1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十八年九月二十日(火曜日)
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昭和五十八年九月二十日
午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
永末英一君の故議員谷垣專一君に対する追悼演
説
国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙
国土審議会委員の選挙
鉄道建設審議会委員の選挙
行政改革に関連する諸法案を審査するため委員
四十人よりなる行政改革に関する特別委員会
を設置するの件(議長発議)
国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に
伴う関係法律の整理等に関する法律案(内閣
提出)、総務庁設置法案(内閣提出)、総理
府設置法の一部を改正する等の法律案(内閣
提出)、総務庁設置法等の一部を改正する法
律案(内閣提出)及び行政事務の簡素合理化
及び整理に関する法律案(内閣提出)の趣旨
説明及び質疑
午後一時三十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/0
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001・福田一
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
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002・福田一
○議長(福田一君) 御報告いたすことがあります。
議員谷垣專一君は、去る六月二十七日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
同君に対する弔詞は、議長において去る七月十五日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
〔総員起立〕
衆議院は 多年憲政のために尽力し さきに地方行政委員長の要職につき また国務大臣の重任にあたられた議員従三位勲一等谷垣專一君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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故議員谷垣專一君に対する追悼演説発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/2
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003・福田一
○議長(福田一君) この際、弔意を表するため、永末英一君から発言を求められております。これを許します。永末英一君。
〔永末英一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/3
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004・永末英一
○永末英一君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員谷垣專一君は、去る六月二十七日、参議院選挙の開票が終わった直後、御病状急変し、御逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。
私は、君の出身校である「紅萌ゆる丘の花」京都の第三高等学校の五年後輩であり、四十年この方、同窓会のことや京都地方の政治、さらにわが国の政局について、君から御懇篤な御指導をいただいてまいりました。いま尊敬する先輩を失い、哀惜の情ひとしお深いものがあります。
ここに、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べたいと存じます。(拍手)
君は、明治四十五年一月、京都府福知山市に生まれ、福知山中学校を抜群の成績で御卒業になり、第三高等学校を経て、東京帝国大学法学部に学ばれました。
小学校時代より剣道に親しまれた君は、三高時代に寮生活の中で剣道部の厳しいけいこに没頭し、他校によく武者修行に出かけて剣を磨かれました。その修行中に相手から右耳の鼓膜を破られたとき、「何を」と奮起し、相手の倒れるまで立ち合ったという血気盛んながんばりが、全国大会でみごと君に優勝の栄誉をもたらし、「三高剣道部に谷專あり」の名を全国にとどろかしました。その太刀筋は上背を利しての面打ち、豪壮華麗な剣でありました。
また、この間、福知山中学時代には全国中等学校雄弁大会で優勝される等、まさしく文武両道に秀でた人格を磨き上げられました。
君は、剣に強いだけではなく、三高剣道部の歴史に残る主将として、特に後輩のめんどうをよく見る愛の人でした。母校が廃校されて三十年以上になりますが、三高剣道部OBの集まりは、いつも君を中心として団結を誇ってまいりました。
君は、東大卒業後、農林省に入られました。入省して三年、選ばれて中国東北地方(旧満州)東寧の前面、国境線の地点に、日本からの開拓農民の指導者として大規模な水田づくりにいそしまれました。このとき知り合った影佐禎昭陸軍中将の御令嬢安紀さんと昭和十九年結婚され、現本院議員禎一君の誕生となるのであります。
昭和十七年、日本内地で食糧の危機的状況があらわになったとき、中国東北地方からそばを送ろうと、君は東京へ談判に飛ばれました。当時すでに、そばは統制品であったので、明治神宮にそばを奉献し、それを払い下げてもらうという形を考えつかれました。「奉献そば二万石」の記事は、昭和十七年十一月十九日の紙面に報道せられ、当時の東京市民の飢餓感を大いにいやしました。
また、十八年の秋、本省に帰られた君は、昭和二十年、戦局の悪化のため、農林省が中国東北の各地に送り込んだ勤労奉仕隊の青少年を内地に呼び戻そうと努力し、現地に飛んで、やっと八月二十五日、全員帰還の段取りを手配されました。ところが、八月八日、ソ連の対日一方的宣戦布告、次いで中国東北地方への侵略が始まり、君の計画は画餅に帰しました。君は、後々まで「実に無念だ」とこのことを語るのでした。
戦後の窮迫した食糧事情を打開するために緊急開拓十カ年計画がまとめられ、君は再び選ばれて長野県農地部長として現場で開拓の事に当たられました。
君の農政に対する姿勢には、文章を扱うていの行政官ではなく、体をぶつけて国民とともに事を行う政治家としての気魄が脈打っているのを覚えます。(拍手)やがて君は官房長に任ぜられ、農林行政の中枢に立ち、次いで畜産局長として困難な畜産行政の衝に当たられました。
昭和三十五年十一月の第二十九回総選挙に当たり、君は当時の池田勇人総理から直接の要請を受けて出馬し、地元福知山出身の元内閣総理大臣芦田均先生の衣鉢を継ぐものとして郷党の衆望を一身に担われて当選、みごとに初陣を飾られました。(拍手)
以来、今日まで衆議院議員として八回の御当選、この間、建設政務次官、厚生政務次官、文部大臣、衆議院地方行政委員長、自由民主党副幹事長、総務会副会長など、内閣、本院あるいは党の枢機に重きをなしてこられました。
君は、国民生活の安定に尽瘁され、一世帯一住宅の実現を図るため、住宅建設計画法成立に力を尽くし、第一期住宅建設五カ年計画の策定をなし遂げられました。
さらに、下水道整備五カ年計画、治水事業五カ年計画の策定など、長期的展望に立った施策の立案、実施に奮闘されました。
また、医師国家試験をめぐって大学医学部の紛糾が続発していたとき、この収拾に努力され、さらに、社会保障の体系的整備、公害問題の解決に多大の貢献をされました。
第二次大平内閣の文部大臣としては、あらゆる困難を排して小中学校の四十人学級を実現し、また、教科書無償問題を推進されました。
君は、こよなく郷土を愛し、郷土の発展のために惜しみなく努力されました。
暴れ川といわれた由良川の治水に渾身の力をふるわれ、昭和五十六年三月、ついに荒河水門排水機場を竣工、これによって福知山内水排除計画を完成し、名物の福知山水害を根絶され、記念に、京都平安神宮の庭に咲く桜と同じ征しだれ桜一株を排水場に植えられました。この二本の桜は、四月には華麗な花をつけ、永劫に君の御功績を伝えています。(拍手)
さらに、君は、郷土の発展のためには交通網の整備が肝要であるとして、早く列島横断輪切り線の必要を説かれ、これが列島横断自動車道計画となったことは有名な話であります。こうして近畿自動車道舞鶴線が計画されるに至りました。また、福知山と宮津とを結ぶ宮福線建設計画も、君の努力の結果であります。
君の政治家としてのバックボーンは剣から出ていると思います。君は、剣についてこう話られました。「剣道をやる人は、ただ一人の相手との攻防の中で自分自身を見きわめていかなければならない。結局、自分自身に深く入っていくから精神的心境の深さが要求される。精神的心境の深さが剣道の特性であり、この境地を求めて修行するのが剣道である。」
剣道に対するこの深い理解は、剣を通じてより深いところで人間に対する愛に結ばれていると存じます。君はよく「いくさするなら謙信公のように、敵もなさけに泣くそうじゃ」との歌を愛唱されましたが、ここに愛の政治家、谷專の真髄があると思います。(拍手)
御子息の禎一本院議員の御述懐に、次のようなエピソードがあります。禎一議員が小学校三年のころの話です。「ある台風の日でした。飼っていた犬が子供をたくさん生んだのですが、雨の中を逃げ出してしまいました。外はあらしだし、眠くもあったので捜しに行かないでいると、「なぜ行かない。生まれたばかりの子犬はこの雨で死んでしまうではないか」とどなられたので、私は台風の中を捜しに出ました。幸い子犬は全部見つかりましたが、日ごろやさしかっただけに、あのときの父のこわさはいまだに忘れられません」このエピソードは、君の人となりを語って余すところのないさわやかさに満ちております。(拍手)
君はかつて文部大臣のとき、「学校給食にお米重視を」と主張されました。「人間は、その土地で生産されたものによって生命をつないでいくことが自然な道理だ。日本の国土、自然が生み出した米、一番うまい米を子供たちに食べさせる給食を通じてこれを教えることが教育だ。それこそ日本そのものを教えることではないのか」この君の主張の中に、日本を愛し、日本人を愛し、農政に一身をぶち込んだ政治家としての真骨頂があります。
剣に悟入し、その深いところで人間への愛を体得した得がたい政治家であった君の突然の御逝去は、わが国にとっても、また、本院にとっても、さらにわが郷土京都にとっても返す返すも残念なことです。しかし、八月の君の補欠選挙に御子息禎一君が君の御遺志を継ぎ、みごと当選の栄冠をから取られ、いま本院議員として活躍せられていますことは、君もまた泉下で、あの穏やかな笑みを浮かべて御子息を見守っておられることと存じます。(拍手)
ここに、君、御生前の偉業をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りして、追悼の言葉といたします。(拍手)
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国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙
国土審議会委員の選挙
鉄道建設審議会委員の選挙発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/4
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005・福田一
○議長(福田一君) 国土開発幹線自動車道建設審議会委員、国土審議会委員及び鉄道建設審議会委員の選挙を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/5
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006・保利耕輔
○保利耕輔君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/6
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007・福田一
○議長(福田一君) 保利耕輔君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/7
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008・福田一
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
議長は、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に井岡大治君を指名いたします。
次に、国土審議会委員に下平正一君を指名いたします。
次に、鉄道建設審議会委員に山口鶴男君を指名いたします。
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特別委員会設置の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/8
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009・福田一
○議長(福田一君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。
行政改革に関連する諸法案を審査するため委員四十人よりなる行政改革に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/9
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010・福田一
○議長(福田一君) 起立多数。よって、そのとおり決しました。
ただいま議決せられました特別委員会の委員は追って指名いたします。
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国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案(内閣提出)、総務庁設置法案(内閣提出)、総理府設置法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)、総務庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/10
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011・福田一
