1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十年十二月四日(木曜日)
午前十時五十五分開会
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委員の異動
十一月二十一日
辞任 補欠選任
戸田 菊雄君 鈴木 力君
粕谷 照美君 対馬 孝且君
十一月二十七日
辞任 補欠選任
沓脱タケ子君 安武 洋子君
十二月四日
辞任 補欠選任
桑名 義治君 相沢 武彦君
福岡日出麿君 高橋雄之助君
藤井 恒男君 三治 重信君
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出席者は左のとおり。
委員長 林田悠紀夫君
理 事
熊谷太三郎君
楠 正俊君
小柳 勇君
須藤 五郎君
委 員
岩動 道行君
剱木 亨弘君
菅野 儀作君
吉武 恵市君
鈴木 力君
対馬 孝且君
相沢 武彦君
中尾 辰義君
安武 洋子君
藤井 恒男君
国務大臣
通商産業大臣 河本 敏夫君
政府委員
通商産業政務次
官 嶋崎 均君
通商産業省立地
公害局長 宮本 四郎君
資源エネルギー
庁石炭部長 高木 俊介君
事務局側
常任委員会専門
員 菊地 拓君
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本日の会議に付した案件
○委員派遣承認要求に関する件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
(北海道炭礦汽船株式会社幌内炭鉱の災害に関
する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/0
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001・林田悠紀夫
○委員長(林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、桑名義治君が委員を辞任され、その補欠として相沢武彦君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/1
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002・林田悠紀夫
○委員長(林田悠紀夫君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
北海道炭礦汽船株式会社幌内炭鉱における災害の実情調査のため、明五日及び六日の二日間、北海道へ委員派遣を行うこととし、派遣委員については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/2
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003・林田悠紀夫
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/3
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004・林田悠紀夫
○委員長(林田悠紀夫君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
北海道炭礦汽船株式会社幌内炭鉱の災害に関する件について、まず、政府より報告を聴取いたします。宮本立地公害局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/4
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005・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 去る十一月二十七日発生いたしました幌内炭鉱の災害のいままでの概要について御報告申し上げます。
会社名は、北海道炭艦汽船株式会社、炭鉱名は、幌内炭鉱幌内坑と申します。場所は北海道三笠市唐松青山町百十五番地でございます。
災害の発生個所は、七片区域と想定されておりまして、これは坑口から約千九百六十五メートルの深さに当たります。
災害発生の日時は、十一月二十七日午前二時十五分ころと想定されております。
災害の種類につきましては、今後、学術調査の結果にまたなければなりませんが、ガス爆発と推定されます。
罹災者は現在まで、死体を収容いたしました、死亡された方が十一名、負傷されて病院に入院しておられる方が七名、行方不明の方が十三名、合計で三十一名でございます。
災害の概況について御説明いたします。
幌内鉱におきましては、鉱山労働者二千四百七十五名ということでございまして、月産約十一万七千トンの一般炭を出炭いたしております。今回災害が発生いたしました七片区域というのは、五十一年の秋、さらには五十二年の春ごろにかけて本格的な出炭を計画いたしておりまして、そのために準備のための岩石坑道を掘進作業中の坑区でございます。
十一月の二十七日二時十五分ころでございますが、坑外誘導無線で指令しております中央の指令室にいた係員か爆発音を聞きまして、直ちに誘導無線によって坑内の各区域に連絡をいたしました。しかるところ、七片の区域からは応答がございませんでした。このため、七片区域での災害発生が予想されたので、直ちに入坑中の作業者に退避命令をかけたわけでございます。同時に、救護隊を召集いたしました。
当時、坑内には四百二十五名が全山で入坑いたしておりまして、三百九十四名は無事出坑したのでございますが、先ほど申しました三十一名が罹災の結果になりました。
災害が発生いたしまして、直ちに救護隊が入坑いたしまして、救出作業に従事したわけでございますが、二十七日に十名の遺体を収容いたしまして、七名の負傷者を救出した次第でございますが、この救出作業中に排気立て坑から黒煙が上がってまいりました。そこで、坑内で異状があるという推定がされましたので、救出作業を中断をいたしまして、救護隊は退避したわけでございます。
他方、この間、救護隊が何度か坑内に探検を試みておるわけでございますが、四片それから六片付近を探検中に、四片の風道で坑内火災が発生していることを発見いたしました。そこで、直ちに消火に取りかかっておったわけでございます。
二十八日十六時ごろから、救護隊が探検のために七片区域に入坑しましたところが、次いで一体の遺体を収容いたしております。しかし、このときも救護隊の報告によりますと、白煙もうもうとして視界ゼロ、しかもガスを検知いたしておりますが、きわめて高濃度のメタンガス、COが含まれておるという報告がありました。温度は、そのところで四十九度あるいは五十度という温度に達しておりますので、深部はさらに高温であるということが十分推定される、こういう報告がございまして、再度ガス爆発のおそれもあるということで、救護隊は出坑いたしてきております。
問題は、坑内に残されました十三名の行方不明者の救出措置であったわけでございます。これにつきましては、諸般の事情を勘案いたしまして、救護隊が七片区域に接近いたしまして、この際に、相当高い一酸化炭素が検知されております。それからエア管も断管しておりますし、さらには、遺体を収容いたしました方々の状況を判断いたしましても、爆発の、圧力というものがきわめて大きかったものがあると推定されるというふうなことから、これは生存は不可能ではないだろうかと考えられておった状況でございます。
他方、七片区域の消火の作業はなかなか困難をきわめておりました。方法といたしましては、直接消火をやるか、あるいは周囲を密閉いたしまして消火に当たるか、いろんな方法が検討されたわけでございますが、先ほど来申しましたような状況でございますので、きわめて困難を訴えておったわけでございます。私どもといたしましては、早期に行方不明者を収容するために、慎重の上にも慎重をということで、各種の方法を検討しておったのでございます。やむを得ず水封しかないという結論になりましたので、二十九日の二十三時五十八分、排気立て坑から注水を開始した次第でございます。
注水を開始いたしまして、坑内の模様が若干変わりまして、四片の風道の火災の現場におきまして風向きの変更が生じたようでございます。このために熱風が坑内の奥の方にわたって吹き通りまして、このときに救護隊員が、消火に当たっておりました三十四名のうち一名火傷いたしました。あと一名が軽いやけどがございましたが、三名が退避の途中に軽いけがをいたしまして、負傷を生じております。この後、十分後に一たん注水は停止いたしております。そうして全員を昇坑させました。
十一月三十日になりまして、再び安全を確認いたしまして、全員が退避いたしておりますので、安全を確認した上で十七時五十一分、注水を再開いたしました。十二月一日二十時二十九分に七片に関しましては水封が完了いたした次第でございます。
しかるところ、十二月の二日十五時五十分、幌内立て坑から入坑して、いろいろ坑内を探検をいたしておりましたが、五片の坑道の立て坑の底から約八十メートルと思われる個所に発煙が生じておることが発見されました。消火作業中であったのでございますが、十七時五十五分ごろ爆発音が感知されたということで、全員退避して昇坑いたしております。
こういうふうなことでございまして、火が四片だけではございませんで、五片にも回っておる可能性が出てまいりました。あるいは六片がどういうふうになっておるか、探検が十分でございませんのでわからぬわけでございますが、坑口でガス、煙の観測を継続いたしておりますけれども、ガスの検知が出ております。このような状況でございますので、応急の措置といたしまして、ドライアイス、液体窒素、こういうものを投入いたしまして消火を試みておりますけれども、いずれにいたしましてもわずかな効果しかないということで、十二月三日の二十三時三十分、六片レベルまではやむを得ず注水によって消火をせざるを得ないという判断で消火を開始した次第でございます。
なお、通産省といたしましては、渡部政務次官それから私が現地に事故当日派遣されまして、罹災者の救出の指導、さらには消火の指導ということについて担当してまいった次第でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/5
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006・林田悠紀夫
○委員長(林田悠紀夫君) ただいまの報告に対しこれより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/6
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007・対馬孝且
○対馬孝且君 今回の幌内炭鉱の災害に関しまして、二、三基本的な考え方を含めまして質問いたします。
先ほど委員長の発議によりまして、国会調査団を現地に早急に派遣をしてもらいたいということを私は二十八日の日に要請をいたしてまいりました。このことを決定を願いましたことについて、一応感謝申し上げたいと思います。
まず、基本的に私は大臣にお伺いしたいんでありますが、新石炭政策の決定を目前にいたしまして、炭鉱の重大災害が続発をいたしてまいりまして、私の調べによりますと、本年に入ってから災害死亡人員は五十一名に達しております。そのほか行方不明十三名、本年七月、御案内の北炭夕張新鉱、三井砂川炭鉱、三菱高島炭鉱、今回の北炭幌内の火災であります。明らかにこの災害は、つまり、会社の生産第一主義の結果による人災であるということを私は断定をいたしているのであります。したがいまして、この人命尊重を柱に今日の保安対策を抜本的に、特に今日の炭鉱の現状というのは深部開発という千メーター前後の下層採掘条件に置かれていることは事実であります。こういった情勢に伴いまして、大臣としては、保安対策に関する基本的な姿勢をこの災害を契機にどう考えておられるか、まず冒頭お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/7
