1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月八日(金曜日)
午後一時十三分開会
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委員の異動
三月八日
辞任 補欠選任
渡辺一太郎君 寺下 岩蔵君
安井 謙君 梶木 又三君
斎藤 寿夫君 世耕 政隆君
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出席者は左のとおり。
委員長 森中 守義君
理 事
矢山 有作君
委 員
梶木 又三君
菅野 儀作君
世耕 政隆君
寺下 岩蔵君
寺本 広作君
鶴園 哲夫君
小平 芳平君
高山 恒雄君
沓脱タケ子君
国務大臣
国 務 大 臣
(環境庁長官) 三木 武夫君
運 輸 大 臣 徳永 正利君
政府委員
科学技術政務次
官 長屋 茂君
科学技術庁原子
力局長 牟田口道夫君
科学技術庁原子
力局次長 伊原 義徳君
環境庁長官官房
長 信澤 清君
環境庁企画調整
局長 城戸 謙次君
環境庁自然保護
局長 江間 時彦君
環境庁大気保全
局長 春日 斉君
環境庁水質保全
局長 森 整治君
通商産業省立地
公害局長 林 信太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
説明員
厚生省公衆衛生
局地域保健課長 山本 宣正君
運輸省航空局飛
行場部長 隅 健三君
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本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
(公害及び環境保全対策樹立に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/0
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001・森中守義
○委員長(森中守義君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、渡辺一太郎君、安井謙君及び斎藤寿夫君が委員を辞任され、その補欠として寺下岩蔵君、梶木又三君及び世耕政隆君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/1
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002・森中守義
○委員長(森中守義君) 公害及び環境保全対策樹立に関する件を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/2
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003・矢山有作
○矢山有作君 まず最初に、けさの朝日新聞の報道によりますと、東邦亜鉛の対馬のカドミウム汚染の問題が伝えられておりますので、この件でひとつ各関係省庁の見解を求めたいと思います。
同新聞の報道によりますと、「カドミウム汚染で問題になり、昨年末に閉山した東邦亜鉛の長崎県対馬・厳原町の対州鉱業所で、国や県の公害調査をゆがめるため、排水口近くの汚染された川底の土石を上流のきれいな土と取り替えて川を作りかえたり、国や県が採取した調査用の川の水をスキをみて薄めるなどし、企業が所長命令で公害を隠していた事実が、元鉱業所幹部の告発で明るみに出た。」というふうに伝えられておりますが、これが事実とすれば、この調査結果をもとにして厚生省が四十四年につくったカドミウム汚染に関する見解と対策というのは、対馬に関してはまさに科学的根拠を失ってしまうことになるわけです。きわめて重大な問題だと思いますし、環境庁長官もその重大性を十分にわきまえておられるようでありますので、この問題に関して関係省庁からこれまでの経過並びに所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/3
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004・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私もけさ新聞で知ったというより、きのう私に意見を求められましたので承知したのは昨夜でございまして、ほんとうにもしそれが事実であるとすれば、言語道断のことである。きれいな上流の土砂を持ってきて、よごれておるところと取りかえるというようなことは、経営者のモラルとしても全く最低のモラルであるわけでありますから、事実を究明して、もしそういうことが事実であるとするならば、これは再調査をいたす所存でございます。カドミウムによる健康の被害というものがこれだけいろいろ世間の問題になっておるときに、そういうでたらめなことでこれを安心いたすわけにはいきませんので、環境庁としても、健康被害の点については再調査をいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/4
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005・林信太郎
○政府委員(林信太郎君) 通産省といたしましても、ただいま三木長官御答弁のとおり、全く同じ立場でございます。特に、昨年九月に生産停止、十二月に閉山いたしておりまして、現在、閉山後の鉱害防除工事に約三十名の従業員が当たっておるような状況でございます。昨夜私もこういったことを知りまして、全くあり得べからざる事態だと驚いております。
そこで、ただいままで私どもといたしましてとりました措置の概要を御報告申し上げたいと思っております。
早朝、福岡の鉱山監督局長に次のような指示をいたしております。一つは、手元にございますデーターを基礎にしてクロスチェックをやること、二番目に、直ちに一斉点検を開始するように指示をいたしております。それから三番目に、この新聞の背景になっております調査は、ただいま御指摘のような環境、健康調査という形で各省庁共同のものになっております。それと、私どものほうが常時検査をいたしておりますので、それとのチェックを行ないますと同時に、この資料の調査の主体になりました県と打ち合わせをいたしまして、明朝、ただいまのところ予定では一便で県の佐藤環境保全局長、寺田公害規制課長及び一名職員、私どものほうからは立花鉱務監督管理官、それから野口、山下鉱務監督官、計三名が現地に参りまして、早急な事実関係の究明に当たる予定にいたしております。
究明のいたし方といたしましては、現在残っております三十名の従業員の方、すでに退職しておられる方々に対しましてヒヤリングをするということ、そういう方法をとるようにいたしております。
それから当該東邦亜鉛は、ほかに事業所を持っております。広島の契島、群馬県の安中、福島県の小名浜、このそれぞれの事業所の所管監督部長に対しましても同様の指示をいたしております。
それから会社に対しましては、先ほど社長を招致いたしまして、事実の有無を責任を持って究明するように厳重に指示いたしました。やり方といたしまして、次のような行政指導をいたしております。当時の役職員でなかった人たちを構成メンバーにした事故点検の組織を社内につくるように、それから、当時役職員で現場の事業所にいた者で、現在本社の役職員になっておる者がおります。そういう人たちにまず社長みずから厳正に事情を聞くように、それから、その組織をもって現地に参って現地でも同様な調査に当たるように、その調査結果の報告は早急にやるように、なお、当時の事業所におきます役職員の名簿及び——名簿の提出を求めましたところ人名だけでございますので、それではだめだと、現住所を書いて提出するように指示をしてございます。
なお環境庁、それから厚生省等関係省庁とも十分連絡をとりまして、とにかく事実の究明に私どものほうも積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/5
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006・山本宣正
○説明員(山本宣正君) けさほどの新聞にございましたように、長崎県の厳原の東邦亜鉛の問題につきまして、昭和四十三年当時から厚生省が、ある場合には県に委託調査として調査をいたしました。その後、厚生省の段階で要観察地域に指定するというような対策を講じてきたわけでございますが、環境庁の発足とともに、当時の所管事項をすべて環境庁のほうに移管いたしました。当時の資料につきましても現在移管しておるわけでございます。
なお今日、厚生省におきましては、この問題に関しましては、地域におきまして飲料水の取水をその佐須川からしているという問題がございますならば、その飲料水の問題として水道課が関係するわけでございますが、これにつきまして現在水道課のほうで調査を進めております。現在、水道課のほうで把握しているところでは、佐須川から飲料水を取っていないということでございますが、なお県を通じまして詳細な調査をいたし、必要がございましたら報告させていただきたい、かように存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/6
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007・矢山有作
○矢山有作君 厚生省に聞きますが、私も新聞報道での知識しか現在持ち合わせておりませんが、その当時、この問題に対する調査というのは厚生省が中心になって、厚生省の委託を受けた財団法人日本公衆衛生協会カドミウム研究班にやらせたのではないですか。そうすると厚生省とすれば、これについてもう少し的確な当時の状況というものが説明できなければならぬはずだと思いますが、その点どうなんですか。いまの説明というのは、えらい無責任きわまるような釈明のようだけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/7
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008・山本宣正
○説明員(山本宣正君) 当時、厚生省には公害部に公害課がございまして、そこで現在の大気汚染防止法、それから公害の健康被害の問題それから騒音規制、そういった問題を取り扱っておりました。その後、環境庁が発足いたしました際に公害部の陣容が全体として公害保健課等々に移りまして、資料も全部公害保健課のほうに移管したわけでございます。私ども、けさほどからも省内に当時の資料につきましての何らかの残存があるかということで調査をいたしましたのでございますが、環境庁のほうに移譲をしておるということでございまして、まことに再度のお尋ねでございますが、いまの段階では厚生省のほうから、環境庁の公害保健課で公害にかかる健康被害の問題のすべて調査をしておりますので、そちらのほうに移っているわけでございます。ただ、基本的に厚生省も地域住民の健康問題ということにかかわっておるわけでございまして、そういう意味では、県の衛生部並びに保健所等を動員いたしました調査への協力ということはしてまいるわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/8
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009・城戸謙次
○政府委員(城戸謙次君) 私も実は四十三年のときには関与しておりませんが、その直後に厚生省で公害部長をやっておりましたし、いまこちらに書類を引き継いだというお話でございますので、ごく簡単にアウトラインを申し上げたいと思います。
ただいま問題になっておりますのは環境調査でございますが、実は環境調査と健康調査と両方並行して進めてまいっておりまして、四十年にも四十一年度にも長崎県では健康調査をやっております。それから四十三年に環境調査をやっております。そのあとはずっとそれぞれ、これは国の補助事業としてやっておりますが、県の単独事業として環境調査も健康調査もやっておる。健康調査のほうから四十三年度の健康調査の結果、一名の要観察者が出ております。四十四年度の健康調査の結果、四名の要観察者が出ております。これにつきましてはそれぞれ鑑別診断班で鑑別診断をやりまして、その後、イタイイタイ病ではない、こういう結論を出しております。
鑑別診断班と申しますのは、先生さっき御指摘になりました公衆衛生協会に委託されましたそれによって、二つの班がたぶんできておると思います。一つが基礎的な研究をやる班、一つが鑑別診断をやる班ということでございまして、この二つの班を中心に研究が進められてきた。年度によりましていろいろ班の構成は変わっておりますが、基本的にはそういう流れで今日まできておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/9
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010・矢山有作
○矢山有作君 その当時厚生省がこの環境調査をやるもきに、その当時というのは、いま問題になっておるのは四十三年のあなたの言った環境調査ですがね、そのときに調査の地点だとか調査の内容というのを東邦亜鉛側に全部知らしておったのじゃないですか。全部知らしておって、かなりの日時の余裕がなければ、ここで言われておるような事前工作というのはなかなかできないはずだと思うのです。川ざらいをやったり、あるいは川の上流に持っていって鉱石をばらまいたり、そんなことはできないはずです。その点、一体どういうふうなことを厚生省はやっておったかということを聞いておるんです。わからぬならわからぬでいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/10
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011・城戸謙次
○政府委員(城戸謙次君) 私、四十三年当時は関与しておりませんのでよく存じませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/11
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012・矢山有作
○矢山有作君 よく存じなければいい。よく存じない人に幾ら話を聞いたってしかたがない話です。だから、この四十三年の最大の問題の中心になっておる厚生省がやった環境調査については、厚生省はその責任をのがれることはできぬのだから、現在その調査結果の資料が環境庁に移っておろうと移っておるまいと、責任は当時の調査をやった厚生省にある。したがって、この内容というのは後ほど詳しく御報告を願いたい。
それから、環境庁のほうに全部調査資料が移っておるということでございますが、環境庁のほうはそのとおりですか。それに対して、いまのこの時点でどういう対策をとっておるのか。それを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/12
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013・森中守義
○委員長(森中守義君) 厚生省は調査結果の報告はできるだけすみやかに提出されるように。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/13
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014・矢山有作
○矢山有作君 調査について事前連絡しておったのじゃないですか、東邦亜鉛のほうに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/14
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015・山本宣正
○説明員(山本宣正君) 再度同じお答えをいたしますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/15
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016・矢山有作
○矢山有作君 わからぬならわからぬと簡単に言ってくれ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/16
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017・山本宣正
○説明員(山本宣正君) はい。環境庁のほうに全部資料を移譲してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/17
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018・矢山有作
○矢山有作君 環境庁のほう、わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/18
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019・城戸謙次
○政府委員(城戸謙次君) いま申し上げましたように環境の調査、健康の調査がございますが、健康調査の関係は企画調整局に引き継いでおります。環境調査の関係は水質保全局からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/19
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020・森整治
○政府委員(森整治君) カドミウムの問題につきましては、その後私どもが引き継いでおりますのは、農林省が四十五年度に細密調査を行なっております。それから四十六年度に、その結果に基づきまして若干の県単事業で土壌と米の調査をやっております。それから四十七年も県単事業で調査をしております。四十八年も調査をいたしております。それらの結果に基づきまして約三十二ヘクタールの対策地域の指定が行なわれ、それに基づく対策計画が立てられておるというふうに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/20
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021・矢山有作
