1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月二十二日(金曜日)
午後一時四十五分開会
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委員の異動
三月八日
辞任 補欠選任
竹内 藤男君 岩本 政一君
中村 登美君 江藤 智君
三月十八日
辞任 補欠選任
渡辺一太郎君 鬼丸 勝之君
田渕 哲也君 中村 利次君
三月十九日
辞任 補欠選任
阿部 憲一君 小平 芳平君
三月二十二日
辞任 補欠選任
岩本 政一君 寺下 岩蔵君
三木 忠雄君 阿部 憲一君
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出席者は左のとおり。
委員長 宮崎 正雄君
理 事
黒住 忠行君
菅野 儀作君
杉山善太郎君
委 員
木村 睦男君
寺下 岩蔵君
瀬谷 英行君
森中 守義君
阿部 憲一君
小平 芳平君
中村 利次君
国務大臣
運 輸 大 臣 徳永 正利君
政府委員
経済企画庁総合
計画局長 宮崎 仁君
環境政務次官 藤本 孝雄君
運輸省大臣官房
審議官 原田昇左右君
運輸省航空局長 寺井 久美君
事務局側
常任委員会専門
員 池部 幸雄君
参考人
川 西 市 長 伊藤竜太郎君
豊 中 市 長 竹内 義治君
大田区助役 七尾 清一君
日本弁護士連合
会公害対策委員
会第三部会長 真鍋 正一君
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本日の会議に付した案件
○公共用飛行場周辺における航空機騒音による障
害の防止等に関する法律の一部を改正する法律
案(第七十一回国会内閣提出、第七十二回国会
衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
○連合審査会に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/0
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001・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
中村登美君、竹内藤男君、渡辺一太郎君、田渕哲也君、阿部憲一君が委員を辞任され、その補欠として江藤智君、岩本政一君、鬼丸勝之君、中村利次君、小平芳平君がそれぞれ選任されました。
また、本日、岩本政一君が委員を辞任され、その補欠として寺下岩蔵君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/1
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002・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。徳永運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/2
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003・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) ただいま議題となりました公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
公共用飛行場の周辺地域の航空機の騒音対策につきましては、昭和四十二年に現行法が制定されまして以来、学校、病院等の防音工事に対する助成、建物の移転補償等の諸措置が講ぜられてきたところでありますが、ここ数年航空輸送需要が激増し、航空機の大型化、ジェット化が進み、このため航空機騒音問題は、年々深刻化し、特に大阪国際空港におきましては、大きな社会問題となっている状況であります。
このような事態に対処するため、政府といたしましては、学校、病院等の防音工事を中心とする当面の対策からさらに進んで、住民から航空機騒音をできる限り遮断するという基本的な方針のもとに空港の周辺地域の整備、再開発を含む抜本的な対策を実施することとし、これに必要な法制の整備をはかるためこの法律案を提案することとした次第であります。
次に、改正案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、現行法により航空機騒音による障害が著しい飛行場として指定されております特定飛行場の設置者は、その飛行場周辺の一定区域に現存する一般民家につきまして、その所有者等が防音工事を行なうときは、その工事に対し、助成の措置をとることといたしております。
第二に、特定飛行場の設置者は、航空機の騒音による障害の発生を防止するため、その飛行場に隣接する一定区域内の一定の土地を緑地帯その他の緩衝地帯として整備するよう必要な措置をとることといたしております。
第三に、特定飛行場のうち、計画的な周辺整備を促進する必要があると認められるものを周辺整備空港として指定し、関係都道府県知事が空港の設置者と協議して、その周辺地域における緑地帯等の整備、工場、倉庫等航空機騒音の影響の少ない施設のための土地の造成等を内容とする空港周辺整備計画を策定することといたしております。
第四に、周辺整備空港ごとに、空港周辺整備機構という法人を設立し得ることといたしております。この機構は、国と地方公共団体がともに出資し、運輸大臣の認可を受けて設立され、その監督のもとに、空港周辺整備計画の実施等の業務を一元的に行なうことといたしております。
以上のほか、特定飛行場以外の公共用飛行場につきましても、その周辺地域における航空機騒音による障害が将来著しくなると予想される場合には、地方公共団体はその周辺地域の振興または整備の施策の策定等にあたっては騒音障害の防止について配慮するものとし、国はこれに対し必要な援助を行なうようつとめることといたしております。
以上がこの法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/3
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004・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/4
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005・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日参考人として、兵庫県川西市長伊藤竜太郎君、大阪府豊中市長竹内義治君、東京都大田区助役七尾清一君、日本弁護士連合会公害対策委員会第三部会長真鍋正一君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/5
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006・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/6
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007・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案につき、現地において意見を聴取するため委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/7
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008・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認めます。
つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/8
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009・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/9
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010・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 連合審査会に関する件についておはかりいたします。
公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案について、地方行政委員会、公害対策及び環境保全特別委員会からの連合審査会開会の申し出を受諾することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/10
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011・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/11
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012・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/12
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013・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/13
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014・森中守義
○森中守義君 参考人の出席まで二、三問大臣にお尋ねいたします。
この法案は昨年からの継続審査ですが、そこで法案提出の時期から現在までかなりの状況の変化があったんじゃないかと、こういうふうに私は思います。たとえば四十六年の十二月二十八日に環境庁長官が環境保全上緊急を要する航空機騒音対策についてという勧告をしている。同時に環境基準が設定をされた。それと先般の大阪の訴訟に対して判決が行なわれた。あと、航空業界それ自体に非常に顕著な変化ということはないにいたしましても、公害それ自体については、こういうかなり重大な転機をもたらしたと言えると思うんです。
したがって法案が提出された時点における問題のとらえ方、勧告及び環境基準の設定された、その時点における内容の変化。それといま一つは国が七億五千万、兵庫、大阪それぞれの府県が二億五千万、合計十億という出資こういう財政措置について、新しく改正しようとする法律を実施に移す段階において、十億の出資金というものが、法案提出の時点におけるものと今日で多少の変化を伴うのじゃなかろうか、こういうふうに私は考えるんですが、要するに一年間の継続審査に付されたということにおける、提出から今日に至る変化は運輸省としてはお考えにならないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/14
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015・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) この法案の提出されました時期から現在まで、先生御指摘のように、いろいろな動きがございました。そこで、たとえばこの出資金というようなものも、その後変化を生じて検討を要するのではないかという御趣旨かと存じます。しかしながら、この出資金と申しますのは、十億円、主として事務的な経費に充てるためのものでございまして、当面この十億に基づきます金利でまかなっていけるという考え方に立っておりまして、一昨年の時点——予算的な折衝をいたしました時点と現在とでそれほど変わっているというふうには考えておりません。
もう一つ、それから環境庁の勧告あるいは告示というものがなされておりますが、実は私どもこの法案をお願いいたします段階におきまして、環境庁の勧告というものを相当重視いたしまして、これを柱といたしまして一つの空港周辺整備というものに対する考え方を整理いたしたわけでございます。
その後、昨年の暮れ、再び告示という形で環境庁から一つの基準が出されたわけでございまして、この勧告及び告示に基づきまして今後の空港周辺の整備を実施していくという点につきましては、基本的に変わっておりませんし、昨年末の告示というものが非常にきびしいものではございますけれども、実施目標を定められておりまして、五年あるいは十年という間にこれを実施していくことになっております。したがいまして、現在私どもがお願いいたしておりますこの法案の改正及び当面の予算措置というものを、大幅に変えなければならないというほどの大きな客観的な予期せざる変化ではなかったというふうに考えておりまして、これが実際に発足いたしまして、今後十年程度の期間の中にどの程度の資金が必要となるか。当然これは将来見直さなければならないと考えておりますが、現在のところ、ただいまお願いいたしております法案及びその当面の予算ということで発足して差しつかえないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/15
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016・森中守義
○森中守義君 その具体的な内容はこれからの審議の中に入りますが、いま局長の御答弁で一応了承しておきましょう。それから、先ほどちょっと冒頭に大臣に申し上げたように、きょうのお昼のNHKの総合テレビで、大平外務大臣が大阪に台湾機を入れる、こういうことを衆議院のほうで答弁をされたということが出ておりますが、先般の委員会で、亜東関係協会、これらを中心にして日台の話は進んでいる。この結末がどうなったのか。少なくとも、まだ私どもは、板垣さんが帰られたようですけれども、きちんと決着がついたという話は聞いていない。したがって日台の話し合いはどういったような内容になっているのか。で、それと日台の決着を待たないで北京側と話をしよう、こういうように政府の方針が固まったように実は伝えられておりますが、そういういきさつはどうなのか。私どもが在来聞かされていたもの、あるいはこの委員会で大臣答弁というものは、まず日中の問題は日台の整理をつけることが先決である、そのあとに北京側と話をしたい。ただし時期としてはこの会期中に批准を求めると、こういうようなことで了承しておったわけでありますが、だいぶ状況が変わってきたようです。したがって日台の関係はどうなったのか。未解決のまま北京と交渉に入るというその背景はどういうものであるのか。これも含めながら大臣の御答弁をいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/16
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017・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 大阪空港に対する台湾機の問題、大平外務大臣の御発言に対するNHKの報道の問題につきましては、私その経緯等について詳しく存じませんので、御答弁申し上げるまだ知識を持っておりませんからごかんべんいただくといたしまして、せんだって来申しておりました日台間の民間航空の取りきめ、それと日中航空協定、この問題につきましては、日台、日中両方とも路線を確保するというのがまず前提にあるわけでございます。日中航空協定によって日中間の路線も確定しよう、これは国と国との正式な機関でございますから、そういうふうにしよう、日台間については民間協定において日台間の路線を民間の取りきめによって維持しよう、この二つの実は命題があるわけでございます。
そこで、まず現在飛んでおります日台間の交渉を始めようということで、亜東協会を通じまして、運輸、外務両省案を党でいろいろ御検討いただいて、その経緯はもう申し上げるまでもなく新聞等で御存じのとおりでございますが、その結果に基づきまして、そういう命題の上に立って交渉を始めたわけでございます。で、板垣理事長が台湾にその問題をさげて行かれまして、そうして向こうの会長でございますか、理事長でございますか、責任者に詳しくこちらの事情を説明し、そして路線維持の問題について民間協定を取り結びたいという申し入れをされたのでございます。
その結果、台湾政府としましては、御趣旨のことはわかった、しかし自分のほうにもいろいろ考えさしてくれということで、その提案を聞き取ったままで、回答につきましてはしばし時間をくれということで、まだ回答が出てきてないのが現状でございます。そこで両路線を維持するという一つの命題の上に立ちまして、日中間においてもこのまま放置するわけにはまいらぬということで、日中の交渉を始めることに相なったわけでございます。交渉事でございますから、いろいろと先様の御都合もあり内容等もあると思います。したがいまして、現状においては台湾側からはまだ回答がない、提案はした、それに対する回答がないというのが台湾側の現状でございますし、日中間においては、昨日、外務省の事務官はじめわが省からも国際課長を中国に派遣して交渉に入る、こういう段取りに相なっているのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/17
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018・森中守義
○森中守義君 まあ私は、固有の見解としましては、別段台湾にこだわる必要がないというように判断しております。
そこで時期の問題でもありますが、これはこういう公の場所でどうかと思いますけれども、きょう午前中、公害対策をやりましたあとで、ある人を介しまして、国連総会に外務大臣が出れない、それで三木環境庁長官にかわって行ってほしいという意向打診が来ているんだが、一体両院の特別委員長は了承してもらえるかどうかという、こういう話をきょう受けたんです。
それで私は、おそらく日中航空というものはそんなに早い時期に外務大臣がもう出かけていくというようなつもりならば、その辺の感触がよくわかりませんけれども、一連の流れからいけば、かなり急ピッチに進んでいるんじゃないか、こういうように判断をしている。そこで問題は、きょうの外務大臣の衆議院の答弁では、私もテレビによった材料ですから、会議録も何も見ておりません。これもだからしかとしたことは、大臣と同じようなことになりますが、この大阪にもしかりに、いま降りているものを定着さしていくということの場合になれば、かなりこれは大阪では反響を呼ぶのじゃないか。先般の判決、その後の控訴、そしてまた、きょうこの委員会で審議を開始しようという改正案の問題等々、かなり神経をとがらしていると思うのです。こういう時期に大阪問題等を外務大臣が述べられるということはやや経率のそしりを免れないだろうし、かたがた、いままで長年にわたりまして日中問題を議論する際に、おおむね運輸大臣というのはコメントしなかった。外務省はこういう見解を持つようだが運輸省はどうだと、こう開きましても、いやそれは外務省でおやりのことなのでどうも運輸大臣としては目下コメントの限りでないというようなことが非常に多かった。
ですから実際問題としまして、運輸省と外務省との間で、日中問題に限らず、ことにいま大きな問題はそれですが、こういう場合に外務省は、何か計画を持って話し合いを進めようという場合に、運輸省の意見も徴することがあるのですか。あるいは双方が合意によってものごとを進めるという、まあこれが私は本筋でなくちゃいかぬと、こう思うのですけれども、外務省と運輸省の関係はどうなっているのですか。
それから、いま一つ気になりますのは、先日の新聞で、カナダと中国の間で航空協定が成立を見た、こういうように記憶しておりますが、この辺の真偽のほどはどうなのか。で、そういう際に、カナダの飛行機というものは東京経由で行くということになっているのか。まあ在来の日加航空協定では東京の以遠権は認めていないようですね。ですから、その辺のことはすでにもうカナダから日本政府に話が通じてきているものかどうなのか。この辺の事実関係も一緒にひとつ御答弁を願っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/18
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019・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) まあ外務省は出先も持っておりますし、またしばしば日中関係につきましては大臣そのものもお出かけになっておりますし、いろいろお話し合いも、細部にわたって私どものほうに御連絡がなかった場合も必ずしもないとは言えないわけでございますけれども、それにいたしましても、運輸、外務両省間では、問題点につきましては十分事務的な詰めもやっておりまして、そごのないような段取りを進めておるわけでございます。いろいろ御指摘の点等については今後十分私どもも注意してまいらなけりゃならぬ点があると思います。その点は十分配慮してまいりたいと、かように考えております。
また、カナダ−中国の飛行機の問題につきましては、航空局長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/19
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020・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) ただいま御質問のカナダと中国の関係あるいはそれに関連する日本の立場という点でございますが、カナダと中国の間に航空協定は締結されたというふうに聞いております。また日本とカナダとの関係では、先生御指摘のように、東京以遠、中国内の地点を現在の航空協定では与えておりません。したがいまして、このままの状態では東京経由中国内の北京あるいは上海という地点にカナダの航空会社は運航ができないというたてまえになっております。ただ先般新聞等に出ておりましたように、上空通過あるいは技術着陸による東京経由というような点になりますと、これは多数国間条約のいわゆるICAO条約に加盟しております関係上、基本的にはカナダ側にも権利がございます。
ただ問題なのは、現在中国側といわゆる日本、あるいは韓国との航空交通の受け渡し関係という点につきまして確立された方法がございませんので、安全上の問題がそこに関与しておるというふうに私ども考えております。先般のも一つの観測記事にすぎないのではないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、カナダ側としては中国に飛びたいという意思を持っていることは間違いございません。ただ御参考までに申し上げますと、現在日本とカナダの航空交渉をやっておりますけれども、その席上この中国問題というのは現在までのところテーブルにあがっていないということでございまして、日本の以遠権についてのカナダ側の正式なアプローチというものはまだ来ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/20
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021・森中守義
○森中守義君 大臣、この日中の問題は、これはやっぱり実際の航空行政を所掌するのは運輸大臣ですからね。外務大臣は外交上の問題としてその立場からコメントされるのは、これはある程度やむを得ないにしましても、やはりきちんとしたものを運輸省と外務省の間で詰めた話でないと非常に混乱を生ずると思うんですね。そういう意味では、粗漏のないように、外務省が思いつきでいろいろものを言ってみたり、ものをはかってみたり、考えたりすることに追随しないように、ひとつ固有の意見を運輸省は持ってもらいたいと思いますね。これはひとつ大臣の所見を伺っておきたい。
それと局長、さっき私が申し上げたように、かなり日中の正規な政府間交渉が早まるだろう、こういう観測を私は持つのです。非常にけっこうだと思う。そこでその際における実務的な問題として、たとえば着陸地点はどこにするとか、日台、日中の扱いを事務レベルとしてはどうするというようなことを、もはやこれは詰めておかなければ、かなり話はまとまった、実際飛ばし合わせるという時期になると相当ずれてくるというようなことも考えられる。したがって、できるだけ早く対応していこうというには、ある程度構想をまとめておく必要があると思うのです。おそらくまとまってはいるんだが、研究はして詰めてはいるんだが、なかなか表には言えないということであるのか、まだまだ進行中であるから模様を見ているということであるのか、この辺どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/21
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022・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 外務、運輸両省間の連絡は常に密にやってまいったつもりでございますけれども、いろいろ御指摘の点等については、十分今後配慮してまいりたいと思います。なお固有の運輸省は実務を持っているんだから、その実務に関しては思いつきやそういうものに引っぱり回されぬようにやれという御鞭撻に対しましては、肝に銘じてひとつそういうふうに運んでまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/22
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023・森中守義
○森中守義君 それから局長、仮定の話になりますが、さっきいみじくも言われたようにICAO条約というものをたてにとって、それでカナダのほうから東京に寄せてくれと、それから飛んでいくというようなアプローチがあった場合にどうします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/23
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024・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) その点につきましては、実は二つの点で問題がございまして、これはカナダ側に了解を得なければいけないと考えております。まあ事実非公式にそういう話もしたこともございますけれども、まず第一点は、先ほど申し上げましたように、日本側の管制圏、それから中国側の管制圏に飛行機を受け渡しするルールがいまのところ全くございません。また中国がどのような方法をとっておるかについても現在のところ事情が明確になっておらないわけでございまして、この受け渡しの方法がつかない限り日本側としては非常に安全の保障ができない。のみならず、こちらから出ていくときはともかく、突如としてわが管制圏にカナダの飛行機が中国側から入ってくるというようなことでは航空交通上非常に支障が生じる、危険のおそれが多分にあるので、これは当分御遠慮願いたいという点が一点、それから羽田に技術着陸という点でございますが、先生御案内のように、羽田は非常に混雑いたしておりまして、定期便すら増便ができないという状態になっておるわけで、定期便のワクを切ってそのテクランをやるというところまでカナダ側も決心ができませんし、われわれといたしましてもそういう羽田の事情を勘案して当分待ってもらいたい、この二点についてカナダ側の理解を得るべく努力をする必要がありますし、またカナダ側といたしましても条約をたてにとってしゃにむに飛ぼうというところまでまだ決心をしているわけではないし、十分御理解いただける、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/24
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025・森中守義
