1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年二月十四日(火曜日)
午後零時二分開会
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委員の異動
二月十四日
辞任 補欠選任
戸塚 進也君 藤川 一秋君
宮田 輝君 高平 公友君
吉田忠三郎君 丸谷 金保君
多田 省吾君 矢追 秀彦君
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出席者は左のとおり。
委員長 嶋崎 均君
理 事
藤山 正明君
細川 護煕君
福間 知之君
塩出 啓典君
中村 利次君
委 員
岩動 道行君
糸山英太郎君
梶木 又三君
河本嘉久蔵君
高平 公友君
中西 一郎君
桧垣徳太郎君
藤井 裕久君
藤川 一秋君
穐山 篤君
竹田 四郎君
丸谷 金保君
矢田部 理君
鈴木 一弘君
矢追 秀彦君
佐藤 昭夫君
渡辺 武君
市川 房枝君
野末 陳平君
衆議院議員
大蔵委員長代理
理事 野田 毅君
大蔵委員長代理
理事 佐藤 観樹君
国務大臣
大 蔵 大 臣 村山 達雄君
政府委長
大蔵政務次官 井上 吉夫君
大蔵省主計局次
長 山口 光秀君
大蔵省主税局長 大倉 眞隆君
事務局側
常任委員会専門
員 杉本 金馬君
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本日の会議に付した案件
○決算調整資金に関する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○昭和五十二年度の水田総合利用奨励補助金につ
いての所得税及び法人税の臨時特例に関する法
律案(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/0
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001・嶋崎均
○委員長(嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、多田省吾君及び戸塚進也君が委員を辞任され、その補欠として矢追秀彦君及び藤川一秋君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/1
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002・嶋崎均
○委員長(嶋崎均君) 決算調整資金に関する法律案及び昭和五十二年度の水田総合利用奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案を便宜一括議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/2
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003・穐山篤
○穐山篤君 先日に引き続いて、決算調整資金の問題に限って質問をしたいと思います。
前回も指摘をしたことなんですが、税収見込みについて大きく見通しが狂ったといいますか、経済状況を反映してどうしても八千億の財源ができなかったわけですね。そういう意味でいきますと、この収入見込みをどうとるかというのは非常に重大な問題だと思うんです。当然内閣としては、たとえば成長卒六・七%あるいは今年度の場合七%というものを一つの基礎に置いてそれぞれ算定をするわけです。しかし、去年の第一次補正のときにも申し上げましたが、率直に申し上げて、野党は相当厳しく注文をつけたはずなんだけども、政府としては強気の目標を持っていたわけですね。そこが一つの食い違いのポイントではないかと思うんです。内閣ですから、経企庁と大蔵省の見通しが違うというわけにいかないと思いますけれども、希望的な観測を分母に置いて納税の算定をすることについては間違いであるということが、景気のいいときでもそうでありますし、悪いときには特にそれが顕著にあらわれるわけですね。ですから私は、この部分について質問というよりも、これから厳しくなるわけですから、大蔵省の態度として常に低目の直球を投げるべきだと。そうしないと結果的に、単に国会にどうこうというよりも国民全体に迷惑を及ぼすことになるわけですから、そのことについて十分意を払ってもらわなければ困るというふうに第一に注文をつけておきたいと思います。お答えは後ほどで結構です。
それから二つ目の問題は、今回は二千億という予算の額です。まあ最悪な事態になれば国債整理基金に手をつけざるを得ない、そういう手続、仕組みになっているわけです。本来、この決算調整資金という制度それ自身についても私ども意見を持っておりますし、財政法堅持の立場から言うと疑惑を持っているわけです。しかし、この金を使おうとする場合は異常な場合である。通常ならば補正予算で事が足りるわけですけれども、それ以上に突っ込んだ制度をつくって金を使おうというわけですから、非常に臨時異常の事態だというふうに思うわけです。それは単に銭金だけでなくして、国民生活全体に、あるいは財政全体に重大な影響、重大な事態が発生をしたわけですから、あるいは起きる見込みであるわけですから、当然この制度発足という事態を考えてみて、その緊急臨時の事態というのはこういうものです、あるいはこの事態がこういうふうに発展するかもしれない、場合によれば新たな財源を必要とするかもしれないという事態があるわけですね。したがって、その問題について、どうもこの金に手をつけそうだというような場合については、あらかじめ前広に委員会に状況を報告してもらう。この説明によりますと、自後、次の常会に報告するとなっていますけれども、前回も申し上げましたように六カ月ないし九カ月、一年後になるおそれがあるわけですね。しかし、事態というのは非常に異常事態で、政府としても国会としてもあるいは国民としても決意をしなければならないときだと思うんで。ですから、そのことについて前広に委員会に報告してもらえるかどうかという点が二つ目です。
