1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十八年十二月十九日(水曜日)
午前十時四分開会
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委員の異動
十二月十三日
辞任 補欠選任
須藤 五郎君 沓脱タケ子君
十二月十八日
辞任 補欠選任
佐田 一郎君 中村 登美君
塚田十一郎君 川野辺 静君
玉置 猛夫君 中村 禎二君
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出席者は左のとおり。
委員長 小笠 公韶君
理 事
佐藤 一郎君
棚辺 四郎君
竹田 四郎君
田代富士男君
中沢伊登子君
委 員
上原 正吉君
亀井 善彰君
川野辺 静君
志村 愛子君
嶋崎 均君
中村 禎二君
中村 登美君
工藤 良平君
小林 武君
前川 旦君
柏原 ヤス君
沓脱タケ子君
衆議院議員
修正案提出者 橋口 隆君
国務大臣
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 内田 常雄君
政府委員
公正取引委員会
委員長 高橋 俊英君
公正取引委員会
事務局長 吉田 文剛君
経済企画政務次
官 竹内 黎一君
経済企画庁物価
局長 小島 英敏君
経済企画庁総合
開発局長 下河辺 淳君
大蔵政務次官 柳田桃太郎君
大蔵省国際金融
局長 松川 道哉君
農林政務次官 山本茂一郎君
農林省畜産局長 大河原太一郎君
農林省食品流通
局長 池田 正範君
通商産業政務次
官 楠 正俊君
通商産業省生活
産業局長 橋本 利一君
資源エネルギー
庁石油部長 熊谷 善二君
事務局側
常任委員会専門
員 杉本 金馬君
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
説明員
大蔵省理財局資
金第二課長 石川 周君
参考人
三井物産株式会
社穀油畜産部長 児玉 一弥君
日清製粉株式会
社取締役製粉部
副部長 丸山 幸治君
全国小麦粉卸商
組合連合会副会
長 石原 五郎君
山崎製パン株式
会社副社長 飯島 一郎君
株式会社西友ス
トアー常務取締
役 竹本 連君
日本銀行総裁 佐々木 直君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国民生活安定緊急措置法案(内閣提出、衆議院
送付)
○連合審査会に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/0
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001・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る十二月十三日、須藤五郎君が委員を辞任され、その補欠として沓脱タケ子君が選任されました。
また、昨十八日、佐田一郎君、塚田十一郎君及び玉置猛夫君が委員を辞任され、その補欠として中村登美君、川野辺静君及び中村禎二君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/1
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002・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) この際、内田経済企画庁長官及び竹内経済企画政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。内田経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/2
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003・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 先般経済企画庁長官に就任いたしました内田でございます。本委員会の皆さま方には就任後初めてごあいさつを申し上げる次第でございますが、何とぞよろしくお願いいたします。
今日、わが国経済社会が当面いたしておる最大の課題は物価の問題であると存じますので、私は皆さま方の御協力のもとにこの課題に全力を尽くしてまいる所存でございます。政府がこのたび国民生活安定緊急措置法案を国会に提出いたし、御審議を願っておりますのもこの趣旨にほかなりません。何とぞ本委員会の皆さま方の御協力と御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/3
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004・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 竹内経済企画政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/4
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005・竹内黎一
○政府委員(竹内黎一君) このたび経済企画政務次官に就任いたしました竹内でございます。ごらんのとおりの未熟者でございます。何とぞよろしくお引き回しのほどもお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/5
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006・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 次に、国民生活安定緊急措置法案を議題といたします。
まず、政府から趣旨の説明を聴取いたします。内田経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/6
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007・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) ただいま議題となりました国民生活安定緊急措置法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
物価の安定は、わが国経済の当面する最重要課題であります。世界的な景気上昇と農産物不作等による輸入価格の高騰、国際以支黒字と民間信用の増大から生じた過剰流動性、国内需要の急速な拡大と供給の制約が重なって、昨年秋以来卸売り物価が高騰し、消費者物価も本年に入り急上昇を続けております。
こうした情勢に対処して、政府は、総需要の抑制をはかるという見地から、財政執行の繰り延べ、累次にわたる金融引き締めの強化等を行なうとともに、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律に基づき、灯油、紙等を特別の調査を要する生活関連物資として追加指定し、買い占め売り惜しみの防止につとめるほか、関係業界に対し緊急増産や出荷の指導を実施するなど、個別物資の需給調整措置を講じてまいりました。
しかし、最近の石油供給の制限と輸入価格の上昇は、新たな物価上昇圧力となり、現下の物価問題を一そうむずかしいものとしております。
このような状況のもとに、当面総需要抑制政策を堅持し、事態の推移に応じこれを強化するとともに、市場機構を通じて資源の適正な活用をはかり、これを克服していくことが基本でありますが、同時に、いかなる事態が生じても国民経済の混乱と国民生活への影響を未然に防止し、物価の安定と必要物資の安定的供給を確保するための備えをしておくことは、国の責任であると考えます。
この法律案は、このような観点から、物価の高騰その他の経済の異常な事態に対処し、生活関連物資及び国民経済上重要な物資について標準価格の設定、生産、輸入及び保管に関する指示その他の価格の安定及び需給の調整等に関する緊急措置を定めることにより、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営に資せんとするものであります。
以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず、この法律案は、物価が高騰し、または高騰するおそれがある場合に、特定の条件のもとで次の各般の措置をとることができるものとしております。
第一は、指定物資についての標準価格の設定と、これをこえて販売する者に対する価格引き下げの指示及び公表であります。
生活関連物資等の価格が著しく上昇し、または上昇するおそれがあるときは、物資を政令で指定し、標準価格を定めるとともに、これをこえてその指定物資を販売したときは、価格の引き下げを指示し、正当な理由なくこれに従わなかったときには、その旨を公表することができることとしております。
第二は、特定物資の指定、特定標準価格の設定と課徴金の徴収であります。
指定物資のうち特に価格の安定を確保することが必要な物資を特定物資として政令で指定し、特定標準価格を設けるとともに、これをこえて特定物資を販売したときは、特定標準価格と販売価格との差額を課徴金として徴収することとしております。
第三は、生産、輸入、保管に関する指示及び公表であります。
生活関連物資等の供給が不足することにより国民生活の安定または国民経済の円滑な運営が著しく阻害され、またはそのおそれがある場合は、物資を政令で指定し、生産を指示するとともに、指示に従わなかったときは公表することができるものとしております。輸入の促進または保管によりこれに対処する必要があると認められるときにつきましても、同様の趣旨の規定を設けております。
また、生活関連物資等の地域的な需給の不均衡に対処して、緊急に不足物資をその地域に供給するために売り渡し、輸送、保管をすべきことを指示し、その指示に従わない者については、その旨を公表することができることといたしております。
第四は、設備投資の抑制に関する指示及び公表であります。
国民生活の安定または国民経済の円滑な運営を確保するため設備投資に関する需要の抑制をする必要があるときは、政令で指定された期間中の大規模な建築物の工事計画及び多額を要する設備投資計画を届け出させ、工事計画及び設備投資計画の実施の延期等の抑制措置を指示し、正当な理由なくその指示に従わなかったときは、その旨を公表することができることといたしております。
第五は、割り当て、配給、使用制限等についてであります。
物価が著しく高騰し、または高騰するおそれがある場合で、生活関連物資等の供給が著しく不足し、かつ、需給の均衡回復が相当の期間きわめて困難であるというきびしい事態においては、政令で割り当て、配給、使用制限等の措置をとることができることといたしております。
その他、帳簿の記載をさせ、報告徴収及び立ち入り検査をできることとしているほか、地方公共団体の長等に対する権限の委任、経過措置、罰則等に関する規定を定めております。
さらに附則において物価統制令の発動要件の改正を行なうとともに、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律について、特定物資の範囲の拡大、売り渡し命令の創設等、所要の改正を行なうこととしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/7
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008・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 次に、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員橋口隆君から説明を聴取いたします。橋口君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/8
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009・橋口隆
○衆議院議員(橋口隆君) 国民生活安定緊急措置法案の衆議院における修正につきまして御説明申し上げます。
修正の第一は、本法の運用にあたっての政府の基本的心がまえにつき、法律の実施にあたって、国民の日常生活に不可欠な物資を優先的に確保するとともに、その価格の安定をはかるようつとめるべきこと、及び生活関連物資等について生産、輸入、流通または在庫の状況に関しての情報を提供するようつとめなければならない旨定めることであります。
第二は、本法の運用にあたり、特に広く国民の声を聞きながら、これを施策によりよく反映せしめるため、学識経験者及び一般消費者よりなる国民生活安定審議会を設けることとすることであります。
審議会は総理府に置き、諮問に応じ、生活関連物資等の割り当てまたは配給その他この法律の運用に関する重要事項を調査審議することとし、また、これらの事項に関し建議を行なうことができることとしております。
第三に、本法が緊急事態に即応し相当広範な行政当局への授権を行なっていることにかんがみ、おおむね六ヵ月に一回施行状況につき国会への報告を行なう旨の規定を加えることであります。
第四に、変動の多い経済情勢にかんがみ、政府は、本法の施行後一年以内にこの法律の規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずる旨の規定をも加えることといたしております。
なお、標準価格につき中間卸売り段階についてもこれを定めることができることに修正した次第であります。
よろしく御審議を賜わり、御賛成賜わりますように、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/9
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010・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 以上で趣旨説明は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/10
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011・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) この際、おはかりいたします。
本案の審査のため、本日の委員会に参考人として三井物産株式会社穀油畜産部長児玉一弥君、日清製粉株式会社取締役製粉部副部長丸山幸治君、全国小麦粉卸商組合連合会副会長石原五郎君、山崎製パン株式会社副社長飯島一郎君、株式会社西友ストアー常務取締役竹本連君及び日本銀行総裁佐々木直君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/11
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012・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/12
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013・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 委員各位に申し上げます。
ただいま御出席いただいております参考人の方々は、小麦粉の流通過程における関係者でございますので、主としてそれぞれの現状について御意見を伺うことといたします。
なお、佐々木参考人からの意見聴取は、午後に譲ることといたします。
この際、参考人の方々に一言、ごあいさつ申し上げます。
参考人の方々には、御多忙中にもかかわらず、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
これより皆さまに御意見をお述べ願うのでございますが、議事の進行上、お一人おおよそ十分程度でそれぞれ御意見をお述べいただいた後、委員の質問にお答えいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、まず児玉参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/13
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014・児玉一弥
○参考人(児玉一弥君) ただいま御指名にあずかりました三井物産穀油畜産部長の児玉でございます。
私ども輸入商社は、食糧庁の代行商社といたしまして小麦の輸入に携わっております。今回の小麦粉の値上げのもとになっております世界の小麦の市況の値上がり、及び今後の見通しについて御説明いたしたいと存じております。
私ども輸入商社は、食糧庁が食糧管理法に基づきまして定めました外国産食糧買入要綱に基づきまして食糧庁に小麦を納入いたしておりますが、その際、食糧庁よりわが国国民の食糧でございます小麦の必要量をわれわれに提示されて、それに基づいて私どもが食糧庁にお売りしておるわけでございます。食糧庁が小麦の数量、積み月その他を御勘案なさるに際しまして、世界の小麦には各種の種類がございまして、たとえばパン用でございますとカナダの小麦が主要になりますし、菓子用でございますとアメリカのウェスタンホワイトが主要になりますし、うどん用では豪州の小麦が主要になるというふうに、小麦のそれぞれの性質によって産地が違っております。それらを、今月はどこのものを何トン買うから用意して応札せよと、そういうふうな御指名、公示があるわけでございます。現在私どもが食糧庁にお納めしておる小麦は、来年の三月積みまでをお納めしております。通常は二カ月先ぐらいまででございますけれども、小麦の市況が非常に供給が窮屈になっておりますので、通常よりも先積みの三月積みまでの納入が終わっております。この三月積みと申しますのは、食糧庁の需給計画あるいは日本における食糧の確保という点から申しますと、六月の所要量を満たす数字でございます。でございますから、現在の買い付け状況で六月所要の小麦まですでに手当てが済んでおるということでございます。
小麦の手当てはそのように済んでおりますけれども、今回食糧庁が小麦粉を値上げなさいました背景の価格という面が最近引き続き高騰いたしておりますので、その辺の事情を簡単ではございますがお時間をいただいて御説明したいと存じております。
小麦の相場は、昭和四十三年から昭和四十六年までは非常に安定しておりまして、たとえばいま申し上げました日本の買い付けの大宗でございますアメリカのウェスタンホワイト種におきましては、四十三年に一ブッシェル一ドル六十一セントでございましたのですが、これが四十四年に一ドル五十二セント、四十五年に一ドル五十六セントになりまして、四十六年に一ドル六十二セントでございます。現在はこれが五ドル五十セントと、一ドル六十二セントから五ドル五十セントまで非常な値上がりをしておるわけでございます。
この四十三年から四十六年まで小麦の価格が安定しておりました背景といたしましては、何といっても主要輸出国でありますアメリカ、カナダ、豪州、アルゼンチンにおいて各国とも農業政策の影響を受けまして非常に多くの在庫をかかえておったわけでございます。それが、昭和三十八年には五千万トン、昭和四十二年で四千万トンの在庫がこの四大輸出国にございました。そのために、昭和三十八年、昭和四十二年二回にわたりまして前回同様のソ連の不作があったわけでございますけれども、世界の小麦はこの価格で安定していたわけでございます。たとえて申しますと、昭和四十二年のソ連の不作では小麦が七千七百万トンの収穫でございまして、今回の騒動のもとになりました昭和四十七年のソ連の収穫は八千五百万トンでございます。でございますから、昭和四十二年のほうがソ連としては少ない小麦の生産であったわけでございますけれども、世界は安定しておったわけでございます。
ところが、昭和四十六年に、世界の小麦の需給を安定さしておりました世界の小麦協定というものが、輸出国の価格の安値競争によりまして価格条項が取りはずされまして、そのときから価格の不安定性の芽が出たわけでございます。そのあくる年一年はそのまま在庫がございましたので大過なく終わったのでございますけれども、昭和四十七年にソ連の不作が起こりまして、これを契機といたしましてたまたまソ連の不作と同時にインド、パキスタンがまた不作になりまして、さらに四大輸出国の一つの柱である豪州が干ばつによりまして生産が一千三百万トンから六百万トンに半減いたしました。これら四つの事象が一度に起こりましたために、四十七年にこれらいままでありました四千万トンの在庫が二千万トンに半減したわけでございます。ここに価格の不安定性が生まれまして、四十七年七月に一ドル六十でございました小麦が、一年後の四十八年六月末には三ドル三十というふうに倍になったわけでございます。その間、先ほど申しました小麦協定による突っかい棒がなくなりましたので、アメリカとしては輸出補助金を廃止いたしました。それは、小麦協定の突っかい棒がなくなったと同時に在庫が減りましたので、輸出補助金の必要がなくなったために補助金の廃止になったわけでございます。
そのように、四十八年の前半は非常に悲劇的な様相でございましたけれども、今年の七月一日から始まりました世界の小麦年度の状況はさほどに悲観的なものではございません。申しますと、アメリカ小麦はアメリカ政府の施策によりまして作付制限が解除されまして、去年四千二百万トンの生産が今年は四千六百万トンと四百万トンほどふえましたし、カナダも千四百万トンから千七百万トンに三百万トンふえましたし、豪州は六百万トンの半作がもとの千三百万トンに戻りましたし、ソ連は八千五百万トンから一億トンに大増産になったわけでございます。ただ、アルゼンチンだけが七百万トンから五百万トンに減っております。けれども、これらを合計いたしますと、世界の小麦の生産は、三億三千一百万トンから三億五千四百万トンと、二千三百万トンの増加を来たしたわけでございます。そして、この増加のおもなるものは、ソ連が相当よって来たったゆえんでございます。
ところが、これだけ世界の生産がふえ、アメリカ、カナダ、豪州がふえましたけれども、何せ前回の持ち越し量が少なかったために、このアメリカ、カナダ、豪州、アルゼンチンの四大輸出国の期の初めにおきます持ち越し量と生産量とを足しました期首の供給数量は、一億一千二百万トンでございましたものが一億四百万トンに、八百万トンの減少を見たわけでございます。
このように世界の四大輸出国の供給が減った反面、買い付けにおきましては昨年とほとんどそうたいして大差なく、中国が五十万トンの買い付けをいたしましたし、バングラデシュがやはり御承知のように不作でございました。それからアフリカ諸国が御承知のように干ばつが訪れております。それから先ほど申しましたアルゼンチンをはじめとしまして、ブラジル、チリというような新しい国々の需要が起こりましたので、今年においても、全体としては生産がふえたのでございますけれども、来年の六月末における期末の在庫の予想は、今年七月の二千万トンから千五百万トンというふうにまた一そうの落ち込みが予想されております。
そのために、今年は、先ほど申しましたように生産はよかったのでございますけれども、この市況におきましては、先ほど申しましたアメリカの小麦が五ドル五十になるというように、価格は依然としてまだ高い水準にございます。そうしますと、この高い水準が今年現在の穀物年度でございます来年の六月末まで続くといたしましても、従来の七月以降は一体どうなるのであろうかということでございますが、来年度は、アメリカ政府が作付制限を全部撤回いたしまして、できるだけ小麦をつくれというような政策をとっております。小麦のアメリカにおける生産費は、これは最近いろいろな諸物価が高騰しておりますのでなかなか推定の域を脱しませんけれども、約二ドル五十セントから三ドルと思います。でございますから、現在みたいな五ドル五十セントの高値を唱えておりますので、アメリカの小麦の生産は来年度はふえるというような予想でございます。アメリカ政府の予想によりますと、今年の生産が四千六百トンでございましたけれども、来年は五千百万トンにふえる予想でございます。
それからもう一つ、来年度は、ソ連が今年先ほど申しましたように一億トンの高生産でございましたので、来年度はソ連の買い付けはないであろうと。今年は期の初めにソ連は引き続き五百万トンの小麦の買い付けをしております。ちなみに、去年不作のときには一千八百万トンの買い付けをしております。それで、来年度はおそらく価格も平静に戻りまして、平静に戻ってもおそらくいまの五ドル五十か四ドル前後、四ドルか四ドル五十、この辺になるのではないかと思っております。ちなみに、シカゴの相場の先物、すなわち来年度の新穀の相場は、現在四ドル五十の線でございます。
それからこの小麦の高騰に加えまして昨今石油不足でございまして運賃が非常に上がっております。運賃の数字を申しますと、四十七年の七月に太平洋・日本の小麦の運賃が八ドルでございましたけれども、これが一年後の四十八年七月には十七ドルになりまして、これがことしの八月、九月ごろまでは十七ドルの線で済んだのでございますけれども、十月になりまして二十五ドルが出まして、現在三十五ドルでもなかなかむずかしいのではないかと、これはトン当たりでございます、というような状況になっております。これはなぜ運賃がこのように暴騰したのかという原因でございますけれども、これはやはり船の石油がございませんで、従来外国船が日本船の不足を補って入っておりましたけども、外国船が太平洋のアメリカ及び日本でなかなか油のめどがつかないということで一斉に手を引いたわけでございます。それで、日本船の中でも日本の船会社が外国からチャーターしてこの航海をいたしておるわけでございますが、これらについては日本の政府——食糧庁並びに農林省、運輸省、通産省のお計らいで何とかいま石油の確保のお願いをしておりますし、現在この三月までは滞りなく輸送のめどは立っておりますけれども、なかなか船が少ないということから運賃が上がっております。それからまた、昨今やや港が込んでおりますので、その点で船の回転もややおくれております。
このように、小麦の事情並びに運賃の事情、及び為替が従来一ドルが二百六十五円でございましたが、昨今二百八十円になっております。これらの事情が相まって小麦の値段が上がっておるわけでございますが、私どもの予想といたしましては、現在が相当高い水準で、来年にかけてはややゆるむのではないか、こういうふうな長期予想をいたしております。
どうも失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/14
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015・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) ありがとうございました。
丸山参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/15
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016・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) ただいま御紹介いただきました日清製粉の取締役東京営業所長並びに製粉部副部長をやっております丸山でございます。製粉業界の状況並びに当社の最近の状況を小麦粉流通面を主といたしまして御説明申し上げたいと思います。
原料小麦は、外国小麦、国内産小麦ともに全量食糧庁において買い上げの後、製粉会社に一定価格にて売却されている方式でございます。数量の決定は、当該企業の過去の買い受け実績並びに工場の能力によってなされております。現在の使用数量は、年間大体次のとおりでございます。一般用が三百五十六万トン、学校給食用が三十三万トン、ふすま増産用ということで五十六万トン、並びにふすま専門工場専管用といたしまして五十八万トン、合計五百三万トンということでございます。外国産小麦が約九五%でございまして、国内産小麦は五%ということになっております。
これらの小麦は、全国で企業数二百二十一、工場数で申しますと二百六十七の製粉工場で小麦粉に挽砕されておるわけでございます。生産されました小麦粉は、パン用に百二十四万トン三五%、めん用に百三十八万トン三八%、菓子用に四十六万トン一三%、家庭用に十二万トン三%、その他三十八万トン一一%、計三百五十八万トンということになっております。
これらの小麦粉は、私どもでは特約店——私ども日清製粉では全国約五百五十店ございますが——を通じましてそれぞれのユーザーまたは二次販売店に販売されております。
小麦粉の販売伸長率は、最近数年間は約二%程度でたいしたことはございませんでしたが、本年春ごろより比較的順調な伸長がございました。特に本年十月初旬より急激な増加を示しまして、当社におきましても、十月が前年比一一五%、十一月は一〇八%に達しまして、十二月はおそらく一二〇%を上回るものと思っております。幸いにしまして、食糧庁の原料売却数量も、この十月から十二月の三カ月で、前年の九十三万トンが本年は当初の予定より二万トン増加されまして百万トンとなっておりまして、前年比一〇八%となっておりますので、国民食糧の供給という社会的責任を負っております当社並びに各製粉会社はその製粉能力をフルに動かしまして国民の皆さまの需要にこたえたいと願っておりますが、御承知の方も多いと思いますが、製粉工場の操業は昔から三交代制による二十四時間運転でございまして、時間延長による増産ということは望めないので、日曜日の作業を廃休運転と申しますが、日曜日の作業を行なって需要の急増に対応している次第でございます。しかしながら、これにも限度のあることはもちろんでございます。
食糧庁は、去る十二月一日より、原料小麦の払い下げ価格を三五%改定された次第でございます。私どもも、去る十二月十日、特約店に対しまして、来たる四十九年一月一日より約三七%、二十五キログラム一袋当たり平均で五百七十円の値上げを発表いたしました。なお、価格改定の幅の算定につきましては、食糧庁の御指導をいただき、適正な限度をもって決定いたした次第でございます。払い下げ原料小麦が十二月一日に改定されましたのにかかわらず、来春一月一日出荷分よりといたしましたのは、食糧庁の御指示によるものでございますが、その理由は、十一月末には十二月の販売に見合う原料、製品の在庫があるという解釈によるものでございまして、現在のような出荷情勢では、旧値分を売り尽くし、若干新値原料分を使用して現在価格でお売りする予定でございます。したがいまして、当社といたしましては若干の出血は覚悟しておりますが、国民食糧の供給責任を持っておる当社といたしましてはやむを得ぬことと存じておる次第でございます。
私どもといたしまして、前述のごとく、文字どおり全力を投じて努力いたしておりまするのにかかわらず、最近末端において若干小麦粉の不足の声を耳にいたしておりますことは、はなはだ残念に存じておる次第でございます。その理由は、私なりに考えますのに、たとえば小麦粉の小袋について申し上げますと、大体一人一カ月に百グラムくらいの消費をされておるのでございますが、一家庭で一キログラムの小袋ということは二カ月半分ということになります。したがいまして、二袋お買いになりますと五カ月分お持ちになるということになるわけでございます。そして、小麦粉は従来よりほとんど当用買いで、問屋さんとか小売り屋さんとか御家庭でも必要量しかお置きになっておりません。ところが、諸物資不足の当今、ちょっと不安で買い置きをするということになりますと、たちまち市場の小袋が売り切れになるという次第でございます。私どもといたしましても、昨今、食糧庁の御指示もあり、緊急直配をいたした次第でございますが、小袋の製造能力にも限度がございまして、急に増産ということはなかなかむずかしいのでございますが、これまた、フル生産をして十月から十二月では前年比約一一二%ぐらいになると思っております。
大袋につきましても、前述のとおり、十月初旬より国際小麦相場の高騰による粉価先高予想が新聞等に報ぜられまして、かつ、最近の石油事情等から端を発した輸送面の不安感によって注文量が急増いたしましたので、私どもといたしましては、大量に使用していただいておりますユーザー、本日もおいでになっておりますが、山崎パンさんなんかにもお願い申し上げまして、必要最小限にとどめていただきまして、主として小口の実需家の方へ私ども係員が毎晩おそくまで残業いたしましてなるべく公平な出荷ができますように努力いたしております。当社の実数といたしましては、大口使用者はせいぜい前年並みぐらいでございまして、小口出荷のほうは相当前年をオーバーしているのが実情でございます。それにもかかわりませず、小口消費者の方々から多く不足の声を伺っておりますのは、前述のような実情で注文が増加したために、一部銘柄には品切れが起こり、その場合は非常に不足感が出たものと思っております。
小麦粉は、御承知の方もございますと思いますが、一等粉から末粉に至るまでの連産品でございまして、かつ、用途によって多種多用で、銘柄数にいたしましても当社でも全国では約四百ぐらいになっておりまして、量としてはありましても希望の銘柄がないという現象が間々起きているのでありますが、今回は特にその現象が極端に起きたのではないかと思っている次第でございます。
また、小麦粉というのは、古くても新し過ぎても、製品にいたします使用上不適なことが多くて、通常在庫もせいぜい私どもでは二週間以下でございますので、ちょっと需要が急増いたしますと問題が起きるという性格が本来ございます。かつ、従来よりユーザーの方もほとんど在庫はお持ちになっておりません。場所を非常にとります関係で当用買いでございまして、はなはだしいのは持ち込みの時間を指定される方もあるくらいでございまして、通常はほとんど在庫ゼロという場合もある次第でございます。私どもでも常識的と思うぐらいの在庫されても、もしかりに全部の方がそういう希望を持たれますと、一時的には不足という問題が起きるわけでございます。
ちょっと宣伝めきまして申しわけないのですが、私どものたとえば高級小麦粉——高級薄力粉といってバイオレット印というのがございます。これが特に品薄でございまして、これはケーキ屋さんとかテンプラ屋さんに非常に御愛顧をいただいておる品物でございますが、テンプラ屋さんなんかは月に五、六袋お使いになるというのがまあ大体でございますが、ちょっと十袋ぐらい安心買いをされますと、これもたちまち品不足ということが起きまして、一部に御不満の声が出たものではないかというふうにいま思っておる次第でございます。しかしながら、こういう状況ももうしばらくで落ちつくのではないかというふうに思っております。
さて、当今の石油危機等で、私どもも、今後の製造、輸送面に、電力、軽油、ガソリン等で困難な場面が生じますと、消費者の方々にまた御迷惑をおかけするということになるのではないかとたいへん心配したりしているわけでございます。どうか、食糧の原材料供給者の一員といたしまして諸先生方に今後こういう方面に特段の御配慮をお願い申し上げて、たいへん蕪雑な説明ですが、終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/16
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017・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) ありがとうございました。
石原参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/17
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018・石原五郎
○参考人(石原五郎君) 私、ただいま御指名をいただきました石原でございますが、私は日清製粉の特約店をいたしておりますが、本日は全国小麦粉卸商組合連合会副会長という立場から出席させていただきまして、流通業者の責務ということで若干所見を述べたいと思います。
全国小麦粉卸商組合連合会は、現在三十七都道府県の単位組合の集合体でありまして、傘下組合員数は約一千店舗に及んでおります。ちなみに、未加入県を御参考までに申し上げるならば、南から沖繩県、鹿児島県、大分県、島根県、和歌山県、奈良県、三重県、滋賀県、岐阜県等九県と相なっております。未加入県の理由とするところは、小麦粉の流通機構が県単位でありませんので、大手の卸商が未加入圏域に販売網をしかれましたので、その県の組合の方々はもはやその組合の存在する必要はないということがおもなる要因なようでございます。全粉卸の小麦粉の販売占有率はおおむね九〇%に及ぶものと思われます。任意組合でございますので経済行為をいたしません関係上、その取り扱い高の実数と申しますか正確性につきましては、前述のとおりおおむねと申し上げた次第でございます。
さて、私どもの日常の業務は、一口に申し上げまして、製粉メーカーが製造されました小麦粉二十五キロ紙袋入りを直接に大中小なかんずく大中の実需家並びに二次卸商に販売しております。二次卸商は、一部の中小と零細なる実需者に販売しておるのが一応のパターンでございます。零細と申し上げましたのは、取引単位が一、二袋とごく少ないことを意味しておりますので、その点を御了承いただきたいと思います。しかしながら、必ずしも実需者と二次卸商に併売することを原則とはいたしておりません。すなわち、それぞれの卸商の経営姿勢によりまして、実需者に一〇〇%販売するところがありますれば、また、反対に二次卸商のみ一〇〇%販売しておるケースもありまするが、傾向的には、先ほど申し上げましたとおり、ウェートの大小はありましても、実需者と二次卸商に併売しておるのが大方でございます。
さて、いまさら申し上げるまでもなく、小麦粉及び二次製品は、特にパン、めんを意味するわけでございますが、消費者に定着した主食であります。したがいまして、原麦は統制であります。しかし、製造されました小麦粉は自由商品であり、末端では原麦の割り当てワクなんか全く関係ないものと思われておるのではないかと思います。今日まで、製粉会社は、販売占有率を高めるために競争をし、私ども卸業者も御多聞に漏れずそのお先棒をかついでユーザーすなわち実需者に対し折衝しておる次第でございます。これは、常に供給過剰のところから、経済原則にうたわれておりますとおり、万年買い手市場になっております。当局もその点につきましては十分と御承知のことと思われますが、小麦粉及びその二次製品が主食であるというがために、商品の性格上、消費者優先の行政指導でありまして、やむを得ない次第であります。もしいやとするならば廃業する以外にはないものと考える次第でございます。
しからば、われわれ流通をになう使命といたしましていかに対処すべきか、すなわち、卸業者の付加価値とははたしてどのような点であるかを具体的に申し上げるならば、大都市における卸業者の任務といたしましては、一般的には倉庫、配送、金融、情報の提供等々でありますが、これらはあらゆる卸業者の使命でありますが、特に小麦粉の流通業者としてわれわれの場合は、私ごとでたいへん恐縮でございますが、弊社ヤマジョウ商事におきましては、まず金融の措置、これはメーカーに対しましては出荷日起算十五日で仕入れ代金を支払っております。ユーザーに対しましては平均六十日くらいで決済しております関係上、四十五日ぐらい立てかえということに相なっております。戦前のことを申し上げて恐縮でございますが、戦前はキャッシュ・オン・デリバリー、現金引きかえというのが一つの商慣習になっておったようでございます。
第二は、ユーザー志向の小麦粉を供給する点でございます。ユーザーに対しまして、その会社の性格、その商品の製品等につきましてふさわしい小麦粉を特びきして、それを販売し、ユーザーの発展向上に寄与するということでございます。てまえども、目下日清製粉より六十一種類に及ぶ製品を扱っておるのも、そこにゆえんがあるわけでございます。
したがいまして、取り分けしました結果余りぎみの小麦粉の処分ということもわれわれの使命でございます。すなわち、製粉メーカーに対しましては取り分け挽砕をしてもらいますので、ユーザーが定着するが、一方においては必然的に、先ほどもお隣の部長さんからもお話がございましたとおり、余りぎみの小麦粉ができるのでございます。この処分につきましてわれわれ販売に努力するということも大きな仕事の一つに相なっております。
なお、最後の問題は、配送の合理化、これが最も大きな問題でございます。小麦粉は本来は工場渡しの値段でございますが、先ほど来よりしばしば申し上げましたとおり、売らんかなと申しますか、ユーザーまたは二次卸商まで配送いたしておりますのが一つの商慣習になっております。したがいまして、本来ならば東京都内に相当のチェックポイントがありますればよろしいのでございますが、現状は、われわれ特約店、たとえば日清製粉の場合は東京に十二店ないし十五店ぐらいの特約店がございます。その特約店が毎日の注文をメーカーに発注いたします。メーカーは下請運送にそれを託し、店々の伝票をつけまして、同一方向に対し大体十トン車なら四百袋という小麦粉を積みまして、それを配送するということで、時間が非常に合理的であり、かつ、早く回転されるということから、一袋当たりの運賃が非常に安くなるということでございます。なお、東京都という大都市は、御案内のとおりふくそういたしておりますので、そういうことが非常に望ましい。もしかりに個々の特約店が十二店ないしは十五店の卸商が日清製粉の鶴見工場に引き取りに行った場合には、多品種でございますので、受け渡しに時間がかかる。しかも、お得意先がそれぞれ遠距離にある関係上、時間的にもロスがあるということで、一袋当たりの運賃が非常に高価になる。ということは、すなわちその高い運賃は相手方に転嫁するということを意味いたしますので、現在製粉会社に委託輸送をしていただく、そういう合理化配送をしておるところに非常に価値があろうかと思っております。
次に、中小都市の特約店の卸売り業者は、自己の倉庫に入れまして、砂糖、油脂あるいは副資材等を混載してユーザーに届けるのが実態でございまして、これは本来の流通業者としての機能を果たしておるものでございます。したがいまして、大都市、中小都市の決済条件は、大かたはそう差異はないようでございます。しかしながら、仕入れにおきましては若干相違があるやに承っております。
さて、この問題は別といたしまして、最後の私どもの一番問題とするところは、リスクの負担でございます。先ほど申し上げましたとおり、四十五日の立てかえということは容易ならぬことでございます。したがいまして、四、五年前までは相当の不測の損失をこうむりましたが、最近は高度成長に救われまして取引先の倒産等もなく、その点は小康状態を保っておるのが現状でございます。このようなリスクを負担するということで特約店と申しますか卸商の価値というものは他の流通業者と大きく違っているだろうと思います。
そこで、先ごろの問題点につきまして若干触れたいと思うのでございますが、本年九月二十三日、日刊紙に麦価大幅値上げの報道がなされ、その後も再三中央紙、地方紙に麦価値上げが流されました。御承知のとおり、昨年、ソ連、中国、共産圏の二千万トン余にわたる膨大なる買いつけ等から、品質的にも危惧を持ったり、また、量的にも心配するのあまり、ユーザーのうちには、頭の回転の早いわずかの人ではございますが、先高を見越しまして九月下旬から十月上旬に通常の買い付け量より二割ないし三割増を買い付けられたのではないかと推測されるのでございます。ここで申し上げたいことは、物が不足すれば需要供給の関係からして価格が上がるのが自由商品であるが、小麦粉の場合はそれが許されない。統制の中での自由商品という、統制と自由の谷間の商品であると言わざるを得ないのでございます。
今回の場合、本来ならば、当然、小麦粉も値上がりすることにより需要が押えられ、値が行き過ぎれば、安いときに買った人から利食いも出て価格は妥当なところに落ちつくはずでございます。ところが、小麦粉の供給はワクに押えられているにもかかわらず、十二月一ぱいは上げてはいけないという強い御当局の御指導がございますので、その点は何ら心配はないのでございます。しかし、ユーザーといたすならば、一月以降は値上がりすることが確実にわかっております関係上、安いうちに買いたいという気持ちが起きるのは、けだし当然と言わざるを得ないのでございます。それが品不足との関連でますますエスカレートして若干流通の円滑を欠きましたことは事実でございますが、これは先ほども日清製粉の丸山取締役が申し上げたとおり、注文が一時に殺到した。製造にはおのずと限度がある。そのギャップが銘柄品によってはしばらくお待ち願ったということからして声が大きく喧伝されたということがあったわけでございます。御承知のとおり、原麦は一〇八%と昨年同期より八%増ワクされましたのでございまして、出荷は異常出荷をしましたが、相手先を調査し、十月一日よりの出荷を洗い直し、あとから調整し、順次不円滑を正し、最近に至り大袋につきましては常態に復しております。
私ごとでたいへん恐縮でございますが、弊社におきましても、本年末の売り上げ予定は大体昨年比一二〇%に近いものが予測されるのでございます。これは新規の得意先の実勢を勘案していただき、平均値よりややよい出荷を見ておりますが、最近二十四時間フル操業でお得意さんのおしかりも十二月中旬をもって解消されましたことを御報告申し上げる次第でございます。ただし、家庭用小袋につきましては、先ほど丸山取締役が申し上げたとおりでございますので、省略さしていただきます。
以上をもちまして、簡単でございますが、流通業務を御報告申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/18
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019・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) ありがとうございました。
飯島参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/19
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020・飯島一郎
○参考人(飯島一郎君) ただいま御指名をいただきました山崎製パンの副社長をしております飯島でございます。
小麦粉ユーザーの立場といたしましてパンの生産と流通に関し御報告申し上げます。
御承知のとおり、わが国の製パン産業は戦後急速に発展いたしまして、食糧庁の発表によりますと、四十七年度に製パン用に使いましたところの小麦粉は換算いたしますと百二十四万六千トン、約五千万袋と思われます。その中に学校給食を含んでおります。これをおよそ全国六千余の工場で各種のパンに加工しておるわけでございますが、この製パン工場の数は年々やや減少を見ておる次第でございます。そのような過程を経まして、現在食品産業中屈指の規模を持つに至りました。また、製パンの技術面、施設面その他から考えますと、われわれメーカーの努力、あるいは関連業界の御協力を得まして現在のところではほぼ世界的な水準に達していると思っておる次第でございます。
続いて製パン企業の実態について申し上げますと、皆さまおよそ御承知かと思うのでございますが、いわゆるホームベーカリー、リテールベーカリーと申して、自分のところでパンを焼きまして店頭で販売するような形態と、私どものように比較的大規模な生産工場を持ちまして卸売りをする業種との二つに大別されると考えておるのでございます。当社は卸売り専門でございまして、私事にわたって恐縮でございますけれども、およそ全国的にただいま十四の工場を持ち、小売り店、スーパー等を含めまして二万数千店舗の店にパンを運ばしていただいておるのでございます。以下当社の実情について若干申し上げます。
パン類の生産は原則といたしまして受注生産でございます。もう少しこの点について詳しく申しますと、売店が消費者にお買い上げいただくであろうというおよその数を予測いたしましてわれわれのほうに御注文をいただくわけでございます。その注文を受けた私どもといたしましては、およそ本日からあしたの朝までにかけまして、注文の数量の各種の品種のものをつくらしていただきまして、早朝トラックをもって各売店に直送しておるのでございます。皆さま御承知のように、昨今きわめて諸環境が激変いたしまして非常にきびしい条件下ではございますけれども、パン類の供給につきましては、私どもは全力をふるって円滑に行なわれるように努力をしておる次第でございまして、現在末端におきましてそのようなトラブルはほとんどないものと考えておるのでございます。なお、パン類と申しますとおよそ製品寿命が非常に短いものでございますので、生産、流通及び家庭のいずれの段階におきましても、売り惜しみでありますとか買いだめでありますとかというようなことは皆無でございます。たとえば当社の製品在庫は、若干商品寿命の長いものをまぜましても一・四日分くらいにすぎませんので、この点につきましては比較的流通面について順調にいっておると思うのであります。
次に、最近小麦粉の流通がやや阻害されているように聞いておるのでございますけれども、わが社におきましても主原料である小麦粉につきましては、時節がらその供給は決して潤沢とは申せませんけれども、関係方面の格別な御配慮によりまして最低必要量は何とか確保され、小麦粉不足のために生産に支障を来たすというようなことは若干はございますけれども、ほとんどたいした問題はございません。
なお、パンは小麦粉が主原料ではございますけれども、副資材といたしまして砂糖、油脂脱脂粉乳、あるいはバター、卵等の諸原料をたくさん使うのでございます。その上に当然これをベークするために各種の燃料を使っておるのでございますが、最近では、オーブンのいわゆるパンを焼くかまの燃料は、およそブタンを使っておるところが一般でございます。過去におきましては、電気でありますとか、あるいはもっと前は石炭とか固形燃料も使ったことございますけれども、現在はおよそガスを使っておるのでございます。ところが、そういうものが非常に窮迫しておりまして、十二月一ぱいは何とか需要に応ぜられるであろうけれども、一月以降については確約はできないというような状態でございます。なお、その上に、最近とみに衛生思想が向上いたしまして、過去においては裸でパンを販売さしていただいておったのでございますけれども、最近はすべてのものを包装しておるのでございます。その包材はおおよそ石油化学の各種の製品を使っておるのでございますけれども、こういうものがきわめて払底しておりまして、価格の高騰に加うるにその入手が非常に困難でございますけれども、いままでのところでは何とか企業努力によってこれを解決さしていただいておりまして、いまのところ消費者の方々に御迷惑をかけている点はないと思っております。
なお、先ほどから二、三の参考人からいろいろな意見が出ておりまして、特に石原参考人からは、ユーザーとして二〇%ないし三〇%いわゆる粉の買いだめをしているのではないかというような御意見もちょっとお伺いしたのでございますが、わが社におきましては特に品質についてきわめて重視しておりまして、先ほど丸山参考人からも粉は古くても新しくてもよくないというような話がございました。わが社におきましてもそういう点については格別の配慮をしておりまして、そのちょうど適正な熟成度、この粉を使いませんとなかなかいいパンができにくいのでございます。もちろん粉だけがよければいいパンが簡単にできるとは申されませんけれども、特に粉が重要なウェートを占めておりますので、わが社におきましてはそういう点について特別に配慮をしておりますから、絶対に粉のいわゆるストックなどはしておりません。また、粉のみでなく、各種の原料、材料、燃料等につきましても当用買いを原則としております。でありますが、わずかのいわゆるランニングストックは安定上必要でございますので、ただいまわが社におきまするところの各種の原材料は、平均在庫日数九・四日、ただし小麦粉は三日分でございます。また、それ以上余分にストックするようなスペースも倉庫も持っておりません。でございますので、わが社に限りましては、少なくともこのような時期に悪質な行為に出るようなことは一切していないつもりでございます。
なお、当社は生活必需品でありますパン類を供給する社会的使命にかんがみまして、いかなる困難な環境下にありましても製品の円滑な供給を継続するために全力を傾ける覚悟ではございますけれども、ただいま申しましたように、たとえばわが社の某工場におきましては、貨車輸送で粉を送っていただいておったのが、貨車が御承知のような状態でトラブルが起こってうまく使えない。今度はこれを車に切りかえようと思いましたところが、燃料不足でうまく届かないというようなことが出ておりますけれども、これはいろいろな手段をもって現在解決しておりますが、このようなことが来春以降になりますと、なお一そうきつくなるのではないかと思っておるのでございます。その上に、たとえばパンを入れる箱がおよそいまプラスチックでつくられておるのでございますけれども、これなども原材料が払底しておりまして、こういう面につきましても、いたく頭を悩ましているような状態でございます。しかしながら現在のところ、生産規模におきましてもおのずから限度がございまして、たとえば主力製品であります食パン部門などにおきましては、非常に労働力不足であり、特に若手労働力がなかなか確保できないのでございますけれども、ほとんど二十四時間フル操業としておるような状態でございまして、ただいま申し上げました各種の困難な条件が今後われわれの企業に襲ってくると思っておるのでございますけれども、本日おいでの皆さま方に格別の御配慮をいただきまして、特に民生産業であるわれわれの製パン業界につきまして、燃料でございますとか、あるいは諸原料、諸材料についての御配慮がいただければまことにありがたいと思うのでございます。どうぞ、今後とも、私どももみずからの企業の使命に十分の自覚を持ちまして、消費者の皆さま方に安定供給をはからしていただく所存でございますので、なお一そうの御理解と御支援のほどを申し上げまして、参考人としてのお話を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/20
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021・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) ありがとうございました。
竹本参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/21
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022・竹本連
○参考人(竹本連君) 御指名いただきました西友ストアーの常務をやっております竹本でございます。
十月下旬より発生いたしております一部商品の異常な売り上げのために店頭におきまして品切れ状態を起こしておりますが、十一月中旬より小麦粉におきましても同様の売り上げ状態を示しまして、現在までその状況が続いております。その実態につきまして概略御説明申し上げたいというふうに考えております。まず第一に売り上げ及び入荷の状況でありますが、通常の状態におきましては家庭用小麦粉の四人家族一世帯当たりの消費量は約四キロといわれております。そして、最近におきましては年度の売り上げ伸び率もほとんどなく、一定の量の売り上げを推移しておったという商品でございますが、十一月中旬より急に異常な売り上げ状態を示し始めまして、商品補充につとめましたが、店頭におきましては品切れ状態を呈するという状態になっております。しかしながら、十一月の結果を見てまいりますと、当店におきます販売高は昨年の十一月に比べまして約一七〇%になっております。十二月におきましても十五日までの十五日間で昨年度同期対比でまいりますと二〇〇%となっております。したがいまして、商品手当て入荷量は昨年の二倍になっておるというのが現状でございます。しかしながら、なおかつ店頭におきましては品不足状態を呈しておるという実情でございます。その買い上げ状況は、正確には把握しかねますけれども、一般家庭用と同時に通常では見られなかった少量業務用と思われます客筋がふえております。なお、この販売の主体をなしておりますのは小麦粉の中で薄力粉と称する種類のものでございますが、私どもの取り扱いの中では、多少こういうものを加工いたしましたテンプラ粉というようなものがございますが、そういう用途を限定されました商品につきましてはほとんど変化を見せておりません。なお、小麦粉の関連商品といたしまして現在多少の異常を見せておりますのは即席インスタントラーメンと称する商品でございまして、他の乾めん、スパゲッティあるいは他の加工品につきましては何ら顕著な状況を呈しておりません。
次に二番目に価格でございますけれども、価格につきましては仕入れ価格一キログラム袋当たり五十六円ないし七十三円、売価につきましては六十九円ないし八十三円の各種がございますが、この二年来仕入れ販売価格並びに取引条件とも現在に至るまで何ら変わっておりません。今回の異常な売り上げ状態は、明年度より値上げ確定に対する買い急ぎに端を発します商品不安ということと思われますけれども、現状価格で一般家庭が一年間にお使いになります小麦粉の額は三百円程度でございます。したがいまして、店頭におきます小口業務筋の買い急ぎということが非常にふえておりますので、家庭向けと同時に小口需用者の買い急ぎということが大半を占めるのではないかというふうにも思える次第でございます。
それから三番目に食糧庁の特別御指示に基づきます緊急放出処置の状況でありますが、その趣旨は、昨年の一日当たりの五倍の量を開店と同時に店頭へ陳列するよう指示がございまして、当社におきましても五店舗この方法を実施してまいっておりますけれども、なお不足状態が続いております。したがいまして、この状態を現在鎮静化するためには、おそらく昨年度の十倍以上の商品の陳列がなければこれを鎮静化することはむずかしいというふうに思っておりますが、明年度になりまして小売り価格も改定されますに従いまして逐次鎮静化していくだろうというように私どもは予測いたしております。
以上、小売り段階におきます小麦粉の販売状況の概況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/22
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023・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) ありがとうございました。
それでは、これより質疑を行ないます。
質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/23
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024・竹田四郎
○竹田四郎君 最初にちょっとお願いをしておきたいのですが、児玉参考人からはいいと思うのですが、他の四人の参考人の方からおたくの個人の会社でけっこうです、出荷、入荷、これの高——金額じゃなくて量ですね、その資料をぜひお示しいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。各社でけっこうです。業界といってもなかなかたいへんでしょうから、社でいいです。もしできれば業界でお願いしたいのですが、そこまではちょっと無理だろうと思いますから、各社の出荷高、入荷高をお願いしたいと思います。パンなどは種類がいろいろあると思いますから、出荷のほうはいいですから、粉の入荷だけ、ここ少なくとも値上がりが始まりました九月以降、月別でひとつお願いをしたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/24
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025・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) お願いできますか。——それでは、ただいまでなくともけっこうですから、後刻お願いできますね。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/25
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026・竹田四郎
○竹田四郎君 飯島参考人にお聞きしたいのですが、先ほどのお話で粉の熟成度というものがたいへん重要である、こういうことでありますが、その熟成度というのは、おそらく製粉しましてから一週間ないし十日ぐらいだろうと思うのですけれども、おたくのほうの倉庫の中で先ほどもランニングストックが九・四日という……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/26
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027・飯島一郎
○参考人(飯島一郎君) 粉は三日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/27
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028・竹田四郎
○竹田四郎君 粉は三日ですか。そうすると、この熟成度の過ぎたものをおたくのほうでは受け取るのですか。おたくのこの三日の中に熟成度が入るんですか入らないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/28
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029・飯島一郎
○参考人(飯島一郎君) これにつきましては、やはり実需とメーカーのほうとの関連がございますから、必ずしも一定ではございませんけれども、おおよそいまおっしゃられましたように五日ないし一週間熟成したものを私のほうのストレージビーンに持ってきてもらいまして直ちに使い始めます。でありますから、粉をひいてから早いものでおよそ五日、おそいものでは十日目ぐらいからになると思っております。粉をひきまして小麦から粉をとりましたものをメーカーのほうで熟成していただきます。それが五日ないし一週間、それから私のほうへ持ってきてもらってすぐ使い始めます。——よろしゅうございましょうか。
それから先ほどの、粉はどのくらい入っておるかということでございますけれども、わが社におきましてはおよそ月間で五十五万袋くらいでございますから、十一・二五トンくらいになりますか、そのくらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/29
