1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月二十六日(火曜日)
午前十時九分開会
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委員の異動
三月二十三日
辞任 補欠選任
寺下 岩蔵君 岩本 政一君
三月二十五日
辞任 補欠選任
小平 芳平君 三木 忠雄君
三月二十六日
辞任 補欠選任
江藤 智君 金井 元彦君
鬼丸 勝之君 寺下 岩蔵君
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出席者は左のとおり。
委員長 宮崎 正雄君
理 事
黒住 忠行君
菅野 儀作君
杉山善太郎君
委 員
岩本 政一君
金井 元彦君
木村 睦男君
橘 直治君
寺下 岩蔵君
松平 勇雄君
瀬谷 英行君
森中 守義君
阿部 憲一君
三木 忠雄君
中村 利次君
国務大臣
国 務 大 臣
(環境庁長官) 三木 武夫君
運 輸 大 臣 徳永 正利君
政府委員
経済企画庁総合
計画局長 宮崎 仁君
環境庁大気保全
局長 春日 斉君
外務省アジア局
長 高島 益郎君
運輸大臣官房長 内村 信行君
運輸大臣官房審
議官 原田昇左右君
運輸省海運局長 薗村 泰彦君
運輸省鉄道監督
局長 秋富 公正君
運輸省自動車局
長 中村 大造君
運輸省航空局長 寺井 久美君
運輸省航空局技
術部長 中曾 敬君
建設省都市局長 吉田 泰夫君
事務局側
常任委員会専門
員 池部 幸雄君
説明員
運輸省海運局参
事官 浜田直太郎君
運輸省航空局飛
行場部騒音対策
課長 棚橋 泰君
運輸省航空局管
制保安部長 松本 操君
建設省都市局都
市計画課長 野呂田芳成君
日本国有鉄道総
裁 藤井松太郎君
参考人
日本放送協会副
会長 藤根井和夫君
日本放送協会営
業総局副総局長 市原 嘉男君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○公共用飛行場周辺における航空機騒音による障
害の防止等に関する法律の一部を改正する法律
案(第七十一回国会内閣提出、第七十二回国会
衆議院送付)
○派遣委員の報告
○船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進
特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/0
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001・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として日本放送協会の役職員の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/1
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002・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認めます。
なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/2
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003・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/3
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004・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、派遣委員の報告を聴取いたします。森中君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/4
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005・森中守義
○森中守義君 派遣報告を申し上げます。
派遣されました委員は、黒住、鬼丸、小柳、小平各委員と私の五人で、三月二十三日、福岡空港周辺における航空機騒音の実情調査を行なってまいりました。
まず福岡空港長から、空港の概要説明を聴取、次いで、空港周辺における主要な地点の騒音の実態について調査し、最後に、地元関係者から陳情、要望等を聴取してまいりました。
福岡空港は、昭和二十年旧陸軍によって建設された空港で、戦後は米軍により板付空港として使用されてまいりましたが、昭和四十五年返還が決定、四十七年四月一日から運輸省の設置管理をする第二種空港となったのであります。一部米軍、防衛庁の施設が残っておりますが、返還後は、管制、航行援助施設等最新の機器を導入し、民間空港としての機能を十分発揮できるような体制になっているとのことでありました。現在、滑走路は長さ二千八百メートル、幅六十メートルで、運用時間は二十四時間でありますが、朝七時から夜の十一時までには終了することになっている。定期便は国内線で一日百三十五便、国際線で週五十四便、利用客は昨年一年間で約五百万人に達しております。面積は約三百五十ヘクタールで、うち民有地が四割程度あり、空港の運営にあたっては、騒音問題をはじめ、地元住民との調整に十分な配慮を行なっているとのことでありました。
次に、空港周辺地域の騒音実態調査について申し上げます。
私ども一行は、音量測定器を持って、まず箱崎地区の宮松小学に参りました。当小学校は、二重窓方式により、空港返還前から防衛庁により防音工事が行なわれており、冷房工事を運輸省が行なうことになっております。DC8が通過しましたので音の強さを測定いたしましたところ、五十七ホンになっておりました。ここで最初に問題となりましたのは、これらの工事に対する国庫補助率が七五%になっておりますが、今日の異常な物価情勢に対応して、工事単価の引き上げと工事量の確保のために、抜本的対策が必要ではないかとの問題が提起されたことであります。この問題は、今回の調査を通じ一貫した問題点として、あとでも申し上げますが、各方面からの要望事項ともなっております。
次に、二又瀬地区に参りました。この地点は、離陸後、高度二百メートルの直下に当たり、実測では、DC8が九十七ホン、ボーイング727で九十六ホンに達し、われわれの聴覚としては、かなり高い騒音としての感を受けました。
次に、麦野地区の板付小学校に参りました。ここでも一応の防音工事が行なわれておりますが、室内は換気方式になっており、今後の冷房工事をどうするかが課題でございます。
次に、大野城市山田地区に参りました。この地区は、第一種地区に隣接したところで、住宅建設等の開発が急速に進められている地区であります。騒音防止対策の見地から見れば、必ずしも好ましい状態ではございませんが、騒音防止法をはじめ現行法体系のもとでは何ら規制の足がかりもなく、今後の重要な課題となっておる地区として注目すべきものと思われます。
次に、立花寺地区に参りましたが、この地区は、着陸直前、高度五十メートルの地点でDC8の音を実測しましたところ、百三ホンでありました。その実感はことばでは容易に表現できませんが、非常に強い音で、機体から受ける威圧感も強く、今回の改正案では、第三種地区に指定されることになっております。これらの地区内における騒音対策については、格段の配慮が必要であると痛感をいたします。
以上で現地調査を終わり、次に、地元関係者からの陳情の要旨について申し上げます。
まず福岡県より
1、緑地帯その他の緩衝地帯の造成等、知事が策定する空港周辺整備計画の実施については、その実施主体の明確化及び財政面の強化を行なわれたい。
2、航空機騒音による障害防止のための事業実施にあたり、地方公共団体の経費負担増にならないよう配慮されたい。
3、住宅の所有者が防音工事を行なう場合の助成については、所有者の負担にならないよう配慮されたい。
などであります。
次に、福岡市からの陳情の趣旨は
1、環境庁告示による「航空機騒音に係わる環境基準」の早期達成。
2、福岡空港周辺整備機構の早期設立。
3、当面、騒音対策事業並びに周辺住民の住家防音補助事業ワクの拡大と早期着工について。
の要望がありました。特に、さきに述べたように、最近の物価上昇により防音工事の国庫補助率七五%、地方二五%となっているが、これが実質五〇%以上の負担となっており、地方財政の現状から抜本的対策を講じてほしいとの強い要望が行なわれました。
次に、大野城市より
1、市庁舎の防音工事を騒音防止法の補助対象にしてほしいこと。
2、騒音防止補助事業の補助額の大幅引き上げの早期実現に当たってほしい。
3、放送受信料減免区域の拡大について。
の要望がありました。
また、福岡空港地域対策協議会より
1、民家防音工事の全額国庫負担による促進について。
2、進入表面下の住家の移転については、個別移転は反対であり、全体としてとらえてほしい。また、空港そのものの移転も考えてほしい。
3、農耕阻害補償の実現をはかってほしい。
などの要望がありました。
以上で報告を終わりたいと思いますが、福岡空港の立地条件、周辺整備の現状から見れば、国及び関係者の適切にしてすみやかな騒音防止対策が講じられれば、現在の騒音障害を著しく改善できるのではないかと思われますので、関係者の一そうの努力を要望いたして報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/5
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006・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/6
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007・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) それでは、本案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/7
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008・森中守義
○森中守義君 大臣、法案に直接関係ありませんが、きのうの夕刻、全交運の代表と会見なされましたか。——ついては八項目にわたる要求が出されたようであります。おそらく、これらの要求事項が大臣において処理されるならば、きょう予定していたストライキを回避した、こういう全交運側の趣旨であったように私は聞いておる。会談の内容はどういうことでありますか。またその結果はどうであったのか、概略御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/8
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009・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) きのう市川総評議長、それから安恒代表幹事をはじめ全交運の皆さん、国労、動労の委員長さん方、そのほか私鉄の代表の方等がいらっしゃいまして、かねがね私どもは「交通運輸政策要求に関する申入書」というのを前々からちょうだいしておったわけでございます。そしてこれはもう私が代表の方とお目にかかりまして、いろんな内容にわたって事務的に詰める問題もございますから、そういう面については十分ひとつ私のほうの事務と話し合って意見を拝聴したいと、特に安全の問題につきましては、これはもう労使というもの一緒になって確保しなきゃいかぬのだから、そういう問題については、運輸省としても膨大な予算の裏づけが必要な場合には、これは早急にできぬものもあるけれども、十分ひとつ話し合おうじゃないかということで、事務的にいままでもずっと積み上げてきておったわけでございます。
これは私の考えとしましては、安全の問題であるとか、あるいは過疎対策であるとか、そういうものは春闘を目標にお互いが意見の交換と申しますか、政策の詰めというんじゃなくて、平素からひとつ機会あるごとにそういう話し合いの場を持って、第一線の皆さん方の意見も聞きたいし、また聞かしてもらいたい。全交運の皆さん方も非常にけっこうでございますと、もうそういうふうなお考えなら、私どもも十分そういう点についてお話し合いを進めてまいりたいと、こういうことでございまして、きのうの会見は、春闘にあたりましてのお話し合いとは別に、ごあいさつの中では、いろいろいままで話し合いを積み上げてきて、安全問題あるいはその他の問題についてお話し合いをいただいていることは私どもも非常に多といたしますと、しかし、きょう参りましたのはということで、お話が各組合の代表からあったわけでございます。
それにつきまして、一挙に私がすぐ回答することのできない問題等もたくさんございますし、特にスト権等の問題につきましては、これは動労、国労からあったんでございますが、これは運輸省としていま直ちにどうこうといって御返事できる問題ではないというようなお話とか、それからわれわれは国民の中でも谷間におられる層に対して、もう少し政府は手厚い処遇をしてもらわなきゃ困ると、国民春闘といわれるゆえんもここにあるんだというようなお話もございまして、これはまあ運輸省でいま直ちにどうこうという御返事もできない問題で、政府としてはできる限りのことをいままでもやってきたつもりであるというような概略大綱的なお話を申し上げまして、まあ個々にわたりましては、それぞれの代表から、たとえばトラックの過積みの問題でございますとか、あるいは運転手のターミナルにおける休養施設の問題でございますとか、まあそういうような要求もございまして、私どもはそういうような可能なものはひとつしかるべき機関にしかるべき人の参加も願って今後検討を進めていこうということで、非常に友好裏に話が進んだわけでございますが、ただ大綱のスト権等の問題につきましては、残念ながら、お察しのとおりの行き違いになったわけでございます。約一時間ちょっとお話し合いをいたしましたが、結局何か聞くところによりますと、政府の態度誠意なしと言って、何かクラブのほうに文書でございますか、置いてお帰りになったということを聞いておりますけれども、話の段階においてはそうじゃなくて、なお今後一そうひとつ御努力も願わにゃいかぬし、私どもできるだけの御協力を申し上げるというお話でございました。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/9
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010・森中守義
○森中守義君 この全交運が今回具体的な要求事項として出されたものは、かなり以前から提出されておったもののようですね。
それといま一つは、今回の春闘に先立って、ひとり運輸省ベースでなくて、政府ベースで労働大臣等を中心に関係の団体等に何回となく話をされてまいったようですね。で、そういうことになれば、きのうがストライキを前にしてぎりぎりどういう回答が得られるのか、もしベストでなくてもベターな回答でもあれば、あるいは回避されたのではなかろうか、まあこういう一つの見解も成り立つわけです。いま大臣のお話になるその表現と中身は必ずしも同様ではなかった、きわめて友好裏に終わった、こういうことのようですが、問題はそういう情景の抽写ではなくて、中身をどう解決していこうとするのか、相当以前から出された要求である。しかも運輸大臣も入られて、政府という一つのワクの中で今回の春闘対策、また私どもの見方からすれば、個々の具体的な内容についての検討が行なわれ、これに対する政府もしくは運輸省の見解が述べられるであろう、回答が与えられるであろう、そのことがその将来をどうするかということにつながっていくものだと私は思っておったんです。そこで、いまのお話を聞けば、依然として行政レベルにおける具体的な回答が詰められていなかった、こういうような感じを濃厚に受けるんです。
そうであれば、出された八項目の要求、これをざっと見ますと、ほとんど運輸大臣の専決事項のように感じられる。むろん、財政を伴う問題等もありますね。けれども、方向づけとしては運輸大臣の専決に属する事項のようです。これらの要求の内容というものが当事者能力を越えるものであるのか、あるいは大臣の意思決定によってこれが解決できるものか、その辺についてはどういうようなお考えをお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/10
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011・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 一項目一項目ごとに御説明申し上げるといいと思うのでございますが、この中でもたとえば路線の廃止問題、あるいは一項目の、「駅無人化、ダイヤの不便化などをやめ、公共輸送を確保するよう、政策上、財政上の措置を行なうこと。」という第一項の問題につきましては、いろいろ事務当局間でも詰め合ってまいっているわけでございます。しかし個々の小さい問題になりますと、いろいろといままでとってきた経緯もございまして、この点については了承は、一応はわかるけれども、なお無人化駅とか、あるいは路線の休廃止等については、ひとつ考えの中に十分配慮してもらいたいというようなことでございます。
それから第二項の、「都市交通における公共交通の整備を図るため、都市交通の市民生活交通と大衆公共交通を確立するため、鉄軌道、道路運送の改善施策を講ずること。」この中に「バス・タクシーの専用レーン、駐停車禁止の拡大と厳守、ナンバープレートの再編措置。」ということがございますが、こういう問題は、バスなんかはひとつ時間帯等も、最近大阪などにおいて非常に有効的な、効果的な施策をやっているそうでございます。そういうようなものをひとつ見習ってやろうじゃないかというようなことで、運輸省としても、また自治省に対してそういうような話をひとつ進めてくれんかと。私どもはかねがねこれは気づいておりまして、十分、あるいは混雑の、通勤のラッシュ時間だけでも何とかそういうような方法がとれないものかということはやっているんだということで、それはひとつこれから先もやりましょうや、研究してみましょうやというようなことで話が落ちついているわけでございます。それから駐車禁止の問題につきましては、徹底的にやってくれというお話合いもきのうは強い御要望もございました。これは駐車禁止区域をつくる、設定する、あるいは禁止を拡大する等の問題につきましては、警視庁等とも十分連絡してやらなきゃならぬことでございますし、東京ばかりではございません、他の都市もございますから、そういう問題については今後も努力を重ねていきたいということで話したわけでございます。
それから二番目の、「一般大衆の利便を考慮し運輸調整(相互乗入れ、運賃プール、ダイヤ調整など)を民主的方法で実現すること。」これも相互間の軌道の乗り入れは、御承知のように、いろいろやっておるところでございまして、これもそういう大衆の利便を考えてひとつ努力しようということでございます。
それから三番目の、「公共交通のための諸施設を整備すること。」これは今年度の予算でも、ささやかなことでございますけれども、バスの停留所に天蓋をつくるとか、そのほか、バスばかりではございません、いろんな面において予算の伴うことでございますから、私どもとしても、こまかいところで気のつかぬところはひとつ教えていただきたい。特に身障者の皆さん方の施設——施設と言っちゃおかしいですけれども、何といいますか、乗りよいようにするとか、いろんなことについては十分今後も考えていきたいというような話で、話が一応落ちついているわけでございます。
それから運転者のノルマ、これは労働省とも関係のあることでございまして、十分いままでもいろいろな要望がございます。要望がございますが、なお一そう、ひとつ私のほうからも人ごとのような考えでなくって、まあこれにはそれぞれの会社によっていろんなあれがあるようでございますけれども、まあひとつ皆さん方の御要望のある点を十分配慮してまいりたいということでございます。
それから第三番目の、物流の問題でございますが、これは特にトラック——ここで森中先生の御指摘のような、実は交通体系の見直しと申しますか、そういうようなものも話題になったわけでございます。国会でも指摘されている。いま現に経済企画庁では、経済社会発展計画のフォローと申しますか、見直しと申しますか、そういうことを手がけたいと言っているから、その中で、これはなかなか簡単に一カ月や二カ月で全部の体系ができるというわけじゃないけれども、特に燃料資源の問題であるとか、あるいは騒音の問題であるとかというようなものが総合交通体系の中にはうたい文句としてはあるけれども、実際にそれがそれぞれの輸送機関のシェアというような割り振りになってくると、なかなかそういう面にそれが組み入れられてないようなきらいが多分にある、そういうようなことについては、ひとつ発展計画の見直しの段階で、わが省においても十分意見を開陳し、またわが省としてもそういう問題に真剣に取り組んでいきたい。これは国会でも約束しているんだと言って、ああそうか、これは大問題だから、ひとつそういう姿勢でおられるということは了とするということでございます。
なお、トラックの過積み、それから過労運転。これは特に過積みの問題については、トラックの下に何か自重計みたいなものを置いてそれではかったらどうだということが、かねがね申し入れられておりますけれども、これは技術的にたいへんなことだそうでございます。そのことは、全交運の方もよくわかっていらっしゃるようでございますが、しかし、いまトラック業界のこの間の大会の決議を見てみると、いろいろわれわれの要求と相反したような方向に動いているような気配がある。だから、こういう点にについては運輸省はもう少し前向きでいってもらいたい。それから過労の問題については、先ほども申し上げましたように、センターなんかに、休憩所じゃなくて休養所を設置するようなひとつ今後方策を立ててもらいたい。こういうようなお話がございまして、私もそれはごもっともだと思って、それはもちろん予算の裏づけが要りますから、そういうようなことは貸物集積センター等においては十分ひとつ今度は配慮してまいりたい。一ぺんに全部やるということはとうていできぬだろうけれども、一つでも二つでもひとつそういう芽を出したい、そのように努力しようということでございます。
それから運賃の値上げの問題でございますが、二年間凍結、これはもう御要望として聞いておきますと、私どももいまここで直ちにこれに賛意を表するわけにはまいらぬが、ということでございます。
これからがなかなか政策的な重要な問題がからんでまいるわけでございまして、四番目の(1)の国鉄経営の根本的検討を行なえとか、二年間凍結しろということでございますとか、国と地方の政策措置によって公共輸送を確保しろという、これは運賃の値上げを二年間凍結せいということでございますから、なかなかこれは問題点があると、考えさしてもらいたい。それから「公共交通機関に対する諸税は減免または廃止すること。」これも運輸省だけでどうこうできる問題じゃないからという、第四項についてはそういう話がなされたわけでございます。
第五項の、「航空、鉄道、道路、港湾、海運の安全・公害対策を確立」これもここに書いでございますのは、「被害者の救済と生活擁護、公立救急病院の拡充」、これは異論のないことでございまして、これはできるだけ運輸省としてはそういう方向に厚生省と各省庁と連絡をとっていきたい。それから「安全・公害対策」と、こういうものは、これはもう労使を超越して協調してやらなければならないことでございますから、十分そういう点には意見も述べてもらいたいし、私どももできるだけの努力をしたいということでございます。
それからスト権の回復につきましては、これは運輸省だけの問題でもございませんし、内閣全体でいま検討中だから、ひとつここで回答は待ってもらいたいということでございます。
それから「交通委員会を設置し、交通全般の改善を図ること。」ということでございますが、これは交通委員会というような名前ではございませんけれども、各陸運局を単位に、そういうような大衆の意見を聞く機関がございます。それによって現に聞いてもおるし、また消費者の代表でございますとか、あるいは勤労者の代表でございますという方が入っていらっしゃるわけです。こういうものをひとつさらに皆さん方の意見の聞かれるような、また多くの方々の意見が結集してよりよい行政ができるようなひとつ努力はいたしましょうということにいたしました。
それから八番目の修学旅行、生徒の通学費、義務教育児童の通学費、これを全部国庫で負担せいということでございますが、これは予算の伴うことでもございますし、いろいろな考え方もあることでございますから、私ども一存ではいかぬが皆さん方の御意見は御意見として承っておくということで、全くすれ違ったというのは、スト権の問題でございますとか、あるいは税制の問題は、これはまあすれ違いというよりも私自身の当事者能力というか、直接お答えができないわけでございまして、八番目の全額国庫負担で修学旅行をやれというようなことは、これは将来の問題として検討さしてもらいたいということで、全くすれ違いというのはまあスト権の問題、それから二年間の公共料金の凍結というようなものは、私のほうとしてはお申し入れの筋合いとしては十分よくわかりますと、が、ここで早急に回答できぬということを申し上げたわけでございまして、しかし、まあ申し入れられたほうから見れば、すれ違いというふうにお受け取りになったんじゃないかと、かように考えているわけでございます。内容をこまかく申し上げますと、そういうことでございます。私の専決でやれる問題については、一応話し合いはかみ合ったというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/11
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012・森中守義
○森中守義君 まあ、この内容を私どもも見まして、おおむね国会の中で運輸政策についての議論をした内容が大半を占めるわけです。そうなってみれば、そのいずれもがきわめて当を得た要求であろう。ただし大臣の言われるように、その一点については当事者能力外であり、一点についてはにわかに回答するにはあまりにも問題が大き過ぎる、こういうことのようですが、これはきのうの最終の場面がどういうものであったかよくわかりませんけれども、おそらくは四月の中旬にもう一回ストライキを予定されておるようです。そうなれば、きのうの会談が新聞ではもの別れと、こうなっておりますが、あと重ねて会見の申し入れがあるのではないか、こうも思う。ただどれもこれも長年委員会の中でも議論をしてきた内容でありながら、依然として解決の方向に向かわない。それがこの種団体との会談によって、にわかに局面が展開をされるというふうにも思いませんけれども、しかし方向としてはこういう方向に行きたい、ああいう方向に行きたい、ことに財政当局との関係にある事案もだいぶ中にあるわけです。しかし、ここは次の機会までに、どういうまとまったものを提示するかということを、私は当然大臣として考えられる性質のものではないかと思う。これから約二週間あまり、そういう時期的なものを測定してみれば、一応いま大臣が個々的にきのうの会談の内容を解説をされましたけれども、いま少し内容に入ったものをまとめて回答として提示するお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/12
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013・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) きのうの最後のお話では、四月の中旬を目途に、われわれはもう一ぺんストライキを予定しているのだと、で、その中にはひとつ運輸交通の問題も含めて回答してもらいたいということを、労働大臣によく言ってあるから、まあそのつもりでひとつ検討してもらいたいと、こういうことでございました。したがいまして、私ども決してないがしろにするつもりはございません。がしかし、そういう前向きにできるだけの、特に安全、公害という問題については、私どもはいかなるものにも安全問題は優先してやるべきことでございますから、これはもう申し入れられるまでもなく、ひとつきのうの各代表の方々も、まず第一におっしゃることは、みんな安全の問題なんです。一番の大眼目については、ひとつ大いに一線の皆さん方の御意見も聞き、また予算の裏づけもできるだけとって労使協調して大いにやりたいというようなこと等も話し合いまして、新聞の会見の最後の声明、どういうことをお出しになったか、まだ見ておりませんけれども、全然行き違いになったような話というものは、少なくとも私は印象は受けておりません。
しかし、いま御指摘のように、それぞれの問題について、具体的なものはまだいまからも事務的に詰めましょうと、向こうも言われるし、私のほうも言っておりますから、ただ私が大まかなことを言うのじゃなくて、これはどのぐらいの予算がかかるのだ、これにはどういう指標があるのだというようなことを、いま審議官のところで、それぞれの代表の皆さん方と話し合っておりますから、それを結果をまとめて提出するようになるのか、あるいはその間のことにつきましては、十分また全交運の皆さん方とも御連絡をとりまして、行き違いのないような措置をとってまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/13
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014・森中守義
○森中守義君 大臣のお話を承っておりますと、少なくともこれらの要求については、二点を除いては否定すべきものではない、肯定すべきものである。ただそれが時間的に直ちにというものであるのか、しばらく時間がかかるというものであるのか、その辺の問題はあるにいたしましても、まあやはり言われているすべての項目については妥当性がある、こういったように大臣は受け取りながら、来月予定される以前に何らかの方向づけだけはしたい、こういうふうに理解しておっていいものでしょうか、最後のお話ではそういうように聞こえましたが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/14
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015・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) やはり代表の方々の一番の大眼目としておられるのは第四項の問題ですね。それから第六項の問題、あるいは第八項の問題、こういうような問題が非常に大きく背景にあるようでございますし、その他の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、たとえば私鉄の皆さん方とはどういう問題を話し合うとかというようなこと、審議官のところでそれぞれ日にちをきめて会いまして話を詰め合っておりますから、その結果をまとめてよく政府部内でも、労働大臣とお話をすることになりますか、あるいはどういうふうな時点にどういうふうな回答をするかということ等につきましても、そごのないように、全交運の代表の方々とざっくばらんにお話し合いをしまして、いいことはどうしてもやっていかなければならぬことでございますから、春闘だからどうこうというのじゃなくて、これは平生からやらなければいかぬことで、私もそう言ってんです。だから全交運の皆さん方もそれはそのとおりだと、だからひとつ今後も機会あるごとに、また機会をつくって十分話し合っていこうと言っておるわけでございますから、その次のストを前段にどういう回答をどういう文書でやるか等につきましては、いまのところまだ考えておりませんけれども、これも十分そごのないように、御相談して、こういうものをひとつお示ししたいということを事前によくお話し合いをしてやってまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/15
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016・森中守義
○森中守義君 どうも答弁がうま過ぎて土俵の外に出されそうですな。いま大臣の言われる四、六、八が中心だという認識はちょっとこれはおかしいですよ。重点要求はこれだけだ、付属物はこれだけだということで出されたものじゃない。いずれもが大臣が言われるように、きわめて喫緊なものであり、非常に重要なものを私は持っていると思う。ですから、なるほど四及び六、八というものが非常に対社会的に重要なファクターを持つものであることは私もわかります。けれども、認識のしかたとしては、八項目全部を重要なものだという認識をしてもらわないと困るのじゃないでしょうか。それとこれからの話し合いが目下審議官のところで詰めているということではなくて、要求それ自体についてその妥当性があるのかないのか、その認識をどうされるかと私は聞いている。その認識の上に立って、次のストライキの前段に与うべき回答というものが間に合うのか間に合わないのかということになるわけですがね。まずひとつ妥当性をお認めになるのかならないのか、それを聞かしてくれませんか。ただ話し合いをやっているやっているでは、どうもやっぱり要求自体に対して大臣の認識が理解できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/16
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017・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 私が申し上げましたのは、四、六、八が行き違いになったということを申し上げて、今度のストの大きな項目というのは、四項目にしぼられておるようでございまして、その中に六項目のスト権というのが一番大きく、何といっても浮き出ているわけでございますから、そういう意味合いで、それから公共料金の凍結というようなものも中に大きく出ているものですから、そういうもので——そのほかの問題につきましては、言われることもよくわかるわけでございます。ただ予算の裏づけとか、あるいは技術的な面で至急にやれないとか、いろいろな面がございますから、そういうような点については、なぜそれがどういうふうにいかぬか、ただすれ違いになって、出したから文書で回答するというようなことじゃなくて、よく納得された上で、こういうような回答がしたい、だから妥当性のあるものがほとんどでございます。非常に多くあると思うんです。で、そういう点については事務的に詰め合って間違いのないような、行き違いにならぬような方法をとろうということでございます。おっしゃるように、妥当性があるのかないのかという、一発で返事をしろとおっしゃるならば、多くの問題が妥当性を持っているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/17
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018・森中守義
○森中守義君 きわめて明快でけっこうです。妥当性がありますね。そうなればあとはどういう回答をするのか、どういう時期にどういう方向づけをして実施をするかという、いわばこういう方法論になるわけですが、どうなんでございましょう。さっき申し上げますように、おそらく来月の中旬予定されるストライキの前段に非常に短兵急な詰め方でもこれはまずいと思いますが、妥当性をお認めになるならば、それにふさわしいような回答というものは、たとえそれが概念の域を出なくても、抽象的な表現であったにしても一応出せるんではないですか。これはひとつ明言できるような気がしますね。たとえば、一の項目については五十年度までとか、五十一年度までという日限を切れる問題もありましょうし、あるいは検討したいという回答もあるでしょうし、その辺のことは、これこそ詰める経過の中でおおむねはっきりしてくると思う。で、そういうものを緩急の内容を包括しながら、前段に回答をお出しになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/18
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019・原田昇左右
○政府委員(原田昇左右君) 大臣の先ほど申し上げた点をまず補足する意味で、私から若干技術関係を御答弁さしていただきます。
ただいま組合側とやっておりますのは五つの分科会を設けまして、この組合側の御提案がなかなか専門分野にもわたるものでございますので、五つの分科会を設けて検討を行なっております。すなわち総合と、地方交通都市交通、物流、安全公害、まあ各分科会で一回ないし二回ぐらいいま検討が進められておる段階でございます。
なお、その検討に際しまして、私どもはこれをストに結びつけるというようなことでなくて、まじめに検討する以上、非常に簡単に結論の出るものもあるでしょう、相当時間がかかるものもあるでしょう。つまりその内容によってできるだけいい御意見は取り入れたいという観点から詰めをやりましょうと。したがって、いつまでに回答がなければストだというようなことでなく、お互いに交通をよくするという立場においては変わりございませんので、そういう観点から誠意をもってお互いに話し合いをしていこうじゃないですかと、こういうことで検討が行なわれておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/19
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020・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 端的にお答えいたしますが、回答がどういうふうになりますか、これもこういう回答をしますよということをざっくばらんに話しまして、事前によく話を詰めて、そうして、私は回答のできるものはしようと思います。
それから、それがいつの時期に出したのがいいか。向こうのほうでも、ストの前にこれを出さなければストを打つぞとかいうようなお考えでもないようでございますし、その辺はざっくばらんに話し合って、何かこうふすまを隔てて話をするようなことをせぬで、十分話し合って解決の方向に努力しようと、こういうことで、もう内容等につきましては、きわめて私は順調な話し合いが続いておるというふうに考えておりますし、今後も続けていきたいと思っております。また、こういう回答を次に打つストの前に、これに対して全面的に回答をよこせと言われることがあれば、できるだけそれに沿った努力をしたいと思っております。その内容等についてはいろいろ話し合いの結果、こういうことしか書けぬぞと、こういうことしか言えぬぞというようなことも全部出してしまうと、このぐらいまで腹を割って話し合っている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/20
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021・森中守義
○森中守義君 審議官、さっきお示しになった五つの分科会というもの、これは相手方の代表も含めたという、そういう内容になっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/21
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022・原田昇左右
○政府委員(原田昇左右君) 各分科会には本省の課長クラスと、組合側は大体各担当部長といいますか、政策担当の部長さんクラスですか、大体中央委員のメンバーが多いようでございますが、そういう方々がひざを突き合わせまして、ほんとうにざっくばらんに何とかみんなでよくしようじゃないかということできわめて友好裏に話し合いをしておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/22
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023・森中守義
○森中守義君 これは大臣、この場限りで終わる内容のものでもありませんしね。やはり当事者間の話し合いというものを私ども非常に注目する。同時にまた、内容それ自体が委員会にもきわめて深い関係を持っております。これから随時この種問題にも委員会で言及することにいたしますけれども、いわばあげられた八項目というものは、いずれもいまの交通政策にどうしても改善を必要とする事項である。またそのことが国民の足を守るという意味できわめて重要な問題でもあるようですから、ひとつ大臣のさっきのお話のように、関係の首脳部を動員して、できるだけ早くまとめてもらいますように、また大臣が言われるように、こういうことが満たされるか満たされないかでストライキをやるやらないという、そういうぎりぎりのものであるとも、私も実は考えておりませんけれども、しかし、やっぱりこういう一つの転機というものが必要ですから、こういう転機をうまいぐあいにとらえてもらって政策転換ができるように、一そうの努力を強く要望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/23
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024・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 確かに承りました。私は代表の方々とも、何かしかつめらしゅういろいろな話をして、理屈を言い合っても始まらぬから、できるものはできる、できぬものはできぬ、あんた方だってわかっているんだろうし、すぐ、すぐですよ、だからひとつ上着を脱いで十分話し合おうじゃないかと、皆さん方もそれはそれでなければいかぬと、何か、つい立ての外で話をしているようなことじゃなくて、それは非常にけっこうなことだからということで、非常な好雰囲気裏に話は進んでいると思っております。また今後もそういうようなことで、特に安全の問題でございますとかというような問題は、これはもう労使どころじゃなくて、国民あげての問題でございますから、十分いまのお話のように、ただこれでストをすぐ打たれるというのは非常に私どもとしてもつらいことでございますが、まあそれはそれといたしまして、いまの御趣旨のことは、十分拝聴して今後やってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/24
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025・森中守義
○森中守義君 ちょうどいま御承知のように、この委員会で航空機騒音防止法という改正案を審議中なんです。これに関連しまして、せんだって福岡に参ったときにも、地元でNHKの受信対策に対するいろいろな要望がありました。ついては、確かに電波が正当に発射されながら航空機によって切られておる。こういう問題がずいぶん以前から発生をして、その後減免措置等がとられておるようですが、その後どういうような状況になっておりますか。ひとつ概略的に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/25
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026・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 御質問の趣旨は、航空関係についての処置でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/26
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027・森中守義
○森中守義君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/27
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028・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) これにつきましては、私どもとして、この航空障害については全体としていろんな対策があるかと思うんですが、特に基本的には音源に対してどう処置するか。それからそのほか、実際に地上で電波を受けられない、この問題に対してどう処置するかということ、いろいろな基本的な問題あろうかと思いますが、この音源に対する措置といったものについては私どもの力の範囲外でございまして、実際に私ども電波を発射しましても、具体的に受けられないといったことの中で、実際に受信機サイドの問題としてどうこれを解決していくかという基本問題について、私どもでいろいろと研究、対策をとってきているわけでございますが、まあ何といいましても、このことは非常にむずかしい問題でございまして、私ども技術研究所その他で、実際にその電波の、どういうふうに障害を除去するかという研究も進めてまいりまして、数年前には音を遮断するためのモデルハウスをつくってこれを展示したり、あるいはヘッドホーンをつけて騒音が聞こえないような形にするとか、あるいはアンテナにつきましてもそういった、これは主として見る関係の、絵の関係でございますが、どういったふうにしたら一番見えるか、その後アンテナについても高度なアンテナもできてまいりまして、私ども具体的に開発しましたものを、これも飛行場周辺の聴視者の方々にはいろいろおすすめしてかなりの効果をあげているようでありますが、技術的にはそういった面でいろいろ研究もし、また受信者の便宜をはかるという形をとっております。
そのほか受信料の関係につきましては、これは当初からいろいろないきさつがございまして、当初はNHKも一部免除の、免除といいますか、助成の負担をいたしておりましたが、その後四十八年からは国の負担におきまして防止協会を通じまして聴視者にお返しする。ただ実際の交付事務につきましてはNHKがかわって実施をいたしておるというのが現状でございまして、カラーにつきましては二百三十二円、普通につきましては百五十七円のところでございますが、これにつきましてはそれだけの免除を、免除といいますか助成をいたしているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/28
