1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十一年十月二十七日(水曜日)
午前十時三十三分開会
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委員氏名
運輸委員
委員長 上林繁次郎君
理 事 岡本 悟君
理 事 中村 太郎君
理 事 瀬谷 英行君
理 事 三木 忠雄君
江藤 智君
木村 睦男君
黒住 忠行君
佐藤 信二君
橘 直治君
永野 嚴雄君
福井 勇君
宮崎 正雄君
青木 薪次君
加瀬 完君
杉山善太郎君
目黒今朝次郎君
内藤 功君
和田 春生君
松岡 克由君
物価等対策特別委員
委員長 中村 登美君
理 事 斎藤栄三郎君
理 事 鳩山威一郎君
理 事 田中寿美子君
理 事 山田 徹一君
理 事 中沢伊登子君
小笠 公韶君
大鷹 淑子君
岡本 悟君
平井 卓志君
増田 盛君
望月 邦夫君
安田 隆明君
赤桐 操君
秋山 長造君
対馬 孝且君
前川 旦君
田代富士男君
山中 郁子君
渡辺 武君
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出席者は左のとおり。
運輸委員会
委員長 上林繁次郎君
理 事
岡本 悟君
中村 太郎君
瀬谷 英行君
三木 忠雄君
委 員
木村 睦男君
佐藤 信二君
橘 直治君
永野 嚴雄君
福井 勇君
宮崎 正雄君
青木 薪次君
杉山善太郎君
目黒今朝次郎君
内藤 功君
和田 春生君
松岡 克由君
物価等対策特別委員会
委員長 中村 登美君
理 事
斎藤栄三郎君
鳩山威一郎君
田中寿美子君
山田 徹一君
中沢伊登子君
委 員
平井 卓志君
望月 邦夫君
安田 隆明君
対馬 孝且君
前川 旦君
田代富士男君
山中 郁子君
渡辺 武君
国務大臣
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 福田 赳夫君
運 輸 大 臣 石田 博英君
政府委員
経済企画庁物価
局長 喜多村治雄君
運輸省鉄道監督
局長 住田 正二君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 杉浦 喬也君
事務局側
常任委員会専門
員 池部 幸雄君
常任委員会専門
員 菊地 拓君
説明員
日本国有鉄道総
裁 高木 文雄君
日本国有鉄道常
務理事 高橋 浩二君
日本国有鉄道常
務理事 吉武 秀夫君
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本日の会議に付した案件
○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改
正する法律案(第七十七回国会内閣提出、第七
十八回国会衆議院送付)
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〔運輸委員長上林繁次郎君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/0
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001・上林繁次郎
○委員長(上林繁次郎君) これより運輸委員会、物価等対策特別委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は、お手元に配付いたしましたとおりでございますので、御了承のほどをお願いいたします。
これより質疑を行います。御質疑のある方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/1
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002・対馬孝且
○対馬孝且君 まず質問に入ります前に、今回の連合審査の時間が三十分という限られた時間で、まことに慎重審議するにしては全く時間が足りないわけでありますが、物価の観点で国民が非常に憂えているわけですから、その点、限られた時間の中ですから、ひとつ政府側の答弁も長々とやっていただいたんではこれは結論になりませんので、そのものずばりでひとつお答えを願いたい、こう冒頭申し上げておきます。
私は、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部改正に関する法律案につきまして、きょう連合審査が行われたわけでありますが、庶民の生活を守るという立場に立って政府側に質問申し上げたいと、こう思います。
そこで、まず福田副総理にお伺いしたいんでありますが、経済企画庁長官と同時に副総理という立場でお答えを願いたいと、こう思います。
今回の国鉄値上げの家計への影響についての問題でありますが、経済企画庁の試算によりますと、〇・五%消費者物価にはね返る、この及ぼす波及効果を考えた場合に、支出増はとうていこのような〇・五でおさまるとはわれわれ考えられないわけであります。なぜかならばと申し上げますと、この問題につきまして直接形式的に計算をしたのでは私は答えは出ないと思うんであります。出ないというよりも、つまり本当の意味の物価指数というものは出てこないんじゃないか。
それは去る十九日の経済企画庁の発表による消費者動向予測調査というのがあります。この向こう一年間の消費者物価の見通しが高くなると見る人の割合が六五・七%であります、副総理。高くなる。それから前回の五月の時点では五九・一%です。非常に高くなっておりますね。物価が高くなるということ。これは消費者の物価再高騰に対する警戒心が非常に私は強まっていることを意味していると思うんであります。そこで、暮らし向きについて悪くなるかよくなるかということにつきまして、悪くなると答えた方がこれまた三七・一%。前回は三四%であります。悪くなるという方がふえているわけです。また、勤労者世帯の可処分所得の実質を見ますと、四月では〇・六%、五月では三・九、六月では四・〇、七月に二・八と、いずれも前年度同月比をダウンしているのが今日の現状であります。消費支出におきましても前年同月比を対照して検討してまいりましたが、五月が一・九、六月が三・五、七月が〇・八と、これまた減少いたしております。
そこで、このような現実の生活実態に、いまも私が申し上げましたような消費者動向の予測調査でいきますと、物価はかなり高くなる、暮らし向きは悪くなる、こういった国民感情を反映をした場合、いまこの国鉄料金が五〇%も値上げをするということについて適切であるかどうか、こういう時期的な判断から判断いたしましても、この問題に対する経済企画庁という立場で、または副総理という立場でお考えになってみた場合に、適切かどうかという問題について御判断をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/2
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003・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 物価の情勢は、概括的に申し上げますと、これは横ばいでありますとか、あるいは下げるとか、そういうわけにはまいらないんです。これはどうしても上がる勢いにあるんです。その上がる度合いをだんだんとなだらかにしていかなければならぬ、こういうことでございます。
そういう考え方でございますが、いま公共料金問題、これがこの一、二年どうしても大きな障害になるわけで、上がる度合いをなるべく少なくしたいと申しますが、なかなかそれが思うようにいかない、こういうのが現状でございます。ことしの消費者物価は八%、これをその程度ということを目標にしておるんですが、八%というのはこれは相当高い上がりになるわけでありまして、何とかして早く六%ぐらいにはこの二、三年には持っていきたい、こういうふうに思いますが、さて一方、公共料金問題というのが、御承知のようにあの狂乱物価の当時、厳にこれを抑制するという政策をとってきたわけです。
しかし、これをまた続けていきますると、企業体の経営に非常に重大な支障を生ずる。現に国鉄なんか、非常にそういう関係からも大きな問題が出ておるわけでありますが、それを国鉄当局、さらに運輸省におきましては五十一年度、この段階で一挙に倍にひとつ引き上げたいというような考えを持ちましたが、ただいま申し上げましたように、非常にいま公共料金なんかの問題がむずかしい段階にある、そういう際でありますので、一挙に大幅にということを避けまして、まあ大方、いま決めているわけじゃありませんけれども一、二年ぐらいに割って、そして国鉄料金問題を処理したい、こういうので五〇%程度の引き上げと、こういうふうにしたわけでありまするが、まあ企業の状態、それから物価の情勢、そういうものをあらゆる角度から検討してその程度の引き上げはまずまずやむを得ないところであると、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/3
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004・対馬孝且
○対馬孝且君 いま結論的にはやむを得ない状況であるという御判断でありますが、私は、これは国鉄運賃というのは、すべての物価を押し上げるやっぱり源の役割りを果たすのではないか、それはどういうことかと申しますと、国鉄運賃改定の物価に対する影響として、いま副総理も大体〇・五%程度で大体五〇%だと、こう言っているんですが、他の交通機関に与える影響ですね、現実の問題として一般物価への波及効果を考えた場合には、〇・五という数字が果たしてそれでおさまるかとなりますと、私はそうではないというふうに考えざるを得ないんです。
これは過去の例でも、端的に申し上げますが、米価の値上げの場合も副総理に私も質問しましたが、一食当たり五円だと、こういったことがございますね。ところが、これがそれじゃ飲食店や店屋物を食べた場合に、それじゃ天どんのライスが五円になるかというとそうはならないわけでしょう。カレーライスがやっぱりライスだけで食べたってこれは五円が三十円になる。カレーライスの値上がりも三百円が三百三十円、あるいはカツどんが四百五十円がやっぱり五百円と、こういうふうに、ただ値上げするときだけは政府は一食当たり米だって五円だよと、あるいは今度の場合も〇・五%だよと、こう言うんだが、はだで感ずる庶民の物価というのは実際はそうなっていない、これは申し上げておかなければならぬと思う。
そこで、私は特に交通の、国鉄が上がることにおいて東京都の区部の、都下の各種の運行している民営バス、これはすでに十月に申請をして三月実施で二十円値上げをされる、都市交通も来年の春に値上げするということが正式にマスコミに報道されました。やがてこれはやっぱり私鉄に行くと思うんであります。まあ一例ですけれども、新宿から小田原まで現在国鉄、私鉄とも四百四十円ですが、新料金で行きますと六百八十円ということになるわけです。私鉄の方に若干足は流れると思うんでありますが、やがて私鉄もやっぱり上げざるを得ないだろう。すでに都市交通も来年の春は上げると、こういうふうに出てきますと、結果的に国鉄だけの〇・五ではなくて、そういった直接物価を押し上げる国鉄の料金というような役割りを果たしている、こういう意味での他の交通料金体系に与える影響があるのではないか、この点どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/4
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005・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) まあ国鉄の運賃が改定されれば、私鉄またバス等に、それらが国鉄と競合関係にあるという関係で何らかの影響がないとはこれは言えません。言えませんけれども、私鉄にしてもバスにいたしましても、これはいわゆる公共料金であります。で、正当の理由がないという場合におきましては、これを政府で認可するはずがないわけでありますから、まあ心理的な影響だけでそれが具体化すると、こういうふうには私はなってこないと、こういうふうに考えるわけです。いずれにいたしましても、この便乗というか不当な波及、これにつきましては厳にこれを抑制すると、そういう考えで臨んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/5
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006・対馬孝且
○対馬孝且君 これは抑制するといっても、私はしょせん限界が来るだろうと、こう思います。国鉄の場合はそういうんですが、今度は都市交通のバス問題、私鉄バスのときはそれなりの理由がつけられて結果的にまた上がってしまう、やっぱりこのことを一番私は心配をしておるわけです。いま副総理が厳重にその点はやっていくということですからそれなりに受けとめます。
ただ私は、次の問題としまして、私は北海道ですから、今度の国鉄運賃の値上げで、特に貨物値上げについては非常な私のところにも陳情が来ているんですよ。副総理御存じのとおり、これは運輸大臣も御存じだと思うのでありますが、異常冷害であります。本州では台風十七号による水害、こういう問題が出てきているわけです。現に私のところにも毎日のように来ているのでありますが、農産物と水産物、こういう食糧品等に対して貨物料金が当然はね返ってくるんではないか。それがやがて消費者のっけに回るんではないかと、こういう問題について、実際問題としてこれは農民だけでなくて消費者側としても大変なことなわけですよ。片や冷害と、全くダブルパンチでわれわれ庶民は痛めつけられる、こういうことであってはならないと思うんですよ。少なくともここに政策がなければならぬだろうと思う。政策的に手だてがあってしかるべきじゃないか、こういうふうに考えるんですが、こういう問題に対する政策的な手だて、あるいは政策割引というか、こういうことを運輸省だけじゃなくて、国全体として考えるべきことではないかと、こう考えますが、運輸大臣でも結構ですが、この点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/6
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007・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 私も東北出身でございますから、今回の冷害のことはよく承知しておりますし、それから北海道、九州、その他遠隔地からの農産物の輸送という問題もよく承知しております。国鉄が健全な経営を続け、営利的に十分成り立っておった時代にいろいろそういう公共負担とか、政策割引というようなものをずっと続けてまいりました。しかし、現在国鉄自身が膨大な赤字で苦しんでいるわけであります。そういう農産物、水産物、その他政策割引、あるいは公共負担というような問題の必要性は私どもも痛感をいたしますが、しかし、それは政策実施部門においてひとつそういう負担をしてもらいたい、つまり農産物、水産物の割引等については、農林省の予算的措置によってしてもらいたい。赤字で苦しんでおる国鉄が、黒字時代の公共負担や政策割引というものをそのまま継承することは不合理だと私は思っております。しかし、そういうような政策的処置の必要は認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/7
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008・対馬孝且
○対馬孝且君 政策的処置の必要は認めるという大臣のお言葉ですから——ただ政府は縦割り行政で所管を守ればいいわけですけれども、われわれ国民は財布一つなんですよ、出ていく金は一つなんだから、そういう点では縦割りでそういうお答えをいま願ったわけですけれども、縦割り行政というよりも政府全体としてこういう施策、手だてをとる必要があるのではないかと、こう感ずるわけですから、ひとつ実力者、やがて次期総理大臣という声もかかっているわけですからひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/8
