1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年七月二十六日(木曜日)
午後一時一分開会
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委員の異動
七月十三日
辞任 補欠選任
山田 勇君 中村 鋭一君
七月二十四日
辞任 補欠選任
三木 忠雄君 中野 明君
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出席者は左のとおり。
委員長 大木 正吾君
理 事
長田 裕二君
成相 善十君
宮田 輝君
片山 甚市君
委 員
大木 浩君
岡野 裕君
沖 外夫君
志村 愛子君
新谷寅三郎君
西村 尚治君
山内 一郎君
大森 昭君
中野 明君
服部 信吾君
佐藤 昭夫君
中村 鋭一君
青島 幸男君
田 英夫君
衆議院議員
修正案提出者 畑 英次郎君
国務大臣
郵 政 大 臣 奥田 敬和君
政府委員
郵政省通信政策
局長 奥山 雄材君
郵政省電気通信
局長 小山 森也君
事務局側
常任委員会専門
員 酒井 繁次君
説明員
日本電信電話公
社総裁 真藤 恒君
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本日の会議に付した案件
○日本電信電話株式会社法案(内閣提出、衆議院
送付)
○電気通信事業法案(内閣提出、衆議院送付)
○日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の
施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○公聴会開会承認要求に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/0
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001・大木正吾
○委員長(大木正吾君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る十三日、山田勇君が委員を辞任され、その補欠として中村鋭一君が選任されました。
また、去る二十四日、三木忠雄君が委員を辞任され、その補欠として中野明君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/1
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002・大木正吾
○委員長(大木正吾君) 次に、日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案並びに日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。奥田郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/2
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003・奥田敬和
○国務大臣(奥田敬和君) 日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
初めに、日本電信電話株式会社法案につきまして申し上げます。
この法律案は、今後における社会経済の進展及び電気電信分野における技術革新等に対処するため、日本電信電話公社を改組して日本電信電話株式会社を設立し、事業の公共性に留意しつつ、その経営の一層の効率化、活性化を図ろうとするものであります。
次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。
第一に、日本電信電話株式会社は、国内電気通信事業を経営することを目的とする株式会社であるとしております。
また、会社は、国内電気通信事業を営むほか、郵政大臣の認可を受けて、これに附帯する業務その他会社の目的を達成するために必要な業務を営むことができることとしております。
第二に、会社の責務といたしまして、会社は、その事業を営むに当たっては、常に経営が適正かつ効率的に行われるように配慮し、国民生活に不可欠な電話の役務を適切な条件で提供することにより、当該役務のあまねく日本全国における安定的な供給の確保に寄与するとともに、今後の社会経済の進展に果たすべき電気通信の役割の重要性にかんがみ、電気通信技術に関する実用化研究及び基礎的研究の推進並びにその成果の普及を通じて我が国の電気通信の創意ある向上発展に資するよう努めなければならないこととしております。
第三に、会社の株式につきましては、政府は、常時、会社の発行済み株式総数の三分の一以上の株式を保有していなければならないこととしております。
また、政府の保有する会社の株式の処分は、その年度の予算をもって国会の議決を経た限度数の範囲内でなければならないこととしております。
なお、外国人及び外国法人等は、会社の株式を保有することができないこととしております。
第四に、新株の発行、取締役及び監査役の選任等の決議、定款の変更等の決議、事業計画、それに重要な設備の譲渡につきましては、郵政大臣の認可を受けなければならないものとする等会社の監督について所要の規定を設けることとしております。
第五に、郵政大臣は、新株の発行、定款の変更等の決議、事業計画、重要な設備の譲渡について認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならないこととしております。
第六に、附則において、政府は、会社の成立の日から五年以内に、この法律の施行の状況及びこの法律の施行後の諸事情の変化等を勘案して会社のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を論ずるものとすることを定めるとともに、会社の設立及び日本電信電話公社の解放に関し所要の経過相性等を定めることとしております。
なお、この法律は、公布の日から施行することとしておりますが、日本電信電話公社法等の廃止及びこれに伴う経過措置の規定は、昭和六十年四月一日から施行することとしております。
次に、電気通信事業法案につきまして申し上げます。
電気通信事業は、国民生活及び国民経済の維持、発展に必要不可欠な電気通信役務を提供する事業であって、極めて高い公共性を有するため、我が国においては、これまで一貫して、国または公共企業体等による一元的運営体制をとってまいりました。特に、戦後におきましては、戦争により荒廃した電気通信設備を速やかに復興し、電話需要の急激な増大に対処するため、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社を設立し、六次にわたる電信電話拡充計画に基づき鋭意電気通信網の整備拡充に努め、昭和五十三年三月には、加入電話の積滞解消、翌五十四年三月には電話の全国自動即時化を達成いたしました。この二大目標の達成によって、我が国は、世界でも有数の通信先進国たる地位を確立するとともに、この間、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社は国民生活の向上及び国民経済の発展に対し多大な貢献を果たしてまいりました。
しかしながら、近年、電気通信技術の発展に伴い、新しい通信メディアが次々と実用化されるとともに、電気通信役務に対する国民の需要も著しく高度化、多様化しつつあり、単一の事業体では適切に対応することが次第に困難となりつつあります。
他方、今日の我が国は、工業化社会から高度情報社会へ向けて大きな時代の転換期を迎えようとしております。こうした中で今後の電気通信事業は、個人、家庭、企業、行政機関等社会のあらゆる構成員を相互に結ぶ全国的多層的な電気通信ネットワークの構築を通じて、豊かな国民生活の実現、産業経済の活性化及び地域社会の自立的発展を達成するため、社会先導的な役割を果たすことが期待されております。
政府といたしましては、電気通信事業を取り巻くこのような詩情勢の変化を踏まえつつ、二十一世紀へ」向け高度情報社会を形成していくためには、その基盤的役割を担う電気通信分野に競争原理を導入することにより、電気通信事業の一層の効率化、活性化を図ることが不可欠であると考え、これまでの公衆元気通信法にかわるものとして、新たに競争原理と民間活力を生かした電気通信事業法案を提出いたした次第であります。
次に、法律案の概要を御説明申し上げます。