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030・竹田四郎
○竹田四郎君 それはいまのはおおよそにお話しされたのですが、月別に、まあおたくのほうは機械のキャパシティー等からそう大きな誤差はないだろうと私は思いますけれども、念のためにひとつ月別にそれをやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/30
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031・飯島一郎
○参考人(飯島一郎君) はい、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/31
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032・竹田四郎
○竹田四郎君 それから丸山参考人にお伺いしたいと思うのですが、先ほど伸長率が十月には一一五%だと。これは対前年同月比だろうと思うのですけれども、十一月が一〇八%、十二月が一二〇%ということですが、十月が非常にふえておりまして、十一月が減っている。十二月がまたかなり盛り返している。これは日数にも若干関係が——対前年同月比ではあまり日数に関係ありませんね。そういう点で、どうして十二月にかなり伸びて、十一月がぐっと減っているのか。むしろ、私ども、この点は十一月は需要期にもう入ってきているわけですから、本来ならもっと出なくちゃならないというふうに思うのですが、十一月が減っているということがよくわからないわけですが、この点が一点です。
それから次に、銘柄が全国で四百もあるということですが、私はこれは非常に需給のアンバランスを強めていると思うのですが、なぜこんなに銘柄をたくさんにしなければいけないのか。おそらくこれは何といいますか高値に持っていくためにいろいろな銘柄をつくってやっていく。これは専売公社でもそうですね。新しい「峰」とか何とかというたばこをつくることによって実際上値段をつり上げていくというような形が実際上起こるわけでありますが、この点がどうも私は理解できないわけです。粉の銘柄が四百品種もなくても、これで通用すると思うんですよ。そんなになければどうにもならぬというほど銘柄をつくる必要はないと思うのですけれども、なぜこんなにたくさんの銘柄をつくっているのか。むしろこれは値段をつり上げるための銘柄のつくり方じゃないか、こういうふうに思います。
それからあとまだありますけれども、石原参考人あるいは飯島参考人、竹本参考人にお聞きしたいのですが、今度の農林省の麦価の値上げのしかた、これが、食糧庁からメーカーに対する売り渡しというのが十二月一日、メーカー以下の売り渡しというのは一月一日と、こういうふうなことをすれば、これは皆さんだってやっているかやっていないか私は知りませんけれども、これは数字を見せてもらったり帳簿を見せてもらったりしなければわかりませんが、一月から上がるということになれば、これは当然そういう仮需要というものが出てくるのは私はあたりまえだと思うんですね。あなた方も、きっと、商売人でありましょうから、やっぱり企業の利益を何とかふやそうということになれば、皆さんもおそらく十二月は出すのを幾らか控えようと、こういう形になるのはあたりまえだと思うのですが、こういう農林省のやり方、こうしたものが今日の品不足あるいは値段をつり上げていくという必然的な方向に行くのじゃないだろうかと思うのです。御三人の参考人の方から、政府のこの値上げのしかたを——私は結果的には非常にまずかったと思うのですが、どういうふうにお感じになっているか。それらの点をまだあとありますけれどもお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/32
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033・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) ただいま御質問の一番最初の、出荷の率が十一月がちょっとなにして需要期でおかしいではないかというようなお話、ごもっともだと思います。実は、先ほどちょっと御説明申しましたとおり、九月の下旬ごろからそういう新聞報道がございまして、十月の初旬にちょっと主として先ほど申し上げましたケーキ屋さんとかうどん屋さんとかいうところの出荷がふえたのでございます。それで、私どもとしましても、これはこのままほうっておきますと普通にお買いになるところに御迷惑をかけてはいかぬということで、一応生産と販売との調節をしなきゃいかぬというふうに考えまして、それから先ほども申しましたように、銘柄に若干いろいろ片寄って、特にお使いになる銘柄が逼迫したということがございまして、それが品切れ状態が出たというようなことから、パーセンテージがちょっと減ったと思うのでございます。
先ほど竹田先生のお話しのとおり、銘柄が多過ぎるのじゃないかというお話でございます。これは私もまことに同感でございまして、多過ぎると思うのです。戦後、統制が解除されました時代は、御承知のとおり、非常に少ない種類でございました。しかしながら、その後日本の国がある意味でぜいたくになったと思うのでございます。それで嗜好的にも日本人の嗜好というのは、私もちょっと海外など回らしてもらって感じたのでございますが、非常にバラエティーに富んでおりまして、また、舌も非常に肥えていると思うのです、別に特に日本人がすばらしいと言っていることではございませんけれども。それで、用途によりまして特殊性を強く希望される面もございます。先ほど竹田先生のお話で価格をつり上げるためにしたのじゃないかということでございますが、私どもといたしましては、そういう気持ちは全然ございません。ただ、そういうことでいろいろな種類ができた。たとえば、同じケーキでございましても、スポンジケーキとそれから長崎のカステラ、これはケーキでございます。そういうようなものとか、同じスポンジでも微妙な違いがあるわけでございます。したがいまして、何にも品物がなくなりましたときは、これは極端なことですが、すいとんを食べたのでございますけれども、あの時代でございますと強力でも薄力でも何でも別に粉は粉でございますので一向差しつかえないというときもあるわけでございますけれども、一般社会が高度にいろいろぜいたく——ぜいたくということばはいいことばじゃございませんが、豊かな時代に入ったときはそういう要望がやはり非常に多かったということでございます。それからこれは私どもとしても常に考えてはいるのですけれども、関西と関東で銘柄が戦前から違っておりまして、そういう面があることがある。そういうことを申しまして、いま全国ではそういうふうになっているというふうに申し上げたわけでございます。先生の御趣旨のとおり、私どももなるたけ銘柄を減らしていけば、企業的にもむしろプラスになるという面が非常にあるのでございます。在庫もそんなによけい持たずに済むということもございますし、鋭意そういう方面に向かってはできれば努力をいたしまして、企業的にもプラスになるようにし、また、消費者の方にも有利なことをしなきゃいけないというふうに思っております。そこら辺が大体銘柄のことでございます。
それから第三番目の御質問は、価格が上げられ、十一月、十二月一ぱい上げちゃいけないというのがあったのは問題ではないかということでございました。これにつきましては、私どもも確かに非常に苦しいところでございまして、ほんとうは十二月一日に上げさしていただければ一番楽であったと思うのです。しかしながら、おそらく農林省の御意向も、安い原料なり製品を持っていてそれを高く売るということは結局企業の利潤になるのではないかということではないかと思うのです。私は販売のほうでございましてあんまりそういう点詳しくございませんけれども、そういう御意思でおそらくそういうことになったと思うのです。その点では、先ほどから私がるる申しましたとおり、おそらく製粉会社はほとんど全部そうだと思うのです。確信しておりますが、私どもといたしましては、ほんとうにもう旧原料は全部使い果たしまして、新しい高い原料、これも使って出荷しなければ、先ほど申しましたような十二月の出荷の一二〇%ぐらいのものは達せられないというふうに思っております。なぜそれじゃ損してまでそんなことをするのだというあるいは御疑問があると思うのですけれども、やはり社会的責任というものを感じておりますので、多少の損は覚悟してもそういうことをしなきゃいけないというふうに思っておりまして、少なくともそのことでこういうふうな逼迫をしたということは私はないと思うのです。現実に粉も全然上がっておりませんし、また、量的にはやっぱりそういうふうにして出さしていただいておりますので、そういう心配は私はないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/33
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034・石原五郎
○参考人(石原五郎君) いま丸山参考人からもるる御説明申し上げましたとおり、私どもといたしましては、製粉メーカーの指導方と申しますか、製粉メーカーは食糧庁の指導方ということで、その意を体してやっておるわけでございまして、一月からは確かに粉価が改定せられるということはもう発表がございましたのでわかっておるのでございますが、大体、東京の特約店というものは、第一次問屋というものは、どちらかといいますとペーパープラン的な要素が多分にございまして、ほんとうは第二次卸商という卸商が倉庫を持ち、零細なるところへ配給しているわけですけれども、われわれは大口でございますので、直接ユーザーなりあるいは卸商等に関係を持ちましてそして発注しているという現状でございますので、手持ち等々はもう全然できない仕組みになっておりますので、また、思惑もさせませんですし、したがいまして、いま竹田先生から御指摘の、われわれが思惑をしておるとか、そういうことは毛頭ございませんし、ただ、私、ここでもって申し上げたいのは、十、十一、十二と第三四半期に昨年比に対して約七万トンという数字を食糧庁から御配慮いただきましたのが、やはり来年度から上がるということでなるべく消費者といいますか需要家に御迷惑をかけたくないということからある程度の数字は放出されたということでございまして、それによって流通をうまくするという以外に何ものもないというわけでございますが、ただ、しいて言うならば、九月二十三日ごろ、日刊紙において、麦価の改定がある、したがって粉価の改定も近々あるだろうという予測が喧伝されたわけでございますが、その辺について、まあわれわれもそうでございますが、製粉会社においてもいささかわれわれに対する指導方針が少し甘かったというのですか、こういうことを述べてはたいへん失礼なんですけれども、そういう点があったのではないかといま思っているわけでございますが、それとても一部の人の仮思惑ということで、先ほど申し上げましたとおり、十月一日から原点に戻って買い過ぎたお客様に対しては遠慮をしていただく、一月一日にさかのぼって大体その方が月に千袋ならばかりに千袋買ってあればその時点ではもう十日後に渡してないということで、私どもが統制とか割り当てということばはおかしいが適正な配分を配慮して食糧庁の意思を体してやっているということは確信をもって言えると思います。どうも説明があまりじょうずでございませんが、それでひとつ御了承いただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/34
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035・飯島一郎
○参考人(飯島一郎君) この問題につきましては、小麦粉ユーザーのわれわれとしまして、およそ二十五キロ一袋から食パンですと百斤とれます。でありますから、小麦粉が今回各種銘柄によって若干差がありますけれども五百七十円ないし六百五十円といいますと、一斤について小麦粉だけで六円五十銭くらいが上がるのでございます。確かに、一部ユーザーの中では、一月以降麦価安定に伴う粉価改定があるということははっきりわかっておるものでございますから、余分に買うというようなことも私はないわけではないと思いますけれども、これはきわめて一部の者であろうかと思うのでございます。われわれといたしましては、何といたしましても主要原料である小麦粉が安ければパンの価格を改定するというようなことは比較的しないで済むわけでございますので、今回の食糧庁あるいは農林省の措置といたしまして若干の問題もそういう点にあるかもしれませんけれども、十二月一ぱい旧価格で購買できるということは、消費者の皆様方にも御迷惑をかけない。ただいまのような非常に生活物資のきわめて上昇しているやさきにいささかでも消費者の方々に御恩返しができたものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/35
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036・竹本連
○参考人(竹本連君) 小売りの段階におきましては、すでに麦価の値上がりが報道されましてから約一カ月半以上経過いたしました十一月中ごろより異常な売り上げ高を示しております。したがいまして、この麦価の値上がりに基づきます小売り価格の改定ということも一つの要因になっておると思いますけれども、全般的な買い急ぎ傾向は他の商品とともにはっきりしておりませんけれども、将来に対する多少の不安感ということが大きな要素になっておるのではないかというふうに考えております。それと同時に、小売り段階におきまして在庫をして価格の上がったときに高く売るということは、現在の私どものチェンストア業界の大手業者につきましては技術的にはほとんど不可能になっております。現在、食品等につきましては、月間の商品の回転率を上げることによりまして低価格遡及ということを主体に営業いたしておりますので、食品に対しましてはほとんど在庫を持たずに、入荷と同時に店頭に出すということがシステムとしてすでに定着いたしておりますので、一部の商品不足に備えて備蓄をするというようなことはほとんどできなくなっておるということを申し添えて、少なくともチェンストア業界におきましてはそういう値上がりに備えての備蓄というようなことは行なわれていないということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/36
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037・竹田四郎
○竹田四郎君 竹本参考人にお伺いしたいと思うんです。最近、農林省の先ほどもお話がありました緊急放出小麦粉ですね、これはいまおたくでは一キロの袋を幾らでお売りになっているんですか。小売りですね。消費者に直接売るのは一キロの袋だろうと思いますが、幾らでお売りになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/37
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038・竹本連
○参考人(竹本連君) 銘柄によって多少違いますけれども、八十三円を標準価格にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/38
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039・竹田四郎
○竹田四郎君 先ほどのお話を聞いておりますと、要するに、小麦粉の値上がり、あるいはその製品の値上がり——飯島さん、もうパンも上がっておるわけですね、われわれの手に入るときには。おたくで幾らで売っているか知りませんけれども、われわれの手に入るときにはもう八十円になっているわけです。銘柄によって違うでしょうが、これも。現実には上がっているんですよ、消費者のところに来ているときには。——ちょっと待ってください。先ほどの皆さんのお話を聞いていると、まず九月に新聞発表したから悪い、そういう意味で買い急ぎをやったと。その次になってきますと、みんながたくさん買い過ぎたから悪いんだ。まるであなた方はたいした責任がないような言い方を先ほどからずっとされていると思うんですよ。私にはそう聞こえるんです、あなた方はどう言っているつもりか知りませんがね。そういう点は私は非常に遺憾だと思うんですよ。それはあなた方一人一人がそういうつもりでいるかどうかわかりませんけれども、私には聞こえておりますし、業界全体としてのあり方というのも私はそういうふうに聞こえているわけです。石原参考人も、私のところは倉庫がないからそういう買い占めなんかしていないと言う。それから丸山参考人も、私のところはつくったものはどんどん出していると、こう言っている。しかし、現実には銘柄が非常に多いから残るものもある。そういうリスクをほかにかけてしまっているということにならざるを得ないでしょうね、これは。こういう問題もあるわけですし、私どもはきのう昭和産業倉庫を見に行きましたよ。行ったら、十月一日分の札がちゃんとかかっているんですよ。第一屋という行き先まで書いてあるのがちゃんとかかっているんです。これは皆さんの工場にそういうことがあるかないか、私はわかりませんよ。現実にはあるんですよ。あるいは十一月の十三日の製造日付のものがちゃんとあるんです。きのう現認してきたんですよ。あるベーカリーでは——山崎屋さんはどうか知りませんけれども、あるベーカリーでは、十一月初めから小麦粉の値上がりのために一斤について七円粉代を値上げしましたと書いてあるんです。こういう実態ですよ。いま話を聞けば、とにかく前の年よりはたくさん出している。農林省も緊急放出をやっているんだ。石原さんに聞けば、ユーザーのほうが買い占めているらしいと、こう言う。ユーザーに聞けば、私のところはこれだけしか持っておりません。計算したってどこかにあるはずじゃないですか。一般の家庭用の使う小麦粉といったら、先ほど言ったとおり、全体として見ればたった三%ですよ。全体から見れば三%でしょう。この三%を買い占めたってたいしたことはないんですよ。そうしてみると、何か正直なことは言わないで、お互いに責任をなすり合っているというふうに私には思えますよ。石原さんのところが倉庫を持っていなくたって、倉庫を借りればどこだって借りられるんですよ。入れようと思えば入れられるんですよ。あなた自体が、中小都市では倉庫を持っていて、そこへ入れてそれからやっていると、こういうふうにおっしゃっているんです。都市だって入れられないわけはないと思うんですよ。ただ、倉庫は全体に逼迫していると思うんですけれども、現実に昭和産業では第一屋の粉があるわけだ、十月十日製造の粉があるわけだ。お互いに責任転嫁しているように私には聞こえてしょうがない。その辺をひとつ明確にしてもらわなければ、せっかくあなた方に国会へ来てもらっても、国会議員をごまかしているということでは困ると思う。そういうことがあっては困ると思うんです。そういう点を明確にしてもらわなければ、国民はますます物を買っていくと、こういうことになるわけであります。
石原参考人にお聞きしたいのですが、銘柄はたくさん四百種類もあると。その中で、売れるのと売れないのが、いま一体どういう銘柄が一番売れて、どういう銘柄が一番残っているのか、処分に困っているのは一体どういう銘柄なのか、これをこの際はっきりしていただきたいと思います。これは丸山参考人にもお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/39
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040・石原五郎
○参考人(石原五郎君) それじゃ私から竹田先生にお答え申し上げますが、やはり時期的に十、十一、十二というものはパンあるいはゆでめん等の最盛期になっておりますので、したがいまして、強力品という粉が非常に要求されるわけです。また、反面、ケーキ用の粉、あるいはクリスマスということを控えましてスポンジ用ケーキ等々で薄力粉も一方においては相当需要があると、こういうわけでございますが、先ほども丸山参考人からも申し上げましたとおり、高度成長に伴ういわゆる一般大衆のふところぐあいがいいと申しますか、口がおごったといいますか、一口でいえばそういうことで、かなり高度な品物というものを要求されてきたということから、二等粉程度の粉がある程度残っていると……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/40
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041・竹田四郎
○竹田四郎君 何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/41
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042・石原五郎
○参考人(石原五郎君) 二等粉ですね。一等粉、二等粉、三等粉とありますが、二等粉以下の粉が残りぎみではないかと推察されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/42
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043・竹田四郎
○竹田四郎君 一等粉はよく出ていると。これは何等粉まであるか私は知りませんけれども、その辺で一番残るのはどれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/43
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044・石原五郎
○参考人(石原五郎君) 一番残るのは、私どもでいま取り扱っているのでは、現在別に残ってはおりませんけれども、しいて言うならば、強力粉でオーションというマークがございますね。大洋といいますか、オーション印が幾分か残りぎみというよりか、幾分か緩慢な動きだと。もちろんこれが滞っているわけじゃございませんが、一応緩慢な動きだということでございます。したがって、上質の粉が相当ユーザーから要求されるということでございまして、ただいま申し上げました二等粉ないし三等粉程度の粉は余りぎみだと。しかしながら、これとても小麦は小麦でございますので、やはりグレードの落ちたものでも単価も安いものですからこれはもう当然売れ得るわけでございますが、まあ現在の状況から見ますと、率直に申し上げて、いいものが売れるという傾向は事実でございます。漸次こういう不況になってきますと、むしろ今度は安いものが要求されていくのじゃないか。これはまあ来年度のことになりますけれども、ただいまの時点では、先生の御質問に対してはそういうお答えが正しいと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/44
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045・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) ただいま石原参考人さんからお話しでございましたけれども、現状では、先ほどああいう御説明を申しましたのですが、特に余っているというものはないのです。ただ、逼迫しているのとか品切れしているのとかということでございまして、それから先ほど申し上げようと思ったのですけれども、こういう際で一時銘柄的に品切れしたもので、それではこれとこれとをひとつ合わして使っていただきたいとかというようなことでお願い申し上げて御納得いただいているというのが最近も相当ございます。したがいまして、銘柄が四百あるということについてはおかしいじゃないかというお話には先ほどお答え申しました次第でございますが、現状ではそういうことで特に何も余っているということはございません。したがって、融通してやっていただく。先ほど申しましたたとえばバイオレットというのは非常に少ししかとれません粉でございますので、どうしても集中した場合にそういうことになります、原料ももちろん先ほど児玉参考人からおっしゃったように違いますので。
それから私どものほうといたしましては、さっき竹田先生がちょっと何かこうごまかしているんじゃないかというお話がございましたけれども、決してそんな気持ちはございません。ありのままを申し上げておりますし、それならそれでもうあとは知っちゃいないんだというような気持ちも持っておりません。特約店とか現物屋さんに行って極力公平なことをやっていただくようにというふうに考えて、また、お話も申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/45
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046・竹田四郎
○竹田四郎君 末粉というんですか、一番下のやつですね、それの需給状況はどんなようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/46
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047・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) 末粉は、これはまあふすまのちょっと上みたいな粉でございますけれども、大体合板用、ベニヤ板のでございますね、それからえさ用、えさの粘結剤ですね、それから一部はでん粉をとるでん粉用、そういうところが多いわけです。そのほかいろいろな種類がございますけれども、主としてはその三つだと思います。これは非常に相場的な感覚のある商品でございまして、需給によって年じゅう価格的には浮動しておりますので、逼迫したときには値が上がる、それから余ったときは下がるというような性格を持っている製品でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/47
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048・竹田四郎
○竹田四郎君 いまはどうですか、現在は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/48
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049・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) 現在は、ちょっと幾らか余りぎみかもしれません。というのは、増産をいたしておりますのですね、いろいろな面で、先ほど申しましたが。そういうものは、たとえば魚なんかのえさに行くのでございますけれども、魚が冬眠いたしましてえさを食わなくなるのです。そのときには粉がどうしても需要が減るというようなこともございまして、いまは幾らか余りぎみと言っていいのじゃないですか。——余りぎみと言えませんが、普通でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/49
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050・竹田四郎
○竹田四郎君 おたくでは末粉というのはいつつくったのがいまありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/50
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051・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) これは、おそらくあっても先ほど申しましたようにランニングしておりますから、大体十五日……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/51
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052・竹田四郎
○竹田四郎君 いつごろつくったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/52
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053・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) 半月前ぐらいのじゃないですか、古くても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/53
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054・竹田四郎
○竹田四郎君 いや、おたくの場合はいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/54
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055・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) それは毎日できておりますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/55
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056・竹田四郎
○竹田四郎君 いやいや、おたくの場合に、いまおたくの倉庫の中にある末粉で一体いつつくったのが一番前につくった日付ぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/56
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057・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) 大体、そうでございますね、半月か二十日ぐらい前、古くてもそんなものじゃないでしょうか。竹田先生、厳格なことを言いますと、なるたけ新しいのから出すわけでございますけれども、ずっと積んでございまして、ひょっと工場の在庫の管理のミスで若干古いものが残る場合もないことはございません、正直に申しますと。だけれども、普通はそういうことのないように出しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/57
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058・工藤良平
○工藤良平君 私は二、三点聞きたいと思うのですが、きのう私どもはスーパーを見ました。私の宿舎の近くにもスーパーがあるのですが、もう十一月の終わりから全く粉が私どもの手に入りませんで、てんぷらをしようと思いましてもできないような事態なんですが、きのう実は横浜のある店に飛び込んでみましたら、昭和天ぷら粉というのがたいへんたくさんたまっておるスーパ一がございまして、薄力粉なんか全くもちろん一袋もありませんでした。価格を見ますと昭和天ぷら粉が六百グラム入り百十八円ということでかなり高い値段で出されておったのですが、そういうものは店頭に出ているわけですね。しかし、その店に薄力粉は全く一袋もない。もちろん私が行く前に売れてしまったのかもわかりませんけれども、そうしてみますと、やはり高いものが残って安いものは全くないというような状態が現象として起こっておるわけなんですが、この点については、スーパー、それから石原さんですね、実際卸や小売りの段階でそういう現象が起こっているかどうかということをちょっとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/58
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059・石原五郎
○参考人(石原五郎君) それではお答え申し上げます。
私ども、先ほども申し上げましたとおり、たまたま日清製粉ということでございましたので、いま工藤先生の御質問ですが、昭和てんぷら粉が店頭にあったけれども、薄力品は皆無だったと、あるいはたまたま自分が行くまではあったけれども、行った時点には売れておったのではないかと、あるいはたいへん御理解ある御質問のように思われますが、てまえどものいま販売さしていただきますのは、具体的に申し上げますと、バイオレットとかフラワーとか雪印とか、こういう特定の会社のものだけを販売しておりますが、傾向的にはやはり家庭用の小麦粉は必ずしもてんぷら粉でもなければ、すいとんあるいはお好み焼き、あるいはマフィンとかあらゆる——最近よくテレビ番組でございますとおり、そうざい番組がございます。それでほとんど小麦粉があらゆる面に使われているということから、小麦粉の使用度というものは非常に高くなってまいりまして、ことに団地に住んでおられる方々は比較的時間の余裕があるということから小麦粉の消費も漸次ふえてまいりまして、大袋に対して約三%ないし四%ぐらいの出荷を見ておるのが現状のように思われますが、御承知のとおり、何といいますか、買い急ぎといいますか、そういうようなトイレットペーパーから一つの気持ちがあらわれまして、ことに新聞で麦価が上がると、したがって、一月には小麦も上がるだろうと、これは常識で考えられるわけですから、家庭用小袋も買っておかなければというささやかな気持ちから思惑があるわけですけれども、しかし、小麦粉というものは、総じて一般家庭の保管というものの状況から見ますと非常に不適当だということから、食糧庁では特に二カ月ないし三カ月に使用できるものは可能だということを十分説明して、そうして消費者にも虫のわかないうちに食べていただくように、あまり買いだめしないようにしていただくようにということで、特に大手四社に対しては緊急措置でできる限り直売方式でもって首都圏の衛星圏に対して特別なスーパーに直送販売をしている、そうしてすみやかに不足ぎみをなくしておりますが、現状では、小麦粉というよりか、日曜返上あるいは二十四時間フル操業をやっておりますが、むしろ、包装材、紙袋あるいは輸送の問題で若干隘路がありまして、いささかスーパーなり特別の販売店に届けるものがおくれているのじゃないかという変わった要因もそこに相乗相加をなして悪循環をしているということもいなめない事実だと思っておりますが、鋭意努力しておりますので、近々解消できるものと確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/59
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060・竹本連
○参考人(竹本連君) 御指摘のてんぷら粉につきましては、私ども同様取り扱いをいたしておりますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、現在の買い急ぎの中心をなしておりますのは一般薄力粉の小麦粉でございまして、それをさらに加工いたしております用途を限定されましたものにつきましては薄力粉のような買い急ぎ状態を呈しておりません。価格につきましても、私どものところでは、昭和産業のてんぷら粉につきましては現在九十二円ということで販売をいたしております。したがいまして、価格差は一粉につきまして十円ぐらいでございますけれども、それでもてんぷら粉につきましてはさほど異常な状態を呈しておらないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/60
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061・工藤良平
○工藤良平君 私は、不足したということから、そういう特殊なものについても若干便乗値上げが行なわれているような印象をきのうはちょっと受けたわけですけれども、全体的な傾向としては、やはり一般的に使われる薄力粉に皆さんの仮需要もずいぶんあるのじゃないかと私も思うのですけれども、かなりやっぱりそういう傾向が出ていると思います。ただ、そういう点から考えてみまして、いまのような状態が続いていく。さらに、さっきお話がありましたように、十二月一日からは、政府の売却価格が三五%上がった、それを受けて工場のほうも一袋当たり五百七十円から六百幾らという形に値上げがされていくという一つのきちんと限定された日程が定まっているわけなんです。ただ、これに外の要因として、さっきからお話がありましたように、麦の原料の価格はきまりましたけれども、それ以外のいろいろな要素というものがからんでくるということになると、この一袋当たり五百七十円なり六百三十円というようなものがさらに上がる要素ということは考えられないのかどうか。いまからこんなことを言いますと、また上がるということになって、これは議論をすることがいいのか悪いのかと思うのですけれども、しかし、これは議論をしておかないと心配になりますので、いま大体十月の終わりからずうっと仮需要も含めて相当伸びてフル生産をやっている。これが、年を越して実際に一月一日から小麦粉の小売りが上がったと、こうなると、その段階で出るのか出ないのか。おそらく消費はもしほんとうに仮需要であるとするならばかなりストップするような傾向が出てくるだろう。そうすると、卸さんなり小売りさんなりそれぞれ生産段階における人たちも、これはちょっと生産を少し制限していかなければつくり過ぎになるぞというようなことになって、それが逆に価格の面でカバーしていかなければ工場が成り立たない、卸が成り立たないと、こういうようなかっこうで、逆にまた値上げというものがいつの間にか出てくるのではないかというような心配を私はするわけなんですが、その点が一つ。
時間がありませんから、二、三点申し上げたいと思うのですが、それからもう一つは、私は、こういう仮需要が非常に高くなってくるというのは、いまの政情不安ということも大きな影響だと思うのですけれども、その不安が重なってこういうことになると思うのですが、そこで、いまの小麦の傾向を見ると、国内産の小麦が非常に減っているわけですね。今年の場合には政府買い入れ十三万トンなんということで、話にならないように少なくなってしまっている。もうこれは需要の関係からして国内産の小麦なんというのはよその小麦に比較して問題にならないというように理解をされているのか。それとも、国内産の小麦というものは生産が高くなればかなりの需要というものは上質のものを持っていますからあるというように私は思っているんですが、それはそれぞれ工場あるいは卸、小売りの段階で、これは代表してでいいと思うのですが、丸山さんなりあるいは石原さんのほうで、国内産麦に対する需要というものは潜在的にどういう傾向にあるのか、これは根本的な問題として一つ伺っておきたいと思うのです。まずその二つをお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、理事佐藤一郎君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/61
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062・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) ただいまの御質問の来年はどうかというお話でございますが、今回、来年に価格アップをさしてもらうわけですが、もちろん来年以降のいろいろな諸資材、袋なんかも非常に上がっていますし、いろいろな問題についてそういうものは一応織り込まれておりませんので、必ずしも絶対だいじょうぶだということを私はここで申し上げるわけにはいかないと思うのですが、すべて食糧庁にいろいろな面で御指導いただいておりますので、単独でいろいろなことをできるというような状況ではない。また、麦価が上がればもちろんまた別でございまして、それはそういうことでございまして、それはよくわからないということでごかんべんいただきたい。
それから次の御質問の内地小麦の問題でございますが、これはうどんなんかには一番いい。大体、世界的にいいましても、食物は自分のところでできるものに一番適した食品をクリエートしているというように思っておりますので、うどんなんかには何といっても内地小麦が最高でございます。したがいまして、私どもは内地小麦はある意味で非常に好きなんですが、ただ、いままでの場合は、これは日本の農政の問題になりますのですが、お米に比べまして、やっても制りに合わないということで農民の方がおつくりにならないということで、いままでは少なくとも相当高値で食糧庁はお買いになって損されているにもかかわらず、当時の国際価格の約倍ぐらいで買い上げてもなおかつ日本の生産性の問題からいいますと合わないというので、だんだんとおつくりにならない。これは専門の方は十分御承知になっていると思うのですが、そういうことで減っておりまして、私どもがきらって減っているのではございません。どうぞひとつよろしく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/62
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063・石原五郎
○参考人(石原五郎君) ただいまの工藤先生の質問につきまして流通段階の者からなお若干補足さしていただくのでございますが、再配送つまり小口については、ガソリンあるいは今度は金利等、これは一般的に言えることでございますが、預金金利とそれから貸し出し金利、公定歩合を二分上げる、かってない高金利政策をとるということによってある程度金融の需要を押えようと、こういう政策にあるわけですけれども、同時に、物価が上がったために預金の目減りがあるということから一%の金利を上げようということから見まして、まずガソリンあるいは金利のアップ等によりまして、われわれ流通段階にある者といたしましては、その辺のものを将来若干加算しなければ採算的にやっていけないのではないか、こういう問題が事実残されていると思います。ですから、ガソリンが何ら当局の御指導で値が上がらないとか、あるいはプロパンガスが上がらないとか、軽油が上がらないとか等々が約束されるならば、当然輸送費というものは変わりないと思います。
ただ、問題は、そういう国際情勢と申しますかによってある程度値が上がっていく、ことに消費規制も来年二次規制だとかやかましいようでございますので若干上がっていくのではないかということを配慮いたしますと、われわれの立場におきまして、また、われわれの先の二次店におきましては、二袋、三袋、五袋という小さな零細企業に配送いたしております関係上、幾ぶんか高くなるのではないかということを心配しております。現に、いまの二次店が、どうかしますと専門店から小型車をチャーターしておるわけです。そうしてやっておりますと、いままでは月二十五万円ぐらいのものが、現在二十七、八万から三十万円になっている。かりに二十七、八万円と押えて、その粉をそれじゃ月に何袋配送するかというと、約四千袋だ。四千袋ということは、具体的に計算しますと、四千で二十七、八万を割りますと、まあ八十円見当の一袋の輸送費になる。こういうものを加算いたしますと、百五十円は高いじゃないかといっても、内容は運賃で八十円食われていると、こういうところを十二分にひとつ御理解いただきたいと思うわけです。ですから、問題は、輸送費という問題が相当クローズアップしてくるのじゃないかと思うのです。なぜかといいますと、輸送の関係でもし問題が起きた場合にたいへんだということで、チャーターする傾向がふえてきたということも、いまの社会情勢から企業防衛上、専門店にゆだねるという傾向が出てまいりました。もちろん自分のところで従業員でやればいいのですけれども、必ずしも好まない。多少高くとも、ロングランに見た場合には、プラス・マイナス要因からしてみるとやはりチャーターしたほうが有利であるし確実である、問題の処理も早い等々から考えまして、チャーター車を二次店、卸は使っているというわけでございまして、今後そういう意味合いから勘案しまするに、そういうことによってまあプラス輸送費と取引増等を加えて金利等々によって若干の値上げというものもあるであろうと想定することがまず間違いないのじゃないかと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/63
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064・工藤良平
○工藤良平君 児玉参考人にお聞きいたしたいと思いますけれども、さっきからいろいろ議論を聞いておりましても、集中的に非常に仮需要がふえたということで今度の小麦がどっかに詰まってしまって店頭にはなかなかいざ買おうというときに手に入らないという状態が起こっております。その点で私どもいろいろ心配をしているわけなんですが、ただ、問題は、日本の場合にはほとんど九二、三%よそから買わなきゃならぬという状態になってきてしまっている。そういうような状態で、昨年から見ますと、昨年同期に比較をいたしましても約三倍近い値段に小麦の値段が国際的になってきたですね。いま貿易関係からお話がございましたけれども、これは今後の先行きの問題として一体どういうように変化するだろうかというのは非常に重大な問題なんです。一気にそれがさっきお話がありましたように一ブッシェル当たり二・何ドルから三ドルぐらいまでほんとうに落ち込むのかどうか。あるいはいまのような非常に高い六ドル程度でずっといくということになりますと、これはたいへんな事態がこれから起こってくるような気がする。もちろんそれは食管会計で全部まかなっていけば何ということはないわけですけれども、なかな大蔵のほうは渋いようでありますから、そうはいかないということになってくると、やはりこれからの先行きというのは非常に大きな問題になるような気がするわけですが、これからの国際的な国際小麦相場というのはどういうような見通しを立てたらいいのか。
さらにもう一つは、それに加えて、変動相場制に移行してから一時二百六十円まで下がった為替レートが、また二百八十円からあるいは三百円をこしたというようなことまでも言われているのですが、そうすると、たとえば一円違ったとしてもそれはかなり大きな影響が出てくるというようなことが言われておるわけでありまして、変動相場制に移行して以来二百六十円が二百八十円になり、さらに三百円になる、まあ現になっているようなんですけれども、そういう傾向の中で、小麦がさらに上積みをして上がる、燃料もいま言うかっこうから輸送費がかなり上がると、こういうことになってくると、これは三五%で今回の場合には何とかしてということで押え込んだような形になっておりますけれども、それが国際価格から関連をして国内の価格にさらにどういう波及をしてくるのかという将来的な展望というのを私たちは立てなければいけないのじゃないかと思うのですけれども、そういう点に対する御見解を伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/64
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065・児玉一弥
○参考人(児玉一弥君) いまの工藤先生の御質問にお答えいたします。
私ども、これから先の小麦の値段がどういうふうになっていくであろうかという一つの指標として考えられますのがシカゴにおきます小麦の先物取引の値段でございます。現在、シカゴでは、これまたブッシェルで恐縮でございますが、六十ポンドでございます。十二月渡しで五ドル四十八セント、それから三月渡しで五ドル三十一セント、それから五月渡しで五ドル十三セント、七月渡しで四ドル六十三セント、こういうふうにだんだん先が下がっております。これは、大体アメリカでは六月から七月にかけて新穀が出回りますので、新穀が、先ほど申しましたように、アメリカ政府が、現在四千六百万トンが来年は五千百万トン、五百万トンの増産を計画しておりますので、これが一つ織り込まれております。それからまた、今年のアメリカの輸出の数字でございますが、一応アメリカ政府が今年輸出の見込みを立てておりますのが三千二百万トンでございます。これに対しまして来年度は約七百万トンぐらいの減を見込んでおります。これはなぜかと申しますと、ソ連が今年よかった。今年五百万トン買いましたけれども来年は買わないで済むのじゃないかというような面も多分に織り込んで、輸出需要も少し軽減をして見ております。まあこういうことから、私どもも小麦の値段は今年が頭打ちになって下がっていくのではないか、そういうふうに見ております。
それから運賃の面でございますが、まことにこの三十五ドルという運賃は非常に高うございます。石油がこれに影響しておることは確かで、石油がどういうふうに影響しておるかと申しますと、石油の値上がり自身が、石油もバンカーオイルが昔は一トン十五ドルぐらいしておったものが、いまヨーロッパあたりでやみでございますけれども二百ドルぐらいしております。それで日本からアメリカへ行きまして帰ってくるのにどのくらいのガソリンが要るか、バンカーオイルが要るかということは、これは私はしろうとでまことに推定でございますけれども、言われておりますのは大体千五百トンから二千トンぐらいじゃないかと思います。二千トンの油をたいたといたしましても、二百ドルといたしまして二千トンで四十万ドルでございますか、そうして船が大体一万五千トンから一万八千トンでございますので、四十万ドルでたとえば二万トンといたしますと二十ドル、まあ三十五ドルのうち二十ドルが燃料費、これはまあ非常に高く見たわけでございます、やみの油を買ったわけでございますから。それで見ても三十五ドルは少し高いような気がしております。ですから、これから先ますますバンカーオイルがなくなっていく。あるいは農林省あたりあるいは通産省、運輸省のごあっせんで油をつけていただいて、そうして日本船をひもつきで運航するというようなことにさせていただければ、あるいはそういうところまで行政指導が及べば、この運賃はある程度のところにおさめられるのではないかというふうに希望的に思っております。まあどこまでそういうふうに今後の石油の情勢が進んで、かつまた、政府がどのような御方針をおとりになるかというようなことにもよってくると思いますけれども、現在の三十五ドルの運賃は非常に高い。まあこれ以下に落ちつくのではないかというふうに思っております。もちろん、平時に返りましたら、こういうものは十五ドル台には下がっていくというふうに思っております。
それから為替の問題でございますが、これはちょっと私ども専門でございませんので、まあいまのところ申し上げられることは、五月の先物為替、あるいは六月、七月はまだ出ておりませんけれども、一番先に出て五月の先物為替が二百九十円台を唱えておりますので、あるいはその辺まで行くのではないかというふうに思っております。
現在二百八十円でございますが、これはやや悲観的な材料ではないかと、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/65
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066・田代富士男
○田代富士男君 きょうは参考人の皆さんに申しわけございませんが、時間が制限されておりまして、私の持ち時間が約三十分ほどでございます。五人の参考人の皆さんからお聞きしますと一人に六分ということで、まことにこういうことで突っ込んだ質問もできないかと思います。で、私もいろいろ聞きたいことがありますが、その一部をお尋ねしたいと思います。
まず、五人の代表のお方がお見えになっておりますから、最初に児玉参考人からお尋ねをしたいと思います。
〔理事佐藤一郎君退席、委員長着席〕
小麦の場合は、いまもるるお話がありましたが、輸入先は、アメリカが大体五四%、カナダが二四%、オーストラリアが二一・二%、その他が〇・八%と、これが四十七年度の実績じゃないかと思うのです。ところが、それぞれ輸入先が、アメリカは自由市場であり、カナダ、オーストラリアはボードから買い付けている。それで、アメリカの場合は、いまも話が出ておりますが、シカゴ相場によっていろいろ支配されている。まあこういうように国によりましていろいろ買い付け方が違ってくる、こういうような場合に、価格の状況も、国際価格といわれておりますが、違いがある、そういう買い付け状況につきまして最初御説明を願いたいと思うのです。具体的には、いまこの買い付けの商社が大体二十九社あるとお聞きしておりますが、一カ月の間でも国際相場の変動によりましていろいろな違いがあります。上下の差が生じておりますが、輸入商社の買い付けによりまして、二十九の商社がありますから、それぞれ価格の違いというものはあるのじゃないかと思うのですね。そういう価格の違いをどのように処理されているのか、そういう問題がまず第一点でございます。
それから第二点でございますが、商社の買い付けに対しまして農林省は海外の諸国でどのくらいまで介入されているのか。アメリカの場合は買い入れ価格まで商社にまかしているのか、どの程度まで介入しているのか。オーストラリアあるいはカナダについては、買い付け量はボードと話し合いますから、価格面で農林省はどこまで指示をしているのか。まずそこらあたりを概略御説明を願いたいと思います。時間もありませんから、簡単でけっこうでございます。まず児玉参考人から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/66
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067・児玉一弥
○参考人(児玉一弥君) いまのお尋ねにお答えいたします。
価格の違いでございますが、これは大体アメリカの価格がシカゴの価格を中心にして動いておりまして、これがやはり一日に相当大きく大幅に動くような情勢になっております。ところが、日本が買っております小麦は大体ポートランド、太平洋岸の小麦でございますので、シカゴよりも動き方が少なくなっております。そのシカゴ相場とポートランド相場との差は、現物を手当ていたします現物プレミアムというものがございまして、シカゴの小麦に現物プレミアムを足したり引いたりしてポートランドの相場が出ております。それで、その現物プレミアムをいかに見るか、あるいは農家からいかなる価格で買い付けられるかというのが太平洋岸におりますアメリカのシッパーのいろいろな手の内の採算になるわけでございます。ですから、私どもがAのシッパーから値段をとる、次の方がBのシッパーから値段をとるということで多少の値段の差がそこで出てまいります。けれども、大体の傾向としては、まあ同じ太平洋岸の小麦でございましたら、オレゴン州、ワシントン州、アイダホ州の三つの州の農家から買い付けますので、それらの農家で多少の差がございますけれども、大体同じような傾向をたどって買っております。
それからカナダと豪州は、先ほど御指摘のように小麦局がそれぞれございまして、小麦局が毎日同じ値段を一本の価格を発表しておりますので、これはFOB要するに向こうの積み地の値段に関しては差異はございません。それで、あと差異が出てきますのは、運賃でございます。運賃を先ほど三十五ドルと申し上げましたけれども、やはりなかなか船がないものでございますから、ある商社は、船がなかなか手に入らない、そうしますと、そのときの食糧庁の買い付けの入札には札を見送らざるを得ない。あるいは、ある商社は、ある船会社とわりと好関係でございますので、多少無理して船を出してもらう。そのときに、ある商社は三十四ドルでとるかもしれませんし、ある商社は三十五ドルでとるかもしれませんし、そういうところに多少の差が出てまいります。まあそういうふうにして値段の開きが出てきて、そしておのおの考えながら入札をしているわけでございます。
それから農林省の価格に対する介入でございますが、アメリカ小麦につきましては別に農林省からアメリカ当局あるいはアメリカの輸出業者に幾らで売れというような介入は行なわれておりません。農林省が本日の適正な値段というものを御自分のルートで情報をとって御自分で予定価格をおつくりになっていると私ども伺っております。カナダ、豪州につきましては、先ほど申しましたように、食糧庁のほうも私どもも同じFOBの値段がみんなに公表されておりますので、それをべースにいろいろものを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/67
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068・田代富士男
○田代富士男君 またそのことについても詳しくお聞きしたいと思いますが、時間がありません。
それで、いまここに私の手元にもいまおっしゃいましたFOB価格、食糧庁の買い付け価格の推移等が全部ございます。私がお聞きしたいことは、買い付け価格に円の切り上げの効果がこの中に一つも出てきていないという事実です。御承知のとおりに、四十六年の十二月に円切り上げが行なわれました。また、その後四十八年三月十六日に変動相場制に移行いたしまして、農林省の買い付け価格の移行を見ましても、円の変動相場制によるところの効果が一つも出ておりません。具体的な数字は時間がありませんから省きますが、児玉さんは御承知だと思うのです。ほかの商品に至りましては、そういう円の切り上げあるいは変動相場制によるところのいろいろな効果が出てきております。しかし、これは効果が出てきていない。私は、この効果が出てきていないその利潤というものは、商社の利潤というものが問題じゃなかろうか。その利潤というものが、いまいわれます過剰流動性ということで論議されましたけれども、そういうことに回されて国民を苦しめている、そういうことにもなっているのじゃなかろうか。この一覧表を見る限りに、その効果というものがあらわれていないのですが、これに対するお考えはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/68
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069・児玉一弥
○参考人(児玉一弥君) 先ほど申しましたように、食糧庁との間では、麦の外国産食糧買入要綱、あるいはこれに基づきます外国産食糧買入条件、外国産食糧売買契約書ということによって契約をいたしております。それによりますと、いま御指摘の円の切り上げ——過去にごさいましたが、円の切り上げでございますが、私どもは、応札いたしますときには為替レートはきめないで応札する、契約をすることになっております。で、為替レートは、船積みしました日のその日の為替レートをとることになっております。現在では、それがまたやや変わりまして、現在の条件では船積み書類が内地に到着いたしましたときの為替レートをとることになっております。ですから、為替に関する限り、私ども、全然、何と申しますか、触れておりません。それで、先ほど私がお答えいたしました価格の違いの処理の中で、為替の見方による処理というものは一切入っておりません。これは全部食糧庁のほうにお預けいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/69
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070・田代富士男
○田代富士男君 これでもう十分かかって、お二人の分の時間が過ぎてしまいまして、これをなにしたら時間がありませんから、また何かの機会にお聞きしたいと思います。
次にお尋ねしたいのですが、丸山さんにお尋ねしたいことですが、昨日神奈川のほうへ参りまして、メーカーからの出荷というものは、一応卸屋さんに聞きましたら、昨年度の実績によって割り当てをされていると、このように聞いたんです。ところが、昭和産業のほうでは昨年度の実績に応じて出荷はしておりませんと言う。こういうまる反対の意見が出ているわけなんですが、これは日清製粉と昭和産業との違いはあるかと思いますけれども、いま出荷の状況はどういう状況で出していらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/70
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071・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) これは各社によっていろいろやり方が違うと思うのでございますが、私ども東京営業所の例を申し上げますと、やはり必ずしも昨年の実績ということではございませんで、私どものほうでは大体期ごとに期計画というものを立てておりまして、各ユーザーの使用袋数の把握をいたしまして、それでこの月は大体特約店別に何袋ぐらい出るであろうという予測を立てているわけなんでございます。それは先のことでございますから、もちろん完全に当たるというわけにはいきませんが、いままでのところでは、期計画を立てたものと実績とはほとんど狂わないというふうな状況になっているわけです。したがいまして、これは各特約店さんともそういう数字については打ち合わせをしておりますので、昨年の実績はもちろん勘案いたしますが、一番の問題は、最近出るであろうという一番近い数字というものを基礎にいたしましてそういうことをやらしていただいている、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/71
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072・田代富士男
○田代富士男君 いろいろやり方があるかと思いますが、政府の売り渡し価格が三七%の値上げというものが決定されている話も出ておりますが、御承知のとおりに、食管会計が同じであります米価のほうは、四十九年十月の一日まで半年間据え置くということが決定されました。私はここで言いたいことは、小麦の価格が問題になるというのは最近のことでございまして、この十数年間というものは食管会計の赤字のために貢献してきたのが小麦じゃないかと思うのです。いまでこそ三万四千円あるいは三万五千円という売り渡し価格で渡されておりますが、それまでの買い付け価格、特に商社の関係になりますけれども、二万七千円、ここらあたりでウエスタンホワイト等は一万五千円ぐらいで入っておりまして、それが三万四千円ぐらいで売り渡されている。この十年余りの麦価が食管会計に貢献してきたのを概算いたしますと、約三千億円近くの黒字を貢献してきているわけなんです。特に昨年度のいま児玉参考人から説明がありましたソ連の小麦の不作とか、そういういろいろな諸条件が重なってきてこのような状態を招いている。食管会計の柱であります米価でさえも据え置きをしようとしている。ほんとうであるならば、これは米と麦とは分けるべきであった。その間は一緒にしておいて、今度は一緒である米は据え置きになった、麦は値上げをしてしまったと、こういう不合理なことがあるだろうかと。だから皆さん方も一貫して国民的立場に立つならば、麦のこの問題も、三七%の値上げも改正前に戻すならば、いま皆さんが心配され、昨日も私たちはいろいろ生産者から全部回りました。どこに原因があるかわからないけれども実はこうなんだというならば、改正前に戻すべきである、この意見が一つです。
