1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年二月二十八日(木曜日)
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議事日程 第十三号
昭和四十九年二月二十八日
午後一時開議
第一 皇室経済法施行法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
第二 裁判所職員定員法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
第三 森林法及び森林組合合併助成法の一部を
改正する法律案(第七十一回国会、内閣
提出)
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○本日の会議に付した案件
議員請暇の件
日程第一 皇室経済法施行法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
日程第二 裁判所職員定員法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
日程第三 森林法及び森林組合合併助成法の一
部を改正する法律案(第七十一回国会、内閣
提出)
郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
町村自治大臣の昭和四十九年度地方財政計画に
ついての発言及び地方税法の一部を改正する
法律案(内閣提出)及び地方交付税法の一部
を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及
び質疑
午後一時五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/0
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001・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。
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議員請暇の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/1
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002・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 議員請暇の件につきおはかりいたします。
不破哲三君から、海外旅行のため、三月七日から十七日まで十一日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/2
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003・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
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日程第一 皇室経済法施行法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/3
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004・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 日程第一、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/4
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005・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長徳安實藏君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔徳安實藏君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/5
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006・徳安實藏
○徳安實藏君 ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、内廷費の定額一億一千二百万円を一億三千四百万円に、皇族費算出の基礎となる定額一千万円を一千二百十万円に、それぞれ改定しようとするものであります。
本案は、一月二十六日本委員会に付託され、二月十四日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、二月二十一日質疑を終了、二月二十六日討論に入りましたるところ、大出委員より日本社会党を代表して反対、中路委員より日本共産党・革新共同を代表して反対の意見をそれぞれ述べられ、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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007・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/7
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008・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第二 裁判所職員定員法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/8
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009・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 日程第二、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/9
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010・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 委員長の報告を求めます。法務委員長小平久雄君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔小平久雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/10
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011・小平久雄
○小平久雄君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理をはかる等のため、判事補二人、簡易裁判所判事三人及び裁判官以外の裁判所職員二十五人を増員しようとするものであります。
当委員会においては、二月十二日提案理由の説明を聴取した後、慎重審議を行ない、二月二十六日質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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012・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/12
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013・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第三 森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案(第七十一回国会、内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/13
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014・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 日程第三、森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/14
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015・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長仮谷忠男君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔仮谷忠男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/15
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016・仮谷忠男
○仮谷忠男君 ただいま議題となりました森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、森林の有する公益的機能を維持増進し、適正かつ合理的な森林施業を確保するとともに、森林組合制度の改善強化をはかるため、森林計画制度、森林組合制度等に所要の改正を行なおうとするもので、そのおもな内容は、
第一に、全国森林計画の中に流域別計画を樹立すること等、森林計画制度を整備すること。
第二に、民有林における一定規模以上の開発行為について、都道府県知事の許可制を導入すること。
第三に、伐採の届け出制を強化すること。
第四に、森林施業計画の認定制度を拡充すること。
第五に、森林組合、同連合会の事業範囲を拡大し、管理運営体制を強化すること。
第六に、森林組合合併助成法の合併に関する計画の認定制度につき、適用期間を昭和五十三年三月三十一日まで延長すること。
等であります。
本案は、昨年の第七十一回国会に提出され、七月十一日の委員会において政府から提案理由の説明を聴取した後、特に田中内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行ない、また、参考人の意見を聴取する等、慎重に審議を行なった後、継続審査となったものであります。
前国会の閉会中には、本改正案の内容に関連して現地調査を行ない、引き続き今国会におきましてもさらに慎重な審議を重ね、二月二十七日質疑を終了し、委員長提案により、民有林の開発行為の許可基準の適用にあたっては、森林の保続培養及び森林生産力の増進に留意しなければならないこと等につき修正を加え、本案は全会一致をもって修正すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/16
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017・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/17
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018・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
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郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/18
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019・森喜朗
○森喜朗君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、内閣提出、郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/19
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020・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/20
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021・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/21
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022・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 委員長の報告を求めます。逓信委員長廣瀬正雄君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔廣瀬正雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/22
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023・廣瀬正雄
○廣瀬正雄君 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本案は、郵便貯金の預金者貸し付けの制限額を引き上げることを内容とするものであります。
