1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和五十三年三月二十二日(水曜日)
午後一時二分開議
出席委員
委員長 中尾 栄一君
理事 片岡 清一君 理事 羽田 孜君
理事 林 義郎君 理事 山崎平八郎君
理事 島田 琢郎君 理事 竹内 猛君
理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君
加藤 紘一君 久野 忠治君
熊谷 義雄君 倉成 正君
國場 幸昌君 佐藤 隆君
玉沢徳一郎君 羽田野忠文君
平泉 渉君 福島 譲二君
堀之内久男君 森 清君
森田 欽二君 小川 国彦君
角屋堅次郎君 柴田 健治君
野坂 浩賢君 芳賀 貢君
松沢 俊昭君 武田 一夫君
野村 光雄君 吉浦 忠治君
神田 厚君 津川 武一君
菊池福治郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 中川 一郎君
出席政府委員
農林大臣官房長 松本 作衞君
林野庁長官 藍原 義邦君
林野庁林政部長 石川 弘君
委員外の出席者
農林水産委員会
調査室長 尾崎 毅君
—————————————
二月二十二日
理事馬場昇君同日理事辞任につき、その補欠と
して島田琢郎君が理事に当選した。
—————————————
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
連合審査会開会申入れに関する件
森林組合合併助成法の一部を改正する法律案(
内閣提出第四六号)
森林組合法案(内閣提出第四八号)
国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置
法案(芳賀貢君外十三名提出、衆法第三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/0
-
001・中尾栄一
○中尾委員長 これより会議を開きます。
この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事馬場昇君より、理事を辞任したいとの申し出がございます。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/1
-
002・中尾栄一
○中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
ただいまの馬場昇君の理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/2
-
003・中尾栄一
○中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、島田琢郎君を指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/3
-
004・中尾栄一
○中尾委員長 内閣提出、森林組合合併助成法の一部を改正する法律案、森林組合法案及び芳賀貢君外十三名提出、国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置法案の各案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/4
-
005・柴田健治
○柴田(健)委員 まだ林野庁長官も大臣もお見えになりませんが、もう待ちくたびれてしまったので、まず事務的な問題から入りたいと思います。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
森林組合合併助成法の一部を改正する法律案についてお尋ね申し上げたいのですが、昭和三十八年からこの法律が適用されたわけでありますが、今日までメリットの面で減税措置があるわけですが、わかれば、国税と地方税の減税の総額を石川部長、ひとつ説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/5
-
006・石川弘
○石川政府委員 お答え申し上げます。
御承知のように、減税につきましては、所得税のみなし配当、法人税につきましては生産所得、欠損金に認めるということ、そのほか登録免許税、事業税につきまして生産所得及び欠損金に認めるということ、それから住民税につきまして都道府県民税と市町村民税がございます。四十九年から五十二年、これは見込みも含みますけれども、これを総額で推定をいたしますと、全体で八千八百四十四万円程度かと思います。関係いたします合併件数は五十一件でございますので、一件当たりに平均をいたしますと百七十三万円程度になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/6
-
007・柴田健治
○柴田(健)委員 その百七十三万円のうちで、国税と地方税と分離したらどのくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/7
-
008・石川弘
○石川政府委員 八千八百四十四万円程度と申し上げましたけれども、そのうち地方税に該当いたしておりますのが二千二百万程度で、残りの六千四百万程度が国税でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/8
-
009・柴田健治
○柴田(健)委員 この法案は、今度は五カ年延長ですが、三回目の延長ですね。それで減税の総額は四十九年、五十年だけですが、実際には三十八年からこの法律が適用されておるわけですね。その後十数年になるわけですが、十数年間の総額はわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/9
-
010・石川弘
○石川政府委員 ただいま手元に数字を持っておりませんが、大体一件当たりの減税金額はいま申し上げた程度の数字かと記憶しております。後ほど正確な数字を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/10
-
011・柴田健治
○柴田(健)委員 私たちは、鳴り物入りで助成措置をすぐしてやるのだから合併しなさいよ、こういうことで、実際中身についてはささやかな恩典しか与えていない。だから何回となく延長しなければならぬ。もう少し思い切った助成措置ができないのか。ただ、いまの税制上恩典を一部与えるというだけで、このまま行くと、ここで五カ年延長なんですが、また次に五カ年か十カ年延長しなければならぬ。こういうことを考えた場合、形式的でおざなりで、ただ、いままでこの法律をやってきたのだから続けておけというような安易な考えで、本当の立法の精神が崩れてしまうのではないか、そういう気がするのですが、石川さん、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/11
-
012・石川弘
○石川政府委員 おっしゃいますように、合併そのものに直接かかわります助成は、御承知のように協議会をいたしますための事務的経費が主力でございます。それから税制はいま申し上げたような程度でございますが、実は私どもといたしましては、合併をいたしました組合につきまして、林野庁の持っておりますあらゆる助成政策を集中的に投入いたしまして、合併後の組合が力強く運営できるようにということを考えております。
御承知のように、その主力が林業構造改善事業でございまして、五十三年度におきましても二百億の林業構造改善事業の事業費を持っておりますが、この種の事業費につきましては、極力、合併をいたしまして生々発展をしますような組合に集中的に投入することを考えておりますし、そのほか、御承知の共同施業をやります場合の計画的経費あるいは入会林を持っておりますような場合には入会林野等の高度利用の促進対策、あるいは特用林産等につきましても新しい補助金を持っておりますが、この種の林野庁が持っております各種の助成政策を、合併組合が発展しますような形でつけることによりまして、合併の効果をより強力に発揮できるようにする、そのような考え方でやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/12
-
013・柴田健治
○柴田(健)委員 当初この制度をつくるときには、町村合併の線に沿うて、森林組合も地域また行政区域というものに線を引いて合併をさしたというねらいがあったと思うのですが、今日では広域という言葉、そして大型という言葉、それから広域大型化という、そういう立場でこの合併を助成する、推進するということになれば、当初考えた基本線より少し飛躍的、そしてまたこの考え方が変化しているのではないか。変化に伴うこの助成措置というものを考慮すべきではないか。
ところが、いま答弁を聞くと、林業構造改善事業をやるためにそういう点を中心に合併をさせるのだ、何かつじつまの合わないような答弁なんです。ただ事業を推進するために合併するというのは、それも一つの方法だろうと思いますけれども、合併させるには、もっとほかのねらいというか目標というもの、またそれに将来の展望というものがなければならぬ、その点ひとつもう少し具体的に説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/13
-
014・石川弘
○石川政府委員 御承知のように、第一次の合併を進めました場合は、主として市町村の区域以下の組合につきまして市町村の区域に、新しい市町村の区域でございますが、その区域まで合併をしていくという点が強うございました。三十七年の末に市町村の一部の区域の組合が二千百五十ばかりございましたけれども、一次の合併が終わりました四十二年には、その市町村区域以下の組合につきましては、六百五十ぐらいに減っておりまして、一番多いものが市町村の区域と同一の区域のもの、これは千八百七十ばかりにふえたわけでございます。四十九年から始めました第二期の合併につきましては、その地域の態様にはよりますけれども、さらに広域の市町村を越えます組合、広域組合と言っておりますが、こういうものに相当合併の目標を志向しましたことがございますので、数で申しますと、今度の五十二年末でもまだ二百に至らない数ではございますけれども、やはりかなりのものが広域組合になるわけでございます。
先ほど私が申し上げました、構造改善事業等の助成、それを受け入れるためにということで申し上げたつもりではございませんで、たとえば労務班一つ考えましても、労務班を雇用いたしまして、これがある程度円滑に動きますためにはそれ相応の広がりが要る、三千ヘクタールやそこらの組合ではなかなか事業を円滑にできないというようなこともございまして、たとえば、そういう地域で組合が管理いたします面積がふえますことによって、労務班が円滑に活動できるとか、あるいは販売なり購買なりの事業が伸ばせる、あるいはそれにふさわしいだけの管理要員を持てるというようなメリットがございます。
私ども、構造改善事業その他の事業を組合に対していたします場合に、やはりそれ相応の事業活動が円滑にできるという広がりが必要でございますので、先ほど申し上げましたように、大きいものにはそれなりに事業費も大きく、それから比較的小さい規模でも十分に活動できるものにつきましては、そういう比較的小さい規模でもできますように、たとえば構造改善事業一つにつきましても、標準的な事業規模を設けておりますけれども、非常に広域のものについては、それをかなり上回ります金額を配賦するような形で、広域のものあるいは若干小さいもの、そういうものに応じた助成を今後もやっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/14
-
015・柴田健治
○柴田(健)委員 こうした構造改善事業は、ほかのものでも一緒なんですが、結局、市町村の行政区域というものが大体国のいろいろな助成事業に対する区切りになっておるわけですね。森林組合の面から見ると、今度の大型化の立場から申し上げると、市町村の行政区域は一応除外する、そういう線引きはしないのだ。市町村の行政区域を超越した森林組合として林業構造改善事業ができておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/15
-
016・石川弘
○石川政府委員 現在の組合でも、一番数の多いのは市町村の区域と同じ区域の森林組合、これが千六百ぐらいで一番多い組合の数でございます。したがいまして、そういうものにも林業構造改善事業は当然助成をいたしますし、それから二百を若干割ります百九十ぐらいの広域組合、これにつきましては広域事業というかっこうで運用をするということで、別に市町村の区域と同じくらいなものには援助しないということではございません。その大きさに応じた援助をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/16
-
017・柴田健治
○柴田(健)委員 それなら、これからは大型の、市町村行政区域にはこだわらず、思い切ってこの構造改善事業をする、そういう方向で取り組むということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/17
-
018・石川弘
○石川政府委員 地域の実情がございますので、たとえば大きいほどいいということもなかなか申し上げかねますけれども、そういう広域にやることが適切な地域につきましては、当然組合も広域合併をいたしますし、それに応じた林構等の援助もするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/18
-
019・柴田健治
○柴田(健)委員 石川さんの御答弁を聞くと何が何やらわけがわからぬのですがね。やはり市町村の行政区域というものにある程度こだわりがあるような気がするのですね。広域大型化ということで合併をさせるなら、市町村の行政区域というものをある程度は飛び越えていく、そういう発想でないと、合併助成をする本当の価値がないじゃないか、こういうことになるのですよね。
それで、森林組合の合併をさせて、いままでいろいろなメリットがあっただろう。このメリットの中身はどうなんだ、それからデメリットの中身はどうなのか、いい面と悪い面をもう少し説明を願いたい、私はこう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/19
-
020・石川弘
○石川政府委員 メリットと申しますと、やはりそれだけの組合の経営基盤ができたということかと思います。管理面積が大きくなりまして、したがって事業の分量、それからそういうものを管理いたします役員や職員の配置、たとえば職員等の処遇とか、そういう面でメリットが大きかったと考えております。具体的にデメリットと申しますと、このデメリットという形ではなかなか申し上げにくいのでございますけれども、言われておりますことを二、三挙げますと、たとえば大型化をし過ぎたことによって、特定の地域、たとえばそれまでも非常に弱小であったような地域が結果的に切り捨てられるというおそれがあるんではなかろうかとか、あるいは大型化の事業のある意味のメリットと申しますか、一定の事業は大変伸びたけれども、たとえば指導事業のような比較的営利を上げにくいような事業に対して若干おろそかになったんではなかろうかとか、そういう意味のデメリットと申しますか、批判が全くないわけではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/20
-
021・柴田健治
○柴田(健)委員 林野庁の長官が見えておりますからお尋ね申し上げたいのですが、私たち、末端であらゆる団体の合併促進、市町村においてもそうだしほかの団体でもあるのですが、どうも国は、新しい日本語をつけて、広域という言葉を盛んに使う。たとえば広域市町村圏構想だとこう言う。広域市町村圏構想の中で何を合併さしたかというと、屎尿処理組合とじんあい処理組合と消防だけ。この次は森林組合だ、こうなる。合併のしやすいところからやらして、本当にもう少し住民の立場に立って広域行政を進めるというのでなくして、都合のいいところだけを拾い上げて、広域合併ということで進めていく。今度の森林組合でも、やはり屎尿やじんあい、ごみ処理ぐらいな程度に森林組合の合併を考えたんではなかろうか。本当の森林を守り前進させるという、そういう任務を持たせる森林組合というのでなくして、一つの組織を守る、要するに組合経営だけをさせるのだ。そこに職員の問題なり管理の問題という、いろいろ一つの組合をうまく経営させるのであって、林業を経営させるのではない、こういう結果になっておるのではなかろうか、こういう心配があるのですが、長官どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/21
-
022・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま先生いろいろ御指摘されましたけれども、確かに森林組合、先生御存じのとおりきわめて弱小なものも多うございます。私どもは、やはりこれからの日本の林業なり森林をよりよくするためには、森林組合自身も強固なものになってもらわなければ、森林の維持管理なりあるいは林業の推進ということはなかなか図れないというふうにも考えておりますし、片やまた、その森林組合が行います事業なり森林組合の管理、経営というものは、当然先生御指摘のように、山をよくするという観点から運営されなければならないというふうに考えております。
過去におきます合併によりまして、森林組合そのものが、事業量もふえ、そして作業班もでき、造林量もふえたという実績もございます。したがいまして、私どもは、そういうものを通じまして、森林組合も強化され、なおかつ林業もよくなり、そして山もよくなるという方向で、今回の合併助成法につきましても検討し、またそういう方向で合併を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/22
-
023・柴田健治
○柴田(健)委員 先ほど石川部長は、労務班が組織化されていろいろと効率的に能率的に、そして整備された、こう言う。ところが末端では、多少そういう労務班組織ができておる組合もある。けれども、全体的に見ると、山林労働者というものの年齢の面から見ても、それから労務者数の面から見ても、だんだんと減っておる。毎年山林労働者は減っている。高年齢層になる。若年の労働力というものが山に入ってこない。ただ合併さして労務班の組織化はできたという形式論だけで、中身は大きく違っておる、五十年度を見ても、高校卒の若年労働力が四百二十名ぐらいおる。全国で四百二十名ぐらいで、国土の七二%あるその山が果たして守れるのか。年々平均年齢が、いま年次別計算してみても、農林省が出した統計を見ても、高年齢層になっていく。いまや山に対して何が一番大事なのか。人と金じゃないでしょうか。その人の立場から考えても、お話にならぬという実情じゃないでしようか。この点とにらみ合わせて、森林組合を合併して、昭和三十八年からやって相当の成果かあった、メリットかあった——どう考えてもメリットがあったとは思えない。形式だけに終わっておるという気がするのです。皆さん方とわれわれとはちょっと認識が違う。どこに認識が違うのか。だから、林野庁は本当の山の実態を知らぬのじゃないか、現状を知らぬのじゃないか、こういう気がするのですが、どうとらえておるか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/23
-
024・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生御指摘のように、森林組合のあり方につきましては、それぞれの地方なりそれぞれの自治体によっていろいろ千差万別あろうかと思います。私どもも、過去において合併を推進してまいりまして、その結果、私どものとらえたデータといたしましては、たとえば素材の生産量がふえたり、あるいは新植の面積がふえたり、森林組合としての販売額もふえたりいたしております組合もございます。したがいまして、私どもとしては、そういう方面からとらえて、森林組合の合併につきましては、やはり今後の森林組合を強くし日本の林業を強くするという面からも、十分意義のあることであると理解いたしております。
ただ先生御存じのように、現在林業全体にいろいろ問題がございます。先生御指摘のように、労働数はさほど変わっておりませんけれども、林業従事者の質の変化というものは確かにございますし、また、現在木材価格等が低迷いたしまして、非常に林業が現在活発でないという面もございます。そういうもろもろの現在の経済状況と並行いたしまして、森林組合のあり方というものにいろいろな問題もあろうかというふうに考えておりますが、私どもといたしましては、今後ともそういう問題に十分対応いたしまして、林業の推進なり森林組合の強化を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/24
-
025・柴田健治
○柴田(健)委員 いずれ大臣が見えたらお尋ねしたいと思うんですけれども、結局、林野庁はどちらかというと、役所的で官僚的でセクト主義で、そしてなわ張りであって、それの気持ちが末端まで伝わる、それからこの所有権にこだわる——所有権も大事なんですが、国有林だとか公有林だとか民有林だとかいう名称で、そういう所有権にこだわる、そして区域にこだわる、機関にこだわる。各級機関の機関中心で物を考える。山は、そういう所有権も大事なんですが、所有権にこだわったり、そしてまた機関中心主義であってはならないし、もっと国民の合意を得るような、森林と国民生活という立場でとらえて、人間の健康であるとか人間の生活に絶対的必要なものを持っておるわけですから、日本の森林資源と日本の国民の日常の生活とどれだけ密着させるかということが、これからの日本の林業の発展、基本政策をつくる原点になるんではなかろうか、こういう気がするのですが、その点のとらえ方はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/25
-
026・藍原義邦
○藍原政府委員 先生御指摘されましたように、林野庁の組織といたしまして、業務部とか指導部とかございまして、国有林担当あるいは民有林担当ございますので、そういう所有権にこだわる行政をしているのではないかという御指摘がございました。私ども、立場立場でそれぞれのことをいたしておりますけれども、決してその所有権にこだわってやっておるわけでございませんで、先生が御指摘されたように、林業というのは、ある意味で流域別にそれぞれ把握し、同じような考え方で対応しなければいけない。そういう意味で、現在森林計画等につきましても、全国の森林計画を一本にして、それぞれの施策について機能別にその目標を定め、対応いたしておりますし、今後とも、私どもとしては、林業についてはその所有権にこだわることなく、その地域地域の実態に合わせた全般の中で、国有林は国有林としての立場からその目的に合って遂行するし、民有林は民有林としてそれぞれその目標に向かって林業を推進し、両方協調された中で、それぞれの地域単位に林業というものが的確に推進されるように努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/26
-
027・柴田健治
○柴田(健)委員 林業が発展しないと、それに関連して森林組合をどんなに育成強化して大型合併をさしてみたところで、これはもう発展しないと私は思うのですが、日本の林業を発展させる方法を、まず目標を決めてから、森林組合のあり方というものをもう一遍中身を検討すべきじゃないか。
私は岡山県ですが、岡山県の真庭郡にいま九つの町村がある。この九つの町村の森林組合を一応施設組合として合併をする。合併した途端にもう毎年赤字が出た。個々の町村ごとの森林組合のときには赤字が出ていなかった。なぜこれだけ赤字が出たのだろう。検討を加えれば、やはり日本の林業がそれだけ衰退をしている、輸入が毎年どんどん上がってくる輸入の増大、それから山に投資をしようとする熱意が森林所有者にだんだんなくなってきている。だから結局、木材の輸入と日本の林業と非常に関連があるし、それから日本の林業政策と森林組合とは非常に関連がある。そういうものを総合的に考えて、どうあるべきかということを林野庁は考えなければならぬのではないでしょうか。造林も毎年だんだん減ってくる。盛んに間伐をしなさい、こう言う。間伐しても、売れるところがない、買ってくれるところがない。どうしたらいいんだ。だから、山をつくってみたところで売るところがない、買ってくれるところがないということになったらどうなるんだ。お先真っ暗ということで見通しがないから、山に対して思い切って財政投資をしようという気持ちがわいてこない。それから数字的に見ても、毎年造林が下がっている。森林組合も毎年赤字を出さなければならない、事業分量が伸びない。そういういまの現状なんですが、それでもなおかつ皆さんは、森林組合を合併さしたらメリットがあって、隆々と発展をして地域の山林がよくなるんだ、森林所有者も山に大きな夢と期待が持てるんだ、こうとらえておる。この点の現状認識というものが少しわれわれと違うのではなかろうか。林野庁長官として、何というか、いまそういういろいろな壁がある、その壁を排除する前に、その壁が何たるものかということをもう少し分析をする必要があるのじゃないかという気がするのです。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/27
-
028・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま先生御指摘になりましたけれども、確かにいま林業にはいろいろな壁がございます。私ども一番考えておりますのは、わが国におきまして木材需給というものが、戦後非常に急速に需要が拡大いたしまして、国産材では非常に間に合わないということから外材に依存する形をとってまいったわけでございますが、昭和三十年代あるいは四十年代の前半等々につきましては、一応その辺のバランスもある程度とれておりましたものが、最近に至りまして、やはり木材の需要傾向が、ある意味で横ばいに近い形で、過去におきます形よりも伸びが小さくなっております。これは住宅の建設戸数等々に大きく支配される面もあるわけでございますけれども、そういう面から、木材そのものが全体として緩和基調にある、こういう大きな変化が生じたというふうにわれわれは理解しております。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
したがいまして、まず一番先に、今後どういう形で木材の需要が発生し、そしてそれにどう供給がこたえるかということ、こういう問題につきまして、私どもといたしましても、早急にその辺の検討をし、さらにきめの細かい需給計画というものを立て、これを中心にいたしまして外材の安定的、計画的な輸入が行えるような方法、そしてなおかつ国産材が安定的に生産できるような方途というものを考えていかなければいけないというふうに考えておりますが、こういうものを基盤にいたしまして、林業というものをやはり安定的なものにしていくということが、先生が御指摘の、山村におきます林業に対する不安感をまずなくす大きなものではなかろうかというように考えております。
