1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和五十四年三月一日(木曜日)
午前九時三十二分開議
出席委員
委員長 佐藤 隆君
理事 今井 勇君 理事 羽田 孜君
理事 堀之内久男君 理事 島田 琢郎君
理事 馬場 昇君 理事 古川 雅司君
愛野興一郎君 江藤 隆美君
久野 忠治君 熊谷 義雄君
國場 幸昌君 玉沢徳一郎君
津島 雄二君 中村喜四郎君
福島 譲二君 森 清君
森田 欽二君 小川 国彦君
角屋堅次郎君 柴田 健治君
新盛 辰雄君 竹内 猛君
芳賀 貢君 松沢 俊昭君
武田 一夫君 野村 光雄君
吉浦 忠治君 神田 厚君
津川 武一君 菊池福治郎君
出席国務大臣
農林水産大臣 渡辺美智雄君
出席政府委員
農林水産大臣官
房長 松本 作衛君
林野庁長官 藍原 義邦君
林野庁次長 角道 謙一君
水産庁長官 森 整治君
委員外の出席者
農林水産委員会
調査室長 尾崎 毅君
—————————————
委員の異動
二月二十二日
辞任 補欠選任
不破 哲三君 津川 武一君
同月二十七日
辞任 補欠選任
小川 国彦君 平林 剛君
柴田 健治君 川俣健二郎君
新盛 辰雄君 安井 吉典君
津川 武一君 不破 哲三君
同日
辞任 補欠選任
川俣健二郎君 柴田 健治君
平林 剛君 小川 国彦君
安井 吉典君 新盛 辰雄君
不破 哲三君 津川 武一君
同月二十八日
辞任 補欠選任
竹内 猛君 石橋 政嗣君
武田 一夫君 近江巳記夫君
野村 光雄君 坂口 力君
菊池福治郎君 山口 敏夫君
同日
辞任 補欠選任
石橋 政嗣君 竹内 猛君
近江巳記夫君 武田 一夫君
坂口 力君 野村 光雄君
山口 敏夫君 菊池福治郎君
三月一日
辞任 補欠選任
新盛 辰雄君 川俣健二郎君
武田 一夫君 坂井 弘一君
津川 武一君 寺前 巖君
同日
辞任 補欠選任
川俣健二郎君 新盛 辰雄君
坂井 弘一君 武田 一夫君
寺前 巖君 津川 武一君
—————————————
本日の会議に付した案件
沿岸漁業改善資金助成法案(内閣提出第二五
号)林業等振興資金融通暫定措置法案(内閣提
出三二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108705007X00419790301/0
-
001・佐藤隆
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
沿岸漁業改善資金助成法案及び林業等振興資金融通暫定措置法案の各案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。渡辺農林水産大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108705007X00419790301/1
-
002・渡辺美智雄
○渡辺国務大臣 沿岸漁業改善資金助成法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
新しい海洋秩序の形成により、わが国遠洋漁業は後退を余儀なくされ、国民に対する水産物の安定的供給確保の見地から、沿岸漁業を見直し、その健全な振興を図ることが、一層重大な課題となってきております。
しかしながら、わが国沿岸漁業の現況を見ますと、家族経営を中心とする零細多数の経営体により担われているため、自力による新しい生産技術の導入などが困難であること、海上作業には危険も多いこと、漁村の生活環境は、都市に比べて著しく立ちおくれている現状にあること、将来の生産の担い手である若い後継者の確保が困難となってきていることなど、厳しい状況にあります。また、これらのことが、沿岸漁業の経営の健全な発展、漁業生産力の増大及び沿岸漁業の従事者の福祉の向上を図る上で大きな制約条件となっております。
政府といたしましては、これまで、沿岸漁場の整備開発、沿岸漁業構造改善事業等の推進を図ってまいったところでありますが、沿岸漁業の経営の状況などからして、これらの施策に加えて、沿岸漁業従事者などが自主的にその経営を改善していくことを積極的に助成するための新しい施策を講ずることが緊要であると考えるものであります。このため、近代的な技術または漁労の安全確保のための施設等の導入、漁家生活改善のための合理的な生活方式の導入及び沿岸漁業後継者等による近代的な沿岸漁業の経営方法または技術の習得に必要な無利子の資金の貸し付けを行う都道府県に対し、政府が必要な助成を行う制度を創設することとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、法律案の主要な内容について、御説明申し上げます。
まず第一に、この法律の対象といたします資金を経営等改善資金、生活改善資金及び後継者等養成資金に分けて、それぞれの内容を定めますとともに、都道府県が沿岸漁業従事者等に対するこれらの資金の貸し付けの事業を行うときは、政府は、都道府県に対し、予算の範囲内においてその事業に必要な資金につき、その三分の二以内を助成することといたしております。
第二に、都道府県が行うこれらの資金の貸し付けにつきましては、その利率を無利子とするとともに、資金の種類ごとの限度額、償還期間等について定めております。
第三に、都道府県がこの貸し付けの事業を行う場合には、その事業の経理は特別会計を設けて行わなければならないこととするとともに、その事務の一部を漁業協同組合連合会等に委託することができることといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。
次に、林業等振興資金融通暫定措置法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
