1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年七月十二日(木曜日)
午前九時五十分開議
出席委員
大蔵委員会
委員長代理理事 中西 啓介君
理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君
理事 中村正三郎君 理事 伊藤 茂君
理事 野口 幸一君 理事 坂口 力君
大島 理森君 小泉純一郎君
笹山 登生君 田中 秀征君
中川 昭一君 上田 卓三君
川崎 寛治君 沢田 広君
渋沢 利久君 戸田 菊雄君
堀 昌雄君 柴田 弘君
宮地 正介君 矢追 秀彦君
安倍 基雄君 正森 成二君
蓑輪 幸代君
地方行政委員会
委員長 大石 千八君
理事 臼井日出男君 理事 小澤 潔君
理事 谷 洋一君 理事 西田 司君
理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君
理事 岡田 正勝君
大村 襄治君 工藤 巖君
左藤 恵君 中川 昭一君
平林 鴻三君 古屋 亨君
松田 九郎君 安田 修三君
山下八洲夫君 宮崎 角治君
吉井 光照君 経塚 幸夫君
農林水産委員会
委員長代理理事 玉沢徳一郎君
理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君
理事 日野 市朗君 理事 吉浦 忠治君
理事 稲富 稜人君
鍵田忠三郎君 鈴木 宗男君
高橋 辰夫君 月原 茂皓君
中村正三郎君 三ッ林弥太郎君
山崎平八郎君 上西 和郎君
田中 恒利君 細谷 昭雄君
松沢 俊昭君 安井 吉典君
駒谷 明君 水谷 弘君
神田 厚君 菅原喜重郎君
津川 武一君 中林 佳子君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 竹下 登君
農林水産大臣 山村新治郎君
自 治 大 臣 田川 誠一君
出席政府委員
大蔵政務次官 堀之内久男君
大蔵大臣官房日
本専売公社監理
官 小野 博義君
大蔵大臣官房審
議官 角谷 正君
大蔵省主計局次
長 平澤 貞昭君
大蔵省主税局長 梅澤 節男君
大蔵省関税局長 矢澤富太郎君
農林水産省農蚕
園芸局長 関谷 俊作君
自治省税務局長 関根 則之君
委員外の出席者
日本専売公社総
裁 長岡 實君
日本専売公社総
務理事 岡島 和男君
日本専売公社総
務理事 西村 忠弘君
日本専売公社総
務理事 森 宗作君
日本専売公社理
事 生平 幸立君
日本専売公社理
事 遠藤 泰君
日本専売公社理
事 丹生 守夫君
日本専売公社理
事 友成 豊君
日本専売公社原
料本部部長 佐藤 友之君
地方行政委員会
調査室長 島村 幸雄君
大蔵委員会調査
室長 矢島錦一郎君
農林水産委員会
調査室長 矢崎 市朗君
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本日の会議に付した案件
たばこ事業法案(内閣提出第七四号)
日本たばこ産業株式会社法案(内閣提出第七五
号)
塩専売法案(内閣提出第七六号)
たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等
に関する法律案(内閣提出第七七号)
たばこ消費税法案(内閣提出第七八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/0
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001・中西啓介
○中西(啓)委員長代理 これより大蔵委員会地方行政委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。
先例により、大蔵委員長が委員長の職務を行うところでありますが、委員長が出席できませんので、委員長の指定により、私が委員長の職務を行います。
たばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案の各案を一括して議題といたします。
各案の趣旨の説明については、これを省略し、お手元に配付してあります資料により御了承を願うことといたします。
—————————————たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業決等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案たばこ消費税法案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/1
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002・中西啓介
○中西(啓)委員長代理 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/2
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003・加藤万吉
○加藤(万)委員 最初に大蔵大臣にお伺いをいたしたいと思うのですが、公社制度から特殊会社に改革になりまして、これに伴います専売納付金と地方税、特にたばこ消費税の関係についてまずお伺いを申し上げたいと思うのです。
大臣、御案内のように、地方たばこ消費税が創設をされましたのは昭和二十九年であります。それより先立ちまして、昭和二十四年に専売公社制度の創設がございまして、このたばこ消費税の持つ地方的な影響あるいはその性格について、当時大変議論がございました。特に当時の情勢から見ますと、地方税がどちらかというと間接税よりもむしろ直接税を中心とする税体系にありましたがゆえに、このたばこ消費税を導入することによって、地方の自主的な財源の確保、いわば直接税よりもむしろ柔軟性のある地方財源として大変歓迎をされたのであります。同時に、このたばこ消費税ができることによりまして、市町村税の側から見ますると、都道府県税の創設によりまして市町村税がそちらに移譲されるという条件等も当時はあった模様であります。したがいまして、たばこ消費税はどちらかといえば、いわば専売公社の創設それ自身を地方の自主財源にするんではないかというような議論もあったようでありますけれども、それに伴いまして、地方の税財源、自主的な財源処置として大変歓迎されたのであります。
さてそこで、この地方税。今度、公社から特殊会社への改革、それに伴いましてたばこ消費税、納付金からたばこ消費税、地方の場合には地方たばこ消費税でありますが、これへの移管の過程で、今言いましたようなたばこ消費税が持つ地方財源への性格、これが今度の場合に、従来の税内容と同じょうにフィフティー。フィフティーにしよう、いわゆる五〇対五〇で地方と中央を分けよう、こうなったわけでありますが、どうでしょうか。この税の創設の過程から見ますると、むしろ地方財源の間接税としてこの部分をもっと拡大をすべきではなかったか、いや、むしろ地方税に吸収されてもしかるべきではなかったかと私は実は思っているわけであります。
大臣御案内でしょうけれども、今地方では地方税に対するいろいろな御批判が出ております。交付税が非常に多額であるとか、あるいは直接税が地方の場合高過ぎるとか、いろいろ問題が起きているわけですが、私は、やはり直接税、間接税の比率を地方の場合にも国並みに変えるべきではないかという見解を実は持っているわけです。
御案内までに申し上げますが、五十九年度の国の直接税の割合は七〇・九、間接税は二九・一であります。これに対しまして地方税は、直接税は八五・二、間接税は一四・八であります。昭和三十年から四十年の前半は、地方税の間接税は大体二二%ぐらいの比率でございました。しかも、このたばこ消費税が持つ税額は、地方税の持つ間接税の二七%強を占めるわけであります。
こうなってまいりますと、直間比率の改善のためにも、たばこ消費税を五〇対五〇で分けるのは、私は地方間接税を拡大するという意味でも合点がまいりません。そういう意味で、このフィフティー・フィフティーに分けた経過の中でどういう御論議があったか、大臣からまず御意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/3
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004・梅澤節男
○梅澤政府委員 大臣の御答弁の前に、若干の経緯の説明を申し上げることをお許し願いたいと思うわけでございます。
地方税制の今後のあり方の問題につきましては、自治省御当局から御見解があるいは述べられることになるかと思いますけれども、今回の専売制度の改革に伴いまして公社から特殊会社へ移行するということでございますが、その際、地方の場合は地方たばこ消費税として、文字どおり地方間接税と申しますか消費税の体系が現に昭和二十九年以来あるわけでございますが、国の場合、現行の専売納付金、これは性格的には、従来消費税的な性格のものとして説明はされておりますけれども、今回の制度改革に伴いまして、文字どおり国税の場合は消費税として純化させていただくという考え方に立っておるわけでございます。
その場合、国の消費税、地方のたばこ消費税を通じましてどのように制度改革の当初発足するかという問題でございますけれども、基本的な考え方といたしましては、国税たるたばこ消費税、地方たばこ消費税の合計の負担額が現在の納付金率の水準を維持するという点が第一点でございます。
同時に、国と地方のいわば負担割合、あるいは財源の配分割合と申しますか、そういうものも現行の基準を留意しながら設定するということでございます。つまり、現行のたばこ消費税、地方たばこ消費税、専売納付金を通じまして、国、地方の財源配分なりトータルとしての最終消費者の税負担に大きな変動が起こらないという観点からこの制度の改革をさせていただいておるわけでございまして、この点につきましては、自治省御当局と我々と入念な議論を重ね、政府の税制調査会の御了承も得まして、ただいま御提案申し上げているようなたばこ消費税法案として提案させていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/4
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005・加藤万吉
○加藤(万)委員 大蔵大臣の答弁は、自治大臣が何かお急ぎのようですから、後でいただきます。
次の質問ですが、この地方たばこ消費税を、国の場合もそうでありますが、今度従価税率と従量税率八対二の区分にされました。従来は、地方のたばこ消費税は従価方式が中心だったわけであります。従量方式を取り入れたことによりまして都市間にアンバランスが起きます。理由につきましては後で大蔵大臣にいろいろ申し上げますが、私は、地方たばこ消費税の持つ平衡交付的な要素を見ますると、従量方式を取り入れることはどうもたばこ消費税が持つその性格から見て必ずしも妥当ではない。八対二という割合配分がどうしてできたかという問題は質問をさせていただきますけれども、これによって高級たばこを吸う都市と高級たばこを吸わない都市との間にアンバランスが起きます。
それからいま一つは、今度地方税の改正がありまして、公社が特殊会社になった、法人に絡まる税額、法人事業税あるいは固定資産税その他を含めて税額が入ってくることになるわけであります。そうしますと、大都市に大体そういう工場とか営業所とかありますから、税がどうしても都市間のアンバランスの上にさらに加算をされるという状況が起きるわけであります。でありますから、私は八対二という基準がなぜできたかということに疑問を持ちますけれども、同時に、そのアンバランスをなるべくなくすという意味では七対三ないしは五対五にするという従量と従価方式の配分区分を考えてみてはどうかと思うのです。
自治大臣、お忙しいようですから、今度地方行政委員会で地方税法、国有資産に絡まる交付金の問題で法の改正案が提起をされて、きょうから審議に入るわけですけれども、その際に、国のたばこ消費税は今提案されておりますが、八対二の割合ですけれども、地方としてはそれは七対三にすべきだ、ないしは六対四にすべきだという御意見がもし委員会としてまとまれば、それを大蔵省との間で協議される意思はありますか。また、これは大蔵大臣、後でまとめて今の点三つお聞きしますけれども、大蔵省としても、自治省側からそういう提起をされた場合に、協議をする用意がございますか。この御答弁だけひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/5
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006・関根則之
○関根政府委員 最初に私から御答弁申し上げますけれども、たばこ消費税はまさに消費税でございますので、消費された物資の価格等に応じまして配分がなされるということが本質的には望ましいのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。しかし、そうは言いましても、たばこの消費量との兼ね合いというものを考えざるを得ないというような観点からその従量制部分を二割程度入れてくる、こういう形で今回国、地方とも従量、従価の割合を決めたわけでございます。
これにつきましては、地方だけは少し従量部分を上げたらどうかというお話でございますけれども、やはり地方は地方なりにいろいろな議論があるわけでございまして、そもそも消費税というものを財源調整的に使ってよろしいのかという議論が前々から実はあったわけでございます。
従来のたばこ消費税というのは確かに総量決定の段階では従価制でございますけれども、すべて配分の段階では本数割になっていたわけですから、実際に各地方団体に配分されます段階には全額従量制というのと回しような配分方式になっていたわけでございます。それに対しまして、大分大都市等からはいろいろ議論が出ておりまして、そういう背景を考えながら、今回本来の消費税のあり方というものにより忠実な方向になるような制度をとったというように考えておりますので、地方税だけ従量制部分を上げていくということについてはなかなか困難な問題であろう。と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/6
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007・田川誠一
○田川国務大臣 この問題は御指摘のようなこともございますけれども、ただいま局長が述べたように大変難しい問題でございますので、慎重に対処してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/7
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008・加藤万吉
○加藤(万)委員 じゃ、大蔵大臣、まとめてお聞きしますが、一つはフィフティー・フィフティーにした中に、たばこ地方消費税を検討、創設した時代の性格を組み入れてそうされたのかが第一点。
第二点は、八対二という割合をとられたその理由は何でしょうか。
第三点は、これは大臣ではないです。新しい、今の答弁に関する問題ですが、今自治省の税務局長は、本数によって従来地方税をやっていましたから従量方式も加えられているのですというような発言なのですが、単価は平均単価でしょう。ですから、例えばゴールデンバットを吸おうが、ホープを吸おうが、本数掛ける平均単価なんですから、従量方式にはならぬですよ。本数が少なければ少ないことによって云々は起きますよ。しかし、価格は平均なんですから、今度はゴールデンバットを吸って、しかも本数が少なければ、その都市は配分がうんと少なくなるのですから、従来の従量方式が加味をされ、従量方式を酌み取りながらという意見は、私は八の面には当たりましても二の面には当たらない、こう思うのですね。
そこで、私は大蔵省に聞きたいわけです。これは大臣の答弁でなくていいですが、税務局長、これによって今度は地方へのたばこ消費税はどうでしょうか。五十八年度、五十九年度それぞれ増加をしていますね、地方財政計画によりますと。今度の場合、この方式によって従来五十八年度、五十九年度の地方財政計画に盛られた同じようなたばこ消費税が都道府県、それから市町村に配分になりますが、例えば今言いましたように、量的な面を重視しますと額的に落ちるのではないか。それから、もしたばこの料金が値上がったときに、従量方式でやる配分率を変えられますか。配分率をもし変えませんと、従来は料金が上がれば、価格方式ですから、価格に掛ける税率で地方に入る収入は上がってくるわけですね。今度の場合本数ですから上がりませんね、料金が改定になっても。その場合に、従量税に関する配分率の改定は行われますか。行われませんと、五十八、五十九年度と同じ形で地方財政計画にたばこ消費税が伸びるというようには断言できないと私は思いますよ。これは後で聞きたいと思うのです。
まず最初に大臣の方から御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/8
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009・梅澤節男
○梅澤政府委員 委員の最初の御質問は、国と地方の配分に対する物の考え方の問題と、ただいま御提案申し上げておりますたばこ消費税におきまして税率を従価税割と従量税割の二本立てにしておるわけですが、どうしてそれを八対二にしたのかという御指摘であったかと思います。
配分基準の問題につきましては最初の御質問で経緯を御説明申し上げましたので、主として従価、従量八対二の考え方について申し上げますと、先ほど申し上げましたように、今回の考え方は、国のたばこ消費税、文字どおり消費税として純化させていただくということでございますが、消費税でございますから、その税率を設定いたします場合に、財政収入等の観点から申し上げますと、一般的な消費という側面と、それから今回のたばこ消費税のように個別嗜好品課税、二つの側面を持っておるわけでございます。財政収入等の観点からいいまして、それから現行の専売納付金の関連から申し上げますと、むしろ従価税のウエートをなるべく大きくするのが望ましいわけでございますが、反面、個別嗜好品課税という側面も持っているわけでございまして、消費税としては、どうしても紙巻きたばこでございますと一本当たりあるいはその他の種類のたばこでございますれば重量当たり幾らという従量税率を導入するということにどうしても相なるわけでございます。各国のたばこ税制を見ましても、従量税率を何らかの形で加味いたしておるのが通例でございます。