そのほかに人の問題もございますし、あるいは立地条件に応じましたそれぞれの地域のいろいろな問題があろうかと私も思いますが、そういう面から、私どもといたしましても、できるだけ早くいろいろなこういう大きな問題とあわせまして、現在の経済情勢の変化に対応したこれからの林業、日本の森林行政というものをどういう方向に持っていくかにつきましては、早急に検討し、対応していきたいというように考えております。
一方、森林組合の合併につきましては、これはたまたまそういう時期とぶつかって、確かに問題も多いというふうにわれわれも理解いたしておるわけでありますが、やはり個々の小さな森林組合でいるよりも、ある意味での広がりを持って森林組合が合併していただくことによりまして、先ほど申し上げましたようないろいろな需要の拡大あるいは基盤の強化という面から対応し、そして森林組合も強化され、なおかつ林業も推進できるという方途を私どもとしても考えておるわけで、それと並行いたしまして、前半に申し上げましたような問題が大きくかぶさっておりますので、この辺につきましては、私どもも十分検討を進めてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/28
-
029・柴田健治
○柴田(健)委員 ちょっと石川部長さんに、あなたは頭のいい人で、計算係だから、予算課長もやったのでよく知っておられると思うのですが、たとえば杉なら杉、ヒノキならヒノキは、植林を終わって、下刈りをして、五カ年間管理をして、四十年間据え置いて、そして伐採期限が来たということで、四十年間で伐採するとして、どのくらい金か——この資金というか、そして金利計算をして、いま公定歩合は年に三回ぐらい下げるんだから、その計算をして、間伐したら、最終的に本当にりっぱな用材として一ヘクタールに何本育って、そして伐採時点でどのくらいで売却されるか、現時点の売買取引でどうなるか。あなたは頭のいい人だから、計算しておられると思うから、ちょっと説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/29
-
030・石川弘
○石川政府委員 私、いまおっしゃいましたことを直ちに計算してお答えできませんので、少し勉強しまして、またお答えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/30
-
031・柴田健治
○柴田(健)委員 私は、林野庁の少なくとも役付、課長、部長、局長に至るまで、杉なら杉、ヒノキならヒノキは、四十年の場合はどれだけの経費がかかる、伐採したらどれだけの収益が上がるということは、常に頭に置いて考えていかないと、森林所有者だけに、あなた、植えなさいよ、苗木では何ぼ補助をしてあげますという程度ではどうにもならぬのじゃないですか。そういう本当のきめの細かいものが皆さんの頭の中に常にあってこそ、大蔵折衝もできるでしょうし、価格政策にしても輸入政策においても真剣に考える。先ほど長官は、いろいろな壁があります。その壁の排除について考慮します。努力しなければならぬと、こう言う。それからもう一つは、山の価値観。公的機能ということで盛んに専門語を使われる。防災上だとか人間の健康であるとか、公的機能という立場でいろいろな名称を使われておる。そういう立場から、日本の森林は、価格指数を掛けていま現在どのくらい資産として評価されておるのか、この点御説明を願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/31
-
032・藍原義邦
○藍原政府委員 昭和四十八年だったと思いますけれども、計算いたしました数字では十二兆八千億という数字が出ておりますが、いまの価額に換算いたしますと二十兆近くになるのじゃなかろうかと思いますけれども、ちょっと正確な計算はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/32
-
033・柴田健治
○柴田(健)委員 いま二十兆円だとか二十五兆円だと言われていますけれども、四十八年に、その時点の評価で十二兆八千億で押さえられた。それだけ貴重な財産として評価されているものについて、国民がどれだけ理解しておるのか。毎年われわれは五十万アールから六十万アール、要するに五千町歩か六千町歩山を焼いているのですよ。林野火災の面から見て、毎年なぜこれだけ焼かなければならないのか。国民の資産として位置づけをして理解してくれておったら、もっと山火事が減っていくべきだ。年々ふえても減りはしない。御承知のように、日本列島は災害の多い列島だ。水害がある、風害がある、雪害がある。そうでなくてもいろいろな災害で立木が傷んでおるわけですね。そこへ山火事だ。山火事は人間が起こすのだから、人間が防いだら起きないわけです。それから資産評価について、二十兆円の山だ、国民がもっとそういう理解をしておれば、山火事はある程度抑えられるのではなかろうか。国民の理解、認識、そういうものを深めるために、林野庁がいままでどういう広報活動、PR活動をしたのか。ただポスターを張る、山火事を防ぎましょうと言う程度では、どうにもならぬのではないか。いままでの反省の上に立って、これからそういう面をどういう方法で国民に理解を求めるか、訴えるかということ、具体的な構想がなければならぬ、こう思うのですが、長官、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/33
-
034・藍原義邦
○藍原政府委員 先生御指摘されましたように、毎年山火事で相当な面積の山が焼けておりますことにつきましては、私どもとしても非常に残念に思っておりますし、これからまた山火事のシーズンに入るわけでございますが、この辺につきましては、消防庁等とも十分連絡をとりながら、山火事の防止には努力をしてまいりたいと考えております。
先生御指摘になりました森林のいろいろな機能についてのPRでございますけれども、私どもといたしましても、一般の市民に対するPRといたしましてテレビ等々を使っていろいろな放送をいたしておりますし、あわせましてただいまも「くらしと森林」というような形で、暮らしにいかに森林が重要であるかということをPRする展示等をそれぞれの都市においてやっております。あるいは緑化週間、毎年やっておりますけれども、この週間にも、それぞれの地域におきまして、それぞれの地域に見合った森林と生活のあり方、つながり、そういうものにつきましてPRをするように努力いたしておりますし、この問題につきましては、今後ともさらに積極的に進めてまいりたいと考えております。
また、一方、これは非常に特殊な例でございますけれども、特定分収契約というものを設けまして、一定の市町村の森林につきまして、その市町村出身者を中心にいたしまして中間で分収する制度を始めまして、こういうことを通じまして、森林と都市の方々、あるいは森林と直接関係のない方々の関心、結びつきというものを深めていきたいという意味から、いま申し上げました特定分収制度というものを設けて、昨年二件対応いたしてやったわけでございますけれども、こういうものを通じまして国民と森林のあり方というものの結びつきにつきましては、今後とも積極的に対応してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/34
-
035・柴田健治
○柴田(健)委員 結局、日本の山に対して国民の目が向いていない、そういう欠陥、防災上から考えてもそうだし、土地の売買の面から見てもいろいろな問題が今日まで提起されている。私は、山に対する認識を林野庁自体から変えなければならぬと思う。そうしないと、国民に訴える迫力が欠けてくる。おざなりでは日本の山は救われない。具体的にどうするのかということをもう少し考える必要がある。たとえば、いまの森林組合を合併したら、すぐ組合が強化され合理化されてという安易な形だけでは、日本の林業は発展しない。林業が発展しないと、何ぼ組合を合併させても組織強化にはならない。関連性があるわけですから、国民の目が日本の山にどう向けられるかということ、それが基本だと私は思うのです。それがない限り、機関中心主義で物を考えて、所有権に重点を置いた山の考え——先ほどの答弁では、それぞれの水系を考えて山の開発、森林計画を立ててやりますと言う。森林計画はもう大分前から立っている。計画は立てられるけれども、本当に中身のある事業実施ということにはつながらないと私は思う。計画は立ててみたけれども、前へ進まない。昭和三十八年に、今日とは多少ねらいが違うけれども、第一期合併を促進してきた。本当にいいものなら、何十年もかけなければ合併ができないというものではない。いいということになれば、林野庁が号令をかけなくても、法律を改正しなくても、みずからどんどんやるのが日本人の美点であります。それが、何回となく期限延長しなければ合併ができない、このもろもろの弱点をいま持っておるのじゃないでしょうか。また期限延長すればそれで事足りる、こういう安易な考えで山に取り組んだのではだめではないかという気がするのですが、長官、どうでしょうか。私の言う意味がわかりますか。わからなければわからぬと言ってもらえば具体的に申し上げますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/35
-
036・藍原義邦
○藍原政府委員 先生先ほど来御説明されましたし、私もその辺は十分理解いたしております。
森林組合の合併につきましても、ただ数が多いからあるいは弱小なのが七百程度あるからこれを合併させればいいのだというだけではなくて、先生がおっしゃいましたような精神を十分くみ取りながら、また、合併してこういうふうな形で森林組合を運営するのだということについては、それぞれの県段階で協議会等を設けまして、その中で十分論議をしてもらい、また中央からもそういうものについて十分その指導方法を徹底いたしまして、それぞれの都道府県なり市町村がいま申し上げましたような形で十分論議を尽くし、そういう意味から、これからの森林組合をよくし、なおかつ日本の林業なり森林をよくする方向で森林組合の合併も推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/36
-
037・柴田健治
○柴田(健)委員 長官は国会答弁の答弁技術だけで逃げてもらっては困るのですね。大体日本の役人というものは答弁技術を身に覚えてどううまく答弁するかということで逃げることばかり考えている。飛び込んでどろんこになってもしかられても、どうしてもやるのだという熱意がないから、いろいろの問題で暗礁に乗り上げるのじゃないでしょうか。私は熱意の問題だと思う。おざなりにしないで、どうしても山をよくするのだという熱意を国民に示すことが一番の基本だと私は思う。いま見ていると、どうも熱意が余り出ていないと思うのだ。都道府県の指導要綱を見ても、市町村に対する指導も森林組合に対する指導も一片の通達文書で事足れりで、みずから林野庁が乗り出して指導しない。ただ会議に出てこいと言えば出る。いかがでございましょうかと言われたら法律の解釈の説明だけして帰ってくる。それでは日本の林業は発展しないと思うのですね。そういう点を、十分認識を変えてもらう。いままでの点が絶対いいと言うのじゃなしに、いろいろな矛盾を反省をしてもらう。その上に立って、この法案を国会にかけて期間を延長する限りは、もう再び期限の延長はいたしません、これでもう一挙に解決します。このくらいの熱意がなければ、どうもわれわれが審議しても、五十八年になったらまた期限延長することにつながるのではなかろうか。もう再びこの期限延長はしないという決意があるかどうか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/37
-
038・藍原義邦
○藍原政府委員 過去に二回、正式の延長とそうでない時期とがございましたけれども、その間の森林組合の合併等を見ておりますと、先ほど私どもが御説明申し上げましたように、確かによくなった組合もございますし、全般的に見れば必ずしも十分でなかった組合もあろうかと思います。そういう意味から、なおかつ現在ございます森林組合をさらに合併させまして、それぞれ強力な森林組合にしようということで私ども今回考えたわけでございまして、この問題につきましては、森林組合なり森林所有者の意見はそれぞれの場で十分承り、また、こちらの考え方につきましても十分御説明をしながら、こういう方向をとることを決めたわけでございます。
したがいまして、私どもの決意といたしましては、今回の五年間の延長を最後として、できるだけ合併促進を進めまして、森林組合がより強力な森林組合になるような努力をする覚悟で、この合併助成法の延長を私どもといたしましても御審議を願うことにしたわけでございますので、われわれの気構えとしても、ただいま先生から御指摘ございましたけれども、十分そういう気構えで私どもも対応することをここで申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/38
-
039・柴田健治
○柴田(健)委員 大臣が見えたから、今度大臣にお尋ねしたいのですが、大臣、いま日本の林業は発展しておるのか、停滞しておるのか、後退しておるのか、どういう認識を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/39
-
040・中川一郎
○中川国務大臣 わが国林業は、国土保全あるいは住宅の大事な木材供給源、環境等々から重要な使命を持ってそれぞれの任務を果たしてまいりましたが、最近における木材価格の動向ないしは住宅資材の需要の縮小、あるいは外圧等も若干関係すると思いますが、国有林を含めてわが国の林業界は非常に厳しい事態にある。そこで、民有林、国有林ともに思い切った手を打って、今後に対処しなければならないというのが現状であろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/40
-
041・柴田健治
○柴田(健)委員 大臣は厳しい情勢という認識のようですが、そういう厳しい情勢をつくり出した最大の原因は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/41
-
042・中川一郎
○中川国務大臣 まあ、一つは、基本的な問題はやはり需給の問題であろうと存じます。そのほか、わが国は高度経済成長ということもありましたし、木材は非常に長期にかかる、こういうところから造林意欲も上がらないといったことが組み合わさって、厳しい事態になっておるものだと存じます。また、この間これに対処する政府の姿勢についても、振り返ってみて十分であったかなと反省もしなければならない点も多々あるのではないか、こう思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/42
-
043・柴田健治
○柴田(健)委員 需給の面だと言われたのですが、山は、御承知のように、教育と同じように育成には相当長期間かかるわけですね。三十年、四十年、五十年、投資しても相当かかる。戦前から戦時中、戦後——戦時中の乱伐、戦後それによって引き起こしたいろいろな災害、それから復興、高度経済政策によって外材をどんどん輸入してくるということで、いままで政府が取り組んできた政策の面を見たら、いつも後手後手だし非常におくれておると私は思うのですよ。需給の問題だけでなくして、山に対する政策そのものが財政投資を含めて非常におくれておる、そういう認識が大臣にないということは、私は非常に残念だ。その点、大臣、ただ需給だけを考えて、当面、高度成長政策だから外材をどんどん入れたんだ、そういう面で国際価格の面から日本の国内産の木材価格がつり合いがとれない、ただそれだけにこだわり過ぎたのでは誤りを犯すんではないか、戦前、戦時中、戦後、この間日本政府が山に対してどういう政策をとってきたかということを十分知っておかないと誤りを犯すんではないか、こう思うのですが、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/43
-
044・中川一郎
○中川国務大臣 先ほども申し上げましたように、直接の動機は需給の問題から出てきたことではありますけれども、背景は、山の長期的な採算その他非常に厳しい問題であるということに対処する政府のやり方も十分ではなかった、こういう反省に立って、今国会は森林国会と言われるぐらい、森林法なり、助成法なり、あるいは国有林野の改善計画なり、それぞれお願いしているのもまさにそういった認識に立ってというより、むしろ反省に立って前向きにお願いをしておる、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/44
-
045・柴田健治
○柴田(健)委員 大臣はなかなか野人型で、山に対してもう少し、官僚的でなしに野人型に取り組んでもらいたいと希望を持っておったんですけれども、官僚の上に乗るとどうも理解できないような発想になるんですね。ただ森林組合は合併すればいいんだ、また林野庁の出先機構をいじったらいいんだとか、そういうただ機構いじりなり組織いじりをするだけで日本の森業が発展すると思うのは、われわれは理解できない。それも必要ならやらなければならないでしょう。けれども、どうもそこだけにこだわる。だから、結局、日本の林業に対する展望というものが、過去のもろもろの矛盾を解明する、反省をする、そういうものがなければ、展望というものは出てこないんじゃないかと思うのです。私はそう思うのですが、大臣、外材がなぜこれだけ輸入がふえるんですか。日本の国内産と外材とを比較して、特に米材ですが、日本の杉の木の強敵は米材ですが、なぜこれだけ外材がふえなければならぬのか。ただ需要があるからやむを得ないのか、価格問題でやむを得ないのか。この外材を使用した場合に、どこがいいのか、特典は何か、その点はどう理解されておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/45
-
046・中川一郎
○中川国務大臣 日本の森林、林業が、外国からの圧力なり輸入なりによって厳しい事態の側面を迎えていることも事実でございます。この場合、農産物も同じでございますが、私は、外国の圧力というよりは、むしろ消費者といいますか、大衆の安くていいものが欲しいという声を無視することはできないという点もありますので、やはり外国だけの圧力というのじゃなくて、やはり日本の木材業界も、外国に比べて、国民大衆にこたえるものもなければならぬのではないか。そういう意味で、やはり日本の林業というものの足腰を強くして、国民の要望にこたえるように対処する。そして、それを十分賄い得ないものはやはり外材に仰いで、そして国民の期待にこたえていくというのが基本でなければならぬと思います。
そこで、外国から入ってまいりますものについても、そう何でもかんでも入れるというのではなくて、カナダやアメリカあるいはニュージーランド等とも、そういった点も配慮しながら、なかなか苦労しながら調整を図っておるところでありますし、今後ともそういった面については十分調整を図って、外国から入ってきたことによってたちまち国内産がやられる、こういうような仕組みではこれまた長期的に国民の期待にこたえられませんので、国内の林業、製材業等の足腰を強くしつつ外国との関係に対処してまいりたい、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/46
-
047・柴田健治
○柴田(健)委員 どうも私が質問申し上げたのは答弁できないのですね。具体的に、大臣、お尋ねします。
外材で木造住宅を建てたら、耐用年数どのくらいもつと思いますか。日本の国内産の杉、ヒノキを使ったら、何年耐用年数があるか。大臣、その点どう認識されておりますか、説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/47
-
048・藍原義邦
○藍原政府委員 私からまずお答えしておきたいと思いますけれども、いま先生おっしゃったように、外材だったらどのくらいもつかということにつきましては、まだ外材を入れまして家を建てまして十年から十五年ぐらいでございまして、その辺の実験についてははっきりしたデータは現在私どもも把握いたしておりません。ただ一般的には、外材より国産材の方が、たとえばヒバであれば非常に耐水性がすぐれておりますし、そのために耐久力もあるし、長くもつ、腐れに対して強いとか、ヒノキにつきましては強度も大きいというようなデータが出ておりますけれども、家全体を建てた場合にどうなるかということにつきましては、非常に申しわけございませんけれども、いまのところまだデータは出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/48
-
049・柴田健治
○柴田(健)委員 日本の林業を推進し守るためには、外材と日本用材との質なり耐久力なりそういうものをちゃんと調べておいて価格問題を論議しないと、ただ木材という名前だけで国際価格がどうだということだけにこだわっていくと、そこに外材は——一番当初政府か考えたのは、補完的役割りをさせるのが輸入政策だ、こう言った。いま補完じゃない。いま主たる、もう六五%を超している。輸入の方が多い。国産材の方が補完的になっている。世界第二位の林野面積を持っておる日本が、人口一億そこそこでこれだけ外国から木材を入れている国はよその国にないと言われるぐらい、もうむちゃくちゃに入れているのですね。われわれから言えばむちゃくちゃだ。あなたから言えば当然かもしらぬ。要するに価値観の問題だと思う。
われわれが研究した結果を申し上げると、外材の住宅と、日本用材の住宅は五倍違う。外材の方は耐用年数二十年でがたがくる。日本用材なら百年もつ。五倍違う。これだけの質と耐久力が違う日本の国内産を、外材と同じような価格で位置づけをしようとするところに問題があるのではなかろうか。いいものは相場が高いと考えなければならないのじゃないでしょうか。
私は消防をやっているからよくわかるのですが、外材で住宅を建てて、それに火がついたら、このくらいよく燃えて——消えないし、そして焼け死ぬ。われわれはいつも言うんです。早く焼け死にたかったら外材で家を建てろ、ゴキブリが好きなら早う外材で建てろと。そういう価値観が違う。そういうところをよく研究して、日本の国内産の優秀性というものを、自分らが日本人である限りは知っておかなければならない。われわれは、日本の民族が育ててくれた、守ってくれた山を、これからどう守り育てて発展させていくかということを考えておるわけです。ただ資本の論理で、損か得かで——ただ、外材でいいところはどこであるか。節がないから仕事がしやすい。大工さんが喜ぶ。そしてできた時点で美しく見える、きれいに見える。美観論です。外材でやる場合、仕事がしやすい、美観論だけです。それからもう二年ぐらいたったら柱が黒くなっちゃう、もう美観論消えちゃう。日本の用材は、初めは汚いけれどもだんだん光沢が出る。そういう価値が違うのに、外材を入れれば、その方が安く上がる、美しいという舶来主義ですね。そういう点の外材と日本用材との違いを、いやしくも林野庁は、まして農林大臣は、この点は十分知ってもらいたい。
それから、たとえば住宅ローン。プレハブや外材なら十八年の現行制度でよろしい。日本用材で建てる場合は、三十五年ないし四十年の償還年限の住宅ローンの制度をつくってやる。このぐらいで外材なら坪二十万だ。日本用材なら坪単価が十万や十五万高くついても、外材より五倍も耐用年数が延びるのだ、そのぐらいな指導があってしかるべき。制度的にもそういう差をつけるべきじゃないか、こういう気がするのですが、大臣どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/49
-
050・中川一郎
○中川国務大臣 わが国では、木材のみならず米などでもそうでございますが、日本古来固有の物の価値という、物の見方が戦後少し失われ過ぎておるのではないか。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
畳にしても、着物にしても、建物にしても、ベッドにしても、やはり日本には日本のいいところがあり、特に日本の杉なんというのはこれは大変にりっぱなものだと思うのです。そういう点の価値観を忘れて、何でも外国の安いもの、食糧も着物も住まいもと、衣食住どうもそうなった感じがいたします。御指摘のとおりだと存じます。
そこで、そういった点に着目をして、日本住宅・木材技術センターですか、ここにおいてもそういった日本の国産材の価値というものを見直す、こういうようなことも研究をしていくことになっております。それらを通じて、今後、国産材を使った場合に融資枠をふやすとか、延長ができるか、そこまでいけるかどうかは別として、そういった観点から日本の木材というものを見直すということには最大の努力をしてみたいものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/50
-
051・柴田健治
○柴田(健)委員 いずれまた、ほかの、米の生産調整のときでも申し上げようと思っておるのですけれども、たとえば今度も、文部省にしても大蔵省にしても、いろいろ日本の国内資源に対して認識を変えないと、余談になりますけれども、いま学校給食で、弁当持参をやらせる、こう言ったら、いま学校給食法で栄養士を各学校に派遣しておる、この栄養士がパンを基軸にした栄養士だから、米食なら栄養士を引き上げるというのが文部省の方針ですね。米を食わしたら、米を基準の栄養士じゃない、パンを食わせることが基準だ、こう言う。これは一例なんですね。だから、木材でも、もう少し民族的な意識に立ってとらえていくというそういう考えでないと、本当の日本の林業というものは発展しないのじゃないですか。それからもう一つは、いまの現行制度、たとえば国有林、公有林、民有林、その中で保安林制度がある。この保安林制度の保安林指定をしておる山をどう指導するのか。いろいろ保安林の名称があるわけですが、これを改善するのかどうか、いま現状のままでおいておくのか。
今度は森林組合法、いずれまた森林組合法の時期に論戦しなければならぬと思うのですけれども、要するに、森林所有者の中で、正直言ってばらばらだ。それから、森林を持っているから、社会的責任を持って山に投資して、いろいろ公益的機能を十分発揮さしていこうという、同じ山持ちであっても熱意のある者と熱意のない者がある。ただ山を持っておる、林地を持っておるというだけ。その林地が保安林だ。指定を受けておる。切ることも何もできないのだというように、もう投げてしまっておる。自分の山ではあるが、まあ保安林指定を受けたら税金がかからぬ、税金がかからぬのだからほっておけばいいわという、そういう個々の山の実態、そして所有権の所有者の考え方がばらばら、そういう中で森林組合を強化育成をすると言ったって、組合員自体がばらばらの状態でいい組合になるかどうか、大臣どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/51
