1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年六月二十八日(木曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 志賀 節君
理事 戸井田三郎君 理事 畑 英次郎君
理事 吹田 愰君 理事 鈴木 強君
理事 武部 文君 理事 竹内 勝彦君
理事 西村 章三君
足立 篤郎君 亀岡 高夫君
佐藤 守良君 額賀福志郎君
野中 広務君 長谷川四郎君
渡辺 紘三君 伊藤 忠治君
中村 正男君 松前 仰君
鳥居 一雄君 中井 洽君
永江 一仁君 佐藤 祐弘君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 奥田 敬和君
出席政府委員
郵政政務次官 関谷 勝嗣君
郵政大臣官房長 奥山 雄材君
郵政省電気通信
政策局長 小山 森也君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 日高 壮平君
通商産業省機械
情報産業局電子
政策課長 牧野 力君
労働省職業安定
局雇用政策課長 佐藤 仁彦君
日本電信電話公
社総裁 真藤 恒君
日本電信電話公
社総務理事 岩下 健君
逓信委員会調査
室長 長崎 寛君
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本日の会議に付した案件
日本電信電話株式会社法案(内閣提出第七二号
)
電気通信事業法案(内閣提出第七三号)
日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の
施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
(内閣提出第八〇号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/0
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001・志賀節
○志賀委員長 これより会議を開きます。
日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/1
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002・中村正男
○中村(正男)委員 あと三十分しか私の持ち時間が残されておりませんので、きょうは、これからのいわゆる高度情報化社会の実現というのは、各産業分野の共存共栄、それが原則にならなければならない、こういう観点で二、三質問をしたいと思います。
まず、きのうの質疑の中で、新電電としてでございますが、出資の自由が認められておるということで通信機器の製造分野への進出は考えていない、こういう総裁の御答弁がございました。国民の、世の中のコンセンサスに合った協力者を求めながらと、こういう表現をお使いになったのですが、この点について、改めて確認をしていきたいのですが、こういう製造分野へは新電電として直接進出は考えていないけれども、例えば既存のそういった製造メーカーと合弁といいますか、そういう形において進出を考えておられるのか、これが一点。
それから、いわゆるハードの製造分野へは直接的には進出はしない、こういうお話でございましたが、それではそういった通信機器の販売流通分野へはどのような対応を考えておられるのか。改めて言うまでもなく、新電電というのは大変巨大性を持つわけでありますから、例えば電電の全国的な組織をフルに発揮した形の電電商事というふうなものを仮に内部にでも設けて、それで一元的に通信機器の販売分野に乗り出すというふうなことをお考えなのかどうか、まず、この辺をお聞きをしたいと思います。総裁の方、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/2
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003・真藤恒
○真藤説明員 今の御質問につきましては、まだ具体的に、私どもはこの法案が通るまで、実施に移るまでに時間がございますので、今いろいろ考えているところでございますけれども、きのう申し上げましたように、私どもは原則としてメーカーは持たない立場でございますので、また当分の間、持とうとも思っておりませんので、これは特殊な何か国家目的とかなんとかということで、必要を迫られて外部から要求されてというふうなことがあれば出てきましょうけれども、それ以外は、一般のマーケットに出ていくような品物をつくる企業に私どもが投資したり、あるいは自分で会社を持つということは考えておりません。
そういうことをやりましても、成熟した今の業界に競争的にやっていけるとはとても思えませんし、また、それを無理にやれば高買いさせられるに決まっていますので、それはやりませんということを申し上げたのですが、販売の場合もやはり同じでございまして、今度新しい法案で端末機の開放になりますので、自営市場に全部この端末機械というのは、経過措置はありましても原則として出てまいるわけでありまして、したがいまして、自営市場のマーケットというものは非常に大きくなります。
ただ、それにかてて加えて、高度情報に必要な新しい通信機械というものが次から次と出てまいると思いますので、このマーケットは非常に大きくなると思いますが、その場合に、この法案に書いてありますように、私どもが販売を続けていくということになりますと、公正な競争の原則の上に立たざるを得ませんので、その公正な競争の原則に立ちながらどういう方法がということになりますと、やはり既存の流通業界の方々と私どもの考え方が、そこで協調されなければ実行不可能だというふうに考えております。
現状からそういう形に持っていく、経過措置の中である程度のいろいろな変化は出てまいろうかとは思いますけれども、最終の姿、これは見直しが五年以内となっておりますが、少なくとも、長くともこの五年以内には、業界のコンセンサスに合わせた姿に落ちつかせていくということが絶対必要かと思っておりますが、具体的には、その場になりまして、恐らく機種ごとにあるいは地域ごとに、いろいろな業界とも御相談をしながらということにしかならないと思います。強引に私どもが力に任せてやるということをやりましても、これはそういうやり方で商売が長続きしないことは、私は民間で商売をやってまいりましてよくわかっておりますので、今おっしゃいますように、協調と競争というものをどういうふうに調和させながらということで考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/3
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004・中村正男
○中村(正男)委員 ということは、全くそういう機器の販売流通には進出をしないということではなしに、業界との協調を図りつつ、この新電電としても独自のそういう販売流通を考えていく、そういうふうに受け取っていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/4
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005・岩下健
○岩下説明員 ただいまの総裁の答弁をちょっと補足する意味でお答えさせていただきます。
宅内機器につきましては、先生も御高承のように、現在までいわゆるレンタル方式ということで、私ども、これも販売と呼んでおりますけれども、たくさんのお客様にサービスを提供しておるわけでございます。これが新しい法制下になりますと、お客様のニーズがさらに拡大される可能性が開けるわけでございますが、その場合、端的に六機の開放という問題もございます。
今回の改正の最大の目的が、要はお客様にとってよりよいサービスを享受いただくというところにあろうかと私どもの事業の立場では考えておりますので、したがいまして、私どもとしましても、この料金のお支払いの方法について、そういった多様化におこたえをするという意味で、今までのレンタル方式とあわせまして、お買い上げいただくという方法もぜひ実施をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
この場合の基本的な考えとしましては、ただいま総裁が申し上げましたように、一言で言えば共存共栄が基本でございます。つまりは公正競争の条件が最大の前提条件になろうかと思いますが、その上に立ちまして、ただいま申し上げたお客様のニーズにおこたえをしていく、これはお支払いの方法も含めまして、ということによって、ちょっとおこがましいのですが、市場全体の拡大あるいはその活性化に業界の方々ともども貢献をしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
基本的には、先生も御存じかと思いますけれども、現在の宅内機器が、電電のいわゆるレンタルでお使いいただいているものが約五千万、それから一般の業界の方々の販売なさっているものが一千万を超えておりまして、電話機だけでございますけれども、約六千万を超える電話機が現在あるわけでございます。これが今回の法律改正によりますと、いわゆる六機と称しますものが四千万を超えますけれども、これもお客様のチョイスによりまして、従来どおりのレンタルを続けるか、あるいはまたお客様御自身がお買い上げになるかという、いわば業界全体にとっての市場の拡大になるわけでございます。
そういう中で私どもも、先ほど申し上げましたような公正競争条件の整備また共存共栄の哲学、これを基本に据えまして、これはまた、昨日当委員会で御説明申し上げましたように、職員の働く意欲なり雇用の問題にもかかわる問題でもございますので、私どもとしてはそういう方向で取り組んでいきたいと思いますが、要は、市場全体が広がっていきまして、私どもも、また既存業界の方々もともに栄える、こういう方向でぜひやってまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/5
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006・中村正男
○中村(正男)委員 今、宅内機器という表現で電話機を中心にお話があったのですけれども、先ほど総裁のお話の中にもあったように、これから情報化社会が進展するにつれて、多様なサービスとともに、それに応じたいわゆる端末機器というものが、もう既に開発が進んでおりますが、それ以上にどんどん広がってくると思います。そういうことを考えますと、当然新電電の主要な業務としてこの分野が検討されてくるのはそう遠くはないというふうに見るわけですけれども、ぜひひとつ、今、答弁をいただきましたように、既存の民業への配慮、節度のある対応ということを強く要望をしておきたいと思います。
そのことと関連いたしまして、次は、情報処理産業、いわゆるソフトウエアの産業が大変広まってきております。とりわけ私どもは、ソフトウエア労働者の問題について今、労働省で法案が準備されておりますが、かねてから、この種の労働者が、どんどん需要がふえますけれども、逆に供給の面で、例えば労働条件が極めて劣悪だとか、あるいはこの企業基盤というものが、大手の企業というのが少なくて、とにかく机一つ、電話一本あれば、こういった労働者の派遣といいますか、そういう仕事を請け負って、人貸しというような形で運営されておる業界の実態等々、極めて需要はふえているわけですけれども、そういった産業なり仕事につくいわゆる技術労働者というのが非常に不足をしておる、こういうふうに見ておるわけです。
そういう情報処理労働者の問題について、きょうは通産の方にもお越しをいただいておりますし、労働省にもお越しをいただいております。まずこの現状認識と問題点について、ひとつ簡潔にお答えを両省からお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/6
