1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年六月二十日(水曜日)
午後一時四分開議
出席委員
委員長 瓦 力君
理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君
理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君
理事 伊藤 茂君 理事 野口 幸一君
理事 坂口 力君 理事 米沢 隆君
熊谷 弘君 塩島 大君
田中 秀征君 中川 昭一君
東 力君 平泉 渉君
平沼 赳夫君 藤井 勝志君
宮下 創平君 村上 茂利君
山岡 謙蔵君 与謝野 馨君
川崎 寛治君 戸田 菊雄君
藤田 高敏君 柴田 弘君
宮地 正介君 矢追 秀彦君
安倍 基雄君 正森 成二君
簑輪 幸代君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 竹下 登君
出席政府委員
大蔵政務次官 堀之内久男君
大蔵大臣官房日
本専売公社監理
官 小野 博義君
大蔵省主税局長 梅澤 節男君
委員外の出席者
日本専売公社総
裁 長岡 實君
日本専売公社総
務理事 岡島 和男君
日本専売公社理
事 生平 幸立君
日本専売公社理
事 友成 豊君
大蔵委員会調査
室長 矢島錦一郎君
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六月十六日
消費生活協同組合の共済事業に係る税制改善に
関する請願(第四七一号)は「湯山勇君紹介」
を「山口鶴男君外一名紹介」に訂正された。
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本日の会議に付した案件
たばこ事業法案(内閣提出第七四号)
日本たばこ産業株式会社法案(内閣提出第七五
号)
塩専売法案(内閣提出第七六号)
たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等
に関する法律案(内閣提出第七七号)
たばこ消費税法案(内閣提出第七八号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/0
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001・瓦力
○瓦委員長 これより会議を開きます。
たばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案の各案を一括して議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。塩島大君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/1
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002・塩島大
○塩島委員 専売改革関連法案につきまして質問するに当たりまして、初めに、まず委員長、理事の皆様方に、貴重な時間をいただきまして、心から感謝申し上げる次第でございます。(拍手)
それでは、大蔵大臣には胸をおかりするわけでございますが、非常に重要な問題でございますので、明快かつ御親切な御答弁をお願い申し上げます。
今般政府が提案された専売改革関連法案は、明治三十七年以来八十年に及ぶ日本専売制度の歴史に一大転換をもたらすものであります。したがって、本改革案は、葉たばこ耕作者やたばこ販売店はもちろんでございますが、すべてのたばこ、塩事業関係者の重大な関心を集めているところでございます。
実は、私の郷里にも、葉たばこの耕作をしております農家の方々も非常に多くありまして、実は私どもも子供のころからこのたばこ畑で遊んでしかられたりいろいろした記憶もございまして、非常に懐かしいことでございます。今は耕作されている方もだんだん減ってまいりましたが、まだまだ葉たばこをつくっておられる農家もたくさんございます。私もそういう生まれでございますので、たばこ産業をめぐります環境には非常に厳しいものがあるという見方が有力でございますが、このような情勢のもとで、我が国たばこ産業が引き続き安定した発展を遂げることを強く念願する者の一人でございます。
そこで私は、専売改革関連法案が、我が国たばこ産業に対しまして安定した発展の見通しあるいは新しい展望を切り開かせるものであるかどうか、本委員会の審議を通じまして明らかにすることが重要であると考えているものであります。
まず最初に、専売改革関連五法案の提案理由を大蔵大臣から御説明いただきまして既に一カ月もたったことでもございますので、具体的質問に入る前に、恐縮でございますが、専売改革関連法案の背景及びそこから出ますところの基本的な柱につきまして、改めて大蔵大臣からお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/2
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003・竹下登
○竹下国務大臣 このいわゆる専売改革関連法案のよってもって立ちますところの基本的な考え方、その背景、こういうような御質疑であります。
