1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十九年五月十日(金曜日)
午前十時二十八分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第十二号
昭和四十九年五月十日
午前十時開議
第一 寄生虫病予防法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
第二 地方交付税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第三 運輸省設置法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第四 漁業災害補償法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第五 漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資
保証法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第六 沿岸漁場整備開発法案(内閣提出、衆議
院送付)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、内閣法の一部を改正する法律案及び国際協
力事業団法案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/0
-
001・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
この際、おはかりいたします。
小枝一雄君、田中茂穂君から、いずれも病気のため二十五日間請暇の申し出がございました。
いずれも許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/1
-
002・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/2
-
003・河野謙三
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
内閣法の一部を改正する法律案
国際協力事業団法案
以上両案について、提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/3
-
004・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。二階堂国務大臣。
〔国務大臣二階堂進君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/4
-
005・二階堂進
○国務大臣(二階堂進君) 内閣法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
最近における内外情勢の推移に迅速かつ適切に対処するため、国政の機動的運営を強化する必要があります。
特に、経済協力については、開発途上国との間に平和と繁栄を分かち合うという基本方針のもとに、政府開発援助の量、質両面の拡充等その強化にできる限りの努力を傾けていく必要があります。
このような経済協力の当面の重要課題にこたえるため、政府は、開発途上国の経済及び社会の発展に寄与する案件の推進をはかっていく所存であります。それには開発途上国の実情に即した経済協力を進めなければならないとともに、国内的には経済協力が関係各省にまたがる行政であることにかんがみ、開発途上国の実情を的確に把握しつつその推進に専心し得る国務大臣を新たに設ける必要があります。
このため、国務大臣の定数を一人増加し、行政事務を分担管理しないいわゆる無任所大臣を置き、これが内閣総理大臣の命を受けて経済協力の積極的推進に当たることとするものであります。
なおこの国務大臣は、当面経済協力の推進に当たりますが、無任所大臣でありますので、そのときどきの行政の必要に応じ内閣総理大臣の命を受けて、内閣の重要案件の推進に機動的に当たり得ることは申し上げるまでもありません。
以上が、内閣法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/5
-
006・河野謙三
○議長(河野謙三君) 大平外務大臣。
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/6
-
007・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 国際協力事業団法案の趣旨について御説明申し上げます。
御承知のとおり、世界の平和と繁栄のためには一開発途上地域等の発展と安定が不可欠な要件であり、このための協力は国際社会全体の負うべき責務であります。わが国といたしましては、かねてよりこのような認識に基づき、これら地域の経済及び社会の発展に寄与し、国際協力の促進に資することを目的とする各般の施策をわが国の重要対外政策の一つとして推進いたしております。
近来、わが国経済を取り巻く諸条件はきびしさを加えてまいりました。わが国の平和と繁栄は世界各国との互恵友好の関係の中においてのみ達成し得るものであることを考えますれば、まさにかかるきびしい状況のもとにおいてこそ、このような国際協力の意義をあらためて強く認識しなければならないと存じます。
政府といたしましては、かかる基本的考え方に基づき、わが国の国際協力の一そうの拡充、強化をはかるべく種々検討してまいりましたが、その方策の一つとして、従来の経済技術協力実施体制においては必ずしも十分に行ない得なかった政府べース協力と民間べース協力の連携の強化、あるいは資金協力と技術協力との一体的な結びつきを確保するための体制の強化をはかるべく、国際協力事業団を設立することといたしました。