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009・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) まあ国鉄の貨物運賃が上がりますれば、これは北海道とか東北なんかの方から輸送される貨物にはそれだけの影響はあるわけです。その結果、国民生活にどういうふうになるか、これはそのときのその運ばれる物資の需給でありますとかその他の諸要因によって決まる、こういうことでありまするが、これが重大なる影響があるというようなことになりますれば、これはどうしてもその対策を考えなければならぬ。この対策は、これは運賃だけの問題じゃありません。運賃で特別負担を国鉄にかけるというようなことになれば、これはまた国鉄にも非常に影響のある問題でありまするから、これは総合的に、国全体として対処しなければならぬ、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/9
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010・対馬孝且
○対馬孝且君 これはぜひひとつ、これ副総理ね、ともかくいま運輸大臣も何らかの処置をする必要があると、こういうことですから、これ国全体としてひとつこの施策に対して対処してもらいたい。よろしゅうございますね。
そこで、私は今回の値上げの特徴点をいろいろ検討してみたんですがね。国民生活に及ぼす効果を見てまいりますと、旅客運賃は昭和二十四年六月一日以来今回を含めて九回の値上がりであります。その中で最高の値上がり率になっていますね、今回の値上がりというのは、五〇%程度というのは。しかも、貨物運賃は七回値上げをしているんです。その中では二番目に高い値上げ。これはおたくの、運輸省の統計で出ているわけです。それで、四十九年からの値上げが引き続いて、これから五十年、五十二年、五十三年と、今回も入れて連続五回の値上がりということに特徴づけられます。
そこで、私は北海道ですから、国民的にどういう影響があるのかと、私、北海道の立場から、北海道に住む道民の一人として試算をしてみました。そうすると、こういうことになるんです。札幌から東京まで出るのに、現在、運賃とそれから特急券、グリーンに乗ってここまでたどりついたとして一万五千九百十円になるんです、現行料金でさえ。それが今度五〇%程度値上げということになりますと、これは二万四千円になるんですよ、札幌から東京までですよ。連絡船もちろん入っていますが、二万四千円ですよ、運輸大臣。そうすると、いま日航は、私も乗って歩いていますけれども、これは一万八千八百円ですよ、日本航空料金が。そうすると汽車の方が高くなる。高くなるどころじゃない、五千二百円も高くなるんだよ。これじゃ一体庶民の旅客運賃ということを言えますかな。庶民の感情からいって、庶民の旅客運賃としてこれが一体本当に適正であると、あるいはこれはやむを得ないんだということだけで済まされる問題ではないんじゃないかと。
しかも、これだけではありませんよ。これも経済企画庁の標準家庭の単位三・五人を人員構成で検討してみましたけれども、これだって今度の運賃が改定になれば月一万一千円から二万円程度上がるんですよ。これだけ家計増の負担になるわけだよ、やっぱり。こういう問題を含めて、ひとつ運輸大臣、この点は現状の五〇%上げざるを得ないんだというだけじゃなくて、この点もう一回検討してみる必要があるんじゃないですか。どんなものですか、これ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/10
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011・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 国鉄がすでにもう過去の独占的な立場を失っていて、運賃の値上げがそのまま増収につながるわけではないのであります。しかし一方、国鉄の経営は、御承知のとおり非常な窮境にあるわけでありまして、この国鉄の経営の健全化を怠ってそれを一般財源で補うということになりますと、これはある意味において国鉄の利用者はそれでいいかもしれませんが、利用度の低い人には非常な不公平を与えることになります。やはり健全化をどうしても図らなきゃなりません。そこで、今回の値上げを含んだ再建二法案の御審議をお願いしているわけでありますが、値上げだけでなくて、債務のうち赤字分の大部分に当たる二兆五千四百億円を政府が肩がわりすると、こういう措置を伴って国鉄の収支のバランスを一日も早くとりたいと、こういうことでお願いをしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/11
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012・対馬孝且
○対馬孝且君 そこで私は——ちょっと運輸大臣、すぐお聞きしますが、来年度また五〇%と、当初の試案によるとなっているんですが、原案では。これまた来年度の話言っても鬼が笑うと言ってもあと二月足らずで来年になることになるわけですから、少なくとも来年度また五〇%だと、こういう問題についてこれはみんな、消費者は相当な怒りを持っているわけですよ。この点はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/12
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013・石田博英
○国務大臣(石田博英君) これは、他の委員会の席上でもたびたび申し上げておるわけでありますが、値上げ幅につきましては、今回の値上げの実施をした後の影響というものも考えなきゃなりませんし、先ほども申しましたように、これは独占的な企業ではございませんので、値上げというのにはおのずから限度がございます。値上げ即増収にはなりません。そういう意味において、一つは物価への影響その他を考えてできるだけ低くする、もう一つはいま申しましたような値上げ即増収にならない、それからもう一つには、国鉄自体の経営上の努力、それから第四番目には、公共負担、政策負担というようなものは独立採算制を要求される以上は他の政策実施部門でこれを処理していただくと、こういう方針で対処したい。来年度の五〇%云々というものは私は承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/13
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014・対馬孝且
○対馬孝且君 それでは、来年度五〇%という問題については承知していないし、新たな角度で検討されると、こう理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/14
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015・石田博英
○国務大臣(石田博英君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/15
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016・対馬孝且
○対馬孝且君 わかりました。
次の問題は、私は鉄道建設公団の問題についてちょっとわからないんですが、これは全く赤字の原因は、いま言ったように、結果的には何といっても政府が適切な時期に適切な政府資金は出していなかったという答えに尽きるわけであります。特におもしろいことには、昭和三十九年度鉄道建設公団が設立された後、今日まで十二年間で一兆一千億の建設公団には金を投資しているんだね。ところが、国鉄は昭和二十四年から今日までの、二十五年間という倍以上の年を食っているのに対しまして、国鉄に出した金は一兆三千五百五十億ですよ。大体十二年間の鉄建公団に出した金と同じなんです。公団の方にはどんどん金を出して、国鉄の方には金を出さないというんじゃ、これは赤字になるのはあたりまえじゃないですか、これ。
私は口が悪い方だからざっくばらんに言うけれども、たとえ話で言うなら、あなた、これははっきり申し上げて、鉄道建設公団の方にはどんどんお金をつぎ込んで、いわばおめかけさんの方にはお金を入れるけれども、本妻の方にはさっぱり金を出さぬと、でき上がった放蕩息子の方は、赤字路線は本妻で賄えと、そして、国鉄の引き受けた赤字は国民の方にしりをぬぐわせると、こういうやり方自体がぼくは根本的な問題があると思うのですよ。この点、やっぱりいま一度抜本的に国鉄全体の総合交通体系、そして、この国鉄財政のあり方について検討されるべき性格のものではないかということが一つであります。
それからもう一つは、最後でありますから、時間もありませんから、私は運賃値上げの決定方式について率直にこの機会にお伺いしたいんでありますが、今回の再建対策要綱の中でも見過ごすことはできないんでありますが、「運賃法定制度の弾力化」という問題がうたわれています。そこで財政法では、国が国権に基づいて収納する独占的な事業の料金について、特に法律または国会の議決に基づいて定めなければならないということになっております。ところが財政法第三条の特例によりますと、これはたばこの価格、郵便、電信、電話料金、国鉄の旅客、貨物運賃については、特に具体的に明示して特例から外されているわけであります。したがって、この運賃改定については軽々に私は外すべきものではないのではないかと、こういう見解を明確にこの際表明しておきます。
そこで、私はこの際、運賃改定の民主化ということがきわめて重大でありますので、現在の運輸審議会を改組をいたしまして、交通運輸機関としてひとつ運賃、料金の全体について審議できるような体制をつくる必要があるんではないか、その意味では、特に運賃については利用者の代表を交えた運賃審議機関というものを設ける必要があるのではないかと考えますが、この二点についてお伺い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/16
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017・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 第一点の鉄道建設公団のあり方、任務でありますが、交通網の整備、特に過疎地と申しましょうか、後進地の鉄道網の整備というものに対する国民的要望が非常に強いことを背景にして生まれたものでございます。ただし、その後経済情勢が非常に変わってまいりました。つまり、高度成長期に生まれた公団でありますが、現在は安定成長期に入っておる。しかも、国鉄の経営自身が御承知のような状態になっておる、当然この検討が必要だと私も思います。で、中には、もうあと一歩で開業というのもありますけれども、まだまだいつになったらできるか、完成するかわからぬのもあるわけです。しかも、一歩で開業というのでも、これは国鉄の方にちょうだいをいたしましても赤字になるんです。したがって、そういう奥地の開発あるいは先行投資、そういうような政策目標で実施されたものについては、事後においてもやはりこれは独立採算制を要求される以上は政策的配慮が必要だと思いますし、それから、すでに鉄道敷設法とか、あるいは鉄道建設審議会で決まったものでございますので、これを変更するのには困難でありますが、実施に当たってはこれは十分配慮してまいりたいと、こう考えております。
運輸審議会につきましては、これは御承知のように、内閣総理大臣が両院の議決を経て任命するものでございますので、現在は法制上公正なものだとは思っております。事実、社会党の方もお入りになっていただいておりますものですから公正なものだと思っておりますが、やはり需要者の代表、選び方には問題があると思いますけれども、十分検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/17
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018・対馬孝且
○対馬孝且君 あと一つだけ。北海道の問題ですから、どうしてもこれ聞いてもらいたいということで、美幸線の問題なんです、北海道の。美幸線が現在百円の収入を得るために三千二百二十三円の国鉄によると経費がかかるので、これは将来やっぱり廃止の方向で問題にせねばならぬと、こういうことがちらちらうわさをされておるわけです。したがって、こういう問題こそ私はこれは国策として、先ほど私が言ったように、総合交通体系なり鉄建公団との兼ね合いなどを考え合わせて国が一定の財源、諸外国でも出しておるんですから、そういうものを解決すれば国民の足が奪われることがないわけですから、こういう問題について、特に北海道は赤字ローカル線というものが非常に多いわけでありまして、足を奪われるということは大変な問題でありまして、こういう問題について厳にひとつ対処してもらいたいということだけ明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/18
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019・石田博英
○国務大臣(石田博英君) いわゆる赤字ローカル線の問題に対する態度は、先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、これは目的が違う。つまり奥地の開発とか先行投資というような政策的目的が別にあるわけであります。ただ、それを建設したときといまと事情が変わっているところもあります。北海道を言うわけじゃありませんが、ほかの地域では道路の方が整備されておって、バスやなんかの方が便利だというところもあります。そういうことを加味しながら解決したいと思いますが、やはり地元の方々と十分話し合って、了解を得た上で処理をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/19
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020・対馬孝且
○対馬孝且君 一般論でなくて、美幸線のことについて、ひとつだめ押しをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/20
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021・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 鉄監局長から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/21
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022・住田正二
○政府委員(住田正二君) いま大臣からお答え申し上げましたように、一般論としていろいろ検討いたしている段階でございまして、美幸線につきましてもその一環としていずれ地元の方と十分お話し合いをいたしたいと、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/22
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023・対馬孝且
○対馬孝且君 まあまあそういうことはないということでいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/23
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024・住田正二
○政府委員(住田正二君) 美幸線を含めまして、具体的にどうするかということについては、いろいろな選択的な案をつくりまして、それに基づきまして地元の方とお話し合いいたしたいと、地元の方の意に反して一方的に政府がやるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/24
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025・対馬孝且
○対馬孝且君 はい、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/25
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026・斎藤栄三郎
○斎藤栄三郎君 まず、経済企画庁長官にお伺いします。
私の与えられた時間が十五分でありますから、要点だけをお伺いいたします。