-
052・中川一郎
○中川国務大臣 これまた御指摘のとおりでございまして、森林所有者の考え方が違う、あるいは保安林に対する見直し等が十分でない等々、やらなければならないことがたくさんあるとは思いますが、だからといって、全部の森林組合がだめなのであり、森林業者がだめだと決めつけるわけにもいかぬのではないか。やはり合併をしてしっかりしたものにしていきたいという組合のあることもあるいは組合員のいることも事実でございますので、これをやったからといって、全部山の問題が解決するとは言えませんけれども、やはり一歩でも五歩でも十歩でも前進することには役立つのではないかということで、合併助成法の延長をお願いしておるところでございまして、われわれも、御指摘のとおり、森林組合員相互の物の考え方あるいは森林の持ついろいろな問題点等を踏まえて、一つ一つ解決していかなければなりませんが、助成法は助成法として一つの意義を持ったものだ、ぜひとも御理解をいただきたいものだと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/52
-
053・柴田健治
○柴田(健)委員 答弁漏れがあるよ、保安林制度をどうするのかということ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/53
-
054・藍原義邦
○藍原政府委員 保安林制度につきましては、先生御指摘のように、確かに保安林の種類というのはたくさんございます。私どもは、やはり考え方としては、水源涵養に必要なもの、あるいは国土保全に必要なもの、さらには環境保全として必要なもの、大きく分ければこういう形になろうかと思います。それぞれに従いましてただいま保安林の整備も図っております。そういう考え方で、今後日本の保安林につきましては、きちんとした整備をしていきたいというふうに思っておりますし、さらにまた、先ほど御説明申し上げました森林計画の中でも、森林の機能別の整備の目標というものを定めまして、そういう中で、それぞれの森林の機能に合った整備の目標によって、それぞれの地域に合った森林の育てあるいは管理経営というものを今後とも進めていきたいというふうに考えておりますし、保安林の種類が非常に多いというような問題については、私どもとしても今後検討すべき問題であろうと認識いたしておりますが、保安林に対するそれぞれの森林所有者の認識等につきましては、今後とも、十分私ども指導してまいりまして、その認識が一致しますように徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/54
-
055・柴田健治
○柴田(健)委員 長官、御承知のようにこの造林事業が毎年減ってきておるのですが、これは理由は何かね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/55
-
056・藍原義邦
○藍原政府委員 造林面積が年々減っております理由にはいろいろあろうと思いますけれども、まず第一点といたしまして、ただいま造林につきましては、国で定めました造林の一応全国的な目標、おおよそ約千三百万ヘクタールほどございますけれども、それに対しまして大体九百万ヘクタール前後のものができ上がりまして、七〇%近い目標を達しております。したがいまして、あと三〇%、その辺につきますと、やはり非常にまだ基盤が整備されていないとか、あるいは山村で労働力が少ないとか、いろいろな問題があろうと思いますけれども、さらに大きな問題としては、ただいま、御存じのように拡大造林をするためにいま山に生えております木を切らなければいけない、その伐採された広葉樹の小径木等々がパルプ材等になかなか売りにくい、そういう問題から、前生木を切れない、したがって造林ができないという問題も、非常に強い因子になっているのではなかろうかと思いますが、いま申し上げましたようなそういうような問題、あるいは労働力の不足の問題、さらには基盤整備の不足の問題等々ございまして、私どもといたしましても、積極的にそれらの問題を解決し、所期の目的が達成できるような造林を推進していきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/56
-
057・柴田健治
○柴田(健)委員 大臣、これから山にどれだけ労働力を吸収するか、就業させるかということを雇用問題から考えなければならないのですが、若年労働力が非常に少ないのですが、これからどうしたらこの若年労働力が山に就労してくれるのか、何か大臣として新しい構想があれば聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/57
-
058・中川一郎
○中川国務大臣 これは農業でもそうでございますが、若年労働者がつかないというのは、やはり魅力がないからだということに基本的な原因があることに思いをいたさなければならないと思います。農業でもやはり魅力があることにし、そしてその上に担い手対策、後継者対策等々の施策があわせて行われるべきである。林業においても、そういった考え方に立って、やはり魅力のある、しかも生きがいといいますか、誇りを持つ職業であるというふうに位置づけをするように努力をすると同時に、また、担い手対策等についても措置をしてまいりたい、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/58
-
059・柴田健治
○柴田(健)委員 やはり山に魅力がないのはあなたも十分認識しておられるようですが、魅力を持つような林業政策がないということじゃないですかね。この辺でひとつ思い切って政策転換をする、そういう気持ちを持っていただいて、たとえば山で働く労働者の皆さんを職能的にどう位置づけをするか、これも社会的に位置づけを明確にしてやる。ただ山林労働者だとか山林労務者というのじゃなくして、半ば技能労働者として位置づけをしてやる、こういう人の使い方の面からもう少し考えてやったらどうか。私は、政治家は皆、国民生活安定とよく言われる。国民生活安定には、やはり雇用の安定、所得の安定、物価の安定、この三つを取り組んで解決しない限り、国民生活を安定させたとは言えない。それと同じように、林業を発展させていくためには、やはり人の問題を考えなければならない。そして所得の問題なり、山の価値観、木材の価値観はもちろんでありますが、山全体の価値観をもっと国民に知らしていく、認識してもらう、こういう方法をとらなければ、どんなに法を一部いじくってみたところで、いいものにはならぬのではないか、こういう気がするのですが、大臣、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/59
-
060・中川一郎
○中川国務大臣 全くそのとおりだと存じます。ただ、われわれ振り返ってみて、わが国の第一次産業というものが、林業のみならず、漁業も農業も魅力のないものといいますか、若手の人が残らなかった。これはわが国の高度経済成長という特殊な時期、まあ言ってみれば、だれでも大学に入れて、大学に入った人だれでもが就職できて、安易に金が得られるという時代が一時期相当長く続いた。そのために、若い人はだれもが大学に入ることを希望し、サラリーマンになることに奔走した。そのことで農村、漁村、林業から人が離れたのだろう、こう思うのでございます。しかし安定成長になって、また社会はだんだんと、そういったものよりはむしろやはり落ちついた職業ということで、農業でもUターン現象が起きつつある。同じように、林業でもそのように落ちついた状況が出てくるのではなかろうか。そういう時期でもありますので、もろもろの魅力ある産業としての位置づけについて、これからも最善の努力をしてみたいな、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/60
-
061・柴田健治
○柴田(健)委員 この法案そのものは簡単なものですからね。合併しなさい、税制上の優遇をしてあげましょう、こういうことだから、簡単なんだが、しかし、山というものはそう簡単ではない。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
それだけに、基本的なものを持っておらないと、長期にわたる問題であるだけに、国民の皆さんに、ただ山を持っている所有者だけに訴えるのではなくして、私たちは、所有権はどうあろうとも、所有者はどうであろうとも、山は日本の国民の財産だ、まずこういう位置づけをすべきではないか。ただ国有林だけが国民の財産だ、こういうのではなくして、山全体を国民の財産として位置づけをする、その方法を大臣は考えるべきではなかろうか。どうでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/61
-
062・中川一郎
○中川国務大臣 国有林が林野庁のものであったり政府のものであったりするだけではないのと同じように、一般民有林も、森林所有者だけの所有のものではなくして、国土の保全、環境の保全等々公益的機能というものは非常に大きいわけでございまして、政治とは水なり山なり治めるをもって政治とするというぐらい、いつの時代になっても山というもの、国土というもの、環境というものを守っていくということは国策の中心でなければならない、そういうつもりで取り組んではおりますけれども、まだ、何分にも長い間の歴史を経て今日になった山でございますので、一朝一夕にはまいりませんけれども、今後もひとつ御指導をいただきながら、そういった基本的な認識に立って対処をしていきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/62
-
063・柴田健治
○柴田(健)委員 われわれ平素から考えているのですが、先ほど長官は、水系的に山をとらえて森林計画を立てるということを言われたのですが、水系という言葉を使う限りは、水の権利というものを林野庁が握るかどうかがこれから大きな問題だと私は思う。いま建設省が握っておる。せめて、河川の流域の中で中流から上流は、林野庁が水利権、要するに水の権利を握る、中流から下流は建設省が握る、そういう分割所管を考えたらどうか。そうしないと、公益的機能ということで林野庁がどんなに叫んでみたところで、水資源の問題から言うとほとんど建設省が握っておる。本当の苦労をしておるのは農林省の林野庁だ。どうも一貫性がないような気がする。この点、大臣、一つの問題として取り上げて検討を加えるときが来たのではなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/63
-
064・中川一郎
○中川国務大臣 柴田委員御承知のように、川には二つの使命というものがあると思います。一つは、利用する方法、農業の利用だとかあるいは工業用水の利用等々、利用面が非常に大きいわけであります。同時にまた、これを治めなければならない。治水をいたしませんと、害となって国民に被害を与える。したがって、治水と利水とが合わせられて川の行政というものがあるべきだ。その中の林野との関係では、治水の受け持つ機能ということが大事な要素だろうと存じます。そういう意味で、水利権まで持つのがいいかどうかは別としても、川との結びつきにおいて、治山、そして山のあり方というものについて、もっと頭を使うべきだという感じがいたしますが、水利権そのものを全部山が管轄するかどうかについては、利水の面と治水の面と総合的に見た場合、果たしていかなるあり方がいいのかということについては、勉強させていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/64
-
065・柴田健治
○柴田(健)委員 これは早急に治水、利水という面でいろいろ検討を加えなければならぬと思うのですが、林野庁が上流の治水区域については権限を持っておらないと、全体計画の中で、森林計画の中でどういう形で水を確保して国民生活に貢献していくか。建設省に行って聞いてみると、山の方は農林省にお任せするので、こっちは水の権利だけ握っているのです。こういう考えですね。建設省は、権利だけ握っていて、住民に対する理解を深めるということはできないですね。山があるために水が使えるのですよという宣伝を建設省は一切しない。それから、受益者の皆さんに、たとえばダムをつくろうとして、水を使わせてもらえるのだ、受益者は少しは負担しなさいよと言ったって、水は国民のものだからそんな負担をする必要はないじゃないか、こうなるのですね。山にどれだけ投資しておるかということが建設省ではわからない。だから、受益者である国民の方にも、飲料用水、工業用水の面で、水のありがたみが全然宣伝できない、PRができない。その弱さを持っておる。だから山が国民のものになってこない。山があってこそ水が飲料用水、工業用水、農業用水として利用できるのだ、こういう水を使う人々の気持ちというものが山に向かないところに欠陥が出ておる、こういう気がするから、早急にこの問題は検討して、山を国民のものにするためには、水の価値から結びつけて考え方を変えてもらう、そういう方法を考えるべきではなかろうかと私は思っておるから大臣にお尋ねしたのです。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/65
-
066・中川一郎
○中川国務大臣 建設省が持つ機能は利水、治水両方でございますが、山の治水に働く効果というものは非常に大きい。その辺のところは国民にももっと認識していただかなければなりませんし、今後、行政の上でも、その辺の関連、位置づけそして効用というものについて認識してもらうように努力していく必要があろうと存じます。従来は、水系別に水源涵養林としての保安林というもので役立ってきたわけでございますが、保安林のみならず、森林というものが全体として治水に大きな影響を与えているという認識に立って、その問題とも取り組んでみたい、こう思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/66
-
067・柴田健治
○柴田(健)委員 時間が参りましたから……。
外材の輸入についていろいろ物議を醸しておることも事実でありますが、御承知のように先般永大産業が倒産した。一部では擬装倒産だと言われておるし、永大産業の倒産についてはいろいろ見方があるわけでありますけれども、倒産したことには間違いないけれども、倒産後フル運転もやっておる、つぶれるのは二カ所だけだ、こういう意見もあるようですが、今度の再建計画について、御承知のように日本合板工業組合連合会という、それぞれの合板企業が参加してつくっている連合会がある。この連合会が、永大産業が会社再建について会社更生法の適用申請を出すのを妨害するというような事態が起きておる。われわれはちょっと不思議に思うのですね。工業組合連合会は同業者が入って組織をつくっている。その同業者をつぶそうとする連合会。どうも奇異な感じがするのですが、なぜこんなことが起きるのだろうか、外部の圧力でそんなことをしておるのだろうか。その圧力は林野庁がかけておるのだ、こういう意見があるのですが、まさか林野庁はそういうむちゃくちゃな圧力はかけていまい。常識で考えてあり得ない、こう思うのですが、こういう点について、林野庁の見解、もしくは事実合板工業組合連合会がそういう動きをしておるとするならば、どういう方法でやめさせるのか、考え方があれば長官から聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/67
-
068・藍原義邦
○藍原政府委員 現在まで私どもの調べたところによりますと、いま先生が御指摘のような動きをしているというふうにはわれわれも把握いたしておりませんけれども、もしそういうような動きがあれば、それにつきまして、われわれとしても十分注意をしなければいけないと考えております。
ただ、先生御存じのように、合板業界につきましては、現在非常に不況になっておりまして、不況産業の業種指定もしておりますし、さらには構造改善事業によりまして、それぞれの構造改善をすると同時に、カルテルをいたしまして生産調整をやっておるわけでございます。それから、機械設備の問題につきましても、今後調整をしようということで、五十二年の予算によりまして国からもそれに対する対応をし、設備の一部調整をするということをそれぞれ全体の組合員の合意のもとにその方向に走っておりますので、今回の永大産業の倒産につきましても、当然永大産業もそれと歩調を合わせて全体の調整の中には入るという問題はあろうかと思いますが、いま先生が御指摘のような、永大産業がつぶれたらいいというような方向で動いていることはないと私は考えております。また、林野庁もそういう指導はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/68
-
069・柴田健治
○柴田(健)委員 百五十六の企業が加わってつくった連合会ですから、まさか人が死のうか生きようかするときにけ散らかして殺してしまえというようなことは常識では考えられないから、一種の中傷であり、デマであり、悪口だろうと思うのですが、万が一そういうことがあったら困る。いままで林野庁も、不況カルテルを合板についてはいろいろと指導してきて、生産調整もやる、その調整に合わせて設備の改廃というものを指導してきたのですから、林野庁としても、企業がつぶれるということは残念なことだ。われわれもそう思う。しかし、これだけ不況が来れば弱いところにしわ寄せが来るのは間違いないのですから、それをどう救うかということを林野庁も考えてやらなければならぬ。そうしないと、木材全般、関連企業を含めて、林野庁もある程度指導助言をする機関であるから誤りのないようにしてもらいたい。こういう心配があるのでお願いをしておきたい。
そういうことがないというふうにわれわれは受けとめてよろしいですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/69
-
070・藍原義邦
○藍原政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもとしては合板業界全体が調和の中に発展することを望んでおりますし、いま先生から御指摘がありましたようなことは私どもとしても考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/70
-
071・柴田健治
○柴田(健)委員 それから長官、山の資源をどう高度に活用するかも考えなければならぬ。いま木炭まで輸入するのはどういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/71
-
072・藍原義邦
○藍原政府委員 木炭については、先生十分御存じだと思いますが、燃料の革命と申しますか、エネルギーに対するあり方がすっかり変わりまして、まきなり木炭は、一部の工業その他あるいは特殊な用途として用いられておりますけれども、国民生活全般としてはほとんど使われなくなったということで、木炭の需要が急激に減ったことから、木炭の生産がきわめて少なくなった状況になっております。それに対しまして、ある意味での必要な業種につきましては、木炭を使用しているものもございますので、そういうものについては輸入されるということでございます。
木炭の輸入をさらになくする方向で今後日本の中で木炭を生産していくかどうかということは、これからの林業全体のあり方の中で検討していかなければならない問題かとわれわれは把握しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/72
-
073・柴田健治
○柴田(健)委員 木炭の輸入を見て、われわれは不思議に思うのです。薪炭林として日本の山はある程度重要な役割りを果たしてきた。しかし、燃料革命で要らぬようになった。しかし、工業用に使うとか家庭用に使うとかいろいろな面で、使用の数量は少ないけれども、日本の農民、林家に木炭の生産をさせてもいいじゃないか、特殊林産物の奨励ということもあり得ることですから。やらなければならぬ、これからやるわけですから、そういうことから、山の高度利用、ただ建築資材だけでなしに、もっとほかの活用をして、所得の増大を図る。それから日本の国民一人当たりの山の面積は〇・二%で、少ない面積ではある。しかし、少ない面積でどれだけ経済効果を高めていくか、効率化していくか。正直に言うて、山から収益を上げている収益率からいくと非常に低い。その低いものをどう高めるかも一方では考えなければならぬ。それも一方のビジョンとして打ち出すときが来たのではないか。
特殊林産物を今後どういう方法で林野庁は活用するか。現在、クリ、シイタケをつくるとか、原野と言われているところはワラビやゼンマイの生産とかいろいろやっています。要するに、加工食料品として山を活用する方法。飼料関係の問題もあるでしょう。山の活用というものは範囲が広いし、もっと総合的に専門的に研究していかなければならないのではないだろうか。専門的に研究するといっても、ただ林業試験場でどうするとかそれぞれの地域の都道府県に試験研究機関があるからそこで研究させるのも一つの方法であろうが、林野庁において今後そういう面を具体的にどういうふうに政策的に進めていこうとするのか、考え方があれば説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/73
-
074・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま先生から特用林産物についての御指摘がございましたが、私ども、先ほど申し上げましたように、戦後造林を推進いたしまして、すでに目標の約七割近い造林地ができ上がり、また地域によりましては植えつけから下刈りあるいは除伐等々、間伐も一部進み、これからのいろいろな仕事の面等々合わせますと、今後山村にこの特用林産物を振興させることがこれからの農山村の林業振興につながるというふうにわれわれ理解いたしております。
したがいまして、五十三年度林野庁に特用林産の対策室を設けまして、特用林産について積極的に推進をすることを現在考えております。これからの農山村については、たとえばいま御指摘がございましたようなシイタケのほだ木のための広葉樹の造林、あるいは漆その他いろいろな林産物がございます。そういうものを林業とあわせて推進していくこと、これがこれからの農山村の現金収入の面で非常に大きなウエートを占める産業であろうと考えておりまして、今後とも、この方面につきまして林野庁としても積極的に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/74
-
075・柴田健治
○柴田(健)委員 ことしの林業予算を見て、公共事業と非公共事業、これは国の予算規模から見てわれわれは少ないという気がするのですが、農林大臣の立場から言うと、公共事業と非公共事業を合わせて、国の全体の予算規模から言うて本当に適正な予算額か、まだ少ないと思われるか多いと思われるか、まず御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/75
-
076・中川一郎
○中川国務大臣 ことしの農林水産予算は、全体的に見てかなりよくなっておるのではないか。林業においても、国有林の改善のみならず造林、林道等大幅に伸びておりますし、中身も、ことし一年でよくなりませんけれども、質においてもかなり前向きになったものだと思っておりますが、何分にも限られた予算であり、また、林業は特に長期的に施策をしてまいらなければなりませんから、満点とは言いませんが、まあまあ姿勢としてはいいところかなと思って案をつくらせていただいたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/76
-
077・柴田健治
○柴田(健)委員 大臣はそういう答弁をして逃げる。大臣みずから組んだ予算を少ないとも言えないだろう、こういう気持ちでお尋ねしたのですが、尋ねる方がどうかしているかもしれない。けれども、腹の内ではちょっと少ないなという気がしているのではなかろうかと思うのです。答弁ではなかなか少ないとは言えないだろうから仕方がないにしても。
公共事業の方は多少は伸びておる。非公共の方がもう少し考える点がありはしないか。たとえば、山を荒廃させておるいま最大の敵は何か、マツクイムシじゃないですか。このマツクイムシの予算を見ても、この予算では防ぎ切れない。これはもう倍組むべきじゃないか。五十一億で、これで事足れりというのは大臣としては少し勉強不足。現実離れがしている。大臣に言わせれば、社会党は理屈は言うけれども常に現実離れだということだろうけれども、山の関係に対して予算額を見ると、特にマツクイムシについては現実離れの予算である。これじゃ防ぎ切れないという気がわれわれはするのですが、これでいけなかったら補正でも組むのだ、それくらいの熱意があるかどうか聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/77
-
078・中川一郎
○中川国務大臣 ことしの予算の特徴は、公共事業と公債費関係が相当ふえたことでございます。これとららはらに、非公共はなるべく圧縮するようにという中で、林業関係は非公共もほかのものに比べましてかなり伸びたのではないか、こう見ております。
それと、森林病害虫の予算もたしか二六%の増でございます。したがって、御不満ではありましょうが、マツクイムシ等についてもかなり積極的にやったつもりではございます。しかし、マツクイムシは非常な森林の敵でございますから、これは徹底的にやるという方向で、ことしの予算の範囲内で執行よろしきを得て年次別に処理をしていきたい。いま予算を組んだ段階で補正予算なんて言いますと、国会のおしかりもこうむりますから、いまのところはいまが一番いい予算であるということで御了承をいただきたいものと存じますが、マツクイムシに対する姿勢については、柴田委員同様の考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/78
-
079・柴田健治
○柴田(健)委員 防除、駆除ということも大事だが、跡地対策はどうするのかという問題があるんですね。そう一朝一夕に跡地がすぐ解決するとは思いませんけれども、跡地対策のこの処理の方法、山の再生の方法をもう少し予算化すべきではなかろうかという気がするのですが、それも余りないようである、こういう気がします。