すなわち、この事業団は、既存の技術協力の機構である海外技術協力事業団と、移住事業を通じて国際協力に貢献している海外移住事業団を統合し、これら事業団からの業務を引き継ぐほか、開発途上地域等の社会の開発並びに農林業及び鉱工業の開発に協力するための新たな業務を行なうことといたしております。このような国際協力体制の整備強化をはかることによって、対外的には相手国側の事情等を十分反映させた国際協力政策の推進が可能となり、また国内的にも国際協力事業の総合的、、効率的運営が確保し得ると考えるものであります。
次に、国際協力事業団法案の概要について御説明申し上げます。
第一は、この事業団の目的でありますが、これは三つの大きな柱から構成されております。一つは、開発途上地域に対する技術協力の実施及び青年の海外協力活動の促進に必要な業務を行なうことであります。二といたしましては、開発途上地域等の社会の開発並びに農林業及び鉱工業の開発に必要な資金の供給及び技術の提供を行なう等の業務を行なうことであります。三といたしましては、中南米地域等への海外移住の円滑な実施に必要な業務を行なうことであります。そしてこれら三種の業務を行なうことによりまして開発途上地域等の経済及び社会の発展に寄与し、国際協力の促進に資することを目的とするものであります。
第二は、この事業団の資本金でありますが、当初資本金といたしましては、設立に際して政府から出資される四十億円と、この事業団に承継される海外技術協力事業団及び海外移住事業団に対する政府の出資金等との合計額約二百二十四億円でありますが、政府は、必要があると認めるときは、事業団に追加して出資することができるものといたしております。
第三は、この事業団に役員として総裁一人、副総裁二人、理事十二人以内及び監事三人以内を置き、また業務の運営に関する重要事項を審議するため、総裁の諮問機関としまして四十人以内の委員で構成される運営審議会を置くことといたしております。
第四は、この事業団の業務でありますが、一としては、従来海外技術協力事業団が行なってまいりました条約その他の国際約束に基づく技術協力の実施に必要な業務及び条約その他の国際約束に基づき海外協力活動を志望する青年を開発途上地域へ派遣すること等の業務であり、二としては、海外移住事業団が行なってまいりました移住者の援助及び指導その他海外移住の円滑な実施に必要な業務であります。三といたしましては、新しい業務でありますが、開発途上地域等の社会の開発並びに農林業及び鉱工業の開発に必要な資金の供給及び技術の提供を行なう等の業務であります。
この新規業務の特徴について申し上げますと、第一の特徴といたしましては、この事業団は、日本輸出入銀行、海外経済協力基金から資金の供給を受けることが困難な事業について円滑な資金の供給を確保しようとするもので、具体的には、各種開発事業に付随して必要となる関連施設であって周辺の地域の開発に資するものの整備、ないし試験的事業であって技術の改良または開発と一体として行なわれなければその達成が困難であると認められるもの等を対象といたしております。次に、このような資金の供給を受ける事業等に必要な技術の提供をあわせて行なうこととしており、資金と技術の一体的な結びつきをはかろうとするところに第二の特徴があります。第三の特徴といたしましては、条約その他の国際約束に基づいて開発途上地域の政府等からの委託を受けて事業団みずからがこれらの地域の開発に資する施設等の整備事業を行なうことといたした点であります。さらに、第四といたしましては、ただいま申し上げました技術協力業務や、社会開発、農林業及び鉱工業の開発の業務に従事する技術者の充実をはかるため、これら技術者の養成及び確保を行なうための業務があります。
このほか、事業団の事業年度、事業計画等の認可、財務諸表、区分経理、借入金及び債券、余裕金の運用、罰則等について規定いたしております。
なお、附則におきましては、海外技術協力事業団と海外移住事業団の解散及びこれに伴う権利義務の承継並びに海外貿易開発協会からの一部権利義務の承継等について規定しております。
以上をもちまして、この法律案の趣旨の御説明を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/7
-
008・河野謙三
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。上田哲君。
〔上田哲君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/8
-
009・上田哲
○上田哲君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました内閣法の一部を改正する法律案並びに国際協力事業団法案につきまして、わが国の対外経済協力のあり方、それに伴う企業の海外進出のあり方、さらに内閣の行政運営のあり方について、田中総理以下に若干の質問を行ないたいと存じます。
田中総理が国政を担当されて一年十カ月、この間の内政上の諸政策が今日一点に凝集するところは、史上かつてない悪性インフレであります。物価狂騰を招き、石油値上げを発火点として電力、私鉄の値上げ推進政策によって、まさに第二インフレ段階に入ったと考えます。まじめに働く国民にとってまことに憤りにたえないところであり、私はここで田中内閣の物価・経済政策に対する国民世論の強い指弾の声を代表して質問しなければなりません。
四十九年度予算が成立して一カ月、総理が予算委員会で物価鎮静のめどとされた六月は目前であります。対外経済協力の問題を論ずる大前提として、まず第一に、わが国の経済の現況と今後の見通しについて、総理の御見解を承っておきたいと存じます。