その内容の第一は、総則的事項といたしまして、電気通信事業者が取り扱う通信の秘密の保護、検閲の禁止を規定するとともに、利用の公平及び重要通信の確保について定めております。
第二に、電気通信事業を、みずから電気通信回線設備を設置して電気通信役務を提供する第一種電気通信事業と、第一種元気通信事業者から電気通信回線設備の提供を受けて電気通信役務を提供する第二種電気通信事業とに区分しております。
このうち、第一種電気通信事業につきましては、電気通信回線設備が著しく過剰とならないこと等、事業の安定性、確実性を確保するため、事業の開始を郵政大臣の許可に係らしめております。また、その料金については、国民生活、国民経済に重大な影響を及ぼすものでありますので、利用者にとって適切なものであるよう認可に係らしめております。このほか、第一種電気通信事業につきましては、同氏がひとしくその電気通信役務を享受することができるよう業務区域における提供義務を課すとともに、第一種電気通信事業者間の相互接続についても確保することとしております。
また、第二種電気逓信事業につきましては、多種多様な通信需要に応じた電気通信役務の提供が想定される分野でありますので、原則として届け出て事業を開始できることとしております。ただし、特別第二種電気通信事業、すなわち、不特定多数を対象とする全国的基幹的な事業及び外国との間の事業につきましては、その社会的経済的重要性にかんがみ、適切な業務運営が行われるよう、事業の開始を郵政大臣の登録に係らしめております。
第三に、第一種電気通信事業及び特別第二種電気通信事業につきましては、事業を営む上で最も基本となる電気通信設備について、国が一定の技術基準を定め、良質かつ安定的な電気通信役務の提供を確保するとともに、端末設備については、円滑な電気通信が行われるよう一定の技術基準を定めた上で、利用者が自由に設置できることとしております。さらに、電気通信設備がこれらの技術基準に適合することを担保するため、電気通信主任技術者及び工事担任者に関する規定を設けております。
第四に、第一種電気通信事業において事業遂行上必要となる土地の利用等について所要の措置を講ずることといたしております。
第五に、郵政大臣が事業の許可、料金の認可等この法律に基づく重要な処分をしようとする場合には、審議会に諮り、その決定を尊重してこれをしなければならないことといたしております。
第六に、附則において、政府は、この法律の施行の日から三年以内に、この法律の施行の状況についての検討を加え、必要な措置を講ずるものといたしております。
その他所要の措置を講ずることといたしております。
この法律の施行期日は、昭和六十年四月一日といたしております。
次に、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして申し上げます。
この法律案は、さきに述べました両法案の施行に伴い、関係法律の廃止及び改正を行うとともに、所要の経過措置等を定めようとするものであります。
次に、この法生案の概要を御説明申し上げます。
まず、日本電信電話株式会社法の施行に伴うものといたしましては、電信電話債券に係る需給調整資金の設置に関する臨時措置法を廃止するほか、関係法律の主な改正といたしまして、第一に、日本電信電話公社法の廃止に伴い、同法及び日本電信電話公社の名称を引用している関係法律について、引用部分の削除、名称の変更等所要の改正を行うこととしております。
第二に、日本電信電話公社が改組され日本電信電話株式会社となった後も、引き続き共済制度を適用することとし、これに伴い、関係法律について所要の改正を行うこととしております。
第三に、会社の労働関係については、労働三法によることとし、公共企業体等労働関係法は適用しないこととするとともに、調停に関する暫定的な特例措置を定めるため、関係法律について所要の改正を行うこととしております。
次に、電気通信事業法の施行に伴うものといたしましては、電話設備費負担臨時措置法を廃止するほか、関係法作の主な改正といたしまして、第一に、公衆電気通信法の廃止に伴い、同法及び同法中に規定されている公衆電気通信役務等の用語を引用している関係法律について、引用部分の削除、用語の変更等所要の改正を行うこととしております。
第二に、有線磁気通信法及び電波法等の関係法律中、公衆電気通信業務の一元的運営を前提とする規定について所要の改正を行うこととしております。
また、以上の関係法律の廃止及び改正とあわせて、所要の経過措置等を定めることとしております。
なお、この法体は昭和六十年四月一日から施行することといたしております。
以上が日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/3
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004・大木正吾
○委員長(大木正吾君) 次に、日本電信電話株式会社法案並びに日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきましては衆議院において修正議決されておりますので、この際、衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員畑英次郎君から順次説明を聴取いたします。畑君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/4
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005・畑英次郎
○衆議院議員(畑英次郎君) ただいま郵政大臣から提案理由の説明がありました三法律案のうち、日本電信電話株式会社法案並びに日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する衆議院の修正部分につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、日本電信電話株式会社法案に対する修正部分について申し上げます。
御案内のとおり、政府原案におきましては、日本電信電話株式会社が行う附帯業務について、郵政大臣の認可事項としておりますが、附帯業務は性格上、その範囲がおのずから限定されるものと考えられますことから、収支相償うなどの要件が担保されれば会社自身の判断で行い得るものとしても、特段の問題は生じないと考えられますので、附帯業務を郵政大臣の認可から外すよう修正するものであります。
次に、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する修正部分について申し上げます。
政府原案におきましては、会社の労働関係が、これまでの公労法から労働三法の適用になることにかんがみ、当分の間、調停に関し特例措置を講ずることができることとしておりますが、この労調法附則第三条の規定について、法律施行の日から三年後に諸事情の変化を勘案して見直しを行うものとするよう修正するものであります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/5
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006・大木正吾
○委員長(大木正吾君) 以上で説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/6
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007・成相善十
○成相善十君 さて、いよいよ電電改革三法案についての審議、冒頭の質問者となったわけでございますが、お許しをいただきまして、質問に入る前に一言申し上げたいと思います。
と申しますのは、けさの新聞を見ますと、電電公社の厚木の電気通信研究所で、現在のLSIに使用されているシリコンに比べては飛躍的な特性を持つものが開発されたと報道されております。これは、衛星通信とか電子交換器の改善はもとより、超高速演算機能によって限りなく人間の頭脳に近いスーパーコンピューターの製造に道を開くものだ、こう書かれておりますが、恐らく画期的な研究開発であったのではないかと思いますが、こうした電電公社の熱心な研究開発に努力されていることに対しまして敬意を表し、また一言賛辞を差し上げて、それから質問に入りたいと思う次第でございます。
さて、質問でございますが、三法案についての主要と思われる幾つかの問題について、順次質問を行ってまいりたいと思います。
