1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十八年二月二十二日(火曜日)
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昭和五十八年二月二十二日
正午 本会議
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○本日の会議に付した案件
山本自治大臣の昭和五十八年度地方財政計画についての発言並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時三十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/0
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001・福田一
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
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国務大臣の発言(昭和五十八年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/1
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002・福田一
○議長(福田一君) この際、昭和五十八年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣山本幸雄君。
〔国務大臣山本幸雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/2
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003・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 昭和五十八年度の地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
昭和五十八年度の地方財政につきましては、引き続き著しい収支不均衡の状態にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面におきましては、地方税負担の公平化、適正化、受益者負担の適正化等による収入の確保を図るとともに、地方交付税の所要額を確保することとし、歳出面におきましては、経費全般について徹底した節減合理化を行うという抑制的基調のもとで、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、節度ある財政運営を行うことを基本としております。
昭和五十八年度の地方財政計画は、このような考え方を基本として策定をしておりますが、以下、その策定方針について申し上げます。
第一に、地方税負担の現状と地方財政の実情とを勘案し、地方税負担の公平化、適正化を図るため、法人住民税均等割、娯楽施設利用税等の税率の調整、非課税等特別措置の整理合理化等を行う一方、住民税所得割の非課税措置の存続等を行うこととしております。
第二に、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにするため、昭和五十八年度の地方財源不足見込み額については、地方交付税の増額と建設地方債の増発により完全に補てんすることとしております。
第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域住民の福祉の確保、住民生活に直結した社会資本の整備等を図るための諸施策を実施することといたしております。このため、福祉施策及び教育・文化振興対策等の推進を図るための財源を充実するとともに、投資的経費の所要額を確保することとし、また、過疎地域等に対する財政措置を引き続き講ずることとしております。
第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化、一般行政経費の抑制及び国庫補助負担基準の改善を図るほか、年度途中における事情の変化に弾力的に対応できるよう必要な措置を講ずることといたしております。
以上の方針のもとに、昭和五十八年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は四十七兆四千八百六十億円となり、前年度に対し四千三百十八億円、〇・九%の増加となっております。
次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
明年度の地方税制の改正に当たりましては、地方税負担の現状及び地方財政の実情にかんがみ、その負担の公平適正化を図るとともに、住民負担の軽減合理化を図ることを基本としております。
以下、その概要について御説明申し上げます。
第一に、地方税法の改正であります。
まず、法人住民税均等割について、最近における物価水準等の推移、地域社会との受益関係等を勘案して税率の調整を行うとともに、娯楽施設利用税等についても、所得、物価水準の推移等を考慮して税率の調整を行うこととしております。
また、固定資産税等に係る非課税等の特別措置については所要の整理合理化を行うこととしております。
次に、個人住民税について、低所得者層の税負担に配慮するため、引き続き昭和五十八年度においても所得割の非課税措置を継続することとしております。
また、在宅における特別障害者の介護等に配慮するため、同居の特別障害者に係る配偶者控除及び扶養控除の特例を設けることとしております。
さらに、料理飲食等消費税について、住民負担の軽減を図るため、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食に係る基礎控除額を引き上げることとしております。
第二に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正でありますが、日本国有鉄道の納付する市町村納付金の軽減を図るため、その算定標準額に係る特例措置を改めることとしております。
そのほか、所要の規定の整備を図ることといたしております。