○森中守義君 これは数年以前もカナダあるいはアメリカのほうが頭越しで先に行っちゃうんじゃないかという、こういう議論をこの委員会で何回もしたと思います。むろん当時はまだ回復前の問題で、日中航空協定がこういうようにピッチをあげるということは予測されなかった。その当時でも、いやそれは頭越しでやられたんではたまったものじゃないということで、かなりきつい姿勢を運輸省はとってきた。そこで今回も、おそらくそういったようなことは早い機会に実際問題として出てくるんじゃないか。いま国際航空界では中国にどこが早く入るか非常に注目されているわけですね。ですから、おそらくカナダが先べんをつけた、あとはアメリカだろう、日本がいま北京に話を進めようという、時間的にそう大きな落差はないでしょうけれども、いま言われるような問題をよほどひとつ肝に銘じて処理してもらう必要がありますね。
それから、大体政府間協定が成立をして実際の運航に入るのは何カ月ぐらいかかる予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/25
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026・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 一般論といたしましては、必ず何カ月ということがきまっておるわけではございませんけれども、常識的に六カ月ぐらいはかかる。これは国際線の航空会社の運航のためにはやはり相当前広の準備が必要であるということもございまして、われわれ航空協定交渉をやります際に、大体このぐらいに乗り入れを開始したいという一応の計画等がございますので、それの一年前ぐらいまでに大体航空協定の締結の努力をしていくと、短かければ六カ月程度あれば運航が開始可能でございます。ただソ連の場合も同様でございましたけれども、管制方式が違ったりいたしますと相当こまかい技術的な取りきめが必要になりますので、その調整等も考えますと、やはり最低は六カ月必要であろうというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/26
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027・森中守義
○森中守義君 それでは、私の質問は後刻にまたやるといたしまして、一応これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/27
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028・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/28
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029・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 速記をつけて。
この際、参考人に御出席いただいておりますので、一言ごあいさつを申し上げます。
本日は御多用中のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございました。本案について、それぞれ忌憚のない御意見を承りまして審査の参考にいたしたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げますが、伊藤参考人、竹内参考人、七尾参考人、真鍋参考人の順序で、御意見をお一人十五分程度にとりまとめてお述べいただきたく、その後、委員の質疑に対し、お答をいただきたいと存じます。
それでは伊藤参考人からお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/29
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030・伊藤竜太郎
○参考人(伊藤竜太郎君) 私、兵庫県の川西市の市長でございます。川西市と申しますのは、ちょうど飛行場の滑走路から約千四百メートルほど、離陸直下のところでございまして、市内には空港敷地は一坪もございませんが、騒音だけは一番激しい騒音を受けておる、こういう場所でございます。市自身の大きさは、人口十万七千ぐらいでございまして、五十三平方キロほどあるわけでございますが、この航空騒音の被害を受けます地域は、その中の南部地区という地域でございまして、現在のWECPNL八五以上の地域が二百七十ヘクタールほどあるわけでございまして、そういう地域の中に住んでおる世帯は、現在のところ七〇以上で約一万五千世帯、八五以上でございますと約四千世帯というのが現在の人口でございます。
そこで、われわれとしましては、離陸直下でございますので、大体最高の航空騒音はホンで百十ホン、WECPNLでいきますと約一〇〇、九五以上という地域が、限定されておりますけれども非常に激しい地域があるわけでございまして、今度の法におきまして、いわゆる第三種と目されますWECPNL九五以上の地域で、われわれの測定では約千四百九十四世帯、九〇以上、第二種区域はそれに加えること千九百七十四というぐらいの世帯数がそこにはりついておると、こういう状況でございます。
この騒音の区域につきましては、現在運輸省で発表されておりますコンターと、われわれが地元で測定しながらつくっておりますコンターとでは非常に大きな開きがあるわけでございまして、大体現在のところではWECPNLの数字でまいりまして、五ぐらいは運輸省のほうが少なく出ております。したがいまして、いま申し上げました世帯数にいたしましても、運輸省のほうで査定いたしますと、ずいぶんとこの数字が違ってきておりますが、われわれは年間四季を通じましてしょっちゅう測定をいたしまして、そうしてこの数字をつかんでいるわけでございます。どういうわけでこれほど運輸省サイドと地元の測定値が違うかということにつきましては、われわれも非常に疑問があるわけでございますが、飛行機の離陸のコースというのが非常に分散するという点が一つの原因になっていると、かように思うわけでございます。
もう一つは、運輸省サイドにおかれましては、やはり事業費というものを念頭においてものを考えておられますので、この範囲をむやみに広げるということは事業費に非常に影響があると、こういうふうにお考えになって、その立場から、ある程度ものごとを小さく推定されておるのではないかと、かように考える次第でございます。
いずれにしましても、われわれとしまして非常に激しい地区でございまして、住民からはいつもこの航空騒音対策ということにつきましてきびしい突き上げが市にも参りますし、また県、運輸省に対しても年間を通じて絶え間なく陳情、抗議行動が起こされております。特に、最近新聞紙上をにぎわしております航空騒音の裁判という問題で提訴されておったわけでございますが、去る二月二十七日、これに対する判決が出ました。しかしながら、これは決して満足すべきものではないということで再び控訴をするという現在の情勢になってきておるということで、住民パワーの突き上げが非常に強い、こういう次第でございます。
現在、私としましてこの航空騒音に対して考えておりますことは、ともかく第一番には、お手元のほうに要望書としてこういう冊子をお配りしていると思いますが、この二ページ目に五項目について書いてございます。まず航空騒音問題の当面の抜本策といたしまして空港周辺整備機構を早期に設置していただいて、事業の着手にかかっていただきたい。第二番目には、民間の騒音防止事業を一室に限らず、各部屋について防音工事をやってもらいたい。それから移転補償を実現するために移転補償制度の内容の充実、また移転補償区域の拡大をはかっていただきたい。それから地方自治体として非常に大きな財政負担が毎年あるわけでございますが、これは原因者でない市が航空騒音のために貴重な市費をこのほうに投入するということは、はなはだ納得のできない話でございます。地方自治体の財源負担の軽減をはかっていただきたい。それからこれは航空裁判にも出ておりましたが、減便措置をはかっていただく、特に夜間の九時以降の航空機の発着を全面禁止していただきたいというようなことが、当面の対策としてお願いしたいという問題でございます。
もちろん将来の理想の姿といたしましては、現在の空港がなくなるのが理想でございます。これにはしかし、なかなか時間もかかることであろうし、また関西新国際空港の建設という問題が解決されなければ、関西に全然空港がゼロになってしまうということは、常識的にもちょっと考え得られない問題ではなかろうかと思うわけでございますので、われわれとしましては関西新国際空港を一日も早く建設していただいて、そしていまの空港をまずローカル化する、最終的にはなしにする、こういう措置をとっていただきたいというのが最終の理想の形ではございますけれども、それまでには相当時間がかかると思いますので、それまでの対策として、いま申し上げた五項目のことにつきまして強力に推進をしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
したがいまして、このたびの騒音防止法の改正につきまして、特に内容のある周辺整備機構という問題につきましては、川西市としましては全面的に賛成をしているわけでございます。地元民といたしましても、この移転補償という問題につきまして早くから県のほうにも、また国のほうにも陳情をしておりまして、移転補償の地域を早くつくってほしいということは地元民の代表の意見として市にも県にも国にも出ているわけでございます。川西市としましては、この陳情を受けまして、現在、航空騒音の関係のない市の奥地のほうに、航空騒音の移住地を現在計画しておるわけでございます。これは芋生地区といいまして、全然ここは航空騒音に関係のないところでございます。お手元に地図がいっていると思います。川西市の二万五千分の一の地図が入ってございますが、その地図を見ていただきますと航空騒音と移住地の関係がおわかりになっていただけるかと思う次第でございます。
こういう地図がお手元にいっていると思いますが、これが飛行場の滑走路でございまして、この辺が一番航空騒音のきびしいところでございます。今度移住地をつくろうとするのはここでございまして、ここではほとんど航空騒音については問題がないという場所を造成しまして移住地をつくろうと計画しているわけでございますけれども、しかしながら、これについて約五百世帯分ほど、住宅地としまして二万坪、一戸当たり四十坪ぐらいの住宅地にしましても約二万坪、それを造成しますには、やはり宅地率——この辺は四〇%ぐらいしなければなりませんので、約五万坪ほどの造成をしなければならぬ。しかしながら、五万坪造成しましてもそこに生活環境ができませんことには人がそこへ移住いたしませんので、その辺を含めての開発を計画しておるわけでございまして、約百三十ヘクタール、四十万坪ほどの買い上げをしまして、ここにいろんな生活環境を張りつけ、そうしてここに移住してもらおうと、こういう計画を立てておりますが、ちょうどこの地域が調整区域でございます。しかも、なお近畿整備圏の緑地保全をかぶっております関係上、二年半ほど前、もう約三年ぐらいになりますが、以前からこの地域の開発を県のほうにも申請はしておりますが、なかなか許可にならない。いまだにまだ許可になりません。一応県としても許可せざるばなるまいという考えにはなっていただいておりますが、まだ現実には許可になっておりません。
これが三年前にすでに許可になっておれば、いま時分すでに移転ができておるという状態でございますが、いま申し上げましたような事情によりましてまだ許可になっておりませんし、いますぐに許可になりましても、やはり人が住みつくまでには今後三年ほどの時日は要するであろうというわけでございますので、すぐ間に合わないわけでございますが、しかし手をつけないことにはいつまでほうっておいても解決しない問題でございますので、今度幸いにして空港周辺整備機構ができ、こういう事業をやりまするに非常に大きな手段として有力なものになろうと思うわけでございますので、こういう造成地につきましても、今後ともこの整備機構の手段を利用しまして民家の移転、ことに地元では移転につきまして非常に希望しているわけでございますので、それの推進をしたい、かように考えているわけでございます。いままでの法によります、いわゆる滑走路の末端から千六百メートル以内というのが移転補償区域になっておりましたが、そこに張りついております世帯が約七百六十四世帯でございますが、その中で川西のほうに移転をしたいと、こういう希望を申し入れている家庭か相当あるわけでございまして、現在の統計によりますと、アンケートいたしましたところ約この中の六割五分から七割近く、約五百世帯ほどが移転したいという陳情を各自治会長の名でもちまして市のほうに陳情が来ているわけでございます。
したがいまして、私たちは五百世帯というのを、まず目標としてここに宅地造成をしてここに移転してもらおうと、こういう計画を三年前から立案いたしまして進めているわけでございますが、先ほど申し上げましたような事情で、調整区域であるから許可できないとか、あるいは緑地保全をかぶっているから許可できないといういろいろな立場から、いまだにこれが少しも進捗しない。地元の人は業を煮やしまして、県のほうにどなり込んでいっている。一体何を考えているんだと言って、県の担当課長、部長の机をたたいて憤慨して帰ってきておると、こういうのが現在の実情でございますが、やはりいろいろと担当の考えもあるのだろうと思いますが、いまだに進捗しておらないというのが実情でございます。私としましては、今度できます法改正によりまして、周辺整備機構の有効な手段をもってすみやかにこういう移転を実施して、そうして被害をこうむる民家を一軒でも少なくしていきたい。その移転したあとにつきましては、これは国なり、県なりで買収していただいて、そこは空地にするなり緑地にするなり、あるいはまた航空騒音に関係のない工場、倉庫等を入れるというようなことで市民の方の反対というものを緩和していけるのではないか。当面の有効な方策としてはそれが一番手っとり早い方法であると、このように考えているわけでございます。しかしながら、先ほども申しておりますように、市といたしましては、市は加害者の立場でございませんので、空港整備事業につきましても、私は発起人の一員にはなるということは申しておりますが、これに対する投資とか、あるいは人員を派遣するというようなことにつきましては、現在の財政上とても市は不可能でございます。市が四十二年以降、この防止法が出ましてから以降四十八年までの六年間に、大体市の費用として持ち出している費用が現在約八億と私は概算をしております。年間一億五千万ぐらいは市が市の費用をこれに持ち出しているわけでございます。飛行機が飛ぶためになぜ市がこれだけの費用を負担しなきゃならぬのかということに不満を持ち、また疑問を感じるわけでございまして、なお、これ以上に市のほうが財源を負担していくことにつきましては、とても耐えられないという事情でございます。整備機構が発足しましても、これに対してはもちろん協力はいたしますけれども、財政上あるいは人員の上においての負担についてはできない、こういうような事情でございます。
先ほどからすでにもう十五分ほど経過いたしております。申し落とした点もあろうとは存ずるわけでございますが、また御質問によりましてお答えをさしていただきたいと思います。
以上実情を申し述べまして、私の陳述を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/30
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031・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) どうもありがとうございました。
次に、竹内参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/31
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032・竹内義治
○参考人(竹内義治君) 大阪豊中の市長でございます。
私は、ただいま口述されました川西市長と反対側で着陸側の土地にございます。法案には賛成という立場で御意見を申し上げたいと思います。そのために皆さんのお手元に配付しておりまする「大阪国際空港における航空機騒音公害の現状と問題点」という資料につきまして、ごく簡単に触れて御説明申し上げたいと思います。
この資料の一と書いてありまする一ページ目に、現在の大阪国際空港の位置を示しておりますが、大阪国際空港は豊中、伊丹市にまたがりまして立地をしておるわけでございますが、この周辺には大阪市に影響のあります東淀川だけを見ましても、人口が約二百四十万人あるということであります。言いかえれば、二百四十万人の都会のまん中に大阪国際空港が立地しているとお考えをいただいてもよい立地条件であるということを、ひとつ前提として御了解賜わりたいと思います。
どのぐらい影響があるかという点につきましては、二ページ目に騒音のコンターを示しております。着陸側におきましては新大阪駅ぐらいから騒音地域に入ります。それで大阪市の東淀川から豊中市の南を突き抜けまして、豊中市の西の端のほうまで影響を受けておりまして、豊中の土地の南半分が騒音下に置かれる。豊中市の人口は三十八万でございますが、その約半分が騒音下にあるということでございます。
三ページ目は省略いたしまして、四ページ目にはどのくらい飛行機が飛んでおるかという点でございますが、これは現在の大阪国際空港におきましては、この資料にございますように、ほとんどピークに達しておる状態でございます。しかも輸送力増強のためにはだんだんとジェット化、大型化されておるというのが現状でございまして、昭和四十八年度では四百十三回離着陸をしておるのでございます。一日当たりでございます。
五ページ目に少しその経過を書いてございますが、現在の大阪国際空港は歴史的に見まして、昭和三十三年に米軍から返還をされまして、翌年七月に大阪国際空港と指定され、第一種空港に指定されたのでございます。この翌年の三十五年から日航とキャセイ航空が相互乗り入れをいたしました。この時分にはあまりジェット機もございませんでしたし騒音関係もございませんでした。しかし、との前後から大阪経済界が、地盤沈下を救済するために大阪にも整備した国際空港が必要であると、こういうことで大阪府、大阪市あるいは兵庫県、神戸市——大阪、神戸、両財界が中心となりまして空港整備計画案を政府に強く迫りました。この点については地元といたしましては非常な反対が強かったわけでございます。しかし当時これらの六者団体は、豊中市及び伊丹市に対しましては、将来起こり得べき騒音に対しては、六者が一切の責任を負い、補償を支払うという協定が行なわれたわけであります。そして、ついに三十六年十二月には豊中市議会におきましては、わずか一票の差で表決されて、拡張はやむを得ないという条件つき賛成をした。将来起こるべき補償はそれらの団体が責任を持ちますと、こういう覚え書きが協定されたわけであります。
翌年伊丹市におきましては、機動隊導入下においてこの拡張計画案が承認されたという歴史的な経過をたどっておるわけでございます。ようやくそれから土地買収できましたのが昭和三十八年でございます。この時分にはまだ飛行場にはジェット機が飛んでおりませんでしたが、用地買収が終わった時点におきまして、昭和三十九年からいよいよ六月からジェット機が入ってまいりました。そこで、これはたいへんだということで、市の議会の中にも騒音対策委員会が発足いたしました。だんだんとエスカレートしてまいりまして、ここにハッチしてあるように激しくなってまいりました。加えて昭和四十一年には土地収用事件というのがございまして、ここで再び航空局長、大阪府知事立ち会いの上で、将来の騒音対策を十分行なうという覚え書きのもとに土地の代執行を平和裏に解決した経緯がございわす。引き続いてそれが行なわれたという点は、御承知のように、万国博を目がけての飛行場整備という点がおもでございましたが、万博が始まりましたその前後からにわかに航空機の大型化、ジェット化が急ピッチに進んでまいりました。これで非常に住民は生活環境を脅かされてまいり、ついに訴訟にまで及んで、四十九年二月、御承知のように大阪空港に関しまする訴訟判決がおりたというのが今日までのごく概要の経過でございます。
そこで現在の飛行場に飛んでおりまする飛行機はほとんどが国内線でございます。国際線は比較的少のうございますが、将来は国際線もふえるであろう。しかも国内線はほとんど大型化、ジェット化が推進されていく傾向にございます。現在では約六六%がジェット化されておりますが、それらの飛行機の離着陸の回数は、先ほど申し上げましたように、一日四百十三回に及んでおりますが、八ページにございますようにラッシュ時におきましては一分三十秒に一機の割りで離着陸いたします。一分三十秒に一機の割りといいますのは、国電の電車が出入りする量でございます。ほとんどのべつまくなしという状態でございます。これがやはり生活環境に大きな影響があるわけでございます。九ページはそれらの点に関しまするWECPNLの区域を表示をいたしておるものでございます。
しからばこの法案によりましてどのくらいの人が影響を受け、どのくらいの地域が影響を受けるかという点でございますが、この資料一〇ページの下の欄をごらんをいただきたいと思います。たとえば除外区域以外の区域及びWECPNL九五以上の地域につきましては戸数にいたしまして千百戸、世帯にして二千六百、七千三百人の人が住んでおりますし、除外区域及びWECPNL九〇の地域にいたしますと、二万三千六百人、この法案によります八五以上の地域に相なりますと二万二千四百人ぐらいの人が住んでおる。これだけの地域に非常に大きな影響を及ぼしておると、こういうぐあいに御理解を賜わりたいと思うわけでございます。
なお、先ほど伊藤市長が申しましたように、豊中市はこれらに対処するために国の援助を受けながら、この航空機騒音対策を四十二年以来行なってまいりました。その間におきましては、航空機燃料譲与税等の創設も行なわれましたが、通年をいたしまして、合計欄にございますように、豊中市が一般財源として投入をいたしました経費は実に三十二億に及びました。伊藤市長が申し上げましたように、目的税財源が付与されたといえども、三十二億に及ぶこの騒音対策をやらなければならないような、非常に急迫した財政状態に追い込まれておるわけであります。何も豊中市としてはメリットのない飛行場のために多額な税金を、市民の負担においてやらなければならぬところに大きな問題点があるということをひとつ御了承いただきたいと思います。
なお、これらの地域に住んでおる人たちは、もうたまらぬので早く移転したいということで、移転の補償を現行法に基づいて申し出ている件数が三百十件ございます。しかし、そのうち申請を出したものが百八十件。それがどのように解決されておるかと申しますと、契約ができたのはわずか六十件であります。なぜ契約できないかと申しますと、一つは補償単価が実情とかけ離れておるという点が第一点であります。もう一つは、移転したくても移転先の土地がなかなか確保できないという問題もございます。広範なやはり対策が必要でございます。移転をしたいけれどもそれらの行政上の措置が必要でございます。そのために今回考えられました第三セクターが代替地取得及びこれらの造成、移転の側面を実施されようとする点は、私どもは住民の期待にこたえるものであろう、かように考えるわけであります。
ここで、私はこの法案につきましては賛成は申し上げますが、ただ問題は騒音だけではないということであります。被害は大気汚染にあらわれてまいっております。特に飛行場周辺の地域におきましては、子供あるいはおとなでもそうでございますが、鼻血の出血者が非常に多い。これはしかも万博が始まった前後からそういう現象が顕著にあらわれているということであります。そういうことは、いろいろ調査を私どももいたしておりますが、疫学的には立証することが、まだ学問的にははっきりされておりませんが、先般大阪府で調査いたしましたところによりましても、瞬間大気汚染、たとえば一酸化炭素にいたしましてもCOにいたしましても、これは瞬間値は通常一PPMが平均値であるものが九・三PPMという非常に高い瞬間値を出す。こういうことがそういうことに影響があるんではないか。市の医師会当局も、それらの点について疫学的調査が必要だとこういうことになっております。
先般、三木環境庁長官は直ちにこれらを調査するということで、三月から調査を始められるようでございますが、そういう大気汚染によるところの大きな被害もあるということをひとつ御了解をいただきたいと思います。これらの対策も、この法案に将来もっとはっきりしていただきたいと同時に、そういう状態でございますから移転がせくということであります。
もう一つの大きな問題点は、現空港の騒音対策は単に騒音あるいはいま申す大気汚染だけではございません。潜在的不安を持っておるということであります。もしも落ちたら、もしもという前提がつきますけれども、事故が起きたときに一体どうなるだろうという気持ちを持っております。潜在的不安感、危険感が、この飛行場に対しましてはどうすることもできない大きな問題であります。これを解決する手段といたしましては、さきの川西市長が言われましたように、大都市のどまん中にあるということが適当ではございませんし、現在の飛行場は万博の広さ並みでございますから、一日も早く他の地点に新しい空港を建設し、これに移行されることが望ましいと思うわけでございます。ただ現実問題といたしましては、新国際空港の問題も、私どもからすれば海のものやら山のものやらわからぬ状態では、やっぱり現実的な処理といたしまして、現在ほんとうに困っておる住民を救済する措置が必要であろうと、かように考えるわけであります。
なお時間がないようでございますが、この法案の施行にあたりましては、周辺整備機構の運営につきましては、ひとつ官僚的非能率性を排除されるような機動性、敏速性をとうとばれる運用をぜひやっていただきたい。いままでの例を考えてまいりますと、何年たっても問題が片づかないということでは非常に困るわけでございます。なおもう一つ、こう言うている間にも別にまた新しい支障物件が建設される状態にございますので、でき得ればWECPNL九五ぐらいの地域につきましては、法律上立地規制ができないものであろうかという点をひとつ御検討賜わりたいと思います。
最後に、私は地元の市長といたしまして、この法案に賛成をしなければならぬということは非常に悲しいことでございますが、しかし現実の被害を考える場合には、一日も早くこの法案が成立し、かつ現在苦しんでおる住民がこれから解放されるように、すみやかな機構の運営、発足を心からお願いを申し上げまして、陳述を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/32
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033・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) どうもありがとうございました。
それでは、次に七尾参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/33
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034・七尾清一
○参考人(七尾清一君) 私は大田区の助役をしております七尾でございます。本日は大田区民を代表いたしまして、航空機によるところの住民被害の現状を訴えさせていただく機会を得さしていただきまして、まことにありがとうございます。感謝を申し上げます。
東京国際空港のB滑走路は、区民が居住しておりますその位地から約二百メートルでございます。C滑走路を飛び立つジェット機は区民の居住地から約四百メートルのところを飛行しておりまして、その滑走路から約三キロ行ったところでは住民の真上を通るというような形になってまいります。したがいまして、航空機の爆音による付近住民の家屋は振動だとか、あるいは障子、ガラス戸などはビリビリというような共鳴音だとか、あるいは騒音によって会話は阻害されたり、あるいはまた電話が通話不能になったり、耳が痛くなったりというような状況が起きているわけでございます。また会話などが中断されることがしばしばでありまして、中には精神的ないら立ちが繰り返されていると、こういうような状態の中にあるわけでございます。さらに夜半から深夜に及ぶ爆音につきましては、安眠を妨害されるために、健康な成人であっても体調を狂わされると、このような原因となっているわけでございます。さらに学校教育の場にいたしましても、航空機による騒音は教育活動に大きな障害となっているわけでございます。