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007・佐藤仁彦
○佐藤説明員 現在ソフトウェア産業が大変な勢いで伸びておりまして、そうした関係の労働者に不足が見られる、あるいは供給が少ないがために一人当たりの労働者の働く時間が長くなっているのではないか、そういう点につきまして私どもとしても大変関心を持っておりまして、いろいろな調査もいたしております。
何分ともソフトウェア産業が若い産業でございますので、そうしたところへの、学校でありますとかそうした正規の教育を受けた技術者の供給が思うようにいかないという面が、そうした労働問題の一つの大きな背景になっているのではないかと思います。私どももこの問題につきまして研究会を設けまして、いろいろ関係労使の方にもお入りいただきまして検討を続けてまいったわけでございますが、その際、やはり学校教育においてもこうした産業界の動きに合わせた学科の編成でありますとか生徒の募集、採用のあり方であるとか、そうしたことについてもいろいろ御意見が出ておるようなところでございます。
最近文部省でもそうしたことについていろいろ手がけていただいておりますし、私どもの方におきましても職業訓練関係で電子工学科を設けるとか、あるいはそうした技術を持っている方々に対して職業安定所で十分な職業指導をし、そうした方に振り向けていくというような努力もいたしておるわけでございます。
次の問題といたしまして、先生の御質問の中にございました派遣的な形態についての問題でございます。
この問題につきましては、派遣的な労働について雇用の安定の面、それから労働者の保護の面、その他労働行政から見ましてもいろいろな問題があろうかと思います。そこで、そうした問題をいつまでも放置するわけにもまいりませんので、現在中央職業安定審議会、三者で構成されておりますけれども、その審議会におきまして小委員会を設け、派遣的事業に対する規制のあり方について検討を進めていただいておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/7
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008・牧野力
○牧野説明員 最近、製造業、流通その他の一般産業におきまして、情報化の波に乗りまして、情報処理の仕事が非常に多くなっているわけでございますが、先生御指摘のように、そういった熟練した労働者がなかなか不足をしておるということで、ソフトウエア等の仕事を注文されますソフトウェア産業から労働者を派遣してそういったニーズにこたえるという形態が多くなっていることは事実でございます。
端的に申しましてこれが労働法規上どうか、労働者供給事業ということになってこれが職安法その他でどうか、労働法規上どうかという問題かと思いますが、私どもといたしましては現在の情報化というものはどんどん進んでおる、一般産業のニーズにこたえていく、それとやはり労働者がなかなか不足をしておるということの中で、こういった問題を労働法規にひっかかりませんように、問題にならないように解決をしていくためには、現在これは労働法規上も請負制ということを厳格に守りますれば問題がないということになっておりますので、関係業界、特にソフトウエア業界の業界団体等を通じて十分に指導をいたしまして問題がないようにしております。
こういうことで、基本的な問題の解決というのはいろいろあろうかと思いますけれども、現実のニーズ、今後の情報化の進展ということを考えた場合に、私どもとしましては、今申し上げましたように、あくまでも法律を遵守してこういった要望に沿っていくということで、関係業界を引き続き指導してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/8
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009・中村正男
○中村(正男)委員 今、労働省、さらには通産省の方から現状認識について一応お答えをいただいたのですが、これは大変な問題になっております。もう三十歳になればこの種の労働者は定年だというくらい使い捨てになる、そのくらい過酷な条件でもありますし、企業規模というのが極めて零細、そういう現状からぜひひとつ両省、さらには政府全般としてこの問題に前向きに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
労働省の方から電子工学科等の学科を各大学にふやしていくというような話がございましたが、それでもなかなか追っつかない。むしろ、現状の職場の中の労働者の再教育をやる、この種の技術者に転換を図っていくというふうなこともぜひ指導をお願い申し上げておきたいと思います。
そこで、最後になるわけですが、新電電の発足に伴いまして、これからの日本の通信業界あるいは情報処理産業すべてを含めた問題としての研究開発体制について、ひとつお聞きをしておきたいと思います。
今日の電気通信なり情報処理産業がここまで高度に発展をしてきたということについては、電電公社の指導的な役割がその一番大きな原動力ではなかったのかというふうに私は評価をしておるわけですが、今回のこの法案でいわゆる競争原理という形での民営化になれば、今まで果たしてきた公社の社会的な役割と責任というものはどのように変わっていくのか、この点、基本的な考え方について総裁にお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/9
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010・真藤恒
○真藤説明員 今日までの私どもの研究所の世の中に対する貢献度というものは高く評価すべきものだというふうに皆さんお考えになっておりまして、私ども当事者といたしましてもその点非常に誇りとも思うし、またありがたいとも思っておりますが、この研究につきましては、経営形態のいかんにかかわらず、従来以上に財務の許す限り投資していくという方針を立てておりまして、現在既に従来よりもかなり研究関係の投資をふやしております。
それで、ありていに申しまして、今日までの私どもの研究所の研究といいますのは、アメリカあるいはヨーロッパあたりの先端の研究と同じ考え方で同じ目標に向かって競争しながらの研究という姿が非常に多かったのでございます。それはそれとしてやらなければなりませんが、これから先はそればかりではいけませんで、その後ろにある基礎研究というものに力を注いでいくというのが私どもの研究所のあり方だろうというふうに考えまして、研究投資をふやしております。そのふやしておるのは何に使うためにふやしておるかと申しますと、研究設備を開発する、独特な基礎研究をやるための研究設備を開発するという方面に投資を最近ぐんぐんふやしております。また、その方面に必要な人材の養成、採用ということで従来と違った強力な措置を始めておりますので、できる限り基礎研究に主体を置いて、しかも研究設備そのものも独創的なものをつくりながら独創的な研究をしていくということに主体を注いでいきたいと思います。そこから出てきましたノーハウがハードに直結することができるめどがつきますと、そこで今度は、これは実際にやらなければいかぬ立場に立っておりますが、メーカーの方々と共同研究を始め、それで実用化していくという段取りに持っていきたいと思っております。
したがいまして、今度国営じゃなくて、こういう新しい法案の中でそれをやりますのには、共同研究から先の世の中とのノーハウの創出及びそれの実際の使用ということに対して新しいルールをつくって、その辺になりますと、世の中一般のコマーシャルベースの取引ということを厳重に守りながらやっていかなきゃいかぬのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/10
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011・中村正男
○中村(正男)委員 新しいルールづくりということを今おっしゃったわけですけれども、私は今までの公社の体質というのは、やはり特定のファミリーといいますか、そういうものを形成しての一つの体制というものが特徴的にあったと思うのです。これからはいわゆる公正な競争場裏に立つわけですから、当然こういったノーハウを実際使用していく、技術移転ということについては、極めて公平な形でのルールをぜひひとつ要望をしておきたいと思います。その点について総裁、お考えがあればお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/11
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012・真藤恒
○真藤説明員 私ども既に今日現在、日米間の調達協定によりまして、共同研究につきましては、国内はもちろん国際的に共同研究のプロポーザルを出しまして、御希望の方がおいでになるといろいろ協議いたしまして、具体化していけば国籍を問わず共同研究に入る義務を課せられておりますので、今の御質問の問題は、既に解決いたしておると心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/12
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013・中村正男
○中村(正男)委員 最後に大臣にひとつお聞きをしておきたいと思いますが、私きのうから申し上げてきた一つの流れとしては、これからの高度情報化社会というのは、通信は通信、情報処理は情報処理、こういう分立という形は当てはまらない、いわゆる通信と情報処理というのが極めて融合してくる時代だというふうに見ておるわけですけれども、今回の法案作成に当たっても、いわゆる所管の関係から通信は郵政省、情報処理は通産省、こういう形でかなりその間いろいろな論議があったと思います。そのことはそれ自体、私はこれからの高度情報化社会実現に向けての一つの乗り越えなければならない点だったと思うのですが、これからはその辺やはり郵政と通産省がより協力するといいますか、できれば二つ一緒になった省があってもいいんじゃないかというぐらい私は思うのですけれども、そういうこれからの行政の役割と責任というものについて、大臣のお考えをお聞きをして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/13
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014・奥田敬和
○奥田国務大臣 結論的には御指摘のとおりだと思います。
今日の電気通信そして情報処理、今後とも私たちの予想をはるかに超えるコンピューターの技術革新、もちろん電気通信の技術革新、これは同じくみんな今言われておるように、ディジタルという面ではコンピューターそのものでございますし、通信も今後大量伝送、高速伝送、今までの果たしていた役割から、はっきり言ってコンピューターと電気通信技術がドッキングしたというような情勢が今日の情勢であると認識をいたしております。したがって、どこまでが電気通信の分野でどこまでが情報処理分野であるかという形は、まさにこれが混然融合一体したところに、今日の新しいニューメディアのいろいろな多彩な将来も展望として開けてきておるわけでございます。
ですから、ただ私たちは、電気通信の回線を使って事業を営むという形は、私たちの電気通信の主管庁としての分野に属する。単純明快に割り切った形の中で、今日の問題があったようなVANの問題あたりというものは、まさに典型的な業種でもございます。そういう形ではございますけれども、そういった形の中で今回の法案、お願いしておる法案の形、両省の協議もそこで話し合いができたということになります。