それから食管会計において、まあこれはいますぐできるかどうかわかりません、意見として米と麦と分けるべきである、こういう点に対して丸山さんをはじめ、特に関係があります石原さんあたりどういう御意見であるか、時間がありませんから簡単にお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/72
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073・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) たいへんむずかしい御質問で、私の担当は東京営業所長ということで営業専門のほうでございますので、詳しくそういう点で御説明できるかどうかあれでございますけれども、おっしゃるとおり、いままでは確かに食管会計というのは小麦では黒字であったと思うのですが、一方、私ども食品業界ということから考えますと、それまでやはりそういうものが根幹になっておりまして、いわゆる外資の食品業界における上陸ということが比較的にスローテンポと申しますかということで、日本の食品業界——まあこれは別に食糧庁におせじを使っているわけじゃございませんけれども、何といいますか、食糧業界の発展ということに対しては非常な貢献があったのではないかというふうに私自身は思っております。
それから小麦粉の値段でございますけれども、これは戦前と比較いたしまして私は何も上げていただきたいと言っているわけではございませんけれども、昭和十年から十一年の値段と最近までのいまの値段でございますけれども、大体二百五十倍ぐらいなんです、これはとる時によって若干違いますけれども。それから一般の給料その他が千倍ぐらいになっておりまして、最近卵がだいぶ上がってまいりましたですが、小麦粉と卵が一番値上がりのしない商品であったというように思っておりまして、やはり国際価格とあまりにも違うということは、これは、私、そんなことを言う権利もございませんし、あれでございますが、ただ個人的な意見といたしましては、若干のさや寄せはやむを得ないのじゃないかというような感じを持っております。——その辺でよろしゅうございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/73
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074・田代富士男
○田代富士男君 食管会計の縦分けはどうですか、米と麦を分けるという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/74
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075・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) それはなかなかむずかしい問題で、もっと優秀な人がいると思いますので、むずかしい問題ですので、ひとつまあ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/75
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076・石原五郎
○参考人(石原五郎君) たいへん高度な御質問で、どうもちょっとお答えに困難でございますが、食糧管理法というものは、もともと——これは先生方に言うのは釈迦に説法でございまして恐縮なんですが、私の知る範囲では、生産者には再生産を確保する、消費者に対してはいわゆる家計を安定するような価格を、保障する、その差額は国で負担するということで二重価格制になっているということでございますが、いまの田代先生の御指摘は、麦と米を離していわゆる単独にされて、麦は麦、米は米でおのずと性格は違うのだと、むしろ小麦というのは相当従来寄与してきたのだと、この際はどうだという御意見もございました。それはなるほどそのとおりでございますが、私は、ただいま丸山参考人が言ったとおり、ただ米と麦との格差がいよいよついてくる。いままで安かったために、小麦の市場というものが安いものが供給され、したがって、安いものが生産されたということで、消費者にはかなり安いものを還元してきたという効果はあると思います。ですから、一体麦と米をどのように配分するかということはこれは天下国家を論ずる参議院の先生方の範疇でありまして、われわれは、こうしたらいい、ああしたらいいということはちょっとこの場合は言えないのでございまして、忠実に食糧管理法に従って行くということで何らその点についてはどうのこうの思っておりませんが、しろうと判断で言えば、三五%の麦価の改訂は少し大幅だったなあということは言えるような気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/76
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077・田代富士男
○田代富士男君 石原さんに二点だけお尋ねいたします。
第一点は、昨日実際に視察してまいりましたところで率直に感じた問題です。というのは、いまさっきも最初に御説明がありましたおりに、小麦というものはメーカーが前日に注文の数を受けて各方面ごとにトラックに載せてちょうど新聞の配送制度と同じような形で配送をするのがたてまえになっております、そういうことでございました。しかし、昨日、神奈川県の横浜市の田辺商店に参りました。いままではそういうことになっておりましたが、この麦価の値段が食糧庁から三五%上がるとか何とかそういうことがうわさに出た段階で、いままではメーカーから直接出していたけれども、今後は卸屋さんの田辺商店を通して田辺商店から配送をしてもらうのだと、こういうことに変わりましたと、こういうことなんですよ。そうすると、いま石原さんは、全国の卸商組合の副会長さんでありますし、それでおもしろいことに、われわれが行きました向井さんというパン屋さんですが、いままで五十袋なら五十袋注文したら、即座に五十袋来ていた。それが最近は二十袋ぐらいしか来ませんと。その理由を尋ねたら、いままではメーカーから直接出していたけれども、今度は田辺商店を経由して出すから、田辺商店が一度に五十袋出さずに二十袋ずつ出している、そういうあれで二十袋ずつになっておりますよと、そういうことなんです。私は、それは不可解であると。というのは、最初昭和産業のメーカーへ行きましたら、対前年度比二〇%ぐらいよけいに出していると。ああそうですかと。それで、一番最終の製パン屋さんへ行きました。来ませんと。で、ダイエーの売り場へ行きました。小麦粉は一日ダイエーで百五十個ぐらいです。どこにある。じゃてっきり今度行くところの卸の田辺商店だろうと。いや、私のところはとそこでも明確なる答弁ができない。そのときに、いままでの配送経路が十月に変わりましたと。いまから混乱を立て直しをしなくちゃならないというときにこういう配送を変えるということはおかしいじゃないかと。この点、副会長さんでもありますから、どういうことであるのか、その点がわれわれ奇々怪々で理解できませんので……。
それからいま百種類ほどの銘柄があります。二百種類ともいわれております。これは、小麦粉がいままで売れないために、お得意さま優先のそういうような買い手市場であったために、あの手この手で品を変えまして銘柄をふやしてきた。その銘柄がまた奇々怪々、値段が違うんです。で、この銘柄の違いを基準をきめるのにどういう基準でされるのか。この二点を時間があまりありませんから簡単に要領よくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/77
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078・石原五郎
○参考人(石原五郎君) 最初の問題でございますが、これは私はきょう実は初耳でございましてちょっと回答の用意の持ち合わせがないのでございますが、本来は、簡潔に申し上げますと、従来製粉会社が数の大小にかかわらず配送していただきましたけれども、つい三年ぐらい前から、合理化輸送ということから、一トン未満のものは直接特約店いわゆる第一次問屋において配送体制をしてくれと、こういうことで、目下てまえどもの仕入れ先であります日清製粉の場合をとってはなはだ恐縮でございますが、そういうことでトン未満のものはわれわれが直接輸送会社に委託して配送している。で、一トン以上のものは大口として合理化輸送をさしていただいているわけでございますから、そういう再配分ということは過渡期における一つの現象だと私は思っております。品物が間に合わないために一軒の店に五十行くものを二十五ずつ分けたと、こういうように私は理解するわけでございますが、結局パン屋さんには終局的には五十袋というものが行くのであろうと、かように私は理解さしていただくわけですけれども、たまたまその時点では品物が逼迫しているから間に合わないからということで、田辺商店なるものが、五十袋ランニングストックを二軒あるいは三軒に分けてそして仕事に差しつかえないような方法をとっているのじゃないかと、かように自分には思考されます、最初の問題につきましては。
あとの御指摘の問題ですが、マークが多いというのは、先ほど私が触れましたけれども、これは問屋の機能といたしまして、ユーザーに対して、その会社の性格、会社の商品というものに対して、こういうような粉がいいのではないかということを強調するわけです。そして、なるほどこれがいいということで、ユーザーの嗜好に基づいた粉を製粉会社に依頼しまして、それには、ある程度のロットがなければ製粉メーカーはつくってくれません、五千とか一万袋の。そうしますと、メーカーのほうである程度客層も定着するという利点もある。必ずしもそれはもうかるもうからぬでなくて、ある程度のまあ生産体系がはっきりするということも一つのメリットにつながるのじゃなかろうかという面がメーカーにはありましょうし、われわれはそういうことによってふさわしい粉を特びきして頼むということによってユーザーからは強く信頼される。したがってユーザーもメーカーもまあ流通段階にある者としてよきパートナーシップとなって三位一体となってやっていこうと、こういう一つの体系をつくりながらやっていくということで、これはやがては数の扱いが上昇するという一つの原因にもなるわけでして、ただ単に無政策にやっているわけじゃないということでございますが、先ほど申し上げましたとおり、やはり高度成長に伴ういわゆるリッチされたいいものが要求されたというところにユーザーのほうもそれを快しとしたということでございまして、これは景気の動向いかんによってはそういうことも自然的に解消されていくのじゃないかと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/78
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079・田代富士男
○田代富士男君 私が聞いているのは、価格の基準がばらばらだから、その基準をどうしてきめるかと。たくさんの種類をつくったことを聞いているのじゃないんです。質問の要旨を間違えぬでください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/79
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080・石原五郎
○参考人(石原五郎君) はい、どうも失礼いたしました。
これは、お得意さまによりまして、たとえば同じマークでありましても、もう十人十色です。ということは、受け渡しの取引条件がまあ極端にいえば現金もありましょうし、ないしは十日もある。あるいは極端にいえば百五十日もある。ただ平均値が六十日ということでありまして、したがって、そういうことであって、ケース・バイ・ケース、あるいは、他社との競争上、てまえどもは千五百円で売りたいけれども相手は千四百五十円で持ってきたと。それに対して、われわれは、競争上、メーカーとの話し合いにおいて、そこまでできれば買ってくれるのだがどうだというようなことで、やはり力関係と申しますか、需給の関係といいますか、そういうことで一つの経済現象がそこに生まれていると、このように思いまして、もう同じ銘柄でもおそらく私どもでも二、三十種類に及んでいると思います。これは実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/80
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081・田代富士男
○田代富士男君 はい、わかりました。
飯島さんにお尋ねいたしますが、私はまだパンのことでは皆さんたちに比べるならば赤ちゃんも同然じゃないかと思いますが、端的にざっと計算してみました。で、三万五千円で売り渡されております、トンですね。最終その小麦がどのくらいの価格になるか、パンとなって消費者に売り渡されるときに。それで、まあこれは数字が間違っているかわかりませんが、大ワクは大体つかめるのじゃないかと思います。ということは、トン三万五千円で渡されたのを、昨日昭和産業へ参りまして、ネオンという銘柄、それからキングスターという銘柄、二つを追ってみました。工場渡しが千六百六十円、一袋。キングスターが千四百五十円です。そうしますと、一トンに直しますと、ネオンが六万六千四百円、キングスターが五万八千円になります。これで、数字の上だけでいきますと、売り渡し価格のこの時点で約倍になっているということです。これから田辺商店に回ります。問屋の手数料が四・五%とも五%ともいわれております。まあそういうことでそれを換算いたしましても、大体倍近くということです。そうすると、今度これからパンの製造業へ渡されます。製造業へ渡される段階で山崎製パンさんなんかはメーカーから直接来ていると思うのです、実需者直接、問屋を経由せずして。それで、いま石原さんのおっしゃるとおりに、いい条件の現金の大口というところが安いということは、あなたのほうは最も安く小麦粉を買っている代表者であるということです、ほかのパン屋さんに比べて。この数字よりもいい条件になる。そうすると、いまパンが、二十五キログラムの一袋から、私パン屋さんをいろいろ調べましたら、八十斤とれるという人もあれば、九十斤とれるという人もあれば、いま飯島さんは百斤とれるとおっしゃった。だから、一応百斤で計算しましょう。あなたのおっしゃるとおりに百斤で計算をいたしますと、約一トンから四千個のパンがとれる。だから、四千個のパンが、あなたのほうの価格でいきますと、あなたのほうの売りの価格は、これも問題があって時間があれば聞こうと思ったんですが、最初は五十円の食パンがありました。これは昨年の五月に姿を消しました。それから六十円、七十円、八十円、百円、この段階がありまして、六十円のパンが二八%のシェアを占めていた。それがいまでは六十円のパンはもうなくなっております、あなたのほうのパンは。だんだん高いほうへ高いほうへと持っていっている。そうして、菓子パンは、昨年の五月に二十五円から三十円に上がっている。小麦粉の変動がないときにすでにこれだけあなたのほうは上げているのです。これは山崎パンですよ。よそのパン屋じゃない、あなたのパン屋ですよ。それで、いま言うように、四千個のパンが、七十円、八十円、百円のパンがありますが、八十円で計算しますよ、大ワクでございますから誤解しないでください。八十円で計算いたしますと、ネオンを使った場合には三十二万円から四十万円近く、これが最終価格です。そうすると、これには砂糖だとか、油脂だとか、いろいろな雑費が入っておりますが、純然たる小麦はどのくらいと見ることができるかとパン屋さんに聞きました。あるパン屋さんは、五〇%ぐらいと。あるパン屋さんは、八〇%ぐらい小麦の占める分でしょうと言われました。それで八〇%でこれを出した場合には、これが二十六万から三十万ぐらいになります。それで、五〇%で出した場合には十六万から二十万前後になる。そうすると、数字の上ですよ、大体三万五千円の麦価が、これでいきますと、小麦が八〇%のシェアを占めていると見た場合には八倍前後、五〇%と見た場合には五倍前後になっている。私はざっとした計算です。まだこまかいのを一々聞きながらここで計算して質問しようと思いましたけれども、こう見ますと、私は、端的に言いまして、もうかっているのはメーカーと山崎さんだと思うのです、一番もうかっているのは。石原さんなんかはあまりもうけていないと思うのですよ。小麦より砂糖をやったほうがうんともうかる、小麦は一部分だと思うんですよ。だから、ここらあたりは何とか考えなくちゃならぬと思うんです。西友さんに至っては売るだけです。手数料だけです。これも知れていると思うんです。やっぱりパン屋でも五十名以下のホームベーカリーは苦しんでおります。ということは、山崎さんのような大手がどんどん出ていって、ホームベーカリーは四苦八苦です。こういうことで、パンの値上げだけは考えたほうがいいんじゃないでしょうか。ここらあたりいかがでしょうか。一々質問しながらやればいいけれども、この数字はそんな法外な数字をと思われるかわかりません。しかし、概略おおむねのあれはつかめると思うのですが、ここらあたりいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/81
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082・飯島一郎
○参考人(飯島一郎君) ただいまの田代先生のおことば中に私たちとちょっと概念が変わっているところがありまして非常に理解しにくいのでございますが、私たちは粉一袋を基準に考えておるのでございます。先生のお話は一トンの粉ですから、これは四十分の一にすればいいのですけれども、ちょっとそのあたり先生との意見の食い違いがあるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
まず、私のところが粉を安く買っておるだろうということでございますけれども、これはある意味におきましては輸送コストなどが他のメーカーと違って十トントラックで一台持ってきてぼっとおろすというような点がありますと、この分だけは当然私ども引いていただいていいだろうということで、若干は、他のメーカーさん五袋、三袋買うところよりも安いかもしれません。けれども、この差額はたいしたものではございません。それからもう一つは、私のところでは袋入りの粉では買いませんで、ストレージビーンに入れるのでございます。いわゆるニューマで空気輸送をしてしまうのでございます。ですから、当然これは粉袋の代金は安くなります。その程度の差でありまして、それほどべらぼうに粉価が安いとは思っておりません。その差につきましては一袋で五十円ぐらいはあるかなと。もちろん、装置をいたしますから、償却金利がありますので、純然たる差ではないと思っております。
それからもう一つの問題でございますが、たとえば粉一袋千六百円といたしますと百斤とれると申しました。これを七十円で小売りに出しますと、卸価格は八掛けでございますから、五十六円でございます。そうすると、一袋から食パンは五千六百円の卸価格のものができるということになります。これを千六百円を五十六でお割りいただきますと、少なくとも三〇%以下の粉のウエートというものが原価構成の中では占めるわけでございますから、そのようにひとつ御理解をいただきたいと思うのでございますが、続いて、パンでございますけれども、これはもう規格があってないものでございます。たとえば重量制限をいたしましても、水分が幾らあるかということまでやらなければ、重いからいいということにはなりません。
それからもう一つは、粉の品質、これは先ほど石原参考人が申しましたように、特等粉、一等粉、二等粉というような各種の段階がございます。で、昔からパンはイチコナニタネ(一粉二種)というふうなわけで、一番パンの品質を左右するのは粉であるということでございまして、私のところは少なくとも他のメーカーさんに比べて劣る品質の粉は使っておりません。これはお調べいただけばわかります。ところが、粉だけでパンはつくれませんで、食パンの場合には、およそ砂糖が六%、油脂がやはり五、六%、これはショートニングでございますね、それから塩が二%、イーストが二・三%、そのほか、高級なものになりますと卵を加えます。それからドライミルク、脱脂粉乳が二%あるいは高級なものでは四、五%、また、高いものになりますと、フレッシュバターを加えます。というようなことで、いわゆる副資材の配合によりましては非常に価格差が出るものでございます。でありますから、たとえば目方があってボリュームがあって単価が安いからこれが安いんだというふうによくおっしゃられるのでございますけれども、ぜひ配合その他につきましてもお調べをいただいて適正価格であるかどうかということにつきましては御認識をいただきたいと思うのでございます。
そこで、私のところではその副資材につきましても非常に吟味しておりますが、私いまここに資料を持ってきておるのでございますけれども、御承知のように、昨年の十一月に比べますと、現在の砂糖はおよそ五〇%のアップでございます。水あめは一六四%、それからこれは食パンには直接使いませんけれども、アズキは実に前年に対して九九・三%、ショートニングは九七・三%、包材につきましては三五七%でございます。こういうふうなものがすべて総合されまして私たちも小売り価格あるいは原料というものを原価比率というものを算定するのでございますが、これはもう全く先生に一度ぜひわが社のあり方につきまして御研究をいただきたいと思うのですけれども、パンが非常にすべての国民の皆さまに御愛顧をいただいていると思っております。でありますから、これがばか高くなりますと、えらく評判を失いますし、また、もうからないから原料を落としますと、もうしょっちゅう召し上がっていただいておりますと粗悪になったことがわかるものでございまして、私は昔自分でつくって自分で店をやっておったのですけれども、たとえばあんを一匁いまでいえば三・七五グラム下げましても、消費者の方は、飯島さん、このごろあんが少なくなりましたねと言われるものです。ですから、私はもう全くばか正直くらいにやらしていただいておりまして、しかも、従業員の労働は、いなかの百姓さんが非常に過酷な労働条件であるといわれておりますけれども、都会の百姓だと、パン屋くらい骨を折るものはないというように思われておるものでございまして、労働条件はある意味においては是正すべき余地が多いと思うのでございます。しかも、卵は戦後ほとんど上がっておらない、まあ比較的上がり幅が少なかった。また、粉は統制価格がありましたのでそういう点があったでしょうけれども、私は現在のパンの七十円というのはもうほんとうに皆さまに御納得いただける価格ではないかというように、ひとりよがりだなとおしかりを受けるかもしれませんけれども、できるだけ良心的に勉強さしていただきまして何とか皆さんからこの仕事をかわいがっていただこうと、こういうふうに考えておりますので、どうぞひとつ、いま申し上げるような原材料あるいは諸原料の高騰、諸経費の高騰、もしくは人件費の急上昇というようなことをひとつお考えいただきまして、もう少し御認識をいただきたいと思うのでございますが、たいへん失礼なことを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/82
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083・田代富士男
○田代富士男君 時間があれば質問しながら聞いて計算したいと思いましたけれども、時間がありませんからけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/83
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084・中沢伊登子
○中沢伊登子君 だんだんと各委員からいろいろ御質問があったわけですが、私もきょう皆さんにおいでをいただきまして一つ感じましたことは、トイレットペーパーで相当消費者が騒ぎましたときに何だかこれは消費者が悪いんだ、消費者が天に向かってつばを吐いたような結果を招いたんだと、こういうような御批判をたいへんいただいたわけです。きょうもお話を伺っておりますと、やっぱり小麦粉も消費者が二倍、三倍、あるいはまた中には四年分も買い占めた、こういうようなところに小麦の不足の原因があるようなニュアンスをちょっと私感じたわけです。実は、昨日、この物特の委員の皆さんと先ほど来お話の出ております昭和産業からずっと調査に回ってみたわけですけれども、昭和産業さん——メーカーのところに参りますと、日曜日も一返上してフル生産をやっていると、こういうようなお話がございました。そうすると、私どもはそれからずっと追ってまいりますと、どこに小麦粉が隠れちゃったんだろうか、どうしても私どもわかりませんでした。きょうは新聞でも何か見出しにだいぶ悪口を書かれたような見出しがついているという話でございましたが、私はまだきょうの新聞を見ておりませんけれども、それくらいに行ってみてもほんとうはよくわからなかったというのが私どもの現状です。そこで、私どもは、何ということなしに、ああ、あそことあそこかもしれないというような何か気持ちを持っているわけですね。そこで、今年の春早々に一番初め大手商社の買い占め売り惜しみということで木材だのあるいはガーゼだのいろいろなものがなくなりました。あの当時、これは大手商社の買い占め売り惜しみだと、こういうようなことで実は調査に参りました。そうしたら、ある学者からたいへん笑われました。どういうふうに笑われたかといいますと、大手商社の倉庫を見に行ったってどこを見に行ったってそんなものがあるもんじゃない、それはだいぶ焦点が間違っている、そういう商品はどこに隠れているかといえば、大体、はしけの中だろう、あるいは船が着いてそのまま陸に揚げていないから、商社の倉庫を見に行ったってどこを見に行ったってそれはてんで焦点が狂っているという話がございました。そして、さらに、今度その船は、たとえばきょうは三井物産の方が見えているわけですが、たとえば三井物産が輸入をしたとしますね。そうすると、その船から物を揚げなければ、これはまだ三井物産のものではなくて、外国の船を使えばこれはまだ外国の商品になっているんだ、だからその船を見に行ったってこれは三井物産のものではなくて外国のものだ、あるいは、もしかすれば、船には積んだけれどもまだ外国の港に置いてあるかもしれない、そうすると、そんなところは調査には行かれない、だから、買い占め売り惜しみがあっても、そんな大手商社に行ってものを聞きに行ったってそんなのは焦点がぼけているという話がございました。
そこで、きょうは三井物産の方が見えていらっしゃるわけですけれども、そういう話から私も思い起こすことは、先ほど一番初めにお話がありましたように、まあ大体来年の六月まで手当てが済んでいると、こういうお話でございましたね。私、初めの話がちょっと横に人が来て何だかものを言っておりましたから聞きそびれましたけれども、まあそういうことでございますから、あるいは私は大手商社といいますか輸入業者がそういったような轍を踏んでいるのではないか、第一にこのように疑問を持つわけですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/84
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085・児玉一弥
○参考人(児玉一弥君) 私、先ほど六月まで手当てが済んでおると申しましたのは、食糧庁のほうで三月積みまでお買いになっておられまして、それが日本の六月の需要までのお手当てが食糧庁のほうで済んでおるということを申し上げたわけでございます。海外で私ども買いますときに、そんならおまえら海外で小麦を買い占めておるのかというお話でございますが、そういうことはいたしておりません。先ほどからも申しましたように現在海外の相場は非常に高いところに来ておりますので、これをたとえ非常な投機的な感じから買い占めたといたしましても非常に危険があるわけでございます。太平洋の小麦は毎日一ドルぐらい動いておりますが、シカゴでは毎日最近は三ドル、四ドル動いておりますので、へたに手を出しますとやけどをいたします。それですから、原則的にはそういうふうにやっておりません。そのつどそのつどの値段で食糧庁にお売りしております。それからカナダ、豪州につきましては、先ほども申し上げましたように、大体食糧庁のほうで政府間同士である程度のお話をしておられるようでございまして、私どもがそれを先がけて買いつけるというようなことは許されない制度になっておりますので、そういうことは一切いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/85
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086・中沢伊登子
○中沢伊登子君 私の質問のしかたが多少悪かったかもしれません。もう十二月一日から小麦は上がりましたね、国内では。それで今度は来年の一月一日から売り渡しが外に出されるのがまた三五%上がるわけですね。こうなりますから、輸入したものを港にとめていて、国内の値が上がったときに船からおろすようなそういったような方法をとっているのではないか、こういう疑いを実は持っていると、こういうことでございますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/86
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087・児玉一弥
○参考人(児玉一弥君) 私ども、先ほども御説明いたしましたように、食糧庁には現在三月のものをお売りしております。ですから、着いた小麦は全部食糧庁にお渡しすることになっております。また、食糧管理法で麦は勝手に持ってきてはいけない、買い付けたものは全部食糧庁に渡せということになっておりますので、私どもやっておりません。それから小麦粉も同様でございまして、現在小麦粉は一トンも輸入されていないと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/87
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088・中沢伊登子
○中沢伊登子君 こういうようなことを申し上げましたのは、お米ですら変なことがございましたね。こういうようなことで、統制品であろうが、あるいは食糧管理法に触れる問題であろうが、一ころたいへん大きな問題を起こしたものですから、あるいはこういう点でも行なわれているのではないかということがやっぱり私どもたいへん気にかかった問題です。それでなければ、きのうもずっと調査に歩いてみて、どこもかしこもフル生産をやっておろしておりますと言いながら、末端のダイエーさんに行ってみると、先ほど田代先生もおっしゃったように、メリケン粉が百五十袋しか来ない、あっという間にこれは売れてしまうということで、ほんとうはどこにどう隠れちゃったのか、私どもも了解に苦しむわけですね。消費者が買うといっても、消費者の需要というのは三%か四%ぐらいです。これを三倍も四倍も買ってみたところで一二、三%にしかならないし、現に私どものように小麦なんか全然買い占めなかった家庭も相当あると思うのです。ですから、一体どこに隠れちゃったかなということが私どもわからないわけで、きょう皆さん方がおいでになられれば、あるいはこの辺が多少理解できるかなと思ったのですけれども、何だかやっぱり私どもとしてはふに落ちないところがたくさんございます。
そこで、消費者に対する皆さんからのPRも、メリケン粉というものは、実際に使ってみれば、もう二、三ヵ月家に置いておけば虫ずってしまって、そう何ヵ月も置いておけるものじゃないんです。ですから、その点も、業者の皆さんは消費者にもそうたくさんお買いになるとこうこうしかじかになりますよということも多少あそこの店頭に書いて教育してほしいと思うのです。ただお一人さま一袋にお願いしますと、こう書かれますと、むしろこれはやっぱりないんだと、いよいよメリケン粉がないんですと、こういうふうに不安をかき立てられるようなことであって、メリケン粉はそういつまでも置いておけるものではありませんということも、むしろついでに御親切ならば書いておいてほしいと、こういうふうに私どもは思うわけでございますけれども、きょう午後にまた今度の国民生活安定法案の審議がございますから、そのときも私いろいろ追及してまいりたいと考えておりますけれども、とにもかくにも、トイレットペーパー以来、何か物が不足したのはみんな消費者が悪いんだと、こういうふうによく言われますけれども、おそらく皆さんはきょうは遠慮しておっしゃらないと思いますけれども、ほんとうはこの原因はやっぱり私は政治不信につながっていると思います。ですから、消費者はとにかく何を持っていれば一番安心かといいますと、たとえそれが虫ずっても腐っても、物を持っていることがいま一番安心なんです。そういうところに今度消費者も多少二、三ヵ月分あるいは四、五ヵ月分買い占めた原因もあろうかと思いますけれども、まあパーセンテージからいけばそれはあんまり多くはないわけですね。ですから、何とかしてメリケン粉の行くえを私どもは今後追っかけてみたいと思うわけでございます。
そこで、先ほど山崎さんのほうからお話がございました、あるいは石原さんのほうからお話がございました、このごろ国民の口が肥えて肥えてと、こういうふうにおっしゃられて、これもやっぱり国民は確かに口も肥えました。しかし、それもいままで何べんもやりとりがありましたように、国民が先にぜいたくになったのか、皆さんのほうがいいものを高く売ろうということでいいものを先につくっておしまいになったのか、その辺はやっぱり鶏が先か卵が先かわからないような問題です。これはパンだけではなくていろいろな点にそういう点はございます。まあ石油の問題からこれが一つのいい警鐘になったかもしれませんが、とにかく私は業者の皆さんにお願いをしておきたいことは、消費者運動をいろいろ私どもグループがやりますね。ところが、消費者運動をなぜやらなくちゃいけないかということですよ。たとえばパンならパンを、これは無漂白にしてください、漂白したのはやはり私どものからだに悪いです、こういう添加物は使わないでくださいと、こうお願いしても、味をよくするためにはうちは無漂白はやりません、こういう添加物を使います、長持ちするためにも防腐剤を入れますと、こういうふうなことになるわけですね。ところが、いま消費者運動のほんとうの根本は、そういったようなものをやめてほしいと、こういうふうに言っているわけですね。それはパンだけではなくて、そのほかのいろいろなものに対してもそうなんですけれども、私は生産者がほんとうにこれから良心的な仕事をやっていただかない限り、消費者からある点ではそっぽを向かれる時がきっと来ると思います。その点で、ほんとうに良心的な仕事をやってほしいと、こういうふうに思うわけですね。ですから、きょうおいでになった皆さんと消費者との間に不信感があるということは、政治不信以上にもっと私は重大なことだと思いますので、その辺の皆さんのこれからの御決意をひとつ伺いたいと思います。むしろ、消費者がもう少し賢くなって、消費者自身から物をつくらせる、つくってもらう、こういうものしか要りません、こんなにたくさんのメリケン粉の種類は要りませんと、あるいはパンだって、こんなにたくさんの種類は要りませんと、これこれのパンをつくっていただければけっこうでございますと、こういうふうに消費者が言えるように、消費者運動がそこまで発展したら私たいしたものだと思いますけれども、いまの段階ではまだまだそこまでいかないで、あてがいぶちをいただくわけですから、その辺をこれから皆さんのほうでもひとつぜひとも決意をしていただいて、ほんとうによいものを安心して食べられるものを提供していただきたい。この点で皆さんのお話があれば御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/88
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089・飯島一郎
○参考人(飯島一郎君) ただいまの中沢先生のおことばでございますけれども、私どももこの仕事を始めさしていただいて二十五年たちました。で、われわれ全くのしろうとからこの道に入ったのでございますが、この道を歩んでみますと、結局、企業の存続を左右するものは消費者であると、この考え方は非常に幾多の経験を経まして強く感じております。
それからわが社におきましてはいま先生おっしゃいますようにいろいろな添加物あるいは色素というようなものはもう極力使わないようにしておりますし、食パンなんかにおきましても醗酵条件がきわめて適切であったりあるいは工場が衛生的でありますと、比較的夏場のような高温多湿の際でもカビがはえないものでございます。もちろん材料がいいということが前提にありますが、このことにつきましては、私もやや日本全体が個性化とか差別化とかを追求するあまりぜいたくになっておるのではなかろうかというような反省を深くしておりまして、いま先生の御指摘のように、できるだけ経済的に効率的にわずかの資源というものを国民全体が公平に使用するというような方向にわれわれもささやかながら全力を尽くして奉仕をさしていただきたいと思っておりますので、どうぞひとつ今後とも御指導をよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/89
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090・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 それじゃ、もうあとほんのわずかな時間でございますから、端的にお伺いいたしたいと思います。
実は、いままでも各委員から述べられましたように、昨日も実地視察を行ない、本日も各セクションの小麦粉の流れということがわかるようにということで参考人の皆さん方のお話を伺ってみたわけです。で、いま国民は物の流れというのがどうなっているかということが一番頭へ来ているわけで、これは国民を代表して参議院としてどうなっているのかということの実態を明らかにするという立場で、きょうもお伺いをいたしましたし、昨日も拝見をいたしましたけれども、まさにその実態というものは簡単にわかるという状態ではないということだけは明らかになった。といいますのは、生産メーカーは日躍日も返上してどんどんつくっている、どんどん出荷していると、こうおっしゃる。ところが、小売りあるいはスーパーあるいはパンの製造メーカー、ここは来ないと言うわけですね。一次卸の特約店さんでは、そんなもの積み上げておく倉庫はないと言う。これは非常に不可思議千万なんです。つくっているほうはどんどん出している、どこにもとまっていないとおっしゃるのだけれども、末端にはない。ダイエーのようなスーパーでたった百五十袋しか来ないとか、そういうことでは大体困るわけです。で、こういう点はこれはお伺いをした範囲でわかるというふうに私どもも思っておりませんし、わからないという状況だというのが率直なことなんで、端的にお伺いだけをしておきたいと思います。
まず、最初に、児玉参考人なんですが、これはここでお伺いをいたしたいのは、輸入関係の問題はいろいろ御質疑もありましたので参考のためにお伺いをしたいのですが、原麦の輸入について商社が扱っていると。製品については商社は扱っていらっしゃらないのかいらっしゃるのか、この点をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/90
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091・児玉一弥
○参考人(児玉一弥君) 商社も小麦粉の取り扱いをいたしております。で、小麦粉の取り扱いの形を御説明……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/91
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092・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 簡単にどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/92
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093・児玉一弥
○参考人(児玉一弥君) 私ども実は日本製粉さんの粉を扱っております。大体全店で一ヵ月に百万袋ぐらい扱っております。形といたしましては、パン屋さんのユーザーに直接納める分と、それから一次問屋を通しましてユーザーに納める分と、それから一次問屋さんを通しましてユーザー及びざら場に流す分でございます。これらは全部ユーザーさんから私どものほうにきょう何袋運んでくれという御指示がございまして、それを日本製粉さんのほうに申し上げて、先ほど石原参考人がおっしゃったように、日本製粉さんが直接ユーザーさんのほうに運んでおられる。それで、私どものおもな機能といたしましては、このような取り次ぎ、あるいはユーザーさん、一次問屋さん、二次問屋さんへの信用の供与、そういうのがおもな仕事になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/93
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094・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 時間があんまりありませんので突っ込んでお伺いできませんけれども、それでは次に丸山参考人にお伺いをしたいのですが、日清製粉さんでは商社に代理店などとして委託をしているというものがあるのかないのかという点が一点。
それからもう一つは、十二月から原麦が三五%値上げをされたと。したがって、政府の指導もあって十二月中はまあ商業ベースに合わないけれども社会道徳的にとにかくがんばっているんだというようなお話が御報告にありました。で、年内はということが政府の指導でございますが、そうすると、一月からどうなさるのか、上がるとしたどの程度上がるのか。まずそれをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/94
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095・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) ただいまのは、十二月中は旧値でずっとやります。現在の値段でずっとやっていきます、粉は上がりませんので。一月から、先ほども申し上げましたとおり、もう発表もいたしておりまして、平均で言いますと五百七十円ぐらいということで、一等粉、二等粉、三等粉とございますので銘柄によって若干違いますけれども、これは値上げをさしていただくと、こういうことでございます。
それから商社は私どものほうもお願いしておりますけれども、一部でございます。いまの児玉さん、日本製粉さんなんかよりは少ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/95
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096・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 そうしますと、一月からはまあ銘柄によって違うけれども五百七十円上がると。これはやっぱり国民がいま一番注目しておりますのは、先ほども御意見がありましたように、原麦の上げ幅三五%というのはちょっと上げ幅が大き過ぎたんじゃないかというような御意見も率直に出されておりますが、原麦をそんなに上げたのはいい悪いはこれは別の問題といたしまして、そういう上げ幅ができた場合に、製粉メーカーさんとして原価を国民の前に明らかにしていただくということが非常に大事になってくるのじゃないかと思うのですが、たとえば日清製粉さんですね、値上がりになった場合、原価の公開というふうなことがおやりになれるかどうか、これが明らかにされますと、国民は非常に安心ができるわけですね。その高い安いの問題についての不満あるいは満足度、いろいろあると思います。その辺はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/96
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097・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) 上げ幅についてでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/97
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098・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 いや、製品です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/98
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099・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) 製品は大体もうこれはいろんな書類でおわかりいただいておりますのであれでございますけれども、原料費がほとんどでございます。九〇%近くが原料費でございまして、あとはまあ大量生産でやっておりますので、利益率も御承知のとおり一・五%ぐらいです。御承知かどうかわかりませんけれども、とにかく大量に製造しないと製粉というのは合わないということで、もう原価率というのが九〇%ぐらいというふうに思っていただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/99
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100・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 私は日清製粉さんの製造コストあるいは原価というのが高いとか安いとかいうことをいま問題にしているのじゃないんです。いま国民が物価の急騰あるいは高値安定などで大問題になっておる最中ですが、一番知りたいと思うのは、そのものが製造原価がどれだけかかるかという点が国民の前に明らかにされるかどうかということが非常に大事な点になってきていると思うのです。で、いまおっしゃったように、ほとんどが原料費だというふうにおっしゃっているわけですが、原料費が何十%で幾らだと、平均加工賃は幾らだというふうなことが明確にされて公表できるかどうか、その点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/100
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101・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) いま申しましたとおりに原料費が九〇%でその他一〇%ということになっていまして、その中にいま言った利益率が一・五%ぐらい含まれている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/101
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102・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 いま私がお伺いするというだけではなしに、必要なつど公開するということができるかどうかという基本的な立場を伺っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/102
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103・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) その公開ということが私ちょっとよくわかりませんが、要するに、小麦粉の売り値の原料が幾らで、たとえば電力料が幾らだとか、固定経費が幾らだとか、比例経費は幾らと、こういうことでございましょうね、御質問の意味は。それは現在資料を持っていませんけれども、当然説明できなければおかしいものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/103
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104・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 それは原則として原価を公開はできますと。一般的に公表するというのじゃなくて、たとえば国会審議あるいは審議会等に求められたら公表するというお立場でございますね、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/104
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105・丸山幸治
○参考人(丸山幸治君) さようでございます。そういうことで私は当然でないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/105
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106・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 時間がありませんので、もう一つ二つ端的にお伺いをしておきたいと思いますのは、これは飯島参考人にお伺いしたいのですが、これは先ほどもおっしゃっておられましたが、一斤当たり六円五十銭ぐらい高くなる、パン一斤当たりの粉が。そうしますと、これは十二月の現在では値段を上げておられるのか。おられないのか。上げていないということであれば、来年からはどうなさるのか、どのくらい上がるのか、その点をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/106
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107・飯島一郎
○参考人(飯島一郎君) ただいまの件でございますけれども、現在は上げておりません。先ほど竹田先生からも御指摘がありましたが、十月の一日に食パンの価格改定をいたしまして、六十円のものをなくして七十円を最低にいたしました。それから粉が上がっただけでなしに、先ほどお答えしましたように、各種原材料、包材、それから人件費、輸送経費が上がっておりますので、まだ具体的に詰めておりませんけれども、どうしてもこれはやはり価格を改定せざるを得ないと思っております。ざっと計算いたしますと、いままでの利益を確保するということで前提条件をそこに置きますと、現在七十円のものは百円くらいになってしまいます。もう実に私たちもあぜんとするような諸物価の値上がりでございまして非常に困ってしまっておるのでございます。けれども、それを、だからそういたしますと申し上げているわけじゃございませんので、いろいろとまた各種努力をいたしまして、何とか皆さま方の御期待に沿うようにさせていただこうと考えております。まだ具体的には詰めておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/107
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108・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 それじゃ最後に竹本参考人にお伺いしたいのですが、小売り値というものを大体何を標準にしてきめるかという問題にかかるわけですが、昨今のような品がすれあるいは急暴騰というふうな状況の中では、よく小売りの部分で暴利をむさぼっているんだというふうな見解などというのがえてして出るわけです、私はそう思っておりませんが。そういう状況なので特にお伺いをしたいのですが、私は、小売り屋さんというのは消費者と一番直結をしているので、小売り商品なら一円でも安いところへ消費者が集まるというふうなことで、むしろ安値をつくっていける状況の競争になるのではないかというふうに、大体市中の状況を見ていたら思うわけですけれども、その点で、もう時間がありませんので端的にお伺いをしたいのですが、製造原価というのですか、あるいは工場出し値、そういうものによって小売り値というのは左右されるのではないかというふうに思うのですけれども、その点はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/108
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109・竹本連
○参考人(竹本連君) 小売り価格の値づけにつきましては、原則的には、いま御指摘のありましたように、私どもの仕入れ価格によって左右をするわけでございます。したがいまして、市場の状況によりまして価格を上げ下げするということはほとんどやっておりません。どちらかと申しますと、市場の状態によりまして値段を動かす場合には、主として値下げをするということが主体になっております。したがいまして、現在私どもでも仕入れ価格の上昇がない限り、販売価格につきましては一切動かしておりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/109
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110・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 まあ全部お伺いできませんけれども、いまお伺いをした範囲でも明らかなように、製造原価も上がると。当然製品も七十円の食パンが百円に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/110
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111・飯島一郎
○参考人(飯島一郎君) いや、先生、これは誤解しないでください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/111
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112・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 いやいや、上がるかどうかはわかりません。そういうふうになるというふうな状況だというのは客観的な事実ですね。そういう中で、やはり先ほどから参考人の皆さんの御意見がありましたように、政府が値上げをするということを予告したということが前提になっての品物の雲隠れだというふうにしか、まあ仮需要の増という形で表現されておりますけれども、そういうことがわずか全体の三%程度の消費量である家庭の消費者に対して物がないというふうな結果になってきておるのじゃないかというふうにしか考えられないわけですけれども、そういった点について御意見がありましたら御意見を述べていただいたらけっこうですが、私いろいろお伺いした範囲でそういうふうな見解を持つものですが、御意見がありませんでしたら以上で終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/112
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113・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 参考人に対する質疑はこれにて終了いたします。
参考人の方々には長時間にわたり有意義な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/113
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114・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 次に、連合審査会に関する件についておはかりいたします。
石油需給適正化法案について、商工委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/114
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115・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
また、国民生活安定緊急措置法案について、地方行政委員会、大蔵委員会、農林水産委員会、商工委員会、運輸委員会及び建設委員会からそれぞれ連合審査会開会の申し入れがございますので、これを受諾することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/115
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116・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、連合審査会開会の日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/116
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117・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
午後二時三十分に再開することとし、休憩いたします。
午後一時三十四分休憩
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午後二時三十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/117
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118・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) ただいまから物価等対策特別委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、国民生活安定緊急措置法案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/118
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119・前川旦
○前川旦君 ただいまからこの二法の審議に入るわけでありますが、私は、この法案の内容よりも、むしろその前提になるいろいろな問題につきまして国民の素朴な気持ちを率直にお尋ねしたいと思いますが、最初に、経企庁長官から、この二法の通ることで物価の安定についてどの程度の効果があると期待しておられるのか。たとえば参議院の予算委員会では、総理は、早くこの二法を上げてもらいたい、こういう権限が必要なんだ、権限がなくて物価安定をやれと言われても、手足を縛って飛べというに等しいというような表現を使っておられる。ということは、ずいぶんこの法律に大きな期待をかけている、こういう趣旨の発言がたびたびあったように思います。そういう意味で、長官は、この二法によってどの程度の効果を期待しているのか、国民もそれは聞きたいところなんです、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/119
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120・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 物価が異常な高騰をいたしておりまして、政府もこの課題を最大の政治課題として取り上げておるわけでございまして、すでにこの春以来、いわゆる総需要抑制策というようなものを、金融とかあるいは予算の執行でありますとか、その他需要面を押え込むことをずっとやってきておることは、前川さん御承知のとおりでございます。しかし、もちろん、この総需要抑制策というものは、今後もこれを維持するばかりでなしに、強めていくということを政府は考えておりますが、それだけではどうしても足りない。やはりその片一方で個別物資対策をやっていかなければ物価対策としてはやむにやまれないというような気持ちを私どもは持つわけでございまして、そこで、石油の需給適正化法はもちろんのこと、私どもがお世話をいたすことになっておりますこの国民生活安定緊急措置法によりましても、個別の物資につきまして価格の面で、あるいはまた品物が手薄の場合には輸入の特別措置を指示するとか、あるいは生産の特別措置とか、あるいは出荷とか輸送とか、そういうような価格並びに物の動きの個別対策をもどうしても講じなければ物価対策として十全は期し得ないと、こういうことでございまして、この法律を制定していただきますならば、この法律に定められる手段をでき得る限り有効に講じまして、そして今日のような異常な物価事態を何としてでも押えてまいりたいと、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/120
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121・前川旦