私は、これから先の物価動向をさらに危険なものと見るのであります。きょうも、はがきの三十円値上げの説などがすでにマスコミをにぎわしております。郵政当局の試案とすら報道されております。まさしく第二インフレでないかという私の見解に対して、総理はどのように今後の動向をお考えでありましようか。
このような内政と不可分の関係において、田中内閣成立以後の大資本の海外進出、経済協力の進め方について顕著な変化を私は指摘しなければなりません。それは、一口に言って、国内経済の諸矛盾を資本の海外進出によって克服しようとする大企業、これと表裏一体になって協力、推進しようとする政府のいわゆる対外経済協力の拡大という傾向がきわめて顕著になっているという事実であります。すなわち、田中内閣成立後の四十七年度下半期の大企業の海外投資総額は、実に十六億五千万ドルであります。半年間で前年度の実に二倍の投資が行なわれているのであります。この状況は、外貨準備の変動に伴って若干の変化は見られるものの、四十八年度中も継続いたしております。石油をはじめ、開発途上国での資源確保の投資や、安い労働力を求めての工場進出、国内の立地に行き詰まった公害企業の海外侵入とも言うべきもの、総合商社の活動拡大にからむものがその主たる内容であります。このような海外進出を強行、拡大するために、外貨事情の悪化した今日、短期借り入れを調達して長期の資本輸出に向ける傾向まで指摘されている状態であります。このような状況の一方で、政府べースの対外経済協力を民間主導型から政府主導型へと切りかえる政策が打ち出されておりますけれども、その実態は、現地国の開発利益に名をかりて、実は民間資本では採算がとれない港湾、道路、発電所などを経済協力として進め、これに乗って工場・関連企業の進出条件をつくる政策であることは明らかであります。これは悪名高き日本列島改造計画の海外侵略版と言われてもしかたのない状況であると断ぜざるを得ません。
このように、大企業の高度成長のための資源確保、低賃金労働力の利用、大量の商品輸出ラッシュ、さらには公害まで輸出しようとする自己本位、大企業優先の姿勢そのものが、総理自身、東南アジア諸国で経験された民衆の対日批判の激しい高まりの原因となったことは、あらためて指摘するまでもないところであります。政府の経済協力、大企業の海外進出の根本がきびしい反省を求められていると言うべきであります。
そこで、このきびしい批判を現地で体験された総理並びに外務大臣が、この点についてどのような反省を持っておられるか、そこを承りたいのであります。繰り返しておきますけれども、今日までの経済協力の拡大が、実は大企業の海外進出と不可分に結びついて進められた結果として、特に東南アジア諸国を中心にきびしい批判を巻き起こし、経済侵略ときびしく指弾されている現実を、総理、外務大臣はどのように受けとめられておられるかということを率直に伺いたいのであります。これが第二点。
第三に、わが国の開発途上国に対する経済協力は、あくまでも相手国の主権尊重に徹すべきでありまして、首脳訪問外交で借款供与の約束をばらまいて資金力をひけらかすとか、技術水準をかさに着た協力の形をとるべきではなく、社会、文化の自力発展まで含めた相手国の自主開発に協力するものでなければならないと考えます。このためには、相手国が資源収奪と受け取るような身がってで性急なやり方、大企業の進出の条件、基盤整備を優先するやり方はやめて、大企業、大商社の海外活動にこの際一定の規制を行なう方針をとるべきだと考えるのでありますが、いかがでありましょうか。
第四に、総理大臣、国際協力担当大臣の新設をもってこれらの問題に対処しまうとされているようでありますけれども、すでに指摘しておりますように、事柄は、一人の大臣が開発途上国に絶えず訪問旅行を繰り返しているような活動がありさえすればよいなどという、小手先、場当たりの問題ではなく、わが国の大国のみに顔を向けてきた外交姿勢・方針、さらには大企業本位で日本株式会社政治部のような役割りを果たしてきた通産行政の根本を正す問題だと考えます。そのような観点からの外交・産業政策そのものの見直し、転換こそが先決の課題であると考えますが、総理はいかがでありましょうか。
あわせて、通産大臣にお伺いしておきます。通産省は、大企業、大商社の海外活動の現状を基本的にどのように把握し、対処されてきたのでありましょうか。開発途上国でのきびしい批判を率直に受けとめるのであるならば、飽くなき利益追求に走る大企業の海外進出のあり方について、いま注目の行政指導がぴしりとあってしかるべきだと考えますが、いかがでありましょう。
私は先般の型式認定問題の指導に強い不満を持つのでありますけれども、同じ種類の疑念なしと言えるでありましょうか。特に、先ごろ、中央アフリカのザイール共和国が、外交的には親密な立場に立っておりながら、現地進出の自動車販売会社二社、これはザイール日産とザイール・マツダでありますけれども、この二社を全面接収する方針を決定、通告してきたことに象徴されるように、民族主権確立の立場から外国企業の国有化方針が各地に広がることは当然の道筋であると考えますが、政府がこのような当然の道筋に対処する明確な方針を持たずに推移しているように見受けられるのは、きわめて遺憾であると言わなければなりません。通産大臣の明確な御見解を承わりたいのであります。