この国鉄運賃を上げなければならないという理由はよくわかるんです。一般物価が千八十七倍に上がってて、国鉄運賃は三百二十七倍だと、だからどうしても上げなければならぬ理由はわかりますが、一挙に五割も上げちゃうのは非常にまずいんじゃないか。率直に言うならば物価スライド制にして、物価が八%上がったときには翌年八%上げると、こういうふうにやっておけば国民生活に及ぼす影響はそう深刻にならない。一挙に五〇%上げるというのは、下手な運転手の運転する自動車に乗ったようなもので、急にブレーキかけられたり、アクセル踏まれるから、乗っているお客さんはたまらないと、こういうことだと思います。したがって、こういう公共事業の料金及び運賃についてはどうお考えになるか。私は、やっぱり物価スライドでいくのが本当じゃないかと思いますが、いかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/26
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027・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 狂乱物価のころ、公共料金につきましては政府が支配力を持っておりますので、これ抑制方針をとったんです。そこで、一般物価との間に大きなアンバランスを生じておる。国鉄の運賃につきましては、特にそういう状態でございます。そこで、国鉄当局はこれは非常に大幅というか、一挙に倍にしてもらいたいと、こういう要請であり、運輸省もまたそれに同調して意見を出してきたわけでありますが、一挙に倍というのは、まさにただいま斎藤さんのおっしゃるようなことにもなりますので、これを大体二年ぐらいに分けて、その初年度として五割引き上げと、こういう結論にしたわけなんでございますが、五割にしても実は相当の引き上げなんです。
しかし、公共料金とにかく抑制方針をとってきました結果、ちょっと処理を要しなければならぬものがたくさんあるんです。それを長い間ほうっておく、そして長い間段階的に処理するというようなことになりますと、物価全体が落ちつかない。そこで、公共料金につきましては、とにかく五十年、五十一年、五十二年ぐらいのところで主要なものは調整して、あとは物価が落ちついたなというような状態にしたらどうだろうというので、一挙二倍というものは避けましたけれども、ちょっと大きいんですけれども五割増しと、こういうことにいたしたわけなんです。二つ考えがあると思うんですよ。だらだらいこうという考え方もある。しかし、ここで一、二年に少し窮屈だけれども処理する。そして、あとは物価安定というところに持っていくかと、こういう二つの考え方があると思いますけれども、公共料金問題をここで片づけて、そしてあとの物価情勢というものを安定さした方がこれはいいんじゃないかという見解に立ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/27
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028・斎藤栄三郎
○斎藤栄三郎君 この運賃引き上げが仮に通過した場合に、国鉄の発注はいつごろから行われるものか。また下請企業並びに景気全般に対する影響はどうなりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/28
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029・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 現在、国鉄の再建二法案成立のおくれのために事業量を圧縮しているのが約二千億円くらいだと思うんです。で、それの波及効果というのはどの程度まで考えられるか、大ざっぱにつかんで二倍ぐらいなものじゃないかと思います。しかし、これは財源が入ってきていないんですから、したがって、補正その他の措置を講ぜられないと、いままでの分は新たに発注というわけにはいかないと思いますが、これから後の分については、できるだけ速やかに工事の発注等をいたしまして、大体国鉄に関係をしている事業の従業員が五十万人をちょっと超すんじゃないかと思っておりますが、そういう人たちに不安を与えないようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/29
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030・斎藤栄三郎
○斎藤栄三郎君 長官はいかがですか。景気はこれで幾らか中だるみが直ると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/30
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031・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 国鉄、電電両方合わせますと、局所的ではありますけれども、景気にはかなり衝撃的な影響があったと、こういうふうに思います。全体の景気とすると、そう大きなものじゃございませんけれども、局所的にかなりの深刻な影響があったと、こういうふうに思います。で、これからの景気につきましては、今日の時点がどういう状態であろうかと、こういうことについて慎重にいまその成り行きを見ておるんですが、そういう中においてこの国鉄、電電、これが発注が再開されるということはかなり明るい材料になってくると、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/31
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032・斎藤栄三郎
○斎藤栄三郎君 石田運輸大臣にお伺いしますが、いただきました国有鉄道再建対策要綱によると、二年間で大体バランスがとれるようにしたいとおっしゃっています。で、先ほどの対馬議員の質問に対する御答弁では、来年の値上げの幅はまだ考えておらぬと、こういうことですが、ということは、五〇%以上になる場合もあるんでしょうか、それとも五〇%以下だということなんでしょうか。で、これを五〇%以上にしなければなかなかこの基本方針どおりにはいかないんじゃないかと思います。それが第一点です。
それから第二は、経営形態の再検討ということがかねてから大きな課題になっておりますが、その再検討はついておられますかどうか。この二つをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/32
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033・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 先ほど対馬委員にお答え申し上げましたとおり、国鉄は独占企業じゃございませんから、値上げをしたからといってそれはそのまま収入にはならない。その上に物価への影響等も考えなきゃなりません。そこで、値上げ幅というものは最小限に抑えたい、願望としてはやらなくて済ませたい、こう考えておりますが、そうはいかないとしても、最小限に抑え込みたいと思っております。それでは、来年度収支の決算はつかぬじゃないかと、こういう御質問に当然なるんです。で、今回の値上げ法案の成立がおくれたために約二千億円以上のやっぱり収入減を生じておりますから、そういう点から第二番目の御質問の経営形態の問題に入ると思うんです。
そこで、忌憚なく、ざっくばらんに言えば、上から下まで親方日の丸だと私は思っておるんです。国鉄の持っております資産の効率的運用というものもいわゆる発想を転換し、切りかえてかかれば、多くの収入を得られる物もたくさん残っておると思いますし、それから、現在この国鉄の経営を拘束しております日本国有鉄道法、そういうものの拘束力を解くことによって収入を得られる道もある。それから、先ほどから何度も申し上げておりますように、独立採算制を要求されておる以上は、国鉄の経営が黒字を続けておった時代の公共負担とか、あるいは政策負担、そういうものはそれぞれの実施官庁で持ってもらうというようなことを通じて収支のバランスをとりたい。国鉄の経営形態の改善、特にこの四十何万人という膨大な人事管理というようなものを一カ所で行えるかどうかという問題も含めまして、国鉄の経営姿勢全体について厳重な反省と改革を国鉄当局に要求しておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/33
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034・斎藤栄三郎
○斎藤栄三郎君 私はこの間、九月にサンフランシスコへ行きまして無人地下鉄へ乗ってきました。国鉄経営に幾らか参考になるんじゃないかと思うんです。切符を買うのも人手は要りません。それから運転士もいなきゃ車掌もいない。全部機械化されておる。したがって、この制度によれば薩摩守忠度は全然できない。非常にまた事故も少ない。で、セントラルパシィフィックがつぶれました後で、鉄道というのはどうあるべきかということをアメリカが研究した結果たどりついた一つの結論です。ぼくは、もって他山の石となすべきだと思うんであって、従来どおり大ぜいの人手を使ってやってたんでは、この程度の値上げをしてもなかなか国鉄の再建というのはできないんじゃないだろうかと危惧いたします。したがって、徹底的な機械化、省力化をサンフランシスコの地下鉄に学んでもらいたいと考えますが、運輸大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/34
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035・石田博英
○国務大臣(石田博英君) これは、現在新幹線が機能的には一応できる形にはなっておりますけれども、先般三島で事故が起こって、その結果七分くらいおくれたりした事態もあります。だから、非常な長距離の場合、それの安全性の確保というような問題、それを配慮しなけりゃならぬと思うんでありますが、人件費の負担というのは大体五六、七%じゃないかと思うんです。これは運輸事業の一般的な人件費負担に比べてそう多過ぎるというわけではない。しかし、合理化の余地をさらに見つけて検討をいたしたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/35
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036・斎藤栄三郎
○斎藤栄三郎君 日本の地下鉄の経営分析をやってみると、札幌の地下鉄が一番よろしゅうございます。それはもう機械化をずいぶん取り入れているからだと思うんで、どうぞひとつ国鉄も今回の値上げを契機にして、徹底的な機械化、省力化ということを推進してくださるようにお願いをいたします。
で、最後に、第五十四条の三による経営改善計画をつくって経営改善に努力なさると言っておりますが、これは国会に示されるものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/36
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037・住田正二
○政府委員(住田正二君) いまお話しの経営改善計画は、国鉄が運輸省に対して出してくるものでございまして、国会の方に直接お出しすることは考えておりませんが、御要求があればお出しすることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/37
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038・斎藤栄三郎
○斎藤栄三郎君 それはいつぐらいでき上がりますのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/38
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039・住田正二
○政府委員(住田正二君) この法律が通りました上で国鉄に対して提出を指示いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/39
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040・斎藤栄三郎
○斎藤栄三郎君 運輸省にお出しなさるときにわれわれ委員にもひとつ見せてください。運賃値上げについては非常に国民は関心を持っているわけですから、この運賃値上げによって国鉄の再建ができるかどうかということは非常に大きな課題ですから、お出しくださることを希望して質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/40
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041・田代富士男
○田代富士男君 最初話があったかと思いますが、福田副総理は、いつも物価で一緒になっておりますが、三十分でこの問題をやれというのはどだい無理でございますが、もう決められたんですから仕方ございませんから、運輸大臣とあわせて質問したいと思います。
最初に、石田運輸大臣にお尋ねいたしますが、先日の衆議院の連合審査におきまして、今回の運賃値上げにつきましてこういうお話をなさっていらっしゃいますね。比較的安定期に入ったという判定の上に立って、その期待する安定値を動かさない範囲内において値上げをお願いする考えでございますと、こういうお話がされております。この運賃値上げの法案が国会に提出されたのは二月の十四日でございますが、その後継続審査になりましたが、ちょうど五十一年の二月時点の、三月ごろの消費者物価の指数というものは、対前年度同月比の上昇率は八・八%である。福田副総理が公約どおりに一けたに抑えましたと大いに胸を張られた時期でございましたが、法案が提出をされた時期といたしますれば、いま言ったようなことは一応、納得をすることはできないけれども、まあまあそういうことも考えられないことはないという見方はできます。
しかし、その後の卸売物価の動向、これはこの前の物価委員会でもやりたいと思っておりましたが、時間がなくてこれはできなかったんですが、きょうも時間がなくてできませんけれども、これは十五カ月間連続して上昇の一途をたどっております。これはちょうど四十九年八月以来の大幅なものでありますし、また消費者物価、これを見ましても、四月が九・三%、五月が八・八、六月九・一、七月が九・五と、このように、もうすでに公約の八%を上回っている。こういうような卸売物価、あるいは消費者物価の高騰を続けているさなかに、このような安定期というような、そういう状態であるから値上げをお願いしたいということは、私はちょっと理解するわけにはいかないと思うんですけれども、この点をどのように運輸大臣として掌握し、どういう立場から安定しているとおっしゃったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/41
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042・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 先ほど副総理がお答えになりましたように、値上げ幅をできるだけ抑えるという努力が続けられておるわけでございまして、計数的に二月の時点と現在の時点と若干違うことはこれは認めますけれども、やはり大筋に見て横ばいの時期、この時期を逸して物価が急騰する状態のときにやれば、それにむしろ悪影響をさらに与えるものだと、こう考えておる次第でありますし、それから国鉄のような企業の赤字充てんのために、一般会計の税金の金をつぎ込むことは、それは物価政策を全体的に行う障害にもなると、こう私は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/42
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043・田代富士男
○田代富士男君 運輸大臣ですね、いま物価の状況はおおむね横ばいだとおっしゃるんです。これは横ばいじゃないと思うんですが、副総理、どうでしょうか。運輸大臣はいまの物価は横ばいだとおっしゃる。私はこの前の委員会でも言いました。景気の中だるみのときも質問しました。私は横ばいじゃないと思うんです、少なくとも。副総理、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/43