今も御指摘がありましたように、たばこ専売制度、専売公社制度、これは財政収入の確保に今日まで長い間寄与してきたわけであります。しかし、時代の変遷、環境の変化等を背景として、その見直しの必要性もまた一方とみに高まってきたということが言えると思います。
こうした状況を踏まえまして、一昨年の七月、臨時行政調査会によって提出されました行政改革に関する第三次答申、この趣旨に沿いまして、たばこ事業関係者等とも意見の調整を図りながら、政府部内で検討を進めたところでありますが、まず、関係者との意思疎通を重点的に、政府は当然のことでありますが、なかんずくその衝に当たられる日本専売公社、この方々がいろいろな意見の交換をしてこられたわけであります。
したがって、基本的認識は、開放経済体制を志向する我が国としましては、たばこ事業をいつまでもいわゆる閉鎖的な状況下に置いておくことは適当でない。そこで、たばこの輸入自由化に踏み切りますとともに、これと並行して、専売公社の経営形態をいわば競争原理、自由な競争に耐え得るものに改めることが必要である、こういう点であります。そうした認識のもとに、今度御審議をいただくことになりました改革法案を取りまとめた次第であります。
そこで、この改革法案の基本的な柱といたしましては、まず第一には開放経済体制に即応する等のため、輸入自由化に踏み切る。このため、たばこ専売制度を廃止すること、これでたばこ専売法がたばこ事業法案、こうなるわけであります。そうして二番目には、国際競争力確保の観点から、専売公社を合理的企業経営が最大限可能な特殊会社に改組する、すなわち日本専売公社法が日本たばこ産業株式会社法案、こうなっていく、これが二つの柱であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/3
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004・塩島大
○塩島委員 ありがとうございました。
それでは、具体的な幾つかの点につきまして質問をさせていただきます。
まず最初に、私が疑問に思いますのは、現在のタイミングで製造たばこにつきまして輸入の自由化をすることが適当かどうかという点でございます。この点につきましては、与党でございます関係もございまして、ぜひそうすべきであるとかそうすることが望ましいとか、積極的に言えるかは疑問ではありますが、既に各国とも輸入自由化に踏み切っている例などを見まして、既に世界の大勢になっていることから考えまして、輸入の自由化はやむを得ないものと思うのであります。しかしながら、やむを得ないといたしましても、輸入の自由化により、現実に大きな影響が葉たばこ耕作者等のたばこ事業関係者に及ぶことがあれば、これは非常に重大な問題でございます。そこで、輸入自由化及びこれに伴う一連の制度改正がいわば万全の態勢のもとで行われるのであるから何ら心配には及ばないと言い切れるようなことになっているかどうか、この点から質問を始めたいと思います。
まず具体的な質問の第一でございますが、輸入自由化する以上、手足を縛ったまま競争させるわけにはいかないということで、公社制度を今般特殊会社に改めるということになっておりますが、特殊会社といいましても株式会社の一つには変わりないわけであります。しかも、製造独占権が与えられているということをあわせて考えますと、輸入品との競争により経営状態が苦しくなるようなことがあれば、新会社は葉たばこ耕作者等に対しまして、値段の切り下げあるいは大幅減反など一方的にしわを寄せてくることが本当にないのかどうか、この点が大変心配なところでございます。新会社はそのようなことができないような仕組みになっているのかどうか、またそれが制度的に担保が講じられているかどうか、まず大蔵省にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/4
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005・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
今回の専売改革法案におきましては、先生御心配のとおり、たばこ事業関係者に対する影響が問題になるわけでございますけれども、これらの方々に対しまして、急激な変化が及ぶことがないように、慎重な配慮を加えている次第でございます。
具体的に申しますと、たばこ耕作者につきましては、我が国たばこ耕作の現状等にかんがみまして、葉たばこの全量買い取り制の維持、それから葉たばこ審議会の設置、葉たばこ審議会におきます審議基準の明文化というような措置を講じているところでございます。特に葉たばこの耕作面積及び買い入れ価格につきましては、製造独占が認められる新会社が実質的な買い手独占になるわけでございますので、一方的に買い入れ価格を決定することがないように、新会社内に葉たばこ審議会を設置いたしまして、さらにその委員の委嘱に際しましては、あらかじめ大蔵大臣の認可にかからしめるということによりまして、一層の公正さが担保されるように配慮しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/5
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006・塩島大
○塩島委員 ただいまの御説明で、制度上は配慮がなされているということはよく理解できたわけでございますが、幾ら制度面で万全の態勢を整備してみましても、実際の運用が非常に重要でございまして、この実際の運用がこれに伴いませんと意味がないわけでございます。
