1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十九年三月二十五日(月曜日)
午前十時四分開会
—————————————
委員氏名
運輸委員
委員長 宮崎 正雄君
理 事 黒住 忠行君
理 事 菅野 儀作君
理 事 山崎 竜男君
理 事 杉山善太郎君
岩本 政一君
江藤 智君
鬼丸 勝之君
木村 睦男君
橘 直治君
前田佳都男君
松平 勇雄君
小柳 勇君
瀬谷 英行君
森中 守義君
阿部 憲一君
三木 忠雄君
中村 利次君
山田 勇君
地方行政委員
委員長 久保田藤麿君
理 事 高橋 邦雄君
理 事 原 文兵衛君
理 事 占部 秀男君
理 事 河田 賢治君
片山 正英君
小山邦太郎君
斎藤 寿夫君
柴立 芳文君
鍋島 直紹君
増田 盛君
安井 謙君
若林 正武君
秋山 長造君
松永 忠二君
宮之原貞光君
和田 静夫君
上林繁次郎君
藤原 房雄君
村尾 重雄君
公害対策及び環境保全特別委員
委員長 森中 守義君
理 事 田口長治郎君
理 事 原 文兵衛君
理 事 矢山 有作君
理 事 内田 善利君
青木 一男君
金井 元彦君
斎藤 寿夫君
菅野 儀作君
寺本 広作君
中村 登美君
林田悠紀夫君
安井 謙君
渡辺一太郎君
加藤シヅエ君
杉原 一雄君
鶴園 哲夫君
小平 芳平君
中村 利次君
沓脱タケ子君
—————————————
出席者は左のとおり。
運輸委員会
委員長 宮崎 正雄君
理 事
黒住 忠行君
菅野 儀作君
杉山善太郎君
委 員
木村 睦男君
橘 直治君
松平 勇雄君
三木 忠雄君
地方行政委員会
委員長 久保田藤麿君
理 事
高橋 邦雄君
原 文兵衛君
河田 賢治君
委 員
片山 正英君
小山邦太郎君
鍋島 直紹君
松永 忠二君
宮之原貞光君
藤原 房雄君
公害対策及び環境保全特別委員会
委員長 森中 守義君
理 事
田口長次郎君
矢山 有作君
内田 善利君
委 員
中村 登美君
寺本 広作君
鶴園 哲夫君
小平 芳平君
中村 利次君
沓脱タケ子君
国務大臣
運 輸 大 臣 徳永 正利君
政府委員
防衛施設庁施設
部長 平井 啓一君
環境政務次官 藤本 孝雄君
環境庁長官官房
長 信澤 清君
環境庁企画調整
局長 城戸 謙次君
環境庁大気保全
局長 春日 斉君
運輸省航空局長 寺井 久美君
自治省行政局長 林 忠雄君
自治省財政局長 松浦 功君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 保君
常任委員会専門
員 池部 幸雄君
説明員
運輸省航空局飛
行場部長 隅 健三君
運輸省航空局飛
行場部騒音対策
課長 棚橋 泰君
—————————————
本日の会議に付した案件
○公共用飛行場周辺における航空機騒音による障
害の防止等に関する法律の一部を改正する法律
案(第七十一回国会内閣提出、第七十二回国会
衆議院送付)
—————————————
〔運輸委員長宮崎正雄君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/0
-
001・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会、地方行政委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
この際、質疑をなさいます各委員に申し上げます。関係委員長と協議の上、質疑時間等を申し合わせておりますので、何とぞ御協力をお願い申し上げます。
公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。徳永運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/1
-
002・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) ただいま議題となりました公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
公共用飛行場の周辺地域の航空機の騒音対策につきましては、昭和四十二年に現行法が制定されまして以来、学校、病院等の防音工事に対する助成、建物の移転補償等の諸措置が講ぜられてきたところでありますが、ここ数年航空輸送需要が激増し、航空機の大型化、ジェット化が進み、このため航空機騒音問題は、年々深刻化し、特に、大阪国際空港におきましては、大きな社会問題となっている状況であります。
このような事態に対処するため、政府といたしましては、学校、病院等の防音工事を中心とする当面の対策からさらに進んで、住民から航空機騒音をできる限り遮断するという基本的な方針のもとに空港の周辺地域の整備、再開発を含む抜本的な対策を実施することとし、これに必要な法制の整備をはかるためこの法律案を提案することとした次第であります。
次に、改正案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、現行法により航空機騒音による障害が著しい飛行場として指定されております特定飛行場の設置者は、その飛行場周辺の一定区域に現存する一般民家につきまして、その所有者等が防音工事を行なうときは、その工事に対し、助成の措置をとることといたしております。
第二に、特定飛行場の設置者は、航空機による障害の発生を防止するため、その飛行場に隣接する一定区域内の一定の土地を緑地帯その他の緩衝地帯として整備するよう必要な措置をとることといたしております。
第三に、特定飛行場のうち、計画的な周辺整備を促進する必要があると認められるものを周辺整備空港として指定し、関係都道府県知事が空港の設置者と協議して、その周辺地域における緑地帯等の整備、工場、倉庫等航空機騒音の影響の少ない施設のための土地の造成等を内容とする空港周辺整備計画を策定することといたしております。
第四に、周辺整備空港ごとに、空港周辺整備機構という法人を設立し得ることといたしております。この機構は、国と地方公共団体がともに出資し、運輸大臣の認可を受けて設立され、その監督のもとに、空港周辺整備計画の実施等の業務を一元的に行なうことといたしております。
以上のほか、特定飛行場以外の公共用飛行場につきましても、その周辺地域における航空騒音による障害が将来著しくなると予想される場合には、地方公共団体はその周辺地域の振興または整備の施策の策定等にあたっては騒音障害の防止について配慮するものとし、国はこれに対し必要な援助を行なうようつとめることといたします。
以上がこの法律案を提案する理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/2
-
003・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
質疑のある方は順次御発言を願います。
松永君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/3
-
004・松永忠二
○松永忠二君 最初にお尋ねしますが、この法律は公害対策基本法の第二条の騒音に当たるものだと思うんですが、これは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/4
-
005・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/5
-
006・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、航空機騒音の原因者というのは一体だれなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/6
-
007・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 航空機騒音の原因者は、航空機の運航者と同時に空港を設置いたしております設置者と、この双方がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/7
-
008・松永忠二
○松永忠二君 いまの御説明のように、飛行場の設置者と航空会社がその航空機騒音の原因者だということははっきりしているわけなんです。
そこで、そうなってくると、その原因者がこの公害の対策の費用を負担するということは、公害防止事業費事業者負担法というものにも明らかになって、第二条にそういうことが明確になっているわけですけれども、この法律を見る限り原因者の公害対策における事業の負担の責任というものが非常に不明確だと思うのでありますが、この点についてはどういう見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/8
-
009・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先生御指摘の原因者の負担につきます条文といたしましては、現行の第四条に、特定飛行場の設置者とその使用する者の責任という条文がございまして、ここで、ともに特定飛行場の周辺における航空機の騒音により生ずる障害の防止につとめなければならないと、かように書いてございまして、その際に、飛行場を利用する者につきましては、費用の負担をするなどによってともにつとめると、こういう根拠条文が現行法に規定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/9
-
010・松永忠二
○松永忠二君 そういう事実がこの法律の中でどういうふうにはっきりしているかということを言っているんです。どういうふうに明確になっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/10
-
011・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) お答え申し上げます。
法律の中にという御指摘でございますが、空港の整備一般は空港特別会計によって行なわれておりまして、その空港特別会計の中で、航空会社あるいは旅客等から負担をしていただくような仕組みになっております。例を申し上げますと、まず空港の着陸料あるいは航行援助料等がございますが、そのほかに、燃料税によって特別会計に入ってまいりますもの、あるいは通行税から入ってまいりますもの、こういう財源がございまして、その空港特別会計の中の一環といたしまして騒音対策を実施いたしております。こういう考え方からいたしまして、原因者が負担をしていくという仕組みになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/11
-
012・松永忠二
○松永忠二君 仕組みはわかっておりますよ。しかし、ここで言うとおり、空港整備特別会計というのは、航空機燃料税収入の十三分の十一相当額とその他のものを入れてあるということははっきりしているわけであります。しかし、これはむしろ、あるいは着陸料であるとか、そういうようなものもあるけれども、これはもうほとんど応益税的なものであって、その飛行場を利用する利益によって負担をしているというものである。しかも一体この空港整備特別会計というのは、五カ年計画なり新五カ年計画で空港の整備をするということであって、空港整備の予算の支出を見ても、空港整備事業費というのは二百三十一億で、もうほとんど大部分それを使っている。ほんのわずか支出の一部に、いま言ったようなものがちょこっと出ているたけである。貸し付け金——貸し付け金というのは、貸し付けるのでありますから……、で、前はちょっと出資金が出たりなんかしているが。しかも、この空港整備特別会計では、空港整備の事業というものを計画的にやるというところに中心があるわけでしょう、何も騒音対策をすることに中心があるわけじゃないわけです。この法律は騒音の対策そのものずばりの法律なんでしょう。もっとこういう法律にそういうことが明らかになっていなければいかぬはずだというふうに思うし、またあなた方がそういう御説明ならば、この空港整備特別会計の中に相当な大きさを占めていなければいけないし、これから占めなければいけない。そういうことがどういうふうに、一体この法律と関連を持つかということがなければ、原因者負担の原則というものははっきりしないじゃないですか。
これは私は、むしろ大臣にお聞きをしたいのですが、何か答弁なんか聞きますと、いまのように燃料の関係の消費税だとか、着陸料なんかがあって、それによって特別会計ができているんだと、だから原因者負担があるわけで、はっきりしておりますと、こういうお話のようですが、はっきりしてはいないと思うんですよ。むしろ空港整備特別会計の支出の状況を見ればはっきりしている。これはもともとそういうためにつくったものだ。騒音の関係の対策をやる法律をつくっているわけで、これを充実しようというならば、騒音対策の費用というものがはっきり出されて、これが確実に行なわれるという保証がどこかの法律になければいかぬ。そういうものをつくっておかなければいけないはずだと思うのです。そうでないと、法律をつくればつくるほど、原因者負担の原則が不明確になって、どこが一体責任者だろうかということの疑問を持つようになるわけであります。
事実、衆議院あたりの参考人のものを見ても、これに非常に不満を持っていることは事実で、私たちも一体だれが原因者なんであろうか、空港をつくっている設置者——ここの場合には国でありますけれども、国にも責任があることは事実だけれども、しかし、もっと原因のあるのはむしろ航空会社じゃないか、航空会社がどういう一体負担をして、これから騒音の対策を完全に実施をしていこうとしているのか、させようとしているのかということが、この法律を見れば一目りょう然たるものがあるということでなければ、これは実際において十分な賛意を表せられないと思うんです。これは私は原則的な問題だと思うので、大臣のそういう点についての御見解を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/12
-
013・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 御指摘のように、この法律案と申しますのは、現在施行されております法律案は、申すまでもなく航空機の騒音をできる限り学校とか病院とか、そういうようなものを中心にして排除してきたわけでございますけれども、それではとてもいまの、いわゆるきびしい騒音問題が出ております現状においては即さないということで、これに必要な法制の整備をはかるために、この種法律案の改正を実はお願いしたわけなんでございます。
これは提案理由の中でもいろいろ説明を申し上げておるとおりでございます。やれ遮断するとか緑地帯をつくるとか、あるいはまたことによれば移転をするとか。しからば、いま御指摘のように、そのものずばりの一体原因者負担による予算的な裏づけが明確でないじゃないか、それによって騒音対策を進めるということでなければ、きわめてこの法律案の内容は字づらから見た上で不明確じゃないかという御指摘でございますが、まあ空港整備特別会計と申しますのは、先ほど説明しましたように、明確な騒音料というようなもので徴収したものではございませんけれども、いろいろな着陸料であるとか、やれ通行税であるとか、いろいろのものからでき上がっているわけでございます。
したがいまして、名前は空港整備特別会計ではございますけれども、この中には、いわゆる管理でございますとか、いわゆる騒音対策に使う目的を持った、たとえばいまの特別会計の中で百三十億ぐらいは騒音対策に直接使うということのようでございますが、そういうふうな予算を持っておるわけでございます。したがいまして、整備機構という法人をつくって、地方公共団体の御協力を得て、そういう受け入れざらをつくって、そうして、その上で特別会計の持っております金を裏づけとして執行していこうと、こういうことでございますから、予算面においては、まあ直接騒音料という名前で、原因者負担の原則を貫くというような形では出ておりませんけれども、あるいは将来は利用者の皆さん方に騒音料というようなものを御負担願うというようなことはあり得ることだと思いますし、また将来の問題として検討してまいらなければならぬと思いますが、当面、出発にあたりましては、そういう予算をもって十分まかなうことができる、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/13
-
014・松永忠二
○松永忠二君 四十八年の十二月の中央公害対策審議会の「航空機騒音に係る環境基準の設定」の中に「汚染者負担の原則」というのがはっきり出ている。「公共用飛行場周辺における環境基準達成のための防音対策、用地買収等に要する費用については、各飛行場ごとに、負担することを原則とし、これらの費用を料金等に反映させる等の措置を検討すること。」ということが出ているわけなんです。そしていまお話があったけれども、これはそれに使うんだというお話だけれども、むしろ期待をしているのは、そういうことではない、いままではとにかく。五カ年整備計画というのは、何も騒音対策が入っているわけじゃないんですよ。新五カ年計画にしたっても空港整備を中心としたものなんです。騒音対策の問題を明確にしているものじゃなしに、十四億九千万円というのは貸せるだけですよ、これは金を貸せるだけなんだ。何も費用として出すというわけじゃないんでしょう。
こんな程度のことで、一体原因者負担の原則が貫かれて、今後それが十分な負担の責任を負ってやっていくということがはっきりしているということはできないでしょう。少なくもこの法律をつくった段階において、これからの五カ年計画の中にはこの程度のものを織り込んでいきますと、そして、こういうふうに原因者負担を明らかにいたしましょうということがなければ、公害対策基本法に明確になっているし、それらの関連の法律に公害防止事業費事業者負担法という法律までできておるわけです。負担者の負担法までできている。そういう状況の中で、単に燃料税を出しているから、着陸料を出しているから、それでいわゆる負担者原則を貫いていますというようなことには私はならぬと思う。これは一体、こういうふうな審議会の答申をどう尊重していくのか、今後一体どういうふうにこれを明確にして支出をしていこうとしているのか、その基本的な方針を重ねて大臣に聞くと一緒に、これを出した環境庁のほうでは、この実施について責任をとって、どう騒音防止を確実にしていこうとしているのか、その決意と、この答申の基本的な考え方を御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/14
-
015・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 第二次の空港整備計画の中におきます特別会計の中には、騒音の対策費というものは当然組み入れられて計上されておるわけでございますけれども、それはそれとしまして、明年度を初年度とする空港整備五カ年計画というのを明年度は御提案申し上げて、御審議をいただくことになるわけでございますが、その際、審議会の答申にもございますような、いわゆる騒音料というものをどういうふうな形でこれに織り込むかということについて、ただいま検討を加えておるわけでございます。明年度におきましてはそういう問題等あわせて御意見を拝聴するということに相なると思いますが、今年度まず発足にあたりましては、今日までの特別会計において、騒音対策費というものが内容を含んでおりますから、それによって発足させていただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/15
-
016・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 大臣のお答えに補足さしていただきますと、先生御指摘のように、第二次空港整備五ヵ年計画と申しますのは、主として空港の整備、航行保安施設の整備を中心といたしまして組まれております。ただその中で、総経費を一応五千六百億円と想定いたしたわけでございますが、その中で、当初の考え方としては四百十億円程度を騒音対策費に充てるということで計画されたわけでございます。で、実施状況は、実はもうすでに四十九年度予算で四百億をオーバーして、実はこの騒音対策関係の当初のワクを越えるような状態になっておりますが、昨年末環境基準というものが告示されまして、これに合わせた空港整備のあり方を検討せざるを得ないし、するべきであるということもございまして、現在第三次の空港整備計画を、大臣の御答弁のように目下検討いたしております。
これは当然のことながら、この騒音対策というものが非常に大きな柱になりますし、これに要する経費というものも当然大きな割合を占めるということになってまいります。で、その時の財源というものの考え方をどうするかという場合に、御指摘の汚染者負担という考え方が当然その中に入ってまいりますし、そういう方向で、この第三次の空港整備計画というものができますと原因者負担という原則がそこに出てくると、もう少し明瞭な形で出てくるかっこうになるだろうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/16
-
017・藤本孝雄
○政府委員(藤本孝雄君) 航空機騒音に関しましては、先生御承知のように、昨年中公審から答申を受けまして、昨年の暮れに、環境庁といたしましては「航空機騒音に係る環境基準」を告示いたしましたわけでございます。これは御承知のように、達成の目標とその期限につきまして申し上げておるわけでございまして、この達成の目標が期限内に達成されますように、すなわち音源対策であるとか、土地利用の問題であるとか、それから障害対策とか、そういう対策が総合的に推進されなければ、そのような航空機騒音にかかわる環境基準が達成されないわけでございますので、そのような各種の政策を総合的に推進していく必要があるわけでございまして、環境庁といたしましては、関係省庁においてこれらの施策が適切に推進されるように大いに配慮をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/17
-
018・松永忠二
○松永忠二君 もう少し環境庁のほうは、具体的にこういうふうなことをやってもらわないと困るというようなことでなきゃだめだと思うので、これは大臣あたりは言っているでしょう、はっきり。もし目的が達成されない場合には、いわゆる環境庁としては勧告権を発動するということを言っているでしょう。またそれだけじゃなくて、私の聞いたのは、そのことをというより、審議会がこういう原則をはっきりしなさいと言っている、そのことを環境庁はどう考えているんだろうかということを言っている。そういうことを言っている審議会なんだから、少しは具体的にこの程度のことはやってもらわないと困るという考え、そういうことを私は聞いている。まあ後ほどまたお聞きいたしましょう。
自治省にお聞きいたしますが、原因者負担、いわゆる飛行機騒音の原因者というのはいまのところ国と航空会社だと、こうなると、騒音対策としての周辺整備機構に地方公共団体が出資をするというのは一体どういうわけですか、法律的な解釈が成り立つのですか、それをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/18
-
019・林忠雄
○政府委員(林忠雄君) 自治省の行政局長でございます。
やはり、この騒音というのは地方団体として非常に重大な関心を持つ問題でございまして、その対策の中身といたしましては、いろいろ地方団体自体が行なうような事業その他もたいへん含んでおるわけでございますので、地方団体としても、これに出資をし、そして評議員会に地方団体の職員を入れ、その意向を反映しつつ対策を実施していただく、こういう趣旨で地方団体の出資並びに評議員会への職員の派遣ということを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/19
-
020・松永忠二
○松永忠二君 その関係があるということはわかりますよ。関係があるということはわかりますけれども、一体法律的にどういうことなんでしょう。原因者負担の原則が、いわゆるこういう事業法に明らかになっている。その騒音の公害対策を重点とした政策を実施をする責任は原因者にある、そのことをまずはっきりやってもらわないといけないのに、それへ出資をして、このところにまで地方公共団体が何か責任のあるかのごとき、原因者であるかのごときような介在のしかたをするということになると、ますます責任がはっきりしないのじゃないかという点を私は疑問を持っているわけなんです。騒音そのものが住民に非常な影響があるし、また周辺整備機構の仕事の中の一部には当然あんた方に関係のある仕事もあるけれども、関係があるというのは、権限的に行政の上で関係があるというだけのことであって、行政分野として関係があるということ、それをつまり直接騒音そのものの責任が自分にあるというわけじゃないんで、その辺をはっきりしないと、これはもうたいへんな混乱をするという感じがする。まあそういう点について疑問があるわけで、それをはっきりお聞きをしたい。法律的にどう解釈をしているのか、どういった条文でこれは正しいのかということを聞きたいと思ったんですが、あんまりはっきりした御答弁はないようです。何かその辺、法律的な関係で、こういうふうなことでこうなんだという、そういうものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/20
-
021・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) この法律をお願いいたしておりますのは私どものほうでございますので、その考え方について御説明を申し上げます。
先生御指摘のように、地方公共団体が出資することにつきましては、この法律ないし予算をやります段階からいろいろ議論がございました。実は私ども今回の法律でお願いをいたしております周辺整備というものは、性格的に二つの問題があるというふうに思っております。
一つは、ただいま御指摘ございましたように、飛行場の周辺におきまして騒音が原因のためにいろいろな事業を行なわなければならない。たとえば緩衝緑地をつくらなければいけないとか、移転の補償をしなければいけないとか、そういう問題でございます。それから、従来はそこまででとまっておったわけでございますけれども、それだけでは十分でないと、さらにそれより広い地域について、いわゆる町づくりと申しますか、そういう周辺の全体の町づくりの一環としてこの騒音対策をやっていかなきゃいけないと、たとえば都市の施設を、計画的に騒音に影響のないものを空港の周辺に積極的に配置する、ないしはそこにある民家には良好な代替地をつくって出ていただいて、そのあとをなるたけ騒音に関係のないような施設に町づくりをしていくと、そういうことまでやらなければいけないんではないかというふうな性格がございまして、その後者のほうの性格は、どちらかと申しますと、元来町づくり、村づくりというものに基本的に責任ないしは権限を持っていらっしゃる地方公共団体が元来おやりになる性格でございます。