第五に、特にこの際伺いたいのでありますが、大蔵大臣、わが国の対外経済協力には輸出入銀行の融資あるいは海外経済協力基金からの支出等が大きな比重を占めております。これらは、財政投融資計画等によって総額や貸し付け条件等は一応明らかにされているものの、具体的にどのように使われ、どのような効果をあげたのかについては、何ら明らかにされていないのが実情であります。これら資金の開発途上国に対する経済協力が、単に受け入れ国の実情にそぐわないとか、十分な効果をあげていないというだけでなく、真に貧しいその国の大多数の国民の生活向上には役割りを果たさず、少数の富裕な部分の利益にのみつながり、格差拡大の役割りを果たしているものが多いとする指摘は、すでに数多くなされております。はなはだしきは、現地政権、それも民衆の支持をすでに失っている独裁・腐敗政権の維持のため、またその権力者の私腹を肥やすために、日本の大企業との癒着のもとで使われたとの疑惑を受けた例も、過去一、二にとどまるわけではありません。アメリカのニクソン・ドクトリンの結果として、こうした経済協力による独裁・腐敗政権維持外交の肩がわりまでも日本が引き受けることは、断じてあってはならないと存じます。上程されている国際協力事業団法案では、輸出入銀行資金、海外経済協力基金からの供給を受けることが困難な事業に対する円滑な資金供給を確保することといま外務大臣は趣旨説明をされたわけでありますけれども、現状のままこのように事業が拡大されることは、経済協力の内実の不透明度を一そう増すものと言わなければなりません。政府は、国民の負担によって進められている経済協力が疑惑を受けている事実を踏まえて、経済協力の資金がどのように使われ、どのような効果をあげているかについての詳細かつ具体的な報告を国会に対して行ない、国民に公表すべきものと考えます。大蔵大臣の明確な御答弁をいただきたいと思います。
第六に、内閣の運営にかかわる点について若干の点をただしておきたいと存じます。
経済協力担当の国務大臣を新設するについてはさまざまな経過があったことを承知いたしますけれども、本日の趣旨説明を伺ったところでも、その目的がきわめて不明確であります。経済協力について各省にまたがる行政を一括掌握する十分な権限と機構をもって事に当たるとするならば、本来経済協力の実施が今後の外交の中軸的問題の一つとなる以上、外務省の進める全般的外交との対比において二元外交となるおそれは強く、きわめて不適切と言わざるを得ません。ことに、この国務大臣が総理の特命による開発途上国への大型開発事業を担当するとの見解も伝えられているところでありますが、このような事態に至れば、外交についての主任の大臣として内閣法に規定されている外務大臣との間で二元行政の弊は一そう強まるものと言わなければなりません。政府もその点について自信のないことが、ただいまの趣旨説明でも明らかになったと考えます。すなわち、新設するとされている国務大臣は、ほとんど権限と機能を持たないものになる可能性が依然として大きいわけでありまして、このようにきわめて不明確な国務大臣新設の目的がどこにあるのか、総理の明確な説明をこの際しっかりと承っておきたいと存じます。
私は思うのでありますけれども、この外交の二元性は、総理によってどのように説明されても、その説明をきわめることは不可能であると思います。それは、そもそもこの経済協力担当大臣の新設構想は、総理の東南アジア訪問、あるいは昨秋の石油問題の際の場当たり的な特使派遣などをきっかけの思いつきに発する、必然性の乏しいものであるからであります。経済協力問題が直面している矛盾や課題は、国務大臣の新設などの機構いじりではとうてい対処し得ないものであります。むしろ、今回の国務大臣新設は、行政の必要性からでは全くなく、八年間に三つもの大臣ポストを新設した佐藤前内閣のただ悪例を重ねるのみとの批判を受けなければならないと思います。
政府がいまだにその実施を怠っている臨時行政調査会は、なるほど経済協力行政の調整強化を求めてはいますが、同時に、閣僚の数をふやさず、閣議の効率的・機能的運営を確立することを求めているのであります。これらの点をふまえて、大臣増設の真意と効率について総理の行き届いた説明をいただきたいと思います。
最後に、私は、もう一度政府の政治姿勢を問いたいと思います。
今日、政府がその責任を最も強く求められているものはインフレ問題であります。国内の物価対策では無策に終始し、海外経済協力についてはその基本を正さず、ただ国務大臣ポストをふやし、あるいは事業団などの機構いじりにのみ心をいたすようなあり方は、国民の最も求めない政治の姿であろうと考えます。国民はこの発想に戸惑うところであります。このような発想に走ることなく、まず国内インフレ問題に全力を総理は尽くすべきでありましょう。総理大臣の見解をただして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/9
-
010・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 上田哲君にお答えいたします。
まず第一に、現在の情勢を分析されて、第二のインフレ招来の時代ではないかという御意見でございますが、御承知のとおり、わが国は諸般の物価安定政策を遂行してまいっておるわけでございます。その結果、急速に安定基調を確保しつつあると考えられるわけでございます。しかし、この最後的な仕上げをなさなければならないというような時期に、御承知のとおり、三〇%余に及ぶ賃金の引き上げが行なわれたわけでございます。この意味で、この賃金の引き上げ分というのは、これはまあ大ざっぱに申し上げますと、約二十兆円というような大きなものでございます。でございますので、四十八年度の国及び地方、公社、公団の純計投資といえば約二十五兆円でございましたから、これに匹敵する金額がべへスアップによって支給せられるわけでございますから、これが全く物価に無縁であるということにはならないわけでございます。でございますから、これが卸売り物価に八%、消費者物価に一一%影響するんだと、ただそのように断定することはできないわけですが、無縁であるというふうに断定して物価問題を論ずるととはできないことは申すまでもありません。