1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十年十一月十九日(水曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 上村千一郎君
理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君
理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君
理事 山本 幸雄君 理事 佐藤 観樹君
理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君
越智 伊平君 奥田 敬和君
金子 一平君 鴨田 宗一君
小泉純一郎君 齋藤 邦吉君
塩谷 一夫君 竹中 修一君
中川 一郎君 野田 毅君
宮崎 茂一君 毛利 松平君
山中 貞則君 高沢 寅男君
広瀬 秀吉君 藤田 高敏君
松浦 利尚君 武藤 山治君
村山 喜一君 山中 吾郎君
横路 孝弘君 小林 政子君
坂口 力君 広沢 直樹君
内海 清君 竹本 孫一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 大平 正芳君
出席政府委員
大蔵政務次官 森 美秀君
大蔵大臣官房審
議官 佐上 武弘君
大蔵省主計局次
長 田中 敬君
大蔵省主計局次
長 高橋 元君
大蔵省主税局長 大倉 眞隆君
大蔵省理財局長 松川 道哉君
大蔵省証券局長 岩瀬 義郎君
大蔵省銀行局長 田辺 博通君
大蔵省国際金融
局長 藤岡眞佐夫君
委員外の出席者
大蔵委員会調査
室長 末松 経正君
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委員の異動
十一月十九日
辞任 補欠選任
村岡 兼造君 竹中 修一君
同日
辞任 補欠選任
竹中 修一君 村岡 兼造君
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十一月十二日
土地重課制度の廃止に関する請願(伏木和雄君
紹介)(第一九九〇号)
同(松野頼三君外一名紹介)(第二〇四九号)
酒、たばこ等の値上げ阻止に関する請願(梅田
勝君紹介)(第一九九一号)
同(梅田勝君紹介)(第二〇四六号)
私設看護婦養成施設建設に係る寄付金の免税に
関する請願(武藤山治君紹介)(第二〇四七
号)
同(山田芳治君紹介)(第二〇四八号)
同月十四日
土地重課制度の廃止に関する請願(小林正巳君
紹介)(第二一二七号)
同(葉梨信行君紹介)(第二一二八号)
同(渡辺栄一君紹介)(第二一二九号)
同(羽田野忠文君紹介)(第二一五四号)
同(大村襄治君紹介)(第二一九三号)
同(木部佳昭君紹介)(第二二一七号)
同(坪川信三君紹介)(第二二一八号)
私設看護婦養成施設建設に係る寄付金の免税に
関する請願外一件(谷垣專一君紹介)(第二一
三〇号)
同外一件(田中伊三次君紹介)(第二一九四
号)
都市近郊の農業後継者に対する相続税特例措置
に関する請願(近江巳記夫君紹介)(第二二一
九号)
同月十七日
土地重課制度の廃止に関する請願(河村勝君紹
介)(第二二八九号)
同(足立篤郎君紹介)(第二三一二号)
同(阿部喜元君紹介)(第二三一二号)
同(愛野興一郎君紹介)(第二三一四号)
同(天野公義君紹介)(第二三一五号)
同(荒舩清十郎君紹介)(第二三一六号)
同(有田喜一君紹介)(第二三一七号)
同(伊藤宗一郎君紹介)(第二三一八号)
同(伊能繁次郎君紹介)(第二三一九号)
同(稻葉修君紹介)(第二三二〇号)
同(稻村左近四郎君紹介)(第二三二一号)
同(今井勇君紹介)(第二三二二号)
同(宇田國榮君紹介)(第二三二三号)
同(宇都宮徳馬君紹介)(第二三二四号)
同(宇野宗佑君紹介)(第二三二五号)
同(上田茂行君紹介)(第二三二六号)
同(上村千一郎君紹介)(第二三二七号)
同(植木庚子郎君紹介)(第二三二八号)
同(臼井莊一君紹介)(第二三二九号)
同(内田常雄君紹介)(第二三三〇号)
同(内海英男君紹介)(第二三三一号)
同(浦野幸男君紹介)(第二三三二号)
同(江崎真澄君紹介)(第二三三三号)
同(江藤隆美君紹介)(第二三三四号)
同(小此木彦三郎君紹介)(第二三三五号)
同(小沢一郎君紹介)(第二三三六号)
同(小澤太郎君紹介)(第二三三七号)
同(小渕恵三君紹介)(第二三三八号)
同(越智通雄君紹介)(第二三三九号)
同(大石武一君紹介)(第二三四〇号)
同(大竹太郎君紹介)(第二三四一号)
同(大西正男君紹介)(第二三四二号)
同(大野市郎君紹介)(第二三四三号)
同(大橋武夫君紹介)(第二三四四号)
同(奥田敬和君紹介)(第二三四五号)
同(加藤紘一君紹介)(第二三四六号)
同(加藤六月君紹介)(第二三四七号)
同(加藤陽三君紹介)(第二三四八号)
同(海部俊樹君紹介)(第二三四九号)
同(笠岡喬君紹介)(第二三五〇号)
同(梶山静六君紹介)(第二三五一号)
同(粕谷茂君紹介)(第二三五二号)
同(片岡清一君紹介)(第二三五三号)
同(金丸信君紹介)(第二三五四号)
同(亀岡高夫君紹介)(第二三五五号)
同(鴨田宗一君紹介)(第二三五六号)
同(瓦力君紹介)(第二三五七号)
同(木野晴夫君紹介)(第二三五八号)
同(木村武千代君紹介)(第二三五九号)
同(木村俊夫君紹介)(第二三六〇号)
同(吉川久衛君紹介)(第二三六一号)
同(久野忠治君紹介)(第二三六二号)
同(久保田円次君紹介)(第二三六三号)
同(鯨岡兵輔君紹介)(第二三六四号)
同(倉石忠雄君紹介)(第二三六五号)
同(栗原祐幸君紹介)(第二三六六号)
同(黒金泰美君紹介)(第二三六七号)
同(小泉純一郎君紹介)(第二三六八号)
同(小坂善太郎君紹介)(第二三六九号)
同(小坂徳三郎君紹介)(第二三七〇号)
同(小宮山重四郎君紹介)(第二三七一号)
同(小山長規君紹介)(第二三七二号)
同(小山省二君紹介)(第二三七三号)
同(河野洋平君紹介)(第二三七四号)
同(近藤鉄雄君紹介)(第二三七五号)
同(左藤恵君紹介)(第二三七六号)
同(佐々木義武君紹介)(第二三七七号)
同(佐藤文生君紹介)(第二三七八号)
同(斉藤滋与史君紹介)(第二三七九号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第二三八〇号)
同(坂田道太君紹介)(第二三八一号)
同(坂村吉正君紹介)(第二三八二号)
同(坂本三十次君紹介)(第二三八三号)
同(笹山茂太郎君紹介)(第二三八四号)
同(椎名悦三郎君紹介)(第二三八五号)
同(塩川正十郎君紹介)(第二三二八六号)
同(塩谷一夫君紹介)(第二三八七号)
同(澁谷直藏君紹介)(第二三八八号)
同(島村一郎君紹介)(第二三八九号)
同(正示啓次郎君紹介)(第二三九〇号)
同(菅波茂君紹介)(第二三九一号)
同(鈴木善幸君紹介)(第二三九二号)
同(住栄作君紹介)(第二三九三号)
同(瀬戸山三男君紹介)(第二三九四号)
同(關谷勝利君紹介)(第二三九五号)
同(染谷誠君紹介)(第二三九六号)
同(田川誠一君紹介)(第二三九七号)
同(田澤吉郎君紹介)(第二三九八号)
同(田中伊三次君紹介)(第二三九九号)
同(田中榮一君紹介)(第二四〇〇号)
同(田中覚君紹介)(第二四〇一号)
同(田中六助君紹介)(第二四〇二号)
同(田村元君紹介)(第二四〇三号)
同(田村良平君紹介)(第二四〇四号)
同(高鳥修君紹介)(第二四〇五号)
同(高橋千寿君紹介)(第二四〇六号)
同(竹下登君紹介)(第二四〇七号)
同(竹中修一君紹介)(第二四〇八号)
同(谷垣專一君紹介)(第二四〇九号)
同(谷川和穗君紹介)(第二四一〇号)
同(千葉三郎君紹介)(第二四一一号)
同(松野頼三君外一名紹介)(第二四一二号)
同(渡海元三郎君紹介)(第二四一三号)
同(登坂重次郎君紹介)(第二四一四号)
同(床次徳二君紹介)(第二四一五号)
同(中尾宏君紹介)(第二四一六号)
同(中尾栄一君紹介)(第二四一七号)
同(中垣國男君紹介)(第二四一八号)
同(中曾根康弘君紹介)(第二四一九号)
同(中村梅吉君紹介)(第二四二〇号)
同(中村寅太君紹介)(第二四二一号)
同(中山利生君紹介)(第二四二二号)
同(楢橋進君紹介)(第二四二三号)
同(二階堂進君紹介)(第二四二四号)
同(丹羽喬四郎君紹介)(第二四二五号)
同(丹羽兵助君紹介)(第二四二六号)
同(西村英一君紹介)(第二四二七号)
同(西村直己君紹介)(第二四二八号)
同(野中英二君紹介)(第二四二九号)
同(野原正勝君紹介)(第二四三〇号)
同(野呂恭一君紹介)(第二四三一号)
同(羽田孜君紹介)(第二四三二号)
同(羽田野忠文君紹介)(第二四三三号)
同(羽生田進君紹介)(第二四三四号)
同(葉梨信行君紹介)(第二四三五号)
同(橋口隆君紹介)(第二四三六号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第二四三七号)
同(長谷川四郎君紹介)(第二四三八号)
同(長谷川峻君紹介)(第二四三九号)
同(旗野進一君紹介)(第二四四〇号)
同(浜田幸一君紹介)(第二四四一号)
同(濱野清吾君紹介)(第二四四二号)
同(早川崇君紹介)(第二四四三号)
同(林大幹君紹介)(第二四四四号)
同(深谷隆司君紹介)(第二四四五号)
同(福田篤泰君紹介)(第二四四六号)
同(福田一君紹介)(第二四四七号)
同(福永健司君紹介)(第二四四八号)
同(藤井勝志君紹介)(第二四四九号)
同(藤波孝生君紹介)(第二四五〇号)
同(藤本孝雄君紹介)(第二四五一号)
同(保利茂君紹介)(第二四五二号)
同(増岡博之君紹介)(第二四五三号)
同(松澤雄藏君紹介)(第二四五四号)
同(松永光君紹介)(第二四五五号)
同(三池信君紹介)(第二四五六号)
同(三ツ林弥太郎君紹介)(第二四五七号)
同(三原朝雄君紹介)(第二四五八号)
同(三塚博君紹介)(第二四五九号)
同(水田三喜男君紹介)(第二四六〇号)
同(水野清君紹介)(第二四六一号)
同(湊徹郎君紹介)(第二四六二号)
同(宮崎茂一君紹介)(第二四六三号)
同(村上勇君紹介)(第二四六四号)
同(村田敬次郎君紹介)(第二四六五号)
同(毛利松平君紹介)(第二四六六号)
同(村山達雄君紹介)(第二四六七号)
同(粟山ひで君紹介)(第二四六八号)
同(森下元晴君紹介)(第二四六九号)
同(山口敏夫君紹介)(第二四七〇号)
同(山崎拓君紹介)(第二四七一号)
同(山崎平八郎君紹介)(第二四七二号)
同(山下元利君紹介)(第二四七三号)
同(山下徳夫君紹介)(第二四七四号)
同(山田久就君紹介)(第二四七五号)
同(山村新治郎君紹介)(第二四七六号)
同(山本幸雄君紹介)(第二四七七号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第二四七八号)
同(綿貫民輔君紹介)(第二四七九号)
同(渡部恒三君紹介)(第二四八〇号)
同(渡辺紘三君紹介)(第二四八一号)
私設看護婦養成施設建設に係る寄付金の免税に
関する請願(梅田勝君紹介)(第二四八七号)
同(寺前巖君紹介)(第二四八八号)
同月十八日
私設看護婦養成施設建設に係る寄付金の免税に
関する請願(寺前巖君紹介)(第二五五七号)
同(梅田勝君紹介)(第二五五八号)
法人関係諸税法の改正に関する請願(米原昶君
紹介)(第二五九八号)
土地重課制度の廃止に関する請願(新井彬之君
紹介)(第二五九九号)
同(細田吉藏君紹介)(第二六〇〇号)
同(森喜朗君紹介)(第二六〇一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
昭和五十年度の公債の発行の特例に関する法律
案(内閣提出第一一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/0
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001・上村千一郎
○上村委員長 これより会議を開きます。
昭和五十年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。
この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。
すなわち、ただいま議題となっております本案について参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、その日時及び人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/1
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002・上村千一郎
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/2
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003・上村千一郎
○上村委員長 これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/3
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004・松浦利尚
○松浦(利)委員 質疑に入る前に、委員長にお願いがあります。
実は、御案内のとおりに、本委員会にかかりました酒、たばこの値上げ法案に絡みまして審議が未成熟のまま強行採決をされたという経緯をわが委員会は持っておるわけであります。いままた、今国会で大変重要な特例法案の審議に入ろうとするわけでありますか、こうした重要な案件でありますから、確かに与野党間のいろいろな立場の違いはありましても、強行採決という愚を犯さないように、この際、委員長として、二度とそういったことをなさらないという決意のほどをお聞かせをいただいてから、私は事後の質疑に入っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/4
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005・上村千一郎
○上村委員長 大蔵委員会は、予算関連法案その他、重要法案を審議する委員会になっておりますので、その運営につきましては慎重の上にも慎重な運営をいたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/5
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006・松浦利尚
○松浦(利)委員 慎重の上にも慎重というお言葉は、強行採決はやらぬのだ、審議を十分尽くすのだというふうに私は理解をいたします。ですから、これ以上委員長に本問題についての答弁を求めようとは思いません。われわれもまじめに、率直に十分審議を尽くす決意です。ぜひ運営については、いまお話のありましたように慎重に配慮していただきたいというふうに思います。
そこで、大臣、今度は大変お疲れでございました。しかし、大臣にちょっとお尋ねをしておきたいのですが、実は本委員会は、大臣が首脳会議に御出席になる前に本特例法案の趣旨説明をいただいた後は日程が入りまして、大臣が仮にお帰りになった場合は十八日に本委員会で審議をするという与野党間の一致した約束があったわけであります。私は質問の第一陣者として待機させられたわけでありますが、残念ながら参議院の方に終始行っておられまして、本委員会の申し合わせば大臣がほごになさったという経緯があるわけであります。大臣としてなぜそういう行動をとられたのか、本委員会が与野党一致して決めたことに対してなぜ政府は従えなかったのか、守り得なかったのか、その点をひとつこの際はっきりお答えをいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/6
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007・大平正芳
○大平国務大臣 政府の一員といたしまして、国会の審議は第一義的に大切なことと私は心得ております。したがいまして、国会の御審議に支障のないようにすべての私の段取りをつけておるわけでございます。衆議院と参議院の御審議が同日に行われる場合におきまして、どちらに出席して御審議に応ずべきか、これは国会の方の御判断にまっておるわけでございまして、私が勝手に参議院を選んだというものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/7
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008・松浦利尚
○松浦(利)委員 このことが中心ではありませんから余りくどく質疑をしようと思いませんが、少なくとも大臣が出発なさる前に本委員会の与野党間で一致して十八日は本委員会を開く、大臣が帰ってこられた場合には大臣の御出席を求めるということの申し合わせがあったということだけは御記憶でございましょう。その点はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/8
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009・大平正芳
○大平国務大臣 そういう経緯は私も承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/9
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010・松浦利尚
○松浦(利)委員 本委員会が従来の慣行を破って強行採決が行われたり、従来の慣行を破って与野党間で一致して決めた日程までも一方的に破られるということは、逆に言うと、本委員会というものがだんだん従来のパターンから変わった方向に運営されてしまうことになりかねないと私は思うのです。
この際、委員長としても、昨日の経緯は理事会でいろいろ議論なさった末やむを得ないということでお開きになったそうでありますが、二度とこうしたことが行われないように、政府に対して厳しく注意を勧告しておいていただきたいと思います。よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/10
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011・上村千一郎
○上村委員長 昨日の経緯につきましては、理事会でいろいろと討議をしたわけでございます。先ほど申し上げましたように、当委員会はきわめて重要な案件の審議が多くございますので、各理事の方々とその点を十分考えながら今後やっていこうということになっておりますので、よろしく御了承を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/11
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012・松浦利尚
○松浦(利)委員 政府が今後そういったこともちゃんと守っていただけるということを前提にしてこれからの質問に入ります。
大臣、実際には御本人は余り行きたくなかったといううわさも流れておるのですが、今度の首脳会議に結果的に御出席になりました。しかし、国会の重要な情勢にかんがみて直ちに折り返し帰ってこられたわけでありますが、大臣は今度の首脳会議にどういう役割りを持って行かれたのか。本当の使命を持っておられれば、大蔵大臣という立場上、私は最後までおられたと思うのです。国会が重要だということは初めからわかっておったわけであります。ですから途中でUターンして帰ってこられた。大臣としては一体どういう役割りだったのか、重要閣僚のお一人として御感想があると思うのです。そのことをひとつ冒頭にお聞かせをいただきたいと思います。
それから二番目の問題は、きのうの新聞あたりをいろいろとにぎわせております今度の米仏の通貨秘密協定の問題であります。場合によっては、これが非常に重要な政策の転換をしなければならぬポイントにもなりかねないという非常に重要な意味を持っておると思うのです。下手なところで円が円高で決まりますと大変なことになります。あるいはまた円安であっても困るわけでありまして、こうした重要な問題に大蔵大臣が出席なさっておらない。逆に言うと、代理だけ出席しておるという中で秘密裏に行われておる。しかも日本はつんぼさじきに置かれておる。一体大蔵大臣は何をしに行かれたのだろうかという疑問が国民の中に相当広く出ておると私は思うのです。ですから、こうした米仏の通貨秘密協定の問題についても、大臣は現地におられなかったのですけれども、帰ってこられた代理その他の人たちからお聞きになっておられるでありましょうから、受けとめ方として、わが国に与える影響がどうなのか、そういう影響等についてもこの際担当大臣としてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/12
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013・大平正芳
○大平国務大臣 今度の会議は、フランスの大統領がフランス以外の五カ国の首脳にあてて正式の招請をされたのでございまして、それには外務大臣と大蔵大臣も御帯同願いたいという招請状でございまして、これに応じまして六カ国は、首脳のほかにこの両大臣が一人残らず出席をいたしておりました。これは国際儀礼上の問題として当然のことと思いまするし、また、招集者がこの会議に期待をいたしたことに対して招集を受けた者がこれに対して十分こたえる態勢として私は当然だと思うのでございます。したがって、三木総理がみずから御出席になるばかりでなく、宮澤君と私に同行を命じたことも当然のことと思います。
しかし、私は同時に、松浦さん御案内のように両院に非常に重要な法案を提出し、御審議をいただいております責任大臣でございます。国会は、先ほども申しましたように、国会の御審議はわれわれにとって第一義的な問題でございます。したがって、国会の御判断で、いかに重要な国際会議でございましても行っちゃいけないということになりましたならば、やめるつもりであったわけでございます。したがって、三木総理には、あなたがわれわれを帯同したいということはよくわかる、けれども、これは国会の御判断を求めてもらいたいということを私はつけ加えて申し上げてあったはずでございます。したがって、内閣は国会の方といろいろ御協議をいただいたようでございまして、国会の御審議の都合で途中でトンボ返りでお帰りいただくかもしれないという了解の上で羽田を立っていったわけでございます。途中、果たせるかな、内閣を通じまして国会の方の御審議があるということでございましたので、フランス初め各国の首脳に了解を得まして帰ってまいったのが私の立場でございます。
それから第二の御質問でございますが、今度の通貨問題に対するランブイエ会談の関係でございますが、通貨問題というのには、松浦さんも御案内のとおり二つありまして、一つは、現在の変動相場制のもとにおける為替相場の変動幅をできるだけ少ないようにしよう、つまり安定化を図っていこうという問題があるわけでございます。それからもう一つは、現行のIMFの協定の改正問題があるわけでございます。
で、前者につきましては、今日全面的なフロート制になり、ここ最近の経験では、ずいぶん相場の変動が激しくて、世界の経済活動が阻害をされている面がないとは言えない、したがって、各国の努力によりましてこれをできるだけ安定さそうじゃないかということで、六カ国の首脳の意見は一致したわけでございます。しかし、これは何も一つの標準のレートを考えて、それに近づけるべく努力しようというようなことではなくて、通貨当局が必要なときに介入いたしまして、できるだけ変動の幅を少なくしようという紳士的な約束をいたしたということでございまして、そのことがランブイエ宣言にもうたわれてありますことは御案内のとおりでございます。
それから第二の、IMFの協定改正問題というのは、もともと前々からあった問題でございます。IMF協定は、金ドルをベースにして、固定相場制を軸にしてつくられてある協定でございまして、変動相場制というのは緊急避難の場合しか認められていないことでございますが、現実にはもうIMFの協定から実態は離れてしまっておるというのが今日の姿でございますので、この場合、IMFの協定上変動相場制も認めるべきじゃないかという主張をアメリカは従来しておったわけでございます。
で、その問題が前から尾を引いておったわけでございますが、今度米仏両国の間で、以前のような対立とか距離というようなものが大体埋められまして、為替の安定に協力しようじゃないかという機運が盛り上がり、各国がそれを非常に評価しておりますことは御案内のとおりでございまして、米仏両国が、この協定の改正問題についてはアメリカもアクセプトできる、フランスもアクセプトできる案はこんな案じゃなかろうかというようなものを両国で相談したことは事実のようでございまして、このことを蔵相代理会議で口頭で御披露になったようでございます。
しかし、これはあくまでも両国の間の合意、一応の考え方が合致しておるということでございまして、IMFの協定は両国だけでできる相談じゃないので、これから各国が協議いたしまして、手順を経て改正に持っていかなければいかぬわけでございまして、世上で秘密協定が云々とか、頭越しで云々とか言っているのは、私はそのことを言っているんじゃないかと思いますが、そういう意味で、従来対立しておると言われておった両国がそういう歩み寄りを見せたことは、私は歓迎すべきことと思って見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/13
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014・松浦利尚
○松浦(利)委員 最後に、このことが本題ではありませんから、今後に議論を保留して余り申し上げませんが、いずれにしても、今度のこの通貨問題が、きょうの新聞等全部読んでみましたが、ほとんどの新聞が疑問に思っておるのは、どうもドルと欧州通貨についてはある程度の方向づけができたけれども、円だけはつんぼさじきに置かれてしまっておる。そのことが、これから一月七日にIMFの会議に出られるそうですけれども、そういった場面に大変不利益が起こるんではないかということが非常に危惧されておるわけですね。事実私たちも非常に危惧するところですが、今度の首脳会議におけるこうした問題は、決して将来に向かってわが国に不利益はもたらさない、むしろ前進こそあれ、マイナスはないのだということを国民の前に明確に言えるのかどうか。言えるとすれば、そのことをはっきりここでおっしゃっておっていただきたいと思います。同時に、そのことは将来に向かって大平大臣として責任を持たれる発言だと私は受けとめたいと思うのですが、そのことを明確にお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/14
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015・大平正芳
○大平国務大臣 円とドルとの間には、ドルとヨーロッパの各カレンシーとの間におけるような大きな幅の変動はなかったわけでございます。変動は確かにありましたけれども、欧州におけるほどの振幅はなかったわけでございますので、私ども日本の方は、つまりドルと円との変動が激しかったならば大いに反省しなければならないのですけれども、日本の方は現に当分相当なる期間三百円内外のところでずっと落ちついておるわけでございますので、私はいまの日本の通貨当局の為替政策というものは間違っていないと思っておるわけでございます。
ドルとヨーロッパの各カレンシーとの間、ヨーロッパのスネークとドルとの間の相場が乱高下が激しかったのを今度安定化していくということは、ヨーロッパとアメリカとの間の関係を正常なものにするばかりでなく、世界経済の安定のために私は大変望ましいことと思うのでございまして、そのことのために日本が損するというようなことは決してないのでございます。したがって、為替相場の安定化というものをグローバリーにいろいろみんなが、各為替当局が協力しながら持っていこうというランブイエの宣言の趣旨というものは、世界経済のためにも、日本経済のためにも大変歓迎すべきことでございまして、それだけの責任をわれわれも分担してこれから努力していきたいと思っております。
今日まで変動制に移ってから比較的変動幅が少なかった日本でございますし、今後も私はできるだけ変動幅の少ない状態に日本の為替を持っていくということに努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/15
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016・松浦利尚
○松浦(利)委員 いまの御発言は、今度の決定は将来にわたってマイナスはない、むしろプラスだ、そういうふうに理解をしてよろしいですね。これは議題外のことでありますけれども、大切なことですから簡単にお尋ねしたところであります。
そこで本題に入りますが、まず大蔵大臣にお尋ねをしたいのですが、七月の二十一日に財政制度審議会が中間報告を出しておられますが、これは福田副総理が理事をしておられる「金融財政事情」という雑誌に出ておる言葉ですが、鬼面人を騒がす、三兆などという赤字が出るはずはないんだということで大蔵省はこの中間報告について肯定的な態度をとられなかった。しかしその後あわてて、大変な赤字が出るということが予想されて、事務当局としても作業を進めざるを得なかったというようなことが比喩的に書いてあるわけですね。
どうも私も不思議に思いますのは、大臣は四月の二十五日でしたか、予算が通過した後、どうも景気の落ち込み等から見て歳入欠陥が出る、非常事態宣言を出されて、不要不急の歳出については極力これをブレーキかけろというような手だてをとられたはずなんです。また、本委員会におきましても、私も質問したのでありますが、歳入欠陥の幅というのは一体どれぐらいになるんだ、早くそのことを把握しておらないと大変なことになりますぞという指摘も、これは与党のどなたかも質問なさったと記憶しておるのですが、本委員会の各委員はほとんど歳入欠陥が重大な影響を与えるのが心配だという意味で質問をした。ところが大蔵大臣を含めて財政当局は、いや、そんなに心配はありません、大体せいぜい九千億程度でしょうというようなことしか御答弁なさっておられなかったわけですね。もっとまじめに本委員会の議論を財政当局が受けとめておったとすれば、手の打ちようはまだあったはずなんです。たとえば法律を改正せずして、事務当局、政令を改正する、そういう手続によって増徴する年内増税というものは可能であった。しかしそういった政策手段もとられないまま、ただ大丈夫だ大丈夫だということで、本委員会でも質問に明確に答えられなかった。その結果が今日特例債を発行せざるを得ない、そのためには財政法第四条で禁じておるにもかかわらず赤字公債を別の法律、たった三条の法律で発行せざるを得なくなったんだ。金が足らぬからつじつまを合わせるために仕方がないじゃないかと言えば非常に単純明快な答えではありますけれども、しかし、それまでにくる過程として当然なさるべきことをあなた方はなさっておらなかった。まじめに本委員会で、先ほどから私はくどいように大蔵委員会での議論を云々ということを冒頭委員長にも申し上げましたけれども、本委員会は与野党というものを超えてまじめにいろいろな問題を議論してきたと私は思うのです。そういう議論に耳をかさなかったことが今日のこうした事態を招いたわけです。
私は、この際、財政当局である、その責任者でおられる大平大臣、本会議でもあなたは責任の一端を述べられましたけれども、そういう点について、私は、国民に対してどういう思いであなたはこの特例債を出しておられるのか、やるべきことをしないでおいてこういうものを出してきておるわけでありますから、そういう点についてひとつ明確にしておいていただきたいというふうに思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/16
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017・大平正芳
○大平国務大臣 問題を便宜二つに分けて答弁させていただきたいと思います。
一つは、四十九年度の歳入不足の問題が一つでございます。これは結果的に御案内のように七千七百億の歳入不足になったわけでございます。これが明らかになりましたのは本年の四月に入ってからのことでございます。もっと早くわからなければならぬじゃないかという御指摘が本委員会でもございました。しかし、正直なところ、一月末までの各税目別の収入実績というのは比較的よろしかったわけなんでございます。ただ、十月ごろから法人税収入はこれは相当減るのではなかろうか、見積もりにも若干減るように考えておったわけでございますけれども、これが一月の決算法人あたりからうんと落ち込んできたわけでございます。それがわれわれのところに確実に捕捉されるというのは相当期間がかかってからでございます。いわんや三月十五日の確定申告の状況というのは、四月の予算が成立した四月二日の状態ではまだわかっていないわけなんでございます。したがって、衆参両院で、おまえはこの国会に対して忠実じゃない、予算を通したいばかりに、いまわかっておって国会に知らさぬのじゃないかというおしかりをたびたび受けたのですけれども、そうじゃなくて、実際にわかっていなかったのです。わかっていない状態でわかったような顔をして答えるのは一番私は悪いと思ったのです。つまり、国会に申し上げる数字は、間違った数字を申し上げることは大変私は国会に対する最大の軽視だと思うわけでございますから、的確な数字を踏まえた上で答えなければならぬと存じましたので、四十九年度の歳入の不足という問題は、確実にわかって初めてこれは報告すべきものと思っておりまして、途中でいいかげんな数字は申し上げるべきでないと固く私は思っておったわけでございます。そのことが悪いというおしかりを受けるなら私は甘んじて受けますけれども、私は、正直にそれが私の責任だと感じておったわけでございます。ところが、不幸にいたしまして、それが七千七百億もの巨額なものにのぼったわけでございまして、四月分の歳入を、納税義務が発生したのは、三月のものは前年度の歳入にするという政令を出すことによりまして、国会の手を煩わすことなく四十九年度の帳薄は締めさせていただいたわけでございます。
ところが、そういう七千七百億の歳入欠陥が出たが、このままの状態で五十年度に延長した場合に、この歳入欠陥を反省して、五十年度どのぐらいの歳入欠陥が生ずるか、つまり、経済の見通しを別にいたしまして、歳入構造の問題からいきまして、こういう欠陥が生じたのが本年度に延長されるとすればどのくらいあるかという、これは公明党の御質問だったと思いますけれども、それに対して私は、いろいろ計算してみると九千億ぐらいは恐らくその影響で五十年度の歳入不足の原因になるだろうというような見通しは述べたことはございますけれども、しかし、全体として、いま三兆何千億の歳入欠陥全体について申し上げたつもりはないのです。その点、松浦さんにちょっと断わっておきたいと思うのです。
それから経済の見通しでございますが、経済の見通しは、政府は御案内のように、四・三%の成長である、雇用所得は幾らの伸びである、物価はどれだけの見通しであるというのは、一応予算の編成のときに閣議で決めまして、それをベースにして歳入を見積もったわけでございますが、そのベースは四月の段階も五月の段階も政府は全然変えずに来ておるわけです。これは変えなければいかぬということはだれも気がついて、いずれ変えなければいかぬと思っておりましたけれども、年度が相当経過してみないと、どのように改定していいものやらまだ見当がつかないから、これを改定しないで補正予算のときにしようじゃないかということでございましたから、あの段階で私が、いやことしはずいぶん歳入欠陥が出そうでございますなんということを言えないのですよ、基本になる政府の見通しというのがまだ改定してないのでございますから。私が閣僚の一員としてあれはどうも早く改定しなければいかぬと思います、これでこのぐらいの歳入欠陥が出そうでございますなんということを早手回しに国会で言うほど軽率でございますならば、私は閣僚が勤まらぬだろうと思うのです。したがって、あの段階では、秋深くなっていろいろな歳入、歳出の要因が解明された後で見直して予算を補正する、あるいは経済の見通しを改定するというのが普通のやり方でございます。
しかし、ことしは少し早目にやらなければいかぬ。というのは、すでにもうそういう歳入の欠陥をはらんでおったものでございますから、ことしはもう人事院の勧告も米価もいろいろな問題も大体見当がついてまいりましたので、早く補正予算をお願いして見通しも改定してということをいたしまして、九月の初めに国会をお願いして、私ども鋭意補正を急いで、補正予算とこの特例法案を出してきたのは従来よりずっと繰り上げてやっておるのが今日の姿でございます。
すなわち、実態の歩みはあなたから見ると、政府がやっているのは、事態はもっと深刻であるのにどうも真実を国会に伝えていないのじゃないかという御不満があなたにあることは私もわかるのです。しかし、それを国会に正式に御報告する手順はまだ踏んでいないわけでございますから、補正予算を組み、その前提としての経済の見通しを決めて、初めて私は国会でこのように歳入欠陥はこれだけになります、公債はこれだけお願いしなければなりませんということを申し上げる立場を与えられるわけでございます。それが補正を組んでからになったわけでございますので、あの当時あなたに申し上げられなかったというのはそういう事情だったことを御了承いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/17
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018・松浦利尚
○松浦(利)委員 私は結果的に大臣から言いわけを聞いただけで、私がそう思っておるのじゃなくて国民全体がそう思っておるのですよ。私じゃないのです。国民がみんなそう思っておるということです。大臣はまじめな大臣ですから、その点は誤解のないように。国民がそう思っておるのですよ。一体、こういう事態になったのはそういう手続の関係であって、私にはどうにもならなかった、勘弁してくださいということでございますか、結果に対しては。そういう手続を踏みたかったけれども踏めないのだ。私から言わせれば、財政当局、財政担当の責任者でありますから、しかも重要な三木内閣の閣僚でございますから、大平大蔵大臣が閣議なら閣議に大変な事態だぞということを言うべきだったと私は思いますけれども、そういうことはさておいて、いずれにしても、手続上こういう状態になったのだからこれで仕方がないということだけでございますか。結果に対しての責任というものはない、こういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/18
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019・大平正芳
○大平国務大臣 私がいま申し上げたのは、実体経済、実体財政はすでに相当の問題をはらんでおったにかかわらず、国会に対して、また本委員会に対してそれらの報告が十分でなかった。そしていまになって補正予算を出して特例法を出してというように政府は出てきておるけれども、それは国会に対しての責任を十分果たしておるゆえんじゃないじゃないかという手続問題が一つあったとあなたが御指摘になっておるので、それはこういう経過だったのですということを申し上げたわけでございまして、それ以外にとる道がなかったわけでございます。
しかしそれより前に、こういう歳入欠陥を生ずるということ、それから経済の落ち込みを見通せなかったということが大前提であるわけなんでございまして、それはもう松浦さんの御指摘を待つまでもなく、私ども経済の見通し、それから歳入の見通しにつきましては大きな展望を誤ったわけなんでございまして、その責任を痛感しておりますだけで済まぬと私は思っておるのです。私自身は痛いほど感じておるのです。それで何とかこの事態について、財政といたしましてなすべきことを早くやっておかなければいかぬ。中央地方を通じて財政水準、行政水準をどのようにしてつくろっていくか。極度に落ち込んだ経済、雇用の問題に対して財政としてどういうことをやっておかなければならぬかということを、まずそれだけの手順を講じておかなければ、これはもう見通しを誤りました、シャッポを脱ぎますというわけにいかぬのじゃないかということを考えまして、いま一生懸命にその善後策をやっておるわけなんでありまして、まだ私の責任を果たす道程にあるわけでございまして、私は政治家として、また財政の責任を持つ者といたしまして、あなたに言われるまでもなく、もう私自身穴にも入りたい責任を人一倍感じておるわけなんでございます。やめるやめないの問題はどなたの御指図も受けないつもりです。私自身の判断によりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/19
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020・松浦利尚
○松浦(利)委員 私はやめろというようなことを言っておるつもりはありません。
そこで、大蔵省に「ファイナンス」という広報誌がございますね。あの広報誌に、大蔵省の課長補佐の人たちでしたが、解説書を出しておられるのです。それは財政制度審議会の中間報告、七月二十一日に出された分に対して大蔵省の広報誌の中で、名前は言いませんが、参加した人が出しておられるのですね。その中では、昭和五十年度の予算について一兆、二兆、三兆の赤字が出た場合のことを予測して、あらゆるデータを駆使しながら、このままでいくと二十一兆、場合によっては六十兆近くの普通公債残高が起こるぞという意味の警告をしておられるのですね、この中間報告について。そして支出についてはこうしなさい、ああしなさいということが具体的にここに書いてある。しかもそれは大蔵省の広報に書いてあるのですね。ということは、逆に言うと七月二十一日の中間報告を受けた段階、受けた段階ということは、その審議にすでに大蔵省は参加しておるわけですからね。だから早く知っておったわけなんです。七月二十一日の結論が出る前に、大蔵省はすでにこういう状態になるということを知っておられた。そういう状態でありながら、あなた方は隠しておったと言われてもしようがないじゃないですか。そのときの対応策をなぜしなかったのか。財政制度審議会がわざわざ急いでやれということで中間報告を出した。しかもその内容については大蔵省は事前に知っておる。大蔵省の広報にもその解説を出しておる。にもかかわらず、いま大臣が言われたように、私たちは手続としてそういうことはできなかったということで推移しておられる。ということになれば、逆に言うと、事務当局が大蔵大臣にそういう事態についての報告をしなかった、こういうことになるわけですよ。
私は、大平大臣は非常にまじめな人ですから、いろいろ揚げ足を取るつもりはありません。しかし少なくとも、国会の場を通じていま手続のことを言われたけれども、そういう手続の前に財政当局としてはすでに財政制度審議会の討議に参加をしてそういう事態が起こってくるということを予知しておられる。その予知に対する準備行為というものは何もしておられない。補正予算を組むまでほったらかし。そのことは、事務当局が大蔵大臣に対してパイプをつないでおらなかった、逆に言うと事務当局の怠慢じゃないですか。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/20
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021・大平正芳
○大平国務大臣 それは事務当局の責任でも何でもないのでございまして、私が先ほど申しましたように、四十九年度の歳入欠陥が生じたとき、そして五十年度の歳入欠陥が予想されたとき財政当局として何をなすべきか、何をなすべきでないか、それは松浦さん御指摘のとおり財政当局の態度があるべきはずでございます。それは本委員会におきましてもたびたび申し上げておりますとおり、財政当局といたしまして、まずこの際、歳入が減るわけでございますから、歳出を削りまして行政水準や財政水準うんと切り込んでいくということをすべきかというと、私はすべきでないと判断したわけでございます。何となれば、そういうことをやりますと、さらでだに落ち込んだ経済をさらに冷え込ませるばかりでなく、雇用の不安をもっと深刻にするおそれがあるからでございまして、中央地方を通じてこのように歳入欠陥があるけれども、中央におきましては予算も財投計画も計画どおり実行いたしたい、地方の地方財政計画は計画ベースで実行いたしたい、私は各閣僚に対しましても、大変な歳入欠陥でございますけれども、予算の執行、財政計画の執行、財政投融資計画の執行につきましては、財源については大蔵省が責任持ちますからどうぞその計画どおりお進めいただきたいということを申し上げたわけでございます。そうすることが財政当局のいまの姿勢といたしまして正しいと判断したわけでございます。