ただ原因が騒音なるがゆえにやらなければならないということでございますので、設置者である国もともども責任をもってその部分は実施をいたしたいと、こういうことで、その二つの性格のうち、そもそも騒音のゆえにやらなければならない緩衝地帯の造成とか、そういうものについては国が全部責任をもっていたします、残りのその周辺についての町づくりというようなものについては、騒音が原因でございますので、国は資金的には半分それの責任を持ちます、しかし、もともとそういう都市の整備というものは地方公共団体の御権限ないしは責任でもございますので、その部分については両者でともども協同してやっていくと、こういう性格ではないかというようなことから、この四分の一の部分について地方公共団体から出資をお願いしてやっていきたい、こういうふうな性格だというふうに考えて出資をお願いするということにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/21
-
022・松永忠二
○松永忠二君 その出資問題については後ほど触れますけれども、あなたのおっしゃったようなことが実際にできているのかどうかということが問題なんですよ。国と一緒に地方公共団体が責任をもってその仕事をやりますというならわかりますよ。国と地方が責任をもってやりますという形になっていないから、あなたのおっしゃったことが問題になる。そういうものに金を出すというのは、一体どういうとこに理屈があるんだろうかということを私はただ聞いているだけなんです。あなたの言っていることのようになっているなら、何もそんなことを聞く必要はないんですよ。これからあと、ちょっとそのことは質問いたします。
で、とにかく大臣に特に申し上げておくわけですけど、原因者負担を明らかにしなきゃいかぬのじゃないかと、特にいままでのように教育とか公共施設に金を出すときにはまだいいけども、個人の住宅の工事に助成をするということになれば、もう明らかにこれは個人的なものにまで金を出していくわけですから、もうこれは原因者がやるべき事柄であって、ほかの者が手助けをしてどうこうするような筋合いのもんじゃない。そういう考え方になるなら、もう公害基本法のいわゆる原因者負担の原則はみんな破壊されちゃうわけです。それをぼやかすのじゃなくて、はっきりさせていくというところにいわゆるこれからのやり方の中心があるわけだ。そういうふうにはっきりなっているだろうかどうかということになると、後ほど申し上げますけど、私たちはむしろそれがますますぼやけてしまってきているのじゃないか。しかも国や地方公共団体の責任さえも何かここにぼやかしているのじゃないかという心配があるので、特に原因者が国と航空会社にあるというならば、それを明確にして、しかも騒音の防止の事業が計画的に効果をおさめるようなことをやっていく必要があるという意味で私はお聞きをした。そういう意味から、地方公共団体がタッチをする部面というものは、この問題に関する限り相当はっきりさせていく必要がある。何もかも責任を負わせられる必要はないということを申し上げたわけであります。
お話のように、新しい五カ年計画の中で計画的に実施をぴちっとしていくし、その際には積極的にそれが明らかになる方法を考えていくというお話でありますから、そうしていく必要があるし、今度の提案の際に、むしろそれは明らかにしていくことのほうが大事ではなかったかという感じがするわけなんです。
そこで、今度は話を進めまして、この法律というのは大体四十六年の十二月二十八日の中央公害対策審議会の答申を受けて提出されているものである。ところが四十八年の十二月六日に航空機騒音環境基準の答申があったわけでありますが、これはこの法律の提案された後に出たもんだけども、一体この法律によって、また、いまのようなこういう予算措置によって、いま環境庁の政務次官も話されたように、四十八年十二月六日の航空機騒音の環境基準答申が完全に実施できるのかどうか。お話があった大阪国際空港周辺整備機構は、四十八年度を初年度として十カ年計画を立てて五千億の金を使っていくと、こういうことを言っているけども、これで一体環境基準は達成できるのかどうか、あらためて検討しなきゃできないのか、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/22
-
023・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 先生御指摘のように、現在お願いいたしております法案に基づきます周辺整備機構の考え方は、四十六年の十二月の環境庁の勧告を基礎といたしまして作成された点はそのとおりでございます。それと昨年末告示されました環境基準との関係がどうかということでございますが、昨年末決定されました環境基準では、WECPNL七五または七〇以下にすることが最終目標としてきめられておるわけでございます。この目標の達成に相当長期間を要するわけでございますが、空港ごとに中間目標値を与えられておりまして、段階的に達成していくということでございます。この五年の目標値は四十六年の環境庁の勧告と合致いたしておりまして、この法案が成立いたしました後に周辺整備事業というものを行なってまいります予定区域などと一致いたしておるわけでございます。
したがいまして、周辺の対策というものを一応この四十六年の勧告の勧告値と中間値とが一致いたしております関係上、こういう事業を推進することによりまして達成していけるであろうと、また中央公害対策審議会の答申にもございますように、WECPNL八五以上の地域は周辺整備によって行ないますが、それ以下の地域につきましては、現在使われております機種のエンジンの改良あるいは低騒音機の導入ないし離発着回数の規制、あるいはその方法の改良等によりまして音源対策を行なうことと、周辺整備の再配置を行なうこととの両面から、たとえば大阪空港におきましては、WECPNLを一〇程度下げて、両々相まって一つの目標値に達成していく努力を続ければ、それほど見込みのないものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/23
-
024・松永忠二
○松永忠二君 そうすると達成できるというお話なんだが、具体的にお聞きしますよ。改善目標値というのがきめられて、五カ年目標として八五以下または屋外で八五以上の地域において屋内で六五以下にすると、十年目標としてはそれを六〇以下にすると、そういうふうな改善目標が出ている。で、四十八年度における特定飛行場、それを四十九年度にはもう四空港追加していこうと、こういっている。これだけのところ、しかし追加のところを抜かして、特定飛行場について四十八年度、これに当たる住宅の防音工事を助成しなければいけない第一種区域というのは東京が三千八百世帯、大阪が三万三千二百世帯、福岡が五千八百世帯、鹿児島が三十世帯だと、それで助成の措置としては十分の七・五を助成して、工事単価は百万だと、一部屋だけについてそれをやるんだと、二五%は自己負担にするんだと、こういうことなんです。四十八年度に三億、四十九年度に九億、四十八年度は三百世帯、四十九年度は九億で千世帯を考えている。どうしてこんな予算で六五以下になるんですか。どういう数字でなるのか、それを経過的に説明してください、具体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/24
-
025・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 民家の防音工事によって八五を六五に下げるということを考えておるわけでございますけれども、民家の防音工事は、御承知のように、わが国では初めての試みでございまして、その関係で技術問題その他について、ないしはそれを実施いたします工事会社の体制の整備その他を勘案いたしまして、当初はそれほど多くできないんではないかというふうに考えております。そういう意味で、当初年度は予算をかなりしぼった額にいたしまして、あわせて実験工事等を行ないまして、基準をはっきりいたしまして、工事の仕様をはっきりいたしまして、次第にこの数をふやしていきたい、かように考えておったわけでございます。
先ほど御指摘のように、大阪のWECPNL八五の中に三万三千世帯あって、これをどういう計画でやるのかというものにつきましては、私ども一応昨年末の環境基準の告示が出ます前は四十八年度から七カ年計画で八五の中を全部やるということを予算的には検討いたしておったわけであります。そこで、実は環境基準が昨年の暮れに出たばかりでございまして、四十九年度予算には間に合わなかったわけでございますけれども、私どもといたしましては、その七カ年を五十年度予算以降五カ年間に短縮するということで、環境基準の勧告にできる限り合うように、防音工事の工事能力を年ごとに飛躍的に向上させていきたい。この法律を成立させていただきまして、周辺整備機構ができました場合は、周辺整備機構にその民家の防音工事の事務を行なわせまして、能力的にもアップをいたしましてやっていきたい、かように考えております。
それから、あわせまして、航空機のエンジンの改良、ないしは新しい非常に音の低い飛行機というもの等を併用いたしますことによりまして、この環境基準の目標値でございますWECPNL八五自体もかなり狭い範囲に狭められるということも考えておりますので、それをあわせてまして、中間目標値に達成できるように努力をしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/25
-
026・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、あらためて聞きますけれども、いまの特定飛行場と、それから追加する飛行場を入れて、そうして第一種区域の五八以下の区域については、一般民家について、この改善目標値に達成する予算を組んでいくと、五カ年計画で。それを約束できるわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/26
-
027・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 今後の予算の中にそういう経費を組み込んでいくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/27
-
028・松永忠二
○松永忠二君 その場合、自己負担のことについてでありますが、その中には自己負担を十分できない者もあると思う。一部からもうすでに自己負担については、何といってもこれは公害で、一〇〇%公害を起こしたものが責任を持つのがあたりまえなのに、何で二五%住民に負担させるのだという、こういう法的な理屈もあります。それからまた、地方公共団体からいえば、理屈あることだとしても、困っている者には助成しなければならないだろうというようなことも一部考えられている。これは一体、地方公共団体としては助成措置をするのですか。また運輸省としては、助成措置をしてもらいたいつもりでいるのですか、この点をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/28
-
029・松浦功
○政府委員(松浦功君) お答え申し上げます。
第一種区域内における個人住宅の騒音防止工事に七五%の国庫補助が計上されておることは、御承知のとおりでございます。残りの二五%につきましては、地方公共団体で持ってほしいという御意見も私どもちらちら伺ってはおりますけれども、私どもといたしましては、まだはっきりそれに対する態度はきめておりません。公害発生者の原因者負担ということが原則にあるわけでございますから、この原則を十分頭に置きながら、今後関係各省と詰めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/29
-
030・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) ただいま財政局長のほうから御説明がございましたように、私どもといたしましては、残りの二五%につきまして、全部が全部個人負担ということではなく、地方自治団体においても御考慮を願いたいというお話を申し上げておるわけでございます。ただこの場合におきましても、直接的には地方公共団体にお願いいたしますにいたしましても、その財源手当て等につきましては、やはり財政当局とも相談をいたしまして、何がしかその負担が可能になるようにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/30
-
031・松永忠二
○松永忠二君 これは運輸省、自治省で十分御協議の上、この自己負担がそういう形でされるように、今後努力をしていただきたいと思います。
それから続きまして、移転補償のことも出ているわけであります。これは第二種区域、九〇以下の区域を含んでいる。移転補償について従来やってきた予算も実は出ているわけですね。こまかくはこれからの運輸委員会でお聞きをするでありましょうが、移転補償区域内の土地買入れ、四十八年二十九億、それから四十九年四十三億でありますが、まず移転補償の内容、それから対象の戸数、対象の面積、これを一体どうして基準内におさめていくという計画があるのか。大阪だけでも二百七十ヘクタール、一万二千五百世帯あると、こう言っているわけです。しかも移転補償対策地域内のアンケートをとってみると五〇%の人がやっぱり移転をしたいということを希望している。いま明確になったことは防音工事助成については基準どおりきちっとやりますと、予算化していくという話でありました。移転補償についても同様だと思うんでありますが、同様でありますか。こまかいものについては資料を出してください。一体、第二種区域の九〇以下の地域にどれくらいな戸数があって、どれくらいの面積があって、そしてそれはどういうふうな補償の内容を持っているのか。四十八年二十九億、四十九年四十三億で一体どれだけの面積と戸数を実際にやってきたのか、これからやろうとしているのはどうなのか、それを計画化すればどのくらいの費用が要ってそれを完全にやるかということであります。いわゆる環境基準の改善目標値を達成するという、そういうことについては間違いはないわけですな。そこだけ、その予算化についてはそういうことでやると。このところの返事をまず先に聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/31
-
032・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) お答えいたします。
実は移転補償につきましては、私どもは従来から予算を計上いたしておりますが、その予算を年度内に十分消化ができていないという実情でございます。で、私どもやはり一番適切な措置は移転を希望される方にすべて適切な補償をして移転をしていただくことが騒音対策上非常に重要なことだと思っておりますが、いろいろな原因でそれが十分予算を消化できていない現状でございます。したがいまして、これの原因はいろいろございますが、こまかくなりますので御説明を省略させていただきますけれども、その隘路を打開するためといたしまして、この周辺整備機構というものを設立いたしまして事務能力をあげる、代替地の造成を行なうというようなことで、この促進をしたいと、かように考えておりまして、この法律をお願いいたしております一つの大きな理由になっておるわけであります。したがいまして、この機構が成立いたしました場合には、従来のごとく予算を消化できないということのないようになるであろうというふうに思っております。
それからさらに先生御指摘のように、それに必要な第二種、第三種区域の中からの移転につきましては、この試算によります五千数百億の事業費の中に、そこから移転を希望されます方のための経費というものをすべて計上すると、こういう予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/32
-
033・松永忠二
○松永忠二君 そこで、この緑地帯等の整備という問題があります。ここにこういうことが書いてあるのですが、一体これはどういうことでしょうか。要するに買い入れた土地については、緑地帯として整備するよう必要な措置をとると、それからそうでないのにはできる限り緑地帯として整備されるよう適当な措置をとると、これはだれが一体まずとるのですか、それは。何を具体的にいっているんですか。助成措置をどう考えているのか。そういう具体的なところを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/33
-
034・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) WECPNL九五というところを想定しておりますけれども、第三種区域内についてはできる限りこれは緩衝地帯として緑地化したいということでございますが、法制上は設置者の責任といたしまして、たとえば大阪空港について申しましたら、設置者である運輸大臣の責任におきましてこれを緑地化すると、こういう趣旨でございます。
それから移転補償によって取得した土地は、まずすべて緑地等の緩衝地帯とするようにつとめるということがまず前段に書いてございまして、後段のその他の土地について適切な措置というものにつきましては、一応移転補償以外の手段によりまして設置者が取得ないしは使用できる土地、たとえば一般の国有地等がございます。または借入等によって使用できるものもございましょうし、中には地方公共団体の土地を借料を払って拝借するということもございましょうし、そこらの手段を、できる限りの手段を尽くして、買い入れた土地はもちろん、その他の部分についてもできる限り緩衝地帯たる緑地になるようにと、こういう趣旨の条文でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/34
-
035・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、これはばく然たることが書いてあるけれど、設置者がやるのだと……。そこで、もう少し話を進めますが、時間もあるようですし、時間に終わりたいと思うのですが、さっき話の出た、いわゆる国が原因者であるという点で国の責任を明らかにするのだと、それから原因者である航空会社の責任も明らかにするのだ、そういう中で、地方公共団体は自分らの分野に関連するものがあるから地方公共団体の責任もはっきりさせるんだと、こういうお話でありますが、条文を読んで、そういうことがはっきり私たちわからないんです。
特定飛行場の設置者が住宅の騒音防止工事の助成をし移転の補償をやり緑地帯の整備をする。これを設置者がするということははっきりしているわけです。それで、その次には第九条の三というところで、政令で周辺整備空港の指定をする、これは国が指定をすると、指定をしたらば都道府県知事が空港整備計画を策定するというのだから、とたんに、指定したばしりで、あとの責任はいわゆる知事が空港整備計画を策定すると、あくまで空港整備計画というのは主体は知事ですよ。それを運輸大臣が承認するという行為が加わっているけれども、とたんにいわゆる防音工事も移転も緑地帯整備もみんな設置者の責任でございますと、こういうことははっきりしているわけです。設置者の責任だということははっきりしているけど、さっきから言っているとおり航空会社の責任どこにもそこに出ていないのですよ。
これは設置者の責任ですと全部かぶっちゃっている。かぶったと思ったらば、整備空港を指定したらばそれは知事が策定するんですよと、策定はおれたちが承認するんだということで、ただはさせぬけれども責任はそこにある。と思ったら、今度は実際の仕事をやるほうはだれだということになると、空港周辺整備機構というのが今度はできて、「空港周辺整備計画を実施する等により」「航空機の騒音により生ずる障害の防止及び軽減を図り、あわせて生活環境の改善に資することを目的とする。」といって、これらの事業を一手に引き受けましょうというような、そういういわゆる目的を書いてだけいる空港周辺整備機構というのがそこにできて、とたんに周辺整備計画を立てたって、その責任はちょこっとこっちに来て、いわゆる周辺整備機構のほうへ乗っかっちゃった。ところが、それじゃ周辺整備機構はえらいことを、「障害の防止及び軽減を図り、あわせて生活環境の改善に資することを目的とする。」なんといっているくせに、よく条文を読んで見ると、国が協力するのは何に協力しますかというと、空港周辺整備計画に基づいて航空機騒音により機能が害されるおそれのない施設の用に供する土地の造成、管理、譲渡——機能が障害されないものの施設については、政府において業務に応じて資金を無利子で貸しますよと、いわゆる騒音に障害ないというのは、もうかるようなことについてはそれは貸しますよ、それから第一種区域内から住居を移転する者のための住宅等に関する土地造成、管理、譲渡、住宅等の取得、管理、譲渡についてやるというんです。
だから造成をしてそっちのほうで家を建ててそれを渡してやるというんだから、ある程度利益につながっている。事実利益だからこそ、そういうものにつながっているからこそ周辺整備機構というのは認可法人でしょう。認可法人にこういうことをやらせるということ自体もちょっとおかしいなという感じもするけれども、その中で国が周辺整備機構に無利子で金を貸せるのはこれだけですよ。もうかるものには金を貸しましょう、事業として機構が成り立つようなものに金を貸すよ——赤字になるところに貸すよというような言い方はしていないんですよ。そうして同時に、周辺整備機構は周辺整備空港の設置者の委託によって移転するとか等の補償、土地の買い入れをやるというんですから、これはちゃんと委託するんだから、成り立つようにして委託をされているんだから、何もこれは公共的なものだけが優先されているんじゃない。いや、住宅も緑地も移転も設置者の責任でございますと、そういっといて、今度計画を立てるのは都道府県の空港の知事でございますよと、その仕事をやりますのは空港整備機構でございますよ、その中で私たちが援助するのは騒音の害のないような施設とか、そういう土地造成とか、そんなところへは無利子で金を貸せますよと、こういう話。で、委託する仕事は知事としてやりますよ、そうしといて、また片方を見ると、第二十一条に資本金は政府及び関係地方公共団体が出資する額の合計額——全部を政府と関係地方公共団体が出資をする。それから役員は運輸大臣が任命して認可する、地方公共団体に計画をつくらしといて、何か責任者のようにいっておいて、今度評議員に出資した地方公共団体の職員が入るんだ。これは役員でも何でもない。
何だか責任がわしらにありますよといいながら、計画するのは知事ですよといいながら、それをやるのは周辺機構ですよ。周辺機構に対して協力するのはこういうものですよという——調べてみると、それは赤字の出ないようなものだけにやっている。一体これで仕事ができるだろうか。いわゆる騒音の防止ということが計画的に実行して、全くいいことをやってくれるという仕事ができるのか。一体国や地方公共団体がやって何が悪いのか。国や地方公共団体がやるべきだ、責任をはっきりさせているならそれをやったらどうです、自分らで。何もこんなものをつくることはないじゃないかという気持ちも出るじゃないですか。
それじゃ、事業だから機構をつくるというなら、そういうことについて国はこういう責任を持ちましょうというならいいんですよ。また、それにはどうしますということがはっきりしているなら、まだいいが、これは周辺整備機構というのはあくまで認可法人——特殊法人でもないんですからね、これは。さっきから言うとおり、まず最初に航空会社の責任がはっきりしていないし、それから責任を負った国と、策定した地方公共団体がその責任は明らかにしながら、その機構が完全に行なわれるという保証がどこにもない。だからあれでしょう、知事あたりが言っているのは、これに赤字が出たらそれを補てんするやり方を国として考えてくれ、あるいは地方公共団体がそれに金を出すということをやったら、それについて財政的なめんとうを見てくれ——これじゃとてもじゃないが、こんなものはつくったってなかなか仕事はできぬ。確かに資本金だってほんのわずかですからね。一体これでやれるだろうか。無利子のただ金を貸せるのですからね、国が七億五千万で地方が二億五千万だ。
これは民間資本は入れません。民間資本は入れませんというのは、機構がそういう仕事で利益があるからということでしょうけれども。ほんとうの意味で防音対策をきちっとやっていくということであり、それが国や地方公共団体の計画によって完全に実施をするというなら、その責任をいわゆる航空会社に負わせるためにきちっとやったって、それだって悪くはない。そういうものが関与できないような機構をきちっとしておけば、それだけでも——何も別にその民間資本を入れないということがたいへんすばらしいことだということは言えないじゃないですか。しかも周辺整備機構に四十八年度に七億五千万の政府出資と政府無利子の貸し付け十五億と補助金三億、四十九年度は十四億九千四百万と五億五千八百万、たったこれだけしかいわゆる特別会計のほうから出てはいない。これで一体あの仕事ができるのだろうか。考え方としては、それは金があれば出しますよと、金が余裕がつきゃ無利子の金も貸せましょう、何かやりますよと、金がなきゃ——金を出す義務がはっきりしていないんですからね。ただ金があれば出すというやり方なんですから。別に幾ら出さなきゃならぬとか、幾ら国が負担をしなければならぬということは何も書いてないんですからね。
実際仕事をやるあなた方が、仕事をやると言っている整備機構は知事の進めた計画は実施はするけれども、それをやるにはやるけれども、その裏づけにそれじゃ国がそれについてどれだけの金を出してくれるかという、そんなことは何もないんです。ただ特別会計のほうで余裕があれば出しますよということでしょう。それから赤字の出ないものについては無利子の金を貸せますよとただ言っているだけのことだ。どこまで、どれだけ責任を持っていくかということは明確になってはいない。
そういう意味で言えば、全く逃げて逃げて逃げて逃げ切って一ところへ仕事をやらせるという感じを受けるんですよ。仕事の性格上いろいろ問題があるからこういうことになったいろいろないきさつもあるでしょうけれども。しかし、これは国と公共団体、それと事業者、この責任でやるならやるではっきりさせて、それがしかもきめた以上、これが完全に実施できるということでなければまずいじゃないか。だから私の聞いているのは、こういうやり方じゃ地方公共団体と国の財政的な責任というものがはっきりしていないじゃないか。こういうやり方では周辺整備機構というのは都道府県知事の立てた計画に基づいて事業を実施するということが事実上できないじゃないか。何で国と地方公共団体が実施して悪いのかと、こういうものでなくて。そういうことを実はお聞きをしたいんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/35
-
036・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) この法律関係につきまして、いささか複雑でございますので御説明を申し上げますと、まず基本的にはこういう考えに立っております。
まず設置者といたしましては、まあ運輸大臣が設置する場合は運輸大臣でございますが、設置者としての責任についてはこの法律の中にそれぞれ明確にしてございまして、たとえば移転補償の責任、緑地帯等の造成の責任、そういうことは、この法律の中に厳に明らかにされ、ないしは今回の改正で明らかにいたしておるわけでございます。
