点につきましては、われわれも誠実に検討して、できるだけ前向きに処理していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/170
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171・吉田法晴
○吉田委員 通産省なりあるいは中小企業庁で、特別の金融機関について、あるいは作業所なりそれから共同化、近代化を進める具体的な方法の援助について、特別措置法の具体化のために政令をこしらえるとか、あるいは法制的な必要があれば議員立法も考えてもいいんじゃないか、こういう感じがいたします。
それから、特に労働者の問題については、労働省に来ていただいておりますけれども、地域とそれから業種別によって、具体策が違いますが、労働基準法なり、あるいは先ほど関係法令もあげられましたけれども、一般法だけではいかぬのではないかという感じがいたしますが、これらの点については、どういうように考えられますか。
現状を、地域別にあるいは業種別に見ながら、特に百年のおくれを取り戻すには——特別措置法の具体化のために、一般的な「中小企業対策等」と書いてあります。だから、その「等」の中に入れられると八木さんは言うんですけれども、あるいは具体的な要綱なり、あるいは労働問題についていえば法律的な措置が必要なのか、こういう感じもいたしますが、労働省で検討をしていただいて、立てていただけるのならばおまかせをいたします。その辺についてお尋ねをいたしたいと思います。中小企業庁のほうと労働省のほうにお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/171
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172・岸良明
○岸説明員 労働基準法の問題につきましては、これは全産業一律に最低の労働条件をきめておるものでございます。御承知のとおり、いま労働基準法の内容について、労働基準法研究会というものを設けまして、いろいろと検討を進めている最中でございまして、その検討の結果をまちまして、もしも所要の改正を必要とするならば考えていこう、こういう態度で現在進行いたしております。
ただ、先生の御指摘が、同和地域の対策について何か立法を考えろという御質問でございますとすれば、非常に広範囲の、各局にまたがる問題でございます。私のほうから、これについて何か言うことは、言いにくいわけでございますが、いずれにしても、行政指導の面で、同和地域の実態を踏まえて私どもは今後とも十分に配慮していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/172
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173・吉田法晴
○吉田委員 終わりますが、最後に要望しておきます。
途中で言いましたけれども、府県を通じて要望が来たものについて応ずるということでは、ほんとうに解決はしないと思います。課長さんによっては、主たる実態はある程度御存じの方もおられますけれども、府県でもそうですが、あるいは地域別に、業種別にビジョンを立てて、そして、これを指導願うということにしなければ実際には片づかぬと思います。見て回りまして、大阪府はやはり相当金もかけてやっておられます。ところが奈良県に行きますと、これは、いまだしの感がいたします。あのままでまいりますと、八木さんもおられますけれども、財政的な能力もあって、やはりいまのままではなかなかという感じがいたします。だから、それは通産省で、中小企業の問題ですから、これは中小企業庁のグループがあると思いますが、同和対策を検討していただいているところでやはり計画を立てて、プランを立ててお進めいただくようにお願いをし、通産大臣も前向きの御答弁をいただきましたが、御鞭撻、御指導いただきますようにお願いをして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/173
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174・徳安實藏
○徳安委員長 中山正暉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/174
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175・中山正暉
○中山(正)委員 もう時間もたいへんにかかっておりますし、皆さんお疲れのようでございますので、ごく基本的な問題だけを論議させていただきまして、終わりたいと思っております。
実は、いまの物価騒乱という時代に、中小企業が非常な世の荒波を受けて苦労をしておられますときに、いささかおそきに失したと思いますが、中小企業庁設置法の一部を改正する法律案が提出をされましたということは、まことにうれしい限りでございます。