○矢山有作君 どうもこういう問題がたびたび起こるのは、われわれはふしぎでしょうがないのです。というのは、たとえばここにも報道されておりますが、当時鉱山活動と関係のない上流のほうで非常にカドミウムが高い濃度を示した、関係が深いと見られる下流のほうではほとんど検出されなかった、こういうようなことが伝えられて、そしてその当時、参議院の公害対策特別委員会等でも非常に論議になっておるはずなんです。そういう論議になっておるときに、関係の省庁としては、これはおかしいということで調査を徹底的にやり直してみるとか、いまの調査のやり方を再検討してみるとか、そういう配慮というのはやらぬのですか。国会において問題が提起されて議論になったらなったで、それはそのとき限りのことで聞きっぱなしにして、どういう点が指摘されようと、はたしてそういう指摘に基づいて大きな過ちがあるのではないかということで調査をしてみるということはやらぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/21
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022・城戸謙次
○政府委員(城戸謙次君) これは私どもちょっと関与しておりませんので前のことはわかりませんが、不審な点があれば調査するというのは当然のことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/22
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023・矢山有作
○矢山有作君 お役人さんというのは、その当時関与してなかったからわからぬ、わからぬで逃げられるのだけれども、その結果の影響を受けるのは国民なんですからね。これは健康も命もたいへんな影響を受けるわけなんです。したがって、その点はもう少しまじめに仕事に精を出してもらわなければいかぬと思うのです。国会で取り上げられるというのは、それ相応の裏づけがあるから取り上げられておるはずなんです。しかもこれはしろうとでもわかることじゃないですか。鉱業所から上流のほうが下流よりも汚染がひどい、これはおかしいと指摘されれば、あるいは指摘されなくても、少なくとも科学的な知識のある者ならちょっとおかしい疑問を感じて、そこに何らかの手を打つというのが常識じゃないですかね。
こういう問題で時間を取ってもしかたがありませんが、そこにおいでになる各大臣の方々も、私は全く無責任だと思うんですよ。指摘されたら、やはり指摘された事実というのは、先ほど言ったように裏づけがなければそんな問題は国会の場で起こってこぬですから、そうすれば、その指摘を踏まえて、正確な結果を得るためにそのときにやっておるそのやり方を再検討してみるという熱意を持ってもらわなければ困ると思うのです。やれといえば、それだけやっておれば日がたつという形では、私は役人として国民に奉仕するという立場は貫けないと思うのです。そういう点では、特にきょう環境庁長官おいでですから、環境保全の総責任者として十分心していただきたい。このことを強く申し上げておきます。
そしてこの問題は、どうもいまの論議をやっておる状態から見ますと、これ以上続けてみたところでどうにもならぬような気がいたします。したがって、この次までに各省庁は、そのときに具体的にどういう調査をやって、どういう結果がそのときに出てきたのかということを、詳細われわれにわかるように説明した資料を出していただきたいと思います。
それからなお、この問題については私は参考人として東邦亜鉛の社長に来ていただきたいと思うし、また、その当時この調査を担当しておったのは福岡の鉱山保安監督局が通産省では関係でありますから、ひとつ福岡の鉱山保安監督局のほうから事情の十分わかる人を出していただきたい。通産省のお話を直接聞いてもいいのですが、一つ中へ置いて聞くとよくわかりませんので、直接現地のほうから責任ある人を呼んでいただきたい。そのことをひとつお願いしておきたいと思います。
いまの私の考え方に対して、環境庁長官の答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/23
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024・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 矢山委員の御指摘のように、国会答弁用に政治をやっておるわけではないわけでありますから、守るべきは国民の健康でありますから、したがって問題になった個所については、やはり不審に思えばこれを追跡調査をして、将来国民の健康被害などの問題を起こさないように注意をすることが環境行政として当然のことであると考えて、今後十分な配慮をいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/24
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025・矢山有作
○矢山有作君 それからなお、通産省のほうで東邦亜鉛の他の事業所等についてもあらためて再調査をやるということでありますから、これも関係の省庁で十分再調査をやっていただきたいと思います。そうしないというと、東邦亜鉛の事業所である以上はわれわれは信頼できません。
さらに、もう一つ突っ込んで言うなら、日本分析化学研究所の例もあり、いままでの公害関係の分析データについては徹底的な再調査をやる必要があると思いますが、これは後ほど分析化研の問題でお尋ねしますので、その節、見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/25
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026・林信太郎
○政府委員(林信太郎君) ただいま先生から御指摘のございました、福岡の監督局におきます当時の実情に携わった者から直接ということでございますが、そういう措置をとりたいと思っております。
それから他の事業所につきましての再調査の件につきましても、関係省庁と連携協力して進めたいと思っております。
なお若干、現在取りました水の保管、輸送の状況を申し上げますと、現在は監督局から自動車で出ております……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/26
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027・矢山有作
○矢山有作君 そんなことはいい、時間がなにだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/27
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028・森中守義
○委員長(森中守義君) それでは委員長から関係の各省庁に要望しておきます。
ただいまの矢山委員の意見につきましては、できるだけ来週の水曜を期して詳細な報告ができるように御手配を願いたいと思います。
なおまた参考人の件につきましては、長崎県の代表も必要であると思うのでありますが、この件については後刻理事会で決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/28
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029・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま矢山理事のほうからいろいろお話がありましたが、この調査をやりました厚生省が委託した財団法人日本公衆衛生協会というのは、これはいまもあるわけでしょう。これを所管しておるのはどこになるのですか。——厚生省ですか。これはあなた、しっかりしなければだめじゃないか。これがあなた間違いです。しかもこのときの説明では、上流のほうがえらい高い、十倍ぐらいだと、新聞を見ますと出ていますね。坑口のほう、下流のほうはほとんどゼロみたいにないというのです。その理由づけに、何か上流のほうはそこで古い採掘をやったのじゃないか、あるいは土質全体がカドミウムを含んでいるのじゃないかとかいう言い方をしているわけでしょう。そういう調査をやったのかどうか。古い鉱山がかつて掘ったという、そういう調査をやったのか。あるいは流域全体がそういう重金属の土質なのかどうか。そんな調査もやらなかったのじゃないかと思うのです。ここをでたらめをやっておるのだから、これをさっそく呼んでおやりになるぐらいなことをやっていらっしゃるのですか、厚生省。
これを呼んでいただきたいですね。そうでなければだめだ。これが一番問題だ。インチキきわまりない調査をやっている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/29
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030・山本宣正
○説明員(山本宣正君) 当時の報告書につきましては、公衆衛生協会に保管があると思いますので、それをさっそく調べて、次回のときに御報告させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/30
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031・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 協会はあなたのほうの所管なんだから、その協会がやったのだから、協会をすぐ呼んで調べるぐらいのことをどうしてやらないのか。そこを呼んで調べるべきだ。おれがやったのじゃないから知らないという、それはだめだよ、全然おかしいよ。
もう一つ、通産省が四十五年に全国調査をやって、そうしてここは基準以下だということになっておるでしょう。調査をやられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/31
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032・林信太郎
○政府委員(林信太郎君) 対州の鉱山につきましては毎年検査をやっておりまして、大体三ないし五回やっております。最近の調査は四十八年の十二月でございますが、排出水のカドミの濃度は〇・〇〇〇ないし〇・〇〇六PPMでございまして、いずれも排出基準を下回っておるという報告を監督局から受けております。
なお、この取水のしかたでございますが、私どものほうは、監督局はどこを調査するかということは事前に一切事業所側には通知いたしません。ただ排水口のところは、その場所がきまっておりますからそこの水を取る、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/32
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033・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 通産省は全国調査を四十五年にやったというような話、それからもやっていらっしゃるということだけれども、それでわからないというのはおかしな話ですね。サンプルは直接取りに行くのですか。県に委託して、県が持ってきて、その中に水を入れられているんじゃないですか。何回も入れたと書いてある。十数回も入れたと書いてある。そんなことをやっているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/33
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034・林信太郎
○政府委員(林信太郎君) 私どものほうは、監督官が直接現場にいまして、直接自分の手で水を取るというやり方をしております。現在ポリ容器を使っておりまして、一つが大体一キロないし一キロ半ぐらいの水を取ります。一事業所で十ないし三十くらいの個数になるわけでございます。したがいまして、県に委託をして水を取るという形をとっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/34
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035・森中守義
○委員長(森中守義君) なお質疑者に委員長から申し上げておきますが、さっき東邦亜鉛の社長、それから福岡鉱山保安監督局長、この二人でしたが、長崎県と、それから公衆衛生協会、これも参考人として呼ぶように後刻協議いたしますから御了承ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/35
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036・小平芳平
○小平芳平君 ただいまの問題ですが、先ほど通産省は、東邦亜鉛に対して厳重に調査のための委員会をつくるなりこれこれの指示をしたと言われましたが、それは東邦亜鉛に対してももちろんそういう指示をしなければなりません。なりませんが、同時に通産省なりあるいは県なりが中を調べてもらいたいわけですよ、中を。朝日新聞の報道によりますと、水を薄めたのは、福岡鉱山保安監督局や長崎県の係官がサンプルを採取した、その採取したサンプル、ポリ容器を会議室や所長室に保管してあるかち、水を薄めるのは簡単にできたんだと。はたしてこういうことがあったのか、なかったのか。それは通産省と、それから長崎県の係官を調査していただきたい。それは当然でしょう。
とともに、また、三木長官、このサンプルを取りに行った人が、ほんとうにせっかく取ったサンプルをこういうところへほったらかして食事に出たかどうか。たるんでいる話じゃないですか、このとおりなら。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/36
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037・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のように、新聞記事に出たことがほんとうならば全くたるんでいるということでございますが、これはたるんだだけでは済まない、無責任きわまることだというふうに私も驚いた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/37
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038・林信太郎
○政府委員(林信太郎君) ただいま御指摘の水増しという事実の有無につきまして、今朝、福岡の監督局長に指示を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/38
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039・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 いままでお伺いをしてまいった点に関連をしてですが、カドミウムの調査というのは、検査、分析はどこでやられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/39
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040・林信太郎
○政府委員(林信太郎君) 鉱山保安法に基づきます分析は、監督局で分析設備を持っておりまして、そこでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/40
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041・矢山有作
○矢山有作君 それでは時間の制約がありますので、私のほうも要点だけ簡単にお聞きしますから、答弁をいただくほうもそのつもりでひとつお願いをしたいと思います。
最初に、水俣湾のヘドロ処理問題について政府と県との間で基本的な事項について合意ができたということでありますが、それについて概略どういう点の合意があったのか、御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/41
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042・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 三月四日に熊本県知事を環境庁長官のこれは副総理という立場も兼ねて呼ばれまして、私と三名の間に一応、工事の主体は港湾法の定めるところによって熊本県の港湾管理者がやるわけでございますが、しかし、この工事のいろいろなむずかしさとか、あるいはいろいろな点からかんがみまして、運輸省において委託を受けてこの主たる工事は運輸省でやる、こういうことが第一点でございます。
それから第二点は工法についてでございますが、工法というのは工事の方法でございますが、二次公害を起こさないということがこれはもう絶対至上命令でございますから、二次公害を起こさないようにヘドロの処理工法等を検討する。このためには、地元の学識経験者をはじめ環境庁、あるいは運輸省の本省、第四港湾建設局、熊本県の担当者、そういうものによって構成される技術的な検討委員会を設けて検討を行なって、早急に具体的工事計画を策定するというのが第二点でございます。
それから第三点は漁業補償等についてでございますが、熊本県は早急に漁業権者等関係者との話し合いにもう入ってもらいたい。
それから第四番目は費用でございますが、この費用は、もちろん公害対策基本法に基づきまして原因者負担によってこれを行なう。さらに公害防止事業費事業者負担法に従いまして、県の公害対策審議会の議を経て知事がこの額をきめることになるわけでございますけれども、事業者が負担する事業費を除いた残りの事業費につきましては、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づいて国と熊本県がその二分の一ずつを負担する、こういうことになるわけでございますけれども、熊本県に特に過重な負担とならないようにひとつ特別に配慮する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/42
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043・矢山有作
○矢山有作君 そうすると、最後の熊本県に特別の過重の負担にならないように配慮するというのは、つまり事業者負担分をのけた国と県とで持つべき部分について特別な配慮をする、こういうことなんでしょうか。そしてその特別な配慮というのは、具体的に言うならどういうふうなことをお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/43
