1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十八年十二月十一日(火曜日)
午後六時八分開議
出席委員
委員長 平林 剛君
理事 稲村 利幸君 理事 木部 佳昭君
理事 倉成 正君 理事 坂村 吉正君
理事 橋口 隆君 理事 井岡 大治君
理事 松浦 利尚君 理事 野間 友一君
上田 茂行君 越智 伊平君
加藤 紘一君 片岡 清一君
羽生田 進君 三塚 博君
粟山 ひで君 山本 幸雄君
吉永 治市君 金子 みつ君
山中 吾郎君 増本 一彦君
有島 重武君 石田幸四郎君
和田 耕作君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 内田 常雄君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 高橋 俊英君
公正取引委員会
事務局長 吉田 文剛君
公正取引委員会
事務局経済部長 三代川敏三郎君
経済企画政務次
官 竹内 黎一君
経済企画庁調整
局長 青木 慎三君
経済企画庁物価
局長 小島 英敏君
経済企画庁総合
計画局長 宮崎 仁君
大蔵政務次官 中川 一郎君
農林省畜産局長 大河原太一郎君
林野庁長官 福田 省一君
通商産業政務次
官 森下 元晴君
通商産業審議官 森口 八郎君
通商産業省基礎
産業局長 飯塚 史郎君
通商産業省生活
産業局長 橋本 利一君
資源エネルギー
庁石油部長 熊谷 善二君
資源エネルギー
庁石炭部長 佐伯 博蔵君
委員外の出席者
農林省食品流通
局砂糖類課長 永井 和夫君
工業技術院総務
部技術審議官 木下 亨君
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委員の異動
十二月十一日
辞任 補欠選任
山崎 拓君 越智 伊平君
綿貫 民輔君 片岡 清一君
同日
辞任 補欠選任
越智 伊平君 山崎 拓君
片岡 清一君 綿貫 民輔君
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本日の会議に付した案件
国民生活安定緊急措置法案(内閣提出第三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/0
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001・平林剛
○平林委員長 これより会議を開きます。
国民生活安定緊急措置法案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/1
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002・松浦利尚
○松浦(利)委員 私は、まず経済企画庁長官の決意並びに第七十一特別国会における経済企画庁を中心とした政府の皆さん方のとった態度についての見解を求めたいと思うのであります。
御案内のとおりに、第七十一特別国会におきまして投機防止法が通過をいたしました。そのときに、私たち野党は、政府案を補強するという意味で対策を出したわけであります。その内容は、今回提出されております附則の投機防止法の修正部分と全く同一視するものであります。われわれはただ単に買い占め、売り惜しみした者が公表だけでは解決しない、少なくとも売り渡し命令をかけるべきである、また現在の通産省なり各省の陣容をもってしては、とうていこうしたインフレ下の物価騰貴を監視することはできないので、権限の一部を地方自治体に移管をすべきだという提起をしたわけであります。そのときに小坂経済企画庁長官は、われわれ野党案を歯牙にもかけずに、要は政府案が通れば絶対に現在の騰貴を押えることはできるのだと答弁し、確約したはずであります。ところが第七十一特別国会で法案は通った、その舌の根もかわかないうちにこの法案を改正しなければならない事態にいま立ち至っておるわけであります。こうした国会審議のあり方、こうしたただ単に官僚のつくり上げたものを絶対的だとする政府の、あるいは与党の考え方、こうしたものについてこの際大臣がいかに反省をしておられるのか、第七十一特別国会でとった態度は正しかったといまでも思っておられるのか、私はこの際、国民の前に明確にひとつお答えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/2
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003・内田常雄
○内田国務大臣 今回私どもが提案をいたしました国民生活安定緊急措置法におきまして、ただいま松浦さんが御指摘なさいましたように、買い占め防止法の強化、改正をいたすことになりました。当時、買い占め防止法を制定いたしました際は、今日の海外からの石油の供給のカット、また値上がり、またそれらを契機としたただいまのような国民生活の各分野にわたる物資や、またある場合には基礎資材等、広くその価格や需給の混乱が、当時としては予測せられておらなかったということが一つと——それは、今日の石油の事態を予見し得たかどうかという問題にもかかるわけでありまするが、もう一つ、いまの自民党政府といたしましては、今回の国民生活安定法におきましても、また前回の買い占め防止法におきましても、でき得る限り政府が自由経済のたてまえによる経済の運行に立ち入りをしないで、必要やむを得ざる限度において干渉する、こういう考え方もあったわけでございまして、さような見地から、前回の緊急措置法におきましては、野党の皆さま方からせっかくの御勧告があったにもかかわらず、いま申しました二つの理由から、政府案で御可決をいただいた、こういうことであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/3
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004・松浦利尚
○松浦(利)委員 それはそれでいいんですよ、そういう考え方でやったのは。それはあなた方の考え方です。しかし、現実に物価が上がっておるでしょう。物価が上がっておるから、あの法律を国会で審議して早く通せというので、本委員会では一週間に三日ぐらいやって上げたのです。ところが実際に、もう時間がありませんから質問はいたしませんが、二十一件特定物資に指定をして、具体的にあの発動をしたのは一件なんですね。あとは全部任意的に捜査をしたものばかりなんです。経済企画庁で百件ぐらい。それではどうにもならぬからこの法の改正にきておるわけでしょう。国民の皆さん方は、あの法律が通ったら物価が安定すると思っておったのですよ。ところが、現実に安定しないから、いま直ちにまた改正でしょう。何カ月もたたない間に。この点について、いろいろ石油の事情があるとかなんとかいわれておりますけれども、あのときも物価は上がっておったのです。それに、外的事情としての石油の問題がプラスされてきているのが今日の状態ですからね。一つも反省がないじゃありませんか。それでは、自分たちの出した法案はいまでも正しいと思っておられるのですか。正しければ何も修正する必要はないじゃないですか。私は反省がないと言っておるのです。野党の意見を葬ったことについて、あなたはいまどう思っておるかと、こう聞いておるのです。あなたはそれらに対して全然何らの意思表示もないですね。ただ現状分析をされただけですね。私の質問に正確に答えてください、正しいと思っておられるのか、そうじゃないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/4
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005・小島英敏
○小島政府委員 大臣はこの前の法律案を御審議いただきましたときにおられませんで、私がまさに同一人物でございますので、その意味においてはたいへん責任を感じておるわけでございます。
現状は確かに、先ほど大臣も言われましたように、当時とやや客観情勢が違ってきたということが一つあるわけでございます。
それからもう一つ、私、申し上げたい点は、実は当時私どもは、この法律さえ通れば物価が安定するということは申し上げていないつもりでございまして、本来は総需要調整というものが最も重要である、この法律は行政の補完的なポジションを持つものであるということをお話し申し上げた覚えがございます。その意味では、どうも総需要調整の面でもやや時期が失するとか程度が弱いとかという点、これは私どもも反省いたしておる点でございます。
それから、この法律の施行に関連いたしまして、やはり本庁の人手不足ということもございまして、どうも十分なチェック機能が発揮できなかったという点がございます。この点は今回反省を加えまして、地方に対する権限委譲等も考えたいということを考えておるわけでございます。
それから命令に関しましては、実はそもそも勧告にすら至らなかったわけでございますから、今度の事態において、やはり事態が非常に深刻化してかなり多くのものについて買い占め的な動きが出てまいるおそれがあるという事態に対処して、命令まで——野党がおっしゃいましたような点でございますけれども、そこまで進もうということに相なったわけでございまして、決して私ども一切無反省ということではございませんことを申し述べたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/5
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006・松浦利尚
○松浦(利)委員 結局、私たちの見通しのほうが正しかったということなんですよ。政府の考えておることより、野党の見通しのほうが正しかったということを実証しておると私は思う。
そこでこの際、大臣にお尋ねをしておきますが、この緊急措置法案について、野党もこれから十分政府案に対して修正なりあるいは対案というものを提示していくつもりですが、今回は前回とったような態度に出られませんか。必ず野党の意見に耳をかして、政府においても、院のほうで修正するという動きがあれば修正するというお考え方に立っておられますか。その点明確にお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/6
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007・内田常雄
○内田国務大臣 私がまあ政府の責任者として申し上げ得ますことは、今回の法律案を起案するにあたりましては、実は政府としては最善を尽くして起草をし、ここに御提案を申し上げたわけでございます。しかし私は、この法律自身というものが政府の一方的意思だけでその効果を発揮するものではなしに、これは国民の皆さま方、消費者はむろんのこと、生産者も販売業者も、みんなの理解と協力がなければ法律の効果はあげ得ないと思いますことが一つと、それは法律でありますから、この国会に提案いたしました以上、立法権は国会にあるわけでございますので、私もここでせいぜい御説明を申し上げたり、答弁はいたすつもりでありますけれども、国会の皆さま方のほうにおかれましてもいろいろ御検討をいただくことは、これは当然であると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/7
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008・松浦利尚
○松浦(利)委員 当然であっても、国会で修正しようとしても政府が押えるんですよ。確かに行政と立法が独立しておるはずなんですけれども、いままでの国会審議というのは、ややもすると政府が出した法案は絶対的に通す、野党の意見には耳をかさない。特にこの前の投機防止法がそうだったのです。だから、そういうことがあったときには、政府のほうはそれに応じますかと、こう聞いておるのです。だいじょうぶですね。修正の動きがあったときには応じますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/8
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009・内田常雄
○内田国務大臣 あまり多言を用いますよりも、いま私が申し上げましたことは速記にも残ることでございますから、いろいろの意味において御判断をいただいてけっこうだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/9
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010・松浦利尚
○松浦(利)委員 正確にしておかないとまたごまかされるんですよ。だから、院のほうで、われわれのほうで修正するという動きがあったときには、政府はすなおにそれに応じますかということを簡単に聞いておるのです。あなたの言っていることは、何言っているか国民はわからないですよ。長官、悪いですが、もっと明確にひとつ答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/10
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011・内田常雄
○内田国務大臣 決してわからぬことを申し上げておるわけではなしに、おわかりいただけると思うのですが、もっと簡単に申しますと、私どもは最善を尽くして提案をいたしたものでありますが、当院において、国会において与野党協議の上、私どももなるほどもっともだと思う点がございましたら、私はそれは当然院のお考えに従うのが、この法律を動かす上からはいいだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/11
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012・松浦利尚
○松浦(利)委員 このことでいろいろ議論しておっても時間を食うだけですから、私のほうから再度念を押しておきます。院のほうで修正するという動きがあったときには政府はこれに関与しないこと、そのことを私は要求として申し上げておきます。答弁の中にもそのことはあった。いろいろ理解をしていいということですから、そういうふうに理解をさしていただきます。
それで私は、いまここに提出されました法案について具体的に条文、内容について質問をしようとは思いません。国民は、この安定法が通ると現状物価高あるいは現状の物不足、こういったことが解決するとみんな思っておられるのです。そこで私は具体的に各省にお尋ねをいたします。
まず第一点。総理は所信表明の中で、物はあるんだ、物資は不足しておらない、だから国民の皆さん、ひとつ買い急ぎとか買いだめをしないでくれ、こういうことを国会で言われたわけであります。だから、国民が買いだめしなければ、あるいは買い占めしなければ物はあるんだということを盛んに言っておられるわけでありますから、事前に私はお願いをしておきました。いまたいへんに問題になっております灯油、それから砂糖、小麦粉、合成洗剤、紙、それからプロパンガス、木材の中の合板、セメント、これが物資があるというのでありますから、現実にどれだけあって、それがどこにあるのか。国民が買おうと思えば買えるのか、その点をひとつ具体的に国民の前に、ただばく然と、いや生産がこうですからありますよ、ではなくて、ここにこれだけあるから国民の皆さん心配しなくて、買いだめ、買い占めするな、これだけある、こうだ、その具体的な数字を各省、事前にお願いをしておきましたから、ここで出していただきたいと思うのです。通産省のほうからやってください。おかしいじゃありませんか。私は事前に通産省に対して、通産省所管のものについて具体的に数量と、どこに何があるのか、そういうことをちゃんとしてくれと言っておいたじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/12
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013・橋本利一
○橋本政府委員 まずセメントについてお答えいたします。
セメントの十月の在庫は三百十九万七千トンでございます。このうち工場内の在庫は百七十一万五千トン、工場外の在庫は百四十八万一千トンでございます。
それから次に紙でございますが、紙の十月末現在の在庫量は四十一万七千百二十トン、このうち紙が二十八万七千八百九トン、板紙が十二万九千三百十一トンでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/13
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014・松浦利尚
○松浦(利)委員 私があなたにお願いしたのは、数字はわかっておるんですよ。だからこの数字で、買いたいものがどこにあるかと聞いておるのです。消費者は買いに行かなければいかぬのです。数字で消費者は物を買うんじゃないんですよ。消費者はいつもこれでごまかされておる。数字ではあるのだけれども、行ってみたら物がない。だからこれはどこにあるのですか、こう聞いておる。だからそれがどこにあるのか言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/14
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015・飯塚史郎
○飯塚政府委員 私より合成洗剤の関係につきまして御説明申し上げます。なお、いま先生追加して御質問なさいました点につきましては、私のあとで橋本局長から答えるようにいたしたいと思います。
合成洗剤につきましては、大手五社の生産並びに出荷のシェアは八〇%でございますが、十二月十日現在でこの大手五社につきまして調査をいたしたわけでございます。それによりますと在庫量は、これはメーカー在庫でございますが、一万三千六百トンでございます。これは通常の最近の月の生産の約七日分に当たるわけでございます。このほかに卸段階並びに小売り段階に在庫があるわけでございます。卸、小売りにつきまして明確な数字をつかむことは困難であったわけでございますが、大体私どもメーカーそれからおもな卸等サンプル的に引いてみますと、現在手持ちをいたしておりますのは七日ないし十日分ぐらいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/15
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016・橋本利一
○橋本政府委員 紙について申し上げます。
二十八万七千八百九トンというのはメーカー在庫でございまして、そのほかに代理店在庫が十三万六千二百三十四トン、それから卸商の在庫が十三万四千六百十三トンでございまして、小売り店にはいまいかほどあるかということは統計的に確認できておりません。
それからセメントにつきましては、先ほど申し上げました工場内在庫あるいは工場外在庫のほか、この十二月の十日から小口需要に対する供給を確保するために、二百五十万袋のセメントを全国一円の小口需要者に供給するためにあっせん所を再開いたしております。あっせん所のほうに御連絡いただければ、十二月分といたしまして二百五十万袋の小口需要に対する供給を準備いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/16
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017・熊谷善二
○熊谷政府委員 LPGにつきましては、十一月末の在庫、まだ暫定的な数字でございますが、七十四万二千トンございます。
それから灯油でございますが、灯油につきましては十月末の期末在庫は五百八十七万一千キロでございます。(松浦(利)委員「それはどこにあるのですか」と呼ぶ)これにつきましては、いずれもこれはメーカーの在庫でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/17
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018・福田省一
○福田政府委員 合板につきましてお答えいたします。
前もって御質問ございましたが、在庫についての現時点での各段階すべてについての詳細な状況は把握してございませんけれども、御指摘ありました二・七ミリ、三尺・六尺の合板の生産、これにつきましては最近に至るまでは大体順調に推移しておりまして、一方需要につきましても、金融の引き締めによりまして減少傾向を示しておったのでございます。
ところで、最近の動きについて聞き取り調査をいたしましたところ、卸売り問屋、それから商社、メーカー、これは大体商社とメーカーは八対二ぐらいになっておりますけれども、その入手量は最近もほとんど変わっておりません。二次加工業それから小売り業、そういった段階で在庫は相当最近は減少しておりました。これらの段階で、だいぶ減っておった在庫をふやす傾向が出ておるのでございますが、大体、推定も入っておりますけれども、現在三億平米ぐらいであろうというふうに推定されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/18
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019・永井和夫
○永井説明員 概数でございますが、十一月末の大手全日本精糖工業会加盟メンバー各社の在庫が約八万トンあると思われます。
それで大体溶糖した数量をそのまま市場に流通させておりまして、十一月には二十三万トンを溶糖いたし、そのまま市場に出してございます。流通段階におきます在庫は不明でございますが、私どもが緊急対策をとりました十一月二十日前後におきましては、確かに、一部の小売り店に品物がないという状況がございましたが、現在私どもが調査いたしておりますところによりますと、品物は各店に出回っておるということで、現在流通段階は順調にいっておるのではないか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/19
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020・松浦利尚
○松浦(利)委員 いま、それぞれ各省からお話がありましたけれども、一つの例、セメントですね、現実に十二月一日から、四百八十円だったものが六百五十円になっておる。しかもない。それで先ほど、通産省のほうから、最近在庫を放出する、小口需要に対してセメントの放出をすると答弁なさいましたね、二百万袋。合板は十二月一日から三百八十円が七十円上がって四百五十円になっておるんです。ところが小売りではそれもない、いまないんですよ。それから紙にいたしましても、もう御承知のようにトイレットペーパーが紛失をして、あれだけ騒動を起こした。その品物がいま出回っておるということも事実です。砂糖もあれだけ騒いだ。確かに、品物が出回っていることは事実です。おそらくセメントも合板もまたこういうことになるんでしょうが、あるいは合成洗剤にしても物が不足して国民の皆さん方買いあさった。実際にいま出ておりますが——確かに出ておる。ところが問題があるのですね。それは御承知のように、価格が全部上がっておるのです。結果的に国民が得たものは、価格が上がったということだけしかないのですね。価格が、上がる前よりも相当大幅に上がっておるものがある。
そこで大臣、お尋ねいたしますが、この法案が通るともう二度と物が不足をするというようなことはない、また価格が上昇するということもない、逆に価格が上昇したものは価格が下がる、そういう役目をこの法律は果たすことができますか。
もう一ぺんお尋ねをいたします。あの混乱があって国民が得たものは、価格が上がったということだけなんですね。物がないときには、必ず国民の手元に物が行きますか。価格が上がったときには、もとの値段に価格を下げることができますか。国民生活を安定するためのこの法案は、そういう特質を持った法案であると大臣はここで断定できますか。その点をひとつ明確にお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/20
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021・内田常雄
○内田国務大臣 いま松浦さんが御指摘になられたようなことも、私どもも市民の一人として身辺に実は感じます。これをそのまま放置をいたしますと、一そう価格なり需給なりが不安になることを私どもは心配いたさなければなりませんので、それで今回この法案を御審議をいただくわけでございまして、この法案が成立いたしました後におきましては、御指摘になりましたようなことがないように、でき得る限りひとつ私どもは、この法案の効果を如実にあらわしていくような努力をいたしたいと思います。たとえば標準価格のきめ方にいたしましても、また物の需給が一方に片寄っておりますような場合の出荷とかあるいは輸送とか、そういうものの調整とかいうようなことを、でき得る限りこの法案を背景として努力をいたしまして、そして国民の皆さま方に心配がないようにしたいということが、この法案を出します私どもの願いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/21