これらの改正により、明年度におきましては、三百七億円の増収となる見込みであります。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
第一に、昭和五十八年度分の地方交付税の総額は、現行の法定額に特例加算することとした千百三十五億円、臨時地方特例交付金二十億円及び借入金一兆八千九百五十七億五千万円の合算額を加算した額から昭和五十八年度分の利子として国債整理基金特別会計に繰り入れられる金額のうち三千四百四十六億円を減額することとしました結果、八兆八千六百八十五億円となり、前年度当初に対し、四千六百十五億円、四・九%の減となっております。
なお、借入金一兆八千九百五十七億五千万円については、昭和六十四年度から昭和七十三年度までの各年度に分割して償還することとし、そのうち二千八十四億円についてはその十分の十に相当する額、それ以外の額についてはその二分の一に相当する額を臨時地方特例交付金として当該各償還年度の地方交付税の総額に加算することといたしております。
また、昭和五十八年度の普通交付税の算定については、老人保健制度の実施に要する経費、障害者福祉等福祉施策に要する経費、教職員定数の改善及び私学助成等教育施策に要する経費、公園、清掃施設、市町村道、下水道等の公共施設の維持管理に要する経費等の財源を措置し、あわせて投資的経費については地方債振替後の所要経費の財源を措置するため単位費用の改定等を行うほか、法人関係税等に係る基準税額の精算を三年度以内に行うこととしております。
第二に、交通安全対策特別交付金については、これが地方団体の普遍的な財源であり、かつ、その額も地方団体間の財源調整上無視し得ないものとなってきたこと等の事情にかんがみ、これを基準財政収入額に算入することとするとともに、同交付金の経理を交付税及び譲与税配付金特別会計において別勘定を設けて行うこととし、あわせて、同交付金の額及び使途等について所要の改正を行うことといたしております。
以上が、昭和五十八年度の地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
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国務大臣の発言(昭和五十八年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/3
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004・福田一
○議長(福田一君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。加藤万吉君。
〔加藤万吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/4
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005・加藤万吉
○加藤万吉君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十八年度地方財政計画並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
総理、昭和五十六年度及び五十七年度と続いためちゃくちゃな政府の経済見通しの誤りは、租税収入の見積もりに巨額な歳入欠陥を生じ、曲がりなりにも国民の目をごまかし続けてきた五十九年度赤字国債ゼロの財政政策は一片のほごとなり、その結果、鈴木内閣は、夜逃げ同然の退陣となったのであります。
私は、五十八年度国家予算及び地方財政計画を見るときに、新たに登場した中曽根内閣もまた、国のこの誤った責任を国民と地方に押しつけ、新たな負担と徹底した財政削減による国民生活へのしわ寄せを行っていることに強い抗議をしなければならないと思うのであります。(拍手)
総理、いまや地方団体は、地方債残高、交付税借入金、元利償還負担額等を加えると、五十八年度末、実に五十七兆二千億の巨額な債務を強いられていることになるのであります。返済による財政の硬直化、その危機は独自の地域づくりを放棄せざるを得ない状況に立ち至っているのであります。ますます拡大する借金はいつまで続くのでございましょう。
まだ国の財政計画に明確な見通しを提示し得ないあなたではありますが、この際、危機的状況にある地方財政についてどのようなお考えをお持ち合わせですか、また、その脱出の時期や具体的な展望についてお答えをいただきたいと思います。
政府は、常に、国が借金をしているとき地方が応分の負担をするのは当然という財政一体論や車の両輪論を述べておりますが、国の財政垂直型の政策と、政府の前輪駆動型の財政指導の強化こそが今日の地方財政を危機に陥れているのではありませんか。
現に、わが党は、五十七年度つじつま合わせの国の税収見積もりが地方に及ぼす影響とその危険を指摘をし、反省を求めたのでありますが、政府はこれを強行し、結果は地方交付税一兆六千九百億円余、地方税一兆二千億円余の減収となり、この財源不足は本来国が交付税法にのっとり保障すべきにもかかわらず、全額借入金によって穴埋めをし、借入金の拡大に拍車をかけたではありませんか。
この際、地方団体への大幅な事務、権限の移譲を図るとともに、これに見合う財源の移譲、自主財源たる地方税の増強、形骸化しつつある交付税制度の抜本的な見直しと、その財源保障機能を強めることによって、地方財政自律の中で地方財政立て直しの道を求めるべきだと思いますが、総理の所見をお聞きをいたしたいと思います。
さて、今回の地方財政計画によれば、歳出規模四十七兆四千八百億円に対し、地方財源不足額は史上三番目の二兆九千九百億円、加えて、従来国が負担をしておりました交付税特会の借入金の利子二分の一の負担を加え、三兆三千三百四十六億円となり、またまた交付税借入額拡大と地方債の増発となったのであります。
特に、今回の財源不足は、従来の投資的経費の拡大を伸ばす傍ら、全体の歳出を大きく伸ばした結果として不足額を生じたのではなく、徹底した節減合理化、歳出を抑えた結果としての不足額であります。
国税三税における地方交付税額は、前年度比一二・九%の減に加えて、五十六年度八千五百二億円が減額精算をされ、この交付税の落ち込みが、新しい政策はもちろん、地方単独事業の落ち込みを招いているのであります。過去の財源不足とは全く異質のものであることに注意を喚起する必要があり、この財政構造はここ当分の間推移するものと見なければなりません。