それから、先ほど大臣が来ぬ間にちょっとお尋ねしたのですが、いま山の手入れ、これから日本の山をつくらなければならぬ。つくる林といえば造林ですね。植林も造林の一部門ですが、山をつくるという場合に、当面大臣として何と何をしたらいいのか。植林も造林の一部である。植えるのもよいが、しかし掃除もしなければならぬ。掃除の中には間伐もある。いろいろ山をつくっていくという段階に入った、そういう前提に立って考えた場合には、山のつくり方というものをこの辺で出さなければならぬのじゃないかと思うのです。それから、ただ農林省だけがこうするのではなしに、県も市町村も、これから日本の山をつくっていくんだ、造林の段階に入った、具体的にはこういう方法で今後五年なり十年の間やっていくんだ、こういうものがなければならぬと思うのです。それでまた、当面何をすべきか。地方公共団体にどういう指導をする、どういう任務を持たしていくか。ただ森林組合を合併させる、それだけで、先ほどたびたび申し上げたように、山がよくなるとは思えないのです。
中川農林大臣にはみんな大きな期待を持っているんですよ。これできなかったら、中川農林大臣もだめだな、こういう評価をされるんだから、一般農家の中で、米の政策やら減反政策やらであなたは相場を下げているんだから、山だけでもこの相場を上げるくらいの強い熱意がなければと思うが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/79
-
080・中川一郎
○中川国務大臣 私は山については余り専門家でありませんが、造林の中での植林、そしてそれよりはむしろ育林といいますか、除間伐が造林をする上において非常にネックになっておるということを聞いておりまして、ここ数年来、二、三年か四、五年になりますか、そういうものに手当てをするという仕組みをつくってまいりまして、今後もこの仕組みを相当強化して、そして造林の実効を上げたいものだなと、造林、植林についてはそういった方向を目玉としていい山をつくっていきたい、こう思っております。これだけで事足りないということもありましょうが、要は、その点であり、それに基盤であります林道あるいは間伐林道なんていう仕組みもつくったりしまして、林道網をきめ細かく、現地に合ったように整備する、こういった二本立てが、まだまだたくさんありますけれども、基本的な柱だ、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/80
-
081・柴田健治
○柴田(健)委員 恒例的な答弁なんですね。山にもっと力を入れると言うたら、林道をつくる——それなら大臣、林道法をつくったらどうですか。道路法に対応するような林道法をつくったらどうですか。つくる意思ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/81
-
082・中川一郎
○中川国務大臣 林道法をつくりませんでも、大規模林道なんという制度もつくりまして、実は補助率が低いという強い要請もありまして、せっかくいい制度をつくってくれたけれども、補助率が悪いのでということだったのですが、大蔵省も、補助率の改定は例外を認めません、断じてこれは認められないという中に、補助率そのものではありませんけれども、地元の負担が軽減できるような仕組みというものを考えてこれに対処する。これに象徴されますように、林道については、法律はつくっておりませんけれども、実行の段階では相当前向きにやっておるものだと思っておりますし、まだまだ不十分でございますから合格点はないと思いますが、法律によらなければできないという仕組みではなくして、実行の段階で実現を図って山の改善に役立たしめたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/82
-
083・柴田健治
○柴田(健)委員 林道法をつくりなさい、こう私が申し上げた理由は、いま林道の維持、管理という面、それは国営で林業圏の中へ大規模林道をつけてやるのだ。いままでは奥地開発林道だなんて言って面積に合わしてやってきたですが、林道を維持、管理する面から見ると、ほかの道路よりか年間の管理費が非常に高くつく。それから林道は、豪雨を受けたり、雪害を受けたりして破損をする率がほかの道路より高い。それから維持、管理、保守、修繕ということについては相当金がかかる。だから、いまの交付税の制度から言うたら、国の法律に基づいたものは、基準財政需要額、メートルについて単価が決められておる。林道だけは半額です。半額しか認めない。維持、管理費はほかの道路より高くつく、倍くらいかかる。基準財政需要額からいうと半額で抑えられる。こういう矛盾があるから、林道法をつくって地方公共団体の基準財政需要額の中で適正に管理費を認めさせていく、交付税の中に認めさせていく。そういうことをしてやることが、林道を維持、管理する市町村なり地域の住民に対する思いやりではなかろうか、こういう考え方で御質問申し上げたのです。その点、平素の林道をつくるならいろいろ補助を出したり融資を出している、それで結構じゃないか、こう言われますが、後の維持、管理はほかの道路よりたくさん経費が市町村にかかっておる。それをほかの道路と同じように肩を並べさせてやる適切なる農林省の指導が必要ではないかと申し上げている。大臣、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/83
-
084・中川一郎
○中川国務大臣 林道の維持、補修についての御配慮でございますが、確かにそういう点大事だと思います。これは、私いまどうするこうする、法律をつくらなければできないかどうかという判断はつけかねますが、私の考えているところでは、他との振り合い、農道あるいは漁村道路、そういったものや市町村道との兼ね合い等々いろいろあるのだと思いますが、林野庁としてはなるべく早く道道なり市町村道なりに移管をして公益的機能を持たせて、それなりの維持、補修に対する自治省の助成というようなことが得られる仕組みにしておるようでございますが、せっかくの御指摘でございますから、私もう少し勉強させていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/84
-
085・柴田健治
○柴田(健)委員 市町村道は交付税の率はちゃんと決まっておる。それから、農道の方はわりあい平素の維持管理が要らないのですよ。林道が維持管理、補修が一番高くかかる。どちらかといえば傾斜地帯、急傾斜地帯が多い、それだけ雪害なり集中豪雨とかで路面また路肩が壊れる率が高い。大変なんですよ。ところが、交付税の中の基準財政需要額が非常に低く、半額に抑えられている。せめて市町村道ぐらいな率にしてやらないと不公平ではないか、これは市町村の強い要望ですよ。いまごろ大臣が勉強すると言って、あなた、大臣になるまで何期国会議員をせられておるか知らぬが、もう少し山の問題について勉強しておいた方がいいような気がするのです。やはり国の方針から言うと、自治省は、道路法適用に準ずるような制度がなければならぬ、法的措置がないと採択するわけにいかない、こう言う。それから、制度をつくらなければ何とか高度の大臣折衝でまた長官折衝で——そういうので決まるものではない。それをあなたの強引な強さで自治大臣にのまして、勝手に鉛筆の先をねぶって細工ができるようなら、それはもう敬服しますが、それができない。その点は十分勉強していただくと同時に、検討、善処してもらいたい。これはもう早急に解決してもらいたい。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/85
-
086・中川一郎
○中川国務大臣 そういう御要望も強いために、公益性の強いものはなるべく市町村道に移管をする、こういう仕組みで対処するようにもなっており、努力もしておるようでございますが、せっかくの御指摘でもございますので、全体的に勉強させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/86
-
087・柴田健治
○柴田(健)委員 まあ補助をもらってつくった道路を勝手に移管することができない、そこは補助金適正化法にひっかかる。それから、日本の法律は複雑だからいろいろ関連がありますから、まあよく勉強してもらいたい、こう思います。
あなた、いま山をつくるのに、間伐しなさい、こう言う。間伐した用材が売れないし買ってくれるところがない、こういう実態なんですが、これは売れる方法はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/87
-
088・藍原義邦
○藍原政府委員 間伐材につきましては、確かに先生おっしゃるように、昔は構造材なりあるいはいろいろな工作物用として足場丸太等々非常に利用されておったわけでございますが、最近その利用が少なくなり、代替物ができております。そのために、せっかく間伐してもなかなか利用できないという問題もございます。
そこで、われわれといたしましても、そういう間伐材をより有効に、生産性を上げるために、必要な製材施設だとかあるいは無利子の融資だとかいろいろな対応をいたしまして、生産性が上がるような方途を考えておりますし、あわせまして、先ほど大臣からもちょっと申し上げました日本住宅・木材技術センターにおきまして、そういうものの開発、利用をどうしていったらいいかという研究も早急に進めております。また、全国的にも、間伐材の利用の開発という意味からいろいろな知恵を出していただく方の募集をしてみたり、いろいろな方法で間伐材の利用ということをあらゆる方面から検討し、推進し、今後とも間伐材がいろいろな意味で利用される方向を見出していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/88
-
089・柴田健治
○柴田(健)委員 一方では木材加工業者が倒産をしておる。そして、山持ちには間伐をしなさい、こう言う。売れるところがありはしない。買うてくれない。それから、倒産というのが、日本の場合は自己資本というものが弱い、部外資本の方が強い、この部外資本を強めれば強めるだけ政府介入、権力介入、金融独占の介入というものが加わってくる。そうすると、だんだん金融独占の政策の方が強くなって、寡占体制になってくる。消費者にとってはこれはもう一つもプラスにならない。それは日本の山持ちでもそうですよ。土地は持っておるけれども、自己資本がないという弱さから、個人、企業を問わず、日本の金融独占の横暴さがいま目に余る、こういう声が出て、批判が起きる。それから、山を相手の企業、この近年特に倒産がふえておる。製材業者から合板会社から、いろいろ倒産が多い。これらの倒産を考えてみた場合、もう少し林野庁が手を打つことがあるのではないか。全然手を打つ方法がないのか。この点、長官、どうでしょうか。
いままでこういう方法で手を打った、指導してきた、なおかつ倒産をしたのだ、そういういままでの指導のあり方、今後はどうしようとするのか。いままでやってきたことの指導方針と、これからやろうとする方針、二つに分けて御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/89
-
090・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま日本全体の経済のあり方、あるいはその中での製材業なり合板業なりのいろいろな問題、先生御指摘されましたように、確かに倒産が出ております。これはやはり高度成長時代に木材の需要が非常に拡大いたしまして、それに対応するために必要な生産を上げるべく、合板企業なり製材企業がそれぞれの時代にそれぞれ活動したのだろうと私は思いますし、その時代においては、それなりの効果、また国民生活に対する寄与をしておったのだろうというふうにわれわれ考えております。ただ、その後、木材、住宅建設も非常に伸び悩みまして、日本全体の経済のあり方が変わってまいりました。その中で、そういう不足傾向にあった木材が緩和傾向になったということで、合板企業あるいは製材企業というものがそれぞれ不況ということになったわけでございまして、それの対応といたしましては、中小企業信用保険法なりあるいは雇用保険法なりそれぞれの適用をいたしまして、関係方面とも連絡をし、不況業種の指定をする等々をやっておりますし、特に合板企業につきましては、カルテルの実施をすでに数年前から始めておりまして、ただいまもカルテル実施中でございます。なおかつ、先ほど申し上げましたように、機械の整理という形で、その機械の調整に対します基金の補助を国からも出すことにいたしておりますし、そういういろいろな手を打ちまして、調和の中に製材業なり合板業が、現在の経済社会に合えるような形でそれぞれ協調して対応する方途をやってまいったわけでございますし、今後ともそういうことで、その辺はわれわれとしても十分慎重に対応しながら対処してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/90
-
091・柴田健治
○柴田(健)委員 山に関連する産業というか企業を余り倒産させたら、いろいろな面で将来お困りになるのではなかろうか、こういう気がしますので、早く手を打つべきではないか、こういう気がします。
農協でもそうですか、農協でも大型合併をさせている。ところが、組合員の声というものが、広くしたのはいいけれども、総代会を年に一回したらいいぐらいだ、役員会をするといったところだ。ただ、一般の管理費用というか、通常経費をもうけるためにいろいろ何にでも手を出してやる。今度は森林組合も大型にして職員もふえる。しかし、組合員の意見というものが本当に機関に入るだろうか。漁業組合でも農協でもこの森林組合でも、そういう法的に位置づけをしても、本当に山を愛し山に情熱を傾けておる連中というのはごくわずかで、ただ山を持っておる、林地を持っておる、財産運用だけだ。だから、森林組合の役員になれと言うから理事になった、総代になった、こういうことで、熱意がない者が役員になると、またぞろ組合員の意見を聞こうとしない。そうすると、大型組織はつくったけれども、合併助成として国が指導をした効果というものが出てこないんではなかろうか、こういう危惧の念を持っておるのですが、どうでしょう。この点心配は要りませんか。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/91
-
092・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合の現在までのあり方を見ますと、確かに先生が御指摘のように、熱意がなかったりあるいは努力が少なかったりして、森林組合の活動が必ずしも活発でない森林組合もあろうかと思います。しかしながら、私どもといたしましては、やはり知識なり情熱を持った役員を中心にした森林組合であるべきであるというふうに考えておりますし、今後とも、この合併を行うに当たりましても、そういう問題についても十分指導してまいりたいというふうに考えておりますし、先ほども申し上げましたそれぞれの都道府県段階で協議会等を設けるわけでございますから、そういう意味からも、森林組合の職員なり役員なりが知識なり情熱を十分傾けまして、森林組合の強化育成を図るという努力をするような方途を私どもとしても指導してまいりたいし、また本来そうあるべきものでございます。そういうことによりまして、森林がよくなり林業が発展すると考えておりますので、先生の御指摘の趣旨に沿って、われわれとしても合併を促進しながら、その中でそういう対応をしてまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/92
-
093・柴田健治
○柴田(健)委員 いずれ森林組合法で論議しなければならぬ問題だと思いますけれども、いままで現行の森林組合のいろんな実態を見ておると、農協の役員と森林組合の役員を兼ねておる。ぼくも町村長をやって森林組合長を兼ねたことがある、農協の組合長も兼ねたことがあるけれども、兼務というのは余りよくない。森林組合はほかの農業団体と違って、どちらかと言えば専門組織のような、専門農協みたいなものですから、それだけ力を入れれば力を入れるだけ効果は出てくると思うのです。しかし人の問題だ。役員なり職員、役職員がどれだけ熱意を持つかということが大きなポイントになるんではなかろうか。その役員なり職員の人材養成の方法というものを誤ってはならぬ。
合併させる。ただ形式的に合併さして、税金免除を受けるところだけを誇大宣伝をして、ここだけは特典がありますということで、組合員には十分合併の意義を理解させずに、税金を免除してもらえるんだから合併をやろうじゃないかという安易な合併になっておる実例があります。それではいけない。合併さした以上は、役員なり職員が一丸となって、組合員の社会的地位そして経済的地位、またひいては日本の林業を発展さしていく、そういうことにならなければ、合併さした意義がない、こう思うのですが、人の養成をどうするか。いままでやっておるのが絶対これが最高かどうか。まだまだ不十分であるからこういう方法で人材養成をやります。こういうものがあれば、具体的にお答え願いたい。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/93
-
094・藍原義邦
○藍原政府委員 確かに、組織がございましたら、その組織の運営は人によって左右されることは事実でございますし、そういう観点から、森林組合の職員なり役員に対する指導につきましても、従前から、林野庁におきましても、連合会の役員に対します経営管理等におきます指導について研修を実施するということをやっておりますし、また、都道府県が行います役職員に対します研修に対しての経費、あるいは森林組合連合会が行いますそういう資質の向上に対するいろいろな推進事業等々につきまして、経費について国からも助成をいたしております。さらに、私ども今回、これから御審議願う森林組合法案の中に監査士制度を設けておりまして、そういう制度ができましたら、そういう制度を通じましても、いま先生が御指摘のような役員あるいは職員の研修指導については徹底を図れるであろうと考えておりますし、そういう面から、今後とも幹部の研修養成については十分配慮してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/94
-
095・柴田健治
○柴田(健)委員 いま全国平均を見て、森林組合の組合員が出資しておる出資額というのは話にならぬ。このくらい格差がひどい組織はないですね。ある程度出資金を適正に出資しておる組合もあれば、ほんのわずかな出資金で、ただ形式的な森林組合という組織があるという程度のものもある。活動も何もしてないものもある。それから、合併さしたら、たとえば千の組合員、二千の組合員、五千の組合員、こういうことで、いま市町村単位組合、県段階、中央段階、森林組合の組織の面で三段階制になっている。農協でもそうですか、森林組合に三段階制が必要なのかどうか。大型化していくならば二段階でもいいじゃないかという気がするのと、中央には要らぬじゃないか。森林組合連合会、中央には要らぬという声もある。この点について長官なり大臣、どう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/95
-
096・藍原義邦
○藍原政府委員 一つの組織がどういう形であったらいいかということにつきましては、それぞれいろいろな御意見があろうかと思います。ただ、森林組合につきましては、先ほど来御議論がございましたように、私ども、県並びに市町村を通じましていろいろな指導行政をやっておりますし、また、日本のいろいろな行政が県段階、市町村段階というふうになっておりますと、いまの森林組合につきましても、やはりそれぞれの単位森林組合をまとめるものが都道府県にあり、そしてそれを全部まとめるものが全国森林組合連合会としてあるのは望ましいのではなかろうかという感じが私はいたします。
また、現在森林組合が福利厚生事業でやっておりまして、今回御審議願う新しい森林組合法案では共済事業としてやろうとしております。森林の火災保険等々の問題については、全国一本でやっておりますので、そういう意味からも、全国の森林組合連合会はあってしかるべきではなかろうかと思いますが、それぞれの活動がそれぞれの場において必ずしも十分でない点があれば、これについては、それぞれの場の組合がそれぞれその場で、さらに先ほど来御論議がございましたようないろいろな問題点を把握しながら、切磋琢磨をする必要がございますし、また、行政上指導すべき問題があれば行政指導してまいるのが妥当ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/96
-
097・柴田健治
○柴田(健)委員 小さい区域の森林組合なら、多少兼務ということも考えざるを得ないのですが、大型になった場合に、非常勤役員は別として、専門の常勤役員のほかの団体との兼務はなるべく差し控えた方がいいのじゃないか、こういう気がするのですが、その点の今後の指導はどうあるべきか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/97
-
098・藍原義邦
○藍原政府委員 役員がどうあるべきかということは、やはりそれぞれの森林組合なりが判断する問題かと思いますが、いま先生御指摘のように、現在非常に複雑な社会の中で、兼務というものは、必ずしも兼務の役員が十分活動できないという面もあろうかと思います。これらの問題につきましては、私ども、先ほど来申し上げております都道府県の協議会等々の場を通じまして、そういう指導をしてまいりたいというふうに考えておりますが、それぞれの地方地方の実情があろうと思いますので、その実情に対応しながら、実態に即してそれぞれの組合が十分活動できるような役員構成なり組織であるような指導を、今後ともしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/98
-
099・柴田健治
○柴田(健)委員 時間が大分過ぎましたが、この合併助成について、われわれは、今度森林組合法が新たに出る、その時点で、この合併助成をもう五年で打ち切るべきではないか。いままでは森林組合法という法律がなく、森林法の中で民法上やってきた。今度一方新たに立法措置で位置づけをするわけですから、五年でこの合併助成はもう打ち切るべきだ。その間林野庁が知恵をしぼって、どういうものに育てていくか考えるべきであろう、こう思うのです。これが第一点。
それから、何としても、日本の林業を、国際価格、価格論で抑えたというのは、外材の輸入というのが大きな影響を与えております。また、円高で、ドル減らしで木材の備蓄論という立場でまたまたたくさんの外材を輸入するのではなかろうか、こういう心配があるのですが、この点、またドル減らしに外材を思い切って入れるのか入れないのか、入れるとすればどの程度入れられるのか、構想があれば聞かしておいていただきたい。もうそういうものは考えていないし、もうこれ以上ふやすわけにいかない、備蓄するなら日本の用材を備蓄する、外材を備蓄するということは考えない、何らか答えを出してもらいたい、こう思うわけであります。
この二点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/99
-
100・藍原義邦
○藍原政府委員 合併助成を今後五年間で一応終止符を打たせるべきではないかという御指摘でございまして、これについては、先ほどお答え申し上げましたように、私どもも、今回二千ございます森林組合をできれば千五百程度の数にしていきたいということで考えておりまして、これをできるならば最終の合併にいたしたいというふうには考えております。
それから二番目の、外材についてドル減らしのためにさらにもっと輸入する考え方があるかどうかという御質問でございますが、先ほど来論議がございましたように、いま日本の林業なり林産界というものはいろいろ非常に大きな問題を抱えております。これも木材が緩和基調になったということでございますが、逆に日本の木材需要を考えますと、やはりある一定量は外国から材を入れなければ国民の需要にこたえ得ないという問題もございます。したがいまして、いかに安定的に計画的に秩序ある輸入がなされるかという面につきましては、私ども十分検討する必要があろうというふうに考えておりますが、ドル減らしのために外材を入れるということについては、現時点では考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/100
-
101・柴田健治
○柴田(健)委員 われわれは、日本の林業がなぜ衰退したか、なぜ発展しないかということを、あらゆる角度からとらえて検討を加えてまいっておるわけです。今度の国会は、山の国会、林業国会、いろいろな形で言われておりますが、ただ法律をいじくる、新しい立法措置をする、改正であろうと新しい立法措置であろうと、これは山そのものは本当は関係ないのです。山そのものは、国民の山として、国民の財産として、どうしても育てなければならぬし守らなければならぬ。そういう立場からとらえて言うならば、何としても、国民の目を山に向けさせる、そういう運動を起こす必要があるのではないか。
それから、この辺で、各階層で日本の林業をどうするかということにひとつメスを入れるという立場で、いま審議会制度がありますけれども、この審議会、現行の審議会制度をどう発展させ活用するかということについて考えがあるのかないのか、この点、ひとつ大臣から聞かしてもらいたいのです。いままでこの審議会というものが十分活用されておるとはわれわれ理解していない。ただ形式的に審議会を開いておるという程度。都道府県の森林審議会もそういうおざなりになっておる。これは過去何回となくわれわれは言うてきたのですが、この審議会のいまのメンバーが悪いと言うんじゃなしに、これはもう林野庁がもう少し審議会の活用を考えなければならぬのではないか。その方法を具体的に、いまのままでいいと言われるのか、何らかの形で変えて、もう少し国民の山にするんだ、そういう立場で森林計画を練り直すというようにした方がいいのではなかろうか、こう思いますから、大臣の考え方を聞かしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/101
-
102・中川一郎
○中川国務大臣 山に対する過去の反省あるいはあり方等について、非常に前向きのいろいろのお尋ねやら御警告やらいただきましてありがとうございました。
御指摘のように、今日の山の実態、さらには関連する業界、合板あるいは製材業界等を見まするときに、非常に重要な段階を迎えていると存じます。そこで、森林関係二法の改正のみならず、森林組合法の制定等、多くの課題を抱えておりますので、山のあり方、今後の林業のあり方等について、あるいは外材の輸入の問題等も含めまして、今後審議会の意見も十分踏まえ、いままでもいろいろと御指導をいただきましたが、さらに真剣な討議を経て、今日の山の問題に取り組み、何とか打開をして、しっかりしたものにする努力を惜しまない、こういうつもりでやってまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/102
-
103・柴田健治
