1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年六月十五日(木曜日)
午前十時十七分開会
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委員の異動
六月十五日
辞任 補欠選任
矢田部 理君 大塚 喬君
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出席者は左のとおり。
委員長 楠 正俊君
理 事
大谷藤之助君
福岡日出麿君
対馬 孝且君
安武 洋子君
委 員
岩崎 純三君
下条進一郎君
中村 啓一君
長谷川 信君
真鍋 賢二君
前田 勲男君
増岡 康治君
穐山 篤君
大森 昭君
小柳 勇君
馬場 富君
峯山 昭範君
市川 正一君
藤井 恒男君
柿沢 弘治君
国務大臣
通商産業大臣 河本 敏夫君
政府委員
通商産業省産業
政策局長 濃野 滋君
通商産業省立地
公害局長 左近友三郎君
通商産業省機械
情報産業局長 森山 信吾君
資源エネルギー
庁長官 橋本 利一君
資源エネルギー
庁石油部長 古田 徳昌君
事務局側
常任委員会専門
員 町田 正利君
説明員
行政管理庁行政
管理局管理官 重富吉之助君
運輸省海運局監
督課長 棚橋 泰君
海上保安庁警備
救難部長 村田 光吉君
郵政大臣官房電
気通信参事官 白井 太君
消防庁地域防災
課長 中川 登君
参考人
日本電信電話公
社計画局長 福富礼治郎君
日本電信電話公
社データ通信本
部副本部長 谷池 宏君
石油開発公団総
裁 徳永 久次君
石油開発公団理
事 江口 裕通君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に
関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計
法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
○特定機械情報産業振興臨時措置法案(内閣提
出、衆議院送付)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、鶴岡繊維製品検査所の出張所の設置に関し
承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/0
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001・楠正俊
○委員長(楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、矢田部理君が委員を辞任され、その補欠として大塚喬君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/1
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002・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部を改正する法律案、石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案、特定機械情報産業振興臨時措置法案、及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、鶴岡繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件の以上四案件を便宜一括して議題といたします。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/2
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003・対馬孝且
○対馬孝且君 いま、冒頭に、委員長から、一括審議ということでありましたが、質問に入ります前に特に政府側に強く申し上げておきたいことは、まさしく、これからの法案の取り扱いにつきましては、政府側のきょうあすの答弁が納得できるかできないか、そのいかんによって、賛成して上げるか上げないかという態度を決めることになっておりますので、一にかかって大臣以下政府側の答弁にかかっているということを冒頭に申し上げておきたい、こう思うのであります。
特に時間もありませんから、私は、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部改正につきまして、約一時間ばかりこれから質問申し上げたいと思います。
まず最初に、私は、LPガスの保安に関する消費者の責任という問題を冒頭にひとつお伺いをしたいわけであります。これは全国的に被害が非常に増高しておりまして、私も、この前四十九年、北海道で多大な事故が起きました。そのときも現地調査に商工委員会から行っているのでありますが、そういう問題等も踏まえながらひとつこれからお伺いするわけでありますが、LPガスは最近十年間急速に一般家庭に普及をしてまいりました。現在、私が聞いているところでは、大体一万八千世帯に上っている。都市ガスは大体まあ一万四千というあれですから、むしろ、LPの方が非常に大きく上昇してきていると、こういう現況の中で、このLPガスは国民生活の必需品となっているということは言うまでもありません。しかし、その一方ではまた、この爆発事故がかつてない累増している。これもまあ局長御存じのとおりだと思うんですね。
これは何かといいますと、私は北海道でもずいぶん事故の現地調査に行っておるんでありますが、この販売業者が非常に兼業の零細というのが大半を占めているわけでありまして、こういう点から保安上の不備があるのではないかと、こう考えるわけです。北海道の例を言うと、かつて船仲業者であった石炭の名残りをとどめる中間業者、ここらあたりが灯油と兼業で実はこのLPを扱っていると、どちらかというと全く零細の零細企業であるということ、こういう現状から判断しまして、そういう面からくる保安の不備という点が考えられるんではないか。したがいまして、このLPガスの保安対策の確立は、何といっても国民の生命と財産を守る緊急な課題でありますから、ひとつ政府としてこの保安行政の基本的な姿勢について冒頭、ひとつ河本通産大臣からお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/3
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004・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 液化石油ガスの普及状態は非常に広範囲になっております。非常に多くの家庭でこれを使用しておるわけでございますが、実はこれだけ広く使用されておりますが、保安面でなお不十分な点がございまして、事故が残念ながら後を絶たないのでございます。そういうことから、この際、保安面で強化していきたい、事故を絶滅したい、こういうことから今回の法律をお願いすることにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/4
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005・対馬孝且
○対馬孝且君 いま大臣から、この法律改正というのは保安面の強化という立場で使用改革をしてまいりたいという所信がございました。まさにそのとおりだと思いますので、そういう基本に立ちながら、それではこれから具体的にひとつお伺いしてまいりたいと、こう思います。
まず、プロパンガスの事故発生の原因の大部分は消費者の過失あるいは使用方法の誤りによるものだと、こう言われているわけでありますが、実際、今日までのこの発生原因についての内訳が一体どうなっているのか、これをまずお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/5
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006・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) LPガスの事故の発生原因別の内訳を申し上げたいと思いますが、平均して申しますと、大体過去三年間、四十九年から五十一年の平均を見てみますと、総件数は五百四十件でございます。それから死傷者の平均は、死亡が年に約六十人、負傷が年に六百人ということになっておりますが、原因別に申し上げますと、いま御指摘がありましたように、消費者が十分注意をすれば防ぎ得たと思われるような事故が約七〇%でございます。それから販売業者の保安サービスが徹底していれば防ぎ得たであろうというものが大体約七%、それから販売店の措置にミスがあったというふうなものが四%、それから器具の欠陥というふうなものが約三%ということでございまして、残りの一六%が原因不明ということになっております。
なおつけ加えて場所別に申し上げますと、大体一般家庭が約半分、いわゆる五割でございまして、アパートというふうな集合住宅が約四分の一ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/6
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007・対馬孝且
○対馬孝且君 いま具体的な内訳の数字が出されましたが、何といっても消費者の七〇%の比率が非常に高いわけでありますが、そこで私はプロパンガスの保安上の大きな問題は、都市ガスが、供給設備を設けてガス供給をすることを目的として発展してきたのに対しまして、プロパンガスの供給事業は、単にガスボンベを一般家庭に販売するという、こういう主眼があり、使用の問題については消費者の責任として押しつけられているのが原因ではないのかと、こういうふうに実態的には判断をせざるを得ないわけであります。したがいまして、消費者はプロパンガスの保安問題につきましてほとんど無知であることが挙げられているわけであります。しかし、LPガス事故の大半の要因というのは、先ほど言った消費者の責任によるものが多いということが数字で明らかになりましたが、こうした背景は一体何に起因しているのかと、都市ガスに比較してLPのそういう原因というのは一体どこに起因しているのかと。したがって、危険性から言えば都市ガスの方がむしろ危ないんじゃないか、こういう可能性というものは私らも扱ってみましてわかるんでありますが、しかし、実際にはプロパンガスとは大差ないはずなのに、なぜプロパンガスだけ広範な消費者の責任を負わされるのか、これは私は一番やっぱり大きな問題だと思うのです。保安行政の矛盾がそこにあるんじゃないのか。
たとえば消費者が無知だと、こう一遍に言いますが、大体扱っている販売業者が無知なんですよ。よその県は知りませんがね。これはたまたま何かアルバイト式な、まあ資格はあるんだろうけれども、ちょこちょことこう経験を積んで、何か三カ月ぐらいですぐ飛び出してやっていると、こういうケースが北海道にありましてね。この前、うちの北海道道議会でも問題になったことがあるんですが、そういう問題を考えますと、やはり保安行政上の矛盾というものについて、通産当局として一体どういうふうに考えているのか、この点ひとつはつきりしてもらいたいと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/7
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008・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) プロパンガスについてはやはり事故が多発をしておる、それから都市ガスに比べましてもむしろ事故が多いということでございます。しかし、つまりプロパンガスにつきましては、いわば普及の経緯が戦後急速に普及してまいりましたし、また、最初の消費形態が、ボンベから何と申しますか、煮炊きをしますこんろというだけに限定されていたようなものがございまして、わりあい器具その他が簡単であったということから、実はボンベから始まりまして、家庭の、何と申しますか、こんろその他まで一括して消費者がその保安の、いわば取り扱いの責任を持つという形で発展してまいったわけでございます。ただ、消費者自身はなかなか保安に対する知識がないもんでございますから、法律上は販売業者が各家庭を二年に一遍回りまして、その器具を点検いたしまして、保安上の注意を与える、そういう注意を与えることによって保安を確保しようということにしたわけでございます。
しかしながら、この法律ができて十年たちまして、最近のプロパンガスの普及状態は非常に広まってまいりましたし、各家庭の使い方も、単に台所だけじゃなくて、ふろとかその他の湯沸かし器、大型のものを入れるとか、そういうことで非常に量も多くなってき、使い方も複雑になってまいりました。そういたしますと、いままでのような形では保安の確保ができないということになりましたので、この屋外にある機器、つまりボンベとか、メーターとか調整器とか、そういうものについては、むしろ消費者の責任にさせずに販売店の責任にして、販売店がボンベを取りかえに来るごとにそこを十分にチェックさせると、それから屋内については、これは二年に一遍の調査を徹底的にやらして、販売店が消費者にいろいろ注意を与えて保安を維持させる、こういう体制を考える。さらに一般消費者の方は、保安に注意をするといってもなかなか現実に実態がわからないからということで、今度の改正案では、さらに年一回の周知義務というものを設けまして、販売店が少なくとも年に一遍、消費者のところに行きまして、取り扱い方その他を文書によって説明をするということも規定をしたわけでございます。
さらに御指摘のとおり、販売店自身がなかなか知識が十分でない。これは法律上は取り扱い責任者等を設けてしっかりやることになっておりますけれども、現実として、御指摘のように零細なお店が多いというふうな点もございますので、この点については、今後この法律の運用上、販売店に十分知識を徹底させるということをやっていく、こういうふうなことになりまして、一昨年から一年かけてやりました高圧ガス及び火薬類保安審議会の答申の結論といたしまして、従来の体制を改めて、消費者だけに保安を任せないで、より販売業者の方の保安責任を強化するという形になって、この法案が準備されたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/8
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009・対馬孝且
○対馬孝且君 今回の法律改正が、端的に言うなら消費者の責任区分、それから販売店の責任の区分というものを整理をしたと、区分上きちっと整理をしておるといういまのお答えはよくわかるんでありますが、問題はこの消費者の責任範囲が明確にされているという認識がおありかどうかという問題なんです。
なぜこれを聞くかと申しますと、区分的にはいま言った販売業者のガス器具あるいはガスメーター、こういうものの一つの基準を出して区分けをしているのでありますが、実際問題として、現行法においては消費者の維持管理責任については明文上の規定はなかったわけですね、いままでは。しかし、事実上、供給設備全体について消費者が責任を持つと、こういうふうに今日までみなされてきたわけですね。それがいまあなたの、改正の目的はそこにあるんだというのが局長のお答えなんですが、そこで私は次の問題を、そういう意味で、それならばひとつ具体的にそういう法律改正に従って強化をしていきたいというのであれば、このLPガス既存設備の総点検が一体どういうふうに行われているのか、また今後どう行われるべきものなのかという点について、それじゃ具体的にひとつお伺いをしたいわけです。
通産省は、いまちょっと私も資料を持っておりますが、既存のLPガス設備につきましては保安の総点検ということを七月に実施すべくいま準備を進めている。こうした既存設備の大がかりな点検はいままでは一度も行われていなかったのではないか。私が知る限りではそういうふうに聞いているわけです。したがって、五十二年八月に出された高圧ガス及び火薬類保安審議会の答申、こういうものが出ておりますが、そこで既存設備の総点検の必要性が指摘をされたため、今回初めてこれを実施するといったかっこうになっているんじゃないか。
そこで、LPガスが急速に一般消費家庭に普及するようになってから、大体、いまもお答えがありましたが十年たっている。しかしその間、保安点検というものが全く行われなかったと言ってもいいんじゃないか、はっきり申し上げて。保安点検がなかったために幾つかの事故が発生をする、先ほど来の痛ましい犠牲者を六十人も出している、こういう結果になっているわけです。そういう意味では、保安確保という面から見まして、局長、これはやっぱり怠慢ではなかったのか、このLPガスについては、率直に指摘をしなければなりません。したがって、耐用年数六年と言われるこの工業会説明、事故による損害補償期間も五年半ということにされまして、現状では古い危険性の高い設備が放置されている可能性が強いと思うわけですけれども、こういった問題について、具体的にどういうふうに総点検が今日まで保安上の点検がなされてこなかったか、なぜなされなかったのか。これから総点検で七月実施をひとつやっていくという一大キャンペーンを張っていると、こういう問題につきまして、私はやっぱり終わったことを言うわけじゃありませんが、こういう危険性の高い設備がどうして放置されてきたのか、これがどうも納得できない。それから今後やろうとした場合に、どういう可能性の中でどういう計画のもとに総点検を実施していこうというのか、この二つを実態的にひとつはっきり説明をしていただきたい。
〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/9
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010・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 現行法におきましても、販売業者が、項目によって違いますが、一年に一遍ないし二年に一遍いわゆる調査義務と申しまして、消費者の家に参りまして、そのガス器具を点検をし、異常があればそれを改善をするように話をするというようなことをやりまして、それによって、先ほど御指摘がありましたように、消費者が管理をしておるけれどもなかなか消費者自体でわからないというものをカバーいたしまして、その保安の確保に努めてまいったわけでございます。
ただ、率直に申しますと、販売業者自体が零細業者も相当多いことでございますので、その調査義務がやられておっても的確な指示が出されなかったり、あるいは場合によってはこの調査義務が守られなかったりということがなかったとは言えないと思います。したがいまして、そういうことの反省に立ちまして、今回はこの調査義務も強化をし、さらに、先ほど申しましたように、一年に一遍周知徹底するという別の義務も課して完全にするようにいたしたわけでございますが、しかし、振り返ってみますと、法律ができてからでも十年たちますし、プロパンが普及し出しましてから二十年ぐらいになると思いますが、そういう初期の器具も現在まだ各家庭で使われておるものもございます。したがいまして、この新法、改正法で今後のものを厳格にやりましても、過去に残っているものをしっかりやらなければ保安の徹底は期せられないという反省から、実は審議会でも、新法で新しい制度をつくるとともに在来各家庭にある器具について十分調査をすべきではないかということでいわゆる再点検ということが言われたわけでございます。われわれもまことにもっともだということで、実はことしの七月から点検では二年、それから点検の後処理をあと一年置きまして、大体三年がかりで、全国の約千八百万と言われております各世帯の従来あります各器具を再点検いたしまして安全を期したいというふうに考えておるわけでございますが、その再点検、その総点検自身も、法規的に申しますと、先ほど申しました調査義務を実行するという形でやるわけでございますが、この調査義務をいわば念入りに徹底的にやると、こういうことでございます。
具体的には各中央にも対策本部を設け、それから各県に点検本部を設けまして、販売業者をいわば動員し、販売業者にこの点検の趣旨を十分徹底さして実施するということを考えておりますし、またこの点検自身も、消費者の御協力がなくてはできませんので、消費者各位にも十分理解していただくようなキャンペーンも張るということで、実は法案の御審議にも並行いたしまして準備をいたして、この再点検自身は現行法でもやれることでございますので、この七月一日から実施したいということで、大体その態勢が整ったというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/10
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011・対馬孝且
○対馬孝且君 過去のこういう事故原因あるいは災害の実情等を踏まえまして総点検の準備にかかったということは、これは了としますがね。むしろ私は遅きに失しているんじゃないかという感じを持たざるを得ないんです。むしろ、これは総点検を徹底して相当以前からこの点検をやるべきだったというのが率直な私の感じでございますが、そこで、次の問題でちょっとお伺いしますがね。
何といっても、私はこの販売業者が消費者のガス設備についての調査義務、これを完全に履行しておれば問題がなかったんじゃないか、履行されていなかったからこういう問題が発生してきたんじゃないか。そしてそういう結果が非常な——問題は設備の改善が行われていなかったのが一つの大きな原因なんじゃないかと、こういう感じがするんですが、なぜかと言うと、私北海道のことを具体的に申し上げれば、この前の法改正のとき私質問しているんです、改正が一部あったときに。御案内のとおり、炭鉱地帯で言うと、どうしても限られた室内でもってやるということは法的にはできないのです。結局外へ出すわけですな。外へ出すということは、局長も御存じのとおり、長屋の外ですからね。北海道の場合、雪が凍りついて雪がどんどん落ちてくる。それで爆発したというような事故も、これは夕張市で一件、これは大事に至らなかったけれども、あったわけです。あれはやっぱり設備の問題なんですよ。一例私は具体的に挙げるんですがね。
だから、設備改善が行われていれば、やっぱり今回の計画に対しても設備の総点検の必要性は結果的になかったんじゃないか。ただ、設備改善ががどうも率直に言って私はなされていなかったと、これが通産省の当時の考え方からいいましてね、設備改善というものに徹底的なメスを入れるということがやっぱりもっとあってしかるべきだったんじゃないか、こういう考え方を率直に私は持っているわけであります。従来から業者に対する保安指導、こういう面についてどういう具体的な徹底の仕方をしてきたのか、この点をひとつあわせてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/11
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012・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 御指摘のとおりでございまして、器具の改善、設備の改善ということを実施しなければ安全が確保できないということになるわけでございますが、実際は、先ほど申しました調査をいたしまして、各家庭の器具に欠陥がありますと、それを各消費者に販売業者がそのことを事実を通知して改善をしなさい、こういうことを言うわけでございます。従来は、法律的にはいわば通知しっ放しであったわけでございます。それで今後の運用といたしましては、通知しっ放しだけじゃなくて、いわば通知し、相手に話した後、しばらくした後でまたもう一遍行ってみて、そしてそこで実行されてないかどうかを再調査をする。そして再度相手側に勧告をして、もし実施されていなかったらさらに必要ないわば改善を話すということにしております。
それから、これで大体いくと思いますけれども、これも現行法にあるわけでございますが、通産大臣または都道府県知事は、消費設備について改善を必要とすれば改善の命令が出せることになっております。したがいまして、その命令の前段階で勧告もやれるわけでございますので、販売店とタイアップをいたしまして、販売店で再度調査してもまだ実行されないというふうなことになれば、その規定も活用してこの保安の確保に努めたいというふうに、運用上、従来以上の正確かつていねいなやり方をやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/12
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013・対馬孝且
○対馬孝且君 それで私、五十三年四月、通商産業省立地公害局が「液化石油ガス設備の保安点検事業の実施要綱」というのが出ております。これを私ちょっと読まさしていただきました。このとおりいくなら結構なことなんでありますが、そこで私は、この中でひとつ次のようなことを、いまも局長が答弁しておるんですが、問題は、この保安調査義務といいますか、保安調査の義務、これを十分にやっぱり履行されておらないんじゃないか。それが今度の五十三年四月の総点検実施要綱の中にも、中央、地方の段階の義務づけをされております。これは結構なことだと思うんです。結構なことだと思うんですが、特に問題は、消費者に対する保安啓蒙活動が、販売業者が少ないというような実態があるわけですけれども、この設備点検というものをそれじゃ実際的にはどういうふうに具体的に下までおりていくんだと、ここらあたりなんだね、私の言いたいことは。都道府県知事に対して通産省がそれらに行政指導を示達して委嘱をするということでここでも書いておりますが、私は、調査点検の仕方について、パトロール式の方式を、これは大臣どう考えているか別ですけれども、私は定期的な検針等をやるためにはパトロール隊を編成をして、ある程度地方段階の知事なら知事の段階でそういうものを出先でもって編成をする、そしてチェックするというか、そういう事前の定期検査をさせるというふうな方法をこの際考えてみたらどうかなと。
私もLPだけで実際四年間やってきましたから、この点やっぱりそういう現地の率直な奥さん方の声を聞きますと、機械には非常に疎いというわけですな、率直に言って。やっぱり専門家に頼るというか、販売業者に頼ってしまう。頼ったけれども絶対かと言えば絶対じゃない、事故が起きているということなんで、ある意味では総点検とあわして定期的なパトロール隊をある一定のときには集中的にやる。北ガスの事故が起きてからいま北ガスはやっていますがね。ああいうふうな式のものをやっぱりこれもあわしてやった方が効果があるんじゃないか。事故が起きてからではどうにもならぬわけですから、事故が起きる前の防止対策が必要なんですから、そういうパトロール隊調査活動と言いますか、そういったものをひとつ当局ではお考えになっておるかどうか。そういう点もあわせてひとつ検討されるかどうか、ちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/13
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014・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 総点検を実施するに当たりましては、第一線でやるのはそれぞれの販売業者でございますので、販売業者が確実にやるということがぜひ必要でございます。それで、先ほども申し上げましたが、各県ごとに都道府県の保安点検本部というのを設けまして、この本部は、県のみならず業界の団体の方々も入れまして、そこで具体的にこの二年間都道府県内の各家庭をどういうふうに計画的に回るかという事業実施計画を定めまして、その計画に従ってやっていくということをやっております。そして、その計画が実施されるような形で府県はチェックをするということになっておりますし、それから各販売業者にも、定期点検をやって調査をやります、何といいますか、帳簿のようなものをつけさせておりまして、それによって、それをまた随時府県が立入検査をするというふうなこともやっておりますが、これが確実に実施される、しかもその指導が技術的に適切なものでなければいかぬということでございますから、必要な場合には講習等もやりまして、そのチェックをする人の再訓練もやらなければいけないというふうにも考えておりますし、ただいま御指摘のパトロールという点も含めまして、今後、この運営を正確にやりたいと思っております。
それで、県の本部を集めまして通産局単位のブロック会議をやり、また必要があれば全国的な会議もやるということをやっておりますので、今後の確実にやる方法につきましては、いまの御提案も含めまして、いろんな点をひとつうまく確実にやれるような対策を逐次編み出してやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/14
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015・対馬孝且
○対馬孝且君 いま私の提案も含めてひとつやっていきたいという前向きのお答えですから、了とします。やっぱり、そういう起きてからの啓蒙普及というようなことではなくて、事前の点検運動、定期点検運動と言いますか、そういうものを含めて、いま言ったパトロール行動というものをひとつかみ合わせながら今後ひとつ積極的に取り組んでもらいたいということを特にお願い申し上げておきます。
次に、私は、ガス器具の規制の問題について、二点ほどちょっとお伺いしたいのですが、ガス器具について、従来検定の対象となっていたもののほかに、新たに改正法によりますと規制対象の範囲が広がることになっておるわけであります。したがいまして、どのような器具が規制対象になる見込みになるのか、これを一点、ひとつお伺いしたい。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/15
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016・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 液化石油ガス器具というものは、その程度にはいろいろ差はありますけれども、すべて取り扱いを誤れば事故を引き起こすということがございまして、いわば危険性があるということでございますので、今回の改正法によりまして、言ってみればすべてのガス器具をひとつ取り締まりの対象にしようということしにたわけでございます。
従来の法制では、ガス器具の中で相当たくさん使われ、しかも危険性の多いものについて、検定とかあるいは検定にかわるべき型式承認という制度で取り締まりをやってきたわけでございますけれども、たとえばゴムホースとか、こういうものについてはそういう制度がなかったわけでございまして、いわば従来は野放しであったわけでございます。しかしながら、そういうものにつきましても、確かに検定というふうな制度にまで持っていく必要はないけれども、少なくともどの業者がつくっておるか、あるいはその業者がやはり一定の製造技術基準に従ってつくらせるというふうな最小限の規制は課すべきじゃないかということになりまして、今回、このガス器具を第一種と第二種というふうに区分いたしまして、第一種と申しますのは、従来検定等の対象になっておりました、従来の法規制の対象のものを第一種といたしまして、それから従来法規制が漏れておりましたものを第二種といたしまして、いわばすべてのガス器具を一応この法律の対象にして安全を維持しようということにしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/16
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017・対馬孝且
○対馬孝且君 そこで、一種、二種に分けたということなんですよ。それで従来の法律の中で行われるもの、これから改正されるものといまお答えがあったんですが、私は、一種、二種と分けることがかえって弊害になるのではないか。むしろ分けずに、今度の改正された、強化した方法を中心にやっぱり物を考えた方がいいんじゃないかという感じがするんですけれども、この一種、二種と分けるということ自体が、こっちはもっと軽くやれ、こっちは重くやれというようなことを最初から区分けしてかかっていくところに、末端の消費者の普及の段階ではかえって問題が起こってくるんじゃないかと、こういうふうに感ずるんですがね。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/17
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018・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 従来とも、一般家庭に相当広く使われておりますものにつきましては検定の対象になっておりましたので、現在のこの新法によりますれば一種ということになるわけでございますが、そのほかに、たとえば先ほど申しましたゴムホース等はいわば補助的な器具というものでございまして、これについては、しかも製造の全品種についていろいろチェックをするという技術なむずかしさもございますし、また逆に言いますと、一定の製造基準に従ってつくれば問題はないというものでございますので、そういう製造工程、それから器具の使われ方の問題というようなことから考えまして二種というものをつくったわけでございます。
ただ、この二種の中にも実施の、つまり使われ方を見守りまして、危険性が従来考えられた一極と同等になるというふうなことが判明いたしますれば、この二極をまた一種に格上げをしていくということを考えております。
それからもう一つ、この二種で考えておりますのは、いわば新製品でございますが、新製品が国内でつくられたりあるいは海外から輸入されたりというようなものが、わりあいこのプロパンガスは便利なものですからございますが、これをやはり検定制度に乗せるためには若干の準備期間が要るわけでございます。したがって、その準備期間の間は二種にしておくというふうな運用もやってまいりたいということでございまして、この運用としては、極力一種を多くして、そしてそれに至らないものあるいは経過的なものを二種に置いていくということにいたしますので、従来よりも、何といいますか、二種ができたので緩やかになったというふうな印象を与えない、また実際上もそういうことにならないように十分気をつけてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/18
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019・対馬孝且
○対馬孝且君 その点だけはひとつ厳にきつく徹底してもらいたいということを強く申し上げます。
次に、問題はプロパンによる第三者の被害の補償対策について、これをひとつお伺いします。
LPガスの事故によりまして第三者が被害を受けた場合の補償制度は現在のところ確立されておりません。ことに最近、中高層住宅、アパートなどの集合住宅でのプロパンガス事故が目立っております。こうした場合、爆発した被害が、直接はこれは別にしまして、当該被害にとどまらず、隣あるいは上下の階まで突き抜けたり、あるいは落下したりという状況が起きているわけです。こういう状況が非常に被害として及んでいる例が通例でありまして、このため被害総額も莫大に上っているということがあるわけです。したがって、その原因が使用者の責任によるものであっても、とうていその補償に応ずることができないというのがいままでの実態ですね。
こうしたことから見まして、早急に第三者被害の補償制度、これをぜひ確立してもらいたいというのが圧倒的な消費者団体、消費者の声です、はっきり申し上げて。これは特に私は消団連から強く陳情を受けまして、第三者の被害対策というものは切実にやってもらいたいということの訴えがございますが、この点ひとつどういうふうにお考えになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/19
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020・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) プロパンガスの事故が起こりましたときに、この事故が販売業者の責任で起こったというふうなことになりますと、これは現在販売業者が加入をしておりますLPガス業者賠償責任保険というものがございまして、その保険から補償ができるというふうになっております。
ところが、先ほど申しましたように、事故の原因を調べて見ますと、賠償責任が販売業者にあるというケースはむしろ少なくて、消費者の責任とかあるいは原因不明というケースが多いわけでございます。ところが、いま御指摘のように、最近の事故は第三者に影響を与える場合がすこぶる多いということでございますので、これに対してどう考えるかということが実は審議会でも問題になりましたし、至急に対策を急げという結論になったわけでございます。純法律的に申しますと原因者が賠償するということでございますので、原因不明の場合とか、消費者の場合には、実は販売業者が加入しております保険では出せないということになるわけでございますが、実際問題といたしましては、原因不明の場合には見舞い金というものを保険の特約といたしまして出すことにしておりますが、現在はその見舞い金の額が非常に僅少でございますので、これ自体をもっと高めるという必要もございます。
それから消費者の場合には、やはり法律論的に言いますと消費者が賠償をするということになっておりますけれども、実はこういう事故の場合には、消費者自身が負傷をされたり、あるいは不幸にしてお亡くなりになったりというふうなことがあるものですから、消費者の方に賠償を要求しても事実上不可能な場合が非常に多いわけでございます。したがって、これに対する対策を急がなければいけないということで、現在私の方で少なくともこの秋までに結論を出すような形でいろいろ検討しておりますが、一つは、先ほど申しました見舞い金というようなものの額を大幅に上げるとか、あるいは救援資金といいますか、そういうものを業界から、あるいは国からもある程度金を出しましてプールをしておきまして救援資金を出すというふうなことも考えておりますが、基本的に申しますと、消費者が保険に入っていただきまして、それでその保険金で、消費者自身もそうでございますが、第三者に被害を与えたときも保険を出せるというふうな制度を考えてみたらどうかということでございまして、これについても保険制度の創設について関係の方々ともいろいろ相談をしております。
こういういろんな制度でもって第三者被害を救済をしたいということで、鋭意いま努力をいたしております。したがいまして、この秋までにとにかく第一段階の措置をやり、さらに引き続いて、だんだん第三者被害が完全な救済がされるような制度の充実に持ってまいりたいということで現在検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/20
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021・対馬孝且
○対馬孝且君 これ実際、被害をこうむった第三者は、全く、私への訴えを聞きますと、いまだにびた一文金が払われてないと、補償されてないという実態が非常に多いんだね。泣き寝入りということですよ。いま見舞い金という話が出たけれども、見舞い金たって、これ五万円でしょう。いまどきどんと爆発して家財道具から上まで突き抜けちゃって、それこそめちゃめちゃに散乱して、それがたった五万円ぐらいの見舞い金で何とかせいやなんて、そんなもの、話にも何にも私はならないと思うんだな、やっぱり。その点は検討をするということですからあれだけれども、少なくとも百万円単位を超えるようなことを考えないと、これは私は見舞いの手当てをしたということにならないと思うんです。それは被害の程度にももちろんよるだろうと思うけれどもね。ほとんどがやっぱりめちゃめちゃになるというケース、大体八〇%はそういう実態になっているということが消費者団体の方から私のところへ来ているんですが、こういう問題はやっぱり真剣に考えてもらいたい。