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044・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 運輸大臣のおっしゃるのは、基調についてそうおっしゃっておられるんじゃないかと思うんです。先ほどこれも申し上げましたように、数字として見まするときには、やっぱり卸売物価にいたしましても年間六%台の上昇をしておる。消費者物価にいたしましても年間九%ぐらいの上昇をしておる。しかし、この上昇の背景にはいろいろありますが、一つは公共料金問題があるんです。国鉄、電電いま御審議をお願いしておりますが、その他にもいろいろありまして、この公共料金の中の主たるものの改定期というものを一応突破いたしますれば、私はかなり物価は数字的にも落ちついた状態になる。しかし、いまかなり数字的には高いところでありまするけれども、基調的にはかなり鎮静化しておると、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/44
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045・田代富士男
○田代富士男君 言葉の上ではどういうことでも言えますけれども、基調的にはと言うけれども、現実に国民の受けている立場というものは物価が上がっている。そういう基調的にという、理論的にはこうだと。理論でそういうような運賃値上げの試算をされたならばこれは大変です。私は、現実に受けとめていかなくちゃならないと思いますが、これとても突っ込んだ質問していたら先に進めませんから、こういうところで三十分では質問もできないと言ったのは、中途半端になるというのはここなんです。質問したいけれども次にいかなくちゃならない。私はそれは認めるわけにはいかない。そういう意味で、公共料金の問題は受益者負担ということがいまいろいろ論議されておりますけれども、公共料金の値上げの正当性の一つに受益者負担の原則と、それから独立採算制というところからいま検討されておるわけなんです。
これはもちろん政府の主張というものは今回の国鉄の赤字も直接の利用者が補ってもらうべきもておりますけれども、しかし、これはちょっとこれも考え方が違うと思うんです。直接の利用者だけであるのかどうか。たとえば国鉄そのものの存在、あるいは列車を利用する人、それは直接の利用者でありますけれども、そういう駅にいろいろないま商店街から、ホテルからいっぱいそういうような施設が開設されている。そして、その駅の周辺は商業的な要素というものが非常に高まっている。それと同時に、今度は駅の近くは地価が高いんです。そういうような点から考えていきますと、間接的にそういうような利益を受けている人がはるかに大きい。直接的な利益を、通勤、通学等に利益を受けている人よりも、そういうような間接的に受けている人の方が恩恵が高いのではないかと思うわけなんです。
そうした場合に、この受益者負担の原則というのは果たして当てはまるのか、また国鉄の場合申し上げますと、設備投資資金について見た場合にはこれはどうなるのか。これらの設備投資の負担まで現在の受益者に強いるとしたならば、私は、これは受益者負担の原則に反するんではないかと思うんです。またそれと運輸大臣御承知のとおりに、国民が一番利用しているのは通勤、通学です、旅客です。これは御承知のとおり、私は言うまでもなく黒字です。問題は貨物の問題です。いまも論議されておりますとおり。そうしますと、その貨物というのは大企業のそういうようないろいろな貨物を、ほかもいろいろありますけれども輸送している。そのための赤字を補うために、黒字であるべき旅客が穴埋めしなくちゃならぬ。受益者負担というこれは原則から外れるんじゃないかと思うんです。この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/45
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046・石田博英
○国務大臣(石田博英君) その前段の御指摘は、私も全くそのとおりだと思うんです。元来日本国有鉄道法によって、国鉄のやる仕事というものは非常な制限を受けている。一番いい例は、私は横浜の根岸線だと思うのですが、あれが通ったために大変な埋立地ができて両方えらい繁盛しているが根岸線は赤字だと。したがって、国鉄自身がやれる仕事をまずふやすことが一つだと思いますし、そういう利益を受けた人たちが負担する方法の検討もこれはもう当然だと私は考えておるわけであります。ただ、課税その他の、負担させる技術上の問題がいろいろ残るとは思いますが、理論的には私はそのとおりだと。私鉄の経営が比較運賃だけに頼らずにやれるのはそこにあるわけですから、そういうような検討は当然必要だと思っております。
それから運賃の問題でございますが、これは技術的な問題現実の問題がありますので、国鉄総裁からお答えをした方が適当だろうと思うのですが、大企業だとか中企業とか、いわゆる企業別の運賃格差というものは別に、お説のようにそんなものはございません。しかし、ほかの競争機関との関連もございまして、国鉄経営上の問題点があると思いますので、国鉄総裁からお答えする方が適当だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/46
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047・高木文雄
○説明員(高木文雄君) 従来は旅客と貨物とを峻別して、それぞれ損益といいますか、赤黒はどうなっているかというような点は余り厳密に区分して考えていなかったわけでございますが、大体十年ぐらい前からいろいろと赤字原因を追及することとの関連で、貨物と旅客とを分けていろいろ計理をするようなことが始まっております。で、いまお尋ねでは旅客の方は黒字だと、貨物の方は赤字だというふうにおっしゃいましたけれども、実は旅客につきましても、非常に残念ながらまだ黒字ということにはなっていないわけでございまして、今度この大幅の値上げをお認めいただきましても、なおかつまだ旅客の方が貨物の赤字をしょい込むというほどにはなっていないわけでございます。基本的な考え方としては、旅客と貨物についてそこをごちゃごちゃにして物を考えるということについてはもう反省期に入っているという意味で、いま御指摘のお考えをお示しになりましたように、旅客が貨物の分を際限なくしょい込むというような形は望ましくないと考えておりますが、現段階ではまだそこまで至ってはいないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/47
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048・田代富士男
○田代富士男君 そこで、この問題も突っ込んで御質問をしたいと思いましたが、時間がございませんから、これはいま公明党で国民福祉中期計画を発表いたしました。この一つの試案として出しました中に、国民福祉料金体系というものを発表しております。これも内容はずっと長いんですが、ダイジェストして簡単に申し上げますと、国民生活あるいは公共料金のサービス性それから採算性、こういう各方面から見ましてきわめてバランスのとれた総合的な体系をつくり上げようというのがこのねらいでございまして、公共料金の改革に当たっては、まず従来のむだと不合理の徹底的な排除、それから累積赤字の原因調査及び経営努力による赤字解消という、こういうものを前提といたしまして、赤字解消のこれで対処しても無理な場合には、それを前提としまして三つの原則を決めておる。
〔委員長退席、運輸委員会理事瀬谷英行君着席〕
一つは、受益者負担の原則、二つ目には、所得応能負担の原則、三つ目には、生活必需的サービスの最低保障の原則、この原則に基づきまして料金の方法というものを示していこうとしているわけなんです。
それと同時にもう一つは、いま肝心の公共料金の決定機関につきましてはそれぞれ審議会がございますけれども、こういうような審議会を、総合公共料金政策審議会というものを新たに設置いたしまして、総合的に。そのもとで公共サービスの性質とか、あるいは国民の生活における必要性、あるいは民間サービスの代替関係なんか、そういうような観点から公共料金のあり方というものを検討いたしまして、そういう検討した結果、いまさっき申し上げました三つの原則のうちどれを当てはめるのか、また、これをどう組み合わせていくか、こういうことで国民福祉充実のためにやっていこうという福祉料金体系を発表しております。こういう体系から国鉄のこの問題も私は解決していきたいと思いますが、これに対して一々お聞きしたいと思いますが、時間がもう半分過ぎてしまいましたのですが、副総理のお考え、一番物価の、経済の中心者でありますし、また、今回の国鉄の当事者であります運輸大臣から国民福祉料金体系のこういうやり方でやったならば、もっとよりよき再建案ができるんじゃないかと思うんですが、簡単に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/48
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049・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま公明党で検討されておる福祉の総合的な考え方、私は大変老作として敬意を表しているんですが、いまの運賃体系のところになりますと、考え方の前提としておるところですね、合理化をしなければならぬとか、そういう点は全く同感です。しかし、三大原則と言われる第一の原則、独立採算でなければならぬ、これは当然そうなければならぬと、こういうふうに思いますが、第二応能の負担の問題、最低生活の保障の問題、そういう点になりますと、これは国鉄の担当すべき任務のらち外の問題じゃないかと思うんです。これは、国鉄運賃は原則として画一的なものであって、それによって生ずる摩擦、そういうことにつきましては他のいろんな国家施策、特に社会保障的な考え方とか、そういうことで所得を各個人に保障する、そういうような考え方を主軸にして考えるべき問題ではあるまいか、そういうふうな所感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/49
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050・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 私も、いま副総理のお答えと全く同感でありまして、お立てになった原則、それからそういう考え方自体には共感を持ちますが、現実の所得応能とか、あるいはシビルミニマムの問題ということになりますと、運輸省の担当すべきことでない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/50
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051・田代富士男
○田代富士男君 確かにいまおっしゃるとおりに、そういう応能負担の問題についての副総理のお話ですけれども、これは各種の公共料金の実態を見ますと、それぞれ事情は異なります。これは当然のことです。だから、国民にとりまして生活に必要不可欠な、そういうような公共性を有しているということが公共料金には共通しているわけなんです。そういう意味から、最低限国民福祉に関係のあるものというものは、いま副総理がおっしゃるとおりに、国家補助なり、あるいは租税措置によりまして採算の維持を図っていくようにこれはやってもらわなくてはならないのは当然だと思うんです。これは当然のことなんです。だから、そういう意味から、私が申し上げているとおりにいろいろ検討した後に、この三点のうちにどれで解決を図って組み合わせしていくかということでございますし、だからいま運輸大臣に私はお尋ねしたのは、副総理のおっしゃったことでなくして、いまの国鉄の再建もこの案をした場合にはどうなるか、同じでございますよ、私の質問はそういう質問でございますから。ちょっと私の質問と違った答弁なようですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/51
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052・石田博英
○国務大臣(石田博英君) そういう種類の問題、つまり独立採算制という問題以外の課題については、これはそれぞれの政策実施官庁において処理をしていただくべき問題であって、赤字の国鉄にそれを当てはめられて、しかも独立採算制を要求されるということは無理だと、こう考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/52
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053・田代富士男
○田代富士男君 次にまいります。
これも委員会で多く取り上げられたと思いますが、今回の運賃改定の資料によりますと、グリーン車を利用される人が航空運賃を場所によっては上回る。また、グリーン車を利用しない場合でも大阪−高知間でございますか、ここは普通料金でも、グリーン車を使用しなくても航空運賃の方が安い。また、国鉄と私鉄との競合区間において国鉄の方が高くなっているという、こういうような実情になるかと思うわけなんですけれども、これは今回の国鉄が申請されている基準賃率を見ますと、大手私鉄の運賃は昨年の十二月値上げしたときに一キロ当たりの基準運賃が六円五十銭だった。現在の国鉄は五円十銭、これを追い越した。今回の申請では七円九十銭になる予定であります、申請のとおりであるならば。そういうところから、いま言ったようなことが出てきているわけなんですが、いまこういうふうに私鉄が安いとなりますと、ただでさえも収入の減っている国鉄が、乗客離れというものがさらに拍車をかけるんではないかという心配があるわけなんです。
そういたしますと、私鉄の割り安というようなものが、国鉄が上がったのだからということで、さらに私鉄運賃への有力な引き金になるんではないかという心配がされるわけなんです。だからこれは大変なことだと。それと同時に、ちょうど私鉄は昨年の十二月に運賃値上げがされた折に、二年間は値上げをしないという約束がされておりました。そのときにはまだ国鉄の運賃値上げは具体的にされていなかったわけなんですが、その後に五〇%の値上げ法案が出された、ことしの二月の十四日に。こういうことをいたしますと、今回、向こう二年間は私鉄運賃の値上げはしないという約束であったけれども、私は副総理にもお願いをいたしまして、絶対にこの約束は守っていただきたい。だから、その点に対しまして御両人から御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/53
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054・石田博英
○国務大臣(石田博英君) いまお話しのとおり、二年間は絶対に私鉄の値上げを認める意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/54
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055・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 運輸大臣からお答えのとおりに考えております。
〔委員長代理瀬谷英行君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/55
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056・田代富士男
○田代富士男君 それから、いま私は乗客の問題を、国鉄が高くなった場合に私鉄に流れるんではないかということを言いましたが、数字的に具体的に申し上げますと、たとえば、大阪−京都を例にとりますと、新しい申請によりますと、国鉄は三百四十円、私鉄の京阪電車二百二十円、同じくきょう日本シリーズをやっております阪急は二百二十円です。これもうすでに大阪−京都間で百二十円の違いがある。また、大阪−和歌山の関係は国鉄は五百二十円、それから南海、これは私鉄ですが四百二十円です。それから大阪−奈良ですが、これは国鉄が三百十円、私鉄が二百三十円。今度大阪−神戸ですが、これは国鉄が二百七十円、私鉄が百八十円、こういうような、端的に申し上げますと数字が出ているわけなんです。