現在、郵便貯金の預金者貸し付けの制限額は、一人につき十万円でありますが、預金者から引き上げについての要望も強く、最近における経済情勢にかんがみまして、日常生活の不時の出費をまかなうための資金として十万円では低きに失しますので、これを二十万円に引き上げて、預金者の利益を増進しようとするものであります。
なお、この法律の施行期日は、公布の日となっております。
逓信委員会におきましては、去る一月三十一日本案の付託を受けまして、二月二十日原田郵政大臣より提案理由を聴取し、慎重に審査したのでありますが、本日質疑を終了し、討論もなく、採決をいたしました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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024・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/24
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025・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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町村自治大臣の昭和四十九年度地方財政計画についての発言並びに地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/25
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026・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) この際、昭和四十九年度地方財政計画についての自治大臣の発言を許し、あわせて、内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣町村金五君。
〔国務大臣町村金五君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/26
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027・町村金五
○国務大臣(町村金五君) 昭和四十九年度の地方財政計画の概要並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
昭和四十九年度の地方財政につきましては、最近における物価上昇、石油問題等内外の経済情勢の推移と地方財政の現状にかんがみ、地方財源の確保に配慮を加えつつ、国と同一の基調により、総需要の抑制に資するため、公共投資をはじめとする歳出を極力圧縮するとともに、財源の重点的配分と経費支出の効率化につとめ、地域住民の生活の安定と福祉の充実をはかるための施策を推進することを基本とし、あわせて経済情勢の推移に応じて地方財政の機動的、弾力的な運用をはかり得るよう措置する必要があります
昭和四十九年度の地方財政計画は、このような考え方を基本とし、次の方針に基づいて策定することといたしました。
第一は、地方税負担の現状にかんがみ、個人の住民税及び事業税、小規模住宅用地の固定資産税等について、その軽減合理化をはかることであります。
また、市町村民税法人税割の税率の引き上げ等により地方税源を拡充強化するとともに、自動車取得税の税率の引き上げ並びに地方道路譲与税及び自動車重量譲与税の増強により、地方道路財源の確保をはかることとしております。
第二は、地方財政の状況等を考慮し、地方交付税について、昭和四十九年度の特例として、交付税及び譲与税配付金特別会計の借り入れ金残高に相当する千六百八十億円の減額調整を行なうとともに、引き続き沖繩県及び同県市町村に対して交付すべき地方交付税の財源に資するため、臨時沖繩特別交付金三百二十一億円を国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることとしております。
第三は、総需要抑制の見地から地方債の発行額を極力圧縮するとともに、地方債資金における政府資金の構成比率を高めるなど地方債の質的改善をはかることとしております。
第四は、総需要抑制の要請を踏まえつつ、住民生活の安定と住民福祉の充実のための施策を重点的に推進することとし、地方交付税、地方債、国庫補助負担金等の重点的配分をはかることであります。
このため、各種社会福祉事業、教育振興対策、消防救急・公害・交通安全対策、消費者行政等の充実をはかるとともに、上下水道、廃棄物処理施設、教育施設、社会福祉施設、住宅等生活関連公共施設の整備のための事業を重点的に進めることとし、また、人口急増地域及び過疎地域に対する財政措置の拡充をはかることとするほか、土地開発基金の計上等により公共用地の先行取得及び公有地の拡大に資することとしております。
第五は、地方公営企業について、病院事業の不良債務解消のための新たな助成措置、交通事業の経営の再建等、その経営の健全化を積極的に推進する措置を講じ、経営基盤の強化をはかることであります。
第六は、超過負担の解消措置等により、地方財政の健全化及び財政秩序の確立をはかるとともに、新たに財政調整資金を計上する等、地方財政の弾力的な運用をはかり得るようにするための措置を講ずることとしております。
以上の方針のもとに、昭和四十九年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は、十七兆三千七百五十三億円となり、前年度に対し、二兆八千二百四十三億円、一九・四%の増加となっております。
次に、地方税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
明年度の地方税制の改正にあたりましては、地方税負担と地方財政の現状にかんがみまして、
第一に、個人の住民税及び事業税、小規模住宅用地にかかる固定資産税等について負担の軽減合理化をはかること。
第二に、市町村民税の法人税割及び自動車取得税の税率を引き上げ、地方税源を充実強化することをその重点といたしております。
以下、その概要について御説明申し上げます。
まず、個人の住民税につきましては、住民負担の軽減をはかるため、課税最低限を引き上げることとし、基礎控除の額を二万円、配偶者控除の額を三万円及び扶養控除の額を二万円引き上げることといたしました。
次に、事業税につきましては、個人事業者の負担の軽減をはかるため、事業主控除額を百五十万円に引き上げるとともに、中小法人に対する負担の軽減をはかるため、軽減税率の適用所得の範囲を拡大することといたしました。
また、固定資産税につきましては、二百平方メートル以下の小規模な住宅用地にかかる課税標準をその価格の四分の一の額とし、その額が昭和四十八年度の課税標準となるべき額をこえるときは、昭和四十九年度及び昭和五十年度は、昭和四十八年度の課税標準額に据え置くこととするとともに、個人の所有する非住宅用地にかかる昭和四十九年度及び五十年度の固定資産税額は、原則として前年度の課税標準となるべき額の一・五倍の額を限度として算定した税額とすることといたしました。
さらに、法人の住民税につきましては、市町村税源の充実に資するため、市町村民税法人税割の税率を一二・一%に引き上げるとともに、道府県民税法人税割の税率を五・二%に改めることとし、また、自動車取得税につきましては、地方道路財源の拡充をはかるため、自家用自動車にかかる税率を五%に引き上げることといたしております。
このほか、ガス税の税率の引き下げ、自動車取得税、電気税及びガス税の免税点の引き上げ、料理飲食等消費税の基礎控除の額の引き上げ、発電所にかかる固定資産税の課税標準の特例措置の廃止等、各税を通じて負担の適正合理化をはかるとともに、地方税制の合理化をはかるための規定の整備等所要の改正を行なうことといたしております。
以上の改正により、昭和四十九年度におきましては、個人の住民税における千七百七十三億円をはじめ、合計三千六百六十三億円の減税を行なうこととなりますが、一方、市町村民税法人税割の引き上げ等により千九百三十一億円の増収が見込まれますので、差し引き千七百三十二億円の減収となります。
次に、地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
昭和四十九年度分の地方交付税の総額については、さきに昭和四十九年度の地方財政計画の概要で御説明申し上げましたとおり、現行の法定額から千六百八十億円を減額調整する特例規定を設けることといたしました結果、総額三兆四千百四十四億円で、前年度に対し五千七十億円、一七・四%の増加となっております。
また、昭和四十九年度の普通交付税の算定にあたっては、地方財政計画の策定方針に即応して、社会福祉水準及び教育水準の向上に要する経費の増額をはかるとともに、住民生活に直結する公共施設の計画的な整備を進めるほか、過密・過疎対策、交通安全対策、消防救急対策、消費者行政等に要する経費を充実することとしております。さらに、公有地の拡大等に資するため、土地開発基金費を設けるとともに、社会経済情勢の変動に対処して弾力的な財政運営を行なうことができるよう新たに財政調整資金費を設けることとしております。
以上が昭和四十九年度の地方財政計画の概要並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
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昭和四十九年度地方財政計画についての発言並びに地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/27
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028・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山田芳治君。
〔山田芳治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/28
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029・山田芳治
○山田芳治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま国会に提出されております地方財政計画と、それに関連して、長年の懸案である地方団体の超過負担について、特にいわゆる摂津訴訟に触れつつ、総理はじめ関係閣僚にお尋ねをいたしたいと存じます。(拍手)
わが国内政の大部分は、全国三千三百有余を数える地方自治体を通じて行なわれております。昭和四十九年度国家予算案十七兆九百九十四億に対し、地方財政計画額は十七兆三千七百五十三億と国家予算を上回っており、国と地方の租税収入の実質的配分は、四十八年度当初予算において租税総額十七兆三千億のうち、国税十一兆七千億、六七・八%、地方税五兆五千億、三二%で、七対三となっております。他方、支出の実質的な配分を見ますと、国は四兆九千億、二八・二%、地方十二兆四千億、七一・七%で、三対七と、完全に逆転をしております。その四が、交付税、国庫支出金、譲与税として国から地方に配分をされるということを見ましても、いかに地方団体がわが国内政の中で重要な役割りを果たしているかが一目りょう然であります。また、国民の多様化した要求、不満は、国の事務であろうといなとにかかわらず、住民は身近の地方自治団体に持ち込むのであります。国民の国に対する要求に地方自治体が時宜に適した処置によってこたえているという、国に対するクッションの役割りを果たしているのであります。しかるがゆえに、わが国の地方自治が、憲法にいう地方自治の本旨に従った制度運営が保証されているかどうかということが今日ほど問われているときはないし、「地方自治は民主主義の学校であり教師である」というジェームズ・プライスのことばをあらためて考え直すときであろうかと存ずるのであります。
本来、地方自治体は住民福祉の積極的向上をはかることをその存立目的としているものであり、高福祉社会の早期実現が国民的課題である今日、地方自治体の果たす役割りはますます重要度を加えております。狂乱物価、悪性インフレ、つくられた物資不足の中で国民の不満が山積しているとき、景気の状況等にかかわりなく、地方自治体が弾力的な行政対応で国民の不満を少しでも解消できるような措置を国において講ぜられるべきであると存ずるわけであります。
昭和四十九年度地方財政計画は、その策定方針として、総需要を抑制して物価の鎮静をはかる、住民負担の軽減合理化、地方税源の充実強化、経済情勢の推移に応じて地方財政の機動的、弾力的運用、地域住民の生活安定と福祉の充実をはかるということを申しておりまして、先ほど申しました総額十七兆三千七百五十三億、前年度比一九・四%増となっておりますけれども、内容的にはきわめて不十分であります。
その第一は、超過負担の解消が不十分であるということであります。第二番目は、地方税源、地方債に対する配慮が十分でないことであります。第三に、福祉面における地方単独事業に対する配慮が不十分であることであります。
以下、具体的にその点を指摘して、総理以下関係大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
もともと地方財政計画は、地方交付税法の第七条の規定に基づいて国会に提出をされているわけでありますが、これは地方団体の財政運営、予算編成の指針となるべきものであるわけでございますが、現実の決算との間には二割以上の乖離、ギャップがございます。
昭和四十七年度を例にとりますと、地方財政計画は十一兆七千億でありましたが、決算額は十四兆六千億でありまして、その差が二兆八千億あり、何と二四%も決算額が上回っております。この原因の一つは、歳出において、超過負担を含め地方単独事業等の実態が生かされていない、歳入において、地方税及び地方債の強力的な運用というものが反映されていないという点であります。