○柴田(健)委員 終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/103
-
104・中尾栄一
○中尾委員長 瀬野栄次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/104
-
105・瀬野栄次郎
○瀬野委員 森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について、農林大臣並びに林野庁長官に質問いたします。
農林大臣にお伺いいたしますが、森林組合合併助成法は、昭和三十八年に制定され、昭和四十三年三月三十一日までに同法の適用を受けて九百六十組合が合併に参加し、主として市町村の区域を地区とする三百十六の合併組合の成立を見て第一期の合併を終了したわけであります。すなわち、市町村単位の地域を地区とする組合への合併を推進することがねらいでありました。
第二期の合併は、市町村の区域を超える地区を範囲とする広域合併を志向し、昭和四十九年五月一日から昭和五十三年三月三十一日まで行われることになり、この結果、この期間内において本法の適用を受けて成立した合併件数はいまのところ五十一件、合併に参加した組合は二百三十組合となっております。すなわち、主として数カ町村または郡単位の広域組合の育成を目的としたものであります。
第三期、すなわち今回の改正により、さらに組合の合併及び事業経営に関する計画の認定制度について、その適用期限を五年間延長して昭和五十八年三月三十一日までとするものとしましたが、合併のねらいは、これまでの市町村の区域を超える広域合併促進の路線はそのまま引き続き踏襲するものとし、これに加えて新たに弱小組合、すなわち睡眠組合と言われる、眠っている組合でありますが、その再編整備を進めようとする意図のもとに合併を促進しようとするものであることは御承知のとおりであります。
そこで、いま申し上げましたこれらの経営基盤強化のため、本法提案に当たり、今後五カ年間の合併計画はどう考えているか。現在二千七十の組合がありますが、五年後の森林組合の姿はどう描いておられるのか、冒頭農林大臣からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/105
-
106・中川一郎
○中川国務大臣 御指摘のとおりの改正でございまして、現在約二千ありますものを将来、五年間たった五十八年の三月には千五百ぐらいまで合併していきたい、こういう目標のもとに本法案を提案いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/106
-
107・瀬野栄次郎
○瀬野委員 組合の合併の推進については、森林組合制度等検討会が検討してまいりまして、その報告の中にたくさんございますけれども、その中の一つを見てみますと、「施設森林組合は、森林の適正な施業管理等について極めて重要な役割を担っているが、その現状を見ると規模も小さく、事業活動も活発に行っているとは言い難い組合が少なくない状況にある。したがって、森林組合がその役割を十分に果たすことができるようその経営基盤、執行体制等の充実を図っていくことが強く要請されているところである。このための方策としては、森林所有者の森林組合への加入促進、出資の増額等を推進することも重要であるが、森林所有者の零細性、森林経営の長期性、低収益性、作業の間断性等を考慮すると、その基盤の脆弱な森林組合については、これらの方策は必ずしも有効な手段とはなりにくいことから、合併による経営基盤の拡大を図ることが適当である。なお、合併の推進に当たっては、当該地域の森林・林業をめぐる状況等を十分に勘案するとともに、組合と組合員との緊密化、弱小組合等の取扱い、森林組合未組織地域の解消等について配慮する必要がある。」としております。ここにほとんど言い尽くされておるわけです。
以下、いろいろ質問してまいりますけれども、このようにせっかく森林組合制度等検討会から指摘を受けておりますが、これらを踏まえて、前回は五年間の合併延長だったけれども、事実上一年間空白がございましたので、四年間であった。今回は五年間ということになりますが、本法提案に当たっては三期目でもありますし、相当な決意で臨もうとしておられると思いますが、森林組合制度等検討会のこういった指摘を十分踏まえて本法提案に及んだのである、かように思っておりますけれども、これに対してどういうように検討し、対処されて本法提案になったのか、この機会に明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/107
-
108・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生御指摘になりましたように、森林組合の検討会におきましていろいろ検討を進めてまいりました。さらには、過去におきます合併の成果を見ますと、先生が御指摘のように、それぞれの合併はいたしましたけれども、なおまだ七百近い弱小あるいは面積の小さい、規模の小さい組合がございます。そういう問題をこれからどう処理するかということで検討会の先生方の御意見も伺い、そして私どもといたしましてはたまたまこの三月三十一日で道府県に対する計画の申請期限が切れますので、先ほど大臣からお答えいただきましたように、将来千五百ぐらいの組合にすることが妥当であろうということから、今回助成法を五年間延長いたしまして、その間に千五百ぐらいの基盤の強い組合にしていきたいということから、この助成法を御審議願うことにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/108
-
109・瀬野栄次郎
○瀬野委員 その点は林野庁長官の言うことはよくわかるのですが、しからば五十三年度以降展開される第三期の合併促進の具体的な指導方針をお伺いしたい、こう思うのであります。いまもるる述べてまいりましたように、第三期に当たってはどのような合併を進めることが適当であるかについてはいろいろな観点から問題なしとはしません。農協合併では、規模の拡大については、農協と組合員との間の結合関係の希薄化をもたらすという面があることが指摘されておるわけでございますが、この点も十分留意すべき必要な要件である、かように思っております。こういった面を含めて、五十三年度以降展開される第三期の合併促進について政府の指導方針というものはどういうふうにお考えであるか、具体的に明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/109
-
110・藍原義邦
○藍原政府委員 今回私どもが考えております合併につきましては、基本的な考え方としては前回とほぼ同じでございますけれども、たとえば組合員の経営する森林面積をおおよそ一万ヘクタール以上になるような組合にしていきたいということ、それから執行体制等につきましては一応常勤の役職員が七人以上あるような組合にしていきたい。さらにまた、払い込み済みの出資金につきましてもこれは前回よりも額を上げまして、一千万以上にしていきたい、大体こんなような規模の想定をいたしまして、森林組合の合併を促進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/110
-
111・瀬野栄次郎
○瀬野委員 さらにお伺いしておきますけれども、細部の質問に入る前に大臣または長官にお尋ねしておきますが、合併と協業問題の件でございますが、すなわち合併とは別に広域協業体制の確立とその機能の強化によって合併と同様の効果を上げることができるわけでありまして、森林組合は農協と違ってそういうことができるわけでありますね。その点をお尋ねするわけですが、申すまでもなく森林組合制度においては、員外利用に関し、系統内の他の組合及び組合員のほか、国、地方公共団体その他営利を目的としない法人についても一部の事業に限定して員外利用を認めておるわけでございます。すなわち、農協等における員外利用の制限とは大分趣を異にするわけでございまして、合併の道を選ばなくても協業ができるという仕組みになっていることは御承知のとおりであります。
そこで、木材等林産物の集出荷及び販売施設、林産物その他の物資の加工施設並びに作業班等の労務組織等については関連する組合による広域利用の道が開かれておりまして、組合の広域合併によらなければこれらの施設の利用ができないというものではないわけであります。したがって、組合相互間の連携の強化あるいは地域の中核組合、場合によっては県森連の調整機能の発揮によって、合併とは別に広域協業体制の確立とその機能の強化によって合併と同様の効果を上げることができると考えられるわけでございまして、このため合併と協業いずれの道を選択するか、いわゆる単位森林組合がみずからの選定によって合併と協業いずれの道を選ぶかというようなことは組合の自由意思にゆだねられるとしましても、政府のこれらに関する指導方針というものはどういうようにお考えであるか。この合併に当たって第三期目を迎えまして、これらについてもひとつ組合の判断を正確にするためにも政府としての考えを明確にしていただきたい、かように思うわけです。御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/111
-
112・藍原義邦
○藍原政府委員 いま、お話ございましたように、協業という方法もございます。ただ、私ども考えておりますのは、森林組合を合併させるということは単に協業という問題だけではございませんし、いろいろなねらいがあるわけでございますし、また、それぞれの地域によりまして協業でやれるところ、やれないところ、いろいろあろうかと思います。そういう点で、協業というものの基本的な考え方は、やはりこれはある意味では合併の準備段階ではなかろうかという考え方をわれわれも持っておりますし、そういう意味から、現在では地域によりましては協業を進めるということを指導もいたしておりますけれども、これは将来こういう協業を進めることによりまして、さらに合併の機運が盛り上がるということもあるのではなかろうかというふうに考えております。
そういう観点から、森林組合の合併と協業問題というものは必ずしも両立しないものではないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/112
-
113・瀬野栄次郎
○瀬野委員 林野庁長官、そうしますと、合併と協業問題についてはもちろんこれは関係があるわけですが、どちらかを重点というんでなくて、やはり合併のために協業も大いに進めていく、こういうような理解をしていいですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/113
-
114・藍原義邦
○藍原政府委員 地域地域によりまして、いま先生御指摘のように、協業したら必ず合併だということにつながるということではございませんけれども、やはり協業を進める中で合併を推進していきたいという考え方は私ども持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/114
-
115・瀬野栄次郎
○瀬野委員 さて、次にお尋ねしますけれども、施設組合の数を見まして私思うことを一点指摘しておかねばなりません。
御承知のように、施設組合の数の推移を見ますと、昭和三十八年は三千四百十七、五十年が二千百八十七、こういうふうになっております。そこで、合併助成法による合併の姿をずっと見ていきますと、確かに四十三年から四十八年の六年間は法律がなかったために合併助成法による合併はなかったのですけれども、実際に合併助成法によらない組合数の減は昭和三十九年十九、四十年が五十九、以下四十一年が五十一というように、特にこの四十三年から四十八年の間は、四十三年が七十五、四十四年が八十、四十五年が七十七、四十六年六十一、四十七年六十七、四十八年は六十というように、合併助成法によらなくてもこのように組合数は減ってまいっております。合併助成法のときよりもむしろないときの方が合併が進んでいるように見受けられるんですけれども、もちろん四十九年からは広域合併によってやってきていますから、合併助成法による合併も若干出ておるというものの、やはり四十九年も二十三、五十年も三十六というように助成法によらない組合数の減というのがあるわけですが、この辺はどういうふうに林野庁は理解をしておられるのか、この点もひとつその判断をしておられる内容について御答弁を求めたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/115
-
116・藍原義邦
○藍原政府委員 私どもの合併につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、それぞれ目標の規模等々を考えております。そういう点でこの適用のない期間に合計百七十八ぐらいのものが合併されておりますけれども、これについてはそういう規模の問題等々もあったんではなかろうかというふうに考えております。それとあわせまして、その時代、ちょうど昭和四十年代の初めころは林業全体はわりあいと活発に活動しておった時期でもございますし、また林業構造改善事業というものも始めた時期でございますので、そういういろいろな観点からこういうものが入ったんだろうと思いますが、私どもが考えております今回の三期では、やはり先ほど申し上げましたような規模のものに合併させていきたいというねらいで、今回合併助成法の延長を考えておりますので、そういう今後森林組合として活動する大体の予想される規模に合ったような組合の合併というものをねらいとして合併を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/116
-
117・瀬野栄次郎
○瀬野委員 林野庁長官少し不勉強のようで、的確な答えじゃないけれども、さして重要な問題がないので、同じような問題をもう一点お伺いしておきますけれども、組合地区の範囲ごとの組合数の推移等を見まして、これまた私もこの機会に明らかにしておきたいと思うのです。
森林組合は四十年に二千九百六十八あったものが五十年が二千百三十九、現在二千七十、こういうようなことで総数が資料として発表になっておりますけれども、現に市町村の行政区域の一部を地区とする組合というのが四十年に千五百二十ございました。それが年々減りまして、昭和五十年のデータしか出ておりませんけれども、五十年現在で三百二十八あります。すなわち、旧市町村の範囲で組合がある、こういうことになりますので、いま町村合併になっておりますから、いまで言えば一つの字みたいになっているわけですね。そうすると、相当森林組合の範囲でないところが出てくるわけですが、これらのいわゆる市町村の行政区域の一部を地区とする組合ということになりますので、これらは一つ問題になると私は思うんですね。こういったものはどういうように掌握して、どうしようとされるのか。私はこの機会に林野庁はどういうふうな認識に立って掌握しておられるかお伺いをしておきたい、こういうふうに思うわけでございます。
ちなみに申しますと、市町村の区域一円を地区とする組合は、四十年が千三百八十一であったものが五十年は千六百二十、こういうふうになっています。なお、二町村以上の、すなわち市町村の区域を越える区域を地区とする組合は、昭和四十年が六十七であったのに、これは合併が促進されまして、四十九年の広域合併が始まった時点では百八十四、五十年は百九十一ということでこれはかなりふえてきている、結構なことだと思いますけれども、特に私が問題にしたいのは、先ほど言いましたように、市町村の行政区域の一部を地区とする組合、これが五十年のデータでは三百二十八ある。すなわち、町村合併によって、昔の旧町村で、範囲もいまで言えば字に匹敵するような森林組合ということになるわけですが、こういった分についてはどういうふうな現況になっておるか、組合に対してはどういうふうに指導するつもりか、その点の把握、検討、または見通し、こういったことをあわせて林野庁長官から答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/117
-
118・藍原義邦
○藍原政府委員 御指摘のように、市町村の行政区域の一部を地区とする組合というのは、五十年度には三百二十八あることを私どもも把握いたしております。今回の合併につきましては、私どももこういうものを対象にして、やはりある意味で広域的な森林組合になるように指導してまいりたいというふうに考えておりますし、そういう意味から、先ほど大臣からお答え願いました約千五百にしたいという合併される組合については、こういうものを基準にして判断し、その数字を出しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/118
-
119・瀬野栄次郎
○瀬野委員 長官も十分承知だと思いますけれども、こういったものをこの機会に明らかにしておく必要があると思って申し上げたわけですが、ぜひともそういうことで進めてもらいたい。後ほどいろいろ出てくるわけですけれども、協業センターとか林業センターとかいろいろなことも大いにひとつ進めながら合併促進を図ってもらわねばならぬ、こう思いますので、あえて本法審議に当たって指摘をしたわけであります。
そこで、次の問題ですけれども、合併促進のための助成措置については、従来どおり租税特別措置法等の適用が受けられることになり、合併に際しての清算所得等について課税上の優遇がなされることになるとされておりますが、これは従来と大した変わりがないわけです。大したメリットがないわけですが、一応それは当然なことでありますけれども、本法提案に当たって、従来と変わり特に今回優遇措置がなされている点だけでいいですから、今後の森林組合合併のときに参考にするために明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/119
-
120・藍原義邦
○藍原政府委員 合併によりまして優遇されます税制につきましては、所得税あるいは法人税それぞれございますけれども、今回の合併によりまして税制上特別に優遇される措置はございませんし、私どもはそれは考えておりません。
ただ、税制ではございませんけれども、私どもといたしましては、合併いたします場合には協議会その他推進のための助成は考えております。先生御指摘の税制そのものにつきましては従前と変わりございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/120
-
121・瀬野栄次郎
○瀬野委員 また後で御質問いたしますので、農林大臣もよく聞いておいていただきたい、大事な問題を指摘しておるわけでありますから。
そこで、私は林野庁長官にあえてここでお伺いしますが、あなたの答弁いかんによっては農林大臣にも改めてお伺いいたします。
森林組合がその機能を強化して、その地域における林業発展の担い手として中核的役割りを果たすことへの期待にこたえることを前提として、地域林業の発展に果たすべき組合であることは申すまでもありませんし、またそうでなくてはなりませんが、このように林業が多様化したときに、森林組合は何をなすべきか、その役割りは何かをあえてここで問い直さなければならぬと私は思うのですが、林野庁長官はそれについてはどういうふうに明確に認識しておられるのか、またどういうふうに指導しておられるのか、その点も端的に答弁をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/121
-
122・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合の役割りにつきましては、現在の森林法にも規定されておりますとおり、森林の生産力の維持培養への資源の造成なりとあわせまして、また従事者の社会的地位の向上を図るのが森林組合の大きなねらいでございますし、法的にはそれぞれの規定がなされております。あわせまして、私どもはその精神をくみ取りまして、森林組合がそれぞれの地域においてそれぞれの森林所有者の地位の向上とあわせて、国で定めております全国森林経営計画に基づいてその森林の生産力の維持、資源の造成並びに維持、生産力の維持増進を図ること、これが森林組合の大きな役割りだろうと思います。
そういう観点から、森林組合についてはそういう指導をわれわれはしておりますし、そういう指導を今後進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/122
-
123・瀬野栄次郎
○瀬野委員 林野庁長官から答弁がございましたが、全国の二千二百、現在は二千七十の森林組合に対して、いまから細々とした質問をしてまいりますけれども、農林大臣は森林組合の果たすべき役割りについてはどういうふうにお考えであるか、大臣もぜひひとつ森林組合激励の意味で決意を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/123
-
124・中川一郎
○中川国務大臣 いま長官から御答弁申し上げましたように、林業の維持振興、同時に組合員の社会的地位の向上という使命を持っております。なかんずく最近におけるわが国の林業の実態を見ますときに、国の政策もあるいは公共団体等の政策も必要でありますが、林業者みずからがこの事態に対処する観点からしますならば、いよいよその使命は重大になってきた、こういう認識のもとに合併なり、あるいは今度森林組合法の制定によりまして森林組合が独立法によって位置づけられるわけでございますので、これを契機にして認識を改めて、格段にがんばっていただきたいという気持ちでいっぱいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/124
-
125・瀬野栄次郎
○瀬野委員 合併及び事業経営計画の認定基準についてお尋ねしてまいります。
昭和五十三年三月現在の組合数は、先ほども申し上げましたように、二千七十組合であります。このうち弱小組合、すなわち睡眠組合と言われるものは約七百組合と言われております。もちろん現在ある組合から七百組合引きますとおおむね千五百組合ということで、それらを目標にして五十七年度末までに全併を進めていこうという答弁がございましたが、それでは組合員所有森林面積の規模の五十七年度末までの目標はどういうふうに考えておられるか。また、払い込み済み出資金額、常勤理事、専従職員の人数についてどういうふうにお考えであるか。さらに、五年間を必要とした理由、この中には広域合併の実現には都道府県による濃密な指導調整が必要であり、一都道府県当たり年間一件の合併が限度であるというお考えがあるやにも聞いておりますが、その点もあわせて将来の目標について答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/125
-
126・藍原義邦
○藍原政府委員 現在私どもが考えております目標でございますけれども、経営する面積につきましては一万ヘクタールを一応目標に考えております。それから、執行体制については七人以上の常勤役職員が要ることを考えております。それから、払い込み出資金につきましては一千万円以上と考えております。
以上の基準を一応めどといたしまして森林組合の合併を推進してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/126
-
127・瀬野栄次郎
○瀬野委員 組合の役職員数は一組合当たり七人以上ということですが、平均でございますから十名も十五名も要るところもそれ以上のところもあるわけですけれども、七人にされた理由は、事務担当だとか現場とかいろいろあるわけですが、どういう振り当てでお考えであるか、その辺の基準をお示しいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/127
-
128・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合も一つの組織でございますから、それぞれ仕事の担当があろうかとわれわれは考えております。そういうものを大きく分けますと総務の部門、事業の部門、それから経済事業部門と大きく三つに分かれるのではないかと思います。総務というのは一般的に言われております庶務的なことをやるところでございますし、事業部門というのは造林あるいは伐出等の作業班を編成いたしまして仕事をする部門でございますし、経済事業部門というのは販売、購買、そういった事業をやるところとわれわれ考えますと、この三つに大きく分けますと、それぞれの部門に最低二名くらい要るのではなかろうかと考えております。さらに、これを統括するものとして常勤理事が要るのではなかろうか。そういうことを考えますと、平均して大体七人が適当ではなかろうかと判断したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/128
-
129・瀬野栄次郎
○瀬野委員 林野庁長官の答弁を一応承っておきます。
さらに、弱小組合の再編整備の促進を志向する今回の改正案においては、本案の適用に基づいて行われる合併の件数及びその合併に参加する組合数の見通し、こういったものはどう考えておられるのか。七百くらいの組合をいろいろ検討して、千五百くらいにとおっしゃいますが、その中身についてこの際さらにお尋ねしておきたいわけでございます。すなわち、A、B、Cという組合があれば、どうしても優秀組合のAにB、Cをくっつけるとかいろいろなことがあるわけです。そういったことについてはどういう配慮といいますか、検討をしておられるのか、それらもあわせてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/129
-
130・藍原義邦
○藍原政府委員 五十二年末現在約二千の森林組合があるわけでございますが、私どもの見込みでは、合併に参加する組合が八百くらいあるだろうと思っております。
また、その八百の内訳でございますけれども、非常に脆弱な組合が約七百くらいで、活動しているのが百くらいあるのではなかろうかと考えているわけでございますが、こういうもので最終的には合併設立組合数を大体三百と見込んでおります。そして、合併によります減少組合数を約五百と見込みまして、最終的には五十八年の三月末に約千五百というふうに踏んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/130
-
131・瀬野栄次郎
