1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年二月二十七日(水曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 仮谷 忠男君
理事 笠岡 喬君 理事 坂村 吉正君
理事 湊 徹郎君 理事 安田 貴六君
理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君
理事 芳賀 貢君 理事 津川 武一君
愛野興一郎君 伊東 正義君
今井 勇君 上田 茂行君
小沢 一郎君 金子 岩三君
吉川 久衛君 熊谷 義雄君
佐々木義武君 白浜 仁吉君
染谷 誠君 丹羽 兵助君
本名 武君 粟山 ひで君
角屋堅次郎君 島田 琢郎君
竹内 猛君 馬場 昇君
米内山義一郎君 中川利三郎君
瀬野栄次郎君 林 孝矩君
稲富 稜人君
出席国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
出席政府委員
環境庁自然保護
局長 江間 時彦君
農林大臣官房長 大河原太一郎君
農林省構造改善
局長 大山 一生君
林野庁長官 福田 省一君
林野庁林政部長 平松甲子雄君
委員外の出席者
経済企画庁長官
官房参事官 平 弘君
林野庁林政部森
林組合課長 甕 滋君
資源エネルギー
庁公益事業部計
画課長 杉山 和男君
建設省河川局河
川計画課長 飯塚 敏夫君
農林水産委員会
調査室長 尾崎 毅君
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委員の異動
二月二十七日
辞任 補欠選任
島田 安夫君 高橋 千寿君
林 孝矩君 岡本 富夫君
粟山 ひで君 西村 直己君
同日
辞任 補欠選任
高橋 千寿君 島田 安夫君
岡本 富夫君 林 孝矩君
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二月二十六日
農地の転用許可取消に関する請願(坪川信三君
紹介)(第二三六四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、第七十一回国会閣法第一
一九号)
農用地開発公団法案(内閣提出第四八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/0
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001・仮谷忠男
○仮谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/1
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002・角屋堅次郎
○角屋委員 森林法の一部改正の議論が、本委員会におきまして、同僚議員によってずいぶん緻密な点まで論議が展開されて今日に至っておるわけでございます。同時に、この森林法は昨年の国会からの継続でもございますし、今日まで所要の現地調査等も行なわれて、真摯な議論がなされてまいりました。したがって、私は、別の委員会であります公害対策並びに環境保全特別委員会の委員長を仰せつかるというふうな立場もございまして、きょうは特に森林法と関連をして質問したいのですが、いわゆる森林の公益的機能あるいは経済的機能、さらにはこれからの経済の発展との見合いにおいて、水資源問題というふうな問題が非常に重要な緊急の課題だというふうに考えるわけでございまして、そういう点については、特に戦後の経済の高度成長の中では、森林についても経済的機能というのが先行いたしましたけれども、最近の自然環境を尊重する、さらにまた環境破壊に対してはきびしい国民の指弾が浴びせられるというふうな点等も出てまいりまして、森林法の今回の改正等を通じてでも、森林の持つ公益的機能という点をやはりもっと整備強化していこうという改正が提示されておると受けとめておるわけでございます。
そこで、農林大臣にまずお伺いをしたいのでございますが、大臣自身は長野県の出身でございますから、森林の問題あるいは林政上の問題、山村におけるところの過疎あるいは労働者の問題、地域問題等、すべてベテランでございまして、十分御承知の大臣でございますから、まず冒頭にお伺いをしますが、いま言った森林の公益的機能というものは従来以上に重視をされるという情勢になってきておるわけでありますが、農林省として、これまで、林業政策を通じてどういう施策を重点的に講じてきたのか、また、いま申しましたような情勢の進展から見て、森林の公益的機能を十分発揮するためにどういう施策を強化していくというお考えであるのか、この際所信をお伺いしたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/2
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003・倉石忠雄
○倉石国務大臣 森林資源の整備につきましては、お話しのございましたように、森林は多面的な機能を持っております。かつ、その造成には、超長期と長期を必要とすることなどにかんがみまして、森林計画制度の適正な運用によりまして合理的な森林施策の推進につとめますとともに、特に、公益的機能の発揮が強く要請されます森林につきましては、保安林に指定する等の方策を講じてまいっておることは御承知のとおりでありますが、さらに、また、最近、森林、林業をめぐる諸情勢の変化に対応いたしまして、昨年の二月、森林林業政策の長期指針といたしまして、森林の公益的機能の拡充をはかることを旨といたしまして、森林資源に関する基本計画を改定いたした次第でございます。
今後の森林林業政策の推進にあたりましては、この計画の趣旨に即しまして、現在御審議をいただいております森林法の一部改正案に基づきまして、森林計画制度の改善、林地の開発許可制度の導入をはかること等によりまして、国土の保全、水資源の涵養等の公益的機能の維持増進につきまして格段の努力を傾けてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/3
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004・角屋堅次郎
○角屋委員 建設省の出席を要請しておったわけですが、まだ参っていないようでありますけれども、これは総合官庁として、経済企画庁等で関連してお答えが願えればそれでもけっこうでございますが、本委員会でも議論されておる中で、林野庁で行なった「森林の公益的機能計量化調査(みどりの効用調査)」というふうな点の各項目についても、森林の公益的機能の立場からいろいろ議論がなされてまいりました。水資源の涵養であるとか、土砂流出防止の問題であるとか、あるいは土砂崩壊防止の問題であるとか、保健休養、野生鳥獣保護、酸素供給・大気浄化、騒音防止、というふうな各機能について、一定の仮説に基づいてこれが計量、評価をすれば、総額として年間十二兆八千二百億円。この金額そのもの、それが正当であるかどうかということの議論は別として、とにかく、林野庁においても、森林の公益的機能というものを客観的に見直すという努力をされていることはけっこうなことだと思いますが、同時に、最近林野庁において、さらに「森林の機能の調整に関するアンケート調査」をやられて、その報告書の取りまとめがなされておるわけであります。これは二十歳以上の成年以上の者に対して、これを母集団として二千五百の標本を選定してアンケート調査をやられた取りまとめがあるわけですが、これあたりを見てまいりましても、大体七項目ばかりの点についていろいろアンケート調査をやっておるようですけれども、たとえば「生活環境と森林」というふうな点では、答える側では、自然のままの森や林が将来ともにあることが望ましいとか、あるいは、それに次いで、公園、スポーツのできるような広場がほしいとか、あるいは、「森林の現状について」では、森林が転用され過ぎているというふうな答えが過半数に達しておる。また、「木材利用について」では、代替品の占める比重が最近とみに高くなってきておるというようなことが、生活の実態に基づいてアンケートの答えとして出てまいっておりますし、さらに、また、「自然保護と森林について」というふうな問題については、森林を保護するためにどのような方法をとるかということについては、国、公有化によって責任をもって管理すべきであるという答えが四〇%、一般の者の自覚と良識にまつというのが二八%、伐採、利用開発を制限して、その損失は国、県が補償すべきであるという考え方のものが二六%というふうに、自然保護と森林の問題についても、私どもが判断をしておるような答えが出てまいっております。
さらに、また、「森林とレクリエーション」の問題については、最近国立公園や国定公園の利用者が増加してきておるが、ところが、一般林地への入り込みがふえてまいりまして、場所によっては盗伐や山火事等の発生が出てまいっており、観光資本の無秩序な開発に対する批判が強まっており、秩序ある森林の管理について、もっと積極的に取り組まなければならぬ。レクリエーションの立場から見れば、いろいろな休養施設あるいは案内施設、衛生施設、安全施設等が不足をしておる。そこで、そういう面をもっと整備をしてもらいたいというふうな、森林とレクリエーションの項目についてのアンケートの結果が出てきております。
さらに重要な点では、いま問題にしている森林の公益的機能ですが、「森林の公益的機能の確保と経費負担について」で、その経費をどう負担をするかという点では、国の経費でまかなうべきであるというのが五八%、受益者の負担というのが一三%、森林所有者、森林を営む者の負担にすべきだというのが一三%というふうなことで、森林の公益的機能を果たすという場合における国の責任というものを強く望んでおることが出てまいっております。
さらに「森林と国民生活」という点で、山の国土保全的機能、あるいは環境保全機能、あるいは水源涵養林機能、あるいは木材生産機能というふうな、いずれにウエートをとって国民は全般的として見ておるかという点については、災害から人命、家屋を守るというのが四〇・五%、木材をつくるという、いわゆる木材生産機能が三二%、水をたくわえたりあるいは自然環境をきれいにするというふうな、環境保全機能が二九・五%。数年来の集中豪雨による災害等の各地の問題等もありまして、やはり、国土保全機能というものについて、森林に対する国民生活サイドの問題が相当出たりしております。
そういうふうな結果等も踏まえて考えてまいりますと、森林の持つ公益的機能というものは、今後、口先だけではなしに、真剣に政府としても取り組んでまいらなければならぬ命題であるということは明らかであります。
建設省がお見えになったようでありますから、建設省にお伺いをいたしたいのでありますが、建設省では、広域利水調査ということについて、昭和四十六年の四月に第一次の報告書を取りまとめられ、さらに、昭和四十八年の八月に第二次の広域利水調査の報告を取りまとめられて、対外的に発表されているわけであります。これは非常に重要な判断の素材を提起をしておる内容だと私は思っておりますけれども、「日本の水資源」、「日本の水資源開発」、「昭和六〇年における水需給」さらに、「ブロック別水需給」の予測というふうな取りまとめになっておるわけでありますが、水資源問題について、この建設省の調査からどういう点の問題指摘ができるかという点を、この際簡単に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/4
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005・飯塚敏夫
○飯塚説明員 お答え申し上げます。
ただいま先生御説明のとおりの、昭和六十年度における水の需要と供給の関係を調査したものでございますが、この前提といたしまして、建設省では、一昨年の暮れに、建設省の中で、「国土建設の長期構想」というものを考えております。それを前提といたしまして、全国各地域の水需要の想定を計算いたしました。それから供給面につきましては、現在、私どもが、洪水調節のダムを含めまして多目的ダムを建設しておりますが、それらのダムの実施状況等を踏まえまして、現実的に昭和六十年までに資金的な手当てさえできれば実施可能なダムを選定いたしまして、そのダムによりまして、おおむね昭和六十年までの四百億トンの要求に対しまして四百六十億トンを供給するというような立場で、この調査報告書は需要と供給の関係を明らかにしております。その結果、全国のうち首都圏、それから京阪神の近畿圏、そのほか全国八地域にわたりまして、十分に供給ができない、いわゆる需要に対して供給が不足するという地域が八地域出ております。私どもは、これらの問題につきましても、十分事業の執行その他を考えまして、水の合理的利用等の問題も考えまして、今後善処をするように対処してまいりたいと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/5
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006・角屋堅次郎
○角屋委員 いま建設省からお答えがありましたように、昭和六十年において水需要がどういう状態に各地域別になるかという点で、いわき・郡山地区、南関東地域、京阪神地域、備後地域、高松地域、東予地域、松山地域、北部九州地域の八つの地域では、昭和六十年の段階では水需要が逼迫をする。しかも、南関東の場合では二十億立方メートル程度、京阪神では十二億立方メートル程度、あるいは、北部九州では五億立方メートル程度で、これら八地域で、お答えのありましたように年間四十二億トンという水不足がとにかく予想されるという結果が出ておりまして、経済企画庁が、水資源開発促進法に基づいて、利根川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川の五大水系について、水資源開発水系の指定、あるいはそれに伴います閣議による水資源開発基本計画の策定、それに基づきます計画の推進という、中心官庁としての推進をやっておられるわけでありますが、経済企画庁には水資源局というものがかつてありまして、水問題では総合的に一つの局として取りまとめをやっておったわけでありますが、経済企画庁としては、水資源問題という問題についてどういう取り組みをやってきたのか、あるいは、現在どういう取り組みをやっておるのか、さらに、建設省のいまの各地帯的な水不足問題の予測というものと関連をして、水資源開発促進法等の問題もからみ、たとえば関東地域について言えば、どういう取り組みが今後されていこうとしておるのか、こういう点について、経済企画庁からお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/6
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007・平弘
○平説明員 お答え申し上げます。
先生のお尋ねの、ただいまの建設省の御説明の広域利水、これは非常にすぐれた調査でございますが、私どものほうにおきましても、水問題というものは経済企画庁の国土の利用に表裏一体の問題でございますので、従来からこれに取り組んでいるところでございますが、御承知のとおり、水資源と申しますのは、単に水の量だけではなく、水質の悪い水は水資源とは申せないということでございますが、今日、水質の問題は、主として環境庁がこれに当たられており、水の造出、利用、これは各省庁に相またがっておりまして、水資源に関します政策というものの調整は非常に多くの問題を伴っておるわけでございます。
私ども、御案内のとおり、現在これを点検中でございます新全国総合開発計画におきましても、水資源の開発問題というものは非常に重要問題でございまして、特に、これは、全体の需給という点だけでこの水資源の需給を取り上げましても、先ほど建設省からお話しがございましたように、水問題は非常に即地性のある問題でございますから、個別、具体的な地域の問題としてこれを取り上げていかざるを得ない。特に、お話しのございました八地域、中でも京浜、東海、京阪神というような三大都市圏の水問題につきましては、他の北九州あるいは吉野川流域というものと相あわせまして、これを五大水系として指定をし、水資源の開発につとめておるわけでございます。
直接的に現在企画庁が掌理いたしておりますのは、この水資源開発促進法に基づきます事業の推進でございますが、お話しのございました首都圏、特に南関東でございますが、南関東につきましては、先ほど建設省からお話しがございましたように、将来水不足が明確に予想されている地域で、非常に重要な地域でございます。これも先生御案内のとおりでございますが、昨年、この新全国総合開発計画の点検作業の一環といたしまして、巨大都市問題の点検をいたしました。これによって南関東、つまり東京を中心にいたしました一都三県の水問題を取り上げますと、これは想定がいろいろ区々になってまいりますが、現在までのような南関東に対する人口の集中の趨勢というものが継続するということに相なりますと、昭和六十年におきましては実に四十二億トンという水が不足してくるというかっこうになる、人口増加の趨勢が鈍化するということでございましても、やはり二十二億トン程度の水の不足というものが予想される、人口の分散ということを積極的に推進するということを考えまして、ようやくこの水の需給が相均衡する、こういう状態が予想されておるわけでございます。
私ども、この地域の水の需給につきましては、御指摘にありましたとおり、水資源開発促進法に基づきます利根川の基本計画を中心にいたしまして、この水の需給というもののバランスの確保につとめておるわけでございますが、現行計画は四十五年に決定を見たものでございまして、四十五年から五十年までの間に新規の需要増が毎秒約百三十トン、これに対応した供給を実現するということで施設の設置を進めてまいっておりますが、今日まで施設の設置で目安がついておりますものが九十トン、本年度の予算等で措置させていただいておりますものが八トンほどございますので、この一部変更が年度内に完了いたしますと、さらに八トン追加いたしますものの、さらに予想される需要に対しては不足を来たすことは明白でございます。それで、この利根川の基本計画につきましては、目標年度も五十年度でございます。今回はとりあえず緊急に実施可能なものというものに着手をいたしまして、五十年度は目標年度が迫っておりますが、あるいは五十五年度、六十年度という長期の目標年度を置きまして、このフルプランの改定をいたしていきたい。
この際、先生にあえてこんなことを申し上げることも釈迦に説法かとは存じますが、首都圏につきましては水源が非常に苦しいということは、率直に申し上げまして実態でございます。単に利根川水系にのみたよることなく、周辺の関連水系というものの開発利用というものも相あわせまして、同時に、また、その水利用の合理化も徹底的に進めるという方向で、この水需給の均衡の確保というものにつとめてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/7
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008・角屋堅次郎
○角屋委員 経企庁としての水の総合的な把握という点では、私が承知しておるところでは、昭和四十八年、四十九年の両年で全国水需要量調査というのをいま調査中で、五十年には取りまとめるというふうに承知しておるわけですが、それは別といたしまして、先ほど来出ておりますように、全国の八地域においては、昭和六十年度で相当水需要が逼迫する可能性を持っておる。そこで、林野庁の長官にお伺いしたいのですが、森林の持つ公益的機能というのは、これは全国的な問題でございますけれども、同時に、そういった公益的機能を発揮していくという立場から、特に下流地域の産業経済、国民生活というものと結びついておる地帯的な地点で、いま言ったような地域では現に不足の状態が出てきておるということは言えますし、将来、いまの趨勢から言えば逼迫する危険性を持っておる。こういう見合いでのいわゆる森林の公益的機能の立場からの対応というものを、これは全く無関係に考えておるのか、あるいは、そういうものは総合的な立場から十分タイアップをして考えていくという立場でこれらの地域には対応しておるのか、それらの点について、林野庁長官から御答弁をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/8
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009・福田省一
○福田(省)政府委員 いまお話しのございました地域はもちろんでございますけれども、全国的な立場から見ましても、森林資源の維持、造成については、先ほど大臣から御答弁いたしましたように、一つの基本計画がございます。その基本計画に基づきまして、民有林におきましては地域森林計画、国有林におきましては地域施業計画というものを樹立いたしまして、それぞれの具体的な地域における施業方針を確立しておるところでございます。
この中におきまして、水問題につきましては、保安林制度の中に水源涵養保安林というのがございます。この水源涵養保安林を指定いたしまして、この伐採方法その他造林の方法等につきましてきめのこまかい施業方針を示しておるのでございます。この保安林の制度というのは森林法の中にもございますが、もう一つ保安林整備臨時措置法というのがございまして、この中で、この保安林だけについての整備計画をつくらなければならないということになっておりますし、また、その法律の中では、この保安林の買い上げの制度もあるわけでございます。たまたまこれが昭和四十九年の四月で期限が切れますので、これを延長する法律の検討もまたお願いしておるところでございます。そういうふうにいたしまして、この水の問題につきましては、現在、水源涵養保安林は、保安林全体六百九十万町歩の中でほとんど八割近くが水源涵養保安林でございます。しかし、これではまだ足りませんので、いま申し上げました法律を延長いたしまして、さらにこの水源涵養保安林を拡大してまいるということを、関係省庁とも連絡しながら決定していきたい、かように考えておるところでございます。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/9
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010・角屋堅次郎
○角屋委員 環境庁が発足をいたしまして、最近の国民的な世論にタイアップをして環境保全という問題に真剣に取り組むべき立場にあるわけでありますが、森林法との見合いで考えてまいりますと、当然、自然公園法というのがやはり関連をしてくる。さらに、一昨年法律が通りました自然環境保全法というのがこれに関連をしてくる。そこで、自然公園法の場合においては、御承知の国立公園あるいは国定公園、都道府県立自然公園というものが、それぞれ環境庁長官あるいは都道府県知事によって指定されていくわけでありますけれども、これにはまた特別地域というものがあったり、あるいは特別保護地区というものがあったりして、全国森林計画あるいは地域森林計画との関連を持ってくるわけであります。さらに、環境庁にお伺いしますと、自然環境保全法に基づきます原生自然環境保全地域あるいは自然環境保全地域があり、この中でも特別地区があり、海中特別地区があり、普通地区があり、そういうことで、それぞれ地区的に分かれておるわけでありますけれども、しかも、これについては、それぞれ環境庁長官の許可によって指定されるものもあれば、あるいは都道府県知事から環境庁長官への届け出等を通じてそれぞれの地域が指定をされていくものもあるということになる。これがまた、全国森林計画や地域森林計画やあるいは国有林関係の施業計画を遂行していく場合に関連を持ってまいるわけであります。
この際、環境庁のほうから、いわゆる環境保全の立場からの問題と同時に、いま言った自然公園法あるいは自然環境保全法というものの森林法との関連における見合い、さらにまた、特に自然環境保全法については、先ほど来申しておりますような原生自然環境保全地域あるいは自然環境保全地域というものがどういう段取りに今日なっておるのかという点等も含めて、御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/10
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011・江間時彦
○江間政府委員 お答えいたします。
まず、先生が最後におっしゃいました自然環境保全地域の指定の進捗はどうなっているかということからお答えいたします。
原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域の指定につきましては、昨年十月に閣議決定をいたしました自然環境保全基本方針、これが指定をします前の前提として必要だったわけでございまして、それをつくりました。また、われわれ実務上の必要から、自然環境保全調査というものを実施いたしておりまして、これもこの三月には完全に調査が終了することになっております。これらのことに基づきまして、数カ所の候補地を選定いたしまして、現在関係行政機関と協議を進めているところでございまして、大体年度内ぐらいには数カ所の指定ができると思っております。
また、都道府県におきましても、都道府県の自然環境保全条例というものの制定を大体終えておりまして、このうちの一部の県につきましては、すでに都道府県自然環境保全地域の指定を行なっております。その他の府県におきましても、目下指定の準備を進めているところでございます。
次に、先生お尋ねの森林法上の地域森林計画と、それから自然環境保全法に基づいて指定されます地域における森林の施業方針との関係でございますが、自然環境保全法に基づきます自然環境保全地域等の指定に際しましては、その地域の森林施業の方法につきまして農林大臣と協議をしてきめることになっております。協議がととのいました段階で、もし必要があるならば地域森林計画の改定をやっていただくということになりまして、その両者の関係の調整がはかられるというふうにわれわれは期待いたしております。