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044・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 御指摘のいまの点は、そういうことではないわけでございます。原因者負担の原則はこれは貫く。それから公害審議会の議を経まして、知事が決定するわけでございますが、残余のいわゆる公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づいては、これはもう国と県がこの法律に基づいてやる。ところがたいへんな大きな作業でございますから、熊本県では、原因者負担がはたして貫けるかどうか、財政面で。そういうことを非常に心配をしておるわけでございます。したがいまして、この点については自治省等ともこれから十分相談をして、熊本県の過重な負担にならないように配慮をする、こういう趣旨のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/44
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045・矢山有作
○矢山有作君 そうすると、これは事業者の負担分というのは、公害防止事業費事業者負担法の第七条で大体事業費の四分の三から十分の十までの範囲できめられるわけですから、具体的にどうなるかというのはおそらく審議会等の議を経て決定をされると思います。ところが、その決定をされた状態を想像してみると、最低四分の三、つまり七五%が事業者負担ということになりますね、最低の場合を考えるとするなら。その最低の事業者負担をみてもなおかつ事業量が大規模になるので相当な負担になる。そこで、それだけの負担がチッソにできるかどうかということについては熊本県側に非常に心配がある。そこでそれについて国が特別の配慮をしよう、こういうことだと思うのです。
そうなると、これは私は一つの大きな問題は、原因者負担の原則というのがそこでくずれてくるのではないか。というのは、最低四分の三を事業者負担として持たせるとする。その場合にチッソが負担能力がない。その場合に何らかそれについて考えてやろうというのが、まあ引き抜いたところ中身だろうと思うのです。そうなると、原因者負担との関係でどうなるのか、これはちょっと問題になると思うのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/45
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046・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) この点は確かに御指摘のように、チッソは認定患者の補償のために相当多額の資金を要するわけで、資金繰りが、ヘドロの処理について相当な金額になるわけでありますから、そういう問題があるので、私は、この点を熊本県もやはり不安に思っておるに違いないわけでありますから、チッソなどの責任者を呼んで、このチッソの負担分に対する資金の手当てというものに対して十分な検討を加えたいと考えておるわけでございます。
原因者負担の原則はくずしてはいけないわけです。これはほかのほうにも影響するわけですので、それをくずさないという原則を貫きながら、なおかつ原因者負担の区分をどのようにして資金を捻出するかということは、いま私もここでこうやってやれますということを矢山委員に答えられない。しかし、これはいろいろな方法も考えられるわけでありますから、この企業負担分については企業側とも十分な検討を開始したいと考えて、会社には通告をいたしたわけでございます。そういうことで、これから何か知恵をしぼってみたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/46
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047・矢山有作
○矢山有作君 これは環境庁長官のおことばですが、まさに手品みたいなものですね。負担能力のない者に原因者負担の原則をくずさないで負担をさせていこうというのだから、これはまさに手品に類する話だと思うのですがね。
私はこの原因者負担の原則というのは、くずしては困ると思うのです。そうでなくてもいままで日本の企業というのは、特に大企業等においては、公害をたれ流しにして、国民の命や健康がどうなろうと知っちゃいないということで高利潤を上げてきた。また、政府もそれを容認しておったわけですからね。そういう企業の公害たれ流しのしりぬぐいを税金でする、つまり国がやるというようなことは、私はこれは避けなければいかぬというふうに思います。それをやると、やっぱり企業というのはすぐ甘えますね。負担能力がないんだ、困ったんだ、何とかしてくれといえば政府がしりぬぐいしてくれるだろう、このぐらいの話になるのでね。それはこの間から衆議院の予算委員会等で、日本の商社、大企業がいかに悪らつな手段で利潤を上げておるかということを見たら十分わかると思うのです。だから、原因者負担の原則を私はくずさないでほしいと思う。
特に水俣の場合には、水俣病判決でも示されましたように、実にこのチッソという会社は悪らつです。判決の中でも実に、何というのですか、被害者の無知や窮迫に乗じ公序良俗に反するような行為だときめつけられるような行為もあえて犯した企業ですからね。そういう企業が自分が害を与えた者に対して、どんなことがあろうと全力をあげて補償をしていく、そしてまたそういうものを救済していくというのは、これは企業の責任で、これはどうしても原因者負担の原則をくずしてもらいたくないのです。
どうやるのですか。私も手品だというだけで済ますわけにはいかぬので、一体どうやるのだろうといま考えるのですが、なかなか長官どういう考え方を持っておられるか、ちょっと考えが及ばぬのですがね。たとえばどういうことをお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/47
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048・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 売却すべき資産があったら全部資産は売るべきである。そして支払いに充てるべきだと思います。まあそのほかの方法は、いろいろ考えて私もおるわけです。これはやはりヘドロの処理は早くやらなければ、いつまでたっても水俣湾というものの禍根を断つわけにはいきませんですから、工事はどうしても早く着手しなければならぬ。そうして一方においては原因者負担の原則は貫こうとしておるわけですから、非常に困難は伴うのだけれども、何かその原則をくずさないで方法はないかということで、いましばらく時間をかしていただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/48
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049・矢山有作
○矢山有作君 私はチッソのいままでとってきた態度からするなら、このヘドロのしゅんせつについても十分の十、まるで負担させるのがあたりまえだと思うのです。ところがもう負担能力の点を心配なさっておるから、これはとてもじゃないが十分の十負担させるというようなことの話にはならぬだろう、なさらぬだろう、まあ最低の四分の三くらいのところへ落ちつくのじゃないかと思っておるのですが、その最低の四分の三すらも負担能力がないからということで肩がわりをするというようなことになりますと、これは将来、事業者負担の原則に非常に悪例を残します。したがってこれはきわめて重大な問題だと思いますので、慎重に扱っていただきたい。そして原因者負担の原則というものは貫き通していただきたい。このことをお願いをして、この問題には私は区切りをつけます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/49
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050・森中守義
○委員長(森中守義君) ちょっと私から一問お尋ねしておきますが、昨年熊本地裁の判決が出まして、それから二日ぐらいあと、本院の予算委員会に島田社長に来てもらった。それで中曾根通産大臣のだめ押しも入れまして、再建計画をつくるということが第一点、それから認定患者への費用負担とかヘドロ処理であるとか、こういうもので非常に財政が窮迫した場合、一部にチッソが水俣から出ていくのではないか、こういう懸念をされる向きもあるこの二点どうだというわけで私が問うたわけですが、島田社長は、どういうことがあっても出ていくようなことはいたしませんと、撤退しないという約束をしているわけです。
ところが、私もつまびらかには知っておりませんけれども、財政再建計画をつくるには三、四カ月待ってくれとこう言った。これがことしの一月にできました。この再建計画の中に、ヘドロ処理というものを幾らぐらいチッソとしてみているのか。私は今回の熊本の知事を含めた三者会談の中には当然、チッソの再建計画がどういうものかということを、環境庁なりあるいは運輸省なり一度把握をされておく必要があったと。私が大づかみに聞いた話では、もちろんこれは出所不明としてもらったほうがいいですが、概算二百億かかるであろう。それを企業七〇、国一五、地元一五、こういう一応の割合を考えて、百五十億の負担がなかなか重苦しい、よって百五十億も企業に負担させるならば、また企業は撤退するというようなことになりはしないかということが、そろそろ方々から入ってくるのです。ですから、これは考えようによりますと一種のどうかつでもある。脅迫ですよ。そういうことで、何とはなしに企業が背景にいて、それで国からゆさぶり出せというような措置がとられるというようなことも全くあり得ないということは考えられない。
ですから、ここはひとつ両大臣におかれまして、昨年の予算委員会の約束、すなわち絶対に撤退しないということ、それと再建計画の内容をすみやかに把握される必要があろうと、こう思うのですが、その辺のことはどういったようにいままで、三者会談の話し合いをまとめるまでの間に把握をされたのか、ひとつお聞かせを願っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/50
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051・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) チッソの再建計画の内容に触れて三者会談は話題になりませんでした。それはチッソ側にも千葉の工場の火災等もあり、いろいろな予期せないような事件も起こっておりまして、再建計画をつくっておるにしても相当な変更も行なわれたに違いないのでありますから、私がチッソの責任者を呼んであるのには、そういうことも踏まえて、そしてヘドロ処理に対する原因者負担というものをどのようにして会社に責任を果たさせていくかということを検討したい。そのときの基礎には、再建計画というものもこれが基礎になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/51
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052・矢山有作
○矢山有作君 それでは、くどいようですが、長官、原因者負担の原則はくずさぬということでいってくださいね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/52
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053・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) くずすということならば簡単なことなんですが、しかし、くずさないで何とかできぬかというところに非常に苦心をいたしておるということをお察しを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/53
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054・矢山有作
○矢山有作君 次に公害防止上、最近住居の移転の問題というのがたくさん起こっているわけでありますが、全国的に見てこういった例はどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/54
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055・城戸謙次
○政府委員(城戸謙次君) これは住居の移転でもいろんな理由によるものがございまして、必ずしも純粋の公害だけというわけでございませんが、私ども聞いています範囲で、四日市、水島、その他五、六カ所程度ぐらいのところでそういう話が出ているという程度でございまして、具体化してますのは、水島がある程度具体的な検討を進めているという段階と承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/55
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056・矢山有作
○矢山有作君 最近、公害が非常に激しいということで集団的に住居移転の希望が非常に多くなっておるようでありますが、いまおっしゃったように、相当計画が固まってきつつあるように思っておるのが、倉敷の水島地区の松江というところの集団移転の問題です。この問題で環境庁なり県、市の間でいろいろ合同の検討会を開いたというのですが、そういう中で具体的にどういう点が問題になり、その点についてどういうふうに煮詰められておるのか。いまの状態でわかる点があれば御説明願いたい。
〔委員長退席、小平芳平君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/56
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057・城戸謙次
○政府委員(城戸謙次君) まず移転をします場合に、一番大事なのは住民の意向がどうかということでございまして、いまおっしゃったような問題点について住民の考え方を十分調査するということが大事だと思っております。
この点、たとえばいまの水島に関しましては去年の暮れにそういう調査をいたしております。私ども県のほうから来ていただきましていろいろ議論をしております場合、たとえば移転の場合に、具体的になりますと、移転先がはたしてあるのかないのかという具体的問題もございますし、移転対象としましてどういうものを、住宅、宅地、これは当然でございますが、そのほか何か考えなければいかぬかどうか。最初のケースでございますから、事例がないためにそういう点も議論がされているわけでございます。それから移転の場合の費用負担をどうするか。これは公害防止事業費事業者負担法によりまして当然審議会の段階できまるわけでございますが、これは従来具体的な例がないために、非常にその辺の点もどうやったらいいだろうかという議論がされているのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/57
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058・矢山有作
○矢山有作君 これは環境庁長官にお伺いしたいのですが、最近、新産業都市だとか何だとかいわれるようなそういう地域、それに限ったことはありませんですが、工場がどんどん進出してきて、住居のまわりが工場で取り囲まれてくる。それでそこに住んでおると生命にも健康にも非常な不安を感ずる。不安を感ずるじゃない、事実上健康上の障害がたくさん起こっておる。それからまた工場爆発の不安というようなものもある。それからさらに農作物等が被害を受ける。こういうようなことでたいへんなんですね。特にいま問題になっておる倉敷の水島地区なんていうのは、長官もたしかおいでになったはずで、これは代表的なところですがね。
私は、こういうところに対して、集団移転の希望があるから集団移転の方策を検討して何とかそれをしようということもさることながら、それよりも、公害を出して住民を住まえなくしておるような企業のほうを規制していかにゃならぬ。それをしないで、どんどん工場が進出した、もう住めなくなった、さあどこかへ行きたい、じゃ行けと、こういう形でいったのではこれはたまったものじゃない。そこでむしろ公害発生源のほうへの規制を強化するという立場をとるべきではないか。そうすれば当然そこに考えられるのは、住むにたえぬほどの状態になっておるのなら、きびしい規制基準で押えていく。それでまだだめだというなら、私は工場の操業停止もやむを得ないと思うのです。さらにまた工場移転をこそ考えるべきじゃないか。住宅の移転を考える前に、その住宅地に割り込んできて住民に害を与えている工場を移転させるべきだ。私はそう思うのですがね。どうも集団移転、集団移転というて、工場が進出してくる、住民が逃げていく、逃がす、これを考えるのは問題のとらえ方がさかさまのような気がする。その点、どうなんでしょう。
〔委員長代理小平芳平君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/58
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059・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) われわれとしても環境基準というものを強化し、あるいは排出基準を強化し、やがては瀬戸内海には総量規制を行なおうとしておるわけですから、総量規制が行なわれますと、新しい工場の立地には制限を受けることは当然でございます。場合によったら、既設の工場も移転の必要が起こってくる場合もある。そういう政策を一方においては進めておるわけでございます。
一方においては、工場の立地の当初からいろいろ問題がある。新幹線の場合でも空港の場合でも、工場立地でもそうだと思うのですが、工場の周辺には緩衝地帯というようなものもなく、いきなり人家が密集しておる。これからはだんだんと規制が加わっていきますが、従来はそういうことが行なわれて、今後における工場にはそういう点はよほど条件はきびしくなると思うのですが、前につくった工場にはそういうところが遺憾ながらやはり相当に残っているわけでありますから、一方において規制を強化すると同時に、どうしても工場の周辺というものは、いろんな規制を強化しても、工場地帯でない地域に比べると環境はそういいとはいえませんから、集団移転を希望するという人もできてくるわけでございまして、そういうなには地域住民の大多数の人がそういう希望があり、またもっと環境のいい工場地帯でないところに移転すべき地域があるならば、それもまた一つの——それはいかぬのだと、工場のほうから解決せよというふうには考えていないわけです。両立てでいくことが現実的な処理だと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/59