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008・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) いま政府は石炭審議会の答申を受けまして、新しい石炭政策の仕上げを行っておるところでございます。その内容は御案内のとおり、今後の出炭量をおよそ二千万トン以上、こういうふうに想定をいたしまして、諸般の準備政策を進めておるわけでございますが、私はかねがね機会あるたびに、石炭政策の中心はあくまで保安対策でなければならぬ、保安対策が石炭政策の中心である、保安対策をおいて石炭政策というものはないと、こういうことを強調してまいったわけでございますが、そのやさきにこのような大事故が発生をしたということはまことに遺憾でございます。今後もやはり、この石炭政策の基本というものはあくまで保安対策であるということを関係者一同確認をいたしまして、そういう精神で石炭政策に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/8
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009・対馬孝且
○対馬孝且君 そこで私は、具体的にひとつ立地公害局長に事実を挙げて、まあ現地へ行きますから、今日の段階で抜本的な問題はこれは現地へ行って調査の上に立って質問いたしますが、まず第一点として私は立地公害局長に質問いたしたいのは、災害発生が二時十五分に起きているんですね、午前二時十五分。そして救護隊が出動したのが三時四十分、在来私は、かねて何回もこの委員会でも申し上げたですが、それから現実にも立地公害局長にこの間、北炭振興の際にも申し上げてまいりました。この災害に対応するためには救護隊を常設配置をすべきであるということを、かねて立地公害局長にもこの前、北炭振興のときに私は提言をいたしてまいりました。こういう現状を考えますと、私は現実に現地に二十七、二十八、二日間行ってまいりましたから率直に申し上げるのでありますが、この救護隊発動の対応の仕方に非常に問題がある。二時十五分に起きて、現実に三時四十分となっていますが、聞いた話は四時十分から十五分現在になっているんです。こういう実態に対応してなぜ救護隊が対応することができなかったのかという、災害に対応する会社の体制ということに一つ問題があるんじゃないか、これが第一点であります。
それから、第二の問題を立地公害局長にお伺いしたいんでありますが、九月に実は坑内火災が起きております。もちろん現場個所は違っております。しかし、あのときにやはりかなりガス突出の現象ということがあっても、私は炭鉱マンですから、火源がなければ火災が起きないんでありますから、したがって、当然火源があったということによって九月に坑内火災が起きた。あの坑内火災からくる間接的な——現場は違っておりますから、今回の場合は直接のあれではありませんけれども、間接的にあの坑内火災に対応する結論は、どう原因の明確化を突きとめているのか、この点を第二点として明らかにしてもらいたい、とりあえずこれをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/9
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010・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 第一点は、救護隊の件でございますが、御案内のように、二時十五分事故が発生いたしまして、私どもの聞いておるところによりますと、三時三十分に救護隊が入坑いたしております。二時四十分に招集がかかっておる。あるいはもっと詳しい精細なる調査によらなければ時間的なそごはあるかもしれませんけれども、一応現在そう理解をいたしております。
問題は、御存じのように、坑内における事故が発生しました場合に、その内容はきわめて千差万別、かつまた重大火急、いろいろ変化を伴っているわけでございます。したがいまして、この救護隊には山の最ベテランがそれぞれ分担をして、平素から救護隊を編成されておるわけでございます。したがいまして、一たん緩急のときには直ちに非常呼集がかかりまして、それぞれの班が編成して現場に到着してくる、こういうことで入っておりまして、日ごろから救護だけを専門として、いつどういうことがあるかもしれぬから四六時中待機していよというやり方をとっておりません。現場の仕事を持っておりながら、一たん緩急の場合には非常隊として、救護隊として活動を開始するというふうなシステムをとっておりまして、現在のところはそれが最も効果的だというふうに存じておる次第でございまして、時間的な経過につきましては、再度精密に調査をいたしたつもりでございますけれども、直ちに四個班が招集され、それから、その後もこの幌内の山から全部集まってまいりまして、なお北炭の夕張、新夕張、続々と招集をされまして現場に到着いたしまして、逐次坑内の救護に当たったという事実がございますので、お答え申し上げておきます。
それから二番目は、この幌内炭鉱には九月にも火災があったではないかという御指摘でございます。その点につきましては、先般御説明申し上げさしていただいたかと思いますけれども、北炭の排気立て坑、これは八月の自然発火による排気坑道の火災がございました。これはその後密封をいたしまして消火をしたというふうな事実がございます。したがいまして、今回事故が発生いたしました七片とは完全に場所の違うところでございます。
しかしながら、それとこれとの関係がお互いに別の面であるではないか、こういう御指摘でございます。私どもは当時、幌内の自然発火もございましたし、それから砂川のガス突出もございまして、重大災害が頻発いたしておりましたことは十分肝に銘じて知っておったわけでございます。したがいまして、その直後におきまして九月の八日に社長を全部招集いたしまして、自山の山を再点検するように、保安の再点検をするように、これは労使相協力してやるようにということを指示いたしました。それから、九月の十八日になりまして、八社の社長が自発的に、自分たちの山だけではなしに、八社で何個班か編成いたしまして、この編成された調査団がそれぞれ別の会社の炭鉱の保安の調査に入る、いわゆるクロスチェックをやろうということで、クロスチェックが始まったわけでございます。もちろん通産省におきましても、掌握いたしておりますところの鉱山保安監督局及び鉱山保安監督部におきまして、みずから重点事項を指摘いたしまして再点検ということをやっておりまして、当然この幌内鉱におきましてもそのような再チェックが行われておった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/10
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011・対馬孝且
○対馬孝且君 災害発生後の救護隊の対応の仕方は、私は長年これは炭鉱で二十年、三十年やっていましたけれども、今回の現実に第一班が現場に到着したのは四時十五分と私は聞いているんです。これは局長、いままでずいぶん災害が、上砂川、最近の三井砂川、北炭新鉱でありましたけれども、やっぱり対応の仕方としては適切な対応の仕方ではなかったということは、私も率直に指摘しなければなりません。これはまあ検討するということですから、ひとつ検討していただきたい、こう思います。
それから第二の問題ですけれども、自然発火の観点と十分に関連があるという言い方を私がするのは次の点なんです。問題は、この七片周辺というのは、私も現場に行ってずっと実情を掌握してきましたけれども、災害危険A区域と指定をされておったわけです。しかも、これは岩石掘進ですから、私も炭鉱マンだからわかっていますけれども、岩石のままガスが突出をするという例はほとんどないわけです。沿層掘進であれば、炭ですから、炭と石がまじっているわけですから、発火点があるおそれがあるわけですけれども、岩石掘進の中でやっぱりこういう事故が起きたということは、これはやっぱり異例だと思うんです。そこで問題は、岩石掘進の中で作業が行われておった。しかも、危険A区域という地帯ですから、ガス抜きが完全にされておればかかる事態が起こらなかったわけです。答えは簡単なんですよ。つまり、ガスが充満しておったから、発破をかけて発破開始後にどんとなっているという。これは生き証人の証言があるわけですから、現実に軽傷した人が証言しているわけですから。
そこで、私はなぜこれを言うかということ、問題として指摘するかということは、いま申し上げたいことは、岩石掘進には実はこれは組夫がかかっているんですね。請負、下請ですよ。岩石坑道掘進の中に組夫を入れているわけですよ。これは入れていることが悪いと私が言っているのではない。ところが、実際問題としてこの岩石坑道の危険区域地帯というところで組夫請負作業をしておって、しかも、所定の人員よりも大体三分の一の人員でもってこの岩石坑道掘進が行われている。通常ならば倍の人員が要るのにかかわらず、非常に人員が削減されてこの請負作業が行われておったということが一つ。
それからもう一つはっきりしなければならぬことは、局長ここですよ、大事なことは。いいですか、次のことです。大事なことは。北炭新鉱にしても、三井砂川にしても、今回の災害にしても、三番方で発生しているんです、全部、事故は。間違ったら指摘してもらって結構ですよ。全部三番方です。三番方というのは採炭準備作業なわけだ、私、率直に申し上げるんだけれども。ところが現実に、本来ならばこの今回の幌内鉱の場合に、三番方の作業に、つまり、保安監督係員というのが所定の配置がされておったかどうかということです。これは明らかに手抜かりであります、私に言わせると。しかも、いま起きている最近の事故というのは全部三番方です。つまり、三番方態勢に入った場合に、保安係員、保安監督員というものは事実上手抜きしているわけです。それだから必ず三番方から深夜にかけて事故が全部起きている。北炭新鉱にしてしかり、三井砂川にしてしかり、今回の幌内鉱にしてもしかりであります。ずいぶん私はこれを指摘いたしてまいりました。今回の幌内鉱にしても、私は現場で軽傷をした方から聞いたんだけれども、ほとんどそのときその付近の中心には係員がいなかったということを私に率直に言っているんですよ。
こういう問題と、それから先ほど言った、しかもこの岩石坑道掘進の作業に対しまして組夫、請負組夫を入れるということは、法上これは問題が——見解は別にいたしましても、私が言いたいことは、所定の岩石坑道に必要な作業人員が配置されていなかった、ここにやはりガス抜き等の保安監督員のガス抜きの手抜きがあってかかる事態の発生を招く結果に至ったのではないか、こういう私の長い経験として想定をせざるを得ないわけてあります。この点についてひとつ局長の——これはまだ調査に行って最終的な結論が出なければわかりませんけれども、推理として、そこらあたりに問題点があるということを現場へ行って私は確認してきたわけでありますが、この点をどういうふうに受けとめているかということをお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/11
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012・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 長年の経験をお持ちの先生からの御指摘でございますので、私はその点は非常に大事なポイントだと存じます。もちろん、事故が発生いたしましたので、理由のいかんを問わず状況として推測されるのは、ガスがあったということ、それから火のもと、火源があったということでございましょう。
問題は、御指摘のとおりに、ここは岩石坑道でございます。私どもも、一般的に申しますならば、岩石坑道においてはガスは非常に少ないというふうに聞いております。しかしながら、岩石坑道といえども、やはり炭層を貫いて貫通する部分がございます。そこで炭層からガスが出る可能性がある、あるいは炭層を貫く、それに接近した岩石は砂岩を含んでおって、ガスの可能性がないわけではない、こういうふうな事情も聞いております。したがいまして、どのようにそのガスが出たか。もちろん岩石坑道といえども、規則によりましてガス抜きボーリングを、それは炭層とは違いまして数は少のうございますけれども、やることになっております。これは、そちらの方は厳密な調査をしなければなりませんので、何本どのように打っておったかということは後刻調べるわけでございますけれども、一応現場で聞きましたならば、岩石坑道のガス抜きはやっておった、こう言っております。
それから、御指摘の三番方の問題。この坑道は、五十一年ないし五十二年への稼行を目途としてやっておりますので、あくまでもやはり準備でございます。いわんやそれも、毎日の作業の中でも三番方であったということでございます。御指摘の点はあるのでございますが、罹災者三十一名の係員と一般労働者の比率を分けますと、六名が係員になっておりまして、それから労働者の方が二十五名ということになっております。したがいまして、数から申しますなれば、相当の数で比率ではおったということが指摘されます。