ただ、この比率を一体どうするかということでございますが、いろいろな考え方があるわけでございますが、やはり従価割を基本とするということでございまして、この点につきましても自治省御当局といろいろ入念な協議を重ねてまいったわけでございますが、もう一つ参考までに申し上げますと、EC諸国が現在域内各国で各種の税制面についてハーモニゼーションの動きがあるわけでございますが、このたばこ消費税につきましても、ECが始まりました時点では各国の従量、従価の割合がばらばらでございました。現在も必ずしも統一されていないわけでございますけれども、七〇年代、八〇年代を通じましてこのハーモニゼーションの動きがだんだん進行してまいりまして、恐らく近い将来におきまして八対二ぐらいのところへ着地点を置くというふうな動きもございます。
そういった点も考慮いたしますと、今回新しく消費税として発足させていただくわけでございますけれども、従価、従量の割合およそ八対二というのは、かなり妥当な水準ではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/9
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010・竹下登
○竹下国務大臣 加藤委員まさに地方行財政あるいは税制は専門家でございますので、非専門家の私がお答えする能力があるかどうか、みずからに問い聞かせておるわけでございますが、いわゆる今度の五対五というのは、言ってみれば種々協議を重ねましたが、現状是認という基本的な考え方で議論をしながらまとまったものであるというふうに考えております。ただ、いわゆる全体の直間比率議論ということになりますと、これまた別の問題になろうかと思っております。
それから、従量、従価の場合、酒もたばこも嗜好品でございますが、よく私ども下世話な話で申しますのには、酒の方、従量が多いじゃないか、従価の部分が少ないじゃないか。あれはやはり酒を千円だけ買ってこいという者はいない、やはりあれは一升買ってこいとかいうような量的な表現が常識的に非常に多いから、それで従量税になっているんじゃないか、こういう議論もございまして、なるほどそういえば、十円飲もうという人はいなくて、一杯飲もう、こういうようなことかなというふうな議論もしてみたことがございます。
それからたばこの問題は、ECでいろいろな勉強をされたことも私も承っておるわけでございますが、これはやはり私どもは従価の方が非常にわかりやすい。しかしながら一方、一服しようということになりますと、従量の面というものも嗜好品として考えざるを得ない。そうなりますと、八対二がいいのか七対三がいいのかというと、理論的根拠を明快に答えられる能力を私どもも持っておりませんが、諸般の均衡、諸外国等から見て、まずは八対二くらいが妥当かな。それは税務当局同士が詰めた話でございますので、私は非常にラフなお答えになりますが、まずはこの辺が妥当かなというような極めて常識的な認識しか私にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/10
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011・加藤万吉
○加藤(万)委員 税務局長、答弁する前に今一つ、同じ話題ですから。
今の大臣も現状是認ですね。それから大蔵省も現状維持。ところが、これから税務局長に答弁してもらいますが、現状維持にならぬのですよ、どう計算しても。というのは、確かに五十九年度ないしは五十八年度の地方と国との配分で現状維持にはなるのです。ところが、今度たばこが値上がりしたときに、従量税で伸び率が変わってくるでしょう、地方税は。それは現状維持じゃないですよ。そうですね。
それからいま一つ考えていただきたいのは、都市間のアンバランスの問題をひとつ大臣お考えいただきたいと思うのです。工場のあるところ、私どもは神奈川県ですから秦野に工場がありますよ。専売も非常に大きく、営業所もそれぞれありますよ。固定資産税、法人事業税全部入りますね。しかも神奈川県というところはどちらかというと嗜好度が高いところですから、高級たばこが売れますよ。比較的たばこの税収入は強くなるでしょう。歓迎しますよ。今度は、そういうところを持たないところは法人税関係、いわゆるこの特殊会社から入ってくる税も少ないんですよ。少なくなる。少ないというか、地方への納付金よりも多くなりますから額としては多くなるかもしれませんが、しかし現状維持ではないんです。これは地方税の総収入総体で見たときに、そういう特殊会社になるということの変化から起きる問題でしょうけれども、しかし、そういう新しい地方の税収入に対して、これを機会に変化が起きてくる。現状、確かに五十八年度、五十九年度を六十年度に直せば短期的には一年的にはそうかもしれませんが、二年、三年長期的に見て、たばこの値上がりがあった、なにがあったという条件から見てくると、現状維持ではありませんよという認識をまず持ってもらいたいと思うのです。
それから税務局長には先ほどの御答弁をひとついただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/11
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012・関根則之
○関根政府委員 五十八年と五十九年の伸びのような形で将来地方のたばこ消費税が伸びていくのかというお話でございますが、これは五十九年度は六百八十八億、対前年度で税収が伸びる計画になっておりまして、伸び率で八・八%、九%近い伸びになっております。
この原因は、五十八年にたばこの定価の値上げが行われまして、地方税の場合には今まで前年単価方式というのをとっておりましたから、五十八年のたばこの定価改定の影響は五十八年には出ませんで、一年おくれの五十九年度に出る。その影響で、たばこの消費量というものは絶対量はそれほど伸びていないというふうに聞いておりますが、その消費量の絶対量の伸びをはるかに上回る税収の伸びを計上しているわけでございまして、今回の制度改正に当たりまして六十年度以降も五十八対五十九のような伸びをするかと言われますと、それはそうは期待できないだろうと思います。しかし、消費量の伸びに応じ、かつ、今後たばこの価格が上がっていけば、その価格上昇に見合う税収増というものは期待できると思います。
それからもう一つ次の問題は、従量分について税収が上がっていかないではないかということですが、これは多分国税の場合でも同じではないかと思いますが、従量税は本数当たりの定額で設定をいたしておりますので、これをそのままいりまでも維持してまいりますと、たばこの価格がだんだんと上がってまいりましたときには相対的には税収額が減るという問題が起こります。したがって、この問題については、今後たばこ価格がどういう形で推移していくか、今から我々は予断を許しませんけれども、それが仮に上昇していくということになれば、ほどほどの時期に適時適切に定額税率の見直しというものは必要になってくるのではなかろうか。それをやりませんと、確かに税額というものは価格に対して相対的にだんだんと落ちてしまうということはあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/12
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013・加藤万吉
○加藤(万)委員 地方税はいずれまた審議する場所がありますから、そこはじっくりひとつやりたいと思うのです。
専売公社の関係の方にお聞きしますが、今度この制度、いわゆる特殊法人になりまして、国税では法人税、それから地方税関係では法人事業税から始まります一連の税目、全部一〇〇%一般の民間企業並みに納税ということになるわけですね。どうでしょうか、どのくらいふえますか。地方だけに振って言えば、地方に対する納付金との比較でどのくらいふえますか。あるいは法人税を含めてもいいです、法人税を含めて。
たばこ消費税を抜いて経常利益が出ますね、経常利益からそれぞれの税を引きまして最後に純益が出ますね。例えば、私の手元の資料が正しければ、五十七年度の経常利益はたしか千百五十一億円ですね。それから今までの納付金を納めます。ですから、これは従来納めているわけですから引いていくのは当たり前です。そのほか固定資産税関係、それから法人事業税、法人税、それから法人県市民税、住民税、それらをずっと引いてまいりますと、最終的にどうも六百億近くこの中から従来よりも税を払い込まなくちゃならぬ。そうしますと、五十七年度は千百五十一億円で、六百億円引きますと純益が五百億円ですよ。この数字は、もし間違っていたら後で訂正してもらいますけれども、大体間違いないと思うのです。
さて、そこで問題になるのは、私は民間の出身ですから、五百億円で外国製のたばことの競争ができますか。いろいろ経費の中で引いてあるでしょう、研究費とかなんとか。これは国際電電でも今度言われることだと思うのですけれども、せんだって国際電電の研究所を見ましたら、年間の研究予算が二千億ですよ。さてあれが民間会社になってあれでできるのかなという考えを私は実は持っているのです。かつて日本で優秀なあるフィルム会社がアメリカのフィルム会社と天然色で競争しまして、研究費が落ちまして競争力を失いまして、そして非常な苦境に立ったという状況を私も知っているのですね。
ですから、今度の場合に、経常利益を上げる、経常利益からそれぞれの税の科目を引いて、残りが五百億円、いわゆる純益が。それで、いわゆる従来の公社が持っていた公社性とそれから特殊会社という性格とを調和をさせる、同時に外国たばこと競争する市場競争力を持つ等々を含めた企業の運営がこのくらいの益金でできるんでしょうかという、実は専売公社にとってありがたい質問だと思うんですけれども、そういう疑問を私は民間の企業の出身ですから持ったんですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/13
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014・長岡實
○長岡説明員 諸税の負担につきまして、詳細の点でもし御必要であれば担当理事からお答え申し上げますけれども、私ども新会社に移行した初年度の財務状況がどうなるかという点については、実は新会社移行と同時に輸入の自由化が行われますので、輸入品の伸びがどの程度になるかといったようなことにつきましてなかなか見通しが困難でございまして、一応私どもの試算として、例えばごく最近明らかになりました五十八年度の決算で、これが公社制度のままであった場合とそれから会社制度になった場合と比較した数字がございます。
それで申しますと、五十八年度の決算上のたばこ事業の純益は八百七十億円でございます。公社のままであれば八百七十億円でございますが、それが会社に移行することによりまして、公租公課等の負担がふえることによりまして三百億円くらいになる。しかもその中から配当も払っていかなければならないということを考えますと、確かに公社のときに比べますと請負担はふえるわけでございますけれども、この三百億円が多いか少ないかという問題につきましては、多々ますます弁ずるという点はもちろんございますけれども、私ども研究開発費その他まだまだ充実しなければならない問題はあろうかと思いますけれども、大体同程度の規模の民間企業その他の利益の割合と比較してみますと、それほど遜色はないというふうに考えております。
いずれにいたしましても、私どもはこういったような負担を済ませた後の利益によって今後の企業の体質の強化を図っていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/14
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015・加藤万吉
○加藤(万)委員 そうですかね。それはよほど内部留保が多いんでしょう。内部留保がなければ、普通の一般の民間企業と比べてそう遜色はないという言葉は出ませんよ。それは一遍調べてみてください、民間企業の実態を。
それと今言った三百億ですが、私が言ったように大体五百億ないしは六百億が今度の税として、公租公課として加算されますよ。大蔵大臣、これは地方行政委員会でやることではございません。むしろ大蔵委員会でも十分御審議なされた経過だろうと思いますけれども、そういう中での公社の経営というものをお考えいただくことが非常に重要ではないかということだけ一つ申し上げておきたいと思うんです。
そこで、外国製たばこについて二つ、時間がありませんから、簡単に質問します。
一つは、外国製たばこ、国税の場合には保税措置で税として捕捉ができますけれども、地方税の場合には卸、仲卸、小売、どこの段階でどういうふうに捕捉されて徴税ないしは納税を一〇〇%確保されるのか、これが第一点であります。
それから第二点に、これはきょうは社会労働委員会が連合になっておりませんから、一つだけ聞いておきますが、健康上の問題で、日本のたばこには余りのみ過ぎないようにという例の三十九条、四十条に基づく広告がありますが、外国製のたばこにももちろんこれは記載されていると私は理解しているんです。
さて、問題は、どうでしょうか、外国製のたばこの記載が英文だった場合には、従来の市場が非常に狭いあるいは外国製たばこの嗜好者が極めて小さい、実際比率がうんと少ないという場合にはいいですけれども、聞くところですと、今度五社から二十社、卸売業者、卸売関係の会社が入るというお話を聞いておるものですから、そうなりますと、パチンコ屋も最近ではたばこの交換率が非常に高いんですね。たばこが五〇%くらい交換になっているわけですが、外国製たばこは価格が高いですから、高いのはより交換率が高くなりますから、今度外国製たばこを使うようになってくると、外国製たばこの喫煙者が非常に多くなる、のむ人が多くなる。私は、それに対する健康表示を英語のままでよろしいんだろうかという疑問が実は生まれたわけであります。どうでしょう、この点はどういうようにお考えになるでしょうか。
それから三つ目に、健康問題でいま一つ聞きますが、健康管理をする上で、タールの含有量の多いたばこを少し高くして、そしてタールのない、ないしは無害とまでは言いませんけれども、無害に近いような、奨励するようなたばこを専売公社が研究して開発して、今ごろどんどん開発技術は進んでいるわけですから、そういうものをたくさん販売して、そして地方税なりたばこ消費税を拡大をしていくというようなことも、特殊会社発足後の一つの大きな課題ではなかろうかと私は思うのですけれども、以上三つについてひとつ御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/15
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016・関根則之
○関根政府委員 輸入たばこに対します地方税の課税につきましては、一口で申し上げまして末端卸の段階で捕捉、課税をする、こういう考え方をとっております。と申しますのは、輸入業者が直接小売業者に売り渡す場合には、いわゆる卸売業者を入れない場合にはその輸入業者に課税をいたしますし、卸を入れる場合にはその卸に課税する。ただ、卸が二段、三段とあって、小売に行きますまでに数段階を経るという場合には、その小売に直結するところの卸の段階に課税をする、こういう仕組みでございます。
税源の捕捉につきましては、これは建前は申告納税でございますから、卸売業者等に正直に申告をしていただくということがまず第一ではございますけれども、その捕捉を税務当局でいたしますために必要な書類、帳簿等の備えつけはきちんとお願いをするような構成にもなっておりますので、私どもは輸入たばこにつきましても、税の捕捉は十分に行えるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/16
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017・小野博義
○小野(博)政府委員 注意表示についてお答え申し上げます。
現在御案内のように、我が国で売られておりますたばこは、内外製品を問わず、「健康のため吸いすぎに注意しましょう」という表示が行われているわけでございますが、これにつきましては、昭和四十七年四月二十日の大蔵大臣の指示に基づきまして専売公社が表示をしているわけでございます。
現在は専売制度でございまして、外国製品につきましても専売公社が一手に輸入をして販売をしているわけでございますので、専売公社の指示のもとに外国メーカーがその製造の段階で日本語で表示をしております。しかしながら、今後専売制度が廃止されますと、輸入自由化によりまして外国製品は原則として専売公社を通さずに、輸入販売業者を通して販売されることになるわけでございますが、内外製品を問わず、制度改革後におきましても、注意文言を表示するということは必要なわけでございますので、それを義務づけるために法律上明文の規定を置くこととしているわけでございます。たばこ事業法三十九条におきまして、製造たばこを「輸入した場合には、当該製造たばこを販売する時までに、当該製造たばこに、消費者に対し製造たばこの消費と健康との関係に関して注意を促すための大蔵省令で定める文言を、」「表示しなければならない。」というふうに規定をしてございまして、大蔵省令で定める文言としては、外国製造たばこにつきましても日本評で表示をするように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/17
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018・加藤万吉
○加藤(万)委員 持ち時間がありませんから、大臣、最後に一つだけ。後でまた私の質問に答えてください。
私は、最近の地方税のアンバランスといいましょうか、大変目に余るものがある。それは第二次産業から第三次産業に物すごく構造的に変わっているということです。それに見合う税目設定がないということなんです。これは地方行政委員会でも私しばしばやりました。例えば、かつては重厚長大の工場をつくりますから、港、臨海工業地帯、コンビナートなんですね。したがって、とん税というのがあったのですよ。今、臨空工業地帯ですよ。空ですよ。物を運ぶ力が余り必要がなくなってきた。長大ではない。軽薄短小といいましょうか、それに伴う税目というのを考えないといけないと思っている。私は、とん税があるなら、航空機利用税のようなものを、そういう商品といいますか、あるいは材料といいましょうかにかける方法を何か考えていかないと、第二次産業の変化、第三次産業の発達という面に対しては税の平衡交付的な要素というものは非常になくなってくるのではなかろうか、実はこう思うのです。したがって、そういう面から見ますと、第三次産業すなわち流通、消費、そういうものに対する税目というものをいま一遍この際、地方団体の中でもあるいは国全体でもお考えになっているようでありますけれども、考える必要性というものが出てきたのではないか。私は、たばこ消費税なり、あるいは今度電電公社が同じように民間への移行という問題もあるようでありますから、そういうことを機会にこの流通、消費という問題に対する税というものを、先ほど、当初申し上げました地方団体の自主財源の確保という側面からも捕捉をしながら検討する必要があるのではないか、こう思うのですけれども、大臣の所感をひとつお聞きして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/18