したがって、まさに電気通信政策は情報処理政策そのものでもあるというような時代に、今後の行政推進に当たっては、コンピューター機器を中心とする今日の技術革新の成果をもたらしてきた主管庁である通産省と今後ともお話し合いをしながら、今後の情報通信政策というもののあり方については、両省でよく相談をしながらやっていくということになろうかと思います。
将来においては、御指摘のとおりまさに通信、情報が一緒になったような形の行政の一体的運営の方がより利用者である国民なり企業に貢献ができるという事態になれば、それは当然政府として一つの一体的行政として取り上げられるべき問題だと私も認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/14
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015・中村正男
○中村(正男)委員 特に前向きに最後に言われました点については、ぜひひとつ情熱を持って進めていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/15
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016・志賀節
○志賀委員長 次に、松前仰君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/16
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017・松前仰
○松前委員 私は電電公社のこれまでの日本の電気通信それから世界の電気通信の発展に非常に寄与されて、我が国を世界一というような形にまで押し上げてきたということについては非常に敬意を表しておるわけでございます。
この法案につきまして、電気通信の発達という意味からなるべくいい方向に持っていかなければいかぬ、そういう意味で私は通信の発達というものについては全く異論を挟んでおりませんしまますますの発展を遂げていかなければならぬ、そう思うわけで、この法案について不備な点というものについては正していって健全な発達を遂げていかなければならぬ、そういう立場から御質問をさせていただきます。
一連の質疑を聞いておりまして、私は今、電電の株式会社化というものについての根拠というものは、まだ一つよくわからない。逆に言うと、ますますわからなくなってきた、こういうような感じを今持っておるわけであります。民営化、株式会社化の理由といたしましてたくさんのことが言われておりましたが、ちょっと復習をさせていただきたいと思います。
一つは、活発で効率的な経営にする。新しいメディアは、技術が急速に発展してきている中で国民が多様化を求めている。それには複数の事業体でなければ対応できない。それから、新しい世の中の姿に敏速に対応しなければならぬ、今の公社はそういう形になっていない、そのために経営の自主性というものが必要だ、これが今、束縛されて競争には不利である。料金についても、多数の事業体の競争的参入でより安い良質な回線というものを構築する必要があるんだ。アメリカと日本の間で電話線の使い方に非常に差が出てきている。電話の普及、ダイヤルの自動化、こういうものが成熟したからもうここで公社制度は必要ないんだ。さらには、二種、これを自由化するのが最大の目的だ。そんなようなことが議論の中からずっと洗ってみますと出てきたわけであります。非常にあちらこちらに多種多様に理由として出てきておるわけでありますが、大体こういうような認識でよろしいかどうか、まず御答弁いただきたいと思います、小山局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/17
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018・小山森也
○小山政府委員 いろいろ御指摘いただきましたけれども、大筋においてそのような形に受けとめていただいて結構ではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/18
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019・松前仰
○松前委員 これはたくさんありますから、ちょっと集約をしてみたのでありますが、三つぐらいに集約すればいいんじゃないかと私は思ったのでありますけれども、一つは今の電電の状態が非常に成熟をした、これ以上公社制度をとり続ける必要はない、これ以上の発展については新たな体制をとる必要がある。
一つは、独占を法律で決めている公社制度では非常に非能率である、時代の変化に非常に鈍感である、経営に自主性がない。
もう一つは、先ほどちょっと触れましたけれども、これ以上の急速な電気通信の発展に対応するには公社制度以外のもので自由競争をやる。この三つに集約できるような気がいたしますが、真藤総裁と小山局長、それでよろしいかどうかお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/19
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020・真藤恒
○真藤説明員 三つに御集約いただきましたが、大きく三つに集約できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/20
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021・小山森也
○小山政府委員 御指摘の点、そのとおりでございます。
ただ、私、公社制度はもう要らないんだということでなったのではなしに、公社制度も非常にすぐれた制度であるということ、制度的には間違いのないことであった。ただしかし、この三十年来の運営の仕方を見ますと、いろいろな点から必ずしも本来の法律の趣旨どおりではなくなってきていた、そういうような周囲からの、本来の制度を曲げるような形をとりやすい本来的な欠点が含まれていたということが残念であるということは言えると思います。
それと同時に、ただ、一つの成熟期に参りまして、時代も変わってきた、環境が変わってきたという点において、必ずしも公社制度そのものが非能率ということではなしに、現象として生じてきたということでございますので、制度そのものが悪いからなったというのと、いろいろな制度本来のものでいいものがあるにもかかわらず、その運営の仕方において多年の累積というものからかえって欠点が目立ってきたということでございますので、その辺、御理解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/21
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022・松前仰
○松前委員 今のお答えで大体わかりましたけれども、この公社制度はもともと欠点があったというような感じもいたします。しかし、この三つの点で今度株式会社にするということのようでありますけれども、今まで議論を聞いておりますとどうもそうでもないらしい。それから、いろいろなちまたのうわさなども聞いておりますとそうでもないらしい。そういう点はやはり非常にまずい点でありますので、これからそれをずっと御質問申し上げます。その辺について若干触れさせていただきたいと思います。
今の公社制度の運営の仕方という問題が出てきたから、これは正していかなければならぬということは非常によくわかるわけでありますけれども、しかしながら、今の三つから株式会社にするという理由、そこがどうも結びつかない。この辺をちょっと考えてみますと、また昨日の答弁から考えてみますと、政府保有の株を売ってそれを政府の赤字補てん-昨日大蔵省の方から御説明があったときには非常に奥歯に物のはさまったような言い方をされておりましたけれども、そんな赤字補てんすることもあり得るような感じがいたします。国民の出資した国民の共有財産ですから、それが国に吸い上げられるということは余り望ましくないわけでありまして、国民に還元される必要があるわけであります。
きのうの大蔵省のお話によると、公共企業体だから国の保護政策のために大きく発展できた、だからその恩を返せ、こんなような口ぶりだったわけですね。これは国民を非常に無視しているような感じがいたします。易しい言葉で言えば、親が子供を育て上げて、その子供が給料をもらってそれを貯金した、その給料と貯金を親の飲み代に、借金に回せ、こんなことになるわけです。これでは国民に対して本当に、大変な愚弄といいますか、そういう感じがするのでありますけれども、きのうの大蔵省の御発言はこういうことなんですか、その辺をお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/22
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023・日高壮平
○日高説明員 昨日私が御説明申し上げましたのは、公社の活動というものがいわば国の分身としての機能であるということを申し上げたわけでございますが、そのいろいろな側面があることは昨日も小山局長からも御答弁されたとおりでございます。
それで、株の売却収入についても昨日いろいろ御議論がございまして、いろいろな形で使うべきではないかという御意見があることは私どもも承知はしております。ただ昨日もお話が出ておりましたように、実際の株の売却というものは、この御審議をお願いしておる法案が成立いたしましても六十年度以降の話でございますし、それから毎年の予算総則に売却の限度数というものを掲上して国会の御審議をいただくということになっているわけでございますから、私ども財政当局としては一般財源として財政需要全般に充てられるべきだという考え方を持っておりますけれども、今申し上げたように売却限度数を予算総則に掲上するという過程において、つまり毎年の予算編成の過程において財政需要全般と同一の土俵で議論をされるということを否定しているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/23
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024・松前仰
○松前委員 とにかくまた非常に歯切れの悪い御答弁であります。これ以上聞いてもどうしようもない。とにかく電電の今度の株式会社化というのはそういうようなお話が出るということで、どうも目的はそういうところにもあったのではないだろうか。いまだにそういう答弁が出てくるというのはそれを示していると思うのです。
それで郵政大臣、お答えいただきたいのですけれども、きのうから何回も同じことを答えておるので大変申しわけないのですけれども、国民の共有財産を国の赤字補てんに使わないということを確約していただきたい、そう思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/24
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025・奥田敬和
○奥田国務大臣 先生の御主張の点は私も十分理解できますし、結論から申しますと、そのような方向で当然努力してまいります。
しかし、株の話がこの法案の先に立ってしまって、電電を民営化するという目的があたかも株の売却益で財政再建、そういった期待の方の話の方にどうも重点が移るのがとても残念でございます。電電公社が今日まで一元体制のもとで果たしてきた役割というものは、先生も御指摘になったように世界でも誇るべき水準にまで来た。積滞解消、全国自動化、こういった形の二大目標として私たちがやってまいりましたことを電電が一体的運営のもとに果たしてくれたということは、これは大変な功績でございます。この資産の上に立って、結局はっきり言いますと、先生はもう技術の方面の権威でございますから釈迦に説法みたいなことを言ったってしようがありませんけれども、電話中心の通信というものが大きく変革を遂げて、多彩なメディアの利用というものを国民が求めようとしてきておる。回線を利用した二種事業に対しても門戸を開放しなければいかぬということになってきたわけでございます。