それから、組夫が入っておったということも事実でございまして、こういうふうな岩石掘進ということでございますので、まあある程度なれた組夫がこの仕事に当たっておったというのも、実情からすれば無理からぬという判断がつくのでございますが、私どもも、これは厳密な調査をしてお答えする予定でございますけれども、ガスが出たというので、指示が係員からございまして、係員みずから一応その退避の指導に当たっておったということも若干耳にいたしておりますが、それがどういうふうな後の結果を持ちましたかということについては、御案内のとおりでございますので、この辺につきましては、事故原因の徹底的な究明を待ってお答え申し上げさしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/12
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013・対馬孝且
○対馬孝且君 局長は肯定しておりますから、事実を認めておりますから、これからの調査結果は、もちろん抜本的な調査の上に立って判断をすることですけれども、係員の配置は、七片、五片、四片という現況からいけばそのとおりなんですよ。私の言っておるのは、七片という、つまり火源と目される現場地域では、係員がほとんど所在をしておらなかった、これは事実であります。これは現実に入院した患者から私聞いてきたんですから。こういうことは絶対保安法上許されないということは、あなたも知っているとおりです。そういう状態を私は言っているんです。それは当該三番方現場における保安係員の配置という意味を言っておるのではなくて、七片、直接の災害の本拠である状態における係員の配置ということは、これは全く法規上問題が残っていると、私はこれを明らかに指摘をしているわけであります。
それから、次の問題ですけれども、先ほどの自然発火の問題につながる、自然火災の問題につながるんですけれども、私がここではっきりしておきたいことは、当時火災のときに、二坑道のうち一本排気坑を閉鎖しているわけです。二つの排気穴を一本にしているわけです。密閉したわけだ、一つは。この人気と排気の関係に、私は私の経験によると、問題がやっぱりあるんではないかという感じがするんですが、まあこの点ひとつ後からお聞かせ願いたいと思います。
次の問題は、時間がありませんから、本当は徹底的に疑問点をやりたいんでありますけれども、限られた時間でありますから。
深部開発特別委員会というのを炭労が提唱しているわけです。これはお聞きだと思います。道炭労が提唱して、札幌通産局と道の石炭特別委員会との間に深部開発特別委員会というのをつくって、特に北海道における、すでにもう深部採掘になっておりますから、この深部採掘に対応する保安監督の行政、特別行政指導はどういうふうになされておったか、この点ひとつお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/13
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014・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 御指摘のように、深部開発にまいりますと、いままでの状態と非常に局面が変わってまいります。もちろん、山は地圧がきわめて高くなりますので、ガスも一般的に突出が激しくなることが想像される。さらに気温がどんどん上ってまいりますから、そうなりますと労働環境も悪くなってくる。こういうふうな状態の中で、保安を確保しながら、災害を防止をしながら採掘を進めるというむずかしい局面に到達することは当然でございます。現在通産省におきましても、深部開発に対していかなる手を打つべきか、特にその保安を確保する観点から、どのような手段でどのような予防措置を講じながら前に作業を進めていくべきであるかということを、中央鉱山保安協議会で御討議を願っておりますし、ただいま先生御指摘の札幌局におきましても、いろいろ検討いたしておるわけでございます。したがいまして、こういうことで結論が出てまいりましたならば、それに対応する保安監督のあり方というものも、おのずから路線が引かれるわけでございまして、当然深部移行に伴うところの保安のあり方というものを進めなくてはならない、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/14
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015・対馬孝且
○対馬孝且君 まあ深部開発について、今後の課題として取り組んでまいりたいということですから、その点は認めます。
そこで問題は、私は、この深部開発に伴う今日の状況の中で、いま一つどうしても問題点として指摘しておかなければならないことは、やっぱり岩石掘進の状況の場合は、ボーリングが完全になされておったかどうかということを非常に疑問視しておるんです。ガス抜きの状況が的確であったかどうかという問題ですよ。しかも今日の状態は、石炭保安災害としては最大な事態を迎えている。しかも、十三名を遺体のまま水を入れたということは、これは三菱美唄、平和なりの例がありましたけれども、やっぱり遺族にしてみれば、せめて生きているのではないかという希望が、あるいは願いがあるにかかわらず水を入れるということですから、結果的には、十三名は絶望する結果に至っているわけであります。
そこで私は、ここで申し上げたいのでありますが、つまり立地公害局長として、保安行政を指導する立場にある指導者として、この水を入れるという段階でのつまり基礎的な判断、それから救出をするという場合の基礎的な判断、これをまずどういう考え方で最終的な決断をされたか、ひとつこれを機会に明らかにしておきたい、これが一つであります。
それからもう一つの問題は、これは時間がありませんから……。当面遺族の問題で問題が出ますのは、これは労働省の問題でもありますけれども、はっきりしておかなければならぬことは、実は先ほど言ったように、組夫が、三井三鉱建設の中に所属をする組夫がおります。ところが、在来いままでは、直轄の場合は、往々にして労働災害補償法あるいは炭労と石炭協会との協定に従って、それなりに見舞い金あるいは災害補償がされます。ところが組夫の場合は、この雇用契約主が違うということで、全く直轄従業員の大体七〇%前後でごまかされてしまう、こういう例が非常に多いわけです。災害という時点に立てば、直轄であろうと組夫であろうとこれは同じですから、やっぱりこれは国の行政指導として、当然家族の雇用保障、同時にこの災害補償の問題は、これは差別なく扱われるべきものである、こういう基本的な考え方について、私はこの際明らかにしておきたい、こう思うのであります。この点についてひとつ、直接は労働省の管轄の問題ではありますけれども、当該保安を担当している立場から、この問題についての考え方をこの機会にお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/15
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016・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) ただいま二つの御質問があったかと存じます。第一点は、水を入れたが、それはどのような判断で行ったのか、第二点は組夫の問題であったと存じます。
第一の問題でございますが、政務次官が現地に参られまして、私はお供をして参ったわけでございますが、十三名の行方不明者が残っておる、この十三名の行方不明の方を救出するのが現在の最大の課題だ、ほかのことはその次に考える、こういう御方針でございました。したがいまして、そのころから若干の検討はしておったわけでございますけれども、この問題は慎重の上にも慎重をということで、許さないということで帰ってまいったわけでございます。
しかしながら、刻々と集まっております情報によりますと、客観的な情勢といたしまして、七片区域が非常に高温であると想像される、おそらく何百度という高温であったのかもしれません。延焼が継続いたしております。しかも、七片の入り口のところまで接近をすることがようやくできた救護班の報告では、白煙もうもうとして視界ゼロである、直接消火は不可能である、こういうことを言っております。しかもそのまま放置して、なかなか鎮火の兆しがない、接近すればガス爆発の可能性も常に伴っておる。これは坑道から排出されますガスを継続的にずっと検知いたしておりますが、それによりましても、ガスの濃度が高くなったり低くなったりいたしておりまして、おそらくは中で軽い爆発を起こしながら燃えている可能性がございました。
このような状況でございまして、次は密閉が可能かどうかということでございますが、御存じのような設計になっておりまして、排気立て坑が上から下まで貫通いたしております。ここにメーンの坑道の排気が全部集約されてまいってきておりますので、これを全部閉塞するということは、全山のストップならば話は別でございますけれども、当該七片の消火にはなかなか不適切でございます。
このような状況にございましたが、他方、これは私ども、はなはだ申し上げるのは心苦しいんでございますけれども、救出されました被害者の負傷された方の状況、それから救出されました遺体の状況、これは非常に強烈な爆風を受けて即死の状況でございました。その上に火災の被害を受けておられる状況でございます。したがいまして、爆破地点の推定が可能なところが一つ二つあるわけでございますが、その最も爆発の可能性の高いところにもし爆発があったと仮定いたしますと、その爆破力がどのように及んだであろうか。それから第二点は、その後当然一酸化炭素が非常に充満いたしますが、そういう状況はどうであるか、それから、その後の空気の流通度はどうであるか、いろんなことを総合勘案いたしましてずっと可能性を探求しておったわけでございますが、最終段階におきましてはやむを得ないということで、関係者の、家族の方々の御意見も承りまして、やむを得ないという同意を得ましたので、最後の段階になりまして、大臣の御決裁でやむを得ず水を入れさせていただいた、こういうことでございます、第一点は。
第二点は、現場で渡部政務次官も会社その他に対して強く指示をしておられましたが、一般直轄の鉱員と組夫について、そういうことについては万全の措置を尽くせ、こういう御指示でございました。その気持ちは同じようにやってやれということだと私どもは理解をいたしておりますし、努力をしてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/16
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017・対馬孝且
○対馬孝且君 時間があと数分しかございませんから、二点だけきちっとしておきたいのでありますが、現状の段階では、六片の七十メーターロングに一応水を入れるということを昨夜認可をされたということを聞きました。現実に現在十二万立米の水が入っているそうでありますが、入気斜坑から実はCOが一〇〇〇PPm検出をされているということが、きょうの十二時三十五分に私のところに連絡があったのでありますが、実はこの周辺に職員住宅があるわけであります。したがって、排気ですからね、御案内のとおりに。入気斜坑から排気が逆流しているわけですから、そのために、実は一〇〇〇PPmということは、これを吸ったら一発でいきますからね。それできのうの十二時三十五分に、職員住宅の居住者に対しまして退避命令を出して、安全地帯に一応保護さしたということを聞きました。しかし、きょうも六片に水没が許可をされて水が入っているわけでありますが、この点は厳重に、再び第三次、第四次災害を招かないような処置だけは保安監督上の立場からしてもらいたい、これをひとつ挙げておきます。
それから、大臣にひとつ最後にお伺いをしておきたいのでありますが、先ほどの基本姿勢はわかりました。したがって大臣も、一昨日われわれも申し上げておるのでありますが、これはやっぱり保安対策を契機に通産行政の立場からも抜本的な保安行政をする必要がある、これは大臣も言っておるわけでありますから、この際、やっぱり保安法規ですね、現状の保安法規というのは、これは私は経験者だから申し上げるのでありますが、つまり、斜坑採炭という五百メーターないし六百採炭の時代の保安法規なんですよ、これは。深部採炭における保安法規は現在手直しされていないのです、実際問題として。したがって、私はそういう意味では、現状の深部採炭に対応する保安法の改正が必要である。同時に、抜本的な観点からもやっぱり改正が必要である。同時に、保安予算の問題についても、保安予算が足りないから保安軽視という面がやっぱり間々見られるわけであります。これを含めて、大臣の先ほどの、生産よりも保安が中心であるという考え方にはわれわれも賛成であります。したがって、そういう点についてひとつ大臣として抜本対策に対応いたしまして、保安法並びに予算の万全措置を講じてもらいたい、この点について最後にお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/17