第二の問題は、それでは松浦さんおっしゃるように、歳入が減ったわけでございますから、歳出は落とすわけにいかないとすれば、別に歳入を補てんするところの手だてを考えるべきじゃないかということでございますが、これもたびたび本委員会におきましても本会議におきましても御答弁申し上げているとおり、いまの経済状態は法人税にいたしましても所得税にいたしましても一般的増税を考える時期じゃないということは申し上げているつもりでございます。そういうことをやるには経済は冷え込み過ぎておる、疲労し過ぎておるわけでございますので、そういうことをやる時期ではないということを申し上げておるわけでございまして、しからばどうするかというと、現行の歳入歳出の各項目を洗いまして、可能な限りむだはなくする、可能な限り増収の手だてを講ずるということが次善の策として財政当局の責任じゃないかと判断いたしたわけでございます。したがって、各省庁に対しましては従来以上の節減をお願いいたしまして、補正予算で五百三十九億円の節減をお願いしたわけでございます。そればかりの節減では間に合わぬじゃないかと言いますけれども、従来よりうんと厳しい節減をお願いし、各省庁もそれに欣然応じていただいたわけでございますので、私はそれなりに今日の事態に対して各省庁が認識を持っていただいておるものと思います。
それから、歳入面におきましては現行制度のもとで増収を図るという意味におきまして、各省庁にわたりまして実費弁償的な面につきましては、歳入金額、増収の金額が必ずしも多くはございませんけれども、ささいな点に至るまで見直していただきまして徐々に改正をいたしておりますが、制度の上におきまして行政府でできますことは、この間銀行、保険会社の引当金の問題、これの繰入率を下げてまいるということで増収を図ること以外に行政府でできる仕事はないわけなのでございます。あとはことごとく国会の御承認を得なければならない法律事項なのでございます、租税特別措置なるものは。したがって、現在それは税制調査会で洗っていただいておるわけでございまして、次の通常国会にその結果を提示して御審議をいただかなければならぬと存じておるわけでございます。
ところが、世上特別措置について一つの誤った観念がありまして、会計学上あるいは商法上の準備金とか引当金とかいうようなもの、これをこういう時期だからうんと削るべきじゃないかという御意見が一つの政策論としてあるわけでございます。共産党の皆さんが主張しておる点はそういう点にあるわけでございますけれども、私はそういうことは軽々にすべきじゃないと考えておるのです。財政の生命は長いわけでございますので、企業会計の立場から言いまして、資本を維持し、税源を涵養していく上においてちゃんと守ってあげなければいかぬ限界値があると思うのです。それを財政が苦しくなったからうんと切り込んでいって、ここで若干の増収を図ろうということは、気持ちはわかりますけれども、そういうことは私はいますべきでないと思うのです。それは特別措置ではないわけでございまして、いまの企業会計上あるいは商法上認められておる準備金等でもっと増収を図るべきでないかという議論が特別措置ではなくて別にありますけれども、そういう立場は私はいまとるべきでないと判断して、政府でいまできますことは金融機関の貸倒引当金の問題であると存じまして、それにつきましては御案内のように千分の八までとりあえず下げるという方向で問題を処理いたしておるわけでございまして、自余の問題は税制調査会にいま勉強をお願いしておるところでございます。そういう手順でいま進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/21
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022・松浦利尚
○松浦(利)委員 歳入歳出の問題については後でまた詳しく御質問するつもりですが、大臣の答弁のあった部分は御答弁として受けとめておきます。
ただ先ほど申し上げましたように、事務的に財政制度審議会の中間報告において、五十年度の歳入欠陥が一兆、二兆、三兆減収する場合があるということを想定して作業に入っておったということは大臣は御存じだったのですか、そのことだけお聞きしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/22
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023・大平正芳
○大平国務大臣 存じておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/23
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024・松浦利尚
○松浦(利)委員 それでは、財政制度審議会で五十年度三兆近くの歳入欠陥が出るという議論が出ておるということについて分析して見られたことがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/24
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025・大倉眞隆
○大倉政府委員 財政制度審議会の方から歳入欠陥が生じた場合に今後の展望について審議をすべきである、ついては五十年度の歳入欠陥はどの程度と見たらいいかということで私の方に御相談がございました。私の方はその当時まだ五月末までの税収しかわかっておりませんでした。大臣が先ほど申し上げましたように、四十九年度分の歳入不足は経済見通しが変わらないというままで延ばすと約九千億になる、まあ丸く言えば一兆という一つの数字があろう。前年対比の税収額が五月末の状態でそのままもとへ戻らない、五月末の状態で一年じゅう続いてしまうということになると、これは非常な腰だめでございますが、当時の計算では二兆数千億ということもできないことはない。いずれにしても経済見通しも変わっていない、年度は二月しかたっていない、その段階で歳入当局としてのはっきりした見通しは申し上げられないということを申し上げたわけです。
それではやむを得ないから仮定の数字として三つ立ててみよう、一兆、二兆、三兆という三つの計算をしてみようということを、私存じております限りでは審議会の委員の方から御注文がございまして、それで作業をしてみたという経緯であるように聞いております。私が引き継ぎました段階でそのことを聞きました。それ以後六月末の税収がわかりました段階で、同様の経済見通しとかかわりなく今後こういう状況で推移しっ放しであるということになったら幾らであるかという計算もいたしました。毎月そういうこともいたしております。これにつきましては、御質問の機会がございましたときに当委員会でもお答えを申し上げました。私の記憶では、たしか八月に山田委員の御質問にそのような趣旨の御答弁を申し上げた記憶もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/25
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026・松浦利尚
○松浦(利)委員 結局、財政制度審議会が示した一番高いところの減収ということに、オーバーしてしまったというところに来たわけですね。ですから、今度のこの赤字公債の発行というまことに異例中の異例、財政法では認めておらないから特例法を出さざるを得ないという状況、しかも建設国債というものもただし書き条項ですから、原則としてはこの建設公債自体もただし書きのものであって本来のものではない。そういう状態が今日生まれてきているわけですね。これは大蔵大臣が穴があったら入りたいぐらいの責任を感じておると言われたのですが、私はそれくらいの反省は当然だし、当然国民に対してそういった気持ち、謝罪というものは大蔵全体としてあってしかるべきだと思うのですね。ということになりますと、逆に言うと財政運営の失敗というものあるいは三木内閣の見通しの誤りというものが今日のこの特例債というものを出さざるを得ないというところに来たわけですね。
御案内のとおり、政府の言うところではこの特例債というのは十年償還でありますから、後世代にツケを回すわけですね。この公債というのは、元金と金利について後世代の皆さんにツケを回すということになるわけですよ。そういうことになってまいりますと、一体そのツケはどういう形で将来の国民にツケを回すのか、もっと平たく言えばどういう形で償還をしてもらうのかということは、私はこの問題を審議する上で非常に重大な——財政運営の失敗を特例債という赤字公債で私たちは穴埋めせざるを得ない、しかもそれは多額に上っておる。それをわれわれ十年間かかって後世代の人たちにツケを回すということになりますと、一体国民に対してどういう形でツケを回すのかというのが償還計画でなければならぬと私は思うのです。
だからこの特例債は三条になっておって、三条に償還計画を国会に出せということが明記されておるのですね。この償還計画というのは赤字公債に対する一つの歯どめですよ。ところが、その償還計画を予算委員会で阿部委員が質問をした、質問をした結果出てきたものはただ単なる文章表現、三条項にわたって出されただけですね。これは償還計画でないのですよ、これは文章なんですね。いまの大蔵省では文章が償還計画だと思っておられるなら私は何をか言わんやだけれども、数字に明るい大蔵省の皆さんがこんな文章で償還計画でございますなどと言うのはあり得ないことだと思う。
予算委員会を通過した後の各大きな新聞社の社説をずっと——予算委員会が十四日間にわたって衆議院、参議院七日ずつ終わりましたが、何と書いてあったか。その赤字公債のところを抜粋いたしますと、「今日の財政危機問題の核心は、赤字国債を含む巨額の公債増発が、今年度の補正予算だけでなく、来年度以降も避けられない情勢にあることだ。とすれば、このような継続的な国債増発が果たしてインフレを招かぬかどうか、その安易な発行を防ぐ歯止めは一体なにか、」これは償還計画だ。「財政再建と国債償還計画は一体どうなっているのか」経済情勢がきわめて不透明なとき、財政再建の構想を出すのはむずかしいけれども、過去におけるデフレーターもある、あるいはいろいろな意味の学者その他のいろいろなチータが出されておる、そういったものを政策判断の一つの資料として、財政制度審議会がこうして予測したように財政計画を出すべきではないか。そのことを私は衆参の予算委員会が終わった後の各新聞社の社説に読み取ることができたのです。
そのことは逆に言うと、補正予算を審議した予算委員会ではこうした問題がきわめて安易に流れておるのだ。これは与党とか野党とかは別ですよ、後世代の国民にツケを回すわけですから。これから来年度、五十一年度の予算編成なりあるいは赤字公債発行の枠、そういったものについても、私はここに経済企画庁が出したいろいろな資料を持ってきておりますから、これでいろいろ議論を詰めてまいりますが、その前に一体大蔵省というのは償還計画というのをどう考えておるのか。こういう三行のただ単なる字句の羅列で、これで償還計画だ、国民が納得すると思っておられるのか。逆に言うと、そういう安易な考え方というのは、新聞というものが世論を代表しておるとすれば、ほとんどの社説が吐いておるように一体償還計画はどうなるのかということをもっとはっきりしてくれ、こう言って訴えておるのですね。
ということは、私はそのことを明らかにすることが予算委員会の一つの大きな目的でなければならぬと思うのです。だとするなら、もう予算委員会が済んでから相当の期間がたちましたが、なぜ償還計画を出さないのか。確かに経済が不透明だという困難な問題もあるでしょう。しかし、どこだって経済の見通しとかいうようなものは仮説の上に立って一つのものをつくり上げるのですよ。大蔵省には優秀な頭脳もある、コンピューターもある、そういったものを駆使してこういう場合、こういう場合、こいう場合ということの一つの仮定の上に立った数字を分析してみるべきだ。そしてそれをここに出してみるべきだ。償還計画はこうします、五十一年度はこう、五十二年度はこうだ、五十三年度はこうだということをなぜ出そうとしないのですか。われわれに一体何を審議せよというのですか、この大蔵委員会は。予算委員会と同じことをここで議論せよと求めるのか。私、そうじゃないと思う。この際、はっきりした償還計画を出してください。そういう償還計画を出すことが予算委員会の二番せんじにならない、国民の負託にこたえる与野党の務めだと私は思う。本委員会の務めだと思う。早くそのあれを出してください。予算委員会が過ぎてもう大分にたっております。社説は大蔵当局も読んでいるはずです。その償還計画を出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/26
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027・高橋元
○高橋(元)政府委員 御案内のとおり財政特例法の第三条で、四条債と同様に発行の総額の議決を得るのに際しまして公債の償還計画を提出すべしということを決めるようになっております。それに基づきまして、先般の補正予算の際に二兆二千九百億という特例債の発行限度額をお定めをいただいたわけでございますが、その際に償還計画表を提出いたしました。それは昭和五十年度に発行せらるべき二兆二千九百億円の特例債は全額昭和六十年度に償還をいたすということでございます。
六十年度に償還をいたします際に、最も特徴的なことといたしまして、今回の特例債につきましては四条公債と性質を異にいたしておりますという点に着目いたしまして、国債整理基金特別会計法五条に決めております借りかえを行わないということにいたしております。五条による借りかえを行わないといたしますと、毎年度前年度首の国債総額の一・六%を繰り入れるいわゆる定率繰り入れ、それから剰余金の二分の一を繰り入れますところの剰余金の二分の一繰り入れ、それと予算の繰り入れと、三本で償還財源として昭和六十年までにこの公債の償還を完全に行うことになるわけでございますが、その点につきまして予算委員会での御審議がございましたので、先ほど松浦先生からお話のございましたように補足説明の資料といたしまして、その際に二分の一の剰余金の繰り入れにつきましては特例債償還まではその金額を繰り入れる、予算繰り入れにつきましては、特例公債に依存しない財政を実現した後に、昭和六十年度に特例債を円滑に現金償還できるよう、これを行う考えであるという旨を明らかにいたしまして、この公債に対する大蔵省の償還の姿勢というものをお答えをいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/27
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028・松浦利尚
○松浦(利)委員 これは文章の羅列ですね。私も持っておるのです。これはただ単なる文章の羅列ですよ。さっきから言うように、なぜもっとはっきりした数字的なものを出さないのですか。たとえば今度の歳入欠陥の後遺症が何年続くのか、一体健全財政に到達するのはいつなのか、名目成長率が何%のときに歳入と歳出がバランスするのか、そういったことはわかるでしょう。現実にあなた、学者やらそれぞれの経済団体がやっておるわけだ。銀行なんかでもやっているのです。大蔵省がなぜできないのですか。こんなことで私たちに審議してくださいと言ったって審議できないじゃないですか。出されたデータについて具体的に議論をしていくのが本当じゃありませんか。抽象的にただあなたが言ったような形で、今度出されたような形でこれが償還計画でございますということなら、全くこんな簡単なことはない。赤字ですから赤字公債出します、来年も特例債出します、再来年も特例債出します。一体いつまで特例債出すのか。健全財政になったときに云々、剰余金が出たときの云々、それはいつなのか。国民は全くそんなことはわからないのです。財政当局としての見通しが出されておらない償還計画なんというのは、これは償還計画じゃないでしょう。私が言っていることは間違いですか。あなただって予算委員会が済んだ後の社説は読んだはずなんです。各新聞の社説を読んでごらんなさい。十四日間の予算委員会の議論を通じて大変問題だという指摘が出されておる。それに答えるのがこの大蔵委員会じゃないですか。これだけならもう予算委員会で終わりですよ、はっきり言うなら。出してくださいよ。これは与野党を通じて出してもらわなければ困るだろうと思うのです。与党だって将来のあれに対して責任を持つわけだからね。それじゃ大蔵大臣、出してください。それは出そうと思えば出せるのです。現実に大蔵当局がすでにそういうことの作業もしているんだ。作業をしておらなければこんなこと言わない。作業をしているのだ。出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/28
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029・大平正芳
○大平国務大臣 償還計画というのは、五十年度に発行いたしまする特例債は十年満期でございますので六十年に償還いたします、そしてそれは借りかえをいたしませんで、その間に特別会計に積み立てられたお金で償還いたしますということでございまして、あなたの言われる償還計画というのは、これは分割発行いたしませんのでそういうことしか書きようがないわけでございます。ただ、松浦さんがおっしゃる意味は償還財源を年度別に計画的に提示しろというのがあなたが言う償還計画じゃないかと思うのですが、償還計画というのはそこにちようど予算書に書いてある以外に書きようがないのです、事務的には。
そこで、問題は償還財源を年度別に、いつごろ特例債から脱却できるか、そしてそれから毎年どういうように積み立てていくかという数字を出せということでございますが、それはまさにこれから後年度の、六十年までの財政計画を出せということなんでございます。これは容易ならぬことでございまして、一研究機関あるいは民間の調査機関なんかが試みにやることはいろいろできるかもしれませんけれども、政府としてそれをやるとなりまして、それを権威のある国会に出すとなりますと、これは大変な作業になってまいるわけでございますので、私が本会議でもお答え申し上げましたように、余りにも不確定要素が多いので、いま財政計画を御提示申し上げる自信はございません。何となれば、私が冒頭申し上げましたように、国会に対してはわれわれは真剣に対処しなければいかぬわけで、非常にきれいな数字をいろいろもっともらしくまとめて出すというようなことはいけないので、これについて政府が責任を持てる数字なんでございまして、責任を持てる数字というものを年度別に六十年度までの財政計画をいま政府でつくってここで提示しなければいけない、こうおっしゃられても、これは神様でなければできない仕事です。
そこで私ども精いっぱい考えまして、この間阿部さんの御質疑に答えて、こういうことでいま財政計画全体、財政政策の、捨て身の財政計画はこういう計画で当たるのです、それで償還財源に事欠かないように私ども努力しますということを国会に誓いを立てているわけでございますから、政府を御信頼いただきたいと私は思うのでございまして、償還財源計画を年次別にやれということは、即六十年度までの財政計画をここに出してひとつ審議を求めるべきじゃないかということは余りに過大な期待、政府に対して過大な御要請じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/29
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030・松浦利尚
○松浦(利)委員 いま非常にむずかしいと言われたけれども、むずかしいことはわかっているのですよ。そういうむずかしいことをしなければならないほど赤字公債の発行というのは重大なんですよ。大福帳的に赤字だから埋めればいいという問題じゃない。それほど重大な問題なんですよ、あなたがいまいみじくも言ったように。そういう安易なものを安易な形で出されたのでは困るのです。だからこそ、重要だからそういうものをぴしゃっと出しなさいよ。それが歯どめなんですよ。そのことがどれだけ国民に理解を得るか、それがどれだけ国民の皆さんたちの赤字公債に対する信用度を増すかということなんです、仮に一歩譲って赤字公債を発行するとしても。それだけの裏づけがなければならぬはずなんだ、それほど赤字公債というのは特例債、特に財政法四条で認められておらない——本当は認められておらぬのですよ。それを特例債というかっこうで法律までつくって出さざるを得ない。この財政法というのは大蔵大臣はもう全くの専門家ですから、われわれは素人ですけれども、あの戦争中の公債乱発というものの反省から財政法第四条、第五条というものが日本の場合は非常に厳しくされておる、そうでしょう、そのことを越えて特例債を発行するというのだから、むずかしくたってやるべきですよ。むずかしいから出しません、政府を信用してくださいと言ったって、信用する人としない人がおるわけでしょう、国民全体のコンセンサスを得ることはできませんよ。出そうと思えば出せる。
私がさっきから言っておるように、そんなに正確なものを要求しておらないでしょう、あらゆるケースを予想してやればいい、それでなければできないじゃないですか。一体正常に戻るのはいつですかと言ったってわからないでしょう。一体バランスするのはいつか、歳入歳出がバランスするのは何年度に置いておりますか、剰余金が出るのは何年からですか、そういうことを質問したって計画がないのだから答えられぬでしょう。何を審議せよと言っているのですか。名目成長率が何%になれば歳入と歳出がバランスしますか、名目成長率を一体何%と見ているのですか、そういうことをあなた方は議論できないでしょう。(発言する者あり)大切なんですよ。何だ。つまらぬやじを言うのは出ていけよ。私はここでもっとはっきりしてもらいたいと思うのだ。私の質問がつまらぬなら、定数を割ってもいいから出ていってください。答えてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/30
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031・大平正芳
○大平国務大臣 松浦さんの言われる御趣旨はよくわかるのですよ。そういうことができて、そして権威ある数字を基礎にいたしまして毎年度の償還が国民に手に取るようにわかる状態にすべきであるということは当然の御要求でもあるし、私もそういたしたいと思います。思いますけれども、先ほど申しましたように、その数字は国会に出す数字でございますし、政府が出す数字でございますので、これに対してはその根拠に六十年度までの財政計画というものが裏づけになっていなければならぬわけでございます。いま私ども五十一年度の予算の概算要求を受けまして鋭意いま査定をいたしておるところでございまして、正直に申しまして五十一年度にどれだけの公債、とりわけ特例債をお願いしなければならぬか自体が、まだ全然検討がつかない状況なんでございます。
しかしながら、松浦さんおっしゃるとおりこれは異例中のものでございますから、当分過渡期間、この財政で特例債をお願いいたして、経済の立ち直りを助けるにいたしましても、この発行は漸次逓減いたしまして早く脱却したい。それから、それの返済についてのもくろみを立ててまいりたい。財政当局がその点について一番熱心に考えておると私は思うのでございますので、先ほどこの前に予算委員会で阿部先生にお示しいたしましたラインで、これがこれからの財政政策運営のわれわれの体当たりの一番真剣な姿勢でございますということで、それ以上いま求められましてもそれは大変至難なことでございますので、政府を御信頼いただけますまいかというのが、いまの御相談でございますが、どうしてもそれがいけないということでございますならば、これはえらいことになるのですがね。六十年までの財政計画をつくれと言ってもそれはちょっと手に負えない仕事になってくるのでございますが……(「返ってくるかこないかわからない」と呼ぶ者あり)いや、私どもも予算委員会を通じまして国会に誓いましたこと、お約束いたしましたことにたがうことはできないわけでございまして、背水の陣をしいてお約束いたしたことでございますので、これでここに財政政策の運営を傾注してまいって、六十年に償還できる状況に何としても持っていかなければ政府がもたぬわけでございますので、そこまでは御信頼——それは御信頼の問題だと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/31
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032・松浦利尚
○松浦(利)委員 後世代の国民が負担をしなければならない。三木内閣がかわっておるかもしれない。一遍出した赤字公債は、ずっと責任を持たなければいけないですね、後代の政府が。だから、こういう文章ではなくて、私はさっきから言うように、正確なものでなくてもいい。経済成長云々と言われたけれども、経済企画庁の試算によれば、五十年代前半は六%強、後半は五%強、なべて六%、こういうことで作業に入っているでしょう、五十年代の経済見通しについては。設備投資の計画についても一つの方向が出されておるでしょう。いいですか、低成長下における福祉の見通しについても、経済企画庁ではすでに見通しを出されておりますよ。こういうものを全部駆使していけばいいじゃないですか。経済企画庁によれば、何%が大体収入支出のバランスの名目成長の接点である、そんなことは全部出されているのですよ。私が言うのは、具体的な数字でなくてもいいのだ。そういう見通しをはっきりすればいい。だからこそこうなるのだ、何年からはこうなる、何年からは財源が出てくる、償還に入ります、ずっとぴしっとしてくるのですよ。そういうものが出されなければ審議できないですよ。もっとまじめにやりましょうよ。議員の方がまじめで、政府の方がふまじめだよ。だめです、審議できぬです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/32
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033・佐上武弘
○佐上政府委員 お答え申し上げます。
いま先生御指摘の、経済審議会でその審議会の部会の研究グループが、確かに低成長下における福祉のあり方あるいは日本の潜在成長力はどうかという全く非公式な作業をいたしておりますことは事実でございます。しかしながら、これはいわば一種のたたき台の作業でございまして、それを五十年度のプロジェクションとして具体的に作業いたしますのは、まさに経済審議会がこの九月から作業に入っているところでございまして、いま御指摘のように、では五十年代前半何%だという数字は定量的にはまだ決まっておらない段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/33
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034・松浦利尚
○松浦(利)委員 私は、決めたとか決めぬとか、六十年までのびしっとしたものを出せとさっきから言っていないでしょう。ドイツだって、五カ年の財政計画は出すけれども、その財政計画は毎年見直すでしょう。毎年毎年変更するんだよ、五カ年計画なんというのは。あなた方は正確なもの、正確なものと言って、結果的には出さないわけなんです。今度の赤字公債の発行の経過を見ても、正確なものが出る、出る、出る、出るまで待たしておいて、ぱっと二兆二千九百億でしょう。そういうことにならないようにしてもらいたいと言っているのですよ。だから、あなたが言えば言うほど混乱するから、もういいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/34
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035・上村千一郎
○上村委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
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午後一時十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/35
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036・上村千一郎
○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、政府当局に申し上げます。
向こう十カ年間の財政見通しを責任ある数字をもって説明することは困難である旨答弁されておりますが、今回の特例公債を十年間に償還するためにどのような問題点があるかについての政府の基本的考え方を、率直に答弁の中で示していただきたいと存じます。
質疑を続行いたします。松浦利尚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/36
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037・松浦利尚
○松浦(利)委員 いま委員長がお読み上げになられたのですが、率直にひとつ答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/37
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038・大平正芳
○大平国務大臣 今回の補正予算におきまして多額の特例公債を発行せざるを得なくなりました背景を考えてみますと、これは先進各国に共通の問題であるようにも思います。すなわち、四十八年秋の石油危機を契機といたしまして諸物価の高騰、これに対しましてとられました総需要抑制策、その結果生じた経済活動の停滞に伴う大幅な歳入の落ち込み等によりまして、いずれも巨額の財政赤字に直面いたしておるのが先進各国の実情でございます。わが国もその例外ではなく、三兆八千七百九十億円を見込まれる多額の税収不足を生じ、三兆四千八百億円の公債の増発をせざるを得ない状況になりましたことは御案内のとおりでございます。
他方、財政はこのような状況のもとにおきましても、生活水準の向上、福祉の充実等増大する国民のニーズにこたえて、その役割りを着実に果たしていかなければなりませんけれども、さりとてその財源の多くを安易に公債に依存することは適当でないことは御指摘のとおりでございます。
もとより財政は経済の反映でありますとともに、財政の健全な運営は国民生活の向上と経済の安定的な発展の基盤でありますので、できるだけ早く特例公債に依存しない堅実な財政に復帰しなければならないと私は痛感いたしておるところでございます。特例公債に依存しない財政にできるだけ早く復帰すべきこと、やむを得ず特例公債を発行する場合には、その確実な償還を可能にするため長期的展望を持った財政運営の方針が必要であること等の諸点は、御指摘のとおりでございまして、私も全く同感でございます。
御質問は、財政再建について具体的にどのような措置をどのようなスケジュールで考えてまいるかという御趣旨であると思いますが、私は、まずできるだけ早く特例公債に依存しない財政に復帰することが肝要であり、そのためには毎年度の予算編成において経費の合理化、効率化、社会保険料、受益者負担の適正化、租税負担の見直し等を着実に実行してまいることが必要であると考えております。そして、特例公債依存から脱却した後におきましてもこのような厳しい財政運営を継続してまいることにより、満期までに特例公債を確実に償還したいと考えております。
そこで、五十一年度予算の編成に際しましては、既定の制度、経費の洗い直しを行うことはもちろんでありますが、新規の政策は原則として認めず、やむを得ない場合にも既存のものとのスクラップ・アンド・ビルドにより対処すること等によりまして、一般的な経費については前年度予算同額主義をとるぐらいの強い態度で臨みますとともに、歳入面におきましても、当面は政策税制の全面的な再検討を行うことを重点に考えますけれども、新規財源の検討にも着手することとし財政再建の第一歩を踏み出したいと考えております。
今後のわが国経済の動向及びその中における財政の状況を考えてみた場合に、一般的な増税が必要となる時期が近い将来に来るのではないかと考えております。その場合、わが国の租税体系上すでにかなりの水準に達しておりまする直接税にさらに依存するか、新たに一般消費税を含む間接税の充実を考えるかにつきましては、慎重かつ真剣な検討が必要であると思いまするし、その検討にとりかかるべき時期に来ておるのではないかと考えておりますが、いずれにしても国民の負担に重大な影響をもたらすものでありますので、今後税制調査会において十分御審議を願いたいと考えております。
具体的な減債計画の内容及びその裏づけとしての財政収支の状況を示すことにつきましては、長期間にわたる経済成長の推移あるいは租税収入の見込み等、多くの想定を置かなければなりませんが、現在のような経済状況のもとで長期的な見通しを行い、それに基づいた想定を行いますためには、不確定要素が余りにも多く、さらに、財政と経済とは相互に関連し合っておるものでございますから、歳出あるいは租税収入のあり方等について一義的に想定を置くことには問題が非常に多いと思います。したがってそのことは非常に困難であると思います。
以上のとおり、十年間の長期にわたる具体的年次計画を示すことは困難でありますけれども、前に申し上げましたような財政収支の改善対策を全力を挙げて推進してまいる決意でございます。必ずや期限内に特例債の償還を行い得るものと私は確信いたしております。今回の公債発行は財政法第四条の改正というのではなく、あくまでも臨時例外の特別措置としたこと、借りかえを行わず満期までに償還することにしたことは、政府のそういった決意を示したものでございますので、何とぞ御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/38
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039・松浦利尚
○松浦(利)委員 ただいま私の質問に対して答弁できない問題点をいろいろと説明されたわけでありますが、そういう問題点のあることは理解をいたします。
そこで一つ二つ具体的に御質問をしたいと思うのでありますが、今度の昭和五十年度の特例債を発行しなければならぬという事態、このことは相当長期間にわたってそのひずみが残るというふうに私は理解をするわけです。
そこで具体的にお尋ねをするのですが、特例債によらざる歳入歳出のバランスができる時期は何年だというふうに見ておられるわけでありますか。いま抽象的に努力する、こう言われたのですが、少なくとも政策目標をいろいろな意味で掲げながら特例債によらざる健全財政になるのはいつか、そのタイムリミットは大蔵省としては一体昭和何年というふうに見ておられるのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/39
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040・高橋元
○高橋(元)政府委員 国債の発行は、必要な歳出と、それからそれを賄いますに必要な歳入との差額でございます。したがいまして、ただいま大臣からもお答えいたしましたように、今後歳出の増加を極力切り詰めてまいる。その内容の洗い直し、効率化を図ってまいる、これは当然のことでございますが、それが四条の建設公債だけで賄い得るか、さらに特例債の発行を必要とするかという面の検討になりますと、経済の回復がいかように進むか、それに伴って税収がどういうふうに増加してまいるかということの見通しをつけなければ、これは何年度からという確たることは申し上げられないわけでございます。大臣から、できるだけ早く特例債に依存する体制から脱却したいという御決意がありましたけれども、その具体的な年度がいつになるかということにつきましては、いまのところ、今後の経済の見通しとも関連してはっきりした年度を申し上げることはできないわけでございますが、繰り返しになりますけれども、大臣から申し上げたように、できるだけ早くそういう時期が参ることを私どもとしても考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/40
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041・松浦利尚
○松浦(利)委員 私は、午前中の質問を改めて具体的に聞いておるのです。だから大臣の言われたことを理解しておるのです。しかし、のんべんだらりじゃないでしょう。のんべんだらりとやっておったんじゃ、これはいつまでたったって、歳出をふくらます要求というのは無数にあるわけだから、それに一々こたえておれば歳入歳出のバランスは崩れるわけでしょう。あなたがいま言っておることは、逆に言うとインフレを助長することにもなりかねないのですよ。要するに歳出の方から議論をしていって、歳入の不足分は赤字特例債を出していけばいいという発想に通じてしまうんだ、あなたが言うことを簡単に言えば。ざあっと歳出を並べてみて、歳出総額はこれだけ、これだけは絶対必要だ、そうなれば、歳入はこれだけしかないからその差額は第四条債によらざる特例債を発行すればいいじゃないかということで、歯どめがなくなるわけです。
だから、少なくともあなたが言うように近い時期に、必ずというふうに大臣もさっきから言っておられれるのだから、近い時期に必ずという期待可能性でもいい。目標は一体どこに置いているのか。そういう目標がなければずるずるといつまでたったって特例債に依存するんだから、逆に言うと、どんどん毎年毎年特例債に依存していけば第四条の歯どめなんというのはなくなるわけだ、はっきり言うと。そんな単純なものではわれわれは納得できませんよ。大臣の言われた大まかなことは了解しました。だから大まかに聞いておるわけです。それじゃいつごろを目標にして歳入歳出がバランスするように努力なさるのか、その目標年次はいつか、これくらいははっきりしておらぬと困るですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/41
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042・高橋元
○高橋(元)政府委員 繰り返すようでございますが、五十一年度の経済を考えてみますと、歳入の回復が十分でないであろう、また経済の成長もまだ本格的になってこないであろう、そういうことを考えまして、われわれができるだけ歳出の規模を切り詰めてまいるといたしましても、なお五十一年度は特例債を出さざるを得ない事態があるのではないか。これは前の国会の答弁でもお答えがあるとおりでございます。五十二年度以降できるだけ早く特例債依存の体制から脱却していくべきことは当然でございまして、私どもはそのように努力をいたしてまいるということを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/42
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043・松浦利尚
○松浦(利)委員 それじゃ五十二年度目標ですね。五十二年度を目標にして、五十二年度からは特例債によらざる予算編成をする。そういう目標に向かって五十一年度だけは特例債というふうに理解していいですね、そういう目標だと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/43
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044・大平正芳
○大平国務大臣 いま事務当局からお答え申し上げましたように、五十一年度は経済の回復がまだ十分でなかろう。とりわけ、経済の回復が若干ございましても、歳入へのそれらの反映について時間的なずれがありますことは松浦さん御案内のとおりでございますので、明年度は、非常に残念ながら特例債に依然として依存しなければならないのではないかと私は考えております。しかし、五十二年度においてまでその状態を続けてまいるというわけにはまいらぬと思うのでありまして、五十二年度以降特例債の発行は、少なくとも減らすという方向に財政政策はとってまいらなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/44
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045・松浦利尚
○松浦(利)委員 いや、五十二年度は特例債を減らすということは、特例債に依存するということと変わらないですね。同意語ですね、依存率が減るだけですから。そうすると五十三年、最大公約数として五十三年、こういうふうに理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/45
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046・大平正芳
○大平国務大臣 五十二年度以降、相当のテンポで特例債の発行額を減らしてまいりまして、脱却の日を速やかに迎えたいというのがいまの私の決意なのでございまして、五十二年度から特例債から脱却するところまでの自信はまだ私についておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/46
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047・松浦利尚
○松浦(利)委員 結局はっきりわからぬわけですが、それは将来のことだからわからないことはいいですよ。しかし決意はいつなんですか。五十一年はもうはっきりしています。五十二年もむずかしい。そうしたら五十三年ですか、決意は。減らすということはわかりますよ。しかし、特例債によらざる年度はいっか。どこまでにするという、決意は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/47
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048・大平正芳
○大平国務大臣 できるだけ早くと申し上げておるわけでございまして、何年度からということを具体的にお答えできる自信がまだないわけでございますが、これはもうだれよりも早くしたいのです。だれの希望よりも早くしたい希望において私は人後に落ちないわけでございますけれども、国会に対する答弁でございますから軽率には答弁できませんので、できるだけ早くというところで御信頼をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/48
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049・松浦利尚
○松浦(利)委員 何よりも何よりも早くという、流行歌の題名みたいなその気持ちはわかりますけれども、やはり政策を立てる者は一定の目標というものが必要じゃないですか、抽象的にできるだけ早くということではなく。だから今度質問をしたときに、たとえば仮に五十五年ということになった場合でも、いや、それはできるだけ早くやって五十五年でしたという言い逃れもできるのですね。だから私は、あなたがここで答弁したからそのことをどうだこうだと言うつもりはないのです。しかし、特例債の依存から脱却するのは何年度という明確な方針を立てておかないと、政策がルーズになるのですよ。だから、そういう意味では大臣の言われる抽象的なことで本当は了解をしたいのだけれども、やはり事が特例債依存という財政法によらざるきわめて重要な問題だから、そういう決意までも抽象的に歪曲化してはいかぬと思うのです。大平内閣になっておるかもしれぬですよ。やはり政治家としては、抽象的な表現じゃなくて何年、こういうふうに方針というものはぴちっとしておくべきだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/49