それから周辺整備につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、一つは騒音が原因でございますけれども、やはりその周辺全体の地域開発と申しますか、都市の計画と申しますか、そういう性格でございますので、その全体の周辺の整備の計画というものは本質的には地方公共団体が権限と責任をお持ちになっておる。したがいまして、非常に騒音が激甚で、ないしは将来さらにひどくなるというふうなことが予想されます空港につきましては、そういう点を踏まえた周辺整備計画を地方公共団体におつくりいただく、そしてその中に国の責任分野については明らかに国が責任をもって実施いたしてまいります、こういう体系になっております。したがいまして、周辺整備計画についてはそれらを全部踏まえて関係地方公共団体におつくりをいただいて運輸大臣に御相談をいただく、こういう形になっておるわけでございます。
それから周辺整備機構との関係でございますけれども、先ほど先生御指摘のように、これを国と地方公共団体だけでやってはいけないのかという点につきましては、この法律は必ずしも周辺整備計画を無理やりつくってそこにやらせなければいけないという体系にはなっていないわけでございまして、先生御指摘のように、これが認可法人でございます理由もそこにあるわけでございます。したがいまして、その周辺の整備計画というものの中身を見て非常に膨大な事業量等がございますので、とてもこれを設置者たる国と周辺の地域開発の責任者たる地方公共団体がばらばらに行なってはうまくいかない、ないしは非常に事業量が多いので、一体的な主体に行なわせる必要があると思った場合には、地方公共団体が発起人になっていただきまして一元的な機構というものをつくってそこにさせることができると、こういう形になっております。したがいまして、認可法人という形で強制設立の公団とは別な形をとっておるというふうに考えております。
それから、それに要します費用の分担でございますけれども、これにつきましては先ほど申し上げましたように、国に責任あるものは国、地方に責任のある部分については国と地方と、騒音が原因でございますから、それぞれ出し合ってやっていくと、こういう体制でございます。それと一つの発生原因者たる航空会社というものとの関係につきましては、この法律自体はまず一元的には設置者が受けとめる、こういう形になっております。要するに周辺の騒音問題については、まず設置者が責任者として受けとめ、そしてそれを二次的に原因者である航空会社等に費用の負担等をさせられると、こういうことが先ほど四条というふうに申し上げました条文に書いてあるわけでございます。たとえば道路等につきましても同様でございますけれども、公共用飛行場は必ずしも航空会社だけでございませんで、体制的にはだれでも使えるという形になっております関係上まず責任は設置者が受けとめて、そしてその費用の分担を航空会社ないしはその飛行場を利用する航空機に課していく、こういう体系になっておるわけでございます。したがいまして、そういう意味では費用の分担等については、先ほど申し上げましたように、空港整備特別会計で処理されておりますし、また今後の新しい五カ年計画でもその負担を強めていきたい、かように考えておるわけでございます。
以上のような理由でございますので、法律の立て方としては若干複雑でございますけれども、一応考え方としてはそういうふうな筋を通しておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/36
-
037・松永忠二
○松永忠二君 私は事業を必ずしも国、公共団体だけがやらなければできないというのじゃなくて、別個の機構をつくるということもあり得る。しかし、この考え方は、指定された空港ごとに一つずつそういうものをつくるということになっているわけです。しかもその整備機構ができれば、知事のつくった整備計画に基づいて、それが実施団体として、実際の施行者として完全に行なわれているという前提の上に立ってこの法律が出ていることは事実なんです。あんたのおっしゃったように、やらせるのに都合がいいと思われたものだけについてやらせるという考え方じゃないでしょう。大体一つの空港に一つのそういうものができて、それが中心になって仕事をやる、それだから金も出しているんですよ、公共団体も国も全部金を出している。だから整備計画に基づいてこれが実施をしていく。また私たちもそれが実施するものだから計画的に一元的に仕事が進められるだろうと。あんたのお話を聞くと、そういうものがあると、そういうもので都合のいいものはそれやるけれども、国や地方公共団体は自分たちの責任を果たす上でいいと思うものは、その仕事はわしらがやりますよという、そういう考えじゃないですよ。これはもっとこまかくやっていけばそうなっているんですよ。
だからそういう整備計画を知事がつくり、それを運輸大臣が認定承認をし、それに基づいて国と地方が出資を完全にしたものがそこにできて、その仕事をやるなら、その仕事をやるについての責任というものを、財政的な裏づけとかそういうものをはっきりさせていかなければ、実はつくってもその仕事は計画的に実行できる、完全にできるという保証がないということを言っているわけです。そんな保証がないなら思い切って国や地方公共団体がやったっていいじゃないかということも言っているわけなんです。
そこで大臣、そのほかに音源対策とか、あるいは運航の面とか、空港立地の面に、もっと環境基準を上回るための対策が必要だと思うわけですが、時間がありませんから。
それで大阪空港は欠陥空港だから、これはもう新しい関西新国際空港をつくれば、それにすべてを移して撤去してもらいたいという要望もあり、知事も現にそう言っているし地元もそう言う。これは一体どういうことになるだろうか、あるいはまたきのう新聞に出ておりましたように、私はこれは積極的な大臣の努力によるところで評価するわけでありますが、ジェット機の発着回数を二百六十回から大阪について二百回にしようと、段階的に。しかもエアバスの導入ということとは別に、とにかく五月から実施をしていこうということも発表された。そうなれば、利用者のこともあるから、サービス低下を防止するために、日航と全日空が運賃プール制度をするように指示をした、これはもう積極的な施策であって私はいいことだと思う。そういう面で、一体これからもう少しその時間帯の問題であるとか、あるいは音量規制とか時間帯別規制であるとか機種及び機数の制限とかということで第三条をどういうふうに発動していくだろうか。また同時に、あとからこういうことをやらなくて、騒音の対策範囲というものはあらかじめ予想できると、そういう意味でこの標準もきめてあるわけだから、そういう予想をして機種とか機数とか飛行場のパターンが設定されれば予測も不可能じゃないという状況になっているのだから、そういう意味で予想した騒音対策範囲というものをどう設定して、それをどう進めていったらいいだろうかという、こういう問題は幾多あるわけです。
それからまた事実、空港と立地——地方の空港が一体こんなに必要なのかどうなのか。各県に一つぐらいなんというそんな空港、言ってみれば、レーダーもないもんだから帰ってしまう。それにあんな広い空港がこの狭い日本の国にそんなに必要なのかどうなのか、こういうふうな問題もある。だから新しい新幹線等の問題と含めて、この問題についてももう少し考えて、必要のない空港はもう整理をしたらどうかという、そういう問題もあるわけですね。
私は幾多問題があるのにかかわらず、一体この法案をいまごろ提案理由を説明をして、しかも四十八年の予算がありますから二十九日には通してもらわなければ困りますというやり方を参議院にやってきて、どこに一体参議院の自主性があるんですか。衆議院はさんざんたなざらしにしておいて、一年以上も審議しておいて、そうしておいて自分らがきめたら、とたんに参議院に持ってきて、これは日切れだから困りますなんて、そんなばかな話がありますか。そんなことをやっているから参議院なんていうのはあったってなくったっていいということに私はなると思う。全く憤慨にたえない。調べてみれば調べてみるほど問題が多い。やはりあれだけの長い期間を衆議院がやったという理由はわかる。それだけにあらためて参議院としてはこういう問題を十分やはり議論を尽くしていかなくてはいかぬ。それができない状況の中にもってさておいて、しかももしそれを拒否すれば、直接被害は住民にかかるという苦しい立場に追い込まさしておいて、そうして十分な審議の時間も与えずしてこの問題を処理していこうという、こういうやり方には私たちは全く不満です。そういうふうな意味で、いまこれをそれだからどうこうしようということを私は言っているのじゃありませんけれども、よくお話は、私たち理事を通じて聞きました。聞きましたけども、どう考えてみても実は腹が立つ。どう考えてみても理が通らない。もっと私たちは参議院という場で問題点を明らかにし、なお前進をして、基準も出たことであるので前進した回答を得て問題の解決に当たるべきだと思うけども、それをできない状況に追い込めるこういうやり方というのを一体どうお考えになるでしょう。やむを得ねことだという一面のあることは事実ですけれども、こういうことが二度とないようなぐあいにやっていただかないといかぬし、もっと運輸行政全体の立場から、この問題について大臣のお考えがあればお聞きをして、それで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/37
-
038・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 運輸委員会におきましても総合的な交通体系、どの分野にどういうふうな輸送シェアを持たすかというようなことをもう一ぺん見直したらどうかと、こういう御議論があるわけでございまして、私どもといたしましても、今日までの総合交通体系というものの中には、たとえば油の問題でございますとか騒音の問題とかは一応作文としては書いてありますけれども、そういうものを大きく配慮した政策というものに欠けておったことは、これはもう事実でございます。
でございますから、経済企画庁におきましても経済社会基本計画というものをもう一ぺん見直そうという、どの程度の作業かわかりませんけれども、その作業を開始しているところでございますし、その作業の進展状況、あるいはそういうものの中に、もう一ぺん総合交通体系というものにどういうふうに組み込んでいくのか、見直さなきゃならぬかということを十分検討してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
で、いま御指摘のございました航空機の問題でございますけれども、飛行場等もいま日本に六十何ヵ所かあるわけでございます。そのうち百点の取れる飛行場というのは三空港ぐらいしかないようでございます。あとの六十一、二カ所というのは、全部ある意味においては環境庁のきびしい基準を当てはめますと問題のある空港でございます。鹿児島空港が非常にいいといわれておりましたけれども、それでも先ほどのお話の中にもちらちら出てまいりますように、三十数戸という民家の非常な大きな騒音の問題をかかえているわけでございます。釧路と大分と那覇ぐらいがいまのところ大体環境基準に適合していると、あとの空港はある意味でみんな欠陥的な空港であると、こういうことでございます。したがいまして、これの整備を今後はこういう機構をつくってやるかどうかは別といたしまして、進めてまいらなければなりません。それがためには膨大な予算の裏づけも要るだろうと思います。したがいまして、今後第三次の五カ年計画にあたりましては、そういうようなものをも含めまして、また経済社会基本計画のいろんな手直しがあるとするならば、そういうようなものをも考慮に入れた一つ対策を明年度からその中に織り込んでいかなければならぬということでございます。
御指摘の点は一々ごもっともでございまして、私どももいまいろいろお話がありました点を今後十分参酌させていただきまして、今後の問題の処理に当たってまいりたいと思っております。日本にそれだけ空港は要らないじゃないかという御指摘も一応理解できるわけでございますが、これにつきましても代替輸送機関等の問題もございますし、その他のことを十分配慮いたしまして、今後第三次の空港整備五カ年計画には、そういう御指摘の点も生かして計画を立案してまいりたいと、そのように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/38
-
039・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 鶴園君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/39
-
040・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 たいへん短い時間なんですけれども、一つはこの法案を見まして、自衛隊機の飛行場の騒音なり、それから防音なり、さらに移転なり、そういうものとたいへん違うんじゃないかという感じを強く持ったわけです。
私も長いこと内閣委員会におりまして、いま法案も衆議院のほうに基地周辺の整備法ということで一部改正がかかっておりますが、なおまた私も自衛隊の飛行場の移転、騒音というようなもので具体的に処理に若干当たったこともありまして、そういう点で自衛隊の航空機あるいは飛行場とたいへん差があるという感じがするわけです。
そこで、まず防衛施設庁にお尋ねをしたいんですが、いま法律に基づきまして移転の補償、それから宅地、農地、山林、こういうものの買い上げが行なわれておるわけですね。いずれも騒音の関係が非常にやかましくなってきまして、これは民間のいまの公共の飛行場と同じなんですが、たいへん騒音の関係がやかましくなってきて、移転の問題あるいは買い上げの問題、こういうものが起こっているわけです。で、基準がたいへん違うというように受けるわけです。そこで農地それから宅地、そういうものの買い入れの基準をまず一つ明らかにしてもらいたいと思います。私の記憶によりますと、滑走路の端から両わきに五百メートル、これをA地区として、さらにその先の五百メートルをB地区として、滑走路の中心から両側のほうに、横っちょのほうに四百十五メートル、四百十五メートル、これをB地区としまして処理されているわけですね。それといまの、いや八〇だ、八五だ、九〇だ、九五だというのとたいへん違うんですね。そういう点について、ちょっと基準をひとつ説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/40
-
041・平井啓一
○政府委員(平井啓一君) 御指摘の防衛施設たる飛行場周辺におきますところの民家の移転あるいは農地等土地の買収につきましては、従来から防衛施設の周辺の整備等に関する法律に基づきまして、この第五条に規定されている法律のたてまえ及びそれに基づきます政令等にのっとりまして防衛施設庁のほうで処理してまいったわけでございますが、この現行法で申しますところの、ただいま御指摘の基準と申しますか、いわゆる対象になります範囲につきましては、御指摘のとおり、滑走路の両側いわゆる航空法に基づきます転移表面あるいは滑走路着陸帯の短辺の両端から滑走路の中心線の延長上に向かって広がります進入表面、これらにつきましてそれぞれの飛行場の航空機の飛行の実態等に照らしまして、たとえば進入表面下におきましては五百メートル、千メートルあるいは二千メートルという範囲までとっている飛行場もございますが、いずれにいたしましても、それぞれの飛行場の実態に即しまして、これらの転移表面及び進入表面の地面に対する投影面の一定の範囲をきめまして、この範囲の中におきますところの住宅の移転の補償あるいは土地の買収等を実施しているわけでございます。
なお御質問の最後に御指摘になりました、いわゆる新しい騒音に関する環境基準のWECPNLに基づく八〇とか七五とかいう問題につきましては、私どものほうも環境庁のほうから昨年末、新しい騒音に関する環境基準に関する告示も出されましたたてまえもございますので、本国会におきまして、現在衆議院段階で御審議願うことになっております新しい防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律案におきましては、この飛行場周辺におきます移転措置等の対象区域につきましてはWECPNLの基準によりますところの一種区域、二種区域、三種区域というふうにそれぞれ分けました形の中で実施していきたいと、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/41
-
042・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これは運輸省のほうで、いままで自衛隊のほうは話がありましたように五百メートルをA地区、代表的なもので言いますと五百メートル、それも滑走路の両端から五百メートル、こっちへ五百メートル、それからさらにその先に五百メートル、両わきに四百十五メートルという形でA地区、B地区と分けて、A地区の場合においては住宅の移転補償、土地の買い入れ、農地、山林等についても希望があれば買い入れる。B地区においては、これは住宅の移転をやる。農地、山林等については、特殊な事情があれば買い上げると、こういう形になっていますね。それと、いまおたくで出していらっしゃるやっとどういう相互関係になっておるのか、計算されたことありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/42
-
043・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 私どものほうは、実は経緯的に申し上げますと、防衛庁の周辺整備法のほうが私どもの騒音防止法より前に制定された法律でございまして、当初は、私どもの法律のほうは防衛施設庁の周辺整備法のあと追いの形になりまして、ほぼそれと同じに踏襲するという形でやってまいりました。ただ防衛庁と私どもと違います点がいろいろございまして、一つは着陸帯等の長さ、幅等が防衛庁の基準と運輸省の基準が違います。そういう関係で、ほぼ防衛施設庁の区域に一致するように考えましたのが現在の騒音防止法にございます区域の指定区域でございます。今回の改正によります区域変更につきましては、実は私どものほうは防衛施設庁の踏襲をいたしましたけれども、実際に実施をいたしてみますと、民間航空機の飛行場というのは飛ぶ経路というのは必ず一定いたしておりまして、たとえば離陸してすぐ左旋回する、たとえば大阪空港はそうでございますけれども、そのような場合には滑走路ないしは着陸帯の端からまっすぐ計った線では必ずしも実態に合わないということがわかってまいりまして、防衛庁の場合には必ずしもそういう飛び方だけをなさるとは限らないと、右へ飛んだり左へ飛んだりなさるということで四角い区域ということが設定されていたんだと思いますけれども、そういう意味で、これをもう少し実態に合わせるべきだという検討をいたしまして、その検討いたしました結果、今回の法律改正ができました場合には一種、二種、三種区域というのをWECPNLという音の実態に合わせた単位で区域を設定していきたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。したがいまして、そういう意味で防衛施設庁の区域と、今回の私どもの改正の区域が必ず今後ぴたり一致するかどうかということは、これはちょっとむずかしい問題ではないかと思いますけれども、先ほど防衛庁から御答弁のございましたように、環境基準がWECPNLが出ました関係上、防衛庁のほうでも防衛庁の航空機の実態に合ったWECPNLを御検討中ということでございますので、そういうものが明確になった場合にはそれとの間の相互調整をはかるということは可能であろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/43
-
044・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私はいまあります防衛庁の基地周辺の整備に関する法律の基準というものが悪くなると、つまり住民にとっては悪くなるということになったんじゃこれはかなわぬわけであって、私の考え方では、いわゆる自衛隊の飛行場というものと、それから公共用の飛行場というものとの間には若干の差があるということも考えられるでしょう。ですが住民に与える影響はこれは同じであって、そういう点で私の見たところによると、運輸省のほうがはるかに住民にとってはきついという感じを非常に強く持っているわけです。それから発着回数の問題にいたしましても、大阪空港でいうと、二分八秒に一台離着陸をするというわけですね。二分間に一台が飛び立ったりおりたりすると。私がタッチしました海上自衛隊の飛行場はそんなものじゃないですね、二分間に一台というようなものじゃないですね。ですから、そういう問題につきましても非常に差があるように思いますし、それから移転の補償のしかた、それから買い入れの問題についてもたいへん住民にとってはきついもののような感じを持つものですから、時間があればもう少し具体的にやりたいと思いますけれども、そういう点について十分留意をしておいてもらいたいという点が一つです。
それからもう一つは、これは環境庁に伺いたいんですけれども、環境権を発揮さすときに来ているんじゃないかというふうに思うんですが、大阪空港の場合におきましても、あの訴訟というのはやはり環境権というものがはっきり基礎にすわっておりますし、それから今度三十日に出されるというふうにいわれます新幹線の名古屋の訴訟にいたしましても、やはり環境権というものをはっきり据えてやっておるという状況であります。それ以外の過去の判例等にも環境権という問題が判決としては出ているものも二、三出てきているわけてすね。環境権というものをすみやかに法律的に確立する必要があると、いまの環境法というものを抜本的に改正をして、手続きその他についてもはっきりする必要があるというふうに私は思うわけなんです。御承知のように、ちょうど四年ぐらい前になりますが、一九七〇年に東京で国際環境のシンポジウムが開かれて、東京決議が採択をされて、その中にもやはりはっきり環境権というものを法域として確立をする必要があるという決議も採択されておるわけですし、日本ほど環境がたいへんな問題になっているところはないわけですし、ですから私は、環境庁としてすみやかに環境法を抜本的に改正をして環境権というものを明確にする必要があるというふうに思うわけです。憲法の十三条、二十五条、さらに東京都の公害条例等々からいいましても、すみやかに環境権というものをはっきりさせる必要があるというふうに思うんですけれども、環境庁としての考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/44
-
045・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先生御指摘の防衛施設庁との基準の相違でございますけれども、確かに防衛施設庁の自衛隊の飛行場のほうは、かりに一時的にひんぱんな時期がございましても飛ばない日もございますし、また全体といたしましても、民間空港のほうが、大阪のように非常に過密なダイヤのところもございまして、周辺住民に与えている影響が大きいということは十分承知をいたしております。そういうような観点から、先ほど申し上げました環境庁がWECPNLという単位を御採用になって、これには回数の要素が入っておるわけでございまして、したがって、それによって区域の決定をしていきたいということで、民間のほうの飛行場についても下に住んでおられる方への対策が十分できるようにとか、配慮をするということがこの法律のお願いをいたしております一つの理由でもございます。
また防衛施設庁のほうとの補償基準は中身は全く同じなんでございますけれども、実際問題といたしまして、防衛庁の場合には施設庁という非常に膨大な組織をお持ちになっておやりになっておりますが、私どものほうは、たとえば西日本全体でわずか数人で移転補償の担当をしておるというようなことで、実際問題といたしまして、先生のおっしゃるように十分手の届くような補償ができていないということは事実でございます。そういうような理由もございまして、このたびこの周辺整備機構という一つの法人をつくりまして、そこにこの事務を委託してやらせたいということで考えておるわけでございまして、大体先生の御趣旨のほうに進むように私どもも努力をいたしておりますし、今後もそういうふうにしていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/45
-
046・藤本孝雄
○政府委員(藤本孝雄君) 環境権とは、御承知のように、国民の良好な環境を共有する権利であるというふうにいわれておるわけでございますが、まだその具体的内容並びに法体系上の仕置づけ等は必ずしも明確ではございません。先般の大阪空港騒音問題の裁判の判決におきましても、夜間飛行の禁止、差し止めについては環境権に基づく差し止め請求がなされたわけでございますが、判決の結果については、御承知のように、人格権に基づいて差し止めの請求が認められたと、こういうことであるわけでございます。したがって現段階におきましては、まだ環境権という権利が明確なものではございませんので、私どもといたしましては、これを法律上具体的な権利として法制化するということは困難であると考えております。しかしながら、良好な環境を実現するということは、理念として、また政治目標として当然であるわけでございまして、今後ともそのような環境権という内容のものを政治上の目標、理念として、その実現のためには環境庁といたしましては全力をあげてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/46
-
047・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 裁判の問題は、大阪空港の判決の問題については承知をいたしておりますが、いずれにしましても憲法の十三条、憲法の二十五条が、これは行政目標だと言われたんじゃこれは話にならない。当然これは法律の分野でわれわれが努力をしなけりゃならぬ問題だと思うんです。ですから、そういう意味で、これから続々、全面的にこの問題は出てくると思うんですよ。これは東京都だって日照権の問題はもう一ぱい出ているわけですし、これから私は、公害の問題というのは、どうしても基本にすわってくるというふうに思うんですね。その場合に、いま言いました憲法の十三条、憲法の二十五条という点をとりましても、航空機の問題にいたしましてもこれほどの問題をかかえている国はおそらく日本しかないでしょう。さらにこの狭い日本の列島の中でたいへんな化学工場をつくっておる、石油精製工場をつくっておるという異常な状態になっているわけですね。そういう中で、これはやはり何としても日本が解決しなけりゃならぬ問題の一つは環境権だと思うんですよ。ですから、その環境権の問題についてすみやかにいまのある環境法というものを抜本的に改正をして、そうして環境権というものを確立をしていくという、これは目標をはっきり環境庁はしてもらわなければ困ると思うんですよ。そういう意味で私はお伺いをしたわけなんです。それについて答弁をいただきたいと思いますが、どうでしょうか、政務次官、いまの問題について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/47