それから、第三点の御質問の森林法上による開発許可と自然公園法によります開発許可の関係はどうかという点でございますが、森林法で新たに規制を行なうこととしております「土石又は樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為」を自然公園法上の対象となる地域において行なおうとする場合には、自然公園法等による規制を当然受けることになります。これは森林法による規制が、森林の有する災害防止やあるいは水源涵養等の機能から見まして、当該開発行為が森林の周辺の地域に悪い影響を及ぼすおそれがないかどうかという観点から判断されるものだとわれわれは思うわけでございます。
片方、自然公園法などによります規制は、開発行為が当該地域のすぐれた自然景観等の自然環境を破壊するおそれがないかどうかという観点から判断するものでございまして、それぞれの法律による規制の観点が異なるというふうにわれわれは考えておりますので、両者相矛盾することなく施行されるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/11
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012・角屋堅次郎
○角屋委員 いまの環境庁のほうの御答弁と関連して、林野庁の長官にお伺いしたいわけでありますが、今度の森林法の改正が通るといたしますと、当然、従来の全国森林計画あるいは地域森林計画、国有林関係の施業計画等も含めて改定をやっていかなければならない。全国森林計画については、流域構想というふうなことで、七十ないし八十のあれに基づいて全国森林計画を立てる。そういうことでやっていくわけでありますけれども、私の判断としては、自然環境保全法に基づくところの、先ほど来由しております原生自然環境保全地域なりあるいは自然環境保全地域というものは段階的に指定されていくだろう。これが指定されてまいりますと、当然、全国森林計画や地域森林計画、あるいは国有林関係の地域施業計画というものにかかわり合いを持ってくる。そういうものについてはどういう対応のしかたをしていくのか、これは森林法を取り扱っている林野庁長官のサイドからお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/12
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013・福田省一
○福田(省)政府委員 四十八年の三月に策定しました全国森林計画でございますが、ここでは、森林の多面的な機能を総合的かつ高度に発揮し得るように、森林施業に関する基本的な事項を具体的に定めたものでございます。自然環境の保全についても、十分にその点につきましては配慮して計画しているところでございます。したがいまして、自然環境保全地域の指定がなされました場合に、そういう場合におきましても、特に著しい変更がない限り計画の変更の必要はないだろうというふうに考えているところでございます。
また、民有林におきます下部計画であります地域森林計画、それから国有林におきます地域施業計画は、全国森林計画に即しまして樹立されておることは先生御承知のとおりでございますが、すぐれた天然林等あるいは学術的な価値の高いこういった森林につきましては、その学術的価値にかんがみまして、この計画を樹立する際に、その保全に十分配慮して施業をきめているところではございます。しかし、自然環境保全地域の具体的指定がなされ、施業方法の変更を必要とするというふうな場合も出ると思います。そういう場合には計画を変更してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/13
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014・角屋堅次郎
○角屋委員 先ほど来お尋ねをしております水資源問題というものと、森林におけるところの水資源涵養の立場からの保安林問題というものは、重要な関連を持つわけでありますが、長官からも御答弁がありましたように、この問題については、保安林整備臨時措置法が今年三月三十一日で期限切れになるのを、さらに十年延長する。過去二十年、この法律に基づいて保安林の整備というものをやるということでやってまいったわけですが、同時に、保安林問題については、林野庁部内でも、今後どうするかという部内検討が御承知のようになされておるわけでありますけれども、その問題と関連をして、保安林が、ゴルフ場や、あるいは本委員会でも議論になりました基本的な問題であります軍事的な目的のために保安林解除の形式で使われるというふうな重大問題が従来も本委員会でも出ておりましたけれども、その問題はすでに論議された問題でありますからさておきまして、保安林は一号、二号、三号に加えて、十一まで御承知のように保安林の法律的な区分がなされておるわけでありますけれども、私ども党として考えていることは、新しく市街地周辺の環境緑地というふうなものを保安林の中に考えて、快適な都市環境というものをつくるということに前向きに取り組んではどうかということ。私ども外国等に参りますと、大都会といえども、ちょっと都会から出れば、非常に静かな環境の森林にすぐめぐり会わすことができる。公園にめぐり会わすことができる。昔は、関東も武蔵野があったわけでありますけれども、いまはそのおもかげも見ることができない。こういう状況に変わってまいっておるわけでありますが、たまたま私と内容的な問題では見解を異にする点があるにいたしましても、経済同友会がかって「二一世紀グリーン・プランへの構え−新しい森林政策確立への提言−」という中で、保安林問題を取り上げまして、新しい保安林の区分として、都市環境林、水資源林、国土保全林、景観林、学術研究林という五つの区分についてはどうかという提言があり、同時に、「なかでも都市環境林は、わが国の都市化の進展に伴い、その設定・整備が急がれる。」というふうに問題指摘をしておるわけであります。そういう点で、都市といい、農村といい、山間部といい、全体的な自然環境保全ということは考えなければなりませんけれども、人口の集中しておるような都市あるいは市街地周辺というふうなところにおける緑の確保ということは非常に重要な問題だと思うのです。したがって、そういう点で、従来の保安林の区分があのままでいいかどうかという問題もありますけれども、一応あれを前提にして考えるとするならば、新しく市街地周辺の環境緑地というものを取り上げてはどうかというふうな考え方を率直に持っておるわけでありますが、それらの点についてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/14
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015・福田省一
○福田(省)政府委員 御指摘のように、都市周辺における緑化ということは非常に要望も強うございますし、今後拡充していかなければならぬ問題であるというふうに考えております。先ほど、保安林整備臨時措置法を延長いたしまして、さらに保安林の整備を促進してまいりたいと申し上げたのでございますが、その中に、いまお話しのございました保健保安林というものを大きく取り入れてまいりたいと考えておるわけでございます。すでに、それぞれの都市におきまして、緑化事業を行ないたいという場合には、保全林作業ということも三年ぐらい前から実施さしておりますし、また、今回四十九年度予算御審議の中の計画の中でも、都道府県が乱開発防止のためにそういった保健保安林のようなものを購入してこれを防ぎたいというような場合にはそれに助成をするという措置も考えて、それぞれ拡充をはかってまいっておるところでございます。
その、都市の緑化ということにつきましては、ただいま御指摘のありました二十五条の十一種類の保安林の中で、第十号に「公衆の保健」という項目があるわけでございまして、私たちは、一応、いま先生の御指摘のそういった問題をこの「公衆の保健」の中に入れまして、それで、大都市であろうが、中小都市であろうが、農村であろうが、そういう地帯における緑化、つまり保健保安林というものを拡充していきたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/15
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016・角屋堅次郎
○角屋委員 いま長官から御答弁がありましたが、この保健保安林を今後は保安林整備の中で重点的に考えていきたいというのは、本委員会の審議の中でもかねて答弁のあったところですが、私は、都市地域における環境整備という面からこの保安林の区分を十一に分けておるのを整理統合してどうするかという問題ともからみ合って、都市の緑の確保という点で明確にされることが望ましいというふうに率直に思います。
そこで、通産省からもお呼びしてありましたので、簡単にお聞きしておきたいのでありますが、御承知の、昨年の秋以来の石油問題ということにからみまして、わが国の電力エネルギーというものを経済の伸展と見合ってどう確保するか。これは水力があり、火力があり、原子力があるということで、資源エネルギー庁のそれぞれの担当セクションでは該当の課も設けられておるわけでありますけれども、最近の石油問題のこういった状況の中で、私の判断としては、水力発電を見直す、積極的に可能性のあるところについては、これはやはり取り上げていくという姿勢が出てきておるのじゃないかと思います。
そこで、お尋ねをしたいのは、わが国の包蔵水力の問題について、既開発のもの、工事中のもの、あるいは包蔵水力から見てこれから開発の可能性を持つもの、そういう問題も含めて、しかも、総合的には、最近の情勢から水力、火力あるいは原子力等も含めた電力エネルギーの取り組みの姿勢というものについて、簡潔に御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/16
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017・杉山和男
○杉山説明員 ただいまの電源開発基本計画の長期目標によりますと、四十八年から五十四年までの七年間に一億九百三十万キロワットの電源開発に着手することが予定されておりまして、その結果、五十四年度末には、水力で二〇%、火力で六三%、原子力が一七%というふうな設備が予定されているわけでございますが、しかしながら、ただいま御指摘がございましたように、わが国の電源構成が石油に非常にウエートが置かれているということから、今回のアラブ諸国の石油供給の削減に伴いまして、電力供給に非常に大きな影響を受けているというふうな状態でございます。したがいまして、今後の電源開発にあたりましては、今回の経験にかんがみまして、石油火力の開発を従来どおりのテンポで進めるわけにはまいらないということは明白でございますし、また、その反面、エネルギー源の多様化、国産エネルギーの開発等につきましてあらゆる施策を推進いたしまして電源構成の是正をはかる必要があるというふうに考えられます。
将来のこのような長期目標をどういうふうなウエートで回転していくかということにつきましては、ただいま通産省の総合エネルギー調査会、電気事業審議会等におきまして検討を開始したところでございます。
ただいま、具体的な将来の改定数、字を計数で申し上げるわけにはいかないわけでございますが、ただ、おおよその方向を申し上げますと、火力発電につきましては、石炭資源の活用をはかるため、石炭火力の建設について積極的な再検討を行なう必要があるということ、それからさらに、地熱発電につきましても、これを積極的に国産エネルギー活用の観点から推進していかなければならないと考えます。また、量的には、原子力発電につきましても、安全性の確保に十分な配慮をしながら開発を進めなければならないと考えております。特に、水力につきましては、国産エネルギーの大宗でございますので、これが活用につきましては、今後積極的に取り組まなければならないわけでございまして、電力のピーク需要の増大に対応いたしますためには、揚水発電の開発ということも必要でございますが、国産エネルギー、しかもクリーンエネルギーであるという点を考慮いたしまして、揚水以外の一般水力の開発につきましても積極的に取り組みたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/17
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018・角屋堅次郎
○角屋委員 農林大臣に、私は、国務大臣としてお伺いしておきたいのでありますが、先ほど来、森林の公益的機能、あるいは環境保全、水資源問題というふうなことで、それぞれ簡潔に関係各省にお伺いをしてまいったわけでありますけれども、その問題を取り上げるにあたって私がいま痛感をするのは、水資源問題というのは、現在もそうですし、将来にわたって非常に重要な問題である。また、これが単に治水だけでなしに、利水的な面も含めて考えてまいりますと、これはまさに生活の基礎資源である。いわゆる各省庁の総合的な連絡と総合運営という面から見ると、建設省で調査計画があって調査をする。経済企画庁で調査計画をまた持って調査をする。あるいは、農林省では、林野庁を中心にして一定の計量化でもって、公益的な問題についていろいろ検討する。それはそれなりにけっこうでありますけれども、やはり、日本の国土というものは、これはもう動かしがたい一定の前提条件を持っているわけでありますが、そういった水資源の培養なり、あるいは水資源の開発なり、あるいは総合的な、そういうものの各省間における調整というものについては、これはむずかしい形のものでなくても、各省庁で緊密な連携のとれるような形の連絡会議なり何なりでもって、総合的に、ロスのないようにやっていくということが基本的に必要じゃないかと思うわけですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/18
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019・倉石忠雄
○倉石国務大臣 たいへん大事な問題だと存じます。そこで、先ほど企画庁のほうからもお答えいたしましたが、政府といたしましては、将来の人口の配置、それから工業の集中度等、そういうことを考えまして、水の問題につきましては、それぞれいまお話しのように、担当省において、自己の関係のあります問題について研究はいたしておりますが、その研究の間におきましては、関係省庁と常に連絡をとってやっております。たとえば林野庁におきましても、十分企画庁の諸般の計画等とお打ち合わせの上で計画を立てておるわけでありますが、総合的なそういう対策を樹立することは必ず必要なことであると考えておりまして、なお、各省庁の間に十分な連絡をとって対処してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/19
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020・角屋堅次郎
○角屋委員 具体的に森林法の一部改正の内容に入って質疑を進めたいと思いますが、今回の改正は幾つかの点において重要な改正が計画されておるわけでありますけれども、その一つは森林計画制度の改善をやろうということで、全国森林計画の内容についても重要な改正をやろうとしておりますし、地域森林計画についても同様であります。細部の点については御案内のとおりでありますけれども、特に、その中で、冒頭来取り上げておりますような森林の公益的機能というふうなものに相当なウエートを置いた立場での全国森林計画、あるいは地域森林計画の改正がなされておると受けとめておるわけであります。たとえば、全国森林計画においても、「全国森林計画は、良好な自然環境の保全及び形成その他森林の有する公益的機能の維持増進に適切な考慮が払われたものでなければならない。」ものとするという四条三項の関係の改正があったり、あるいは同様に地域森林計画についても、五条三項で同様の趣旨の改正を加えるということに相なっておるわけであります。
そこで、次の改正になっております民有林における開発行為についての許可制の導入の問題でありますが、山の公益的機能は、単に民有林に限りませんで、国有林、民有林を通じての、まさに森林の持つ公益的機能というものを総合的に発揮していかなければならぬ立場にある。しかるに、ここで取り上げておるのは、民有林における開発行為についての許可制ということで取り上げておりまして、しかも、この民有林については、地域森林計画の中で、結局地域森林計画の森林区別に、その森林区にかかわる民有林のうちで、その土地の自然的、経済的、社会的諸条件及び周辺地域の土地利用の動向から見て、森林として利用することが相当でないと認められるものを除いたものにつき地域森林計画を立てるということでその地域森林計画の対象となっておる民有林、これは保安林等を除くと、こういうことになっておりますが、それについての、開発行為についての許可制の導入ということになっておるわけでありますが、今回の全国森林計画や地域森林計画の改正の重要な骨子から見ても、また、同時に、一般的に見て、国有林、民有林を通じて乱開発が行なわれてはいけない。乱伐が行なわれてはいけない。従来そういう批判を国有林自身も受けておったわけでありますが、こういう開発規制についての許可制の導入というものについては、やはり、国有林も包んだ形で考えるべきじゃないか。これが第一点であります。
それから、第二点の問題としては、先ほど来言っておりますように、たとえば建設省の調査によりまするというと、関東であるとか、近畿であるとか、北九州であるとかいうふうなところを含めた全国の八地域においては、六十年代においては相当水が逼迫する。そういう地域こそ国民が集中的に住んでおる地域であります。山に対する乱開発の危険性を持っておる地域であります。そういう場合に、民有林の開発許可の場合に、三条件というものがあって、「土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。」「水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること。」「周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。」というのに該当しない場合は都道府県知事は許可をしなければならないというふうに言っておるわけでありますが、そういう全国一律の一般的なことでいいのかどうか。これは、いま言った地帯的な水の問題とからんで、そこに人が住んでおるだけに、乱開発なり、あるいはそういうところに対する開発許可を求めてくるというのは殺到するかもしらぬけれども、そこはそうはいきません、水資源の確保の立場からそうはいきませんという、こういう地域的な特性に基づいた配慮というものが当然なければならぬ。これが第二点の問題であります。
第三点の問題としては、この三条件というのは、「著しく」の問題についての議論が行なわれましたけれども、こういう項目を取り上げることについては、与野党ともにだれしも異議がない。しかし、これだけで今日のとうとうたる大勢の乱開発がおさめられる、抑制できるというメリットがあるか、ことに、森林法の中でこういうものを考える場合には、森林サイドから見た項目がさらに必要なのかどうかという問題が考えられるわけであります。
そういう立場で、この三条件の中身の表現は、これは議論されたことでありますから別として、とにかく、三条件に加えて、森林の持っておるところの経済的機能との関連で、林業資源の確保といいますか、そういう立場から、こういった開発行為についての許可制にあたって歯どめをかけるという必要がある。林野庁長官がしばしば言っておりますように、日本は七割近い山を持っております。しかし、国際的に見て、一人当たりの山林面積ということになれば世界で百二十番目でございます。これは口ぐせのように答弁で言っておるわけであります。これは水についても同様なんですけれども、水についての計数は、具体的にはここではもう私は触れませんけれども、そういった意味で、森林資源の立場あるいは林業生産力の確保という立場から、開発許可にあたって、そういうものを新しく明確に加えるということが必要ではないか。
以上、三点の問題についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/20
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021・福田省一
○福田(省)政府委員 私からお答えいたしまして、なお補足的なところは、必要であれば林政部長からお答えさせていただきます。
最初の、国有林の問題も含めて許可制にすべきじゃないかということは、確かに、先生の御指摘のように、過去における国有林の経営の実態を見ますというと、木材の生産、また能率の増進ということに重点を置き、また、それに偏した傾向がありまして、しばしば御指摘を受けておることは事実でございますが、新しい森林施業方針というものを確立いたしまして、その考え方を簡単に申し上げますというと、国有林は奥地にあるものだから、できるだけ択伐にし、あるいは禁伐すべきものは禁伐にする、また、皆伐すべき場合においても、小面積の分散というふうな新しい施業方針に基づいて基本計画をつくり、それに基づいた全国森林計画、あるいはそれに基づく基本計画、また、それの下部組織である地域施業計画をそれぞれ改定したところでございます。こういう御指摘を受けないように、今後はきびしい施業をとってまいりたいと考えておるところでございます。いずれにしましても、国はみずからこれを規制してまいる姿勢というものをきびしく持っていかなければならぬと思っております。監督官庁でございますので、そういう意味も含めまして、私は、姿勢としては、そういう新しい施業方針に基づいて、この経営の責任を持って、それぞれの機関を総動員して、間違いを起こさぬようにやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
それから、三条件の問題につきまして、もっと地域性を重視した施業許可を具体的にやるべきではないかという御意見でございますが、確かに、この三つの条件は非常に簡単ではございますが、しかし、なお、この細部の基準につきましては、確かに先生御指摘のように、日本列島それぞれの地域におきまして非常に差異がございますので、それぞれの都道府県知事が判断ができるような一つの具体的な基準というものを示す考えでございます。その中で、知事がそれぞれの地域の特性を生かして判断してまいりませんと、一律に大きな一つの基準を国が示しただけでは間違いを起こすということになりますので、その点は、慎重に、今申し上げた基準を示して、知事に判断を示していただくというふうに考えております。
なお、資源の確保の問題を含めて一項をつけ加えたらどうかという御指摘でございますが、確かに、森林法の基本的な考えの中に保続培養ということばがございます。私たちは、先生御指摘のように、私もしばしば申し上げるように、この資源の内容を充実していかなければならぬということを基本的には重要な問題であると考えておりますので、先生御指摘の点については検討して、これを入れてまいりたいというふうに御検討願っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/21
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022・角屋堅次郎
○角屋委員 いまの点、大臣からも少しお答えを願いたいわけでありますが、森林法の一部改正が昨年出てまいりました際にも、ゴルフ場その他乱開発が行なわれるからぜひこれを通してくれ、歯どめを早くかけたいと、こういうことを言われたりしたわけではありますけれども、せっかくこれを議論して通す場合に、通したけれども十分な歯どめにならぬということであってはいけないし、同時に、森林の持つ公益的機能や、あるいはまたそういうものが十分発揮されない形における他目的への転用というものにある一定の歯どめをしなければならぬ林政サイドからの要因というものがございます。注文があれば、この三条件で支障がなければ全部よろしいというわけにはいかない。森林資源の培養、林業生産力の確保といったものはやはり明確に打ち出しておく必要があるのじゃないかというふうに私は強く思います。同時に、この開発許可の問題は、従来国有林については何ら問題がなかったのならいいのですけれども、従来、国有林も含めて増大の傾向がしばしば指摘されておったところであります。基本的には、国有林、民有林も含めて、開発許可については一定の網をかぶせるという姿勢が必要ではないかというのが私の基本的な考え方であります。そういう問題について、大臣としてのお考えをちょっとお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/22
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023・倉石忠雄
○倉石国務大臣 森林の大切なことは、先ほど来お話しがございました。われわれもそういう考え方に立ってこの法律の一部改正を御審議願っておるわけでありますが、この目的を貫徹いたしますためには、やはり、法の運営によっていまお話しのような点をきちんとしていく必要があると、そういうことを私どもとしても十分に考慮いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/23
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024・角屋堅次郎
○角屋委員 大臣としてはもう少し腹に力の入った御答弁が願えると思ったんだけれども、これはいま理事会でいろいろ御相談中でありますから、私からはこの程度にいたしたいと思います。
