1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年七月二十日(金曜日)
午前十時十六分開議
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○議事日程 第二十四号
昭和五十九年七月二十日
午前十時開議
第一 租税特別措置法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
第二 湖沼水質保全特別措置法案(内閣提出、
衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、たばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社
法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に
伴う関係法律の整備等に関する法律案及びた
ばこ消費税法案(趣旨説明)
一、日程第一及び第二
一、米の需給安定に関する決議案(遠藤要君外
八名発議)(委員会審査省略要求事件)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/0
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001・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
たばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/1
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002・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。竹下大蔵大臣。
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/2
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003・竹下登
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりましたたばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
まず初めに、たばこ事業法案につきまして御説明申し上げます。
たばこ専売制度は、明治三十七年に制度が設けられて以来、財政収入の確保に寄与してまいりましたが、時代の変遷、環境の変化等を背景として、その見直しの必要性がとみに高まってきたところであります。
このような状況を踏まえ、一昨年七月に臨時行政調査会により提出された行政改革に関する第三次答申の趣旨に沿って、たばこ事業関係者等とも意見の調整を図りながら、政府部内において検討を進めてきたところであります。その結果、今般、開放経済体制に即応し、かつ、たばこ事業の効率的運営等を図るため、たばこ専売制度を廃止するとともに、我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資するため、新たにたばこ事業法を制定することとした次第であります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、原料用国内産葉たばこの生産及び買い入れにつきましては、日本たばこ産業株式会社が、あらかじめ、たばこ耕作者と耕作面積等を定めた葉たばこの買い入れに関する契約を締結することとし、当該契約面積から生産された葉たばこについては、日本たばこ産業株式会社が全量買い入れることとする等所要の措置を講ずることとしております。
第二に、製造たばこの製造につきましては、日本たばこ産業株式会社に独占させることとしております。
第三に、たばこの輸入自由化を図ることとしております。したがって、だれでも自由にたばこを輸入することができることとなりますが、輸入した製造たばこを業として販売する者につきましては、卸売販売業を営む者と同様に、登録制を採用することとしております。
第四に、小売販売関係につきましては、当分の間、小売販売業を営む者は許可を受けなければならないこととしております。
また、小売販売価格につきましては、引き続き、当分の間、定価制を維持することとしております。
その他、喫煙と健康の関係に関する注意文言の表示の義務づけ等所要の規定を整備しているところであります。
次に、日本たばこ産業株式会社法案につきまして御説明申し上げます。
たばこ専売制度の廃止及びたばこの輸入自由化に伴い、我が国たばこ事業は、輸入たばことの対等な競争関係のもとで営まれることとなります。
このような状況下において、我が国たばこ産業の健全な発展等を図るためには、日本専売公社の経営形態を政府関係特殊法人の中で最も経営の自主性の認められる特殊会社に改組することが必要であります。このため、日本専売公社法を廃止し、新たに日本たばこ産業株式会社法を制定することとした次第であります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、日本たばこ産業株式会社は、製造たばこの製造、販売及び輸入に関する事業を経営することを目的とする株式会社とすることとしております。
第二に、日本たばこ産業株式会社の株式については、本則で発行済み株式の総数の二分の一以上、附則で、当分の間、三分の二以上の保有義務を政府に課すこととしており、さらに、政府がその保有する株式を処分するに際しては、国会の議決を経なければならないこととしております。
第三に、事業計画の認可等の公的規制に関する規定を設けておりますが、いずれも公益性を担保するための必要最小限のものにとどめており、可能な限り企業の自主性にゆだねることとしております。
次に、塩専売法案につきまして御説明申し上げます。
塩専売事業は、現在、日本専売公社が実施しておりますが、今回本法律案とともに御提案申し上げております日本たばこ産業株式会社法案により公社が日本たばこ産業株式会社に改組されることに伴い、塩専売事業を当該会社に実施させることとし、このために必要な措置を講ずる等所要の規定の整備を行うこととし、このため、塩専売法の全部を改正することとした次第であります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、塩専売事業が公益専売である旨を明らかにした目的規定を新たに設けることとしております。
第二に、国に専属する専売機能を日本たばこ産業株式会社に行わせることとし、このため、塩専売事業を実施する上での公共性を担保するための所要の措置を講ずることとしております。
その他、今後国内塩産業の自立化の目途が得られた段階で、本法律案について検討を加えることとする規定を設けるほか、所要の措置を講ずることとしております。
次に、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の
整備等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
このたび、たばこ事業法及び日本たばこ産業株式会社法の制定並びに塩専売法の全部改正を行うこととしておりますが、これに伴い、製塩施設法及び塩業組合法を廃止するほか、国家公務員等共済組合法等六十法律につきまして、所要の規定の整備等を図ることとしております。
最後に、たばこ消費税法案につきまして御説明申し上げます。
たばこ専売制度を廃止することとなったことに伴い、現行の専売納付金制度にかえて新たにたばこ消費税制度を設けることとした次第であります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、たばこ消費税は、製造たばこを課税物件とし、国産製造たばこについては製造たばこの製造者、輸入製造たばこについては保税地域から引き取る者をそれぞれ納税義務者とすることとしております。
第二に、たばこ消費税の税額は、価格に応じて負担を求める従価割額と数量に応じて負担を求める従量割額の合算額とし、課税標準は、従価割にあっては小売定価とし、従量割にあっては本数または重量とすることとしております。
第三に、税率は、現行の専売納付金率等を参酌しつつ製造たばこの種類ごとに定めることとし、また、従価割の税率と従量割の税率の組み合わせ比率は八対二程度とすることとしております。
その他、申告及び納付の方法、納期限の延長等所要の規定を設けることとしております。
なお、日本たばこ産業株式会社法案につきましては、公布の日から、その他の法律案につきましては、原則として昭和六十年四月一日から施行することとしております。
以上、たばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/3
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004・木村睦男
○議長(木村睦男君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。鈴木和美君。
〔鈴木和美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/4
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005・鈴木和美
○鈴木和美君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりましたたばこ事業法など専売改革五法案について、総理並びに大蔵大臣に若干の質問を行うものであります。