長岡総裁にお聞きしたいわけでございますが、長岡総裁は、これは私の推量で失礼ではございますが、新会社の初代社長となる可能性が極めて大きいと思われるわけでございますが、いわば初代社長になったおつもりで、新会社をどのように経営されるおつもりなのか、経営方針をお伺いしたいわけでございます。もし仮に、初代社長になっていない状況でそのようなことを発言するのははばかられるというようなことであるとするならば、新会社のあるべき経営方針はどのようなものかということを、公社の総裁といたしまして御経験もございますし、今までのいろいろな調整等既にいろいろ御存じでございますので、この新会社のあるべき経営の方針がどのようなものかということにつきまして、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/6
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007・長岡實
○長岡説明員 お答え申し上げます。
本会社は、たばこ事業の効率的な経営を通じまして国際競争力を強化し、たばこ事業法第一条に規定します、我が国たばこ産業全体の健全な発展を図ることを目的として設立される政府関係特殊法人でございます。「名は体をあらわす」という言葉がございますけれども、塩島委員御承知のように、「日本たばこ産業株式会社」というその新会社の名称は、そのような趣旨を十分あらわしているものと考えております。したがいまして、実際の運用面につきましても、たばこ産業全体の調和ある発展を常に念頭に置きまして、関係団体と十分な意思疎通を図りながら、所期の目的を達成すべく努力しなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/7
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008・塩島大
○塩島委員 それでは、次の質問に移ります。
新会社の株式の政府保有につきましては、附則にございますが、当分の間は三分の二以上の保有義務を政府に課しているわけでございます。これは他の特殊会社にも例を見ないことでありまして、それだけ、新会社が一定の政策目的に沿いました経営が行われなければならない国策会社という性格が強いものであることを意味していると思うものでございます。
そこで、特殊会社の株式放出についてどう考えておられるのか。お聞きするところによりますと、電電株式会社の場合には大規模かつ早急に放出を行うという考え方もあるやに聞き及んでいるわけでございますが、たばこ産業株式会社の場合には、株式放出につきまして政府はどのようにお考えになっておられますか、これをお尋ね申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/8
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009・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
日本たばこ産業株式会社は、ただいま先生がおっしゃいましたように、我が国たばこ産業の中心的役割を果たすべき主体として、みずから経営の効率化を図りつつ、我が国たばこ産業を健全に発展せしむべき立場にある政府関係特殊法人たる特殊会社でございます。またこのことは、日本たばこ産業株式会社法第一条、目的規定に明記されているところでございます。したがいまして、政府としては、このような新会社の事業運営について、株主権を背景といたしまして、積極的に関与していく必要があると考えております。
かかる見地から、政府は、新会社の株式を常時二分の一以上、ただし附則で当分の間は三分の二以上ということでございますが、保有しなければならないということとされているわけでございます。
〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
とりわけ、国産葉たばこ問題を抱えました状況のもとにおきましては、会社の経営が軌道に乗り、我が国たばこ産業の健全な発展のめどが明らかになるまでの間、つまり当分の間ということでございますが、その間におきましては、単に利益追求のみを図るのではなくて、たばこ産業の中心的担い手としてみずから経営の効率化を図りつつ、同時に、たばこ耕作者を初めとするたばこ事業関係者に十分な配慮を行うことが強く要請されているところであると考えております。
したがいまして、この間においては、政府は株主として、会社の経営に万全の責任を持ち得る態勢を整えておく必要があるわけでございまして、そのため、商法上の特別決議、例えば役員の解任でございますとか定款の変更等、そういうことでございますけれども、こういう特別決議をも担保し得るように、常時三分の二以上の株式を保有することとしているわけでございます。
一般的に申しまして、特殊会社の株式放出につきましては、当該特殊会社の事業の内容とか設立の目的等を幅広く検討しながら、関係者の御意見も拝聴して決定すべき問題であって、一律に、画一的に議論すべきものではないというふうに考えております。いずれにいたしましても、日本たばこ産業株式会社の場合につきましては、株式放出については、会社法の第三条によりまして、国会の議決を経た上でなければ行うことができない、そういう仕組みになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/9