私は、この面からも、政府の公共投資を中心とする経済見通しにかげりを与えるものとして、政府の経済指標の見通し全体に赤信号を抱かざるを得ないのであります。経済指標の達成について、地方財政との関係で大蔵大臣の見解を承りたいと思います。
さらに、今回の地方財政計画は、借金財政の押しつけだけではなく、本来国が負担をすべき支出まで肩がわりをするという国と地方の財政構造の根本にかかわる問題を含めていることであります。
大蔵大臣、大蔵省は一般歳出ゼロの達成のために、地方借入金利子の国から地方への負担変更というからくりをやったではありませんか。
わが党は、かねてから不足額は本則の税率の改正によって埋めるべきであると主張をし、臨時的措置においても国が全額償還することが当然であると要求をしてまいりました。しかるに政府は、交付税特別会計借入金の元金の二分の一を地方に負担させるとともに、今回はさらに借入金の利子の二分の一、すなわち三千四百四十六億円を地方に肩がわりをするという、従来のルールを踏みにじった言語道断の処置をとったのであります。(拍手)
総理、それほどまでに防衛費予算の確保が必要であったのでありますか。総理、これは明らかに粉飾予算の最たるものであり、同時に、実質的には交付税率の引き下げではありませんか。総理の所信をお聞きをいたしたいと思います。
大蔵大臣、この従来の財政上の仕組みの変更は単年度限りでありますか。今後は絶対に行わないと確約ができますか。また、各年度発行される地方債の利子差額交付金にも及ぶのではないかの不安がありますが、大蔵大臣の見解をお聞きをいたしたいと思います。
地方債は、五十七年度補正に比べて〇・四%減となっておりますが、当初比では実に三一・三%増と急騰いたしております。しかも、公債費は四兆七千五百七十四億円であるということから、公債費の比率は地方財政歳出の一一・六%というついに二けた台となり、歳入構造の悪化、財政硬直化はますます進み、地方財政は借金の九五%を過去の債務に引き当てるという、まさに自転車操業の観を呈しております。大蔵大臣、これでも地方に財政のゆとりがあるとお思いですか。
こうした借金依存の高騰も問題ですが、今回政府が講じた地方債計画は、質の点においても地方財政を大きく悪化させるものと言わざるを得ません。これまで政府は、地方債計画の六〇%まで政府資金と民間資金との金利差を利子補給しておりましたが、今年はこれを五〇%に引き下げております。地方債を高める一方で金利差を六〇%から五〇%に引き下げるということは、絶対に容認をし得るものではありません。利子補給の割合引き下げの理由について明らかにしていただきたいと思います。
自治大臣にお尋ねをいたします。
地方債の質の低下を承知の上で自治省がこうした措置を認めたのは、公営企業金融公庫の長年の懸案であった外債発行を認められたということとの引きかえではないかと推測をされますが、いかがでしょうか。
かつて自治省は、公営企業金融公庫の融資対象を一般会計に拡大しようとして、その結果、臨時地方道等三事業への融資拡大によって取り引きをした経過があります。もし外債発行と利子補給の引き下げが取り引きをされたとしたならば、自治省の責任はきわめて大きいと言わざるを得ません。自治大臣の見解を伺いたいと思います。
次に、補助負担金を定額交付金に切りかえたことについて、大蔵大臣及び農林水産大臣にお聞きをいたしたいと思います。
協同農業普及事業負担金の組みかえは、一見、包括的交付金として地方の財源に柔軟性を持たせたかのように見えますが、総額において八十五億円の減額であり、これは対象補助職員の首切りにつながるものであります。とのような減額交付の理由は果たして何でありましょうか。その積算の根拠を明らかにすべきであり、また、交付金への切りかえによる五十九年度以降の交付金の積算、特に給与費は何を基礎として計上をされますか。それとも従来の負担金の積算方法をもって行いますか。林業、水産業等、他の負担金から交付金への切りかえを行った交付金を含めてお答えをいただきたいと思います。
地方税にかかわる非課税措置について自治大臣にお伺いをいたします。
不公平税制の是正、地方の自主財源強化のためにも非課税特別措置は洗い直し、見直しをされるべきであることは、その立場を超えていまや国民的世論になりつつあります。一体、既存の地方税の非課税措置による減収額は五十八年度どのくらいになりますか。また、今回の改正によってどの程度整理合理化ができるのでしょうか、お聞きをいたしたいと思います。
ところで、五十七年度における減収額は五千三百億円でありました。わが党は、個人住民税について課税最低限を現行の非課税限度額まで引き上げることを主張しております。それには約三千五百億円程度の財源が必要となりますが、国の租税特別措置の地方税へのはね返りや地方税の非課税措置を廃止すれば十分減税できるではありませんか。
この際、大蔵大臣は、与野党間の折衝結果を待つまでもなく、所得税減税の見通しを明らかにすべきであり、(拍手)自治大臣においても、個人住民税の減税についてその見解を示すべきだと考えますが、いかがでしょうか。(拍手)
最後に、総理、私は地方行財政制度の重要課題について質問をしてまいりました。総理は、外交並びに防衛問題ではタカ派的論調の要素を持ってきわめて歯切れのよい答弁を行いますが、経済、財政の問題では常にあいまいもことし、地方の時代や地方自治については一片の音色すら聞くことができない中央集権指向性の強い方です。その性格は、やがて国家から地方に至るまであらゆる媒介手段を動員をし、権力によって強度の管理社会を生み出す不安を国民に与えています。
いまやわが国産業もハードからソフトの時代です。世界もまた軍拡から軍縮の時代に進みつつあります。市民の生活の拠点、地方において、自己の存在を自覚し、参加し、行動を通して社会システムの転換を図ろうとする民主主義が高揚しているとき、この時代に対して総理は地域民主主義をどのようにお思いでございましょうか。その御見解をお聞きをし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/5
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006・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 加藤議員の御質問にお答えをいたします。
最初の御質問は、五十七兆に及ぶこの大きな借金財政をいかにするかという御質問でございます。