このような騒音被害はそこに住んでみなければほんとうのことがわからないんだろうと私たちは考えているわけでございます。羽田の場合は大阪と立地条件は異なるとは思いますけれども、騒音で住民が苦しんでいるという、この被害は私は全く相違はないと思っておるのでございます。
以上のような抽象的な表現をさらに具体的な数をもって御説明申し上げたいと思うんですが、東京国際空港の離発着機は、四十八年中におきましては十七万二千九百七十四機でございまして、非常にひんぱんな時期では二分三十秒間隔に離発着されているという状況でございます。この短い時間の中で七十ホン以上の音が六十秒も続くと、その中の最大値が九十ホンから百ホンあるんだという、こういう記録が残っております。航空当局は、C滑走路の航路から約四百メートル離れたところの本区の大森第五小学校というところで航空機の騒音を測定をしていらっしゃいます。四十八年度中に八十ホン以上をこえた飛行機の回数が七千二百九十五回、また飛行場から六百メートル離れた羽田小学校というところがございますが、そこでは約一万二千八百回の記録が残されているわけでございます。さらに深夜十一時から午前六時までの間の離着数は年間七千四百五十三機に達しております。大田区民は昼も夜も休みなく騒音に悩まされているというのが現状でございます。
これらの航空機によるところの被害を受けている区民を、東京都の公害研究所の調査の結果を利用さしていただきますと、WECPNLの七五以上の地域は人口が十万四千三百八十四人ということになっております。世帯数にいたしまして四万八百四十三、要するに過密都市でございます。面積は十一・七平方キロとなっております。WECPNLの八五以上の地域をとってみても、人口が一万八千二百七十九人、世帯数で七千三百八十三世帯、面積が七・一八平方キロメートルとなっております。
昭和四十八年の十二月の二十七日に告示されましたところの環境基準の数値というものは決して私どもが満足しているものではございませんけれども、この基準をはるかにオーバーしている地域が非常に多いということでございます。大田区民の被害がたいへんなものであるということは、いま私の申し上げたことでおわかりのことと思うわけでございます。
以上の実態にかんがみまして、大田区では、従前から繰り返し運輸省、空港当局に対しまして騒音の被害の減少について申し出を行なってきておるところでございますが、その一部の約束すら現在守られていないというのが現状でございます。その結果、大田区議会では昨年の十月の八日に「東京国際空港の撤去要求」を決議しております。同年の十一月の十三日には大田区長名で、当面の緊急措置として運輸大臣に対しまして次の四項目を要求いたしました。
すなわち第一が、C滑走路の発着に関し、モノレール——モノレールの線から陸内には入らないという約束があるわけですが、モノレールの線よりも内側に絶対に侵入しないという、こういうこと。そうして新しいコースを定めて航空機の騒音防止法第三条第一項の基定に基づき告示をして、違反者は厳重に処罰をしていただきたいということ。それから第二といたしましては、郵便輸送機を含めまして、午後十時から以降午前七時までの間に発着禁止を告示すること。第三番目には、国際便を成田飛行場に移した後も現在の国内便の数を要するにふやさないこと。第四番目には、エンジンテストは完全に消音及び防音施設を設置して行なうこと。このような四つを要求してまいったわけでございます。
しかしながら、飛行コースの設定については法律が施行されて以来六年もたっておりますけれども、現在まだ告示されていないというのが現状でございます。航空当局は、昭和四十六年三月十八日から騒音対策としてモノレールの海側を飛行するなどの航空方式を定めまして、関係の航空会社に指示をされているということでございますが、今日においても一向にそれが守られていないというのが現状でございます。東京都の公害研究所の調査によりますと、その飛行コースがモノレールより内側に入っているという、内陸部に侵入していると見られる航空機が、四十七年度には六千九百二十二回にもなっております。また原則として深夜の発着は行なわないということを言っておられますが、深夜十一時から朝の六時までの間に内陸部を飛行する飛行機が四百六十二便あります。本区が要求しております午後十時から七時までの間における飛行機は、内陸部を通るものが一千四百十二回、このようになっているわけでございます。
このような状況の中で、トルコの航空機の事故に関しまして、エアバスの就航は一時原因が判明するまで中止することを運輸大臣に求めたところ、残念ながらこれが聞かれなかったわけでございますが、実は一昨日、二十日の日に回答をいただいたわけでございます。その回答の中を見ますと、国は住民の苦悩を犠牲にしても国内線の要するに増便を考えるということが明らかにうたってあるように思えるわけでございます。これはどういうことかといいますと、ひとり航空会社に利益をもたらすだけであって、地元住民には何にも得るものはないということでございます。しかも、その中にこういうことが書いてありまして、私もまだこれは分析していませんのでわかりませんけれども、「モノレールの内側を通るということは、現在の航空機の運航技術及び運航助成設備では、確実に規制を順守するに至っていないことは非常に残念である。」ということがここにうたってございます。そのあとには、現在のC滑走路に着陸する航空機による新しい進入路を検討したいということは書いてあるようでございますが、このような状態の中でエアバスという、まだ新しい飛行機を飛ばすということは、われわれ住民としては非常に不安を持っているわけでございます。先ほどお隣の市長さんがおっしゃったように、その不安感というものは非常に強いものがございます。そういうようなことがございますので、ぜひひとつ、エアバス就航については、このような自分たちが守られないようなコースに飛ばすことについて私たちは反対をしていることをここで申し上げておきたいと思うわけでございます。なおエンジンテストにつきましては、大阪空港や成田空港については施設をつくってすでになっておられるそうでございますが、羽田ではただ単に位置をきめたにすぎないという、こういう状態でございます。したがって被害は減少したとは言えないというふうに私たちは考えるわけでございます。
以上のとおり、いままで運輸省あるいは航空当局は各種の騒音防止対策を講じたいとは言っておりますけれども、本区住民にとっては全く効果のない内容であるということが言えるように思うわけでございます。
さらに大田区で行なった公害問題意識調査の中では、空港の周辺に集中しておりまして、飛行機がうるさいと答えた者が三二・一%ございます。この内訳は、うるさくて不快であるという者が六〇%、子供が寝つかれないという者が一〇%、夜眠れないという者が一七%、それから耳鳴りがするという者が五%などとなっておりまして、この割合を大田区七十万区民に当てはめてみますと、航空機の騒音がいかに多くの人々に影響を与えているかということがわかるわけでございます。したがいまして、本区がさきに運輸省に要求いたしました騒音被害軽減のための要求実現につきましては、諸先生方の御協力を賜わりまして、この席をお借りして実施されるようにお願いを申し上げる次第でございます。
次に、今回の法律改正案につきまして遠慮なく意見を申し上げさせていただきたいと思いますが、法律案は全体として騒音防止対策に対してきわめて消極的で、その法律案の発想自体が騒音を前向きに防止しようとする意図が見られないように私たちは考えられるわけでございます。私たちはむしろこの騒音被害を救うためには、年次計画を立てて、騒音地区を、騒音発生源者がみずからの力でもって積極的に工事に取り組むべきであるというふうに私たちは考えるわけでございます。この案でいきますと、たとえば工事をする場合に補助をするということでございますから、したがって防音工事を行なう資力のない者は、飛行場がある限り永久にこの騒音被害からのがれることができないということになるわけでございます。また土地の買収等につきましても、予算の範囲内云々ということがございますけれども、従前からの経験からいたしまして、なかなかこれは守れるものではないように私たちは考えているわけでございます。
次に、空港周辺の整備計画についてですが、都道府県知事が、これは私たちが言うべきことではないと思うんですけれども、まあ一応考えてみますと、都道府県知事が、国等諸計画に適合したものでなければならないということであれば、知事が計画をつくる意義というものは認められないことになるんではないかというふうな、ここで心配が出てまいっているわけでございます。
それから最後に、空港周辺の整備機構に言及さしていただきたいと思いますが、これについても、空港問題解決の責任を持つ運輸当局の責任転嫁であるんではないかという疑問を実はいだかざるを得ないわけでございます。といいますのは、先ほどからもお話が出ておりますが、機構設立に対する出資金を地方公共団体に負担させるということは問題があるんではないか。これらの資金は原因者負担の原則にのっとるべきで、地方自治体に対して新しい財源を確保させないで、そうして空港周辺の整備の事業について負担をしいるということは納得できるものではないというふうに私たちは考えるわけでございます。
いずれにいたしましても、本法律の運用については、空港問題は空港設置者の責任において、その決定のための費用は原因者負担の原則によるべきであるというふうに私たち考えているわけでございます。いま大田区では、区民の間で航空機公害の完全防止を目ざしてより強力な住民運動を展開しようとしつつあります。また区議会に対しましても、航空機騒音防止に関する請願書が何組も提出されております。区といたしましても、区民と一体となって航空機公害防止対策促進運動を進めてまいる考え方を持っておりますので、諸先生方の皆さまにおかれましても、大田区民の苦しい実情を御理解賜わりまして、一日も早く住みよい生活の場をつくるために、なお一そうの御指導と御協力を賜わることを切にお願いいたしまして、陳述を終わります。
なお参考に申し上げますが、ここに写真を三枚持ってまいりました。これは私どもの飛行場のC滑走路からスタートするときの写真でございますが、ここに飛行機がとまっているわけですね、出発を待っているわけです。そのときにここから出すエンジンテストの煙というものはこんなものじゃないです。もっとひどい写真があったわけですが、たまたま見つからないために、私持ってまいりませんでしたけれども、これはそのすぐ隣にあります中学校の校庭からとった写真でございます。これはバックネットでございます。それでこの学校から一昨年には光化学スモッグと見られる患者が十数人出ているわけでございまして、こういうようなことも実際にあるということを認識賜わりたいと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/34
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035・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) どうもありがとうございました。
最後に、真鍋参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/35
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036・真鍋正一
○参考人(真鍋正一君) 私は日本弁護士連合会公害対策委員会第三部会の部会長をいたしております真鍋でございます。
私どもは、さきに昭和四十八年の四月六日付をもちまして日本弁護士連合会の会長名で本法案に対する意見書を提出いたしております。私が申し上げようとします意見もこれにのっとったものでありますので、そのように御承知ください。
さて、このたびの改正案は、そのねらいが提案理由説明にもありますように、特に大阪国際空港をめぐる状況に対処するためのものであろうと存じます。大阪国際空港におきましては、昭和三十九年六月のジェット機乗り入れ以来、今日に至るまで常にジェット化、大型化が増便とあわせて進行し、被害が深刻になってきたのであります。そして、その間に昭和四十二年に現行法が制定されたことは先生方御承知のとおりでありますが、これが住民の期待を裏切ったものであったということもまた御承知であろうかと思います。本改正案は右の昭和四十二年の防止法を補完するためのものであろうと思いますが、その考え方は基本的には右の現行法と同じであり、したがって、またその欠陥も同じであります。すなわち公害を防止するために、騒音等の発生を防止、減少することなく、周辺住民の立ちのきと防音工事とを施策の骨子とするものでありまして、そこにこの改正案の大きな限界があると思われるのであります。
さて、この改正案では新しく防音工事を一般民家にも及ぼすことと、さらに補償を受けて移転しようとする者に対し、移転先代替地の手当てをすることを制度化したところに一定の前進が見られるものと考えます。ただこの進歩は後退への危険につながっていることに御注意していただきたいと考えるのであります。すなわち限られた周辺地域の整備が進めば進むほど増便、大型化への歯どめが失われ、さらに広い地域を含めた全体としての公害対策がないままに被害地域が広がっていき、それが固定化される、そういうおそれを強く持っているということであります。そのことは、さきに述べましたように、発生源対策のないということとの関連において重大なことであります。現に昭和四十六年十二月に出されました環境庁の勧告にある便数抑制への動きが、現在に至るもまだないということと相まって、大きな疑問を残すものであります。
そのようなことから、本改正案は現時点での応急策であると考えられなければなりません。特に問題の大阪国際空港に関して申し上げますと、いずれ大阪国際空港を撤去すると、そういうふうにいたしまして、それまでの間続くであろう現在の被害に対する措置と考えることによってこの改正案が生きてくるものと信じております。そして、その前提のもとで初めて防音工事の拡大と、後に述べますような周辺整備機構の民主化とがなされねばならないと考えるのであります。
さらに若干の問題点について述べますが、まず本改正案は現行法と同様騒音等の公害を発生源において抑制、減少させるための対策がほとんどないのであります。各種の対策の不備、不十分さがそこから生まれていると思われるのでありますが、航空機あるいはエンジンの改良そのものは別途に措置されるわけでありましょうけれども、しかし飛行場の使用様式の規制による発生源対策というものはここに取り込まれてしかるべきものではないかと考えます。現行法三条では、運輸大臣が告示でもって指定することにより、離着陸の経路、時間、その他航行の方法を定め得るとされてはいますが、なお音量規制、時間帯別規制、機種さらには機数の制限といったような規制の内容をより明確にし、これを実施するようにされるべきものと考えます。このことは法案に盛り込まれるべきであったのではないかと考えております。そして、その内容をその地域によりかなったものとするために、現行法のような、単に都道府県知事の意見を聞くというのみではなく、さらに被害住民の意見が何らかの形で反映される道が開かれるべきであったと考えております。
次に、対策の三つの柱の一つであります防音工事の助成が、改正案により一般民家にまで拡大されたということは一つの前進であると考えます。しかし家屋の防音工事が対策の本筋ではないということは明らかでありまして、航空機が飛んで来るたびに人々が防音室に逃げ込めばよいと、そういうようなことはとうてい言えないでありましょう。防音工事には破壊された生活環境を回復するという機能はないのであります。しかも、それは建物の一室や二室に限り、さらにはその費用の一部を助成するという程度の措置ではなおさらのことでありましょう。人の生活は屋内に限るわけではなく、かつ戸外でも騒音の被害というものは非常に重大であるという二とは、よくいわれております航空機飛来時に起こる交通事故という例を一つとってみましても明らかであると考えます。
防音工事は、あくまでも抜本的な対策がとられるまでの応急策であり、かつ本質的には不完全なものと考えなければならないのであります。そして、その不完全なところの一部を補完するものとして、被害の補償ないし損害賠償の制度が不可欠と考えられるのであります。そして、それも原因者負担主義が貫かれるということによって、あわせて公害の抑止にも役立つ、そういう制度になると考えられるのでありますけれども、そのことを必ずしも本改正案に盛り込めというわけではありませんけれども、しかし空港対策は現在この点において欠けるところが非常に大きいと考えております。
次に、現行法におきましても存しました移転補償の制度は、本改正案においては、地方自治体と周辺整備機構とに責任を押しつけた形ではありますけれども、代替地の造成を制度化したという点において一定の前進を見たものと考えております。ただ、これが実行される場合に非常にむずかしい問題を含むとは思いますけれども、なお現実の住民の立場に立って考えれば、代替地の確保にあたっては、職住、つまり勤務先との距離関係に対する配慮をぜひお願いしなければ絵にかいたもちになるのではないか。そういう御配慮をぜひお願いしたいわけであります。ところで、さらに補償の内容が現行と変わらないというようであれば、それは実情にそぐわない。いたずらに移転希望者に犠牲をしいるというだけに終わると考えます。代替地の造成によって多少の手当てはできるといたしましても、なおそれだけでは不十分でありまして、金額的な配慮をいただかなければならないと考えます。
さらに非常に大きな問題、実際には非常に大きな問題であるわけでありますが、本改正案においても、依然として土地、建物等の所有者に限られる、移転補償の対象が。この点であります。借家人については従来からも全く対象とされておりません。現行法でもそうであります。さらにまた借地人についても現行法の運用上——借地人と申しますのは建物の所有者でありますけれども、現行法の運用上、単独では全く補償の対象とはならない。これは地主と一括してでなければ実際問題として補償を得られない。これらの点に対する手当てが改正案では見られないようであります。これでは移転補償という制度が非常に不備であって実情に沿わないばかりか、実際の効果もあげがたいのではないかと考えます。
さらに本改正案は、周辺整備計画を実施するために周辺整備機構を設立することとなっておりますが、このように公害対策を空港の設置者あるいは航空会社以外のものに実施させることは、真の責任をあいまいにするものとして適切なやり方とは思われません。何びとが行なうにせよ、被害の状況を少しでも改善するという、そういう観点からは賛成できるにしましても、その活動が十分な成果をあげなかったときの責任を不明確にするだけであるというふうに考えます。ただ、それにもかかわらず、もしこのような制度がやむを得ないものであるとするならば、少なくともこの周辺整備機構には十分に被害住民の意見が反映されるように、関係市町村の議会を通じてのコントロールが及ぶような組織に、さらには周辺住民自身がその代表をこれに参加させ得るようにすべきであり、評議員なり、あるいは理事なりとして住民を加えることを義務づけるべきものと考えるのであります。
なお、この制度はそれが充実されればされるほど現状固定につながりやすいものと考えられ、ともすれば一義的であるべき発生源対策を忘れさせる作用を有すると思われるわけであります。この制度はあくまでも二義的な、応急的な措置である、そういうことを明らかにしておくことが必要であろうかと考えるのであります。
最後に、本改正案に盛り込まれましたもろもろの施策を行なうにあたっては、少なくとも環境基準というものが最大限に尊重されなければならないと考えます。同基準は、達成期間を第一種空港については十年をこえる期間で可及的すみやかにと定めて被害住民をたいへん落胆させたものでありますけれども、しかし、それは決して十年間はやらなくてもよいという趣旨に解されるものではないと思っております。WECPNL七〇以上の地域というものは、大阪国際空港周辺だけで考えてみましても五十三万世帯、百七十八万人が住んでいるのであります。本改正案を実施するにあたって、予算に合わせて基準を切り上げるというようなことがないように、ぜひお願いしたいのであります。
以上述べましたように、本改正案は非常に不十分であり、また時期におくれたものであると考えるのでありますが、しかし現行に土べて確かに一歩の前進ではあると考えております。繰り返し述べますが、本改正案に盛られた諸施策には、公害の発生源対策の欠除という根本的な欠陥がありますので、あくまでもこれは応急対策と考えられなければならず、さらに改正が検討される必要があると考えますけれども、しかし、それにもかかわらず、この改正案に盛られた内容の改善でさえも今日急を要すると考えられるのであります。その意味において、本法案には賛成したいと考えております。そして空港対策がこれで終わったのだとされることがないようにお願いして、私の意見を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/36
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037・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) どうもありがとうございました。
以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/37
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038・森中守義
○森中守義君 七尾参考人にお尋ねいたします。先ほどお述べになりました羽田の運用制限ですね。これはそれぞれ在来守られてきたものだと私どもは認識をしているんですが、現実に、たとえばモノレールの一つの区切りより内側に入ってはいかぬ、まあこういうことですね。これはどうも守られていないというようなお話のようでしたが、具体的にはそういうものであってみたり、あるいは一項の緊急やむを得ない場合を除き行なわないものとする、この緊急やむを得ないという場合が実際問題として非常にむずかしい問題だと思うのですね。あとで政府当局にも緊急やむを得ない場合とは具体的に何をさすのか。しかし、これも解釈のしようでは、どれもこれも緊急やむを得なかったという、こういう観測も成り立たないことはない。したがって羽田の場合、目下のところこれが一つの規制の基準になっておる、こういうふうに思うのですが、これが確実に守られていたのかどうなのかということをお示しいただきたい。
それから、これも私もこまかく検討したわけじゃありませんが、最近東京湾の埋め立て計画が進んでいて、現在の羽田が都のほうでは緑地帯あるいは公園地帯にして、先に出る分に譲ってもよろしいと、こういう話などもあるやに聞いておる。地元の区長としては、この辺のお考えはどうなのかということですね。
それから真鍋参考人にお尋ねいたしますが、昨年ちょうだいいたしました意見書ですね、これを中心に私どもかなり内容を詰めてきたつもりですけれども、個々の内容は大体意見によってはっきりしましたからあとでいたしますが、一つには、川西市の市長さんから、周辺整備機構には加害者の立場にないので参加しないという御意見が述べられました。ところが日弁連の御意見では、住民の意思が反映するために周辺整備機構に参加すべきだ、こういう所見に承った。したがって、いずれもが私どもそれぞれ貴重な意見だと思う。これは一体日弁連としては、この御意見でいきますと、住民の意思を反映させるために参加すべきだという、地元では加害者の立場にないから入らないんだと、こう言われるのですが、この辺の見解というものをどういったように理解すべきなのか、これをひとつ法曹界という立場からお漏らしいただきたいと思う。
いま一つは、先般の環境庁の勧告及び告示された環境基準ですね、これについては、けだし現状においては妥当なものであろうと判断をされているのか、あるいは非常に甘過ぎる、から過ぎるという三つのうちのどれに属するのか、この御判断もここで求めておきたいと思う。
それからいま一つは、最近空港の問題がにわかに出てきましたので、都市計画と空港整備計画というものがかなり大きな問題になり始めておりますし、私どもも空港整備計画と都市計画あるいは空港の立地計画、こういうものをどういったように認識をすべきなのか。
それといま一つは、空港のために立地規制をすべきであるかどうか、これは昨年の通産省所管の工場立地法制定の際に、かなりきびしい条件を付した立地体制がとられている。こういうようなことをあわせてお示しいただきたいと思うんです。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/38
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039・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
三木忠雄君が委員を辞任され、その補欠として阿部憲一君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/39
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040・七尾清一
○参考人(七尾清一君) 第一点の、羽田のいまの飛行コースが守られているかどうかということでございますが、先ほど申し上げましたように、東京都の公害研究所が設置しております機械によりますと、四十七年度に六千九百二十二回内陸部に入っているということでございます。現実に入っていることを私たちはこの目で見ていることは多々ございます。
それから緊急やむを得ないというこの問題でございますが、こういう問題がもしそこにあるとするならば、エアバスのまだ原因がはっきりしないこういう中で、そういうものを運航することがいいのか悪いのか、そこらのところは私たち非常に疑問を持っているところでございます。
それから三番目といたしまして、埋め立てと公園と取りかえたらどうだという、こういうお話でございますが、これはいまの段階では私たちははっきり申し上げられません。といいますのは、大田区議会はその飛行場の撤去を決議しております。したがいまして、撤去という問題は移転することが撤去なのかどうなのかという、ここらのととろは議会と相談しなければ、私がいまここではっきり申し上げられませんが、都知事は地元の住民がもしいいと言うならばいまの規模を大きくしない範囲内で移転することに努力してもいいのだ、このようなことはおっしゃっていたようでございます。したがいまして、私の口からは、いまの段階では別にあすこへ行っていいのだ、こういうことを言うわけにはいかないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/40
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041・真鍋正一
○参考人(真鍋正一君) 御質問の趣旨の最初の問題でありますが、周辺整備機構に対して地元自治体が参加すべきかどうか、私は参加すべきだという意見を申し上げたことになると思います。これは実は川西市の伊藤市長がおっしゃられた趣旨とは必ずしも同じではないというふうに考えておるのであります。私も伊藤市長と同様に、加害者ではない自治体が公害対策についての責任者と回しような地位で整備機構に参加させられて公害対策を行なうというのは、やはり間違っているんではないかと考えるのであります。ただ、それにもかかわらず、いろいろな意味で、直接に先ほど申しました空港設置者なり、航空会社のみでやれないというのであれば、このような形のものがつくられて、それが運営されるのはやむを得ないと考えるわけでありますが、そうであれば、それが非常に困りますのは、先ほどこういう形が困ると申しましたのは、責任の所在が不明確になるから困るということなので、そういうことのないようにこれに参加して、出資なり何なり、責任者として参加するということではなくて、その運営を監視するという立場からこれに積極的に参加するべきじゃないか、こういう意見なのであります。したがいまして、その点ではそう矛盾した意見ではないと思っておるのですけれども、最終的に参加するしないという問われ方をいたしますと矛盾してくるかもしれません。そういうことでございます。