まず、超過負担について、昨年、大阪府摂津市において保育所の建設費について訴訟が提起されまして、全国から注目されております。これが最も代表的でございますので、その問題の実情を申し述べ、質問を申し上げたいと思います。
児童福祉法と同施行令によりますと、保育所の建設費については、実支出額の二分の一を国が負担するということになっておりますが、国の負担額の実態は、昭和四十七年度までは打ち切り、しかもそれが百万円から数百万であります。実支出額は、昭和四十四年度においても二千万円以上をこえていたのが、各地方自治体の実態であります。昭和四十八年度は、訴訟が提起された関係で相当改善されたといいますけれども、四千万円をこえる実支出額に対し六分の一、一千四百四十三万円の、しかもその二分の一というような実態であります。このような実態の中で、政府は、超過負担があるということを認めていながらも、事務手続が十分でないというので、これを拒否しているのであります。
過日、総理は施政方針の演説で、過去の行きがかりにこだわることなく、反省すべきは率直に反省し、改めるべきは謙虚に改めると申されましたが、保育所、公立文教施設、公営住宅等についての超過負担にあえいでいる地方自治体十数年来の悲願ともいうべきこの問題について、新たに法律を制定して、公的時効期間である五年の過去にさかのぼって超過負担分を支払うべき考えがあるかないかを率直にお聞かせをいただきたいと存じます。(拍手)
次に、四十九年度の予算単価を見ますと、たとえば公立文教施設中、小中学校校舎単価は一平米六万一千七百円であります。ところが、過日、大阪府下で四十八年度の実績報告がなされておりますが、それによりますと、九万九千八百六十六円となっております。昭和四十八年度で四十九年度の単価をすでに上回っているのでありますから、予算額はあくまでもこれは積算単価であって、実際の交付を決定する際は実情に合った単価にされるかどうかということを、大蔵大臣に御所見をお伺いいたしたいと存じます。(拍手)
次に、政府は、昨年の十二月二十六日、突如、児童福祉法施行令第十五条を改正しました。保育所を含む児童福祉施設の設備に要する費用の国庫負担は、厚生大臣の承認を受けた児童福祉施設に限るということ、その算定は、厚生大臣が定める単価数量を基準にする、こういう二点を改正されたのでありますが、改定前の同令が、すべての児童福祉施設、また、設備費の国の負担算定基準は実精算額であったということと比較いたしますと、まさに改悪であり、超過負担を自治体にしい、低福祉高負担を政府みずから明確にしたものであります。しかも、年末という時期を選んで改悪したことは、何かの意図があったのではないかと疑問を持たせる、まことに遺憾きわまりない処置といわざるを得ません。政府が超過負担解消をほんとうに行なう意思があるならば、改正前の政令どおり、実負担額を負担することから始めるべきが至当であると思いますが、この真意は一体どこにあるのか、総理の御所見を承りたいと存ずるわけであります。(拍手)
また、児童福祉法によりますと、保育所設置は義務化されていないのであります。ところが、市町村長は、機関委任事務として、保育に欠ける児童を保育所に入れて措置をする義務があります。それでは、法律的にいって市町村長が措置をする義務があるにかかわらず、どこへ入れていいのかが法制的に明らかでありません。これについての厚生大臣の御意見をいただきたいし、国民経済に適合した総合的に樹立された計画ということが地方財政法十条の二にあって、これによって児童福祉施設に対する補助をしておるのでありますが、具体的に、そういう国民経済に適合した総合的に樹立された計画の児童福祉施設の内容についてお伺いいたしたいというふうに存ずるわけであります。
次に、委託費についてお伺いをいたします。
外国人登録事務、あるいは国の用に供する統計に関する事務については、全額国が負担をして、地方が負担をする義務がないとされているのでありますけれども、現実には昭和四十八年度三千四十三人の職員が配置されており、これが二十五年でやめるとするならば、毎年百数十人が退職をするのでありますが、これの退職手当、あるいはまた、地方団体がこれら職員のために負担する共済金あるいは超過勤務手当についても何ら支払われていないのであります。地方財政法十条の四の違反ではないかと存ずるのでありますが、大蔵大臣及び自治大臣の御見解を求めます。
以上、超過負担の解消についての問題点を述べてまいりましたが、先述のように、予算編成後も卸売り物価の値上がりははなはだしく、去る二十日現在では三六・七%も上がっているという現在の情勢で、政府は、昭和四十九年度において実態調査の上、単価については実勢単価を把握し、対象については十分取り入れて、抜本的な対策をとられる意思があるかどうかということを総理にお伺いいたしたいと存じます。
次に、地方財政計画について伺います。
地方財政計画は、先ほども言いましたように、その年の通常規模の地方財政を描いたのであって、現実には税収や地方債、特にワク外債の活用によって計画外でまかなわれているわけでございます。昭和四十九年度の税収は、計画ベースでは三〇%増でありますけれども、実際の決算から見ますと、昭和四十八年度決算に比べて一〇%程度の増しか見込まれていないのであります。また、地方債については、政府はワク外債を原則として認めないと言われておるのでありますから、来年度の地方財政は非常に苦しい状態になると言ってよいでありましょう。これでは、地方自治体が先ほど申した住民の要求にこたえることができないのみならず、福祉向上、特に生活関連社会投資がますます今日ほど求められているときがない状況の中で、総需要抑制の必要性は認めますけれども、国とすべて同一基調をとるということについては、私たちは納得がいきません。
総理は、地方団体の財政需要を押えなければいけないということを過日発言されたと新聞に載っておりましたが、地方単独事業の抑制を強く言われる総理が、地方の以上のような特殊な立場について、原則は原則としながらも、弾力的な運用をされるべきであると存ずるのでありますが、いかがお考えになっておられるでありましょう。
また、ワク外債、縁故債については、毎年地方債計画の三分の一以上の額が許可をされることによって、地方団体は超過負担等の解消に当たっているのであります。不要不急のものは除くとしても、地方自治体の実情を勘案の上、適当な処置をとるべきであるというふうに思いますが、大蔵大臣及び自治大臣の御意見を承りたいと存じます。(拍手)
また、福祉事業について三〇%以上の伸びを見せていると申しますけれども、先ほど申しましたように、卸売り物価がすでに三六・七%も上がっている今日、この程度では、上乗せをしなければならない。地方自治団体の福祉事業では不十分であります。これについて、大蔵、自治両大臣の御見解をいただきたいと思います。
また、過疎貧弱町村については、非常に不十分な税制であり、不十分な地方財政計画になっておりますが、これについて自治大臣の御所見を伺いたいと存じます。
最後に、地方自治団体がわが国内政上において果たしている役割りの重要性にかんがみ、また、超過負担解消を含め、各地方団体の意見が自治省を通じて正しく反映されるよう、自治省の権限の強化、たとえば、起債の許可にあたっては、自治大臣のみで処理ができるとと、地方団体に対する国庫支出金の予算編成にあたっては、自治大臣の同意を条件とする等、自治大臣の権限を強化するとともに、自治大臣が権限を行使するにあたっては、民主的な保障を必要とするというように考えるわけでありますが、総理大臣及び大蔵大臣のこの問題についての御所見を伺って、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/29
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030・田中角榮
○内閣総理大臣(田中角榮君) 山田芳治君にお答えを申し上げます。
第一は、超過負担問題等についてでございますが、政府は、従来から地方公共団体の超過負担につきましてその解消につとめてまいったわけでございます。昭和四十七年度におきまして、公立文教施設整備等六事業について実態調査を行ない、その結果に基づいて、四十八年度に引き続き四十九年度において所要の是正措置を講ずることといたしておることは、御承知のとおりでございます。また、最近の建設資材の価格の急騰に対処いたしますために、四十九年度予算では、公立文教施設整備費等の予算単価を引き上げる等の措置を講じておるわけでございます。
次は、地方財政計画についての御発言でございますが、昭和四十九年度の地方財政計画は、総需要抑制の見地から歳出を極力圧縮しておることは、御承知のとおりでございます。また、財源の重点的配分と支出の効率化につとめて、地域住民の生活の安定と福祉の充実をはかるための施策を推進することを基本といたしておるのであります。したがいまして、教育、社会福祉、生活環境施設等地域住民の生活に直結した施設の整備にかかる単独事業費につきましては、その拡充をはかることにいたしております。
第三点は、国庫支出金の予算編成にあたって、自治大臣の権限を強化せよという趣旨の御発言についてでございますが、国と地方との間の事務配分、財源配分が適切に保たれ、国の財政と地方財政との間に適切な財政秩序が確立さるべきであることは言うまでもありません。政府といたしましても、従来からこの点について特に配意し、予算編成をはじめとして、機会あるごとに自治省及び関係省の間で隔意なき意見交換を行なっておるところであります。これを通じまして地方団体の意見は国の財政運営に適切に反映されておるものと確信をいたしておるのでございます。
残余の問題については、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/30
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031・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) まず、公立文教施設整備費の超過負担問題でございますが、四十九年度予算におきましては、これを解消するということを大方針といたしましてこれを編成いたしておるのであります。
そこで、一言申し添えたいのでございますが、この建築費の単価は、これはかかったものをそのまま採用する、こういうことじゃございませんです。全国的に見まして平均的な価格である、こういうことでございます。したがいまして、その平均的規格あるいは平均的資材、平均的工法、そういうものと違いのある規模、規格あるいは工法、資材、そういうものを採用した場合には若干の違いが出てくるということは、これは御了解願いたいのであります。
それから、とにかくいまこれだけの物価変動の時期でありますので、四十九年度予算執行上、超過負担問題というものが、予算で見ておるように的確にいくかどうか、そういう問題があろうかと思います。そういう際には、実情に応じ適当に対処していきたい、かように考えております。
なお、これに関連いたしまして、福祉施設費についてのお尋ねでございますが、これも同様な方針をもって臨みたい、かように考えております。
次に、委託費についてのお尋ねでございますが、もっぱら国の利害に関係する事務を委託する場合におきましては、経費はこれを全額国が負担いたします。これも超過負担の建設費の場合と同様でございまして、これは全国的に見まして平均的基準によるところの見積もりを採用する、こういうことにいたしておるわけでございます。
なお、委託事務執行職員のための退職金、共済負担金は、これは委託した業務に直接の関係があるものじゃございませんものですから、これは交付はいたさない、こういうたてまえをとっておりまするけれども、これは山田さんも御指摘のようにいろいろ議論のあるところでございまして、なお実態もよく調べてみまして検討する、かようにお答えを申し上げます。
次に、生活関連施設、文教施設に対しましては、ワク外債を弾力的に運用すべしと、こういろ御所見でございますが、これはそのとおり心得ております。地方財政につきましても、国の財政の総需要抑制方針、これに協力してくださる、こういうたてまえにつきましては私も感謝をいたしておりまするけれども、しかし、文教施設でありますとか、あるいは保育所等の生活関連施設でありますとか、公営住宅でありますとか、そういうものにつきましては、これは特例的に考えてまいりたい、かように考えております。
自治大臣の権限強化の問題につきましては、これは先ほど総理がお答え申し上げたとおりでございます。(拍手)
〔国務大臣町村金五君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/31
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032・町村金五
○国務大臣(町村金五君) 第一は、もっぱら国の利害に関係のある国の委託事務に要する経費についてのお尋ねでありましたが、これは全額国庫によって措置すべきものであるということは申すまでもございません。したがって、国の委託費につきましては、今後ともその改善をはかりまするように関係省庁と十分協議するなどの努力を続けてまいる考えでございます。
次に、明年度の地方債計画において、いわゆるワク外債というものを弾力的に運用すべきだというお尋ねでございます。
昭和四十九年度の地方債計画につきましては、先ほども申し上げたのでございますが、住民生活に直接影響のある事業を重点的に推進するという方針のもとに策定をいたしたのでございます。その運用にあたりましては、特に御指摘のような文教施設、公営住宅、保育所等、住民生活に関連の深い諸施設の整備につきましては、これが円滑に執行できまするように十分配慮してまいる考えでございます。
次に、過疎対策事業についてのお尋ねでございますが、地方財政計画上、過疎地域の各種の公共施設整備のための単独事業費を約二百七十億円増額いたしておりまするほか、国としては、生活環境の整備、産業及び教育の振興、医療及び交通の確保等をはかりまするために、これら過疎対策関係予算を充実いたしたような次第でございます。(拍手)
〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/32
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033・齋藤邦吉
○国務大臣(齋藤邦吉君) 保育所についてのお尋ねにお答え申し上げます。
保育所に対しまする補助金は、児童福祉法施行令という政令に基づき、毎年予算の範囲内で、通達によりまして保育所に対する補助基準を定め、補助をいたしておったのでございますが、こうしたやり方につきまして明確を欠く点がございましたので、昨年十二月、児童福祉法施行令の改正をいたしたものでございまして、今日までの実態を変更したものではございません。この点を御理解いただきたいと思います。
また、年末の改正は突如として行なわれたではないかということでございますが、昨年の十月ごろから施行令の改正の作業を進めてまいっておったのでございまして、たまたまそれが十二月になって成案を得たということでございまして、何の他意もないのであります。
なお、保育所に対する補助金につきましては、毎年改善をはかっておるわけでございまして、今後とも超過負担解消のために努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
なお、お尋ねの、市町村長は、児童福祉法によって、保育に欠ける児童を措置しなければならない、ところが施設の設置は任意ではないか、こういうことについてのお尋ねでございますが、この児童福祉施設の整備につきましては、私ども非常に力を入れている問題でございまして、昭和四十六年度から、社会福祉施設緊急整備五カ年計画というものをつくりまして、年次別、計画的に進めてまいっておるわけでございますが、最近における保育所の要望が非常に高まってまいりましたので、昨年来、社会保障基本計画策定懇談会において案を練っておりまして、さらに一そう拡充するような改定をいたしたい、かように考えておるような次第でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/33
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034・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 小川省吾君。
〔小川省吾君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/34
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035・小川省吾
○小川省吾君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案についての質問を行ないます。(拍手)
具体的な細部にわたる論議は委員会に譲るといたしまして、いま、ここでは、地方行財政の基本にかかわる問題からただしてまいりたいと存じます。
まず最初に、田中総理に対して、地方財政に関して三点にわたってお尋ねをいたします。
その第一は、地方自治をいかに確立強化するかについてでございます。
いま、国民は、かつてない悪性インフレによる物価の高騰のもとに苦しみあえいでおるわけでございます。国民の日常生活の周辺をになうところの地方行財政を強化充実をすることが、いまほど切実に要請されているときはないと思うのであります。私は、国民生活を向上させ、その福祉を守るには、地方自治の確立、とりわけ市町村の自主財源を強化する以外にはないと考えます。当面する内政最大の課題であると信じます。総理は、将来に向かって、自治体財源、とりわけ市町村財源の拡充強化についてどのように取り組んでいくつもりか、その決意のほどをまずお伺いいたしたいのであります。
第二点といたしまして、社会福祉諸施策に対する財源措置の強化についてであります。
社会福祉の充実については、田中内閣もその重点施策の柱の一つとしておるはずでございます。しかしながら、わが国の社会福祉は、先進諸国に比べて大きく立ちおくれている分野でございます。にもかかわらず、その実態は、国と地方の責任の所在及び経費の負担区分が不明確であり、地方に過大な財政負担を負わせているのが実情でございます。
いま一、二の例をあげるならば、国立コロニーと同じ性格の地方コロニーが、ほとんど各都道府県の費用でまかなわれているわけであります。この地方コロニーについては早急に法制化をはかるべきであります。また、これに対する補助も、実勢に即した総合補助金制度に改め、地方負担の軽減をはかるべきだと思うわけであります。
また、乳幼児、心身障害児・障害者等の医療費については、多くの自治体が、地域住民の切実な要請に基づいて、その人たちの経済的負担の解消のため公費負担をしているところであります。これは当然、老人医療費制度と同様に、これまた国保の重要な問題になっておりますけれども、少なくとも老人医療費制度と同様に、全国的な視野に立って制度化をし、早急に医療費の公費負担を実施していくべきだと思うわけであります。
地方の財政負担解消のため、これら社会福祉諸施策について、制度化あるいは従来より以上に大幅に財源措置を実施していかれる意思がおありかどうか、お尋ねをいたすところでございます。
第三点といたしまして、地方交付税率についてでございます。
現行の交付税率三二%は、昭和四十一年度以来据え置かれているわけであります。地方団体の超過負担がいよいよ増大をし、財政需要の激増に伴い、交付税制度の抜本的な改正、当面、税率の大幅引き上げが要請されるときだと考えますが、総理の見解をお伺いいたすところでございます。
次に、提案になりました両税の政府案とも国民の要求にほど遠いものでございますけれども、地方税法に関連をしてお尋ねしてまいりたいと思っております。大蔵大臣、自治大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
地方自主財源の充実強化をはかるため、今回、法人所得課税の市町村への配分割合を若干増加したことは理解できるのでありますけれども、大都市が、人口や産業の集中、集積によって、都市整備あるいは都市再開発に迫られ、多大の財政支出に苦しんでいることは、御承知のとおりであります。このため、地方制度調査会の答申や、あるいは地方関係団体から、事務所事業所税の創設が強く求められてきたにもかかわらず、なぜ今回その創設を見送られたのか、実施に踏み切れなかった理由は那辺にあるのか、明らかにしていただきたいところであります。
また、都道府県、大都市の公害対策の支出は年々増大をしてきております。その経費は、昭和四十六年度二千三百六十億円、昭和四十七年度三千二百億円、昭和四十八年度は四千億円をこえると見られております。この実情に対応する措置が必要であり、そのため、公害対策目的税としての重油消費税の創設が強く望まれています。公害目的税を創設する意思があるかどうか。この創設に踏み切る以前において、少なくとも譲与税等の国と地方との配分を変更する意思があるかどうか、お尋ねをいたすところでございます。
次に、課税最低限についてでございます。
今回、所得税は百五十万、住民税のそれは百一万とされ、四十八年度よりもますますその差は拡大されてきておるわけでございます。所得二百四十万以下では、住民税の負担のほうが所得税より大きくなってまいります。国民の重税感、税負担に対する怨嗟の声は、地方税に、市町村に向けられてくることは明らかでございます。
私ども社会党は、前々から、所得税、住民税の課税最低限は同一にするべきであると主張してきたところでございますけれども、これでは、田中内閣に対する不信の声を、税制面で政府、中央から自治体に政策的に振り向けたと断ぜざるを得ないのであります。何ゆえに課税最低限をさらにより以上に拡大しようとするのか、納得のいく説明を承りたいのでございます。
さらに、自治体の課税権に対する主体性の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
租税法定主義の原則は理解いたしておりますけれども、当然、地方自治体も課税についての自主性を持つべきであり、持っておるわけであります。自治体に対する政府の不十分な財政措置から、最近、一部自治体にその動きがあるわけでありますけれども、自治大臣の、委員会の答弁において、違法ではないが、適法ではないのではないかというような、あいまいな表現をとらずに、制限税率の定めのない税目であるとか、あるいは法定外普通税については、当然自治体に委任すべきであり、法の総則で定める等、立法政策の上で規定をしていくべき時期に到達していると思うけれども、どうなのか。
また、今回の税法改正案についての私ども社会党の考え方については、委員会の中で具体的に明らかにしてまいりますが、その二、三を述べて、自治大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
今回、住民税の所得控除を若干引き上げておりますけれども、これでは物価高騰に対応する形にはなっていないわけであります。これに対応して、私どもは、さらに四万円の税額控除を実施すべきであると考えておるわけでございます。
また、都道府県民税所得割税率は、依然として二段階制をとっているところであります。少なくとも所得税と市町村民税との中間にあるわけでありますから、五段階程度に改めるべきだと思うが、どうですか。
また、法人住民税の、都道府県市町村の税割税率を、都道府県五・二%に引き下げ、市町村一二・一%に引き上げをはかっているわけでありますが、これを都道府県五・六%据え置き、市町村一五・五%引き上げるとともに、その制限税率を、県にあっては七%、市町村にあっては一八%まで引き上げることが、実態からしてより適切であると考えておりますけれども、以上についての自治大臣の見解をお伺いいたしたいのであります。
次に、地方交付税法に関連して若干お伺いをいたします。
地方交付税は、地方税と並んで地方固有の自主財源であります。それゆえにこそ、すべての地方公共団体が、増大する財政需要に対処するため、自主的かつ安定的な財政運営をなし得るためにも、その所要額を確保されることが必要であります。
交付税率が三二%に定められてから久しく、自治体は、法人税の収入の不安定、あるいは減税、景気の異常事態に対処し、膨大な財政需要による変動に対応していかなければなりません。このようなときに、総需要抑制ということで、国の予算を二〇%以下に押えるという至上課題があったにせよ、一夜のうちに千六百七十九億六千万円という額を国に吸い上げたことは、断じて容認できないところでございます。地方交付税法の趣旨にも違反し、大蔵大臣と自治大臣との四十年、四十三年、四十四年の覚え書きの精神にも反し、国が一方的な理由で灘減をしたことは許すことができないのであります。交付税は自治体の固有財源であると従来から主張されてきた福田さん、また、自治大臣との覚え書きを締結された当事者であった大蔵大臣である福田さんとして、あるまじきものだと考えるわけであります。また、これを一夜にして、地方団体関係者にもはからず、認めていってしまった、自治体の守り手であるべきところの自治大臣、かつてはみずから首長をやられた町村自治大臣の態度は、全くもって理解に苦しむところでございます。(拍手)両大臣の明確な答弁をお聞きしたいのでございます。
次に、国債発行下における地方財政の対応について、大蔵、自治両大臣にお伺いをいたします。
最近の国債発行下の地方財政は、国債依存による財政規模の拡大に対して、国と地方との間のバランスがくずれてきております。したがって、国債発行下における地方交付税制度は、その対応策として、国債発行額のうち国税三税に相当する額に交付税率を乗じた額を地方交付税として加える特別措置を講じ、現行の国と地方の間におけるところの財源配分の秩序を確立すべきであると思うが、どうなのか。
次に、地方公営企業の独立採算制の廃止の問題についてであります。
地方自治体の経営する公営企業は、発電、工業用水道等を除き、そのほとんどが住民生活福祉に直結するものであります。それゆえにまた、公営交通、病院事業等に見られるように、その経営の状況も悪化の一途をたどっております。この際、公営企業の独算制を廃止して、繰り出しをして、交付税の中で見ていくのが当然であると思うけれども、これについてはどうなのか。
次に、会計年度の変更についてであります。
現状の会計年度は、国、地方を通じて、四月から三月となっております。このことが、国の予算審議を拘束すると同時に、地方では、国の予算が不確定のままに予算編成をして、そして九月なり十月なりに更正をしていくという、大きなロスになっておるわけであります。
この際、国の会計年度を暦年制に改めて、地方自治体が国の予算の確定をまって予算編成をし、計画的、能率的に財政運営が可能なように改める考えはないのか、大蔵大臣にお尋ねをいたしたいのであります。
最後に、当面焦眉の急でありますところの物価、生活安定対策について、経済企画庁長官にお尋ねをいたします。
生活安定法等の地方への委任によりまして、地方も、生活安定対策本部なりをつくって、真剣に取り組んでおるわけであります。しかしながら、専従する職員数の不足やあるいは委任の不備等から、企業ペースのあと追いになってみたり、あるいは多くの指摘を受けておるわけでございます。一方、税収確保という面では、多数の徴税吏員を擁し、料飲税におけるごとく、課税客体の捕捉については隠密調査すら実施をしているのが実情であります。いま、物価安定という、国民生活を守るための、異常事態に対処するためには、経済企画庁予算の中にあります五十億円程度の国民生活安定緊急対策費では、本腰を入れて取り組んでいるとはいえないのではないかと思うのであります。しかも、地方が真剣に取り組めば取り組むほど、地方の負担が増してくることは事実でございます。物価安定に対する地方への財源をさらに増額する意思がないのかどうか、お伺いをいたしたいのであります。
