1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年七月十三日(金曜日)
午前十時三分開議
出席委員
委員長 志賀 節君
理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君
理事 畑 英次郎君 理事 吹田 愰君
理事 鈴木 強君 理事 武部 文君
理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君
亀岡 高夫君 近藤 鉄雄君
左藤 恵君 佐藤 守良君
額賀福志郎君 野中 広務君
渡辺 紘三君 阿部未喜男君
伊藤 忠治君 中村 正男君
松前 仰君 小谷 輝二君
鳥居 一雄君 中井 洽君
佐藤 祐弘君
出席政府委員
郵政大臣官房長 二木 實君
郵政省電気通信
局長 小山 森也君
委員外の出席者
日本電信電話公
社総務理事 山口 開生君
日本電信電話公
社総務理事 児島 仁君
日本電信電話公
社営業局長 草加 英資君
参 考 人
(株式会社旭リ
サーチセンター
専務取締役(元
臨時行政調査会
専門委員)) 山同 陽一君
逓信委員会調査
室長 長崎 寛君
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本日の会議に付した案件
日本電信電話株式会社法案(内閣提出第七二号
)
電気通信事業法案(内閣提出第七三号)
日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の
施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
(内閣提出第八〇号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/0
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001・志賀節
○志賀委員長 これより会議を開きます。
日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
本日は、参考人として元臨時行政調査会専門委員山同陽一君に御出席を願っております。
この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。
参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本日は、各法案につきまして忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。
なお、議事の進め方でございますが、初めに山同参考人に御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、山同参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/1
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002・山同陽一
○山同参考人 ただいま御紹介にあずかりました山同でございます。第四部会で、三公社、現業・特殊法人を担当した立場から、今回の法案についての考え方を簡単に申し上げておきたいと思います。
最初に、臨調でこの電電の問題を取り上げたときに、どういう考え方でこの問題を我々は議論したかということを簡単に申し上げた方がよろしいかと思います。
簡単に申し上げますと、御承知のように、確かに昭和五十三年までは、電電については積滞の解消それから全国の自動化ということをなし遂げて、立派に公社としての仕事をなし遂げた。ところが、その後状況を見ますと、経済の停滞もあり、新しい電信並びにコンピューターに関連します高度の通信技術に対する対応について、果たして今の体質でいいのかというのが私ども臨調の疑問でございました。
問題点は幾つかございますが、一、二だけ申し上げますと、現状の、つまり当時与えられておりました任務の範囲でやりますと、固定費の増加が収入の増加というものに追いついてしまいまして収支が悪くなる、いずれは電話料金の値上げをしなきゃならない、こういう構造になっているということが一つございます。その根幹には、一つは人員構成が、拡張期には、確かに保守それから運用、交換手の方々、こういう方々が大きな仕事をなすったわけですけれども、構造が変わりまして、その方々の仕事をどうやってアプライするかということが一つの大きな問題として出てきたわけだと思います。
よく言われますけれども、臨調は初めから国鉄についても、あるいは本日議題になっております電電につきましても、分割・民営というのを頭から決めかかって審議をしたのではないかという御質問を今でも受けるのでございますが、そういうことは全くございませんで、今申し上げましたように、今までの経過並びに現在当面しております電電公社の現状というものを考えた結果出た結論でございます。
その具体的な考え方を申し上げますと、一つは、公社という制度そのものが非常に問題であるということでございます。
まず、予算というものがすべて国会で決められる。その予算が、民間の我々の経営でございましたらば、設備投資が必要なときには借金をしてもやる、逆に、必要のないときには投資をしない、これは当然のことでございますが、国の財政事情によりまして、そういうまさに基本的な設備投資について制約をされる、これは事業として適当でない。これが第一点でございます。
第二点は、執行の細かい点は省略いたしますが、給与のいわゆる総額規制の問題でございます。
先ほどの人員の問題にも関連するわけでございますが、民間であれば、給与というものはその会社の経営状況によって影響されるのが当然である、ましてや賞与については、業績のいいときには他社よりも余分にもらう、悪いときはみんな我慢する、また働き度に応じて給与は変わるというのが当然でございますが、それもできない。そういう中で合理化をする、あるいは新規の時代に対応した投資をやっていくということは基本的に無理なんだということに我々は気がついたわけでございます。
さらには、個別の投資以外に、資材調達等につきましてもいろいろの関与が出ざるを得ない。こういうことでは国民にこれからの新しい時代の電気通信によるサービスを廉価にしかも良質のものを供給することはできないということと結びつけまして、結論として、御承知のように、我々としては五年以内に、まず特殊会社にして、公社という形態から切り離してもっと経営の自由度を持たせるということが第一点。それから第二点は、現在は独占でございますから、独占というものはすべて問題の所在をぼかしてしまう。別の言い方をしますと、確かに、国鉄は赤字なのに、もうかっている電電をなぜ民営化しなくちゃいけないのか、こういう御質問をよく受けたわけでございますが、その電電のもうかっている中には、確かに従業員の皆さんの努力ももちろんございましょう、労使関係からくる御努力もございましょう、それから、新しい技術を次々に取り入れていかれた御努力もありましょうけれども、独占から来る利益であるのかあるいは妥当な合理化をした結果の利益であるのか、これはわからない。そこにいろいろの問題が出ておるだろうということでございます。特に独占が問題だといいますのは、さっき申し上げましたように、まさに日進月歩で進んでいる電気通信事業、技術、これに対応するためには、やはり競争原理をそこに入れてよりよいものを常に国民が選べるような形で持っていくということこそ一番必要なのだというのが我々の考えでございまして、事実我々が審議している最中に、御案内のようにイギリスでは我々より一足先に電電公社を民営化して、さらには競争会社までつくっておるような状況でございまして、特に私長い間民間産業界におりまして、競争しておるところは、必ずその産業界は伸びておる。具体例は申し上げませんが、保護されている業界というのは、その当時はよろしいのでございますが、必ず国際競争力をなくしていずれは没落しておるという例が、第二次産業だけに限らず、農業の個別の分野を見ましても、そういう現状があると思っております。
それで、この法案についての私の所感でございますが、いろいろ個々の問題につきましては、我々が触れた分割の問題については触れられておりませんとか、細かい点はございますけれども、先ほど申しましたように、現在の電気通信事業の技術の進歩、これに対応するためには、現在の体制を改めて一刻も早く民間的な発想で経営ができ、そこに競争原理が導入できませんと、日本はハードの部分ではせっかくアメリカと全く対等に、ある部門ではむしろ競争力が上回っていると言われながら、ソフトの分についてはおくれている、こういう指摘がございますが、こういう点についてますますおくれてしまう。やはり実際にやってみなければそういう技術は蓄積できないわけでございまして、細部についてはいろいろ問題もあろうかと思いますが、とにかく早くこの法案をお通しいただきまして、日本人のすぐれた知恵をもってこの電気通信分野について、ほかの産業で諸外国がうらやむぐらいに技術なり生産力が上がっておるわけでありますから、電気通信分野についてもそういうようなおくれをとらないためには、ぜひこの法案の成立を願うわけでございます。
簡単ですが、私の所感を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/2
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003・志賀節
○志賀委員長 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/3
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004・志賀節
○志賀委員長 それでは、質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/4
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005・武部文
○武部委員 大変お忙しいところをありがとうございました。短い時間でございますので断片的な質問になりますが、お許しをいただきたいと思います。
今、臨調が論議をされた問題点についてお伺いをいたしました。固定費の増加と収入の比率の問題あるいは人員構成の問題、こういうような状況が続くならば将来これは料金の値上げにつながる危険がある、したがって民営にし、分割にし、そしてそこに競争原理を導入していかなければならぬ、こういう発想で臨調が答申をまとめられた、こういうことのようであります。
私は、なぜこんなに臨調が民営化を急がれるのか、しかも競争と民営化が同時に行われたという例は世界にないのじゃないかということを当委員会で質問をいたしました。先ほどイギリスの例をお述べになっておりますが、イギリスは、おっしゃったとおりでございますが、競争から入って民営化にするまでに四年かかっておる。こういう経過をたどって今日を迎えておるわけですが、日本のこの現状でなぜこのように民営と競争を同時に急いでやらなければならぬのか、大変疑問に思うのであります。
また、先ほど収入の状況等いろいろなことをおっしゃったわけですが、確かに五十三年以降新しい情報化社会に備えていかなきゃならぬという情勢が生まれた、経済も変わってきた、これはそのとおりでございます。しかし、現実に電電公社は、今、三十二年の経営形態の中で今まで悪かった公社の欠陥を正すために、総裁がかわってからもいろいろな方針をとられて、現実には国庫に対して四千八百億あるいはさらに二千億、さらには料金の値下げを何回も相次いで行っておられる。そういうふうにして経営形態にメスを入れながら、今まさに公社は内部は非常に充実されてきつつある。
先ほど人員のことをおっしゃいましたけれども、確かに全国自動化によって全国特定局からたくさんの余った交換要員が電話局に集中された。したがって、人員構成で非常に大きくバランスが崩れてしまったということは御指摘のとおりです。しかし、それはそれなりにまた労使の間でいろいろと精力的な話し合いが行われて、職種の転換訓練、いろいろな方法でそういう努力がされておると私どもは見ておるのであります。そういう努力はされて公社の欠陥が逐次改善されつつある。こういうときになぜ今申し上げたように臨調が急いで二つのものを同時に強引にやってきたのかということについて、私は大変疑問に思っておるのでありまして、最初にこの点をもう一遍お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/5
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006・山同陽一
○山同参考人 先生の御質問は、一つは、一番ポイントは、競争と民営と同時にやらなきゃならない理由はどこにあるのかというお話でございましたが、その前に、真藤総裁が来てから経営の内容にもメスを入れて、合理化をなすって、大幅な納付金を納入できるように内容を充実した、その点はまことに私も認めるにやぶさかじゃございませんで、まさに民間的な発想で経営すれば公社でもまだまだやれることがあるということを私は決して否定はいたしません。ただ、問題はそこに壁があるということでございます。