地方財政は、国の財政と同様に景気の停滞等によりまして税収の伸び悩み、公債、借入金残高の累増等により非常に危機的な状況にあることはまことに遺憾でございます。今後、国と同一の基調に立ちまして、行財政の守備範囲の見直しや歳出の節減合理化等を厳しく行っていただき、国と地方との間の事務配分や財源配分、費用負担のあり方等についても幅広く検討いたしまして、地方財政の収支均衡に取り組むことが必要であり、中央といたしましても、そういう考えで進んでまいりたいと思っております。
次に、自主財源をさらに強化すべきではないかという御質問でございます。
国、地方を通ずる行財政の簡素効率化を図るという現在の行政改革の理想、目標を、地方、国ともに相提携して進んでまいりたいと思っておりますが、地方財政の再建に資するために、行政事務の徹底的な見直し、あるいは機能の再配分等を含めまして、国、地方の関係のあり方について検討する必要があると考えております。
これにあわせまして、財源配分や費用負担のあり方につきましても検討が必要でございますが、御指摘の交付税制度の見直し等の問題は、国、地方の財源配分等の根幹をなす問題でございまして、これは慎重に扱う必要があると考えております。
次に、地方交付税借入金利子の二分の一地方負担の問題でございますが、交付税特別会計借入金利子につきましては、従来、毎年度の予算措置によりまして国の一般会計が繰り入れを行ってきたところでございます。しかし、昭和五十八年度におきましては、国の財政がきわめて厳しい状況にあることにかんがみまして、交付税特別会計においてその一部を御負担願うことにいたしたものでございます。
なお、昭和五十八年度の地方財政につきましては、歳出の節減合理化を図ることとする一方、国におきましても、あるいは起債やあるいは運用部資金の流用等を図りまして、その円滑な運営に支障を生ずることのないように措置を講じておるところでございます。
次に、地方の時代に対する所信いかんということでございますが、私はかねてから、民主主義政治は地方政治の健全な発達の上からできると考えております。そのためには、地方の特性に基づいた豊かな経済、生活、文化を地方において自主的に築いていく必要があると思います。そのためには、過度の中央集権を排撃いたしまして、地方の主体性を保ちながら地域の振興に取り組む、そして地方自治の一層の充実を図ることが必要であると確信しておる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/6
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007・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問、まず第一に、いわゆる地方財政等からくる政府の経済成長見通しについての御意見を交えた御質問であります。
五十八年度の地方財政計画におきましては、厳しい財政事情のもとにありまして、地方単独事業について前年度同額の約八兆六千億円、これを確保いたしますとともに、そのための所要の財源措置を講じております。五十八年度の経済見通しにつきましては、こうした地方単独事業の規模をも踏まえながら策定してまいったのであります。
政府は、物価の安定を基礎としつつ、国内民間需要を中心とした景気の着実な拡大を実現して、雇用の安定を図ることを五十八年度の経済運営の基本的態度といたしております。したがって、このため、引き続き適切かつ機動的な経済運営に努めることとしておりますが、これらの結果、五十八年度の実質成長率は三・四%程度と見込まれておるわけであります。
なお、五十八年度税収につきましては、政府経済見通しにおける諸指標とかあるいは課税実績等を基礎として、個別税目ごとに積み上げて見積もりを行ったということであります。
それから、次に、総理からもお答えがありましたいわゆる地方交付税借入金等に対する利子負担の問題についてでございます。
この問題を総理からお答えがございましたが、なかんづく、五十九年度以降の取り扱いについての御意見を交えた御質問でありました。五十九年度以降の取り扱いにつきましては、今後、毎年度予算編成の過程において、国の財政状況及び地方の財政状況等を総合勘案をいたしまして、地方財政対策の一環としてこれを決めていくということになるわけであります。
しかし、いずれにいたしましても、国民経済のもとにおきます公経済の主体としてのいわば車の両輪、これが地方と国であるという意味におきまして、地方財政が円滑に運営されるよう対処してまいる、これを基本的に考えていくつもりであります。
それから、地方債計画の問題についてでございます。
現在の国の財政状況は、これは申すまでもなく巨額の特例公債を発行するという厳しい状況にありますが、五十八年度の地方財政においても三兆円を超える財源不足が見込まれておりますために、財源対策の一環として交付税増加措置を講ずることとして、そのため五十七年度には講じなかった地方債の金利負担軽減のための臨時地方特例交付金を一般会計に計上する、こういうことにいたしたわけであります。
そうして、利差補給の対象についてでございますが、五十八年度において地方債計画の五〇%、約三兆八千億円の地方債について、実質的に政府資金金利となるような利差補給額を臨時地方特例交付金として措置することといたしまして、五十六年度以前のような六〇%にしなかったが、それはすでに五十八年度地方債計画の政府資金比率が四〇%を超えて相当程度の政府資金を確保しておるということと、そしてまた、公営公庫資金を含めた政府・公庫資金引き受け比率では、おおむね四十年代と同じく六〇%程度となっていること、及びその他国の財政はきわめて厳しい状況に直面していること等を総合的に勘案いたして行った措置でございます。
それから次に、いわゆる地方財政構造に対する認識でございます。
五十年度以降の地方財政の財源不足に対しましては、これは地方交付税の増加措置を図る一方、いわゆる財源対策債としての建設地方債を増発したため、依然巨額の特例公債を発行し続けている国ほどではないにしても、地方財政においても、歳入に占める公債の割合及び歳出に占める公債費の割合が高まってきておることは御指摘のとおりであります。したがって、今後、国と同様、早急にその健全化を図るために、地方団体におかれても国と同一の基調に立って、行財政の守備範囲の見直し、あるいは歳出の節減合理化、これを厳しく行っていく必要があるというふうに認識をいたしております。