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019・竹下登
○竹下国務大臣 税制調査会、これはいわゆる国及び地方の税制全般についてということで三年に一度大々的諮問を行いまして、その中で今度は国会等で行われました議論をその都度正確にお伝えして、いわば税制調査会というのは、この分を審議してくださいという性格でなく、全体の中で国会で議論のあった問題等を正確にお伝えして、それがおのずから集約されて議論が展開されていく、こういう性格の感じで運営をされておるところであります。したがって、今のような問題についてはもとより正確に税制調査会へお伝えすべき問題であろうかと思います。が、一般論として申しますときに、今いみじくもおっしゃった臨海工業地帯というものの勢いが凋落し、臨空工業地帯、まさに本当にこれっぽっちのものが、膨大な輸出産業としあるいは国内の景気を維持し、いろいろなことをしておるわけでございますから、流通、消費の観点からして税制のたゆまざる見直しの中にそれを位置づけるべきである、こういう考えは私は基本的に賛成でございます。
ただ、私どもとしていつも注意していなければならないのは、所得の段階に対する税というものは個々が痛みを感じます。消費の段階の税というのは比較的、一度それが導入されますといわば痛税感が間々薄らいでしまうという傾向もあるのじゃないか、これは税全般の問題でございますけれども。したがって、消費税というものについては、それの公平性とかあるいは選択の自由とかいろいろな問題がございますが、勢い慎重にならざるを得ない点もあろうかと思います。しかし、いわゆる産業構造の流れの変化の中で、今御指摘なさいました流通とか消費とかというものに着目して、たゆまざる見直しの中にそれを位置づけるべきであるというのは、私も同感であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/19
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020・加藤万吉
○加藤(万)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/20
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021・中西啓介
○中西(啓)委員長代理 松沢俊昭君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/21
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022・松沢俊昭
○松沢委員 私は、農林水産委員の立場から若干の質疑をやってみたいと思います。もう長い間いろいろな質疑が行われてきていると思いますので、ダブっているところの面もあると思いまするけれども、その点は御了承願いたいと思います。
国内たばこ産業が国に対して明治以来長い間貢献してきた、これはだれもが認めなければならないと思うわけなんでありまするが、今度長い間続いてまいりましたところの専売制が貿易の自由化に伴いまして特殊会社としての衣がえをやっていった場合、特に葉たばこ産業というものが一体今までどおりに健全な発展というのが遂げられるのかどうか、そういう疑問を持っているわけなんであります。この点につきまして大蔵大臣はどのような見解を持っておられるか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/22
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023・竹下登
○竹下国務大臣 松沢委員の御心配は、私どもも現状を固定して物を考えた場合は同じような憂いを持つものであります。
しかしながら、開放経済体制の中で我が方が、たばこで言いますならば、最初は外国たばこの店舗数をふやしますとかあるいはマージンをどうするかとか、そうして九〇%の関税から三五、それから二〇と、ここのところ急激に関税率を下げまして、一応開放体制に対して対応してきた。しかし今日の国際的地位等から考えればもう一歩踏み出さなければいかぬというところで、いわば流通専売の形をとっておったものが、いわゆる輸入の自由化ということだけは完全に踏み切ったわけであります。
したがって、私どもとしては何分にも国内案産業とでも申しましょうか、いわゆる耕作者の方々の問題を考えますときに、いずれにしてもこれを民営・分割のワンステップだという位置づけはできない。だから製造独占というものだけは恒久的なものとして維持すべきであるというのが今度の特殊会社ということになったわけであります。しかも、特殊会社の中におきましてそれなりに当事者能力を持って、私はいつも申すのでございますが、耕作者の一つの軍団、それから販売店二十六万店、この軍団、そうしてまさに労働組合、労使を含めた当事者の軍団、この三つがいわゆる日本のたばこ産業を支えておる大きな軍団であり、柱であると思うわけでございます。したがって、現状固定の中でイージーに対応していくということは率直に言って難しい問題であろうと私は思います。この構成する三者が、国際競争力全体の中で、合意の中で対外国たばこに対しては切磋琢磨しながらそれぞれの自立体制というものを見出していこう。したがって、そういう効率化等の問題からいたしますならば、特殊会社ということで、商法の規定と労働三法の規定という形でもってより効率化していくということが適当であろうというふうに考えて、このような法律改正をお願いしておるところでございます。したがって、今松沢委員が冒頭におっしゃいました現状固定的な物の考え方に立ては、私どもも労使に対してもあるいは耕作者の方に対してもそれぞれの合理化努力というものをお願いしなければならないし、そしてまたその環境をつくるのが今次の法律改正の趣旨ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/23
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024・松沢俊昭
○松沢委員 今大臣が申されましたように、外国の製造たばこが入ってきておりましたが、今までは専売公社の販売ルートを通じまして販売がなされてまいりましたけれども、今度はそういう状態ではなくなるわけでありますから、当然のことながら、国内において外国製造たばこと日本の製造たばこの販売競争が行われるということになるわけなんでありまして、そうなれば外国のたばこの葉っぱの値段というものとそれから国内の葉っぱの値段というものは、専売公社の資料等を見ましても相当大きな開きがあるわけなんですね。やはり何といたしましても、競争力をつけるにはコストを低減しまして、そして競争に打ちかっていかなければならないということになりますと、勢い、原料である葉たばこの値段も切り下げをしていかなければならない、こういうことにならざるを得ないと思うわけなのですね。
それじゃ、現在たばこ耕作者はこの現状の価格というものに満足をしているか、こうなりますと、満足はしておるわけではございませんで、毎年専売公社に対しまして価格の要求というのをやっているわけでございます。しかも、今までに一〇〇%要求が実現されたということはないわけなのでありまするから、したがって不満は残っているわけであります。その不満が残っているところへ持ってまいりまして、今度競争力をつけるためにさらなる値下げをやっていかなければならないというようなことになるとするならば、これはたばこをつくっても採算が合わぬというようなことで、結局廃業せざるを得ないという農家も出てくる可能性があるわけなのであります。こういう点、一体どうお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/24
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025・長岡實
○長岡説明員 松沢委員が御指摘のとおり、外国、なかんずくアメリカと日本とのたばこの製造コストの比較をいたしますと、これは実は企業秘密で外国の事情もそう定かにはわからないわけでございますけれども、ある程度の推定でいたしましても、葉たばこのコストが日本が大変割高になっておる、これが彼我の競争のもとにおいて一つのハンディキャップであることは事実でございます。したがいまして、私どもといたしましては、製造コスト全体を下げていくためには、そして競争に負けないようにしていくためには、たばこ産業全体が合理化に取り組まなければならないという姿勢で今後進んでまいらなければならないと思っておりますが、葉たばこ農業の部門におきましてもその例外ではあり得ない。
ただ、理由もなく競争上不利であるから値段を下げるといったようなことをするつもりは毛頭ございません。これは審議会で十分に議論をいただいた上で、耕作農家の理解を得て実施していかなければならない問題でございますけれども、現在私どもは、松沢委員御承知のように、日本の葉たばこ農業というのは大変労働集約型と申しますか、労働力多投型の農業でございますので、これの生産の合理化がどこまで図れるか、それによってどれだけ農業上のコストが減らせるかといったようなことについて農家と真剣に話し合っている段階でございまして、そのコストダウンの中で、ある程度生産費が下がっていくということであれば農民の御理解も得られるのではないかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、これは私どもが一方的に押しつけるべき問題ではございませんで、審議会において十分に議論を尽くした上で結論を得たいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/25
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026・松沢俊昭
○松沢委員 審議会でもいろいろ議論をしてもらっておられるところの理解はしているわけであります。ただ、六十五年を目途に公社の国際競争力をつけることが合理化目標ということになると思いますけれども、それによりますと、外国との差というのが大体一・七倍ということになっている。そこで例えば関税率二〇%分というものを国産葉の保護に振り向けた場合においては一・二倍ぐらいになる。そこで二割のコスト減、これは将来の技術的な点を考えて、そして投下労働を現在よりも四割減にする、それから、規模拡大で現在の状況よりも一・五倍から二倍程度にして、平均して在来種においては二・五ヘクタール、黄色種においては五ヘクタール、こういうような目標で合理化目標を立てられ、そしていろいろと議論をしておられるということを私は聞いているわけであります。
一体、こういう合理化というものが果たしてできるのかどうかという疑問を私は持っているわけなのでありまして、現在たばこをつくっている農家というのが九万二千九百余りあるわけでありまして、それを在来種の場合においては二・五、黄色種の場合においては五ヘクタール。五ヘクタールなんということになりますと、それはなかなか大変大きな面積ということになりますので、例えば五ヘクタールというのは、要するに全体の数からいっても一割もないという状態に実はなっているのじゃないか、こう思われるわけなのであります。そうなりますと、大半の農家にはたばこ耕作をやめてもらわなければならないという問題が起きてくるのじゃないか、こう思われるのですが、そういう点はどうお考えになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/26
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027・生平幸立
○生平説明員 お答えいたします。
確かに、先生御指摘のように、日本の土地条件あるいは気象条件というものからしますと、外国と比べまして、葉たばこ生産のコストという問題につきましては大変厳しい状況にございます。しかしながら、今後の製品の自由化というようなことを考えてみますと、このままでは競争に負けてまいります。そうしますと需要も減っていくという深刻な事態になりますので、やはり今後、品質の向上を図ると同時に、生産性の向上も図っていくということが大変重要な課題であるというふうに考えております。具体的には、面積を配分する場合にも、一挙に大きくするということも大変困難でございますので、できるだけ優良な産地に面積の配分についてウエートをかけていくというようなことも考えておりますし、また、いろいろな助成措置というようなことで、高能率の機械の導入あるいは高能率の施設、あるいは乾燥なんかについてもうまくいくような、そういう施設について助成をやっているところでございます。
ただいま、私ども六十五年あたりを目標にしまして掲げている数字について先生からお話ございましたけれども、大変達成ということは難しいとは思いますけれども、目標なしにやっていくというのもどうかというふうに考えまして、何とかここらを目標にしてがんばっていかなければならないということでそういう目標を掲げまして、現在は公社、将来会社になった場合には会社、あるいは耕作者相協力しまして、何とか国際的な価格差というものを縮小していくように精いっぱいの努力をしていきたいという気持ちで、そういう目標を掲げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/27
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028・松沢俊昭
○松沢委員 大体たばこをつくっているところというのは、これは青森までございますけれども、いろいろな場所でつくっております。山間地帯につくっている、それから海岸、砂浜の方でつくっている、それから平場でつくっているという、大体特徴的にはそういうような場所だと思いますけれども、公社の方で今までのコスト計算からいって、どういう場所が一番いわゆるコストの低いところの場所になっているか、その点をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/28
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029・佐藤友之
○佐藤説明員 現在、約十万人近い耕作者の中の実際の労働時間なりコストというのは、これは千差万別でございますが、当然のことながら、平たん地で経営規模の大きい方、それから最新の機械、施設、そういうものを導入した方が低いわけでございますが、現在公社では、具体的にそういった生産性向上を図るために、全国で百九十カ所の展示農場をつくっております。これは大規模、中規模、小規模と、それぞれの産地の立地条件に合った形で展示農場を設けておりますが、それぞれの条件が違うわけでございますが、各産地の一般のたばこ耕作に比べましてそういった展示農場の現在の成績というのは、大体労働時間で大ざっぱに申しまして二、三割平均より低い、そういう状況でございます。
それから、あと種類別に大変労働時間の差がございまして、西日本を中心としてつくっております黄色種、これは東日本中心の在来種、バーレー種に比べまして大変労働時間が少ないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/29
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030・松沢俊昭
○松沢委員 それで結論を聞きますけれども、それじゃ六十五年になりますと、私はこれはなかなか難しいと思いますけれども、皆さん目標を立ててやってそれが完成したというところの暁におきましては、日本のたばこ耕作者の数というのはどの程度になって、面積は大体どの程度になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/30
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031・生平幸立
○生平説明員 現在、ただいま申し上げた内容につきましても検討中のものでございまして、その時点で耕作者の数がどのくらいになるかということまで詳細申し上げるような段階に検討がまだ詰まってはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/31
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032・松沢俊昭
○松沢委員 目標を立てられれば、当然結論はこうなるというところの答えが出ていなければならぬじゃないですか。
それは一たん棚上げをいたしまして、私は、今度のこの改正によりまして、たばこ耕作組合中央会というのと会社との関係で面積というのが決まっていくわけなのでありまして、今までよりも耕作組合の権限というものが大分強くなってきていると思います。しかし耕作者の立場からいたしますと、やっぱり耕作組合に対してもいろいろな不満というのがあるわけであります。それがさらに権限を強化して、そして面積割り当て等もやっていくということになるわけでありますが、今お話がございましたように、ある地域におきましてはたばこ産地としての形成をやっていく、あるところにおきましてはこれはやめてもらわなければならないというところの計画も立てていかなければならない。そうすると、そこにまた混乱が起きてくると思うのですね。
それからもう一つは、現在、在庫が一年分あるわけでしょう。これをやはりこなしてしまわなければならぬというところのそういう宿題を抱えているわけなんであります。これをこなすためにはやはり減作、減反というものをやっていかなければならないということになるわけでありますが、その場合、一方におきましては増反、一方におきましては減反という現象というものもやはり私は起きてくると思うのですね。そうなりますと、たばこ耕作者の間において利害が対立をし、そしてまた耕作組合に対するところの不満も爆発してくる。こういうことになりますと、公社の方で六十五年目標で競争力を高めるために合理化目標を設定しておやりになろうとしても、実際上は不可能なんじゃないか。そこで不可能であるということになりますと競争力というものがつかないわけなんでありまするから、したがって。販売合戦に勝っためには外国の葉っぱを輸入してこれに対抗するということになれば、これは日本の葉たばこ農業はつぶれてしまう、こうなるわけなんであります。そういう危険性というのが十分にこの改革によって考えられる、こう私は思いますのですが、この点、大臣、それから専売公社の総裁、一体どう考えられるのかということをお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/32