それからもう一つ、救済制度がいま局長からありましたね。これは保険——ここに私も持っているんだけれども、業界の場合は、LPガス業者の賠償責任保険の御案内というやつで、全国LPガス保安共済事業団、この保険の加入ですな。これはまあこのようなことを考えているのかどうかということをちょっとお伺いするんですが、たとえば国が二分の一出資すると。出資金をつくるということですよ、たとえば互助会、共済会方式のような。国が出す、それから業界ももちろん出すというふうなことで、共済資金の出資金をまず何億かやっぱりつくって、それでもちろん一般の方々も加入してもらうというような、そういうつまり共済システムといいますか、そういう方式での救済制度というふうに考えていいんですか。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/21
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022・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) いま御指摘の共済方式というのも一つのやり方でございまして、現在プロパンガスの業界団体ではやはり自分のお得意さんであります消費者にそういう事故が起こったときに、いわば消費者に対するサービスという意味で共済制度を確立するということも検討されております。したがいまして、先ほど申しました案の中に、私ちょっと言い落としましたが、共済制度も検討の課題に入れておりますので、いろんな制度の組み合わせで、消費者あるいは第三者に、何といいますか、完全な補償ができるような検討をいたしたいと思っておりますので、それも確かに一案かというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/22
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023・対馬孝且
○対馬孝且君 いずれにいたしましても、第三者被害に対してやっぱり救済の制度を、措置をつくるということですから、通産省としてはそれを考えている、ことしの秋には出してくれるということですから、これはもちろん法律事項として提出をされるというふうに理解していいですね。あるいはそれとも政令か何かでおやりになるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/23
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024・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) いまの見通しでは、法律を要せずして実施できるというように考えておりますので、事実上の形で実施をしたいということでございますので、法律は改正をする必要はないということで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/24
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025・対馬孝且
○対馬孝且君 それじゃ、法律改正じゃなくて、一応行政的なあれとしてつくって、そしてそれが直ちに効力を発生できると、こういう制度にできますか。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/25
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026・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 御指摘のとおりの形でやれると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/26
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027・対馬孝且
○対馬孝且君 そうすると、見舞い金の単位は大体——細かいことのようだけれども、これちゃんと言っておかなきゃなりませんから、私はやっぱり最低百万ぐらいを基準にして見舞いを上げていかないとこれはだめではないかということが一つと、それからあくまでも救済基金という制度の中で被害を受けた者が補償されるというシステムを考えてもらわないと、これはやっぱり、私は有珠山の災害をやってみましてしみじみ感じたんだけれども、いまだに日本の災害補償制度の中で、個人の被害についての補償というのは全くないんだね、いまのこれからいくと。犠牲になりっ放しだ。この間も私は災害対策特別委員会で申し上げたことがあるんだけれども、せめてこういうものは、これは重大な消費の、やっぱり生活の、生命の問題ですからね。これは少なくとも抜本的に救済制度を、きちっと救済されるというものであるということを、ひとつ九月と言わずに、秋と言わずに、できるだけ早い機会にひとつやってもらいたい。このめどは九月、ことしの秋ということですから、秋には完全に実施できると、こういうふうに理解していいですね。
〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/27
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028・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 見舞い金の額につきましては、確かに現在の五万円というのは現在の常識では非常に少ないということでございますので、少なくとも一件事故が起こりましたときに百万円程度になるような形でいま努力をしておりますので、ひとつその目標でわれわれも検討を続けていきたいと思っております。
それから極力、先ほど申しましたように、秋までに結論を出すということで努力をいたしてまいるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/28
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029・対馬孝且
○対馬孝且君 それじゃ、それをぜひひとつ期待をして次の問題に入ります。
それじゃ次に、私は時間もありませんから、LPガスの価格の問題について。これは、きょう長官もおるし、大臣もおるんだが、私、これ春の予算委員会でも申し上げたし、去年来申し上げているんで、これは総理大臣までこの問題言っているんだけれども、北海道価格を解消しましてと、これは三年前の予算委員会で福田さんも言っているんだけれども、価格差解消どころか、これは通産省が出した発表で言ったってどういうふうになっていますか。いま私が調べた限りでは、全国的なあれでは大体一千七百五十一円、札幌では二千五十六円ですね。札幌は二千五十六円だけれども、北見、網走、稚内方面へ来ると二千三百円というのが出てきているんですよ。稚内では二千三百円ですよ。だから、これはむしろ価格差が解消したわけでないわけだ。北海道価格解消がいま残っているのは、セメントとこのプロパンと残っているんですよ。
ところが、いま北海道の消費者が問題にしているのは、相変わらず価格がどんどん開いていっている。さっぱり縮まっていないじゃないか。これは標準価格を撤廃したときは百五十円だったんですよ、これは局長、あなたも御存じだと思うんだけれども、百五十円だったわけだ。標準価格をつくったことはつくったわけだ。あのときは百五十円の差だったんだ。現在はもうこれ札幌で二千五十六円と言うけれども、これは間違っているんですよ、私のやつでは。百歩譲って通産省の調べで言ったって、全国では千七百五十一円、北海道札幌では二千五十六円と、これだけの差があるわけだ。だから、何とかこれは価格差解消のために、具体的な流通機構にやっぱりメスを入れなきゃだめだと私何回も言うんだけれども、エネルギー庁長官もそれはなかなか、北海道の出先にやらしているとか、あっちにやらしているとか、道段階でも検討しているとかと、言葉では言うんだけれども、一向に安くなっていないね、これは。
ところが、三年前からの約束でいくと、もうこれ北海道価格も撤廃になっていなきゃならないんですよ。もう解消しているはずなんですよ。ここに当時の現職の副知事をやっておった中村先生おりますけれども、中村さん一番御存じなんだ。当時の話ではほとんど解消していなきゃならぬ。解消するどころか、だんだん広がっていっているんだよ、これ。この点について、どういうこれから対策をして、どういう手だてをして、どういう解消をしようとするのか。これだけひとつ、まず基本的に聞いておきたいんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/29
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030・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘のございましたように、北海道のLPガスと本州の小売価格との間に格差がある、御指摘のように、その格差も拡大してきておるというお話でございます。私たちの調査でも、この五十三年二月時点で、十キロ換算にいたしまして二百四十円前後の格差が存在しておるという実態は認識いたしておるわけでございます。これは毎々申し上げておることでございますが、元売仕切り価格について申し上げますと、北海道向けと本州向けとでは同じであるというところから、これまた対馬委員が御指摘になりましたように、結局北海道内部における流通機構の、あるいは流通の近代化のおくれといったようなところに原因があるということを私たちも全く同じ立場で考えておるわけでございます。問題は、北海道におきましては一店舗当たりの販売量が少ないとか、あるいは配送距離が長いということも言われておるわけでございまして、こういった点についてはなかなか問題の解決は困難であるかとは思います。
いずれにいたしましても、流通の近代化を図るということが当然必要になってくるわけでございます。一昨年来北海道プロパンガス問題協議会でいろいろと検討いただいておりまして、現在まですでに数回の審議を経ております。その間家庭用プロパンガスの流通対策あるいは価格安定対策、それを実現するために必要な事項について御審議を賜っておるわけでございますが、いまの段階では必ずしもまだ見るべきものがないという御指摘、私どもといたしましては非常に心苦しく思うわけでございます。
いずれにいたしましても、流通機構の近代化、合理化を図っていくということが非常に大切でございます。いままでいろいろと中小企業近代化促進法に基づきまして昭和四十六年度以降対応してきておりますが、五十三年度からはさらに構造改善事業に取り組みたい。各それぞれの府県において準備を進めておりますが、北海道地域については、その中でも一等早く構造改善計画を策定し、この実施に取り組む段階に来ておる府県というふうに承知いたしておりますので、そういった実施計画の確定を待ちまして、われわれとしてもできるだけ努力してこの格差是正に努めたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/30
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031・対馬孝且
○対馬孝且君 そこで私は、これ本当に三年間やってきて、全くいまだにこれを腹立たしく思っておるんですよ。解消解消と言ったけれども、格差が縮まらないでだんだん拡大していく、こんなばかな話があるかというのが消費者の切実な声なんですよ。そこで、いま長官もお認めになったように、格差がますます広がっていっている。さて、そこで何をやるかと言えば、やっぱり構造改善事業だと私は思います。
具体的に私はちょっと提案したいんだけれども、これに、私ここに持っているんですよ。北海道LPガス保安協会の水島健三さんの「年頭所感」のところにあるんですがね。「北海道業界の展望」というところに出ています。あなたがおっしゃったように、構造改善事業の四十四の配送センターをつくってできるだけ集約化していく、そのことにおけるコスト軽減を図っていきたいと、こう言っている。言っているんだが、これは私、実際にこの間留萌へ行ってきたんだ、ことしの二月に。留萌ではこの合理化をやりまして、改善事業をやりまして大体百円下がったんですよ。消費者にとっては百円も大きいですからね。
そこで小売業界から要望があるのは——現在、道では低利子の融資対策などを手だてをしてやっているんですよ。私はこれは道だけに任してもだめだと思うんですよ。道だってこれは限界があるわけですよ。問題は、抜本的なところを解決しないで出先だけにやれやれと言ったって、これはどうしようもないんです。はっきり申し上げると、いま長官の言うとおりなんですよ。解決策一つあるんですよ、やっぱり。配送センターを集約することですよ、大がかりに。たとえば道南、道北、道東、道央ブロックぐらいに、四つぐらいに分けまして、そしてそこに配送センターをひとつ集約して、そこからストレートに落ちていくということになれば、コスト的には大体百円から百五十円浮くというんだよ。これははっきり業者が言っているんですよ。
そこで、ただそれをやるにしても問題があるのは、何といっても一定の資金が必要だというわけだよ。ただ、長期低利子の定額資金をぜひ国が手当てをしてくれれば、これは配送センターの集合化をして、そうして消費者に還元することができますと。で、先生まあ高い高いということばかり指摘されないで、何とか国に対してこの兼業の業者に対して、長期のひとつ融資体制を考えてもらいたいと。これはいま道はやっているんですよ。道だけではやっぱり限界があるというわけだよ。これはひとつ、このぐらいのことは国もやらぬと、ただ言葉で何とか格差を縮めますとか構造改善事業をやりますとかとしゃべってみたって、これは一向によくならないんだから。
私はすべてやっぱり具体的に、この問題に対しての取り組みとして、補助金出せとか、くれてやれとか、そんなことは言わぬが、中小企業なんだから、中小企業公庫を通しまして、あるいはどういう方法でやるかは別にして、そういう構造改善事業につながるための配送センターの集合化、具体的に言うなら、集合化によるコスト軽減が大体百五十円できると、こう言っているわけですから。百五十円できるなら結構なことじゃないですか、これくらい、価格差縮めるために。そのための長期低利子のそういう対策ができれば、道と国とが両方相まってやることにおいてそれは可能であると、ぜひこの留萌協会としてはやってもらいたいと言って、これ北海道新聞に出ていますが、私、行ったときに実はこれ陳情受けたんですよ、業界から。ぜひ、これ、国会の場で反映しましょうということで、私、約束しまして、いま協同組合つくっただけで百円浮いているんですよ、いま留萌管内において。留萌管内協同組合方式というのができ上がったわけだ。これで留萌管内だけは百円下がったんです。やっぱり流通機構にメスを入れればできるんだから、国はひとつ腹を決めていただいて、この際、ひとつそれに踏み切ってもらうという点をひとつ前向きに検討してみてはどうですか。この点お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/31
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032・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 御指摘のように、配送センターというものがLPGの流通合理化に非常に有効な手段であると、現在、四十六年以降の近代化促進法の過程におきまして、すでにもう七百カ地点もできておると、こういう状況でございます。特に、先ほど来お話しのように、北海道の場合に、一店舗当たりの販売量あるいは輸送距離の長さという点からいたしますと、他の地域以上に配送センターというものが流通の合理化に役立つ対策である、かように認識いたしておりますので、御指摘のように、中小三機関の資金をできるだけ活用いたしまして、長期低利——どの程度までできるかということは別にいたしまして、せっかく政府三機関の資金を活用いたしまして配送センターが増設され得るように努めたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/32
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033・対馬孝且
○対馬孝且君 非常にこの点では前向きの答弁が出ましたから、ひとつ早急に、ぼくは担当の局の方でこれ行政指導してもらいたいのですよ。いまこの留萌方式というのが非常に拡大してまいりまして、留萌でやったのが非常に功を奏してまいりまして、これを全道的な方式にしたらどうだという意見が北海道消費者協会などにも出てまいっておりますので、いま長官がお答えになった点について、非常に私もぜひこれだけはやってもらいたいと、そうすることにおいて必ずコスト軽減ができて、そして消費者に、たとえ五十円でも何ぼでも格差が縮んでいけるということなら結構なことなんですから、これはここにありますように、水島LP協会の北海道の会長が、ぜひこれは今年度中に、これは年頭所感の約束ですから、今年度中には格差は縮めますと、全部は別にして格差を縮めていくための配送センターの集約化をやっていきたいと、こういうことを強く所信を申されているんです。これはお見せしてもいいんですよね。
申されているんですが、問題は、裏打ちである業界としては体制がとれないことにはどうしようもないんだと。ずいぶん先生からおしかりこうむっているけれども、全くそのとおりだと思っているんだが、それを裏打ちしていくこの配送センターの機能が強化できるためには、どうしてもやっぱり金が必要だと。それはわれわれ零細企業では、とてもそんな金があっちからこっちからすぐ持ってこれるものじゃありませんと、その手だては何とかやっぱり国の指導の中でぜひひとつ強めてもらいたいというふうに考えておりますので、これはひとつ、ぜひそのとおり積極的に検討していただいて善処していただけると、こういうふうに確認していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/33
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034・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 配送センターに対する問題意識、全く私、同感でございますので、そのような方向で努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/34
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035・対馬孝且
○対馬孝且君 それじゃ、ぜひそういうことでひとつお願いしたいと思います。
それであと具体的な問題として一つだけ、留萌方式についての行政指導を、これは配送センターのそれが具体的に集約化するまでの間、いわゆる留萌方式というのはこれ知っているはずですから、私がこの間も申し上げていますから。あれの行政指導がどういうふうに行われているか、今後具体的にどのように行政指導していくのか、この点ちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/35
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036・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 実施計画というのは本来業界でつくるものでございますが、またこの場合は府県単位でつくってくれているようでございますので、私たちといたしましては、その基本計画あるいは実施計画の策定、あるいは策定後の実施段階における御相談等には十分に応じていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/36
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037・対馬孝且
○対馬孝且君 それは、ぜひひとつ今後とも強力な行政指導をできるように期待をいたしまして、私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/37
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038・穐山篤
○穐山篤君 私は、石油開発公団法にかかわる問題をもっぱら質問をしたいというふうに思います。
最初に、今回のこの公団法の改正、きのう十分に趣旨は聞いたつもりでありますが、主として備蓄を行うと、あるいは融資体制を変えると、あるいは立地条件に対する十分な財政的な援助ということが政策的には述べられているわけですが、具体的に備蓄の計画あるいはあり方というものについて、まず最初にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/38
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039・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 毎々申し上げるようで恐縮でございますが、わが国のトータルエネルギーの四分の三は石油に依存しておる。しかもその石油の九九・七%まで外国から輸入いたしておる、かような状況を前提といたしまして、いわゆる供給不足といったような緊急事態が発生した場合、国民生活あるいは国民経済に対して非常な影響を及ぼす。これに対して、平素より対応していく必要があるというのが備蓄に対する基本的な考え方でございます。すでに備蓄法に基づきまして、五十四年度末までに九十日備蓄を実現いたしたいと努めておるわけでございます。
さらに、今回の法改正をお願いいたしておりますのは、このほかに当面五十七年度を目標にして一千万キロリッターの備蓄の増強、それを石油開発公団をして担当せしめたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/39
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040・穐山篤
○穐山篤君 いま民間で行っております九十日備蓄計画について、実際に計画と実績はどういうことになっていましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/40
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041・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 五十四年度末に九十日でございまして、五十二年度末八十日ということになっておりますが、実績は八十二日程度になっております。したがいまして、あと二年間に五日ずつ積み増しを行いまして、五十四年度末に目標を達成いたしたい。一言で申し上げますと、いろんな問題点もありますが、目標としてはかなり順調に進んでおると、かように申し上げていいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/41
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042・穐山篤
○穐山篤君 民間の九十日分の備蓄に加えて一千万キロリッターの備蓄を上乗せをすると、従来は性格的には民間備蓄ですが、今回のこの改正は、考え方によれば国家備蓄というふうに考えられるわけですが、なぜこの国家備蓄ということにしなければならないのか。まあ、従来政府がとってきました自由企業の活用、あり方から考えてみれば、民間備蓄をさらに拡大をするという政策、あるいは具体的な措置でも間に合うわけですけれども、何ゆえに国家という、そういうものを背景にした備蓄の姿に変えたのか、この点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/42
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043・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 九十日の備蓄を達成いたしますためには膨大な土地の手当て、あるいはそれに必要とする資金の手当て、こういう問題が必要になってくるわけでございますので、まあ、そういった意味合いからいたしまして、当面、五十四年度末までに民間ベースで九十日まで備蓄をさせるということが精いっぱいではなかろうかと思います。特に、九十日備蓄と申しましても、五十四年度で完了した後、次年度以降、やはり需要が増大するに伴いまして、これに積み増しをしてまいらないと、常時九十日が維持できないといったような水準維持の問題もございます。
一方、御承知のように、ヨーロッパ諸国におきましては、すでに百日の備蓄を達成いたしております。それからアメリカは、昨年からスタートいたしました国家備蓄五億バレルの目標を、当初の一九八二年から八〇年まで繰り上げておる。かように、最も石油の輸入依存度の高い、また産油地域から遠いわが国におきましては、欧米に比べて現状ではまだまだ低い水準にある、こういった片方における民間の備蓄能力、一方における世界各国における備蓄の増強、こういった点を勘案いたしまして、今回公団備蓄と申しますか、御指摘のように国家備蓄に踏み切らざるを得なかったと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/43
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044・穐山篤
○穐山篤君 従来の石油の議論としては、少なくともわが国の実力から考えてみて、ランニングストックというのは大体四十五日または五十日ぐらいが適当だという、そういう見解であったわけですね。その倍の九十日にしているわけですから、かなりランニングストックから見れば、倍のボリュームを持っているわけです。もしこれでもなお不足と考えるとするならば、民間備蓄をさらに援助していくというやり方を研究しなかったのかどうか、あるいはこれが戦略物資だという立場から、もうこれからの備蓄のあり方としては、公団を中心にしたいわゆる国家的な備蓄に切りかえていく、そういう趣旨のもとに、とりあえず一千万キロリッターについては国家備蓄にしていくという思想であるのかどうなのか、この点は非常に大切な問題であります。明確にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/44
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045・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) ただいま穐山委員から御指摘があった後者の方でございます。民間でどこまで備蓄できるかということもいろいろ検討いたしたわけでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、九十日備蓄に対して現在八十日、これを本年度末までに八十五日に持っていく、こういう段階でございますんで、この段階でさらに九十日以上の増強ということを民間企業に期待することも事実上無理である、あるいはそれが直ちにコストへのはね返りというような問題も考えざるを得ません。そういったところを検討した結果、国として面接、当面一千万キロリッターの備蓄に踏み切ることにいたした、こういうことでございまして、御指摘の後者の方の立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/45
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046・穐山篤
○穐山篤君 後段の、まあ後段といいますか、後者の考え方を採用したということは、政府の立場についてはよくわかりました。そうなりますと、これはいろんなところで議論はされているわけですが、政府が本格的に国家備蓄を始めることになった、そうなると、民間の備蓄のあり方について、近い将来変更せざるを得ないじゃないかといううわさも飛んでおりますし、あるいはある雑誌のごときは、そういうものについても書かれているわけであります。どちらで備蓄しようとも、国家的な立場から言えば問題はないと思うわけですけれども、現実にそれぞれの企業の立場から言うと、いささか影響があるのではないか、こう推測するわけです。そこでこの九十日備蓄というのは、特別な政治的な事情が変われば別でありますけれども、九十日ペースという民間のこの考え方は変えないで、その上に十日分一千万キロリッターを上乗せをする、この思想が続く、こういうふうに理解をして間違いないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/46
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047・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 民間による九十日備蓄と申しますのは、石油備蓄法に基づいて推進いたしておるわけでございますし、私たちといたしましては、この目標なりあるいは実行のための方法等について変更する気持ちは持っておりません。ただ一つ問題になりますのは、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、五十四年度末に九十日になった以降、五十五年度以降需要の増大に見合いまして、毎年三百ないし四百万キロリッターの備蓄増強が九十日を維持するために必要になってくるわけでございます。この点につきましては、現在総合エネルギー調査会の石油部会でどのように取り扱うかの検討はいただいておりますが、少なくとも、五十四年度末までの民間による九十日備蓄という基本方針は全く変える気持ちはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/47
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048・穐山篤
○穐山篤君 この公団によります備蓄は、まあ私は大蔵委員会で質問の際に、原油がほぼ中心で、その他のナフサあるいはガソリンというものも多少含むかもしれないというふうなお話を聞いていたわけですが、この油種ですね、備蓄の油種について、これは原油だけであるのか、あるいはその他も一定程度含んでやるのかやらないのか、そのこともお知らせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/48
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049・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 公団備蓄におきましては、対象としては原油を考えております。将来の需給構造に応じまして、流動性を持たせるという意味合いにおきましても、原油をその対象にするのが適当である、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/49
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050・穐山篤
○穐山篤君 それで、前々からの言明で、十日分一千万キロリッターを最終的に備蓄をするわけなんだけれども、当面この半分の五百万キロリッターについてはタンカー、タンカー類と言った方が間違いないんでしょうけれども、備蓄をするという話を伺っているわけです。一つには、運輸省で浮遊式の安全基準について審議をされておりましたことも含めて考えてみると、いわゆるタンカーに限らないで、タンカー類と言った方が適当かどうかわかりませんが、そういうものも含めて五百万キロリッターを備蓄をする、こういうふうに理解をして間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/50
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051・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) ちょっと申し上げますと、タンカー備蓄、本来公団による恒久的な貯蔵設備ができるまでのつなぎという問題意識でございます。恒久的な貯蔵設備といった場合には、当然に陸上備蓄という問題もございます。あるいは現在なお検討中でございますが、地下備蓄といったような方法もあろうかと思います。ただいま御指摘になりましたのは洋上備蓄のことだと思いますが、この洋上備蓄も、私たちとしては一応恒久的な設備というふうに考えておるわけでございます。
恒久的な設備というものは、これは完成までに平均いたしまして二年程度の期間が必要であるというところからいたしまして、その間、つなぎとしてタンカー備蓄を考えておるということでございまして、一応私たちの認識といたしましては、タンカー備蓄といわゆる洋上備蓄とは別個のもの、具体的に申し上げますと、タンカー備蓄はつなぎであり、洋上備蓄の方は陸上あるいは地下備蓄と同じように恒久的な備蓄施設という認識で対応を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/51
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052・穐山篤
○穐山篤君 いまも触れられたわけですけれども、備蓄の方法に幾つか種類があります。つなぎのタンカー備蓄を含めて地上、それから地下、それから洋上と、こういうことになると思いますが、この法案を作成するに当たって、一千万キロリッターといえば最小限度十万キロリッター百二十五基ぐらいを想定をしなければならぬと思うわけですね、そういたしますと、これは単に陸上だけの備蓄施設では、国内の立地条件から考えてみて全部賄い切れないじゃないか。したがって、地下も考えざるを得ないという議論もあったやに聞くわけですけれども、これの作成の過程にありまして、備蓄のあり方についてどんなふうな計画を持たれているのか、その点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/52
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053・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 御指摘のように、いままでわが国では陸上タンクを主としていわゆる備蓄あるいはランニングストックを貯蔵してまいったわけでございますが、二、三年ほど前からこの陸上備蓄にかわる方式、技術的あるいは経済的に可能性のある方式ということでいろいろと検討してまいったわけでございます。御指摘のタンター備蓄あるいは地下備蓄等もその一つに入るわけでございますが、日本のような立地状況下にある国におきましては、多種多様な経済的、技術的に可能な貯蔵方式を考えるべきであるという、そういった立場における検討の結果として、備蓄方式の多様化を進めつつあると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/53
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054・穐山篤
○穐山篤君 現在の石油コンビナートもそうでありますが、これから十日分上乗せをいたします陸上あるいは地下、タンカーも含めてそうでありますが、軍事的な配慮というものは研究の上に考えられているんですか、それともこれは全く無視をして、備蓄をごく技術的に考えられているのか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/54
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055・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 私たちの立場といたしましては、軍事用と言うよりもむしろ日本の経済成長を支える必要エネルギー、その中における石油の輸入所要量に対しまして何日分という計算をいたしまして、九十日あるいは百日というふうに備蓄増強を考えておるわけでございます。そういったことを前提として、経済的、技術的の可能性を追求しておると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/55
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056・穐山篤
○穐山篤君 いまの問題に関連してですが、軍事的な立場から備蓄を考えない、そのことはいいんですけれども、軍事的な配慮といいますかね、備蓄をする場所あるいは備蓄の行い方というものが、軍事的な配慮を持って考えられるのか、それとも全くそういうものは無視して純技術的に、いまもちょっと触れましたけれども、将来の安定的な供給という立場のみにこれは立地条件を考えていくということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/56
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057・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 立地を選定する場合あるいは備蓄方式をどの方式を採択するかという場合に、軍事的考慮ということも、いわゆる御意見を私、耳にしております。たとえば地下備蓄といったようなものは、万が一の場合にも安全ではないかというような御指摘のあることも私は承知いたしておるわけではございますが、私たちの立場といたしましては、先ほど申し上げましたように、備蓄増強に当たりまして、立地の制約ということはまず第一に出てまいるわけでございますので、安全性、それとの関連における技術性あるいは経済性という観点から立地点を考えていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/57
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058・穐山篤
○穐山篤君 それでは、つなぎとしての最初にタンカー備蓄でありますが、これも先ほど触れましたが、現在国内で持っておりまするタンカーの最高級のものを見ましても、おおむね二十隻前後準備しなきゃならない。造船あるいは船舶の産業から考えてみて、ぜひタンター備蓄をお願いをしたいという要求、要望がたくさんあることは承知をいたしますが、現在あります日本のタンカーで、とりあえず暫定措置としてのタンカー備蓄を行うという考え方に立っているかどうか。
それからもう一つは、現在の二十万トン級タンカーを対象にいたしまして、これを洋上に係泊したり係留したり、いろんな方法があると思うんですけれども、現在の構造で、言うところの備蓄に耐えられるかどうか、これは消防法その他の規定もありますので、一度検査のために油を抜くことが生ずるわけですけれども、おおむね二、三年間の備蓄が構造的に可能かどうか、安全性の上から見て問題はないかどうか、その点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/58
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059・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 二点ほど御指摘があったわけでございますが、五百万キロリッターのタンカー備蓄をやるためには、いわゆるVLCC型の船、二十万キロリッターのときには二十五隻、二十五万キロリッターのときには二十隻、この程度要るのは当然でございますが、これにつきましては、運輸省を通じて海軍業界等のお話を伺いましても、十分日本国籍のものだけで大丈夫であるというふうに承知いたしておるわけでございます。
それから二年程度の備蓄に耐えるのかという点でございますが、これは十分耐え得るものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/59