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050・大平正芳
○大平国務大臣 再度申し上げて恐縮でございますけれども、五十二年以降、特例債からの脱却をできるだけ早く迎えなければならぬと存じておるわけでございます。何年から明らかに脱却するかということにつきまして、政府はもちろん腹づもりを持ってかからなければいかぬわけでございますけれども、国会に対しましてお約束をするというにつきましては、私は慎重でなければならぬと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/50
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051・松浦利尚
○松浦(利)委員 私はそのことを国会に対してどうだこうだということじゃないのですよ。目標というのは変わるわけですよ。昭和五十年度のバックグラウンドになった経済指標だって補正予算を出すときに大幅に変えたわけだから、そのことに対して国会に対する責任がどうだこうだと私たちは言うけれども、あなた方はそういうことに対して責任の「せ」の字も感じたことはないのだから、何もこだわる必要はないと私は思うのです。目標は何年かとこう聞いておるのですから、これを目標にして努力をいたしますということぐらいも言えないのですか。そのことが達成できなかったからけしからぬというようなことは——これは目標ですからね、逆に言うと、そのあなたがいろいろ言っておられる償還に対する決意、この償還計画ですね、場合によると決意になるかもしれないのです。十年間に完全に返しますと言ってみたって、経済の状況の変化というのが起こってきたときにはどうにもならないわけでしょう、幾ら言ってみたって十年先のことはわからぬと、こう言うのだから。そうじゃなくて、作業をする場合に、目標設定というものがぴしっとなければ、作業にも入れないし、政策目標も達せられぬじゃないですか。だからその目標として何年からということぐらいまでもなぜ言えないのでしょうか。そのことについて、私たちは、国会に言ったから、守られなかったからけしからぬと言うつもりはありませんよ。現に私たちは、経済指標が変わったことに対してだって、別段、問題にはするけれども、どうだこうだという責任追及はないでしょう。責任をとったという話も聞かない。そういうことも言えないのでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/51
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052・大平正芳
○大平国務大臣 松浦さんにお言葉を返して非常に恐縮ですけれども、私としては、精いっぱい政府を信頼してほしいということを申し上げているのです。
たとえば会社が事業債を発行する場合でも、三年据え置きであと七年間に分割払いいたしますとかということでございます。そういうことは債券の裏に書いてございまして、あなたの言われる償還計画でございますね。ところが日本の政府の場合は、国債というのは分割発行していませんので、六十年に満期、十年満期の公債を出すわけでございますので、十年たてば現金償還いたします、借りかえはいたしません、こういうことを言っておるわけでございます。しかし会社の場合、事業計画、社債を発行する場合に、年次的にその会社の収益状況はどうである、収入はどうあって、益金がどうあって、準備金がどのように引き当てられてなんという計画をだれも求めていないと思うのです。やはりその会社に対する信用でみんなが社債を求めておられると思うのであります。
私は、最高の信用は政府が持っておると思うのです。日本の政府は国内ばかりでなく、世界的に一番信用の高い政府なんでございます。したがって、政府が約束をいたしたことに対して、政府は御信頼をいただきたい、こういうことで一番権威のある国会に、政府が責任を持っておる国会に対しまして、六十年に満期の十年債を払うのでございますということをお約束しているのでございますから、それを信用ならぬなんということで、それで毎年毎年の財政計画を出さぬと、これはどういう腹づもりでこれを払っていくのだなんということまで、私は、それは多少あなたの御無理じゃないか。つまりこれは……(松浦(利)委員「そんなこと聞いておらぬですよ。ちょっと大臣の言葉を中断して悪いですけれども、質問に答えておらぬ」と呼ぶ)いや、その点は私が先ほど断ったように、政府を御信頼いただきたいというのはそういう趣旨で申し上げておるのでございますということなんです。
そこで、第二にあなたの言われる、しかし政府の心構えとして、それではいつから特例債を脱却できるかということでございますが、これは私としては、昭和五十二年からは特例債をどうあっても減らす決意で財政運営に当たらなければいかぬという気持ちでおるというのがいま精いっぱい言えることでございまして、何年から完全に特例債から脱却できるということをお約束する自信はまだございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/52
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053・松浦利尚
○松浦(利)委員 大臣、私の言うことを誤解してもらっちゃ困るのですよ。午前中に言ったことは当然なことだけれども、一歩譲って、委員長の仲裁ですから、委員長の言われたことに従って、困難なことは認めたわけです。困難なことを認めたから、それでは区切りとしていつが目標なんですかということをお尋ねしておるだけなんです。しかし、あなたは五十二年以降は減らしたいということだけであって、特例債に依存する年次を脱却するのはいつかということは明示されておらないのですよ、全然、ここでいま。五十二年からは減らしたいということだけを言っておられる。そのことだけを言っておられるわけですよ。その点の、私は年次がいつから脱却するのかということをはっきりしてくれということを申し上げておるだけなんです。だから、一つも政府を困らすようなつもりで言っておるわけじゃないのですよ。いや、それもむずかしいですと言われるなら、そう言われればいいのですよ。五十二年以降減らしますなどと言われずに、やはりもうむずかしくて、いつ脱却できるかわかりませんならわかりませんと、はっきり言われればいいのです。それをわかったようなわからぬような抽象的な表現をされるから困る。いつ脱却できるかわかりませんということを国民にはっきり言われればそれでいいわけですよ。言葉が非常にあいまいなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/53
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054・大平正芳
○大平国務大臣 予算委員会でも申し上げたとおり、なるべく早く特例公債の依存から脱却したい、それが政府の財政運営の基本の方針でございますということでございます。それで、きょうさらに松浦さんから、それはいつごろから脱却するかの具体的な年次を示せということでございますので、それはあくまでも基本に財政計画というものを踏まえなければお答えできない相談でございますのでお答えできませんけれども、私は財政当局者といたしまして、五十二年度からは少なくとも特例債を減らす決意で財政運営に当たりますと言う以上にお答えできないことをお許しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/54
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055・武藤山治
○武藤(山)委員 関連で。
大臣、いま松浦さんがなぜここの問題にかなり時間がかかっているかというと、国民が一番心配しているのは、ことし赤字国債を発行した。来年も発行する。いまの大臣の答弁では再来年も、率は違うだろうがやはり赤字国債にいかざるを得ないような感じですわね。仮に三年間赤字国債を発行したとする。国民が知りたいのは、その合計が幾らになるだろうか、大体五兆円か六兆円ぐらいになるだろう、その六兆円ぐらいの赤字国債を十年間で返すとすれば、どういう方法で返せるのだろうかと、国民はだれもそれを聞きたいですよ。だれも心配していますよ、それを。十年間のサイトというと、たとえば六十年には返すのだとなると、三年赤字国債を発行したとすると、七年間で十兆円をかせぎ出す。そうなったときには、少なくとも七年間でかせぎ出すとすれば、もう五十三年から七千億円ずつ毎年積み立てをしておく。もしこれが残り八年間で返すとなると六千億円ずつ毎年積み立てをしておくのだ。そして昭和六十年になれば国民の皆さん、心配ないように返せるのですよと。そのためには、いまの単年度主義ではそれができないのでございます。したがって、自民党政府は単年度主義もこのように五十二、三年ごろからは変革をして、皆さんに心配ないような手当てができる資金がためられるようなことも考えております。同時に、その七千億円の年々の返済金を積み立てる財源としては次のような税目を考えております。だから、国民よ安心してくれ、そういうことを大臣が言わなければ、証文なしでもって安心した国債消化なんかできますか。
なぜそんなことを言うかというと、現に過去の国債はしなかったのですよ。私、この次にこれを質問するときは過去の国債を持ってきて見せますが三百円の国債を昭和十四年に買って楽しみにしていたのが、全部ポツダム政令とかポツダム勅令とかといってパアになっちゃったでしょう、かなりの部分が。そういうようなものを、一回苦々しい経験を国民にも与えているのだから、どうしても十年後には確実に返せるのだ、なるほどなという青写真をここで松浦さんに答えなければ、大臣、大臣の役目がそれでは務まらないんじゃないですか。そういう常識的なことを総合的に答えてやらぬと。だから納得できないでしょう。
ぼくらもいま聞いていても大臣、速やかになるべく早くと言ったって、十年というサイトはもう決まっているんでしょう。十年で借りかえしないで返すというんだから。だとすれば、内部でやれることはこういうことしかないということを、先ほど私が申し上げたようなことを言う以外にないんじゃないですか。それが親切な答弁じゃないのでしょうか。もうちょっと親切に答弁してやってくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/55
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056・大平正芳
○大平国務大臣 国債を買い求められる国民に対しまして政府を御信頼いただきたい。社債や金融債をお求めになる場合でも、銀行とか会社についていま武藤さんや松浦さんが言われるような将来の複数年度にわたっての会社の収益状況、銀行の収益状況まで投資家は求めていないと私は思うのです。そして国債は最高の信用を持っておりまして、一番安い利回りで消化をお願いしておるわけなのでございまして、その点につきまして私は国民は御信頼いただけておると思いますし、海外におきましても日本の国債を持ちたいという方々が多いわけでございますので、その点は心配ないと思いますが、あなたがいま言われることを聞いておりますと、一国民として日本の財政の将来はどうなるのかという一つの政治的な評価についての、財政政策についての展望というものをはっきりさせるべき政治的責任がおまえにあるじゃないか、こういうことですね。国債政策というよりももっと話がでかいんじゃないか、私が聞いておりますと、こう思いますが、それにつきましては先ほど申しましたように大変不確定要素が多いわけでございますので、いまは的確にはお答えはできないが、歳出歳入両面にわたりまして政府としては財政運営についてはこういう指針をもって当たるつもりでございます、しかし内外の状況が不安定な状況でございますので、不確定要素が多いときでございますので、数字的に財政計画を示す、展望を示すということはいかにももう気が遠くなるようなむずかしい仕事でございます、したがってそれは勘弁してください。しかし政府が財政運営の将来の指針としてこう心得ておりますということは、先ほど松浦委員にお答えしたのが精いっぱいの財政当局のお答えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/56
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057・松浦利尚
○松浦(利)委員 精いっぱい答えられてそこまでならわれわれも非常に危惧するのですけれども、それ以上ここで議論をしておっても仕方がありませんのでお尋ねしますが、五十二年度から仮に公債を減らすように努力をしていくという場合に三つのことが私は想定されると思うのです。
一つは、歳出を具体的に整理をしていくという問題。もう一つは新税その他をもって歳入増を図るという問題があります。それからもう一つの問題は、公債依存という問題が出てくるのですが、五十二年度からこの公債依存というものを外すということになれば、最終的に、いま経済企画庁が試算をしておる五十年代の経済見通しとしては、前半七%、後半五%、地ならしして六%というのが大体コンスタントなこれからの経済成長見通しということなんですね。そうすると、それを受けて具体的にこれから公債依存率を減らすための作業としては、歳出を減らす、歳入をふやすというもののいずれにウエートをかけるのですか。このいずれにウエートをかけるお考えでおるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/57
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058・大平正芳
○大平国務大臣 先ほどあなたに対するお答えにも申し上げたとおり、歳出面におきましては非常に厳しい選択をいたす決意でおります。経費の節減、合理化を徹底いたすばかりでなく、定員、機構の管理につきましても、従来もいろいろやってまいりましたけれども、より一層厳しい態度で臨まなければならぬと考えておりますが、歳出はそこそこにしておいて歳入をふやすなんということでなくて、両方とも厳しくいかなければならぬのが財政の当然の姿勢でなければならぬと思います。それから公共料金につきましても社会保険料につきましても合理的に見直さしていただかなければならぬのじゃないかと考えておりますし、新規の要求につきましては、この間予算委員会でもお答えいたしましたとおり、まずスクラップ・アンド・ビルドで処理していただけますまいかと各省庁にお願いをしなければならぬと考えておりまして、原則として新規の要求はお認めするわけにいかぬという厳しい態度で臨まざるを得ないと考えております。
歳入につきましては先ほど申しましたように、いま税制調査会には租税特別措置を中心に洗い直し、見直しをお願いいたしておりますし、租税の負担率がどれだけが適正かという点につきまして具体的な検討をいまお願いいたしておるわけでございます。したがって来年直接税または間接税につきまして、こういう新税を起こして増税を考えるというようなことをいま私は計画を持っているわけではございませんで、そういう税制の不合理なものがまだいまの税制面にあるかないか、これを十分洗い直すということが第一。そうして、今度の税の負担率はどういうところが適正であるべきか、諸外国に比較いたしまして相対的にいま低い状況であることはあなたも御案内のとおりでありますけれども、日本の場合どの程度が適正であるべきかという御検討をいまいただいておるわけでございまして、そういったものを踏まえて五十一年度は本格的に税制を見直していくということにかからなければならぬのではないかと思っております。
したがって、歳入歳出両面にわたって非常に厳しい姿勢で臨まなければならない。五十一年度はそういう意味で歳入面につきましては次のステップの周到な地ならしの年である、そのようにしたい。何となれば、先ほども申しましたように来年はまだ大きな増税をお願いするような経済ではないのではないかというように私ども見ておりますので、次の段階の歳入経済を考える場合の準備段階の年にいたしたいという心組みでいま租税特別措置法と負担率について税制調査会の御審議を願っておるというのがいまの実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/58
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059・松浦利尚
○松浦(利)委員 これは経済企画庁で議論をしておる内容ですけれども、大体名目成長率が一七%程度であれば財政のバランスは回復できる。逆に名目成長率が一一%ないし一二%程度であれば歳入の中心である法人税というものは九%から一〇%程度にしかならない。ですから歳出の伸び、財政の伸びを二二%ぐらいに落ちつけても赤字というものはどうしても続いていく。ですから、何と言っても名目成長を大体一五%成長というところに持っていかなければ、どんなに新税を持ち込んできても財政のバランスというものは償えないのだというふうに言っておる試算が出されておるのです。これはまだ正式に発表にはなっておらぬ内容ですけれども。そうすると、大体この一五%ラインというものについては大蔵大臣認められますか。名目成長一五%ライン、減増税を行わないということを前提にしてですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/59
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060・佐上武弘
○佐上政府委員 お答え申し上げます。
ただいまのところ、経済審議会が五十一年度を初年度といたしまして五年間の中期経済計画の策定作業を急いでおりますが、いま先生の御指摘になりました経済のフレーム及び財政のフレームにつきましては、私は今日に至るまでそういう数字を具体的に相談を受けたことがございませんので、実はお答えをする立場にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/60
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061・松浦利尚
○松浦(利)委員 これは出ておらぬのだから、いま議論されて表になっておらぬのだから、こういうふうに言われておるが、大蔵省の考え方はどうなんですかと聞いておるのです。いやそういうこともわれわれは関知しない。そんなことも研究しておらぬわけですか。研究しておらぬければ研究しておらぬと言えばいいですよ。何もしておらぬければ何もしておらぬと言えばいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/61
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062・大倉眞隆
○大倉政府委員 ただいま佐上審議官が申しましたように、企画庁から、この数値でないと歳入欠陥が埋まらないとか、この数値なら埋まるとか、そういう作業は私ども全然聞いておりません。税制調査会におきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、今後の租税負担率についてどう考えたらよろしいかということをいま御審議を願っております。総会の直属の基礎問題小委員会というのをおつくりになりまして、学者ばかり二十数名で専門的に分析していただいて、これを総会に御報告いただくということで、企画庁の方が五年間の新しい中期計画の概要のようなものを十二月中に出したいと考えておられるようでございますので、税制調査会の作業もそれに間に合わせていただきたいということをお願いいたしております。先週企画庁からも来てもらいまして、現在の作業の模様を聞きながら、いろいろと御議論を願いました。ただ、その議論の場所では、名目成長率が幾らであればどうなるかというよりも、実質成長率にいろいろな仮定を置いた場合に、国際収支、物価、民間の設備投資などにどういう影響が出てくるかという非常に数多くの試算を一応参考として聞いてみたという段階でございまして、まだ財政収支バランスまで議論が進んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/62
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063・松浦利尚
○松浦(利)委員 財政収支バランスまで議論されておらずに、こちらの方だけは先行させる。させざるを得ない、この特例債の方は。
そうすると、これはさらに経済審議会総合部会の企画委員会第二研究グループが発表した「長期財政収支試算」の中の問題ですが、税、税外負担、社会保険負担及び不足額の合計がGNPに占める比率というのをここでずっと出しておりますね。これは大臣知っておられますか。——知られない。具体的にここの中には、税及び社会保険負担のGNPに対する比率は将来どうあるべきかということについて議論されておるのです。国民の負担する比率が、欧米諸国の例まで引かれて。こういうものも全然何も知っておられない。それから「昭和五十年代の潜在成長力と今後の問題点」これも五十年七月に経済審議会総合部会企画委員会第一研究グループがすでに発表しておる。これも御存じないですね。——だから、結局、ずっといま私が議論をして聞いておりますと、大福帳的に、赤字だから仕方がないじゃないか、埋めざるを得ないじゃないか、だから通してくれ、五十二年度くらいを努力目標にしてこれから依存しないようにやっていきますよということはできておるけれども、あとはこういうものが、これはもうすでに七月ごろに発表されておるのです。われわれの手元にも来ておるし、経済企画庁あたりではもう発表しておるわけでしょう。そういうものも全然議論せずに、ただじっとすわっておって、相手の方が来るのをお待ちになっておる姿勢というのは、どうもこの緊急事態、特例債を発行しなければならぬという緊急事態に対応する大蔵省当局の姿ではないと私は思います。こういう基本的な問題を議論しようと思えば、できません、長期計画ができないと言うから、これはもちろんできないだろうと思うから、できない、認めましょう。それじゃ具体的にこういった問題についてどうなんですかと聞いたら、いや経済企画庁の方から何もないから最終的な結論はいただいておりません、研究もしておりませんということなら、一体何をしておるのか。来年度も赤字公債を発行しなければならぬというような状況に来ておりながら、一体大蔵省というのは何をしておられるのか、私は非常に理解に苦しみますね。こういうことなら、ただ技術的なことだけ議論をするということにならざるを得ないのじゃないでしょうか。
私は、大蔵省はもっと素直でないといかぬと思うのです。そういう話があるがどうなんですかと聞いたんだから、それに対しては、大蔵省としては検討も何もしておりませんと言うのじゃなくて、一体それについてはどういう意見があるのか、そういうことを求めておる。しかし、それも議論していなければ議論していないとはっきり言えばいい。経済企画庁の責任になすりつけておるでしょう。こんなことじゃ私は議論できないですよ。何時間かけたって、これは何を議論しておるのか、ばかみたいなことを議論しておるようなものですよ。まじめに議論するつもりにならぬですよ、こんなことでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/63
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064・大倉眞隆
○大倉政府委員 先ほど私のお答えが舌足らずの点があったように思いますので、ちょっと補足させていただきたいと思います。
前回の基礎問題小委員会での審議の際に、幾つかの非常にラフな、まだ非常にラフなものでございますが、試算が出されておりまして、それをベースに御議論願ったわけでございますが、その過程といたしましては、租税負担率が全く上がらないケースとか、かなりの幅で上がるケースとか、いろいろな試算はございます。ございますが、先ほど私どう申し上げましたか、企画庁としてこの程度でなければならないというふうなものはまだない。こういう計算をしてみたらこうなるという、どう申せばよろしいか、いわばモデル屋さんの計算を見せていただいたわけでございます。負担率が上がらないケースの場合にはどういう形になるか、負担率を非常に上げた場合にどういう形になるか、それぞれに、たとえばあるケースでは非常に物価が上がる、たとえばあるケースでは成長率は高まるが国際収支に非常な危機が来るかもしれない、たとえばあるケースでは物価は落ちつくけれども逆に財政赤字が非常に大きいというようなことが予想されるかもしれない成長率になるという、いろいろな仮定の作業は現在ございます。ただ、そのうちのどれを選択すべきかというようなところまでまだとうてい議論が詰まってきておらないのが現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/64
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065・松浦利尚
○松浦(利)委員 もう何を議論してもかみ合わないから、議論のしょうがないわけですけれども、それじゃもっと掘り下げて具体的にお尋ねします。
財政制度審議会が報告した内容の中にいろいろな示唆がありますね。しかも最終の締めくくりとして「財政の合理化は、いうまでもなく、理念の問題よりも実行の問題である。」という非常に明確な規定づけをしておるのですが、その中に幾つが非常に重要な問題がありますからお尋ねしますが、国鉄の運賃ですね。国鉄の運賃水準の適正化という問題の中で、要するに運賃というものはこの際法定主義から外したらどうかという意見が、再検討しなさいという意見があるのですが、これは再検討するという考え方なのか。それから、生産者米価と消費者米価というものは同時諮問せよ。そして生産者米価が上がった分だけは消費者米価を引き上げなさい。この際、段階的に逆ざやも解消してくれ。それから麦価の引き上げもやれ。それから社会保険料や公共料金等の引き上げをやれ。運賃料金の引き上げをやりなさい。このことについては、経済企画庁長官は三年周期ということを言っておられたわけですが、この財政審の中間報告によると、実行の段階で、直ちにやれ、こういうことでありますが、そういうことをやるおつもりがあるのか。やるとすればいつからなさるのか。
それからもう一つは、これからの歳入欠陥を補うものとして付加価値税というものをどうしても導入せざるを得ないということになれば、付加価値税の導入時期というものは一体いつを想定しておられるのか。もちろん、これは税制調査会等の議論が必要でしょうが、大蔵省としてはいつごろを期待しておるのか。こういう点についてひとつ具体的にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/65
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066・高橋元
○高橋(元)政府委員 ただいまのお尋ねの財政制度審議会の中間報告は、本年の予算編成に際しまして、財政が非常に硬直化しておるのではないかという問題提起にこたえて、財政制度審議会として鋭意御検討になって、こういう点の改善を加えて財政を効率的にまた国民のためになるように運営していくべきだ、そういう御指摘でございます。その中に公共料金の適正化という項目がありますのは、ただいま松浦先生から仰せのあったとおりでございますが、最初に国鉄の問題でございますけれども、便宜問題を二つに分けて申し上げたいと思います。一つは、国鉄の運賃の水準の話でございます。それともう一つは、法定主義の緩和と申しますか、現行のように具体的な質率を法律で定めることが適当であるかどうか疑問なしとしない。したがって、たとえば、法律には基準のみを定め、額については政府が決定するという案を検討すべきだという二点にわたろうかと思います。
この財政制度審議会の中間報告は、もちろんこれをわれわれとしては受けまして、五十一年度の予算編成に向かって具体的な方向づけをしていくということでございます。したがって五十一年度の予算の問題としてその多くのものは具体的に決めていくということになろうかと思いますけれども、国鉄の運賃でございますが、来年度の国鉄の収支は、御承知のとおり現状のまま推移いたしますと、単年度で一兆を超える赤字ということになろうかと思います。これをどのように措置してまいるか、それは再建計画全般の見通しの中で十分検討してまいる問題だと思いますが、国鉄運賃は、現在他の諸物価、サービスの価格に比べて相対的に非常に低い水準になっておるというふうに承知しております。そこで、国鉄運賃は全コストはもちろん、営業費すら賄えない、人件費もペイできないような安運賃であるというような異常な状態でございます。そのような状態にかんがみまして、運賃水準の適正化を図ることが国鉄経営の健全化のための大前提であろう、したがって、来年度においては運賃改定を相当思い切って行う必要があるという考え方でございます。
それから、その運賃法定主義の点でございますけれども、これにつきましては財政法三条との関連があるわけでございますけれども、財政法第三条では、法律上または事実上、国の独占に属する事業における専売価格もしくは事業料金というものは、法律または国会の議決に基づいて決めるという規定がございます。財政法三条の特例法という規定が別途ございまして、それによりますと、国鉄運賃の基本賃率等に限定して第三条を実施するということが定められておりまして、国鉄運賃の基本賃率は法律に基づいて定めるという規定でございます。そこで国鉄運賃を法律で定める場合、現在のような具体的な賃率を一々お決めいただくことが唯一の方法であるかどうかということになりますが、その点につきまして、現在各省と協議しながら研究をしておるという状況でございます。
米麦価の問題でございますが、米麦価につきましては、御承知のように米価につきまして末端逆ざや、売買逆ざや、かなり残っておるわけでございます。麦につきましても外麦の輸入価格が上がっておる。そういう状況のもとでいまのような消費者米価を続けていくことがいいかどうかという問題が依然としてあるわけでございまして、これらにつきまして改善を図ってまいりたいと思いますが、これも繰り返しになりますけれども、五十一年度の予算の中でどのように解決してまいるか、これから予算編成に向かって具体的な答えを出すべくいま検討しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/66
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067・大倉眞隆
○大倉政府委員 付加価値税についてのお尋ねがございましたけれども、先ほど来大臣から申し上げておりますとおり、五十一年度は大きな増税を考える年ではないであろうということでございまして、私どものいまの作業の進め方といたしましては、まず租税負担率の問題につきまして御審議を願い、総会で御論議を願う、その結果が、ある程度今後五年間に租税負担率が上がることをごしんぼう願わざるを得ないという結論に、もしなりました場合に、それではどのような税目で負担の増加をお願いするのか、その議論に入っていく。その場合、簡単に申し上げますれば、しょせん所得課税——所得課税の中での法人課税、個人課税により多く依存するのか、あるいは消費課税に依存するのかということは、一つの選択として当然取り上げられる問題であろうと私は考えます。消費課税についてはそれなりのメリットもございまするが、同時にデメリットもある。所得課税も同様にデメリットもある。しかし負担が全体としてふえざるを得ないとすれば、どっちもいやだというわけにはいかないので、一体どちらで今後の税負担の増加を考えるのが日本の国情に最もよくマッチしておるのかということは、どうしても議論していただかざるを得ない時期が非常に近づいてきておる。
ただ、具体的に五十二年度の改正にそういうことまでやるのかどうか、それはやはり五十二年度の経済がどういう経済になるのか、経済の体力の回復の程度がどの程度かということとあわせて、そのときに改めて税調として御審議を願うという心構えでおりまして、私ども事務当局といたしましては、いま消費課税しかないとかあるいは所得課税しかないとかいうことを先見的に予断をもって決めておるわけではございません。これらすべては、選択の問題として今後税制調査会で十分慎重に、時間をかけて御論議を願いたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/67
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068・松浦利尚
○松浦(利)委員 税調が隠れみのになっちゃいかぬと思うのですよ。償還計画を立てるわけだから、五十二年度になったら特例債によらぬように努力をしていくのだから、そのためには歳入増とそれから歳出のカットという問題について見直しをしますと大臣がさっきから言っておるわけだから、それじゃ具体的にどうなのかと聞いたら、あなたが言うように、いや、それは税調の方にお任せしなければなりません。それなら大蔵省要らぬじゃないですか、初めから税調に頼めば。逆に言うと、むだな人件費は切るよ。本当ですよ。そういうことを大臣が言っておられるのでしょう。だから具体的にお尋ねしますと言って私は具体的に聞いておるわけだ。それに対してもあなたの方は、それは税調の方の審議を待ってから最終態度を決めますということじゃどうにもならぬ。
それじゃ、これは事務当局でなくて、大臣じゃないですか。事務当局じゃあれくらいの能力しかないのだから、大臣の方から答弁されたらどうですか。もういいですよ、あなた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/68
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069・大倉眞隆
○大倉政府委員 私が申し上げましたのは、事務当局がいまの段階で、今後仮に租税負担をふやすとした場合に、この税しかないというように予断を持ってはおりませんということを申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/69
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070・松浦利尚
○松浦(利)委員 予断を持っているかをぼくは聞いておらぬ。付加価値税というものを導入する気持ちがあるのですかと聞いいておるのですよ。ほかにたくさんあるのですよ。いろいろなものがある中で、付加価値税というものもあなたの方は考えておりますかと聞いておるだけですよ。予断があるないじゃないですよ。考えておらぬなら考えておらぬと言えばいいのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/70
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071・大倉眞隆
○大倉政府委員 どうも私の説明が下手でなかなか御理解いただけないようでございますが、消費課税が適当なのか所得課税が適当なのかという選択を求めるということを私どもは考えておるわけでございますから、消費課税の中で付加価値税というのは、ヨーロッパでもやっておる、現在存在しておる税でございますから、消費課税のよさ、悪さを御議論願うときに付加価値税が全く検討項目に上らないということは予想されません。その意味で、今後の選択の課題の中に入ってくるであろうということは考えておりますけれども、いま付加価値税を採用することに大蔵省が踏み切ったということではないということを申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/71
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072・松浦利尚
○松浦(利)委員 何も私は踏み切るかどうかと聞いておるわけじゃないのだよ。付加価値税というものを検討しておるのじゃないかとさっきから聞いておるわけでしょう。当然検討事項にせざるを得ないのだよ、歳入をふやしていくということになれば。あらゆる税というものを検討していかなければならぬわけだから、そうでしょう。
それじゃ、もっと掘り下げて聞きます。もう一つ前に進めます。
五十一年度の編成に入りましたね。現状のままいけば、税収は大体十五兆だろう、こういわれておりますね。新聞の発表するところによると、いま各省の概算要求が二十四兆八千億近く来ておりますね。そうすると、税収が十五兆ということになれば、その差額を赤字公債に依存する。赤字公債に依存するといっても、全部依存するわけにいきませんから、さっき言われましたようにスクラップ・アンド・ビルドで措置をしていく、あるいは補助金の見直しというものもやっていく。五十一年度の予算編成でそういうふうに特例債を発行しなければならぬという条件を踏まえて、大蔵大臣は国鉄運賃、電信電話料金、麦価、米価、こういった公共料金は当然引き上げをしてもらわなければならぬと考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/72
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073・大平正芳
○大平国務大臣 五十一年度の予算の編成は、八月末に概算の要求を受けましてから、いま鋭意検討をいたしておるところでございます。また別途歳入面につきましては、先ほど申しましたように特別措置を中心といたしまして税制調査会で見直しをお願いいたしておるところでございまして、まだ編成の基本の方針を確定いたした段階ではないのであります。諸般の状況をいま鋭意検討いたしまして、大綱としてどのようにつくり上げてまいるかの準備の段階でございますので、これこれについて値上げをどの程度考えておるというようなところまでまだお答えする用意はございません。しかし歳出、歳入ともいま挙げられたような問題につきましては、五十一年度の予算編成に当たりまして、ともかく検討をいたしまして、具体的な答えを出さなければならぬ課題であるとは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/73
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074・松浦利尚
○松浦(利)委員 結局、歳出をカットしていくということになれば、そういう面についても検討せざるを得ない。
もう一つの問題は、昭和五十年度の予算の編成過程を見て、対前年度比で一番伸びたのは何といっても社会保障関係費だと思うのですよ。そうすると、現状この社会保障費を上げるということが非常にむずかしいということになってくれば、受益者負担というものが当然要求されてくる。ということになると、保険料のアップということも当然来年度予算編成の中では考えざるを得ないということになってくると思うのですが、そういう点についても検討せざるを得ない段階だというふうに思うのですが、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/74
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075・高橋元
○高橋(元)政府委員 社会保障給付の充実を図ってまいります際に、社会保険料の引き上げをどうするかというのはかなり長期的な大きな問題だと思います。また現在まで厚生省から、どのような内容の社会保険料の引き上げの案であるにせよ、そのような要求が具体的に参っておりませんので、今後関係各省と協議をして、長期的な方向の中でできるだけ早く結論を出していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/75
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076・松浦利尚
○松浦(利)委員 結局、午前中からいままで抽象的な議論でしたけれども、赤字公債を発行せざるを得ないということは、その赤字公債の金利負担、元金償還等を含めて後世代の国民にツケを回す。そのツケを回す方法としては、それは国の予算の中から当然返していくから税金なりいろいろな意味が含まれてくるのですが、それと同時に歳出もカットしていかなければならぬ。そのためには高福祉・高負担あるいは受益者負担という国民の側にツケを回さざるを得ないのですね。ですから簡単に赤字公債でつじつまを合わすということは、それだけ国民に負担をしわ寄せするということですから、政府を信用してくださいと——だから赤字国債を発行するということだけが問題じゃなくて、逆に言うと、そのことによって、大きな政策の転換が、消費者、国民に非常なしわ寄せを起こすということにもなりかねないのですね。
ですから、先ほどから赤字公債の発行に慎重であるべきだ、そのために大蔵省はどういう姿勢をとっているのかということを一生懸命聞きましたけれども、結果的には何のお答えも返ってこなかったわけです。ただ返ってきたのは、五十二年以降慎重にやっていきたい、それと歳出カットのための公共料金の引き上げや保険料のアップというものがあった、あるいは歳入増のための付加価値税というものも検討の素材として、するかしないかは別として、当然検討せざるを得ないのだという回答だけあったわけです。私は非常に残念に思うのです。
そこで、今度は公債の具体的な問題について若干御質問したいと思うのでありますが、これは法規課長さんから「特例法の早期成立を必要とする理由」ということでここに来たのですが、これから毎月六千億近くの公債を市中消化していかなければならぬわけですね、特例債も含めて約六千億毎月市中消化していかなければならぬ。そうすると、御案内のとおりに財政法第五条によって日銀の直接引き受けということは禁止されておりますね。今年度も市中消化ということでずっと市場に出回る、来年度の特例債という形でこれも第四条公債と一緒に市中に出ていくが、完全に市中消化できるという自信がございますか。逆に言うと、シンジケート団、引き受け団にそれぞれ話し合いをして押しつけて、御用金的な発想で調達をする方法以外にいままでとられておらぬのですが、それももう限界にくるのです。来年度も赤字特例債、毎年毎年出していくわけですから、どんなに市中の預金増加を見込んでみても、これから低成長段階でありますから、恐らく市中金融における預金増加ということは望めないですね。いままでは預金の増加というものがある程度カバーしてきた、しかしそういうことも望めないということになってくれば、一体市中消化という問題について政府は自信を持っておられるのか。本当にインフレでないという最大のよりどころというのは完全市中消化以外にないわけでありますが、市中消化が崩れてしまったらインフレに結びつくわけでありますから、決め手は完全市中消化、そういう自信はどういう手だてでやられようとしておるのかを明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/76
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077・松川道哉
○松川政府委員 本年度内に消化をいたさなければならない国債の金額はただいま御指摘のような数字に相なっております。そこで、これが市中消化が完全になされなければ経済を無用に刺激する懸念があることも事実でございます。
そこで私どもといたしまして、この金額のものを市中消化することが可能であるかどうかにつきまして、この補正予算が決定されます直前にシンジケート団にお集まりいただきまして、かくかくの金額を今度補正増せざるを得ない状態に達した、そこでシンジケートを構成しておられる各金融機関の代表の方々に、これを市中消化という形で皆様のところでお引き受けいただけるであろうかということを御懇談申し上げ、そしてそれらの代表の方々から、それはお引き受けいたしますというお返事をいただきまして、私どもは市中消化が可能であるという判断を持って現在この発行の準備を進めておるところでございます。
