1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年五月十日(水曜日)
午後一時四十七分開会
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委員の異動
四月八日
辞任 補欠選任
渡辺 武君 小巻 敏雄君
四月十一日
辞任 補欠選任
相沢 武彦君 太田 淳夫君
五月十日
辞任 補欠選任
松本 英一君 勝又 武一君
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出席者は左のとおり。
委員長 村田 秀三君
理 事
遠藤 要君
坂元 親男君
村沢 牧君
太田 淳夫君
小巻 敏雄君
委 員
青井 政美君
金丸 三郎君
古賀雷四郎君
田原 武雄君
戸塚 進也君
最上 進君
勝又 武一君
原田 立君
柄谷 道一君
江田 五月君
国務大臣
国 務 大 臣
(国土庁長官) 櫻内 義雄君
政府委員
内閣法制局第二
部長 味村 治君
国土庁長官官房
長 河野 正三君
国土庁長官官房
審議官 四柳 修君
事務局側
常任委員会専門
員 森 一衞君
説明員
防衛庁防衛局運
用課長 児玉 良雄君
科学技術庁研究
調整局生活科学
技術課長 清水 眞金君
気象庁観測部参
事官 末広 重二君
建設省都市局都
市防災対策室長 井上 良藏君
建設省河川局治
水課長 川本 正知君
建設省国土地理
院測地部長 林 哲郎君
建設省国土地理
院地殻調査部長 藤田 尚美君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○大規模地震対策特別措置法案(内閣提出、衆議
院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/0
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001・村田秀三
○委員長(村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る四月八日、渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として小巻敏雄君が選任されました。
また、四月十一日、相沢武彦君が委員を辞任され、その補欠として太田淳夫君が選任されました。
また、本日、松本英一君が委員を辞任され、その補欠として勝又武一君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/1
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002・村田秀三
○委員長(村田秀三君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/2
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003・村田秀三
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に太田淳夫君、小巻敏雄君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/3
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004・村田秀三
○委員長(村田秀三君) 大規模地震対策特別措置法案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。櫻内国土庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/4
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005・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま議題となりました大規模地震対策特別措置法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
御承知のとおり、わが国は世界有数の地震国として幾多の大地震に見舞われ、多くのとうとい人命と財産が失われております。
このような地震災害から国土と国民を保護するため、政府といたしましては、災害対策基本法に基づき、防災基本計画を作成し、防災体制の確立、防災事業の促進等に努めてきたところであります。
この間において、地震の予知につきましては、最近の科学技術の進歩と調査研究の積み重ねにより、その水準も向上してきておりますが、この地震予知情報を有効に生かして、地震災害の防止、軽減を図るためには、大規模な地震が発生した場合に著しい被害の生ずるおそれのある地域を地震防災対策強化地域として指定し、地震観測体制の整備を図るとともに、地震予知がなされた場合において国及び関係地方公共団体その他の関係者が迅速かつ適切に地震防災応急対策を実施し得るよう、あらかじめ地震防災計画を作成する等地震防災に関する事項について特別の措置を定めることにより、地震防災対策の強化を図る必要があると考えられます。
以上がこの法律案を提出する理由であります。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、内閣総理大臣は、大規模な地震が発生するおそれがあり、地震防災対策を強化する必要がある地域を、中央防災会議に諮問し、関係都道府県知事の意見を聞いた上で、地震防災対策強化地域として指定することとしております。
第二に、強化地域の指定が行われた場合には、国は、計画的に地震観測体制の充実強化を図るとともに、国、地方公共団体等は、中央防災会議が策定する地震防災基本計画に即して地震防災強化計画を作成し、警戒宣言が発せられた場合に講ずべき地震防災応急対策のほか避難地、避難路等の施設の整備、防災訓練の強化等について定めることとしております。また、不特定多数の人が出入りする施設その他地震防災上重要な施設の管理者等は、地震防災応急計画を作成しなければならないこととしております。
第三に、内閣総理大臣は、気象庁長官から強化地域において大規模な地震の発生のおそれがある旨の地震予知情報の報告を受けた場合に、地震防災応急対策を実施する緊急の必要があると認めるときは、閣議にかけて、警戒宣言を発するとともに、関係機関、都道府県知事等に対して地震防災応急対策を講ずべき旨を通知することとしております。
第四に、警戒宣言が発せられると、総理府に地震災害警戒本部を設置し、その本部長には内閣総理大臣が当たることとしております。
この本部長は関係行政機関、地方公共団体等が実施する地震防災応急対策について調整、指示をすることができるほか、これらの地震防災応急対策を支援するため自衛隊の派遣を防衛庁長官に要請できることとしております。さらに、関係地方公共団体におきましても地震災害警戒本部を設置し、地震防災応急対策等の実施とその連絡調整等を行うこととしております。
第五に、内閣総理大臣から通知を受けた関係地方公共団体は、その情報を関係者に伝え、避難の指示等必要な措置をとることとするとともに、地震防災応急計画を定めた管理者等は、それぞれ地震防災応急対策をとらなければならないこととしております。これらの管理者等が計画通りに対策を実施しなかった場合には、市町村長等は、所要の要請、勧告、指示を行い得ることとしております。さらに、一般住民も市町村長等の行う地震防災応急対策に協力するよう定めて思います。
第六に、以上のほか、避難等を円滑に行うための交通規制等地震防災応急対策を円滑に実施するために必要な措置、平素における地震防災訓練の実施、地震防災強化計画に基づく事業に対する財政援助等所要の措置につき規定いたしております。
以上が、この法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/5
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006・村田秀三
○委員長(村田秀三君) 以上で説明聴取を終わりました。
これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/6
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007・村沢牧
○村沢牧君 地震対策の強化は、かねてから要望されてきたところでありますが、日本社会党も、すでに一昨年から大地震に対する防災体制の確立について基本的な見解を明らかにするとともに、具体的な施策の実施を政府に要請してまいったところであります。わが党の提案する骨子は、予知体制の確立、地震関係機関の一元化と充実、予報警報の連絡網の整備、都市防災機構の確立あるいは防災整備の事業に対する財政措置の確立などであります。ただいま提案理由の説明のあった政府の地震法案は、同じ地震対策でありましても私たちの主張とは大きな違いがあり、地震防災対策の次善の策と言わざるを得ないというふうに思います。
すなわち、提案をされた地震法は、国がやらなければならないこと、つまり国の責務については抽象的な規定が多い反面、国民に対しては社会的強制力を強め、また自衛隊の事前出動などを規定いたしまして、法解釈やさらに治安対策上にも不安を醸し出しておるわけであります。大臣は、この法案並びに関連法の改正、さらに災害対策基本法、これらを加えまして地震対策は法制上においても十分であるというふうにお考えになっておられますか。また、この法律に基づいて整備をしていけば地震予報体制は充実するというふうにお考えになっておられますか。大臣の見解をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/7
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008・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほど提案理由で申し上げましたように、大規模な地震の予知が可能となってまいりましたことを踏まえまして、地震災害の特性として、地震動による直接の被害もさることながら、火災や社会的混乱による二次災害の影響が大きいことにもかんがみまして、直接被害ばかりでなく、これらの二次災害の拡大防止を図ることなどをねらいとして立案したものであります。従来、村沢委員は十分御承知のように、災害対策基本法で地震等の災害に対して対応してまいっておるわけでございますが、この地域は限られた地域、あるいはまた、この地震の強度と申しましょうか、これは相当大きなマグニチュード8程度のものではございますが予知のできる、こういう予知水準を踏まえまして、一つには先ほど申し上げた直接の被害と二次災害の防止の上にこの予知情報をひとつ活用したいと、また、現在の予知観測の中で観測強化地域もございますが、この地震のおそれのある地域を特に強化地域と指定いたしまして、そして、あらかじめ各種の計画を立案して緊急の場合に対処するということを法案に盛り込んでおるわけでございまして、この対策が万全であるかと、こういう御質問でございましたが、ただいま申し上げた範囲のことにつきましてはこれは十分備えることができると、そういうことで、まずこの法案が災害対策基本法とともに必要ではないかと、こういうことで御幕議をお願いしておるわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/8
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009・村沢牧
○村沢牧君 この法律は、大規模な地震から国民の生命、財産を保護する。さらにまた、社会秩序の維持と公共の福祉を確保するということを目的とするというふうに規定をされておるわけであります。そしてこの条文の中には、命令権者としての国民の自由や財産権を制約する社会的な強制規定も含まれておるわけでありますが、これは扱い方いかんによっては、憲法で保障する個人の自由やあるいは財産権を制約するおそれもなしとしないのであります。地震が発生をする前の防災対策として、社会的な秩序の維持という、こういう大義名分のもとに、治安の維持だとか、さらにまた、戒厳体制的な性格を一面強めているわけでありますけれども、国民生活の安定のための具体的な措置事項が私は大変に欠けているというふうに思うんです。したがって、災害対策あるいは防災対策、そういう面でも本旨を欠いたものではないか、そのように私は判断するんですけれども、これに対してはどのように考えているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/9
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010・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほど申し上げましたように、この法案が成立いたしますと、強化地域におきましては、それぞれあらかじめ対策、計画を立てるわけでございまして、これらの対策を災害発生直前に十分行い得られるようにということを考えておりまして、いまお言葉はございませんでしたが、自衛隊などに出動の要請をする場合も、そういう計画の遂行上のことでございますから、この立法に伴って直ちに治安立法的な色彩というものを持つとか、そういうようなことは全然ないのであります。県や市町村の行う災害緊急対策、応急対策の進行上必要のある場合に自衛隊の出動などの要請をする、こういうことでございます。
また、何かこの立法において国民の権限を縛るがごとき御印象を持たれたようでございますが、災害時に対しての国民の権利などについてのいろいろな制約はもとよりその必要性がございます。そのために、災害基本法でそれらのことについてはすでに立法措置が行われておるわけでございますが、この法案からいたしますれば、強化地域の指定の行われておるその地域に予知情報が出された後に、必要に応じて交通規制のごときを場合によってはする必要があるというようなことは盛り込まれておりますが、これはもう御想像願ってよろしいんでありますが、恐らく予知が出て実際に地震が起こる間、長くても数日の間のその際のやむを得ざる措置、こういうことでございます。災害が発生後にはこれはもう災害対策基本法の方に移るわけでございますから、ただいまのような御懸念はまあわれわれとしては考えないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/10
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011・村沢牧
○村沢牧君 自衛隊の問題や、あるいはまた強化地域の問題については、後ほどさらに質問してまいります。
最初に基本的な問題から伺ってまいりますが、この法案の目的に規定をされている「大規模な地震による災害から」云々という「大規模な地震」というのは、どの程度の地震を指すのでありますか。そして、その大規模の地震以外の地震に対してはこの法律は機能をしないのか、あるいはまた、機能するとすればどの規定が大規模以外の地震にも適用されますか、説明を願いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/11
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012・四柳修
○政府委員(四柳修君) 第一点の、この法律の対象とします「大規模な地震」でございますけれども、先ほど大臣御答弁申し上げましたように、現在の技術水準で予知が可能なものは、特定地域におきますマグニチュード8程度のものでございます。しかし技術水準が向上いたしまして、あるいは観測等の技術が進歩いたしますと、できることならばそれより、地震のエネルギーでは三十分の一でございますけれども、マグニチュード7程度まで目標にもっていきたいと、こういうことを予知側の方で御検討と承っております。それまでの間は、それ以外の地震につきましては、発生前の予知情報といいますか、そういったものが出されませんものですから、発生前の対策としましては、具体的にどの法律でどう対応するという形にはならないと思います。しかし、関係地域におきましては、マグニチュード8以下の地震につきましても、一応この法律が通りますと、計画等をつくりますから、規模はそれ以下としましても、それに準ずるような心構えなり配慮等はなされると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/12
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013・村沢牧
○村沢牧君 いま説明のありましたマグニチュード8程度の地震、この8程度ということは、8以上という意味でありますか。たとえば7であっても7・5であっても予知ができ、必要と思われるときにはこの法律が適用になりますかどうか、その8程度の限界について説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/13
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014・末広重二
○説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。
私ども国民の皆様の御支援と御負担でここまで予知技術が進んでまいりまして、現段階ではマグニチュード8程度であれば防災に結びつく予知情報が差し上げられるということで踏み切ったわけでございますが、いま御指摘のとおり、今後御支援、御負担の上に立ちまして、マグニチュード7であってもある程度防災に結びつく予知ができるという段階に来ましたらば、この法案の中におきまして、防災に結びつくということに踏み切りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/14
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015・村沢牧
○村沢牧君 わが国は地震国でありますが、明治以来の地震でもって被害を出した、しかもマグニチュード6以上の地震というのは、一体幾つぐらいあったでしょうか。その中で、いまお話のあったマグニチュード8程度の地震は幾つぐらいあったのか。そしてマグニチュード8程度の地震というのは、まだ地震の予測をするのは大変むずかしいというふうに思いますけれども、一体いままでの経験から見ても、さらにいまの観測から見ても、何年に一回ぐらい回ってくるように予想される地震であるかどうか、見当つきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/15
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016・末広重二
○説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。
地震の災害ということでございますが、日本の国土に非常に大きな災害をもたらす可能性のあります大規模地震は、太平洋の沖合いで発生するわけでございますが、これは千年以上の歴史がございまして、これを踏まえて見ますと、近いところでは百年以内にその次の地震が発生したこともございますし、長いときにはやはり二百年以上の間隔があったこともございます。結局こういうことを考えますと、やはり観測をしまして地面の下がどうなっておるかということを踏まえまして、それで地震予知に関する情報を差し上げるということが、一番行政と申しますか、防災に結びつくということに私ども考えておりますので、その方向に、ただ単に過去の繰り返しということではございませんで、観測をして確たる情報を防災方面にお渡しいたすということで今後とも努力することでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/16
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017・村沢牧
○村沢牧君 私が最初にお聞きしたのは、過去の地震を顧みまして、明治以来幾つも地震があったわけですね、その中でマグニチュード5もあったでしょう、だけれどもそれ以上のもあったと思います。どういう標準でもいいですが、たとえばマグニチュード6ぐらいの地震は幾つぐらいあって、それで8と言われる程度の地震は幾つあったのか、そのことについて質問したんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/17
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018・末広重二
○説明員(末広重二君) マグニチュード8の地震と申しますと、大体過去の歴史を見ますと、これは統計的なお答えでございますけれども、十年に一遍ぐらいマグニチュード8という地震が起こっておりまして、それより一段低いマグニチュード7、しかし、これは上に都会があります場合には、これは被害の面から見ますと別問題でございますけれども、マグニチュード8ということは大体十年に一遍ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/18
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019・村沢牧
○村沢牧君 具体的な数のお答えがなかったわけですけれども、たとえば昭和十八年に発生をした鳥取地震はマグニチュード7・4、これでも死者が千人を超しているわけですね、あるいは負傷者も二千人を超して大きな被害を出していますね。それから、昭和二十三年に発生をした福井地震ですね、これも死者が三千七百六十何人という資料が出ていますね、血傷者も二万何千人という負傷者が出ている。さらに、最近の伊豆大島近海地震はマグニチュード7である。これも御承知のようにかなり被害を出しているわけですね。このように人的、物的にもマグニチュード7であっても大きな被害を与えているわけなんです。これは地震の結果から見た被害ですけれども、この程度の地震では予知ができないからこういう法律をつくっても法律の適用はないのか、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/19
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020・末広重二
○説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。
今回御審議願っております法案は、いままでの国民の皆様の御支援、御負担によりましてここまで技術が進んだ。技術が進んだ段階でそれだけを防災に結びつけようということでございまして、いま御指摘のマグニチュード7あるいは直下地震ということにおきましても、私どもの技術が進みましたらば、それはこの法案の中に繰り込みまして、事前の措置ということに結びつけるということに将来はだんだん進むと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/20
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021・村沢牧