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060・穐山篤
○穐山篤君 運輸省の中で持たれました技術審議会の答申書を私も見せていただきましたが、これはこれから新しくつくる浮遊式のものに対する安全基準になるわけであります。これは先ほども指摘がありましたが、つなぎのタンカーという性格でなくて、常用、常置をするという性格のものに対する運輸技術審議会の答申だというふうに思うわけですが、その答申に対して、運輸省あるいは政府当局としてこれでよろしいと、こういう結論を与えたわけですか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/60
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061・村田光吉
○説明員(村田光吉君) 確かに先生がおっしゃいましたように、フローティングタンク方式の保安防災体制につきましては、まだ将来構想ということもございますが、その計画が、備蓄構想がだんだん具体化することに合わせまして、先ほど先生のおっしゃいました運輸技術審議会の答申、これは災害の未然防止措置及び災害の拡大防止措置を事細かに決めたものでございますが、この内容に従いまして所要の保安防災対策というものを指導してまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/61
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062・穐山篤
○穐山篤君 これは、安全指針が出されたわけなんですけれども、政府としては貯蔵船方式というものを、今回、この法律が通りますと間違いなく浮遊式のものをつくる、そういう計画、具体的な計画はお持ちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/62
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063・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 当初、答申によりましては、民間の共同備蓄というようなことで考えておったものもございますが、先ほど申し上げましたように、私たちといたしましては主として陸上タンクというものも考えておるわけでございますが、これにかわるべきものとして経済的に、技術的に可能なものを採択していくという方向でございますので、そういった運輸省の、あるいは消防庁等との調整がつきまして、安全基準通達といったものができ上がりました場合には、こういったものを基礎として安全を確認しながら、洋上備蓄システムというものも採用していきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/63
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064・穐山篤
○穐山篤君 ちょっとここで具体的なことについてお伺いするわけですが、先日、十二日の日に、宮城県を中心にしまして七・五というかなり強い地震がありました。その後余震もあるわけです。現地の状況というのは大変なものでありますが、この石油に関連をして申し上げると、東北石油仙台製油所の重油が二万キロリッター流出をしたと、こういう事件が発生をしたわけです。これは、先日国会を通過いたしました例の大地震の法律、あるいは今回の石油公団法の改正という立場から考えてみましても、非常に真新しい、注目しなければならない問題だと思います。
そこで、この新聞には、三基のタンクから重油が流れたというふうに言われているわけですが、その実情というものをまずお伺いをしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/64
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065・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 先だっての地震によります東北石油の事故の概要を簡単に申し上げますと、御指摘のように、東北石油の仙台製油所にございました三基のタンク、これは三万一千五百キロリッターのものが二基、二万三千六百キロリッターのものが一基でございましたが、この三基のタンクに亀裂が入りまして、タンク内の重油類のほぼ全量が流出いたしまして、一部は海上に流出したと、こういうことでございます。大半のものは製油所の構内にとどまったわけでございますが、一部約三千キロリッター程度と推定いたしておりますが、この海上に流出いたしましたものにつきましては、油回収船二隻と、それからバキューム車を使用して回収いたしておりまして、十四日じゅう、きのうじゅうにほぼ九〇%の回収を終わっておりまして、きょう十五日中には、ほぼ全量を回収できるというふうに考えております。
それから、構内に流出いたしております大半の油につきましては、仮設ポンプと消防ポンプで原油タンクへ移送しておる。こういうことでございます。
なお、六月の十三日、一昨日の四時以降は海上への流出は全く停止いたしておりますので、まずまずきょうじゅうには、海上に流出したものはほぼ全量回収し得るもの、かように考えております。
それから、昨日の朝の八時からでございますが、陸上自衛隊から二百名の応援が得られまして、海岸線の清掃、油の回収作業に携わっておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/65
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066・穐山篤
○穐山篤君 大陸だなの審議の際にも、この安全性、防災の問題は強く取り上げられているわけですが、最近の例としては、この宮城県におきます地震、それから、つい最近の水島事故、いずれも真新しいものであります。まあ地震というのはいつくるかどうかよくわかりませんけれども、一たんマグニチュード七・五とか、八ということになりますと、かなり被害は甚大であるというふうに見なければならないと思います。そこで、水島事故の反省や、あるいは今回の地震の経験から考えてみまして、石油タンクの安全確保、あるいは防災対策について、従来のままでいいというふうには言い切れないというふうに思いますが、具体的にすでに研究をして、直ちに着手したいという対応措置ができ上がっているならば、その点明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/66
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067・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 今回の地震に際しまして、わずかとは言え、三千キロリッター程度のものが海上に流出したということは、非常に遺憾に思っております。ただ、せんだって石油コンビナート等の災害防止法が制定されまして、流出油等の防止堤の築堤などを義務づけられておりました。これがやはり今回の災害に当たって、かなり効果を発揮したんじゃなかろうかと思います。もしああいった二重囲いがなければ、被害はもっと大きかったのではなかろうかというふうにも見ておるわけでございますが、それにいたしましても三千キロリッターの油が流れ出た、海上に流出したということは事実でございます。先ほどお答えいたしましたように、これに対して応急の対応措置をとっておるわけでございますが、こういった点について、今後なお検討していく必要があろうかと思います。
詳細につきましては、一昨日、現地に資源エネルギー庁の関係者を派遣いたしておりますので、それが帰京した段階で、あるいは政府調査団としての調査結果の報告などを承知いたしまして、その上で所要の対策を講じてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/67
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068・穐山篤
○穐山篤君 その油が流れる。そのために防油堤をつくるというのが消極的な対策としてはよくわかるわけです。しかし、積極的な対策としては、石油タンクそのもの、あるいは石油タンクの基礎になります部分についての構造上の問題を指摘をしなければ、あるいはそれについての改善をしなければ、問題の解決にはならないというふうに私どもは考えるわけです。その点について、構造上の強化の問題について、通産省なりあるいは消防庁、その他のところから、具体的にもし考え方があれば、あるいは提言があれば、お受けしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/68
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069・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) まず、私からお答えいたしますが、御指摘のように、そういった事故を起こさせない、百年に一回といったような天災にも対応できるようなものにしておくという必要があろうかと思います。そういったところから、御指摘のように、構造的な面からの安全を高めていくということが必要だと思います。関係省庁とも十分連絡をとってまいりたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/69
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070・穐山篤
○穐山篤君 消防庁はいかがですか。いままでいろいろな経験を得ているわけですから、具体的に提言なりあるいはまあ勧告と言っちゃ語弊がありますが、考え方があれば出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/70
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071・中川登
○説明員(中川登君) お答えします。
消防庁では、十三日に現地に調査団を派遣して原因を究明しております。現時点ではその原因がまだわかっておりませんので、どういうような方針であるかということは申し上げられませんけれども、まあこういう問題が全国でいろいろあると思いますので、全国的に問題のあるようなタンクを点検いたしまして、何らかの形でそういう点検を実施すべきではないかと考えております。
その点検の方法とか内容とかにつきましては、早急に検討したいと思います。そのために、消防庁では危険物技術基準委員会というものがございますので、これは専門の学者、先生方からできておるものでございますけれども、こういう方々を調査団として派遣いたしまして、その原因を徹底的に究明いたしまして、そうして対策を立てたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/71
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072・穐山篤
○穐山篤君 それではまた備蓄の問題に戻るわけですが、この備蓄の話が去年出始めてから、いろいろな意見が出ています。まあ早いところでは、できるだけ長くタンカー備蓄をしてほしいというグループも出てまいりました。それから、タンカー備蓄をするならば、この港でやってほしいという意見も聞いております。それからタンクによります備蓄をぜひわが何々県でやってほしいという県と、断固これは反対だという意見と、まあたくさん錯綜をしております。
そこで、少し具体的にお伺いをするわけですが、タンカー備蓄の場合、業界からも私、よく意見は聞いておりますけれども、これによって雇用対策がどれだけ措置をされるのか、こういう問題点があります。それから、タンクによります備蓄でも同様に、防災上あるいは環境上問題があるけれども、雇用対策上来てほしいという勧誘のところも散見をするわけですが、この両面の雇用対策、雇用政策はどういうふうに考えられておるのかどうか、まず、そこからお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/72
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073・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) まず、タンクによる備蓄の場合でございますが、一応私たちの雇用効果試算、タンクの規模五百万キロリッターを前提として計算いたしておりますが、これは建設段階におきまして、これはピーク時でございますが、土木建設、港湾建設、タンク配管工事、排水処理、その他の工事を含めまして約千五百人でございます。それから操業段階でございますが、事務関係業務、環境保安、港湾業務等合わせまして約二百五十人程度、そのほかにマリンサービスあるいは荷役、通船等の請負関係で約百人程度が必要というふうに判断いたしております。ただ、タンカー備蓄の場合には、当然のことでございますが、建設だとかあるいは操業といったような段階はございませんで、先ほど若干触れましたマリンサービス、荷役、こういった関係の仕事あるいは防災の基地を建設する必要もございますので、そういった防災基地関係である程度の雇用も出てくるかと思いますが、率直に申し上げまして、タンカー備蓄での雇用効果というのは、さほど大きくないということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/73
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074・小柳勇
○小柳勇君 タンカー備蓄について関連して質問いたしますが、いま船が遊んでいるのでこの際ということで、もう具体的に話が進んでおるのかどうかということです。大体五百万キロリッターぐらいをタンカー備蓄したいようでありますが、陸上備蓄よりも割高になるのに、まあ陸上のタンクつくるまでのつなぎだと思いますけれども、タンカー備蓄の必要性、それから、たとえば港にタンカーを横づけして備蓄するんでしょうけれども、その場合に対する基地交付金など、予算をつけています。百五十四億円であります。これはタンカー備蓄だけの立地対策じゃないと思うんですけれども、一隻のタンカーを横づけしておいたら、その港にはどのくらいの交付金を出すのか、そのこと。タンカー備蓄については具体的に話が進んでおるかどうかということ等、具体的に話をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/74
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075・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 三点ほど御指摘があったわけでございますが、まず一つ目の問題、具体的にどうなっているかというお尋ねでございます。
タンカー備蓄の方法としてはいろいろございまして、たとえば係船方式、錨泊方式あるいは漂泊方式と、こういった種類に分かれるかと思います。係船方式と申しますのは、船としての機能を失わせまして、まさに容器そのものとして使うということで、これはやはり適当ではないんじゃなかろうかということで、当初からこれは念頭に置いておりません。後の錨泊方式、これは一定の港にいかりを下ろしましてやるわけでございます。それから漂泊方式、これもエンジンをかけたままで外洋で遊よくさせるわけでございます。この錨泊方式と海洋におけるいわゆる漂泊方式と、二つのケースについて、現在具体的に話を進めようとしていろいろ対応しておるわけでございます。
特に錨泊地域を選定する場合には、その地域の海象条件、気象条件、まあその広さ等も当然出てまいりますが、さような自然条件と、それからその地域における漁業の活動状況あるいは海上交通状況といった社会条件、こういったものも勘案しながら検討し、かつは地元の関係者の理解を求めるということは当然必要になってまいりますので、現在幾つかの候補地の中で、既存の資料等に基づきまして検討してきたわけでございますが、その中でも可能性の高い地域について、非公式ながらいろいろと話し合いを進めておると、こういう段階でございます。
それから漂泊方式の方は、これは外洋に出まして、特に定期航路になっていないかどうかと、あるいは黒潮との関係がどうかとか、あるいは台風との関係はどうかと、そういったことも検討の対象といたしまして、いまのところまあ硫黄島の西方海域ぐらいがかなり有望ではないかということで、さらに関係の省庁とも連係をとりながら検討を進めておると、こういう段階でございます。
それから、二つ目の、コストはどうかということでございます。タンカー備蓄の場合、先ほど申し上げましたように、立地点の自然条件あるいは社会条件によっても異なってまいりますし、あるいは用船するタンカーのタイプによりましても変わってくるわけでございますが、一応まあ前提を置いて試算いたしますと、キロリッター当たり年間約四千三百円という試算をいたしております。で、この数字は陸上タンクと比較いたしますと、既設の場合、あるいは既設の地点で増設する場合、大体キロリッター当たり年間二千九百円程度というふうに見ておりますが、新規地点を探しまして、そこで新設する場合には、年間キロリッター当たり四千八百円ぐらいということでございまして、簡単に申し上げますと、既存の地域で増設する場合と新規立地点を求めてやる場合と、大体中間ぐらいではなかろうかという試算でございます。
それから三つ目に、交付金はどの程度かということでございますが、この法案でお願いいたしております石油備蓄立地の交付金、この制度が動くようになりますと、キロリッター当たり百円と考えております。それからそのほかに水面使用料でございますが、これは俗に漁業補償的なものというふうにお考えいただければいいかと思いますが、これはキロリッター当たり四百円でございます。二十隻、五百万キロリッターを全部タンカー備蓄でやるといたした場合に、立地交付金が四億円、トータルでございます。それから水面使用料が二十億円、合計五十三年度分として二十四億円というふうに試算いたしておりまして、予算にもこの額を計上いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/75
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076・小柳勇
○小柳勇君 あるいは後で穐山委員の質問に出るかもわかりませんが、この際私からも、もう一問だけですから。
この予算に、重質油分解装置の導入可能性に関する調査というのがあります、一億円ね。これ、いまたとえば民間では、中国からの重質油も入ってくるんだけれども、民間ではどうしておるのかということが一つ。それから調査というのは、どこをどう調査してくるのかということ。それから、これ自体は、これをたとえば百万キロリッター当たりでもいいんですけれども、ある単位当たりに、この分解装置というものは一体どのくらいの金がかかるものであろうか、その点御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/76
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077・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘のありました重質油の分解可能性調査の費用、一億円でございます。これは私たちといたしましては、重質油なるものは、ただいまお話もございましたように、中国原油を今後大幅に引き取っていくためにそれにどう対応するかという問題と、それからいま一つは、世界的に今後の原油は重質油になっていく。一方、需要は軽質化していく、このギャップをどう調整していくかということが一つの大きな課題になってまいりますので、私たちといたしましても、重質油をいかなる方法、いかなる技術で分解していけば経済的、技術的に可能であるかという調査をいたしたいということで、現に研究会を設置いたしまして、その検討に入っているわけでございます。そういった経済的、技術的のほかに、どういったところに立地すればいいか、あるいはどういったテンポでその設備を増強していけばいいか、こういった問題も含めまして、現在検討いたしておるわけでございまして、それに必要とする予算として一億円を計上いたしておるわけでございます。これは、この一億円の中には、一部委託調査に向ける分も出てくるかと思います。これは検討の進捗状況に応じてさような措置も必要かと考えておるわけでございます。
それから民間ではどのようにしておるかというお尋ねでございますが、現在民間で持っておる設備の中で五ないし六万バレル程度は、若干設備を補整することによって重質油分解に使えないこともないということでございますので、これも、いま申し上げました研究会で検討のテーマといたしておるわけでございます。
それから建設費でございますが、大体重質油分解装置といたしまして、いろんな方法がございます。私もよく存じ上げないんですが、水素分解だとか、熱分解だとか、接触分解だとか、いろんな方法がございますんで、どの技術でやるかということでも変わってくるかと思いますが、大体三万バレル・パー・デー、一日当たり三万バレルを処理するには約二百五十億円ぐらいの資金が必要ではないかと言われております。この三万バレルに見合いまして、精製設備は約十万バレルということになるわけでございます。十対三ぐらいの比率でこの設備を動かせることになるわけでございますが、仮にその精製設備も新設するといたしますと、十万バレルの場合には約千二百億円程度というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/77
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078・対馬孝且
○対馬孝且君 関連いたしまして二間ほど、ちょっとお伺いします。
第一の問題は、当委員会でも私から、石油備蓄に関連をいたしまして、苫小牧の石油備蓄基地問題で大臣の所信をお伺いをしました。五百万キロリッターで、いま苫小牧で最大の住民の課題になっておりまして、この間も私、現地へ行ってまいりましたが、二百五十人ほど公聴会、業界あるいは商工団体、消費者団体、労働組合団体も集まってやりました。そのときに、いまだに苫小牧五百万キロリッターの備蓄に対して、何らの消費者に対して働きかけがないと、事前の説明もないと、こういうことで非常に現地は、従来の民主的な住民のコンセンサスを得るということ、安全性、環境アセスメントを含む安全性の問題などを中心に、雇用対策等を中心に、一体どういうふうになっているんだということについてさっぱり反応がないと、こういうことで、私はこの前ここで申し上げたときに、通産大臣から明確に、備蓄基地に当たっては住民のコンセンサスを得ることが基本的な第一の基本姿勢であると、それから安全性の問題を十分に得ることであるということを、大臣の所信、基本的な態度として私にお答え願っているんでありますが、住民の納得を得るための何らかのやっぱり公聴会等の用意等もしなければならぬという話も私、してまいりました。
ところがさっぱりこれは出てこないんですね。まだその段階でないというのかどうか。この点はっきり、住民の公聴会等開いて、やっぱり事前に住民の声を聞くと。その上に立って適地かどうかということは結論を出すという姿勢をとるべきであって、その点について、通産省は言うだけであってさっぱりそういうふうになってないじゃないかということで、これは場合によっては再び成田の二の舞いになるようなことになったのでは困るので、やっぱり成田の教訓を入れて、事前に住民のコンセンサスを得るという限りは、具体的に住民公聴会なり住民の意思を聞く、こういう行政的な措置というものを当然とるべきであると考えますが、その点いかがですか。これが第一点。
第二点。先ほども小柳先生から出ましたけれども、苫小牧の場合は、マスコミで出ている限りでは、苫小牧東部に御案内のように中国の重質油分解装置を考える、これは苫小牧に基地を考えていると、予定しているということが新聞で見る限りでは出ているわけであります。私、お伺いしたいのは、五百万キロリッターの石油備蓄の中に中国の原油も対象になっているのかどうかということ、これが一つ。
それから中国原油の重質油については、石油業界では相当これは問題があるということで、引き取り手が一体あるのかどうかということが問題点。もし引き取り手がなくても、応じなかった場合でも、強制的に割り当てをするのかどうか。なぜこれを聞くかというと、一つは公害問題、一つは価格の問題等に影響してきますので、この点どういうふうに苫小牧が予定地になっているのかどうか、それからそういう業界の態勢に対応しているのかどうか、今後の公害、価格等の問題にどういうふうに影響してくるのか。この二点を、ひとつ基本的な問題として、この機会にはっきりしておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/78
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079・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 苫小牧は大規模開発予定地といたしまして残された数少ない地域でございますので、私どもも非常に大切に考えております。エネルギーに関しましては、まず備蓄基地、引き続きまして石油精製の基地さらにまた、石油化学の基地、こういう順序で進めていきたいと考えております。
その段階に応じまして必要な作業を進めてまいるつもりでございまして、基本方針は何ら変わっておらぬわけでございますが、現段階のことにつきまして若干長官から答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/79
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080・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) まず、東苫における今日の進捗状況を簡単に申し上げますと、この地域に五百万キロリッターのタンク施設を建設したい。これは先ほどお話しのとおりでございまして、昨年の十二月、当省から北海道知事に対しまして正式に協力の依頼を行ったわけでございます。北海道庁としても地元の理解と協力を前提として協力する考えである、かような回答をいただいておるわけでございますが、その後まだ住民との話し合いに入ってないじゃないかというおしかりでございますが、実は私もまだその時期に至っていないことを非常に残念に思っておるわけでございまして、と申しますのは、この地域も非常に広うございますので、具体的にどの地点に立地するかということがいまの段階ではまだ決まっておらない。その具体的地点が決まったところで基本的な計画をつくりまして、その計画をもとに地元の住民と話し合いに入ると、こういう段階でございますが、現在のところまだAかBか、どちらの地点にするかというのが最終的に決まっておらないために、基本的な計画の作成がおくれ、ひいて地元への対応がおくれているということでございます。決して現地を無視しておるというわけではございません。この地点が決まった段階におきましては、あるいは地元の受け入れの見通しがつく段階で共同備蓄会社が設立されるということでございます。いまのところ出光あるいは昭和石油等がこれに参加するという手順になっておりまして、一言で申し上げますと、若干おくれておるので、その結果というように御理解賜わりたい。十分地元の理解と協力を得るように指導してまいりたいと、かように考えております。
それから、中国原油の予定地として考えているかどうかということは、いま大臣からお答えのあったようなことでございます。まだ必ずしも確定的にどこという段階までは至っておりません。先ほどもお答えいたしましたように、委員会でどのようなテンポで、どのような地点に分解設備を導入していくかということの検討テーマの一つになっております。そういった意味で、いまの段階で確たることを申し上げられないと、こういうことでございます。
それから、この共同備蓄のタンクができた場合、中国原油を備蓄の対象にするのかどうかという御指摘でございましたが、われわれは政策原油、いわゆる自主開発原油と政府間取引によって引き取るところのGG原油、こういった政策原油を国家備蓄の対象といたしたいということで関係業界と話をいたしておるわけでございますが、この東苫のケースは、民間の共同備蓄ということになるわけでございますので、われわれとしてはそれに中国原油が入るかどうかということは決められないと申しますか、むしろ民間サイドで中国原油を引き取り、あるいはそれをタンクに入れるということであれば、あるいはそういうこともあろうかと思いますが、国家備蓄として一応政策原油をある一定の比率まで対象といたしたいということは考えておりますが、これは民間ケースだということで、私としてはお答えできないということでございます。
それから、引き取りの問題でございますが、これは現在五十三年度におきましては七百五十万トン、将来は——失礼いたしました。初年度五十三年度七百万トン、将来五年後、千五百万トンということでございますが、石油精製会社と電力会社がその契約当事者になっておりますので、ここのところの引き取り量というものは現状を前提としての契約でございますので、少なくともここ二、三年のところの引き取りということについては心配いたしておりません。むしろ将来どのように増強していくか、それとの関連でという問題は今後の検討課題ということになろうかと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/80
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081・楠正俊
○委員長(楠正俊君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
石油開発公団法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として石油開発公団の役職員の出席を求めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/81
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082・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/82
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083・対馬孝且
○対馬孝且君 あと一問だけ。
いまの大臣から基本姿勢については基本的に変わっていないと、当然住民のコンセンサスを得ることが基本的な態度であるということが明確になりましたから、それは確認していいですが、この前ここでやり取りしましたように、でき上がってコンクリートになってから住民に示してもそれはだめだと私は言いましたね。やっぱり構想の段階で住民の声を聞くという姿勢をとらないと、これは成田の問題にしても、いままでのやり方を見ますと、全部一切ができ上がった状態で、納得しないのがおかしいと、こういうやり方がいままでの政府のやり方の実態だと思う。たとえば苫小牧の東部開発にしても同じですよ。これは北海道石狩湾新港にしてもやり方は同じですよ。私はこの前大臣とやり取りして、構想の段階から住民の意見を聞くということが必要だという河本通産大臣の非常に理解のある姿勢を示されておりますから、私は基本方針的には変わっていない、それはそのとおりで結構なんです。
ただ私が言いたいのは、この間現地へ行ってきまして、現地の公聴会でプロジェクトのシンポジウムをやって私は講師に頼まれて行ったのですが、このときにやっぱり率直に出ているんです。往々にしていままで官庁のやり方というのは、全部おぜん立てをしてコンクリートになってから来る、これではやっぱりどうしようもないんだと。だから構想のいまの段階から、どういう住民の漁業の被害がどうあるかとか、あるいは現在の基地は、本来ならば工業基地なんですから、備蓄基地じゃないんですから、本来機械とか自動車とか、あの苫小牧東部開発構想からいけばそういう構想になっているわけですから、同時に精製をやっぱり基礎に持ってくるということはわれわれは当時の考え方として主張しておったわけですから、また、開発庁もそうだとこう言っているわけですから、私はその点をここでやっぱり構想の段階から住民の声を聞く、そのための公聴会等を一回開いてみる、こういうような段階を経てもらいたい。そうしないと必ずやはりまた間違いを犯すと思う。決定的になってから、またこれは大変な世論を騒がすようなことになったら困るという私は配慮があるものだから現地にも行ってきたんです。十分構想の段階から皆さん方の意見を徴するという通産省の前向きの姿勢があるから、まずそういう意見を聞いていただいて、やっぱり建設的にどんどん意見は出してくれと、こういう態度を示しておりますので、この点ひとつこれだけはっきりしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/83
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084・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘の構想の段階というのは、私たちといたしましては基本的な計画というふうに理解いたしまして、基本的な計画が固まり次第、地元と十分話し合いをさしたい。また、そのように指導いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/84
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085・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 長官の答弁したとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/85
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086・穐山篤
○穐山篤君 いまの問題もうちょっと深めておきたいと思うんですけれども、それは成田の話もありましたが、備蓄予定地というのはもう頭の中に十分入っていると思うんです。いまいみじくも北海道には相談をかけたと言っているんですが、その他の府県について具体的に諮問をされていると思いますが、これは土地が上がるとか何とかということで言いづらい話かもしれませんけれども、関係の県はどの県に諮問をされているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/86
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087・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 諮問とおっしゃったわけでございますが、正式な話し合いにはまだ入っておりません。当初昨年の秋口からこのタンカー備蓄問題で関係各省と共同して検討に入ったわけでございますが、その過程で地域の選定あるいは管理の方法あるいは事故対策、保険システムといったようなことを検討してまったわけでございますが、特に立地の選定に当たりましては、先ほどもお答えいたしましたように、自然的条件あるいは社会的状況、既存のデータにつきまして二十地点ばかりの候補地点の中で検討いたしたわけでございます。現在数個の地点にしぼられてきておるわけでございますが、一部非公式に折衝に入っておるものはございますが、まだ正式の段階にまで至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/87
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088・穐山篤
○穐山篤君 時間の都合もありますから質問は余りできませんが、成田の経験から言いまして環境の問題あるいは防災の問題、いろんな前提条件が十分に克服をされてなおかつ関係の地方自治体、住民のコンセンサスを得てから具体的に土地の買収に入るということにならないと、これは成田空港のような場合には警備の方法があるわけですね。ところが、この石油タンクあるいはタンカー備蓄というのは飛行場に比べて非常にむずかしい立地条件を持っているわけです。ですから絶対に強行をしないというその精神は十分理解をいたすわけですが、その前提条件になります幾つかの問題点についてきちっとしてもらわなければ困るというふうに、これは意見として申し上げておきたいというふうに思います。
それから、具体的には公団がそれぞれの備蓄設備を行って国内あるいは国際的な政策原油というものを中心にして引き取るわけでしょうけれども、買い付けの場合、一般的には競争入札ということになるわけですが、現実に日本の企業が自主開発を行っておりますものを見ましても、五十一年度の実績で約二千万キロリッター、なお質的には重質の石油が多いわけです。国内の民間の業者は引き取り手が少ない、こういう実情にありますので、物理的に言えば、今回の公団が政策的に引き取らざるを得ない、こういうふうに流れてこざるを得ないと思うんですね。一方では競争入札をして安定的な供給を図る、備蓄をしたいという希望があるんだけれども、片方では悪い、高い品物が現実に自主開発原油としてある、こういう現実的な矛盾があるわけです。一定の割合で引き取ると言っているわけですが、一千万キロリッター、当面は五百万でありますけれども、自主開発原油というのは二千万キロリッター以上あるわけですね。ですから、自主開発の原油の立場から言えば全部引き取ってもらいたいというふうな気持ちも当然あると思うんです。そこで、こういった現実的な矛盾をどう解決していくのかというその引き取りの条件といいますか、買い付けの条件というものについてこの際明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/88
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089・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 備蓄原油の買い付けに当たりましては、お話しのように、やはり競争入札ということを考えて、その方向で検討いたしておりますが、その場合に政策原油につきましては、一定比率を前提として入札に付したいというふうに考えております。それから、これはタンカー備蓄の場合とそれから恒久設備の場合とで違ってまいるわけでございますが、タンカー備蓄の場合には当面二年間のつなぎということで考えておりますので、もう一つの条件としていわゆる買い戻し条件といったようなことも必要ではなかろうか、端的に申し上げますと政策原油を一定率を前提とし、かつ買い戻しということを前提といたしまして競争入札をいたしたらいかがか、そういう方向で現在検討を進めておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/89
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090・穐山篤
○穐山篤君 時間の関係がありますから前に進みますが、この石特会計というのは時限立法になっているわけですね。で、これはさきの大蔵委員会でも私指摘をしたわけですが、戦略物資であります石油、あるいは石炭その他でもそうでありますが、この政策というのはこれから一生続いていくわけですね。ところが、片方の勘定から言うと、石特会計というのは時限立法で終わることになっている。ずいぶんこれは政策の上で言えば矛盾をしている、あるいは便宜的なやり方ではないかというふうに考えます。で、大蔵省当局がどう考えるかはまた別の機会にお伺いをするといたしまして、直接の通産省としてこの石特会計のあり方について当然研究をされていなきゃならぬと思うんです。この点についてひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/90