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018・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) ただいま一酸化炭素のガスの御指摘がございました。確かに各般の消火作業を実施いたしておりまして、その過程におきまして坑内の火災との関係でガスの風向が非常に微妙に変化をいたしているようでございます。したがいまして、すべての出口におきまして刻々とガスを検知いたしておりまして、その結果万全の措置をとっているということは申すまでもないことでございまして、先般来そのデータによりまして、監督局はもちろん三笠市、警察、基準局、消防署、それと炭鉱とが一緒になりまして、時々刻々必要な体制をとることになっておりまして、その中の一つといたしまして、事前事前に危険があればそれに対応して住宅の注意を喚起するなり、あるいは立ち退くなり必要な措置をとってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/18
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019・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 保安対策を強化するその一環といたしまして、保安法令の改正の点とそれから予算の増額、これは行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/19
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020・対馬孝且
○対馬孝且君 質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/20
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021・相沢武彦
○相沢武彦君 まず、このたび北炭の幌内鉱に起きました重大災害で亡くなられました方、行方不明の方、そして負傷者の方に対して哀悼の意をささげたいと思います。
今年に入りましてから、相次ぐ重大災害、今回はまた合計三十一名の犠牲者の方を出しているわけでございますが、それについて政府の責任者である通産大臣として、この責任をどのように感じておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/21
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022・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 私は一昨年の秋、石油問題が起こりましてから石炭政策が見直されることになりまして、いま新しい石炭政策の最後の仕上げをしておるわけでございますが、その新しい石炭政策の最大の課題は何かと言うと、これは保安対策である。保安対策なくして石炭政策は進められないのだ、こういうことを強く関係者に指示をしておるわけでございます。本年に入りましてから残念ながら事故が続きましたが、去る九月九日にも全国の鉱山の保安対策の再検討を命じたわけでございますが、その直後にかような事故が発生をしたということはまことに遺憾である、今後はあらゆる対策を強化をいたしましてこのような事故の絶滅を期したい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/22
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023・相沢武彦
○相沢武彦君 今回事故を起こした幌内鉱は、大臣も御承知だと思いますけれども、無死亡記録一千五百万時間を達成して通産局の表彰を受けた炭鉱であります。それにしては余りにも無残な姿を今回露呈してしまったわけでありますが、これは毎回事故のたびに指摘されますように、結局最大の原因は出炭計画の無理、どうしてもやはり保安よりも現場では生産を優先しがちであるという結果であろうと思うわけであります。いまも対馬委員から指摘ありましたように、ここではことしの九月の坑内火災によりまして、出炭計画に狂いを生じまして、そのために会社では、その後も山はねやガス突出が何回も発生したにもかかわらず、安全点検に十分な時間をかけていなかったということが関係者から指摘されているわけでありますが、通産省としてこの九月の火災のときの同鉱の保安対策に対して、どのような指導を行ったのか、簡明にひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/23
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024・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 確かに先生御指摘のとおりに、幌内鉱は過去におきまして一千五百万時間無死亡の記録を持っておりまして、その後死者一名という、これはたしか落盤事故だったかと記憶いたしておりますが、ございまして、その記録は破れたわけでございますけれども、今回の事故まではそういう意味においては、非常に成績は保安上はよかったわけでございます。ただ、今回の事故の一つ前に自然発火がございまして、排気坑道で煙が出たという事故がございました。私どもはこれを重視いたしまして、早速調査を実施いたしますとともに、その対策といたしまして、専用の通気坑道を設定しなさい、それからボーリングの残坑部の閉塞をやれ、それから集中管理システムの拡充をやれ、消火設備をもっと強化しろ、こういう指示をいたしました。
ただ、今回の七片に発生したと思われます重大災害の原因につきましては、これは同じ会社でございますが、場所が非常に違う。それから条件が非常に違う。条件が違います点は、第一には岩層坑道であるということが一つ。それからもう一つは、五十一年の秋ないし五十二年になりまして出炭の計画を持っておりますので、今日出炭との関係で非常に急ぐということにつきましての感じが、切り羽における状況とは大分状況が違っているんではあるまいか、こういう感じはするわけでございますが、しかしながら、いずれにいたしましても、災害を防止するためには、この間の事故以来各社におきまして、相互間におきまして、あるいは監督局におきまして、特に重点的に監視をしておった次第でございまして、特に札幌の保安監督局におきましては、幌内鉱におきましては深部という問題がある、深部についてはやはりガスの問題が大事だ、山はねが大事だということで重点的に調査をすることになっておりました。この事故のございます、これも記憶でございまして、間違っておれば訂正さしていただきますが、二日前から七名、監督局と現地の監督署とが動員をされまして、この山に入って待機しておりまして、入坑チェックが始まっておった段階だと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/24
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025・相沢武彦
○相沢武彦君 いまの御答弁の中でも、九月の火災発生の場所と今回の七片と場所が違うのではあるまいかと思うというようなニュアンスのお答えなんですが、やはり、そういう認識の甘さではいけないと思うんです。いまも局長おっしゃったように、深部に移行しますと、従来では考えられない異質のいろいろな複雑な原因の事故が起きるわけでありますから、その事故が起きたときに、徹底してやはり災害対策というものを立てなきゃならないと思います。
そこでちょっとお尋ねしますが、通産当局は九月の火災の時点で、出炭一日五千トンに回復するのはいつごろと予想していたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/25
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026・高木俊介
○政府委員(高木俊介君) 幌内炭鉱の生産は、昨年約百四十万トンの生産を行っているわけでございまして、本年度も当初は大体昨年並みの生産が実行できるのではないかというような見当のもとに、本年度の実施計画ということで、トータル的には二千三十万トンという基本計画を定めたわけでございます。その後、各山の災害あるいはスト、そういう状況がございまして、今年度の生産は残念ながらトータル的には千九百万トン前後ではなかろうかというのが、現在時点における見込みでございます。
幌内の生産でございますけれども、この前の自然発火等によりまして、恐らく今年度は百四十万トンの見込みに対しまして百三十万トン前後の生産でいくものというふうに見ておりまして、別に石炭部といたしまして災害があった後の増産とか、あるいは各山の強力なる生産増強ということは一切指示いたしておりませんし、保安第一で生産をやっていただくということで指導しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/26
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027・相沢武彦
○相沢武彦君 石炭部長のお話、全体的なトータルでの数字をお挙げになっていまお話だったんですが、私の質問したのは、この幌内鉱の一日五千トンの出炭、これは火災事故で一時ダウンした、それが原状へ復帰するのがどの程度の目安をつけていたのかという質問なんですが、私の調査では大体来年の一月以降にようやく原状復帰できるだろう、こういう当初の予想でありました。災害の十一月二十七日のときには、この一日五千トンの目標量近くまで回復していたわけです。まあ坑内の復旧作業等が進んだと言えばそれまでですが、やはり現場の人たちの声を聞いてみますと、火災事故の後の徹底した原因究明よりも、生産目標量の確保ということが優先視されていたように思われるという告発もあるわけでして、そういう点に対するふだんのやはり監督局の指導、監視体制というのが非常に弱いんではないか。会社、企業も自主保安はやっていますけれども、生産目標に追われる、まあいろいろな苦しみはあると思いますけれども、そういう点を厳しくやはり監視しない限りは、何回もこういう事故が起きるんではないかという気がしてなりません。
特に残念なことば、今回の事故の起きた現場、七片の場合は、非常に最近ガス突出なんかもありまして、いわゆる危険度Aにランクされている地域であった。会社でもいろいろガス抜きの方法は工夫はしていたと思いますけれども、今回の場合はどうしてもやはりこのガス抜きに手抜かりがあったと思えてならない、こういう関係者の人たちの異口同音の声でございまして、特に七片の操車坑道や風道、ここで掘進開始がされましたことしの春から、しばしば山はねやガス突出が連続して起きていた。しかも十一月の十八日、操車坑道のナンバーワン、ここで山はねが起きていますし、またナンバーツーでも、この事故の発生二日か三日前に、クラッカー状態の特殊な石が出始めて、作業員たちは、ガスが出るぞという危険を感じていた。こういったところに、この事故発生の二日前、監督局の方からも調査に入っているというんですけれども、こういう点の掌握が一体なされていたのかなされていないのか、あるいはそういう状況を知っていながら調査に対して甘い態度だったのか、そういう点非常に疑問点があるわけですが、この点はよく調査してお答えをいただきたいと思うんです。
それからまた、先ほどもお話ありました七片現場のボーリングの仕事は、他の現場と違って組夫の方が請け負っていらっしゃる。普通ならばもっと人員を必要とするところなんだけれども、平常の三分の二程度しか人員を使っていない、こう言う。それからもう一つは、どうしても直轄の方に比べて請負組夫の場合は危険な場所に回されると従来言われている。ここで、どうなんですか、判断として、危険なところだからボーリングその他の仕事を組夫に任したのか、それとも、そこは保安関係の技術を持っている直轄の人たちに任せなくても心配ないところだからということで組夫に任せたのか、そういう点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/27