これならば庶民としてますます国鉄離れすることは間違いないですよ。そうすると、この二年間には、さらにそれが私鉄に動いた場合にはどうなるのか、ここらあたりのいま料金の違いがさほどありませんけれども、ギャップができた場合の対策というものは、二年間上げないということですが、この二年間のこういう乗客離れの対策はどうしていらっしゃるのか、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/56
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057・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 詳細は国鉄当局からお答えをいたしますが、それぞれ発着地点その他の事情も違います。しかし、影響がないとは申しません。その影響を考えて、今回の値上げによる増収率は三七%前後と考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/57
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058・住田正二
○政府委員(住田正二君) ただいま御指摘のように、一部の国鉄の線と私鉄との関係を見ますと、きわめて不合理な線も出てきているわけでございます。しかし、一般的に申し上げますと、本来鉄道というのは地域的な独占性を持っておりまして、運賃による影響よりも、やはりお客さんの利便という面から利用される部分が多いんじゃないかと考えております。確かに一部につきましては、そういう御指摘にありましたような問題が出ておりますけれども、全体としてはまあ心配をする必要はないんじゃないかと、さように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/58
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059・田代富士男
○田代富士男君 いま全体的にとおっしゃったけれども、私は例を挙げたわけなんです。大阪の例を挙げましたが、そういう利用者の立場から、便利なところに国鉄が走っているからそうだとおっしゃいますけれども、私はそういうところが親方日の丸と言いたいんです。便利なところにあるんだから乗らなくちゃならないじゃないか、こっちだよ。じゃ、私鉄へ行くわけがない。そういうところの姿勢を改めない限り、この国鉄再建何ぼやってもだめですよ。普通の会社だったらとうの昔倒産しておりますけれども、そういう一つのところから——御承知のとおりに京都に行くにも国鉄を真ん中にして私鉄が両方走っているんです、神戸に行くにも、奈良に行くにも。そういうところを謙虚に受けとめてやっていくべきであるけれども、時間がないから後で質問しようと思ったんですけれども、それにもかかわらず今度はけちけち運動というものがそういうところで指導されている。こんなような状態で、親方日の丸的なそういう姿勢があればこそこういうような事態にもなっているんですから、もっと謙虚に受け取めていかなくちゃならないと思いますね。これは総裁、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/59
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060・高木文雄
○説明員(高木文雄君) 私鉄が発達しております都市の周辺におきまして、今回の値上げによってどういう影響があるかということについては、率直に申し上げて私も大変心配をいたしております。ただ、それではなだれ的にお客さんが国鉄から離れることになるかということにつきましては、いまも大臣の御答弁にもございましたように、お値段だけですべて選択が行われるわけではないわけでございますので、全体として五〇%の運賃の改定の際に実収を三七%と見ておりますのはそこらを含んでのことでございまして、今後の問題としては、先ほど来御指摘の二年続けてというようなことになりますと非常に問題ございますが、今回はかなりぎりぎりではございますけれども、何とかやっていかれるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/60
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061・田代富士男
○田代富士男君 いま乗客のことを尋ねましたが、貨物の問題に対しましても、いま貨物は赤字でありますが、赤字よりも貨物輸送というものが非常にもうトラックだとか、そういう方面にとられているという実情は御承知のとおりでございますが、そういう意味から、高木総裁が貨物運賃を値引くことによって荷主離れを防ごうというような意向も発表をなされております。だから、どうしてそういうような荷離れの原因が出てきたのかと。これも親方日の丸であったがためにこういうことが起きてきていると私は思うんですが、これをどのように受けとめていらっしゃるのか。たとえて言うならば、新潟県から東京に十五トンのお米を運ぶ場合に、国鉄の運賃は現在五万六千六百円、今度の申請によりますと七万六千円、これがトラックで輸送した場合四万五千五百円でちゃんと輸送できる。ミカンを四国の愛媛県から送った場合には、現在国鉄が十万百円、そして今度申請されている内容で計算しますと十四万百円、これがトラック輸送いたしますと九万五千五百円である。これが実情です。それに荷離れをしていらっしゃる。その実態をどう受けとめて、これをどう——割り引きしたくらいでこれは済まされるのか。こういうトラックの便利さといいますか、そういうものに対してどのように検討をされているのか。
私はコスト引き下げよりも、国鉄運賃全体の中における貨物の赤字というものの原因を追求した場合には、そういう簡単な、ただ単なる勘定的な上から、お客さんをこしらえるためとか、荷主を取るために割り引きをするというような、そういう簡単な発言というものは慎むべきではないかと思いますけれども、この点に対してはどのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/61
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062・高木文雄
○説明員(高木文雄君) 貨物の場合には、旅客の場合よりももっと経済的な条件によってお客さんがいろいろな輸送手段を選ばれる点が大きいと思います。したがって、地域地域によって、またお客さんの方の御要望によっていろいろな配慮を加えていくことをよほどいたしませんと、ただいま御指摘を受けましたように、お客さんが国鉄から離れていくということになっていくと思います。で、いままでどうしてもトラックと私どもの方との競争といいますか、そういうことにいささか気をとられ過ぎておったと思いますが、どうしても私どもの場合は、戸口まで届きます両端は、これはトラックによらざるを得ないわけでございますので、通運業者を初めといたしまして、トラックの関係者といろいろ相談をして、いわば協業というような形で物を進めていかなければならぬだろう。
その間においてどうしても価格といいますか、運賃の問題が深刻になりますので、その運賃問題については現行の営業割引制度というものを認められておるわけでございますので、この営業割引制度を万全に活用しながら、そうしてトラックと協業をやりながら、そしてまた、荷主さんの御要望をよく聞きとめながら、最後には、一番大事なことは安定輸送でございまして、とかく輸送が乱れがちでございましたので、お客さんが心配をして価格、値段に関係なく他の輸送手段を選ばれた点が非常に多いと思っておりますので、そこらにつきましても、安定輸送を一段といままでとはさま変わりに変えていかなければならないと思っております。割引だけで物が解決するわけではございませんので、割引ということももろもろの手段の中の一つとして重要なものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/62
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063・田代富士男
○田代富士男君 最後にもう一問。
いま私、ちょっと申し上げておりましたが、国鉄当局より、通称マスコミの言葉で表現しますとけちけち運動といいますか、自動販売機は古くなっても、故障続きでも取りかえない、あるいは駅のトイレに水を流す回数を減らす、故障がきて困るのはだれなのか、国民福祉重点でなくして、財政収支のバランスをとるための、こういう国民あっての国鉄という姿勢を忘れたけちけち作戦というものを各鉄道管理局に出される。一日九百万人になんなんとする人が利用するトイレに水を流す回数を減らすとか、こういうような姿勢というものは私は許されないと思うわけなんです。だから、こういう点に対しまして、最後に運輸大臣、あるいは総裁の御答弁を求めまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/63
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064・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 細かい具体的なことについて報告を受けたわけではありませんが、なるべく国民に迷惑をかけないように私どもとしては要望いたしておりますけれども、財政上何ともやりくりがつかない最終的な処置としてとったものとして許諾をしたようなわけでございます。しかし、姿勢としてはよくないと、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/64
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065・高木文雄
○説明員(高木文雄君) いろいろ御迷惑をおかけしておりまして非常に困っておるわけでございまして、決して好きこのんでああいうことをやっておるわけではございません。それも経営収支全体がどうだということから起こっているわけではないのでございまして、日々支払うべき金がない。毎日現実に金庫の状況を調べながらいろいろやっているような状況でございまして、払えないということから、まさか払えない者が発注するわけにいかないというところまで追い込まれておるわけでございまして、一日も早くこういう状態から解放をされたいというのは、私どももそう思っております。基本的に御迷惑をかけていることをおわびをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/65
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066・山中郁子
○山中郁子君 国鉄運賃の値上げについて質問をいたしますが、すでに多くの委員の方がおっしゃいましたように、大変限られた時間でございます。本意ではありませんが、問題を限定しなければなりませんので、それだけにぜひとも誠意を持って的確な答弁をくださることを要求をいたします。
初めに、当然のことながら、国民生活との関連について経企庁長官にお伺いをいたしますが、政府はことしの消費者物価指数上昇率を一けた台に抑える、その中で国鉄運賃の占める割合は〇・五%で、消費者にとって大した影響はないというふうに繰り返し言っております。しかし、国民の生活という観点から見るならば、一つ一つ申し上げるまでもありませんけれども、私は念のためやはり申し上げたいという気持ちです。大変なものがあります。塩が八七%、NHK五二%、国立大学授業料が二・七倍、電力料金二三%、麦が一六%、お米が一〇・二%、ガスが二一%から二九%、そして電電四六%、国鉄運賃五〇%と、それからまた政管健保など、ほかにもうさまざまな公共料金を初めとする値上げがメジロ押しに並んでいる。その反面、賃金のベースアップは八・八%に抑えられる、ボーナスは例年よりさらに低く抑えられる。生産者米価も七・三%に抑え込まれた。それでまたその上に、かてて加えて冷害、災害。こういうことで、もう連日この国会でもさまざまな委員会でそうした国民の声が反映されておりますけれども、まさに福田さんが言われた狂乱物価のときを上回るそうした国民の暮らしの困難というものが全国に満ちあふれているというふうに思いますけれども、実際問題として、国鉄の値上げによって一世帯当たりの負担増、一職にどのくらいになるのか。私は、それはさまざまな数字であなた方が言われていることは知っております。余りにもそれが問題が多いと思いますので、改めてお尋ねをいたしますが、どのように把握をしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/66
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067・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の政府案が実施されるということになりますと、これは昨年の統計なんですが、それから類推いたしまして月十五万八千円消費支出があるそういう家庭におきまして八百円が国鉄運賃である。それが今回の案によりまして千二百円、四百円の負担増加になると、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/67
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068・山中郁子
○山中郁子君 そういうことを積み重ねて、大した支出にはならないという意味のことを重ねて言われているんですけれども、そのこと自体大いに問題があります。私は先ほどたくさんの公共料金の値上げの問題を申し上げましたけれども、それでは、そうしたもの全体を通じまして年間でどのくらいの国民の支出になるのというふうに把握されているかをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/68
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069・喜多村治雄
○政府委員(喜多村治雄君) いまお挙げになりました医療費から電信、電話まで含めました主要な公共料金によります負担増は、三千円ぐらいと計算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/69
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070・山中郁子
○山中郁子君 三千円といいますと三万六千円、年間で。で、私はそのことについていま深入りするつもりはありません。だけれども、ぜひともお聞き取りいただきたいんですけれども、ここに日本生活協同組合連合会が調べた実際の家計上の支出ということでもって出された負担増ですね、そうした調査があります。それによりますと、いま私が申し上げましたさまざまな公共料金の値上げ、そうしたものが負担増としてはね返ってくるという数字として十五万六千百九十二円という、こういう数字が出ています。そして、これは実際に一つ一つ根拠のある額として算出をされているわけです。ですから、まあ一ヵ月分ぐらいに当たる分がこの公共料金関係の値上げだけで吹っ飛んでしまうと、こういう事態があります。
私は経企庁がいろいろなそれなりの理屈をもってそうした調査に当たっているということは知ってはおります。だけれども、いま私が、たとえばこうした例を申し上げました。このことについて詰めるつもりはありませんけれどもね。何といってもやはり経企庁としては、いままでもそうしたことについては多くの疑問なり非難なりがあったわけですから、本当に国民が実際に生活実感として、そしてそれだけでなくて生活実態として負わされているそうした犠牲、負担、そうしたものをもう少し積極的に、さらに国民の期待にこたえる立場で調査を進めていただきたい、このことを要望いたしますが、見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/70