そういう意味で、貯蓄の増強を行なうとか、国民の健全な消費を考えていただくとか、いろいろな政策を行なうことによって、この賃上げというものが国民の望ましい賃上げであって、これが物価と賃金との悪循環というようなものにつながらないように諸般の政策を進めていかなきゃならぬことは申すまでもないことであります。そういう意味で、このような事態を前提としまして、物価に影響を及ぼさないように格段の配慮をしてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。本日も月例経済報告を議題として検討いたしたわけでございますが、四月は、卸売り物価、消費者物価とも、先進工業諸国の二けた台に比べて非常に安定的に推移をしておるということは事実でございます。ございますが、しかし、これらの問題は国民全体の問題でございますし、世界的な問題の中でわが国は現実を十分把握しながら万全な施策を行なうことによって物価の安定をはかってまいりたいと、こう考えるわけでございます。
企業の対外進出についての御発言にお答えをいたしますが、民間の対外投資は相手国の経済開発に貢献しておりますが、近年における急速な拡大に伴い摩擦も生じており、相手国国民感情への配慮を欠かないようにしなければならぬことは当然でございます。本来、民間の対外投資は民間の自主的判断と責任において自由に行なわれることが望ましいのでございますが、かりに対外投資が相手国との摩擦のもととなるおそれがある場合には、政府としては、相手国政府とも十分話し合いつつ、相手国の経済社会との協調融和がはかられるように努力してまいらなければなりません。民間の側においても、昨年の経済五団体による投資行動の指針等の投資適正化の動きが徹底、実行されることを期待いたしておるわけでございます。
今後の対外経済協力の進め方等についての御発言にお答えをいたしますが、わが国の経済協力の規模は年々拡大の一途をたどっておりますが、今後も政府開発援助の量、質両面の拡充をはかることが必要でございます。また、その対象分野につきましても、工業生産部門のみならず、住民福祉の向上のため、農業開発や経済・社会基盤の整備等、開発の基礎的部門に対する援助の強化をはかることが必要でございます。同時に、民間ベース経済協力との協力体制を整備し、真に相手国に喜ばれる幅広い協力を推進してまいりたいと考えておるのでございます。
常に国会でも御指摘がございますように、日本の戦後の対外経済協力は民間の経済ベースによるものが大き過ぎたので、民間ベースにウエートがかかり過ぎておりましたので相手国との間に摩擦が多いのであるという御指摘がございます。そういう面もございます。また、援助を受ける国々は、経済開発も必要でございますが、それに付随した民生安定、生活向上という面に対する援助も求めておるわけでございますが、これらの面は民間の純経済ベースの援助には乗りがたいケースでございます。そういう意味で、国が行なう協力援助と民間が行なうものとのバランスをとりながら、相手国に真に喜ばれるような経済協力体制をつくっていくためには、国と民間がお互いに調整できるような機構やその他のものが必要であるということは、間々指摘をせられておるとおりでございます。戦後足かけ三十年を迎え、その後半二十年対外経済協力を進めておるわけでありますが、ここで新しい事態、新しい要請にこたえて、真に評価され、価値ある対外経済投資、経済協力を行なうというために、何らかの新しい機構や新しい考え方が必要であるということをひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
次に、対外経済協力を担当する国務大臣の新設が二元外交のおそれがないかという趣旨の御発言でございます。内外情勢の推移に迅速かっ適切に対処するためには、国政の機動的運営が必要であります。特に経済協力につきましては、開発途上国との間に平和と繁栄を分かち合うという基本的方針のもとに、それぞれの国の実情に即してできる限りの努力を傾けていかなければなりません。ただ、経済協力が関係各省にまたがる行政でありますので、開発途上国の実情を的確に把握しつつその推進に専念し得る国務大臣を新たに設ける必要があると考えたわけでございます。この国務大臣は無任所大臣でございまして、外務大臣との職務分掌上の重複等の問題はありません。また、およそ日本国政府を代表して外交交渉を行なう場合には、外務大臣との間に緊密な連絡協議を行ない、いやしくも外交の一元化をそこなわないようその職務を遂行していくことは申すまでもないわけでございます。いまも、例をあげて申し上げるまでもございませんが、日本がシベリア開発などをやるときに、相手の窓口が二十一もあるということで、行くたんびに話が違うということは困るということは、これは与野党を問わずいろいろな立場から指摘せられておる事実でございます。同じことが諸外国から日本政府に対して言われておるわけでございます。これは、日本から援助を受けたい、また交換公文がもうすでに締結せられてから何年もたっておる、しかし各省庁にまたがっておりますのでなかなか話が進まないということで、できるならば窓口を一つにしてくれということは、もう間々要請を受けておるわけでございます。この間は、外務大臣——まあ私も参りますし、外務大臣も参ります。同時に三木副総理も中東に飛ばなきゃならぬ。中曽根通産大臣も参る。小坂特使も参らなきゃならぬ。それは国会もございますし、いろいろな面がございます。そういう意味で、できるだけ窓口を一つにしてもらいたい、そうすることが望ましいということは国の内外からの要請でございますので、これは各国でもこのような事務をどのような機構であずかっておるかを見れば一目りょう然でございますので、これらもひとつお考えをいただきたい、こう思うわけでございます。