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091・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) エネルギー政策を進めていくためにはいろんな前提があるわけでございますが、特にそれに対する財源対策、資金を確保するということは当然の大前提になってくるわけでございます。その点におきまして、いまの石特会計が時限立法ではないかというお話でございますが、これは私二つの面があるかと思います。一つは石油税あるいは原重油関税といったもの自体は時限を切っておらないということでございます。石特の方は御指摘のように時限を切っておるわけでございますが、やはりその使途等について、情勢がきわめて流動的であるわけでございますから、そういった情勢に対応して一定時限がたったところで見直すということがある場合において必要ではなかろうかと思います。そういったところから私は必ずしも石特会計が時限立法であるから矛盾ではないかというふうには思わないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/91
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092・穐山篤
○穐山篤君 石油税三・五%も導入をされまして、普通税の性格ですから、これは長官の意見と私の意見違いますが、これは別の機会に譲りたいと思います。
さてそこで、石油公団にお伺いをしますが、まあ事業計画全体というものはもう時間の都合でお伺いをしません。そこで、問題にしたいと思いますのは、この事業計画の中で、率直に申し上げて、不十分なものが幾つかあるわけです。それは財政的な制約があると言えばそれまでかもしれませんが、しかしそれにしてみても技術振興対策というものについての積極性が非常に足りないというふうに私は思います。
それからもう一つは、エネルギーに関します情報の収集の体制あるいはそのあり方の問題についても、予算だけで機械的に言うのはどうかと思いますが、問題があると思いますね。少なくとも事石油の話になりますと、OPECなりアメリカが必ず当初の情報を握る、日本はもう二次、三次の情報を受けてそれからばたばたするというのが従来のエネルギー情報の収集の成果ではなかったかというふうに思うわけです。そこで、金の制約はあると思いますけれども、政府は政府としての技術振興対策あるいは情報の収集についてもお伺いをしますが、直接担当しております公団としてこの分野でどう今年度から知恵を働かしていくのか、あるいは工夫をしていくのかという点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/92
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093・江口裕通
○参考人(江口裕通君) ただいま御指摘の点二点でございます。
石油技術振興に関する事業でございますが、これは予算上は一応四億五千三百万円でございます。ただ、これは従来、御存じのとおり民間との間の、民間からの拠出金という制度を用いてきております。言うなればそれとの抱き合わせというものがあったわけでございまして、ここであらわれておりません総事業費ということで申し上げますと、五十三年度は現在十一億七千四百万円という数字を予定いたしております。具体的に五十二年度から五十三年度に移りました大きなポイントといたしましては、従来先ほど申しました民間との折半ということで事業構成が行われておりましたけれども、それでございますと、やはり民間の最近の経済状況等におきましてやはり資金的な窮迫があるという問題がございます。したがいまして、そういったものを根本的に解決するという方向から、五十三年度以降からは、特に主体的に技術センターでございますが、ここの人件費等は公団の全体の一般管理費でもって見る、それから一般的な経常研究その他設備費等はこれはいわゆる技術振興費という政府の交付金で見ていただくというふうにいたしまして、残る部分、具体的に申しますと、特別研究でございますとかあるいは特別事業費、講習会等の特別事業費、こういったいわゆる民間の受益の要素のあるものにつきまして民間の半額の拠出をお願いするという形をとっております。そういう意味で、だんだんいわゆる総がかりと申しますか、公団の自主的な努力によりましてこの事業の拡張を図っていくという考え方を現在いたしておるわけでございます。
それから情報収集でございますが、確かにこの数字の面におきまして、私ども実は御指摘のとおり、いささかこの六千万円という金額はやや寡少に過ぎるんではないかという考え方を持っております。ただ、具体的な仕事の運用といたしましては、現在世界じゅうに八カ所のセンターがございまして、この費目というものは別途計上されておりますし、そこでいわゆる駐在員活動というものを行っておるわけでございますが、それからなお一般的にロビイストでございますとかあるいは調査マンとかいうような世界のそういったしかるべき方にもお願いをいたしましていわゆる情報収集活動の一環としていたしておりますけれども、確かにこの点につきましては御指摘のとおり、なお強化する必要があるというふうに私どもも考えておりまして、今後もこの点については強化を図りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/93
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094・穐山篤
○穐山篤君 いまの後段の情報収集活動については、石油公団だけが逆立ちしてみても十分に機能するわけじゃないと思うんです。やっぱりこれは政府の姿勢というものがどうしてもそれにかかるわけです。私は、先ほども指摘をしましたように、二次、三次の情報を受けているような体制では不十分だと思うんです。通産省としてそのことについて克服をしてもらわなきゃならないと思いますが、考え方はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/94
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095・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) エネルギー、特に石油等につきましては、当面の事情をできるだけ早くキャッチすると同時に、中長期にわたっての情報変化等もこれも極力早く分析できるようなネット網というものが必要かと思います。従来からわれわれも在外公館あるいはジェトロあるいはそれぞれのわが国石油関係企業の出先事務所等を通じてその情報をキャッチしてきておるわけでございますが、まさに御指摘のように、私たち自身といたしましてもまだまだ十分でないという認識に立っておりますので、そういった現状認識の上に立って情報活動と申しますか、できるだけ早く正確な知識を確保できるように今後とも努めてまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/95
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096・穐山篤
○穐山篤君 現在、石油公団が投融資を行っているわけですが、これは当委員会でも大蔵委員会でもしばしば指摘をされた点ですが、リスクの伴います事業だということは十分に理解はできますけれども、金は融資をした、ところがその後ですぐ休眠会社に変わってしまったというふうなむだが非常にあるというふうに考えるわけです。この点は会計検査院も指摘をされているわけですが、私は時間の都合で全部その実情、内容を明らかにしてもらわなくても結構ですけれども、国会でしばしば指摘をされたものについて公団として改善を具体的にやらなければならないと思います。過去の資料を見てみますと、たとえば探鉱する場合に当たりましても書類の審査がほとんど重点でありまして、具体的に会社に立ち入りをする、あるいは現地に行ってその作業の状態をチェックをするというふうなことがごくまれであります。少なくとも国民の税金を融資をするわけですから、あるいは出資をするわけですから、厳密にやってもらわなければならないと思うわけですが、しばしば指摘をしてきたわけですけれども、これについてもっと厳しい態度をとるべきだと思う。具体的に今年度からやる方式があれば、あるいは改善方策があればお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/96
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097・江口裕通
○参考人(江口裕通君) この点につきましても、まさに御指摘のとおり、いろいろともう少し厳しくやれという御指摘をいただいております。私どもの方も全くその点はそのように考えておりまして、常時報告書を徴収する、あるいは必要であれば御指摘のような立ち入りを行うというような体制は今後も続けてまいりたいと思います。
それから検査院の方からも御指摘をいただいておりますが、こういった俗称休眠会社と言われておりますものが七社ございますけれども、これにつきましてはやはり至急にその実態が表にあらわれるように、その実態に合わしたような経理あるいは処理をしろという御指摘をいただいております。私どもの方もまことにそのとおり、御指摘ごもっともでございますので、そういう事態になってまいりましたならば、速やかにその実態に即したような手続を迅速にとってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/97
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098・穐山篤
○穐山篤君 通産省にお伺いをしますが、いまは石油の問題を審議しておりますけれども、石油を含めてエネルギー全体の政策の問題について少しお伺いをしたいと思います。
昨年あるいは一昨年、それぞれエネルギーに関する答申が行われて少しずつ変化していることも承知をします。石油の将来性については一定の時期に非常に苦しい困難な状況になることも資料で明らかであります。そうしますと、勢い問題は省エネルギーあるいは代替エネルギーという問題を石油の供給問題以上にこれは配慮をしていかなければならない問題だ。あるいは当面の施策としては備蓄というようなこともあるでしょう、あるいは節約というようなこともあると思いますけれども、やっぱり政策の変更といいますか、それの強力な推進というものがなければならないと私は思います。時間の都合で数字を申し上げることはやめますけれども、いまの省エネルギーあるいは代替エネルギーについてはどうも副次的な考え方のような気がしてならないと思うのです。その点についてわが党としては積極的に総合的にエネルギー政策を確立しろ、従来のものを修正をしてできるだけ代替あるいは省エネルギーというものに具体的な政策を当てはめろ、こういうことを主張しているわけですが、そのことについて考え方をお伺いをしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/98
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099・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 今後におきます内外のエネルギー情勢というものを考えますと、まさに御指摘のとおり石油が増産の限界に来る、そういった事態に対応して省エネルギーあるいは代替エネルギーの開発ということにいまから十分に対応し、取り組んでいく必要があろうかと思うわけでございます。特に省エネルギーにつきましては、昭和六十年におきましてその時点で必要とするトータルエネルギーの一〇・八%、八千万キロリッターの省エネルギー効果を実現いたしたいということで努力いたしておるわけでございまして、これの考え方といたしましてはいわゆる節約という概念と効率的使用という概念の二つがあろうかと思います。そういった認識のもとに今国会にも省エネルギー法と申しますか、法的にこの対応を整備いたしたいということで立法措置をお願いいたしております。あるいは省エネルギーのための技術開発ということも十分進める必要があるということからいたしまして、ことしからいわゆるムーンライト計画といたしまして省エネルギー関係の技術開発を進めたい。それから、いずれにいたしましても何よりも国民の理解と協力が必要であるということからいたしまして、省エネルギーセンターを財団法人でもってこの秋口から発足させたいということで努力いたしておるわけでございます。
それから、時間の関係もございましょうから詳細を省略いたしますが、代替エネルギーにつきましても、まず水力、地熱、石炭、こういった国産のエネルギーを極力活用することが必要だと思います。もちろんこれにはおのずからの量的な限界がございますので、LNGあるいは原子力開発ということも必要かと思います。特にLNGにつきましては、クリーンエネルギーということで、昭和六十年におきましては三千万トンまでの開発、輸入を図りたい、そういった方向で努力いたしております。原子力につきましては若干の下方修正が行われましたが、六十年度においては三千三百万キロワットの開発をいたしたい。この前提といたしまして安全性、環境の保全ということを第一といたしまして、国民の理解と協力を得ながら計画どおりにかようなエネルギーが開発できることに努めたいと思っております。いずれにいたしましても、一定の成長のために必要とするエネルギーが確保できない場合、それは雇用あるいは福祉、ひいては国民の生活にも直接的な影響を及ぼすものでございますので、あらゆる努力を払って必要とするエネルギーを確保いたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/99
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100・穐山篤
○穐山篤君 私は、大陸だなの審議の際にも指摘をしたわけですが、たとえば昭和四十二年の二月に答申が出て、それを契機にして石油公団が設置をされた、こういう節目はよくわかるわけです。しかし、あの当時、自主開発のシェアが一〇%から一三%ぐらい。それを将来展望から言えば三〇%に引き上げなければ大変だという指摘があったわけです。私はそのときに、それに応じて三〇%増産の石油開発の計画があるでしょうかと言ったら、具体的に当時持ち合わせがなかった。持ち合わせがないところに韓国から話が出た、こういういきさつがあるわけです。いまは、最近は政府のあるいは公団の姿勢というものについてはわからないわけではありませんけれども、原子力につきましても、実際に稼働しておりますのは五〇%を割っているわけです。ですから、計算上のエネルギーはできたといたしましても、実際の実績は大変不安定な状況にあるわけです。そういう意味で、できる限り将来突発的なことがないことを期待をしますけれども、過去の例から言ってみてもあるわけでありますので、代替エネルギーにしても省エネルギーにいたしましても、あるいは自主開発の問題にしましても、具体的に目標を定めてその体制をつくって出発しなきゃならないということを私は指摘をしなければならないというふうに思います。
それからもう一つは、エネルギー問題についての各答申報告書集というのがあるわけですが、このエネルギーの消費構造というものは、国際的な分野から比較をしまして、日本は特に産業部門にエネルギーが集中をしておる。ところがフランスを除きましては、わりあいにその他の国は生産部門についてのエネルギーの消費が少なくて、輸送部門だとか民生部門というところに非常に集中をしているわけです。これは私は学ぶべき事柄ではないかと、こういうふうに思うわけです。政府がときどき省エネルギーとかあるいはエネルギーの節約というお話をされますけれども、しかし、現実には都市開発にいたしましてもあるいは商的物的流通にいたしましても非常にエネルギーを食うものが多いわけですね。一例を挙げると、ごく卑近な例ですけれども、新丸ビルが過去できたわけですが、あすこに三万人人口が集中するわけです。ところが、輸送のことを全然考えずに三万人収容の新丸ビルができる。やむを得ないからみんな通勤にマイカーを使う。で、総武線の強化はずっと後に行う。
これをエネルギーの面から考えてみますと、やっぱり地下鉄あるいは電車の方がエネルギーの消費量少ないわけですね。都市計画なり、あるいはいま申し上げたような場合には、どうしてもエネルギーをたくさん食うものがどんどん現実には進出してしまっておって、政府なり地方自治体の誘導政策というのは行われない。後になって気がついて節約を呼びかけるというのがエネルギー消費の実態ではないかというふうに思うわけです。ですから、省エネルギーの法案あるいは代替エネルギーの法案をつくられる場合についても、そういう計画を盛られたものでなければもはや国民は納得しないし、国会の審議には値しないというふうに私は考えますが、その点についての大臣の決意なり考え方というものをお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/100
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101・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) いろいろ御指摘あったわけでございますが、まず、消費構造との関係から、先々を見た省エネルギー対策というものを考えなきゃいけないのじゃないか、全く私も御指摘のとおりだと思います。ただ日本の場合、他の外国に比べて産業部門に非常にエネルギー消費のウエートがかかっておるという御指摘、これも事実でございますが、それぞれ各国によりまして産業事情なりあるいは国民の生活水準の問題とかいろいろ差があるわけでございまして、必ずしもどちらが是どちらが否ということには言い得ない点もあるかと思いますが、将来のエネルギー事情というものを考えていきますと、できるだけエネルギー消費が少なくて、しかも経済成長を維持し得るもの、こういった方向に産業構造なりあるいは国民の社会生活構造自体をやはり変えていくということも必要だと思います。御指摘になりました都市計画等もやはりその一環をなすものかと考えるわけでございます。
われわれといたしましても、できるだけ先を見て、それにいまから対応するという形で立法措置をお願いするということも非常に大切なことではなかろうかと思うわけでございます。先だって衆議院の方に御提案いたしておりますエネルギーの使用の合理化に関する法律案、いわゆる省エネルギー法案につきましても、私たちとしても御指摘のような観点に立って立案いたしたつもりでございますので、よろしく御配慮賜りたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/101
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102・穐山篤
○穐山篤君 最後に二つお伺いをします。
その一つは、海上保安庁にお願いをしますが、この間、大陸だなの問題に関連をして現地を視察をさしていただきました。日韓大陸だな協定には私は反対ではありますけれども、成立をしましたのでその現実的な立場から言いますと、これから海上保安庁が分担をします領域というのは非常に広く、また問題点の多い個所だと思われます。あるいは先ほども私が具体的に指摘をしましたように、地震その他によります流出事故などなど考えてみますと、現在の海上保安庁の装備、機能、体制というものでは率直に申し上げて心もとないような気がします。私は、いま時間ありませんから数字は申し上げませんけれども、これについて、今年度を含めてこれからの体制ですね、あるいは装備の質的な強化というふうなことについて一つお伺いします。
それからもう一つは、通産大臣にこれはお伺いするわけですが、日韓大陸だなの新しい分野が出てきた、それから省エネルギー、代替エネルギーの問題も出てきた、まあ大変通産省にしてみれば大きな戦略的な仕事がたくさんふえてきたわけですね。そのことをいろいろ考えてみますと、現在の資源エネルギー庁というこの組織のあり方、あるいは機構、要員というものも、ぼつぼつ再検討をしなければならぬ段階ではないかというふうに、私どもなりに実は検討をしているところでありますが、これは非常に重要な問題でありまして、政治論になる可能性もあるわけですが、考え方についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/102
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103・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) エネルギー政策は、わが国の産業政策の中でも一番大事な政策であることは論を待ちませんが、そのために通産省エネルギー庁ができましてから毎年補強をいたしております。私は現在の機構は非常にうまくいっておると思っておるんです。アメリカなども、最近エネルギーの行政面をまとめたようでありますが、私はむしろ日本のエネルギー庁を参考にしておるのではないかと、このようにすら思っておりますが、しかしながら、何分にもわが国はエネルギー事情が非常に悪うございまして、よほど力を入れなければなりません。そういう意味から考えますと、決して十分ではないと思います。でありますから、悪い点は、また不足する点につきましては、毎年補強しながら強化してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/103
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104・村田光吉
○説明員(村田光吉君) 御指摘のとおり、海上保安庁の業務は近年非常にふえまして、複雑多岐にわたっております。現有の巡視船艇三百十二隻、航空機三十六機、これを重点的に配備いたしまして、現状、業務を賄っておるわけでございますが、なお先生御指摘のとおり、鋭意、船艇、航空機等の計画的な増強、あるいは老朽化いたしました船艇の代替及び必要資機材の整備を図ってまいることにいたしております。で、五十二年度の予算及び五十三年度の予算におきましても、ヘリコプター搭載型巡視船三隻、千トン型巡視船十隻、三十メートル型高速巡視艇八隻、大型飛行機三機、中型ヘリコプター十機、これらが増強整備されますので、これらを総合かつ効率的に運用いたしまして、大陸だな、あるいは新たに昨年度加わりました領海警備、あるいは漁業水域、またこのたびのタンカー備蓄の監視、取り締まり、そういう体制に当たってまいりたい、このように考えます。なお、さらに巡視船艇、航空機の整備増強につきましては、最近のいろいろの客観情勢を見きわめつつ、今後も検討を続けてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/104
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105・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、休憩いたします。
午後零時五十五分休憩
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午後二時三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/105
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106・楠正俊
○委員長(楠正俊君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/106
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107・馬場富
○馬場富君 最初に機情法の関係から質問いたします。
昭和四十六年制定の機電法が今回期限切れとなるために、機械情報産業の高度化を促進するために今回の法案が提出されたわけでございますけれども、機械情報産業の定義づけをやはり明確にしていかなければ、この今回の法案が非常に理解がむずかしいという点があるんじゃないかと思います。そういう点で機械情報産業の定義づけをひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/107
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108・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 機械情報産業の定義につきましては、産業分類上まだ確固たる定義は確立してないのが現状ではないかと思うわけでございます。
法律的に申し上げますと、機械情報産業という言葉が法律上あらわれてまいっておりますのは通商産業省設置法でございまして、昭和四十八年に通産省設置法を改正させていただいたわけでございますけれども、その際に、従来ございました電工業局、この一部を分離いたしました残りを機械情報産業局というふうに命名したわけでございます。
そこで、機械情報産業局といたしまして現在行っております業務を申し上げますと、まず機械産業という概念がございます。それから情報産業という概念がございます。したがいまして、現在のところ機械情報廃業と申します概念は、いま申し上げました機械産業と情報産業を含めまして総称的に言っている概念が機械情報産業ということになろうかと思います。ただ、私どもの考え方といたしまして、機械産業と情報産業というものが必ずしも別々の形で存立するという状態がだんだん少なくなってまいりまして、機械と情報産業というものが一緒になって運営される、そういった新しい産業形態というものが近い将来生まれてくるんではないかと、こういう判断をいたしておるわけでございます。しかしながら、現時点におきましては、そういった産業というものは理念として、考え方としてはございますけれども、はっきりした状態であらわれたわけでございませんので、一応冒頭に申し上げましたように、機械産業と情報産業をひっくるめた産業が機械情報廃業であると、こういうふうに定義づけをしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/108
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109・馬場富
○馬場富君 それでは、いまその中に出ました情報産業という範囲ですね、ここらあたりはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/109
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110・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) ただいま御質問の情報産業につきましてお答え申し上げますと、先ほど申し上げましたように、機械産業と情報産業というふうに一応区別いたしておりまして、あたかも機械がハードウエアであって、情報産業がソフトウエアである、こういうようなふうにお受け取りになるかもしれませんが、私どもが考えております情報産業は、もちろんいま申し上げましたとおり、ソフトウエアが中心になろうかと思いますけれども、ソフトウエアの媒体でございますいわゆるコンピューター——電子計算機等も、情報産業という概念から言いますと、その性格はハードウエアではございますけれども、情報産業の範疇に入れてしかるべきではないか、こういうふうに考えております。
したがいまして、情報産業の範囲を述べよという御質問に対しましてお答え申し上げますと、電子計算機産業と情報サービス業、この二つが情報産業に入ろうかと思います。さらに情報サービス業につきましては、ソフトウエア業あるいは計算センターに代表されますような情報処理サービス業というものがあろうかと思います。さらにつけ加えて申し上げますと、最近起こってまいりましたシンクタンク等の情報提供業、こういったものが情報産業に入ろうかと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/110
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111・馬場富
○馬場富君 それでは、もちろんハードウエアとそれから情報処理サービス業あるいは情報提供サービス業、そこらあたりもあなたの言われる情報産業の中に含まれると、こういうように理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/111
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112・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 御指摘のとおりでございまして、ソフトウエア業、情報処理サービス業あるいは情報提供サービス業等は、ひっくるめまして情報産業の範疇に入ろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/112
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113・馬場富
○馬場富君 それでは、ソフトウエアと情報処理サービス業との相違点というか、分け方をちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/113
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114・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) ソフトウエア業と申しますのは、ソフトウエアを開発、販売する業でございまして、ソフトウエアとは何かという定義にも関係してこようかと思いますが、他人の需要に応じましてプログラムを作成する事業をソフトウエア業と言っておるわけでございます。これに対しまして情報処理サービス業につきましては、通常よく計算センター等で言われておるわけでございますけれども、ソフトウエアを使いまして、あるいはコンピューターに直結いたしましてある種の計算をする、情報を処理いたしましてそれを他人に販売をする、そういう業が情報処理サービス業と、ちょっとわかりにくいお答えになりましたけれども、ソフトウエアそのものをつくるのがソフトウエア業でありまして、そのソフトウエアを使いまして計算その他をする業務が情報処理サービス業であると、かように御理解を賜れば大変幸せでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/114
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115・馬場富
○馬場富君 それでは実はこのソフトウエア業についてこの情報処理振興事業協会のパンフレットによりますと、「ソフトウエア業とは他人の需要に応じてするプログラムの作成の事業」とあるわけであります。またこれと対照的にこの法案にはそこの点が「一の事業の分野に属する事業を営む者の需要に専ら応じて当該一の事業の分野における情報処理を目的とするプログラムを主として作成する事業を除く。」とあるわけです。ここにちょっと違った見解が実は述べられておるわけでございますが、このただし書きの事業とは具体的にどういうようなことか、この違いはどうかという点ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/115
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116・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) ただいま先生から御指摘がございましたように、本法築上のソフトウエア業の定義はIPA法の定義と若干異なっておるわけでございます。一の事業分野に特化いたしております企業を除外いたしておりますけれども、これはソフトウエア業が電子計算機の利用技術という汎用性のある技術を経営資源といたしまして、こうした汎用的技術をさまざまな企業分野に具体的に適用していくことを通じまして、それぞれの事業活動の効率化、高度化等に寄与するというきわめて横割り的な役割りを担う産業である点を勘案して定めたわけでございます。なおIPA法におきますソフトウエア業の定義につきましては、このような除外規定がないわけでございますけれども、同法に基づきます施策が育成、振興の中でもより基礎的な施策であること及び同法が情報処理の振興というより一般的な法律目的を有すること等に起因するものでございます。
そこで具体的にどういうものが除外されたかという御質問に対しましてお答え申し上げますと、たとえば運輸関係事業あるいは土木建設関係事業等につきまして「一の事業の分野に属する事業を営む」方々の需要のみに応じまして、当該分野における情報処理のためにのみ用いられるプログラムを主として作成する事業、こういった事業につきましては本法案から除外をさしていただいておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/116
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117・馬場富
○馬場富君 それではこの点につきましての相違は、情報処理振興事業協会の見解は、一つは広い意味でこれをとらえておると、今回の法律については限定されたところに焦点があると、こういう違いだというふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/117
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118・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 一口で申し上げますならば、大変むずかしいことになろうかと思いますけれども、ある意味で申し上げますと、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、IPA法に言いますソフトウエア業はより広範なものを求めて、そういった事業に対しましては振興策を講ずるという考え方をとっておりますし、ただいま御審議いただいております機情法におきましては特殊な、つまり特殊の分野で検討されるべき性格のソフトウエアにつきましては除きまして、汎用性の強いものを対象に機構法では取り扱いをさしていただきたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/118
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119・馬場富
○馬場富君 はい、わかりました。
次は、特に今回の機情法が提案されるにつきましてずいぶん立案までに期間を要したと、報道等によれば政府内でのかなりの対立があった、こういうふうに私たちも聞いておるわけでございますが、この点は明らかなようでございますけれども、これはどんなような問題点があったか、その点を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/119
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120・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 先生御指摘のとおり本法案を上程するにはかなりの時間がかかったわけでございます。私どもといたしましては、これまで続けさしていただきましたいわゆる機電法、これにかわりまして新しい考え方に基づく新法を提案さしていただきたい、こういうことで、従来の継続ではございませんので、新たなる観点の議論というものを十分しなくちゃいかぬということを踏まえまして、関係各省と十分なる連絡と協議を続けてまいったわけでございます。
そこで具体的に申し上げまして、一番私が頭を悩ましたといいましょうか、議論の対象として取り上げられましたのは、先ほど来お話のございました情報産業のうちどういったものを本法案の対象にするかという点であったかと思います。端的に申し上げますと、現在御審議いただいております法案の中にはソフトウエア業を対象に入れておりますが、それ以外のいわゆる情報処理サービス業につきましては本法案の中に入れてないわけでございます。そこで巷間、情報処理サービス業が本法案に入らなかったことにつきまして、いろいろ問題があったんではないかというような御批判も聞いておるわけでございますけれども、私どもの判断といたしまして、情報処理サービス業が本法案の体系の中で必ずしもなじむものではないんではないか、逆にこの情報処理サービス業を本法案に入れることによりまして、中小企業性の特に強いそういった業種の方々にかえって不利な扱いになるんではないか、こういう点を心配いたしまして議論を重ねました結果、やはり本法案とは別個の観点で情報処理サービス業につきましては振興を図る必要があるんではないか、こういうような御意見を皆様方からちょうだいし、そういうものを判断しながら現在御審議いただいております法案の体系をつくり上げていったということでございますので、やはり新しい法律であるということと、それを取り巻くいろんな環境が変わっておるということを踏まえまして、十分な議論をする時間をちょうだいしたために提案がややおくれた、こういうことであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/120
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121・馬場富
○馬場富君 あなたの説明だけ聞いておると、情報処理サービス業が一つは外されたということのような意味にもとれますけれども、かなりこの法律につきましては各省間で問題になったと、特に郵政あたりの関係の二重性等がかなり報道で論じられておるようでございますけれども、その点郵政の関係の方来ていらっしゃいますか。——その点についてちょっとおたくの方の見解をお聞きしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/121
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122・白井太
○説明員(白井太君) お答え申し上げます。
ただいま森山局長から御答弁がございましたことと全くダブるわけでございますけれども、本法案の作成の過程におきまして、いわゆる情報処理サービス業というものにつきまして、この育成とか振興策のあり方いかんだとか、あるいはこの法案の対象として取り扱うべきかいなかということにつきまして政府の内部でいろんな角度からの検討がなされたわけでございますが、そうした検討の結果、ただいま御審議をいただいておりますような法案として成案を見たものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/122
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123・馬場富
○馬場富君 大臣にその件質問いたしますが、特に情報処理サービス業がこの点から外されたということについては、この法律の中の大きいポイントだと思うんです。関係性があるかと言えば、少し関係性が薄いじゃないかというようなことで私は外されたというふうな理解しか実は考えられないわけです。そういう点でこの処理サービス業については、実は中小企業が千二百社もこういう関係に参加しておる。こういういわば中小企業の関係が占めておる分野であると。そういう点については、やはり法律によって保護育成しなきゃならぬ、そういう点につきましていまの郵政の立場は別といたしまして、やはりここらあたりについては、私は今後も通産省として、これは外したりなんかしてはならぬ、そういう点で、やはり必要あらば今後も考えていくなり、あるいは保護育成について考えがあるかどうかお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/123
