1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年六月十四日(水曜日)
午後三時四十六分開会
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委員の異動
六月十四日
辞任 補欠選任
瀬谷 英行君 矢田部 理君
井上 計君 藤井 恒男君
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出席者は左のとおり。
委員長 楠 正俊君
理 事
大谷藤之助君
福岡日出麿君
対馬 孝且君
安武 洋子君
委 員
岩崎 純三君
下条進一郎君
中村 啓一君
長谷川 信君
真鍋 賢二君
前田 勲男君
増岡 康治君
穐山 篤君
大森 昭君
小柳 勇君
馬場 富君
峯山 昭範君
藤井 恒男君
柿沢 弘治君
発 議 者 小柳 勇君
国務大臣
通商産業大臣 河本 敏夫君
政府委員
通商産業政務次
官 平井 卓志君
通商産業大臣官
房審議官 島田 春樹君
通商産業省立地
公害局長 左近友三郎君
通商産業省機械
情報産業局長 森山 信吾君
通商産業省生活
産業局長 藤原 一郎君
資源エネルギー
庁長官 橋本 利一君
資源エネルギー
庁石油部長 古田 徳昌君
事務局側
常任委員会専門
員 町田 正利君
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本日の会議に付した案件
○液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に
関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計
法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
○特定機械情報産業振興臨時措置法案(内閣提
出、衆議院送付)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、鶴岡繊維製品検査所の出張所の設置に関し
承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○危険ぼた山の崩壊防止及び整備に関する緊急措
置法案(小柳勇君発議)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/0
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001・楠正俊
○委員長(楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、井上計君及び瀬谷英行君が委員を辞任され、その補欠として藤井恒男君及び矢田部理君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/1
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002・楠正俊
○委員長(楠正俊君) まず、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河本通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/2
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003・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
液化石油ガスは、全国約千八百万世帯の消費家庭で使用される国民生活にとって重要かつ不可欠なエネルギーでありますが、最近における消費量の増加、供給の態様の変化、供給または消費のための設備や器具等の多様化、大型化等液化石油ガスの消費をめぐる諸情勢の変化には著しいものがあります。
こうした諸情勢の変化に加えて、一たん漏洩、着火すると大きな爆発事故をも惹起する液化石油ガスの特性などから、消費家庭における液化石油ガスによる災害事故は一向に減少の兆しを見せないなど、液化石油ガスによる事故の発生の防止は、今日において大きな社会的課題となっております。
このため、政府におきましても、このような情勢に対処すべく、通商産業大臣の諮問機関である高圧ガス及び火薬類保安審議会の昨年八月の答申「液化石油ガス消費者保安体制のあり方」に基づき、法的措置を含め検討を進めてまいりましたが、その結果、今般、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律について所要の改正を行うこととしたものであります。
次に、本法案の要旨につきまして御説明申し上げます。
第一は、液化石油ガス販売事業者に係る保安規制の改正でございます。
従来ともすれば不明確であった液化石油ガス販売事業者と消費者との責任関係の明確化を図るため、液化石油ガスの供給のための設備について保安上の基準維持義務を液化石油ガス販売事業者に課することといたしました。また、消費家庭における液化石油ガスによる事故のかなりの部分は、一般消費者等が液化石油ガスの特性や使用方法等を十分知っていれば防ぎ得た事故であることにかんがみ、液化石油ガス販売事業者に液化石油ガスによる災害の発生の防止に関する必要な事項を一般消費者等に周知させる義務を課すことといたしました。さらに、液化石油ガス販売事業者が行うこととされている消費設備の調査業務については、都道府県知事の認定に係る調査機関に委託できることとし、的確な調査を確保する体制を確立することといたしました。