申し上げるまでもなく、たばこの喫煙問題については、コロンブスがアメリカ大陸を発見して以来、今日までそれぞれの国、それぞれの時代において長い間、喫煙の効用と健康に及ぼす影響について論争が続けられてまいりましたが、人々の風俗慣習と深く結びつき、生活の重要な一部として定着しております。私はこの機会に、日本の専売事業関係者が長年にわたって我が国たばこ産業の発展に寄与されてきたこと、また国、地方の財政に多大な貢献をされてきたことに、改めて敬意を表するものであります。
さて、我が国の社会経済が急速にしてかつ大きな転換期にあることは、高齢化、情報化、高学歴化の深まりと、第三次産業、サービス産業などを中心とする産業構造の進展と経済の国際化、金融の自由化などの問題に端的にあらわれています。これらの変化に対応して、行政も改革が必要なことは言うまでもありません。問題は、いかなる理念と方針のもとにその改革を実施するかであります。しかるに、中曽根内閣の行政改革は、軍事大国化と福祉、教育切り捨てを目指したもので、国民の求める平和と福祉社会の建設を目標にしたものとは遠くかけ離れると言わざるを得ません。
特に、中曽根内閣は、第二臨調の答申を実施するとして今国会に臨調答申を基本とする多数の行革関連法案を提出しておりますが、臨調答申自体に重大な欠陥のあることをまず指摘せざるを得ないのであります。それは、臨調答申が公共企業体の変革を進めるに当たって、公共性よりも見せかけの経済合理主義、効率第一主義を最優先し、国民の側からの利便、サービス向上を軽視していることにあります。このような国民生活の安定と向上を軽視した考えに基づいて、行政改革、公共企業体改革を進めることは到底容認できないところでございます。
私は、公共企業体の改革を行うに当たっては、我が国の公共企業体の実態を踏まえ、次のような民主的な改革を中心に進める必要があると考えるものであります。
その第一は、社会に対する責任と役割を担う公的企業としての性格を保持すること。第二には、法律などを通じての必要な規制を行いつつも、経営体制を強化、民主化し、国民各階層の参加を実現することであります。第三には、政府の不当かつ過剰な支配、介入を排除して、経営の自主性を強める一方、市場原理に立った企業性の要素も大胆に導入することであります。第四には、企業責任と能力を超えるいわゆる社会的要求に対応した政策分野については、明確に国の責任とすることであります。第五には、労使関係は当事者能力のある自主的な関係に改め、労働基本権を完全に保障することなどが公共企業体改革に際し重要な要素であると考えます。総理の御所見はいかがでございましょうか。
次に、私はこのような考え方から、本法案に対して具体的にお伺いしたいと存じます。
まず第一には、今回の改正法案と臨調答申とのかかわりの問題でございます。
臨調答申は、専売公社の改革についてある手順をとりながら民営とすべきことを提言しています。ところが、今回提案された法案では、葉たばこの全量買い取り制度、小売店指定制度などについては現行制度が基本的に継承され、しかも特殊会社、製造独占は恒久的な制度にするとの方針が明らかにされており、臨調答申の内容とは異なっていると理解するのであります。いわゆる民営分割を展望しないものであると理解してよいか、総理の責任ある答弁を求めるものであります。
第二に伺いたいことは、民主的改革が行われ、また活力ある公的企業として新会社が発足できる措置が果たして十分に講じられているかという点でございます。
今回の経営形態変更の大きな理由の一つには、経営の自主性を高めることによって国際競争力を強化するところにあると思います。所有と経営の分離は現代経営の原則と考えられますが、公的企業に関しては必要以上に官僚的統制と介入が行われているのが実態であります。新会社に対しても、たばこ事業法と会社法上、政府が多くの認可権、監督権を持つことになっており、また株主権の行使方法いかんでは、三重の意味で経営活動に介入する余地があります。
事業計画の認可に当たって、予算統制、給与統制などが行われてはならず、また新会社の経営基盤強化のためには、それが十分に担保されなければ雇用の安定にも重大な支障を来すものと考えます。また、役員の任免においても、認可権を通じて天下り人事が行われるならば、いわゆる企業活力は生じようがありません。そこで、認可権、監督権の行使を通じ新会社の経営活動に支障を与えることのないよう経営の自主性を十分に保障する方針が政府にあるかどうか、総理と大蔵大臣の見解をお伺いいたします。
第三は、労使関係の近代化についてであります。
労働三法が適用されることになっておりますが、スト権という自主的権利を有しても、実質的にそれに対応できる体制をとらない限り、それは絵にかいたもちにすぎません。新会社に労働条件決定に関する完全な当事者能力があって初めて労使の相互信頼と責任に裏づけられた近代的労使関係の確立が可能となるものであります。今次改革において、新会社に十分な当事者能力が付与され
ているのかどうか、政府の見解をお伺いいたしたい。
また、新会社への移行を契機に職場の活性化、職員の創意と協力を得るためには、現行の労働条件の維持が最低限保障されなければなりません。これまでの労使慣行を尊重していくだけでなく、移行の条件、移行後の労働問題についても労使間で誠意を持って話し合う必要があります。政府としてそのような労使の姿勢を前向きに見守る度量を持たれるかどうか、総理並びに大蔵大臣の決意のほどを示していただきたいのであります。
第四として伺いたいのは、葉たばこ問題であります。
今回の改正でも、葉たばこの全量買い取り制度の維持など、葉たばこ耕作農民の生活安定のための措置が講ぜられており、それはそれなりに評価しているところでありますが、一方、厳しい国際競争下で我が国たばこ産業全体が発展していくためには、今後、国産葉たばこの品質の改善、価格競争力の強化に精力的に取り組まなければならない課題があることも明らかであります。
特に、国産葉たばこの価格は外国葉と比較して割高と言われている現状にかんがみ、その解決が急がれるところであります。だからと言って、外国葉に依存しようとする政策は、葉たばこ耕作農民の生活に重大な影響をもたらすばかりでなく、外国葉たばこ市場が巨大外国資本に押さえられている現状を見るとき、原料の安定的な確保という観点からしても選択すべき政策ではないのであります。したがって、厳しい国際競争下で国内製品のシェアを守りつつ、国産葉の現行使用割合を維持するためには、葉たばこ耕作者及び新会社の努力が急務でありますが、我が国葉たばこ農業の実情にかんがみ、関係者の努力のみでは解決することは困難であります。
かかる観点から、現行のたばこ関税率二〇%は将来にわたり維持するとともに、国際競争下で我が国たばこ産業の競争力の確保と葉たばこ耕作農民の生活安定を両立させるため、農政費用負担のあり方など、その両立方策について政府として責任を持って対応する必要があると考えますが、総理、大蔵大臣の御見解を尋ねたいものであります。
第五に伺いたいことは、新会社発足に当たっての配慮についてであります。
健全経営の確保は新会社の重要な課題であり、それなくして雇用の安定、国や自治体の安定的な財源確保も困難であります。しかるに、新会社の経営を展望した場合、法人税などの新たな負担に加え、消費税制度移行に伴う資金問題などまことに厳しいものがあります。また、これまで公社に対し、財源調達のためと称して再三にわたり臨時国庫納付金を強要してきましたが、このような措置が今後もとられるならば、新会社の経営は危殆に瀕し、その結果、値上げを通じて消費者に負担をかけるばかりでなく、国際競争上もゆゆしき問題となります。
したがって、政府は、新会社の資金調達への適切な配慮、資本金の適正規模化などの新会社の健全経営のための諸措置を講ずるとともに、今後、特例措置は厳に避けるべきであると考えますが、総理、大蔵大臣の御見解を賜りたい。
最後に、塩専売制度についてお伺いいたします。
言うまでもなく、塩は生活必需物資、基礎物資であり、低廉な価格で全国民に安定的に供給されるものでなければならず、ここに塩専売制度の使命があると理解しています。このような観点から、塩の専売制度は将来にわたって維持すべきであると考えますが、総理、大蔵大臣の見解をお尋ねするものであります。
以上、専売公社改革五法案に関する質問を申し上げてまいりましたが、一言申し添えておきたいことがございます。
今回の新会社移行とともに流通専売制度が廃止されるということは、我が国の専売制度の歴史上画期的なことでございます。思い返せば八十年前、日露戦争の戦費調達という不幸な目的を持ってたはこの製造専売がとられて以来、現在まで幾多の変遷を経ながら完全専売制度が続けられてまいりました。また公社制度も、経済の民主化の一環として発足して以来、三十有余年を経て今日に至っているのであります。これまでの専売制度、公社制度のもとで、安くてうまいたばこの供給を通じてたばこ事業が国民生活に果たしてきた役割を十分に考慮して、今後の法案審議に臨まれんことを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/5
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006・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 鈴木議員にお答えをいたします。
まず、国鉄の改革その他について、諸原則を並べられまして御質問をしていただきました。
国鉄の事業再建を図るためには、経営形態のあり方を含め経営全般にわたって抜本的な検討を行うことが必要であります。現在、監理委員会におきまして、各方面の意見を聴取して具体策を検討しておるところでございます。政府といたしましては、監理委員会の結論を尊重して抜本的な対策の推進に取り組んでまいる所存でございますが、御指摘になりました御意見等につきましては、今後とも参考にさせていただきたいと思っております。