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124・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) この法律をつくりますまでの間に相当な時間がかかりました。それは政府部内でいろんな意見がございまして、その調整に手間取ったわけでございますが、その一つがいまお尋ねの問題でございます。しかし、いろいろ調整をいたしました結果、先ほど森山局長が詳しくお答えし、また郵政省の方からもお答えがございましたが、そのような経過で最終的には意見が一致をいたしまして、この法律がまとまりましてお願いすることになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/124
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125・馬場富
○馬場富君 その点ひとつ局長の方からでもよろしゅうございますが、中小企業のこういう情報サービス業者については、その保護育成の点はどうかという、この点しっかりお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/125
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126・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 先ほどからお答え申し上げておりますとおり、情報処理サービス業は本法案の対象にいたさなかったわけでございますけれども、これは情報産業に占めます情報処理サービス業の地位が薄いという観点で落としたのではないことを御理解賜りたいと思うわけでございます。
つまり、私どもが今回機構法でねらっておりますものは、いわゆるハードウエアとソフトウエアの結合ということを将来の機械情報産業の考え方といたしまして法律にあらわさしていただいたわけでございまして、そういった考え方に立ちますと情報処理サービス業というものは必ずしもそういった法的な考え方になじまないというだけの理由で外したわけでございまして、今後情報化社会が進展していく中におきまして、情報処理サービス業の占めます業種としての重要性につきましては、十分なる認識を持っておるつもりでございます。
そこで、ただいま御指摘のございましたように、中小企業性の非常に強い業種でございますので、私どもといたしましては従来からも、たとえばIPAを通じます助成等の措置、あるいは中小企業金融公庫等を通じます金融的な裏づけ、あるいは中小企業信用保険法等によります、いわゆる担保力のバックアップと、こういった観点は十分続けてまいるつもりでおりますし、また、もしこの法案の対象から外されたという考え方がそういった情報処理サービス業の方々にとりまして大変さびしい思いをされる、あるいは私どもの趣旨を曲げてとられるおそれがあるといたしますならば、これは私どもの本意にもとるわけでございますので、必要に応じまして情報処理サービス業の今後のあり方につきまして、基本的な検討をする場を早急につくってもよろしいと、こういうふうにいま考えているわけでございます。したがいまして、そういう場を通じまして、いままでと同様、あるいはそれ以上に情報処理サービス業の振興につきましては十分なる配慮を払ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/126
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127・馬場富
○馬場富君 わかりました。
では次は、今度の法律の範囲の中に入ってまいりますハードウエアの中で、特に鋳物だとか、あるいは部品、あるいは素材関係なんかには中小企業の関係が多く参加もしておると。こういう点で、一面は重要な基礎産業でもあるという点で、ここらあたりの分野の配慮についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/127
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128・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 機械情報産業の一つの特徴といたしまして、多品種少量生産ということがあろうかと思います。それからいわゆるアセンブル性の強い産業である。これは当然にすそ野といたしましての部品工業あるいは素形材産業の広がりというものを持つ性格の業種であるわけでございます。したがいまして、ただいま先生から御指摘のございましたように、部品や素形材分野を初めといたします中小企業性の強いこういったものに対する対策と言いましょうか、配慮と言いましょうか、これにつきましては当然にそういう配慮をすべき性格のものではないか、かように考えておる次第でございます。たとえば、自動車あるいは家電等のいわゆる耐久消費財的なものを別にいたしますと、いま申し上げましたような性格が非常に強いわけでございまして、私どもは従来いわゆる機電法という形で機械工業に対します振興措置を講じてまいったわけでございます。今後も引き続きましてただいま御審議いただいております機情法を成立さしていただきました暁には、この法案をバックにいたしまして機械工業の振興を図ってまいりたい、かように感ずるわけでございますけれども、いま申し上げました耐久消費財的なものにつきまして振興措置を図るということではなくて、先ほど先生の御指摘になりましたような、いわゆるそのすそ野の分野、中小企業性の高い分野に対します振興助成策というものを通じまして、機械工業あるいは情報産業のレベルアップを図っていきたい、かような考え方をしておるわけでございます。
ちなみにこれまでにとってまいりました振興策のうち、金融面で申し上げますと、大部分のものはいわゆる中堅中小企業に対しまして融資が行われておるという状態でございまして、こういった形態は今後とも続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/128
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129・馬場富
○馬場富君 じゃ、この情報産業の関係ですね、電電公社の関係の方がいらっしゃると思いますが、最初に、四十八年から五十二年までの電電公社によります現在行われておるデータ通信の計画を、五次五カ年計画についての概要を説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/129
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130・福富礼治郎
○参考人(福富礼治郎君) お答えいたします。五次五カ年計画と申しますのは、四十八年から昨五十二年までの計画でございまして、これは電信電話拡充第五次五カ年計画ということで、一つには、加入電話の積滞を全国的規模において解消すること。それから、手動式局の自動化の推進。それから、いま先生がおっしゃられましたデータ通信、あるいはまた画像通信の拡充、開発ということを基本に四十七年の八月に策定されたものでございます。
しかしながら、特に四十八年の秋以来の急激なる経済情勢の変化等によりまして、この計画はそのままで実施していくことは非常に困難になったわけでございます。その石油ショック等のことを含めまして、五十年になりましてこの計画を見直しまして訂正をいたしました。しかし、見直しました主要工程というようなことを申し上げますと、金額におきましては、全体の投資計画七兆円というのはほぼ変わりませんが、内容におきましては、たとえば、加入電話が一千五百三十万加入を計画していたところを、見直し千四百五十五万に。あるいはビル電話五十六万を約半分以下の、経済上等の変化によりまして二十一万に。またデータ通信二万四千端末という計画も半減いたしまして約一万三千端末というふうに計画を見直した次第でございます。
それで、その実績でございますが、五十二年にいきまして、先ほど申し上げました加入電話の積滞解消ということは、一般のまた経済変動に伴いまして需要も減少いたしました。そういうことで見直しまして計画を縮小いたしましたが、五十二年度におきまして、沖繩等を一部除きまして、全国的規模において解消することもできましたし、また手動式支局の自動化というような点につきましては、これも五十三年に一部残りましたが、五十三年度をもって達成の予定でございます。またデータ通信等におきまして、これもそれでもなお需要等が減りまして、実績では約一万程度になったという次第でございます。金額等におきましては、七兆円が六兆九千億円という形で、ほぼ達成されたと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/130
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131・馬場富
○馬場富君 最初計画されましたその目標の二万四千端末に対して、現在の達成率はどのくらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/131
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132・谷池宏
○参考人(谷池宏君) お答え申し上げます。
ただいま御説明がありましたが、五次五カ年計画の策定当初は四十七年でございまして、ちょうど高度成長期ということで、いまから考えますと、先ほどの例でもありましたように、かなり上向きの一応予測をしたという結果になっております。その計画実施中に石油ショック等に発した経済不況の長期化と、特にデータについてはそれ以外に、外資系TSSの国内進出あるいは技術進歩によるところのミニコンの急速な普及等、まあ市場構造の変化等、当初予測ができなかった等の要素も加わりまして、当初予定したものに比べますと、いま先生御指摘の四割程度しか達成しておりません。その理由はいま私が述べた理由でございます。ただ、途中におきまして、先ほども申しましたように、一応見直しをしておりますが、見直しの結果も御存じのとおり約一万ということで、見直し計画に幾らか足りないという結果になっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/132
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133・馬場富
○馬場富君 まあ非常にわかりにくい説明でございますけれども、二人の方の答弁を総括して理解しますと、やはり当初立てた五次五カ年計画というのは計画どおりいかなかったと、まあ達成率にして四〇%程度しかいかなかったと、こういうことです。で、その原因は、ポイントはオイルショックにあったような印象を受けるわけでございますが、私どもが聞いておる、調べておる範囲では、これは完全にやっぱり失敗だったと。これについては最初の計画違いがあるのじゃないかと、公社でやはり膨大な過剰投資が大きい負担になっておるのじゃないかと。もう一点は、やはりお互いに今回いま法律で問題になっておりまするそういう民業との関係の点がうまくいかなかったんじゃないかという点が、一つは指摘されておる点もあるわけです。
ちょうどこの問題につきましては、四十九年に行管庁がこの点についての指摘をなしておりますけれども、行管庁来ていらっしゃいますか——その点についてはちょっとおたくの方の指摘の点と調査の点を説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/133
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134・重富吉之助
○説明員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
私どもが昭和四十九年に勧告をいたしました電気通信行政に関する監察結果に基づく勧告でございますが、これは最近情報量が非常に増大しておりまして、電気通信施設の整備が要請されておる。それからまたデータ通信について、電電公社が行いますサービスのあり方について、いろいろまあ問題が提起されておるというようなことで、電気通信網の整備、それからデータ通信の改善というようなことを中心に監察したわけでございますが、勧告の内容は二点でございます。
第一点は、「電気通信網の整備」が必要であるということでございますが、これは内容は省略さしていただきます。
第二点は、データ通信に関するサービスについてでありますが、三点について改善を勧告しております。
第一点は、民間と競合している中で行います電電公社の行うデータ通信設備サービスの対象分野を明確にする必要があると。公社はできるだけナショナルプロジェクト的なもの、公共性の強いものに指向する必要があるということでございます。
それから第二点は、公社が行っておりますデータ通信施設サービスの提供が民間の業者に比較して有利にならないように適性化することが必要であるということでございます。
第三点は、通信回線の他人使用の範囲を緩和して、民間の業者でも利用しやすくする必要があるということでございます。
以上でございます。
〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/134
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135・馬場富
○馬場富君 いま行管の方の御指摘もありましたように、この点については郵政の方の関係ですね。やはりオイルショック等の問題点も一つはあったと思いますけれども、やはり今度の機情法に関係のある点というのは、情報産業の中で電電公社が占められておる立場というのは、非常に大きいポイントがあると思うのです。そういう点について、やはり電電公社がよく理解をし、また分野の点について明確に判断をお願いできれば、日本の情報産業というものはすばらしく発展するが、ここに対立感やまずいものができてきたならば、日本の情報産業というのはやはり他国籍企業に追いまくられてしまうと、こういう私は現状ではないかと思うわけです。
そういう立場から、やはり電算機等を使って、民間業との点につきましては、やはり電電公社が中心となっておりますけれども、やはりその他の電算機を使うというのは、そういう処理分野等についての調整のいうのを今後考えていかなければいかぬと、これがやはり五次五カ年計画の一つは失点でもあり、これからやはり電電公社が情報産業のかなめとしていかれる場合に、今後の挽回の中にここの点が非常に大きいポイントじゃないかと、こう考えるわけですが、その点についての郵政の見解を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/135
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136・白井太
○説明員(白井太君) お答え申し上げます。
先生御指摘のように、ただいまデータ通信サービスにつきましては、わが国におきましては電電公社と電電公社以外の一般の民間企業とが競合をして、サービスを提供しておることは先生御指摘のとおりでございます。
私どもは、基本的には電電公社と民間の企業との競合というのが、本当にいい意味で国民の利益の増進につながるというような形でこのサービスが提供されているということは大変好ましいことではないかというふうに思っております。そういう意味では、特に電電公社のサービスのあるべき姿ということについて申し上げますと、やはりこの電電公社の特徴、特色というのを最も生かした分野でデータ通信のサービスを提供していくということが国の利益につながるわけでありまして、おのずからこの電電公社が蓄えておりますその技術を積極的に生かすことのできるような分野であるとか、あるいは非常に電電公社のようなネットワークを生かすという意味で、全国的なシステムでありますとか、あるいは非常に公共性の高いようなシステムを目指すとかいうような方向で、このサービスを提供するようにかねがね指導しておるところでございますけれども、ただいま先生のお話もございましたように、なお一層その面に努力を傾注するように、電電公社を指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/136
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137・馬場富
○馬場富君 じゃ、その点通産大臣から、このやはり立案がおくれた理由の中にも、まあ大臣はそこのところはっきりおっしゃいませんけれども、各省との関係の中で、いま私が問題を提起した点もあったんじゃないかと、そういう点で、これからこの情報産業の進歩につきましては、法律も一つは必要でございますけれども、やっぱり日本のトップクラスにある通産とか郵政の大臣クラスがこういう点についてよく理解を持っておらぬと、この法律は死んでしまうと私は思う。そういう点で、通産大臣のひとつ所見をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/137
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138・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 全く御指摘のとおりでございまして、法律をつくったから物事が解決すすると、こういうものではございません。やはり政府内部におきまして常に責任者が、いま仰せになりましたように、この問題の重要性を認識して取り組んでいくと、こういうことが必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/138
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139・馬場富
○馬場富君 じゃ次は、公団法の関係で御質問いたします。
最初、備蓄についてでございますけれども、特に予算や需給計画については後からお尋ねいたしますが、備蓄だけについて最初ひとつ御説明願いたいと思います。
この提案理由の補足説明の中にもございましたが、西欧諸国については海外よりの石油依存度が低いのに、平均的に百日以上の備蓄をしておりと、それについて日本の方は九十日備蓄を目標にしておるが、まだ達成していないと、そういう状況であるから今日の法案の提出があったんだということでありますけれども、その西欧諸国の備蓄方法と量というのはどのような状況か、ちょっと説明していただきたいと思います、特に備蓄方法についてですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/139
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140・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) まず、ヨーロッパ諸国におきましては、現在平均いたしまして百日ということでございます。具体的にはフランスが百一日、西独が百五日、イタリアが百十二日、スイスが百二十八日、こういった数字になっております。
それから備蓄方法でございますが、おっしゃる意味は備蓄の手段というふうに理解いたしますと、当然陸上備蓄もあるわけでございますが、特にヨーロッパ諸国あるいは北欧諸国におきましては、いわゆる地下備蓄というものが現実と申しますか、実用化されておる。特に岩石をくりぬきまして備蓄する場合と、いわゆる岩塩鉱を掘り出した後の穴を活用しているというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/140
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141・馬場富
○馬場富君 その中で、特に西ドイツあたりを中心といたしまして、どっちかというと、いま国家備蓄やあるいは民間備蓄についてもそういう、比較的石油業者とかそういう関係があるわけでございますが、どっちかというとユーザーの関係ですね、使用者側の関係で備蓄計画がかなり行われてきて、そういう点についての進歩もあるということを聞いておりますが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/141
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142・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) ドイツの場合は前年消費量に対して百五日現在持っておるわけでございますが、いま御指摘の大口ユーザーについての備蓄でございますが、西独政府といたしましては、化学会社等いわゆる石油製品の大口需要者に対しまして、需要量の十四日分を備蓄するように要請しておるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/142
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143・馬場富
○馬場富君 それから先ほど出ました地下備蓄についてはアメリカが主力になっておるわけでございますが、ここらあたりの点について、やはり日本では地下備蓄について調査検討されたか。先日も新聞等の報道で、ある県がそういう点についての調査をしてほしいというような申し出もあったというように聞いておりますが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/143
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144・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 御承知のように、わが国の場合、陸上タンクを主といたしておるわけでございますが、そのほかにも経済的にまた技術的に可能な備蓄方式がないかということをここ両三年来検討いたしておるわけでございます。ただいま御指摘の地下備蓄方式につきましても、そのような観点で検討のための研究会を設置いたしまして、いろいろと準備いたしております。現在、主として花崗岩地帯を中心にいたしまして、全国で数十個所地点をまずデータについて調査いたしております。その段階を経た後、実地に委託調査等を実施して、わが国でどの程度可能性があるか、経済的、技術的可能性いかんといったような調査も、直接個々のサイトについて入っていくという順序になるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/144
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145・馬場富
○馬場富君 それで、一つは地質とか地形とか、そういうことについて日本は地下備蓄については非常に困難だという情報が多いわけですけれども、いままで通産として検討された中で、果たして日本の実情で見通し可能性があるかどうかというようなことですね。
それからもう一点、長官、あわせまして先ほどお話ししました、やはり石油も、これは一期間黒減らのためにやるとかというだけでなしに、やはり日本の百年の計に立っての備蓄ということも考えていかなきゃならぬと、こういうわけですね。そういう点についてどっちかというと、国家だとかそういう——もちろんそういう立場の備蓄は当然必要でしょうけれども、長期的に考えていけば、民間備蓄のような形で、使う方々がやはり自分たちを守るために備蓄を考えていくという、そういう方向性についてもここらあたりで、備蓄についても考え直さなきゃいかぬのじゃないかという点を私も思うわけです。よしんば、そういうところに補助育成をしていくような考え方を一つは持つべきじゃないかという点を、いま外国等の備蓄をずっと調べておりまして、外国等で大きい数字ではないけれどもそういうことも考えられつつあるということを聞いておりますが、その辺どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/145
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146・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) まず、地下備蓄をわが国で実施できるかどうかというお尋ねでございますが、私は決して否定的な立場、消極的な立場じゃございません。先ほど申し上げましたように、主として花崗岩地域等を中心にして現在活用し得るデータで、机上ではございますが調査をいたしておるということでございます。そういった調査を受けまして、来年度に実証プラントと申しますか、テストプラントを具体的な地点についてやってみまして、そこでフィージビリティースタディーを固めていきたいというふうに考えておるわけでございます。一言で申し上げると、今後の検討課題である、必ずしも可能性は少ないというわけじゃなくって、むしろ花崗岩地帯にはかなりの有望性があるんじゃないかというふうに見ております。
それから二番目は、備蓄のやり方としていわゆるユーザー備蓄の可能性、あるいはそれに対する意見、どうかというお尋ねだと思いますが、
〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕
当初民間備蓄を始める段階におきまして、いわゆるメーカー備蓄がいいのか、それともあわせてユーザー備蓄もといったことも検討いたしたようでございますが、当時の時点では、やはり生産あるいは流通といったようなことを考えますと、まず、メーカー備蓄を実施に移すべきでないか、それに対して国として側面から助成するという形で、いわゆる石油備蓄法に基づきまして、五十四年度末までの九十日備蓄というものの達成に努めているわけでございます。ことしから、この法律を通していただければ、国家備蓄と申しますか、石油開発公団備蓄がスタートするということになるわけです。その上で、御指摘のいわゆる大口ユーザーが国の助成を得て備蓄するのが適当であるかどうか、その可能性はどうかといったようなことについては、先ほど民間メーカー備蓄に踏み切る段階においても検討したと申し上げましたが、そういった問題点を詰めながら判断してまいりたい、今後の課題といたしたいと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/146
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147・馬場富
○馬場富君 その点で、特に必ずしも大口ユーザーじゃなくても、やはり燃料等に多くそういう石油関係を使用される分野において個々に消防法に基づいた形で、やはりそれは一カ所や二カ所にかためることよりも、ぼくは数だと思うんですね、備蓄は。そういう点で、やはり将来のエネルギー危機に備えていく考え方はひとつ必要じゃないかとこう思うわけですが、その点もう一つどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/147
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148・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 御指摘の点はやはり一つの考え方だと思いますので今後の検討課題に、いたしたいと思いますが、問題点は、保安なり防災との関係でどうかという点、それから緊急事態におきましてさようなユーザー備蓄というものが国家目的的に活用し得るかどうかといったような点が検討点かと思いますが、一つの御示唆ということで検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/148
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149・馬場富
○馬場富君 次に、備蓄に関係いたしましての燃料の保管ということで、今回の宮城県沖の地震につきまして午前中も質問がございましたけれども、二万キロリットルの重油が噴き出して一部は海上にも漏れたと、こういう点で、この点につきまして消防庁の関係はいらっしゃいますか。——この点につきましては、通産省から先ほど御説明がありましたが、特にマグニチュード八の耐震目標でつくられておったのが七・五でああいう状況になっていった、こういう点について、やはり備蓄についても防災関係の対策というのはこれから非常に必要じゃないか。そういう点で消防関係にお尋ねしたかったわけですけれども、通産省の方からこの点について説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/149
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150・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 今回の地震によりまして、その後における対応はかなり積極的に関係者が努力いたしたと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、三千キロ程度の油が海上に流出したということは非常に遺憾なことと思っておるわけでございます。これにつきましては、現在担当課長を一昨日来現地に派遣いたしておりますので、帰京次第その状況報告を受けましてそれに所要の対応をしてまいりたいと思うわけでございます。
当然のことでございますが、備蓄タンクの安全性のためには構造上の問題あるいは消防法、石油コンビナート等防災法、こういった関係法規に即して厳正に審査した上で設置を認めてまいる。積極的、消極的、両面から備蓄タンクの安全性を確保していく必要がある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/150
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151・馬場富
○馬場富君 今回の対策の中でも、特に消防関係がいらっしゃると非常によくわかるのですけれども、やはり新安全基準というのは出されておるわけでございますけれども、そういう点についての適用も、やはり期間等の関係もあって今回はなされてなかった。それがあればまだこれを食いとめることができたのじゃないか、こういうように言われておりますけれども、現在日本の中にそういう大きなタンクだけでも二千七百八十七基ほどあると、こう言われておるわけでございますけれども、そういう点について、ここらあたりについて通産関係でも担当の関係といたしまして調査やそういうものがなされておるかどうかという点ですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/151
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152・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 現在いわゆる貯油設備−タンクでございますが、タンク容量一万キロリッター以上のものに限定いたしますと、全国で約二千五、六百基、収容能力といたしましては、八千万キロリッター程度に及んでおるわけでございます。このほかにも一万キロリッター以下の小さなものもあるわけでございますが、こういったものを消防法に基づきまして、定期的に検査をするということのほかに、時に応じて外観検査をやる。外から外観を見まして故障がないかどうかといったようなことも常時不断にチェックいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/152
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153・馬場富
○馬場富君 ところが、きょうちょうど消防関係がいま、あちらのあれで来てませんが、実際、実情を見るとなかなかそうはいかぬ。一発日本の列島の中に、この間のような地震が発生したときに、かなり危険な状態のところが多いというわけですよ。たとえば、私がかつての愛知県の関係だけをちょっと見てみましても、地盤沈下等によってあの大きなタンクが傾いているのがある。私の知っておる範囲だけでも二十六基あると思いますが、そういう点について安全策が考えられておるかどうかという点、ひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/153
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154・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 御指摘のような点につきましては、取り締まり官庁だけに任せることなく、われわれとしては事業者を直接指導する立場でもございますので、さような事態にならないように、あるいは御指摘のようなケースについてはできるだけ早く改修させるように指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/154
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155・馬場富
○馬場富君 委員長の方にお願いいたしますが、きょうは消防庁の方が欠席でございますので、そういう点で、いま私の言いました全国の大きいタンク、そういう関係につきましてその防災に対する安全性についての一遍調査状況を委員長を通して御報告をいただきたいと、こういうようにお願いいたしたいわけですけれども、よろしゅうございますか。——よろしくお願いいたします。
では次に通産大臣、ちょうどこの機会ですから、このこととは直接関係がございませんけれども、関連でございますが、大臣がいま予算執行の中でやはり下半期は息切れのおそれがあるというようなことから、昨日も総理に景気対策のために臨時国会の申し入れもお話しになったということが報道されておりますけれども、この下半期に対する通産大臣としての息切れの見通しについてひとつ御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/155
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156・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) まず、現在の経済情勢でありますが、これまでのところは年初からここ数カ月間大体計画どおり順調に推移していったと思います。
しかしながら、よく調べてみますと、昨年の十二月に予算編成をいたしましてからちょうど六カ月たちますが、その間に幾つかの事情も変わっております。たとえば予算編成当時には為替レートが二百四十五円という水準で計算をいたしましたが、現在は二百十五円ということで非常に大幅に高くなっております。当然この影響も出てまいります。
それからさらに、貿易の黒字幅は相当大きな数字が依然として続いております。輸出は制限をいたしておりますけれども、それでもやはりドルベースの価格の引き上げがございますから、ドルベースの受け取り金額では相当大幅な黒字が続いておりまして、現状ではよほど強力な緊急輸入対策またはその他の手を打たない限り、六十億ドルの達成ということはほっておけばむずかしい。手を打てば可能でありますが、相当強力な手を打たなきゃならない、こういう感じがいたします。
それから、ベースアップ等も当初予定をしておりましたよりもやや低い水準に落ちついておりますが、これは物価も当初の予定よりもやや低い水準に落ちついておりますから、この関係が一体どう動いてくるか、こういうことも検討しなければならぬと思います。それからさらに、先ほど輸出貿易の制限をしておるということを申し上げましたが、昨年は数量で六、七%伸びております。これを全体として数量を抑えておるわけでありますから、当然この影響が何らかの形であらわれてくるはずでございます。
それから雇用情勢を見ますと、むしろ一年前に比べて悪くなっておる。完全失業者も約二十万ばかりふえております。
それから国際情勢を見ますと、アメリカの経済も四月一ぱいは非常に順調に推移をいたしましたが、五月になりましてからインフレ傾向のために相当強力な引き締め政策を始めております。たとえば公定歩合なども引き上げましたし、あるいは減税の規模なども縮小いたしております。
このように考えますと、内外におきまして予算編成当初から事情の変わっておる点が相当見受けられるわけでございます。さらに一番大きな点は、上半期に公共票業が七三%集中しておるということだと思います。およそ公共事業の四分の三を上半期に実施し、四分の一を下半期に残す。当然この影響も下半期には出てくると思いますが、これは非常に大きな問題だと思います。
そういうことをいろいろ調べてまいりますと、現在までのところは順調に推移をしておりますけれども、下半期ずっとこのまま勢いよく続いていくかどうか大変疑問に思われます。幸いに物価は非常に安定をいたしておりますので、かつまたわが国といたしましては追加政策を行うエネルギー等も相当存在をしておると私どもは考えております。そういうことから、やはり下半期に対しては何らかの追加政策が必要ではないかと、このように考えますが、さしあたって緊急を要する課題といたしましては、特に構造不況業種の中で二、三の業種は、先般成立をいたしました法律ではなお不十分に思われる非常に深刻な状態のものも二、三ございますし、それから非鉄鉱山のように初めから対象に入っていない、こういうものもございますので、これがまた内外からの深刻な事情のために崩壊寸前にある、こういう状態でございます。だからこれらに対しては特別の対策が私は必要だ、緊急の対策が必要だと、こう思いますし、それから構造不況業種が集中をしております地域は、これは一般的な中小企業対策だけではなかなか救えない、やはり地域ごと、中小企業全体に対する特別対策が必要だと、このようにも思います。
それから先ほども申し上げましたが、貿易の不均衡が続いておりまして、四月には緊急輸入対策を進めましたけれども、なおこれが不十分でございまして、完全に作動いたしておりませんので、これらに対する対策も緊急を要する大きな課題だと思います。
でありますから、整理して申し上げますと、この六月末までに大急ぎでやらなければならないいま申し上げましたような緊急の課題もございますし、なお二、三カ月間事情を見ながらやってもよろしいというような対策もございますが、そこでその二つを分けまして、急いでやらなければならぬものは一刻も早くこれをスタートさせる。もっともそれには法律的な根拠も必要でございます、立法も必要でございますけれども、緊急を要しますので、一応基本方針が決まれば法律なしに行政措置でスタートをさせまして、そしてできるだけ早く法律をつくっていただく、このようにすればいかがであろうかと、このように考えまして、私は六月に早く決めていただきたい対策と、それと九月いっぱいに本格的に取り上げてもらいたい対策、いまこの二つに分けて考えておるわけでございますが、いずれにいたしましてもこれまでの数字だけでもう下半期は大丈夫だ、何もしなくてもよろしいと、こういう判断は少しどうも行き過ぎではないかと、このように感じまして、総理にも以上申し上げましたようなことを進言をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/156
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157・馬場富
○馬場富君 もう一点だけ。
大臣は、非常に安定したということを表面でおっしゃりながら臨時国会を叫ばれたということは、非常に心配の面があるということのお気持ちを察していいのじゃないか。私もそういう点で非常に心配するわけです。
そういう点でもう一点、特に昨日は円高——アメリカにしてもヨーロッパにしても日本にしても全部最高値をまた出しております。これについては、一つは慢性のような形になって非常に騒ぎが少ないようでございますけれども、果たして黒減らの問題にいたしましても、その後これという進展がなかなかなされていないというような状況からして、やはり結局円高対策については私は本当に現在特効薬的なものがなくなってきておるんじゃないか。そういう点で、このまま放置するようなことがあってもいいかどうかという点、一遍通産大臣にその所見をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/157