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029・森中守義
○森中守義君 四十三年の十月、航空公害防止協会、こういうものができて、これから受信料の二分の一を助成を受けているということのようですね。これはどういう意味でしょうか。NHKは二分の一に減免をしたのではない、全額もらっている。二分の一を防止協会が助成をするという、こういう方式なのですか。それとも受信契約の中で二分の一しかもらわない、その二分の一を防止協会が渡しているという解釈をすべきですか。どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/29
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030・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 当初四十三年におきましては、受信料を減免しているということではございません。受信料はいただいておるわけでございますが、その中で一部を聴視者にお返ししているということでございます。その方法としましては、NHKが、当時の金額でございますが、月半額、百五十円でございますが、NHKは月七十五円、それから航空会社のほうが同じく月七十五円を防止協会にお渡ししまして、防止協会から周辺の聴視者にお返ししているという形をとっている、そういう形でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/30
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031・森中守義
○森中守義君 ちょっと実務的なことがわからない。百五十円のうち七十五円を契約者からNHKは取る、こういうことですね。残り七十五円は防止協会からNHKがもらって、それを契約者に返しているということですか。ちょっと操作が入り込んでしまってよくわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/31
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032・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 実際の事務といたしまして、ほんとうは全額いただいて、そしてそれを……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/32
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033・森中守義
○森中守義君 協会で全額もらう、百五十円ね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/33
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034・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) もらって、それからあらためて一部をお返しするという形をとっておるわけでございます。それを実際の事務としましては、当初からNHKは受信者から差し引いた額だけいただいて、それについて防止協会を通じましてNHKがお返しいただくという形をとっております。これは実際上の事務上の問題でございまして、基本的な考え方はあくまで全部いただいて、あらためてお返しする。それがただ、手続上そういうことになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/34
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035・森中守義
○森中守義君 そうすると、七十五円は契約者からNHKがもらう、七十五円は防止協会からNHKがまたもらう、こういうやり方ですか。もうちょっと端的に言えば、もらった、返したという言い方になると、どうも実務的なことがこんがらがっちまってわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/35
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036・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 委員長、ちょっと運輸省のほうに説明してもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/36
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037・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 順序を経て歴史的にお話を申し上げますと、当初、昭和四十六年まではいまNHKから当初にお話のございましたように、受信料は全額いただく。しかし、その半分をお返しすると、こういう形で行なわれまして、その半分お返しする額のまた半分をNHKで、それから残りの半分を各航空会社からいわば自発的なお金を集めまして、そうして聴視者にお返しをするという形でスタートをいたしました。そしてその事務をNHKに委託をいたします。したがいまして、いま御説明のございましたように、形式的には全額いただいて半分お返しするという事務を瞬間的に行ないますと、現実には半額徴収で済むと、こういう徴収方法をNHKでおやりになったわけでございます。その後四十七年からは、これは航空会社からいわば義援金のような形で集めますのは非常に不明朗である。したがって、それは着陸料の中に含めて国が徴収して負担すべきではないかということになりまして、先ほどの半分お返しする額の分については国がこれを着陸料に含めて徴収するという形にいたしまして、これを公害防止協会に補助する、こういう形でNHKは先ほどのその瞬間的な徴収手続それだけを契約でおやりをいただく。したがいまして、現在行なっております形といたしましては、NHKは全額の徴収をおやりになりまして、同時に半額をお返しするという手続を集金人の方が同時におやりになる。したがって結果的には半額の徴収である。その実績を全部まとめまして、これを航空公害防止協会のほうに請求書を出される。それに従って航空公害防止協会が事実上半額に当たる額をNHKに納付する。その納付した額に見合う分を国が航空公害防止協会に補助金として支払う、かような形になっております。
もうちょっと複雑でございますのは、その公害防止協会に支給いたします国の補助金は全額国からではございませんで、半額が国、残りの半額は地方公共団体が航空機燃料譲与税の中から支払う、こういうことになっております。したがって、国が四分の一、地方公共団体が四分の一、かようなしかたで公害防止協会に補助金を国で交付をいたしております。そしてその交付を受けた補助金に見合う額を公害防止協会がNHKにお支払いになる、このような手続でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/37
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038・森中守義
○森中守義君 一応わかりました。
そうしますと、免除としないで助成というような言い方をしているようですね。これはそうなると、たしか放送法あるいは電波法どちらかの条項にあったと思いますが、契約者から受信料を取らねばならぬというこういう実はたてまえがあったと思う。それといまの助成によって二分の一をNHKがもらっている、実害はほとんどないわけだけれどもね。そういう放送法もしくは電波法上の受信契約の関係はどうなりますか、もう少し正確に説明してもらいましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/38
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039・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) このことは受信契約の問題とは直接は関係ございません。受信契約でございますのは免除規定がございまして、聴視者から徴収する月額は国会で予算のときに定められるわけでございますが、それは三十二条の二項の規定によりましてあらかじめ郵政大臣の認可を受けた基準で免除するということで、この助成はそれとは直接の関係はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/39
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040・森中守義
○森中守義君 そういう意味でなくて、免除ならば確かに放送法あるいは電波法上の規定によらねばならぬだろうけれども、ここで助成といっているんでしょう、助成措置なんだね、この場合には。それが受信契約の場合に、当然受信者との契約が成立した以上NHKは取らねばいかぬわけだ、受信者から取らないで、契約者から取らないで、他からの助成ということは法体系上どういう関係を持つのか、こう聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/40
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041・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) NHKといたしましては、契約上は先ほど申しました免除とかその他のことで差し引いているわけではございませんので、そのままの形で契約は実行しているわけでございまして、それとは全く違った形で助成を受けているわけでございますから、それは全く別のものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/41
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042・森中守義
○森中守義君 ちょっとかみ合わないね。私が言っているのは、電波法あるいは放送法上は受信契約が成立した場合、いいですか、契約者からNHKは料金を取らねばならない、もらわねばならぬ、こうなっているでしょう。だから放送法もしくは電波法の中に、受信料の契約上助成という条項はないはずだ、助成というのは契約上これはないはずだから、法体系にない措置をどうしてとるのかとこう言っている。むしろ私が言うのは半分に減額をする、これはちゃんと放送法で許容されている、そういう措置をとるべきではないのかと、こういう意味ですよ。契約が成立したならば、契約者から電波の対価は取るべきであって、助成措置によってNHKは実害のないように、その額を取るというのは法律上ないんじゃないですか、それが問題だと言っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/42
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043・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) ちょっと私もおっしゃる趣旨がはっきりのみ込めませんが、NHKとしましては契約をして全額もらっているわけでございます。それのうちの半額を国のほうから受信者にお返ししているという手続事務をNHKがやっているということでございまして、NHKが半額お返ししている分について、NHKの予算をとるとか、そういう形のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/43
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044・森中守義
○森中守義君 ちょっと実務的な扱いが、もう少し私も頭を整理しないとわからぬけれども、契約が成立すれば契約者から対価は取るんでしょう、これがたてまえだ。そうでなくて、契約者以外のものの助成ということが放送法上規定がありますとか、こう聞いているんですよ。それがないにかかわらず、契約者以外のものの助成によってNHKは収入を得るということは法律上はおかしいんじゃないかと、こういう意味ですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/44
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045・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 私の説明が至らなかったので、いささか混乱したのかもしれませんので、私からもう一度御説明を申し上げますと、先生おっしゃるように、その点がなかなかわかりにくいことは事実でございまして、非常にむずかしい関係がいたしますけれども、実際はこういうことでございます。NHKは受信者とは一〇〇%いただくという契約をお結びになるわけでございます。ただし公害防止協会がその一〇〇%の契約をお結びになった方に対して半分だけ、補助金といいますか何と申しますか、そういう形で契約者自体にお金を支給すると、その事務をNHKが代行していただいておると、わかりやすく申しますと、まことにあれでございますが、先生が聴視者でいらっしゃいまして、私が公害防止協会だといたしますと、こちらのNHKと先生との間には一〇〇%の契約が結ばれるわけでございます。そこでNHKの徴収人の方がいらっしゃいますときに、私のほうからこのNHKのほうに半分のお金をたとえば持っていっていただいて、私から先生にその半分の分を差し上げる、その事務をこのNHKに代行していただいておると、こういう契約関係になっております。したがいまして、NHK自体の減免でもございませんし、公害防止協会はNHK自体に補助金みたいな形で出しているわけではない。公害防止協会はそれぞれ個々の先生なり、そういう聴視者の方に公害防止協会が半分に相当する額を出すと、その事務をたまさかNHKの徴収人の方が行っていただくときに、契約でお願いをいたしまして、瞬間的に操作をしていただきますから、まさに見たところは、先生の側から見るといかにもNHKの聴視料が半分になったというような感じがするわけでございますけれども、実態はいまのような関係になっていると、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/45
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046・森中守義
○森中守義君 これは事態が事態であり、背景が背景だから、あえてそのことを不当だと私は言っているわけじゃない。ですから、いま整理されたようなことで一応理解はするけれども、少し内容として進めてみたいのは、こういう騒音公害が発生をし電波障害が出たと、そこでいまのような措置がとられたんだが、NHKは実害がない、所定の金額は全部もらっているわけですからね。そのことでいいのか悪いのかという問題が一つ出てくる。といいますのは、確かに良質の電波を広くあまねく受信者に提供しなければならぬと、こういっているわけですね。だから契約者の側に立ちますと、ちらちらしてよく見えないとか、電波が切れるからこれはテレビは半分の値打ちしかないじゃないかと、半分出せばけっこうだという、そういう意味で視聴者はいるわけじゃないわけですね。どうでしょう、それは。だから、そうなれば収益上NHKは実害をこうむらぬから、良質電波の提供ということにあまり気を使わなくても、収入さえ減らなければ実際の映像がどうであろうとそれはかまわないという姿勢なのか。あるいは収益それ自体には関係ないけれども、やはり正しい電波を正しく届けねばならぬという、つまり技術革新、技術開発というものをやっているのかどうなのかというのが、きょう私はわざわざ来てもらった本旨なんですよ、意味合いはね。
そこで、私まだ十分目を通していませんが、この問題が発生して以来、放送技術研究所あたりで、こういう電波障害を除去するために、収益の問題とは別な次元から、正しく電波を提供する、つまり公共放送NHKの使命をどういう障害があってもこれをあえて克服していくという、そういう努力が行なわれているかどうか、かなりの年限が経過していますが、一向に改善されたようなためしがない。しかも先年あたりはNHK独自で放送衛星を上げるだけの能力を持っている、あるいは資力を持っている、そのことが難視聴地域の解消のために役に立つんだということを首脳部が公言をしたことがありますね。そのくらい今日のNHKの放送上技術上権威あるものであるならば、まああえて私はこの程度と申し上げるんだけれども、こういう航空機による電波障害などはNHKが相当力を入れるなら克服できるんじゃないか、こう思うんですが、どの程度力を入れてそういう問題を克服しようという姿勢を持っておりますか。私は残念ながらそういう姿勢はない。ただ収益があるから、むしろNHKは被害者の立場なんだと、こういうわけで、被害者意識が強過ぎて、良質電波の提供、障害の克服ということに何がしの努力をしたのか、それをひとつ具体的に示してもらいましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/46
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047・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 最初に御指摘の、NHKは、実際にそういう障害があるんだから、良質の電波を送る努力をしないでもいいんじゃないかというような考えを持っているんじゃないかということについては、それはそんなことはございません。あくまで私どもは放送法に規定されているとおり良質の電波をお届けするというたてまえを貫いております。また受ける側についても、まあ送りっぱなしであとはどうでもいいというような考えは絶対持っておりません。それはやはり最良の状態で受けられるように、そういうふうな努力を全力をあげてやってきておるわけでございます。
ただ最近の社会の変化によりまして、私どもがよい電波を送りましても、それが中間的な人為的な障害によりましてなかなかうまくお届けできない。またその範囲も非常にまあ航空障害ばかりじゃなくて、基地についても鉄道についてもいろいろな問題を生じております。ですから、そういったことについては私どもも、これは郵政省の指導方針に基づきまして原因者責任主義というたてまえではございますが、と同時に、私どもは放送法にも受信改善についての相談業務というものを設けるような規定もございますので、そういったものを通じて積極的に聴視者の便宜をはかるというたてまえをとっております。まあ研究開発につきましては、これは私どもは、いろいろ御指摘でございますが、これもずっと全力をあげてこの技術的な解決をはかるための努力をいたしております。ただ非常に社会の変化がますます問題をむずかしくしておりますので、なかなかそれに追いつけないという面はございますけど、これまでの対策としましては、まあ技術的にいろいろ問題は数項目ありますが、事務的にまたお答え申し上げてもよろしいんですが、研究開発につきましても相当の項目にわたって研究をいたしておりますし、そのほか都市難視、新幹線問題その他を通じましても、いろいろな技術的な努力をいたしておりまして、来年度の予算につきましても、難視改善をはじめとしまして、これに直接、間接に関係のある予算につきましては技術研究所のほうでも四〇%近くの予算を組んで、そのための努力をしましておるわけでございます。また放送衛星につきましても、一つは私ども申し上げているとおり、まあ教育用の問題もありますけれども、難視解消についてはかなり決定的な影響を持つわけでございますので、これについての研究もその面から進めておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/47
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048・森中守義
○森中守義君 いま私が持ち合わせている資料では、四十六年の十二月から調査の実施態勢に入った。それで予算が九百万、これをNHKと防止協会で折半をしていると、こういう資料を私は持っておりますが、いままで、それならば、この事態の解消に調査研究あるいは開発に投入してきた方式、経費、どういうことになっておりますか。ちょっと年度別に予算を示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/48
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049・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) ちょっと、いま事務的に年度別のあれは申し上げますが、いま先生のおっしゃった数字というのは、先ほど私が申し上げました、実際に周辺における、受ける側のいろんな障害を除去するために、航空公害防止協会との共同で、いろんなそのための対策をとった、技術的な実験、その他の経費でございまして、実際に遮音するモデルハウスをつくったり、あるいはヘッドホーンとか、あるいはアンテナの関係とか、そういったものだけのお金でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/49
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050・森中守義
○森中守義君 ですから、それに限らないで、この関係に投入してきた予算、それから開発の機構というのか組織というのか、その形態はどういうものであるのか。共同開発をやったのか、NHK単独でやったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/50
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051・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) いま年度別の予算はございませんけれども、先ほど申し上げましたいろいろな障害防止の開発を含めまして、いままで研究所で基本的な開発——先ほど申し上げましたような個々の項目いろいろございますけれども、そういったものもこれと関連がございますので、そういうものを合わせまして、まあおよそ一億ぐらいの費用を投じてこのための研究をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/51
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052・森中守義
○森中守義君 一億とは単年度か、いままでの累計ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/52
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053・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 四十六、七年でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/53
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054・森中守義
○森中守義君 四十六、四十七で一億ね。いま累計すれば幾らになりますか。四十八があるしね。ことしも組んでいるでしょう。そういうのを累計したら幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/54
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055・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 累計して四十六年から一億ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/55
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056・森中守義
○森中守義君 いま言われたのは、四十六年、四十七年で一億だと、こう言われた。四十八があるわけです。それと、きょう逓信委員会でやっているようだけれども、四十九年度にも幾らかつけているんですか。したがって、六、七、八、九、四カ年合わせて幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/56
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057・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 先ほど申し上げましたように、この大阪空港周辺に対する投入した費用につきましては、先ほど申し上げたとおりでありますが、そのほかのものを含めまして四十六、七年に一億ということを申し上げたわけでございまして、技術研究所あるいはその他のところでいろいろ研究とか調査をやっておりますから、そういったものを抜き出してここで幾らというふうにいま申し上げる資料は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/57
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058・森中守義
○森中守義君 ちょっとこれは、逓信委員会をきょうやっているのに気の毒ですが、午後もう一回——大阪だけじゃないんです。羽田もあれば千歳もある、福岡もある。全国的にやはりこういう関係があるし、いま趨勢としては、非常に気の毒だけれども、契約者がどうしてもこういう、まああえて私は減免の対象と言いますよ、実際減免なんだから。減免の対象に漸増の方向にあるわけだ。そこで今日のように、航空機の離発着がだんだんふえてくれば少なくはならない、ふえていく。こういう実は予測を立てざるを得ない。それならば、四十六、四十七で一億。NHKの予算は一千二百億。その中の、単年でなくて二年度にわたって一億というならば、一千二百億の五千万。話になるような金額であるかどうか。これは問題ですよ。
だから私は、投入された予算によって事業実績の内容を評価しようとは思いません。けれども一応の評価の基準にはなるでしょうね。そういう観点から見るならば、さっきから申し上げるように、良質の映像を正しく提供できるかどうか。広くあまねくという放送法の精神にかなうものかどうか。公共放送の精神にかなっているかどうか。しいて言うならば、NHKにはじくじたるものがあってもいいと思う。力点が置かれているとは言えないですね。これは整理して、午後もう一回出直してくださいよ。
それと運輸大臣、これは郵政大臣も非常に心痛している問題ですがね、防衛庁がやっぱり同じような関係がある。しかし、いままでの状況を見ると、やり方としては防衛庁のほうが一歩進んでおるようですね。たとえば周辺地域の受信者に対するいろんな施策等もややNHKよりも一歩進んでおる、こういう評価を私はしている。そこにNHKは、公共放送といいながら、収益上実害がないから、まあ一億でお茶を濁したというつもりじゃないでしょうけれども、必ずしもこれでNHKが満足すべき電波障害の開発体制になっているかどうか、これは私は非常に疑問にしております。そこで防止協会もある、防衛庁もある。しかもその上、NHK、郵政省という、こういう頭脳を持っている機能ですから、こういうものをできるだけ早く郵政大臣と協議をされて、もっと体系的な、見えなければ減額してやればいいじゃないかというこの措置は、私は今日の情報産業の時代、情報社会の時代にこれでいいとは思いませんよ。同時にまた、NHKにおいても、なるほど収益上の問題は収益上の問題として、あくまでも良質な電波を広くあまねく提供する、この姿勢はくずしてもらいたくない。力が入っているとは思えませんね。こういうことで、早く郵政大臣と協議をされて、関係のいろんな機関等と一度協議をされて、関係のいろんな機関等と一度協議をして、ひとつ技術開発の方向というものを打ち出すような時期じゃありませんか。だんだん拡張していきますよ、電波障害というのは、いまのような航空機の状態であれば。それにどう対応していくのか。どうしてもやっぱり克服する必要があると思うんですね。
これは非常に電波のむずかしい技術上の問題が介在していることは私も知っています。しかしNHKで、さっき申し上げるように、難視聴解消のために、国の力を借りなくてもNHK独自で上げるんだと、こういうようなことを実は言い切ったいきさつもあるし、さぞかし頭脳もそろっていると思われるから、一ぺんやってみたらどうですか。そう私は思うんですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/58
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059・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) まあ公害のために映像が見えなきゃまけてやるというような、そういう思想ではいかぬと思うんです。それはもうおっしゃるとおりです。この問題、技術的な問題でございますから、いろいろむずかしい面もあるかもわかりませんけれども、そういうことでないような、私のしろうとの知識をもってすれば、何か方法があるのじゃないか。何かうまいことが考えられるのじゃないかという気もするのでございますが、まあ郵政省も一枚かんでいることでございますし、名にし負う放送界では世界に冠たるNHKでございますから、NHKとも十分相談してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/59
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060・森中守義
○森中守義君 これは相談するのではなくて、防止協会もあればいろいろな団体が介入しているわけですから、ただその財政上の問題だけでなくて、これは根本的な解決に向かっていかなければだめですよ。ところが、いままで、私も逓信関係の一員ですけれども、やっぱり議論の中心はNHKの財政をどうするのだ。そこでNHKはかなり被害者意識が強過ぎて加害者はどうしてくれるのだという、そういう非常に流れが強いのです。しかし、もうここまで来れば、航空機による電波障害というものは縮小はしないで拡張の方向にいくであろう。それならば契約者は困りますよ。大臣も言われるように、見えなければまけてやればいいじゃないかと、これは公共放送のとるべき方向じゃありませんし、それならばここでひとつ体系的な研究開発体制に入る、そのことを郵政大臣と相談してもらいたい。NHK、防止協会、防衛庁、施設庁も入れて、一ぺんそういう体制づくりをしたらどうだと、こう言っているので、NHKにちょっと聞いてみましょうというのでは、ちょっとこの問題は片づきませんね。それは約束できませんか。もちろん三木長官も横に見えましたので、環境庁も一枚かんでもらわなければいかぬと思う。そういう体制がないのです、いままでは。それを私はきょう問題にしたわけですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/60
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061・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 私どもとしましては、もちろん今後とも努力を続けていきたいと思いますが、ただひとつ誤解のないようにお願いしたいのは、いろいろな私ども対策をとっておりまして、見ることに関しましてはアンテナその他、技術改善によりましてかなりの障害を除去しているわけでございますが、問題は音でございまして、この点は私どもも相当努力をいたしましても、これを遮断するとか、あるいはイヤホーンで聞くとかいうことしかいまのところ考えられないわけでございます。当初申し上げましたように、源を何とかするということは、また別の問題でございますが、その点は私どもは努力はいたしておりますけれども、なかなか解決はむずかしい。その点は、ひとつ御理解いただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/61
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062・森中守義
○森中守義君 映像はきちっといって問題ない。音だけなの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/62
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063・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 映像のほうはかなり改善されております。完全ということではございませんけれども、かなり改善されております。ただ音は何ともいまのところできかねるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/63
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064・森中守義
○森中守義君 そうすると副会長、映像がおおむね一〇〇%近いということで、あとは音ということになれば、今度この法案が成立しますと、二重窓であるとか、いろいろな措置を講ずるようになる、民家に至るまで。こういう措置を講ずればどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/64
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065・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 先般行なわれましたモデルハウスの結果によりますと、大体うまく遮断をいたしますれば三十ホンぐらいは低くなるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/65
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066・森中守義
○森中守義君 三十ホン以下であれば通常どおりに音がとれると、そういう意味ですか。三十ホンという意味がよくわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/66
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067・市原嘉男
○参考人(市原嘉男君) いまのちょっと説明さしていただきますと、うちの技術研究所でいろいろと開発して、最終的にきめたモデルハウスの中に入りますと、表の騒音に対して三十ホン、大体WECPNLというふうにきまっておりますけれども、ほとんど同じと理解していただいて、三十ホンぐらい騒音が減る。したがって表で、たとえば百ホンあった場合には、七十ホンぐらいに下がるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/67
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068・森中守義
○森中守義君 かなりいまのお話ですと、今回この法律によって民家まで防音装置が届くかどうか、これ一つのきめ手になるような気がしますね。そこでこれはひとつ、やはり関係者は一ぺんお集まり願って、NHKもお越し願って、一ぺん体系的に検討を加えてみませんか。そこで仕切りをつけないと、NHKに実害がないからいいとはいうものの、これはやっぱりだんだん拡大しますよ。そうすると、いまの騒音が、やがて電波障害ということで大騒動になる可能性がある、こう思いますので、できるだけ早く関係者の会合を、郵政大臣と相談をされ、三木長官も列席してもらって、体制づくりをやってもらいたいと思いますね。それできますか。NHKに相談するじゃだめなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/68
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069・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) いや、私が相談するというのは、何もおっかなびっくりでいかがでございましょうとお伺いを立てるという意味ではございませんでしたけれども、説明が足りませんで恐縮いたしましたが、郵政大臣と相談いたしまして、どの範囲でどういう会合を持つかということはおまかせいただきまして、いまの御趣旨の点を前向きに航空機の電波障害、映像障害等につきまして、あるいは音の問題もございましょうけれども、ひとつどういうふうな前向きな姿勢で突っ込めるか、ひとつそういう意味で集まって相談してみたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/69
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070・森中守義
○森中守義君 NHKね、おおむね事実関係が非常にはっきりしてきました。それで、できればいままで開発に投入してきた予算を、さっき一億と言われるけれども、どういう開発部門に一億を流し込んでいるのか、それじゃ四十九年はどうしようとするのか、そういうことと、それから映像は一〇〇%なのか、おおむね近いという表現のようでしたが、映像の実際の状態、たとえば福岡とか羽田とか大阪とか、そういう航空交通量の問題にもよりましょうから、そういう地域別に映像の状況、それと音量の状態、そういうものをひとつ資料で出してください、もっとはっきりしますから。それをひとつ御了承願ってNHKはお引き取りいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/70
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071・藤根井和夫
○参考人(藤根井和夫君) 承知しました。午後までにすぐというわけには、各地の状況を集めますのでちょっと時間がかかります。よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/71
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072・森中守義
○森中守義君 ええ、できるだけ早い機会に。
運輸大臣と、三木長官にそれぞれお尋ねいたしますが、七日の大阪判決に関する関係省庁の事務次官会議が開かれて、ここで原告が控訴をした場合には、国側も積極的に受けて立とう、こういう見解をまとめたということが伝えられ、むろんその当日は、閣議に持ち込むのはぎりぎりのときでよろしかろうという話し合いでお開きになった。これが一つ。そこで十二日に法務省が控訴担当者として控訴に踏み切った、こういうことなんですが、これはどうなんでございましょうか。閣議の決定によるものですか、それとも関係各省庁の事務次官レベルにおける決定によるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/72
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073・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 十二日に関係閣僚会議を開いたわけです。そうしてその関係閣僚会議において、政府が控訴することをきめまして、これは閣議に対しては報告はありましたけれども、きめたものは関係閣僚会議でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/73
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074・森中守義
○森中守義君 関係閣僚会議できまったということは三木長官も運輸大臣も関係閣僚の一員として意思決定に参加されたと、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/74
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075・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/75
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076・森中守義
○森中守義君 それですと、やっぱり公共の利益なのか、あるいは住民環境の保全かというきわめて重大な問題ですね。そこであの判決ではかなりきびしい国へのきめつけもやっておるわけです。三木長官は賛同された、あるいは運輸大臣はどうなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/76
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077・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 控訴の問題につきましては、あの中に御存じのように、国としての不法行為の責任を問われているわけでございます。で、一生懸命いままで行政的にも努力してきたし、今後も努力しなきゃならぬし、やってきたにもかかわらず、不法な行為というのは、一体私どもとしてはいささか納得できぬということで控訴をしたわけでございまして、上級審のさらに判断を仰ごう、こういうことで控訴に同意したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/77
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078・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 同じことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/78
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079・森中守義
○森中守義君 法務省の、つまり控訴決定の理由として人格権に基づく差し止め請求を認めれば、新幹線、高速道など、これらを含めた公共事業にかかわる訴訟に影響がある。これを第一点に言っておりますね。それから差し止めの根拠となった人格権は現在の法理論上定着していない。したがって上級審の結審を求めるのだ、こうしている。そこで両閣僚がいまの理由で同意をされたということであれば、結局今回の府裁の判決は承服しがたいということになりますね、端的な言い方をすれば。そうなると三木長官が判決直後の談話の趣旨、かなり論理的に控訴決定の意思とは対抗するような性質のものになるんですね。あの判決は事実上控訴に同意された以上否認するという立場に立つんですか、あるいは運輸大臣も同じようにあの判決を否認の立場に立つということになりますが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/79
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080・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) まあ、ああいう判決が下りまして、その直後に判決のいかんにかかわらず、騒音というものが地域住民の生活にいろいろな点で障害を与えておることは事実ですから、騒音対策というものを中心にして関係閣僚でいろいろ対策を協議したわけでございます。その対策は今後もこれを積極的に進めていこうということで運輸大臣も伊丹の空港に対するジェット機の便数を減らすとか、いろいろな努力をしておるわけでございます。
したがって、この判決の中に言われておる、騒音で地域住民が精神的ないろいろな被害を受けておることに対しては、われわれも、これは現状においてはいけないと、できる限りこの騒音対策を進めていかなければならぬということで、あの判決の中に盛られておる騒音対策ということについては、われわれもその精神を体して今後積極的にやらなければならぬ。ただしかし裁判の問題は、これは各省として純法律的な問題として検討しなければならぬ面もあるわけで、いま言ったように、関係閣僚会議のときにも、法務省がこれは訟訴のイニシアチブをとるわけですが、政府もできるだけのことはやってきたんで、不法行為ということで政府の責任を追及されるということについては、もう一つ上級裁判所の審理を受けたいと、もう一つはいま言ったような差し止め請求権というものに対して、これもまた新しい一つの判例でもあるので、これは影響することはむろんほかに影響もあるので、どうも一審だけで政府が服するということは納得のいかない点もあるので、上級審のもう一ぺん審査を受けたいという考え方が関係閣僚会議の大勢になったわけでございます。
それで私どものほうとしても、運輸大臣も私もそれに賛成をいたしたわけであります。しかし、あの判決の中に盛られておる、騒音対策をもっとやらなければいかぬということに対しては、これはこたえていこうと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/80
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081・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 私の考えも環境庁長官のいまお話があったのと全く同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/81