○村沢牧君 いままでの答弁をお聞きをしても、この法案の内容は、現在の予知能力を背景にしてマグニチュード8程度としているわけです。それに対しては国である程度責任を持ち対応するけれども、それ以下のものについてはこの法律上の防災の対象には実際問題としてはできない。マグニチュード8程度の地震は、過去の例を見ても、いま十年に一回ぐらいというお話あったんですけれども、そんなに何回もある地震ではないというふうに思うんです。しかし、それ以下のものについては国が対策をする責任がないというかできない、やらないということでは、国の責任の回避ではないか。なるほど予知はマグニチュード8程度でなくてはできないけれども、法案としてはもっと、マグニチュード7であってもそれ以下であっても、私が指摘をしましたように、何千人という死者を出した地震もあるんですから、それらに対応していくような法律内容にすべきではなかったか、私はそのように思いますけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/21
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022・末広重二
○説明員(末広重二君) 技術面に限って御説明申し上げますけれども、最終的には、日本は地震国でございますので、北海道から九州あるいは沖繩までこれは地震に見舞われる危険がございます。そこに対して予知情報をぜひ出したいということは、私ども技術面の悲願でございまして、これは国民の皆様に代表される皆様の御支援と御負担によってぜひやりたいと思っております。
ただ、今回の立法、いま御審議願っております法案の中では、まず、われわれのいままで持っている技術のできた部分を防災に結びつけるということでございまして、マグニチュド8ということを申し上げているわけでございますが、今後技術の推進、われわれの努力の結果を何とか結びつけまして、マグニチュード7あるいは直下地震ということに対しましても地震予知情報を、的確な地震予知情報を差し上げて防災に結びつけるということに努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/22
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023・村沢牧
○村沢牧君 気象庁から答弁をしておりますように、この法律は予知の能力を背景としてつくったものである、技術的に見ればそういうことだというふうに思いますが。
国土庁の四柳審議官、私はせっかくこういう法律をつくるのですから、たとえマグニチュード7であっても大きな被害を与えたいままでの経過があるんですから、したがって、この法律の中に——すでに法案は出されておりますけれども、もっとやっぱり地震防災の面を強く出していく必要があったのではないか、すでに出されておりますけれども。ただ、自衛隊の事前出動なんというふうに思い切った法案を出すのですから、もっとほかの防災の面において充実したものを出すべきではなかったかというふうに思うんですけれども、やっぱり技術が、マグニチュード8程度まで予知能力が進まなきゃ全然この法律は機能しない。まあ関連的に地方で対策をつくって機能するでしょうけれども。もっと、せっかく法律をつくるんですから、そういう防災的な面を含めた法律にすべきではなかったかというふうに私は思うんですけれども、どうですか。できないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/23
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024・四柳修
○政府委員(四柳修君) 御指摘の点、確かに非常に傾聴に値する御意見だと思います。法律の仕組みとしまして、予知情報が出された上でのいろいろの事前計画に基づくいわば防災義務といいますか、そういうことをセットとして考えておりますけれども、そのセットの前段の予知情報が出されなくても、当然関係地方公共団体なりあるいは住民なりあるいは国としましても、いわば防災一般論としまして、こういった点についてもっと配慮すべきではないかと、こういう御指摘だと思いますけれども、確かにこれは先ほど大臣御答弁申し上げましたように、限られた前提、限られた技術での対応でございますけれども、その中でもやはり企業なり関係省庁なりそれぞれ、いままでなかった発想によりますいろいろの基準なり計画がつくられるかと思います。そういたしますと、ただいま村沢委員おっしゃいます限られた地域外のところにつきましても、同じような基準なり物の考え方でそれに準じて検討すべきではないかと、こういうことが当然起きてくると思います。たとえば、この法律にございますいろんな危険物施設につきまして、現在の保安規程を強化いたしまして、やはり地震関係の防災規定を加えると、こういうことがございます。そういたしますと、やはり区域は指定されなくても、当然他の地域におきましても、関係の企業等におきましても、万が一の場合にはそういうこともあり得るんだなということの御検討等も事情によりましては行い得ると思います。その他、この地域の指定に関連いたしまして、やはり関係地域に該当するかしないかというボーダーラインの地方公共団体等からも、いろいろの御意見なり御要望が出てまいるかと思います。そういう過程の中で、ただいま御指摘の御意見というものを、予知技術とは別に、防災側としましても、いわばこの法律を、何と申しますか、一里塚のような形で一歩一歩前進させながら、私ども防災側としましてもそういった対応をとり得るよう検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/24
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025・村沢牧
○村沢牧君 いま審議官から答弁があったんですけれども、この法律をつくることをさらに促進をしたのは、伊豆大畠の近海地震があってこれが一つの促進剤になったことは、これは客観的に見てもそうだというように思うんです。つまり法律をつくれということは、あのマグニチュード7であった伊豆大島地域の地震、これらについても何か防災上の対策はやっぱりとるべきではないか、私はそういうことが趣旨であったというように思うんですよ。いま審議官からそういう答弁がありましたから、今後さらに、ただ予知の能力、予知を背景にした地震対策ではなくて、もっと予知が仮に出さないとしてもやっぱり対策がとれるように法律を、内容もですよ、将来さらに改定をしていく、充実をさしていく、そのことを私は要望だけしておきますけれども。
さて、いままで答弁になりましたように、何と言ってもこの法律の的確な運用というのは、予知ということが一番前提になるわけです。したがって、予知についてお聞きをしたいんですけれども、組織的に見ても、さらに技術的に見ても、あるいは予算的に見ても、予知体制を確立しなければならない。そのことはいま答弁を聞いておっても理解ができるわけです。しかし、現在の予知技術で予知情報を出せるのはマグニチュード8程度のものである。そういう答弁もあったわけでありますけれども、このマグニチュード8だったらば国民の信頼をし得る予知情報を自信を持って出すことができるかどうか、これをひとつ大臣からお答えを願いたいというふうに思うんです。
それから、この法案によれば、予知に関する規定らしいものは、第四条に「強化地域に係る地震に関する観測及び測量の実施の強化」これをうたってあるだけでありまして、一番重要な予知関係の規定が私はぼやかされているというふうに思うんです一なるほど現在観測は全国的に相当やっておりますけれども、また、それを強化することは必要でありますけれども、その観測体制がそのまま地震予知につながる体制になっているかどうか。現在の予知能力あるいはその限界、これについて、これまたひとつ大臣の方からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/25
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026・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 予知の関係から申し上げますと、現在この観測強化地域とそれから特定観測地域とこうございます。大体日本全国九つの地域につきまして、あるいは強化地域あるいは特定観測地域といたしておるわけでございまして、なかんずくこの観測強化地域につきましては、現在気象庁あるいは予知の技術担当者からすると、相当大規模な地震の発生のおそれがあると、こう見ておるわけであります。その中でも東海地域においてはマグニチュード8程度の地震の可能性がある、南関東地域についてはその可能性は少ないが、直下型マグニチュード7程度の地震のおそれはあるいはあるかも知れぬというようなふうに、現在の予知体制の中で一応いろいろと観測されておるわけでございます。
特に、ただいま御質問がございましたように、伊豆大島沖地震から、またそれより数年前から、東海地域については大地震のおそれがあるという心配をされておる折から、この東海地域についてのマグニチュード8の予測というものは、現に観測が強化されておりますから、これは予知はできると、こういう自信に立っておるわけでございます。
また、今回の立法措置後におきましては、現在でも観測強化をいたしておりますが、なお足らざるところがあれば一層強化をいたしまして、この東海地域に関する限りは予知は可能である、こういう前提にございます。
他の地域につきましては、これは活断層あるいは歴史的経緯から観測地域として一応検討しておるのでありますが、南関東につきましては、これは今度の立法による強化地域にして事前の措置をとっておく方がいいんではないかというように私は判断しておりますが、この強化地域の指定につきましては、中央防災会議の御審議の上に東海地域を指定するあるいは南関東地域を指定する、こういうことになりました。それらの地域には、先ほど御説明したような事前のいろんな措置がとられると、こういうたてまえでございます。
先ほどからの御質問で、もっと広範囲の予知ができぬかどうかという点につきましては、気象庁の方の御説明のとおりに、マグニチュード7程度までは早く技術的水準を上げて予知をしたい。しかし、マグニチュード7程度のところについて現在それでは自信を持ってやれるのかと、こういうことになりますと、それはいまの状況ではなかなかむずかしいんではないか、8前後のものについては確信を持って言えると、こういういまの予知の体制ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/26
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027・村沢牧
○村沢牧君 予知の重要なことは、先ほど来申しておるところでありますが、それではこの法案に予知を強めるということが私の見る限りにおいては余りうたってないような気がするんですけれども、予知の前提になる「強化地域に係る地震に関する観測及び測量の実施の強化」などは、これは予知につながってくるというふうに思いますけれども、そのほかのどこにも予知体制を強めていくなんということは、私は法案を見ても余りうたってないと思うんですが、それは法律上どうなんですか。本当に強めていきますか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/27
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028・四柳修
○政府委員(四柳修君) ただいまの御指摘の第四条は、指定されました強化地域につきましての観測測量の強化という点でございまして、一般的な問題としましては、三十三条の「科学技術の振興等」という条文におきまして、どちらかといいますと強化地域の指定を促進する、あるいはそれに役立っための中長期の予知観測体制の強化という観点から、三十三条で「科学技術の振興等」の趣旨を置いてございまして、関係省庁ともどもそういった方向で努力してまいる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/28
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029・村沢牧
○村沢牧君 科学技術庁の話も出ましたので、科学技術庁にお聞きしますけれども、地震予知の研究と実用化はいま始まったことではなくて、昭和三十八年の日本学術会議の勧告以来、さらに測地学審議会の三次にわたる建議などでいろいろと勧告をされてきたわけですね。それで関係各省庁も不十分ながら取り組んできたわけです。そして、測地学審議会の第三次の建議では、研究の内容が進み、「地震予知の可能性が大きく開かれ、近い将来に地震予知の実用化の段階に入ることが期待される。」このように報告をしているわけです。
お伺いいたしますけれども、地震予知が事実上あるいは客観的にも実用段階に入って、そうしてどのくらいの地震が起こるということについて、いま予測できる段階にありますか。その予知体制の確立についてお聞きをしたいんですが。
それからまた、いまお話がありました第四条なり三十三条、これらを強化していけばさらにこの地震予知が実用化の段階に入っていくかどうか。科学技術庁としての見解なりあるいは現状について説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/29
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030・清水眞金
○説明員(清水眞金君) いまの、基本的に言えば末広参事官がお答えしたとおりでございます。ちょっと重複する点がございますけれども、一応科学技術庁の見解ということでございますので申し上げますと、一般的にはやはり地震予知技術というのはまだ研究あるいは開発すべき部分が多い。つまり、したがいましてマグニチュード6とかあるいは7とかその辺のところを完全にきれいに予知するということはまだできない段階でございます。したがいまして、ただ東海地域のように観測網を非常に精密に張りめぐらしまして、それから常時監視をし、さらに判定会等を置きまして、そういうものを総合的に判定するというふうな体制をしけば、しかもそういう網に非常に大きな地震の場合にはひっかかってくる可能性が非常に強いと、したがいまして、そういうふうな大きな地震につきましては、観測体制を整備した地域につきましては、前兆現象としてまず間違いなくとらえられるんじゃないかというところまできたというのが、一般のわれわれの認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/30
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031・村沢牧
○村沢牧君 観測地域を強化した東海地区等については、大臣も言われたように自信を持てるけれども、その他の地域については、科学技術庁としてはどのようにいま考えてますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/31
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032・清水眞金
○説明員(清水眞金君) 非常にむずかしいんでございますけれども、基本的には東海地域同様に観測網を完全にと言いますか、かなりの程度に整備してデータを常時監視いたしまして、それから判定会のようなものをすぐに活動できるような形にもっていけば、ほかの地域につきましても大きな地震だったらとらえられるようになるんじゃないか。現在は、そこまでいっていない地域につきましてはなかなかむずかしいというのが現状だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/32
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033・村沢牧
○村沢牧君 大臣の答弁でもいま科学技術庁の答弁でも、観測強化地域にしてそういう観測を強化していけば、ある税度予知ができるという答弁があったわけですけれども、観測強化地域というのは、東海地域という話があったんですけれども、今後さらに広めていくようなお考えを持っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/33
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034・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 地震予知につきましては、五十一年、五十二年、五十三年と予算措置も次第に強化をしてまいっておるわけでございますが、現在、先ほど申し上げました特定観測地域の状況からいたしまして、地震のおそれが非常にあるというような前提には現在の状況ではないと思うのでございます。予算の許される範囲で、もしそういう東海地域のような前兆的な現象が相当起きておるということになってまいりますれば、それはもう観測を強化して、そしてデータを収集することがこれが望ましいことだと思います。ただ、私の承知している範囲では、現在島根県東部あたりの地殻の隆起が認められるというようなことを聞いておりますが、現に観測強化地域であるところのこの東海地域や南関東地域のような、そういういろんな状況はないと承知しておるわけでございますが、今後この予知体制あるいは観測の強化については、これは先ほど審議官が申し上げましたような、本法におきましても三十三条によりましてできる限りやるようにと、こういうことでありますので、私としてもこの予知体制や観測の強化につきましては今後鋭意努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/34
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035・村沢牧
○村沢牧君 気象庁にお伺いしますが、いま大臣の方から、東海地方のような地震の起こるおそれ、あるいは観測強化地域の他の地域はそういう前提にないというようなお話があったんですが、気象庁の判断としてそういう見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/35
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036・末広重二
○説明員(末広重二君) 私どもは、やはり日本全部を見通しまして常時監視をするということが責務でございまして、特にやはり大規模地震が発生するおそれのあるという東海、あるいは大規模地震という定義にかかるかどうかこれは議論がございますと思いますけれども、関東地方に対しましても特別な観測をしいておりますけれども、やはり気象庁といたしましては、これは国土地理院もそうでございますけれども、日本全国を対象といたしまして、いま御指摘のような方向に向かって観測はやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/36
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037・村沢牧
○村沢牧君 観測をやっていることは承知をしておるんですけれども、気象庁としてやっぱり東海地域だけ強化地域でいいのかどうか、あるいは日本全国を見て、この地域もやっぱり強化地域として持っていった方が安心できるんではないかというような、そういう判断というか、そういう観測の結果というのはないんですか。いいですか、皆さん自信持って言えますか、東海地域だけでいいというふうに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/37
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038・末広重二
○説明員(末広重二君) 御指摘の点でございますけれども、私どもは東海地域あるいは南関東を含めまして、これは重点的に人間あるいは観測を投入してはおりますけれども、北海道から沖繩にかけまして、十分な地震関係のあるいは予知関係の観測ができるように努力いたしておりますし、今後ともその方向で向かっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/38
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039・村沢牧
○村沢牧君 いま答弁を聞いておりましても非常に心もとないんですがね。ということは、それだけ観測なり予知体制が進んでおらないというふうに私は思うんですよ。
そこで、国土地理院に聞きますが、いますね。——測地学審議会の第三次地震予知計画及びその一部見直し、さらにまた、再度見直しが出たわけでありますけれども、その中では「全国的な測地測量の反復実施は、地震予知の基本観測として重要であり、」そのための全国精密測地網測量の促進を図ることが必要である、このように強調しておりますね。そして、「一次精密測地網測量については、当初計画どおり実施されるよう、格別の工夫をすることが急務である。」このように警告をしておるんです。この計画実施は国土地理院が担当しているというように思いますけれども、第三次予知計画は五十三年をもって終わるわけですけれども、最終年度に、本年度においてこの精密測地網観測の進捗状況は一体どういうふうになってますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/39
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040・林哲郎
○説明員(林哲郎君) 先生の御指摘のように、精密測地網測量は地殻の水平方向の変動を求めるということで、非常に地震予知に対しましても重要な測量でございます。これは、従来は三角測量ということで実施していたわけでございますが、四十九年度に辺長測量の技術的なレベルアップが図られまして、精密測地網測量に切りかえたわけでございます。
それで、精密測地網測量の一次基準点測量でございますが、これは四十九年度を初年度といたしまして、本年度で五年目になるわけでございますが、この間関東、東海、これを初めにやりまして、その後中部、それから北陸、近畿地方等の測量がいま現在完了しております。それで、現在のところの進捗状況は全国土のほぼ二〇%程度でございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/40
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041・村沢牧
○村沢牧君 地震予知に関連をし、また気象庁の業務にも関連してくるこうした測地網が、いま答弁では二〇%程度というようなことがあったんですけれども、これはなぜこんなに進まないんですか。予算の関係ですか、体制ですか。それでもって予知を完全にするとか、あるいは気象庁、強化地域をどこへつくったらいいかこれから検討するなんて言ってるんですね。なぜこれが進まないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/41
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042・林哲郎
○説明員(林哲郎君) いま二〇%と申し上げましたのは、計画の二〇%ということではございませんで、全国土のほぼ五分の一が済んでいるということでございます。
で、この測地学審議会の方の第三次長期計画の建議は、五年周期で六千点を行えという建議でございます。これに対しまして、四十九年度から始まったもんですから、当初これだけの計画どおりというよりも、むしろ周りの状況の整備等がございまして、初年度等は計画どおりいっていない状況でございました。最近ほぼ計画にだんだん近づいている状況でございまして、第四次長期計画を現在測地学審議会の方で御審議いただいているようでございますが、その方の建議を受けまして、私ども格段の努力をしていきたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/42