特に、私ども大阪あたりでは、いま繊維問題なんかで非常な荒波をもろに受けておられる方々、繊維対策というのが迫られておりますわけでございますが、その中で、このむずかしい世の中にあって、民主商工会という共産党が育成する団体——ここにも今度の週刊新潮がありますが、「日共が育成する「民商」で税金が安くなるという怪談」と書いてあります。共産主義時代が来たら、自由企業というものはなくなるはずでございます。われわれの社会というのは、松下幸之助という人が、数十年前に、大阪の鶴橋のガードの下で二またソケットと乾電池を石炭箱の上に乗せておられた人が、いまや世界の大企業家になる。努力をすれば報いられる社会というのが、われわれの基本でございますが、その中で共産党の外部団体である民主商工会という団体に、商売人を利用して商売のない社会に持っていこうということで、利用されている方々、実はお気の毒でなりません。
私は、学生時代から中曽根大臣の演説会を、よくさがし求めてといいますか、中曽根大臣が演説されるというと、私、そのさわやかな演説を聞きに行ったものでございます。いまでも耳に残っておるのでございますが、よく憲法の話をしておられた。私は、実は共産主義というのは、現憲法には違反すると思っております。抵触すると思っております。なぜかといえば、われわれの憲法は、思想の自由をうたっておりますが、共産党というのは、民主連合政権構想とかそんなものでいろいろなことを言っておりますけれども、自分たちは独立路線でどうのこうのと言っておりますが、共産党は一党独裁をしない限り、共産主義は成り立たないと思いますが、その共産党のいうのは、思想の自由を将来は許さない。ソビエト憲法百二十五条には、社会主義を強固にするため以外には、言論の自由を認めないということが書いてある。
まず、基本論といたしまして、そういう共産党が、憲法に対してどういうふうな存在であるか、中曽根大臣の政治家としての考え方を、ひとつこの際伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/175
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176・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 私は、共産党じゃありませんから真意はわかりませんが、表に出てきたものを見ると、何か陰があるような、疑問に満ちた点が非常にあるように思います。そういうことを、私は自民党の演説会では、よく大衆に疑問として表明しておるわけであります。
おっしゃったように、民主連合政府というものをつくるために、いまの憲法を持ち出しておって、それで野党をそこへ糾合して入れるための便宜として使われているのじゃないか。民主連合政府がもうできてしまったら、ぽいと捨てられるのじゃないか。共産党も憲法改正を主張しているようですから、何かそういうタイミングや何かの関係で疑念を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/176
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177・中山正暉
○中山(正)委員 私も全く同感であると思います。その中でこうして日共が民商というものをつくる。実は共産党の綱領の中には、社会主義と共産主義の違いを書いております。社会主義というのは、「各人は能力におうじてはたらき、労働におうじて報酬をうける」、それに対して完全な完成された共産主義というのは、「各人は能力におうじてはたらき、必要におうじて生産物をうけとる」、こう書いてあるわけでございます。
実は、民主商工会というものが、いま二十七万とか三十万とかいううわさがありまして、大阪の東大阪市という、塩川先生あたりの選挙区では、企業家のうちで四人に一人が民商の会員である。革新府政、革新市政になりますと、特に国の金融機関のお金とか、それから府、市の中小企業対策のものが、この民商に非常な便宜がはかられておるというふしぎな体制になっておるのでございます。
私も、その民商に対しまして、昔、東淀川新商工協同組合というのを、民商に対抗しようと思ってつくったことがございます。ところが、向こうは任意団体、こっちは団体融資を受けるつもりで法定の団体にしてしまいましたことが、実は間違いになってしまいました。にっちもさっちもいかなくなる。そこに民商にはあきあきした、おれたちはひとつ自民党につながったほうが、やっぱり政府につながったほうがいいんだといって入ってきた人たちが浮き貸しをやりまして、とうとう根元をゆすぶられて、うまくいかなくなったという苦い経験を、私、実は持っておるのでございますが、この民商が、昔は反税闘争をしておりましたが、このごろは傾向が変わってまいりました。納めた税金の何%といって手数料を取るそうでございます。逆に納めなくてもいい人が民商に入って、共産党の資金源のために、納めなくてもいいものまで納めさせられて、そうして、その割合で金を取られておるなんという話を聞くわけでございますが、この民商というものに対して、通産大臣はどういうふうに考えておられるのか。
私は、税理士法違反をだいぶやっておると思います。税理士法の五十二条では、税理士の資格のない者が税理士の仕事をしてはいけないということが書いてあるわけでございますが、民商全体に対して通産大臣はどういうふうなお考えを持っていらっしゃるでしょうか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/177