それから二番目以降の御質問の趣旨につきましては、実は私どもの公害対策委員会で十分にまだ討議を進めておりません。そうして委員会としての意見を申し上げるわけにはいかないと思いますので、もし申し上げるとすれば、私のきわめて個人的な感想ということになろうかと思うのでありますけれども、それでもよろしければ多少申さしていただきたいと思います。昨年告示されました環境基準でありますけれども、私は端的に申しましてやや甘いのじゃないか。これはWECPNL七〇というふうになっておるわけでありますけれども、これはやはり住民に対する被害がないという観点で六〇、少なくとも六五にされなければならなかったのではないかと考えておるのでありますけれども、これはもちろん私法律家でありまして、公衆衛生学なり何なり十分な知議がないので、その点専門の先生方からお聞きした意見をもとにしてでありますけれども、ただ現在時点で七〇というのは非常にきびしいでありましょう、飛行機を飛ばせるという観点からいけば。また現在時点ではそれなりに意義のある基準ではないかと考えております。
それから三番目の都市計画と空港整備計画との関連をどのように認識すべきかという問題たいへんむずかしい問題なのでありますけれども、やはり都市計画というのは、その地域の都市機能というものを十分に果たす住民の福祉というふうな観点に立って行なわれるべきものだと考えるのでありますけれども、そういうような観点から、それと無関係に空港が入ってきて、そして空港が入ってきたからやむを得ないという形で空港整備計画がそれを横断していくといいますか、断ち切っていくというような形で独自に進行するということは非常に困るのではないか。そこでは、やはり十分なそれぞれの都市計画なり何なりについての地方自治体との協議なり何なりということがなされて、ほんとうに十分な民主的な調整がなされなければならないのじゃないか。その上ではやはり両方とも両立させられる問題ではないかと考える次第であります。
立地規制の問題なのでありますけれども、これもそういう形で空港が存在すると、存続させるということを前提にすればやむを得ないのではないかと思うのであります。これももちろん私見にわたるわけでありますけれども、やはり空港での立地規制というのは外国の法律で考えられておりますように、ある意味では地役権の設定に似たような形で土地の所有権自体は制限されないわけだし、使用の方法は制限されるわけではありませんけれども、それについてあとから入り込んで——あとからじゃなくても、先でも同じことなのでありますけれども、入り込んで来て、それに対する工事なり何なりの方法が十分でないまま立地規制があとから出てくるというようなのは、やはり好ましくないのじゃないか。その点、航空地役権というような制度はありませんので、たいへん問題ではあるのですけれども、それ相当の、収用手続というわけにいかぬと思いますけれども、そういうふうな手続を経て立地規制がなされなければならないのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/41
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042・森中守義
○森中守義君 伊藤参考人と竹内参考人、じかに被害の渦中におられまして、たいへんなお骨折りのようですが、一、二点お答えいただきたいと思います。
今回の法改正が、きょうからここで審議を始めたわけですし、まだ運輸大臣からしかとした話を聞いておりませんけれども、この法案それ自体だと現在の伊丹の機能を将来も維持していこうとするのか、あるいは新空港ができた場合には、これはやめてしまうのか、もうそろそろこのあたりで私どももいずれかに運輸省の意向というものを問わねばならぬと思っているのです。そこで先ほどの陳述によりまして、大体の御意向を承りましたけれども、関西新空港というのがもうすでに一応の日程にのぼっているわけです。そうなりますと、現在の状態から考えますと、両参考人とも継続でなくてもうこの辺で撤去だと、こう言われておりますから、やぼな質問になるかわかりませんが、維持するものではなくて新しくつくってくれ、それは否定しないというような御意見でしたね。そうなりますと、なかなか地点の設定というものが難航している現状にあるように聞いております。したがいまして、現在の被害地域の両市の市長とされて、新しいものを関西につくるということであれば、まあこれは何か連絡協会のようなものができているようですけれども、大体の趨勢としてはどういうようになるのでございましょう。つまり関係の自治体等も協力をして地点の設定等には進んで参加しよう、こういうお考えであるのか、あるいは運輸省のやることにおまかせになるという御意向であるのか、この辺をひとつお聞かせ願っておきたいと思うのです。
それから伊藤参考人にもう一つお尋ねいたしますが、今回のこの周辺整備機構というものは、やがては全国的に拡大すべきものであるのか、今度の改正案ではきわめて限定されたものにしておりますけれども、将来の航空騒音というものを考える場合に、いずれかは全国的なものに拡大すべきものであるかどうか。それから今度の原告が控訴した、これを待つようにして、被告である国も控訴いたしました。こういう訴訟の形態としまして、原告の控訴というのは、これは私も理解できる。しかし発生源者であり被告である国が控訴するというその姿勢は一体どういったように日弁連としてはお考えであるか。
それからたいへん飛び飛びで恐縮ですが、川西の市長さんと豊中の市長さん、このエアバスの問題ですね。これは今日は保安上の問題、騒音上の問題ということで、なかなか折り合いがつかないようです。しかして運輸省の主張によりますと、大量輸送ということでかなり減便することになる、そのほうのメリットが高いし、しかも保安上、騒音上在来とだいぶ趣が違うのだ、こういう実は主張を繰り返しておりますが、具体的に運輸省では地元側とさっそく話し合いを進めたい、こう言っておりますが、問題は保安上及び騒音上の問題として、何としてもこれは物理的な背景を持つものですから、どういう方法をとれば地元と関係当局との話し合いがまとまるものか、ただもう騒音はいかぬ、あるいは非常に安全上危険だという、こういうことで話し合いは平行線をたどるものであるのか、その辺の観測を、これは非常にむずかしいかもわかりませんが、お話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/42
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043・竹内義治
○参考人(竹内義治君) 非常に問題の核心に触れた御質問でございますので、私も率直にひとつお答えさしていただきたいと思います。
新空港ができたら現在の伊丹空港をどうするのかという問題が、私どもも一番大きな問題でございます。公式的には初めてその問題に触れられましたのが、四十八年七月九日の航空局長内簡でございます。これによれば、「現大阪国際空港の将来のあり方については、新関西国際空港との関連において十分検討を要するものであるが、その開発時点にこれを撤去することをも含めて可及的速やかに検討するものとし、その検討に際しては地元公共団体の意志を十分尊重するものとする。」これが公式的な運輸省のコメントでございます。私たちはどう考えておるかと申しますと、先ほど申し上げましたように、現在の伊丹空港はその面積わずか百万坪、万博の広さだけでございます。しかも現在新空港をつくるのに、海岸線から五キロ離して沖合いに新空港をつくっても公害があるといって、非常な反対が起きているわけでございます。現在のその点を言えば、現在の滑走路から五キロ離したらどういう現象が生まれるかといいますと、豊中市も伊丹市もなくなってしまうのでございます。海の中になるわけです。極端に言えば、現在の飛行場を将来公害のないようにしようといたしますれば、ここで屋外環境基準の七五WECPNLの地域に人が住まないような現象にしようとすれば、豊中市の南半分を全部海のような状態にすればいいわけです。これは現実的にできる話じゃございません。
そこで私たちが申し上げたい点は、新しい空港は新しい場所に一日も早くつくってもらって、それができる時点には伊丹空港は撤去してもらいたいというのが、私どものほんとうの腹でございます。それがいつできるかという問題にかかっておると思うんでございますが、まあ成田空港の例を見ましても十年ぐらいかかると、十年待っていられないというのが住民の率直な意見でございます。私たちはほんとうを言えば、もうあすからでも撤去してもらいたいという気持ちは持っておりますが、ならぬ話をしてもしかたがございませんので、先ほど申し上げたように、この法案に賛成しなければならぬのは悲しいことですけれども、やっぱり現実の被害を救済する立場からやむを得ぬと、こう考えております。
したがって私は、大阪の場合は、いま検討されている新空港がいずれの場所にできましょうとも、大阪空港の空域の広さから考えますと二つの飛行場は存在し得ないと考えておるわけです。お考えいただければわかりますが、かたわの飛行場ができますよ、一方は東行き、一方は西行きというような。これはもう空域がダブります。そうなってくると、どっちもつかずの飛行場をつくるぐらいならりっぱな飛行場を一つつくって整理してもらったほうがよい。あの狭い大阪湾の中で西から入ってくる飛行機は、御承知だろうと思いますが、たとえば高松から飛んだ飛行機は高知へ飛びまして、室戸岬を通って、和歌山を通って入ってくるわけです。あのジョイントビーコンから入るわけです。そうなってまいりますと、すっぽり空域がダブるわけです。そんなところへ二つ飛行場をつくると言うたってそれはならぬ話だと思いますから、私は新しい飛行場はそういうことのないようなりっぱなものをつくってもらいたいと、こう考えておるのが地元の市長の考え方で、それを一日も早くできてもらえば、この飛行場は解決できるんじゃないかと、それがなかなかできないために非常に残念に思っておるものでございます。
先ほども申し上げたように、私たちは海から五キロ離しても騒音被害があるとおっしゃるなら、滑走路から五キロ離したら一体どうなるんだと、そこにおる人はどうなるんだという点を、ほんとうに考えていただいているかどうか、私たちは疑問を持っている一員でございます。
それからその次に、それでは新空港が大阪の地域の問題として、いろんな被害を受けておるところも、これからつくるところもみんな話し合いでできないかと、私たちもそれを望んでおりますが、私たちは新空港の問題につきましてビッグ4のリーダーがおります。大阪府知事、丘庫県知事、大阪市長、神戸市長、この四人の方は従前に、大阪には新関西空港は必要であるという合意には達しているわけです。しかし、どこにつくるかということについてみなニュアンスが違います。はっきり言えば、大阪府知事は、現在の飛行場の騒音対策ですら十分でないのに新空港を検討する段階でないと、こうおっしゃっている。丘庫県の知事はどうおっしゃっているかと言うたら、新空港をつくるためにはまず伊丹空港を撤去するということを考えた上でやるべきだと、こうおっしゃっています。神戸市の市長は新空港には反対だと、こうおっしゃっている。大阪市長はどっちもつかず、わしはいまものを言うべきときじゃないと、こうおっしゃっておる。ビッグ4がこんなことでは非常に困るわけでございまして、われわれ一衛星都市がこの国際空港を必要としないということは冒頭申し上げたとおりです。一体この大阪のビッグ4が何を考えておるかということが今後の大きなキーポイントになり、私はこの問題であると思います。
冒頭申し上げたように、飛行場はなぜ必要かということは、これは大都市が国際的な管理中枢機能を集中しているからと、経済的にも文化的にも政治的にもほんとうに飛行場を必要とするのは大都市ではございませんか。大阪空港をおりた人は、外国人は京都に行くか、神戸に行くか、大阪に行くんです。地元へは来ません。したがって、そういう大きなメトロがこの飛行場を必要としているわけです。そのメトロのビッグ4がこの問題についてはそういう態度で、腹の中と言うておられることとどっちがほんとうかわからぬような状態では、これは私たち不安でならぬわけです。ほんとうを言えば、この問題につきましても、私たちはほんとうは真打ちが登場してほしかったわけです。私らみたいにじゃこでなしに、真打ちはこの四人だと私は思うわけです。これは真打ちに登場してもらって、ほんとうに考えてもらえば、この飛行場の問題は解決できるんじゃないかと、私は率直に言えばそういうように考えるわけでございます。
で、エアバスの問題につきましては、減便もすると、音も小さいではないか、何で地元は反対するんだと、こういうことをいわれます。これは簡単明瞭な理由でございます。かつて万博をやる際に、万博をやるからしんぼうしてくれということで入れました。万博は済んでも飛行機は減るどころかふえる一方です。これをやめれば減りますと言うたって、そのとおりになったためしがない。まただまされるのと違うかというんです。まずこれを話し合うためには、率直に運輸省が誠意をもっていま起きておる問題について地元と話し合えば、地元の市長も中へ入ります、腹を割りて話し合いをする中から私は問題が解決できる方途はあると思います。いまのような状態では不信感の積み重ねでございますから、私はこの話は物理的な問題でなしに、感情問題としてそういう方途をとることが一番解決への道ではなかろうかと、私はかように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/43
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044・伊藤竜太郎
○参考人(伊藤竜太郎君) 関西新国際空港の問題につきましては、考え方としていま豊中市長が述べられたことと私も同一でございまして、一時海岸線から約五キロないし六キロの地点に、場所は神戸沖とかいろいろ出ておりましたが、つくるという話がございました。その当時に、海岸の都市の市民の間から反対運動が起きてきておる。しかし事実滑走路から六キロ離れたところにおいてはたして航空騒音の被害があるかどうか、これは川西市民が一番よく知っております。現在の空港から六キロ入ったところでは、今度移住地をつくろうというところよりもまだ奥になるわけです。そんなところは航空騒音なんて全然問題にしておりません。したがって海岸から六キロ離れたところであれば、関西新国際空港をつくっても何も公害はないじゃないかというのが私たちの考え、それにすらなお反対して、現在の空港の騒音の中でしんぼうしておれというのは、反対する人の地域エゴだと、私はそこまで極論しておるわけでございます。四十七年の八月三十日に、航空審議会の関西国際空港に対する部会の聴聞会がございました。そのときにも私、参考人として出てまいりまして意見を申し述べたわけでございますが、海岸から六キロ離したところに新しい空港をつくるのにすら反対するということは、それはエゴだと、それならば現在の航空騒音に悩んでおる市民を一体何と考えておるかと、私はそこまで言ったわけです。ですから私は、関西新国際空港の建設については、一日も早くそういう地点を選んで推進されるべきだ、こういうふうに思っております。
しかしながら、それをどの地点、どの場所にしなさいということは、やはり都市と都市との間のいろんな問題がございますから、私が芦屋沖にしなさい、神戸沖にしなさいということは言えません。言えませんけれども、少なくとも沖合い六キロの地点であれば騒音などというものは問題にならぬ。事実ジャンボを飛ばして騒音の実験をやりましたときでも、ほとんどこれはやみ騒音であった、問題にならなかったわけです。そういうことからいけば、そういうことにこだわっておるということが実に私はおかしいと、このように思うわけでございます。そうして関西新国際空港ができて、それによってまず減便になるでしょう。最終、理想としてはいまの空港が撤去、こういう形ができなければ、何もつくらないでいまの空港撤去撤去と騒いでみたって、これは現実になる話じゃないと私は想像いたしております。ですから、まずそういうものをつくらなければ前進しないではないかというのが私の意見でございます。
第二点、三点は真鍋参考人への御質問と存じます。
第四点のエアバスの問題でございますが、エアバスの問題につきましては、私は当初これについて賛成をしておるわけでございます。といいますのは、いわゆる低騒音の飛行機が入って、しかも東京−大阪間を大幅に減便するということであれば、たとえそれがわずかであろうとも騒音減少ということにはつながっていくではないかと、それの一つの方策としてはこれはこれなりに評価すべきだということを、私は十一市協という、あの周辺の十一市の集まっている協議会でもそういう意向を申し述べております。しかし、これには非常な反対もあったわけでございますが、その当時、騒音問題からだけ考えれば少しでも前進になるということで、これはこれなりに評価すべきであるというのが私の考えであったわけです。ところが悪いことにトルコ航空の墜落事故がございました。これによって地元の空気、議会の空気、すべてがころっと変わってしまった。私は市の議会におきましても、これはこれなりに評価すべきであるという話をしまして、市の議会の中に飛行場対策特別委員会という委員会がございますが、その委員会の中におきましても、その当時は強行な反対ではなかったわけです。データが不足だからもう少しデータを集めて検討しようじゃないか、十一市協におきましても、再度この問題を取り上げて検討をしようと、こういう態度であったわけです。全面的に反対という立場じゃなくして検討しようという立場です。そのやさきにあの墜落事故があったわけです。そこで、騒音問題ではなくして、今度は危険という問題が大きく浮かび上がってまいりました。しかもあの原因が、その当時においては、何か暴力による爆発のようなことも書いてございましたが、最終的には構造的な不備でドアが飛んだとか、何とかいうような問題、完全にこれは設計上のミスである。こういうことになってきますと、騒音問題だけでこれを取り上げるわけにはいかなくなってきた。墜落したときにどうなるか、こういう危険のほうが大きく浮かび上がってまいりました。したがって私は、最初はこれはこれなりに評価し、賛成という立場でございましたが、現時点におきましては、私はこれに対して賛成しかねるという姿勢に変わらざるを得ないわけでございます。はっきり申しましてそうでございます。
そうすれば、この問題をどうすれば地元と運輸省とが話し合いをして進めることができるか、こういう御質問でございましたが、これについてはっきり申し上げますが、これはノーでございます。現在の空気であればできません。まず話を地元におろすということはほとんどできないでしょう。これを見切り発車してやるということになれば、おそらく実力行使が起きると思います。はち巻きで飛行場にすわり込むという事態が必ず起きてまいります。そういう空気を察しますならば、私はこれがいま話し合いをするということは不可能であると言わざるを得ないと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/44
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045・七尾清一
○参考人(七尾清一君) 委員長関連。よろしゅうございますか。——先ほどエアバスか国内線に飛べばそれだけ便数が減るのだという、こういうお話がありましたが、現実の問題は、羽田から三月十日からL一〇一一が飛んでおりますけれども減数はしておりません。それから四月一日から日航が747のSR型を飛ばす予定でありますが、これについても減数の計画というものは全くないわけです。したがって、これはむしろ輸送力の増強になるのだというふうに私たちは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/45
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046・真鍋正一
○参考人(真鍋正一君) 私に対する御質問の趣旨は控訴の問題でございましたですが、たいへんむずかしい御質問をいただいて申しわけないのですが、あのような形で裁判が終わって、それに対する評価も必ずしもまだ定まっていないと思うのでありますけれども、確かに私ども在野の法曹といたしまして、ああいう形で国側が控訴されたということについては非常に不信感を持っております。この問題は最終的には裁判所で判断されることであるかもしれませんし、さらにまた私自身も国側が控訴された理由というものを詳しくは存じておりませんので、それによっても違うかと思いますけれども、まあ漏れ聞いているところによれば、民事訴訟で行政処分に対するチェックをするのはおかしいというようなことであったかと思うんでありますが、その点については、実はあの判決自体の中で答えられておるわけなんでありまして、われわれの従来の考え方からしましても、どのような形で規制をするか、先ほど来問題になっておりますこの改正案による規制をどのようにするかということ、こういうふうに規制をしなさいとか、あるいはどういう告示を出しなさいということであれば、それは確かに行政処分に対する内容にかかわってくることであろうと思うんでありますけれども、そのこととは別に、判決に明瞭に書かれておるわけでありますけれども、飛行機を飛行場の中へ入れる、つまり設置者としての立場の運輸大臣の行為というのは必ずしもそういう行政処分ではなくて、いわば民事の私法的な関係と同様だというふうに考えられる、そういうたてまえから判決はなされておるわけであります。そうすると、その点を理由に控訴されたということには非常に不信の念を抱かざるを得ない。
それから判決の内容なのでありますけれども、だからといって損害賠償を払わなくていいというようなものではないし、これは航空事業の公共性と関係があるんだろうと思いますけれども、それは一般私人の場合であれば、確かに負ける手形判決に対しても、いま金がないので引き延ばしのために訴訟をするということは間々あることでありますし、それはそれでいいのかもしれないと思うのでありますが、このような事件で、公害に対してはいわば二重に責任を負っておる。つまり政府として、行政当局として責任を負っている。もう一方は先ほどの民事的な侵害行為の行為者として責任を負っているという二重の責任を負っている。その一面の、つまり行政当局として負っている責任を考えれば、ああいう形暦なるほど控訴権があるからといって控訴するというのは、やはり妥当ではないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/46
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047・森中守義
○森中守義君 あと二点だけで終わります。真鍋参考人、陳述の中でも指摘されましたし、また意見書の中にも出ておりますが、原因者でない自治体の財政負担ということは理屈が通らぬ、こういう御指摘でした。この点につきましては、行政の発想、あるいは法体系の発想として、今回の改正案というものがそういう意味から妥当なものであるのか、どうなのか、これが一つ。
それから豊中の市長さん、先ほどの資料を拝見いたしますと、四十二年から累計三十二億余の財政負担をなさっているようですね。これを拝見しまして、まさにがく然としたんです。で、これはあれでございますか、その豊中の市としては三十二億余の財政負担はやむを得ない。したがって、これは地元でこのままひとつ処理されようということであるのか、あるいは損害賠償といいますか、あるいは財政の補償といいますか、そういったような措置をおとりになるのか、どうなのか。もちろん、これは各年次ごとに議会の予算上の承認があったものと思いますけれども、この扱いどうなさるおつもりでしょうか。
それから川西の市長さんのほうでは、この種の財政負担が全然なかったものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/47
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048・伊藤竜太郎
○参考人(伊藤竜太郎君) 八億と申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/48
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049・森中守義
○森中守義君 幾らでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/49
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050・伊藤竜太郎
○参考人(伊藤竜太郎君) 八億と申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/50
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051・森中守義
○森中守義君 同じように、その処理についてはこのまま放置されるのか、あるいは財政請求をされるのか、あるいはいままでやられたことがあるのかないのか。その辺をそれぞれからお答えいただいて、私のお尋ねを終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/51
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052・竹内義治
○参考人(竹内義治君) この三十二億七千二百万円余は、御承知のように、市の負担になっておりますのは、総事業費から、国庫からいただきまする補助金、あるいは大阪府が随伴をしていただく補助金あるいは航空機燃料譲与税といたしまして、目的税として、その財源が航空対策に使われなければならないときめられております財源等を差し引きました残額でございまして、いわゆる市の負担に属すべきもので、大部分が地方債という形で借金になっております。したがって、これは後年度にまたがりまして漸次返していかなければならぬものでございます。なぜこのような負担を私どもはしなければならないかという点につきましては、これはもう冒頭に申し上げましたように、飛行場があるからだと、こういうことでございまして、本来からいえば、こういう財政措置は地方公共団体の苦しい財政を圧迫するわけでございますから、国の補助率がもっと高いものにしていただくとか、あるいは別途地方財政の手当てをしてもらうとか、こういう措置をとってもらいたいとかねがね念願をしておるものでございます。
したがって、これらの地方債、その他の措置につきましても現行地方債計画の中では財源手当てがない。ただ率直に申し上げまして、三十二億の中には本来学校を建設しなければならないものがたまたま防音工事で同時に建設したという点もございますから、まるまるこれが全部補償ということではないことは事実でございます。やはりそういうところに立地するためにやむなく防音の学校を建てているという点もございます。
したがって私は、やはりこれらの財源措置につきましては、これからの地方財政対策として、特殊な財政要因として、地方交付税法上とか、あるいは目的税をさらに充実するとか、こういうふうな国の財源手当て措置をお願いしたいと、こう考えておるわけです。
もっと率直な意見からいえば、もともとこの飛行場をつくるときには、先ほど申し上げましたように、大阪府、兵庫県、大阪市、神戸市あるいは神戸商工会議所とか大阪商工会議所が、将来そういう被害が起きましたら私たちが負担しますと書いてあるわけですから、私らは本来からいうたら、そういうところへ行政訴訟でも起こしたいという気持ちも持ちますが、いまそういうような地方公共団体同士が争ってみても、なかなか問題は解決するわけではございませんので、はなはだかってでございますが、こういう点につきましては、やはり設置者でございます国のほうにおきまして、地方財政措置として、さらに燃料譲与税の配分率を高めてもらうとか、あるいは地方債を手厚くするとか利子補給をするとか、こういう財政措置を今後お願いしたい、かように考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/52
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053・伊藤竜太郎
○参考人(伊藤竜太郎君) 同じ問題について答弁申し上げます。
川西市におきましても、金額は豊中市に比べて低うございますが、それぞれやはり財政規模に応じての相当の負担になっておる。いままで大体八億ぐらいと申し上げておきます。