電電の改正についてもいろいろ御意見を承りましたが、これは公共性の確保、あるいは民間的効率性、そういうような諸般の問題を考えまして、その調和点として考えたものであり、労働基本権の確保も尊重したところでございます。
専売公社の改革につきましては、同じように経営の自主責任体制の確立のため、公社制度を抜本的に改革することを提言している臨調基本答申の線に沿ったものでございます。具体的には、専売公社を一定の政策目的を担った特殊会社に改組するとともに、公的規制はできるだけ最小限にとどめ、経営の自主性の強化等を図り、また労使問題についても労働三法を完全に適用しているところでございます。
製造独占を恒久的に維持し、民営分割は行わないのかという御質問に対しましては、我が国たばこ産業が国際競争力を確保して健全な発展を遂げることを期するために、今回政府出資の特殊会社に改組しつつ、これに製造独占権を付与した次第でございますが、特殊会社という経営形態及び製造独占は、今後の経営形態としてこの法律におきましては維持していく、そういう考えに立ってやっておるつもりでございます。
政府は新会社に対する認可権、監督権の行使に当たっては、新会社の経営の自主性を十分に保障すべきであると思うがいかんという御質問でございます。
製造独占権が付与された政府関係特殊法人として今回は設立されるものでありますが、経営の自主性を最大限発揮するという設立の趣旨にかんがみまして、政府規制は最小限にとどめており、認可及び監督を行う際にも経営の自主性を十分尊重すべきものとして取り扱ってまいりたいと思います。
なお、労働三法が適用されることになるが、労働条件決定に関する十分な当事者能力が付与されているかどうかという御質問でございますが、労働三法を完全に適用して、当事者能力は維持されておるものでございます。
次に、労働問題については労使の話し合いに任せるべきであるという御質問でございますが、全くそのとおりであると考えております。
次に、たばこ関税率二〇%は将来にわたり維持すべきではないかという御質問でございます。
自由貿易体制維持の観点から、米国並みの水準まで大幅に引き下げたところでございますが、この関税率は国内産業事情等を配慮してのぎりぎりのものであり、現状維持に今後とも努めてまいるつもりでおります。
次に、国際競争下で我が国たばこ産業の競争力
確保と葉たばこ耕作者の生活安定を両立させるために、農政費用負担のあり方等についても責任を持って対応すべきであるという御質問につきましては、今次改革におきましては、国際的に見ても割高な国内産葉たばこの現状を考慮し、当該特殊会社に製造たばこの製造独占をさせる、こういう措置を行うことによりまして、輸入自由化後の国際競争に耐え抜き、将来にわたり発展をもたらす基盤は整備したと考えております。したがいまして、新会社に対して新たな助成措置を講ずることは考えておりません。
次に、政府の財源調達のための特別措置を設けることは厳に避けるべきであるという御質問でございます。
今まで公社には特例納付金等の納付をお願いしてまいりましたが、このような措置は軽々に講すべきでないことは政府としても十分承知している
ところでございます。
塩の専売制度について御質問をいただきましたが、塩の専売制度につきましては、当面公益専売としてこれを維持しつつ、国内塩産業の自立化に向けて今後とも努力してまいるつもりであります。将来のあり方につきましては、自立化達成の段階で公的関与のあり方等を含め今後検討してまいりたいと思います。
残余の答弁は大蔵大臣から申し上げます。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/6
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007・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず、自主性保障の問題でございます。
公社を合理的企業経営が最大限可能な特殊会社に改めますというこのたびの改革の趣旨を全ういたしますためには、今まで公社に課せられておりました投資及び借入金の大臣認可、給与総額制等を廃止しまして、新会社が経営の自主性を最大限発揮することができるようにした、これが基本でございます。
新会社法に規定いたします事業計画や役員選任等の認可及び監督事項は、新会社が担います政策目的を達成するための必要最小限のものでありまして、またこれらの政府規制は、既存の他の特殊会社の中で最も規制が緩やかなものとなっておるわけであります。経営の自主性が妨げられるようなことを措置したという考えは全くございません。また、許認可権等の行使につきましては、経営の自主責任体制の確立という今次制度改革の趣旨に沿って行われるべきものと考えておりまして、経営の自主性が損われることのないよう十分な配慮をいたしてまいりたい、このように考えております。
次は、当事者能力の問題でございます。
専売改革の基本的枠組みは、たばこの輸入自由化を行いますとともに、これと並行して日本専売公社を輸入品との自由な競争に耐え得るような経営形態とすることにあるわけでございます。具体的には、日本専売公社を当事者能力が付与された株式会社形態に改組して、また労働関係につきましては、労働三法を完全適用するということが眼目であります。
新会社への移行時に生ずる諸問題についての考え方でございますが、今次改革におきまして、日本たばこ産業株式会社の経営の自主性が最大限発揮できますように当事者能力を付与して、労働三法を適用することとしたものでありまして、労働関係の諸問題につきましては基本的に労使間の話し合いにゆだねられるべきものである、このように考えておるところであります。
それから次は、葉たばこ問題でございます。
たばこの関税率、それこそ九〇、三五、二〇と、こうなってまいりまして、米国並みの水準ということでございます。この関税率はぎりぎりのものであると同時に、私は双方にとって適正な関税率であるという認識に立っております。
それから、国際競争下の問題の農政費負担等の問題でございます。
これは総理からもお答えがございましたが、合理的企業経営が最大限可能な特殊会社に改組するとともに、国際的に見て割高な国内産葉たばこの現状を考えますと、当該特殊会社に製造たばこの製造を独占させる、これが原則でございます。したがって、輸入自由化後の国際競争力に耐え抜いて将来にわたって発展をもたらす基盤は整備されるではないか、そのことを期待しておりますだけに、新たなる財政措置を前提とした考え方はございません。
それから、財源調達の問題でございます。
今次改革におきまして、新会社を初め我が国たばこ産業が国際競争力に耐え抜いて将来にわたり発展をもたらす基盤は整備したところでありまして、新会社に対して新たなる助成措置を前提としてはおりません。また、これまで公社にも特例納付金等の納付をお願いしてまいりましたが、このような措置は軽々に講ずべきものではございません。したがって、政府としても、総理からお答えになりましたように、そのような性格のものであるということを十分に認識しておるべきものであると考えております。
最後が塩の問題でございます。
塩専売事業のあり方は、当面専売制度を維持しながら、需給と価格の安定を図りつつ、自立化に向けての諸施策を推進していくことが国民全体の利益に資する最善の道であると考えております。自立化が達成されて、そして国内塩産業が専売制に依存しなくても自力で存立、発展し、しかも国民に対して需給及び価格の両面において塩を安定的に供給することが可能となった段階におきましては、専売制度を維持することはこれは不要となりましょう。しかし、塩が国民生活に欠くことのできない物資であるということに変わりはございません。その時点で、公的関与のあり方等を含めて、塩事業のあり方について検討することが必要になるではなかろうかというふうに考えております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/7
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008・木村睦男
○議長(木村睦男君) 藤原房雄君。
〔藤原房雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/8
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009・藤原房雄
○藤原房雄君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりましたたばこ事業法案外四法案に対し、総理並びに大蔵大臣に質問をいたします。
中曽根内閣は、発足当初から行政改革を国政上の最重要課題として掲げ、特に増税なき財政再建の堅持をうたってまいりました。確かに、昨年三月の第二次臨時行政調査会の解散後、五月に新行革大綱を決定し、行革関連法案を国会へ提出するなど、行政推進の姿勢は堅持しているように見受けられはいたします。しかし、今日まで進められてきた諸施策は、健康保険法改正の動きにも見られるように、国民に負担増を強いるいわば切りやすいところからの改革が中心で、思い切った中央省庁の統廃合、国鉄の本格的改革、特殊法人の整理など行政改革の本来の目的である機構減らし、人減らし金減らしという点での改革は、ほとんど手つかずの状態であると言っても過言ではありません。
さらに、増税なき財政再建を言いつつも、五十九年度税制改正では、減税財源の見返りに酒税、物品税など既存税目の洗い直しを行い、増税路線への転換を図ろうとさえしております。
総理の行財政改革に政治生命をかけると言われた公約を、今後どのようなスケジュールのもとに果たそうと考えておられるのか、具体的に明示していただきたいと思います。