○議長(福田一君) この際、内閣提出、国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、総務庁設置法案、総理府設置法の一部を改正する等の法律案、総務庁設置法等の一部を改正する法律案及び行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。国務大臣齋藤邦吉君。
〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/11
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012・齋藤邦吉
○国務大臣(齋藤邦吉君) 国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、総務庁設置法案、総務庁設置法等の一部を改正する法律案及び行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
初めに、国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案につきまして申し上げます。
この法律案は、国家行政組織法について、行政需要の変化に即応した効率的な行政の実現に資するため、国の行政機関の組織編成の弾力性を高めるとともに、あわせてその基準を一層明確にするための改正を行うことに伴いまして、各省庁設置法等関係法律二百三件につき必要な整理等を行おうとするものであります。
次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
第一に、国家行政組織法の一部を改正する法律の施行期日を昭和五十九年七月一日と定めることとしております。
第二に、各省庁設置法等の改正であります。
その一は、新たに各省庁全体の所掌事務の規定を設けるとともに、官房、局及び部の規定を削ることとしております。
その二は、序次長、局、部の次長、国務大臣を長としない庁に置かれる総括整理職等、政令で定めることとされた職の規定を削ることとしております。
その三は、附属機関その他の機関を審議会等、施設等機関及び特別の機関に区分し、審議会等及び施設等機関について法律で定めることを要しないものについてその規定を削ることとしております。
その四は、地方支分部局のうち、ブロック単位に設置された機関等の個別の名称、位置、管轄区域及び内部組織は政令で規定することとし、これらについての規定を削ることとしております。
以上のほか、各省庁設置法等について所要の規定の整備を図ることとしております。
第三に、各省庁設置法等の改正に関連する諸法律について所要の改正を行うこととしております。
なお、総理府設置法及び行政管理庁設置法等については、別に提出している総務庁設置法案及び総理府設置法の一部を改正する等の法律案において本法律案と同じく整理等を行うこととしております。
次に、総務庁設置法案について申し上げます。
この法律案は、最近における行政需要の変化に即応して、総合的かつ効率的な行政の推進を図るため、臨時行政調査会の答申の基本的方向に沿って、総理府本府及び行政管理庁の組織と機能を統合再編成し、総理府の外局として総務庁を設置しようとするものであります。
総務庁は、各種総合調整機能の相互補完関係をより緊密なものとするという基本的考え方に基づき、行政機関の人事、機構、定員及び運営の総合調整機能と行政監察機能の総合的運用を図るとともに、青少年対策等の特定の行政施策の総合調整機能をあわせ有するものとし、政府における全体としての総合調整機能の活性化と総合的発揮を図ることとしております。
さらに、統計の重要性にかんがみ、総理府及び行政管理庁の統計行政機構を統合再編して、統計行政における中枢的機能を確立するとともに、恩給に関する事務を含めて、これらを一体的に遂行することとしております。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一は、総務庁の所掌事務及び権限についてであります。
総務庁は、まず各行政機関が行う国家公務員等の人事管理に関する方針、計画等の総合調整等人事行政に関する事務、行政制度一般に関する基本的事項の企画、行政機関の機構、定員及び運営の総合調整等組織、定員管理に関する事務、各行政機関の業務についての監察に関する事務を行うこととしております。
また、恩給を受ける権利の裁定等恩給に関する事務のほか、統計制度の基本的事項に関する企画その他統計に関する総合調整及び国勢調査その他の基幹的統計調査の実施等統計に関する事務を行うこととしております。
以上のほか、交通安全対策、老人対策、地域改善対策事業、青少年対策及び北方対策など特定の行政分野における事務の総合調整等を行うこととしております。
第二に、総務庁の長は総務庁長官とし、国務大臣をもって充てることとしております。
総務庁長官は、所掌事務に関し、各行政機関の長に対し資料の提出及び説明を求め、また、随時、内閣総理大臣または関係各行政機関の長に対し意見を述べることができることとしております。
さらに、総務庁長官は、監察を行うため必要な範囲において各行政機関の業務について実地に調査することができることなど、行政監察の機能と効果を確保するための権限を行使できることとしております。
第三に、総務庁に公務員制度審議会を置くほか、特別の機関として青少年対策本部及び北方対策本部を置き、その長にはそれぞれ総務庁長官たる国務大臣をもって充てることとしております。
さらに、地方支分部局として、管区行政監察局、地方行政監察局等を置き、行政機関の業務の監察、行政相談等の事務を分掌するほか、必要に応じ行政機関の機構、定員及び運営に関する調査等の事務を分掌することができることとしております。
最後に、総務庁は、昭和五十九年七月一日から発足することとしております。
次に、府県単位機関の整理合理化のための総務庁設置法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
各省庁の地方支分部局の整理合理化につきましては、去る三月の臨時行政調査会の第五次答申において各般の改革方策の提言が行われているところでありますが、その一環として、ブロック機関のもとに設置されている府県単位機関について、そのあり方を見直し、簡素な現地的事務処理機関とすべき旨の提案が行われているところであります。
政府は、この提言を踏まえつつ地方支分部局の整理合理化を進めることとし、当面まず府県単位機関のうち法律改正を要する地方行政監察局を初め三機関について速やかに所要の措置を講ずることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
第一に、地方行政監察局、地方公安調査局及び財務部の整理合理化を図るため、これらをそれぞれ行政監察事務所、公安調査事務所及び財務事務所と改め、所要の現地事務を処理させることといたしております。
第二に、この法律は、昭和五十九年十月一日から施行することといたしております。
最後に、行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律案について申し上げます。
先般、政府は、臨時行政調査会の第五次答申に至る全答申を踏まえた行政改革の具体化に関する新たな方針を決定いたしております。
その一環として、同調査会の第三次答申及び第五次答申に係る規制及び監督行政の適正化、国と地方公共団体の機能分担の合理化等の事項の実現に資するため、関係行政事務の簡素合理化及び整理を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
次に、法律案の内容について御説明申し上げます。
第一に、規制及び監督行政の適正化のための許可等の整理合理化に関する事項といたしまして、資格制度、検査・検定制度、事業規制及びその他の分野に係る許可等の事務について、廃止、規制の緩和、民間等への委譲などの合理化を行うこととし、漁船法の一部改正による漁船の登録の簡素化、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部改正によるエネルギー管理士の試験事務の民間団体への委譲その他の改正を定めております。
第二に、国と地方公共団体の機能分担の合理化等のための事項といたしまして、地方公共団体の長等に委任されている国の事務について、社会経済情勢の変化に伴い必要性の乏しくなっていると認められる事務の廃止または縮小、地方公共団体の事務としてすでに同化、定着していると認められる事務の当該地方公共団体の事務への移行、都道府県知事の事務の市町村長への委譲などを行うこととし、興行場法の一部改正、住民基本台帳法の一部改正その他の改正を定めております。
この法律案は、以上の方針により十四省庁五十八法律にわたる改正を一括取りまとめたものであります。
なお、この法律は、一部を除き原則として公布の日から施行することといたしております。
以上、国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、総務庁設置法案、総務庁設置法等の一部を改正する法律案及び行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/12
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013・福田一
○議長(福田一君) 国務大臣丹羽兵助君。
〔国務大臣丹羽兵助君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/13
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014・丹羽兵助
○国務大臣(丹羽兵助君) 総理府設置法の一部を改正する等の法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
今回、別途御提案申し上げております総務庁設置法案において、総理府本府及び行政管理庁の組織及び機能を統合再編成し、総理府の外局として総務庁を設置することといたしておりますが、本法律案は、総務庁の設置に当たり、総理府本府の組織及び機能の整序を図るため、所掌事務の整理、総理府総務長官及び総理府総務副長官の廃止、審議会等の各省庁への移管等の措置を講ずるとともに、行政管理庁を廃止するほか、関係法律の規定の整理等を行おうとするものであります。
次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一は、総務庁の設置により、総理府本府から、人事行政、恩給及び統計に関する事務並びに交通安全対策、老人対策、地域改善対策事業、青少年対策及び北方地域に関する事務の総合調整等に関する事務を総務庁へ移管することに伴い、総理府設置法等の関係法律について所要の改正を行うことといたしております。
第二は、行政管理庁の所掌事務を総務庁へ移管することに伴い、行政管理庁設置法を廃止することといたしております。
第三は、総理府総務長官及び総理府総務副長官を廃止することとし、これに伴い、内閣官房長官が内閣総理大臣を助けて府務の整理、総理府本府の事務の監督等を行うこと、内閣官房副長官が内閣総理大臣の定めるところにより内閣官房長官を助けること、さらに、総理府に総理府次長を置き、内閣官房長官及び内閣官房副長官を補佐し、事務の総括を行うことといたしております。
第四は、総理府本府に置かれている審議会等のうち、公務員制度審議会等四審議会等を総務庁へ、雇用審議会等十審議会等を労働省等八省庁へそれぞれ移管することとし、これに伴い、雇用審議会設置法等の関係法律について所要の改正を行うことといたしております。
第五は、国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に伴う総理府設置法等の関係法律の規定の整理を行うほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
第六は、この法律は、総務庁設置法の施行の日から施行することといたしております。
以上が、総理府設置法の一部を改正する等の法律案の趣旨であります。(拍手)
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国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案(内閣提出)、総務庁一設置法案(内閣提出)総理府一設置法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)、総務庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/14
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015・福田一
○議長(福田一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。嶋崎譲君。
〔嶋崎譲君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/15
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016・嶋崎譲
○嶋崎譲君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました行革関連五法案について、総理並びに行政管理庁長官に質問をいたします。
この行革関連法案は、第二臨調の答申を受け今年五月閣議決定されたいわゆる行革大綱に基づき具体化されたものであります。総理が今次国会を行革国会と位置づけられたのも、このような経過を踏まえて特徴づけようとされたものと考えます。そのとおり、中曽根内閣の行革はいま新たな段階を迎えています。第二臨調が発足して以来第五次の答申を終えその任務が終わったという第一ラウンドから、いまやそれらを具体化しようという第二ラウンドに入ったからであります。
そこで最初に、総理、臨調答申をどのように受けとめておられるかを伺いたいのであります。
臨調設置法によれば、調査会の目的は、「社会経済情勢の変化に対応した適正かつ合理的な行政の実現」のため、その所管事務は、「行政の実態に全般的な検討を加え、行政制度及び行政運営の改善に関する基本的事項を調査審議する。」こととされています。したがって、昭和三十六年から三十九年までの第一臨調では、行革の観念を政策の領域と行政管理の領域とを区別し、行革の対象を後者に限定したのであります。つまり、政策は立法府を中心に決定されるものといったてまえに立って、そのもとでその政策を行政が有効かつ効果的に実施する上で支障となっている点を解消するため、既存の行政の組織や運営の仕組みなどをどう改革するか、これが行革の観念であったのであります。
ところが、第二臨調は、防衛関係費、経済協力費、エネルギー対策費、国債費などを別枠とし、他の経費の概算要求枠の伸び率をゼロとする差別的シーリングの閣議決定を受けて、五十七年度予算編成に向け個別施策の支出削減にかかわる具体案の提示が求められるという、最初から生臭い政治過程の汚れ役を引き受けさせられたのであります。