それでは電電がやれないか。やれます。電電の体制のもとでも一元体制のもとでこのいわゆるニューメディアという各種のメディアは当然できますでしょうし、VANのようなシステムも電電の一部の業種として現実にやっておることも事実です。しかし、これ以上ガリバー化したら一体それで国民がすべて利益を享受できるだろうか。流通から金融、個人のプライバシー、あらゆるものに至るまで、公共性ということを重んじている電電といえどもむしろ国民をすべてこれからの情報化時代にコントロールしていくというのが、一元体制のもとでやっていけるという形が果たして国民の最終的な幸せに通ずるだろうかということも私たちは大いに考えておるわけでございます。
したがって、電気通信分野というものの公共性を保持しながらも、民間参入の機会を与えて多彩な形の競争原理の中で、そしてそれぞれの切磋琢磨、協調の中で私たちは新しい情報化に対応する先導的な役割を我が国が世界に先駆けてやっていこうということになるかと思うわけでございます。したがって、公社制度のメリット、そして民営化のメリットはこれから期待したいところでもございますけれども、それらの方向が間違いなくいってくれるように、私たちは今度の法案を国会審議にかけるその過程の中で一番苦慮したところもここでございます。
したがって、株の売却で、今日、電電が中心になってストックしてきた通信技術の開発その他、あるいは国民に対する国民共有資産であるという建前に立って、この売却益が国民に還元される、ひっきょうすれば、あらゆる形の国益というものを考えながら、もしそういった売却益があるとすれば、そういう方向に使われることが当然であろうと私は思いますし、またそういった方向で、決して財政再建のためだけに資するために今日の民営化を私たちはやったんじゃないということだけをぜひここで強く主張したいわけでございます。関係の向きともそういった事態になれば当然大きな課題として、これは国民的な課題でございます。国会で論議される先生方の御意思はまさに国民が全部そういうことを懸念して思っておることでございますから、そういった先生方の御意見を踏まえて、担当の行政主管庁の大臣としてもそういった御趣旨のもとでひとつ大いに努力をして頑張りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/25
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026・松前仰
○松前委員 大臣がそういう御決意でおられることは非常に結構であります。私はここでやはり議論をしておかなければいかぬというのは、先ほど申しましたように、電気通信が発達する、これはだれも異論を挟まないと思うのです。私だってそうです。今おっしゃったように、世界に先駆けて電気通信をどんどん発達させていくということについては、あらゆる手を尽くしてやっていっていいと思うのです。しかしその裏にあるものを全く忘れてしまってはいけない、そこのところをちゃんとけじめをつけて、それで進んでいかなければ健全な発達がないということであります。だから先ほどそういう話をした。
それで、ちょっと例といいますか、こういうことが言われているということを、この辺についてもきちっとしっかり歯どめをかけておかなければいかぬ、そういう意味で申し上げますが、これは実例ではないんでちまたで言われておることです。
この法案が成立すれば、昨日もお話がありましたけれども、資本金が一兆円のマンモス会社、日本電信電話株式会社が誕生するということであります。国会の承認を得て株が売却されるのですけれども、新電電株というのが額面株で五百億円ずつ売却される、十年間で五千億円、大体数はいいかげんですけれども、ちまたで言われておるわけですから、こういうこともあり得るということで、その辺はやはりしっかり抑えておくということが必要ですから、そういうつもりでお聞きいただきたいわけです。新電電株の公開のときに、例えば株の公募価格だとか大株主への配分とか浮動株の割り当てなどに大きな発言権を持つ幹事証券会社、そのポストをねらって政治家抱き込みということが行われる可能性がある。こういうことが今あるとは言っておりませんけれども、ちまたでそういうことを言われている。もう既にそんなうわさがいっぱい飛んでおるものですから、これはやはりきちっと抑えなければいかぬと思います。
今、公募価格というのは五百円株の二百倍ぐらいになろうというようなうわさもある。そうすると十万円、それ以上というような予想もあるようですけれども、そうなりますと仮に毎年額面一億株といたしましても五百億円ですかの公開株というのは十兆円ですか、そのぐらいになる。ですから、これは大体十兆円ぐらいの引受利権というものが生じてくる。そうするとここで株式引き受けの裏取引が行われる、黒いものが出てくる、こんなことが言われているのですよ。私はこれは全然知りませんから、そんなことがあるとは信じておりませんけれども、しかしこういうことが言われておることは、この辺歯どめをかけたい。先ほども言ったとおりです。
それでさらに新電電株の売却益の処分、これは先ほどの国の財政の中に吸い上げるということをしないとしても、特別会計というのをつくって電気通信事業の研究に充てる、もう一つは新規参入企業の育成に充てる、こういうことが行われる、これはいいでしょう。非常にいいような形でありますけれども、しかし、ここに新規参入業者の育成というところに特別会計からお金を出してやれよ、こういうようなことで政治資金の呼び水にしよう、そういうことが可能性がある。これは事実ではないから何とも言えませんが、まことしやかにこれが伝えられているのですよね。こういうことはもう絶対にあるべきではない、もし仮にあったとしたら民営化というもののメリットが全くなくなっちゃう。だからここはきちっと抑えなければいかぬ、そういうことでございます。
郵政大臣としては、絶対こういうことは許してはならぬと思いますので、その辺を確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/26
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027・奥田敬和
○奥田国務大臣 御指摘の点は全く同感でございます。
国民の共有資産ともいうべき形の中で、今日の公社資産、技術資産、そういった形が民営化という形の中で新しい形態にはなりますけれども、それらから得る利益は、少なくともこういった公社の沿革に照らしてもいささかも国民に疑惑を持たれるような形があってはならないことは当然でございます。もしも株のそういった売却等々になっても、これは国会の御承認を得ながらやっていく形にもなるわけでございますし、そういった形の透明度と申しますか、いきさかの疑惑もない形で今後とも主管庁の大臣としても心がけることは当然でございますし、また先生方の御支援のもとにそういった形の断固たる防止策というものもお互いに考えていくのが当然であろうと思っております。そういった世間のいろいろな風潮に対しても、謙虚にそして厳粛にこれを受けとめてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/27
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028・松前仰
○松前委員 郵政大臣からそういう御答弁がございましたので、これからこういう点については十分目を光らしていただいて、こういうことは絶対起こらないようにしていただきたいと思います。
ついでに申し上げますが、三月二十七日の朝日新聞に、電気通信事業法第十条に、一種の電気通信事業の許可の条件として、役務が需要に照らして適切であることとか、設備が著しく過剰にならないことと、こう定めてございますですね。「しかし、電波の割り当てと同じように、新規参入路線と参入事業者の割り当てが行われたら、”情報通信利権”が発生しかねない、とする意見が強い。」そしてある会社の名前が出ておりました。新しい設立会社、その「グループ周辺で、政治家がうごめき始めた、とする声もある。」こういうことが朝日に書いてあったわけです。ですから、こういう点もやはり、こういう声が出ている、朝日に、新聞記事に出るということになると、何か動きがあるような、なければ出てきませんが、そういう意味で十分目を光らしていただきたいと思います。
今度は新規参入業者が非常に大きくなりますと、前にも私、逓信委員会でFM局の問題だとか、放送衛星三号の問題、そのときに、免許申請の問題ですが、それについて御質問をしたことがあったわけですけれども、それと全く同じように今度の新規参入、これが非常に多くなりますと、一本化という言葉になるのかわかりませんけれども、そういうことをやらなければいけない。また、これも利権争い、それが発生する原因になるということであります。
それで、第十条の規定というのは、そういうことがあることを考えてみますと、余りにも抽象的なんですね。ですから、前にもFMの問題のときも言いましたけれども、許可基準というものをしっかりつくってもらわなければ困る。この間、これは私じゃなくて別の議員から、電波の免許の基準というものをしっかりしてほしい、こう言いましたら、大臣の方から、それは提案してくださいという御答弁があったわけでありますけれども、今度の場合もやはり我々から提案しなければやらないというのではなくて、郵政省の主体性というものでもってここをちゃんとしっかりしてこの法律案にくっつけるということをしてもらわなければ大変なことになるのじゃないだろうか。その辺は小山局長、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/28
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029・小山森也
○小山政府委員 お説のとおり、これだけに限らないわけでございますけれども、私どもの行う行政処理というものは、やはり透明度が高いということが一番大事だろうと思っております。
それでは、どういうことにするかということでございますが、ただ問題は、この条項につきまして基本的な考えとして、初めから行政が介入してせっかくの企業意識を抑制的に行政として立ち向かうというのは、姿勢としてはどうかと思います。ただしかし、姿勢としてはそうでありますけれども、今、先生が仰せられましたように、事実、現象の問題としてその多数のものが出てきた場合にどうするかということとしてとらえるならば、やはりこういったことに対してはどなたでもわかりやすい、透明度の高い何らかの基準というものを設ける必要があるのではないかと思っております。ただ、これにつきまして具体的にもう少し検討しないとなかなか申し上げられませんが、いかに具体性を持つかということにつきましては、まだ詳細に御説明できるというような段階にはありませんので、御容赦願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/29
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030・松前仰
○松前委員 大変歯切れの悪い御答弁でございましたけれども、この辺についてはFM問題を見ていただければすぐわかるのですよ。全国で大変な問題になっています。しかも、郵政省がせっかく指導といいますか、方針を出したにもかかわらず、それが全く無視されているというような形の免許一本化、申請の一本化というようなことが行われておるわけでありますから、そういう点も十分調査して、そしてこちらの方の新規参入、この問題についてもその経験を生かしてきちっとした基準をつくってもらわなければ困ると思います。よろしくお願いしたいのですが、やってもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/30
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031・小山森也