まず最初に、今回の電気通信体系改革の主眼と必要性についてでありますが、今回の改革は電気通信事業に競争原理を導入するとともに、電電公社を民営化することにより、国民利用者により良質でより低廉な電気通信サービスを提供するということにあると考えますが、まず郵政省の考え方をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/7
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008・小山森也
○政府委員(小山森也君) 我が国の電気通信事業は、現状におきましては、国内電気通信は電電公社、国際通信は国際電信電話株式会社の、いわゆる独占的な形での運営をなされております。しかしながら、最近著しい技術革新によりまして、新しい通信メディアが次々と実用化されるとともに、電気通信に対します国民の需要も高度化、多様化しつつあります。このような状況下におきましては、多様なサービスの提供を単一の事業体で行うことよりも、複数の事業体で行うことの方が、利用者にとって利益になると判断される状況が出てきたと判断したわけでございます。
今回の電電公社の改革は、このような状況に的確に対応して、電気通信が国民利用者の期待にこたえ、来るべき高度情報社会への先導的役割を果たしていくため、従来の一元的運営体制に対しまして、競争体制への政策転換を図るとともに、電電公社を複数の事業体の一つとして、当事者能力と自主性を十分に持った競争体制にふさわしい経営形態とすべく、事業の公共性に留意しつつ民営化された事業体とするものでございます。今回の改革によりまして、新電電会社は一層創意工夫を生かした効率的経営が可能になるとともに、新規参入事業者も加わりまして、電気通信事業全体の効率化、活性化が図られ、国民利用者に対しまして低廉な料金できめ細かい電気通信サービスが提供されるという形で、そのメリットが国民の皆様に還元されるものと期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/8
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009・成相善十
○成相善十君 今回の電電の大改革の根拠となったものは、昭和五十七年七月三十日に出された臨調第三次答申に沿ったものだと私は理解しておりますが、まず郵政省としてのその認識を伺いたいと思います。と同時に、そうだとするならば、臨調答申は分割再編成であったはずであります。それが今回の日本電信電話株式会社法案ではそれが盛り込まれておらぬわけでございますが、この点についても郵政省の考え方をあわせてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/9
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010・小山森也
○政府委員(小山森也君) 御説のとおり、今回の改革法案は臨調答申の線に沿ったものでございます。御指摘のように、臨調答申におきましては、電電公社を五年以内に基幹回線部分を運営する会社、いわゆる中央会社と地方の電話サービス等を運営する複数の会社に再編成することと答申が出ております。
しかしながら、新電電会社については、競争会社の出現により合理化の強いインセンティブが働くものと考えられ、また、今後経営の自主性を背景にした責任ある経営行動やユーザーに対する十分な配慮に基づく合理化など、民営という立場を基礎とした企業努力を行うと考えられます。そういうことであるならば、独占による弊害は生じないと考えまして、当面分割を見送った次第でございます。分割についての今後の問題としては、要は独占の弊害とか企業の硬直化といったような事態を発生させないことが基本でございまして、このような事態を生じない限りにおきまして、事業体の経営努力が何よりも重要なことと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/10
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011・成相善十
○成相善十君 次に、我々の最大の関心事の一つは、三十二万人を超える職員を抱えた電電事業の合理化問題であります。今回の電化改革によって、考えられておるような合理化が果たして促進されるかどうかということについての、郵政省と電電公社両方からのひとつお考えをお固さいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/11
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012・小山森也
○政府委員(小山森也君) 新会社にとりまして経営の効率化、合理化をいかに図るかということは、利用者に対しては安い良質なサービスを提供することになりますし、内側にありましては職員の労働条件の維持、改善を図ることとなるものでありまして、重要な課題であると考えております。
ただ、この際重要なことは、この効率化、合理化問題は事業当事者が当事者の能力を持って、みずからのものとして行うということでございます。今回の電電改革法案の策定に当たりましても、新会社が当事者能力を持ってみずから事に当たることができるような環境づくり配慮しているところであります。郵政省といたしましては、新会社がその企業性を発揮いたしまして、みずからの問題としてこれに取り組んでいくことを期待いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/12
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013・真藤恒
○説明員(真藤恒君) 今度の法案によりますと、公労法から労働三法に移ってまいります。そういたしますと、この労使関係というものが、現在までの公労法のあり方と基本的に変わってまいりますので、労使一体となった経営努力というものが着実に実っていきやすい、またその実ったものを着実に働きがいのある職場づくりということに有効に動かすことができるというふうに考えております。それから、そのために、従来公社法でできなかった一般の株式会社形態における、一定の制限のもとではありますけれども、公共事業ですからいたし方ありませんが、一定の制限のもとに、私どもの職員の持っております技術及び属人的能力に従って新しい事業を起こし、それに対する投資をすることができるようになっておりますので、この方法によりましてさらに私どもの職員全体の世の中における活動できる場が合法的に広がっていくということになりますので、この辺につきまして非常に大きな自主性と変革が出てくると、それによって通信事業全体の総合的な効率性というものが期待できるというふうに考えております。
そういうことで、私どもの持っておる属人的能力、あるいは私どもの持っております意欲というものが大きな財産として生かせるというふうに考えておりますので、十分この法の御趣旨に沿って動ける可能性を持っておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/13
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014・成相善十
○成相善十君 臨調の答申では、合理化推進の一環として、データ通信設備サービス部門と端末機器の提供部門の分離を行うべきだと、こういうふうに提言されておりますが、本問題について郵政省の基本的な考え方をお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/14
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015・小山森也
○政府委員(小山森也君) 臨調答申には、確かにデータ通信設備サービス部門とか端末機器の提供部門につきまして、これを分離して規模の適正化を図るという観点からそのようなことを申されております。類似のサービスを行っている民間の事業者もありますので、公正な競争条件の整備を図るという要請にこたえるためには、こういった業務分離というものも一つの有効な施策であるとは考えます。
しかしながら、現実問題として現状はデータ通信設備サービスというのは行っているわけでございまして、現在の利用者に与える影響、事業体に与える影響、それからデータ通信設備サービスというのはデータ処理と通信処理が一本化して行われるというような現実の問題があります。そういった現実対応が必要であると考えております。ただしかし、これはあくまでも新会社におきまして経営陣が新たな経営環境のもとで主体的に考えるべきものであると考えておりまして、当初から行政がこれに介入するということはいかがかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/15