この結果、基本答申と言われた第三次答申は、「近年の内外の環境変化の下で、国の機構、制度及び政策の全般について幅広く見直しを行い、中長期的な展望に立って、行政の在るべき姿、今後の行政改革の基本的な方策を提示する」と述べたのであります。
注意すべきことは、見直しの対象を機構、制度だけでなく政策も含められた点にあるのです。最終答申において行革の基本的視点とされた変化への対応とは、実は変化への政治的対応であったのであります。したがって、中曽根内閣は、この答申の具体化に当たって、答申が国の基本的施策にまで踏み込んだものであるだけに、答申をうのみにするのでなく、答申が示す基本的施策の方向づけが憲法に照らして妥当なものであるかどうか、国権の最高機関である国会の意見に耳を傾けるという手続をとるべき性質のものであると思うが、総理の答申への基本的な対応に対しての意見を聞きたいのであります。
次に、臨調答申とそれを受けた中曽根内閣の行政改革路線について、その方針をただしたいのであります。
その一は、臨調答申に貫く行革の哲学は問い直さなければならないという点であります。
答申は、行革の目指す目標として、「活力ある福祉社会の建設」「国際社会に対する積極的貢献」を掲げ、新しい行革の基準らしいものを示しています。臨調に哲学ありとすれば、この二点に尽きます。ところが、答申のどこにも出てこない重大な指標の欠落は、憲法的視点の脱落であります。
憲法は、理念的には国民の基本契約であり、そこには国家の基本構造の原理とともに国家目標の根本が内在しているのであります。憲法に言う国民主権、人権尊重主義、平和主義の三大原則は、日本の常に目指す基本目標であります。防衛費の突出、福祉、教育の切り捨てと言われた臨調行革路線は、憲法の理念に立脚した民主の哲学と国民的基盤のない行革であり、人権尊重に逆行する行革であり、平和主義の国是に背反する行革と言わなければなりません。国民のための行革とは全く相反するものなのであります。その最大のものは、戦争を放棄した憲法の平和主義に反する防衛費の特別扱い、聖域化につながる政策であります。臨調が重要政策の中で防衛を取り入れ、財政再建とは適合しない防衛費の聖域化に一定の基礎を与えた点に第二臨調の際立った姿勢を見ることができます。
答申は、憲法の精神に基づきとしながらも、みずからの国はみずからの手で守る国民的合意のもとで有効な戦力を備えるべきだとし、他方ではそれと全く矛盾する、一国の安全を単独で確保することは困難であると断定し、日米安保体制を支持しつつ、今後とも同体制の円滑かつ効果的な運用に配慮すべきだと述べています。臨調の言う国際社会への積極的貢献とは、基本的には米国を中心とする対ソ世界戦略への協力のための同盟の強化であることは明らかであります。そして、防衛大綱の実施、国防会議の活性化を提言しているのであります。この提言は、憲法上の疑義を免れないが、国論を二分するほどの根本問題に対し、政府・与党の立場に立って、臨調の課題を越えた領域に踏み込んだものと批判されても当然だと思うが、総理の見解をただしたいのであります。
また、憲法九条の平和主義は、国を守るための自衛権は当然としても、その手段として陸海空軍を保持せず、国の交戦権を認めないとしたのは、古くからの伝統的な防衛観念、つまり、軍事力と外交という二本立てで国を守るという考え方に対し、世界に例のない軍備を放棄することを方向づけた防衛観念に立つところにその特色があると思うが、総理の憲法九条についての理解を明らかにしていただきたい。
第二には、臨調・中曽根行革は、憲法が明示した人権尊重という国家目標への努力の放棄に等しいという点であります。
臨調も指摘するとおり、急速な高齢化社会の到来とともに年金制度が危機的状況を帯びていること、乱診乱療等による医療費の非効率などは、確かに的確な対処や処置が必要な問題であります。しかし、それらの是正や改善は福祉政策の後退を意味するものであってはならないのであります。
ところが臨調は、活力ある福祉社会をうたいながら、自立自助、民間活力を基本とするという国民任せの原理に逃避して、みずから掲げた公的サービスの体系の整備への積極的努力を放棄しているのであります。ここ数年の予算編成過程におけるゼロないしマイナスシーリング枠の設定の結果、年金の物価スライドの停止、老人医療費の有料化、さらには健保の本人の二割負担、児童手当の抑制など、七〇年代において福祉増進の課題が緒についたやさきに早くも見直しが始まり、臨調もその路線に沿って改革の方向を福祉抑制の側に差し向けることになったのであります。
教育も同様であります。私学助成の総額の抑制、国公立大学の学部、学科、定員増の抑制、四十人学級の見送り、さらには義務教育の教科書の有償化、奨学金制度の改悪、学校給食の補助の抑制など、枚挙にいとまがありません。社会の活力や国の安全という臨調の目指す基本価値にとって、教育の果たす役割りがきわめて大きいにもかかわらず、この点の前向きの哲学と政策の貧困は、臨調・中曽根行革の致命的な弱さの一つと断定せざるを得ないのであります。(拍手)
しかも、これら福祉と教育の後退とうらはらに、他方で防衛力の強化が進んでいるため、この後退の意味は、憲法第二十五条、第九条の双方に逆行する哲学に立っていると見るべき状況証拠であると考えるが、総理の明快な見解を明らかにしていただきたい。
第三には、臨調・中曽根行革は、民主の哲学と国民的基盤に立つことに根本的に欠けているという点であります。
現代の民主国家では、政治及び行政への国民の参加の要請が世界的趨勢であるが、中央及び地方の双方でこの原則を推進しようとする意図はほとんど見られないのであります。国民の知る権利の制度的保障、情報公開制などの実施についてもはなはだ消極的であります。今日の地方自治体が努力しつつある動向に学ぶ態度すらないのであります。
また、八〇年代の最大の課題は財政再建であるが、税財政の民主的コントロールを強化する発想はどこにも見出せないのであります。大蔵省主導の財政過程に対し、在来の国会の統制、たとえば予算委員会だけでは真に国民的なものにならなかった実態にかんがみ、財政作用をもっと国民の監視や批判のもとに置く方式が考案されなければならないと考えます。国の財政と税制の双方に国民の批判を不断に受け入れるシステムを導入する必要があるのであります。
また、国と地方の機能分担についても、市町村への事務配分や機関委任事務の整理合理化をうたってはいるが、抜本的な行財政の再配分を地方分権の立場に立って改革し、中央集権的官僚制を民主化する発想など、どこにも見出すことができないのであります。
総理、これら幾つかの課題にどう対処されようとするのか、民主の哲学と政策の貧困についてどう判断されるか、見解を伺いたいのであります。
総理、五年間所得減税を見送り、人勧を凍結し、福祉や教育を抑制し、国民に犠牲を負わせながら、財政再建の展望がいまだに開けないという現実にどのような政治責任を感じておられるのか、明確にすべきときであります。(拍手)
総理、臨調・中曽根行革では財政再建はできないということ、財政再建の具体策を国民の前に示すべきであります。見解をお示しください。
以上述べた臨調・中曽根行革における憲法的視点の欠落はどこから来ているのか、憲法改正のみを考えてこられた総理の政治姿勢に由来するのか、見解を伺っておきたいのであります。
さて、最後に、行革関連法案について見解を伺います。
その第一は、国家行政組織法の一部改正案の付託がえについてであります。この法案は、すでに内閣委員会に付託済みの法案ですが、国会法四十五条に言う特に必要があると認められる案件として、あえて特別委員会を設置してまで付託する理由を明らかにしていただきたい。
第二には、国家行政組織法改正案はわが党の矢山議員がこの場で質疑を行ったので、その内容にはあえて触れないが、総理は、第二回国会の国家行政組織法案の審査の際、行政組織の内部部局の設置を政令事項にしていることに対し、これを政令で決めれば国会は関与できなくなり、政党政治が行政官庁にとって無用となること、ややもすれば肥大化する傾向のある行政機構をチェックし、簡素化するためにも法律事項とすべきであると、かつて主張されております。今回提出の法案とは正反対であります。どちらが総理の本心なのか、時によって信念が変わるのですか、お答えください。
今回の法律案では、官房、局の上限を百二十八と定めているが、改正に伴い政令化される部、審議会についての歯どめがなく、機構膨張の可能性が残るが、これをどうコントロールされるのか。このチェック機能として、臨調第三次答申でさえ国会への報告義務を要請しているのに、改正案では官報に公示するとしているにすぎないのであります。国会への報告義務を明示すべきだと思うが、どうか。お答えを願いたい。
次に、総務庁設置法案及び総理府設置法の改正案について伺います。
総理は、総務庁構想を行革の目玉と位置づけているが、これらの案では、局部、審議会、人事等、予算、定員の縮減もなく、単なる機構いじりで、看板のかけかえにすぎないではありませんか。総理がかねてから公言している財政再建、小さな政府、実効ある行革とは無縁であると思うが、見解をいただきたい。
行政事務の簡素化及び整理に関する法律案も、その努力の跡は見られるが、法案で措置されているものは、許認可及び機関委任事務の全体から見れば氷山の一角でしかないのであります。もっと抜本的な改革に着手すべきだと思うが、どうか。
以上、要するに、総理は今次国会を行革国会と位置づけられたが、大山鳴動してネズミ一匹の感を免れないのであります。今後設置される行政改革に関する特別委員会では、私が以上述べてきたように、臨調・中曽根行革を憲法に照らして審査すべきものと考えます。憲法に即して、国民のための行革に向けて、中曽根内閣はその政策転換を図るべきであることを強調し、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/16
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017・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 嶋崎議員の御質問にお答えをいたします。
まず第一は、安保、防衛、そのほかの政策問題について臨調がこれを検討することは越権ではないかという御質問でございますが、この臨時行政調査会設置法におきましても、行政の制度並びに運営、この問題につきまして総合的に検討するように、臨時行政調査会は使命づけられ、また、それを受けて、政府はその行政改革を実行しておるものでございます。したがいまして、行革にはタブーがないという姿勢のもとに、いままで国民の皆様や各党各派の御理解をいただいて進めてきておるものでございまして、そのような憲法上の原則やあるいは国の基本政策、政策の方向等については論及を余りしてないのであります。むしろ、行政技術的な改革論について臨調答申は主として行われておるのでありまして、そのやり方は適切であると考えております。
すなわち、機構あるいは人員、あるいは事務処理、中央と地方との関係、あるいは官と民との関係、あるいは許認可の問題等々について臨調は主として答申をしていただいておるものでありまして、これらは、皆様方とともに臨調答申を検討しつつ改革を進めておるという状態なのでございます。
次に、臨調あるいは行革に関して、憲法の理念との関係はいかがかという御質問でございますが、もちろん、国民主権のもとに、平和主義、民主主義、三権分立、人権の尊重、国民の福祉等を中心にします憲法の理念の具体化は当然必要であり、その原則のもとに、いま行政改革も行われておるものなのでございます。
しかし、民主政治を実現していくためには、国民の要望というものを、これを取り上げることは絶対的必要性、使命でございます。そういう意味におきまして、簡素にして効率的な、しかも次の時代に対応し得る行政の力と財政力を持った政府をつくるということも国民の声であると思っております。臨時行政調査会及び政府は、その方向に沿ってただいま行政改革を実施し、国民の支援を受けていると解釈しておるものでございます。
さらに、憲法第九条等との関係について御質問がございましたが、もちろん、憲法第九条につきましては、先般来申し上げているように、自衛権を認められ、それに必要な最小隈の自衛力を保持する、そういう関係で、節度ある自衛力を整備し、かつまた安保条約を締結いたしまして抑止力をっくっておるわけでございます。そういうような諸原則の範囲内におきまして、自衛隊のあり方、その効率性等につきまして、いろいろ検討も進めておるところであり、臨時行政調査会が費用対効果を重視して効率的整備を行うということは、われわれとしてはこれを尊重いたしまして、その線に沿って行いたいと考えておるところでございます。
さらに、憲法第二十五条との関係について御質問をいただきましたが、やはり最近の社会経済情勢の大きな激変に対応して、行財政の体質、適応力を強化する、これが福祉あるいは教育の向上に将来また資する重大なる政策であり、未来を確かにする問題であると思います。
また、年金や福祉の問題にいたしましても、今日なすべきことをなさないでおきますと、それ自体の基礎が崩れるという危険性にいま遭遇しておるわけでございまして、いま、長期的、安定的なこれらの制度を維持し活力を回復するために、行政改革を実施しておる次第なのでございます。
年金改革につきまして、全体の理想像を出すべきであるという御質問でございますが、このような激動している時代におきまして、二十一世紀に対応し得るような政府の基盤をつくるというのが、われわれの行革の基礎にございます。本年五月の閣議決定に基づきまして、年金問題担当大臣を置き、そのもとに、公的年金制度の一元化を展望しつつ年金制度全般の見直しを行う、このような基本方針のもとに、ただいま鋭意検討を続行中のものなのでございます。
次に、ゼロシーリングやマイナスシーリングを行うということは、縮小再生産につながり、財政再建をむずかしくするのではないかという御質問でございますが、いまのような膨大な赤字を抱えておりまして、この状態をそのまま続けるならば、将来、社会に対する対応力を失うことは必定でございます。インフレなき経済成長を持続していくということ、そうして財政の対応力を回復していく、そういうような関係に立ちまして、歳出歳入全般を総合的に見直しつつ、日本の体質の改善に努力しているというのが私たちの真意でございます。昭和六十五年度までの対象期間中に、特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引き下げに努力をする、その方針を決めまして、いよいよ努力を開始しているところでございます。
なお、そのほか、この間におきまして、許認可等を統合しあるいは廃止し、民間経済活力の発揮を図る、こういう面についても特に注意しておるところなのでございます。
次に、「増税なき財政再建」を堅持するか、行政改革と財政再建を切り離していると考えるかどうかという御質問でございますが、財政改革を推進するためには、歳出歳入構造の徹底した見直しが必要であります。