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033・長岡實
○長岡説明員 まず私からお答え申し上げます。
コスト競争力の観点のみから考えますと、やはり国産の葉たばこより割安である輸入品の葉の割合をふやせば、すなわちその輸入をふやせばそれだけ楽になるということは事実でございます。しかしそれでは、今回の制度改正におきまして、日本の葉たばこ農業を含めましてたばこ産業全体の健全な発展を図るという目的のもとに設置されます新しい会社が十分に使命を果たしたとは言えないわけでございまして、コスト競争の面だけから申しますれば、安易な道とすればそういう方法もあろうかと存じますけれども、新会社は決してそういう道を歩んではいけない。競争の面では大変苦しい面がございましょうが、それだけに新会社みずからも、また葉たばこ耕作農家にも御理解を求めながら、全体としての合理化を通じて少しでもコストを下げて競争に負けないようにしていくということによりまして、国産葉を主原料として使っております現在の状態を今後とも続けていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/33
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034・竹下登
○竹下国務大臣 いわゆる現状固定をいたしました上で、競争力等から見て国産葉と外国葉とその比較からいたしましてのコスト計算をした場合には、今まさに松沢さんの御議論の展開というものは危惧される方向として私どもも承知いたしております。それをしないで、言ってみれば先ほど申し上げました三つの大きな柱というものが相互に合理化努力をしながら競争力をつけていこう、それがためには、やはり製造独占というものだけはこれはとっておこう、だから民営・分割のワンステップではないんだ、こういう位置づけから出発いたし、まして、今後それこそ、ある意味においては血のにじむような努力をいたして外国製たばことの競争力をつけていかなければならぬ。それがためには、今の形よりもより活力を十分に発揮し得る特殊会社、商法、労働三法という形がよくはないかということで御審議をいただいているわけでございますので、松沢委員の展開の論理、それは私どもも十分にわかるだけに、これからそれに各方面の協力を得ながら血みどろの努力を続けていかなければならぬ課題だという事実認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/34
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035・松沢俊昭
○松沢委員 大臣の方からも、それを理解した上に立って国内の葉たばこを守っていく、守っていきながら合理化を進めていくんだ、こういうお話でございますが、現在、製造たばこの原料は国内産が七割弱、こういうことが言われているわけなんでありますが、実際今どうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/35
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036・生平幸立
○生平説明員 国内産葉たばこと輸入葉たばこの割合ということについてのお尋ねでございますが、これは消費の動向によりまして、どういう製品が売れていくかということによって振れていく性質のものでございます。最近の傾向としましては、高級品が売れていくという傾向にございますので、そういたしますと、そのままやっておりますとだんだん輸入葉の割合が多くなるという傾向にあるわけでございますが、そういうことにならないように、できるだけ加工技術を開発するとかあるいは香料の工夫をいたしますとか、いろいろ製造の技術の方で研究をいたしまして、あわせて、生産する側におきましてもできるだけ緩和な品種を導入する、あるいは栽培の面におきましてもいろいろ工夫しまして品質の向上を図るというようなことによりまして、現在全体の三分の一程度が輸入葉の割合であるというようなことでやっておりますが、今後ともそういうような形で推移していきたいと思って努力しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/36
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037・松沢俊昭
○松沢委員 私は、総裁それから大蔵大臣にこの際一つ約束をしてもらっておかなければならぬのじゃないかと思うのは、要するに、私の論理の展開の方向はわかるけれども、しかしそうはさせないようにやっていこう、簡単に言えばそういう要旨の御答弁であったと思うのです。そこで総裁には、さっき話題になりましたところの六十五年の計画というものは、無理であるならば無理でそうこだわらない、しかし合理化の方向で進むということだけは考えているんだ、こういうふうに私の方で理解して差し支えないのかどうか。
それからもう一つは、国内の葉たばこというのを守っていくというには、答弁の中ではいろいろ思いやりの答弁が出ますけれども、それは言葉のやりとりなんでありまして、今まで大体七割弱の国産葉を使ってきているわけなんでありますから、要するにその比率というのは、これは堅持して進むというはっきりしたお約束ができるとするならばそれに基づいて国内の耕作者も努力をしていかなければならぬというところの気持ちになると思いますけれども、そこの歯どめがないと、一体どうなるんだという心配、不安は消えないと思うわけなんであります。
そういう点で、これは大蔵大臣、それから総裁から、要するに今までの葉たばこの占めるところの割合、この水準だけは堅持して葉たばこを守っていくのだ、こういう決意のほどをひとつお示し願いたい、こう思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/37
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038・長岡實
○長岡説明員 まず私からお答え申し上げますが、第一点の六十五年の合理化目標の問題でございますけれども、これは担当理事からもお答え申し上げましたように、耕作農家の方々に生産性の向上と申しますか合理化についての努力をお願いいたします場合に、全くの目標も何もなく、めどもなく、ただ合理化をしてくださいと言うわけにはまいりませんので、一つの目標値として設定をしたものでございますけれども、しかしこれは当然のことながら、農家の方がその気にならなければできないわけであります。言葉をかえて言えば、拘束力のある計画でも何でもございません。あくまで一つの目標として、でき得るところからできる範囲内でその実現に向かってお互いに努力していこうという性格のものでございますから、その点は御心配のように無理強いにその計画の線に沿って合理化を進めていくということは不可能であろうと思います。
それから第二点につきましては、これは厳密なパーセンテージで外葉が何%、国産葉が何%、しかもその率を将来長きにわたって絶対に動かさないという約束を申し上げることは難しいと存じます。と申しますのは、逆の面で申しますと、現在私どもが計画いたしております過剰在庫の解消のための国産葉の使い込みの増加という時点におきましては、むしろ外集率が下がる場合もございます。そういったようなことで、そのときそのときの情勢に応じてある程度弾力的に操作をしてまいらなければならない情勢はあろうかと存じますけれども、ただ、はっきりお約束を申し上げられるのは、日本の葉たばこ農業の立場を考え、日本の葉たばこがあくまで将来とも私どもがたばこをつくってまいります場合の主原料であるというこの位置づけは絶対に動かしたくない、また動かすべきでないというふうに考えております。
〔中西(啓)委員長代理退席、越智委係員長
代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/38
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039・竹下登
○竹下国務大臣 今総裁からかなり具体的なお答えがございましたが、私どももこの問題を議論するに当たりまして、言ってみれば、一つのガイドラインなしの合理化努力というものも、なるほどこれもしりの抜けたようなものになるであろう。したがって、かなり厳しいガイドラインというものを示しながら、耕作者の方にその気になってもらわなければできる話じゃございませんので、これから進めていかなければならぬ。
ただ、私どもとしていつもこういう問題に出くわすたびに考えますのは、ではこれは初めから言ってみればガイドラインとしても実現不可能なものである、その場合は、このような農政的措置がございますとかいうものを前提とした場合に本当の意味の活力というものは出てこないじゃないか。だから、あくまでも総裁が申しましたように一つの努力目標として設定しながら、まずはその努力目標の中で諸般の合理化を行っていく。そして、それに対して不可能であったあるいは実現が非常に難しかった場合における措置というものをあらかじめ設定していくというのは、いわば競争原理から言えばいささか横にそれた議論になりはしないか。そういう背景を踏まえておったとしても、私どもはやはりガイドラインというものに対しての努力をお願いしていくという姿勢がまずは第一ではなかろうかというふうに思います。
それから二番目の問題は、確かに在庫がたくさんございますから、あれを消化していく間には、恐らく国産葉たばこの方の率がふえる時期が私どもも素人でございますけれどもあろうと思っておりますが、あくまでも最初申しましたように、小売店のお方、そして耕作者のお方、そして組合当事者のお方、そういう大きなたばこ産業全体を支えます位置づけの一つの大きな柱であるという意味において、日本たばこ産業株式会社のいわゆる原料部門を完全に担当していただくわけでございますから、それが主原料であるという考え方の基本には立っていなければならぬ課題だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/39
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040・松沢俊昭
○松沢委員 在庫の葉っぱの始末をつけるためには、むしろ比率の面においては国産葉の比率が高くなるかもしれない、これは結構な話じゃないですか。だからその水準というものを明らかにしていくというわけにはいかないというのは、これはどうもおかしな話なんでありまして、国内の葉というのを主なるものとしてやっていかれるという御答弁もございますのでこれ以上申し上げませんけれども、やはり外国葉になるべく依存しないようにしてやっていっていただきたいということを強くこの際要望しておきます。
それから、時間がありませんであれですけれども、価格の問題であります。
今までの価格というものは、公社が審議会を開かれまして、そして審議会でいろいろ議論して、それを受けて大蔵省の方で御決定になるということになっていたわけでありますが、その場合のこの価格決定は、専売法の第五条には「生産費及び物価その他の経済事情を参酌して、耕作者に適正な収益を得させることを旨として定めなければならない。」こうなっておりますね。今度の改正におきましては、「生産費及び物価その他の経済事情を参酌し」というまくら言葉はございますが、最後のところには「葉たばこの再生産を確保することを旨として審議するものとする。」片っ方の方は適正な収益を耕作者に得させるということを旨としてやっている。でありますから、今までは審議会の答申というものが即価格決定ということになります。そして文言も、十二分に耕作者の利益というものを考えてやっていかなければならぬという文言になっているわけです。今度の場合におきましては、審議会に審議はしてもらうけれどもそれが即答申決定ということにはならない、しかもその文言には、耕作者に適正な収益というのを考えてやるというところの文言というのは実はなくなってしまっている、こういうことなんであります。こうなりますと、今までとは価格決定も大分違ってくるのではないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/40
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041・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
専売制度下におきます葉たばこの収納価格につきましては、昭和二十四年改正前の煙草専売法におきまして賠償価格と呼ばれておりましたことでもおわかりいただけますように、いわば損失補償に類するものと解されていたわけでございます。したがいまして、法律上は公社が一方的に決定して適用する、そしてその価格で収納する、こういう性格のものだったわけでございます。そういう意味で、その決定に当たっての基準として適正な収益を得させることを旨とするという表現をとっていたわけでございます。
新制度のもとにおきましては、専売制度の廃止に伴いまして葉たばこの売買が契約制に移行するわけでございますので、このように公社の一方的な決定を前提とした表現ではなくて、一般的に米とかその他、他の農産物についても同様でございますけれども、農産物の価格基準に採用されております再生産の確保という表現へ変更したわけでございます。従来、法律上から申しますと公社が一方的に決めるわけでございますけれども、その際耕作審議会の議を経てということになっておったわけでございますが、今回は契約によって定まることになりますので、公社は審議会の意見を尊重して決めるというふうにむしろ前向きになっておるわけでございます。
なお、現在の葉たばこ専売法のもとにおきましても、公社はたばこ耕作審議会に諮りまして、その答申に基づき生産費を基礎として葉たばこの価格を決定してきたところでございますので、「再生産を確保する」という表現になりましても、価格の算定の方法が現行の実態と基本的に変わるものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/41
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042・松沢俊昭
○松沢委員 そういう解釈でいいわけですね。ですから、その点では後退はしていない。時間がありませんから議論ができませんけれども、後退していない、こういう解釈で差し支えございませんか、総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/42
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043・長岡實
○長岡説明員 結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/43
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044・松沢俊昭
○松沢委員 それから、農林大臣おいでになっておりますけれども、今ここでいろいろ議論いたしましたのですけれども、葉たばこ農業をめぐるところの情勢というのは非常に厳しくなってきている、こう言えると思います。そこで、農林水産大臣はこの葉たばこ農業について農業全体の中でどのように位置づけをしておられ、将来どういうふうに対応していかれるか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/44
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045・山村新治郎
○山村国務大臣 葉たばこは我が国の畑作地帯におきまする農業経営にとって極めて重要な作物であると思ってお方ます。我が国の農畜産物におきましては、群を抜いて一位が米でございます。続きまして豚、生乳、鶏卵、肉用牛、ブロイラー、たばこという順でございまして、畜産物を除きますとこれは二位を占める作物でございます。
そこで、農林水産省といたしましては、従来から各種の補助事業及び制度融資等を行ってきたところでございますが、今後とも葉たばこ生産農家の経営の安定化を図る観点から、大蔵荊、新会社とも十分連携をとりながら適切な生産振興対策を立ててまいりたいというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/45
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046・松沢俊昭
○松沢委員 時間が参りましたのでこれで終わりまするけれども、大蔵大臣、そして総裁もおられますが、とにかく貿易の自由化、国際化に伴って合理化がなされていっているわけでございまして、そのしわというものがいろいろなところに覆いかぶせられてくることだけは間違いないと思うわけであります。その際、葉たばこというものがこの日本の国の中から滅びてしまわないように最善の努力をやってもらわなければならない、こういうぐあいに考えるわけなんでありまするが、この際、そのことをお約束をしていただきまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/46
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047・竹下登
○竹下国務大臣 松沢さんの今の意見を体して私どもも対応すべき問題である、このような認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/47
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048・長岡實
○長岡説明員 新会社といたしましては、たばこ産業全体の発展を図るために、その一部にしわ寄せをするというようなことがないように配慮していかなければなりませんので、御趣旨の点につきましては最大限の努力をいたしていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/48
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049・松沢俊昭
○松沢委員 じゃ、終わります。
〔越智委員長代理退席、中村(正三郎)委
員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/49
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050・中村正三郎