これにつきまして、いままで支出してまいりました考えは、まことに割り切れない金ではあるけれども、やはり市民の人が困っておるならば、市民福祉のために、あるいは環境保全のためにこれは負担していかなければしようがない、やむを得ざるものとしていままで議会の承認も得て支出してまいりましたけれども、しかし、これにつきましては、こういう市の負担を軽減していくようにということは、再々にわたり国のほうにも要望してまいりました。また航空機燃料譲与税なども創設されまして、今後これが幾ぶんかでも軽減されるような方向に向かっております。今後ともできるだけこれを軽減してほしいということは叫び続けてまいりますが、といって、いま損害について賠償請求するとかなんとか、そういう考えはいまのところは持っておりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/53
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054・真鍋正一
○参考人(真鍋正一君) たいへんむずかしいように思うんでありますけれども、御質問のように、やはり本件と申しますか、航空機騒音の事例というのは、やはり原因者が航空会社、さらに空港設置者であるということは非常にはっきりしておると思うのであります。その意味で、それから発生してくる被害を軽減し、あるいは原状回復の一助とするためにいろんな施策を地方公共団体がとられるということは、それはそれなりに理由があり、意義があることであろうと思うのでありますけれども、しかし、やはり何といいましても、それは不法行為なので、最終的責任はそこにとらせなければいけないのじゃないか。そういうふうな方途がいずれ考えられてしかるべきではないかと考えるのであります。ただその場合に、この改正案に出ております周辺整備計画なり何なりの内容を見ますと、緑地というような形の残るというような部分がある。そうでない部分もあるでしょうけれども、もしそれが都市設備としての緑地というような形で流用できるものであれば、その部分についてはそれなりに地方公共団体が負担してもおかしくはないんじゃないだろうかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/54
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055・黒住忠行
○黒住忠行君 時間の関係等ございますので、恐縮でございますが、二、三お伺い申し上げたいと存じます。
川西の伊藤市長さんの先ほどの五点につきましての御要望、それを承った次第でございますが、その3に「移転補償制度の内容充実と補償区域の拡大を早期に実施願いたい」とあります。で、この3の点につきまして、具体的に内容等について御意見、御要望があれば、それを承りたいのが第一点でございます。
それから第二点は、先ほどの芋生の移転地につきましての御指摘がございましたが、本件につきましては、いろいろと県なり環境庁方面なりで問題があると思いますけれども、いろいろと御推進なさっていただいておりますけれども、ずばりこの問題解決のためにはどのようにしたらいいか、これをひとつお聞かせ願いたい。その二点を川西の市長さんにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/55
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056・伊藤竜太郎
○参考人(伊藤竜太郎君) 移転補償につきましては、従来からも、先ほど申し上げましたように、現在七百四十世帯ほどの中で四百四十五世帯ほどがそういう希望は持っておりまして、そういう陳情が出ておるわけでございますが、まだ移転されたというのはほんの三、四例にすぎないわけでございます。と申しますのは、要するに移転補償の額が小さいということと移転先がないということに問題は尽きるのでございます。
移転の補償がどういう実情になってるかと申しますと、これは四十五年ごろの移転の補償でございますが、土地に対しまして、その時期におきましての移転補償が約二万円から二万五千円ぐらいでございます。そうしますと坪にいたしまして七万から八万、こういう金額でございます。それから家屋に対しましては、その当時におきまして十万足らずでございます。そういう金額でございましたので、移転される方につきましても、よほど有力な立地条件のところをさがさない限りには移転できないと、いわゆる補償金額が非常に低いという問題が大きくあったわけであります。現在われわれの川西市内におきましても、住宅地を求めようとしますならば、少なくとも坪十五万から二十万ぐらいいたします。また木造建築にいたしましても、最近の建築単価からいたしますと坪三十万円ではむずかしいのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、そういうふうにしますと、たとえば移転の一つの標準を、土地が約四十坪ぐらい、そして家屋が十五、六坪というように想定いたしますと、移転の実費は千二、三百万かかるというような単価になってまいります。で、いまの移転の補償基準ではとても動けないというのが実情でございますので、こういうものを現実に合った単価に拡大してもらわなければ移転ができない、こういうのが実情でございます。
それから移転先の造成の問題でございますが、芋生地区に造成を予定しておりますのは、現在移転補償地域としては造成区域が約五万坪のところに二万坪ほどの宅地をつくろう、こういうわけでございます。これは緑地保全もかぶっておりますし、宅地率を非常に低く押えまして、自然を残しての造成でないと許されないということで非常に宅地率も低く押えております、四〇%ぐらいに押えております。しかし、そこだけを造成いたしましても、人はそこに行って住まないということがございます。やはり一つの小学校単位ぐらいのいわゆる生活環境というものができなければ住めない。で、今度計画しておりますのは約百三十二ヘクタールでございます、まあ四十万坪ぐらいでございますが、人口が約九千九百——小学校は一万人に一校といわれております、そうしますと、ちょうど小学校が一校できるぐらいの人口単位になるわけでございまして、そういう小学校ができ、それに付随した幼稚園、保育所等もそこにでき、また商業地域もそこにできるという生活環境ができないことにはなかなか移転してくれませんから、四十万坪ほどの開発をして、そこに五万坪ほどの航空騒音の移住地を取ろうというのが現在のわれわれの計画でございます。これに対する抵抗としまして、それが調整区域である、あるいは緑地保全をかぶっておるということから建設省サイドの抵抗によりまして、いままで約三年近くこの問題がまだペンディングになっております。これにつきましては、私は運輸省のほうにも速射砲を撃ってほしいと、運輸省サイドからこれを促進しろというふうな強力な一つの助言をしてほしいということで再三お願いして、運輸省からも話していただいたのですが、やはり現在の建設省並びにそれぞれの担当のいわゆるセクショナリズムと申しますか、そういうお考えのもとにこの問題がまだ実現しておらない。
ですから、これはどうしてこういうことになるかといいますと、兵庫県におきましても調整区域内における開発を認めるとなるとこれが第一番になる。そういうことをやると、県下全体にそういう要望が出ているときに歯どめがきかない。こういう理由でもって許可になっておらないわけでございますが、航空騒音の移住地という、こういう重大な問題を解決するのだから、その観点から考えてもらわなければ困るということを再三申しておりますが、いまだにはっきりとした結論が出ず、知事さんとしましては許可せざればなるまいという考えでいま進んではいただいておりますが、まだはっきりしておりません。これができなければどうにもならぬ。われわれはそういうことで早くから計画をし、早く何とかこれをしたいということに努力しているわけですが、解決しない、こういう問題にひっかかって解決しない、まことに残念でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/56
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057・竹内義治
○参考人(竹内義治君) ちょっと関連しまして。
いま言われました代替地造成の問題でございますが、私ども現にいまやっているのを具体的に申し上げて御認識をいただきたい。豊中市で、やっぱり移転をするために代替地をつくらないといかぬ、国の方策を待ってられぬというので市でやっております。幸い池がありまして平米一万一千五百円ぐらいで買いました。早く買っているわけです。こういうことがあろうと思って早く、一万一千五百円ぐらい、平米でございますね。この池を埋め立てて宅地にすればある程度宅地ができるわけです。これやってみたんです。いま現に工事をやっておりますが、何と開発許可の制度で、この池が一万二千平米ほどございますが、使えるのが七千七百平米ぐらいになります、道路負担、公園負担、こういうものをとりますと。そして最終的にいろいろ工事費を算入してまいりますと、坪四万円ぐらいの土地が実際は売るのに二十四万八千円になってしまう。何でこのようになるのだろうと思っていろいろ考えてみますと、池でございますから埋め立てしないといかぬ点はございますが、そのかわり単価は安いわけです。結局関連公共事業にうんと金がかかるわけです。道路、下水、こういうものを全部単価にかけて売るというようなことは、これはもう実際問題としては補償額をつり上げているみたいなものになりますから、私たちが言うておりますのは、こういう造成地域におきまする公共、公益施設については、あるべきやっぱり公共投資をやってもらいたいというのが第一点でございます。
それとやはり土地は早くから買っておかないといかぬということで豊中市も土地を買ってございますが、率直にものを言わしていただきますと、私たちも何とかしてあげたいと思って前から土地は買っておりますが、いまのように買う土地があっても銀行が金を締めてしまったらどうにもなりません。こういう需要まで引き締めをやらないといかぬというのが私らわからぬわけです。いまでも何とか買っとかなきゃとってもこれは間に合わぬというので、ある程度の土地は私ども押えてきておりますが、いまのように金融引き締めされてしまったら、持っている土地まで借金返すのに吐き出さないといかぬという状態になっております。この国の事業に協力するようなものまで、何で地方公共団体が金を借りるのに走り歩かなければならぬかということです。この金融引き締めの問題。
その次には、もう一つ先生考えてください。なるほど売る側のほうは代替資産で税金は租税特別措置でされます、移転する側は。代替地を出す人はまるまる税金かかるわけです。これ五二%です、分離課税で。ようやく今度やいやい言いまして、宅地にするんなら五百万円まで租税特別措置を認めると、こういうわけです。そうですから、この種の国の事業のために移転地を造成するもんなら、何で公共事業並みに租税特別措置をやってもらえないかということです。そうすれば買いやすいわけです。安く買えるわけです。それもやってもらえないで、ともかく代替地を買ってくれ買ってくれでは困ると思うのです。
それから先ほど申し上げましたように、土地は買いましてもそこへ住める条件をつくってやらないといかぬわけです。これにまた金が要るわけです。道路もつけてやらなければ家は建ちません。下水もつけてやらねばいかぬ。そうなってきますと、そういう費用が全部土地代にかけたんでは土地代が上がってしまうし、土地代を安くせいとおっしゃれば、結局それだけの公共投資は市町村がかぶらねばいかぬ。こういうことにならぬように、私は代替地の問題については、きめこまかくひとつ御配慮をいただかぬとなかなか前に進みにくいと、こう思いまするので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/57
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058・黒住忠行
○黒住忠行君 豊中の市長さんから関連してたいへん貴重なお話を承りましたが、市長さんは政府の税制調査会の委員をされておりますので、その方面のたいへん御専門でございます。それで、いまの騒音対策の場合の税制上の問題でございますが、いま御指摘ございましたが、さらにそのほかの点につきましても専門的立場からいろいろ御意見があるかと思いますので、ありましたらそれをお伺いしたい。
それから次に、川西の市長さんからお話ございまして、具体的な場所等も御指摘になりまして、そして金額の問題、代替地の融資の問題等の御意見を承りました。今度新しく周辺整備機構というものができましても、何といいましても地元の市町村の御協力を得なければ十分な仕事はできないと思う次第でございまして、特に住居の移転の問題は生活の本拠でございますから、近隣の方々の御希望もいろいろとあるかと思うのでございまして、それらの点につきましては、ひとついろいろと御協力をわずらわさなければならないんじゃないかと、こういうふうに思います。したがいまして、それらの点につきまして御意見やらお願いやらを申し上げまして、承りたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/58
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059・伊藤竜太郎
○参考人(伊藤竜太郎君) 最初に申し上げましたように、周辺整備機構が発足いたしまして、これに対して発起人として参画し、あるいは今後評議員という立場でございますか、会合に対して出席しましていろいろ地元の意見を申し述べる、そういうことは考えておりますが、われわれが協力しないと申しておりますのは、金銭的な面において出資はいたしません、人員を出すことも現在の市の苦しい財政の中からとてもそれだけの人がさけない、そういう面については参画をいたしかねますと、しかしながら、それに対して協力は申し上げる。ということは、いろいろ移転問題その他については、やはり市が窓口になって地元の人といろいろ話もしていかなければならぬと思います。また移転地の造成につきましても、これは市が総力をあげてやっていかなければならぬと考えております。もちろんそういう面については十分に力をいたしていく、こういうふうに考えておるわけでございます。
なお、先ほどちょっと資料が手元に見つかりませんでしたので申し上げませんでしたが、四十六年に実際に移転しました三件の中の数字の一例を申し上げますと、土地に対する補償が一つは二万七百円、平米でございます。一つが二万六千百円、平米当たりです。建物に対しましては、一件が平米当たり二万四千九百円、これは比較的建物が悪かったわけです。少し上等な建物で五万五千二百四十円、こういう単価が四十六年で出ております。したがって一件当たり小さな家でございまして、五十六平米ぐらいの家でございまして百四十万、一件が二百十六万、こういう補償でございます。これでは移転できないということでございます。実情はこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/59
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060・黒住忠行
○黒住忠行君 豊中の市長さんに税制の問題、それにいま川西の市長さんからお話のございました点につきましても、ひとついろいろお考えを承るとともに御協力をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/60
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061・竹内義治
○参考人(竹内義治君) 私も伊藤市長と同じように、第三セクターのメンバーに入らないという点は、入らないほうが住民との間にスムーズに交渉の仲介役がとれるという立場を考えておるわけでございます。決して第三セクター反対だから入らぬとか、こういう意味ではございません。現実的に現在もいろいろな面につきまして事実上協力をいたしておるわけでございます。
そこで税制上の点を言われましたが、税制上の点は、私も税調でこの問題はたびたび主張しまして、大蔵省もだいぶ認識してまいりましたが、ただ私が申し上げている点は、移転する側のほうは代替資産の購入の特例は認められました。それから一千万円まで認められましたから、相当前進いたしたわけです。ただ今度代替地を出す側のほうが五百万円より認められないと、むしろ代替地を出してもらう側に協力を求めぬとかえ地が買えないわけです。その面を特に強調しておるわけですが、大蔵省当局はそんなことをすればきりがないということで、五百万円だけ宅地に限ってということで認めたようでございます。
私たちが主張しておりますのは、公有地拡大法というような法律があり、地方制度調査会でも、地方公共団体が買う分について租税特別措置法の限度を拡大したほうがよいという意見がありますから、やはり地方公共団体を御信頼いただいて、できるだけ安く用地を取得したいという点でございますので、そういう点は税制上のたてまえ論がございますけれども、実情に合わして税制改正をひとつ御審議をいただきたいと、こう考えておるものでございます。特に、こういう点は政府、税調もさることでございますが、自民党の党税調のほうでも非常にそういう点は強くやっておられるようでございますんで、そういう点はひとつ実情に合わしてもらいたいと、こう思うわけです。そういうことが結局事業をしやすい原因であると、こう思うわけです。
それからもう一つ、具体的な問題につきまして一つ申し上げますと、私は単に移転補償の問題は代替地をつくるだけではだめだと思います。結局、人を移動さすわけでございますから、たくさんたな子がおります。そういう人たちは家の補償額にかかわりなく、本居を移すわけです。この点については、私は本年度予算でも市営住宅を建設し、あるいは府営住宅を誘致して、そのかわり、その何パーセントかはこれらの人のために優先入居権をもらっているわけです。極端に言えば、府営住宅を建てるのは同意いたしましょうと、協力しましょうと、そのかわり優先入居を認めてくださいと、飛行場の騒音対策だと、これ、できるんです。できますが、一つ困ることには、そこの方を移して家をあき家にしておきますと、また別の人が入りますから、そこで問題は家賃補償をしてあき家を凍結する方法がないかということをお願いしておるんですが、これはできぬできぬと、こうおっしゃる。
したがって、この第三セクターができました際に、冒頭私が申し上げましたのは、非常に非礼でございますけれども、役所の仕事というのはできぬほうばっかし考えるわけです、できぬむずかしいほう。できるほうに考えてほしいわけです。これだって補償を払って凍結しておけば、新しい補償がまた生まれてこないわけですから、できる方向で頭をしぼってもらえば、私はまた道が通ずると、こう思うんですが、できぬ方向へ理屈をつけられるんで困っておるわけなんです。したがって、できる方向の考え方の人を第三セクターといいますか、新機構に入れてほしいと、こう思います、率直に言って。
もう一つは、いまの補償交渉、現在でもやっぱりやっておるんですが、時間がかかってかなわねです。なぜかといいましたら、私、意味もわかります。騒音対策課、課長以下六人ぐらいおりませんで、そこにいろんな問題を持ち込んで、大阪だけじゃなしに、全国のやつを持ち込んで、事務ができるはずないです。これだけの問題があるんですから、機構的にもひとつこれ整備をしてもらわぬと、これはわれわれからいえば敵側かもわかりませんが、やはりそちら側の陣容もあんじょうしてもらえませんと、実際問題、これなかなか話がつかない。その間に土地が上がると、こういうことでございますから、ひとつ騒音対策課の機構も思い切って強化してもらうと同時に、いま申しましたように、補償交渉を、誠意をもって地元へ入り込んで具体的に話をすれば、地方公共団体もあっせんもいたしますし、協力もいたしますし、具体的に一つずつ片づけていこうではございませんかということを申し上げているわけです。そういう点で、国側の体制も打てば響くような体制にしてほしいということを特にお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/61
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062・黒住忠行
○黒住忠行君 ありがとうございました。
次に真鍋参考人にお伺いしたいんですが、いまの移転補償につきましてはいろいろ問題がございますし、改善をしなければならぬわけですが、それの移転したあとの土地の利用につきましては、いろいろ有効適切に利用をするということを考えなけりゃなりませんが、その場合に、住宅等ができることになると意味がないことでございますが、それに対する法律的規制といいますか、立法的なことにつきまして、法律専門家として何か御意見があれば承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/62
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063・真鍋正一
○参考人(真鍋正一君) 御質問の趣旨はよくわかるんですが、移転補償のあと地利用の問題なんですけれども、本格的に私たち考えたわけではありません、率直に申しまして。で、現状のあと地の問題も非常に困る。これがさらに移転補償が進んで、ことに補償自体が立ちのこうとする者に対する補償なので、収用ではございませんで、出たいという人があると同時に残りたいという人がある。これはまあ土地に対する愛着なり何なり、いろんな問題もあろうかと思いますが、それに対する配慮がないままで、移転補償のあと地を現状のような形で凍結されていいのかどうかということを非常に疑問に思っているんです。で、将来もっと大きな計画が立てられて、積極的に緑地化するとかなんとかいうことであるならば、これはまた考え方は変わってこようと思いますけれども、現在のこの周辺整備計画の中にある程度の、つまり出たいと思う人は出なさい、それに対しては補償してあげましょうという形での移転補償であれば、これはまあその人に対する対策としては十分でありましょうけれども、あと地全体——あと地といいますか、あと地を含んだ地域全体に対するいろんな対策としては非常に不十分であるし、どうにもならないような状況ではないか、われわれはそれでもこういう改正案がよろしかろうと申し上げるのは、冒頭に申し上げましたように、抜本的な対策をいずれ検討していただきたいと、それまでのつなぎとしてであるならば、こういう形でもけっこうであると、こういうことなんです。まあ土地の問題ですから、全部立ちのかせて一定の計画のもとにやるということであれば、また話は違うと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/63
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064・伊藤竜太郎
○参考人(伊藤竜太郎君) ちょっと一点だけ。移転についてもう一つ申し述べたいと思います。
移転補償とか、こういう問題になってきましたときに、基本的にこういう考えを持っていただきたいということです。要求するから補償してやるんだ、助成してやるんだと、この考えではだめだということでございます。ともかく補償し、助成するから移転してもらえませんかと、こういう考えでなければ……。いままでの国の態度はしてやるんだという考え、それでは話はつかぬと思います。ともかくあなた方が要求されるならば、それに対して十分考えるから騒音地区から移転するということに同意をして移転してほしいと、こういう態度でなければ、してやるんだという態度でいくならば、いつでもいま豊中の市長がおっしゃいましたように、非常に交渉が長引き、問題がもつれる。その基本的な考えをそこへ置いてもらわなければ困るということを一言申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/64
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065・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人各位にお礼を申し上げます。本日は、御多用中のところを長時間にわたり、当委員会に御出席をいただきまして、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
速記をとめて。
〔速記中止〕
〔委員長退席、理事黒住忠行君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/65
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066・黒住忠行
○理事(黒住忠行君) 速記を始めてください。
本案について質疑を続けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/66
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067・森中守義
○森中守義君 先ほどに引き続きまして、少しきょうお尋ねしておきます。
法改正のとらえ方の問題ですが、先ほどちょっと申し上げたように、環境庁の勧告あるいは基準の設定、こういうものがあって、局長はそう大きな情勢の変化がなかったと、きわめて軽い答弁でさっき終わったわけですが、はたしてそうなのかどうなのか。もちろん事情が非常に激変したとは私は思わない。けれども、もともと環境庁の長官が四十六年の九月二十七日に中公審に諮問をしておりますね、それで答申が行なわれ、答申を受けて勧告及び基準の設定、こういうコースをとる。ところが一連の勧告あるいは基準、その前の諮問、答申を見ますと非常に重大な指摘がたくさんありますね。たとえば、勧告の中で指針があげられております。それから測定の方法があげられている、それから指針達成の方策があげられている、それから騒音の監視測定があげられている。こういったようにかなり重要なものがある。こういったものはこの法改正の中に当然私は採用さるべき筋のものだと思う。そうでなくて、いや、それは航空法にこういう問題は入れ込んだのだと、こういうことになるかしれませんが、航空法といえどもこの前に出されておりますよ。提出の時期は大体同じですからね。そういうように見ていけば、この法改正の内容というものは、いわば周辺整備機構などを中心にしたそういう問題のみに終始して、発生源をどういったように規制していくのか、あるいは原因者に対してどういう規制を加えるか、かなり重要な騒音対策に対する法改正というものは全然この中に盛られていない。この辺に私は、状況の激変ということはないにしても、環境庁の意向を勧告もしくは基準ということで示されたにかかわらず、これが法定事項になっていない。
これは一体、法律改正という意味からいくならば、これでいいのかどうか、非常に私は問題があると思うのですね。ですから、もともとのこの法改正の発想というものは、被害地域の住民に対するいわば対策であり、あるいは鎮静化である。こういう意味からいくならば、きわめて政治性の強いものであって、抜本的な騒音対策にはならぬ、こういうように考えるのですが、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/67
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068・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 御指摘のように、環境庁の勧告とこの法律の提案時点との差は御指摘のとおりでございます。音源対策につきましては、この法律は主として周辺対策をねらって、周辺対策に対する対策を盛り込んだ法律でござ一まして、したがいまして、それに対する資本金等の問題も、もちろんこれでいいかどうかということは確かに今後考えていかなければいかぬ問題があろうと思います。しかし現状におきましては、お願いしておりますこの法案を御審議をいただきまして、周辺対策は万全とは申しません、これからまだこれに継ぎ足し、あるいはまたさらにいろいろな点で不十分な点もあろうと思いますけれども、一応周辺対策のとらえ方として御提案申し上げ、御審議をわずらわしているわけでございます。したがいまして、音源対策につきましては、この法律の中でいろいろやらなければならぬこともございます。
〔理事黒住忠行君退席、委員長着席〕
やらなければならぬこともございますけれども、この法律は主として周辺対策をねらってお願いを申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/68
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069・森中守義