現下の厳しい財政事情にかんがみ、歳出の見直しに当たりましては、現行制度の枠内で単なる削減にとどまるだけでなく、経済社会の変化に適合しなくなった制度、慣行自体の変革まで踏み込んだ行財政改革をやる必要があるのでございます。昭和五十九年度予算編成に当たりましても、このような考え方に立ちまして歳出の節減合理化等に最大限の努力を重ねてまいります。したがいまして、行政改革と財政改革を切り離して考える立場ではございません。さらに、「増税なき財政再建」という理念は、あくまでこれを堅持してまいるつもりでございます。
次に、現行の国家行政組織法が制定されましたときの私の所見について御質問をいただきましたが、確かに昭和二十三年の国家行政組織法制定当時におきまして、私はその原案を批判をいたしまして、そしてできるだけ国民代表である国会が関与する方向に修正をしたことは御指摘のとおりでございます。
これは、戦前におきましては、官制人権のもとにほとんど行政機構、定員等は勅令で決めまして、国会が関与することはなかったのでございます。その弊害が相当ひどい情勢でもあり、民主主義のたてまえからいたしましても、その行き過ぎた弊害を是正するという意味におきまして修正をしたのでございます。
しかし、今日、戦後四十年近くたちまして、議院内閣制の成熟度あるいは政党政治の確立あるいは民主的統制の確立あるいは行政管理制度の充実等々がかなり浸透してまいりまして、環境の変化が非常に大きくなってまいりました。その上に、行政機構は肥大化し、行政運営は固定化し、官僚がややもすれば既得権にすがるという情勢になりまして、この時代に対応する機動力、対応力、それらを必要とする時代になってきておるのであります。
さきに、皆様方の御協力によりまして、国家公務員につきましては総定員法をつくらしていただきまして非常に効率を上げているわけでございますが、それと同じ趣旨で局部の総定員法をつくっていただこう、局につきましては、中央省庁百二十八の局の範囲内におきましては政府が自由にこれを改編して時代に適合し得るような行政体系を持とうという意味で、このような改革を行った次第でございます。
この改革について、改編後国会報告をするようにしたらどうかという御質問でございますが、これらの問題につきましては、与野党でいろいろ折衝もあるだろうと思いますが、その折衝の模様を見守らしていただきたいと思っておる次第でございます。
さらに、内閣委員会にすでに付託されているものを今度は特別委員会に一括付託し直すとはいかなる理由であるかという御質問でございますが、この法案は今回提出いたしました行革に関する諸法案と密接な関連性を持っておるものでありまして、これらの行政改革の諸法案と一体として御審議いただく方が便利である、そのように考えまして、そのような措置をお願いした次第でございます。
あとは行管長官から御答弁さしていただきます。(拍手)
〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/17
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018・齋藤邦吉
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私に対する御質問に対してお答え申し上げます。
行政機関の組織の官報公示制度をとりましたことにつきましては、すでに総理からお答え申し上げたとおりでございます。
総理府と行管庁を統合する総務庁の問題について、人が減るわけではないではないか、こういうお尋ねでございましたが、今回の統合再編成というものは、基本的には臨時行政調査会答申の趣旨に沿いまして、人事管理、組織、定員管理等に関する総合調整機能と行政監察機能の総合的運用を図りますとともに、特定の行政施策の総合調整機能をあわせ有するなど、総合調整機能の活性化とその総合的発揮を目的とするものでございまして、人員や予算の削減を直接的な目的としているものではなく、総合的機能の強化が主眼である、こういうわけでございますから、長い目でごらんいただきたいと思う次第でございます。
なお、機構、定員については、従来すでに決定されておりまする人員削減あるいは課の縮減、こういう従来決まっておりまする方針に従って措置をしてまいりたいと考えておる次第でございます。緒・許認可の整理についてお尋ねがございましたが、許認可等の整理につきましては、国民負担の軽減、行政事務の簡素合理化、民間活力の助長等に配慮しながら推進してきたところでございまして、今回の一括法案におきましても、このような趣旨から、二十六法律にかかわる許認可等の整理合理化を行うことといたしております。
また、機関委任事務の整理合理化につきましては、二年間に一割の整理合理化を目途として政府部内において取りまとめた措置を法律で改正するものを提案いたしておる次第でございます。
政府としては、新行革大綱の方針に従いまして、今後とも行政事務の簡素合理化に努めてまいる所存でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/18
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019・福田一
○議長(福田一君) 鈴切康雄君。
〔鈴切康雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/19
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020・鈴切康雄
○鈴切康雄君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま趣旨説明のありました行革関連五法案に対し、総理並びに行管庁長官に若干の質問をするものであります。
今国会は、新憲法下にあって百回目を迎えた意義ある国会であります。また、中曽根総理は、みずから行革国会と銘打ち、意義づけされておられます。しかし、提案された法案の内容を検討した限りにおいては、およそ国民のための行政改革とはほど遠い内容のものと言わざるを得ないのであります。第二臨調答申、それに続く行革大綱の決定により、いまや行革は名実ともに実行の段階を迎えたわけでありまして、中曽根行革の試練の舞台がこの行革国会であると言っても過言ではないのであります。
個々の法案に関する問題点は後ほど触れますが、まず初めに、総理の基本的な行革に対する考え方及び姿勢についてお尋ねいたします。
まず、行政改革を断行する上で何をおいても肝要なことは、総理の指導力であり、決断と実行でありますしかるに、今回の行政改革において、総理の指導力と決断は必ずしも十分に示されなかったのではないかと考えますが、今回の行政改革に当たり、総理の考え方と決意をお示しいただきたいと存じます。
さらに、行政改革を断行するに当たって重要な観点は、簡素で効率的な行政に改革するには、何といっても仕事減らし、機構減らし、入減らし、金減らしを伴ったものでなければならないということであります。すなわち、これらの視点を欠いたものは、国民の期待を裏切るばかりか行革の名に値しないと思うのでありますが、この点について総理の御所見をお伺い申します。
また、第二臨調の土光会長は、「増税なき財政再建」を一貫して主張されてこられました。中曽根総理も、当初はその方針に沿っておられましたが、五月の行革大綱では、いつの間にか「増税なき財政再建」の文言は失われております。ちまたでは、政府の意図するところは大幅増税による財政再建をわらっているのではないかという推測も行われております。
総理、あなたは、「増税なき財政再建」というスローガンをおろされ、変更されたのかどうか、それとも、「増税なき財政再建」は堅持するという基本姿勢に変わりはないのか、明確にしていただきたいのであります。(拍手)
行政改革の重要な柱は、何といっても中央省庁の統廃合にあります。政府は今国会に総務庁設置法案を提出しておりますが、中央省庁の改革に当たっては、行政をいかに変革し国民の期待にこたえようとするのか、その具体的な展望が明らかにされることが必要であり、単なる機構いじりであってはならないと思うのであります。臨調は中央省庁の大幅な改革を求めておりますが、これらの点につき総理の御所見と展望をお示しいただきたいのであります。
中央省庁の統廃合計画と並んで重要なのが、特殊法人の統廃合計画の実施であります。
特殊法人に関しては、次期通常国会に提出する予定と言われておりますが、政府が決定した行革大綱の内容にとどまる限り、特殊法人の整理統合も国民の期待に沿うものにはならないと思うのであります。総理は、特殊法人に対する思い切った統廃合の断行についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
次に、定員削減の問題があります。
政府の第六次までの定員削減計画に当たっては、昭和四十三年から五十八年までの十六年間に約十六万人の削減の実績があると言っておりますが、実際の純減数はわずか一万二千人しか削減されておりません。これでは定員削減計画は名ばかりで、実のない計画と言わざるを得ないと私は思うのであります。現下のきわめて厳しい行財政状況のもとにあって、この機に総定員の大幅な純減を行うべきであると思いますが、この点について総理の御決意をお示しいただきたいのであります。
また、国家公務員のほか、特殊法人などの職員の人事管理の改革を進めることが必要であると思います。臨調は、この点について、その見直しと制度の改革を求めております。総務庁構想に当たっても、政府内でこの点について十分な検討が行われなかった、そのように言われておりますが、総理は今後どのような対策を講じていかれるのか、御所見を承りたいのであります。
さて、次に、行革関係五法案に関してお尋ねいたします。
今回提案されました五法案の中には、先国会より継続されている国家行政組織法改正案に関連した法律案が提出されております。そこで、国家行政組織法改正案の問題を洗い出すことが先決であると考えるものであります。
国家行政組織法改正案の目的は、言うまでもなく、各省庁の内部部局や審議会、附属機関等の設置改廃について、法律事項から外し、政令にゆだねることにあります。確かに、新しい行政需要に敏速に対応するためには、部局の再編成が弾力的にできるようにすることは必要な面もあり、全面的に否定するものではありません。しかし、局の数も現行数に抑え、将来削減に向かっての努力が欠如している点は問題であり、指摘をしておかなければなりません。従来は法律事項となっていたため、行政の怠慢、独走等が国会で厳しくチェックされ、行政の公正及び中立性が保たれていたことも厳然たる事実なのであります。
この点に関しましては、先ほども御質問がありましたが、昭和二十三年五月の第二回国会で国家行政組織法が審議された際、中曽根総理、あなたは当時民主党の代表として、国会のチェック機能の重要性を訴え、厳しく指摘されております。
すなわち、昭和二十三年五月二十四日の決算委員会で、あなたは、あらゆる官庁の内部部局というものが政令で決められてしまえば、国会はこれに関与をしなくなると述べ、さらに、政党政治というものは行政官庁にとっては無用なものになってしまうとまで述べられ、法律でチェックして、ややもすれば膨大にならんとする行政機構というものを簡素にする必要があると指摘して、芦田内閣の提案された法律案を修正し、現在の国家行政組織法を制定したという経緯があります。
時は移り、立場は人を変えると言われておりますが、三十五年前には法律事項とするよう法案修正に尽力されたあなたが、現在は逆に法律事項から除外する立場の責任者となっておられます。変われば変わるものであります。
そこで、行政組織に対する国会の民主的統制及び機構膨張抑制という観点から、総理の現在の心境をお尋ねいたします。
次に、行革国会の目玉と言われている総務庁設置法案等についてであります。
現行の総理府と行政管理庁とを統合再編成して総務庁と総理府にする内容ですが、臨調答申では、総合管理庁設置構想が提言されておりました。今回提案された総務庁設置構想は、単なる名称の違いだけなのか、内容についてはどうなのか、また、総務庁設置に変更した経緯について明らかにしていただきたいのであります。
臨調第三次答申では、人事、組織、定員の一元化を図るための機構改革を目的としていたはずでありますが、今回の総務庁設置構想は、極論するならば、総理府本府と行政管理庁を単純統合し、看板を書きかえたのにすぎないという批判も高まっております。すなわち、機構、予算、人員、仕事のどれをとっても削減されたとは言えない内容でごまかしたと言っても過言ではありません。内閣法の改正がない限り、大臣の数もこれによって削減されたわけでもなく、わずかに総務副長官のポストが削減されたにすぎません。行革の重要な中核とも言える中央省庁の統廃合にしては余りにもお粗末な内容と言わざるを得ないと思うのでありますが、総理は、今回の総務庁設置構想に関して、真に行革の名に値すると考えておられるのか、率直に御答弁願いたいのであります。
しかも、最終的に法案としてまとまるまでに、ほぼ臨調答申の趣旨に沿ってつくられた橋本試案すら、官僚等の強硬な反対の前にあえなく妥協し、大幅に後退したと言われております。行革国会の目玉とされてきた法案がこのていたらくでは、今後、国鉄、電電、専売等抜本的改革をしなければならない重要課題が山積している現在、総務庁設置法案に見られる政府の弱腰の態度は、今後に大きなしこりを残したと言わざるを得ませんが、この点について総理の御所見をお伺いいたします。(拍手)
次は、地方出先機関の中で府県単位機関の整理合理化を内容とした総務庁設置法等改正案についてであります。
地方行政監察局、地方公安調査局、財務部を廃止し、現地事務処理機関を置くとしております。この改正により、仕事、組織等がどれくらい縮小されるのか、これまた単なる看板のかけかえに終わると思われますが、この際はっきりしていただきたい。また、府県単位機関の整理合理化に関しては、これ以外にも臨調答申ではさまざまな提言がなされておりますが、その改革を今後どのように進められるか、お考えをお伺いいたします。
最後に、行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律案についてであります。
許認可等の整理合理化と機関委任事務の整理合理化を内容とした法律案でありますが、きわめてなまぬるく、内容の乏しいものであります。しかも、今回の機関委任事務の整理合理化に当たって重要な問題として留意すべき点は、地方分権の推進という面に欠けていることであります。政府は、今後どのような方針で機関委任事務の整理合理化を進めていかれる考えなのか、また、地方分権の推進という観点に立ったときどうお考えになっておられるか、お尋ねいたします。
さらに、総理は、かねてより行革に当たって民間活力の向上ということを強調されておられましたが、このような観点からも、許認可等の整理合理化を積極的に推進すべきであると思います。政府の今後の許認可等の整理合理化方針を明らかにしていただきたいのであります。
わが公明党は、かねてより行革推進の立場をとってきております。その行革を進めるに当たっては、国民の期待に沿うようなものでなければならないと考えており、今後ともこの考えに沿って行革を推進することを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/20