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010・塩島大
○塩島委員 葉たばこ耕作者の方々は、この新会社の経営形態に大きな関心を持っているわけでございますが、最大の関心事は、何といいましても、葉たばこ調達がどのようにして行われるかということだと言っていいと思います。特に葉たばこは、製造たばこの原料といたしましての役割と同時に、我が国農業におきます重要な畑作作物でありますことから、将来とも国産たばこを主原料として使用すべきであると思うのですが、この点、長岡総裁の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/10
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011・長岡實
○長岡説明員 率直に申しまして、輸入自由化が行われた暁には、外国製品との競争は相当大変な状態になるのではないかというふうに覚悟いたしております。外国製品との競争に耐えていくためには、耕作者の皆さんに対しまして、生産性の向上とかあるいは品質の改善への努力をお願いいたしますとともに、私ども公社におきましても、コスト低減のために、製造、加工技術の改善並びに合理的な業務遂行に努める必要があることは申すまでもございません。
このように、たばこ産業関係者全員の努力に支えられることによりまして、今後とも、ただいま御質問にもございました、国産葉を国内製品の主たる原料として使用していく方針に変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/11
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012・塩島大
○塩島委員 今、国産の葉たばこが主原料ということをお聞きしまして、私も安心したわけでございますが、どうもありがとうございました。この長岡総裁の御答弁によりまして、約十万人に及びます全国の葉たばこ耕作者も、私同様安心されたのではないかと思うわけでございます。また、ただいま長岡総裁の御答弁を聞いておられました御様子から判断しますと、竹下大蔵大臣も同様なお考えをお持ちではないかと推察されますが、それはまあ私の推察ということにいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
若干専門的な話になるわけでありますが、現行制度のもとでは、災害補償制度あるいは概算払い制度などの葉たばこ耕作上の基本的な制度があるわけでございますが、これが葉たばこ耕作の安定化に大変役立っていると言われているところでございます。これらは、今度新制度のもとでは、耕作者と新会社との契約事項になるのではないかというように思われるわけでございますが、引き続き実質的に維持されるのかどうか、この点につきまして、長岡総裁にお伺いしたいと思います。
また、葉たばこの技術指導あるいは試験場などの指導体制も維持すべきであるというように考えるわけでございますが、この点につきましてもいかがでございましょうか、あわせまして長岡総裁にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/12
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013・長岡實
○長岡説明員 現行制度のもとにおきまして実施しておりますたばこ作経営安定のための諸制度につきましては、契約制度への移行によりまして所要の改正が必要とはなりますが、その実質は、今後とも維持継続してまいりたいと考えております。具体的に申し上げますと、災害補償制度、買い入れ代金の概算払い制度は、耕作者の経営の安定化に果たしている役割にかんがみまして、従来どおり維持していく考えでございます。ただし、今後契約制度に移行することに伴いまして、これらは契約の基本的事項として、会社と耕作組合中央会との間でその内容について約定することとなるわけでございます。
次に、耕作指導につきましては、従来のような画一的、一律的な指導を改めまして、農家の自主的、創造的活動を促進する観点から、産地の実態に即し、かつ産地ごとの耕作技術の必要性に対応する指導を実施し、耕作者の技術及び経営に対する改善意欲を醸成していきたいと考えております。
また、試験場につきましても、新技術の開発や、栽培、乾燥技術の改善のため、試験場における試験研究を充実し、これを技術指導に活用し、普及の促進に努める考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/13
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014・塩島大
○塩島委員 次に、これはたばこ耕作者の方々あるいは組合の方々からも、私ども何遍も聞かされていることではございますが、たばこ事業の円滑な推進と葉たばこ耕作の近代化のためには、たばこ耕作者及びたばこ耕作組合に対しまして各種の助成措置が今までとられてきているわけでございますが、新会社はこれらの措置をどのように取り扱うことになりますか。これにつきまして、長岡総裁の御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/14