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158・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) この円高の背景は、簡単に申し上げますと、一つは日本の大幅な黒字が依然として続いておるということ、OECDあたりでは、日本のことしの経常収支の黒字は百八十億になると、こういうことも言っておりますが、果たしてその数字が正確かどうかは私どもも若干の疑問は持っておりますけれども、海外の権威ある機関等でこのようなことを言っておるということは、とにかく日本の大幅な黒字が相当続くのではないかと、こういう認識があるということだと思います。それからアメリカの大幅な赤字が依然として続いております。
この二つが基本的な背景でありまして、アメリカのことはさておきまして、日本といたしましてそれに対応すべき方策といたしましては幾つかあると思いますが、一つはやはり国際収支の均衡をできるだけ早く取り返すということだと思いますが、そのためにはやはり緊急輸入の拡大、しかもそれを急いで着実にやるということが必要だと思います。それから、本格的にはやはり内需の拡大、こういうことだと思います。先ほども申し上げましたが、幸い物価も安定をしておりますし、OECD、IMF、BIS、こういうすべての国際機関が、日本は潜在的な余力が相当あるんだからやや高目の経済成長をしてもらって、そして世界経済全体のために貢献をしてもらいたい、こういう強い要請も出ておりまして、何もそれをそのまま受け入れる必要はありませんけれども、しかし頭からこれを検討もしないで否定してしまうということもいかがなものだろうか。やはりこういう国際的な期待というものは非常に強い。しかもすべての国際機関から出ておるということであれば、これをやはり謙虚に受けとめて、そして一応よく考えてみるということは必要だと思いますし、やはり黒字を減す根本的な対策というものは内需の拡大、こういうことを考えますと、よけいこういう点についてやはり真剣に検討してみる必要があるのではないか。同じ七%といいましても、七%かすかすの経済成長もあれば、余裕を持って力強く七%を達成できる、そういう経済の動きもあろうと思います。いまの日本といたしましては、私は、雇用問題、国際収支の面から考えまして余裕を持った七%成長、強力な七%成長がいま日本には必要である、このようにいま考えます。それから第三点は、経済協力の拡大だと思います。
以上のようなことを考えながら、国際収支のバランスをとにかくできるだけ早く回復させる、これが本格的な円高に対する対策でなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/158
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159・安武洋子
○安武洋子君 私はまず最初に液化石油ガス法改正案について御質問したいと思います。
今回の改正案によりましてプロパンガスの保安の強化が図られる点については私も賛成でございます。改正案では、LPGの設備のうち屋外のボンベからメーターまで、これは供給設備ということで販売業者に保安責任を持たせる、こういうことになっておりますし、一方屋内、メーターの出口から消費器具まで、これは消費設備としまして消費者に第一義的な保安責任を持たせる、こういうふうに責任区分を明確にいたしております。消費者の保安上の意識を高める、こういう点では納得いくわけですけれども、これによりまして、通産省から資料をいただいておりますが、事故の七%以上もあります消費器具の誤操作、こういうものがほとんど消費者の責任だというふうなことにされるのではないかというふうな疑念を抱くわけです。こういう点につきましては、事故の原因が不明で器具や工事関係によるものだという確証がないというふうな場合、一体どうなるのかというふうなことをお伺いいたしたいわけです。メーターの出口から器具まで、すなわち家庭内で起こった事故だというふうなことで原因が定かでない場合に、家庭内事故だということだけで消費者の責任にされてしまうのではないか。民事的な事故責任とか賠償責任を負うことになるのではないかというふうなことについてはどういうふうな御見解をお持ちでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/159
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160・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) いまお話がありましたように、今回の改正法で従来のガス器具に関する責任関係を、従来は屋内、屋外を問わず消費者に第一義的責任があるような形になっておりましたものを、屋内と屋外に分けまして、屋内のLPガス設備については消費者が第一義的な維持管理責任を負う、屋外については販売業者が責任を負うということに明確にいたしたわけでございます。しかしながら、消費者といいますのは、こういう維持管理について的確な知識を持っておるということを必ずしも期待できないわけでございますので、これについては、消費者に対してそういう点の知識を十分説明するというふうな体制をとっておりまして、これはやっぱり販売業者が責任を持って維持管理についての調査をしたり、あるいはいろんな事実を周知したりする義務をつけ加えておりまして、それの補完によって消費者が維持管理をするという形になっております。ただ、いまのお話のように、事故などが起こりましたときの責任関係は、またこれは別でございまして、この維持管理責任があるからといって、直ちに事故の場合のたとえば賠償責任が消費者にあるというふうなことをわれわれは考えておるわけではございません。これは、やはり事故の原因を調査をいたしまして、たとえば販売業者が十分義務を履行しなかったために起こったとか、あるいは設備工事の不備があったとか、あるいは器具の欠陥があったというふうなことでございますれば、これは当然その原因者が責任を持つということでございまして、消費者に責任が及ばないというふうに考えております。
ただ、いまお話にありましたように、事故が起こりますと、ことにプロパンは爆発というようなことが伴うことが多いものでございますから、なかなかその事故究明というものがむずかしいという点がございまして、なかなかこの原因が何であったかということについて発見がむずかしいという点がございます。したがって、そのときに安易に消費者に責任が転嫁されることがないようにという御趣旨はまことにごもっともでございますので、今後事故の責任を十分分析をいたしまして、その点、本当の事故における責任者はだれかということをはっきりさした上で処理をいたしたいと思います。
重ねて申し上げますと、要するに消費者の屋内の設備については消費者の責任ということになっておりますけれども、それは第一義的な維持管理責任でございまして、事故のような問題のときの補償責任を無条件で消費者に課するというものではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/160
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161・安武洋子
○安武洋子君 通産省からいただきました資料によりますと、LPGの事故のうち、消費者の誤操作によるものが五百四十一件中三百八十一件、七〇・六%です。都市ガスの場合を見てみますと、面六十七件中七十四件、四四%です。LPGの方が、事故中、消費者の誤操作の占める率も大変高いわけですし、事故の絶対数といいますものも、LPGですね、これは千八百万、それから都市ガスは千四百万です。こういう普及比から見ても、ずっとLPGの方が高いわけです。ガスの特性とか、カロリーの違いとかというふうなこともあると思いますけれども、消費器具という面から見まして、こういう点をどうとらえておられるのか、ひとつ簡単でよろしゅうございますのでお答えいただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/161
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162・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 消費器具と申しますのは、取り扱いの注意を十分しなければうまく扱えないというのはいけないわけでございまして、余り知識がない人がいじっても安全にしておくというのが理想でございます。そういう点で、今後十分消費機器について検定等を通じて実施していきたいというふうに考えておりますので、その点何と申しますか、常に改善を実施いたしまして、知識がない人がいじっても安全なような消費機器を開発していくという方向に進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/162
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163・安武洋子
○安武洋子君 LPGの危険性が高いということははっきりしているわけなんですけれども、このことを消費者によく周知、啓蒙するというふうなことは大切なことだと思います。しかし、同時にガス器具そのものの安全性も、いま言われたように知識のない人がいじってもよいように改善していくということは、これは欠かせない非常に大切なことだと思うわけなんです。いままでの事故について、器具にかかわるもののうち、器具別とかメーカー別につかまえた、とらまえたデータというふうなものはお持ちでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/163
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164・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) LPガスの事故のうち、大体器具の欠陥が原因になっておるものというものの件数は、全体のうちの約三%でございますが、残念ながら現在のところの統計では器具別の統計が出ておりません。しかし、いま御指摘のように、今後この器具の改善を図っていくためにはそのような統計必要だと思いますので、今後ひとつそういう統計をとっていくということでやってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/164
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165・安武洋子
○安武洋子君 そのデータの収集体制でございますね、それはどのように考えておいでなんでしょうか。たとえば販売業者とか保安センターからもこの報告をお求めになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/165
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166・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 事故が起こりましたときには、もちろん警察とか消防も参りますが、県が取り締まり責任者でございますので、県の職員が参りまして、消防、警察等と一緒に調査をするわけでございますので、現在事故統計は通産省としては県からとっておりますので、県の方でそういう分類をして出していただくということにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/166
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167・安武洋子
○安武洋子君 いままでLPGの器具でございますね、この器具に関して、欠陥器具の回収例、一体どれくらいあるのか、種類、量、まあどれぐらいあるのかということをお尋ねいたしとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/167
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168・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 器具の事故が起こりましたときに、二度とそのような事故が起こらないという検討をするとともに、必要な、従来市場に出回ってるものを回収させたという件がございますが、具体的な例を申し上げますと、一つは、自動切りかえ調整器というのがございますが、これがやはり不完全であったということがわかりましたので、大体三十九万個ぐらいの調整器の回収を指導したことがございます。これは大体四十七年から五十年の間に問題が発生して処置をしたわけでございます。それからもう一つは、ゴム管の一部が亀裂が生ずるというふうな種類のゴム管がございましたので、これは大体昭和五十年でございますが、百万メートルぐらいのゴム管を回収させました。それから第三には、LPガス用のガス漏れ警報器でございますが、これも四十九年に試買検査を当方でいたしましたところ、その検知濃度に問題があるというものがございましたので、大体やはり百九十万個ぐらいの回収をさせたという実例がございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/168
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169・安武洋子
○安武洋子君 それじゃ、欠陥器具でございますね、その欠陥の原因究明とか、それからその上に立った技術の指導とかいうふうなものはどうなっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/169
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170・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) その欠陥を当方が把握いたしますと、いま言いましたように回収もさせますが、それに並んで、その器具の技術基準の改正というものを行いまして、いまのような欠陥を何といいますか教訓にいたしまして、この器具についての改良を命じております。それの一例を挙げますと、たとえば、いわゆる立ち消えというのがときどき起こるわけでございますが、バーナーの火が消えた場合にガスが漏れないように、安全装置の義務づけというのを五十年の一月にガス湯沸かし器等にやらしております。これはつまり、今後の検定の際にこういうものがつけてないと合格しないということにしたわけでございます。また、簡易コンロについても、過熱して事故が起こったというふうなことがございますので、やはり安全装置の義務づけを五十一年六月にやっております。以上のようなことがございますので、事故の教訓を生かして今後の器具の検定、指導というようなところの改正をやりまして、その後の器具にはそういう問題が起こらないような指導をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/170
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171・安武洋子
○安武洋子君 「液化石油ガス消費者保安体制のあり方について」、高圧ガス審議会のこの答申の中に、まあ欠陥品の点検、修理、交換、回収等を早急かつ確実に履行を担保し得る方策の検討、というふうなことが指摘されておりますけれども、この点はどういうふうに対処をなさるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/171
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172・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) この回収等を図らせるためには、今回の改正で災害防止命令というものが出せることになっておりまして、この出回りました器具が一般消費者の生命あるいは身体に危険が生ずるというようなものについては、そういう器具の回収を命ずることができるという条項を今回入れております。そしてその回収をさすためには、実は命令をするだけでなくて、現実に回収できるような体制を整えなければいけないものでございますので、ガス機器の工業会にいざという場合に回収ができるような、いわば基金の積み立てというものを現実に指導しておりまして、そういう実質的な裏づけをつけた上で先ほど申しましたような災害防止命令というものを今回新設をして、いざという場合にはそれを発動したいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/172
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173・安武洋子
○安武洋子君 現行法にございます器具製造業者の登録及び型式承認制度、これが全く運用されておりませんけれども、その理由は何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/173
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174・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 型式承認制度と申しますのは検定と並んで規定されておりますが、検定はつまり国ないしは国の指定した機関が工場に臨んで検査をするわけでございますが、型式承認は型式の許可を受けた上でこの工場自身が自己検査をして、そしてその自己検査をした旨を表示して出すという制度でございますが、これについてはその工場の品質管理体制が十分行われていて、承認を得た型式どおりのものが必ず出る、そういう品質管理が十分行き届いておるという確認がなければできないわけでございまして、残念ながら現在までの時点では、はっきりこの制度に乗せるほどのいわば品質管理について当方が信頼をおけるという認定のできる工場がなかったということでございます。しかしながら、もうプロパンガスの普及も大分広がってまいりましたし、業界も大分経験を経ましたから、今後は十分指導をいたしましてそういう信頼のおける工場ができるように指導いたしまして、そういうものができまして、その工場が望むならばそういう制度に移行していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/174
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175・安武洋子
○安武洋子君 ちょっと解せないと思うんですけれども、この器具製造業者といいますのはパロマとか、リンナイとか、ナショナルとか、サンヨーとかといいまして、大変この業界大きなところだと思うんですね。こういうところが、いまおっしゃる御答弁のように型式どおりの製品が製造できるかどうかと、信頼がおける会社がなかったとおっしゃいましたけれども、本当にそういうことなんでしょうか。どうもいまの御答弁、少し納得がいかないんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/175
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176・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) もちろんこれは業界の、つまり工場の、製造業者の方から申請をして認める制度でございますから、何と申しますか、申請がなければ当方からやらせられないということもございます。しかしながら、この検定でやるのと並行してこういう制度でやるというのも一つ利点もございますので、いろいろ干渉はしております。しかしながら、現在まで申し出がないということが事実でございますが、そのベースにはわれわれが見てもそれじゃ、型式承認でいけるかということになりますと、やはり相当よく調べてみなければいけないというのが現実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/176
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177・安武洋子
○安武洋子君 それでは、答申ではこの制度の運用を図るようにというふうになっておりますけれども、じゃ、今後行政措置をどうお進めになりますんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/177
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178・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) われわれといたしましては、今後この制度の適用を受ける工場が出てくるような行政指導を十分やってまいりたいと思いますが、一つ問題が多いのは、わりあいプロパンガス器具というのは新製品が多いものでございますので、この新製品で製品がちょいちょい変わりますと、この制度がうまく動きにくいという点もございます。しかしながらわれわれとしては、そういうこともありますけれども、実は品質管理の向上というものをもっと促進して、この制度になじめるように持っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/178
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179・安武洋子
○安武洋子君 この答申では同じくLPガス機器の安全性を高めるために、製造段階でのチェック、第三者による工場審査、これを行うシステムの導入というふうなことが述べられておりますけれども、この点は今回の法改の中でなぜ取り入れなかったんでしょうか、その理由をお伺いしたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/179
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180・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 実は、この問題がいま申しました型式承認制度の問題とも関連しておりますし、それから検定の場合でもそうでございますが、要するに工場の品質管理の体制が十分整っておるということが、検定ないしは型式承認の制度の前提になっておるわけでございます。ところが、答申で指摘しておりますように、その点の不十分な工場があるということでございますので、これを答申では指摘したわけでございます。ただ法律上は、その検定とか型式承認ということで押さえておりますので、むしろそれをやる前提でございますので、われわれといたしましては答申の御指摘はこの法律の制度の運用を円滑にするために、指導によってこういう点を達成せしめろということだというふうに理解しておりますので、われわれといたしましては、現在国の検定を受けておる工場に対しまして、指定検定機関等の第三者機関が品質検査、品質管理体制を審査をするというふうなことを行政指導でやらしていこうということで、現在計画をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/180
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181・安武洋子
○安武洋子君 いまの型式承認、こういう制度を運用しようと思えば、いま私が申し上げた、そして答申に盛られているような第三者による工場審査、これを行うシステムというのが必要だと思うのですけれども、それは行政指導でおやりになるというふうなことでございますけれども、どちらにしましても先ほど御答弁ございましたように、プロパンガスの器具といいますのは非常に種類も多いわけで、誤操作を起こすというふうなことでは困るわけですね。子供でもお年寄りでも使えるというふうなことで、やはり操作がしやすくて安全性の高いもの、これにある程度統一していく必要というのはあると思うのです。この点もう一度確認させていただきますけれども、やはり誤操作を起こさないような、操作がしやすくって安全性の高いものにある程度は統一していくという、こういう必要性をお認めでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/181
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182・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) 誤操作を起こさないようなものをつくっていくということは必要だと思いますので、事故原因を分析したり、あるいは人間工学的な見地からどういうふうな手の動かし方をしたらいいかということの検討を進めまして、そういうガス器具の操作をする、たとえばコックだとかハンドルというようなものはなるべく統一的なものに持っていくということは、現在専門家の委員会を設けて検討もしておりますので実施をしていきたいと思っております。もちろん、また器具によって若干違う点も出てまいりますが、しかし大きく言えば、だれがどういう事態でも操作を誤らないようなものに大きく統一していくということの必要性は御指摘のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/182
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183・安武洋子
○安武洋子君 私の宿舎のおふろの湯沸かしも大変扱いにくうございますので、LPガスの場合わずかな操作ミスでも大きな事故につながるというふうな危険性があるわけです。ですから、それだけに器具の安全性というものが一層強く要求されると思うのです。消費者の誤操作による事故のうちに、余りにも操作がしにくい、それからプロパンガスの特性がありますから、そういうものが原因になって非常に事故が起こっているというふうなことがあると思うのです。通産省でも消費者に保安上の啓蒙をなさるというふうなこととあわせて、私は器具製造業者に対しましても、やはり不断に器具の安全性を高めるような強力な行政指導というものをなさっていただきたい、こういうことを重ねてお願いいたしまして、私のLPガスのこの問題についての質問を終わらせていただいて、次に機情法に移らせていただきたいと思うのですけれども、ここで一遍決意のほどをお伺いさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/183
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184・左近友三郎
○政府委員(左近友三郎君) プロパンガスは全国の千八百万世帯ということで、都市ガスよりも多くの人が使っております。したがいまして、それの保安を確保するということは一番大切なことだと思っておりますので、この法案をお認め願えますれば、新しい法案に従って安全確保に邁進いたしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/184
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185・安武洋子
○安武洋子君 機情法について御質問申し上げます。
この法案は、河本通産大臣もおっしゃっておられますように、これからの日本の産業構造を転換していくための一番の基本をなす法案だと思います。もちろん、この法案だけによって現在の産業構造が全部変わるわけではないと思います。しかし、発展途上国の追い上げとか、あるいはエネルギー資源などの事情の変化などの事態に即応する体制をつくり上げる、産業構造の面から見ますと、この法案の期するところはこういうことではないかと思うわけなんです。
そこで、産業構造政策、これにつきまして二、三御質問を申し上げとうございます。
昨年来、特に昨年の九月ごろからですけれども、円相場が大変高騰いたしております。この円高の原因とか、円高の日本産業への影響などにつきましては当委員会でも再三取り上げられてまいりましたし、私も、雇用問題を含めまして中小企業対策とかあるいは円高の国内的、国際的要因について質問もしてまいりましたし、わが党としての解決案も主張をさせていただいてきたわけなんです。通産省は毎年産構審の答申などをベースにされまして産業政策を進めておられますけれども、引き続く不況、円高、そしてこれに伴う海外でのさまざまの摩擦、こういう事態に直面して、従来の延長だけの産業構造政策では国内的にも国際的にももう納得が得られない、またうまく進まない、こういうことははっきりしてきていると思うんです。
審議会は審議会として一応別個に作業を進められますので、私は政府としてのお考えを聞きたいわけですが、円高といいますのは、多少の変動はございますけれども、一応二百二十円前後、こういう状態が日本の経済に組み込まれてしまっております。機械産業を中心とする輸出といいますのも急減するものとはなっていない。さらに、国内経済を見てみますと、緊急措置として今年度は大型公共事業を中心とした財政金融政策、これによって景気を浮揚するというふうなことが目標とされております。したがって、産業構造そのものは従来のまま、こういうことにならざるを得ないと思うんです。いま決して一時的とは言えない変化が生じている日本の経済を考えますときに、この変化というのは今後の産業構造を考える場合当然私は考慮しなければならない、こういうふうに思うわけですけれども、政府としては産業構造政策にどのようにこういう変化を組み込み、どのように対処なさろうとしているのか、この基本的なことをまず大臣にお伺いさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/185
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186・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 昭和四十八年の秋に石油危機が起こりましてから、日本の産業は大影響を受けたわけでありますが、そこで、その大きな影響を受けまして、政府といたしましてもやはりこの際は、産業構造の転換ということを真剣に考えなければならぬというので、翌昭和四十九年には産業構造審議会から今後の産業構造のあり方ということについて答申をいただいたわけでございます。情勢が変化をいたしますので、翌五十年、五十一年とローリングプランをさらに引き続いてつくっていただきましたが、昨年はこれを中止をいたしました。ことしはやや経済も落ちつく気配でございますので、この際ひとつ本格的に一九八〇年代を展望した産業構造のあり方というものを明らかにしたいというので、今度相当徹底した大きな作業を始めることにいたしました。
まず、通産省内部で本年度内に、来年の三月までにある程度の構想を含めまして、そして来年いっぱい産業構造審議会の御意見等をお聞きいたしまして、そして来年度中にはアウトラインを求めたいと考えております。そしてそれに従って、一九八〇年代の産業構造はいかにあるべきかということで新しい産業政策の指針にしたいと考えております。
ただしかし、ここで申し上げたいことは、これまでの経験では、幾らりっぱな産業構造の青写真ができましても、産業に活力がございませんとこれはもう絵にかいたもちでございまして、全然実行することが不可能であります。でありますから、やはり産業構造を現実にこれを推進するためにはもとの青写真も必要でございますが、またそれも当然りっぱなものでなきゃならぬと思いますが、同時に、それを実行するための活力ある経済ということが必要でございまして、そういうことのためには、やはり景気の回復ということが絶対の前提条件であると考えておりまして、そういう角度からこの問題に取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/186
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187・安武洋子
○安武洋子君 私、戦後の日本の産業構造といいますのは、あらゆる政策手段をフルに用いて重化学工業を推進して、この重化学工業の国際競争力、これを強化することであったと思うわけです。この反面、農業人口というのが大幅に減少されていった、それが重化学工業へ労働者を供給する、こういう役割りを担わされてきたと思うんです。この中で、石炭産業のように国の政策によって急速に衰退させられていった、こういうものもあります。
機械産業の場合を見てみますと、機振法によって育成対象とされましたし、それから電子工業は電振法によって振興が図られてきたわけです。そしてこの機振法、電振法、これはこの三月末で失効しました機電法に受け継がれた、こういう経緯をたどってきております。機電法では機、電、この一体化が強調されまして、今回の本法では機械、電子、ソフト、この一体化が中心になっております。機電法では、業界からも機、電一体化、この役割り、目標は果たした、こう評価されておりますし、政府の考え方も私は同じだろうというふうに思います。また、電子工業とか機械工業の各分野から機構法の制定、この要望が出されておりますのも、これも周知の事実でございます。機電法、そしてこれを受け継ぎました機構法の仕組みそのものを見てみますと、研究開発促進機種、それから工業化促進機種、合理化促進機種、これが選定されまして、これらについて高度化計画が立案される、そして資金が確保される、こういうことになっております。こういうことはいままでと大枠の変化がないということなんです。いままでの政策手段、この大枠の変更がないということは、いままでの政策手段が有効なものであったという御判断からこういうことになったんだろうというふうに思うわけですけれども、一体このような仕組み、政策手段が機械産業とか電子産業の研究開発、合理化にどのように役立つものなのか、こういう方式はどのようなメリットがあるとお考えなのか、その点をお伺いさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/187
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188・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) ただいま御指摘になりましたように、今回御審議をお願いいたしておりますいわゆる機情法の仕組みと、これまでとってまいりました機電法、あるいはそれ以前の機振法、電振法とはパターンにおいては同一のパターンをとらしていただきたい、かように考えておる次第でございます。と申しますのは、やはり一種の自由経済のもとにおきまして国が特定の業種をガイドしていくという場合に、緩やかなガイダンスということが前提になるんではないか、こういう気がいたします。特定の計画のもとに非常に厳重なる計画経済を行うというのは問題があるんではないか、こういう考え方でございます。したがいまして、昭和三十一年に機振法、あるいは三十二年に電振法がつくられたわけでございます。そのとき以来、いま申し上げましたようなパターンを続けておるわけでございます。
それで、御指摘のとおり昭和四十六年に機振法と電振法が一緒になりまして機電法をつくらしていただきまして、七年間の誘導をさしていただいたわけでございますが、その背景になります社会情勢あるいは経済情勢の変化というものは絶えず探求をしていく必要はあろうかと思いますけれども、そういった環境変化というものを踏まえまして、具体的に政策誘導をしていく手段といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、ゆるやかなガイダンスということが要求されるのではないか、こういうことでございまして、そこに一つのパターンが定着化せざるを得ない、こういう状態ではないかと思います。そこで、いま御指摘のとおり高度化計画というものを立てまして、それに対します共同行為でございますとか、あるいは国としての資金の助成でございますとか、あるいは税制的な助成、ゆるやかなガイダンス、こういったやり方でやらせていただきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/188
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189・安武洋子
○安武洋子君 いま御答弁にもございましたように、同一のパターンということで、産業の振興を図る仕組みあるいは手段が変わらない、こういうことは、対象にする機種、それから機器、これが、研究段階から工業化の段階に進むとか、また合理化段階に進むというような変化に応じて対象の入れかえをするということだけだと私は思うわけです。それからまた生活環境の保全、整備とか、資源の有効な利用を図るための機械が社会経済上必要になるからこれを対象にするということだろうと思います。
また、コンピューターの発達に応じて、これは、社会的に利用するシステムを開発する必要が生じてくるというふうに、機器の発達、社会的な必要性に応じてこれを振興の対象としていく、端的に言って、私はこういうことだというふうに思いますけれども、これはどうでしょう。当然、世界的な技術開発の進展ぐあいとか、それから、世界的な企業化の段階の違いとか、国のいろいろな情勢の違いとか、国情の違いとかいうふうなものはあると思いますけれども、いま私が、端的に言ってこういうことだというふうに、こう申し上げたことについて、政府としてはいかがお考えでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/189
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190・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 端的にお答えを申し上げますと、いま安武先生がおっしゃったとおりだと思います。パターンは変わっておりません。ただ、具体的に、振興助成をすべき対象業種といたしましては、そのときどきの社会的な環境の変化あるいは経済情勢の変化、さらには国民ニーズの存在するゆえんというものを踏まえまして選択をすべきであるということでございます。
したがいまして、機電法におきましては九十八業種を対象の業種として政令で指定したわけでございます。幸いにいたしまして本法案を成立さしていただきました暁におきましては、必ずしも、従来機電法のときに政令指定をいたしました業種がそのままスライドするという考え方ではなくて、新しい時代の変化に応じました観点でセレクトをさしていただきたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/190
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191・安武洋子
○安武洋子君 政府の振興策、すなわち、古いやり方を踏襲していく今回の仕組みというのは、私は大変問題だろうと思うわけです。機電法、そして本法案、これでは開銀などの高度化融資がつけられておりますね。電算機はすでに新機種開発促進費補助金、こういうことで五百七十四億円、これが補助金交付が行われております。そして、現在、超LSI開発促進費補助、こういうことで三百億が見込まれております。さらに税制上の優遇措置が講じられるようにもなってもおります。
こういうふうな産業政策といいますのは、必ず企業の整理淘汰、これを呼び起こすと思うんです。大きくなるのはごく限られた一部の企業、こういうことはもうはっきりしていると思うんです。このことは、機電法で最大の二百七十六億円、全体の六〇%の開銀融資を受けております自動車部品業界、この自動車部品業界を見れば私は明らかだろうと思うんです。日本の中小零細企業がどういう運命をたどっていくかというものが、この自動車部品業界のこれまでの過程を見れば私ははっきりしていると思うんです。いままでの仕組みを残したままで、今後自動車部品業界のようなことが起こらないという保証というのはどこにもないと思います。しかも振興の基準も、国際競争力の強化、貿易立国、こういうことが優先されております。一番大事な国内産業のつり合いのとれた発展を図る、こういう基本的な点が軽視されてしまっております。