また、来年度予算編成に臨むに当たっては、行財政の改革という見地からどのような方針を考えておられるのか、御見解を伺いたい。
さて、専売制度改革について伺います。
専売改革の具体的内容が示されたのは五十七年七月の臨調の第三次答申でありますが、提案されている改革案の内容では、必ずしも基本答申どおりとは言いがたいのであります。第三次答申が出た後、五十七年八月、臨時行政調査会の第三次答
申に関する対処方針で、政府は、答申を最大限尊重する旨の閣議決定を行っております。総理は、今日までの専売制度の果たしてきた役割をどう評価し、認識されてこのたびの改革に至ったのか、明らかにしていただきたいのであります。
次に、改革内容について具体的にお伺いをいたします。
まず、経営形態についてであります。
臨調答申では、国産葉たばこ問題が解決し、特殊会社の経営基盤が強化された段階で民営化に移行することとなっております。改革案では、全額政府出資とし、株式の二分の一以上は政府が保有することとし、附則で当分の間は三分の二以上を保有することになっておりますが、この「当分の間」についてはいつごろまでなのか定かではありません。また、政府保有以外の株式が一般に公開されるのかどうかも不明であり、法律案からは民営化の将来構想は何ら見当たらないのであります。提案されている今回の経営形態のあり方は、将来の民営化のワンステップと考えているのか、あるいは特殊会社が経営形態の終着点なのかどうか、総理の見解をお伺いしたい。
さらに、今回の改革案において、政府が当分の間、三分の二以上の株式を保有することにした理由は何なのか、あわせて御答弁を願いたい。
また、新法人に対する政府規制は可能な限り緩和するとしているにもかかわらず、事業計画の決定、取締役の選任や解任、重要財産の譲渡などについては大蔵大臣の許可が必要となっており、相変わらず政府関与が規定されていることは否定できません。このような規制が、外国たばこ産業との競争にも耐え得る機動的、効率的経営を阻害することにならないのかどうか。あわせて、新法人の全取締役の選任や解任などの大事について政府規制のもとに置くことは、行政庁からの天下り先の確保を図るものではないかとの疑問が持たれておりますが、この点についても明確な御答弁を願いたい。
さらに、新法人の労働関係は、公労法の適用をやめ労働三法によることになっておりますが、株式を二分の一以上、当分の間三分の二以上を政府が保有する状況のもとで、果たして公正な労働関係の確立が可能かどうか、政府の介入はないことを約束できるのか、お伺いをしたいと思います。
次に、葉たばこ生産に関して伺います。
我が国の葉たばこの価格は、外国葉たばこに比べ三倍程度高い状況にあり、全量買い取り制による公社の一年分の過剰在庫の現状から、臨調答申では全量買い取り制を廃止し、耕作者との契約とすべきであるとしております。今回の改革案では、耕作者と新会社が買い入れ契約をし、その契約に基づいて生産された葉たばこは新会社が全量を買い上げることになっております。しかし、約十万と言われる葉たばこ生産農家にとっては、現行の全量買い取り制度が維持されることを強く要望しており、公社を株式会社へ変更することに大きな不安を抱いております。
特に、葉たばこ耕作者の八五%強が専業農家あるいは第一種兼業農家であり、立地条件の悪い山間部等に多く、転作も不可能な状況にあるのが実態であります。そのため、耕作面積の調整は葉たばこ耕作者にとっては死活問題であり、契約による全量買い取り制度においてもなお不安はぬぐい切れないのであります。しかも、衆議院の論議を通じて大幅な減反政策もやむなしとの見解も明らかにされているところであります。これら耕作者の不安を除去し、営農基盤の確保がなされるような具体的施策をどう進めていかれようとするのか、総理並びに大蔵大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。
次に、小売人の指定制度についてであります。
臨調答申では、小売人の指定制度は廃止し、契約によることとなっていますが、改革案においては、激変緩和措置として当分の間、小売人の許可制をとることになっております。当分の間の措置としての許可制を将来はどのようにしようと考えておられるのか、明らかにしていただきたい。
次に、専売納付金制度からたばこ消費税制度への移行問題についてお伺いします。
今回のたばこ消費税制度では、税率は現行の納付金率を維持し、国と地方の税源配分比率も現行の考え方を基本的に守ることとしておりますが、税率において従価税と従量税を約八対二の割合で組み合わせることにしております。このような従量税をたばこ消費税制度に導入した意図は何なのか、まず明らかにしていただきたい。
昭和五十年度以降の特例公債発行下において、政府は何度か既存の専売納付金に加えて、財源対策として特例納付金や臨時国庫納付金を求めてきました。今回、従量税を導入して、従量税部分を適宜見直すことにより、財源対策としてのたばこ消費税の確保をねらっているのではないかとも思われるのですが、あくまで外国たばこのダンピング的輸出を抑えるという産業政策上からの従量税制度導入と言い切れるのかどうか。もしそうだとすれば、今後、税率の見直しに際しては、例えば紙巻きたばこの負担率は五六・四%を上限とすると明言できるのかどうか、明確にしていただきたい。
次は、輸入たばこ自由化問題であります。
専売改革の一つには、我が国たばこ市場の開放要請がその根底にあったことは否定できないところであります。今回の改正により、大蔵大臣の登録を受けるとどのような企業でも外国たばこの販売が可能となり、国産製造たばことの競争の激化が予想されますが、五十八年度の外国たばこシェア一・八%が一体どの程度まで拡大されるものと見ているのか、かつ、その影響についてはどのような対策を講じようと考えているのか、明らかにされたい。
また、外国たばこの価格は当分の間、大蔵大臣の認可を受けることになっておりますが、このような規制が諸外国からの批判の対象となるおそれはないのかどうか、さらに、安い外国たばこを喫煙者に供給する道を狭めることにならないのかどうか、お伺いをしたい。
最後に、塩専売について伺います。
塩は国民生活において必要欠くべからざる基礎物資であり、資源ナショナリズムの観点等からも、最小限食料用塩の需要量程度は国内生産で賄うとの方針のもとに、国内塩価格の早急な国際価格水準へのさや寄せ、国内製塩業の自立体制の確立が求められているところであります。
塩事業の自立化への道は、塩田方式からイオン交換膜法による工場製塩方式への切りかえ、さらには新膜新電槽の導入によるエネルギー効率の促進、省エネ対策の推進など製塩部門の改善、販売面では企業の自己責任による取引を拡大し、市場原理の導入を目的とした販売特例塩制度の導入、加えて輸送、保管、流通面での合理化などにより進んできてはおりますが、なおその前途は厳しいものがあります。今後、自立体制の確立にどのように取り組み、いつごろまでにその確立を図ろうとするのか、そのプランを明らかにしていただきたいと思います。
今回の改革案は、専売制度八十年の歴史に一大転換をもたらすものであり、十万の耕作者、二十六万の販売店及び専売事業に関連する百万を超える人々が不安を抱きつつ見守っておるのであります。総理並びに大蔵大臣の明確な御答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/9
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010・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 藤原議員にお答え申し上げます。
まず第一番は、行財政改革、特に行政改革のスケジュールについてでございます。
政府は、累次にわたり臨調答申を受けまして行革大綱をつくりまして、その線に沿って今まで推進してきたところでございます。六十年度以降におきましては、国鉄事業の抜本的再建そのほか、国の行政組織及び定員の合理化、補助金の整理統合化、国、地方を通ずる行政の簡素効率化、あるいは国、地方における事務事業の整理合理化等、
そのほか特殊法人の整理合理化等の大きな問題について努力してまいるつもりでございます。
財政改革についての具体的スケジュールについて御質問がございましたが、昭和六十五年度までに特例公債依存体質から脱却する、増税なき財政再建の理念を堅持していく、そして臨調答申の基本線に沿ってこれを行っていくという、この原則に基づいて今後とも努力してまいります。
まず、歳出面におきましては、政府と民間、国と地方との間の役割と責任を明確にする、調整を行うということ、なお既存の制度、施策についても引き続き改革を行うこと、あるいはさらに、各種の公共サービスの確保は国民の負担に裏づけられるものであることにかんがみまして、歳入面におきましても社会経済情勢の変化を踏まえ、歳出歳入の全般的な見直しを行ってまいるつもりでございます。
専売制度の果たしてきた役割の評価について御質問をいただきましたが、我が国の専売事業は、財政専売として財政収入の確保、あるいは塩におきましては公益専売として塩の需給及び価格の安定にそれぞれ所要の役割を果たしてきたと評価しております。
しかしながら、開放経済体制を志向する我が国といたしましては、たばこ事業をいつまでも閉鎖的な状況に置くことは適当でない。製造たばこの輸入自由化に踏み切るとともに、これと並行して専売公社の経営形態を自由な競争に耐え得るものに改めようと、そういう考えで改革を行ったところでございます。
次に、これは民営化へのワンステップではないかという御質問でございますが、今次の改革法案におきましては、特殊会社という経営形態及び製造独占が定められておりまして、特殊会社化が民営に至る経過措置として位置づけられてはおりません。