-
048・藤本孝雄
○政府委員(藤本孝雄君) これは全く私個人の考え方でございますが、良好な環境を維持していくためには、考え方としては二つの面があるのではないかと思うわけでございます。一つの面は、そういう環境を実現していくということ、一つの面はそれを維持していくということでございまして、具体的に申し上げますと、権利と義務という関係を考えなければ良好な環境を実現、維持していくということはなかなかむずかしいのではないだろうかと思うわけでございます。具体的にたとえば新幹線の騒音なんかの問題の場合に、新たにこれから新幹線をつくる場合に線路の左右の緩衝地域を広げていかなければ、現在の新幹線騒音などで生じておりますようないろいろな問題の抜本的な対策というのはなかなかむずかしい。その場合に、やはりそういう緩衝地帯をつくる場合に、やはりりっぱな環境を守るために一つの義務というものが考えられなければ、たとえて申し上げますと、その土地の買収の場合に、現法律体系上では強制収用というようなことはできない。そこで強制収用をする場合には公共事業ということになって道路をつくらなければならない。道路をつくるということになれば、これは地方自治体との関係が出てくるというようなことから、なかなか袋小路に入って抜本的な対策がなかなか立ちにくいというのが現状のように思うわけでございます。
そういうことから考えますと、また、たとえば今度の大阪空港の場合でも騒音問題がたいへん大きな問題になっておる段階において、たとえばWECPNL八五以上の地域に対しましても、やはり転入者があるというようなこと、それからりっぱな環境を維持していくためにいろいろな義務を考えなければ権利というものは守っていけないのではないかというふうに、個人的にはいろいろな実例を見ますと感じるわけでございます。
今後の問置につきましては、先生御指摘のように、そのような環境権というものが、現段階においては先ほど申し上げましたように、なかなかまだ概念的なものであって、内容的には明確でございませんから、これをいまの段階で法律的に認めるということはなかなか困難で、理念として、目標として認めるということでございますけれども、将来の一つの検討の考え方としては、私個人としては環境権と環境義務というものを同時につくるということも一つの考え方ではなかろうかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/48
-
049・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私は、環境庁は環境権の確立といいますか、そういう方向に全体としてやっぱり動いているというふうに見ておったのですけれども、まあこれはその程度にきょうはとどめておきたいと思います。
次に、騒音と振動、それと排ガスですね、この点について若干伺いたいわけです。まず騒音ですけれども、これは今度の大阪空港の訴訟の場合におきましても、騒音、振動そして排ガスというものによって健康被害が起こっておるというこで、るる陳述が行なわれておるわけですね。肩こりだとか目まいだとか、あるいは胃腸の疾患だとか血圧だとか心臓病だとか、あるいは流産だとか鼻血だとかノイローゼだとか性格に悪影響を及ぼすとか情緒不安定であるとかというような、いろんな訴えが行なわれておる。しかし判決にありますように、これは精神的な面と生活面だけに限られた形になっておるわけですが、環境庁として、この騒音が健康に対してどういうふうに影響を及ぼしているのかという点の基礎データがないというふうに当時報ぜられたわけですが一何も基礎データがないじゃないかということが報ぜられたのですけれども、騒音と健康という問題について、これはすみやかに環境庁としてははっきりさすべきじゃないかと思うのですけれども、何か四十九年度の予算を見ますと、そういう予算が若干組まれていますね。騒音と健康の関連についての調査といいますか、組まれておるようですが、簡単でいいですが、どういうことなのか御説明を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/49
-
050・春日斉
○政府委員(春日斉君) 御承知のとおり、騒音と申しますものが人体に影響のあることは、これはだれも否定し得ないところであり、われわれももちろん健康に対して非常な影響があると考えております。ただ、どういうふうに肉体的、器質的に影響があるかということになってまいりますると、この点は非常にむずかしくなります。たとえて申しますと、騒音が直接人間の体に器質的な影響を与えるものといたしましては難聴がございます。百ホン前後の音をかなり長く聞いておりますと一時的な難聴が起こる。またそれが継続いたしますると、これは永久的な難聴になる。この点ははっきりいたしておりまして、労働省におきましても百ホン以上の職場を有害職場の一つとして指定し、そして定期的な聴力検査等を指導しておるのもそのゆえであろうと思うんです。
しかしながら、じゃ六十ホン、あるいは七十ホン、そういった音が間欠的にあるような——場合によれば八十ホン、九十ホンのこともありましょうが、航空機騒音の場合どういう健康に対する被害が起きるかと申しますと、だれでもわかりますことは、まず心理的な障害が起こってまいります。いらいらする、おこりっぽくなる。情緒的な障害と言ってもいいと思いますが、そういうことが起こります。それからまたホルモン関係とか、あるいは自律神経の関係でございますとか、あるいは血圧の関係、循環器の関係、人体実験なり動物実験をいたしますと、若干の影響があることは確認されておるわけでございます。しかし、それが引き金になって病気を増悪させるであろう、すでにある胃かいようだとか高血圧だとか、そういう疾病をお持ちの方に対して増悪させるであろうということはよくわかるわけでございますが、じゃあどういう病気に、独立した疾患に騒音がなり得るかとなりますると、実はデータが世界中見ましてもほとんどないと申していいぐらいであろうと思います。聴力に関するデータは山ほどございます。また動物実験でもございますが、しかし疾病そのものに対するデータがない。まあ、環境庁すみやかにとおっしゃるわけでございますが、私どももそれを意図いたしまして、四十九年度は健康と騒音の問題、あるいは鼻血の問題も含めてでございますが、早急にデータを整えるべく覚悟いたしておるわけでございますが、すぐにこれが環境庁で整えられるかどうか。これは世界中の騒音と健康の大きな命題であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/50
-
051・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これはこの間新聞に載っておったんですが、東名高速道路の隣接団地について、東大の医学部の保健学科の山本教授の指導のもとで、大学院の学生と住民組織が協力をして、川崎市の団地ですね、東名高速道路に面している団地、それから遠く離れておる団地等についての調査が行なわれて、騒音が高いほど罹病率が高いというようなものが新聞に出ましたですね。あるいは消化器の疾患が多いとかというようなものが出たわけです。私はいまおっしゃったように、この騒音と病気の関係について、いまデータがないし、世界的に実験的なものはあるけれども、実際の調査は行なわれていないということは、これは非常にまずいと思う。いま一番問題になっておるわけですから、しかも実際そこにおる者がそういう訴えをするという状況なんですから、環境庁としてすみやかにこの騒音と疾病との関係について明らかにするという努力をしてもらいたい。四十九年度からやられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/51
-
052・春日斉
○政府委員(春日斉君) 四十九年度からいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/52
-
053・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それは東京空港とか大阪国際空港とか、そういうところでおやりになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/53
-
054・春日斉
○政府委員(春日斉君) そのとおりでございます。
なお先ほどの山本教授が指導いたしました東名高速道路沿いの団地の問題でございますが、これは私も説明を聞いておりますが、確かに有病率は差が出てまいります。騒音の激しい団地のほうが静かな団地より病気になる数が多いわけでございます。数と申し上げますより割合でございます。ただし、それが特定の疾病というふうに画然ときまらないわけでございます。まあこの辺が問題でございまして、したがって胃の病気、高血圧というようなものが増悪したというようなかっこうで調査にあらわれてくるわけでございますので、まあ言うなれば、騒音病というような、一つの病気にならないところがむずかしさと、こういうふうに申し上げて御納得いただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/54
-
055・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いや、そういう騒音病という形でなくても罹病率が高いとか、目立ってはっきり高いとか、あるいは病気になった場合に、それがさらに病状が進むとか、そういうものだって十分検討していく必要がありますですね。それで、このことは飛行場だけの問題ではなくて、たとえばいまも一例に出ております高速道路という問題でも出てくるわけですし、これはしょっちゅう通るわけですから、しょっちゅう通りゃ二年も三年も四年も五年も十年もあるわけですから、そこら辺のことも「これはまあ専門家だからおわかりだろうけれども、案外専門家というのはそこら辺、ぽかっとしているところがありますからね。騒音病なんて言われると困っちゃうんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/55
-
056・春日斉
○政府委員(春日斉君) 先生の御指摘のとおりでございまして、もう全く先生の御意見どおりなんでございます。ただ私が申し上げておりますのは、まあ非常に区別がむずかしいということでございまして、私は騒音がすでにある病気を増悪させる、悪影響を及ぼす、これはもう十分あり得ることであり、現にあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/56
-
057・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 次に、航空機の排ガスですね。この排ガスについても大阪空港では裁判の場合に問題になったんですけれども、これをすでに運輸省が航空公害防止協会ですか、に委託をして二つほど報告書が出ているということですし、それから環境庁としても、昨年大阪空港と東京空港を調査をして、そうして排ガスの調査を行なわれているということなんですけれども、この環境庁の一番新しい——運輸省のやつは四十五年と四十六年ですね、環境庁は昨年だというので、環境庁の昨年行なった排ガスについての結論というものはどうも非常にあいまいですね。あいまいというとおかしいんだけれども、実際住民が考えているといいますか、被害を受けているというのですか、そういうものとの関連の調査じゃなくて、何かばく然と飛行場の排ガスによる空気全体の汚染がどうなっているのかとか、あるいは瞬間的にどういうような汚染状態になるのだとかいうような調査になっておるようですね。これじゃたいへん不十分だと思うんです。で、この排ガスの点について環境庁が行なった結論を簡単にひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/57
-
058・春日斉
○政府委員(春日斉君) ちょっと簡単にいかないので時間を拝借して申し上げますが、航空機の運転状況というものは五つのモードがあるわけでございます。要するにこのモードによって出力が変わるとともに、汚染物質の排出が質的にも量的にも変わるわけでございます。ですから、その点をちょっと前説に御説明申し上げておきますと、第一は空港を離発着いたしますときに、飛行場を走行いたしますアイドリングと称する場合でございまして、これはエンジン出力の五%で動くわけです。それから第二は離陸でございまして、これは一〇〇%のパワーで急上昇してまいります。それから第三がいわゆる普通の上昇で出力の八五%。それから第四が巡航——クルーズと申しますか、巡航でこれが四五ないし七〇%。それから第五が空港に着陸進行するアプローチでございまして、三〇ないし四〇%の出力で入ってくるわけでございます。飛行機が離発着いたします場合、東京空港では大体こういった五つのモードがございますが、合計して二十七分、大阪空港で約二十一分程度だというのがその調査の一つの結論でございます。
ところで飛行機の排ガスは、自動車と同じように、一酸化炭素と炭化水素と窒素酸化物が問題であって、硫黄酸化物はまあ問題にならないわけでございます。これは自動車と同じでございます。ところが、一酸化炭素は不完全燃焼によって起こるわけでございますから、先ほど申しましたように、出力が非常に低いモード、すなわち飛行場のを走行する場合に非常に高く出る。それから出力が非常に高い離陸、急上昇の場合はこれはほとんど出ない。それから炭化水素においても同じ結論が出ております。したがいまして、一酸化炭素にしても炭化水素にいたしましても、一酸化炭素は九〇%が空港内の走行中に起こり、炭化水素は九八%まで地上を走行しているときに起こるということでございます。で、窒素酸化物は高温燃焼時に温度に比例して出てまいります、逆に。ですから、これはアイドルと申しますか、空港を走行中はほとんど出ないと、こういうふうに見てよろしいと思います。
そこで東京空港で一日全航空機がどのくらい排出するかということを見てみますと、濃度としては自動車のエンジンに比べますとはるかに薄い濃度ではございますが、量が非常に多くなるのは当然でございまして、一日総量で見ますと、一酸化炭素で約一万トン、炭化水素で六千トン、窒素酸化物が三千トンということになります。それから大阪空港はやや少のうございまして、一酸化炭素が七千五百トン、炭化水素が五千トン、窒素酸化物が二千トンと推定されておるわけでございます。ただ非常に、こうして見ると大量ではないかというふうに見えますが、たとえば東京湾周辺地域で、じゃあこれがどのくらいな寄与率になっているかと見ますと、一酸化炭素は〇・三四%、炭化水素は一%、窒素酸化物は〇、四%にすぎないわけでございまして、私ども東京空港や大阪空港の滑走路を中心にいたしまして測定をいたしました結果、いずれもバックグラウンドデータと大差ないということがわかっておるわけでございます。これが、いろいろな理屈はございますが、いずれにしても、いままでのところバックグラウンドデータとほとんど変わっていない、それほど影響がないのではないか、こう見ておるわけでございます。航空機の離発着というのは、非常に混雑をしているときでも一滑走路に一機だけであって、自動車みたいに数百台並行走行するとか渋滞するというようなことがないこととか、あるいは飛行機のエンジンというものは四百メートルないし六百メートル、一毎秒でございますが噴射いたしますので、非常に拡散度が高いとか、まあそういうような理由によるものであろうと考えております。
ただ私、気になりますことは、一つはたとえば大阪空港の勝部地区の一部のように、B滑走路から誘導路を飛行機がおりてきて、アイドルと申しますか、地上走行いたしますときにエンジンの排出ガスが直撃するところが若干あるわけでございます。したがいまして、一つの地点でせいぜい三十秒ないし一分程度でございますが、瞬間的な濃度が高くなる地域があり得るということで、大阪府の公害室等の調査がございますが、それによりますと、確かに風の向き、風の速さ、あるいは温度等によっては一酸化炭素あるいは炭化水素等は若干と申しますか、三、四倍、バックグラウンドデータに比べて高くなるというようなこともあり得るというデータも、ことしになってから発表されております。しかしながら、全般的に見ますると、かなり私どもの調査、大阪府の調査を見ましても、見かけほど影響があるようには考えられない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/58
-
059・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 まあ、いま排ガスの問題について環境庁が昨年行なわれました東京空港と大阪空港の状況について話がありましたですけれども、これは常識でわかりますね。とにかくあれだけの速度で走るわけですし、瞬間的にも拡散しちゃうのですからね、たいへんな力で拡散しちゃうのだから、空港周辺がどれだけ汚染したかというのは、なかなかこれはむずかしい問題でしょうし、なかなか結論が出ない問題だと思うのですが、ただ最後にいまおっしゃったように、この三月に大阪府が発表をしたものによると、いまのB滑走路のところからの勝部地区に対して瞬間的にたいへんな濃度の高いものが放出されている。あの勝部地区で鼻血が出る者が多いということで、そこで大阪の府と大阪の府立大学の沢田教授とが協力をして調査をした結果が、三月の八日の日に公表されたわけですね。こういうものをやってもらいたいと思うんですね、環境庁は。何かたいへんな話じゃなくて、もっとこういう住民と直接関係のある問題をやっぱり調査してもらわなくちゃ困ると思いますね。
その発表によりますと、これは一酸化炭素についてみても瞬間濃度というのが九倍ぐらいの濃度になるとか、それから一酸化炭素からの推定で出しておるホルムアルデヒド、これが最高三十倍ぐらいの濃度になるとかいうようなことを発表しておるわけです。そのことと、この勝部地区の住民の鼻血との関係は密接な関係があるというような言い方をしているわけです。ですから排ガスの問題について、私はもう少しそういう面についても環境庁はやっぱりすみやかにやってもらいたいというように思うんです。ところが、どうも環境庁——この間、日本分析化学のむちゃくちゃな話が問題になったのですがね。まあこの間も衆議院の公害委員会で、高知空港の騒音の調査で航空公害防止協会——これ、財団法人ですね、これが調査をやっていることについて、たいへん疑問があるというような話が出ましたり、それから鹿児島県の県議会でも非常に大きな問題になったんですけれども、やっぱり財団法人で気象公害研究所というのがありまして、この気象公害研究所で、県が委託をして、あの周辺に工場をつくった場合のことを考えて公害気象、つまり風の方向なり上空における風の動きなり、そういうものを調査したのですけれども、この公害研究所があの周辺に四十七ヘクタールというたいへんな土地を買っちまっている。公害の調査に来たのか気象調査に来たのか、土地を買いに来たのかわからぬ。で、四十数ヘクタールの土地を買っちゃって、少し問題になって、それをまた三つの名義に分けて、研究所としては二十二ヘクタール、約六万平方メートルという土地を買っているということで、えらい問題になっているわけですけれども、何かわけがわからぬですね。わけがわからぬというと恐縮なんですけれどもね。ですから、まあそれは別問題として、いずれこれは別に公害委員会で問題にしたいと思いますけれども、この調査について、もう少し、住民が心配をしたり懸念をしたり、いま問題になっているそういうものの関連についても、やはり調査をしていただかないというと、排ガスがどうだということで空の上の話を盛んにやっておられても、これは常識で、あれだけの勢いで吹き飛ばすわけですから、どれだけのものになるかということはなかなかたいへんなことでしょう。具体的にこういう調査が行なわれますと、これはやっぱり今後の航空行政にとっても、あるいは環境庁の施策にとっても、たいへん大きな問題になっていくわけですね。こういうものが積み重なっていかなければ、環境庁としてもこれは行政上手ぬかりが出てくるということになると思いますけれども、どういうふうに考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/59
-
060・春日斉
○政府委員(春日斉君) もう先生の御意見と全く同じでございまして、勝部地域の鼻血を中心とした調査——従来は騒音が中心でございましたが、騒音も含めた総合的な調査、ことに排ガスとの関係等も行なうべく、現在も準備中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/60
-
061・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私は公害委員会におりまして、環境庁との関係でいろいろ論議していますけれど、どうも環境庁は新しくできた役所でもありますし、また新しい行政位置を担当しているという面もありまして、たいへん御苦労だと思うのですけれども、たいへん弱い感じがしますね。たとえば航空機の振動の問題について、まあ振動の問題についても航空機をはずしておくとか、あるいは新幹線をはずしておくとか、騒音についてもそういうようなやり方をされるのですね。もう少しむずかしい問題もやっぱり処理するというはっきりしたかまえで対処してもらわないというと、何か外回りだけ歩いているような感じがしましてしようがないわけなんです。
そこで振動の問題について伺いたいのです。まあ航空機の騒音、排ガス、振動、これはもう一緒のものとして論議されて、あるいはまた裁判においても論議されているわけですし、住民の場合においても一緒の問題として考えている。新幹線の場合におきましても、これはやはり騒音と振動ということは一緒になって論議され、住民もまた一緒になって被害を受けておるわけです。それぞれ分かれたものじゃないわけなんですね。ですから法律としては、いま振動についての規制法を準備されつつあるというふうに新聞等の報道によって承知をしておるのですが、これ四十七年ですね、振動公害についての調査研究報告ができている。さらに昨年の十一月に中央公害審議会の騒音振動部会に振動規制法制定にあたっての基本的考え方というものを諮問をされて、即日これは答申が出て、そのまま答申になっている。そして、この振動を規制する法律というものを制定しようというふうになさっておられたのですけれども、どうもこれは今度の国会にお出しにならないようなんですが、案として伝えられておりますところによりますと、工場と建設作業、それと自動車振動ということになっていますね。三つですね、振動源としては。ですから、もっと広くて大きく重要な問題は、これは航空機の振動であり、それから鉄道の振動だと思うのです。特にこれは新幹線ですとたいへんな問題だと思う。やはり航空機についても同じだと思うのですよ。ですからこの場合においても、まあ騒音の場合もそうですが、振動の場合においてもこういうものを除くということは一体どういうことなのか。いろんな問題があるということはわかりますよ。いろんな問題はわかるんだが、こういうものを除くということについて、どうもたいへん疑問に感ずるわけなんですが、この除いたということについてちょっと伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/61
-
062・春日斉
○政府委員(春日斉君) 振動対策を推進するための振動規制法の案を実は今国会に提出すべく私どもは鋭意検討を重ねてきたことは事実でございます。ただ鉄道、特に新幹線による振動騒音公害についての基本的な考え方をさらに詰める必要があるであろう、こういうことから、本国会に提案することは見送らしていただいたわけでございます。で、新幹線振動につきましては、防止技術の開発あるいは車両や線路構造の改善というような技術的な問題が非常におくれておると申しますか、残されておるということが一つ。また鉄道交通という特殊性もございまして、先生御指摘のように、工場あるいは建設、それから一般の道路交通振動と同一手法の規制では行なえない、必ずしもなじまない、こういった特徴があろうかと思います。したがいまして、環境庁といたしましては、現在中央公害対策審議会に新幹線振動の対策を講ずる場合のよるべき指針いかんと、こういう諮問をいたしておりまして、その答申を得た上でその規制方法を含めた有効な防止手法の確立について努力してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
それから航空機の振動でございますが、これはやはり工場、建設、自動車等による振動が地表、地面を伝播するのに対しまして、航空機による振動は空気中を伝播して影響を及ぼすわけでございます。いわゆる気中伝播振動と申します特異の振動でございまして、聞こえる可聴域と申しますが、可聴域以下にわたる低周波の音に起因するものでございまして、これの起こり方あるいは防止策についての解明がまだなされていないのが現状でございます。こういったことにつきましては技術的な解明を急ぎまして検討してまいりたいと考えております。環境庁といたしましては、引き続きこういった問題点を踏まえまして、法案を早急に提案することといたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/62
-
063・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この法案の内容として伝えられたのは、工場と建設作業と自動車振動というふうに新聞等で報ぜられたわけですね。それでいまのお話ですと、新幹線の振動については、これはたいへん防止技術というものが未開発だと、たいへんおくれていると。これは運輸大臣少し頭に入れておかないといけませんな。新幹線は速度はたいへん出したけれども、振動を防ぐについてははなはだおくれているという話ですから。そうでしょう、おそらく。環境庁自身もまだ調査を行なっていらっしゃらないような状況のようです。といって振動については、御承知のように、二十三都道府県がすでに振動についての条例をつくっておるわけでしょう。そして早く国が振動についての法律を制定することを望んでおるわけですよ。二十三の都道府県がやって、そしてまだつくらないと。しかも、いまおっしゃった新幹線の振動まで含めてやるということになりますと、これはいつのことになるやらわからぬという感じがしませんか。運輸省だって茶々入れるでしょうしね、これは。というふうに私は思いますがね。
環境庁は新幹線の振動まで含めておやりになる予定ですか。それはけっこうですけども、そのために振動規制の法律というものがたいへんおくれるということでは、これまた問題ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/63
-
064・春日斉