そうしますと、ますます日本の産業構造がゆがめられてしまう。これこそ、輸出が急増する、そして円高を引き起こす、海外の批判の対象になる、こういうふうな日本の産業の構造、政策そのものであると思うわけです。国民生活のニーズに応じた産業構造、あるいは知識集約型産業などの振興による産業構造の変化、高度化、それから先端技術の開発促進、こういうふうに言われておりますけれども、あの中身というのは、私は、生産性基準、所得弾力性基準というものを中心に考えて策定した産業そのものの育成、こういうふうなことであって、国家の力、すなわちこういう法案とか行政による優遇等によって、これらの産業の資本やそれから労働力、これを集中動員しようとするものにほかならない、こういうふうに思うわけです。
こういうふうな官民一体となった産業政策、これは本法案のような大企業についての前向きの育成政策もそうですし、構造不況業種のような後ろ向きの救済施策の場合でも私は同じだと思います。いずれの場合も大企業の今後生き残ることの可能な戦略部門の温存、育成、こういうことが措置されている。片一方では中小零細企業の整理淘汰、こういうものが強行されて、労働者は合理化、首切り、こういうもので苦しめられる、こういうことになると思います。私は別に電算機の開発利用をやめよと、こう言っているわけではありません。しかし、いままでどおりの産業調整策あるいは誘導策、こういうものを続けるなら、基本的な自主的な、技術開発にしても円高の問題にしても、雇用や中小企業の振興の問題にしても全く解決ができない。このことだけは明らかなことだと思うんです。このことを強調したいと思いますが、政府のお考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/191
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192・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 機械情報産業の一つの特性といたしましては、多品種少量生産形態という形態、性格がございます。それからもう一つの性格といたしましては、アセンブル性の強い産業であるということがございます。このことはどういうことかと申しますと、先生が御指摘になりました自動車工業等にも見られる現象でございますけれども、あたかも大企業が独占的に生産をしておる業種であるかのごとき、一見そういうふうに見えないこともないわけでございますけれども、その背後にございます幾多の部品メーカーあるいは下請メーカー、いわゆるすそ野の広がりが一番強いのが機械あるいは機械情報産業ではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
そこで、過去、機振法、電振法に始まりまして、機電法で七年間の誘導政策というものをとらしていただいたわけでございますけれども、私どもはそういった機械工業あるいは電子工業の持っております特性というものに着目いたしまして、十分なる指導、育成を図ってきたつもりでおります。たとえば自動車——先生が例をお引きになりました自動車部品でお答えを申し上げますと、確かに開銀あるいは中小企業金融公庫等を通じます金融助成は大変多くの部分が自動車部品に行ったわけでございます。ただし、その大部分は資本金十億円以下のいわゆる中堅中小企業に振り向けられたわけでございまして、アセンブルメーカーであります大資本にその金が行ったわけでは決してないわけでございます。そういった機械情報産業の持つ特性というものをぜひ御理解を賜りまして、私どもの政策意図というものも御賢察を賜りたい、かように存ずる次第でございます。
それから、先ほど来お話のございます政策のパターンが変わらない限りは今後とも同じような問題が起こってくるんではないかという御指摘でございますけれども、たびたびお答えいたしておりますとおり、政策のツールとしてのパターンは変わりませんけれども、その目的意識といいましょうか、フィロソフィーといいましょうか、そういったものは時々刻々変わっておるわけでございます。ちなみに申し上げますと、先ほどちょっと先生もお触れになりましたように、機電法のときはいわゆる機電一体ということが一つの哲学になったわけでございます。今回は機情一体といいましょうか、いわゆるハードウエアとソフトウエアの結合というものが一つの哲学になるんではないか、こういう目的意識を持っておるわけでございます。
なぜそういう目的意識を持ったかということになりますと、そこにやはり社会的な変化あるいは経済的な変化、さらには国民のニーズの高度化、こういう問題がございます。国民ニーズの観点から言いましても、単なるハードウエアを向上させるというだけの要望ではなくて、これをハードウエアというものをいかにシステム的に運用するかということが国民ニーズとして最近起こってまいっておるわけでございます。例を申し上げますと、たとえば省エネルギーの観点がございますし、あるいは住宅産業あるいは新しい都市計画とかこういったものが国民ニーズのサイドからもよりカムフォタブルな生活を求めるという観点から起こってまいっておるわけでございます。そういうものに対しまして、単なる機械のハードウエアだけを向上させるということでは国民ニーズは満足させられないんではないか。そこにシステムとしてうまく適用するということを考えていくべきではないか、そういう観点から機械と、いわゆるハードウエアとソフトウエアを結合するものを一つの政策目標として考えるべきではないか、こういう判断をしたわけでございまして、その助成のツールといたしましてはまさに同じパターンでございますけれども、そこにございます政策意欲といいましょうか、哲学というものは相当大きく変わっておるということをぜひ御理解を賜りたい、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/192
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193・安武洋子
○安武洋子君 私はいまの御答弁は全く了解できないわけです。しかし、きょうは非常に時間的な制約もありまして、この論議を闘わせておりますと、非常に中途半端に終わってしまいますので、私は先ほどの主張を強調いたしまして、次に本法に伴っていろいろ起きます労働者の問題、これをお聞きしておきたいと思うのです。
コンピューターとか情報処理技術、この革新を図ることとか、特に自主的に先端技術の開発を進める、こういうことは重要なことだと考えております。しかし同時にコンピューター産業、情報処理産業、こういう発展を支えるべき技術者、労働者、そういう人たちがそれにふさわしい処遇を確保するというふうなことは非常に必要なことだと、こういうふうに思いますけれども、政府はいかがお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/193
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194・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 安武先生御指摘のとおりでございます。私どもきわめて重要な問題であるという意識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/194
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195・安武洋子
○安武洋子君 それでは、政府の方ではこうした産業に従事する技術者、労働者、これらの労働条件について実情をつかんでいらっしゃいましょうか、つかんでいらっしゃるならその概略を説明していただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/195
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196・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) ソフトウエア業に従事しておられます技術者の方々のまず深夜労働の実態につきましては、公的統計におきまして業種分類が必ずしもはっきりしないという問題がございますので、正確なお答えにはならないかもしれませんが、労働省でおつくりになっておられます賃金構造基本統計調査報告によりますと、製造業従事者と情報処理技術者の所定外労働時間数の比較は情報処理技術者の方が大きい、多いという数字がございます。それから要員派遣という問題が起こっております。これは電子計算機メーカーもしくは電子計算機の利用企業におきまして、外部の専門的な技術を有する情報処理企業に電算機関係業務の委託を行うことがございますので、その結果、場合によりましては技術職員の委託企業への派遣——これを要員派遣と言っておりますが、こういうケースもございます。通産省といたしましては、先ほど申し上げました所定外労働やいわゆる要員派遣等につきましては、いやしくも労働法令上の違反とならないような厳重な注意は行っておるところでございます。
なお、いま申し上げました数字は、労働省の統計をベースにいたしまして申し上げたところでございますが、通産省におきましても、情報処理産業に従事しておられます技術者の立場から、情報産業のあり方というものを勉強してみたいということでございまして、本年度はわずかでございますけれども、二百万の一般会計予算をちょうだいいたしまして、それをベースにいま申し上げましたような問題を研究をしてみたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/196
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197・安武洋子
○安武洋子君 いまの実態把握といいますのは、私は大変実情把握にほど遠いものじゃなかろうかというふうに思うのです。それで私が調べております若干の事例を明らかにさせていただきたいわけですけれども、これは昨年度の件でございます。これはコンピューター産業としましてはトップメーカーの一つである富士通株式会社の実態なんです。ここの会社は全従業員三万二千六十二人です。この三万二千人はどの中で、非常に驚くべきことには残業時間が多いということなんです。男子の場合、多い月で月四十時間を超える人数というのが九千百七十五人です。それから月六十時間を超える人員というのが三千八百二人です。それから月七十時間を超えるという人が二千八十一人です。月百時間を超過する、こういう人が四百六十九人もおります。そして女子で二十時間を超過する人員というのが千五百七人です。そして個人の最高といいますのは二百八十三時間、こういうのがあります。
それから一方、調べてみますと、休日出勤が大変多いのです。月五回、これが八百九十五人です。月六回、これが四百九人です。それから月七回以上三百二十二人、多い月ではこういう休日出勤が出ているわけです。このように仕事に非常に追いまくられて、休みもほとんどとれない、これが実態です。夜は、大体九時十時というのが常態になっていて、夜中まであかあかと電気をつけている、だから近所の人たちから安眠妨害だと苦情の出ている工場もあるわけなんです。こういうふうな問題といいますのは、これは富士通のみではなくって、電子産業に共通した問題だというふうに思うわけです。電産労の調査でもこういう傾向は出ております。月六十時間以上の残業者は五四%もある、月四十時間までに抑えてほしいと、こう望んでいる人が実に九五%、圧倒的多数が——月四十時間といっても大変ですけれども、それ以内に抑えてほしいと望んでいるわけです。仕事がきつい、こう言っている人が五六%、体に何らかの変調や不調を来しているという人が八〇%を超えていると、こういう実情なんです。
私は、こういうふうな労働条件を放置するということは、これは許されないことだと思うんです。労働条件の改善を図るために政府は責任を持ってやっぱり実態をちゃんと把握していただく、そして指導をすべきだと、こういうふうに思いますけれども、御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/197
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198・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 先ほど私からお答え申し上げました中に、情報処理産業の技術者、労働者の立場から当該産業のあるべき姿というものを研究したいということでございまして、五十三年度一般会計から予算を確保をいたしておりますので、直ちに着手をいたしたいと思います。
それから、問題は量的な問題、いわゆる情報サービス業に従事しておられます方々の量的な問題と質的な問題があろうかと思います。もちろん、労働環境の改善という問題は重大な問題でございますけれども、それと同時に考えなくちゃならぬ問題は、そういった産業に従事していただく方々の量的な拡大というものを図る必要があるんじゃないか、情報処理、情報サービス業というものはやはり知識集約産業の典型的なものでございますから、今後ますます業種的な発展が期待されるわけでございます。そこで、そういう業種に従事されます従業員の方々を量的に確保する、いかにすれば量的な確保ができるかという問題も検討しなくちゃならぬと思いますし、単に量的な拡大だけにとどまらず質的な向上、こういった問題もあわせて検討させていただきたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/198
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199・安武洋子
○安武洋子君 いま御答弁の中で量的な問題と、こういうことをおっしゃいましたけれども、私は、先ほど私が実態を申し上げましたような労働強化が引き起こされた原因というものがやはりこの量的な問題にあると思うんです。この原因について、やはり明らかにしておかなければならないと思いますけれども、IBMに対抗することを初めとして国際競争力をつける、こういうふうなことで、こういう名目ですね、非常に激しい過当競争、特に経費節減とかコストダウン、これを徹底して図るというふうなことで、仕事量はうんとふえている、しかし、片方人員はほとんどふやしていない、こういう実情があるわけです。先ほど例に挙げました富士通の場合を見てみますと、売上高におきましては七十八期は七十二期に比べて四倍なんです。それから、受注残高においては七十八期は七十二期に比べて三倍強なんです。それにもかかわらず、従業員数といいますのは、総計で一四%しか増がないんです。しかも技術者といいますのはピークどきに比べますと減らされている、こういうようなのが実態なんです。
ですから私は、政府がコンピューター産業、情報処理産業、こういうような日本経済における中核産業だというふうに位置づけられるなら、単にお金を出すというふうなことではなくて、こういうふうな労働強化とかあるいは残業を規制するとか、仕事量の増大に見合った雇用の拡大をこそ図るべきだと、こういうふうに思いますけれども、政府の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/199
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200・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 先ほどの私の発言、大変舌足らずで失礼いたしました。私が申し上げました量的拡大と申しますのは、従業員、労働者の数をふやすという意味でございまして、具体的にはたとえば社内研修の強化でございますとか、あるいは研修設備の増大でございますとか、そういった施策を講ずることによりまして当該業種の専門家の数をふやしてまいりたい、専門家の数をふやしてまいらないとどうしても労働強化ということにつながらざるを得ないと、こういう観点で量的な拡大と申し上げたわけでございますので、それは労働者の数をふやす方の政策をとりたいと、こういうふうに御理解を賜われば幸いだと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/200
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201・安武洋子
○安武洋子君 いま専門家の数をふやしていきたいという御答弁でした。私、従業員の数、これが先ほど売上高とか受注残高、これに比して非常に増が少ないと、このことも申し上げたわけです。ですから私は全体の雇用の拡大を図るべきではないかというふうに政府の御見解をただしておりますので、この点をお伺いして私の質問を終わらしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/201
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202・森山信吾
○政府委員(森山信吾君) 全体の雇用の拡大、まさに御指摘のとおりでございまして、今後情報産業というものが発展していく過程におきまして雇用の拡大というものを図ってまいりたいと、かように存ずる次第でございます。
そもそも機械情報産業は、先生御高承のとおりに雇用の誘発係数の強い産業でございますので、こういった産業を振興することによりまして、雇用拡大のチャンスはますます広がっていくんではないかと、こう思いますし、私どももそういった目的意識で対処してまいりたいと、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/202
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203・藤井恒男
○藤井恒男君 通産大臣に最初お伺いいたします。
この経済動向について通産大臣にお伺いしたいわけですが、私ども民社党は早くから補正予算を組むべしということを主張しております。近々公明党とも提携いたしまして、具体的に補正予算の内容を付して政府に要求する手はずでございますが、いずれにいたしましても、私どもの現在の経済に対する見方は、過去二年間、五十一年、五十二年ともに上期公共投資に伴ってやや明るさが回復するけれど、それが下期の民需につながらない、民間設備投資を誘発することにならない、したがってどうしても秋口にかけて腰砕けに終わってしまう、停滞ムードに陥る、もう二年間これ続けておるわけでございまして、今回の予算措置も公共投資七三%という前倒しに伴う現在の、私は幾分まばら模様による景気回復感だと思うわけです。したがって、これを本格的な回復基調に乗せるためには、民需を拡大する、あるいは民間の設備投資を誘発せしめるような政策を織り込んだ補正予算をいいタイミングに組まなければならないと、このように考えております。
本院の商工委員会におきましても経企庁長官などにこの種の質問も幾たびか行われておるわけでございますが、どちらかといえばわれわれから見ますと大変まあ強気の発言をなさっておられまして、七%の経済成長は確実である、景気は着実に回復の基調にあるし、昭和五十一年、五十二年の状況とは内容が違うと、自信を持っておるという答弁に終始しております。通産大臣はかねがねこの経企庁の見方に対していささか異なった見解をお持ちのようでございまして、まあ産業の実態から見ると、私どもの見方からしたら通産大臣のお考えきわめて近い関係にあるわけです。つまり、下期に、秋口にかけての沈滞ムードを起こしてはならない、そのためには果断に、しかもタイミングよく第二段の補正による手当てが必要であるというふうに聞いておるわけですが、国会も明日で終わることでございますし、二十三日に経済閣僚のこの種の問題を扱う会議も予定されておるというふうに聞いておりますので、ざっくばらんにひとつ通産大臣の、わが国における現在の経済動向、そして、これから先に対する展望、抱負などお聞かせいただきたい。とりわけ不況業種がたくさんございます。依然として動きのとれない業種があるわけでございまして、そういった産業界の、主として製造業の実態を見た上でのお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/203
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204・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) ここ数カ月間経済指標は比較的いい数字が出ております。そういうことから景気は順調に回復しておると言えると思います。その一つの大きな原動力は、大規模な公共事業のおよそ四分の三を上半期に集中して実行に移しておるということにあると思います。特に四月−六月に非常に大きなウエートを置いております。全体の公共事業の約半分は四月−六月に集中執行されておるわけでございます。これが現在の景気回復の一つの大きなエネルギーであることはいま御指摘のとおりでございます。
さてそこで、それじゃほっといても下半期うまくずっと進んでいくのかと言いますと、何分にも公共事業は残るところわずか四分の一しかございませんし、それから世界情勢も必ずしも期待どおりにはいってないと思います。特にアメリカの経済が先月から引き締めに移っておりますので、四月までは非常に順調に推移しましたアメリカの経済が、引き締め政策に移ってどういうような結果が出てくるかと、そういうことも心配でございます。特にことしの経済目標は七%ということもさることながら、やはり雇用問題の改善と国際収支の改善と、この二つにあると思うんです。ところが、残念ながら雇用問題は一年前に比べましてむしろ悪い状態になっております。完全失業者の数もおよそ二十万近く昨年の四月に比べましてことしの四月はふえております。産業全体の操業率もほぼ八〇%前後というところでございまして、まだ不十分な状態であります。さらに、この国際収支は依然として大幅な黒字が続いておりまして、それを背景に、ここ二、三日の非常に大幅な円高と、こういうことにもなっております。
そういうことを考えますと、全体が計画どおりいっておるかというと必ずしもそうではない。しかも下半期も何も心配は要らぬであろうと、こういうことを断定し去るというのも、これも少し行き過ぎであろうと、こう思います。幸いに物価も非常に安定をしておりますので、この際はわが国といたしましては、せっかくまずまず順調にいま進んでおる経済でございますから、下半期に息切れがしないように、相当強力な追加政策が遅くとも九月いっぱいには必要であろう、そうして下半期のスタートに間に合うようにその準備をしていく必要があろう、このように思います。
特にいま御指摘がございましたが、構造不況業種の中には非常に深刻なものもなお二、三ございまして、先般つくっていただきました法律では救済し切れない、こういうものもございます。それから構造不況業種の集中しております地域は、これは一般の中小企業対策を進めましても、なかなかこれでは救済できない、やはり地域ごとの特別の対策が必要だと思います。そういう個所が相当ございます。そういうことから、緊急の対策を私は六月いっぱいにある程度やりますと同時に、上半期中に下半期の景気回復のエネルギーを補強していくと、こういう十分なる対策が必要であろうと、このように理解をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/204
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205・藤井恒男
○藤井恒男君 総括的な物の見方については私ども同感でございまして、通産省は中小企業を含めたかなり間口の広いメニューを用意しておられるわけでございますが、いままさに御指摘のように、構造不況業種と称される比較的大型の産業ですね、造船であるとか合繊であるとか、それらが貫かれている場所、操業率が八〇%というだけじゃなく、それまで抱えておったいわゆる企業内に滞留していたところの余剰人員を全部吐き出しておるというようなことから、地域における求人倍率なんかも非常にばらつきが大きい、地域経済が破綻しておるという状況で、私は、現在の通産省のメニューの中からは救済できない、もっとドラスチックな方法がないものかというふうに思うわけです。そういった雇用不安が波及効果を及ぼして、やはり民間のいわゆる個人消費というものももうひとつ伸びない。こういう点についてはやっぱり立法措置を講じて、何らかの措置をやらなければいけない。
同時に、わが国の七%成長のためのいろんな施策があるわけだけれど、欧米諸国と比して大きく違うところが、やはり所得減税というものについて余りにも福田さんがかたくなであり過ぎる。これは国際的なもう一つの景気浮揚策の大きな柱になっておるわけだから、この辺を、単に所得税減税というだけじゃなく、貯蓄性向が高いということを分析して、政策を織り込んだ形で所得減税というものを組んだ補正予算でなければならないというふうに私は考えるのです。
この点については具体的に、先ほど申したように公明党とも十分練って、新自由クラブともよく話し合うことになっておるようでございますが、いずれ国会へ提出を願うべく要求を起こしていくことになるわけですが、いま言ったような点について、通産大臣のしてどういうふうに考えるか、もう一度お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/205
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206・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 下半期何らかの強力な景気回復のための対策が必要だということを申しげましたが、それじゃ、その中身は何ぞやと言いますと、これはまだ経済対策閣僚会議等を開いて何回か議論しなければならぬと思っております。ただ、わが国の場合、所得減税がそういう場合に適当かどうか、その点は私は大変疑問に思っております。欧米諸国では社会資本の投資が非常に進んでおりまして、嫌気対策と言いましても、適当な社会資本投資対象がない、そこですぐに減税ということになるわけでありますが、わが国の場合はその点事情が非常に違っております。適当な社会資本の投資対象がたくさんございますし、それから免税点も相当高くなっております。そういうことを考えますと、景気対策は必要だという点では、ただいまの御意見に私も完全に同意をするものでございますが、その中心が所得減税であるということに対しては、その点はにわかに同意しかねる、もっと有効な対策があるのではないか。まあ資金が幾らでもあればこれはまた話は別でありますが、幾ら追加政策をやることが必要だと言いましても、資金にはおのずから限度があるわけでございますから、その点は最も有効な資金使途というものを考えていくべきである、このように私どもいま考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/206
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207・藤井恒男
○藤井恒男君 大臣もう一つ、この百四十億ドルを六十億ドルということをいまでもまだわが国は国際会議で主張しておるわけなんだけれど、それはどうみてもそういった数字は出てこない。たとえば合繊業界一つとってみても、操業率が八〇%ほどでもう連続赤字の状況でありながら、やはり操業を維持する、雇用を維持するというためにむしろ輸出は伸びておるという状況、伸ばさざるを得ない、伸ばさなければつぶれてしまうんだから、赤字の中で輸出は伸びるというようなことになっておる。いまの政府のやっている黒字減らしというのは、これはもう全くびほう策以外の何ものでもない。これでは昨今の円筒にも見られるわけだけれど、一体先行きどうなるのかということですね、円高のメリットも一向に流通のわが国の状況を見て、消費者に還元されるところともならない。もっと思い切った国としての総合的な黒字減らしというものを見直してみる必要がある、そうしなければこれはもう秋口から暮れにかけて大変なことになると思うんだけれど、この点いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/207
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208・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 実は、四月二十一日に、経済対策閣僚会議を開きまして緊急の輸入対策を決定をいたしました。幾つかの仕組みをつくったわけでございますが、その後円安ドル高という傾向がしばらく続いたために実行が大変おくれておったということであります。目ぼしい成果も上がっていない、大変遺憾に思っておりますが、そのやさきに今回の円高になったわけでございます。そのときの目標は少ない場合でも四十億ドル、多い場合には百億ドルの緊急輸入が必要であると私どもは考えておりましたが、四十億ドルというのは、これは昨年の年末に予算編成をいたしましたときに、二百四十五円という数字で予算編成の作業をいたしました。もっとも当時は二百四十円前後でございましたが、一応数字は二百四十五円という数字を採用しておりますが、二百四十円前後に円が回復をすれば四十億ドルぐらいでもいいんじゃないか。しかし四月現在の二百二十円水準であれば百億ドル前後の緊急輸入が必要であろうと、こういうことで幅を持った目標を設定したわけでございますが、先ほど申し上げましたように残念ながらまだ成果が上がっていない、実行に移されていない、こういうことでございます。しかし最近の模様から判断をいたしますと、どうしてもやはりこの緊急輸入は計画以上に大規模に進めていかなければならぬと私どもは痛感をいたしております。
このまま何もしないで放置をすれば、OECDあたりでは日本の経常収支の黒字は百八十億ドルになるのではないか、こういうことすら言っておるような状態でございまして、私どもはそこまではならぬとは思いますけれども、しかしやはり六十億ドル前後に抑えるということはもう繰り返し国際会議でも何回も何回も言っております。もちろん公約ではありませんけれども、国際会議でそれを繰り返し言明をしておるわけでありますから、やはりある程度の私はこれは責任が当然生じておると思います。そういう意味におきまして、やはり緊急輸入の拡大ということも必要だと思いますし、それだけではございませんで、やはり本格的には内需の拡大が必要だと考えております。最近は幾つかの国際機関から日本は物価も安定し、潜在エネルギーも相当存在しておるから、世界経済全体のためにやや高目の経済成長はできないのか、そして世界経済全体のために貢献できないか、こういう強い要請も出ておりまして、私はそういう世界各国の期待、要請というものは頭から検討もしないで否定してしまうというのは、これは大変失礼だと思います。やはり真剣に検討いたしまして、七%成長といいましても、ほんとに数字をやりくりしたような七%成長もありましょうし、十分余力を持った七%成長もあろうと思うんです。物価に悪い影響が出なければ七%少々超えたって一向差し支えないわけでございまして、そういうことを考えますと、七%成長も余力のある七%成長、こういう形で内需の拡大に日本としては努めるべきではないか。
またさらに、先般の日米会談で総理も、開発援助を拡大をする、従来の五年で二倍にするという計画を三年で二倍にすると、こういう約束もされました直後でもございますから、経済協力の拡大ということに対しては相当真剣に取り組んでいかなければならぬと思います。そういうことをしながらこの問題と私は対処していく必要があろうと、このように理解をいたしております。それから七%といいましても、ことしは物価が非常に低い水準で安定をしておりますから、名目成長というものは相当低いのではないかと思います。そうすると、なかなか好況感というものは出てこない、こういうことも十分配慮していかなければならぬ課題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/208
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209・藤井恒男
○藤井恒男君 残念ながらきょうは時間がもう余りございませんので、突っ込んだ話をさらにすることができないわけだけれど、私は政策的な意図を持って経済企画庁があのように言っておるのかなあと思うぐらい、正直言って七%成長絶対大丈夫だと、もう少し日がたてばやっぱりそうかというふうな顔をみんなするだろうという経済企画庁の物の言い方は信用できない。どっからはじいても数字合わせで七%というのをつくり上げるならともかく、経済という、製造業を中心にした経済ということから考えると、七%成長というのはとてもいけるものではない、また六十億ドルなんといってももうすでに半分ぐらいこれ来ておるわけですから、一体昨今の国際会議でまだそのことを国際公約的に言っておるんだけど、具体的にどうするんだというものもなく、六十億ドルということを言い続けておる。これも本当に恐ろしいことだというふうにすら思うぐらいです。したがって、雇用問題も大臣方々できわめて重要な段階にあるということを指摘されておりますので、十分経済閣僚会議が目の前にありますから、産業界の実態一番よく御存じの通産省の所管大臣でございますので、十分指摘して私どももこの九月には遅くとも補正予算を組むべしという論を持っておりますので、対処していただきたいと思います。
きょうは法案審議でございますから、エネルギー庁長官に若干御質問申し上げますが、前々から御質問しておりますナフサ問題は、昨今どういうふうに推移しておるか、私もう以前指摘したわけでございますが、国際価格にリンクするようなドル建て方式をとるか、あるいは石油業法を変えて需要者側、石化側に国際価格の安いナフサを輸入するような便法を講ずるべきだという、そういう形をとらずして、長官おっしゃるように、これは石油側と両方の円満な話し合いによって取引で話を決めるべきだということは、これはもう実行性のないことであります。交渉当事者能力を欠いておるわけですからね。だからその辺やはり私はいまも同じ考えを持っているし、つい最近ではそのような動きを現に需要者側が動き始めて、輸入会社構想を立てて共同でひとつ国際価格で石油、ナフサを輸入して備蓄しようじゃないかというようなこともあるようでございますが、そうなりますと、これは石油業法それ自体をいじっていくのか、あるいはそうなった場合に一体コンビナートが秩序を保ち得るのかどうか、新たな問題がここにまた発生してくるわけです。しかも、こういうふうに円高がどんどん進んでいけばナフサの国際価格との乖離はますます大きくなるし、基礎産業としての石油価格が壊滅的な打撃を受ける。非常に困ったことでございますので、ひとつこの辺のところを長官としてのお考え、また見通しなどについて聞かせてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/209
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210・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) ナフサの価格問題については、何回か御指摘いただいているわけでございます。
まず、一月以降の価格交渉の状況でございますが、私の承知しておるところでは大体山場にきているんじゃないかと。需給両当事者、石油業界と石化業界とそれぞれ問題を出し合って詰めを急いでいるというふうに承知しておりますので、いま少しくこれは注視してみたいと、かように思っております。
それからこれに関連いたしまして、昨年も当初予定七百五十万キロリッターのナフサ輸入を九百万トンにまで引き上げた、枠を広げたということでございますが、今後ともにやはり状況を見て輸入についても弾力的に対応していきたいと、かように考えております。
それから国際価格にリンクするようにドル建てにしたらどうか、あるいは業法の改正をやったらどうかという御指摘、これもいままでお聞きしているところでございますが、この点につきましては前々から申し上げておりますように、昨年の十二月以来価格問題懇談会におきまして数回にわたり討議を重ね、問題点を煮詰めてまいっておりますので、近く、おそくとも六月中にその議論した結果をエネルギー調査会の石油部会の方に持ち上げまして、その石油部会として、これは需給両当事者が入っておるわけでございますので、あるいは学識経験者、中立委員も入っておられますので、その場で討議を重ねていただきまして、八月中と予定いたしております総合エネルギー調査会の総括的な取りまとめの中にその解決策と申しますか、考え方といったものも取り入れていただきたいということで話を進めております。
それからなお、石化業界が中心になりまして輸入会社案を検討しておるということも私も耳にいたしておるわけでございます。それぞれの立場において御検討なさることも必要かと思いますが、だから私若干よけいなことを申し上げるかもしれませんが、少なくともそういった輸入会社、あるいはそのために必要なシーバース、あるいは輸入基地といったものをつくっていく場合には、一つにはコストにどの程度はね返ってくるかということを御検討いただかなくちゃいけないだろうと思いますし、それから中長期的に見てナフサの需給事情がどうなるだろうか。たとえばシンガポールの石油化学なり、あるいは韓国の麗水だったかと思いますが、こういった石油化学プラントが完成して、そこで需給事情がどうなるだろう、あるいは一部、これもここ二、三カ月の現象でございますが、ヨーロッパ地域におきましても余りに価格の下落が激しいといったようなことがございまして、一部大手筋、たとえばBPあたりもナフサの生産を落としてきておるということ。ここ一、二カ月やはり値段も上がってきております。私は決して消極的な立場で申し上げるわけじゃございませんが、そういった問題点も煮詰めた上でその構想というものをやはり進めていかれるべきではなかろうか、かように考えるわけでございます。
いずれにいたしましても、石油部会の場で価格体系の問題を話し合って、それを総合エネルギー調査会としての全体的な取りまとめの中に報告をしていただきたいということでお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/210
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211・藤井恒男
○藤井恒男君 たしか十−十二月がキロリットル三千円——輸入積み増しを含めて、と記憶しておるのだけれども、一−三は大体どれぐらいの話がいま出ているのですか、具体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/211
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212・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 先ほども申し上げましたように、各社ごとにそれぞれ対応する相手方とやっておるようでございまして、企業によって要求なり、あるいは提案の幅もまちまちのようでございますので、ちょっとこの場での発言は差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/212
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213・藤井恒男
○藤井恒男君 後ででもまた知らしてください、その模様は。