国務大臣の新設は、行政機構の簡素化等の問題、いわゆる政治姿勢の問題からどうかという問題が最後に提起されましたが、今回増員される国務大臣は無任所の国務大臣であり、新たに事務部局を設けるものではございません。御指摘のとおりでございます。言うまでもなく、国務大臣の定数は、内外情勢の推移、行政需要の変化、その他内閣の運営をめぐる事情の変化に即応して定めらるべきものであると考えるわけでございます。前にも申し述べましたように、対外経済協力の遂行に専念する国務大臣を新設する必要がありますので、今回の内閣法の改正を提案したところでございまして、事情御理解をいただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/10
-
011・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質疑は、わが国の対外経済進出につきましていかなる反省がなされておるかということでございます。
もとより、対外経済協力は、日本が押し売りすべきものではありませんで、御指摘のように、相手国の自主努力、自主的な計画に基づく自主開発に協力するということであらねばならぬと思います。上田議員と私は全く同じ考え方に立っております。わが国の経済進出が相手国の経済の自立を促進し、雇用を増大し、あるいは民生福祉の向上に役立っておる意味におきまして相手国から歓迎されておる部分がありますことは、上田さんも私は御理解いただけると思いますけれども、あなたも御指摘のように、きびしい批判があることもまたわれわれは十分考えておかなければならぬと考えております。われわれは、この批判のうち、聞くべきものは聞き、正すべきものは正さなければならぬと思っております。
第一に、日本が海外の経済進出を通じまして経済の支配、経済の制覇をねらうというようなことは慎まなければならぬことでございまして、御指摘のように先方の自主開発に協力するという基本の理念を貫かなければならぬと考えます。
第二に、公害をまき散らすというようなことは慎まなければならぬことは当然でございまして、相手国の法制を厳守するばかりでなく、わがほうにおきましても周到な配慮を行ないまして、さような非難がないように慎まなければならぬと思います。
それから御指摘のように、相手国の特定の政権の強化に役立つようなことはいけないじゃないかということは、御指摘のとおりだと思います。私どもの経済協力につきましては、間々申し上げておりますように、民生の向上、経済の自立という点に焦点を置きまして、従来ともすれば工業化というところに重点が置かれ過ぎておったきらいがございますので、近来、わが国の経済協力は、農業の開発、あるいは医療、あるいは教育等の社会開発に漸次重点を移しつつありますことは御案内のとおりでございまして、社会開発ということになりますと、もとよりこれは経済的な採算をある程度無視しなければならない場面も出てまいりますので、その境に経済協力事業団の役割りに期待しなければならない面が出てくることは御理解をいただきたいと思うのであります。
第四に、相手国は、それぞれの固有の社会の慣行、商慣習を持っておるわけでございます。われわれ進出企業といたしまして、その国のそういう慣行、商慣習というものを十分理解しなければならぬと思うのでありまして、ともすれば、日本人は、閉鎖的な独善的な傾きがないとは言えないわけでございますので、その点につきましては通産省とも十分お話し合いをしながら進出企業に自制を求めてまいりたいと思っております。
それから投資の指針というようなもの、あるいはコード・オブ・ビヘービアというようものにつきましては、業界におきましても自主的におきめいただいておるようでございますので、そういう自主的な努力は政府としても歓迎することでございまして、これを逐次精力的に促してまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/11
-
012・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府の対外経済政策について御批判をいただきましたが、確かに反省してみますと、一九六〇年代の高度成長の時期から最近に至るまで、ややもすれば無秩序に海外企業発展が行なわれたという反省をいたさなければならぬと思います。一番大事なことは、経済原則と同時に倫理性を伴わなければならない。この点についてわれわれは大いに戒心をし、政策を進めてまいりたいと思いますと同時に、国際協調という点も大いに推進しなければならぬと思います。すでに総理から御答弁のように、やはり共存共栄ということを基本にして企業並びに個人の行動というものを厳格に指導する必要があると思います。
その第一としては、政府間べースの仕事をふやしていく、いわゆるGGべースの仕事をふやしていく、そういう意味において公的な性格をこれに増加していくという方向に進めつつあります。こういう関係に立ちまして、われわれとしては、石油公団法の改正あるいは金属事業団法の改正という法案の御改正もいまお願いしておるところでございまして、政府の主導性をもっと強めてまいりたいと思っておるわけでございます。こういうようなことによりまして、今回の事業団法の成立と相まって、インフラストラクチャーあるいは教育、文化、社会福祉、そういう面にもさらに積極的に手を差し伸べることができるようになると思います。