○瀬野委員 いま林野庁長官から脆弱な組合云々、こうございましたが、私も時間の制約もあるので詳しい内容までは触れませんけれども、行政庁の統計に残っている、すなわち統計上の組合があるわけでございます。特に、あえて具体的な名前その他は私ここで申し上げることをはばかりますけれども、こういった問題もあるものですから、私、本法審議の最後には附帯決議等をつけて、いろいろ将来のために残しておきたいと思って提案しておりますが、すなわち統計上重複している組合があるわけです。例外中の例外ということも言えるのですが、その中身は、組合長もいない、定款ももちろんない、形もない、しかも組合員は二重のいわゆる組合員となっておる、こういうのがあるわけでございます。しかも、二十数年組合の総会を開いていない。したがって、解散できないまま統計上組合が残っている。こういった問題は、私は、これは当然もう林野庁としても十分指導して、それで県並びに県森連等によく内容等を聴取して、行政指導によってこういったものは早く整理をすべきである、かように思うわけでございますが、こういった組合のあることを承知しておられるかどうか。名前は公開の席ではどうかと思うので申しませんけれども、その点についての見解を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/131
-
132・藍原義邦
○藍原政府委員 林野庁では、ただいま組合の調査をやっておりますけれども、全国的な調査の中でその調査表を提出してこない組合があることは私どもは把握しております。そういうような提出してこない組合の中に、先生が御指摘のような事業活動も全然やっていないというような組合もあるのではなかろうかというふうにわれわれ考えておりますが、私どもも、こういうものについては、その経緯なり実態を十分調査いたしまして、適切な措置を今後とるよう都道府県を指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/132
-
133・瀬野栄次郎
○瀬野委員 林野庁長官、調査表を提出していない組合があるということで、林野庁長官もお認めになったわけですが、このような行政庁の統計に残っている組合、いま私が申し上げたのは特例中の特例であるかもしれませんが、恐らくそういった組合に類似した組合が全国的にあると私思っております。聞くところによると、少なくとも三十三くらいあるやに聞いておりますけれども、これらがそうであれば、これらは事務的にきちっと指導して整理をすれば、現存組合から千五百くらいに目標をしぼろうという政府の目標に対して、そういったものは当然これはなくなっていくわけでございますので、これを解決しなければいつまでたっても数字が残っていくということになります。その辺について、三十三くらいあるやに聞いておりますけれども、どのくらいあるのか、具体的なことはいいですが、ひとつ林野庁の認識の度合いも確かめておきたいので、警告する意味であえて私はこのことをお伺いしておくわけであります。林野庁長官、答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/133
-
134・藍原義邦
○藍原政府委員 確実な正確な数字はわかりませんが、大体五十以下くらいであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/134
-
135・瀬野栄次郎
○瀬野委員 林野庁長官から五十幾らかあるということでございますが、これはもう五十という数字はえらい数字でございますので、一年に五十も合併できなかったこともあるわけですから、ぜひともこれらはひとつ総点検をして指導を徹底し、県並びに県森連等をひとつ督励していただきたいと思う。
そういった点で、総点検をしてぜひ調べて、すぐに解決できぬ問題もあるかもしれぬけれども、事務的にいろんな面で解決できる問題であろうかと思いますので、ややこしいからといってほっておくのじゃなくて、最大努力してもらいたいと思う。これについて、農林大臣、ひとつ督励をして、ぜひとも私の指摘のとおり指導していただきたいと思うが、大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/135
-
136・藍原義邦
○藍原政府委員 先生御指摘のように、私どもも十分調査いたしまして、都道府県を指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/136
-
137・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣は断りなしに中座して席をあけるということは、これはけしからぬ。大事な質問でありますので、大臣をすぐ呼んでください。断りなしに中座して、どこへ行ったか調べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/137
-
138・中尾栄一
○中尾委員長 いまちょっと席を離れました。すぐ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/138
-
139・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣来ましたね。では、いまの件について、大臣から答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/139
-
140・中川一郎
○中川国務大臣 休眠組合のあることも実態のようでございます。また、先ほど柴田委員からも御指摘があったように、休眠組合にいかないまでも、かなり森林組合の実態というものは、兼務であったり活動しておらないという実態がございますので、それらも含めてよく調査をし、しっかりした活動ができるように十分指導してまいりたい、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/140
-
141・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣が中座しておるもので答弁がピンぼけでありますけれども、まあ生理現象であったということで了として、あとをひとつ聞いておってください。あと次々にお尋ねしてまいりますから。席を離れるときにはひとつ連絡をしていっていただきたいと思います。
そこで、具体的な問題になりますけれども、協議会や税制措置だけでは、今回の合併は、これはもう従来どおりでございまして、メリットが少ないわけであります。これでは合併はなかなか進まないと思うのです。私は先ほども指摘しましたように、合併助成法によらなくても毎年五十や七十の合併はできてきております。そこで私は、やはり五十七年度末を目標に政府も千五百ぐらいの組合にしていこうというのであれば、もう当然この合併についてもっと組合員にもメリットのあるようなことをしていかねばこれは合併は促進できない。われわれもそうですか、組合長もまた組合員に対しても、なかなか納得いくような説明ができない、こういうように思うのです。そうなると、おざなりの、通り一遍の、ただもう事務的に五年間、五年間ということで、積極性もない、こういうことになります。
ことしは特に林業国会ということで銘打って、私たちも林業を大いにひとつ国民に理解してもらおう、国会においても理解をしていただこうということで督励をしているわけでございますので、こういった点もしっかりひとつ考えて推進を図ってもらわねばならぬと思う意味からあえて私は質問するわけでございますけれども、私は、この合併をするについては、少なくとも組合の皆さん方が喜ぶようなことがなくちゃならぬと思うのです。税制は従来どおり、個人的ないわゆる合併のメリットというと、さして、これは何もないと言えばないわけです。だんだん山の上から今度は町へ行かねばならぬ。遠くなってくる。合併によって、今度は造林の申請も遠くなる、あるいは苗木の受領も遠くなってくる。そういう不便さが残るだけで、あんまりメリットがなければ、林業者としては負担金が重くなるだけで、けしからぬということになりかねないわけです。しかも、合併をしてすぐに利益が出ればいいけれども、合併した後、事業が拡大される間は、やはり相当苦しい経済になるし、負担もかかってくる。いろんな問題があるわけですね。そういったことから、私は、何としても今回の合併については、組合員に響くメリットを与えねばならぬ。また、即効性のあるメリットがなければ、今後合併はなかなか進んでいかない。ただ、形の上で法的に行うだけで、積極性がない、いわゆる魂が入ってない、かように指摘せざるを得ません。
そこで、合併は関係する組合の自主性に基づいて進められるものではありますが、その適正かつ円滑な推進を誘導、援助するため、行政庁の講ずべき処置というものをどうしてもひとつ行っていただきたいと私は思うわけです。このことについては、きょう私提案しております附帯決議の中にも強く訴えて、今後のために対大蔵省折衝なり、また林野庁、農林大臣等も強力にこういった問題を進めるためにひとつ検討して、ことし早速五月から編成に入る来年度予算にも明らかにしていただいて、強力な予算措置をして、森林組合の合併の促進を図ってもらいたい。そうしなければ、先ほどから何回もおっしゃるように、五十七年度末に千五百組合に合併をしていこうという、こういったことは絵にかいたもちになります。
そういったことからあえて申し上げたいと思いますが、林業構造改善の事業として、協業センターと森林組合事務所を合併して施行しているのがあるわけです。御承知のように、私もあちこち知っておりますけれども、兵庫県の村岡町の協業センターと森林組合の事務所が合併施行しております。もちろんこれは森林組合の方は自力でやっておるわけでございますが、このような林構で行う協業センターと森林組合の事務所が一緒に併設される、こういうことになれば、合併に対する力も入るし、促進も図っていける。そういったことで何か手を打っていかなければ、今後の合併は画餅であります。
私の聞くところによると、こういった協業センターは、四十七年から五十二年度の指定地域が七百十ございますが、全事業主体が百九十九棟のうち四十八年から五十二年度における実績が百二十三棟、また森林組合の事業主体、これが四十七年から五十二年度の指定地域七十四棟に対して実際の実績五十八、また森林組合の事務所を合併施行したものが十三の計画に対して七つある、こういうふうに聞いておりますが、こういったことについては、林野庁はどういうふうに考えておられるのか。こういったことについてぜひとも今後検討してもらいたい、また私が申し上げた協業センターの内容、こういったことで間違いないか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/141
-
142・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合の事務所と、それから構造改善事業によります補助対象施設との合併施行というものは、ただいま先生御指摘のように、実態としてはそういうことが行われておりまして、協業センターのほかに木材出荷施設の管理棟との合併施行、こういうものも行われております。その数字につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、構造改善を進めるに当たって、合併を行います森林組合につきましては優先採択ということも考えておりますし、そういう面から構造改善事業と合併事業とうまくその辺を調整させながら、今後とも合併が促進できるような対応を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/142
-
143・瀬野栄次郎
○瀬野委員 林野庁長官からいま答弁がございました木材集出荷施設管理棟でございますが、これも北海道の中標津町に四十七年度指定で四十九年度施行になっておりますけれども、事業費一千六百万円でりっぱなものができております。この木材集出荷施設管理棟に併設して森林組合の事務所がある、こういう形でもいいわけでございまして、何かこういったものがなくてはならぬと思うのですが、こういった木林集出荷施設管理棟と森林組合事務所が併設しているのは現在どのくらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/143
-
144・藍原義邦
○藍原政府委員 ちょっと分けたのはわかりませんで、協業センター及び出荷施設管理棟と合わせまして、先ほど先生御指摘になりましたように、百九十九計画されまして、現在百二十三実行されていることで、分けたのは申しわけございませんが、ちょっと資料を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/144
-
145・瀬野栄次郎
○瀬野委員 そこで、この補助と非補助の関係もあるので、やみくもに協業センターと森林組合事務所を併設せよ、こういうようにはいまの段階で言えませんけれども、そういったせっかくの林構で林業の濃密地区に協業センターをくる、そうなればまた合併の機運が盛り上がったところにはぜひともその協業センターをつくる、そうして現在は自力でやっておりますけれども、何かの補助を出してそういった森林組合の事務所を併設する、こういったことについて、だめだ、だめだでなくて、やはり強力に林野庁として、また農林省としても、大蔵省にも交渉してやっていかなければ促進はしない。そうすることが過疎対策にもなってくるし、今後の林業推進をするためにも必要であるし、国土の六八%も林野を抱えているわが国、そういった過疎地で恵まれていない皆さん方に当然これはもう温かい施策としてやるべきであると思うのです。
もちろん協業センターは進めていくわけですけれども、まだまだこれは数が少ないし、まだ二十年も三十年も四十年も行き渡るまでかかるわけでございますから、そういったことを考えると同時に、それを補完する意味で、いまのいわゆる木材の集出荷施設管理棟または林構によるところの協業センターのほかに、五カ年間で千五百に組合をだんだん整理統合していこうというのであれば、私は林業センターというような、協業センターとまでいかなくても、それよりも規模は少し小さい林業センターというようなものを合併促進するところにはつくって、そして、それに対しては組合を併設して補助するというようなことで、しっかりひとつ当局も考えて対大蔵折衝をしていただきたい。そうしていかなければなかなか組合の合併はできないし、将来、もう近く、その法案を審議しています森林組合法によって単独化してまいりますと、共済事業のみならず信用事業というように、ますます森林組合を充実していくことになりますので、ぜひともこういった合併促進が必要であるということから私は力説しておるわけでございますが、そういった用意があるか、そういうような決意で臨むのか、その辺もひとつ林野庁長官からお考えの方向をお聞きしておきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/145
-
146・藍原義邦
○藍原政府委員 先生御指摘のように、合併につきまして昭和三十八年度から四十三年度までにおきましては、それぞれ一応そういうものについての補助を行っておりますけれども、三十九年度から構造改善事業というのが発足いたしましたので、こういう構造改善事業を優先採択することにおきましてその対応をしておるわけでございますが、ちなみに五十二年度の一組合当たりの構造改善事業におきまして国庫助成がどのくらいいっておるかということでございますが、五十二年度で一組合当たり約七百万円というふうになっております。
こういう観点からも、今後合併と構造改善事業というものは、できるだけ私どももその辺は優先採択をいたしまして、森林組合の合併が推進できる一助ともなれば、そういう考え方で対応もしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/146
-
147・瀬野栄次郎
○瀬野委員 長官、くどいようですけれども、この森林組合の事務所等を、今後そういった協業センターとかまたは林業センターをつくって併設するとかというようなことをいろいろ考えてもらいたいが、そういったことでこの建設費の調達ということをしなければならぬわけですが、御承知のように、地元の出資によって、また地元の資金の調達によってつくるという、これはもう当然ですけれども、やはり山を持っておる人ほどなかなか資金を出さなかったりまた資材を出さないという傾向が昔から強いわけでございまして、やはり何か補助対象にする、あるいはまたその資金調達については将来はこういう方向で大蔵省にも折衝していくし、こういう方向で考えておるというようなことで、希望を持つようなことをしなければ、私、前回農林大臣の所信表明にも質問したように、たびたび申し上げたように、これは農林水産業冬景色で一つも春にならない。春どころか春がすみも起きてこない。むしろ逆の方で、冬景色どころか酷寒景色へ逆戻りしておるようなかっこうで、これではわが国の林業の推進はなかなか図れない、こういうように思うわけですよ。ひとつ皆さん方も、春になるためにどうか強力に大蔵省に当たってもらいたい。きょうは大蔵省も呼んでいるから厳しく言おうと思ったのですけれども、まあ皆さん方の今後の予算の計画の大きな礎ともなれば幸いであると思って申し上げておるわけで、余り大蔵省を刺激するといろいろやりにくい点もあるからということになればいかぬと思ってきょうは遠慮しておりますが、ひとつそういうことで、国会でもこういったことが論議されたということで、強力に進めて、やがて緑も来るんだし、毎年天皇陛下を迎えて植樹祭もやっております。とにかく春にするために藍原林野庁長官も強力にひとつ森林組合育成、合併促進のためにも最大努力をしてもらいたいと思うのですが、あえて再度お答えをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/147
-
148・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合の合併につきましては、先ほど私どもの考え方を申し上げましたとおり、この五年間にわれわれの考え方に沿って積極的に合併ができるような方途を考えていきたい、またその指導をしてまいりたいというふうに考えておりますが、先生御指摘のございました、そういうような協業施設との調整、調和をとりながらいろいろなものをやっていくということ、こういう問題につきましても、私どもいろいろな予算で合併の一助になるものがありましたら、それらについては調整を図りながら十分対応してまいりたいと考えておりますし、先ほど来御説明しておりますこういう構造改善事業というものは、そういう意味からも非常に意味があるというふうに考えておりますので、優先採択等によりまして積極的な対応を図ってまいる覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/148
-
149・瀬野栄次郎
○瀬野委員 林野庁長官の答弁は少し弱くてあれですけれども、あなたの性格上声も小さいんだと思うけれども、声が大きいからといってできるとは限らぬのですけれども、十分ひとつ決意を新たにしてやってもらいたい、こう思います。
農林大臣、いまいろいろお聞きになったとおり、合併促進については何とか予算措置、財政措置をして、今後協業センター、あるいはそれができなければ林業センターというのもこれはつくればいいんだし、または木材の集出荷施設の管理棟と合わせて併設するとかいうことで、結局私が言わんとするところは、森林組合員も合併すればだんだん距離が遠くなってくる、造林の申請についてもめんどうくさくなってくる、また苗木の受領についても遠くなる。何にもメリットないじゃないか。せめて森林組合の事務所だとかはそういった林業センターあるいは協業センター、あるいは木材の集出荷管理棟と一緒にくっついて、それに対して助成が出てきますと、そのセンターは宿泊もできるし、会議もできるし、結婚式も挙げられる、いろいろ寄り場になってくる、それでは喜んでやろうということにもなるわけですが、そういったことがなければ何ぼ法律を改正したって同じことです。そういった意味で、くどくは申しませんけれども、何とかそういったことをやるというふうにしなければだめです。先ほどいろいろ指摘されていたけれども、大臣、大分元気よかったけれども、だんだん、きばを抜かれたハブみたいで、ミミズみたいににょろにょろして、何かあなた独特の強い考えというものが一つも反映しない、こう思うわけです。
この間申し上げたように、まさに農林水産冬景色で、逆戻りというか、酷寒景色になるから、何とか春を呼んでもらいたい、いまのままじゃ春がすみも来ない、この合併法は、こう言ったわけです。いまちょっとあなた中座されたので多少くどくなりましたけれども補足をしておきましたが、そういったことも含めて、何とかそういう方向で、組合員も喜び、また今後合併が促進できるように、組合事務所の併設、組合事務所をつくっていくための予算措置、財源措置についてはいろいろな角度から勉強して、大蔵にもばんと当たって過疎地帯の対策にも、また組合の合併促進にも最大努力を払う、こういうふうに全二千七十の組合に声を大にしてここから叫んでもらいたいと思うのですが、大臣、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/149
-
150・中川一郎
○中川国務大臣 御指摘のとおりだとは思いますが、ただ組合の合併は国や林野庁がお願いしますと言う趣旨のものではなくして、組合みずからが合併しようというときにこれに助成するというのでありますし、その最大のメリットは税法上の措置。ここで、合併した人にはこれをあげますなんていう特別なことをやりますと、過去にやった人が損しちゃったのでおれにもよこせ、こういうことにもなってまいります。過去やりました分とのバランス等もありますので、今度やります人には色をつけますというわけにはまいりませんけれども、林野庁長官から答弁申し上げましたように、林業構造改善事業を通じて協業センター等いろいろな施策を講じまして、実質、合併が意欲的になる、こういうことに最大の努力を払います。ひとつ見守っていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/150
-
151・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣、確かにそれは下から盛り上がらなければできぬことですが、盛り上がるためにやはり起爆剤になるものがなかったら盛り上がらぬわけです。そこで私は言うわけです。そんなことはもう百もわかっているわけです。そういう意味で、やはり盛り上がるためには、こういうことをしてやるよ、こういうことを今度考えてやるよ、将来こういうことで努力するよと言えば、ちゃんと起爆剤になって盛り上がってくるわけですそういうことで私は申し上げておる。
それと、合併の財政の問題ですけれども、確かに下の方から盛り上がった機運によっていろいろ今後は林野庁、指導もしていくわけですが、やはり林野庁も積極的に将来のことを考えたならば、そういったことを細かく指導してやってくれなければ、盛り上がるまで待っておこうというふうなことじゃないと思うけれども、私は旧態依然とした合併になっていく、こういう意味で申し上げたわけでございますから、その点を十分ひとつ検討して今後の促進を図ってもらいたいと思う。
さらに、合併すると組合の人件費負担等が増加することから、合併が進展しにくい場合が考えられるわけでございます。こういったことは農協の場合も同じでありますけれども、このことも触れておかねばなりませんのであえて申し上げますが、要するに、先ほども少し申し上げましたが、A、B、Cと組合があった場合に、Aは優秀組合、Bは中間、Cはいわゆる、失礼な言い方だけれども、睡眠組合と、こう言っておりますが、それらが合併する場合に、Aの職員の平均給与が二十万円とする。Bは十七万円、Cは六、七万と、こうなった場合に、合併するとやはり格差を是正するためにどうしても給料ももちろんスライドして上げねばならぬということになってくる。そうすると、やはり事業量がふえてきて軌道に乗ればいいのですが、それまでの期間というものは空間になりまして、相当組合員の負担も多くなるし、組合の経理も厳しくなってくる、こうなりますので、その辺はぼくは言わぬでもわかっていることですけれども、この辺を十分考えて指導していただかなければならないと思うのですが、林野庁長官はその点はどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/151
-
152・藍原義邦
○藍原政府委員 御指摘になりましたように、確かに合併いたしますと、その間、当初におきましてはいろいろと人件費の増加負担という問題が起こる場合があろうかと思います。ただ、私どもの考え方といたしましては、こういう人件費がふえたということにつきましては、合併することによりまして、業務を専門化するとか、あるいは事業量をふやすとか、その他経営基盤を確立するとか、そういうもので当然将来にわたって吸収されるべき問題であろうというふうにわれわれ考えております。しかしながら、合併当初そういう問題があることも事実かと思いますので、こういう面につきましては、都道府県を通じまして、これを合併するための協議会等を設けるわけでございますから、そういう場を通じまして十分その辺の指導をしていきたいと思いますし、また合併された後におきましてもそういう面の指導については十分徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/152
-
153・瀬野栄次郎
○瀬野委員 広域大型合併についての問題をお尋ねしておきますが、森林組合の広域合併の推進は、先ほども申し上げましたように、昭和四十九年度から始められた第二期合併のねらいであったわけであります。大型合併組合が地域林業に対して前向きの役割りを果たしつつあることは、私たちもその成果に期待すると同時に、高く評価をしておりますが、四十年代に入ってから森林組合の組織編成をめぐる新たな展開として広域大型合併組合が進められてきたのでございますけれども、数カ町村にまたがる行政範囲を組合地域とする大型合併の効果として、各組合に通ずるメリットはいろいろあるわけですけれども、そのメリットがある反面、逆に大型組合のすべてが将来を約束されているわけではございませんので、デメリットとしての問題点もまた少なくないわけでございます。そういったようにメリット、デメリットの関係がございますが、これも今後の合併に当たってはやはり問題を起こすことになりますので、どういうふうに林野庁長官は認識しておられるか、その点あっさり具体的に申していただいて、今後森林組合合併をやる参考のためにも会議録に残しておきたい、かように思いますので、具体的にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/153
-
154・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合が合併することによりまして、先生御指摘のように、メリットもございますしデメリットもあろうかと思います。たとえば、メリットといえば、やはり合併することによりまして事業量がふえ、あるいは生産活動もふえるというような問題もあろうと思いますし、また逆に事務所が遠くなるとか、いろいろな問題があろうかと思います。