○森中守義君 法律の体系からいきますと、それはある意味ではそういうことでもいいと思うのですが、たとえば第三条ですね、いきなり逐条に入って恐縮ですが、これなどはたとえば航法などを規定したものでしょう。それで私は、これはやはり、かなりこまかな内容までも環境庁の勧告あるいは基準の設定というものを、やはり航空関係の法律として法制定の必要もあろう。これは航空局長どうなんです。こういうのが政令あるいは省令、そういう委任規定の中にこういうものが盛り込めますか、盛り込めるならそれでもいいんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/69
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070・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) ただいま御指摘の第三条の関係でございますが、この規定は告示で指定できるという規定でございます。ただ航空機の航法等具体的な問題になりますと、指定をいたしましても、その航空機が的確にそのコースを飛んだかどうかという事実関係の把握ということが困難な面がございますと同時に、航空機自体が十分正確にそのコースの上を飛ぶことを守るだけの地上設備あるいは機上の機器等の整備がまだ技術的に十分行なわれておらないというような事情もございまして、現在までこの三条の関係につきましては、航法の指定については特に発動いたしておりません。
ただ、ここで告示に規定できますものの中には、運用時間というものの指定も可能になっております。この点につきましては、今後これに基づきます運用時間の指定等は実施をしていきたいというふうに考えておりますが、ただ運航方法というものは、技術的な進歩及び機器のバックアップ等によりまして実現されるものでございますので、現在の段階ではなお少し時期尚早ではなかろうかと思います。
それから、たとえば音源対策の一環といたしまして運航便数を減らすということもございます。こちらのほうはむしろ航空法の関係で、事業計画認可というような段階で運用上実施ができていけるのではないかというふうに考えておりますので、この音源対策の面から申しますと、直接的には現行法と、それから航空法の関係と両方を併用いたしまして、具体的な措置がとっていけるのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/70
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071・森中守義
○森中守義君 この環境庁のその問題をずっと見ていけば、適正な措置をとれということであり、法改正等も検討すべきだということであります。それと基準の場合かなり内容的に重要なものがありますよ。そこで、示された基準あるいは勧告というものは、運輸大臣の行政指導にゆだねていいものかどうなのか。それで事が済むかどうか。私ばいろいろなことが運輸大臣の行政指導、命を受けた航空局長の行政指導で全部これが完全に実現をするならば、それは何も立法化あるいは政令もしくは省令等に織り込む必要はないと思う。しかし出されたものがどうしても行政指導でいかないんじゃないかというような懸念がある。
たとえば、先ほど大田区の助役にこういう質問をしたのです。私の手元に羽田で実施されている騒音防止の運用制限方式というのがあります。いわばこれも地域住民に対する行政当局の配慮の結果です。ところが守られているかどうかと私は問うたところ、大田区の助役は守られていない。たとえばモノレールを限界にして海面から進入すべきだ、あるいは離陸すべきだという約束があるけれども、何とたいへんな数字を示していましたよ。おそらく年間を意味したものだと思う、六千九百二十二回モノレールから内陸に入っているこういうわけですね。これは極端な例だろうけれども、環境庁が諮問をし答申をもらい、しかして勧告あるいは基準を設定しながら単なる大臣の行政指導、大臣の命を受けた航空局長の行政指導で環境基準が達せられるかどうか、これはどう思いますか。だから今回の法律改正というものは、なるほど法律の題名も公共用飛行場周辺における航空機騒音云々といっているから、その限りにおいては必ずしも不当だとは私は言わない。けれども出されたこういうものを一体どう処理をしようとか、実は参考人の意見の中にも、まさに周辺対策のこういうものに配慮がいささかされた程度であって、音源対策等については何らの立法規制等がないという実は意見が述べられている。言ってみれば私もそのとおりだと思うんです。
だから運輸大臣のほうで、いやそれは言われるまでもなく、大臣もしくはその命による航空局長の行政指導は完ぺきなものであるという保証があればいいですよ。しかし、なかなか今日のこの情勢というものは単なる基準がつくられて、それを一つの目安にして行政指導をやるということでは事が済まないんじゃないかと、だからそういう意味で、私はこれは別件として何かの措置がとらるべきではなかろうか。少なくともこの周辺整備の問題と両輪のような状態に音源規制というものがとられてこそはじめて騒音対策になるのではないだろうか。それがない、今度の場合は。そういう意味で、これから先の騒音対策についてはやや片手落ちの内容だというふうに思うんですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/71
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072・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 先生御指摘のように、この騒音対策と申しますのは、やはり音源から対策を講じていく面あるいは空港周辺の立地再配分等によって講じ得るべき手段あるいは空港の再配置と、まあこういった対策があるわけでございまして、中央公害対策審議会におきましても、音源対策といたしましては、現在飛んでおります飛行機の改良あるいは低騒音エンジンの使用、離発着回数の抑制などによって音源対策を行なうことと、同時に騒音の受けやすい空港周辺の地域につきまして、従来やっておりましたような騒音対策に加えましてやはり土地利用計画を促進していくような対策が必要であるということを答申されておりまして、私どもも先生のおっしゃられるように、これはまさに車の両輪でございまして、空港の周辺におきまして十分な対策を講じると同時に、発生源である航空機のエンジンの音そのものも低いものを使うと同時に、運航方式の改良によりまして音の影響をなるだけ少なくするというようなものをあわせて行なう必要があるというふうに考えております。
で、先ほども申し上げましたけれども、運航方式の改善その他につきましては、やはり技術的なバックアップというものがございませんと、安全性との関連がございますので、この両方は十分慎重に検討しながら実現化していく必要があるというふうに考えております。具体的に一例を申し上げますと、現在問題になっておりますいわゆるエアバスというものの使っておりますエンジンというものは、在来機よりも相当低い音の発生で済むエンジンでございますし、これらが航法上さらに有効な飛び方ができるというふうになりますと、相当程度音を低減することができる。したがいまして、この環境基準として告示されました基準を達成いたしますのに、空港によっていろいろ事情は違いますけれども、やはりその示された達成期間内にこの目的を達成するというためにあらゆる努力を払っていく必要がある。したがいまして、私どもは、この行政指導あるいは立法のバックアップないしは技術革新を背景にいたしまして、この環境基準の達成に最大の努力を払っていかなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/72
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073・森中守義
○森中守義君 環境庁の政務次官、環境庁ではこれを出されてどういうものを期待したんですか。いま航空局長のお話だと、その周辺の騒音対策については法律改正ということでやや具体的にできている、中身のいい悪いは別としてね。ところがいまお聞きのように、音源対策等については一つの見解をお持ちだということ、見解をお持ちであるけれども、これを法律改正であるとか、あるいは政省令の改正であるとか、そういうものにまだ依存されていない。そこまで行き着いていない。ところが必要なことはその中身なんですね。たとえば測定の方式であるとか、測定の方法とか時期とか、かなり詳しいものがありますよ。それで一体環境庁では諮問をし、答申を受けて勧告と基準をつくった、あとはもう運輸省まかせでよろしいと、むろんこれは何がしかの回答をもらったでしょう。環境庁はね。そこでどの限界までの実現を期待されておったのか、環境庁どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/73
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074・藤本孝雄
○政府委員(藤本孝雄君) 環境庁の仕事につきましては、先生十分御承知のとおりでございまして、本問題につきましては、「航空機騒音に係る環境基準」というものをつくりました。それは御承知のように目標であるわけでございまして、その目標達成についてのいろいろの方法につきましては、所管の——この場合で申し上げますと運輸省がその目標を達成するためのいろいろな方法手段を考えていただくと、こういう一つの例があるわけでございます。
先生御指摘の問題につきましては、個人的に考えてみますと、特にその音源対策についてはきわめて私はむずかしい内容を持っておるように思います。たとえて言えばエンジンなんかはわが国で製造しているわけではございませんし、またその他きわめて技術上の問題もございますから、考え方といたしましては、一つの音源対策を十分に行なうということが対策上きわめて大きな問題であることはわかりますけれども、中身について申し上げますと、これは技術上の問題が加わる問題でありますから、なかなかむずかしいのではなかろうかというふうに個人的には考えるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/74
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075・森中守義
○森中守義君 これは大臣、確かに寺井局長の御説のように、機材が新しく開発をされて、しかもそれは今日の騒音防止という一つの目標を持ちながら低騒音の方向に行くでありましょうが、他面測定であるとか、そういう非常にこまかに指摘されておる問題等は、残念ながら運輸省のほうでその音源対策要綱というのか、そういう一まとめにした一つの内容というものをまだ聞いたことが私はないんです。しかし、いまお話しのように非常にもう気を使っていることは、これは間違いない。しかし、これは周辺の騒音対策と同時に、やはりこの問題もこの機会に何かで集約する必要がある。いますぐできるもの、あるいは未来産業の部類に属するもの、分ければそういうことになろうかと思う。しかし未来産業まで想定をしまして機材の開発の分野まで要綱の中で補足するということは、これはもうできない。けれども現在なし得る可能なもの、これはやっぱり勧告と基準というものを一つのものにして、周辺対策と同様に音源対策というものを示していかなければまずいんでないか、こう思うんですがね。寡聞にしてまだ運輸省でそういうものが整備されまとめられたという話を聞いていない。ですからそういう見解に立てば、今回のこの法律改正というものは一つの側面しか見ていない。もっと重要なことが見落とされている。むろん個々的にいろんな指導をやっておられましょうが、そういうものを集約的にやるような見解は考えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/75
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076・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 御指摘の点は、私よく理解できるわけでございます。この勧告が実は昨年の暮れの十二月に出てきたわけでございまして、出てきたと同時にこれはえらいきつい勧告だと運輸省はびっくりしたようなことであるわけでございます。しかし、びっくりしてもおれぬから、とにかくこれを実現しなきゃならぬぞというわけで、いろいろとこれに対する対策をことしになってから考えているというのが実情でございます。音源対策につきましては、御指摘のように、エンジンの改良というやつが一つあるわけでございます。それでエンジンの改良というのは、日本でエンジンつくっておらぬのでございますから、いろいろ注文や——これは低騒音の飛行機というのは、もう世界的な命題になっているようでございますから、こちらももちろん注文もつけますし、いろんな面で要望もしているわけでございまして、技術屋等もいろいろそれぞれの立場で努力しているわけでございます。音源といったらエンジンの改良に、それから便数をどういうふうに減らすかということで、便数の削減でございましたら航空会社とよく相談しまして、行政指導によってある程度押え込めるところは押え込めると思うんです。
あとは航空方式の改善というやつが残っているわけでございます。これは航空方式にはむずかしい何かいろんな飛び方あるいは着陸のときの角度の問題とか、いろんな問題もあるようでございますし、それからまた時間の規制をどういうふうにするかとか、あるいは方向をどうするかとか、いろいろこれには問題があるようでございまして、その点は先生の御指摘のような、第三条第一項をどういうふうに告示の中で、ひとつこれだけでやれるものか、あるいは航空法とこの第三条第一項を、両方でもって規制できるかというような問題が残るわけでございますが、私どもは航空法と公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の第三条でこいつはできるんじゃないかということで、ただいまそういうふうに解釈をいたしておるわけでございます。したがいまして、手をこまねいているというわけではないわけでございまして、これに対する対策なり、あるいはまた、事によればわがほうとしてのこれに対する要望というようなものも検討してまいらなければならないと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/76
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077・森中守義
○森中守義君 大臣、さっきちょっと羽田の運用制限方式ということを申し上げたが、つくろうとすればできるんですね。それがベストなのかベターなのかという、その辺の区別はあろうかと思いますよ。しかし出されたものを、確かに大臣が言われるように手をこまねいてはいなかったということでしょうがね。もう少し一貫的に、一体的なものとしてどうしてつくれないのか、私はやっぱりこの法案と同じようなかっこうで、無理に、いまにわかに並べて立法措置を講じたらどうだ、そこまで飛躍はしませんけれども、やはりこの問題を議論するにあたっては騒音対策、しかも周辺の整備、同時にやっぱり音源というものはセットにならなきゃまずいんじゃないだろうかと思う。しかもそれは不可能なことじゃありません。確かに大臣も言われるように新しい機材が低騒音の方向に開発のコースをとっていると、そこまで拘束できませんけれども、可能なものはやっぱりあると思う。そういうものを一つつくるべきじゃないのか。同時にまたこの法案と同じように、一緒に出してほしかったというように思うんです。たとえば、決してこれは非難するわけじゃございませんが、やや運輸省の場合に、少しどこか一本抜けているような気がするんです。
たとえばこういうのがあるんですね。昭和四十五年にジャンボが初めてニューヨークへ飛んだときに、FAAは非常にきびしい基準をつくっている。こういうことでかなり規制をやっておりますよ。それを連邦航空局は関係の各国に連絡をした、それを受けた日本の場合にはそのままこれを通達に出しちまった、ところが幾日かたちまして、いやどうもあれは少し規制がきびし過ぎたから緩和するという通知が来た、それならというので緩和した。
そこで私は、そういうアメリカ連邦航空局のやり方はやり方でけっこうでしょう。しかし日本の場合ももういよいよ就航計画ができている、ついては、アメリカがやったものがはたして日本でもどうなのかというような、こういうひとつ実験ぐらいはやるだけの周到さがほしい。それがない。おそらくジャンボを飛ばして、これがそのまま採用されていると思うんですよ。これは非常に悪い言い方をするならばアメリカものをそのまま採用した、日本独自の試験の結果というものをつくり上げた方式じゃないじゃないか、こう思うんです。そういう意味からいけば、当然環境基準などというものは正確に捕捉をしながら、現状における確立をした要綱として行政指導の一つの指針にすべきでないのか、ないでしょう、それが全然。局長ありますか、かたがたついでみたいで悪いけれども、アメリカ連邦航空局のテストの結果規制を強めた、しばらくしたらゆるめた、日本は無条件にそれを採用した。いよいよジャンボを飛ばす場合に、こういう実験をやったかどうか、日本独自のものとして。それをひとつあわせながら答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/77
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078・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) ただいま先生御指摘のいわゆる747導入当時の運航方式と申しますか、主としてセパレーションの関係でございますが、これに関して日本で独自のテストをしたかという点でございますが、これは先生御指摘のように、独自のテストというものは当時やっておりません。ただアメリカのFAAがこの新型大型機が就航いたします前後におきまして、主として後方乱気流の点につきまして周到な調査をしたわけでございます。ただ就航当時にその安全のためにどの程度上下後方の間隔をとればいいかということについて確定的な結論が出ておりませんで、暫定的な措置としてこれだけあければいいんだという連絡があったわけです。これは連絡があったと申しますより、わがほうにおきまして、日本に実は最初に747を乗り入れましたのは、御存じのようにパン・アメリカンでございまして、これが入ります前に、実はわがほうからFAAに対して照会をしたというようなこともございまして、向こうから暫定的なものを通知してまいりまして、とりあえず航空局としてもその基準を採用した。
その後さらに詳細な検討が行なわれまして、結果的には間隔が緩和されたといいますか、ということになって現在に至っております。御指摘のように、日本で独自の調査をすべきであったという点につきましては、まことにごもっともなことだと思うわけでございますが、何ぶん当時わがほうにそういう機材がなかったということと、先方はその前からいろいろと研究をしておる。まあ技術的に一歩先んじておったということもございまして、その調査結果を採用して間違いないというふうに判断されましたので、特にわがほうでその後あらためてまた調査をするというようなこともいたしておらなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/78
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079・森中守義
○森中守義君 それと基準関係の何か集約したものはどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/79
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080・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) で、最初のほうの、こういう運航関係と申しますか、音源対策に関連して集約したものができないだろうかという御指摘でございます。ただいま私どもがいろいろ検討いたしておりますけれども、音源対策としては、一つはエンジンの問題、一つは飛行方法の問題、それから運用時間なり離発着回数、大きく分けますとこの三つであろうかと思います。このうちエンジンの騒音というものにつきましては、ICAOを中心にいたしまして騒音証明制度というのが採用されております。このほうは、実は航空法の一部改正で御審議をお願いしておりますが、この騒音証明制度という制度を日本も取り入れて国際的な音源対策の一貫として実施していくということにいたしたいと考えております。したがいまして、この航空法が改正されますと、騒音証明を持ってない航空機は飛べなくなるということになりまして、これは一つの進歩であろうかと思います。
それから二番目の航法は、先ほども申し上げましたけれども、いわゆるツー・セグメント・アプローチといいますか、急降下でおりてきて、下でややゆるい角度で着陸をするというような方法が現在アメリカを中心に検討されておりまして、これも機器のバックアップがございますと可能になってくるという可能性が非常にございますので、近い将来、こういう進入飛行方式と申しますか、こういう方法が採用されますと、音の拡散地域が減りますので、これもかなり効果があろうかというふうに考えております。
先ほどもちょっと先生から御指摘がございましたけれども、羽田におきまして、できるだけ海面から着陸をし、海面に向かって出発をするという航法も指導いたしておりまして、十分な効果をあげておらないといううらみはございますけれども、それなりの一応進歩はしておるというふうに考えております。したがいまして、これを一括して、全部取りまとめまして一つの法体系の中で処理できるかという点につきましては、私どもこれは技術的な進歩というものも関連いたしますのでやや疑問に思っております。しかしながら、できますものから取り入れていくという考え方に変わりございませんので、先ほど申し上げましたように、この騒音証明制度というものも取り上げて法制化しようというふうに考えております。したがいまして、現段階で一括して一つの体系になるかどうかという点につきましては、やはり十分今後検討した結果でないとその適否についてはちょっとお答え申し上げかねるという感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/80
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081・森中守義
○森中守義君 大臣、お聞きのように、ジャンボあるいはエアバスを導入されて一回も事故がありませんからね。この限りにおいては非常に私は幸いだと思う。しかし、いろいろな説があるんですね。ことにいま国内で、大阪にエアバスを飛ばそうか、あるいは札幌にどうだと、こういうときですね。ことに大阪はむずかしいですよ、いま。そこでエアバスに 定した場合に、アメリカのものを受け入れて、アメリカの方式でもうだいじょうぶですと、そのことで地元への説得力を持つのか、あるいは運輸省みずからが実験をやってみて、だいじょうぶですというのが説得力があるのか。これはおのずからはっきりしていると思うんですね。
そういう意味では、決して手抜きがあったとか、航空局にそういう能力がない、そういう意味じゃありません。けれども、やはり新型機が入り、これがしかも地域の住民に必ずしも歓迎をされる状態にないというような場合には、ことに意を用いながら説得力を持ち得るような方策を構ずべきじゃないんですか。これが必要じゃないかと思うんですね。だからそういう意味で私は、確かに747の問題というのは、局長もやっていないということですからそれ以上議論を深めませんけれども、やはりわが国でできるものはやってみるというようなことをひとつお考えいただきたいのと、これは体系の問題からここまで議論が発展してしまいましたが、やはり環境基準の問題、環境庁の勧告ですね、これは可能なものは一ぺん総まとめに何かつくってみるというようなことは、この際ひとつ約束してもらいたいと思いますね。それがこの法律に何の影響もない、むしろこの周辺の騒音対策もやや前広になった、同時に音源の問題についても運輸当局は非常に意を用いているというようなことが世間に対しても重要なことじゃないでしょうか。そういう意味で、この法改正の体系というのは、ややそういう意味では、私としては親切ではなかった、あまり親切なやり方でない、そういうふうに思うんですが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/81
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082・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) いま参っております、あるいは就航させんとしているエアバスといわれておりますロッキード一〇一一、それからボーイングの747SRというのは、これは私は、こまかい技術的なことは後ほど説明させますけれども、それはそれなりに、わがほうからもアメリカに技術屋を送りまして、それぞれ設計の段階等からも検討を重ねておるようでございます。したがいまして、こちらに持ってきて、さらにそれを試験するということも安全面から、いろいろな角度から試験をやっているようでございまして、ただエアバスという名前があることと、もう一つはフランスでダグラス10が大きな事故を起こしました。これがまたエアバスという名前で大きく出てまいりまして、エアバスというのはダグラスあれ一つというように世間一般の人が考えたというのも、これはもういなめない事実でございます。
しかし、わが国で採用しておりますボーイングにいたしましてもロッキードにいたしましても、それまでに運輸省としても、また航空会社としてもアメリカに人を派遣して十分なる確信の持てる運航試験の上で入れたわけでございます。でございますから、何と申しましてもたくさんの人が乗るんですから、これはいやが上にも安全でなければなりませんし、何万分の一、何十万分の一といえども間違いがあっちゃならぬというんで念には念を入れておるわけでございますが、御指摘のような点は、やはり私はいま静かに考えてみまして、これから沖繩に飛ばそうと思う、その前に何べん試験飛行をやりましたと、そうしてその資料はこうでございますというようなことは、やはり皆さんに納得してもらうために十分な配慮をしたほうがいいんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
それから騒音基準の勧告が環境庁から出た。それを受けてわが運輸省でもそれの受け皿をつくる、この受け皿としての、いろんなできる範囲から要綱というようなものをつくってみたらどうだと、こういうお話でございますが、ごもっともだと思います。これは勧告に従いまして、それぞれの空港によってそれぞれの何と申しますか、影響が違うわけでございますから、そういう点につきましては、先ほどもお答え申しましたように、昨年の暮れが迫って実はこれが出てきたわけでございます。私どもも早々にこういう点についてはいろいろな検討を加え、また努力をしているわけでございますが、まだ各飛行場につきましてこまかいデータをとったわけでもございませんし、今後やらなきゃならぬことはたくさんあろうと思います。そういう点につきましては、ひとつ前向きな、いま御指摘のあったような点について検討を加えてまいりたいと、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/82
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083・森中守義
○森中守義君 それから局長、これはちょっとしたことですがね。さェき例示しました羽田の運用制限方式、これは位置づけとしてはどうなるんですか。位置づけというのか、根拠法は航空法に根拠があるとか、あるいは政令、省令を受けたものであるとか、これ大体どういう形式でこういうものがつくられたか、その辺がよくわからない。大臣の公示によるものか、どういう方式のものですか。ちょっとそれが不勉強でよくわからぬので教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/83