○小山政府委員 努力いたします。(松前委員「努力じゃしょうがないな、やらなければだめなんだ」と呼ぶ)御意向に沿うように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/31
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032・松前仰
○松前委員 やってもらわなければ本当に困りますからね。この点についてはまだ何回も質問が出てきますから、この辺は十分頭に置いておいてください。
話題を全く変えさしていただきます。一種と二種の問題ですね、この辺についてお伺いをいたしたいと思います。
事業法によりますと、第一種というのは、電気通信回線と交換機を保有して他人の利用に供するというような内容のことが書かれておるわけでありますけれども、これを利用者の方からちょっと見てみます。これまでの概念では線が二本入ってきているわけですから、それでちょっと説明いたしますが、二本の線を使って、ある規則でもってダイヤルを回すと、信号が行ったり来たりするわけですけれども、そういう規則で電気信号を送ってやれば、例えば相手としゃべれる、これが電話ですけれども、また、将来は、何か規則に従って、要求してやればファクシミリが送れる、画像がこっちへもらえるとか、つまり利用者というのは、回線というようなものは何であっても構わぬ、回線はどうであってもいい、交換機はどんなものであっても構わない、要するにブラックボックスなんですね。とにかく、来ているもので、二本の線で自由に何でもやりたい、できるようになっていればいいというのが利用者側から見たものであるわけで、光ファイバーだろうと、CATVだろうと――CATVは日本じゃありませんけれども、日本というものに集約されたとすれば、ディジタルだろうと、アナログだろうと、とにかく品質がよくて、信頼性が高くて、使いやすくて、安くさえあればいい、そういうブラックボックス、利用者から見ますと。第一種というのはそういう考えと見てよろしいですか、小山局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/32
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033・小山森也
○小山政府委員 第一種事業というのは、要するに電気通信回線、送信の場所と受信の場所との間を接続する伝送路、それから伝送路設備、これと一体として設置される交換設備並びにこれに附属する設備、これをみずから設置して電気通信役務を提供する通信事業でございますので、今、先生のおっしゃられましたようなことは、一種の回線の設備の中において、いろいろな機能を含めればできるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/33
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034・松前仰
○松前委員 一種の回線の設備の中にいろいろな機能、いろいろなというのはどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/34
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035・小山森也
○小山政府委員 交換機能が主たるものでございますけれども、その中の、回線の中にその交換機能を通しまして、ビデオテックスであるとかファクシミリ通信を可能とする機能とかというものが含まれれば諸種のサービスが可能である、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/35
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036・松前仰
○松前委員 それでいろいろなという意味がわかりました。
そこで、そういう交換機能と回線という話でありますが、将来の話なんですが、INSというのは、今、電電公社の方で進めております。これはISDNといいますか、統合ディジタル通信網というものに集約していこうという、一つの手段といいますか、そういうもので集約していくというのではなくて、そういうディジタル通信網を構築して新しいサービスをやっていくという、全体はINSなんですが、そういう総合通信網、これができてくるわけでありますけれども、この総合ディジタル通信網になると、ブラックボックスはディジタル伝送とかディジタル交換が入ってくるわけです。これも一種になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/36
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037・小山森也
○小山政府委員 みずから回線機能を所有する事業者が行う場合が、これは一種でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/37
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038・松前仰
○松前委員 それで、このINSの場合よりも、ISDN、総合ディジタル通信網、この場合に、その中を通す信号や交換方式、これは音声であれ、アナログでも、全部ディジタル化して効率よく伝送させる手段をとっているわけでありまして、ディジタル交換機を含むということになれば、将来の、クロスバーのような概念でなくなることは当然だ、というのは、一対一につなぐということがなくなっていくということは当然だ、そうなれば、例えば同報通信とか、それからメディア変換とか速度変換、こういうものが全部ディジタル交換機の中に入ってくるわけであります。それも一種といってよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/38
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039・小山森也
○小山政府委員 メディア変換につきましては、さらにそれに付加する価値の通信でございますので、若干、無理がございますけれども、そのほか御指摘になったものはこのISDN化された、ディジタル化された伝送系交換系で十分できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/39
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040・松前仰
○松前委員 メディア変換がちょっと難しいといいますか、難しいとは言われませんでしたが、困難な部分もあるというように受けとめたのですけれども、結局、言いたいのは、このディジタル総合通信網になりますと、ディジタル交換機も入ってきて回線もディジタルになる。そうすると、あらゆることがこの通信網でできるようになるわけでありまして、そうなると、何を議論したいのかというと、特別二種との関連なんです。特別二種というものを今、ここでぽんと打ち出した。将来の総合ディジタル通信網になると、それは特別二種と、一種ともしか先ほど言われたメディア変換、その辺が特別二種というような形になってくると、その同じディジタル統合回線網の中で、一体の機能の中で分けていかなければならぬ、こういうことになるわけですね。その辺はどういう考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/40
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041・小山森也
○小山政府委員 第一種の行いますいろいろな機能というものは、一般的な要求に対して応ずることができる機能でございます。したがいまして、個別な、具体的な特性に応じた形で、それに応じた、例えばプロトコル変換であるかフォーマット変換というようなものは、すべてに応ずるという体制にはないわけでございます。個別に対して、個別な需要に対するそういった機能を付加して初めてできる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/41
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042・松前仰
○松前委員 今の御説明だと、ちょっと納得しがたいのですよね。個別に、個別といいますか、今のプロトコル変換というお話が出ましたがら、そのお話をしますと、このディジタル総合通信網、ISDNはそこまでも考えているのですよね。そこまでも考えて、回線網として不特定多数のユーザーに提供しよう、こういうことを考えておるわけであります。特別二種で、盛んに四つの種類の同報通信メディアとかプロトコルとか、速度変換、こういうこと、それは特別二種の特徴だというようなことを、どこかで私は聞いておるわけでありますけれども、そうではなくて、総合ディジタル通信網、その中に全部含まれていく、だから一種じゃないか、私はそう言いたいのですけれども、その辺はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/42
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043・小山森也
○小山政府委員 あらゆるシステムを対話させるような形のプロトコル変換をそういった機能の中に含ませることは、これは不可能に近いわけでございまして、システムが、今ちょっと忘れましたけれども、数千システムあるわけでございますけれども、そのシステム間の約束事でありますプロトコルは、みんなそれぞれ違うわけでございます。それを全部一つの機能でもって変換できるということは、事実上不可能に近いわけでして、そのときにはやはり小回りのきく事業体でそれぞれのシステムの特性に応じた形でAのシステム、Bのシステムというものをつないでいくということを行うことをせざるを得ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/43
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044・松前仰
○松前委員 しかしながら、おっしゃった非常に複雑なコンピューター同士をつなぐそのプロトコル変換は一般的にできるわけないと思います。おっしゃるとおりであります。しかし、電電公社でやっておられるINS構想の中でのディジタル同報通信の中にはプロトコル変換も入っているわけです。これは非常に複雑じゃないと思います。簡単なものだと思います。そこで、一つ確認したいのは、結局特別二種というものの定義、一種と二種との違いは一体何を言っているのか、回線を借りる、それだけなんでしょうか。そうすると、ハードウエアとか機能とかそういうものはもう関係がない、そう解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/44
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045・小山森也
○小山政府委員 大ざっぱに言いまして、機能としてはそれぞれに関係ないわけでございますけれども、実際的な変換の仕方においてはそれぞれの、まあ第一種というのはこれからも複数出てまいりますでしょうけれども、例えばこれをひとつ電電公社の後身になります新電電に例を挙げてみますと、新電電会社ができて、そのISDNシステムの中ですべてのこういった需要に応じていくということはなかなか難しいことでございまして、やはりそこでISDNの構築をしたこのネットワークにさらに付加価値をつけていくという機能はどうしても必要になるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/45
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046・松前仰