○前川旦君 そういう考え方はたびたび伺っているんです。予算委員会で田中総理はかなり思い切ったことを言っておられる。というのは、政治責任ということまで——全力を尽くしてやると、それで効果があがらないときには政治の責任を免れることはできないというふうな強い発言があるわけです。そういう立場で私は伺っているわけでありますから、この二法を通してこれを運用することによってたとえば何月ごろまでにはどれほどにしてみせるとか、あるいはそれができなかったら責任をとるとか、そういうような強い姿勢というか、お考えがあるのかどうか、それを聞きたかったわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/121
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122・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 今日、物価が、毎月、卸売り物価で申しましても、十一月は前月に比べて三%の上昇を見た。これは国際的に見ましても毎月国際的な物価も上がっておりますし、したがって、輸入価格も上がっておるわけでございますが、この法律が通りましたならば何月までにその上がりをとめるということは私の立場から明確には申し得ませんけれども、しかし、そういう激しい上がり方を、この法律による個別対策によって少なくともできる限り早く食いとめていくと、こういうことに全力を尽くすほかないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/122
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123・前川旦
○前川旦君 私はなぜそういうことを言うかというと、この物価の上昇は異常な状態であります。まさにいままでの発想法で取り組んでいくような問題ではないと思いますね。ですから、いまのようなことではなくて、ほんとうになりふりかまわず物価の抑制に努力するんだというそういう強い姿勢と責任感をお示しいただきたいというのが私の実は気持ちでありますから、その点を踏まえて御決意を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/123
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124・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 私は決して漫然と申し上げているわけではなしに、ほんとうにこの激しい物価の値上がりを押えて国民生活を守りたいというその決意と熱意に燃えておるものでございます。でございますので、つい一両日前にも、すでに決定をいたしておりますところの国鉄料金にいたしましても、あるいは消費者米価にいたしましても、これは私から言い出しまして、それをやるにあらずんば、こういう法律を通していただいても、政府が上げるものは上げておいてそして一般民間で動いておる物資について標準価格で押え込むというようなことはとてもそれはやれるものじゃないじゃないかということで、大蔵大臣とも相談の上、狂欄を既倒に返すような思いでああいう措置もとることにいたしましたし、また先般、異例の談話だといわれましたが、この法律を制定しますとだんだん標準価格とかあるいは特定標準価格をつくることになりますが、それまでにいろいろな段階で先取り的な値上げが起こるようなことを押え込むようなああいう談話をいたしましたのも、いま申しますような私どもの真剣な決意を表明いたしました一端と御理解をいただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/124
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125・前川旦
○前川旦君 それでは、具体的にいろいろ議論を進める中でさらに深めていきたいと思いますが、日銀の総裁、わざわざおいでいただきましてありがとうございます。お忙しいようですから質問を先回しにして日銀総裁にお尋ねをしておきたいと思います。
公定歩合の引き上げ二%ということが決定したと新聞に出ておりますが、これはこのとおり実行されるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/125
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126・佐々木直
○参考人(佐々木直君) まだ公定歩合については全く何の決定もいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/126
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127・前川旦
○前川旦君 そういたしますと、十九日の各新聞に大蔵省との間で合意したと出ておりますけれども、この記事との関連はどうなんでしょうか。ただいまのお答えとの間の関連はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/127
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128・佐々木直
○参考人(佐々木直君) いわゆる公定歩合は、日本銀行の政策委員会において決定すべき事項でございまして、いろいろ新聞の方がニュースをさがして見当をおつけになってそういうことになるだろうということを記事にされたものだと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/128
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129・前川旦
○前川旦君 十一月十五日の新聞に十四日の記者会見での総裁の会見の内容が出ておりますが、その中には「現在の引き締めは相当強いものだ。現在ある判断材料でみるかぎり、このうえさらに引き締めを強化するのは適当でない」と語られたと伝えられておりますが、このとおりなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/129
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130・佐々木直
○参考人(佐々木直君) それは十一月の十四日でございますか。——十一月の十四日の段階では、私どもとしては、いままで手を打ちました金融引き締め政策の効果が実体経済の上に及んでくるその行き方を見てまいりたいと、こう考えておったわけでございます。ところが、その後油の輸入が削減されるというようなことが登場いたしまして、そして十一月の下旬における卸売り物価は相当大幅な上昇を示しました。結局、十一月中の卸売り物価が三・二%上昇するということがはっきりしてまいりました。さらに十二月に入りましてもいろいろな商品の価格の大幅な引き上げが相次ぎまして、こういう状態はいままでの考え方で律することは不適当である、さらに新しい見地から問題を再検討する必要があると、そういうふうに考えて、今日検討を続けておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/130
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131・前川旦
○前川旦君 そういたしますと、この談話以後にいろいろ条件が変わるというか、卸売り物価の高騰が激しく続くということで検討を続けておられるということは、公定歩合の引き上げを実行するという方向で検討されておられると思いますが、そのとおりでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/131
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132・佐々木直
○参考人(佐々木直君) そう御理解いただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/132
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133・前川旦
○前川旦君 その場合の上げ幅は二%と報道されておりますが、そのとおりに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/133
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134・佐々木直
○参考人(佐々木直君) その具体的な上げ幅は最終的に政策委員会で決定されますので、いま私から申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/134
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135・前川旦
○前川旦君 そうしますと、かなり高いところで引き上げる方向であるというふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/135
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136・佐々木直
○参考人(佐々木直君) そうお考えいただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/136
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137・前川旦
○前川旦君 それから私は率直な話をいたしますけれども、来年は参議院選挙がございますね。ですから、三月、四月の段階で緩和されるであろうという観測記事がずいぶん出ておりました。私はそういう選挙とかというものに関連さすべき問題ではないと思います、もちろん総裁もそうお考えだと思いますが。引き締めは長期化というふうに談話では言っておられますが、いまこの引き上げをかなり大幅で検討しておられるということですが、おそらく上げるということになると思いますが、その引き締めはさらにかなり長期にわたって続くと考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/137
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138・佐々木直
○参考人(佐々木直君) 問題は、物価が今後どういう推移をたどるかということでございます。もし物価が早く落ちつくようでございますれば、金融面の緩和も早くできるようになります。あまりに強い金融引き締めを長く継続することは、その副産物としていろいろ問題も起こりますので、私どもとしてはできるだけ早く効果をあげて緩和に転じたいと思いますけれども、ただ、最近の物価のいろいろ足取りから見てもうこれは短いんだというようなことを予想できるような環境ではございませんので、私は現在の段階では引き締めは相当長く続くことを覚悟してほしいということを皆さんに申し上げておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/138
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139・前川旦
○前川旦君 そこで、引き締めはいつまで続くのか、いつから緩和されるのかというのは、世間もいろいろ気になるところなんですね。そこで、十月二十五日の記者会見の記事が二十六日に載っておりますが、「卸売物価の上昇が数か月間の横ばいの状態になったとき引き締め効果が出たと判断したいが、いまの国際商品市況の高い状況では、物価の下落を引き締め効果として期待するのは難しい。」と言われたということが出ております。これは記事ですから、速記録ではございませんから、このとおりだったかどうか私はよくわかりませんが、どの段階で引き締め効果が出たと総裁はお考えになりますか。たとえばこの卸売り物価の上昇率がとまった、数カ月にわたって安定して動かないと、この段階が引き締め効果があった、したがって、その段階までは続けるんだというふうに解釈してよろしいでしょうか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/139
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140・佐々木直
○参考人(佐々木直君) この問題は、数字でこまかく固めてあらかじめ予定を立てるということはなかなかむずかしい性質のものだと思います。したがって、〇・二とか、〇・三ぐらい上がったのを横ばいと見るのか見ないのか、そういうような判断は、そのときの全体の物価の傾向、それから物価の部門別と申しますか商品別の内訳でどういうふうになっているか、海外の要因だけではっきりこれが国内に影響しておるというようなものであれば、それは国内の要因としてまた特別に考える必要もない、いろいろなそういう分析が必要であろうと思います。したがって、どういう段階になれば物価が横ばい、落ちついたと見るかということにつきましては、毎月毎月ゼロがたとえば五ヵ月続かなければならぬといったようにきちんときめる目標はなかなか立てにくいと思います。ただ、いま申し上げましたような内容的な検討で、まあこれで数ヵ月こういう状態が続けば、大体上昇の勢いがとまったと判断してよろしいということが考えられれば、それで一応物価は横ばいになったんだという判断、それで物価に対する効果は政策的にはある程度出てきたと、こう考えてよろしいのではないか、非常に常識的な言い方でございますけれども、そういうふうな考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/140
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141・前川旦
○前川旦君 わかりました。私はその常識的なラインというのは結局妥当なラインだろうと思いますので、私もそう思います。
そこで、金融政策につきまして、いままでいろいろな批判がございます。予算委員会では田中総理もそういう発言をしていたと思いますが、その一つは、たとえばいままでの引き締めがおそきに失したという批判があります。それから小刻みの小幅な引き上げではとてもだめだったんだと、こういう批判もあります。そういう批判に対してはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/141
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142・佐々木直
○参考人(佐々木直君) 私もそういう批判をいただいていることを存じております。私どもとしては、いろいろな情勢を十分判断して適当な時期にやったと思っておりますけれども、現実に今日のような物価の高騰が目の前にあるわけでございますから、そういう事実を目の前にしていろいろ批判を受けるということは、これは私どもとしても反省をしなければならないと思います。ただ、具体的な一々のわれわれが打ちました手について、これが何ヵ月どうだったかということになりますと、これはいろいろまた具体的な理由その他を御説明しなければなりません。したがって、ここでいまのお尋ねに対しましては、私ども一般の問題として現実の姿の前に私どもとしてはいろいろ反省をいたしているのが現実であるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/142
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143・前川旦
○前川旦君 政策には慎重にしなければいけないという面がありますね。その結果論、結果から見てとやかく追及するというのはなかなかむずかしいことですね、実際問題として。しかし、なぜ私はそれを聞きたかったかと申しますと、これから本格的な高金利政策というものが定着していくのでしょうか、定着させるというふうにお考えなのでしょうか、その点いかがなんですか。たとえばヨーロッパ、先進国ではだいぶありますね。日本もそういうふうになっていくのでしょうか、そういうふうにしていくというお考えなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/143
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144・佐々木直
○参考人(佐々木直君) いま、このような経済の実体、それから物価の上昇、そういう点から考えまして、金利水準は当然上がってしかるべきものと思っております。しかしながら、高金利がいいのだ、高金利に政策的に持っていくのだ、いまの物価の問題その他から離れて政策的に金利を高いレベルに上げていくのだという考え方は持っておりません。いまの金利の動かし方は、経済の調整、物価上昇の抑制、そういう特殊な目的のためにいまとっている政策でございまして、一般的な水準をどういうふうにするかということをいまの高金利政策の中に織り込めているものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/144
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145・前川旦
○前川旦君 これはきわめて素朴なお尋ねですけれども、国民の大多数が抱いている疑問なんですね。たいへんな物価上昇が続いておりますから、銀行から金を借りた者が得をするわけなんです。銀行に金を預けている庶民は目減りして損をする。借りてその金を使う、あるいは投資をする、その力のある者は得をしているわけなんです。ですから、金を借りている大手の企業は、当然そこに出てくるのはインフレ待望論だと思いますね。インフレになればなるほど、物価は上がれば上がるほど、借りた金は目減りするわけですから。そういうインフレ待望論が日本の産業の中に定着してしまっている。これを退治しないとどうにもならぬのではないか。その辺を、こういうたいへんな激動期でありますから、思い切ったドラスチックな手は打てないものだろうか、私はこういう疑問をいつも抱くのです。たとえば企業の自己資本の割合を見ても、一五%から二〇%の間、一五%台だという話を統計数字は示していますね。こういう姿はおそらく日本と韓国くらいじゃないのでしょうか。先進国の間にはこういう姿はないと思うのです。ですから、これがますますインフレに拍車をかける、悪循環を及ぼすと思いますね。ですから、それを根本的に退治をする方法を金利政策の面でとる道はないのだろうかどうだろうか。たとえば、一つの例として、思い切った高金利政策があります。これは預金金利もうんと上げる、貸し出し金利もうんと上げるというやり方もあると思いますけれども、従来の惰性ではどうにもならない時代になっているのじゃないか。何か思い切った手を打つ、発想の転換をぱっとしなければいけない時期ではないだろうか、そういう危機感を私は感ずるのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/145
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146・佐々木直
○参考人(佐々木直君) 先ほどからできるだけ大幅な金利の引き上げを考えているというふうに申し上げましたのは、ただいま御指摘のありましたような最近の経済の実体、非常に憂慮すべき物価の上昇、そういう中で一つの対策として考えているわけでございます。ただ、先ほどお尋ねがございました一般的な金利水準をどういうふうにするかということは、いまの緊急対策の問題とは一応離れて考えるべき問題だと思います。たとえば、一昨年には卸売り物価は多少でございましたけれども下落しております。ですから、そういうときに非常に高い金利をかけるという必要はなかったと思います。しかし、いまになりますと、これだけ物価が上がりますから、やはり高金利政策というものでいかなければならない。そういうふうに、金利政策というものは、そのときそのときの経済の実情、物価の変動に対処して機動的に動かしていくのがその効果を生かす上で大事ではないか、こう考えております。
日本の企業が自己資本が非常に少ない点、これは企業の弱さをあらわしておると思いますし、いろいろの変動に弱い面もございますけれども、私は、その比率につきましては、おととしもことしもそう変わっておりませんし、自己資本の比率の低さがインフレーションの原因になっておるとは、いまの段階ではそう考えておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/146
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147・前川旦
○前川旦君 それはまあ見方はいろいろありますけれども、それは原因なのか結果なのか、結果と言えば結果とも言えますね。しかし、根強いインフレになれば得をする人がいる、しかもそれが非常に強い力を社会的に持っている。極端に言うと、政策全部を動かすほどの大きな力まで持っているグループである。つまり、うんと設備投資で大きな金を借りている。ですから、そういうところを何か締めていって、金を銀行から借りれば結局は自分が苦しむんだというような形に持っていく道はないのだろうか。私は、その辺を日銀さんは本気でやっぱり考えてほしいというふうに思いますね。たとえば、公定歩合が上がりますね。そうすると、大企業が設備投資に大きな金を借りていますね。その場合、おそらく数行の複数の銀行が協調して融資しているのだろうと思うのです。かりに一%上がったら、それじゃすでに貸してある既貸し出しの金利もそれに応じて一%上がるのかというと、必ずしもそうではなさそうなんですね、金利の上限はあっても下限はありませんから。銀行とその大企業との話し合いで、一%上がったら、そうしたら一%上げるか〇・五%上げるかというような話し合いで次の手形の書きかえ時期にはやるんだという慣例になっているようです。その辺で大企業に対する貸し出しの金利をもっと引き上げて金を借りにくくするというような基本的な何か方法があるのじゃないだろうか。皆さん方専門家ですから、そういう面で検討するという姿勢があっていいのじゃないかと思いますが、その点はいかがなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/147
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148・佐々木直
○参考人(佐々木直君) 今度わりあいに大幅な公定歩合の引き上げを検討中であると申しましたのは、やはりそういう面から銀行の貸し出しを企業が借りにくくする、要するにコストが高くなりますから。そういうふうに考えてそういう政策を打ち出そうとしておるのでございまして、いまの金利の制度では、貸し出しのほうの面につきましては、臨時金利調整法に従って最高限度がきまっております。それで、その最高限度の範囲内において企業と銀行が話し合って金利をきめておるのが実情です。ただ、標準金利と申しまして大企業に対する貸し出しを中心とするものでございますが、これは大体正確に公定歩合が上がっただけは上げる、そういうふうになっている部分がわりあいに大きいのでございます。したがって、そういう点を考えますと、大企業にとっては公定歩合の大幅な引き上げというものは非常に資金コストの上昇につながるという面があると思います。ただ、貸し出し金利の最高限度をなぜきめているかということは、実はやっぱり貸し手のほうが強いのだという頭でできておりまして、むやみに高い金利を取らないようにということで上が押えられている。銀行から金を借りているものには中小企業もずいぶんたくさんございます。こういうところが、最低のところを上げるというような制度を持ち込みますと、そういうところがかえって苦しむということにもなりかねません。そういう点を考えますと、もちろん私どもとしてもいまのそういう金利のきめ方が最上だと思いませんし、今後もそういう点の改善に勉強していかなければならぬとは思いますけれども、当面すぐ借り手が強いという前提での改正を具体化することは、ちょっとなかなかむずかしいのではないかと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/148
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149・前川旦
○前川旦君 それでは、日銀総裁、最後に、先ほど政策委員会でおきめになるとおっしゃいましたが、そのきめる政策委員会はいつお開きになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/149
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150・佐々木直
○参考人(佐々木直君) 政策委員会は毎週火曜日と金曜日にやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/150
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151・前川旦
○前川旦君 いや、それをきめる政策委員会はいつでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/151
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152・佐々木直
○参考人(佐々木直君) いまの段階では、まだきめる委員会がきまっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/152
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153・前川旦
○前川旦君 けっこうでございます。お忙しいところをどうもありがとうございました。
それでは、質問を最初に戻します。
先ほど、経企庁長官は、公共料金の凍結を主導権を持たれて強く主張されたという発言がありました。そこで、これは新聞の記事だけでありますから、こういう正規のところでまだ伺っていないと思うのですけれども、消費者米価と国鉄運賃の値上げは、ともに十月まで新聞記事どおりに延期なさるわけですか。これは法律の改正も必要ですね、国鉄の場合なんか。ですから、そのことを含めて、いつごろそれじゃ国会にその改正案を出されるのかを含めてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/153
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154・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 正確に申し上げますと、国鉄料金、消費者米価の既定の引き上げを、来年度半年間抑制する方向で検討するということを先般相談いたしてきめたわけでございます。これは、抑制いたしますと、財政上の問題もございましょうし、いま御指摘のような法律上の問題もございますので、そういう手続的なことにつきましては正式にはこれからきめられる問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/154
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155・前川旦
○前川旦君 いえ、私が伺いましたのは、予算の年内編成と言われておりますね。当然予算の編成の中に入ってくるわけですから、もうこれは確定的なことなんだ、十月までは確定的に延ばすんだということを公式の席上でお話しいただければそれでいいわけなんです。これは間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/155
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156・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 予算の編成あるいは法律の提案にはそれぞれ主務大臣がおられるわけでありますが、私は、物価に関する政策担当者の一人といたしまして、それなくして今日の事態は乗り切れるものではないということを大蔵大臣にもまた自民党の幹部の皆さま方にも申し入れをいたしまして、そういう方向で検討する、具体的措置をそれぞれしかるべき機関でしかるべき時期にとると、こういうことになったわけでございますので、手続的のことはこれからそれぞれ運ばれるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/156
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157・前川旦
○前川旦君 何かどうも回りくどくてよくわかりませんが、これは大蔵省に聞きましょう。そのほうが妥当でしょう。このとおりで予算編成されるということですか、方針はこれで間違いないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/157
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158・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) 国鉄運賃につきましては、法の改正を要しまするので、法の改正があるものと予想いたしましてこれに対する財政措置を講ずる考えであります。
米価につきましては、さらに六ヵ月延期した場合に、経済情勢の変化もあり、あるいは米価体系にも何らかの変化があるものと予想されますので、それまでは値上げをしないということで予算の措置をいたしまして、その時点においてさらにまた米価の問題を考慮しなければならないと考えて、その用意をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/158
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159・前川旦
○前川旦君 それでは柳田次官、これは間違いなしにこのとおり行なわれるというふうに私はここで理解をしたいし、また確認をしたいと思いますが、よろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/159
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160・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/160
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161・前川旦
○前川旦君 それでは、大蔵省は、これは一応十月ですね、十月以降は一体どうされるのか。つまり、十月までは延ばす、十月には物価の動向がどうであろうと十月になったら必ず上げるのだということでしょうか、それとも、十月の段階でもまだたいへんな物価上昇が続いている場合にはさらに凍結を延長するということもあり得るのでしょうか、どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/161
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162・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) 国鉄運賃は国鉄運賃法の決定によってきまることでございますので、ただいま考えられておりますのは、九月三十日まで現状とし、十月一日からこれを実施するということになっておりますので、大蔵省はその措置をいたしますが、さらに運賃法の改正が行なわれるということになりますれば、そのときの経済情勢に伴って予算措置も行なわなければならないと考えております。いまから次の段階まで用意して財政措置はいたしておりません。米価に対しましても同じでございます。そのときの時点における政治経済情勢というものが大きく反映するものと考えますが、大蔵省としてはその予測はできませんので、そこまでは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/162
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163・前川旦
○前川旦君 それでは、経企庁長官にいまのお尋ねをしたいと思いますが、この十月まで凍結するという措置は、私はそれなりに評価をいたします、こういう段階ですからね。ただ、一般の消費者が考えていることは、半年では少ない、一年ぐらい延ばしてほしいという意見もあれば、それなら思い切ってもう白紙撤回をしてもらいたいという素朴な気持ちがあるんですね。そういう気持ちがありますから、半年後には上げるんだということなのか、そのときの物価情勢によってはさらにそれが凍結が延びるというふうに考えていいのか、その辺を国民は聞きたいんですよ。ですから、それは経企庁長官としてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/163
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164・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 私の役目柄、公式の申し方をしますと、ただいま大蔵次官が申されたとおりでございますと、こう言うほかないわけでございますが、私の真の気持ちは、とにかく半年凍結をしておく間に物価の上昇抑制のための他のあらゆる措置を講じてまいると、こういうことで私は半年ということで皆さんと相談してきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/164
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165・前川旦
○前川旦君 半年後にはそれではこれを値上げしても物価にはこたえないというふうに、それまでに物価を鎮静させるという、そういう自信があってのこの半年ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/165
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166・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) いやいや、先ほど佐々木日銀総裁も言われましたように、また私も述べましたように、今日のわが国の物価上昇の要因は海外要因というものも非常に大きなファクターになっておりますので、私は、半年間と申しましても、いまから半年というわけではございません、来年の四月から半年でございますから、約九ヵ月余りでありますが、そのときをもって日本の物価問題が完全に鎮静するということは、これは私どもはその間にそういう事態が来るようにあらゆる努力をいたしてまいると、こう言うほか現在においては申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/166
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167・前川旦
○前川旦君 どうもはっきり私ども割り切れないんですね。私は別に常識はずれのことを言っているつもりはないんですよ。半年たったら必ず上げてしまうのか、それとも、物価がそのときの段階でまだ非常に激しい物価上昇が続いているのであれば、その段階でまたそれを凍結するということも考えているんだ、可能性があるんだということなのか、ごく簡単かつ素朴な質問でありますから、どうぞひとつずばりとお答えをいただきたいと思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/167
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168・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) なかなか物価の問題は素朴なお答えができない性質の事柄でございまして、私どもは、まあよく短期決戦ということばが言われますように、ほんとうに暮れから明春にかけての間が物価の問題でも一番正念場になるだろうと考えまして、その間にあらゆる努力を尽くして物価及び生活不安を鎮静さしてまいると、これだけの最大最善の努力をいたすということを申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/168
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169・前川旦
○前川旦君 私は、最初に申し上げましたように、異常事態が来たというふうに考えております。ですから、いままでのような考え方の惰性と言ってはことばは少し適当でないかもしれませんけれども、そうではなくて、どこかでひっくり返るようなドラスチックなやり方をこの一年なり半年の間に徹底的にやっていかないと、この異常な状況をとめることはできないであろうと、そういう強い姿勢が実はほしいわけなんですよね。ですから、いまの長官の御答弁は、それは答弁技術としてはいままでどおりの答弁でしょうね。私はいままでどおりでない発想法と構えと姿勢がほしいんです。ですからしつこく言っているんですけれどもね。あなたは特に物価の番人として、企画庁というのはそれだけ国民は期待感を持っている。ですから、その点を、くどくなりますから、もう一回お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/169
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170・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) でございますから、私は、異例の措置をぜひやってほしいと、公共料金できまったものをとにかく一応これをたな上げ延期してほしいという異例のことをやるために強く発言をいたしたわけでございます。しかし、そればかりではございませんで、公共料金の問題だけではなしに、物価の問題を鎮静させるためにいま一番大きな要素になりますのは来年の予算編成になるわけで、申すまでもなく、先般来、このことにつきましても、政府でもまた私どもの所属する党でも、来年度の予算編成の考え方というものを煮詰めている段階でございますが、その面におきましても、たとえば公共事業というようなものにつきましては、漫然とこれを膨張させるというようなことは全くしない。資材の面などにおきましても、今日の資材事情を鎮静させるような内容を持った公共投資等の予算も組むというようなことでいませっかく検討をいたしておりますので、それらの要素をも一緒に総合的に考えまして、しかも今回提出いたしておりますような物価の個別的処置についての法律案の活用というようなこともこれも総合いたしまして、まあ思い切った処置をいたしたいと、こういうことを申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/170
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171・前川旦
○前川旦君 私どもと長官との間に思い切った処置の内容が少しずれているような思いがいたしますが、それでは、予算の話が出ましたが、この二法案がいかに通ろうとも、総需要の抑制という基本的なことが抜けていてはどうもならぬわけですから、総需要の抑制ということになりますと、政府のやれることで一番大きなのはまず予算の編成ということになろうと思います。そこで、四十九年度予算における公共事業費の削減はどの程度おやりになり、公共事業費はどれくらいお組みになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/171
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172・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) これは大蔵次官がお見えになっておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/172
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173・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) 総論的にまず申し上げますと、金額にいたしましては昭和四十八年度予算の程度に組みたい。しかし、物価の値上がりが非常に高率になっておりますので、仕事の量におきましては昭和四十七年度をわずかに下回る程度しか予算は組まれない。これは総需要抑制のために非常にきびしい予算を組むという前提でただいまワクをつくっておりますが、その総ワクにつきましてはっきり金額をいま申し上げるわけにはまいりませんが、大体昭和四十八年度の予算総ワクの見当で組んでおる。ただ、そこに問題が、またあとで質問があろうかと思いますが、事業繰り延べになっていくものもございますので、そういうものを加えたときに昭和四十八年度と比べてどうなるかという問題が一つございます。いずれまたそういう質問もございましょうけれども、全体のワクは昭和四十八年度見当であるということだけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/173
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174・前川旦
○前川旦君 そこで、いまそちらのほうから出ました、私は質問を予定しておりましたのでその次に質問したいと思いますが、前年度並みということでこれは公共事業費をたいへんしぼるんだというふうにおっしゃっておられますけれども、それじゃ、一体、四十八年度の公共事業費はまともな事業費であったのかどうかという判断が一つあると思う。非常にふくれ上がった、あれは対前年比三二・八%でしたかね、たいへん大幅な伸びで組みましたね。あまり大幅に組んだから、使い残しがずいぶん出ているわけでしょう。ですから、金額で四十八年度並みであるということが一体総需要の抑制に有効に働くのだろうかどうだろうか。むしろ減らすぐらいの思いが必要なんではないだろうか。前年並みということは、前年が適当なものであればいいんですけれども、前年が非常にふくれ上がったものでありますから、その点で私は疑問を持ちます。
それから公共事業の四十八年度の進捗状況のここに資料がありますが、もうこまかいことは申し上げませんが、これは四十八年度末までに残っているやつを使い切るお考えなんでしょうか、それとも、使い残すお考えなんでしょうか。私は使い切るというような姿勢は持つべきではない、むしろ残すべきだと。残しますと、幾ら残るかいまのところまだわかりませんが、たとえ四十八年度予算と同じ額に四十九年度の公共事業費を組んだとしても、四十八年度で余ったやつが上へ上積みされると、やっぱりふくれ上がるということになるでしょう。ですから、前年並みということがはたして総需要の抑制にどれほど効果があるのだろうか疑問に思っているんです。その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/174
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175・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) いま各省に指示をいたしております繰り延べ率は平均八%でございまして、特別の積雪地帯、寒冷地帯あるいは生活関連経費につきましては、御承知のとおり四%程度に繰り延べておるわけであります。この繰り延べにつきましては、いまの見通しでは、年度内に執行するということは非常に困難な情勢にございますので、たぶん金額にいたしましてすでに発表いたしておりますように政府のほうでも約七千億、地方のほうで約三千五、六百億、合わせて一兆円ほどのものが昭和四十八年度から昭和四十九年度に繰り越されていくわけであります。したがって、厳密に言いますと、昭和四十九年度の予算を四十八年度の九二%ぐらいの金額に組んで、この八%を加えれば一〇〇%ということになりますが、さて、民生関係の予算であるとか、文教関係の予算であるとか、どうしても仕事を達成しなきゃならないものがそこにありますために、そう算術計算のようにジャストミートするようなかっこうにはなっておりませんけれども、いまおっしゃったような予算規模で昭和四十八年度並みの金額に押えていきますと、物資と労力等の値上がりによりまして、事実は四十八年度よりも下回りまして昭和四十七年度ぐらいの事業量になるということを申し上げておるわけでございます。そうして、その量を押えることによって、昭和四十七年度には石油が二億五千六百万キロくらい入った年でございますから、そのときの生産量に仕事量を合わせていくことによって総需要を合わせようという、いまそういうことで査定中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/175
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176・前川旦
○前川旦君 私は、いま御答弁にありましたように、前年に対して九二%くらいに落として、繰り越してきたやつの八%を合わせてそれで一緒だというところまで思い切った削減をやはりすべきだというふうに思うんですよ。それは、やらなきゃいけないことがたくさんあるのはわかります。ただ、これは申し上げておきたいのですけれども、いままでは、道路だ、橋だ、そういうものをどんどんつければその地方の人は喜んでいたという観念が議員の中にはあります。これは与野党の中にあります。実際それで走り回っているんですから、みんな。しかし、最近の国民の中には、自分の家の前に道路がつくのが一年おくれても二年おくれてもいいから物価を押えてほしい、それがナショナルコンセンサスになりつつあるということをいまわれわれは理解しなければいけないのではないだろうか。新聞を読みますと、またしても予算のぶんどり合戦が与党の中にもずいぶん始まっているという記事が出ておりました。さもありなんと思います、毎年のことですから。しかし、やるならやるで道路予算なんていうのは四〇%ぐらい締めると思いますが、思い切って——中途はんぱなことをするから奪い合いになるんですよ。思い切って蛮勇をふるうという姿勢というか、なりふりかまわない姿勢がないと、物価上昇はとめられないと、そういう危機感を持っているんです。ですから、私はそのことを特にあなたの御決意として伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/176
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177・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) ただいまの御質問でございますが、いま大蔵省原案を作成中でございます中には、既定の五カ年計画でもその進度を調整しようというくふうをいたしておりますし、新しい五カ年計画等は当然認められないということであります。特に話題にのぼっております新幹線、本四架橋あるいはその他道路の計画等におきましても、進度の調整をいたしまして、予算の膨張を防ぐことに極力努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/177
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178・前川旦
○前川旦君 なかなかこれは私がこういうふうに主張してもそれがそのまま通るということではありませんから、単なる議論になってしまいますが、しかし、私は、そういう思い切ったことをやらないと、発想の転換をしなければいけない時期だというふうに実はしみじみ感じるものですから、御理解をいただきたいというふうに思います。
そこで、山中防衛庁長官からも防衛予算を見直すという答弁が出ておりましたが、防衛予算も聖域ではありませんね。聖域と考えてはいけない。これは、私、社会党ですから、一つの特定のイデオロギーで言っているということではなくて聞いていただきたいけれども、こんな時期に戦車だ何だに金を使わぬと、それを物価安定に回してくれというのがほんとうに素朴な庶民の感覚なんですよ。これは聖域でないと、いかがですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/178
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179・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) もちろん、防衛関係経費につきましても、最近におきます経済情勢に顧みまして、極力抑制をしてまいるつもりでございますし、すでに大蔵大臣も田中総理大臣も十二月十二日の参議院予算委員会におきまして所信を表明しておるとおりでございます。これにつきましては、もちろん公共事業並みの削減をして進度調整をしていただくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/179
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180・前川旦
○前川旦君 そこで、きょうの新聞には中医協が実質審議が始まったということが出ておりますが、社会保障関係の福祉関係の予算は、絶対に切ってはいけない、ふやさなきゃいけない、これはもう当然のことであるし、これはコンセンサスができていると思うのです。ただ、なるほど福祉予算がたくさん組んであります。しかし、その非常に大きな部分が医療費だというのでは、なかなか割り切れませんね、気持ちが。これは中医協でこの記事では二十二、二十六、二十八、二十九の四回審議を行なって二十六日にも結論が出るように進めているという記事が出ておりますが、ここできまったことは、大蔵省の予算編成までもこれは拘束してしまうんですか。つまり、これは聖域なんでしょうか。その点はどうなんですか、お考えとして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/180
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181・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) 御承知のとおりに、医療費の値上げの問置は厚生大臣の所管事項でありまして、厚生大臣が中央社会保険医療協議会に諮問をしてきめてくることになっておりますので、その決定がなければ、われわれはこれを予算に組むというわけにはまいりませんけれども、常時密接に連絡をいたしまして、これを必ず予算に反映するような方法で考えておることは、もう申し上げるまでもございません。これは非常に巨額にのぼる予算支出でございますから、大蔵省としては、国の財政規模にも関することであり、重大な関心を持ちながら中医協の答申をいま待っておる状態でございまして、これがきまりますと、十分に尊重して予算を組みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/181
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182・前川旦
○前川旦君 私の言っていることといまの御答弁のニュアンスとは違うんですよね。福祉予算をうんと組んでもらいたいけれども、実際数字等が出てきた。福祉予算はうんと組みました、このとおり組んでありますと。しかし、その中身を見ると、非常に大きな部分が医療費の部分であるということで、ほんとうの福祉予算のほうが圧迫されるということをどうも割り切れない思いで実は見ておるんです。ですから、私は、これがもうそこできまったらもうこれは聖域で一切手がつけられない、政治折衝の余地もないんだというようなことなのか、大蔵省としてはまた違う腹づもりを持っていらっしゃるのか、その辺を実は聞きたいんですよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/182
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183・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) もちろん、医療費関係だけでなしに、各党の御要望も今年度は福祉予算に重点を置いてもらいたいという強い希望があるということを承っておりまして、各費目についてかなりわれわれとしては慎重な考慮を払っておるつもりでございます。もちろん、この医療費が多額の資金を使うから福祉関係予算を減らすというようなそういう考えは毛頭考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/183
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184・前川旦
○前川旦君 そこで、亡くなった愛知さんの時代には、来年度予算は大体十七兆五千億ということばがございましたね。いま十七兆二千億というのが新聞に出ておりますね、総額として。私は大蔵当局にお願いをしたいのは、十七兆を切るということにはならないものだろうか。といいますのは、なぜこういうことを言うかというと、個々のものを洗い出していくと、やっぱりこれも必要だ、やっぱりこれも必要だ、ああこれも必要だということになって、なかなかこれは蛮勇がふるえません。ですから、そういう意味で、総ワクですぱっときめて押え込んでいくというやり方しかないだろうと思う。その場合に、やはりこういうインフレマインドに水をかける、政治の姿勢を示すという非常に心理的な気持ちもあります。二千億ぐらい削ったからといって総需要の抑制にどれだけはね返りがあるか、ちょっとわかりませんけれども、そうじゃなくて、これはほんとうにやる気だという、インフレマインドに水をかけるという意味で、十七兆を切るというそういう姿勢で臨むべきだと私は思うのですけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/184
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185・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) 御激励を賜わって非常にけっこうでございますけれども、実は法律や制度によって自然増として計上しなければならないものが約一八%ぐらいあるわけでありまして、これは総需要に直接影響するものもあり、そうしないものもありますけれども、とにかく一八%ぐらいはもう自然増的なものでございます。したがって、二〇%から二三%の間に押えたいということになりましても、新しい仕事というのはもうわずかしか組めないわけでございます。その新しい仕事そのものが、生活環境を整備するとか、あるいは民生関係の施設をふやすとかいう限られたものに組みましても、十七兆をわずかにこす金額になるわけでございます。できるだけ総需要を圧縮して早期に物価の抑制もしたいということについては、大蔵省としてはもう一貫した信念のようにいまなっておりましてやっておりますので、どうぞ御激励を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/185
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186・前川旦
○前川旦君 私は別に激励をする気持ちはないんですけれども、非常に不満なんですよ。
それじゃ、財投ですけれども、案外あの財投が見のがされていると一般的な普通の常識的な目で思うんです。ところが、総需要の抑制という面で財投の果たす役割りは大きいと思いますね。そこで、来年度財投の伸びをどれくらいに考えていらっしゃるのか、総額でどれぐらいの範囲に入れようと考えていらっしゃるのか、その点はいかがですか。あとで財投の積み残しといいますか使い残しの問題はもう一ぺん質問いたしますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/186
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187・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) 財投につきましては、やはり同じ方針でいま査定はいたしておりますけれども、はっきり数字を申し上げる段階までに立ち至っておりません、まことに残念ですけれども。考え方としては、総需要抑制型の財投計画を組まなければならないということで査定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/187
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188・前川旦
○前川旦君 これはきのうの新聞ですか、「一般会計十七兆二千億台、財投計画八兆強に圧縮」という見出しで記事が出ております。一六%の伸び、八兆円ちょっとのところで持っていくと、こういうふうに考えていらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/188
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189・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) まだ総金額のワクはきめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/189
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190・前川旦
○前川旦君 私は数字を拾ってきたんですが、私が自分で拾ったものですから正確でないかもしれませんが、この財投については四十七年度分から一兆千百五十五億円が四十八年度に繰り越しになりました。四十八年度は六兆九千二百四十八億円のうち、非常に消化が悪くて、十月末で——これは予算委員会で出た資料だと思いますが、十月末で五兆二千億以上残っていると。これは間違いないでしょうか、この数字は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/190
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191・石川周
○説明員(石川周君) 手元に計数を持ち合わせておりませんが、財投の金額は年度後半に出ることが多うございまして、大体、感じといたしましては、いま先生のおっしゃったような数字だろうと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/191
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192・前川旦
○前川旦君 ずいぶん残っていますがね。四十七年度も残りましたから、いまのままでいったらざっと四十八年度で大かた二兆円から三兆円近い残りが出るように思いますが、どうでしょうか、その辺の見通しは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/192
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193・石川周
○説明員(石川周君) その辺の計数的なところは、現段階では推計がきわめて困難でございますけれども、方向といたしましては八%の繰り延べ分以上にできるだけ事業を抑制するような方向で指導はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/193
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194・前川旦
○前川旦君 そうしますと、四十八年度もずいぶんこれは残ることになると思うんですよ。そうしますと、新聞に出ておりますのが大体正確だろうと思います。いま次官はおっしゃらなかったけれども、八兆円ぐらいで二八%の伸びぐらいで、これに残った分が上積みされたら、もう十兆円ぐらいになりますわね。これはずいぶん大きなふくれ方になりますね。これは総需要との関係でぼくは非常に関係があると思うんですよ、この財投は特に。ですから、その辺のお考えはいかがなんですか。一般会計を一生懸命詰めても、しり抜けになっては何にもならないわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/194
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195・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) 一般会計、特別会計の場合の繰り延べに比べまして財投は非常に大きな繰り延べが行なわれておるわけでございますから、これをすぐそのまま上乗せいたしますと、これを一般会計財政支出と加えますと、大きな財政支出になりますので、これは極力圧縮して組む計画でいま進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/195
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196・前川旦
○前川旦君 その極力圧縮というのはよくわかりました。どの辺をめどにですか、その圧縮でもめどがあるでしょうに。ですから、四十八年度から繰り越した分を突っ込んでどれぐらいに押えるんだとかいう、それはめどがなしに極力圧縮ってないと思いますよ。これはこういう時期ですから、おっしゃっていただいたらいいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/196
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197・柳田桃太郎