第二は、液化石油ガス設備工事の規制の強化を図ることであります。
液化石油ガス設備工事に起因する災害を防止するため、液化石油ガス設備工事のうち重要な作業については、都道府県知事から液化石油ガス設備士免状の交付を受けている者でなければ行ってはならないこととするとともに、液化石油ガス設備工事事業者に事業開始の届け出、工事後の表示、配管図面の保存等を義務づけることといたしました。
第三は、液化石油ガス器具等の規制の範囲の拡大であります。
近年における液化石油ガス器具等の大型化、多様化の状況にかんがみ、規制対象とする液化石油ガス器具等の範囲を拡大し、そのうち構造、使用条件等から特に液化石油ガスによる災害の発生のおそれが多いと認められるものを第一種液化石油ガス器具等として従来どおりの国家検定または登録型式承認制度による規制を行うほか、それ以外の液化石油ガス器具等を第二種液化石油ガス器具等として、新たにその製造事業者及び輸入事業者に対して、事業開始の届け出、技術基準への適合義務等の所要の義務を課すことといたしました。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/3
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004・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 次に、補足説明を聴取いたします。左近立地公害局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/4
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005・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の順序に従って若干の補足説明をさせていただきます。
第一に、液化石油ガス販売事業者に係る保安規制についてであります。
従来、液化石油ガスの供給または消費に係る設備についての維持責任関係が液化石油ガス販売事業者と一般消費者等との間において不明確であったところから、今回の改正においては、供給設備と消費設備とを明確に区分し、前者については液化石油ガス販売事業者に、後者については一般消費者等にその維持責任を課すという基本的な考え方を採用することとしております。さらに、後者の消費設備については、従来どおり液化石油ガス販売事業者に対して調査義務を課すことにより、事故の防止のため万全を期すこととしております。なお、供給設備のうち貯蔵能力が一定規模以上のものについては、災害防止等の観点から、液化石油ガス販売事業者の許可、変更許可及び使用前検査の対象とすることといたしました。
今回新たに液化石油ガス販売事業者に課すことといたしました一定事項を一般消費者等に周知させる義務につきましては、消費家庭における事故防止のため一般消費者等が液化石油ガスの危険性を十分認識した上で、正しい使用方法によりガスを消費することがきわめて重要であることにかんがみ、一定期間ごとに一定の必要な事項について一般消費者等の注意を喚起することとしたものであります。
さらに、認定調査機関制度の導入につきましては、現在、いわゆる保安センターが全国に多数あり、液化石油ガス販売事業者の委託を受けて調査を実施しておりますが、一部にその調査が的確に実施されていない等の実態があるため、今回その法的位置づけを明確にし、調査が的確に実施されるようにするため、都道府県知事の認定制度を導入することとしたものであります。
第二に、液化石油ガス設備工事の規制の強化についてでありますが、液化石油ガス設備工事のうち、災害の発生の防止を図るため特に重要と認められる作業、具体的には硬質配管を接続する作業等は、今後は液化石油ガス設備士が行わなければならないこととなります。これにつきましては、本法の公布後三年余の間施行を延期し、その間に、都道府県知事の試験と平行して特殊法人高圧ガス保安協会その他の一定の養成施設における講習制度を設けることにより、必要な数の液化石油ガス設備士を誕生させ、本制度の発足が円滑に行われるようにしてまいる所存であります。
第三に、液化石油ガス器具等の規制の範囲の拡大については、液化石油ガス器具等の安全性を確保することが重要であることにかんがみ、従来の国家検定または登録型式承認制度を第一種液化石油ガス器具等について承継するとともに、これ以外の第二種液化石油ガス器具等についても、事業開始の届け出、基準適合義務、改善命令という一連の新たな規制体系を導入することにより、液化石油ガス器具等に起因する事故の発生の防止を図ろうとするものであります。
その他、今回の改正の中で、経済情勢の変化に対応して手数料、罰金等の額についても所要の改定を行うこととしております。
以上、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして補足的な説明をいたしましたが、詳細な点につきましては、御質問に応じてお答えしたいと存じます。
何とぞ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/5
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006・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 次に、石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河本通産大臣。