そこで、これは林野庁の長官でけっこうでありますけれども、最近の林地の売買というのは相当ひんぱんに行なわれておりまして、森林の機能を十分発揮するためには適正な管理というものが必要になってきておると思います。したがって、そのためには、林地の移動を事前に把握するという必要性から見て、森林の売買に当って、事前に都道府県知事に届け出をさせるということを考えてはどうか。なぜかならば、農協なりあるいは水産業協同組合なり、漁業協同組合と違いまして、森林の所有者であれば森林組合の組合員になるという形になるわけであります。山の経営を真剣に考えるとか考えないとかいうよりも、金を持っておって、売る人があれば、それを買えば森林組合の組合員になる資格を持つ。ところが、森林法上、そういうものについて把握をする手段というものをきちっとしておくことは、最近の林地の、森林の、売買の非常に行なわれておるような情勢から見ると必要である。これは届け出でありますから、われわれの主張しておるのは届け出であります。しかも、それは、金を持っておる者でも、林業を真剣にやろうと思う者でも、買えば直ちに森林所有者として森林組合員の資格を持つという、そういうことにもなるわけでありますから、森林法のたてまえからいけば、最近の情勢から見て、知事でけっこうだと思いますけれども、届け出をさせるというふうなことを本法の改正にあたって考える必要があるだろうと思います。
また森林の売買というものは、最近の林業の複雑な条件あるいは山間部における困難な条件等から見て、森林所有者が山を売りたいというふうな場合に、金があればだれでも買えるというふうな条件ではなしに、森林の公益的機能を発揮させるためにそこはやはり確保しておく必要がある、だれでもいいというわけにいかぬというふうな立場から、国または都道府県が先買い権を持つというふうなことについても、前向きに政府自身も取り組むべきではないかということも考えておるわけでありますが、これらのわれわれの主張に対してどう考えられるか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/24
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025・平松甲子雄
○平松政府委員 ただいま先生の御指摘の問題は確かに問題点でございまして、私どもいろいろ検討いたしておるわけでございますが、まず、最初の、届け出制をとるということにしたらどうかというお話しでございますが、確かに、最近山林の売買が数が多くなってきておるということは事実でございますが、ただ、単に届け出をさせるということでございますと、民有林で申しましても千七百万ヘクタールというようなことでございますので、その千七百万ヘクタールの売買をそのつど届けさせるということは事務的にも相当なものではないか、そういうような形のものを実施させるということについては、何らか法的にそのあとをトレースする措置があるということであって初めてそれが生きてくるのではないか、いま先生がおっしゃるような形で、先買いというような形のものがあとにくっつけば、その先買い制度の一環としてどう考えるか、ということになろうかと思います。
それで、次の先買いの問題でございますけれども、国なり県なりが土地について先買いをするという制度というのは、林地だけについてそのことを実施する必要というものがあるのかどうかというようなことで、土地制度全体の問題として、その中の一環として考えらるべき問題ではなかろうか、林地だけが特別に先買いをするというふうな制度が必要であるかどうか、これは土地制度全般の問題として検討を要する問題ではなかろうか、というふうに考えるわけでございます。
さらに、最近の森林法の改正で開発許可制をとるということになりますと、いままで相当開発目的のために入手をしておった山林につきまして開発が不能になるということから、そのために国にあるいは県に先買いを申し出てくるというようなことになりますと、そのために国がしりぬぐいをするというような形にもなりかねないというような問題もございますので、前向きには検討いたしたいと存じますが、種々問題を蔵しておるのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/25
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026・角屋堅次郎
○角屋委員 時間の制約もありますので、次にさらに質問を展開していく立場から、いまの答弁はきわめて不満でありますけれども、次に進みたいと思います。
外材輸入に関連する問題でありますけれども、これは御承知の「「森林資源に関する基本計画」並びに「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」」というのが、昨年の二月十六日に従来のものが改定されたわけでありまして、この改定の中で、たとえば「林産物需給の推移表」というのを見てまいりますと、供給の面で、従来の国内供給量というのが、見通しはある程度ダウンをいたしまして、したがって、木材需要については相当旺盛な見込み数字を出しておりますから、差し引き計算として輸入量が増大をした数字になっておるわけであります。説明によりますと、「外地産地の資源事情を検討して見通したものである」というふうな前書きにはなっておりますけれども、需要がこれだけあるだろう、国内生産は、公益的機能その他のことも考えてこういう形にダウンせざるを得ないだろう、結果として差し引きこれだけの輸入量が増大しておる、と言っては少し言い過ぎでありますが、そういう傾向が率直に言ってあるように思うのです。いずれにしても、そういうことによって、昭和四十四年−四十六年の平均実績で、輸入量の比率が五三・七%というのが、五十六年度で六三・二%まで増大をする。六十六年度では六〇・一%、九十六年の段階でも三八・三%で、ここ当分の間は六割台の数字が続いていくという形になっておるわけでありまして、ナショナリズム的な国営の立場からしますと、非常に残念な数字が出ておるという感じを持つわけでありますが、それはともかくとして、ソ連材なり、あるいは米材なり、あるいは南方材なり、あるいはブラジル材その他のを含めてそういうものを考えましても、最近は各国ともにシビアな条件が、私どもが承知しておるように出てきておる。「林産物需給の推移表」で考えておるような形の輸入量というものがはたして確保できるのかどうか、そういう問題に関連して、今度国会に出されてまいりますところの国際協力事業団というものは、どういうかかわり合いの中で林野庁として受けとめていこうとするのかという問題等も含めて、これらの問題について御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/26
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027・福田省一
○福田(省)政府委員 昨年の二月に閣議決定していただきました「長期の見通し」については、先生御指摘の通りでございます。確かに、国内の資源は将来、つまり五十年先には、いまの自給率をもっと高めることになってはおりますけれども、やはり限度がございまして、いまの自給率四割くらいがまあ最終と見ております。
差し引き外材は計算したのがみんな入ってくるかという御指摘でございますが、従来は、そういったことで、それぞれの外国、たとえばアメリカとかあるいはフィリピンとかいう方面に話をすると、一応どんどん出してくれたのでございますけれども、最近はそういった問題につきまして非常に問題が出てまいっております。ということは、アメリカがすでに向こうでも相当需要が大きくなってきておる。あるいは自然保護の運動が高まっているということで、自主規制をいたして、対前年、一割減少しております。それから、したがいまして、これは製材品の形でならば幾らか出てまいりますけれども、原木のままで輸入することはなかなかむずかしい状態でございます。カナダは、これは向こうの規格に合う製材品ならば出しましょうと言っております。ソ連は膨大な資源を持っておりますが、現在のところは丸太で出してくれますけれども、設備の関係その他で、急に量をふやすということはまだむずかしゅうございますが、これも将来は、最近の情報によりますと、おそらく加工された形で入ってくるだろうと思います。東南アジアなどにおきましては、やはり同じような条件でございますが、特に向こうが要請しておりますのは、あと地の緑化の問題、それから向うで加工を起こしていく問題、それに対して日本の技術と資金の援助がほしいということを強く要請されております。したがいまして、四十九年度予算の中で私たちも海外協力事業団の中でそういった考え方を織り込んだ一つの外材の輸入の考え方を持っておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/27
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028・角屋堅次郎
○角屋委員 外材の輸入の問題に関連して、日本の国内における製材工場問題という点についても、幾つかの点をお伺いしたいと思ったわけでありますが、時間の制約もありますから、その点については、特に一点だけお伺いをいたしたいと思います。
つまり、外材の輸入が過半数以上を占めるということになりますと、日本の国内の製材工場の状態というものは、外材専用工場あるいは外材、内材の兼用工場、あるいは内材を中心にした工場というふうに、特に、外材専用工場的なものが系列下の中で非常に力を持つ。山間部にありますところの製材工場というのは、経営的にも、労働力その他いろいろな面から見ても、だんだんこれが減少していく、激減をしていくというふうな傾向を持ってくるわけでありますが、私は、過疎問題だけに限りませんけれども、山間部における地域経済というふうな点から見ると、政策的な気持ちも含めて、そういった地域におけるところの製材工場というものには、林業関連産業としての特別の配慮をしていく姿勢が必要ではないかということを考えますし、もちろんこれは単に奥地だけではなしに、平場地帯でも、弱い条件にあるものを含めて、林業関連産業としての製材工場というふうなものについては、弱い立場のものに対する積極的な手というものを、林野庁としても、政府としても考えていく必要があるのじゃないかと思うので、この点お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/28
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029・福田省一
○福田(省)政府委員 御指摘の製材工場は約二万四千くらいあるわけでございます。最近は外材の輸入も大きくなりましたので、沿岸地帯に大型の製材工場が大分ふえてまいっております。外材が内陸部にも入りまして、国内材と同時に外材もひくという、そういう組み合わせの工場も出てまいっております。国内産の原木が、先生から御指摘のございましたように、当分の間まだしばらくふやせないということになりますというと、この問題につきましては、構造改善事業をもっと促進し、それで外材の問題も含めて検討していかなければならぬと思っておるわけでございます。
もう一つは、国内材はまだ大きいものは出ませんけれども、間伐材が相当だんだんふえてまいっております。そういう意味で、この間伐材を利用した加工をし、たとえばフィンガージョイントという一つの考え方がございますけれども、ああいうものを使って、それで国内産の製材工場をもう少し二次加工に近いようなものに育成強化していくということも必要だろうと思っております。つまり、従来よりはもっと集約な形でこの製材工場の問題を考えていきたいと思うわけであります。それから外材も、いま申し上げたように原木でなしに、将来だんだん加工品で入ってくるということになりますというと、これ自体問題でございます。そういうことで、国内材につきましては、いま申し上げたように、もっと利用のできる間伐材等を中心に加工度を高めながら構造改善事業を進めていくということ、外材につきましても、将来そういった加工品が入ってくるということになると、やはりもっと精度を高めた二次加工を含めた構造改善が要るだろうと思っております。そういうことを基本にしてこの対策を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/29
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030・角屋堅次郎
○角屋委員 森林組合の改正が今度相当程度内容に織り込まれておるわけでありますが、私はきわめて遺憾に思っておりますのは、本委員会に私も十数年席を占めておるわけですけれども、いわゆる委員会における決議というものが立法府の意思としてきめられた場合に、これを行政庁が受けて、新しい立法作業なり、あるいは現行の法律に対する改正作業なりをやる場合、それを誠実に受けとめて実らせていくということは、立法と行政との関連においては相協調する問題だと思うのです。
林業振興に関する決議の第一項との関連では、社会党が出しておるいわゆる国営造林法といわれる問題、まさにあの趣旨に基づいて出したものでありますけれども、政府のほうではなかなか積極的にこれに取り組んでいかないという問題がございます。これとても、先ほど来言っておりますような、いわゆる国内の木材の需給、あるいはまた外材の長期にわたる相当程度の依存ということから見れば、やはり木を植えなければいけない。人工造林でいくにしろ、あるいは天然林で、施業でいくにいたしましても、とにかく積極的な造林という問題は考えていかなければいかぬ。公団造林があるという、あるいは公社造林があるという、森林の労務班があるという、あるいは個人も力のあるものはやっていくという、しかし、現実に造林実績というのは非常な停滞あるいは下降傾向である。したがって、ここにてこ入れとして私どもが考えておるような国営造林の道を新しく導入して、長期展望の森林資源の培養に遺憾のないような形のものを積極的に早期に講じていくという姿勢が当然なければならぬと私は思う。
また、同時に、いまから問題にします森林組合の関係の問題にいたしましても、先ほどの林興決議にしましても、私が本委員会の理事当時にまとめたものでありますけれども、森林組合については、森林組合法の単独制定ということを本委員会の与野党満場一致の決議として、大臣もその問題については誠意をもって検討いたしますという趣旨の答弁でこれが結ばれておるわけであります。何にいたしましても、森林組合の改正の中身の問題、あるいは単独法を制定すべきじゃないかという問題については、同僚議員からもずいぶん議論をされてまいりましたが、私は、これは、国会決議というものと行政府の関係という点から見てまことに遺憾である。今度、森林法の中で、旧態依然として森林組合の相当程度の改正を出していく。もしわれわれが強い要請をしなければ、当分改正はしなくていいということで、単独法制定というものは見送られていく危険性を十分持っておる。そこで私が、過去、本委員会の委員長であります仮谷さんと漁業災害補償法の改正の問題について修正議論をしたときに、いわゆる政府の保険事業というのは当時政府提案ではなかったものですから、そういうものに対して附則で、検討条項としてげたを預けるという形をやった。しかも、本委員会では両三年でそれをやれということで、参議院に行ったら一両年でやれということで、一両年のほうがとられまして、二年ぐらいの間に政府の保険事業の改正が出てくる。大体、国会の委員会の決議ぐらいでと軽く考えられるのであれば、従来、他にも例がありますけれども、政府を袋小路の中へ——法律の中でありますから、これはやはりやらなければならぬという立場に現実に立たされる。そういう手段方法の問題ではなしに、そこまでやらなければならぬというほど思い詰める気持ちに私はなるのであります。農協法がある。水産業協同組合法で漁業協同組合が存在しておる。現実に、旧来であれば、森林法の中に森林組合があったという形でありますけれども、とにかく、林業基本法というのが新しくその後に生まれてきておる。いわゆる林業者の協同組織としての森林組合は、一方では森林法に基づくいろいろな協同組織としての仕事も遂行しなければならぬでしょう。他面、林業基本法に基づく仕事も受け持っていかなければならぬという立場にある。したがって、この際、行政担当のところではいろいろ理屈を並べておるけれども、私どもとしては、森林組合については早期に単独法の制定をなすべきである、それは団体側の強い要請でもあるし、われわれ側の強い要請でもある、それはやはり取り上げるべき段階に来ておるのではないか、と、こう思うわけでありますが、この点は大臣からお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/30
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031・倉石忠雄
○倉石国務大臣 国会の御意見はもちろん十分尊重して実施するように努力しなければいけませんが、森林組合につきましては、角屋さん御承知のように、森林所有者の協同組織として、農協と同じような協同組合の性格を持っておることは申すまでもありませんけれども、それだけでなくて、森林法に基づきまして、森林施業の合理化と森林生産力の増進をはかるという公益的役割りを持っておりますことは、先ほど来るるお話しのございましたとおりであります。
そこで、森林組合制度を森林法から分離して単独法とすることにつきましては、森林組合を経済的な協同組合に純化しなければならないという法律制度的な問題のありますことも私どもは考慮しなければならないと思いました。それから、最近のこのきびしい林業の事情の変化を背景といたしまして、公益的機能と経済的機能とをあわせて有する森林組合の役割りに対する期待が一そう高まっておる今日の情勢の中でございますから、この公益的役割りを希薄にするような性格の変更は、その点においては再考を要するのではないかという感じを持っておりますが、さらにこの点は検討する必要があると実は思っております。
そういう次第でございますので、その点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/31
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032・角屋堅次郎
○角屋委員 いまの大臣の答弁は、私はきわめて不満であります。森林法の先回の改正のときに森林組合の単独制定を言われてから、すでに数年を経過しておる。現実にいまの時点で、森林組合の単独法制定によって、直ちに現状の森林組合が農協、漁協と並ぶ強固な組織になるかという問題は議論としてはございましょう。しかし、強固なものにしなければならぬということもまた事実であります。やはり森林法の中の間借り状態か、単独法制定によって、いわゆる独立の意識を持った形でやらなければならぬという立場で取り組むのかということが、心がまえの問題としては、形のようだけれども、基本的に重要な問題だと私は思うのです。持ち時間の関係もありますので、森林法の単独法の制定の問題については、政府としても誠意をもって努力してもらいたいということを強く要請しておきます。
森林組合の信用事業の問題、あるいは共済事業の問題、これは検討段階の問題になるわけでありますけれども、私は信用事業の問題に深く触れる時間がありませんが、共済事業の問題について少しくお尋ねをいたしたいと思います。
かつて、全森連の主催によります林業災害補償法制定問題ということで、大会が数年前に持たれたことがございます。私もその大会に野原さんと一緒に出て、これはすみやかにやらなければならぬ、農業についても農業共済があり、漁業についても漁業共済がある、いま森林国営保険はあるけれども、それらも廃止して、新しい観点からの林業災害補償法をつくらなければならぬ、ぜひそういうふうにしたい、と、こういうことを言ってまいったわけでありますが、その問題で、全森連では、団体自身としての林業災害補償法の要綱というものを持たれた段階がございました。また、林野庁でもこれを前向きに受けとめて、そして、林野庁自身でも森林災害にかかわる損失てん補の制度の拡充問題ということで前向きに検討されてまいりましたが、農林省自身が、さてこういうことでどうだろうかという点になりました時点で、全森連と意見がちょっと食い違って、いまもたついているという状況だというふうに判断をしておるわけでありますが、この林業災害補償制度の問題についての、従来の団体を含めた経過と今日の時点の状況と、そして、林業災害補償法をつくるための今後の姿勢というものについて、ひとつお答えを願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/32
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033・平松甲子雄
○平松政府委員 森林の災害につきましての保険の仕組みといたしましては、現在、国営で森林国営保険をやっておりますし、そのほか、全森連で、福利厚生事業として災害共済事業をやっておるわけでございます。大体両方同じくらいの面積にまで事業面積が拡大しておるというようなことでございまして、同じような制度が併存しておるということは必ずしも好ましくないだろうというようなお話しがございまして、この国営保険と全森連のやっております森林共済とを何らかの形で一元化した形の仕組みにしたいということで、先生のいまの御指摘のような形で改正案を考えたわけでございます。この改正案の中身といたしましては、一応、国営保険といたしましては、元請をやめまして、再保険をやるということにいたしまして、全森連の行ないます災害共済につきまして、再保険の形式を国がとるということで案をつくったわけでございますけれども、再保険の形式につきまして、全面的に再保険をするかしないかというような問題、それから、全森連がやります際に、掛け金の助成の問題とからみまして、掛け金の助成をするということでございますと、ほかの例によりますと、共済事業をやる団体はほかの事業を兼営しないというふうな仕組みになっておるわけでございますから、そういうような仕組みでないとなかなかむずかしいんではないかということで、そういうことにつきまして、現在の森林組合系統では、いまのままの兼営の形態でやらしてほしいというような問題の対立がございまして、まだ、国側と団体側とが意見が一致するという段階に至らなかったために、今国会への提出を見合わせたという状況でございまして、今後、申し上げましたような問題点を煮詰めて、できるだけ早い機会に一元化した仕組みを考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/33
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034・角屋堅次郎
○角屋委員 この点は、今後の問題として、重要な立法問題でもありますので、林業災害補償法の制定問題について、大臣からもお考えを承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/34
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035・倉石忠雄
○倉石国務大臣 森林災害の損失てん補の制度といたしましては、森林国営保険のほか、損害保険会社の森林火災保険、それから全国森林組合連合会の森林災害共済がございますが、これらによって被災者の損失補てんがされておるわけでありますが、これらの制度の加入状況を見ますと、三者を合わせてみましても、やっぱり民有人工林の三割程度にすぎません。損失の補てんがこういうことでははかられない森林の所有者が多い次第であります。
このような現状にかんがみまして、森林災害の合理的な損失てん補制度の確立は林業振興上きわめて重要な問題でございますことは御指摘のとおりであります。そこで、全国森林組合連合会が実施いたしております森林災害共済事業を改善整備することを中心的な内容といたします森林保険制度につきまして、ただいま検討を行なっておる次第であります。しかしながら、現段階におきましては、なお最終的な結論を得るに至っておりませんが、できるだけ早期に新たな制度の確立をはかるように今後とも努力をいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/35
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036・角屋堅次郎
○角屋委員 きょうは、私の質問のあと、先輩の芳賀さんがまたさらに質問をされるという予定でありますし、私の持ち時間も一時間半ということで、総括的な問題が、各論まで説き尽くすというのにはたいへん時間が足らなくて残念でありまして、準備しておった問題はずいぶん山たくさんでありましたけれども、持ち時間の範囲内で全部をこなすということができませんでしたが、いままで取り上げてまいりました私の気持ちというのは、農林大臣並びに林野庁関係としても、あるいはきょうおいでになった各省関係としても、受けとめられた点があるだろうと思いますが、私は、別に、公害対策並びに環境保全の特別委員長ということの役職をになっておるからというわけではありませんけれども、やはり、森林の公益的機能問題、あるいは水資源問題、環境保全問題という問題は、今後、国際的にも国内的にもますます重要な政治的命題になる。それに即応して森林法の改正が受けとめられておるかどうかという点はやはり基本的な問題だというふうに思いますし、また、同時に、旧来から森林法の一部改正を議論をしてまいりました積み重ねの上に本法の一部改正がなされておるわけでありますから、そういう場合に、本院の意思として行政庁のほうに強く要請をした問題について、それをどうこなしてきておるのか、どこの点が課題として残っておるのかという点もやはり明らかにしなければなりません。そういう点では、林興決議の第一項との関連の問題が現実にございます。同時に、森林法との関連においては、森林組合の単独法制定の問題がございます。また、従来から議論されてまいりました問題の経過としては、林業災害補償制度の早期確立の問題がございます。また、さらに、さかのぼれば、林業基本法というものの議論を各党からも対案を出して議論した段階から思い起こしてみますというと、造林法の問題や、あるいは林道法の問題や、そういう林業基本法関連立法で当時議論した問題等もいろいろございます。そういう問題等も含めて、政府、農林省として、林業の果たすべき役割りについて万遺憾なきを期すべき体制をつくっていくということが、国会に対してもそうでありますし、国民に対しても、農林省、林野庁がこたえる道であろうというふうに私は率直に思うのであります。