○政府委員(春日斉君) ただいまお答え申し上げましたように、実は中公審に対して新幹線振動はいかにあるべきかと、その指針を求めておるわけでございまして、振動規制法の場合も新幹線は除いてございまして、ただ現在新幹線騒音の環境基準をつくるべくいま検討中なんでございますが、言うなれば法律には入れませんけれども環境基準というかっこうで入れていくとか、あるいは振動の場合はこれは公害対策基本法に環境基準をつくるべきものの中に入れてございませんので、必ずしも環境基準という形に持っていくかどうか別といたしまして、別ワクでやはり考えるというのがいままでの考え方であったわけでございます。それをもう一回考え直すと申しますか、含めて再検討を現在早急にいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/64
-
065・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま新幹線の話が出ましたが、この航空機ですね。飛行場の航空機の振動、これは今度の大阪の空港の裁判の場合も、原告の場合は盛んに訴えているわけですね。神だなの花びんがいつの間にか落ちる。あるいは仏壇の灯明がいつの間にか落ちるとか、あるいは壁がくずれるとか、屋根がわらがずれるとか。で、振動というのは、いまおっしゃったように、地面を媒介とした振動もありますし、いま言うように空気を伝わった振動というものも非常に大きいわけですよ。ですから、当然これは航空機による振動の規制というものをしなきゃならぬと思うのです。そういう航空機の振動についての問題はどうなっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/65
-
066・春日斉
○政府委員(春日斉君) 先ほどお答え申し上げましたように、この気中伝播の伝播振動というものは、非常に低周波の音に起因するわけでございまして、その起こり方あるいはその対策のしかた、これがほとんど未解明と言っていいと思います。これにつきましては、私ども十分に検討を続けてまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/66
-
067・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いや、せっかくいま振動規制の法律をつくろうとする、法案そのものはできているという状況なんですし、今度国会に出そうという努力をなさってきたわけだし、たださっきのような問題があって、三月三十日に名古屋の新幹線についての訴訟も行なわれるというような状況の中で、おそらくしばらく見合わされたんだろうと思うのですけれども、おかしな話だと思うけれども、いずれにしても、せっかく振動規制の法律をおつくりになるのだから、当然鉄道はもちろんでありますけれども、航空機のこの振動についても、すみやかに処理をするということで——まだこれは諮問も何もなさっていらっしゃらない、航空機については。で、現実に訴えておるわけです。お考えになったっておわかりになるでしょう。航空機の騒音による振動というのは空気を伝わって出てくるわけだし、屋根がわらがずれるというのは当然想像されますし、考えられることだし、あるいは壁が落ちるということも考えられることでしょうしね。そういうものの規制をおやりにならないと私は困ると思うのですけどね。これは諮問なさっていらっしゃるのですか、まだなさっていらっしゃらないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/67
-
068・春日斉
○政府委員(春日斉君) これは直接は諮問いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/68
-
069・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 環境庁としては、私も申し上げましたが、新しい行政区域になっているし、新しくできた官庁でもありますし、いろいろな問題をたくさんおかかえでたいへんだろうと思うのですけれども、どうも進め方が非常に、一生懸命やっていらっしゃるというふうに見ているんだけども、どうも直接住民が感じている、あるいは問題が起こっておるという問題についての対処のしかたが非常にテンポがのろいという感じがしてしようがないですね。騒音そのものについても新幹線を除いてこられたわけだし、あるいはこの振動についても新幹線を除いたり、あるいは航空機を除いたりなさっていらっしゃるというようなことになりますと、何だかきょうは自動車の排ガスについてえらい出てましたですね、きのうの新聞だったですか。もう少しというか、もっと積極的にこういう問題に取り組んで進んでもらいたいと思います。住民の期待というか、被害を受けている住民の期待になかなか沿えないような状況にあるんじゃないでしょうかね。政務次官、ちょっと見解を表明をして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/69
-
070・藤本孝雄
○政府委員(藤本孝雄君) 先ほど来から先生の御指摘、私拝聴いたしておりまして、特に騒音と振動という問題は一体であるとも思いますし、航空機の場合は多少内容的には異なりますけれども、特に新幹線の振動、航空機の振動につきましては、いろいろと御指摘がございましたけれども、全く同感の点もあるわけでございまして、早急に検討の上善処いたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/70
-
071・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 では終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/71
-
072・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 午前中の質疑はこの程度といたします。
午後一時二十分まで休憩いたします。
午後零時二十九分休憩
—————・—————
午後一時二十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/72
-
073・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会、地方行政委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会を再開いたします。
午前に引き続き、質疑を行ないます。
小平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/73
-
074・小平芳平
○小平芳平君 前回の公害対策特別委員会でも問題といたしました大阪空港公害訴訟判決について、政府はどのようにこの判決を受けとめ、どういう手をその後打ってこられたか、概略御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/74
-
075・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 判決に対しましては、私どもはそれを厳粛に受けとめたわけでございます。判決は判決といたしまして、それとは別に、行政の責任というものは別の面で、また法律以外の面で、私どもは考えていかなきゃならぬ、果たしていかなきゃならぬ、こういうことで、いろいろその後、航空会社当局に対しましても、いろんな観点から話を進めてまいりましたけれども、一昨日発表いたしましたように、とにかく音源対策の一つとして減便をやらなきゃならぬということで、御案内のような減便を指示いたしたわけでございます。これにつきましては、航空会社当局も、その線に沿って協力するということで、減便の対策を発表いたしたわけでございますが、判決に対しましては、いろいろ関係省庁間で議論、検討いたしました結果、やはりいろんな面で、まだ国としても、現在までも、あるいは今後におきましても、あとう限りの努力を積み重ねてきておるし、また今後も積み重ねるわけでございますが、そういう意味からも、法律上の責任というものについて、いかがなものであろうかということで、上級審の判決を仰ぎたいということで控訴をいたしたわけでございます。
判決の面においてはそういうことでございますが、行政の面におきましては、先ほど申し上げましたようなことを、さらにまた、具体的ないろんな点について努力を重ねてまいりたいと、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/75
-
076・小平芳平
○小平芳平君 その控訴した理由を御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/76
-
077・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 先ほど申し上げましたように、国としてもその責任を免れるものではないということで、きびしい判決がございまして、それに対する裏づけの内容が発表されたことは、御承知のとおりでございますが、私どもといたしましては、今日までも、この騒音に対しましては、できる限りの努力をしてまいりました。また今後もしなければならぬことは御案内のとおりでございますが、今日まで続けてまいりました努力に対して、さらにそういうような法律的な責任追及ということについて、私どもとしてはどうしても肯定するわけにはまいらない。そこで、さらに上級審の御判断を仰ぎたいということで控訴をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/77
-
078・小平芳平
○小平芳平君 控訴した争う項目をあげてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/78
-
079・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 控訴の趣旨につきましては、大臣がお答えしたとおりでございますが、具体的にどういう点についてかくかくの理由でということにつきましては、目下関係省庁で詰めておりまして、いずれ具体的なものを裁判所へ提出すると、こういう段取りになっておりまして、まだ最終的なものが実はできておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/79
-
080・小平芳平
○小平芳平君 最終的でなくても、たとえば差し止め請求が一部認められたことについて争うとか、あるいは損害賠償最高五十万円について、そういう賠償をする必要ないというようなことで争うとか、そういうことはわかっていないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/80
-
081・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先生御承知のように、控訴状を出しておるわけでございますけれども、控訴状の中身はごく簡単でございまして、判決中の控訴人敗訴部分について不服があるので控訴すると、このようになっております。
それから申し立ての中身は、控訴の趣旨といたしましては、控訴人敗訴部分を取り消すこと、それから被控訴人の控訴人に対する請求を棄却すること、それから訴訟費用を被控訴人らの負担とすること、こういうごく簡単なものでございまして、その敗訴部分のどういう争点を重点的に争うかという問題については、先ほど大臣、局長がお答え申し上げておりますように、政府部内で検討中でございまして、いずれ第一回の準備書面の段階までに明らかにすると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/81
-
082・小平芳平
○小平芳平君 そういう程度の新聞報道を私も見たのですが、どうも一方ではきわめて被害を減らすために努力する、行政上のあらゆる努力をするというふうに言いながら、そういうふうに、負けた部分は一切承知できないというふうな、その辺の考え方がどうもふに落ちないですが、それは運輸省御自身もそんな気持ちがしませんか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/82
-
083・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先ほど大臣がお答え申し上げましたように、裁判は裁判、行政は行政としていろいろな対策を進めておるわけでございますけれども、御承知のように、裁判で争われております問題は、国が不法な行為をしているかどうかと、かような部分でございます。これにつきましては、国としてはできる限りの国としての行政施策をとってきたし、また今後もとっていくつもりであって、その中身において行政的に見てもっとやったほうがいいという点は多々あるといたしましても、法律上の不法行為を構成するようなことはないと、この点を争っているわけでございまして、法律上の不法行為の有無につき争いながら、一方では、できる限り、不法行為にならないことはもちろん、さらにそれから進んで行政上の十分な手当てをしていく努力をする、これは運輸省としての当然の責務だと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/83
-
084・小平芳平
○小平芳平君 その辺は幾らやりとりをしてもここでは結論は出ませんので、やりとりはもういたしませんが、こうした過密の空港——東京、大阪あるいは名古屋、福岡というふうな、こうした非常に過密といわれる飛行場も、かつてはそんなに過密じゃなかったと思うんですね。おとといの土曜日に福岡空港の視察に運輸委員会が参りましたが、その空港がどのようにして福岡にできたかという経過をお聞きしてみましても、そういう大型ジェット機が一日に大量に往復するようなことは夢にも考えていなかったわけです。それがごくわずかのプロペラ機が飛ぶようになった、そのうちにだんだん大型化し、ジェット化し、過密化し、とともにまた周辺に市街地が造成される、市街地が造成されるにもそれなりの理由があるわけです。もうそれ以上人口がふえる、住宅が足りなくなるということで、その周辺が開発されていくのも必然の成り行き、そういうことが今日のような経果になったという点、そういう点から見ますと、やはりどういう機種をどのくらい飛ばせてもいいか、どういう機種をどのくらい飛ばせたら住民が耐えられない苦痛が発生するか、あるいは時間帯をどうするか。そういう全体としての規制なり計画がなかった、ただ乗客がふえる、滑走路を延ばす、そうして大型化し、ジェット化していく。要するに今日の状況がある日突然あらわれたのではなく、そういう国の行政上チェックすべき点が十分チェックされていなかったがゆえに今日の地域住民に耐えられない環境破壊が生じた、こういうふうに受けとめられるのが当然じゃありませんか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/84
-
085・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) ただいま先生御指摘の空港と周辺の関係でございますが、確かに空港そのものが日本の国内で建設されました時点から考えますと、大きな変化がございまして、特にジェット機が実用化され、大量の旅客が非常に速い時間で目的地に行けるという便利性ができたことによりまして、もちろんそういう飛行機に乗って旅をしようという人がふえたわけでございます。そういうことを十分予測しないで空港を整備してきたという点につきましては、私どもはやはりジェット機が開発される段階から空港というものの大きさ、位置等についてある程度の計画性を考えたつもりでございました。
しかしながら、先生御存じのように、こういう非常に狭隘な日本におきましては広大な空港をつくることが非常にむずかしいということもございまして、次第に今日のような過密状態になってまいったわけでございます。空港は当然のことながら空港周辺というものが一つの社会的機能としてたいへん便利な地帯になりますので、やはりそこの近くにいろんな経済活動が起こり、場合によっては住宅ができるという状態になっておりまして、それが今日非常にある意味でのひずみができてきた、こういうことになっております。したがいまして、私どもとしては従来とっておりました空港整備というものの考え方、主として需要に見合う容量というものを考えていくということのほかに、特に騒音等の公害をできるだけ少なくするようなあり方の空港を今後整備すべきであろうということで、現在行なわれております第二次空港整備五カ年計画というものを、五十年度を初めとする第三次の空港整備計画に切りかえていこうということでいま準備の作業に入っておる段階でございまして、その意味で、空港のあり方というものが今後、従来よりは変わった観点から認識されていくことになるだろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/85
-
086・小平芳平
○小平芳平君 ちょっとここで別な問題の質問になりますが、日中航空協定の締結の交渉が、きのうは日曜日にもかかわらず交渉が持たれたということは、早い時期にまとまるのではないかというニュースがけさ報道されておりましたが、そういう点についてどのような見通しを持っておられますかという点が一つ。
それから、その航空協定ができた場合に、空港としてはどこが使われるか、そういうことについての検討がなされておられますかどうですか。以上、二点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/86
-
087・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 新聞等に報道されましたが、昨日から交渉が開始されたようでございます。その結果について私どもまだ報告を受けておりませんけれども、中国側としても、この日中航空協定の早期締結に相当の熱意を持っておるということの反証であろうかと思います。したがいまして、航空協定の交渉そのものはかなり早い時期にという御指摘でございますが、双方急ぐということであれば、それなりのテンポで進むかと思いますが、航空協定自体は権益の交換でございまして、双方がこれがほしい、これはやれる、これはやれないというようなことの交渉の積み重ねで最終的にきまるものでございますので、その辺が順調に折れ合うかどうかということは、今後の交渉の推移を見ていかないといけないことであろうと思います。ですから、いつごろできるということについての私どもは確たる見通しを持っておりません。
それから第二点の、どういう空港を使うかということについて検討がなされておるかという点につきましては、これは当然のことながら交渉団が腹案として、日本国内のこういう空港ならば出してもいい、あるいは向こうの国内のこういう空港はほしいのだというような腹案を持っていっておるわけでございますが、内容につきましては、交渉事でございますので御答弁を差し控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/87
-
088・小平芳平
○小平芳平君 そういうことだと思います。そういうことだと思いますが、いま私が環境問題として空港について、飛行場周辺の環境問題として問題を取り上げようとしているわけです。したがって、かりに運輸省のそうした方針とは別に、わがほうの空港を使ってほしいというような地元からの要請はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/88
-
089・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 日中航路の開設に関連いたしまして、いわゆる誘致運動と申しますか、ぜひ自分のほうに中国航路を開設してもらいたいという御希望は、特に九州の空港につきまして数回陳情を受け、かつまたそういう御希望があることを承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/89
-
090・小平芳平
○小平芳平君 数回ですか、数カ所ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/90
-
091・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 数回、数カ所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/91
-
092・小平芳平
○小平芳平君 したがって私がいま指摘したいと思います点は、非常にアンバランスが大きいではないか。私は航空行政について全くしろうとでよくわかりません。よくわかりませんが、あるところは非常に過密化してもう何とも余地がないというところはごくわずかであって、大多数の空港は、むしろそれだけの広さと設備と人員を持ちながら、極端に言えば第三種空港ですか、一日に二便とか、それも往復二便とか、それも欠航があるとまるきり来ないとかいうような、そういうアンバランスの状態はどのように受けとめておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/92
-
093・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) まず空港といいますか、航空輸送というものが、本来的にはそういう輸送需要のある流れに従って飛行機が運航されることによって成立するものでございまして、いま日中に関連してお話が出たわけでございますが、国際間でこういう空港、われわれ地点と申しますが、交換をいたします場合にも、当然のことながら、そこの地点が経済的に価値のある地点を望むわけでございまして、それに見合った地点の交換ということが普通行なわれるわけでございます。したがいまして、非常にすいた空港だからこちらを使ってくれというようなことも全くないとは言えませんと思いますけれども、通常の場合ですと、やはり需要の多いところへ向かって乗り入れを希望するというのが普通のパターンでございます。
次いで国内の場合でございますが、実は国内のいわゆる三種空港につきまして、先生御指摘のような現象があちこち起こっております。これの最大の原因となっておりますのは、東京、大阪等がもう過密と申しますか、技術的にもこれ以上ふやせないという状態になっておりますために、従来わずかしか飛んでおらなかった三種空港に対しても需要がふえたけれども、飛行機を飛ばせる発着回数がワクがないというような現状に逢着しておるわけでございまして、当然、現在二往復、一往復しているところをふやせば利用者にも便利になることがわかっておりましても、東京ないし大阪の発着のワクの問題でこの運航ができない、こういう状態になっております。そうだからといって、ではすいている三種同士を結べば、これは物理的には可能でございますが、そこを動くやはり旅客なり貨物なりというものの量に問題がございまして、やはり運航するだけの意味がないケースが非常に多うございます。したがいまして、わりあいかんこ鳥が鳴くような空港も反面存在しておる、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/93
-
094・小平芳平
○小平芳平君 運輸大臣、いま航空局長が述べられた点、これは日中航空協定の問題と過疎過密は別問題ですが、一応別問題であることは当然でありますが、一方では過密に非常に悩む、一方ではこれだけの土地と施設があるならもっと使わないことには第一成り立たないというような点あるいはこの日中の場合でしたら九州からという航空局長のお話がありましたが、そういう点どういうふうな判断をすべきか。直接関連のない日中航空協定と、それから過疎過密についてでありますが、大体先ほども申しましたように、ある日突然過密になったのではなくて、だんだん輸送がふえる、客がふえる、ふえただけ大型化する、便数をふやす、滑走路を延ばすという非常に行き当たりばったりで来た、それが強くいま反省を求められ指摘されている今日、こういうような点について、将来の展望をどう立てていくかという点についてお尋ねをしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/94
-
095・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) まあ日中間の問題は、これはこちらが閑散でございますからどうぞこちらをお使いくださいと言っても、向こうでいやと言えばそうもいかぬという事情もございましょうし、これは話し合いによって、いろいろ向こうさんの御希望もございましょうし、当方の希望もあることでございますから、過疎過密の対策として日中間にどうはめ込むかということはちょっとこれはそう簡単に考えられぬ問題だと思います。
それからいまおっしゃいましたように、確かに航空輸送というものは時代の変遷に従って急速な進歩を遂げてまいりましたから、いろんな面で後手後手に回っておることは御指摘のとおりでございます。特に騒音問題等につきましては、つい十年前にできた新幹線ですら後手に回っているというようなことでございますから、いろいろ御指摘を受け、御批判をいただいているようなことがあるわけでございますが、今後やはり需要のあるところにどういう供給をするかということでございまして、これはたとえば新幹線等の問題でございますと、新幹線によって過疎過密面の、国土の平均した利用計画と申しますか、開発といいますか、そういうような問題もいろんな面でまた考えられるだろうと思いますけれども、飛行機の場合は飛行機を飛ばしたからそこが大きく開発されるというものではないと思うのでございます。したがいまして、需要に見合った供給ということが主としていままで追っかけてきた道でございますし、今後も特に離島でございますとか、あるいは交通不便な山を越すとかいうようなことはまた飛行機の面でいろいろ考えなきゃならぬ面もあろうかと思いますけれども、その他の面におきましては航空行政というものをどういう体系の中に組み込んで今後持っていくかということは非常にむずかしい問題だと思うんです。したがいまして、明年度を第一年度とする第三次空港整備五カ年計画におきましては、いま御指摘のあったような点を十分配慮して、そうして空港の整備等につきまして今後配慮していきたいと、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/95
-
096・小平芳平
○小平芳平君 これも新聞報道で私は知っただけですが、たとえば航空会社が、東亜国内航空という会社は非常に過疎地を受け持っていて経営が困難だということならば、今度はほかの航空会社の路線を東亜国内航空に振りかえてやる方針かのような報道を伺ったことがありますが、そういうことは検討されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/96
-