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082・森中守義
○森中守義君 そうしますというと、判決の理由が気に食わぬ、これだけやってきているのに国の責任だというきめつけ方は何事だと、だから下級審でなくて上級審の判断を仰ごうという意味ですね、いまの御説明からいけば。そうなると、判決理由のほかに騒音対策に不十分であったとか、いろいろな問題が列記してありますが、この事実については異論はない、そのとおりにやっていこう、そういうことにとれるのですね。それであれば、これはなるほど国際的な反響も大きいでしょう、差し止め請求が認知されたというような問題になりますと。しかし、それはわかりますけれども、やはり国の不法行為ということについても、これはもう少し閣内なり関係の向きでいままでの経過をこまかく検討すれば、おおむねそういう方向にいくんじゃないですか。やはりこれは法律の用語というものはややきびしい。しかし簡略に一つのものを整理するというのが法律上の用語ですからね。
そこで、それは国としては不法行為ではないというそういう認識が基礎になっている。それをずっと積み上げていくならば、一審の判決、下級審の判決というものは否認をするということにつながると思うのですね。判決は否認をしながら、やることはそのとおりにやるというんじゃ少し自己矛盾にすぎやしませんか。それと関係の地域あるいは原告側の心情、こういうものをくみ取るには、いささか私は今回の控訴というものは当を得たものではないと、こういうふうに思うのですがね。両閣僚が関係の中心閣僚でありながら同意をされたということについては、いささか私はすっきりしないものがあります。そこで、いつ高裁の判決になるかわかりませんが、高裁の判決が出たら従うのですか、 あるいはいままで一審の法廷の中でどういうものを主張されてきたのか。この前航空局長から一通り聞きましたが、今回は新たな角度から控訴をきめられたわけだから、どういうことを今度は法廷で国としては主張されるのか。主張されようとする内容をちょっと聞かしてもらいましょう。法務省は呼んでないが、ちょっとわかっただけでも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/82
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083・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 控訴の内容と申しますか、どういう点に異議を申し立てるか等につきましては現在検討中でございまして、これが最終的な結論にまだ達しておりませんので、この席上でちょっとお答えすることは御容赦願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/83
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084・森中守義
○森中守義君 これは、これから控訴やるかどうかという前段の話であれば私のお尋ねはもうちょっと変わりますがね。すでに決定されたあとのことなんです。しかし、これだけは申しておきたいと思うんです。その判決の理由が気に食わない。しかし、やらねばならぬからやるのだと、これはやっぱり矛盾がありますしね。
そこで、いまエアバスを導入するのかどうなのか、大阪どうするかというきわめて重大な社会問題を前面に押し立てながら、またまたひとつ控訴で争うという政府の姿勢そのものはどう考えてみてもりこうなやり方とは思えない。ただある意味では判決の理由に意地を通そうという、それだけのことがどういう社会的な影響を与えるか。問題の全体的な解決に波及をするかという、こういうデメリットを考えていくならば、りこうなやり方であったかどうか。たぶんにこれは識者の批判の多いところじゃないでしょうか。それぞれ御所見をと、こう申しましても、進んで同意されたのか、しかたなくみんなそう言うからわしもそうせにゃなるまいという御意思であったのか。あの問題の当日に、公害特別委員会で、私のほうの理事の矢山君がせめて環境庁長官、あなたは副総理なんです、そういうばかなことを内閣にならすべきじゃございませんよと、こう言ってだいぶあなたに善意ある忠告をしておりましたね、御記憶ありますか。私はせめて三木長官が環境保全の担当国務大臣として、運輸大臣が進んでやれやれとこうかりに言った場合、それは運輸大臣そういうものじゃないよということで、説得される側に立たれるものだと期待しておったんですがね。要するに全体のことを考えるとあまりりこうなやり方とは思いません。そのことをどういうように御判断になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/84
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085・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 原告側も全部控訴したわけですから、あの裁判で問題は解決はされないと、そういうことでありますから、どうしてもやはり問題の解決は上級審の審理によらなければ解決はできないと、私は個人の意見としては、この結論には政府は服すべきだという私は個人的見解です。ただ、いま言ったように、この判決の中には、政府の騒音対策をひっくるめて不法行為と断ぜられておるわけです。それから差し止め請求権という非常に法律的なものが出てまいりまして、そういうことで、やっぱり法務省としては、法律としての解釈というものをもっと明白にしておく必要があるということで、上級審の審査を受けたいということでありましたので、まあわれわれとしても、運輸大臣も同じように同意をしたわけでありますが、しかし、あの判決にいわれておる、地域住民に対する騒音の被害をできるだけ低減するということは、判決の精神を体さなければならぬと思っておりますから、これは今後できる限りの騒音対策というものに積極的に取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
だから、あの判決に指摘されたことにまっこうからわれわれが立ち向かっていくというんでなくして、いま言ったような政府としての不法行為、あるいは差し止め請求権、こういう法律的な概念を上級審においてもっと明白にしてもらいたいという意図であって、判決の中に盛られておる精神は体して、今後騒音対策というものに積極的に取り組んでいきたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/85
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086・森中守義
○森中守義君 大体運輸大臣も、これはまことに徳望家のはずですから、三木長官がそういう筋を通されても、運輸行政の責任者としては、これはやめておこうという立場に立たれたものだと思っていたんですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/86
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087・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 私も、三木長官からいまお話のございましたように、全く同じ意見で同意をさせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/87
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088・森中守義
○森中守義君 ちょっと外務省にほかのことで来てもらっておりましたが、三木長官がお立ちになるようですから、ちょっと一、二問おつき合い願います。
日韓の大陸だなの問題ですが、これは日本政府は今国会の批准は断念をした。ところが韓国国会は五月に批准をしたい。そこで、もし日本の政府が国会に批准を求めない、これがおくれるということであれば、単独で関係鉱区の開発に乗り出すと、こういうようなことを、せんだって韓国与党の政策審議会長ですか、政策委員長か、談話を発表したことが伝えられておりますが、外務省アジア局長おられますね。——そこで三木長官、大陸だなのそもそもの問題もありますが、しかし、これは環境庁長官としてどう認識されているんですか。まずは沖繩、鹿児島、熊本、長崎、佐賀一面の海域は、この開発によって水産資源は死滅をする、きわめて重大な問題です。これは先年藤山さんがサンタバーバラで日中問題の会談をされましたね。あのサンタバーバラの先例が一番よく物語っていると思う。海洋開発をやる、一面はどうにもならなくなって、たしか大総領は権限を発動してあの開発を押えたといういきさつがアメリカにある。サンタバーバラの二の舞いを東シナ海、日本海で演ずることになりますね。しかもあの小域にわかれている全部の鉱区というものは、以西底びき網の最も優良な漁場ですよ。魚類たん白資源の宝庫ですよ。それがつぶされてしまう。いわんや九州一円の海は油によって資源それ自体が死滅をする、こういうことなんですがね。これはどうなんです。調印の前段において、環境庁長官としてはこの問題をどういうように理解されておりますか。あと協定それ自体の問題は、外務省が来てから一緒にお尋ねいたしますけれども、要するに、大陸だなによって九州一円の海が死んでしまう。これはもう大阪空港騒音もさることながら、水俣騒動もさることながら、収拾のつかないような大問題に発展する可能性がありますよ、どうされるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/88
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089・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これはいかにいろいろ石油の資源が大事であるからといって、九州なら九州の漁業を全滅さすような、そういう開発が許されるわけはないと、すべての開発は環境を保全しながら開発をするというのが大原則ですから、したがって、その開発の場合には、当然に環境の保全というものを前提にして考えなければ、これはもう大事な石油を掘るんだからといって、われわれは環境の破壊というものを黙認はしないと、環境を保全しながら開発するということでなければ、油のためにいかなる環境の破壊も許されるというほど、われわれは寛大な環境行政はやらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/89
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090・森中守義
○森中守義君 それは三木長官、簡単に言われますが、そんな状態で政府が認識されているというならば大問題ですよ。政府みずからが行なうんじゃないでしょう、業者に渡すんですよ。しかも、メジャーも入っておりますよ、探査権、採掘権を全部特定の業者に認可を与える。いまの海洋開発は、資源の枯渇はないように保障する、公害が発生しないように保障する。その保障があるなら示してくださいよ、ありませんよ、そういう保障は。しかも小佐野賢治さんであるとか、矢次一夫さんであるとか、財界ですよみんな。こういう人たちが食い込んで探査権を掌握する、採掘権を保持する、できますか、そういうことは。まあいま長官の言明の限りにおいては、そういう水産資源等には難渋を来たさない、環境保全には問題がないようにすると、こう言われるならば、青写真を出してもらいましょう。それがなければ長官の口頭一片の説明では承服できない。それはもう私一人でなく、九州全体の問題です。国民全体にその保障が一〇〇%あり得るということが具体的な物証としてあげられるならば、これまた話は別です。
しかも、これに参加しようという財界、業界、もういろんな人が入りまじって、しかも幾つにも小域に分かれている鉱区に、元請があろう、孫請まであるだろう、こういう状態でそんな環境保全が保障されるなんということが言えますか、出してください、それなら承知しますよ。それが確認をされますならば、あとは領有権の問題、それと北朝鮮、中国、本来ならば四カ国の協定によって結ばれるのが、これが正常な大陸だな条約のあるべき姿なんです、二国間じゃだめなんですよ。そういう問題等は、まあこれは別な機会に別な場所で問うことにいたしますが、環境の問題としてはたまたま外務省も呼んでおりますから、いい機会ですので、ちょっと少し先走りし過ぎますけれども、非常に気になる問題ですから聞いておく。長官、保障ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/90
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091・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) この大陸だなの条約は、まだ国会に提出もされてないわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/91
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092・森中守義
○森中守義君 協定を結んでいるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/92
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093・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 協定を結んでも国会の批准を受けなければ、これは発効しませんから。これでまだどういうふうな手続を考えておるのか、私、この問題に対して今後の進め方というものは承知いたしませんが、しかし、たとえばいま森中委員の御指摘のように、九州の漁業がもう全滅するというような、そういう開発というのは今日の時代にできるでしょうか、私はできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/93
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094・森中守義
○森中守義君 やろうとしているじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/94
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095・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) そういうことですから、やはり開発というものは否定するわけにはいかぬ。やはり資源の開発というものはこれからの大きな課題になることは明らかですが、その資源の開発をするにしても、できるだけ環境の保全をはかりながら開発をするというのが、いまの、これはもう大きな一つの常識ですからね、国民的な。だから、幾らどういうえらい人が入ろうが、そんなものは、われわれはもうそういうことでだれがその中に関係しようが、そういうことを歯牙にかける考えはありませんよ。環境の保全ということを考えながら、資源の開発というものを進めていくということでなければ、いかに資源が大事だからといって、あらゆる環境をむちゃくちゃにするような開発は認めないと、そういうことですから、いますぐに青写真を出せといっても、まだこれは国会の批准も受けてない、これは日の目を見るかどうかということは国会にゆだねられておるわけですからね、これは具体化もしてない問題に青写真といっても、やはり開発の場合は、開発の段階ごとにいろいろ環境保全の面からアセスメントをしなけりゃならぬわけですから、いまここで出せと言われても出すわけにはまいりませんが、しかし、いかに貴重な資源であっても、われわれの環境に対して致命的な打撃を与えるというような開発は認める意思はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/95
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096・森中守義
○森中守義君 まあこれは大臣、この場での議論はこの程度にしておきましょう。ただ国会の批准が済んでいないからと、こう言われてみても、それはそのときの段階の議論はまたある。しかし、いかにも私が突拍子な質問をしたような印象を大臣がとられたんじゃ困りますから申し上げておきますが、協定調印行為はすでに終わった、これは政府の意思がきまったわけだから……。国会の批准は批准ですよ。それが済んでいないからコメントできないという理由はない。いま私が問うているのは、調印行為が終了したではないか、その調印行為の段階においてどういう事態を認識しているかと、こういう質問ですから、ちっとも私はこの質問が先走ったとかどうとかと、とられちゃ困りますよ。
それでアジア局長、隣で何か答弁しているようですから、これはまた公害なりどこなり舞台を移しましょうが、しかし副総理という立場から、私はこの問題にはより慎重でなければならないし、決して改めるにやぶさかであっちゃいかぬと、あの大陸だなは、在来の大陸だなの理論を展開をする、条約行為を援用していきますならば、当然、韓国と日本だけの二国間の協定で済むものじゃありませんよ。北朝鮮、中国、これは水深二百メートルはどこまで来ているのか、中央線に基線を引いているわが国の主張、その余の国の主張、これはやっぱり四カ国の共同の話し合いによらなければできないことなんです。これは副総理という立場から、これも非常に暴論かもわかりませんが、二国間の調印を取り消してみたらどうです。やるならば四カ国間の調印に切りかえる、そのくらいのことがアジアの将来のためじゃございませんか。あえて私は、このことを特に注文をつけて、取り消される意思があるのか、四カ国調印に切りかえるお考えがあるかどうか、日本の批准を待たないで韓国は先がけてやるという開発に対してどういう措置をとられるのか。これだけひとつ副総理という立場からお答え願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/96
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097・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) いま申したように、環境の問題は、開発というのは具体的にいろいろ開発計画ができて、そういう場合における環境との関係というものを考えるということになりますから、いま何にもわかってない、どういうふうな開発を進めていくのかというようなこともわかってない段階で、青写真はむずかしい。開発が具体化してくるという、その計画ができた場合において環境というものは当然に考えて、環境保全というものは大きな前提になる。また大陸だなの条約については、これはいろいろ関係の国もあるから慎重にということは私も賛成です。
しかし、これをもとに一ぺん政府が調印しまものを取り消して、そして出直せという意見には同意をいたしかねるわけです。慎重にせよということには、私もそう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/97
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098・森中守義
○森中守義君 運輸大臣、日中の予備交渉というのはだいぶ進んできたようですね。これで個々の内容はさることながら、仮調印の時期をいつごろだと予定しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/98
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099・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) まだきのうでございますか、おとといでございますか、始まったばかりでございまして、相手方のあることでございますから、こちらで時期をどういうふうに考えるというふうな、運輸省としてはまだ考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/99
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100・森中守義
○森中守義君 その時期なども相手もあり、外務省が中心になったことのようですし、なかなか運輸大臣にお答えを求めても無理かと思いますが、この点はどうなんですが、仮調印が終わり、本調印との間に暫定的な北京−東京間の空路開設する予定があるかどうか。これは別段外務省が中心になった計画でなくてもいいはずです。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/100
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101・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 仮調印が終わりますと、いわゆる仮署名が終わりますと、法制的な手続や何やら文書の問題がございまして、本調印と申しますか、本署名と申しますか、よく存じませんけれども、調印になるだろうと思います。ですから、その期間はそんなに長くかからぬのじゃないだろうか。あるいはどういう問題が出てくるか、私ちょっといまここで頭の整理ができませんけれども。でざいますから、その間に、先生御指摘の飛行機が飛ぶかどうか。実際問題として飛んで来たり、飛んで行ったりするようなことが考えられるかということでございますが、それはいまのところそういうことはないんじゃないかと、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/101
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102・森中守義
○森中守義君 航空局長、これは国際的に先例は非常に多いね。仮調印が済んで暫定空路をつくって飛ばしちゃうというのは多いですね。そこで先回この関係でお尋ねしたときに、大体協定が成立をして一番短い期間で六カ月はかかるであろう、定期便を飛ばすにはね、こういう話だ。そうなると、これも少しよけいな話かわからぬけれども、カナダと中国が協定成立をし、もうすでに準備が着々と進んでおる。そこで日本の外務省筋あたりでは、カナダが一足先に頭越しに飛んで行けば、日中の航空協定に一そう刺激を与える、拍車をかけることになるだろうという、歓迎していると、こういう実は話などもある。
しかし、これはわが国の航空当局等は日中航空問題、よその国に先を越されたくない。少なくともカナダといい、アメリカといい、頭越しに飛ばれることは反対だ。これはずいぶん以前の話ですけれども、そういう姿勢を持っておりました。だからカナダが一足先に行ったことは事実。そうならば、そういう一つの雰囲気というのか、あるいは航空当局の見解というものは完全に消滅したとは思えない。しかし、これはいまなお香港経由でたくさんのいろいろな立場の人が行っておりますが、一日でも早く大陸との直接飛行機の飛び合いということが、これは万人期待するところなんですね。そういう意味で、暫定措置として暫定ルートを開設する、これは仮調印があったら、いま航空局長が国際的に先例があると私が言ったらそうだとうなずいているわけですよ。こういうことは大臣は決断してもいいんじゃないですか、そこまで台港との間に気を使う必要が私はないと思うのですが、このくらいのことはこの際ひとつ言明しておきませんか。いままであまりこの委員会で非常におとなしい質問で、一向に詰めた質問をしたことがありませんので、きょうぐらい少し詰めさしてもらいたいんですがね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/102
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103・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) まあずいぶん私も、詰めた御質問に詰めたお答えをずいぶんしてきたつもりでございますが、それはそれとしまして、技術的な問題もあろうと思いますから、航空局長から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/103
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104・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 先生御指摘のカナダが頭越しに飛ぶ可能性があるという点につきましては、まず第一に日本と中国の間の航空機の受け渡し等に関しますいわゆる技術的な協定と申しますか、取りきめと申しますか、そういうものと通信回線というものが必要になってまいります。それでなければ日本のFIRから直接中国へ定期便を飛ばせるという状態にいまなりかねるということでございまして、先ほど御指摘の六カ月ぐらいかかるというその六カ月の中には、こうした技術的な取りきめをし、かつ必要な通信回線等を設定するという期間を含んでおりまして、こういう技術的な支援体制が完全にできました暁になりますと、カナダの飛行機も上空を安全に行けるという状態になります。まあ日本から直接行かないでも行く方法が技術的にないわけではございませんけれども、やはり安全面でカナダ側に多少疑問を抱かせるような点もあるやに拝察しているわけでございまして、この点カナダ側は十分いま技術的な詰めに入っていると存じます。
それで、頭越しに困るという点につきまして申し上げますと、確かに日本を通っていっていただく場合には、日本の航空機が日中間に就航していないのに外国機が入るという状態は好ましくございませんし、ぜひ日本がまず行って、他国機が入ってくるというのがこれは民間航空の常識であろうかと存じます。そういう意味では非常に問題がございますけれども、たとえばエア・フランスがいま反対の方向から中国に入っております。カナダが頭上を飛び越えてまいります場合にはやはりそれと同じようなことでございまして、それほど神経質になる必要はないだろうと思います。そういうことは日本に先がけてやられるのはというある種の感情的な問題は残るかもしれません。そういう意味で、私どもは必ずしも頭上を飛んで行くことにまっこうから反対するというのはいかがかというふうにいま考えておる次第でございます。
それから暫定運航の件につきましては、確かに先生御指摘のように、一応条約が仮調印された段階後にやった事実はございます。しかし、これは双方がICAOのいろいろな取りきめをやっておる国でございまして、技術的にあまり問題がないという場合にやったことでございまして、今回のような場合には、やはりそういう技術的なものをきちっと詰めた上でないと定期的に飛行機を飛ばせるというのは、やはりむずかしいのではないかという点と、それから先生も言及されましたけれども、私どもに与えられております任務と申しますのは、やはり日台間の航路も維持をしていかなければならない。この並行的に両方を維持をしていくというところに非常にむずかしい点もございまして、これは単に台湾に顔を立てるとかいうだけの問題ではございませんで、やはり双方の航空路を維持するという観点からものごとをいまいろいろと進めさしていただいておる、こういう状態でございますので、仮調印ができたからすぐ定期便が飛ぶということには実際問題としてはならないのではないかというふうに考えております。また幸か不辛か、それほど交通量もございませんし、ケース・バイ・ケースで、必要でございますれば、従来やっておりますような臨時便という形もございますので、両国の交流には致命的な損傷にはならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/104
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105・森中守義
○森中守義君 この臨時便というのは、別段いろいろな制約もないでしょうし、それを変えるということもできるのですね、実際問題としては。それといままで援助体制というのは非常にむずかしいものですか。その援助の中に入るかどうかわかりませんが、韓国の防空識別圏、これは在来のチャーター便は通っているのですか、避けているのですか、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/105
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106・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 従来日本から中国へ参りました飛行機は全部韓国のFIRを避けて通っております。したがいまして、沖繩のFIRから行っておるわけでございますけれども、いわゆる臨時便と申しますか、チャーター便と申しますか、これが飛びますにはかなり前広にスケジュールを決定いたしまして、両国間で何時何分に飛ぶということで相手方のパイロットを乗せる等の手段も講じてやっておりますので、相当な手間がかかるわけでございます。ですから定期便のように時間をきめてぱっと行くという形態でございませんで、かなり慎重な準備をしてやっておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/106
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107・森中守義
○森中守義君 韓国の防空識別圏を避けているということは、将来定期便を通わす場合はやはりそういうことになるのですか。それと韓国のほうに識別圏通過をいままでコメントしたことがあるかどうか。もしその場合に、イエスと言ったのかノーと言ったのか、それが一つ。
それからいま一つは、すでに実務交渉に入っているわけですから、どことどこに日本は入りたいのか。新聞では北京、上海、広州、三地点をあげているようですね。日本の場合には先方の要請としてはおおよそ東京、大阪であろう。またわが国もそれを容諾するのではなかろうか、こういう観測がある。それと以遠権の問題ですが、これは一体どういうような話を持っていっているのか。運輸省の実務担当者も行っているわけですからね。一々本省の訓令をもらって話し合いをしているとは思えない。すでに一定のワク組みを持っていっていると思うのですが、この際ひとつどういう内容を持っていっているのか、明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/107
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108・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) まず第一点の、従来チャーター便を飛ばします際に、韓国のFIRを通る可能性について交渉なり打診をしたことがあるかという点でございますが、これは正式にそういう話をしたことはございません。まあ韓国と中国との関係等もございますし、日本だけで韓国をわずらわさずにそういう航路が選べるものであれば、そういうほうが望ましいということで、従来やっておりますような沖繩経由のルートというものを使ったわけでございます。それから現在交渉に入っているわけでありますから、当然のことながら向こう側の国内地点あるいはこちらが出していい国内地点ないしは以遠についてどういう地点を通り、どういうルートを通るのが望ましいかということは、代表団に指示をしてございます。しかしながら、これは今後交渉の成り行きによりまして、やはり取引でございますので、いろいろこちらの希望のようにいくかどうかわからない点もございます。具体的な話は、これは交渉ごとでございますので御紹介申し上げますのを御遠慮さしていただきたいと思いますけれども、新聞等にいろいろ出ておりますように、日本側としては、やはり中国を経由いたしまして、それぞれしかるべき以遠権を要求しておるということで御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/108
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109・森中守義
○森中守義君 局長は非常に口がかたいんだが、もう時間の問題だし、あまり内密にするような必要もない。外交はある種の秘密を伴うものだということはよくいわれることですが、そういう極秘に属するような内容じゃないんだな。もうちょっと端的に、こういう内容を持っていったと言ったっていいですよ。それが非常にどこかのだれかに気をつかわなければならぬという環境じゃ私はないと思う。まあそれはいいですよ。
そこで大臣、これはどうなんですか。いよいよ予備交渉が成立、仮調印がある、本調印が行なわれる。その時期はどちらを起点にして考えているのか知りませんが、大体調印行為が済んだあと六カ月ぐらいは定期便を飛ばすには時間がかかるという局長の見解ですが、その前に国内でしなければならぬことがありますね。つまり私がせんだって来主張してまいりました四十五年十一月の「航空企業の運営体制について」という閣議の了解、これを先回大臣は見直す、こう言われた。その中で最も注目すべきものは国際線一社なのか複数なのかという問題が一つ。それから日本航空は台湾に飛ばせないという問題がある。別な会社によってこれをやらせるという問題があるのですね。この辺などは非常に政治的な大きな問題になる。まず国際線一社——見直す際にその見解はどうなのか。かりに一社とした場合、台湾は国ではないにしましても、台湾から以遠権をおそらく持つようなコースになるでしょう。そうなった場合に、日本航空は飛ばせない。別会社によって台湾並びに以遠権をということになれば、どうしても二社が海外に出ると、こういうことになりますね。これは動かしがたい現実の問題だと思う。
そこで日本航空は台湾に行かせないんだが、ダミーをつくって持株一〇〇%の会社によって飛ばせるということであるのか、これは名称だけ変えましてね。あるいは純然たる別会社でやるのか、こういう閣議了解の見直しも、これはもう時間の問題ですね。これをまたどれかの新聞等によれば、四月には運政審にはかりたいと、こういうような大臣見解が出たことをちょっと記憶しておりますが、構想はまとまっているのでしょう。これもさっきの問題じゃありませんが、そろそろ公にしたっていいじゃないでしょうか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/109
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110・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 秘密の問題でもなんでもございませんから隠しているわけじゃございません。ただ、いまおっしゃいましたように、どういう形で台湾に飛ぶかと、どういう会社がですね。そういうことはまだ実はきまってないわけでございます。これにはいろんな御意見もあるわけでございまして、それがいまおっしゃいましたように、閣議了解事項を変更するような事態になりましたならば、これは運政審にはかるなり、あるいはまた閣議了解事項を取りつけるなり、あらためてやらなきゃいかぬ事項だろう、こういうふうに考えております。したがいまして、その時期がいつかということは、まだそのもとになる話が具体的に進んでおりませんから、いつということは申しかねますけれども、これはもう秘密でも何でもございません。その時期になりましたら、もうそういうふうにやっぱり進むのが私は筋だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/110
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111・森中守義
○森中守義君 大臣の本会議の時間だというので、午前中この程度にしておきたいと思いますが、建設省来てもらっておりますね。ほかでもありませんが、せんだって福岡の空港に行ったんだが、そのときに空港から約二キロぐらいの地点あるいはもうちょっと離れていたかもわからない。ちょうど進入コースのすぐ下のほうに、行政区画ではこれは大野城市と、こういうんです。ここに宅建業者が最近ものすごく土地をあさり買いして住宅をどんどん建てている。ところがここを測定してみると七十五ホンぐらいある。元来これは規制すべき区域にはまると思うんです。ところが当該の市長のお話だと、規制したいんだが規制する方法がない。しかし、いずれはテレビが見えない、やかましいと、こういうことで、新たな在来の空白地帯が住宅地帯になって、またまたその地域が問題の一つに追加されるおそれがあると、こういう心配を述べられたし、私どもも現場を見て、確かにそういう可能性があろうと、こういうふうに見てきたんです。
そこで今回の騒音防止法の改正案及び建築基準法、こういうものから立地規制をすべきかどうか。かりにすべきだとした場合に足がかりがない。しかも、そういうものが民法の関係もあって非常にむずかしい。建設省ではこういうようなケースをどういうように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/111
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112・吉田泰夫
○政府委員(吉田泰夫君) 確かに御指摘のとおり、空港、特に進入路に沿った地域というものの騒音は非常にひどいわけでありまして、だからこそ今回の運輸省御提案の法案も出ているわけでございますが、さらに一歩を進めて、単に防音工事費を補償するとか、買い取り請求に応じるとかいうことだけじゃなくて、新しく住宅等が建設されること、立地することを規制すべきであるという議論も当然ございます。先生はその点をおっしゃったのかと思いますが、まあ私どもも最近のこういった法案に関連し、いろいろ世間でもそういった声が出ていることを考えまして、単なる補償措置のほかに何か有効な、しかも地元にも受け入れやすいような形の法的制度というものが考えられないかということにつきましては、関係各省とも相談を始めたい、こう考えているところでございまして、建設省としてはおっしゃるような趣旨の何らかの規制というものができれば好ましいと考えております。
ただ現行のいろいろな制度では、まあ市長の言われたように、有効な押え方はないわけでありまして、したがいまして、何らかの規制力を持たそうとなれば、新規立法あるいは既存の法律の改正ということが必要でありますが、その場合いろいろ考える要素がございます。飛行場がそこにあるということが飛行場が移転しない限り絶対のものではありましょうけれども、それにしてもその音源対策のいかんによって騒音は減るかもしれないわけですし、まあ一方そういう土地利用規制というのは、一たんきめれば相当長期にわたって規制していくということになりますから、やはり音源対策とのからみも十分考え、必要以上に規制すると、あるいは現在においては規制したいけれども、二、三年もたてばもうちょっとゆるやかになってもよかったんだというようなことでも、これまた土地利用者の権利を不当に押えたということにもなりかねませんので、その辺のところを十分からませて研究する必要があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/112
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113・森中守義
○森中守義君 なかなかむずかしい問題で、しかし放置するわけわけにはいきません。
それからもう一つ、いま運輸省のほうでは空港周辺の整備機構をつくろう、そういう立地環境としてグリーン地帯をつくる、こういうことで緩衝方式をだいぶ計画されているようですが、もともとその都市計画及び再開発等の所掌を持っている建設省として空港及びその周辺、まあこういうことを都市計画並びに再開発計画としてどういうように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/113
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114・吉田泰夫
○政府委員(吉田泰夫君) 空港の問題、まあ新たに都市地域に空港をつくるということになれば、また別途の問題があるわけですけれども、既存の空港の話かと思いますので、そういう面でお答えいたしますが、一口に既存の空港といいましても、まずその機種としてジェット機が発着していなかった飛行場に発着するということになれば、騒音の面から見れば新しい空港ができたようなものでもありますし、また発着回数あるいはその発着をする時間、こういうものの変化によってもすっかりとその周辺の受け入れ態勢は変わらなけりゃならぬと、こう思います。その辺がどういうふうに変化していくかということにも関係するわけですけれども、やはり現にある空港、そしてジェット機もどうしても入れなきゃならぬ、あるいは夜間といってもある程度の時間は発着を認めざるを得ない。音源対策もいろいろ考えるけれども、当面なかなか有効な対策もない。要するにその飛行場がそこにある限り相当長期にわたって騒音が非常に激しくなる。激しくこそなれ緩和するということはとうてい期待できない、こういうことになれば、それを前提とした都市計画なり、あるいは少なくとも屋外騒音はなかなか減らせないとしても、屋内における騒音を減らすということが必要ではないか。
たとえば新しく家を建てるならば防音構造の家をなるべく建ててもらいたいとか、あるいはその住宅に対しては防音工事を補償するとか、こういった発想になると思います。今回の法案は、既存の住宅に対して一定の騒音レベル以上のところについて防音工事費を補償をしよう、さらにやかましいところは買い取り請求まで認めようということでございまして、そういった既存住宅に対する補償の面で手当てされたわけでございますが、まあ新しい住宅の建設あるいは住宅団地の立地ということにつきましても、どういった形でこれを対応させるか。まあ家なりが一切建たなければいいという単純なわけにもいきません、それはおそらく市街地に非常に近い、いわば市街化すべきところでしょうから。要は騒音に強いというか、騒音をきらわないような構造のものならば、あるいはそういう用途のものならばいいという考え方もあります。
それから、先ほど申し上げましたように、屋外騒音は相当あってもせめて屋内騒音は低下できるようなものであればいいという受け入れ方もありますので、その辺のところをいろいろ総合的に検討したいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/114
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115・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 午前の審査はこの程度といたします。
午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時五十一分休憩
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午後一時四十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/115
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116・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
この際、委員の異動について御報告いたします。
江藤智君、鬼丸勝之君が委員を辞任され、その補欠として金井元彦君、寺下岩蔵君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/116
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117・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 午前に引き続き、質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/117
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118・瀬谷英行
○瀬谷英行君 大臣にお伺いしますが、この法律案、結局はどう考えてみても飛行場がある限りは騒音問題はしょせん解決しないと思うわけです。周辺整備機構でいろいろのことをやってみても、もとのほうがやはり規制されない限りは、結局はたいした効果はないんじゃないかという気がするわけです。
そこで問題は、特に民家の密集地帯の中にはさまっている形の大阪空港のような場合ですね、この伊丹の大阪空港を今後このまま存続をしていくのか、あるいは廃止するのか、こういうのが一番大きな問題になると思うのです。廃止をしてしまうということになれば、陳情されているもろもろの問題、これは一挙に解決してしまう。存続をするということになると、どういう手だてを講じてみたところで、問題を本質的には解決できないのじゃないかという気がするわけです。だから最良の方法としては、いまの大阪空港というものを思い切って廃止をしてしまう。そして新たな関西国際空港をあの周辺に建設をするというのが一番いいのじゃないかなという気がいたしますが、大臣にその点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/118
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119・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) お説のように、なかなか飛行場の騒音規制というのはたいへんなことでございまして、六十三か四ある空港の中で、環境庁の告示に基づく勧告と申しますか、これに合格点が取れるのは、三つぐらいしかないそうでございまして、これからたいへんな騒音問題には大きな問題をはらんでおると思います。