わが国の森林・林業は、国民生活に不可欠な林産物の供給と国土の保全、水資源の涵養等の公益的機能の維持増進などを通じて、国民経済の発展と国民生活の向上に大きく貢献してきたところであり、このような森林・林業の果たす役割りに対する国民的要請は、今後とも一層増大するものと考えられます。
しかしながら、最近におけるわが国林業をめぐる諸情勢はきわめて厳しいものがあり、木材需要の伸び悩み、外材の進出、経営コストの増大等により、林業の収益性は著しく悪化しております。このため、伐採、造林その他の林業生産活動は著しく停滞し、また、国内産木材の生産、流通を担う事業体も弱体化しつつあります。これらの動きが今後とも続けば、国内産木材の供給力はさらに低下し、将来にわたる森林資源の整備充実に支障が生ずるばかりでなく、国土保全等の公益的機能の低下すら懸念されるところであります。
このため、当分の間、林業経営の改善及び国内産木材の生産、流通の合理化を図るために必要な資金の融通に関する特例措置を講ずることにより、林業並びに国内産木材の製造業及び卸売業の健全な発展に資することとし、この法律案を提案した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
まず第一は、基本方針の策定であります。農林水産大臣は、林業経営の改善及び国内産木材の生産、流通の合理化に関する事項についての基本方針を定めなければならないものといたしております。
第二は、林業経営の改善のための措置であります。林業経営改善計画を作成し、都道府県知事の認定を受けた者に対して農林漁業金融公庫が造林資金または林道資金の貸し付けを行う場合における貸付金の償還期限及び据え置き期間の特例について定めております。
第三は、国内産木材の生産、流通の合理化のための措置であります。国内産木材の生産、流通の合理化を図るための計画を作成し、都道府県知事の認定を受けた者がその計画に従って合理化を推進するのに必要な資金の調達を円滑にするための措置を講ずることといたしております。
このほか、国内産木材の流通の合理化を図るための計画を作成し、都道府県知事の認定を受けた木材卸売業者等がその計画に従って合理化を推進するのに必要な資金を借り入れることにより負担する債務について、林業信用基金は、保証を行うことができることといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108705007X00419790301/2
-
003・佐藤隆
○佐藤委員長 引き続き、両案について順次補足説明を聴取いたします。森水産庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108705007X00419790301/3
-
004・森整治
○森政府委員 沿岸漁業改善資金助成法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
本法律案を提案いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
この法律案は、本則十五条及び附則から成っております。
まず、第一条におきましては、この法律の目的を定めております。
すなわち、この法律は、沿岸漁業従事者等に対する経営等改善資金、生活改善資金または後継者等養成資金の貸し付けを行う都道府県に対し、政府が必要な助成を行う制度を確立し、もって沿岸漁業の経営の健全な発展、漁業生産力の増大及び沿岸漁業の従事者の福祉の向上に資することをその目的といたしております。
次に、第二条におきましては、都道府県が貸し付けを行うこれらの資金をそれぞれ定義しております。
まず、「経営等改善資金」とは、沿岸漁業の経営または操業状況の改善を促進するために普及を図る必要があると認められる近代的な漁業技術または漁労の安全の確保もしくは漁具の損壊の防止のための施設の導入に必要な資金で政令で定めるものをいうことといたしております。
次に、「生活改善資金」とは、沿岸漁業の従事者の生活の改善を促進するために普及を図る必要があると認められる合理的な生活方式の導入に必要な資金で政令で定めるものをいうことといたしております。
また、「後継者等養成資金」とは、漁業後継者たる青少年または漁業労働に従事する者が近代的な沿岸漁業の経営を担当し、または近代的な沿岸漁業の経営に係る漁業技術に従事するのにふさわしい者となるために必要な近代的な沿岸漁業の経営方法または技術を実地に習得するために必要な資金で政令で定めるものをいうことといたしております。
第三条におきましては、都道府県に対する政府の助成につきまして定めております。
すなわち、政府は、都道府県がこの法律の定めるところにより沿岸漁業従事者等に対する経営等改善資金、生活改善資金または後継者等養成資金の貸し付けの事業を行うときは、都道府県に対し、予算の範囲内において、貸し付けに必要な資金の一部に充てるため、補助金を交付することができることといたしております。
第四条及び第五条におきましては、貸付金の貸し付け条件につきまして、その限度額、利率、償還期間及び据え置き期間について定めております。
すなわち、一沿岸漁業従事者等ごとの貸し付け限度額は、それぞれの資金の種類ごとに、農林水産省令で定めることといたしております。
また、利率につきましては、これらの資金の性格にかんがみ、これを無利子とするとともに、償還期間は、経営等改善資金及び後継者等養成資金にあっては七年を超えない範囲内で、生活改善資金にあっては五年を超えない範囲内で、それぞれ、その種類ごとに、政令で定める期間とすることといたしております。
さらに、据え置き期間につきましては、必要と認められる種類の貸付金につき二年を超えない範囲内で、その種類ごとに、政令で定めることといたしております。