○松前委員 そこで、そういうINSを構築したISDN、その外側に付加価値をつけていくということは結構なんでございます。そこについて何も議論しようとしていないのであります。そうなると、電電がつくったこの回線網、その外側でなぜ特別二種と二種と分けなければいけないか、この辺がどうも私はわからないのであります。
そこで、ひとつお聞きしたいのですが、通産省の方いらっしゃいますか。――これは通産省と郵政省と物すごいやり合いになったということは、毎日、新聞で見ていたわけでありますけれども、結局特別二種というものをわざわざつくったのは、アメリカから大企業がどうしても日本の通信体制を自由化しなさい、こういう圧力と言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういう力が加わったために特別二種というのをわざわざ設けたのじゃないでしょうか。その辺ちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/46
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047・牧野力
○牧野説明員 今の御指摘の点につきましては、特別第二種をつくった絡みで外国との絡みがあるかというようなことでございます。第二種についての外資の差別をやめたということにつきましては、そのいきさつ等につきましては昨日来大臣初め郵政当局がお答えになっているとおりでございまして、私どもといたしましては、一般のこの法律の規制をどうするかというような点につきまして、一般的に郵政省とはいろいろ議論をいたしまして、その中でもちろん外資系の問題も一つの項目としてあったと思いますが、特別第二種を設けたということに関して特に外資との絡みがあったというふうには承知をいたしておりません。
なお、第二種、特別第二種の問題そのものにつきましては、ただいま小山局長がお答えになりましたようないきさつ、根拠でそういうふうに設けられたというふうに承知をしておりますし、第二種全般の問題につきましては、特別と一般という間仕切りの問題につきましては、確かにユーザーの多様な、かつきめ細かな需要に応じていくという点につきましては一般的に同じような性格があろうかと思いますけれども、ただ法律の規制という点に関しましては、こういった非常に大きな、かつ極めて大規模な、かつ不特定多数を相手にするような態様につきましてはその公共性、社会的な重要性にかんがみて、その他のもの、いわゆる一般第二種と違ったような規制が必要ではないかという点については、私どももそれが合理的な根拠があろうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/47
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048・松前仰
○松前委員 今の段階では恐らくそういうお答えになると思いますが、この特別二種というのは、いろいろな情報を総合してみますと、どうもアメリカの特別二種に相当するVAN、不特定多数にサービスするVAN、これはAT&TとかIBMという名前が挙がっておりますけれども、それが今ここで我が国の通信、そこのちょっと薄いところへ入り込んでおけば独占的に支配できる、二つ入ってくれば独占と言われないから二つ入ってくるということになろうかと思いますけれども、とにかくそれで支配してしまおう、貿易摩擦ということに絡めてやってきた、そういうふうに私は見ているのです。というのは、朝日新聞の三月十三日ですか、これに出ていますけれども、「電気通信事業法案などに対する米国政府の見解」という中にこれはきちっと書いてあるのですね。「郵政省案にある外国企業に対する差別的制限は、日米貿易摩擦の増大につながる。」アメリカの政府が言っておるのですよ。それで、さらに「疑問点」として「一般第二種と特別第二種の分類が不明確」と向こうも言っている。これは全然不明確なんですよ。向こう側から見たって不明確。それだけれども、向こうは押し込みたいから、貿易摩擦とか言って特別二種というのを日本につくらせた、こういう感じがする。それで、私は、今度の電電法案がそういう点で、目的は郵政大臣が先ほどおっしゃったような方向で進んでおったけれども、裏ではこんなことがあって電電株式会社法案ができ、事業法案というものができてきた、そんな感じがしてしょうがない。これでは健全な我が国の電気通信の発達に寄与しないのではないだろうか、そんな懸念を持っておるわけであります。その辺の懸念はそうではないと言われるわけでありましょうから、特に私は申し上げませんけれども、昨日の議論の中にありましたように、マンスフィールド大使とお会いになった、それからアメリカに出した書簡、そういう話があった。要するに貿易摩擦というような圧力によって我が国がこういう株式会社、自由化という方向へ進んできた、全く主体性がない、そう見なければいけないのでありますが、そういう点から考えて特別二種というものは余り意味がない、特別二種というものはない方がいいのではないか。昨日ですか、議論がありましたように、二種については全部区別をつけないで法律として一体化して限りなく自由の方向へ向ける、そういう方向へ向けるべきではないかと思うのですが、この辺について御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/48
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049・小山森也
○小山政府委員 先ほど通産省からもお答えがありましたが、まずとりあえず通産省との間の外資の問題でございます。これは通産省からも答えられましたように、通産省としては、いわゆる外国貿易というのは、外国との関係は常に障壁を設けないということについて努力するのが基本的なスタンスであるという一般論のもとでのことは一項目として確かに主張しておりましたけれども、この問題について特にトラブルのあったというようなことは何もないのです。これは本当にそう御理解いただきたいわけでございます。新聞紙上ではいろいろなことが取りざたされたのは知っておりますけれども、新聞記者の方も後ろにいらっしゃるので言いにくいのですが、本当にそういう話はなかったのでございます。それが何であのような形になったのか、私どももわかりませんし、通産省当局も首をひねっているということでございます。したがって、そういった意味のことは国内的にはなかったということでございます。
また、外国の圧力云々と申されましたけれども、私どもとしては、初めからこの電気通信のサービスについてはITU条約の前文に、各国の主権を尊重してそれによってすべての電気通信が運用されなければならないということがありますし、日米通商航海条約の中にも、通信については除外する、各国の自由な中においても各国の主権について発動することについては留保する、こうなっております。このことはアメリカにおいても十分承知しているわけでございます。したがいまして、私どももそのことをきちっと何かの接触の折には主張しておりますと同時に、アメリカ側もそれは当然承知している。だから、我々のは一つの国内的な問題等もあり、要望として申し上げておく、こういうことでございました。
それから、第二種事業と特別第二種の問題でございます。これは技術的な機能の相違ということよりも、特別第二種と一般第二種の社会的な機能の差に着目した区分でございまして、一般第二種に比べまして特別第二種は、不特定多数のお客様と約款というようなものをもって契約していくということ。それから、全国的な広がりがあることということになりますと、通信に内在する公共性が非常に維持されないということがありますと、利用者が非常に迷惑をこうむります。したがいまして、そういった点から、参入に当たりまして一般第二種のように自由に参入できない、しかし一定の条件を備えれば当然に参入できる、登録という行為によってできるという差を設けたわけでございます。
さらに申し上げますならば、外国の、例えばIBMとAT&Tというのが参入するためにというお話でございますけれども、別にそういった意図はございませんし、私どもの聞いているところによると、国内の事業者でも、もし法律が成立したならばぜひ特別第二種に参入したいという希望者が非常に多いわけでございます。技術力も十分自信を持っているということで、いろいろな問い合わせがあるのも事実でございます。それよりも、AT&TとかIBMというのはむしろ電気通信に参入したという時期はごく最近で、アメリカの法の運用が変わってからの話でございまして、VANの機能に対するサービスなどというのは電電公社の方がよほど早いわけでございます。ただ小型の、もっと小さい、我々がいうところの一般第二種に該当するような事業者は確かにアメリカの方がずっと進んでおりまして、いろいろなサービスを現に行っているわけでございます。したがって、そういうような点を考えますと、むしろ内外無差別によって切磋琢磨した方が、これは最終利用者にとって非常に安くて良質のサービスが受けられるのではないかという判断からこういった結論になったわけでございます。
それから、一般第二種と同じにしろということは、先ほど申し上げましたように社会的機能から見まして問題があるということでございます。そういうことになりますと、先生いろいろ御心配の向きでございましたけれども、内外を問わずでございますから、余計に一般第二種、普通の第二種に参入しやすくなるという条件になってくるわけでございます。参入を阻止するわけではございませんけれども、やはり一定の条件というものは、多くの社会的機能から見て、その影響力の大きさから見まして差を設けるべきではなかろうか、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/49
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050・松前仰
○松前委員 特別第二種が不特定多数だということで大変な影響力がある、こういうお話でしたので、ちょっとお聞きしますが、この特別第二種の、例えばVANが一度回線の中に組み込まれると、この回線はずっと占有されてしまうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/50
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051・小山森也
○小山政府委員 基本的にはそういうことになりますが、ただ実際に使われる時間は極めて短時間に機能するということも側面にはあるということを御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/51
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052・松前仰
○松前委員 ちょっと技術的で細かい話になりますが、占用すれば楽なことは事実ですけれども、しかし電電の考えておられるディジタル交換通信網ですか、それでは非常に効率を上げるために恐らく占有をさせないようなやり方もとられると私は思うのです。将来、恐らくそうなる。あるときには一般が使って、あるときにはそれらが使う、VANが使う、こういうこともあり得ると思います。そうなってくれば余り問題がなくなるわけですよ。一般のVANとちっとも変わらなくなる。ですから、特別第二種というものをわざわざ分けなくていいというのが私の論拠でございます。これを直せと言ったって今は直すとはおっしゃり切れないでしょうから、十分御検討をお願い申し上げたいと思う次第でございます。