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178・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 民主商工会といわれる存在が活動しているということは、私も承知しておりますが、それが法律あるいは政令等のワク内において活動している限りにおきましては、われわれは何ら異を差しはさむことはできないと思います。しかし、いまおっしゃったように、その手数料というものを、はたして取っているのかどうか、それがどういう性格を持つか、あるいは税理士法違反に該当するかどうかというようなことは、ときどきうわさにのぼることがございます。したがいまして、そういう事実を究明してみないと、ここでどうという確定的なお答えは申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/178
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179・中山正暉
○中山(正)委員 通産大臣は、岡田禎勝事件というのを御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/179
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180・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 よく知りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/180
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181・中山正暉
○中山(正)委員 実は、大阪の国税局におられた、全国税という組合に入っておる岡田禎勝という人が、課税基準表を堺の路上で、民主商工会の事務局長に渡すという事件があったわけであります。これが機密漏洩事件で——西山事件というのは、機密漏洩で有名な事件でございますが、実は機密漏洩で一審で無罪判決があったんですか、何か高裁で差し戻し審で、いま差し戻し審から二審目に入っておるという話を聞きますが、ちょっと大蔵省のほうから、この関係の話をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/181
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182・水口昭
○水口説明員 お答え申し上げます。
ただいま岡田禎勝事件についてお尋ねがありましたが、岡田禎勝事件は、ただいまお話しのように、昭和三十三年の二月に、大阪国税局の職員であった岡田頭勝氏が、民商の幹部に対しまして、所得税の所得標準率表というものと、それから業種日別効率表を渡した、こういう事件でございます。これらの文書は、いずれも国税局におきまして、「秘」扱いとしているものでありまして、公務員法百条の秘密を漏らす罪に当たるということで裁判になったわけでございます。
その後、いろいろ曲折を経まして、最近、四十八年の十月でございますが、大阪の高等裁判所におきまして、やはり有罪であるという判決が出まして、現在、最高裁に係属中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/182
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183・中山正暉
○中山(正)委員 通産大臣、いまのような事実があるわけでございまして、国税局の内部の、そういう組織に通じる方々と外とが相呼応して、いろいろな画策をしておるという話もわれわれ聞くわけでございます。
私は、先ほどからも言っておりますように、中小企業で、これから自分も松下幸之助になりたい、そう思いながら苦労をしていらっしゃる方々に、国からいろいろな恩恵が渡ろうとしているときに、その恩恵のピンはねをして、そして、そういう企業の自由を認めない社会に持っていこうとするそういう勢力に対して、通産大臣も、いずれは必ず総理大臣になられる方でございますから、この自由主義体制を守る意味で、そういう面にも御留意を願いたい、こう思うわけでございます。
そこで、いま経営指導員とか、それから記帳指導員なんというのが、四十八年度で無担保、無保証人三百億ですか、それから四十九年度では千二百億、それから記帳指導員が一万二千四百人ですか、いろいろと恩恵を運ぶ人たちという表現がどうかわかりませんが、その人たちが、実は私ども会ってみますと、都市で生活をしにくい非常に低い給料しかもらっていないという話があります。東京あたりでは七万、八万、これは、また商工会議所あたりから、ある程度プラスアルファをしているようでございますが、私どもがお目にかかりました方々は、これではどうにも権威は保てないし、それから商工会議所経営指導員というような名前ではどうも貫禄がない、こういう話がありますので、その身分をもう少し確立してあげて、その方々に対する給料が、もう少しよくなるように御配慮が願えないだろうか、これはお願いでございます。それが一方、そういう民主商工会で、わりに裕福な環境を持っていて、ある思想のために働いている人たちに対抗するためにぜひ必要なことであると思いますので、その辺のお話を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/183