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021・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 鈴切議員の御質問にお答えをいたします。
今次行革に関する私の基本的考え方いかんという御質問でございます。
前から申し上げておりますように、内外の諸情勢の変化に対応して、二十一世紀に向かってたえ得る行政及び財政の基礎を築こう、そういう考えに立ちまして、不退転の決意でこれを進めておる次第でございます。
鈴切さんには、いままで内閣委員会等において大変御鞭撻をいただきましたが、今後とも御鞭撻をお願い申し上げたいと思っています。特に、国鉄の再建問題あるいは年金の改革問題あるいは電電、専売公社の改革問題等々、重大問題がいよいよ提示をされてくる今日におきまして、真剣なる努力を払ってこれを推進する決心でございますので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
次に、行革を断行するには、仕事減らし、機構減らし、入減らし、金減らしであると、かねがねの御持論をお述べいただきました。まことにそのようなものであると私も考えております。そのために、行財政の守備範囲あるいは機構、人員等を総合的に見直していくこと、それから中央と地方との事務の再配分あるいは官業と民業との調整、これらの問題も大きく取り上げていかなければならぬと思っております。その意味におきまして、今回の法律の御制定をお願いしている点もあるのでございます。
次に、「増税なき財政再建」の言葉がないが、それは失われたのかという御質問でございますが、「増税なき財政再建」の理念はあくまで堅持してまいるつもりでございます。
中央省庁の改革に当たりまして展望を明らかにせよ、こういう御質問でございます。
すでに、新行革大綱におきまして決められました諸原則に基づきまして全般的な行革の構想をいま進め、その第一歩として、今回総務庁設置等の機構改革案を提出した次第なのでございます。このような機構改革、総務庁設置法案以下の問題あるいは国家行政組織法の改革等を経まして、次に、いま大体中央官庁におきましても八省庁が自主的改編を心がけて、その再編成をいろいろ準備しているところでございます。
運輸省等におきましては、許認可官庁から政策官庁に脱皮するために大規模な改革を用意をいたしておりますし、その他の省におきましても、必要な、時代に適合した自主的改編を心がけておるわけでございます。その意味におきまして、ぜひとも国家行政組織法等の改正案を通過させていただきたいとお願い申し上げる次第でございます。
特殊法人につきまして御質問をいただきましたが、これも、行革大綱及び新行革大綱の線にのっとりまして、特殊法人の整理を精力的に進めてまいるつもりでございます。
臨調答申で指摘されましたものは七十一法人ございます。統廃合が医療金融公庫あるいは国立競技場等七法人、民間法人化が農林中央金庫、中小企業投資育成株式会社等二十法人、それから事業の縮小等が雇用促進事業団や住宅・都市整備公団等四十四法人ございます。これらにつきましては、その答申の趣旨を尊重いたしまして、目下鋭意検討しておるところでございます。
次に、定員削減について御質問をしていただきました。
定員につきましては、総定員法をつくっていただきまして、昭和四十三年から約十六年間に一万二千人以上の純減を達したところであります。この間に、各県に医科大学を創設したり、あるいは二百海里で海上保安庁の強化を行いましたり、あるいは各地の飛行場がジェット機化しまして管制官を大量に必要とするとか、さまざまな需要がございましたが、この定員法を守りまして、しかもその中でネットで削減をしてきているわけでございます。
また最近におきましても、昭和五十七年度において千四百三十四人、五十八年度におきましては千六百九十五人を純減しており、来年はさらにこれを多くするように努力しておるところでございます。すでに第六次定員削減計画におきまして、五年に五%削減する、そういうような趣旨のもとに、いま進めておるところでございます。
次に、国家公務員や特殊法人等の職員の人事管理の改革を進めることが重要である、そういう御質問でございますが、まことに御同感でございまして、臨調答申の線に沿いまして、国家公務員や特殊法人の職員の人事管理等につきまして、この提言を尊重いたしまして、政府は答申どおり各省庁と連絡をとりまして実行してまいるつもりであります。
次に、国家行政組織法が制定されましたときの私の提案について御質問をしていただきましたが、これは先ほど申し上げましたように、戦争前におきましては、官制人権のもとに勅令事項でほとんど政府の独断で行政組織が決められておったわけであります。その行き過ぎを直すために、戦後におきまして、昭和二十三年に現在の国家行政組織法が提案されたわけで、そのときには、さらに国会の統制力を強め、そして官僚的独善性を排除するという意味においてそのような改正を加えたのでございます。
しかし、戦後すでに日長く、現在の情勢では政党は充実し、民主的統制は確立され、行政管理制度もかなり高度に充実しておる状態でございます。この変化の激しい状況のもとに、やはり公務員につきまして、総定員法を決めまして総定数を決めましたと同じように、今度は部局につきましても、総定員法に当たるような数を限定していただきまして、百二十八の局でございますが、その範囲内におきましては、時代に合うように常に自己革新を行えるような体制にすることが望ましい、そういうことで今回御提案を申し上げた次第なのでございます。
次に、中央省庁の統廃合につきまして御質問いただきましたが、総合管理庁と今回の総務庁とは非常に大きな差がございます。総合管理庁の場合には、総理府の人事局と行管庁とを統合するというのが主でございましたが、今度は思い切って総理府総務長官の所掌事項と行政管理庁長官の所掌事項とをほとんど一本にいたしまして、一部のものを除きましては一本にいたしまして、簡素、機能強化等を行うようにした次第なのであります。
橋本案から後退しているではないかという御質問でございますが、筋はあくまで通されておりまして、後退しているという事実はないと思います。
以上で御答弁を終わりますが、国鉄あるいは電電あるいは専売あるいは職場規律の確立等につきましては、さらに鋭意努力して、御期待に沿う気持ちでございます。
あとは関係大臣に御答弁をお願いいたします。(拍手)
〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/21
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022・齋藤邦吉
○国務大臣(齋藤邦吉君) 総理からお答えになりました以外の問題について、二点ございますので、私からお答え申し上げます。
まず最初は、府県単位の仕事の問題について整理の問題でございますが、今般の府県単位の機関の整理合理化に関する法律案は、地方行政監察局、地方公安調査局、財務部の三府県単位の機関をそれぞれ事務所名称の現地事務処理機関に縮小改組しようという趣旨のものでございます。政府といたしましては、今般の法律改正によりまして、できるだけ各機関の業務をブロック機関に集中し、また業務処理方式を合理化するなどによりまして、これら現地事務処理機関の業務内容を極力圧縮し、要員規模もこれに即応して極力縮減を図る所存でございます。
今回の措置は、今後における国の地方出先機関整理のいわば第一弾とも言うべきものでありまして、政府としては、今後とも臨調答申の地方出先機関に関する各般の提言の趣旨を踏まえ、新行革大綱に沿って逐次改革を進めてまいりたいと考えております。
もう一つの御質問は、許認可、機関委任事務の問題でございますが、許認可等の整理につきましては、国民負担の軽減、行政事務の簡素合理化、民間活力の助長等に配慮しながら推進してきたところでありまして、今回の一括法案におきましても、このような趣旨から、二十六の法律に係る許認可等の整理合理化を行うこととしておりますが、今後もこの方針に沿って一層努力をする所存でございます。
また、機関委任事務の整理合理化につきましては、国と地方の関係の改革に関する課題の一つでありまして、臨調第三次答申の趣旨を受けて二年間に一割の整理合理化を目途として、政府部内において取りまとめた措置でございます。政府としては、今後とも新行政改革大綱の方針にのっとりまして、政令上の要措置事項の処理等を逐次実施してまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/22
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023・福田一
○議長(福田一君) 吉田之久君。
〔吉田之久君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/23
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024・吉田之久
○吉田之久君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました行革関連法案に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
言うまでもなく、行政改革は今日の国政における最重要課題であります。いまやわが国は世界で有数の豊かな国となった反面、いわゆる先進国病症候群とも呼ぶべき症状が顕著になりつつあることを否定できません。すなわち、戦後ますます肥大化した官僚機構、加えて歴代自民党政権による放漫な振る舞い行政、あげくの果ては国債残高約百十兆円に上る国家財政の憂うべき破綻、さらには他の先進諸国にも例を見ない急速な高齢化社会の到来、これらはこの症状の危険性を一層深刻なものとする可能性をはらんでいると思います。先進国病の到来を未然に防止し、その適切なる対応を急ぎ、活力ある福祉国家の基盤を確立することは、次代を担う国民に対するわれわれの当然の責任であり、義務であります。(拍手)
もし、問題を増税によって解決しようとするならば、さなきだに冷え切ったわが国の経済と国民生活をいよいよ逼塞状態に陥れることはきわめて明白であります。また、問題に目をつぶって既得権擁護の立場から行革反対に終始するならば、いたずらに財政再建をおくらせ、結局大増税かインフレへの道を開いて、次の世代を塗炭の苦しみに追いやることは必至であります。ここに来て、わが国経済と社会の再生の道は断固行政改革の路線を直進する以外にないのでありまして、われわれ民社党が常に行革断行を叫び続けてきた理由もまさにここにあるのであります。(拍手)
総理も、静かな改革の第一歩は行革だ、中曽根内閣ができた大半の理由も行革にあると述べておられます。まさにその言やよし力しかし、今回提出されたこの行革法案の中身は一体何でありますか。まことに微温的、不徹底きわまる内容であることに私たちは愕然たる思いであります。中曽根総理の行革は、全く有言不実行の最たるものではないかとさえ言いたくなります。いま国民がひとしく政府に期待しているものは、肥大した官僚機構に対する骨身に迫る行革の徹底であり、抜本的な改革への意思と実行の手順を政府みずからが明らかにすることであります。
具体的には、まず中央省庁の整理統合をどこまで断行するのか。事によっては、みずからの官僚機構はそのまま温存させて、いきなりやいばを国民に向けてくるのではないかという不安であります。健康保険の本人給付率を八割に引き下げあるいは私学助成費を大幅に削減するといった福祉や教育の切り捨てによって、まず国民に犠牲を強いるのではないかという不信であります。もしそのような方策をとるならば、これは弱い者いじめの行革だと国民は必ず反発し、一層行革反対勢力を勢いづかせ、結果として行革そのものを身動きできないものにしてしまうおそれが十分あります。その点、単なる機構いじり、足して二で割ったにすぎない総務庁の設置だけでは、政府は一体何を考えようとしているのか、とても国民を説得することは困難であります。
そこで、総理にお伺いしたいのは、この総務庁の設置を手始めに、今後、中央省庁の統廃合の第二弾、第三弾をどのように展開しようとなさるのか、その確かな計画をはっきりと国民に示されたいと存じます。
質問の第二は、そのような中央省庁の改廃に伴って、結果として国家公務員の総数がどのように削減されるのか、将来にわたる展望を国民に明示していただくことであります。
政府は、昭和四十三年度以降、六次にわたる定員削減計画を実施しております。しかし、今年度までの十六年間にわたって実質的に削減された国家公務員の数は、わずか一万二千三百四十七人にすぎません。総理は、この削減について、血のにじむような努力の結果だと再三強調されております。しかしながら、昭和四十九年の石油ショック以来民間企業が行ってきた、まさに血みどろの合理化努力とは比べようもない軽微な試みでしかありません。われわれは、今後五年間、行政機構の徹底した合理化を図ることによって、毎年度四%台である退職者の補充を、その半分の二%台にとどめて、年々二%ずつ実質削減を図り、五年後には約一割を削減する、そのことによって、現在約八十九万人の国家公務員の一割、すなわち八万九千人を減らすことができると確信して保おります。
しかし、総理が血のにじむ思いで削減に努めたとされる一万二千三百人は、実に十六年間かかっての結果であります。単純に計算して、一年間に八百人弱の減少となります。このピッチでは、八万九千人を減らそうとすれば百年かかるではありませんか。百年河清を待つというのは、こういうことを言うのでありましょう。(拍手)わが党多年の主張である総定員法の改正の趣旨をそんたくして、総理並びに行管庁長官の決断を促す次第であります。
次に、今次行革法案について順次質問いたします。
まず、国家行政組織法の一部改正についてでありますが、政府は、行政需要の変化に即応した効率的な行政を実施するためと説明していますが、果たして効率的な行政は法の改正によらなければ推進できなかったのかという点であります。
たとえば、イギリスにおけるマネジメントレビューのように、定期的に行政組織の総点検を行い、機能的に組織の見直しを行っているごとく、わが国でも、さらにスムーズな推進が可能な方法を検討する時期に来ていると思います。本来、そうした見直しを怠り、今回の法改正を契機に、役人の手で内部部局の形ばかりの再編を進めようとする発想に、私は、歴代自民党内閣の努力不足を痛感するものでありますが、総理の見解をただしたいと存じます。
次に、今回の法改正によって、結果的に行政機構の肥大化を将来許すことにならないかという懸念についてであります。