政府が当分の岡、三分の二以上の株式を保有することとした理由いかん、こういうことでございますが、これはある意味における激変緩和措置で、二十五万にわたる小売店、あるいは十万にわたると言われる耕作者、これらの方々に対して変化に対する不安感を与えない、そういう考えをもちまして、常時二分の一、附則で当分の間三分の二以上の株式を政府が保有して安定感を持たせるという意味があったわけでございます。
それから、新法人への政府関与、事業計画、役員の認可等に関して御質問がございました。天下りを排するという御趣旨であると思います。
新会社は諸般の情勢から、製造独占が付与された政府関係特殊法人として設立されますが、経営の自主性を最大限発揮するという趣旨のもとに、政府規制は必要最小限にとどめておりまして、機動的、効率的経営が阻害されないように措置されているところであります。
役員の選解任の認可は、これは人物、識見を中心にして勘案すべきものであると考えております。
労働関係についての御質問がございましたが、労働三法を完全に適用いたしまして、労使間の問題は労使間の話し合いにゆだぬべきものであると考えております。
葉たばこ耕作者に対する配慮をどのように考えているかという御質問でございますが、この点につきましては、葉たばこの全量買い取り制の維持、あるいは葉たばこ審議会の設置、また、葉たばこ審議会の審議基準の明定、例えば再生産確保の価格を考慮するようにする、こういうような諸般の措置を講じているところであります。
塩専売事業の自立体制の確立に向けどのように取り組むかという御質問でございますが、公社を中心とした塩事業関係者の協力により、今後、塩収納価格の国際価格水準への接近、流通の合理化、効率化等に積極的に取り組むことを期待している次第でございます。
残余の答弁は大蔵大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/10
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011・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず、専売制度の果たした役割の評価、認識でございます。
公社制度並びにたばこ専売事業、そして塩専売事業は、それぞれ財政専売として財政収入の確保に、また公益専売としての塩の需給及び価格安定に、それぞれ所要の役割を果たしてきたと評価いたしております。
しかし、開放経済体制を志向する我が国としましては、たばこ事業をいつまでも閉鎖的な状況下に置くということは適当ではございません。製造たばこの輸入自由化に踏み切りますとともに、これと並行して専売公社の経営形態を自由な競争に耐え得るものに改める、これが必要と判断されたわけであります。要するに、専売公社の経営に大きな欠陥が生じているわけではございません。たばこ事業の今後のあるべき姿を展望いたしてみますときに、専売公社の経営形態の変更はいわば避けて通れないものだという判断に立ったわけでございます。
それから、総理からも御答弁ございましたが、将来民営化のワンステップと考えているのかどうか、こういう御議論でございます。
割高な国産葉たばこを抱えております現状のもとで、輸入自由化を行いながら、なお我が国たばこ産業が国際競争力を確保して健全な発展を遂げることを期していきますためには、専売公社を政府出資の特殊会社に改組しながら、これに製造独占を付与する以外にないと、こう判断をしたわけであります。特殊会社化という経営形態、製造独占、これはいずれも恒久的な措置とされておるところでございまして、いわば分割民営に至るワンステップという位置づけはいたしておりません。
それから、当分の間の株式保有の問題でございます。
総理からもお答えがございましたが、新会社設立の目的に沿った事業運営を担保するために、常時二分の一、そして附則で当分の間三分の二と、こう義務づけをしておりますが、政府に対し当分の間三分の二以上の株式保有義務を課することとしておりますのは、少なくとも新会社の事業が軌道に乗るまでの間、迅速に特別決議を行えるだけの株式数を政府が保有しておく必要がある、そのように考えられたためでございます。
それから、新法人への政府関与の問題でございますが、合理的企業経営が最大限可能な特殊会社に改めたわけであります。したがって、その認可事項等会社の事業運営に対する公的規制は必要最小限にとどめる、そして既存の他の特殊会社と比べましても最も規制が緩やかなもの、こういう考え方に立っておるわけでございます。
新会社の取締役、監査役の選任及び解任の決議は、大蔵大臣の認可を受けなければその効力を生じないこととなっておりますが、大蔵大臣の認可に当たっては、当該者の出身母体がどこかとかいうようなことは無関係で、まさに人物、識見等を勘案し、公正に行っていかなければならない課題だと理解しております。
それから、労働関係でございますが、基本的に労使間の話し合いにゆだねられるべきものである、こういう考え方に立っております。労働三法を適用したところでございますから、当然のことでありましょう。
それから、今回の改革に大きな不安を抱いておる葉たばこ耕作者の方々に対する配慮の問題でございます。
まさに、たばこ事業関係者に急激な変化が及ぶことがないよう慎重な配慮を加えております。具体的にこの問題を申し上げますと、葉たばこの全量買い取り制の維持、そして葉たばこ審議会の設置、葉たばこ審議会の審議基準の明定、これらの措置を講じております。特に、葉たばこ耕作面積及び買い入れ価格につきましては、製造独占が認められる新会社が実質的に買い手独占として一方的に買い入れ価格を決定することがないように、新会社内に葉たばこ審議会を設置し、さらにその委員の委嘱に際してはあらかじめ大蔵大臣の認可
にかからしめる、このようになっておるわけであります。したがって、一層の公正さが担保されるよう配慮しておるところでございます。
それから、小売人許可制の問題でございます。
専売制度廃止に伴いまして小売人指定制を一挙に廃止したといたしますならば、流通秩序に少なからぬ影響を与えます。零細小売人の共倒れ、深刻な社会問題を惹起する可能性が多い、こういう判断に立ちまして、既存小売人の実態等にかんがみ、小売人への激変緩和を図るという考え方から、小売販売業については当分の同許可制としたということであります。
当分の間が経過したらどうなるかと、こういうことでございますが、その時点における小売販売業者の実態等を考慮しながら検討すべき問題でありまして、現時点ではこれに言及するという状態にはなかろうというふうに思っております。
消費税のいわゆる従量税等税率に関するお尋ねでございます。
たばこ消費税につきましては、価格に応じた負担を求めることができる従価税を基本としながら、嗜好品であるたばこについて消費量に応ずる効用がある面も否定できないというところから、この面に着目しましてある程度の従量税を組み合わせることが適当だという考え方であります。
その場合、従価税と従量税の組み合わせ比率につきましては、まずは、たばこが重要な財政物資であることを考慮しますならば、価格に応じた負担を求めることができます従価税の割合をできるだけ高くすることがまず望ましい。そして次には、現行の専売納付金制度が従価税的仕組みになっておる、これまでの経緯がそうなっておるということであります。さらには、従量税部分を余り大きくいたしますと、税の負担率は全面従価税の場合に比べまして高価格品については大きく低下し、低価格品につきましては大きく増加するという問題がございます。これらを勘案いたしまして、従価税の部分を大きくし、従量税の部分を少なくするのが適当であると思われますことから、従価と従量の組み合わせ比率は八対二程度とすることが適当と考えたわけであります。
税負担水準の問題についても御言及がありました。
今次の制度改正に伴いますたばこ消費税制度への移行に当たりましては、たばこの種類別の国と地方とあわせた税負担は、現行の納付金率と同一の水準とすることを基本としてたばこ消費税の税率水準が定められております。たばこ消費税の負担の水準を考えるに当たりましては、間接税体系ひいては税体系としてのたばこの特性や諸外国におきますところのたばこの税負担水準の動向等をも勘案しながら、幅広い観点からそのときどきにおいて現実的に判断すべき性格のものであろうというふうに考えております。
それから、自由化によるシェア拡大の問題でございますが、なかなか予見することはむずかしい問題でございます。いずれにしても、外国たばこメーカーとの競争が展開されることになります結果、我が国のたばこ産業が何らかの影響を受けることは、これは避けられない事実でございましょう。したがって、輸入自由化後の外国たばこのシェア、またその影響を計数的に申し述べるということは、まだ相手方の営業の戦略、また国民の消費動向等現段階では必ずしも明らかでない点が数ございますので、これを予測することは難しい問題であります。
いずれにいたしましても、我が国たばこ産業が国際競争力を確保して長期的に維持発展していくことが必要であります。新会社を初めといたしますたばこ事業関係者の努力に期待をいたしますとともに、政府としても、必要に応じ新会社に対し適切な指導を行ってまいる考え方であります。
それから、大蔵大臣の認可を受ける外国たばこの価格規制の問題でございます。
今次改革において、小売店に対する激変緩和の観点から、当分の間、全国一律の小売定価制を維持することとして、このため、小売定価について大臣認可を受けることにしたわけであります。この大臣認可は、内外製品に対して無差別に適用されるものでありますこと、そしてまた認可に際して、申請価格がダンピング価格などのような不当なものでない限りこれを認可することとなっておりますので、その限りにおいては自由に価格政策を展開することができます。したがって、諸外国から批判を受けるおそれはないではなかろうかという考え方でございます。
それから塩の問題でございます。