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043・村沢牧
○村沢牧君 第四次の測地学審議会の計画ですね、これは進んでるんだから、当然もっと促進をしなさいというふうに出てくるというふうに思うんですけれども、それまでに、第三次までにやろうとした計画に対して、現状はどのぐらい進んでるんですか。今年度で第三次終わりですね、最終年度です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/43
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044・林哲郎
○説明員(林哲郎君) 現在精密測地網につきましては、四十九年度以来の予算の伸びが本年度、五十三年度は五十二年度に対しまして一・四倍程度の相当の費用を持っております。それで、当院といたしましては当初計画どおり達成するように努力はいたしておりますけれども、まだ若干その計画どおりまでいってないということは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/44
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045・村沢牧
○村沢牧君 若干であるかどうか、パーセントで言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/45
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046・林哲郎
○説明員(林哲郎君) 千二百点の年間の消化量に対しまして、その約五〇%程度ということでございます。現在のところの進捗の状況といいますか、最近の消化量はほぼ計画の五〇%程度いっておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/46
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047・村沢牧
○村沢牧君 あなたたちは、その進捗率に対して五〇%、半分ですね、それを若干と言うんですか。そんな解釈でもって、そんな気持ちでもってこれが進んでいくというふうに思いますか。この測地網とそれから気象庁の関係はどういうことになりますか。気象庁はこれを受けてやるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/47
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048・末広重二
○説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。
第三次の測地学審議会の御建議で受けましたことに対しましては、私どもひずみ計の設置、あるいはこれは今年の七月の末期に予定しておりますけれども、海底地震計の設置等、これをやれということに対しましてはほとんどおこたえしていると思いますけれども、これはやはり私どもだけではございませんで、いま国土地理院も御説明申し上げましたとおり、やはり全体的な総合的な協力と申しますか、努力でございますので、私どもに対しましてはいま御質問のとおりのことをやったわけでございますけれども、今後ともその協力体制を一層前進したいと、こう思って努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/48
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049・村沢牧
○村沢牧君 皆さんが努力することは当然のことですよ。そんなことを質問しているんじゃない。
大臣、いまお聞きのように、予知能力を高めるといっても、その基礎になるものが大体計画の五〇%、こんな程度なんですけれども、こういう状態でもって幾ら法案をつくって予知能力高めるといっても、そんなことができますか。予算が足らないんですか。人員足らないんですか。その辺は大臣どういうふうに思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/49
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050・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 御質問は、もっと広範囲に十分確率のある予知をするようにという御趣旨だと思うんでありますが、それはもう率直に申し上げまして、現在の状況では不十分であるということは認めざるを得ません。ただ、現在までの予知技術あるいは予知体制からいたしまして、少なくともこの強化地域、なかんずく東海地域についての予知は十分できると、こういうことからこの法案をお願いしておるわけでございまして、御質問の御趣旨に沿っての今後の予知体制の強化につきましては、現に科学技術庁長官を長とする予知推進本部も設けられて、ただいまの御質問の趣旨に沿っての努力はされておるわけでございますが、現在それが十分か不十分かと言えば、十分でないということは申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/50
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051・村沢牧
○村沢牧君 大臣の答弁は、特に東海地域、観測強化地域、それについて対応していくんだということを盛んに先ほどからおっしゃってますが、そんなことなら何も大規模地震なんて言わなくて、東海地域あるいは南関東地域の地震対策特別措置法であったっていいじゃないですか。これは大規模地震として地震対策を災害基本法が発動する場合にやるんだという、こういう目的を持った地震法だったら、それにやっぱり対応する組織をつくっていかなければ私はいけないと思うんですがね。これについては答弁要りませんから、また次の質問してまいりますけれども。それから、昭和三十九年から現在まで、先ほど申しましたように、地震予知計画が建議をされた。見直しもされた。その都度強調されてきたことは、地震予知を行うに必要な人材の養成あるいは人員の増強、これを建議の都度指摘をされてきたわけですね。この人事面において、予知体制に十分に対応するような状態になっているのかどうか、その人的機構について、どなたになりますか、説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/51
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052・清水眞金
○説明員(清水眞金君) 御説明いたします。
地震関係の、地震予知関係の人員につきましては、昭和四十年近くから相当な、ほかの例に比べればかなりの規模でふえておりまして、現在は直接その予知関係あるいはまあ地震関係にもっぱら従事しております者が約三百四十名ぐらいでございます。それから、関連していろんな全国で施設の監視とかあるいは観測に従事しております者も入れれば約千六百名というふうな数字が出ておるわけでございます。五十三年度におきましても、かなりいろいろ先生方の御助力によりまして、いろんな組織あるいはその人員を重点的にふやしていただいたというふうな経過がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/52
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053・村沢牧
○村沢牧君 そういう経過はありますけれども、それでは第四次のこの審議会の建議なんかで、人員の問題なんかについて指摘をされるようなことはないですか。十分ですか。十分とは言わなくても、体制それでいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/53
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054・清水眞金
○説明員(清水眞金君) 現在測地学審議会の方で第四次計画が進められておりまして、私どももその審議についていろいろ伺っておるわけでございますが、その中では人材の確保、養成というふうなことにつきましても触れられるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/54
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055・村沢牧
○村沢牧君 そういう審議会で触れられるということじゃなくて、実際に担当している皆さんが、現在の人員であるいはこの人的機構で、この期待に報いるような予知体制が将来に向かって確立できるような情勢になっていくと、現在ならないとしても、なりつつあるのかどうか、その辺の自信のほどはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/55
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056・清水眞金
○説明員(清水眞金君) まさに御指摘のとおりでございまして、われわれとしても十分であると思っているわけではございませんので、この第四次地震予知計画の中で、このぐらいの増強をすべきであるというふうな線が出れば、その線に沿いまして、十分にその機関の組織あるいは人員の確保に最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/56
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057・村沢牧
○村沢牧君 私はいままで、予算面だとかあるいはまた人的機構の面から予知計画の進捗についてお伺いしたんですが、それらも含めて、第三次予知計画に予定をされた、あるいは計画された計画事業量は本年度中に終了することができる状態であるのかどうか、第三次予知計画の事業量とその進捗状況、全体をひっくるめてお聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/57
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058・清水眞金
○説明員(清水眞金君) 御指摘のように、第三次地震予知計画というのは、昭和四十九年度から五十三年度の五カ年計画でございまして、現在が最終年度でございますが、まず結論から申し上げますと、測地関係の一部を除きましてほぼ全体として計画の線をカバーしていると。まず金額の面から申しましても、当初の予定をかなりといいますか、当初に予定したところをほぼつけておりまして、トータルで、現在までに五十三年度の予算を含めまして、約百五十億ちょっとオーバーするぐらいのお金がこの第三次地震予知計画の実行のために投じられております。
具体的なところをちょっと申し上げますと、まず全国における基本的な観測があるわけでございますけれども、大・中・小地震観測、これは二十六カ所の地震計を電磁式に更新せよというふうな建議が出ておるわけでございますが、これは計画どおり実施されております。なお、新たに小地震観測網二十点、それから地震データ処理装置が付加して整備されております。したがって、計画の方で言っておりますところは十分に、むしろそれより以上の整備がなされておる。
それから検潮関係でございますが、既設の八十二カ所の充実とか、データ処理の迅速化を図れというふうな計画でございましたのですが、現実には検潮所約九十カ所につきまして解析の機械化とか、それからテレメーター化を進めておるわけでございます。
それから水準測量でございますが、これは二万キロを約五カ年で観測をしろというふうなことがございましたが、これは先ほどの答弁にもございましたように、いわゆる測量単価の上昇がございまして、計画よりおくれておるというのが実情でございます。
いろいろございますが、それから海底地震計の開発、これはすでに四十九年から五十三年度の五カ年計画で開発中でございまして、気象庁さんの方で今年度遠州灘に実際に試作したものを埋設いたしまして、観測の実験をするというところまでまいっております。
それから深井戸、たとえば関東につきましては、深井戸を掘りまして三点の深井戸観測をすべきであるというふうなことを言われましたんですけれども、現実に三点の計画が実現しつつございまして、具体的には四十八年度からすでに岩槻に三千五百メートルの第一号井が完成しております。それから第二号井が下総に二千三百メートルの深層観測井をつくりまして、これは本年度から観測を開始いたします。それから第三号井が府中に、今年度予算がつきまして五十三年度から掘削に着手して、五十五年度から観測の開始予定というふうなことでございます。
ほかにいろいろございますけれども、要するに結論として、測地測量の一部を除きまして、ここで言われておりますところをほぼカバーしておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/58
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059・村沢牧
○村沢牧君 総合的であって、かつ機能的な予知体制をつくるためには、地震の関係機関の充実というか、一元化等が求められておるというように思うんです。
そこで、地震関係組織の現状を見ますると、測地学審議会は文部省にある。地震予知連絡会の事務局は国土地理院に、この地震予知連絡会の中に設置をされた東海地域の判定会の事務局は気象庁に、さらに行政機関相互の連絡調整を図る事務局は科学技術庁に置かれている。また、実際の予知研究に携わる機関は建設省の国土地理院、運輸省の気象庁及び海上保安庁水路部、通産省の地質調査所、科学技術庁の防災科学技術センターですか、文部省の緯度観測所、東大ほか大学の地震研究所等々、全くこれ入り組んでおるわけなんです。
大臣、大変失礼ですが、私はここに書いてあるからこうやって読んだんですけれども、大臣お聞きになっていて、一々だれがどこでやっているか、担当大臣としてこれ判別ができたり指示ができるでしょうかね。しかも、私が指摘するだけでなくて、関係者はこの各省庁の協力関係は十分でない、このように一部では内部告発を行っているんです。地震予知をするために、本年度は予算を増額して一生懸命やると言っておりますけれども、こんなにばらばらな機関でもってうまく統合してやることができるのかどうか。また、これだけやっぱり分散してなきゃ地震予知というのはできないのかどうか、その点について大臣の見解と、どういうふうにしていこうかというお考えがあったらお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/59
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060・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 予知技術の面ですね、私は技術が、ただいま御指摘になられたような各方面、各機関において鋭意研究されておるということは、それなりの私は成果があると思うのであります。
それから、きょうの御審議の上での問題点であるそれらの予知技術を、予知体制としてどう結んでいくかということにつきましては、現状では、先ほど御指摘あった予知連絡会に情報などが集中され、交換されておるという状況にあるわけであります。で、その予知連絡会がそういうことを担当しておる中にありまして、東海地域についてはこれは問題だぞと、こういうことで判定会が設けられて、これはその地震予知について一元化を図る意味において気象庁長官がこの本部長に予知をするのでありますから、それでこの判定会は気象庁に属しておると、こういう形でありますから、御議論は当然あると思います。しかし、予知技術というものを将来完璧ならしめる上におきましては、いまのような各方面でいろんな形でやっておるということが必ずしも私は不適当だとは思わないのであります。いろいろ御議論がありましたために予知推進本部というのが設けられて、これは科学技術庁長官がその長となって推進しようということでもございますし、また、先ほどからお話の出る測地学審議会、この方が予知問題に対しての建言を数次にわたっていたしておりまして、近く第四次の建言も行われる。それは予想されるところ予知体制についての御意見に触れられると、こういうふうに聞いておりますので、そういういろいろ専門的に御研究を願っておるそういう建言、答申と申しますか、それらを踏まえて一層予知体制の強化に努めたいと。これは、きょういろいろ御批判ございますように、私も十分だと思っておるわけではございませんから、その方はその方で考えたいと思うが、しかし、いまのこの時点でどうかとこう言われると、ただいま申し上げたように技術の方はひとつあちこちで掘り下げてやってもらおう。それから、とりあえずこの立法の裏づけとしての予知体制としては予知連絡会、大事な地点については判定会と、こういうことでいきたいと、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/60
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061・村沢牧
○村沢牧君 それで判定会の話も出たんですけれども、判定会は、この法律を見てもあるいはその警告を発する前提要件としても、重要な任務を持つわけですね。内閣総理大臣が警戒宣言を発するかどうかの基礎的判断を決めるものでありますね。したがって、私はそういう重要な任務を持つている判定会、あるいはその他にもあるというふうに思いますが、法文上何らかのこの位置づけをすべきではなかったかというふうに思うんですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/61
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062・末広重二
○説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。
判定会は、いま先生も御指摘の第三次の一部見直しということで、測地学審議会から御建議いただきましてつくられたものでございます。これはやはり現在の地震予知技術の段階が非常な、何と申しますか、むずかしい段階に至ったときには、相当の学識経験のおありになる先生方の御意見を聴しなきゃいかぬということでこの判定会ができたわけでございまして、これはもうすでにこの法律、いま御審議願っております法律とは別に、もうすでに昨年の四月から発足したわけでございまして、これを踏まえまして現在も作業を進めているわけでございますけれども、やはり先生方には学問的良心に従って診断をしていただくと。その診断の結果は、私ども気象庁が行政的な判断をやはりそこに加えると。この法律にも書かれておりますとおり、私どもの気象庁長官が全部を見通しておりますから、判定会の判断が正しいかどうかということはやはりそこで再検討をしていただいて、その上で総理大臣に御報告するというふうになっておるわけでございまして、今後まだ——一年たったわけでございますが、今後予知技術の進展と申しますか、あるいは判定会の先生の御意見等々も伺いまして、いま御審議願っております法案は出発点でございますので、ここでいろいろ御意見を伺って、御指摘の判定会をどういうふうに位置づけるかということは、ある程度定着した状態でまたこれは再検討するということにひとつ御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/62
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063・村沢牧
○村沢牧君 私は、いままで予知体制の現状とそれから不備な点について指摘をし、お聞きをしてまいりました。このほかにたくさん私はまだ不備な点、資料を持ってます。時間がありません関係上それを一々挙げません。しかし、いま幾つか指摘しただけを見ても、予知体制はおくれているというふうに私は言わざるを得ないというふうに思うんです。
先ほどから申しておりますように、この昭和三十八年の日本学術会議から内閣総理大臣に出された勧告書には、次のように言っているんですね。「地震予知がいつ実用化するか、すなわち、いつ業務として地震警報が出されるようになるかについては現在では」つまり、それは三十八年では明らかにならない、「答えられない。」と。「しかし、本計画のすべてが今日スタートすれば、一〇年後にはこの間の充分な信頼性をもって答えることができるであろう。なお、これらの研究に必要な施設は、その研究の成果に応じて、実用化に進展する場合には、その資料提供の重要なる施設としてひきつづき役立つものであることを附言する。」というように、すでに三十八年ごろから内閣総理大臣に建議をしているんです。ところが、いままで答弁になったように、大臣もまた答弁しておりますように、必ずしも十分でないという予知体制。
大臣にお聞きをいたしますけれども、いままで政府の取り組みが非常に遅々でありあるいはまた怠ってきたんではないか。さらに、この法案が成立をすれば、制度的にも予算的にも地震予知体制が、この学術会議やあるいはまた測地学審議会が指摘をするような、強調するような、建議をするような形に整備をされる、していくという自信をお持ちですかどうか、大臣の答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/63
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064・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどから申し上げるように、私どもとしても予知体制が十分だという、そういう認識には立っておらないのであります。しかし、年々予知の強化を図ってきたことは、きょうの御審議の経過でおわかりいただけると思います。なおまた、今回の特別措置法の三十三条にも盛られておるとおりに、さらに一層強化することは言うまでもないことでございます。そういうわけでございますが、そんな頼りないことではどうかというお気持ちがおありであろうと思いますが、しかし、今回の立法措置につきましては、少なくとも特定の地域についてこの措置法によって傭えておくという必要性は非常にあると、こういうことでお願いをしておる次第でございまして、これをさらに先ほど来の御趣旨のごとくに、でき得るならばもっと広範囲な予知が図られ、また、広範囲にあらゆる場合に備える必要があろうかと思いますが、いまのこういう体制では、震度四とか五とか六とかいうところまでにはなかなか及びませんが、マグニチュードで表現すれば8程度のものには備えられると、こういうことで御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/64
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065・村沢牧
○村沢牧君 それでは、次の問題に入ります。
地震法の第十三条二項には、地震災害警戒本部長、すなわち内閣総理大臣は、防災応急対策を実施する必要があると認めるときは、防衛庁長官に対し、自衛隊の派遣を要請することができると言っておるわけであります。これは従来の災害出動と違って事前出動であります。