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015・長岡實
○長岡説明員 お答え申し上げます。
生産性の向上と品質の改善並びに産地の体質強化は、今後のたばこ産業の維持発展を図る観点から極めて重要な施策であると考えておりますので、今後とも主産地形成の方向に即する効果的な事業につきましては、必要な助成措置を講じていく考えでございます。
やや詳しく述べさせていただきますと、耕作者が行う生産性向上のための生産組織等による高能率な機械、施設の整備に対して助成措置を講ずる所存でございますし、また、耕作組合が行う産地の体質強化のための生産組織化対策、後継者育成事業、品質改善活動などの事業並びに耕作組合組織の再編成等に対しましても、助成措置を講じていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/15
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016・塩島大
○塩島委員 ありがとうございました。
以上の御説明によりまして、葉たばこ耕作者の方々は、引き続き安心して葉たばこ耕作に専念できるということが明らかになったわけでございます。が、問題なのは、この新しい制度が過渡的なものではないのか、また今次改革はいわゆる純粋民営へのワンステップではないのかという点でございます。つまり、新会社はいわば一時的な仮の姿でありまして、将来は分割・民営化されるのだということですと、話は基本的に変わってくるわけでございます。政府といたしましては、今次専売改革をいわゆる純粋民営へのワンステップとして位置づけておられるのか。重要な問題でございますので、大蔵大臣の明快な御答弁をお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/16
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017・竹下登
○竹下国務大臣 分割・民営化につきましては、国産葉たばこの現状のもとにおきましては関係者への影響、そしてまた国際競争力、この観点からこれは著しく問題があると基本的に考えております。したがって、今次改革におきましては、割高な国産葉を抱えた状況のもとで、たばこの輸入自由化を行いながら、なお我が国たばこ産業が国際競争力を確保して健全な発展を遂げることを期するためには、専売公社を政府出資の特殊会社に改組しつつ、これに製造独占権を付与する以外にはない、こういうふうに判断をした次第であります。
今次改革法案においては、特殊会社という経営形態及び製造独占、これはいずれも恒久的な措置とされておりまして、特殊会社化を分割・民営化へのワンステップとして位置づけるというような危惧の念に対しては、全くそういうものではないということを正確にお答えすべきであろうというふうに事実認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/17
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018・塩島大
○塩島委員 大臣の明快な御答弁をいただきまして、どうもありがとうございました。
たばこ事業関係者のうちでも葉たばこ耕作者への影響ということにつきましての質問はこれで終わらしていただきますが、他の質問に移る前に三点、政府及び専売公社に対しまして要望をいたしたいと思っております。
まず要望の第一は製造たばこの関税率の問題でございます。御承知のように、関税率は昨年四月から、三五%から二〇%相当へ大幅に引き下げられたわけでございますが、仮に来年四月から輸入自由化されるとなりますと、国内たばこ産業を保護する政策手段はもはや関税のみということになるのであります。国産葉たばこの競争力等から見まして、現行の二〇%相当の関税率は将来ともぜひ維持する必要があると判断されますので、政府におかれましてはこの維持に全力を注がれますよう、強く要望いたすものでございます。
次に要望の第二でございますが、今後、新制度のもとで制度の改正などを行う場合、あるいは実際に新会社が経営を行う場合につきまして、政府及び新会社はたばこ事業関係者の意見に十分耳を傾けまして、その意見を最大限に尊重していただきたいということでございます。先ほどの御答弁で、独善的な経営は行わないとの説明があったわけでございますが、会社の首脳陣の御意向はともかくといたしまして、末端になると必ずしも経営者の意向どおりに動かないことが間々あるわけでございます。引き続きたばこ事業関係者及びその意見を代弁いたします与党関係者とは十分な意見調整を行われますよう、この際、強く要望するものでございます。
要望の第三点は、新規事業の認可の問題でございます。近年の需要の停滞あるいは今後の輸入品との競争を考えますと、今後、我が国たばこ事業の前途は決して平たんな道のりとは思えません。現在公社では、たばこ技術の開発に関連しまして、バイオテクノロジーを初め相当の蓄積を有しているというように伺っております。新会社になりますと、事業の基盤強化のためにも積極的にこれらの技術を活用し、事業化することが必要であると思われます。また、こういうことをされまして、いろいろな産業等にも活用していただくというようなことが重要ではないかと思われるわけでございます。この新規事業領域の拡大につきましては大蔵大臣の認可にかかわることになっているわけでございますが、実際にそのような申し出が会社から出てきました折には、ただいま申し上げましたような事情を十分に御配慮をいただき、これにこたえていただきますよう、大蔵大臣にお願いする次第でございます。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