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184・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 経営指導員については、お説のとおりでございまして、できるだけ優秀な人材を見つけ出しまして、中小企業者のためになるように努力いたしたいと思っておりますが、本年度は待遇改善といたしまして、給与は一九・三%アップ、七万四千百円平均から八万八千四百円になる予定であります。超過勤務手当等も月千円を月二千円、微々たるものでありますが、そのほか各種社会保険料補助等も新設することにいたしまして、経営指導員の身分安定のための健康保険、厚生年金保険、失業保険、労災保険の事業主負担分の二分の一補助を新設いたした次第でございます。
なお、そのほか商工会議所や商工会に対して、顧問税理士を三千五百人、ことしから新設することにいたしてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/184
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185・中山正暉
○中山(正)委員 日本の財源の五〇%ぐらいは、年収二百万以下の大衆から上がっているわけでございますが、やはり所得の課税の基準を、二百万ぐらいまで無税にして差し上げる、小さいものを追わないで、大きいものをつかまえるという形にしていただきたい。これも、そういう違った体制に持っていくために利用している方々に対する防戦の一つになると思いますので、その辺のことは、重要閣僚として内閣に列しておられる中曽根大臣、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/185
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186・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 できるだけ、そういう方向に早い時期に持っていきたいと思います。
そのほかに、大体いまの税の傾向というものが、直接税中心主義になっておりますから、これを間接税と直接税とバランスをとる方向にも改革していく必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/186
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187・中山正暉
○中山(正)委員 実は、いまそれをお伺いしようと思っておったところなんですが、戦前は間接税七割、それがいま直接税が七割というように逆転をしておりますところが、やはり何かふところに入ったものをもぎ取られるという印象で、非常に悪い影響を及ぼしていると思います。時間がありませんので、ざっぱくなことになりますが……。
それから、これも御感想をお伺いして恐縮なんですが、「北朝鮮が税金を廃止 日本でもこれだけマネできる」というような、北朝鮮の税金がなくなったという話があるのです。これは、また民商あたりが共産主義社会の勝利であるというような宣伝に非常に使っておりまして、われわれは、そういう社会をつくるのだ、あなた方、商売をしていても、もう税金なんて大企業から取って、そういう納税の義務をなくしなければいけないと言っております。これは、ついお隣の国でございます。どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/187
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188・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは社会構成あるいは経済構造が違いますから、一がいに税金があるなしによって、国民の負担の軽重が比較できるものではないと思います。たとえば共産主義社会においては、なるほど直接税というのは、あまり取らないかもしれませんけれども、一般の物価、たとえばワイシャツの値段が、日本とソ連と比べてどうであるか、あるいはテレビ一台どうであるか、そういうような物価体系とか、そのほかの諸般の面で、その分が取られているという要素もなきにしもあらずであります。そういう全般的な体系を比較してみないと、単に税だけを見ただけでは比較考量はできない。むしろ自由主義体系のもとにおいては、税という形で、個人的にもあるいは法人においても、国に対して義務と責任をしょう、しかし、また一面において、国は個人ないし法人というものの独立性を認めて、それに対する相当の恩返しというか報償を与える、あるいは社会公共のいろいろな福祉を見る、そういう形で独特の結合力を持っておるわけですね。