以上、数点にわたってお尋ねをいたしたわけでございますけれども、中央の行政は、地方行政を通じてそのほとんどが実施されているわけでございます。そういう意味で、この重大な時期にあたりまして、従来のように地方を軽視することなく、昭和四十九年度からは地方に重点を置いて取り組んでいくという決意を込めたところの総理並びに各大臣の答弁を期待して、質問を終了いたします。(拍手)
〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/35
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036・田中角榮
○内閣総理大臣(田中角榮君) 小川省吾君にお答えいたします。
第一は、市町村財源の拡充についての御発言でございますが、生活環境施設、福祉行政の充実等、市町村の財政需要の増大は、御指摘のとおり著しいものがございます。昭和四十九年度におきましては、市町村民税法人税割の税率を三%引き上げることとなし、また、自動車取得税の税率の引き上げ等によりまして市町村道路目的財源の充実をはかるなど、市町村税源の充実強化をはかることといたしておるのであります。
次は、社会福祉施設の拡充についての御発言に対してお答えをいたします。
心身障害児者や老人など、手厚い援護を必要とする人々に対する社会福祉施策につきましては、従来より、年金制度の改善、福祉施設の拡充、在宅福祉サービスの強化など、施策全般にわたりその充実につとめてまいったところでございます。特に、来年度予算におきましては、これらの社会福祉施策について、重点的に拡充強化をはかることとしておるのでございます。
御指摘の都道府県の地方コロニー建設にあたりましては、国としても、国庫補助及び融資制度の面でできるだけの配慮をなしておるわけでございます。
また、乳幼児等の医療につきましては、未熟児、小児ガンなど特別の医療を必要とする場合については、すでに医療費の公費負担を実施しておるところであります。昭和四十九年度におきましても、その対象疾病の拡大をはかっておるわけであります。
なお、公費負担医療の対象を、このような特別の医療以外の一般の疾病についてまで拡大することについてはどうかという御指摘でございますが、医療保障制度全般の問題とも関連いたしますので、慎重な検討を要するものと考えておるのであります。
次は、地方交付税についてでございますが、地方交付税の税率につきましては、御指摘のとおり、昭和四十一年度に二九・五%から現行の三二%に引き上げられたわけでございます。その間、経済成長に伴いまして、地方交付税の総額は毎年相当程度の伸びを示し、地方財政の体質改善に寄与しておるわけであります。今後とも、地方税、地方交付税、地方債等を総合的に勘案いたしまして、必要な地方財源の充実を期してまいりたいと考えておるのであります。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/36
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037・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
まず第一に、地方交付税の減額調整措置についてでございますが、この措置をとりまして、本日それに関連しまして地方交付税法の改正法案を提案しなければなりませんことは、私、まことにこれは申しわけないと存じます。
ただいまお話しのように、これにはいきさつがあります。特に、私は野田自治大臣との間に申し合わせをいたしまして、自今かような財源調整はいたしません、こうしたのでございますが、今日、この時点におきましては、何と申しましても、これはもう物価の今日のこの情勢を一日も放置することはできない、それには総需要抑制政策をとらなければならない、それには国も地方も相協力してこの抑制政策に協力しなければならない、そういう立場に置かれておるわけなんです。そういうことから、まことに異例のことでございまするけれども、今回のこの措置をとるということになった次第でありまして、ひとつおくみ取り、御理解のほどをお願い申し上げます。
次に、小川さんは、国が国債を発行いたしたならば、それに見合って地方交付税を増額すべし、こういう御所見でございます。私は、国といたしまして公債を発行する、何もそういうようなことを希望しておるわけじゃございません。いろいろな事情からやむにやまれず公債を発行する、そういう立場にあるわけであります。そのやむにやまれずして発行する公債、それに対しまして何がしかをまた地方に交付すべし、こういう考え方は、私は、少し酷ではないか、さように思うのであります。
なお、小川さんから、国の予算を暦年制に改めたらどうか、こういう御所見でございます。もし小川さんのおっしゃることが、国だけの会計を暦年制にする、地方はいまの四月−三月制にとどめておく、こういうお考えでありますと、私はこれは相当問題があると思うのです。つまり、国と地方が同一の会計年度ということで、初めて国も地方も総合的な計画が立つ。しかるに、ばらばらになるということになったら、これはたいへんな不都合が起こると思うのです。ですから、そういうことは私は妥当ではないと思いますが、もし、小川さんのおっしゃることが、国も地方も会計年度をそろって暦年制に改めたらどうだということでありますと、今日のこの制度は八十年以上の歴史を持っておる制度でございまするけれども、同時に、積雪寒冷地帯に対する関係はどうかとか、いろいろな問題があるのです。そういうことで、これはくつわをそろえて暦年制にするということになりますると、私は、これは一つの検討事項じゃあるまいか、そういうふうにも思います。この問題はなお今後の重要課題として検討してまいりたい、かように存じます。
なお、小川さんから、重油消費税を創設すべし、事務所営業所税を創設すべし、こういうような御意見でございます。御趣旨はまことに私はよく理解できます。その言われるような御趣旨に従いまして、四十九年度におきましては、法人住民税の増徴を行ないますとか、地方道路税、自動車取得税の増徴をいたしますとか、いろいろ御提案を申しておるわけでございまするけれども、これは小川さんのおっしゃるのと趣旨は全く同じに出ておるものでございます。(拍手)
〔国務大臣町村金五君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/37
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038・町村金五
○国務大臣(町村金五君) 事務所事業所税の創設の問題、また、公害対策のための重油消費税を創設すべきではないかということにつきましては、ただいま大蔵大臣からお答えがあったのでございますが、御承知のように、大都市における財政需要の激増に対処いたしますために、大都市の税源の充実をはかる必要があるということは、私どもも全く同様に考えておるのでありまして、昭和四十九年度の税制改正の検討にあたりましても、この税の創設について検討を重ねたのでございますけれども、御承知のような法人税の引き上げも行なわれたことでもあり、また、昨秋来の経済情勢の急激な変化等もございまして、今回はこれを見送ることにいたしたようなわけでございます。
それから次に、個人住民税の課税最低限のきめ方が、所得税の最低限に比べてだんだんと差が広がってくるのではないかという御指摘のようでございますが、すでに小川議員も御承知ではございますが、個人の住民税は前年中の所得を課税標準として課税されるものでありますから、課税最低限につきましても、前年の所得税と比較することが適当である。本年も引き続きこれの引き上げをいたしておるわけでございますので、むしろ、われわれとしては、その差が従来に比べて次第に縮小されてきておるというふうに考えておるのであります。今後ともこの引き上げには努力してまいりたいと考えております。
それから次に、地方税について、標準税率をとっておる税目について、特に地方団体が財政上の必要があると認める場合には、標準税率をこえて課税することができるということについてのお尋ねであったのでございますが、申し上げるまでもなく、超過課税を行なうということは、通常の税負担以上の重税を納税者に課するということになるわけでございますので、超過課税を相当とする財政需要があることが明確である場合を除きまして、私は、慎重に取り扱わなければならないものだ、かように考えておるところでございます。
次に、低所得者の負担軽減をはかりまするために、新たに四万円の戻し税制度というものを取り入れるという御提案でございますが、政府としては、課税最低限の引き上げを行なうことが適当であろう、こう考えておるのでございまして、すでに四十九年度におきましても、大幅に引き上げることにいたしたいと考えておるのでございます。
次に、現在の道府県民税所得割の税率が二段階になっておる、これを五段階に直したらどうかという御提案でございますけれども、この点は、私が申し上げるまでもなく、二段階の税率区分が定められておりまする経緯等がございまして、いまこの累進度を高めるということには問題がある、かように私どもは考えておるのでございまして、いずれにいたしまし七も、この所得割の税率を改めるということは、税収入や個人の税負担にも大きな変動を生ずることになりますので、今後、所得税なり道府県民税なり市町村民税を通じて、総合的に検討していくべきものである、かように考えるわけでございます。
さらに、お尋ねは、昭和四十九年度の税制改正において行なわれておりまする道府県の法人税割を現行のままに据え置いて、市町村の法人税割をさらに政府提案よりも引き上げることが適当だ、こういうお尋ねのように伺ったのでございますが、このたびの税制改正におきましては、市町村税源の充実をはかりまするために、法人税等の全体につきまして大体一割程度を引き上げるということを目途として、法人税割の税率を引き上げたわけであります。これによりまして、市町村民税は、平年度分で大体二千億円に及ぶ増収となる、したがって、さらに税率を引き上げるということはこの際適当でない、かように考えておるわけでございます。
次に、地方交付税の千六百八十億円の減額措置につきましては、ただいま大蔵大臣からお答えを申し上げたのでありまして、今回のこの減額措置というのは、物価の早急な鎮静をはかりまするために総需要の抑制を強力に推進するという、私どもは、緊急事態における緊急措置だというふうに考えておりまするので、御理解をいただきたいのであります。
次に、国債の発行されておる状態のもとにおいて、国債発行に見合う地方交付税の増額が必要だ、こういう御提案でございます。私が申し上げるまでもなく、国債が発行された、それをもって直ちにこれを租税収入だというふうに考えまして地方交付税を増額するということについては、なお相当に問題があると考えるのでございまして、にわかに賛成はいたしかねる次第でございます。
最後に、地方公営企業の独立採算制というものを廃止して、必要なものについては地方交付税の財源措置でやるべきだ、こういう御意見でございました。しかし、私どもは、地方公営企業は、やはり利用者負担の原則に基づく独立採算制というものを維持することが公平の原則に合致するものである、かように考えておるのであります。ただ、御承知のように、地方公営企業でも、一般の行政事務等をあわせ行なうというような場合におきまする経費というようなものは、当然地方公共団体の一般会計において負担をするという道も認められておるわけでございまして、私は、今後において地方公営企業の独立採算制を維持しながら、この赤字等につきましてはこういった方法等をも講じまして、地方公営企業の健全な発展に資するということにいたしてまいるべきだ、かように考えておる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣内田常雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/38
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039・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 物資、物価等の取り締まりに関連いたしまして、さきの法令で地方公共団体に委任をいたしました職務に関連する所要経費の交付でございますが、小川さん仰せのとおり、昭和四十九年度におきましては、経済企画庁に一応五十億円の予算を計上いたしております。これを四十八年度、すなわち、この一月から三月までにおける各公共団体等の活動並びにそれに要した経費の実績等にかんがみまして、通産省、農林省あるいは厚生省等に私どものほうから移しかえをして地方に交付をするわけでございますが、この金額は私どもは一応妥当な金額だとは考えますけれども、今後四十九年度中に特定物資、指定物資等の増加の状況にも関連をいたしまして、さらに多額の地方における経費の補てんが必要であるというような場合が生じました際には、予備費をもって補てんをする、こういう考えでおる次第でございます。
お答えを申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/39
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040・秋田大助
○副議長(秋田大助君) 三谷秀治君。
〔三谷秀治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/40
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041・三谷秀治
○三谷秀治君 私は、日本共産党・革新共同を代表しまして、四十九年度地方財政計画、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。