そこで、最後に、大臣にお伺いしたいのでありますが、かねて同僚議員によっても真剣にきめこまかく議論されてきた重要な問題の一つに林業労働者の問題があるわけであります。これは国有林、民有林を問わず、林業労働者の問題がございます。私どもの地元から、森林法の一部改正の議論をし、これを成立させてもらいたいということで、最近もずいぶん訪れてくる人々がありますが、その中でも、林業労働者の処遇問題ということについて、国有林の労働軒にもいろいろ私どもとして主張し、まだ不十分な点がございますが、民有林の労働者の場合は、それよりもまださらに悪条件に置かれておる。特に、民有林の場合、森林組合の労務班とその他の労働者の場合には、労務班にはプラスアルファの政府の助成の方法もとられておることもあって、実質上三段階の格差的なものがあります。もちろん、大手の企業的林業をやっておるようなところの処遇というのは一般の民有林の労働者よりはある程度高いと思いますけれども、一番底辺層にあるのは、やはり民有林の零細な労働者である。したがって、この際、林業労働者はだんだん減少傾向にあり、これはぜひとも長期にわたって確保していかなければならぬ責任が農林大臣にあるわけでございますから、こういう問題について今後どういうふうに対処していくつもりであるか、基本的な姿勢を率直にお述べいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/36
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037・倉石忠雄
○倉石国務大臣 わが国の森林の三分の二を占める民有林につきまして、労働者の処遇条件が国有林の労働者に比べて立ちおくれが見られること、それからまた、民有林の中でも規模によって格差がございますことは御指摘の通りであります。これらの格差を是正して処遇条件の向上につとめることは、今後の林業労働力対策を進める上できわめて重要であると考えております。
そこで、農林省といたしましては、従来から、林業構造改善事業等の、実施によりまして、林道の開設等、林業経営基盤の整備、協業体制の強化をはかりますとともに、森林所有者の自主的組織である森林組合の充実強化、特に、労務班の育成強化を推進いたしますほか、林業労働力対策の推進による就労の長期化と安定化の促進、それから社会保障制度の適用条件の整備等、労働条件の改善向上につとめておる次第でありますが、今後ともこれらの施策を一そう整備拡充いたしまして、小規模の事業に雇用される林業労働者その他の民有林労働者につきまして、他産業に劣らない労働条件が実現されるよう、なお一そうつとめてまいる所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/37
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038・角屋堅次郎
○角屋委員 若干、数分時間が延びましてたいへん恐縮でございましたが、私が取り上げ、強く要請した問題については、誠意をもって対処されるように強く希望いたしまして、質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/38
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039・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
午後零時十三分休憩
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午後三時八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/39
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040・仮谷忠男
○仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/40
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041・芳賀貢
○芳賀委員 この際、森林法等の一部改正法案に対して質問をいたします。
具体的な内容に入るに先立ちまして、今回の政府提出の改正内容の中には、政令または省令にゆだねる点が相当ありますので、この際たとえば第十条の二の「政令で定める規模」、「省令で定める手続」、さらに第十条の四の「省令で定める森林」についての規定、第七十九条の省令で定める非営利法人の規定、さらに百五十五条の二の二項の「政令で定める基準」、その他附則あるいは経過規定等の中で政令、省令にわたる点があれば、これもあわせて、これは林野庁の長官からでもいいですから、すでに用意をしてあるか、その主たる内容についてまず説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/41
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042・福田省一
○福田(省)政府委員 お答えいたしますが、すでに準備しているものもございますので、お配りするようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/42
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043・芳賀貢
○芳賀委員 お配りではなくて、これは継続審議案件ですから、もう前国会から出ておるでしょう。元来、法案提出と同時に、それに必要なものは、特に、政令の案あるいは省令の見込み等は同時に提出して審議の便に供するのが当然ですよ。継続審議になって、用意しておるものもあるし、まだ用意してないものもある。お配りしたと言ったって、できればきょう審議を終了させるというような理事会の申し合わせにもなっておるので、ここで政令にまかしてある内容は、この点はどういうものであるということは、概要だけでいいですから、長官から事務的な説明を当然すべきじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/43
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044・福田省一
○福田(省)政府委員 おくれましてたいへん申しわけございませんでしたけれども、ただいまお配りして説明するようにいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/44
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045・平松甲子雄
○平松政府委員 おくれまして申しわけございません。
まず、十条関係でございますが、伐採届出書に記載する省令で定める事項ということがございますが、この点につきましては、伐採の目的及び伐採の期間というものを定めていきたいというふうに考えております。
それから、十条の二の許可を受けることを要する土地の形質基準の規模を政令で定めるということでございますが、これは類似の御質問にお答えをいたしましたように、政令でおおむね一ヘクタール以上というような形のことを考えておるということでございます。
それから、次に、十条の二の第一項で「省令で定める手続」ということを書いておりますが、それにつきましては、省令では、現在のところ開発行為をする個所の所在とか、全体面積であるとか、開発行為にかかわる森林の面積その他の状況及び伐採状況、開発行為の種類及び設計、開発行為の施行者、開発行為の期間等を記載した開発行為許可申請書に図面を添えて、関係市町村を経由して都道府県知事に提出しなければならないものとするというような形のことを考えております。
それから、十条の二の第一項第三号に、省令で定める事業としてございますが、その点につきましては、たとえば都市計画法の第四条第六項の市街地開発事業及び十一項の都市計画事業というようなものを省令で定めるというふうな予定にいたしておるわけでございます。
それから、森林組合関係に参りまして、施設森林組合の出資配当割り当て制限について、政令で定める割合を、今回五分であるものを八分程度に引き上げるということにいたしておりますし、それから、森林組合の合併助成法のほうで、合併の認定基準と事業経営計画の認定基準について、これを政令で定めるというような形にいたしております。
それから、森林法の七十九条関係で、員外利用の関係で、員外利用の緩和対象になる事業として、これを省令で指定をするということに考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/45
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046・芳賀貢
○芳賀委員 七十九条の非営利法人、「営利を目的としない法人」というのはどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/46
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047・平松甲子雄
○平松政府委員 どうも失礼いたしました。
員外利用関係は七十九条の九項の関係でございまして、員外利用のいままでの制限の除外例というふうなことで、その除外になる事業と、それからその対象となる非営利法人を省令で指定することになっておりますが、最初に申し上げました事業の種類としては、森林保護事業等、一定の事業種類を省令で定めたいというふうに考えておりますし、事業主体としては森林公団等を定めたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/47
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048・芳賀貢
○芳賀委員 次に、改正点のおもなる点について大臣にお尋ねいたします。
まず、第一に、今回の改正におきまして、森林計画の中の第五条の地域森林計画を設定する場合に、森林計画区別に適格な地域を設定するわけでありますが、この関係については、民有林全体の中で一定の森林をその森林計画の対象から除外するという規定がわざわざここに出ておるわけでありますが、何のためにこれを必要とするかということについては、改正案を見ただけでは不明でありますので、この際実例をあげて明快に大臣から説明をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/48
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049・倉石忠雄
○倉石国務大臣 ただいまお話しの地域の森林計画を樹立いたします対象から除外する森林として予定いたしておりますものは、一つは、三十アール未満のごく小面積の森林でありまして、市街地または集落地に介在し、かつ保安林等に指定されておりませんもの、それから、次は、法令による公的な計画に基づき森林以外に転用することが確実となっております森林等、ごく一部の森林でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/49
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050・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、森林規模として、三十アール以下の森林については、その所在がどこであっても、これはすべて計画からは除外するということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/50
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051・倉石忠雄
○倉石国務大臣 大体そのように心得ておりますが、事務当局からさらに補足して御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/51
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052・芳賀貢
○芳賀委員 補足は要らないのですけれども、ただ、〇・三ヘクタール以下のどのような森林の所在であっても、大きな森林地域の中において、所有面積が単位的に〇・三ヘクタール以下であるという場合には、これはもう全部地域計画から除外する、と、そう大臣が言われた点は間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/52
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053・倉石忠雄
○倉石国務大臣 私が申し上げております小面積の森林は、ここにも申し上げましたように、大体、市街地または集落の孤立したような、きわめて小面積のものを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/53
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054・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、森林地帯の外縁的な森林の中の小面積の森林について、ということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/54
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055・倉石忠雄
○倉石国務大臣 一つは、地方にあります神社の付近にあります小さなものとか、それから屋敷の中などにそういうものが想定されるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/55
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056・芳賀貢
○芳賀委員 大事な点だから詳しくお尋ねしますが、いまの御答弁は、たとえば市町村等における神社、仏閣、それを取り巻く小面積の森林、あるいはまた農村においても、集落地域の住宅を中心とした周辺にある森林、それから農村等におきましても市街地が形成されておるわけですから、その市街地周辺の環境緑化の作用をしておるような森林についても、面積を基準にして〇・三ヘクタール以下のものは除外する、と、こういうふうに解釈していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/56
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057・倉石忠雄
○倉石国務大臣 本法の目的が保安林というような大切なものをねらっておるわけでありますので、いま申し上げましたような、地方の神社の付近の小さなものであるとか、屋敷内にあるものといったようなものは除外することがいいのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/57
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058・芳賀貢
○芳賀委員 大体わかりましたが、もう一つは、この森林地帯の中に包括されておるいわゆる小林家の所有林である〇・三ヘクタール以下の小面積のものは、たとえこの森林計画地域の中心にあっても、それは面積過小であるということで計画から除外するということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/58
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059・倉石忠雄
○倉石国務大臣 いま例にお引きになりましたような、接続いたしておりますものは、これは除外するわけにいかないのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/59
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060・芳賀貢
○芳賀委員 そうすると、一地域に百ヘクタールの森林が形成されておる森林の中には、〇・三ヘクタール以下の所有面積の森林は当然存在し得るわけですから、それについては除外しないという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/60
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061・平松甲子雄
○平松政府委員 ただいま大臣からお答えになったとおり、小団地として接続した森林と隔離された形で存在するものということで、所有形態を問いませんから、接続した森林の中に、小規模の所有者が〇・三ヘクタール以下の森林を持っておりましても、これは森林計画の対象としていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/61
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062・芳賀貢
○芳賀委員 政府委員の場合は、山のことを一番知っている林野庁長官から答えてもらいたいと思いますが、森林地帯から見れば外縁的に点在しておる森林というものは、先ほど大臣が述べられた集落における住宅の周辺の、いわゆる住居を守るような性格を持った森林とか、あるいは農業地帯における、耕地の作物の育成を守るための耕地防風林というものは、これは保安林でない形の、各農業者が自分の努力によって耕地に効果的な防風林を設定するが、そうするとこれも除外されると思うのですよ。それから、神社等の周囲にある森林を除外する、それから、農村社会等においても市街地を形成しておって、それを取り巻く森林があっても、たとえそれが環境緑化の作用をしておる森林であっても、それも計画地域から除外する、大体こういうふうに整理していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/62
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063・福田省一
○福田(省)政府委員 基本的な考え方としましては、地域森林計画の対象になるような森林を一応森林と考えておるわけでございますので、いま御指摘のございましたような、個人的には〇・三ヘクタール飛び地があっても、それが連続して大きな耕地防風林をなしておるとかいう場合には、地域森林の施業計画の対象になる場合もあるかと思います。ですから、そういう場合にはやはり一つの対象として考えなければならぬのでありますが、ただ、屋敷の周囲にぽつんとあったり、小さい神社のところにぽつんとあるのは地域森林計画の対象とは考えられませんけれども、しかし、それも重要であるならば、やはり、保安林制度でそれを規制していくというふうにすればいいのじゃなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/63
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064・芳賀貢
○芳賀委員 長官はそういう常識的な説明をなさるが、大体、いままででも、こういう法律規定がなくても実体的にそれは扱ってきたわけですからね。ただ、今回の改正を通じて、地域森林計画の区域から除外された民有林である森林というものは開発行為の規制対象からはずされるわけですからね。そういう一連の関係があるので、除外した森林を、従来どおりすべて秩序のないままに開発行為を認める、そういう対象物にするということであっては、これはたいへんな事態であるので、この除外される森林とはどういうものであるかということが国民すべてに明らかにならなければ安心できないということになるのですね。
それで、いま長官の言われたような基準で除外される森林というものは、全国の民有林に対してどのくらいの面積が予定されるのですか。おおよそでいいですから、言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/64
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065・福田省一
○福田(省)政府委員 現在どれくらいあるかという御指摘でございますけれども、いままでのところ、実はこちらで正確なデータはないのでございますけれども、およそ半分ぐらいは除外されておったと思うわけでございまして、いまお話ししたような方向で規制してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/65
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066・芳賀貢
○芳賀委員 それは民有林の総面積の半分ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/66
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067・福田省一
○福田(省)政府委員 総面積について申し上げたのではなく、〇・三ヘクタール以下のトータルについて申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/67
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068・芳賀貢
○芳賀委員 いや、それを聞いているのじゃない。その除外された森林面積というものは、市町村単位等においてはそれほど大きな面積でなくても、全国の民有林面積ということになれば、これは大体一千八百万ヘクタールに及んでおるわけだからして、この総面積に対して、今度の改正で明らかに除外を予定される面積の総体は幾らになるかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/68
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069・福田省一
○福田(省)政府委員 たいへん恐縮ですが、あとで資料を提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/69
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070・芳賀貢
○芳賀委員 こういう法律をつくった場合、利害に関する影響というものが非常に出るわけでしょう。これは、地域計画に包括される場合と除外される場合で、民有林の所有者としても利害並びに私権に関する問題が将来起きるわけですからね。その影響の程度がどうなるかということは、法律を出す前に十分検討して、おおよその見込みを立てるのが順序じゃないですか。農林大臣、どう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/70
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071・倉石忠雄
○倉石国務大臣 そのとおりだと思いますが、先ほどもお答えいたしましたように、飛び地、それから地方の屋敷、そういうようなものはこの法の目的から除外するのがいい、こう考えてそういう考えに立ったわけであります。しかし、それが接続的にあるようなものは除外できないという計算でありますので、なるべく早くそういう計算をして御報告いたさせたいと思いますが、もちろん、それも、この法律の立案のときにそういう角度で検討しておくべきであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/71
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072・芳賀貢
○芳賀委員 法律では、この件については、政令あるいは省令でということには全然なっていないですが、いま大臣の説明されたような基準ですね。その除外すべき森林の取り扱い基準というものは、法律の成立したあとで明確なものを公にしてやらなければ、都道府県知事の仕事であるとしてもなかなか運営ができないと思うのですが、どういう形のものを出すわけですか。これは長官からでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/72
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073・福田省一
○福田(省)政府委員 御指摘のようないろいろの私権に関する問題等もございますし、慎重に対処してまいりたいと思っておりますが、これは通達の形で出したいというふうに、ただいまのところ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/73
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074・芳賀貢
○芳賀委員 それは事務次官通達ですか。林野庁長官通達ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/74
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075・福田省一