先ほどの人員の問題一つをとりましても、現在の公社法の規定する範囲では、例えば、新しい仕事をやってそういう方々の新しい職場をつくりたいといっても、それはできない。その投資ができない。この問題だけ取り上げましても、公社制度そのものではもう限界が来ておるということが第一点でございます。
それから第二点は、先ほど申しましたように、新しい技術を、ただINSだけじゃなくて関連のことも含めまして、広い意味の技術を導入して日本の電気通信事業というものを発展させるためには、今の公社制度はこれが障害になっておるということでございます。公社制度が障害になっておるということは、さっき申し上げましたように、独占ではだめだということでございまして、独占ではだめだということは、つまり競争ということでございます。片方で官があって片方で民で競争するということは、これはまさにあり得ないことであろうかと思います。その辺は議論になると思いますので簡単にいたしますが、官と民が同じ条件で競争するなんてことはあり得ないと思います。
それから、人員構成の問題も、先ほど申し上げたとおりでございまして、御努力は認めますけれども、保守の関係だけでも十六万人もおられる。この方々を再教育して新しい職場をつくるということは大変なことだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/6
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007・武部文
○武部委員 ここで議論するわけじゃございませんから結構だと思いますが、私は現在の公衆電気通信法を逐次改正あるいは修正あるいは行政指導、そういうことの中で、欠陥は長い期間の中にいろいろと出てきておるわけですから、それを片一方では改めていく、片一方では逐次競争を導入していく、こういう中で、一体電気通信事業はいかにあるべきかということを時間をかけてやるべきではなかったか、このことが余りにも拙速に来たということは背後に何かあるのではないかということを指摘をしたわけです。きょうあなたにそういうことを言ってもしようがございませんから申し上げません。
そこで、もう一つお伺いいたしますが、臨調のあなた方の基本は民営であり分割でありましたね。ところが、確かに民営という法案は出てきましたが、分割についてはここでいろいろ論議いたしましたが、昨日、大臣の答弁を私、ここへ書きましたが、分割は現状にそぐわない、現在の通信は一元化体制が望ましいし、分割は全く考えていないという答弁を法案提出の郵政大臣がここで答弁をされました。まさしく臨調の民営・分割の基本はここで崩れてしまっておる。それは臨調の答申が間違っておるということを現実に法案作成の官庁が認めた、これについていかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/7
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008・山同陽一
○山同参考人 初めて伺ったことでございまして、分割という意味なんでございますが、今回の法案では確かに分割問題については何も触れておりません。問題は、国鉄の問題と対比して考えると、一番よく御理解いただけると私は思うのですが、現在三十二万人、しかも全国一律、一律と申しますか、一本の経営になっておる。私民間におりまして、多少ながら経営に参加しておりまして、三十万人、しかも全国いろんな条件の違う職場において働いておる人を一本の労使関係で協議し仕事をしていくということは現実には非常に無理があるんじゃないかというような気持ちは今でも変わっておりません。その結果、臨調のときもいろいろ調べましたが、国鉄だけでなくて電電においても現場協議制というような制度が残っておる。国鉄と同じように電電においても、第一線管理者が組合の方と上部の方との板挟みになって非常に苦労しているという現実を私も見聞きしておるわけでございます。
根本は何かというと、余りにも巨大過ぎるということが一つの理由でございます。これは労使関係の問題ですが、もう一つは、経営そのものといたしましても、これから電電は今までのように電話だけのサービスでなくて、あらゆるもののサービスをやっていかぬといかぬ。これに対して地域固有の問題がいろいろ、ちょうど国鉄の方はマイナスの方ですが、電電は前向きの問題として、地域固有の課題がいろいろ出てくる、それに対して対応する場合に、一々本社に持ってこなければ決裁できないという格好でいいんだろうかというむしろ危惧の感を抱いております。
一例だけ申し上げますと、例えば地方の商店街あたりがCATVを入れてその町の一つの情報網をつくりたい、こういうとき一体どうするのか。それに対応するために電電としてのサービスをどうするのか、投資をどうするのか、こういう問題。地域の固有の問題が次から次へ出てくる。例えばテクノポリスの問題もそうでございます。そういうことを特に私個人としては将来の問題として、単なる分権、支社とかというものを超えて、その地域に本当の責任者を置かなければだめな時代がいずれ来ると確信しております。
ただ、今回の法案において、五年後に見直すということでございます。この間に、さっき申し上げましたテクノポリスの問題とか、あるいは技術の問題とか、いろいろ地域の固有の問題が出てくると思います。それが一社の電電、第二電電もできるかもしれませんが、とてもそんな力はまだないと私は思いますが、それが十分カバーできるのかどうか、その辺は今後この委員会の先生方もぜひ見守っていただいて、そのときにどうしたらいいのか、相変わらず本社機構でそういうことをやる格好でいいのかどうか、私はむしろそういう心配でございます。
臨調で私はそういうことを主張したのですが、ペーパーには書いていただけなくてただ効率の面で分割と言ったのですが、まさによく言われる地方の時代に対応したそういうセンターがあって、そこがみずから決心できる、民間で言えば社長がいる、そのかわりリスクも負うという時代が必ず来ると私は思います。これは私の私見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/8
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009・武部文
○武部委員 これは論議してもいけませんので、御意見だけお聞きいたしました。
私は山同先生の本をたくさん読ましていただきました。山同先生の本はほとんど加藤寛先生と共著でございまして、これをずっと読んでみまして、その中にちょっと気にかかることがございますから、お伺いいたします。
競争の導入、いわゆるそれによってクリームスキミング、これが当委員会でも問題になりました。もうけ取りということになるんじゃないかということに対して、山同先生はいち早くここに触れておられますが、これを読みますと、もうけ取りということではなくて、言葉から言いますと、「競争の刺激」だとかあるいは「後門の虎」だとか、そういう例えをお出しになっておるようであります。私、これがちょっとよく理解できませんので、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/9
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010・山同陽一
○山同参考人 「後門の虎」というところまでは私もちょっと記憶がないんでございますけれども、クリームスキミンクの考え方について少し申し上げたいと思います。
これはいわば、今、問題になっておる第二電電とこれからの新電電の関係だと思います。競争をさせるという意味は、私が最初に申し上げましたように、独占に対してどうやって新しいニューカマーを入れてそれを育てるかというのがこれからの政府の大事なお仕事だと思います。そのために、極論を言いますと、クリームスキミングが一部あってもいいんじゃないか。これは暴論のように聞こえますが、実は三月に私、アメリカに行きまして多少通信関係の仕事を見てまいったわけでございます。
先生方御案内の、アメリカのMCI、いわば日本の第二電電と言ってよろしいのかと思いますが、これの長距離電話はAT&Tよりも四五%安いということをワシントンの空港あたりで電話機にちゃんと張ってある。それをアメリカのFCC、政府と言ってもよろしいのでしょうか、それがむしろ認めておる。AT&Tが電話料金の改定をしようとするときには公聴会を開いて九十日以上かけなければ許可しない。これはMCIに直接聞いたわけでございます。いわば第二電電の場合には二十四時間以内に結論を出さなければいけないということになっておるんだという答えを聞きまして、私は非常に目を開かせられた思いがいたしました。つまり、アメリカにおける自由競争とかイコールフッティングという意味は、強いものはしばらく足を縛っても、新しいものを育てるんだ、ここに基本的な違いがあろうかということを非常に感じました。
そういう考えが、今後の皆様方の御審議において、第二電電が本当に育つあるいは第三電電でもよろしい、あるいは地域において、VANについてもそうでございますが、電電は今まで独占で来たんだからしばらく待て、そしてニューカマーを育てろということまで、そういうお考えでやらなければ、いつになったってこれだけの歴史と陣容と技術を擁する電電に民間は歯が立ちっこないと思うのですね。料金を上げるんでなくて、新しい人も下げて、それで競争させてシェアを伸ばさせるということをおやりになるかどうか、その辺が基本的な問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/10
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011・武部文
○武部委員 今お聞きいたしますと、三月にアメリカにおいでになったそうでございますが、アメリカのATTが七つの会社に分割してどういう状況になったかということをごらんになってお帰りになったと思うのです。
ここに三月二十三日のアメリカのタイムの翻訳文がございます。ちょうど先生がおいでになったときの状況だと思いますが、この翻訳はちょっと長いですから別に読み上げませんが、まず見出しは「化け物を野に放ったAT&T分割-今までのところ問題ばかり発生-」中身を見ますと、ダイヤルがやれ二十五回すだとか、値上がりがこうだとか、大変なことが各州で起きておるということがここに載っております。山同先生が主張された分割、これを現実にやったアメリカは、こういう事態がこの三月に起きている。具体的には申し上げませんが、各州の状況が全部ここに、タイムに載っておるのであります。こういう点が、もう我々の一足先にアメリカで起きておる。この現実はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/11
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012・山同陽一
○山同参考人 その辺についても私も現地で伺っておりますし、聞いております。しかし、我々の民間の立場で言うと、それはいわば技術的な問題でございまして、十分対応できる問題で、例えばダイヤルの問題にしても、まさにテクノロジーの問題でございまして、多少のフリクションがあっても、必ず越えられる問題である。
それともう一つ、私も民間でおりまして、何か問題があればそれにチャレンジして、何とか競争してそれを解決しようというエネルギーは、私はアメリカ人よりもむしろ日本人の方が強いんじゃないか、そういう自信を持っておりますので、決してアメリカのようなことにならずに、分割の問題は別として、例えば第二電電ができた場合にも十分対応できるだけの民度もあり、技術もあり、国民の良識もあると信じております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/12
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013・武部文
○武部委員 それじゃ時間の関係で、最後に一つだけお伺いいたしたいと思います。
ここにスト権のことが書いてございます。このスト権の先生の御意見を聞きますと、「民営化すれば、労働関係は労働三法により、争議権は当然与えられる。」「いたずらに抑圧するのは愚かな政策である。」したがって「労働関係調整法による一定のルール(争議の予告期間と緊急調整期間中のスト禁止)には従うことになる。電力および石炭の如く、スト規制法の対象にすべきか否かは問題がある。」この先生の御意見は労働三法によって争議権を与え、いたずらに抑圧するということについては愚かな政策だ、こういうふうにお述べになって、労働三法をそのまま付与すべきだと、こういう御意見でございますが、今でもそのお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/13
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014・山同陽一