そこで、自衛隊の事前出動を要請することができるという規定を設けた理由は、趣旨は何でありますか。すなわち、現在までわが国で発生した地震の経験に照らして自衛隊の事前出動がどうしても必要だと、そのように判断をされたんですか。あるいは、防災応急対策または災害基本法に規定をする災害応急対策上、自衛隊の応援を求めなければ対策が的確かつ迅速に実施をすることができないからこういう規定を設けたんですか。大臣のちょっと答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/65
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066・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほど、御質問には触れられておらなかったんでありますが、申し上げましたように、今回の特別措置法に伴いまして、関係行政機関及び地方公共団体がそれぞれ地震防災応急対策を立てます。予知が出され、警戒宣言が行われた後におきまして、この応急対策を支援する上におきまして必要があれば自衛隊を要請することを本部長がおやりになると、こういうことでありますが、そういう支援はどういうことがあるんだとこういうことになりますと、たとえて申し上げると、自衛隊の持っておる通信機能などで確実な情報の収集ができるとか、車両や航空機による緊急物資や応援人員の輸送などが考えられるとかいうようなことが、常識的に御判断できると思うのでありまして、そういうことに自衛隊をお願いしょうと、これは本部長の判断で要請するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/66
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067・村沢牧
○村沢牧君 そこで、本部、長の判断によって事前出動を要請するわけでありますけれども、出動した自衛隊は何に基づいて行動をするんですか。本部長である内閣総理大臣は地震防災基本計画を作成し、さらにまた、この基本計画に基づいて、第六条は地震防災強化計画を立てる、あるいは七条は地震防災応急計画の作成等を規定しておるんですけれども、出動した自衛隊の行動と任務分担は何に基づくんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/67
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068・児玉良雄
○説明員(児玉良雄君) お答えいたします。
地震防災派遣を命ぜられました部隊の行動する任務分担でございますが、これは、いま大臣からお答えがございましたように、あらかじめ地震防災対策強化地域ごとに作成されております地震防災強化計画において、それぞれ今後地方公共団体等関係機関と調整をして定められることになろうかと思います。現在のところ、この法律案に即して自衛隊のする任務として考えておりますのは、後方の支援であるとか、情報の収集であるとか、水防関係の応急措置であるとか、艦艇、航空機等による人員であるとか物資であるとかいうようなものの緊急輸送であるとか、そういうようなものを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/68
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069・村沢牧
○村沢牧君 いま答弁の中で、自衛隊の任務活動として情報収集活動等を任務としてやるというお話があったんですが、これは事前出動でなくても、事後の出動においても、たとえば自衛隊が首都圏での地震災害を想定して部隊の出動計画というのがありますけれども、これによれば、その重要な任務としていまお話のあったような情報収集あるいは指揮連絡網の設定管理というのがうたわれておるわけなんですけれども、このことは俗に言われる治安出動などと非常に関連性を持ってくるわけなんですけれども、その辺はどういうふうに理解をしておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/69
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070・児玉良雄
○説明員(児玉良雄君) お答えいたします。
この地震防災派遣において自衛隊が実施いたします活動の内容は、地震防災強化計画においてあらかじめ定められている地震防災応急措置で、関係機関が実施されますものの業務について支援を申し上げるというものでございまして、治安出動のように大規模な騒擾であるとか、内乱であるとか、そのほかの緊急事態とかいうような事態におきまして、国内における治安維持のための警察活動の補完としての行動とは全く異なる別個のものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/70
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071・村沢牧
○村沢牧君 この問題については、さらにまた時間をかけて論議をしてまいりますが、自衛隊法の第八十三条の規定に基づいて、御承知のように訓令第九条があるわけですけれども、この訓令第九条を見ると、「指定部隊等の長は、災害に際し被害がまさに発生しようとしている場合において、災害派遣の要請を受け、事情やむを得ないと認めた場合は、部隊等を派遣することができる。」というふうに訓令は規定をしておるわけですね。したがって、この訓令第九条からすれば、何も地震法というこの法案でもってわざわざ自衛隊要請を法文を起こして明記をしなくても、できる形にはなるんではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/71
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072・児玉良雄
○説明員(児玉良雄君) お答えいたします。
自衛隊法八十三条災害派遣に関する規定のところでは、「天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、」都道府県知事等の要請を受けて、長官が部隊を「派遣することができる。」と、こういう規定になっておりまして、いま御指摘の訓令は、その規定を受けて定められているものでございますが、八十三条でいいます「天災地変その他の災害に際して、」という部分ですが、この部分につきましては、災害がすでに発生をしたか、あるいはまだ発生はしておりませんけれども、具体的に何らかの事象があって災害の発生が切迫しておるということが合理的に理解でき、そのまま放置しておけば災害が発生して人命、財産に被害が生ずることが十分考えられると、こういうような場合に、訓令の九条では、派遣の要請を受けて「部隊等を派遣することができる。」と、こういう規定をしておるわけでございます。
今回の地震防災派遣につきましては、地震予知情報の報告から手続を進めまして、警戒宣言が発せられ、警戒本部長から防衛庁長官に対して派遣要請があって部隊が派遣されることになっておりますが、これは八十三条における災害の発生またはその発生の直前、切迫している状況であるという事態と比べまして、事態の発生前であるということで、要件が異なりますので、別個の規定を設ける必要があると考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/72
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073・村沢牧
○村沢牧君 重ねてお伺いしますが、訓令は「災害に際し被害がまさに発生しようとしている場合において、」というふうに書いてあるというふうに私は思うのですけれども、そのような趣旨ではないですか。事前ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/73
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074・児玉良雄
○説明員(児玉良雄君) 訓令九条には「災害に際し被害がまさに発生しようとしている場合において、」と規定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/74
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075・村沢牧
○村沢牧君 ですから、事前出動というのは、災害がまさに発生しようとしている、ですから本部長が出動を要請するのではないですか。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/75
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076・児玉良雄
○説明員(児玉良雄君) お答えいたします。
ただいま申し上げましたように、八十三条は、災害が発生しているか、あるいは被害がまさに発生しようとしている状態にあるということがきわめて明白、合理的に理解できるというような状況でございまして、地震防災派遣の要件になっておりますのは、警戒宣言が発せられた、それは地震予知情報に基づくものでございますけれども、そういう事態において警戒本部長からの防衛庁長官に対する派遣要請がある、そして出動するというものでございます。したがいまして、災害発生の前であることは明らかでございますが、八十三条にいう要件とは重なり合わないというふうに考えますので、別個の規定が必要であるというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/76
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077・村沢牧
○村沢牧君 大臣にお伺いします。
大臣は本部長ではないんですけれども、災害の発生が、まさに発生しようということが合理的に理解ができる、そういう場合にという答弁があったわけですけれども、本部長の要請するこの事前出動というのも、これは災害が発生することが合理的に理解ができる、できるから出動を要請するんではないでしょうかね。その辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/77
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078・四柳修
○政府委員(四柳修君) 若干技術的なものですから、かわって御答弁申し上げます。
先ほど防衛庁の方から答弁申し上げましたように、自衛隊法の災害云々の仕組みは、いわば災害対策基本法に考えております災害というものを前提として、災害対策基本法では、御案内のように、「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波その他の異常な自然現象又は」云々という形の原因によりまして生ずる被害という形で、そういうことを前提として考えておりまして、まさに生じ云々という認識でございますが、たとえば台風が九州の南からだんだん進行してまいりまして、気象業務法に基づきます台風の予報なり警報なり注意報が出されると、そういう進行過程の中で、特定地域につきまして非常に増水していて危険であるとかあるいは津波が起こる危険性があるとか、具体的な被害をあるいは災害を生ずるおそれのある認識を前提としての仕組みでございまして、この新しい法律におきましては、御案内のように、いわば地震の前兆現象というものを、それこそ地下数十キロの中の状況をとらえまして、その前兆現象が場合によりましては空振りになってはずれることもあるかもしれませんし、いつ起こるかもわかりませんし、数日間というアローアンスの中で非常に広範な地域に被害が生ずるおそれがあるということで、八十三条で想定しておりますような具体的な地域を限られたおそれというものとは違った認識におきまして、やはり先ほど防衛庁の方から御答弁申し上げましたように、それらの関係地域が一斉にいわば応急対策をとると、そのためにはやはり計画に基づいた一斉の準備体制に対する支援をやはりお願いせざるを得ないという認識で書いたわけでございまして、その点は、いまの八十三条の災害のおそれに際してという認識よりはもう少し抽象的、広範な問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/78
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079・村沢牧
○村沢牧君 防衛庁にお聞きしますが、この訓令の第十四条には、派遣部隊は火器弾薬を携行しない、「ただし、救援活動のため特に必要がある場合は、最少限度必要とする火器及び弾薬を携行することができる。」というふうに規定をしているわけですね。この規定は、災害が発生している場合の想定でありますけれども、地震法による出動というのは、まだ災害が発生しておらない事前出動であります。したがって、火器弾薬の携行は必要がないというふうに思われますが、どういうふうにお考えになっておりますか。と同時に、必要がないとするならば、事前派遣の場合には武器を持たない、携行しないというようなことに訓令を改めるべきだというふうに私は思いますが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/79
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080・児玉良雄
○説明員(児玉良雄君) お答えいたします。
地震防災派遣において携行する装備につきましては、災害がまだ具体的に発生したわけではございません。また、自衛隊の活動の内容はあらかじめ計画に定められておりますので、その計画に定められております活動を実施するのに必要な装備に限定をするという考え方、したがいまして、災害派遣の場合と同様にはその点は考えられないということで、通常武器あるいは弾薬というようなものは携行をしないというふうに、する必要がないというふうに考えております。ただし、災害派遣の場合と同じように、艦艇だとか航空機に搭載されているもの、これを除くという点は災害派遣の場合と同じようになろうかと思います。この関係につきまして、今回新たに法律案が立案されたわけでございまして、この体系の各種の法令については、今後整備していかなければならないと思っておりますが、この関係の規定は、その訓令なら訓令の中で明確に規定をする考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/80
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081・村沢牧
○村沢牧君 私の持ち時間がぼつぼつ終わりになってまいりましたから、自衛隊問題その他につきましては、同僚議員からもまた質問ありますし、私もまた時間を見てさらに突っ込んだ質問をいたしたいと思います。
そこで、大臣に最後にお伺いいたしますが、今日の自衛隊のあり方、それからまた、わが国の政府の防衛論の解釈、これらについては、昨今いろいろ他の法規に照らして、あるいはまた、強いて言うならば憲法上についても多くの意見の分かれるところである。したがって、こういうときに自衛隊の存在やその出動について、やっぱり国民のコンセンサスを十分得ていかなければならないというように思います。ところが、そういういろいろ問題があって、衆議院のこの論議のことも私も承知しておるんですけれども、地震法というこの法律に便乗してと言っちゃ大変失礼ですが、この法律にかこつけて、地震法という、つまり他の法律によって自衛隊法を改正をしていく、大変私は大きな問題ではないかというふうに思うんですけれども、大臣としてはどのように考えてますか、最後にちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/81
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082・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 今回の場合は、この東海地域の方々がいろいろ不安を持っておられる。そして知事会でいろいろ立案をされて、その間に、地震立法をする上においてはぜひ自衛隊の事前の派遣を考えてもらいたいと、そういう何と申しますか、まあ自然の推移の中に起きてきた問題でございまして、御答弁申し上げましたように、予知が出て実際に地震が起きるといたしましてもまあ長くて数日間の間のことであるが、一体どうするかということを考えましたときに、そういう非常に自衛隊の支援を期待する向きにこたえようと、こういうことで、むしろいろいろ考えずに、それをすんなり受けた形でこの特別措置法の中に盛り込んだと、そういう経緯にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/82
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083・原田立
○原田立君 今回のこの大規模地震対策特別措置法は、一月十四日に発生した伊豆大島近海地震を契機に、急ピッチで作成が進められたということでありますが、四月の四日に閣議決定されるまでの間、予知体制の一元化、首相の権限と行政責任、また国土庁と消防庁との間における行政事務の調整、さらに自衛隊の事前出動等々種々の問題点があるわけでありますが、本法案作成までの経過というものをまず最初にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/83
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084・四柳修
○政府委員(四柳修君) 具体的には、ただいま原田先生のお話のような経過がモメントにはなったと思いますけれども、政府としまして、いままで大規模地震対策といいますか、特に南関東なりあるいは東海地域におきます震災対策というような形につきましては、中央防災会議でいろいろの計画あるいは要綱等を定め推進してきたわけでございまして、その過程の中で、たとえば情報の伝達の問題ですとか幾つかの問題は昨年前半からいろいろ検討してまいりました。そういう過程の中で、御案内のように、昨年の十一月ごろだったと記憶しておりますけれども、全国知事会が一つの案をお出しになった、あるいは与党の一部の方からも一つの案が出された。そういうものが関係省庁よりより協議してまいりまして、そういったもののいわば公約数といいますか、そういった形で、ただいま御指摘のようなものを一月の半ばに一つの骨子としてまとめまして、その骨子をべースにしまして、関係省庁と具体的な肉づけをしたものがいまの法律でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/84
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085・原田立
○原田立君 ただいまも話のあったその中に、全国知事会から強い要望として大地震対策特別緊急措置法案というように銘打って出てきたのは、いま御説明があったとおりでありますが、それじゃ果たしてこの全国知事会の提出になった原案に対し、政府はどのような検討を加えたか。また、この原案が本法案にどのように反映されているか、したか、そこら辺の点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/85
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086・四柳修
○政府委員(四柳修君) ただいま御指摘の点につきましては、知事会がその原案をおまとめになりました後、とりわけ関係の深い省庁が寄りまして、それぞれいろいろ知事会あるいは関係県等と協議会を持ったり、いろいろ意見交換等もいたしまして、そういった過程の中で、先ほど申し上げました一月中旬に、国土庁と消防庁と気象庁が中心になりまして、この法律のいわば予知から防災までの一つの仕組みの基本的な物の考え方というものをまとめまして、それから肉づけしたわけでございますが、そういう過程の中で、全国知事会あるいは関係県等とも機会あるごとに一応意見交換をし、知事会等も十一月の活字になった分以降も、やはりそれぞれの情勢に応じまして手直しといいますか、いろいろ追加要望等もございまして、この法案になったわけでございますが、ただいま御指摘の点に関連しまして、この法律案段階での関係県等の意向のくみ取り方なり、あるいはその相違点というふうに理解していただきたいと思いますけれども、一応現在の法律におきましては、全国知事会のその法案要綱につきましてはほとんど取り込んでいると理解しております。
具体的な細かい点になりまして若干の相違点を挙げますと、一つは、知事会案というものが、内閣総理大臣、都道府県知事、さらには市町村長というようないわば縦の系列の中で、とりわけ内閣総理大臣に相当の権限行使を認めていたのに対しまして、この法律案では、強化地域の指定をした後に地震防災上重要な役割りを果たす機関が、国は国、地方団体は地方団体、それぞれの立場で地震防災計画を作成すべきことを規定しまして、その計画に従って地震防災応急対策を実施する。いわばそれぞれの横割りの段階で計画をつくり、責任を持っていただくという仕組みにした点が非常に大きな違いでございます。
その他細かい点としましては、知事会案で、国の段階で中央地震対策会議を設けるという御要望がございましたが、これに対しましては、中央防災会議の専門部会で関係学者等の意見を聞いて地域指定等に当たると、あるいは知事会案では、地震防災関係機関のとるべき措置を政令で定めるというようなことがございましたが、この法律では、先ほど申し上げました各段階でとります地震防災に関する計画をつくって、その中で定めるといったような点でございまして、その他、地震防災上の事業に対します経費についての財政負担の問題等が若干の差がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/86
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087・原田立
○原田立君 全国知事会でわざわざ案までつくって出していろいろ熱心にやっていることなので、今度国土庁の方で、今回こういうふうな法案ができたわけでありますけれども、全国知事会の方ではこれを多としてこの成立を強く希望しているのかどうか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/87
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088・四柳修
○政府委員(四柳修君) 先ほど来大臣が御答弁申し上げておりますように、現在の予知技術水準あるいは限られた地域につきましては、ぜひとも早急にこの案でとりまとめをいただきたいと要望していると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/88
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089・原田立
○原田立君 わが党は、この法案について基本的には賛成でありますから、成立することを望むわけでありますが、その前にいろいろと疑問点になることを御質問するわけであります。