○政府委員(柳田桃太郎君) もちろん、総論としては、いま申し上げたように圧縮方向に向かっておりますが、まだ中で話のまとまらないものがございまして、どの程度の金額にするかということについては、ただいま御発表申し上げる段階になっておりませんので、お許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/197
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198・前川旦
○前川旦君 それではしかたがありません。
それでは次へまいりますが、総需要抑制のもう一つの大きな柱は、民間設備投資の抑制ですね。ところで、四十八年度当初の政府見通しでは、十八兆七千億、伸び率一四%、それが十一月三十日の改定見通しでは、二十一兆七千億で二七%の伸び。これは経企庁長官のほうにお尋ねをいたしますが、当初の見通しに比べてたいへんな民間設備投資の伸びですね、実態もそうです。これは金融引き締めだけでは対処できないでしょうね。それも力はありますけども、かなりな行政指導というものが必要だと思いますね、民間設備投資を押えるには。もう手元流動性の過剰というものがわかりきっていたんですから、どうしてこれほど大きく伸びるまで手をつけなかったんだろうか、これはふしぎなんです、私は。これはどうなんですか、民間設備投資の最初の見通しに比べてぐんと実勢が上がっていますね。どういう手を打たれたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/198
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199・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 四十八年度の経済見通しの推移を私が就任いたしまして後レビューいたしてみますると、いろいろの面でたいへん狂っておりましたことは御承知のとおりでございます。貿易収支におきましても、物価におきましても、また、いま御指摘がございましたような設備投資におきましても、その伸び率が当初予期しておったものよりもかなり大きくふえておるわけでございますので、そのとおり先般実は改定試算をいたしましたことは、御承知のとおりでございます。その経過を振り返ってみますると、この一年間の間に急速にわが国の経済、金融情勢というものが大転換をしておることは、前川さん御承知のとおりでございます。昨年におきましては、たとえば輸出も非常に旺盛であった、八十数億ドルぐらいの輸出超過の上に、国際的に見ると、日本経済は買いものだというわけでございましょうか、外貨がたくさん入ってまいりまして、それらの外貨が大蔵省の外国為替資金特別会計に入る、その対価としての円が何兆か放出されたというような、そういうようないわゆる過剰流動性が存在いたしておる状況がございます。しかもまた、景気政策といたしましても、一昨年までは日本は景気が非常に悪かった。悪かったために幅出もよけいに伸びたと、こういうような状況もございまして、昨年の途中ぐらいまではむしろ景気政策というようなものが金融政策の面でも残っておった。そういうことの惰性が、私は設備投資が意外に伸びておったということになったと思います。そこで、そのことは、今年の春以来政府も思い切った政策転換をやるべきだということで、設備投資ことに民間の建築投資などにつきましても引き締めの措置をとり、また、先ほど大蔵次官からも言われましたように、四十八年度に組まれた公共事業費予算におきましても、上期以来、その契約率をできるだけ国はうしろに引き延ばすというような、また、その同じゃり方を地方公共団体に対しても求めるようなことをやったことも御承知のとおりでございますけれども、それらの効果が、四十八年度の夏ごろまでは十分出なかったというところにいま御指摘の原因があると存じます。
そこで、設備投資につきましては、法律はございませんが、閣議決定をもって民間のみならず国の大型建築物につきましてはこれらをでき得る限り抑制してまいるような措置を講じ、また、民間企業の設備投資につきましても、これは通産省の関係が主でございますけれども、公害とかいうようなものに関連ある設備や、また直接生産に結びつかないような付帯設備につきましては、設備投資の金額を行政指導をもって切ってまいると、こういうようなことを今年の春、夏のころから続けておるわけでございます。これらの措置は、今後、いま御審議を願っておりまする法律の中にも、設備投資の届け出抑制というような事柄を今度法律的手段をもっていたし得るように規定をいたしておることも、御了承をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/199
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200・前川旦
○前川旦君 法律の中にあるといっても、これは政令がまだできていませんから、この下期の民間設備投資を有効に押えるというのは行政指導しかないわけでしょう。結局、それしかないと思いますね。これはまあ通産省ですから、通産省に聞くほうがいいんでしょうから、次の機会に通産省に聞きたいと思いますがね。ただ、物価局が今年ですかできて、おたくはものが言えるんですからね、他省に対しても。効果のある民間設備投資の抑制、特にこれは産業構造審議会が大幅に削減せよという答申をしていますね。ついこの間十二月十七日に答申が出ておりますが、かなり大幅に削減せよという答申のようですが、どうかひとつ、経企庁の立場としても、思い切った行政指導をするという姿勢をとっていただきたい、このように思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/200
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201・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 私も全く同じ考えで、それを通産省に漫然とやってもらうばかりでなしに、でき得るならば私どものほうで設備投資規制指導原理のようなものまでも経企庁としてつくりまして、そしてそれを、直接主管大臣では私はございませんけれども、その方面を担当する閣僚の一人といたしまして、通産省にも一そう強力にやってもらうということをいたしたいと思います。また、民間の建築物、これは建設省の所管になりますが、それらもいままで行政指導でやってきておりますものを、この法律ができましたならば、でき得る限り早い機会に建設大臣とも打ち合わせて、これをやはり政令事項としてそして法律の力をもってがっちりひとつ締めていくようにぜひやってもらわなければならないと私は腹をきめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/201
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202・前川旦
○前川旦君 それでは、公取委員長見えていますか。どうも長いことお待たせしてすみません。独禁政策について二、三お尋ねをしたいと思います。
公取は、石油、合成樹脂、紙等々、手入れ、調査をいろいろされまして、国民の目から見ると、非常に期待をしているんです。よくやっているという評価もありますし、もっと強くがんばってもらいたいという期待もあるわけです。そこで、いろいろ努力されていることはわかるんですが、不正なカルテルを解散させる、そのことはいいんです。しかし、価格の上昇はそのまま残りますね、上がりっぱなしで。なるほど不正を摘発する、非常にいいんですけれども、結局悪いことをして価格を上げたら上げっぱなしで、得のしっぱなしになるわけですね。その点について非常に割り切れない思いを持っているんです。その点について、公取委員長は、何とか物を下げてもらいたいというのが国民の気持ちであるということがおわかりになりますでしょうか。おわかりになると思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/202
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203・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) ただいまの御意見のように、独占禁止法による違法なカルテル行為、特に価格のカルテルに対して排除命令こそ行政処分としてこれは強硬に出しますが、協定を破棄した後においてもその価格が必ずしも下がるとは限らない。あるいは価格上昇期にありましては逆にむしろ上がる場合さえある。今日のような状態でありますと、そういうことさえあるわけです。それに対しまして、私ども、昭和二十二年独禁法制定以来、いまだかつて価格引き下げ命令を出したことがないという事跡から見ましても、法律の許す範囲内においてはそういう引き下げ命令は出せない、現行法では。私その点独禁法の有効性の問題としてたいへんもの足りないものを感じているというのは、全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/203
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204・前川旦
○前川旦君 いまの法体系それから行政体系の中に物の値段を下げさせる権限というのは何もないんですね、現在。どうなんですか。私もいろいろ考えてみたんですけれども、どんなものすごい利益を上げていても、まあ税金で還元するという道はありますけれども、石油不足ということでちり紙が上がる、洗たく代が上がる、大学ノートまで二倍、三倍、消しゴムまで二倍、三倍。しかし、石油不足だ石油不足だと言いながら、十一月の原油の輸入量は去年の同期より五・四%も多かったというのは大蔵省の調査でおわかりになったわけでしょう、暴露されましたね。しかも、供給制限後の原油が日本に着く前の蓄積分でつくった品物が便乗値上げで、どんどんむちゃくちゃなことですよ、実際。ですから、どこかでこういうむちゃな値段の上げ方、不正な物の上げ方ですね、社会通念としてこれは自由だから値を上げるのは勝手なんだと言うてしまえばそうなんですけれども、そこにはおのずから社会通念というものがあると思います。常識があると思いますが、社会通念から見てむちゃな不正な物の値上げを下げる命令権、それから従わせる強制力、これを私は公取が持たないと、きめ手にならないというふうに思います。委員長はどうお考えですか。委員長もきっとそうだろうと思いますが、その点についてはっきりした御意見をいただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/204
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205・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 御意見はよく私どももわかるのでございますが、そもそも独占禁止法とは何かというふうな問題から出発いたしますと、私ども公正取引委員会がいわゆる便乗値上げそのもの——価格協定に基づくものはこれは厳として私どもの所管でございますから、そしていま申し上げましたように、一たん破棄を命じたならば、破棄だけにとどまらず、あるいはもとの価格ですね、引き上げ前の価格の範囲内で私どもが引き下げ命令を持ち得るということは、先ほど申しました独禁法を実際に効果あらしめるために必要ではないかと申しましたが、ただ、物価一般につきまして、いわゆる便乗カルテル、便乗的な値上げそのものにつきましては、これは私どもは手が出ないわけです。協定を伴わない単独行為については、これは独禁法の及ぶところではございませんので、そこで今回国民生活安定法が価格について規制し得るということになっているのは、私はその点はたいへんな救いだと思いますが、そういう場合に、これはよけいなことでございますけれども、いまおっしゃいましたもとの原料を使って、つまり安い原料を使って値は四割も上げて売るというケースが多うございます。それは私ども見ておってわかりますが、これは、いわゆる昔のあの統制時代のことばで言いますと、価格差益と申します。価格差益が発生しているわけでございますね。明らかにインフレ差益なんです。この分がたとえば三月決算に出てくるということは、私はこれはなかなか問題点だろうと思うのです。そこで、もし安定法が通りましたら、主管大臣はそれぞれたくさんございますし、企画庁長官はその元締めでございますが、そういった便乗的に上がった分をあとからそのまま認めるというようなことにならないように、標準価格の決定あるいは特定標準価格というような問題についても、その辺を十分勘案して、しかも業者が守ることのできる程度の価格をきめられるという以外には、いまの便乗値上げを防げない。そういうように上がってしまったものをそのまま追認するということになれば、いま私が申し上げた非常なインフレ差益を生じますので、そういう点を考慮して運用して順守していただきたいと、余分なことでございますが、個々の業者のつり上げ工作に対しては私どもの所管するところではないと、こう申し上げざるを得ないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/205
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206・前川旦
○前川旦君 独占禁止法研究会が設置されて十二月からスタートをこれはもうしたんですか、するんですか。十二月に入ってされましたね。この研究会の研究対象として、カルテルに対する措置として、価格協定に対する価格引き下げ命令の必要性というのが一項入って、ますね。一年間かけて審議するという御計画のようですけれども、一年もかけてなんとゆうちょうなことをしているんだろうかという思いがするんですよ。ですから、私はそのものずばりでお伺いしますが、不正なカルテル行為が摘発される、そのときには価格引き下げの命令権を公取が一日も早く持つ、そのことが必要だとお考えですかどうですか。私は必要だと思いますが、公取委員長は必要であるとお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/206
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207・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) おっしゃるように、独占禁止法研究会を今月十四日に第一回の会合を開きまして、おおむね月一回以上のぺース、大体三週間に一回ぐらいのペースで審議を進めるということになりました。それで、私どもはなぜそういうことをするかといいますと、いま独禁法の中で解決しなければならない問題は、確かにおっしゃるようにただいまの事態に対処するのなら価格引き下げ命令もそれは必要でございましょう。しかし、そういうこと以外にも独禁法上問題となる点が幾つかあるわけでございます。たとえば寡占に対する対策ですね。これだっておそらく管理価格というような問題を通じまして、世の中の人が非常に困っておる。しかし、どうもどのサイドからも手のつけようがないというのが現状でございますから、これを独禁法上何とかならぬかというかなりむずかしい問題で、しかもこれは産業界のほうからいえば非常な反発が予想される問題でございまして、分割をするというようなことになりますと、いかなる条件でどういう観点からするのか、こまごまといろいろ細部にわたって研究いたしませんと、この問題は各方面の同意を得ることがむずかしいのではないかと思います。確かに、一面的に見ると、たとえば価格引き下げ命令も簡単に見えますけれども、実はそうではないのです。これは私ども遺憾ながらこういう事情がございます。私ども、できるだけ早く一つの案件を解決するように、たくさんかかえております、いま数十件常にかかえておるわけですから、それを早く解決しなければ意味をなさない、タイミングを逸してしまうという問題がありますので、一生懸命せかしているのですが、しかし、事実問題としては二、三ヵ月で解決できれば非常に早いほうでございます。と申しますのは、私どもは、これは当然のことでございますが、令状を受けて捜査することはできません。本人を逮捕することも勾留することもできないのです。したがいまして、取り調べをするにあたりましても、調べたらその日に帰っていただくわけですね。帰っていただくから、結局そこにまた口うらを合わしてくるから、容易にその供述も得られないというふうな取り調べ上の難点がございます。しかし、これは私は法律をいかに改正しようと思っても許さるべきことではないと思います。行政的な事犯としてまず扱い、しかる後告発によって刑事事件になることでありますから、したがいまして、今後あまり目に余る行為があれば、いままで私どもはただのおどしではなくて本気で考えておったのですが適用していない告発する問題も考えざるを得ない情勢でありますが、とにかくそれよりも法律そのものの中に含まれるいろいろ不十分な点が、実は私は寡占対策まで申しましたが、それ以外にもあるわけでございます。引き下げ命令以外に、値上げを年に三回も協定してやったというような事例がございますと、前二回は全部消えてしまうのです、最後の一回だけですから。これは、わかりやすく申しますと、初犯ということになります。その辺も私どもはたいへん不十分ではないかと思う。すでに終わってしまって操短をやっている途中でやめてしまえば、これはもはや、実際はやったのだけれども、途中でやめてしまうと、取り調べの途中でやめてしまってもこれは違反にならないというケースになる。その点非常に不都合なことがある。いろいろなことで非常に早く解決されたものはこれはそこまでさかのぼって価格をもとに戻せということは言えますが一年以上かかる。あるいは裁判によっては、裁判まで行けば二年前の事件だということになる。その範囲でどこまで価格を遡及して引き下げ命令を出すべきかということになると、たいへんむずかしいのです。私どもにそういう裁量権を与えるかどうかという問題もございまして、専門家の間でもこの点についてはこまかい点ではずいぶん意見が分かれる点ではないかと思います。しかし、一般的な常識論としては、まさにこういう時期に引き下げ命令を含まないということは、どこか欠けるところがあるのではないかという気持ちはよくわかりますので、まあ私ども自体としては非常に気持ちはせいておるのでございますが、しかし、事柄は国民のいろいろな義務に関することでございます。標準価格のほうの法律につきましても、引き下げ命令というのはやっぱりよほどやむを得ない場合しかこれはあり得ないし、あるいはできないのかもしれませんが、そういう点にかんがみまして、私ども非常に慎重にならざるを得ない。来年の十月、ころをめどにして幾つかの問題について一応の結論を出していただくようにということでお願いしております。
ただいまとり得る措置といたしましては、少し話が長くなりましたが、先般の上質紙、コーテッド紙の紙の違反に対しましては、その協定を破棄したその後の価格、現在適用している価格を今後六ヵ月間毎月当委員会に報告せよ、こういう命令を下しておりますので、そういう点では、そういうことを用いれば、こういう上昇機運にある場合には、ある程度牽制の役は果たすのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/207
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208・前川旦
○前川旦君 あなたは、十一日の衆議院の物特の委員会で、これは新聞ですが、まだ議事録が出ておりませんから議事録を読んでおりませんが、「独占禁止法の有効な運用をはかるためには、価格の引き下げ権限を新しく盛り込むことが必要だと思う」と、はっきり言い切られました。いまのお話を聞くと、ちょっとこの記事から後退したような印象を何となく——なかなか技術的にむずかしいんだと、だから一年かけてじっくりやるんだというような、間違っていたらごめんなさい、そういうふうに私は何となく受け取りましたがね。ですから、私はもう再々言っているのは、いままでのような発想法じゃだめな時代なんだと、特に短期決戦であればですね。こういうような権限を早く公取が持つ、あるいは寡占を分割する権限をもう一ぺん復活すると、そういう方向で急いで取り組まなきゃいけないときではないだろうかということを痛感するものですから特に申し上げたわけなんです。で、衆議院のこの新聞記事による御発言は、このとおり理解してよろしゅうございますか。同時に、それが早く必要であるとお考えであれば、私は、経企庁長官に、政府としてそういうふうに取り組んでいくというお考えがあるのかどうか、あわせてお尋ねをしておきたいと思いますが、その前に委員長からもう一ぺんその点についてのお話を伺いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/208
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209・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) その衆議院の物価特別委員会における発言は、いま私が申したものとほとんど同じでございます。ただ、新聞記事になります場合には、そういう事こまかな理由、いろいろな言いわけなぞはみなカットしてしまいますから、非常にすっきりした形になるのですが、私の述べたことは非常に問題が多いので、ですから、私の気持ちとしては、こういますぐにでもやりたいし、ですから必要な法律改正の提案もしたいのですけれども、実は私どもには提案権もないのです。これはやはり政府与党その他の合意を得なければできないことでありますし、ただそれだけではなくて、非常にめんどうな問題がいろいろございますということは、衆議院においてもやはり述べているわけでございまして、この際非常に時宜を得た措置とすれば、これは手っとり早く改善して、包括的にある程度権限を持たしてもらうというほうが私どもは歓迎すべきことでありますが、しかし、これはやはりいろいろな方面から合意を得ないで、勝手に私どもがひとり歩きするということはいかがであろうかと、やや慎重かとも思いますけれども、ほかの問題もたくさんありますので、あわせて研究会で十分審議を尽くしていただきたい、こういう趣旨を述べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/209
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210・前川旦
○前川旦君 ただいま、公取委員長は、企画庁長官、できればそういう包括的な権限を与えてもらいたいという意思表示をされました。しかし、それは、公取委員長がそう思っても、政府がそういうふうに割り切ってそのように進めなきゃ動かないわけですね。そうすると、そういうことを閣議で提案してそういうふうに法改正をしていこうというふうに引っ張っていくのはやはり経企庁の任務じゃないでしょうか。経企庁長官、いまの公取委員長の包括的にそういう権限を持ちたいというお考えに対してどうあなたはお受けとめになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/210
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211・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 私はこう思っておりました。公正取引委員会というものは、独占禁止法という法律の中でつくられておる機構でございまして、あれは行政機関設置法というのでございましょうか、私どものような政府の行政機関と並んだ立場でつくられているものではございません。しかも、その仕事は、今回の自由主義競争原理を妨げるような事態について公取がいろいろの活動をする仕組みになっておりますので、したがって、たとえばカルテルの結成、それに基づく価格の変動というようなものに対処するその法律のつくり方を、政府の中におる私どもが政府から離れて文字どおり独禁法の番人である公取というものを別に置いて、そうして政府に都合のいいように、政府といいますか、企業に都合のいいようにカルテルに関する規定を直したり、あるいはそれに基づく価格を動かしたり、また、反対の方向にいまのようなカルテルによってでき上がった価格の引き下げ命令を出すとかというような、そういうことに第一次的には私どもはタッチすべきではない。それは公取がいまの独禁研——独占禁止法研究会というのでございましょうか、そういうものと研究をされますと、これはあの公取というものはふしぎな機関のようでございまして、たとえば予算などを要求いたしたり、公取自身の活動を律しますのには、政府の中にあります総理府総務長官がその世話役になっておりますので、おそらく公取が立案をされました自由競争に関する法律の改正などを提案されます場合には、その総務長官というところのルートを通って政府に持ち出してくると思います。しかし、私は公取というものは決して外国の機関だとも思いませんし、経済がこういう事態のもとにおいては公取が国民のためにいい活動をされ、いい研究をされ、いい法律改正をされることは当然のことであると思いますので、公取の検討の成果を注視いたしておるわけであります。これに容喙をすることは、おそらく逆の場合も許されないでありましょうけれども、いまのようなケースの場合も適当ではないと思いますけれども、容喙はいたしませんが、公取から総務長官等を経てそういう議案が提案せられるような時期におきましては、私は物価政策の立場から公取の考え方を大いに高く評価をする、まあ他のことばを使うとまたまぎらわしくなりますから、高く評価をするという立場に立ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/211
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212・前川旦
○前川旦君 これはまたぼくは研究課題にしておきたいと思います。このきめ手がないと、物価はもう上がりっぱなしですよ。そこで、この際ですから、公取委員長にあなたの御意見を伺っておきたいのは、この法律で標準価格がきまりますが、この標準価格のきまり方は普通限界企業に合わすだろうとそうすると高値できまるだろうと言われておりますが、公取委員長はその点についてどうお考えになりますか。そういう可能性があるとお考えになりますか、これが一つ。
もう一つは、業界の協力で縦の系列でいろいろきめていく。そうすると、標準価格よりか高く売った卸とか小売り等に対してはメーカーが品物を出さないという制裁をするんだということがいろいろ言われておりますね。しかし、実際問題として、たとえば五百円なら五百円という価格をきめられる。もし出先の小売りがそれよりか安く売るのは自由でしょう、法律上はね。標準価格より安く売るのは自由になっているはずです。安く売ったそのお店には品物を出さないという制裁はしても、高く売ったがゆえに品物を出さないという制裁はいまの商業道徳の乱れからいってぼくはちょっと実際問題として考えられませんが、その点について公取委員長はどうお考えでしょうか、御意見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/212
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213・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) どうも、私は、標準価格の決定そのものについて差し出がましいことを申し上げるのは、なるべく控えたいと思います。せっかくのことでございますから、簡単に申しまして、いま高値安定というふうにおっしゃいましたが、私はそうはならないと思うのです。そんないわば限界企業とおっしゃる一番コストの高いものに標準を合わせておってやったら、だれもが納得いたしません。そういうことはないだろうと思います。これはずっと以前に物価を物価統制令でやっておりました統制時代におきましてもバルクラインというのがあるわけですね。ですから、それから下のものは赤字でもしかたがないのだと、こういうふうなきめ方をしておりました。まあインフレ時代でありましたために、あのころドッジラインでガタンと来るまでは、幾ら物価統制をしてもなかなか総需要抑制がきかないために、インフレ政策がとられたためにどんどん実際統制価格を引き上げておったという事跡がございます。しかし、今回の場合、私は総需要の抑制も相当強くとられるものと思いますし、したがいまして、標準価格を決定する場合に、何といいますか、業者の圧力に負けて、そうしてなるべく高いほうに業者の満足するような標準価格をきめるということはないと思いますし、実際問題としてそういうことになりますと、何といいますか、全部が利益が出てしまって、利益がむしろ増大するというような形になる。そういう方向をとったならば、これはインフレは解決しないわけでございます。ですから、インフレを規制するという考えを強く貫けば、標準価格は当然その方向に焦点を合わせて、企業の利潤を先取りするというふうなことは許さない、そういう考え方に立っておやりになるものと私はかたく信じております。
それからもう一つの覚え書きにある点でございますが、末端業者が標準価格を守らない、守らないから上の元売りがこれに対して牽制するために出荷停止のような制裁措置をとる可能性があるのか。守らないという意味は、確かに、おっしゃったように、高値で売ったものを制裁するというのは普通の商慣習から見ればたいへんこれはむずかしいことだと思います。私もその点では気持ちの上では同じでございますが、しかし、そのくらい言っておかないと守られないんだから、出荷停止をしてもこれは何ら独占禁止法上の不公正な行為になりませんよと、こういうことを宣言的な意味で言っておくことは意味がないわけではない。効果があるかどうかということをきつく責められますと、おっしゃるように高く売ったらむしろ歓迎すべきことだというふうなものがないわけではありませんから、そういうことは万々ないように末端にまで考え方を浸透させる意味において、そういう制裁措置も許されるのだ、公然ととってもいいと、こういうふうに覚え書きにも書いておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/213
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214・前川旦
○前川旦君 私も時間制限がありますので次へ行かしていただきたいと思いますが、業界の協力措置によって安定カルテルがどうのこうのとたいへんもめました、これはもういまさら申し上げませんが。結局、業界の協力措置によって標準価格をきめていくということですね。そういうことになったと思うんですが、そうすると、業界が協力してきめていく、その業界の協力措置の解除の時期、条件はだれがきめることなんでしょうか。もう必要がないと思うのにいつまででもそれをやっている。必要がないという判断はだれがきめることになるのか。その場合に、公取は意見が言えるのかどうか、もう必要ないですよ、もうやめなさいという意見具申ができるのかどうか、あるいはまたこれは言うべきではないだろうか。私は鉄鋼の不況カルテルで通産省と公取がやり合って、まあことばは悪いけれどもああいう結果になりましたわね。私はもうそれを言いませんけれども、あの鉄鋼の不況カルテルの経験から推して、この業界の強力措置の解除命令権を公取が持つべきではなかろうか、第三者の機関が持つべきではないだろうか、私はこういう意見を持っておりますが、委員長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/214
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215・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 最初におっしゃいました、業界の協力を得て標準価格をきめるという点は、この覚え書きの趣旨にはございません。覚え書きは、きめられた標準価格をいかに守るかという問題でございますが、しかし、ここにある覚え書きの標準価格は、たびたび私は衆議院で申しましたが、これは末端価格でございまして、文言が不足しております。末端価格の標準価格をきめるということについて、きめた場合にそれにいかに元売り等が協力するかというだけでありまして、標準価格の決定そのものに業界の協力云々ということはどこにも書いてありません。これは誤解でございます。
なお、解除することについて公取が云々すべきだという解除時期を宣言できるような点は、私はそこまでいかなくても、それぞれの主務官庁が必要もないのにこのような緊急二法を発動していると、これは発動はそれぞれの主管大臣がおきめになるわけですから、発動をしなくなればいいわけですね。ですから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/215
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216・前川旦
○前川旦君 これは鉄鋼の不況カルテルの例があるから言ったんでしてね。実例があるから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/216
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217・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 必要もないのに続けるというふうな場合には、私どもは当然この覚え書きそのものを破棄するというふうな形でも対応できるわけでございますから、そういうことを申し入れて、もう必要がないのだからおやめくださいと言うことがありますけれども、しかし、まあそこまで言わなくても、これは全政府の問題でございますから、私は国民生活と非常にかかわりがあるので、用がなくなってからも統制的な行政を続けるということはあり得ないことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/217
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218・前川旦
○前川旦君 それでは、最後に、公取委員長、一番われわれがこわいのはカルテルマインドの定着がこわいわけです。このカルテルマインドの定着をあなたはどうやって定着ささないようになさる御計画というか御決意なのか、具体的にいってどういうふうに考えていらっしゃいますか、それを最後に公取委員長にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/218
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219・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) カルテルマインドというものは、これはもう全国にかりにびまんしたとすれば、これをどうするかということについて私はただいま妙案を持っておりません。しかし、それぞれの官庁の方々にはいやしくもそれの所管するいろいろな任意の協会や組合を通してそういうところにカルテル的な行為を行なうことは厳重にやめてもらいたい。また、私ども公正取引委員会としても、まあ具体的な事例を徴すれば、直ちに事前にカルテル行為をやめるように厳重警告をする。ただ警告で済まない場合には排除命令をとり、さらに排除命令できかなくなれば告発をしていくと、こういうことできびしい規制を受けるのだということを示す以外には妙案というものはちょっとないと思うのでございます、産業界というのはあまりに多岐でございますので。
しかし、私は一般的にそうなってくるとは信じておりません。やれるだけのことは私どもはやりますから、それほど心配すべきことではないのではないかと、楽観論でありませんが私はそう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/219
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220・前川旦
○前川旦君 けっこうです。どうもありがとうございました。
それでは、大蔵省にお伺いしますが、これからの経済のあり方についていろいろ伺いたいのですが、外貨の準備高、これが四十八年の二月に百九十億ドル、十月に百四十億となっていますが、これは四十八年十二月にはもう百億ドル近くまで落ち込むということが非常に心配されていますね。また、経企庁の四十八年度経済の改定試算でも、ここにありますが、外貨は引き続き落ちるだろうというふうに見ておられますが、外貨の適正な準備.高のラインはどう考えていらっしゃるのですか。これはたいへんむずかしいだろうと思うのですけれども、大蔵省は大蔵省なりの判断があると思うのです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/220
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221・松川道哉
○政府委員(松川道哉君) ただいま外貨準備についてお尋ねでございますが、率直に結論的なことを申し上げますと、適正な外貨準備高が幾らであるべきかということにつきまして定説はございません。いろいろ意見がわかれておるところでございます。たとえばある者は、ある国の年間輸入額の何カ月分を持てばいいとか、あるいはその国の外貨建ての債務の何割程度持てばいいとか、いろいろな考え方があるわけでございます。しかしながら、たとえば二つの国が同じ比率の外貨準備を持っておったとしましても、片一方の国ではそれで満足であることもあり、また他方の国は満足でないこともございます。それは外貨準備というのは結局一つの国の対外的な経済の力をあらわす非常に重要な要素ではございますが、それぞれの国におかれておりますたとえば貿易の規模であるとか、あるいはそのときの国際収支の状況であるとか、あるいはその国の経済状況のであるとか、またあるいはその国が国際収支の上から見て赤字基調になったとか黒字基調であるとか、そういったこともございますし、また、それぞれの国が現在のように信用機構が発達しておりますときに、万一の際にはどれだけ外国から金が借りられるか、そういった信用的なバックグラウンドもございまして、それこれでございまして客観的にどれだけの数字がいいのだということについてきまった説はございません。
そこで、それならば外貨準備は多ければ多いほどいいのかということになりますと、これはある国の外貨準備がふえるということは、世界じゅうをとってみますと、どこかほかの国が貿易収支その他国際収支全体として赤字を出しているということでございまして、これは世界全体として見ればまた一つの撹乱的な要因になりかねない。われわれがかつて去年おととしと非常に大きい黒字を出しましたときに世界各国から非難されたのも、同じような趣旨に出るものでございます。
そこで、ただいま御指摘ございましたように、最近も非常に国際収支の赤字が出ておる、それからただいま経済計画の改定されたものでも赤字が出ておる、こういう御指摘でございましたが、これをたとえば十一月の実数でとってみますと、おっしゃるとおり総合収支では十七億ドル程度の赤字が出ております。しかし、その中でいわゆる長期資本収支というものが十億八千万、ほぼ十一億ドル近い赤字になっております。それからまた、これは術語で申しわけございませんが、誤差脱漏であるとか、短期資本収支であるとか、こういったどちらかといいますと投機的に動きます金の収支、この上におきまして六億ドル近い赤字が出ております。その他、貿易外でも普通の月よりは若干大きい赤字が出ております。総じまして貿易収支そのものは依然黒字でございますけれども、そういったところに赤字が出ております。
そこで、私ども、外貨準備は何億ドルでなければいけないというきまった数字はございませんけれども、しかしながら、これが急激に動くというようなことは決して好ましくない。あるいは心理的な不安感をかき立てることもあるということで、この点は御案内かと思いますが、十一月の初めからいろいろと為替管理の見直しをやっております。ただいま申し上げましたように長期資本で非常に大きい赤字が出ましたのも、かつて黒字がひどかった時代に、入ってくる資本はほとんどとめる。まあ行き過ぎとも思われるぐらいに資本の流入はとめまして、出ていくほうは多少投機的なものであっても出ていくのを自由にしておりました。その辺を私ども現在の国内の金融情勢ともにらみ合わせながら手直しをしてまいりまして、長期資本の収支ないしは投機的な資本の動き、こういったものでわが国の国際収支が必要以上に大きな赤字を出し、それが必要以上に外貨準備の減少につながることのないように努力してまいっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/221
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222・前川旦
○前川旦君 ほかの方になるべく御迷惑をかけたくありませんので、どうぞひとつ簡潔にお願いをいたします。
素朴な質問をいたしますが、これは経企庁長官と大蔵省にちょっと聞いていただきたいのですが、外貨の準備高がどの程度が適正かというのは、非常にむずかしいことで、判断のしようがありませんね。いろいろな意見があります。しかし、政府は政府として政府なりの一つの立場があって大体の腹づもりはきまっているでしょうということを私は聞いたんです。ですから、それがないというのはちょっとおかしいわけですね。そうなりますと、いまどんどん外貨が減ってきている。そうすると、九十億ドルなら九十億ドルが安全圏として、そこからさらに落ち込む可能性だってなくはないんで、可能性はあるわけですね。先のことはわかりません。その場合に、考えてみると、外貨がたまり過ぎた、さあそれ外貨減らしだといって、この一年間外貨のむちゃくちゃな使い方をやりましたね、海外旅行にしても何にしてもですね。ほんとうに私は外貨の乱費をずいぶんやるなと思って見ておりましたがね。それでどんどんこの一年の間に減ってくる。あっと言う間に減ってくる。そうすると、危険ラインを割る。すると、今度はどうなんでしょうか。また再び何というか前の輸出優先型のあの経済運営に逆戻りをするということになるんだろうか。そうすると、われわれは飢餓輸出と言っていましたが、ああいう非常な無理をした輸出優先型の経済をやる。それが今度外貨がたまり過ぎた。今度はさあ転換だ、さあ使えで一年でドスンとこっちへ来る。それでもって減りだした。さあまた輸出振興だ。自動車産業あたりはこれは輸出戦略だと言っているようですけれども、またドスンとこっちへ来る。あっちへドスン、こっちへドスンと一年単位でこんなにふらふらふらふらするような経済の運営のしかたは、私は国際的にもたいへん信用をなくしていると思いますね。
そういう意味で、いま外貨がどんどん落ちている、ある程度のところを割ったら、またもう一ぺん輸出優先型のかつてのような経済運営に戻すお考えなのか、そうではない違う道を求めていこうとされているのか、その辺の御見解を伺いたいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/222
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223・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 外貨準備を計量的に大蔵省は注意深くながめていると思いますが、私ももちろんながめておるわけでありますが、しかし、今日は、前川さんも御承知のように、輸出が決して停滞しているわけではございません。やはり輸出は相当伸びておりまして受け取り超過でございますが、ただ長期資本収支という面がかなり大きな持ち出しになっておることに留意を私はいたしておりますので、したがって、簡単に申しますと、いまお尋ねのように、これからの日本経済の構造というものを再び輸出優先型に切りかえるという心要はないと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/223
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224・前川旦
○前川旦君 経企庁にお伺いをしたいのですが、来年度予算の編成の下敷きというか前提になる来年度のGNPの実質成長率を二・五%に見られましたということが新聞に出ておりましたね。実際新聞に出たとおりなんでしょうか。実質成長率を二・五%と押えられたんですか。そうなりますと、名目成長率は幾らにごらんになって、卸売り物価指数上昇率はどういうふうにごらんになって、消費者物価の動きはどういうふうにごらんになって、どういうふうにこの数字を考えていらっしゃるのか、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/224
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225・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 名月成長率は、これはいまもお触れになりましたように、デフレーターと申しますか、卸売り物価、消費者物価の推移によりましていろいろ動く要素がこれからもあると私は思いますが、しかし、実質成長率というものは、いまの石油の事情など、これはもちろん来年も動くでございましょうけれども、そういうものを中心といたしまして考えてまいりますと、今年私どもが先般改定したような四十八年度実質成長率六%というようなことにはとうていならないと、こういう見通しをいたしますので、これはいまお話がございましたように、まあせいぜい二・五%の上昇前後と、こういうきびしい見通しをせざるを得ないと考えます。
物価につきましては、これからいろいろな要素を入れていま作業中でございますがそれをきめまして、予算編成の方針をまとめます際に予算の考え方とあわせて公表ができるように準備中でございますので、そのように御了承をいただきたいと思います。しかし、私は、実質成長率が二・五ということになりますと、物価の上昇をある程度見ましても、四十八年度における私どもの改定試算のように名目でも二一%伸びるということにはとうていならないと思うわけでありまして、その辺にも、財政規模というものはやはり名目で組みますので、大蔵大臣とも打ち合わせて平仄が合うように財政のほうもやっていただいていることは、先刻申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/225
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226・前川旦
○前川旦君 石油の見通しが立たないのに二・五という数字がどういう根拠で出されたのか。これは私はこういう質問をすると意地が悪いように自分でも感じがしますからもうあまり追及しませんけれども、先の石油の輸入量がわかっていればこれは二・五なんという数字が出せますよね。あるいはそれが全然見通しが立たないのに二・五というのはどうして出したんだろうとふしぎでしょうがない。あるいは見通しがもう立ったんですか、立ったがゆえに二・五という数字が出たんですか、私はそういうふに思いませんけれどもね。そういう意味で二・五というのはずいぶん政治的な数字だなというふうな思いでこれを受けとめました。
それからデフレーターをどうするか、これなんかも、これは名目成長率をどれくらい置くかとか、消費者物価、卸売り物価の見通しとかいったって、これはむずかしいところですね、実際。ほんとうにこれはそれじゃ一〇%といったら一〇%までの消費者物価は上げてもいいんのかとかなんとかいうようなおかしないろいろな論議がありますからたいへんむずかしいところだと思いますが、私はこれもほんとうはやりとりしたいんですけれども省略をして先へ進みますが、民間のいろいろな機関が研究したところでは、ゼロ成長もある、マイナス成長もある、実質成長が。あなたの言われるようにプラス二・五という考えだけじゃないんです。ですから、これは二・五という数字はたいへん不確定な数字ですが、実質ゼロ成長もあり得るんだというふうにお考えになりますか、あるいはマイナス成長ということもあり得るというふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/226
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227・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 石油を中心とするエネルギーの供給によりまして明年度におけるわが国の生産が左右されることはもちろんでございますが、石油の見通しがどうであるかということは、これは私も政府のその位置におりますために全然存じないわけではございませんけれども、通商産業大臣が正面から御所管になっておりますから、何らかの機会に通産大臣からお尋ねいただくのがいいと思いますが、大ざっぱに申し上げますと、通産大臣あるいはその他の関係閣僚との明年度の経済成長見通しなどの検討に関連して私が承っているところによりますと、四十八年度の、これはまあ三月までまだあるわけでありますが、四十八年度の実績見通しよりももちろん悪い、何%か減る。しかし四十七年度の実績よりも多いと、こういう数字になるわけであります。これはパーセンテージは私は申しませんが、前川さんもおおむね御想像のとおり、四十七年、四十八年というもののわが国への石油の輸入量はかなり急傾斜の伸びもございました。現に四十八年度の上半期もかなり大きな数字が入っているわけでございます。それらが下半期において一六%減るとか、あるいは改算して二〇%減るとかいうような見通しも立てたこともございますし、また、アラブからの供給制限が月五%加重されてくる見通しやらこない見通しやら、そういうものもいろいろ検討いたしてまいりましたが、私は、ゼロ成長、マイナス成長の計算をしなければならないような諸般の情勢にはないものと、これは私ばかりでなしに、経済企画庁におります役所のエコノミストを動員いたしまして計算をいたすと、マイナスでもゼロ成長でもない。ただし、毎年人口がふえております。毎年日本の人口は一・二%ぐらい、百何十万人ぐらいふえておりまするし、また、経済の規模も大きくなり、人々の欲望も上昇してまいりましたから、それとぶつける場合にいろいろ心理的に問題があるということ、並びにかりにエネルギーの供給量が四十八年度の実績見込みより落ちることがありましても、それらのエネルギーをどういうふうに使うかという政策によりまして経済成長への与える影響がいろいろ違ってまいると思います。これはガソリンを自家用車に無制限に供給して日曜でもなんでも走らせることはもちろんやめることになりましょうが、たとえばそういうような見方をいろいろな面においてとってまいるということも、来年の実際の生産の伸びとか成長の伸びなどを計算する場合にも、そういう政策的要素は入れて計算をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/227
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228・前川旦
○前川旦君 まあ経済企画庁の見通しが最近当たったことがありますかしらん。いつでも途中で改定をして、えらい数字がずれおりますわね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/228
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229・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 上のほうに伸びている……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/229
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230・前川旦
○前川旦君 そうなんですよね。当ったことがないでしょう。ですから、あなたが二・五より下回ることはないと思いますと言ったってそれは毎年毎年年度の初めにあれを出すときは物価上昇率は五・五%で押えますとかいつも言ってきているんですよね。ですから、私はその二・五というのを非常にむなしい思いでこの数字を見ているんです。ですから、ゼロ成長もあり得るだろうと思いますね、可能性としては。そうすると、実質成長の伸びがゼロ成長の経済って一体どんなんだろうか、マイナスに落ち込むときの経済の姿ってどんなんだろうかということは、研究している機関もないし、また経験もない。想像がつかないわけですよ、どんな一体世の中になるのか。かりに中身がゼロで、そして名目成長率だけが高くて、物がふえなくて、成長がなくて、インフレマネーだけがくるくる回っているようなこんな社会って一体どうなるのだろうか。私はそういう意味で非常な危機感を実は感じるんですよ、危機感を。ですから、私は、その二・五というのを非常なむなしさをもって感じるのですけれども、あんまり楽観的な——政治的なショックを与えてもいけないというのでそういう数字を出されたのではないかと私は意地悪く思いますが、もっとゼロ成長になる可能性がある。そのときには一体どう対処するのだ。名目成長だけが高くて、インフレマネーだけが舞うようなことではなくて、実質成長率と名目成長率との乖離をどうやって防ぐんだという真剣なインフレに対する対決姿勢というのをやっぱりもっと持つべきではないかという思いを実はぼくは深めるのですけれども、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/230
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231・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 別に政治的の要素をたくさん加えて二・五前後と、こういう実質成長率を出しているわけではございませんが、前川さんのお考えになるように、ゼロ成長というものを考えました場合に、ゼロ成長とはどういうことかというと、四十八年度の経済規模と同じだ、それよりも大きくはならない、こういうことになるわけでございます。ただし、私が触れましたように、人口増加もございましょうし、人々の欲望の上昇マインドというものもにわかに節約は美徳だということを言っただけでは私はおさまるものではないと思いますので、心理的にはゼロ成長というものはかなりな状況の違いをこれまでの成長一本やりの経済の中で暮らしてまいった国民には感じさせられることがあろうと思いますが、かりに万々一ゼロ成長というようなことがございましても、その際の——国民総生産というのは、物の生産ばかりではございません。いろいろなサービスもございますし、夜おそくまで勉強することも場合によればGNPの成長の中に入っておりますし、百貨店が包み紙だけ大きくするこの包み紙もこれは変な話でございますけれどもやはり成長率の中に入っているような計算のしかた、これは全世界的にグローバルにそういうことをやっておりますが、そういう面を削ることによりまして、かりにゼロ成長というようなことが万一ありましても、必要な国民生活というものには不便を来たさないような、そういう総合的な施策をやってまいらなければならないということを私は腹の中のどこかに置きましてやってまいらなければならないということだけは考えるものであります。私が後退して、おまえの言うことを聞いているとそれならゼロ成長も心のどこかにあるのかということでは全くありませんが、お話でございましたから、そのような私の気持ちを述べさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/231
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232・前川旦
○前川旦君 もうぼくの時間が来て言いにくいんですが、よく言われていますね、いままでの資源多消費型の産業構造、これを省資源型の新しい産業構造に変えていく転機であると、この石油ショックというのは。そこで、いままでの資源多消費型の産業構造をこれからどういうふうに持っていかれるんですか。いまだから石油が少ないと一時頭を低くして嵐が通るのを待っている。石油の供給量がふえたらまた同じように資源多消費型の経済をやると、そういうふうに考えていらっしゃるのか。これを転機にしてほんとうに産業構造を変えてしまうというふうな考え方に立たれるのか、それはどちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/232
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233・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) それは、たとえばどなたかの著書にありましたと聞いていますが、日本列島が理想的な姿に改造されると、昭和何年かには石油の消費量が七億何千万キロリッター要るというような、私なりにはそういう考え方に立つものではございません。もちろん、今日の石油輸入量が、アラブの状況がこのまま私は固着してしまうものとも考えませんので、三億キロリッターをこえるような状態にはなるだろうと思いますけれども、しかし、これからの日本経済を考えてまいります場合には、石油を基礎としたエネルギーだけの上に日本の経済を伸ばすということは、もう申すまでもなく石油の輸入量は九九・七%であり、またエネルギーで石油にたよっている分がわが国は七七%あまりでございますが、そういう行き方を、エネルギー源の転換というものもはかるし、また、いまお話にもございましたような省資源、省エネルギー産業構造というようなことも十分頭に置きまして、そして日本経済の将来の構造というものを当然考えていくべきだと思います。そのことは、私がいまここで口先だけで申し上げるだけでなしに、実は今年の二月に経済企画庁が発表いたしました経済社会基本計画というのはそういう考え方の発想があるのでございます。しかし、それを多くの人々が昭和四十四年につくりました新全総を一緒にされまして、あの新全総をそのままやれるのかと、こういう混乱があるようでございます。新全総のほうはもちろん総点検をいたします。経済社会基本計画のほうもその政策指導の考え方はございますけれども、いろいろな計量的の目標を示したようなものもございますので、そういうところはフォローアップをしながら、いま私が述べましたような、また経済社会基本計画が打ち出しましたような、そういう経済指導原理にマッチするようなフォローアップも当然私はいたしてまいりたいと思うし、現にそれはやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/233
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234・前川旦
○前川旦君 もう一つだけ。それじゃいま確認をしたいと思いますが、従来のような資源多消費型の産業構造というのはもう維持できない、転換をすべきだ、そういうふうに考えていらっしゃると、このように受け取ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/234
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235・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/235
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236・前川旦
○前川旦君 そこで、一九八五年ですから昭和六十年にGNP三百兆、一兆ドルですね。粗鋼の生産が二億トン、四十六年の二倍。石油の精製が千五百オバーレル、七億五千万キロリッター、これは現在の四倍。石油化学、エチレン換算で千七百万トン、これも現在の生産量の四倍。新幹線九千キロ、高速有料自動車道一万キロ、いずれもこれはセメントや鉄材で食いますね、石油を。自動車は四十七年の二千百万台に対して四千万台、二倍。こういう資源多消費型の経済見通しなり目標というものと訣別せざるを得ないし、訣別すべき時期であると私は考えますが、長官はどうお考えでしょう。これはもちろん御承知のとおり日本列島改造論の中身であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/236
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237・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 先ほどちょっと触れました昭和四十四年の経済企画庁がつくりました新全総計画というものにも、いま御指摘になりました著書とは趣が違いますけれども、これはその当時の考え方といたしましては、経済の規模やら手段やらあるいは資源の消費量やら目標やらをかなり大きくとったような計画になっておるところと若干符節を合せたところもなきにしもあらずだと思います。したがって、私は、その著者のことはそれは総理大臣の著書でありますから、私がここで頭から批判することはやめますけれども、総理大臣の発想の基礎にもなったでございましょう、昭和四十四年の新全総の考え方、それの計量的な目標というようなものは、先ほど触れましたように、当然それは先のほうにずらしていくのみならず、また、その考え方の基礎をなしておる構造につきましても総点検を私はいたすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/237
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238・前川旦
○前川旦君 そのところを聞きたかったわけなんですよ、一番最後に。ですから総理に私はほんとうに質問したかったのですけれども、御病気ですから。列島改造論は私の個人的な著書でございますといって逃げておられるけれども、しかし、現在四十八年度の予算の公共事業の伸びは三二・八%でしょう。工業再配置促進法に基づく線引きは具体的な町や市の名前まで出して行なわれた。国総法は推進されている、通信網は拡大されている等、すでに田中内閣ができてからこの日本列島改造論に盛られた計画は着手をされていると考えるのはもう常識です。これはみんなそう言っている。私もそう思いますよ。それはそうじゃない、着手じゃないと、あれは単なる私の個人的な著書だと言われても、ぼくは国民は納得できないと思う。そこで、最初に言いましたような、たいへんな資源多消費型、エネルギー多消費型の高度経済成長追求という路線が、いまちょっと頭を低くして姿勢を低くしていて、石油問題がある程度解決したらまた同じように高度経済成長で突っ走るのだというふうに、いま一時の押えなんだというふうに考えられるのか、これを転機として高度経済成長というものと違う新しい路線を求めるというように変えられるのか、そこのところのあなたの意見を私は聞きたいということを申し上げているんです。ですから、そこのところを的確にお答えをいただければ、私はもうこれで質問を終わりにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/238