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022・松浦利尚
○松浦(利)委員 それじゃ具体的に農林省の方にお尋ねをいたします。
いま農林省のほうでは牛乳の値段が問題になっておりますね。おそらくこれは行政指導でいろいろ苦労なさっておるのでしょう。ところが牛乳というのは、主食に次ぐたいへん重要なものです。それで現にいままでも再三、この牛乳の値上げという問題は混乱を起こした。それじゃこの国民経済安定法が通れば、そういったことはなくなりますか。絶対に国民経済安定法というワク内に牛乳が入りますか。明確にお答えいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/22
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023・大河原太一郎
○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。
御案内のとおり、飲用乳につきましては、生産者段階におきます配合飼料の値上げ、これは国際的な需給関係から、本年に入りまして約五割近い値上がりでございます。その他労賃の値上がりというようなことから、生産者段階における飲用乳価の値上がりの熾烈な要請がございまして、この秋以来乳業者と生産者の間で種々なる話し合いが行なわれたわけでございますが、最近キロ当たり十五円の値上げということで、原乳の値上げが行なわれたわけでございます。その後乳業者なりあるいは配達店等においても、それぞれ労賃その他値上げ要因がございますけれども、われわれといたしましてはただいま先生申し上げましたように、時期とか値上げの幅につきまして節度のある、便乗性のないような価格改定ということについて現在指導中でございまして、コストのアップ要因というものを最大限に切り詰めまして、むしろこれらの安定法の対象にならないように、指導によって適正な価格で落ちつくように最大限の努力を払っておるというのが、今日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/23
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024・松浦利尚
○松浦(利)委員 いま畜産局長が言われたことは、それでは農林物資で具体的に国民生活安定法の対象になるのは何ですか。ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/24
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025・大河原太一郎
○大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、農林物資はそれぞれ国民の食生活なりその他に関連する物資が多うございます。したがいまして、その商品の性格とかあるいはその時期における価格の動向というようなことによりまして、それぞれ判断していくべき問題であるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/25
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026・松浦利尚
○松浦(利)委員 法律の適用を受けるようになりますか。この安定法のワク内に入るようになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/26
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027・大河原太一郎
○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。
国民生活に関連の深い物資につきまして、異常なる価格上昇等の事態が起こりますれば、制度として当然それぞれ取り上げられるべきものと思うわけでございますが、先生御指摘の飲用牛乳等につきましては、そのような事態がないような、それぞれの生産者なり関係業界、それぞれの節度のある価格の改定ということにいたすよう万全の努力をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/27
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028・松浦利尚
○松浦(利)委員 これは大臣じゃなくても物価局長でもけっこうですが、具体的にお尋ねをします。
たとえば合板なら合板だけが異常に値上がりをしたときには、この対象になりますか。投機防止法じゃありませんよ。投機防止法は、これは附則ですから、本体の対象になりますか、合板だけ値上がりしたときには。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/28
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029・小島英敏
○小島政府委員 この法律は、標準価格のところでも、物価一般について高騰または高騰のおそれがある場合というのがかかっておりますから、もし一般的に物価水準が値上がりの状況が少ない場合には、標準価格自身も発動の対象になりませんけれども、現在のような状況であれば、一般的な要件を満たしているというふうに考えます。その中で、合板なら合板の価格が非常に高騰するということになりますれば、当然これは標準価格その他の対象として考え得るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/29
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030・松浦利尚
○松浦(利)委員 それでは、物価局長に具体的にお尋ねいたしますが、だから、個別物価が上がっても対象にならないわけでしょう。全体の物価あるいは経済情勢が異常な状態の中における物価高というものだけが対象になるのであって、砂糖が値上がりしたから、あるいはトイレットペーパーが値上がりしたから、あるいは紙が特別に値上がりしたから、あるいは洗剤がなくなったからと、こういうことだけでは対象にならない。要するに、経済全体の中における、全体が物価が上昇したときにおいてのみ発動される法案なんでしょう。個別物価は全然対象にならないのでしょう、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/30
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031・小島英敏
○小島政府委員 おっしゃるとおりでございますけれども、いま申しましたように、卸売り物価も消費者物価も一年前に比べて二けたというような事態は、明らかにこの前段の要件を満たしておると考えますので、このような状態で個別物価が上昇する場合には、当然これは対象に考えるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/31
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032・松浦利尚
○松浦(利)委員 これは大臣、いま物価局長が、今日のような卸売り物価二けた、十一月中旬で二一・五%、消費者物価が十月末で一四・五というような異常な状態はこれの対象になる、こう言っておられましたね。こういった状態だけですか。一体、ここでいっておる、第一条の「異常な事態」というのは、どういうときをいうのですか。この法案か発動する限界はどこですか。大臣に聞いておるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/32
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033・内田常雄
○内田国務大臣 これには二つのワクがかかっておりますが、第一のワクは、これは物価ということばを使っておりまして、個々の商品の価格ではない。一般物価、消費者物価、卸売り物価等が高騰をしているような環境にあることが一つでございますが、私はいまそういう状態にあると思います。そういう状態の中において、今度は個々の生活関連物資あるいは国民経済上重要な物資の価格、物の個別の価格が著しく上がったときには私はこの法律が発動して、このどの条文が発動するかということについては、標準価格をつくる場合もございましょうし、あるいはまた標準価格はつくらないが、物の需給が非常に片寄っておる、それで値段はともかく、とにかくないところへあるところから早く持っていけというようなそういう場合もございましょうから、そういう条項も発動をさせ得ると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/33
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034・松浦利尚
○松浦(利)委員 どうも大臣はことばだけだから国民も非常にわかりにくいのですよ、たいへん失礼ですけれども。ですから、これは大切なことですから物価局長にお尋ねします。
小島物価局長にお尋ねいたしますが、「異常な事態」という判断は、一体どこですか。確かに二けたは異常だ。それじゃ二けたじゃなければ異常じゃないわけですか。一体異常という限界はどこなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/34
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035・小島英敏
○小島政府委員 なかなか前年同期比で何%以上が異常かということは、現在の段階で一律に申しにくい点がございます。たとえば七%ならよくて八%ならいかぬのかというようなところは、あらかじめ何%ということをきめることはいかがと思いますが、いずれにしても、そういう政府の見通しなんかに対してかなり上回っているとかあるいはそれまでの趨勢に比べて相当急上昇するとかいう場合にはこの要件を満たすものと考えます。それから前年同月比だけでございませんで、前年同月に比べればたいしたことはないけれども、たとえば一月、二月の間に相当な勢いで急上昇を始めたというような場合も、これは当然一つのケースと考えられますので、その辺を必ずしも前年同月にこだわりませんで、いわゆる瞬間風速的なものがたとえば三カ月の間に相当急上昇をするというような場合にも、やはり本件の発動を考え得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/35
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036・松浦利尚
○松浦(利)委員 そうすると、この法案というのはきわめてあいまいな法案ですね。発動しようと思えばいつでも発動できるし、発動しないと思えばいつでも発動できない。いまあなたは、二けたが異常だ、こう言われたけれども、かりに二けたというのがもう恒常的なものになってしまって、ずっとそういった状態が平均化されてしまったというときには、異常ではなくなる。非常に基準があいまいでしょう。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/36
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037・小島英敏
○小島政府委員 二けたがかりに定着いたしましても、預金金利に比べて相当高いような水準で価格が定着するというようなことは、私どもはやはり異常な事態と考えておりますので、これはそういう状態が定着しても十分この要件を満たすというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/37
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038・松浦利尚
○松浦(利)委員 それじゃ二けたが異常だということがわかりましたね。それじゃ、対前年度比とかなんとかじゃなくて、かりに政府の経済見通しが七%あるいは物価の見通しが幾らという数字が出ますね。具体的に今年度は五・五、実質的にはこれは修正されましたけれども、かりに五・五が修正されて一三になりましたね。そうすると、一三に物価指数を修正した場合は、異常事態というのはなくなるわけですね。政府が経済見通しを変え、政府が物価指数を変える。そうすれば、異常事態というのはなぐなるわけですね。五・五に対しては異常だが、一三に対しては異常でない、そういうことも解釈できるわけじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/38
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039・小島英敏
○小島政府委員 二二%という数字は、本年度の異常事態を事後的にある程度追認せざるを得ない形であああいう数字になりましたので、本来一三%自体が私は異常だというふうに考えております。したがって、政府見通しを改定したら、それに基づいてまたそれを上回らなければ異常だというふうには考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/39
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040・松浦利尚
○松浦(利)委員 それじゃ、非常に大切なことですから、くどいようですがもう一回お尋ねいたしますが、初めから政府の見通しが二けたであった場合は、それをこえるものは異常だと見ていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/40
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041・小島英敏
○小島政府委員 おっしゃるとおりと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/41
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042・松浦利尚
○松浦(利)委員 私は非常にふしぎだと思うのですよ。初めから異常事態というものを想定して目標を立てることも異常だけれども、こういう法案を発動させることを前提にしてそういう目標を出すというなら、これまた異常だと思うのですね。狂っておると思うのですよ、政治そのものが、私はここでいまいろいろ議論をしたことは、ここに書いてある「異常な事態に対処する」という考え方が非常にあいまいなんです。やろうと思えばやれるし、やらぬと思えば抜かなくても済むというような感じ方ですね。
そこで、私は具体的にもう一ぺんお尋ねをしておくのですが、LPGですね。これをずっと調査していったのです。ところが、このプロパンガスをずっと調査をしてまいりまして最終的に、これはあとから公取の委員長にもお尋ねをいたしますが、人為的にカルテルが行なわれているわけですね。やみカルテルが行なわれておる。非常に高い便乗価格になっておるわけですよね。たまたま追及していったからこれはわかった。末端価格を追及してみて、そしてこういうばかげた、個別物価で五倍にも近い上昇を見込んだような価格が生まれてきた場合、今度逆にプロパンならプロパンが五倍なら五倍という高値に末端でなった場合、これはこの法案の対象になりますか。ほかのものは一・二倍か一・五倍くらいだけれども、特定物資だけがばあっと五倍ぐらい値上がりしておる、こういった場合は生活安定法は発動いたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/42
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043・小島英敏
○小島政府委員 要件は満たしていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/43
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044・松浦利尚
○松浦(利)委員 それでは個別物価ですね。この国民生活安定法というのは個別物価の上昇である。たとえばタマネギならタマネギが異常に上昇した、特定のものが異常に上昇した、そういう場合も適用されるのですね。あなたは先ほど、異常事態という背景がなければだめだ、こう言われたのです。ところが、ほかの物価が大体一・五ぐらい上がっておるのに特別なやつだけが五倍、六倍上がった場合は発動する、こう言われたんだから、個別物価が異常に高い場合にも発動するわけですね。修正ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/44
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045・小島英敏
○小島政府委員 私が先ほど申しましたのは、いまのような二けたというようなことがおさまりまして、消費者物価がたとえば五、六%ぐらいの趨勢に落ちつく、卸売り物価ももう少し低い水準に落ちつくというようなことになりました場合には、あるものの価格がたまたまかなりの暴騰を示しましても、これはなかなか本法の発動には至らない、そういうことでございますので、現在のような状態であれば、これはあるものの価格が暴騰いたしますれば当然対象に考えるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/45
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046・松浦利尚
○松浦(利)委員 私は質問で、一・五倍に全体が上がって特別なやつが五倍に上がった場合と聞いたらあなたは、発動する、こう言われたのです。それは修正でしょう。違うのでしょう。ほかの物価が平均して一・五ぐらいしか上がらないのに特別なやつが五倍に上がったときはどうかと聞いたら、あなたは発動すると言われたんだけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/46
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047・小島英敏
○小島政府委員 ほかのものが一・五倍になるということは、これは非常に大きな物価の上昇を意味するわけでございますから、これは当然一般的な要件を満たすということでございます。その上でさらに五倍にもなっているものは当然対象になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/47
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048・松浦利尚
○松浦(利)委員 それじゃくどいようですが、ほかの物価がわずかしか上がらないのにぐっと特別な物価が上がった場合はどうですか。一・五というのを修正して、一・二ぐらいあるいは一・三ぐらいしか上がらないのにほかが五倍も上がったときはどうですか。発動しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/48
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049・小島英敏
○小島政府委員 ほかのものが一・二とか一・三の場合は、要するに物価指数の上昇率が二〇%、三〇%ということでございますから、これは当然発動の対象になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/49
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050・松浦利尚
○松浦(利)委員 一・二ですよ。二十円のものが二十二円になるのですよ。一・二だからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/50
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051・小島英敏
○小島政府委員 一・二倍ということは、百円のものが百二十円になるということでございますから、二〇%アップということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/51
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052・松浦利尚
○松浦(利)委員 失礼しました。私の言っておるのは、一・二倍じゃなくて一・二%です。全体が一・二%ずつ上がって、ほかのやつが倍に上がる場合のことを聞いておる。その場合はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/52
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053・小島英敏
○小島政府委員 一般的な値上がりがその程度でございましたら、これは法律の発動でなくて、そのものについて行政指導を強力にやることによって処置すべきものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/53
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054・松浦利尚
○松浦(利)委員 先ほどの私の数字の間違いは訂正します。一・二倍というのは修正しておきます。
それでは、この国民生活安定緊急措置法案というのは今日のような事態だけであって、かりにこれを発動したとしたら、いま直ちにこの緊急措置法の対象となる物資はどういう物資がありますか、いますぐ対象となる物資は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/54
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055・小島英敏
○小島政府委員 本法が成立いたしました場合には、私どもは相当品目について標準価格等を設定していくことになると思いますけれども、現在の段階で各省といろいろ詰めておりますので、本日段階でその品目の候補を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/55
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056・松浦利尚
○松浦(利)委員 それは私は早急に出してもらいたいと思う。この法案が直ちに通った場合に、どういうものがこの法律の指定になるのかということを各省早く詰めていただいて明らかにしていただきたいと思う。なぜそれを言うかというと、どういうものが対象になるかわからないのです。いまの概念的な、数字的なものはわかりましたけれども、しかし具体的なものを例示してもらわないと国民はわからない。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
そこで、もう時間がなくなってきたのですが、公正取引委員会のほうにお尋ねをしたいと思うのです。
それで、公取の委員長は、公取という機構は、権限は、独立しておるというふうになっておると私は思うのですね。公取の権限は独立しておる。その独立しておる公取の委員長が、わざわざこの緊急措置法案をつくる段階で、自民党、与党の生活緊急対策本部の委員か何かになっておられるという話を聞いた。事実かどうか確認しておりませんがね。同時に、あなたのほうが通産省に対してこういうふうにしなさいよといって覚え書きを結ぶなら、これはまあ話はわかる。逆に通産省のほうからあなたが呼びつけられて、こういうふうに覚え書きをつくれとこう言われるのは、どうも独禁法の番人である公取の委員長としてはすべきことじゃないと思うのですが、その委員のメンバーであるのか、それから公取の委員長は、そういうふうに呼びつけられて——呼びつけられたかどうか別にして、そういった覚え書きを結ぶことについてあなたはどう思っておられますか、通産省から言われて結ぶということについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/56
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057・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 私はいまおっしゃられました対策本部のメンバーに確かに入っておりました。現在それはもう法案が提案されましたから、そういう法案作成の意味での機能はなくなっているわけだと思いますが、あの本部のメンバーになることは、私としては、私の考えを申しますれば