097・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) ただいま東亜国内航空につきまして御指摘がございましたが、東亜国内航空という会社は当時の日本国内航空が合併してできた会社でございますが、これはいわゆるローカル路線といわれておりますけれども、YS11型機を使って運航するようなローカル路線を中心とすることにより十分採算がとれるという一つの考え方のもとに発足した会社でございました。ところが先生御指摘のように、空港の整備がやはり需要の多い空港から進められて、その結果ジェット機を利用するような東亜国内航空が路線を比較的持っておらなかったということが、新聞で出ておりますように、いはゆゆローカル路線ばかりを持っておるために採算が悪いという結果になったわけでございますが、これは反面は非常に経費の上昇等がございまして、このYSという飛行機を使っております限りなかなか採算がとれない。
したがいまして、このいわゆる路線というものを多少再配分をして考え直さなければならないじゃないかということで、そういうジェットを飛ばせるような路線を少しふやしていくような方向ごの会社のてこ入ろをするという、そういう意味で路線の再配分についても検討をする必要があろうというような趣旨の御答弁が、かって大臣から委員会でなされたことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/97
-
098・小平芳平
○小平芳平君 飛行機が飛ぶようになったからといって、その地域が開発されるわけでもないというお話が先ほどありましたが、かといって、たとえば青森県なら青森空港というものがありますが、それが一ぱいで大体団体客でも入ればもうほとんど余地がないということになると、その地域の方々の期待にもこたえられないではないでしょうか。かといって、現在騒音が各地で問題となると、ならないのは三ヵ所くらいというように午前中、大臣はあげておられましたが、そういう点早く、今回の法律改正も確かに一つの前進だというふうにいわれておりますが、しかし非常に欠陥の多いことも強く指摘されていると思います。したがいまして、そうした地域の要求にこたえることと、それから環境を保全していくその辺の一致点といいますか、調和点というものをどう見出していくか、これが非常に急を要する問題であると、この点はいかがでしょうか。
それからまた東亜国内に振り向けるということは、これは営業政策なり行政指導の上の問題だと思いますが、そういう点についてもやはり地域の環境をどう保持していくか、それが従来のように、さっきから再三申しますように、従来のようになしくずしに騒音がふえる一方だと、それがとめどなくそういうこときなっていくということでは、もう東京、大阪だけじゃなくなってしまうわけですから、地域住民と空港との争いというものはもう全国に広がっていくという結果にもなりかねないじゃないでしょうか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/98
-
099・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 先生御指摘のように、旅をしたいという要求と、それから空港周辺の地域の住民と、この二つの要求の接点をどこに見出すかということが非常にむずかしい問題でもございますし、同時に必要な問題であるという点については、われわれ十分認識いたしておるところでございます。で、環境基準というものが定められましたので、私どもはこの環境基準を充足すること、またその環境基準の範囲内におきまして輸送需要を満たすと同時に、地域住民の方々の御迷惑をできるだけ少なくしていくということで、環境基準が一つのものさしになろうかというふうにまあ判断いたしておるわけでございまして、今後は環境基準を達成できる、充足できるような空港を整備しまして、その範囲内での空港の運営をはかっていくことが一つの問題の解決の方向ではなかろうかと存じております。
それから便数が非常に少なくて、また広い意味の地域の方々の期待にこたえられないという面につきましては、これは行政指導の範囲内でいまわれわれある程度解決しようと努力いたしておりますが、先ほど申し上げましたように、やはり東京の発着回数に非常に問題がございまして、このワクをなるだけつくりまして、そういういわゆる不便な三種空港の周辺の方々の便利もあわせてはかっていかなければならないということで、これはこれなりに一つの手当てを努力しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/99
-
100・小平芳平
○小平芳平君 それから環境基準についてもあとで時間があったら触れたいと思います。
次に、午前中松永委員との間にたいへん何回もやりとりがありましたが、一体原因者負担ということをどう考えるかということですね。ですから午前中の繰り返しでなくて、空港周辺整備計画を達成していくための費用負担について、これは公害の場合でしたらどんな赤字の企業でも相当な救済なり公害防止に現に努力をしているわけですよ。したがって、この空港の整備について、そうした原因者負担ということは、国の負担が七五%だということはわかりましたから、一体発生源である航空会社はどういう負担をしていくのか。第四条には負担するような趣旨が述べられているといいますが、それを読んでみましたが、じゃ国が七五%、地方公共団体もしくは他の機関が二五%負担するというふうになった場合、一体航空会社はどれだけ負担をするのか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/100
-
101・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先生の御指摘の話は、民家の防音工事の七五%、それが現実には原因者である航空会社のどの程度の負担になっているか、こういう御質問かと思います。先ほどの松永先生の御質問のときに局長がお答え申し上げましたように、これらの七五%出します経費は空港整備特別会計でまかなわれております。空港整備特別会計はその収入財源を着陸料、それから航行施設援助料、それから航空機燃料税、それから通行税に見合います一般会計繰り入れ分、そのほかの一般会計繰り入れ分というような諸要素から構成をされております。したがいまして、通行税からの繰り入れ分も含めますと、全体といたしましてはほぼ八〇%程度が原因者である航空会社から支払われておる歳入でまかなわれております。空港整備特別会計の中身には、御承知のように、新空港公団等に対する出資金とか、それから離島、辺地等の空港整備に要します費用とか、元来一般会計繰り入れ分で負担すべき性格のコストが入っておるわけでございまして、そういう点を差し引いて考えますと、この騒音対策のために出しております経費というのは、実質的には私どもはほぼ原因者負担でまかなわれておるというふうに考えております。七五%の内訳のうち、どれどれが航空会社というふうな直接の結びつきはございませんけれども、いま申し上げましたように、そういうふうにほぼ一〇〇%原因者負担になっておるというふうに考えております。
ただ、これからこの経費が非常に急速にふえるわけでございまして、それについてはどうかという点につきましては、午前中大臣等からお答え申し上げておりますように、昭和五十年から新しい空港整備五カ年計画を策定いたしまして、その際には騒音の原因で諸対策を講ずるについての負担の問題というものを空港整備特別会計の歳入においていろいろ明らかにしていきたいというふうに考えておりまして、実質的にはすべて原因者負担でまかなうという方向で処理をしていきたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/101
-
102・小平芳平
○小平芳平君 一〇〇%原因者負担ですか、航空会社の負担が一〇〇%ですか。それからこの大阪空港判決の損害賠償ですね、こうした損害賠償に当たる分もすべて航空会社が負担いたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/102
-
103・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 大阪空港の裁判によります損害賠償の問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、ただいま双方で控訴をいたしておりまして、したがって判決がまだ確定をいたしておりません。確定をいたしました後にあいて、どういう費目からこれを支弁するか、もし国として支払わなければならないということであるとすれば、どのような費目から支弁するかという検討が行なわれるわけでございまして、ただいまのところ判決が確定いたしておりませんで、政府部内でまだ確定的な判断をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/103
-
104・小平芳平
○小平芳平君 いや、それは判決が確定していないことはもちろんです。ただ私は考え方を尋ねているのです、考え方を。あなたの説明では、そうしたものは一〇〇%原因者負担だと、たとえば着陸料、援助施設利用料、燃料税ですか、そういうようにして原因者負担になっているんだということですから、それならばそうした環境整備も含めて、ちょうど公害防止事業と同じように、そうした原因者負担ということが貫かれるのですかということを尋ねているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/104
-
105・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 私が先ほどほぼ原因者負担でまかなわれておりますと御説明を申し上げましたのは、先生が民家の防音工事の例をお引きになりましたので、そのような騒音対策として国が支弁しております費用について申し上げたわけでございます。で、判決が確定いたしまして、もし国が支払わなければならないというような費用が出ました場合には、その費用が判決においてどのような原因で支払わなければならないかということが確定するか、それによっておのずから支弁すべき原因というものが変わってくるんではないか、かように思っております。たとえば現在は国家賠償法の一条を判決では引用なさっておるようでございますけれども、一条を引用した判決になるのか二条になるのか、またそのほかの民法の七百九条の不法行為になるのか、確定いたします判決の原因自体によって、おのずから支弁すべき費目の責任関係が異なってくる。したがいまして、判決の確定しない段階でどの費目、すなわち空港整備特別会計から支弁するのか、一般会計から支弁するのかというようなことについて、ちょっとお答えをできかねる状態でございます、こういうことでお答えを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/105
-
106・小平芳平
○小平芳平君 大臣いかがですか、公害の場合は企業が相当な赤字企業であっても公害防止事業とそれから被害者救済、これは法律による負担もありますけれども、とにかく原因者負担ということを貫こうということで一貫していると思うんですが、ですからこの空港の騒音公害の場合も全く同じと考えられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/106
-
107・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) ただいまも空港整備特別会計によって、内容等については、先ほどそれぞれ御説明申し上げたとおりでございます。しかし今度の空港整備五カ年計画——来年度を初年度といたします三次の計画につきましては、お説のようなことをもう少し明確にして原因者負担というものを取り入れてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/107
-
108・小平芳平
○小平芳平君 いま大臣おっしゃったように、明確にすべきだと思うのですね。公害の場合のほうがいろんな法律、制度が明確になっているように私は感ずるんですが、航空行政の場合、私よくわかりませんが、もっと明確にすべきだということで次へ参ります。
航空局長、それから城戸局長、福岡空港周辺でいまなお宅地造成が盛んに行なわれておりますが、大臣にそういう報告がありましたかどうか、現に新興住宅街として開発されつつあるところがやがてはいまの航空騒音が問題になるんではなかろうかということで。しかし、それも指定地域になるかどうか、もし指定地域からはずれたとしても、だいぶ将来は問題になりそうだというようなところに宅地造成が行なわれておりましたが、こういう点についてはどう対処されますか。これは運輸省ですか、環境庁ですか。あるいは両方からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/108
-
109・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 私も先生のお供をして福岡空港を見てまいったわけでございますが、この空港にかなり近いところで宅地開発が行なわれておりまして、これと同じ現象が実は伊丹で起こりまして、現在の非常に騒音問題を深刻化させる一つの原因になっておるわけでございます。したがいまして、空港周辺にある程度の立地規制というものがどうしても必要になってくるのではないかというふうに考えておりますが、現在のところ、法律的にこれを手配するのはいろいろもう少し検討して詰めないと結論が出ないと思いますけれども、とりあえずはそういうおそれのある土地というものをできるだけ事前に買い取ってしまうというのが一番効果的であろうということで、今回の法改正をお願いしております空港周辺整備機構というものができますと、その中でそういう買い取り等も行なっていきたいというふうに考えておりまして、できるだけそういう騒音の被害を及ぼすような地域に家が建たないような手配ということを実質的に行なっていきたい、とりあえずはそういう方法で進めていきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/109
-
110・城戸謙次
○政府委員(城戸謙次君) これは二月二十七日の長官談話の中にも第五番目に入っておりまして、空港建設にあたっては、立地につきましても、立地後も騒音問題を十分考慮し、空港周辺の土地利用及び建築制限等の規制措置をとるよう新しい制度を検討することと、こういうぐあいになっております。私どもは、いま運輸省のほうから御説明がございましたが、建設省とも関連する事項でございますので、今後、両省と連絡をとりながら、ただいまお話のありましたような買収する土地はともかくとしまして、もっと広い範囲で立地をめぐります十分な規制が行なわれますように制度化ができればと、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/110
-
111・小平芳平
○小平芳平君 長官の談話ですね、最後、私は長官の談話で終わるつもりでいたのですが、長官の談話で非常に将来の展望について語っておられます。しかし、現実問題飛行場は東京にしても大阪にしても名古屋にしても、初めできたままに置かれているわけでしょう、初めできたまま。要するに、ここは環境保全上よろしくないといって、ほかへ移転したという例もほとんどないじゃないでしょうか、いま問題になっているような過密空港でですね。ですから、そういう点は、環境庁が主体となって動くか、運輸省が主体となって動くか。いずれにしても、長官の談話は、環境基準が守られない場合には移転を含めて検討すべきだと言っておられますが、それはいまだかつてない。それこそ、この地域なら緑地帯にすべきだとか、市民のいこいの場にすべきだ、そして空港はほかへ持っていけということは、どれほどか強く叫ばれていてもなかなかそれができそうになかった。従来はとうていそれはできそうもないことだった。わずかに便数を減らす、あるいは防音装置をつける、こういう程度だったんじゃないでしょうか。したがって、そういう長官の談話のような実現をしていく上には、従来のような取り組みではとうてい不可能じゃないか、どうやったらそういうことが可能かという点についてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/111
-
112・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 長官の談話に関連してのお尋ねでございますけれども、大阪空港につきましては、昭和四十六年に審議会に対しまして、新しい空港をつくりたいということで、場所でございますとか、あるいはいろんな点において諮問をいたしておるわけでございます。その答申も近々——この七、八月ころには出るという予定でございます。御承知のように、大阪空港はいろいろ御指摘がございましたようにいろいろな欠陥が、特に騒音等については欠陥があるわけでございまして、抜本的な問題としては新しい空港以外にはないと思います。新しい空港以外にはないと思いますが、この答申が出まして、地元の皆さん方の御協力を得てつくり上げるにいたしましても、相当なやはり時間がかかるだろうと思います、二年や三年で簡単にできるものではございませんから。その間には、やはりいまお願いしておりますような周辺機構等を整備いたしまして音源対策なり、また周辺対策なりを進めていきたいというのがいまの立場でございますが、根本的にはやはり代替飛行場というものをつくる、特に大阪の場合はそういうことで鋭意いま検討を進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/112
-
113・春日斉
○政府委員(春日斉君) 長官が申し上げましたような立地の問題、ことに空港周辺の土地利用及び建設制限等の規制措置につきましては、企画調整局長がお答えいたしましたように、関係省庁とこれから連携をとりながら新しい立法等を考えていかなければならないと思うわけでございます。で、私ども、諸外国のいろいろ主要空港でどういうことをしているかという調査もいたしてみたわけでございますが、先生の御提言のごとく、ほとんどの、たとえばヒースロウにいたしましても、フランスのオルリー、あるいはジュッセルドルフ等にいたしましても、特定の地域の建設禁止とか、あるいは住宅の禁止区域の設定とか、そういったことが中心になっておるわけでございます。日本の場合、それが不幸にしていろいろな私権の問題、あるいは土地の価格の問題等もからみましてできなかったわけでございますが、そういったことを十分に検討して、長官の申した趣旨の早急な実現方につとめたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/113
-
114・小平芳平
○小平芳平君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/114
-
115・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 中村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/115
-
116・中村利次
○中村利次君 去年の十二月、環境庁は、航空機騒音にかかる基準について、加重等価平均騒音値七〇以下ということを告示をされたわけですね。まず私は最初にその根拠をお伺いをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/116
-
117・春日斉
○政府委員(春日斉君) WECPNL七〇、それから商業、工業の地域、地帯がまざったようなところでは七五以下ということでございますが、これは中公審の討議の中で、一つは、WECPNL七〇ないし七五のところで航空騒音に関する苦情がふえてくる、苦情率の点からも一つ設定した根拠になっております。
それからWECPNL七〇及び七五のところで、生理的あるいは動物実験的な調査によりまして、いろいろな障害が起きている、こういったことからきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/117
-
118・中村利次
○中村利次君 そうしますと、たとえば住居専用地域で、七〇以下になれば健康的、生理的にまず問題にするほどの影響はないと、こういうぐあいに解釈をしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/118
-
119・春日斉
○政府委員(春日斉君) そのとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/119
-
120・中村利次
○中村利次君 そうしますと、今度のこの一部改正の法案は、環境庁の環境基準の設定に基づいておやりになろうとするものか。大体五年計画で八五以下に下げようという計画のようでありますけれども、そういうことなのか。あるいはこれは、昭和四十六年でしたかね、前のあれは。それを受けてこの改正法案の提出ということになったのか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/120
-
121・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先生御承知のように、この法案が提出されましたのは先通常国会でございまして、先通常国会の時点では、まだ環境庁の環境基準は明らかにされておりませんでございました。したがいまして、その意味では、私どもは、よるべき根拠といたしましたのは、いま御指摘のございました昭和四十六年の十二月に環境庁から出されました中間的な勧告でございます。ただ御承知のように、今度新しく示されました環境基準という中身につきましては、環境庁として四十六年の十二月に出されました中間勧告の線は、その中間的段階としてはそのまま受け継がれておりますので、その意味では私ども特に矛盾はないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/121
-
122・中村利次
○中村利次君 とにかく騒音であれ大気であれ、あるいは水質であれ、公害と称するものは、よほどこれはもう徹底的な先取りをするつもりでやって、結果的にはやはりどうも追いつかないという、世論の非難を浴びる、あるいは関係被害者のけんけんごうごうたる非難を浴びると、こういうことになりがいなんですね。まあ環境庁が去年の十二月に新基準の設定をされたというのは、私はこれは敬意を表してよろしいと思いますけれども、しかし環境庁は、はたしてこれが実現可能なものとして設定をされたのかどうか。ただ、この答申もあり、それから世論動向からしても、可能であろうがなかろうがこういうものを基準としてきめるのだ、こういうことであっては、これは政治不信、行政不信につながるわけですね、結果として、それが達成できなかった場合には。そういう点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/122
-
123・春日斉
○政府委員(春日斉君) もちろん環境基準と申しますものは公害基本法の第九条の精神に基づきまして、健康及び生活環境を保持しあるいは維持していく上で望ましい行政上の目標値でございますから、これはある意味では一つは理想的な考え方もいたしておりますが、先生の御指摘のように、これが実現できないようなものならば意味がないわけでございまして、私どもは特に大阪空港の問題を例にとって考えてみますと、大阪国際空港周辺において環境基準の達成をはかることは非常に困難である、またかつ長期間を要するものとは考えておりますけれども、大阪空港を存続させるかどうかといういろいろな基本的な問題も含めておりまして、私どもはこれはどうしてもやっていただかなければ困るし、また今後の関西新国際空港の建設をも含めて、総合的な航空行政を考えた上で環境基準というものは達成することは十分可能である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/123
-
124・中村利次
○中村利次君 達成することが十分可能であるというお答えがありましたから私は幾らか救われたのです。何ですか、維持することが望ましい——いわばやっぱり理想の意味も含めているのだということになりますと、これは私はやっぱり重大な問題があると思うのですよ。まあ学者がそれなりの学問的研究の発表をやるのはこれは理想があってもいいでしょう。ところが行政というものは——ものごとをきめる場合にはその裏づけにはこれは実現可能な裏づけがありませんと、やっぱりこれは政治不信、行政不信につながることは結果として間違いないわけでありますから、そういう体質をこれは最も重大な問題として取り上げなきゃいかぬと思うのです。ですからこれは私は環境庁に要望しますが、維持するに望ましいもの、これはあるのですね、この告示の中に。これは全く、こんな何か評論家みたいなことは、私は行政の立場から言うべきじゃないと思いますね。かくあるべきであって、したがってこうしなければならない、こうしなければならないときめる以上はそうするのだというものがないと、何だかこうあんた、これは理想でございまして、何とかこうしなきゃならぬけれども、やっぱりこれが望ましいなんて、そういうようなことでは、これはおさまりがつかない。特に環境基準等については、きわめて関係住民の皆さんにとっては深刻な問題であり、裁判ざたになって、たいへんな相克の対象になっておるものでもございますから、それに何か実現可能な裏づけのないような、いわば望ましいというようなものは断じて私は、これはあってはならないと考えますので、この点は私は強く要望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/124
-
125・春日斉
○政府委員(春日斉君) 先ほどもお答え申し上げましたように、環境基準というものは、これは達成をすることが目標でございますので、これは実現可能なる行政的な目標であると。ただし、われわれにも一つの現状から見れば望ましいと、一つの理想でもあるわけです、現状からすれば。ただし、これは達成のための期限までつけてあるわけですから、もちろん先生も御指摘のように、実現させるための値でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/125
-
126・中村利次
○中村利次君 ちょっとひっかかりますがね、まだやっぱり理想的なものもあるようなニュアンスがございますけれども、実現可能なものとして再度確認しますよ。実現可能なものとしておきめになったと、こういうぐあいに解釈をしてよろしいですね、期限までつけてあるんだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/126
-
127・藤本孝雄
○政府委員(藤本孝雄君) 先生御承知のように、航空機騒音によって、飛行場周辺の住民がたいへんな被害をこうむっておるという現状に対しましては、御承知のように、四十六年の暮れには勧告、四十八年の十二月には環境基準というものを設定したわけでございます。内容的には御承知のように、環境基準の内容についてはきわめてきびしいものでございまして、しかしながら、この環境基準というものを告示した以上は、これを必ず実現しなければならないという意味におきまして、きびしい内容でありますだけに、その達成の期限は十年というようなことを考えたわけでございまして、先生の御指摘のように、環境基準は必ず守らなければならないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/127