○山同参考人 スト権の問題につきましては、全体のトーンでお読みになればおわかりだと思うんですが、これはただいまの御質問には直接関連ございませんが、僻地に対して、民営になった場合に電話サービスをどうするのか、こういう問題と裏腹の議論をいたしました。今でもそう思っておるんですが、要するに電気通信事業というのは一つの公共的な縛りがある、電力会社と同じような縛りがある、これは当然のことであるというのが我々の発想でございまして、ただし、今までのような公社のようなスト権がないというような格好、これがおかしいんであって、公共性を担う以上はある程度の制約があるのは、これはやむを得ない。今回の法案を拝見いたしますと、電力よりもはるかに、もちろんスト権はあるわけでございまして、電力よりもはるかに短い十五日間というような緩やかな規制は、経過措置としては私はやむを得ないんではないかと思います。
と申しますのは、蛇足かもしれませんが、これから民営化をしていくについても、労使関係で今までの慣行と違う問題がいろいろ出てまいります。その間で労使お互いに非常に苦労をなさらなければならない時期にいよいよ来ていると私は思います。そのときに、不幸にして意見が合わない場合に、ストということが起こり得ないとは言えない。そのときに、最低限のこのくらいの規制を置いておくのは、必ずしも良識に私は反しないという理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/14
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015・武部文
○武部委員 私はそのように実はこの本を読んでいなかったのであります。あなたは前段に、「労使双方に対する当事者能力の付与は、親方日の丸ではなく、自分の会社での争議ということになるから、おのずから理性による限界が働く。それが労使の信頼関係を築く。」これを前段でお述べになっておる。したがって、スト権については何ら制約すべきではないというふうにこの本は読めるのでありまして、ああ立派なことをおっしゃっておるなと思って、私はこの点について、ほかのことはいけませんでしたけれども、これは賛成をしておったんだが、今の点はちょっと、今、法律が出たからそれに従ったようなことをおっしゃっておる。この本は、あなたの御意見はまさに労使の相互の信頼関係によって、自分の会社なんだから理性が動くんだ、したがって労働三法がそのまま適用されるというふうにこれをお書きになって、ああ立派なものだなと思って読んで、今、御質問したわけでございまして、答弁は結構でございます。
もう時間が来ました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/15
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016・志賀節
○志賀委員長 次に、鈴木強君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/16
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017・鈴木強
○鈴木(強)委員 きょうは、山同先生お忙しい中をありがとうございました。
臨調第四部会で大変御苦労いただいたのでございますが、最初に、第四部会がこの仕事を始めたのはいつで、第三次の答申を出したのはたしか五十七年七月三十日だと思いますが、いつからこれを始めたのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/17
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018・山同陽一
○山同参考人 お答えします。
実質に始めましたのは、法的には五十六年の四月でございますが、五十六年の五月から審議をスタートいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/18
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019・鈴木強
○鈴木(強)委員 私の承知している限りにおきましては、五十六年三月十六日にスタートをしたと思います。それにしても、五十七年七月三十日までにはわずか八カ月弱の日限しかないわけですね。まさに明治二年に始まりました我が国の電気通信事業というものが百十四年の歴史を持っている。これを変革するために、よくぞ八カ月弱の年数で答申ができたものだと私はびっくりしているんです。
私も電気通信事業に二十五年間、国会へ来まして約二十五年間この事業に携わってきました。今、私は先生と武部委員の御質疑を聞いておりまして、八カ月間という非常に短い時間におつくりになりました御苦労は感謝いたしますが、聞いておりまして、私の心の中にぴしっとはまったのはないんです。これは拙速も拙速、少なくとも二年、三年の年月を要して慎重に配慮すべきです。イギリスもBTが近く発足するでしょう。マーキュリーが御承知のように混乱をきわめておりますよ。
私も、この五月にアメリカに行ってきました。MCIも見てきました。AT&Tもみてきました。分割した後、あなたはニューヨークでMCIが大変料金が安いというビラを見たと言いますが、これは広告ですからね。じゃ、AT&Tの分割したBOCがどうなっていますか。軒並み料金を上げられたんです。ですから、今度分割を政府がしなかったことを私は高く評価している。もし日本で分割したら、さんざんな目に遭う。アメリカは、小さいものはいいことだとか、それから何でも自由化することはいいことだという国ですよ。あのアメリカが民間企業として自由競争原理を入れて、競争でやってきていますね。イギリスやヨーロッパへ行ってごらんなさい。イギリスが最近そういう動きをしましたけれども、ほとんどの国が国営じゃないですか。国営でなければ、独占でなければならぬ性格もあるんです。
アメリカだって千五百四十の電話局がある。会社がある。そしてAT&Tが八五%か九〇%のシェアを持っているために、独禁法上の裁判になって、同意審決で分割ということになったんですね。結果は、マイナスなんですよ。私はテキサスへ行ってきました。知事も泣いていましたよ。こんなことならば最初から反対すればよかった。分割すればいいということでは賛成した。ちょうど地方公益委員会が二五%の値上げをした日に私は行ったんです。FCCと別に州の場合はできるんですよ。いい面だけ、しかも宣伝的な面だけ言われても、それはだめなんですよ。実際に現場へ行ってごらんなさい。加入者だって、ダイヤルは二十四回さなければならぬ。AT&Tに入っている加入者がMCIを使うときには、これは倍回さなければならぬのです。そうでしょう。それから料金だって、幾つも幾つもになりますから、あっちからもこっちからも請求が来る。修理するときでも、今まではAT&Tに言えばすぐ直してくれた。薬屋さんや米屋さんが売っているんですよ。さあ故障になった、どこの部分が自由に引ける家庭の責任なのかはっきりしない。だから、どこで故障が起きたかわからぬわけです。調べてみなければわからぬ。呼んできても来てくれない。米の配達に行っている。あしたにしてください。よくなったことは何もないのですよ。テキサスの知事が頭から湯気を出して怒っていましたよ。ですから、
そういうふうに通信というのは、自由競争といって何かそれによってよくなるような幻想を持っておられるようですけれども、実際、アメリカがあれだけ長い期間民営でやってきても、八五%から九〇%というものはAT&Tの独占的な傾向で来ているわけですよね。MCIが資産が二十億、それで市外の収入が十億、市内はないのですから、それだけですね。そうしますと、六百五十億のAT&Tの収入というものに対して、わずか十億ドルですからね。これしか伸びないのですよね。競争してみたって絶対に伸びないのですよ。我が国だって新規参入したけれども、じゃあ第二電電とか何か言われておりますけれども、それは一生懸命てこ入れして、郵政省からは人が行く、通産省からも人が行く、天下りみたいなのが行って、そして何とかしててこ入れをしてやらなければ、新規参入者ができないような状態じゃないですか。
そういう現実を私たちよく見るときに、もう少し大局的な見地に立って、イギリスの始まりましたマーキュリー等の行方ももう少し検討していただいて、その上で結論を出していただきたかったというように思うわけですね。
ですから、公共性というものが一体どういうふうに理解されておったのか、活性化とか効率化ということはわかりますよ、これは。だけれども、公共性というものはどうつかまえているのですか。公共性が強いためにやや独占的になり、日本では百十四年国有で来たのです。高度情報化社会に向かって、VANというのはどんどん自由化すればよろしい、ネットワークもINSというのができます、衛星通信ができます、光ファイバーができます。ですから回線はいろいろあるのですよ。公社からその回線を借りてどんどんと民営をやればいい、これは私は賛成です。そして、基本的な公衆電気通信役務に係るところは、やはり、仮に新電電になるならば、それは新電電がやればいいのですよ。何も無理して新規参入を入れることが国民のためになるというのは、それはあなた、専門家の前じゃ通じないのですよ。法案はここに出ておりますけれども。そういうわけで公共性というものをどう理解されたのか、そして準備は不足でなかったでしょうか。ちょっと所見を聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/19
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020・山同陽一
○山同参考人 私は算術が弱いので、五十六年三月十五日に発令になって、実体審議は五月と申し上げますが、五十七年の七月に答申して何で八カ月ということになるのか、ちょっとよくわからないのでございますが、時間をかけなかったという御指摘は私はそんなことはございませんとはっきり申し上げます。確かに表面で会議をされた時間は週に何回ということでございますが、実質的には正式の会議のほかに、私個人のレコードを見ましてもどのぐらいこの問題に時間をとられたか、しかも、その審議過程においてただ我々が審議するだけでなくて事務局の協力も得、さらには各省庁の資料ももらい、そして議論をしたわけでございまして、さらにその結果は今国会でこれだけ議論をされているわけでございまして、時間が足りなかった、いいかげんだったという御指摘についてはいささか異論を申し上げたいと思っております。
次の御指摘の、アメリカにおける混乱があるじゃないかということについては、先ほど武部先生のときにもお答えいたしましたが、日本の場合は、少し一般論で恐縮でございますが、もう今や先進国から学ぶものはなくなってしまった、これからは前人未到の分野に入らなくちゃいけないのだ、だから非常に日本の産業は大変なんだ、こういうことをよく申しますが、私は決してそうは思っていないのです。その一番いい例はこの電気通信関係の仕事でございまして、幸いにして、アメリカという先蹤者、つまりパイオニアがおります。これを見ながらできるという非常に恵まれた立場にあると私は思うのです。先ほど御指摘のアメリカの混乱、これを踏まない方法というのは十分そこから教訓を学び得るのだということで、私は決して心配をしておりません。
なお、細かい点でございますが、MCIは伸びないとおっしゃっていますが、私の知っている範囲では毎年倍増計画ぐらいで伸びております。絶対額が小さいのはこれは当然でございましょう。それに対してアメリカ政府がどういう態度をとっているかということも今後ひとつぜひ御参考にしていただきたいと思っております。
それから、公共性という言葉ほど実はあいまいなものはないわけでございまして、何も国がやっていることばかりが公共性ではないわけでございます。例えば、洗剤をつくっている人だって、オイルショックのときのことをお考え願いたいと思うのです。ああいうような混乱を防ぐためには、では洗剤も国でつくったら、国営でやったらいいじゃないか、こういう議論にまでなり得るわけでございまして、公共性とは一体何のことなのか。低廉なものを安定して、国民の必要なものを供給する。それに対してどういう方法でやったらいいのか、国がやったらいいのか、民間がやった方がいいのか、特殊会社がやった方がいいのか、それは方法論の問題であって、成果に対して評価すべきであって、私は、国がやるから公共性である、民間がやったらそれは私益追求であるという考えは基本的に間違いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/20
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021・鈴木強
○鈴木(強)委員 私の質問が意見を交えて申しましたからちょっと聞き取れなかったかもしれませんが、私は独占てなければ公共性が保持できないというようなことを言ったわけじゃないのですよ。要するに、答申の中を見ますと、公共性ということについて極めてないのですよ、活性化とか効率化ということはたくさん書いてあるのですけれども。ですから、そういう意味において公共性についてどうお考えですかというふうに聞いたのですよ。