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060・矢山有作
○矢山有作君 ちょっと十分聞き取れない点がありましたので再度お尋ねしますが、瀬戸内海地域の環境保全ということで、今後総量規制等をやってきびしい規制をやろうということなんだと思うのです。その中に、聞き漏らしたのは、既設の工場に対してどういう措置をとるのか。たとえば私が申し上げましたように住民の健康、生活環境を守るために規制ぐらいで間に合わぬとするなら、工場の操業を停止させるとか、あるいは工場の移転をも積極的に考えるということが含まれてくるのかどうか。その点をちょっと聞き取れなかったので、はっきりさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/60
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061・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 総量規制でありますから、その総量規制によって個々の企業に割り当てられるわけでありますから、どうしても全体としての環境が守れないという場合には、これは工場の操業停止の場合も起こりましょうし、やはり工場側で規制をするような必要が起こってくることはあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/61
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062・矢山有作
○矢山有作君 わかりました。できれば私はそういうふうに公害発生源のほうを規制をしていく、住民を移転をさせるのでなしに。それが本筋だと思うのです。
ところで、住民としてその地域におりたくないからどこかに移っていきたいという場合に、どうしても住宅移転の問題を考えなければなりませんが、そのときの事業者の負担割合というものが、これは御案内のように政令できめることになっておるけれども、まだきめられておりません。なるほど政令にきめなくても、いまの法の運用で審議会等で協議をすれば、やろうと思えばやれぬことはありませんが、しかしわざわざ法の中に事業者の負担割合を政令できめるんだというふうに定めておるというところは、またそれなりにそういう政令をきめることを定めただけの意味合いを持ったから、そういう条文が入っておると思うのです。
そこで、その条文に沿って今後政令で負担割合をきめていくのか、いかないのか。きめていくとするならば、その目途はいつごろに置いておるのか。それとも、先ほどの答弁の中にありましたように、いままでも例のないことなんだから政令できめるということはしない、まず先に例をつくらせるために倉敷あたりでやらせてみていこうというふうにお考えなのか。私はむしろ移転を進めていくためには、国のほうで政令で割合を適切なところにきめたほうがいいのじゃないかという気がするのですが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/62
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063・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) いますぐに政令という考え方は持ってないのですが、将来そういう必要も起こるかもしれませんが、いまのところはないので、たとえば倉敷の場合を考えてみますると、あそこの場合は当然に、その移転費用は一〇〇%事業者の負担にすべきだと考えておるわけでございます。それを負担法の規定によって、公害審議会できめるわけですが、そういうことにすることが当然だと私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/63
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064・矢山有作
○矢山有作君 確かに長官もあの現地をよくごらんになっておるだけに、いまのおことばがあったと思います。私もあの地帯を見て、一〇〇%事業者に負担させるというのが筋だと思います。したがって、何も政令で低い負担を事業者にさせるようなことを私も望んでおるわけじゃありませんので、これはぜひとも一〇〇%事業者が負担するような方向で問題が熟してくるならば指導をしていただきたい、このことをひとつお願いをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/64
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065・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは全国の最初のケースで、しかも松江地区二百五十四軒あったと思うのですが、その中でどこか一つ部落がまだ話がまとまってないようですが、川西地区二十二軒がまとまってない。ほかのほうはみな同意を取りつけておるようでありますが、これは最初のケースとしてわれわれとしてもできるだけあっせんして、実現をするように今後努力をしたいと考えておるケースでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/65
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066・矢山有作
○矢山有作君 一〇〇%事業者が負担してくれれば、これはもうけっこうなことで、ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。したがって、そういうふうになった場合には、私がこれから申し上げる国の財政の特別措置の問題は関係を持ってこないわけです。したがって、私はぜひとも国の財政特別措置の中に住宅移転事業を持ち込まないでもいいように、倉敷の水島地区に限ってはぜひとも事業者負担一〇〇%でやっていただきたいと思います。
しかしながら、これは住宅移転の問題としては倉敷だけの問題ではありませんで、今後いろいろな地域で起こってくることもあろうかと思います。したがって、そういう点を配慮しながらお尋ねをしたいのでありますが、住宅移転という公害防止対策事業については財政特別措置の対象とされていないようでありますが、この点についてはいかがでしょう。財政特別措置の対象にするお考えがあるのかないのか。それとも今後の住宅移転はすべて一〇〇%事業者負担でやるという方針であるから、国の財政特別措置の対象にする必要はない、こういうお考えなのか。その点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/66
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067・城戸謙次
○政府委員(城戸謙次君) これは自治省の所管法律でございまして、私から御答弁申し上げるのはあるいは適当でないかとは思いますが、現在の法律、政令の形の上では住宅移転事業は補助対象になっていない、かさ上げ対象になっていない、こういうように了承しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/67
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068・矢山有作
○矢山有作君 だから、現在国の財政特別措置の対象になっていないのはわかっている。わかっているからいまの質問しているのだから、所管は自治省だけれども、これは環境行政とは切っても切り離せない法律なんです。したがってこの問題に対する環境庁の見解を聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/68
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069・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは私も政令について、これからの問題、検討すべき問題とお答えしたのは、全部一〇〇%といかないケースも起こってくると思います。そういうことで倉敷のような場合は私もそう考える。世間の常識もそうだと思うのです。しかし、ほかがそういかない場合もありますから、あるいは矢山委員の御指摘のような必要も起こるのかもしれません。いまはしかし、それは環境庁一存の問題でもございませんので、ここでどうするということをお答えはできませんが、将来の課題であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/69
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070・矢山有作
○矢山有作君 倉敷地区の集団移転に対してはこれは関係ない、そのとおりで、関係ないほうを私は望むわけです、一〇〇%事業者負担のほうを望むわけですから。しかし、そうばかりも言っておれませんので、将来、住宅移転事業を公害防止対策事業として国の財政援助の対象にするかどうか、これは自治省との関連で私は御検討を願いたいと、こういうふうに思います。
それからこの住宅移転という場合に問題になりますのは、あの地域の場合は特にですが、将来、あの地域に限らぬ、よその地域でも起こってくる可能性があると思われるのは、農地等の問題があるのですよね。農地等の処理をどうするかという問題が、やはり私はその移転を実現させていく上には非常に大きなネックになると、こういう感じがするのですが、この農地等の扱いはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/70
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071・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) このあと地利用というのが大問題で、あるいは緑地地帯にでもしてやれば建設省の所管で、そういう方法を推進する方法もあるのですが、農地という問題には、まだ私どもこうすればいいという結論が出ていないのです。あと地の問題の処理というのがあの問題のネックの一つでありましたが、これはもう少し検討の時間を賜わりたいと思うのでございます。農地の問題には確かに問題があるということでございます。いま倉敷地区の移転の場合も、農地ということを頭に入れた移転の計画はないようでございますから、この問題は研究の課題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/71
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072・矢山有作
○矢山有作君 この場合、先ほど長官も触れられたように緩衝緑地との関連を考えていくなら、それなりに農地問題というのは一つ処理がつく可能性が出てくるわけです。しかし、いつの場合も緩衝緑地ということばかりでもなかなかいかぬ場合も出てぐると思いますので、この農地等の扱いについてどうするかというのは、いまおっしゃったように検討課題ということでありますから、それなりできょうは納得しておきますが、ひとつぜひとも御検討願いたい、こういうふうに思うわけであります。
それから次に問題を移しまして、実はこの間、大阪空港の公害訴訟判決が出たわけでありますけれども、その控訴期限が十三日のようであります。伝えられているところによりますと、政府は控訴するかどうか、まだ態度はきまっておらぬけれども、どうも控訴する方向に傾きつつあるのじゃないかというようなにおいもするわけなんですが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/72
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073・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは十三日が期限でありますから、それまでに態度をきめようということで、いまは関係各省がありますから、法律的な見地からは法務省、財政的な見地も要るでしょう、運輸省も、環境庁も、これは各省でいま検討を加えているところで、この席で政府の決定的な態度を申し上げる段階に至っていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/73
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074・矢山有作
○矢山有作君 ところが、どうもわれわれ先般も新聞で見ますと、なるほど検討中だけれども、しかし最終的な判断は三木環境庁長官の決断にかかっておるだろうと、こういうように聞いておるのですが、私もさもありなんと、こう思うのです。そこで、環境庁長官としてはどういうお考えなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/74
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075・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 矢山さんの御発言は、少し環境庁長官の本件に関する地位の過大評価であります。そんなに私は本件に関しては強大な権限を持っていないわけでございますから。私個人の見解をこの際述べることは適当でないと考えますので、差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/75
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076・矢山有作
○矢山有作君 私は、三木環境庁長官は環境庁長官という肩書きの上に副総理という肩書きを持っておいでになるので、非常に住民はもちろんのことでありますが、全国民が関心を持っておる問題なので、この扱いがどうなるかということを注目しておりますのでお伺いしたわけです。
しかし、私は環境庁長官とこの問題で議論するわけじゃありませんが、いままでのあなたの大阪空港公害訴訟に関連する発言等から推察してまいりますと、これは国のほうが控訴をするというのは、おそらくおやりになる意思はないのじゃないか、そういうことのほうへ傾かれるということになるとちょっとおかしいのじゃないかという感じがするのです。あなたはこの判決で、地裁の判決を尊重するというようなことをいわれていることもありますし、そうすれば、地裁の判決を尊重するならば、これは国が控訴すべきでないし、また大阪空港の公害の実態を見るなら、あの判決について国が控訴するというのは、私はおよそ国民の心を知らない政治家のやることだと思うのです。
これは全く役人的なベースで考えるなら、それはまたいろいろ法理論上の問題もあると思いますよ。しかしながら、ただ単に法理論上の問題だけでは片づかないのが現在の公害の問題だと思うのです。そうすれば、そこに私は法理論的なものを越える政治的な判断というものが働いていいのじゃないか。そうなるなら、政府のほうから控訴ということはあり得ないだろう、こう思うのてす。そういう点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/76
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077・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私は、この大阪の判決を契機にして、騒音対策を積極的に進めていきたいと考えているわけでございまして、そのための直ちに関係閣僚の会議も招集をしたわけでございます。これは積極的に推進していこうと思っておりますが、判決の処置については、各省関係する省も多いわけでございますから、これは十分にいろんなことも考慮に入れながら検討を加えることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/77
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078・矢山有作
○矢山有作君 この問題だけやってもしょうがないのですが、ついでのことですから、運輸大臣はどうなんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/78
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079・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 私はこの判決に関する限り当面の被告でございまして、判決は厳粛に受けとめております。と同時に、判決は判決といたしまして、騒音対策につきましては地域住民の皆さん方があんなに苦悩され、困っていらっしゃるのですから、これはもう航空行政の責任者として、私はこの騒音撲滅に挑戦していく覚悟でございます。
しかし、控訴問題になりますと、いま三木長官がおっしゃいましたように、関係する各省庁とも十分お話し合いをいましているところでございまして、その結論を見た上でひとつきめていきたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/79
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080・矢山有作
○矢山有作君 徳永運輸大臣のお話のように、まさにいまあなたは当面の被告ですね。騒音撲滅に全力をあげるというかたい決意を御表明になったわけですが、あの大阪空港の激しい騒音をほんとうに撲滅して地域の住民の健康なり生活を守ろうということなら、そのための対策を真剣に進めようということなら、やはり運輸大臣としては控訴に対しては反対の態度をとられるというのが、これは私は良識ある行き方だと思うのです。あの判決に対して控訴しておいて、文句をつけておいて、そうしてあの判決が、不十分ではありますが、願っておる公害防止の問題について、断固として今後公害撲滅のためにがんばりますといっても、ちょっと矛盾しますのでね。あなたの立場とすれば、むしろ控訴はすべきでない。私は先頭に立って公害撲滅のためにあの判決を踏まえて努力する、こういうことで閣議の中で強力に主張していただけませんか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/80