○中村(正三郎)委員長代理 水谷弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/50
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051・水谷弘
○水谷委員 専売公社改革法案に対して、公明党の立場から、農林水産委員の観点から、特に葉たばこ生産農家の経営の安定を守るという視点から何点か御質問をいたしたいと思います。
まず、御存じのとおり、葉たばこ生産農家は全国で約九万三千戸、このうち専業農家が約三〇%、農業が主な農家が五五%、このようになっておりまして、八五%もの農家が葉たばこ生産を営み、生計を立てている。こういう観点から考えますと、今回の専売の改革による各種の対応については、葉たばこ生産農家は実は非常な不安を持っていることは事実でございます。
先ほど来、大臣からも種々の答弁がありまして、それらの皆さんのことをしっかり体して、今後の国際競争力をつけ、さらに合理化目標の達成のために取り組んでいくのだ、このような御答弁があったわけでありますが、非常に古い歴史を持ち、特に畑地の基幹的な作物という形で我が国には定着をしているわけであります。いずれも山間地帯がほとんどでございまして、その山村の地域経済、農家経済にとっても、実は大変大きな寄与をしてきたわけであります。このような状況の中で、今私どもが生産者から一様に言われますのは、今ですら過剰在庫で、葉たばこは需要がますます減少しておる、いよいよたばこの輸入販売の自由化によって外国たばこが入ってくる、これによってますます葉たばこ生産は窮地に追いやられるのではないか、このような御心配があるわけです。
そこで、先ほどもお話がございました六十五年の合理化目標の中に、大型化の問題やらまた生産性の向上等の施策を推進するに当たって一番問題になってくるだろうと考えられるのは、当然、減反の問題であります。そこで、過去の、今日までの減反の経緯というものを最初にお尋ねを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/51
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052・長岡實
○長岡説明員 お答え申し上げます。
昭和五十年代に入りましてたばこの消費の停滞傾向が顕著になりまして、国内産葉たばこについて需要と供給のバランスが崩れてまいったわけでございます。そういったことから、昭和五十三年以降下自然廃滅作の範囲内で毎年在庫調整に努めまして、五十六年までの四年間で累計約五千五百ヘクタールの耕作面積を縮小いたしたわけでございますが、一年分の過剰在庫がございます上、なお年々の生産量が使用量を上回る状況にございましたために、昭和五十七年作につきまして、五十六年の八月に開かれましたたばこ耕作審議会の答申を得まして、単年度の使用量と生産量が見合う水準まで減らすということで約五千ヘクタールという大幅な面積を縮小したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/52
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053・水谷弘
○水谷委員 五十七年に五千ヘクタール、両方足しますと約一万五百ヘクタールになるわけでありますが、自然減という形も含めてですが、こういうふうにしながら、現在十三カ月分と言われておりますが、これだけの在庫を抱えるに至ったその理由と経緯、これについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/53
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054・生平幸立
○生平説明員 先ほど総裁から申し上げましたように、在庫調整、面積調整というのをやってきたわけでございますが、葉たばこの生産は、実際に使用する年に二年ほど先行して生産するわけでございます。例えばことし生産している葉たばこは、すぐことし使うということではなく、二年たってから使うという熟成の期間を置いているわけでございまして、したがいまして、二年間は標準在庫というふうに考えているわけでございます。そういうふうに先行的に葉たばこについては手当てをするわけでございますが、それは、たばこの販売見通しに基づいてそういう生産をするわけでございます。
昭和五十年代に入りましてから、たばこの消費の伸びが停滞してまいりまして、それに定価改定というようなこともございましたし、あるいは喫煙と健康問題なんかの運動もだんだん盛んになってくるというようないろいろな背景があったと思いますが、そういうようなことから予定どおりの販売が実現しなかったというようなことが一つございます。
それからもう一つは、原料を使用する面でございますけれども、前はくずたばこと申しますか、いろいろ山くずがある、そういうものは捨てていた、あるいは中骨なんかも加工しないでそのまま捨てていたというような時代があったわけでございますが、だんだん加工技術を開発いたしまして、そういう原料につきましても有効利用を図るというような技術が出てまいりました。そういう使用面の方で単位当たりの使用量がだんだん減ってきたというようなことが基本的に大きな理由というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/54
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055・水谷弘
○水谷委員 先ほど六十五年目標の中で、六十五年に達成する面積並びに農家戸数については定かではないというお話でございましたが、片方にこれだけの需要の減少、また原料使用上の有効利用等によっていわゆる必要数量が減ってくる。さらにまた、輸入たばこによって、これもまた減少の要因になる。こういう全体的な観点から、この過剰在庫の具体的な処理方法、それからまた一部には、もしこれがスタートした六十年四月一日以降にさらに強烈な減反が来るのではないか、こういう農家の不安が実はあるわけであります。私は、先ほども申し上げましたように、大変な御苦労をしながら今日の専売公社を支えてきた大切なパートナーである生産者、そういう生産者の方に急激なる生産意欲をそぐような対策というものは断じて講ずるべきではない、このように考えるわけでありますが、過剰在庫の処理と減反に対する考え方、やらないやらないと言って突如としてそんなものが飛び出されたのでは生産背は大変なわけでありますから、その点をこの辺で明らかにお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/55
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056・長岡實
○長岡説明員 約一年分の過剰在庫が公社の経営上大変な負担になっていることは事実でございます。この過剰在庫をいかに解消していくかという問題、私ども懸命に取り組んでおりますが、なかなか難しい問題でございまして、そう簡単には過剰在庫の解消が図れない現状でございますけれども、現在私どもが一生懸命に詰めておりますのは、従来からやってまいりました方法といたしましては、国産葉をたくさん使う新しい銘柄の開発、それの市場投入、例えば昨年の四月でございますか、市場投入いたしましたキャスターといったようなたばこは国産葉の使用割合が非常に高いわけでございます。こういったようなことによって過剰在庫の解消に少しでも役立つようにしたい、これは今後ともそういう方向での新製品の開発には努力をしてまいりたいと考えております。
それから、全体としての国産葉の使用割合を何とかふやして過剰在庫の解消に役立つようにしたい。これはただ、率直に申しましてたばこをつくる上での技術の面にも若干の制約がございますし、それからコスト的にいいましても国産葉を使えば使うほどコストの面では割高になるといったような制約要因もございまして簡単ではございませんが、そういった努力もいたしたいと思っております。
それから葉たばこのままの状態で輸出をすること、これは実は過去においては、我が国の葉たばこはある程度輸出が可能であったわけでございますが、最近、国際的に見て割高の状態のもとにおいてはほぼゼロの状態に近かったわけでございます。五十七年度の実績がわずかに二百六十トンという状態でございましたのを五十八年度にはその十倍以上に伸ばしまして二千七百トン近い輸出の実現を見たわけでございます。こういった努力も今後とも続けてまいりたいと思いますが、ただ、これも率直に申しまして赤字を出して輸出をしている状態でございますのでおのずから限界がある。そういったようなことをあわせ考えますと、非常に正直に申し上げますと、今後五カ年間、ただいま申し上げましたようなあらゆる努力を積み重ねましても、現在私どもが持っております過剰在庫の半分まで解消できればいい方だ、それも大変難しいのではないかという気がいたしております。
そこで減反問題に移るわけでございますが、新会社の発足を待たずに、この夏八月末ごろに開かれます耕作審議会において来年の面積の問題を決めていただかなきゃならない、お諮りしなければならない状態にございます。率直に申しまして、私はある程度減反と申しますか、面積調整について耕作農家の方の御協力を求めざるを得ないと考えております。ただ、先ほど今日に至るまでの経緯で御説明申し上げましたように、今日までにも耕作者の方々には減反についての御協力をいただいておりますので、今回審議会にお諮りする場合に、葉たばこ耕作農家にだけしわ寄せをしてこの問題を解決しようとするのでは恐らく農家の御理解はいただけないと思います。そういった意味で、私どもといたしましては、可能な限り、公社全体としてもこれだけの合理化努力を払います、したがいまして耕作農家にも御協力をいた、だいて、日本のたばこ産業全体が維持発展が遂げられるようにしていただきたいというお願いの仕方をしなければならないと考えております。現在のところ、まだその面積の割合その他については詰めておりません。目下詰めている最中でございますけれども、結論には到達いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/56
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057・水谷弘
○水谷委員 いろんな耕作者同士の利害の衝突等もないようにどうかひとつ、一律な安易な減反面積の割り当て等になりませんように、きめ細かな対応をして誠意ある姿で望んでいただきたい、このようにお願いをしたいわけであります。
次に、外国産の葉たばこのコストの問題、これは今後の一番大きな問題になっていくわけであります。コスト低減のためにいろいろな御努力を農家の帝さん方にもこれからお願いをしていかなければならないわけですが、そういう中で、今専売の立場でございますけれども、いわゆる生産段階で今後どういう形でコスト低減に取り組んでいくように指導されていくか。
品質の問題についても、これだけ科学技術が進歩しているわけでありまして、ほかの農産物については品種改良等が相当進んでいるわけであります。先ほどの御答弁の中にございましたが、いわゆる高級品になるとどうしても外国の葉たばこの原料の使用料がふえざるを得ないというお話でございますが、そんなことではしょうがない。確かに日本の置かれている地理的条件、気象条件等で適さない品種等も当然あるわけでありますけれども、今後鋭意努力をされて良質な品種を安定的に生産するための施策、またさらには投下労働力が非常に多い生産工程でございまして、三十年代には聞くところによると千時間から千二百時間、それほどかかっておった、それが最近に至ってはその半分くらい、五十八年度には四百時間くらいに投下労働時間が削減をするほどに至っているわけでありますが、いわゆる育苗、肥培管理、乾燥、選別、こういう一連の生産工程の中ででき得る限り切り込みは行っていかなければならないわけですが、具体的にどのような生産工程におけるコスト低減の御努力に取り組んでおられるか、それについてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/57
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058・生平幸立
○生平説明員 生産性向上の施策についてのお尋ねでございますが、育苗とか本畑作業、乾燥作業、こういうものにつきましてに、協同組織を育成していくということを考えております。それから、受委託作業の促進をあわせて図ってまいりまして、このため生産対策補助事業の中で、乾燥施設とか農業機械等の施設の整備、それから受委託作業について補助を行っているところでございます。また、本畑作業につきましては、能率の高いたばこ作専用機の普及を図るために、全国に百九十カ所の実証展示農場というものを設けまして、地域特性に合ったたばこ作専用機の展示を行ってそれの普及促進を図っているところでございます。なお、収穫した葉たばこの選別作業は非常に労働時間がたくさんかかるわけでございますが、この選別作業につきまして、着位別選別を行うことによりまして選別の簡易化を推進してまいりたいと考えているところでございます。このほか、関東地方には生産性の高い新しい品種を既に導入いたしまして、鋭意生産性の向上に取り組んでいるところでございます。
今後は、さらに大幅な生産性の向上を図るために、一層能率の高いたばこ作専用機械の開発導入、そういうことに努めてまいりますとともに、選別作業の大幅な省力化も推進して、国産葉たばこの競争力を高めるということに努力してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/58
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059・水谷弘
○水谷委員 専売公社がいろいろ助成措置等講じながらいわゆる生産費におけるコスト低減の対策を講じているというお話でございます。現在公社として行っているこれらの各種の助成措置、設備の近代化等、また共同化等のいろいろな助成措置を現在講じておられるわけでありますが、専売公社から新会社に移行した後も当然そのまま継続しておやりになると思いますが、念のため伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/59
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060・生平幸立
○生平説明員 現在、第二次生産対策補助事業ということでやっておりますが、新会社に変わりましても、今後とも国内葉たばこ生産の生産性向上あるいは品質の向上、その他主産地の形成というようなことは大変重要な課題であると考えておりますので、そういう面に役立つものにつきまして引き続き従来と同じような考え方で助成を図っていく必要があるというふうに考えております。
〔中村(正三郎)委員長代理退席、熊川委
員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/60
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061・水谷弘
○水谷委員 もう一度念のために確認をいたしておきます。
公社から会社に移行した後、現在行われている助成措置で、全く不必要なものは当然でありますけれども、大幅に後退するようなことは断じてないわけでありますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/61
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062・生平幸立
○生平説明員 先ほど申し上げましたように、特段大幅に後退するというふうには考えておりませんが、しかし、今後の課題というのを考えてみますと、やはりウエートのかけ方とか、そういう点についてはいろいろ新しい考え方も入れてやっていかなければいけないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/62
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063・水谷弘
○水谷委員 どうかひとつ、合理化の名をかりて大切な生産者に対する助成措置が削減されることのないように、ここでしっかり要望しておきます。
次に、先ほども御議論がございましたが、製造たばこの中に占める国産葉と輸入葉の使用割合、これについて先ほど総裁から非常に積極的に、過剰在庫を処理するための施策として、いわゆる国産葉の使用量の割合をふやせるような新製品の開発に努力をしておるというお話でございました。これは生産者にとっては非常に善ばしい、希望の持てる話でございます。
そこで、繰り返すような質問になりますけれども、現在大体七割国産葉が使われておる。この比率の問題でございますけれども、当然消費者の嗜好の動向によってもその比率等は多少の変動はあると思います。しかし、やはり片方で先ほどのお話のように来年の契約面積においても面積の縮小という問題が議論になるほどなんでありますから、さらにまた、国産のたばこ全体が、その販売量が低下をし、外国たばこによってかなり影響を受けるだろう、そうなればますます葉たばこ生産農家は窮地に追いやられるわけから、そういういろいろなことを考えた上で、やはりこれは新会社に移行してもこの原料における使用割合というのはかなり厳しいものとして維持をする努力、これは国産葉の新品種の改良も含めて努めていただかなければならない、私はこのように考えているわけでありますが、その方向についてただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/63
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064・長岡實
○長岡説明員 たばこを製造する場合の国産葉あるいは輸入葉の率の問題でございますが、水谷委員も御承知と存じますけれども、現在世界的な傾向といたしまして、ニコチンやタールの含有量が少なくて、のんだときに軽い喫味のたばこの好みが非常に強まっておりまして、一種の国際競争としてそういう方向に進んでおります。そのために、葉たばこを一部加工いたしまして、緩和刻みというような名前で呼んでおりますような原料を一部まぜながらニコチン、タールの量を減らし、軽くて味のあるたばこの開発というその方向は、今後ともある程度無視できない状態にございます。そういうものの割合等を考えますと、なかなか比率の設定は難しいのでございますけれども、今はっきり言えることは、むしろ外葉の輸入率が三三%というのが現状でございまして、この率を何とか維持していくことによって現在の状態を変えないようにしていくということであろうかと存じます。