また、これが押しつけではないかという御懸念がございますが、ことしの財政の動きをごらんいただきますと、御案内のとおり相当の歳入欠陥が見込まれますにもかかわらず、歳出の予算は、ある程度のカットはいたしましたが、大筋においてはもとのままで執行してまいるということと相なりまして、政府の対民間の収支も相当大きい支払いになっています。また他方、この財政の支出が民間に入ってきますと、これは金が回りまして、最後は各種金融機関に預金の形で入ってまいります。その意味でただいま、景気の現在の情勢から国民に預金の意欲があるかどうかという御懸念も御表明がございましたが、その点につきましても、この金は終局的には各金融機関に入り、そしてそれが国債の消化に充てられるものである、私どもはかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/77
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078・松浦利尚
○松浦(利)委員 来年度の公債発行額は大体推定どれくらいになるのでございますか。推定でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/78
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079・大平正芳
○大平国務大臣 来年度の予算の編成につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、鋭意要求について検討を重ねておるところでございまして、まだ来年度の予算の規模が描ける段階に来ておりません。したがって、来年度の公債がどれだけになるのか、四条公債がどうなるか、特例債がどうなるかという点につきまして、まだお答えすることができないことを大変残念に思いますけれども、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/79
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080・松浦利尚
○松浦(利)委員 いままでは高成長下だったからある程度のものは市中消化してきたわけです。しかし今度は一遍に多量の国債が市場に出回っていく。これも一応日銀等の買いオペレーションの再開等によって余裕を持たせる。しかしそれも限界に来ますね、ずっと続くわけですから。来年度になれば預金も伸びてこないということになりますと、日銀引き受けによらざる市中消化というのは、最終的には非常にむずかしくなると思うのです。
そこで大臣にお尋ねしておきたいのは、市中消化が現状のような形であれば非常にむずかしいとすれば、これはひとつこういう意見があるわけです。完全市中消化ということを前提にして短期、高利の貯蓄公債を発行したらどうかという意見ですが、そういうことについてはお考えになったことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/80
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081・松川道哉
○松川政府委員 今回の補正子算を通じまして国債を非常に大きく増発することになりましたので、ただいま先生御指摘のような考え方もこの際ひとつ取り入れる必要があるのではなかろうかということで、私ども慎重にかつ真剣に検討をいたした次第でございます。
ところがこの制度につきましても、外国でやっておる例もございます。それも私どもよく承知し、なおその国のバックグラウンドもいろいろ調べてみましたが、各国によって制度的な違いがございますので、なかなかわが国ですぐそれがうまく機能するかどうか疑問な点がございます、
たとえば具体的に申し上げますと、昭和二十七年に国民貯蓄債券というもので、ただいま御指摘のような期間も五年である、最終の利回りも相当有利であるというものを出しましたし、また昭和二十八年には特別減税国債というので、これも期間五年のものを出したことがございます。ところが、いずれも個人の消化というのは当初の期待を裏切りまして、非常に少ない金額でなされております。そこで、私ども現在の段階でこれを取り入れてすぐ間に合うかどうか、また償還期限が短くなりますと、それだけ財政負担もふえますし、有利なものになればそれだけまた財政負担がふえる、そういった意味でも財政負担の面からも検討いたしまして、いますぐこれを実施するのは無理であろうということで、五十年度につきましてはこれをとらないということを決めて今日に至っておる次第でございます。
しかしながら、私どもはこの考え方を将来に向かって永久に捨てたわけではございませんで、現存の国債の消化の模様その他も見ながら、そしてまたわが国の実情に合わせてこれがやれるかどうか、さらに検討を続けてまいりまして、将来これならばやれるというものができますれば取り上げるということも考えてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/81
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082・松浦利尚
○松浦(利)委員 この際、大臣のお考えをお聞きしておきますが、買いオペは、一年経過しないものは禁じられておりますね。それから金融機関の手持ち国債を売買することも一応禁止されておりますね。逆に言うと、国債がずっと発行されていきますと金融機関に国債が累積していくわけです。そのことは、民間が吸収し得る資金量から見て非常な負担になってきて、本来の金融機関の目的である個人融資あるいは企業融資というものにブレーキがかかってくる。同時にまた、社債あるいは地方債の市場に対しても影響を与えてくる。そのことがこれからの資金の流れに非常に大きな影響を与えるのじゃないかという気がします。逆に言うと、滞留してくれば滞留してくるだけ、金融機関手持ちの国債を市場に売買することについて歯どめをかけているその歯どめを外さざるを得なくなる。極端になってきたときには、もう構っちゃいない、財政法第五条かどこかに抜け道をつくり出して日銀の買いオペに持ち込まざるを得ないということになってくる、そういう懸念が私はあるわけです。だから、そういった意味では、多量に公債を発行する場合の市場の整理あるいは公債の管理機構の確立、こういうことを抜きにしては私は問題の本質的な解決にならないという気がしてならぬ。こういうものについてどういう御用意があるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
早く質問をやめてくれということですから、答弁は短くしてください。なるたけ早く終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/82
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083・松川道哉
○松川政府委員 大量の国債が出るようになりますと、ただいま御指摘のように金融市場全体にわたって相当な影響があることは否めないと思います。その点で私ども、将来の姿として、国債も含めました公社債市場の、特に流通市場の育成に常々心を用いていかなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/83
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084・松浦利尚
○松浦(利)委員 あと若干、簡単なことについてお尋ねをしておきたいと思うのです。
この前、本会議で大臣に御質問申し上げたときに、そういうおこがましいことは私の方ではしませんよ、こういうふうに言っておられたのですが、銀行局長の通達で「地方財政対策に対する協力について」という要請を各金融機関に対してしておられるわけです。要するに地方税の税収減に対する補てんとしての地方債の消化について協力をしてくれということを言っておられるわけですが、日銀に対しても、それぞれの金融機関の手持ちに余裕を持たせるために買いオペについて協力せよということについて——シンジケート団に対してはそれぞれ割り当てについての話し合いは当然なさっておるわけですが、そういうことについての日銀との話し合いはなかったのでございますか。話し合いをやられたのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/84
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085・松川道哉
○松川政府委員 本来、銀行局長の方から御答弁申し上げるのが筋かもしれませんが、おりませんので私がかわりに申し上げます。
銀行局長通達で地方財政対策に対しまして各金融機関に協力を依頼しましたのは事実でございます。これは、特に地方債の場合には地縁的な金が動くものですから、国全体として動くよりはそれぞれの地縁性の非常に濃い銀行に対して協力方を要請するのが筋であろうという考え方が根底にあったわけでございます。ただこれは、ただいま先生御指摘のように国債についてどうのということになりますと、日本銀行の買いオペレーションはそれなりの哲学がございまして実施されておるものでございます。ただいま、大量増発の国債を受け入れやすくするようにそのルールをゆがめるというようなことは、私ども考えておりません。
ただ私ども、先ほど御説明申し上げましたが、金融市場に相当の影響があるものでございますから、いろいろの情報交換は日銀とはいたしておりますが、ただいま先生御指摘のような形で、この国債発行に協力しろというような要請をいたした事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/85
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086・松浦利尚
○松浦(利)委員 要請したことがないということで、わかりました。事実の把握はできませんが、一応日銀としては買いオペによって五千四百億程度の資金余裕を与える、またもちろん預金準備率も引き下げるというような方針を出されたわけですが、この十二月の非常に資金需要の大きいときに、公債を発行して、なおかつ中小金融、あるいは年末金融についてのそごというものはないのか、大丈夫なのか、その点をひとつお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/86
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087・松川道哉
○松川政府委員 日銀が金融市場に関与いたしますオペレーションの金額は、長期的に見ますれば成長通貨として必要なもの、すなわち成長率プラスデフレーターの金額、このパーセントをもって掛けましたものがその所要額になるわけでございます。ただ、短期的に、月々のもの、または四半期、そういったものをとってみますと、それぞれの金融市場に繁閑がございます。すなわち、一方では財政収支の模様も散布超過になりましたり、揚げ超過になりましたりいたしますし、また他方日本銀行券も、その月々の経済の動きによりまして非常に大量なものが必要とされる月があるわけでございます。ただいま御指摘の年末などはその一つの例でございます。そういうことになりますと、日銀といたしましては短期間に完了するようなオペレーション、その材料はあるいは手形になりますか、ほかのものになりますか、私いま直接その衝でございませんので定かではございませんが、国債を長期に買うというような形ではなくて、短期のオペレーションというのを考えるはずでございます。その意味で、この年末も全体の資金需給が非常に逼迫してまいりますれば、日本銀行、すなわち通貨の最終的な責任当局といたしましては、そのようなオペレーションによって日本経済に支障を来さないように配慮いたすはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/87
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088・松浦利尚
○松浦(利)委員 それから来年度の予算の性格についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、わが国の予算は単年度主義をとっておりますが、今度の第四次不況対策から補正予算、そして来年度の予算というのは関連をしてきておると私は思うのです。
大臣にお尋ねをしておきますが、今度フランスに行かれまして主要六カ国会議に出られたときに、第五次不況対策も場合によっては検討せざるを得ないんだということについて、総理との間に話があったという新聞報道も散見されたわけでありますが、この際、この補正予算通過後、来年度の予算執行の間、第五次不況対策というものは必要ないと財政当局としては思っておられるのか、それとも、場合によっては第五次不況対策というものも考えざるを得ない、来年度の予算、四月一日までの間としては考えざるを得ないというふうに考えておられるかどうか、その点はっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/88
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089・大平正芳
○大平国務大臣 当面政府の責任は、第四次の景気対策を、補正予算を含めてやらせていただいたわけでございますので、それを忠実に実行に移すことでございまして、契約が滞っておるとか支出が滞っておるとかいうことのないように円滑に実施に移すことが当面の任務であると心得ております。したがって、第五次景気対策というようなものはいま念頭にございません。それから、パリ訪問に当たりまして総理との間でそういうやりとりはございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/89
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090・松浦利尚
○松浦(利)委員 それから来年度の予算編成に関係してお尋ねをしておきますが、今年度昭和五十年度の予算というのは、当初予定しておった予算に対して歳入不足ができたから、それを特例債、赤字公債で埋めるというパターンですね。ところが、五十一年度の予算編成というのは、初めから赤字公債を組まなければならないというやり方ですね。初めからというのは、戦前の日本における歴史を見ても余りないことですね。
ところが、初めからということになってきますと、一番国民が心配をするのは、歳入からの検討ではなくて、さっきから言うように、歳出からの検討に入るわけですよ。無数にある国民の要求というものをずっと満たしていく。そのために、総花的に大きな歳出予算というものを計上する。歳入というものは十五兆程度だろう、こう言われておるんですが、その差額分は赤字公債、赤字公債ということで逃げるわけですよ。だから性格が変わってくるわけです。足らないから埋めるというんじゃなくて、初めから入れて歳出をする、こういうことなんですね。ところが、率直に申し上げて、五十一年度の予算というのは、景気を高めていかなければならない財政主導型の予算編成ということにならざるを得ないと思うのですね、結果的に。ということになりますと、ある程度歳出のカットということについてもちゅうちょせざるを得ない。そうすると、赤字公債というものは非常に大きなものになりてくるわけですよ。その選択は私は財政当局、特に大蔵大臣というのは非常にむずかしくなってくると思うのです。
そこで、来年度の予算というのは一体どういう形の予算にしたいと思っておられるのか。財政主導型の予算であることはわかりますが、公債に依存しなければならない予算であることもまた事実であります。とすれば、来年度の予算は、日本の景気あるいは日本の経済に対してどういう位置づけにする予算編成にしたいというふうに大臣はお考えになっておられるのか。一月七日IMFの会議に出られるので、できるならば年内に予算編成を終わりたいという内閣方針だそうでありますが、恐らく来年度予算の性格ぐらいはすでに大蔵大臣としては方針をお持ちだと思うのですが、お聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/90
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091・大平正芳
○大平国務大臣 いま松浦さんがいみじくもおっしゃるように、ことしの特例公債の性格は、歳入が予想されたように入ってこないという歳入欠陥を補てんするためのものであるという性格を持っておった。いま御審議いただいておる法律にもそういう趣旨のことがうたわれておるわけでございます。
ところが、来年のはどういう性格かと言うと、来年度の予算の性格は、まさにあなたが御指摘の来年度の特例公債——私は来年度特例公債を出さざるを得ない状況になるものと思いますけれども、その場合の来年度の特例債の性格は、まさにあなたがおっしゃるとおり、来年度の予算の性格を決めるのではないかと思うのです。来年度、仰せのように、いまのような場合、国民のニーズにこたえてわれわれがどこまで歳出を切ることができるか、逆に、どこまで行財政の水準を維持しなければならないか、そういう問題が一つ一方にあると思いますし、また、経済の水準をどこまで財政の手で保障しなければならないか、雇用の水準をどうして保障しなければならないかというような問題が一方においてあるわけでございますが、歳入におきましては、大きな増税をお願いするような経済がまだ体力を持っていないというときの予算でございますので、来年、そういうときの歳入不足というものに対しての手当てをしながらの予算でございますので、来年度の特例債の発行、これはまた別な法律で明確にその点性格づけてお願いをしなければならないと思っておりますけれども、それがまさに仰せのとおり、来年度の予算の性格を規定すると考えております。何という表現を用いたらいいか、一口に言いにくいわけでございますけれども、歳入、歳出両面にわたりまして、いま言ったようなニーズにこたえた予算である。それを裏から申せば、来年の特例債はそういう性格を持った特例債であるというように御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/91
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092・松浦利尚
○松浦(利)委員 いま言われたことの同じことの繰り返しで、私は頭が悪いからちょっとどういう性格かということについての理解ができなかったわけですけれども、端的に言いますとどういうことをいま——いや、言われることはわかるのですよ。しかし、それは一言で言えばどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/92
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093・大平正芳
○大平国務大臣 内外のこういう経済情勢において財政が果たさなければならぬ役割りを果たす予算であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/93
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094・松浦利尚
○松浦(利)委員 五十年度の公債発行に関する特例法案に対しての補足説明がありました。来年も恐らく来年度の予算審議の過程でまたこれが出てくると思うのですが、問題は、この補足説明の性格が非常にあいまいだ、一体これはどういうふうな意味なのかということが非常に理解できない。そこで、この説明をひとつはっきりしてくれぬだろうかという意見があるわけです。
この点について、佐藤委員の方から、私の質問に補足をして、さらに詳しくお尋ねをしますのでお答えをいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/94
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095・村山達雄
○村山(達)委員長代理 佐藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/95
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096・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 先ほどから松浦委員から再々償還計画についてお話があったわけですけれども、どうも要領を得ないわけですね。やはり国債発行の場合には償還計画が一番大切なわけでありますから改めて確認をしておきたいのです。
いま松浦委員の方から指摘がありましたように、予算委員会に十月二十九日に出された償還計画表に関する補足説明というものの持っている法的な権限、これは果たしてどういうものだろうかということはきわめて疑問が起こるわけです。
端的にまずお伺いをしたいのは、いま大蔵大臣も言われましたように、五十一年度には当初から赤字国債、特例国債を出さなければいかぬということは、これはもう財政をやる者については常識になっているわけですね。五十二年、五十三年までかかるかどうかわかりませんが、常識になっている。その際の償還計画というのは、この五十年度の公債の発行の特例に関する法律の補足説明で言われたように、要するに借りかえはしない、これが償還の基本的な態度になるのですか。五十年度の問題を理解するためには、これは五十一年の問題じゃなくて五十年度に対する補足説明ですので、五十一年度の特例国債というものについてもやはり償還は借りかえはやらないんだ、こういうふうに理解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/96
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097・高橋元
○高橋(元)政府委員 いま御質問のありました補足説明でございますが、これは五十年度の特例債法に基づきます公債発行額、それの議決をいただきます際の償還計画表に対する補足説明でございます。したがいまして、ここに書いてあります国債整理基金特会法五条による借りかえは行わないということも五十年度の特例債についての方針でございますが、特例公債の性格にかんがみまして、今後特例公債を発行いたします場合にどのような態度をとるかということは、五十一年度以降また別途検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/97
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098・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 そこが償還計画を考える場合非常に危ない点だと私は思うのですね。あくまで、これは膨大な額、しかも五十年度だけのことならまだ考えようがあると私は思うのです。
〔村山(達)委員長代理退席、委員長着席〕
松浦委員と大平大蔵大臣との間でたびたび論議になりましたように、五十一年、五十二年、五十三年ぐらいまでは、これはもう冒頭から赤字国債発行になるだろう。そのときの償還の原則が崩れていくようなことでは困る。しかも膨大な額になっていくわけでありますから、償還の財源について、その点ではっきりしていかなければいかぬと思うのです。
それは何年度に幾ら返すのだということは出ないにしましても、最低——たとえば建設国債の場合には四つの財源が一応法律で定められているわけですね。それはもう釈迦に説法でありますが、要するに国債整理基金に繰り入れる前年度首国債総額の百分の一・六相当額の財源、これは国債整理基金特別会計法の第二条の第二項で財源の裏づけができているわけですね。それから二番目に財政法第六条に基づくもの、それから三番目に予算の定めるところにより国債整理基金に繰り入れる財源、そして四番目にいわゆる借りかえを認めるところの国債整理基金特別会計法第五条のこの四つが財源として認められているわけですね。それは国会に出された予算書の償還計画表に、五十年度の赤字国債についてはこの四つの財源によって償還をする予定であるというふうには説明がされていないわけですね。特例国債については、その四番目に申し上げました国債整理基金特別会計法第五条に言うところの借りかえということを行う予定になってないから、したがって特例国債については、先ほどの補足説明に出てまいりましたように、借りかえは行わないのだという説明になっているわけですね。
そこで私があえて問題にしたいのは、いま高橋次長からお話があったように、本来財政法で禁じておりますまさに特別中の特別の国債であるわけでありますから、これを十年後にまたまた借りかえをするということでは、これは財政の民主化から言って非常に問題がある。こういうふうに考えてくるならば、本来国会に出された財政特例法の中で、この財政特例法によるところの発行される公債については、その償還は国債整理基金特別会計法第五条に基づく借りかえは行われない、行えない、この一項をやはり明記すべきではないだろうか、やはりそこまで次元を高めていく必要があるのじゃないか。この論議でいきますと、いまいみじく重局橋次長が言われましたように、五十一年度はまたその財政事情によってこの補足説明なるものが変わってくる、あるいは予算書の説明というものが変わってきて、また借りかえということが、——一応いまの場合には、五十年度については国会答弁という形で、あるいは補足説明で国会に出されたという形で担保はされておりますけれども、やはり特例国債という性格から言ったならば、法律の中に明らかに償還財源として借りかえは認めないのだということをもう一項目設けておくべきではなかったか、いまからでも遅くないわけでありますから設けておくべきだと私は思うわけであります。
したがってあえて五十一年度のことまで関連をしてお伺いをするわけでありますけれども、明らかに今後予定をされます特例国債についても借りかえは行えないのだということをさらに法律の中に明記をすべきではないか、この点についてはいかがお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/98
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099・高橋元
○高橋(元)政府委員 特例公債というものは毎年度の歳入、歳出をいろいろあんばいをいたしまして、ぎりぎりやむを得ないときに発行するものである。したがってこれを制度化するというよりも、そういう特例に逢着しました際に特別の立法をもってお願いをいたすということが筋合いであろうというふうに考えております。
それで、五十年度の公債発行特例法の御審議をお願いするに際しまして別途予算の添付提出資料として公債の償還計画というものを御提出をいたしました。その中で、国債整理基金特会法五条の借りかえという手段をしないということを償還計画表にも消極的に書いてございます。それを補足する意味で補足説明の形でこれを国会に明らかに申し上げておるわけでございます。国債整理基金特会法の五条というものは、政府に対して借りかえの権限を与えていただいておるわけでございます。それを行使しないという明確なお約束でございますから、昭和四十年度の特例債もそうでありましたように、必ず満期までに全額現金で償還をするということに間違いはないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/99
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100・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 次長が前段に言われた、特例国債であるからその都度その都度法律を出す、これはその精神はいいと思うのですね。
それでいま問題にしているのは、松浦委員からたびたびあったように、一体じゃいつ特例国債を出さなくて済むのか、このことがはっきりしないわけですよね。
一番大事なことであるし、しかも問題なのは、これからの財政というのは赤字国債というものが予算の中に、あるいは日本経済の中にビルトインされてしまって、赤字がまた赤字を生むという、そういったような経済になろうとしているから、松浦委員から再三にわたってさらに詳しい償還計画を出すようにということを言われているわけです。
ですから、そういった意味で、その歯どめの一つとして、五十年度の償還計画表というものの説明には、国債整理基金特会の第五条に基づくところの借りかえは使わないのだということは、消極的には、確かに書いてないということで述べているのだと思います。しかし、何といっても赤字国債の歯どめをする意味においても、この借りかえを行わないということが五十年度の法律に出てくるということは、私は五十一年度に予定をされております特例法に当然これは載ってくるということだと思うのです。この点が何といっても、これから膨大な赤字国債が出てくることを考えると、やはり歯どめの一つとして非常に必要なことではないだろうか。あえて、法律では第五条に基づくところの借りかえは禁止をしてない、法律では禁止をしてないけれども、説明書に出してきたということは、今後皆さん方の方にそういったアローアンスを、五十年度は確かに説明の中で、国会答弁の中ではっきりしていますけれども、五十一年、五十二年その他の年度にこれはもう予定されているのですから、予定されてないで五十年度だけで終わると言うのなら私もしつこく言いませんけれども、今後も予定されることが松浦質問の中でもはっきりしているわけですから、この際法律の中に、国債整理基金特会によるところの借りかえは特例国債については行えないものとするという一条をはっきり明記すべきではないか。これがいわゆるインフレにつながるところの赤字国債に対して歯どめになる、財政民主主義を確立する一つの大きな歯どめになるのではないか。そうしませんと、来年度のことはまた来年度だということではますます私たちの心配というのは増幅してくるわけですね。
これは非常に私は大事な点だと思うわけです。恐らくきょうだけではちょっと答弁できないと思いますし、この審議中に皆さん方がその項目を出してくれば決着がつくことですから、ひとつ討議をした上で何らかの機会に回答をいただきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/100
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101・松浦利尚
○松浦(利)委員 もう時間だそうですが、私は一つまだ質問をしたいことがあるのです。
たとえば国債、地方債、政保債等の混乱を防ぐためのルールの確立が具体的に必要になってきておるのですが、こうした問題等に絡んだ質問は次回に譲りたいと思うのです。
そこでこれは一つの資料要求なんですが、財政制度審議会の中間報告が年度名目GNPの伸び率を一二%に置いてずっと計算しておるわけですよね。だから、経済企画庁が言うようにGNPの名目伸び率を一五%にした場合、この具体的な資料をつくって、あとの計数を動かさずに計数的にどうなるのか。租税弾性値は一・二ということで仮定してありますが、その租税弾性値も一・二で変えずに、要するに、変える部分としては名目成長率を一五%にした場合に、この内容というものはどう変わるのか、どんなに変わってくるのか、年度平均を一五%に置きかえた場合に。その資料をつくって、一つの目安にさせていただきたいと思いますから、その資料も出していただきたい。
そういった意味で私の質問は保留をさせていただいた上で、一応きょうの質問は終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/101
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102・上村千一郎
○上村委員長 村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/102
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103・村山喜一
○村山(喜)委員 今回歳入の落ち込みを補てんをするために特例公債を発行しなければならない、こういう情勢になったわけでございますが、まず具体的な数字の点から確認をしてまいりたいと思いますのは、四十八年度、四十九年度、そうして五十年度の国債のいわゆる新規発行額とそれから借りかえ債の発行額、その関係がどういうふうになっているのか。世上五兆四千八百億円と言われているのは、これは発行収入金の手取り額を意味するものであって、実際の新規発行額はそれよりも高いわけであります。それに借りかえ債の発行額まで入れますと、六兆近い新たな国債を発行しなければならないという状態が今日の状態であるというふうに承っているのでございますが、その状況について正確にまず報告を願っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/103
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104・松川道哉
○松川政府委員 ただいま御指摘のように、本年度五兆四千八百億円という国債の発行額は、これは発行収入金、すなわち国の手取りの金額でございます。したがいまして、額面で申し上げますと、今後現在の状況、すなわち発行条件が続くという前提で試算をいたしますと、新規の発行額は五兆四千八百億に対応するものとして五兆五千六百四十五億円と相なります。そのほか御指摘のように借りかえ債の発行が四千二百三十億円ございますので、この両方を合計いたしました額面での総発行金額は五兆九千八百七十五億、すなわち六兆円に近いものとなることは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/104
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105・村山喜一
○村山(喜)委員 こういうような状態に立ち至りましたのは、政府の経済政策に問題があることは言うまでもございませんが、そこで先ほどから一番問題になっております特例公債の償還計画についてまず初めに若干の意見を交えながらただしてまいりたいと思うのでございます。
そこで減債措置といたしましては百分の一・六を定率繰り入れるという措置が第一にありますし、それに財政法六条によります剰余金の繰り入れ、それから予算措置に応じます予算上の財源としての措置が三番目にあるわけでございますが、問題は、この財政法六条の規定に基づく剰余金繰り入れというのが、今後全額を充てる予定であるという考え方は承りましたが、そういう剰余金が発生をするような措置を考えておられるのかどうかということについて承りたいのでございます。
というのは、昭和四十八年度の場合には、この剰余金の繰り入れを、予期せざる土地の売買等に伴います税収がありましたために、五分の一程度に減額をして措置をしたわけでございます。しかし、いま今度の新しい国債の発行を説明を承りますと、これは会計年度の三月から出納閉鎖期の五月まで見通した上でできるだけ発行額を減らしていきたい、こういうことでわざわざ五月の出納閉鎖期まで発行期限を延期される、そういう措置をおとりになっていらっしゃる。とするならば、私はここに打ち出してある全額を充てる予定であるというのは一つの精神的な訓示規定にすぎないのではないだろうか、そういうような剰余金の発生がないような財政の運営をやるということが、これが正しいのではないか。そうして発行額をできるだけ減らしていくということがまず第一になされなければならない措置だと思うのでございますが、その点について、大臣のこれからの財政運営に対する所見をお伺いしておきたいと思うのでございます。
それから予算の繰り入れというのを途中でおやりになることも予定がされるだろうと思うのでございますが、いままで出されましたいわゆる建設国債の償還時期がもうすでに四十八年度から始まっているわけでございますが、財政の事情によりまして四十三年度、四十四年度、四十五年度というのは、発行額も四千七百十億、四千二百六億、三千一五百五十七億と、わりあいにこのあたりの発行額は小さいわけでごございます。ところが、昭和四十六年度から一兆二千億になり、四十七年度は一兆九千億になり、四十八年度が二兆四千億になり、四十九年度は二兆八千億というような数字で示されておりますが、これが十年後にはそれぞれ返済、借りかえをしなければならない時期に入ってくる。とするならば、このいわゆる借りかえが少ない時期というのが四十三年から四十四年、四十五年ものについては存在をするわけでございますので、そういうようなものをにらみ合わせながらやはり財政運営というものをおやりになるだろうと私は思うのでございますが、その予算繰り入れというのはどういうふうに今後お考えになっているのか。これはもちろんいまの段階では、財政政策として一定の税収不足に伴う不足を穴埋めをするという財政政策以上には国債の政策というのは出ていないようでございますが、そういうような意味において、この減債計画というものと償還計画という形で説明をなさいましたものとの間にどういうような関係があるのか明確でございませんので、これは財政運営の基本に関する問題でございますから、その点をまず大臣の方から説明を願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/105
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106・高橋元
○高橋(元)政府委員 剰余金の二分の一繰り入れということ、全額まで特例債につきましては行う、そういうことを補足説明で申し上げておるわけでございますし、たびたびの答弁でも政府の態度を明らかにしておるわけでございますが、今後特例債を発行していきます経済、特例債がある経済が続きます限り、増収が出てまいりました場合にはできるだけ特例債の年度内の減額にまず充てる、これは当然でございまして、先生御指摘のように、通常そういう場合には剰余金は極力小さくしていくという財政運営であるべきだと思います。ただし、歳出の不用、それから年度末ぎりぎりになって見通しがたい歳入の増加が起こったということも十分考えられますので、剰余金の全額繰り入れということが意味がないということはないと私どもは確信しております。
二番目に予算繰り入れでございますが、予算繰り入れば、仰せのごとく特例公債から脱却した財政というものが実現した暁、それ以後においてできるだけ毎年の予算の繁閑を見ながら極力満期に全額償還できるように繰り入れを行っていくという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/106
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107・村山喜一
○村山(喜)委員 大平大蔵大臣、特例公債を二兆二千九百億発行する、そのままほっておいていくようなことはもちろんおやりにならないだろうと思うのですが、それが昭和六十年には満期になる。そのときに満額支払いをしなければならないということで、途中でそういうような繰り入れ等をやらなければ、私はこの問題は、昭和六十年度に償還を必ずしなければならない額になるわけでございますから、これは大変な財政負担が一遍に出てくる。続いて来年度も三兆円ぐらいの赤字国債を発行しなければならないだろうと世上言われている。そうすると、六十一年度もそういうような意味においては三兆円の急激なる財政支出を要するということになる。ということになりますると、ことし、来年はそういうような財政の特異な状態にありますので、五十二年度あたりから本格的にこの特例公債の減債計画、それに償還計画、これを特筆して具体的な計画をつくって、それを完全に消化するというところまで案をお考えをいただかなければ、財政の長期的な運営についても大きな支障を来すのではないかという心配をしているのですが、そういうような御用意がございますか。その点を、これは大臣からお答えをいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/107
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108・大平正芳
○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、そういう用意がなければ財政運営に大きな支障を来すことを恐れておりますので、できるだけ早く特例公債の依存から脱却をいたしまして、あなたがいまおっしゃるような段取りを前広に進めてまいらなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/108
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109・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで大蔵大臣、昭和四十年代の前半は市中消化されました国債の大体八割が成長通貨供給のために買いオペによりまして日銀に吸い上げられて、金融機関は市場売却を控えまして、国債の市場の利回りというのは、人為的に管理されましても国債の継続的な発行については支障がなかったわけでございます。ところが、こういうふうに大型の国債が好むと好まざるとにかかわらず発行される段階の中にありまして、一体、いままでのような御用金調達のようなやり方で、市場の金利機能というものを無視したやり方で、私は果たしてうまくいくであろうか、このことを非常に心配をしているわけです。
いまシンジケ−ト団の引き受けの割合を見てみましても問題がすでに出てきております。証券会社の方が従来一割のシェアを持っておりましたが、今度は六%程度しか引き受けることができない、こういうようなことであります。それから日銀と直接の取引のない金融機関等の場合は、これは何にもメリットがないという問題が出ているわけでございます。というのは、発行価格が、長期金利改定によりまして利回りが八・二二七%というふうに決まりました。そこで、それによって引き受けて、そして今度は売却をするときには、これは現在の市中価格で売却をするわけですから、買い入れました価格と実際売却をする場合の価格との間にはマイナスが働いて売却損が出るという現象があらわれているわけですね。
そうなりますると、日銀信用を受けたりするような都市銀行やあるいは国債を担保物件として融資を受けるような金融機関はいざ知らず、そういうようなのに類しない中小企業専門の金融機関あるいは非金融機関である生命保険とかそういうふうなもの等については、明らかに、いまのような状態であるならば国債を引き受けたくない、引き受けても損が出るんだから、一体われわれの使命というのは何だろう、それは国債を引き受ける側に立つべきなのか、地方債を引き受けてその地域社会の中で果たしていく金融機関としての役割りを果たすべきではないだろうかというような悩みを抱えているようでございます。
となれば、こういう大型国債発行時代にありまして、従来の国債管理政策というもので一体いいのであろうかということについて、私は疑問を感じているのでございますが、いまのこの大蔵省の市中消化というものは一体何なのか。市中消化と言えば個人消化というふうにも聞き取れるわけでございますが、いまの市中消化は金融機関に対する割り当て方式であって、御用金調達の方式ではないか、これは市中消化というようには言えないのではないか。厳密な意味においては、金融資産として国債を国民が喜んで持つような条件というものをつくらなければならない段階の中にありまして、いまのようなやり方、その金利の機能というものを無視した発行方式ではこれはもう行き詰まってくる。行き詰まったときに日銀引き受けとかというような形をとられたのでは、日本の国の財政はめちゃくちゃになるし、また大変なインフレになってしまうという心配を国民はしているわけでございます。
そこで、私は、いわゆる財政政策というものはもちろん大蔵省はお持ちでありますが、国債管理政策というものはどういうようなものをお持ちになっていらっしゃるのか、その点について、これは大臣がお答えにくければ担当の理財局長あたりでもお聞かせをいただいておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/109
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110・松川道哉