〔委員長退席、理事大谷藤之助君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/6
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007・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
わが国の一次エネルギーの大宗を占める石油は、申すまでもなく国民生活の安定と国民経済の円滑な運営に欠くことのできないものであります。石油をめぐる国際情勢が流動的である今日、石油の安定的供給の確保は、石油資源を海外に大きく依存するわが国にとって解決を要する喫緊の課題でありますが、このために備蓄の増強を推進していくことは、石油資源の開発促進と並んで、エネルギー政策の重要な柱であります。
石油備蓄については、現在石油備蓄法に基づき民間石油企業により昭和五十四年度末までに九十日備蓄を達成するべくその計画を鋭意推進しているところでありますが、このたび、石油備蓄対策の重要性にかんがみ、この格段の拡充強化を図ることといたしました。このため、石油開発公団を石油公団とし、同公団がみずから石油の備蓄を行うこととする等同公団の備蓄関連業務の拡充強化を図るほか、石炭及び石油対策特別会計からの石油備蓄対策等への補助を拡充することを主たる内容といたしまして、この法律案を提出いたした次第であります。
次に、法律案の要旨を御説明申しげます。
本法律案は、第一に石油開発公団法の一部改正、第二に石炭及び石油対策特別会計法の一部改正をその内容とするものであります。
まず、第一条は石油開発公団法の改正でありますが、改正の内容の第一点は、石油開発公団を石油公団とし、同公団の目的に新たに石油の備蓄の増強を推進することを追加することであります。
同公団は、従来から石油及び可燃性天然ガス資源開発の中核的推進機関としての役割りを果たしてまいりましたが、今回の改正で、石油備蓄の増強のための業務も開発業務と並ぶものとなる次第であります。
第二点は、同公団の業務に石油の備蓄をみずから行うことを追加するとともに、従来から石油開発公団法の附則業務として行ってまいりました民間石油企業に対する資金の貸し付け等石油備蓄増強のための助成業務を本則化し、同公団の主要な業務の一つとすることであります。その他同公団がみずから行う石油の備蓄業務を円滑に遂行し得るよう所要の規定を設けることといたしております。
第二条は石炭及び石油対策特別会計法の改正でありますが、改正の内容の第一点は、石炭及び石油対策特別会計の石油勘定から石油公団がみずから行う備蓄に係る補助を行い得るようにすることであります。これは同公団による備蓄について財政的な裏づけを行うものであります。
第二点は、同特別会計の石油勘定から石油貯蔵施設の設置の円滑化に資するため、石油貯蔵施設の周辺の地域における公共用の施設の整備に係る経費に充てるための補助を地方公共団体に対して交付し得るものとすることであります。これにより、石油貯蔵施設の立地についてより一層の理解と協力が得られることと期待しております。
第三点は、石油の安定的供給の確保を図るためには、石油の生産及び流通の合理化を図ることが重要であることにかんがみ、このために行う事業に対しても同特別会計石油勘定から補助し得るようにすることであります。
第四点は、以上述べました石油対策の実施等に必要な財源の確保を図るために、石油税の税収額に相当する金額を一般会計から同特別会計の石油勘定に繰り入れる規定を設けることであります。
以上、この法律案の提出の理由及びその要旨を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/7
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008・大谷藤之助
○理事(大谷藤之助君) 次に、補足説明を聴取いたします。橋本資源エネルギー庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/8
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009・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) ただいま大臣が御説明申し上げました提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。
わが国は、一次エネルギー供給の七割強を石油に依存しており、国民生活の向上と国民経済の発展のためには、石油の安定供給の確保が必要不可欠であります。
このため、政府は石油の探鉱開発の促進と並んで石油備蓄の増強を石油政策の重要な柱の一つとして、その推進に努めてきたところであります。
現在、わが国におきましては、石油備蓄法に基づく九十日備蓄増強計画を進めており、昭和五十四年度末までに民間石油企業による九十日備蓄を達成すべく政府といたしましても備蓄用原油購入資金融資等によりその推進に努めているところでありますが、昭和五十二年度末におきましては、わが国の石油消費量の八十日分を保有するに至っております。
他方、西欧諸国におきましては、海外からの石油に依存する割合がわが国に比して低いにもかかわらず、すでにわが国の備蓄水準をはるかに上回り、平均百日分以上の備蓄を有しており、また米国においては石油備蓄五億バレルの目標年次を一九八二年から一九八〇年に繰り上げるなど、各国とも一層の石油備蓄積み増し努力を行っております。