塩収納価格の国際価格水準への接近、そして流適合理化、効率化、これらに今日までも塩事業関係者の協力によって取り組んでまいっております。改革後におきましても、この問題には一層積極的にこの努力が継続されることを心から期待いたしておるところであります。したがって、今次改革法案におきましても、この自立化努力を促進するという観点に立ちまして、販売特例塩制度の活用、それから元売人商売買の導入、これらの措置を講ずることといたしておるところであります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/11
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012・木村睦男
○議長(木村睦男君) 近藤忠孝君。
〔近藤忠孝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/12
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013・近藤忠孝
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表いたしまして、たばこ事業法案など専売関係五法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
第一は、経営形態の根本的な変更の背景にある我が国たばこ市場の開放についてであります。
現在、先進諸国においては喫煙人口、喫煙数量がともに減少し、アメリカなどの民間たばこ企業は、自国内の売れ行き不振を補うために世界第二位の市場を有する我が国への進出をねらい、これを販売戦略の最重点に置いています。したがって、今我が国のたばこ市場を開放することは、国民の健康やたばこ関連の農民と労働者の犠牲のもとに、国際たばこ資本を背景とするアメリカの要求に屈従することにほかならないではありませんか。断じて容認することはできません。
八十年にわたる専売制度並びに戦後続いた公社制度こそ、農業政策の根幹の一つとしての葉たばこ耕作者の利益を守り、国民の健康を保持し、財政に寄与するなど重要な歴史を持っているのであります。総理は、今日までのこの専売制度の意義を否定するのでありますか。見解を求めます。
第二は、今回の経営形態の変更が事業の公共性の放棄につながる問題であります。
この公共性を考える上でますます重要になっておりますのは、国民の健康などに配慮した節度ある事業経営の確保と、たばこ耕作農民の保護であります。
喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは、世界の多くの権威ある調査がはっきりと示しております。今、専売制度を廃止し、公共的な規制が届かなくなると、現在でも後退している公社の健康問題への配慮がさらに弱まり、安全性と健康についての調査研究部門が切り捨てられるのではありませんか。経営形態の変更で、健康などに配慮した節度ある事業経営ができると考えているのでありますか。総理並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
厚生大臣、あなたはたばこの害について一定の見解を持っておられますが、国民の健康の重要性を考えるならば、厚生省として喫煙の悪影響に関する研究を一層充実すると同時に、公社や新会社にもこれを要求すべきだと思いますが、どうですか。
特殊会社移行後も、たばこ耕作農民の強い要求によって全量買い取り制が形の上では維持されることになりましたが、今までと違って、新会社と耕作農民との間であうかじめ契約した面積と価格での買い取りであります。したがって、今後の市場動向や国産葉たばこのコスト高要因を考えますと、契約面積、契約価格自体、現在よりもさらに切り詰められるおそれがあります。既に現在でも、政府は公社の見通しの甘さによって生じた葉たば
この過剰在庫を理由に減反計画を押しつけているではありませんか。特殊会社への移行によって、この不安は一層深刻になるばかりであります。
政府は、葉たばこ耕作を日本の農業政策の重点と位置づけますか。そして第一に、生産費を十分に償う価格を保障すること、第二に、減反の押しつけをやめ、全量買い取り制を実質的に維持することを確約できますか。総理並びに農水大臣に明快な答弁を求めるものであります。
第三は、経営形態の変更と公社職員の労働条件の問題であります。
既に公社は、機械のスピード化、工場の統廃合など急速な合理化を進めてきましたが、経営形態の変更によって国際競争力と利潤追求が第一義的な目的となり、労働者へのしわ寄せが一段と強まることは必至であります。既に、新聞報道によれば、大蔵省と公社は新会社への移行に伴い、五年間で一万人にも及ぶ人員削減など合理化計画を進める方針を固めたと言われていますが、これは公社で働く労働者の死活問題であります。一体、このような労働者犠牲の計画が存在するのですか。また、これを強行しようというのですか。大蔵大臣の具体的かつ明確な答弁を求めます。
既に一分間二千回転から四千回転、さらには八千回転の巻き上げ機の導入計画など、機械のスピード化はとどまるところを知りません。既に労働者は目や肩の痛み、頭痛や頸腕などの障害を訴えております。特に婦人労働者にとって二交替制は過酷な勤務形態となっており、妊婦などへの健康影響は無視できない状況にあります。しかるに、私の調査では、政府と公社はその実情を十分正確に把握していないではありませんか。回転数上昇を競争力の主要な手段としていくことが明らかな今日、機械のスピードアップの労働者の健康に及ぼす影響について本格的な調査研究をなすと同時に、労働条件改善など健康被害防止のために万全の措置をとるべきだと思いますが、大蔵大臣の答弁を求めます。
さらに、新会社への移行後、政府はこのような労働強化を抑制し、労働条件の維持改善を図るためにどのような配慮をするのか、明確にしていただきたいと思います。
第四に、小売店への影響について伺います。
当分は現行制度を維持することにしていますが、将来は小売許可制も廃止される結果、大手販売店の進出が予測される上、公社が計画している営業所の統廃合が進められることによって、地方山間部はもちろん、すべての零細小売店への悪影響が出てくることは明らかであります。政府は、零細な経営が多いたばこ小売店の経営安定のために適正なマージン率を確保し、将来とも小売許可制を維持するとともに、大企業のチェーン店の進出及び過当競争の抑制など必要な対策を講じるべきだと思いますが、いかがですか。
最後に、消費税導入と小売価格の値上げによる大衆負担の増大について質問いたします。
政府は、今回創設されるたばこの消費税は、従来の納付金負担と同水準だから税の増減はないと言うのでありますが、新会社をめぐる内外経済情勢の変化に加え、法人税、株式配当など新会社に課せられる新たな負担増と会社の利潤確保を考えますと、たばこ小売価格の引き上げ要因は大きいと言わなければなりません。将来、たばこの値上げとそれによる増税の結果、大衆負担の増大は必至ではありませんか。新会社の移行に際して、既に小売価格の値上げが検討されているのではありませんか。明確にお答え願います。
以上、政府が目指す専売制度の廃止と新会社への移行は、国際たばこ資本の要求に押されて市場を開放し、臨調行革の実行の名目で、巨額の利益を上げている国の事業をいずれ民間大企業に売り渡す道を開くことによって、財界や大企業に巨額の利益を保証する反面、国民の健康やたばこ耕作農民、公社の労働者、さらにたばこ小売店にも多くの不利益と犠牲をもたらすことは明らかであります。これは国民の立場から断じて容認できないものであって、私は強く反対し、公社制度を守るべきであることを主張いたしまして私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/13
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014・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 近藤議員にお答えをいたします。
まず、市場開放は国際たばこ資本の我が国への進出要求に屈したのではないかという御質問でございますが、そういう事実は全くございません。貿易立国の日本の現在の立場を考えるときに、長期的に日本経済の基盤を強化するという意味、あるいは日本にふさわしい国際的役割を果たす、こういうような面から見て、開放経済体制への対応が適切な措置である、その一環としてこれは行われた点もあるのであります。
次に、専売制度の意義を否定するかということでございますが、たばこ並びに塩の専売事業は、それぞれ財政専売あるいは公益専売としての有益な意義を果たしてきていると評価しております。しかし、時代の変化に即応するように我々は今この改革を行わんとしておるものでございます。
次に、健康に配慮した節度ある事業経営ができなくなりはしないかということでございますが、喫煙と健康の問題への適切な対応は、たばこの製造者の社会的責務であります。事業形態変更後におきましても積極的にこの問題に取り組むよう指導してまいります。表示義務を法定化するとともに、製造たばこの広告に関する必要な指導等が行われるように手配してあります。
次に、生産費を償う価格の保障や全量買い取り制を維持する約束をするかということでございますが、激変が及ぶことがないように、合理的な範囲内において必要な配慮を行っております。特に、たばこ耕作者につきましては、葉たばこの全量買い取り制の維持、あるいは葉たばこ審議会の設置あるいは審議会の審議基準の明定等の措置を講じておるところでございます。
残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/14