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016・成相善十
○成相善十君 今郵政省からは、事業当事者の現実的な対応と自主性に期待する、こういうお話があったわけですが、電電公社総裁はこの業務分離についてどのようにお考えか、お述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/16
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017・真藤恒
○説明員(真藤恒君) 今局長から御説明がありましたように、私ども現在やっておりますデータ設備サービスその他は、これから先の私どもの業態の実質的な動きというものをさらに効率化し、能率化していくということを行いながら、それに従事しておる職員の全員の自主的な判断、自主的な希望の方向に従ってこの問題は処置していくべきものだと考えております。
ただ一方、考えなきゃなりませんのは、一般の業者もたくさんこの部門では競争的立場に立っておりますので、公正な競争の原則にもとらないような方法で、これから先、運営しなければならないということは十分考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/17
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018・成相善十
○成相善十君 この業務分離については、新電電会社の合理化推進という観点とともに、同種の事業を行う民間企業との公正な競争条件の整備という重要な問題がかかっておるわけでございまして、新会社の積極的な取り組みに期待するとともに、政府としてもすべて新会社にお任せというのではなく、速やかにこれらが実施されるようによくフォローする必要があろうと思います。
そこで、業務分離に関して一点だけ郵政省に確認の意味でお尋ねをいたしておきたいと思いますが、その端末機器の販売業務を新会社みずからが行うのではなく、子会社をつくって業務分離をして行えば全く自由である、それらの附帯業務が今、認可だ、届け出だということでいろいろ問題になっているが、要は業務分離をしていけばすべてこのことは解決つくというように受け取りますが、その点と同時に、もしそのとおりだとすれば、将来はいざ知らず、直ちにということにでもなれば、今の職員の方々の身分や処遇などに関連してなかなか難しい問題となってくるのではないかと思うんですが、その辺の配慮などはどうなっているか、あわせて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/18
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019・小山森也
○政府委員(小山森也君) 今回の法案では、新会社の投資活動は法的には一切の拘束を設けておりません。自由に行えることになっております。したがいまして、新会社が投資をいたしまして子会社をつくって、端末機器の販売業務ということを行うことは、これは新会社の判断で行えるわけでございます。したがって、そのような場合は端末機器の販売を業務分離によって子会社によって行うということになりますれば、新会社がみずから営むのと違いまして、全く政府の関与なしに自由にできるということでございます。
なお、職員の方のもしそういった場合の処遇がどうなるかということでございますが、これは給与その他については、これはそれぞれの会社の問題でございますけれども、共済組合につきましては、これは整備法によりましてこのまま現在の公社の中におきます共済制度、これをそのまま子会社への適用になることといたしております。
その範囲でございますけれども、新会社が——新会社というのはポスト電電から子会社への状態でございますけれども、大体五〇%の職員がいるということ、それから資本が大体新会社が二五%以上のものが入っているということになりますと、共済はそのまま適用になるということにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/19
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020・成相善十
○成相善十君 それでは新会社の株式の処分関係について少し伺いたいと思います。
新会社の資本金はおおむね一兆円と聞いておりますが、単純に純資産との倍率だけ考えても相当なものとなると思われます。KDDの株価を見ましても、五百円株が二万円にもなっている。四十倍であります。また株式を保有していれば毎年数百億円の配当収入もあると。配当率が一〇%なら一千億円が入ってくると、こういうことになるわけですが、これらの株式の売却収入や配当金収入はどのように使われるのか、このことについて郵政省の考え方を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/20
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021・小山森也
○政府委員(小山森也君) ただいま仰せの中に一兆円という数字が出てまいったのでございますけれども、この資本金につきましては、正確には法律が成立いたしたならば、その後、設立委員会というのができます。設立委員のところでお決めになることでございまして、今現在正確な形での一兆円というのは責任を持って申し上げる数字ではございません。
ただ、電電公社の資産、大体四兆六千億と言われておりますけれども、これから推算いたしますと九千億から一兆円の数字は出るはずであるということでございます。したがいまして、まだ資本金も決まっていないという状態でございまして、株式売却収入とか配当金の使途につきましては、現時点においてはまだ決めてないところでございます。無論これにつきましてはいろいろな議論があることは承知いたしておりますので、国益にかなうよう慎重に検討しなければならない事項だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/21
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022・成相善十
○成相善十君 この株式売買益についてはいろいろ論議されておるところであって、政府では予算編成の過程で云々といったような大蔵大臣の発言もあっておるところであります。一たん一般会計の歳入となった株式の売却収入をどう使うかということは、いろいろやり方があるとは思いますが、例えば政府が電電公社から無償で譲渡を受けた株式をそのまま現物出資して基金のようなものをつくって、一般会計ではなく、その基金で株式の売却をし、その売却収入を元手に電気通信の振興のために使うといったような方法もあると思いますが、どうですか。これならば、一般会計とはそもそも関係はないから、いわゆるシーリングの問題、今は基準ですか、基準の問題でもないということで解決ができるのではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/22
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023・小山森也
○政府委員(小山森也君) 先ほど申し上げましたように、売却益の使途についてはまだ現時点において決まってないんでございますけれども、いろいろな御意見として、一つは国の一般会計の赤字補てんのために使うべきではないという強い御意見がある。また二番目に、電電公社の資産形成の経緯等にかんがみて、我が国の電気通信技術に関する研究開発の推進ということによって電気通信利用者の利便の向上のために使用されるべきであるという御意見もあります。第三点の御意見としては、電電債券の償還のために使用されるべきであるという御意見もございます。
こういった御意見は、いずれも私ども郵政省の立場としましては、今までの電電公社の資産形成の経過から見ましてまことにごもっともな意見ではないかと思っておりますが、これは今後政府部内で財政当局等と慎重に検討しなければならない問題でございまして、その際に、ただいまの御意見、御示唆を得た非常に有力な御意見として、私どもこれから財政当局といろいろな話し合いをしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/23