○松川政府委員 ただいま御指摘の問題は、非常に広い問題を含んでおります。それは、たとえば市中消化の定義の問題でただいま先生が、個人消化のみがあるいは本当の意味の市中消化ではあるまいかというお考えをお示しになりましたが、この点一つとりましてもいろいろと問題を含んでおるのでございます。
すなわち、わが国の金融市場を見ますと、諸外国と比べまして間接金融の比重が非常に高うございます。これは企業でもそうでございます。ほかの国であればもっと社債に依存する、ないしは自己資本を充実するという場合に、銀行の方に行きがちである。個人も同様でございまして、ほかの国であれば、ある程度の金融資産がたまってくれば、預貯金の形態から債券の形態に移っていくということが見られます。これがわが国の場合には遺憾ながらその程度が非常に低うございまして、どちらかと言えば預貯金の形で回す方が多いというのが実情でございます。
そういうことになりますと、市中消化、すなわち中央銀行の引き受けでない金融機関その他民間の消化ということになりますが、その場合にも個人が、あるいは貯金であるとか預金であるとかまたは生命保険の掛金であるとかいろいろな形で持っております金融資産、これを国債の引き当てとしまして国債を発行するということが、現在の日本のような状況でございますとどうしても考えられざるを得ない問題であろうかと思います。
そこで、そうなってまいりますと、それではそうして引き受けられた公社債、国債、こういったものがどのようにして流通し、どのようにして、ただいま御指摘のございましたようにあるいは処分をした場合にキャピタルロスを出さないで済むようになるのかということでございまして、とりわけ最近のように大量の国債を出すようになりますと、この国債の管理政策を通じまして広い意味での社債市場、流通市場の整備に力をかしていかなければいけないのではないかと私どもも存じております。
ただいま、国債につきましてもあるいは処分のときにキャピタルロスが出るという御指摘がございましたが、これは遺憾ながら、日本の場合にはほかの種類の債券でも同様な事例が見られております。発行条件と流通条件とは必ずしも一致しておらない。これは私ども少し時間をかけまして直していかなければならないと思っております。
その意味で今回金利水準全体の見直しが行われまして、短期金利も下がる、そしてまた長期金利も下がる、すなわち銀行の長期のプライムレートも下がるし事業債の条件も下がってくる、こういうときに国債もその一つとして下げる方向に条件の改定はいたしましたが、しかしながら、現実の姿を見ながらその下げ幅はほかのものより少ない形でおさめまして、そういった手続を踏むことにより段階的に実勢に近いものにしていく、こういった形で国債の発行の場合の条件を適正なものにしていきたいと考えております。
さらに、発行された後の流通市場につきましても、あるいは、一つの例でございますが、証券取引所におきます国債の売買の手法を今月の初めから改正いたしております。すなわちその前は百万から四百万までの間の刻みのものを順次取引いたしておりましたが、現在ではその幅を広げるとともに、あるいは売り気配、買い気配も表示できるような方法に改める、取引の手法を改正いたしております。
また、これからの問題といたしまして、たとえば減債基金を有効に使いまして、もし必要があるならば、買い入れ消却も適時行っていくということも考えなければならないと思っております。
こういったいろいろな施策を通じまして、国債の流通市場もこれから徐々に改めていきたい。ただ、現在の公共債、社債両方含めての公社債市場の状況を見ますと、一気にいままでのしきたりを全部変えるというのは日本の金融市場、資本市場の実勢から見ましてなかなか無理であろうと思います。その意味で、私ども徐々に御指摘のような方向に動いてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/110
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111・村山喜一
○村山(喜)委員 私は日銀の「調査月報」の十月号の資料を見てみたのですが、公社債上場相場、東京証券取引所のこの資料によりますると、具体的に申し上げますが、たとえば国債の十九回債ですが、償還が五十二年の八月に予定をされている。その利回りが五十年の七月末では九・六五、八月末で九・七六、それから九月末では九・七六%になっているわけです。もちろんその場合の価格というのは九十四円八十銭というような価格でございます。これを最近の新発債の応募者利回りで見てみますると、八・三二〇%でございまして、ところが新しい長期金利体系の改定がございまして、この中でこれからの応募者利回りというのは、国債の場合には、八・二二七%というふうに改められておるわけです。とするならば、実際の売買の価格というものとの間には一・五%の開きがある。こういうような状態の中で、果たして証券会社が引き受ける分を市中において個人にそういうような国債を引き受けてもらえるかどうかということで調べてみましたら、案の定、九月においては前回を上回る募集残が出たというのが出されておりまするし、そして予定よりも何十億か減りまして、二百二十億の応募分、それだけしか引き受けることができないということでその一〇%のシェアが落ちたというふうに報告を聞いているわけでございます。
こういうようなふうにして人為的に国債の価格を決めて、そして低い条件で取引を強制をするということになりますると、やはり都市銀行あたりに割り当てをせざるを得ない。そういうようなシンジケート団に対する都市銀行を中心にする割り当てに偏重をしなければならない。偏重をした以上は、キャピタルロスを出すわけにはいかないので、預金準備率の操作等をやりましてあるいは日銀の貸し出しの低利の資金を供与するというような形によって、そういうような利益の方からロス分を埋めてやるという方式をとりながら、そして結局一年たったらこれを買いオペの対象として日銀が事実上引き受けるあるいは資金運用部資金の方でこれを抱えなければならない、こういうような状態にいまの国債の管理政策というのはなっているのではなかろうかというふうに思うのであります。
一体そういうような形をずっととりながら現在やっておりますが、先ほどの話では、その取引の手法の改善をやり、流通市場の育成を目ざして漸次それを進めてまいります。言葉はよくわれわれもそのように承っておるのですが、一体国債が発行され始めましてからもうすでに相当な期間がここにはかかっているわけですね。そうして未曾有の財政難を迎えまして、いまここにこういう大型の国債発行時代というものを迎えてきた。その中で十年たってもなおそういう市場の育成というものができていないということは一体どこに原因があるのか、そういうような公社債市場の育成を怠ってきたのは一体だれなのか、その指導の責任にあるべき大蔵省は一体どういう責任を持っているのか、私はこのことを明らかにしなければ、これからの、国債がない時代じゃありませんから、そのことを特に確認をしておかないと、今後の財政の運営において大変な事態が起こってくるのじゃないかということを懸念をいたしますので、どうもいま理財局長からの説明を聞きますと、言葉だけあって実体がない、従来のとにかくいいかげんな答弁を繰り返しているような気がしてならないのですが、大蔵大臣、あなたはこういう赤字特例公債まで発行しなければならない事態の中にありまして、その市中消化、個人消化とうたい文句だけはいいのですが、公社債市場の実情は私が読み上げたとおりなんです。そういうような実情の中で、いままでと変わりのない御用金調達方式をやはり依然としてこれからも進めていかれるつもりですか、その点をお聞かせいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/111
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112・大平正芳
○大平国務大臣 正直に申しまして国債政策は大変むずかしい問題でございます。これまでもすでにむずかしい問題をはらんでおったわけでございますが、今日のように大量の国債を発行しなければならぬということになってまいりますと、国債管理政策というものはまさに財政政策、金融政策の緩衝地帯にありまして、私どもが一番気をつけなければならぬ政策領域になってきたと思います。
しかしながら、先ほど理財局長が申し上げましたとおり、この政策について直ちに国債市場の整備を速成でつくり上げるなんという名案はないと私は思うのであります。理財局長が申しましたとおり、時間をかけてつくり上げていかなければならぬことだと思うのでございます。したがって、今度長期利子の引き下げという段階におきましても、国債の場合、非常な抵抗がいろいろありましたけれども、微調整にとどめまして、これを御用金調達ではなくて、いまの市場メカニズムの中でともかく受け入れられる商品に仕立てなければならぬと考えておりまするし、これが消化が可能なような市場の条件をいろいろつくり上げていかなければならぬと思うのであります。ローマは一日にして成らずと申します。これから逐次市場環境を整備してまいりまして、御指摘のような環境を整備して御期待にこたえなければならぬと存じて一おります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/112
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113・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、いま政府には、財政支出と租税収入とを決めまして、そしてその赤字の分を埋める国債発行額を決めるという財政政策はあると思うのですが、いわゆる国債の管理政策というのはどういうものをお持ちになっているのか。言うなれば、国債の管理政策とは国債の構成を決める政策だ、その場合には新規発行、借りかえ、そして種類と条件、期間や金利の決定と公開市場操作の対象になる国債の種類の決定等によりまして民間部門の保有する国債残高の構成を変える政策だ、こういう立場に立ってお尋ねをするわけでございますが、一体国債の管理政策というのはどういうようなものをいま政府としてはお持ちなのか、このことを私はお尋ねしたいのであります。
というのは、建設国債というのは十年で借りかえて六十年間、もちろんそういうような形になっているわけです。今度の赤字特例債の場合には、これは十年間で完全消化をしますという、しかしその間には中期の国債というのはないわけですね。あるのは大蔵省証券なんかの短期の資金運用のための六十日サイトのものしかありません。それをことしは補正予算で二兆二千億増発ができるようにいたしまして、資金繰り操作をやるための短期証券はあるわけですが、そういう十年ものはあるけれども、七年ものもなくなったし、五年ものもございません。一体そういうような単発式の国債しか持たないでおいて国債管理政策というものが果たしてうまくいくのだろうかということを私は考えるのです。
というのは、たとえば景気過熱の危険が認められた場合には、国債の発行や売りオペの場合には長期債の比重を高めるとか、国債残高の流動性を低めるとか、あるいは景気の沈滞の場合には、国債の発行や売りオペの場合には短期、中期債をふやしてやるというような流動性を高めるような政策が、もうGNPの一〇%も長期国債残高があるような時代にありましては、そういうような国債管理政策というものが当然なければならないはずだと思うのでありますが、それがいまのような国債の発行の状態の中ではない。
私は、そういうような意味において、国債政策というものを政府は真剣に検討して対処してこなかったのではないだろうか、財政政策の中にあって税収が少ない、支出が多いから、赤字になるから、それを埋めるために、あるいは国民のニーズにこたえるためのいろいろな形で財政支出を多くしなければならないから、景気がいいときでも国債を発行し、悪いときでも国債を発行し、国債に依存しながら今日まで十年間財政の運営をやってきたのではないか、そこに根本的な間違いがあったのではないだろうかという気がするのですが、この国債管理政策は、大蔵省は一体どういうようなところにいま位置づけて、これからのあり方をどういうように考えているのか、大臣の御所見並びに担当局長の御所見をお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/113
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114・松川道哉
○松川政府委員 ただいまの村山委員の国債管理政策という御質問の中で、私ちょっと疑問に思いましたのは、言葉の上の問題ではなはだ恐縮でございますが、国債の発行に関する部分と、発行された国債の管理に関する部分と、二つあったように思います。
その前段の国債政策、たとえば国債も一種類のものだけではなくてたくさんの種類のものを出したらどうであろうかとか、また財政の状況によって多く出したり少なく出したり、または長いもの短いもので調整する。これは、私狭い意味で申し上げて恐縮でございますが、狭い意味の管理政策からは外れた国債政策自体であろうと思います。
これが、私の申します狭い意味の国債管理政策の面との絡みで申しますと、御案内のとおり、ドイツであるとかアメリカであるとか、こういうところは、金融が非常にタイトになってまいりますと短い期間の国債を出して、金利を余り上げないで済むようにしてこれを早く回すということもやっております。これも一つの行き方であろうかと思います。ただ、わが国の場合には、先ほどもちょっと触れましたが、公社債市場全体がまだ発達の程度が少のうございまして、現在の公社債市場全体を見ますと、御指摘のように、国債という名前では中期的なものは出ておりません。かって七年のものは、いまはかえって十年になっております。しかしながら、五年ものは、たとえば長期信用銀行の利付金融債であるとか、そういった別の商品が入っておりまして、そこにおのずからなる市場の区分と申しますか、それぞれのニーズを持っておる投資家はそれぞれの商品が買えるような一種の分業に近い形が出ておりまして、したがいまして、国債がこのときにたとえば五年ものであるとか三年ものであるとか、そういったものに入っていくのがいいのだろうかということは、これはアメリカやドイツで言われておりますクラウディングアウトというあの効果を生むのではないか。現在のような状況であれば、発行自体は、やや陳腐かもしれませんが、さしあたりは従来のものでいこうではないかというのが私どもの判断でございます。
それから、私が狭い意味で国債管理政策と申しました、発行された後の国債をどうするかの問題でございますが、これにつきましては、終局的に帰するところは、持っております国債がいつでも売れる、またいつでもたとえば担保に使える、そういった形での流動性を高めていく必要があるのではないか、それが国債管理政策の一番大きい柱であろうと思います。
その意味で、先ほども触れましたが、発行条件をなるべく実際の実勢に近いところに持っていくというのも一つの試みでございますし、取引所の手法を変えると申し上げましたのも一つの試みでございますが、さらには国債を担保とする金融がスムーズに行われるかどうかとか、そういったようないろいろ別のテクニックスも入ってくる余地があるのではないかと思います。その意味で、私ども広く各国の例も徴しながら検討を続け、現在の日本の公社債市場の発展段階に適合するものをできるだけ取り入れていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/114
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115・村山喜一
○村山(喜)委員 私はやはりこの際国債政策、私は管理政策の中に発行の問題も含めて論議をしておるわけですが、それは分離をされて、管理政策という狭い領域でのお話をいま局長からお伺いをいたしましたけれども、ではお尋ねをいたしますが、長期国債残高のGNPの中に占める比率、これは今度六兆近く国債を発行いたしますと、いままでの累積が四十九年度末で九兆六千五百八十四億でありますから、大体七五年度末では十五兆を超える長期国債の残高が出てくるわけです。そうなりますると、GNPの中に占める比率は一〇%程度になるわけでございますが、そのほかに、地方債なりあるいは公社、公団、公庫債まで含めました公共債というものまで見てまいりますると、経済社会基本計画の中では、七七年度末において国債の対GNP比率は九・四%になるだろうと当時見ておりましたし、そういうような公共全体では二四%になるであろうというふうに見ておったわけでございますが、これからそういうような状態の中で、ますます対GNP比率が、七五年度末ですでに一〇%を超えるという状態になる、来年度はもっと高くなるというような状態になっていきますると、一体今後は残高がどのように推移していくのか、公共債発行の増加に伴う民間部門の流動性というものと金融政策との結合はどういうふうに持っていかなければならないのか、いろいろ問題が出てくると私は思うのです。たとえば、成長通貨の八割を買いオペで供給しようと思いましても、国債発行額との関係においてこの比重が低下するというような問題もありまするし、市中金融部門の資金量の増加の一割ぐらいが国債消化に充てられなければならないということになってくるし、あるいは二〇%近くのものが公共債消化に充てられなければならないというような状態になってくる。そういうふうになってきますと、公共債発行の増加に伴う民間部門の流動性との関係をとらえながら、金融政策をどういうようにして進めていくのかということを考えてまいりますると、どうしてもこういう時代にありましては、金融市場で金利裁定が正常に働くような状態を一日も早くつくらないと、もうにっちもさっちもいかないような状態になっていくのではないだろうかと思っているのですが、一体そういうようなのを見通しをつけながら、あなた方としてはただ理財局の問題だけではなくて、銀行局との問題もありましょうし証券局との問題もありますが、そういう問題について、これからのそういうような展望をどういうふうにして国民の前に明らかにしようと努力をしておられるのか、この点をひとつ説明願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/115
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116・田辺博通
○田辺政府委員 村山先生の先ほどからの御質問、今後の国債を抱いた日本経済というもの、特にそれとわが国の金融構造との関係におきまして、きわめて重要な御質問であると思っております。私どもも同じような気持ちでもって各局共同いたしまして、今後の国債発行のあり方なり、その消化のあり方なり、また第二市場と申しますか、発行された後における国債の流通市場、これは債券市場を代表するものとしての役割りを持つわけでございますが、金融機関としての消化の方法についても問題がありましょうし、これはみんなが英知を集めて検討していかなければならない問題だと思います。
その基本は、やはり先生が先ほどから御指摘のとおり、流通市場における実際の価格、これを指標といたしまして発行条件が決められるべきであろう、これは一つの基本であろうと思いますが、ただ、流通市場がきわめて狭隘である場合には、その価格形成というものの機能が十分ではございませんので、その辺から問題をほぐしていかなければならない、こういうぐあいに思っております。基本的なことだけ申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/116
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117・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、やはりこの問題はこれから日本の財政、経済が取り組まなければならないきわめて大きな分野だと思いますので、たてまえの答弁だけでなしに、そして具体的に、市場が育成をされない、そういうような公共債にしても民間債にしても外債にしても、証券市場が狭隘であり、そして調達と流通の場としての機能が今日失われているということで、それまでの間は管理政策みたいなことをやらざるを得ないというような形で、いつまでも放置しておっていい時代はもう過ぎた。その一つの考え方、指導理念というものを持っているのであるならば、行政権というものを持っていらっしゃるわけですから、皆さん方が、こういうようなきわめてむずかしい局面の中にありましては、そういう公共部門と民間部門の資金配分が円滑に進むような状態をつくり上げていくためにはどうすればいいかというようなことで、もっと実効性のある行動を起こしてもらわなければ、いまのような長期金利体系はできたけれども実勢とかけ離れた形態の中でそれを押しつけようとすると、必ずどこかにショートするというような状態が出ましてどうにもならないような状況に立ち至っていくと私は思いますので、この点については、大臣を初め大蔵省当局が十分にこれから取り組んでいただくように要請を申し上げておきたいと思います。
そこで、ちょっとこれは、やはり大蔵大臣に質問をしておいた方がいいのではなかろうかと思いますのは、本来は福田経済企画庁長官の領域でございますが、けさも私たちは通産省の五十年度の設備投資計画の問題について勉強会をいたしまして、一体いまの稼働率がどういうような状態になっているのかというようなのをいろいろ聞いたのでございます。どうも設備投資が予定よりもおくれておりまして、低い水準で進んでいるわけでございますが、それと同時に景気の見通し等を、現在の稼働等を調べてみますと、どうもやはり七二%から三%程度の稼働率をとり続けているようでございます。ところが経済見通しの改定版を見てみますると、ことしの五十年度末あたりにおいては稼働率は九〇%近くなるであろうという想定で経済見通しが立っているわけです。それから、第四次の不況対策の結果がどういうふうにあらわれてきたのだろうかというので調べてみると、目玉商品である公共事業にしても、地方財政が非常に困難をきわめておりますので、なかなか進捗しない。住宅建設の場合も大変な不振状態でございまして、昨年並みにいけばいいところだというような状況が出てきているようでございます。
そういうふうになってまいりますると、果たして三兆円のそういう経済効果というものを期待をすることができるだろうか、私はこのことを懸念しながら次の問題についてお聞きしたいわけでございます。そこまでは経済企画庁長官の領域でございますが、今度は大蔵大臣の領域になります、いわゆる通貨政策の問題であります。
マネーサプライが一時は非常に急激に上昇いたしまして、狂乱物価の元凶みたいな状態になったわけでございますが、総需要抑制政策、金融引き締め政策によりましてマネーサプライが平均一一%ないし一二%というようなところまで落ち込んでまいりました。それは有効需要の問題が中心になってまいりますが、私はやはりこの際、最終需要の停滞というのは、財政政策の問題もありますが、通貨の引き締めから生まれたものがあるということも考えなければならないという意味において、有効需要を増大させるためには金融の緩和なしにはそれができないわけでございますから、金融の緩和というのは金利の引き下げも今度はやったわけですが、マネーサプライの残高をいまのような状態で推移さしていくことが適正な経済の成長に結びついていくであろうかということについて、一体どういうふうに金融当局は考えているのであろうか。
もちろん、日銀の金融政策の中に、公定歩合等の繰作を含めまして貸し出し政策やあるいは債券政策や準備預金制度等の政策手段がありますが、一応そういうようなところを監督し、あるいは銀行券の発行限度額を決定し、準備率の認可をされ、資金運用の規制をされ、金利の調整に当たられる大蔵省として、不況対策というものの上から見たいまの財政金融政策をこれから一体どういうふうに進めようとしておいでになるのか、その点についてまず初めに大臣の所見をお伺いをして、そして十二月の資金不足対策の問題について質問をしてみたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/117
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118・大平正芳
○大平国務大臣 仰せのように、ことしに入りまして、春先、生産もふえ、出荷もふえ、在庫調整も進みまして、また輸出も順調に伸びてまいりまして、ようやく経済の回復が軌道に乗ったのではないかと思われたのでございますけれども、五月あたりから輸出がむしろ減ってまいりましたし、雇用状態も悪化してまいりましたし、いまあなたが言われた最終需要も思わしくないということでございます。最近の経済指標も生産、出荷等は微増を続けておりまするし、心配いたしておりました輸出にも若干明るい局面が見えかけたようでございますけれども、最終需要は依然として腰が重い状態でございます。
したがって、日本銀行も四回にわたって公定歩合を引き下げ、そして、それに対しまして各金融機関が追随することを期待してまいりましたし、第一ことしに入りまして窓口規制もだんだん緩めてまいりまして、あなたの言われるマネーサプライの面におきましても資金の供給をふやしてまいったわけでございますが、一向にまだ最終需要、もちろん設備投資はもとよりでございますけれども、最終需要も上向いてこないという状況でございました。
そこで政府は九月の十七日に御案内のように総合的と銘打ちました景気政策を実行することにいたしまして、財政、金融相呼応いたしました政策を実行に移したわけでございます。それで財政面を通じまして一兆六千億ばかりの需要の喚起を図ったわけでございます。金融面におきまして、第四次の公定歩合の引き下げを大幅にいたしますと同時に、長期金利につきましても、短期金利はもとよりでございますけれども、長期金利につきましても今度は改定をすることにいたしたわけでございます。しかし、それでもなおマネーサプライも一向に、あなたが言われるように一一%台を低迷いたしておりますので、預金準備率をこの十六日から引き下げるという措置もあわせて行ったわけでございますので、私といたしましては財政、金融両面にわたりまして一応なすべきことはなし終えたと思っておるわけでございまして、いまこのように発表いたしましたことが着実に定着してまいりまして、経済の回復を促すということを期待いたして、そこにそれを阻むものがございますればそれを取り除くということに行政面としては極力注意をしてまいらなければならぬと思っておりまして、いままでやったことに対しまして十分これをウォッチしていきたいと考えておるのがいまの状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/118
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119・村山喜一
○村山(喜)委員 諸外国のマネーサプライの指標を用いての経済運営の進め方というものについては、アメリカあたりでもどういうような伸び率が景気の回復に適切なものであるかということで論議が行われておりまして、大体一つの通貨当局としての政策を持っておるようでございます。長期的な増加目標値はM1でプラス五ないし七・五というような数字を持っておるようでございますが、西ドイツあたりでもそういうようなものを持って経済運営をやり、いろいろ通貨政策の金融政策等も進めているようでございますが、日本の場合には、いままで狂乱物価と言われました時点においては二五%とか三〇%とかというような大変な数字が出たりしまして、こういうような状態ではインフレの解決はできないというようなことで、大分日銀も最近はマネーサプライ等については重視をする金融政策をやっているようでございますが、一体わが国の通貨当局が、M2の増加率をどういうところに目標として設定をした場合にはこういう経済の成長率が生まれ、そして物価の上昇率との関連においてはこういうふうになるという一つの政策目標値をいままで示されたことを、私は知らないわけです。ですから、一体大蔵当局はこういうようなマネーサプライ残高についての金融政策の運営指標というものをお持ちになっているのであろうか。これはやはり国債の大量発行のその引き受けの対応の仕方によっては、マネーサプライが増加したりあるいはしなかったりすることに関係があるので、私は聞いているのですが、そのマネーサプライの問題を金融政策の運営指標として用いてこられたことは、いままで正式には聞いておりませんが、今後はこういうようなものについて日銀では物価との関係でいろいろ検討もしているようでございますが、金融政策を進められる大蔵省として、これについて今後検討をされる意思があるのか、また適正な増加率というのは、今日の経済の実態を踏まえて景気を回復するということと物価を安定的に推移させるという二つの経済目標を達成するためにはこうなければならないという政策をお示しになり、そしてそれによって誘導をしていくことが必要だと私は考えているのですが、そういうことについてはどういうふうにお考えになっているのか、お答えをいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/119
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120・田辺博通
○田辺政府委員 マネーサプライの増加率、これが名目成長率と非常に相関関係が高いということは大体実証されているわけでございます。名目成長率を分解いたしますと、実質成長率プラス物価の問題、こういうことになるわけでございまして、前々から現金通貨でございます日本銀行券の発行の状況というものは非常に有力な経済政策、金融政策の判断の資料として、私どもも用いてきていたのでございますけれども、むしろその現金通貨のもとになってまいりまする、あるいは将来の流動性増加要因といいますか、発生の能力を持っております預金、現在は、日本銀行も私どももM2という定期預金を含めました指標を一番見ておるわけでございますが、これが一体何%ぐらいを一つの目標値として金融政策を考えているのかという御質問に対しましては、現在のところ私どもは、確定的な数値というものを頭に描いて、それに沿うような政策という意味で仕事をやっているわけではございません。
と申しますのは、結局、このM2、マネーサプライというものは、経済活動あるいは金融活動の原因をなす。それを刺激しあるいは逆に冷却させる要素もありますけれども、また一方におきましては、実際の経済活動の反映でもある。つまり原因であり同時にまた結果であるという性質を持っていると思うのでございまして、私どもも、もっともっと勉強を続けてまいりたいと思いますけれども、一義的な数値を決めまして、それに偏ったそのときどきの金融の量を調節するというのはいかがであろうか。むしろある程度の余裕を持ちました、期間的な余裕と、それから幅と申しますか、上限がどの程度をオーバーしたらば要注意、あるいは下限がどの程度を下回ればむしろ需要を喚起すべき状態であるかというようなことで、今後いろいろと模索をしていったならばどうであろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/120
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121・村山喜一
○村山(喜)委員 この問題は、アメリカや西ドイツあたりでは、やっているという、そういうような資料等を私たちも読んだことがありますが、日本の場合にはまだそういうような経済指標の目標値として定めたものを正式に発表していないようでございます。それにはまだ、いまのお話のように的確性を欠くという点もあるだろうと思いますし、政策の指標として使うのにはまだ十分でないという御意見もあろうかと思いますので、今後、これはやはり狂乱物価と言われたあの時代においては、マネーサプライが一年も二年も二五%を超えるというような高さで推移したことを思い起こしますと、われわれとしては、これを安閑視するわけにはいかぬと思うのです。そして、大型の国債発行の時代にありましては、その引き受けの対応のいかんによってはまたこれが上がったりするわけでございますから、そういうような意味において、十分検討をしていただいて、その成果等は「ファイナンス」等の資料にでもお書きをいただいて、われわれにも見せていただきたいということを要請を申し上げておきたいと思います。
そこで、「国庫収支特集」号をいただいておるのですが、この「昭和五十年度財政資金対民間収支の見通し」の中で「上半期の財政資金対民間収支は、」「八千四百八億円の散超となった。」「下期の見通しについては、今後の景気動向等不確定要因が極めて多く、現時点では的確に見通すことは困難である。」ということで、その調査時点ではそうであったと思うのですが、やはりこれから十二月の資金繁忙期に入ってまいりまして、一体どういうような資金上の問題が金融の動向の中で生まれてくるんであろうかということを押えながらやりませんと、たとえば後ほどこれも説明を求めたいと思いますが、赤字国債の発行を十二月には五千億か六千億は予定をしておりますというような話もお聞きをするのでございます。そこで、それにはどういうような状態であろうかということを想定をしながらやりませんと、そういうような国債で吸い上げる措置をとりますると、民間の金融の方にシフトするような状態も生まれてまいりまするので、一体十二月の資金繰りはどういうような状態になるのか、資金不足対策はどういうふうに進めているのか、その国債を中心にする債券のオペレーション政策でどれぐらいを予定をしておるのか、そういう条件をつくり出すために十一月の十六日に預金準備率を下げたのではなかろうか、そういう関係が国民の前に明らかにされなければならないと思いますので、その金融動向について、財政資金と民間収支の状況の予測について説明を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/121
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122・松川道哉
○松川政府委員 財政収支の動向でございますが、これは御案内のとおり、国庫の収支の科目は何万とたくさんありますので、私ども予測をいたしますときに経験的な比率、すなわち、総額の予算支出ないし税収等の中で十二月にどのぐらいの比率があるかということをもとにして推算いたしておりますが、この計算方式で試算いたしますと、一般会計につきましては、一応いま問題は国債の絡みのことでございますので、国債関係を除きまして考えますと、収入が一兆六千億程度あるのではなかろうか、また支出が二兆八千億ぐらいあるのではなかろうか。このように試算いたしますと、収支で一兆二千億ばかり払い超になるのではないかと思っております。そのほか特別会計がいろいろございますので、これが六千五百億ないし七千億の払い超になりますので、総体を足しますと、一兆九千億弱の払い超になるのではなかろうか。そういたしますと、仮にここで五千億——これは私ども十二月に発行いたしたい国債の最低限の数字と考えておりますが、五千億の国債を発行するということになりますと、一兆三千五百億ないし一兆四千億程度のトータルでの国庫の払い超ということに相なろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/122
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123・村山喜一
○村山(喜)委員 それはわかりますが、十一月の十六日に日銀が決定をいたしました預金準備率の引き下げとの関係はどういうふうに見ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/123
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124・田辺博通
○田辺政府委員 御案内のとおり、今月の十六日から預金準備率の引き下げを行ったわけでございますが、これはいままで行ってまいりました金利政策あるいは日本銀行の窓口指導等の手段を通じますところの金融緩和政策を基調的にさらに進めたもの、こういう意味合いを持つものでございますが、時期として十一月十六日以後の預金残高について適用するということにいたしましたのは、先生も御案内のとおり、十一月の終わりから十二月にかけまして、これはわが国特有の季節的な資金繁忙期になるわけでございまして、それまでは相当の資金余剰月であった、こういうこともございまして、特に十一月の下旬から適用するということにしたわけでございますが、これが例月並みの効果を発揮しますと、金融市場全体として五千二百億程度の資金の放出になると思います。ただ十一月の分は、結局月の半ばから行いましたものですから、その半分程度が——現実には、これは日本銀行に積みます準備預金の平残の計算としては十一月十六日から十二月十五日まで、こういうことになりますので、そういった時期での資金放出額はほぼその半分に近い。それから十二月になりますと例月並みの数字になりますので、約五千二百億の資金が散布される、こういう計算になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/124
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125・松川道哉
○松川政府委員 ただいまの答弁で私、一つ重大な勘違いをいたしましたので訂正させていただきます。
ただいま申し上げました数字は国庫の収支見込みでございまして、先生の御質問は対民間収支であったかと思います。その意味では対民間収支にあらわれない取引がございますので、これを差し引いた結論で申し上げますと、国債が仮にない場合の対民間収支は一兆一千ないし一兆二千の払い超になろうかと思います。それから先ほど申し上げました最低の五千億円というものを引きますと、差し引き六、七千億円程度の対民間の払い超、このようになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/125
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126・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、十二月に大幅な資金不足が生ずるというようなことと、それから民間の資金需要が、年末の決済、ボーナス、給与、その他支払い関係が増大をいたしてまいりますから資金需要か出てくる。そこでその時期に備えましていもちろん金融緩和政策という意味はありましょうが、預金準備率を引き下げまして五千二百億ぐらいの放出の散超の条件をつくり上げて、そして資金繰りの点においても、先ほどお話がありましたように散超が一兆二千億程度あるから、そういうものに合わせてこの際国債を五千億ぐらい出しても支障がないような条件をつくり上げて国債の消化政策を進めるんだ、こういうふうに直結したような考え方を印象的に持ったのですが、それは間違っておりますか、正しいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/126
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127・田辺博通
○田辺政府委員 準備率のことでございますので私からお答えいたしますが、国債を消化させやすいために準備率を下げたということではございません。これは先ほどから申し上げておりますように、いままでとってまいりました種々の金融緩和の基調、これをさらに持続させるという意味合いを持ったわけでございまして、特にこの時期を選びましたのは、たまたま季節的に資金需給が逼迫する時期にそれを選んだ方が効果的である。と申しますのは、それまではかなりの資金余剰の状態が続いておった、こういうことでこういう時期を選んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/127
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128・村山喜一
○村山(喜)委員 そういうふうに十二月の資金関係の動きは、もう的確に資金需要の超過、非常に繁忙期に入ってまいりますから、国債は、なるほどそういうような操作をとれば五千億ぐらいは発行できるだろう。六千億でしたか。十二月に幾ら国債を発行する予定ですか。この点をまず初めにお伺いをして、そしてショートを起こさないだろうと思うのですが、民間企業の資金需要に対してはそういうような摩擦が出ないかどうか、その点を明確にしておいてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/128
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129・松川道哉
○松川政府委員 まず初めに、国債並びに国庫の関連の部分を私から御説明させていただきます。
先ほども申し上げました数字、すなわち十二月に五千億円程度はぜひ出したいと私どもが考えておりますゆえんは、これから年度末までに出さなければならない国債の金額が相当大きい。これを消化してまいりますときに、先生の御指摘のようなヒッチと申しますか問題が起こらないようにスムーズに出していくためには、なるべく資金需給の繁閑に対応して、そうしてできるだけ平均的に出していきたいということで、国債の残高とこれから後の毎月の状況を過去の経験からながめ合わせながら、五千億程度ということを頭に置いておるわけでございます。
ただ、毎月の国債の発行額は、その月の始まります直前にシンジケート団の世話人会と御相談いたしまして、その上で最終的には決まることになります。私が先ほど申し上げました数字は、十一月に八千億という非常に大きい数字を市中消化分としてお話ししたわけでございますが、そのときの世話人会においてこれからの数字を見れば十二月には恐らくこのくちいではないかなということで非公式に私は発言いたしておりますが、これから最終的には今月の末に開かれます世話人会で正式に決定される種類の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/129
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130・村山喜一
○村山(喜)委員 この際、五十年度分の国債の発行状況を、額面ベースでいいですが、四月から十一月までどういうふうになっているのか、ちょっと明らかにしてもらいたいと思うのです。
それから、この法律が通りました段階において、十二月ではいま五千億という話でございますが、この出納閉鎖期まで延ばしておるという状態もございますので、一体一月から二月、三月、その段階の中でどういう発行を予定をしておるのか、その内容を説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/130
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131・松川道哉
○松川政府委員 以下、額面ベースで申し上げますが、四月三千億、五月三千五百億、六月千二百億、七月千億、八月千二百億、九月三千八百億、十月三千八百億ということで、合計一兆七千五百億円、これがシンジケート団を経由して消化いたしました分でございます。その間、資金運用部が引き受けましたものが二千五百億円ございますので、合計いたしまして十月末でちょうど二兆円のものが消化されたことと相なります。十一月はシンジケート団で八千億、運用部で千八百億、合計九千八百億円消化いたしますので、合計いたしまして二兆九千八百億のものが消化されることと相なります。これに対しまして本年度の総発行予定額である五兆四千八百億円は、額面ベースに直しますと五兆五千六百四十五億円でございます。したがいまして、差し引き二兆五千八百四十五億円が、十二月から後で今年度内に発行されなければいけない金額でございます。
なお、先ほど御指摘がございました四月、五月の分につきましては、現実の仕事の運びといたしまして、三月に出します国債の金額は二月の末にシンジケート団と話をいたします。その段階で年度末の歳入不足がどのくらいになるか、確たる見通しがまだ立たない段階でございますので、若干のアローアンスを残して剰余金がプラス・マイナス・ゼロになるような形で国債を発行する。そして、もっと見通しが固まってきました段階で三月の下旬に四月分を決め、最後に四月に入りましてから確定的な見通しが立ったところで五月分で最終的に調整をいたしたい、このように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/131