それから三つ目の問題は、まあ五十四年度のことについてまだ議論するのは早いと思いますけれども、こいねがわくば、こういう制度が恒久法としてあるのは余り好ましい状態ではないわけです。現実の問題としては単年度処理でいくことが原則だと、まだ私どもはその気持ち、主張というものを変えていないわけです。五十四年度の予測はできないにいたしましても、五十四年度はこれを使わないというふうな気持ちで予算の編成、執行というものを考えていかなければならないというふうに思いますが、その点についての見解、決意というものをひとつ明らかにしておいていただきたいと思うんです。
それから最後は、逐次調べていくうちにやや問題点が出てきましたのは、国債整理基金の問題です。この五十三年度の予算書を見ました。予算書の七十ページですが、国債整理基金特別会計ということで、五十二年度と五十三年度の片方は見込み、片方は予算です。五十二年度まだ決算してありませんけれども、見込みとしては歳入が八兆六千七百七十六億七百万円と、歳出も同額になっているわけです。五十一年度の予算につきましても十一兆四千三百何がしと、歳出についても同額を上げているわけです。これは、予算案としては私はそういうふうにつくるのは当然だと思うんです。ただ、七十一ページの方に五十三年度の実績見込み、五十三年度の予定として基金の残高が書かれているわけです。五十二年度の見込みが九千九百億、この中から最悪な事態になった場合に金を出そうというわけです。五十三年度の予算では一兆二千九百三十一億と、こうなっている。普通、歳入と歳出がきれいさっぱりになっている場合には、ごく常識的に言えば残高というものはないはずだと、こう思うわけですが、過去のものを調べてみますと残高が逐次あって、来年度予算では一兆二千九百三十一億円ためようといいますか、たまるであろうという見込みが立っているわけですね。この国債整理基金というのは、昭和四十年から国債を発行してから何年度にはどういう種類のものを幾ら発行した、これは純粋に技術的に計算をすればすべてわかるものだと思うんです。歳出につきましても、当然返すものでありますから、返す金額というものもこれまた明確になっていなければならぬはずだと思うんです。特別の事情によって歳入と歳出がそれほど大きく乖離を生ずるような性格の基金ではないと私は心得ているわけです。にもかかわらず、結果的には莫大な金が残高として残っている。とりあえず五十一年度のものを見てみますと、歳入はたしか六兆幾らです。ところが、歳入の実績というのはそれよりもかなり高いものが出ているわけです。それから歳出は、予算案としては歳入歳出額は同じでありますが、歳出の額は結果的につくられた予算案よりもかなり低くなっているわけです。ほぼ十年間の実績を見ますと、そういうふうに傾向値としてなっているわけですね。私はここに非常に不可解なものを感じているわけです。この論争をしますと長い時間がかかりますので、きょう私は論争するつもりはありませんけれども、この国債の発行の問題にいたしましても、償還の問題にしましても、いまや国民は非常に注目をしているわけです。したがって、ここの部分について私個人としては十分に解明をしたいし、了解をしたいと思う。
そこで、どういう背景のもとに、あるいはどういう事情のもとに、あるいは方針のもとに一兆円も超えるような残高が積み上げられてきたのかというものについて資料を提起をしていただきたい。これは個人的な資料というよりも、できれば理事の間で十分御相談をいただいて、公開の資料としていただきたい、この注文をつけておきたいと思います。
理事の間で時間的な都合があって、長い議論ができないというお話でありますので、そこの部分については了承しますが、全く私どもとしては不本意であるということを申し上げて私の質問と意見を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/3
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004・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 第二点以下は主計局からお答えいたします。
第一点につきましては、御注意、御批判をいただきまして、おっしゃいますように歳入見積もりとしましては、制度全体としての整合性を必要といたしますので、非常に依存度の大きい所得税、法人税につきましては、経済見通しの基礎になっております雇用者所得なり生産、物価というものを基礎にして推計するということになるというのは御理解いただいた上での御指摘だと思いますが、なお今後の推計につきまして従来の経験を十分生かしながら、まあおっしゃいます低目にコントロールされた直球を投げるようにできるだけの努力をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/4