○福田(省)政府委員 次官通達で出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/75
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076・芳賀貢
○芳賀委員 今回の改正で、いま議論いたしました地域森林計画の対象になっておる民有林に対しては、開発行為にあたっての許可制度ということになるわけですが、これは現行規定から見れば、森林である土地に対する開発行為の規制ということで、内容は非常に微温的なものです。どれだけの効果があるかどうかということはやってみなければわからぬというよりも、それほどのものでないというふうにわれわれは見通しておるわけです。この開発行為の規制をやる前段の制度といたしまして、まず、第一には、現在は、民有林である森林の所有権の移転あるいは権利の移転等については、もう何らの制限はないわけですね。所有権者と相手方の合意によって権利が簡単に移転されるわけでありますが、その売買行為が、昨年の場合には、一年間に、民有林を中心として約四十万ヘクタール以上に及んでおるということになっておるわけですが、それらはほとんど大手商社等が森林を相当面積買い受けをして、その森林の本来の目的に合致した森林経営等を行なうという意思ではなくて、ゴルフ場であるとか、その他の開発行為、乱開発の目的で買い占めを行なっておるわけでありますから、届け出があった場合に、許可の適否を基準によって判断するという前に、今後の売買行為については、その売買される森林の権利が移転されたことによってどういうような目的に供されるかということについてのおおよその判断を下す制度というものが必要ではないかとわれわれは考えておるわけであります。
たとえば売買契約をする場合に、市町村長を経由して知事に対してその売買についての届け出を行なう。届け出の場合は森林法の中でやるわけですからして、他の法律等においては地価抑制を重点にする目的もありますが、森林法の場合は、森林法の目的に沿った全国森林計画等を完全に実施するということになれば、その売買された森林が買い受け人の手によってどのように用いられるかということは、届け出等の手続の中でおおよその判断ができる制度というものはどうしても必要ではないかと思いますが、大臣はどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/76
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077・倉石忠雄
○倉石国務大臣 いまのお話しのようなことは、本案の中には特に書いておりませんけれども、非常に重要なことでございます。そこで、いまほかの法律のお話しがありましたけれども、国総法ではそういう思想で制約をいたしておるわけでありまして、私どもといたしましても、いま御指摘のような点は、けさも事務当局からお答えいたしましたけれども、この法律では特にそういう規定を持っておらぬことは御存じのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/77
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078・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、このことの必要性というものは大臣として認めておるですか。いやそんな必要はないと考えておるのか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/78
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079・倉石忠雄
○倉石国務大臣 私は、必要だと思いますが、やはり、そういうこともねらって国総法ではああいう条文を入れているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/79
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080・芳賀貢
○芳賀委員 大臣、繰り返して国総法と言われますが、国総法案というものが政府提案で出ていることは間違いないが、これはもう成立の見込みはないのですよ。私の言っているのは、現存している法律、規定等の中においてもそっくりそのままのものはないが、土地に関係する権利の移動等については、農地法については農地法の規定に基づいて、権利の移動についても、あるいはまた小作契約等についても、当事者だけの意思では自由に締結ができないという仕組みになっておるわけです。私の言うのは、そういう厳格な所有制限とか権利移転の制限をするという目的から出発したのではなくて、民有林の権利の移転の状態というものはどういう動向にあるかということは、国においても、都道府県においても、行政の立場にある者が適確にそれを把握できる仕組みというものは必要だと思うのですよ。そういう制度、仕組みというものは、もうすでに必要な時期に来ておるわけですからね。すぐこの中でどうせいということまでまだ言っていないわけだけれども、そういう必要性というものは農林大臣としてお感じになっておりますかどうかということを聞いておるわけです。あまり深刻にならなくてもいいのですよ。大臣がそう言ったら、では、ここで修正すると、そこまでは考えていないわけですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/80
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081・倉石忠雄
○倉石国務大臣 そういうことを特に規制する条文はつくってありませんけれども、あの全体をごらんいただきますれば、精神は同じことをわれわれも考えておるわけでありますので、その点は同じように重要視しておることを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/81
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082・芳賀貢
○芳賀委員 私の言っているのは、一面は、現在の民有林の中で、特に人工林面積が相当ふえておるわけです。この人工林については、拡大造林にしても、あるいは再造林にしても、国の積極的な造林補助あるいは制度融資等において、国が助長する中でほとんど造林が進んでおるわけでありますから、せっかく森林目的で造林がなされて順調に生育しているものを、売買は自由ですから、それが売買されたとしても、その後、新しい所有権者の意思によってそれがどういう方向に一体用いられるのかということについては、売買契約の時点で、その森林を購入して森林経営を続けるとか、開発目的でこれを買いますとかいうようなことが届け出の経過の中でおおよそ判明するわけですね。造林だけには一生懸命で補助をするが、売買は自由である、それから先はどのように開発されてもやむを得ぬというようなものではないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/82
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083・倉石忠雄
○倉石国務大臣 たいへん大事な問題で、私どももまことに御同感でありますが、民有林が、先ほどもお話しのありましたように千七百万ヘクタールもあるわけでございますから、これを一々届け出という制度をとりますことはなかなかむずかしいことだと思います。やはり、乱開発を防ぐという規制をいたしておるわけでございますので、その点で、いまおっしゃったような趣旨は貫けるものではないだろうかというふうに私どもは思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/83
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084・芳賀貢
○芳賀委員 大臣が繰り返して言われた政府提案の国総法の場合は、国土であるすべての土地の権利移動にあたっては必ず届け出をしなければならぬ。そして、特定地域については厳格な審議機関があって、権利の移転にあたっても、認めがたいというような場合には買い取り権を発動して、公示された価格の範囲内において買い取りをする。それから、また、その売買行為が不適当であるというような場合には権限をもって勧告する。この点だけについては国総法も相当前向きな方向を示しておるわけですから、それに関与しておる農林大臣として、自分の所管の森林の権利移転だけについては非常になまぬるいような見解では、われわれとしては相当もの足りないわけですが、この点は、時代の進展から必ずそういう制度に変わるということだけを申し上げて、次に進みたいと思います。
その次にお尋ねしたいのは、今回の開発行為の許可制につきましては、地域森林計画の対象になっておる民有林に限るということになっておるわけですが、都道府県知事に許可の適否の権限を与えてあるわけですから、この際、最近各方面から指摘されておる国が所有する国有林を中心とした森林等についても、やはり対象にすべきであると思いますが、それはどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/84
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085・倉石忠雄
○倉石国務大臣 国有林の場合は、私どもの出先機関が地方にもございますけれども、民有林についてのそういうことの実情は、やはり地方自治体が一番よく承知いたしておりますので、自治体の知事がそういうことを担当することが実際問題として妥当ではないだろうか、そういうふうに考えております。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/85
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086・芳賀貢
○芳賀委員 それは次の質問のお答えですが、改正案は、申請をする対象地域の森林というものは民有林だけに限定されておるわけですね。そうではなくて、国有林であっても、開発行為を行なう場合には、手続上の問題として、その地域の都道府県知事に開発に関する手続をとる必要があるのじゃないかということなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/86
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087・倉石忠雄
○倉石国務大臣 国有林は、御存じのように、国がその行為について規制をいたし、その保安に対して責任を負っておるわけでありますから、これは従来どおりでいいんじゃないかと思います。したがって、民有林の場合のことは、これは別に先ほど私が申し上げましたような事情でございますので、都道府県知事にやってもらうことがいいではないかという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/87
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088・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、国の所有の森林についてはもう絶対に心配がないというわけですか。必ず厳格にやるから、都道府県の知事に苦労かける必要はないという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/88
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089・倉石忠雄
○倉石国務大臣 国の機関でございましても、いろいろたくさんの機構がございますので、あるいは完全無欠とは言えないかもしれませんが、私どもといたしましては、そういう点についてはきわめて厳格に、厳粛に対処してまいるつもりであります。もちろん綱紀の問題等もございましょうし、したがって、いまの民有林につきましては都道府県知事にお願いすることがいいと思いますが、国のほうの、われわれ自体の林野庁の仕事におきましても、注意すべき点は多々あると思いますが、ただ、行為をどこで規制するかということになりますと、国有林はやはり国がやることがいいのではないかというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/89
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090・芳賀貢
○芳賀委員 事実問題としては、たとえば、国有林の中においても保安林地域というのはあるわけですわね。そういう場合には、まず国有林自身が——国有林の設定とか解除の場合には、国としても知事に手続をしなければならぬわけですが、そういう場合には、必要な保安林であっても解除の手続を行なって、まず保安林を解除する。そして、国自身の開発行為という形でなくて、その森林を貸付した状態の中で開発行為をやらせる。あるいはまた、保安林がもう解除されておるわけですからして、いろいろな理由をかまえて国有林の一部の払い下げ等を行なう。その次の段階では、今度は乱開発が行なわれる。当委員会においても、この二、三年の間、こういう幾多の相当重大な問題等についても、時の農林大臣あるいは林野庁長官等に対して責任が及ぶ程度の追及もなされておるわけですからして、そういうことを考えると、国の森林だから絶対心配はないと言っても、それほど国民は信用していないんですね。だから、その場合には、みずから進んで民有林と同じような立場に立って、この開発行為に対する適否の判断を求める。これは、いろいろな問題をあなたが起こしたわけではないが、とにかく、最高責任者として経験しておるわけですから、この現業責任者としてどう考えているのですか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/90
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091・倉石忠雄
○倉石国務大臣 開発行為のことでございますが、その開発行為の許可制の問題でいまのようなお話しがございました。私ども承っておりましても、いまお話しのように、たとえばゴルフ場、別荘地というふうなところへ開放されたようなことはないかという御趣旨のことでありますが、さっき私がお答え申し上げましたように、私どもの役所において行ないます行為について、綱紀の問題等、ときにはそういうことがございました。そういうことにつきましては、私どもは厳粛に心してやらなければならないということは当然なことでございますし、なお、新しい施業計画に基づきまして、ただいまお話しのようなことの絶滅をはかるように、全力をあげてやってまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/91
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092・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、この開発行為の許可に関しては、面積の少ない多いにかかわらず、すべて都道府県知事の段階で判断するということになっておるわけですが、たとえばその面積が十ヘクタール以内とか、場合によっては二十ヘクタール以内であっても、その程度までは当然都道府県知事の段階で許可しても差しつかえないと思いますが、それ以上の大面積にわたるような場合においては、当然二段階制で農林大臣の許可ということに運用したほうがいいのじゃないかと思うのです。たとえばゴルフ場を目的にするような場合は、ゴルフ場にどのくらいの面積が要るか、私も詳しくありませんが、最も小規模なゴルフ場をつくるのに二十ヘクタールはどうしても要るということであれば、ゴルフ場の建設のための開発行為というようなものは、すべて農林大臣が判断を加えて、そこで許可をするというふうにしたほうが運用上の効果があがるのじゃないかと思うのですよ。その点はどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/92
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093・倉石忠雄
○倉石国務大臣 新たに導入をいたすことにしております開発行為の許可制については、これは先ほど来お話しの問題でございますが、今日では、ほとんど多くの都道府県が、現在すでに条例、指導要綱等をつくりまして、秩序ある開発行為を確保するように努力をいたしておりますし、それから、開発行為による地域への悪影響を防止したり、地域社会の健全な発展を確保しますことは、これも地方公共団体としての責務でもございますし、先ほど申し上げましたように、民有林行政の地方出先機関を私どもが持っておりませんことから考えましても、やはり、都道府県知事による許可制が妥当ではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/93
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094・芳賀貢
○芳賀委員 たとえば農地の転用許可の場合等は、他の法律に幾多の事例がありますが、一定規模以内は都道府県知事、それ以上にわたる場合には所管の大臣という実例がいままで非常に多いのです。だから、すべて都道府県知事というのは非常に珍しいケースということになるわけですが、ゴルフ場をつくるような面積についてはすべて大臣の手元で審査するということになれば、その場合、全国的な動向というものは大臣の手元でわかるわけですね。都道府県段階の場合には、その個々の都道府県における規制は知事がまじめにやるといたしましても、全国的な動向が一体どうなっておるかというようなことについては、当然、所管の大臣のもとにおいて厳格に判断されるということが望ましいし、その判断に基づいてまた適切な森林政策というものを、むしろ防衛的な立場で講ずることもできるではないかと思うわけですが、その意味も含めてもう一度大臣から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/94
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095・倉石忠雄
○倉石国務大臣 先ほども申し上げましたように、各都道府県はほとんどいまお話しの規制の条例、要綱等を出して、それに基づいてやっております。そこで、全体の林政から見まして、御指摘の点は大事なことでありますので、私どものほうといたしましては、業務上の調査ということで都道府県からそういう報告をとりまして、指導をしてまいる、こういうことにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/95
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096・芳賀貢
○芳賀委員 次に、具体的な開発行為に対する規制の基準と言われる第十条の二の二項の一号、二号、三号ですが、これが基準だということになるわけでありますが、ただいま大臣が言われたように、各都道府県等においても、自然環境の保全等を中心とした開発行為の規制が、すでに条例の中で次第に確立されておるわけです。私は北海道出身でありますが、北海道においても、昨年の十二月に新たな条例が設定されましたが、その規制の基準と今回の政府の案である規制基準というものを比較いたしますと、都道府県の条例のほうがはるかに的確であり、厳格な基準を定めて、もう実行に入っておるわけですね。都道府県が先に実施をしており、たとえばあとからこれが成立して、その国がきめた基準というものを比較してみると、これは非常に手ぬる過ぎる、いまごろこんなものを国がきめても意味がないのではないかというような批判が地方から出てくるというおそれが多分にあるわけですね。そういうことは農林省でもわかっておると思うのですよ。北海道がどうなっておるとか、あるいは岡山県の条例がどうであるとか、すでに現実にこれは動き出しておるわけですからして、そういう実態というものを十分見きわめて国としての基準というものが設定されなければならぬと思うわけであります。これは長官のほうが勉強しておると思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/96
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097・福田省一
○福田(省)政府委員 確かに、御指摘のように、各都道府県の実情等を見ますと、非常にきびしく規制されておる県もございます。特に、岡山県なんかは非常にきびしい規制をいたしております。ですが、今度の森林法におきます規制の考え方は、いままで保安林制度その他自然公園等の制度で規制していなかった約一千万ヘクタールの民有林に対する行き過ぎた乱開発を規制しようという考え方に立っているわけでございます。でございますので、きびしく規制しようという考え方に立つならば、保安林制度等を導入していくべきであるというふうに考えております。そういう点で、いままでの行き過ぎた乱開発を規制するということが考え方の基本でございますので、都道府県等の規制に比べますといささかなまぬるいではないかという御指摘を受けるわけでございますけれども、いま申し上げましたように、都道府県も非常に熱心で、また、市町村等もそういう規制の動向にございますので、それらの点を勘案しながらこういった考えに立ったわけでございますが、そういった意味でも、やはり、都道府県知事の許可制にしても差しつかえないのではなかろうかというふうに判断したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/97
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098・芳賀貢
○芳賀委員 いまの長官の答弁はおかしいじゃないですか。開発行為の規制を強くするためには、対象になるすべての森林を保安林に指定しなければならぬようなことになるということであれば、保安林に全部民有林が指定された場合に一体どういう事態になるか。大事な国内の木材の生産とか供給はとまっちゃうですよ。そんな乱暴な発想で開発を規制せよなんてだれも言ってはいないわけだから、それはおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/98
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099・福田省一
○福田(省)政府委員 そういうふうにおとりになると、おっしゃられるように、確かにおかしいわけでございますが、私の申し上げたのは、一千万ヘクタールの民有林をすべて保安林にしたいと申したのではございません。一千万ヘクタールの民有林、いわゆる何らの規制方法もない民有林に対しまして、行き過ぎた開発を規制する必要があるということでおおむね一町歩以上の森林の開発については知事の許可制にするということにしたのでございます。それではなまぬるい、そんなことじゃだめだという場所がございますれば、そういう場所は保安林制度等にそれを適用していくことがよいではなかろうかということを申し上げたのでありまして、一千万ヘクタールをすべて保安林にすべきであるということを申し上げたのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/99
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100・芳賀貢
○芳賀委員 それでも間違っているのですよ。許可してはならない基準というものを新しい法律で一号、二号、三号と規定を設けて、申請が出てきた場合には、この一、二、三のすべての事項に該当するかしないかということを十分に審査して、このすべての事項に該当しないということが認められた場合に初めて許可をするということにこれはなっているのですよ。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
だから、もっと強めるということであれば、この三つの各号だけでは十分の効果がないということになれば、それにまた一つないし二つの規制の基準というものを加えれば、それでいいじゃないですか。そういうことをしないで、いきなり飛躍して、そういう厳重にやるために申請の出たものを逐次保安林に指定するなんという、そういう乱暴なことをやって、国有林は対象にならぬからいいとしても、民有林がそんな方式で国の指導でやられては、これはたいへんですよ。また、保安林の制度というものは、開発行為を規制する目的で保安林の指定をしておるわけじゃないでしょう。だから、現行法においても、一号から十一号まで保安林指定の要件というものは並べてあるわけだか、そこへ開発許可申請が出た場合には、すべて今後は保安林に指定するなんという、そんなばかなことは、制度的にもできないのじゃないかと思うのです。——いや、答弁は要らぬですよ。慎んでもらいたいというだけのことです。