「公正取引委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。」という条文がございますが、それと立法措置とは違うというふうに思います。つまりそうであるとしますと、私どもが独禁法について、たとえば改正法案を提出しようとする、改正をしようと思いますと、これは結局は内閣によってきめられなければ法案にならないわけです。私どもは直接の提案権を持っておりません。ですから独立してその職権を行なうというものはある程度広く解釈すべきだと思いますが、法律によって与えられた職権を行使するにあたっては総理大臣の言うことでも聞いてはならないというか、聞くべきでない、こういうふうに解釈すべきでありまして、立法の段階において、私どもの法律ではありません、直接の法律ではありませんが、しかし最初の段階では原案にはカルテル条項というのが入っておるという状態でありましたから、そういうところにいって意見を述べることができたほうが私としてはよかったのではないかと判断しております。その点は法律の解釈に関する問題でございますから固執しませんが、私としてはそう考えております。
それから覚え書きの作成も実は呼びつけられてつくったという事情ではございません。これだけははっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/57
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058・松浦利尚
○松浦(利)委員 私は公取というのはもっと権威を持ってもらいたいと思うのです。やはり生活本部の委員などになるべきじゃないと思うのですね。独禁政策を監視する立場にある委員長ですから、あなたがそういうふうにふらふらすると、国民はどこにたよっていいかわからなくなるわけですね。そこでこの覚え書きについてはもう時間がありませんから詳しくお聞きをいたしませんので、お尋ねをいたします。
いままで公取は覚え書きを二回結んでおるのですね。その第一回は昭和四十一年度に「産業の構造改善の推進に関する独占禁止法の運用について」という覚え書きを通産と結んでおるのです。この覚え書きを中心にして、御承知のように企業の寡占化というものが進んでいったのですね。寡占化というのが進んでいった。その寡占化が進んでいく過程で、寡占価格なりあるいは管理価格というものがたいへんに問題になってくるという一つの条件をつくり出された。いままた覚え書きを結ばれた。その覚え書きをいろいろと申し上げませんが、要はこの覚え書きは政府が指示監督した系列での業者における価格、数量などを守らせる。政府が指示監督して、業界に数量、価格を守らせるものについては、これはカルテルではありません、こういう覚え書きですね。
そこでお尋ねをするわけでありますが、一体政府が業者を抜きにして価格やらあるいは数量を指示する、あるいは決定をするということは一方的には私はできないと思う。やはり、そこでは、業界の皆さん方の意見を政府が聞く。そして業界の皆さん方の意見を聞いた中で政府が判断をする。業界を抜きにしてはないと思うのですね。
一つの例でありますが、かりに三百八十円の灯油価格というものを業者の皆さん方に話をする。そのことは、政府が三百八十円にせよといって要求したのだから、それはカルテル行為でないというふうに言っておるわけですね。そういうふうに言っておられる。ところが、その場合に、集まった業界の人が、せっかく集まったのだから、通産省のお役人さんがおる前で、かりにプロパンガスの話をした、かりに石油の話をした。ところが、政府が指示した灯油については、これはそのワク外だけれども、そこでそういったプロパンガスなりあるいは石油の話が出たときには、これはやみカルテルですよ、こういうことになるわけですか。そういうふうにする自信がありますか。その点ひとつお聞きしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/58
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059・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 この覚え書きは、数量の面とそれから価格の面とが文字にあらわれております。しかし、いまおっしゃられたもののうちで、わかりやすいほうから申しまして、価格については、そこに「標準価格等」云々とあります。それが(ハ)にありまして、次の(ニ)の条項では、「違反者に対する出荷停止等、」となっております。
これは実はつくり方がまずいから、急いで非常に短時間の間に最初つくりました、はっきり申しまして非常にできがいいとは申しませんが、それは両者はつなげて読むべきことでありまして、そこにある標準価格は末端の価格でございます。確かに、いまおっしゃられました三百八十円というふうな価格をさしております。メーカー価格ではございません。したがいまして、その三百八十円という小売り価格を、まあ実際にはむずかしいと思っておりますけれども、とにかくそれを上回って売った者に対しては出荷を停止するという措置をとってもらいたい。実際にそうあるかどうか知りません。しかし、そういう協力措置をとることを上の段階、つまりメーカー等の段階に、それを求めるということでありますから、私どもとしては、あえてこれは違法な行為ではない。末端価格をメーカーが拘束するのであれば、これは独禁法違反になります。しかし、そうではなくて、政府がきめた価格を守ることを協力させようという趣旨であります。
それから、数量の点につきましても、いまこの非常に緊急の場合におきまして、通産省といえども、十分な、言ってみればほんとうの意味の統制体制はとれない。まあとりにくい段階であります。ある程度は業界の助けをかりるといいますか、協力を求めるということも、必要最小限度の範囲では許されていいのではないかと私は思います。しかし、それは、具体的に各項目にわたって一々政府の公権的な介入措置がなければならぬ、こういう了解になっております。かってに業界におまかせする、こうなってしまってはカルテルを認めたも同然でございますから、それは私のほうではお断わりする。こういうことは、了解事項としまして、上に一くくりで書いてありますけれども、それはどの項目にも入るわけでございまして、こまかい点まで介入していく、できるだけ官庁側が介入することによって業界のかってな話し合いは許さないという趣旨でございますから、カルテルまがいのことになれば、私のほうから厳重その点は正してもらうつもりでおりますので、カルテルを認めたという一般の誤解はこの際ぜひとも払拭していただきたいという感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/59
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060・松浦利尚
○松浦(利)委員 通産省自体が独自にきめることができればこれは別ですよ。通産省にそういう機能があると言われれば別ですよ。しかし、通産省といえども、業界の意見を聞かざるを得ないでしょう。ですから、極端に言うと、もっと具体的に言いますと、通産省が入っておるけれども、実際は業者間で話をして価格がきまる。こういう価格でどうでしょうかということで、政府との間で話をして、価格がきまっていくのですね。そういった場合が実際にあるわけですよね。そういった場合は、この覚え書きで抜けるわけでしょう。通産省が入っておるけれども、実際に話し合いの中心は業界だった。しかし、業界が中心だけれども、最終決定にはやはり政府の資料を持ち込んで政府も一緒に入ってきめた、そういった場合には、数量、価格については、これで除外されるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/60
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061・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 少なくとも価格の点について、いまおっしゃられた点は、たとえばメーカー価格と今度の標準価格の案を見ましても、メーカー段階がございますが、その価格をメーカー同士の話し合いの中に政府が介入してきめる、これはそこに書いてある趣旨とは違います。それは明らかにそれを禁止するといいますか、私のほうでは認めておりません。そういう趣旨のものではなくて、つまり同じメーカー段階での標準価格をきめるのにメーカーの意見を聞く、そういうようなことではなくて、それは政府がきめる。資料を供給することは当然でございましょう。いろいろそれは必要な資料としてとるのはいいけれども、話し合いをして標準価格をきめるというふうな筋合いのものではございません。政府のほうが一方的にきめることだと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/61
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062・松浦利尚
○松浦(利)委員 その言っておることはきれいなんですよ。そうでありたいと思うのは事実だと思う、公取委員長としては。しかし実態としてはそういうことはあり得ないでしょう。現に経団連の植村さんが言っているでしょう。価格の安定は業界同士のカルテルによってのみ安定できるのだ、こういうことを盛んに言っておられますね。圧力をかけたかどうか別にして……。実際に逆に言いますと、いま行なわれておるやみカルテルが表面に出てきまして、その中に政府が入っただけの形になるのを私たちは非常におそれるのですよ。やみカルテルというものが浮上してしまって、そうしてその中に政府が入っていく、そういうことですね。そういうことをあなたは敢然として取り締まっていく自信がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/62
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063・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 産業界の方がどうおっしゃいましょうと、ここにある通産省との覚え書きにおいて、いまおっしゃられたようなメーカー間の、たとえば会合において、そこに通産省の役人が出て行って、実際にはメーカーの標準価格を業界の勢いで牛耳られてきめられるだろう、こうおっしゃいますが、私はそういうことをこの覚え書きに書いた覚えは全くない、それは覚え書きの範囲の全く外でございますし、そういうことは好ましくないどころか、私どもとしては規制の対象にもなるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/63
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064・松浦利尚
○松浦(利)委員 その話し合いには常に公取のだれかがタッチするわけですか。わからないでしょう。そういうことを野放しにしておいて公取がはたしてわかりますか。わかる自信がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/64
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065・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 私どもはそういうことはないと思うのでございますが、実際問題としてどういうことが行なわれるかということになりますと、これはどうも予測のつきにくいことでございますが、いやしくも当該責任官庁が自分自身の責任において標準価格等をあるいは特定標準価格をきめなければならぬときに、業界の意見に引きずり回されてきめるということがあってはならない、これは官公庁が、当然にあるべき姿として、これまで私が規制していくというわけにはまいらない。私どもの公正取引委員会は、民間が行なう独禁法違反行為については権力を特っておりますが、官庁の行なう好ましからぬ行為に対しては、これは政府自体の責任においてき然と取り締まっていただきたい、そう言うほかありませんが、しかしほんとうにカルテル行為である、そのものがほとんどカルテル行為とひとしい、こうなれば、それは他官庁にかかわらず、独自の立場で調査を進め、違反があればこれを摘発する、そういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/65
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066・松浦利尚
○松浦(利)委員 公取委員長、あなたき然として言われるけれども、それじゃいまやみカルテルを結んだ場合に、あなたは破棄勧告をしますね、この協定を破棄しなさい、こういうふうに言って指導されたり勧告されたりしますね。確かに協定は破棄されたけれども、やみカルテルで結んだその価格は下がらないでしょう。あなた、下げる権限を持っていますか。やみカルテルを結んだ、五百円というカルテルを結んでおった、公取が調べてみて破棄勧告をした、五百円はもとに戻りますか、いまのあり方で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/66
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067・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 いまの制度のもと、法律のままでは破棄勧告はほんとうに自主的に価格をきめろということを命ずるのでありまして、その価格を引き下げろ、もとの段階まで下げろというふうにはできないものと解釈されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/67
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068・松浦利尚
○松浦(利)委員 だから、いまの独禁法のワクの中でも、一ぺん上げた価格はもとに戻すことのできない仕組みになっておるでしょう。そういうもとに戻せない仕組みになっておるときに政府が介入して、そして業界との話し合いによって政府が指導するとあなたは言われるけれども、国民としては見ておるわけじゃないですよ、価格決定を。実際は大手の業界が寄り集まって、その中でいろいろ資料を出し合ってこういうふうにいこう、そして政府に資料を提出し、政府との意見が合った。しかしそれはやみじゃないか、けしからぬといってあなたがき然とした態度をとってみても、もとの価格に戻らないでしょう。あくまでも話し合いできめた、あるいは政府が介在した価格が不当だと思っても、そのことは下げることができない仕組みになるでしょう、この覚え書きを結んでしまったから。逆に言うと、そういうことまでしなくて済むんですよ。破棄勧告なんかしなくても、これはワク外だ。逆に言うと、高値の政府主導型にあるカルテル行為というものを全面的に認めたことになるんですよ。そういうことになるんじゃないですかね、この覚え書きは。公取委員長としては、この覚え書きはむしろ破棄すべきじゃないですか。逆に言うと、そういう国民に対して疑いのあるような覚え書きはこの際破棄して、法文の中に明確にすべきじゃありませんか。そういう行為についてはきびしく取り締まる、政府が介在したといえどもきびしく取り締まるんだ、そういうことをこの条文の中にうたうべきじゃありませんか。疑いのあるようなことはしない、だから覚え書きを破棄する意思は、あなた、いまありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/68
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069・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 私としては、たとえば通産省が相手方であり、片方は経企庁が相手方でありますが、それらとの間においてかわした、いわば紳士的な覚え書きでございます。それを、相手を信用しない、相手が何をするかわからぬということになりますと、これはうかつにはできませんけれども、私どもとしては、いまの緊急の事態においてよくおわかりだと思いますけれども、通産省なも通産省だけですべてのことに、すべての物資について標準価格を定めるという力が現在ただいまあるのかといいますと、それはある程度はその業界にいろいろな知恵を借りる。しかし、これは悪用されてはならないので、あくまで私どもの、ここに書いてある措置は協力措置でございます。協力するというのでありますから、それを逆用するということはここに全く関係ない、いわばそれに反することでございますので、協力という、善意のものであるということが確認されなければならぬし、かつ、十分な指示、監督のもとで行なわれることでございますから、価格については、全く価格カルテルのごときものを、民間でいうそういうものを認めることはない、認める意思がないからこそこういう措置をとった、こうお考えになっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/69
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070・松浦利尚
○松浦(利)委員 私はもう時間がなくなりましたから、こういう国民に疑いを与えるようなことは、この覚え書きはなくすべきだと思うのです。いやしくも政府が介入して国民に従来のカルテルをそのまま野放しにしてしまうような印象を与える覚え書きはなくしてもらいたい。野党案としての修正を出したいと思いますから、そのときには先ほど大臣も言われたように、公取委員長もこの覚え書きにこだわらないようにしてもらいたいということを申し上げておきたいと思うのです。
最後に公取の委員長にお尋ねをしておきますが、この法案と具体的に関係はありませんけれども、最近、再三にわたってやみカルテルを結んで警告を出されておるところがあるのです。ところが、この前も本委員会で言ったのですが、現実に警告を二回受けておるコーテット紙というような製紙会社がありますね。コーテット紙業。こんなところはなぜ告発しないのですか。カルテルを結んで破棄されても、結局価格は下がらないのだから、またやる。またやってまた警告を受けるだけなんですね。ちゃんと告発する条項があるんだから、告発したらどうですか。公取でこの際、告発基準などを私は設けるべきだと思う。特にこの国民生活安定法などが通って、政府を信用せよと言われるんだからしたいけれども、いまの通産省というのはなかなか信用できない。だから、そういったときに告発する。告発基準ぐらいぴしゃっと設けたらどうですか。その点のお考え方をひとつ公取の委員長にお聞かせをいただいて、私の質問を終わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/70
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071・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 告発の問題につきましては御意見も十分承っておりますが、私どもとしてはきわめて慎重に考えております。それはいろいろな事由がありますけれども、まず個人を罰しなければ法人を罰することはできないというのが現在のたてまえでございます。その個人を罰するということがなかなか私どもとして、こういう行政事件について個人を刑事被告人にすることの問題、そういうことについてどの程度悪質であればそれをするか、だれがほんとうの責任者であるかということなどを十分考えておりますが、ただし、それ以外に罪状の悪質さという程度の問題です。ですから、その程度につきましても、いままではやや告発を避ける、なるべく避けるという気持ちで参りました。しかしこれから先のことにつきましては、私どもはその点については、たとえばその個人が告発されることが気の毒ではあってもそれは責任上やむを得ない、そういう事態が生じてもしかたがないという観点で、少しきびしい態度をとるというつもりで、しかし今度のコーテット紙の場合なんかは最後的な警告書を渡してあります。最後通牒と言ってもいいぐらいに、この次やれば告発いたしますよというふうな意味の警告を渡してありますから、再度そういうことがないように私は願いますけれども、告発するものについては、こういう異常な事態下において従来よりも少しきびしく考えていかなければならない。ただし検察当局の意見も十分尊重しながらやらなければならぬ。検事総長はもし不起訴ときめた場合にはその理由を付して総理大臣に送付しなければならぬというふうに、こちらが告発いたしますと原則としては起訴しなければならぬといわぬばかりの条文もございます。そういうことで、十分検察当局の意向も察しながら告発の問題を考えていきたい。具体的にまだ基準は定めませんが、個々のケース・バイ・ケースで、その程度の悪質なものについてまず適用したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/71
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072・松浦利尚
○松浦(利)委員 公取の委員長の話を聞いておったけれども、どうも公取というのはあっちこっち、ほんとうにコウノトリみたいにだんだん影が薄くなりよると思うのですよ。ほんとうに国民が保護しなければならぬような官庁になってはおしまいだと思うのですね。もっとしっかりしてもらいたいと思いますね。
討論はまたあとでいたしますが、最後に大臣にお尋ねをしておきます。
一つは、この法律は非常に重要な部分が政令にみなゆだねられておるのです。これでは、この法案は重要であればあるほど私は審議しにくいと思うのです。ですから、大臣が指示してこの委員会に早急に政令部分についての内容、骨子を出していただきたいと思う。
それからもう一つは、先ほど大臣、御答弁なかったのですが、いまたとえばトイレットペーパーならトイレットペーパーが急激に四百円ぐらいに高くなっておるものがある。あるいは合板でも急激に五百八十円ぐらいに高くなっておるものがある。灯油が高くなっておるものがある。この法案を発動したら必ずあの騒動になる前の安定した価格に戻る、そういうことについても国民の前に保障してくれるわけですね。
その二つについて大臣から的確な御答弁をいただいて、私の質問はほんとうに終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/72
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073・内田常雄
○内田国務大臣 今回の法律が総合的な法律でございまして、各省所管物資などいろいろ総合的に取り入れておりますために、各省がかってにきめては困る、むしろ経済企画庁も参画をして、そして政府としてきめなければならないようなものもございますので、政令ということにして、閣議べースあるいは各省の次官会議のベースということにいたした点もかなりございます。また、手続的な規定はもちろん政令に譲ってございますが、それらのものや、また実体的の規定で、当委員会に御審議を願う際に政令についての考え方を明らかにしたほうがいいと思われるものもございますので、それらを仕分けをいたしまして、できるだけ早い機会にごらんをいただくようにつとめる所存でございます。
それからもう一つは、簡単に申しますと、標準価格をきめる際のかけ込み価格等をそのまま取り入れて高値安定ということにならないようにという御趣旨であろうと思います。それらにつきましては、その御趣旨をひとつ十分胸に置きまして、これはなかなかむずかしい点があるようでございますが、ケース・バイ・ケースに、私も国民から選ばれた政治家の一人として御趣旨に沿うようにつとめてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/73
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074・松浦利尚
○松浦(利)委員 どうも大臣、私の言っておるのはかけ込みとかなんとかじゃないのですよ。要するに意識的に引き上げる。流通パイプを締めたり何かしてトイレットペーパーや砂糖の値段を意識的にぼんぼん上げましたね。それがもとに戻るのか。かけ込みじゃないのですよ。そのことをお聞きしておるのですが、私はもう時間がありませんので、通産大臣への質問はきょう御欠席なさって保留されておりますから、今度通産関係の石油、灯油、プロパン等について具体的に質問する中で、いまの大臣の御答弁についての見解を明らかにしていきたいと思います。一応私の質問はそういう質問でなかった。
それから委員長には、いま大臣は何か政令を、ある部分については本委員会に出されないようなことも言われたのですが、全部出していただきたいということを委員長から要望していただきたいと思います。
私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/74
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075・平林剛
○平林委員長 増本一彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/75