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084・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 出発進入方式につきましては、管制業務処理規程というのがございまして、それでやっております。きめましたものは通常われわれNOTAMと員っておりますが、NOTAMで公示されまして、各パイロットが周知できるようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/84
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085・森中守義
○森中守義君 管制業務処理規程、これは省令になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/85
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086・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) これは省令と申しますか、内規でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/86
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087・森中守義
○森中守義君 単なる内部規定。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/87
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088・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) ちょっと補足さしていただきます。管制業務処理規程と申しますのは単なる内規でございます。しかしながら、これをNOTAMという形で出しますのは、これは省令に基づいてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/88
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089・森中守義
○森中守義君 そうなれば大臣がいまお答えになったようなものは、いわゆる政令でできるわけだね。まとめようとすればそれはできるわけだな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/89
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090・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/90
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091・森中守義
○森中守義君 わかりました。
それじゃもう一つ、参考人の御意見の中から感じたことをお尋ねいたしますが、関西空港につきまして関係の両市長にいろいろ意見を問うてみた。ところが伊丹を新空港をつくれば廃港にするのか、どうしていくのか、その辺が非常に不明だと、こう言うのですね。ですからそのことがはっきりしてくると、もうちょっと対応が変わってくる、要約してこういう意見なんです。それが一つと、それからいま一つは、ビッグ4と称されているというのですが、大阪の府知事、丘庫の知事、それから大阪市長、神戸の市長、四者の意見がそれぞればらばらであって、まとまっていない。ついては非常に関係の市長などもどうしたらいいかという戸惑いがある、こういうお話なんです。
よって今回の法律改正というものが具体的に動き出すという場合、将来の伊丹というものは廃止をねらうのか、あるいは存続をねらうのか、この辺どうなんです。このことが、もうそろそろある答えを出しておかないと、いよいよ具体的な折衝に入ると非常に私はまずいというか、よけいな批判を受けるようなことが当然起こり得るであろう、こういうように思う。ですから航空審議会の答申も出ているんですね、関西空港については。——出ていない、ということのようですが、航空審議会の結論を待っていて、それで残すか廃止をするかということをきめられるのか、あるいは政策的にちょうど羽田と成田を並立させるような状態で大阪もやっていくのか、この辺はどう大臣お考えになるか。非常に重要な問題でして、このことをきちんと割り切っておかないといろいろ難儀するんじゃないですか。
そこで豊中の市長の御意見では、二つ必要ない、こういう御意見です、伊丹は撤去すべきだ、しかもそれはかなり論理的でしたね。あの大阪の空域を考えた場合に、伊丹をかりに海上にした場合、あの狭い空域で離発着をするには非常に危険だというような言い分ですね。だから空域という角度から見ても一つでけっこうだと、こういうような御意見をさっき言われたんですがね。いつの時期にそのことをおきめになるのか。現在大臣の頭の中に並立をさしていくというお考えであるのか、あるいは一つにするというお考えなのか、この辺ちょっとひとつ——別に足をとりませんから、大胆率直にお述べになったらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/91
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092・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) これにはたいへんな歴史があるそうでございます。私も聞いたことでございますけれども、一番最初に関西新空港をつくるといって審議会に答申を求めたときには、この飛行場は一部残しますというような形で答申を求めたのだそうでございます。その線に沿ってやはり審議会では作業を進めておった。ところが御存じのように、伊丹の飛行場というのは騒音に関する限り欠陥飛行場でございます。率直に申し上げますと。だからこれを残すのは適当でないということで、いろいろな市民運動も出てまいりますし、あるいは公共団体等からの申し入れもあり、またいろいろな点から考えてこれはいまの時点でこれを残すのだということでは、とても話になるまいということで途中でちょっと軌道修正をしたのだそうです。軌道修正をしたところが、今度は議会が、おまえは何を言っているんだと、最初はこういうことを言っておいていまさら軌道修正して持ってくるとは何事だということで、ここでちょっと問題が起きたんだそうでございます。それはそれとして、いろんな経過をたどってその話もつきまして、いずれにしても新しい飛行場をつくるよりほかには抜本的な解決はなかろうと、こういうことになって、その間に航空局長の通達とかいうようなものが出ているわけでございます。新しい飛行場ができて、それと総合的にひとつものを考えて、その時点においてはこの廃止をも含めてひとつ検討しようと、こういうようにわかったようなわからぬようなことばで返事が出ているようでございます。
でございますから、いま私が考えますことは、新しい空港がどういう形でできるかということが一つあるわけでございます。いま予定地は、きょうの段階では四つ、海の中につくるのと淡路島につくるのがあるようでございます。で、それぞれにまた反対の声もあるようでございます。しかし、これは十分地元の公共団体とも御相談して、今度こそは間違いのないような進め方をしてまいらなきゃならぬと思っておるわけでございますが、その答申を待って、そうしてそれがどういうような機能をやるか、これはつくるには海の中につくることになるか、淡路島につくることになるか、いずれにしても相当な時間がかかるだろうと思います。二年や三年でできる仕事ではないだろうと思います。でございますから飛行機を飛ばすと、飛行機を飛ばす時点でいまの大阪空港を全面的に廃止するか、あるいは地元の皆さん方が、最初のころは地元の皆さんに会って聞きますと、あの近所はくだもの畑でたいへんのんびりしておって、これはプロペラのころだろうと思いますけれども、非常に快適な生活をしておった。ところがいつの間にやらでっかいジェット機が飛んで来てひっかき回しだしたということから問題が発生しているわけでございまして、いまの空港ですと、プロペラ機なら、YS11等でございますとたいした大きな騒音被害はないだろうと思いますし、地元の皆さん方から、そういうことならば、ひとつYS11なら近所に飛ぶんでございますから、松山とか日本の国内をちょこちょこ歩くぐらいでございますから、大阪の市内に入るのも便利がいいし、せっかくこれだけの施設をつくったんだから、大きなやつは困るけれども、こいつぐらいはひとつ残してくれぬかというような話になるかもわかりません。
そういう場合は、私は御相談の上残すということも一つの方法じゃないかと思うわけでございます。また、その時点で諸般の問題を勘案して全部やめてしまう、撤廃してしまう、あるいはまた一部残すかというようなこと等についても検討を加えていったらどうだろうか、こういうふうに考えておるわけでございまして、その場合でも地元の市長さん方が目の色を変えて反対だというのを、いや残すと言って押し切るだけの考えは毛頭持っておりません。そういうっもりでいまのところ考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/92
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093・森中守義
○森中守義君 そうしますと、大臣、結局地元の空気待ちということですね、いまのそのお話でいきますとね。
局長、航空審議会の答申は大体いつごろに想定されるのか。それといま一つは、大臣がいま言われるように、これが沿革があるんだと、かくかくの流れだと言われるんで、それはまあ理解しますが、航空当局として、事務レベルとしては一体どうなのか。なるほど審議会にも最初は残してくれという諮問をしている。あとでやめてくれということならば、それはやっぱりそうそうたるお歴々だろうから、そんな人を食った話はないじゃないかと言われるのはこれは無理もないと思う。しかし、どこかで決断をせねばいかぬと思うんだな。それで審議会のいまの作業の状態と、大臣が言われるように、廃止も含めてということで審議会のほうは受け取ってもらっているのかどうなのか、その辺もう少し実務的に説明してくださいよ。
それから大臣、ビッグ4の意見がまとまらない。その中のお一人の意見は、伊丹をつぶすことが前提だよと、こういうお話だそうです。それぞれ四者の意見が違っていると、こういうんですね。ですから答申が出たあと、やっぱり大臣がビッグ4に会われて、やはりひざ詰めで話をされる必要がある。その際に、やっぱり二段がまえぐらいの、ロケット方式じゃないけれども、まあ腹をきめてかからないと、地元の情勢待ちでございますよでは、なかなか主導権が握れないし、話がつかぬのじゃないですか。そういう意味で、局長から実務的な経過と、大臣からもう一回、いつ決断をするのか、いいことのためにあまりためらいがあっちゃいけませんね、正すことにためらいあるべからずと、だれか言ったようにためらっちゃいかぬと私は思う。やがて決断をするときじゃないんですか。在任中に答申が出るものか、現在の運輸大臣の手で、これが始末がつくのかどうなのか、ちょっと時間の問題もありましょうけれども、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/93
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094・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) まず最初の御質問の、現在の航空審議会関西部会の審議の状況から答申がいつごろ期待できるかという点につきましては、私どもの感触といたしまして、大体七月あるいは八月にかかるかもしれませんが、この夏までには御答申がいただけるというふうに期待いたしております。
それからこの伊丹空港と新空港の関係に関連いたしまして、一体事務的にはどう考えているのかという御質問でございますが、先ほど大臣が経過をお話しになりましたけれども、当初この関西地区におきます航空需要というものから判断いたしまして現在の空港ではまかない切れない、少なくとも新しい空港をつくりまして、それでなおかつ、やはり空港の位置にもよりますけれども、半分程度の国内線の便数というものは現在の空港に残る可能性がある。簡単に申しますと、空港両立という考え方で新空港の位置、規模について諮問をしたいきさつがございます。
で、その後、伊丹空港のあり方につきまして地元からいろいろ御意見もあり、昨年新空港ができる段階において、現在の伊丹空港のあり方につき、廃止をする場合も含めて検討するという趣旨の航空局長の見解というものが地元十一市協に出されたわけでございます。この時点におきまして、航空審議会の関西部会の先生方は、これは一つの新しい状況の変化であるというふうにお受け取りになりまして、現在部会の先生方がいろいろ御検討になっております場合に、空港が二つあるという場合と一つあるという場合では、実は先ほど先生も御指摘がありましたけれども、空域の問題がからんでまいりまして、処理能力にかなり影響が出るという御意見もございました。したがって、一つか二つかというのはかなり大きな問題になるわけでございます。
ただちょっと補足さしていただきますけれども、空港が近接して二つある場合に、現在、日本でやっておりますように、空港の管制を別々にやっておりますと、明らかに空域の競合が起こりまして処理能力にも非常に影響するという面が出てまいります。ただ二つの空港あるいは三つの空港を一カ所で管制いたしますと空域がかなり広くとれる。もちろん処理能力には限度がございますけれども、別々に使うよりは融通がきくという面もございまして、一がいに危険であるとか、処理能力が問題であるとかいうことには直ちには結びつかない点だけをちょっと補足さしていただきたいと思います。そういういきさつがございまして、現在のところは、やはり新空港の位置、規模が明確ではございませんし、その位置がきまり、かつまたそこへ空港を建設することにつきまして、やはり地元の御理解を得なければならない。したがいまして、関西部会でいろいろ御審議願いました非常に膨大な資料等もございますが、これらを全部つけまして、こういう形でこういう空港がこの位置にできる。したがって地元として御賛同いただけるかどうかという点を、十分詰めた上で建設に着手していかなければならないというふうに考えておりまして、先ほど御指摘のビッグ4の意見が違う——これは実は諮問をいたしました当時は一致しておりました。その後いろいろビッグ4の意見に多少のニュアンスの差が出てきたというのが現状でございまして、これらはやはりこの答申をもとに十分御検討いただく段階で再びお話し合いをして、一つの方向づけをしていく必要があろうかと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/94
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095・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 御指摘のように、答申の出た時点で関西の四人のおん大将方の意見の一致というものは、これはぜひ必要だろうと思います。またみんなが賛成してくれるようなものでなければならぬと思います。そういう意味では、運輸大臣が出向きまして、あるいはお集まり願うかは別といたしまして、よくひざを交えて御相談をし、意見の一致を見て進めてまいりたいと思います。ただ、かつて四十六年の九月二十三日に、いわゆる四人のお歴々がお集まりになって、「公害のない国際空港が建設さるべきこと」ということについては、これはだれしも異論のないところでございまして、そういう意味では意見が一致しているようでございますし、またそれがために公団をつくるということについても意見は一致しているようでございます。
ただ、その次に条件がついているようでございまして、「公害問題建設技術等、まだ十分に解明されていない諸問題については、さらに一層の掘り下げた調査、検討を行ない、住民の理解と協力が得られるきびしい条件のもとに進めることを強く要望」すると、こういう付帯条件が一つついているわけでございます。でございますから、新しい空港に対する答申が出ました段階で、そういうような処置は当然やりなければならないぞと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/95
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096・森中守義
○森中守義君 藤本政務次官、大阪判決の当時三木長官が談話を発表している。この中に「現在の交通体系は環境保全の面からの検討が十分ではない。」こういう指摘をし、「さらに、資源問題の情勢変化もあるから、その点も考慮し、総合交通体系を抜本的に再検討すること。」こういうことを言われておる。これは一体具体的にどういうことを意味しているものか、それと総合交通体系に対する環境庁の評価はどういうものであるか、これをちょっとお話しになってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/96
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097・藤本孝雄
○政府委員(藤本孝雄君) 御承知のように、大阪の空港問題で二月の二十七日に判決がおりたわけでございますが、その後長官の談話が発表されまして、その中に御指摘のような問題がございます。これにつきましては森中先生御承知のように、経済社会発展計画の中に総合交通体系を考えられているわけでございますが、これは数年前につくった計画でございまして、ただいまは御指摘のように、石油危機等から起こってまいりましたエネルギーの問題と、それから先ほどの空港裁判で大きな問題になっております環境問題、この二つが新しい条件として出てきたわけでございますから、言ってみれば状況の変化ということでございます。そういう状況の変化を踏まえまして、そういう状況の変化があったわけでございますから、この交通体系について抜本的に再検討しなければならぬ、そのことがこのような飛行場の航空機騒音の解決のために必要である、こういう考え方でございます。
率直に申し上げますと、大阪の場合考えてみますとたいへん状況が悪いわけでございまして、東京、福岡などから比べましても、WECPNL八五以上をとってみましても、東京の約十倍、十一万人、東京は一万数千人、福岡の場合で二万人、そういう非常に条件が悪い。この大阪空港の航空騒音にかかる問題を解決するためには、やはり便数という点も談話の中にございますように、減便していかなければならない。そういうことになりますと、その乗客をまた違った方法で輸送しなければならぬという問題も当然片っ方で考えなければならぬということでございます。そういう意味で、一つの総合交通体系のワクの中で、航空機の輸送問題であるとか、新幹線の輸送問題、そういうものを一つのワクの中で考えてみなければ減便の問題なんかも解決できないんじゃないだろうか、こういう考え方で、この際エネルギー問題も状況変化がございますし、騒音にかかわる環境問題も大きな問題として出てまいっておるわけでございまして、状況の大きな変化ということを踏まえて、もう一度総合交通体系を再検討すべきである。こういう考え方で大臣が談話を発表された、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/97
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098・森中守義
○森中守義君 政務次官、私の記憶では、経済基本計画の中でとらえているのは空港の整備ですよ、それで宮崎局長、私は本来はやはり総合交通体系というのは、やはり基本計画の中でとらえていくのが正しいと思うのです。ところが昨年の二月修正されたものにも整備計画が入っていない、七千六百億でしたかね。それはそれでいいとして、総合交通体系が成案を得て、臨時交通問題閣僚協議会で決定されたのが四十六年十二月十七日。それで内容を一見してみますと一応ポイントは押えていますね。たとえば安全確保、公害防止などの費用をできるだけ発生者に負担させるとともに、開発利益を極力還元すること、こういうことで安全の確保、公害防止、確かにこの中に入っておる。それと問題は、総合交通体系を形成していくためには次のことを交通政策と相互一体的に推進することが基本的に重要である、こういうふうにいいながら、競争原理を活用しつつ、あらかじめ各交通機関の分担関係を想定し、交通需要を調整し、誘導していく、こういっておるんです。こうなっていけば当然航空も総合交通体系の中で一つの交通手段、一つの交通機関としてどういう分野を、どういう分担を与うべきであるのか、この辺のことがきわめて抽象的であり、もちろんこれは企画庁の所掌ではないにしても、一体的に推進することが基本的に重要だということであれば、当然実施官庁としての運輸省がこれを受けて一体どうするのか、どうすべきかという答えを出しておくべきだと、こう思うんです。ところが私の知る限り、いま航空政策として存在するものは先回も指摘しましたように、四十五年の航空企業に対する体制の確立、これが一つ。それと第一次並びに途中で修正をした第二次の空港整備計画、これだけしかないんですね。
そうなれば、この総合交通体系の中でとらえている競争原理を導入しつつ各交通機関の分担を確立せよという、これが航空問題としてとらえられていない。ですから、ずっと経過を見ますと、潜在的な需要がだんだん顕在化してきた、非常に需要が増大をした。ために滑走路を広げよう、ために機材を導入しよう、こういうことで大体終わってきていると思うんですね。ですから、そういうことが、総合交通体系の指摘をしている各分野がそれぞれの分担をせよというこの答えを出していない。まあここにどちらかというならば、決して航空政策が一大混乱を起こしているとは言いませんけれども、こういう騒音の問題等にその背景があるというような見方が妥当かと思うんですね。よって宮崎局長、こういう意味で総合交通体系はいわば一つの目安を与えた。しかし一通りのポイントは押えておる、こういうことなんですが、企画庁という立場から、実施官庁の運輸省のこれを受けて政策ベースに乗せるべきものが乗っているという判断をするのかしないのか、この見解はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/98
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099・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) 御指摘のとおり、総合交通体系という作業は四十六年十二月十七日に閣僚協議会で決定になったものがございます。約一年間の作業期間を費やしましてかなり詳細な作業が行なわれたようでございますが、結論としてまとまったものはいま御指摘のとおりでございまして、大体の筋書きとしての要点は大体入っておると思いますが、数字的作業等はあまりこれを決定するという形にはなっておりません。
そこで四十八年二月の経済社会基本計画の段階では、この総合交通体系の考え方を受けまして、昭和五十二年度までの期間別の輸送需要の分担であるとか、さらにこの期間における公共投資の総額であるとかいうような、政府としてきめるべき実行計画についての数字を盛り込んでつくってあるわけでございます。したがいまして、通常であればこの五カ年計画をベースにいたしまして港湾であるとか航空であるとかいうような面につきましても、五カ年計画なり、そういった長期の計画をおつくり願うということになるわけでございますが、御承知のような物価問題ということが出てまいりまして、公共投資に関する考え方も当面できる限り抑制をすると、こういう状況でございますので、長期計画の問題等は今度の四十九年度の予算等においても一応見送りというか、こうになっておりますことは御承知のとおりであります。
そういう状況でございますので、この経済社会基本計画というようなところで考えたラインというものが必ずしもまだ実現しておらないという面がございますけれども、その段階におきまして石油問題とか、いま環境庁の政務次官から御指摘を受けました環境問題に対する配慮というような、かなり大きな要素が出てまいりました。そこで私どもといたしましても、この経済社会基本計画そのものについてのフォローアップ作業というのをやっておりますが、このほうもいずれは計画そのものを見直すという腹がまえでいろいろの部面を検討しているわけでございますが、特にこの総合交通体系という部面につきましては、いま政務次官もおっしゃっておられましたような新しい観点を取り込みまして、そしてもう一ぺん今後の輸送分野の分担であるとか、あるいはいろいろのコストの比較であるとか、そういう部面につきましても検討を加えまして、そしてあるべき姿を描いていくようにしてまいりたい、こういうことで、とりあえずは経済計画のフォローアップ作業の一環としてやりだしておりますが、いずれそのうちに関係各省にも御協力をいただきまして総合交通体系というような形にまとめてまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/99
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100・森中守義
○森中守義君 そうすると、結局現在の総合交通体系というのは中身がつかないまま修正を行なう、結論的にはそういうことなんですね。いつから作業に入るのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/100
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101・宮崎仁
○政府委員(宮崎仁君) この総合交通体系というものが特にこの時点で要請された大きな理由は、御承知のとおり、自動車重量税という問題がございまして、そのような財源についてどう考えるかということがございました。またそれを通じまして、当時非常に議論がされましたイコールフッティング論についての考え方をどうするかというようなことでございました。そういう点については、この報告において考え方が述べられておると、こう考えます。そこでそれを受けまして経済社会基本計画のようなものもつくったわけでございますが、この計画による社会資本の配分、これに基づきまして道路整備五カ年計画であるとか、あるいは国鉄のほうの再建十カ年計画というようなものもこれに合っております。そういうものがきめられておるという形になっておるわけでございます。
ただ、それ以後のものにつきましては、先ほども申し上げましたように、だいぶ条件が変わってまいりましたので、一時今後の情勢待ちというかっこうになっておる、こういうところが正直なところでございます。全体といたしましては、先ほど申しましたようなことで、この計画全体の見直しということを含めて、公共投資の総額、配分額等につきましても、あるいはこの交通事業の各機関別の分担関係というような関係につきましても再検討してまいる必要がある、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/101
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102・森中守義
○森中守義君 大臣ね、これは先年来の国鉄の問題で、いつ総合交通体系を出すのかというわけで、前総理の時代ずいぶんやかましく攻め立てたものですよ。その結果これが出た。そこでこの中で非常に注目しておりましたのは、何といってもさっき申し上げたように、分担関係の確立及び需要の調整、言ってしまえばこの二点にあったと思う。ところがさっき申し上げたように、ここに言っておりますのは、交通政策を相互一体的に推進することが基本的に重要である。これはまさに実施官庁である運輸省に当たるわけですね。それならば、やっぱり航空機関といえども一つの分担を持つ機関に違いない。だとすれば、やはり総合交通体系が出たときに、これはやっぱりきちんとしたものをつくる必要があったと思うんですね。さっきから申し上げるように、あるのは二回にわたる整備計画、それと閣議了解以外にはない。何が航空政策のビジョンであったのか。将来展望は何を求めたのか。残念ながらそれがない。まさに惰性的なもので今日に至っている。