それからもう一つは、期間の問題について、それは見解の相違ですから、あなたはもちろん、出した以上は、時間がないために不完全なものを出しましたなんということは義理にも言えない。我々から見るとそう感ずるということを私は言ったのですよ。これは意見の対立なんです。
しかし、一つ事実は、分割をしなさいと言ったのでしょう、新規参入、分離、分割・民営化。その分割というものは、少なくとも今度の法律では政府はとらなかったわけです。これは武部委員が言ったように、これからもやらぬと言っている。そんなものを狭い日本に、電力並みに幾つかに分割しようというようなことを考えたのでしょうけれども、そのこと自体が採用されていないことは事実でしょう。アメリカあたりの分割は一月からでございましたけれども、そういう点をもう少し検討して、この答申が出た後ですからそれはちょっと無理かもしれませんけれども、そういうような意味で私は分割をしなかったことはよかったなと評価しているわけです。そういう意味で、皆さんが出したのはやはり一つのサンプルでしょう、一つの手本ですから、それに基づいていろいろな意見を聞いて政府は政府として法案を出してきているわけですから、そういう意味からいっても現実に皆さんが出したものは採用されなかったのじゃないですか。そこらはやっぱりちょっとおかしいと思わないのですか。そういうことをちょっと言ってほしいというのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/21
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022・山同陽一
○山同参考人 公共性について全く触れていないということは、臨調答申全体を読んでいただければ誤解だと思います。
その点は別にいたしまして、分割について今回取り上げなかったということについて感想を述べると言えば、私は残念だったと言うしかございません。ただ、先ほども武部先生のときにお答えしましたように、そういう目でもう一回見直す時期が必ず来るというふうに私は確信しております。それはまさに、繰り返しになりますが、本当の意味の地方の時代に対応しなければならない時代、しかもそれのパイオニアとしての電気通信事業、それをどうするかという課題が必ず来ると私は確信をしております。農業の技術改良とかそういう問題も含めまして、まさに国の神経であります、その神経と地域の特殊性というものをどうやって調和させるかという問題は必ず来るということを申し上げて、お答えにかえたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/22
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023・鈴木強
○鈴木(強)委員 答申を出された立場の方はそうおっしゃるでしょうが、それは現実に採用されなかったということは、あなた方の考えたことは実情に合わぬ、それでは日本の電気通信事業がうまくいかぬということで却下されたのです。取り入れられなかった、これは現実でしょう。幾らあなたが確信を持って今後どうだこうだと言っておったって、世の中は変わっていくのですから、それは一寸先はわかりませんけれども、私は逆に、そんなことをしたら日本の電気通信事業は破滅だ、そういうふうに確信しているのです。あなたが確信しても、私はそう確信している。
それで、今度の法案を見ますと、先ほど、分割されないことは残念だが大体よろしいというお話でございましたね。ところで、三法案を、私ども今ずっと審議をしているわけですけれども、臨調が考えておったように、できるだけ企業に自主性を与えて機動的な運営をさせる、活性化をする、効率的にやってもらう、公共性も十分考えてやりなさい、こういうことだと思います。ところが、実際に出ています法律案を見ますと、あらゆるところで縛っているのです。二、三行いくと、大臣の認可をもらわなければならない、政令でやらなければならぬ、あるいは省令でやらなければならぬということで、これは実に政省令が多過ぎるのですね、八十幾つかになっております。ですから、これは臨調が考えている、できるだけ自主性を持たせて、自由に濶達に運営させていくという方針から見ると、余りにも規制が強過ぎるというふうに私は思うのです。そういう点はいかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/23
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024・山同陽一
○山同参考人 私も、基本的にはおっしゃるとおりだと思います。ただ、臨調当時考えましたことと現在の法案の基本的に違います点は、まず、政府の株の支配が圧倒的に強い。本来ならば、完全な民間会社であれば、株式会社でございますから、株式会社になれば、会社の経営者というのは株主に対して責任を負う、こういう格好になっているわけでございます。ところが、今回の法案では必ずしもそうなっていない。これが第一点だと思います。
第二点は、先ほど申し上げましたように、逆の立場で、ニューカマーを育てるためには、まさに競争の原理を働かせるためには、今の電電のままでは、たとえ株式会社の会社になってもすぐにコントロールできない。コントロールという言葉が適当でなければ、競争相手を育てるという点で、国が認可を通じてそこに介入せざるを得ないという現実はあろうかと思うのですが、これについても、先ほど申し上げましたように、ニューカマーの成長の度合い、それに応じて当然これは見直していくべき筋のものだと私も思っております。そのために見直し規定というものが置かれたのではないか。とにかくやってみないとわからないことがたくさんあると私は思います。特に、最初に申し上げましたような新しい電気通信技術、これに関するいろいろな問題は、やってみないとわからないことがたくさんあるわけでございまして、その辺について、ある程度の規制をしながらいく、しかし、それを国会でもよくウォッチしていただいて、改めるべきところは逐次改めていくということを一つ条件にしていただかぬと、逆に、今のままで永久にいったのでは、何のために民営化したのかわからないという御指摘の点は、私も危惧する点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/24
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025・鈴木強
○鈴木(強)委員 時間がありませんので、これが最後になると思いますが、先生が答申されまして、その後、法案が国会に提出され、今、国民が非常に心配をしているのは、やはり現状の電電公社のサービスよりも、新しい制度になった場合に本当によくなるのかどうなのか、これが一番心配でございますね。その第一は、やはり料金だと思います。それから、その次は、保守その他について、アメリカの例のようなことにならないようにするにはどうしたらいいのかとか、そういったようなことがいろいろ心配があると思うのですね。
新しい第二電電なりその他の新規参入があって、それぞれ東京-大阪間なり、名古屋間の新規参入をしてくると思いますけれども、それも、先ほど申し上げましたように、希望者がたくさん名のりを上げておりますけれども、やはりてこ入れをしなければどうもうまくいかないようなこと、それは、電電公社というのが百十四年の歴史を持って、まあ公社になって三十二年ですけれども、これだけの膨大な電気通信事業を独占的にやってきたわけですから、あらゆる面においてすぐれているだろうということからして、それに太刀打ちするのにはどうしていったらいいか、そういう判断を今それぞれやっていると思うのですね。そのためのサービスはどうなるのか、料金はどうなるのか、そういうことを今、検討しておられると思うのですけれども、果たして、こういう民営化をして、国民にああ、よかったというように喜んでもらえるようなことが、私たちは考えてみて、新規参入の事業者は、今の電電公社の加入者に接続をすればアクセスチャージを取られる。そうかといって、加入者をふやそうとしても、電電はもう四千三百万の加入者があるわけですから、うちに行ってもう一つ新しい会社の電話を引いてくださいと言っても、ああ、うちでは結構です、こうなるでしょう。加入者はふえていかない。結局、今度は電電を使えばアクセスチャージを取られていくということですね。料金が大変問題になってくるだろう、こういうふうに思うわけですね。ですから、そういう点についての見通しまで、臨調としてはお考えになって、恐らく新規参入業者を入れて民営化にするということをお決めになったと思うのですが、その点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/25
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026・山同陽一
○山同参考人 先ほども申し上げたことでございますが、電電の、私たち特に民間の立場から見ると、今の利益自体が実は、独占からくるものだということは、競争すれば下がるということの裏腹でございます。競争するためにはもっと合理化をしなければならない、それから設備投資についても、場合によっては――この間も霞が関で電話がとまりましたけれども、伺ったところでは、あれは四十四年の機械だそうですが、四十四年と言えば、民間では償却済みの機械でございます。そういうものについては、積極的に設備投資をするということも必要なんです。もし、あれが競争していて、あんなことが頻発すれば、じゃもう民間の電話を使う、こういうことになると思うのです。そのようにやはり競争させるということは大事なことでありまして、それによって電電のコストも下がり、それがまた競争相手に対する刺激になっていくわけでございまして、民営にしたら料金が上がるということは、全く心配する必要はない。
例えば、コンピューターにしても、身近な電卓にしましても、効率を入れたら、十五年間で大体百二十分の一ですか、それから百五十分の一ぐらい値下がりをしている。ハードはそのぐらい下がっているわけですから、これに伴うソフトの合理化をしていけば、単なる電話だけでなくて、電気通信全体のコストはまだまだ下がり得る、そして、国民がもっとこれを活用できるようになると私は確信をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/26
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027・鈴木強
○鈴木(強)委員 もう時間が来ましたので、まだまだたくさんお伺いしたいのでございますが、残念でございます。お互いにどうしたら日本の電話がよくなるかという観点に立っておるわけでございまして、私たちもそういう意味で今、一生懸命やっておりますが、せっかくおいでいただいた先生に非礼にわたるような言質もあったかと思いますけれども、ひとつそういう気持ちでありましたことを、御了察をいただきたいと思います。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/27
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028・志賀節
○志賀委員長 次に、鳥居一雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/28
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029・鳥居一雄
○鳥居委員 きょうは御苦労さまでございます。引き続き、お伺いをしてまいりたいと思います。
ただいまのお話にもございましたけれども、アメリカにおける電気通信事情、これは競争原理が導入されましたし、分割が一月一日から行われましたし、こうした状況というのは、我が国の将来を見る上で非常に重要な、さまざまな出来事が実は起こっているのだろうと思うのです。MCIの、いわゆるAT&T回線に比較して四五%値段が安く抑えられ、四五%値引きという状況の中で、AT&Tの方は下げようとしても下げられない状況にある。そして、マイクロウェーブ回線をほぼ全国主要都市に張りめぐらしまして、そして競争相手になって対抗している。また一方、SBSのような衛星回線を使いまして、これは従来の地上系よりもずっとコストが安くできる、こういうような形のいわゆるバイパスという問題が起こっているわけでありますが、この弊害というのは、一つは、バイパスということによって高度情報通信の将来が展望されるということで始まったはずであったと思うのです。しかし、その後の推移を見ていますと、大体電話の方にどんどん比重がかかってまいりまして、バイパスの参入業者の収入の八割が電話収入である。つまり、クリームスキミングのいいとこ取りをしたいわゆる幹線、そういう中で、特に産業用の電話がその対象になっている。我が国におきましては、東京-大阪間とか主要幹線の中におきまして、企業用、産業用電話、この手のものが恐らくは参入業者の手で運営される形になっていくであろう、こういうふうに考えられるわけでありますけれども、そうすると、新電電の経営基盤を著しく脅かす心配があるのじゃないだろうか。