-
128・中村利次
○中村利次君 これは非常にけっこうなことであります。そうなりますと運輸大臣、これはたいへんなお荷物を背負わされたことになるわけです。私は、これは相当やっぱり現実問題として——これは全体主義でぱっとやろうと思えば、これは非常に容易です。わが国はきわめて自由にして、民主的な国柄ですから、したがって強制はできませんね。やっぱり関係住民の皆さんの合意の上にこれを達成していかなきゃいかぬし、たいへんな金もかかる。午前中の質問に対して答弁がありまして、大体当面五カ年計画の中では四万二、三千世帯、八五以上のものに対する対策が必要だということであったようでありますけれども、こういうものも含めて、具体的に環境庁できめた環境基準に従って、できるだけ早くというあれもありますけれども、具体的にどういう計画でこの環境基準を達成をしようとされるのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/128
-
129・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 実はたいへんな勧告でございます。御指摘のように、私どもは午前中にも申し上げましたように、いま六十三か四、国内に空港がございますけれども、その中で告示に合ったような、基準に合ったような飛行場というのは三カ所ぐらいしかないんですから、ほかのものはそういう意味では、ある意味でみんな欠陥をかかえているということでございます。したがいまして、これを達成するためには、明年度を第一年度とした、第三次の空港整備五カ年計画をいま検討中でございます。これによりまして、さしあたり大阪空港は御存じのような大きな問題かかえておりますから、御審議いただきます法律によって手をつけてまいりますけれども、その他の空港につきましては、整備五カ年計画において根本的な抜本的な対策をこの中に織り込んで、予算の面におきましても、午前中来申し上げておりますように、原因者負担を明確にしまして、これは騒音料というのがいいのか、何か今後一番大きなこの問題を起こしておる順序によって、そこへおりるのを高う取るかどうかというような、あるいは全国平均そういうようなものをおっかぶしていくかとか、いろいろな問題が出てくるだろうと思います。検討しなきゃならぬだろうと思いますが、そういうようなものも含めて、私どもは与えられたその基準に合格するように、もう全力をあげてやってまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/129
-
130・中村利次
○中村利次君 これはきょうの新聞等を見ましても、便数を減らすような指示もされておるようですし、それは前向きに積極的に取り組んでいこうという姿勢は、私は運輸大臣を決して疑いませんよ。しかし、これは容易ならざることですからね。ただ懸命な努力をいたしますということだけでは、これはいままで常にそういうことが言われて、何か事故があった、何か不祥事件があった、再びかかることは繰り返さないようにという答弁だか確約みたいなものは毎回繰り返されるんですけれども、また続いて同種の事件が起きるということを繰り返してまいりましたけれども、これは私はやっぱり決定的政治不信に通じておると思いますね。だから私がくどいくらい環境庁にお伺いをしましたのは、少なくともこの騒音公害についてたいへんな問題がある。したがって環境庁は環境基準をつくられた。これが達成できないようなら、私は政治不信に肥やしをやっているようなものだと思います。達成できると思いますか、達成できると。でしたらね、私はやっぱり運輸省と環境庁が、運輸省は盛んに重い荷物を背負って火だるまになって奮闘努力をすると、環境庁はかっこうのいいことばかり言って左うちわでいるというような、そういうことでは、これは全くもって政府としての責務を果たせないと思うのですよ。
ですから、当然くどいくらい環境庁に対して確認をいたしましたのは、当然これは関係省庁で十分に話し合われ、調整がとられて、そういう環境基準が出されたら、運輸省はそれを受けて、空港整備は全く遺漏のないように、政治不信、行政不信を国民に与えないような、そういう裏づけが当然できておると——何とか努力するというんじゃなくて、できておると、私はこう見るのですが至当だと思うんです。ですから、これは少し酷な質問かもしれませんけれども、少し具体的に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/130
-
131・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 先生御指摘のように、環境基準とわれわれの整備計画の斉合性の問題でございますが、この環境基準が実は昨年の暮れに公示されました時点で、本年度予算というものはすでに実質的に政府部内では詰めが行なわれておりました。そこで、この新しい基準に対応する空港のあり方、整備のしかたにつきましては、先ほども大臣が申し上げましたように、五十年度を初年度といたします新しい五ヵ年計画に組みかえて実施をしようということでございまして、具体的にという御指摘でございますが、その作業を全国の各空港について大体どの範囲、どの程度のコストがかかるかという作業からいま入っております。したがいまして、これを五ヵ年間でどこまでやり、さらに次の五ヵ年間でどこまでやるという具体的な計画をこの席上でまだ御紹介できないのはまことに残念でございますけれども、そういう作業に入っておりまして、五十年度の予算からこれが具体的に出てまいると、こういう段取りになっております。
私どもは、この環境基準というのは現実と照らし合わせた場合には非常にきびしいものであって、その実施にはたいへんな努力を要すると思いますけれども、この基準の実現に必要な制度なり資金手当てというものは、十分今後行なっていかなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/131
-
132・中村利次
○中村利次君 五年計画、十年計画または環境庁で告示された国際空港なんかは十年をこえる分もあるんですね。「可及的速やかに」と——こういうのを具体的にいまここではなかなか説明できないということについては理解をいたします。しかし環境庁のお答えを受けて、運輸省のほうでも必ずこれは実現をすると、必ず実現をするという確約はできましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/132
-
133・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) 私は、姿勢の問題として必ず実現するということであろうと考えております。そのためにあらゆる手だてをし、予算手当てもしていかなければならない、ただこの五年先、十年先に必ずやると約束ができないかということでございますが、やるということであらゆる計画を今後つくっていくということでございまして、その結果まで私がこの時点で保証するのは、いささかちょっと行き過ぎではなかろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/133
-
134・中村利次
○中村利次君 それは、たとえば関西新国際空港の構想もありますね、これはまあたいへんに努力をされててもなかなか思うようにいかないでしょう。これが三年や五年や、あるいは十年で達成できるのかどうかすらもまだ見通しがつかない。かりにいろんな想定をしますと、関西新国際空港等ができれば、それはもうこの間からこれは大臣が御答弁になっていらっしゃいますように、その時点でいろいろ様相は変わってくると思いますよ。思いますけれども、少なくともこういう環境基準を定められたということは、とにかくそれはたいへんに大問題になり、日本人同士が相争わなければならない、まして中には政府を相手に告訴をするという、こういう状態を解消し、それから関係住民の皆さんに限界を越えた迷惑を与えてはいかぬと、福祉政策にも合致するんですよ。だからかくなければならないというのが勧告基準であって、これは達成できるんだ、達成するんだというお答えでしたから、ですから、いろんな想定はこれは別にして、そういう意味でのこの環境基準に従った達成はするんだということは確認してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/134
-
135・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 確認していただいてけっこうだと思います。関西新国際空港にしましても、そう簡単にできるものじゃございません、御指摘のように。あるいは十年かかるかもわかりません。しかしながら、私どもはこの基準に従って、もう火の車になって、ひとつその公害防止に挑戦してまいる覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/135
-
136・中村利次
○中村利次君 そこで、やはりこれはたいへんな資金も要ります。まず一つは、これは局長から先ほどお答えがございました五十年度の予算からは、これを達成するような裏づけのできるような予算を要求して、そして逐次達成をしていきたい、そういう予算についても、これは達成できるような予算を五十年度予算案の中には盛り込んでいくと、こういうことであると確認してよろしいかどうか、これがまず第一点ですね。
それからもう一つは、やっぱり移転不可能な——私はこれは容易ならざる仕事だと思うんです。移転不可能な住民が相当いますね。こういう点について、どういうぐあいにお考えになるのか。不可能が、まことにこれは真にやむを得ざる不可能なものなのかどうか、とすれば、それに対する対策いかん。それからもう一つは社宅、寮、こういうものに対する対策はどうなのか。まずこれからお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/136
-
137・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) まず予算の点についてお答えいたします。
私が先ほど申し上げましたように、五十年度からは新しい空港整備五カ年計画に基づきましてこの騒音対策を実施してまいります。したがいまして、そういう予算を組み込んで予算手当て、財源手当てをやるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/137
-
138・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先生御質問の、どうしても移転が不可能な方々に対してどういう手当てをするかということでございますが、これは環境庁のほうの環境基準の中にも、またそれを御答申になりました中央公害対策審議会の御答申の中にも明らかにされておりますが、どうしてもその場所に引き続き居住をしなければならないという方々に対しては、民家の防音工事によって処置するということが明らかにされておりますので、その点について、私どもとしてはできる限り環境良好なところに移転していただくように代替地の手当てとかその他を、この法案の成立を待っていたしたいと思っておりますけれども、地域の関係、その他の関係でどうしても残られる方には防音工事の措置をしたい、かように思っております。
それから寮、社宅の問題でございます。これにつきましては、私どもが当初取り組まなければならないのは、これはやはり一般の民家ではないかと思います。やはりまず最も個人の生活に密接な一般民家の防音工事というものに国費を投じて実施をすべきでございまして、寮とか社宅というものは、できましたら当面はその会社とかそういうところでお手当てをいただくということが至当ではないかと思います。しかし将来の問題といたしましては、民家についての手当てが終わりました後については、民家に準ずべき性格のアパートとか寮とか、そういうものについては所要の防音工事をやっていくということを一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/138
-
139・中村利次
○中村利次君 時間がだんだん少なくなって心配しているんですがね。これはしかし、私はちょっとその発想はおかしいと思うのですよ。寮、社宅は、企業というか法人というか、そこが住宅をつくってそこに住まわしているんだと、社員を。だからこれはまずは経営者が、企業が負担すりゃいいじゃないか——これおかしな話。それじゃ借家だってあるでしょう、営利を目的として家主が貸し家をつくって借家人が入っている。これはどうするんですか。時間がないですから簡単にひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/139
-
140・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 私がお答え申し上げましたのは、防音工事をいたします場合の優先順位といたしましては、まず民家から着手すべきであろうという趣旨を申し上げたわけでございます。それから借家につきましては一般民家と同様に取り扱うということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/140
-
141・中村利次
○中村利次君 そういう差別を設けるのは納得できません。住んでいる居住者にしては、自分のうちに住んでいようと貸し家に住んでいようと社宅に住んでいようと、一戸建ちの社宅があり、一戸建ちの貸し家があり、一戸建ちの自分のうちがある。比較してごらんなさい、そこに入って住んでいる人は何らこれは差別ありませんよ。それを所有主が違うから、したがって優先順位は違えるんだというのは、これは納得できませんので、ぜひ来年度の計画の中には、やっぱり住んでいる人、迷惑を受けるのはみんな同じです、社宅に住んでいようと借家に住んでいようとね。一般民家と社宅、寮と仕分けをするのは、何というか、基本的人権からいっても私は不当だと思う。どうですか、そういう検討してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/141
-
142・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) くどいようでございますが、私が申し上げましたのは、民家の防音工事はわが国で初めてのことでございまして、当初そうたくさんの民家について手当てをするということは、工務店とか建築会社等の能力その他からいっても、当初はなかなかむずかしいわけでございまして、次第に規格等が統一されて大量に実施できるようになっていくということを私どもは計画をしておるわけでございまして、そういう意味におきまして、当初に行ないますものについては、できる限り一般民家というものからやっていきたいと、私が申し上げましたのは社宅ということばが悪かったのかもしれませんけれども、寮とかそういう性格のものより、まあ一般民家のほうを優先したいということを申し上げたわけでございまして、おっしゃるように差別待遇をするという趣旨ではございませんで、民家の防音工事自体の中には含めて将来考えていきたいと、かように思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/142
-
143・中村利次
○中村利次君 これはもっと私は議論をしたいと思いますけれども、時間がもう来たようですから、これはまた別の機会にしますけれども、これは寮にしたって、自分が寮に入っているという立場を考えてごらんなさいよ、これは変わりませんよ。私は、何もそこには経営者がついているんだから、それが責任とってやればいいじゃないか、私はその議論は通用しないと思うんだ。もしそれをやらなければ、それじゃどうなるか、取り残されるんですからね。やっぱりそこに住んでいる人たちに対して政府がどう対応するのかということが、もうこれは基本だと思いますよ。
それから、その対応能力の問題ですけれども、新機構ができるんでしょう。私はその対応能力で、ここに何かこう後退したような御答弁というのは、だからやっぱり不安なんだという、こういうことにつながっていきますので、ぜひこれはそういうものも整備をして、そして五年計画なら五年計画でぴしっと計画を立てて達成できるような、そういうものにしてほしいと思います。
まだ質問しなきゃならないのを私は相当かかえているんですが、時間が参りましたから二、三点一括して質問しますけれども、たとえば移転補償の問題ですね。これはそういう移転をしなきゃならないところの地価なんというものは、これは日弁連でも指摘しているようですけれども、これはやっぱり下落しますよ。これは需要供給ですからね、地価にしても。そうすると、これはたいへんに安くなった時価で補償をされるようですけれども、そうなった場合実際問題として被害者がたいへんに負担をさせられるということになって、そしてたいへんに好ましくないことになると同時に、この移転問題がなかなかうまくいかないということもあり得ると思うんです。こういう問題についての対策はどうかということと、もう一つは、原因者負担のさっきの御答弁で、ほとんどは原因者としての航空会社の払う税金によって特会はまかなわれておるんだということでありました。原因者というのは航空会社だけでなくて飛行場をつくった国も原因者であると思うんですが、これはどうも時間がなくなってほんとうにうまくないんだけれども、となればですよ、たとえば新機構をつくるのに国が七五%、それから地方公共団体が二五%、それからその後のあれについても、地方自治体は、はたして原因者なのかどうか。むしろ私に言わせると被害者じゃないかと思う。この間川西の市長さんたちが来て参考人として言っていましたけれども、豊中市では累算して三十二億余を負担しておると、それから川西市は八億何ぼですか負担しておる。これはやっぱりそういうものに対する負担の重荷というものを感じていらっしゃるようだし、その上に大阪府、兵庫県という地方自治体が資本金からその後のあれまで負担をする、これは原因者負担というその原因者になるのかどうかですね。こういう議論もいろいろしたがったんです。これは時間が参りましたから別の機会にあらためて、その御答弁をいただくことで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/143
-
144・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 御質問の第一点の移転補償の単価でございますが、これにつきましては、先生御承知のように、私どもの航空機騒音の移転補償ばかりでなく、国が行ないます補償単価というものは政府で統一してきめられておりまして、近傍類地の価格によるということになっておるわけでございます。で、確かにおっしゃいますように、航空機騒音の著しい地域については、地価が下がっているではないかという御指摘は確かにございます。ただ、また逆の反面で申しますと、空港がそこに立地したことのために、道路ができ鉄道ができということで、地価全体も上がっているという点もあるわけでございまして、これはたとえば大阪というようなところだけを見ますと、もともと交通が便利だったというお話もあろうかと思いますけれども、たとえば地方の空港等を考えますれば、飛行場のできる前と飛行場のできたあとの全体の地価というものは、またかなり変わっておるわけでございまして、そういう意味で一体何を基準に下がったかというふうな判定というのは非常にむずかしいわけでございまして、そういう意味で、政府としては統一的に近傍類地の価格によると、こういうことになっておりまして、私どももその単価での補償しかできないという苦しい立場にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/144
-
145・中村利次
○中村利次君 代替地との比較ですよ、問題は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/145
-
146・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) そこで、大阪につきましても、そういうことではなかなか移転補償が進みません。そこで移転する先との地価のバランス問題であるということでございますので、今回の法律改正でお願いをいたしております機構のまず最大の仕事は、低廉で良好な代替地をつくって、移転の補償は安くてもいい代替地に低廉な価格で入っていただけるということで移転を促進をいたしたい、そのために無利子融資とか補助金というものをこの機構に入れまして、そして低廉な代替地を良好な地域に設けて、そして実質的に移転補償とバランスをとっていきたいというのが、今回お願いをいたしております法律の一つの大きな眼目でございます。
それから、第二点に御指摘のございました地方自治体の負担の問題でございますけれども、午前中の御答弁でも申し上げましたように、今回この周辺整備として機構に実施させようという仕事には、大きく分けて二つございます。一つは飛行場の設置者、この場合国でございますけれども、国が航空機騒音が原因であるためにいろいろなことをしなければならない。たとえば移転補償もそうでございますし、そのための代替地もそうでございます。それから周辺に緑地をつくるとか、そういうものもそうでございます。そういうふうなものが一つ。それからもう一つは、さらにその外側の広い地域について、地域再開発と申しますか、そういうものを実施して、その中に騒音の要素を取り入れて、できる限り騒音に影響のない流通団地とか倉庫とか、そういうものを計画的に配置し、そしてそこに民家をお持ちの方については良好な地域に移転をはかるという、いわゆる再開発整備でございまして、この後者のほうにつきましては、元来地方公共団体——地域開発というのは町つくりでございまして、そういうものについては元来地方公共団体が責務と権限をお持ちになっている性格でございます。
ただ、それが騒音が原因のゆえにこれを実施しなければならないということでございますから、それについて一〇〇%地方公共団体におやりいただく性格ではないであろう。したがって、それについては国は資金面について半分程度のお手当てをいたしましょう、そういう意味でその全部を一体的に行なう事業主体としてこの周辺整備機構を設立したい、かように考えておるわけでございまして、その意味におきまして、地方公共団体に四分の一御負担をいただきますのは、その後者のほうの、元来地方がおやりになる性格の部分については地方公共団体がそれに応ずる資本金ないしは資本金を負担していただこう、こういう趣旨でございまして、騒音にかかわる部分については一〇〇%原因者である国が責任を持った出資とか資金手当てで行なっていくと、こういうことで、大阪につきましては大阪府、兵庫県と合意に達しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/146
-
147・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 沓脱君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/147
-
148・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 それでは法案についての問題点等を幾つかお伺いしたいんですけれども、たいへん限られた時間でございますので、問題点をしぼってお伺いしたいと思います。
私はまず最初に環境庁にお伺いをしたいんですけれども、環境基準値の問題というのが、先ほども御意見が出ておりましたように、政府の環境基準値、これは住宅地ではWECPNLが七〇以下、それ以外の地域では七五以下というふうに定められたわけですけれども、これは先ほどの御答弁によりますと、努力目標ではなくて達成すべき基準としてお考えになっておるという点が確認されたわけでございますので、そういたしますと、この七〇と七五という基準は、人間が生活をしていく上で、これ以上の場合は何らかの支障があるということだというふうに思いますけれども、そういうふうに考えてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/148
-
149・春日斉
○政府委員(春日斉君) これはいわゆる受忍限度ないしは最大許容限度、こういった概念とはいささか違うと思います。やはり環境基準でございますので、公害対策基準法の精神、これがまあ先に来ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/149
-
150・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 受忍限度とは違うということなんだけれども、それを決められた基準値というものが、人間が生活していく上で支障がないというのが、この範囲だというふうにおきめになったと理解していいかということを言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/150
-
151・春日斉
○政府委員(春日斉君) 多少ニュアンスは違うんでございますが、趣旨としてはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/151
-
152・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 それでは次に運輸大臣にお尋ねをしたいんですけれども、大臣は先月の二十七日、衆議院の交通安全対策委員会で、わが党の紺野議員の質問に対して、大阪空港の訴訟判決についての質問をされたときに、「迷惑をかけておるのでございますから、住民に対する責任は国にある、そういうふうに考えて、今後その責任をどう果たしていくかというのは判決とは別に、運輸行政の面でとっていかなければならない問題である、」というふうにおっしゃっておられますが、そこで、これは端的にお伺いをしたいのですけれども、ちょうど判決が出てから約一カ月の本日ですけれども、この間に政府として、また運輸省として、どのように責任を果たしていくという点で措置をとられたか、これを具体的にお述べいただきたい。昨日の新聞紙上等で発表されておられる事情等も存じておりますけれども、そういった点も含めて簡潔にお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/152
-