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005・山口光秀
○政府委員(山口光秀君) 第二点以下について申し上げます。
第二点は、この制度を発動するような事態に立ち至りました場合には前広に当委員会にも説明すべきではないかというお話でございますが、四十九年度に御承知のような歳入不足になりかねない事態を生じた場合にも当委員会に御説明した経緯もございます。赤字、決算不足というものが明らかになる事態、あるいは額がはっきりいたします事態というものはかなり時間がかかろうかと思いますが、もしできますれば適当なチャンスをつかまえて御説明申し上げるべきでないかと思います。
それから、五十四年度はこの制度は使わないという決意を明らかにしてはどうかというお話でございますが、五十四年度に限りませず、この制度は予見しがたい税収の不足に対応する制度でございますんで、最初からこういう制度に頼るというようなことを安易に考えるべきでないことは当然ではなかろうかと思います。
それから国債整理基金の問題でございますが、資料の点でございますが、ただいまお話しのような資料ができますかどうか、突然のお尋ねでございますんで、ちょっと検討させていただきたいと思いますが、できるだけ御要望に沿うように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/5
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006・嶋崎均
○委員長(嶋崎均君) この際、穐山委員に申し上げますが、資料につきましては、理事会で協議をしまして、できるだけ御要望に沿うように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/6
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007・渡辺武
○渡辺武君 前回、私、決算調整資金に関する法律について質問いたしまして、この法律案の第一条の予見しがたい租税収入の減少等により決算上不足が生ずることになる場合、この点はどういう場合かということを伺いました。その際の御答弁では、補正予算などが間に合わないような場合が想定されるということだったわけです。なお、伺いますと、四月三十日までの税収を前年度の税収に入れなければならぬ、それがこの二月の決算だ、各会社の二月決算の分が四月三十日までの税収に入るということなんで、補正予算では間に合わない場合があるんだという御答弁でした。それも一応の私は説明だと思います。しかし、従来は補正予算でずっと片づいてきた。昭和四十九年度に一遍この決算の不足が生ずるおそれがあった、これは政令措置で解決したということがあるわけですから、今後も同じような措置で私は解決しようと思えばできると思うんですね、あえてこういう新しい制度をつくらなくてもいいんじゃないかと思うんです。
その点でよく考えて見ますと、五十三年度の予算案に関連して、国税収納余整理資金に関する法律の一部を改正する法律案というのが出ております。これは五月三十一日までの税収をこれをいわば先取りをしようという法律案になっているわけですね。ところが、五月三十一日までの税収を先取りする、その五月三十一日までの税収というのは、まさに三月の末の各会社の決算ですね。これに基づいての税収になってくると思うんですね。三月三十一日といえば、これはもう前の年度はまさに終わる時期ですね。だから補正予算をこれから組もうと思ってもとうてい組むことのできない、そういう時点なんですね。まさにこの新しい国税収納金整理資金に関する法律の一部改正、これが通ったときに五月三十一日までの税収が予想どおりに入るか入らないかという問題は常につきまとってくる。これはとうてい補正予算じゃ間に合わないんですよ。そういう事態を予想しての制度として決算調整資金に関する法律というのが出たんじゃなかろうかと、こう思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/7
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008・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 前回お答えいたしましたように、たとえば三月上旬がいろいろな手続、また国会での御審議の日数などを考えていわばぎりぎりの時点であるとして、そのときまでになおわからないというか、変動し得る要素というのは何であろうかということになりますと、法人税につきましては実は二月決算だけでございませんで、いまの制度でも十二月決算、一月決算、二月決算というその三カ月分がまだ確定できないということなんでございます。したがいまして、そのときお答えしましたように、後ほど御審議願うただいま御指摘の法案が仮にそのまま成立させていただけます場合に、三月決算がもう一つその上へかぶさってきてなおむずかしさがふえるであろうということはお答えしたとおりでございますが、しかし、五月取り込みがない状態ならば補正で必ず処理できるかと申しますと、くどくて恐縮ですが、やはり三月上旬にはまだ十二月決算で二月末に入ったものの計数も私どもの手元に届いてまいらないものでございますから、現行制度でもやはり三カ月分の法人税収とそれから三月の申告所得税収というのは非常に未確定要素を含んだままであるという点はひとつ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/8