お説のように、大阪の伊丹空港の問題でございますが、これは新しい空港をつくって、それによって騒音の抜本的対策をはかると、もうこれ以外に根本的な解決はないと思います。したがいまして、ただいま審議会におきまして鋭意新空港について御検討をわずらわしているところでございまして、ことしの七、八月ごろにはその答申をいただけるのじゃないかというふうに考える次第でございます。
なお、その時点において、いまの伊丹空港をどうするかということでございますが、これは答申のいただける時点というよりも、むしろ新しい国際空港がどういう形ででき上がるかという、そこでおそらく撤去をも含めて検討をすることになると思いますが、地元の皆さん方がごく近距離の飛行等については非常に便利もいいし、せっかくの施設があるんだから、たいした騒音でもないから近距離輸送はここでやったらどうだというような御了解が得られれば、またそういう方法もございますでしょうし、その時点で一応考えることになると思いますけれども、いまのところ撤去をも含めて新空港ということを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/119
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120・瀬谷英行
○瀬谷英行君 そこで撤去を含めて考えるということは当然だろうと思うのです。しかし、かりに撤去をした、現在の伊丹空港はやめてしまうという場合に、かわりがなかったらそれで間に合うかというとそうはいかないだろうという気がするのです。そこで国際空港を建設をするのにどのくらいの年月を必要とするか、場所を誤ったりすると、成田空港がいい例ですよ、いたずらに日時をかけるだけでいつまでたったってできやしません。あれは私はやっぱり失敗だと思うのです。地域の選定を誤ったと思うのです。したがって関西空港にしたところで、地域の選定を誤れば、金をかけて年月をかけて結局何にもできないということになる。したがってそれらの点は相当慎重を要するけれども、長期の時日はどっちみち必要とするのではないかという気がいたしますが、その点について、どういう答申が出てくるか、どういう結論が出るかわかりませんけれども、ある程度の目算が運輸省としてもなければいかぬ。こういう場合にはこうといったような目安がなければいかぬと思うのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/120
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121・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) ただいま御検討いただいている候補地といたしましては、大阪湾の中に三つぐらい候補地があるわけでございますが、それと淡路島と四カ所が一応いろいろな意味で候補地になっているわけでございますが、これを決定するまでにはまだいろいろな曲折があろうと思います。お説のように、成田空港の二の舞いを踏まないように、また公害の問題に、環境保全の問題に万全が期されるような対策と位置を選ばなければなりませんし、そういう点からいろいろ考え合わせますと、まだ答申の出てない前から先走ったことを申し上げて恐縮でございますが、大体十年ぐらいは今後かかるのじゃないだろうかということが、大まかに考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/121
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122・瀬谷英行
○瀬谷英行君 そこで空港建設ということと、東京−大阪間の交通という問題を考えてみた場合に、現在の新幹線ではひかり号で三時間十分で到達をするわけです。現在の新幹線そのものが東京−大阪間に関する限りはもう飽和状態に達しているということが言えると思うんです。そうすると、新幹線を再検討するということは、新たに東京−大阪間に新幹線を建設をして、そしてこだま号とひかり号の分離運転をする。いま同じ線路の上をこだま号とひかり号が走っているわけです。場所によっては、こだま号が何分か待機をしてひかり号をやり過ごすと、こういうことをやっているわけですね。だからこれを二つの線に分けて、新しい新幹線はひかり号だけにすると、いままでの新幹線用の線路はこだま号だけにする。こういうようにすれば、こだま号自体も途中でもって待機をするという時間を省略できるわけですから、所要時間が短縮できるだろうと思うんです。それからひかり号も新線を建設をすれば、現在の三時間十分をもっと短縮することができるという気がするわけです。だから、こういう方法でもって東京−大阪間の東海道の利用者を運ぶといったような方法は考えられてもいいのではないかという気がいたしますが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/122
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123・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 御指摘のように、伊丹空港はいろんな問題をはらんでおることは御指摘のとおりでございまして、また東京−大阪間の代替機関として、いまの新幹線で万全を期せられるかということになりますと、受け入れの新幹線が御承知のような、いろんなまた公害問題で実は悩みを持っているわけでございます。
そういうような意味合いからもいろいろなことを考え合わせまして、現在の東海道新幹線は一日約二十七万人の、往復でございますけれども、輸送力を持っておるわけでございます。しかし東海道のベルト地帯の輸送の伸びを考えますと、昭和五十年代の後半に至ればもう輸送の限界に来るというふうにいわれておりますし、考えられるわけでございます。このため、現在工事実施計画を策定中の北陸新幹線の開業による輸送力の増強とも見合いながら、昨年の秋に基本計画を決定した中央新幹線の整備も行なってまいらなきゃならぬというふうに考えるわけでございます。そこで、これがバイパス的な輸送機関ということになろうかと思いますけれども、先生御指摘の第二新幹線というものが考えられないかと、考えたらどうかというお話でございますが、この点につきましては、いまやっておる新幹線、レールの上を車輪が、鉄の車が走るこの新幹線方式というものが将来公害問題、環境保全の問題にどういう影響があるか等々を考えてみましたときに、もう少し、たとえばリニアモーターカーでございますか、そういうような新しい交通機関の開発というようなこともあわせて将来はひとつ考えていかなきゃならぬじゃないか。早急にというわけにもまいらぬと思いますけれども、国鉄におきましても鋭意検討を始めて試験段階に入ろうとしておりますから、そういうようなものも考え合わせて今後の輸送体系、総合体系を考えてまいらなければならないのじゃないかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/123
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124・瀬谷英行
○瀬谷英行君 東京−大阪間の場合ですね。現在の新幹線と別線にするということは、たとえば東京−名古屋間は海岸沿いに走らないで、もっと内陸寄りにして、南アルプスをそれこそトンネルで突き抜けるような方法で最短距離を走る。それから名古屋−大阪間も岐阜だとか滋賀だとか、あっちのほうを回らないで、関ヶ原のほうも回らないで、これは大野伴睦さんの関係で岐阜のほうへ回らざるを得なかったという事情は有名な話なんですが、もう伴睦さんの銅像はつくる必要はないと思うんで、もう名古屋−大阪間をストレートに結んでしまう。こういうようにすれば、ひかり号は三時間を必要としない、まあ二時間半ないし二時間でもって現在のひかり号でも結べるんじゃないかという気がいたします。
さらにここをリニアモーターカーのような新しい車両というか、何といいますか、こういうものを使えばもっと短縮できるんじゃないかという気がするわけです。そういうものができれば、あえて東京−大阪間を飛行機で結ぶ必要はないんじゃないかという気がするわけですよ。ただ、こうなってくると航空会社の分野と国鉄の分野と分かれてくるということになりますから、この点は問題が出てくるとは思いますけれども、考え方としては、要は東京−大阪間を早く運ぶ道具として飛行機が重宝がられてきたということになるわけですから、だからそれは空の上を飛ぼうと陸の上を走ろうと海の上を走ろうと、どこを走ったっていいわけなんです。ただ海の上というと、ちょっとこれはスピードの点で及ばないと思いますから、どうしても空に呼応するには陸の上をなるべく最短距離で結ぶという方法以外にないと思うんですが、こういう方法は十分に考える値打ちはあるんじゃないかという気がするわけですよ。だから東海道新幹線がもう完全に行き詰まってきたという状況とにらみ合わせて、新しい東京−大阪間の輸送手段ということを考えるのは、もういまからだっておそきに失するんじゃないかという気がいたしますが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/124
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125・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) たいへんどうも高邁な構想でございますけれども、私はもうそういう構想なり考えというものはあってもいいと思います、いま着手するとか着手せぬとかは別としまして。現に新幹線は公害の問題、環境保全の問題一つとっても、ある意味では非常な行き詰まりを来たしておりますし、先ほど申し上げましたように、五十年代の後半に至れば、もう輸送の面からも行き詰まることは想像にかたくないところでございますから、お説のような新しい一つの位置というものは構想の中に描きつつ将来計画を練っていくことは、もう全く賛成でございますし、そうあるべきでございますし、私どももそういたしたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/125
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126・瀬谷英行
○瀬谷英行君 ただ、そうなるとこれは相当ばく大な資金を必要とするわけです。それから先ほど大臣の答弁の中で、東海道新幹線のバイパス的な役割りを含めて北陸新幹線の建設も考えているというお話があったわけです。ところが北陸新幹線は、前に委員会で私が質問したときに、一体どのぐらい金がかかるのかということを聞きましたら一兆一千億かかると、こういう話がありました。これからだと大体一つの新幹線でもって一兆は覚悟しなきゃならぬだろうという気がするわけです。
ここで私は運輸大臣に特にお伺いしたいのは、先般田中総理が予算委員会でもって国鉄民営論というのを答弁をされているわけです。その国鉄民営論というのは一体どういう構想に基づくものかわかりませんけれども、もし民営でもって新幹線を含めた国鉄の運営、建設というものができるのかどうかということに疑問を持つわけです。もしやろうとするんならば、これをどういう資本がこの膨大な資金を引き受けるのか、どういう目算で行なうのか、これは問題は非常に多いと思うのでありますけれども、政府としては、総理がそういう言明をされた以上は、それ相応の腹案というものがなきゃいかぬ。したがって国鉄民営論の具体的な案というものはどんなものであるのか、その点をひとつお伺いしたいと思うのです。
〔委員長退席、理事菅野儀作君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/126
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127・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 予算委員会で突如として民営論が総理の口から飛び出したわけでございますが、あの速記録をもう一ぺん私は取り寄せて読んでみたわけでございます。山崎委員との公務員制度審議会の答申をめぐって、いろんなスト権等の話からそういうふうに派生してまいったわけでございますが、二十六年間何にもやってないじゃないかというところから、いや二十六年間何にもやってないんじゃないという切り出しからずっと、いわゆる国鉄が鉄道省から移行して今日に至る経過の説明があって、その当時からもう民営の問題についてはいろんな議論があったという話でございまして、その途中で各党共同提案でひとつやってくれないかとか、いろんなことばが出ておりますけれども、総理はいま直ちに国鉄を民営に移管すると、こういう見解を述べられたものではないと思います。
なお、その後新聞等にも、担当閣僚に対して、総理は民営に対する結論をひとつ出すように検討しろという指示を与えたというようなことがちらちら出たこともございますけれども、そういう特別な、閣議において指示を受けたことも実はございません。したがいまして、他の二公社五現業についても同じような考えを当時の委員会で述べられたわけでございまして、特に取り上げて国鉄というふうに浮かび上がってまいりましたのは、今度の春闘を通じてのいろんな問題等もあって非常に目に触れやすいもんで、そういうふうなマスコミにおいても取り上げ方をしたんじゃないかと思うわけでございますけれども、私どもはいまこれが、お説のような膨大なこれから予算をもって新しい輸送体系をつくり上げなきゃならぬというときに、国鉄が民営に移管して、その上でどうこうとか、あるいは並行してどうこうというようなことは、ただいまのところ考えておりません。なお御審議をいただいております再建十カ年計画の企業母体が民営に移管されるというようなことがあろうとも実は考えてないわけでございます。したがいまして、これは一つの議論として、公務員制度審議会の答申の中にもいろいろな御指摘がございますが、そういうような下敷きを踏まえて、いろんな点で議論はございますけれども、それがまだ一つの宿った形になっておらないわけでございまして、ひとつ宿ってしまいますと、それがだんだんだんだんと日がたつにつれて大きくなるわけでございますが、まだそこまでいっていない事態でございますから、そのように御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/127
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128・瀬谷英行
○瀬谷英行君 それは、総理の答弁がそのときの調子でもって思いつきの答弁であったというならば話はまた別なんですけれども、予算委員会の総理の答弁が出たあとで、これはいろいろな批判があるわけですが、さらに念を押すように国鉄民営論を思いつきだというのは不勉強な証拠だといったような談話を総理は重ねてやっておるわけですよ。それを重ねてやっているということになりますと、これは思いつきじゃないのだということになるわけです。総理としては完全な一つの腹案があってのことだということになるわけなんです。総理がそういう腹案を持っているにもかかわらず、運輸大臣をはじめ、国鉄総裁、すべてが何にも知らないなんということになるとまことにおかしな話になると思うし、そういうことはまたあっていいことじゃないと思うのですよ。そこで単なる予算委員会だけの答弁ならばそれで見過ごすことができますけれども、その後の念を押した形での総理の談話というものが新聞にも出ておりましたからね。そうなりますと、当然運輸大臣としてもこの問題についての政府の方針というものを明らかにしていただく必要があるだろうというふうに考えて私は質問をしたわけなんです。
〔理事菅野儀作君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/128
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129・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 総理は、速記録を丁寧に読みますと、当時鉄道省から公社に移管するときもたいへん疑義をはさんで反対の立場をとって奮闘されたようなことがうかがえるわけでございますが、これは国鉄ばかりじゃございません。ほかの二公社五現業においてもそうだろうと思いますが、そういうようなことでございまして、当時からのいわゆる内閣総理大臣田中角榮という現在の立場じゃなくて、当時からの一政治家田中角榮としての持論はやはり曲げるわけにはいかぬというので、そういうところに発想があるんではないかと思います。したがいまして、いまの内閣で自分が内閣総理大臣として他の閣僚とともにこの問題を民営論に取っ組むといういまのところ立場でないことは、その後のいろんなお話からも聞き取れるわけでございまして、一時閣議において私どもに対して検討を命じたというような発言の報道もなされましたけれども、そういうこともございません。したがいまして、先ほど申し上げましたように、二十数年前の三公社五現業がこういう事態になるまでのいろんな議論の中に、田中総理としての個人のいわゆる思いつきではない、一つの発想が宿っているということはうかがえるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/129
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130・瀬谷英行
○瀬谷英行君 総理には思いつきではない発想が宿っているんだということであれば、しかもそれが総理が口に出して言っていない段階なら別だけれども、公の席でもって発言をしている以上は、担当の運輸大臣としてはそれを具体的にどういうものであるかということを明らかにする必要があると思うんです。ただ、ほんとうに、あれは総理個人の考え方であって、単なる夢物語であると、総理自身の。本気になって考えてないんだということであれば、そのように私も理解するんですけれどもね。これは問題はあいまいにできないと思うんですよ。あれは単なる総理個人の一つの夢想であると、こういうものなのか。そうでないとすれば、具体的にはこれは検討をしなければならない問題なのか、どっちかということなんですよ。その点は政府としてはどうなのかということを明らかにしていただく必要があると思いますから、私のほうでは念を押して聞いているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/130
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131・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) これは先ほど来申しておりますように、総理個人の持論ではあるに違いないと思いますけれども、いま内閣がそういう問題を取り上げて、そういう方向にいま直ちに検討を開始していくという事態でないことも、問題でないこともまた明白なわけでございます。したがいまして、公制審の答申にもございますように、中にいろんなことを検討しろと、あるいはいろんな意見がはさまれておるわけでございますが、そういう点については、いろいろとまたそれぞれの機関でメリット、デメリット等を——話題にはなっておりますけれども、いまそれを真剣に民営に移行するためにいろんな諸作業を始めるというような段階でないこともきわめて明白なわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/131
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132・瀬谷英行
○瀬谷英行君 民営論がいいとか悪いとかということを、あえてここで運輸大臣に聞こうとは思っておりません。しかし、どっちでなきゃいかぬという立場で聞いているわけじゃなくて、総理がたまたまああ言っているんだから、いわゆる民営論のほうが現実に即して、しかも利用者にも便利であると、こういう結論が出るような妙案があるならばこれは示してもらったほうがいいんじゃないか。われわれはこの内容を吟味してあらためてよしあしをきめるということができるわけですけれども、だから、それがないということになると、われわれとしても判断のしようがないわけです。ただ田中総理という人はわりあいといままで場当たり的な思いつきを言っているわけですよ。物価の問題なんかだってそうですよね。物価は年内に鎮静すると言ったのが去年の話です。年内に鎮静しなかったら、まあ来年の三月までには何とかなるようなことを言っているわけです。比較的そういう点は軽々と口をきいているから、その程度の軽口というふうに理解をしてよろしいのかどうかですね。それならそれ以上ここで追及する必要もないと思うのです。つまり田中総理の民営論というのは全くのそのときの思いつきでもって、いわば軽口であると、政府として考えている問題ではないんだというふうに言ってよろしいのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/132
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133・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 政府全体としてそういうことをいま考えているということでないことは明白で、はっきり申し上げておきます。まあ軽口たたいて思いつきだということにつきましては、これは総理としても総理個人の持論のようでございますから、これがたまたま飛び出したということで、政府全体としていまそういうことを考えておらないということは明白に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/133
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134・瀬谷英行
○瀬谷英行君 それでは、今度は空港の問題ですけれども、問題は空で運ぼうと陸で運ぼうと海で運ぼうと、総合交通体系というものがきちんと確立をしていなければいけないと思うんですよ。そうでないと、空港の問題で行き詰まった、どうしましょうと、東海道新幹線が行き詰まった、どうしましょうと、これらは場当たり的になってしまうと思うんですね。だから今後の問題としては、また海上輸送の分野、陸上輸送の分野、航空輸送の分野、それぞれを総合交通体系としてはっきりさせるということが前提になっていると思う。その前提に基づいて空港の整備ということもこれまた必要になってくる。どうしても国際空港というものを関西につくらなければならないということであれば、これは現在の伊丹空港に多少の手を加えてというようなことではなくて、新規につくらなければならぬということに踏み切るのがほんとうだろうと思うのです。そういう点でどうもぼく然としていますからね、いままでの交通政策というものは。ばく然としているところにいろいろ問題が出てきていると思うのです。
そこで国際空港を設置をするという場合の基準ですけれども、たとえば日本で国際空港となれば幾つもつくれませんが、関西付近では大阪を中心として何キロ以内というある程度の範囲が限定されるわけでしょう。関西空港というのに名古屋のほうにつくるというわけにいかないだろうと思うのですね。その点は国際空港の機能を発揮するためのまず場所的な問題は、これはある程度政府のほうとしてもまとまっているわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/134
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135・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) ただいまの御指摘のように、国際空港が都市からどのくらいの距離にあるべきかという点につきましては、画一的な距離というものはございませんが、大体四十キロないし六十キロ、成田の場合六十キロ弱でございますが、この辺が一つの限度だというふうに従来考えられております。世界の各空港につきましても大体この範囲内に国際空港が入っておるという実情になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/135
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136・瀬谷英行
○瀬谷英行君 そうすると、大阪からだったら、まあ近畿でいうと和歌山周辺までがその範囲に入るわけですね。それで、考え方の基本として、これからの国際空港をつくる場合には、海の上に、海の上といったって海面を埋め立てるという意味ですけれども、海の上に新しい空港をつくると、こういう構想になる、場所はいずれにせよですよ、そういう構想でやらざるを得ないというふうに考えておられるのかどうか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/136
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137・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) これは海の上というおことばでございましたが、私どもが現在考えておりますのは、騒音の被害がなるたけ及ばないような位置に空港を置くべきであるということでございまして、結果的には海に囲まれた空港であれば騒音がまあ人の住んでいるところに及ばない可能性が多うございますので、そういう場所を選定していくという結果になっております。たとえば最近できました大分空港あるいは現在やっております大村空港等は、こうした地形を利用いたしまして、できるだけ音を海上へ逃がしていくという考え方で設計されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/137
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138・瀬谷英行
○瀬谷英行君 まあ私も空港のあり方としてはなるべく人家に迷惑をかけない場所がいいと、こう思いますし、海の上から入ってきて飛び出していくとき海上に出ていくと、こういうやり方が一番理想的ではないかという気がするんですよ。そうなれば、まあ悪い例だけれども、間違って墜落しても海に落っこちるということになる。それが内陸であれば、大阪空港周辺のようなところだと、間違って墜落をすれば民家の密集地帯に墜落をするとその被害は飛行機だけにとどまらない。だから考え方としては、それは海岸を埋め立てるというのが一番理想的な方法じゃないかという気がするわけです。その意味からいうと、関西空港は海岸を埋め立てるという考え方は、これはいろんな方法の中では一番無難な方法ではないかという気がするわけです。成田空港なんかの場合はそういうやり方じゃないわけです。周辺は民家がたくさんあるわけです、依然として。その意味では成田空港はどうも失敗だったのじゃないかという気がするわけですが、成田空港の轍を踏まないというためにはやはり海岸を最大限に利用するという方法でいかなきゃならぬと思いますけれども、たとえば風であるとかいろいろ技術的に障害は相当あるのかどうか、その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/138
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139・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 海岸といいますか、埋め立て、あるいはその他の工法によりまして海岸、陸岸から離れたところ空港を設置するにつきましては、やはりただいま先生御指摘のように、風向きその他の気象の状態、いろいろ条件がございまして、そういう点を慎重に検討しなければいけないわけでございますが、たとえば関西新空港を、現在御審議願っておりますが、これもその海流の流れ、あるいは気象条件、風向き、風速、それから海のことでございますので波の影響もございます、そうした条件を十分御検討願っておりまして、その結果最も技術的に理想的な位置というものが選定されるわけでございます。で、またその場所によりましては、今度航空機が離発着いたしますので、航空機の航法上の安全のの問題もからんでまいります。いろいろな要素が関係しておりまして、海を埋め立てればすぐ飛行場になるというほど簡単なものではないというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/139
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140・瀬谷英行
○瀬谷英行君 簡単なものじゃないということは承知しているわけですが、人家の密集地帯に空港をつくって、そして周辺の騒音公害等を解決するなんというのはなお簡単じゃないですからね。どんな方法を尽くしてみたところで伊丹空港のような、ああいう立地条件では問題は根本的に解決しないと思うんです。
で、衆議院の運輸委員会が大阪空港を視察して、そして陳情を受けたといったような議事録等を読んでみると、みんな国際空港の早期建設ということを異句同音に言っているわけです。ということは、結局現地の大かたの意見というものは、もういまの伊丹じゃ困るということになると思うんです、結論的にいうと。だから困るということであれば、それは場所を変える以外にない。話は簡単なんですよね。しかし、そうかといって人家の全然ないような無人地帯というのは日本じゃ、これは特に関西、関東この近辺じゃありませんからね。そうすると人が住んでないところになると、海にでも目をつける以外にないということになってしまう。その点で、この法律案は伊丹の空港というものをそのまま存続させるという前提に立っているような気がするんですけれども、伊丹の問題に関していえば。その点はこだわっていないというふうに理解をしてよろしいのかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/140
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141・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) その点につきましては、冒頭大臣がお答えになりましたけれども、関西新空港というものができる、どこにどういう形でできるかということの見通しがつくような段階におきまして、この現在の伊丹空港のあり方について廃止も含めて検討するということでございまして、そういう新空港に移ることがよろしいということになりますれば、まあそういうふうに新空港に移るということになりますし、また小型の小さな音の少ない飛行機程度が利用するならば現在の空港が存続してもいいではないかというような地元の御意見が強くなれば、またそういう利用のしかたもあろうかということでございまして、必ずしもこれにこだわっているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/141
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142・瀬谷英行
○瀬谷英行君 これは、全然今度は別の角度で聞いてみたいことが一つあるのですが、どういう方法を講じてみても、民家の防音装置だとか学校の防音装置だとか、いろんなことを考えてはいるようですけれども、どんなことをやってみたところで、あのジェット機の音というのはそう簡単には解決のつかない問題だと思うのです。そうかといって音のしないようなジェット機ができるかというと、これまた非常にいまの段階ではむずかしいような気がするのですね。
ひとつ、飛行船というのが昔ありましたね、いまでもあるけども。あれはスピードはそんなに速くはないけども、音はそんなに大きくないような気がするのです。あれは実用化をするということはできないものかどうか。スピードはそうジェット機のようにはいかないと思いますが音はわりあいと少なくて済むのじゃないか。特に離着陸の際の音量ということになるとこれはたいしたことはないのじゃないかという気がするのです。ただ技術的な問題は私にはよくわかりませんが、これらの点について検討してみたかどうか、検討する価値はないのかどうか、それらの点についてちょっとお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/142
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143・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) まず飛行船の技術的な問題について技術部長から答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/143
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144・中曾敬
○政府委員(中曾敬君) ただいまの御質問に対しお答えいたします。
お話のように、飛行船はスピードが普通の飛行機に比べておそうございます。特にジェット機なんぞに比べますと相当おそいわけでございます。せいぜい百キロ程度しか出ないのであろうかと思います。詳しいデータは手元にございませんので若干不正確ではございますけれども、そのように思います。それからもう一つは、非常にお客の搭載人員が少のうございます。まあ昔ツェッペリンというような飛行船がございましたけれども、この飛行船でもせいぜい数十名というふうなオーダーであろうかと思います。したがいまして、現在のいわゆるワイドボデー型のジェット機などに比べますと十分の一というふうなオーダーの旅客しか積めないというふうに思われるわけでございます。そういうふうに非常にスピードがのろい、そしてまた搭載乗客の数が少ないというふうなことから判断いたしまして、いわばその輸送効率が悪いということにつながってまいる。ということは、一人頭のコスト高と申しますか、そういった問題にもつながってくる。と同時に、スピードが非常にのろうございますから非常に回転率が悪いというふうなことも、そういったコスト高につながってこようかと存ずるわけでございます。
そういったことから考えますと、今度は鉄道との競争の問題が出てまいりますが、むしろ現在の鉄道、新幹線などは二百キロのスピードが出ますので、そういったものに比べて、むしろ空を飛ぶということであるよりか地上を行ったほうが速いていうふうなことにもなりかねないというふうな感じもいたすわけでございます。
そして、もう一つ飛行船の欠点と申しますか、それは何かと申しますと、ヘリウムとか、ああいったガスを詰めて飛ぶものでございますので、ずうたいが大きくなります。したがって、風に対して非常に弱いという欠点を持っておる。わが国の空はだいぶ最近ふくそうしてまいりまして、特にニアミスその他いろんな事故が起こりつつございますが、風に流されまして航空路を逸脱するというふうなことになりますと、そういった点で危険性が出てくるというふうなことも考えられます。世界的に、もし飛行船が非常に効用の高い乗りものでありますれば、研究開発がなされまして、お客が乗るような飛行船として開発が進んでいくというふうな傾向は見られるはずでございますけれども、現在のところ、いわゆるお客を乗せるための飛行船の開発というものはかつてございましたようなかっこうではございません。ただ宣伝用といたしまして飛行船を利用いたしまして、日本の空も飛んだこともございます。
現在もそういう実は企画がございますが、そういった宣伝用に使うというふうな効用はあろうかと思いますけれども、お客を運ぶ乗りものとしては、たいへんどうも的確なデータを持ち合わせぬままに申し上げて恐縮でございますけれども、疑問があるんではなかろうかと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/144
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145・瀬谷英行
○瀬谷英行君 それでは騒音の問題でもう一つお伺いしてみたいんですが、ジェット機とプロペラ機の違いなんですがね。プロペラ機とジェット機の場合は燃料の消費の率といいますか、それからスピード、輸送効率、これらを総合してみると、どれだけの違いがあるか、結論的にはやはりジェット機のほうが音の場合を別にすれば安くつくということになっているのかどうか、公害の問題を特に考えた場合、ジェット機からむしろプロペラ機に規制をするといったような方法でもって問題は解決できないのかどうか、こういう点について、技術的な面でちょっとお伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/145
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146・中曾敬
○説明員(中曾敬君) プロペラ機とジェット機の比較でございますが、プロペラ機とジェット機は、現在のプロペラ機は大体タービンエンジンを使ってやっておりますので、原理的にはジェット機と同じエンジンを使っておるわけでありますが、ただジェット機とプロペラ機の違いはスピードが違うということであろうかと思います。このスピードが違うということが、非常に輸送効率という面においてジェット機とプロペラ機の差というものを生んでいるんではなかろうかというふうに思います。そこで現在ジェット機というのは非常に音がやかましいので、ひとつプロペラ機のほうへ逆に何といいますか、戻すというふうなことは考えられないかというふうな御指摘かと存じますけれども、ジェット機につきましては、おそらくこの委員会でも何べんか御議論があったと思いますけれども、現在、いろんな手を尽くしまして音を小さくする技術が開発されつつあるわけでございます。プロペラ機につきましては、確かに音は小そうございますが、先ほど申しますように、いわゆる輸送効率が悪い。現在日本で使われております一番大きいプロペラ機は、御承知のようなYS11、これは六十数名ございます。それに対しまして大きいジェット機は四百名、あるいはそれ以上お客を運ぶことができる。そしてまたスピードも高うございますから回転率も高い、こういうわけでございます。
それからもう一つプロペラ機とジェット機と比べまして大きな問題は、ジェット機というのは大体ずう体が大きくなっておりますので、いろんな安全装置をたくさん積むことができる、そういうふうな利点も持っておりますが、そんなことを全部総合して考えまして、ジェット機と同じような効率を持たせるようなプロペラ機を、もしここに持ってきたとするならば、たいへん大きなエンジンを取りつけまして、そしてまたでっかいずうたいにしなきゃならない、現在のジャンボ機並みぐらいのずうたいにしなきゃならない。そういたしますと、今度は逆に滑走距離が非常に長くなりまして、現在の日本で使っておりますような滑走路では離陸ができないというふうなことにもなりかねないというふうなことがいろいろございまして、世界的な趨勢といたしましても、先ほどの飛行船と同じように、やはり大量に効率よく運ぶ輸送機関としてはジェット機というふうな方向が大体きまっておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/146
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147・三木忠雄
○三木忠雄君 それでは最初に運輸大臣に伺いますが、一応来年度から予定をされている第三次空港整備五ヵ年計画の内容等についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/147
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148・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 実はまだ、検討は命じておりますけれども、来年度の予算編成までには間に合わせたいということで、いま作業をする段階でございまして、まだ構想というところまで固まったものがないわけでございます。したがいまして、御報告申し上げるような段階に、まだ至っていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/148
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149・三木忠雄
○三木忠雄君 それでは事務当局の考え方でもいいんですが、第二次空港整備五ヵ年計画の進捗率等を見ると、四十八年度まで約四五%の進捗率ですね。特に内容等を調べてみれば、やはり騒音対策等の問題については、若干予算が消化しきれなくておくれている問題が相当あるんじゃないかと思います。そういう点から考えて、第三次空港整備五ヵ年計画を早めなければならない一つの大きな私は点ができ上がったんではないかと思うんです。そういう観点から、第三次空港整備五ヵ年計画の中に、構想として、こういう第二次空港整備五ヵ年計画になかった問題点はどういう点を含まれるのかどうか、そういうあらましの煮詰めはだいぶでき上がっているんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/149
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150・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 先生御指摘のように、第二次空港整備五ヵ年計画の進捗率というのは、四十八年度で大体約四九%でございますが、騒音対策費、実は第二次空港整備五ヵ年計画の五ヵ年間の一応予定されました総経費といいますのは五千六百億でございまして、その中に騒音対策関係で四百十億という実はワクを考えておったのであります。ところが、この四百十億円はすでに不足いたしまして、四十九年度の、現在御審議をお願いしております予算の中では、実はこの四百十億円をオーバーしてはみ出したかっこうでお願いをしているのが事実でございます。したがいまして、騒音対策関係の予算が消化しきれなかったということではないかと存じます。ただ移転補償その他につきまして組みました予算の消化率が非常に悪かったのは事実でございます。
それで第三次空港整備五ヵ年計画を現在検討中でございますが、ここでやはり一番大きな柱となりますものは、昨年末、環境庁から出されました環境基準というものがございまして、これに空港を合わせていかなければならぬ。逆にいいますと、環境基準の達成ということを一つの柱にして新しい空港整備五ヵ年計画を組み上げていかなければならないということで、これが現在、検討する一つの方向づけになっております。で、具体的にどの空港でどういうふうに今後やっていかなければならないかというようなことについては、まだ十分詰まっておりませんので、これから部内でいろいろ討議をしていきまして、一つの全体の姿というものが出てまいるかと存じますが、現在の段階では、まだ、そういう考え方であるという点を御紹介できる程度の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/150
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151・三木忠雄
○三木忠雄君 これから煮詰めなけりゃならない点がいろいろあると思いますが、特に昭和六十年、総合交通体系によりますと、六十年には航空機需要が約一億ですか、一億人を想定をしているわけですね。ところが、この空港五ヵ年計画等によって何とか騒音料とか、いろんな問題点を含めて需要を抑制するという観点から、約七千万人ぐらいを予測した計画で空港整備を進めると、こういう話も私ちょっと聞いているのですが、この点についての考え方はいかがですか。どんどん航空機需要がふえていく、しかし今後の空港整備計画によって特に騒音料の問題であるとか、いろんな料金徴収の問題が、重なってきて、その影響によって航空機需要が削減されてくるという、こういう見通しを立てた上での第三次五ヵ年計画を立てる、こういう考え方はあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/151
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152・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) これは、実は第二次空港整備五ヵ年計画を策定いたしましたときに、私どもが主として、これは運賃面でございますけれども、鉄道との関係で運賃面を考えました場合に、相対的には鉄道よりも安くなり得るという一つのファクターがあったわけでございます。ところが現在検討中の第三次空港整備五ヵ年計画につきましては、騒音対策その他地域社会との融合性というようなものも考えていかなければなりませんので、いわゆるコストが非常に高くなるという可能性がございますので、鉄道に比べて安いというような前提を再検討しなければならぬ、こういうことでございまして、その結果、ただいま先生がおっしゃいましたように、将来の需要の伸びというものが多少変わってくるわけです、見方が。そこで、そういう点を鉄道運賃との関係でどのように見るかという、これはこまかく技術的に詰めなければいけませんが、従来のように技術革新その他によって航空運賃のほうが安くなるという前提には立ちにくくなっているのではないか、こういうことでございまして、その結果ただいま先生がおあげになったような数字の食い違いが出てきておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/152
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153・三木忠雄
○三木忠雄君 そうしますと、山陽新幹線ができ上がる、それから第二東海道新幹線、これは今後の問題でございますけれども、そういういろいろな観点から総合しますと、東京−大阪の航空便であるとか、東京あるいは福岡便であるとか、こういう問題は将来削減の方向に持っていくという、こういう考え方は運輸当局として考えているのかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/153