153・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 私は行政的な責任者といたしまして、付近住民の皆さん方にたいへん御迷惑をかけているということについて、非常な責任を感じているんだということでございます。この気持ちはいまも変わっておりません。したがいまして、判決は判決、それとは別にやらなければならぬことはやっていかなきゃならぬということでございます。そこで、それじゃ一カ月間何をやったかということでございますが、飛行機のダイヤの組みかえとかいうようなものは、非常に私が考えているように簡単なものでないようでございます。一便減らすと言って両方とも減らしてしまえばそれでいいようなものでございますけれども、機材のやりくりとか、人員の配置とか、あるいはいままでの予約状況とか、いろんなものがからみまして、なかなか一朝一夕に簡単にいかないということで、いままで鋭意音源対策の一環として、この減便というものをどういうふうに持っていくかということをいろいろ指示をし、検討を命じておったわけでございます。これは法律的にどのぐらいできるかというような、いろんな法理論的な問題もございましょうけれども、とにかく航空会社の協力も得なきゃならぬということで、今日まで延び延びになってまことに手おくれの感もございますけれども、一昨日発表したように、音源対策の一環として減便を航空機の会社の協力を得て指示したと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/153
-
154・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 で、音源対策の一環として減便の計画を発表しておられるわけですが、これは現在大阪空港発着の、一日四百五十便のうち、第一段階として四十便減らして四百十便にするというふうに三つの段階をお述べになっておられるわけですが、現在の大阪空港発着の便数の実態はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/154
-
155・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 一昨日大臣が各航空会社に指示をいたしましたのは、大阪空港にはただいま発着便数の制限ワクというのを騒音対策上設けております。それが一日四百五十回、うちジェット二百六十回というのが制限ワクでございまして、これを当面五月から総発着ワクを四百十回、それからジェットを二百四十回という削減を行なうようにという指示をしたわけでございます。したがいまして、それはワクの問題でございまして、実際の発着回数というのは、その日々によって上下をいたしておりまして、必ずしもそのとおりにはなっておりません。
そこで御質問の実態でございますけれども、現在総ワクというのは、これは総ワクの場合には航空会社ばかりでございませんで、たとえば新聞社の飛行機とかいろいろございますから、いろいろ変動いたしますけれども、大体四百十回から四百二十回ぐらいの間が現在の実態ではないかというふうに思っております。それからジェットにつきましては、二百六十の制限ワクでございますけれども、御承知のように、すでに三月におきまして先行的に抑制策をとらせました結果、ほぼ大体二百五十一便程度のところに押え込んでおります。実態はそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/155
-
156・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 そうしますと、いまの御報告によりますと、ワクが四百五十便、このワクを四百十便に減らせると。しかし実態というのは四百十ないし二十だと。実数はどうですか、これは二月、一月、去年の十二月ぐらいの実態数を正確におっしゃっていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/156
-
157・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先ほど申し上げましたように、変動いたしておりますので、正確には日々によって変動するわけでございますけれども、全体的に平均をいたしまして、昨年の全体で四百十前後でございます。それからジェットは御承知のように、ほぼ二百六十の従来はワクの中ぎりぎりまでやっておりましたが、ことしに入りましてから抑制策をとらせまして、先ほど申した二百五十一程度で押えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/157
-
158・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 そういたしますと、四百五十便という制限ワクを四百十便にワクを減らすと。しかし実態は四百十便前後であるというのが現実だと。実際に一割方を五月から減らすということは、実際上四十便減らすのかどうか、実態としてですね、ワクでなしに。住民はやはり実数が問題なんですから。実数を四十便減らすのかどうか、これをお伺いをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/158
-
159・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先生御承知のように、大阪で実際に問題になっておりますのは、ジェットの制限ワクでございまして、総便数ワクのほうは、ジェットのワクを押えました結果、それほど問題になっていないと申しますか、全体ワクといたしましては、ほぼワクの中に楽におさまっておったわけでございます。そういう意味では今回の五月からの削減を四百十回にするということは、一般総ワクの便数としては、それほど特段——定期便を切るとか、そういう必要性の発性するものではないというふうに思います。ただジェットにつきましては、御承知のとおり、二百六十の中で押えるということで、実はこれは飛び出す飛び出さない、ずいぶんいろいろ議論がございまして、押え込んでおりますので、その意味では実質的に二十便の削減になる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/159
-
160・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 そうしますと、これは報道だけ伺っていますと、現行四百五十便を四百十便に、直ちに四十便減らしてもらえるというふうに住民は感じるわけです。しかし実態として四百十便というのは便数としては減らさないということなんですね。そうすると、実際には減らさないということになるんじゃないかということですよね。この辺はちょっと、どうもトリックですね、知らないのが聞いたらだまされたということにならざるを得ないわけですけれども。実際上やはり減らしていっていただくということでなければ、こういうふうにせっかく大臣が積極的な姿勢でお示しになっても、実は四百十便は発着していて、今度も四百十便前後なんやと、こうなりますと、これはやはりまただまされたというふうな御意見が出ないということは保証できない。この辺について大臣、その一番問題になりますジェットの場合、これは二百六十便をとこまで——二十便減らすとおっしゃっておるんですけれども、どうなさいますか。これははっきりしておかないと、住民からまた御意見が出てきますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/160
-
161・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) いささか私の説明が不十分かもしれませんけれども、総便数は削減にならないということではございませんで、先ほど申し上げましたように二百六十のジェットのほうを削減いたしますから、定期便自体は当然減りまして、四百十の制限ワクでございますけれども、実質的には三百九十とか四百を割るということになりまして、そういう意味では定期便の削減が行なわれないということでは毛頭ございません。一番問題になっておりますジェット便については、昨年の末に比べて的確に二十便の削減が行なわれると、こういうことでございますので、誤解のないように申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/161
-
162・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 そうしますと、ジェト便を減らす、これは段階論の中で、新聞の記事を拝見いたしますと、エアバスを乗り入れる場合には九時から十時まで五便以下に押えるというふうな項があるんですがね。で、住民が国を相手どって訴訟まで起こすというふうなたいへんな状態の中ででも、非常に限度のある要求をしてきていると思うのですよ。九時から十時までいま発着をしている分を何とかとめてほしいというふうな控え目な要求になっておるわけですが、この九時以降の分についてどのように減便をする対策を御検討になったか、その点についての内容と具体策、これをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/162
-
163・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 先生御承知のように、判決の出ました後、九時から十時について何とか削減措置がとれないかという強い地元のお話もございまして、私どももいろいろ航空会社等と検討いたしました。その結果が昨日大臣が指示をいたしました内容になったわけでございますけれども、実は九時以降の中身と申しますと国際線がございます。これは一日平均二便程度でございますが、日本航空がマニラ線を自発的にその時間帯に入るのをとめました結果、平均一・五便程度に現在なっております。それから、残りは国内線が十二ないし十三便ございます。判決の当初は十二便でございましたけれども、御承知のように郵便機を深夜便をやめて繰り上げました関係で十三便になっておったわけでございますが、これを何とか減らせないかということでいろいろ検討いたしたわけでございますけれども、その中身は、まず大きなものは東京−大阪線でございます。で、新幹線が終わりましたあとの時間帯でございますので、この時間帯の便数はかなり利用率が高いし、これをいますぐ切るということはできないということで、どうしたらいいかということをいろいろ検討いたしました結果、東京−大阪線につきましては、大型機が導入されました場合には日本航空、全日空で片道一便ずつに、一発着に押えるということがキャパシティーからいったら可能ではないか。いまの機材ではとてもそれはできないということで、大型機を導入いたしました後はこれを片道一便ずつ程度に減らしまして、二発着程度にしたい。それから福岡とか鹿児島というようなところに飛んでおります機材が、最終的に大阪に帰ってオーバー・ナイト・ステーするわけでございます。その帰り便というのはどうしてもある程度の、その時間帯に入り込まざるを得ないと。で、これも極力もう少し前の時間帯に繰り上げてしたいんでございますけれども、このまた前の時間帯が一時間当たりの発着規制を行なっておりますので、そういう関係でいますぐ繰り上げるということもなかなかむずかしいということで、全体の削減が行なわれる中でこれを極力繰り上げる等いたしまして、これを二、三に押えますと、先ほど申し上げましたように、大体五便の中に入り込めるんではないかという、かなりきついわけでございますけれども、そういうことで、大型機の乗り入れ後その措置をとるようにと、こういう指示をしたわけでございます。それまでの時間帯も極力減らさせるということで、現在、四月ダイヤ、五月ダイヤ以降においてなるたけ前の時間帯との関連においてできる限り夜おそい便は少なくしたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/163
-
164・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 時間がありませんから端的にお伺いしたいんですけれども、エアバスの乗り入れというのは大阪空港の周辺住民は非常に反対をしております。それは御承知のとおり。で、判決当日も私、公害対策委員会でお伺いをしたんですけれども、これは運輸大臣おいでじゃなかったんですがね。で、ちょうどその判決の数日後にフランスで悲惨な事故がございました。すでに質疑の中でもいろいろ言われておりますように欠陥空港で、回りの住民がほんとに空港に接して住んでおるというふうな状況というのは、まさに欠陥空港だというのは皆さん口をそろえて言ってらっしゃる、そういう状況の中で、もしフランスのエアバスに起こったような悲惨な事故が起こったら一体どういうことになるかと、これどうでしょう。これはもう想像にかたくないわけですけど、一ぺん言うてみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/164
-
165・寺井久美
○政府委員(寺井久美君) フランスで起こりましたような大型機の事故というものが空港周辺で起こりますれば、先生御指摘のように、たいへんな状態に相なるかと存じます。私どもは大型機のみならず、現在飛んでおります航空機につきましても空港周辺でそういう事故の起こらないように最大の注意を払って空港の運営をやっております。また、その意味からもこの一時間当たりの取り扱い機数というものをかなり厳重に制限しておるわけでございまして、そういう事故が万々ないようにあらゆる注意を払って運営しておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/165
-
166・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 これは幾ら事故がないように万々御注意をいただいても起こっておるわけですから……。で、フランスの場合、山の中へ落ちてでさえあれだけの悲惨な事故が起こってる。もし大阪空港周辺のあれだけ人口稠密な地域に墜落をしたということになりますと、これはほんとうに想像できない非常に大がかりな事故にならざるを得ない。そういうふうなことがわかっていながら——やはり住民もそのことを予期して、そういう危険を予期して反対をしているわけですが、こういうふうなエアバスを乗り入れるということをすれば九時から以後の便数は減らせるんだというふうな、何というか、取引のような感じがするんですがね。そういうふうに、住民から言わせると、これを乗り入れたら減らせるんだと、だから承知したらどうだというふうな形になるような対策というのは、やはり住民の心を心としない態度にならざるを得ない。その辺はやはり住民が言っておりますように、九時までに何とかしてほしいと、特に国際線二便については——平均二便ですね、これについては国際関係のこともあろうから直ちにできないとしても、国内便だけについては何とかしてほしいという、非常に節度のある形での要求として出てきているわけですが、これについて、もっと住民の意見を——運輸省当局が国の責任だっておっしゃってるんだから、被害者の要求というものを加害者の立場に立ってもっと謙虚な立場で対処するというふうなことはできませんですか。この辺についてはたいへん私自身も怒りを感じるんです。加害者の立場でしょう。被害者のこんな控え目な要求というのをもっと謙虚に聞いて対策を立てていくということはできないだろうか。エアバス乗り入れを前提にしてというような、こんな言い方というのはないと思うんですよ。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/166
-
167・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) 事故の問題につきましては、事大型機に限らず、私ども事故がありましたら、先生御指摘のように、非常に重大なことになるわけでございまして、特に大型機のみならず、事故の起こらないようにこれは万全の体制をとらなきゃいけないというふうに思っております。
それから一昨日大臣が航空会社に指示をいたしました中身はよくお読みいただければおわかりいただけると思いますけれども、決して大型機を入れればこうするぞというような、そういう態度ではございません。私どもは大型機そのものは非常に騒音の低い飛行機でございますから、そういう意味では、大型機によって、減らす減らさないということにかかわらず、私どもは大型機を大阪空港に乗り入れることは大阪空港の騒音問題の解決に非常にプラスになるというふうには思っておりますけれども、それに対して地元の住民の皆さま方から大きくなるということについてのいろいろな御意向があることも十分承っております。
私どもは実は四月から大型機の乗り入れを認めたいということで地元とお話し合いを始めておったわけでございますけれども、決して一方的に強行はいたしませんと、十分住民の御理解を得てから行ないますということで現在も話し合いを続行中でございますが、その段階におきまして、御承知のように、大型機の利点はよくわかるけれども、ほんとに大型機を入れて減らすのであるならば、一便でも二便でも先行的に減らしてみせるべきではないか、こういうお話がずいぶんございました。そういう点も大臣は踏まえて、とにかく大型機いかんにかかわらず五月からの減便ということを指示をいたしたわけでございまして、そういう意味では決して大型機との取引というふうな、そういう意味で申し上げたつもりはございません。ただ九時以降の便につきましては、先ほど御説明を申し上げましたように、新幹線のなくなる時間帯というようなこともございまして、現在の利用状況その他勘案をいたしまして、これを直ちに減らすということは非常にむずかしいので極力抑制はするようにはいたしますけれども、これを思い切った五便程度以下にするというにはやはり大型機の乗り入れがないと抜本策はむずかしい、こういうことを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/167
-
168・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 特にそういった点についてお伺いをしておりますのは、本法案が実施される場合についても、住民のそういった見解、意見というものを尊重するという立場に立たない限りこういった施策だって生きないということが住民の中でははっきりしているわけです。だからこそいま起こっている具体問題、その住民の意見に基づいて対処していくという基本的な姿勢が確立されるかどうかという点がきわめて重要だから特にお伺いをしているわけです。
大臣、時間がないそうですから先にもう一つお伺いをしておきたいのは、これは先ほどもどなたかお触れになっておったんですけれども、大阪空港の一審判決に対して控訴をなさいましたですね。一体どの点が不服でこの控訴をされたのか。その不服とお考えになっている点、これをお伺いをしたいと思います。まず運輸大臣から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/168
-
169・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 大阪空港にいろんな問題のあることは、先生御指摘のとおり、私もよく存じております。したがいまして、大型機をかりに乗り入れる場合でも御理解をいただかなければ乗り入れない。それまでしんぼう強くいろんな安全度——こんなに安全でございます、騒音も低うございますということを御確認いただいてぜひともひとつ御協力をいただきたい、こういうふうに考えておりますし、御協力をお願いしている次第でございます。
それから大阪訴訟に対して何が不服で控訴したかということでございますが、私どもは今日までもいろんな作業をできる限りやってきたつもりでございます。しかしながら、判決の中では不法行為の責任を問うんだという決定がなされておるわけでございまして、私どもはせっかく一生懸命にやってまいりましたし、今後もやろうとしているそのことについて不法行為というのはいささか納得ができないということで、さらに上級審の御判断を仰ぎたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/169
-
170・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 この控訴について環境庁長官はどういう御見解だったんでしょうか。これだけお伺いしたいと思ったんですけれども、政務次官ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/170
-
171・藤本孝雄
○政府委員(藤本孝雄君) 環境庁といたしましては、控訴するとかしないとかという法律上の手続上の問題はともかくといたしまして、あの判決がおりました直後、三木長官の談話で表明いたしましたとおり、今回の判決を航空機騒音対策を拡充する一つの契機として受けとめまして、関係各省庁において、たとえば減便対策とか土地利用の問題とか障害防止対策とか、そういうような施策並びに総合交通体系の再検討、このような諸施策をすみやかに推進いたしまして、周辺住民の生活環境の保全をはかってまいる必要がある、かように長官は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/171
-
172・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 私がお聞きしておるのはそういうことじゃなくて、判決当日の環境庁長官の談話の内容、これは私も存じ上げておるわけです。そういうお立場で、今度の判決を足がかりにして急速に騒音対策等交通体系も含めてやっていきたいというふうに御発言になっておられるので、今度の控訴というふうな措置をおきめになった際に、環境庁長官の御見解はどうであったんだろうかということをお伺いしているんで、中身を聞いているんじゃないんですよ。おわかりにならなかったらしようがないですから、どないか言ってください、わかるかわからぬか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/172
-
173・藤本孝雄
○政府委員(藤本孝雄君) 先刻運輸大臣がお答えになりましたようなお考えであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/173
-
174・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 そうすると、環境庁長官も運輸大臣がお述べになった御見解と同様だということなんでございますね。
こういう政府のやり方というのを国民はほんとうに理解できませんですよ。片方では迷惑をかけていると言ってあやまっているんでしょう。ところが判決は不服だと言って控訴をするんでしょう。環境基準をつくって一歩でも二歩でも半歩でも前進をさせていくんだと盛んに片方ではおっしゃっている。そう言っているかと思ったら片方では判決は不服だというふうな、こういう態度というのは国民にとっては理解ができないだろうと思う。
不法行為責任という、そのことを論議したいと思いましたけれども、時間がありませんからもうやりませんけれども、現実に政府の責任で設置している空港によって国民が被害を受けているわけです。その被害というのは、政府当局も認めておられる。加害者と被害者という立場になっておるということは現実なんです。しかも、そのことは直ちに解決できないということも事実なんです。そして何とか九時まででやめてほしいというささやかな要求さえも実現できないという状態じゃないですか。そういった状況の中で、国民の権利を守るという立場からの判決の中で、政府はすみやかに国民の要求に基づいて対処してこなかったということが不法行為責任だとして免れないといって指摘をさせるのは当然ですよ。そういった点については国民は納得しがたいだろうというふうに思います。
こういった点を踏まえて、先ほども申し上げましたように、住民はどうしてもこのささやかな要求だけは何とかいれてもらいたいと言っているんですから、少なくとも九時までの点については鋭意実現のために一そうの具体策を練っていただきたい。そのことを重ねてお願いを申し上げておきたい。
それから、時間がありませんのですけれども、もう一点だけ……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/174
-
175・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) ちょっと委員長から申し上げます。時間がオーバーしていますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/175
-
176・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 もう一点だけ問題点を申し上げておきたいと思うんですが、これは三月六日の衆議院の運輸委員会の附帯決議で、「第一種ないし第三種区域の指定については、十分なる測定調査を行い適正を期すること。」という点が附帯決議に出ております。これ少し申し上げたいと思いましたけれども、結論的に御見解を伺っておきたいと思うのですけれども、飛行場部長は、これについて、騒音測定に対しては国と地方公共団体そして学者などが共同で行なうことが必要だというふうに答弁をされたと伺っています。大阪空港についての測定についてもこういったやり方をおやりになるかどうか。これは航空公害防止協会の問題については先ほども御指摘がありましたし、わが党の山原委員からも過日指摘をしたように、問題点を国民は感じております。したがって、こういう重大な問題を測定値として採用していく場合に、飛行場部長が衆議院でお述べになった点を、大阪空港でもこういうやり方をおとりになるかどうか、その点だけをお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/176
-
177・隅健三
○説明員(隅健三君) お答えいたします。
三月二十二日に高知県の山原先生から高知空港についての騒音の御質問がございました。十一市協のほうで大阪の騒音コンターについていろいろの御意見があることを承知いたしております。その際、われわれが調査をいたしました地点あるいは測定方法その他について地方公共団体と御一緒に調査をしてはいかがかという申し入れをしております。当然、十一市協のほうについてもこれについて検討を加えていただくことと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/177
-
178・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 以上をもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/178
-
179・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/179
-
180・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。
これにて散会いたします。
午後三時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213836X00119740325/180
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。