先ほどもお答え申しましたように、極めて厳密な意味で毎年毎年一定率が維持できるかという点につきましては、これは若干の変動がいろいろの事情によってあることはやむを得ないことと存じますけれども、基本的な考え方として、現在のように国産葉を主原料という位置づけにおきましてたばこをつくっていくという基本的な考えだけは、今後とも、相当苦労は伴うと存じますけれども、維持してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/64
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065・水谷弘
○水谷委員 ひとつ、その三三%を押さえて、あと残りの六七%をしっかり守っていっていただきたいと思います。
次に、これは大臣にお答えをいただきたいのでございますが、関税率が五十五年の合意で九〇から三五、それからさらに現在は二〇%ということで、開放経済、自由化のいろいろな観点から関税率が引き続き下げられてきたわけでありますが、これについても大変な心配があるわけであります。これ、将来永久に守れなんて、こんな議論をここで申し上げるつもりはありませんけれども、現在のこの水準を将来とも堅持する方向で対応していかれるのかどうか、その辺のところをお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/65
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066・竹下登
○竹下国務大臣 お尋ねの関税の問題でございますが、今水谷委員御指摘になりましたとおり、五十五年四月、これが紙巻きたばこだけで例をとりますならば、九〇%ということでございました。このときも私は大蔵大臣でございました。それまでは、言ってみれば輸入独占でございますから、価格面とか、そういうことで対応できたわけでございます。そうして、五十六年の四月が今度は三五%、こういうことになりまして、五十八年の四月が現在の従価換算税率でありますと今おっしゃいましたように二〇%、こういうことであります。
今までの歴史的に見ますと、店舗の拡大でございますとかあるいはマージンの問題、それにやはり自由化要求に対応してきた重大なポイントはこの関税であったと思うわけであります。先般のサミットでも、リーガン財務長官といろんなお話し合いをいたしました中の一つがこのたばこの問題でございましたが、現在この二〇%という関税は、おおむねこれは、ヨーロッパが九〇で、アメリカが二〇で、おおむね見合っているということも一つございましょう。と同時に、今度の新しい改革というものが法律が通って実行に移されたという前提の上に立ては、我が方としても非常な評価をしておる、こういうようなコメントでございました。したがいまして、私はこの問題で一応の、いわば従来、この六、七年でございましょうか、くすぶっておりました、たばこ問題というものには、向こうから言わせればウェルカム、そういう形で決着がついたものではないかというふうな事実認識が一つあるわけであります。したがいまして、私どもは今日の二〇%というのはまさに適正な二〇%だ、こういう理解をいたしておりますし、また、考えようによりますと、国内の産業事情等を配慮いたしましたぎりぎりのものであるという一つの認識も持っておりますので、これを変更するなどということは全く考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/66
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067・水谷弘
○水谷委員 次に農水省にお伺いをいたします。
やはり国際競争力のための合理化目標達成、コスト低減の施策を講じていくという上では、この畑地の基幹的な作物として今日まで農業の中にも位置づけられてきました葉たばこ生産振興、これに対する取り組みが非常に大切だと思います。また、今まで専売が取り組んでこられた各種の施策は、ある程度これは限定されたものに限られていくわけでありまして、やはり農業の大事な一つの畑地の特産という形でこの振興に当たっていかなければならないと思うわけであります。
現在までの取り組みと今後の対応についてお伺いをしたいわけでありますが、私も農業白書をひもといてみまして、白書の方でどのくらいたばこに対する記事があるかなと思って読んでみたのでございます。わずか三行ぐらいしか載っておらない、三行ぐらいでは、農業の中でたばこをどういうふうに取り組んでいるのか全く理解ができない。専売から新会社、そういう経過の中で、やはり農業を預かっておる農水省という立場からこのたばこに対する取り組みというものをしっかりしていかなければ、生産をされておられる皆さんにとっても、おれたちは農業の外にあるのかというような感じを持たれてはまことに申しわけない限りであります。どうかひとつそれらを踏まえて御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/67
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068・関谷俊作
○関谷(俊)政府委員 たばこは畑作農業の中で大変重要な地位を占めておりまして、先ほど大臣もお答え申し上げましたが、農作物の中では、粗生産額では畜産は別にしまして米に次ぐ地位を占めているくらいのものでございます。ただ、作物の中の特性と申しますと、十アール当たりのいわゆる粗収益、販売額としてはずば抜けて高いわけでございますが、反面投入される労働時間は大変多うございまして、やはりこの面から、大変これからコスト低下、収益性の改善という面で労働時間の短縮ということが焦点になる、かように考えております。
そういう意味で考えますと、まず畑作、たばこ作に使われます土地の面では、これは御承知のとおりたばこ作付地というのは全体の畑地の中に組み込まれておるわけでございますから、私ども農林水産省としましては、この基盤整備、土地条件の整備あるいは農地の集団化、さらに言いますと規模拡大に寄与するような農地の流動化、こういうことも考えなければならないと考えまして、このいわば土地面の対策というのはやはり畑作対策の一環として私どもの役所で考えるべきことだ、かように考えております。そういう意味で基盤整備事業等の実施をしておりますほかに、さらにこれは私どもの方で持っておりますいろいろな生産振興対策あるいは構造改善事業、こういう対策の中で、特に労働時間短縮等に寄与しますような共同の育苗施設、乾燥施設等の共同施設の設置の助成を行っておりますが、こういう面でのたばこにさらに重点を置いた予算の実施ということに配慮すべきというように考えております。
それから個別経営の問題につきましては、農林漁業金融公庫資金でございますとか農業近代化資金の中で、たばこ作にかなり重点を置いております農家も対象にしまして個別経営め改善に努めているわけでございまして、そういうような葉たばこ生産全体の位置づけ、またその特色に応じましてこれまでも私ども大蔵省あるいは専売公社といろいろ御相談をしながら対策を進めてまいりましたが、今後とも、大蔵省あるいは新法人と一層の緊密な連携をとりながら、今申し上げましたような施策についてさらに頂点的に実施を図ってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/68
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069・水谷弘
○水谷委員 特にお願い申し上げたいのは、土地基盤整備事業であります。比較的山間地が多いそういう立地条件でございまして、今水田を中心にした土地基盤整備すらもなかなか進まない、こういう状況の中で畑地総合整備という問題は大変難しい問題はあるかもしれません。しかしながら、やりやすいところ、いわゆる平地、かなり生産性が見込めるような地域、確かにそこも重要かもしれませんが、農水省としていわゆる山村振興、総合的なそういう見地に立って農業施策を講じるという上からは、やはり山間地における土地基盤整備というものに積極的に対応されるべきだ、これは地域格差を是正していくという上からも大変重要な施策だと私は思っているわけであります。
特に、私が住んでおる地域の葉たばこ生産をされておられる方々の地域は、ある程度の傾斜、かなり奥まったところ、農道も整備されていない地域がかなりある。搬出するのにも相当の労働と時間を要する、そういう地域を私も多く見ております。作業が真夏にかかってくる、労働時間とかそういう簡単なコスト計算できないような、額に汗して非常に御苦労されておられるそういう生産者の実態を私どもよく存じているわけであります。こういうことを根幹的に解決をし、そして結果としていわゆる委託または共同化または大規模化、こういうものを進めていく上には、どうしても基盤整備が重要な位置づけになってまいります。それをひとつ重ねてお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/69
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070・関谷俊作
○関谷(俊)政府委員 御質問のとおりでございまして、土地基盤整備事業の面で申しますと、畑作、いわゆる畑総と我々申しております事業の中での取り組みもございますが、今お話のございましたような傾斜地あるいは山寄り地帯での問題というのは、私どもの対応としましては、最近の傾向としまして、農業構造改善事業というかなり大きな補助体系を持っておるわけですが、これがだんだんいわゆる平場の大きな面積のある地帯よりも、山寄り地帯で比較的傾斜度の多い、あるいは地形としてやや入り組んだ地帯の農業基盤整備も取り込みました構造改善事業として総合的に実施をいたしております。
このほか、お尋ねの中にもございました山村振興の対策事業、それからそれに準ずる山村地域のいわゆる定住対策事業というのがございまして、こういうような特に山寄り地帯に重点を置きました補助事業の中で、たばこ作というような非常に地域の重点作目については、その基盤の整備また必要な共同施設等の設置についてこの地域の中で重点的に取り上げるようにこれからも配慮してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/70
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071・水谷弘
○水谷委員 専売の総裁、今後の新会社移行の時点においてもどんどんひとつ——これだけ長期にわたって国家財政に大変な寄与をしてこられた、その一翼を葉たばこ生産者が担ってきたわけであります。そういう観点から、農水省に対するいろいろな生生基盤の整備、近代化、いわゆる会社が乗り込めないそういう部分に対する諸要求等々を遠慮なくどんどんぶつけていただきまして、そして生産者が希望を持って葉たばこ生産に従事できるような体制を私どもともどもに築いていかなければならない、このように考えているわけであります。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/71
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072・熊川次男
○熊川委員長代理 神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/72
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073・神田厚
○神田委員 日本たばこ産業株式会社法案に関しまして、生産者の立場から二、三御質問を申し上げたいと思います。
まず最初に、大臣と総裁に、新会社に移行する、新会社を設立する状況の中で、生産対策に対する基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/73
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074・竹下登
○竹下国務大臣 今御審議いただいております法律そのものは、御案内のように、開放経済体制に即応する意味において輸入自由化というところまで踏み切ったわけであります。しかしながら、我が国の国産葉たばこというものを考えましたときに、何としても製造独占を日本たばこ産業株式会社に認めて、しかもその経営形態をできるだけ商法なり労働三法なりそういう活力の出る体系にして、もって国際競争に対応していかなければならぬ。そして、その議論をするに当たりまして、三つの関係方面とでも申しましょうか、私ども、今御指摘のありました耕作者の方々、それから小売店の方々、そして労働組合を含む当事猪の方々と種々意見交換を重ねてまいりました。そこで御審議をいただくという経過に至ったわけであります。したがって、まずはたばこ事業関係者に急激な変化が及ぶことがないように慎重な配慮を加えておるわけであります。
それを具体的にたばこ耕作者の方々について見てまいりますと、いわゆる全量買い取り制の維持、それから審議会の設置、そして葉たばこ審議会の審議基準の明定という措置をきちんと講じておるわけであります。特に、葉たばこの耕作面積と買い入れ価格につきましては、製造独占が認められる新会社が実質的な買い手独占になるわけでありますから、一方的に買い入れ価格を決定することがないようにしなければ大きな関係をお持ちになっておる耕作者の方々に対して不安感を除去するわけにはまいらないということで、新会社内に葉たばこ審議会を設置いたしまして、その委員の委嘱に際しましては、あらかじめ大蔵大臣の認可に係らしめることによってその公正さが一層担保されるようにという仕組みで配慮をしてきたということが、お答えいたす大筋ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/74
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075・長岡實
○長岡説明員 我が国の葉たばこ農業は、我が国農業の宿命と申しますか、土地条件あるいは気象条件等から申しまして、外国の葉たばこに比べましてある程度ハンディキャップを負っていることは事実でございます。コスト的に申しましても割高な点もあることは事実でございます。さりとて、私どもが国際競争に負けないようにしていくために、コスト的に割高な原料をすべて輸入原料で賄って、国内のたばこ産業は農産物加工業でいいんだというふうに割り切るわけにはまいらないと存じます。あくまで日本のたばこ産業全体が安定的な維持発展を遂げてまいりますためには、たばこ企業全体の中の原料供給部門としての日本のたばこ農業の位置づけが重要な意味を持ってくるのであろうと存じます。
そういった意味で、葉たばこ耕作農業につきましても全体の合理化の努力の中でそれなりの努力をしていただかなければならないとは存じますけれども、そういったことを通じまして、日本のたばこ産業全体が今後とも安定的に発展を遂げるように、その中で我が国の葉たばこ農業も安定的な発展を遂げるようにということを念頭に置いて私どもは今後事業を進めていかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/75
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076・神田厚
○神田委員 基本的な考え方について大臣の方からかなり明確な御答弁をいただきましたが、一つは、耕作面積の確保の問題で、減反問題についてであります。地方を回っておりますと、減反に対する不安というものが非常に出されております。この辺のところはどういうふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/76
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077・長岡實
○長岡説明員 現在、国内産の葉たばこの在庫が約三十七カ月分、正常在庫を二年分といたしますと、約一年分の過剰在庫があるわけでございます。加えて消費の停滞傾向が続いておりますので、そういった中で輸入製品に対する市場開放の進展、あるいは原料の有効使用技術の向上等によりまして、需給の面におきまして再び不均衡が生じてきている状態であることは事実でございます。したがいまして、公社といたしましては、今後懸命の販売努力、あるいは先ほども申し上げましたように、国内産の葉たばこの使用拡大あるいは葉たばこの状態での輸出の努力等を続けていくことはもちろんでございますけれども、今後の我が国のたばこ産業全体の長期的な維持発展を図ってまいりますためには、できるだけ早い時期に過剰在庫状態を改善する必要があると考えておりまして、そういった面で耕作農家の御理解を得て需給調整のための措置、具体的に申しますれば、ある程度の減反についても耕作農家に御協力をお願いせざるを得ないのではないかと考えております。
ただ、過去の経緯等から考えまして、耕作農家にだけ御無理をお願いするわけにはまいりませんので、日本のたばこ産業全体がこれだけの合理化努力を払っていかなければならないということ、また公社としてもこれだけの合理化をいたすつもりでございますということをできるだけ御説明するように努めまして、耕作農家の御理解を求めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/77
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078・神田厚
○神田委員 次に、生産対策費の関係でありますが、乾燥施設あるいは農業機械、さらには組合手数料、こういうことで現在支出されているわけでありますが、これらの問題については引き続き現行制度といいますか、現在行われているものを続けてほしいという要望が強くありますが、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/78
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079・生平幸立
○生平説明員 ただいまの御質問の内容につきましては、第二次生産対策事業ということでいろいろやっております。この第二次生産対策事業は五十九年度をもって終わることにいたしておりますけれども、現在国内生産の抱えている生産性の向上とか品質の維持向上ということは、製品たばこの今後の競争が激しくなっていくことを考えますと、大変重要な課題であると考えております。したがいまして、国内生産の基盤を強化していかなければならないと考えており、高能率な施設、機械の整備に対する助成などの生産対策事業は、今後とも引き続き実施の方向で検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/79