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239・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) そのことを申し上げたつもりでございました。ただ、私は、日本民族の将来というものを考えまするときに、いまのような事態をなしているエネルギーの基礎がこのまま一向に伸びないものと考える必要もないし考えてはならない。それは石油エネルギーでありましたものを水素エネルギーに変えるかもしれませんし、あるいは最終段階においては核融合のエネルギーも引っぱってくる。一時言われましたように固体エネルギーが流体エネルギーに変わった結果経済は成長しましたけれども、こういうような場面に遭遇をいたしておりますから、これから先、私はそんなこともあるかどうか知りませんけれども無体エネルギーのようなそういうものをも開発するというような目標を——つまり、経済企画庁の私といたしましては、足元を固める、これから先毎日、一カ月先、二カ月先の国民生活のため物価を安定させて国民に安心を願うことに最大の力を入れますけれども、同時に、しかし、民族の将来というものも考えます際には、現在の発展途上国と同じような状態にもとにもどすということはあるべきではないので、ものごとの指導原理や計量目標やそういうものは当然変えていくことばもちろんでございますけれども、長期な見通しをいまと同じような基礎ではなしに新しい基礎のもとに打ち立てる努力をしながら国民の生活を安定させるような、その両面の努力をいたすのが私の責任だと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/239
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240・前川旦
○前川旦君 もうこれで終わりにしますが、私は何も発展途上国のようなところまで、逆戻りさせなんて言っていないんですよね。ただ、私が指摘しましたように、石油の供給量がこれから将来もいままでと同じような伸び率でどんどん伸ばしていける、札束さえ出せば幾らでも売ってくれるという状況じゃないわけでしょう。それはコンセンサスができますね。そうなると、日本列島改造論の大きな柱は、石油精製が四倍だ、石油化学が四倍だ、自動車が倍だ、粗鋼生産が二倍だと、一九八五年までね。こういうような石油をたくさん使うようなこういう内容の日本列島改造論というのはとても不可能であって、訣別しなきゃやむを得ないでしょうがと、それしかないでしょうということを私は言っているんですよ。ですから、エネルギーをいろいろほかのものに変えるということ、これは必要でしょう。これから大いに研究しなきゃいけない、本気でかからなきゃいけませんが、私がいま言った日本列島改造論の柱は全部石油を多消費する内容でしょう。これと訣別しなきゃどうにもならぬでしょうということを私は最後に言っているわけなんです。その点についてのあなたの割り切ったお考えを聞きたいんですよ。これはいかがなんですか。何も遠慮なさることないじゃありませんか。真実をおっしゃっていただければいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/240
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241・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 総理大臣の著書を集めてそれを全部焚書といいますか焼いてしまうようなことは私は全く考えておりません。ことに彼が自分の私的著書であると言っておられるわけでありますから。しかし、私は、経済企画庁長官としての責任において、四十四年度にあらわした新全総、この考え方は総理の著書とつながるところもないわけではないように思われますが、それについては総点検をして、昭和六十年目標ばかりでなしに、二十一世紀の第一年への目標、昭和七十五年への目標というようなものも立てながらいままでの新全総の考え方を変えていくと、こういうことだけを申し上げましてお許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/241
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242・前川旦
○前川旦君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/242
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243・柏原ヤス
○柏原ヤス君 飲用牛乳が先日から値上げになりました。これは便乗値上げだとも言われておりますが、原因は何なのか、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/243
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244・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
本年の一月に飲用牛乳の価格の改定が行なわれたわけでございますが、さらに、その後、酪農農家の段階、生産者の段階におきまして、御案内のとおり、昨年からの飼料原料の国際需給の変動によりまして飼料価格の大幅な値上がりがございました。また、最近の農業パリティ指数が明らかなように、諸資材の値上がりもございまして、この夏から生産者団体とメーカーとの間で乳価改定の交渉が行なわれたわけでございますが、十二月六日からキロ十五円の生産者乳価の値上げというものが行なわれたわけでございます。で、そのほか、処理メーカーの段階におきます資材費の高騰なりあるいは配送費、労賃がコストの七割を占めます小売り段階等におけるコストアップの要因、そういうものがそれぞれ重なりまして今回の値上げということに相なったわけでございまして、おことばにございました便乗値上げではないかという点につきましても、われわれといたしましては、時期の引き延ばしはもちろんでございますが、特に各段階のコストアップの要因等につきまして精査いたしまして、その幅も極力抑制するようにつとめてまいっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/244
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245・柏原ヤス
○柏原ヤス君 その値上げの原因というものをもう少し具体的におっしゃっていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/245
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246・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) ただいま申し上げましたとおり、今回の改定はやはり生産者段階におきます原料乳価の値上げをせざるを得ない要因があるわけでございます。御案内と思いますが、昨年からのえさの値上がりが工場建て値にいたしまして三万二千円台から五万円というような、トン当たり一万八千円の値上げが行なわれまして、これがそれぞれの畜産農家に影響を与えているということでございます。この要因のために、生産者といたしましては——御案内のとおり、飲用牛乳価は自主的な当事者の交渉できまるわけでございますが、十九円五十銭の値上げ要因があるというようなことで夏以来話し合っておったわけでございますが、十二月の初めになりましてキロ当たり十五円ということでございます。それからメーカー段階におきましては、配送費の増高とか、あるいはびん代とか、それぞれ資材の値上がり、労賃の関係はもちろんでございますが、それから先ほどのことを繰り返すようでございますが、小売りの段階におきましては、配達労賃がコストの七割というような点で、その面からの要因もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/246
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247・柏原ヤス
○柏原ヤス君 いろいろ値上げに踏み切らなければならないそういう原因はあると思います。こうした現状の中で、それを防ぐために今回の値上げが行なわれたということと思います。しかし、この飲用牛乳の値上げによって飲用牛乳の供給が十分確保されるかどうか、この保証はどうなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/247
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248・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) 先ほどの御質問の際にも触れたわけでございますが、四十七年から八年にかけまして、酪農部門におきましては、乳牛生産が減る、あるいは生乳生産がほとんど横ばいだというような相当配慮すべき事態になっておるわけでございまして、それに加えまして今回の昨年から襲いました飼料価格の国際的な暴騰がもろにかぶったというようなことで、価格面からの刺激というものがある程度やらざるを得ないという段階に来ておったわけでございますが、その意味では、今回の改定によりまして、供給について酪農農家に元気がつきまして、停滞ぎみな生乳の供給の増加がある程度期待できるというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/248
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249・柏原ヤス
○柏原ヤス君 飲用向けの生乳の不足、これを値上げするということだけで解決しようとしている、私はそういうふうに受け取りますが、これは非常に安易な考え方ではないか。飲用向けの生乳の不足に対する政府の対策、これはおありなのでしょうか。また、どういうふうに考えていらっしゃるか。それからあわせて値上げ防止の対策、これもなければならないと思いますが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/249
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250・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
確かに、御指摘のとおり、生乳生産の停滞と需給の逼迫というものがやはり価格値上げ要因の一つの大きな要素になるわけでございますが、この供給の増加につきましては、まあ価格の面からの刺激だけではなくて、生産なり経営面に対する本格的なてこ入れをなすべきであって、むしろそういうべースとしての施策というものと相まって供給増加を来たすべきだというふうな御指摘かと思うわけでございます。この点につきましては、大家畜の酪農経営でございますので、その成果をあげることについては時日を要するわけでございますが、飼料基盤の整備等を中心とした草地開発事業の展開とか、あるいはあるいは飼料作物栽培における高能率の団地の造成とか、あるいは明年度からは飼料作物の生産に対して増産奨励金を思い切って出すというような対策とかを講ずるような生産面からのてこ入れが第一点だと思うわけでございます。
それからまた、市乳の流通の遠隔化——遠隔化と申しますか、東京、大阪等の市乳圏の周辺の都市化によって供給が不足する。で、遠隔地域からの市乳供給を増加することによって大消費地における需給のバランスをとるという点で、生乳の長距離輸送なり、あるいはこれを北海道等において濃縮乳という形でいたしまして大阪、東京等にこれを輸送するというような、輸送への地域間の需給調整というようなものについても配慮する等、御指摘のように、単なる価格だけの改定で当面を糊塗していくというようなことであってはならないというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/250
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251・柏原ヤス
○柏原ヤス君 いまのお話の中に、北海道から濃縮牛乳を大阪のほうまで持っていくというふうなお話がございましたが、これも私ちょっと見てまいりましたが、非常に問題点が多いと思うのですね。これについてまたいろいろと具体的にお話をさしていただきたいと思っておりますが、次に、普通牛乳と加工乳との区別がございます。普通牛乳というのが純綿とすれば、加工乳はスフのようなものだ、安いのが当然だと思います。ところが、反対に値段が高い。これはどういう理由なのかということをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/251
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252・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) 御案内の先生にくどくど申し上げるのは恐縮でございますが、乳等省令におきます牛乳においては、生乳をそのまま殺菌、びん詰めいたしました形の普通牛乳と、それから七割ないし八割が普通牛乳であってそれにバターとか脱粉の還元乳と申しますかそれを加えた加工乳とあるわけでございます。先生のお話は、両者の格差があるのは何かというお話でございますが、加工乳につきましては、従来、脂肪分を高めるとか、無脂固形分を入れるとか、エンリッチをした形で成分濃度が高いというようなことで、加工乳が生乳をそのまま処理いたしました普通牛乳よりも割り高であるという事情にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/252
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253・柏原ヤス
○柏原ヤス君 加工乳の原料というのは粉乳とバターでございますね。この粉乳とバターというのは、メーカーでもう非常に安い牛乳でつくっているわけです。政府からは一キロ八円の補助を受け、また生産者からは一キロ約四十円くらいで買っています。一方、普通牛乳のほうは、一キロ八十二円十銭というふうに、生産者からは倍の値段で買っているわけです。単純な計算にしても、加工乳の原料代というのは半分ぐらいだと、まあこれは少し極端ですけれども。ですから、加工乳はそうした安い牛乳からつくった粉乳とバターでつくっているのですから安くできると、私はこう思うわけです。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/253
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254・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
いろいろの御指摘でございますが、バターなり脱脂粉乳等の乳製品につきましては、御案内のとおり、今日の乳価安定制度におきまして乳製品の安定指標価格を国が定めておりまして、それからコストを差し引いて、農家に支払われる価格を、生産者が支払ったあとのなお再生産に不足する部分につきまして保証価格として八円、ただいまお話がございました八円で、四十八円五十六銭農家の手取りになっておるわけですが、飲用乳につきましては、改定前では約六十九円ということで格差があるわけでございます。したがって、そういうことを前提といたしまして、さらに先ほど申し上げましたように、加工乳といえどもバターや脱粉のみの還元したものだけではないわけでございまして、七割ないし八割は普通牛乳でございます。したがいまして、その点ではバター、脱粉からつくられた加工乳が大幅に普通牛乳よりも安くなるということではなくて、むしろその場合にバター等の脂肪分を添加し、普通牛乳でございますと三%ないし三・八%無脂固形分の比率を高めるとかいうようなことで、いわゆる強化牛乳的なものとして成分が高いということで従来の価格がきめられておるという関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/254
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255・柏原ヤス
○柏原ヤス君 それで、先ほど加工乳がなぜ高いかということに対しての理由の御説明は、成分にあるんだ、成分が非常に乳脂肪、無脂肪固形分、こういったものが高いからだと。この成分を同じにすれば普通牛乳より安い牛乳をつくることができると思うんです。この高い加工乳はなくすべきじゃないか、なくすことができないかと、こう思いますが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/255
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256・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
確かに、牛乳についての考え方といたしまして、普通牛乳と同じ成分の加工乳であればよろしいと、それであればさらにエンリッチしたような脂肪分なり無脂固形分の多いものは必要ないのではないかというような考え方が有力になってまいりまして、われわれといたしましても、これを均質牛乳と申します、加工乳の中で普通牛乳と同じ成分のものを。その均質牛乳を進めていくということは一つの方向だと思うわけでございまして、少しよけいなお答えになりますが、今回の値上げ幅の抑制に際しましても、均質牛乳の、普通牛乳と全く同じ成分の加工乳の上げ幅を極力抑制する、その場合に脱脂粉乳とかバター等については畜産振興事業団から安値で放出することによって、普通牛乳であればいわれるところの八円の上げ幅を四円ぐらいの上げ幅に加工乳はいたすというような努力によりまして、御指摘の点等と関連いたしまして極力値上げを抑制したいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/256
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257・柏原ヤス
○柏原ヤス君 いまお聞きした中に加工乳はなくすべきだ、それはできないかということですが、それはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/257
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258・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) 確かに、牛乳は、普通牛乳、まあフレッシュと申しますか、その自然のままのものを飲むべきだという有力な意見がございまして、昨年の食品衛生法の改正の際におきましても種々御論議を賜わうたところでございます。基本的にはその方向をとるといたしましても、先生御案内のとおり、夏場でございます七、八、九月等におきましては生乳生産が非常に停滞する、一方需要は夏場でありますので非常に伸びる、その際はやはり牛乳の需要上から加工乳をもって一部代替せざるを得ないというような実は牛乳需要上の事情もございまして、全くこれを置きかえるということは、おことばでございますが、実態に合わないのではないかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/258
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259・柏原ヤス
○柏原ヤス君 消費者の中には、太り過ぎというものを心配して脂肪の摂取を控えている者が非常に多いわけであります。これらの消費者に低脂肪牛乳というものを供給してはどうか。当然、脂肪が少ない牛乳ですから、値段も安くできるのではないか。低脂肪牛乳、こういうものはお考えになっていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/259
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260・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) 諸外国等におきましては、脂肪分の摂取過多を避けるために、低脂肪牛乳というものが一種の美容食的に出ておるというふうにわれわれは承知しておりますが、低脂肪牛乳等の普通の製造なり販売等については、われわれが現在承知している限りでは、数量が相当伸びれば別だけれども、限られた数量では採算に乗りがたいというふうに聞いておるわけでございますが、この問題については、御質問でございますが、われわれとしてはまだ本格的に検討したことはないわけでございますので、ひとつわれわれ今後の課題として検討さしていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/260
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261・柏原ヤス
○柏原ヤス君 今回の牛乳の値上げに際して、メーカーを中心とした団体が生協やスーパー・マーケットの店頭販売価格に介入しております。農林省はこの事情を掌握していらっしゃるのかどうか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/261
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262・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
スーパー等大型小売り店の出現、その店頭売りについては、低マージンの大量販売の商品の一つとしてこの牛乳が取り扱われまして、大型容器等については格別安い値段で売られると、そのことが専売店と申しますか小売り店のシェアに非常に影響するというようなことで、かねがね問題はあったわけでございますが、最近の価格改定等と関連いたしまして、一部地域で小売りの要請なりそれを受けたメーカーの動きでそのような動きがあったというふうにわれわれは承知いたしまして、この点についてはなおいろいろおしかりがあるかと思いますけれども、われわれといたしましても、競争原理を抑制して割り高な価格を維持しようとするような点については最も避けるべき点でございますので、関係者に対して厳重に注意いたしまして、そのようなことのないようにということを指導したつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/262
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263・柏原ヤス
○柏原ヤス君 乳業メーカーを中心としたこういう団体が勝手に関係のない生協やスーパーに小売り販売価格を強硬に押しつける行為、これについて公取委員会としてはどのように考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/263
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264・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) もしも全部の普通の小売り店に対してそういうことをやれば、これは再販売価格を押しつけたものでありまして、それを契約でやらなくても、実力でやっている、たとえばそういうところに対して出荷停止も辞さないというふうなことになりますれば、これは独占禁止法で禁止している不公正な取引方法に該当いたします。ただ、スーパー等では、過去においてはしばしば小売り業とは比較にならない安売りをやっておった例がございまして、これは仕入れ価格をも割っているという事例がございました。これが逆にそのこと自体がスーパーのそういう行為が客寄せの手段としてやるわけですが、不当廉売といいますか、いわゆるおとり廉売に該当するものでありまして、ことにいままで特別に新しい定めをしなくても仕入れ価格を割る販売は不当廉売に該当するというところまでははっきり線がきめてありますから、それに反することで苦情が来ましたときには、逆にそういうおとり廉売をやめるように指導しているわけでありまして、今回のことがどの程度のものであるか、実態を調べてみないと、いま直ちにはこれはお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/264
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265・柏原ヤス
○柏原ヤス君 私が調べましたところによりますと、これはあるスーパーですけれども、その団体から、販売価格を一リットル入り百七十円以上にきめないと出荷を制限するというような圧力を受けております。これは独禁法違反であると私は思うのです。また、乳業メーカーがバターやチーズを出荷しないというような可能性も考えられます。こういう点、公取委員会は調査なさったのかどうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/265
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266・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 事務当局があるいはそういう苦情を聞いて調べているかもしれませんが、まだ私自身はその事実を聞いておりません。どうなっているかは事務当局に調べさせてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/266
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267・柏原ヤス
○柏原ヤス君 これは事実でございますので、ぜひ調査して、そしてその結果どのようにこれをなさるのかをまた承りたいと思います。
前回の値上げのときに、消費者が安い牛乳を買うには大型容器入りの牛乳を買ってくださいと、こういうふうに農林省や企画庁はたいへん奨励したはずでございます。農林省、企画庁は、こうした事件を今後どう解決していきますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/267
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268・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げますが、大型容器の値引きの問題につきましては、われわれといたしましては、やむを得ざるコストの要因等で飲用乳の末端価格が上がらざるを得ない場合においても、五百CCなりあるいは一リットルなりのワンウエト容器等による割引は、前回の乳価改定の際においても割引率を非常に高くいたしまして家計負担に対して少しでも軽減いたしたいという方向で指導したわけでございます。で、ただいまいろいろ御指摘を受けております今回の乳価改定の際にも、この大型容器割引については
一段と指導いたしまして家計負担の軽減に資したいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/268
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269・柏原ヤス
○柏原ヤス君 企画庁、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/269
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270・小島英敏
○政府委員(小島英敏君) 現在の価格体系は、どうも大型容器のものについてまだ割り高だという感じがいたします。それから消費者のほうからも、最近の牛乳代の値上がりの中で配達費が大きなウエートを占めておりますから、配達してもらわないでもいい、つまりスーパーなんかへ自分が行って買う場合にはもっと安くしてもらいたいという合理的な要望もありますので、私どもといたしましては、大型容器についてもっと割り安になるように、それから特にいま先生お話しのように、スーパー等についてむしろ逆の動きが業界内にあるやに聞いておりますので、これはたいへん遺憾なことでございますので、両方の問題について農林省を通じてさらに消費者の要望に沿うように強力な行政指導をしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/270
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271・柏原ヤス
○柏原ヤス君 乳業メーカーの団体を中心にしてきめられるこうした牛乳の値上げのやり方、これに対しては企画庁長官はどういう見解を持っておいででしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/271
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272・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 乳業問題には私どもはこれを主管する農林省のいろいろな指導があってたびたび値上げ問題が起こるたびにそういう取引といいますか団体的な交渉が行なわれているということは聞いておるのですが、はたしてそれが独禁法違反になるかどうか、まだあまりその実績がございませんが、いま御質問のようなほんとうにその上の段階の業者と今度はそれに対して販売する業者ですね、メーカーの団体と販売する側との団体間による取引によってきまるとすれば、私は独占禁止法上これはむしろ抵触する事件として扱うべき事件じゃないかと、いま実態をまだ調査しておりませんから断言できませんが、もしそれが事実だとすると、独禁法に抵触することを公然とやっているという形になりまするので、私としては、もしその事実を調べた上でそのとおりであれば、そういうふうに扱います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/272
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273・柏原ヤス
○柏原ヤス君 いま企画庁長官にもお聞きしたわけですけれども、このような今回行なわれた、まあ今回ばかりじゃございません、牛乳の値上げというものは、今年は二回もやられているわけです。この牛乳の値上げのしかたですね、これに対して長官はどういうお考えを持っていらっしゃるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/273
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274・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 牛乳の値上げのことが問題になっておりますことは、私も聞き及んでおります。しかし、正直に申しまして、ああいう酪農製品につきましては、農林省が従来行政指導上深く立ち入っておるような仕組みになっておりますので、これは今回私どもが新しい法律で標準価格をきめたり、あるいは物の移動について指図するような、そういう仕組みと体系を異にしているところがあるように思いますが、しかし、そういう体系を異にしているような仕組みがあってそのために牛乳の消費者が非常に迷惑をこうむることはよろしくないことでありますので、農林省のそういう行政や乳等省令というような政令、命令の仕組みなども私はあらためて検討さしていただきまして、そうして農林省とともに対処いたすべきことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/274
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275・柏原ヤス
○柏原ヤス君 農林省はそれでは具体的にどういう指導をしたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/275
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276・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
飲用乳につきましては、先ほども繰り返し申し上げましたように、生産者と乳業処理メーカー、それから処理メーカーと小売り店の当事者の交渉による自由価格ということで形成されておるわけでございます。ただ、従来、飲用乳価につきましては、一方では酪農経営にも関係する問題であるという点と、それから他方では消費者家計にも響く問題だという両面がございますので、昭和四十三年までは一種の末端価格について指導価格によって指導してまいったわけでございます。ところが、その後、国民生活審議会等の御意見で、指導価格というものはややもすれば行政指導の値上げというような問題にもなるのでこれを慎めというような御指摘もございまして、われわれとしては、その点では積極的な価格についての介入をいたしておらないわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、一方ではその生産者価格がいかになるかということが酪農経営の存続発展にとっても非常に影響いたしますし、また、末端価格がいかになるかということは消費者家計に対して響く問題でございますので、その上げ幅とか時期という点については、関係者に対して、そのときそのときの条件によってできるだけ妥当性を持つような時期を選び値上げをすべきだというふうにやっておるわけでございまして、今回につきましても、われわれとしては、最近における消費物価の上昇等から見て首肯し得る幅にいたすべきであるし、また、時期もできるだけ延ばすべきであるというふうにして指導してまいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/276
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277・柏原ヤス
○柏原ヤス君 この牛乳の例のように業界がきめた値段、農林省がそこに入っているとは言え、業界がきめた値段と考えていいと思うんです。こういう例を考えてみて、今回提案された標準価格というものは、この牛乳の例のように、業界がきめたものを主務大臣が追認する、こういうふうにする以外にないのではないかと、こういうふうに私は思っているわけですが、この点はいかがでしょうか、長官に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/277
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278・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 私は、業界がカルテル等の行為をもってきめた値段、ことにまた、この間私の談話といたして発表もいたしましたが、先取り的な便乗値上げのようなものをつくりましても、標準価格をきめる際にはそういうものはその時点において考慮をしないと、こういうことの談話を発表いたしておるわけでありますが、ただ、牛乳につきましては、これは先生御承知のとおり、畜産物の価格安定等に関する法律というのがございまして、これはまあ主として加工乳についての価格措置をきめた法律でございましょうけれども、しかし、もともと乳をつくるのはやっぱり牛であり、牛を飼う酪農家でございましょうし、飼料などについての行政上の措置もございますので、普通自由商品の業者のカルテルによる価格の設定などとは違う面がある。農林省が第一次産業である酪農の指導、奨励、維持のためにいろいろ従来から法令等で入り込んでおる面がございますので、今度の国民生活安定法の指定物資というものにこれを指定するのがいいかどうか。まあ指定物資にいたしますと、すぐ標準価格をつくることになりますが、そういう指定物資としてきめるものになじむ物資であるかどうかということ、これについては私は農林省とよく打ち合せをしてまいらなければならないと思っております。まあお米ほどではございませんけれども、ややお米など、これはまあ食管法でやるわけでございますけれども、多少似たところがありますので、その辺も十分農林省と打ち合わせて、主務大臣は農林省でございますが、私のほうからも打ち合わせて対処いたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/278
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279・柏原ヤス
○柏原ヤス君 農林省にお聞きしますが、この牛乳がもし指定物資とされていたならば、今回の値上げ幅というものは押えられたのではないか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/279
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280・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げますが、先ほど申し上げましたように、生産者段階の要因もあるし、処理段階の要因もあるし、小売り段階の要因もございます。これはわれわれとしてはあたうる限りその便乗性、まあ生産者団体においては私どもは便乗性は認められない、えさその他のコストアップ部分があると。問題は、メーカー等においてどうか、あるいは小売り店段階でどうかという点については、相当詳細に精査したつもりでございます。末端の価格は八円で、二〇%以上の価格の二百CC換算の値上がりということが言われておりましたが、私どもといたしましては、その加工乳の値上げ幅を大幅に下げるとか、あるいは大型容器の割引を行なわせるとかいうことによりまして、その二〇%以下の、最近一年間の消費者物価の値上げ幅と見合う程度には値上げ幅を抑制するということで、その目的は達せられるというふうに考えられておりますので、われわれといたしましては、特に標準価格をかりに設定いたしましても、この程度のものであればそう今回きまる水準と変わるものではないというふうに判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/280
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281・柏原ヤス
○柏原ヤス君 次に、公取にお伺いいたします。
公取が企画庁及び通産省と結んだ覚え書きがございますが、これについてお伺いしたいと思います。
この中にある「協力措置」というものは「カルテルを意味するものではない」と、こういうふうに断わり書きが示されておりますが、これは実際に行なう行動は一体それじゃどう違うのか。実質的にはカルテルと同じことではないかと、こう思いますが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/281
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282・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) まあ俗にカルテルと呼ばれておりますのは、独占禁止法の定義で申すますれば、これは簡単に要約しますが、事業者が他の事業者といわば共同いたしましてそうして価格をきめるあるいは数量を制限するなどの行為を行ないまして、公共の利益に反して競争に制限する、そういう競争制限政策に反する共同行為をさすのでありますし、また、その構成要件の中には「公共の利益に反して」ということもありますが、そこの覚え書きにありますところの「協力措置」というのはそういうものとは一切かかわりない、あくまで政府の施策に対して前向きにいわば自己の利益を擁護するという立場を全く離れて協力するということでありまして、ことばの使い方が共同行為と協力行為とほんとうにまぎらわしい感じを与えたことは残念だと思いますが、これはさい然と区別しておりまして、いわゆる私が先ほど申しました独占禁止法上禁止されている共同行為というものとは性質が違うと、こう申し上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/282
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283・柏原ヤス
○柏原ヤス君 この覚え書きがありますと、私はかえって実質的なカルテルが認められるというような感じ、また、それよりもっと積極的に政府に協力するというよらな形になるように思います。そういう点でこの覚え書きを破棄する考えはお持ちでしょうか、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/283
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284・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) これは今度のようなのは私は緊急非常の事態であると思います。何びとも予想しなかったような原油の削減ということから起こった異常な事態でありますから、したがいまして、この法律も緊急な法律になっております。そういうことについてこの実行上、官僚統制といいますか政府がただ一方的にきめるという最後の統制に至る前の段階、価格でいえば標準価格とか特定標準価格とかこういう段階におきましては、民間の協力を一切いかぬと、こうきめつけてしまったら、私は動かないと思うのですむといって、協力措置がしばしば共同行為、法律共同行為といいますか、自己の利益、事業者の利益を守るための共同行為と混同されるというふうなおそれがなきにしもないので、そこで、この注にも書いてありますように、あくまで政府の施策に対して協力するという意味なのであって、カルテルではないのだぞ、自己の利益を守るための価格のつり上げをはかるようなそういうものは認めないのだという趣旨を明らかにして、前向きのいい方向に対する協力だけは独禁法の解釈上禁止されておる事項にはならないと、こういうことを明らかにしておいたほうが、これは一つの基準でございますから、独禁法の解釈基準としてこういうことをやっておいたほうが、あるいは民間の業者の行動を極端に縮小させるといいますか、非常に消極的にして、一切何をやっても公取からやられるというふうなことになるのでは困る。それをある程度限界を示したと、この辺まではいいんだということでありまして、これ以外にも実は本来は書くべき基準はたくさんありますけれども、特に疑わしい分についてこれだけ結んだ。したがって、ただいまこれを廃棄する気持ちもありませんが、一方で、私は、衆議院の委員会におきましては、商工委員会でありますが、どちらもそうでございますが、二つの委員会において独禁法についてきびしい決議をいただいておりますので、そういう点については比較的誤解は少なくなってくるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/284
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285・柏原ヤス
○柏原ヤス君 実質的なカルテルが行なわれるわけですね、この生活安定法によって。そうしますと、高値案、企業定法案というふうになることが心配されているわけです。こういう点で、独禁法の運用を、先ほどもちょっと長官から話がございましたが、厳正な態度で臨むべきであると思いますが、その点お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/285
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286・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 公取委員長が説明されたとおりでございますが、わかりやすい事例をとってみますると、先般灯油の価格を三百八十円にきめました際に、ある販売系統では、三百八十円で売りましょうと、こういうことで小売り業者も了承されてその値段が徹底いたしたようでございますが、ある系統の販売業者では、その三百八十円といいますよりもまだ法律がございませんから通産大臣の指導価格というものでございましょうが、そんなことはさっぱり知らない、われわれはそんな話を聞いたこともないというわけで、これはたしかガソリンスタンドなどの系列ではなしに、薪とか炭とかあるいはお米とかというようなものとあわせて灯油を売っているようなお店の団体、つまり、各府県の石油商の協同組合ではなしに、何か別個の薪炭等の販売組合かなんかのほうでは三百八十円販売の趣旨が全く徹底していなかったと、こういう事件がございました。そういうことを考えてみまするときに、私どもが厳正な立場で標準価格をきめましたら、小売り業者全体によってその価格が周知徹底されて売られるようなそういう措置をとります際に、もちろん官報で告示もいたしましょうし、また、経済企画庁なりあるいは国民生活安定センター等からその趣旨を資料を流しますけれども、やっぱりそういう小売り業者の団体等に標準価格の周知徹底をはからせるという必要があると私は思います。その場合に業者の団体が国がきめた標準価格を周知徹底するというそういう行為は独禁法のカルテル行為ではないんだと、こういうことの了解をお互いの間でつけていこうと、こういうことでございまして、私もこの覚え書きによって独禁法の精神を曲げるものでも、いわんや適用除外をきめたものでもないと、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/286
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287・柏原ヤス
○柏原ヤス君 公取委員長にお聞きいたしますが、先ほど独禁法の運用を厳正にやるというお話がございましたので、紙の問題についてお聞きいたします。
これは、公正取引委員会で本年の二月九日と十一月七日と二回にわたってコーテッド紙及び上質紙の製造業者らに販売価格協定の破棄勧告を行なっております。一回目の内容は一体どういう内容であったのか、また、勧告を受けた製造業者は勧告をどのように守ったか、また、二度目はどういうことについて勧告をしたのか、この内容をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/287
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288・吉田文剛
○政府委員(吉田文剛君) まず第一回目、つまり前回昭和四十八年二月九日の日本製紙連合会に対する勧告の内容でございますが、これはコーテッド紙について生産数量の制限と販売価格の引き上げという内容でございます。これは四十七年の八月にそういうことを決定しているということでございます。
それから今回の十二月七日の勧告の内容でございますが、違反事実の概要としましては、まずコーテッド紙の価格協定でございますが、神崎製紙、王子製紙等の九社、これが昭和四十八年二月八日に会合いたしました。この二月八日と申しますのは、日本製紙連合会に勧告が出されました二月九日の前日、大体同じ時期でございます。この点で非常に悪質であるということが言えると思いますが、二月八日に会合して、コーテッド紙の価格を一〇%引き上げるという協定を行なったということでございまして、これは独禁法の不当な取引制限、三条後段違反ということでございます。
それから上質紙の価格協定、これは初めてでございます。二回目ではございません。これは昭和四十八年の六月二十一日に会合いたしまして、上質紙の価格を一〇%引き上げることをめどにして、八月二十一日出荷分から引き上げるという決定をしておるわけでございます。これは王子製紙と六社が共同してやったということで、やはり三条後段違反でございます。
それからその勧告の主文でございますが、これは両事件につきまして協定を破棄しろということ、それからその旨を需要者等へ周知徹底しろということのほかに、きびしい措置を命じております。その内容としましては、取引先別に取引価格をあらためてきめ直せ、そうして公取に報告しろということ、それから再び価格協定をしてはならない、それから今年の十二月から今後六ヵ月間、毎月取引先別の販売価格、販売数量を報告すること、この三つがきびしい措置の内容でございます。
それからまた、いま申し上げましたような措置を命じたほかに、事件関係人、それから日本製紙連合会に対しまして、きびしく文書で警告をしております。その内容としましては、今後独禁法違反を繰り返して行なう場合には、公正取引委員会としては断固たる措置を考慮せざるを得ない、したがってここに厳重に警告をするという旨の警告でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/288
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289・柏原ヤス
○柏原ヤス君 この製造業者は、勧告を守るどころか、同じことを二度も繰り返している。そういう点で非常に悪質であるというので警告書も出ております。私は、告発すべきではないかと、こういうふうに思います。告発しなかったということは独禁法七十三条の違反ではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/289
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290・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 独禁法には告発の規定は確かにございます。しかし、従来の実績からすでにおわかりのように、ここ長い間、占領直後を除きますと、告発はありません。たった一件昭和四十年代に入って非常に小さな案件でございますが、審決違反——審決と申しますのは、こちらのほうからいわば判決にひとしいようなことをやった、直ちにそれを破ったというような場合にこれは審決違反になります。いまの紙の場合、審決違反とは言いがたいのですが、実は時期がちょうど変にかみ合っているのですね。勧告をする前の日に再びまた引き上げの決定を行なったという点、確かに悪質でございます。しかし、私のほうもこれを事実を探知したのがおそかったということで、要するに事件としては今日の段階においていかにこれを処断するかということは十分考えましたが、今回に限ってはこの裁量権は公正取引委員会にあると解されておりますから、告発は今回は猶予するが、この次もし同じ業者が同様の違反行為を行なえば今回のように告発猶予ということはありませんよ、告発いたしますと、ほとんどこれは起訴になるようになっておりますので、まあなるようになっているというのはおかしいですが、法律の上では不起訴にする場合には検事総長が総理大臣に対して理由をつけてその旨を報告しなければならぬというかなり厳重な規定がございますので、告発そのものについてはやはり慎重を期さなければならぬ。いろいろな検察庁の意向等を私はかねがね探りながらやっておるわけですが、今回は確かに告発寸前のケースであったと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/290
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291・柏原ヤス
○柏原ヤス君 公取は、これまで、セメント業界、酢酸エチル業界、それから今回の製紙業界、こういうふうにやみカルテルの行為に対してはそれぞれ二度勧告を行なっております。ところが、このような公取の二度の勧告をも無視して、そして違反行為を繰り返す。今後こういう業界は必ず多発するものと私は思います。しかも、いま非常に重大な時期に際しておりますので、私は、公取は物価対策の特に便乗値上げの抑制の意味においても、価格協定などを繰り返して行なうこういう業界に対しては告発というきびしい行政措置で臨むべきだと思います。まあ告発寸前だったといういまのお話でございますけれども、告発すべきだと、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/291
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292・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 御意見は十分私ども御意見として尊重するのでございますが、何ぶんにも、告発というふうな問題は、行政事件に対して今度は刑事事件としてやるわけでありますから、刑罰の重い軽いは別といたしまして、これはかなりショッキングな問題でございます。そこで、そういう問題に対する裁量につきましては、何とぞひとつ公正取引委員会にまかせていただきたい。私どもは、いずれにしても、きびしい方向に向うということを常に言っておるわけでございまして、こういう非常事態で国民が困っている際に不届きな不法行為を繰り返し行なうものに対しては、一そう厳格な態度をもって臨むということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/292
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293・柏原ヤス
○柏原ヤス君 その告発についてばく然とした感じで私は受けとめておりますが、証拠の点で非常にむずかしいということは十分理解できるんですが、公取委員会としてはこの際告発というものに対して一つの基準を設ける。たとえば二度やった場合には告発するとかというような基準を設けてそうして独禁法の運用に当たるべきだと、こう思います。その点、委員長は基本的な見解をどういうふうに持っていらっしゃるか、この点お間きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/293
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294・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) いわゆる形式的な基準といいますかを設けることは、私はかえって有害な面もあると思います。ケース・バイ・ケースでこれは判断しなければなりませんので、これは告発イコール起訴となるような、ほとんどそういうことに実際上なるわけでございますから、その分についてはまあ抽象的に申し上げるしかない。きわめて悪質である場合には、第一回目といえども告発はあり得るということでございます。それから比較的遠い十年前にやったことまで勘定するわけにいきませんけれども、累犯行為ですね、累犯に対しては相当きびしく臨まざるを得ないであろうということでございます。それから原則としては告発する対象事件があんまり規模の小さなささいな事件でないということでございますね。国民に対する相当な影響力を持つということも一つの条件だろうと思います。その他にもございますが、ケース・バイ・ケースでそれが告発に値するかどうかということをきめていきたい。基準としてはたいへんむずかしいですが、いま申し上げたことは、ある程度の基準を大まかに示したことになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/294
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295・柏原ヤス
○柏原ヤス君 きょうの新聞に、酢酸エチルの勧告を破棄した旨の新聞公告が出ております。ここにちょっと持ってまいりましたのですが、これに対する公取の事後監査、これはどういう体制で臨んでいるのか、これをお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/295
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296・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 酢酸エチルも、まあこれはスケールはあまり大きくはなかったのでございますけれども、繰り返したという点はあるわけです。酢酸エチルもやはり一回目ではないという、ちょっと前の場合には協会であるとかいうふうな違いがあるわけですから、協会の責任者がかわってしまったりしておりましてちょっと扱いにくかったわけですが、監視という点につきましては、もう一度やるとこれはたいへん私のほうではきびしくせざるを得ないものですから、まあ業界もしかしいまはかなり反省の色が濃いと私は見ておりますが、ときどきチェックする必要があるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/296
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297・柏原ヤス
○柏原ヤス君 この新聞の公告ですが、「読売」にだけ出ておりますけれども、「朝日」とか「毎日」とかもっとその他の新聞にも出すほうがきびしくていいのじゃないか。そういう点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/297
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298・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) ただいま「読売」だけでほかに出ていないというのですが、業者に対する公告の命令ですね、これは事後的に私どもが勧告をして確定いたします。そうしたあとで審判官をしているところが個別に指導してやっていますが、実は私は「読売」だけという点はないと思うのです。ほかの方法でも当然公告その他取引先には全部通知をさせておりますから、新聞は全国紙の場合に一紙でいいというふうにきめているわけではないのでございまして、おそらくはかのほうにもやらしていると思います。ただし、私はいま確認する方法がありませんので、あとでよく調査してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/298
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299・柏原ヤス
○柏原ヤス君 さっき紙の例をあげましたが、勧告を受けても値段はそのままになっている、これが現状です。こういう点、引き上げをさせるべきではないかと思います。で、この点について独禁法第七条の排除措置というところがございますが、この中に「排除するために必要な措置を命ずることができる。」とございますが、価格の引き下げということはこの「必要な措置」の中に入るのじゃないかと、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/299
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300・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 現在までのところ、それは入らないという解釈を公正取引委員会はとってきた。したがいまして、いまだかつてそういう命令を出した事例が一件もないわけでございます。そのことからしまして、やはりこれは法律改正をしなければそういう権限は排除するに必要な措置の中に入らないと、こう解釈せざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/300
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301・柏原ヤス
○柏原ヤス君 独禁法の研究会が持たれていろいろと改正点が論議されると思いますが、現今のこのインフレ、物価高というこういう事態を考えましたときに、この価格引き下げ命令ということだけでも早く改正すべきだと、こういうふうに私は思います。そして、まあ一年間とかというようなお話でございましたが、もっと早く結論を出して法改正を急ぐべきではないかと、こう思いますが、この点どういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/301
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302・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 結論から申しますと、私どもは歯がゆい点は同じでございますが、しかし、この事態に急遽間に合わせるためにやるといってもなかなか通らない場合があるわけです。まあそれはこういう価格そのものに対しては直接にとり得る法案がいまあるわけでして、これが通過いたしますれば、その面から標準価格の決定というようなことやそのほかの手段を価格そのものに対しては取り得る。しかも、公取のやり得る範囲というものは、価格協定の証拠のあるものでないとこれはできないわけでございますね。ですから、大いにそういうふうな風潮をこらしめるといいますか、たしなめる意味においては十分な意義がありますけれども、諸物価全般について及ぼす効果というものについてはあまり過大な物価政策上の期待はちょっと重過ぎるのではないか、しかし、私は、将来の長きにわたってどうするかという観点から独禁法の改正というものに取り組むべきだと思っておりますので、この点は急場の間に合わせではなく、いろいろな観点からほかの問題とあわせてやりたい。独禁法の改正を簡単におっしゃっていただくのはありがたいのでございますが、独禁法というのは経済の基本と言われている、それをいじるとなるとなかなか簡単にはいかない。十分ないろいろな各方面の合意を取りつけた上でないとこれは法案にならないと、私はそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/302