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154・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 東京−福岡という、あるいは東京−千歳と、これはかなり距離がございます。したがいまして、時間節減効果というものが航空機の場合はかなり大きくきいてまいります。したがって鉄道運賃との関係でかなり高くても旅客がそれを選ぶという可能性がまだ残されているわけです。東京−大阪の場合、現に航空運賃がわずかに高うございますけれども、これは圧倒的に航空のほうが競争に強いわけです。と申しますのは、現在はほとんど乗り切れないで飛んでおります。ということは、乗りたくても乗れないという状態が発生しているわけでございます。しかしながら、東京−大阪のごとく新幹線で三時間程度のところにつきましては、これは航空の分野はだんだん相対的に地位を低下していかざるを得ない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/154
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155・三木忠雄
○三木忠雄君 そうしますと、これと関連して第三次空港整備五ヵ年計画は、予算規模からいって当然第二次よりはふえるのはわかりきっている問題でありますけれども、大体どのくらいの規模で一応考えているのかどうか。特に環境基準の整備の問題が主力になってくると、伊丹空港の移転の問題、もう一つはやはり羽田空港の移転の問題というものが目玉になってくるのじゃないかと私は思うのですが、この点についての考え方はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/155
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156・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) まことに申しわけないのでございますけれども、実はそれほどまだ具体的に積み上げをいたしておりませんので、トータルの金額がどのぐらいになるかということはちょっとお答えいたしかねるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/156
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157・三木忠雄
○三木忠雄君 運輸大臣に聞きましょう。いま関西空港の問題、瀬谷委員からいろいろ話が出ましたが、特に羽田の空港の問題ですね、この問題についてこの五ヵ年計画の中に入れて、そしてこの羽田空港の移転の問題、地元では拡張は反対していたわけです。これはいま話題になっている第五夢の島ですか、こういう問題を含めて羽田空港を移転をし、そして現在の羽田空港を緑地帯にする、こういう考え方に将来持っていく計画で、第三次五ヵ年計画の中に含めて検討するのかどうか。あるいは調査費をつけてやるのかどうか、そこまで考えているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/157
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158・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 確かに検討課題の一つではあろうと思いますけれども、いまそれを目標にとか、あるいは計画の中に織り込んでどうこうという段階に至ってないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/158
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159・三木忠雄
○三木忠雄君 これ新聞の資料で私も拝見したんですけれども、これはいろいろ話題にもなってくるこれからの問題だと思うのです。確かにこの計画は私は事務段階では相当進んでいるやに伺うわけです。で、やはりこれから騒音問題を解決するには、たとえばモノレールの内側の飛行の問題が行政指導でいろいろなってきますけれども、こういう問題とからめて、沖合いに移転をするんだという、こういう観点が出てくれば、この騒音問題の処理のしかたがまた変わってくるのではないかと私は思うのです。そういう問題を含めた検討がなされているのかどうか。あるいはまたこれができ上がるにしても相当な時間がかかるわけですね。そういう観点から考えますと、この沖合い空港の問題がはたして実際の計画上にのぼって第三次五ヵ年計画に入ることはないと考えていいかどうか、この点についてひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/159
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160・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 入れるか入れないかということにつきましては、実は大臣がお答えになりましたように、私ども騒音対策の面からも現在の羽田空港のあり方というのを当然再検討しなければならないわけでございまして、その際にそれが一番いい方法であるという結論になりますれば、やはりこの次の空港整備五ヵ年計画の中に取り入れるべきであろうかと考えております。ただ現段階におきましては、そういう考え方でいくのか、あるいはその他の方法もあるのかということを検討いたしております段階でございますので、入るのか入らないのかということにつきましては、ちょっと明確な御返答をいたしかねる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/160
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161・三木忠雄
○三木忠雄君 そうしますと、この羽田の騒音問題について、いまの空港ではいいとはだれも考えていないわけですね。そうすると、その対策として、現在の大田区あるいは品川区を中心とした騒音で悩む住民に対して、具体的な対策と将来に対する見通しを航空局としていろいろ検討を今日までもされてきたんじゃないかと思うのです。そういう点については、まあ沖合いの空港移転の問題は別問題にしまして、この騒音問題を解決するためには、大体どういう方向をとったほうが航空当局としてはいいと考えていらっしゃるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/161
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162・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 当面の騒音対策と申しますか、騒音量を減らすという方向につきましては、実は先生御指摘のように、モノレールの内側に入らないようにという指導をいたしてきておりますし、また深夜の便につきましてはごくごく緊急の場合を除きましてとめております。そういうことと、実は成田空港というものが遠からず開港できる状態になりますと、国際線が羽田から出てまいります。国際線は御存じのように、非常に重い飛行機が多うございまして、したがって騒音をかなり広範囲にまくこともございますが、国際線が出てしまいますと、比較的軽い国内線のみになりまして音の被害というものは相当に軽減され得るし、また急上昇いたしますその範囲も、現在モノレールから出る出ないというような問題がございますけれども、そういう問題も非常に少なくなってくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/162
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163・三木忠雄
○三木忠雄君 これはちょっと技術的な問題で技術屋さんに聞きたいんですが、実際いまのモノレールの範囲内でジェットを飛ばすということは不可能じゃないんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/163
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164・中曾敬
○政府委員(中曾敬君) モノレールの内側に入るように進入してこいという一つの行政指導をやっておるわけでございます。ただ正確に、何と申しますか、一定のルートを守るということは飛行機の種類と申しますか、搭載しておる重量、そういったものによっても旋回半径が大きくなったり小さくなったりいたします。したがいまして、海外線に使われておりますような大型の飛行機になりますと、非常に回りにくいというふうな面が出てまいります。それからもう一つは風が吹きますと、風に流されまして、たとえば海側のほうから陸側のほうに風が吹いておるというふうな場合には風に流されて、内側に入るつもりで飛んでおってもいつの間にか知らず知らずにモノレールの外側に流されてしまうというふうなこともございます。で、われわれとしましてはなるべくそういうふうにモノレールのラインを守って入ってこいというふうに指導はしておりますけれども、何ぶんにもそういうふうないろんな飛行機の重さによって旋回半径が違う、あるいは風に流されるというふうな要素がございまして、事実上一部分の飛行機がモノレールの外側といいますか、陸側のほうに入ってくるという事例も間々あるというのが現実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/164
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165・三木忠雄
○三木忠雄君 いまの話を聞いておりましても、運輸大臣、行政指導じゃこれはなかなか聞かないですね。特に重い飛行機という話になりますと、これから四月からは西ドイツからまたジャンボが入ってくる、それからエアバスの就航計画を持っていると、ますます飛行機が大型化してくるということになってきます。確かに成田空港の問題がからんできますけれども、ますます大型化してきますと、羽田空港のモノレールの中の範囲内で飛行するということは、ますます不可能になってくるんじゃないかと思うんですね。こういう点に対する行政指導を今後どうしていくかという問題ですね。この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/165
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166・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 実は十日ほど前でしたか、羽田の空港長に、非常に最近またはみ出しているのが多いという話があるんで調べてくれということを申しましたところ、確かに現地も理解いたしておりまして、今度少し進入方法を変えるということで新しいコースを実は指定したようでございます。これはいま告示といいますか、パイロットにそれを周知する手段をとっておりまして、四月の末からそういう新しい飛行形式で入るようになればこの問題はかなり改善されるということを言っておりました。私はそれの結果を見てみたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/166
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167・三木忠雄
○三木忠雄君 そうすると、外国の各航空会社にも全部指示を流したわけですね、四月末から実施するように。これは具体的にもう少し説明していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/167
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168・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) その具体的なコース、実は私はまだつまびらかにいたしておりませんので、後刻御報告を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/168
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169・三木忠雄
○三木忠雄君 ちょっと終わる段階でも、もしそういう告示の内容がわかれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/169
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170・松本操
○説明員(松本操君) 私もいま手元に資料を持っておりませんので、多少正確を欠くかと思いますが、従来羽田のC滑走路の陸側から入ってまいります場合には、通常御宿——房総半島の外側にございますが、御宿または木更津、これは房総半島の内側でございます。御宿または木更津にございます無線標識の信号を受けまして大体北西の方向へ向かって飛行機は飛んでまいります。そういたしまして、品川のNDBとわれわれ呼んでおりますが、実際は品川にはございませんで品川のかなり沖合いでございますが、そこをねらってまいって、そこから適当なところで左にひねり込みをいたします。そういう形で陸側の滑走路の端末へおりてくる。こういう形をとらしておったわけでございます。これが、ただいま局長が申し上げましたように、ややひねり込みの角度がきつ過ぎるというふうなことが経験上わかってまいりました。そこで、もう少しこれを明確にさせますために、数値をいま記憶しておりませんけれども、御宿または木更津の無線標識から、正確なバックビームと申しまして、その無線標識に向かうのではなくて無線標識から離れながら、かつ一定の方向へ飛ぶ方法がございます。そのバックビームをとるというやり方で正確な方向づけをまず最初にいたします。次に、品川沖の標識の上を通り越えた形で左側のひねり込みをする。そういうふうな形にいたしますと、御承知のように、航空機は一定のバンク角と申しまして、左右の傾き角を与えますと、そのときの飛行機の速さ、重さによりまして一定の旋回半径で回ることになります。従来よりははるかに精度の高い半径を描いて陸側の滑走路端末に向かってくることができる、こういう形になろうかと思うわけでございます。
さらに、ただいま申し上げましたのはC滑走路に入ってくる場合でございますが、B滑走路の北側のほうへ入ってくる入り方がございます。通常これらを使って問題になっておりますのは、南風が吹いた場合に、回り込んで入らないと飛行機が追い風が強過ぎておりられないということから起こってくるケースでございますけれども、多くの場合には、実はB滑走路が南風を受け取るためにはかっこうの方向に向いておるのでございますが、先ほど来局長が申し上げておりますように、国際線に入っております大型航空機の場合には、B滑走路の長さが二千五百メートルであることから、おりられないわけはございませんけれども、どうしてもパイロットの心情といたしましてより長い滑走路のほうへおりたがる、また管制官といたしましては、こちらの滑走路におりたいとパイロットが申しました場合、特段の危険があるとか、その他理由がある場合を除きましてパイロットのおりたいという滑走路のほうへおろすというのがならわしになっております。したがいまして、国際線が羽田からいなくなりまして国内線になりました場合には、B滑走路を使わねばならないような南風の場合に、当然B滑走路にほとんどの飛行機はおりてくることができます。わざわざ回り込んでC滑走路の陸側からおりるというふうなことをしなくて済むようになるかと思います。そういう点においても、C滑走路の進入の際におけるコースの逸脱という問題について、相当大幅に改善ができるのではないだろうかというふうに考えております。
なお四月の末からと局長が申し上げましたのは、NOTAMというものがございまして、このNOTAMという形式を使いましてパイロットに周知徹底をさせるわけでございますが、四週間前にNOTAMを出す、これが国際民間航空機構、つまりICAOできめられておりますパイロットに広く周知徹底をさせる最も確実な方法とされておりますので、私どもはこれによったと、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/170
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171・三木忠雄
○三木忠雄君 そうすると、成田空港ができるとあわせて、そういう改善策で少しは緩和される見通しが、いまの話ではわかるわけでありますけれども、もう一つは羽田空港の過密ダイヤの問題ですね。大阪空港はこの間実は減便の運輸大臣談話が出ておりましたけれども、羽田空港の減便問題ですね。たとえば四月に西ドイツからのジャンボが入ってくるとか、こういう形になると、いろんな報道等によりますと、ジャンボが飛び立つと十分間ぐらいはDC8とか、そういうものはなかなか飛び立てないとか、こういうふうな問題が出ているわけでありますね。そうしますと、いまの超過密ダイヤの羽田空港にさらにこの大型ジャンボや、あるいは将来エアバスの就航を考えているとするならば、ますます羽田空港のこの過密ダイヤというものはたいへんな問題になってくるんじゃないかと思うんですね。こういう問題で、エアバス等を含めたこの大型機導入と減便対策ですね。この問題に対して羽田空港はどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/171
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172・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) まず大型機と減便との関係につきましては二つの点に分けてお答えしなければならないと思いますが、外国機が大型化して入ってくるということにつきましては、これは実は二国間の航空協定で、輸送力につきまして一つの合意ができております。大型機になりますにつきましては、その各国が持っております便数、つまり通常の航空機の便数と大型機の便数というものの割合を考えまして、輸送力が過剰にならないようにということを取りきめております。二、三の例外はございますけれども、大体そういう基本的な需給バランスをとっておりまして、大型機になったから減るという性質のものでないという点をまず御了承いただきたいと思います。
国内線につきましては、大阪につきまして大型機により減便をするという方針を打ち出しておりますけれども、これは先ほども申し上げましたように、東京−大阪というのはかなり需要の高いところで現実には乗れない状態になっておる。したがって少なくとも現状程度の輸送力を確保しつつ便数を減らすということで、そういう意味で大型機を入れることによって減便が可能になる、こういうことでございます。そして、では東京はどうなるかという点につきましては、当然大阪−東京間の便数が減りますから、その分はあくはずでございます。ところが東京−大阪に乗っていらっしゃるお客さまの中にかなり乗り継ぎ客、つまり東京から大阪に来まして、そこからさらに四国方面、九州方面に行かれる乗り継ぎ客の方、その逆の場合もございますが、かなり多い。したがいまして、東京であきました便数ワクをそういう直行便に振りかえて四国、九州方面の旅客の便宜をはかる必要があるということで、東京−大阪間の減便によって出てきたものがそのまま東京の減便にはつながらないという状態になっております。それからまた、逆に東北方面で非常に需要が多いにもかかわらず離発着便数のワクがないために運航できないという空港もございまして、そういうところは主としてYSでございますが、このYSのためにそういうワクをあけてやる必要も出てくるということで、当面は羽田の便数というのは現状の、つまり安全上許される範囲内の便数を維持せざるを得ないという状態にあります。なお付言いたしますと、外国からの増便につきましては、極力これを抑制いたしておりまして、国際問題になりかねないような状態になりつつあるのも事実でございます。
そこで、一つだけ、これは管制保安部長からお答えさしていただきたいと思いますが、大型機であるために、われわれ流のことばで言いますとセパレーション——間隔をよけいとらなければならないという点につきましては、管制保安部長のほうから御答弁いたさしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/172
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173・松本操
○説明員(松本操君) ただいま局長が申し上げましたように、航空機と航空機との間にある程度の間隔をあけませんと安全上危険である、これを私どもの用語で間隔とかセパレーションとか呼んでおります。これをどの程度とったらよろしいのかというのが飛行場におきますキャパシティをきめる場合の一つのファクターでございます。これがすべてではございませんが、一つのファクターでございます。現在のところ大型機につきましては五マイルの間隔をとる、それから時間的には二分間の間隔をとる、こういうことにいたしております。で、現在羽田空港においては御承知のように、レーダーによって管制をしておりますので、通常のレーダー管制のセパレーションは三マイルでございます。約一・七倍に間隔を広げております。それから時間的な間隔といたしましては、通常一分でございます。ですから時間的な間隔のほうは約倍に広げておるという形で、そういう状態で航空機を取り扱うという前提のもとに現在の四百六十便という形をはじき出してあるわけでございます。
そこで将来、この大型機がふえていった場合にどうなるのかという御質問でございましたけれども、一番大きな影響を与えますのが大型機とそれから小型機の間隔の設定、これが一番むずかしいわけでございます。大型機同士でありますと、いわゆる後方乱気流と申します、大型機の翼端から渦を巻いて出てまいります空気の流れに対して、みずからも大型機でございますのでかなり強いわけですけれども、これが727、737級の中型以下になりますと相当影響を受ける、そのために間隔を広げるという措置をとっておるわけでございます。したがって、羽田のように、ジャンボも入る、エアバスも入る、727程度のものも入っておるというふうな場合に、それらの比率がどのようになったときにどういう影響が出てくるかということが非常に大きな問題になるかと思います。これは一本の滑走路に一方向から連続して各種の飛行機が入るというようなケースですと非常に簡単でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、滑走路が二本交差して使われておりますので、風向きその他によってかなり正確な、めんどうな計算をしていかなければなりません。現在までに私どもが計算をいたし、かつ過去の経験から判断した限りにおいては現在程度の大型機の混入率であるならば、現在われわれがきめております一時間帯、三時間帯または一日の取り扱い機数というものを減らす必要はないのではないか。ただし、もっと大幅に大型機がふえてまいりました場合に、やはり何がしかの削減をする必要が出てくるのではないだろうかというふうに考えております。ただ、その数字がどの程度になるかという点については、現在私ども鋭意研究中でございまして、ただいまこうなった場合にはこうであるというふうに申し上げるまでには至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/173
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174・三木忠雄
○三木忠雄君 これは非常に重要な問題だと思うんですけれども、羽田空港の過密ダイヤの問題は、地域に住んでいる住民にとっては非常に深刻な問題でございまして、こういうエアバスを導入するとか、あるいは飛行機の大型化をはかっていくというこの問題の中で、やはり一番不安なのはそこの住民なんです。こういう問題について、やはり将来、いまの保安部長からのいろいろな意見でもおわかりのとおり、やはり混入率というか、その率をどこまでに大型化をはかっていく計画なのかどうかという点も、やはりここ二、三年の間の、いろいろな問題はあると思いますけれども、エアバス等含めた大型機の導入計画、これはどういうふうな考え方を持っているのかどうか、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/174
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175・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 現在のところ大型化といいますか、国内におきましては日本航空、全日空が大型機の機材手当てをすることについてわれわれ相談にあずかっておりますが、これは先生御指摘のような空港の運営は、空の上の運営と地上の運営と両方ございまして、やはりおのずから限度があるというふうにわれわれ考えております。したがいまして、今後どのようなテンポでこれを導入していくかということにつきましては、管制上の問題も、それから地上の駐機場の問題、その他もあわせまして鋭意詰めております。ただはっきり何年度に何機まではいいのだ、これ以上はだめなんだとかいうような線が出るまでには至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/175
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176・三木忠雄
○三木忠雄君 そうすると、いまの具体的にエアバスの計画等含めた、あるいは外国機の大型ジャンボ機の羽田到着という問題は具体化した問題はないのですか。あるいはここ一、二年のエアバスの大阪空港の乗り入れのためには住民の理解がないとやはりエアバス就航はしないという方針で今後も臨むのかどうか、そういう点も加えて御答弁願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/176
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177・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) まず現在日本航空、全日空でどの程度のエアバスあるいはジャンボを計画しているかと申しますと、日本航空は三月末で五機すでに国内線用を持っております。それから全日空は三月末で三機、六月末で六機になる予定になっております。これはすでに一部、東京−沖繩に就航いたしておりまして、四月からは東京−札幌あるいは東京−福岡に就航するという予定になっております。また外国の航空会社並びに日本航空の国際線両方合わせまして、週に百六十五便程度が運航されております。今後、外国国際線の関係はやはりだんだんふえていく傾向にございますし、先ほど先生御指摘のように、ルフトハンザがこれを持ってくるというようなことでございますので、逐次ふえてまいるかと存じますが、羽田の状況がいま非常にむずかしい状況でございますので、その導入時期等につきましてできるだけ先へ延ばして、成田ができてからというようなことで話し合いはいたしておりますけれども、これはもう向こうに与えたある程度の権利でございますので、こちらがだめだというふうに断わる立場にはございません。
で、国内線につきましても、まあ四十九年度に五機、六機になりますが、五十年度にさらにこれが数機ふえるという程度まではいま見通しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/177
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178・三木忠雄
○三木忠雄君 保安部長にもう一度伺いますが、この程度であれば問題ないんですけれども、いまの航空局長の言った就航計画程度であれば、大型化して混入してもこれはだいじょうぶなのかどうかですね。あるいはそういう策定をいつまでに大体終わる計画なのか。大型機がたとえば何機までの間はいまの羽田のダイヤの中ではだいじょうぶであるかどうかという、そういう策定をいつまでに終わらせるのか、この点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/178
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179・松本操
○説明員(松本操君) まず第一に、先ほどもお答え申し上げましたように、大型機が混入しました場合に、理論的な計算からこの程度まではだいじょうぶではないかという数字が一応出ます。しかし、これは羽田の場合には非常に滑走路が交錯していること、それから御存じのように、地上面がかなり込んでおります。空といいますよりもむしろ地上面が込んでおる。つまり空港がわりあいにふところが狭いという感じでございます。そういう点も考慮して勘定をしなければなりません。で、先ほど申し上げましたように、まだ現在最終的な結論を出すに至っておりませんけれども、ただいま局長から申し上げました程度の大型機の導入ということであります場合には、われわれの現在までに得られました結論から申し上げますと、まずほとんど問題はないのではないかというふうに考えております。
ただ、もう一つの問題といたしまして、管制というものは計算だけに乗るものではございません。やはり人と人の接触面と申しますか、インターコースによって管制が行なわれますので、現場の管制官のいろんな気苦労なり、あるいは感触なりというふうなものも十分に拾い上げて練り上げていかなければならないということで、いつまでにそれではそういう結論が出せるのかということでございますけれども、まだちょっと時間をかしていただきたいというふうに考えております。ただ繰り返し申し上げますけれども、現在までに私どもが行ないました理論的計算からは、ただいま航空局長が申し上げましたような範囲の大型機の混入というものについてはほとんど問題がないというふうに考えてよろしいかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/179
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180・三木忠雄
○三木忠雄君 私はいつも思うことは、やはり企業のほうを優先して、こういう保安体制のほうはどうしても後手に回る。たとえば就航計画あるいは機材の購入のほうはどんどん進めていく。しかし、それに伴う保安体制の完全なチェックが行なわれてないというか、そういう点が非常に連携が不十分であるという点を非常に考えるわけです。特に管制官が非常にオーバーワークの中でますます大型化をはかっていくとか過密ダイヤをつくっていくという問題で、管制官の養成がそれだけできない、あるいはそれだけの体力が保持できないというような問題が、私はもう相当来ているんじゃないかと思うんですね。こういう中でどんどん航空企業を促進する意味を兼ねたこの大型機の就航という問題、私は沖繩にジャンボ機を飛ばすときからこれはやはり問題があると思ったんです。沖繩はいままでDC8だったのがジャンボ機になった。確かに乗客はあるかもしれないけれども、やはりそれで便が減るわけでもないし、どんどんふえていくという形になっているわけですね。そうなりますと、ますます狭められた空のダイヤの上に、やはりそういう大型機就航という問題が大きなネックになってきている。保安体制等も含めた問題で非常に危険状態に置かれてくるのではないかということを私は心配するわけであります。
この点については、やはり保安当局との関係というか、運輸省内ですから連携はとれていると思いますけれども、やはりどうも航空会社優先というか、営利に走ったというか、こういう問題のほうが優先しているんじゃないかと思うんですけれどもね。この点についてもう少し明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/180
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181・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) ただいま先生の御指摘の御心配、私どもも十分心得ておりまして、こういうそもそも羽田におきまして一時間の取り扱い機数、あるいは三時間の取り扱い機数、それから一日の取り扱い機数をきめましたのも、実は管制官のワークロードを考えましてそういう方法をとったわけでございます。したがいまして、これを単に国際的に比べますと、非常に羽田の能力はおかしいんではないかというような議論さて出かねない数値である面もあるわけでございますが、しかし私どもは、やはり安全が第一である、そしてその安全をつかさどる非常に大事なポストにある管制官の勤務状況というものを十分考えていかなければならないということでこういうことをやっておるわけでございます。まあこれはほんの一例でございますけれども、十分管制官の意思、意見というものを尊重いたしまして全体のスケジュール、空港の運営等あるいは管制部の運営等について配慮いたしておるつもりでございます。確かに先生御指摘のようなことがあってはならないわけでございまして、私どもも十分留意をいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/181
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182・三木忠雄
○三木忠雄君 まあ過密ダイヤと管制官の問題は、また別な機会に私、こまかくいろんなデータをもとにして議論したいと思っておるのですけれども、もう一つ羽田周辺のやはり被害状況ですね、騒音による被害状況、これを運輸省としてはどの程度掌握されておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/182
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183・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 東京国際空港におきます騒音問題はいろいろございまして、広くは、先生御承知のように、江戸川区の騒音問題というのもございます。それから夜間のエンジンテストの騒音の川崎地区におきます問題というようなものもございますが、御承知のように、江戸川の問題は大体解決をいたしました。川崎の問題等についても、調査その他を進めて対策を考えております。
一番問題になりますのは、離陸いたしました飛行機が昭和島、平和島、勝島の上を飛んで行くわけでございます。その地域には幸い東京都のほうで非常に都市計画上いろいろ御配慮しておられまして、ほとんど住宅がございませんが、それから少し入りましたところに旧来からの住宅があるということでございまして、それがモノレールより内側に飛行機が入る場合には非常に被害が起きておる、こういう点が一つでございます。それからもう一つは、ごく羽田に近接いたしました海老取川の対面のところにつきましてB滑走路から発進いたしますときの騒音が若干問題がある、まあこういうような問題がごく周辺の騒音問題でございます。
それで、その影響はどのくらいかということでございますが、影響をはかります場合に、いま私どもでは、この法案の審議でいろいろ御説明を申し上げておりますように、WECPNLという単位を使っております。これにつきましては、主としてこの法案の現在問題になっております大阪についていろいろ御説明をしておりましたので、大阪との対比で御説明を申し上げますと、大阪につきましてはWECPNLの九五以内、これは非常に激甚な地域というふうに考えておりますが、それについて大阪では二千三百世帯でございます。東京につきましては幸いその中には住宅はございません。それからWECPNLの九〇の地域、これもかなり移転補償の対象にしなければならないような地域でございますが、これは大阪には一万二千五百世帯ぐらいございます。東京の場合には大体三百九十世帯というふうに考えております。それから大阪につきまして周辺整備を行なおうとしておりますWECPNL八五、三万三千世帯ということを繰り返し申し上げておりますが、それに相当する八五の中では東京につきましては三千八百世帯というものがございます。したがいまして、大阪に比べますとかなり数字としては少ないわけではございますけれども、やはりそこに被害を受けておられる住宅があるということは事実でございます。実情はそういうことなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/183
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184・三木忠雄
○三木忠雄君 この問題について具体的にテレビの補償の問題であるとか、あるいは防音工事の問題であるとか、こういう点については、これは具体的に運輸省としてどのような処置をとっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/184
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185・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 発生的には大阪国際空港よりも東京国際空港の騒音問題のほうが先に問題になったわけでございまして、その点で、たとえば学校の防音工事とかそれからテレビの問題というようなものが先に発生をいたしておりまして、当初、東京につきましては東京都その他で措置が講ぜられたり、いろいろ対策がございました。その後、国におきまして学校の防音工事、それからテレビについては午前中御質問のございましたような二分の一減免措置というものを東京については講じてきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/185
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186・三木忠雄
○三木忠雄君 ところがまだ、民家の防音工事は今度のこの法律が通りますと伊丹空港のほうは具体的にそういう問題が開始されるわけですけれども、たとえば羽田空港のこういう問題等につきまして、あるいはテレビ等の問題についても、地元の意見ではやはり共同アンテナみたいなものを、がっちりしたものをつくってくれ、こういう要望もあるわけですね。そういう問題に対して、やはりどうしても伊丹のほうは数が多いということでこういう機構をつくるわけでありますけれども、一番最初から起こったこの羽田の問題については、なかなかそういう問題が具体的に解決をされてないという点があるわけですね。こういう点について、実際に担当官も少ない、あるいは折衝窓口というか、そういう点についても非常にいままでも弱い体制であったという点があるんじゃないかと思うんです。こういう、たとえば三千八百世帯に対して具体的に今後補償措置とか、あるいは民家の防音工事の問題等については、この法律との関係で、伊丹のほうはそういう形でとられても羽田のほうはどういう形でとっていくのか、この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/186
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187・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) まず民家の防音工事でございますが、民家の防音工事につきましては、この法律を成立させていただいて実施できるようになるわけでございますけれども、四十八年度当初予算から全国で三億円組んでございますが、そのうち東京には約五十戸程度で三千七百万程度予算を組んでおるわけでございます。まだ法律が成立いたしておりませんので実施に至っておりませんが、おそらく四十九年度に繰り越しして使用するということになろうかと思います。それから四十九年度予算につきましても、東京につきましては約六千万の民家防音工事の予算を計上いたしております。戸数につきましては、工事単価の変動その他がございまして、この法律が通りました後において実施のための細目を政府部内でつくることになっておりますが、戸数的にはまだ正確に申し上げられませんけれども、大体その程度の予算の範囲内において実施をしていきたいと思っております。
それからテレビの障害対策につきましては、先ほど事実上の減免を公害防止協会において行なっているというふうに申し上げましたが、これにつきましては、大阪地区はもちろん非常に広い範囲でございますけれども、大阪地区と同じ基準ないしはそれよりも広い基準において東京においてはテレビの減免措置を講じてきております。
それから共同アンテナ等の問題につきましては、これは航空公害防止協会というところに所要の基金を集めまして、これによりまして、大阪等におきましてはフラッター防止のアンテナの取りつけ、それから飛行機の音がしますと自動的にテレビの音が大きくなる装置というのを開発いたしまして希望者の方に取りつけるという措置を講じております。午前中、NHKのほうからお話がございましたように、幸いフラッター防止回路というものが最近のカラーテレビには大体内蔵されてきております関係で、特に新しいテレビをお使いの家庭では共同アンテナをつけなくてもほとんど被害がない程度にはなっておるというふうに思っておりますが、なおそれでも問題のございますところについては航空公害防止協会を派遣いたしまして、所要のテレビの診断ないしはそれに基づくフラッター防止アンテナ等の設置等を実施をいたしておりまして、東京につきましても必要に応じて実施をしていきたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/187
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188・三木忠雄
○三木忠雄君 それじゃ次に、今回の法律で伊丹空港を中心とした整備機構を審議しているわけでありますけれども、そのほかの特定飛行場ですね、羽田の問題はいま聞きましたけれども、あるいは福岡は相当大きな問題になってきつつあるわけですね。こういう整備機構をさらに拡大をしていく考えなのかどうか、あるいはいま具体的にどういう空港に整備機構を新たに伊丹以外につくろうと考えているのかどうか、この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/188
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189・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 現在御審議をお願いしておりますこの一部改正によりまして、一応特定空港につきましてはこういう機構ができるたてまえになります。しかしながら、これは都道府県知事が周辺整備計画をつくることによってこの機構が発足するたてまえになっておりまして、先生御指摘のように、福岡空港というのがまあわれわれ事務的に考えまして最も可能性のある空港であろうかと存じますけれども、これはやはり福岡県知事の御意向もございますし、十分その地方自治体と御相談した上で決定することになる性質のものだと思います。したがいまして、いまの段階では大阪以外にどこにつくるという確たるめどを持っているわけではございません。ただ可能性としては福岡などが一番取りかかっていいような空港であろうと、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/189
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190・三木忠雄
○三木忠雄君 これ以上具体的には伺いませんけれども、この騒音対策の問題が具体的にやはりどの程度原因者負担になっているのかどうかですね。たとえば日航とかあるいは全日空、こういうところはどんどん収益も得ているわけですね。こういう点から原因者負担というものはどの程度考えているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/190
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191・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 御承知のように、これらの騒音対策のための経費は空港整備特別会計という中から支弁されております。空港整備特別会計は単に空港を整備、拡張するということではございませんで、空港の維持管理からこういう騒音対策まで含めたのを特別会計の中で処理をいたしております。それで、その特別会計は特定の財源でまかなわれておりまして、着陸料、航空機燃料税、航行援助施設利用料というような諸経費、それから通行税の収入からの見合い分の一般会計からの繰り入れ、それとその他の一般会計繰り入れと、こういうような種類の財源から成り立っておりまして、一般会計繰り入れのうちの通行税繰り入れ分も含めますと、航空会社が負担いたしております部分はほぼ八〇%程度になっております。それから、空港整備特別会計自体は、たとえば新空港公団に対する出資とか、ないしは離島等の空港に対する経費というようなもので、元来国の一般会計から支弁すべき性格のものをかなり含んでおります。したがいまして、どの費目がどれに直接つながっているということではございませんけれども、そのようなことを勘案いたしますと、ほぼ騒音対策費に見合う部分は何らかの形で航空会社の負担の財源からまかなわれているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/191
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192・三木忠雄