地方自治体は、いま重大な危機に立っております。昨年来の物不足、事業費の高騰、政府の財政執行繰り延べ措置などが地方自治体の行財政を大きく圧迫し、ゆりかごから墓場までの住民関連事業に重大な障害をもたらしましたことは、十二月末の公共事業費の予算執行状況が、都道府県におきまして七一・七%、市町村におきまして六六・八%という、かつてない低率にとどまっておることでも明らかであります。ことに、昨年末の政府の選別融資の通達によりまして、学校、住宅、保育所、病院、公園緑地、下水道、ごみ処理場など、生活関連事業にかかる土地購入や工事請負契約までが大きくスローダウンするという深刻な状況に立ち至っております。全国の自治体首長、議会関係者、地域住民が、この窮状の打開のために連日のように政府や国会に対する陳情を繰り返しております事実は、事態の深刻さを一そう明白に示しております。
このような状況は、福祉行政を後退させ、地方行政を政府の許す範囲の画一的行政のワクの中に組み込んでしまう、いわゆる地方自治の破壊の大きな要因となっております。この地方自治破壊の手段に国庫支出金が利用され、これが実は地方財政の援助ではなくて、逆に地方財政圧迫の要因となっておりますことは、まことに重要なことであります。
たとえば、地域開発事業、産業基盤整備事業などにおきましては、国庫補助率を高めて自治体行政をこの方向に誘導する。一方、保育所、住宅、学校などの生活関連事業におきましては、補助率や補助基準を不適正に算定して、膨大な超過負担を生み出すことによりまして事業の執行を妨げるばかりか、住民負担をも加重する措置がとられております。
本年度予算の積算におきましても、たとえば義務教育施設の国庫補助単価が平米当たり六万一千七百円となっておりますが、実際には十万から十万五千円の実勢単価と比較をしますと、これでは学校建設が不可能であることは、自治省さえも認めておるところであります。
先ほど、総理は、四十七年の調査に基づきまして、これを解消するために本年度におきましても措置をしたとおっしゃいましたが、措置をした額が足らないということをお尋ねしておるわけなんです。大蔵大臣は、先ほど、平均的価格を採用しておる、こうおっしゃった。そのような平均的な価格というものは、国の調査でも自治体の実態でも出てきません。しかも、法令の規定というものは、平均的支給などといっているわけじゃない。実施不可能な単価をきめましてこれを地方自治体に押しつけることは、国の負担金、補助金の地方公共団体に対する支出金の額は、必要で、かつ十分な金額を基礎として算定しなければならない——地方財政法の規定です。国は地方公共団体に対して負担を転嫁してはならない、この規定に対して明らかに違反する措置だと私は思う。しかも大蔵大臣の答弁というものは、平均的価格の採用などというものは、明白にこの規定に反している、このことを自認されておるわけでありますか、この点につきまして、総理並びに大蔵大臣、自治大臣の所見をお聞きしたいと思います。(拍手)
なお、重要なことは、実情を無視した国庫補助単価が、さらに交付税交付金の算定単価となる点であります。同時にまた、起債を算定する単価でもあるという点であります。つまり、不当な国庫補助単価によりまして累積する超過負担というものは、交付税交付金におきましても同率の不足額を生じてくる、起債におきましてもこれまた全く同質の不足額が生じてくる。理の当然であります。これこそが国と地方の財政秩序を全面的に破壊する地方財政破綻の根本的な原因であることを、総理並びに大蔵大臣はお認めになりませんかどうか、お聞きしたいと思う。
私は、第一に、国庫補助金単価を、実勢に合わせて正確に算定して、法令に基づく正しい財政計画を示されることを要求するものであります。
第二に、総需要抑制を口実としました地方交付税削減の措置は、単に削減額の問題としてではなくて、地方自治の根幹をじゅうりんするきわめて重大な措置であります。
地方交付税は、その成立に至る過程が示しますように、財政力の異なる個々の自治体が、全体としてあるべき行政水準を保持するための自治体間の財源調整と財源保障の措置をきめておりますものであって、交付税は、いわば国が自治体にかわって一元的に徴収をする地方自治体固有の自主財源であります。交付税法が、国税三税の一定割合を地方自治体に自動的に交付すべきことを法定しておりますのも、そのためであります。大蔵大臣は、先ほど、野田自治相と、削減しないという約束をしたとおっしゃった。これはこういう法定に基づくものでありますから、その約束をせざるを得ないわけなんです。ところが、昨年の十二月補正予算におきまして千九百九十六億円、四十九年度予算におきましては千六百七十九億円、合わせて実に三千六百七十六億円という巨額の地方交付税の削減を引き続いて政府は行なっております。
高度成長だ、安定成長だ、総需要の抑制だと、そのときどきの政府の経済政策に基づきまして、交付税額を恣意的に変更することは、明らかに交付税本来の性格を無視した違法な措置であって、これを直ちに取りやめるとともに、交付税交付金は、国税収入金整理資金から交付税会計への直接繰り入れを行なうことを要求するものであります。総理並びに大蔵大臣、自治大臣の答弁をお聞きしたいと思います。
第三に重要な点は、この引き続きます削減措置が、実は交付税率の引き上げを不当に回避するための作意的な措置として進められてきた点であります。国によります一方的な年度間調整措置というものは、そのことをはっきりと意図しておるといわざるを得ません。四十六年から四十八年の三カ年にわたります地方財源不足にあたって、交付税法第六条の三の規定に基づきまして当然行なうべき交付税率の引き上げを政府は行なわないで、そうして三千八百四十六億円に及びます資金運用部資金からの借り入れや、あるいは臨時特別交付金の支出で補てんしてきましたことは、御承知のとおりであります。そして昨年補正及び四十九年度予算におきまして、今度は逆に交付税を削減する措置をとろうとされております。このようにしまして恣意的な借り貸しが行なわれます限り、地方財源の不足がどんなに深刻になりましても、交付税率の引き上げが実現しないことは、だれが考えても明白なことであります。すべて借り貸しで融通をつけるからであります。特例法というのは緊急避難的な措置でありますが、それを毎年毎年繰り返して、本法の内容というものが毎年度におきまして改変されるという、そういう異例があるでしょうか。先ほど、大蔵大臣は、異例の措置だとおっしゃった。すでに今日、五年間引き続き、特例法をきめて異例措置を連続してやってきておる。そしてまたことしも、異例であるとおっしゃっておる。これは全くのごまかしにすぎません。交付税法に規定しました交付税率の改定に対する歯どめを意図するものでありまして、まさに典型的な政府の違法行為ということができます。
もしかりに地方財政の年度間調整が必要でありますならば、それは景気変動による地方財政運営の激変を防ぐ目的で、地方自治体自身が自主的に行なうべきものであります。そのために、地方財政法第四条の三におきまして「地方公共団体における年度間の財源の調整」が規定されておるわけであります。この地方自治体の自主的な調整措置を指導するのではなくて、調整を国がほしいままに行なうことは、交付税の基本目標としております地方自治の本旨の実現、地方団体の独自性の強化に反するものではないでしょうか、重ねてお伺いをいたしたいと思います。
第四に、地方税についてお尋ねします。
今回の改正案によりまして、総額千七百三十二億円の減税を行なうこととしておりますが、これは四十八年度の税収伸びのわずか九・五%にすぎないものであります。まことに僅少に過ぎるものであります。地方財源を充実するために一定の地方税収入を確保する必要があることは、言うまでもありません。しかし、どの税がどのように増徴され、どこで軽減されているかが最も重要な点であります。
個人住民税の課税最低限引き上げについて見ましても、標準家庭で百一万円が課税最低限であります。所得税の課税最低限が百五十七万七千円に引き上げられることに比べまして、課税対象額の差は、四十八年度と比べまして一段と広がっております。
小規模住宅用地に対する固定資産税の軽減も、固定資産について異常に値上がりした時価で評価し、売買したものと見なして課税をする、この措置を改善しないことには、実質的な増税は絶対に避けられません。
しかも、一方におきましては、大企業に見られます特権的な減免というものは、地方税だけでも、四十八年度において、国税のはね返り分を含めて、三千二百四十二億円にのぼっております。今回の税法改正で政府が盛んに宣伝されております地方税減税額の実に一・八七倍にものぼっておるのであります。それに加えて、この改正案におきましても、石油企業の原油備蓄タンクに対する減税をはじめとしまして、大企業に対する特別減免措置を引き続き拡大しようとされております。
全国知事会におきましても、租税特別措置が地方税に与える影響が大きく、その既得権や慢性化を排除すべきであると要求しておりますときに、まさに国民の願いに反する、逆行する措置といわざるを得ません。
事業税率も、所得額三百万円以下、三百万円以上六百万円以下、六百万円以上の三段階の格づけにとどまっております。それ以上の巨大な所得に対してはすべて一律の税率にとどめるなど、不当な優遇措置が依然として改められてはおりません。だからこそ、欠損法人と称する大企業が、税金はただだが、献金は四千万という、国民の納得できない行為をとることができるのであります。
大企業に対するこのような減免、優遇措置を改めて、事業税においては、所得を課税対象とするものではなくて、事業活動に課税するという、租税目的に誠実に基づく収入金課税の方式を実施するなどの措置をおとりになる意思はないか、そうして全体に高度累進制の導入によります地方税制の民主的改善を行なうことが緊急に必要であると思いますが、総理及び大蔵大臣の所見を承りたいと思います。
また、大都市の財源確保を目的としました事務所事業所税が、財界の強い抵抗によりまして見送りになり、地方自治体の自主財源を一そう圧縮しております。先ほど大蔵大臣がお答えになりましたのも、住民税の法人税割を上げたとか自動車取得税を上げたとか、別の問題のことをお答えになっておるが自治省、建設省がお互いに競合して事務所事業所税の制定を主張しておりました。この政府の方針というものが、いつの間にやらこつ然として消滅してしまった。この経緯を明らかにされますとともに、都市財源の強化をはかることが緊急に必要であると思いますが、それに対する具体策をお尋ねしたいと思います。
総理並びに大蔵大臣の見解をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/41
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042・田中角榮
○内閣総理大臣(田中角榮君) 三谷秀治君にお答えをいたします。
第一は、国庫補助単価についてでございますが、国庫補助単価につきましては、超過負担の実態調査をもとにして是正をはかっておるわけでございます。特に、最近における物価の上昇に対処するため、単価の改善を行ない、実態に近づけるよう努力をしておるところでございます。今後とも国庫補助単価の改善につとめ、これにあわせて地方交付税及び地方債の単価を是正したいと考えておるのであります。
次は、地方交付税の減額についてでございますが、今回の地方交付税の減額調整措置は、当面する物価問題に対処し、中央、地方が相協力して、歳出規模を圧縮し、総需要の抑制をはかる必要からとられた措置でございます。明年度の地方財政は、地方交付税の減額調整後においても、これに地方税、地方譲与税を合わせた地方一般財源は、前年度を上回る増加となるものと見込まれており、国の財政の基調に準じて地方財政が運営せられる限り、その運営が困難になる心配はないものと考えておるわけでございます。
なお、今回減額する千六百八十億円という金額は、交付税特別会計の借り入れ金の残高に相当する額でありまして、いわば地方の借り入れ金を繰り上げ返済したのと同様であり、これをもって地方交付税制度の本質に反するとは考えておらないのであります。
次は、事業税についての御発言でございますが、所得金額課税を収入金額課税方式に改める場合には、各企業の負担に相当の変動が生ずることになり、とりわけ経営基盤の脆弱な中小企業に及ぼす影響が大きい等の問題がありますので、これらの点につきましては、税制調査会の審議をわずらわしつつ、慎重に検討してまいりたいと考えておるのでございます。
次は、事務所事業所税についてでございますが、事務所事業所税の創設につきましては、今回の税制改正にあたりまして、種々検討を重ねたところでございます。昭和四十九年度は、御承知のとおり法人税率や法人住民税率を引き上げましたので、法人の負担の適正化をこのようなことによってはかったわけでございます。また、昨年の秋以来、経済情勢に急激な変動があったことなどから、諸般の情勢から、今度の事務所税や事業所税ということの実現には至らなかったわけでございます。この問題は、今後引き続き検討してまいりたいと存じます。
残余の問題に対しては、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/42
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043・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お答えをいたします。
交付税の減額措置についてのおとがめでございますが、私は先ほども申し上げたとおり、これは異例な措置である、いま、何といっても物価の問題、これがわが国の当面する最大の問題である、その物価問題を踏まえまして総需要の抑制政策をとる、そういう立場から、従来のいきさつから見るとまことに遺憾なところではございまするけれども、臨時緊急の措置として、今回減額措置について御審議をわずらわす、かようなことでございます。
この交付税の引き上げを阻止するための底意があるのじゃあるまいかという御説でございますが、さようなことは全然ありませんです。また、地方団体、自治省の立場を無視した措置ではないかというお話でございますが、ただいま申し上げたような臨時緊急の措置として、まあ至上課題であるところの物価対策だ、こういうような立場で御理解を得ておるのであります。