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080・神田厚
○神田委員 さらに葉たばこの鑑定問題等もありますが、これらについてはどういうふうな方向で行いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/80
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081・生平幸立
○生平説明員 基本的には現行と変わりがないような仕組みを考えておりますが、現在標本たばこというものを等級別に設定して、これに比べて鑑定を行いまして、買っているわけでございます。今後はその標本を選ぶ場合に、会社側それから耕作者側双方を代表する者によって標本を設定いたしまして、実際に鑑定をして買うのは専門の技能が必要でございますので、会社の専門職員がやる、買う場合にいろいろ苦情なり不満が出たというような場合には必要な救済措置を考えるということでやってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/81
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082・神田厚
○神田委員 さらに災害補償の問題であります。昨日も私の地元のたばこ生産地が雷雨、突風で大被害を受けたというようなことをけさちょっと聞いたのでありますが、災害補償の問題にどういうふうにお取り組みになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/82
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083・生平幸立
○生平説明員 災害補償の関係につきましては耕作組合中央会との約定事項になるわけでございますが、基本的にはその災害の種類あるいは補償率、そういう内容につきまして現行と同じような形で維持してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/83
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084・神田厚
○神田委員 さらに細かいことでありますが、現在概算払い制度が行われておりますね。この概算払い制度は継続してほしいという希望が非常に強いわけでありますが、この点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/84
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085・生平幸立
○生平説明員 概算払い制度につきましても耕作組合中央会との約定事項になると考えておりますが、新しい制度におきましても現在と実質的に同じように維持してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/85
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086・神田厚
○神田委員 さらに納付運搬費等の問題はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/86
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087・生平幸立
○生平説明員 納付運搬費につきましても同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/87
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088・神田厚
○神田委員 先ほど総裁の方からお話がありましたが、在庫がやはり非常に大きいというのが問題であります。何とかもう少し国内産の葉を使うことができないのかというのが切実な要求でありますが、どういうところに外国産葉を使う理由があるのか、なぜ国内産葉をもう少し傘として使うことができないのか、量として使用することができないのか、この辺はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/88
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089・長岡實
○長岡説明員 二つの面からそういう問題が出てくるのだろうと思います。
一つは、たばこをつくっていく上で、たばこの本当の味を出すと申しますか、香喫味の原料にするためには、我が国の葉たばこも品種改良その他で改良はどんどん進んではおりますものの、やはりアメリカ等の一部の葉たばこに比べますとどうしても劣る点がございまして、そういったようなものをまぜてたばこをつくりませんと消費者の方に吸っていただけないというような面がございす。
また、もう一つの面はコストの面でございます。今申し上げた香喫味を出すための原料の一部は輸入に依存するにいたしましても、それでは全体としてニコチンやタールの量を減らして軽いたばこをつくるための緩和的な、緩和補充料と呼んでおりますけれども、そういったような材料にもっと使えるのではないかということになりますと、これは今度はコストの問題がございまして、率直に申しまして現在でも強力な競争相手であるアメリカのたばこ企業と私どもとを比べた場合に製造コストの面でハンディキャップを負っておりますけれども、国産葉をどんどん使い込むことによってますますその負担がふえるということではやはり国際競争に勝ち抜いていくわけにはいかないといったような制約があるわけでございます。
したがいまして、国産葉を使っていくことについてはおのずからある程度の制約があるわけでございますけれども、私どもはその制約を承知の上でここしばらくは一年分の過剰在庫解消のために国産葉の使い込みをもっとふやしていくという努力はいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/89
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090・神田厚
○神田委員 最後に大臣に、この法案、どうも各新聞の社説は一斉に問題があるというふうな形での指摘がされております。その中でポイントになっておりますのが、買い上げ問題等生産者にかかわるところの問題が非常に大きいわけでありますが、私はこの辺のところはもう少し大蔵省なり専売当局なりが誠意を持って説明をしなければいけないところじゃないかと思うのです。六大新聞の社説は全部この法案について非常に不十分だという形で主張をされておりますが、この点について大蔵大臣としてどういうふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/90
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091・竹下登
○竹下国務大臣 今まさに神田委員御指摘のような論調で、特に案がまとまった折にそういうような御批判を受けたことは私どもも十分承知をいたしております。私なりに反省をも加えて考えてみますと、臨時行政調査会でおっしゃいましたいわば開放体制に即応する問題と、そして商法また労働三法等々当事者能力を与え、活力を生かしていくという点、これらの大筋は私どもは一応評価をしていただいておると理解をいたしております。したがって、各紙の論調等を見ますならば、今まさにおっしゃいますように私どもが国内産葉を抱えた現状をもっともっと説明をして、これが最も現実的であるということの理解を深めていく努力を全くしなかったわけではございませんけれども、それが欠けておったとすれば、その点は素直に反省の糧としなければならないと思っております。したがって、今後の運営の中で、なるほどこのいろいろ指摘されておった点が現実的な姿において効果をあらわしたというような方向で結実いたしますように、これからも鞭撻を受けながら努力をしていかなければならぬ、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/91
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092・神田厚
○神田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/92
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093・熊川次男
○熊川委員長代理 菅原喜重郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/93
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094・菅原喜重郎
○菅原委員 まず大蔵大臣に質問申し上げます。
今回たばこ専売制度が廃止になるわけでございますが、このためにたばこ耕作農家の先行きに対する不安は非常に増大している次第でございます。開放経済体制と外国産たばこ輸入自由化に対応するためやむを得ない措置と政府は弁明しておりますが、一世紀にわたる葉たばこ耕作省の政府への貢献は、国内産業の振興とあわせ、絶大なるものがあるのであります。このため大蔵大臣としても、国の責任のもとに、たばこ耕作の生産性向上、品質改善、国際的コスト競争力付与のための政策実現に積極的財源手当てを講ずるようまず強く求めるものであります。
私は、急激な国際自由化の波にたばこ耕作者のみならず農家全般が立たされながら農家経営の基盤が国際競争力に対して脆弱である一面には、今日までの国の農業指導に一つの欠陥があったからであると思います。それはいつも安易な価格政策指導の政治であり、枠づけされた非弾力的補助行政であると私は考えております。このためどれほど積極的に考える農民の創意性を生かし得てきたか疑問でありまして、トータル的には保護費用の上昇に反しまして自給率の低下を見ているというのが現実であります。私は輸出を忘れた産業は衰退すると思っております。今保護を要する葉たばこ生産も他の農業生産も、政策次第では輸出産業化でき得ると長年の農村活動から一つの信念を持つものであります。このためには政府は農業に対する金の使い方を根本的に変えるべきだと思っております。価格支持政策や補助金行政に力を置くのでなく、今後はコストダウンにつながる基盤整備、利水設備、研究開発などに積極的役割を果たさなければならないと思います。
今、農業に対しまして、農産物の輸出産業化を頭から否定して指導している向きがあります。これでは国際化に対応できる発想は浮かんでこないものだと思っております。輸出市場に向けての品種開発等マーケティングがなされれば、葉たばこ産業も日本農業も輸出産業化に成功すると思います。この新しい農業革命を起こすためには、市場改革、土地改革、技術改革、人材革命が必要であります。政府の役割は、政府介入を緩和し、優秀な農業者が自由に活動し技術革新を実現できる状況を設定することであります。また公共財の供給であります。このことには品種改良も含めておりますが、とりわけ基盤整備の投資は土地利用権の集積を生むものですから、水資源の確保とともに、また国土保全、国土改良としても、これは社会資本投資の規定の中で強権のもと、政府が全額投資で行う気概を持つべきだと私は主張しています。さらに、人材育成に対応するものでありますから、補助金から自由に企画、投資、改革できる経営へ、長期低利の融資制度の拡充が必須であります。
私は、葉たばこ生産を含め、農業は典型的研究開発集約型産業であると思っております。私はかつてノルウェー国の園芸学校にも学んだ経験から、たばこ耕作の将来に技術的にもある希望を持つものでありますので、ぜひ大臣にも以上の意見を総合され、耕作農民に不安のない施設を講ずる上での財政的責任を果たしていただきたいと思うのであります。つきましては、ここに、新会社移行に際しての農業政策の負担にかかわる大臣の基本的考え方をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/94
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095・竹下登
○竹下国務大臣 今、菅原委員の多年の経験と、ある意味において抱負経論とでも申しましょうか、そういう御意見を交えての御質問でございます。私のように二財政当局担当者がお答えするには余りにも抱負経論が偉大であって、御満足のいけるようなお答えをする能力が私にあるとは思っておりません。が、しかし、大筋、いわゆる価格政策とかあるいは非能率的な補助金政策とかいうことから、構造政策あるいはバイオテクノロジーの分野にまでお触れになっての御意見でございますが、私もそれなりの筋としては私なりに理解をさせていただける筋道ではないかというふうに認識をいたしておるわけであります。
そこで、具体的な問題につきましては、いわゆる農業政策負担、こういう問題でございます。
そもそも今次の改革におきましては、専売公社を合理的な企業経営が最大限可能な特殊会社に改組する。しかしながら、ここで国際的に見て割高な国内産葉たばこの現状を考慮してみますと、どうしても当該特殊会社に製造たばこの製造を独占させる、いわゆる製造独占、これをきちんと残すということがやはり基本的に必要じゃないか。したがって、私どもは今度の問題がいわゆる分割・民営に至るワンステップというふうには位置づけていないわけでございます。言ってみれば、恒久的な措置という物の考え方の上に立っておるわけであります。
そこで、それに対応するためには、やはりこの製造独占はもとよりでありますが、いわゆる国際競争に耐え抜いていくために、あるいは葉たばこ耕作者の皆さん、また小売店の皆さん、また労働組合はもとより、含めて専売当局当事者の皆さん、そういう大きな日本のたばこ産業を支えてくだすっておりますもろもろの軍団、集団とでも申しましょうか、そういう方々を、いわば自由な、少しでも活力というものが発揮できる形にということで、特殊法人とはいえ、商法あるいは労働三法の適用を受ける新会社ということにして、言ってみれば競争に耐え得る基盤あるいは環境というものをこの法律によって整備確立していこう、こういう考え方に立っておりますので、したがって、いわゆる一般会計で言う農政負担とでも申しましょうか、そういうものの助成措置というのを前提として考えた場合に、活力というものがそこに依存した場合に私はやはりマイナス要因に働く場合とであり得るではないか、だからやはりこの機構の中でそれぞれが合理化努力をしながら対応していくというのが第一義であって、直ちにもって新たなる助成措置を講じていくということを前提としては物を考えていないということだけは申し上げておくべきではなかろうか。その中でいろいろな工夫が、今おっしゃいましたバイオテクノロジーに至るまでの問題が、将来まさに国際競争力のあるいわゆる葉たばこ生産とし、また、委員は農業全体の問題に対する抱負経論をお述べになったわけでございますが、そういう問題の一つとして位置づけた場合にも、最初からこの助成措置というものの期待感というもののむしろ外にあってこそ本当の活力というものが出てくるではなかろうか。非常につたない私の、知識でございますが、現状の認識をそのまま申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/95
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096・菅原喜重郎
○菅原委員 さらに大臣にお伺いしますが、一応大臣の御返答の中の趣旨は了としておりますけれども、ただ、この中で、助成措置ではなくして自由な融資制度の面についての大臣の意見をお伺いしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/96
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097・竹下登
○竹下国務大臣 これは、従来からも農林水産省で御担当いただいております例えば葉たばこ耕作の畑地農業としての位置づけの中で、土地改良でございますとかあるいはもろもろの近代化融資等に対しては大変な御配慮を農林水産省から今日までも賜っておるわけでございますので、農林水産省におかれましてもそういうような姿勢でこれから対応していただけるものだろうという強い期待を私も同様に持っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/97
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098・菅原喜重郎
○菅原委員 次に、専売関係の方にお伺いします。
葉たばこ耕作の生産性向上のために各種の施策が農林省と公社で講じられているようでございますが、今後の方針、新会社になってからの方針についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/98
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099・生平幸立
○生平説明員 お答えいたします。
今後、製品競争力の確保に向けまして、たばこ作の生産性向上は大変重要な課題であるというふうに考えております。これまでも生産性の向上、品質の維持向上を目指しまして高能率な施設、機械の導入を促進するための施設整備事業、私どもこれを品質改善高能率生産施設整備事業と言っておりますが、この整備事業を実施してきておりまして、また、全国に百九十カ所の実証展示農場というものを設けまして、産地の条件に適合した耕作体系の普及を図ってきているところでございます。今後も、国内葉たばこ生産の基盤強化を図るために主産地形成を推進するとともに、引き続きこうした高能率な施設、機械の整備に対する助成などの生産対策を実施する方向で検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/99
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100・菅原喜重郎
○菅原委員 たばこ生産は十アール当たり平均四十八万円の粗収入を上げておりますが、労力が三百五十時間、一時間当たり千三百七十円相当で、十アール当たり四十三人を要しております。これを米に比較しますと、十アール当たり米は十五万円の粗収入に労働力が六十時間、一時間当たり二千五百円、十アール当たり七・五人でございます。こういう点では非常に労働収益性が低いわけでございますが、かつて十アール当たり二百人を超えた在来種の栽培から比べますと大変な進歩ではございます。しかし今、米と比較しますとまだまだ差があるわけでございますので、ひとつ今後とも日本の葉たばこ産業育成のために責任ある指導と財源対策、また諸政策に万全を期していただくよう要望いたしまして、時間が来ましたので質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/100