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024・成相善十
○成相善十君 そこで、少しこの問題について愚見を申し上げたいと思いますが、いずれにいたしましても、これまでは言うまでもなく、道路とか港湾とか鉄道などの整備が最重要事項でありましたが、今後の高度情報社会に向けては電気通信分野への傾斜的、優先的投資が必要となるものと考えます。電気通信の発展は経済活動の効率化や合理化、そして国民生活の充実への貢献等を通じて我が国の社会経済の発展のための先導的な役割を果たすものであり、そのもたらす波及効果は極めて大きいものと考えられます。長期的視野に立って考えれば、我が国の国益増進のためのまさに基盤となるものであります。特に我が国の光ファイバー、ディジタル交換機などの電気通信に関する基礎的、先端的技術研究開発など、電気通信分野の研究開発体制の維持確保のためには、このことは冒頭にも私は一言申し上げて敬意と賛辞を表したわけでございますが、公社において既に大きな成果を上げておられるところでありますが、さらに最大限の配慮をする必要があるものと考えられます。
株式会社化に伴い、新会社は自動的に年間数千億円もの納税を行うこととなるわけでありますので、何もかもが国の一般会計の赤字補てんのためにこれが使われるというようなことがあっては、我が国経済、社会発展のための長期展望に立った場合に、国家政策遂行という観点から見て大変困ることで、ゆゆしき問題で、事重大であります。
株式の実態をなす資産の九五%以上はすべて電話加入者などが設備料や電話料で出したものであるということを聞いておりますが、株式の売却収入や配当金なとはこのような性格の資産の売却にふさわしい資金経理を行って、長期的視野に立った国益増進という立場から、ぜひとも我が国の電気通信普及発展のために使用できるようにすべきであると考えます。通信政策の責任官庁である郵政省にこのことはぜひしっかりやってもらいたい、このように思います。これは私の意見でございます。答弁は必要ございません。
それでは次に進みますが、新電電会社に対する政府の関与について主要な点についてお聞きいたしたいと思います。
今回会社法案を策定するに当たって、新電電会社に対する政府の関与についてどのような基本的な考え方に立っておられるか、御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/24
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025・小山森也
○政府委員(小山森也君) 電電公社法におきましては、予算は国会の議決、給与は国会の予算統制による給与総額制というようなことで非常に、何といいますか、弾力性のないことになっております。また投資範囲というものもすべて決められているということでございます。今回はそういった投資範囲の法定制なども解かれるわけでございます。
具体的に申し上げますと、事業計画については、他の特殊会社では収支予算と資金計画についても主務大臣の認可対象としておりますけれども、新会社では事業計画の認可のみを法定しております。また役員の大事につきましても、現行の公社制度では総裁、副総裁を政府が任命するという一種の命令で決めることになっておりますけれども、新会社におきましては事業体が自主的に選任した取締役、監査役を郵政大臣が認可という行政行為を行うことによって完成させるという方式をとっております。任命と認可では自主性において全く違っているわけでございます。
新会社は、十兆円の総資産、それから四兆三千億円の収益、従業員三十二万人強という法的独占に支えられておりました電電公社の事業をそのまま引き継ぐ超巨大企業でありまして、資産、収益、従業員数のすべての点におきまして他の特殊会社とは、けた数も一つも二つも違っているという実態を持っております。また、その経営する事業は国益とも深くかかわる高度の公共性というものを持っております。
そういう点から考えますと、ただいま申し上げました事業計画の認可につきましても、資金計画とか収支予算等は単なる添付にするというような形をとっているという点等、こういった内容、それから規模等から見まして政府の関与というものはなるべく少ないものと思っておりまして、これによって会社自身の自主性を持った運営が図られるものと期待している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/25
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026・成相善十
○成相善十君 今の答弁では、政府の関与は必要最小限度にとどめたいと、こういうことでございますが、そのように政府の関与は投資も自由、事業計画、役員大事に対する郵政大臣の認可も緩いということになると、逆に国民利用者の利益保護の観点から見て、これで一体大丈夫なのかという心配をする向きもあろうかと考えております。郵政省、これに対してお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/26
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027・小山森也
○政府委員(小山森也君) 一つの方向といたしましては、やはり新会社、会社にしたのでございますから、自由な自主性を持った活動というものが非常に大事だというふうな考え方と同時に、今度は巨大性と公共性という点から、逆に余り自由な形にすると今度は国民利用者の利益保護の点から見てどうかというような考え方もありまして、両面からいろんな御意見があろうかと思います。
しかしながら、私どもの考えといたしましては、新会社につきましては民営化による経営の自主性を背景にした責任ある経営体制というものになりますと、当然経営者としては、それであればあるほど、経営とかの責任、さらには国民皆様方に対する経営体としての社会的な責任というものをより強くお感じになることと思っております。したがいまして、必ずや国民利用者に対しまして、電話料金など低廉な料金で、また良質なサービスをするという、そういった形で同氏の皆様方にその自主的な経営の成果を還元してくれるものと期待している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/27
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028・成相善十
○成相善十君 経営者、事業当事者の自覚と良識にまっ、こういうことでございますが、とにかく上がるのは能率や生産性ではなくて賃金や料金だけだったというようなことにならないように政府の方でしっかり必要な監督をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/28
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029・小山森也
○政府委員(小山森也君) ごもっともな御意見でございますけれども、やはりこれは政府がそういった形で常に関与を持って行うということではなしに、やはり一番大事なのは経営者の方たちの自主的な御判断であろうと思います。無論、国民利益擁護という点におきまして問題がありますれば、行政という立場はそのためにあるのでございますから、行政の活動ということもありますけれども、そのようなことがないことが最も望ましい状態であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/29
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030・成相善十
○成相善十君 次に移りますが、電気通信事業法関係について質問をいたしたいと思います。
この事業法の役割とかあるいは基本、そういったものをも伺いたいと思いましたが、時間の都合もありますので、特にこの中で競争原理導入の意義について特に伺っておきたいと思います。
今般の制度改革の核心である競争原理の導入はどのような意義を持っておるのか、競争原理を導入することが電気通信分野にどのようなメリットをもたらすと考えているのか、お伺いいたしたいのと同時に、臨調答申にある民間活力の活用という趣旨はどのように生かされているかということをまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/30