先ほどディジタル統合通信網、それが一種であるという確認はさせていただいたと思うわけですが、その外側にくっつくもの、これは全部自由にやらせる、将来そのディジタル統合通信網を使ってもらう、それに見合った法律にやっておく必要がある。その辺を考えた法律にしておかないと、また三年でちょこっと見直すなんということになりますと、これは何のために法律をつくったのかわからなくなるわけですから。十年先のところはわからないと、きのうもおっしゃっておったけれども、これはわかるのですよ。どうなるかはわかっておるのです。十年ぐらい先はちゃんとわかっておる。ただ、テレトピアだとかニューメディアとかいろいろなものが出てくるからわからなくなっているように見えるだけで、きちっと技術的に考えればわかっているわけです。それに合った法律をつくっていく必要がある。だから、これはもっともっと慎重に検討する必要があると私は思います。その辺、御見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/52
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053・小山森也
○小山政府委員 法律の中身といたしまして、特別第二種それから一般第二種ということで届け出とか登録という条件はございますけれども、これは極めて軽い行政処分でもございます。特に届け出は行政処分ではないわけでございまして、一つの手続にすぎないわけですが、それ以外につきましては、第二種をどのように使うかということは事業者の自由でございます。
また、これは第一種事業者の非常に典型的な形でございます現電電公社、また新電電におきましても、今後こういった第二種が発展して、回線を所有する電電のいいお客様になることを事業体としても非常に希望しているという現状でございますので、今、法律上はその手続以外はすべて自由に第一種から借りて事業ができるという建前になっておりますから、さよう御理解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/53
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054・松前仰
○松前委員 これ以上やってもなかなかいい答えが出てきませんので、似たような問題ですけれども次の問題、ISDN、ディジタル統合通信網に関して、この一種に参入という問題についてちょっと触れさせてもらいたいと思います。
このディジタル統合通信網、これはどういうことで出てきたかというと、これは技術的に最高の効率を求めて検討され、設計されてきておるわけです。皆さんおわかりにならぬかもしれないけれども、技術屋は常にそういう方向で努力しております。最高のものを求める、それが技術的に難しい場合にはほかの道でやっておりますけれども、技術が発展してくればこれは理想に向けて突っ走る。トラフィックの計算とか交換のあり方、回線の効率的使用法、経済性、そういうものを全部含めてこのディジタル統合通信網を設計して、それで計画をつくってきておるわけでありますから、この辺が非常にむだだから、参入しなさい、こういう話は全然理屈に合わなくなるわけでありますけれども、とにかくそういう意味で世の中での電気通信の最適のシステムを、それにふさわしいハードウエア網を構成するということが、今、電電がこれまで蓄積された技術でできてこようとしているわけです。世界的にもそういう技術レベルができているところはできてきておるわけであります。だから、ここに一種の新規参入といって新たに回線を引く、これは大変なむだになるわけです。しかも、並列に一部参入すればこれは非常な混乱を巻き起こす、二重投資にもなってしまう、だから私は一元的に運営するのが当然だ、そう思うわけでありますけれども、その辺の御見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/54
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055・小山森也
○小山政府委員 今の電電公社、またこれから法律が成立いたしますれば新電電になるわけでございますが、新電電が非常な理想を持ってISDN化、公社としては一つをINSという言葉によって統合網を構築しようとしているこの熱意というのは非常に敬意を表する次第でございます。
ただ、これが一本あればよいということではないのでございまして、要するに電電公社あるいは新電電株式会社が行う事業計画あるいは経営計画という枠の中、この中で利用者はいろいろな電気通信を利用するということになります。これが一社であるということになりますれば、これはますます電電株式会社の経営計画の枠の中でしか利用形態ができないということになりますので、それ以外の複数の事業者が存在することによりましてそれぞれA社はどういった通信が得意である、産業通信中心主義であるあるいは専用線中心主義である。それに対して電電公社は一つの事業体の計画によって全国網というものである、そのかわり汎用的にいつでもどんなサービスにでも適応できるけれども、しかしその適応の仕方はその社の方針の中に置くということですから、たまには個別の要望に沿えないこともあるということもあり得るわけでございます。したがって、複数の事業体によってそれぞれの異なった器の中で異なった利用者がお客さんとなっていくことがこれからは大事ではないか、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/55
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056・松前仰
○松前委員 今のお話ですと、第一種通信事業峠個別の会社のためだけにやってもよろしいということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/56
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057・小山森也
○小山政府委員 要はセールスといいますか営業行為に基づくわけですけれども、個別の会社がお客さんになるという場合もあっていいわけです。ただ一社だけということは本法律の適用も除外しておりますし、想定していないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/57
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058・松前仰
○松前委員 小山局長は株式会社法と電気通信事業法、これが成立したという前提でお話しされているからちょっと食い違ってしまうわけでありますけれども、第一種というのはきのうからも話が出ているとおり公共性の非常に強いものですから、そういう点を考えればただ一つの会社だけが第一種を占有する、それだけにやるというようなこと、一つの会社というか単目的、目的が限られたものに使うのはちょっとまずかろうということで議論をしていたものですから食い違ったわけでありますけれども、いずれにしろ先ほど小山局長がお話しになったのをちょっととって申しますれば、そのような特別な目的に一種の回線をばっと引くということも含めて、営業目的といいますかそういうものを含めて、この電電公社でやっておられる将来計画は全部吸収できるわけです。それを使ってもらって大いに自由に何でもやってもらえばいい。これほどすっきりしたものはないのです。すっきりした形に持っていくのが理想じゃないでしょうか。特別二種とか一般二種とか第一種の参入とかいろいろなことをやっておりますけれども、ますます複雑怪奇になってわけがわからぬ。将来はやはりきちっとした単純なすっきりした、それこそスリムな形に持っていく必要がある、そう思いますけれども、どうでしょう。郵政大臣にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/58
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059・奥田敬和
○奥田国務大臣 将来はそういう形に持っていくべきではなかろうかと思います。ただ、いずれにしても先遣的な立場で世界で初めてこういった通信の自由化政策を進めようという過程の中で多少はこの程度まで、例えば全国不特定大多数、全国ネット、将来はこの二種の回線利用においてもディジタル化されていけば、本当にサービスの供与は同じ形になって使われていくのじゃないかと思います。そういった通信政策全般のあるべき将来像というものは大体描いてはおるわけですけれども、そこにたどりつく過程の中で、今日の法案作成の苦慮があったことも御理解願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/59
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060・松前仰
○松前委員 その途中の過程のところの理由として先導的役割、こうおっしゃいましたけれども、先導的役割というのがどうも私はよくわからない。何をもってどこに影響を与えるのか、我が国の国民のための電気通信なんだから、それがどこかに影響を与えるというのは一体どういうことなのか、その辺ちょっとお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/60
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061・小山森也
○小山政府委員 ただいま大臣が先導的役割と申しましたのは、電気通信が及ぼすところの先導的役割と申されたわけでございまして、それじゃ電気通信は何が先導的役割かと申しますと、世の中に言われております高度情報社会というものがどういうもので成り立つかということは、いろいろな情報を検索し、利用するということにつきまして、これは工業社会の成熟期におきましてはコンピューターによって行われておりますが、コンピューターは単体としての機能は持ちますけれども、これが総合的に我々個人レベルにまでこのコンピューターを使うということは、単体として存在することでは不可能でございます。それを我々の個人レベルにしかも生活レベルにまでこういったものを利用できるということをするためには電気通信という手段によらざるを得ない、したがって、その電気通信は高度情報社会のいかなる形に存在するかという意味において、インフラストラクチャーとして先導的役割を果たします、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/61
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062・松前仰
○松前委員 実は今のお答えで私はますますわからなくなったのです。何で今こうやって株式会社法案というものを、事業法案をこれは出してきたか、それがわからなくなってくるのですね、今のお話、先導的役割ということだけでしたら。その他いろいろなものに使いたい、ニューメディアとかそういう話がありましたが、今の公社法ですか、電気通信法、そういうもののそこを直せばできるじゃないですか。それだけで十分なわけであって、その先にこういうものをやるとするなら、十年先ぐらいのさっきの理想的な形態というものに向かってきちっと法律をつくるべきだ、そう思うのですね。だから、どうも余りにも急ぎ過ぎてニューメディアだとか、テレトピアだとかいろいろな言葉がいっぱいあふれております。それでINSも入ってきてもう大混乱、大混乱ということはないですけれども、頭の中が大混乱している。地方へ行きますと、大体テレトピアが来るけれども、一体何だろう、郵政省は案を持ってこなければだめだ、こういう話でしょう。持ってこいと言ったって、何だかわざわざ混乱をさせておいて二種だとか、特別二種だとかいろいろな話がいっぱいふくそうして、一体何が何だかわからない状態でおるというのがかなりの都道府県じゃないでしょうか。その中で郵政省が、おまえのところはだめだから、案がしっかりしていないからやらせないとか、そういうことは余りにも郵政省の指導として不足していると思うのですね。そういう意味で今何かえらく急いでいるのは、私はニューメディアフィーバーと言っているのだけれども、ニューメディアとか何かそういうものの熱に浮かされ過ぎている。もっとしっかりと地道に考える必要があるのじゃないか。そういう意味でこの法律案、私は非常に不備なように思うのです。この中身につきましては、また後日改めて細かい点をやらしてもらいたいと思います。