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028・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 幌内の炭鉱が特に千メートルの掘進をやっておりまして、非常に深部の問題が多いということでございますので、山はね、ガス突出その他があるという予想がございますから、先般来監督局におきましても、特別の重大災害防止対策という監督のスケジュールを立てまして山に入っておったわけでございますが、何せ相当の広さを持っておりますので、この七片に到達するにはかなりまた先のようなスケジュールが組まれておったわけでございます。
それから、頻々とそんなような小さな山はねだとかガスの突出があったらしいという御指摘でございますが、この点につきましては少なくとも私どもは存じておりませんで、詳細な調査をいたしまして、そのような状態があったかどうか把握をしなければならぬと存じます。
最後の組夫の問題でございますが、この点は私どもから見ますれば、保安法規に適合するような状態で作業が進められることが必要でございまして、それが組夫であるか、あるいは直轄であるかということは別の観点の問題で、しばらくおきまして、一応必要な措置を講じることが大前提でございます。会社の方がそれを、組夫の方がより適性が多いと判断するのか、自分の直轄の鉱員にあった方が適切と判断するのか、その辺につきましてはケース・バイ・ケースで事情は異なっていることと存じますので、本件につきましてどのような判断であったかにつきましては、私ども現在は把握いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/28
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029・相沢武彦
○相沢武彦君 幌内鉱はいままで重大災害こそ起こさなかったんですけれども、調査してみると北炭六山の中で毎月の災害発生率というのはほとんどトップを占めておる。
〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕
ですから、一面においては一般炭を扱っているんだし、ガスは少ないといいながらも、また一面厳しく見ると、いつ重大災害が起きるかわからない山と、こういう判断も成り立つわけですね。どうも災害の無死亡記録を非常に達成したというところから、やはり少し安心感があり過ぎたんではないかと思うんです。
そこで、北炭としてここ一、二年の間どの程度の保安確保に力を入れていたのか、その一つの目安として私は確認しておきたいんですが、四十九年度、五十年度、政府から各石炭企業に幾ら保安確保の事業補助金というものは出されていたのか。特に、幌内鉱について補助金が幾ら出されて、どんな保安確保事業が行われていたのか、その資料を提出をお願いしたいと思います。
保安監督局としては出されていた場合に、この保安確保事業の補助金によって保安設備の整備というものがどうなっているのか、完全にチェックされる、そういう仕組みになっているのかどうか、現状。その点、最後の点だけ御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/29
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030・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 幌内炭鉱が保安にどのように注意と実行を行っておったかという御質問でございますが、これにつきましても詳細調べるつもりでおります。
ただ、ただいま御質問の補助金のことでございますが、政府といたしましては、保安補助金をトータルとして発表はさせていただいて結構かと存じますが、従来その各社別を出しておりませんので、その点については若干検討さしていただく必要があるのじゃなかろうかと思います。
なお、補助金を出しますと、補助金を申請をされる前に、こういう機械についてこういうことをやります、あるいはこういうボーリングを掘りますから幾らかかりますという申請がございまして、それを監督局を通じまして本省に上申がございまして、本省の方で補助金の全体の金額との割り振りがございますので、査定を必要とする場合がございますが、決定されますとそれが返されまして、なお実行段階においてこれをチェックしてまいる。こういう初めの段階と終わりの段階でのチェックということに相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/30
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031・相沢武彦
○相沢武彦君 炭鉱の専門家の御意見を聞きますと、石炭災害続発の最大の原因は、採炭が深部へ移行したことにあると、こう言われておるわけです。北大の工学部の磯部教授の御意見では、山はねあるいはガス突出、自然発火など、この盤圧に関する諸現象というのは深さの二乗に比例して発生するのだと、このように言われておりますが、エネルギー多様化の一翼を担う国産炭の年間二千万トン以上の確保のために、北海道の炭鉱はその約六〇%の採炭をこれまで担当してきておりますけれども、今後もそれだけの出炭というものを担当することになると思うのです。北海道の場合は露頭炭もありますし、また、新鉱開発にも踏み切っておりますが、
〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕
結局大部分は、今日までやってきた各炭鉱の深部採炭というものが主体にならざるを得ないという状況にあると思うのです。そこで、今後働く労働者の人たちの尊い生命を守り、かつ国際エネルギーの地位を確保するためには、この深部採炭の保安確保ということができるかできないか、これに一切かかってくると思うわけです。通産省としては、この深部採炭の基準というのを、地表下何メートルまでと考えているのですか。何メートル以下ならば今度は深部へ入ったと、こう基準を考えているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/31
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032・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 先生御指摘のように、盤圧が二乗に比例して広がるということになるかと思いますけれども、これは各山によって全部自然条件が異なると思います。ある山においては岩石が非常に強固であれば、これは千メートルでもびくともしないというのがあろうかと思いますけれども、もっと浅くても問題を生ずる、こういうことでございますので、一義的には決定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/32
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033・相沢武彦
○相沢武彦君 そこで、自然条件はまあいまおっしゃったように各山によって非常に違いがあるわけですから、各山ごとの技術的なその保安対策というもの、この資料等は通産当局としてはすべて掌握されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/33
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034・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 各山ごとの諸般の問題については、掌握をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/34
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035・相沢武彦
○相沢武彦君 また、各炭鉱ごとにこういった保安技術者、専門家というものは非常にばらつきがある、いわゆる格差がありますね。そういった点で技術交流というもの、これは非常に重要になってくるわけですが、北海道ではそれぞれ関係者が自主的に協議を開き、交流等も行っておるようでありますが、これについて政府当局としてはどの程度その対策、援助といいますか、そういうものを進めていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/35
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036・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) ただいま先生の御指摘になったことは、私どもかねてから何とか改善したいと思っておることでございます。つまり、こういうふうなむずかしい状態に入りますと、技術者、研究者、これも日本全体で探しましても限定されております。特に、非常に学識経験の豊富な方というのは限定されております。これが各会社ごとに個別におられたんでは、どうしてもその総力が発揮できない、こういうことでございますので、私どもは一応保安協議会その他の組織を通じましてこういう方々に参画していただき、さらには具体的な問題が発生した場合にもお知恵を拝借するというふうなことで、総意を結集して日本の技術陣の最もエキスのアイデアというものを今後実行に移す、こういうことで進めたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/36
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037・相沢武彦
○相沢武彦君 各炭鉱ごとに深部採炭の地表下何メートルという基準は違ってくるとおっしゃいますが、ほとんどの炭鉱は全部深部へ移行して、未経験の部分に採炭が進んでいるわけであります。結局、各炭鉱ともこれまでの経験に基づく保安対策では通用しなくなってきていると思うのですけれども、やはり各炭鉱の実情に合った深部採炭のシステム研究といいますか、そういうものが十分連携をとって講じられないうちに、万全の対策がまだ研究が進んでないうちに、深部への開発というものが実施をされているというのが現状でないかと思いますが、その点の通産当局の認識はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/37
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038・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) その問題に対しまして、通産省の本省におきましても、札幌監督局におきましても、それぞれ深部対策の協議会を設けておりまして、いろいろ専門の方に集まっていただきまして検討中でございます。しかしながら、現在、おっしゃいますように、視力では千メートルの七片におきまして、五十一年、五十二年を目指して準備中でございます。したがいましで、私どもは時間はそうないと思うわけでございますが、本件につきましては、同時に、たとえば石炭技術研究所に委託をして調査をするなり、あるいはさらに目を広げまして、外国の主要な石炭研究所と提携をいたしまして、これらの問題についても研究の角度からさらに掘り下げてまいりたい、こういうふうに思っておりますので、その点につきましては最大限の努力を払ってまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/38
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039・相沢武彦
○相沢武彦君 通産省では、五十年度中に保安法の抜本改正を行うということを決意して、現在中央鉱山保安協議会石炭・亜炭部会で検討中だと聞いてますが、結論はいつごろまでに出てくるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/39