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076・増本一彦
○増本委員 共産党・革新共同の増本一彦です。
この法案の第一条に「物価の高騰その他の我が国経済の異常な事態に対処する」ということが書いてあるのですが、このような異常な事態をもたらしたこれまでの政府の責任、それに対する反省、こういうものがこれまでの国会の審議の中でも全く明らかにされていない。今日のような事態になった原因は、これはもうわれわれが再三指摘してきましたように、歴代自民党政府の高度経済成長政策の結果である。いま政府が需要がきわめて増大しているというようにいっても、この中心は大企業ですよね。いまのこういう事態を悪用して、大企業が先頭に立って価格のつり上げをやったり、売り惜しみ、買い占めを横行させているわけですね。だからもう長官も御承知だと思いますけれども、いま軒並み物価が急騰したその物資をつくっている大企業、たとえば鉄鋼とか繊維とかあるいは石油化学、こういう企業が軒並み、ことしの三月の決算でも九月の決算でも利益を何倍にもふやしている。ところが、こういうインフレのもとでのパニックが各地で起こってきて、通産省でトイレットペーパーや砂糖を放出したけれども、これは価格を引き下げて国民に安い値段で物を渡すというのではなくて、やはり市況にならって高い価格で物だけ渡している。だから、これまでにも指摘されてきましたように、いま高値を固定させるという結果になってきていると思うのです。こういう事態をいま一体政府はどう考えているのか、これまでの物価対策の姿勢をここで根本的に変えるということになっているのかどうか、新しく長官に就任された政治姿勢と決意とを、ひとつまず先にお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/76
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077・内田常雄
○内田国務大臣 今日私は物価が非常に憂慮すべき段階に参っておると正直に思うものでございます。でありますから、私は経済企画庁長官に就任をいたしましても、物価の安定を通じて国民生活の安定なり、あるいは国民経済の混乱の防止ということに全力を注いでまいる所存でございます。
今回提案をいたしまして、ただいま御審議をいただいておりますこの法律案も、そうした私どもの考え方を手段として講じてまいる一つの方法でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/77
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078・増本一彦
○増本委員 それでは長官、トイレットペーパーも灯油も砂糖もずっと軒並みこの一月あるいは二月くらいの間に急騰していますね。こういう物の値上がりに対して国民はこんなに急騰する前の状態にまで引き戻してくれ、物価を下げてくれ、こういうように要求しているわけですよ。物価を引き下げる、こういう手だてをおとりになりますかどうですか。その点はっきりさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/78
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079・内田常雄
○内田国務大臣 そうした国民生活関連物資の値段を極力安定させる。一時はかなり上がりましたものが、そのまま停滞をしているようなものもございましようし、あるいはまたやや安定しているものもございますが、今回この法律を施行いたしまして標準価格をつくります際には、極力洗い直して納得のいくような価格をきめてまいりたいと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/79
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080・増本一彦
○増本委員 私が聞いておりますのは長官、ここで下げるかどうかということですよ。国民はみんな物価を下げてくれと言っているのですね。安定させると言っても高値で安定させられてそのままになる。それよりもっと上がると思いますけれども、こういう状態じゃなくて、急騰したその前の状態に戻してくれ、こういうように言っているわけですよ。価格を引き下げるかどうかはっきり答えてください。それが経済、物価対策の転換の姿勢があるのかないのかということをきめる試金石だと私は思うのです。その点だけ簡単に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/80
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081・内田常雄
○内田国務大臣 全部を引き下げるということは非常にむずかしいと思いますが、不当に上がっているものはこれは私は適正に引き下げるようにつとめてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/81
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082・増本一彦
○増本委員 じゃ長官、どういう手だてをとって物価を引き下げますか。その手だてをはっきりさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/82
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083・内田常雄
○内田国務大臣 一般的に物価はなぜ上がるかと申しますと、それは過剰流動性と申しますか、総需要が多いということと、それからまた供給が片寄っているというようないわゆるデマンドプル、そういうものとそれからコストが上がってきておる。たとえば今日、日本の物価を押し上げておる要因の非常に大きな部分は海外要因などのコストプッシュもございます。でございますから、それらの点を洗い直しまして、この際よけいな需要を押える、いわゆる総需要を押えるというものについては金融を引き締める、その他無用な需要を引き締めるというような、総需要抑制策もとりますし、あるいはまた個別物資対策といたしまして、それらのものの供給が片寄らないようにつとめることもいたします。いろいろな手段を尽くすほか、今回この法律を活用いたしまして、適正な物価をつくってまいる、こういう考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/83
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084・増本一彦
○増本委員 これまでも総需要抑制だ、金融の引き締めだとやってきてそれでなおかつ上がっているんでしょう。しかもあなたの手のうちには物価を引き下げる特効薬はいまのお話でもないですね。結局物価対策についての姿勢の転換がないということはもうはっきりしていると思うのです。だから、こういう立場で今度の法案で標準価格あるいは特定標準価格というものを決定するということであっても、常に高値を政府が追認していく、あるいは今度のカルテルの排除の覚え書きについての疑惑をわれわれ持っていますけれども、業界と相談をして、そして高値をきめる、こういうことにならざるを得ないと思うのですが、簡単にもう一点だけ聞きますが、大企業の製品価格を中心にして、価格引き下げ命令というような権限をもってそれで引き下げるというようなことをやるかどうか、その点について法的な措置まで含めて方針をお持ちなのかどうか、このことだけ簡単にイエス、ノーで答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/84
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085・内田常雄
○内田国務大臣 それはなかなか簡単にイエス、ノーと言うわけにはまいりませんが、大企業のつくったものであれ、あるいは中小企業のつくるものであれ、適正な生産費あるいは標準的な生産費、適正な利潤というようなものを洗いまして、そして国民の納得のいくような価格をつくってまいる、こういう考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/85
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086・増本一彦
○増本委員 価格引き下げ命令が発動できるというような措置をおとりになる意思はない、こういうことですね。
ところで、いまでも大企業を中心にしたこの経済情勢のもとでの横暴は全くけしからぬ状態にあると思うのですよ。私が調べたところでも、たとえば石油は元売り十三社が中心になって、これが石油のほとんど大部分を握っていますから、政府が何ぼ一〇%削減だというようなことをいっても、大事な新聞などの紙も、製紙業界には三〇%から五〇%もの削減を強行して、一般新聞ですら減紙をせざるを得ない、ページ数を減らすというような状態に追い込まれて、これは言論の自由が危機になっているという状態なのに、政府の手だてというものは、有効なものは何一つない。またセメント業界でも十二月一日から、たとえば関東生コン工業組合では、既契約分については八千百円、新規契約は一万三百円以上でなければだめだといって、それをのまなければ出荷を拒否する、こういって、業者のほうでその値段では折り合えなくて、ノーと言ったら出荷まで停止するというようなことをやっているわけですね。現行法でも、こういうように大企業が自分の事業活動上の地位を利用して不正な取引方法をやったら、これは独禁法の二条の七項で差しとめなどの措置がとれるわけですね。あるいは不正な価格を押しつけて取引をやったということで、同じように差しとめなどの適切な措置がとれるということになっているわけですね。なぜこういう措置を、この法律がなくたって現実に有効に使えるのに使おうとしないんだろうか。ここにも物価をほんとうに引き下げて国民の期待にこたえるという、そういう立場に立ってもともとこの法案はできたのじゃない、こういわざるを得ないと思うのですが、この点はひとつ長官と高橋委員長、二人から答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/86
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087・内田常雄
○内田国務大臣 私は増本さんと全く同じ気持ちでございまして、いまのような物価が異常の状態にありますときには、もちろん消費者に接する小売り価格を安定することを目途としながら、いやしくも大メーカー、大企業というようなものがそこに不当の利益を蔵するようなことは、これは法律があろうがなかろうが私は見のがすべきではないと考えるものでございまして、この法律そのものには、これは最後の物統令でも発動するような場合は別といたしまして、価格引き下げ命令というものはございません。標準価格をつくりまして、標準価格をこえたものに対しては価格引き下げの指示をやる。それでも引き下げないものについては課徴金を取る、こういう仕組みをとっておるわけでありますけれども、いま私が申し上げました気持ちは、あなたと同じ気持ちがかなり心の中にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/87
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088・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 私どもの委員会としては、ただいま御指摘になった生コンのような問題については、全国で非常に多くの件数が発生しているので、そのうちの幾つかはこれを摘発して排除措置をとっております。しかしいま御指摘のように、最近になってもまたそういうことが行なわれる。たいへん困りますのは、私どもいま少なくとも大体八十件近い未解決の、つまりすでに調査は開始したけれども、早急に答えを出さなければならない問題をかかえておるのです。人数ははっきり申しますと、現在は審査部の人数は六十四名の実員しかおりません。しかし最近私はこれではならないというので、しかも摘発だけ幾らいたしましても、解決が一年も先になってしまったんではどうにも効果がない。この解決を急がせるということに全力を注いでおります。
しかし一方で、目に余る行為についてはもちろん摘発をいたしますが、とにかく六十四名のところに、私は無理算段して、ほかの部から約四十名の職員を増員といいますか、ほかのところからさいてそこに充実をはかっております。そういうことで年内に幾つかの解決を見なければならぬ問題をかかえていますから、すべての問題について機動的に動ける状態にないということは申せますが、しかし典型的な例について、ことに証拠の把握しやすいもの、そういうものについては厳重に規制措置をとるということはお約束できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/88
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089・増本一彦
○増本委員 私と長官の違いは、いまここで上がっている物価を引き下げてくれという国民の要求にこたえて、政府が権限として引き下げ命令まで出せるというような措置をとるべきであるというのが私の意見だし、長官はその点は引き下げ命令というようなことを考えていない。お答えにならない。
高橋委員長は、いろいろこれまでも国会の答弁でお話になると、必ず体制が弱いからだめだ。宿命みたいにおっしゃるけれども、それなら体制をきちっと強化するということで、なぜこの点についてもっと熱心にならぬか。やっていても自民党政府のいまの体質ではふえないのか。どちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/89
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090・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 従来も人間の充実といいますか、組織の充実について努力はしてきたようでありますが、実際問題としては、年間実際の増員としては数名程度というのが実態であります。
そもそも、よけいなことを申しますが、公取が発足しました当時、昭和二十三年には三百二十七名の定員があります。それが占領が終わったころに、昭和二十七年度、八年度にかけまして九十名減員を食ったわけです。削減されました。それを三十九年度ごろからぼちぼちと増員がはかられてきましたけれども、しかしそのテンポはおそく、いま三百六十三名という定員でございます。私ども今年度はもっと多くの増員を強く要望しておりますが、いまのところその成果があがらないということが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/90
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091・増本一彦
○増本委員 しかし事態の重大さから見ると、おっしゃることはみんな私はあまり根拠はないと思うのです。国民は納得しないと思うのですね。数が少ないからと……。
委員長にお伺いするのですが、いまの独禁法のもとでも、たとえば先ほどお話しした石油の元売り業者の横暴なやり方、セメント業界、生コン業界のこういう不当なやり方、こういうものに対して差しとめをはじめ適当な措置をとることができるというように二十条でなっていますね。その中に、私はこれは原状回復ということが基本だから、価格をつり上げていれば価格を下げさせるというような価格の引き下げの措置までとることができると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/91
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092・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 その点先ほども申し上げましたが、現行法上は排除措置、そういう違法な行為を排除するために必要な措置とうたってありますが、その中に引き下げの部分までは入らないというのが通説でございます。そこで、私どもはそれでは困る、ほんとうに実効あらしめるためにはある程度引き下げをして、しかもその価格をある期間守らせるというふうな措置が伴わなければならないのじゃないかということで、これから間もなく発足いたしますが独占禁止法研究会、この問題やさしいようでありますが実際は非常にむずかしい点を含んでおりますので、専門家の手によって十分研究をしてもらいます。私どももこれに参画いたしまして、その法律の改正が必要ではないかという観点からほかの問題とともに検討課題に取り上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/92
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093・増本一彦
○増本委員 そうすると、これは引き下げ命令まで含むような改正措置をとる、こういうように伺ってよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/93
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094・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 私どもはそういう措置が必要である、独禁法の有効な働きを促進するためには必要であるという見地でございますが、そういう専門家の方に十分研究してもらわないとこれはある程度を越えるとおかしなことになるという説もありますので、私どもとしてはその点十分慎重に検討していただいた上で、そういう結果が出ることを望んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/94
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095・増本一彦
○増本委員 あなたは自分の職責をお果たしになる上ではもっと前向きで、こういう点では中立である必要はないと思うのですね。学者や何かの見解が出なければとおっしゃるけれども、いまここでこれだけ価格が暴騰しそれが不正取引を手段にしてやられている、こういう場合には、ほんとうの原状回復というのは価格の引き下げまでやらなければだめだ、こういうように思うのですがね。価格の引き下げ命令まできちんととれるような手だてを、委員長は自分の職責を果たしていく上では必要だと考えているのかどうか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/95
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096・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 私は必要であると思っております。ただし、いろいろな制約がございますので無制限にはやるべきではない。というのは、私どもの取り上げた事件のうちで証拠をつかむ、そのほか供述を得ることに非常に困難な事件は一年でも解決がついていないのであるわけです、非常に複雑ですから。価格協定でありましても、それをさかのぼるといたしますと、そのさかのぼる時点が古過ぎるじゃないか。現状とはあまりにもかけ離れている。としますとどこまで戻すのか、そういう裁量の余地があるかどうかへそういうことは裁判上は私はあり得る問題だと思いますけれども、独禁法の運用としてたいへんむずかしい問題を含んでいる。したがって、どういう場合にどの程度までもとへ戻すかという引き下げ命令ができるかという点は、実はやさしく見えますけれどもケース・バイ・ケースで非常にむずかしい、そういう点を十分検討しなければならぬ、こう申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/96
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097・増本一彦
○増本委員 長官、独禁法上は、もっと徹底するために価格の引き下げ命令というものは職権を忠実に実行していく上では必要だ、こういうように言っておるわけですね。あなたも一般的な物価の番人として、不当に上がっているものを行政措置で引き下げろというような、引き下げ命令をきちっととる手だてをこの際ほんとうに真剣に考えるべきだと思うのですね。いまでも引き下げ命令をまた考えるという余地はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/97
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098・内田常雄
○内田国務大臣 これは増本さん御承知のように、ここにいらっしゃる公取委員長の所属する公正取引委員会というものは、独禁法の中に条文がございまして、独禁法の中でできていて、機能的に政府から独立している機関であり、また独禁法そのものの運用というものも独禁法の中できめられた公取がおやりになっているわけであります。それで私どもが承っておるところによりましても、この問題には公取委員会が取り組んで、しかも独禁懇といいますか、独占禁止懇話会というような、各方面の方をお集めになって研究の過程にあることと私は聞いております、それに対しまして政府がいろいろ言い出すことは、これは右であれ左であれ、独禁法なり公取の機構、機能というものを非常に混乱をさせますので、私は正直のところ、この公取委員会を中心とする独禁懇、独禁法の改正の課題を注目をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/98
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099・増本一彦
○増本委員 安定法では標準価格あるいは特定標準価格というのがありますね。国民はこれがいまの高い値段できめられるという、ここのところに大きな危惧を持っている。だから高値価格になるのじゃないか、こういっているわけですよ。ですから低く下げて、そして国民の生活が守れるところで価格をきめていく、こういう仕組みにするということが皆さんの場合の行政措置としては必要である、こういうように思うのですよ。だからそういうことを踏まえた標準価格の決定なのかどうか、ここが問題だと思うのですよ。その点ではどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/99
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100・内田常雄
○内田国務大臣 その点はこの法律案の中にわりあいに詳しく規定をいたしておりまして、標準価格であれ特定標準価格であれ、それは標準的な生産費とかあるいは輸入価格、仕入れ価格等に標準的なあるいは適正な利潤を加えたものを、さらに需給の関係とかあるいは国民経済の運営とかあるいは消費者、国民生活の立場等の見地も取り入れまして、国民の納得のいくような価格をきめる、こういう仕組みになっておりますこと、増本さん御承知のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/100
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101・増本一彦
○増本委員 その価格のきめ方について、国民は不安を持っておるわけですよ。いまたとえば電気製品一つとりましても、二十型のカラーテレビは工場で四万数千円でできる、こういうようにいわれているのですね。それが実質的には十六万円、十八万円という値段になる、たとえばですよ。だからこういう大企業の製品の製造原価というものが国民の前に明らかにされ、そしてまた経費や流通上のマージンとか、そういうものも明らかにされるという、これでなければ、あなたがおっしゃるように国民が納得するような価格というものにはならないのじゃないですか。
そこでお伺いしますが、この製造原価とか輸入原価というもの、この原価を国民に公表する、そして国民の監視のもとで価格の形成が行なわれるあるいは決定が行なわれる、こういう仕組みにすべきだと思いますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/101
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102・内田常雄
○内田国務大臣 標準価格、特定標準価格をきめましたならば、これを公にいたしまして、しかも取り扱い店には告示の義務を与えておりますこと、御承知のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/102
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103・増本一彦