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009・渡辺武
○渡辺武君 その四月三十日までの税収についても、いまおっしゃるように予想どおりに入ってこない場合があるかもわからぬと、これは従来もそうだった。そして従来はこれをどういう形で解決していたかといえば、ほとんど補正予算で解決していた。そして四十九年度の場合は政令措置で解決している。従来の解決方法でこれから先も私は間に合うと思うんです。そうでしょう。ところが新しくこういう制度を、決算調整資金制度という制度をつくる、これは単年度だけの問題じゃない、今後ずっと財政上の一つの制度としてこういうものを確立するんですよ。そうでしょう。政令措置で片づく、あるいは補正予算で片づけばいままで片づいていたものを、わざわざこういう制度をつくったということの裏には、私は国税収納金整理資金に関する法律、これを一部改正して五月三十一日まで税収を前取りすることができるということを予想しているから新しい制度をつくったんじゃないですか。現に金額が五十三年度予算で前取りする分は約二兆円と言われているわけでしょう。そうしてこの決算調整資金綱度で繰り入れるもの二千億でしょう、約一割、そのくらいの誤差を見込んで数字の上でも符合しているじゃないですか、そう思わざるを得ないんです。
時間がないから私端的に申しますけれども、もしその国税収納金整理資金に関する法律の一部改正、これを予定してこういう制度をつくるというのであれば、危険性はその方が大きいんですから、赤字決算になる危険性は。そういうことであるならば、何でこの国税収納金整理資金に関する法律の一部改正、これと一緒にこの決算調整資金に関する法律案、これを審議しないのか、あるいはこの国税収納金整理資金に関する法律の一部改正、これが成立した後でこっちの法律を審議すべきだと。これ順序逆ですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/9
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010・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) ちょっと繰り返しになりまして恐縮でございますが、五十二年度の状態を考えまして私どもとしてぜひこの資金の造成をお願いいたしたいと申しますのは、四十九年度の決算で非常に何と申しますか、苦慮いたしたということは申し上げたとおりでございまして、確かにあのときには政令改正という手段がございました。その手段は五十二年度にはもう使えないわけでございまして、しかも税収の足取りが四十九年度とかなり似ております。四十九年度の場合には十二月末にまだ進捗率でプラス二・五でございましたのが、いよいよ決算を締める段階になりますと三角五・幾らというふうに急速に落ちていったわけでございまして、どうも五十二年度も足取りが非常に似ておりますものですから、万一の場合に四十九年度のような事態が起こらないという保証がない。私どもとしましては、補正でお願いした八千六十億に比べての誤差が、何とか不用とか何とかいうもので決算処理ができる範囲内にとどまってくれることを一番期待しておりますけれども、絶対にそこで大丈夫という保証がないということで、ぜひ五十二年度につきましてこのような制度をまずつくっていただきたいというふうにお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/10
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011・渡辺武
○渡辺武君 私はその答弁納得できないです。
大臣に伺いたいんですが、新しい、この法律の一部改正という形ではありますけれども五月三十一日までの税金を前取りしようと、これから先の話ですよ。そのための準備として決算調整資金に関する法律案というのを、これを五十二年度中に何とでもして成立させよう、こればこそくな手段ですよ。そうしてまた、審議のルールからいっても私は外れていると思うんです。その点どう思われるのか、これ一点。
もう一点、こうして赤字決算になるということを予想してその解決のための新しい制度をつくる。これは今後の放漫財政、いままで続けてきた放漫財政を今後一層広げていくということの一応背景としての考えじゃなかろうかという感じがするんです。もうすでに財政法で禁止している赤字公債を特例公債だということで発行を恒常的にずっとやっているでしょう。そうして放漫財政を続けてきた。五十三年度予算では五月三十一日までの税収を前取りするというようなことまでやって財政規模を広げようとする、これは財政法が基礎としている健全財政主義、これを著しく踏みにじるものだと思うんですね。一体大臣は財政法が中心に置いている健全財政主義、これはどう考えておられるのか。守るおつもりがあるのかないのか、この点もあわせて伺いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/11
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012・村山達雄