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132・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、借りかえ債の発行予定額四千二百三十億はいつの時点ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/132
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133・松川道哉
○松川政府委員 これは借りかえの時期が参ります都度発行いたすわけでございます。借りかえの時期は三カ月分ずつをくくっておりますので年に四回でございますが、この各月の計数はいまちょっと手持ちをいたしておりませんので、至急取り調べまして御報告させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/133
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134・村山喜一
○村山(喜)委員 いままで発行いたしました二兆九千八百億、これは十一月まで。これは借りかえ債の発行額は含んでおりませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/134
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135・松川道哉
○松川政府委員 借りかえの分は含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/135
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136・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、これから二兆九千八百億ですから、十二月以降、あと三兆ありますね。借りかえ債まで入れますと三兆ある。その三兆を、十二月は六千億ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/136
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137・松川道哉
○松川政府委員 借りかえの分につきましては、五月、八月、十一月、二月でございますので、五月、八月分はもう済んでおります。十一月分がいま手続中でございます。そういたしますと、その分が全部これから後で発行される金額にオンされるわけではございませんで、そのうちの一部でございます。それから十二月の発行の金額、ただいま六千億という御指摘がございましたが、これにつきましてはこれから話し合いで決めてまいるつもりでございます。その考え方としましては、最低五千億は出したいというのが私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/137
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138・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、十二月はそういうような資金操作等によりまして、三兆の方が大きいですから、民間の資金需要にしわ寄せをするようなことにならないで五千億は発行できるだろう、こういうふうに見ておられるわけでしょうが、かねては、もちろん国債の規模にもよりますが、十二月というのは少な目に発行しようということでたしか二千億か三千億程度しか発行していなかったように記憶しているのです。今度は五千億ないし六千億ぐらい発行するということになっても問題はございませんか。これはもちろん九月決算の税収がどういうふうに入ってくるかということにも関係があるわけでしょうが、そういうような点から見て、これから一月、二月、三月という時期にスムーズに発行ができるだろうかというのは、その段階では揚げ超の時期に入ってくるのですね、一月から三月にかけては。それがこういうような手段を講すれば発行はスムーズに参りますということが言えますか。そういうような客観的な条件をどういうふうにして示していただけるのか、その点について説明を求めたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/138
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139・松川道哉
○松川政府委員 御指摘のように、十二月はわりあい資金繁忙時期でございますので、たとえば四十一年度から四十四年度までの期間をとりますと、この間、結果的に発行されました国債は四千億ないし六千億でございますが、このいずれの年におきましても十二月には三百億しか出しておりませんでした。また四十六年度以降、この間は一兆数千億という金額の国債が出ております。四十九年度になりますと、二兆を超しますが、大体一兆数千億というときに、四十六、四十七、四十八年度におきましては、十二月はそれぞれ五百億円程度のものを出しております。詳しく申しますと、四十六年度だけ五百五十六億円で、四十七年度、四十八年度は五百億円でございます。その意味で、十二月に非常に大きい数字を出すのはなかなか心理的にむずかしい面はあろうかと思います。ただ通貨の面からこれを見ますと、それだけの余剰があるものでございますから、そこはぜひお願いいたしたいというのが私どもの考え方でございます。
さらに一月から三月までの期間でございますが、これは御指摘のように財政といたしましては揚げ超の時期でございます。しかしながら民間自体の資金需給の関係から申しますと、十二月よりはわりあい楽な月でございます。これも数字で申し上げますと、たとえば四十一年度から四十四年度まで、さきに十二月は毎月二百億だと申し上げましたが、四十一年度は十二月の二百億に対して一月は五百億出しております。四十二年度は二百億に対して、一月が四百億出しております。そのように財政資金の対民間収支のみでは全体がさばけない要素もございますので、その意味で一月から三月にある程度の国債を消化いたしますことは非常に無理なことであろうとは私ども思っておりません。またその観点からも、この席をかりてお願いして恐縮でございますが、できるだけ早くこの法案を通していただいて十二月債から無事出せるようにぜひお願いいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/139
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140・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで十二月から三月までの間に、この計算でまいりますと、借りかえ分がすでに済んだのまで発行額の中に入っているという説明でございましたから——入ってないのですか。そうしたらこれは新規発行の分ですか。そうなりますと、二兆五千億なのか三兆なのかという点を明確にしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/140
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141・松川道哉
○松川政府委員 先ほど申し上げました四月から十月の間で二兆、十一月に九千八百億、合計二兆九千八百億円出しましたと申し上げましたが、そのほかに、この期間に発行いたしました借りかえ債が三千九百九十億円ございます。したがいまして、借りかえ債で二月に借りかえなければいけない分は二百四十億円残っておるという計算に相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/141
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142・村山喜一
○村山(喜)委員 そうすると二兆五千億ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/142
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143・松川道哉
○松川政府委員 そうしますと、十二月から三月までに出さなければいけない国債の額は新しいものが二兆三千百九十億円、これに借りかえ分が二百四十億円で、二兆三千四百三十億円、これだけを四カ月の間に出さなければならないということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/143
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144・村山喜一
○村山(喜)委員 今後そういうような意味においてシンジケート団の引き受け分……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/144
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145・松川道哉
○松川政府委員 失礼しました。いま欄を一つ読み違えまして……。十二月から三月までに出さなければいけない数字を二兆三千百九十億と申し上げましたのは特例債だけでございまして、そのほかのものを入れますと、新規債の合計は二兆五千八百四十五億円でございました。まことに失礼いたしました。したがいまして、これに二月分を足しますと、二兆六千八十五億円、このように相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/145
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146・村山喜一
○村山(喜)委員 二兆六千億余りをこれから消化をしなければならないということでございますが、そうなると、それに対しては、たとえばシンジケート団の中の証券会社の引き受けが九月は二百二十億でしたね。十月は当初はもっと多かったわけでしょう。やはり二百二十億ですか。十一月はどういうふうになるのですか。証券会社としてはこれはできないというようなことで断ったというような報道を見たのです。シェアが一〇%のものが落ちてきた、六%近くに落ちてきたというようなのを見たのですが、その点はどういうようになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/146
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147・松川道哉
○松川政府委員 発行者である国といたしましてはシンジケート団と交渉いたしますので、したがいまして、その交渉は総額でございます。ただその中で、通常一割を証券が引き受けておったのでございますが、御指摘のように、金額が急にふえましたために証券会社がそれだけ消化ができないということで、シンジケート団の中で話し合いをいたしました結果、十一月は二百六十億円を証券会社が消化する、このように決まった由に報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/147
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148・村山喜一
○村山(喜)委員 八千億の中の二百六十億といえば、パーセンテージにしまして何%ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/148
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149・松川道哉
○松川政府委員 三%強でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/149
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150・村山喜一
○村山(喜)委員 結局証券会社としては三%程度しか引き受ける余力がない、こういうことになってきたら、後の方に今度はそれがかぶってきますね。それはどういうところがそれを引き受けるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/150
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151・松川道哉
○松川政府委員 十一月に発行いたします八千億というのは、月としては非常にまとまって大きい数字でございます。したがいまして、その間における個人消化の分の比率が非常に低く出ております。しかしながら、これから後の月におきましてはその総額が多少少な目に出てまいりますと、そのパーセンテージは若干上がることになろうと思います。ただ、過去にございましたように一〇%までは今年度は戻れないのではないか、率直に申しまして私はそういう感じを持っております。
そこでこの残りをどうするかということでございますが、シンジケート団としてお引き受けいただいておりますので、シンジケート団の中の話し合いによってこの点は解決されるものと思っておりますが、具体的に十一月分についてどのような比率でどういうふうに解決したかという報告は、まだ接受しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/151
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152・村山喜一
○村山(喜)委員 新聞によりますと、その割り当て比率は変えないということの報道がなされておるやに私は読んだのですが、あなたのところが十一月分の引き受けの実態を知らないということであれば、一体そういうような状態——まあ理財局長は知らなくても証券局長どうなんですか、知らないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/152
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153・松川道哉
○松川政府委員 これは実際の運びといたしまして、十一月分は二十日に締め切られて二十五日に払い込みというスケジュールになっております。そこで、問題の性格にもよろうと思いますが、払い込みの直前までいろいろな話し合いが行われるのではないかというのが私の受けておる感じでございます。
なお、先ほどの新聞報道につきましては、そのような報告はシンジケート団から受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/153
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154・村山喜一
○村山(喜)委員 証券局長お見えになっているようですが、証券会社が引き受けを渋るというのは、今度の新発債の八・二二七%と既発債との間の価格の不利な点から生まれてくる。そういうようなものをお客さんに売るわけにいかぬというその影響が働くわけです。証券会社はいまのような発行条件の中で、これから努力はもちろんしましょうということは、それは監督官庁である大蔵省に対しては言うでしょうが、果たして消化ができるような状態であるのか。九月の場合には売れ残りが大分出て、十月も売れ残りが半分以上も出たという報道を聞くわけでありますが、証券会社が引き受けた最近の九月、十月、十一舟の消化状態は一体どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/154
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155・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 個人消化でございますが、十月はいま先生おっしゃいました売れ残りという点は、先ほど理財局長が申し上げましたように、二十日で締め切った場合には若干まだ売りさばいてないのがございましても、これは月末までの間に全部売り尽くしておりまして、その面で売れ残りという正確な意味におきましては、売れ残りがあったとは報告を受けておりません。ただ御指摘のように、個人消化は、発行額がふえればその一割を個人がそのふえた分だけ持てるというような状況ではないと存じておりますので、月々の証券会社の引き受けにつきましては、かなり気を使って私どもも指導いたしておるわけでございます。
ただ、十一月と十二月の月の状況だけ申し上げますと、一般には金融が緩やかなのが十一月でございますから、証券や国債の消化につきましても、法人金融機関関係では十一月である、個人関係ではむしろ十二月の方が資金がある、要するにそういうことでございますので、個人消化の方はむしろ十一月よりも十二月の方が大きくなるということでございます。
全体的にいたしまして、一割についてどれだけの消化ができるかということにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、金利の状況も他の債券に比べましてやや、まあ私ども大変努力したつもりでございますが、かなりの前進を示して魅力あるものに近づきつつあるわけでございますから、私どもとしては証券会社に対しては、無理はしないけれども努力して売ってもらいたい、こういうふうに指導しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/155
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156・村山喜一
○村山(喜)委員 まあ努力はされたのでしょうが、理財局の方は財政負担も伴うことになりますから、できるだけ安い金利で出したい。しかし実際買う方から言えば、実勢金利よりも国債だから金利が安くていいということで喜んで引き受けるような状態にはないわけですから、長期金利の改定に当たりまして、もっと下げるべきところを下げ足を縮めたということで、努力をされたのだという意味に受けとめておきたいと思うのです。それにしましても実勢金利との間に一・五%も開きがあるような状態では、買いなさいよということで勧めましても、喜んで買いましょうというわけにはなかなかまいらないですね。ですからそういうような意味から、この点についてはこれから一月、二月、三月の間にもっと消化をしていくのには、やはり銀行に割り当て方式で泣いてもらう、後はまためんどうを見てあげますというようなやり方しかとれない、私はそういうふうに思うのです。
そこで、長期国債の問題はその点で指摘をしておきますが、短期債の大蔵省証券等の資金繰りの問題でございます。十二月の資金繰りの状態については一体どういうふうになるのかということについての説明をしてもらいたいたいということを、私のところに法規課長が見えましたので注文をしておいたのですが、まだ説明に見えませんので、この席で説明をするように準備はされているのだろうと思っておりますので、十二月の資金繰りについてどういうふうになっているのか、ちょっと説明を願いたいのです。
われわれの見方では、二兆二千億というものが今度は予算総則の七条で認められたわけでございまして、そういうような短期資金の措置によってやるならば、十二月は別に国債を五千億も六千億も発行しなくてもやっていけるのではないだろうかというふうに見ておるのですが、その点がどういうふうになっておるのか明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/156
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157・松川道哉
○松川政府委員 大蔵省証券の発行残高でございますが、十月の末は九千億強で月を越しまして、その後十一月の初めに税収が上がる等がございまして減ってまいりましたが、本日はまた国債の利払いなどがございまして、約一兆二千億円の残高と相なっております。これがまた今月の間に収入等がございまして漸減してまいりまして、恐らく今月末、月を越しますときには六千億前後になるのではなかろうかと思います。
それに、十二月中の国庫収支見込みでございますが、先ほど申し上げましたとおり、一般会計において約一兆二千億の不足があり、その他の特別会計などの不足が約七千億近くございますので、合計一兆九千億近くなる。そこで、お許しをいただいて、国債を五千億発行することができるのであれば、十二月中の国庫金の払い超額、すなわち大蔵省証券をもって賄わなければならない金額が、約一兆四千億円、こういうことに相なりますので、十二月末の状態では約二兆円ということになります。ただ、月の間で、若干のでこぼこがございますので、アローアンスを見さしていただいて、五千億の国債を出せば、ちょうどこの二兆二千億の範囲内でおさまるのではないか、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/157
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158・村山喜一
○村山(喜)委員 大変深刻な模様でございますが、法人の九月の決算に基づく税収がどういうふうに納入されているのか、延納の手続がどういうようにあらわれるか、それにも関係があると思うのですが、税収の見込みをどういうふうにしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/158
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159・松川道哉
○松川政府委員 一般会計の税収の見込みでございますが、この中で時期的に非常にはっきりしておるもの、すなわち申告所得税だけは除いて、そのほかの税金の総収入をもとにいたしまして、経験率のパーセントをかけて計算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/159
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160・村山喜一
○村山(喜)委員 申告所得分を除いた理由はどういうところからですか。私はやはり、申告所得税関係は大分落ち込んではおるものの、それを除いて計算をするという方式は、これだけ早く通さなければならないために、こういう資金不是でございますから国債を五千億ぐらい出さないと資金操作ができませんよというようなことで説明をされているような気がしてならないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/160
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161・松川道哉
○松川政府委員 これはことしだけの計算方法ではございませんで、歳入の方では、申告所得税は三月末にまとまってまいりますのでこれは除いて計算する、それから歳出の方では、これは御質問にはございませんでしたが、歳出の方では食管の関係は別にして、そのほかの要素について経験率ではじくというのをずっと定例といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/161
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162・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、それはいまのようなやり方を考えなければ、この法律が通らないと資金繰りが非常に困るという説明になってきているわけですが、その中で支払いの繰り延べとかなんとかいうようなものも想定をされたわけでしょうか。
それから、この際私は大臣に御所見をお伺いしておきたい点がございます。
というのは、法人税制のあり方の問題で、延納の権利が法人にはございますね。それから損益通算の権利がある。それに純損失の繰り越しと繰り戻しの制度がある。西ドイツの場合等は、繰り延べの措置はあるのですが、繰り戻しという制度はないようですね。だから、今度過年度分のそれに充てるために、赤字企業の場合、大体千七百億ぐらい税の払い戻しを受けているというふうにわれわれも見ているわけですが、一体そういうような法人税制のあり方というものが果たしていいのだろうかということを考えるのですが、その点については、法人税制のあり方として検討をされる御用意があるのか。その点をあわせてお伺いをしておかないと、大分払い戻しをしたものがあると見ておりますので、十三月までにどれだけの法人税関係の払い戻しをされたのか、それもあわせてお伺いをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/162
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163・松川道哉
○松川政府委員 御案内のとおり、十二月には各種の補助金であるとか、また、社会保障の各種の経費であるとか、そのほかいろいろな支払いがございます。なかんずく大口を二つ例示的に申し上げますと、各種の人件費、これはたとえば義務教育費の国庫負担金なども含めまして、各種の人件費が合計でことしの場合約九千五百億円出るであろうと思われます。また、各種公共事業費の支払いが約六千億円出るだろうと思われます。この二つで半分以上になるわけでございます。
そこで、先生御指摘のような、今回のような財政事情であればこれについて何らかの繰り延べの措置なり何なりを考えていまの数字をはじき出したかという御質問でございますが、ただいま申し上げました数字の計算に当たりましては、繰り延べとかそういったことは考えずに、現行制度のままいけばこのような支払い並びに収入の状況になるということで計算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/163
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164・大倉眞隆
○大倉政府委員 法人税の欠損還付でございますが、おっしゃいますとおり、ドイツ、フランスには繰り戻しという制度はございません。アメリカ、イギリスにはございます。
どちらがよろしいかということでございますが、私どもとしましては、やはり繰り越しと同時に、無制限の繰り戻しというのはいかがかと思いますけれども、過去一年への繰り戻しというのは、制度としてはいい制度ではないかという考え方をとっております。
金額的に申し上げますと、還付金の支払いは、四十九年度では年度間で法人税は千四百二十六億でございまして、五十年度に入りましてから、四月から八月までの五カ月間で二千五十八億ということになっております。これは一部におっしゃられておりますように八割以上が大法人向けであるというわけではございませんで、大体半分近くが中小と申しますか、いわゆる一億円以下の中小法人よりもう少し小さい、御承知の税務署所管の法人の分が半分以上あるわけでございまして、決して大法人のために特に優遇をしておるというような性質のものではないと考えておりますし、また、これがありますために、たとえばレイオフをしないで済むとか、あるいは賃金も払えるとかいう金融的な下支えの効果は十分考えられるわけでございまして、やはり法人税制度としては今後ともこれを維持していった方がいいんじゃないかというように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/164
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165・村山喜一
○村山(喜)委員 私の質問は大体このあたりで終わりますが、いまの主税局長の御答弁ですが、なるほどそういうような繰り戻し制度がなかりせば企業の倒産件数はふえたかもしれない。それは言えるわけですが、法人税関係の中で繰り延べはいざ知らず、そういうような繰り戻しまで含めた税制というものが法人については認められる。個人については、災害等があった場合には減免規定はありますが、それがない。やはりそこら辺にも問題があるというふうに私は思うのですよ。企業税制のあり方として、アメリカ方式や日本方式がいいのか、あるいは西ドイツやフランスのような方式の方がよりベターであるのか。これは長い慣行もあるでしょうが、短絡的に結論を出すのではなくて、あり方としてどういうふうに持っていくべきかということについてもっと十分検討をいただいた方がいいのではないだろうかと私は考えております。
それで最後に、シンジケート団の中で金融機関が持っておるのは、現物の国債をそれぞれ持っているわけではなくて、登録された番号表だけしか与えられていないというふうに承っておるのですが、それはどういうような保有形態になっておるのですか。国債は現物を受け渡しをしておるわけですか。それともそういうような登録だけで処理をして、そして通知をしたことによって、あるいは買い上げることによって、そういうのは省いてやっておるのかどうか。その点を明確にしておいていただきたいと思うのです。というのは、それはやはり今後の国債政策を打ち立てる重要な基礎になりますので、その点を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/165
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166・松川道哉
○松川政府委員 国債につきましては、各国ともほぼ同様でございますが、たてまえは利札付の債券で出す。また割引の場合には、割引でございますので利札はついておりませんが、債券の形で出すということになっておりますが、あるいは盗難であるとかその他取引の場合の決済の都合であるとか、いろいろなことがございまして、それを国債の取扱機関であるところに登録することによって処理するということは通常広く行われております。そしてただいま御指摘のように、あるいは金融機関であっても券面のある方がいいということであれば券面を発行いたしますし、また逆に個人であっても登録の方がいいということであれば登録国債として処理することができる。また個人の場合も証券会社の保護預かりになっておる場合が多うございます。そのときに保護預かりを受ける証券会社が、実際の券面でやっておるのか登録でやっておるのか、その辺は種々の形態があろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/166
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167・村山喜一
○村山(喜)委員 それは管理政策上登録だけでいいということになって、当事者間の了解でそういうようなことをやっているようでございますが、やはりそういうようなのを考えてみると、市中消化という言葉の中には、そういうような割り当て方式、そして一定の時期が来たら日銀が引き受ける買いオペの対象として措置をする。そういう形の中で日銀保有や資金運用部の保有による国債が累積をしていく、あるいは民間にそういう国債が滞留をする、こういうような形で国債が正常な姿で今日発行され、そして国債の管理政策が機能しているとは、私もどうも思われないのでございます。
公定歩合を一%下げて、それが貸出金利の方に〇・六ほど比例するという形に、それに準拠して比率がそういうようなことで現実に引き下げが行われた場合には、企業の今日までの統計的な数字から言えば、純利益の一〇%が企業利益としてふえる、そういう統計的な数値もあるようでございまして、金融政策やあるいは今後の財政政策の中で、国債を抱いた姿の中から、市中消化とは言いながら、そういうようなことで金利の機能が十分に働かないような状態の中で国債が割り当て方式で発行され続けていく。それの返済についての明確な計画もいまのところは出すことができない。
将来は、特例債がなおこれからもふえ続けていくであろう。そして国債に抱かれた財政のような形で、これが日本のこれからのそういうような財政金融政策の中で非常に大きなウエートを占めてくるのが予測をされながら、十分な対応策がいま講ぜられているとは言えない。こういうような状況の中に、私はいままでの論議を通じまして印象を受けたわけでございまして、この際、やはり今後の国債政策あるいは国債管理政策というようなものについては、何としても市中消化、個人消化という原則を貫いていくために、もっと機動的な運営をやらなければならないのではなかろうかという気がいたしますので、最後に大蔵大臣の所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/167
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168・大平正芳
○大平国務大臣 いまの財政の立場から申しましても、金融の立場から申しましても、仰せの国債政策、国債管理政策のあり方というものが大変重要性を増してきたこと、これに過ちを犯したならば取り返しのつかない事態に発展してまいることも仰せのとおりでございます。しかし、それにもかかわらず、今日、国債管理の環境が整備されていないし、市場がきわめて狭隘で、しかもひ弱でございますことも御案内のとおりでございまして、国債政策にまだ十分政府が慣熟していないことも各方面から御指摘をいただいたわけでございます。
私どもといたしましては、この問題に真剣に取り組みまして、過ちを犯さないようにしなければならないと考えております。逆に言うと、国債政策がうまくいけば、財政がうまくいく、あるいは金融政策もうまくいっていることの一つの証左になるのではないかと考えるわけでございまして、大蔵省全体といたしましてここに最も力点を置きまして、きょう大変示唆に富んだ御質疑をいただいたわけでございますが、十分御趣旨を体しまして、この国債政策の展開には気をつけてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/168
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169・上村千一郎
○上村委員長 高沢寅男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/169
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170・高沢寅男
○高沢委員 私は、初め大臣に質問をいたしまして、あとはまた具体論に入ればそれぞれの担当の局長さんにお願いをいたしたいと思います。
ことしの、この発行することになった赤字国債の問題ですが、結局、戦後のわが国の財政の歴史で、国債を出し始めるようになった直接の契機は、昭和四十年の不況のときで、このときに、四十年に赤字国債の発行があって、四十一年以降は建設国債ということで来て、それでことしまた二度目の赤字国債というふうなことになっているわけです。四十年の赤字国債のときも、その当時の経済事情を振り返ると、非常に異常な不況状態ということがありまして、当初の予算で予定しただけの歳入が入ってこないというような状況の中で、年度の途中において非常に異常な措置としての赤字国債の発行が行われたというのが四十年であったと思いますが、ことしの場合もその意味においては同じ性格の国債であると思います。
当初に予定された予算の歳入額が、非常な経済事情の変動のために予定どおり入ってこない。そのために三兆九千億というふうな大きな歳入の欠陥になったということで赤字国債を出さざるを得ない、こういうふうな事情になってきたこの経過は、四十年とことしの昭和五十年というのは、その意味においては同じ性格だ、こういうふうに見ていいと思うのです。
しかし、その前提の上で、どういうふうにこの問題を考えるべきかという議論はまた当然行いますけれども、私はここで冒頭に大臣にお尋ねをしたいのは、今度は来年度の、昭和五十一年度の予算編成の中で、私は、いまの事情では必ず、どの程度になるかはわかりませんが、やはり赤字国債の発行というものは出てくると思うのです。そういたしますと、五十一年度の予算ではその予算編成の当初から赤字国債ということになってくる。いままでの、四十年なり五十年は、予算編成の当初はそういうことはなくて、その年度の予算を進めていく過程で、異常な経済情勢のために出さざるを得なくなった、こういうようなことであるわけですが、来年度の場合にはもう初めから赤字国債、こうなってくると、同じ赤字国債でもやはり性格が変わってくるのではないかというように考えるわけです。
多少たとえ話で恐縮ですが、飛行機が飛び立って目的地まで行く途中に何かの異常な事態なり非常な気候の変化なりで、途中で油が足りなくなって、そして空中で給油を受けるというような状態に対して、この来年度の赤字国債の場合には、もう飛び立つ初めからすでに補助タンクを用意して、通常の油より余分な油を用意して飛び立つようなことにもなるのではないか、こう思うわけです。
それが、たとえば昭和五十一年度の予算もまたそうなるというようなことになってまいりますと、これは赤字国債を必要としない財政を早く実現する、こうは言われておりますけれども、五十一年度もそうだ、五十二年度もそうだというようなことになってくると、これはもうその意味においては赤字国債を初めからビルトインしたような予算編成が年々続くということになってくると、私は、これは非常に重大な日本の国の財政の性格変化だ、こういうふうに見るべきだと思うのです。
そういう意味で、四十年の赤字国債、ことしの赤字国債と、今度は来年度以降の赤字国債は、同じ赤字国債でも性格の違いがある。このことについて大臣はどういう認識を持たれて、そういう事態に対して、それを一刻も早く脱却するにはどうすべきかという、そういう大臣の基本的な見解を初めにお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/170
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171・大平正芳
○大平国務大臣 いま御審議いただいております特例法は、五十年度の特例公債の発行に関するものでございまして、御指摘のとおりでございます。そして、それは、五十年度にわれわれ予想いたしました歳入が期待できないために、やむを得ずそれを補てんするためのものであるという性格を持っておりますことも御指摘のとおりでございます。したがって、過去においてやりました例と軌を一にいたしております。
しかし、五十一年度は、そうではなくて、初めから特例公債の発行というものを抱いた予算にならざるを得ないという展望、私もそう考えておるわけでございますが、だとすると、高沢さんが御指摘のとおり、これは確かに新しい性格の特例公債になると思うのであります。御指摘のとおりと思います。したがって、明年度もしそういうことになりまする場合、別な法律をもちまして御審議を願わなければなりませんし、その法律にはその性格をはっきりとうたわなければならないものと考えておるわけでございます。
そういうことは、ことしも目的は違うにいたしましても特例債を出す、来年も出さざるを得ないということになると、日本の財政が一つの変質を来たして、ゆゆしいことになりはしないかということで、そういうことになって体質が変わってしまうというようなことになると大問題だから、これから一日も早く脱出をするには、異常な決意で、異常な方法で対処しなければならぬではないかということ、あなたのおっしゃるとおりだと思うのでございます。
私ども、今日の事態、われわれが当面しておる事態というのは、確かに一つの空前な事態だと考えております。日本の経済が受けておりまするつめ跡というものは、非常に広範でございますし、非常に深くあるわけでございまして、四十年度のそれのように短期間の間に調整を終えてしまう、治療を終えてしまうというわけにいかないと思うわけでございますので、この日本経済の治療をできるだけ早くしなければならぬにいたしましても、五十一年度の単年度で終えるには余りにも大きな傷跡であるというように私は判断いたしておるわけでございます。
しかし、これは特例債を出すことが日本財政のあり方として当然なことである、それがビルトインされた財政であるというものにもう転落してしまうのではないかという憂えに対しましては、私は、そういうことにしてはならないと思うわけでございまして、単年度ではできないにいたしましても、極力短い期間にこの特例債依存から脱却するというようにしなければならぬと考えておるわけでございまして、これを日本財政の持つ体質的な属性にまでしてしまうということは、えらいことだと思っておるわけで、そういうことは絶対避けたいと思っております。
しかし、それではこれを避けるにはどうしたらいいかということでございますが、これはよほどの大事業でございまして、歳入、歳出全面にわたりましての再検討が必要でございまするし、私どもの考え方、われわれの習慣というようなもの、それから制度、そういったものにまで及ぶ相当徹底した刷新を必要とするのではないかと考えておるわけでございます。いまそれを全部洗い出してお目にかけるというまで、私どもの用意はまだできていないわけでございますけれども、政府はこれに備えまして、歳入、歳出両面にわたりましてどういうようなことをすべきであるか、どういうことをしちやならないか、そういう点についていま鋭意検討をいたしておるわけでございまして、五十一年度の予算に関連いたしまして、できるだけ具体性を持ったものを漸次御提案申し上げて御審議をいただかなければならぬと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/171
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172・高沢寅男
○高沢委員 私たちの先輩の言葉に入るをはかって出るを制すという言葉がありますが、普通の個人の家庭経済であれば、収入がどれだけあるか、その枠の中で支出を当然考えていくということで、ただ国の財政の場合にはそうはいかぬということは確かにあるわけです。しかし、こういうふうに、いま大臣もお認めになったように、来年度の予算が初めから赤字国債を前提とした予算を組まなければならぬという状態になってくるときに、非常に極端に入るをはかって出るを制すというやつを国の財政にもし適用するとすれば、来年度の税収を基本にしてどのくらいの歳入が期待できるかという枠、その枠の中で支出も賄っていくというようなやり方をすれば、これは赤字国債は必要がないということになってくるわけです。しかし、そういう予算を現実に組んだらいまの経済情勢にどういう衝撃を与えるかということは、これはこれでまた当然大変な問題ですが、予算編成のそういう場合の判断は一応別といたしまして、赤字国債を避けるということだけを中心に考えれば、歳入の枠内で歳出を組むというふうな組み方も当然出てくるのじゃないかと思うわけです。
赤字国債を初めからビルトインするような、そういう財政になっては大変だといま大臣も言われたですね。そういう事態を避けるための最大限の努力としては、やはりこの入るという面ですね、つまり税収を中心とする、そういう面のいろいろな努力というものも当然必要になってくる。しかも、その努力は当然大衆課税であってはならぬというふうな原則をわれわれは前提にするわけですが、そういう努力も最大限来年度の予算編成ではやるということ、そこにわれわれの言う租税特別措置の見直しや整理というものも当然出てくるわけですが、そういう面についての来年度に向けての大臣の御決意といいますか、お考えをひとつお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/172
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173・大平正芳
○大平国務大臣 たびたび申し上げておりますように、来年の経済は、私は、石油その他の資源の危機から受けた傷跡を仮に忘れて、相当な大きな負担に耐えられる経済かというと、まだそうなっておると期待できないのではないかと思っております。法人税あるいは所得税、そういった方面での一般的な増税が期待できるような経済の体力ではないのではないかというように考えております。