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101・熊川次男
○熊川委員長代理 津川武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/101
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102・津川武一
○津川委員 昭和五十一年のことでありました。私のふるさと津軽の岩木山麓に公社が出てきまして、たばこの栽培を勧め、そこで農民はこれにこたえて栽培を始めた。ぐんぐん耕作面積がふえていった。公社はそこでたばこ研究センターをつくりたいから協力してくれ、農民はこれにもこたえた。しかし、センターもつくらない。その後、耕作面積もじりじり後退する一方。そうした中で、今回の法改正で、公的性格を帯びていた公社から、たとえ買い入れや栽培で独占的な体制を持っておるかもしらぬけれども株式会社に移されるのでは、この後退はさらに加速されるのではないか、これが正直なところ耕作農民の、そして国民の心配であります。この点が一つの問題。
もう一つは、たばこの生産額は、先ほども話になりましたが、五十七年度で二千三百十五億円で、お米の三兆一千億円とはかなり離れておりますが、それでもミカンの千九百八十億円を超して第二の生産額になっております。日本の畑作では欠かすことのできない主要作物でございます。収益の面でも、他の畑作物が軒並みに赤字になっているのに、これも五十七年ですが、夏秋トマトは十アール当たり九十二万円の経費をかけて粗収入が四十四万円、これが今の日本の畑作農業ですが、たばこは四十万円の経費をかけて四十八万円の粗収入を上げております。こうなってくると、農家の経営に大きく寄与しておるのでございます。特に、こういう立場でたばこ耕作農家に専業農家が三〇%も上っているという、ほかの農業には見られない状況があるわけであります。こういうことはなぜできたか。これは公社が公的な性格を帯びているから、公的に行動したからなんです。
今度この法律改正で、先ほど話していましたけれども、買い入れや耕作させる面で独占的な力を持っているといえども株式会社に移行される。そこで、今まで公社がやってきた、あの乾燥施設を整備する構造改善に対する援助だとか、試験研究所も持っておる、病虫害に対する対策が非常によろしい、災害補償制度が他の共済制度よりもうんといい、こういう状態が後退するのじゃないかという心配を持っております。後退させてはいけません。この点で、大蔵大臣の御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/102
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103・長岡實
○長岡説明員 大臣のお答えの前に私からお答え申し上げますが、日本の葉たばこ農業……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/103
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104・津川武一
○津川委員 ちょっと。総裁のお話は十分聞きましたので、大臣に具体的に答えていただきたい。時間が二十分なので、随分皆さん答えていただいたけれども、抽象的で同じことをしゃべっているので、ここで同じことを繰り返していただかなくてもいいですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/104
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105・竹下登
○竹下国務大臣 チガル、厳密に言うと津軽でございましょうが、その津軽の地域の経験からしての、恐らく御質問の根底はそこにあったろうと思っております。私の田舎も大体津軽クラスでございます。が、それは別といたしまして、たばこ耕作が地域農業にとって重要な地位を占めておることは、今御指摘なすったとおりでございます。今日まで、我が国のたばこ産業にとって考えてみましても、原料たる葉たばこのいわば安定供給部門としての役割を果たしてこられたというふうに私も理解しております。
今度の改革におきまして、たばこ事業関係者の方々に急激な変化を与えてはいかぬということでいろいろ慎重な配慮を行ってまいりました。そこで、今御質問なさいました耕作者の方々、これも、我が国のたばこ耕作の現状にかんがみまして、いわゆる全量買い取り制の問題、それから審議会の設置の問題、それから審議会の審議基準の明定というような措置を具体的に講じておるわけでございます。
何としたって製造独占だ、しかもそれがいわば競争原理を持つ特殊法人とはいえ株式会社だ、そうすると、どうしてもいわゆる買い手独占という感じになるのが不安だ、こういうお話でございますが、だからこそ、新会社の中に葉たばこ審議会を設けまして、その委員の委嘱を申し上げます方方については大蔵大臣の認可に係らしめることによって、したがっていわゆる公正さが担保されていくであろうということを期待して配慮した中身であるというふうに御理解を賜りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/105
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106・津川武一
○津川委員 そこで、たばこ農業というものは公社だけの問題じゃなくて、日本農業の問題なんです。
実は、たばこ専業農家は本当に喜んで、みんながうらやましがっている。そこまでの耕作面積があればよろしいんだ。今度後退するでしょう。そうすると、専業農家が専業から転落していく。これをどうするかということ、これは農政の問題になるわけです。
もう一つには、私たちの方の、青森県の東北町、上北町、天間林村、七戸町、ここは今は農家の収入がいいことではベストテンの方の上位にあります。なぜこうなるか。これはたばこです。大きなたばこ耕作、もう一つはナガイモ畑作、こうなっているわけです。したがって、たばこは、その存在ひとりで歩かないで、農家の畑作経営全体を守っていくという問題で、これが今度は公的性格を失ったものによってやられるとなってくると、皆さんが心配になるわけであります。
そこで、公的性格は、公社が及ぼす株式会社だから減る。そうするとこれを公的立場でやれるのは農水省になってくる。試験研究所はある、今度は株式会社になってくるとこれは減らされるのじゃないかと思う。時によると、廃止になると思う。共済組合制度に農民の受け持ち部分が非常に少ない。これも今度は株式会社になると付加されてくる、こんな心配がございます。そうすると、公的な立場をバックアップするのは農水省になりますので、農水省はこのことをどう受けているのか。例えば試験研究所なんか必ず残せるのか、ここいらあたりを農水大臣からお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/106
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107・山村新治郎
○山村国務大臣 葉たばこは、我が国の畑作におきます農業経営にとりまして極めて重要なものでございます。今先生言われましたが、米が我が国農産物では群を抜いて第一位でございますが、続いて豚、生乳、鶏卵、肉用牛、ブロイラー、たばこという順になっておりまして、畜産物を除くと農産物の中では二位という地位でございます。したがいまして、農林水産省といたしましては従来から各種の補助事業及び制度融資を実施しているところでありますが、今後とも、葉たばこ生産農家経営の安定化を図る観点から、大蔵省、新会社とも十分連携をとりながら適切な生産振興対策を講じてまいる所存でございます。
詳細につきましては、もしあれでしたら政府委員から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/107
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108・津川武一
○津川委員 そこで、現在のたばこ試験場、公社が今度は株式会社に移ったときにこれをそのまま続けられるのか、ここが非常に心配になってくるわけ。たばこの試験研究、今公社だから公的性格を持ってやれる。今度株式会社になってくると、この点で大きな後退が出てくる心配があるわけ。
そこで、たばこの試験研究所を現状のままで維持していくか、さらにふやしていく必要がある。たばこに対する試験研究の予算なんか減っては大変なことになりますので、この点を、公社に移す場合非常に端的な形であらわれますので、念を押して答弁していただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/108
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109・生平幸立
○生平説明員 大変たばこの産地というのが動いておりまして、現在たばこ試験場が全国に五つありますが、現在はたばこの大産地の中心でないような状態になっている試験場などもございます。そういうことで、全体としてこのまま配置していいかどうかという問題はございますけれども、しかし新しい品種の開発、導入、あるいは今後生産性を上げていかなければならない、そういう技術開発、試験研究を進めていくためには一層この試験場の役割というのは大事であるというふうに考えておりますので、基本的には続けていくべきであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/109
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110・津川武一
○津川委員 今の公社の答弁を了として、竹下大蔵大臣、これを守っていただくよう要請しながら質問を進めていきます。
その次は等級の問題でございます。一等級になりますと我々のところのハーレー種でもキロ二千円から、五等級になってくると三百円を切ります。十アール当たり一等級だと五百四十万円からの粗収入になる。五等級になると八十一万円。これは余りにもひどいのです。四等級でも三分の三等、二等、三等ということはありますが、特等、一等、二等というようなところが農家の望む努力でございます。
私、耕作農家のところへ行ってみましたら、非常に喜んで、家を挙げてお祝の宴をやっている。どうしたんだと言ったら、一等とったからと言う。五等とると泣きべそかいている。ここに根本の問題があるわけです。だから、仮に耕作面積が減っても等級が上がる、こういう保証があるならば、ここでたばこ農業は安定するわけです。
この等級を落とすものは何であるかというと、乾燥の技術なんです。今までは一枚一枚取っておった。最近は下の方を取って後に半分残してやる、そういうことになってきておりますけれども、この等級を上げられるように乾燥の技術を改善していくこと。もう一つ、品質が落ちるのは病虫害、したがって病虫害駆除をやるならば耕作農民は納得していくと私は思う。もう一つは台風で葉が壊れること。等級を上げて、農民をたばこ耕作に奮起させるために皆さんに協力させるとすれば、この三つの対策が絶対欠かせないと思いますが、公社、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/110
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111・生平幸立
○生平説明員 ただいま等級を上げていくというお話でございますが、品質の向上を図るという趣旨だと思います。
昭和四十九年以降生産性の向上は図られてまいりましたけれども、その反面、葉たばこの品質の低下を来しておりました。ここ数年、品質回復の指導に努力をしました結果がなり向上してきているというふうに考えております。今後は、作柄の正常化と、それから今先生おっしゃいました適正な乾燥管理、これを基本としましてその維持向上のための指導を実施していきたいと考えております。
具体的な方法につきましては、圃地の調査による適地を選定するということ、それから適正な施肥、特に良質の堆肥をたくさんつくってこれを使っていくというようなことによりまして地方の維持増進、それから、適熟葉と言っておりますが、よく熟れました葉たばこを適期に収穫するということでございます。その収穫、それから乾燥管理、そういうことを適正にやるということに特にウエートをかけて指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/111
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112・津川武一
○津川委員 本当にいい等級にたばこを上げるということ、農家の一つの目標が土づくり、そっちにあると同時に、ここが一つの目標なんです。
そこで、私たちのハーレー種で言うと、一等だと二千百四十円、五等だと二百九十円なんです。四等でも九百五十円。同じ農民が一生懸命つくって、買い入れにこれほどの差のある農作物も私は知らない。全量買い上げでお米というのはこんなに差がない。公的機関が関与していてこれだけの差をつけていいのかということもひとつ考えを聞かせていただきたい。
時間が来たのでまとめて質問しますが、乾燥、私も現場に何回か行ってみますけれども、本当に大変です。暑くて汗だくだくになって、日射病になって苦しくて、次の日だるくて、その上に人手が要る。昔は一枚一枚茎から葉を外して乾燥した。今は半分ぐらい葉を取って、残り半分は茎のままで乾燥するようになり、私もよかったと思っております。そこで農民の皆さんの言うのは、葉を全部つけたままで乾燥させられないか。そうなったら省力のためにもなる。たばこの労働力が余計かかるのはここにある。それから、農民をあの苦しい労働苦からも解放する。健康のためにも必要なんです。全部葉をつけたまま、一本のままで乾燥させていく技術開発が農民の要求であり、国政としてやるべきことであるのですが、この点を二つ目に答えていただきます。
最後の問題としては、もう一つ葉の品質を落とすものとして、病虫害の中に菌核病、これが一番困っているのです。菌核病をなくする特効薬をつくる、特別試験研究をするということでなければならぬと思っております。私はかつてリンゴの腐乱病に政府に頼んで一億円の特別試験研究費を出してもらったことがありますが、ここいらあたりやはり考えていただきたい。
この三つに答えていただいて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/112
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113・生平幸立
○生平説明員 最初に、価格差が非常に大きいという指摘でございます。
確かに日本の場合には、上級葉と下級葉といいますか、それの間の価格差が大変人きゅうございます。これは、一つは良質葉の生産を進めていかなければならないという日本の葉たばこの特性というものから、特にそういう価格差というものをつけて買い入れをしているということでございます。例えばアメリカのような葉たばこですと、全体の品質がいいということがあるからだと思いますが、日本のようには価格差はございません。
それからもう一つは、五等とか四等というような葉たばこにつきましては、全体に国産の葉たばこにつきましては使用上いろいろ使いにくいという問題がございますが、特に四等、五等というふうになりますと、そういう点が大きい。いろんなそういう特性がございます。したがいまして、買い入れをしました後で、製造工場におきましてまたさらにいろんなコストをかけまして、イオン水をかけますとか、いろんな加工処理をやりまして、さらに金がかかるというような形で使用している。それでも現在のところ、下級といいますか、五等、四等のような葉たばこの在庫が比較的多くなっているということでございまして、さらに加工の技術あるいはブレンドの技術、あるいはそれをカバーするための香料なんかの開発をするということが急務ということで、一生懸命やっているところでございますが、そういうような実情から、現在のような価格体系で当面いくべきではないかというふうに考えておるところでございます。
それから、先ほど病気なんかのことがありましたが、それは専門の国内部長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/113
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114・佐藤友之
○佐藤説明員 在米種、ハーレー種の労働時間を節減するために、幹干し乾燥について御指摘がございましたけれども、私どもも将来、在来種、ハーレー種の労働時間を減らす一番のポイントはこの乾燥問題と考えておりまして、いかにして全葉幹干しを進めていくかということでございます。ただ、これは一挙にできませんで、現在は逐次その全葉幹干しの葉数をふやしていくということを行っておりますが、アメリカ等では既に全葉幹干しということを行っております。ただ、これは気象条件が日本と非常に違うものでございますので、日本でそういうことをやるためには、それなりの今度は風火力の施設とか、そういうものもあわせて考えていかなくちゃいけませんので、現在、研究部門の開発の一番のポイントにしているようなわけでございます。
それからもう一点の菌核病の問題でございます。
確かに、特に東北地帯では五十四年から五十六年にかけまして夏に大変低温が続いた。そういうことで、通常はたばこの場合には菌核病は余り発生いたしませんけれども、低温のためにかなり出たということがございます。お天気がいいと、今度は余り対策も講じなくてもほとんど出てこないという状況でございますが、五十四年の大発生にかんがみまして、その後、菌核病に対する農薬、こういうものの登録も新たに追加して、現在対処している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/114
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115・津川武一
○津川委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104666X00119840712/115
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116・熊川次男
○熊川委員長代理 以上で連合審査は終了いたしました。
これにて散会いたします。
午後零時五十三分散会
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