○国務大臣(村山達雄君) 決算調整資金を今年度からつくっていただきたいということが五月分税収の前取りと関係ないということにつきましては、いま政府委員から答弁をしたとおりでございます。それで、五月分税収の前取りをさしていただきたいということはなぜかと申しますと、年度末まで租税債権が発生しておりますから、ですから出納整理期間まではそれは取り込むことは私は租税法の収入所属年度区分の原則には必ずしも反しない、かように思っているのでございますが、五十三年度から特になぜやるのかということは、実は景気対策と非常な重要な関係がございまして、大きく言いますと二つ考えておるのでございます。
その一つは、景気対策と申しましてもこれは地方財政と相呼応してやらなければならぬのでございまして、したがって、二兆数千億の五月分税収の前取りでございますけれども、そのうちの約五千八百程度のものは三税として地方に交付されるわけでございます。その結果、地方の財政の方でもいろんな公債の所要額が減るとかそういうことになりまして、全体として国、地方を通ずる公共債の発行が縮減されるわけでございますので、そのことはまた、逆に申しますと建設国債の発行の幅を消化能力から見て広げるという結果になりまして、言ってみますと地方財政対策とそれから景気対策の二つに資しているわけでございます。
もう一点の、そのようなことは財政の放漫あるいは健全財政に反するんじゃないか、こういう御指摘、それから特例公債が出ているということもそれを物語るんじゃないか、こういう御指摘でございます。もうすでに特例公債が残念ながら五十年の補正予算から出てまいりました。早くこういうものはなくしたいと考えておりましたけれども、経済の情勢上やむを得ずやっておるわけでございます。今度臨時異例の措置といたしまして実質三七%に及ぶ特例公債と建設公債を発行せざるを得なかったのは、この措置をとりまして民間の経済主導力を早く回復し、そして経済の回復に伴いまして早く財政を健全化したい、こういう考えに出たものでございます。したがって、今後財政の健全化という問題は恐らく最大の課題になると思いまして、今度財政収支試算というものをお出ししまして、財政の姿がいかに困難な状況になっておるか、これを広く国民並びに国会の先生方に御理解賜って、そして大いに健全財政というもののために御論議の素材を提供しまして、われわれは国会の御論議、国民の論議を通じまして財政健全化のために翌年度以降、来年度以降の具体的な計画を立ててまいりたい、かようなつもりでおるわけでございまして、財政の放漫ということにまかしておるわけではございませんで、私どもは一刻も早く特例債の脱却を図りたい、かように存じておるところでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/12
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013・嶋崎均
○委員長(嶋崎均君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、宮田輝君及び吉田忠三郎君が委員を辞任され、その補欠として高平公友君及び丸谷金保君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/13
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014・嶋崎均
○委員長(嶋崎均君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/14
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015・嶋崎均
○委員長(嶋崎均君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより決算調整資金に関する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
決算調整資金に関する法律案を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/15
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016・嶋崎均
○委員長(嶋崎均君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、昭和五十二年度の水田総合利用奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでございますから、これより直ちに採決に入ります。
昭和五十二年度の水田総合利用奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/16
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017・嶋崎均
○委員長(嶋崎均君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/17
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018・嶋崎均
○委員長(嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414629X00319780214/18
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