次に、補助単価についてでございますが、補助単価につきましては、超過負担を解消するということを大方針といたしまして昭和四十九年度予算は適正に編成されておる、かように存じます。
ただ、先ほども申し上げましたが、この補助額の見積もりは、これは標準的規格、標準的資材、標準的工法による適正な額ということでありますので、これは地区地区、具体的にこれを見ますと若干の差異が出てくる、こういうことは、これはやむを得ないのではあるまいか、かように考えております。
それから事務所事業所税、これは先ほど総理から御答弁もありましたが、なかなか技術的にむずかしいのです。そういうことを、これは自治省の所管の問題でありますが、私もいろいろ大蔵大臣としての立場からも考えてみましたが、技術的に非常にむずかしい。なお検討してみまするけれども、直ちにこれを採用することはできない。(拍手)
〔国務大臣町村金五君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/43
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044・町村金五
○国務大臣(町村金五君) 私に対するお尋ねは、すでに総理、大蔵大臣から大体お答えを申し上げたことで尽きておるわけでございますけれども、まず第一のお尋ねの、公立文教施設等の国庫補助の単価につきましては、四十九年度の予算案におきまして相当の引き上げ措置を講ずることにいたしたわけでございますけれども、今後の物価の推移等によりまして、事業の実施段階において支障が起こるというような事態が出てまいりました場合には、超過負担の生ずることのないように適切な処置を講ずるように関係省庁にも十分要請をいたし、協議をいたしてまいる考えでございます。
次に、このたびの地方交付税の減額調整措置につきましては、申し上げるまでもなく、この今回減額をいたしまする千六百八十億円という金額は、交付税特別会計の借り入れ金の残額に相当する金額でありまして、いわば地方の借り入れ金を繰り上げて返済したということに相なるわけでございまして、これをもって直ちに地方交付税制度の本質に反するというふうには私どもは考えていないのでございます。
次に、地方税の減税が僅少に過ぎるのではないか、こういう御指摘であったのでございます。昭和四十九年度におきましては、住民負担の軽減をはかりまするために、千七百三十二億円、自然増収額に対して大体九・五%の減税を行なうことにいたしておるのであります。なお、減税分全体につきましては、三千六百六十三億円の減税を行なうことにいたしておるのであります。この減税額は、昭和四十八年度の減税の約二倍に当たるという、かなり大幅な減税規模と相なっておるのであります。しかし、なお今後とも減税につきましては一そう検討をいたしてまいりたい、かように考えておる次第であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/44
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045・秋田大助
○副議長(秋田大助君) 小川新一郎君。
〔小川新一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/45
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046・小川新一郎
○小川新一郎君 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のありました昭和四十九年度地方財政計画、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案に対して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
国民のすべての願いを込めた、インフレ、物価高の原因究明のための審議が本院で連日続けられておりますが、いまや、政治の最大の課題は、生活危機からいかに国民を防衛するかということであります。
物価対策としての総需要抑制といっても、そこにはおのずから限界と選択がなければなりません。私たちが最も懸念していたのは、石油危機、インフレのしわ寄せが、政府の無策によって、住民生活や、これに直結した自治体の行財政に及ぶことでありました。
高度経済成長の犠牲となって立ちおくれてきた社会資本の整備、社会保障の充実が、いま再びたな上げされようとしております。その実態は、緊急を要する小中学校の建築工事すら軒並みにおくれて、四月開校に間に合わないところもあるということからも明らかであります。こうした実態から、生活関連の公共事業は、景気のいかんにかかわらず、計画的に進めなければなりません。その上、こうした悪条件の中で、自治体は、インフレ、物価狂騰に対し、一番その犠牲をこうむっている、社会的、経済的に弱い立場にある人を守る対策や消費者行政の拡大など、この非常事態を乗り越える対策を必死にいま講じようとしております。
初めに、国が策定した昭和四十九年度地方財政計画を見たとき、インフレという非常事態において最も重視されなければならない、生活危機から住民を守る施策があまりにも貧弱であり、これでは、実態を踏まえての財政計画ではなく、自治体の財政運営の指針という本来の役割りを全く放棄したものといわざるを得ません。机上の空論ではなく、地方行財政の実態をとらえ、真に住民の立場に立っての地方財政計画を組むべきであると思うが、御見解を伺いたいのであります。(拍手)
第二に、国と地方との制度並びに財政配分についてお伺いいたします。
現在の地方自治体の事務には、明らかに地方の自主制にまかせてもよいと思われるものでも、国の委任事務となっているものが多く、このため国と地方との行政責任が明確になっておりません。しかるに、この事務、事業と財政配分という基本的課題について、その解決の方途を見出すべき地方制度調査会は、その答申を避けてきたのが実情であります。この問題になぜ積極的に取り組もうとしなかったのか、その理由を明らかにしていただきたいのであります。もはやとの問題は避けて通ることのできない緊急課題となっております。国と地方の事務、財源の配分について、地方制度調査会に専門機関を設け、期限を切って検討を命ずるべきであると思いますが、御見解をお伺いしたいのであります。(拍手)
次に、国と地方との財源配分についてお伺いいたします。
国と地方との財政構造は、歳入面では国が七、地方は三となっておりますが、歳出面では、国が三、地方は七と、全く逆転しております。また、交付税についても、最近、地方の財政需要が大幅に伸びているにもかかわらず、十分な税源措置が行なわれないため、税源のある大都市も軒並みに交付団体に落ち込んでおります。また、財政構造に占める国庫補助金の割合も大きくなっているなど、ひもつきの補助金行政が行なわれて、国と地方の財政構造は、国中心で、まことに不合理な実態であります。したがって、地方自治の本旨に基づいた自治運営ができないばかりか、福祉行政の推進がきわめて困難になっております。発想の転換、福祉優先の政策を標榜する政府は、真の住民福祉を推進するために、従来の国中心の財源配分から、大都市等が交付税をもらわなくてもよいように、また補助金だけにたよらなくてもよいように、地方中心の財源配分に転換するために、現在の国七、地方三という歳入構造を、少なくとも五対五に転換する考えはないのか、お伺いしたいのであります。(拍手)
また、自主財源の強化に対して、自治体は、法人事業税の増税あるいは米軍人に対する軽自動車税の課税など、それぞれ精一ぱいのくふうをこらしておりますが、これに対する御見解をあわせてお伺いいたします。
第三に、交付税についてでありますが、今回、政府の物価対策など総需要抑制政策によって、交付税会計から国へ約一千六百八十億円を貸し付ける措置がとられております。これは、国が一方的に地方の財政需要を著しく過小に算定し、その需要を押えた結果であります。むしろ、地方は、生活関連事業、福祉事業のために財政需要は増大の一途をたどり、財源不足は慢性化しているのが実態であります。言うなれば、国の総需要抑制の予算編成は、地方財政の犠牲の上に成り立っているといっても過言ではありません。したがって、地方の財政需要に機動的に対処するため、来年度の補正予算で全額返済すべきであると思いますが、これに対するお考えを伺いたいのであります。(拍手)
さらに、わが党は、かねてから交付税率の大幅引き上げを要求してまいりましたが、同時に、恒常的になっている国債発行下においては、国債発行額のうちの一定額を交付税に上乗せして配分すべきであると考えますが、御見解をお伺いいたします。
また、地方債についてでありますが、今回は、緊縮財政によって地方債を大幅に押えており、また、金融引き締めによって、自治体の緊急を要する人口急増地域の小中学校用地をはじめとした公用地取得の資金も完全に締められ、自治体はにっちもさっちもいかない状態であります。特に、大都市は起債能力がありながらも、政府のきびしい許可制のもとに起債ができず、住民福祉の施策が大幅におくれております。また、財投の政府資金のうち、地方債の占める比率は年々低下しているのであります。政府が従来の経済優先から福祉優先に転換するというのならば、財投の政府資金を優先的に住民福祉施策の原資となる地方債に回すべきであります。
さらに、起債能力のある自治体に対しては、現行の許可制をやめ、事業の円滑な推進ができるよう措置すべきであると考えますが、御所見を伺いたいと思います。(拍手)
なお、昨年十二月二十五日、大蔵省通達による選別融資によって、金融引き締めが続いております。しかし、緊急を要する小中学校など用地取得は困難をきわめ、融資が受けられなければ、せっかく契約にこぎつけたものも破棄せざるを得ない事態も少なくありません。来年度以降の用地取得に至っては、資金の見当もつかないのが実情であります。このように、小中学校などの緊急を要する用地取得に対しては特段の措置を講ずべきでありますが、具体的対策について、率直な見解をお伺いいたします。(拍手)
第四に、超過負担についてであります。
超過負担は、これまでも、国と地方の財政秩序を乱し、地方財政圧迫、福祉行政阻害の元凶として、その完全解消が地方の悲願とされてきました。しかし、政府は、これに対し、部分的、あと追い的な対策に終始し、真剣に取り組む姿勢がなかったため、摂津訴訟という事態を招く結果となったのであります。特に昨年来の物価狂乱は著しい超過負担を生じております。たとえば、四十九年度の小中学校建設は、一平方メートル当たり、先ほどもお話がありましたように、補助単価が六万一千七百円でありますが、実際にはこの倍の十二万円でも落札しないというのが実態であります。地方財政を圧迫している超過負担に対し、早急にその実態調査をすべきであり、また、その結果を公表するとともに、この超過負担の解消策を補正予算に組み込み、自治体の窮状を救わねばならないが、これに対してはどうか、率直にお答えをいただきたいのであります。
なお、国が全額負担しなければならない直轄事業が、不当にも地元負担を強要しており、これは本来の趣旨からいっても即時廃止しなければなりませんが、あわせて御所見をお伺いいたします。
第五に、地方税についてであります。
地方財政の充実強化が強く叫ばれている中にあって、特に要望されるのは、自主財源の強化であることは言うまでもありません。大都市財源充実のための事務所事業所税、公害対策のための重油消費税の創設が強く要望されていたにもかかわらず、今回見送られておりますが、その理由を重ねて私にもお答えを願いたいと思うのであります。
また、租税特別措置は、その使命が終わりながらも既得権化しているものが多く、抜本的な改廃はもはや当然のこととされてきました。前自治大臣も、その洗い直しを行ない、改廃の方向を示してきましたが、特に産業保護的な性格が強い、大企業優遇の電気税等の租税特別措置に対しては、ほとんど洗い直しのあとが見られません。これに対する今後の決意についてお伺いしたいのであります。
さらに、住民の税負担の軽減については、今回住民税の課税最低限の引き上げによっても、現在のインフレ下では、むしろ実質的重税をしいられているのが実情であります。現在、物価の異常事態において、そのしわ寄せは低所得者層に集中しております。これらの人たちを守るためには、高額所得者の減税をやめ、課税最低限の引き上げとともに、低所得者には税額控除の措置をとるべきでありますが、所見を伺いたいと思います。(拍手)
また、地価の高騰に伴って、生活の根拠となっている個人住宅及びその宅地にかかる固定資産税については、過大な負担となっております。一定規模以下の個人住宅や小企業の固定資産税の軽減をはかるために、昭和四十七年の税額に据え置くべきであります。
なお、二重課税的な性格の強い個人事業税については、撤廃の方向でさらに軽減措置を講ずるとともに、住民税の均等割は撤廃すべきでありますが、あわせて所見を伺いたいのであります。
最後に、自治体病院の経営の健全化についてお伺いいたします。
地域医療の確保のため、自治体病院は重要な役割りをになっているものの、その経営はきわめて悪化しております。今回、政府は、再建債に対する利子補給の一部と、不採算地区病院の運営費の一部を補助する措置にとどまっておりますが、これでは、窮迫を続けている自治体病院の再建にはほど遠いものがあります。
自治体病院の使命である地域医療の確保をはかるためには、少なくとも再建債の半分を国が負担すべきであり、また、従来の独立採算制のワクをはずすとともに、病院の建設費、高度医療機器、不採算地区病院の経営に対して大幅な国庫補助を講ずる以外、自治体病院の経営を健全化することはできないと考えるものでありますが、この点について所見を伺いたいのであります。
以上、私は、数々の点について御指摘をしてまいりました。
いま最も望んでおりますことは、きょうではおそ過ぎる、あしたでもまたおそい、この時点の中に立って、どうか政府の切実なる御答弁を期待して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/46