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031・小山森也
○政府委員(小山森也君) 現行の電気通信法制は電信電話という画一的なサービスを効率的に全国に普及するために、電電公社によって一元的に運営させるという政策をとってまいりました。これにつきましては、先ほど大臣から提案理由で御説明申し上げましたように、すぐつく電話、すぐかかる電話というようなことで実現いたしまして、非常に電電公社の果たした役割というのは歴史的にも高く評価されるべきであろうと思っております。
ただこれは、電信電話という一つの非常に限られた通信媒体の場合にとりました政策でございました。しかしながら、今後高度情報社会に向けまして高度化、多様化する国民の電気通信ニーズにきめ細かく対応してVANとか双方向CATV、通信衛星等、次々と実用化されているニューメディアを活用しつつ多種多採なサービスを提供するということになりますと、単一事業体による独占的な事業運営ではなかなか対応できない、いわば国民のいろいろな需要に対しまして、結局一つの事業体の事業計画の枠の中でしか対応できないというようなことになりますので、複数の事業体をつくりまして、それに対します利用者からの需要に対応していこうという考えでございます。
そうしますと、どういうメリットがあるかということでございますけれども、一つは今申し上げましたように、一つの事業体からの役務の提供だけでございませんので、利用者が比較的自由に事業者を選択できるという広がりが持たれます。
また第二番目に、競争という現象が出てまいりますと、すべてポスト電電、新電電株式会社も含めまして競争原理等の刺激で、それ自体の効率化、活性化が図られるということで、その結果利用者にメリットが還元されるということになろうかと思います。また、競争によりましてより一層技術革新というものも促進されるのではないかと思います。
ただ、これだけ申し上げますと、いいことばかり申し上げたようでございますけれども、陰の部分といたしましては、やはり競争というのは過度にわたりますと、これは短期的に物を見る場合に、安ければよい、あるいはお客さんがつきさえすればよいというような点から、長期的に見た良質のサービスというのが必ずしも維持されないという危険性もございます。したがいまして、その点について私どもこれからの行政運営には最も注意しなければならない点だろうと思っております。
また、臨調答申との関係でどうかということでございます。
一番の問題は、やはり競争原理を導入するということは、電電公社それ同体も複数の事業者の一つとなるということで、また当然経営の自主性を持たせるということから、自主的な判断におけるいろいろな企業活動ということが出てまいります。したがいまして、そういった点から多種多様なサービス、しかも利用者が選択できる、自由に選択しようとすればできるという体制になろうかと思います。これにつきましては法律案の中におきましても電気通信役務の種類を今の法定制から外しまして、いろんな事業者の方の自由な発意による電気通信役務というのが次々に出ても、法体系がそれに追いつかないというようなことのないようにしておる次第でございます。
それから、電気通信回線の利用とか端末機器の設置、自営電気通信設備の使用といったものにつきましても、現在非常に厳しい制限をしておりますけれども、これにつきましても制限を廃止することにしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/31
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032・成相善十
○成相善十君 とは言いますが、この事業法案は許認可が非常に多くて、かえって規制強化だという意見もあると聞いております。また、許認可制度は運用次第では競争の制限的になるおそれもあります。
そこで、法律の立案に当たっての基本的な考え方を明らかにしていただきたいと思います。特に第一種事業については、事業の開始に当たっていわゆる需給調整の条項がありますが、その運用いかんでは新規参入を抑制することにはならないかという考えもありますが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/32
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033・小山森也
○政府委員(小山森也君) まず最初に、ただいまの御質問の中に認可件数が非常に多いんではないかということでございますが、まず数字をもって申し上げますと、現行の公衆電気通信法では認可件数は三十四でございますが、新しい今度の法案の中では六件になっております。ひとつその辺、数字上の差を御理解いただきたいと存じます。
それからもう一つ基本的に違うことは、公衆電気通信法の世界というのは、あらゆる活動が電電公社以外には一切禁止というものが原則になっておりましたが、今度は認可というような行為をもっていろいろな方々に開放しているということで、基本的な考えが違っているということでございます。
また規制の点でございますが、そういった点で最小限にとどめているわけでございますけれども、特に御指摘のありました需給調整の問題でございます。これは第一種電気通信事業というのは非常に多くの投資を必要とするものでございます。しかも、これが一度投資いたしますと転用が非常にできないものでございます。そういたしますと、それだけの費用をどうするかということになりますと、結果的に結局利用者の負担という形でもって戻っていくというようなことも考えられます。そういったことは利用者に最終的に不利益をもたらすということになりますので、著しく過剰な設備と認められる場合には、いろいろ許可に当たっての考慮の中に入れることにいたしております。
ただ、この場合も、そういった著しく過剰であるということの弊害が明確に予見し得る場合にのみこれは発動すべきものでありまして、行政が新規参入に対し最初から抑制的に働いて需要の数値までも行政の枠の中へ入れていくということは、これはこの法案の基本的な考えとは相入れないものでございます。したがって、こういったことの過剰な投資というものに対する行政の介入というものは、できる限りというか、なるべくというか、もうほとんどよほどの障害が予見されない限り発動すべきではないであろうと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/33
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034・成相善十
○成相善十君 今説明のように、制度的には競争原理が十分に取り入れてあると、こう言いましても、実態的には新電電の資金力や世界最高水準の技術力などを考えると、新規参入者がこれと対等に競争していくのは相当難しいと思います。
そこで、新電電と新規参入者との競争についてどんな措置を考えておられるか、両者の間で有効かつ公正な競争が本当にできるようになるであろうかどうか、そういった点についての見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/34
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035・小山森也
○政府委員(小山森也君) 競争原理を導入して新規参入を認めるという趣旨でございますので、制度的な枠としてつくったけれども実態的な参入者がなかったということになりますと、これは全く制度の枠と実態が遊離してしまうということになります。したがいまして、行政の方向としては、実態的な競争ということが行われるようにいろいろな点におきまして配慮すべきであろうと思います。
なお、法案の枠組みとして、それではどういう枠組みがあるかということでございますが、要は、新しく生まれ変わる新電電と新規参入者との間で公正かつ有効な競争が行われるように、両者間に平等な形の法的な保障ということが行われるべきであろうと思っております。
そういった意味におきまして、法案の中におきましては、事業者間の相互接続は必ず確保できるようにということで、これは三十八条、三十九条というところで確保してございます。また、競争制限的な内部相互補助ということをやりますと、これはやはり相互間に非常に不均衡が生じまして公正競争を害するということになりますので、料金算定に資するための会計の整理というものを第三十三条において規定しております。また、技術基準というものも四十一条に規定しておりまして、事業者間のイコールフィティングを確保するための制度的な措置を講じておる次第でございます。今後とも、こういった制度の枠組みがございますので、競争原理が現実に働く状況をつくり出すように努めることが私どもの役目だと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/35