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040・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 先ほど来御議論賜っておりますように、各般の問題が保安の問題点として登場してまいるわけでございます。したがいまして、先般来私どもは、保安法規の全般的な見直しということでやっております。もちろん中核になりますのは、深部移行に伴いますところのどのような掘採、保安の関係で基準を確保すべきか、いままでの基準と違うんだ、あるいはどのような新しい方法をここへ投入しなきゃならぬかというふうな技術的な問題が中心であろうかと思いますが、それ以外の問題をも含めまして検討する用意があるわけでございます。まあ私どもは、その中核になるような部分につきましては、年度内に結論を取りまとめていくつもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/40
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041・相沢武彦
○相沢武彦君 技術的なことは専門家の方たちが討議されて、いま現在研究が進んでいる範囲内でいろいろ対策が講じられると思うのですけれども、通産当局のこの保安に対する基本姿勢というものについて、私、若干大臣にお尋ねをしたいのですけれども、現保安法において炭鉱における保安の最終責任は企業経営者にあって、保安監督の責任が通産当局にある、こういうふうに私は認識しておりますけれども、今回抜本改正をやろうとするならば、やはりこの生産と保安体制を切り離して、保安の管理体制を国に移管するということを基本姿勢にしてこの保安法の改正というものに臨むべきでないかと思いますが、この点、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/41
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042・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) いま御指摘のような点も含めまして、中央協議会におきまして検討中でございます。いずれ近く結論が出ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/42
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043・相沢武彦
○相沢武彦君 いま私が申したことも含めて検討させているというのは、間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/43
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044・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 中央協議会は、御存じのように労使、それから中立の学識経験者の三つのグループから代表がお出になっていらっしゃいます。したがいまして、広範な問題が討議されると思います。したがいまして、その議題といたしまして先生御指摘のような問題が提起されれば当然そこで議論が行われる、こういうふうな趣旨だと私は了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/44
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045・相沢武彦
○相沢武彦君 まあ、特にことしに入ってから石炭鉱山における災害というのは続発しているわけですけれども、そこで、九月九日に通産省として石炭産業各社に保安の総点検を命じられていますし、また、政府も出先機関にいろいろ指示をされたはずです。ところが、その後にも重大災害が相次いでいるわけですね。人命第一、保安最優先じゃなくちゃ石炭産業の長期安定経営は今後望めない、こう思うわけでございまして、この二千万トン以上の体制を維持するにしても、この重大災害がこう続発するようでは、もう新石炭政策も根本が崩れてしまう、こう思うわけでございます。
で、これまでの経営体制自体私企業では限界に達したと、こういうふうに言われてきたにもかかわらず、今回閣議決定されようとしている新石炭政策の答申の中には、その点が顧みられていない。せめて保安対策について抜本改正が必要だと思うわけでございまして、企業における自主保安というものは、当然これは従来どおりやっていくこととして、保安の設備に関しては、これは全額国庫負担、また、保安管理の責任も国が負うというところまで今後の改正で踏み切った方策を実行しなければ、やはり保安最優先の石炭採掘はできない、こう思うわけです。現在の炭鉱の保安管理者というのは、会社の経営者である三役がなっているわけです。結局、石炭の出炭計画を一遍立てますと、やはり経営維持のためから、本社の方からノルマを課せられればどうしてもそれを優先的に考えなければならないという立場の人たちでありますから、その人たちをいまの現行法においてあくまでも保安の最高責任者としておくままの体制では、やはり保安最優先の石炭産業というのはできない。
そういうわけでありますから、いま御答弁ありましたように、ぜひこの協議会においてこの保安と生産の体制を切り離して、保安に関する設備費用というのは国が全額負担をして、経営者にはその負担を及ぼさせない、また、事故の責任は国の責任者が一切負う、こういうところまでやらなければ、非惨な重大災害事故というものは相次いで起こると思うのです。
さらに、もう少し細かいことであと一、二点御答弁をいただきたいのですが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/45
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046・林田悠紀夫
○委員長(林田悠紀夫君) 時間が来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/46
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047・相沢武彦
○相沢武彦君 それじゃあと一、二点。
今後、保安日誌の公開の義務づけをするかどうか。
それから、各炭鉱への保安監督官の常駐をされる用意があるかどうか。
それから、保安係員の身分についてでありますけれども、いまも厳正に職務を遂行していると思いますけれども、会社から給与をもらっている職員の身分でありますから、どうしても遠慮がちになってくる場合があると思うので、保安係員は保安監督署の必要要員という性格を持った半官半民的な位置づけをして、身分保障と給与支給についてどうするかという具体的な検討を行うお考えがないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/47
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048・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) ただいま先生御指摘の幾つかの具体的な問題点、これはそれぞれに私どもの意見もございますし、そのような意見が一部の方から出されておることも理解いたしております。
ただ、一例を申し上げますと、たとえば保安日誌のようなものは各種のものがございまして、それは内部で検討をする、あるいは監督のために備えておくというふうな性格のものでございまして、必ずしも公開とは相通じておりません。したがいまして、こういうふうな問題もありますけれども、各般の問題が先ほど申しました中央協議会の方で出てまいりますれば、これを十分検討するのにやぶさかではないという立場でございます。
ただ、一点申し上げさせていただきたいのは、私どもの立場から見ますと、石炭の状況がこういうふうになってまいりますと、生産も保安も全くこれは運命共同体でございます。したがいまして、最高責任者がもちろんその保安の最高の責任者であり、かつまた生産の最高責任者であって不可分だと、こういうたてまえを私どもは日々刻々と感じておる次第でございます。
もう一点、その保安の面におきまして、現在の体制が、私企業体制というのが存立する限りにおきまして、保安というふうな重大なものを、全責任を持ってやらなければならぬ諸般の体制を全額国庫で設備を持てということはいかがか、かように感ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/48
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049・須藤五郎
○須藤五郎君 質問に入る前に、私は、今回の炭鉱災害による犠牲者並びに遺家族に対して心から哀悼の意を述べたいと思っております。
先ほど通産大臣は、石炭対策の態度としてりっぱなことを言ってらっしゃいますが、かつて当委員会におきまして、第四次石炭対策が提案されましたときに、時の植村甲午郎委員長に対しまして私はこういう意見を述べたことがございます。いまにして保安体制をはっきりと確立させなかったならば、石炭山で働く労働者はどんどんと減ってしまいまして、あなたたちが幾ら対策を立てても、石炭の産業の将来というものはだんだんと細っていきますよ、だから、炭鉱で働く労働者諸君の生活を豊かにすると同時に、炭住の問題とかあらゆる環境の整備をやること、それから炭鉱の保安、それに誠心誠意努力しないと、日本の石炭産業というものは成り立たなくなりますよと私は御注意を申し上げたことがあるんです。通産大臣はそういう件に関してどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。どうでしょうか。簡単にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/49
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050・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど来何回か申し上げたわけでございますが、保安対策というものなくして石炭政策はないんだ、生産と保安というものは表裏一体の関係である、こういう考え方に立って石炭政策を進めていこうというのが、いまの基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/50
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051・須藤五郎
○須藤五郎君 通産大臣、この際よく考えていただきたい点は、保安ということばの中には労働者の生活、日常生活、いわゆる給与の面でも十分な手当てをしないと、つい労働者は出炭に追われていろいろな危険を冒すし、労働時間も無理をするというようなことが起こるから、そういうこともこの保安対策の重大な柱として私は考えていただきたいと思うのです。過去一年間に石炭山で死んだ人数をどういうふうにつかんでらっしゃいますか。今日の事件を加えて何名になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/51
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052・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 今回の事故が発生いたしまして、なお十三名の行方不明の方がいらっしゃいます、この行方不明の方を加えない数字が五十一、加えますと六十四となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/52
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053・須藤五郎
○須藤五郎君 一九六〇年、いまから十五年前から今日までに炭鉱で死んだ労働者の数は五千百十六人になっておるわけですね。この十五年間に五千百十六人の死者を出したということは他の産業ではないことなんですね。他の産業に比較しますと、約二十四倍の死者を出しているという数字が出ております。いかに炭鉱が危険な職場であるかということ、いかに危険に毎日身をさらして炭鉱労働者が働いておるかということは、これをもっても私ははっきり証明されると思うのです。それに比較して炭鉱労働者の給与というものは低いではありませんか。どういうふうに思いますか。だから無理が起こる。だから災害がそれに従って起こってくる。こういうことになると思うのですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/53