それから、いわゆる農業改良普及員等の補助負担金の問題でございます。
臨調答申の趣旨を踏まえまして、普及事業につきましては、地方団体の自主性の発揮の促進と事業の効率的、弾力的な運営を図ります見地から、五十八年度より、従来の個別経費の積み上げによる定率補助金方式を改めまして、標準、定額による交付金として交付する方式を導入することといたしております。この算定に当たりましては、標準、定額による交付金の趣旨を踏まえ、普及職員の設置、普及所の運営等の事業の基礎的な経費につき、事業の円滑かつ適切な運営が図られるように所要額を見込んだものでございます。
そして次は、所得税減税に対する考え方についての御意見を交えた御質疑でございました。
この場所でお答えをいつもいたしておりますように、昭和五十三年以来、所得税の課税最低限の据え置き等によりまして所得税負担が上昇しておるとして、減税を望む声が大変強い、このことは十分承知いたしております。しかし、いま御審議いただいております五十八年度予算におきましては、厳しい歳出の抑制をいろいろいたしまして、そして、この税収による歳出のカバー率は、まだ今日六四・一%と見込まれて、依然として低い水準にあります。そしてまた、個人所得に対する所得税負担の割合は、昭和五十六年で四・九%と、国際的に見れば低い水準にある。以上のような点から、税制調査会も、五十八年度税制改正の答申においては、所得税の見直しを行うことは財政状況等から見て見合わせざるを得ないとの意見が大勢を占めたとされております。しかしながら、この問題につきましては、税制調査会答申が指摘をしておりますように、五十九年度以降できるだけ早い機会に税制全体の見直しを行う中で所得税の課税最低限や税率構造等について抜本的な検討を行う必要がある、このように御指摘を受けておるところでございます。
しかし、今日与野党の間でそれぞれ協議がなされておるという状態のもとにおきましては、その中身について言及することは適当でなかろうと思いますが、その合意が得られればこれを尊重していくということは、これは当然のことでございます。
〔国務大臣山本幸雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/7
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008・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) まず、交付税特別会計借入金利子の負担問題について、昭和五十八年度分の交付税特別会計借入金の利子につきましては、五十八年度の国の財政事情きわめて厳しい事情にあるのにかんがみまして、借入金の元金償還の国、地方の負担割合に応じて、それぞれ国の一般会計、地方の交付税特会が負担することにいたしました。しかしながらこれは、昭和五十九年度以降の利子負担のあり方につきましては、政府としてはその方針を固めるには至っておりません。したがって、この問題については、昭和五十九年度以降の地方財政対策を通じて結論を得ていかなければならない問題であると、かように考えております。
また、地方債の利子差額の交付金ほこれとは全く別の問題であると考えております。
次に、五十八年度発行の地方債の利子差額についての交付金の問題についてお答えをいたします。
これについては、地方債計画総額の五〇%相当額まで利率が政府資金並みになるよう措置したところでございますが、これは、従来にも増して国の財政が厳しいということ、また財投原資の中の政府資金総額が前年度よりも減少をするという厳しい原資の事情にあることなどを考慮したものでありまして、やむを得ないところであると考えます。
なお、取引をしたのではないかという御説でございましたが、公営企業金融公庫の外債発行とは全く別個の問題でございます。
次に、地方税における非課税等特別措置についてお答えをいたします。
地方税の非課税等特別措置による五十八年度の減収見込み額につきましては、現在、計数整理中でございますが、おおむね四千八百億円程度と見込まれ、これに国の租税特別措置による影響分を加えますと、減収額は約五千四百億円程度になるものと見込まれます。
また、五十八年度地方税制改正におきましては、不動産取得税及び固定資産税の課税標準の特例措置等について、二十二件の廃止または縮減を行うことといたしておりまして、これらの非課税等特別措置の整理合理化による増収額はわずかながら見込めるところでございます。
次に、住民税減税についてお答えをいたします。
これは、ただいまも大蔵大臣からもお話があったところでございますが、まず、地方税における非課税等特別措置につきましては、従来からこれが既得権にならないよう、また、慢性化しないようということに努力をし、個々の政策目的と税負担の公平の原則との調和というものを考えながら、その整理合理化を鋭意やってきたところでありまして、明年度の税制改正に当たっても実態に応じた見直しを行っているところでございます。
しかしながら、非課税等特別措置の中には、これは貯蓄の奨励であるとか、あるいは住宅取得を促進するための措置であるとか、あるいは中小企業関係税制といったようなもの、政策推進の見地から見ましても、地方税といたしましてもなお存続をさせるべきものと考えられるものも多くございます。また、国の租税特別措置の中には、課税技術上も地方税への影響を遮断するということは大変困難なものがございます。したがって、現行の非課税等の特別措置を一挙に廃止するということは困難である、これを住民税の減税財源として考えるのにはむずかしいものであるということでございまして、御理解を賜りたいと存じます。
次に、住民税の減税の問題につきましては、国税につきましてはただいま大蔵大臣からもお話がございましたが、昭和五十八年度においては、税制調査会の答申においても述べられておりまするように、現下の地方財政の厳しい状況等にかんがみ、住民税減税を見合わせざるを得ないことにされたところでありまして、まことにやむを得ないものであると考えております。
なお、税制調査会の答申におきましては、「昭和五十九年度以降できるだけ早期に、税制全体の見直しを行う」という中で、課税最低限等について抜本的な検討を行う必要があるという御指摘を受けておるところでございますので、今後検討をしてまいる所存でございます。(拍手)
〔国務大臣金子岩三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/8