次にお尋ねしたいのは、また国総法案を引用することになるわけですが、森林法の改正も国総法も、いずれも、前国会におおよそ同時的に提案されたわけですね。対象はいずれも、森林である土地、それから国総法のほうは森林をそれほど重要視しない、土地に対する開発規制、あるいはまた地価暴騰の規制をするために出た法律ですが、その許可基準というものはいずれも法案に掲げてあるわけであります。ところが、国総法のほうは、幾つかの要件を掲げて、これこれの要件に該当する場合には許可してはならないというふうに、明確にうたっておるわけですね。ところが、森林法のこの法案の場合は、その三つの基準を列挙して、この三つのすべてに該当しない場合には許可しなければならぬというふうにいっておるわけですね。これは単に用語上の問題だけではないと思うのですよ。同じ自民党の田中内閣から同じ時期に国会に対して内閣提出の法案が出されて、いま審議中でありますが、その法案をつくったのは、衆議院法制局でつくったわけじゃないのですよ。政府直属の内閣法制局で二つの法案は作業しておるわけですからして、同一政府が同一時期に共通の目的を持った法律案等を提出する場合においては、規制の手段とか手続等についても同じ手法で明確にしておくということが国民に対する最も親切なことだと思うわけですが、そういう点についてはどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/100
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101・平松甲子雄
○平松政府委員 先生からいま、国総法との関連でどうだというお話しでございますが、現在の森林法の体系でごらんいただきますと、保安林に関するいろいろな規定の中に、こうこうこういう場合には許可しなければならないというふうな規定のいたし方をいたしております。これは、法律に規定する条件以外の場合には私権に制限を加えることをできるだけ控えるというふうな態度で森林法が貫かれておるわけでございます。その森林法の中に新しく開発規制についての規定を入れたわけでございますから、森林法の規定とほかの規定と平仄を合わせるという意味もございますし、また、開発規制そのものが、今回の開発規制の態様といたしまして、所有権に内在する義務というようなことで、補償を伴わないという程度の規制を加えていくというようなことでございますから、そういうふうな法の趣旨と森林法の中の全体的な体系というもので、いま先生御指摘でございましたけれども、これこれこういう条件に該当しないときは許可しなければならないというていさいをとったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/101
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102・芳賀貢
○芳賀委員 私がいま聞いたのは、自民党田中内閣のもとにおいて成案きれて、そして、内閣提出の二つの法案が前国会に同時に提出されておるわけです。倉石農林大臣は内閣の一員ですね。林政部長の平松君は内閣の一員でも何でもないのですよ。だから、同じ内閣が土地に関する二つの法律を同時に出した場合に、われわれは立法府におるからわかりますが、国民の目から見た場合において、森林法のほうは結局許可しなければならぬということで結んでおるわけでしょう。国総法のほうは許可してはならぬということで結んでおるわけですからね。だから、一番関心の高い土地問題等についても、しなければならぬと、してはならないとでは与える影響というものはだいぶ違うわけですよ。その辺を十分立法上においても配慮するということが、特に内閣提案の法律の場合には重要ではないか。そうした政治的配慮について、私は、倉石農林大臣に所見を求めておるだけなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/102
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103・倉石忠雄
○倉石国務大臣 都道府県知事は、その申請にかかる行為がこの保安林の指定目的の達成に支障を及ぼすと認めた場合を除いて許可しなければならない、というふうに本法は言っておりますが、許可権者が保安林の指定目的の達成に必要な限度を越えてまで権限を用いるのはいかがか、私権をいたずらに制限するというふうにしないほうがいいではないか、こういう考え方で、今回の法律の書き方をそのようにいたしておるわけでありまして、私どもといたしましては、必要なことは法律で規制をする、しかし、その条件が満たされているときには、そのように私権を制限するという行為はなるべくゆるやかにすべきではないかという考え方に基づいておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/103
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104・芳賀貢
○芳賀委員 次に、一、二、三の各号を通じて、たとえば第二号の場合には、「水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること。」第三号の場合においては、「森林の周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。」とうたってありますが、ここで言う「著しい」ということの判断の限度というか、「著しい」ということの一線ですね。つまり、著しいということと著しくないということの境を大体どのくらいにするわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/104
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105・平松甲子雄
○平松政府委員 ただいま先生御指摘の「著しい」という文言は、「水の確保に支障」というところと「環境を悪化」というところに「著しい」という表現を用いておるわけでございますが、これは、森林を森林でなくするわけでございます。森林が水資源の涵養ということに役立つということは本委員会でもたびたび議論されておるとおりでございまして、その森林を森林でなくするわけでございますから、水の確保に何らかの支障が来るということは当然考えられるところでございます。また、環境の悪化につきましても、森林に林木が生立しておるということが一つの環境をつくっておるわけでございますから、その林木をなくするということが環境条件の悪化ということの結果を来たすということは当然でございますが、そういうような事態を考えまして、ただそのことだけで開発が全然だめだというようなことになりますと、権利に内在する受忍義務というようなことで縛っていいかどうかという点に問題があるのではないか。これは、やはり、そういう権利に内在する義務ということで開発行為を規制するということでございますと、まわりの方々の水の確保に相当程度の支障を来たす、あるいは生活環境なり環境条件に相当著しい悪化を来たすというふうな事態になって、初めて森林所有者に受忍の義務を負わせるということが必要になってくるのではないかというふうに考えられますので、「著しい」という文言を用いたわけでございまして、こういうふうな「著しい」という文言の用い方というのは、他の法令にもこういう場合には使われておる例であるというように私どもは承知いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/105
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106・芳賀貢
○芳賀委員 委員長に申し上げますが、農林大臣が直接答弁なさる以外は、これは林野庁長官から答弁してもらいたいと思います。長官が答弁しがたい場合には林政部長からやらせますと言うことはけっこうですよ。農林省の中でも他の局長や長官は、委員会では全部自分で矢面に立って答弁しておるわけですから、林野庁だけに限って、長官が大臣の隣にすわってだけおって、二列目の林政部長がときどき出てくるというのは、これはおかしいじゃないですか。これはぜひ委員長から規制しておいてもらいたいと思います。
いまの林政部長の答弁だと、二号の「著しい」という場合は、この森林が水がなくなることによって破壊されるおそれがあるということを言いましたが、長官、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/106
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107・福田省一
○福田(省)政府委員 著しく破壊されるということばを使っておりますことは、森林内で開発行為をしますと、水の影響は多かれ少なかれ必ずあると思います。ですから、「著しく」ということばをとりますと、極端に申し上げると、これはある程度影響があるものでございますから、開発行為に伴って影響のあるものはみんな許可できない。そうすると、農業開発その他もいろいろできないという問題もございますので、わかりやすく申し上げるとそういうことで、特に、環境の場合と水の場合は、土砂の崩壊という直接の災害というか、そういうものと区別して「著しい」というようなことばを使ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/107
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108・芳賀貢
○芳賀委員 いまの答弁を聞いておると、森林の一部が開発されると、その周辺が機能を失って破壊されるおそれがあるということで、そのための水の確保ということを平松君が言っておるんだが、そうじゃないでしょう。森林自身が保水機能を持っておるわけですからね。緑のダムというわけです。その森林の保水機能によって、それが水系別に下流に、水源機能を果たして水を供給しておるわけでしょう。上流の森林地帯において乱開発が行なわれた場合に、その流域の水源機能というものを喪失するおそれがある、それが公益性というものに、下流地域等に支障を多く及ぼす、そういう顕著なことになるとたいへんだからこれは認めぬ、そういう意味じゃないですか。森林の樹木自体は流域から水を吸い上げる必要はないのですよね。降雨等によってその樹木自身が保水機能を持っておるわけだし、そして、その樹木の根が一定の保水をやっておるわけですからね。そして、結局、自然に水源機能を果たし、流域に水を自然的な状態の中で供給する役割りを果たしておる。そういうことの支障を防止するためにやるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/108
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109・福田省一
○福田(省)政府委員 そういう意味で申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/109
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110・芳賀貢
○芳賀委員 だから、林政部長が出てくるたびにまともな説明をしていないわけだから、それで委員長にお願いして注意してもらったわけですがね。
次にお尋ねしたいのは、第三号の「当該開発行為をする森林の現に有する環境の保全の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。」ということの、この「環境」というのは具体的にどういう範囲であるか。これを見ただけでは明確になっておりませんからして、この内容について、これは専門的なことになるわけですから、林野庁長官から説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/110
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111・福田省一
○福田(省)政府委員 具体的な例をあげて御説明したほうがいいかと思いますけれども、たとえば、その辺の近辺の町村の方々が、レクリエーションの場として、たびたび来てそこで休養するとかいうふうな例が一つございます。そういうふうな場合に、その森林の開発によってそういう場所がなくなってしまうということは、やはりそういった影響を与えるわけでございます。一つの例を申し上げましたけれども、あまり長くなりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/111
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112・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、こういう場合はどうですか。たとえば、森林地域の中に開発が行なわれて、そのことによって森林の持つ機能というもの、生態系というものが大きくそこなわれるという場合、これは専門家の長官としてはもうよくわかるでしょう。そういうことがこの法律にうたってあるところの「環境」の中に含まされておるかおらぬかですね。それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/112
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113・福田省一
○福田(省)政府委員 森林そのものは、くどいようですけれども、林木ばかりでなくて、その下に草もあれば、こん虫もおれば、鳥もおれば、魚もおるというぐあいに、先生御指摘のようにいろいろなそういう生態系が連続しているわけでございます。御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/113
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114・芳賀貢
○芳賀委員 いや、御指摘のとおりじゃなくて、この周辺の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/114
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115・福田省一
○福田(省)政府委員 もう一度御説明申し上げます。
「環境」の中に含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/115
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116・芳賀貢
○芳賀委員 「環境」の中に、一番大事な生態系の問題というものは明らかに含まされておるかどうか。そのとおりであると言うが、あなたのほうが、この「環境」というものは、まず第一にそれから始まって、レクリエーションまで入っていますと言うのなら話はわかるけれども、そのとおりだなんて、おかしいじゃないですか。こっちが「環境」というのはどうだと聞いているわけだから、あなたが、答えるほうがそのとおりと言うのはおかしいじゃないですか。これは大事なことだからもう一回説明してください。その「環境」を、ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/116
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117・福田省一
○福田(省)政府委員 「環境」の中には、結論から申し上げると、いま先生御指摘のありました生態系の問題を含んでおるものと解釈いたしております。いま、レクリエーションの問題だけ取り上げたわけでございますけれども、森林自体は、防風機能もありますし、防音機能もありますし、酸素を生産するとかということで大気も浄化するし、あるいはまた、そこにおるこん虫とか鳥とか、いろいろな生態系があるわけでございまして、「環境」というものの中には、御指摘のとおり、そういう生態系はすべて含むというふうに解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/117
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118・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、大臣にお尋ねしますが、いま長官の述べたとおり、この第三号にうたってある「当該開発行為をする森林が現に有する環境の保全の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。」ということの、この「環境」の内容については、周辺の森林の生態系を著しく悪化させるおそれがあるという場合には、それは、「周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。」ということの中に包括されておるということでこの法案が出されておるということですか。大臣からここをはっきりしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/118
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119・倉石忠雄
○倉石国務大臣 そういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/119
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120・芳賀貢
○芳賀委員 次に、この森林法と関係を持っておる問題ですが、農業振興地域の整備に関する法律が昭和四十四年に成立して、機能しておることは御存じであります。今国会には農振法の一部改正案が提出されるという予定にもなっておるわけであります。そこで、お尋ねしたいのは、農振法の第八条の規定の中に農用地区域の地区の設定がなされておるわけですね。これは農振法によりまして、まず、農業振興地域というものが、都道府県知事の計画により、それを農林大臣が承認することになっておるわけでありますが、この設定された農業振興地域の中に、第八条の規定で農用地区域というものがさらに特定の目的をもって設定されておるわけです。この農用地区域の中に森林が包括されておることは大臣も御承知のとおりであります。そこで、農用地区域内の森林に対して開発行為の申請がなされた場合においては、やはり、これを都道府県知事として取り扱わなければならぬということになるわけでありますが、この設定された農用地区域内の森林に対する開発行為というものに対しては、今回の改正法案にはその根拠が全然出てきていないわけですね。しかし、農振法というものは厳然と働いておるわけでありますから、その関係の上に立っての特定森林の開発行為というものに対してはどういうような具体的な効果ある規制をするのか、その点をこの際明らかにしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/120
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121・大河原太一郎
○大河原(太)政府委員 お答えいたします。
農用地区内の開発行為のただいまの御指摘につきましては、別途、今国会で提案を予定しております農業振興地域の整備に関する法律の一部改正の中におきまして、宅地造成等の土地の形質の変更等につきましては、その土地の地目のいかんにかかわらず規制をいたす、許可制をかけるということを考えておりますので、ただいま先生御指摘の農用地域内の森林等をも含めて、包括的な形で実現するよう、ただいま準備中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/121
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122・芳賀貢
○芳賀委員 三月八日までに、ですか。今国会に提出される予定で作業を進めておるわけですね。だから、まだ提案にはなっておらぬが、現在の農振法の法律のどこに新しくどういう規定を設けることにするので絶対に心配はないというように、大事な点ですから、官房長からもう少し具体的に述べてもらわぬとなかなか信用できないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/122
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123・大河原太一郎
○大河原(太)政府委員 ただいまの事案につきましては、政府部内でただいま法制局審議等を急いでおるところでございまして、三月八日に提案いたす予定でございますが、提案いたします改正法に一条を設けまして、「農用地域内における行為の制限」という条項で、農用地域内において次に申しますような行為をしようとする者は、あらかじめ農林省令の定めるところによりまして知事の許可を受けなければならないという規定でございまして、その中では、宅地の造成、土石の採取だとか、その他土地の形質の変更、建築物その他の工作物の新築なり改築または増築、水面の埋め立てまたは干拓というような行為をすべて規制いたすということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/123
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124・芳賀貢
○芳賀委員 それは、大河原官房長の段階まではそうなっているのでしょう。これから先が、提案する場合には各省と相談するとか、閣議決定を経なければならないわけですが、農林大臣は、農振法の作業についてはわかっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/124
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125・倉石忠雄
○倉石国務大臣 いま事務当局からお答えいたしましたようなことで、ぜひ成案を得て御審議を願うために、なるべく早く提案いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/125
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126・芳賀貢
○芳賀委員 本来であれば、農振法の提出を待って並行的にこの件は扱えばいいわけですけれども、官房長並びに、特に農林大臣が間違いないということですから、この点については不安がないと認めておきます。
その次にお尋ねしたいのは、開発行為の許可に関しては都道府県知事の権限ということになっておるわけでありますが、これは非常に重要な事項であるというふうに私どもは考えますので、重要事項であれば、現行法においても中央森林審議会——これは大臣の諮問機関になるわけでありますが、都道府県には都道府県森林審議会というものがありまして、森林計画の問題をはじめ、森林法に規定された重要な事項についてはすべて都道府県知事、農林大臣から諮問があり、都道府県知事、農林大臣は当該審議会の意見を聞いて処置しなければならぬということになっておるわけでありますから、せっかくの改正の機会でありますから、開発許可については、都道府県の場合には都道府県森林審議会の意見を聞いて知事が誤りのない的確な判断を下すという法律上の手続を明確にしたほうがいいんじゃないかと私どもとしては思うわけであります。ただ、現行森林法の中には、森林法の各規定の中の重要事項については必ず森林審議会の意見を聞いて、ということになっておりますから、そうであれば、今回の開発行為の許可については、これはいままでにない重要事項ですから、法律に書かなくても、当然知事は当該森林審議会の意見を徴して処置をする——この点は、大臣としてはどういうふうに考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/126
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127・倉石忠雄
○倉石国務大臣 御指摘のように、森林審議会につきましては、森林法上、その施行に関する重要事項について農林大臣または都道府県知事の諮問に答えることとされております。そこで、許可審査基準、乱開発問題等、こういう規模、態様等の開発行為につきましては、法の施行上当然重要事項でございますので、審議会に諮問するように指導してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/127
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128・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、法律にうたわなくても、開発行為に対する許可事項というのは、森林法の規定から見れば当然重要事項ということになるのですが、ただ、全国の都道府県知事にまかせるわけですから、やはり、統一的な尺度によって都道府県知事が申請された事案というものを整理をして、そして、重要なものは審議会の意見を聞くという事務手続が必要になるわけだと思うのであります。
まず、第一は、重要なものについては当然知事は都道府県森林審議会の意見を聞かなければならないように農林大臣として指導する、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/128
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129・倉石忠雄
○倉石国務大臣 そういうふうに指導してまいるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/129
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130・芳賀貢
○芳賀委員 大臣、いまのように明快にやってください。
次にお尋ねしたいのは保安林の指定の問題ですが、現在の二十五条第一項には、保安林指定の事項というものが一から十一まで列挙されておるわけでありますが、その中に、最近問題になっておるところの市街地周辺の環境緑化に適合する森林を保安林として、十一号まであるところにもう一号加えて明確にすべきではないかというふうに思いますが、この点については、農林大臣としてはどのように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/130