〔理事大谷藤之助君退席、委員長着席〕
石油をめぐる国際情勢が依然として不安定な状況にある折、また、他国と比して石油供給構造が脆弱であるわが国としては、民間石油企業による現行の九十日備蓄増強計画に加えて、さらに一層の石油備蓄対策の増強を図る必要があります。
このため、わが国としての備蓄積み増しの必要性、各国の備蓄対策の動向等を踏まえまして、石油開発公団に石油の備蓄を行わせることとし、石油開発公団法の所要の改正を行うことといたす次第であります。
また、あわせて石炭及び石油対策特別会計法の改正を行い、同特別会計の石油勘定からの石油備蓄対策への補助等を拡充することにより、石油備蓄対策の格段の拡充強化等を図ることといたす次第であります。
次に、この法律案の要旨を補足して御説明申し上げます。
まず、石油開発公団法の主要な改正内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、石油開発公団を石油公団とし、同公団の目的に、新たに石油備蓄の増強の推進を追加するとともに、その業務の範囲に石油備蓄業務を追加することであります。同公団は、従来からの石油の探鉱開発に関する業務に加えて、今回の改正により備蓄用の石油を購入するとともに備蓄用の石油貯蔵施設を保有し、備蓄を行うなどの業務が新たに追加されることになります。
第二は、公団の備蓄関連業務の拡充強化に伴い、従来から石油開発公団法の附則業務として行ってまいりました民間石油企業に対する備蓄の増強に必要な石油購入資金の貸付業務及び共同石油備蓄会社の備蓄施設の設置に必要な資金の出資または貸付業務を本則業務とすることであります。さらに、これらの石油備蓄関連業務を円滑に遂行し得るよう所要の規定を設けることといたしております。
次に、石炭及び石油対策特別会計法の主要な改正内容につき御説明申し上げます。
第一に、石炭及び石油対策特別会計の石油勘定から、石油公団がみずから行う石油の備蓄に係る補助を行い得るようにすることであります。これは同公団による備蓄について財政的な裏づけを行うものであります。
第二に、同特別会計の石油勘定から石油貯蔵施設の設置の円滑化に資するため、石油貯蔵施設の周辺の地域における公共用の施設の整備に係る経費に充てるための補助すなわち立地交付金を地方公共団体に対して交付し得るものとすることであります。
これにより、石油貯蔵施設が設置される周辺地域における公共用施設の整備を促進し、地域住民の福祉の向上、保安防災の充実等を図ることにより、石油貯蔵施設の設置の円滑化に資することを期待しております。
第三に、石油の生産及び流通の合理化を図るために行う事業に対しても、同特別会計の石油勘定から補助し得るようにすることとしております。
これは、石油の安定的供給の確保を一層強力に図るためには、石油の生産及び流通の合理化が欠くことのできないものであることにかんがみ、このような施策の抜本的拡充を図ることとした次第であります。昭和五十三年度においては、揮発油販売業及び潤滑油製造業の経営合理化、コンビナート石油精製業者等の構造改善等の事業に対して同石油勘定から補助する措置を講じることとしております。
第四に、以上に述べました石油対策の実施等に必要な財源の確保を図るために、当該年度までの石油税の収入額を合算した額から当該年度の前年度以前の各年度の一般会計から石油勘定への繰入金を合算した額を控除した額を限度として一般会計から同特別会計の石油勘定に繰り入れる規定を設けることであります。
以上、この法律案につきまして、その提案理由及びその要旨を補足して御説明申し上げました。
何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/9
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010・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 次に、特定機械情報産業振興臨時措置法案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河本通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/10
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011・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 特定機械情報産業振興臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
わが国機械工業は、資本の自由化等経済の国際化の進展する中にあって、わが国経済の発展の原動力たる産業の一つとして比較的順調な発展を遂げてまいりました。
しかし、近年、設備投資や在来型耐久消費財に対する需要の鈍化、資源エネルギー制約の強まり、労働力需給基調の変化、技術導入の困難化等の新たな経済情勢の変化が進展する中にあって、機械工業の実態を見ますと、依然として種々の課題を抱えていることが指摘できます。すなわち、
第一に、技術先端的機器分野における技術水準はなお十分ではなく、また、総じて経営力も脆弱な状況にあり、これらの克服が肝要となっていること、
第二に、一部の電子部品等の分野では、近隣発展途上国の追い上げを受けつつあり、これに対応して、品質、性能の向上等の合理化努力が一層図られねばならなくなっていること、