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009・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) お答えいたします。
農業改良普及事業については、五十八年度予算において、都道府県の自主性を発揮するとともに、事業の効率的、弾力的運営を図る見地から、これまでの個別経費の積み上げによる定率負担金から標準、定額による交付金に変更することとしたものであります。
交付金の算定については、普及職員の設置、普及所の運営等の基礎的な経費を見込んでいるものであります。
なお、農業改良普及事業費の総額については、他の補助金等とのバランス等を勘案して、対前年度比九八・一%と、若干の減額を見込んでいるものでありますが、対前年度減額補正後と比べますと、一〇〇・五%となっております。このことから、御指摘のような事態にはつながらないものと考えます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/9
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010・福田一
○議長(福田一君) 草野威君。
〔草野威君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/10
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011・草野威
○草野威君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました昭和五十八年度地方財政計画、地方交付税法等の一部を改正する法律案並びに地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
まず初めに、地方財政計画についてお伺いをいたします。
昭和五十八年度の地方財政計画の規模は四十七兆四千八百六十億円で、五十七年度に比べ、わずか四千三百億円、伸び率で〇・九%の増と、過去最低だった昭和三十年度の一・六%をも下回る超緊縮型の計画となっております。
また財政計画の内容も、五十八年度の財源不足が二兆九千九百億円見込まれるため、交付税特別会計の借り入れと地方債の増発という、従来と全く同様、借金による補てんがなされており、このため地方債は、これまでの最高である五兆円にも及んでいるのであります。今回の財政計画は、これまで最高の財源不足を生じた五十四年当時よりも、より一層深刻な状況と言わざるを得ないのであります。
というのは、五十四年度は、投資的経費を中心に歳出を一三%も伸ばしているのに対し、今回は歳出を削りに削り、このため、一般歳出は史上初のマイナス成長となっているのであります。このように、歳出を切り詰めてもなお膨大な借金を抱えている地方財政の今後は、楽観できる要素は何一つなく、さらに深刻さを深めているのではないかと憂慮するものであります。
総理は、このような事態をどう受けとめておられるのか、また、この地方財政の現状をどのように改革されようとしておられるのか、御見解をしかと承りたいのであります。
次に、地方交付税についてお伺いしたいのであります。
深刻な状況下にあって、政府の姿勢は、地方財政にとって財政圧迫を一層強める結果となっております。その一つは、地方交付税の原資にするため借りている資金の利子についてまで地方負担が導入されていることであります。
これまで、交付税会計の借金の償還に当たっては、元金については国と地方が折半し、利子については全額国が負担するたてまえで来たのであります。しかし、今回は利子についても地方に負担させようとしておりますが、これは本来国が負担すべきものを地方に転嫁するものであり、地方の財源保障という交付税制度の趣旨にも反するものと言わざるを得ません。
今日の地方財政の借金は、地方債、交付税会計を合わせると、五十八年度末で五十七兆円にも達し、五十八年度の地方財政計画の規模四十七兆円をすでに上回っているのであります。このような地方財政の現状を改革するためには、今回の交付税会計の借金に対する利子負担の地方転嫁は絶対に行うべきではないと思いますが、これについての見解を求めるものであります。
また、五十年度以降財源不足が九年も続いております。この補てん措置としては、本来のあり方に戻って交付税率の引き上げを行うべきであると考えますが、御見解を伺いたいと思います。
次に、財政の確立と税収の確保を図るための基盤である経済の動向について伺いたいと存じます。
五十七年度経済は、当初見込みを大幅に下回る経済の著しい停滞を来し、当初見込みの実質成長率五・二%を下方修正せざるを得なくなり、このため税収においても、国税で約六兆円、地方税で一兆二千億円の減収を余儀なくされたのであります。これに対して、五十八年度の経済成長は、実質三・四%と見込んでおりますが、まず、この成長率は果たして達成できるかどうか、その根拠についてお伺いしたいのであります。
また、三・四%成長のうち、二・一%は個人消費の伸びに置いておりますが、所得税、住民税の減税見送り、人勧凍結による賃金・物価スライドの停止などから、個人消費の伸びも期待できないのが実情であります。
政府は、見込みどおり達成するために、アメリカの景気回復に大きな期待を寄せているのでありますが、第八次公定歩合の引き下げがいまだに行われないなど、不安要素が強いと言われております。この点についてどのような見通しと判断をお持ちなのか、伺いたいのであります。
また、公共事業に至っては、事業費は四年間据え置き、物価上昇を勘案すると、事業量は一割以上減少しているのであります。こうした要素を考えると、三・四%の成長ははなはだ困難と言わざるを得ません。現行経済状況が続くならば、日本経済は失速し、縮小均衡の悪循環に陥ることは必至であります。
冷え切った景気の回復を図るためには、まず大幅な減税、一兆円規模の公共事業の追加及び中小企業の投資減税の拡充などを盛り込んだ総合的かつ積極的な景気対策を講ずるとともに、人勧凍結の解除も行うべきでありますが、この点についても見解を承りたいのであります。
次に、地方税についてお伺いをいたします。
現行の地方税は、電気税を初め各種の非課税措置がとられております。また、国の租税特別措置等の措置が地方税に影響する仕組みになっているなど、大幅な減収を来すとともに、税の不公平を生じております。