○三木忠雄君 その意見に私もいろいろ疑念はあるのですけれども、この問題で議論しておりますと時間もありませんので、その一つの問題で、日本航空の問題でちょっと運輸大臣に伺っておきたいのですけれども、まあ日本航空の経営状態、特に国から約半分出資しているわけですね。こういう点から考えますと、いろいろ羽田で働いている管制官の人たちが非常に激務の中で、きびしい条件の中で働いているわけですね。決して日航の人たちが、あるいは全日空の人たちが楽だとは言いませんけれども、そういう条件から、ボーナスにしても待遇にしてもずいぶん開きがあるわけです。そういう点から考えますと、日本航空が相当な収益をあげている、こういう問題に対して、国にいま無配当でやっているわけですね。この問題に対して運輸大臣が、去年の暮れですか、何かこの問題についての配当を国が受けるとか、あるいは日航法を改正するとか、こういう問題で一時話題になっておりましたけれども、この問題に対する運輸大臣の見解はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/192
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193・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 昨年、まあ内容の点については私は詳細に検討したわけじゃございませんけれども、たいへんりっぱなボーナスを出したことがございます。そんなに出せるものならば、一体内部保留をどういうような形でやっていくのかと、八分配当の場合には、国には八部以下ならば配当しなくてもいいという日航法になっているそうですが、そういうようなものについて検討をひとつ加えたらどうかと、こういうことを言ったことがございます。昨年度と申しますか、四十八年度はおそらく相当な黒字決算をやるだろうと思います。しかし御承知のように、今度は逆にばちが当たりまして、油がずいぶん上がってまいりましたから、これのはね返りが相当きついめにおっかぶさってくるだろうと思います。その辺を考え合わせまして、今後の経営状態をずっと見ていかなきゃなりませんけれども、その八分配当、あるいは配当金を国が取って、これをすぐ騒音対策というわけには会計法上まいらぬかもわかりませんが、しかし、いずれにしましても今後は原因者負担の原則を貫いていかなきゃならぬと思います。それがすぐ配当に結びつけるか、あるいは別途騒音料というようなものを考えるか、これからひとつ十分検討してまいりたいと、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/193
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194・三木忠雄
○三木忠雄君 そうすると、この日本航空の八分配当の問題について、運輸大臣は日航法を改正するという考え方は持ってないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/194
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195・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) いまただちに四十八年度において日航法を改正するという考えは持っておりません。そういうようなものも含めて一ぺん検討してみろと言ったことがございますけれども、今年度これを改正するという考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/195
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196・三木忠雄
○三木忠雄君 まあ、こういう問題、いろいろ考えますと、何といいますか、移転補償の問題にしても進捗状況が非常におくれている。あるいは借地人あるいは借家人に対しての、この考え方はどういうふうに及んでいくのか、こういう点にいろいろ問題点があると思うんです。日本航空はどんどん黒字になっていると、あるいは運賃をどんどん値上げしていくと、こういう中にあって、その被害者というのは、やはり一番身につまされているわけでありましてね、こういう点についての積極的な手を打たなければならないと思うんですよ。しかし今回の法律改正を見ますと、何とか住民を追い出す方向のほうを主力に考えた法律のように私は感ずるわけです。確かに周辺整備機構をつくって補償を何とかするという方向に考えられますけれども、しかし一面考えれば、やはりそういうものを何とか追い出す式な法律案になってしまっているんではないかという点を強く考えるわけですね。この法律をつくったところによって、実際にメリットというのは何かということなんですね、この点について運輸大臣どうお答になりますか、あるいは航空局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/196
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197・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 先生御指摘のように、この法案だけをとりますと、周辺整備ということが中心になっております。しかし騒音対策そのものは、やはり音源対策と周辺の再開発と、この両者が相まって行なわなければ効果が出ないわけでございまして、この法律でお願いいたしております関係は、主として地上の問題でございますが、これはこれなりに周辺の環境を改めていくことによって音の遮音地帯をつくり、かつまた、音にあまり影響されないような施設を設置することによって空港周辺というものの騒音の被害を軽減できるということもまた事実であろうかと思いますし、他面、発生源である航空機の音そのものを静かにしていくと、で、これはエンジンの改良あるいはまた離発着の運航の改善等、いろいろの面があるかと存じますけれども、こういったものを併用して、両々相まって騒音対策の効果を上げていきたいというのが、現在お願いしております法案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/197
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198・三木忠雄
○三木忠雄君 それで、たとえば伊丹とか福岡、先ほどから話題になっておりますけれども、こういう特定空港以外の地方空港でも相当こういう問題がある。たとえば新潟では訴訟問題が起こっているというような、こういう点があるわけですね。こういう点をひっくるめまして、地方空港も含めて、やはりこういう騒音問題で一番問題になっている空港というのは、運輸省はどのように認識しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/198
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199・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 地方空港につきましては、本年度におきまして鹿児島空港を特定飛行場に指定をいたしております。それから四十九年度におきまして、北から申しまして函館、仙台、松山、宮崎というジェットの就航しております四空港を特定飛行場に指定をする予定にして予算の措置を講じております。なお残るジェットの就航いたします空港は、いま御指摘のございました新潟、それから大分、熊本、那覇というようなローカル空港があるわけでございます。これらにつきましても、ジェット機による騒音についての被害が大きくなるというような場合には、特定飛行場に指定をして措置を講じていきたい、かように思っております。
それから、それでは特定飛行場に指定をするまでは何もしないのかというお尋ねがあるかと思いますけれども、まず第一に、騒音の障害が非常に著しくなりましたら特定飛行場にいたしますので、その際は、設置者の責任として処理をいたしますが、そういうものについていろいろ事前に措置を講ずるというような場合には、地元の地方公共団体にいろいろ先取り的な御対策を願うということでお話をしておりまして、そのために必要な財源といたしまして、航空機燃料税のうち、一部分を譲与税としてこれらの関係飛行場の周辺の市町村にお渡しを申し上げておるということでございます。
それからさらに、今回の法律改正の六十四条という条文の中に、地方公共団体においてそれらのいろいろな事前の手当てを、処置を講ぜられるような場合については、国は財政上ないしは技術上というような諸面からの援助につとめるという条文が入っておりまして、これによりまして必要な措置を講じていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/199
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200・三木忠雄
○三木忠雄君 特に新潟等の空港あるいは地方空港の問題は、やはり宅地の何というか、現制が行なわれておりませんね、立法的に。こういう問題とからみ合わして、やはり空港ができたあとで住宅が建つというような問題が相当出てくるわけですよ。こういう問題のやはり立法化を考えなければ、建ったなら公害問題がこうだとかいう点で、非常に後手後手に回っているのじゃないかと思いますね。こういう点をやはりもう少し運輸省とし、あるいは関係当局と打ち合わせをして、そういう空港周辺の問題をもっと積極的にやるとか、こういう対策を講じませんと、後手後手を踏んで、あるいはジェットを入れたと、今度それがかなり拡大してくるという、こういう問題で確かに騒ぎが大きくなっていくんじゃないかと思いますけれども、こういう先行きのもう少し明確な見通しを立てた上の騒音対策というものをしなければ、何だか出てきた結果だけを何か穴埋めするための騒音対策に回ってしまっているという、こういう感じを受けるわけですね。この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/200
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201・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 確かに御指摘の点が重大な問題だと思います。いま現に、成田空港でもせっかくこういうところはこうでございますからといってお引っ越し願ったところに、今度また悪徳か何か知りませんけれども、業者が家を建てて建て売りをやるなんというようなことがあるそうでございまして、千葉県知事が非常にそういうようなことを憂えて、何とか規制措置を考えてくれという、この間もお話がございました。私どもといたしましても、建設当局にそういう実例を示して、規制措置、方法を考えてくれということで、いま鋭意その話を環境庁の長官のほうからも建設大臣あてにそういう申し込みをして検討をしていただいているわけでございます。
ただ、なかなかこれ、むずかしい問題だそうでございまして、いよいよ法律をつくるとなると。建設省でも頭をひねっておるようでございますが、熊本の飛行場みたいに県があの周囲の土地を買っちゃったわけなんです。ですから県有地でございますから、県の許可がなければ建てられない。こうなりますと非常に理想的でございますし、今度の国総法の法案がどういうふうに動きますかわかりませんけれども、もしも、どういう修正が加えられるか存じませんが、一応県知事がそこをばっと指定して、もう県の許可がなければ動かせぬというようなことになりますと、非常にうまくいくのじゃないかと思いますけれども、国総法の改正がどういうふうな今後動きを見せますか、なかなか——いずれにしてもいま御指摘のことは非常に重要な喫緊の問題だと思って、いま政府部内において鋭意検討している最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/201
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202・三木忠雄
○三木忠雄君 それじゃ最後に、昭和四十六年の十二月二十八日ですか、環境庁長官から運輸大臣にあてた勧告の問題について、具体的に運輸省としてはこの問題にどのように取り組んできたのか、また今後の見通しについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/202
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203・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先生御指摘の四十六年の環境庁勧告と申しますのは、四十六年十二月二十八日環境庁から環境基準をつくる一つの過程として中間的な御勧告をいただいておるわけでございまして、その主たる内容は、夜間における発着規制、それから民家の防音工事に着手をするように、それとあとはこまかいこととして、監視体制の強化というようなことではないかと思います。発着規制につきましては、その後四十七年に入りまして、これを受けまして四十七年の三月に運輸大臣の措置といたしまして、従来行なっていた大阪−東京の発着規制の強化ということをいたしまして、御承知のように、大阪空港につきましては夜間の十時から朝の七時、東京につきましては十一時から六時という規制強化を行なったわけでございまして、ただ大阪につきましては、その際若干例外的に郵便機を深夜に発着を認めておりましたが、これも御承知のように、先月末に廃止をいたしまして、現在は勧告どおり実施をいたしておるわけでございます。それから、東京につきましては発着規制後も緊急その他やむを得ないもので、若干の遅延機があることは先ほど局長が申し上げましたとおりでございますけれども、一応その基準に従ってやるような努力を続けております。
それから民家の防音工事については、WECPNL八五の地域について措置をとるようにということでございまして、これは四十八年度予算にこの趣旨を生かしまして予算の措置を講じたわけでございますが、法律の成立がおくれておりまして、まだ今日まで着手をしておりませんが、この法律をお認めいただきました後に、早急に着手をいたしたい。
それから監視体制につきましては、従来から行なっておりました監視塔、測定塔というものも若干ふやしましたし、また四十九年度以降はこの測定塔の測定体制というものをもう少し近代化いたしまして、単に一機一機の騒音を測定するだけでなくて、それらの測定点からの測定データで最終的にはWECPNL程度は算出できるようなものにいたしたいということでいま調査研究をいたして、四十九年度から着手をしたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/203
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204・三木忠雄
○三木忠雄君 もう一つ。民家の防音工事ですね、これは一室に限定をしているわけですね。二室の場合はとかいう点もありますけれども、たとえば一室の場合七五%補助で、あと二五%は個人負担ですね。この個人負担の二五%ということは、やはりこれは住民にとってはたいへんな問題でありまして、この二五%をどうするかということ、これをほんとうに考えなければ、ただ国ではそういう点をきめたけれども、具体的に、いざ、百万円のところ七十五万円渡した、二十五万円が個人負担という形になってきますと、非常に問題をはらんでくるのじゃないかと思うのですね。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/204
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205・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 予算を編成いたします際に、そういう七五%は国が出し、二五%は個人ないしは地方公共団体で負担していただきたい、こういう精神でございまして、防音工事を施すことによって耐用年数が延びるというようなことがございますので、まるまる国が負担するという理論もなかなか立てにくかった事情もございまして、一応七五%という線を出しましたけれども、残りの二五%全部が個人負担ということではございません。これはやはり地方公共団体が負担をしていただくということでいろいろお願いをしてまいったわけでございます。なお、その地方公共団体が負担いたします分につきましての裏負担と申しますか、それを何らかの形で国のほうでめんどうをみたいということで、これは財政当局とも御相談をして、四十九年度にすぐ間に合いますかどうですかやや疑問がございますけれども、そういうことで個人負担をできるだけ少なくするという実現のしかたをいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/205
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206・三木忠雄
○三木忠雄君 もう少しそこを明確にしておきたいのですけれども、地方公共団体との二五%の問題は、まあ各地方公共団体で、いろいろ各地域によって違うと思いますけれども、大体個人負担をしないで地方公共団体が負担するとか、そういう方向にうまくいく見通しですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/206
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207・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先ほど申し上げましたように、七五%までは国が持ちます、残りの二五%につきましては住民福祉の立場からできる限り地方公共団体において持っていただきたい。もちろん必ずしも全額ということではない。たとえば防音工事をすることによって耐用年数が延びるとか、若干そういう問題もございますので、全然個人負担がないということかどうかは別にいたしまして、できる限りを地方公共団体において持っていただきたい。ただ、その場合につきましては、先ほど申し上げましたように、それらの財源措置については将来において検討いたしたい、こういうことで現在お話をしておるわけでございます。当面問題の大阪につきましては、大阪府、兵庫県等においてそれぞれ所要の措置を講じていただけるというような方向で大体話が進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/207
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208・三木忠雄
○三木忠雄君 この整備機構ができる大阪はいいんです。たとえば福岡とか東京、こういう問題について二五%——耐用年数もあるからということから、最終的にはやはり個人負担にしいられるのではないかという問題が出てくるわけです。そうなった場合にはもう支給しませんという、あるいはやりませんという形をとるのか、あるいはそれに対して特別な融資策を考えるのか、あるいは伊丹の大阪空港並みに羽田あるいは福岡をやるのかどうかその点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/208
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209・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 当面の非常に戸数等の多い大阪につきましていろいろ地元との折衝をいたしておるわけでございますが、福岡ないしは東京につきましては、その大阪におきます措置を見まして、またいろいろお話し合いをしていきたいというふうに思っておりますが、いまのところの国の考え方といたしましては、先ほど申し上げましたように、国としては七五%負担いたしますという原則を明確にしておるわけでございまして、残りの負担につきましては、できる限り地方公共団体において所要の措置を講じていただくことを期待をいたしております。その話がうまくいきません場合には、その場合にどうするかまた検討いたしたいかように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/209
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210・三木忠雄
○三木忠雄君 これは運輸大臣に最後に。この問題、やはり羽田のほうがそういう問題が一番多いわけですね。最初の発生過程からいえばたいへんなんです。そういう問題を考えた場合、機構ができたところだけはそういう体制になるけれども、できなかった福岡とか東京はやはりおくれるというとこれはちょっと問題点があるのではないかと思うのです。この問題について、やはり運輸大臣が積極的にこの問題を解決するという方向にやっていただきたいと思うのですけれども、この点についてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/210
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211・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 四十九年度はいまこういうようなことでお願い申し上げておるわけでございますが、衆議院でも附帯決議をちょうだいしておりますし、いままた各委員からこの問題につきましてはきつい御指摘を受けております。したがいまして、五十年度におきましてはそういう御心配のないような方向で私も全力をあげてひとつ善処するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/211
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212・中村利次
○中村利次君 本法案が成立したとして、さきに環境庁が定めた環境基準を達成するという前提に立っていろんなことをおやりになると、その中には移転あるいは住宅の防音工事等々を含み、そういうことをおやりになると、こういうぐあいに前提として受け取ってよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/212
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213・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/213
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214・中村利次
○中村利次君 その場合ですね、これは私は連合審査でも質問をいたしましたけれども、どうも時間が足りなくて十分尽くすことができなかったんですが、たとえば住宅の防音工事をやる場合、自分の持ち家と、それから貨し家あるいは社宅、寮等について何か差別があるというような感じの答弁を伺っているんですが、いかがですか、その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/214
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215・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 連合審査の際に私のお答えが十分でなかったかと存じますが、私どもは基本的には人のお住まいになっているところについては、これは防音工事の措置をしていくべきだというふうに考えております。ただ申し上げましたのは、やはり個人の住宅、それも一部屋でいいから早くやってくれというような方から優先的に措置をいたすというのが当然ではないかと。それから大阪空港を主として頭に描いておりますけれども、大阪につきましても福岡につきましてもそうでございますが、ごく空港に近接したところというのにございますのは実態的には個人の住宅が多うございまして、社宅、寮というような性格のものは若干それより離れた地点にあるんではないかというような点も勘案いたしまして、まず一般住宅を優先にいたしたいという方針で処理をするということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/215
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216・中村利次
○中村利次君 わかりましたが、その点については、しかし私はやっぱり問題があると思うんですよ、一般住宅を優先にするというのは。これは航空機騒音に対する対策を立てるんだと、措置をするんだということは、原因はやっぱり騒音が激しくて健康上も、あるいは住宅環境の上からいっても住んでいる人が悪影響を受けるんだということだから、だから国費を含む費用までかけていろんな対策を講じようというんですから、したがって、あくまでも対象は、そこに住んでおる人たちのために対策を講じようというわけですから、社宅に住んでいようと寮に住んでいようと持ち家に住んでいようと、これは差別がないと思うんですよ。ですから、たとえば私は——種別によって違いますね、一種から三種まで、これは騒音の程度が違う。それをやっぱ近間から順次やっていくんだというならまことに合理的であって、納得をいたしますけれども、そういうぐあいに受け取ってよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/216
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217・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) いままで騒音課長がいろいろ申しておりましたけれども、まあ同じ条件で二つ並んでおったらというようなこまかいことを言っていると思うんですが、そうじゃなくてやっぱり趣旨は先生のお説のとおりだと思うんです。一番騒音の被害の多いところから、これはもう社宅であろうと何宅だろうと自宅だろうと、騒音の一番ひどいところからとにかくやっていくと、これがもう基本でなけりゃならぬと思います。またそういうふうに進めるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/217
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218・中村利次
○中村利次君 わかりました。そうであるべきだと私も思います。
それから今度は規模ですが、いま一部屋、とにかくとりあえず一部屋というあれがございましたけれども、これは四十八年度——まだ八年度ですけれども、四十九年度予算で一部屋ということですか。具体的にはどういう計画をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/218
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219・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) まず四十八年度当初予算につきましては、当初から一部屋優先ということで財政当局との話し合いがついております。で、四十八年度の予算の際に四十九年度以降二室について考慮するという約束になっております。四十九年度はその点を踏まえました上で、まだ中身を明確にしないで予算措置だけきめてございまして、工事単価その他もだいぶ変動いたしておりますし、そこらをにらみ合わせまして、この法律の成立を待ちまして財政当局との間で具体的な実施細目をきめることになっております。したがいまして、まだ明確にきまっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/219
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220・中村利次
○中村利次君 この法案は、環境基準が四十六年に定められたものに基づいて本法案は立案をされ提案をされたと、そこで去年の十二月に、たいへんこれは私はりっぱであり運輸省側からいうと相当にきびしい環境基準が設けられましたので、したがって本法案が成立したあとは去年の十二月に定められた環境基準とセットをするといいますか、その上でやっぱり環境基準の達成のために今日以降努力をしていきたいと、こういうことだと思いますので、そういうことからしますと、四十九年度はいま予算案を審議中ですから、五十年度以降の計画というのがあるのかないのか、その点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/220
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221・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先日来連合審査等でお答え申し上げておりますように、環境基準が設定されましたのが十二月の末でございまして、四十九年度の予算についての大筋はすでに終わっておった段階でございます。したがいまして、一般論といたしまして、この四十九年度予算の中にこの環境基準の達成のための具体策が盛られておるかということについては、一応私どもは先生先ほど御指摘のように、中間勧告というものを受けた線である、というふうに申し上げるべきだと存じますが、ただ全体といたしましては五十年度以降明らかになると思いますけれども、特定の大阪空港という問題につきましては、当初WECPNL八五の中のという中間勧告に基づきまして、WECPNL八五の中を四十八年度から七カ年かけて防音工事をやるという予定にいたしております。そういうふうなことで、この周辺整備機構に委託して行なわせるという計画になっております。したがいまして、その点は若干の手直しが要るんではないかというふうに思っておりますが、ほぼそう中間勧告の線とは違いませんし、また環境庁の環境基準の中間目標という線ともそれほど大きく食い違うということにはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/221
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222・中村利次
○中村利次君 しかし、これはまあ加速度をつけなきゃいかぬということは事実ですな。そういうぐあいに解釈してよろしいですね。
それでは、この問題については先ほどの大臣答弁もございましたので、私はもう一回確認をして、やっぱり事実認定に基づいたやり方、実情に即したやり方をやっていく、そして去年の十二月の環境庁の環境基準、それをできるだけ早く達成をしていくんだという方向でおやりになると確認いたしますけれども、そういう確認でよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/222
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223・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) そういうふうに御確認いただきたいと思います。私どももその方針で進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/223
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224・中村利次
○中村利次君 そこで御質問をしたいんですけれども、たいへんまあけっこうであるが、実情からいったら相当きびしいものを背負って環境基準を達成するような、努力じゃなくて、これはもう実行をしていくということになるんですが、これは私はぜひそうであってほしいと思いますし、またそうでなければならぬと思う。ところが、どうも伊丹空港だけではなくて、福岡あるいは東京の羽田空港でもその周辺に宅地造成をしたり、あるいはそこに家が新築されているという、こういう事態があるんですけれども、運輸省はその実態をどういうぐあいに受け取っていらっしゃるのか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/224
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225・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 先ほども三木委員からの御指摘もございました。また委員の視察報告の中にも現に板付空港でこういう事実があるじゃないかと、この点は十分配慮しなきゃならぬという御報告もございました。実はそれで、私のほうも頭を痛めている一つのことでございます。成田空港にも、せっかくお立ちのきいただいたあとに何とか業者が行って建て売り住宅をやっているところもあるんだそうでございます。千葉県知事はこういうことを何とか規制はできぬかと言って、この間も御連絡をちょうだいしているわけでございますが、運輸省といたしましても、環境庁と協議いたしまして、またそれだけばかりではございませんで、関係閣僚が集まりまして、これはひとつ立地規制と申しますか、そういう規制をぜひやってもらいたいということで建設省に強硬な申し入れをしているわけなんです。建設省もその必要性は認めておりますけれども、さあこいつを法律でやるということになりますと、これはなかなかむずかしい問題があるそうでございまして、市街化計画の中でやれぬかとか、いろんなことでいま頭をひねっている最中で、先ほども私申し上げたんですけれども、いま建設委員会にかかっております国土総合開発法がどういう修正になるかわかりませんけれども、あの中で見ますと、県知事がそこをばっと押さえて、ここは県知事の許可がない限りは開発できない、家を建てることもできぬというような、特定の地域に指定することができるようになっているようでございますが、その辺が問題で、また修正になるとこれは期待もできないわけですけれども、そういうような法律でもありますと、こういう問題が解決つくだろうと思いますが、事実いま御指摘の問題は現に起こりつつある切実な問題でございまして、建設省が中心になりまして、いま鋭意政府部内において検討を進めているという段階でございます。
なお党としましても、ことによれば議員立法で何かいい法律はできないだろうかというぐらいまで真剣にいま取り組んでいる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/225
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226・中村利次
○中村利次君 これは皆さんからも御指摘があったようですけれども、あれじゃ当然だと思うんですね。いや困るんだ困るんだ、あるいは検討中では、私はこれはおさまらない問題であって、片方では先ほどから質問しておりますように、あるいは御答弁をいただいておりますように、国費を含めて多額の金をかけて環境基準を達成するようないろんなことをやるわけです。片方ではそいつをずるずるくずしていくような、これはどこまでいったってイタチごっこですよね。それに対してこれを規制するという表現がいいのか、そういうものを防ぐという、あるいは環境基準達成のためにそういうものを守るというほうがいいのか、表現はどういう表現でもいいですけれども、その手法がないというのは、私はまことに行制府としての責任を達成する道ではないと思うんですが——環境庁と建設省お見えになっていますか。——これは建設省、環境庁から同じ質問に対する御答弁を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/226
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227・春日斉
○政府委員(春日斉君) 環境庁といたしましては、先般大阪空港の判決が出ました際に三木長官から談話を発表いたしております。その中で、先生の御指摘になりましたのと全く同じことを申しておりまして、今後はそういったものを防ぐために新しい法律も考えなければならぬであろう、そのためには関係各省庁とよく連携しながら検討していきたい、こういうことを述べておりまして、私どもも全く先生の御指摘に対してはそのとおりだと思いますし、現にいま大臣がお答えになりましたような方向で関係省庁と連携をとりながらディスカスしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/227
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228・野呂田芳成
○説明員(野呂田芳成君) しばしば御指摘ありますように、環境基準を越える地域ですでに住宅の開発がかなり進んでおりますので、このような事態に対処するために建設省もきびしい規制が必要であるというふうに考えております。この点につきましては、ただいま環境庁のほうからも御答弁がありましたとおりでございまして、中央公害対策審議会でも指摘されているとおりでございます。しかし現在の都市計画法、建築基準法では遺憾ながらなかなか限界がございます。現行法で規制をしようとしますとおおよそ二つの手段がございまして、一つは市街化区域ではなく調整区域に指定をするということでございます。一つは工業専用区域にいたしまして人間が夜間等居住しないようにするという手段しかないわけでございまして、現実にどうかということになりますと、すでに市街化が進行している区域ではこれを調整区域にしまして一切の建築行為を規制してしまうということは事実上全く不可能な場合が多いわけでございますし、それから工業専用区域にいたしまして人間が居住しないようにするという点につきましては、現実に住宅が大半でございますからそれを工業専用区域にしますと工場が自由に建設できることになりまして、それで住居と工場が混在してしまうという今度は問題が起こりまして、そのほかに工場の問題で住民は二重苦にあえぐということになってしまうわけでございます。
その場合に、居住者に対しましては連携行為で補償をいたしまして移転してもらうとかというような行為が伴いますと問題はないわけでございますが、遺憾ながら現在の都市計画法、建築基準法というものはそういう手段方法を持たないわけでございまして、したがいまして、おのずから限界が出てまいるわけであります。しかし新規に飛行場をつくります場合には、場所によりましては調整区域にできる場所もありますし、それから工業専用区域に初めから指定できる場所もあるということになりますから、そういうところにつきましては可能な限り対処してまいりたいというふうに考えております。
先ほど来、運輸大臣のほうから成田空港の問題がございましたが、いま千葉県当局とも十分協議を重ねておりますけれども、遺憾ながらこの都市計画決定は、知事が市町村長の意見を聞いて決定するもので、建設大臣はそれを認可するだけですから、なかなか大臣の意向だけでは指定できないという問題がございます。しかしできる限りのことはやはりしないと問題を残しますので、いま県当局と協議中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/228
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229・中村利次
○中村利次君 やっぱり対処をしたいという御答弁で、おのおのこれは若干のニュアンスの違いがあるわけですよ。いまのお答えは、可能な限り対処をしたい。私は、可能な限り対処をしたいでは、現行法ではこれは何ともどうもぐあいが悪いんですというところまではわかりますよ。しかし、だとすれば、どういう方法で、新しい法律をつくって対処をするのか、あるいはその他ぴしゃっと対処の手法があるのか。それから、こういうものが明らかにならないと、何とかそれは検討しますでは、検討している間にどんどんできちゃうわけですからね。もういまのやり方というのは、私はまことに納得できないんですがね。宅地造成が始まる。そうするとそこを買収折衝をやる。こんなどうも、何というか、どうもそういうことをやっているから、これははっきり言って運輸省が火だるまになったってたたかれますよ。どんどんまた新しいものが発生をする。それに対して幾ら手を打ったって、いまみたいなゆるふんでは永久にだめだ。たたかれっぱなし。
ところがきわめて閣内不統一でありまして、いまの御答弁を聞いても、失礼ですけれども、どうもやっぱり閣内不統一。これは速記録をお読みになっても不統一だと思う。ですから私が要望しているのは、それから質問の要点は、やっぱりそういうものをやめさせる。これは私は法権力をもって規制をするという、そういう権力的にものごとを考えるといろんなトラブルもあるかもしれないけれども、そうじゃなくって、国民の生活環境に即さない、あるいは人間の精神的あるいは生理的な、そういう健康に即さない、そういう条件から国民の健康を守るために、あるいは生活条件をよくするために、そういうところにはつくらせないようにする。だから、これは談話を発表したり、何とか可能な限り努力をするでは、私はこれは納得できませんから、ひとつぜひこういう方法でやるというものがないとこれはだめですよ。これはもう運輸大臣、火をかぶるのはあなたですからね。これは私は環境庁にしろ、それから建設省にしろ、連帯責任で、田中内閣として対処をする、こういうものがないと納得できませんな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/229
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230・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) まあ現に飛行機が飛んでいる下にどんどんお建てになるなら、やかましくても知りませんぞということも言えますけれども、特に成田みたいに、まだ飛んでないところに、せっかくお立ちのきいただいたあとに建つというようなことは、なかなかこれは将来においても、話もつかぬような話でございまして、いろいろな御指摘のとおりの問題がたくさん山積していると思います。
それで私どもも、先ほど来申し上げておりますように、その点を現地の知事がもう何とかしてくれと。おれのほうでは、現行法律では何ともできないということで連絡をとってきておるわけでございまして、いま建設省にも、この間も三木長官を中心にしまして閣僚が集まりまして、早急に何か手を打つ方法はないかということで検討を進めておりますし、また党におきましても、これはもう役所の手を待っておったのではとても話になるまいということで、ことによれば議員立法でもということで、いま私どももそれに一枚かみまして、できることならもう一日も早くそういうような規制の措置を、立法措置によらざるを得なければ立法措置においてとらざるを得ないということで、その作業をいま回転さしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/230
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231・中村利次
○中村利次君 これはもうぜひそういうことで、早急にはっきりした対処のしかたを、結論をお出しになることを私は要望いたします。
これは私がなぜこういうことを申し上げるかというと、全然違いますよ。次元も違うし、あるいは目的も違うでしょう。何も金を目的でそこへ家をお建てになっておるわけではありますまい。これはやっぱり意外とそういう騒音地域は地価が安いとか、いろんなあれがありましょうけれども、たとえばダムの建設がきまると、そこへ家を建てておる人もおるんですよ。もう水底に没することがわかっていて家を建てて、補償交渉が始まる。こんなばかげたことがやられている。あるいは原っぱに変電所が建った、昔。これは戦後です。そこへどんどん家が建ってきた。今度は公害で補償交渉が起きる。これはまだ対象が少ないからいいんです。まだ始末がいい。ところが航空騒音の場合には、いますでにこれほど深刻にやられて、国会でも議論されて、お気の毒ですけれども盛んに追及されて、きゅうきゅう言って対策が進められておる。またやらなければいけない。お気の毒であってもわれわれは徹底的に追及せざるを得ない。ところが、そこへ宅地造成や、家をつくるなんというのがそのまま野放しにされてごらんなさい。あるいは十分な対策が行なわれないまま推移してごらんなさい。数が多いんですからこれはまことに容易ならざる事態である。これは国の政策あるいは国益の上からいったって私はゆるがせにはできないと思うんです。特にそういうことをつけ加えて、ぜひこれはぴしっとした結論をお出しいただくことを要望しておきます。
それからもう時間がございませんから、最後に、この補償あるいは防音工事等の問題で、何か五〇%の補助あるいは全額負担、こういうような差別があるようですけれども、これは時間がありませんから私のほうから申し上げますけれども、どうも私は、持ち家であろうと、それが社宅、寮であろうと、あるいは貸し家であろうと、何か技術的には冷暖房を入れないといけないようになるんだそうですね、防音工事をすると。ところが、そこで住宅価値が上がるから、したがって貸し家だとか、社宅、寮のたぐいは半額だとか、持ち家は全部。こういうのは私はまことにこれは当たらないと思う。持ち家も上がるんです、もし上がるとすると。持ち家だろうと、貸し家だろうと、社宅だろうと、寮だろうと同じでしょう、価値がもし上がるとすれば。それを、全体の工事費のある面では何割、ある面では全額と、こういう差別をするというのは、これはまことに当を得ないと思うんですが、そういうことが事実ございますか、それとも全部同一になさるのかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/231