こういうことについては全く暗やみの中を恐る恐る進んでいくという状況の中にあるわけですが、将来展望をどういうふうにごらんになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/29
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030・山同陽一
○山同参考人 私も電気通信の専門家ではございませんので、あくまで民間産業の、今まで国際競争にさらされて、その中で、御記憶だと思いますが、ニクソン・ショックだとか第一次オイルショックとか第二次オイルショックでどうやって対応したかという、まさに前人未到の経験の中にあがいてきた、経営の一端を責任者としてやってきた経験で申し上げるしかございませんけれども、まず、今、先生の御質問の電話の比重が高くなっているという点につきましては、私なんかは逆に、これはチャンスだ、こう考えるわけです。
というのは、VANだとかコンピューター・アンド・コミュニケーションですか、そういうものが日本とアメリカは物すごい格差があって、データ通信なんというのはもうアメリカに歯が立たぬよ、日本はてんでだめだというような論調が盛んになされておりますけれども、アメリカですらまだそこまでいっていない。電話が主体であるということは、今から日本が今までの蓄積でこの法案通過を契機にやれば十分追いつけるんだというむしろ反証じゃないかというふうに本当に私は考えます。
それから第二点の御質問は、第二電電ができて、ビジネス中心のものがそっちに移ってしまって、電電の経営がおかしくなりはしないか、こういう問題があろうかと思うのですが、これも非常に酷な言い方で、新電電の方にはあるいは申しわけないかもしれませんが、私の考え方は、むしろそれでいいんだ、そして、電電自体がそれに対して立ち向かうだけの技術力なりあるいは経営努力をすることによって国民全体がよくなるんだという、何かそういうものがなければ、なかなか合理化をやれといったって――競争相手がいて、自分の経営が今のままのんべんだらりとやっていったのではだめなんだという切迫感、しかし、それをうまくやればそれだけの果実は得られる、従業員で言えば、その競争に勝てはよそ並みの賞与ももらえる、あるいはよそ並み以上のボーナスももらえる、新しい仕事もできてくる、こういう励みがなければ、働いても、まあ働かなくてもと言っては言い過ぎかもしれませんが、横並びで給料もボーナスも決まるというようなことでは、従業員も励みになりません。
やはり民間で言えば、あの会社には負けたくないということで、常にライバル会社というものを意識するわけでございますね。そういうものがあって初めて、日本の産業というものはこれだけ伸びたんだと私は思うので、そういう意味で私は、むしろ大いに結構、電電さんがニューカマーが来て危機感を持たれるということこそ、これからの新電電に対して大事なインパクトだと思います。ただ、どの程度にやるかということは、前回の御質問のときにお答えしましたが、料金の設定というところに係る問題だと思いますが、私は、その設定の考え方は、あくまでニューカマーを育てるという発想であるべきではないかということでお答えにかえさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/30
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031・鳥居一雄
○鳥居委員 私は、電気通信事業というのは、一つの安定した供給という上からいって、公共性が非常に大事な部門であると思うのです。一元的な運営あるいは独占と言われる中でその公共性をがっちりと確保してきたのが、今日までの日本の電気通信政策だったと思うのですね。ですから、ここへ参りましてトラスチックな変革をする、しかもそれが、選択の自由は、さまざまなものをユーザーが選択ができるようになったけれども、結局、料金の上で大きな負担を国民がしょわなければならない、こういう形になったとすれば、競争原理の導入あるいは民営移行という問題は、これはまた歓迎できない将来だろうと思うのです。アメリカの場合のアクセスチャージは、一般家庭用あるいは企業で一台だけの企業、これはとりあえずは大統領選挙までの間抑えられているようでありますけれども、ユーザー側からアクセスチャージを支払うもの、それから、キャリアの方からローカルネットワークに対して支払うものがありますけれども、明らかに料金の値上げという形になっているわけです。このあたりをどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/31
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032・山同陽一
○山同参考人 たびたび申し上げておりますように、仮定の問題ですから、当面どうかと言われても、私も判断する材料が料金の問題についてはございません。
ただし、私は、アメリカの労使関係、アメリカの個々の生産技術、こういうものを見た場合に、日本がそれに負けるはずはないという確信を持っております。ということは、ハードにおいてこれだけアメリカが脅威と思うぐらいな電気通信関係の技術を持っている日本ですから、それを使って、日本のよき伝統である労使関係、さらにはソフトも含めた日本人の知恵をもってこの競争分野に必ず皆殺到してくると思うのですね。そこで、競争によってよりすぐれたものが選ばれてくるわけでございますから、私は、日本の場合に、仮に今の公社形態のままでいくよりもはるかに安い、しかも安定的なサービスを供給できるということは確信を持って言えると思います。そのためには、今の経営形態ではそういうことはできない、それだけの自由度を経営者に与えなければそういうことはできないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/32
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033・鳥居一雄
○鳥居委員 第三次答申の中で、分離、分割が具体的に例を挙げられております。それで分離でありますけれども、宅内機器部門、データ通信設備サービス部門あるいは保守の一部。このデータ通信設備サービス、いわゆる販売在庫管理サービスDRESS、科学技術計算DEMOS、このDRESS、DEMOSという、十年前の花形時代が確かにございました。これは、商店であるとか中小企業が、なかなか自分でみずからコンピューターを持てない、そこで、NTTのコンピューターにアクセスして、端末機を置くだけで販売在庫管理が割安でできる、こういう時代に、民業圧迫だという議論があり、また競合だという議論の中から、分離すべきではないだろうかという議論が確かにあっただろうと思うのです。
しかし、十年後の今日におけるデータ通信本部の役割というのは、DRESS、DEMOSというのは顧客を新たに募ることはありませんですし、従来のお客さんをそのまま維持するというだけ、つまり撤退、設備サービスの本来的な意味はもう既になくなっている。ネットワークとして提供しようという形、INS時代、異機種間の接続をしていく、こういうデ本の役割からいくと、いわゆるこのデータ通信設備サービス部門の分離というのは、これはもはや意味がなくなっているのではないだろうか、このように思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/33
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034・山同陽一
○山同参考人 データ通信設備サービスを分離しろということは臨調で申し上げたわけでございます。その後の法案の審議の過程、それから我々が当初考えた以上に事業法につきましても突っ込んだ御審議をなされております。その経過からいえば、確かに設備サービス分野については任務が終わったという見方、これは私はまことにそういう見方もあろうかと思うのです。ただ、その場合に、そうかといって現在やっているサービスをやめるわけには、これまたそれを利用している皆さんに非常に迷惑がかかるわけで、何かの格好で継続しなければいけない。ではどうするのか。新しいこともやらないし、そうかといって今までのものをただメンテナンスするということであると、むしろこれからの新しいものにどんどんチャレンジしていかなければならない新電電の中において、その位置づけをどうしたらいいのか、むしろそういう問題が出てくると思うのです。
そのためには私はステップはいろいろあろうかと思うのですが、そういう場合には、それをちょうど国で言えば特別会計のように分けまして内部補助をなしにしてそれをどうするのか。将来別会社にしてそれはそれでやっていくのがいいのか、それとも、極論を言いますと、そういう権利と申しますか、そういうものをどこか民間に譲って、今まで蓄積されたものはもっと新しい分野でやっていくのがいいのか、いずれにしても今のまま何となく、前にも行けず、そうかといってやめるわけにもいかずだらだらというのは問題であるという点は、臨調当時議論した点と少しも変わっていないのではないかと思います。最近の状況の具体的なことは私よく存じませんので、その程度のお答えしか申し上げかねます。
それから、宅内機器の販売についても同じ問題があろうかと思いますが、この問題につきましては今度の認可の問題の中にどのように扱われるのか、私は詳細存じませんが、いずれにしても電電のこれからやる仕事の範囲というものはやはりはっきりしてやらないといけない。本体の新電電でやる仕事と、最初に申し上げましたような、これだけ技術革新の激しい時代に三十二万人の方々をどうやって新しい職場にアプライしていくか、この問題の調和が一番大事な問題だというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/34
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035・鳥居一雄
○鳥居委員 さらに、外資規制の問題なんです。
今回の法制上二種、いわゆるVAN業がこれで公式に認められ、国内のVAN業者が事業を始めるわけであります。既に始まっている中小企業VAN、これはございますけれども、その場合に完全に門戸を開放という形についになってしまったわけですが、これは当分の間当然外資規制すべきであった。アメリカにおけるいわゆるGTEテレネットにしろタイムネットにしろグラフネットにしろ、この十年の経過の中で十分巨大資本の参入に備えるだけの力を持つことができた。ですから、それがいわゆるIBMのインフォメーションネットワークにしろあるいはAT&TのNET一〇〇〇という形で日本の国内市場に参入してきた場合に、太刀打ちできるのはNTTだけであって、向こうへ行けるような働きは恐らく国内のVAN業にはできないだろう。そういう意味で、ゼロから出発する国内VANに対して外資規制は二分の一程度の規制をすべきであったとかたく思っているのですけれども、このあたりについていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/35
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036・山同陽一
○山同参考人 私は、先ほどから申し上げておりますように、過去のいろいろな日本の産業が、特に第二次産業関係でございますが、国際競争にさらされて悲鳴を上げながらついにここまできた、その歴史を常に頭に置くしか将来の予測の判断材料はないわけであります。繰り返し申し上げておりますように、私はトータルとしてはそういう力は十分あるということを先ほど申し上げましたけれども、このVANの問題につきましても、限定された第二種の部分だけ外資に開放するということにつきましては、むしろそういうものが入ることの刺激によって、それを取り入れて日本は自分のものにする力を十分持っている、そんな心配することないじゃないかというのが正直言って私の気持ちです。常にそういう不安はございます。
例を余り申し上げますと当たりさわりがあるかもしれませんが、私は長らく合繊の会社におりました。その輸入の問題、それから石油価格の問題、常に、これだけ円が高くなったらもう輸出できなくなってしまう、輸入品にやられてしまうとかあるいは石油がこんなに高くなったらもうだめなんだ、アメリカなんかあれだけ石油が出るのだからとてもかなわないと言いながら、それを耐え忍んでやってきただけの蓄積があるわけです。
VANにしましても、確かにVAN業者としては育っておりませんが、先生御承知のように、例えば私どもの会社でも、これは残念ながらこういう立派な業法がなかったせいで、自分の企業内だけのVANはもう十年前からやっておったのですね。ただ、それを一つのシステムとして売るということが今まではできなかった。だから、あきらめておった。企業においては、VANという名前こそついておりませんが、何かの格好で実質VANをやっておるのですね。それがこれから売れるわけでございます。私は必ずしも悲観する必要はない、心配する必要はないのではないか。むしろ、それが刺激になってそういう方々の新しい職場もでき、またハードの面とのタイアップによってやり得るというふうに信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/36