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081・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 判決を契機といたしまして、さらに決意を新たにしているところでございますが、判決そのものとまたこの航空行政とは別でございまして、判決そのものは判決として厳粛に受けとめ、この問題に対処するにはいろいろな相談が、いま三木長官からのお話のように関係省庁間で行なわれているところでございまして、しかし、これはこれといたしましても、騒音対策というのは一日もゆるがせにできない問題でございますから、この対策については、私はいろんなことを言ってみたって、決意だけ言ってみたって始まらぬと思います。でありまするから、具体的な何か処置を近々のうちにひとつ出したい、かように考えて、これは一番いいのはぴしゃっととめてしまうのが一番いいのですけれども、飛行機を全部とめるというわけにももちろんまいりませんから、その中にどういうふうに一歩でも二歩でも、かねがね申し上げている決意というものを実現させていくかということについて、いま検討を命じ、また私もその問題について対処している最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/81
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082・矢山有作
○矢山有作君 私はあの判決を見たときに、これはむしろ逆に原告のほうはきわめて不満足だろうという感じがしたのです。たとえば夜の九時からの飛行の差し止めすら実現できない。従来どおり十時以降だ、こういうことになってしまった。九時と十時の間にどれだけの大きな差がある。これを公共性の名によって原告の請求を退けた場合に、九時と十時、一時間の間飛行をとめたからといって、それが、私は原告の生命や健康や生活の状態にあれだけの大きな被害を及ぼしておって、それと比較考量して、その一時間どうしても飛ばさなければならぬのだという理由がわからないのです。そのぐらいに私は考えている。
であるとするなら、こんな判決に対して控訴するなどというのは、私は常識では考えられぬ。それは法律をもてあそぶことの好きな法律の理屈屋に言わせて、人格権をどうも認めた形になるからこれはけしからぬのだと、こういう理屈を言うなら別です。それはまさに法解釈論者にまかしておけばいいのであって、少なくとも政治に関与する者は、そのような小手先の法解釈論だけで問題を片づけることはできぬと思います。きわめて高度な私は政治的な判断が要ると思う。
それは三木環境庁長官もかつて言われたように、環境権だとか人格権だとかいうようなものは法の概念としてはまだ定着しておらない、しかしながら政治的にはこれはやっぱり積極的に考えねばならぬとおっしゃった。私はそれだと思うのです。こういう権利を裁判の上で法的に定着させようというのには、まだまだ多少私は時間がかかると思います。しかしながら、裁判の上で法的に定着されるのを待つようなことではいけない。これはやはり憲法の立場から考えてみても、当然人格権なりあるいは環境権なり、こういったものはいま私は法的にも定着させていい段階に来ていると思う。それがなかなか日本の現状では定着できない。であるとするなら、私は、三木長官のおことばじゃありませんが、政治的にこれを先取りしていくという姿勢があってしかるべきだと思いますし、そのためには、国のほうから控訴に踏み切るなどというのはとんでもない話だと、こういうふうに私は考えておりますので、この問題でやりとりはこの程度にしますけれども、ぜひともそういう非常識というか、不見識なことのないように希望したいと思います。
そこで、先ほど運輸大臣のほうからおっしゃったわけでありますが、大阪空港公害訴訟の判決を踏まえて、最大限の努力をして公害防除につとめたいということであります。まだ具体的な構想までいっておらぬようですけれども、また伝えられるところによると、ある程度の基本的な方針というものも固まっておるやに聞いておりますので、もし御所見があれば承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/82
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083・森中守義
○委員長(森中守義君) まず三木長官から御所見をお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/83
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084・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 控訴問題についてはいま申したとおり、いろいろなことを頭に入れながら検討を加えることにいたします。
それから騒音対策のほうは、運輸大臣のほうで熱意を持って進められておりますので、運輸大臣から御答弁願ったほうが適当だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/84
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085・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 騒音の対策には、先ほど来公害の問題でもございましたように、まずもとを断つということが一番でございますが、大阪の場合では、新空港をつくってそちらに移転するというのが、これが一番いいことでございますが、この新空港の問題につきましては、ただいま審議会で鋭意御検討を願っているところでございまして、大体七月前後には答申が出てくるのではなかろうかと思います。したがいまして、答申が出ましてから、すぐ右から左に空港ができるわけではございません。この間に相当な、やはり一番機が飛び立つまでには時間がかかろうと思います。
その間どういうことを一体やるのかということになりますと、いま国会に御審議をお願いしております航空機騒音に関する法律の一部を改正いたしまして、まず地域周辺の整備ということを考えておるわけでございます。それがために機構をつくって、地方公共団体と協力し合いましてその整備をやる。それからさらに、公共施設はいままででもやってきたところでございますけれども、公共施設と申しますか、いろんな公的なお集まりの場所等については防音装置とかいろんなことをやってまいりましたが、今度はそれによって個人の住宅の防音室をつくりますとか、あるいはお話し合いによって移転をしていただくような方策をとるとか、代替地を見つけていろいろお話し合いを進めるとか、いろいろこれによってやっていくわけでございますが、当面さしあたりは、いま持っております法律によってそういうことを進めると同時に、音源対策をやってまいらなければならぬと思うのです。
音源と申しますのは飛行機をどういうふうにいまから押えていくかということでございますが、一つには、やはり東京−大阪間は新幹線という代替輸送機関があるわけでございますが、その代替輸送機関の新幹線もいま騒音問題で、やがて御質問も出るようになっておるようでございますが、これがまたたいへんなことで後手後手に回っておりますけれども、とにかく一応代替輸送機関というものを持っておりますから、それにどのぐらい一体回せるか。それによっていまの東京−大阪間の飛行機を一体どのぐらい削れるか。御承知のように朝七時半ごろから第一放送でいつも飛行機等の乗客の状況を放送しておりますが、とにかく需要が満ぱいなわけなんです。もう一カ月先ぐらいから予約で一ぱいだというような状況が続くわけでございますけれども、そういう中におきまして混乱のないような飛行の削減をやっていかなければならぬと思います。
それからもう一つは、特に一家団らんの時間でございますとか、あるいは子供がお休みになります時間というような時間帯の削減ということも、これは重要に考えて重点的に進めていかなければならないと思います。
と同時に、地元の皆さん方とよくお話し合いをいたしまして御了解を得て、音の少ない飛行機を投入する。いま事故を起こしましていろいろ問題になっておりますエアバスでございますが、これは今度入れようとするエアバスとは機種も違うわけで、問題を起こした飛行機とは違いますけれども、それにいたしましてもフランスの事故で非常に大きな打撃をみんな受けたわけでございます。したがいまして、このエアバスというのは音源も一〇ホンないし一五ホンぐらい低いそうでございます。しかも安全性はいままでの飛行機よりも高い。ただ大型化するわけでございますから、万々が一にも事故でも起きたらこれは大事故につながるし、また大阪周辺では、ああいう土地柄でございますから、そういうことはもう絶対に起こさせてはならぬという厳重な使命があるわけでございます。そういうところからいろんな地元の皆さん方も御不満もあるようでございまして、この点は十分お話し合いをして、理解をいただいた上でこの飛行機を投入しますことにおいて飛行機そのものの音源も少なくなるし、大型でございますから他の飛行機の削減にも大きく役立つわけでございます。そういうようなことをあわせて今後行なっていきたいと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/85
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086・矢山有作
○矢山有作君 いろいろと対策を述べられましたが、防音装置などは日本は木造家屋ですから、やってもなかなか効果あがらないんですね。新幹線でもそういうことをおやりになった例もあるようだし、空港でもおやりになった例があるようだけれども、あまりそんなに効果があがっていない。また移転といっても、これはたいへんな話なんです。さしあたりの問題としてお触れになりました大幅な減便の問題、これはぜひ私は最大限やっていただきたいと思うんです。私もあそこへ一昨年ですか調査に参りましたが、それはほんとに騒音などというものじゃないので、マスコミが言っておるように、まさに痛音ですから、これは大幅な減便はぜひあなたのおっしゃったようにやっていただく。それともう一つは、やっぱりジェット機の乗り入れをできるだけなくするということだろうと思うので、そういう対策もお考え願いたいし、最善の努力をひとつお願いして、音源をきびしく規制していくようにお願いをしたいと思うわけです。
そこで、先ほどエアバスの問題に触れられましたが、このエアバスの乗り入れの問題については、地元の大阪のほうからも問題が提起されておるようですし、羽田のほうにも大田区の区長あたりから問題が提起されておるようだし、それからまた航空管制官の団体も、特に大阪へのエアバスの就航は危険性が高いと言っておるようです。それにあわせて、なるほど導入する機種は違うかもしれませんが、フランスでエアバスの事故が起こっておるというようなことからしますなら、軽々しくエアバスの就航ということには問題があるのではないかと思いますので、この点はひとつ十分の配慮を願いたいと思うのです。
なおまた、どうしてもエアバスを導入されるというなら、大体いつごろを目途にされておるのかということもあわせて聞きたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/86
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087・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 四十七年の十月から、実は日本でも日航がエアバスで東京−那覇間を飛んでおるわけでございます。また外国の航空会社は、日本にこのエアバスを相当いま離発着させているわけでございますが、それはそれとしまして、大阪の乗り入れにつきましては、地元住民の御理解を得た上でなければ、周辺のそういうふうな特別な環境があるわけでございますから乗り入れないことでございます。なお最近、きょうは八日でございますが、十日から全日空の東京−沖縄便をエアバスを入れることに許可をいたしておるわけでございますが、あの事件以来、さらに航空局に命じまして、念には念を入れて試験、検査等には十全の対策をとるように、また、その自信のほどにおいてこれを就航させるようにということで、航空局においてそういうような準備を進め、十日から那覇−東京間を全日空のロッキード一〇一一という飛行機が就航する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/87
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088・矢山有作
○矢山有作君 特に大阪空港の乗り入れについては住民の納得がなければやらぬということでありますから、それでいいのでありますが、一つ御留意願いたいのは、これはもう新聞に出ておることだから十分御承知のはずですし、また専門家の方はよく御承知のはずでありますが、離陸に入る独特の離陸方式を大阪空港ではとっておる。したがってエアバスを導入することは危険があるんだという指摘が航空管制官の団体からされておりますから、これは何といってもしろうとでなくて航空管制官という専門家が言っておることですからね、これは十分配慮されるようにあわせてお願いをしておきたいと思います。
それから次に移りたいのですが、空港整備の第三次計画の基本がきまったといわれております。そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/88
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089・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) まだ構想の段階でございまして、もちろん決定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/89
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090・矢山有作
○矢山有作君 そこで構想の段階なら、ひとつぜひ御検討願いたい問題があるわけなんですが、三月六日の「朝日」によりますと、空港整備第三次計画の基本方針が大体きまったということで、その基本方針の概略が報道されております。だから、いまあなたがおっしゃったように、これはまだそこまできまったというところまでいっておらぬのか、また新聞報道が言うとおりにきまったのか、これははっきりさせていただきたいところでありますが、それが一つ。
それから、きまったとするなら、その基本方針の中で一つ問題があります。また、きまってなくても、今後きめようとする場合に御配慮を願いたい点が、この新聞を読んでおって気づいた点が一つあります。
それを申し上げておきたいのですが、整備計画で「国内線の空港も原則としてジェット化をはかり、航空輸送の需要増に伴って大型機が入れるよう整備する。」と、こうあるんですね。これは私は現在の日本の大多数の空港の状態からするなら、こういうジェット機化、大型化の方針が出されておるということは、これは現在の空港公害の問題からして非常に問題があるのではないかと思うのですが、この空港公害の現状に注目をされながらこの基本方針というものがつくられておるのかどうか。空港公害はあるけれども、そんなことは公共性の前にはやむを得ぬのだということでこういう方針を出されたのかどうか。その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/90
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091・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 私は実はその新聞を拝見しておらないのでございますが、これは新聞社の計画だろうと思います。私のほうはまだそこまで計画を持っておりません。これは所管の大臣が明確に公式の場で申し述べておきます。
それからいまおっしゃいましたように、だんだん大型化していくなんということをその中で考えるなということでございますが、私も全くそうだと思います。
やはり私は、乗りものの中でも特段飛行機というのは一つ間違いが起きるとたいへんなことでございますから、まず安全でなければいかぬ。安全なのは何かということを追求に追求していかなければいかぬと思います。技術屋の皆さん方が、どういう飛行機が一番安全なのかというようなことをいろいろこれから第三次計画でも検討していくだろうと思いますが、その次に並行して考えなければならぬのは、やはり地域住民の騒音、公害の問題であると思います。したがいまして、新しい空港をつくる場合には、そういう公害の問題は前から環境庁の御指摘の勧告の基準に合うようなつくり方をしてまいらなければなりませんし、また今後もそういうようなジェット機を入れるために新しい公害を新しい空港にまき散らすというようなことのないような配慮は、十分お説のようにとってまいらなければならぬと思います。私は矢山委員の御指摘、全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/91
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092・矢山有作
○矢山有作君 これは徳永運輸大臣が、運輸省の計画じゃない、新聞社の計画だろうと、こう強くおっしゃったのですが、新聞社の計画にしては実に詳細な報道がなされておる。「運輸省は五日、昭和五十年度を初年度とする第三次空港整備五カ年計画の基本方針を決めた。」「四月中に基本計画をまとめて航空審議会に諮問し、七月ごろ最終計画を決める方針」であるというので、おもな内容は「基本方針」でかくかく、「整備計画」でかくかくと、こうなっています。
したがって私は、日本の役所の悪い伝統というのか、大臣が御存じないうちに、事務当局の段階だけでおぜん立てして、きちっときめておいて、大臣のお耳に入れない、これは不都合な話ですが、そういうことが往々にしてあるので、そういうことを運輸省はやっておるのじゃありますまいな。これは事務当局に聞きたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/92
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093・隅健三