本法案は、世界でも初めてのいわゆる地震予知立法でありますが、四十条と附則から成るかなり大がかりな制度でありますが、その大前提となっているのは何と言っても地震予知であります。近年地震予知技術は著しい進歩を遂げているようでありますが、現在におけるわが国の予知水準と予知観測体制の実情はどういうふうになっているのか。また、今後の見通しについてはどのようになっているのか。この点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/89
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090・末広重二
○説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。
この地震の予知ということをいたしますためには、地面の下のことでございますので、それに関連するさまざまな現象を幅広く観測いたしましてこれをとらえると。しかも、それを一カ所に集中して常時監視をして、それで異変が、異常が認められた場合には、それが果たして大地震の前兆に結びつくかどうかという判断を下すというのが手法でございまして、ただいまこの法案の潜在的な対象になっております東海地区にいたしましては、そういった常時監視網が非常に密に現在も張られておりますし、これが今後強化される方向へもちろん向かっておるわけでございます。で、これを踏まえまして、地震予知の手法ということが、いま御説明申し上げました線に沿って進展しておりますので、今後とも国民の皆様の御援助、御負担の声がと申しますか、かかりますれば、それなりに強化するという方向ですでに計画を練っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/90
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091・原田立
○原田立君 わが国の予知技術の水準はどうかという点についてお答えはないんですけれども、その点についてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/91
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092・末広重二
○説明員(末広重二君) 世界を見渡しまして、地震予知ということに対して非常な関心を払っている国はアメリカ、ソ連、中国、日本でございますが、日本の予知技術の水準というのは、いま申し上げました国をぬきん出ていると申し上げて——こう私どもが申し上げるのはいささかじくじたるものがございますけれども、防災に結びつける、行政に結びつける地震予知という点では、日本はアメリカ、ソ連、中国と肩を並べると申しますか、それよりもぬきん出るという点にあると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/92
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093・原田立
○原田立君 現在の地震予知技術の水準からいって、予知の定量的法則が確立されていないなど、数多くの研究課題が現在も残されていると思うんでありますが、実用化に踏み切るに当たり、地震予知の効用と限界についてどのような認識を持っておられるのか、予知を中心とする本法案の実効性についての見解、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/93
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094・末広重二
○説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。
この地震予知情報を出すということにつきましては、本法案でも御審議願っているわけでございますけれども、予知情報を取り下げると申しますか、警戒宣言を解除するということが法案に盛られているわけでございまして、これは言うなれば空振りでございます。いかに空振りを少なくして本当の一発必中の地震予知に結びつけるかということが現段階での問題でございまして、率直に申し上げまして、現段階で予知情報、警戒宣言の解除ということが法律に盛られているということは、空振りもあるかもしらぬということを示唆していると、私ども非常に強く認識しているわけでございますけれども、これを今後観測体制の充実、それから予知技術の推進を踏まえまして、三回、四回の空振りを二回、一回——最終的には一発必中の予知情報を差し上げるということで技術面はがんばりたい、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/94
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095・原田立
○原田立君 担当省庁、その点しっかり自覚して、御苦労ですががんばっていただきたいと思うんです。
いまもちょっと話あったけれども、空振りぐらいあったって、ぼくは余りそんなに神経とがらせないでもいいんだろうと思うんですよ。現に大事と思ってやったと、そうしたら地震が来なかった、来なければ来ないで結構な話なんですから。だけれども、余り何度も空振りばっかりやるとこれは信用没落しちゃうから、そんなことがあってはならない。一発必中で本当に国民の信頼の得られるように、技術水準は非常に高めていただきたいと思うんであります。
従来、観測予知体制については、各省庁ばらばらの縦割り行政が指摘されてきましたが、地震予知の制度化に伴い、予知に関する計画立案、各種研究、観測体制、予算措置等、より総合的な予知体制の一元化が期待されているわけでありますが、先ほども指摘されておりますが、地震予知が実用化の段階に入った現在、政府は、この一元化という問題について、どういうような方向へ向けようと考えておられるのか。これはひとつ参事官の方で御答弁があった後、大臣の方からも補足的に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/95
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096・清水眞金
○説明員(清水眞金君) 御指摘のように、こういう法律をつくりまして、地震の災害を防止するという制度を確立しようとしているわけでございますけれども、これを実効あらしめるためには、まさに予知の精度を向上しなければいけない。そのためには、いわゆる研究観測の体制の強化が非常に重要であるということでございますけれども、まさにそのとおりであるというふうに考えておるわけでございますが、ただ、現在の地震予知といいますのは、これだけをやっていれば十分であるというふうなその手法がいまだ確立されていない。これは各国すべてそういう状況でございまして、したがいまして、広く、より多岐にわたる観測をいろんな機関がやっていくことが必要である。そのいろんな機関がやりましたデータを総合的に判断するということが、情報を正確に出すために非常に重要であるわけでございます。
それからさらに、いまの地震予知の現状から見まして、大学の占める役割りの割合が非常に多いわけでございまして、研究開発すべき分野もかなり多いというふうなことでございまして、やはり地震予知というのは、多くの大学とか国の研究機関において、それぞれの特色を生かして研究とか観測を行っていかなければならない。したがって、こういうものをどこか一カ所に抜き出して一元化するということは非常にむずかしいんじゃないか。まあ理想的にいけばいいんでございますが、なかなか非常にむずかしいというふうに考えているわけでございます。したがいまして、現在は地震予知推進本部というふうなものを設けまして、そこの連絡協議を通じましていろんな協力関係を確立しているわけでございます。具体的には、研究観測のいろんな強化とかあるいはそのデータを気象庁に横断的に集中するというようなこととか、それから常時監視体制を充実する、さらに判定会を設けるというふうなことで、各機関における観測成果を総合的に判断できるような体制をつくっている。したがいまして、事実上は一体的な地震予知が推進されてきたというふうに考えているわけでございます。その成果として、少なくとも東海地域につきましてはこういうふうにかなりの確度で前兆現象を把握し、予知情報が出せるようになったということがあるわけでございます。
今回の法案におきましては、この体制の問題につきましては、一応実施体制が従来に比べてかなり明確にされたわけでございますが、一つは、長期的な問題としては、いろんなところの研究観測の成果を踏まえまして、いわゆる大規模な地震の発生するおそれが大きいかどうかというふうな、そういう問題は中央防災会議に諮問されるわけでございます。それから強化地域の指定が行われれば、そこの短期、直前の予知情報については気象庁長官が判断して出すというふうに、これが今回の法律によりまして予知のいわゆる責任主体がかなり明確になったというふうに考えておるわけでございますが、そういうことに見合いまして、一層効率的に予知というものを進めるために、どういうふうな体制がいいかというふうな問題をさらに必要ならば検討する。現在、測地学審議会におきまして、五十四年度から始まります第四次の地震予知計画の審議が進められておるわけでございますけれども、そのときに、その計画を進めるに当たってどういう体制がいいかというふうなこともあわせて御審議いただいておるわけでございますが、その結果を見まして、関係方面の意見を十分聞きながら、政府の中で検討していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/96
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097・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御説明で尽きるわけでございますが、一つには、まだ予知技術というものが足らざる点も相当あると思うんであります。そういう点からいたしますと、国の各機関、大学等で、それぞれの立場で鋭意研究を進めるということは、それなりに私は効果がある、こう思います。
それから、この予知情報のことでございますが、そういう研究、技術の中から予知情報として提供されるものが、これが、今回の措置法からいたしますと気象庁長官のところに集中されるわけであります。また、強化地域につきましては二十四時間の観測体制を気象庁でとる、こういうことでありますから、それによっての予知情報を内閣総理大臣に報告するという、こういうたてまえというものが今回の立法上の裏づけになりますが、私は現在の状況のもとでこういう体制で十分その予知の効果を果たし得られるものと、こう思っておるわけであります。
しかし予知行政について、きょうもいろいろ御論議がございますが、もっと考える必要があるんじゃないか、一元化をすべきでないか、こういう問題については、ただいまの御答弁の中にもありましたように、測地学審議会の建議をまって、その場合はわれわれとしても聞くべきことは聞く、こういう姿勢をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/97
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098・原田立
○原田立君 では、現在のように各地各所、各研究機関でばらばらにやっているのは現状においてはもうこれはやむを得ないと、またこれを将来に向かってもずっと進めていくんだと、こういうような答弁に聞こえるわけなんですけれども、さあ、そういうことで果たしていいかどうか。要するにお役所のなわ張り根性というのか、そういうような問題が出て将来に禍根を残しはしないかどうか。内之浦の例のロケットの発射なんかの問題のときにも、片方は東大、片方はどこだったか、両方で予算の取り合いあるいは研究のし合い。あれがもう少し一元化してやればもっと成果が進むんじゃないだろうかと思っておったが、ああいうふうにばらばらになってやっている。結局そういうことはよくないんじゃないかというのが世の中の指摘であったわけであります。各省庁のいわゆる縦割り行政のばらばらではいけないと、こういうのが世間の一般的な見方ですよ、意見ですよ。大臣、非常に温厚な大臣とは言いながら、それは現状のままでばらばらの体制でやっていればいいんだということは、ちょっとこれはひどいんじゃないかと思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/98
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099・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 国の機関や大学でやっておる実態を御承知いただくと、なるほどそれなりの成果があるという御理解をいただけると思うんです。地震予知技術というものが相当広範囲で行われておるということから、私は、現在の大学や国の機関でやっておる自由濶達な研究の成果というものが将来に向かって非常に必要なんではないか。もちろん先ほど私も申し上げたように、予知の行政の一元化というようなことでいろいろ御建議があればそれについての検討をいたす、その御意見を取り入れるということについて別に異論を持っておるわけではないんでございます。いまの各方面でやっておる研究は研究なりの成果を上げつつあって、そしてまた、予知の体制としては気象庁にすべてのデータを集中し、あるいは必要な面においては二十四時間の観測体制をとっておる、こういうことでマグニチュード8程度の大規模な地震についての確信を持っての予知ができると、こういうことなんです。おっしゃっていること、私はよくわかるんですよ。しかし、この法案をお願いしておるときに、なるほどそのとおりで全く欠陥がありますということでも私はないと思うんで、その辺はどうぞ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/99
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100・原田立
○原田立君 では、話を先に進めます。
現在気象庁を中心に関係各省庁、国立大学等が独自に行っている種々の観測データのうち、短期的予知に有効な連続データについては、一カ所に集めて常時監視体制の強化に努めているようでありますが、
〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕
常時監視体制の整備拡充についての現状及び今後の具体的な計画、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/100
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101・末広重二
○説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。
先生いま御指摘のことでございますが、地震予知をいたしますためには、やはり地面の下に関しますいろいろな現象を総合的に観測いたしまして、それを広く見て予知をするということでございますので、その点でいま御指摘のデータの集中をやっているわけでございますが、現在五つの省庁、それから四つの大学のやっておられる観測を、全部気象庁にいま集中しております。で、これは東海、関東にまたがりまして二十六カ所でございますけれども、今後この法案の御審議の過程でますます責任が重くなると思いますので、これを強化するつもりでございますので、これも私どもでたまたま二十四時間の監視体制をしておりますので、常時監視ということをやらせていただいておりますので、これを強化の方向でひとつ御理解をいただきましてやっていきたいと、こう思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/101
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102・原田立
○原田立君 現在観測強化地域の指定を受けている東海地域あるいは南関東地域については、マグニチュード8以上の地震予知に努めているという話でありますが、ことしの一月十四日に発生した伊豆大島近海地震に対しては、地震予知連絡会及び気象庁はどの程度のいわゆる前兆現象を把握なさったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/102
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103・末広重二
○説明員(末広重二君) お答えいたします。
今年の一月十四日の地震に対しましては、ある程度何かあるんではないかということを、率直に申し上げまして把握していたわけでございますけれども、やはり法律に裏づけられるような事前の措置をとるということは、これは大変なことでございまして、そこまで路み切れなかったわけでございまして、先生御指摘の、いまの本年当初の伊豆大島近海地震のことも踏まえまして、この大規模地震という「大規模」ということの解釈を、予知技術の進展に伴いまして、必ずしも東海あるいは南関東ではなくて、日本全般に広げていくというところへ努力していくということが、予知技術の方の何と申しますか、目標ということに御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/103
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104・原田立
○原田立君 この伊豆大島近海地震は、マグニチュード7・3と聞いておりますけれども、これはいわゆる大規模地震という対象に加えられるのかどうか、その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/104
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105・末広重二
○説明員(末広重二君) お答え申し上げます。
いま御審議願っております本法案の裏づけになりますのは、やはり防災に結びつく、そこまでの確度のある地震予知情報ということで、これは物資の収用までこの法律でいっているわけでございますので、やはり現在の技術を踏まえますと、マグニチュード8ということで現段階では踏み切らせていただく。しかし今後の技術の進展、観測の強化ということで、この「大規模」ということは被害が大きいということに御理解願うと、私どもはそういうふうに理解しておりますので、南関東ということも当然問題に上がってくると思いますのですが、これは恒久法でございますので、
〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕
最終的には日本全土を見まして、どうしても地震予知ということで防災に結びつくという、そこまで技術的なことを進歩させるということに努力するというふうにやってまいりたいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/105
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106・原田立
○原田立君 日本では過去何度も大きな地震が起きております。根室とか釧路とか大分とか、それなんかはマグニチュードは大体どのぐらいが平均値になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/106
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107・末広重二
○説明員(末広重二君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、地震の自然現象といたしましては、大分地震はマグニチュード6程度でございますけれども、いわゆる直下型ということでございまして、地震の起こった震源地の上に非常に人口稠密なところがあるということになると、被害の面ではこれは非常に大きなことになるということを、これは私ども非常に痛切に感じておるわけでございまして、いま御審議願っております法案は、技術の及ぶところでまずやると、その次には、技術の進展を踏まえまして直下型もこの大規模の中にだんだん取り込んでいくという方向でございますので、そういうことで御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/107
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108・原田立
○原田立君 だから、過去のいわゆる大地震といわれたのは、平均大体マグニチュードどのぐらいなんですかと聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/108
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109・末広重二
○説明員(末広重二君) マグニチュード6以上になりますと、たまたまその上に人口稠密の都市と申しますか、施設がございますと、相当の被害がございますので、マグニチュード6以上はやはり被害地震ということを私ども認識しております。ただ、いろいろ自然現象といたしましては、マグニチュード6というのはなかなか前兆をとらえるという点で困難な点がございますので、まず現段階の目標といたしましてはマグニチュード7、これを何とか日本全国を対象として地震予知をしたいというのが、私どもの現在の努力目標でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/109
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110・原田立
○原田立君 いまの7を全国的にしていきたいという努力目標であるということでありますが、それは6ぐらいになったら大変な被害でしょう。それで、たまたまその起きた地域が農山村であるならば、それは被害の点はわずかであろうかとは思うけれども、都市に、人口が非常に集まっているところに起きたらば、やっぱり重大な問題になると思うんですよ。だから、6というのは現在の技術では予知しにくいというのでは何をか言わんやなんでありますけれども、少なくとも6ぐらいまでは何とか予知していこうという技術の開発は当然なしていくべきではないかと思う。そんな面から言って、今度の法案がマグニチュード8以上を対象にしてということを言われているんだけれども、実際問題マグニチュード6というのは本当に把握できないのかどうか、それから8というのは把握できるのかどうか、そこら辺の差はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/110
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111・末広重二
○説明員(末広重二君) お答え申し上げます。
いままでの日本近海で発生いたしましたマグニチュード8程度の地震に伴いました前兆ということ、これはまあ一極の後予知でございますけれども、現在の観測網あるいはこれをある程度強化すれば把握できたはずであるということで、今回の法案を御審議願っているわけでございまして、将来は、これは御説明申し上げましたとおり、マグニチュード7あるいは直下地震の6までも何とかやっていきたいということが技術的な希望でございます。