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037・鳥居一雄
○鳥居委員 それで、アメリカにおけるいわゆるVAN、これは三大VANと言われるものを見ますと、従来のアナログ伝送路に対しまして付加価値をかぶせるということでディジタル交換をやり、パケット交換をやった。こう考えてみますと、いわゆるアメリカのVAN業者がやったようなことは全部NTTがこれから、今もう既に始めていますし、INSの中にすべてあるわけです。そうすると、新しいメディアといっても、メディアに新しいものがさらに加わるということはないわけでありますし、民間の参入ということ自体に余り意味がないのではないだろうか。低廉な、あまねく公平に、しかも技術先導的に公共性という三つの条件で今日までNTTが突き進んできた一元体制、それを突き破るほどのニーズが果たしてあるのだろうか、こう思えてならないのですが、この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/37
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038・山同陽一
○山同参考人 まさにニーズの問題がこれからのこの業界の、業界という言葉が適当かどうか知りませんが、問題だと私も思っております。汽車は走っているけれども乗るお客さんがいない、何乗せたらいいかわからないということになりかねないという見方もあるいは成り立ち得ると思いますが、先ほども申し上げましたように、先生の御指摘のVANだけに限って申し上げますと、しかるべき企業で大型コンピューターを入れて仕事をやっているところは何かの格好でこのVANをつくっておる。現に私どもも支店、本店、工場を通じての、これが独立会社とすればまさにVANになるわけでございますが、そういうものがあるわけでございます。これは私の個人的な見解でございますが、これを特に今まで合理化のおくれておる、確かにコストが高い日本の中小商工業者、特に流通業者に対して提供していくということは、非常に私は日本の産業の合理化に大事なことだ、こう思っております。
そういうことになりますと、果たしてそれだけのきめ細かい日本人独特の商売慣行、取引慣行、こういうものにアプライしながらやっていくだけのものは、アメリカなり何なりでどのくらいできるのか、そういうことを現実に見聞きしますと、結論的には外資のVANについて第二種に限ったその範囲であれば、私は心配ないんじゃないかということを申し上げたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/38
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039・鳥居一雄
○鳥居委員 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/39
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040・志賀節
○志賀委員長 次に、西村章三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/40
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041・西村章三
○西村委員 山同先生、大変にお忙しいところを御苦労さまでございます。お一人で連続の御答弁でございますのでお疲れだと思いますが、引き続いて御質問をさしていただきます。
外国における電気通信事情等も極めて大事なことでございますけれども、私は時間の関係上、法案に対する御見解あるいは評価、これを中心にしてお尋ねをさしていただきたいと思うのです。
今回の電電改革に対する臨調答申、これはいわゆる効率性のみを追求をされ、これを重視して、電気通信の持つ公共性、これを軽視しているんではないか、こういう批判がございます。これは単に臨調答申だけではなしに、今回の提出をされて今審議中の三法案にも、同様の批判が依然として残っているわけでございます。
私ども利用者、国民のサイドからいたしますと、これは効率性、公共性、ともに同じ比重で極めて大切だと考えておるのでありますが、この効率性と公共性の調和という問題について、臨調審議の中ではどのような議論が闘わされたのか、あるいはこの法律の中で効率性と公共性の調和という点がどの程度先生は図られたとお考えになりますか、まずこの点から教えていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/41
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042・山同陽一
○山同参考人 私は学者でないので哲学的な論争はちょっと苦手なんでございまして、抽象的に公共性とか効率性を比較して両方が矛盾するものであるという議論がそもそも間違っていると今でも思っておりますし、当時の議論でも、そういう言葉がひとり歩きすることでなくて、現実に、例えば電電でございましたら、電気通信事業が国民にとってこれからどういう意味を持つのか。効率という言葉が悪ければ、それを最も安く、しかもだれの犠牲においてでもなくしかも安定的に使えるようにするにはどうしたらいいのかという観点で議論をしたわけでございまして、私個人としては公共性と効率性というのは何ら矛盾することではなかったと思っております。
余談でございますが、審議の過程である委員の先生が、この方は長く官におられた方ですが、非常に率直な方で、効率性という意味が初めてわかりましたと言って、臨調が終わってから私にお手紙をいただいた方もおりますが、私は何か公共性というと、公だからこれは国がやる仕事である、効率というのはもうけ主義だから民間がやる仕事である、こういう先入観がどうも今でもあるんではないか、また臨調の過程でもそういう前提で御議論をなすった方がいる、国がやっているんだから公共的だ、国が非効率なことをやって、そして税金のむだ遣いしていて、それでもやはり公共性になるのか、国民の犠牲において非効率なことをやって、しかもその分野が国際的に見てもおくれていくという分野が仮にあるとすれば、それは公共性と言えるのだろうかどうかと、逆の立場から考えれば、私は効率性と公共性は、片方立てれば片方立たずというものではない、こういうふうに考えたわけでございます。
それで、ただ誤解を招くといけませんので、それなら、これも臨調で議論になったことでございますが、もし民間にあったら僻地の通信なんかどうなるのか。これについてはもう先生方は御承知のように、電力会社においても義務を課しておるわけでございますから。それからさらには、民間の例で申しますと、最近の非常に成長しておりますクロネコヤマトにしましても、例えばこの間も雑誌に出ておりましたけれども、広島の島の中にでも、注文があれば一個のわずかの荷物を配らぬといかぬ。それをしなければ、あれだけのネットワークを維持できない。絶対にそれはもうからないけれども、やらなければ逆にあのサービスは信頼を得られないのだ、こういうことを言っております。こういう例がございました。
つまり、全国的に影響あるような、あるいはある部門に非常に影響があるようになれば、そういう義務を民間企業でも負わざるを得ない。負わないところは、わずかの狭い分野を守るかあるいは負けてしまうというものが企業に課せられた任務であり、それがつまり企業も公共性を担っておるということであろうかと私は確信をしておりまして、御説明になったかどうか知りませんが、したがって、公共性と効率性が対立する概念であるということは、初めから考えずに私は議論をしておりました。そういうことでお答えになりましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/42
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043・西村章三
○西村委員 効率性と公共性というものは、これはもう矛盾しないというのは、先生のおっしゃるとおりでございまして、私どももそう考えております。ただその調和が効率性にウエートが置かれるのか、あるいは公共性に置かれるのか、この調整の比重の置き方だと思うわけでございますが、臨調の論議の中では、どうやら効率性が非常に拡大をされたというふうな批判もございます。また、今回の法案にも同様な批判があるわけでございまして、そういう意味からいたしますと、先生は今度の三法案の中で、効率性と公共性というものは調和をされていると思っておられるかどうか、その御見解をお尋ねをしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/43
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044・山同陽一
○山同参考人 今回の法案について効率性と公共性が調和をされておるかどうかということの御質問でございますが、個々の条文について御説明するほど私も十分理解したとは申せませんので、概括的に申し上げますと、効率性を追求するためには、先ほどのどなたかの先生のときにお答えをしましたように、今回のような経営形態では中途半端であることは、これは私は間違いないと思います。私は、本当の意味の株式会社になり、それが何社か育ち、そこで競争が行われるというときに、初めて本当の意味の効率性が発揮できるということについては、私個人としては今でも間違っていないと思っております。
ただし、現在の長い間の独占で来た、国の予算によってコントロールされ、給与総額制というようないろいろ具体的な例を申し上げましたが、そういう格好の公社というものから、一挙に民間の株式会社またはこれに実態的に準ずるものにするというには余りにも距離があり過ぎます。一挙に飛びおりたら、これはえらいことになる。しかもそれが衰退産業でなくて、さっきから申し上げますように、本当に極論すれば、一カ月おくれても技術レベルで国際的に負けてしまう可能性すらある分野を抱えております電気通信事業において、とにかく早くこの新しい体制に乗り移っていただく。そのために過渡的措置として、私としてもいろいろもう少しこうしたらいいんじゃないかという考えはございますけれども、過渡的措置としては、これはやむを得ないのではないか。
それから、ただ新電電の法律だけでなくて、ほかの特殊法人とかあるいは認可法人とか、国の立場とすれば、その辺の法体系としてのバランスもおありだと思います。これだけが完全にひとり歩きできるなら別でございますが、そういう立場からすれば、やむを得ない規制がかかっておるのではないか。ただし、繰り返し申し上げますが、こんなに変化の激しい業界と申しますか、分野でございますから、本来ならば、五年の見直しでなくて、三年ぐらいたったらもう一回レビューをしていただく、せめて五年のレビューは絶対にやっていただきたいと思っております。
余談でございますが、私は、四部会だけでなくて、二部会の方で予算とか公務員制度もやりましたけれども、常に法律というものは五年ないし七年たったらレビューをしなければいけないのではないかということも随分議論したわけです。特に、国民の生命とか安全に関するものでなくて、まさにハイテクノロジーとの裏腹のこの法案につきましては、常に見直しが必要だ、常にウォッチをしていかないと、法律が固定されてひとり歩きをしますと、これは日本の将来のために非常に阻害になるという懸念を私は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/44
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045・西村章三
○西村委員 今度の改正の最大の柱は、何といいましても公社を民営化すること、そして電気通信事業に競争原理を導入するという、この二つだと思うのであります。特に、公社を民営化する最大の前提は、今、先生おっしゃっていたように、当事者能力を公社に与える、自主的、機動的な事業運営を行うということにあったと思うわけでございます。そのためには、いわゆる政府や監督省庁の規制というものはできるだけ少ない方がいい、こういうことが柱になっておったわけでございます。
ところが、今回の法案の内容を見てまいりますと、いわゆる政府による関与というものは非常に多岐にわたっておる。認可、許可を中心にいたしまして、現行の公社法やらあるいは公衆法よりもさらに上乗せされたようなところが非常に多いということであります。事業範囲、事業計画、さらには料金、役員の選任、設備の譲渡、郵政省のいわば恣意的な意向に左右される懸念というのが非常に強いように私どもも感じておるのでございますが、臨調の審議に参画をされ、専門委員のお立場で検討をなすった先生の御見解というものは、この政府の関与について、今度の法案の内容を見られてどのようにお考えになられますか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/45