先ほど馬場さんからも御質問があった模様でございますが、実は今度の宮城県沖地震で東北石油のタンクがやはり溶接部分から亀裂が出て油が漏れたということでございます。これは参議院のこの商工でもたしか昨年か一昨年、川崎のタンクを見に行った経緯があるわけですが、五十年の法改正、五十一年の消防法改正、二つの改正を経て再び三菱のあのようなことのないようにということで、かなりシビアな対策が講ぜられておるというふうにわれわれ承知しておったんです。もっとも既存のタンクについては、これは大変な改修コストがかかるからということで補強策に終始したわけでございますが、結果的にあの程度の地震でやはり同じ事故を起こしておる。今度この法案でいわゆる備蓄法案、これは備蓄をしようという法案がここに提起されておるわけで、一番問題になるのが、どのような基地を設けるかということになるわけだけれども、その場合に一番大切なのが保安上の問題。それ見たかということに、大変タイミングとしてはこれは当局側には痛いことだろうと思うのだけれども、この事故の保安上の問題、それから今後既存のタンクが一万トン以上で千何ぼあるのですってね。これをどうするのか。やはり新しいタンクは別だけれども、亀裂を生ずる溶接部分のもろいものというのは全部既存のタンクですね。昭和四十七、八年ごろ建設のもののようですが、これをどうやって一遍洗い直すのか。補強するならその手当てをどうするのか。この辺のことを考えなければこの法律も歩き始めることができぬのじゃないかというふうに危惧するわけです。その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/213
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214・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 先ほどもお答えしたことでございますが、今回の地震によりまして、東北石油の仙台の製油所で三基のタンクが亀裂を生じた。御指摘のように溶接部分がおかしくなったということも考えられるかと思いますが、そして重油類が約六万八千キロリッターぐらい流出いたしたわけでございます。そのうちの一部が、約三千キロリッター程度と推定いたしておりますが、一部が海上に流出した。こういうことでございまして、当時からオイルフェンスをすでに展張し、あるいは油回収船でもってこの回収を急いでおりますので、一両日中に海面に出た三千キロリッター回収が完了するだろうと思います。
先ほどもお触れになったわけでございますが、消防法の改正あるいはいわゆる石油コンビナート防災法の制定というふうなこともこの場合やはりかなり役立っているという点は十分認められるわけでございます。たとえば、工場の外に二重囲いで、いわゆる防油堤の外に全体をカバーするような防止堤があったわけでございまして、そこで大半のものがとまっている。一部が流出口からため池に行って、ため池から外ににじみ出たと、こういうかっこうでございまして、やはり消防法なり、あるいはコンビナート法の制定によりましてそれなりの効果はあったと思います。それにいたしましても構造上の問題、あるいは溶接個所がどうかしたということでもあろうかと思いますが、三千キロリッター程度が海に流れ出たということは、われわれとしても非常に遺憾に思っておるわけでございまして、現在担当課長が一昨日、その事故の後すぐに現地に行っておりますので、戻ってき次第、その状況を報告を受けまして、所要の対処をいたしたいと思います。
それから一万キロリッター以上のタンク約二千五百基、容量にいたしまして八千万キロリッター程度のものでございますが、消防法で五年に一回定期検査をやっておるということではございますが、今回のように、消防法あるいは防災のための石油コンビナート等の法律だけではやはり充足し得ない構造上の問題などもあったんではなかろうかというふうにも思いますので、そういった点十分詰めまして、それに応じた対応をいたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/214
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215・藤井恒男
○藤井恒男君 時間が参りましたので、最後にこれはお願いをひとつ申し上げておきたいと思いますが、新聞辞令によると、長官は、この国会で他に栄進なさる模様でございまして、油の非常にむずかしいときに、長い間本当に御苦労さんでございました。
とりわけ、日韓大陸だな問題が、四年越しの問題が昨日の本会議で決まったわけでございまして、この審議の過程でいろいろな意見が出ておりまして、法案に反対される方も大変貴重な意見をたくさん述べておられるわけです。私どもはこれは賛成したわけでございますが、やはり非常に重要な問題であるわけですから、この場で出た多くの意見を十分そしゃくされて、日韓大陸だな法案が歩き出す過程で、それみたかということのないように十分配意していただきたい。私どもも現地に参りまして、農民の皆さん方ともいろいろお話もして、心配される向きも十分われわれも承知しておるわけでございまして、どうぞこの辺を後任の方にもよく申し継いで、万遺漏のないようにお願いしたいものだと思います。
どうも長い間御苦労さんでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/215
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216・柿澤弘治
○柿沢弘治君 本日は、石油公団法について質問をしたいと思っておりましたが、いま藤井委員の質問の中での河本通産大臣の景気観、経済政策についてのお考え方、大変興味深く伺いましたので、ちょっとその辺を補足的にお伺いをしておきたいと思います。
まあここ数日、通産大臣の追加的な措置が必要だという御発言をいろいろなところで耳にし、目にするわけでございますが、それはいまお話のあったように、七%以上の成長を目指しての追加的措置とお考えなのか。それともいまのままでは、下期息切れのおそれもある、その点について何らかの対策が必要だというふうにお考えの上での追加措置を考えておられるのか、その辺はどうもはっきりしないところがあるんですが、どちらでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/216
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217・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) これは、目標は七%成長が目標でございます。私が余裕ある七%という趣旨のことを言いましたのは、最近すべての国際機関で日本に対して七%以上の成長を期待する発言が相当続いておりますので、それに対応しまして、頭からこれを否定してしまうと、検討もしないで否定してしまうというのは、国際的に日本に対してそれだけ大きな期待があるわけでありますから、これは余りにも失礼ではないかと。だからその点は頭から否定しないで、よく検討をしてみる必要があるのではないか。その上で、幸いに物価も安定をしておるから、七%、七%といいましても、七%以上ということではないんで、余裕のある七%という表現をしたわけでございますが、余裕のある七%を目指して経済政策を進めていくということも物価に悪い影響さえなければ一向差し支えないのではないかということでございまして、これは別の話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/217
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218・柿澤弘治
○柿沢弘治君 そうしますと、追加的措置をとらないで、いまのまま放置しても七%は達成はできるというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/218
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219・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) まあこの点につきましては、これは二十三日に相当時間をかけまして議論をすることになっておりますが、私といたしましては、現時点では予算編成当時と相当事情も変わっておりますので、やはり七%という目標でも相当な追加政策をとらなければむずかしいんではないかと、こういう感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/219
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220・柿澤弘治
○柿沢弘治君 私どももその点では藤井委員と、それから通産大臣のお考えと、見解をともにするといいますか、近いと思うんです。宮澤企画庁長官にもそうした趣旨でこの席でも質問をしたことがありますが、経企庁としては、いま藤井委員からのお話がありましたように、もう大丈夫だということをしきりにおっしゃっておられる。その点についてはどうも疑問に思います。
しかし、下期息切れ、もしくは七%成長がむずかしいかもしれない。一−三の成長率が年率にすると一〇%というような、かなり高い数字で出ておりますから、そのまま伸びていけば確かに七%はいくかもしれない。その意味では七%がむずかしいというのは、下期息切れの懸念ということがあるんだろうかと思いますが、そう考えてよろしいわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/220
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221・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) そのとおりでございまして、事情も変化しておりますので、下期は息切れするおそれが多分にあると、この際おくれないように追加政策をとっていく必要があると、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/221
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222・柿澤弘治
○柿沢弘治君 事情が変化していると繰り返しおっしゃいましたが、どういう事情が変化しているというふうに御判断でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/222
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223・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) まず第一番に、予算が四月の初めに通りましてから、公共事業の進め方でありますが、上半期におよそ四分の三を執行していこう、下半期は四分の一だと、こういう方針を決めました。特に上半期も四月−六月に集中いたしまして、四月−六月の間に全体のおよそ五割やっていこうと、こういうことでありますので、非常に上半期に集中してこれを繰り上げてやっていこうということですね。この点が一つの大きな私は変化だと思います。普通の年でありますと、もう少しなだらかな執行方法を進めていくわけでございますが、ここしばらくの間は、上半期に非常に大きなウエートをかけておる、こういう公共事業の進め方が行われておるということでございます。
それから一つは、この通貨問題でありますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、予算編成当時は二百四十円という水準で動いておりましたが、予算編成では二百四十五円という数字を基礎にしていろいろな積算が行われております。ところが、現在はそれよりも約三十円商い二百十五円前後ということになっておりまして、当然こうなりますと、これまた相当な大きな経済上の影響が出てくる、デフレ効果等も当然考えられると思いますし。それから、それだけ円高になりますと、皆それぞれ産業ごとに、また企業ごとに事情は違いますけれども、できるだけドルベースで値上げをしたいと、こういうことでいろいろやっておりますので、輸出の方は数量で抑えておりますけれども、ドルベースの手取りというものは非常にふえておる、相当膨大な黒字になるのではないかと、このように考えております。大幅な黒字、これは当初考えておった以上になるおそれがほうっておけば多分にございます。
それから輸出貿易の制限などということは予算編成当初は考えていなかったのであります。昨年は数量で六、七%伸びております。金額で言えば一四、五%、合わせて二割以上貿易は伸びたわけでありますが、ことしは昨年伸びたその数量を抑え込んで横並びにしようということで進めておりますから、当然これが何らかの形で影響が出てくるのではないか。下半期に解除でもすれば別でありますが、このこともやはり予算編成当時には考えていなかったことでございます。
それから、これも先ほど申し上げましたが、アメリカの先月から引き締め政策に変わっておるということ、当然この影響もあると思います。またベースアップも、実は当初はもう少し高いのではないかと思っておりましたが、六%前後という非常に低い水準になっております。これは一面、物価も予定よりも相当低い水準でございますから、その関係から議論しなければなりませんが、物価もベースアップも当初の予定よりも相当両方とも低い水準になっておる、これが一体どういう影響が出てくるか、こういうことをいろいろ総合的に考えてみますと、やはり予算編成当初から見ますと大きな変化が生じておるのではないかと、こういう感じでございます。でありますから、物価も幸い安定をしておりますので、この際は、まだ余力があるならば、その余力を挙げて下半期の追加政策のためにこれを活用していくと、こういうことをあらかじめ九月までの間にきちんとやっておくということが大事ではないか。
昨年のようにいろんな資料が全部出そろうのを待って判断をするということになりますと大変おくれまして、結局何カ月かの断層ができました。そのためにせっかくの景気が足踏みをする、後ずさりをすると、こういうことになりますと、これは国民の皆さんに対しても申しわけないことになりますので、やはり昨年と一昨年の失敗を繰り返さないためにも、事前の何らかの対策が必要である。もしそれで行き過ぎるということになれば、これは引き締めればいいわけでありまして、何もそのとおりやる必要はないわけでございまして、いつでも臨機応変にやれるわけでございますから、十分な準備が必要であろうと、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/223
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224・柿澤弘治
○柿沢弘治君 大変詳しく御説明をいただきましたが、そうすると、一つは、公共事業が上半期に繰り上げ施行されている、進捗率が高い、ですから、下期になると空っぽになってしまう。その意味で、公共事業の追加が必要だというふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/224
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225・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 追加政策は私は必ずしも公共事業には限らないと思うんです。公共事業はなるほど激減はいたします。激減はいたしますけれども、公共事業は相当大量に進めておりますから、どこまで消化余力があるか、これはもう各省ごとに詳しく調べてみませんとはっきりわかりません。消化余力があれば、これはまた追加ということも当然考えていいのだと思いますけれども、そこらあたりはまだ調査ができておりませんから、何とも申し上げかねるわけでございます。ただ、最近の住宅投資などを見ますと、これも全体としてはうまくいっておるんだと思いますけれども、どうも民間の住宅に対する投資が少し弱いような感じがいたします。やはりその背景には土地問題とか金融問題があるんだと思いますが、やはり住宅も公共住宅中心の住宅政策ではなく、民間中心の住宅政策が望ましいと思うわけでございますので、こういう点もやはりもう少し調べてみる必要があろうと思います。
総じて言いますと、現在の経済運営は財政主導型、公共事業主導型の経済でありまして、まだ民間主導型の経済には移っておりません。景気の本格的な回復といえば民間経済が主導すると、こういう経済でなければならぬと思いますが、そういうところまではいっていないのでございます。でありますから、追加政策は必ずしも公共事業に限ったことでございませんで、全体として経済のエネルギーの追加になると、こういうことであればいいわけでございまして、その中身はこれから議論をしていきたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/225
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226・柿澤弘治
○柿沢弘治君 先ほど緊急輸入が必要だと、百億ドル程度——百億ドルもしくは四十億ドルというお話もありましたけれども、それからさらに海外に対する開発援助の拡大も必要だというふうにおっしゃっておられます。その二つも公共事業の今後の追加の可能性も含めて大臣のおっしゃる追加的な措置というものに含まれると考えてよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/226
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227・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 私は追加的な措置のうち、非常に急いでやらなければならぬ三、四の課題があると思うんです。もうきょう、あすにもスタートをさせたいという課題が三、四あると思いますが、それがやはりきわめて深刻な状態にある三、四の構造不況業種は先般つくっていただきました法律では不十分でありますし、それから非鉄鉱山などはこの対象から初めから外れております。だから三、四の深刻な状態にある構造不況業種に対しては何らかの追加措置がしかも緊急に必要である、このように思います。それから構造不況業種は、中心の地域、産業は、特に中小企業はずいぶんきめの細かい中小企業政策を進めておるわけでございますが、どうしてもそれだけでは不十分であります。やはり全体として仕事がない、金融的にも詰まっておると、こういうことを考えますと、やはり地域ごと、中小企業を中心とする何らかの強力な対策が必要だと、こういうことも痛感をいたします。
それからいまお尋ねの緊急輸入対策、これもやはり案だけを決めてさっぱり実行しないということではなくして、国の経済が一大事になろうとしておるときでございますから、これはやはり強力にかつ着実に、しかも急いで実行していくということが必要だと思います。そのほかにもあろうかと思いますが、いま申し上げましたような、三、四の対策は、これはもうぜひ急いで、遅くとも六月いっぱいには大筋を決めてスタートをさせてもらいたいと、こう思っております。ただ中には、これらの対策を本格的に進めてまいりますためには法律が必要なものが相当あるわけです。しかし、法律は必要でありましても、とりあえずは財政資金とかあるいは民間資金で方針が決まればスタートをさせておきまして、そうしてできるだけ早く法律をつくってもらって、それで最後のきめの細かい仕上げをやっていくと、これでいいのではないかと、こう思っております。
そこで、繰り返して恐縮でありますが、この六月中に急いで決めてスタートをさせるべき緊急対策と、それから上半期じゅうに十分用意をいたしまして、そして下半期の息切れを防いでいくという、そういう対策と二つに分けてやるのがよろしいのではないかといま判断をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/227
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228・柿澤弘治
○柿沢弘治君 私が伺いましたのは、河本通産大臣の追加的措置の必要性という議論がやはり補正予算の必要性を主張しておられるのではないか。その意味では九月の臨時国会の解散のチャンスというものと結びついて、通産大臣が総理に若干協力をするような姿勢を見せておられるというふうに勘ぐられているわけでございますけれども、その辺は、そうするとそういうことではないと、もう直ちに実行をするということであって、補正予算とか臨時国会とかというものを必ずしも必要とするものではないというふうに考えてよろしいわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/228
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229・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) やはり下半期の本格的な対策を進めるためには当然補正予算が私は必要だと思います。それからさっきも申し上げましたように、六月にスタートさすべき緊急対策も、これは法律なしである程度は短期間はやれますけれども、本格的にやるためにはやはり法律が必要だと思います。そういうことのためには私は、できるだけ早く臨時国会を開いていただいて、九月にはこれらの対策を全部仕上げていくと、こういうことが望ましいと思っております。
解散との関係についてお話がございましたが、その点は総理大臣は繰り返して解散はしないと、いまは解散などやるべき時期ではないということを繰り返して言っておられるわけでありまして、自由民主党の方もそれを受けて、幹事長もそのとおりであると、総理がせっかくそう言っておられるんだからそれを信用すべきだと、こういうことを言っておられるのであります。さらにまた総務会長も、総理、幹事長がそう言っておられる以上は自分もそれを信用すると、こう言っておられるわけでありますから、いまや内閣、党を挙げて解散はしないと、こういう私は方向に進んでおると、またそうでなきゃならぬ。いまはとても大変な時期でございまして、総理もことしの初めに、ことしの最大の課題は景気回復の問題である、これが最大の政治課題である、こういうことを言っておられたわけでございますから、いまでも当然そのようにお考えであろうと思います。でありますから、臨時国会を開いたからといって解散をしないようにすればいいのでありまして、解散をするという前提のもとに臨時国会を開く、そういう考え方では毛頭ないことを申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/229
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230・柿澤弘治
○柿沢弘治君 どうも自民党の幹部の方は皆さん純情な方で、素直で信頼をされるのですが、私どもどうも品性がそれほど上品でないせいか、つい疑い深くなりまして、いろいろと気になるのですが、いま通産大臣がおっしゃいましたように、これはこれからの対策のためにいろいろな追加的な措置が必要だということを私もわかります。その意味では今後やるべきことがいろいろあるだろうというふうに考えているわけでございます。
いま法案の審議というお言葉ありましたので、法案の審議に移らせていただきますが、きょうは石油開発公団の総裁においでをいただきましてありがとうございます。
この石油備蓄問題に入る前に、公団の本来の業務といいますか、従来の業務であります探鉱の問題、これをできるだけやはり大陸だなの問題もありますように、日本近海に集中をしていくべきだというふうに考えるわけですけれども、その辺の投融資案件の採択の指針といいますか、そういうものをどうお考えになっておられますか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/230
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231・徳永久次
○参考人(徳永久次君) いま先生御指摘ございましたが、私、具体的な件数から見まして、本邦周辺というものに必ずしも件数でたくさんということになっておりませんけれども、これは地域の特殊事情といいますか、御案内のように、また、きのう通りました大陸だな関連法案とかいうふうなものに手がかかったというふうなこともございますし、また、今後たとえば尖閣列島の近くにということになりますと、いろんな国際問題が出てくるのじゃないだろうかなというような不安もあります。しかし、日本の周辺というものを、日本が余りに依存度の高い国でございますから、日本の近間というのは探すだけ探したのだということじゃないと、国際的にも輸入を仰がなきゃいけませんので、やはり道義的にもそれだけの責任があるんじゃないだろうかと思います。それからまた、日本を離れたといたしましても、東南アジア周辺に極力いま優先にお手伝いするということが必要だろうと思います。
先般、通産大臣もインドネシアにいらっしゃいまして、日本の石油公団がインドネシアの石油開発に協力さすよというふうに言っておられますが、昨日も先方からプルタミナの総裁もいらっしゃいまして、序論の打ち合わせをやったりいたしております。あるいはベトナム等につきましても、これは必ずあの国としまして日本に協力を求めてくるのじゃなかろうかという気がいたしておりますが、日本の近間、日本の周辺及び東南アジアの近いところというものにやはり重点を赴いて協力するのは、日本のためにもいいことではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/231
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232・楠正俊
○委員長(楠正俊君) もっと大きな声で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/232
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233・徳永久次
○参考人(徳永久次君) しかしながら、総体で考えてみますと、日本の油の依存度というのが現実には中近東に八割ぐらいになっておりますので、やはり中近東、東南アジア等を中心に重点を置いて今後やるといたしましても、中近東の産油国の大きさといいますか、現実の大きさというものは無視するわけにはまいりませんので、中近東のそれらの国が工業化を望んでおる、また、石油開発も望んでおる。われわれは石油開発に協力することも、それは向こうの国の経済協力に日本も一枚かんでお手伝いしているんですよという形をつくり上げることは、やはり大事なことではなかろうかと思っております。東南アジア中心と言いながら、現実に大きなウエートの高い地域に対するものをネグるわけにはまいらないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/233
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234・柿澤弘治
○柿沢弘治君 今回の公団法を改正して石油公団に備蓄をさせる、備蓄業務を追加するという趣旨でございますが、これはやはりいままで進めてきた民間備蓄だけでは必ずしも所期の目的を達成できないという考え方に立ってのことだと思います。その意味では、諸外国での国家備蓄と民間備蓄の割合がどうなっているか、どこまでがやはり局間石油業者としての供給責任といいますか、そうしたものに依存をし、どこからが国家的ないわば経済的な安全保障という観点から国家備蓄をやっているのか、その辺の考え方というものがはっきりわかるような事例がありましたら教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/234
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235・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) いわゆる国家備蓄と民間備蓄の比率は必ずしもはっきりいたしておりません。ただ、御承知かと思いますが、アメリカの場合は十億バレルの備蓄目標を設定いたしておりますが、これはすべて国家備蓄。民間でも十一億バレル程度の在庫を持っておりますが、これはむしろランニングストックと見ていいんじゃないかと思います。それから、西独の場合も民間備蓄に加えまして約八百万トンの目標を設定しております。スウェーデンも同じように三面万トン、詳細は必ずしもはっきりいたさないのでございますが、そのほかにもイギリス、フランス、スイスこういったところが国防用という観点から国家備蓄を行っているというふうに聞いております。
いずれにいたしましても、先進国ではかなりの数の国が国家備蓄をやっておるということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/235
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236・柿澤弘治
○柿沢弘治君 私どもは、石油の大半を輸入に依存しているわが国として、突発的な事件その他によってまさに油断の危機に見舞われる。これはもう経済の全体の停滞の原因になるわけですから、これに対しては何らかの対策をとらなければいけないというふうに思います。その場合に、それでは何日間の備蓄をするか。政府の場合には、公団も含めて百日という数字を出しておられまして、百日がヨーロッパ諸国の平均だというふうに説明をしておられるわけですが、私はどうもこの百日では不十分なのではないかという気がいたします。
これは前に私の同僚と議論をしたときにも出た話ですけれども、一体石油備蓄というのは何のためにやるのか、何を目的にしてやるのかということになりますと、突発的な事件が起こったときに、日本が一番最初に手を上げないようにするために備蓄をしていかなければいけない。ほかの先進諸国がまだまだ石油が余っている、本格的な解決への努力をしないでも十分余力があるというときに、日本が最初に石油がなくなってお手上げをしたのでは、国際経済の中で、先進諸国の中で弱い鎖になってしまう。そうしたことは国際的な協調の関係からも避けなければいけないし、その場合には日本だけが先進諸国の中で油断の危険に見舞われるということになる。それが石油備蓄の基本的な考え方でなければいけないという考え方を私の友人が説明をしてくれました。私もそのとおりだと思っているわけです。
その意味では、平均に合わせるのではなくて、西欧諸国の中で高いところに合わせていく。もしくはほかの国にプラス十日ぐらいのところは日本は持っている。みんなが手を上げるまで自分は手を上げるつもりはないというぐらいの備蓄量が必要なのではないだろうか。アリとキリギリスの話ではありませんけれども、これはまさにキリギリスになってはいけない。アリでなければいけないという目標でございますから、その意味ではどうも百日の備蓄というのは非常に不十分だし、それがたとえ達成されたとしても欧米諸国よりも低い備蓄では、ある意味では安全保障的な感覚からいって非常に弱いことになるのじゃないだろうか。その意味では、九十日と百日の差というのは余りない。ふやすというのはあえて努力をするほどのものではない。その十日をもしくは——欧米諸国が最高が百二十日だとするときに日本が百三十日に十日上げるというのならそれは大変な意味があると思いますが、上限の下の方で十日前後ふやすということには余り意味を見出しがたいわけですが、その意味でこれが百日が目標であっては困る、ある意味で、直ちにできないにしても、何年計画かでもう少し高い水準を決めるべきではないかというふうに思いますけれども、その辺についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/236
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237・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 私もただいま柿沢委員が御指摘された御意見に全く賛成でございます。何日分持てば足りるかという判断、これは非常にむずかしいわけでございますが、少なくとも日本が中東に依存している石油輸入のウエートは八〇%である、しかも非常に遠隔の地であるといったようなことを考えますと、他の国以上にやはり努力する必要があると思います。もちろんヨーロッパの場合、第一次スエズ動乱以来備蓄を始めたとかあるいは岩塩坑を活用できるといったようなメリットもあるわけでございますが、わが国といたしまして、いま申し上げたようなところから百日で十分であるとは考えておりません。さような観点から、現在総合エネルギー調査会の石油部会で備蓄の拡充の方向あるいは具体策について検討をお願いいたしておると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/237
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238・柿澤弘治
○柿沢弘治君 そういう意味で、石油公団法を改正して国家備蓄に乗り出す以上、備蓄量はどのくらいあったらいいのかということに対する政府としての基本的な考え方、それをやはり確立される必要があるのではないだろうか、それを前提として国家備蓄というものを考えていかないと、ただ十日分持ちました、やりましたというだけでは、いざという事態が起こったときに単にエクスキューズといいますか、になるだけであって、本当の意味の効果を発揮しないということを懸念をするわけでございます。その意味で、ぜひ国際経済の中で日本が弱い鎖にならないように、決してキリギリスにならないようにという観点から備蓄目標というものをしっかりと確定をしていただきたい。それがあって初めて今回の改正もしくは国家備蓄への一歩前進が、ある意味で意味を持つわけでございますから、各国の平均で百日ぐらいというのはどうも私としては頼りないということでございます。
それから、運輸省にもおいでをいただいておりますので、タンカー備蓄の話を伺いたいと思いますが、時間が制限をされておりますので、十分時間がないかもしれませんが、これが公団法が改正をされればいよいよタンカー備蓄の実行に移るわけですが、その実行までにはいろいろな問題があったというふうに聞いておりますが、おおむね問題は解決をしたのか、残された問題はどうなのか、そしてタンカー備蓄が実行されればタンカーレート——いまの国際市況にかなりのプラスの影響が出るのか、それとも焼け石に水程度の効果しかないのか、その辺をお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/238
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239・棚橋泰
○説明員(棚橋泰君) ただいまお尋ねの件のうち、前半の進捗状況その他につきましてはむしろ通産省の方からお答えいただく方が適当ではないかと思いますが、いろいろまだ解決しなければならない問題点はございますけれども、通産、運輸さらに水産庁、海上保安庁というような関係官庁が石油公団等と協力いたしましてただいま精力的に準備を進めておるところでございまして、すべて問題点が解決したということではございませんけれども、かなり進んでおるというふうに私どもは考えております。
それから、これの海運に対する影響でございますけれども、海運というのは御承知のように国際マーケットで動いておるわけでございまして、現在タンカー市況は非常に下落をいたしておりまして、私どもワールドスケールというものでこれをあらわしておりまして、ワールドスケールと申しますのは、一万九千五百トンのタンカー、まあ小さいタンカーでございますが、これの採算点を一〇〇といたしまして、したがいまして、当然それより大型のタンカーはもっと低い点で採算点があるわけでございまして、今回の備蓄の対象になっておりますようないわゆる大型のタンカー、VLCCというようなものでは大体五六、七から六六、七ぐらいが採算点でございますが、その運賃が現在いわゆる市況もの、スポットものでは二〇まで下落をいたしております。二〇と申しますのはいわば船を走らせなくても走らせても同じぐらい、直接経費を賄えるかどうかという程度のマーケットでございます。したがいまして、今回のタンカー備蓄で大体二十隻というタンカーを用船していただけるということは日本のタンカー業界にとりまして不況の中で唯一の救いでございまして、大変な期待をかけておるわけでございます。
それでは、この備蓄が現実に成りました際にどのくらいその市況に影響があるかという問題につきましては、これは非常にむずかしい問題でございまして、御承知のように市況と申しますのは非常に心理的効果で動くものでございますので、ある意味では日本のタンカーがタンカー備蓄に使用されるということにすでに国際マーケットの運賃中には織り込み済みだという説もございます。また逆に、現実に成った場合には、ヨーロッパの筋あたりでは先ほどのワールドスケールで五ポイント程度上がるのではないかというような情報もあるわけでございまして定かではございませんけれども、現在世界の余剰タンカーと言われております約八千万トンのタンカーの数%に当たりますものを備蓄に活用するということはかなりの景気の上では効果があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/239
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240・柿澤弘治
○柿沢弘治君 最後に、そのタンカー備蓄をいざ実行ということになりますと、どのタンカーを使うか、どの場所を選定するかというような問題が起こってくるわけですが、どのタンカーを石油公団として借り上げるかというような点については、これは通産省エネルギー庁で調整をされるわけですか、それとも運輸省で調整されるわけですか、それとも石油公団でおやりになるわけでしょうか、その辺の仕組みはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/240
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241・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 用船問題につきましては一応一定の条件をつけて競争入札をいたしてはいかがかと、かように思って関係省庁と検討いたしております。当然のことでございますが、入札当事者は石油開発公団、もちろんこの法律が成立した後、石油開発公団が行うということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/241
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242・柿澤弘治
○柿沢弘治君 国家的な政策として実行されるタンカー備蓄でございますから、競争入札によって最も条件のいいところにというのが一つの考え方だろうと思いますが、同時に、業界全体にそのメリットが均てんするようにという点も当然配慮をしなければならないというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/242
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243・橋本利一
○政府委員(橋本利一君) 御指摘の点もよくわかるわけでございますが、一方、国家資金を使っていくという点も配慮せざるを得ないだろうと思います。それから大体十隻程度で集団を組むということでございますので、いわゆる集団管理組織に乗るような船でなくてはいけないといったようなこともございますので、そういった条件を詰めた上で、その条件を前提としての入札ということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/243
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244・柿澤弘治
○柿沢弘治君 結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/244
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245・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 他に御発言もなければ、四案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X02419780615/245
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