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054・高木俊介
○政府委員(高木俊介君) 炭鉱労働者の賃金でございますけれども、昨年、例の炭価アップと同時に賃金関係の方も大幅に改善されまして、現在は、いわゆる他産業との比較におきましてはそう遜色のないところであろうと思います。
なお、特に坑内労働者の賃金におきましては他産業に比較しまして、主要労働者の方々と比較しまして、一カ月大体二十二、三日の出勤ではございますけれども、一部残業も入っておりますけれども、これはある程度の能率給というものが入っておりますので、全般的にどうだということは言えませんけれども、相当高い金額で、平均的には二十数万円を取っておられるのが事実でございます。これは坑内労働者でございます。ただし、坑外の方はそこまでいっておりませんで、まあ坑内外平均いたしますと約十六、七万円の金額ではなかろうかというのが、現在の実績でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/54
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055・須藤五郎
○須藤五郎君 平均二十数万になっているという話ですが、それでも他産業に比べて二十四倍の死者が出ているということは、これは容易ならぬことだと思うんです。炭鉱労働者は、毎日毎日自分の命を捧げて穴に入って炭を掘っている、こういうことになるわけですね。
私は、かつて北海道へ炭鉱調査に参りました。そのときに山のふもとから組合に至る道、それに、きょうもお父さんどうぞ無事でいてくださいという立て札がずっと並んでおるんです。そうして奥さんに会ったら、夫を朝送り出すときには、どうかしてきょうも再び夫に帰ってきてもらいたい、子供はお父さんの帰ってくるのを心から一日じゅう願っておると、こういうことを聞きました。それほど家族全体が父親の命について非常に一日じゅう、夫を送り出して帰った顔を見るまではそういう心配にとらわれて働いておる。非常に私は、この炭鉱労働者の労働というものはつらい労働だと思うんです。だから、他の産業と比べて大体同じような給与にまで来ていますと、そうおっしゃるけれども、これは私は、他の産業よりより以上の最高の給与を取っていい労働者だと、そういうふうに思っておりますよ。あなたたちそういうふうに考えませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/55
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056・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 非常に過酷な労働である、それからきわめて危険の多い仕事である、この点につきましては先生と全く同感でございます。特に保安の仕事を担当いたしております私どもの感じからいたしますと、率直な気持ちとしては全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/56
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057・須藤五郎
○須藤五郎君 この間、日本で最も新しいと言われた北炭の夕張新鉱、そこでもそういう災害が起こりました。あのとき炭鉱労働者は、われわれが本当に誇るべき炭鉱に、新しい設備を持った炭鉱においてなおこういう災害が起こったと言って、むしろ自信をなくしたですね、疑惑を持ったですよ、炭鉱の労働というものに対して。ところが、今度またこういうことが起こった。これでは炭鉱に働く労働者は本当に毎日毎日安心して働くことができないですよ。どうしたら安心して働ける職場になるんですか。それをつくり上げるのが炭鉱事業者であると同時に、それを監督していく通産省の務めじゃないんですか。通産省、どうしたら労働者が安心して働ける職場になるとお考えですか。その点をはっきりと述べていただきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/57
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058・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 安心して働けるような職場にしたいというのは、私どもも全く同じ念願を持っておるわけでございます。
どうしたらいいかということでございますが、これは、山の事情が各山全部違います。それから、深部移行に伴いまして新しくむずかしい条件が付加されてまいる、こういうことに実は相なる次第でございます。したがいまして、私どもの方は事業者に、労働者にどのような条件を、基本的な基準を守れば事故を防ぐことができるかということにつきまして、学識経験者のお知恵を拝借いたしまして、いままでと違ったような角度でその物差しを先へ延ばす、これを法律によって補綴をする、これを監督によって実施させる、こういうことでございますが、翻って事業者、生産者の側から考えてみまするに、自分の方の山がこのような危険な状態では生産はおぼつかないわけでございますので、当然ながら保安を生産と一緒に、保安を生産より優先に考えて、どうすれば保安が確保できるかということにつきまして、私どもの定めはもちろん、これを超えまして、自主保安という原則から保安に心がけていただく、こういうことに相なろうかと思います。しかし、自然の条件が非常にむずかしい状態でございますので、私どもは万全を期すわけでございますけれども、何とかそこを乗り切るためにはこういうものに対する御理解というものが非常に必要であるし、私どもの方といたしまして、そのような具体的ないい考え方というものを全国ベースで掘り出してくるということが必要かと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/58
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059・須藤五郎
○須藤五郎君 石炭に対して私たち共産党は非常に関心が強いんです。というのは、石炭だけでしょう、日本のエネルギーとして持っているエネルギーは。石油はないわ、原子力もない、石炭だけですよ、実際。だから私たちは日本の産業の将来を考えても、石炭を大切にしなきゃならぬという気持ちは、もう人に劣らぬ強い気持ちを持っておるわけです。それだけに私は、石炭山に対してこういう災害がしょっちゅう私たちが幾ら注意しても起こるということに対しては、はなはだ不満なんです。
この間もこの災害が起こると同時に、私たちの党の衆議院の多田君がすぐ飛んで行きました。現地へ行って、そうして死亡者をお見舞いしたり、また、会社当局にも会って抗議をし、私たちの考えを述べて帰っておりますが、私たちはこの痛ましい話を聞くたびに、自分の身が切られるような実はつらい思いをするんです。なぜならば、私たちは石炭を大切な産業だと思っているだけに非常につらいんですよ。だから、それは先生と同じ気持ちですというようなことを言ってもらちがあかない。具体的に石炭山で労働者が安心して働ける山にするためにはどういう処置をするのか、そういう点であなたたちに考えがあるならば、ここではっきり述べてもらいたいんです。どういうことをやろうとするんですか、まず何をやるんですか。そして、労働者が明るい気持ちで働ける炭鉱にするにはどうしたらいいんですか。その具体的な話をここで聞かしてもらいましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/59
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060・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 現在、安全な石炭鉱山、災害のない石炭鉱山ということを目指しまして中央鉱山保安協議会でいろんな角度から問題に取り組んでおるわけでございます。もちろん、そのためには保安管理を一体どういうふうにやっていったらいいだろうか、あるいは安全基準を一体どういうふうにやっていったらいいだろうかというようないろんな問題がございますが、これを整理して申し上げますと、まず第一は、やはり坑内の骨格構造を整備する必要がある。深部移行に伴いまして、いま事故に直接いろいろ問題が出ておりますけれども、通気の確保というのが大事な問題である。それから、温度が高くなりますので作業環境を整備しなければならない。それからその次には保安確保工事、これが従来いろいろ指示してあるわけでございますが、現在までのところで十分かどうか。それから保安の機器の整備点検ということがございます。ガス突出、ガス爆発という重大災害というものが地底の深いところで起きますと、どうしてもいままでその上に乗っかっておりますところの従来部分と非常に大きな衝撃を起こす可能性がございます。したがいまして、先ほど来お話がございますように、ガス抜きボーリング、それから採掘跡を充てんすることについてどうするか、密閉することについてどうするか、こういうふうな新しい、いままでと違った考え方をとるべきではないかという意見がいま出ておるわけでございます。
さらには、保安の計測監視体制というものを、現在でもあちらこちらにガス自動警報装置を設け、中央でコントロールをするというふうなことをやっておりますけれども、さらにこれをどんどん進めるべきではないか。坑内の作業改善のためには、坑内保安状況を集中監視するようなシステムができないだろうか。もちろん、作業をいたしますにおいて前提となりますような坑内の冷房装置といったものも整備する必要がございます。このようなことが第二に必要であろうかと思います。
第三点といたしまして、保安技術の研究開発という問題があろうかと思います。深部移行に伴いましてガスの発生あるいは地圧の重圧、こういうことがございますので、これに対してはどうしても保安技術を徹底的に先へ進めておく必要があろうかと思います。このためには、石炭技術研究所あるいは外国の研究所とのタイアップ、あるいは日本におけるところの最高首脳に集まっていただきまして、協議会を通じての深部対策の建設的な意見を承るというふうないろんな問題があろうかと思いますが、緊急の課題になっております。
さらに、事業の中におきましては、保安教育の強化ということが必要かと思います。保安教育ということは私どもも念頭に置いておりますし、口やかましく事業者に対して話をしておるわけでございますけれども、さらに、これが一人一人の坑内に入る者の身にしみて十分生きておるかどうかということにつきましては、必ずしも十分でないと思われる節もございますので、その点につきましては、さらに徹底した保安教育をどのように、どのような機関で進めたらいいかと思う次第でございます。したがいまして、このような観点から私どもも、石炭鉱山の保安確保に対する予算というものをいま大蔵省に提出いたしておるわけでございますが、できるだけその予算確保にも配慮をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/60
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061・須藤五郎
○須藤五郎君 あなたの話を聞いておっても、労働者は安心しないだろうし、私も安心いたしませんよ。言葉だけで、何ら実行力がそれに伴っていない感じです。いまのようなやり方で炭鉱の企業に、それだけのことをあなたは言ったが、それをやらす力が政府にありますか。炭鉱の企業はそういうことをやりますか。採算を離れないとできない仕事ですよ、いまそれは。そうでしょう。それができますか。やらないですよ。これまで私たちは保安の問題について何回も何回もやってきた。いまはそういうことはないと思います、あったら大変ですから。保安状態を調査に行くときに、いつ幾日行くというのが山にちゃんと知れ渡ってしまって、それで、ある山へ保安の調査の人が行くというと、その山からきょう来たぞ、いま来たぞと言って電話で連絡する。そうすると、次の山へ行くとちゃんと皆、いつ検査を受けてもいいような態勢をつくって待ち構えている、そういうことがかつて言われました。いまはそういうことはあるかないか、それは私は存じません。あれば、それは即刻やめるべきことです。保安などというのは、抜き打ちで調査して初めてそこで確かな保安が守られているか、対策がとられておるかどうかということがわかることですね。連絡した後じゃだめなんですよ。そういうことがかつてやられたということを私は聞きました。