第二番目は、企業自体の活動を適正に行なわさせるということでございますむこの点につきましては、自由経済下のわが国においてはできるだけ自主的に行なうことが望ましい、こういう観点に立って、経済五団体がつくった投資行動の指針というものをとりあえずは厳格に守るように、在外公館あるいはジェトロを通じて監視し、かつ指導しておるところでございます。特に非常に不満がありますのは、現地の従業員の人材の抜てき、あるいは得た利益をすぐ日本へ還元しないで、それを再投資して輸出入のバランス回復にそれを使うとか、そういうような諸般の点について大いに改善すべく努力しているところでございます。
最後に、ザイールの問題について御質問がございましたが、これにつきましてはまだ正確な通知に接しておりません。国有化されたかどうかという点は、まだ非常に不明な点がございます。しかし、いずれにせよ、この間の国連資源総会の経緯にもかんがみまして、資源の恒久主権という考え方にはわれわれも同調するのがしかるべしと思います。しかし、これを国有化するという具体的処理にあたりましては、やはり国際法とかあるいは関係国との協調によって円満にこれが行なわれるように行なわれることが望ましい、そういう考えに立って処理していきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/12
-
013・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 輸出入銀行等の行なう経済援助の具体的内容及び実績を公表すべし、そういう御所見でございますが、この点はそのように心得ております。すなわち、これらの機関の行なう経済協力融資につきましては、融資承諾案件ごとに契約の内容を具体的に発表しております。また、その融資の実績につきましては、機関の刊行物等に年間をまとめましてこれを発表する、御趣旨に沿うようにいたしております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/13
-
014・河野謙三
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/14
-
015・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第一 寄生虫病予防法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長山崎昇君。
〔山崎昇君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/15
-
016・山崎昇
○山崎昇君 寄生虫病予防法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
この法律案の対象となっている日本住血吸虫病は、現在、千葉、山梨、広島、福岡、佐賀の五県を有病地区としている伝染性の疾患でありますが、この疾病の根絶を期するには、病原虫の中間宿主となるミヤイリガイを絶滅する必要があります。
このため、ミヤイリガイの生息地帯におけるみぞのコンクリート化事業を昭和三十二年から行なってきているのでありますが、本案は、−昭和四十九年度以降においても、さらに五カ年の基本計画を定めて事業を継続していくことを内容とするものであります。
なお、本法律案は、衆議院社会労働委員長提出にかかるものであります。
委員会において採決いたしましたところ、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/16
-
017・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/17
-
018・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/18
-
019・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第二 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長久保田藤麿君。
〔久保田藤麿君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/19
-
020・久保田藤麿
○久保田藤麿君 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
本法律案は、児童福祉、老人福祉対策等の社会福祉水準の向上、教職員定数の増加等教育水準の向上、公共施設の計画的な整備並びに過密・過疎対策、交通安全対策、消防救急対策等に要する経費の充実をはかる等のため、昭和四十九年度の普通交付税の額の算定に用いる単位費用の改定を行なうとともに、昭和四十九年度分の地方交付税の総額について、現行の法定額から千六百七十九億六千万円を減額する特例措置を講ずる等、所要の改正をしようとするものであります。
委員会におきましては、地方交付税の減額措置を講じた理由、地方交付税の本旨と年度間調整の問題、公共事業の単価改定と地方交付税措置の関連等について熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。質疑を終わり、討論を行ない、採決いたしました結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本案に対し、国の都合による地方交付税の財源調整を避けること、基準財政需要額の算定方法の改善につとめること、生活関連公共施設に対する国庫補助制度の強化及び超過負担の解消につとめること等五項目にわたる附帯決議を全会一致をもって付することに決しました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/20
-
021・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/21