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131・倉石忠雄
○倉石国務大臣 保安林の指定目的といたしまして、現行法第二十五条でありますか、「公衆の保健」があげられております。いわゆる保健保安林として、市街地の周辺にありまして、大気の浄化、じんあい、ばい煙等のろ過の保健機能の発揮によりまして、良好な生活環境の保全及びその形成に資するものを整備することと、この法でなっております。したがって、これによりまして、市街地周辺の環境緑化の目的は十分達せられるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/131
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132・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、現在の保健保安林というのは、具体的には、保健保安林の中に、ただいま私が提議いたしました市街地周辺の環境緑化のための森林を内容を強化して加える、あるいは加えてあるというのですか。これは長官からでもいいですから答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/132
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133・福田省一
○福田(省)政府委員 そういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/133
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134・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、これは森林組合並びに連合会に関する事項ですので、事務的な答弁でよろしいわけでありますが、今回、森林組合並びに森林組合連合会の事業を拡大するという目的で改正が行なわれておるわけでありますが、その中には、私どもが検討しても、これは当然であるという事項もありますので、それは除きまして、問題となる点だけについてお尋ねをいたします。
その一点は、第七十九条第七項の規定であります。これは森林組合が新たな事業として組合員の委託を受けて、先ほど議論いたしました地域森林計画の区域から除外される森林等を対象にいたしまして、それの売買行為あるいはまた区画形質の変更をする造成事業等を行なって、これの売り渡しもできるということになっておるわけでありますが、現在の森林組合の果たすべき目的から見た場合においてこれらの事業というのはなじまないんじゃないかと私は考えておるわけであります。現在の法律規制に基づく事業でさえも、全国的に見ると、その五割も事業を行なうことができないというような現状の中において、問題になるようなこういう事業というものをどうして加えなければならぬか。その点について、これは事務的な答弁をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/134
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135・福田省一
○福田(省)政府委員 最近、農林家の離村、山村におきます過疎化の進行に伴いまして、不在森林所有者などの所有山林の管理が粗放化される傾向にございますことは御承知のとおりでございます。無秩序かつ投機的な林地の取得や無計画な開発の傾向が強まっておりまして、そのために森林の適切な管理経営というものは阻害されるおそれが大きくなってきておるのでございます。
そこで、森林組合に森林自営の事業を認めることとしましたのは、このような状況に対処しまして、林地の森林経営としての利用を確保しまして、森林の有する公益的機能等、そういった諸機能の維持増進をはかろうとする考えでございまして、そういうことをやってもらうには森林組合が一番適格であろうというふうに考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/135
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136・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、大臣、この条文の問題になる点を読んでお尋ねをしますが、「組合員に出資をさせる施設組合は、組合員の委託を受けて行なうその所有に係る森林の土地で林業以外の目的に供されることが相当と認められるものの売渡し又は区画形質の変更の事業並びに組合員からのその所有に係る森林の土地で林業以外の目的に供されることが相当と認められるものの買入れ及びその買入れに係る土地の売渡しの事業を行なうことができる。」というのですから、この事業はおおよそ開発行為の事業と言っても差しつかえないわけですね。その事業の対象を第五条の地域計画から除外される森林の問題で質問をしたわけでありますが、この組合の行なう事業の対象というものは、第五条で除外される民有林である森林というものを対象にして、そうして開発行為を行なうということを森林組合自身の事業目的にするということになるので、この点が第五条との関係でたいへん重要な問題ではないかというように私は考えておるわけです。こういう事業というものを森林組合の事業として行なわせることがはたして適当であるかどうかという判断もしなければならぬと思うわけです。たとえば、同じ市町村区域の中において農業協同組合というものが現存しておるわけです。その協同組合の組合員というものは、その森林所有者の、在村しておらない所有者は別といたしまして、在村の所有者で、あわせて農業を営んでおる者、あるいは林業だけを営んでおってもいいわけですが、それはもうすべて地元の農業協同組合の正組合員として生産活動に従事しておるわけでありますからして、たとえば昭和四十五年の農協法の改正、さらにまた昨年の農協法の改正の中において、農業協同組合が組合員の所有する土地を対象にして委託を受けて区画形質の変更の事業をやる、あるいは造成された土地に住宅等の建造物の建設をする等の事業も、これは協同組合が行なって、その売り渡しもできるというふうになっておるわけでありますからして、結局、同じ市町村の中における農業協同組合のすでに行なっておる事業と、これからまたその同一地域の森林組合が類似工事を競合して行なわなければならぬということになるわけでありますから、どうしても必要であるという場合においては、農業協同組合としてそういう事業を行なうことが適当でない。だから、協同組合の行なう事業というものを廃止さして、今度は森林組合にこれを行なわせるというような、そういう自信のある改正ではないと私も見ておるわけでありますが、無用な競合とか摩擦、未熟な森林組合の事業に混乱を与えるような問題をここへ持ち込んで、何でも、隣の協同組合がやっていればそのまねをしなければならぬというものではないわけであります。われわれはこれはもう絶対に必要なしと判断しておるわけでありますが、これに対して、農林大臣としてはどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/136
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137・倉石忠雄
○倉石国務大臣 森林組合は、もう御存じのように、従来から、森林の経営指導、受託施業、経営等の事業に加えて、さらに今回の改正案では、森林経営の自営や林地供給事業も行なうことができるようにすることが予定されております。専門的な分野でございますので、やはり、これはこれとして、森林組合が独自で行なうというシステムが一番いいんではないか、簡単に申せば、そういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/137
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138・芳賀貢
○芳賀委員 農林大臣のところは長野で、森林地帯の農山村が多いわけですがね。安田委員も北海道ですけれども、私どもの市町村地域の森林組合は、森林面積は倉石さんのところよりも相当多いんですよ。ところが、私の町においては、森林組合は町長が森林組合長をやっておるわけです。森林組合の主事は、長年役場に勤務した定年退職の職員がやっておる。その下に女性の若い職員が一人おる。こういう体制なわけですね。これは施設森林組合なわけです。ただ、いままである法律の事業範囲においても、補助金の申請とか、造林の関係とか、そのくらいのことしかやっていないのですからね。これは法律が今度できたから、施設森林組合の、各森林組合の定款の変更あるいはこれに伴う規定というものを当然総会の議決で農林大臣が示す準則に従ってつくることになるが、これはどの森林組合にでも、施設組合であればやれるとかやりなさいというところまでまだ進んでいないのですよ。そこで、全国の森林組合の中でこういう事業を十分果たせる力を持った組合も、全体から見れば少ないが、確かにあると私は思うわけです。だから、これは必要ないと私どもは判断しておるわけですが、かりにどうしてもやるということになれば、一様にやるということじゃなくて、農林大臣の指導を通じて、森林組合の現在の事業の状態や実績というものがこういう新規の事業を組合事業に取り入れてやれる幾つかの要件というものを示して、この要件に適合する森林組合の場合においてはこの事業を行なってもよろしいというような段階的な指導というものを堅実にやらないと、これはたいへんなことになるのではないかと思うのです。かりにこれが成立した場合のあとの運用とか組合指導というものに対して自信を持ってどうするか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/138
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139・倉石忠雄
○倉石国務大臣 地方によりましては、森林組合の人が農協に参加し、重複しているところがほとんど多いと思いますが、お話しのようなことでございますので、この事業は、その性格上御趣旨のような慎重な取り扱いを必要といたしますので、経営基盤が強固で十分な事業執行体制の整っております組合につきましてこれを行なうように指導いたしますとともに、その実施にあたりましては、委託による事業を原則とすることとして、財務の悪化をもたらさないようにいたしますほか、ほかの事業との区分、経理、余剰金の積み立てを行なわせるなど、森林組合が無理な事業執行をいたさないように指導してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/139
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140・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、第八十五条の二の関係でありますが、森林の経営に関する事項です。今度の新しい条文がまことに理解しがたい条文になっておるので、この点が十分理解できるように、全国の林業者等に明らかにしてもらいたいと思います。
一応読んでみますが、「出資施設組合は、第七十九条第一項の規定にかかわらず、組合員の三分の二以上の書面による同意を得て、森林の保続培養及び森林生産力の増進を期するためにはその組合が自ら経営することが相当と認められる森林で、その組合の地区内にあるもの及びこれにあわせて経営することを相当とするその組合の地区外にあるものにつき、森林の経営(委託又は信託を受けて行なうものを除く。)及びこれに附帯する事業を行なうことができる。」となっている。この内容について一、二明らかにしておきたいと思いますが、この中の「その組合が自ら経営することが相当と認められる森林」というのはどういう森林ですか。これはむずかしい問題だから、組合課長でもいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/140
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141・平松甲子雄
○平松政府委員 この条文の「自ら経営することが相当と認められる」というのは、所有者が自分でりっぱに経営をしておるというふうな形のものについて、あえて森林組合がみずから行なう必要はないわけでございまして、そういう人がいないで森林組合がやるということによって経営効率が上がっていくというふうなもの、そういうような形のものを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/141
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142・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いているのは、この「森林」とは、たとえば所有権がどういう形態になっておるか。その「森林」はどうなんですか。ここで言う「森林」というのは、一体だれが所有している森林なわけですか。部長、あなたが無理することはないですよ。隣に組合課長がおるわけですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/142
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143・甕滋
○甕説明員 お答え申し上げます。
この条文で予想しておりますのは、先ほど林政部長から御答弁申し上げましたように、山村の過疎化等に伴いまして人口が流出をし、その流出後の山林が管理者がいないままに荒れてしまうという事態が起こりますと、森林の公益的機能がそこなわれる、これを良好に管理して持っていく、こういうことが必要でございますが、その地区の森林組合はその地域の林業のにない手という意味で、それを管理する能力と責任において最も適格であるということでこれを引き受けるというのが趣旨でございます。したがいまして、その山を管理する人ができない場合に、それを引き受けるというのが第一の要件でございます。
したがいまして、その山については、都会に出たような人から所有権を引き受ける、あるいはその土地の借地権を設定するといった方法をとりまして、森林組合がみずからその山についての経営を行なう、こういうことに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/143
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144・芳賀貢
○芳賀委員 ここで言う、その森林の自営ということになれば、結局は、その森林組合がその森林を森林組合の所有に帰属させてみずから行なうということでなければ、この法律は、法律だけ変えても動かないんじゃないですか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/144
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145・甕滋
○甕説明員 森林組合が所有権を買い取る、または借り入れる、こういう形で行なうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/145
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146・芳賀貢
○芳賀委員 だから、わざわざその委託、信託を受けて森林組合が行なうことはだめということになっておるでしょう。それ以外の、みずから行なうということになれば、結局、その森林組合が所有権を確保して、自分の山としてみずから森林経営を行なうということになるわけでしょう。そういうことであれば、わざわざここに新しい条文を新設する必要はないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/146
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147・甕滋
○甕説明員 おっしゃるとおり、森林組合がその土地を所有して経営に当たるという姿が一番多かろうと思っておるわけでございますが、現在の施設組合、普通の森林組合におきましては、みずから森林を所有して経営をするという権能が与えられておりませんので、先ほど申しましたような目的のために森林組合がそれをすることができるような改正規定を置いたのが趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/147
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148・芳賀貢
○芳賀委員 そうであれば、規定に不備があれば、その森林組合の地域内の組合員である森林所有者が、自分の組合に対して、私の所有しておる森林を今度は組合として買い取ってもらいたい、そうして、買い取った森林は、これはまた他に転売をしないで、森林組合の自営ということでやってもらいたいというような申し出もあり得るわけですから、そういう場合には、率直にそれを買い受けして共同体で自営するということは、これはわれわれとしても推奨することですからして、その道を開くまともな改正をしたほうがいいのじゃないですか。何か裏道をこそこそ歩くようなやり方はまことに陰性で、悪例を残すのですよ。これは組合課長が最初の起案者ですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/148
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149・甕滋
○甕説明員 これは先生のおっしゃるとおり、山について、森林組合に管理をしてもらいたいという、こういう売り渡す人の意思が第一の前提でございまして、それを受けまして森林組合がその経営に当たる、こういうことを予想しておりまして、また、運用上もそのような指導をいたす、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/149
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150・芳賀貢
○芳賀委員 もうすでに現在においても委託を受けて森林経営の事業をやっておる。信託を受けて、その森林というものを維持して、適正な運用をやっておるわけでしょう。それ以外に、今度は、特定の森林をみずから経営するということになれば、これは一体何を対象にしているかわからぬということになるのですよ。だんだん山村が過疎化して、結局、在村の森林所有者が少なくなるわけでしょう。農協法の場合には、その地域を離れれば、これは組合員資格を失うということに法律ではっきりしておるが、森林組合の場合には、現に不在村の大山林所有者も、これは正組合員としての参加を認めておるわけですからね。困った状態で山村を離れても、自分の意思でこの山林を自分の所有にしておくということになっても、これが不在村になっても、組合員等の資格をちゃんと持っておるじゃないですか。そうでしょう。貧乏していなくなったのは、これはよそへ行っては組合員資格はない。大山持ちの場合には、北海道と東京に離れていても、それは正組合員としての相当の影響力を持っておる。そういう差別をしたような不在村の組合員の扱いというのは、協同組合の原則から言っても、これは間違いじゃないですか。こういう未熟なものはこの機会でなくともいいのじゃないですか。次の機会というものがあるわけだからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/150
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151・甕滋
○甕説明員 先生がおっしゃいますように、その所有者が森林組合に委託ないし信託をしたいというふうに考える場合もあり得るわけでございまして、その場合には、森林組合は、みずからの本来事業としてそれを行なうということに相なるわけでございます。これは現在でも、必須事業といたしまして森林組合が行ない得るということでございますが、ただ、その所有者がまた買い取りを希望いたしてまいりまして、森林組合がやはりそれに当たらざるを得ないという事態もあるということでございますので、そのために道を開いた、こういう趣旨でございます。
あくまでも、その所有者の意向というものが基礎にございまして、森林組合の事業がそれに対応した形で仕組まれる、こういうことを私ども考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/151
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152・芳賀貢
○芳賀委員 そうすれば、結局、森林組合が地域内の森林を買い受けることができる。いままでそれができなかった場合には、その地元の森林所有者から、合意によって森林の権利移動をして、移転をして、森林組合が買い取りで森林を所有することができるというふうにまずする目的なんでしょう。そうじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/152
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153・甕滋
○甕説明員 森林の経営を行ないますために所有権を買い受ける、あるいは借り受けるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/153
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154・芳賀貢
○芳賀委員 この法律がかりに通れば、それはできるというわけだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/154
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155・甕滋
○甕説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/155
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156・芳賀貢
○芳賀委員 もう一つ、これについて。そうするためには、組合員の三分の二以上の書面による同意を得なければならない。これがまたおかしいじゃないですか。書面による同意ということになれば、森林組合の職員ないしは数名の役員がおるわけだから、その人たちが手分けをして、同意書をつくって、署名簿のようなものをつくって個別に巡回して、そうして捺印をしてもらって、判この数だけ三分の二以上になれば、これで成規の手続による合意が成立したという形式を整えてやるつもりのようですが、これは邪道じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/156
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157・甕滋
○甕説明員 この森林をみずから経営するということにつきましては、今度の改正法で定められる新しい事業でございます。森林組合がこの新しい事業を行ないます場合には、森林法の第百三条によりまして、事業については定款に定める、ということになっております。
そこで、その定款を定める手続がございまして、これは現に定款のあるものについては変更ということになるわけでございますが、総会の特別議決にかかっておるわけでございます。これは通常の議決よりも要件が重くなっておりまして、組合員の半数以上が出席し、三分の二以上の賛成によりまして議決をする、こういうことになっておりますので、その特別議決というものを経まして、組合といたしましてはこの新しい事業に取り組むことができる、と、実は、こういう前提がございます。まずこれをやりまして、また、相前後して、同時に、この事業を行ないますためには組合員の三分の二以上の書面による同意を必要とする、と、先生御指摘のような手続を考えておるわけでございます。
その趣旨は、やはり、森林組合が森林の自営をいたしますのは、組合員の利益との関連もございまして、それに配意しながら地域の林業の適切な執行を確保するという趣旨でございますので、加重の要件としてこれを定めたという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/157
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158・芳賀貢
○芳賀委員 組合課長、あなたは初めての答弁だけれども、われわれ委員はものごとを知らないで、わかるために聞いておるのじゃないですよ。問題があるから、これはおかしいじゃないかということを指摘しておるわけです。何も、組合法のイロハをここで言ってくれと言ったんじゃないですよ。いいですか。