次は小売店に関する質問でございます。全国に二十六万店あると言われております小売店でございますが、専売制度のもとでは、小売店が果たしてきました役割のほか、零細な小売店が圧倒的に多いこと等を考えますと、今次改革に当たり、小売店に対し、それ相応の配慮をしてしかるべきだというように思うわけでございますが、この小売店に対しまして具体的にどのような配慮がなされるわけでありますか。また、その結果、小売店は引き続き安心して商売に専念できるのかどうか。また、従来の小売人指定制が何らかの形で維持される場合につきまして、その指定基準なり許可基準はどうなのか。その辺のところを含めまして、大蔵省にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/18
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019・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
ただいま先生からお話がございましたように、沖縄を含めまして全国二十六万人のたばこ小売人がおるわけでございますけれども、これらの中には零細な小売店が大変多いわけでございます。そのほかに身体障害者福祉法とか母子及び寡婦福祉法等によりまして、たばこの小売店の開業に際しては一種の社会政策的配慮が加えられているということがございます。そういう点をも十分に考慮いたしまして、たばこの小売店に対して急激な変化が及ぶことがないよう、慎重な配慮を加えながら今回の専売改革法案を取りまとめた次第でございます。
具体的に申しますと、たばこ小売店の現状等にかんがみ、当分の間、小売販売業許可制を採用いたしまして、既存の小売店を小売販売業の許可を受けた者とみなすこととするとともに、小売定価制についても、小売店に対する配慮等から、当分の間これを維持することとしているわけでございます。
また、小売販売業の許可基準でございますが、これについてはたばこ事業法第二十三条に規定しているところでございますけれども、距離基準あるいは売上高基準など、従来の小売人指定基準が基本的に維持されたものとなっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/19
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020・塩島大
○塩島委員 それでは、引き続きまして塩専売法関係の質問に移らせていただきます。
今次の改革によりましてたばこ専売制度は廃止されるわけでありますが、塩専売制度は存続するものと伺っているところでございます。ところが、塩専売法は全部改正されることになっております。我々から見てみますと、この関係がどうなっているのか十分理解できないところもあるわけでございますので、今次の塩専売法改正の趣旨及び改正のポイントにつきましてお伺いいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/20
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021・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、今次の改正におきましては、塩専売制度の基本的枠組みに変更を加えているものではございません。しかしながら、日本専売公社が日本たばこ産業株式会社に改組されることに伴いまして、塩専売事業をこの新会社に実施させることとしているわけ。でございますけれども、このため塩専売事業といたしましてその公共性、公益性を担保するためのいろいろな措置を講ずる必要があるわけでございます。
それからまた、現在の塩専売法におきましては、従来の塩田製塩を前提とした諸規定がたくさんあるわけでございますけれども、昭和四十七年以来製塩方式が塩田製塩から工場製塩に変革されているという現状に照らしまして、この関係の条文を削除、改正いたしますなど、この際、経済社会情勢の変化に対応するよう所要の整備改善を図る必要があるわけでございます。
以上のような点から塩専売法の改正を行うこととしたものでございますが、御質問にございましたように、塩専売制度の基本に変更がないにもかかわらず、塩専売法の全部を改正することとなっているわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような所要の手当てを条文に加えましたところが、改正箇所がほぼ全条に及ぶようなことになったわけでございます。その結果、法案作成上のいわば技術的な観点から全文改正という形をとることとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/21
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022・塩島大