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015・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問、まず、たばこと健康の問題でございます。
これは、従来から調査研究の拡充、低ニコチン、低タール製品の開発等の措置を講じてきたところでございます。制度改正後におきましても、喫煙と健康問題は新会社にとってゆるがせにできない問題でございます。新会社としても、当然この問題に対して積極的に取り組むべきものと考えておりますが、監督すべき立場にある大蔵大臣といたしましても、引き続き十分新会社を指導してまいりたい、このように考えております。
それから、過剰在庫問題でございます。
四十年代を通じてたばこ消費需要は順調に増加してまいりましたが、五十年代に入り、折からの喫煙と健康問題、それから成人人口の増加率の低下等によりまして、たばこ需要が四十年代の年率五ないし六%の伸びから五十年代の年率一%前後の伸びへと大きく減退してきたことに加えまして、軽いたばこへの嗜好の変化等、葉たばこ使用量が減少したことが過剰在庫発生の原因である、このように考えております。
それから、新会社移行に伴うところの人員削減、合理化計画等々のことについて御意見を交えての御質問でありますが、制度改正後の厳しい国際競争下で、新会社が我が国たばこ産業の健全な発展という政策目的を果たすためには、みずからの経営合理化努力を積極的に行う、これは不可欠なことであります。公社においてはこのような観点から、制度変更をまつまでもなく、現段階から事業全般にわたる合理化施策を鋭意検討しておられると承っておりますが、具体的な成案が得られたということはいまだ承知しておらないところでございます。いずれにしても、合理化問題は基本的に新会社の自主性にゆだねるものですが、監督大臣としては当然関心を持つべきことであろうと思います。
それから、機械化のスピードアップ等による問
題についてのお尋ねでございます。
たばこ事業を取り巻きます内外の厳しい状況のもとで、企業としての合理化努力を行うことは、これは必須の要請であります。公社においては低能率の機械から高能率の機械への転換が行われておるところでありますが、高能率の機械の導入に当たりましては、労働組合の方と十分協議の上、職員の健康を損ねることにならないよう配慮しているところである、このように承っております。
妊娠中または出産後の女子職員の方につきましては、健康診査、通勤緩和等の配慮が行われておるというふうに承っておるわけでございます。
それの調査研究、こういう問題でございますが、公社及び改組後の新会社が競争激化の中で一層の効率化、合理化に努める必要があるのは当然でございますが、新機種の導入に当たっては、労働者の方々の健康について十分配慮しながら、組合と協議の上実施していく考えであるということに承っております。
それから、労働条件の維持改善にどのような配慮をするかということでございます。
労働条件につきましては、原則として現行条件が維持されるというふうに承知しております。また、移行後におきましても、職員の方が意欲的に業務に取り組めるよう、労働条件については組合と誠意をもって話し合っていくべきものだという理解をしております。
次が、小売関係のマージン率等々の問題であります。
全国約二十六万、この小売店には零細小売店が多い、そのほか身体障害者福祉法によりますたばこ等の小売店の開業に際して一種の社会政策的配慮が加えられておること等十分考慮いたしまして、たばこ小売店に対し急激な変化が及ぶことがないよう慎重な配慮をしていかなければならぬ。具体的には、たばこ小売店の現状等にかんがみまして、激変回避措置として、当分の間、販売業許可制を採用、既存の小売店を小売販売業の許可を受けたものとみなすとともに、小売定価制につきましても小売店に対する配慮等から、これまた当分の間これを維持する、こうしておるところであります。
法人税、配当等、小売価格の引き上げにつながりはしないか、値上げを計画しておるのではないか。
いわゆる会社化後の財務見通しにつきましては、輸入自由化後のいわゆるシェアの見込み、その他事業計画に不確定要因が多くありますので算定は難しい。しかし、外国たばこシェアの増によります売上数量の減とか物価上昇等が予想されますものの、経営の一層の合理化、効率化努力によって、現行の定価を維持すべく最大限の努力を払うものというふうに聞いております。
それから小売価格と増税の問題でございます。
たばこ消費税の税率を定めるに当たりましては、価格に応じて負担を求める従価税を基本としながら、一部数量に応じて負担を求める従量税を抱き合わせとしております。したがって、仮にたばこの小売価格が引き上げられる場合には、従量税に見合う負担分につきましては影響がないことから、全体としてのたばこの税負担率は低下することとなりますし、引き上げ部分に対する従価税に見合う税額分が増加することをもって、直ちにこれをとらえて増税と言うことは当たらないというふうに理解をしていただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣渡部恒三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/15
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016・渡部恒三
○国務大臣(渡部恒三君) お尋ねの喫煙の健康に及ぼす影響につきましては、世界各国において、また国内各方面に拾いて多くの研究が行われております。厚生省としても、従来より調査研究に鋭意取り組んできております。今後とも一層の推進を図ってまいる所存でございます。
喫煙と健康の問題に対する新会社の取り組みについては、ただいま大蔵大臣から御答弁がございましたように、所管省において適切な指導がなされるものと考えておりますが、厚生省としても、国民の健康を守る立場から深い関心を持っており、必要があれば所管省と相談してまいりたいと思います。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣山村新治郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/16
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017・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 葉たばこは、我が国の農業にとりまして極めて重要な作物でございます。したがいまして、農林水産省といたしましては、生産性の向上を図るため、土地基盤整備、経営近代化施設の整備等に対しまして助成措置を講じてきたところでございますが、今後とも大蔵省、新会社と十分連携をとりながら、適切な対策を講じてまいりたいというぐあいに考えます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/17
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018・木村睦男
○議長(木村睦男君) 山田勇君。
〔山田勇君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/18
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019・山田勇
○山田勇君 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となりました日本専売公社の改革のための諸法案につきまして、総理並びに関係大臣に御所見をお伺いいたします。
まず、行財政改革全般についてお尋ねをいたします。
既に御承知のとおり、第二臨調はその答申において、今後の我が国の行政の目指すべき二大目標として、「活力ある福祉社会の建設」と「国際社会に対する積極的貢献」を提唱するとともに、既存の制度、政策の見直しのための視点として、「変化への対応」、「総合性の確保」、「簡素化・効率化」、「信頼性の確保」の四つを提示されました。中曽根内閣は、かねてよりこの臨調答申の最大限尊重を公言されてきたのでありますが、総理はこのような答申の指摘を来年度においていかに具体化していこうと考えておられるのか。
特に「活力ある福祉社会の建設」と「国際社会に対する積極的貢献」の二大目標の実現のための経費、すなわち社会保障、公共事業、文教、経済協力、先端技術の開発など、これらの経費を総理は六十年度予算においてどのように確保し、実現を図ろうとされておるのか。そのためには、近く決定を予定されております六十年度の概算要求枠、いわゆるシーリングの設定をいかなる方針のもとに行うつもりでおるのですか、総理並びに大蔵大臣のお考えをお伺いいたします。
また、臨調答申は、行政改革を推進するてことして増税なき財政再建の方針を示しているのでありますが、総理が答申の最大限尊重を言われる以上、この方針が中曽根内閣の続く限り厳守されることは当然と考えますが、さらに、このことは国民と政府との公約であり、単に中曽根内閣だけの問題ではなく、今後どなたが政権を担当しようと増税なき財政再建という方針は、少なくとも六十五年度に赤字国債依存体質からの脱却という目標を達成するまでの間、あくでま堅持しなければならないと考えますが、総理の決意のほどをお伺いいたします。
さらにもう一点、政府としては、六十年度における行政改革の重点をどのような課題に置き、その実現のためにはいかに対処していくのか、その点、総理並びに総務庁長官の御所見を承りたいと思います。
次に、日本専売公社改革のための諸法案についてお伺いいたします。
第二臨調の指摘のとおり、公社制度の趣旨は、国会及び政府による規制、監督による公共性の確保、それと一方で、事業経営上の財務、会計、人事管理等の面において一般行政官庁並みの規制を排除し、民間企業の能率的な経営技法を取り入れた自主的な企業活動を行わせるということでありました。