私ども、こういう問題を通じまして、やはりいろいろな問題を、今後合併することによりまして生じますメリット、デメリットについては、先ほど申し上げました都道府県等の協議会等の場を通じまして十分指導してまいりたいというふうに考えておりますが、最終的には合併することによりましてメリットが十分あるという形にならなければ合併の意味もないわけでございますから、そういう方向になるような指導を徹底してやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/154
-
155・瀬野栄次郎
○瀬野委員 福島県の磐城森林組合を私はいま思い出したわけですけれども、たしか十八の組合が合併をして八万ヘクタールを抱えるような組合になったんじゃなかったかと思っておりますが、当初これは相当問題があったように聞いておりましたけれども、現在はようやく落ちついてきたということで、いまはかなりフル回転しているというように聞いております。そういったこともあるので、いろいろこう憶病になってはいけませんけれども、確かに大型化しますと今度は営利に走り、どうしてももうけ主義に走って、末端森林所有者に対してのいわゆる厚い手当てができないということになると、これまたいろいろ問題がある、こういうふうにも思うので、その点はよく指導してもらわぬといかぬが、要するに、広域合併といえども、出資金、組合員面積、執行体制といった規模基準のみによるのではなく、地域林業の成熟度に応じて、構成員の主体的意思等を十分考えて弾力的に選択すべきであり、またそうあるべきである、こういうふうに理解をしておりますが、この点については林野庁長官どうですか。そういうふうに理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/155
-
156・藍原義邦
○藍原政府委員 先ほど合併の目安を申し上げましたけれども、これはあくまでも平均的な目安でございまして、森林組合の合併に際しましてはそれぞれの地域の実態があろうと思いますし、実情があろうと思いますが、その辺につきましては十分私どもしんしゃくしながら指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/156
-
157・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣に最後にお伺いしておきますが、いまいろいろ申してまいりましたけれども、時間がちょうど参りましたので、締めくくりとして大臣に一言お伺いしておきます。
この合併助成法は第三期目に入りました。先ほどからいろいろるる申し上げましたが、大臣も答弁されたように、やはり将来の林業ということを考えた場合に、今後この森林組合等の組織による林業の推進ということが大きく物を言うわけでありまして、間伐にしても、いつかも指摘しましたように、きょうの間伐、あすの主伐という時代がもうやってくる、また労務者についても大変老齢化してきておりまして、このまま推移すると過疎地帯がますます深く厳しくなっていく状況にあります。
そういった面で、農山村の今後の発展のためにも森林組合が持つ役割りというものは大変重要なものがございます。いずれ森林組合法の審議のときにまたるる御質問する予定にしておりますけれども、そういった意味で、その基本になる森林組合の組織の強化という意味で、合併促進については財政的な面も含めて大蔵省とも折衝し、本当に真剣に取り組んで今後来年度予算にも反映していただく、またことしの対策でも十分対処していただきたい、こう思うのですが、最後に、その決意を、全森林組合の皆さん方を激励する意味でも大臣から述べていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/157
-
158・中川一郎
○中川国務大臣 今日の国有林のみならず民有林の実態というものは非常に大事な時期に来ております。何とかしっかりしたものにしなければいけない、そのために森林法から森林組合法を独立さして森林組合の位置づけをしっかりしたものにする、これとあわせまして、合併ができないために脆弱化しておる、あるいは眠っておるというような組合がありますので、この際さらに第三次の合併五カ年計画を立てるわけでございまして、約七百の組合を対象にして、二千から千五百ということにしたいと思っておりますので、これができますためには最善の努力、特に御指摘のありましたいろいろな協業センター等を通じて、やりやすくなるような指導を十分してまいりたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/158
-
159・瀬野栄次郎
○瀬野委員 ぜひひとつ努力してください。
時間が参りましたので、残余の問題は次回、森林組合法の審議のときに譲ることとして、以上で終わります。
御協力ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/159
-
160・中尾栄一
○中尾委員長 神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/160
-
161・神田厚
○神田委員 森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について御質問を申し上げます。
まず、この合併助成法を改正しまして、引き続き五年間にわたりましてその法の適用を延長するということがこの法案の内容でありますけれども、森林及び林業をめぐる情勢に非常に変化があって、なおこの合併のための助成が必要である、こういう判断から出されているわけでありますが、大臣の方から、現在の森林及び林業をめぐる状況と、この合併助成法をさらに五年間の延長をして出さざるを得ないような状況についての御説明をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/161
-
162・中川一郎
○中川国務大臣 わが国の森林の持つ意義というものは、一つは大事な住宅の木材を供給する、かつては薪炭材というようなこともありましたが、いまは大事な住宅の木材供給源である、同時に国土の保全、これは治山という問題もありますし、特に環境という問題もございます。したがいまして、林業というものは単なる林業家の経済あるいは木材の供給ということだけではなくして、非常に公益性を持った大事なものでございます。
ところが最近、木材価格の低迷あるいは木材の需給のバランスあるいは外材の問題等もありまして非常に体質が弱くなり、森林経営気力といいますか、熱意が非常に乏しくなってきておる。これに関連をして、また木材に関する製材業あるいは合板業が非常に苦しくなってきたというのが現状だろうと存じます。
そこで、この際、日本の森林のあるべき姿に立ち返らなければならぬということから、国有林についてもそれぞれ合理化なりあるいは改善なりあるいは一般会計からの導入なり再建計画というものを立てておるわけでございます。民有林についても構造改善の推進や林道あるいは造林等の推進、もろもろの施策を講じておるところでございますが、森林経営の基盤をなす森林組合が非常に弱体化、脆弱化しておる、そのために森林組合法というものを森林法から独立をさせてきちっとした位置づけを行う。かたがた第二次までやってまいりました合併助成法が今年切れます。しかしまだ、先ほど来議論のありますように七百ほどの脆弱な組合があり、どうしてもこれを合併をして体質の強いものにしなければ森林組合が所期の目的を達成することができない、こういうところからさらに五年間延長をお願いいたしまして、しっかりした合併を行い、さらに先ほど申し上げたように、森林組合法というものもしっかり位置づけをして今日の森林の実態に対処したい、これがこの法案をお願いした背景であり、趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/162
-
163・神田厚
○神田委員 林業白書を見ましても、林業経営の動向、それから林業経営収支、林地価格の動向、林業労働者の推移、こういう状況を見ましても、林業自体が非常に落ち込んでいる、ふるわないというのがはっきりしているわけですね。現在いただいております資料の中におきましても、年々国産材が生産の問題におきましても非常に少なくなってきている。さらには、育林部門における間伐の緊急性があるにもかかわらず、それの進捗度が非常に少なくなってきている、遅い。さらには、林家の育成につきましてもやはりいろいろと問題が出ている。こういう全般的な日本の林業を取り巻く状況から考えていきましても、私はやはり森林政策、林業政策というものをもう少し林野庁なり農林省が、森林計画はありますけれども、しかし、それがきちんとした形で果たされていない。ということは、第一にはやはり国の政策の中で森林計画というものを生産計画の中にどういうふうな形で整合させていかなければならないのか、積極的なそういう一つの働きかけなりあるいはそういう国政の中における位置づけというものをきちんとしていかないからこの林業というものは非常に落ち込んできてしまったのだ、こういうふうに考えているわけであります。
そういう中で、現在林業だけでやっていく専業林家というのが、林業だけで七五%の収入を賄っているという林家が約一〇%程度ある、こういうように言われております。そして、それらの人たちが自分たちの造林、そういうものに対しては木を売ったり、そうしたもので賄っている。しかし一方、農業と林業と一緒にやっている林家におきましては、農業の収入によりまして造林やその他をしている、こういう状況があるわけですね。そうしますと、農業収入というものがどんどん落ち込んできておる状況を見ますと、これから先のそういう造林などを含めまして、言ってみれば森林組合などに吸収され、集まってくる、そういう林家というものは、これから先非常に苦しい立場に置かれてしまうのではないか、こういうふうなことを考えるわけであります。
その辺につきまして、大臣としてはどういうふうに御認識をお持ちでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/163
-
164・中川一郎
○中川国務大臣 森林業界から私ども耳にするのは、収益性がそれほど高くないばかりでなく、長期にかかる。造林について国から助成が出たりあるいは融資の道もあるけれども、除間伐というのにさらに追加投資が要る、これが大変なのである、しっかりした収入を上げるまでは除間伐などというものも国でめんどうを見てもらいたい、これがあると非常に助かるがなという声を数年前から耳にいたしておりまして、いま森林を育成していく上において大事なことは、この除間伐に対して国がしっかり手を入れていくことだろうということで、ここ二、三年来かなり前向きにやっておるわけでございます。
同時に、森林経営で大事なことはやはり林道である。林道が森林育成に大きな障害になっておるという要請もございますので、大規模林道等林道の整備にはかなり前向きでやっていきたい、この二本の柱が当座大事な林業を育成する上においての課題ではないか、この点に取り組んでいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/164
-
165・神田厚
○神田委員 私どものあれでは今後十年間に約四百万ヘクタールくらいの間伐が必要だと言われておるにもかかわらず、年間計画の中で進みぐあいが非常に遅いわけであります。そういうものが非常に問題になってきておるわけですし、そういうふうなことが、これから先この森林組合の合併によりまして森林組合がフルに機能を発揮しまして、そういうふうなものについての寄与ができるような形がとられていくのが非常に望ましいというふうに考えているわけでありますけれども、この森林組合合併助成法の一部を改正する法律案が、今度は林野庁、農林省は森林組合法を単独立法として用意しておるわけですね。そうしますと、この森林組合合併助成法の一部を改正する法律案の中身そのものも、森林組合法を単独立法にして、それだけ森林組合を地域林業の中できちんとした位置づけをしていこうとしておるときに、合併助成法の方は中身は全然変えもしないし、どうにもしない。そして、ただ期限だけは延長する、私はこういう出し方というのはちょっと問題があるんじゃないかと考えるわけです。せっかく森林法の中から森林組合法を単独立法でつくり出す。それに合わせて今度は森林組合の合併助成法というものもやはり中身を変えた形でもう少し合併が促進できるような、これは統計で調べてみればわかりますけれども、林野庁なんかが意図したような形で決して合併が進んでないわけです。ですから、やはりこの時期にこれをお出しになるということならば、中身そのものについても検討をして出すべきであったというふうに考えるのですが、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/165
-
166・藍原義邦
○藍原政府委員 確かにいま先生の御指摘のような御意見もあろうかと思います。ただ、私どもといたしましては、森林組合を単独法として森林法から出しましたのは、それなりにいままでそういう機運もございましたし、また検討した結果、できるだけ早期に単独法にした方がよかろうという判断もございまして今回御審議を願うことにしたわけであります。
一方、合併助成法の方は、先生御存じのとおり、ことしの三月いっぱいで期限が切れることになりまして、切れてしまいますと、それからの合併助成については知事の認定ということができません。
そういう意味からも、組合法の単独法はございますが、その考え方と合併助成法を延長することは必ずしも抵触しないだろうというふうにわれわれ判断いたしております。と申しますのは、やはり合併するということは森林組合が単独法になろうがなるまいが、過去においてそういう方向で合併を進めてまいったわけでありますし、合併して、また新しい森林組合法ができまして、その森林組合法によりまして森林組合が健全な成長をするということであればそれはそれなりにまたその法を適用して、合併した組合が健全な森林組合になるような自主的な努力をし、また行政指導すべき面は行政指導をしていけばいいんじゃないかというふうに考えておりまして、先生の御意見もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましてはその辺は十分調整をとりながらやり得るというふうに判断したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/166
-
167・神田厚
○神田委員 長官のお話ですけれども、確かに森林組合法と合併助成法は違いますね。違うけれども、私が言うのは、森林組合法というふうに単独で出すという時期に、合併助成法の方は内容が全然変わらないということでは、これから先、先ほどのお話では三百組合程度の合併の組合をつくりたいと言っておるけれども、果たしてそういうことができるのかどうか非常に危惧されるということを言っておるわけでございまして、もう少し財政その他の問題も含めまして内容等の充実が図れるような合併助成法案を出していただければよかったのではないか、こういうふうに考えているわけであります。
それで、その中身に入ってまいりますが、先ほどからいろいろお話がありまして議論が出ている、ようであります。
最初に、森林組合制度等検討会の報告というのが出されておりますけれども、この中で一番問題になっておりますのは、合併を推進していっても、その地域の林業の状況というものをやはりきちんと把握しておかなければ、せっかく合併しても組合と組合員との関係とかあるいは弱小組合の取り扱いなどで未組織地域の解消が非常にむずかしいのではないか、つまり合併そのものの効果といいますか、そういうものを上げることができないのではないかというようなことがえんきょくに言われているわけですね。この辺についてはどういうふうな配慮をするのかというふうなこともこの中に言われているわけですけれども、このような弱小組合あるいは森林組合未組織地域の解消についてそれでは具体的にどういう進め方で進めていくのか、この辺のところをお聞きしたいと思うのであります。
さらには、この前に行われました四十九年度から五十二年度までの四カ年について、合併件数が五十一件ということでありますけれども、これは、林野庁としてはこの時点では大体何件ぐらいを合併組合としてつくりたいというようなお考えを持っていたのか、その辺のことも含めて御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/167
-
168・藍原義邦
○藍原政府委員 未組織組合の問題でございますけれども、現在森林組合は約二千ほどございますが、確かに未組織のところもございます。これらにつきましては、今後とも積極的な指導をいたしまして、森林組合の自主的な努力もあわせまして、森林組合への加盟ということを私どもも指導してまいりたいというふうに考えておりますが、今回合併することによりましてその方の地域の森林組合が強化されますれば、また当然そういう形で森林所有者が森林組合に入っていきたいという希望もわいてくると思います。そういう意味からも、合併いたしまして強力な森林組合にするということによりまして、未組織の地域において、それぞれその森林組合に加盟する問題等々がさらに進んでまいればいいのではなかろうかというふうにわれわれ考えております。
また、いまおっしゃいました前回やりました合併につきまして、どのくらいの目標であったのかということでございますが、前回と申しますか、いまやっております合併につきましては、広域合併というものを中心に考えまして、どの程度というふうな目標は特に定めず、広域合併をできるだけ推進するということで対応してまいった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/168
-
169・神田厚
○神田委員 できるだけ推進するというふうなことではもちろんそうでしょうけれども、しかし、やはりちょっと、合併させてきちんとしたものをつくっていくという姿勢に欠けていますですね。それはやはりある程度計画的に、こういうふうな指導でこういうふうなものをこういうふうにつくっていくというものでなければ、何かうまくできればできたでいいというようなやり方では、やはりこの深刻な日本の林政の中できちんとできないのではないかと私は思いますね。
そういう意味では、今度三百組合ぐらいの合併組合をつくるというのは、やはりそれなりの指導というか、行政的なものをきちんと持たれなければだめなんじゃないかというように思うのですが、その辺はどうなんですか。やはり今度も、できればいいし、できなくてもしようがないというようなお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/169
-
170・藍原義邦
○藍原政府委員 前回の場合は広域合併ということでやりましたので、やはりその辺が、数をどのくらい合併させるかということよりも、広域合併の場合の規模としてはどの程度がいいであろうかということで規模についての一つの目安は決めまして、その目安に従って合併を推進したわけでございます。
今回は、過去五年間そういうことをやってまいりましたので、大体実態も把握できましたし、そういう規模とあわせまして、ただいま約二千ございます森林組合を大体千五百組合程度になるように合併していこうということで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/170
-
171・神田厚
○神田委員 合併というのはやはりいまの時点では非常に前向きな条件がたくさんそろってきている、こういうふうなことでございますけれども、先ほども論議がありましたが、さらにやはり合併によるデメリット、問題点、そういうものもたくさんあるわけでありますね。そういう中で、やはりひとつ十二分に注意をして取り組んでいかなければならない問題といたしまして、合併組合というのは効率性やそれから生産性、このことが非常に重要視されて、つまり採算主義に陥ってしまうのではないか、こういう危惧が一部言われております。さらには、組織的な問題といたしまして、本所とか支所とかいうものの位置づけの問題、あるいは職員の通勤等やなんかの問題、組織、管理の面でも非常に問題があるようでありますね。ですから、そういう問題につきましては、やはり十二分に配慮をしてやっていかなければいけないと思うのでありますけれども、三百組合つくっていくということになりますと、距離的にも相当広い広域の合併ができるということになりましていろいろな問題が出てくるのじゃないかと思うのですが、その辺はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/171
-
172・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合は、その性格上当然いろいろな事業をいたしますから、その事業を行う範囲内においては採算等々を追求することはあろうかと思いますが、終局の目的は、その組合員に奉仕するというのがねらいでございますから、その辺の精神に間違いのないように私どもも十分指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/172
-
173・神田厚
○神田委員 それに関連しまして、やはり大型合併をしていきますと、先ほど指摘をしましたように、採算性というようなことから、不採算事業を切り捨てたり、それから零細な組合員に対する事業が後回しにされたり、そういうふうな問題が起こってくる可能性がある。こういう問題につきまして、やはり地域の林業の状況に応じた合併の促進というものがなされなければならない。それにはかなりきめの細かい行政的な指導というものがやはりされなければならない、私はこういうふうに考えているわけでありますけれども、五十三年度から新しく展開されていく第三次の合併につきまして、具体的にどういう指導をしていくつもりなのか、どんなふうな形でこの合併を促進していくのか、きめの細かい行政というものが要求されると思うのですが、その辺のところはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/173
-
174・藍原義邦
○藍原政府委員 御指摘になりましたように、やはり森林組合を合併するということになりましたら、その合併した効果が上がるようにしなければいけませんし、それぞれの地域によって森林の事情も違いましょうし、また森林所有者の実態も違うかと思います。したがいまして、それぞれの地域の実態に合ったような指導が十分できますようにわれわれとしても指導してまいりたいというふうに考えておりますし、この問題については、都道府県知事に事業計画を出します場合の認定の際にも、十分その辺を指導できるような体制を県の方に指導してまいりたいと考えておりますし、また都道府県には協議会を設けることになっておりまして、そういう協議会の場においてその辺が十分指導できるような体制がとれるように、私ども都道府県を指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/174
-
175・神田厚
○神田委員 そうしますと、都道府県の問題になってきますが、事業経営計画の認定基準というのが必然的に問題になってきますね。先ほどいろいろお話がありましたけれども、一万ヘクタール以上、それから払い込み済み出資総額が約一千万円、常時勤務する役員及び職員が七人以上、こういうことになりますと、志向していくところはかなりの大型合併ですね。そういうことになりますと、いままでいわゆる睡眠組合と言われていたような、そういう組合の問題などはこういう大型合併の中に果たしてうまく組み入れていけるのかどうか。それから、いわゆる睡眠組合と言われているものの実態そのものがこういう合併を促進していく過程で解消されて、活発な活動を取り返していくことができるのかどうか、その辺のところはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/175
-
176・藍原義邦
○藍原政府委員 今回合併する考え方といたしまして、広域合併が考え方の基本であることは先生御指摘のとおりでございますし、またその場合に、私どもが先ほど申し上げました二千を約千五百にしたいという場合の対象に、いま先生が睡眠組合とおっしゃいましたけれども、非常に事業活動が活発でない組合を私どもも対象に考えておるわけでございます。したがいまして、そういう組合を合併する場合にはどういう形でどのくらいの組合数を合併していくのがいいのか、その辺は都道府県でそれぞれの実態に合った形で十分指導されていくように私どもも考えておりますし、またそういう指導を都道府県の方にしていかなければいけないというふうに考えております。先ほど申し上げましたような数字の中には、そういうものを対象にして合併をしていきたいというふうな考え方をわれわれ持っておりますので、そういう面から、そういう組合が今回の合併期間中に合併されまして、組合の基盤強化になるような指導を私どもも十分心がけてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/176
-
177・神田厚
○神田委員 そうしますと、今度のこの改正案では、睡眠組合もありますけれども、一つは弱小組合の再編整理というものの促進をこの合併助成法の中でやろうとしているのでしょう。それとも全部大型合併という形できちんとできている組合だけを集めようとしているのですか、その辺のところはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/177
-
178・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合の中で事業の活発でないものあるいは弱小のもの、それから先ほど先生おっしゃいました睡眠組合といいますか、そういう本当に活動していないもの、そういうものはそういうものなりにやはりそれぞれの実態に合った形で合併していきたい。ですから、合併される組合にはいろいろな事業活動のあり方があろうと思いますけれども、私どもといたしましては、先ほど御説明いたしましたような規模の中でそういう組合をできるだけ包含しながら、全体が強力な組合になるようなものにしていきたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/178
-
179・神田厚
○神田委員 次に、合併と協業について先ほども御意見が出ましたが、合併をとるのか協業の方をとるのかというふうな問題が一つあるわけですね。たとえば、森林組合広域協業体制整備促進対策というのが四十八年度から五十三年度までやられておりますね。これはどうなんですか。このいわゆる合併助成法と並行した形で今後もこういうようなものはずっとなされていくつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/179
-
180・藍原義邦