ですから平たく言うならば、需要は異常な喚起を遂げてきた。ついては、そのために機材を入れねばならぬ。空港を広げねばならぬ。こういうパターンをずっと繰り返してきたと言っても私はいいと思うんですね。そういう意味では、出された総合交通体系というものは空文にひとしい。いま何の実りもないままに、経企のほうでは見直さねばならぬと、こう言っている。環境庁のほうでも、エネルギー問題がこうなったんだから、そういう新事態に対応して抜本的な検討を加える必要があると言う。それならば実施機関である運輸省は一体何をしてきたのか、こういうことに整理すればなろうかと思うんです。もし私の言うことに言い過ぎがあれば、いやそれは事実と違う、運輸省はかくかくのことでやったんだということがあれば、ひとつ御指摘を願いたいと思いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/102
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103・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) ただいま御指摘の、どういうふうなビジョンがあったかという点でございますが、これは実は私ども、現在の運輸政策審議会の前に運輸政策懇談会というのがございまして、そこで今後の交通輸送というものがどういうふうにあるべきかということをお伺いしたことがございます。その中間報告の中に、一つの考え方というものが出ておりまして、要するに総合交通体系の中で最終的に解決されなければならない問題であるけれども、その総合交通体系の審議の一つの準備としていろいろ審議が行なわれたという経緯がございます。で、そのときに出されました一つの考え方の中に、この航空輸送というものが過去におきましては非常に高価な、ごくわずかな人々、小量の輸送機関であったわけですけれども、次第に大型化、高速化いたしまして、低廉な大衆の交通機関に変貌しつつある、この傾向は将来も助長されるであろうという一つの考え方がございまして、いろいろ審議が行なわれまして、一つの結論めいたものといたしましては、やはり日本国内の輸送につきましては、大ざっぱに言って五百キロ以上の都市間輸送というものが一つの守備範囲であろう、また距離は短かくても比較的時間がかかる。つまり山岳地帯を横断して輸送が行なわれるというような区間、いい例がもう一つの例といたしましては、離島等がございますけれども、そういう区間につきましては、必ずしも五百キロには限らないけれども、大体時間短縮効果が多い区間については航空輸送の分野というものが確立されていくであろうというような一つの見方がなされまして、また同時に、全国の主要都市を一時間ないし二時間で結べるような航空網というものの整備が必要であろうというような考え方が提示されたわけでございます。
先生御指摘のように、空航整備計画というものは、こうした懇談会あるいは審議会の需要予測というものをベースにいたしまして現在までそういう整備が行なわれてきているわけでございます。もちろんこの当時におきましても、これはいわゆる経済外的ないろいろな負担がかかってくる、騒音対策の問題もそうでございますし、あるいは安全性の面からいろんな施設、乗員の訓練等も将来ますます加重されてくるというようなことを予想いたしておったわけでございます。したがいまして、この基本的な考え方につきましては、やはり現在でも大いに参考になるという面がございます。
ただ今後どういうふうなかっこうで空港を整備するかという問題になりますと、やはり公害対策と申しますか、そういった面を十分にやっていけるものであると同時に、地域社会との調和をはかりつつ空港の整備は行なわれなければならないということと同時に、先生御指摘の、一体、各輸送機関はどういう分担をするのかということが、もう少し明確になる必要があろうかというふうに考えられるわけでございます。ただいま私どもは、現在行なっております空港整備五カ年計画というものを、昨年環境基準が告示されました事実もございますし、これらを踏まえながら新しいものに変える必要があるということで、事務的に検討に入った段階でございます。
したがいまして、経済社会基本計画そのものが見直されるという御発言もございましたが、それによりましては需要の見通し等もかなり変わってくる可能性がございます。特に需要の見通しは、産業構造あるいは産業立地と、また人口の配分等の変化に非常に影響されますので、この点も十分考えに入れた上で処理をしていかなければならぬ。現在検討を開始した段階でございますので、どういう方向でいくのかということも、まだ最終的に方向づけが終わっておるわけではございません。いろいろな要素を入れながら新しい空港整備のあり方というものを検討中でございますということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/103
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104・森中守義
○森中守義君 これは大臣、ひとり航空局長を責めるのも私はどうかと実は思う。本来的に、さっき申し上げたように、分担関係の確立ということ、需給の調整ということ、これがそういう流れに運輸行政として最大のネックです。これが全然ないのですね。たとえばトラック、ハイヤー、タクシー、それと国鉄の競合はどうなるのか。海上と空はどうなのか、これが全然ない。ないところに運輸行政の概念的にいうひずみが私はあると思う。
そこで、せっかく総合交通体系が出まして、いま私が申し上げる二点に対する重要な問題提起がある。総合的に、一体的にやれと、これはいち早く運輸省としては反応を示すべきであったし、直ちにこの問題に取り組むべきだったと思うのです。無用の混乱を承知しながら、依然として、運輸省ではこの分担関係の確立を明確にしない、需給調整を明らかにしようとしない。これは今日の運輸省の最大の欠陥じゃないですか。しかも四十六年に出されて以来、全然この問題に対して積極的な姿勢がとられていない。運政審に対する何か諮問をして、答申をもらったようですが、これにおいてすらも分担関係と需給調整ということは明らかでない。大臣、どう思われます。この辺のことが運輸行政の私は基本にならなければいかぬと、こう思う。まきに野放しの状態なんです。
そこで、それはまたあとにしますが、局長、さっき言われた運輸政策懇談会、これの総合部会、都留重人さんが会長をやっている中間報告を言われたものですか、それですか、ちょっとはっきりして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/104
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105・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) これは四十五年の四月十一日に中間報告がなされておりますが、後にこれが発展的解消をいたしまして、運輸政策審議会になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/105
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106・森中守義
○森中守義君 そうなると、さっきから問題にしている二回にわたる整備計画と、四十五年の閣議了解、それにこれが政策のビジョン、これだけのものがセットされて、航空政策が進んでいったと、こういうように理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/106
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107・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 端的に申し上げますと、そういうことになるかと存じますが、これは主として空港の整備を行ないます一つの需要予測の基準といたしまして、この考え方、ビジョンというものを採用してきておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/107
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108・森中守義
○森中守義君 ところが、これは四十五年ではありますが、内容をちらっと見出しだけ見ても、やっぱり現状に合わない。少なくとも今日のこの法案が指摘するような、法案の改正が必要であるような騒音、すなわち全体を通ずる航空公害というのはない、全然この中には。どうですか、ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/108
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109・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 航空公害と申しますか、騒音問題を現在におけるわれわれの認識のようなかっこうで取り上げておらないことは事実でございます。ただ、外部不経済の存在というような項目で、この考え方が多少あるというふうに考えております。ただ先生御指摘のように、この中間報告が作成されました時点と現在とでは、情勢が非常に違っております。その大きな問題が、騒音問題に対する認識程度と申しますか、これが非常に違っておると私も考えておりまして、騒音問題の解決のためには、やはりこの四十五年に出されました当時に考えておりました空港整備資金、コストというようなものが、当然今後は、こうした環境整備の関係に非常に大きな資金が必要になってまいりますので、その点でも大きく食い違わざるを得ないというふうに認識されるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、現在行なっております第二次空港整備五カ年計画というものは、これは改定しなければならないということで、まあ、できれば五十年度からそれに入りたいということで、現在作業を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/109
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110・森中守義
○森中守義君 いま局長の言われるとおりに、全く全部現行に合わないよとこれは言えません。まあある種の予測もしておるし、その限りにおいては私も評価します。しかし、これが今日的なものとしてはずばりこれを基調にすべきであるかどうかは非常に問題がある。ですから、あらためて問いますが、すでに地上整備関係は、つまり滑走路中心にしたもの、これはいままでの段階で一通り終わったと、こういう見方をすべきであるのか。したがって、そういう見方からすれば、これからは保安施設を強化しなきゃならぬ、あるいは公害対策に重点を置かねばならぬ、こういう政策の転換期に入ったと見るべきであるかどうか、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/110
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111・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 基本的には、先生のおっしゃるとおりであろうかと思います。二、三の例外を除きまして、たとえば空港を新しくつくるということが全くないわけではございませんし、滑走路を配置がえをするというようなことも含めまして、これは主として騒音対策という面から実施されるべきであろうというふうに考えておりますので、先生御指摘のように、やはりここで新しい観点から見直すべきであるというふうにわれわれは了解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/111
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112・森中守義
○森中守義君 局長はいろんなことをあまり否定されないので、非常に私もそういうコースでこれから航空問題は進んでいくべきだと思う。
そこで大臣、いま局長もいろんな角度から見直さねばならぬと言われるし、同時にまた、在来は滑走路の拡張、まあこの辺に中心が置かれたんだが、これからは公害、そして保安設備、こういう政策転換期に入ったということで、大体コースはそういう流れをたどっていくだろうと思うのですよ。しかし、やはり問題として未解決のまま残される基本的なものは各交通機関の分担確立の問題ですね、それと需要の調整、これが最大のものとして残るのです。これにアンサーを与えなければ、航空は航空、国鉄は国鉄、車は車、トラックはトラック、船は船ということで、もちろん競争原理を導入するということですから、それは大いにけっこうではありますけれども、やはり交通の秩序をつくっていくという意味では、いまの二点というものが明確に、政策的に一つの割り切りを持ったものとして確立されていかないと、なかなかうまくいかぬのじゃないですか。ですから私は、局長がさっき肯定されたように、すでに、もうこれは古いんだと、このビジョンは。もちろん、この前大臣も、閣議了解というものは、これはもうビニールに包んで博物館に入れなきゃいかぬのじゃないかと私言ったら、そのとおりだと、こう言われる。ですから、ほんとうは総合交通体系が出た時点でこういうものを見直すべきでしたね。同時に、分担の確立と需要の調整というものは、その時点できちんと整理をすべきじゃなかったか。それが行なわれていないところに、くどいようですが運輸行政のひずみが出ている、こういうように思うんですが、これ、どう処理されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/112
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113・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) ただいまのこの総合交通体系の中において、それぞれの交通機関が受け持つ輸送の、貨物にいたしましても、人にいたしましても、一応のシェアというようなものは基本的にはじいて持っておるわけでございますけれども、しかし、それが必ずしも今日のいろいろな社会情勢に完全に乗っているのかどうか、あるいは社会資本の配分等において非常に大きな変化を来たしておりますから、先ほども経済企画庁の局長が言っておりましたように、総合需要の抑制、公共投資の抑制というようなところで一つの足踏みを始めたわけでございます。それに加えて資源問題あるいは環境問題というのが新しい角度で戦列に加わったわけでございますから、先ほど申しましたように、経済社会基本計画をいろいろな形で一ぺん手直しをしなきゃいかぬ時期に来ているだろう、こういうお話でございます。
まあ、総合交通体系にいたしましても、これは作業といたしましては大作業になると思いますけれども、しかし、そうは言ってはおれぬと思います。現実の問題がもういままでの軌道をはずれてきたわけでございますから。でございますから、私どもとしてはそういうものを受けて、港湾整備五カ年計画も実は今年から発足するということで、一応の計画を持っておりました。一応の計画を持っておりましたけれども、港湾整備五カ年計画も今年はとりあえず延期ということで、今年からの発足を見合わしたわけでございます。そういうようなこともございますし、また航空関係にいたしましても、空港整備五カ年計画が明年度を初年度として発足しよう、こういう時点でございます。そういうようなことやらこれやら合わせまして、いろいろと手探りの面もいまの変動する経済情勢下ではあるわけでございますが、一応経済社会基本計画というものの作業もできることと思います。そういうものを基本にいたしまして、今度は御指摘のように、いわゆる分担関係の確立、それから需要の調整、御指摘になりました二点については、あらためてひとつ目安を立てた交通政策というものを、基本的なものをつくっていかなければならない、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/113
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114・森中守義
○森中守義君 これは大臣、委員会で問われて答えたということでも一つの前進だと思いますが、これは非常に重要な問題ですよ。もうおそらく、総合交通体系の成案を得るまでには運輸省は参画したと私は思う。企画庁は単独でつくっておりませんよ。
そこで提起された問題は、いま大臣もお話しになったように、分担関係をどういうように確立するか。需要をどう調整していくか。で、結果的にこれは何か運輸省の中で、とにかく競争原理を導入しているのだから、競争によってうんと収益を上げていこう、サービスも提供しよう、しかし、それぞれのシェアというものを規制すべきでないという見解であったのか、この辺のことが私も十分理解できません。けれども、作業としてはこれはなかなかたいへんなことだと思いますが、これはどうして歴代の大臣がこれをしなかったか、まるで私はふしぎでたまらない。もうしかし、この段階に来れば、やはり交通政策に規制をつくるためにも、非常にこまかな数字はこれはともかくとしまして、たとえば、いま航空が一番対比されるのは国鉄との関係だと思う。航空貨物もこれから旺盛期に入ろうという段階を迎えておるようですが、これはいまのトラックあたりと競合するといっても、そうこれは脅威的なものにならぬと思う。しかし、やはり国鉄とどうするのか。他に競合するものはあまりないと思う。もちろんこれは国内の場合ですね。
で、それで再建計画を議論をする、運賃法を議論をしたりする、その際にもやはり国鉄の位置づけをどうするのか、他の交通機関とどういう状態に国鉄を見るべきであるかということは、この委員会で、もうだれからも何回となく議論された問題です。で、今度は逆に航空問題からそれを見ようとしているわけです。ですから、これはやっぱり単なる委員会で聞いた、答えたということにとどまらないで、もっと具体的に分担確立の問題と需要の調整につきましては少し力点を置いて、早急に専門の部署でもつくりまして、これはぜひやってもらいたい。これができませんと、いまのように総需要は抑制するのだ、基本計画は九・六%の成長なんだが、これを五%に落とし込むとか、三・四%に落とし込むとか、あるいは総理が言うように列島改造をやれば一〇%に上がろう、こういうわけなんですね。
そういったようにかなり、これからの変動期を迎えれば、そういう変動期に対応できるような運輸交通の一つの規律というものがきちっとでき上がっていないと、あるときにはある機関が非常に成長した、あるものは低落をした、こういうことを常時繰り返すというのはよくないと思う。何といってもこれは経済政策の一つの基調をなすものですから、そういう意味で私は、この企画庁がいう分担関係の確立と需要の調整というものは、もう少し具体的な内容として大臣も検討されたいと思うんですが、何かいいお考えありませんか。総括的には、検討する、こうおっしゃっているから、それで引き下がりますけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/114
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115・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 実はこの作業は、私はたいへんな大作業だと思います。先ほどもお答え申し上げましたように、経済社会基本計画を一応見直そうということの時点に来ているということでございますから、まず経済社会基本計画というものが一体どういう見直され方をするかということを、一応やはり見てみなければならぬだろうと思います。それを見た上で——これは私は、この総合交通体系というのはなかなかよくできていると思うのです、作文としては非常によくできていると思うのです。
それはそれとしまして、この経済社会基本計画というものがどういう見直され方をするのか、どういうフォローのしかたをされるのかということを見きわめてみなければならないと思います。その上で、先生から御指摘いただきましたような分担関係の確立というものももう一ぺん、貨物は一体どういうふうなシェア、各機関どういうふうなシェアによって、どういう将来性を持って、どういうふうに資本の配分をやっていくのかというようなことを、この点からひとつ腰を据えて作業にかからなきゃならぬと思います。御指摘のように、これは一片の委員会の質問に対してこの場限りで逃げるというような、そういう簡単なものではございません。作業をやるとしたら、これはもう相当な大作業になると私は思っております。そういう覚悟で、いまこのいろんな点において、各部局において、その将来計画もあわせてそれぞれの立場で検討を命じておるところでございますが、お説のように、ここの一片の質問、答弁で私は引き下がるつもりはございません。
しからば、具体的にいまどうするのかということにつきましては、具体案という内容は持っておりませんけれども、私のところの審議室を中心にしまして、いわゆるこの経済社会基本計画がどういうふうに動いていくかということを、これも運輸省としては一枚かみつつ、その見直しあるいはフォローのしかた等にも一枚かんでおるわけでございますから、間違いのないように一つのこの作業というものを進めてまいりたい。これは繰り返し申し上げるわけでございますが、一カ月や二カ月や三カ月でそう簡単にできるものではないと思います。相当の時日と相当の陣容をつくってかかっていかなければならぬ問題でございますから、その基礎的な点については、それぞれの部局において検討を始めさしておる段階でございます。
今後はおっしゃるように、分担関係の確立あるいは需要の調整、どういうふうに調整していくか、これをまた社会資本の配分においてどういうふうに裏づけていくかというようなことも、当然問題になってくると思います。したがいまして、今後はおっしゃるような分担、需要、この関係の確立、需要の調整というような点を中心にしまして十分な検討を加えてまいりたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/115
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116・森中守義
○森中守義君 私もいろんな念を押しませんが、これはこれからの運輸省の方向をきめますよ。ですから、いま大臣の非常にきつい決意の表明で信用します。それで、横の寺井局長はじめ運輸省の全頭脳を集中してでもこれはひとつ大臣の手でつくり上げてもらいたい。避けるべきじゃありませんね。
何か時間のようですから、もう一問だけ大臣の着席中にお尋ねいたしましょう。航空評論家の中でよく言われるイコールフッティング、これを一体このままで見のがしていいのかどうなのか、これは方々でよく私ども聞く。国鉄と対比されるのです。国鉄は駅もつくるじゃないか、線増やるじゃないか、ドライバーも自分で養成しているじゃないか、公害もみんな自前でやっている。しかし航空企業はそうじゃないのだという、こういう実は意見がある。結局、自前でやれという意見が非常に強い。これは実はいままで、この委員会でもあまり議論をしたことはなかったのですけれども、いま運輸省が航空政策の一つの重要な課題として持っているのですね。これに対してどういうような答えを出そうとしているのか。少なくともイコールフッティングというのが、運輸省の見解はこうだというふうなことを明確にすべきじゃないかと、こう思うのですね。そのことが今回の周辺整備機構の問題であれ、これからの航空問題では必ずこれがくっついてくる。これをどう割り切っていくのか。残念ながら、いままでそのことを歴代の大臣からきちんと整理されたものとして承ったことがない、どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/116
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117・原田昇左右
○政府委員(原田昇左右君) イコールフッティングの御議論でございますが、これについてはいろいろ学説がございます。一番典型的なものは、通路費の負担を各交通機関で平等にすべきであろうというのが典型的な議論ではないかと思います。
したがいまして、いま先生のこういう議論に立っていきますと、通路費とは、いわゆる交通機関を動かすための通路基盤施設の費用でございますが、たとえば飛行機でいえば空港と管制、こういったものをだれが負担するかということになります。国鉄の場合は、まあ基盤施設並びに通路の信号施設とかそういったことになろうかと思いますが、こういったものについて、一般的に通路費の負担をイコールにすることによって競争関係を平等にしようというのが、この一つの理論のねらいであろうかと思いますが、この議論については学者の間でもいろいろな異論もございまして、必ずしもこれが一つの最良の、交通市場における競争関係を公平にする一番最良の手段であるとは、現在のところ結論つけられてはおりませんけれども、一つの考え方、有力な考え方ではあろうと思います。
そこで、われわれ総合交通体系を考える場合に、一般的に市場原理に依存していくべき、たとえば都市間輸送の分野とかいうものについては、極力イコールフッティングの考え方も取り入れて、公正な競争関係を実現するということが望ましいとは考えておるわけでございます。
そこで、航空については、たとえば、いままでどうも一般財源が多かったんじゃないかという批判もございまして、徐々にこういう考え方を取り入れて空整特会をつくりまして、燃料税を創設するとか、あるいは例の航行援助料を創設しまして、それをこの空整特会の財源にするというような形をとっております。たとえば現行五カ年計画の計画で申しますと、大体一六ないし一七%程度が一般財源の投入率というように見られ、この空整特会外でございますが、たとえば通行税ですね、通行税もこの中へ算入して考えたものであります。そうしますと、大体残りの八三ないし八四%が受益者の負担になっておるんではないかと考えられるわけであります。
一方、国鉄については、御承知のように、今度の財政再建十カ年計画におきましては、建設費が十兆五千億でございますが、これに比較する明確なものはございませんけれども、たとえば非常に大ざっぱな乱暴な議論で恐縮でございますが、一五%の政府出資金というものがございます。そのほかに、たとえばこの期間中に利子補給金というのが、これは単純にその中へ算入していいかどうか若干議論がございますけれども、たとえば一兆五千億くらいの利子補給金があるのでございますから、そういったものを足してみますと、三〇%ぐらいが一般財源として、国鉄の公共性が高いということに着目して、補助されておると見てもいいんじゃないかというように考えられるわけであります。
このように、いろいろな見方があるわけでございますが、われわれとしては、その市場関係が、市場原理で交通政策というのは必ずしもいかないと思いますけれども、市場原理を適用すべき分野においてはできるだけイコールフッティングの考え方を取り入れていくことが、交通市場の公正競争という面からいって望ましいことではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/117
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118・森中守義
○森中守義君 大臣もきょうはお急ぎのようですから、きょうの質問はこの程度にとどめて、次回にまた少し聞かしてもらいたいと思いますが、審議官、ちょっといまの関係の資料を少し出してくださいよ。企業三者が特会のほうに入れ込んでいるのは年間どのくらいかですね、ずっと三社別に少し特会の内容を知らしてください。
きょうはこれで終わっておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00919740322/118
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119・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時四十分散会
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