それで先生御指摘の、たとえばマグニチュード6であっても、直下地震の場合にはこれは御指摘のとおり大変な被害を生ずるということは、これは当然でございますので、これも何とか予知したいわけでございますけれども、マグニチュード6の地震の予知が、何と申しますか、原理的に不可能であるということはございませんので、今後の私どもの努力、国民の皆様の御支援ということで、そこへ何とか持っていきたい、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/111
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112・原田立
○原田立君 ひとつせっかく努力してもらいたいと思うんであります。
現在の東海地域判定会は、東海地震説を契機に当面の臨時的措置として設けられたものであり、内容的にも不十分ではないか、こう思うんであります。常時監視体制の整備拡充と相まって、より恒常的な判定組織として発展充実させるべきではないでしょうか。東海地域判定会は、地震予知体制の全体的体系の中でどのように位置づけられているのか、その点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/112
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113・末広重二
○説明員(末広重二君) お答え申し上げます。
東海地域判定会は、昨年の四月発足いたしたわけでございまして、現在まで約一年の経過をたどったわけでございます。こういう方法が、果たして防災に結びつく地震予知の判定をする本当の機構であるかどうかということは、御指摘のとおり、これからやはり再検討すべきであると私ども認識しておりますけれども、いま御審議願っております法案に対しましては、まず、まだ一年の経験でございますので、その経験を踏まえまして、今後どうやったらば国民の皆様に本当にお役に立つ地震予知情報が出せるかということで検討いたしまして、必要とあれば、この法案は出発点でございますので、それの改正ということで、地震予知情報体制ということも強化あるいは改正あるいは肉づけということをやっていきたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/113
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114・原田立
○原田立君 気象庁長官の地震予知報告は、この判定会の判定結果に従って行われるとのことでありますので、判定会の持つ意味は非常に重要である。判定会についての機能、役割りについては、どのように判断されておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/114
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115・末広重二
○説明員(末広重二君) お答え申し上げます。
この地震予知の手法ということは、現在やはり研究段階ということもございまして、確立しているわけでございませんので、たとえ話で御説明いたしますと、非常に体のぐあいが悪いときにやはり相当の名医の診断を仰ぐというふうな発想でございまして、判定会の学識経験者の先生のお知恵を拝借して御意見を伺うというところでございますけれども、この本法案をお願いする段階におきましては、しかし、それはやはり判定会の先生は純学問的に異常現象を判断していただく、それに対する御判断と申しますか、解釈、それに対しては気象庁長官がそれを承りまして、これはやはり総理大臣に報告するものであるということは、行政的に、あるいは私どもやはり日常常時監視をしておりますので、それを踏まえまして、やはり気象庁が判定会の先生の御判断をいただきまして、さらに行政的な判断あるいは責任を踏まえまして、そこへもう一遍判断と申しますか、覚悟を決めて、それで総理大臣にお電話するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/115
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116・原田立
○原田立君 東海地域判定会は、気象庁長官の背後にあって専門的な判断を下す機関であり、当判定会での結論がそのまま総理の警戒宣言に至る可能性が十分考えられるわけでありますが、このような最重要な役目を持つ判定会が私的な機関では、本法案の前提である予知体制の根底があやふやになってしまうのではないか。しかるがゆえに、公的権威あるもの、力あるものにする必要があると、こう思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/116
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117・末広重二
○説明員(末広重二君) 御指摘の点でございますけれども、本法案を御審議いただきます前に、すでに東海地域判定会は昨年の四月に発足したわけでございまして、実効的な東海地域に対します地震予知情報体制ということは踏み切ったわけでございます。で、これをどう法案の中に踏み切るかということでございますけれども、まあとにかく判定会ができ上がったということで、もしそこから判定が出た場合に、防災上どういう措置をとるかということで、何とかしなきゃいかぬという、そういう背景で本法案を御審議願っていると思いますけれども、御指摘のとおり、東海地域判定会ということをどう位置づけるかということは、これは検討課題でございまして、それは今後十分御意見を徴して検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/117
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118・原田立
○原田立君 去年の四月発足したと、それは公的にどういうふうな資格が与えられて発足したんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/118
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119・末広重二
○説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。
昭和五十二年の十一月に、関係する各省の事務次官に御参加願います地震予知推進本部というものが科技庁の長官の国務大臣の主催でできまして、そこで、いま御指摘の測地学審議会の建議を受けて、これを実施に移すべきであるという経緯をとりまして、昨年の四月の半ばに発足したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/119
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120・原田立
○原田立君 発足したのは結構なんですよ。それがだから気象庁の公的機関ということで発足したのか、あるいは国土庁の中の何らかの正式に委嘱しての研究機関として発足したのか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/120
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121・末広重二
○説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。
公的という御解釈が、法律によるということではございませんで、閣議決定に基づきます地震予知推進本部の行政上の措置として、東海地域の判定会というものができたわけでございまして、まあ私どもこれが法律によるかあるいは申し合わせによるかということよりも、これが実効上国民の皆様に影響するところが非常に大であるということを認識して、現在までも常時監視ということにもう万全の努力をしているわけでございますし、今後ともこの努力を伸ばしたいと、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/121
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122・原田立
○原田立君 構成メンバーは何名ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/122
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123・末広重二
○説明員(末広重二君) 判定会は、やはりある程度緊急な東海地区のこの観測体制をしいておりますから、そこから上がってきますデータで異変があるということに即応しなければなりませんので、現在東京付近にいらっしゃいます六名の学識経験者の先生にお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/123
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124・原田立
○原田立君 私は、この判定会の性格というものについてこだわるわけです。私的な、ただ気象庁長官の簡単な諮問機関だなんていうような、それだけのものであれば権威はないと、もっと力を与えるような性格にすべきだと、こういうのが私の意見なんです。しかも、いま聞いてみれば六人ですからね。六人のしかも権威ある方々なんですから、当然もっと権威あるものにすべきではないかと思うんです。
気象庁長官から委嘱したとか、あるいは国土庁長官から委嘱したとか、そういうような点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/124
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125・末広重二
○説明員(末広重二君) 経緯を御説明申し上げます。
この判定会というものをつくれというところへ事態が進みました経緯は、もう大体十年前でございますか、測地学審議会あるいはその背後にございます日本学術会議ということで何遍も議論が尽くされまして、それが測地学審議会の建議ということで上がってまいりまして、これは昭和五十一年であったと思いますけれども、こういう判定会をつくれということが、地震あるいは地震に関連なさる広い大ぜいの方の意見として上がってきたわけでございまして、その結集といたしまして、昨年の四月にこの判定会ということになったわけでございまして、しかし、先生御指摘のとおり、今後このままでいいかどうかということは問題があると思いますので、技術の進展その他を考えまして、国民の皆様に何とかよりよい地震情報を差し上げるという体制に進めていくということで、現在測地学審議会でも検討がなされておるということを承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/125
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126・原田立
○原田立君 私が質問していることに答えが出てないんですよ。気象庁長官の方から正式に委嘱してるのか、あるいは国土庁長官の方から正式に、公式に委嘱してるのか、その点はお答えがない。どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/126
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127・末広重二
○説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。
御審議願っております本法律が施行の暁には、これは気象庁長官が地震予知情報に対する責任を持つということになるわけでございまして、これは東海地区の判定会の先生は、いわばその頭脳をおかりするという形になると思います。この点は、すでにこの法案の審議を踏まえまして、学者の先生方にもこういうことになるんだということを御理解願っておりますので、行政的責任はあくまで気象庁長官が負うということで御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/127
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128・原田立
○原田立君 気象庁長官から正式に、公式に委嘱をするのだと、こういうふうにじゃあ理解しておきましょう。
次に、昭和四十五年二月、観測段階指定基準小委員会第一回会合が開かれて以来、選定基準の見直し、また特定地域の選定等についていろいろ議論、検討がなされたと聞いておりますが、簡単で結構ですから、その経緯等を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/128
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129・末広重二
○説明員(末広重二君) 経緯をお答えいたします。
まず、本法案の目的といたしますのは東海地域ということであると思いますけれども、私どもの憂えております地震が起こった場合に、どこの地域がどのくらい揺れるかということに対しましては、御指摘のとおり非常に精密な調査を現在進めておるわけでございまして、一キロごとの升目をつくりましてどこがどれだけ揺れるかと。それから、この法案に裏づけられる地域指定はどうするかということは、すでに作業が進められているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/129
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130・原田立
○原田立君 現有、特定観測強化地域あるいは観測集中地域等が、四つの選定基準や三段階エスカレート方式を基準に指定されているのでありますが、今回本法案で指定される強化地域の指定に当たってはどのような基準が考えられたのか、さきの指定基準との関係は一体どういうふうになるのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/130
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131・四柳修
○政府委員(四柳修君) お尋ねの点は、この法律の対象の強化地域ということでございますものですから、この対象の強化地域の指定は、中央防災会議の専門部会の審議によりまして行うことを予定しております。その場合に、全国的に見て大規模な地震が発生する可能性が大きいと認められる地殻の範囲をまず選定していただく。その地殻の中で発生のおそれある地震の規模、位置等をおおよそ明らかにして、その大規模な地震が発生すれば著しい地震災害が生ずるため、地震防災に関する対策を強化する必要のある地域という限定で定めることを予定しておりますが、ただいまのお尋ねの、判定会サイドの現在の観測地域と強化地域の問題でございますけれども、判定会の方あるいは予知連の方の地域の問題につきましては、いわば地震予知サイドの観測強化地域という観点で、いま御指摘のような幾つかの物差しで決めていると。それに対しまして強化地域の方は、いま御指摘のような物差しを御参考にされました中央防災会議の専門部会の先生方の御答申を受けまして、総理大臣の方で、防災対策を強化充実する地域という観点から指定する形になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/131
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132・原田立
○原田立君 さっぱりよくわからないんですけれども、本法案にあっては、当面東海地域のみが強化地域に指定されるようでありますが、東海地震に関する最近の動向について、地震予知連絡会の見解は一体どうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/132
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133・藤田尚美
○説明員(藤田尚美君) 国土地理院の地殻部長の藤田でございます。お答えいたします。
東海地方は歴史的に巨大地震がしばしば発生している地域で、地震予知研究の当初から注目されていた地域でございます。地震予知連絡会では、同地方を昭和四十五年に特定観測地域に指定しました。昭和四十九年に至って、駿河湾沿岸に地盤の沈下が著しい、あるいは水平の圧縮が著しいと。いうようなことから、同地方の社会的重要性をも考慮しまして、東海地域を観測強化地域に格上げ指定したわけであります。
東海地震に対する地震予知連絡会の統一見解は次のとおりでございます。これはそのまま述べたいと思います。
……現在までに確認されたことは、
一、古文書等の記録から、一八五四年の安政東
海地震の震源域は遠州灘から駿河湾内部にお
よんでいた。
二、一九四四年(昭和十九年)東南海地震の震
源域は、余震の分布と地殻変動等から、遠州
灘西部におよんでいることが推定されるが、
御前崎沖には達していない。
三、御前崎南方沖から駿河湾内部にかけての地
域には、安政地震以後、大地震が起こってい
ない。
四、御前崎から駿河湾西岸にかけて、明治以来、
顕著に沈降が認められ、又、駿河湾を中心に西
北西−東南東の水平圧縮が観測されている。
等である。
現在までの観測結果によれば、発生時期を推
定できる前兆現象と思われるものは見出されて
いない。しかし、現在の観測態勢は充分とは言
えないので、駿河湾周辺を含む東海地方の観測
を更に強化し、監視を続けて行く必要がある。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/133
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134・原田立
○原田立君 地震予知連絡会では、観測強化地域の指定の中で、南関東地域は東海地域と同様、観測強化地域の指定をしているわけでありますが、今回の法案では指定から外されている。これは先ほど審議官の方から、東海地域だけが今回の法案の対象なんだということで、南関東の方は外されているように説明は聞いたけれども、その点は、これは両方とも、南関東地域も東海地域もやはり本法案の当然対象にすべきではないかと、こう思うんです。私、時間がないですから簡単に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/134
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135・四柳修
○政府委員(四柳修君) 観測強化地域の両地域につきましては、中央防災会議に諮問いたしまして、その結果によりましては、この法律の対象の強化地域になる可能性がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/135
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136・原田立
○原田立君 大臣にも聞いておいてもらいたいんですが、強化地域の指定基準は、単に地震の規模のみではかるべきではないと思うのであります。首都圏初め大都市においては、直下型地震あるいは中小地震の発生でさえ激甚な被害をこうむる。本法案の目的にもあるように、国民の生命、身体、財産を守る立場から、これら中小地震であっても被害の程度を十分考慮し、何らかの形で制度化さるべきであると思うし、今後、地震予知水準の向上、また観測態勢の整備、拡充、強化に伴い、指定対象地域の拡大について十分考えるべきではないか。それはどのように考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/136
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137・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの原田委員のおっしゃっておられるように、それらの意見を踏まえて、中央防災会議で十分御審議を願いたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/137
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138・原田立
○原田立君 私、時間ですからこれでもうやめますけれども、まだ質問が、半分までしかやっていませんので次回に留保しますから。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/138
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139・小巻敏雄
○小巻敏雄君 まず、大臣にお伺いをしたいと思うわけであります。
今回、大規模地震対策特別措置法案を提案されるに当たって、提案理由として、わが国は世界有数の地震国として幾多の大地震に見舞われて多くのとうとい人命と財産が失われたと、これに対して、今般特別措置の立法をして備えようということでございます。この点は国民がひとしく望んでおるところであって、わが党としても五年前から、特に大地震に対する災害に備えて特別な措置法をつくる必要があるということを提案もしてきたものであります。この際に、これは根本から考えてみれば、地震に備えるということは、予知科学を進歩させて——地震をとめるということはいまの段階ではちょっと考えられないわけでありますから、一地震がやってきたのをあらかじめ知って、これに備えるというのが一本の柱であることは明らかだと。それと同時に、地震がやってきたときに、この地震の結果、直接災害、二次災害で、大惨禍を受ける、こういう状況に対して地震に強い町づくり、国土づくりをやって防災体制を備える、これが車の車輪であるということはすべての関係者が述べてきたところでありますが、この点に関してお伺いをするわけです。
特に、東海初め、知事会でも一番熱心にやってこられたのは静岡県初め東京都、神奈川県、ここらからこの法案をつくるようにプッシュもあり、こういう雰囲気の中でいわば今次立法に至っているという経過もあるわけですけれども、今回の立法が東京、横浜の地域を対象から外して歩き始めるということは、何としても非常に大きな失望を国民にもたらしているというふうに思うわけです。さきの質問者もすべてこれに触れられない方はないわけでありますけれども、この点についてお伺いをするわけです。東京、横浜は当分の間は強化地域に指定される予定はないのか。どういう状況下でこの問題について指定がされるようになると考えておられるのか、そのことをまず伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/139
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140・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 東京、横浜、これは観測強化地域の南関東に当たるわけでございますから、きょうの御審議の中で、審議官も私も、これらの地域に対するこの法案による強化地域の指定については、中央防災会議の御協議によるということを申し上げておりまして、東京、横浜を外すということを申し上げておるわけではございません。ただ、御質問は恐らく、私もちょっと申し上げましたが、南関東で予測される地震という場合に、マグニチュード8の地震というものはいまのところ予想されないと、直下型マグニチュード7のおそれはあるんじゃないかということを申し上げてきておりますので、それらの関係からいたしますと、南関東地域の予知ということについて、なかなかむずかしいという点は、私ども想像をいたしておるわけでありますが、しかし、現に観測強化地域として十分な観測体制をとっておる折からでございまして、強化地域としての事前措置を講じての地震防災計画の作成というものの必要性は、東京や大阪には当然ございますので、防災会議の決定によって指定は行いたいと思っております。