○増本委員 長官、あなたがいまおっしゃったのは、五条の「標準価格等の表示等」というところでしょう。これは標準的な品目の、このものの値段が幾らですよという、たとえば灯油が店頭売りでは三百八十円である、こういう価格の表示、これだけでしょう。どこにその原価計算の単位と経過あるいは結果を公表するというように書いてあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/103
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104・内田常雄
○内田国務大臣 原価計算や利潤の積み上げ方、また、それに関連して考慮すべき需給の状況等が書いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/104
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105・増本一彦
○増本委員 私が聞いていますのは、原価を公表しろ、公開しろ、こう言っているんですよ。この価格決定の根拠になる資料ですよ。根拠資料を公開にすべきだ。そうすれば、大企業が陰で不当なもうけをしているのも、そのもうけも国民の世論によって不当なもうけを削らせて物価を下げることができる、こういう仕組みもあるし、それで初めて国民の納得が得られる価格というものになるんじゃないか、だから、原価公開制度というものをこの際取り入れるべきだ、そういうように考えるけれども、長官はどうなのか、こう聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/105
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106・内田常雄
○内田国務大臣 これはまことにお答えしにくい課題もございまして、それで私が実は先ほどから、私どもがやり得る最大の限度のことを御答弁を申し上げておるわけでありますが、原価をどう見るかというようなことにつきましては、これは関係各省もございましょう。その物資や企業の所管をされておる関係各省もございますが、まあ私ども、経済企画庁のような直接企業に密着しない役所も中に入りましてやることでございますので、これは御信頼をぜひしていただきたい。私どもは決して他意あるわけではない。ほんとうに物価を安定して国民のためになることをやってまいりたい、こういう趣旨でこの法律案を出しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/106
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107・増本一彦
○増本委員 原価計算は、企業に密着している通産省とかその他の官庁がやる、あるいはそこから出てきた資料で経済企画庁がこの原価計算をやるんだ、こういうことになるんでしょう。このそれぞれの価格というものは、あなたがおっしゃるように企業に密着していないところ、経済企画庁がやるというぐあいには法文では書いてないですね。主務大臣がやるということですね。それと、ですからどちらにしても、それが国民の納得のいくような価格としてきまっていくには、国民に洗いざらいその材料を出して、そしてその経過が全部明らかになって初めて国民の納得が得られるという、そういう筋合いのものになるんじゃないですか。それを、政府を信頼しろと言っても、いまのようにこんなにも物価が上がって、これじゃ信頼のしようがない。しかも大企業が横暴なことをやって不当なもうけをやっている、これを削って物価を下げなければだめだ、こういうところにいま問題は来ているんじゃないですか。だから、そうすると原価公開制度はとらない、こういうことなんですか、もう一度はっきり御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/107
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108・内田常雄
○内田国務大臣 標準価格並びに特定標準価格のきめ方につきましては、この法律案の三条以下に書いてあるとおりの手続で私どもは誠意と善意をもって進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/108
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109・増本一彦
○増本委員 私は納得できないし、国民自身もそういうことでは納得しないと思うのです。これは、大企業が原価やコストが安いのに不当に利潤をつけて価格をつくっている、これが物価値上げの真犯人だと私は思うんですね。こういう大企業擁護の姿勢でいけば、ますます政府が業界の言い値で価格をきめていくということにならざるを得ないと思うんですよ。じゃ、政府として、官庁が、お役人がきめるのじゃなくて、消費者の代表とか農民や中小企業、労働者の代表などが参加した審議会のような形でこの価格をきめていくということのほうがよほど国民の納得を得られる条件があると思いますが、そういう審議会方式というものに変えるべきだと思いますけれども、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/109
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110・内田常雄
○内田国務大臣 いろいろ考えてみましたが、個々の標準価格なりあるいは特定標準価格なりをつくる際に、いま増本さんがお話しのような方々を参加させる仕組みで標準価格をつくっていくということがこの法律のたてまえ、また機動性とか迅速性とかいうことにもなじまない、こういう考え方のもとにあなたのおっしゃった考え方をこの法律案ではとっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/110
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111・増本一彦
○増本委員 いま価格調査官も数が非常に少ないですね。そしてわずか三百六人で、全部が兼任である。これでどうして具体的な材料を集め、適正な価格がきめられるか、こういう問題もあると思うのですよ。だから、体制のないところへ持ってきて、業界の協力でやるということになれば、結局業界が要求する価格あるいは業界の協力の得られる範囲の価格、これで標準価格もきまっていくということになるのじゃないですか。だから私は、理念じゃなくて、現実の体制や条件からいっても、経済企画庁と公正取引委員会が結んだ覚え書きとかあるいは通産省と公正取引委員会が結んだ覚え書きというのは、カルテルの脱法行為だ、こういうように思うのですが、これはもう絶対にそうならざるを得ないと思いますけれども、その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/111
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112・内田常雄
○内田国務大臣 経済企画庁と公正取引委員会並びに通産省と公正取引委員会の間に結びました覚え書きのことにつきましては、先ほど来高橋公正取引委員長がるる説明をいたしましたあのとおりでございまして、私が考えましても、決してあの覚え書きというものは、今度の国民生活安定法の仕組みにおいて独禁法のカルテルの適用除外をするというようなそういう性質のものでは全くないこと、公取委員長が述べたとおりでございまして、むしろこの法律による標準価格をすべての小売り人に徹底をさしたりあるいはまた物資の出荷とか運送とかあるいは生産の指示などを政府がいたします際に、それらの手伝いを事業者にさせるためのものでございまして、その行為は決して大企業とかあるいはその企業の方々が創設的に行なう独禁法で禁止をしているカルテルではない、こういうことを私も考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/112
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113・増本一彦
○増本委員 高橋委員長、いま価格調査官も少ないし、現実に業界の協力をその中で得ていくということになれば、業界のほうだって協力をするということになれば、自分の意向の反映した価格とか自分の意向の反映した生産、供給、あらゆる面でその範囲のものにならざるを得ないでしょう。いま長官もいみじくも言ったように、ほかの官庁は企業と密着している。そういう官庁が行政指導するわけだから、あるいは監督するわけだから、もうそこでこれまでにもいろいろ汚職や何かを出してきているわけですね。疑惑もある。こういう中でやられる協力行為というのは明らかに共同行為になるんじゃないですか。それをあなた覚え書きで、本来全部それを取り締まって不公正な取引をさせないようにしなければならない立場にあるのに、目をつむるという、こういうことになっているんじゃないですか。私は、公取委員長としてこのカルテル除外の覚え書きは国民の前で公然と破棄すべきだと思いますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/113
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114・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 その点は、先ほども申し述べたいろいろな見解で、私の話である程度御承知かと思いますが、いまの石油の危機というものが予想外に急激に起こってきたということは争えないわけです。ですから、単なるインフレというものではないので、受け入れるための体制というものは不十分でございます。それは私も認めます。ですからこそいろいろな——標準価格をきめることについて、業界の協力というものは資料の提供以外にないと私は思います。それ以外にいろいろな、業界でつくり上げたような価格の希望額とかそういうものを出してくるということは、もうはるかに覚え書きの行為を逸脱したものと私は思いますが、そうではない範囲でもって必要な資料を出すということは、これは許されてしかるべきだし、また昔のいろいろな状態を私は思い浮かべましても、その程度のことはやっております。原価の提供を各社別に求める、協会でまとめてくるというふうなことではなくて、各社別に資料を提供させるということにすれば、これは政府に向かって協力しているわけでございますから、したがって共同行為ではないわけでございます。私は、いかなる場合においても、いわゆるカルテルにひとしい共同行為は禁止していくことに変わりありません。その点ははっきり区別して考えていきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/114
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115・増本一彦
○増本委員 もうすでにこの問題では私は疑惑があるのですよ。十二月の四日に通産省の鉄鋼業務課長と高炉メーカー八社の販売担当の役員が集まって、鋼材倶楽部の会館で会合をやっている。月曜会という会合だそうです。ここで各メーカーに標準コストについて提出しろというような指示をして、しかもそんなことを言ったということについては、これはオフレコにしてくれということをあとの記者会見で業界紙の記者の人たちに言っているというような話も聞いている。もうすでにそういうぐあいに業界との間で相談をし、あるいは業界のこういう鉄鋼の代表の集まっているところでその問題を出して、標準価格をきめていく相談まで事前にやっているじゃないですか。いままでもやみカルテルだとかいろいろなことがいわれ、そうしてそれがもう公然の秘密のようになっている。通産省などはそういう業界や財界と密接な結びつきを持っている。だから財界の代表は、これはもうカルテルをやらなければ価格は安定しないというようなことを公然と言い、標準価格こそ財界がきめるんだ、こういうようなことを公言するわけですよね。
政務次官に伺いますが、この十二月四日の会議はどういう内容の会議で何をやったのか、その点をひとつ明らかにしてほしいのですが、いまできなければこの次の委員会にでもはっきりと明らかにしてほしいと思います。その結果を待ってまた私の質問は続けさしていただくことにして、その部分は留保さしていただきます。
そろそろ時間だと思いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/115
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116・森下元晴
○森下政府委員 私は、ただいま、十二月四日の鉄鋼業界と通産省との話し合いについては関知しておりません。ただ、先生がおっしゃっておりましたように、業界とのいろいろな話し合い、また癒着、この問題は、私はこういう事態で業界と話し合いをすることは悪いことではないと思うのです、石油問題にしても、鉄鋼問題にしても。また業界に振り回されないような、経済の先行しないような政治が行なわれなくてはいけない。だから、こういう事態でございますので、業界に協力を求めたり、また業界の不明朗についていろいろ相談したり指示することは当然である。ただいま御指摘になった内容については、後刻詳細に調べまして次の機会に御報告申し上げたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/116
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117・増本一彦
○増本委員 その点については後ほどまた質問させていただくことにいたします。
要するに政府案は、全部政令に委任するという形で政府に権限を集中して、握った権限で財界にお願いして物の値段をきめていく、それを国民に押しつけていくということで一そう高値を呼び起こしていくものだ。いま必要なことは、国会が価格の問題、経済の問題についてもしっかりと権限を持ち、政府や財界の動きについてもきびしく監視をする、そして価格についても、国民や消費者の代表が参加するその中できめて、それを適正に守らせていく、この道をとるかどうかということであると思うのです。そういう点で私は、今回の法案というものはきわめて問題点が多いし、これは拙速ではなくてむしろ適切な、慎重で徹底的な審議をすべき法案だというように思います。
そういう点で、いま買い占め、売り惜しみがきわめて横行しているという事態、その中でこれまで経済企画庁やその他の価格調査官が立ち入り検査一つ十分にやってない。だから、いま必要なことは、この附則で、改正して全体を一緒に上げるんじゃなくて、買占め売惜しみ防止法、これを先に独立して審議し、われわれも要求しているような立ち入り検査権をきちんと要件どおりにすぐに、いついかなる場合でも発動できるようなそういう体制もきちっととる、そうしてこの価格安定法の他の部分、附則を除いた部分についてはむしろもっと徹底して実態を明らかにした審議が必要であるというように考えるわけですが、そういう意見を申し述べて私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/117
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118・平林剛
○平林委員長 石田幸四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/118
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119・石田幸四郎
○石田(幸)委員 私は、この国民生活安定緊急措置法案につきまして、まず基本的な問題から伺いたいと思います。
それは、今日の異常な物価上昇の元凶というのは、いわゆる高度経済成長の破綻であり、同時にまた予測をしなかった中近東におけるああいった戦争の一つの結果としてのあらわれだと思うのでございますけれども、いわゆる高度経済成長が使い捨て経済あるいは消費は美徳であるという、そういった社会的な思想を助長したわけでございますけれども、先般の予算委員会等におきましても田中総理大臣は、節約は美徳である、このようにいま大きく方向転換をしようとしているわけであります。そういった意味におきまして、いわゆるちまたにいわれている使い捨て経済、これが大きく方向転換をしなければならない、そういう事態に追い込まれておるわけでございます。そういった意味におきまして、経企庁長官といたしましては今後の、特に来年度の消費経済について、どのような方向転換をされようとしているのか、この点について伺いたいと思うわけでございます。
たとえば資源の消費問題にいたしましても、これはすでに本年度当初資源問題がこの委員会等においても論議されておりまして、資源を使うというような状況すらも方向転換をしなければならぬというようなことがしばしば言われておったわけでございます。そういった意味におきまして、資源の消費の規制も行なわなければならないのじゃないか、そのように思います。さらにまた省資源開発の促進のためのそういうような法律も場合によっては必要ではないだろうかというようなことも考えられておるわけでございますけれども、一体この消費経済について、経企庁長官は来年度どのような方向転換をされようとしているのか、まずここら辺からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/119
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120・内田常雄
○内田国務大臣 私も石田さんと同じような憂いといいますか、ものの考え方に立つべき時期であると思うものでございます。しかし経企庁に参りまして、いろいろ経企庁の仕事を見ますると、これも御承知の本年二月にできました経済社会基本計画というのがございまして、これが昭和五十二年までのいろいろな経済施策の進め方をきめております。ところが、従来の成長第一主義とか、あるいはまた輸出第一主義とかいう考え方をこの基本計画は捨てまして、そして福祉第一とか、あるいは教育に非常に重点を置いたり、人間性の発揚に重点を置いたり、またいまお話がございましたように、産業構造などにつきましても、資源、エネルギー多消費型の産業構造というものを省資源、省エネルギー型の産業構造に切りかえていく、こういう考え方で、すでに本年の二月に出発したあの計画を立てております。
ただ残念なことに、それから一年足らずの間に申すまでもなく物価の事情が非常に変わってまいったり、あるいは国際収支の状況が変わってまいったりいたしておりますので、計量的な計画につきましてはフォローアップといいますか、十分見直してやりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、ここ当面の私ども経済企画庁としてやるべきことは、物価を主とする国民生活の安定ということを主にして、まず自分の足先を固めて、しかして同時に、これから先人口もふえ、また社会福祉も上げていかなければならない日本の将来についてのいろいろな計画も、状況の変更に応じた新しい角度から立て直していくべきである、かように考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/120
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121・石田幸四郎
○石田(幸)委員 この問題はまたあらためて議論をいたすことにいたしまして、まず今日の物資不足によります物価上昇の一つの大きな要因となるものは、やはり供給不足から来ていると思うのでございますけれども、今度のこの法案が通りました段階におきまして、供給量の確保という問題についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。最近非常に問題になっているのは、いわゆるプロパンガスの問題でございますけれども、タクシー業界等におきましても、このプロパンガスの問題は非常に話題になっておりまして、価格が上昇するというような、そういうような問題はともかくといたしまして、非常に多くの供給カットが行なわれておるわけでございます。たとえばタクシー業界のほうのことでございますけれども、北海道においては一五%カット、宮城県においては三〇%カット、福島県においても三〇%カット、青森県においては十二月四日から五〇%カットと、こういうような状況がどんどん行なわれております。関東近県に行きますれば、埼玉県で三〇%カット、群馬で三〇%、千葉で五〇%カットと、こういうような状況が行なわれておりまして、そこら辺からいわゆるタクシー業界の将来の見通しに対する大きな不安要素が出てきておるわけでございます。
そういうような、供給がある程度適正にいかない限りにおきましては、これはいかに物価を押えようと思っても、うまくいかないわけでございますけれども、特に最近話題になりました埼玉県のある団地の、プロパンガスを都市ガスのようにして提供しておった状況も、いわゆる供給カットであるというような大騒ぎになって、通産省の行政指導によって、昨日ですか、解決をしたというようなことになっておりますけれども、こういうようなことが相次いで起こりますと、国民の間における心理的な不安というものは非常に増大をするわけです。ですから、ある程度やはり供給が安定して行なわれなければならないわけでございますけれども、プロパンガスの例にとって、一体どのような安定供給の見通しを持っているのか、そういったことについてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/121
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122・森下元晴
○森下政府委員 プロパンガスにつきましては、大体年間一千万トンぐらいの消費がございます。そのうちでタクシー用が二百万トン、約二割、ほかが家庭用その他となっております。最近タクシーのプロパン、それと家庭用のプロパン——タクシーの場合はブタンが主でございまして、家庭用はプロパンが主でございます。多少成分が違うようでございますけれども、大体似通った液化石油ガスである。これは、きょうも通産省を個人タクシーの方が約三千名取り巻きまして、いわゆる供給が少ないために非常に生活が困っておるのだという強い訴えをされたし、代表の方が十数名私の部屋まで参りまして、三時間にわたって、その実情を実は訴えられました。深刻な問題であることは事実でございます。
このプロパンガスにつきましては、約一千万トンの半分は直接液化ガスとして中東、特にイランを主とした地域から入っております。これについては価格は上がっておらないのです。天然ガス、プロパンガスはいままでは世界じゅうで日本以外は使わなかった。日本が開発したガスであるといわれておりまして、非常に廉価であったのです。あとの半分は精製過程で生まれる——いわゆる十二月の消費につきましても、十一月の実績の一〇%カットというようなことで非常に不安の状況の中で、多少プロパンガスの流通機構の不備と申しますか、買い手市場から売り手市場に変わったような原因もございまして、多少この流れが変わったことによるよどみが御迷惑をおかけしておるわけなんです。
それで、現在四十八年度の下期の需要が約五百六十万トン、これだけ必要であったのが、いま申し上げました理由によりまして、いわゆるカットされて、家庭用も、またタクシー用も非常に御迷惑をかけておる、これは事実でございます。だから先般東京だけはタンクローリーで十五合分、百五トン放出しましたけれども、これとてもまだ緊急に放出しなければいけないような事態なんです。
質問は、この事態をどうするのだということに尽きると思いますけれども、タクシーのほうは現在運輸省と相談いたしまして、そうして十一月の実績の一〇%減、すなわち二十一万五千トン、それを近々に全国に割り当てて、支障ないようにしていきたい、こういうことでございますし、またこの価格体系もいままでは……。(石田(幸)委員「価格の問題はけっこうですから。あとでやりますから」と呼ぶ)家庭用のプロパンも、これも非常に灯油と違いまして、家庭に持ち込む必要がございますので、慎重に考えながら早急に価格決定をしていきたい、こういう情勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/122
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123・石田幸四郎
○石田(幸)委員 現況につきましては、私も新聞等を見ております、また通産省の方向も聞いておりますのでわかっておるのです。しかし今後の問題としまして、これは一つの例をあげたにすぎないのであって、そういうような物資不足の状況の中に、いわゆる先を見通してどのような供給が行なわれていくのか。当然物資不足でございますから、何%カットということはあり得るでしょう。あり得るけれども、その状況はどこまで続くのか。たとえば三カ月なら三カ月はこういう状況でまいります、あるいはその次の段階においては、もう一カ月たったら発表することができますとか、そういうような流れをつくっておかなければ、そういうような問題がどんどん出ているじゃありませんか。そういう問題を私は言っておるわけだ。そういう問題をどういうふうに扱っていくかということを明快にしない限りは、いかに標準価格をきめてみたところでどうにもならぬでしょう。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/123