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046・山同陽一
○山同参考人 先ほど申し上げたことの繰り返しになろうかと思うのでございますが、本来と申しますか、長い将来を見た場合に、政府の持ち株は、例えば三分の一になる、あるいはもっと下げても何ら差し支えないと思うのでございますが、それはさておきまして、その段階になっても、現在の法案に書き込まれておりますような認可、許可、あるいは省令、政令事項がくっつくということに対しては、非常に問題があると思うのです。
ただし現在の、今度スタートする、先ほどから申します、第二電電という言い方が適当かどうか知りませんが、ニューカマーが来る、これに対する電電のあり方をどうするか。これは、例えば料金の問題一つをとっても非常に大事な問題でございます。アメリカでしたらばそれに該当する行政委員会があるわけでございましょうが、日本の場合はございませんから、そうすると、まさか裁判所へ持っていくわけにいかない。やはりこれも、私も法律の専門家ではございませんが、日本の法制、制度であったら、やはり郵政大臣がやらざるを得ないのかなと考えます。そうしますと、やはりニューカマーが育ってくる状況、あるいは、育たなかったらまた困るわけですが、その辺も見ながら、料金等につきましても行政府がジャッジをするということは、私は、どうしても必要なのじゃないかと。アメリカにおいても、FCCですか、がそういうことをやっているわけでございます。それを行政府がやるのがいいのかということは別といたしまして、いずれにしてもその必要はあろうかと考えております。
それから、事業計画等につきましても、従来の公社に比べれば規制が非常に緩やかになったわけでございまして、先生がおっしゃるように、確かに郵政大臣がそこまでやる必要があるのか、届け出でいいのじゃないかというお話でございますが、私ども民間の立場からいいますと、株式会社になれば株主総会というものがあるわけですから、例えば新規事業をやる場合には、これだけの仕事をやりますと、例えば私どもの会社で今までやってないことをやる場合には定款変更をしなければいけない。定款変更すれば株主総会にかけざるを得ないわけですから、そこで大株主である政府は発言できるというメカニズムでやるのが本来だと思うのでございますが、従来の慣行で、私はあるいは誤解があるかもしれませんが、日本航空等においても、政府は株主権は行使しないという、これは慣行なんですか、よく存じませんが。そうすると、やはり今ここに挙げられている程度の認可等はやらざるを得ない。どっちが本来なのかということについては、私は、さっきから申し上げますように、民営化して民間の会社になるのなら、本来は株主総会というのがあって、政府が一番の大株主ですから、そこを通じてこのような規制といいますか、経営についての意見を申し立てるとかいうのが本来だと思うのでございますが、国の方はそうなってない。なってなければ現在でしようがない。ただし、繰り返し申し上げますが、今のままで、このまま行ったのでは大変なことなのでございますから、ぜひ見直しをしていただきたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/46
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047・西村章三
○西村委員 重ねてお尋ねをして恐縮でございますが、例えば役員の選任、解任の問題でございます。今度の法律案を見ますと、いわゆる取締役すべて、監査役もすべて郵政大臣の認可になっておるということでございます。私どもの考え方といたしましては、できるだけ自主的な事業運営という面からいたしまして、全役員までチェックする必要はない、代表取締役一人だけでいいのではないか、こう思うのでございますが、先生の御見解はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/47
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048・山同陽一
○山同参考人 私も、この辺につきましては、これはさっきから申し上げますように、私は民間の経験と民間の例で申し上げるしかないわけでございますが、代表取締役と取締役の関係で、もし取締役が代表取締役の言うことを聞かないと申しますか、その場合に、代表取締役が解任できるのは、これは閣僚と同じで、当然のことでございます。今度の法案のように個々の取締役が一々大臣の認可を経なければいかぬ、ただし取締役の選任は取締役会に任せるということでございますが、VANの問題で皆さんが非常に御議論なすったように、民間の立場から見ますと、認可というのはまことに強烈なパンチ、拘束力がございまして、根回しと申しますか、認可される前に事前にお伺いしないと認可にならないというようなことも十分あり得ると思って、私は、この辺については非常に危惧の念を正直言って持っております。
ただし、先ほどの御質問のときにも申し上げましたように、私も行政法というのは大嫌いで余り勉強しなかったのですが、臨調でいろいろ勉強しましたら、国の関与しておる特殊法人、特殊会社、これで一番今度の電電に近い日本航空は、何か、取締役、監査役まで全部認可で、その上もう一回代表取締役まで認可というようなことになっているようでございまして、横並びに法としての一つの整合性と申しますか、そういうものも必要であるというようにも承っておりまして、この辺については、そういうことになりますと私も、私個人としてはそれ以上意見を申し上げる範囲をはみ出ます。重ねて申し上げますが、本当の意味の民間らしい会社になった時点ではこんなことはいつまでもやるべきではないということだけは確信を持ってお答えできます。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/48
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049・西村章三
○西村委員 最後に一つだけ、これも御見解を承っておきたいのですが、今、第二電電やVAN事業への新規参入というものがいろいろと取りざたをされております。すでに進出を内定をいたしております団体の中には、いわゆる民間企業ではない例えば中央の省庁、公共企業体あるいは公団、具体的に申し上げますと、建設省、国鉄、道路公団など、いわゆる官業が、若干といいながら、形を変えまして、別法人でつくって電気通信事業に進出する形勢が非常に強いわけであります。このようなことは審議の過程でも予測をされたのか、あるいは全く予測をされなかったのか。予測をされたなら、どのような評価をこれについて与えられるのか。いわゆる官業の民業圧迫という問題もございまして、これらの点について、最後に先生の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/49
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050・山同陽一
○山同参考人 予測したかという御質問に対しては、手抜かりで予測いたしませんでした。と申しますのは、この四部会というのは特殊法人、認可法人等政府の関係機関も全部、全部と申しますか基本的な問題を議論しまして、これからは特殊法人はもちろんのこと、認可法人、そういうものもなるべく限定的にして、もうふやさないという前提で議論をしておったわけでございます。その理由はここで申し上げる必要はないと思いますが、したがいまして、今回、公企体あるいはこれの子会社である、また認可法人等がこういう分野に入ってくるということは、本来、今回御審議いただいている法律の趣旨からいっても、いささかおかしいんではないかというのが私の考え方でございます。
これも私が見聞きした一例だけでございますが、アメリカのフロリダ州でございましたか、そこのCATVの会社は、自分のケーブルを張るときに、電力会社あるいはその道路を管理している、地下溝ですね、これを管理しているところは、申請したらそれを認めなくてはいけない。そこのCATVが許可されたら、そういうところを使う権利がある。電力会社はそれを認めなければいけない。ただし、技術的に何センチ動力線より離せとか、そういう点については向こうの言うことに従うけれども、認めなくてはいけないということで、電力とか、あるいはほかの電話業者のように公共性を担っているものは、逆にそういうものを認めなさいということを決めておるということを聞いております。
今度の法案を見ますと、その辺は必ずしもはっきりそういう格好にはなっておりませんのですが、先ほどの公共性というのは、まさにそういう点でもどういうふうに考えるのか。一部、地域独占を受けているところあるいは国に準ずる機関というものは、逆にそういう民間が言ってきた場合にはどういう対応をするのか。それにコンペティターになるのがいいのか、提供する義務があるのか。例えば先ほどのMCIもたしかニューヨークとワシントンの鉄道の敷地を利用して光ファイバーを引いたと聞いておりますが、そういう問題についてもこれからどうするのか。具体的な認可をなさるときのお考え方。日本の場合は省庁の壁が厚くて、なかなかその辺がまた難しい権限争いにならぬように、ひとつぜひ本来の法律の趣旨に従ってやっていただくことをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/50
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051・西村章三
○西村委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/51
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052・志賀節
○志賀委員長 次に、佐藤祐弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/52
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053・佐藤祐弘
○佐藤(祐)委員 どうもきようは御苦労さまでございます。
かなりもう質疑がございましたし、できるだけ重ならないような問題で二、三お聞きします。
最初に外資の問題ですが、今、主に競争の角度からのお話がございました。これはもともと臨調答申にはなかったと思うのです、株式の保有に関連しては言及されておりましたが。その後いろいろ経過があって、政府部内とかアメリカからの要求などもあったというふうに承知をしておるわけですが、競争の観点ではなくて、電気通信事業というのは神経系統だというふうに言われておるわけでありますが、そういうもの、神経系統にそういう外資が入ってくるということ自体ですね、そのことについてどういうふうにお考えか、お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/53
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054・山同陽一
○山同参考人 神経系統に入ってくることが問題ではないかという御質問でございますが、例でおっしゃったんで例で申し上げますが、人間の件も、神経が一本でなくてなるべくそれが複線化していて網の目のようになっている方が健康である。よく運動する人は、心臓のも細管が網の目のようになっているので、一本もとが切れてもほかの網の目で十分できる、そういう話を聞いたことがございますが、今回のこのVANの、しかも二種の限定された範囲が人間の、いわば国の通信機構の基本的な神経の部分なのか。むしろそこで異種のものが入って競合して、その神経が強くなった方がいいのか。私は先ほどからお話し申し上げていますように、むしろそれが入ることによって、どのくらい実際入れるかどうか、私は疑問に思っています。黒船襲来のように心配する必要はないというのを確信しておるわけでございますが、多少の刺激があった方がむしろ進展をするんじゃないかということで、心配はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/54
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055・佐藤祐弘
○佐藤(祐)委員 議論するのではありませんので、お聞きだけをしていきます。
若干関連もある問題かと思いますが、一九八一年に富士通がATTに光ファイバーの入札をしまして、これがアメリカ政府の介入によって契約を取り下げさせられるということがありました。富士通が連邦通信委員会、FCCに対して提訴をしたけれどもこれは却下されたという事件がありましたが、この問題についてはどういうようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/55
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056・山同陽一