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303・柏原ヤス
○柏原ヤス君 通産省にお聞きいたしますが、紙の問題これは買い占め等の防止法の対象品目に決定されております。で、決定した後どういう調査をしたか、また、その結果はどのような結果になっているのか、御報告願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/303
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304・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) まずトイレットペーパーが十一月の十二日、それから印刷用紙が同じく十一月の二十二日に投機防止法に基づく政令指定を受けております。その後の事情調査の結果を概要申し上げたいと思いますが、まず需給と価格の動向でございます。
印刷用紙につきましては、一−十月の生産実績が約百十九万トン、それに対しまして出荷が百二十三万七千トン、出荷のほうがやや高いわけでございます。生産のほうはフル操業と申しますか、稼働率指数で申し上げまして百数%の増産をやっておるわけでございますが、需要のほうが非常に強いということでタイトな状況にございます。かような状態でございますので、九月以降あっせん相談所を設けまして小口需要者に対して供給を確保する努力をいたしております。
それから価格でございますが、印刷用紙につきましてはこの十二月でキロ当たり百三十四円から高値が百五十五円、昨年の同期と比較いたしまして大体五割前後から六割ぐらいの上昇になっておりますので、いろいろ原因もございますが、一番大きな原因はやはり原料としての原木事情と申しますかパルプ事情が非常に悪化しておりまして値段が五割からあるいは倍以上にも上がっておる。こういった面から特に原木対策に力を入れていきたいと思っております。
それからトイレットペーパーでございますが、これは同じく一−十月で生産が十五万五千トンでございます。出荷が約十五万九千トン、四千トンほど出荷はふえております。しかし、大阪あるいは東京周辺にございましたような時期におきましては緊急出荷し得る体制をとっております。
価格につきましては、現在これはいろいろ地域によって差がございますが、大体東京地区で静岡の標準物を例にあげますと、二百二十円から高値三百円——高値の三百円だと、これはとんでもない数字でございまして、われわれとしてはきわめて便乗的な性格が強いということで、極力これを排除するための努力をいたす一方、トイレットペーパーにつきましても原料になる故紙価格が非常に上がっておるということでもございますので、故紙対策を積極的に進めることによっていま一段価格を引き下げるように努力いたしておるわけでございます。
それから流通在庫の状況を簡単に申し上げますと、これは紙一本での数字でございますが、十月末現在で二十七万七千トン、昨年に比べまして九三・二%、昨年同期よりも流通在庫は六、七%減っております。投機防止法に指定して以来、流通統計等をしさいに検討しながらいろいろ詰めておりますが、一応数字上は減少ぎみではございますが、これもトータルとしての数字でございますので、たくさんの流通担当者の中にはあるいは誤って在庫をかかえ過ぎているような者がなきにしもあらずといったようなことで、始終慎重に私たちとしてはこれを注視してまいりたいと、かように考えております。
以上、大体マクロ的なお話を申し上げたわけでございますが、具体的に実態を調査したケースを二、三御披露申し上げたいと思います。
一つは、東京都区内でトイレットペーパー類の在庫をかかえている向きがあるといった情報がございましたので、当方でその倉庫におもむきまして調査いたしましたところ、倉庫の容積に対して三分の一ぐらい品物が入っておりまして、二百トンぐらいあったかと思いますが、その中で問題になりそうな上質紙につきましては二十七トン程度でございました。トイレットペーパーは入っておらなかった、さような事例がございます。
いま一つ、同じくやはり東京都内のケースといたしまして調査いたしましたところ、満庫の場合の半分ぐらい、三百トンぐらい品物がございましたが、同じく上質紙につきましてはミトン程度、アート紙、コート紙等が十ミトンといった程度で、あとは大半が板紙が百五十トンぐらいあった、かような状況でございます。
その後、私書箱一号に寄せられた投書等に基づきまして、その中で特にこれは調査をする必要があると思うものを十数件選定いたしまして、現在小売り店から卸、メーカーと追跡調査を実施中、こういうことでございますし、あるいはかたがた、先ほどもちょっと触れました緊急出荷の場合には、三十人ほどの職員を派遣いたしましてパトロールと申しますか価格調査等を実施しておるわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/304
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305・柏原ヤス
○柏原ヤス君 聞くところによりますと、ある大メーカーが上質紙の売り惜しみをして、子会社だけを通じて流している。系列代理店からさえ攻撃を受けたという事例がございました。結局、出すことは出しましたが、ものすごく高い値段で流して相場をつり上げたという事件でございますが、これは知っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/305
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306・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 具体的に承知いたしておりませんが、さような不公平な不公正な取り扱いをしている部分につきましては、われわれとしても実態を詰めて十分指導してまいりたいと思います。特に高値につり上げている先ほども触れましたように便乗的な価格につきましては、われわれとしましても断固としてこれを排除してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/306
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307・柏原ヤス
○柏原ヤス君 これはトン数も千トンという驚くべき量であって、百三十円のものを百八十円に売った。買うならばこの値段で売りましょうと、こういうふうに言っているわけです。先ほどたいへん事件はないようなお話でございますけれども、ちょっと立ち入って調べますとわかるわけなんですね。そういう点、もう少し真剣に、ただ法律を出しただけでなくて、こういう問題をびしびしと取り上げてやっていただきたいと思いますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/307
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308・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 御指摘のとおり、私たちも懸命に努力しておるわけでございますが、さような情報がある場合にはわれわれにもお聞かせいただきまして、その現場に立ち入り検査し対処し得るように御協力いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/308
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309・中沢伊登子
○中沢伊登子君 公取委員長がたいへんお急ぎのようでございますから、初めに公取委員長に一点だけお伺いしてお帰りをいただきたいと思います。
私も実は経企庁と通産省と公取の覚え書きの問題を質問さしていただくつもりでございましたけれども、いま柏原委員が私の聞こうと思ったことを全部お聞きになりましたので、最後の一点だけお伺いしておきます。
それは、今度の国民生活安定法案が昨日衆議院を通ったわけですね。きょうからこの参議院の物特で審議をしているわけでございますけれども、これも賛否両論あるかと思いますけれども、いずれ遠からずこの委員会も終結をすると思います。もしもそうなったときに、公取としては今度の法案について監視体制を強化しなければならないと思います。その問題がずいぶん重要になってくると思いますが、人員的に公取は機構を拡充すべきだと思いますが、この際、行政需要がずいぶん多くなってまいりますので、人員増について来年度の予算について要求をされましたかいかがですか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/309
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310・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 来年度の定員の要求につきましては、当然私のほうは総務長官のほうを経由して出しておりますが、現在、本年度の定員三百六十三名に対しまして来年度の増員要求は五十四名というふうになっております。私どもは実はこれよりも多い数を望んだのでございますが、他との権衡もこれありということで、要求人員として五十四名ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/310
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311・中沢伊登子
○中沢伊登子君 それはけっこうでございます。ほんとうはもっともっと増員をしていただいて監視機構を一番重要視したいと思っておりましたが、お急ぎのようでございますから、どうぞお帰りいただいてけっこうでございます。
それでは、次に移ります。エネルギーの大半を海外に仰ぎまして資源も持たないわが国が、今日まで国民生活への配慮を全く忘れて、ひたすら経済成長に狂奔してまいりました。その上に列島改造にうつつを抜かして、きた政府が、青天のへきれきとでも申しましょうか、今回の中東戦争に端を発した石油削減問題であわを食って、てんやわんやしている姿は、先ごろの消費者の「紙取り物語」と同じように私どもには映ります。値上げが残ったとしばしば消費者が冷笑されてまいりますが、政府は外交姿勢をも今度は変えました。ということは、やっぱり日本はエコノミックアニマルだと、むしろ世界各国に不信を与えたのではないかとたいへん案ずるものでございます。しかも、アメリカに頭を下げて、何とかいままでどおりの貿易をお願いしますと頼んでいるようでございますが、物を買ってもらううちはよろしゅうございます。もしも今後資材をたとえばくず鉄とかぼろ紙とかそういったような資材を売ってやらないと、こういうふうにアメリカが言ってきたとしたときに、一体どうするおつもりなのですか。私はまずこの点がたいへん心配になりますので、この点についてお伺いをしたいと思います。これは石油の問題とともにたいへん重要な問題だと思いますが、どうですか。この点いままで考えてごらんになったことがおありになりますか。これはほんとうは総理大臣にお伺いすべきことかもしれませんけれども、残念ながら総理大臣の御出席が得られませんので、みずから生活大臣だというふうに言っておられます経済企画庁長官と、そうしてきょうは通産大臣もお願いをしたのですけれども御出席がいただけませんので、楠政務次官にもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/311
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312・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 中沢さんのお話、ごもっともでございますが、しかし、今日わが国の経済産業のあり方を考えますときには、地球全体グローバルの中における日本として考えざるを得ないと思います。これは石油の海外依存度ばかりではございませんで、いま仰せられましたような資材についても同じでありますので、とどのつまりは、これからの日本の経済のあり方というものは、もちろん省資源、省エネルギー構造というようなものを推進してまいりますけれども、同時にまた、国際協調ということを前提にした経済、あるいは外交、政治というものを打ち立ててまいる以外にないと、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/312
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313・楠正俊
○政府委員(楠正俊君) 中沢先生のお話にございましたように、わが国の外交姿勢というものがアラブ寄りになったと、外交姿勢が終始一貫しておらぬじゃないか、油がないから今度そちらのほうに変わる、それがエコノミックアニマルという悪評をこうむっておる。しかもまた、アメリカがくず鉄をはじめいろいろな資材を売らなくなったらどうするんだというお尋ねでございますが、日本のとっておりますこの間の政治姿勢、官房長官談話が御承知のように出ておりますが、あれは従来どおりのものの考え方でございまして、決して変わったのではないのでございまして、国連の安保理の二四二号の決議によるものをあらためて確認したという形でございます。したがって、決して変わったというようなことではない。しかし、そういった悪評を受けておるということはまさしくあることでございますが、先生のお問いになりました、アメリカあたりのユダヤ人協会が抗議運動をやっておるということは聞いておりますが、製品を売らないというようなことは今後もないと思いますし、現在もないと私は承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/313
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314・中沢伊登子
○中沢伊登子君 まあそういうことであればたいへんしあわせだと思いますが、実はイスラエルの人たちの中にそういうようなことを言う人もあって、そういうニュースが私どもの耳にも実は流れてきているわけです。それで、まあ物を買ってくれない間はそれでもまだしも何とかのがれる道はあると思いますけれども、もしも売ってやらないということにしたら日本はどんな顔をするんだろうかというような話を実は私どもは聞いているわけです。私、この点はたいへん心配でございます。ゆめゆめ安心していてはならない問題だと思いますので、私はきょうは外交問題をここで論ずるつもりはございませんが、まず一度そのことだけお含みをいただきたいと思って御質問を申し上げて、これはこの辺でとどめさせていただきたいと思います。
まあそのようなことを言いながらも、今回ようやく政府も国民生活に思いをいたしかけたのは、おそかりしとは申しながら、とにかくやらなければ国民生活は破壊してしまいますので、政府も政党も国民も三位一体となって今度の問題にほんとうに真剣に取り組んでいかなければならないと思います。しかし、この期に及んでやっぱり大企業優先、企業保護が先立つ姿勢は、私ども許すわけにはいかないと思います。西ドイツでは、今回のような石油二法と同じような法律を先ごろ出されました。ところが、この法律は西ドイツでは三日間で通したと聞いております。国民生活を守るためにはほんとうに緊急に早急にフルスピードで手を打つべきでございます。それでなければ、この法律をつくって取り締まりますよ、こういうようなことでぐずぐずしておりますと、まるで値上げをしなさい、かけ込み値上げをしなさい、もうけたい者はどんどんもうけなさい、法律が施行されるまでのうちに何とかやりなさいということを言っているのと同じことでございませんか。そういう点で、今度はこの二法がこんなに手間どってきたというその理由は何ですか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/314
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315・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 私はこう考えるものでございます。昨年から今年にかけて、中沢さんも御承知のように、日本の経済的な環境がもうまるで違ってきた。昨年までは幅出が非常に多くて外貨がたくさん日本に流入してきた。したがって、その外貨は外国為替特別会計というのに入りますから、その見返りでは円がたくさん国内に過剰流動性として放出されておりましたし、ことに一昨年の不況を回復するためには昨年はまだ景気振興策が国内でとられておったわけでございますが、さような状況が本年に至りますとまるで変ってまいりました。そこで、これまでとられておりました物価対策というようなものも、そのような経済環境の変転に対応して総需要抑制ということをいまの政府は一生懸命でやってまいったわけでございます。まず金融の引き締め、公定歩合の引き上げ等をはじめとするそういう金融の引き締め施策、それから財政的にも、一たん組んだ予算の中で公共事業費等は契約を下期に繰り延べるとか、さらにまた財政支出を八%削減してまいるような、これはまた国ばかりでなしに地方公共団体に対しましても同じような施策を要望いたしましたり、あるいは国民の消費金融につきましてもその条件をきつくいたすとか、あるいはまた、大規模の建築物を行政指導によって抑制する、届けさした上、不急不要のものは押え込むというような、そういういわゆる物価引き上げの要因になる総需要を押え込むことを非常に熱心にやってきて、それで何とか物価の安定もできるだろうと考えてまいってきた。そういう時期がかなり続いたと思いますが、今日のような卸売り物価でもあるいは消費者物価でも二けたの上昇を見ますような事態のもとにおきましては、私は、やはり個別の物価対策、個別の物資対策というものがなければとうてい物価の上昇の抑制というものはできないということを判断するに至りました。もともとわが国の経済は自由主義経済でございますから、個別に物をつかまえてその物の標準価格をきめてまいるとか、あるいは生産とか出荷とか輸送とかいうようなものを政府が指図するというようなことは本来からは好ましくないと考えられてまいりましたけれども、しかし、今日の事態を克服してまいるためには総需要抑制ということでは足りないということで、今度の法律案の提出に踏み切ったというわけでございまして、その間時間がたってまいったという状況にあるものと私は判断いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/315
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316・中沢伊登子
○中沢伊登子君 今年は春ごろから大豆の問題からおとうふがずいぶん値上りをしました。ちょうどそのころに羊毛が値上がりをしたり、木材が足りなくなったり、セメントが足りなくなったり、いろいろなものがなくなってたいへん国民生活は困ったわけですね。そのときに投機防止法という法律をつくられたわけです。ところが、この投機防止法をつくられても、それほどの威力を発揮しませんでした。聞くところによると、立ち入り検査をたった一ぺんしかしなかったと、こういうことなんですね。せっかく法律をつくりながら立ち入り検査が一ぺんしかできなかった。しかも、その立ち入り検査はどこに行ったかといえば、小売り商に行った、こういうような話でございますから、私は、今度のこの法律ができてほんとうにこの運用を誤らないようにしなければ、法律だけつくったって魂が入らなければ何にもならない、このように思います。ですから、投機防止法をつくったあれからもう約十ヵ月ぐらいたつわけですけれども、そしてまたこういう法律をつくらなければならないような羽目になったわけですね。
今年の国民生活はたいへんな状態を繰り返してきたわけでございますが、聞くところによりますと、今度の生活安定法の政府の原案は、いまの原案よりももう少しよかったという話を聞きました。しかし、財界の圧力でこの原案が五日間でがらりと変わったと聞いておりますが、この期に及んでもまだ国民生活優先になれないということは、たいへん私ども腹立たしゅうございます。今回のトイレットペーパー騒ぎ、あるいは洗剤、砂糖、塩、小麦問題、こういうような問題は、確かに買いあさった消費者も賢くはなかったと思います。しかし、つまるところは政治不信のあらわれでございます。幾ら苦しんでもどうしても政府がこれに手を貸してくれない、こういうところで国民はとにかくいま一番たよりになるものは自分が物を持っていることなんだ、こういうふうにしか思えない、そういう不信感が渦巻いているのが現状でございます。政府は国民のこの姿を警鐘として聞いてほしいと思います。この国民の姿を警鐘として聞くならば、なぜ、口先だけでなくて、ほんとうに心底から国民生活優先に百八十度の方向を転換されないのか、たいへん残念でなりませんが、この点こお答えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/316
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317・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) いろいろ御批判をいただきますこと、まことに恐縮に存じますが、政府も真に国民生活の安定というものを優先するという考え方に立ちまして今度の二つの法律案も提出をいたしました。この法律案をつくります過程におきまして、中沢委員のお話ですと、後退をしたかのごときお話もございましたが、そういうことは全くございません。もうありていに申しますと、初めに石油の供給が非常に窮屈になりましたので、石油の緊急対策という形で政策が浮き彫りされてまいりましたが、私ども政府、また私どもが属する自民党自身が、石油の問題だけではこと足りないと、どうしてもこの際石油とともに国民生活の安定というものを前面に押し出して国民の信頼を得るにあらずんばこの非常な事態は切り抜けられないということになりまして、片一方のほうの石油の法律だけでなしに、国民生活安定緊急措置法というものまでをつくって二本としてお出しすることになりましたのは、そういう事情でございます。ただ、今日は自由経済の仕組みもございますので、幾らいま国民生活安定が大切でございましても、いきなり物統令のような公定価格をつくるということにまで踏み込むことにつきましては私どものほうでもいろいろ議論がございましたことは事実でございまして、物統令の適用にまでは踏み切るけれども、それは最後の手段としておこうということでこの法律がつくられておるわけでございますので、その事情も御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/317
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318・中沢伊登子
○中沢伊登子君 もう一言憎まれ口をきかしてもらいます。それは、去る九月に私の友人が日本生活協同組合連合会の婦人北欧視察団というのに参加をして北欧の生活実態や生協を見てこられました。私はまだその人に会って話を聞くチャンスがございませんけれども、ある小さな新聞に彼女が感想を述べておりました。それは、「消費者と企業の間において疑い合うことがない、北欧ではそういったような関係ではない」と、こう申しています。そして、「日本の場合のようにすきがあったらもうけてやろう、何か変なものをつくっていないか目を光らせておこうというようなぎすぎすした関係ではなくて、企業と消費者はほんとうに信頼し合っている感じだった」と書いてありました。私はこういうふうな企業と消費者の関係になればこれは理想的だと思いますけれども、消費者に不信感を持たれているような企業を一番大事にしている政府は私は全くいただけないと思います。まじめに自分のお金と時間を費やして消費者問題に取り組んできた人たち、つまり生活学校の人たちや生活センターをよりどころとしてきた人たちが、「どんなに一生懸命やってももう限度です、さいの川原に石を積んでいるみたいだ」といって心底から嘆いているのが現状です。消費者にこのような情熱をなくさせてしまうような政治とは一体何なんでしょうか、その点をお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/318
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319・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 中沢さんからたいへんいいお話を承りましたが、私はそれはたいへんいいお話であると思います。私はまあ経済政策運営の一翼をになう地位に着きましたが、中沢さんが先ほど抑せられましたように、生活大臣とみずから言っている長官と、こういうことをおっしゃっていただきましたが、やはり経済というものはとどのつまりは国民のためにあるものでございまして企業のためにあるものではない、また企業の発展もなければ国民生活も豊かにならないと、こういう相関関係はあるでございましょうけれども、私の考え方はいま申し述べるとおりでございます。したがって、御審議をいただいております法律を運営するにあたりましても、企業がカルテル等でつくった値段をそのまま追認して標準価格にするとか、あるいは標準価格をつります際に企業の先取り的な便乗値上げというものをそのまま認めていくとかという考えを持ちませんことを先般の私の談話でも申し述べておいたところでございますので、いまお話がございましたような視察団のようなものが、日本の国民にも同じような思いを持っていただけるような、そういう経済機構を実現するように微力でございますが、つとめてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/319
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320・中沢伊登子
○中沢伊登子君 先ほど大臣が物統令は最後の最後に適用すると、こういうお話でございましたが、実は、去る十一月の二十日でございました。夕方に大阪のほうから二、三電話がかかりました。実は大阪のほうでたいへんいま騒ぎが起こっております、あした——つまり十一月の二十一日ですね、あした物統令が適用されるのですかという電話でございました。これは小さな商社から二、三かかってまいりました。そんなことは全然聞いていませんと、こう申したのですけれども、とにかく物統令がしかれるらしいということで大阪はてんやわんやだ、一ぺん調べてくださいということで、すぐに私はいろいろな人々に電話をして聞いてみたのですが、どうもそんな気配はございませんでした。ところが、なぜそういう電話が入ったかというのは、その翌日の新聞に確かに出ておりました、大阪でこういう騒ぎがあるということが。ところが、それは、その二、三日前から、とにかく商社が問屋に物を買おうと思うと、もう毎日のように三〇%、四〇%、ひどいのは五〇%ぐらいぽかぽか値上げをされるものですから、買ったほうがいいのか買わないほうがいいのか、まだ先に上がるのかどうなのか、たいへん迷ったというような話でございました。ですから、物統令は最後の最後にしかれるのでしょうけれども、そのときに、そんなかけ込み値上げですね、まあ言ったら。そういう値上げがあったり、ひどいのは帳簿を改ざんしたんです。ひょっとしたら十一月の一日の値段で物統令がしかれるかもしれないというので、十一月の一日までさかのぼって帳薄を変えた、あるいは、いや、これは十月の二十日ごろらしいとか、十月の一日をめどにするらしいというような話が流れて、相当に帳薄を改ざんしたというような話もそのときにされました。そうなりますと、一体この指定物資の価格、指定価格はどの辺をもってやられるのか、その辺はお答えがいただけるものでしょうか、どうでしょうか。この前聞くところによりますと、テレビを見ておりましたら、田中総理大臣が、この指定物資のことやいろいろなことがあったからでしょうけれども、昭和四十七年の一月一日から十月の三十一日までの物価を入念に調べておりますという話がありましたけれども、それは何のための参考になさるのか、この指定物資の指定価格はどの辺でおきめになるのか、お答えがいただけたら聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/320
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321・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 標準価格のきめ方につきましては、これはむしろ私の誠意から政治的なお答えをいたしますよりも、担当の政府委員であります物価局長から答えさせますが、その前に、物統令は、もう中沢さん十分今回の法律案で御研究いただけておると思いますけれども、この法律のずっと全条に掲げてあります手段を尽くしても価格の著しい騰貴を押え切れないような事態が生じたと認められるときに初めてやるということになっておりますので、いきなり物統令をやるということ、つまりマル公を制定するということは、これは私は政策的にしないのだと、しない考えである、政策担当者としてそこまで最初からやるつもりはございませんということを衆議院のほうでもお答えをいたしておるわけであります。これもほんとうにやるとなりますと、一つの物の公定価格をきめますから、これに違反しますとたしか三年以下の懲役または五百万円以下の罰金とかいうことになりますので、その物をつくりますその原材料の値段まで全部公定をしていかなければならない。植木ばちの値段まで公定をしていかなければならないと、こういうようなこともよくたとえ話のように言われますが、それは日本は戦後そういうことをやってきたのでありましょうから、ああいう同じような混乱状態におちいりましたときはそういうこともたてまえ上はあり得るというだけでありまして、実際にはあの標準価格というソフトな指導価格、また、ある特定の品目につきましては課徴金を取る、これはまあ罰金ではございませんが、課徴金の対象になるような特定標準価格というものをつくってまいる、あるいはまた、そればかりではなしに、この間のトイレットペーパーでもそうでございますが、一方には足りないけれども、一方には生産者在庫もあるという際の輸送の指示とか、出荷の指示とか、あるいは物が足りないときには輸入の指示までもできるような仕組みになっておりますので、そういうあらゆる手段を尽くして、そうして国民の生活関連物資についてはでき得る限りの対策を価格の面でもあるいは需給の面でもとってまいることが先決だと、こういうつもりでおります。
いまの標準価格のつくり方につきましては政府委員からお答えをさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/321
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322・小島英敏
○政府委員(小島英敏君) 法律の第三条がいわゆる標準価格でございますが、この第三項に「当該標準品目に係る指定物資の価格の安定を図ることを旨とし、標準的な生産費、輸入価格又は仕入価格に標準的な販売費用及び利潤を加えて得た額、取引の態様及び地域的事情、当該標準品目に係る指定物資の需給の見通し並びに国民生活又は国民経済に及ぼす影響を総合的に勘案して定めるものとする。」と、非常にわかりにくい文章で恐縮でございますけれども、まずこの「標準的な生産費」これは国内で生産される場合でございますけれども、一方、輸入品につきましては輸入価格、それから販売いわゆる卸とか小売りに関しましては仕入れ価格、この辺がもとになるわけでございまして、それに標準的な販売費用を加え、さらに標準的な利潤を加えてまあ一つの計算をいたします。それからさらに「取引の態様」と申しますのは、卸、小売りというような取引の形態その他現金売りとかあるいは月賦だとかいうようなこととか、それから「地域的事情」これはまあ地域によって非常に輸送コストがかかるというような場合は考慮するということでございます。それから「当該標準品目に係る指定物資の需給の見通し」その物が今後どのような需給状況であろうかということの先行きの見通しがやはり重要なポイントでございます。それから「国民生活又は国民経済に及ぼす影響」その物がどういう程度のウェートを持っておって、特に消費者のサイドから見るとどうであろうかというようなことを総合的に勘案して定めるというたえまえでございまして、これはまあたてまえ上はこういうことになっているわけでございますけれども、実際問題としては初めて標準価格をきめます場合には、その物についての生産費等について十分なデータが役所にないわけでございます。その次の段階の特定標準価格ということになりますと、これは標準価格がきめられた品目についてはいろいろそういう調査もできることになるわけですけれども、一番最初の段階は、そういうデータが、いままで行政上各省が持っているものもございますけれども、いろいろなものについてすべてそろっているというわけではございませんから、実際にこの標準価格のきめ方を考えます場合には、大体その物の価格状況が比較的安定していた時期をもとにいたしまして、その後のおもなコストの構成要素、たとえば賃金ベースが上がったとか、あるいは海外からの輸入原料を使っている場合にはそのものの海外価格が非常に上がったとかいうような重要なコストの変化を織り込みまして、そこで新しい現段階としての標準価格をきめると、そういうやり方をするケースがおそらく多いだろうと思います。したがいまして、総理は一月から十月までの平均ということを言われたようでございますけれども、機械的にあらゆる物資をそういうことで平均を出すということではございませんで、やっぱり物資ごとに、その物が今度のこういう事情で便乗的な値上げをとっているものがありますけれども、個々の品目ごとに、そういう妙な時代を除きまして、その前の比較的安定していた時代をもとにして、その後のコストのおもなものについて変化の要素を組み入れて新しい標準価格をきめると、大体そういうことに相なろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/322
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323・中沢伊登子
○中沢伊登子君 それでは、先ほど私が言いましたように、毎日三〇%や四〇%やひどいものは五〇%も値上げをしたと、あるいは帳薄の改ざんをしたと、こういうようなことは標準価格をきめるときはそれはもうなしですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/323
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324・小島英敏
○政府委員(小島英敏君) そういうものは極力排除いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/324
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325・中沢伊登子
○中沢伊登子君 極力排除するということでは何だかちょっと心もとない感じがしますが、それではこの法律案による課徴金制度ですね。この課徴金制度は監視体制の確立と並行しなければ、違反が見つかるまではやみを続けたり、あるいは見つかればお金さえ払えばよいというような違法行為を横行させる危険性はありませんかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/325
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326・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) それは監視体制をしっかりさせないと、何というのでしょうか、ばれ得とかいうことばもございますくらいですから、せっかくのこういう条文をつくりましても意味がございませんので、監視体制を充実させたいと思います。そのためには、国の公務員もでき得る限り動員をいたしますと同時に、監視体制につきましては地方公供団体にこの法律によって与えられました立ち入り検査をも含めたような権限まで委任をいたすことにいたします。なおかつ、また、いま各省が持っておりますようなモニター制度というようなものも十分活用してまいるような仕組みをつくってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/326
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327・中沢伊登子
○中沢伊登子君 実は、昨日、小麦粉の調査に物特の委員がみなで参りました。そのときに、たまたま横浜のダイエーで買いもの中の三十四、五歳の奥さんが、ずっと私どものあとを追っかけてついてきておられました。その奥さんがこういうことを言いました。「トイレットペーパーが八月に二百八十円だったのに、十二月には四百九十円です。中間で三百五十円のがありましたけれども、ばからしくって買いだめはしませんでした。そうしたら、もう四百九十円になってしまいました。正直者が損をするのです。もう買いものに行くのがおそろしくっておそろしくって、主人にでも買いものに行ってもらわなければならないような感じがします」と、こう言っておりました。消費者はこんなに心配をしているんです。それから、また、ある奥さんは、大きな包みを持っていたのに、その包みをわざわざあけて、そしてその値段がどこに書いてあったかわからないものですから、そのビニールの袋まであけて、そうして「この紙は落とし紙ですが九百枚で二百七十円です」と、それはたいへん分厚いちりめん紙でございました。こういうふうに私どもが視察に行ってもすぐにつかまえてこういうことを言わなくちゃいられないという、そういう消費者の心情を察すると、ほんとうにこれはたいへんなことだなあと、こういうふうに思います。
そこで、先ほど紙の問題について柏原先生がいろいろ御質問をしておられましたが、たまたまこの間私も自分の地元の宝塚市に帰りましたときに、ある小売り店の人がぜひともこれはひとつ国会で言ってくださいという問題がございました。それは、「B4のざら紙、これが卸が三百五十円で小売りが五百円だった。ところが、最近これが卸が千円になって小売りが千五百円になってしまいました。それからB4の上等のものが卸が六百五十円であったのが、最近これが二千五百円にはね上がりました。また、ノートの小売りは五十円だったものが九十円で売らなければならないようになりましたし、マジックペンですね、こういうものも五十円でしたのが百円になりました。それからセロテープ、これが六十五円だったのが百二十円。それからティッシュペーパーは二個百五十円だったのが一個百三十五円になりました。これらは問屋で押えているのではないか。大手業者は押えても、卸から小売りまでの間を取り締まらないとだめなんではありませんか。小売り店としては売るのがたいへんつらくって憤慨にあえません」ということでございました。この辺のお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/327
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328・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) まずトイレットペーパーについて二百八十円から四百九十円という、私たちとしても実態を疑いたくなるような数字をお聞きしたわけでございます。現在、トイレットペーパーにつきましては、種類も多うございますし、また地域によっても異なるわけでございますが、一応標準値につきまして東京では二百二十円から高くても三百円。その三百円ですらわれわれとしては便乗的気配が濃厚であるということで、これを極力抑制する方向で努力いたしておるわけでございます。したがいまして、先生からいまお伺いしたような実態をさらによく調査いたしまして指導してまいりたいと思います。
その他、いろいろな品目について御指摘もございましたわけでございますが、われわれとしましては、一つには便乗値上げ的なものを排除するという姿勢をとると同時に、原料になる故紙あるいは原木対策も強力に進めてまいりまして、値下げの方向に持っていきたいと考えております。
また、最後に御指摘になりました流通段階の問題、これは私たちとしても非常に重要なポイントかと思っております。ただ、非常に複雑でございますので、なかなか解決の手段というのはむずかしいわけでございますが、片方で生産段階での合理化を進める一方、流通段階でもよほど近代化、合理化を続けてまいりませんと、最終消費者に渡る価格が高くなるようでは生産段階での合理化というのは生きてこない、かような観点に立っておりますので、積極的に前向きに流通問題も対処してまいりたい。特に御指摘のような点につきましても実態を調査さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/328
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329・中沢伊登子
○中沢伊登子君 それは早急にしてあげてくださいね。小売り屋さんはほんとうに困っているんです。
それからついでに、トイレットペーパーの問題になりましたからもう一つだけお伺いしたいのは、トイレットペーパーの今度のパニックは関西で起こりましたね、私のそばがひどかったわけですけれども。そのときに、緊急放出ということでこれを鎮静化するためにたくさん送りましたね、関西へ。そして何かそのトイレットペーパーを置く店を八つにきめましたね。八店にきめて、ダイエーのどこそこ、生協は塚口店だとか何とかと、こうきめましたね。そのときに、それはそれとしても、ほかの小売り店がゆえなくしてもうけさせてもらえなかったというような苦情はございませんでしたか。私のところへはだいぶん来ておりますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/329
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330・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) そういう苦情も耳にいたしております。ただ、御了解いただきたいのは、当時といたしましては、迅速に品不足問題を解決いたしたいということで、二十一店舗を指定したわけでございます。その指定にあたりましても、一店舗に二百ケース、二百五十ケースと大量に品物を運び込むわけでございますから、一つには交通渋滞を起こさせないようにしなくてはいけない。あるいはたくさんの人が集まることによってけが人を出してはいけない。したがいまして、二階ではなくて一階でそういった品物を扱い得るところ、かつはまた、交通便利のところといったような観点から選定いたしました。特に大阪あるいは首都圏の場合にも、市場価格よりはるかに下回る価格で品物を販売させるようにいたしておりますので、そのあとあとの指導と申しますかチェックもしてまいらなくてはいけないといったような必要性に迫られまして、ベストの方法ではないと思ったわけでございますが、緊急の用に間に合わせるということで踏み切ったわけでございます。将来ともやはり中小小売り商の利益を侵害することのないようにいたしたいと思いますが、何ぶん緊急の間に合わせるということであったということで御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/330
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331・中沢伊登子
○中沢伊登子君 それは緊急の場合ですからやむを得なかったかと思いますけれども、またひょっとしてこういうことが、ないほうがいいのですけれども、またもしも出てきた場合には、今度のようなことをひとつ参考にしていただいて平等にやっていただきたい、このように思います。
そこで、通産政務次官においでをいただいているわけですが、石油の問題について二、三伺いたいと思います。
政務次官のお宅では暖房は何をお使いでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/331
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332・楠正俊
○政府委員(楠正俊君) 灯油でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/332
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333・中沢伊登子
○中沢伊登子君 一かんの灯油を何日ぐらいでお使いになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/333
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334・楠正俊
○政府委員(楠正俊君) 帰って女房に聞いてみます。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/334
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335・中沢伊登子
○中沢伊登子君 それはまあ部屋の大きさだの幾つのストーブをお使いになるか、それによって違うのでしょうけれども、石油を三百八十円に押えましたね。そしてずいぶん石油で苦労している人たちがたくさんあるわけです。実は私のおります宝塚市の問題を取り上げてたいへん恐縮なんですけれども、宝塚市というところは流しのタクシーがないわけです。ところが、神戸から宝塚市に転居してきた、ことしの四月ごろに。そういう人は、薪炭屋さんだとか生協だとかいろいろなところへ頼んでも、いままでの実績がないから、こんなに灯油がなくなってから灯油を下さいと言われても売るわけにいきませんといって断わられているのです。そして、中には、一生懸命勉強される大学入試を控えたお子さんやら、あるいは大学の先生やら、夜おそくまで勉強しなければならない人たちやら、そういう人も実はシャットアウトを食ってたいへん困っております。たる方は、私の家へ電話をかけてよこしまして、いまから一升びんを二本持って行くから灯油を二本分分けて下さいといって私の家に来られた方もございます。その人にいろいろ話をして、どうもガソリンスタンドにはあるらしいですよと、こういうふうに申し上げたのですけれども、ガソリンスタンドに事実買いに行かれたようです。ところが、先ほど申し上げましたようにタクシーもないものですから、その勉強している人が一升かんを相当遠いガソリンスタンドからアパートまで持って帰ったわけです。とうとう椎間板ヘルニアを起こしてしまいました。こういうようなこともありますので、石油の需給ですか、そういったものにもう少し何とかすみずみまで配慮をしてほしいと思います。もちろん、石油の優先順位がございますね。私どもよく申し上げております身体障害者とか、病院とか、お年寄りとか、まあいろいろなそういう民生用には一番早く回してほしいと、こう申し上げておりますけれども、おそらくいま申し上げたような実態は通産省のほうもあんまり御存じないかと思いますので、その辺をお考えをひとついただいておきたいと思います。
それからもう一点は、きのうの「神戸新聞」なんですけれども、灯油とか砂糖とかちり紙、こういったパニック商品を景品として、いま年末でございますから、それで売り出しをしているわけです。こういうものが景品になっている、こういうものについてどうお考えになられますか、お伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/335
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336・楠正俊
○政府委員(楠正俊君) 灯油はないというわけではないんですね。それは少しは減っておりますけれども、十月末で六十三日分、五百八十万キロリッター確保してあるわけでございますが、そういった流通段階でいろいろトラブルが起きていることは十分私も存じ上げておるわけでございます。そういうわけでございますので、何とかこれをしなくてはいけないと私も非常に頭を痛めておる問題でございまして、通産省の中に臨時石油対策本部を設けて、これは総勢五十五名でございますのでなかなか手が回りませんが、そういった実態を知らしていただきましたら、即刻何らかの手を打っていきたいということ、これは真剣に私も考えておる次第でございます。
それからそこにまた苦情処理の係がございますので、そういうところに直ちに通告していただいて、調査して善処していきたいというように考えております。
景品でございますが、どうもそれは感心しないと思いますが、この点につきましても、そういった実情を直ちに調査をいたしまして、何らかの手を打っていかなくちゃいけないと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/336
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337・中沢伊登子
○中沢伊登子君 お伺いしたいことがあんまりたくさんあって、どれからどうなっているのかわからなくなっちゃいましたけれども。灯油の問題ですね。この灯油の問題は、通産省のほうもいろいろ考えてくだすって、六十三日分あるとは申しながら、私は、大口消費者、たとえばビルとかデパート、こういうようなところが値段にかまわずに買い上げる、こういう点にも一般の消費者に回らない一つの原因があるのではないかと思いますが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/337
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338・楠正俊
○政府委員(楠正俊君) 確かに、現実はそういうところがあると存じますので、この法案が通り次第、直ちにそういうものに対しましても善処していくという気持ちでいま用意をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/338
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339・中沢伊登子
○中沢伊登子君 そこで、いま年末でございますから、いますぐにとはなかなか言えませんけれども、私は、いま申し上げましたデパートですね、もう政府のほうでは消費をなるべく遠慮してほしいと、貯金をしなさいと、こう言っていらっしゃるわけですね。そういう一石二鳥をねらって、年が明けたら、まあ百貨店法も変えなくちゃいけないのかもしれませんけれども、緊急措置としてデパートを週休二日制に即刻してほしいと思います。この点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
それから立ったついでですから、きのうの新聞を見ますと、競馬がございましたね、どこだかで。どこかちょっといま忘れたんですけれども、中山ですか、それで何かずいぶんだくさんの人が行ってちょっと想像もつかないようなお金が乱れ飛んだのですね。ハイセイコーが一番になるのかと思ったら三番になったとかいうような話が書いてございましたけれども、こういうふうなギャンブルに一万台か二万台の車が行くということは、これは何とか規制はできないものでしょうか。実は宝塚市にも阪神競馬がございます。大体七千台の駐車場がつくってあるのですけれども、そんなものでは足りません。ですから、その競馬がある日は道路をいろいろ規制はしておりますけれども、それを知らずに巻き込まれた人は、もうそれは結婚式にもお葬式にも間に合わないくらいたいへんなんです。これだけ石油石油と言っているときに、ギャンブルに行くのに自家用車を持っていくということはもうほんとうにふらちだと思います。何とかこの辺も規制をしていただくようなことは通産省のほうで考えられないのかどうか。
それからもう一つは、夜分の電気を消すようにということで最近ずいぶんネオンが消えました。しかし、これもわれわれが率先して消したのではなくて、むしろアラビアのほうの方が来て、「自分の国は石油を供給しているのに自分の国はまだたいへん民度が低い。日本へ来てみたら、自分の国から持ってきている石油であかあかとネオンがたくさんついて繁栄を誇っている」ということがきっかけじゃなかったのですか、そういうふうに聞いておりますけれども。それで日本ではそれじゃもう遠慮しなくちゃということと石油がないからということでネオンがどんどん消されたと聞いておりますけれども、夜の風俗営業ですか、これが新聞を見ますと大体午前零時までと、こうなっておりますけれども、まあ私ども女性議員もですけれども、キリスト教矯風会や何かが一生懸命になっていま風俗営業の中で特にトルコ風呂に焦点を当てて、トルコ風呂は売春の宿になっているから何とかしなくちゃ何とかしなくちゃと言っている最中です。そんな午前零時までもあんなところを営業させる必要はないと思います。ですから、こういうところは九時ごろにでもちゃんとびしゃっと締めてしまうように、そういうふうないろいろな方法を講じていただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/339
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340・楠正俊
○政府委員(楠正俊君) デパートでございますが、これはデパートに限らず、週休二日制の実施を緊急対策要綱にのっとりまして全業種に対して労働省に強く通産省のほうから申し入れをしてございます。
それから競馬でございますが、これは競馬に限らず、この間のスキー場におきましてもマイカーがずらりと並んでおるというのが新聞に出ておりましたが、これは不要不急の旅行の自粛ということを強く警察庁のほうに申し入れて、すでにガソリンスタンド等は休日には売らないというようなこととか、それからまあこれはたいしたことではございませんが、インターチェンジに広報板を設けてそれでマイカーを自粛してもらうようにということを強くうたってはございますが、いまだになかなか効果が上がっていない。これはやはりマイカー族が自粛していただく、官民こぞってこれに対処するという気持ちがなければ、なかなか役所が呼びかけましてもうまくいかないことでございます。
それからトルコ風呂に関しましては、九時とか何とかというように、私もそれは先生と全く同様の意見でございます。トルコ風呂に限らず、風俗営業は深夜なるたけもうやらないようにというような気持ちでおりますが、これもいま国家公安委員会のほうに通産省のほうから申し入れまして、すみやかにそうならんことを期待いたしておるわけでございます。これもやっぱり皆さん方の御協力がなければ、行く人がおりますのでやっぱり営業をやってしまうので、これはいかぬようにひとつ先生のほうから男性方のほうにもよくお伝えいただきたいと思います。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/340
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341・中沢伊登子
○中沢伊登子君 ありがとうございました。文教委員をしていらっしゃいましたから、ぜひともやっていただきたいと思います。
時間がなくなってまいりましたので、あともう一つ二つ伺っておきたいと思います。それは、お正月を目前にしまして卵の値上がりがたいへん大きゅうございます。けさのテレビでもこの問題を取り上げておりましたけれども、いままで卵というのはずいぶん長いこと値上がりがしませんでしたが、大体百円台でございました。最近は三百円台になっておりますけれども、この問題についても先ほど柏原先生もちょっとお触れになったかと思います。ここではやっぱり飼料の問題が一番大きいと思いますね。それで、養鶏家も、もうどんどん鶏をつぶしていっていると、こういう話を聞きますと、われわれは、この先、卵はだんだん少なくなるし、飼料は高いし、また卵は相当高い卵でなければ手に入らないのではないかという心配があるわけですね。そこで、やっぱり卵というのは完全栄養でございますから、子供や年寄りや病人にはぜひとも必要なものでございます。そこで、この飼料の問題について私はぜひこういう提案をしたいと思っているんです。まあ大体飼料というのは七割を輸入しておりますけれども、農民が喜んで飼料を日本でもつくるように国が大幅にそして計画的にお金を出して、国内でも飼料が何ぶんかでもつくれるようにしていって、もう飼料には苦労しない、政府もお金を出してくれるし飼料には苦労しないと、こういうふうにすべきだと思います。これが一点です。
それからもう一つ、それはまた豚を飼っているところも牛を飼っているところも同じような状態でございます。特に牛乳の問題に触れておきたいと思いますが、先ほどこの問題も柏原先生が微に入り細をうがっていろいろ御質問しておられましたが、私は少し立場を変えて御質問を申し上げたいのは、牛乳というのもやっぱり赤ん坊と老人や病人にとっての主食に近いものですね。主食と言ってもいいようなものが牛乳でございますけれども、この牛乳も、いま申し上げました飼料はもちろん、人件費や諸資材の値上がりのためにやり切れないところまでいっております。聞くところによると、毎日百軒くらいの酪農家がやめていってしまう。この間新聞に出ていたのは、子供をかかえた乳牛が売られていっているわけですね。しかも、それが五十万円ぐらいするから、いまさら人手をかけて牛乳をしぼるよりも売ってしまったほうがいいんだというような簡単な考え方で牛が減っていくということも、これまた、将来を考えるとたいへん問題だと思うわけです。そこで、この牛乳というのは燃料不足でたいへん困っているんです。この牛乳というのは、ほうっておけば腐ってしまいますし、やっぱりいつまでも冷蔵庫に貯蔵をして運んだりあるいは消費者のところまで持っていかなければいけませんから、この牛乳に対しては特に燃料の不足というのが致命的なんですね。ですから、これは燃料をまた十分確保してもらわなければならないと思います。冷却をやめてしまうともうすぐにバクテリアがふえますし、殺菌ができなくなってきますから、品質の保持もできないわけです。ですから、どうしてもこの牛乳には燃料を回しておいていただかなければ、停電をしても、その停電が長いこと停電になりますと、家庭で保存している牛乳までが腐ってしまうわけですね。これはほんとうにゆゆしい問題でございますから、私は牛乳には特別措置を考えてもらわなければならないと思います。先ほど、お答えの中で、飼料作物には奨励金を出すと、こういうお答えが柏原先生にございましたけれども、はたしてそれくらいのことでえさの確保ができるのか、将来の見通しがどのようであるのか、その点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
さらに、もう時間がありませんからついでに質問してしまいますが、先ほども問題になっておりました値段の問題ですね。この値段の問題では、店頭売りと大型容器のまとめ売りと、それからスーパー売りがありますし、それからもう一つは配達販売がありますね。こういったような中で、消費者が値段が上がって困ると、こういうことであれば、もっと安くするように店頭売りまたは消費者がじかに買いに行く、もう人件費を省くために買いに行く、こういうようなことを行政指導をしたらどうか。ぜひともこれは行政指導をしてほしいと思います。
さらにもう一つお伺いしておきたいのは、乳製品に対しては不足払い制度がございますね。北海道なんかそうでしょう。チーズやバターにするのには不足払い制度というのがありますけれども、今後これが市乳にも不足払い制度というものが適用されないものかどうか。あるいは、赤ちゃんや病人の主食でございますから、これには私はもう第二の食管制度をつくってもいいんじゃないかと、これくらいに思っているわけです。燃料不足の問題や飼料の値上がりの問題や、こういったような問題か容器から紙容器からいろいろな点を考えますと、私は赤ん坊や病人のために牛乳が将来得られなくなってしまうということはこれはゆゆしい問題だと思いますので、その辺について農林省あるいは通産省のお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/341
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342・大河原太一郎
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
いろいろな点にわたっての御質問でございますが、第一点の飼料価格の高騰が畜産物価格にはね返りまして卵価をはじめとして高くなっておる、飼料価格の安定のために飼料の確保その他について万全の対策をとるべきであるというような論点からの御質疑でございますが、この点につきましては、昨年下半期から本年にかけまして国際的な配合飼料原料穀物の需給の緊迫と価格の高騰につきましては、春と秋の二回にわたってその上げ幅を極力財政の面でも負担するように措置したわけでございまして、先般通過いたしました補正予算等におきましても総額五百五十億程度の財政負担をしまして、値上げの最小限度の措置をしたわけでございます。今後の問題としてあろう限り国内でも安定的な確保につとめようという御指摘についてはまことにそのとおりでございますが、ただ、一千万トン以上にわたります穀物原料でございまして、特にメーズ、マイロ等につきましては生産性の格差なり耕地の面積というような面からなかなか国内でこれを自給することは困難でございます。ただ、麦類なり飼料作物等については最大限の確保をはかっていく。また、足らざる分につきましては、長期契約なりあるいは開発輸入とかあるいは備蓄の促進とかいうような多角的な施策を用いまして国内の供給の安定をはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