この点について、法案は、官房と局の上限を当分の間百二十八に凍結することにより、機構の膨張を抑制するとしておりますが、一方、部や次長、総括整理職等のポスト、審議官などが増大することに対する歯どめは何ら講ぜられていないのであります。この辺をいかに国民に説明なさろうとするか。また、現下の情勢で、単に官房と局の上限を百二十八に凍結するという、いわば現状追認だけで果たして本当の行革と言えるのかどうか。なぜ、もっと大胆に積極的にその圧縮を図ろうとの意欲を示せないのか、はなはだ不満とするところであります。
昭和四十三年、時の佐藤内閣は、一省庁一局削減という思い切った改革をいたしましたが、その後、田中内閣になって環境庁四局、国土庁五局が新設され、その後もさらに三局ふえて現在に至っているのでありまして、さらに、課、室、官は百十三もふえて千六百十九に達している現状であります。ここに来て政府は、ようやく課などを五年間で一割整理することを決めたにすぎず、局などの削減を迫る気配の片りんも示していないのはどうしたことでありましょう。中曽根内閣をもってして、この消極さを何とします。
総理、改めてこの際、亡き佐藤総理にならって、せめて全省庁の各局部の一割程度の削減を速やかに指示する英断ありやなしや、篤とお伺いいたしたいのであります。
重要なのは、今回の法改正によって、今後国会による行政のチェック機能が行き届かなくなり、国会の行政監督権が阻害されるおそれを生ずる点であります。政府は、行政機構内部の再編は政令で行い、毎年一回、官報で公示することとするとしていますが、政令で定める都度国会に報告することを義務づけるべきだとわれわれは考えますが一行管庁長官のお考えはいかがでありますか。(拍手)
次に、総合企画機能の強化についてであります。
臨調最終答申は、各省庁の縦割りばらばら行政の弊害を指摘して、この際、総理大臣が長期的、総合的観点から政策運営の基本を決定するよう、総理府に総合企画会議を設けるよう提案いたしていますが、総理は、今次総務庁設置と相まって、この扱いをどうされようとするのか、明らかにしていただきたいと存じます。
いま一つは、地方支分部局の府県単位機関の整理法についてであります。
複雑かつ肥大化した国の地方出先機関は国民に二重の負担を課しており、その整理縮小は行政改革の重要な課題であります。
これらの地方機構は、戦前戦後はそれなりの存在理由を持っておりましたが、その後、地方公共団体の行政能力もかなりの水準に達し、特に交通システムが飛躍的に発達した今日、国と地方の相互信頼によって、特に現業部門を除く出先機関は抜本的に整理可能であるとわれわれは考えます。にもかかわらず、今回の政府案は、地方行政監察局などの三機関の名称を事務所という名称に置きかえるだけで、まさに児戯に等しく、国民を愚弄するもはなはだしいと言わなければなりません。(拍手)この点、総理と行管庁長官の弁明をお聞きいたしたいと存じます。
なお、許認可の整理について、特にこの際苦言を呈したいと思います。
許認可の全体の事項数は、御承知のとおり一万四十五件でありますが、今回法律で措置する整理件数は、いまのところわずか三十九件にすぎません。比率にして一万分の四十でありますから、〇・四%整理するだけのことであります。九牛の一毛にすぎないほどの整理を行革と呼ぶことができるのかどうか。いかにも気の長い、遅々たる運びに、ある種のいら立ちを感ずるのは私一人ではないと思います。(拍手)
最後に、厚生大臣に伺います。
冒頭にも申しましたとおり、政府は、単なる財政のつじつま合わせのため、健保改悪を企図し、福祉の著しい後退を強行しようとしています。健保本人の給付率の引き下げ、入院時の給食材料費負担の新設、ビタミン剤等の患者負担の導入、高額療養費自己限度額の引き上げなど、いずれも弱者を苦しめ、福祉をじゅうりんする言語道断の措置であります。行革の基本理念に逆行するもはなはだしい圧政であり、断じてわが党の容認できないところであります。
厚生大臣として、この健保の改悪を速やかに撤回する意思はないかどうかをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/24
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025・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 吉田議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、総務庁設置等は単なる機構いじりではないかという御質問でございますが、機構いじりであるとは思いません。この総務庁の設置によりまして、総理府及び行政管理庁が持っておりました諸権限を統合いたしまして、人事、組織、機構あるいは統計事務等について、弾力的、機動的運用ができることになると考えております。
なおまた、臨調答申の国土庁等の統合構想につきましては、新行革大綱に基づきまして、関係施策及び計画の円滑な調整、整合的な運営に資するために、三庁による協議の場を設けることといたしまして、それによりまして運用上の改善を行いたいといま思っておるところでございます。
政府といたしましては、今後とも時代の要請にこたえた簡素にして効率的な行政組織を確立するために、各省庁、中央省庁等につきまして、常にまた検討を継続していく考え方でございます。
定員削減について御質問をしていただきましたが、先ほど来申し上げましたように、過去十六年間に、さまざまな行政需要がありましたけれども、これに対しまして一万二千人以上の純減を達成いたしました。今後とも厳しい定員管理を実行して、実を上げていくつもりでおります。
次に、国家行政組織法の改正につきましては、先ほど来申し上げましたように、官制人権に対する是正といたしまして、戦後昭和二十三年に改正をいたしたところでございますが、現在の情勢から見ますと、余りに細部にわたるまで法律で規制することは時代に適合しない、むしろ硬直化を来すおそれがあるというところと、公務員がわりあいに怠慢になりまして、機構改革に挺身しないという空気がいま生まれておるわけでございます。そういう意味におきまして、自己革新をさらに積極的に行わしむるという点も考えまして、今回内部部局の再編合理化をしやすくなるようにいたしたという点もあるのでございます。
改革に関する国会報告につきましては、行政管理庁長官から御答弁申し上げます。
局部等の一割削減の御提言がございまして、確かにこれは一案であると思っております。昭和四十三年以来、一省一局削減をやりましたが、その後局がふえたものというのは沖縄開発庁、環境庁、国土庁の新設官庁について行われたもので、昭和五十四年度以降はその数はふえておりません。この臨調答申に基づく中央省庁の内部部局の自律的合理化問題は、五十九年度予算編成過程で具体的結論を得るようにいま努力しておるところでございます。
なお、総合企画会議設置についての御質問がございましたが、これはいろいろ考えておりまして、屋上屋を架する危険ありやなしや、そういうような点も考慮いたしまして、いま検討を加えておるところでございます。
いま、経済計画あるいは国土計画そのほかの総合機能等につきましては、とりあえず関係機関等の調整の円滑化を行う関係審議会の会長等から成る懇談会の場を設ける等によりまして、当面は行ってまいりたいと思うわけでございます。
最後に、府県単位機関の縮小の問題でございますが、業務処理方式の合理化を図るとともに、業務の広域的処理を図る見地から、業務のブロック機関への集中化を図る、こういう考えに立って簡素化を行わんとしておるものでございます。今後の地方出先機関の整理合理化の第一歩ともいうべきものでありまして、今後、新行革大綱に基づいて、ブロック機関あるいは支所、出張所等の整理合理化については、さらに次の段階で積極的に進めてまいる考えでございます。
以下は、行管長官等から御答弁申し上げます。
〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/25
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026・齋藤邦吉
○国務大臣(齋藤邦吉君) 吉田議員にお答え申し上げます。
最初は定員削減でございますが、これは先ほど総理からお答えがありましたように、過去十六年の間、国立大学の新設とかあるいは国立病院の整備、こういったふうな新しい行政需要にこたえながら、なおかつ定員が一万二千人純減をしておる、こういうことでございまして、国立病院とか療養所等につきましては、相当な数が増員されておるわけでございます。今後とも定員削減につきましては、従来の国の方針に従いまして、厳正に行ってまいるつもりでございます。
なお、今回の行政組織法によりまして局の方の総数の制限があるわけでございますが、部とか次長とか審議官、こういうものの増大に対する歯どめをどうするかというお尋ねがございましたが、これにつきましては、今後とも政府部内において厳しくスクラップ・アンド・ビルドの原則を適用することによりまして、その増加を厳に抑制してまいりたいと考えておる次第でございます。
それから、行政機関の組織の官報公示の問題でございますが、これは毎年一回の官報において一覧表で公示するということに相なっておりますが、この趣旨は、国会を初め広く国民に周知していただくにはこの方法が適当であろう、こういうふうに判断をいたしたためでございますが、十分国会において御審議を賜りたいと考えておる次第でございます。
それから、府県単位の機関の問題でございますが、これは単なる名称の変更ではございませんで、府県機関の仕事をできるだけ多くブロック機関に集中させる、そして出先の機関は要員を思い切って減らす、こういう考えでございますから、その点は御理解をいただきたいと思う次第でございます。
それから、許認可等につきましては、今回の一括法律案におきましては二十六の法律をまとめたものでございますが、今後とも一層努力をいたす考えでございます。
機関委任事務等の整理につきましては、今後とも地方分権という方向に沿って、二年間一割と整理合理化を目途として進めてまいる所存でございます。(拍手)
〔国務大臣林義郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/26
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027・林義郎
○国務大臣(林義郎君) 吉田議員の御質問にお答え申し上げます。
先進国病の到来を未然に防止し、その適切な対策を急ぎ、活力ある福祉国家を築くことというお話がありました。これはお互いの義務であるというお話でございます。私も全く同じように考えているところであります。行政改革もその線に沿って推進しており、「増税なき財政再建」はその柱だと思うところであります。
ところで、医療について考えてみますと、毎年一兆円ずつ医療費がふえてきている、これは現実でございます。それを賄うのは医療保険で賄うということになっています。放置すれば、何もしなければ、保険料を引き上げなくてはならないということ、これも当然の話でございます。
現在、医療保険制度は、組合健康保険、政府管掌健康保険、国民健康保険の三つに大別されておりまして、組合健保、政管健保につきましては、本人は十割、家族は外来七割、入院八割、国民健康保険につきましては、本人も家族も七割という給付になっていることは御承知のとおりでございまして、給付率に格差がございます。
実は、調べてみますと、本人でも家族でも、医者にかかる率というのはそんなに変わらない。ところが、一日当たりの医療費の中の薬代は本人の方が二割から三割高いという結果になっているところでございます。
また、医療費につきましては、もう私から申し上げるまでもありません、いろいろな不正不当な医療があるという批判がある。また、乱診乱療にあるということにつきまして、国民の批判の声も高いところである。そうしたことを考えまして、適正化方策を強力に推進していかなければならない、私もそう考えますし、また、合理化を行っていかなければならないと思います。
と同時に、あわせて本人の医療費につきまして、家族や国民健康保険と同じように一部負担を導入することによりまして給付率の格差を縮小し、もって健康に対するコスト意識が働くように仕組みたい、こう考えているところでございます。
このほか、退職者医療制度を導入することによりまして老後に対する問題の解決を図る考えであり、何とか国民健康保険料を大幅に引き上げないで済ませるようにしたいというのが私たちの出している案でございます。
ちなみに、国民健康保険の国庫補助を前年どおりに据え置き、政府管掌及び組合健保の方はまあまあバランスしておりますから、もしも給付費の増加分をすべて保険料で賄う、こういうふうなことで考えてみますと、国保税を約二五%も上げなければならないという計算が単純に出てくるのです。私はそういった事態をやはり御認識をいただきたい。
要は、私たちが考えていますのは、医療保険制度のあり方を見直して、患者と医者との間にコスト意識を導入することが必要である。そうすることによりまして、活力ある医療制度、活力ある制度をつくろうというものであることを御理解を賜りたいと思うものであります。
厚生省といたしましては、今回の改革は、置かれた状態のもとで最良の選択をしたものだと考えているところでございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/27
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028・福田一
○議長(福田一君) 三浦久君。
〔三浦久君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/28
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029・三浦久
○三浦久君 私は、日本共産党を代表して、国家行政組織法関係整理法案など行政改革関連五法案について、中曽根総理並びに関係各大臣に質問をいたします。
第一に、五法案を貫く基本的な考え方についてであります。
言うまでもなく、すべての国民が本当の意味での行政改革の実行を強く求めております。それは何よりも、いつまでも後を絶たない腐敗と浪費に鋭くメスを入れることであり、国民に開かれた公正で簡素で効率的な行政を実現することであります。同時に、国民生活に打撃を与えるのではなく、逆に、社会保障、教育など国民にとって欠くことのできない行政を拡充強化することであります。日本共産党は、真の行政改革を推進するよう改めて強く主張するものであります。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
さて、今回の五法案とすでに提出されている国家行政組織法案は、このような見地に立ったものでしょうか。