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071・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 当然のことでありまして、そういうふうに心得ながら調査研究を進めていきたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/71
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072・山中郁子
○山中郁子君 それはぜひ、お言葉だけでなくて、実行していただきたいと考えます。
で、次に、そうしたいかに国鉄の運賃の値上げが家計を圧迫し、また国民にさまざまな苦しみを与えているかということは、もちろん多くの訴えもあるし、質疑の議論の中でも行われています。
先般北海道で公聴会が聞かれました。で、関係者の皆さんも直接お聞きになったか、あるいは間接的にでもそれらのことについてお聞きになっているというふうに思います。それで、これは賛成の立場に立つ方も、やはり詰めていけば同じことなんです、値上げしてもらっては困ると。これは本当に国民の生活に大きな影響を与えると、こういうことについては一致していくわけなんです。この公聴会でも国民生活への影響がさまざまな観点で生々しく述べられています。夫婦共かせぎで、高校生の子供が通学定期を使うところは家計の一〇%を超える定期代が占める。通勤定期代の上昇で中小企業にはもう負担能力がなくなる。そうして出かせぎ者の帰郷もおぼつかなくなる。そういうことがさまざまな具体的な事例でもって迷べられましたけれども、私は一人の主婦の方が公述いたしましたことをごく部分的に取り上げてみたいと思います。
その人がこういうふうに述べられています。「さらに今回の運賃値上げで、一生に一度の想い出になる中学や高校の修学旅行の旅費負担がふえ、現在の金額では、高校生がこれまで、関西旅行をしていますが、東京へさえもいけなくなります。毎月つみたてをして楽しみにしている子どもに何と説明してやったらよいのか、親として情けなく、本当に、子どもの夢さえ奪う運賃値上げというほかありません。」、こういう切実な訴えをされておりますけれども、これは一つの例。たとえば運賃の値上げが修学旅行に及ぼすという、こういう面ですけれども、これが教育の観点、それから子供の未来の問題、そうしたことにはかり知れない大きな問題を及ぼすということの一つの例だというふうに思いますが、そうした総合的な国民生活の面で、この国鉄運賃値上げが及ぼすさまざまな影響ということについては、ぜひとも運輸大臣にどのように把握されているかお伺いしたいところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/72
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073・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 無論いろいろな面に影響を与えるということは残念なことだと思っております。おりますが、たとえばいま御指摘の修学旅行、あるいは学生割引というようなことは、国鉄が健全な経営を続けて、非常な優秀な企業であった時代にお引き受けしたことであります。したがって、今日のような状態になった場合は、それぞれの政策実施部門において御検討を願いたい問題であって、一方において独立採算制を要求されながら、他面においてそういう政策負担を強制されていくということは、国鉄としては耐えられないと、こう考えているわけであります。
それからもう一つは、国鉄を赤字のままほうっておきますと、その赤字はどうしても一般会計で補わなければなりません。そうすると、そのほかの諸政策の実施に深刻な影響を与えますし、国鉄を多く利用している人はそれでいいかもしれませんが、利用度の少ない人との間に不均衡も生ずるわけで、やっぱり健全経営のために、ある程度の利用者に負担をお願いをしなきゃならぬ、こう思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/73
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074・山中郁子
○山中郁子君 何か伺うと、そうしたことも、別に何も理由はないけれども、お金がもうかっていたからやっただけである、こういうふうにも受け取られかねない御答弁でしたけれども、私はその分を、いま大臣が言われたようにどこで出すかというようなことについて私どもの主張は再三申し上げております。そして、あなた方がどういうふうに言っているかということもいまの御答弁も含めてよく知っております。だから、そのことについて私はいまここで詰めませんけれども、一つだけ確認をしたいんですが、たまたま国鉄がもうかっていたからそういうことをやったというのではなくて、それはやはり国の政策でございましょう。教育の問題その他にからめて、国の政策として実施してきた問題でございましょう。そのことをはっきり確認をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/74
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075・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 無論それは国の政策としてやってきたことであり、国の政策として続けなければならぬことです。これについては異存はありません。ありませんが、たまたまもうかったという話じゃないんです。長年健全な経営を続けてこられたということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/75
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076・山中郁子
○山中郁子君 国の政策の部分はもちろんのこと、国として相当な、きちんとした責任を持つべきだということは、一言だけ、私はいままで重ねてわれわれが主張してきたことであるということの表明だけはしておきます。
次に、国鉄は運賃値上げの根拠として、他の物価の上昇率との比較を盛んにやっております。これは国鉄だけじゃなくて、またさんざん昨年の郵便料金の値上げのときにも、私は福田さんともそのことについて議論をしたわけですけれども、いつでもこれは政府が持ち出してくる常套手段なんですね。で、いろいろなごまかしでもってそれを理屈づけている。そういう観点から、一つだけ私はお尋ねをしたいのですけれども、昭和十一年との比較でお米が一千百五十倍、国鉄の旅客運賃が三百二十七倍だと、こういうふうに言っています。だけれども、国鉄に伺いますけれども、同じ比較で、たとえば私は具体的にわかりやすく限定して申し上げますと、御茶の水−西船橋の間の当時の、いまの通勤定期に対応するものですが、職工定期乗車券運賃というものがありました。これは幾らになっていたのか、そして比べるとどうなるのか、その辺をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/76
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077・吉武秀夫
○説明員(吉武秀夫君) 職工定期乗車運賃というのが当時、鉄道大臣が指定したものがございまして、これが一カ月三円六十銭でございます。三カ月が十円八十銭でありまして、現行で一カ月定期が三千六百円、千倍でございます。それから、三カ月で一万二百六十円、九百五十倍でございます。これは、西船橋という駅は昭和三十年にできた駅でございますので、一応御茶の水−西船橋間の二十・一キロというキロ程で計算したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/77
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078・山中郁子
○山中郁子君 いまのお話でわかりますように、一カ月の場合はこれは千倍ですね。三カ月は九百五十倍ということですが、この点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/78
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079・吉武秀夫
○説明員(吉武秀夫君) この職工定期乗車運賃と申しますのは、当時軍需工場の工員の輸送ということで発売するために鉄道大臣が指定したものでございまして、そのほかの方々は普通定期乗車券というものを購入していただいております。この場合には、いまの同じ計算でいきますと、普通定期の場合一カ月で七円十銭でございまして、三カ月は十七円十銭。したがって、先ほどの現行の三千六百円という一カ月に比較しますと五百七倍、三カ月で一万二百六十円で比較しますと六百倍ということになりますので、このたとえば普通の、指定以外の企業の方、あるいはホワイトカラーの方はこちらを買っていただいておったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/79
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080・山中郁子
○山中郁子君 私は、それでは経企庁長官にお伺いをしたいんですけれども、いま申し上げましたように、職工定期乗車券が千倍になっているということはありますね。これは、いまそういうふうにおっしゃったけれども、実際問題として、現在の通勤着と同じことでしょう。そうして、もしそれが、ホワイトカラーの人たちがその分がこうだというならば、そうしたものをそれぞれの人たちが実際に暮らしている暮らしの中で支払ってきたもの、そして現在、その個別の人たちと考えてみて、それが何倍になっているか。そういうふうに考えていかなければ、それを全部になべてしまって、統計上としてそういうものを出すというなら、それはそれで一つの理由になりましょう。
だけれども、実際の値上げが妥当であるのか妥当でないのか、耐えられるのか耐えられないのかといった場合の比較として、そういうものをおしなべてしまって、そして大した影響はないんだ、ほかの物価に対して低いんだ、そういうことは本当に国民の暮らしから出発する比較だとか考え方だとかということとは違うと思うんです。それは現実の国民の暮らしを無視しているやり方だ。いかにもお役所的な数字だけで合わせて、そうして比較をする。そこには、抽象化された数字であって、具体的な人間の生活というものは失われてしまうんです。その辺についての考え方をぜひとも私は——政府は実際の国民のそれぞれの暮らしに立脚した判断なり比較なりをしていただかなければ困る。この点についての経企庁長官のお考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/80
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081・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) いま職工手当というお話ですが、私はその実態を承知しませんが、いま話を承っておりますと、どうももとの運賃が、これが軍需上の理由とか、そういうので非常に低位に決められているのではないか。そこで、千倍と九百五十倍というような今日の運賃との比率が出てくるのじゃないかというような感じがしましたが、どうも一概に、この職工手当が九百五十倍になっておる、またそれが千倍になっておるということでこの運賃改定問題全体を評価をするというのはいかがであろうか、そんな感じがしました。ただ、運賃改定に当たりまして、国民の実感とどういう関係になるだろうかというようなこと、これは頭の中に置くのは当然のことだと、そういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/81
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082・山中郁子
○山中郁子君 私が申し上げるのは、現実のいまのサラリーマンと同じような仕事の関係でもって定期を買っていた。そのときの時代的な背景でどういうケースがあるかは別として、いま一つの例を申し上げれば、あなた方は三百何倍だと言うけれども、現実に一千倍になっているではないか。それは、だからいろいろなものをかき集めて、そうしてその計算自体にも問題はありますけれども、それは私は横に置きます。そして、そこで抽象化されて出されてきた数字というものは決して、国民が現実にそれぞれの立場で暮らしている人々の暮らしの苦しさとか、実感とかに立脚していないということをいま私は申し上げたわけです。その点については経企庁長官もおわかりになったようですので、先ほどの問題とあわせて、ぜひともそういう点について国民の実際の生活に立脚をして、その暮らしの上でその苦しみをどうやって守っていくかという立場に政府が立った考え方と、それからこうした問題の提起をされるべきだということを私は強く要求をいたします。
ところで、運賃の問題にからみまして、やはり現実にそれではどんどん値上げがされるけれども、本当に国鉄を利用している国民はどういう状況に置かれているんだろうか。このこともさまざまな角度からいままでも質疑が交わされましたし、問題点としてもクローズアップされておりますけれども、私はひとつ、いま大変全県的にも問題になっております千葉県でのベッドタウンとしての急速な広がり、人口密度の高まり、そうしたものの中で総武線の混雑が大変なものになっている。これは当局も、政府も把握をされているところだというふうに思いますけれども、いま実際私の調査では、西千葉だとか、稲毛だとか、検見川、幕張、そうしたラッシュ状況は大変なものです。特に検見川や幕張などは積み残しが出ているという状況。そして、子供やお年寄りは車内には入れないし、また、おなかの大きい妊産婦の方たちは、とうてい国鉄を利用して勤め切ることができないということで結局職場をやめなきゃいけないということもたくさん出てきています。
で、この総武線の混雑状況というのはいまどのように把握をされているか、まずお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/82
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083・高橋浩二
○説明員(高橋浩二君) 昨年度の調査でございますけれども、ただいま総武線の方は津田沼までは快速線と緩行線と両方……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/83
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084・山中郁子
○山中郁子君 津田沼−千葉間になりますね、だから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/84
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085・高橋浩二
○説明員(高橋浩二君) したがって、津田沼−千葉間の、昨年度ラッシュ一時間、一番混雑するときの混雑度が約二五〇%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/85
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086・山中郁子
○山中郁子君 いまおっしゃったように、二五〇%という物すごい混雑度です。私も子供を生んだときに通勤した経験を持っておりますけれども、その当時だって大変でしたけれども、いまのそうした混雑度の数字だけ見ても、それがどんなに国民を苦しめているかということは重ねて申し上げるまでもないというふうに思います。現在千葉県の臨海部の埋め立てなどによって、京浜ニュータウンなど大きな団地ができています。その上、県庁や行政機構がそこに移ってくると、こういうことで、そうした混雑の状況というものもこれから先も一層激しくなるということは容易に推察ができるわけですけれども、こうした千葉の新市街地に、京葉線に対して千葉県や東京都から要望が運輸省などに出ているというふうに思いますけれども、その内容についてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/86