○塩島委員 次に、この塩専売制度につきましては、累次の閣議決定あるいは臨調答申において、専売制度のあり方等につきましての基本方針が出されているわけでございます。今次の改正におきまして塩専売制度が維持されることになるというようにただいまも伺ったわけでございますが、そこで閣議決定あるいは臨調答申の趣旨が改正法案の中でどのように生かされているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/22
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023・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
塩専売制度のあり方につきまして昭和五十四年十二月、五十五年十二月の再度にわたりまして閣議決定が行われているわけでございますけれども、この趣旨を取りまとめて申しますと、国内製塩業の自立体制の確立を促進しながら専売制度を廃止するとの基本方針のもとに、具体的な施策の検討を推進するということであると考えられます。
今次塩専売法の改正に当たりましては、販売特例塩制度の活用といった自立化促進のための諸措置を講ずることとしておりますとともに、国内塩産業の自立化のめどが得られた段階で塩専売法についての検討を加え、必要に応じ所要の措置を講ずるというような規定を置いておるわけでございます。これによりまして、閣議決定あるいは臨調答申の趣旨はこの法案の中に十分に生かされておると考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/23
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024・塩島大
○塩島委員 塩専売法につきまして最後に一つお聞きいたしたいと思っておるところでございます。
当分存続することになります塩専売事業は、日本たばこ産業株式会社に実施させるということになっているわけでございますが、特殊会社とはいえ、この新会社は営利追求を目的といたします株式会社であるわけでございます。このような会社に国の公益専売事業を行わせることといたしまして、果たして公益性の観点から適正に運営されるかどうかということにつきまして若干疑問が生じるわけでございますが、この辺につきましてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/24
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025・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
日本たばこ産業株式会社は特別法に基づいて設立される特殊会社ではございますが、従来の政府関係機関としての公社とは性格を異にしているわけでございまして、この会社の主たる目的は、やはり営利事業たるたばこ事業を実施することにあるわけでございます。このような会社に公益専売たる塩専売事業を無条件でゆだねるという場合には、ただいま先生から御指摘がございましたように、疑念が出ることもまたやむを得ないことだと考えておるわけでございます。そこで、本改正法案におきましては、塩専売事業が会社の営利追求原理に影響されることがないよう、公益専売制度としての塩専売事業の公益性、公共性が十分担保され得るよう、各種の措置を講ずることとしているところでございます。
これを具体的に申しますと、たばこ事業と塩事業との間で明確な区分経理を行い、塩専売事業の計算をたばこ事業から遮断いたしますとともに、塩事業により得られました利益につきましては、配当などとして処分することを禁じているわけでございます。
〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
第二に、塩専売事業運営に関する重要事項を決定する機関といたしまして、大蔵大臣が任命いたしました委員等から成ります塩専売事業運営委員会を設置いたしまして、その重要事項の議決を行わせますとともに、また会社の塩専売事業の実施を総理いたします塩事業責任者を大蔵大臣が指名をするというような措置を講ずることによりまして、塩専売事業の公益性は十分に担保可能であり、この日本たばこ産業株式会社に塩専売事業を実施させるといたしましても、問題は生じないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/25
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026・塩島大
○塩島委員 以上で質問は終わりますが、御答弁まことにありがとうございました。今後、本日の御答弁、また御要望いたしましたことが生かされますよう万全の措置をお願いいたしまして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/26
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027・瓦力
○瓦委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02519840620/27
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