中曽根総理が「最大限尊重する」と繰り返し、信奉してやまない臨調の基本答申は、行政の基本方向を三つの分野に分けて示しております。すなわち、社会保障、教育、農業、中小企業などは行政の果たすべき役割り、責任領域の見直しが必要と称して国が大幅に手を引くよう主張し、一方、軍事、外交、経済協力については本来的に行政の責任領域に属するとして、その拡大強化を迫っております。さらに、財界のもうけにつながるエネルギー、科学技術、都市再開発などの部門は新しい行政需要だとこじつけて、重点的強化を要求しているのであります。総理は、所信表明で、「憲法の諸原則を忠実に守る」と言明しましたが、福祉は切り捨て、軍拡を進めるというこのような勝手きわまる行政区分は、恒久平和、基本的人権を旨とする憲法原則とそもそも相入れるものではありません。このような考え方を行政機構や組織の再編にも貫く方針なのか、総理及び所管大臣の明確な答弁を求めるものでございます。(拍手)
ことし二月のNHK世論調査では、「行革のメスの入れ方が甘く、むしろ国民生活へのしわ寄せが目立っている」と答えた人が六四%にも上っております。五月の世界同時調査でも、「軍事費を削減し、これを社会福祉、衛生、教育に使うべき」との声が、反対の一一%をはるかに上回る五八%を占めておるのであります。これが国民の圧倒的な声であります。
総理、あなたはこの声をどう受けとめ、どうくみ上げようとされるのですか、それとも無視されるおつもりですか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
第二に、中央行政機構改編の進め方について質問いたします。
行政機構が不動のものでないことはいまさら言うまでもありません。わが党は、国民の要求、社会の変化、科学技術の発展等々に従って、絶えず行政機構組織を点検し、柔軟に改編すべきことを一貫して主張してきました。
しかし、そのことは国会審議と矛盾するものではありません。むしろ、その際最も重要なことは、公務員労働者を含む国民の合意を形成することであり、とりわけ国民を代表する国会で十分審議を尽くすことであります。これはまた、国会が憲法の定める国権の最高機関たり得るかどうかという議会制民主主義の根幹にもかかわる重大な問題であります。ところが、政府は、この問題についてどう対処しようとしているのでありましょうか。国家行政組織法の抜本的な改悪によって、各省庁の内部機構については、国会の関与を一切排除し、政府が全く一方的に改編することができるようにしようとしているのであります。このことは、実質的には、財界代表が思いどおりに動かしている臨時行政改革推進審議会と新たに設置される総務庁が直結して方針を決めるということではありませんか。行政管理庁長官に伺いますが、結局総務庁の設置というのは国家行政組織法改悪と相まって初めて生きてくる、こういうように考えているのではありませんか。
さて総理、戦後、新憲法のもとで開かれた第一回国会、第二回国会に国家行政組織法並びに各省設置法が上程された際の、あの熱のこもった論戦をよもやお忘れではないでしょう。
衆参両院の決算委員長は、それぞれ本会議にこう報告しているのであります。
省庁の局や部を政令でやるというような考え方は、戦時中に法律で定むべき事項をやたらに勅令に委任したと同じ考えでありまして、これはもちろん新憲法の精神に違反するのであります。したがって、法律に明記することは、旧憲法の官制大権のごとき思想をさらりと捨てまして、すべては国民の代表たる国会におきましてこれを決定すべしとする国会至上主義の実現であります。われわれ憲法を最も合理的に運用せんとする考え方を持つ者にとりまして、これは重大原則の確立てあり、過去の宿弊を国会の意思によって断固一掃せんとする意図に出たものであると断じたのであります。
だからこそ、かつて佐藤内閣、田中内閣が三度にわたって今回と同趣旨の法案を出してきた際、実質的な審議もないままに廃案となったのであり、本法案が議会制民主主義と根本的に相入れないことは明らかであります。(拍手)
しかも、国会のコントロールを廃し、政府に全面的に委任することは、有事立法、国家総動員法の重要な柱ともなるものであります。現に、一九六四年に明るみに出た自衛隊の秘密計画、三矢作戦研究では、行政機関を臨戦化し、総動員体制をとる最大のポイントを、総理大臣の権限強化による各省機構の自由な改編に置いていたのであります。
政府は、この法案が通った後直ちに、来年度、防衛庁、外務省、運輸省、文部省など八省庁十八局にわたる大規模な組織改編を準備しておりますが、有事体制研究が進められているもとで、国会に一切相談なくこれらが強行されることに、私は慄然たる思いを禁ぜざるを得ないのであります。(拍手)
総理、議会制民主主義への挑戦そのものであり、有事立法、国家総動員体制に道を開くこの悪法は、あなたが強調してやまない戦後政治の総決算の中で一体どのような位置を占めるのか。歴史の苦い教訓を現代に生かそうとするならば、国家行政組織法大改悪案を潔く撤回すべきではありませんか。この点を何よりも強く求めるものであります。(拍手)
第三に、中央省庁のあり方についてお伺いをいたします。
これまで述べてきたとおり、国民の要求と必要に応じて行政組織を改編すべきことは当然であります。政府も口を開けば国民のニーズということを言いますが、問題は、それが本当に国民のニーズなのかどうかであります。今回提出された国家行政組織法関連整理法案を見れば、この法案が国民のニーズとは全くかけ離れたものであることは明らかだと言わなければなりません。
すなわち、この法案は、各省事務の整理に便乗し、労働省の所掌事務から婦人、年少労働者の保護を削ったり、科学技術庁の事務から原子力利用の安全確保を削除するなどの重大な改悪を織り込んでおります。
さらに、この法案は、財界が総理の民間活力論に勇気づけられて、独占禁止法の骨抜きを求める大合唱を始めたまさにそのときに、内閣からの独立性を最大限に保障されるべき公正取引委員会の内部機構まで、政府の思いどおりに改廃できる道を開こうとしているのであります。
これらの諸点について、総理の納得のいく釈明を求めるものであります。
さて、総定員法制定以来十六年、防衛庁を除く一般省庁の定員は、事務量の増大にもかかわらず、八百六十四名の純減となっております。ところが、その一方で、防衛庁、自衛隊だけは一万八千五百三名も増加をしているのであります。国民本位の行政簡素化を図るというのであれば、例外はないはずであります。予算のみならず、定員についてまで、なぜ自衛隊を聖域扱いしなければならないのでしょうか。
また、田中内閣のもとで日本列島改造を推進するために設置され、全国各地に膨大なむだと未利用地を残した国土庁、このようなものをこそ、まず縮小、廃止の対象とすべきでありますが、あわせて総理の答弁を求めるものであります。
最後に、国と地方の関係についてお尋ねを申し上げます。
国の地方出先機関に定員の約五割が配置されている現状から見ても、地方自治体に大規模に権限を委譲し二重行政のむだを徹底的に省くならば、大幅な簡素化が図られることは自明であります。
たとえば機関委任事務について、わが党はかねてから地方自治権拡充の見地から原則的に廃止するよう提案してきました。しかし、今回の行政事務簡素合理化法案は、約五百事項に上る機関委任事務のうち、わずか三十九項目を整理合理化するとしているにすぎず、しかもその対象は、すでに有名無実化したものや国の権限に実質的な影響を及ぼさないものばかりなのであります。
都市計画を進めるのに一々建設大臣の判こが要るとか、スーパー出店の是非も自治体ではなく通産大臣が決めるとか、こういうことこそ直ちに改めるべきだと思います。
山本自治大臣は、今回の法案でどの役所も困らぬよ、ワッハッハと語ったそうでありますけれども、どの役所も困らないような内容のないものであることを自認するのですか。なぜ実のある改革ができないのですか。総理並びに自治大臣の答弁を求めます。(拍手)
地方自治の強化を抜きにしたまま、国の府県単位の出先機関を整理すると言っても、それは看板のかけかえだけに終わるかあるいは住民サービスにしわ寄せされるのかのどちらかに終わらざるを得ません。サラ金対策の強化が叫ばれているもとで、今回の法案によって財務部の機能を低下させない保障があるのでしょうか。また、地方行政監察局の格下げが、国家行政に対する国民の不満、告発、相談を身近に受けとめる重要な役割りを果たすべきことと矛盾しないのでしょうか。
所管大臣の答弁を最後に求め、軍拡、国民犠牲の臨調路線ではなく、行政改革の流れを国民本位の方向に根本的に転換させる日本共産党の決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/29
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030・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 三浦議員の御質問にお答えいたします。
まず、世論調査との関係でございますが、大体世論調査の国民の皆さんが要望しておることは、物価、減税、景気、教育、行革、こういうような順序でいつも来ておるように思います。
行革の部分におきましては、やはり簡素合理化すべし、あるいは人員を削減すべし、そういうような声が非常に強いと思います。政府は、そのような国民諸君の世論に耳を傾けまして、行革を推進してまいりたいと思っておるところでございます。
次に、教育や福祉の縮小あるいは防衛、外交の増大等々を心がけているのではないか、また、財界主導ではないか、国民合意を忘れてはいないか、そういうような御質問でございますが、今回の行革は、前にも申し上げましたように、臨時行政調査会設置法案の御協賛をいただきまして、その臨調答申を受けて一々具体化しているものでございまして、国民の圧倒的支持を受けてこれは推進しているものであり、財界主導というようなことは絶対ないと申し上げる次第でございます。
なお、教育やあるいは防衛や福祉やその他の問題もございますけれども、全般的に行政機構を検討いたしまして、そして最も合理化を要する部面から逐次手をつけて、しかもタブーを設けずに、聖域を置かないで実行しているという趣旨で行っているものであることを御理解いただきたいと思います。
また、労働省設置法案や国家行政組織法案等につきましていろいろ御質問をいただきましたが、この国家行政組織法の改正につきましては、先ほど申し上げましたように、戦前の官制人権に基づく恣意的行政機構の形成というものに対する批判として、われわれは二十三年に今日の国家行政組織法をつくり、修正もいたしたものなのでございますが、今日のように民主制度が安定いたしまして、国会の統制力もあるいは行政機関に対する国民の厳しい批判等も十分成熟いたしまして、このような段階になりますと、かえって公務員が怯懦になりまして、自己改革を怠るという傾向が顕著に見えてきておるわけでございます。そういう意味におきまして、固定的な法律事項から委任をいただいた政府内部の自主的改革を促す、そういう意味におきまして改革を行おうとしておるのでありまして、撤回する意思はございません。
あるいは労働省やあるいは原子力関係につきまして、今回の法律で規定の方法を変えておりますが、これは労働省設置法あるいは科学技術庁設置法の内部におきまして、局の所掌事務というところから庁全体の包括的な事務の中に編入がえをしたわけでございますので、いままでと権限等については少しも趣旨は変わっておらないのでございます。
次に、独占禁止法等について御質問をしていただきましたが、公正取引委員会もやはり一種の行政機関として、同じようにこの聖域ではないわけでございます。したがいまして、行政機関の組織再編成の一環として、その弾力性を図る意味におきまして、委員会の事務局の組織についても政令で定めるように直しておるということであります。
自衛隊の定員につきましては、一般公務員と自衛官とは性格を異にしておりますので、法体系を異にしておる。そして防衛力の整備の必要性という観点から、必要最小限の定員にとどめつつこれを行っておるという状態でございます。
国土庁の問題につきましては、国土庁は現在非常に重要な仕事を担当しておるわけでございます。国土総合計画あるいは地価の安定、土地問題あるいは水の資源、大都市圏整備あるいは地方定住圏の促進、地方振興、災害対策、このような諸般の重大な仕事を担当しておるのでございまして、これらの機構改革に当たりまして、縮小とかこれを廃止する考え方はないのであります。
許認可その他につきましては、関係大臣から御答弁申し上げる次第でございます。
最後に、自治大臣の発言につきまして機関委任事務の問題を御指摘いただきましたが、確かに機関委任事務を取り上げた数が少ないように思います。しかし、これで終わったということではなく、さらに何回も検討を進めつつ、将来にわたって機関委任事務の委譲を積極的に進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
以下は関係大臣から御答弁いたします。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/30
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031・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問にお答えをいたします。
大蔵省といたしましては、新行革大綱の趣旨を踏まえ、財務部の整理合理化を図るという見地から、財務部を財務事務所とすることとして御審議をお願いしたところでございます。
御指摘のございました貸金業につきましては、財務局に課せられた使命にかんがみまして、この問題につきましては、それこそ五十八年十一月一日法律が施行されるということになっておりますので、多岐にわたる社会現象でもございますので、各道府県、そして各道府県警察本部等と緊密な連絡をとりながら、貸金業者に対する規制には遺憾なきを期していきたい、このように考えております。(拍手)
〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/31
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032・齋藤邦吉
○国務大臣(齋藤邦吉君) 三浦議員にお答えを申し上げます。
行政改革の基本について私からも答えよということでございますから、現在進めつつある行政改革は、厳しい内外環境の中にあって、高度成長時代の行財政の全般を見直し、社会経済の変化に即応しつつ、簡素、効率的な行政を実現し、行財政の対応力を回復しようとするものでございます。
このような行政改革は、わが国の未来を確かなものにするために避けて通ることのできない道であり、広く国民一般の理解と支持を得ているものと考えておる次第でございます。
次は、総務庁設置法案と国家行政組織法との関連についてお話がございましたが、総務庁の設置は、今回、政府における各種総合調整機能の活性化とその総合的発揮を図るために、臨調答申の基本方向に沿いまして、総理府本府及び行政管理庁の組織と機能を総合的、一体的に見直し、これを再編統合しようとするものでありまして、またさらに、国家行政組織法の一部改正は、臨調答申の指摘を踏まえて、行政需要の変化に即応した効率的な行政の実施に資するため、国の行政機関の組織の弾力性を一層高め、その基準の明確化を図るために行うものでございまして、今後の中央省庁の内部組織の再編成を推進するためにきわめて重要な法律改正であると考えておる次第でございます。