そういう意味において、社会体制の相違があるものですから、一がいに論じられない。むしろ、そういう独立性を認めておるところに自由とか創造力の源泉があるので、われわれとしては、そういうほうがとうといと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/188
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189・中山正暉
○中山(正)委員 一般の方々は、その社会体制の違いを考えずに、税金がなくなったといえば、それを単純に受け取られる傾向がありますので、まことにおそろしいことだと思っております。私も四年前に、いま大臣がおっしゃったように、ソ連へ行きましたが、ワイシャツを買いましたら、その時代で一枚八千円しておりました。グムというデパートで見ましたら、カラーテレビのろくに映ってないやつが、三十六万円しておったことを記憶しておりますので、いまのお話も、これは国民に利潤を逆に認めない、利潤を取り上げて必要なものだけを与えるという形で、表面税金を取られてないという形になっていると私も思っております。そういうことを機会あるごとに、ひとつ通産省の長官であられる政治家としての中曽根大臣からも、いろいろな機会にもちろんおっしゃっておられることだと思いますが、この中小企業庁設置法の一部を改正する法律案の心がどこにあるかという意味で、そういうお話も、ひとついろいろとしていただきたいと思います。
そこで、私は、今回の物価騒乱は石油問題だと思います。私は、世界戦略の中でなかなかうまく仕組んだと思います。ある軍事専門家に聞きますと、ソ連はアラブに二カ月ぐらい前からミサイルを船積みして運んでいた。チュメニ開発、この間、三、四日前の読売新聞なんか、夕刊に気が狂ったみたいに、チュメニ開発は、まことに有利であるということを書いておりましたが、私は、あの西ドイツからモスクワへ総理がお入りになった前日に中東紛争が起こったことに、非常に意味があると思う。パイプラインを西ドイツに回して、西ドイツから持ってこようという総理の考え方に対して、それがむだな努力である、それよりもチュメニ開発、こっちの水は甘いぞという引きつけがあの事件であった。それが石油問題を通じて日本に精神的な圧迫、そしていろいろなものを築き上げる源泉であったと思っております。
実は、中曽根大臣、そのとき日本におられなかったから御存じないでしょうが、中曽根大臣と三木大臣が行っていらっしゃるときには、写真がばんばんと日本の新聞に出ました。ところが大平外務大臣がアメリカにいらっしゃるときには、通信社が一社しかついていかなかった。私は、この石油騒乱が済んでみると——この間、通産省の石油部長の御説明を聞いたら、世界の原油のうちの七五%はメジャーの石油だ、あとの二五%がアラブの石油だ、そのDDオイル、ダイレクト・ディール・オイルのうち二〇%は、バイバックでメジャーに入るのだ。そうしたら、私、中曽根大臣にこういうことを申し上げて恐縮でございますが、中曽根大臣は五%の原油を追いかけられたのではないだろうか。それも一ダースから安くなるという原則で、九五%の原油を扱うでっかいほんとうのメジャー、そのメジャーをおこらせた。総理が帰ってこられると、ブクム島でユダヤ人が経営しているシェルを、日本人を加えて襲わせた。これは、なかなか石油戦略として——中曽根大臣すばらしい人ですから、まさかそんな簡単に乗られるとは思っていなかったのですが、それで経済援助まで上乗せして高い石油を追いかけている。
これは大平大臣の責任でしょうが、安川さんを通じて、天皇陛下をニクソンに会わせないで、ヤマニが来たらすぐ会わせた。それがいまの石油騒乱である。いま繊維協定を通産省で話し合っていらっしゃるらしいのですが、ある人に聞いたら、繊維は、クリスチャンディオールの社長もユダヤ人だ、製造過程を除いてほとんどアメリカのユダヤ人が繊維を扱っている。これは、かつて繊維問題で通産省が自主協定なんていって、なかなか言うことを聞かなかった、このやろうとおこったのがドルの吸い上げである。ふしぎなことに、キッシンジャーがサウジアラビアへ行ったら、先月の十八日に対米禁輸を解いている。騒乱はおさまった。片一方、十一ドル六十五セントになったら、十一月の二十八日には、アメリカがロッキー山脈の中に二兆バーレルの石油があると発表した。サウジアラビアの百七十倍。それで、三ドルなら開発ができないが、五ドルなら開発できる。
私は、大政治家であられる中曽根大臣の、その辺のお考えを伺っておきたいと思うのです。私は、政治家として、明治の政治家は、アメリカに大砲を撃たせなかったから日本はよくなった、植民地の経験がない、昭和の政治家はアメリカに大砲を撃たせたと思っているんです。だから、日本は焼け野が原になった。いま政治の歩み方を見ていると、日本というのは再び干上がる日が来るのじゃないか。
総理にも、これは言ったことがあるが、チュメニから原油をもらって、とんとん日本は——私の大阪市なんて、下水の処理は八割重油でやっています。ある日、不可侵条約が破られたみたいに、バルブを締められると、この大都市の水洗便所は、全部逆流します。一体どんな状態が起こるか。これは、ちり紙騒動どころの話ではない。