それと同時に、私がいま言ったように、それだけの安心して働ける山をつくるためには、いまのようなやり方ではだめだということなんです。だからどうしたらいいか。それじゃ国が費用を出してやるか、それとも炭鉱を国の経営に移してそういうことをやるか、ある思い切った政策を立てていかないとそういうことには私はならぬと思うんですが、大臣どうですか。こういう点は非常に重要な問題ですから、大臣のお考えをこの際ひとつ述べておいていただきたい。どうしたら安心して働ける山になるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/61
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062・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 私どもは、先ほど来申し上げましたような諸般の保安対策につきまして、法規の改正を含めまして、それを決定した上はやらせると。
先ほど監督のやり方についていろいろございましたが、私どもは抜き打ち検査と、それから予告によるところの重点検査と両方併用いたしておりますので、その点については御理解を賜りたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、ある基準を示してそれを守らせるというのが私どもの仕事でございますし、このような状態になってまいりますと、まさに保安と生産というものは一体であって、保安なくして生産が成り立つわけはございませんし、そういうことを考えますと、事業者としては、まあそれは力の限界は私はないわけではないと思うわけでございます。その限りにおいて私どもの力も限界はないわけではございませんけれども、足しまして最高の努力をすれば、これは先生御指摘でございますが、過去四十年から四十九年まで、石炭鉱山におけるところの死亡事故は、六百四十一名から五十七名までずっと実は逐年低下してまいったわけでございます。この過程におきましては、私どもが先ほど述べたような諸般のことを、非常に手厚く保安対策として各会社も政府も実行してまいったわけでございます。保安教育も行われておったわけでございます。それがここまでまいった。それがさらになくならぬではないか、その御指摘はもっともだと存じますけれども、さらにいま一段の努力を続けてまいらしていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/62
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063・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 保安対策につきましては、局長が先ほどいろいろ詳しく説明をし、かつ述べましたが、そういう方向でやらせるつもりでございます。
当初に申し上げましたように、石炭政策の課題は何かと言いますと、それはもう申すまでもなく保安対策でございまして、保安対策なくして生産というものはない、こういうやはり原点に帰って石炭政策というものを集めていく必要があるんではないか。今回の事故を契機といたしまして、深刻に私どもも総ざらいをいたしまして石炭政策を進めていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/63
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064・須藤五郎
○須藤五郎君 大臣、炭鉱へ入る労働者はガスマスクを携帯しなきゃならぬということはちゃんと保安法上あるわけです。しかし、それが人数だけ備わってなかったわけですね。私はそのときそれを指摘して、そうして人数だけはそろわせました。それでやっと人数だけはそろいましたという報告は受けております。受けておりますから、今日はそういうことがないと思うんですが、法律があっても行われてない問題があるわけです。だから、こういう法律をつくってあるから大丈夫だというふうに大臣が安心しており、また局長が安心しておっては、やはり抜けたところが起こると思うんです。
だからこの際、こういう事件が起こったのを機会に、もっともっと本当に強力に強い指導が私は必要だと思うんです。強い処置が必要だと思うんです。そのために政府はよっぽど腹を固めてこれに当たってもらわないと、ただこう思います、こう思いますと机上の空論みたいに文章をつくって示しただけでは、私は成り立たぬと思いますよ。それで、それがやがて石炭山がつぶれていく最大の原因になっていくんですよ。で、石炭山つぶれて、それでいいかって、そうじゃないですね。やはりこれは日本の国家の産業の将来にとって大きな問題ですから、山をつぶしてはならない。だから、つぶさぬためには労働者の働く条件をよくして、喜んで、安心して働いてもらう山にしていかなきゃならぬ。そのためにはどうするかということだと思うんです。だから大臣、よっぽどこれは決意を固めて安心して働ける山をつくるために当たっていただかなきやならぬ、私はこう思いますが、大臣、その決意を持って当たってくれますか、どうですか。
それと同時に、もう一つついでに言っておきます。ソビエトなんかで炭鉱に働く労働者は労働が非常に厳しい、それから危険もある。だから給与はよいと同時に、日本の組織と違いますけれども、早く、まあ普通の労働者は六十歳まで働いて定年になって、そしてやめて年金をもらうというようなことでございますけれども、炭鉱で働く労働者はもっと若くして、四十五歳、五十歳でやめても年金がもらえるというような、そういう炭鉱労働者の特殊性を守る法律がちゃんとできていますよ、ソビエトなんかに。そこまで手厚い保護を加え、そうして石炭を掘っているということなんですね。だから日本でも、炭鉱に対しては特別な考えを持って当たらなきゃならないと思うんですが、その点はどういうふうに大臣はお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/64
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065・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) まず、この保安対策上のいろんな必要な備品が備わっていないことがあるんじゃないか、こういうお話でございますが、そういうことは絶対ないように、これはもう去る九月の九日に全鉱山をチェックするように指示をいたしておりますから、そういうことは万ないと考えております。
それから、なお保安対策上教育が必要だと思いますので、これは先ほど局長並びに石炭部長がお答えをしたとおりでございます。保安教育ということも重視していかなきゃならぬ、こう思います。
それから、待遇という問題につきましては、これは私企業であります以上は総合的な採算ということも考えなければなりませんが、私は、他とのバランスが崩れない限度において待遇というものはできるだけよくしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/65
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066・須藤五郎
○須藤五郎君 それで、もう一点だけ私は聞いておきますが、いま七片には水を入れました。ところが、今度は六片に火がつきましたね。それでまた水を注入しているんでしょう。そうすると、七片と六片の距離というものは百メーター以上ぐらいあると思うんですが、そこへ水を入れてしまうと、そうすると、その水を出すのにどれだけの時間がかかるのか。四片にも火がついているんでしょう。そうすると、あるいは四片からまた五片ね。六片と四片にはさまれて五片にもまた火が入らぬとは限らぬと思うんです。その場合どうするのか。それをまた注水する。四片まで注水するという結果になってくる。そうすると、この距離は何百メーターですよ、その水を出すのにどれだけの時間がかかるのか。そうすれば、その水が出なきゃ遺体というものは出せないとなってくる。五十度の温度のところで、そんな何カ月という間、水の中につかって遺体が果たして保たれるかどうか、いろいろな問題が今後起こってくる。それでその次には、あるいはもうこれは廃鉱にせざるを得ないというようなことが起こってこないとも限らぬと私は思うんです。政府はそういうことに対してどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。場合によっては廃鉱しようという考えも持っているんですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/66
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067・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) そのような考えは毛頭持っておりません。現在は確かに七片に火があって、それは七片に注水したことによりまして恐らく鎮火したんじゃないかと思われますが、別に六片、五片あたりに火があるようになっております。それから四片は少し離れておりますが、この前から陰になったわけでございます。したがいまして、いま六片の消火のために六片に注水を開始いたしまして、もちろん七片と六片の間では大体七十メーターぐらいの間隔がございますけれども、しかし六片はメーンになりますので、非常に体積、容量が大きくなります。したがいまして、七片に注水したのとは比べものにならないぐらい水の量が大きくなります。したがいまして、非常に幸運にもそこでとまりますればいいわけで、これを揚水することになろうかと思いますけれども、相当なやはり時間がかかろう。しかしながら、さらにどのように事態が発展するか全くわかりません。こういうふうな状態でございますので、会社におきましてはもちろんのこと、北海道地区におきましての最高の権威、さらには日本全国におけるところの最高の権威に東京に集まっていただきまして、北海道と東京と別々で情報をそれぞれ提供していただきまして、現在どのような防火対策として手を打つべきかということを御検討願っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/67
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068・須藤五郎
○須藤五郎君 水が全部終わるのは何月ごろというふうにもくろんでおるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/68
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069・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) その点につきましては、今後どこまで注水するかによってされるわけでございますので、まだお答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/69
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070・須藤五郎
○須藤五郎君 いまのところわからぬ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/70
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071・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614461X00319751204/71
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072・林田悠紀夫
○委員長(林田悠紀夫君) 本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十一分散会
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