それから次に、非常に具体的な問題でございます乳価の改定に伴う消費者家計への負担を最小限度にとどめるために、大型容器の割引なり、さらに店頭販売について配達料を引いた割引という点についての指導を強化せよというお話でございますが、この点はまことにもっともでございまして、今回の乳価のやむを得ざる改定につきましても、大型容器の割引その他については極力これを行なわせる。先ほど柏原先生にもお答え申し上げましたが、加工乳等につきましては均質牛乳として普通牛乳の上げ幅の半分のものも出させるとか、あるいはまあスーパーは大体店頭売りで安いという点もございますが、一般小売り店についてはなかなかこれを行なわないけれども、大型容器等につきましては今回の値上げを契機といたしまして、スーパーと同様、店頭売りについては配達料を割り引いて店頭価格で売るようにして消費者に協力するというような点についても取り上げたいというふうに考えております。
それから電力と石油等に関連いたしまして、特に食生活に非常に関連が深い牛乳の処理について確保をはかれという御指摘でございますが、これはそのとおりでございまして、今回の政府の石油の緊急対策の要綱なりあるいはその実施の過程におきましても、農林漁業プロパーだけではなくて、生乳の処理という点についても石油の優先確保なり電力の優先確保に一ついてせっかく努力中で、関係省等においても十分御理解を願おうとしておるところでございます。
それから最後に、牛乳は非常に大事な食物であるから、これについては、乳製品の原料である加工原料乳について不足払いを行なっておると同様に、飲用乳についても不足払いをせよというような御指摘でございますが、御案内のとおり、飲用乳につきましては、生産者のサイドから申しますと、生産者とメーカーとの間で需給の条件に即してそれぞれ自由な取引価格をきめておりまして、その価格がほぼ再生産価格を満たしておるというのが今日の需給状態からの実態でございます。ところが、乳製品を製造する加工原料乳につきましては、乳製品価格からコストを差し引いたメーカーが払える取引価格というものがどうも再生産を保証する価格にならぬと、したがって、その点を保証価格ということで不足払いを財政が負担しておるわけでございますが、そういう意味から申しますと、生産者サイドからは飲用乳価に対して不足払いをする理由はございません。われわれも必要ないというふうに判断しております。
先生の御指摘は、一方で消費者の家計費からこれをしたらいかがかというようなお話でございますが、まあ牛乳がわれわれ消費者家計における重要なものであるという点については否定しておりませんが、今日のような食生活の多様化、高級化ということを見ますと、われわれが家計調査を見ましても、肉類、野菜等のその他の食物に比べても牛乳は実はウエートが低いわけです、家計費に占める。したがいまして、こういうものについて特別な取り扱いをするかどうかという点については、なお慎重な検討を要するのではないかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/342
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343・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 牛乳の問題につきましては、かねて農林省からその他の食生活に関連のある物質の生産に必要な燃料についてのいろいろ御相談を受けておりまして、御一緒になりましてこれらの物質については適正な量を確保するという観点で、私どものほうといたしましては、メーカーの団体でございます石油連盟の中に新しく部会を設置させまして供給のための体制をつくらしておりますので、そこで私どもは指導をいたしまして供給が円滑にいくようにいたしたいと現在努力をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/343
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344・中沢伊登子
○中沢伊登子君 最後に要望でございますが、先ほども申し上げましたように、お正月が目の前でございます。そして、それでなくてもいろいろなものが値上がりをして消費者はたいへん困っておりますので、経企庁長官にも通産省のほうにもお願いしたいのは、お正月の物資を運ぶための石油はひとつ惜しまないで、何とかして家庭の台所をお正月は潤していただきたい。あれもこれも高くてもうおせち料理も何も、もうおせち料理をするような段階ではないかもしれませんけれども、おせち料理も何にもできないということで消費者がたいへん困るようなことのないように、ひとつ特別の御配慮をお願いして、私の質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/344
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345・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 それでは、限られた時間でございますので、問題をしぼってお伺いをしたいと思います。
いま、私たち国民は、たいへん大きな生活不安にさらされております。もう盛んにいわれておりますように、トイレットペーパーをはじめとして、砂糖から洗剤、あるいは寒い冬を控えて灯油、プロパンガス、あるいは子供たちのノートから鉛筆に至るまで、毎日のように値上がり騒ぎが起こるというふうな中で深刻な不安にさらされているというのが状況でございます。そういう中でいま国民は何を不安に思っているかというと、その一つは、この急暴騰のあとで高値安定になってしまうのではないかという不安、それが一つです。二つ目は、依然として新たな品不足というのが次から次に起こるのではないかという不安。それから三つ目は、これは消費者とともにですが、零細な小売り業者がいじめられるのではないかという点のこの三つが非常に強い不安になっております。そうして、日常の会話でも、あすがどうなるかわからない、あしたの不安、これが依然として大きくなってきているというのが実情でございます。したがって、庶民の知恵でございますが、こういう川柳がいわれている。「需隠れ出てきたときは値が二倍」、うまいことつくっていますよ。こういう状況がいまの国民の置かれている状態でございます。
そういう中で端的にお伺いをいたしたいと思いますが、本委員会に上程をされている生活安定法、これができましたら物価が下がって国民の期待にこたえられるのかどうか、その点をまず最初に総括的にお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/345
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346・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) 先ほどそのことにつきましては他の委員の方からも同趣旨のお尋ねがございましたが、私どもは、これ以上物価が激しい上昇をしないように押え込むためのあらゆる努力をするほかないと、こういう考え方でございまして、わが国の物価が、沓脱さんも御承知のように、輸入物資の値上がり等に依存する分も非常によけいございますし、国際的な物価上昇の影響を受けることは今後も私は変わりないと思いますので、この法律ができたらば物価が全面的に下がるかというと、そういうことよりも、これ以上上げないように、ことにその上げない対象の物資としては、これだけは国が全力を尽くして国民の生活を守る必要があるというような生活関連物資、あるいは国民経済に重要な物資を選びまして、そのものにつきまして標準価格の設定その他の手段——と申しますのは、たびたび申し上げますように、その物の値段はやはり需給関係もございますので、輸入が足りないものは輸入の指図をするなり、あるいはまた出荷の指図も運送の指図もするなり、そういうあらゆる手段を通じまして何とか物価の上昇を押え込むと、こういうことをこの法律でやってまいりたいと、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/346
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347・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 ちょっとはっきりしておきたいと思うのですが、これ以上上がらないように全力をあげたいという御意見なんですけれども、国民の期待はそうじゃないんです。急暴騰したあとで高値安定というのは先ほどお認めにならなかったようですけれども、現実には高値安定になっておる事態に対して国民の怒りというのは集中しているわけです。これを繰り返しておってもしかたがありませんので、そういった国民の不安、怒り、そういう状況を解決していくためにどうしたらいいのかという問題、国民の要求も含めてこれは実態に即して少し伺っていきたいと思います。
そこで、具体的に砂糖を例にとってお伺いしていきたい。現在、国民の手に砂糖が、上白ですね、砂糖といってもいろいろあるということなんで、上白一キロが手に入るというのは一体幾らでございますか。特にそのことを含めて、砂糖についてのパニック状態、それから急暴騰、その後の政府の施策、そういったものを含めて現状認識についてどういうふうにお考えになっておるかという点を最初にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/347
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348・池田正範
○政府委員(池田正範君) お尋ねの第一点の砂糖の価格でございますが、これは地域により多少の差がございます。御案内のように、政府としては、価格の最近における急暴騰に対応いたしますために、全体としての価格水準を引き下げる方向で指導いたしながら、その局地的な牽制作用といたしましてメーカーから直接小売り店舗に直販形式をとるということで、値段を冷やし、かつ物がないという消費者側の不安を解消するための措置をとってきておるわけでございます。そういう地域とそれからそうでない地域との間に若干の残念ながらなお開きがございます。そういう意味からいたしまして、現在、小売りの価格は、高いところで二百二、三十円、あるいは例外的に二百五、六十円というところもあるかもしれませんが、大体の水準で二百二、三十円、安いところが百八十五円、百九十円といったような段階で分かれておりまして、概して申しますというと、関東地域よりも関西地域のほうが高い水準にあるようでございます。
そこで、私どもといたしましては、ただいま申し上げましたような物不足あるいは価格の高騰に対する消費者の不安というものを未然に防ぎますために、十一月の末から十二月の初めにかけまして業者の指導をいたしまして、全体として全国的に二千六百トンの砂糖をこれは東京と大阪を重点に緊急手配をいたしまして、そしてメーカーからの直販をさせたわけでございます。その際、これは一定の価格に全部相談をさせるというわけには制度上まいりませんので、全体の水準としては、私ども指導の基準といいますか水準といったようなものから考えて、当時メーカーが出し値としてキロ当たり百七十円見当の出し値を出しておりましたし、また、中には小売りの段階で三百円から三百五十円という法外もない値段が現出しておりました現状もございまして、まず何よりも先に、とにかく物がなくなることを防ぐ、現物のないところへ現物を届けるというふうなことから、私どもとしては緊急に二千六百トンを手配いたしますと同時に、卸売り段階で大体百六十円前後の水準、それからそれを基準にいたしまして消費者に対しましては百八十五円前後の水準といったようなものを一応の目安といたしまして、その前後で大体売れ、少なくとも二百円をこすようなばかな砂糖がないようにということを第一次の実は指導方針としてやったわけでございます。幸いにいたしまして、関東地域につきましてはかなりその後鎮静化してまいりまして、一時のいわゆる砂糖騒ぎというものはおおむねおさまってまいったように考えておりますけれども、最近に至りまして、実は、これは地域的に関西地域が一部の砂糖会社が長年の不況で今年倒産をいたしました。これは大阪市内の会社でございますが、製造会社が倒産いたしました。また、もう一つは、新しく稼働を開始する予定になっておりました新鋭の大型製糖工場が予定どおりに作動しないという技術的な事故が重なりまして、地域的に大阪の地域が若干物が不足するといったことが起こってまいりました。そこで、つい最近のこの石油問題が発生する前に、関東地域から関西地域に砂糖を急送するというふうな形で通常のルートが対処されてまいりましたけれども、最近の事情から運送コストというものが若干上がりぎみになってきたというふうなことで、関東と関西との間の小売り価格、卸売り価格というものに開きが出てきつつございまして、したがって、私どもといたしましては、実は本日新聞にも発表いたしましたけれども、さらに二千五百トンを北海道のビートの砂糖を急送いたしまして、そして大阪地域に放出する。特に、大阪地域の中の小売り店舗に対しましてもこれを一部放出する。それから関東地域についても同時に第二次の放出をする。そして、全体としての水準は、従来の安定水準と一応あの段階で暫定的に考えてまいりましたものよりさらに三、四円方引き下げまして、卸売り段階では少なくとも百六十円以下、百六十円をこえないという段階、それから小売り段階では百八十円をこえないという段階というふうに段階別に価格の引き下げの水準の指導につとめておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/348
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349・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 だいぶん詳しく報告をいただきましたけれども、東京地方は鎮静しておりますとおっしゃっておりますが、私、たまたま麹町宿舎に住んでおりまして、あの近くの小売り店に三日ほど前に行って買った。一キロ二百四十円です。五百グラムのは——五百グラムという袋入りかできておる、それは百二十五円です。ですから、それは一キロ二百五十円ですね。これは中目黒の普通の商店ですが、これは一キロ二百四十円です。(現物を示す)これはやはり東京です。赤坂の何かストアですが、これは二百五十円です。(現物を示す)昨日実調に行きましたら、スーパー・ダイエーでは百八十八円だった。ですから、農林省のほうでは手当てをしておられるとおっしゃるけれども、国民の手に入っているのは百八十八円前後で買っているというのは限られているわけです。大阪のデータを見ますとこれは実にはっきりしているのですが、家計簿をきっちりつけている奥さんのを抜き出した。そうしますと、昨年の十二月、やはりお正月前です、一キロ九十八円であった。ことしの十二月は二百五十円になっております。こういうことですからこれは国民がたいへん腹を立てているわけです。特に詳しい調査をずっと言いますと、どのくらい砂糖がどんどん上がってきているかということです。これは消費者価格ですよ。一月の十三日、先ほど申し上げたのは十二月でしたが、ことしの一月の十三日、九十八円です。それがことしの九月十五日には百三十円になった。十月の三十一日は百五十円です。これは大阪ですよ。それから十一月の二十三日には二百三十円、十二月の五日には二百五十円、十二月の十八日には二百七十五円と、こういう状況でいまだ鎮静しているという状況にはないということをこのデータは示しています。したがって、消費者である国民から見ますと、農林省のほうは指導をして鎮静をさせたとおっしゃっておりますけれども、国民からいいますと、高値安定になってしまったということに結果としてはなっているわけです。さっきもそれは違うとおっしゃっておられましたけれども、高値安定だと国民は思っているんですが、こういう現象ですね、これについて御見解はどうですか、高値安定になってしまったというふうに思われませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/349
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350・池田正範
○政府委員(池田正範君) 先生がただいまお調べになったのはそのとおりだと思いますし、そういう店が幾つかあることも否定いたしません。ただ、私は高値安定というよりは目下高値不安定であろうと実は思っておるわけでございます。高値不安定であるがゆえに、まだ私どもとしては値下げの指導の余地もあるだろう。しかし、いま申し上げましたように、私も実は近所を常にマーケットなんかを回って歩いておりますが、二、三日前に二百三十円くらいで売っておるマーケットもあるわけでございます。したがって、俗にいういわゆる市場の相場というものが非常に不安定にこわれてきている。これを早く直さなければいかぬということが第一でございます。ただ、強圧をもってただ押えつけるという形で物がなくなってしまうということもこれまたなお大きなパニック現象になりますので、私どもとしてはまずとにかく自由に流通さして売らせる、売っているものを下げていくということが一番大事なわけでございますが、確かに、いまおっしゃったように、私ども第一次をやりまして、百八十八円あるいは百八十五円で売っているところあり、なおかつ、どこかほかの地域で二百四十円程度でも売れるという事態がある以上なかなか業者としては売れないという現象がない以上はなかなか応じないというところも出てまいりましょうが、まあ、私どもとしては、これは繰り返し繰り返し安値の放出を続けて、そしてそういう地域に対して集中放出を繰り返すことによって、だんだんにやはり影響力をまわりに及ぼしていくという、いわば若干の対症療法的なことで非常に恐縮でございますけれども、当面の対策といたしましてはそれが一番有効であるというふうなことで現在やっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/350
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351・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 それで、先ほどお答えの中ですでに言われておるのですけれども、いま高値不安定だと。確かに、どんどん上がっているんだから、高値不安定ですね。そういう状況をつくり出しているのは、私はやはり農林省の行政指導によってつくり出されているのじゃないかというふうに思うんですよ。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/351
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352・池田正範
○政府委員(池田正範君) 農林省の指導のどの点をお示しいただいておっしゃっておられるのかちょっとわかりませんが、私どもとしましては、先ほどもちょっと大阪の市内の製糖工場がつぶれたということを申し上げましたが、最近における高騰というものを別にいたしますと長い間砂糖というものは日本の国内市場におきましては非常に低値で非常に不況続きであった。そのために国内の製糖会社が過当競争いたしまして、そのことが逆に消費者にとってはむしろ幸いをしたということが一つ。それからもう一つは、長い間、五年前から、ちょうど今年で期限が切れるわけでございますが、国際砂糖協定というのが御承知のようにございまして、この中で供給保証というものを輸出国側から得ておったわけでございます。したがって、国際的な砂糖の値段というものはおととしの十二月程度からどんどん上がり始めまして国際的にはかなり高い糖価水準でございましたけれども、日本の場合には約二百四十万トン程度、全体の八割程度を輸入しているわけでございますが、その二百四十万トン程度の砂糖というものがすべて供給約束の水準の中で買ってこれた。したがって、国際の糖価が九十ポンドになろうと、百十ポンドになろうと、とにかくその三割から四割安いところでずうっと買ってきた、そのことがかなり低値安定につながってきておったわけでございます。したがって、そういうふうな形で非常に低値安定できたことが幸いをいたしまして、先ほどお示しのようなまあいわば俗に言う目玉商品として砂糖が卵等と並びましてときどきスーパー等の店頭に並んで百円以下で売られる、コスト割りで売るといったようなことが日常茶飯事で行なわれてきたという実態があったことは事実だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/352
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353・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 それでは、先ほどのお答えで緊急放出の工場出し値を百六十三円前後に指導したとおっしゃっていましたね。そうすると、これは農林省の工場出し値の一応の指導価格というか、めどでございますね、公認をされているめどと見てよろしいですね、そのことが一つ。
それからもう一つは、先ほど、第二次放出については百六十円以下に何としても下げさせたいという御答弁をなさっていたでしょう。それなら、工場出し値をどこまで下げさせる指導をなさるのか、これをちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/353
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354・池田正範
○政府委員(池田正範君) これは、実は、非常に値段が安定しておりますと、ただいま御指摘になりましたことについてはかなり明確にお答えができるわけでございますが、実はまわりの諸条件が非常に変動しておりますので、したがって、不採算の価格を押しつけることによって生産関係自体がくずれてしまってはこれは元も子もございませんので、そこいらを考えますというと、なかなか何円というふうに現段階できめつけることは非常にむずかしいわけでございますが、しかし、これも御承知だと思いますけれども、現在の砂糖というのは、原糖については、国際糖価が高い場合には、国内の糖価安定法という法律に基づきまして、上下限に価格の安定帯をつくっております。その上限価格の安定帯をこえて原糖の輸入価格が高くなりますというと、砂糖の糖価安定事業団という事業団をつくっておりますが、この事業団が瞬間タッチで買い入れて売り戻す。その売り戻す水準は必ずこの上限価格で売り戻すという形になるわけでございます。その上限価格は、現在は、トン当たり、まあキロ当たりでもいいですが、キロ当たりで五十四円、それから下限価格がその大体半分の二十七円、この安定帯の中に安定させるということをねらっておるわけでございます。したがって、原糖がそういう形で安定をしてまいりますというと、当然そこであとは国内のそれに対する諸種の関税あるいはコストといったようなものの変動要因を除きますというと、大きな変動が比較的ならされるであろうと、こういう考え方で実はいまの仕組みができ上がっておるわけでございます。
そこで、いまの五十四円というものに、たとえば関税というものがキロ当たり四十一円五十銭かかります。また、その他にコストというものがかかります。さらに十六円ぐらいのキロ当たりの消費税がかかります。そういうふうなものを全部足してまいりますというと、おのずからそこでいまの時点ならば幾らぐらいの幅の範囲内であればそうもうけにはならないけれどもしかし損をしないで売れるはずであるといった一応のめどというものはつくわけでございます。そういう意味で、今年のように労賃の評価が非常に変わってくる、あるいは特にいま先生がお示しになったそういうビニールの袋とかそういう副資材が非常に変動する、あるいは運搬の運賃が動くといったようなことを含めて考えますというと、若干のアローアンスと幅を見なければなかなか安全度を保てませんけれども、それらを含めまして、さらに現に上がってしまった現状というものからどういう段階を経て無理なく下げていくかということを全部含めまして、実は指導の水準を一応その段階において百六十三円、さらに現在の段階においては百五十九円前後といったような水準に一応めどを置いて指導しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/354
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355・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 百五十九円に第二次放出は下げさせるという指導をなさったとおっしゃっているんですが、これは農林省の指導ですか。たまたまきょうの「日経新聞」にはこのように書いてある。「精糖メーカーに出し値引き下げの動きが出ている。台糖、明治製糖は十八日、上白大袋出し値を一キロ当たり百五十九円と四円引き下げ、他社も二十日の出し値改定日には一斉に追随する見込みだ。しかし、こうしたメーカーの動きは政治的なアドバルーンとみられる。既に十二月分の品物はほとんど百六十三円の出し値で売却済みになっているため、メーカーの出し値が下がっても新規の売り物が出ないことが予想される。」しかも「メーカーの今回の措置は、「生活安定法案」の対象品目に砂糖を含ませないための政治的な動きとみる向きが多い。」というふうにまあこれは新聞記事ですが出ている。しかも、「砂糖現物は「ところ相場」になっている。」ので「大阪地区では相変わらずの品不足に苦しんでいる。」というふうなことが出ているわけです。ですから、百五十九円というのは農林省の指導価格——指導価格というか、まあ指導価格ですね、そういうことで工場出し値を引き下げさせる指導をやってそういうふうに業界にやらせたのかどうか、その辺をひとつはっきりしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/355
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356・池田正範
○政府委員(池田正範君) それは、いま申し上げましたように、農林省からの指導によってやらしてあるわけでございます。
なお、いまそこの新聞をお読み上げになりましたが、そういうふうにすべてのものについての解釈をすることに全部間違いがあるとは私も思いませんけれども、ですからそういうものの見方も客観的にあるいは成り立つかもしれません。というのは、別に政府が表立ってマル公をつけて幾らで売れと言ったわけではございませんので、したがって、そういう見方が出てくることを否定はいたしませんが、実態はいま先生にお答え申し上げたような実態でございます。したがって、私どもとしては、今後ともひとつさらに十分にメーカーの今後のコストの採算状況等を見ながら、合理的なところまで何とかひとつ引き下げて、そうして少しでも値上げ前の水準に近づくように努力を続けていきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/356
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357・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 そうしますとこれはあれですか、農林省が指導をして百六十三円の工場出し値を百五十九円に第二次放出は下げさせるんだと。もっと下げさせることはできるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/357
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358・池田正範
○政府委員(池田正範君) ただいま申し上げましたように、無制限に下げさせるというわけにもまいりません。現実にコストがあるわけでございますし、その他の資材その他について全部が統制価格のワクの中で資材手当を受けているわけでもございません。したがって、へたなやり方をして物が一斉に隠れてしまうということだってあり得るわけでございますから、したがって、当然その辺は頭の中に置きながら生きた物の動きを阻害しないようにしながら、しかも業界が無理のない、それだけで売って十分採算が合うのだという考え方を十分頭の中にたたき込むようにしながらだんだんに下げさしていくというのがいまの条件のもとにおける一つの価格指導の限界ではなかろうか。したがって、そこには当然一律幾らというのではなくて、それを基準とする水準の中に大体おさめていく。私どもの考えている中でも、砂糖会社はたくさんございますけれども、大きい会社と小さい会社で一キロで十数円違うわけでございます。ですから、同じもので食い込めば大きい会社はできるかもしれぬが小さい会社はつぶれてしまう、こういうこともあるわけでございますので、そこいらを含めてやはり徐々にソフトランディングさしていくといいますか、そういう形をとっていかざるを得ないだろう、そういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/358
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359・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 農林省は指導価格というふうなことで、ばあっと上がってきたのを下げさせていっているという経過があるわけですね。あれはいつでしたかな、十一月の十三日でしたか、百四十九円に下げさしたことがありましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/359
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360・池田正範
○政府委員(池田正範君) ありました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/360
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361・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 だから、下げさせようと思ったら下げさせられる。先ほど局長が御説明になりました原糖の上限の五十四円で計算をして、標準加工費とその他関税、消費税その他を含めて、十月一日の標準的な上限見合い価格というんですが、まあ正確に何と言うのか知りませんけれども、そういうおよそ農林省の目安というのは幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/361
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362・池田正範
○政府委員(池田正範君) 先ほど申し上げましたように、根っこに五十四円がございまして、その上に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/362
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363・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 それはわかっているから、結論だけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/363
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364・池田正範
○政府委員(池田正範君) いまのいろいろなコストがかかるということになりますと、九月十五日に告示をいたしました上限価格のとき現在で、これは私どもの試算でございますが、試算では約百三十七円というのが当時の試算の結果でございまして、これを俗に見合い市価というふうに一般的には呼んでおります。ただ、問題は、これからあと、その中間的な経費というものが急速に上がってきたという経過を見ながら現在行政指導をしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/364
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365・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 そうしますと、九月十五日が百三十七円とおっしゃったが、これはおたくの資料をもらったら、正確に言うと百三十六円九十銭——ちょっとしか違わぬから、よろしいわ。それから十一月十三日に、これは工場出し値の動きがずっと毎日のように上がっておって、百五十二円ないし三円という時期に、おたくは百四十九円に引き下げさしているですね。ですから、そのときに引き下げさせたということは、百四十九円というのがいま試算をしたという見合い金額ですか見合い価格だという想定をしてよろしいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/365
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366・池田正範
○政府委員(池田正範君) 物が急速に上がってまいりますときに、ある時点をつかまえてこれがその時期のある次元全体を支配するのに適当であるかどうかを判断するのは非常にむずかしゅうございます。しかも、その判断をいたしておりますと、大体において、政府の手段はおくれるといっておしかりを受けるわけでございます。したがいまして、あのときはそういった厳密なことはいたしませんで、むしろその段階において何円下げられるかということを現実に踏まえて、そうして大体無理のない程度で物がなくならない程度でどの程度下げるかということを取りあえずきめてやったわけでございます。はたせるかな、メーカーは下げましたけれども末端が下げない、まん中でどこかへ吸収されてしまったということで、それからあと、おそらく御指摘があるだろうと思いますが、そのあとメーカーの出し値がまた上がってしまったということから実は本格的に緊急放出をせざるを得なくなったと、こういうのが経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/366
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367・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 ちょっと経済企画庁長官に。いま聞いていただいたように、砂糖一つを見ましても、九月十五日に農林省が試算をして上限の原糖五十四円ということ、これはきまっているわけだから、それで計算をして、百三十六円九十銭、局長のお話では百三十七円というふうなこれは指導価格ですね、糖価安定法に関連する指導価格。それから十一月十三日には百四十九円というふうに指導なさって百五十二円か三円になっていたのを百四十九円に下げさしているわけです。それから現在の工場出し値は緊急放出も含めて百六十三円だというのは冒頭におっしゃった。今度はまた第二次放出は百五十九円にすると、こうおっしゃっている。こういうふうに、指導責任を持たなきゃならない農林省の指導価格、基準になるべき、しかも工場出し値というのが、短期間の間に幾つも幾つも変わっている。九月十五日からまだ十二月きょうは十九日でしょう、その間に幾つ変わっているかといったら、この間にまだもう一つあるんですよ、もうめんどうくさいからやめましたけれども。いろいろ言うている。三つも四つもこの二ヵ月か三ヵ月足らずの間にこういう国民の生活必需物資をこんなに基準になるべき金額を短期間にやたらに変えるというふうなことが起こっているわけですよ。
そこで、長官にお伺いをしたいのは、たとえば砂糖が生活安定法の指定物資になったとしたら、一体その標準価格というのは、このぎょうさん幾つもあるうちのどこを生産者の標準価格として該当させるのか、これはちょっと考えてもわからぬわけです。御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/367
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368・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) お二人の応答を非常に関心を持って私は聞いてまいりました。ことに農林省の政府委員が砂糖の現況は高値不安定だと、こういうようなおことばまでもございましたが、そういうことの状況が続いておるのは私はよろしくない。ことにまた、沓脱さんの御説明によりますと、大阪では十一月が二百三十円、十二月が二百五十円、また十二月の何日かごく最近では二百七十五円と、これほどの値段になっておると。これを放置しておくというようなことですと、生活安定法をつくっていただいても何にもならないので、そういう二百七十円とか二百五十円とか、しかもそれがまた高値でどうなるかわからぬというような状況よりも、これはやはり農林省が主務官庁になりますが、農林省ともじっくり私のほうでも打ち合わせまして、しかるべきやはり標準価格というものを今度の法律によりましてつくるのがよろしいのではないか。それが、いまあなたが述べられましたように、百三十七円であるのか、あるいは百六十三円であるのか、百五十九円であるのか、その辺三通りも価格があるようでございますが、いずれにいたしましても、沓脱さんが述べられた二百三十円、二百五十円、二百七十五円よりもかなり安いところでございましょうから、標準価格というものの性格が、それは物統令のマル公の統制価格とは違いまして、もう御承知のようなおおむねの指導価格、ソフトランディングの価格でしょうが、そんなに一月ごとに変えないで済むようなところに、また、いろいろな生産コストや副資材なんかの動きもあるでございましょうから、そこらを計算をしまして、そしてこれはいま農林省が述べられましたような価格の付近で、そんな値段をつけたら砂糖が隠れてしまわないような範囲で、しかも現況のような高値不安定にならないようなところへ、いまここで何円とは私申し上げませんけれども、国民に安心をしていただけるような、それならまあまあだというような標準価格をつくるべきではないかということをひそかに実は私は感じておったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/368
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369・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 いや、いまの長官のお話を伺っておりますと、結局わからぬですよ。工場出し値を百三十七円まで引き下げて、そうして暴騰前の状況に引き戻すということ、国民の期待はこれなんですが、そこへ行くのなら、いまの一番高値になっている工場出し値百六十三円になるのやら、なる可能性もありそうなんですね、いまの話を聞いていると。これではもし百六十三円になったら、これはまあ百五十九円にこの次下げると言うているから、少なくとも百五十九円というのはいまの一番新しい工場出し値の基準ですわ。そこで、下げられるということであるならば、もっと徹底的に国民の期待にこたえるように下げる標準価格のきめ方、まあわが党はじめ野党で言うているように、標準価格というて妙なところへ百六十三円やというようなところで工場出し値をきめられたら、これは特定のところは百八十八円で購入できるかもしれぬけれども、私のまわりでは二百五十円だということにならざるを得ないわけですから、その辺のところをやはりさっきお聞きしたような工場の生産原価、それが明確に公開されて、そういう形でやられなかったら、もう二、三カ月の間に三つも四つも農林省さえ言うという状態では、これは標準価格ということで政府がおきめになるということになると安心ができない、この一つの事例を見ましても。その点で、これは長官が一人でおきめになるわけじゃないから、農林省と御相談をなさるということは当然でございますけれども、そういうことになると、百六十三円になるかもわからぬ、百五十九円になるかもわからぬ、ときによると百三十七円になるかもわからぬと、どっちをとるのかという態度を明確にしていただきたいわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/369
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370・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) いまも申しましたように、高値不安定で、あなたがおっしゃるように二百五十円、二百七十五円というような価格があらわれているということは私はよろしくないと思いますから、これはそういうことにならないように標準価格をつくるのがいいと私はまあひそかに思うわけでありますが、そのときの値段をですね、これは、いや、ここで私が言明できるわけのものではないから、私がまた農林大臣でもないから、ひとつ農林省に談判をして、砂糖の標準価格はつくったほうがよろしいと、ひとつ一緒に検討しましょうということを申し入れようと私がまあ考えつつあるということを申し上げた趣旨でありますが、その値段は二百五十円とか、二百七十五円とかいう市価よりもはるかに安い、それがいまおっしゃる百六十三円、百五十九円、百三十七円、いろいろの農林省が出された指導価格がありましょうが、その辺をいま私がこれは幾らと、こう申すわけにまいりませんけれども、これは安ければ安いほどよろしいと思います。合理的な安ければ安いほうがいいと思いますが、そういう安定したところで値段がきまって、品物も出回るし、むやみに高い値段も市場にあらわれないようなところで標準価格をきめると、これはまあ安ければ安いほどいいと思いますよ、私も、あなたと同じように。そういうところできめるところにどうも標準価格をきめる意味のある物資だわいと、こういうことを私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/370
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371・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 まあそれは明確にお答えをしていただくわけにはいかぬと思うのですけれども、その点はきわめてあいまいにならざるを得ないと思いますが、私は、どんどん上がってきたという限りにおいて、暴騰する以前の状態、九月十五日ですね、九月十五日の農林省の指導価格を検討して、少なくともそこまで引き下げるべきだというように思うんですよ。国民はそのことを願っている。なぜ私がそういうことを申し上げるかという点なんですが、国民の生活実態というのを御存じになると、もっとはっきりしていただけると思う。私、少し時間をとってそのことを申し上げて長官に認識を新たにしてもらいたいと思うんですよ。
ここに、私、家計簿を二冊、これは昨年とことしの家計簿を実は借りてきた。(現物を示す)どういう状態になっているかという国民の生活実態を申し上げてみますと、これは幸いにして夫婦、子供二人の四人家族です。それから御主人の職業は教員です。そこで、どういう状態になっておるかといいますと、昨年の十一月と今年の十一月の生活実態、家計簿の実態を調べてみますと、経費がどれだけオーバーしているかというと、昨年の十一月を一〇〇といたしまして、今年が一四五になっております。ところが、消費者物価指数というのは、いつも発表されているように一四・八%上がったといわれておりますけれども、生活実態の中ではそのくらいになっております。ですから、月々赤字で、ボーナスをもらうと、従来だと、まとまったものを買う楽しみがあった。ところが、昨今では、ボーナスをもらったらこれは全部借金の返済になって、まとまったものの一つも買おうというもう夢も希望も持てなくなったという状態です。しかも、こまかく言っているひまがないので若干言いますと食費だけが非常に上がっているんですよ。食費は一五〇%に上がっている、昨年と比べて。そこで、その一五〇%になってどういう状態かということです。これはこの家計簿をつけておる奥さんに直接聞きましたけれども、子供さんは小学生と幼稚園の子供なんですけれども、たとえばサンマを四匹買ったら親子四人が食べられるけれども、高くて四匹買うのがかなわぬから三匹買って、二人の子供たちの食べ残しを奥さんがかじるという状態になってきている。おいしいものだったら子供は少しも残さないから、奥さんは結局おつけものかなんかで済ませなければならないというのが毎日の状態になっている。節約は美徳だなんて言われるけれども、これ以上の切り詰めるところはないんですということが言われているというのが実態なんです。しかも、一番身近な砂糖だとか、あるいはトイレットペーパーだとか、しかも冬場にかけて灯油の値上がり、プロパンの値上がりというふうなことがどれほど家計に大きな圧迫になってきているかというのが実態できわめて明確に出ております。そういう状況でございますから、たとえば砂糖をとらえてみたら、暴騰以前の、しかも農林省が指導なさった百三十六円九十銭、局長の言われる百三十七円あたりで何とか引き下げるというふうな決意を示してもらいたいというのは国民の切なる要求だという立場でお聞き取りをいただきたい、そういうことです。
こういう国民の生活実態と比べて、一方、それでは企業のほうはどうかということです。私、企業の問題は一般論に解消せずに、砂糖問題で具体的に申し上げていきたいと思うのですけれども、たとえば三井物産の系列化にある三井製糖、これは生産シェアは一五%持っていますね。この三井製糖の今年の九月期の決算でこう言っているんですね。来年の九月期の見通しを立ててどう言うているかというと、コストか——工場出し値ですよ、コストが百四十円で販売数量が横ばいであれば二十億の利益金が予想されるというふうにこれは報道されているんですね。そういう勘定でいきますと、一円上がれば四億円の利益増になるんだ。百四十円の計算をしてそうして二十億の利益金が見込めると、これは九月の状態ですから、まだ石油問題だとか何だとかという状況の出ていない以前ですよね。そういう一定の変動のない以前の状況ですけれども、しかし、この報道によりますと、そういうふうに言われている。したがって、その勘定でいくと、一円上がると四億円の利益増になる。したがって、そういう勘定からいいますと、工場出し値を百六十三円と農林省が御指導になりますと、単純計算でいきますと九十二億円の利益増になるというふうなことになるわけです。こんなことは黙ってこれは見過ごせない。国民は赤字でサンマの頭しかかじれぬと、子供たちがおいしいものだから食べ残さないから奥さんがおつけものの端をかじらんならぬというふうな、ここまで国民の生活を窮迫させて、片や三井製糖の例をとりましたけれども、たまたまそういうデータがあったから取り上げたので、それによると、工場出し値一円上げたら四億円の利益増だ、そんなことでは、こういう実態をもし農林省が御存じなら、これははっきりすべきだ。こういう姿を国民の前に明らかにしてごらんなさい。どうしたって政府は国民を犠牲にして大資本の利益を擁護している政策だ、やり方だというふうに言われたってこれは何とも言えないです。事実が雄弁に物語っている。その点について、こういうふうな状況だということが御理解をいただけるなら、これは重ねてお聞きをしたいのですけれども、政府が価格引き下げを、少なくとも暴騰以前に工場出し値を引き下げるということを決断をもっておやりになる必要があるのではないかというふうに思いますので、重ねて長官の見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/371
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372・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) おっしゃるとおりでありますならば、私は決して企業の利潤を守るという立場に固執するつもりは毛頭ございません。適正の標準の利潤を加えたもので標準価格をつくるということになっておりますので、いまおっしゃるような大きな利潤を製糖会社に残したまま、一方、国民の買う砂糖の価格を高いところで標準価格をつくるべきではないと私は思います。しかし、そういうことにつきましては、私は砂糖会社の現状を知りませんが、私は決して砂糖会社の擁護をするわけではございませんけれども、いま聞いておりますと、農林省の政府委員の話では、大阪の製糖会社がつぶれた話でありますとか、また、私どものいままで聞いておりますところによりまけと、砂糖会社というものは最近に至るまで最も不況産業の代表のようなものでほとんど無配で来ておると、こういうことも聞いておりますので、いまの三井製糖のお話につきましては、そういう、との実態を農林省でよく調査してもらいまして、私が考えておりましていま申し述べましたように、製糖会社に不当の地潤を残すようなそういう前提をもって国が標準価格をきめないように、農林大臣が変な価格をきめないように、これは私どもも農林省を督励をしてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/372
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373・池田正範
○政府委員(池田正範君) 御指摘になりました九月十五日現在のすべての経済環境というものがもとに戻るという形のもとで百三十六円九十銭が実現されるというなら、これは御指摘のとおりでございます。ただ、生きものの経済が動き出してここまで来ておりますから、これをもとの方向に持っていくという決意と努力はしなければいけません。その意味で、ただいま企画庁長官から御答弁がございましたように、私どももいままで赤字であったからといって、これから先、無用の利益を砂糖会社にもうけさせるために行政指導価格を甘目にきめるという気は全然ございません。むしろ、どちらかと申しすれば、辛目にきめながら——先ほど高値不安定と言ったのは、不安定の形でだんだん下げていくということも申し上げようと思って申し上げたのですけれども、下げていくというふうな形に追い込んでいくというのが当面の農林省の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/373
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374・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 時間がありませんから、あとちょっと続けますが、特に砂糖に関しても、品がすれ、あるいは品不足、これは国民が買いあさったからだというふうな御意見というのはよく出るわけです。しかし、そうではなしに、砂糖の実例を見てみますと、今回の不足あるいは価格の高騰を起こしたというのは、全く買いあさりではなくてつくられたものだ、メーカーと代理店である商社が一体になって仕組んだ全くの価格操作であり物品の操作だというふうにしか思えない。これは私が調査をした資料を見ますと、こういうことになっている。三井製糖は、九月には前月比の八〇%に生産を落としている、二〇%落としている。三井製糖というのは、砂糖のシェアを何でも四〇%ぐらい持っているのでしょう。そういうところが二〇%生産を落としている。しかも、逆に原糖の在庫は前月に比べて二倍半になっている。明らかにこれは操業の操作、こういう状況ですね。こういう明らかな生産調整を行なって九月期の決算期には赤字が出たということなんで、それで市況対策をやったとしか見られない。これは数字を見てもわからんのですよ。確かに、長官もおっしゃったように、また局長もおっしゃったように、砂糖業界というのは、ずっと赤字が続いていたのか無配が続いていたのか知りませんが、累積赤字があったんだそうです。ところが、砂糖年度というのは何か十月一日から翌年の九月の末までなんだそうですね。それで九月には生産を二〇%落としたら十月は品がすれが客観的に起こらざるを得ないというふうに見ざるを得ぬですわ。それで、どういうふうな値動きをしてきているかというと、工場出し値の値動きですが、こういうことになっている。八月の末、八月三十一日の工場出し値、これが百二十八円です。それから九月の二十日が百二十五円、下がっているんですね。ずうっと百二十六円、百二十七円というふうな価格が続いておったのが、十月一日には工場出し値が百二十九円ないし百二十九円五十銭に上がり、十月の十三日には百三十五円になり、十月の二十二日には百四十円になり、十月三十一日には百四十一円ないし百四十三円になり、十一月の三日には百四十五円になっている。そうして十一月の十二日に百五十二円ないし百五十三円というふうに、十月の初めからじりじり工場出し値を上げてきているわけです。そうして、十一月十二日に百五十三円になったので、これは農林省が御指導になって、その翌日十四日には百四十九円に下げさせたというふうな形になっているわけです。つまり、生産調整を一方ではやり、しかも工場出し値をじりじり上げて、そうして品がすれをつくり、商品の価格高騰をつくってきた。まさに仕組まれた品がすれであり暴騰があったと。国民に責任がないということはこれ一つを見ても明らかだというふうに思うわけです。しかも、それだけではない。資料によりますと、そういうことの裏づけが業界ではもう公然といわれている。これは「砂糖日報」という砂糖業界の新聞に書いておりますが、三井系の台糖株式会社ですか、全国台糖会総会というところで会長の武智勝さんという人が言うている。「自主生産調整 糖価の安定化につきましてはガイドポスト、之に伴う自主生産調整の実施並びに安売りの自粛等の点につきましても、概ね意見の一致を見、実現を見るに至りましたことも、偏に斯様な気運台頭の結果であると考え」「洵に御同慶にたえません。」と言うている。業界が公然と言うている。しかも、先ほど申し上げたように、工場出し値をメーカー自体がじりじり値上げをしてきているというふうな状況の中で、これは十月の段階でじりじり上がるんですから、当然仮需要を誘うのはあたりまえです。このことが品不足を誘発をし、暴騰を引き起こした。そこで、あわてて奥さん方がやっと一袋か二袋買ったというにすぎないわけです。決して国民が買いあさって品がすれが起こったというふうなものではないということをはっきりとさせておきたいというふうに思うわけでございます。したがって、大企業や大商社のこういったぼろもうけを規制することなしには、やっぱり物価の安定というのはできないんだということは、この砂糖の例一つを見ていただいても非常によくわかると思う。だから、先ほどもちょっと触れましたけれども、本法案の標準価格というふうなあいまいな形で、長官に聞いてもなかなか明確に答えにくいわけです。答えられへんのはあたりまえなんですよ。しかし、少なくとも国民の生活安定の立場に立ち切って、大企業に先ほど局長も言われたけれども余分なもうけをさせる必要ないという態度を明確にするなら、当然この本法案に、標準価格というようなあいまいなものではなくて、われわれ野党で提案しているように、生産メーカーの原価を公表さして、それに基づく指示価格、これをはっきりと決定させていくということが一番国民の信頼を得ていく早道だというふうにしか考えられないわけです。事実が雄弁に物語っている。重ねて長官の御意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/374
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375・内田常雄
○国務大臣(内田常雄君) お話は承りましたが、私どもは、この法律によります価格のつくり方を、ごらんいただきますように、三段階に分けて、ソフトランディングといいますか、標準的な指導的な価格と、次に必要な場合には、これは砂糖をとりますかどうかは別といたしまして、特定品目というものをつくりまして、そして特定標準価格というようなよりきっちりしたものをつくり、しかもいかんともなし得ないような場合、これはまあ価格ばかりではなしに、生産の指示とか、輸入の指示とか、あるいは輸送の指示とか、物資移動などにつきまして手段を尽くしまして、それでもその事態を収拾することができない場合には、物統令による、いまおっしゃるその事柄に近い統制価格といいますか、マル公価格のようなものをつくる、そういう段階がよかろうということで考えてまいってきておるわけでございます。
また、これは三井製糖ですかの例のように、あなたがおっしゃるようなそういう作為的な市場出荷の制限、これもまた三井製糖だけでできることではなしに、幾つかの製糖会社が寄り集まってカルテルのようなことをいたした結果がもしありますならば、それは独禁法できっちり措置をすべきことであるというふうにも私は考えながら、企業を守るというような立場ではなしに、企業には企業としてことに経済企画庁のような直接メーカーに直結しない役所が中正な立場からこの法律を動かしていこうと、こういう考えを一貫してまいりたいと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/375
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376・池田正範
○政府委員(池田正範君) 砂糖の問題でございますので、原局の立場から一言申し上げますが、確かに、先ほど御指摘ございましたように、まさにこの七、八月、百二十二円とか百二十八円とか、先ほど私が申し上げました百三十六円九十銭という当時の水準で考えまして当然その程度で売らなければ引き合わないであろうと思うものよりも十円以上も低いところにしか相場が成り立たない、そういう現状のもとでおそらく三井製糖は生産調整を若干しょうという意図があったことをおっしゃったのだろうと思います。しかしながら、三井製糖自体の動きは別といたしまして、全体の日本の最近におけるこの製品の需給から見ますというと、九月以降はこれはもう生産量に対しまして出荷量が常にオーバーを対前年でいたしておりまして、九月以降十二月までの間すべて出荷量は対前年に比べましてオーバーしております。そういうふうなことで、全体としての在庫量を減らしましても、現在の段階ではこの出荷をふやすということで全体の供給力を減らさない努力を全体としてはいたさせておるという現状であることだけを、これは単にそれだけのことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/376
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377・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 もう時間がありませんので、最後に申し上げておきたいと思いますが、これは私はたまたま砂糖の例をとって申し上げた。ところが、砂糖だけではありません。灯油だって三百八十円というふうに指導価格をお出しになったけれども、そのときの元売りがずうっと上がって一番高いところで凍結されているわけですよ。それだって読めばわかりますけれども、一月が十一円二十五銭です。九月が十二円八十九銭八厘、それを十三円で凍結しているんですね。そういうふうに、政府が指導価格を出すと、一番高い水準で凍結されるということになるから、国民が高値安定しかやらぬというふうに言って腹を立てているというのはそういうことなんです。したがって、こういう点では、私が先ほどから申し上げておりますように、ほんとうに国民生活を安定させていく、そのための物価の引き下げと安定を行なうためには、何といっても、そういった生産メーカー、あるいはそれと一体となっている大商社、これに荒かせぎをさせるということをとめて、国民に犠牲を負わせないという立場を堅持する以外に道はなかろうと思うのです。すでにそういう動きというものは出ております。これは今晩の夕刊でございますが「企業競争、一年休戦を」と、こういう記事が出ている。「東西財界四団体で構成する「エネルギー総合推進委員会」の中山素平委員長は十九日、石油危機で非常事態を迎えた日本経済に対処するため」云々というところでどういうふうに言っているか。中山構想というのを提唱している。これにはこういうことが言われているんです。「東京・大手町のパレスホテルで開かれた実力派財界人の集まり「産業経済問題研究会」で明らかにしたものである。中山氏によると、現在大企業から零細企業に至るまで、石油危機による原材料、エネルギーの高騰、操業率の低下によるコスト上昇などを製品、料金価格に争って上乗せしているばかりか、近い将来のコスト上昇分も先取りして値上げ幅を拡大、末端の消費者価格に大きくシワ寄せしているという。この状態が続けば国民の反発はつのるばかりだし、政府としても経済への介入を深め、結局は戦中戦後のいまわしい統制経済と同じような体制になる——と懸念している。このため財界団体、業界団体が中心となって、民間経済界が非常時態勢を固め、一年間の自粛を申し合わせよう、というのが構想の趣旨。」と、荒かせぎをやっていたら国民から集中的に非難を受けるから一年間企業競争を休戦しようと大企業みずからが言い出している。企業競争をやめて配当の引き下げも覚悟しよう、価格に転嫁は自粛しようというふうなことが言われ出している。これがいまの財界やあるいは生産大企業の動きだということをひとつ御理解をいただいて、いままでの荒かせぎ、これはまあいま吐き出せというても吐き出せないかもわかりませんが、この困難な経済情勢を切り抜けてほんとうに国民の生活安定をさせていく。そのために法案を充実してほんとうに国民の生活安定を守っていくためには、何としても国民生活に犠牲をしわ寄せさせずに、大企業やあるいは商社、荒かせぎをしているところの大もうけ、これは押えるという立場を貫く以外に道はないということを申し上げまして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/377
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378・小笠公韶
○委員長(小笠公韶君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
次回の委員会は明後二十一日午前十時十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後八時十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215061X00319731219/378
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