第三に、安全問題、公害問題のみならず、省資源、省エネルギーなどの新たな社会的要請に円滑にこたえていくため、必要な機器の開発等積極的な対応が求められていることなどであります。
さらに、わが国の機械工業においては、ソフトウエア面での技術のおくれが特に大きく、今後、広範な分野で複合化、システム化された機器の供給が求められていくことを考慮いたしますと、ソフト機能の中核的担い手たる産業の育成も急務となっております。
このような情勢にかんがみ、政府は、昨年、産業構造審議会に対し、今後の機械情報産業政策のあり方等について検討を依頼し、十一月に中間答申を得ております。
本法案は、この中間答申の趣旨に沿って、従来の特定電子工業及び特定機械工業振興臨時措置法にかわり、新たに昭和六十年代に向けての経済的社会的要請にこたえる機械情報産業政策の柱となるものとして立案されたものであります。
以下、本法案の要旨につきまして御説明申し上げます。
まず、本法案の目的は、特定機械情報産業について、生産技術の向上、生産の合理化等を促進することにより、その振興を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与し、あわせて国民生活の向上に資することであります。
次に、本法案により振興を図るべき対象となる特定機械情報産業としましては、試験研究、工業生産の開始等または生産の合理化を特に促進する必要のある電子機器や危害の防止、生活環境の保全、資源の利用の合理化、機械工業の基盤の強化に資するため、試験研究、工業生産の開始等または生産の合理化を特に促進する必要のある機械として政令で指定するものを製造する事業及びソフトウエア業を取り上げることとしております。
これらの事業について、主務大臣は特定機械情報産業相互の関連に留意しつつ、高度化計画を策定することとし、また高度化計画に定める目標の達成のため、必要に応じ次のような振興措置を講ずることができることといたしております。
第一は、機械工業を営む者に対し、規格の制限等に係る共同行為の実施のための指示が行えることであります。この場合において、独占禁止法の精神に照らし、その運用は特に慎重に行うという見地から、それぞれについて必要な手続及び要件を規定しております。
第二は、機械工業またはソフトウエア業を営む者が高度化計画に定めるところに従って実施している事業共同化等に重大な悪影響を及ぼし、国民経済の健全な発展に著しい支障を生ずるおそれがあるような大規模な事業の開始等をしようとする者に対して、その時期の変更等の勧告を行うことができるものとしております。その際にも、勧告を受ける者の意見を聞くこと等一定の慎重な手続を経ることとしております。
第三に、政府は、高度化計画に定める所要の資金について、その確保に努めることとしているほか、工業生産の開始等を特に促進すべき機械器具であって高度な複合化が図られたもののうち、その普及を特に促進する必要のあるものについて、所要の税制措置を講ずるよう努めることとしております。
その他、本法案は、七年間の限時法とすること、本法案の適正な運用を確保するため審議会へ諮問すること等の所要の規定を設けております。
以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/11
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012・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 次に、補足説明を聴取いたします。森山機械情報産業局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/12
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013・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 特定機械情報産業振興臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。
わが国の機械工業は、今日、生産額では製造業全体の約三割、輸出額では全商品輸出の約六割を占める重要な産業となっており、今後とも経済成長や雇用の安定等の中核的担い手となっていくことが大いに期待されている産業分野であります。
しかるに、近年の機械工業をめぐる情勢は厳しく変化しつつある中で、機械工業の現状を見ますと、依然として種々の課題を抱えております。すなわち、
第一に、技術導入に当たっての制約が強まる傾向にある中で、特に技術革新のテンポが激しく、かつその技術成果が広範な分野に影響を与える電子機器分野及び先端的重機械類等の分野における技術水準はなお十分とは言えず、技術開発への積極的取り組みが引き続き肝要でありますが、機械工業における研究開発活動は、なお欧米に比し低水準であり、企業経営体質の脆弱性も考慮しますときわめて大きな問題を残していること。
第二に、機械工業の分野でも顕在化しつつある近隣発展途上国の追い上げ等を踏まえ、調和ある通商関係の維持発展を期するためにも、独自な技術開発とともに品質、性能の向上等の合理化を図り、独特な商品分野の開拓に努めることが必要となっていること。
第三に、わが国の資源賦存の希少さ等にかんがみますと、安全、公害問題はもとより、省資源、省エネルギー問題等の新たな要請に円滑にこたえていくため、必要となる機器の供給体制の整備に積極的に対応していくことが緊要であることなどであります。