ただ、一言だけつけ加えさしていただきますと、現在中央防災会議におきまして大都市震災対策推進要綱というものが決められております。それによって現にその対策がとられておるということ、これは十分、不十分ということは別ですよ。しかし、そういう対策が現にとられておるということだけは一言付言さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/140
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141・小巻敏雄
○小巻敏雄君 太平洋プレート説が斬新な学説としてあらわれてから後、この六十九年周期説とか、ああいうものはえらい古びた感じのような姿に取り扱われるわけですけれども、決して現実の被害を見ていく上で六十九年説が否定をされたわけでもなければ、この危険というものは何らかの新しい学説によって色がうせたわけでもないというふうに私は考えるわけですね。もちろんこの立法だけでこのすべてを賄うものでなくて、他の諸施策とあわせて推進をし、同時に、いま直ちにこの法律が該当しなくても、観測強化地帯としてこの措置をしていくと言われる点には、それは無理を言っても観測でわからなければインチキな情報出すわけにはいかぬのですから、それはわかる点もあるわけですけれども、この点は、諸施策との並行推進というものが、特にこの地震関係の各省庁の中では手厚く進められる必要があると思うんです。
特に、ここで私は念を押しておきたいと思うのは、この日本の都市防災、地震に対する防災の計画の中の基軸をなすのは、やっぱり都市防災の問題でなくちゃならぬ。これは損害の規模もべらぼうでありますし、この点、四十五年の消防庁の答申を見てもそうですし、本日お手元に配付をされておるこれらの資料の中にも、日本都市センターのシステム研究の問題が紹介をされておりますが、いまの問題意識として、予知問題とそして都市づくり問題を車の両輪として進めていこうと考えていく場合に、間違いなく予知の方は日進月歩で進むであろうということですね。しかし、都市防災の方について見ると、環境の悪化、危険の度、悪い危険に向かっての傾斜進行と、それから行政的な措置とがイタチごっこというよりも、どうも劣勢でやられかげんだということを、この問題を取り扱う人はすべて指摘をしておるわけであります。この点では改めてしばらくお預けを食らうかっこうになっておりますこの南関東について、特に東京、横浜等、知事も熱意を持って防災対策をいままで他府県に比べてがんばって進めてきたと思うんですが、この点についての、いま進められておる地震に強い町づくりと申しますが、こういう点ではどういう状態にあるわけですか。建設省も見えておったら、この状況について御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/141
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142・井上良藏
○説明員(井上良藏君) お答え申し上げます。
都市防災対策の基本は、いわゆる建築物の不燃化とオープンスペースの確保ということにあると考えております。そういうことで、従来から防火地域の指定の拡大と、それから再開発事業あるいは住宅地区改良事業等によりまして不燃化を促進してきておりますと同時に、公園事業あるいは街路事業を進めまして、オープンスペースの確保に努めてまいっている次第でございます。特に災害、地震が起こりましたときに危険性の高い大都市につきましては、緊急事業計画をつくりまして、それによりまして積極的に重点の投資をやっていく等によりまして、従来から進めてまいることにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/142
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143・川本正知
○説明員(川本正知君) いまの都市防災に関連いたしまして、特に都市の中でも一番問題になっております江東地区等のいわゆる河川に関しての防災対策、それについてちょっと御説明いたしますが、江東地区の河川につきましては、具体的に申し上げますと、昭和四十六年度から耐震対策河川事業というものを着手しておりまして、江東地区の内部の河川の護岸の強化といったものを積極的に進めてきております。また、特にその中でも東側の地域といいますか、江東地区で言いますと東側の地域、荒川に近い方の地域でございますが、これにつきましては地盤が特に低い地域ということでございますので、そういった護岸の強化だけではなくて、ポンプによりまして河川の水位を低下させまして、実際の震災のときに水があふれないようにすると、そういったような対策もしておりまして、そのためのポンプ場あるいは大きな閘門、そういったものを相次いで完成させまして、今年度の末にはそういった水位低下が図られるように努力を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/143
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144・小巻敏雄
○小巻敏雄君 いまちょっと話にも出されました江東防災整備計画というのは、昭和四十五年のあの消防審議会の方で問題提起された後で、十年計画を設けて、都市防災の最低の必要であるところの避難路、そして避難のためのオープンスペースを確保するために十年計画を決めて、おおよそ十年に近づいておる今日、ようやく六カ所の計画のうちで一つをつくり上げて、あとの一つは宙に浮いているというのが現状ではないのですか。どうですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/144
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145・井上良藏
○説明員(井上良藏君) お答えいたします。
すでに着手をいたしております地区は、その六地区のうちの白鬚地区の一部でございまして、そのほか亀戸地区大島、小松川地区というところは計画決定をいたしております。そのほか、現在進めておりますのは猿江地区と白髪西地区でございますが、これは住民と計画につきまして協議中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/145
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146・小巻敏雄
○小巻敏雄君 すでに六十九年周期説では危険時期にもう入ってきたところへ、今日、関東大震災レベルの震災がやってくれば、意識はされ、着手はしておりながら、やっぱりむざむざ重ねて悲惨な被害を出すということは目に見えておる。この点、比較的障害の少ない——それは先は学問のことですから先の問題ですけれども、一つの方の予知体制の方は、住民との折れ合いとか、企業との折れ合いとか、地価の問題とかいう障害はありませんから、後に返るということはないわけですね。こっちの方が、比較的障害の少ないハイライトの部分でさまざまな新しいところに着手をされるけれども、困難の多いところ、比較的やっても目立たない部分が着実に行われてこないということは、私は日本の政治の一つの病いではなかろうかと思うわけです。そういう傾向が今回の法案自体の中にもあればこれは問題であろうと思うんです。避難路とかあるいは避難のためのオープンスペースの確保というのは、強化地帯においても、大臣の提案の中でもあらわれておるのですけれども、これが一つの大義名分やキャッチフレーズにとどまらずに、具体的にどう保障されるのか、こういうことが一つずつきっちりやり上げられていく必要がある。そういう観点から、国民の関心を集めて法律をつくっていく場合には、しっかりとながめていく必要があると思うんです。私は、この法案全体について何も反対の意見ばかりを持っておるわけではありません。確かに予知体制、いまこういう状況で不十分であろうとも、こうして国民の衆目の中で新しい法のもとに進んでいけば、予知体制の発展にはスピードがかかるであろうと思うわけですね。その点はこの法律の持つ前進をした面だというふうに思います。しかしながら、この部分の独走だけでは、現実に住民の安心を獲得をし、現に災害を防ぐというところに作用をすることがむずかしいと、そう思うわけであります。
強化地域の指定ということに続いて、観測体制の充実強化、そうして地震防災強化計画の推進と、こういうふうにこの法律案の内容はうたわれておるわけですが、地震防災強化計画の中で施設設備、この中心は、これは避難路あるいは避難場所という問題になろうと思うのですけれども、これについて、触れられておりますけれども、どれだけの措置が行われていくことになるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/146
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147・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) これは、御質問の中でお触れになっておられるように、今回の強化地域の指定に伴いまして、県、市町村が地震防災強化計画を作成をされます。その作成をされるときに、それぞれの立場で避難地、避難路、消防用施設等の整備を実施すると、こういうことになるわけでございまして、もちろんいままででも地震対策としてそういう措置をされ、また、予算を要求されておる地域もございますが、これらにつきましてはできるだけの配慮をするわけでございますが、今回のこの指定後の事前措置としてのそれらの計画が立てられますと、その事業内容や事業量がはっきりしてまいりますと、これに対して国としてのでき得る限りの支援をいたしたいと、こういう順序でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/147
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148・小巻敏雄
○小巻敏雄君 それについては、法律の中で触れておる限りでは、確かに一カ所登場するわけでありますけれども、予算の範囲内で補助をつけるというようなことが出ておるわけであります。これもあらかじめ都市計画との関連もあるでしょうけれども、少なくとも全体として指定地域であるなら一定の基準、モデル等も設けてこれは指導し、推進し、かなり手厚く法律の裏づけ等もつけてやっていかれないと、実が伴ってこないんじゃなかろうかと思うわけです。それは初年度——火山立法なんかの場合は緊急法から次第に実のあるものに変わっておるわけですけれども、こういったふうな点についてもようやく登場しておるというところであって、この法律によって、強化地域においては少なくとも一定の年次のうちに避難路もしくは避難場所の問題が飛躍的に前進をするというような見通しは、いまの段階では生み出しがたいものであり、同時に、南関東にこれが適用されれば、さまざまな行政のいわば壁の中で行き悩んでおるこの避難路、避難地の問題あるいは災害対策に、一挙にずっと道をつけていくというような導入線になる。こういうような要素がこの法案の中には不十分であると申すか、欠けておると言っていいと思うのですが、その点については大臣どうお考えになりますか。今後課題としてのなにを含めて、御意見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/148
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149・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 従来、災害対策基本法に基づいて、中央防災会議の御意見を踏まえ、地震対策関係予算というものはそれなりに計上してまいっておるわけであります。先ほども建設省の方から御説明を申し上げましたようないろいろ措置も講じておるが、それがまあ不十分であるということは認めざるを得ません。しかし、今回の立法措置によりまして、強化地域においてはそれぞれ防災強化計画をつくられて、御指摘の避難地、避難路あるいは消防用施設の整備を強化していくわけでございますから、これに対して法の二十九条において、それぞれ必要な面については助成をしてまいろうということでありますから、御心配のことは十分わかりますが、この特別措置によって、地震対策の強化が行われるということは御了承いただけるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/149
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150・小巻敏雄
○小巻敏雄君 この法律が緊急時の応急対策中心になっておって、根源的な防災事業の財政措置までつけて出しておるような性格が備えられていないという点がありますから、その点については将来の課題にまたざるを得ないかと思うわけですが、緊急時の応急対策自身をながめても、住民に密着した要素、避難体制なり消防体制なりについて、少なくとも財政の裏づけの必要なものについては弱いと言わなければならぬのじゃなかろうか。知事会の要求の中には明確に、この点については防災施設の補助金の問題を一つの中心課題に置いて挙げておるわけですね。だから、知事会の要求が骨子になったようでありながら、天下り型のものにすりかわって、その切実な部分がずり落ちているというふうに言わなければならぬのじゃなかろうか。
その中で、私は特に次にお伺いしたいと思うのは、危険な企業に対する、危険な災害を生み出すおそれのある企業と申しますか、これに対する規制の問題でございます。一通りのことは書いてあるわけですけれども、自治体権限でもって、自治体に規制権限を与えるようにされるべきではなかったかと思うわけですが、そういうふうになっていない。いわば自主的規制になっておるわけですね。この点について御説明いただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/150
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151・四柳修
○政府委員(四柳修君) この法律、御案内のように、たてまえとしましては、やはり地域を限定しまして大規模な地震についての予知情報が出せるという技術的な認識の前提で、それも場合によってみては空振りになることがあるかもしれない。しかしそういう中で、関係地域が国も県も市町村もあるいはいま御指摘の危険物等を扱います企業も、それぞれがいわばそれぞれの自己の責任において自分の地域、自分の企業を守るんだと、あるいは住民は家庭を守るんだと、そういうことをある程度基本的なものの認識の中で、それらを防災計画の中で防災事業あるいは防災応急対策という形の中に仕上げていって、そういう形の中で対応をとる。そういうことでございますから、やはり企業につきましても、本来危険物を扱っておられますから、当然のことながら、各種の保安規程に基づきましてそれらの通常の管理上の御配慮というものはなされていると思います。しかし、その通常の御配慮につきましても、大規模な地震が起きた場合に通常の保管体制でいいのかどうかとか、そういったことをやはり当然見直さなければいけない。そういったものはそれらの企業あるいは危険物の管理上のいわば注意としまして、関係省庁も十分そういった保安規程を整備して対応していただく。そういうことの中で、やはり従来の何といいますか、安全度、より以上の安全度というものをそれぞれの責任においてみてお考えいただき、それらを、たとえば予知情報あるいは警報が出た場合にさらに強化してとるべき措置というものを強化計画等の中に書き込んでおくと、そういうそれぞれの御責任においてやっていただくという仕組みでございまして、そのことを国が逃げたとか、だれが逃げたというような認識ではございませんで、やはりそれらのものを危険物としてお扱いになる以上、当然考えるべきことじゃないだろうかと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/151
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152・小巻敏雄
○小巻敏雄君 これは普通のときじゃないわけでしょう。現在ではマグニチュード8のものは予知できるとこう言いまして、これが予報が出るときには現時点ではこれはマグニチュード8で、震度は恐らく七とか六・九とか、七・三とか、ときには震度八なんというような強烈なやつが大体あす来るとか、四時間後に来るとかというような状況下を想定をして、まあこれでとんでもないことになっちゃいかぬというので、総理大臣は大元帥にかわって自衛隊まで出動させるという状況下でながめる。そして周辺に、地震がなくてさえ瀬戸内を油で埋めたような極端なコンビナートがあると、こういうところに対する規制の法律なわけであります。これは自分の財産は自分で守るんだから自主規制でやってもらうというようなことでは、これは住民としての納得もいきがたいものがあるのではなかろうか。
科学技術庁でおやりになって、どこか下請を使ったわけですか。この「東海地震の「直前予知」(想定)に関するアンケート調査結果概要」というのを私も見せていただいたわけですけれども、この点については、県なり何なりで規制を行うべしという圧倒的な世論になっておるんじゃないですか。科学技術庁どうですか。その点について住民の考え方はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/152
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153・清水眞金
○説明員(清水眞金君) 予知が出た場合に行政がどういうふうに対応するかという、先生がお持ちのアンケートの中のそういう、項目のところだと思いますけれども、そこでは、まず「直前予知情報が出た場合、危険物を扱う工場の操業中止を望む人が七割」と、そういう結果が出ております。一応そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/153
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154・小巻敏雄
○小巻敏雄君 そうですね。これらの意見は、自主規制に任せておけばいいとか必要がないとかいうものに対して、やっぱり規制のやり方についてはまあいろいろあるかもしれませんけれども、そこで責任を持つ自治体の権限で規制をすべしという考えを中心にしながら、それは空振りもあるかもしれないけれども、操業中止をして、万一本物がきた場合に、ここの点に手落ちがあれば広域の住民に被害を及ぼすわけですから、操業中止にさせるべしと、それだけの権限は自治体に与えるべしという声が四〇%を超えて——それだけで三七%ですか、四〇%なぞになってその反対の意見の倍を上回っておると思うんですが、そうなってませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/154
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155・清水眞金
○説明員(清水眞金君) おっしゃるとおりでございまして、「危険物を扱う工場の操業中止を望む人が七割」の中には、「県や市町村の権限で操業を中止させる」べきであるというのが三七%、それから「操業中止を申し込むが判断は工場で」行うべきであるというのが三三%、それから基本的に工場側の判断でいいであろうというのが二〇%というふうな結果が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/155
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156・小巻敏雄
○小巻敏雄君 四割近い人が市町村権限、県の権限で中止をさせろと言い、県や市町村は操業中止を申し込むべきだと。こうなれば、よほど心臓が強くなければやっぱり操業をやりにくくなると思うんですけれども、こういうふうに挙げておるのが三三%、合わせると実に七〇%であるわけですね。圧倒的な国民の声であり、中止をする必要はないというようなのも五%ありますけれども、これはその地域の従業員ではなかろうかと思うくらい非常に数が少ないわけであります。こういう状況下で想定される場合には、やっぱりこの点は一つの弱点になるのではなかろうか。この点に早くから取り組んできた横浜の緊急地震対策等については、事業所の責務というようなものが定義づけられ、明記をされておりますが、事業者の責務というものは、特定施設の防災上必要な保安基準、これは事業の経済性に優先した厳格なものでなければならないというようなことを、これは条例で定めておるわけです。やっぱりこの点が明確にあらわれてくるということが、全体として法の趣旨をよく貫くものになるのではなかろうか。これはこういうふうに定めておいたら必ずしも強制で執行しなければならなくなるというものではなかろうと思うんですね。それは厳正な自主規制がすぐれて行われるようになると考えるのが普通の考えではなかろうかと思うのですけれども、四柳さんどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/156
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157・四柳修
○政府委員(四柳修君) 小巻委員のおっしゃること、一つの御意見としてよくわかるわけでございますけれども、先ほど答弁の足らなかった点があろうかと思いますけれども、御案内のように、この法律では、たてまえとしましてはそれぞれの管理者等が事前に計画をつくって、その計画どおりに警戒宣言が出た場合に対応していただく。その中には、当然のことながら操業を停止するものもございますし、あるいはいわゆるホットスタンバイというような形でいつでも停止できるような形をとるものもありますし、中には、部分的に段階的に対応措置をとるものもあろうかと思います。
〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕
そういった企業の対応を一応企業の責任において決めていただきまして、なおかつ、その計画どおりにやらないということが明らかな場合には、市町村長等の指示によりまして、防災応急対策を実施することを指示するというような仕組みも考えておりまして、そういった形の中で、やはりそういった計画をつくる段階でも地方団体とも御連絡がございますから、いま御指摘のような地元の住民側の御意向なり、地方団体側のいわば御意向というものも、そういった計画策定の中でもよりより反映されまして、できることならば事前にそういった計画の中で、いま御心配のようなことも企業側もよくくみ取っていただきまして計画に組んでおくし、しかも万が一そのとおりやれない場合には市町村長も指示する。そういうような形で対応したいという仕組みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/157
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158・小巻敏雄