いまのあなたの答弁を聞いても、何も三分の二以上の同意のために同意書をまとめなければならぬという要件は要らないじゃないですか。何のために不必要なものをここに自営の問題と混合してやるかというところに大きな欠陥があるので、この前段の規定は必要がないということで注意をしておるわけですよ。いいですか。この森林組合は、今後区域内の組合員から森林を買い取りすることができる。その買い取った森林は必ず自営しなければならぬということに今度は新しく制度ができるわけでしょう。そうすると、買い取り行為と自営行為というのは、重要な問題であれば、これに必要な規定を農林大臣がつくって、そうして場合によっては定款の中に特別の規定を——これは総会の議決を経て、組合が保存して順守しなければならぬということになるわけだから、当然その場合定款の変更が必要になる。定款変更の議決は、出席者の三分の二以上の同意による議決がなされなければ、どんないいことをするとしても定款の変更はまずできないわけですから、組合員の三分の二以上が総会の席上で同意するということになれば、そこで、法令上から見ても完全な実行ができるという根拠ができるわけです。それができれば、あとは必要な規定等を整備して、森林事業の自営の事業については、毎年度定められた事業計画の中において、みずから行なう森林経営についての事業計画あるいは収支計画を明らかにして、それで総会の普通決議で承認を得れば、それに従って忠実に業務を遂行するということで、これでもう一切手順は済むわけじゃないですか。そのほかに、おやじさんが出かせぎに行っておらぬような家庭をぐるぐる回って、かあちゃん、何にも悪いことじゃないから判こを押してくれということで、数だけ組合員の三分の二集めても、それでは権威も何もないじゃないですか。こういう必要のないものをわざわざしろうとだましに規定の中に入れるということ、それ自身が間違いなんですよ。だから、この際、率直に、前段のそういう不必要な点については、むしろ進んで訂正をして、きちっとしたものでこの法律を上げるということが必要じゃないかと思うのです。大臣、お聞きのとおりなわけですが、これはもう即断即決で、間違ったらここをはずすならはずすでいいですけれども、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/158
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159・倉石忠雄
○倉石国務大臣 事務当局側からるる御説明申し上げましたことを政府の意見であると御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/159
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160・芳賀貢
○芳賀委員 いや、その中に間違いがあるわけだからね。これを通しちゃってから、全く面目に関するような大失態だということになると、大臣はじめ農林省の醜を天下にさらすことになるわけですよ。農林省の官僚知能はそこまで低下したのかと言われますよ。それを私はおそれて言っているわけですから、恥をかいてもかまわない、やらしてくれというのなら、それは多数できめなさることはやむを得ぬですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/160
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161・福田省一
○福田(省)政府委員 御指摘の点は、これは二重、三重になった、非常にむだな、人に迷惑をかける手続じゃないかということでございますけれども、この問題につきましては、森林組合として初めての事業でもございますし、私たちは、でき得れば組合員全員の同意を得てやることがしかるべきじゃないかということからも発想しておるわけでございます。、そこで、定款を変更しまして、そうして総会できめればいいのでございますけれども、半分しか出席しておりませんので、なお三分の二ひとつ丁寧に聞こう、こういう趣旨でございます。なお、水産業協同組合法の十七条二項にやはり同じような規定がございますので、それもひとつ引用したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/161
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162・芳賀貢
○芳賀委員 他の農林関係の協同組合法の一部をまねて、木に竹を継いだようなことをやるからこういうことになるんですよ。
重要な点はもう一通りむだを省いて質問したわけですが、最後に、農林大臣にお尋ねします。
農林委員会における決議の尊重ということについて、信義を逸脱するようなことがしばしば行なわれておる点ですが、森林法の関係につきましては、昭和四十三年三月十四日、森林法の一部を改正する法律案が委員会で可決された際、附帯決議が五項目にわたって全会一致で議決されておるわけでありますが、その第五項目に、「今後の林業政策推進上、重要な役割を担当すべき森林組合の育成強化について必要な措置を講ずるとともに単独法の制定について検討を加えること。」という項目があるが、この決議について、時の農林大臣は、ただいまの決議の趣旨を尊重して鋭意努力しますということを、政府側の意思表明をしておるわけですよ。これは一度だけじゃないですよ。森林法の改正のたびに、森林法の中から森林組合並びに森林組合連合会の規定を取りはずして単独立法にすべきであるということをしばしば委員会の意思として指摘しておるにもかかわらず、そのたびに尊重します、尊重しますと言いながら、尊重だけで全然足踏みしておるじゃないですか。こういうことではおざなり答弁で、結局、委員会の議決の権威というものは地に落ちてしまうというおそれがあるわけです。
もう一つあわせて申し上げたいのは、これも林業に関係あることでありますが、昭和四十六年三月の当委員会における林業振興に関する特別決議の際には、倉石農林大臣が当時も大臣をやっておられまして、六項目にわたる林興決議に対しても、農林大臣は非常に神妙な態度で、ただいまの決議の趣旨を尊重して努力します、と言っているでしょう。特に、その中の第一項目については、今後資源問題を中心として森林資源の拡大をはかり、国民経済に大きく貢献する目的で、造林については現行制度でいろいろな角度から造林の推進をやっておるが、この際、国が行なう民有林の造林制度等についても政府として検討して、その実現につとめるべきである、と、これが決議の第一項の内容でありますが、これに対しても総体的に努力すると言っておりながら、全然検討のあとも見えないし、実施についての前向きの態度というものを見受けることができないわけですよ。きょうは林興決議の内容等については機会を他に譲りますが、とにかく、委員会における決議というものが、単に儀礼的な行為として、尊重します、努力しますで終わったのではたいへんな事態になるわけです。倉石大臣自身は国会に議席を持っておるわけでありまして、われわれと同僚の一員ですから、お互いに立場が一時変わっても、立法府における立場で、十分、国会の権威の保持ということには当たるべきであると思うのです。その点についての大臣のまじめな御意思を承りたいことと、あわせて、今回の森林法の改正にあたっては、決議の趣旨あるいは全国的な森林組合関係等の強い要望というもの、一日もすみやかに森林組合法の単独制定を実現してもらいたいという要望、これは宿願になっておるわけですから、この点について、農林大臣としての積極的、具体的な御意思があれば、この際述べてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/162
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163・倉石忠雄
○倉石国務大臣 政府といたしましては、国会の御決議は十分尊重して対処いたしていかなければならないと考えておることは当然でございます。
いまお話しの単独立法のことでございますが、これはけさほども角屋さんにもお答え申し上げましたが、農協とこちらのほうとは若干性格を異にいたしております点もございますし、そういうことについては慎重にさらに検討をする必要があるということで検討いたしておるわけであります。
もう一つのお話しの林業の振興決議についてでございますが、もちろんこれを尊重してまいることは当然なことでありますが、林業の国土保全等の公益的機能と、それから木材生産の経済的機能を総合した森林資源に関する基本方針、それから林産物の需給見通しの改定、造林事業の積極的拡充、林道整備の促進、自然保護に配慮した森林施業の拡充、それから国有林治山事業に対する一般会計負担の拡充などもいたしましたことは御存じのとおりでございまして、これらにつきましては、御決議の趣旨を尊重しながら、こういう方向の政策を盛ってきておるわけであります。
なお、お話しのございました民有林の分収造林のことでございますが、林業基本法に定めております林業者及びその組織する団体の自主的な努力を助長するという、民有林造林の基本的方向との関連におきまして、さらに慎重に検討を進めてまいる必要があると存じております。こういう点につきましても、御趣旨を尊重しながら、私どもはさらに検討を続けてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/163
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164・芳賀貢
○芳賀委員 ただいまの農林大臣が林業基本法を引用した分収造林の今後の政府としての検討の方向については、これは重大な発言でありますが、きょうは特にそれに対する論議は保留しますが、これは大臣がそう言ったからいいというわけではないですよ。きょう大臣はそういう発言をした。それに対して、次の機会に私のほうから——林業基本法の第七条の定めというのは、昭和三十九年に、政府案と私ども社会党が提出した森林基本法等との並行審議の中で、政府提案の林業基本法案は、委員会の意思をもって大幅に修正をされたわけです。それが現在の林業基本法の実態でありますからして、たまたま第七条を引用されましても、それはわれわれが修正した大事な個所でありまして、それをもってして、国が民有林に対する分収造林制度をすることは林業者並びに団体の自主的な行為を阻害する、支障を与えるということとは全然違うのですから、その逆ですから、この論議はあとに譲ることにいたしまして、ただ一点、この森林組合の単独法の設定については、従来の経過からして、附帯決議や大臣の答弁だけではなかなか信用することができない。そういうことを配慮して、次に農林委員長提案の修正案が出される予定になっておりますので、その際、修正案の内容等については、特に森林組合の単独法制定の問題等については、委員長から提案される修正の中に、それを目標にした検討事項というものが明らかにして出されるということを十分覚悟して、そのあとで政府の所見があれば、あとで述べらるべきであるというふうに思います。
以上で、本日は、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/164
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165・仮谷忠男
○仮谷委員長 これにて、本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/165
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166・仮谷忠男
○仮谷委員長 この際、昨日来より、各派理事間等において、修正要綱について鋭意真剣に協議をしてまいりましたが、その協議がととのいましたので、私の手元で起草いたしました本案に対する修正案を提出いたします
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/166
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167・仮谷忠男
○仮谷委員長 修正案はお手元に配付してあるとおりであります。
その案文の朗読は省略して、以下、修正の趣旨を簡単に申し上げます。
一、民有林の開発行為の許可基準の適用にあたっては、森林の保続培養及び森林生産力の増進に留意しなければならないこと。
二、政府は、森林組合の組織及び機能について検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他の必要な措置を講ずること。
三、全国森林計画の計画事項にかかわる施行期日を一年延期し、昭和五十年四月一日とすること。
以上が修正案の趣旨及び内容であります。何とぞ全員の御賛同を賜わりますよう、お願いを申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/167
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168・仮谷忠男
○仮谷委員長 修正案に対して別段御発言もないようでありますので、原案並びに修正案を一括して討論に入りたいと思いますが、別に討論の申し出もありませんので、これより採決に入ります。
まず、委員長提出の修正案について採決いたします。
委員長提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/168
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169・仮谷忠男
○仮谷委員長 起立総員。よって、委員長提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/169
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170・仮谷忠男
○仮谷委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/170
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171・仮谷忠男
○仮谷委員長 この際、ただいま議決されました本案に対し、附帯決議を付したいと存じます。
案文を朗読いたし、その趣旨の説明にかえたいと存じます。
森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は本法の施行にあたり、左記事項について、適切な措置を講じ林業の一層の振興に努めるべきである。
記
一 全国森林計画の策定にあたつては、国有林、民有林の有機的連けいを図ることとし、国有林の地域施業計画の樹立、改訂に当つても、当該都道府県知事の意見を十分に尊重すること。
二 開発行為の許可制については、森林の乱開発として問題となつている事案が規制できるようその対象を定める等具体的運用基準を明確にするとともに、開発行為の規制について関係者の意向を十分反映するよう必要に応じ都道府県森林審議会の意見を聞くほか、国、地方公共団体等の実施する開発行為についても開発許可制度の創設の趣旨を徹底する等その運用について厳正を期すること。
三 造林事業の一層の推進を図るため、造林、保育、間伐等森林造成施策の体系化、施業の共同化、分収造林の拡充強化を図ること。
四 国内森林資源の整備拡充を図るため税制、財政、金融等総合的な施策の充実に努めること。
五 森林火災、病虫害等森林被害の増大に対処して、森林火災の防止、病虫害防除等森林保全管理対策の整備充実を図ること。
六 森林組合については、森林組合制度の趣旨にのつとり、特に転用相当林地の売買について法改正の趣旨にそい運用する等諸事業の適正な運用が確保できるよう強力な指導を行い、その育成強化を図るとともに、経営基盤の強化、組合体質の改善に努めること。
七 林業労働に従事する者の福祉の向上、養成及び雇用の安定を図るため、林業労働者に対する社会保障制度の拡充に努めるとともに、各種の林業労働災害及び職業病の発生の防止を含めた労働環境の整備改善に努めること。
右決議する。
以上でありますが、本附帯決議案を本案に付するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/171
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172・仮谷忠男
○仮谷委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。倉石農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/172
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173・倉石忠雄
○倉石国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、善処してまいる所存でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/173
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174・仮谷忠男
○仮谷委員長 なお、ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/174
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175・仮谷忠男
○仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/175
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176・仮谷忠男
○仮谷委員長 農用地開発公団法案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。倉石農林大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/176
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177・倉石忠雄
○倉石国務大臣 農用地開発公団法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
最近における農畜産物の需給の動向等にかんがみ、国民食料の安定的な供給の確保を基本とした諸施策の展開が重要な課題となっており、このため、国内で生産が可能な農畜産物について、極力その供給体制を整備していくことが急務となっております。
このような課題に対処するためには、未利用、低位利用の土地が広範囲にわたって所在する地域において、畜産を基軸として、近代的な農業経営群による農畜産物の大規模かつ濃密な生産団地を拠点的に創設、育成することを内容とする農業開発を推進していくことが必要であると考えております。
このため、特に、農用地の造成のほか、関連する土地改良施設、畜舎その他の農業用施設の整備等を総合的かつ計画的に行なう新しい事業実施方式を設けるとともに、これらの事業を一元的に実施する機関として農用地開発公団を設立することとした次第であります。
他方、昭和三十年発足以来、先進的な大型開発機械の活用を通じて農用地の開発に寄与してまいりました農地開発機械公団につきましては、最近の民間における機械の装備、技術の水準等を考慮いたしまして、この際これを解散せしめて、同公団に蓄積された技術及び経験を活用する見地から、新公団にその権利及び義務を引き継ぐことが適当と考えている次第であります。
以上が、この法律案の提案の理由でありますが、次に、その主要な内容につき御説明申し上げます。
第一に、公団の業務といたしましては、さきに申し述べました公団の目的を達成するため、農畜産物の濃密生産団地を建設するのに必要な農用地等の造成、土地改良施設、畜舎その他の農業用施設の新設または改良を行なうほか、これらの事業とあわせて農業用施設の譲り渡し及び農機具、家畜等の売り渡し等の業務を行なうことといたしております。
第二に、公団の業務の実施につきましては、都道府県から区域を特定して申し出があった場合に、農林大臣が事業実施方針を定め、これを公団に指示することとし、公団は、事業実施方針に基づいて事業実施計画を作成し、関係権利者の同意、農林大臣の認可等所要の手続を経て事業を行なうことといたしております。
なお、農業用施設の譲り渡し及び農機具、家畜等の売り渡しにつきましては、業務方法書に基づいて実施することといたしております。
第三に、公団事業のうち、農業生産基盤整備関係の事業に要する費用につきましては、公団は、国の助成部分を除いたものを都道府県に負担させることができることとし、都道府県は、直接または市町村を通じて、受益者からその負担金の全部または一部を徴収することができることといたしております。
その他、公団の組織、財務、会計、監督等につき所要の規定を設けております。
なお、解散する農地開発機械公団との関係につきましては、新公団は、職員の雇用関係を含めて、一切の権利及び義務を承継し、また、当分の間農地開発機械公団の現行業務を行なうことができることとして、そのため必要な経過規定等を定めることといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/177
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178・仮谷忠男
○仮谷委員長 以上で、趣旨の説明は終わりました。
引き続き、本案についての補足説明を聴取いたします。大山構造改善局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/178
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179・大山一生
○大山政府委員 農用地開発公団法案につきまして、提案理由説明を補足して御説明申し上げます。
この法律案は、提案理由の説明にもありましたとおり、農用地開発公団を設置して、未利用、低位利用の土地が広範囲にわたって所在する地域において、農畜産物の大規模かつ濃密な生産団地の建設に必要な農用地の開発、農業用施設の整備等の業務を総合的かつ計画的に行なうことにより、農畜産物の安定的供給と農業経営の合理化に資することを目的としているものであります。
以下、その内容を御説明申し上げます。
第一章は、この法律の目的、法人格、事務所、資本金等総則に関する規定であります。
このうち、公団の資本金は、二億円と、農地開発機械公団に対する政府の出資金に相当する額との合計額とし、その全額を政府出資といたしております。
第二章は、公団の役員及び職員に関する規定であります。
公団の役員の定数は、理事長一人、副理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内といたしております。
第三章は、公団の業務の範囲、その実施方法等公団の業務に関する規定であります。
まず、公団の業務の範囲でありますが、近代的な農業経営の成立のための条件を備えた農用地と農業用施設等とを有する農畜産物の濃密生産団地を建設するため、農用地等の造成を中核的な事業とし、これとあわせて農業用用排水施設の整備等の農用地の改良の事業及び畜舎等の農業用施設の新設、改良の事業を行なうものとしております。
同時に、これらの事業とあわせて農畜産物の濃密生産団地の建設に必要な交換分合、災害復旧事業、農業用施設の譲り渡し及び農機具、家畜等の売り渡しの業務を行なうことといたしております。
なお、委託に基づき、農林大臣の認可を受けて、濃密生産団地の建設のための農用地の造成等の工事と密接な関連を有する工事を行なうことができることといたしております。
次に、公団の業務の実施手続について規定しております。
第一に、都道府県から区域を特定して農畜産物の濃密生産団地建設のための事業を実施すべき旨の申し出があった場合において、農林大臣は、その申し出が一定の要件を備えているものと認めたときは、所要の手続を経て、事業実施方針を定め、これを公団に指示することといたしております。
第二に、公団は、農畜産物の濃密生産団地建設のための農用地の造成等の事業を行なおうとするときは、事業実施方針に基づいて事業実施計画を作成し、事業参加資格者の同意を得る等の所要の手続を経た上、農林大臣の認可を受けることといたしております。
第三に、換地処分、交換分合または災害復旧事業を行なおうとするときは、公団は、換地計画、交換分合計画または災害復旧事業実施計画を作成し、所要の手続を経た上、農林大臣の認可を受けることといたしております。
第四に、農業用施設の譲り渡しまたは農機具、家畜等の売り渡しを行なおうとするときは、公団は、業務方法書を作成し、農林大臣の認可を受けることといたしております。
第五に、農用地または農業用施設用地の造成、土地改良施設の新設、改良等の事業に要する費用の負担につきましては、その一部を都道府県に負担させることができることとし、都道府県は、その負担金の全部または一部を、直接または市町村を通じて受益者から徴収することができることといたしております。
第四章においては公団の財務及び会計に関する規定を、第五章においては公団に対する農林大臣の監督に関する規定をそれぞれ設けております。
第六章及び第七章は、雑則及び罰則に関する規定であります。
附則におきましては、公団の設立手続、農地開発機械公団の解散等について定めております。
まず、公団の設立について、農林大臣が設立委員を命じて公団の設立に関する事務を処理させること等所要の規定を設けております。
次に、農地開発機械公団は公団の成立のときにおいて解散するものとし、その一切の権利及び義務は、そのときにおいて公団が承継することといたすとともに、公団は、当分の間、農地開発機械公団の業務を行なうことができることといたしております。このような措置に対応して、公団に、先に御説明いたしました役員のほか、三年間を限り、理事二人を置くことができることといたしております。
なお、関係法律につき所要の改正を行なうことといたしております。
以上をもちまして、本法律案についての補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/179
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180・仮谷忠男
○仮谷委員長 以上で、補足説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
次回は、明二十八日木曜日、午前十時理事会、十時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X01419740227/180
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