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124・森下元晴
○森下政府委員 結論すれば、十二月一ぱいはだいじょうぶでございます。ただし、価格の問題は、これは近日中に早急に決定の予定でございます。それから一、二、三、これはやはり原油の輸入の状況、これは楽観的な見方はございません。そういうところで一部マイカーの規制等、それからそれによるガソリンヘの移行の問題とか、またいわゆる業界の指導による相乗りタクシーの問題とか、そういう問題を通じて対処していきたい。結論すれば、一、二、三、非常に暗い見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/124
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125・石田幸四郎
○石田(幸)委員 経企庁長官に伺いますが、これは何もプロパンガスだけの問題ではございませんでしょう。紙の問題がある。あるいは砂糖の問題がある。いろいろな問題がいままで問題提起されてきた、その一番根本的な問題は、値段よりも物がなくなるぞという状況でしょう。しかも、そういうものの供給が地域的に片寄っておる。ある地域には高いけれども、あった。ある地域においては全然ない、高くてもないのだというような状況でございましょう。そういうような状況を政府がきちっと流通経路に乗せてある程度の安定供給をしない限りは、標準価格をきめても意味がない、こう私は申し上げておるのでありますけれども、その地域的な偏在を排除する方法いかん、そういう問題を含めて、ひとつ供給の問題についてのお答えをいただきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/125
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126・内田常雄
○内田国務大臣 いま私どもが考えておりますところは、万般の物資について価格を安定させ、あるいはまた需給を調整するということは、これは考えてみても、とうてい及びもつかない場合もあろうと思いますので、この際としては、何が生活関連物資として必要かという、これだけが、その価格が安定し需給が定着すれば、お互いの家庭生活、人間生活にそんなに不安がないというようなもの、並びに法文にもございますように、それにつながる国民経済の基礎物資というようなものを幾つか選びまして、それだけにつきましては、値段のこともございますけれども、需給の問題はエネルギーの供給なども含めまして絶対に心配がないように、政府は総動員でひとつやってもらおうじゃないか、こういう考え方でおるわけであります。
でありますから、いま御心配になりましたようなものの中にもいろいろございましょうけれども、これだけはなければというものにつきましては、地域的の偏在や、あるところにはだぶついておるけれども、あるところにはないというようなものは、この法律に用意をされておりますところの輸送に対する指示でありますとか、出荷の指示でありますとか、あるいは場合によりましては、その輸入などによりまして、そういうものは十分補給をしてまいる、こういうことで考えてまいろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/126
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127・石田幸四郎
○石田(幸)委員 いま長官が言われたのは、実際に物不足になったとき、特定地域に物がなくなったときの手当の方法を言っていらっしゃるのでしょう。やはり日本全国にわたって、たとえばトイレットペーパーの例をいえば、総体的に物不足であっても、従来の生産ではこれだけあるから、従来の供給量の八〇%は大体行き渡るのだというような方向をとらなければ、どこにでもそういったパニック状態が起こるではありませんか。そういう問題を私は言っておるわけなんです。もちろん、全般の物資についてそういうことはできないということは私もわかります。しかし、いまここで取り上げられております生活安定法の中に指定される物資については、少なくとも供給分野というものを明確にしておかなければ、幾らそういう法律をつくってもらったって国民は安心できないじゃないですか。そういった問題を申し上げておるのです。
お答えが非常にむずかしいようでございますから、次の問題に移りますけれども。
それから昨日の橋口委員の問いに対して、いわゆる標準価格の指定を前に便乗値上げが起こるおそれはないかということに対しまして、長官がお答えになっていらっしゃる。標準価格を指定する前にかけ込み値上げをしたようなものは正しい原価等を調査してきめ、かけ込み値上げの影響を受けないようにしたい。しかし、これは意味がよくわからない。今日のそういうような社会不安を造成しているのは、いきなり三〇%カットで、しかも五〇%の原料値上げであるというような状況が現に行なわれているわけでしょう。これはそういう物不足につけ込む悪質な便乗値上げです。そういうような企業の姿勢というものを厳に正していかない限りは、私は国民の信頼をかちとることはできないと思うのですね。そういう意味で、かけ込み値上げに対して、現在行なわれているものに対してどういう措置をしていくのか、この点について伺いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/127
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128・内田常雄
○内田国務大臣 この法律はまだ施行されませんけれども、この法律が御決定を見まして施行される段階になりますと、私は、先ほども議論がございましたが、いまは物価が全般的に値上がりをしておる状態でございますから、この法律は直ちに発動させ得る状態になると思います。そこで先ほども申しましたような、これだけは価格を安定をさせなければならないような物資を選びまして、もちろんそのものの物資の価格が安定していれば、これは発動の要件が満たされないわけでありますけれども、どうしても国民生活の上でなくてはならないものを、また国民経済の基礎物資であって、そして値上がりのおそれのあるものを、できるだけ早く選びまして、そしてそれについては標準価格をつけるわけでありますが、そうしている段階で、ただいま御心配になられましたようなかけ込み値上げと申しますか、あるいは不当の利潤を盛り込んだような価格で消費者の皆さんに物が売られているような商品につきましては、その標準価格を設定します際に洗い直して、標準的な生産費あるいは標準的な輸入価格というようなものに標準的な利潤を加えましたもので、たとえそのときの売り値が高いものであっても、これは不合理で、引き下げ得るものは引き下げたところをもって標準価格にする、こういうことを昨日も申し上げたわけでありますが、いまも私はそのようにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/128
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129・石田幸四郎
○石田(幸)委員 その話は私も趣旨はよくわかります。そういたしますと、逆に言えば、いま便乗値上げをしてしまったものについては、いわゆる今度の法律が施行されるまでの間の、われわれから言わせれば不当利益でございますけれども、これに対しては手が出ないということですね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/129
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130・小島英敏
○小島政府委員 現在上がりつつあるようなものでございましても、これは法律施行の段階で標準的な生産費等を洗い直して、高過ぎるということであれば、当然それよりも低い水準を標準価格として指定することができるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/130
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131・石田幸四郎
○石田(幸)委員 どうも議論がかみ合わないじゃないですか、長官。それは今後法律が施行された段階から出発するわけでしょう。この十一月から十二月にかけていろいろなものが大幅に値上がりをしておるわけですよ。たとえば亜鉛のような問題を取り上げてみますと、市中価格は、国内建て値トン十七万五千円の二倍強に当たるトン四十万円近くにはね上がっているのですから、トン当たりすでに二十三万円も高いものを現に買わされておるのです。こういう問題はこの法案に入ってくれば、それは標準価格をつくって今後は下げることはできるかもしれませんけれども、何カ月間というものをトン当たり二十三万円も急に値上がりをされて、そういうような損害をこうむっている人たちに対して何らの手当てもできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/131
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132・小島英敏
○小島政府委員 やはり法律施行の段階で、高いものを買わされた場合には、これがやはり標準的な仕入れ原価になりますから、その上に積み上げ計算をすることになります。しかしながら、もっとさかのぼっていけば、要するになぜそういう高い値段で売ったかというところまで突き詰めていくと、もう一つ前の段階で必ず原価に対して非常に高い利潤を織り込んで売ったということが出てまいるわけでございますから、これはやはりもとにさかのぼって、そういう引き下げの指示をするということが可能であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/132
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133・石田幸四郎
○石田(幸)委員 じゃあ、この課徴金、まあ課徴金という性格を取り上げてみた場合に、たとえば半年前なら半年前にさかのぼって課徴金を取ることができるというような意味ですか。そうじゃないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/133
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134・内田常雄
○内田国務大臣 それは石田さんに私がお答えすればいいのですが、私が衆議院議員の一人でありますために、おまえの言うことは事務官、抜術官のように信用ができないということになって、食い違ってもいけませんから、私はわざと物価局長を実は立たしたわけでありますけれども、あなたのおっしゃることは私にわかります。こういうことであろうと思います。
つまりこの法律が施行されて標準価格をつくるときに洗い直して何ぼ低くしても、いま不当利潤を含んだような高い値で買わされたやつの救済をどうするのだ、こういうことになろうと思いますが、これは、私はそういうことをお答えするのはいやなんですが、今度の法律の力で、法律が施行される前に標準価格として、あとからきめられたものよりも高い値で売ったものに対して課徴金を取るということは、これは法律不遡及の原則みたいなものがあるだろうと思いますから、これは法律施行されなくても——この法律を施行したら必要なものは直ちに実施、運用するわけでありますから、関係各省と私どもは物資打ち合わせ官会議というようなものを、さっそく行政管理庁等のあっせんによってつくってもらいまして、いまからもうそういうような標準価格ができるまでの間の値上がりがないように、行政的な指導をかっちりやるというようなこともやらなければならないことと私は考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/134
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135・石田幸四郎
○石田(幸)委員 それでは明日以降そういうような値上げがどんどん発表された場合には、必ずそれを調査して行政指導しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/135
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136・内田常雄
○内田国務大臣 必ずするというわけではございませんけれども、たとえば卑近な例をとりますと、灯油を三百八十円にしましたのは法律でやったわけではございません。ございませんが、国がこういう法律まで用意をして標準価格、特定標準価格というようなものをつくろうというその決心をしておるわけでありますから、でき得る限り各省にも手を広げて働いてもらいまして、標準価格設定前、この法律施行前においても、それこそかけ込み値上げといいますか、不当値上げが行なわれないような処置は、私は要望してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/136
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137・石田幸四郎
○石田(幸)委員 それでは標準価格、特定標準価格の問題に入りますが、先ほどの通産省の政務次官のお話でございますと、この標準価格設定にあたりまして業界と相談をするのは、やむを得ないのではないかというようなニュアンスのように私は伺ったわけです。ところが、先ほど松浦委員の質疑のときには公取委員長は、標準価格というのは政府独自できめるものであって、いやしくも政府は業界のそういうような要望をそのまま受け入れるようなことはないはずだ、こういうふうに力説をしていらっしゃるわけでございます。ずいぶん意見が食い違うように私は思うのでございますけれども、実際に標準価格設定にあたりまして、そういうような業界の意見を求めずに、いわゆる政府独自で標準価格をきめ得ますか。
と申しますのは、たとえばこの標準価格もしくは特定標準価格をきめるに際しまして、原価計算あるいは販売経費の計算あるいは適正利潤の計算等を政府独自でやらなければならぬということでしょう。非常にむずかしいわけですね。そういうようなむずかしい要素を持ちながら政府独自、いわゆる業界の意見に左右されずに、そういうような標準価格や特定標準価格を定めることができますか。これはひとつ経企庁長官に伺いたいと思います。先ほどの御両省の御見解は多分にニュアンスが異なるように私は聞いておりましたけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/137
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138・内田常雄
○内田国務大臣 たとえば経企庁を例にとりましても通産省を例にとりましても、私どもの役所が物をつくっているというわけではございませんから、どうしてもデータをメーカーなり、あるいは問屋などからとらざるを得ないと私は思います。しかし、そのとるものは、何も業者間にあらかじめ共同行為を容認するような前提のもとに業界で先にまとめさしたものを役所が受け入れて、それを資料にして標準価格をつくるということであってはならない。しかしそれは、繰り返しますと、役所が何でも資料を常に持っているわけではないわけでありますから、今度の法律の条項に基づくなり、あるいは前からございます買占め防止法に基づく調査資料を徴求する権限等に基づきまして資料をとってやる、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/138
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139・森下元晴
○森下政府委員 先ほど私申し上げたのは、通産省のすでにやりました灯油のいわゆる指導価格、これについて私は申し上げたつもりでございますけれども、標準価格にしても特定標準価格にしても、やはりこれは原価計算したり、またいろいろモニター制度を通じてやはり国民の合意のいく価格をきめなければいけない。その過程におきまして、やはり協会の意見も私は参考にすべきである。だから業界の意見によってきめるということはいけませんけれども、協会の意見を参考にしてきめる。また、いろいろ国民合意のもとに決定することは、いいことでないだろうか、このように思って申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/139
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140・石田幸四郎
○石田(幸)委員 それでは公取委員長に伺いますけれども、先ほどの委員長の発言は、いわゆる標準価格については政府独自でというような立場を非常に強調しておられたように思うのでございますけれども、いまの政務次官の御意見でございますと、当然これは協会側の意見を聴取することが出てくるだろうというようなニュアンスでございますけれども、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/140
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141・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 私どもは、たとえばそういうメーカー段階での標準価格を定める、これは大事なことは末端だと私は思いますけれども、しかし実際にはメーカー段階もきめられるようになっておりますから、その場合にそのメーカーの協会の意見を具体的に幾らが適当かというふうなことについて意見を徴することは、あの覚え書きの範囲の外でございます。これは覚え書きに書いてありません。そういう問題は予定していないことでありますが、それは決して好ましくないし、私はやってほしくないと思います。そうでなくて、直接個々のメーカーから必要なデータをとる。すべてのメーカーからとる必要はないと思います。業界によりましては、サンプル的な調査でもけっこうなわけでございまして、あまり多くの業者からとることは実際上は不可能になりますから、それは早急に間に合わない。だから、特定の業界をかってに指名して、そこから必要なデータをとれば、これは場合によっては、データーを出すことについて、業者間の中の打ち合せがあるかどうか知りませんが、しかし、そういうことはないので、各社とも業績が違います。業績が違うのですから、その業績そのものをじっくり把握しておれば、コストの違うのも当然出てくるわけです。
そういうことでございますから、私としては遺憾ながら、通産政務次官の答えられた、業界の意見を聞いて標準価格をきめる、価格そのものについて意見を聞かれるというような点は、これは一般の国民から見た場合には、ちょっとおかしいのじゃないかという感じがしますので、この点はどうも賛成いたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/141
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142・石田幸四郎
○石田(幸)委員 経企庁長官に伺いますけれども、いまの通産政務次官のお答えと、価格について意見を聴取するということはまかりならぬという公取委員長との御見解は全く違いますね。一体、総体的に考えてみて、どういうふうにしておやりになるのですか。——政務次官にひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/142
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143・森下元晴
○森下政府委員 「業界の意見を」というのと「も」というので、ちょっとニュアンスが私は違うと思うのです。業界の意見も聞いて——意見をというと、業界だけの意見を聞くようになります。いままでは、どうも財界主導型の経済、まあ政治まで振り回されておるような傾向もあったように私は思います。だから、そういうふうに石田先生がおっしゃると思うのですよ。政治が先行しておれば、業界の意見であろうと何であろうと、これは聞くべきです。そして、やはり政治が主導権を持ってきめるのが私は正しい姿である、あまり遠慮する必要はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/143
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144・石田幸四郎
○石田(幸)委員 この問題につきましては、また日を改めまして、明日でもひとつがっちり詰めましょう。
では、次の問題をお伺いするわけでございますが、標準価格、特定標準価格、あるいは物統令による物価凍結、こういうような、いわゆる段階を追ってこういうものが発動されていくわけでございますけれども、今日の卸売り物価が二〇%もこえるというような状況の中において、どのようにこれを適用されていくのか。あるものについては物統令を発動なさるのか、あるいはまた特定標準価格だけにいくのか、あるいはそのミックスでいくのか。この三つの関連でお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/144
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145・小島英敏
○小島政府委員 私どもは現在の段階は、第二条に(標準価格の決定等)という条項がございまして、「物価が高騰し又は高騰するおそれがある場合において」云々というのがございますが、まさにこの状況であるというふうに判断いたしております。したがって、第一段階は標準価格設定ということを適当な品目について、まず進めていくということでございます。
第七条の特定標準価格でございますが、これは条文にございますように、「第三条から前条までに規定する措置を講じてもなお指定物資の価格の安定を図ることが困難であると認められる場合」云々とございますので、これはやはり標準価格を指定しまして、効果を見定めて、なお必要があると認められますれば、現段階においても、この特定標準価格というものを定め得るというふうに考えます。
第三段階の物統令のほうは、附則の第二条にございますように「物価が著シク昂騰シ又ハ昂騰スル虞アル場合二於テ他ノ措置二依リテハ価格等ノ安定ヲ確保スルコト困難ト認ムルトキ」という非常にしぼった発動要件になっておりますので、現在の段階は、この物統令発動の要件を満たしていないというふうに考えております。したがいまして、これはもっと事態が悪化した場合の最後の手段というふうに認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/145
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146・石田幸四郎
○石田(幸)委員 そうしますと、経済全体が標準価格を発動する段階である、それからその次の段階として経済全体が特定標準価格を設定する段階である、こういうようなことですか。個別的な違いというもの、個別物資によっては標準価格と特定標準価格を併用するというようなことはあり得ない、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/146
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147・小島英敏
○小島政府委員 非常に事態が進みました場合に、いきなり特定標準価格を定めるということがなきにしもあらずだと思いますけれども、普通の考え方は、やはり標準価格をまずやってみまして、それで効果が不十分なときに、特定標準価格に進むというふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/147
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148・石田幸四郎
○石田(幸)委員 それでは、時間もあまりありませんから、地方自治体への権限委譲の問題で少し伺っておきたいわけですが、その前に、流通情報ですね。
先ほど申し上げましたように、総体的な物資の状況についての通産省なりの発表、これだけでは、なかなか国民は納得しないわけであります。自分の地域には、さっぱりそういうものがないではないかというようなことが、しばしば問題になっているわけでございまして、どうしても国の責任において正確な流通量の把握、発表ということが必要なわけであります。さらに、それが地域的に偏在するということを除去するためにも、県あるいは政令都市段階においてのそういう、たとえばトイレットペーパーならトイレットペーパーなりの流通量の発表がなければ、これは国民感情に非常に大きな影響を与えて、いわゆるパニック状況もかもし出しかねないというようなことになろうかと思います。これについてどういうふうなお考えを持っているか、お知らせをいただきたいと思います。