○小巻敏雄君 この計画どおりにやらないということが明らかな場合というようなことは、常々から行政の側が企業内の立入権も何も持っていなければ、実際上は死文になってしまうんじゃなかろうかという感じもするわけです。
先般の伊豆の災害のときに、持越鉱山にも参りましたけれども、住民、地方自治体とあそこの持越鉱山との関係は余りいいものじゃなかったですね。やっぱり通産省の役人でも連れてこなければ門前払いをかますというのが、独立王国のようになっておって、これは代官領か治外法権のようになって、住民全体に対して影響力を及ぼす立場にはあるけれども、それは中は聖域になっておるというのが実態であります。何も私は企業性悪説というようなことでそれを言うわけじゃなくて、もう住民必ずしも反体制の運動をとるから云々ではなくて、住民全体の強く感じておるところであります。
〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕
あなた方が行われた調査で、このくらいのパーセンテージで住民の意見が上がってくるというのは、そういう生活感の裏づけがあるから出てくるんだと思うのです。
いま言われたような点が、もし実行を怠たることが明らかな場合には指示をすると、こういうふうに言われるが、最終的な判断は工場というたてまえだが、県や市町村は安全のために操業中止を申し込んだり、具体的指示をしたりすることを一般的に保障することになるのか、死文になってしまってほとんど実行されない条項になるのか、その辺のところはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/158
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159・四柳修
○政府委員(四柳修君) ただいま御指摘のような御心配ですと、このアンケートのような住民の御要望にこたえられないわけでございますから、関係市町村ともどもそういったことのないように、日ごろからそういったことも訓練をしながら、そういった御心配のないように配慮してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/159
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160・小巻敏雄
○小巻敏雄君 知事会から要求を上げてきたときにも、それは空振りがあるということが予想されるわけですね、予知ですから。空振りがあった場合に、旅館にしても全部団体がキャンセルなどをすれば大損害を受けるでしょうし、大工場で操業をストップすればこれは経済上の損失というものは当然予想され、しかもこれは予知なんですから、一時間来なかったから二時間目に来るかもしれないわけですから、おそれがなくなるまでといえば一定の時間経過を予想しなければならぬ。そういう場合に補償の問題、空振り補償というんですかね、あるいは言うことを聞かなかった場合の罰則の問題等について、やっぱり問題意識だけ持ちながら罰則つけるのは妥当でなかろうと。しかし、強制力がなければ法の執行が担保しにくいというような悩みがある。同時に、強制力を持つなら、うらはらの関係で当然補償をというようなふうなことが問題意識としてずうっと出されてきておるわけです。それをこの法案ではどのように考えて、どう消化されたわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/160
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161・四柳修
○政府委員(四柳修君) ただいま小巻委員おっしゃいますような仕組みでございまして、やはり現在の技術水準で一〇〇%確実な予知情報というものが出せます場合には、国の責任におきまして一つの強制力を持った措置というものができ、それがゆめゆめ外れることもないという形で、補償という問題も生じないということになりますけれども、いまの技術水準で空振りすることがあるかもしれないと、その上いま御指摘のような、いわば住民側、地域の御心配というものについてみても、それぞれの地域にございます企業等も一応の責任を持っていかなくちゃいけないと。それらを自主計画でとっていただき、それが外れた場合には、いわばそれぞれの防災対策の負担というものは、それぞれ防災対策をとるべきものの責任において負担するという仕組みにしまして、大変表現が悪いかもしれませんけれども、覚悟していた災害というものが来なかったから、それによっていわば大きな被害をこうむらなくて済んだという形で、一応皆さん方が地域全体としてみても安堵していただくと、そういう仕組みを考えておりまして、そういう中での罰則等につきましても、そういった仕組みの中で、交通規制ですとかあるいは避難ですとかあるいは防災信号の使用ですとか、幾つか今後の防災対策につきまして、その規制等に違反した場合に後々に大きな障害になるとか、非常に防災行政上支障のある問題についてのみ、現在の災対法で考えているような発災後の処置と同じようなものを事前に取り込んだということでございまして、とりわけ企業のそういった防災対策につきましてのいわば問題につきましては、先ほど来御説明申し上げますように、計画でつくっているものをやらないと市町村長が指示し、それでもなおかつ緊急の場合あるいは代執行するとか、さらには知事、警察官等もできるとか、そういう形の仕組みを考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/161
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162・小巻敏雄
○小巻敏雄君 企業の方に対してはそういう御説明をいただいて、最終的に企業の責任で基本的には解決してもらうと、こうなっておるんですが、個人の方に対しては、これは知事会の要望にもなかったのに厳然たる罰則が五カ条の条文にわたって——最後は法人ですから四カ条ですか、こう出てきておるわけです。二十万円の罰金から始まって、六カ月の拘留から始まっているわけですけれども、この場合には、先ほど企業の際に言われたような論理は適用されないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/162
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163・四柳修
○政府委員(四柳修君) 大変恐縮でございますけれども、知事会の方での要望措置というものをいろいろ聞いていく過程の中で、やはり幾つかの県、市町村の段階でのいわば強制措置的なものが知事会の案にございました。当然のことながら、それに従わなかった者についてどうするかということは、実は知事会の案には具体的に書いてなかったわけでございます。その点は決して私どもの方の案だけが特に足したというわけではございませんで、企業の方は、くどいようでございますけれども、企業の責任において負担もしていただきますし、それなりの対応もしていただく。住民の方も、やはり住民としての責務も書いてございますし、協力義務も書いてございます。そういう中で、一つの地域なりあるいは避難行動なり、そういったグループ活動等の中で秩序を維持するのに非常に支障がある、あるいはたとえば防災信号等をみだりに使用する、そのことによって非常にパニックを起こすといった者に対してだけいわば罰則規定を設けているのでございまして、一般的な住民に対しまして特に規制を設けているということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/163
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164・小巻敏雄
○小巻敏雄君 二月段階でこの法案を準備されたときに、ぼくらは特別措置法の要旨を見せてもらい説明も聞いたんですけれども、その時点では罰則は登場してなかったですね。どうも私どもにとってみますと、改めて四月段階になって出てきたら、前になかったものが新しく二つ入っておった。その一つは罰則であり、一つは自衛隊の出動なんですね。私は、大臣こういうふうになっちゃ、せっかく国土庁中心になってやってきたのに迷惑じゃないかと思うんですよ。こんなものがくっついてこなければ、大体各党一致して、それはさらに意見があって直すべきところがあれば直して、内容にわたって十分な質疑をして、そうしてまとめることができると。そこのところで、やっぱり第一次案の中では登場しなかったものが登場してくるというのは、私としては気持ちの悪い問題です、率直に言いまして。
それとあわせて、四柳さんの御説明にもかかわらず、やっぱり企業の場合には一応責任の自覚を期待をして罰則については免責をすると、最後まで指導、指示は行うけれども、法の強制力を担保にしてやるということは、これは避けているわけであります。しかし、それは百の企業がまじめにやっても一つの企業がひどくやれば物すごい損害を受けるわけですからね、住民は。一つの鉱業所から流れ出た鉱滓というのは広く流域にあれだけの被害を出しておるんですから、可燃物その他についてはどのような被害を出すかわからない。それは、まじめな企業が不心得なものを予想した法律のために非常にたくさん迷惑するというようなことは、法律の持つ性格なんですね。ところがこれが住民の側に関しては、いまたとえばシグナルを直すというような言語同断な者ばかりに適用されるんじゃない形で、やっぱりこの罰則の適用というのはもっと一般的に及んでくるんじゃないんですか、素直に条文を見たら。どうでしょう。一般住民で、たとえば警察でとめ、この際において道路の使用を禁止しておるのに、これの指示に従わずに走った者とか、どうしても家に帰りたいと思って走っていった。実際地震は不発であったからあとはどうということはなかった。しかしながら罰だけは受けなければならない、この問題が残るんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/164
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165・四柳修
○政府委員(四柳修君) 企業におきましても、十分御案内と思いますけれども、消防法あるいは高圧ガス取締法等のそれぞれの規定によりまして保安規程の関係で計画をつくり、その計画に基づきましてそれぞれの法律にいわば罰則があるわけでございます。その計画あるいは保安規程どおりにやらなかった場合についてみては、それぞれのたてまえの仕組みと言っては恐縮でございますけれども、そういった既存の仕組みの中でいわば罰則規定等が働くわけでございまして、企業だけが全然罰則関係が外されているというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/165
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166・小巻敏雄
○小巻敏雄君 ちょっと法制局にお伺いをしておくわけですが、この罰則条文は、住民に対してそれぞれの条、項でどういうふうに適用をされるのか。そしてこれは、その条文自身は、地震が来ても来なくてもこれは当然のこと適用されていくということになると思うんですけれども、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/166
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167・味村治
○政府委員(味村治君) 罰則は、この法案の三十六条から三十九条までに規定があるわけでございます。この中には、言ってみますれば住民であります個人も入りますれば、法人あるいはその代表者といったような人たちも処罰されるケースもあるわけであろうかと存じます。ただいま御指摘のように、警戒宣言が発せられまして、そして、しかし幸いなことに地震は起こらなかったという場合でございましても、これらの罰則はいずれも適用になるわけでございます。これは、こういった大規模な地震によります災害の発生なり災害の拡大を防止するためには、こういった罰則によりまして行政的な措置を補完するということが必要だという判断によるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/167
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168・小巻敏雄
○小巻敏雄君 こういうような地震の災害を予想していろいろな制限が行われるわけですね。以前であればこの予知ということに基づくものはありませんから、実際災害が起こったときにこういろいろな規制が行われてきたわけですね。こういうときは、これに対して秩序を妨害するということに内容と実があるわけですけれども、この場合には、いわばまあ結果なければフィクションになってしまうわけですね。だから実体的な妨害内容というのはなくて、演習の妨害に近いようなことに結果においてはなってしまうわけなんですけれども、こういう者に対して罰を加えるというのは、ほかの法律でもあるわけですか。類似した法律はどういうものがあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/168
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169・味村治
○政府委員(味村治君) 先生のおっしゃいますのは、実害が生じてもいないのに処罰するというケースがあるのかということであろうかと存じますが、これは、たとえば消防法でございますれば消防法の四十一条で、消防法五条の規定によります命令に違反いたしました場合には「一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」ということになっております。この五条と申しますのは、消防長なり消防署長が、防火対象物、建築物の位置とか構造、設備なんかの状況によりまして、非常に火災の予防上必要があると認める場合、あるいは人命の被害が生ずるおそれが非常に大きいというような場合には、それの改修命令とか改築命令、移転命令等を出すわけでございます。それに従わないと、先ほど申し上げたような罰則がかかるということでございまして、その場合に、必ずしもその火災が生ずるとは限らないわけでございますが、そういうふうな予防的な命令に従わない者を処罰するという例はあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/169
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170・小巻敏雄
○小巻敏雄君 いま言われておるようなケースは、いわゆる不法建築などで基準に合わないような危険建築をやっているような場合のことを言うわけですか。ああいうケースですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/170
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171・味村治
○政府委員(味村治君) 不法建築と申されましたのは、あるいは建築基準法のことを御念頭に置いていらっしゃるのかと存じますが、これは消防法は建築基準法とはまた別に、そういった建物の位置とか構造といったものから考えまして、先ほど申し上げましたような危険があるという場合に命令を出すことになっておりまして、建築基準法とは別個のものになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/171
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172・小巻敏雄
○小巻敏雄君 これらの問題について住民サイドからながめたときに、この問題については、引き続き具体例その他を検討してみた上で深めて審議をしなければならぬと思いますけれども、容易に納得しがたいような点が残っておるということを申し上げておくわけであります。
さらにお伺いをするわけですが、同じくアンケートの中に、行政に対してまず何を望むかというと、これは静岡県、この前の地震の経験も持っている、いわば慣れた住民に対するアンケート対象になっておるからかとも思いますが、「行政に対してはまず情報連絡体制の整備を望む」というのが非常に大きな要求になっておるわけであります。いわゆる情報パニックの問題もあるわけですが、これについては具体的にはどういうことを考えておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/172
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173・四柳修
○政府委員(四柳修君) この法律におきましては、警戒宣言が出されるまではやはり通常の報道機関等の仕組みで働くわけでございますけれども、そこまでは御心配のようないわゆる予知関係の情報というものは出ないという仕組みになろうかと思います。そこで、警戒宣言が出されますと、一つは国から県、市町村さらに住民へというルートもございますし、もう一つは、住民に公知するために国の責任において報道機関等の御協力を得ましてやはりそういった警戒宣言が出され、それに応じましてとるべきそれぞれの措置ということをお願いするという、二つの仕組みで防災側の責任において情報を流すという仕組みを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/173
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174・小巻敏雄
○小巻敏雄君 現にパニックに近い状況とか誤報とかいうのが先般の震災の場合にもあらわれておりますし、これについては十分な体制をとってもらわなくちゃならぬと思うんですが、これは新聞情報、一月十九日のものですが、こういう検討を進めるための予算約二千万円を要求したけれども十分の一に削られた。それで予知情報が出された場合の社会、経済に与える影響調査が認められただけで、どのように予知情報を出したらよいかの研究はいまのところ皆無に等しいというような報道も上がっておりますが、その点はいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/174
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175・清水眞金
○説明員(清水眞金君) 情報伝達システム、いわゆる情報を伝えるための研究につきましては、いまの新聞情報で御指摘になった点は多分別のものではないかと思いますけれども、すでに昨年の十月から科学技術庁の方が中心になりまして、約二千二百万円の予算を用いまして未来工学研究所に委託をし、地震予知情報伝達システムに関する研究というのを実施しておるわけでございます。これは五十三年度にも引き続き約二千万円の予定で進めることとしておるわけでございます。内容的には、情報伝達のルートはどうあるべきか、それから伝達すべき事項はどういうふうな要素が盛り込んであればいいか、それから事前にどのようなPRをしておいたらいいだろうかというふうなことを十分アンケートしたり、あるいはリーダーインタビューをしたり、あるいはブレーンストーミングをしたり、専門家がそういうことをしまして、的確な地震予知情報の伝達システムの確立を図る。先ほど先生が御指摘になりましたアンケートの結果は、この研究の一部として行われたものでございます。したがいまして、一応まとめますと約四千万くらいの予算で、すでに五十二、五十三年度の二年度でその御指摘の研究を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/175
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176・小巻敏雄
○小巻敏雄君 その点は鋭意進めてもらう必要があると思いますが、最後になりましたが、時間が来ておりますから、一つだけ防衛庁にお伺いをしておきたいと思うのです。
今度の自衛隊の防災の事前出動の問題については、それは世論の中でもこれを是としない大きな意見の流れがあるということは御承知だと思うわけですけれども、治安出動に道を開くことにならないかと、この点が今回のものに対する国民としての懸念の中心をなすものであります。ところが、防衛庁の方では、大災害対策において現行法規では十分でないんではないかと、その点であらかじめ研究をやる。大災害において自衛隊の位置づけが明らかになることが、これは有事体制の町究の出発点だというふうなことをいままでに述べておられるようですけれども、この点について、考え方の確認を求めております。
また、今度の自衛隊の事前出動が治安活動に道を開くということは、閣僚その他だれも答えておられませんけれども、これが治安出動の訓練になるというふうに答えた人もあります。これについてどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/176
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177・児玉良雄
○説明員(児玉良雄君) お答えいたします。
大規模地震に関する特別措置法が立案されるとかいうような話がございました段階で、いま先生御指摘のようなお答えをしたものと思っておりますが、当時の考え方といたしましては、大規模な地震が発生すれば、相当な規模の被害を生ずるという特別の緊急な事態である。このような事態に対処するためには、多数の関係の機関がそれぞれの業務を果たし、国土、国民を守るためにあらゆる手段を尽くすと、こういうような事態になるであろうというふうに考えますと、内容は違いますし、また態様も違いますけれども、わが国に対する侵略に対処する任務を持っております防衛庁といたしましても、態様や方法は違いましても、このような事態に対処するのに参考になることがないかということを考えたことはございます。
それから、この地震防災派遣は、警戒宣言が発せられて、それぞれの機関が行う地震防災応急措置の実施について支援をするというのがその任務、目的でありまして、このために部隊が移動したりあるいは何らかの作業をするということで、地震防災応急対策の実施を支援するということが、内容によっては治安出動そのほかの防衛庁、自衛隊の任務となっておりますものの、訓練といいますか、そこで得た成果が活用できるものもあるという趣旨の御発言かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/177
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178・小巻敏雄
○小巻敏雄君 時間が来ておりますので、本日のところはここまでにいたしますが、この防衛問題については特にまだ討論を続けなければなりませんし、その他にも多くの問題を残しておりますので、引き続いてこの機会を与えてもらわなくちゃならぬと思うわけであります。慎重審議を尽くしていきたいと考えております。
本日はここまでにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414339X00619780510/178
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179・村田秀三
○委員長(村田秀三君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時二十九分散会
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