こうした不公平を是正するために、地方税の非課税措置の抜本的見直しを行うとともに、租税特別措置の地方への影響を遮断すべきでありますが、所見を伺いたいと思います。
また、減税についてでありますが、住民税の課税最低限は標準世帯で百五十八万四千円に据え置かれ、低所得者層の負担軽減を図る見地から、五十六年度以降所得割の非課税措置の制度を設けてはいるものの、このような措置では国民の住民税に対する重税感は強まる一方であります。
また、所得税に至っては六年間据え置かれておりますが、国民の税負担の軽減と個人消費の喚起という面からも、所得税、住民税を合わせて一兆円以上の減税を行うべきでありますが、この点についても政府の明確な見解を求めるものでございます。(拍手)
最後に、国、地方を通ずる事務、財源の改革について、お伺いをしたいと思います。
最近の住民の価値観の多様化に伴って、地方公共団体の行政は質、量ともに増大しており、住民の要求にこたえるためには、現在の中央集権的な地方行財政制度を改革し、地方自治の充実を図ることが強く要求されております。本年は、特に、四年に一度の統一地方選挙が施行され、いまこそ地方自治を充実すべきときであると考えるものであります。
しかしながら、まことに残念ではございますが、総理の施政方針演説においても、地方自治のあり方に対しは全く触れられておらず、軽視しているのではないかと危惧の念すら覚えるものでありますが、総理はどのような姿勢で地方自治に取り組んでおられるのか、地方自治に対する御所見をしっかりと伺いたいのであります。
さて、現在の補助金総額十五兆円のうち、その八〇%に当たる十二兆円は地方団体に交付されているのであります。このため、地方公共団体の大半の事務が補助事業となっており、地方行政の隅々まで国の介入を許す結果となっております。五十八年度の補助金整理の状況を見ても、件数では減少しておりますが、総額では逆に二千三百億円ふえているのが実情であります。補助金制度を根本的に見直し、補助金の一般財源化を図るなど地方自治の充実を期するべきでありますが、この点についての見解を明らかにしていただきたい。
また、中央集権の象徴とも言うべき機関委任事務について、臨調答申では二年間に一割程度の整理をすることとしておりますが、これでは真の改革にはほど遠いものと言わざるを得ません。したがって、機関委任事務を廃止するとともに事務、権限について地方分権を行い、国、地方の行政事務の抜本的な改革を図るべきであると考えるものでございます。これらの点についても見解をお伺いしたいのでございます。
以上、地方行財政の基本的並びに当面する緊急課題について質問をいたしましたが、総理並びに関係大臣の率直な答弁を要求し、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/11
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012・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 草野議員の御質問にお答えをいたします。
まず、窮迫した地方財政に対する認識と現状をどう改革するかという御質問でございます。
地方財政は、国の財政と同様に、景気の状態から税収の伸び悩み、公債、借入金残高の累増等により、きわめて危機的な状況にあると認識しております。今後、国と同一の基調に立ちまして、行財政の守備範囲の見直しあるいは歳出の節減合理化等を厳しく行うとともに、国と地方との間の事務配分、財源配分、費用負担のあり方等につきまして幅広く検討して、地方財政の収支均衡に取り組むことが必要であると考えております。
次に、地方交付税率を引き上ぐべきではないかという御質問でございました。
地方財政構造の健全化を図る必要がございますが、この交付税率引き上げの問題は、中央と地方との財源配分に関する根幹的な問題でございまして、これは慎重に検討する必要があると思っております。
次に、中小企業の投資減税等の問題について御質問がございました。
今回の中小企業の投資促進のための措置につきましては、これは限られた財源の中で精いっぱいの努力をしてこのような措置をとったものでございます。今後ともこのような基本線の上に立ちまして、中小企業の対策についてはさらにいろいろ検討してまいりたいと思っております。
一兆円規模の公共事業の追加等の景気対策の御質問がございました。
五十八年度予算におきましては、厳しい歳出削減を進める中でも、公共事業費は昨年と横並びという措置をとりました。現在はまた、昨年の秋、臨時国会で御賛成をいただきました経済対策を遂行中でございます。今後とも物価の安定を基礎とし、民間需要を中心とした景気の着実な拡大を実現させるために、機動的な政策運営を行ってまいりたいと思っております。
人事院勧告凍結の解除の問題でございますが、今回は、危機的な財政事情のもとに公務員の皆様方につきましては大変な御迷惑でございますが、やむを得ず異例の措置として給与改定の見送りを行わざるを得なかったのでございます。この点は御了承をぜひともお願いいたしたいと思うところでございます。
次に、減税の問題について御質問がございました。
減税の問題については、われわれの方もやりたいという熱望を持っておりますが、財源の問題にぶつかりましていろいろ苦労しておるところでございます。何とかいい方法はないかと思って模索しておるのが現状でございますが、与野党間におきましても話し合いが進められておりますので、その話し合いを見守っておるという状態でございます。
さらに、地方自治の問題について御質問がございました。
地方自治の制度は、民主政治の基盤をなすものであると考えております。わが国の地方自治は、戦後の新地方自治制度の発足以来三十有余年を経過いたしまして、次第に住民の間に理解と協力を得られまして定着してきていると考えております。今後とも民主主義の発展のために、この基盤をなす地方自治の拡充のために、充実のために、地方自治の本旨にのっとりまして努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
残余の御質問は、関係大臣より御答弁申し上げます。(拍手)
〔国務大臣山本幸雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/12