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232・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先生御指摘のは、アパート等の防音工事と一般民家の防音工事の補助率に差があるんじゃないかと、こういうことだと思います。先ほど申し上げましたように、実施細目はまだきめておりませんけれども、予算上財政当局との間の話では、一般民家については七五%、アパートについては五〇%という助成率ということで一応話が進んでおります。
で、理由といたしましては、先生おっしゃるようなお考えもあろうかと思いますけれども、やはりアパートと申しますものは、そこでその持ち主が、そのアパートを一つの手段として事業を行なっておるわけでございます。その事業の用に供しておりますものについて七五%ないしは一〇〇%というものを助成するということは望ましくないんではないか。したがって必要があれば、やはりそれで事業を行なっておる持ち主が所要の負担をすべきではないか。そういう意味では一般の家屋とは異なるんではないかというふうな考えで、一応そういうことをめどにいたしております。まだはっきり確定をいたしておるわけではございませんけれども、一応そういう考え方で、先生おっしゃるように五〇%の助成というものを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/232
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233・中村利次
○中村利次君 時間が来てしまいましたから、私はこれは質問じゃなくて、まだ確定をしてないんでしたら、ぜひこういう発想もあるということを申し上げて、そして検討されるかどうか伺いたいと思うんですがね。
私はやはりアパートを営利の目的でこさえた、したがって、これはアパートを高く貸せるから、その営業者に一部負担させるのは当然だという発想には賛成できないんですよ。これはかりに営業の目的でなくても、そこへ自宅を持っていて七五%のそれじゃ負担で冷暖房設備をした、何かの理由でこれがどっかへ、つとめか何かの関係でよそへ引っ越して、そこを貸し家にした。やっぱり冷暖房入っているからということで、アパートと同じようにこれは高く貸せるかもしれない、そのとき、あんたこれは営業用に用いたから、あのときの負担分はよこせということは言えないでしょう。ですから、これは時間があれば私はまだいろいろと議論をしたいと思いますけれども、もう一回ひとつ発想そのものを白紙に返して、そしてだれに聞かしてもなるほどと納得のできるやり方をやっていただくように要望したいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/233
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234・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) ごもっともな御意見でございまして、いまいろいろお話を申し上げておったのも、いわば苦しい答弁をしているわけでございます。銭を出すほうの大蔵省の立場になるといろんなことを申しますから、それの半分代弁みたいなこともやらなければなりませんし、いろいろ苦しい答弁でございますけれども、私どもとしましては、これはもう住民の生活をどう守るかというのが切実な当面の問題でございますから、御趣旨を体しまして、今後もできるだけその努力をしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/234
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235・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/235
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236・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/236
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237・瀬谷英行
○瀬谷英行君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となりました本法律案に反対の意思を表明いたします。
反対理由の第一は、陸海空を網羅した総合交通政策が確立をされていないということであります。航空機騒音の問題が社会問題化した原因は、交通行政の欠陥でもあります。異常な輸送需要の激増に対し、航空会社は競って大型化、高速化を進め、利潤の追求に走り、無制限な供給力の増強につとめてまいりました。その結果、航空騒音問題が発生をし、航空会社を中心とした航空政策の犠牲が飛行場周辺の関係住民に強制される結果となったものであります。政府は、公害に対する認識、理解を欠き、周辺整備という形で当面を糊塗しようとして、一番大切な総合交通政策を忘れているのは本末転倒と言わなければなりません。本来国際空港は立地条件から再検討すべきであり、継ぎはぎの空港を補修、存続すべきではありません。このような前提に立っているということが、まず本法律案に対する第一の反対理由でもあります。
第二は、航空騒音の発生源に対する規制と原因者負担の原則が明確に確立をされていないということであります。航空会社に責任があることが明白であるにもかかわらず、地方公共団体または個人の負担が全く解消されていないのは不合理であります。また発生源に対する規制が明らかでないことは、住民保護という目的を達成できるものでもありません。
第三に、本法の実施によって、迷惑をこうむっている関係住民の保護救済に万全を期しがたいということであります。周辺整備事業の事業そのものが、航空騒音に対する根本策ではなく、当座しのぎであることは、さきに指摘したとおりでありますが、財政的にもきわめて不十分であり、涙金で文字どおり泣き寝入りをする該当者の少なからざることが想像されます。それでは形の上だけの解決策にしかなりません。
以上のような理由により、騒音公害を根本的に解決することを強く要求する立場から、本法案に対し反対をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/237
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238・黒住忠行
○黒住忠行君 私は自由民主党を代表いたしまして、本法案に対し賛成の意思を表明するものであります。
その理由は、問題のむずかしさはあるとしても、本法案は、年々深刻化する航空機騒音問題に対し、その対策をさらに促進するものであることであります。本法の円滑な施行のためには、国と地方公共団体の緊密な協力、財源の確保、行政機構の強化等が肝要であり、同時にまた、音源対策、航行方法の改善等と相まって騒音防止対策の万全を期さなければなりません。
また、空港周辺整備機構は、新しい構想であり、その目的達成に格段の努力を望むものであります。
以上を要望いたしまして、本案に対する賛成の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/238
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239・三木忠雄
○三木忠雄君 私は公明党を代表して、ただいま議題となりました本法律案に対し反対の討論を行なうものであります。
まず、今回の法改正のおもな目的は、国の航空会社に対する過保護政策によってもたらした航空機騒音公害に対し、空港周辺整備機構を設立して、騒音対策を促進するとともに、住宅の防音工事を助成するという、何ら根本的解決をはかるものではなく、場当たり的法改正といえるのであります。
そこでわが党が、この法律案に反対する第一の理由は、周辺整備機構を設立して、順次、具体的な対策をとるようになっていますが、最も大切な周辺区域の指定などは政令にまかされており、大阪国際空港を将来どのようにするかという点が明確に示されていないことであります。
第二の理由としまして、騒音公害の対策は、公害の発生原因者に責任があるにもかかわらず、民家の移転、防音工事などを住民に一方的に押しつけ、空港の永久存続、拡張の手段ではないかとの危惧を抱かせ、抜本的解決を避けている点であります。政府がいま一番とるべき道は、騒音の主たる発生源である航空機自体の改善、エンジンの改良等、たとえが騒音防止のための吸音装置の開発、及び取りつけ義務化など、騒音低減対策を積極的に促進すべきであると考えます。さらに発生源を減少させるものとして、離発着の回数制限、航行ルートの検討などを忘れてはならないのであります。したがって政府は、少なくとも、航空機騒音に関する中央公害審議会の基準値をすみやかに達成するための音源対策を明示すべきなのであります。
次に、第三の理由としまして、本法律案の主要目的である大阪空港周辺整備機構の設置は、騒音発生原因者の責任が不明確なばかりか、空港周辺住民の願望とあまりにかけ離れている点であります。たとえば、一般民家の防音工事に対する国の補助率は、一室だけ七五%、二室目は五〇%であり、残りの二五%もしくは五〇%は自己負担をしなければならないのであります。しかも、騒音に悩む居住者にとっては、家屋全体の防音化を希望しているのは当然であるにもかかわらず、特に老人や病人、幼児等がどのように精神的、肉体的な悪影響を受けているか、詳細な把握もしないで、一室のみの防音化の助成でこと足れりとしている政府の机上プランに対し納得できません。結局は、企業優先のしりぬぐいを一般住民に負担させようとする姿勢で、幾ら周辺整備機構を設立しようとも、多大な成果を望むことは不可能なことであります。
反対する第四の理由は、移転補償問題であります。これまで行なわれてきた周辺住民に対する移転補償の実績を見ると進捗率はわずか五〇%にすぎないのであります。この低実績の原因は、一つには買い取り価格があまりにも低額であること、第二には移転を希望しても条件に合う代替地が見当たらないこと、第三に移転交渉に当たる担当者がわずかで、膨大な要望に対処できないことが理由にあげられるのであります。これらの過去の状況からしても、実情の補償金額では、現在住んでいる住宅と同規模、同条件の代替物を購入することは不可能であり、購入するためには、差額を補うために多大な負担をしなければならないことは明白なのであります。そこで代替地の造成や建築資材の値上がり分、土地代の高騰分の上のせ、スライド制などを考慮した、居住者の納得できる移転補償額を確約しない限り、実効ある機構とはいえないであります。
最後に、去る三月三日パリ郊外におけるエアバスの墜落事故は、空港周辺地域の人々にきわめて深いショックを与えました。ましてや、この大阪空港周辺でこのような事故が発生した場合、防災の対策が不備な状態にあるだけに、不安感がつのるばかりであります。わが党は、このようなエアバスの安全性に確たる見通しのないまま就航をさせることに絶対反対するものであります。そして政府は、これまでの航空行政があまりにも住民を無視したあり方を率直に認め、不急の需要を極力抑制するなど、誠意ある姿勢を示さない限り、住民の不信を取り除くことは困難であることをつけ加えまして、本法案の反対論を終了いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/239
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240・中村利次
○中村利次君 私は、民社党を代表して本法案に賛成する立場から討論をいたします。
本法案は、本委員会の審査あるいは連合審査等を通じて、やっぱり航空騒音に対するいろいろな問題があることが指摘をされまして、本法案がこの航空騒音に対する抜本的な対策たり得るかどうかという点については、私は必ずしも抜本的な対策たり得るということは言い切れないと思います。しかしながら、やはり空港は必要であり、なおかつ地域住民の騒音公害から住宅環境を守り、あるいはまた健康を守るという絶対使命をどう両立させるかということが、これが当面のやはり政治の課題であり、行政の課題であると思うのです。
たいへんにむずかしいことではありますけれども、何としてもこれを達成していかなければならないという、私どもは悲願に向かってやはり邁進をしていかなければならないと思う。その限りでは、本法案が必ずしも十分でないにいたしましても、やはり少なくとも現状よりも一歩前進であるということは、私はそういう認識に立てると思うのでありまして、抜本的課題の解消を強く私は要望しつつ、本法案に対する賛成の意思を表明したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/240
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241・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/241
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242・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。黒住君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/242
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243・黒住忠行
○黒住忠行君 私はただいま可決されました公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の共同提案による附帯決議案を、各会派を代表して提出いたします。案文を朗続いたします。
公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、航空機騒音問題の深刻な事態を深く認識し、その対策を強力に推進することは勿論、特に本法施行にあたり、次の諸事項について適切な措置を講ずべきである。
一、航空機騒音に係る環境基準の可及的速かな達成を図ること。そのための行政機構の強化、要員の確保等の実現を図ること。
二、航空機騒音の音源対策をさらに推進することとし、便数の削減、航行の方法の改善等について十分配慮すること。
三、住民に対する移転補償及び住宅の防音工事の助成については、さらに検討を加え十分な財源の確保を図ること。
四、第一種ないし第三種区域の指定について十分なる測定を行ない適正を期すること。
五、空港周辺整備計画の策定及び実施にあたっては、地方公共団体及び地元住民の意思が十分反映されるよう措置することとし、計画的かつ速かな実施を図ること。
なお、隣接地域の立地規制について、十分な検討を加え速かに措置すること。
六、空港周辺整備計画の実施に要する経費について、原因者負担の原則に基づき財源の確保を図ること。
七、地方公共団体の財政負担の軽減を図ること。
八、航空機の騒音、排気、振動等からくる健康被害について、速かに専門的見地からの組織的かつ定期的調査研究と検診を行なうこと。
九、なお、本法施行後も、引き続き航空機騒音による障害の軽減のための諸施策を検討し、必要に応じ所要の立法措置を考究すること。
右決議する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/243
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244・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) ただいま黒住君から提出されました附帯決議案を議題とし、直ちに採決を行ないます。
黒住君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/244
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245・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 全会一致と認めます。よって、黒住君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、徳永運輸大臣から発言を求められております。徳永運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/245
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246・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) ただいまは慎重御審議の結果、御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。
また、決議されました附帯決議の内容につきましては、その趣旨を十分尊重し、誠意をもって実施に当たる所存でございます。まことにありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/246
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247・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/247
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248・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/248
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249・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
まず政府から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/249
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250・森中守義
○森中守義君 ちょっと議事進行。
理事会でどういう決定が行なわれているのか、全然私どもにはわかりませんけれども、決定された事柄は、ひとつできるだけ詳細に委員会に委員長が報告をしてもらいたい。それが一つと、これは改選期に当たった国会では、往々にしてありがちなことですが、どうも今回の、今回というよりも、いま可決をされた法案以下予算法案二つですね、これはどうも考えてみると、院の審議日程の確保が全然できておりませんよ。したがって、かなり発言が制約される向きもあろうし、また各党でも非常にこういう点については、いま気を配っている。そこで私は、委員長が衆議院の委員長と、やはりその院における日程の確保ができるようにおりおり調整してもらいたい。おそらくこれからいま趣旨説明が二件にわたって行なわれ、直ちにその質疑、議了という、こういう段取りのようですがね。これはいままで長年運輸委員会にやっかいになっていて、あまり例のないことです。
したがって今回のような扱いを先例とされてはもちろん困るし、他院のことを干渉するわけではありませんが、衆議院の流れ等も多少私も知っておりますけれども、やはり衆議院の委員長ともおりおり調整をして、参議院の日程の確保ができるように、厳重に委員長の措置を私は求めておきたいと思う。非常に遺憾ですよ。法案を一日二本上げた。それからまたあと二、三日というような、こんなハードスケジュールなんてあまりありませんよ。もちろんこれは時期が時期でもあるし、法案それ自体が前国会から継続をされた予算法案という特殊な状態は、これはもう十分理解しておりますがね。それにしても衆議院の審議日程がどうであったのか、参議院がどうであるか、この辺のことはひとつ十二分に調整をしながら委員会の運営に当たってもらいたい。
また大臣のほうも、こういう実情というのは十分理解されていると思う。ですから立法府の任務がこういうような審議の状態ではたして果たされるかどうか非常に問題があります。言うまでもなく、院の改革改正を行なおうというときですから、まさに改正改革とは逆行ですよ、これは。したがって大臣、行政府のほうでも立法府に対してはそういう角度からの協力をお願いしておきたいと思う。委員長よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/250
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251・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) ただいまの森中委員の発言につきましては、趣旨ごもっともな点が多いと思いますので、委員長といたしましては、今後その趣旨を尊重して委員会の運営に当たりたいと存じます。
まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。徳永運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/251
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252・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) ただいま議題となりました船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
木船に関する保険は、昭和二十五年の船主相互保険組合法に基づいて設立された二つの木船相互保険組合が主として行なってきておりますが、近年、木船の減少とともに両組合に対する保険の加入隻数も減少しております。このような傾向がそのまま推移すれば、両組合の木船保険事業が保険事業の規模として適当でなくなるおそれがあり、組合員に対する保険サービスの維持も困難となると思われます。したがいまして、保険集団の規模の拡大をはかるため、組合の保険対象に小型の鋼船を加えるとともに、組合の合併の道を開くことによりその基盤強化をはかることが必要であると考えられます。
一方、国による木船再保険制度は、両組合の発足初期において、その保険能力の支援をはかることを目的として昭和二十八年に創設されたものでありますが、その後、木船の事故率は比較的低く、両組合合計の純保険収支は黒字を続けてまいりました。この結果両組合の異常危険準備金は約二億七千万円に達し、今後万一異常事態が発生してもこれにより対処し得るものと判断されます。したがいまして、国の再保険制度は十分にその使命を果たし終えたと考えられますので、これを廃止するとともに、約一億四千万円の木船再保険特別会計の積み立て金を組合に交付することにより、組合の保険能力の一そうの強化をはかろうとするものであります。
次に、改正案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、船主相互保険組合法の一部を改正いたしまして、「木船相互保険組合」を「小型船相互保険組合」に改め、その保険事業の対象に総トン数三百トン未満の小型鋼船を加えるとともに、新たに組合の合併の規定を設けることといたしております。
第二に、木船再保険法及び木船再保険特別会計法を廃止するとともに、木船再保険特別会計の積み立て金を同会計廃止の際、組合に交付する旨の規定を置くことといたしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願いいたします。
次に、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
第七十一回国会におきまして成立した国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律により、国鉄財政再建対策の一環として国鉄の運賃改定が昭和四十九年三月三十一日から実施されることとなっていることは御承知のとおりでございます。
しかしながら、現下の物価情勢はきわめてきびしいものがあり、このため、政府といたしましては、物価の安定を最優先の課題とし、総需要の抑制をはかる等総力をあげて物価対策に取り組んでいるところであります。
御提案申し上げております法律案は、このような物価対策の一環として、国鉄の運賃改定の実施期日を昭和四十九年十月一日に延期することをその内容とするものであります。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/252
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253・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
それでは、船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案について、質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/253
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254・杉山善太郎
○杉山善太郎君 慎重審議する時間と余裕がないことをはなはだ遺憾と存じますが、まず最初に大臣にお伺いしておきますが、この法律の改正案は、わが国海運政策の言うならば一環としての内航海運の合理化ではないかと、そういうふうに理解をいたしておりまするが、この際大臣の見解を簡潔にひとつお伺いをしたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/254
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255・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 今回の改正にあたりましては、提案理由の中でも御説明申し上げておりますように、木船がだんだんと鋼船化の傾向にあることは御案内のとおりでございます。したがいまして、これを二つの組合の合併の道を開くことによりまして、この保険組合の基盤強化をはかるということが主たる目的でございます。
本法案が成立いたしました上には、この円満な合併をはかりまして、組合員の保険サービスの向上に資してまいりたい、こういう趣旨でお願いを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/255
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256・杉山善太郎
○杉山善太郎君 私の杞憂であればいいのでありますけれども、この法改正後における保険組合の経営の言うならば健全化と申しますか、組合員に対する保障の確保等についての見通しというような問題について、たとえば木船の減少とか鋼船化について一体どのような見通しを立てておられるのか。木船の船主は弱小船主でありまするから、この法が実現すれば鋼船化という方向に変わっていくだろうと思いまするけれども、そういうような見通しは、当然きょうこれが可決決定され後日施行実施ということになりますれば、そういう見通しというものがあってしかるべきだと、こう思うのですが、まあ時間がありませんので、もう一つ見通しの一環として経営基盤の問題ですね、船主の経営基盤と政府の内航小型船に対する育成助成政策についてどのように考えておられるかということも見通しの中に含め、それから一般の損保と加入面などにおける競合があると思うのです、競争が起こると思うのです。これが任意保険でしょう、強制加入でないんでしょう。したがいまして、一般の損保との加入面で競合があると思うのでありますが、そういう点について、申しましたように、法改正後における保険組合の経営の健全化というものの基盤がしっかりすれば、その方向へ向いて、せっかく法律ができたのでありますから、合理化といっても、先ほど私が大臣にいみじくも申し上げましたように、日本の海運政策の一環である重要な役割りを果たす内航海運の合理化というものが、時勢の流れであるから弱い者はもう切り捨ててもしようがないんだと、そういうような形になってはたいへんなことだと思いますし、したがって私は、いま申し上げたような推移というものについて、どういうような見通しをしてこの法案を企画され、改正をしておられるかという、そういう点をひとつかいつまんで、これは海運局長からでいいと思うんですが、御説明いただきたいと、こう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/256
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257・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 先生お尋ねの、まず木船の隻数、トン数がどういうふうにして減ってきたかということを申しますと、実は、簡単に申しますけれども、木船の隻数、トン数は、昭和三十五年ごろの四万隻の百九十五万トンというのが最高でございました。ところが先ほど大臣から申し述べましたように、だんだんと近代化で鋼船化の傾向が進んでまいります。現在のところ隻数は、四十七年度の末で申しますと、一万五千隻、トン数が八十九万トンということに減っております。
そこで、私ども、木船が減りまして鋼船にかわっていくというのは、これは内航の近代化の現象として当然のことである、またこれは促進していかなければならぬと思っております。したがいまして、従来船舶整備公団の予算の中にも、木船あるいは鋼船をスクラップいたしまして鋼船をつくっていくという予算もつけてまいりましたが、特に来年度の四十九年度からは、木船をつぶして協業化をする木船の船主は引き続いて鋼船をつくっていける、木船の経営者がそのまま鋼船の経営者になるということに予算をつけて、さらに促進をはかっていきたいと思うのでございます。したがいまして、決して木船はつぶれてしまえということではございません。木船が鋼船化をして近代化される政策を促進していきたいと、こう考えているのでございます。
次に、保険の今後の成績がどうなるのかということでございます。私も先ほど申し述べましたように、木船の隻数がどんどん減ってまいりますので、保険の加入隻数もどんどんと減ってまいりました。せっかく木船の船主が相互扶助の目的で、いわば共済制度のようなかっこうでこういう木船の保険組合をつくって、保険制度を確立して二十年以上もたち現在に至っているわけでございますけれども、このままでまいりますと、木船の隻数が減る傾向に応じて、この木船の保険組合の加入隻数もどんどん減ってまいります。数字で申し上げますと、三十九年度の三千三百八十九隻というのが一番多うございましたが、そのときのトン数は三十二万二千トンでございましたが、四十七年度の末の数字で申し上げますと、二千百四十三隻に減っている、トン数は二十四万五千トンに減っているのでございます。そこで木船の全体の船腹量は減ってくる。したがって、この保険に加入しているところの船腹の量は減ってくる。これではせっかく相互扶助の目的で始めた組合員のための保険の制度が続けていけなくなるということになりますので、この際、二つの組合に分かれております相互保険の仕事を一本化すると同時に、小型の鋼船三百トン未満の分野に保険の仕事をふやしまして、積極的に鋼船の分野にふやす、仕事の分野をふやすということで、両々相まってこの木船保険の仕事を続けていかせたい、保険の組合員である人のための保険のサービスに欠けるところがないようにしたいというのが私どものねらいでございます。
したがいまして、私ども、この木船保険組合が小型船保険組合になりまして、今後うまく保険の仕事を続けていけるだろうかということについては、私どもも十分その採算なりを計算をいたしました。二組合が合併をいたしまして、新たに小型船の仕事を始めるということで、五ヵ年間の試算をいたしますと、木船の加入隻数というものは年々六%ぐらい隻数が減ってまいります。鋼船は、今後一年間に私どもが予定しておるのは大体八十隻ぐらいずつ、したがって五年間で四百隻ぐらい小型の鋼船がこの組合に入ってくるであろう。そういったことで木船は減っていきます。したがって木船の保険の採算は利益が減ってくると思います。鋼船のほうはだんだんとふえていくと思います。そういうことで五ヵ年間の計算をいたしまして、採算がとれて発展していくということを私どもは試算をいたしております。
それから木船のことにつきましては、実はこの組合の保険として二千隻余りがございます。それと並んで、民間の損保会社がいわば民営で千隻ばかりやっております。したがって、この組合の組織で二千、民営の組織で一千ということで、従来からこの木船の保険を両方並行してやっているというかっこうになっております。この関係はこれからも変わらないと思っております。
それから鋼船につきましては、いままでは民営の会社、民間の損保会社が二十社ばかりで全部の鋼船の保険をやっておりました。そのうちで私どもとしては、いままでの木船が鋼船にかわっていきます姿を想定いたしまして、大体いままで木船をやっていた人が鋼船で仕事を始めるとすれば、おそらく三百トン程度以下の鋼船をおつくりになるに違いない。そういうことで、その分野にこの組合の保険の仕事の範囲を広げたいということでございまして、三百トン以下の鋼船につきましては、従来民営でやっておりました分野にこの組合が事業分野を広げて競合をするということに相なります。しかしながら、私どもはやはり従来この木船の組合に入っておりました方が鋼船にかわっていくという方々を主として考えたり、また比較的はしけその他で小型の船であるというものを持っておられる船主の方を中心にこの組合に入られることを期待をして、十分民間の損保会社とは共存共栄の立場を持ちながら、この組合の発展を私どもは今後期待していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/257
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258・杉山善太郎
○杉山善太郎君 そうすると、一般損保との加入面などの競合については、そこをうまくコントロールをしてという配慮も、法が一人歩きをして、そういうような状態の中に、配慮しておられるというふうに理解してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/258
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259・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 法律の中でこの分野は民間保険、この分野は組合の保険というふうに書いているわけではございませんが、私ども今後の指導方針としては、十分民営の損保との共存共栄をはかっていかなければならぬということを考えております。
また特に鋼船につきましては、再保険の制度を民間の保険会社に依頼をするという関係もございますので、その面からしても民間の損保との関係は共存共栄で十分調整をはかっていかなければならないということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/259
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260・杉山善太郎
○杉山善太郎君 わがふるさとにまさるものはないのでありまして、実は新潟海運局に、きょう、私は思いつきのようでありまするけれども、この問題が慎重審議といいながらも、非常に限られた時間の中で、わが郷土における越佐関係や日本海方面水域の状態はどういうふうになっているかということを、電話で海運局に聞いてみたわけです。そういう中から、いまこの法改正における保険組合の経営健全化と組合員に対する保障の確保についての見通しはどうかということについて、新潟の状態は非常に憂うべき状態なんですよ。
もののついでですから申し上げておきますが、これは新潟海運局の集計で簡単なものでありますけれども、電話の往復でありますが、対象となる木船の数は百トン未満が四隻なんです。二十トン未満が十六隻。計二十隻ということであります。それから加入の状況ですが、二十トン未満六隻が加入をしておる。会社の持ち船で比較的収入がある。ほかの収入の悪い会社はみんな損保に入っておる。こういうかっこうなんです。
それから新しい対象船としては鋼船三百トン未満が二十一隻あるというふうに言っております。現在これだけは損保に入っているわけです。で、木船の加入のうちの四隻及び鋼船のほとんどは日本海内航海運株式会社というのがあるわけですが、これの経営状態は悪いのです、弱小船主でありますが、しかし冬の荒海の中に、相当に収支が悪ければ、これは過積みであるかないかのすれすれで航海をしておるわけでありますけれども、しかし背に腹はかえられないから、沈没の場合をおそれて損保に加入をしておる。しかし経営収支面から、わずかの保険料でさえもなかなか払いにいく、いわゆる弱小船主でありますけれども、こういうような船主、これはただ新潟海運局管下だけではないと思います。若松であるとかは別でありまするけれども、日本列島の全域には相当にこれらの対象になる、非常に迷いを持っている、そしてこれが法制化すれば安心感を持って、損保との競合というよりも、この一本化された組合のほうへ加入するというような方向を、展望としてどういうように判断をしておられますか、その辺をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/260
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261・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) ちょっとこれは新潟の実情と離れるかもしれませんけれども、実は私は先ほど組合に二千隻入っている、それから損保には千隻入っていると申し上げましたが、実はあまり全体の隻数に対しまして、木船の加入の隻数という、加入の比率というものはあまり高くないのでございます。大体全体の隻数が一万五千隻でございまして、組合の二千隻だけとすれば比率は一四%弱でございます。かりに損保の千隻を入れて三千隻になりましても二割弱ということでございます。その原因は実は二十トン未満あるいは二十トンから五十トンまでという小さい船の加入の率が極端に低いのでございます。一例をあげますと、貨物船につきましては二十トン未満の加入率が組合の二千隻の分だけとりましたら〇・九%、それから五十トンまでの船をとりましたら八・五%、したがって非常に小さい船の比率が悪い。逆に百トンをこえますと六一・六%、それから二百トンをこえますと七六%というふうに加入率が非常によくなるのでございます。
そこで私ども、できるだけ相互扶助の面から保険に入ることを指導するということを従来もやってまいりました。もちろん今後ともやってまいりたいと思いますけれども、どうも小さい船はやはり一日港の中で働くというのが常態でございまして、特に荒い波のところへ出ていって沈没するおそれもないというような場合には、どうしてもやはり保険に加入する実績が低いということで、こういう数字になっているのじゃないかと思うのでございます。
それから鋼船のほうにつきましては、ぜひひとつこの組合で鋼船の仕事が始まりましたら、せっかくその相互扶助、共済的な考え方で二十年間育ってきたこの組合でございますから、両組合が一緒になって基盤が強化されるということで、皆さんに入られるようにこの保険組合も働くと思いますし、われわれもできるだけの指導をして、そういった被害に備えてぜひ保険の加入の成績をあげるように、私ども指導していきたいと思っております。また民間保険とは決して競争するわけじゃありませんけれども、せっかく組合のためにということで始まった制度ですから、サービスの面において遜色がないように、私どももぜひ指導していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/261
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262・杉山善太郎
○杉山善太郎君 先ほどちょっと海運局長はお答えになったと思いますけれども、あらためて確認する意味もかねまして、さらにお伺いしますが、木船の鋼船化を促進するために、代替建造として四十九年度、言うならばことしですね、ことしは六千トンの新しい小型鋼船をつくることを予定しておられる。この対象となる船の種類ですね。そういったようなものについて、たとえば隻数が何隻であるとか、トン数が何トン級のものをつくるか、船舶公団船以外の小型船も見込んで年間何隻程度の加入が考えられるか、保険経営の採算上、年間何隻程度の加入が今後必要かというような点について、一応これはいまはっきりしたことでなくても、大筋として大体年度の始まりであるし、計画の中のワク組みのスタートラインだろうと思いますので、ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/262
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263・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 私ども四十九年度の木船の予算を、先生お話のように六千トン、四億円ということで公団の予算の中に組み入れてございます。大体いままで木船から鋼船にかわっていきました傾向をちょっと申し上げたいのでございますけれども、公団船と自己資金船と全部合計をいたしまして、四十三年度、四十四年度、四十五年度、四十六年度ということで、四年間どういった木船がスクラップになりまして、どういった形の鋼船が建造されてきたかということを申し上げさしていただきますと、四年度間を通じまして建造された鋼船は九百五十九隻、うち貨物船が八百八十隻、油送船が七十九隻でございますが、その九百五十九隻の建造の総トン数は二十四万五千トン、したがって一隻当たりの平均トン数が二百五十六トン。大体、木船から鋼船にかわってまいりました船の大きさが二百トンから三百トンまでの間で平均すれば二百五十六トンというような数字になって、新しい鋼船が建造されてきた。それに対しまして引き当てられました、スクラップされました木船の隻数は、その四年度間で二千七百隻で、トン数は十八万トン、一隻当たり六十七トンという木船がスクラップされてきたというかっこうでございます。
それからもう一つの例で申しますと、この同じ四十三年度から四十六年度の間に内航総連合会の手で建造承認を受けました自己資金の貨物船で申し上げますと、全部の建造の貨物船が七百九十五隻で十六万七千トンでございます。これは一隻当たりの平均値をとってみますと、二百十一総トンです。これも大体三百総トンまでの貨物船が建造されてきたということがわかるのでございます。で、この七百九十五隻のうちに、三百トン未満の船は六百八十五隻ございます。したがって、八六%は三百トン未満の船であったということが傾向としてうかがわれるのでございます。そういった面で、私どもも、公団の予算、四十九年度六千トンということを予定しておりますが、大体、一九九と申します、いわゆる百九十九総トンの船が建造される船型からいって多いと思いますので、かりに二百トン平均だとすれば、六千トンでございますと、三十隻新しい鋼船が生まれ出るというような姿を私どもは予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/263
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264・杉山善太郎
○杉山善太郎君 いま海運局長のそういうお話の程度から判断をして、保険経営の採算上は、言われるがごとく、計画のような方向で進行すれば、保険経営の採算というものの基盤は、一応だいじょうぶだというふうに見通しを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/264
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265・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 私ども、木船は減ってまいります、しかし、鋼船はこういうことでふえてまいりますので、五年間の採算を試算いたしました結果によりましても、先行きはだいじょうぶであるということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/265
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266・杉山善太郎
○杉山善太郎君 私は心配性でありまするから、こういう見地からひとつお尋ねをしていきたいと思うのですが、保険経営の健全化の要素として船主の経営基盤の確立が必要だと思うのですよ。先ほどちょっと新潟のことを申し上げましたが、相当に、越佐航路であるとか、北海道であるとか、その他非常に航路の重要性を持ちながらも、船主が非常に弱小である、したがって船も悪い、しかし沈没というものがあるから、採算というものを度外視しても一応損保に入っていくというような、そういうことであって、せっかくこれが内航海運のいい意味の合理化の方向の中で、従来あった二つの、東京と若松の組合が合併されて、一つの船主保険組合ということになるわけでありまするから、したがって、その経営基盤というものは、あくまで強化されたものでなければならぬ。ではあるが、現状というものは一ぱい船主が家内工業的に行なっているというのが大体ローカル段階の弱小船主の実態だと思うんですよ。運航者として、また下請的に運航しているものが、事情があって、保険は損保に入っているわけでありまするけれども、その保険証書までも担保にして経営をしてあるというのが、これは自転車操業と申しましょうか、そういうのが相当な数あるのだと、私どもの海事新聞で見ると、加入者の三割ぐらいがそういうような弱小船主である。
そういうものが結局時の流れだから、弱い者は敗退しても、自然でしようがないじゃないかというようになることを心配するわけでありますが、政府の内航小型船に対する手厚い育成保護というようなものに対して、どういうふうな配慮をされるか、たとえば船員も実は比較的待遇のいい、状態のいいほうへ向いていくわけでありますから、船員も比較的不足をしてくる。それから何とか金繰りをつけてつくろうとしても、船価が現在の状態の中から非常に高くなってきて、計算どおりの金を集めてみたのだが、発注してみるとなかなか予定どおり、計算どおりいかぬというような難問が弱小船主の中にはあらわれてくる。