第六条から第十一条までにおきましては、貸し付けに当たっては保証人を立てさせること、災害等の場合において償還金の支払いを猶予できること等資金の貸し付けに係る債権の管理を適正に実施するための所要の事項を定めております。
第十二条及び第十三条におきましては、都道府県がこの貸し付けの事業を行う場合には、その事業の経理は特別会計を設けて行わなければならないこととするとともに、その事業に係る事務の一部を漁業協同組合連合会等に委託することができることといたしております。
第十四条及び第十五条におきましては、交付する補助金の額は、都道府県が貸付金の財源に充てるため一般会計から特別会計に繰り入れる金額の二倍に相当する金額または都道府県ごとに農林水産大臣が定める金額のいずれか低い額以内とすること及び都道府県が貸し付けの事業を廃止したときは、政府の補助を受けた割合に応じて政府に納付しなければならないことについて定めております。
最後に、附則におきましては、この法律の施行期日等について定めておりまして、この法律は、公布の日から施行することといたしております。
以上をもちまして、沿岸漁業改善資金助成法案の提案理由の補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108705007X00419790301/4
-
005・佐藤隆
○佐藤委員長 藍原林野庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108705007X00419790301/5
-
006・藍原義邦
○藍原政府委員 林業等振興資金融通暫定措置法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
本法律案を提案いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
第一に、農林水産大臣が定める基本方針についてでありますが、これは第二条に規定いたしております。基本方針におきましては、林業の発展と国内産木材の製造業及び卸売業の発展が密接に関連していることにかんがみ、造林から木材の生産及び流通に至る各段階の合理化を一体的に推進することを旨として、定めることといたしております。
なお、農林水産大臣は、基本方針を定めようとするときは、林政審議会の意見を聞かなければならないことといたしております。
第二に、林業経営改善のための措置についてでありますが、これは第三条及び第四条に規定いたしております。まず、林業を営む者は、林業経営を改善するためにとるべき措置等を記載した林業経営改善計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることができることといたしております。
この認定を受けた者に対して、農林漁業金融公庫が造林資金または林道資金の貸し付けを行う場合における貸付金の償還期限及び据え置き期間は、農林漁業金融公庫法の規定にかかわらず、造林資金にあってはそれぞれ四十五年以内及び二十五年以内において、林道資金にあってはそれぞれ二十五年以内及び七年以内において農林漁業金融公庫が定めるものといたしております。
第三に、国内産木材の生産、流通の合理化のための措置についてでありますが、これは第五条及び第六条に規定いたしております。まず、都道府県知事は、森林組合または素材生産業者、木材製造業者、木材卸売業者もしくは木材市場開設者の組織する団体等の申請に基づき、これらの者の作成する国内産木材の生産、流通の合理化を図るためにとるべき措置等を記載した合理化計画の認定をすることができることといたしております。
この認定を受けた者が国内産木材の生産、流通の合理化を図るためにとるべき措置を実施するのに必要な資金を調達する場合にこれを円滑にするために必要な資金の供給の事業を行う都道府県に対し、林業信用基金は、当該事業に必要な資金を貸し付けることができることといたしております。
また、林業信用基金は、林業信用基金に出資している森林組合、木材卸売業者等で合理化計画の認定を受けたものが、国内産木材の生産、流通の合理化を図るためにとるべき措置を実施するのに必要な資金を融資機関から借り入れることにより負担する債務を保証することができることといたしております。
第四に、林業信用基金の業務の特例に伴う所要の規定の整備についてでありますが、これは第七条に規定いたしております。すなわち、都道府県に対する資金の貸し付けの業務についての区分経理、都道府県に対する資金の貸し付けに必要な資金の一部に充てるための長期借入金及びこれに係る債務についての政府保証並びに都道府県に対する資金の貸し付けの業務に要する経費の一部補助に関する規定を設けることといたしております。
このほか、林業信用基金から資金の貸し付けを受けて事業を行う都道府県は、その経理を林業改善資金助成法の規定により設置する特別会計においてあわせて行うことができることといたしております。
最後に、この法律は、公布の日から施行することといたしております。
以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108705007X00419790301/6
-
007・佐藤隆
○佐藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前九時五十分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108705007X00419790301/7
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。