それに私は、やはり自由主義国同士の連携というもの——アメリカか今度は、石油て八七%、日本にユーロダラーを持ってきて、一ドルで四十円もうけたユダヤ人がいるという話です。日本は、アメリカの金庫の中に金があるなんていって、ドルの紙だけ持っていて、ちょっとなまいきが過ぎたんじゃないか、こういう気がする。その余波が全部中小企業に寄ってきていますよ。
そして、いまここで九十七時間のストをやる。上は六万円から平均三万円の賃上げをしろ。わずか二百万ですよ。あとの五千数百万の中小企業は一体どうするんだ。大企業の二百万が給料を上げたら、今度は、それにつれて中小企業は、おやじさん何とかしてくれという話になる。新聞で見たら六万円というておるじゃないか。わずかな事業をやっていらっしゃる方々が、ほんとうにどろまみれになっているのが、急に、おやじさん何とかしてくれと言われたら、資金の余力も何もない中小企業にさっそく響いてくるのは、政治家がそういうことを——私にはっきり言わせれば、ばかなことだと思っています。
とんでもない裏切りをした。アメリカの祖国なんです、イスラエルは。アメリカの祖国イスラエルをいじめたら、二千年ぶりにこの地球上にユダヤ人の祖国をつくった連中が、おこるのはあたりまえです。それは繊維でも何でも、通産大臣のところへどんどんはね返りが来るのは、あたりまえだと実は私は思っております。
ですから、私は通産大臣にお願いをしたいことは——小麦でもソ連が三千万トンの輸入、アメリカがいま大あわて、各小麦市場全部押えて、いつの間にやらソ連が三千万トン、二億石買い占めちゃった。中華人民共和国に至っては四億石、六千万トン買い占めたという話だ。クリスマスケーキがなぜ上がったか。世界的には中共とソ連が小麦の買い占めをやったからなんですね。私は通産行政の中でも、小さな民商の話から申し上げましたが、地球の上でも、そういうこっちで引っぱって、こっちで落とすような戦略がどんどん進んでおります。
私は、それを、ひとつ大政治家であられる中曽根先生に——特にお若くてスマートで、声を聞いても鈴を振るようなさわやかさがありますし、その将来の総理に、私はひとつ心を持ってくださいと言いたい。中小企業が困るのも政治家に心がないからです。私は、実は石油は、中曽根大臣に正直言って、失敗ではなかったかと思っています。たいへんなことになってきたな、これはアメリカをおこらしたなという気持ちです。
アメリカと結びついていれば、ロッキー山脈、ミネソタ、ワイオミング、ユタの三州にわたって二兆バーレルあるというのです。その二兆バーレルをけって、百五十億バーレルに飛びついた。その上に、どろぼうに追い銭をつけた。持っているのはサウジアラビアですが、掘っているやつ、見つけているやつ、みんなユダヤ人です。ひとつ、その辺をお考えいただき、私の考えが間違っておりましたら、この際、御指導をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/189
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190・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 中山さん独特の発想法をいま聞きまして、非常に勉強すべき点があるように思いました。小麦から大豆から油に至るまで、世界的スケールでものを判断して、そうして、その中に流れる戦略を見抜いておる独特のやり方、なるほどそういうものもあるものかなと思って、実は拝聴したところであります。
しかし、政治家は、あらゆるソース、あらゆる情報に目をみはって、国益をそこなわないように努力していかなければならぬと思っております。私も大いに謙虚に勉強していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/190
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191・中山正暉
○中山(正)委員 ありがとうございました。
国益というのは、私は長い目で見る必要があると思います。やはり井伊直弼という人のように、百年後に花の生涯といわれる人がほんとうの政治家だと思います。政治の政という字は正しい文章と書いてあります。ひとつ、その点をお願いして、おそくまでおつき合いいただきましたことを、心から感謝をして質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/191
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192・徳安實藏
○徳安委員長 次回は、明五日金曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後八時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X01819740404/192
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