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013・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 交付税特別会計借入金の利子のことでございますが、従来、国の一般会計からの繰り入れによる予算上の措置を講じてきたところでございますが、明五十八年度におきましては、国の財政全般の厳しい状況にかんがみまして、地方財政としても、交付税特会においてその一部を負担することといたしたわけでございます。
しかしながら、五十八年度の地方団体に対する財政措置といたしましては、地方財政の円滑な運営に支障を生ずることのないように、この利子負担分も含めまして、財源不足額を補てんする措置は講じたつもりでございます。
次に、地方税における非課税等特別措置についてお答えいたします。
地方税における非課税等特別措置につきましては、先ほどいろいろ御意見がございましたが、個々の政策目的と税負担の公平の原則というものとの調和を図らなければならないという観点に立ちまして、既得権化あるいは慢性化ということにならないように、常に見直しをする必要があることは申すまでもありません。明年度の税制改正に当たりましても、実態に応じた見直しを行い、できるだけの整理合理化を行うこととしたわけでございます。
ただ、現行の特別措置の中には、たとえば貯蓄の奨励、住宅取得を促進するための措置とかあるいは中小企業関係の税制など、地方税の中におきましても政策推進の見地から見てなお存続させるという必要があるものが多くありますし、また、国の租税特別措置の中には、課税技術上地方税への影響を遮断するということは困難なものがあることを、ひとつぜひ御理解を賜りたいと存じます。
いずれにいたしましても、税負担の公平確保の見地から、非課税等特別措置につきましては絶えず見直しを行い、今後ともその整理合理化に努めてまいる所存でございます。
次に、補助金制度の見直しの問題についてお答えをいたします。
国、地方を通ずる行財政を簡素合理化し、また地方の自主性を推進するという目的のために、国庫補助金等の整理合理化を進めるよう、すでに臨時行政調査会あるいは地方制度調査会などで提言をいただいておるところでございます。今後引き続き、これらの提言の考え方を踏まえまして、補助金等の整理合理化を進める必要があると考えておりまして、関係省庁とも協議をしながら、この推進に努めてまいる所存であります。
また、地方団体の事務事業として定着をしておるものに係る国庫補助金などにつきましては、その事務事業の実施に支障のないよう地方財源の確保を図りながら一般財源化を図ることが望ましいことであると考えており、したがいまして、この問題につきましても、関係省庁とも協議の上、その推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、機関委任事務についてお尋ねがございました。
機関委任事務に関しましては、臨調の第三次答申を受けまして、昨年の九月二十四日の閣議決定におきまして、お話しのように、二年間に少なくとも一割程度の整理合理化を進めるということと、もう一つは、機関委任事務等のあり方に関する重要かつ基本的な事項についての調査審議を進めるために、臨時行政調査会の審議の結果を待って新たな審議機関をつくる、こういうことになっております。
機関委任事務につきましては種々問題もあり、第十七次地方制度調査会の答申においても、この抜本的な再検討が必要であると御指摘も受けておりますが、当面、閣議決定の線に即して極力その整理合理化を進めるとともに、新たな審議機関が設けられるということになっておりますので、それにおいて、これらの答申を踏まえながら、今後、この廃止を含めまして、地方自治の本旨に即した制度のあり方を検討すべきものであると考えておるところでございます。(拍手)
〔国務大臣塩崎潤君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/13
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014・塩崎潤
○国務大臣(塩崎潤君) 草野議員にお答えいたします。
まず、昭和五十八年度の経済成長率実質三・四%が達成できるかどうかという問題でございます。
この点につきましては、現在の安定した物価のもとで、在庫調整も五十七年度中に円滑に進んでまいりました。一方、わが国経済の今回の低迷の原因となりましたアメリカを初めとする世界経済の回復も見込まれますので、わが国経済は、この程度、つまり三・四%程度の成長率は達成できるものと考えております。
また、人事院勧告の問題につきまして御心配がございましたが、ただいまのところ、国民総生産の過半を占めます個人消費につきましては、特に消費者物価が継続して安定しております上に、生産活動の上昇による可処分所得の増大等によって、引き続き今後着実に伸びていくものと見込まれます。
次に、アメリカ経済の問題でございます。
本年一月末に発表されました大統領予算教書によりましても、一九八三年は一・四%、それ以降は四%の成長と見込まれておりまして、最近の諸指標や経済界や学界の方々の御発言などからみても、慎重ながらも楽観論が強まりつつある状態と言われておりまして、かなり明るい方向に向かっているものと考えられます。
また、欧州諸国におきましても、八二年下期のマイナス成長から本年には緩やかながらも回復に転ずるものと期待されております。
このように欧米諸国の景気が今後次第に回復していくものと期待されることから、輸出面等を通じてわが国経済の成長にも相当程度の寄与をするものと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/14
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015・福田一
○議長(福田一君) これにて質疑は終了いたしました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/15
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016・福田一
○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X00819830222/16
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