特に、今日テレビ時代でございますから、NHK等においては独自なそういった物価に対する取材はありますけれども、政府が要請して、NHK等を使って、そういうものを積極的にやる考えはないか。特に、全国それぞれ県ごとにそういうような機能を持っていらっしゃるわけでございますから、そういうものをお使いになる必要はないだろうかというふうに考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/148
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149・内田常雄
○内田国務大臣 たいへんいいお話をいただきましたが、実は私どもも、いままでも、十一月中から一部流通情報を流すようなことをやっておりますが、やはり私が見るところでも、おくれがちのようでございますので、いまおっしゃるように、いろいろなテレビのチャンネルで、政府関係のチャンネル、調べてみますと、ほとんど各省が一週間七日のうち六日ぐらいはあるようでございますので、そのしっぽに、ごく短いもので、たとえば教科書が足りないとかなんとかいうような話が先般もあったようでありますが、「教科書の配給については全く心配ありません 文部省」、こういうようなことを、また「大根は入荷豊富にして価格は安定方向にいっております」といった式のものを各省にやらせよう、そのために私ども企画庁を中心として、毎日そういう物資連絡官会議みたいなものをやりまして、そしてテレビの細いやつに流す計画をせっかく進めさしております。
ことにこの法律が施行されますと、小売商の店頭に標準価格とか、あるいは指定品目とかいうものを掲げさせることを義務づけておりますことは法律にもございますが、そればかりでなしに、今度はこういうものを指定品目にいたしまして、標準価格をつけました。こういうものを特定品目にして、特定標準価格をつけましたというようなものを、時々敏速に国民に知っていただくようにすることが絶対必要であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/149
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150・石田幸四郎
○石田(幸)委員 それでは先ほど申し上げました、地方自治体への権限委譲の内容はどのようなものでございましょうか。価格監視体制の整備を、これは非常に問題になると思いますけれども、地方自治体の中におきましては、小売り段階のそういった監視の権限委譲だけではだめだ、地方自治体も、元売りあるいは卸売り段階にも立ち入り調査をできるような、そういう権限を認めてもらいたい、そういうようなことかございます。さらにまた国の縦割り行政だけでも十分対処できないと思うので、たとえば紙不足ということが東京都内で起こりますと、当然これはメーカーが集中しております静岡県等との——そういうようなところにも要請をしなければならない。そういうようなことも考えて、地方自治体同士の話し合いができる体制も必要だ、こういうようなことをいわれております。ここら辺について、どういうような権限委譲をなさるのか、明確なお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/150
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151・小島英敏
○小島政府委員 国民生活安定法及び買占め防止法、両法を通じまして、やはり監視体制というものが非常に重要であると思いますので、現在権限委譲について各省間で相談をいたしておりますけれども、きょうの段階では、まだどうもなかなか異論がございまして、まとまっておりませんので、しばらく御猶予をいただきたいと思います。
そのほかに、やはり国、地方団体以外にも国の各種のモニターとかいう方々にもチェックをしていただくことがぜひ必要だと思いますし、それから一般の消費者の方からも、違反しているような事例があった場合に適当なところへ知らせていただくための窓口というものを、なるべく数多く用意する必要があるのではないかということも、あわせて考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/151
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152・石田幸四郎
○石田(幸)委員 なかなかそういう問題、詰めが大事だと思いますので、まだきまっていないのはわかりますけれども、大体いつごろまでに詰めが終わるのか、その見通しをおっしゃっていただきたい。
それから一つは監視体制でございますけれども、この法案を施行するにあたりまして、政府として十分な監視体制はとれるのか。特に配給制というような問題まで突き進めば、三万人からの職員が必要じゃないかなんということをいわれております。しかしながら、標準価格段階、それから特定標準価格段階におきましても、そういうものの違反行為がないかどうか。そういう面の監視体制というものがかなり強化されなければ、この発動の意味がない、こういうことがございます。
それからもう一つは、やはりそういうような国民生活安定措置法というものが施行された段階において、そういうものに違反する行為が出た場合に一番被害を受けるのは消費者でしょう。じゃ消費者の人たちはどこへ苦情を訴えに行けばいいのか、どこに行けば問題の解決をしてもらえるのかということは、この法案の中では明確になっていないわけですね。ここら辺はどのような処置をされる考えですか、あわせてひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/152
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153・小島英敏
○小島政府委員 最初に政令をいつまでにというお話でございますが、極力急いで現在やっておりますので、いついつまでにという点は御容赦いただきたいと思います。
それから、体制の整備の問題はまさにおっしゃるように、非常に私どもも弱っております点は、事態が必ずますます深刻化するということがはっきりしておりますれば、これはもう定員の増加を含めて中央、地方、相当がっちりした体制をとらなければいけないわけでございますけれども、石油の事情いかんによっては、そういうところまでいかないで済む可能性というものも、また十分あるわけでございまして、そういう点から申しますと、いまの事態におびえたということばが適当でないかもしれませんけれども、永続的な体制としてあまりに大きな増員等を要求することは、現在のなるべく政府の経費を安くしなければいけないという大きな要請にももとることになりますので、この辺が非常に悩みの種でございまして、その意味からも、私どもは定員増の要求というようなものは、なるべくやはり必要最小限に押えて、むしろ先生おっしゃるような民間のチェックの機能というものに期待いたしまして、そのためにも苦情処理等の窓口についてなるべく整備をいたして、民間の方々の協力のもとに監視体制をとってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/153
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154・石田幸四郎
○石田(幸)委員 小島局長の御答弁、わからぬでもないのですけれども、しかし、この法案を施行する段階におきまして、やはり国民全体が一番望んでいることは、そういう違反行為が起きたときに、私たちが一番被害をこうむるではないか。その被害をこうむったときに、どこへ訴えに行けばいいかということを明確にしてもらわなければ、これは国民がそういうような被害をこうむるだけではなくて、政治への不信感というものは、ますます高まってくるわけでしょう。これを解決しなければ、この法案を施行する意味がないといっても過言ではないと思うのですよ。一体その点どうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/154
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155・内田常雄
○内田国務大臣 おっしゃるとおりでございます。そこで、実はもたもたいたしておりますのは、この法律の中の条文もございますが、中央官庁の役人ばかりでなしに、その中央官庁の出先の国の官憲、官憲といいますか、支分部局の長のみならず、とどのつまりは、やはり消費者に密着する地方公共団体にその必要な権限を委任することが私は必要だろうと考えます。条文もそのようにできておるわけであります。ところが地方公共団体にはいろいろな経費の問題もございましょうし、かつまた、いろいろ国の法律の仕組みがむずかしゅうございまして、課徴金というのは、国庫に収納する国庫金の徴収権というものは、都道府県知事まではあるのでありますけれども、同じ地方公共団体でございましても、市町村長にはその課徴金を取る財政法上の仕組みがないというような問題などもございまして、いませっかく詰めを急いでおるわけでございますが、要は末端まで監視や調査の権限が行きわたって、そうしてこの法律の目的が達成されるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/155
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156・石田幸四郎
○石田(幸)委員 じゃ、これで終わりますが、私どもの試算によりますれば、東京都だけを取り上げてみましても、監視体制をしくのにも職員を五百名ばかり増員をしなければならぬ、こういうことでございます。さらにそういった苦情処理をするための職員等を考えますれば、おそらく六百人前後はどうしても最低必要であろうというふうなことを、いろいろな都議会の人たちと話し合って試算をしたわけでございますけれども、東京都の場合は日本の人口の一割ということでございますから、地方自治体の状況を入れますれば、六千人から七千人ぐらいはどうしても職員を増さなければ、この法律に対応できない、そういうような状況にあるということをひとつお考えをいただいて、なお不満でありますけれども、そこら辺の問題が逐次あかされるに従って、さらにまた御質問を申し上げたい、こういうふうに思います。
では、その他の質問は留保いたしまして、一応終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/156
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157・平林剛
○平林委員長 和田耕作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/157
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158・和田耕作
○和田(耕)委員 私は、この六月でございましたか、前の経済企画庁長官の小坂さんに、企業の利潤を制限をしなさいということを中心にして質問をしたことがございます。そのときに初めて小坂さんの口から、国民生活安定法案のようなものを考えておるのだというお答えがありました。そういうこともありまして、この法案については非常に深い注意をもって見守っておる一人でございますけれども、いまいろいろ論評しておるものを拝見しておりますと、この法案は書かれておる条文よりも、運用のしかたいかんによって、どうにでもなるというような評価が行なわれておるわけです。
この点は、非常に重要な点だと私は考えておるのですけれども、まずず第一に、その問題を考える場合に、政府が現在の客観的な経済状態をどのように認識をしておるのか、このことがもう一つはっきりしない。予算委員会でいろいろな質疑が行なわれておりますけれども、きょうもまた、いろいろ質疑が行なわれておりますけれども、政府として、この事態をどのように評価しておるのか、ばらばらの感じがいたします。田中総理のいろいろな答弁をずっと聞いておりますと、この一年、長くとも二年ぐらいじっとしんぼうしておれば、またよくなるのだ、まだ高度経済成長できるのだというような考え方が、どこかにあるような感じがしてしかたがない。しかし、そういうふうな考え方で現在の状態が乗り切れるかどうか、私はできないと思います。したがって、もう少しいまの状態というものを深刻に受け取ってみる必要がある。
つまり自由放任、自由経済を中心とした高度経済成長の時代はもう終わったのだ、まだはっきりわからないけれども、新しい一つの状態に入りつつあるのだ。田中さんもそういう転換の問題を主張しておりますけれども、それを言いながらも、どうもやはり一年ぐらいじっとしてしんぼうしておれば、また石油も少しよけい来るようになるかもわからぬ、そうすればまたもとのとおりだというような感じ、そういう感じでいまの経済に対処しておると、とんでもない間違いをおかすおそれがある。私は、この数カ月は非常に大事だと思います。
そういうふうな意味で、経済企画庁長官の御所信を最初に承りたいのですけれども、いまの事態を、一年あるいは二年しんぼうしておればよくなる、その可能性が多いというふうに思っておられるのか。あるいはまた、いまの時代はかなり深刻なものだ、これからは限られた資源、しかもいままでよりは大幅にダウンした資源を前提として、いろいろな計画をつくって進めていかなければならないのだ。いまの日本の経済は太り過ぎておるのだ。中曽根さんの表現をかりれば、大東亜戦争のガダルカナルまで行った、あれからの撤収作戦がうまくいかなかったので、経済的にも大きな撤収作戦が必要なのだ、こういうふうな見方をする人もおるわけですけれども、長官は、どういうふうな基本的な認識をもって、この経済の苦しい状態に直面しようとしておるのか、あるいはこの法案をどういう気持ちで運用しようとしておるのか、これについての御所信を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/158
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159・内田常雄
○内田国務大臣 和田さんのお尋ねは、私のような微力な者に十分なお答えができないかもしれませんが、しかしこの法律は、国会で御可決をいただけば直ちに施行するつもりでおります。そうしますと、ごらんくださるように、この法律の一条には、「物価の高騰その他の我が国経済の異常な事態に対処するため、」とあるわけでありますから、私どもがこれを施行しようとする決意であります限り、私は、現在は物価の高騰その他わが国経済の異常な事態にあるという認識に立つものであります。ただしこの事態を、予算委員会等で論争がございましたように、インフレと言うか言わないかということにつきましては、単に学問上の定義とかいうことでなしに、政治の責任を負われる総理大臣としては、ほかにいろいろな、対応したり影響するところがございますから、インフレではない、物価の異常な憂慮すべき状態だというところの表現にとどめておられるようでございますけれども、私は、物価の問題を注視をいたしまして、その異常な状態であるというところから出発いたしてまいりたいと思います。
ただ、これはお互い政治家として考えますときは、少し言い過ぎたことを言うようになるかもしれませんけれども、日本の人口は毎年百数十万人ずつふえますし、また社会福祉、社会保障の面を取り上げましても、まだ福祉元年とかなんとかいう言い方をしたばかりでありまして、これから先その方面にも充実をしていかなければならないことを考えますと、ふえる人口、われわれのむすこや孫たちに職業を与えながら生活水準をはなはだ落とさない、しかも社会福祉を充実していくとすれば、やはり長期的な見通しや長期的な希望というものも国民から抹殺することは政治家の見識でもないし、また良心でもないように思うわけでございます。
したがって、いま石油の問題を中心として心配すべき事態はあるわけでありますが、また事実、これは国際的な状況にも影響されるところが多分にございますし、今日切られております石油は、これも御承知のようにアラブの諸国、つまり日本が輸入する石油の四〇%に当たるアラブの諸国から受け入れる石油がカットされておるわけでありまして、その他の諸国から来る石油につきましては、その方面の強化策も政府としてはいろいろ手を打っているところもありますから、このままもうめいってしまって、大東亜戦争の例をお引きになりましたけれども、撤収作戦であとは降伏条項を待つばかりだということには私は決して思っておりません。この異常な事態を乗り切るために、政府はより真剣になり、また国民の皆さま方にもぜひ協力をしていただきたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/159
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160・和田耕作
○和田(耕)委員 先ほど石田委員の質問に対して小島局長さんは、石油がもっとよけい来るようなことがあれば、状態は非常に緩和されてくるということもあるので、統制に必要な、あるいは計画に必要な要員についての見当がつかないんだというお話がございました。これは事務当局の責任者としての率直な御意見じゃないかと思うのです。
しかし、この段階に来ると、もうこれはすぐ前の高度経済成長の状態に返ることはないというふうに断定をするような見通しを持たないと、一、二年すればまたもとへ返ってくるんだという見通しだと、やることなすこと全部が中途はんぱになる。しかも非常に大事なこの時期を、中途はんぱな政府の施策しかできないということをおそれるがために、その問題については非常にオーバーな見方をする人もあると思います。しかし、少なくとも高度経済成長の時代、自由な経済状態に返ることはおそらくない。つまり、自由な社会を私どもはどうしても守っていかなければならぬと思う。自由な国民生活を守っていかなければいかぬと思う。そのためにも経済の場面では、かなり計画的な、あるいは統制的な運用というものが不可欠である。客観的な状態を見れば、そういうふうな一般的な判断に立っていかなければならないんじゃないか。そういうふうに見てくれば、私は、この国民生活安定法案というものは、うまく巧みに運用すれば、いや、正しく運用すれば非常にプラスの一つの法案になると評価したい、そういうふうな意味でいま申し上げておるわけです。
そこでいま先ほどから問題になっております標準価格の問題についてお伺いしたいんですけれども、長官の話は、先ほどから聞いておりましたけれども、はっきりしない。というのは、つまりこの問題を突き詰めていく場合に確信がないんじゃないか、まだはっきりした基準なり、はっきりした算定の基礎なりというものが頭の中に描かれてないんじゃないかという感じがしてならない。
そこで、ひとつ長官にお伺いしたいのですけれども、この十一月の二十九日、田中総理がNHKで所信表明がありました。特にこの問題に触れての所信表明がありました。そのときに、標準価格の問題に触れて、彼はこういうふうな発言をしております。かけ込んできて——標準価格かきめられるからいまのうちに値段を上げておけといったような、かけ込みの引き上げは許さない。それに対しては、四十八年の一月から十月までの平均をとって、それを基準にして標準価格をつくったらどうだろうかと考えておる、事務当局に命令している。こういう発言がある。これははっきりしたNHKのテレビでの発言です。この標準を、政府あるいは長官としてどのように現在御判断になっておるのか。
つまり、私申し上げますのは、生産費あるいはコストあるいは適正利潤といっても、あるいは業界といろいろ話し合うということはみな必要だと思う。しかし、政府としての標準価格をこのようにきめていくべきだという基本的な態度がなければ、業界と話しておると、業界べったりになってしまう可能性が十分にある。それを持っておれば、十分業界と話し合っていくべきです。つまり、そういうふうな一つの政府の基本的な気持ちのあれとして、田中総理は、一月から十月までの平均の価格を基準にしたいという、これを事務当局に命令してあるという発言をさえしている。これは私、一つの客観的な基準になる標準だと思います。
これを長官、いかがにお考えになっておるのか。つまり、一月から十月までの価格の平均というものを標準価格の基準にするという総理の考え方、どういうようにお考えになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/160
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161・内田常雄
○内田国務大臣 和田さんのお話、いろいろ私どもに好意を持ってお話と私は承るわけでありますが、私が申し上げたのは、決して自信がないというわけではございません。それは、たとえばいろいろの面がございますが、その指定物資としてトイレットペーパーというようなものをとりましても、私はトイレットペーパーについて深い知識があるわけではございませんけれども、しかし二百ぐらいの品目があるといわれております。そこで、その二百の品目につきまして標準価格を全部つけるわけではないわけでありまして、その品目の中から、法律にもございますが、標準品目というものをまず選定をしまして、その標準品目について標準価格をつくるわけでありますが、さて、標準品目とは何ぞやということになりますと、おそらく値段の高いやつでもないし、安いやつでもないし、厚過ぎるやつでもないし、薄過ぎるやつでもないし、また上等過ぎるやつでもないし、粗末過ぎるやつでもないという標準的な品目なんでしょうか、その辺に——やはり私は、メーカーにもより、販売者にもよって値段のばらつきもあるだろうから、そこのどこをとるか、二百の品目のうち、標準品目として五つをとるのか十をとるのかということにたぶんなるだろうと思いますが、その辺についての確信が私にないということは事実でありますが、しかしやり方としては、行き方としてはそういうことでいきますから、それは私が確信がないのではなしに、標準価格というものはそういうものだ、こういうふうにまずお考えをいただきたい。
しかし、しこうしてどういう値段をつくるかということになりますと、実は私、田中総理の十一月二十九日の演説をそのまま聞いてはおりませんけれども、和田さんのおっしゃること、そのとおりあなたはお書きとめになられたのでしょうから、総理としてはそう考えておられると思います。総理はなかなか決断と実行力があって、荒っぽい方ですからそう考えたのでしょうが、しかし、実際の責任者としての私としましては、一月から八月までの間には、たとえば消費者物価指数をとりましても、卸売り物価指数をとりましても、御承知のような非常な開きが出てきております。これは物価ばかりでなしに、その間の賃金上昇というものもございますから、何でもかんでも一月から八月までの間の平均価格をとれば、それにしかるべき扱い手数料を乗っければ済むというものではないかもしれませんので、私がたびたび先ほどから申しておりますように、この法律が施行されるまでの間のかけ込み値上げとか、あるいは、かけ込み値上げでなくても、不当な利益をむさぼっておったようなものは、そういうものは吐き出したところでその標準価格というものは洗い直してつくる、こういうことが精一ぱいでございまして、たとえ総理がそう言われても、一月から八月までの間の平均価格をもって標準価格とする——そういうことができるものもあるかもしれませんよ、しかしこういうわけにはいかないだろうということを私は正直に申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/161
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162・和田耕作
○和田(耕)委員 そのいまの田中総理のNHKの談話というのは、私ここに持っているのは毎日新聞の談話を紹介したあれを見ているのですけれども、これは各新聞におそらく載ったので、私も直接聞いたことだし、この新聞は、十一月二十九日のNHKの放送ですから、たぶん三十日でしょう。……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/162
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163・平林剛
○平林委員長 内田長官、一月から十月までです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/163
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164・和田耕作
○和田(耕)委員 これはいまおっしゃるとおり、一月から十月までの重要な物資の平均をとれという趣旨の総理のこの発言は、この中でうまい価格が出るということは私も思いません。思いませんけれども、総理も、基準をこういうところに求めたらどうなんだということですね。文字どおりこれでやれということを総理だって言っていやしない。つまり、政府がそういう自分の腹がまえなり基準を持たないで業界と話し合うと、これは業界のペースになりますよ、政府は知らないんだから、態度がないんだから。