なお、地方行政監察局の出先の縮小改組の問題でございますが、県単位の監察局の業務をできるだけ管区に移す。それと同時に、県の出先におきましては、要員規模をできるだけ縮小し、苦情処理機能というものを中心にしてやっていくようにいたしたいと考えておる次第でございます。
それから最後に、許認可の整理につきましては、国民負担の軽減、行政事務の簡素合理化、民間活力の助長等に配慮しながら推進してきておるところでございまして、今回の一括法案においては、二十六法律に係る許認可等の整理合理化を行うこととしておりますが、今後ともこの方針に沿って一層努力をいたす考えでございます。(拍手)
〔国務大臣山木幸雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/32
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033・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) このたびの行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律案、これにおきましては、許認可の整理に関しまして、主務大臣の事務、権限の一部を都道府県知事に委譲することになっております。国、地方間の事務の再配分という観点から見まして、当面の措置といたしましてはかなりの努力が払われたものだと思います。
しかしながら、ただ、臨調答申で知事などに委譲をすべきものとされた事務あるいはまたその他の事務のうち、まだかなりのものが今回措置されなかったということでありまして、今後これらのものは逐次、事務の移譲が進められるように私は期待をし、また努力もしたいと思います。
次に、私の発言についてのお話でございました。
この真意は、機関委任事務のあり方につきまする本格的な論議は、特に行政改革推進審議会という場で根本的な検討を行われることになっておりまして、今回は、当面、現在の機関委任事務のうちから同化、定着をしておるもの、あるいは社会経済の変化に伴い事務自体を廃止、縮小するということが可能なもの、そういうものを措置したということでございまして、今回の措置では、当面の措置としてこれらを中心にいわゆる機関委任事務の一割程度を整理合理化するということにした、こういう意味で私は申したということでございまして、その点を御理解いただきたいと思います。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/33
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034・岡田春夫
○副議長(岡田春夫君) 小杉隆君。
〔小杉隆君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/34
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035・小杉隆
○小杉隆君 私は、新自由クラブを代表して、ただいま御提案のありました行革関連法案について、総理及び関係大臣に質問をいたします。
私たち新自由クラブは、結党以来、簡素で効率のよい政府をということで行政改革の必要性を主張し、その推進に党を挙げて努力してまいりました。特に、第二臨調の五次にわたる答申については評価し、その実現を強く政府に求めてまいりました。臨調答申が述べているとおり、高度経済成長時代が去り、行政をめぐる内外情勢が厳しくなり、変化の激しい今日、行政機構の肥大化や行政運営の固定化を防ぐことは、国を挙げて取り組むべき重要課題であります。しかし、こうした理念とはうらはらに、実際の臨調答申の内容は、答申を重ねていくに従ってトーンダウンしていく傾向にありました。
今回提案された五法案のベースとなった臨調答申がまとめられてきた過程を振り返ってみますと、官僚側の思惑や業界団体等の抵抗によって思い切った改革案が後退していくありさまを、私たちはさまざまな情報からつぶさに見聞きしており、非常に残念に思っている次第であります。
しかし、臨調が数々の抵抗、反対の中で示した改革案は、逆に言えば、当然実現できるものしか盛り込まれていない案と言うべきであります。つまり臨調答申は、最低限度これだけは実現しなさい、いますぐにでも達成可能なものですよという内容なのであります。
この一〇〇%実現可能とも言える提言に対して、政府は果たして誠実な対応をしているでしょうか。はなはだ疑問を抱かざるを得ません。そこで、幾つかの問題を取り上げ、質問をいたします。
まず、許認可の問題です。
臨調第三部会が報告している「許認可等の整理合理化について」には、規制の必要性が乏しくなったもの、民間などに権限を委譲して効率化を図るべきものなど、二百二十二事項を指摘しております。これらは当然即座に実行できる性格のものです。答申が出されてからすでに半年が経過しておりますが、法律改正を要しない百五十事項について、政府の対応には見るべきものがありません。一部業界、官僚の反対があるにしても、政府は、行政改革の理念に基づき、断固たる態度で早急に実現すべきであると思います。
さらに、法律改正を要する七十二事項についてであります。今回政府が法案として提出したのはわずかに二十四法律、三十五事項にすぎず、九十八国会で成立した三法律、六事項と合わせても四十一事項を処理するにすぎません。達成率わずかに五七%です。これでは、政府に本当にやる気があるのか、はなはだ疑わしいと言わざるを得ません。
一部に、政府は臨調答申の都合のいいところだけをつまみ食いしているといった批判があることは総理も御承知のことと思いますが、何ゆえこの程度しかできないのか、その理由を明らかにしていただきたい。また、政府が、これは第一歩であって今後とも改革をしていくと言うならば、具体的な実行計画を明らかにすべきであります。三年計画とか五年計画とかの年次計画を示さなければ、国民は政府の説明を信用できないでありましょう。この点について、総理並びに行政管理庁長官の御見解を伺います。
次に、行政組織の問題について質問いたします。
世界経済が停滞し、内外ともに厳しい環境の中にあって、わが国の民間企業は必死の減量作戦を展開し、合理化を図り、時代への柔軟な対応をすべく努力しております。政府としては、これら民間の姿勢をむしろ先取りして、徹底的な行政改革を実行するのが当然であります。臨調の提言もこの点を強調していることはいまさら申し上げるまでもありません。
第九十八国会から継続案件となっている国家行政組織法の一部を改正する法律案及び今回提出されている整理法案が、この趣旨にのっとり、変化への対応、行政機構の弾力的運用による活性化を目指そうとするものである点は評価するにやぶさかではありません。しかし、これらの法案の中で官房、局の総数を百二十八としていることについて、政府の見解をただしたいと思います。
まず、法案は、当分の間局の数を最高限度百二十八としていますが、この「当分の間」とは具体的に何カ月あるいは何年であるのか、はっきりしためどをこの場で示していただきたい。法律用語としての当分の間とはまことに便利な言葉でありまして、数十年にわたる当分の間が現実に存在する状態です。こんなあいまいなことでは国民の納得は得られません。臨調答申の精神は、現状固定ではなく縮減を期待したものであります。今後縮減に向けて努力をすると言われるのでしたら、その縮減プログラムを具体的に提示すべきであります。
また、臨調答申は、行政組織規制の弾力化に伴って、政令により規制されることとなる組織の設置、改廃状況については国会に報告するものとするというように、報告義務を課しておりました。ところが、この法案では一覧表の官報公示で事足れりとしていますが、報告義務を外した理由は何か。これらの法案が成立すれば、政府は、行政機構の改編を立法府の裁断を待つことなく、時代の変遷に即応して行えることになり、変化への対応は実現できるかもしれませんが、反面、立法府の機能縮小、行政主導が進むことを危ぶむ声もあります。行政を常にチェックする機能を国会が有することこそ議会制民主主義の根本であると思いますが、この点についての見解を伺います。
次に、総務庁設置法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
この法案の中で、総務庁所轄の地方行政監察局、法務省所轄の地方公安調査局及び大蔵省所轄の財務局の整理合理化を図るため、これらをそれぞれ事務所とすることとしておりますが、当面これらの府県単位機関のつかさどる現地事務及び人員、予算は、局である現在と何ら変わりがないのであります。いわゆる看板のつけかえにすぎないとの批判は免れないところですが、この組織変更に伴う経費も決して少なくないはずです。この費用が将来どのように生きてくるのかが大切です。政府当局は、この組織改編が将来規模縮小につながるとお考えのようですが、それならば、この縮小削減の計画をその他の地方支分部局も含め、ここにお示しいただきたいのであります。
組織改編の目的と明確な年次計画が公表されることが前提になっていなければ、今回のすべての法案は仏つくって魂入れずということになってしまいます。行政管理庁長官は将来展望を踏まえた計画のあることをテレビ討論で表明しておられるのですから、この場でその一端だけでも明らかにしていただきたいのであります。
最後に、今後の行政改革に向けて、具体的な提案を含めて質問をしておきたいと思います。
中央省庁の再編成は時代の要求するところであり、硬直した行政機構に活を入れる意味で、ぜひとも実行していかなければならない命題であります。臨調でもさまざまな議論がありながら、各方面の抵抗に遭って総務庁構想のみに終わってしまったことはまことに残念でなりません。
本来、社会情勢の変化や国民のニーズの多様化によって求められるものは、いわば未来志向型の行政改革であります。私は、今後のわが国の課題である高齢化社会への対応のために、たとえば厚生省と労働省などを統合し、高齢者の雇用対策と年金、医療を総合的に扱う国民生活省のようなものが必要ではないか。また、もう一つの課題である国際化という流れの中で、いま貿易摩擦、なかんずく農産物の自由化が問題になっていますが、たとえば見解の分かれている農林水産省と通産省を統合して経済省のようなものをつくり、国民全体の立場でどのように対処していくのかを決めていくべきではないかと考えるのであります。
政府は、この法案が成立をしたら八省庁の再編合理化をやると言っておられます。総理も先ほど述べられましたが、省庁内だけの再編で果たしてこれからの複雑多様化する行政に柔軟に対応していけるのでしょうか。
いまこそ、小手先の改編ではなく、さらに思い切った中央省庁の統廃合など、行政の根幹を見直す改革が必要な時期であります。政府は、こうした提案に対しては、臨調答申にないからといって一顧だにしない態度をとる傾向があります。硬直した行政からの脱皮は、広く各方面からの意見に耳を傾ける姿勢から始められるべきだと考えますが、この点に関し、総理並びに関係大臣の所信を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
。〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/35
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036・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 小杉議員の御質問にお答えをいたします。
まず、許認可等整理について、四十一項目の処理というのでは少ないのではないか、そう申しますが、指摘されました七十二項目の中で四十一項と申しますのは、かなりの量に上ると思っております。しかし、今後ともさらにその趣旨に沿いまして改善を推進してまいる所存でございます。
中央省庁の再編につきまして思い切った、国民生活省とかあるいは経済省とかというような御発想がございました。これだけ激動する時代でございますから、総務庁だけにとどまらず、将来引き続いて中央省庁の再編、改革につきまして検討を加えていくつもりでおります。今回はとりあえず総務庁ということで御理解願いたいと思う次第でございます。
その他につきましては、関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)
〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/36
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037・齋藤邦吉
○国務大臣(齋藤邦吉君) 小杉議員にお答えを申し上げます。
官房、局総数の最高限度を当面百二十八、こうしておるが、当面とは具体的にどの程度の期間を指すのか、こういうお尋ねでございます。「当分の間」とは、明確にいつまでと言うことはできない性質のものでありますが、組織膨張の懸念がなくなるまでの間というのが一つの目安になるものと考えております。
なお、政府において膨張する懸念がないと判断いたしましても、上限規制の制度は、これを廃止する段階におきましては国会の御判断を仰ぐということになると思います。
なお、総数制限でございますから、これ以上はふやさない、むしろ縮減する、国家公務員総定員法のような性質のものであるというふうに御了承願いたいと思います。
それから、国の行政組織の設置についての官報公示の問題でございますが、この制度を法律に書きましたのは、国会を初め広く国民に周知するには最もこの方が適切な方法ではないか、こういうことで官報公示ということにいたしたわけでございますが、国会の十分なる御審議を煩わしたいと考えておる次第でございます。
それから、府県単位機関の整理についてでございますが、できるだけ現在の出先機関の行っておる業務をブロック機関に集中し、それに伴って出先機関の要員規模もこれに即応して極力縮減する、こういうことにいたしたいと考えておる次第でございまして、その要員の規模縮減等の内容につきましては、暮れの予算編成の際に最終的に決定いたしたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/37
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038・岡田春夫
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/38
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039・岡田春夫
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
午後四時十五分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005254X00619830920/39
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