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036・成相善十
○成相善十君 よくわかりましたが、このように競争導入ということで、それが電気通信事業の活性化、効率化に極めて重要であるということは明らかになったわけでございますが、他方では、電気通信事業の持つ公共性ということにも十分な配慮が行われなければならないことは申し上げるまでもないことでございます。この点について、この事業法案では具体的にどのような措置が講じられておるのか、まずこれをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/36
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037・小山森也
○政府委員(小山森也君) 電気通信は、国民のだれもが、いつでもどこでも、できるだけ安く、かつ良質のサービスとして享受できなければ意味がないわけでございまして、競争原理を導入しようと独占であろうと、あるいは公共企業体であろうと民営であろうと、電気通信というものにつきましては、その公共性というものがすべてに優先するわけでございまして、あとの競争原理の導入も、この公共性を満たされてこそ初めて競争原理というものが語られるというものだろうと思います。
それでは、具体的に事業法の中でどういうことが規定されているかと申しますと、まず、通信の秘密の保護につきましては第四条に規定いたしております。また、重要通信の確保につきましては第八条に規定しております。また、役務の提供におきます利用の公平、これを確保するよう第七条に規定しているわけでございます。また、料金につきましては、基本的には市場原理に基づくということでございますけれども、第一種電気通信事業の主要な料金については、その公共的性格にかんがみまして、第三十一条で認可としております。また、通信の安全性、信頼性を確保すると、それで基盤的な事業である第一種及び特別第二種電気通信事業というものは、特にその点において重要な役目を担っておりますので、その技術基準につきまして第四十一条において規定しているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/37
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038・成相善十
○成相善十君 ところで、そうした新規参入が新電電にどういう影響を与えるだろうかということについて少しく伺いたいと思うんですが、言われるように極めて公共性の高いものであるだけに、その中で電話サービスは基本的な通信手段となって、今後ともあまねく公平に、しかもより安く提供する必要がある。これが確保されなければ、国民の立場からは今度の改革は一体何であったかということにもなりかねないわけであるわけでして、先ほども新電電と新規参入者との関係について質問しましたけれども、この新規参入者は、恐らく東京とか大阪といったような利益が上がる地域に集中することが予想されるわけですが、全国サービスを受け持つ新電電が不採算地域へのサービス提供や料金水準の維持が困難になるということは、そういうことが起きかねないかどうかということですね、国鉄の二の舞をやって、いいところだけ食われてしまうというようなことになりはしないかという心配をする向きもあるわけですが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/38
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039・小山森也
○政府委員(小山森也君) まず最初に、電気通信サービスというのは、ネットワークを構成いたしまして相互に情報を受け、送るというものでございますから、ネットワーク全体の均質化というものがあって初めて最大限の効用がもたらされるものでございまして、そういった点から、過疎地域等の一部について別扱いにするということはかえって不合理でもありますと同時に、事実上そういうことをして効率的になるということは考えられないわけでございます。
また、クリームスキミングの点だろうと思いますけれども、これにつきましては、やはり需要のないところには一つの企業体はあらわれないということは御説のとおりだろうと思います。ただ、私ども考えますのは、今の電電公社と同じようなサービスをそういったところでやっても、とても電電公社の今のネットワークの力というものに対しまして対抗できるとはなかなか考えにくい。そういたしますと、どうしても新しいサービスといいますか、新しい役務というものを開拓して、それによってその需要にこたえていくというような仕事になるのではないかと思います。それと同時に、どういたしましても市内回線網はこれは新電電、今の電電公社に頼らざるを得ないというのは、これは自然の現象だろうと思います。
そういたしますと、総体としての通信量の増加というのは、そのまま新電電会社の収入の増になって返っていくということが考えられます。無論アメリカのような場合はこれは考えられないわけでございまして、アメリカでは市内電話会社が千五百社もある。また、ATTが分割されたということで、全体のトラフィックの増加というものがイコールある会社の収入増にはつながらないということになるわけですが、日本の場合は電電公社は一体となって全国ネットワークそのまま民営化されるわけでございますから、トラフィックの増加はイコール新会社の収入増ということになってくるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては新電電会社は採算のとれるところもとれないところも同時に一つの経営単位になっておりますし、市外回線も市内回線もあわせて持つ一事業体でございますので、当然ネットワーク維持という点からも、不採算地域のサービスが低下したり料金水準が維持できなくなったりということはないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/39
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040・成相善十
○成相善十君 それでは、外資問題について少しお開きいたしたいと思いますが、この事業法案では第一種事業には三分の一の外資制限があります。また、第二種事業については外資制限を課さないということとされておるわけですが、こういったようなことは恐らく国際的には妥当な結論であるとも考えられますが、これによって我が国の市場が外国企業に席巻される、こういうような心配をする向きも非常に強いようでございますが、この点は郵政省いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/40
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041・小山森也
○政府委員(小山森也君) 第一種電気通信事業のような場合におきましては、これは世界各国とも外国資本の制限をいたしております。アメリカの場合では二〇%を限界として外資を規制いたしております。日本も今度の新法案においては三分の一といたしております。
第二種事業につきましては外資規制をしておりません。これにつきましては、まず一般第二種でございますけれども、これは企業とか業界に個別的なニーズに対応するという形で非常にきめ細かいサービスが必要でございます。例えばアメリカの帳簿をそのまま日本に持ってきても通用しないように、いろいろな商取引とか商慣習、これをソフトの面で十分克服いたしませんと、これは実際問題として参入は難しいというようなことでございまして、やはり日本の商慣習に慣れているということから日本企業が圧倒的な強さを持つのではないかと我々考えております。