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087・住田正二
○政府委員(住田正二君) 京葉線につきましては、本来貨物線として建設を計画いたしたものでございますけれど、その後、沿線の埋立地が当初の工業用地から住宅に転用されておりまして、かなり住宅がふえているわけでございます。そのために千葉県及び東京都からこれを旅客線としても開業してもらいたいという要望を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/87
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088・山中郁子
○山中郁子君 いま運輸省にもそうした要望が出ているということですが、これは当然のことだと私も思うんですよね。私たちは国鉄の赤字問題、あるいは料金値上げ問題に絡んで大企業を中心とする営業政策なり経営姿勢なりが問題だということを、もう重ね重ね主張してまいりました。で、ここへきて住民が旅客運行を求めるというのは、これはもう当然のことだと思いますけれども、旅客運行をする上でどういう障害があるのか、そのことについてちょっと明確にお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/88
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089・高橋浩二
○説明員(高橋浩二君) いま運輸省からお答えいたしましたように、この線は貨物線ということで建設を始めましたのは、この埋立地が当初千葉県も東京都もいわゆる工業団地を主とした埋め立て計画ということで、三十年の後半から四十年にかけてそういうことでこの建設が一応始められました。その後、千葉県も東京都もこの工業団地をむしろ住宅、商業地域等へ変更したいということで、最近千葉県知事、あるいは東京都知事からいただいております要望もそういうふうに計画の変更がございますので、旅客輸送についてはぜひお願いをしたいというような要望でございます。
そこで問題点は、いま千葉県等で考えておられますのは、昭和六十五年を目途に、そういう宅地開発等を完成させたいということでございまして、私の方も現状の輸送は、先ほど総武線等の混雑でわかっておりますけれども、昭和六十五年ごろの旅客輸送についていま検討いたしております。で、その場合に、ただいま計画しておりますのは複線ということで計画しておりますけれども、旅客輸送をあわしてやる場合には、複線だけでは輸送し切れなくなるのではないかという検討問題が一つございます。
それからもう一つは、旅客の輸送方向が、いまの京葉線は東京の都心に向かった線でございませんので、あわせて東京の都心に向かってどういうルートを構成するのがよろしいか、当然相当金額のかかる地下構造等をつくらなくちゃなりませんので、その二点をいろいろ検討して、ただいま鉄道建設公団と協議をいたしておるというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/89
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090・山中郁子
○山中郁子君 私は、ちょっと二つのことをお尋ねしたいんですが、一つは運輸大臣にお聞きします。
先ほど私は千葉の混雑の状況ということについて申し上げました。これは千葉だけじゃありませんよ。だけれども、いまこの問題との関連がありますので千葉のことを申し上げましたし、千葉はまた特別そういう状況が厳しいところです。それで、国鉄に言わせればいろんなことがありましょう。あってこういうふうに計画がきているというふうに言われると思いますけれども、これは急に何もこうした混雑なり、国鉄に対してもっと優先して乗客を大事にしてもらいたいという声が、いまここに突然起こってきたわけじゃなくて、長い間のこれはもう国民の声です。そういうところから、貨物だけの線を引く、そして、そこにはたくさんの住民が住んでいて大変な混雑状況が生み出されている、そういうことは、私はやはり根本的に間違っているというふうに思うんです。間違っているということは、逆に言えば、住民が併用運行してほしいということは、これは当然の要求であるし、国鉄は当然の問題として、いままでの経過がどういうふうにあったかということは仮に別におくとしても、いまの時点では当然の問題としてそれを積極的に受けとめて努力をされるということが必要だと思いますが、まず運輸大臣にそのことをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/90
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091・石田博英
○国務大臣(石田博英君) いままでの経過は別におくというわけにはいかぬと思うんです。いままでの経過はやっぱり工業団地にしたいというわけですから、そういう千葉県、東京都の計画に合ってやったんですが、事情が変わればこれは旅客輸送に重点を移してやらなければならぬことは当然であります。それから、困難な問題はそれは無論ありましょうが、その困難の克服に全力を挙げるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/91
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092・山中郁子
○山中郁子君 私がいま別にしてと申し上げましたのは、私から言わせてもその経過について意見がありますということなんです。その経過はそれなりに意見がありますと、だけれども、いまそういうことに入る時間はないから別にしてと申し上げましたんで、そのようにいま運輸大臣がお答えになりましたので、ひとつ国鉄総裁からもこの問題に関してお約束を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/92
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093・高木文雄
○説明員(高木文雄君) 担当の常務理事からお答えいたしましたように、非常に困難がございます。困難がございますけれども、事態が変わってまいりまして、住宅地域として発展するという方向に変わったわけでありますので、私どももその方向でいま具体的にはどうしたらいいかということを検討しているわけでございますから、その検討の結果、必要はだんだん高まってきておりますので、私もいずれの日にかはそういう方向になろうかと思いますが、現段階ではまだ結論が出ておりませんので、いまどうするということはちょっと申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/93
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094・山中郁子
○山中郁子君 もう一つ、それでは国鉄にその辺を申し上げたいんですけれども、大体どのぐらいの展望で——とにかくそういう要求に応じていかねばならぬということは運輸大臣もはっきりおっしゃいました。で、大体どのぐらいの展望で、どのように結論も得ていこうというふうに考えておられるか、大まかなところで結構ですけれどもお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/94
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095・高木文雄
○説明員(高木文雄君) 東京都の通勤問題については、もう十年以上前から五方面作戦ということでかなり強化に努力をしてきておるわけでございますが、ただいまお触れになりました中にあります津田沼から先の問題は、いま工事中ということでございまして、なかなか最近の都市におきます新線の建設は、いろいろな角度での困難な問題をたくさん持っておるわけでございます。いまこれからどのぐらいの期間にいまの京葉につきまして解決がつくかというおおよそのめどを示せということでございますが、現にこの津田沼−千葉間もなかなか容易でないという事態から御推察いただけると思いますが、明確に何年間でとか、いつまでにとかいうことはとてもいま申し上げる段階ではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/95
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096・山中郁子
○山中郁子君 それでは、重ねて早急にそうした国民の声にこたえるために、いま皆さんがお約束していただいためどを国鉄としても、運輸省としてもつけていただくということのお約束を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/96
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097・高木文雄
○説明員(高木文雄君) 私ども必要性は感じておりますので、鋭意努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/97
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098・山中郁子
○山中郁子君 いまの問題とも関連いたしますが、私たちは何回も、貨物輸送に対する優遇その他の問題が国民に対する不公正ももたらしているし、また国鉄の財政の悪化の要因にもなっているし、それだけではありません、そういうことを一貫して主張してまいりました。で、貨物運賃は料金体系をやはり公正な立場で国民の負担を減らすという観点から改めるべきであるということを主張してきましたが、いまこの問題を繰り返し申し上げるというつもりはありませんが、一言だけ、一九六〇年と比べてみますと、東京−博多間は二千四百円であったものが一万四千円、これは新幹線ができていますから。ですけれども、実際はやはり現実にはみんな新幹線を使っているわけですから一万四千円です。そして貨物の場合にはいろいろな計算の仕方はありますが、平均的な場合を計算してやはり一・八四倍。いま乗客の場合には新幹線一万四千円になって五・六倍ということに対して、貨物の場合には一・八四倍という数字が出ます。個別の数字をとる方法によって多少の違いはありますけれども、そう大きな開きがあるわけではありません。やはり、私はこうした不公正をなくす。そして、国鉄財政の抜本的な、民主的な改革、そうしたものを行う以外にいまの国鉄の経営の危機を乗り切って、本当に国民の期待にこたえる、そうした国鉄に発展していくことは不可能であるということを私どもは政策をもっても示し、訴えてきたところでございます。
最後に、このいま私が提起をしました一つの具体的な貨物と旅客の不公正の問題と、そしてその考え方について運輸大臣にお考えを伺って終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/98
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099・高木文雄
○説明員(高木文雄君) ただいまの貨物と旅客の問題については、私どもはいささか違う見解を持っております。時間がございませんから詳しくは申し上げませんが、貨物は最盛期に比べまして輸送量がいま七割に減っております。減っておるということは、つまりそれなりに経済構造が変わりまして、貨物の運賃が過去と比べてそう高くないのにかかわらず、お客さんが減っていくということでございますので、決して貨物が旅客と比べて改定率が低過ぎるということではないと思います。しかし、貨物につきましても非常に大きな問題でございまして、全体といたしまして、国鉄赤字の大変大きなウエートを占めておりますので、これを改善することについては鋭意努力いたしますし、それをしなければ国鉄の再建そのものができないほどの大きな問題になっていると認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/99
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100・石田博英
○国務大臣(石田博英君) いま国鉄総裁から答えがありましたように、お示しになった数字どおりではないと思います。しかし、競争がありますから、一概にはそうはいかないと思いますけれども、上げて取れるところからはできるだけ取るようにしなきゃならぬという点については全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/100
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101・中沢伊登子
○中沢伊登子君 初めに物価の問題について御質問をしたいと思います。今回の大幅な国鉄電報、電話料金の値上げは、依然として九・三%台に推移している消費者物価をさらに押し上げ、インフレと不況の谷間にあって、生活防衛に苦しんでいる国民生活をますます苦況に陥れることは火を見るよりも明らかでございます。同時に今回の改正案は、国民を十分に納得させるだけの合理性、妥当性を欠いていると思わざるを得ないわけでございます。この立場からまずお伺いしたいのは、物価問題との関連でございます。
まず、今回の値上げ案が、消費者物価にどの程度の影響を持つのか、また国鉄、電電の値上げが、消費者物価を政府目標の八%をはるかに超えると思いますが、その見通しはどのようなものでございましょうか。また、他の物価を押し上げる引き金になることは当然でございますが、その点はどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/101
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102・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 今回御審議を願っております国鉄、電電の料金改定によりまして、消費者物価には大体一%弱の影響があるんです。しかし、これは八%という本年度の消費者物価目標、その八%の程度というその前提としてすでに織り込んでおるわけでありまして、今回の両法案が御承認願い、そしてこれが実施されるということになりましても、この八%程度という目標はぜひ実現をいたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/102
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103・中沢伊登子
○中沢伊登子君 いま八%の中にもう織り込んであるということですが、現在九・三%の値上がりでございますね。そして、最近政府の方は公共料金の物価に対する寄与率、これは二%と見込んでおられたのを二・五%に直されたように思うんですけれども、これで果たして八%の目標に届くかどうか、大変私どもは疑問だと感じております。最近こういう言葉がはやっているのを御存じかと思いますが、それは私どもが育ってきましたときに、こわいものと言えば地震、雷、火事、おやじという言葉があったんです。ところが、最近はどう言われるかといいますと、一に物価、二に地震、三に食品公害、四に交通事故、こういう言葉が大変あちこちではやっているということを聞きます。それほど国民は、一に物価というほど物価を一番恐れているわけです。こういう中で、日本でただ一つ自足できるもの、食料品の中でお米がございますね。この米価すら毎年毎年上がっていく中で、私は果たしてこの八%の中に国鉄、電電の値上げが織り込まれているということを信頼していいものでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/103
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104・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 八%程度という中に公共料金が二%強は含まれておると、こういうふうに申し上げておるんです。二%強ということは、二%ということじゃなかったんです。四捨五入すると二%になる程度の公共料金の影響があろうと、こういうことでございますが、私どもが公共料金として見込んでおりましたそのいろんな内容ですね、これはガスなんかちょっとよけいに飛び出してきたような感じがするんです。しかし、お米の方ですね、これは大変私どもの見込んでおったよりは低く決めることができたと、こういうふうなこともありまして、大体二%強というこの目標は、これはまあそのとおりに行くだろう。それを前提といたしまして八%程度が実現できるかどうか。今日この時点では昨年の同時期に比べまして九・数%というような上昇になっておるんです。まだこれで五カ月あとは残っておりますから鋭意努力していきたい。