この問題、今まで電電公社の関係の問題をいたしましたけれども、国際通信ですね、これについても同じ問題が出てきている。さらにここに加わること、これは国際間通信という問題が出てくる。国際間通信というのは何かというと、これはもう外国とやるわけですからね。例えば個人情報が外国へ漏れるということ、これが大変な心配になってきておるわけです。このままの法律で、このままの状態だけでいけば、漏れることは全然規制はされていない。通信の秘密を守るということぐらいしかこれは書いてないですから、プライバシーの関係の法律というものは整備されておらぬ状態でこれができてきている。その辺はどうやって規制をしていくのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/62
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063・小山森也
○小山政府委員 今、先生の御指摘の点の問題、世の中に言われている国際データ流通問題だろうと思います。これにつきましては国際的にも今、方々で非常に困難な問題としてOECDなどでは特に問題になって、これをどうするかということで各国とも頭痛の種になっているものでございます。
それじゃ今度の電気通信事業法案でこれがどういうふうに抑制されるのかということでございますけれども、これは結論から申しますと、関係ございません。なぜならば、電気通信事業者の取り扱い中の通信の秘密の保護、検閲の禁止等がありますので、その中でどのような情報をどこへ送るかというようなことを踏み込んでいくということが、これは電気通信事業者への規律としてはむしろあるべき姿ではないということで、規律それ自体がいかがなものかということになるわけでございます。
それでは、国際間のデータ流通、特にプライバシー保護の問題、それから各国の相当な機密の漏えいというようなものをどうしていくかということですが、これは一国ではなかなか片づかない問題でございます。特にアメリカの主張は、それに対する流通を一切制限しないで国際間の流通は自由にすべきであるという主張が強い。これはなぜかといいますと、アメリカではデータベースが非常に強力でございますので、自由にすればするほどアメリカの有利になるということで、そういう主張、これに対しましてヨーロッパ系は何らかの障壁を設け、国によっては流通過程において税金をかけるかというような話もある。関税によってこの流通を阻害して、それぞれの国のプライバシーとかいろいろなデータの流通を何とかして防ごうではないかというような考えもあります。いずれにせよ、国際間において、今OECDでこれについて検討しているというところが現状でございます。
それでは国内的にどうかということでございますけれども、これは私ども電気通信の主管庁だけの問題ではないのでございまして、これはデータベースの問題であるとか、いろいろ各省にまたがっておりますので、目下これについて行政管理庁で取りまとめをして、これに対する対策を検討しているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/63
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064・松前仰
○松前委員 行政管理庁で目下検討している。行政管理庁の人がおりませんから何も申し上げられませんが、郵政省の方から、これは重大な問題だからもっとしっかり早くやれということを言っていただきたいと思う。というのは、ここにあります行政管理庁の「個人データの処理に伴うプライバシー保護対策」これは五十七年の七月ですよ。今五十九年、もう二年たっている。何の答えも出てこない。これは大変残念ですね。郵政省の方からも、この電気通信というものが国際的になっていく状況になったならば、プライバシーの法律、そういうものについては重要なんだからもっと早くしっかり検討してくれということを言っていただきたい。それをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/64
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065・小山森也
○小山政府委員 少なくとも電気通信に関するものは郵政省が責任を持っておるのでございますから、まずその面につきまして私どもでもこれに対する対策を検討しなければいけないと思います。さらに、総合的な問題について、先生のおっしゃるようにその対策の促進についていろいろな面から進めていくべきであろうと思います。御説のとおりにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/65
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066・松前仰
○松前委員 これはきのうも質問があったのですが、情報基本法ですか、それを含めて一緒に考えていただきたいものであります。郵政大臣もこれについて積極的に進めるようぜひ努力をしていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
それで、国際通信の問題で、ちょっとプライバシーの方にいきましたけれども、この国際通信というのは、新規参入がここではまたできるようになっておりますね。また、それについて、アメリカから人工衛星を買ってきて新しい国際回線を結ぼうというようなこともどこかで考えておるやに聞いておりますけれども、こういう国際通信、例えば人工衛星、これの新規参入、これは全く意味がない、意味がないというか、やるべきでない、私は逆にそう思うのです。
なぜかといったら、今、国際通信をやっているのはインテルサットですね。インテルサットというのはどういう機構かといったら、世界のたくさんの国がその中に加盟して、全員の出資で合意して、国際的に平和を目的としてやっているわけです。それが、一企業がそういうようなものをやるということになれば、これはもう、それこそ平和という問題にもかかわってくる。宇宙開発の目的というのは、宇宙平和条約に書いてあるとおりでありまして、とにかく、そういう戦争という目的には使わないということが書いてあるわけでありますから、そういう点で、インテルサットみたいなやり方というのは、私から言わせると、これは非常にいいやり方ですね。そこへ新規参入をしていく、これは大変おかしな考え方じゃないだろうか。ただ、それによって利益をむさぼるということにしかとれないわけであります。私は、国際通信についての一元的運営というものは、現在の世の中でどうしても必要であると思いますが、小山局長はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/66
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067・小山森也
○小山政府委員 今回の法律の枠組みとしては、国際通信にも第二国際電電というようなものができても可能なような形になっております。
ただ、国内と違いまして、国際的な通信というのは非常に難しい条件がございます。まず、国際的な問題ですが、相手国の法律であるとか条約、それから、先ほども申されておりましたインテルサットの関係とかいろいろございまして、国内のような形にはなかなかまいらないと思います。
ただ、枠組みとしては、常に競争原理が導入される可能性があるということにおいて、それぞれの事業体というものがそれに応じた形の努力をするということは非常に大事なことだろうと思いますが、具体的にどうかといいますと、確かにインテルサット体制というのは、今、私どもの日本の政策としても支えている政策でございますし、インテルサットの意向というのも大きく動こうかと思います。そういった点で、具体的になったときにまた検討をせざるを得ないのですが、しかし、法律全体の枠組みとしては、競争原理の導入ということで、複数事業者が参入できるということにしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/67
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068・松前仰
○松前委員 そんなような状況であれば、特にこの国際通信についての競争参入というようなことを、読めるような法律にしなくてもいいように、私は思うのでありますけれども、しかしいずれにしろ、国際通信に使うような代物の競争参入、ここまで自由競争を持ち込むことは大変な間違いである。これはもっとほかの次元の問題から、ひもといていかなければならぬ問題だろうと思うわけであります。そういう意味で、そういう状態がすぐさま起こるとは限りませんけれども、その事態が起こるというような状況、もしこの法律が成立して、そういうことになったときには、十分ほかの法律との関係をきちっとしていただきたい。
さらに、もう一つ、特別二種というものが、さっき私は否定しましたけれども、もしできちゃった場合に、これによって外国に情報が漏れていくということもあるし、それをそこに参入するということになれば、CCITTの勧告等、きちっと国際的なものがあるわけですから、そちらの方で抑えるということになろうと思います。それはここに書いてあるから――たしか書いてあったと思いますが、そちらの方で抑えられるということ、第五条にありましたね、「電気通信事業に関し条約に別段の定めがあるときは、その規定による。」これでよろしいですね。――そういうことで、国際通信については、地上よりも一段と厳しい条件が出てくるだろうと思います。
時間も大分迫ってまいりました。もう少ししかありませんので、この辺で終わりたいと思いますが、最後に、郵政大臣にお聞きいたしたいのですが、今、長時間にわたって議論いたしましたけれども、やはりこういう私の議論をいたしました点について、十分頭の中に入れていただいて、将来の電気通信事業というものが、電気通信、情報通信というものが非常に飛躍して発展できるように、それを簡素な方向で、どんどん技術はいっておるのですから、それに見合った法律というような形でしていかなければならぬと思うわけでありまして、その辺、どうか頭の中に置いて、これから仕事を進めていただきたい、そう思うわけであります。その辺の決意といいますか、考え方、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/68
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069・奥田敬和
○奥田国務大臣 大変御示唆に富んだ、また先生の蓄積されておる技術的なそういった知識も披瀝された上での御提言、御質疑に対して、大変深く敬意を表します。
確かに、これからの目指す高度情報化社会に向けての大改革法案でもございます。先生らの貴重な御意見を踏まえながら、先ほどいろいろ御指摘された点に誤りなきを期していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/69
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070・松前仰
○松前委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/70
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071・志賀節
○志賀委員長 次回は、来る七月四日水曜日午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01219840628/71
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