しかしながら、いまあなたが御指摘のように、日本の財政は、歳入面で相当大きな負担を国民にいずれお願いしなければならぬ時期がもう間近に迫っておる。非常に切実した課題になっておるということも事実でございまするので、私ども来年はまず大きな増税は、一般的増税はできないけれども、現行の制度、税制の中でどこかにまだ不公正が残っておるというようなことのないように、一遍徹底した洗い直しをしなければならぬのじゃないか。その中で増収をできるだけ図ってまいることはできないものだろうかということがまず第一の課題になってくると思うのでございます。したがって、政府として税制調査会にいま精力的に御検討をお願いしているのはそのことでございまして、税制調査会にまだ新たな税を起こして増税の御検討をお願いすることはいたしておりません。
それから第二にお願いしておりますことは、税の負担というものはこの際どういう程度が適切なものであるかという点について御検討をしてもらいたいということを第二にお願いいたしておるわけでございまして、これは、将来直接税にせよ間接税にせよ、私どもが税の負担をお願いする場合にどの程度まで負担をお願いすることが許されるだろうかという点で検討をお願いするのがいまの段階の仕事じゃないかということでございます。したがって、新たな税金を起こすということについての御相談はまだしていないというわけでございまして、五十一年度はそういう意味で現行の税制を見直す、とりわけ租税特別措置を中心にいたしましての見直しと税負担のあり方というようなものについての検討を進めて、来るべき税制改正の地ならしをしておくという年にしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/173
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174・高沢寅男
○高沢委員 いま大臣の言われたことに関連して、私はこんなことを考えるのです。
こういうふうな異常な財政になってきたいまの日本経済の段階で、われわれの議論はとかく部分的な議論ですね。たとえば国債という問題が出てくると、これはこれでいいか悪いか、当然議論はしなければなりませんが、そこにずっと限定して議論が行われる。たとえばこの後税制の面においても、来年度の税制調査会の議を経てどういうふうなものが出てくるか。私はそこには、われわれはしょっちゅう言っていますが、今度は付加価値税が出てくるぞということを言っているわけです。大臣は、いやまだそういうものは別に考えていない、こう言われますけれども、われわれの感じとしてはそういうものが出てくるのではないか、こういう感じがします。そうすると、その段階でこれがいいか悪いか、こういうことがやはり当然議論になるわけです。そうすると、財政に関する議論が、そういうそのときそのときの焦点になる問題、しかしそれは全体から見れば部分ですね、そういうところで議論が行われているというような感じがどうもするわけです。
私はいまのようなこういう情勢になってくると、むしろいまこそ、全体のGNP、国民総生産とその中における財政の位置づけ、それからその財政の位置づけを決めた中で、今度は国債を出すとすれば租税と国債の関係というもの、それからその租税の中ではまた法人と個人という関係とか、あるいは所得と資産と消費、そういうふうな大きい設計図があって、その設計図の中にそれぞれの部分がちゃんとはめ込まれている、それが昭和五十一年度はこうなるだろう、あるいは五十二、三、四、五と、少なくも五年たてばそれが全体がこういう姿になるだろう、あるいはしていくというふうな、そういう大きな、国民経済との関係における財政の大きな枠のいわば設計図ですね、というものを五年という一つの時間的な展望で、あるいはもっと大きく十年という展望で政府が示すということが私はいま非常に重要なんじゃないか。そして、その全体の中で国債というものはいつごろまでこういう役割りを果たすのだ、しかしそれはこの段階ではもうなくなっていくとか、あるいはその全体の中で税の負担ということで言えば、法人関係の税、個人の関係というものはこういうふうに変化していくというふうなこととか、そういうものを出して、国民に、自分の関係する税の関係とかあるいは財政の関係というものはなるほど将来こういうふうになっていくのかという展望も持てる、そういう判断の上でよしあしの議論も行われるというような姿が私はいま非常に大事じゃないかという感じがします。
そういう意味においては、そうは言っても実際その作業をやるとなると、これは大変だと思いますけれども、少なくもこの年末、五十一年度の予算編成をされる中では、いまのような大きな設計図をまず何か描いてみて、その設計図の上において五十一年度はこうだというものを出されることが非常に必要じゃないか、また、そういうものが出てくれば非常にいまの段階に適しているのじゃないかという感じがいたしますが、そういう作業をひとつ大臣、おやりになる考えはありませんか。私は、やられたらこれは非常に歴史的な作業じゃないか、こういう感じがいたしますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/174
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175・大平正芳
○大平国務大臣 場当たりで毎年度の予算を組むということはわれわれは戒めなければいかぬことだと思うのでございまして、何事をやるにいたしましても、歳入、歳出、どの部分をとりましてもやはり過去を背負ったものでございますけれども、それはあなたがおっしゃるように将来の展望につながるものとして位置づけてわれわれは考えておるわけでございます。
今日一つのプロジェクトについてこれだけの経費を計上いたしますならば来年はどうなるであろう、五年先ほどうなるであろうという見当は皆持って作業はいたしておるはずだと思うのでございます。ただ、個々のアイテムについてそういった積み上げが、展望が可能といたしましても、基盤そのものがいま非常に揺らいでおるときでございまして、内外の経済の基盤がこのような変動期におきまして、今朝来議論を重ねていただいておりましたような意味で、実のある財政計画を持つには余りに事態がめんどう過ぎるということで、財政計画が大変むずかしゅうございますという意味のことを松浦さんにもお答え申し上げたのはお聞き取りいただいたと思うのでございます。
しかしながら、それはむずかしいからと言って、それじゃこれをいつまでも回避するということもまた許されないことでございますので、いろいろな前提、可能な限りの前提を考えて、それでいろいろな試算をしてみた場合に、こういう前提で考えればこういう展望が持てる、こういう前提に立てばこういう展望になるから、今日の時点において先こういう問題をはらむ政策はやめるべきである、あるいは将来をおもんぱかって今日こういうことをやっておかなければいかぬのじゃないかと、そういう政策の選択の指針にすることは、私は、あなたが御指摘のとおり、政策当局として当然努めなければいかぬことと思うのでございます。
第二の問題は、しかし、そういった場合に、こういう前提に立つとこういうことになります、こういう前提に立ったらこういうことになりますというようなやりとりを政府と国会の中でごくざっくばらんにできるものなのか、政府と国会ということになりますと、国会に対して政府は責任を持っておりますから、私なんかは非常にかたくなる方でございまして、なかなか国会に数字を申し上げるというような言葉は非常に慎しんでいかなければいかぬと思って、その点非常にこわいわけでございますけれども、そういったいろいろな前提を置いてということを御理解の上でお互いに議論し合うというような工夫は私も考えてみたいと思いますし、国会の方でもいろいろ御注意をいただければ、いろいろな作業もしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/175
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176・高沢寅男
○高沢委員 それは私も、大臣が言われるように、いまの情勢で五年も先あるいは十年も先をとても確定的に見通しが立てられないことはそのとおりだと思います。ですから、その意味では、言われたその前提ですね、幾つかの仮説を、たとえば成長率とかあるいは貿易関係とかいうふうな面で幾つかの仮説を立てて、その仮説でいけばこうなる、こちらの仮説ならこうなるというふうなものを、たとえば三つぐらいあれば相当の判断の材料になるんじゃないかと私は思います。そういうふうなものを、これはあくまで資料ですから、そういう資料としてはやっぱり作業をされて、その資料の土台の上で国会の議論も行われる、またそれは当然マスコミを通じて国民の皆さんにもいまの経済情勢判断の資料として周知されるということは非常に私はいいと思いますので、ひとつその幾つかの前提を置いた作業ということはやっていただきたいと私お願いしますが、それは大臣やっていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/176
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177・大平正芳
○大平国務大臣 検討さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/177
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178・高沢寅男
○高沢委員 それから、赤字国債ということから、それに関連することで二、三お尋ねをいたしますが、日銀との関係なんです。
結局、財政法は日銀の引き受けにしてはいかぬということがちゃんと規定をされております。しかし、現実に発行される国債は、たとえば買い取りとかあるいは担保とかいうふうな形で日銀へ行っているわけですね。そして、結果としてはそれは通貨の供給という面についてやっぱり大きな役割りを果たし、その役割りは、われわれの議論ではインフレーションを進める役割りを果たしておる、こういうふうなことであるわけです。したがって、建設国債と赤字国債は同じ国債であっても性格が違うと、こういうふうな大前提が当然政府にはあるわけです。そうであるから財政法でも建設国債の場合には第四条のただし書きでいままで発行は認められてきたということになっているわけで、今度は非常に異常なものとしての赤字国債ということになるわけですから、その意味においては赤字国債と日銀との関係は思い切って切断するということを私はすべきではないかと思う。
財政法では日銀の引き受けにしてはいかぬと、しかし日銀法では二十条、二十二条で担保あるいは買い取りの条件が規定されて、それで現実には国債は日銀へ回っていっているわけですけれども、赤字国債についてはそれはしない、させない、こういう一本のくぎをこの際打つことが、この赤字国債の財政から一刻も早く脱却するという政府の決意、また、この赤字国債が今度は金融面を通じて、通貨面を通じて日本経済に与えるマイナスの影響を排除していくという、こういう面からいっても、どうしてもこれは一本必要なくぎじゃないかと、こういうふうに考えるわけですが、これについての大臣のお考え、私はぜひそうしてもらいたいとこう思うわけですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/178
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179・松川道哉
○松川政府委員 日銀が国債を対象といたしましてオペレーションをやっておりますゆえんのものは、しばしばこの委員会でも御説明申し上げておりますように成長通貨の供給でございます。したがいまして、日銀といたしましては成長通貨を供給する際に何をその対価とするかという問題がございまして、たとえば昭和四十年代の初めには利付金融債もその対象にいたしておりましたし、現在でも政府保証債もその対象となし得るということで動いてきております。そこでその場合に日銀の方の選択はどういうことが選択になるかということになりますと、日銀といたしましては現在発行流通しております日銀券の信用を維持する、日銀の信用をいかにして維持するかということになりますと、その対価として受け取るべきものは最も信用の高い、国が発行しておる証券が一番いい、そういう論理から国債が政保債よりも優先して現在使われておるような次第でございます。
その場合に、しからばいわゆる建設国債と今回特例法でお願いしております国債との間に差異があるかということになりますと、これはいずれも国が支払いをお約束する債券でございまして、その間に差はないわけでございます。したがいまして日銀の方の立場に立って見れば、そこに差を設けるというのは非常にむずかしい問題ではなかろうか。先生の御指摘になりましたゆえんは、いたずらに特例債の発行に依存した財政の運営をするなというお考えから出たものと拝察いたしますが、それならばそれで別な方向からのアプローチによって解決するのが本筋ではなかろうか、私はこのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/179
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180・高沢寅男
○高沢委員 いま金融政策の立場からお答えになったわけで、それはそれでわかるわけです。しかし私が考えるには、たとえば来年度の予算編成にしても、政府としては恐らく同じ国債でも建設国債で最大限の出せる分は出して、そして足りない点は赤字国債というふうになるだろうと思うのですよ。そういたしますと、いま言われた成長金融あるいは成長に伴う通貨の供給、その裏づけとしての建設国債、これはいままでの分もあるし、これから出す分も含めて十分あるじゃないかということを私は言いたいわけです。利子の支払いがあるとか、当然その償還がされるとか、国の責任でそういうことがなされるという点では赤字国債でも国債には変わりはないし、そういう信用には全く変わりがないことはそのとおりです。
しかし赤字国債というものの財政上の性格というものを考えれば、とにかくこれはよくないものなんだという前提でやはり考えるべきじゃないかと思うのですよ。そのよくないものはやはり建設国債とは別扱いにする、こういうような考え方は政治的に必要じゃないか。金融政策上の技術的な議論ではなくて、政策論的にそういう判断が必要じゃないか。そうすればその判断の一つとして、日銀がこの赤字国債については買い取りもしない、担保による貸し出しもしないというふうな別扱いをされるということが、一刻も早く赤字国債のない財政をつくるという政府の姿勢を明らかにする面からいっても、こういうことがもしなされるなら、これは非常に大きな政策だ、私はこういうふうに言えると思うのです。
そういう意味でいま理財局長からは金融政策上の観点のお答えはあったわけですが、私は、一つの政策判断、政治判断の問題としていまの点は大臣からお考えをお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/180
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181・大平正芳
○大平国務大臣 非常にあなたの潔癖なアンダイインフレ政策の立場からの御提言は理解できないわけではございません。けれども私は政治論としても賛成できないのは、第一に日本銀行は適正な通貨量を供給するというか信用の調節をやる非常に重要な任務を持っておるわけでございます。その手段として国債を使ったり——それはどういう媒体を通じてやるかというのはこれは手段の問題でございまして、日本銀行自体は信用の調節を最高の任務といたしておるわけでございますので、そこに出てきた手段が何であれ、それを駆使するのはやはり日本銀行の見識だろうと思うのでございまして、国会なり政府がこういう品物はちょっと取り扱ったらいかぬぞとかいうようなことでなく、そこは全幅的に日本銀行を信頼していくべきが私は政治的な感覚といたしましては正しいのではないかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/181
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182・高沢寅男
○高沢委員 私は、大平さんがどうも日銀総裁の立場でいまのお答えはされているような感じがするわけですよ。それは日銀の通貨供給なりあるいは金融政策を運用する立場から見て国債が一番信用できるという意味で、そういうふうに現に国債がある、それを駆使するというふうに日銀の総裁が考えるのは、これは理解できないわけじゃないですが、先ほど大臣が五十一年度の予算はもう初めから赤字国債を抱いた財政になるということは非常に重大である、その意味においては、今度の特例法とはまた別個な特例法を次には国会に出すということも言われた、そういう今度は国の財政を運営する政府の立場、大蔵大臣の立場に立った政治判断は、赤字国債は建設国債とは違う扱いをするのだ、そういう判断が政治的に出てくるのが当然じゃないか、私はこういう感じがするのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/182
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183・大平正芳
○大平国務大臣 政府として赤字公債を発行すべきか、すべきでないか、発行すべしとして、どれだけ、どういう条件で、いつ発行するか、そしてその歯どめはどうするか、償還はどうするか、そういった点について最大限の配慮はしなければならぬ、これは政府の責任だと思うのであります。そしてそれがインフレの火種になることのないように配慮しなければならぬと思うのでございます。
そこで、発行いたしまして一つの国債がそこに生まれるわけでございまして、それはできるだけ短期に償還するということを政府自体が配慮いたしておるわけでございまして、日本銀行はそればかりでなく、いろいろな既存の公債もあれば、その他いろいろな公共債もあれば、民間のいろいろな債券もあるわけでございますし、手形もあるわけでございますし、いろいろなものを媒体にいたしまして信用の調節をやるわけでございますので、私はその調節はやはり日本銀行に全幅の信頼を置くべきであろう、あなたの言う御心配は政府に対して厳しく戒めていただいて、政府がえりを正して当たるということが正しいのではないかという感じでございますが、あなたの赤字公債についての憂慮のお気持ち、それは私も十分理解できます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/183
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184・高沢寅男
○高沢委員 いまのところはどうもすれ違いになったようですが、そこで、では政府として非常に慎重に赤字国債に対応されるその一つのやり方として、赤字国債の償還期限ですね、今度は十年でしょう、これをたとえば五年にするということはどうかということをお聞きしたいと思うのです。
五年と私が言いますのは、戦後のわが国の経済の好況、不況の循環、サイクルを見ると大体五年ぐらいのサイクルで動いてきている、こういうふうに感ずるわけです。今度の場合も、いまのこの状態を脱却して政府は一刻も早く赤字国債を必要としない財政をつくる、たとえばそれは五十二年度、五十三年度、この辺で実現をしていくということを目指しておられると思いますし、そうなるということはその前提にそれだけの景気の回復というものが当然出てくるわけですから、そうすればそこの関係を昨年来始まった今度の不況との関係で見ると、ほぼ五年というサイクルで不況を脱して、そしてまた景気のいい状態に到達していくというふうに見ることができるのじゃないか。赤字国債を出さざるを得ないという不況が前提にあって、しかしその不況は五年で克服される、こういうふうに見れば、赤字国債の償還も五年で終わるというふうな考え方は私は十分成り立つのじゃないか、その方がむしろ経済の循環とそれに見合った国債政策の運用ということで言えばより合理的じゃないかというふうな感じがするわけです。十年という償還期限になりますと、サイクル二つまたがるというふうなことになって、その十年の償還が済むその前にもう一度五年たったころ次の不況があって、そこでまた赤字国債の発行というふうになると想定すれば、この赤字国債というものは十年という償還のサイクルの中で二重に重なってくるというふうなことも考えざるを得ないのじゃないか、こう思うわけです。
そういう意味において私は一つの提案として、この特例債については五年の償還、こういうふうなやり方をひとつ政府の政策判断としてやられるのが非常にいいのじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、大臣のお考えはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/184
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185・松川道哉
○松川政府委員 御案内のようにドイツに一つの制度がございまして、景気がいいときに財政資金を積み立てておいて、万一景気が悪くなったときにはそこから生じてくる赤字をそれで補てんしていくという制度がございます。もし、現在の歳入欠陥がただいま御指摘のように景気のアップ・ダウンだけの要因でもって出てきたものであれば、これはちょうどドイツの制度を逆さにいたしまして、赤字のときに国債を出していく、その分は景気のいいときに傾向線を上回った分の歳入でもって償還していくという考え方は一つあり得ようと思います。
私ども一体そういうことが可能かどうか、今回の非常に大幅な国債増発という事態を前にいたしまして私どもなりにも検討いたし、またエコノミストなり学者なりの意見もいろいろ徴したのでございますが、今回の税収不足はどうも景気のアップ・ダウンという一つの原因だけには帰し得ないものがあるのではなかろうか。いろいろな意味で日本の産業構造も動いていくでしょうし、日本の経済自体も進歩していく、その一つのステップがたまたま景気のアップ・ダウンのダウンの方に絡まってきておるというような判断もございまして、なかなかそこで割り切れない。そこで、今度の国債の制度を考えますについても、必ず五年で景気のダウンのときの赤字をアップのときの黒字で埋めようという考え方にまで踏み切れなかった次第でございます。
もちろん、私どもこれから長い先のことを見通しまして、その中にはアップのときもございましょうし、ダウンのときもございましょう。私どもがそのアップ・ダウンをいかにしてこの国債の償還計画と組み合わせるかということでいろいろ知恵を出しましたのが、先刻来御議論のございます、剰余金が出ました場合にはその二分の一ではなくて全額をこの償還に充てるのだということを決めましたが、そう決めた考え方の背景には、景気の好不況の要素もあるので、景気のいいときに剰余金がたくさん出たならば、これは今回の特例債の償還に充てようではないか、そういう考え方をとった次第でございます。その意味で、考え方は先生の御指摘の考え方と似ておるのでございますが、五年というふうに割り切って処理をいたさずに、抽象的な表現でその考え方を織り込んでおるというのが現在提案してある国債でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/185
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186・高沢寅男
○高沢委員 私はやはり赤字国債の累積を防ぐということのために、とにかく国債を抑えるあるいは減らすというための自動安定装置というふうなものをいろいろ工夫すべきだと思う。いま剰余金を全額入れるというのはその一つだ、こういう御説明があったわけですが、そういう問題意識がすでにあるとすればやはりもう一歩進めて、いま言いました五年なら五年の償還期限、これはその償還期限をとって、そのために非常にまずい支障が出るということは私はないと思います。十年後に償還すべきものを五年後に償還する、もちろんこの場合には借りかえをしないという前提であるわけですが、そうすればその段階において百分の一・六の定額繰り入れでも、それから剰余金の全額を入れても、それでなお足りない点はまたそれだけ予算の投入をするというふうなことで、きちっとそこで五年たったら整理するというような運営のやり方が、さっきの赤字国債に対して非常に警戒的な、そういう政府の姿勢というものを具体的にあらわす一つの有力な方法だと思うのですよ。だから、いまの理財局長の御説明は、それはそういう景気のアップ・ダウンの中での一つの調節の方法として御説明あったわけですが、十年、五年という関係では、これはやはり一つの政策決断の問題じゃないでしょうか。五年ということで、このことは私は大臣が決断すればできるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/186
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187・松川道哉
○松川政府委員 ただいま十年債にすべきか五年債にすべきかという問題を景気との関係で御質問がございましたので、その側面からだけの私どもの考え方を御説明させていただいた次第でございます。
しかしながら、十年と決めました背景にはさらに幾つかの考え方がございます。
一つは、もちろん五年ともなると財政負担の面からいってやはり重いものがある。私ども財政当局の立場といたしましては、この国債の期限を短くいたしまして、この国債を償還するためにまた新たなものを借りるとか、そのために金利がまたかさむというようなことがあってはならないという国庫当局としての立場が一つございます。
さらには、先ほどの前の委員との御質問のやりとりの間に御説明申し上げたことでございますが、現在の日本の広い意味での公社債市場というのがまだ諸外国と比して育成の段階が低うございまして、その中で各種の国債、公債、社債というものが共存していく上におきまして、体系的にここの分はこっちが持つ、ここはこうするというような色分けができております。具体的に申し上げますならば、五年ものというのは現在長期信用銀行が、これは興銀や何かも含めて普通名詞としての長期信用銀行でございますが、これが発行いたします利付債が五年でございます。これも相当の金額が発行されております。そこで、もしこの大量に発行されます国債を五年ということで消化を図ろうとするならばそちらの方に過重なひずみが出るのではなかろうか、こういうことも考えまして、いろいろほかの要素も織り込んだ結果、本年度いまお願いいたしております特例債につきましては、これは従前どおりの十年の期限でお願いいたしたいという結論に達した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/187
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188・高沢寅男
○高沢委員 長期信用銀行の方でも五年債を出しているから、こっちの赤字国債を五年債にすると金融市場を圧迫する、こう言われましたが、それは十年債であったって発行されれば結局金融市場で引き受けさせて吸い上げるわけだから、これは同じじゃないですか。償還期限が五年と十年で、同じ五年になれば圧迫する、五年と十年なら圧迫しないといういまの局長の議論はちょっとおかしいのじゃないですか。訂正されたらいいのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/188
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189・松川道哉
○松川政府委員 御指摘のように、五年債でも二回りすれば十年になるわけでございます。それからまた、これの調達に充てられる金はいわゆる金でございまして、これに違いがあるわけはございません。だから、その点から言いますと、たとえ短期の、たとえば九十日ぐらいの借金であろうと、一年ものであろうと、十年ものであろうと、転がるという前提で考えますると、すべてこれ同じようなものになるのでございます。しかしながら、現実に債券を売るまたは買っていただく、こういった段階になりますと、やはりお買いになる方々の心理的な要素というものも考慮に入れなければいけない。そして、かつては御案内のように国債も七年でございましたが、これも十年になってきておる。それは、公社債市場の発展そのものとペースを合わせながら長期的な資金、たとえばいわゆる機関投資家が持っておりますような共済のお金であるとか、そういったものは長期のものにより運用し、また安定的に長期の高い金利をかせぐことができるようにする、そしてまた、それほど安定的でない資金につきましては、もっと短いものの調達に充てる、中間的なものは中間的なところへ向うということで、その資金の生ずるところによりまして、おのずと安定的な長期投資を望むその期限に違いがあるわけでございます。
私どもその辺を考えますと、やはり同じ金で買うのなら、五年ものでも十年ものでも同じであると言って言えないことはないかと思いますけれども、現実の市場の、そしてまた投資家の心理を考えますと、そこにはおのずから違いがございますので、国債も五年ものになったということになれば、現在五年もので市中で消化されております利付債に悪い影響があることは当然予測できることでございます。その意味で、私どもは五年をとらずに十年ものという考え方をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/189
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190・高沢寅男
○高沢委員 やはり局長の言われるのは、私は、やや言葉は悪いけれども、詭弁じゃないかと思いますよ。なるべく国債の市中消化を促進するというのが当然政府の方針でしょう。市中消化を促進するという場合には、シンジケート団が引き受けて、それをそっくり日銀に持って行くのじゃなくて、なるべく一般の大衆に買ってもらうというふうにしなければいかぬでしょう。その場合には、利子という条件もありましょうが、同時に償還の期限というものが、いまのような年々物価の上がる、それこそ預金目減りというのが論議になっていますが、この国債の元本だってこういう物価の上昇の中では目減りしているわけですから、そうすると、この市中消化で国債を引き受ける人の立場に立てば、十年先に返ってくるよりは五年後に返ってくるという方が目減りとかいうふうな面においてはむしろずっといいわけなんですよ。その方がむしろ市中消化の立場からすれば買いやすいというふうなことにもなるのであって、まあ、すでに十年と決めた前提に立って十年を守るためにいろいろ言われることも局長の立場かもしれませんけれども、私はむしろ、余りそういう無理をされずに、素直に御判断をお聞きしたいというふうに考えます。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/190
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191・松川道哉
○松川政府委員 先刻、村山委員の御質問の際にも御説明いたしたところでございますけれども、かつて五年ものということでやった経験が戦後二度ございます。これは昭和二十七年に国民貯蓄債券というのを発行いたしまして、二十七年度中に六十億円、そしてまた総体では百億円のものを出そうといたしましたけれども、その中で発行できましたものは、六十億円のうち八億円にしかすぎなかった。しかも、個人の消化は非常に少なかった。二十八年度に特別減税国債というのを出しまして——これは申しおくれましたが、先ほどのも、ただいま申し上げておるのも、両方とも償還期限は五年でございます。そして、半年据え置いた後は買い取るという条件がついております。それで、二十八年のときも発行限度を一応二百億円と予定いたしまして、そのうち個人には六十億円売るというつもりでおりましたが、これが十三億円しか売れなかった。
この辺の事情を考えてみますと、いろいろな日本の資本市場と申しますか、金融資産のあり方に、外国に見られない一つの特色があるということが大きく影響しているのではないかと私どもは考えております。
具体的に申しますと、これは郵便貯金でございます。国の信用を背景といたしまして郵便貯金が現在約二十二兆円入っております。この数字は、たとえばアメリカあたりで貯蓄債券という形で国の信用を背景にいたしまして個人の金を預っておりますのが約十七兆円でございます。これには郵便貯金のような制度は、かつてございましたが、いまはございません。これらを考えますと、個人が、国の信用を背景に持ってまいりますときに来ますものは、日本の場合には、まず郵便貯金に行って、そこからさらに、もっとお金持ちの方がまた国債を買ってくるというケースが多かったのではなかろうか、これがかつての例のことを私どもが調べました実感でございます。
その例から言いますと、これは私どもも、当時といまとでは、GNPのレベルも全然違いますし、それから、国民の一人当たりで持っております金融資産の額も全く違いますから、現在やればどうなるかということは、また新たな目で見まして、引き続き研究はしながら、もしそちらの方がベターであるということになれば、これはやはり取り入れていかなければならない種類の命題ではなかろうかと思います。ただ、現在の段階で、ことしのこの国債をお願いいたしますに当たりまして、いろいろ過去のデータも見、ほかの制度とも比べ合わせまして、私どもはやはり、いま五年というものを導入すれば、これは先ほど申し上げました債券市場における混乱の方が大きくて、これによって個人消化を促進するというメリットよりも、そちらの心配の方が大きいのではなかろうかという懸念から、現在御提案申し上げております特例国債につきましては十年の償還期限というのをお願いしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/191
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192・高沢寅男
○高沢委員 この議論ももうこれで一応やめにします。ただ、昭和二十七、八年のあの経済情勢のときの経験を説明されたわけですが、これはやはり全然条件が違うということだけを申し上げておきます。
次にお聞きをしたいことは、公共事業費の範囲ということになるのですが、建設国債の前提になる公共事業費の範囲は予算総則で決められておりますけれども、ただ、その予算総則の中を今度は目の方まで見ますと、これは公共事業費と言っていいのかどうか、大変あいまいなような性格のものも含まれておるということです。(発言する者あり)後ろから声がありますので、公共事業費なるものの定義をまずお聞きして、それから後また質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/192
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193・高橋元
○高橋(元)政府委員 公共事業費は予算の総則で定めております各種の建設的な事業費でございます。それを国債発行の対象経費といたしますにつきましては、やはり総則で御議決をいただいておる、それで具体的に決めておくわけでございますが、経済的な性質に従って申し上げれば、おおむね投資的な経費ということでございまして、各種の公共的な財産の建設、公共的な施設の建設、災害の復旧等々でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/193
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194・高沢寅男
○高沢委員 投資的経費というふうな性格の御説明があったわけですが、それは結局、その経費を使って、その結果そこに物的な資産が残る、橋であるとか道路であるとか港であるとか、あるいは農地が改良されるとかいうふうな、そういう物的な資産が残るものがこの公共事業費であるというように考えていいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/194
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195・高橋元
○高橋(元)政府委員 先ほど申し上げましたように、その経費の性質というものは建設的または投資的な経費でございますが、いま先生御指摘のように、経費支出の見合いが国民、国家の資産として将来に残って、その利益を国民全体が享受できるもの、かつ、それが回り回って国民経済の発展に資するものを公共事業費として選んで総則に各項ごとに掲示しまして御議決をいただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/195
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196・高沢寅男
○高沢委員 いま次長の読まれた文章の中にも、そういう施設となって残るもの、そして国民全体の利益になる、さらには経済的なプラスをまた生み出す、こういうふうなことであったわけですが、そういうふうな立場から見ると、多少細かい議論になりますが、たとえば今年度の北海道開発庁の予算がちょうどいまここにありますのでこれを例に言うんですが、その公共事業費として指摘されておるものの中に、たとえば職員の基本給とか職員の諸手当とか、それから超過勤務手当というような、まさに人件費的な性格のものですね。非常に消費的経費、こういう性格のもの、これがこうずっと目になると——項のところでは、それは治水事業工事諸費と、こうなっていますが、目で見るといま言ったような消費的な経費というものがその中に非常にたくさんあるわけですね。
こういうように見ると、公共事業費と予算総則で規定された概念の中には、相当こういう消費的経費が入っておるというようなことではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/196
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197・高橋元
○高橋(元)政府委員 私は、先ほど項ごとに予算総則でもって御議決をいただいておると申し上げました。それはやはり見合い資産が残って国民経済の役に立つということから、そのような御議決をいただいておるわけでございますが、そういった投資的資産が形成されます過程で物的な資材、それから人的な労務というものが投入されていくわけでございまして、先生がいま御指摘になりましたのは恐らく工事の付帯事務費、その中に職員基本給、諸手当というものが入っておるのだと思います。通常の建設的資産の場合でも、やはり取得原価にはそういった付帯の人件費というものも含み得るわけでございまして、そういうものを含めて原価を償却してまいるというのが投資的資産の通常のルールかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/197
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198・高沢寅男
○高沢委員 これは今度は建設国債の発行額との関係になるわけですが、結局、公共事業費という枠の中で建設国債が出されるということになりますね。そうすると公共事業費というものの予算全体の中の枠がどんどん仮に広がれば、それだけ建設国債のまた出し得る枠も広がるというようなことになるわけです。
そういう関連からお尋ねしたいわけですが、たとえば今年度の予算の中で、予算総則で規定された公共事業費ですね。予算総則で公共事業費と規定はされていないけれども、そのほかのところであえて入れれば入れられるというような性格のものがどのくらい、これはもちろん正確な数字はあれでしょうが、概算で結構ですが、この予算総則の公共事業費の中に入っていない方で、持ってくれば入れられる、それでそれだけ建設国債の発行の枠を広げることができるというような、そういう部分というのは一体どのくらいあるでしょうか。これは細い数字はむずかしいでしょうが、概算でどのくらいになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/198
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199・高橋元
○高橋(元)政府委員 いま計数は取り調べておりますが、事項で申しますと、従前四十一年と四十六年と二回にわたりまして公共事業費の範囲を見直したわけでございますが、その結果いま公共事業費、出資、貸付金、いわゆる公債対象経費に入れることができるかどうかという点で検討に上りますものは二つでございます。
〔伊藤委員長代理退席、委員長着席〕
一つは農業構造改善費、もう一つは地下鉄等に対する利子補給であろうかと思います。前の経費は、つまり農業構造改善はメニュー的な経費でございます。したがってその中には消費的な経費をも含み得るという点で、これは消極に解しております。従前は消極に解してまいりました。それから地下鉄、鉄道等の建設費の利子補給でございますが、建設費に対する利子補給という点では投資類似のものではございましょうけれども、やはり過去になされました投資の後始末というような意味を持ちますので、従前は公共事業費の範囲に入れることについてやはり消極的な判定をいたしておりました。なお、この点は検討を要する事柄であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/199
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200・高沢寅男
○高沢委員 そうすると、いま言われた農業構造改善の費用と地下鉄の建設利子補給、これもこちらへ入れるとしても、金額としては本当に大したあれじゃないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/200
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201・高橋元
○高橋(元)政府委員 正確な計数はいまちょっと調べさせておりますが、一千億に達しないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/201
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202・高沢寅男
○高沢委員 これは今度は国債と防衛費の関係ということになってくるわけですが、昭和四十年のときに初めて国債発行に踏み切られて、あの当時非常に論議された国債の発行と防衛費との関係で、軍事国債の性格になっちゃいかぬというふうなことで非常な論議があって、それで防衛庁関係のいろいろな建設関係の仕事があるわけですが、そういうものは厳格にいま言われた公共事業費の範囲には入れない、これは別ということでずっと今日まで来ておるし、もちろん私は将来もそういう立場は貫いていかれなければならぬ、こういうふうに考えるわけですが、この点については将来にわたって防衛庁関係のものはたとえ営繕費であっても何であっても公共事業費の中へは入れない、こういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/202
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203・高橋元
○高橋(元)政府委員 国民経済的な定義でいたしましても、軍事費というのは消費的支出でございます。公債対象経費の分類につきましても、ただいまおっしゃいましたように防衛庁関係の施設費等は防衛関係費の中に含めておりまして、公共事業費といたしておりません。これは過去十年来変わらない取り扱いでございますし、今後とも同様であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/203
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204・高沢寅男
○高沢委員 建設国債の前提になる公共事業費の場合には、いまのお答えでよくわかりました。