また、今後情報化が一層進展し、複合化、システム化された機器への要請が広範化していくと見られており、これらの要請にこたえる重要な担い手として期待されるソフトウエア業の育成も新たな緊急課題となっております。
政府は、このような状況に対処し、機械工業やソフトウエア業など機械情報産業に対する政策のあり方等について、昨年産業構造審議会に検討を依頼してまいりました。その結果が昨年十一月に中間答申されておりますが、その中で機械情報産業が前述のような課題に的確に対処し得るよう、政府においても従来の特定電子工業及び特定機械工業振興臨時措置法にかわる新たな法制を検討するよう指摘されております。
本法案は、この中間答申の趣旨に即し、昭和六十年代に向けて、機械情報産業を望ましい方向に誘導、育成するため、特に法律的措置を要する事項を中心として立案されたものであり、その主要な内容は以下のとおりであります。
まず、本法案において振興が図られる対象である特定機械情報産業としましては、試験研究、工業生産の開始等または生産の合理化を特に促進する必要があるものとして政令で定める電子機器または機械を製造する事業及びソフトウエア業を取り上げております。この場合において、政令で定める機械につきましては、危害の防止、生活環境の保全、資源の利用の合理化及び機械を製造する事業の基盤の強化に資するためのもの等の要件を付しております。
主務大臣は、これらの事業ごとに、他の特定機械情報産業との相互の関連に十分配慮しつつ高度化計画を策定し、公表する一方、次のような具体的振興措置を講ずることにより、高度化計画に定める諸目標の達成を促進することとしております。
第一に、機械工業を営む者に対し、規格の制限、技術の制限、品種の制限または生産施設の利用に係る共同行為を実施すべきことを指示することができるほか、規格の制限に関しては命令も行えることとしております。なお、これらの措置の発動に当たっては、公正取引委員会に協議するなど、必要な要件及び手続を規定し、その運用に十分慎重を期すことといたしております。
第二に、機械工業及びソフトウエア業において、特定の企業に支配された、いわば硬直的産業組織となることを防止するための措置として、事業者が高度化計画の定めるところに従って実施している事業共同化等に重大な悪影響を及ぼし、国民経済の健全な発展に著しい支障を生ずるおそれがあるような大規模な事業の開始等を行おうとする者に対して、その時期の変更等の勧告を行えることとしております。この場合におきましても、慎重さを期すため、一定の要件及び手続を定めております。
第三に、政府は、高度化計画に定める所要の資金について、その確保に努めることとしていることであります。具体的に昭和五十三年度においては、日本開発銀行及び中小企業金融公庫から長期低利の設備資金融資が行い得るよう措置されております。さらに、国は工業生産の開始等を特に促進すべき機械器具であって、電子計算機等との高度な複合化が図られたもののうち、その普及を特に促進する必要のあるものについて、所要の税制措置を講ずるよう努めることとしております。
その他、本法案の適正な運用を確保するため、航空機・機械工業審議会に諮問することのほか、報告徴収等に関する規定を定めるとともに、附則において、本法案を七年間の限時法とすること及び機械工業を営む中小企業者が、従来どおり中小企業信用保険法上の近代化保険の適用が受けられるよう同法の一部改正を行うこととしております。
以上、この法律案の提案理由及び要旨につきまして、補足して説明をいたしました。
何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/13
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014・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 以上の三案に対する質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/14
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015・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、鶴岡繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
まず政府から趣旨説明を聴取いたします。河本通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/15
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016・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、鶴岡繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
繊維製品検査所は、全国に十の本所、十九の支所出張所を置き、繊維製品について通商産業行政上必要な検査、商品テスト等を行っておりますが、当初輸出検査を主体に発足したため、北海道には事務所を置いておりません。
近年、商品に関する消費者の苦情の増加に伴い、北海道においても種々の商品テストの実施、商品テスト技術情報の提供等の要請が増大してきており、北海道に繊維製品検査所の出張所を設置して、繊維製品の検査体制の整備を図ることにより、消費者保護行政の充実を図る必要があります。