○説明員(隅健三君) 第三次の五カ年計画につきましては、事務当局といたしまして、十二月の二十七日に環境庁から航空機騒音に係る環境基準を出されましたので、各空港についていろいろ事務的に検討はいたしております。また将来の需要予側につきましても、これは長期計画の基本になるものでございますので事務的な検討はいたしておりますけれども、局あるいは省議においてこれをきめたとか、そういうようなことはございません。われわれといたしましても、まだまだ事務当局として片づけなければならない、あるいは討論しなければならない問題が山積いたしております。そういうことで、大体課長のところでいろいろ討論はいたしておりますけれども、運輸省が決定をしたというようなことはございませんし、決定の段階においては当然航空局あるいは省議において十分意を尽くして、それから後決定をするということは当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/93
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094・矢山有作
○矢山有作君 わかりました。
そこで、決定されておらなければ幸いであります。運輸大臣、決定されておらないそうですから。あなたも先ほど私の意見に同感の意を表していただきましたが、原則として国内線の空港もジェット化、大型化をはかるというようなことでは、ますます航空騒音の公害が拡大されてくるということは火を見るよりも明らかでありますから、ぜひともそういうことのないように、公害防止ということを基本に据えながら空港整備の第三次計画も立てていただく、このことを重ねてひとつお願いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/94
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095・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 御指摘のように、まず安全、それから公害防止、この二つをはずさないように進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/95
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096・矢山有作
○矢山有作君 実は私の時間もいささか超過しておりますので、あと予定しておりましたのが新幹線に関する質疑と、それから日本分析化研の問題について残っておるわけでありますけれども、私の質疑を継続いたしますとほかの質疑者の方に御迷惑をおかけいたしますので、次回に譲りたいと思います。特に分析化研の関係では科学技術庁のほうからわざわざお越しいただいておると思うのでありますけれども、時間がなくて質疑に入れなかったので、ひとつ御了解を賜わりたいと存じます。
それではこれで私の質疑を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/96
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097・小平芳平
○小平芳平君 私は環境庁長官にきょう質問いたしたいことは、放射性物質の汚染に環境庁はどう対処していかれるかという点について質問したいわけです。
初めに科学技術庁のほうから、わが国の原子力発電所は現在どれだけ運転されているか、それから将来の計画はどうなっているか、以上の点について御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/97
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098・長屋茂
○政府委員(長屋茂君) ただいまの御質問の点につきましては、担当の政府委員をして説明させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/98
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099・伊原義徳
○政府委員(伊原義徳君) ただいまわが国の原子力発電所は、出力約百八十万キロワット、これが運転中でございます。さらに二基が試運転中でございますので、この二基が正式に運転に入りますと、約三百万キロワットになると承知しております。さらに建設中のものを入れますと、約千六百万キロワットにのぼっております。原子力委員会が定めました長期計画で長期の予想もさらにいたしておりますが、現在のところ運転中並びに建設中の原子力発電所は以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/99
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100・小平芳平
○小平芳平君 それで、将来の計画はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/100
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101・伊原義徳
○政府委員(伊原義徳君) 先ほど申し上げました原子力委員会の昭和四十七年に定めました長期計画によりますと、昭和六十年度におきまして約六千万キロワットの原子力発電所を見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/101
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102・小平芳平
○小平芳平君 そうしてこの原子力発電所を計画しようという地域は、おもに過疎地帯が多いわけです。そうした過疎地域にいきまして、そして地域住民は、原子力発電所の建設を受け入れあるいは促進するという意見と、それから絶対に安全性が確保されない限り原発には反対であるという意見に、おもに二つに分かれるわけです。二つに分かれて、ある町議会の場合でしたら、促進するか、あるいは拒否するか、町議会で一票差できまるというようなのが現状なんです。
そういう中にあって原子力発電所をどんどん建設計画を進めていく。昭和六十年で六千万キロワットということは現在の数十倍、そういう計画をどこまでも科学技術庁は押し進めていく考えかどうか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/102
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103・伊原義徳
○政府委員(伊原義徳君) ただいまの先生の御質問につきましては、いろいろな観点から考えなければならないと思うわけでございますが、まず、御承知の石油危機に端を発しました日本の将来のエネルギー需給をいかにすべきであるか、こういう観点からの問題が一つあろうかと存じます。その場合に、石油にかわり得る代替エネルギーとして、現実に直ちに実用可能なものといたしまして大規模に実用できますものとしては、原子力発電というものをおいてなかなかほかに見当たらないという御意見がかなり識者の間にあると承知いたしております。しかしながら、これは直ちに原子力発電所の安全性あるいは地域の方々の御理解を得ないでもいい、強行していい、こういうことにつながるわけではございません。したがいまして科学技術庁といたしましては、その辺のところは十分慎重に対処いたしまして、絶対に安全な施設を、しかも十分地域の方々の御理解もいただいた上で、できる限り建設を促進いたしまして、将来の日本のエネルギー需給に万遺漏なく十分に国民の皆さま方の御要望に沿えるようにいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/103
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104・小平芳平
○小平芳平君 その安全性について当委員会でもいろいろ問題になったことがありますし、また衆議院の科学技術特別委員会でも参考人から意見を聴取されたというような経緯もございます。したがって、いろいろと繰り返しませんで結論的に四つのことをお尋ねいたします。
第一は、衆議院の科学技術振興対策特別委員会で十人の専門家を招いて意見を述べていただいた。全く正反対に対立した意見が述べられたということが第一点。特に仮想事故の規模というものを過小評価されているというような御意見、こういう点についてどう考えているか。それが第一点です。
それから第二点は、原子力発電所あるいは核燃料再処理工場から環境に放出される放射能、トリチウム、クリプトン85ですか、そういうものも現在は確かに少ない。しかしそれが、何十倍、何百倍という原子力発電所がこの狭い日本の各地で稼働し運転し始めた段階においてどうなるのか、という点が第二点です。
第三点は、放射性廃棄物、これはドラムかんで何十万本というものがたまるであろうということが報告をされております。そういう放射性廃棄物の処理方法はないというのが今日の実情だと思いますが、いかがですか。
第四点は温排水の影響、これもちょっと対策がないというのが現状ではありませんか。
以上、四点についてお答えをいただきたい。
〔委員長退席、菅野儀作君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/104
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105・伊原義徳
○政府委員(伊原義徳君) ただいま御指摘の四点につきまして簡単に御答弁申し上げます。
まず最初の点につきまして、衆議院の科学技術振興対策特別委員会における参考人の専門家の御意見、いろいろあったということは事実でございますが、特にそのうち、仮想事故の規模につきましてどういうふうに評価するか、これにつきましては、わが国におきましては、特に原子力委員会のもとに原子炉安全専門審査会というものがございまして、多数の専門家に御参加をいただきまして、そこで海外の最新の情報も十分取り入れ、情報交換をいたしまして、仮想事故としてどの程度の規模を考えるべきかというふうなことを十分検討いたしておるわけでございます。したがいまして、原子力施設の安全審査をいたします立場の原子力委員会といたしましては、現在の審査の方法、考え方というものについて、十分専門家の御意見の入った確信のあるものであるということになっておると理解いたしております。
次に二番目の、原子力発電所あるいは再処理施設からの放射性物質の排出、たとえばただいま御指摘のございましたクリプトン85の放出につきましてでございますが、原子力発電所から大気中に放出されます放射性廃棄物、これの量は、簡単に申しますと、国際的な許容基準に比べまして実効上百分の一以下というきわめて微量のものでございまして、自然放射能というものが御承知のようにあるわけでございますが、これは地球ができましてから以来ずっとある自然の放射能があるわけでございますが一それに比べまして非常に低い値であるということでございますので、周辺の公衆に影響がないという程度のものである、こういうことでございます。それから再処理施設からの排出につきましては、原子力発電所よりも多少多いわけでございますが、これにつきましてはさらに研究開発を進めまして、たとえばクリプトン85の捕捉について、将来これを十分捕捉をいたしまして、今後多数の施設が設置された場合にも全体としての放出はきわめて少なくなるように、十分の手だてをとっておる次第でございます。
次に廃棄物、特に固体の廃棄物、これは放射能のレベルは非常に低いものでございますけれども、それをドラムかんに入れましてとりあえず貯蔵をいたします、その貯蔵をとりあえず発電所でいたしますが、もちろん発電所は敷地に余裕がございますので、当分の間十分それはためておけるわけでございますが、将来の永久的な処分につきまして、確かに御指摘のような問題が現在のところございますので、科学技術庁といたしましては、この放射性固体廃棄物、低レベルのものにつきましての処理処分を専門に行なう機関を至急設けるということで、その調査を来年度から開始することにいたしております。なお国際的には、この程度の低レベルの放射性固体廃棄物につきましては海洋投棄その他の措置もできることになっておりまして、現在その技術基準について国際原子力機関において検討中でございます。
それから最後に温排水の影響でございますが、これは科学技術庁のみでございませんで、環境庁あるいは通産省のほうで御所管になりましていろいろ御調査いただいておるわけでございまして、私どもといたしましてもいろいろ御協力を申し上げておるわけでございますが、確かに環境に対する影響はゼロではないと思います。したがいまして、その影響について各省庁協力の上鋭意調査を進め、かつ将来は環境への影響がさらに低くなるようないろいろ技術的な改善、こういった考慮も進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/105
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106・小平芳平
○小平芳平君 要するに、第一点は、十分安全であると思うということですね。第二点は、なお研究してそういう廃棄物を防ごうということですね。それから第三点は、固型の廃棄物は永久的処理の方法がいまのところない。これも将来の研究課題だということですね。
それでそのほかに、昨年の夏ころですか、事故が相次いで五基のうち四基までが故障、現在の出力はたった一割というような時期もあったですか、その結果はいまどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/106
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107・伊原義徳
○政府委員(伊原義徳君) 先生の御質問にお答えする前に、ちょっと先ほどの第三点の固体廃棄物の処理について、いまのところ方法がないというふうに御理解いただいておりますようでございますが、実はこれは先ほどの説明があるいは足らなかったかもしれませんけれども、いまのところでも十分保管は安全にいたしておりますし、かつ長期的な廃棄につきましても、たとえば国際約束に基づいて海洋投棄の道も開けておりますし、そういうことでございますので、十分この低レベル固体廃棄物についても処理ができると私どもは考えております。
〔委員長代理菅野儀作君退席、理事矢山有作君
着席〕
それから故障が、事故が相次いだということで、昨年の夏ごろ非常に新聞紙上をにぎわしたということは事実でございますが、これは実は普通の産業でございますと事故ということで取り扱われない程度の軽微のものも、何と申しましても原子力につきまして非常に関心が高いために非常に大きく報道されるというふうなことがございましたので、国民の皆さま方に非常に原子力発電は故障が多い、あぶない、信頼性のないものであるという御認識をいただいたかと思いますが、これは事実ではございませんので、それにつきましては、私どもの地元の方々に対する説明もあるいは十分でなかったことも反省いたしております。
基本的に申し上げますと、原子力施設と申しますのは、もちろん機械のことでございますから部分的な故障はございますが、しかし、もちろん故障ができるだけないように十分設計も審査をいたしまして、検査も十分いたしまして、なお運転には高度の技術者を多数参加させまして十分な手当てをいたしますが、しかしなおかつ機械でございますから部分的な故障はございます。しかし、いかなる故障がございましても、故障が起きたときにすぐそれをバックアップと申しますか、その故障を助けるための防備装置、予備装置というものを多重に設けておりますので、故障がございましても周辺の一般の方々に絶体御迷惑はかけない、こういうことになっております。したがいまして、原子力施設の安全性と申しますのは、ちょっと簡単に申しますと、故障があっても安全であるというのが基本的考え方でございます。
なお、いままでの実績から考えましても、原子力施設ができましてから三十数年たっておりますが、世界的に見ましても、特に原子力平和利用の関係で故障なり事故が起きて、そのために周辺の公衆の方々が放射線の被曝を受けたということは、世界的に見てもおそらくないと思いますし、わが国におきましては、いまだかつて一度もないし、今後も絶体ないようにつとめてまいりたい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/107
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108・小平芳平
○小平芳平君 そんなに長く答弁してくれなくてもいいんです。私がお尋ねしたのは、昨年の夏ころ故障が相次いで、五基のうち四基までが故障をした、出力は一割にも落ちたという新聞報道があったが、それはそのとおりですか、その後どうなりましたかと、それだけ簡単に答えてくださればいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/108
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109・伊原義徳
○政府委員(伊原義徳君) ただいまの点につきまして、私ちっっとただいま手もとに資料を持ち合わせておりませんが、大体百八十万キロワットのうち、一番故障で発電所がとまった時期におきまして、大体百万キロワット程度の出力は確保されておったかと思います。
それから現在におきましては、当時運転を停止いたしました発電所はおおむね順調に、部分的に多少出力制限をしているものもございますが、おおむね順調に運転をしておると理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/109
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110・小平芳平
○小平芳平君 三木長官、最初に申しましたように、原子力発電所を各地へ建設しようという計画がある。そして地元では賛成か反対かで激しく対立をする。現にそういう対立が各地で起きております。
これは通産省のパンフレットですが、要するに原子力発電所が安全である、安全だということを、「国民の間に広く原子力発電に関する正しい認識がゆきわたり、原子力発電所に対する不安が速やかに解消されることが、最も大切なことと考えられます。」というふうに、とにかく安全ということをもう既定事実にして事を運ぼうとする。それは通産省も科学技術庁も同じ姿勢じゃないかというふうに私は思います。あるいは電力会社もそういう姿勢じゃないかと考えます。そうしますと、住民にとってはたして何ら危惧がないのかどうか、環境汚染の心配がないのかどうか。長官はどういうように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/110