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047・田中角榮
○内閣総理大臣(田中角榮君) 小川新一郎君にお答えいたします。
第一は、住民の立場に立つ財政計画についての御発言についてお答えいたします。
昭和四十九年度の地方財政計画は、総需要抑制の見地から、歳出を極力圧縮いたすことにいたしておるわけでございます。このような中にありましても、地域住民の生活安定と福祉充実をはかるための施策につきましては、福祉優先の見地から、引き続きこれを重点的に推進してまいりたいと考えております。
このため、生活保護、児童福祉、老人福祉等、社会福祉施策の充実をはかるとともに、地方団体における消費者行政の推進等をはかるための施策を拡充しておるのであります。
国と地方の事務、財源配分についての御発言でございますが、国、地方を通ずる税財源の配分のあり方につきましては、事務再配分等の問題もあわせ総合的に検討すべき問題でございますから、地方制度調査会、税制調査会等の意見も伺いながら、今後も研究を続けてまいりたいと考えます。
次は、地方交付税についてでございますが、四十九年度に地方交付税交付金について千六百八十億円を減額調整することといたしておりますのは、先ほども申し述べましたように、総需要の抑制をはかるため、中央、地方が相協力して歳出の規模を圧縮する必要があることによるものでございます。四十九年度には、地方税が三割近い伸びを示すなど、一般財源の増加が見込まれる情勢にあることは、御承知のとおりでございます。また、歳出面では、国の公共事業費等にかかる地方負担の増加が著しく小さいなど、歳出規模の拡大がおのずから小幅にとどまる要因がありますほか、各地方団体におきましても、行政需要の抑制、繰り延べ等につとめることが期待せられますので、これらの事情を総合すれば、地方交付税の減額が四十九年度の地方財政に支障となるとは考えられないのであります。
次に、国債の一定割合を交付税に上乗せしてはどうかとの御発言でございますが、さきの質問に自治大臣から申し述べましたように、国の公債収入を租税収入と同一視して、国、地方聞の財源配分に調整を加える必要があるとする考え方には問題があります。その意味で、にわかに賛同しがたいのであります。
次は、超過負担についてでございますが、政府は、従来から、地方公共団体の超過負担についてその計画的な解消につとめてきたことは、さきにも申し述べたとおりでございます。また、最近の建設資材の価格の急騰に対処するため、昭和四十九年度予算においては、公立文教施設整備費等の予算単価を引き上げるなど、各般の措置を講じておるわけでございます。
最後に、地方債についてのお尋ねでございますが、地方債の許可制度は、資金の公平な配分と財政の健全性の確保の見地から設けられておるものでありますから、その廃止は考えておりません。また、地方債に充てる資金については、従来から政府資金の重点的な配分につとめておるところでございます。昭和四十九年度においては、地方債計画に占める政府資金の比率は六〇・三%でございまして、一兆四千百億円となっておるわけでございます。
残余の質問については、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/47
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048・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 小川さんにお答え申し上げます。
まず第一は、国と地方との事務、財源の再配分を、地方制度調査会に専門機関を設け、期限を切って検討さすべきだ、こういうお話でございます。
今日、時局は非常に流動的でございます。地方制度調査会では、過去、三十八年、四十年、四十三年と、三回にわたってこの問題で答申をいたしておりますが、その後非常に大きな社会変動もありますので、私は、小川さんのおっしゃるとおり、この問題は再検討の時期に来ておる、こういうふうに考えます。
ただ、いかにもこの問題は重要、広範な問題でありますので、期限を切ってと言われましてもなかなかむずかしいのじゃないか。とにかく、この問題は、自治大臣からもお答えがあろうかと思いまするけれども、よく自治大臣と相談をして善処したい、かように考えます。
第二に、財政投融資政府資金を地方債に優先的に回せ、こういうお話でございますが、考え方におきましては全くそのとおりと考えております。今回、地方債における政府資金の充当率も引き上げるというふうにしているのは、そういう考え方に基づくものであります。
なお、選別融資の中におきましても、小中学校用地の取得に対しましては、これを特別に配慮せよというお話でございますが、これは特別に配慮をいたします。そのようにケース・バイ・ケースで実行いたしておるのであります。
交付税の減額措置、これにつきまして、きついおとがめであり、また、補正で全額を返せというようなお話でございますが、これは、先ほど申し上げましたような事情で、臨時緊急の措置としてとっておるものでございますので、何とぞ御理解を賜わりたい、かように存じます。
国債の一定割合を交付税に上乗せせよとの御所見でございますが、これにつきましては、先ほど総理からもお答えをいたしたとおりでございます。さらに、私といたしましても、借金財政はほんとうはいたしたくない、まあよんどころない立場で公債の発行ということをやっておるので、その公債を発行したときに、その一部を地方側がよこせというのもいかがかとも思うのです。私はその説には賛同いたしかねます。
それから、超過負担の問題でございますが、この負担に関連いたしまして、補正で解消せよ、こういうお話でございますが、四十八年度は、予算の実行上単価の改定をしばしば行ないまして、支障のないようにしておりますけれども、四十九年度につきましては、超過負担の解消にこれは全力を注いだということでございます。ただ、今日、物価が非常な変動期にありますので、私どもの見通しと違った物価状態が出現するという際には、妥当な措置をとりたい、かように考えております。
それから、地方税に関する諸問題につきましては、自治大臣からお答えがあろうかと思います。
なお、自治体病院に対する助成措置を、たとえば再建債の半分を国で負担せよ、そういうような御提案でございますが、公営企業は、これは本来その企業を所有しておる自治体の責任において運営すべきものなんです。しかし、自治体病院というものは地域社会のために重要でありますので、国においても、四十九年度におきましては、特別債の発行に対しまして利子助成をするとか、また、元本償還につきましては、地方財政計画上、繰り出し金を計上するとか、また、さらに、病院建設につきましても、山間地、離島、過疎地帯の小規模病院に一部補助を行なうとか、いろいろな援助をいたしておるわけでありまして、かなり手厚い措置をいたしておる。御理解のほどをお願い申し上げます。(拍手)
〔国務大臣町村金五君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/48
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049・町村金五
○国務大臣(町村金五君) お答えをいたします。
昭和四十九年度の地方財政計画は、言うまでもなく、総需要抑制の要請がございますけれども、やはり福祉優先の見地から、生活保護なりあるいは児童福祉、老人福祉等の社会福祉施策の充実をはかるということに十分配慮をいたしておるわけでございます。
次に、国と地方との事務、財源の配分、あるいはこれに関連いたしまして、専門機関を設けて期限を切って検討すべきだということについてのお尋ねでございますが、これはただいま大蔵大臣がお答えになったと同様に私どもも考えておる次第でございまして、このことについては、なおひとつ具体的な方法等について慎重に対処してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
次に、国と地方との財源配分の問題はまことに重要な問題で、ことに、今日、地方財政の現状にかんがみまするときに、できるだけ地方の自主財源を強化する必要があるということは、私ども全く同様に考えており、今後ともこのことにできるだけの努力をいたしてまいりたい、かように考えておるのでございますけれども、言うまでもなく、このことは事務の再配分の問題とあわせて総合的に検討すべき問題でございますので、なお地方制度調査会あるいは税制調査会の御意見を伺って、慎重に検討をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、交付税の貸し借りはやめて補正予算で全額これを返すべきだということにつきましては、ただいま総理がお答えを申し上げたとおりでございます。
次に、小中学校の校地の取得等に関しまする融資の問題につきまして、選別融資がきわめてきびしくなっておって、そのために用地の取得が困難になっておる、こういう御指摘でございますが、この点は、ただいま大蔵大臣もお答えを申し上げましたとおり、自治省といたしましては、大蔵省と十分話し合いをつけておりまするので、当面の措置としては、学校用地の取得につきまして、契約済み等のものにつきましては資金調達ができるように相なったことと、かように承知をいたしております。
次に、超過負担の問題についてでございますが、来年度におきましては、超過負担が余儀なくされておるというような問題が相当にあるようでございますので、この実態調査を予定をいたしておるのでありまして、その結果に基づいて適切な措置を講ずるようにいたしたい、かように存じております。
次に、直轄事業の地元負担金は即時に廃止すべきだ、こういう御指摘でございますが、御承知のように、公共事業に関しまするこのことは、国とあるいは地方との負担区分の基本にかかわる問題でございまして、いま直ちにこれを廃止するということは容易にできない問題でありまして、今後慎重に検討を加えてまいる必要があろうと考える次第でございます。
次に、地方税に関する問題でございますが、すでに先ほどもお答えを申し上げましたが、事務所事業所税というものを今回見送ることになりましたのは、先ほど来申し上げておりまするように、法人関係の税を今回は相当に引き上げたというようなこともございましたし、また、御承知のような経済情勢でございまするので、今回はこれを見送ることにいたしたという次第でございます。
なお、地方税における非課税なり軽減の措置について、できるだけこれを推し進めるべきだという御指摘でございます。この点につきましては、今回の税制改正におきましても、発電所にかかる固定資産税の特例措置を廃止するということにいたしておりまするが、今後ともこの方向で進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
次に、住民税の課税最低限につきましては、政府におきましても、昭和四十九年度において相当大幅に引き上げることにいたしておるのでございまして、御指摘のございましたように、低所得者層の負担軽減をはかるための税額控除をやるという方法を新たに取り入れるということは必ずしも適当でない、私はかように考えておる次第でございます。
さらに、今回の改正案におきましては、小規模の住宅用地の税額は、昭和四十八年度より増額しないということにいたしておるのでございます。
最後に、自治体病院の経営健全化の問題についてのお尋ねでございました。これも、ただいま大蔵大臣からお答えがあったわけでございますが、自治省といたしましては、昭和四十八年度末における不良債務をたな上げするということにいたしまして、そのため、公立病院特例債というものの発行を認めまするとともに、その利子に対して国から所要の利子の助成を行なうということにいたし、これによりまして、今後自治体病院の健全化に資してまいりたい、かように考えておるところでございます。(拍手)
〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/49
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050・齋藤邦吉
○国務大臣(齋藤邦吉君) 自治体病院に対する助成の問題につきましては、さきに大蔵大臣からお答えがございましたが、地域医療の中核という重要な義務を持っておる自治体病院でございますので、厚生省におきましては、従来からガン診療、救急医療、僻地医療等に関する施設設備につきまして助成の措置を講じてまいりました。さらにまた、その重要性にかんがみ、昭和四十九年度からは、不採算地区の病院に対して運営費の補助もいたす、こういうことにいたしたわけでございまして、厚生省としては、相当の援助をいたしておると考えておる次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/50
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051・秋田大助
○副議長(秋田大助君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01519740228/51
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052・秋田大助
○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十四分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 田中 角榮君
法 務 大 臣 中村 梅吉君
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
郵 政 大 臣 原田 憲君
自 治 大 臣 町村 金五君
国 務 大 臣 内田 常雄君
国 務 大 臣 小坂徳三郎君
出席政府委員
内閣法制局第三
部長 茂串 俊君
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