○藍原政府委員 協業推進の方につきましては、一応体制ができ上がりましたので五十二年度で終わりにしていきたい。今後はこれを基盤にいたしまして合併を促進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/180
-
181・神田厚
○神田委員 五十三年度で終わりにしたのですね。そうしますと、いわゆる広域協業体制というのは終わりにした、こういうことですか。広域協業体制の整備計画というものはこれから先つくらない、こういうお考えですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/181
-
182・藍原義邦
○藍原政府委員 私申し上げましたのは、五十二年度で終わりにしたい。終わりにしたいというのは国の助成を終わりにしたいということでございまして、実態としてそういう仕事は動いていくかもしれませんが、国の助成としては五十二年度で終わりにしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/182
-
183・神田厚
○神田委員 私は、これは大変大事な問題だと思うのです。広域協業体制の整備計画を進めていくということは、一方ではそれを広域合併に結びつけていこうという考え方があったわけですね。ですから、この助成法をさらに五年間延長していこうという状況の中では、やはり広域協業体制の整備計画も並行して進めていくということが一つの筋であるというふうに考えているわけでありますけれども、その辺はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/183
-
184・藍原義邦
○藍原政府委員 先ほども御説明いたしましたが、都道府県に今度は協議会を設けますけれども、こういう協議会の中でそれぞれの森林組合のあり方、合併のあり方というものは協議され、都道府県なりから十分な指導がされるというふうに指導していきたいと思っておりますので、そういう意味で国からの助成については、協業については五十二年度で終わりにしたわけでございますけれども、合併することと協業については、いま申し上げましたような協議会の場を通じて十分地域の実態に合った指導なり行政なりがされるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/184
-
185・神田厚
○神田委員 これは森林組合法もありますので、そういう中でまたさらに論議を深めていきたいと思っておりますが、最後に大臣に、どうも合併そのものがうまく運ばない、さらには森林組合そのものも弱小組合というものがそういう形でかなり残されている。これに対しまして、先ほど来多少お話がありましたが、大事な森林資源の問題でありますから、もう少し国の方で強力な行政の手だてをしていただきたい、こういうふうに考えるわけでありますけれども、最後に大臣のお考えをお聞きして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/185
-
186・中川一郎
○中川国務大臣 第三期の合併計画でございますので、しかも今回は森林組合法の制定、森林法から独立をするという法案の整備も並行的にいたしております。実効あらしめるためには従来のようなやり方だけではなくて、すなわち税法上の優遇措置だけではなくして林業構造改善等を通じてのもろもろの事業も並行して行って、これが円滑に合併ができるように最善を尽くし、成果を上げたいものだなとひそかに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/186
-
187・神田厚
○神田委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/187
-
188・中尾栄一
○中尾委員長 津川武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/188
-
189・津川武一
○津川委員 提案されている法案に賛成の立場から、若干の質問をしてみたいと思います。
そこで、一つの問題は、森林組合合併助成法が公布されて以来、森林組合の合併は急速に進んだと言われておりますが、専従職員が一人もいない組合も全組合の四分の一程度ございます。こういう形で、森林組合は大きなものになると同時に合併しない小さな方が残るという両極分化の傾向がはっきり出ております。今回改めてこの合併助成法が五年間延長される背景には、森林組合全体の事業活動を進めるということがあると思いますので、賛成したいと思うのです。
そこで、五十年度においても森林組合の主要事業である林産、造林の二つの事業のいずれも実施していない組合は、全組合の三割近くもあると言われております。いわゆる休眠組合です。このような組合をいろいろな形で援助して育てていく、事業をやれるようにすることがやはり本来の姿だと思うのですが、まずこの方針を聞かしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/189
-
190・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生御指摘のように、森林組合の中には確かに休眠といいますか、活発に事業をしていない組合が、私どもの把握では約七百組合程度あるのではなかろうかというふうに把握いたしております。
これは活発に動いていない理由は、それぞれの組合でいろいろあろうかと思いますけれども、たとえば経営基盤となります森林面積が非常に小さいとか、あるいは払い込みの出資金が少ないとか、あるいは常勤の役員がいないとか、いろいろな問題があろうかと思います。私ども、そういう弱小な組合をそのまま強力な組合に指導していく方がベターであるのか、あるいはそういう組合とその付近のもので広域な合併をいたしまして、さらに基盤の強いものにして森林組合を強化していくのがいいのか、その辺の判断の問題もあろうかと思いますけれども、やはり従来の経緯それから実態を見ますと、森林組合につきましては、ある程度の合併を進めまして強力にしていく方が、森林組合としてはより強力になるのではなかろうかという判断から、この合併助成法を延長いたしまして合併を進めようというふうに踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/190
-
191・津川武一
○津川委員 そこで、合併によって森林組合の本来の仕事が伸びていく、軌道に乗る、この方針は確かに一つの方法だと思う。だから賛成する。しかし、そうでなくてもやれるんじゃないかと思います。
私も青森県の実情を聞いて、調べてみました。中津軽郡の相馬村という村に森林組合がございます。小さい組合で、組合員が二百四十六人、職員がいないのです。そして、役場の人がこの仕事を担当されている。仕事はどうかというと、造林公社の仕事、保安林改良の仕事、造林の仕事をかなりやっております。造林公社と保安林改良の仕事だけでも、いま五十ヘクタールぐらいやっておりまして、そのために千数百万円の補助がおりております。非常に喜ばれております。これからさらに五十八ヘクタールのそういう仕事を計画しております。村が非常によく協力してくれる。農業協同組合とかなり重なってやる。ここにも協力体制がある。合併もさることながら、指導によって強化される上において、こういうところにむしろ重点が置かれるべきだと思うのです。合併したとしてもこういう体制がないと伸びていかないので、この辺の指導強化が緊急に求められているのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/191
-
192・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま先生御指摘になりました相馬村の実態につきまして、私ども十分把握いたしておりませんけれども、確かにそういう組合もあろうかと思います。特にそういう組合につきましては、市町村が行政の中で十分指導しているために、よけいこういういい組合が、職員がいなくても動いておるという実態があるのかもしれません。この辺については、私ども今後勉強してまいりたいと考えておりますが、確かにそういうふうにいい仕事をしておる非常に小さな森林組合が実態としてあるということは、決して私も否定いたしておりませんけれども、やはり日本全体を考えますと、必ずしもそういう組合ばかりではなかろう。弱小であるために活発でないという組合も多いということを理解いたしておりますので、それはそれぞれの地方の実態に合わせながら指導してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/192
-
193・津川武一
○津川委員 それで、この組合では県から合併するように指導されました。弘前と中津軽郡と南津軽郡、ここには営林署で言うと四つあります。こういう広域なものに合併指導されているとき、村長や森林組合の役員会や関係者がいろいろ相談してみて、そのとき多少何か合併に対する、皆さんに言わせると強力な指導、逆に言うと強圧、押し込む、こういう強制的なニュアンスもないわけではない。そこで問題は、林業を育てていく、森林組合が仕事ができるようにすることが重点であって、こういう実態を踏まえまして、地域の人の気持ちをよく聞いて、圧力にならない、命令にならないような合併の指導方針が必要だと思うのですが、この点はいかがでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/193
-
194・藍原義邦
○藍原政府委員 御指摘のように、合併することが目的ではなくて、森林組合が合併することによりまして、組合員の地位の向上なり、組合員に奉仕できる組合が育たなければいけませんし、またそれによって山がよくならなければいけないというように考えております。したがいまして、いま先生が御指摘のような強制にわたることのないように私どもとしても十分指導してまいりたいと思っておりますし、また今回はこの合併のために都道府県にそれぞれ協議会を設けることになっておりますので、その場を通じまして十分その辺は指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/194
-
195・津川武一
○津川委員 その次は、なぜ森林組合で機能を果たさないのが出るかという問題です。この間、永大産業が破産しましたので、私も青森県の林政課、それから青森県の木材加工の連合会に行って事情を聞いてみたり、また去る十二月には、秋田県に私たち独自の林業問題の調査に出てみたわけです。そうしたら、木材関係の不況が意外に深刻なのに驚いたわけです。
そこで、どこでも問題になったのは、外材の輸入でかなりの圧力を受けておる、二つ目には国内の不況、この板ばさみになっているのが実態でございました。そんなかっこうから、また秋田県で森林組合連合会に行って調べてみたら、苗木が売れなくなっちゃった。せっかく育てた苗木を掘って焼いているのです。大変なことになってしまっている。この苗木を使っていく造林の計画を青森県で聞いてみたら、五十二年度は三千二百ヘクタールの計画を立てておったのです。ところが、実際にやられたのは二千八百ヘクタール。秋田県で言うと、五十二年は一万ヘクタール計画して、やられている造林が六千五百ヘクタール、こういうことなんです。
そこで、この二つの木材の不況と外材の輸入、こちらの需要状況がどうであるにかかわらず、何か商社が輸入してくる。それで圧迫を受ける、こういうかっこうで苗を焼かなければならぬ状態が起きてきて、林業意欲が落ちてきてしまった。一番心配だったのはそこだったわけ。したがって、こういう不況と外材の輸入の状態の中から林業の意欲を起こすということが、これから非常に大事なことになってきたわけなんです。この林業者の植えていく、保育していくという意欲にかかってきたんで、その意欲を高めていく施策がほしいのですが、どうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/195
-
196・藍原義邦
○藍原政府委員 先ほど来御論議もいただいておりますし、先生いま御指摘のように、林業に対する意欲は確かに現在停滞していることは事実でございまして、私どももその辺を一番憂えておる次第でございます。
その一番大きな原因は、いろいろあるかもしれませんけれども、いま先生の御指摘にございましたように、外材によって木材の需給が非常にアンバラになりまして、そのために木材業界が非常に不活発である、したがって木材が売れない、したがって山を切れない、山を切れないから造林が進まない、こういう悪循環になっておるのであろうというように考えておりますが、私どもそういう意味から、これからの木材需給計画というものを、さらにきめの細かい短期的な需給計画を立てまして、その辺、もう少し的確な需要供給が把握できるような方途を早急に検討してまいりたいというふうに考えておりまして、現在その検討を鋭意進めておる段階でございますが、現在、木材の需要と供給の関係をつかんで的確な実効力のある需給計画を立てることによりまして林産業界をまず安定させる、それによりまして林業に対する意欲を盛り立てるということを考えながら今後とも対応してまいりたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/196
-
197・津川武一
○津川委員 そこで、関係者とじっくり話をしてみたら、外材の秩序ある輸入をするようにチェックする方法はないのか。日本の内材を使うことを中心に考えながら需要に合うような外材を計画的にチェックする方法が一つ。
もう一つは、かつては危険校舎の改築をやるとかなり木材が売れたのです。いま学校を建てても鉄筋なのですね。木材が売れなくなってしまった。ここらで何か不況克服のために、そういう公共事業に対して木材を使うという形の施策を出されないか。こういう形から、いままで体育館の下がコンクリであったのが木材になったところも出てきたのです。
もう一つは、秋田でも青森でもそうでしたが、永大産業に行ってみましたら、木材関係は危ない、こういう何か一つのイメージみたいな、常識みたいなものができておって、情報倒産という言葉を使っていましたが、あそこは木材が売れなくなって危ないらしい、それで銀行が融資をとめてしまう。こういう点で木材を安定させていただいて、銀行の融資がとまらないようにしていただく。
この三つ、何かないかというわけなのです。お答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/197
-
198・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま先生から外材の規制というお話がございましたけれども、御存じのように、日本の木材需要というのは戦後急激に大きくなりまして、やはり国産材だけでは賄えないという形になりました。その結果、木材につきましては現在自由化されまして外国から入っておるわけでございまして、ここ当分の間、外国に相当な量を依存しなければ国民の需要にこたえ得ないという実態でもございます。
そういう観点から、簡単にこれを規制するということにはなかなかまいらないだろうというふうに私は考えておりますけれども、先生もおっしゃいましたような、安定した輸入ができるような方途はわれわれとしても何らか考えていく必要があろうということで、その辺については現在鋭意検討を進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/198
-
199・津川武一
○津川委員 大臣、私も困ってしまっているのですよ。小学校を鉄筋でやるのを木材でせよ、これは言えるか言えないかという問題なのです。
そこで、木材の需要を喚起する施策を大臣にひとつ立てていただかなければならない。ここでいまにわかに聞かれてもだめだろうけれども、何か気持ちというものがあったらお答えいただきたい。木材の需要をふやしていくという大事なことになってきたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/199
-
200・中川一郎
○中川国務大臣 学校のみならず一般住宅についてももっと国産の豊富なといいますか、豊富でもないのですけれども、過剰傾向にあります木材を利用するということについては真剣に研究していきたい。先ほども議論がありまして、ヒノキ材などは耐用年数からいっても美観からいっても外材とは違った味があるのだ、こういうようなことも御指摘がありましたが、そういった国産材の持つ価値というものを国民にもっと知ってもらうと同時に、役所、特に建設省等ともこの点を詰めて、木材利用というものについては前向きに努力したい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/200
-
201・津川武一
○津川委員 ちょうど秋田の杉と下北のヒノキのことを頼もうと思っていたら、大臣から答えていただいたわけです。下北の営林署の人たちは、あのヒノキ材を売るために非常に勉強しています。いろいろな作品をつくって苦心惨たんしている。林野庁としても付加価値を強めて販路を広めていくように特別な検討をしていただきたいということを申し添えて、次の方に質問を進めていきます。
保育の手入れがしてなくて、間伐したものが売れない。私、言葉はよくわからないけれども、伸びていくときに途中で切らなければならぬ。それが、保育してないから節ができてくる。したがって、こういう点での間伐材の利用、それが売れるようにすること、先ほどから何回も質問があったと思いますが、ここらもやはり検討していただきたいと思うわけです。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/201
-
202・藍原義邦
○藍原政府委員 いま御指摘がありましたように、間伐につきましても現在の林政の大きな課題の一つでございます。したがいまして、私ども、間伐が適確に行い得ますように、間伐林道を推進するとか、あるいは無利子の融資によって間伐に必要な機材の整備をするとか、いろいろな対応をいたしておりますけれども、さらには間伐材をいかに利用するかという問題につきましても、現在関係方面で鋭意その検討を進めておりまして、今後とも間伐材が積極的に利用されるように十分な対応をし、研究開発を進めまして推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/202
-
203・津川武一
○津川委員 その次に、合併を進めなくてもやっていけているという組合ですが、南津軽郡の浪岡、組合員が千三百八十人、ここでは森林開発公団の事業を千三百ヘクタールにわたってやっている。毎年六百万円の事業費でかなり大きな仕事をしているわけです。合併はもちろん望んでいない。この組合がいま望んでいるのは何かと聞いたら、木材の税金が高いので、全部が系統利用できるように、森林組合で販売できるようなかっこうになるように、税金のことが問題になったわけです。どうしても高いものだから出しづらいと言う。これが一つの問題です。
開発公団で大変な仕事をしているわけですが、五十年後に切ったときに一割の収益が入るわけです。いまやっている人は、五十年後というと死んでしまうのですね。したがって、生きているうちにこの利益を自分たちが享受できないか。五十年後でなく、十年に一回、二十年に一回、三十年に一回、伸びた分だけでお金をくれないものか。そうなったら皆さんが非常に意欲がわく。意欲をとどめているのはそこなんだ、こういう話なのです。担保にできるならば、まだそれでもお金を借りていまの人たちが使えると言う。森林公団の事業でこういうことが非常に出てまいりました。
もう一つは、ここでは職員が九人、その俸給が大変なので、職員の方たちに対して国が費用を出してほしいということです。
これはいい組合なのです。こういう点でこれを育てていただく方法を考えていただくことが必要だと思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/203
-
204・藍原義邦
○藍原政府委員 先ほども申し上げましたけれども、小さな組合でも非常に活発に活動している組合があろうかと思います。それはそれなりに、それぞれの地方の実態に照らしまして、都道府県の中でその辺の協議を十分いたしまして、私どもとしては推進してまいりたいと考えております。そういう意味からも、現在活発に活動をしておる組合がもし合併したらなお活発になるのであれば、これはまたそういう合併もあろうかと思いますけれども、その辺は地方地方の実態に合ったような形で私ども指導していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/204
-
205・津川武一
○津川委員 森林公団の五十年後の分収の利益、いまやっている人たちに何か恩恵を与える道、これをひとつ考究していただきたいのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/205
-
206・藍原義邦
○藍原政府委員 いま御指摘の、森林開発公団について五十年後を繰り上げて早目にというのは非常にむずかしい問題ではなかろうかと思います。ただ、実態として、いま、森林開発公団ではございませんけれども、そういう声が非常にございますので、私どもも、市町村が持っておる山につきまして、その市町村の出身者等を中心にして、中間分収というような形で募集をいたしまして、出身者から金をいただいて、そしてそれを山に返して、市町村がさらに山をよくする手だてにするという方途をいま一、二やっておりますけれども、今後ともそういう問題については私どもも少し研究はしてみたいと思いますが、森林開発公団のものについては非常にむずかしい問題ではなかろうか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/206
-
207・津川武一
○津川委員 この話が出たのは、中間分収のことから出たのです。したがって、森林開発公団でひとつこれを検討していただければ非常に進むと思います。この点での大臣の方針を伺って、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/207
-
208・中川一郎
○中川国務大臣 ひとつじっくり勉強さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/208
-
209・津川武一
○津川委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/209
-
210・中尾栄一
○中尾委員長 ただいま議題となっております三法案中、森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/210
-
211・中尾栄一
○中尾委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/211
-
212・中尾栄一
○中尾委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/212
-
213・中尾栄一
○中尾委員長 この際、本案に対し、瀬野栄次郎君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。瀬野栄次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/213
-
214・瀬野栄次郎
○瀬野委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、森林組合が地域の森林及び林業の発展に果たす役割の重要性にかんがみ、合併等によりその機能の一層の充実を図るため、左記事項について適切な措置を講ずべきである。
記
一、森林組合の数及びそれぞれの組合の実態を的確には握し、地域の実情に即応して、適正規模を目指した合併が早急かつ円滑に行われるよう都道府県等関係機関に対する指導の徹底を期すこと。
二、本法による税制上の助成措置と相まつて、合併の適正かつ円滑な推進を誘導し、援助するため、合併後の組合が必要とする施設等の統合整備等について、助成措置の強化に努めること。
右決議する。
以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通してすでに各位の十分御承知のところと思いますので、説明を省略させていただきます。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/214
-
215・中尾栄一
○中尾委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本動議に対し、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。
瀬野栄次郎君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/215
-
216・中尾栄一
○中尾委員長 起立総員。よって、動議のごとく決しました。
この際、ただいまの附帯決議について政府より所信を求めます。中川農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/216
-
217・中川一郎
○中川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいる所存でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/217
-
218・中尾栄一
○中尾委員長 なお、本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/218
-
219・中尾栄一
○中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/219
-
220・中尾栄一
○中尾委員長 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。
ただいま商工委員会において審査中の特定不況産業安定臨時措置法案について、商工委員会に連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/220
-
221・中尾栄一
○中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、連合審査会の開会日時は、委員長間で協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。
次回は、明二十三日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00419780322/221
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。