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111・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 世界的にいって石油の次にくるエネルギーは原子力発電である。これはヨーロッパでもアメリカでも、この日本の百八十万キロワットなどというような規模ではないわけですが、そういう点、これの技術というものは海外に仰いでおるわけですから、そこにはやっぱりむずかしいところがあると思います。日本が開発したのではないわけですからね。
そういう点で、これはよほど日本の科学技術庁でも、アメリカもヨーロッパもどしどしやっているのですから、十分そういう原子力発電の技術を開発した諸国とも連絡をとり、もう少し確信を持って、そうして住民に対しての解明というものが足りないと思っているんです、これは。今後はもう少し科学技術庁自身が安全性に対しての十分の確信を持って地元民に対して説得力を持つように、パンフレットといっても、パンフレットというものは必ずしも全部が読むわけでもないわけですから、たとえばそれをフイルムなどにもしたり、いろいろな点で周知徹底をする必要がある。非常に全体として不安というものを御指摘のように持っていると思います。だから各地において立地の場合に反対が起こるわけですから、これを解明するということの努力をしないと、なかなかいまの原子力の長期計画など進んでいないわけですから、そういう点で政府自体もいままでの取り組み方に対して反省の余地があると私は思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/111
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112・小平芳平
○小平芳平君 そういうふうに三木長官も、本来安全なものなんだ、世界各国でやっているんだからと、あとはもう住民をいかに説得するかにかかっているんだということでこの問題が済まされるかどうか。私は全くのしろうとですから技術的なことは一切わかりませんが、とにかく最初に申しましたように、衆議院の科技特で専門家の意見がまつ二つに対立していたという事実、あるいは私が先ほど指摘しますように、放射性物質がやはり微量だが出る。それは技術開発が必要だと先ほど答弁しておられる。あるいはドラムかんに詰めている固型廃棄物は海の底へ捨てる以外に方法はない。いまは永久保管と称してその敷地内に貯蔵してあるだけというようなことであって、しかも温排水にしても、これ以上ふえないからそれは現状においての環境調査で済むでしょう。しかしこれから、現在運転中のものと建設中のものと比べた場合、建設中のものは現在運転中のものの十倍にもなるわけです。さらに計画で六千万キロワットとか一億キロワットとか、そういうような計画を進めようということになりますと、一体この日本の環境問題がどうなっていくかということを環境庁が私は取り上げていただきたいという趣旨で発言をしているわけです。一方では漁民は漁場を守ろうというところから反対をしているのに対しまして、ただ安全だということを説得すればいいんだということにはならないと思いますし、また現状でふえないならともかく、急速にふやそうというような国の姿勢に対しては、もっと環境問題として取り組んでいただかなくてはならないじゃないか、こういう趣旨ですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/112
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113・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは原子力発電という新しい技術の開発ですから、これを運営するについても用心深さというものは必要だと思うのです。したがって、事故が起こらぬという保証はないわけですから、事故が起こった場合にどう対処していくか、その場合においてもなおかつ安全であるということがなければならぬし、廃棄物の処理はやはり国際的に各国とも同じような問題をかかえておるわけですから、こういう国際的な共同研究というものが進められることがこの問題の解明に役立つと思います。また、温排水の問題もまだ不安がありますからね。この点については、われわれのほうとしても環境問題の側面から原子力発電は重大な問題であります。いま放射能の汚染については原子力基本法の関係法規の中で取り扱うということで、実際は環境庁は放射能の問題というものは取り扱ってないわけです。しかし、環境行政というものを総括的に推進していく立場から見ると、私はこれは不合理だと思っているのです。それで事務当局に私が指示しまして、放射能による汚染問題というものは環境庁がノータッチということは、それは環境庁の設置法からいっても、総合的に環境行政を推進するという点からいっても片手落ちだから、この問題は科学技術庁と話をつけて、われわれ環境庁としてもこの問題にタッチできるようにしたらどうだということを、事務当局からあとで報告をいたすことにいたしますが、そういうふうに考えて、これは環境問題の側面もあると思うので、こういう点で科学技術庁ともいま話をいたしておるわけでございます。
その面からも、単にエネルギーの必要が石油の次は原子力だという、そういうことだけで環境問題の配慮を除いてこれを推進するという考え方はない。一方において環境を汚染しないような措置を講じながら、結局においては原子力時代が来ると私は思っているんですよ、次の時代は。だからそれを推進するためにも、環境問題をおろそかにするということでは地元の住民が納得しませんから、この問題に対しては環境庁も関心を持っていきたいと、こう考えておる次第でございます。
科学技術庁との折衝については政府委員のほうから御説明をいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/113
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114・信澤清
○政府委員(信澤清君) ただいま大臣のお話がございましたような御指示をいただきまして、実はまだ目下内部で検討中の段階でございまして、具体的に科学技術庁と御相談をいたしているわけではございません。また、この問題に関与するしかたにいたしましても、ただいま大臣が申し上げましたように、環境保全全体を総合的に推進するという立場から関与すべきことは当然でございますが、その範囲にとどまるのか、あるいは具体的に安全性の確保とかあるいは規制とか、こういう分野にまで立ち入って環境庁が担当したほうがよろしいのか、またそういうことになりますれば、それに伴って必要な人員の問題なり、あるいは地方公共団体の監視の体制の問題等いろいろ出てまいりますので、幾つかの案を部内で検討し、最終的には大臣の御判断をいただいた上で科学技術庁その他とも御相談をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/114
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115・小平芳平
○小平芳平君 大臣からそういう積極的な御答弁をいただけば、おそきに失するとはいいながら、取り組んでいかれるという姿勢は了解いたします。といいますのは、環境庁設置法第三条には環境庁の任務はこれこれしかじかだということで定められておるわけですから、当然いま大臣及び官房長の発言なさったことはもう環境庁の出発のときから考慮されなければならない問題だったと思います。
特に、一方では石油危機がいわれ、またエネルギー革命がいわれている今日、こうして大々的に原子力発電所が全国にできるとなりますと、環境問題の相当部分が放射性物質ということにもなりかねないわけですね。いまここで技術関発が急速に行なわれ、安全性がはるかに高まるというならともかく、現在ではまだ技術開発が足りない面があると先ほど政府委員も答弁しておられる。そういう現状で、あるいは温排水の問題にしましても、環境問題の相当部分がこの原子力発電所に関係するものというふうなことにならないように、環境保全に努力をいただきたい。環境庁設置法の本来の任務につとめていただきたい。長官いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/115
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116・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私もそのように考えます。将来原子力発電所というものが各地に設置されるということになれば、放射能の汚染ということは環境保全のために重要な問題になってまいりますので、いま庁内の意見をまとめておるようでありますが、科学技術庁とも話し合いをいたしまして、環境保全を総合的に推進するという環境庁の任務に即したような環境行政が推進していけるような方法を講ずることにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/116
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117・小平芳平
○小平芳平君 先ほど官房長は、どの辺までタッチするかと言われましたですがね、そういう意味では人員の問題、予算の問題、組織上の問題があると思うのですが、しかし、それはきわめて差し迫った問題なんです。現に長官も御存じと思いますが、町村議会あるいは県議会等がたいへん迷惑するわけです。この原発をつくるか、つくらないか、白羽の矢を立てられたのが運の尽きみたいなのが現状なんです。そしてその内部が二つに分かれて、どちらかというといなかの町村において、静かな農漁村において二つに分かれて争うような結果になるということ自体、きわめて深刻な社会問題化している。それが減るならともかく、さらにそれがふえようというのが今日の通産省や科学技術庁のやり方だと思うのです。ですからそういう点、予算とか人員とかそういうことを固定して考えるのでなくて、もっと積極的に環境問題としての解決をはかるという姿勢でいっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/117
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118・信澤清
○政府委員(信澤清君) ただいま先生からも御指摘ございましたし、大臣からも御答弁申し上げたとおりでございまして、私どもの検討がおくれておりますことはまことに申しわけないと思いますが、多少言いわけを言わしていただきますれば、私ども自身に専門家がいない、したがって勉強も不十分と、こういう面もございますが、それはそれでおきまして、早急に結論を出し大臣の御裁断をいただくようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/118
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119・高山恒雄
○高山恒雄君 私はこの環境庁の予算の面から見まして、大筋からいいますと、これは長官はいつもおっしゃっておりますことですが、非常に環境庁として発足して間もないものですから、後手後手で追っかけた対策だけをようようにしてやっておるというのが現実だと思うのです。これでは私は環境庁としての使命は果たすことはできぬのじゃないか。整理に追われてしまっておるというのが現実だと思うのです。
そこで、私は高速道路の自動車の公害、その中の振動ですね、この問題については何の対策も打ってないのではないかということを考えるわけです。先ほど私が申しますように、新幹線が非常に騒音が高い。したがって提訴しようかということにまで進展してくると、環境庁としては直ちにそういう調査をやろう、こういう後手の政策だけなんですね。ところが、この自動車騒音公害というのはかなりあるわけです。しかもこの公害が、御承知のように高速道路はできるだけ人家を離れております。したがって集団で陳情をしようということもできないような状態になっておるわけです。したがって、ほとんどそこの地域の人は泣き寝入りになっておるというのが現実ではないかと思うのです。
環境庁は大体騒音について八〇ホンを基準にしてきめようと、こういうふうにお考えになっているようでありますが、しかしこれは昼間の交通と夜間の交通はまた変わってくるわけですね。こういう面に対する調査費用というものも組んでなければ、したがって手もつけてないわけですが、どうお考えになっておるのか、まずお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/119
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120・春日斉
○政府委員(春日斉君) 道路騒音に関しましては手おくれではないかという御指摘でございますが、ある意味では私は確かに手おくれになっている面が多いと考えております。
ただ、自動車公害対策と申しますか、道路公害対策と申しますか、環境庁は従来から自動車を発生源といたします騒音対策といたしましてはいろいろ行なってまいりまして、現在も大型車、それから二輪車を重点とした許容限度の強化をただいま検討中というところでございます。さらに引き続きまして、長期的観点からその規制をいかに強化するかということは、中央公害審議会で長期的方策についていかんということで御諮問申し上げておるところでございます。
ところで自動車騒音と申しますか、道路騒音と申しますのは、単に発生源である自動車だけの規制ではいけないわけでございまして、道路そのものの問題点もあるわけでございます。それは先生の御指摘どおりでございます。私ども、したがいまして騒音規制法の中でも、まずこういった近年の自動車交通量の増大に伴う道路騒音の激しさに対しまして、都道府県知事が指定地域において騒音の大きさを測定した場合、その騒音が総理府令で定める限度を越え、かつ自動車の騒音によって生活環境をそこなっているような場合には、都道府県の公安委員会に対して信号機の設置でございますとか、あるいは管理による自動車の通行禁止というような交通規制の問題、あるいは最高速度の制限というような道路運送車両法の規定によって措置をとるべきことを要請することもできるようにしておりますし、また道路管理者に対して意見を述べることができるようにいたしております。
先生が先ほどおっしゃいました八〇ホンと申されますのは、おそらくこういうことであろうと思います。騒音規制法の十七条の一項で自動車騒音の大きさの限度をきめておりまして、「第三種区域及び第四種区域のうち二車線をこえる車線を有する道路に面する区域」が昼間が八〇ホンである、これは高過ぎるのではないか、こういう御指摘であろうと思います。私どもはそれとは別に騒音の環境基準といたしまして、幹線道路に面したところで最高は六五ホンときめております。先ほど先生の御指摘になったのは、さらに騒音を測定いたしまして公安委員会あるいは道路管理者に意見を述べる、そういう基準でございます。したがいまして私どもは、最高でも六五ホンである、かように道路騒音については考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/120
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121・高山恒雄
○高山恒雄君 そういうお考えであればその辺は質問しまいと思いますが、問題は、六五ホンということになれば、これまたむつかしい問題だと思うんです。御承知のように、赤坂に騒音計があって、いつも七二から七六出ています。これはもう毎日そうですよ。したがって六五ということになれば、はとんどの自動車高速道路というものは私は問題が起こると思うのです。
特に私は実例を見てきたのでありますが、静岡県の駿東郡の小山町小山というところがございます。ここで八重山宗孝という人の家、お寺なんですが、このお寺が法事あるいはまた縁日等においてはマイクを使ってお経を読んでおるのです。あわれなものですよ、これは。これのテープレコーダーを私のところに持ってまいりましたが、八四ホンある。そこで公団では、騒音が高い、こういうことから百メートルぐらいの距離、高さ三メートルの防音壁をやったわけです。ところが、そこがカーブになっておるわけです。片方から入るこのカーブのところが五十メートルほどあいておるわけです。そこから逆に騒音が入ってきてますます悪くなったという傾向で、これはおかしいじゃないかというので私は建設省の道路課のほうに話をして、そしていまやっておる最中なんです。
ところが私が調べてみますと、そういう高速道路の付近に至るところにある道路のきわの住宅の方は、これはもう夜となし昼となしに、スピードを出しますから昼と夜とはまた変わりますが、全く「聞かざる騒音」のために、世間に出てこない被害を受けておるという人がたくさんあるのではないかと思うのです。こういう面に対しては、私先ほど予算の点を申し上げましたが、むしろ出てきたものの処理をやるのでなくて——これもやらなければいけません、むろん調査もしなければいかぬでしょう、基準もきめなければいかぬでしょうが、そうした手おくれの施策よりも、環境庁としては、先手を打って、声なき声を吸い上げて、よくしてやるという立場をとるべきではないかと私は思うんです。そういう調査費用は何も出ていませんよ。どうしてそういうことをやらないのか。出てきたものだけの勝負を環境庁がやるというのじゃなくて、先手を打って防止してやるというふうな立場をとるべきじゃないかと思うのですが、その点、大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/121
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122・春日斉
○政府委員(春日斉君) お答え申し上げます。
先生の御指摘、一々そのとおりでございます。私どもといたしましては、主要幹線道路の建設にあたりまして、ことに国道あるいは日本道路公団等の道路の建設にあたりましては、事前に環境アセスメントをするということ、これは必然であると考えております。そしてまた環境庁がそれについて意見を述べる機会を持つ、こういうことで現在行なっておるわけでございます。