そういう思わざる高いところに来ておるというのは、主として季節的商品なんです。ことに夏、冷害がありましたとか、長雨がありましたとか、風水害がありましたとか、そういうような関係でこの季節商品の値上がりが非常に顕著であった。今後、季節商品につきましても、その需給だとか、輸送でありますとか、そういうことに気をつけまして、何とかして八%程度という目標は実現したいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/104
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105・中沢伊登子
○中沢伊登子君 すでに、いまいろいろお話を伺いましたけれども、消費者物価指数が九・数%と、こうなっておりますと、労働者の平均賃金の上昇率が八・八%でございましたね、これを上回っているわけです。そういう中で、実質賃金の低下をもたらしている現在で、今度の改正案は家計負担についてどのように経企庁は配慮をされたのか。また、改正案の決定過程において、消費者物価の安定の観点からどのような態度をおとりになったのか。その辺を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/105
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106・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 国民の実質所得、これを維持向上させる、これはどうしてもやっていかなけりゃならぬ。それにはやはり景気をよくして、実入りをよくしなければならぬと、こういうことを考えなけりゃならぬわけです。それから同時に、実入りが多くなりましても物価が上がったんじゃ何もならぬ。そこで、やっぱり景気も、また物価もと、こういう両面の作戦を、これを均衡がとれた形で実現をするということがねらいどころであるわけであります。
そこで、第二のお尋ねである、経企庁は公共料金の改定についてどういうふうな態度をとったか、どういうふうな介入をしたかと、こういうことでありますが、これは所管官庁から協議があるんです。そこで、物価または生活を守るという立場の企画庁といたしましては企画庁としての意見を述べる、そこで一致したものが政府原案となると、こういうことでありますが、経企庁の最後の意見を決めるという際には、物価安定政策会議、この安定会議に付議をいたしまして、その皆さんの御意見を伺った上、それも取り入れまして最終意見を決めると、こういうような慎重な態度をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/106
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107・中沢伊登子
○中沢伊登子君 それにしても、先ほど申しましたように、国民はいま一番物価がこわいと、こう言っておるところでございますから、今後とも、まだ年末も控えることでございますから、年末をこのままで本当に八%の努力目標ですね、それに抑えられるかどうかということは、また特に案じておられますので、その辺をひとつ十分御配慮をいただきたいと、このように考えております。
そこで、国鉄の値上げの問題についてお伺いをいたしますが、特急料金、急行料金、グリーン料金も今度も上げるということでございますが、昨年十一月にも一一%この料金を上げているわけですね。そういう中で、今回の値上げに次いで来年度もこの料金を上げられるのかどうか、その点をまず第一に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/107
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108・高木文雄
○説明員(高木文雄君) 昨年の秋にグリーン料金等を上げさしていただいたわけでございますが、その場合の考え方といたしましては、過去におきまして大体基本料金と特殊料金の関係が倍半分であった。ところが、四十九年十一月以後、昨年グリーン料金等改定さしていただきます間におきましては、大体基本料金を一といたしましてグリーン料金を加えたところで一・四倍、これは急行とかいろいろな問題がありますから平均的な数字でございますが一・四倍という水準になっておりました。そこで、まあ暫定的な意味でこれを多少直すということで昨年の秋に直さしていただきました。結果として、その関係比率は一・七倍という程度になって今日に至っております。今回の改定におきましては、基本運賃と、それから各種の料金とではやや運賃の方にウェートを置いておりますけれども、大体ほぼ平均的に改定をお願いしているわけでございまして、基本賃率と特殊賃率との関係は、昨年の十一月以降今日までの状態、つまり一・七倍という状態をそのまま横にスライドする、そういう考え方でいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/108
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109・中沢伊登子
○中沢伊登子君 先ほども公明党の田代先生からいろいろお話がありましたけれども、私も自分の地元のところを調べてみますと、大阪と三ノ宮間、これは国鉄がいままで百七十円で、あそこに通っております阪急電車は百八十円であったわけです。今回の改定案を見ますと、国鉄が二百七十円になるわけですね。私鉄の阪急電車を九十円上回ることになるわけです。それから通勤定期も私鉄の方が安くなるところがあるわけでございます。こういう状態を見てまいりますと、これは国鉄の能率が非常に悪いことになるのではないか、また国鉄の利用者が減るのではないか、あるいはこのような格差があること自体が少しおかしいのではないか、こういうような疑問を私は持っているわけでございます。
来年度も値上げをするとすれば、この格差はますます広がると思います。結局は、こうなると私鉄の運賃も上げなければならないようなことになるのではないか。恐らく私鉄の方からそういう申し出が出てくるのではなかろうか。そうすると、また飛行機も値上げと、こういうことになるのではなかろうかと考えますが、その点はどのように考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/109
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110・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 私鉄とのいま御指摘のような現実的な問題が出てくるところがあることは私どもも承知いたしておりますが、全体として見ますと、一番利用度の多い十五キロくらいを基準にいたしますと、関東では私鉄とほぼ一緒、関西では私鉄の方がやや高いという状態に全体としてはなると思います。それから通勤の問題は、今日は大体通勤定期というようなものは経営者の負担になっている場合が非常に多いものですから、やっぱり便利なところを利用者は選ぶと思います。したがって、そう大きな影響はないと考えておりますけれども、しかし、先ほどもお答えいたしましたように、運賃の値上げが即そのまま増収になるとは思わない。値上げ率よりも低い三七%程度の増収と考えておるわけであります。
それから、これが私鉄や航空運賃の引き金にならないかという御質問でございますが、私鉄については先ほどお答え申しましたとおり、二年間上げないということになっております。それから航空運賃についても、これは厳格な原価主義をとっておりますので、そういう認可は影響を与えないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/110
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111・中沢伊登子
○中沢伊登子君 飛行機は原価主義だから上げないと、そして私鉄も二年間上げないと、こういうことにいまお答えをいただいたわけでございますけれども、そうすると、国鉄の方がはるかに高くなるわけですね、今回の値上げが実施されますと。
それからもう一つおかしいと思いますのは、先ほども出たかと思いますけれども、飛行機よりもグリーンや寝台の方が高くなるわけですよね、はるかに。そうして、この間新聞で見ておりますと、国鉄はとてもりっぱな寝台車をおつくりになったとか、なるとかという話でございましたね。ああいうりっぱな寝台車をおつくりになって、あれをつくれば利用者が多くなるだろうと、こういうことを見越されたのかもしれませんけれども、その辺のことが私よくわかりませんけれども、そうすると、飛行機の方が速くて安ければ、いまの時代にわざわざそのりっぱな寝台車に、一遍くらいは乗ってみようかという人があるかもしれませんけれども、そういうものを利用される方というのは余りたくさんないんではなかろうかと、このように思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/111
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112・高木文雄
○説明員(高木文雄君) 一般的にはお客様はやはり速いものに乗られるわけでございましょうけれども、現実には、たとえば博多から東京間の寝台車は非常に混んでおります。そして、たとえば山陰と東京の間で言えば、もっと寝台車を増発するようにという要請が非常にあるわけでございまして、どういう方がどういうわけで時間のかかる車を選ばれるのか、私詳しくは承知しておりませんけれども、やはり宿泊料とか何とかいうことを考えてみますと、夜行で来るということがそれなりに合うんだというお客さんが決して少なくないわけでございまして、夜行列車はいま程度の本数、あるいは多少まだふやしましても十分乗っていただけるという状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/112
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113・中沢伊登子
○中沢伊登子君 私どもが考えますと、むしろ駅のそばのホテルに泊った方がはるかに安くつくと、寝台車に乗る方が高くつくんではないか、こんな感じがするわけですけれども、実際を調べておりませんので、いまのお答えをお伺いをしておくことにいたしますが、今度の値上げがなされますと、先ほど運輸大臣は国鉄の方が高くならないような御答弁でしたけれども、私は決して今度の運賃の値上げをすると、関西においても、先ほど申し上げました大阪−三ノ宮間でも九十円高くなるわけですから、相当私はやっぱり国鉄の方が高くなるんではなかろうか。特に阪神間は、私鉄と国鉄の停留所ですね、そこと大阪もみんなひっついておりますから、どっちが便利かといえば、私はやっぱり安い方にいくんではないかということ、むしろ値上げをしたことによってお客さんが減ってしまえば、値上げをするということが何のためになるのかということを大変案じておりますが、もう一遍お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/113
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114・高木文雄
○説明員(高木文雄君) 阪神間はきわめて典型的な例でございますが、それ以外にも、たとえば京都と大阪の間とか、さらに関東地域におきましても、私鉄との間では非常に運賃関係で国鉄が不利な状態になるところがたくさん出てまいります。これは国鉄の場合には自由に値段を決めることができませんので、統一運賃になっておりますから、距離に応じて決めなければなりませんし、私鉄の方は商業政策上国鉄の運賃をにらみながら決めることができますわけでございますので、どうも競争上非常に不利な関係に立つわけでございます。
さりながら、これで今回の値上げで、大変国鉄の方が高くなります関係で、壊滅的にお客さんが私どもの方から私鉄の方に移られるかというと、過去の、私まだ経験が短いので確信を持っては申し上げられませんけれども、過去の改定の過程におきまして、しばしばそういうふうなことがあったようでございますけれども、そのときにどの程度国鉄から私鉄にお客さんが移られたかという過去の経験値からいたしますと、やはりこれだけの開きが出てまいりますと多少は減りますけれども、そうかといって、壊滅的に移っていってしまうということではないというふうに私どもは見ております。それを全国的に、総合的に見ましたものが名目値上げ率を五〇%強と置き、実収率を三七%と置きました理由でございまして、ある程度のいわゆる国鉄離れは覚悟をいたしておるわけでございます。しかし、その典型的な例であります大阪−三ノ宮間等におきましても、それで全く悲劇的に打撃を受けるとは見ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/114
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115・上林繁次郎
○委員長(上林繁次郎君) 時間がまいりましたので、もう一問に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/115
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116・中沢伊登子
○中沢伊登子君 もう一問だけ質問をいたしますと、特にローカル線で非常な赤字が出ている。そういうような赤字までも都市圏の通勤者が負担されているのではないかと、こう思いますが、その点を一つお伺いしたいのと、時間がありませんから最後に一つ私どもの意見を申し上げておきたいのは、当面の緊急対策を講ずることがどうしても国鉄はいま必要なんですが、公共企業体そのものの経営のあり方について、抜本的な改善を図るために、内閣に公共企業体経営合理化審議会、こういうものを設置されてはいかがでしょうか。この二点について御質問して終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/116
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117・石田博英
○国務大臣(石田博英君) 結果的にはローカル線の赤字の方がうんと多いわけであります。しかし、都市の通勤の線におきましても、決して健全な経営を続けているというわけではないのでお願いしているわけですが、ローカル線は奥地の開発とか先行投資とか、いろんな運輸省、あるいは国鉄だけで処理しなければならぬ問題以外の内容を含んでおりますので、そういう意味で政策的な負担を願うのが筋だと、こう考えておる次第であります。
それから公共企業体のあり方全体についての検討、これは私も、どういう方法がいいかは別といたしまして、私が所管している国鉄のあり方そのものについては、基本的な練り直しが必要であるということは痛感をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/117
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118・上林繁次郎
○委員長(上林繁次郎君) 他に御発言もなければ、本連合審査会は、これにて終了することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/118
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119・上林繁次郎
○委員長(上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。
これにて散会いたします。
午後零時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107813845X00119761027/119
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