ただ、たとえばセメントならセメントの一月から十月までの価格の動きがこうだ、この平均をとればこの額だ、そうすると、これを目安にして政府は標準価格をきめたいと思うんだがどうかというふうに話して、そういう態度をとっておれば、業界と話し合うことは当然でしょう。業界と話し合って業界が納得しなければ、なかなか末端までその価格を守ることはできないでしょう。守れなかったら、これを取り締まるような人がおれば別だけれども、人なんかおりはしない。公取がいまいろいろなことをやっておられるけれども、おそらく公取はいまねじりはち巻き以上の努力の連続でしょう、いろいろなあれをやっていて。そういうときには、業界と話をつけて、そして業界のいろいろな組織を通じて価格を守らせるということも一つの案です。
その場合には、しかし政府として業界の言うままにならないような基本的な態度が必要です。そういう態度の一つの目安として、一月から十月までの平均価格というものは確かに一つの目安になると思う。そういうものを政府として自主的に持たないと、今後ますます重要になってくるこの価格決定の問題について、国民の期待に沿われないのじゃないか、こういうことを申し上げておるわけです。
そこで、その問題と関連をして、長官もおっしゃるように、生産費を、あるいは適正利潤を中心にして、いろいろ取引の事情なんかも勘案して標準価格をきめるとおっしゃる。きめた場合に、それでは、この価格は千円なら千円のうちで生産費はどれくらいになっています、適正利潤を何ぼ考えておりますということは明らかになさるでしょうね。その点をひとつお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/164
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165・小島英敏
○小島政府委員 ただいま私どもの考え方は、政府の責任においてそういう計算をいたしまして、これを標準価格とするということで、内訳等についての公開はいたさないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/165
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166・和田耕作
○和田(耕)委員 この公開は、第一段階の標準価格の段階ではいいのですけれども、第二段階になって、これを指示して、そしてこれがもし守らなければ相当の罰則を課するという場合には、やはり政府としては、その標準価格の問題について、原価が、これが何ぼ何ぼとこまかいことは必要でなくても、たとえば千円の中で、六百円はこれは生産費だ、あるいは二百円は適正利潤の評価だ、その他諸掛かりが何ぼだ、これぐらいのことをはっきりさせないと、これはいろいろいまでもずいぶん出ておる。つまり高値安定だとか、いろんな痛くない——痛いかもわからぬか、痛くない腹を探られることになる。その程度のことは——国民がそれを守らなければ罰則を課するのですから、そういう責任のあるものですから、政府としても、こまかい、微に入った原価の公表なんということは必要でないと私は思う。思うけれども、生産費は何ぼ何ぼだ、適正利潤は何ぼだというぐらいのところは示さないと、これは国民が安心してこれについていく、あるいは安心して法律を守っていく道ではないと私は思う。この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/166
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167・内田常雄
○内田国務大臣 私も、妙なことを言うようでございますが、同じ国会議員としてここに並んでおった者でございますから、あなたとたいへん違った考えを持つはずはないのです。しかし、そのやり方につきましては、これから政府部内においても論議をしていかなけるばならない面があると思います。
これは、ことばが言い過ぎましたらば直ちに取り消しますから、委員長にもひとつ御了承を得たいのでありますが、たとえば特定標準価格というものをきめますのに、人民管理的なきめ方をするというようなことは、とうてい私はできないところだと思いますので、その辺との関連においていろいろ研究をさしていただかなければならない面があると思いますので、その点はお含みおきいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/167
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168・和田耕作
○和田(耕)委員 その点はよくわかります。だから、私もこまかい原価計算が何ぼ何ぼというようなことを申し上げておるわけじゃありません。
ただ、標準価格というのは、一つの製品の標準的な品目でしょう。たとえば繊維の場合にいろいろなものがある。その中の標準的な品目を選ぶわけです。そうでしょう。そういうふうなことであれば、標準的な品目がどういうふうな根拠で標準価格がつくられたかということぐらいは、何かの形で明らかにしないと国民は安心できないということになるのじゃないか。その点については、ひとつ一くふうも二くふうもしていただきたいと私は思います。いかがでしょうね。私はできぬことはないと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/168
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169・小島英敏
○小島政府委員 課徴金を取ります場合の相手方に対しましては、この十条の三項に一種の宥恕条項というのがございまして、いろいろしんしゃくしなければならない事情というようなものは考えるわけでございます。ですから、そういう人に対しては、政府の特定標準価格というものがこういう内容なんだということは、当然言わなければいかぬと思いますけれども、一般的にこれを公表するということは、現在の段階では私どもは考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/169
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170・和田耕作
○和田(耕)委員 まあその点は、ひとつ今後とも慎重に、そして前向きに検討なさらないと、国民は安心しないし、政府を信用しないといけないわけです。だから、私は微に入り細にわたって原価を出せなんということを言っているのじゃありません。したがって、この法文にも原価と書かないで、「生産費」と書いてある。原価とは書いてない。生産費ということになれば、いろいろなものが合わさってくる。それぐらいのものは、やはり国民に示していかないと、政府を信頼する重要な第一歩がおかしくなるという感じを持つので、その点については特に御検討をいただきたいと思います。御検討いただけるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/170
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171・内田常雄
○内田国務大臣 決してことばを返す意味ではございませんが、和田さんがそれだけのことをおっしゃっておりますことは、速記にも残りますし、私はもちろん、ここにおる政府委員もみな聞いておるわけでありますから、そういう傾聴すべき御意見があられたことを私は銘記をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/171
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172・和田耕作
○和田(耕)委員 それから標準価格と関連してもう一つお伺いしておきたいのですが、これは先ほど局長もちょっとお触れになっておられましたが、標準価格の第一段階と特定標準価格という第二段階——この法文では、第一段階を経て、それでも効果がなければ第二段階へ移るという法文になっていると思いますけれども、物によっては、もう最近のような事態になると、第一段階でゆっくりやっている時間がない、直接に第二段階に入るという状態もあり得ると思うのですが、これはこの法文との解釈でどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/172
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173・小島英敏
○小島政府委員 法文上は、必ずしも第一段階を経なければ七条にいかないということになっておりませんで、「第三条から前条までに規定する措置を講じてもなお指定物資の価格の安定を図ることが困難であると認められる場合において、」ということでございますので、認めれば直ちに第二段階に入り得るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/173
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174・和田耕作
○和田(耕)委員 それでは、第一段階を経ないで直ちに第二段階に入ることもできるというふうに理解していいですね。これは非常に重要な点で、まあ私、しろうととしてこの法文を読めば、第一段階を経なければ第二段階に進んでいけないものかというふうな感じを受けたもので特にお伺いしたいのですけれども、それは間違いないですね、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/174
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175・内田常雄
○内田国務大臣 政府委員が答弁をいたしましたとおりでよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/175
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176・和田耕作
○和田(耕)委員 それでは、次に所得政策の問題に触れてみたいと思うのですけれども、私が六月に小坂さんに質問したときは、企業が大きな利潤を得ておるものに対して、利潤の制限をする必要がありはしないかということを中心にして質問をしたのに対して、小坂さんは、国民生活安定法のようなものを考えておりますという答弁でした。これは幾つかの新聞でかなり大きくあれしておりますから私も記憶しておるのですけれども、つまり価格をきめるということは、企業の利潤の一番重要な要件の一つなわけです。しかも、それを守らせるということによって、企業の利潤は非常に制限されてくるわけです。そうですね。また、価格をきめるということは、価格の重要な要素になっている労働賃金に対しても間接的なかなり大きな影響を持つということです。そうでしょう、価格をきめるというわけですから。
つまり、この国民生活安定法というものは、所得政策をやらぬとかやるとかいうこととは別に、物価と利潤と賃金に対して大きな影響を持つ、ある意味で決定的な影響を持つ要素に対して政府が介入を始めたということになりはしませんか。その点、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/176
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177・内田常雄
○内田国務大臣 私はたいへんむずかしい答弁をしなければならないことになるわけでありますが、お答えを少しわきにそらさしていただきますけれども、わが国では、これまでのところ、所得政策は、それに踏み込むことには、国民的の合意ができていないんだということを前提としてこの所得政策の問題を取り上げておりますから、いま和田さんからそういうお尋ねがせっかくございましたが、私がここで、これは総理大臣のインフレ論と同じような政治的影響を持つものですから私が申し上げるのでありますが、お説のとおり所得政策に踏み込んだことになりますという御答弁は申し上げることができないし、私がまだそこのところを突き詰めておりません。ですから、私は所得政策があるとかないとかいうことをここで申し上げませんが、たいへん考えさせられるところがあるということだけをお答えをさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/177
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178・和田耕作
○和田(耕)委員 私は、所得政策というものがただ労働者の賃金を抑圧するというイメージがあるので、これは間違ったイメージだと思います。したがって、この際、政府も何か問題の焦点をはずさないで、いまの状態の非常な困難さを考えてみれば、もっとまともに正しい政府の態度というものを表明する必要があると私は思うのです。
私は正しく理解された所得政策は必要だと思います。つまり、価格の統制というものは、一番効果のあるのは価格の凍結ですよ。ある時点で価格を凍結するということは、一番効果のあることです。この妙な、標準価格をきめるとかなんとかいうことは、非常にむずかしい。しかし、ある時点で価格を凍結する、この時点において価格に対する基本的な政策を打つ、したがって、凍結ですから臨時的なものになる、こういう態度は私は必要だと思います。単にそれが労働賃金の抑圧ではむろんない。労働賃金の抑圧は一番最後でよろしい。一番あと回しでよろしい。まず利潤の制限だ、あるいは凍結で利潤の制限だというふうなことで、そして最後にその労働賃金のほうに対して合理的な形の手を打っていく。つまり、こういうことを考えなければならないような事態ではないですか、いまの事態は。卸売り物価が二〇%以上、小売り物価が一五%、しかもこれがますます大きくなっていく、こういう事態を前にして、その事態が深刻であるという認識があれば、私は当然そういう問題について考えなければならない時期ではないかと思う。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/178
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179・小島英敏
○小島政府委員 確かになかなか深刻な事態でございますけれども、私どもは、その意味で、こういう法律をつくりましたからすべて問題が解決するとは考えていないわけでございまして、やはり石油の供給削減に伴う供給力の減少に見合って、総需要を一日も早くそれに合わせて調整するということが、一番基本的な物価対策であると思います。そういうものに対して、やはり十分でない場合もございますし、補完的な意味を含めて、こういう法律が必要である、しかも、最悪の事態に対しました場合には、おっしゃるような意味で、まさに物統令的なものを考えざるを得ないというふうな位置づけをしておるわけでございます。
それから、おっしゃることもわかりますけれども、ストップ令というのは、先ほど申しましたチェック機能とも関連いたしまして、はたして、ある店がある日にどういう値段で売っていたかということをチェックすることが非常にむずかしゅうございます。いたずらに正直者がばかをみて、不正直な人が値をつけかえてもわからないわけでございますから、実際問題として、これはやることが非常にむずかしい問題であるというふうに思います。
それから、先ほど私の答弁に関連いたしまして、和田先生のおっしゃった点に関してちょっとお答え申し上げますけれども、私も、まさに、石油問題が解決すれば、またがってのように高度成長が可能であるというふうには考えておりません。どうしてもやはり石油の供給というものは今後制限的になっていくということは、十分予想されますので、ただ、その場合に、かりに年に六、七%とか八%とか、その程度の物的な成長率が可能であるようなことであれば、これはいまのような、この法律で考えているような最悪の事態に適応した体制をとらなくても、これは合理的な総需要調整で十分調整し得ると思います。
問題は、これからもし石油の削減がさらに大幅になっていくという場合に対して一番困ります点は、その短期間の間、成長率がむしろ縮小再生産と申しますか、その過程が一番苦しいわけでございまして、そのあと、ある程度の石油の供給が増加の傾向に少しずつでもふえていきますれば、これは成長率は低ければ低いなりに、適応することは決して不可能ではないと思うわけでございます。その意味で、先ほど私が申しましたチェック機能に関連して、大幅な増員等を用意するかどうかが非常に問題だと申しましたのは、決して、のど元過ぐれば、あとは前のようなフリーな成長が可能になるというふうに考えているわけではないということを申し添えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/179
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180・和田耕作
○和田(耕)委員 まあ、局長さんのおっしゃることはわからぬじゃないし、こういう問題について局長さんの御見解というものは、やはり重要な政治決定の問題ですから、あなたそうおっしゃるけれども、来年の一月、二月の段階で物価の凍結令が出ないと保証できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/180
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181・小島英敏
○小島政府委員 そういうことにならないように、全力をあげねばいけないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/181
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182・和田耕作
○和田(耕)委員 まあ、そういう政治的な答弁はもうそれでいいんですけれども……。
それで、私ももう時間もありませんのであれをしたいと思いますが、いまの小島さんもおっしゃったとおり、石油の問題は非常に重要であり、また今後石油がいままでどおり来るなんということは、私はほとんどないと思うし、また、あまりおべっかばかり使って石油をもろうたって、これは他の意味でおかしなことがある、私はそう思いますよ。
このアラブ石油戦略でもって、世界は今後の資源、経済的な権力外交に転化しておる、これが食糧であり、鉱物資源であり、いろいろな資源で権力外交に振り回されてくる、この見通しのほうが正しいと私は思う。そういうふうな意味で、通産省としても経済企画庁としても、本格的に日本にある資源の利用というものを考えなければならぬと私は思うのですけれども、この腹のくくり方も、いまの事態の認識のしかたにかかってくるわけですよ。
そういうふうな意味でお聞きしたいのですけれども、石炭の増産の問題あるいは太陽熱の利用の問題核の利用の問題、この現在の状態がどういうところにあるのか、将来どういうところまで持っていけるのかということについて、ごく大ざっぱでいいですから、ひとつはっきりした政府としての見通しを——見通しというのか、なければないでいいんです。ないかもわからない。それから、あればどういうふうなものになるのか、そのことをお伺いしたい。
その前に、私は先ほど忘れておったのですけれども、大蔵大臣がきょう来てもらえると思ったのですが、大蔵政務次官がいらっしゃっていますから、先ほどの所得政策の問題ですね。中川さんは非常に正直で大胆な方ですから、大蔵省としての考え方をぜひともきょうお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/182
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183・中川一郎
○中川政府委員 物価問題は、今日、日本にとってたいへんなことでございますから、必要があれば所得政策もあえて辞さないという姿勢は必要であろうと存じます。
ただ、今日の物価高の原因として考えられますものは、コスト要因として、海外の物価高ということが非常に大きく原因いたしております。国内的には需給要因が国内総需要の拡大を大きくして、拍車をかけて大きな物価高になっておる。でありますから、現在としては、何よりも何よりも総需要の抑制ということを中心にしてやるべきだ。和田先生御指摘の、今度の安定法案によって物価に介入をするということは、これは所得政策ではないかというお尋ねでありますが、いわゆる所得政策ではない。国民が心配いたしておりますのは、何か労賃をカットするのではなかろうかということでありますから、そこまではいく必要はない。
しかし、所得政策というのは、御承知のように、賃金に、利潤に、そうして最終的には価格、この三つのものを抑制するところが所得政策のねらいでありまして、緊急避難とはいえ、今回価格に介入したということは、大きな意味、広い意味で言うならば、そういうことがあるいは緊急避難として考えなければならない事態になってきた。
ただし、先ほどから言いますように、所得政策に踏み切ったといいますと、何か労賃をカットするというようなことになりますと、まだまだ国民の合意を得られる段階ではありませんから、そのことばの使い方については慎重を期していかなければならない、こういう考え方を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/183
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184・木下亨
○木下説明員 石油にかわる代替エネルギーの見通しでございますけれども、私のほうでは、来年度からサンシャイン計画と銘打ちまして、太陽エネルギー、それから地熱、それから石炭のガス化、液化並びに、二次エネルギーでございますが、水素エネルギーの開発をやろうと思っております。
それで、特に太陽のお尋ねがございましたけれども、太陽エネルギーにつきましては、いままで工業技術院の研究所で基礎的な研究をやってまいりまして、来年からひとつ本格的に取り組みたい、こう思っております。
それで、この太陽エネルギーの利用のしかたは、一つは冷暖房でございます。それから一つは発電でございます。それで、冷暖房のほうにつきましては、昭和五十五年ごろまでに本格的なシステムを開発をいたしたい、こう思っております。それから発電のほうにつきましては、十万キロワットクラスの発電をいたします技術を昭和六十年ごろまでに、それからもっと大規模な、たとえば百万キロワットといった大規模のものを昭和七十五年までに開発をいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/184
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185・和田耕作
○和田(耕)委員 もう私に与えられました時間が来ましたからこれで終わりますけれども、長官、ぜひともひとつこの事態に対して——それは田中さんはああいう性格の人ですから、成長という看板をつけたような人ですから、やはり成長の時代というものがいよいよ倒れる直前までそういうことをお考えになる人じゃないかと思うので、そういうことでは、いまの経済の非常に苦しい場面というのは切り抜けることはできない。もっといまの状態を深刻に受けとめて、いままでの成長の時代は終わったのだ、今後成長率が二%か四%か六%か知らないけれども、いままでとは違った体制に入っていかなければならない、少なくとも経済の場面ではかなり効果のある計画と統制というものが採用されなければならない、そういう意味で、この法案はかなり重要な意味を持っていると私は思います。経済でそういうことがあったとしても、それは国民生活が自由でありたいために私どもはこれをやるわけですから、経済で統制をやることが社会全体の統制に入っていくわけではないのですから、お互いの国民の自由を確保するために経済の部面で必要な統制に入っていくわけですから、田中さんもよく言っておるが、こんなことはやりたくないけれども、まさかのときの準備なんだという考えではこれはいけないのです。もう資本主義経済の一つの大きな壁に入っている、この壁からまた共産主義の国に行くなんてことは思っていないし、そんなことをやってはいけないと私は思っておる。それだけに、このような新しい統制のやり方全体のスケールがどういうものになるかはっきりしないけれども、もっと統制と計画に対して確信を持ってもらいたい。そうでないと、この時世はやっていけませんよ。やがて自由に返るなんてことを考えてこういう——第一、これは法規自身の運用ができませんよ。そのことを特に強く要望しまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/185
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186・平林剛
○平林委員長 次回は、明十二日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後九時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00419731211/186
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