また、大型の汎用的なサービスを提供する特別第二種でございます。これは非常に国民経済において基幹的な役割を果たす事業であります。私ども当初外国企業によって支配されて、我が国の自主性が損なわれるのではないかというような危倶を持ったんでございますが、詳細に検討いたしますと、アメリカで現在この種のサービスをやっておりますテレネットやタイムネットというのがございますけれども、これはもうそれより先に電電公社がパケット交換サービスというようなものをやっております。十分これにつきましては、むしろ電電公社の方が先んじているぐらいでございます。
また、IBMとかATTというような巨大企業が席巻するのではないかということでございますが、IBMとかATTがこの種の業種に乗り出してきたのは昨年からでございまして、日本の電電公社よりもずっと新しいということでございます。そういうことと、やはり先ほど申し上げました日本の商慣習というものにどれだけなじめるかということを考えますと、最終的な利益というものは、利用者がどれくらい安くて良質なサービスを受けられるかということでございます。企業単位ではなしに利用者がどれくらい良質なサービスを受けられるかということを考えた場合、内外無差別の原則のもとに内外の企業が競い合って事業をしていくということの方が最終ユーザーにとって利益になる、こう判断した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/41
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042・成相善十
○成相善十君 このことは総裁にもお考えをお聞きしたいわけですが、今言われますように、ATTやIBMのような米国の有力な企業が参入してくることが十分予想されますが、電電公社としてはこれらの企業に対抗して競争することができるのかどうか、総裁のひとつお考えをお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/42
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043・真藤恒
○説明員(真藤恒君) マクロ的には今局長の御説明にあったとおりでございますが、直接御参考になるかどうかわかりませんけれども、一つのいい例がございますので申し上げたいと思います。
今IBMというのが御存じのようにコンピューターとそれを使うソフトということで世界に冠たる力を持っておりますが、IBMの世界各国、先進国の中のマーケットシェアを調べますと、アメリカで七〇%のマーケットシェアを持っております。それから、EC諸国で六〇%のマーケットシェアを持っております。日本ではたった三〇%しかマーケットシェアを持っておりません。ということは、あれだけのすぐれたハード、ソフトを持っておっても、それでしかも自由に日本で活動できるようになっておっても、日本では三〇%しかマーケットシェアを持ってない。かてて加えまして、今局長がお話しになりましたように、電電の現在やっております第二種の特別第二種に相当する業務というのはかなりのレベルになっておりますので、日本に全然技術がなかった、IBMが入ってきても日本のマーケットじゃたった三〇%。今私どもがかなりの技術を持っておるのに、IBMが後から入ってきて、あるいはATTが入ってきて、そんな恐れるようなことにはならないという自信は私どもとして持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/43
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044・成相善十
○成相善十君 二十分までですので、第一種事業や第二種事業等、あるいはまた公社が進められておるINS計画についてもいろいろお聞きしたいと思ったんですが、もうそれは時間がありませんので、最後に高度情報社会に向けて電気通信行政の責任は今まで以上に重いものがあると思います。所管大臣として郵政大臣に今後の行政運営のあり方についてまず基本的な考え方をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/44
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045・奥田敬和
○国務大臣(奥田敬和君) まず、現在の情勢というのはやはり工業化社会が成熟した段階であろうと思います。そして、今私たちが今回の法案を提起した方向というのはこれから高度情報社会へのテークオフ、離陸をしようとする段階であろうという認識に立っております。
目指す政策理念は何かということになれば、私はこういった新しい技術革新を享受できるような、高度な電気通信網によっての列島改造であると思っております。情報格差のない社会、文化格差のない日本列島という形の政策理念としては方向で進みたいと思っておるわけでございます。
しかし、私たちが目指す社会というのはそういった便益だけを追い求めるような形であってはいけないと思っております。時間的なゆとり、高度情報社会で享受できた経済的なゆとり、こういったものを結局生かして、目指すところは何かといえば、むしろ人間性が尊重される、そういった豊かな社会づくりであろうと思っております。もっと具体的に言えば、最近の高度情報社会の花形であるディジタル化された社会でなくて、むしろ人間としての目指すものは、心の触れ合いを大切にするアナログ的な人間社会というものが一番基本的に忘れられてはならない大事なことであろうと思います。むしろこれからはニューメディアがさまざまな形で産業なり生活の分野にも入ってまいると思います。それらは便利で、非常に人間としての快適な環境づくりに役立つでしょうけれども、あくまでも人間が主役であるという原点を忘れてはならないということを常に強調しておるわけでございます。
今回の法案提出によって新しい競争原理の中で生まれてきたそういった競争が有効に働いていただきまして、安いサービスを多数の国民に還元して、そういった形で利用できる方向を私たちは行政の責任者として目指していこうというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/45
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046・成相善十
○成相善十君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/46
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047・大木正吾
○委員長(大木正吾君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
午後三時三十分に再開することとし、暫時休憩いたします。
午後二時二十二分休憩
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午後三時三十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/47
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048・大木正吾
○委員長(大木正吾君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
公聴会の開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。
日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案並びに日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、以上三案の審査のため、公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/48
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049・大木正吾
○委員長(大木正吾君) 御異議ないと認めます。
つきましては、公聴会開会の日時、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/49
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050・大木正吾
○委員長(大木正吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114816X01119840726/50
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