それからフェリーボートとの競合ですね。フェリーボートというものは、大型から小型化して、非常にきめこまかく内航海運の中に食い込んできている。それから荷主のダンピングの圧力というようなものもあるというようなかっこうで、陸上におけるやみトラックとかいうようなそれと質は違いますけれども、そういう一つの内部予盾というものを露呈をしているという面もあり得るわけでありますから、せっかく法改正によって、内航海運として重要な役割りを持つものでありまするから、そういう点について、私の杞憂だけであれば幸いでありますけれども、そういう点について、どのようにお考えであるか、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/266
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267・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 先生おっしゃるとおり、内航の、特に木船の運送業ということを取り上げてみましたら、ほんとうに経営がきびしい条件に置かれているというのは事実でございます。かなり古い船齢の船も持っておりますし、それから先生御指摘のように、私ども実は調べてまいりましたけれども、この保険自体が質に入っているという実例もかなりございます。この一番苦しいであろうところの木船の運送事業を、一方では積極的な意味で協業化をして、鋼船の船主に力をつけて伸びていってもらいたいということについては、従来もやってまいりましたし、先ほども申し述べましたとおりで、どんどんやっていきたいと思います。
それから、やはり適正な運賃を収受するということで、荷主に隷属的な関係に置かれないようにというような面での配慮が必要でございますので、これは海運組合総連合会の中で、その組合活動を充実させることによって、適正な運賃を取らせるということに努力をしていきたいと思います。また実効はあがっていると思います。
それから、もう一つは、やはりオーナーとして、オペレーターにそういった利益が吸い上げられないように二重的な構造を避けていくということが必要でございます。これもそういった面から私どもも今後ともその力をかしていきたいと思います。
保険につきましては、まあ苦しいそういった事業収支の中からでございますけれども、やっぱり沈没したといったら、これまた商売道具がもう全くなくなってしまうのでございますから、ぜひこの組合保険の趣旨を生かして、できるだけ低廉なその保険サービスというものを続けていかせたいと思いますので、相互扶助の面から保険へ加入してもらって、その不時の災難に備えるということにしてもらいたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/267
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268・杉山善太郎
○杉山善太郎君 限られた時間でありますから多くを根掘り葉掘りつくわけにいきませんけれども、昭和四十八年十月十八日付の海事新聞ですね。海上海事の専門新聞でありますが、これには「崩壊寸前の木船相互保険制度」という大きな見出しでいろいろと経過と歴史がうたわれておるわけでありますが、その中に「損保業界を説得」、「組合の鋼船分野進出で運輸省、存続に努力」というかっこうで、それなりに努力しておられるということは評価します。わが党といたしましても、わが党次元では原則的にはこの法改正についてはいろいろああもしてほしい、こうもしたいという注文はつけるけれども、しかし原則的には賛成ということには党次元ではとっているわけであります。したがって皆さんのほうの側で、しゅうとであれ小じゅうとでありましても、いろいろなことを聞くということは意地悪をするということではないと、しかし非常にこの木船が廃退をしていくと、しかしそれには鋼船化されていくと、これには相当なやっぱり財力が要るんだと、協業化していこうというその点については評価できると思うんで、私も、これ半ページを通して書いておりまするので、いろいろそれなりに見てみたわけであります。
それでさらに進めますが、現在は小型鋼船ですね、いま損保に加入しているが、将来競合が起こることが考えられる。それをどのように指導していくのか。この小型鋼船は一般の損保に加入しておる率が多いのでありますが、これが一つに統一されれば将来競合も起きると考えられますけれども、法的な根拠を持つこの船主相互保険ができたんだからというような、そういう点について行政系列下の、各配置された海運局等を通してどういうような行政指導をされるのか、そういう点について、特に海難統計からいくというというと百トンから五百トンの海難が実は多いようでありまして、このため保険にはね返ってくることが考えられるし、船主のリスクの少ない損保に加入することが考えられるわけであります。損保とこの保険との優劣はどうか。この保険を健全化させるために損保に対する歯どめ、あるいは調整というものを考えられるかどうかという点も、一応私は私なりに心配するわけであります。統合された保険組合ができた場合の料金や、政府の再保険がある場合を仮定した場合、ない場合を仮定した場合、割り高になるのではないかというような心配は、これは杞憂であるのかどうか、その辺のところをひとつわかるように解明をしていただきたいと、こう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/268
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269・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 小型鋼船の三百トン未満のことにつきましては、今度仕事をその分野にふやします組合と、それから従来その小型鋼船の三百トンまでを含んで全部の鋼船の船体保険をやっておりました民間損保との競合関係が生ずるのは、そのとおりでございます。私どもせっかく二十数年来育ってまいりましたこの組合の保険でございますので、いままでも木船保険を、先ほども申し述べましたとおり、組合で二千隻、損保で千隻ということでやっておりますけれども、幸いにして組合の保険のサービスが——単純な比較はなかなかできません。料率が安いとか高いとか、それからいろんなサービスの面での比較がございますが、単純な比較はできませんけれども、木船組合の保険のサービスが損保に劣らずいままでやってこれた、組合員の保険のサービスにとって満足できるサービスを与えてきたということは、いままでの歴史で事実でございます。したがいまして、今度小型鋼船の分野に新たにこの両組合が合併したあとで仕事がふえていくわけでございますけれども、この点についても民間損保のサービスに比べて新しい組合の保険サービスが決して遜色のないように指導していきたいと思います。
国の再保険につきましては、木船の事業につきましては昭和二十八年に発足当時のこの木船保険でございましたので、基礎もまだ定まらなかったので、また民間に再保険を頼む相手もございませんでしたので、国が再保険の制度をしいて今日に至ってきたという経緯はございますが、鋼船のほうは、現在鋼船の保険をやっております二十社程度の民間保険もそれぞれ別個の再保険会社に再保険に出しているということでございまして、この組合が新たに小型の鋼船に活躍の分野を広げましても、その再保険の制度はいま民間の二十社が再保険に出しておる相手の再保険機構と同じところへ実は委託をしようというふうに考えております。これは木船の再保険制度が生まれたときに、国の再保険でなければ再保険制度の引き受け手がなかったというのとは事情を異にして、現在では鋼船については民間の再保険機構というのがしっかりしておるので、そこに依頼をするということでございます。
で、そういった再保険を依頼いたしますけれども、先ほども申し述べましたとおりに、保険のサービスにつきましては民間の損保と変わりはなく、さらにそれ以上のサービスを保険組合員のためにできるようにいたしたい。まあ多少口幅ったい言い方になりますけれども、民間の損保はやっぱりその営利ということが目的でそういう仕事をなさるわけですが、組合はそういった利益というものを目的とせずに、ほんとうに組合員のためにその保険サービスを続けるということを目的としてやれるので、何とかそういった組合員のサービスに対する期待にこたえる運営ができると私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/269
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270・杉山善太郎
○杉山善太郎君 まあ法改正の後において、やはり再保険を結局廃止をするということになるのですか。また廃止するとすれば、廃止しなければならない理由というのは一体どういうことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/270
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271・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 木船の再保険制度は廃止をいたします。それから鋼船の再保険制度は、これはどうしても発足当初で必要でございますから、民間損保の再保険機構に委託をいたしますという二つに分かれることでございます。で、木船のほうの再保険制度は、二十八年にできまして、そのときの木船保険の組合が持っております異常危険のために準備をする積み立て金というものは千百万円程度しかなかったのでございます。したがって昭和二十八年度ごろに大きな災害が出てまいりますと、この保険の組合はとても保険金の支払い能力に欠けるという点がございましたので、国の再保険制度で七割をカバーするということで今日に至っております。
ところが、幸いにいたしまして、木船の保険の事故率というものは、その当時想定しておりましたよりも比較的低くて済みました。そこで、この両組合の純粋な保険収支というものを見ていきましても、両方合計いたしますとずっと黒字で今日まで推移してまいりました。当初非常に少なかった異常危険準備金が四十七年度末になりますと二億七千万円程度になると思われるのでございます。それから、また一方、国の七割再保険をしておりました特別会計のほうも、発足当初の三十年に一ぺんだけ赤字というときがございましたが、ずっと黒字で推移してきて、この特別会計自体にも一億四千万円程度の積み立て金がございます。そこで両組合が合併いたしますのを機に、国の再保険特別会計は一億四千万円程度の特別積み立て金をこの組合に交付するということにいたしておりますので、この組合は自分で積み立てた二億七千万円の金と、それから国の再保険から交付を受けるべき一億四千万円の金と合計して四億一千万円程度の積み立て金、異常危険準備金というものができます。
そこで従来異常危険というものはどの程度発生したであろうかということを、私どもずっと過去の歴史をさかのぼって考えてみましたら、ルース台風というときが一番大きかったと思います。これが過去二十年間に一度あったかなかったかということでございますが、そこで私どもは、そのルース台風程度のものが今後出てきたらどうであろうかという試算もしてみましたが、大体五十年度に木船は多少現在よりも隻数が減ります。鋼船は四十九年度七十隻、それから五十年度にいきますと百四、五十隻になると思いますけれども、そういったことで鋼船の加入隻数はふえていきますが、その両方合わせました事態を想定して、ルース台風が発生したときに大体一億三千六百万円程度の災害金で済むであろう。そうすると四億一千万円がさらに五十年度ごろになりますと危険準備金はもう数百万円ふえると思いますので、四億数千万円の積み立て金の中でルース台風級の損害金一億三千六百万円の消化は三回分以上できると、二十年間にあったかなかったかの災害でございますから、その程度の積み立て金があればだいじょうぶだと、要するにそういうことで、私どもは異常危険準備に備えて、出発当初は国の再保険制度というものがどうしても基盤が固まるまでは必要でございましたけれども、現在としてはもうその必要はないということで、木船のほうはやめるということでございます。ただし鋼船のほうは一定比率の再保険というものは発足当初でございまして、必要だと思いますので、これは民間の損保の再保険機構のほうに一定比率の再保険は依頼しようということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/271
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272・杉山善太郎
○杉山善太郎君 もう一、二問で質問を終わりますが、念には念を押し、心配は心配として、やはりこの時点ではいろいろと根掘り葉掘り聞いていく必要があるのですが、商魂たくましい一般の損保である海上保険会社——日通その他いろいろと海上火災保険がありますが、これは非常なやはり情熱を傾けて、商売で商魂たくましくやるわけでありますが、こういう一般の海上損保事業との競合、言うなれば、この制度の目的は木船相互保険組合を小型船舶相互保険組合に改め、保険事業の対象に総トン数三百トン未満の小型鋼船を加えるということが一つの大きな柱で、もう一つ新たに組合の合併の規定を設けて、二つの組合を合併すると、二つの組合というのは、言うまでもないことですが、全日本木船相互保険組合、これは東京にあるわけですね。もう一つは日本木船相互保険組合で若松にあるわけです。この二つのものを一つに統合をして、木船再保険法及び特別会計法を廃止して、積み立て金を組合に交付する。こういう形で、なるほど客観的には相当な基盤も整備されると思うのでありますけれども、しかし一般の損保である海上保険などと競争をする。したがって、これは法に基づく保険制度ですから営利を目的としないのでありますけれども、ただ独立採算制の基盤というものは、これははっきり自信を持って、これは競合に耐えて、なおかついいものはいいと評価して、やがて群小の木船船主は協業化して、融資を受けて、三百トン未満でつくり上げていくというような方向に、十分この法律発足後においてはいき、またそういうように行政指導をする、そういう自信を持っておられるかどうかということについて、これで質問を終わりますが、これはなかなか心配しているのですよ、そういう点でひとつお答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/272
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273・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 先生から御心配をいただきまして、私どもも極力今後そういった点に指導をしてやっていきたいと思います。まずは合併のメリットというものを十分発揮させなければいけないと思います。
それから、決して商売ではありませんけれども、事業としてやるんですから、いままでのままでほうっておきますと、とにかく木船が先細りになるということで、なかなか積極的な事業ということに対する熱意が、もしいままで欠けておるような点があったら、この際、両組合の合併を機に、また新たに小型鋼船の活躍の分野をふやすということを企図して、十分その事業活動に努力させるように指導していきたいと思います。
また民営の損保とは、やはり再保険関係などで持ちつ持たれつの関係がございますし、共存共栄ということでやっていかなければいけないと思います。そういった点で、私ども十分指導監督をして、今後の木船保険が合併をして、小型船保険組合となった暁におきましては、努力をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/273
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274・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) いろいろ御指摘がございましたように、この法案を御審議いただきまして成立さしていただきました暁には、十分いま御指摘になったような点を考えまして、零細企業と申しますか、零細中小船主に対しまして適切な保険サービスが提供できるように、十分な指導をしてまいりたいと思います。
なおまた、民間の損保会社とも、これは当然共存共栄をはからなければならないことでございますから、この点も十分留意するとともに、この被保険者の利益が確保されるように、今後とも大蔵省、関係省庁とも十分連絡協議いたしまして、その御心配のないようなひとつ努力を重ねてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/274
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275・杉山善太郎
○杉山善太郎君 一点だけ要望申し上げておきます。
最初に申し上げましたように、わが国の海運政策の一環としての内航海運というものは、日本列島改造の位置づけというものを真剣に考えてみた場合に、この内航海運の果たすべき役割りは日本海運政策の一環として非常に重要だと思うんですよ。そういう中で、この法律が合理化の悪い面が出て、弱い者は資本もなければ協業化しても、そのことさえももはや力がないんだという形で、先祖代々ののれんがもうつぶれてしまったということのないように、合理化の逆目が出ないように最大限、重ねて申し上げますけれども、日本海運政策の一環としての内航海運の強化という方向について、合理化の悪い面が出ないように最大限、大所高所から、行政指導の面、あるいは政治の面においても十分御配慮を願いたいと、そういうことを心配しながら、十分政府当局においても、ひとつ真剣に勉強していただきたいということを、これは要望でありますから、回答はいただかなくてもけっこうであります。
これで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/275
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276・阿部憲一
○阿部憲一君 この本法案についての実は質疑でございますけれども、ただいままでの杉山委員の質問並びに当局のこれに対するお答えでもって、大体もう尽きたようにも考えます。ただ一つだけお伺いしたいんですが、この小型鋼船を三百総トンということにしておりますね。いまの御質問の中でも、大体いまの傾向がそうだからということだと思いますが、なにゆえに三百で切ったかということをちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/276
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277・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) さきほど過去の傾向については申し上げたとおりでございます。大体ああいう傾向で変わってきておるということでございます。
それから、やはり運んでおる物資その他の海運活動の実態を見まして、木船が変わっていく鋼船としては、大体三百トン未満のところの海運活動、鋼船の海運活動とほぼ似ているものであるということを私どもは考えたのでございます。それから、やはり保険の対象といたしますのには、やはり三百トン未満というところで線を引きまして、この海難の実態を見ましても、かなり三百トン以下というところの事故率が多いので、それをねらって、やはりカバーすべき保険制度をしきたいということを考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/277
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278・阿部憲一
○阿部憲一君 よくわかりました。
次に内航関係について二、三当局にお伺いしたいんですが、御承知のように、本四架橋の問題ですが、これはいま総需要抑制の政府の方針から延期されておる、まあスローダウンされておるように考えておりますが、これは一体どのような状態になっているんでしょうか、簡単でけっこうですから御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/278
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279・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 本四架橋は一応路線の決定まで見まして調査を進めてきたわけでございますが、総需要抑制の立場から、御存じのような今年度におきまする工事量というものは一応繰り越しをしたわけでございます。しからば今後これがどういうふうに動くかということにつきましては経済的な安定と申しますか、それの見通しができてからのことでございまして、ただいまのところ、この三つの架橋をどういうふうにやるのか、あるいはいつからしからば始めるのかということ等については、ただいまのところまだ正確な見通しを持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/279
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280・阿部憲一
○阿部憲一君 まあ非常に着工なども延ばされたわけでございますけれども、これは結局やるおつもりなんでございましょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/280
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281・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) もちろん大工事でございますから、先ほど申し上げましたように、どういう形で今後持っていくか等についてはいろいろ問題があろうと思いますが、やることには一応の計画を進めることだろうというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/281
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282・阿部憲一
○阿部憲一君 まあ御承知かと思いますが、この本四架橋が昨年来具体化して、いよいよ昨年の十一月ですか着工しようと、このような姿勢になりましたときに、これに一番大きな利害関係を持っておるのは、御承知のように内航海運であると、四国並びに中国方面、九州方面の内航業者が非常に大きな影響を受けますし、またこれに関連した連絡事業をしている人たちにも大きく影響を及ぼすわけであります。そんなことから、実は日本旅客船協会からもそのような航路補償の要求が来ているのは御承知のとおりでございますが、これに基づきますと、そのいまの本四架橋ができますると、航路の廃止が事業者数にして三十九、航路数が六十三、これがもう廃止されてしまいますし、規模縮小が事業者数で六、航路数が七、合計しますと四十一の事業者が非常な大きな打撃を受けるわけでございまするし、また航路数も七十航路が廃止されざるを得ない、こういう状況でございます。
したがって、いま関係しておる船としましては三百八十一隻ですか、これが要するに売却せざるを得ない、こういう状況であります。総トン数でもって二十万九千三百九十トンと、こうなっております。それから船に乗っておる乗り組み員のほうですね、これは船員が七千六百四十二人、それから関連する陸員が三千四百七十九名、合計一万一千百二十一名のいまの従業員の方が、要するに仕事を変えるか、あるいはまたこれによって離職するか、あるいはまたほかの航路の船に乗るかとか、いろいろなことに当面するわけでございますが、これに対しての補償要求がなされたわけでございます。またこれに関連して、全日本海員組合のほうからも船員の雇用と生活に与える影響についての指摘があったのは御承知だと思いますが、これはいま大臣のお話で、本四架橋自体がいつごろ再開されるかというようなめどもはっきりなさっていないようなまあお話でございますけれども、やはりこれはいまの当該業者あるいはまたその乗り組み員等にとっては大きな問題でございますので、それに対する対策というものをどの程度現時点においてお考えになっていますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/282
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283・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) この問題は、この本四架橋の建設によりまして非常な大きな打撃を受けられることは御指摘のとおりでございます。しかもこの方々に対しましては、とにかく橋が通ずるまではやっていただかなければ、この離島間の交通もできないという、まあまことに何と申しますか、重大な要素を含んでおるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、公団、それから建設省等とも十分連絡いたしまして、皆さん方の補償あるいはその他の対策につきまして十分配慮してまいりたいと思っておりますが、詳細につきましては海運局長からひとつお答えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/283
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284・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) いま大臣からお話を申し上げましたように、本州と四国の連絡橋に関連をする定期船の問題をどう取り扱うかということにつきましては、私どもずっと配慮しておるつもりでございます。ただ、何と申しましても前例がございませんし、その補償ないしは救済措置ということを、どんな基準でどんな根拠でやるかということについては衆知を集めなきゃいかぬと思うのでございます。
そこで具体的に申し上げますと、実は従来から建設省と運輸省の間で打ち合わせの会議を数回ずっと開いてまいりました。で、さらに昨日連絡会議を開きました。メンバーは建設省と運輸省と本州四国連絡橋公団と、それから日本旅客船協会と、それから全日本海員組合、この五者によりまして、連絡会議を正式に第一回きのうは開催いたしました。で、今後もこの連絡会議は必要のつどこのメンバーで開催していくつもりでございます。
それから、なおこの連絡会議のために、また必要な事項といたしまして、この定期航路事業等の現状を把握する、それから架橋による影響等を調査するということで、関係者が協力してやろうということをきのう相談し合いまして、本州四国連絡橋関連定期船問題等調査会というものを設けまして、先ほど申しました五者のメンバー以外に関係行政機関、国鉄、関係県、学識経験者等を構成員としてこの調査会を発足するように建設省と運輸省から公団に指示をするということにして、この調査会によって、先ほど申し上げました定期航路事業等の現状把握、架橋による影響等の調査、検討というものを続けてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/284
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285・阿部憲一
○阿部憲一君 いま局長からも御答弁いただきましたけれども、これは非常に重要な問題でございますし、この被害者救助と申しましょうか、に対しては、ひとつ慎重な態度でもって今後とも対処してほしいと、こういうことを申し上げてこの問題は打ち切ります。
もう一つ、次にこの内航関係でもって一言お伺いしたいのは、いまの小笠原諸島の航路でございますけれども、これは小笠原と東京との間の航路と、それからさらに向こうの父島と母島間の間に旅客航路が敷かれておりますけれども、これについてちょっと簡単に実情をお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/285
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286・浜田直太郎
○説明員(浜田直太郎君) 現在、東京と父島間には小笠原海運と称します会社の父島丸というのが週一便ございます。それから父島と母島の間につきましては、株式会社南の島という会社が百三十六トン、旅客定員が百名でございますが、この船舶によりまして週三便の不定期の運航を行なっております。しかるに近時、小笠原海上運輸株式会社という会社が、昨年の十一月でございますけれども、四百九十一トンのカーフェリーをもちまして一日一便の計画で定期航路の申請に及んでおりまして、現在この件につきまして関東海運局において定期航路の免許基準に照らしまして検討中でございます。あるいは旅客ないしは貨物の需給の関係あるいは安全問題というようなことに関しまして、いろいろ現在検討中でございます。本案件につきましては、いま申しました二つの会社の競合事案でございますので、この処理につきましてはいろいろ問題があろうかと思っております。いまのところ南の島株式会社の申請によりまして最近の機会に反対の聴聞会を開催する予定と聞いております。先ほど申しましたように、父島−母島間の旅客航路を将来充実をしていくという地元の要請もございますし、私どもといたしましても、離島航路対策といたしまして輸送サービスの向上ということには十分意を用いてまいる必要があると存じますけれども、何と申しましても、将来の母島等の開発計画と申しますか、そういうようなものとの関連あるいは母島の受け入れ施設をどのように今後——これはカーフェリーが入りますものですから、受け入れ施設をどう見るかというような関連等がございまして、いろいろ多くの問題があろうかと思います。したがいまして、これは関東の海運局の事案でございますので、いま申しましたような点を含み、慎重に今後検討してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/286
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287・阿部憲一
○阿部憲一君 実は、この航路ですけれども、東京と小笠原の父島の間は週一回でございますね。そのくらいの程度の量しかないわけですね、人間の交流につきましてね。週一回でもいいというわけじゃないでしょうけれども、週一回やっている。ところが父島と母島の間はめちゃくちゃにこれはやろう、こういうような考え方に私は受け取れるんです。それはけっこうです、サービスをよくするのは。しかし現実にいまの南の島という会社がやっているのだけでも、非常に乗り手も少ないし、貨物の量もほとんどないんですよ。要するに船の——私一々あげませんよ、ほんとうはお伺いしたいのですけれども、実情は非常にプアなものです。だから、これにさらに今度は定期航路を開いてでかい船を入れたら、これは海運常識としてもむちゃだと私は思います。これはいたずらに業者に競争さして苦しめるだけでございます。
ですから、私はむしろ、この南の島が現在やっているなら、それを拡充するとかなんとかという行き方、むしろこの南の島自体のいま持っている船が非常にもう小さくてだめだとか、サービスにこたえられない、こういう実情ならば、新しく定期航路を開かせるのもいいし、当然だと思います。しかし南の島の船一ぱいだけでももてあましている、採算的に非常に赤字だそうです。そのようなものを無視してさらに当局が新しい定期航路を開かせよう、こういうことは私はもう慎まにゃいかぬ。ただでも、いまいろいろと委員からも保険の突き上げがありましたように、内航は非常に困っているわけですね。しかし、それにもかかわらず、離島航路の維持のために献身的にやっている会社の立場というものを考えてやるべきであると思いますね。まあ当局もこれをお許しになるとは聞いておりませんけれども、そういうようなことを審査に取り上げているということが非常に私現状と矛盾しているというように思います。ですから、このようなことに対しましては、せっかく努力している会社に対しての立場というものをやっぱり尊重すべきだと思います。
もう一つは、もっと、同じ航路を開くにも、積み荷がどのくらいあるか、人間がどのくらいあるか、そのくらいのことは慎重に考えさしてくれ。——それでもってただやるというのは、むしろ何か利権の問題か何かあるのじゃないか、このような疑いさえ私どもは持つ。ですからこの辺の事情について、もう少し詳しくお伺いをしたかったし、また、いま検討中ということばでございまするけれども、それこそ慎重に御考慮願いたいと思います。
船腹が余って困るからやるというならば、これは別ですけれども、そうじゃなくて、このように船を新たに就航さして、いたずらに波乱を起こさせる。それで、それじゃはたしてそれがほんとうに産業の開発なり、島民の方々の利便に供したということならば、これは別ですけれども、そのような必要性も、まだまだ私はいまの小笠原の発展段階においては期し得ないと、こういうふうに判断しておりますので、その辺につきまして、ひとつ当局に慎重なる御配慮を願いたい。特に大臣にも海運局長にもお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/287
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288・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 御指摘のように、内航海運は非常な弱小と申しますか、零細と申しますか、そういう資本の企業が多いわけでございまして、おっしゃるように、赤字路線の上にさらに競争を加えるというようなことは、これは十分配慮していかなきゃならぬと思います。御指摘のように、どのぐらいの需要があるのか、あるいはまた実際それがためにどういう影響を及ぼすかというようなことも十分検討いたしまして、間違いのないような配船をやっていかなきゃならぬと思います。今後そういうような点につきましては、十分慎重に検討してまいりたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/288
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289・阿部憲一
○阿部憲一君 もう一言だけちょっとお伺いをいたしますが、これにつきまして、私は時間があればもう少し実情をお話もしたかったし、また当局のお考え方も承りたかったのですが、時間もございませんので、ごく簡単にとどめますけれども、これに対して、航路補助の問題が出ているのでございます。これは結局国にも関係いたしますし、東京都が当然のことながら関与していると思いますが、航路補助を出すこと自体はけっこうだと思いますけれども、何かこの問題自体が、補助関係にからんで、このような要するに一種の利権ですね、そのようなにおいさえも、私もさっき触れましたように感ずるわけでございまして、適正なるといいましょうか、態度でもってこの問題に対処してほしい。重ねてお願いしておく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/289
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290・中村利次
○中村利次君 両院の質問及び政府の御答弁等によりまして、いろんなことが明らかにされましたし、私も重複は避けたいと思いますし、また、いままでの審議を通じて、本法案の趣旨については、内容を含めて理解できますが、やはり内航小型船といいますか、これはたいへんに古い歴史があって、いろんなことがあったわけです。たとえば、太平洋戦争には当時の国策に沿って徴用をされまして、そして太平洋あるいは日本海その他のもくずに消えて、そして戦後の補償というのが、まさにこれはスズメの涙といいますか、それで、たいへんに残酷物語と思われるわけです。戦後処理については、満州その他特殊法人、その他の機関からお帰りになった人たちの恩給法の改正等々、その他、いろんなアフターケアがはかられておりますけれども、しかし小型船のあれは全く放置されたままです。非常に気の毒な点もあります。
そこで私は、内航小型船の役割りに対してどういう評価をされておるのかということがまず一つ。それからもう一つは、これは先ほど阿部委員からの御指摘もございましたけれども、たとえば本四架橋等によって職場を失う、もうこれは明らかに職場を失わなければならないということもあります。それだけではなくて、そんなことが今日以降やはり私はあると思うのです。それから、なおやはり木造船がだんだんだんだん姿を消して、そうして鋼船に肩がわりをしていくということは、これは時代の趨勢として否定できないと思うんですよ。ところが、これは否定できないけれども、やはり国内小型船、木船なんかは、何というのですか、中小企業というようなものはなくて、にいちゃん船長、弟機関長というか、とうちゃん船長、奥さん機関長というのですか、まさに一隻船主というのですか、零細そのものなんですね。ですから、これはやっぱり合理化しようにもできない。それから、どうかして鋼船に切りかえていこうといっても、なかなか小回りがきかない、いろいろの課題があると思うのです。これは現実の問題ですけれども、しかし片方では、先ほどから申し上げておるような、いろいろの歴史を持って役割りも果たしている。これに対して、特に内航小型船の、特に木船に対する対策ですね、今後の。そういう点についてお伺いをしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/290
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291・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 内航輸送に占める木船の輸送の実態をちょっと申し上げさしていただきますと、まず船腹量でございますけれども、隻数で申しまして、一万五千隻ぐらいございまして、トン数では三百六十五万トンぐらいございます。そのうちで木船の隻数、トン数を申し上げますと、約八千隻でございますので、五〇%ちょっと隻数でこえる隻数がございます。ただトン数といたしましては、四十四万六千トンでございますから、一二%ぐらいでございます。それが内航の船腹量の中で、木船の船腹量の占める割合でございます。
それから一方、輸送の状況で申しますと、現在内航の輸送量が、トン数で申しまして三億三千万トン、それからトンキロで申しまして、千三百億トンキロということでございますが、そのうちで木船が運んでおりますトン数は二千二百六十六万トン、したがって、六・八%、それからトンキロで申しますと、三十二億トンキロ、したがって全体の内航のトンキロのうちで二・四%ということでございます。こういうふうに隻数では半分あると、しかしトン数では一二%だと、それから運んでいる物量で申しますと、トン数で七%弱、それからトンキロではもう二・五%だということでございます。
主として運んでいる種類を申しますと、一番多いのが砂利、砂、石材それから次に石灰石、それから穀物、それからせともの、窯業品、それから鉄鋼、それから石炭というような順に多いのでございます。こういった一番零細なかっこうで、まあ全体のウエートとしては乏しいけれども、昔から取り扱ってきた荷物をずっとやっている業態でございますから、私どももいまお話をいただきましたような過去の歴史もあり、十分この業界の方々には、その輸送の使命を果たすように、私どもも協力していかなきゃいかぬということを痛感しております。また船齢から申しましてもかなり古い木船が多うございます。十九年以上というのが四分の一ぐらいございます。そこで私ども、今後内航海運の政策としてはいろいろございますけれども、そこ中の一つとしてぜひ木船を鋼船にかえていかれるという方のために力をかす政策を続けていかなければいかぬ、船舶整備公団の予算を通じてそれを続けてやっていきたいと、さしあたって来年度その六千トン、四億円という予算で木船から鋼船へかわる予算を船舶整備公団の中につけてございますけれども、これに対する応募の実態を見まして、どんどん応募していただけるのだったら、そのワクを拡充して計画を広げていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/291
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292・中村利次
○中村利次君 これはお答えが、私の質問にかみ合ったものもあり、あるいは必ずしもかみ合わないものがありますけれども、これはまあまたいずれかの機会に、これらの課題については要望もし、あるいは見解もただしてみたいと思います。きょうは最後に私は要望して質問を終わりたいと思いますけれども、やはり先ほどから申し上げておりますように、時代の趨勢はこれは無視はできないし、これにさおさしてみたってしようがないし、またさすべきものでもないと思う。しかしながら、やはり局長の答弁の中にもございまして、私もそのとおりだと思うのですが、いろいろな歴史がある。それからほんとうにその対象になる人たちが、経営基盤のほんとうに乏しい気の毒な人たちである。まあ船主というもなかなか愚かなりというようなあれもありましてね、そういう時代の趨勢に逆行をしないでやっぱりやるべき保護はどうしていくかという、これは非常に相反するような、矛盾するようであって、しかしながらこれを政治課題として何とか消化をしなきゃならないという私はやっぱり任務があると思うのですよ。そういう点については、これはもう両院で先ほどから御指摘があっておりますけれども、私も重ねてその点についての配慮を強く要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/292
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293・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) ただいまの御要望に対して一言お答え申し上げたいと思いますが、先ほどの御指摘は、内航小型船の役割りをどういうふうにいままで評価しているのか、しかも本四架橋によってたいへんな打撃を受けるじゃないか、そういうことによってさらに一段の努力をせいというお話だったと思うんです。特に本四架橋において大きな打撃を受ける方々は、内航小型船でいままでそういう方々でなければやれないことをやっておったんですから、ほかの業者じゃできなかったんです。それをあえて離島とか、あるいは小回りのきく狭いところでいろんな任務を果たしていただいておるということ、しかも零細な、そういう内航の小型船を持っておられる業者でなければできなかった仕事をやっておられた方が、しかも本四架橋というような問題によって大きな打撃を受けられるということでございますから、この点については十分な配慮を今後していかなければならぬと思います。私どももその配慮をやっていくつもりでございます。それと同時に、時代の波に従ってこれが鋼船化していく、それはそれだけの役割りはあったけれども、と同時に時代の大きな波の中に鋼船化していくにつれて、そういう零細な業者の皆さん方がどういうふうに今後生き抜いていくかという非常に宿命的な一つの問題があるわけでございます。これは海運局長が先ほど申しましたように、船舶整備公団の中でそういう方々をどういうふうに位置づけていくか、また生かしていくか——生かしてというよりも対象に組み入れていくかということにつきましては、六千トン、四億という数字まであげて話が出ましたけれども、十分そういうような面で、ひとつできる限りのいままでのそういう役割りを評価すると同時に、生かしていく道を見つけつつ、私どもも努力をしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/293
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294・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認め、直ちに採決に入ります。
船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/294
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295・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/295
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296・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/296
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297・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) ただいまは、船主相互保険組合法の一部を改正する等の法律案について、慎重御審議の結果、御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。お礼を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/297
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298・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 本日はこれにて散会いたします。
午後六時十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01019740326/298
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