本件は、北海道札幌市に鶴岡繊維製品検査所札幌出張所を設置することについて、地方自治法第百五十六条第六、項の規定に基づき、国会の承認を求めようとするものであります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/16
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017・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 本件に対する質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/17
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018・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 次に、危険ぼた山の崩壊防止及び整備に関する緊急措置法案を議題といたします。
まず発議者小柳勇君から趣旨説明を聴取いたします。小柳勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/18
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019・小柳勇
○小柳勇君 危険ぼた山の崩壊防止及び整備に関する緊急措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
わが国の石炭鉱業は、敗戦後の経済復興の担い手として、昭和二十二年度より傾斜生産方式が採用され、夜に日を継ぐ増産政策が押し進められてまいりました。しかし、三十年代後半から進行したエネルギー革命によって、石炭鉱業は壊滅的な打撃を受け、その後は御承知のとおりなだれ閉山と称せられる状況を呈し、今日に至っております。そして、そのあとに残ったものは、疲弊した産炭地域と無数のボタ山であったのであります。
ボタ山は、石炭または亜炭の捨て石の集積によってできた人工的な山であります。このため、常に流出崩壊の危険をはらみ、一たん事があれば人命、家屋等の被害は避けられず、また、土地利用対策上も大きな障害となっております。ちなみに、福岡県を例にとってみましても、このようなボタ山が三百十八もあります。もちろん、ぼた山の管理義務は鉱山保安法上鉱業権者にありますが、その期間は鉱業権消滅後五年までで、それ以前でも鉱業権者が無資力となるか、所有者が不明な場合には、危険な状態のままで野放しとなっているのが実情であります。
現在、防災工事が必要な危険なボタ山につきましては、県または市町村が応急措置を講じており、その経費の一部に対しては国からの補助もなされておりますが、法的にも財政的にも不十分であるため、抜本的な解決策となっておりません。このため、危険なボタ山について崩壊防止事業または整備事業を緊急かつ計画的に実施する必要があり、本法案を提案した次第であります。
次に法案の要旨について申し上げます。
第一は、主務大臣は、ボタ山の流出崩壊等による被害の発生を防止するために必要があると認めるときには、鉱業権者等が無資力で、かつ、指定の申し出をした場合、または鉱業権者等の所在が不明な場合に限り、関係都道府県知事の意見を聞いて、当該ぼた山の存する区域をぼた山公共防災区域として指定することができることとしております。
第二は、ボタ山公共防災区域における崩壊防止事業または整備事業は、原則として当該区域の存する都道府県知事または市町村長が行うこととし、それらの事業は昭和五十八年十月三十一日までに施行すべきこととしております。なお、整備事業につきましては、都道府県知事が、土地利用の増進を図るために必要と認める場合に、土地またはボタ山の権利を有するものの同意を得て、崩壊防止事業にかえて施行することができることとしております。
第三は、崩壊防止事業または整備事業を施行すべき都道府県知事または市町村長は、施行計画を作成し、昭和五十三年十月三十一日までに主務大臣に提出して承認を得なければならないこととしております。この場合、都道府県知事が施行計画を作成するときには、関係市町村長の意見を聞かなければならず、また、市町村長が作成した施行計画は都道府県知事を経由して主務大臣に提出するものとしております。
第四は、国は主務大臣の承認を得た施行計画に基づいて崩壊防止事業または整備事業を施行する地方公共団体に対し、それに要する費用の一部を負担または補助するものとしております。
第五は、ボタ山の所有者が、所要の手続きを経て整備事業を行う場合には、岡はその施行者に対し、必要な助言、指導、資金の融通のあっせん、経費の補助等を行うものとしております。
以上がこの法案の提案理由及び要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかにご賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02319780614/19
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020・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 本日は、本案に対する趣旨説明聴取のみにとどめておきます。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十八分散会
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