そうすると今度の場合には、その建設国債と違う赤字国債が出るわけですね。そうすると、建設国債は出る前提が公共事業費という一つの枠があって、その枠内で建設国債が出るわけですが、今度公共事業費でない方のそこの部分に対して、行政費なり人件費なりいろいろなものを含んでおる公共事業費でない部分に対して赤字国債が出る、こうなるわけですね。そうするとこの出される赤字国債、今度は三兆二千九百億、これはそういう公共事業費でない方の予算の中にずっと全体まじっていくわけですから、そうするとその意味においては、防衛庁予算のその部分にも一定の程度においてまじり込んでいくというふうにこれは考えなければならぬと思いますが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/204
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205・高橋元
○高橋(元)政府委員 五十年の特例法をもちまして発行をお願いいたしております特例公債は、法律の一条にもありますように歳入の減少を補うために発行するものであるということで、特定の使用目的というものを持っておりません。したがいまして、防衛費に充当するために発行するものでないということは、当然私どもはさように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/205
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206・高沢寅男
○高沢委員 私は、防衛庁費に充てるためにということで聞いたわけじゃないんですね。つまり、防衛庁費に充てるためじゃなくて一般の行政費なりという必要性で出すわけですけれども、それは結局防衛庁の費用の中にもそれがしみついていくじゃないか、こういうことなんですよ。しみていくわけですよ。そういうことになれば、これは一〇〇%ではないけれども、まあそれが何%と言っていいかわかりませんけれども、一定の程度においてこれは軍事公債の性格を持ってくるということになるんじゃないか、こう思うのですがどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/206
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207・高橋元
○高橋(元)政府委員 投資的経費以外の一般財源に充てるために例外的に発行をお願いいたしております特例公債でございますから、その発行収入金は四条対象経費を除く歳出の全体と見合っておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/207
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208・高沢寅男
○高沢委員 ですから、その歳出全体の中には……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/208
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209・高橋元
○高橋(元)政府委員 歳出全体の中でどの部分に、たとえば防衛費には充てられないというふうに決めておらないという意味では、全体の歳出にかぶっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/209
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210・高沢寅男
○高沢委員 であるから、この赤字国債というやつはそういう性格がやはりあるわけですよ。これは今度は防衛費が予算総額の中でどのくらいの比重を占めるようになるかという、これとの関係は当然ありますけれども、とにかくそういう意味において昭和四十年のあのときの国債論議の中で非常に論議された軍事国債になってはならぬ、またしません、こういうふうな論議をいま振り返ってみれば、いまのこの段階でやはりこのことはもう一回厳密にわれわれとしては反省してみなければいかぬじゃないか、こういう感じがするわけですよ。
ですから次長の言われるように、防衛庁費に充てるための国債でないことは、それはもうわかりきったことですけれども、この特例公債というものはとにかく一定の程度において防衛庁費にも当たるものだ、こういうふうに考えれば、この軍事国債という性格を避けるためには、とにかく一刻も早く赤字国債をやめるという方向に向かっていよいよわれわれは努力をしなければならぬ、こういうことではないかと思うわけですが、この問題の一つの締めくくりとして、大臣、ちょっと決意を表明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/210
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211・大平正芳
○大平国務大臣 歳入欠陥補てんの目的とするものでございまして、歳出全体にかかるものであるという性格のものではございますけれども、それだけの説明でこの特例公債がジャスティファイされると、私ども安心しておれないと思うのでございます。これが発行、それからそれの管理、償還というようなことにつきましては、非常に神経質にまで厳しく当たらなければならぬことは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/211
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212・高沢寅男
○高沢委員 あと私は、国債整理基金特別会計ですね、この関係でかなり技術的になるかもしれませんが、お尋ねをしたいと思います。
国債整理基金特別会計法は、明治三十九年に制定されております。戦後、私たちのいまの財政運営の基本法ともいうべき財政法、これは昭和二十二年の制定であって、それから戦後国債発行ということに踏み切るようになったのが昭和四十年以降ですね。こういうふうな時間の関係というもの、あるいは歴史のそういう発展段階の関係を考えると、国債整理基金特別会計法というのは、もう非常にいまの事態に適応しない、そういうものになっているんじゃないか、こういうふうな感じがいたしますけれども、まず総体として、いまの国債整理基金特別会計法についての、理財局長、お考えを聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/212
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213・松川道哉
○松川政府委員 ただいま長い歴史の御指摘がございましたが、新しい財政法ができました後でもいろいろな、たとえば交付国債であるとか出資国債であるとか、そういった国債は発行されておりまして、その償還はこの国債整理基金を通じてずっと行われてきた次第でございます。
そこで、本格的にいわゆる財政法四条のただし書きによる国債というのが出されるようになりましてから、一体この古い皮袋のままでいいのかという疑念がございまして、これはまた国会でも御指摘がございまして、いろいろ検討いたしました結果、その当時ございました法定の繰入率を改めまして、現在の百分の一・六というのはたしか昭和四十三年だったと記憶いたしておりますが、そのときに改正されて現在に至っております。(高沢委員「その前は」と呼ぶ)その前は一万分の百十六でございます。百分の一・一六になるわけでございます。それを改めまして現行の百分の一・六に改正した次第でございます。この改正の折に国債整理基金というもののあり方につきまして広く検討いたしましたが、その余の部分につきましては、この制度のままで現在の必要に対応していけるのじゃないか、そしてまた、現在の民主的な財政運営に当たりましても運営に支障がないし、また悪い点もないのではないかということで、余の点につきましては手を触れずに、繰入率のみを訂正いたしまして本日に至っておる次第でございます。
したがいまして、私どもといたしまして、この国債整理基金というのは、世界のほかの国にも余り例を見ないのでございますが、わが国なりにできた制度であり、非常によくできた制度ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/213
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214・高沢寅男
○高沢委員 この特別会計の目的は、結局国がいろいろな形で借金をしておりますね、その国のいろいろな形の借金を、これを一般会計とは区分してこの特別会計で整理していく、管理していく、こういうことだと思いますが、私はその中には、同時に借金をできるだけ早く有効に消していく、償還していく、こういう目的は当然この特別会計にはあるということだと思いますが、その点はどうでしょうか。この会計の目的。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/214
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215・松川道哉
○松川政府委員 基本的には国のいろいろな形の債務の到来期がまちまちなものがございます。これに対しまして、あるものにつきましては債務の到来を待つ間、たとえば国債が一つの例でございますが、百分の一・六を積み立てていくというように資金を入れていって、債務返済のときの財政支出が一時に巨額にわたらないような配慮というものがなされておりまして、そういう意味での機能もこの基金は果たしております。
それから、ただいま御指摘のございましたように、場合によりましてはこの基金の資金を活用することによりまして、その債務の期限前にこれを完済することが国益にも合致するような場合には、その機動的な発動ができますように基金という形で一括的に持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/215
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216・高沢寅男
○高沢委員 ちょっとこれは言葉の問題で恐縮ですが、その整理基金特別会計法の第五条で、「政府ハ国債ノ整理又ハ償還ノ為必要ナル額ヲ限度トシ起債スルコトヲ得」というふうに、「整理又ハ償還」とありますが、この場合、整理という言葉と償還という言葉はどういうふうな性格の違いがあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/216
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217・高橋元
○高橋(元)政府委員 この国債整理基金の制度ができましたのは、御案内のように明治三十九年に、日露戦争の後で公債が累積いたしまして非常に財政が圧迫になる、かたがた高利の公債が残っておったという時代に、それを整理するために出発したわけでございます。したがいまして、現在ではそのようなものがございませんので、償還のために借りかえ発行をいたしておりますが、かつて明治の末期、それから大正の初期、それから大震災の跡始末といったような時期には、高利または不利な条件で発行しました公債をここで整理、借りかえをしたことがございます。それを整理というふうに表現をいたしております。
それからなお、先ほど高沢委員の御質問がありました農業構造改善費、それから国鉄、地下鉄の利子補給金は、五十年度の予算にいたしまして千七百九十億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/217
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218・高沢寅男
○高沢委員 その国債整理基金特別会計の中の国債の償還の関係で、以下お尋ねをしたいと思います。
昭和四十九年度の、これは私の調べた範囲内ですが、国債整理基金特別会計の予算の歳出の中で、国債償還のための歳出が九千四百八十億円、こういうふうな金額になっているわけです。それで四十九年度に実際に国債の償還されたのがどうかというふうな関係で見ると、四十二年度発行された建設国債、これがちょうど七年たって四十九年に来ているわけですね。それが七千百九十九億九千七百万円、こういうふうなことになっているわけです。その国債償還のために組まれた予算額九千四百八十億、それから実際に償還された国債の四十二年度発行建設国債は七千百九十九億、この数字の関係あるいはその数字の食い違いといいますか、これはどうしてそういうふうなことになっているか、これをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/218
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219・松川道哉
○松川政府委員 四十九年度に組まれました予算額のうち、実際に国債の償還に充てられました金額は八千九百十五億円でございます。この中にはいわゆる新規国債と申しますか、四十年以降に出されました国債のほかに、その他の種類の戦前債その他も含まれております。したがいまして、そこでいわゆる新規国債の償還額だけをとってみますと七千三百八十五億円でございます。そして、このうちでもう一つ追加して申し上げますならば、六千五百七十二億円は借りかえをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/219
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220・高沢寅男
○高沢委員 そうすると、いま六千何がしという金額は借りかえをした、こう言われたわけですが、実際に現金償還をされた金額はどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/220
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221・松川道哉
○松川政府委員 ただいま申し上げました七千三百八十五億円と六千五百七十二億円の差額でございまして、八百十三億円になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/221
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222・高沢寅男
○高沢委員 この現金償還と借りかえ償還の関係というのは、特別会計の中ではどういう原理、原則でやっておられるか、それをお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/222
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223・松川道哉
○松川政府委員 御案内のとおり百分の一・六に当たりますものがずっと積み上げられておりますので、これに対応する分は現金償還ということになります。ただしその当時は七年ものでございましたのでその七倍分でございます。
この背景にございます思想は、先ほども申し上げましたが、この国債発行の対象になっております各種施設その他のものの効用発揮期間が大体六十年であろうということで、六十分の一ずつ平均的に返していくと、六十分の一が百分の一・六という形であらわされておるわけでございますが、六十分の一が七年たったところでございますから、大体パーセントに直しますと一一・七%程度のものが現金償還になり、その他のものは借りかえになる、このような計算になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/223
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224・高沢寅男
○高沢委員 そうするとこの建設国債の場合には現金償還をしていくのはその償還期に来たものの六十分の七ですか、七年ものとすれば六十分の七、これが仮に五年ものであれば六十分の五、こうなるわけですか。その償還期限との関係はそうなるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/224
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225・松川道哉
○松川政府委員 当時は七年ものでございましたので六十分の七償還されておりますが、その後の分につきましては十年に借りかえられておりますので、百分の十六がその次の期限到来日に現金償還され、その残りが借りかえということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/225
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226・高沢寅男
○高沢委員 私は、その現金償還と借りかえ償還の関係ということを、これはひとつ政治論で問題にしたいわけです。
いま言われたように六十年というふうな建設事業でつくられる施設の耐用年数というものから計算をされた百分の一・六、それの七年分としての六十分の七というふうなものは、六十年という前提からずっと考えてくればそれなりにわかるわけです。しかしそういう結果として、償還期限の到来した国債は、われわれの普通の常識では、そこでもうみなん返したというふうな感じを受けるわけです。特別会計の予算の歳出の項を見ても、国債の償還に充てるために九千億というふうな金額が計上されておりますから、そうすると素人は、ああここで借金は九千億減ったんだな、こう思うわけです。ところがその内訳を見ると、いま言われたように、実際に現金償還で減った分は六十分の七が減っておる。あとの分は借りかえ償還だからまた借りかえの債券発行をして、その分だけちゃんと借金がまたできておるというような姿になっているわけですね。これは国民にそういう関係を理解させるという面において、特別会計の中身の説明の仕方というものは、もっと親切な姿が大蔵省の立場としてあっていいんじゃないかということが一つです。
それからもう一つは、そういう借りかえで償還するということは、その際借りかえの債券を発行するわけですから、そうするとこれは実際上の国債発行ですね。一般会計で国債を発行するときは、これは非常に重要な問題として国会の審議を受ける。そしてその承認を受けた枠内でやるということになりますが、ところが国債整理基金特別会計の中では借りかえ債という形で債券発行が非常に技術的な形でなされておる。このことについては国会の承認とかいうふうなことは全くないわけです。しかしその債券であるという性格においては、国の借金である、国の債務であるという点においては全く変わりがない。
こういうふうな姿で見ると、こういう借りかえ償還という形が国会の承認を経ないで何か自動的のような形で行われていくというやり方は、これは会計法の五条にそういう定めがあるとはいっても、私はかなり政治的には問題じゃないか、こういうふうに思うわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/226
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227・松川道哉
○松川政府委員 国の債務の全貌をお示しいたしております国債の現在高をあらわします表の中には、新規発行の国債と借りかえのための国債とそれぞれ分けて掲示をしてございますし、また予算に関係いたしまして国会に参照書として提出いたしております各種の資料の中にその積算の内訳がございましたり、その説明があったりしておるわけでございます。
ただ、御指摘のように一カ所にまとまってということになりますと、予算の説明の中に非常に大きくくくった形で説明がございますが、その中には幾らが借りかえであり、幾らが新規の発行であるということをはっきり注記いたしております。いまここで申し上げますれば、たとえば償還の財源でございますが、一般会計の歳出予算各日明細書の歳出の積算の内訳にございましたり、特別会計の歳入歳出予定額各日明細書の中にございましたり、また当国債整理基金特別会計歳入歳出予算並びに予算の説明の中にございましたり、あちこちに分かれて入っておる面がございます。ただ、その全体をくくりましたものは、予算の御審議をいただきますときにお配りしてございます予算の説明の中に要領よくまとめてその点を指摘してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/227
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228・高沢寅男
○高沢委員 その借りかえという形で債券を発行するということは、一般会計で国債を発するのと実際上の経済効果としては同じものなんですね。そういうことが特別会計のそういう計画的な返済のための技術的な措置としてなされている。しかしその性格は経済効果としては、一般会計でそれだけの国債を発行するのと同じ効果を持つのです、その国債がまた運用されるわけですから。そういうことについてはどうかということをお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/228
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229・松川道哉
○松川政府委員 貨幣的な側面から見ますと借りかえは、現在国債をある金額存在すると前提いたしまして、そのものが別な国債にかわるだけでございます。いわゆるマネーサプライの面から言いますと、これは中立でございまして、かえってこれを償還するという方が影響があるわけでございます。その意味で国債を発行するという面でとらえますと、新規の発行はマネーサプライの上に影響を及ぼすことがあるということで、市中消化であるとかいろいろな原則が考えられております。これに対しまして、既存のものを借りかえるということになりますと、そちらの方の影響は中立的でございます。私が申し上げるものはあくまでも貨幣論的な説明でございますので、そのほかの政策的な観点から言えば、そういうことがいいか悪いかの論議はまた別にあろうかと存じますが、経済的な効果と申しますか、マネタリスト的な観点から見た効果というのは、借りかえは中立である、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/229
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230・高沢寅男
○高沢委員 国債は、少なくも建設国債でとってみれば、過去十年間毎年毎年出てきたわけですね。そしてそれだけ年々発行額が累積をされていくわけですよ。その累積をされていくのと、今度は償還の面において現金償還で実際に消していくものは六十分の七、あとの分は借りかえでまた債務として残る。そこにまた次の年の発行のやつ、また次の年の発行のやつ、こういうふうに発行の残高がずって重なってくるわけですよね。だからこういう形でいくと、その国債が国の財政にとっての荷物になっていく。発行して財源を得るときはそれは結構だけれども、後でその元金も償還しなければならぬ、利子も返済しなければならぬというような、この荷物になっていく関係で見れば、これは年々累積していくということでしょう。ことにことしのように、一年間でもう五兆五千億、建設国債と赤字国債を合わせて約五兆五千億という発行になる。恐らく来年は六兆、七兆あるいは八兆ぐらいになるんじゃないですか。そういうようなものがずっと発行残高として重なっていくということになりますと、いまの程度の六十分の七の現金償還でいって一体どうなるのだということを私は問題にしているわけです。そういう意味で、政治的にそういう借りかえ措置ということは、ただ金融論の技術的な議論で済まない重大な問題を含んでいるではないかということを言っているわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/230
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231・松川道哉
○松川政府委員 御指摘のように、いわゆる財政法四条のただし書きで発行いたしました建設国債のみをとってみましても、その発行の残高というのは、借りかえがございますために累年増加いたしてきております。たとえば最近の数字だけとりましても、四十七年度末で五兆八千億、四十八年度末で七兆五千億、四十九年度末で九兆六千億というふうに増加してきております。その意味で、私ども財政をお預かりしております者といたしまして、非常に注意をしていかなければならないことは事実でございます。
そのような観点から申しますと、この国債の残高、私ども理財の方から見ておりますと、国債の形をとってなくても、その他の形の債務も全部ひっくるめまして、全体の国の債務というのがどの程度まで許されるのだろうか。また、それが異常にふえてはいけないのではないかということは絶えず関心を持って見守っているところでございます。
御参考までに、現在の段階で、昭和五十年度末のそういったものの債務残高がどうなるかということを試算してみますと、これは物差しになるのはやはり最終的にはGNPであろうと思いますので、これとの対比で見ますと、日本の場合、一二%強になります。たとえば、これは一九七四年末ですが、アメリカの二六・四%とか、イギリスの七三年末の四六・九%と比べてまだ低いからということはありますけれども、さはさりながら、他方ドイツの方など見てみますと、一九七四年末で六・六%でございます。それよりは相当ふえてきております。その意味でわれわれはやはり債務が累増していくことについては絶えず努力を払いながら、そしてまた、国の財政が持っております国民経済の中での非常に大きな役割り、国の景気をよくしたり、またそれを過熱させたり、そういうおそれもあるわけでございますから、その辺の役割りも十分に勘案しながら国債というものの量は決められていかなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/231
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232・高沢寅男
○高沢委員 これも私わからぬので教えてもらいたいのですが、今度は、四十八年度の一般会計予算で、国債発行は当初の予算では二兆三千四百億ですね。これを予定されていて、後に補正をされて、それで国債の発行額は一兆八千百億になったわけですね。今度はその昭和四十八年度の決算のベースで、国の債務に関する計算書で国債の起債額を見ると、六分半利国積が一兆千九百四十一億、それから七分利の国債が九千十三億、それから七分七厘五毛の利子の国債が三千百十四億で、合計して二兆四千六十八億という、これは決算ですから実際に起債が行われた総額ですね。この予算の一兆八千百億と決算の実績の二兆四千六十八億のこの数字の食い違いというのはどうしてこうなっているのか、教えてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/232
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233・松川道哉
○松川政府委員 予算の上では収入金ベースで計上してございますが、当初予算では二兆三千四百億で、補正後の姿で一兆八千百億であった、これはそのとおりでございます。ただこれだけのものが全部は発行されませんで、額面ベースに戻って恐縮でございますが、一兆八千億のものが新規に発行されました。そのほか、先ほど来御議論のございました借りかえ債が六千六十八億円出ておりますので、合計いたしまして二兆四千六十八億円の額面に相当する国債が発行された、こういう関係になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/233
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234・高沢寅男
○高沢委員 わかりましたげやはりそこに借りかえ債が入っていた。これはやはり素人にはなかなかわからぬです。そういう点をひとつわかるようにこれからの特別会計の運営をお願いをしたい、こういうことです。
それから、これもやはりこの際わかりませんので教えてもらいたいのですが、満期の到来した国債の額と、それから実際に償還されたその償還の内訳が、現金償還と借りかえ償還というその関係ですが、先ほどの説明では、大体満期到来の額の六十分の七の現金償還をやる、こういう御説明ですが、私がここに持っている資料では、昭和四十八年、六分半利の国債、その前の四十七年が昭和四十年の赤字国債の償還をされて、四十八年からはその後の建設国債の償還期へ来ているわけですが、そこの償還のされ方が四十八年、四回されております。その四回のうちのそれぞれ、最初は二千百億の満期到来でそれに対して現金償還されたのは二百十二億、それからその次の回は千六百億の満期到来に対して現金償還は百八十九億、それから三回目が二千三百億の満期到来に対して現金償還は二百四十六億、それから四回目が七百五十億の満期到来に対して現金償還が百四十五億です。この満期到来額と現金償還額の比率を見ると、あるときは確かに六十分の七に大体ぴったり合っておる。二度目がそうですね。ところが第一回目は六十分の七の額から見ると現金償還額は少し足りない。それから三回目の二百四十六億も六十分の七から見ると少し足りない。それから四回目の百四十五億は六十分の七よりかなり多いあれになっています。ここら辺の、六十分の七というこの基準に比べて、あるときは足りない、あるときはかなり上回っておる、こういうばらつきというのはどうしてそういうふうになっているのか、聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/234
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235・松川道哉
○松川政府委員 私ども、実際の運用といたしまして、現金償還にいたします場合には、なるべく個人の保有しているものを優先的に償還していきたい、こういうことを考えまして、年度間を通じまして、今年度の現金償還は幾らである、これは大体個人が持っているもののうちこれだけの比率を返していきたい、こういうことをまず頭の中で計算いたしまして、次に、年に四回この償還期が来るわけですけれども、このそれぞれのときに、各種の人が持っておるわけでございますが、その持っておる中で個人が持っておるものにつきまして、先ほどのような考え方から割り振りをしてまいりますので、一回、一回のものをとりますと、必ずしもぴったりと計算が合わない場合が出てまいります。
ただ、基本的な考え方は、そのようにして現金償還はなるべく個人のものに優先していきたいという考え方から出ておるものであるということを御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/235
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236・高沢寅男
○高沢委員 もう一つお尋ねしたいことは、今度の赤字国債発行のための特例法ですね。この考え方として、百分の一・六の定額繰り入れと剰余金が出た場合の全額繰り入れと、それから第三項目は、それでもなお足りない場合は必要な財源を入れるというようなことで、ちょうどそれに当たるかと思うのですが、五十年度の予算は一兆三百九十三億を一般会計から整理基金特別会計へ入れていますね。それが今度の補正予算の政府の補足の説明では、特例国債に依存しない財政を実現したときにこの一般会計からの繰り入れを行う、こういうふうな表現になっていますが、そうすると、ことし一兆三百九十三億入れたような、そういうものは今度はもう来年度の予算では繰り入れはしないということになるのかどうか、それをちょっとお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/236
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237・松川道哉
○松川政府委員 ただいま御指摘になりました一般会計からの繰り入れの金額は、これは償還財源のみではございませんで、たとえば金利であるとか事務費であるとか、そういったものも全部含めております。その意味で、現実の償還の時期に参りますものを償還する金額とは大分違いがあるということを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/237
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238・高沢寅男
○高沢委員 しかし、その中には償還財源が入っているでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/238
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239・松川道哉
○松川政府委員 償還財源が三種類入っております。それには、定率繰り入れの分が入っておりますし、それから剰余金のうちの一部が入っております。さらに、わずかな金額ではございますが、予算繰り入れをしている金額がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/239
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240・高沢寅男
○高沢委員 そうすると、五十一年度は当初から赤字国債を出さざるを得ない予算として編成されますね。その場合には、こういう金利とかそういうものは別として、その償還財源に充てるようなそういう繰り入ればもう五十一年度の予算ではないということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/240
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241・松川道哉
○松川政府委員 ただいま申し上げました一般会計の償還のための繰り入れの金額のうち、予算繰り入れと申し上げましたのは、出資国債であるとか交付国債であるとか、こういったものの見合いの金額でございます。その意味で、財政法四条に基づきます国債の償還のために特に追加的に予算繰り入れをしているわけではございません。五十一年度におきましても、御案内のような財政事情でございますので、出資国債その他につきましては必要な予算繰り入ればいたしますが、この財政法四条ただし書きに基づくもの、または財政法の特例法に基づく国債の繰り上げ償還のための予算繰り入れというようなものは期待できないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/241
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242・高沢寅男
○高沢委員 いまの説明でわかりました。
そこで整理基金特別会計がこれから償還をしていくに当たって、建設国債の償還がありますね。それから赤字国債の償還もありますね。それから今度はこの整理基金特別会計ではその他のいろいろな短期的な国債も扱っていくということになると私は思います。それは勘定を分けたらどうか。建設国債の勘定、それから短期国債の勘定、それから今度は赤字国債が出てきますから、これの勘定というふうに勘定を分けるということは、こういう国債の償還というふうなことについて非常にわかりやすい運営になるし、そういうふうな改正をされるお考えはないかということを私はお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/242
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243・松川道哉
○松川政府委員 先般来申し上げておりますように、この国債整理基金は、たとえば他の出資国債であるとか交付国債であるとか全部いろいろなものの償還財源をまとめて計上いたしておりまして、一括運用しておるわけでございます。したがいまして、各種の償還債務のあるもの、これの平準化のために繰り入れられるもの、こういったものはやはり一括して運用いたしまして、特別な償還財源として入れるものの額をなるべく減らすように、運用益が出てくるようなそういう管理をする方が国民全体の利益につながるのではないか。すなわち勘定を区分いたしまして、それぞれのところへ張りつけ、そして区分経理をいたしますよりは、全体として一括的な運用をいたして最大の運用益を上げ、これによりまして償還財源そのものの繰り入れ、すなわち税金の負担なり何なりほかの負担になりますものを減らしていく努力を私どもとしてはしなければいけないのではないか、そのように考えておりますので、私どもとしては、いまありますような全部をひっくるめました国債整理基金というあり方が一番効率的な、そして大局の利益に合致する方法ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/243
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244・高沢寅男
○高沢委員 その運用の問題ですけれども、運用の収入、つまり利子の予算額と決算額が非常に違っているんですね。これはもう時間があれですから、私一々数字は言いませんが、非常に大きく違っておる。これは一体どうしてそういうふうになるのか説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/244
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245・松川道哉
○松川政府委員 考え方から御説明申し上げますと、この整理基金特別会計の資金は、ある年に公債の償還のために充てるという項目に整理されますと、それが仮に使用されないで使用残として残りました場合には、法律に基づきまして、逓次翌年に繰り越して使用することができるという形になっております。これは必要なときにはすぐこの基金をもって国債の償還その他に充て得るような配慮がなされておるのでございますが、このことが裏返しになりまして、運用収入の積算のときに、その年度の定率外の繰り入れのものをある期間運用する。これも一年間寝かしておくわけではございませんで、ある特定期間だけ運用した場合に得られる金利収入だけを予算的に計上いたしております。ところが実際には相当大きい資金がございますので、この運用収入というのは大幅になってまいります。そこでいままでやってまいりましたやり方というのは、ある特定の年度の途中でその時点までに上がってきた運用収入は翌年度の予算に前年度剰余金として計上いたしております。さらにその時点以降に発生いたしました運用収入は、これは翌々年度に前年度剰余金受け入れという形で受け入れまして、これを国債償還に充てるという経理をいたしております。
ただ、その考え方が、ただいまのように国債の金額が非常にふえてまいりますと、常時それだけ金が買い上げ償還に回って、運用に回る金額が少ないというのは余りにも現実離れいたしておりますので、この辺は来年度予算編成のときにもう一度見直しまして、ある程度決算に近づける。さりとて、ある程度はこの基金がいつでも弾力的に出動できる体制をとる。どの辺に妥協点が見出されるかわかりませんが、現在のは実態から見て少しかけ離れ過ぎておりますので、当初の哲学を損なわない範囲で金額的な調整はいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/245
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246・高沢寅男
○高沢委員 その運用されている、つまり試算の現在額というものは当然示すことができるでしょう。試算の内訳ですね、それはどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/246
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247・松川道哉
○松川政府委員 四十九年度末の資金残高は二千四百三十一億円でございました。これがただいま申し上げました逓次繰り越しの規定によりまして国債整理基金として動いておるものでございます。五十年度末の金額は、これはこれから買い入れ償還その他にどれだけ発動するかとか未確定の要素がございますので、現在時点で断定的なことは申し上げかねますが、約三千五百億円程度になるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/247
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248・高沢寅男
○高沢委員 最後に、今度の特例法では五月三十一日まで発行できる、こうなっています。実際上十四ヵ月です。しかし、これは先ほど一番最初に言いましたように、今年度の予算ができた後の異常な事態で歳入欠陥が生じて出さざるを得なくなった。こういう経過がありますから、五月三十一日までという、これはこれで一応理解はできます。さらには五月三十一日までということで、できるだけ税収のあれを見きわめてということもありましょうが、それはわかりますが、今度は来年度の予算が四月から始まる。それで来年度の赤字国債がまた五月三十一日、再来年の五月三十一日、こうなってきますと、まさに十四ヵ月が固定化していくということになって、これは財政法の単年度主義の大原則がここでもって変わってしまうということになりますが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/248
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249・松川道哉
○松川政府委員 ただいま高沢委員が二つの理由をお挙げになりましたが、私どもはその前の方の理由は頭に置いてないのでございます。と申しますのは、申告の最終期限が三月十五日であり、しかもこれが本当の意味の自主的な申告になってきておりますので、税収の金額が私どものところに最終的に届いてまいりますのがどうしても四月の上旬になります。ところが現実に国債の事務は、三月に発行いたします分につきましては二月の末に世話人会をやって金額を決めるということになります。そういたしますと、二月の下旬の段階で税収がどれだけになるか、これは上下それぞれの幅を持った見積もりしかできないわけでございます。私どもといたしまして、国債を出しながら剰余金を出すというのはいかにも国民に余分な負担をおかけすることになるという考え方がございますので、税収の見通しに幅があるときには、その最も安全なサイドでの税収を見積もりにして三月に国債を発行する。ところが、それから時間がたっていきますと、もう少しその税収の見積もり幅が狭まってまいります。三月の末までにわかりました税収幅のアローアンス、これも安全サイドで見ましてその分は四月に発行さしていただきたい。そしてまた四月の上旬が過ぎましたころに最終的な金額が出てまいりますから、そこで最後の数字を調節いたしたい。もっぱらそういう観点から出ておるものでございます。したがいまして、その思想はあくまでも出納整理期間を置いておる思想と同じでございます。
したがいまして、これは十四カ月をめどとして組んだものでもございませんし、また他方五十一年度予算で仮に特例債をまたお願いするようなことがございますれば、やはり同じように整理期間的な二カ月間、四月発行、五月発行というものを置かなければ、剰金金を置くような赤字国債というそしりを受ける状態もあり得ますので、これは仮に来年も同じような状態であれば、四月、五月もまたお願いせざるを得ない状況にあるということを御理解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/249
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250・高沢寅男
○高沢委員 以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/250
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251・上村千一郎
○上村委員長 次回は、来る二十一日金曜日、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604629X00419751119/251
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