それから、道路ができてしまってからではおそいわけでございまして、できる前に環境アセスメントに基づいて、新幹線の場合と同じように緩衝地帯を設けるなり、あるいは必要ならばそこに防音壁を設けるなり、あるいはトンネルというような施設を設けるなりいろいろ方法があるわけでございますので、ともかく環境アセスメントをやりまして、事前の道路計画が私は一番大切である。先生の御意見どおりだろうと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/122
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123・高山恒雄
○高山恒雄君 そのことは建設省で私どもやかましく言うと、あなたの答弁と同じですよ。私はそれを言っておるんじゃないのです。既存の高速道路の犠牲になっている人を調査して環境庁として手を打つべきじゃないかと、こういうことを言っておるのです。これからやろうとする高速道路に対して打つ手と、現在ある高速道路の被害者をどう調査するかということは、これは別でなければならぬと思う。私はその後者のほうをやるべきではないかと、こう言っているわけですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/123
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124・春日斉
○政府委員(春日斉君) 先ほど申しましたように、道路騒音は全く総合的な対策でないと、発生源たる自動車だけの改良でもできませんし、あるいは道路だけでもなりませんし、一つは交通量を場合によれば制限をするとか、あるいは夜間大型車の片側だけの通行にとどめるとか、あるいは場合によれば特定の都市地区乗り入れ禁止とか、あるいは一方通行というような交通規制の問題が非常に大きくかかわってまいるわけでございまして、私ども、警察庁、それから運輸省、それから建設省、日本道路公団等々と常に連絡を保ちながら、この点は調査し改善をしてまいっておるつもりでございますが、今後とも一そうそれを強めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/124
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125・高山恒雄
○高山恒雄君 しからば、いま五十メートルほどの対策をやっておりますが、これはお寺です。三百数十年ぐらいたつ古いお寺ですが、私がいただきましたテープレコーダーからしますと八四ホン、低いときでも八二ホンという騒音があるわけです。もしそうした対策を立ててみてもどうしてもいかぬというならば、これはやっぱり移転という問題があるんじゃないかと思うのです。そういう場合はだれがめんどうをみてくれるのですか。その点はどうお考えなのか。先ほど私が申しますように、お経を読むにしてもマイクを使わなくちゃお経も読めない。これほどの騒音が出ておるという事態から考えてみて、そういう場合はどうお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/125
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126・春日斉
○政府委員(春日斉君) 先ほど当初に御説明申し上げましたように、指定地域でございますと、騒音量を測定いたしまして、ある一定限度を越えますると公安委員会に意見を述べることができる、あるいは道路管理者に意見を述べることができる。そうして交通量の減少とか、あるいは先ほども申しましたようないろいろな交通規制によりまして、まず下げるということも一つでございましょう。それから道路構造を徹底的に変える、こういったこともできようかと思います。できない場合もございましょうけれども。まずそれをやるべきであろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/126
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127・高山恒雄
○高山恒雄君 それで大体わかりましたが、道路の構造を変えるということも含めておりますね。これは非常に重大なあなたのほうの発言で、私もまあそれならというような気がするわけですが、実はこの道路をつくりますときには、その裏手を通る予定の路線であったわけです。裏手を通るというときには、そのお寺は檀家を呼んで、やむを得ぬという結論を出しておる。ところが、公団のほうでどうしても裏ではいかぬというので位置を変更した。そのときには、公団が言うままに了承せざるを得ないので了承したという話を私は聞いておるわけです。路線を変更したためにそういう大きな公害が出ておるわけです。したがって、いまあなたの説明をお聞きしますと、変更をすることもあり得る、こういうことであれば私はそれでいいと思いますが、もしそれもしないでこのままいくということになれば、実際その家族がノイローゼぎみになっておるんですよ。そういう騒音に悩まされておるというのが事実なんですね。したがって、この点を今後十分調査されてやってもらいたいことと、いま言うとおりに事前調査を環境庁として公団にもう一ぺんやらせて、その報告書を受けるという方法もございましょうが、こういう点はひとつ速急にやる必要があると、こう思うんです。この点どうお考えになるか、ひとつ大臣のほうから答弁をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/127
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128・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 高速道路なんかで人知れず被害を受けておる人もあると思いますが、これはやはりわれわれのほうとしても道路行政には関連する役所も多いわけですが、そういうことであまりひどいところに対しては、いま言ったような道路の構造も変えなければならぬ場所もあるでしょうし、あるいはまた国鉄なども、新幹線であまりひどい騒音のところは移転ということをやろうという方針を固めておるようですから、そういうことも当然に考えられなければならぬと思います。そういうときには、やはり道路公団が責任を持たなければならぬ。そういう具体的な事例をいま御指摘でありますから、こちらのほうでも調査をいたしてみることにいたします。
〔理事矢山有作君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/128
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129・高山恒雄
○高山恒雄君 それから次にお聞きしたいと思いまするが、日本分析化学研究所がああいう状態で、衆議院で問題になり、かつまた政府の態度もある程度これに対する今後どうするかという問題でいろいろな見解も出しておられますが、農薬の残留調査、それから水質の汚濁調査、土壌、水質調査、これが四十六年から四十八年まで大体三千三百万円ほどここに金を出して分析調査をやっておられるわけですが、これはいままでやったのが不適当と見た場合は、全部いままでやったのをもう一ぺん対象としてやる考えなのか。こういう点はどうお考えになっているのか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/129
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130・森整治
○政府委員(森整治君) ただいま検討委員会で、全部学者の方にお集まり願いまして全体で十数名、農薬と一般と分けまして検討をしていただいているわけでございますが、その結果、もちろん捏造等の問題が出ました場合には、しかるべく措置を当然とらなければならないというふうに思っております。
ただ、すでに委員会に御説明申し上げましたように、四十八年の農薬の残留対策調査につきましては解約をいたしまして、別の機関に直ちに委託をし直すという措置をすでにとっております。それからいままでのところでは、九水域分をとりあえず先に実態を明らかにするということで調査を進めておりますが、若干の誤記程度が出た程度でございます。ただ、これは正式に検討委員会におはかりをして出た結論でございませんから、ただいまの作業経過としてはそういう程度にとどまっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/130
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131・高山恒雄
○高山恒雄君 そうすると、この四十八年度の農薬残留の調査と土壌、水質の分析というのはやってないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/131
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132・森整治
○政府委員(森整治君) 私が申し上げましたのは、四十八年度の農薬残留対策調査、これを解約いたしましたということで、土壌のクロスチェック等につきましては未払い分がございますが、すでに作業は行なっておるということで、それについては調査の対象にしてその黒白を明らかにする、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/132
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133・高山恒雄
○高山恒雄君 そうしますと、これは広域にわたっておると思うのですが、実際問題として四十六年、七年、いまの土壌、水質の分析をやっておる地域はどこどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/133
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134・森整治
○政府委員(森整治君) 四十六年で三県、四十七年で五県、四十八年で四県、これは県が分析研に委託をしまして県の事業としてやった分でございますが、いま御報告申し上げましたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/134
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135・高山恒雄
○高山恒雄君 したがって、これがもし的確でないという場合はもう一ぺんやる、こういうふうにとってもいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/135
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136・森整治
○政府委員(森整治君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/136
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137・高山恒雄
○高山恒雄君 次に進みたいと思いまするが、今度の予算では水質環境の基準監視費というのを増額をしておられるわけです。むろん今日の公害からいえば一番大事なことだと思うのです。したがって、今年のような雨量の少ない干害があった場合、特に水質の問題が問題になろうかと思うのです。これは農林大臣を呼んで質問すべきだと思いましたけれども、環境庁長官は副総理でもあるし、私は長官のほうから促進していただけばいいというつもりで御質問するわけですが、日本の場合は、いわゆる非常に雨量が少なく干ばつの場合はすぐ騒ぐわけですね。今度は逆に、公害が出てくればまたそれによって何とかしなくちゃいかぬというので騒ぎ立てるわけです。基本的な水質をどうするかという問題については、これは林野庁も農林大臣も長年の懸案でありますけれども、一向にこの対策を基本的に立てようという姿勢がないわけです。
それは何といっても日本のむしろ環境破壊されつつあるという現状から考えてみると、水質は決してよくならない。これだけの森林の伐採をやって、御承知のように六〇%も木材を輸入しなくてはならぬ。国内生産はわずかに四〇%。年々切る一方であって、植林をしようという意欲が農村にないということです。伐採をすれば伐採したままで今日にきておるという事態は、これは憂うべき問題じゃないかという見地に私は立つわけです。諸外国では、一本の木材を切れば三本の植林をしなければいかぬという、しかも罰則つきの植林奨励をやっておるというのが現実なんです。日本の場合はわずかの補助で苗木をやっておるというのが、今日の日本の現状です。それが今日のような事態になっても、もう何年とその法律が改正されていないというのが現状なんです。
したがって、私はこれは副総理にお願いしておきたいのですが、もっと林野庁を促進して、日本の植林を基本的にどうするか、これなくして水質の環境はよくならない、保全はできないんだ、こういう立場で私は政府はやるべきだ。その責任がある。いまやっても十年先あるいは十五年先でないと効果が出ないことなんです。このままいけば人口は過密化するし、そして水質は汚染するし、しかも一朝事があった場合にはたいへんではないかというふうな感じすら私はするわけです。この点を副総理の見解をお聞きしたいのと同時に、副総理自体としてひとつ閣議に取り上げていただいて、日本の植林方法をどうするか、これをぜひ私は副総理にやってもらいたい。それをやらなければたいへんだ、こういうふうに考えるわけですが、長官の所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/137
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138・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私も高山委員と同じように、治山治水のもとは森林の保全にあると思うのです。そういう点で、たとえば保安林のごときは非常な制約を受けておる。自然公園法の中でも、特別地区というものはもう切らさないわけですが、第一種とか第二種の地域があって、そして切る量に対して何%という制限もあるのですけれども、この点についてはいま言いました木材の需給関係などもありまして、どうしても残そうという立場と、できるだけ制約がない場合は切ろうという立場で、全体としてはやはり乱伐といわれてもいいような個所も私あると思うのです。森林計画によって切ったところには、あとはやっぱり植えなければならぬことは義務づけられておるんですからね。だから、森林を保護しようという既存の法律をもっと厳重に履行することと、また乱伐を防ぐために森林の保護ということは大きな問題だと思いますので、これは私も全く同感だと思いますので、農林省ともよく打ち合わせをして、森林の保護というものはいまのでは足りないと私も思うので、この点にはもっと積極的に取り組むように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/138
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139・高山恒雄
○高山恒雄君 副総理の立場で促進をしていただくということですから、私もぜひお願いしたいと思いますが、問題は、もう一つ問題があるわけです。それは農村の労働力が全部都市のいわゆる高給日当に出かせぎに出てしまう。これはもう全国至るところですね。したがって安い賃金では労働力を集めることが困難なんです。しかも、やる仕事はこれから二十年先、三十年先にものになるのか、ならぬのかという仕事をするわけですから、これについては現在の法律をもっと厳格にしていただくということも一つでございますけれども、むしろ政府が長期であるいは苗木の補助とか、いまもやっておりますが、もっとこういう面に対する長期計画の私は援助をする必要があると思うんです。これなくして二十年先、二十五年先の森林を育成していこうという気持ちには、現実の生活に苦しんでおるわけですから、とてもじゃないが手は出ない。手を出しやすいような施策をやっていただかないとこれはだめではないか。したがってそういう点を、先ほど御賛同願いましたように、ぜひひとつ副総理の立場で、私はこの問題の徹底したやり方を将来の子孫のためにやるべきだ、こう考えますので、この点私の希望意見を申し上げて、本日の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/139
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140・森中守義
○委員長(森中守義君) 三木長官、特に御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/140
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141・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 植林に対しては政府も補助はいたしておるわけですが、これは不徹底であるという点、これもやはり研究をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/141
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142・森中守義
○委員長(森中守義君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/142
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143・森中守義
○委員長(森中守義君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/143
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144・森整治
○政府委員(森整治君) 先ほど私が申し上げました数字は民間に再委託をした数字でございまして、取り違いまして……。そのうち分析研に県が再委託をしました分は三県でございます。四十六年、四十七年、四十八年とも三県でございます。
つつしんで訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214205X00519740308/144
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145・森中守義
○委員長(森中守義君) 本件に対する本日の質疑はこの程度として、これにて散会いたします。
午後四時四分散会
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