-
022・河野謙三
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/22
-
023・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第三 運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長寺本広作君。
〔寺本広作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/23
-
024・寺本廣作
○寺本広作君 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法案は、海員の養成体制を強化するため、付属機関として波方海員学校を設置するとともに、沖繩の空域における航空交通管制業務を行なわせるため、地方支分部局として那覇航空交通管制部を設置しようとするものであります。
なお、本法案は、衆議院において施行期日につき所要の修正が行なわれております。
委員会におきましては、沖繩と東京の飛行情報区を分離する理由及び台北飛行情報区との関係、那覇空港の進入管制業務が今回米軍より引き継がれない理由と今後の見通し、航空管制官及び海員の養成対策等のほか、日台航空路線の問題、ローカル空港運営のあり方、タクシーの暫定料金、トラックの過積み・過労輸送と交通事故の関係等、運輸行政の各般にわたる質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/24
-
025・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/25
-
026・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/26
-
027・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第四 漁業災害補償法の一部を改正する法律案日程第五 漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案日程第六 沿岸漁場整備開発法案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)以上三案を一括して議題といたします。まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長初村滝一郎君。
〔初村滝一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/27
-
028・初村滝一郎
○初村滝一郎君 ただいま議題となりました三法案について御報告いたします。
まず、漁業災害補償法改正案は、共済需要の多様化に対応して、加入を促進するため、漁獲共済及び養殖共済の仕組み等について改正を行なおうとするものであります。次に、漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法改正案は、漁業者等の資金需要の大口化、多様化等に即応して、資金種類の拡大、貸し付け限度額の引き上げ、中央漁業信用基金の設立等の措置を講じようとするものであります。
次に、沿岸漁場整備開発法案は、沿岸漁場の整備をはかるとともに、特定水産動物育成事業等を推進しようとするものであります。
委員会におきましては、三法案を一括して議題といたし、漁業をめぐる国際環境のきびしさに対応するための方策、栽培漁業等の沿岸漁業を振興するための具体的諸施策、石油価格等漁業生産資材の高騰に対処するための諸措置、漁業共済における加入促進対策、漁業近代化資金等の漁業金融問題等について質疑を行なうとともに、参考人の意見を聴取する等、熱心な審査を行ないました。
質疑を終わり、討論に入り、別に発言もなく、続いて三案を順次採決に付しましたところ、これら三案はいずれも全会一致をもって衆議院送付案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
また、漁業災害補償法改正案に対しましては、本制度全般の一そうの拡充強化を求める六項目の、また、漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法改正案に対しましては、中央漁業信用基金のあり方の検討と政府出資の継続その他四項目の、また、沿岸漁場整備開発法案に対しましては、沿岸漁業の保護育成、汚染漁場復旧対策の促進、漁民の権利の保全等七項目の附帯決議を、いずれも全会一致をもって行ないました。
なお、三案の審査の経過にかんがみ、特に水産業の振興に関して十一項目の決議を、別途全会一致をもって行なったことを申し添えます。
右御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/28
-
029・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより三案を一括して採決いたします。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/29
-
030・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、三案は全会一致をもって可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02019740510/30
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。