○山同参考人 私はこの辺のいきさつ等につきましては、最初にお断りしましたように電気通信事業に携わっている業界におる者ではないものですから詳細は存じないので、申しわけないのですが、お答えは、評価することはできません。ただ、これも聞いただけの話でございますので、必要であったらむしろまたお調べ願いたいと思うのですが、先ほど来議論がありますMCIは富士通さんの技術をお入れになって、富士通さんだけでしたか、それとも日本の光ファイバーメーカーですか、その辺はちょっと不確かでございますが、ニューヨーク、ワシントンのものは日本の技術によってやったんだ、MCIの方がAT&Tよりもすぐれているんだ。私、ちょっと言葉は忘れましたけれども、片方はシングルモードなのに対して、たしか日本と提携してやったMCIの方はダブルになっているんだ、だから非常にコストも安いということを誇らしげに言ったのを直接MCIから聞いたので、したがいまして、全部そういうものは日本がシャットアウトされているというふうにあの当時たしか新聞に書かれて、今後もそうなりそうだということを書かれておりましたけれども、どうもその辺違うんじゃないかなという印象を持っているだけでございまして、申しわけないのですが、それ以上お答えする材料を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/56
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057・佐藤祐弘
○佐藤(祐)委員 別の問題です。
経団連が去年の十月十五日に出されました「今後の通信ネットワークのあり方と電電公社の経営形態に関する見解」、それから経団連の情報処理懇談会の小林委員長のお書きになった「今後の電気通信政策に対する産業界の要望」というものなどがあります。そのほかにもいろいろあるわけでありますが、こういうものを読んでおりますと、産業の通信に対するニーズ、それは非常に高度化、多様化していっている。それと、現在の公衆電気通信政策、これとは隔たりがあるといいますか、現在のままではうまくいかないんだということが強調されているわけであります。
それで、先ほど冒頭に、初めに分割・民営化ありきではなかったのだ、アプリオリにそういうことを決めたんじゃないというお話があったわけでありますが、全体の流れを見ておりますと、やはり産業界のニーズといいますか、そういうものは非常に強く働いている。民営化に当たっても、また今後の通信網建設に当たっても、そういうものは優先されていくんではないかということを危惧する見方があるわけでありますが、そういう点は、どういうようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/57
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058・山同陽一
○山同参考人 産業優先ではないかという御質問だと思いますが、逆に言いますと、INSということで一言で言ってよろしいかと思うのですが、それに乗せるものを何を乗せるのか。例えばアメリカのCATV、四十五チャンネルもあって、それで本当にビジネスやっていけるのかね、四十五チャンネルなんて、そんなにどのくらい見るのかねという疑問を素直に我々持ったわけでございます。一部伝えられるように、むしろCATVは撤退をしようとしているところすらある。なかなかペイしない。日本でも、手を挙げたものの、よく調べて見たらこれはなかなか企業としてやっていけない。ということは、まだそれだけの国民の需要がないからだということが一つはっきり出ているのではないかと思うのですね。例えば、私のところにキャプテンを入れても、果たしてそれだけの料金を払って家内が使うのかどうか。昼間は私はおりませんし、夜帰ったってテレビを二時間ぐらい見るのが関の山ですから、その上いろいろなチャンネルがあっても、果たして見るのかねということだと思うのですね。
だから、ここで間違えていけないのは、一般国民といいますか、消費者としての一般国民に対するサービスとしての電話通信事業というものと、その雇用の場をつくり、産業の活力を生かし、税金を納めていく企業と、どっちがそういうものに対してニーズを感じておるのかということで考えれば、今、一番国際的にと申しますか、特にアメリカあたりに比べて私どもがおくれていると感じていますのは、まさに先生がおっしゃったような電気通信関係の今までの規制、法律のあり方、電電のあり方から来て、せっかくハードはこれだけ安く、しかもアメリカが怖がるぐらいいいものができておるのに、それをコミュニケーション、通信手段とつないでできない。それをやればもっと日本の情報産業、広い意味の情報産業が発達し、それから第二次産業ももっと競争力ができ、国民の所得ももっと上がる。まさに成長分野というのはそういう意味だと思うのですが、ハードだけつくって輸出をどんどんやってということはもうこれからはできない、許されない状況でございますので、産業界がまずそれを使うということは結果としてあり得るわけで、意図して産業界しかそれを使わせない、こんなことはやったってできないことであろうかと私は思います。
それからもう一つ、これも経団連あたりの書き方でも私は非常に不満なんですが、先ほど分割のときに申し上げた点で、これは私個人の見解かもしれませんが、地方の特に中小企業の方々、商工業者の方々、これにどうサービスするか、これがこれからのこの電気通信の新しいニューメディアを活用する場合の一番大事なことであります。そのインパクトというのは、今まで予想しないような一つの流通業界の変化というのが起き得る。現にその兆候が出ているわけでございます。そういうものをひっくるめて、やはり産業界が、自分がそれだけの金を払ってもそれだけ合理化はできる、利益を上げることができるという分野にいくということは、決して不自然なことではないのですね。一般国民が使いもしない例えばCATV六十チャンネルなんというのをもし、そんなことはないわけでございますが、例えば今までの公社の延長線で公社がそれをやるなんとすれば、これはまさに非効率の代表だというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/58
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059・佐藤祐弘
○佐藤(祐)委員 今お話に出ました中小企業の問題なんですけれども、これはまた私も大変心配をしていることの一つなんですが、例えば中小企業の報告ですね、中小企業白書ですが、これでも、こういうくだりがあるわけです。「しかしながら、中小企業は大企業よりも資金力等で劣るため、」VANですね。「ネットワーク化を中心とする情報化も立ち遅れているのが現状であり、今後その対応のいかんによっては情報力格差が一層拡大し、大企業との新たな経営格差が生じる可能性がある。」ということが指摘されているわけです。
先日の委員会でも、この問題、私ずっと取り上げたのですが、また公取でも同様の危惧が表明されているということがあるわけです。
よく、このVANによって産業再編が進むのじゃないかということも言われております。中小企業がその場合に非常に弱い立場に立つんじゃないか、これまで以上に、VANにつながることによって、ずっと下請、孫請とあるわけですけれども、営業の状態がすべて見通しになるというようなことで、非常に規制が――規制といいますか、コントロールが強くなるのじゃないか。しかし、かといって、そういうものに入らなければ仕事が受注できないし、なかなか抜けられないというようなことが起きてくるのだろうというふうに思うわけですね。こういう中小企業の問題について今ちょっと触れられたわけですが、どういうように中小企業の利益を守っていくのか、そういう点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/59
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060・山同陽一
○山同参考人 これも仮定の問題でございますが、過去、例えばスーパーが進出してきたときに、同じような議論がなされてきたわけでございます。これに対してインパクトは確かにあったけれども、それは十分対抗するような知恵を働かした小売の方々がちゃんと生き残っているというような例もあろうかと思うのですが、それ以上に、先生のおっしゃるように、今度のVANを中心とする新しいニューメディアが中小企業の方々に与える影響というのは私は大きいと思っております。それに対して公取なりしかるべきところで目を光らせるということはまことに大事なことで、私はそれを否定するものではございません。ただ、先ほどのスーパーの例だけではございませんが、もう御案内のように一部のチェーン店では、実質VANを使っておるわけですね。そこに加盟している方々が、従来の自分の三ちゃんでやったときに比べてどのくらい経営内容がよくなり、しかも一般の国民にもコンビニエンスなビジネスを提供しておるか、やはりそういうものにキャッチアップして自分なりに努力をしているところは、中小企業であっても立派にやっているわけでございまして、それに対する、従来のやり方に対する激変緩和というようなことにつきましてはまた別の面で十分配慮しなくてはいけないということについては私も賛成でございまして、自由放任で、中小企業のところにVANが入っていって大企業の食い物になってしまうというようなことでもよろしいなんということは毛頭考えておりません。確かに非常にこれからは大事な問題で、しかも先ほど申し上げましたように、アメリカなんかに比べて日本の特に流通段階は複雑でございまして、問題もいろいろございます。これに対するインパクトというのははかり知れないということは、どういうふうになるのかよくわからない面がございます。やはりさっきから申し上げますように、やりながら、ウォッチしながら進めていくというのが正しいやり方ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/60
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061・佐藤祐弘
○佐藤(祐)委員 時間が来ましたので、最後にお尋ねをしたい。
参考人が加藤先生と御一緒に書かれたこの中で、大変国会議員として気になるくだりがあるのです。「政治等外部の関与」ということで書いておられるくだりなんですが、一般的な関与に続きまして、「より問題なのは、政治家個人の関与である。この点については関係者などから多くの投書や電話をいただいた。国民の代表としてというと名目は良いが、ファミリーの購入価格を適正時価にするとは何事かとクレームをつけるに至っては、対応する公社も大変である。」まあ後もあるのですけれどもそんなことが書かれておりまして、これは政治家としては大問題なわけです。いろいろお差し支えもあるかと思いますが、お差し支えのない範囲で具体的にどういうことなのかということをお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/61
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062・山同陽一
○山同参考人 要するに、ある機器を購入するときに従来の電電ファミリーというところ以外のところから購入したら非常に安かったという事実があったことは、これは一部の新聞ですか雑誌等にも言われたことでございますので、今さら新しい話ではないと思います。そういう現実が何も電電だけではなくて国鉄のいろいろの物品の納入とかについてもそれに類似した話は――我々は検事じゃございませんので、物的証拠までとるわけにいきませんから、あくまでそういう話が出るということ自体が、非常に公社制度と申しますか、そこから来る非能率というものがあるという例として申し上げたわけでございまして、何な言うとすぐ国鉄国鉄と言いますけれども、電電さんですらそういう話が出るように、やはり国の独占でいて今までのような形態ですとそういう非合理があってもそれを除くことはできないという例で申し上げたわけでございます。
その程度でひとつ御勘弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/62
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063・佐藤祐弘
○佐藤(祐)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/63
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064・志賀節
○志賀委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
山同参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104816X01719840713/64
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