すなわち、公共性と企業性の調和という理念のもとに、昭和二十四年に設立された日本専売公社によるたばこ専売事業の運営は、最近までおおむね順調に推移してきたのでありますが、昭和五十年度以降、事業にかかわる内外の環境条件の悪化
が顕著となり、国内産葉たばこの国際価格水準からの乖離、約一年分の過剰在庫、外国企業による市場開放攻勢、国会及び政府による諸規制に伴う経営の自主性阻害など諸問題を抱えるに至っております。
このような状況のもとで、第二臨調が専売公社の改革のための指針を提示し、新たな経済社会情勢の推移に十分対応できるたばこ産業の確立を図ろうとされたことは、まさに時宜を得たものと言うべきであります。
しかしながら、今回政府から提出された専売公社の改革法案は、第二臨調の答申が示した方針からかなり後退し、特に専売公社の改革の真の目的が、企業的経営を阻害する諸規制を排除し、経営の自主性を確立することにあるにもかかわらず、政府が今回の法案において、当分の間、会社の発行済み株式総数の三分の二以上の株式保有を政府に義務づけ、事実上現在と余り変わらない経営形態を続けていこうとしていること、そればかりではなく、取締役等の選任などの決議を大蔵大臣の認可にかかわらしめ、政府の規制を温存しようとしていることなどは、今後の経済社会状勢の変化に十分対応できるたばこ産業の確立に向けての政府の熱意の欠如を物語るものであり、承服しがたいものであります。
また、臨調答申が専売改革の大きな一つの理由として、葉たばこ調達を需給状況に応じて企業的に行えるよう制度の改善を図る必要があるとしているにもかかわらず、国内産葉たばこの買い入れ制度の改革を不十分なままとどめていることは、専売公社改革の本質を忘れたものと言わざるを得ず、行革骨抜きのそしりを免れることはできません。
そこで、総理にお伺いをいたします。さきに臨調答申が求めた専売公社改革の基本理念は何にあったとお考えになっておられますか、まず明らかにしていただきたい。
総理は、さきに衆議院の大蔵委員会において、今回の専売改革法案は臨調答申から後退しており、反省しているという旨の発言をされておりますが、総理が後退したと考えておられるのはどのような点なのが、また、なぜそのように後退せざるを得なかったのか、総理の率直な御所見をお聞かせください。
行革与党を自認する私どもにとって、今回の専売改革法案が遺憾ながら不十分なものと判断せざるを得ないことは前述のとおりであります。本来、多くの修正を求めたいところでありますが、しかしながら、政府・与党がこの法案についてこれまで歩んできた経緯にかんがみれば、政府・与党が修正に応じ得る範囲はおのずと限られたものと判断せざるを得ないということも事実であります。そこで、私どもは要求を最小限にとどめ、少なくとも以下の三点について、政府・自民党が修正に応ずるよう検討を求めたいのであります。
その第一点は、日本たばこ産業株式会社法案について、役員にかかわる大蔵大臣の認可対象が、取締役についてその全員の選任及び解任に及んでいるのを、代表取締役の選定及び解職に限ることであります。
第二点は、同法案の附則に、政府は会社の成立の日から五年以内に会社のあり方を検討し、それに基づいて必要な措置を講ずるものとする旨の条文を新設することであります。
第三点は、たばこ事業法案の附則に、政府は法律施行の日から五年以内に法律施行の状況を検討し、それに基づいて必要な措置を講ずるものとする旨の条文を新設することであります。
このうちの第一点は、総理の言われる民間活力活用の先駆たるべき関西新空港株式会社については代表取締役に限定されていることから、また第二点、第三点は、現在審議中の電電改革法案には既に同趣旨の条文が明定されていることから考えても、極めて私は妥当なものと判断するのでありますが、総理並びに大蔵大臣のお考えをお伺いいたします。
総理は、さきに我が会派の柄谷議員の質問に答えて、私はデレギュレーション、いわゆる規制緩和という面では積極派なので、野党の意見でもよいと思われるものについては話し合う余地はある旨の発言をされておりますが、私がただいま申し上げた諸点は、まさに総理の言われるデレギュレーションに資するものと思うのでありますが、これらについての修正に応ずる考えをお持ちでしょうか。
今回の専売改革法案は、今後の中曽根行革の行方を占う上で重大な意味を持っていると思います。中曽根総理が、臨調の求めた行革の原点に立ち返って、今回の法案をより一歩行革の基本理念に近づけるよう御検討を賜り、今後の行革推進に対して汚点を残さないよう強く御要望申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/19
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020・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 山田議員の御質問にお答えを申し上げます。
まず、概算要求枠に関する御質問でございますが、今後とも六十五年度赤字公債依存体質脱却、あるいは増税なき財政再建の理念を守っていくという点、あるいは臨調答申を尊重してその基本線に沿って運営をしていく、こういう点は守ってまいるつもりであります。
六十年度予算の編成の第一歩として概算要求基準を設定するに当たりましては、聖域を設けることなく、歳出歳入全般にわたる徹底した見直しを行い、そして冗費の抑制を図る、そういう昨年度並みの方針のもとで厳しい設定を行わなければならないであろうと、そう考えております。
また、増税なき財政再建を堅持するかという御質問でございますが、財政改革は、何よりも制度の徹底した見直し等による厳しい歳出削減が要請されておるのでありまして、増税なき財政再建は、理念としてこれを最大限守っていく考え方でおります。
次に、新規増税あるいは既存の税目の増徴を行うかと、そういう御質問でございますが、この点については、ただいま税制調査会におきまして鋭意審議しているところでございまして、税制調査会の答申をまず見守るという態度でおります。いずれにせよ、臨調答申を守っていきたいと思っております。
大型間接税の導入について御質問がありましたが、いわゆる大型間接税なるものは、中曽根内閣においてはこれを導入する考えはございません。
次に、六十年度における行政改革の重点は何かということでございますが、昭和六十年度以降においても、引き続き既定の方針に沿いまして、国鉄事業の再建あるいは重要政策分野における諸般の改革、国の行政組織及び定員の合理化、あるいは補助金の整理統合、国、地方を通ずる行政の簡素効率化、あるいは事務事業の整理合理化、特殊法人の合理化等諸般の問題について取り組んでまいるつもりでおります。
次に、臨調答申が求めた専売公社改革の基本理念は何であるか、今回の改革で臨調答申より後退している点はどこであるかということであります。
臨調答申の基本的考え方は、市場開放要請に適切に対応するとともに、競争原理の導入による効率化の促進を図るため輸入の自由化を行うこと、経営の自主責任体制の確立を行うため公社制度を抜本的に改革することということであると思っております。いずれも今回の改革案に盛られたものでございます。
今次改革案が臨調答申と異なる、あるいは後退と指摘されましたが、異なる主な点は、全量買い取り制を採用しているということ、小売人に関しまして、当分の間、小売販売業許可制を採用しているという点でございますが、これらの措置は小売人及び葉たばこ耕作者等の現状に配慮いたした措置なのでございます。
次に、取締役その他の人事、あるいはこれらの法案に対する見直しの問題について御質問をして
いただきました。
新会社の意思決定機関である取締役会の構成員につきましては、その適正を確保するということ、あるいは葉たばこ耕作者やあるいは小売店業者等の安心感、安定感を得るという点から主務大臣認可制を採用しておるのでございます。これは今のような特殊事情があるからこのような考慮をした点なのでございます。
また、今次改革法案におきましては、特殊会社という経営形態及び製造独占を許しているという、これはいずれも今後維持さるべきものと位置づけられており、したがって、一定の期間以内に経営形態あるいは製造独占等について見直しがあり得るということを前提とすることは、現時点では適当ではないと思います。しかし、制度全般につきましては常時これを見直し、検討する必要はいかなる制度にもあるものでございまして、御指摘の点は参考にいたしたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/20
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021・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 総理からもお答えがございましたが、臨調答申の指摘する「活力ある福祉社会の建設」あるいは「国際社会に対する積極的貢献」、そうした関係から六十年度予算における概算要求基準、この問題についてのお尋ねでございます。
今日までも厳しい財政事情のもとで、社会保障関係予算につきましては、今後におきますところの高齢化の進展等を展望しながら、将来に向け安定した制度をつくるための改革を行いますとともに、真に恵まれない方々に対する施策の充実等に努めてまいったところでございます。そして経済協力費につきましては、国際社会の一員としての責任にかんがみまして、個々の施策の優先度については十分吟味を行った上で、重点的な財源配分をしてまいりました。
なお、我が国の財政は、いつも申しますように五十九年度末には百二十二兆円の残高、そして利払い費が予算の一八%、歳出に占める税収の割合は六〇%台と先進諸国に比べ確かに低い状態にあり、異例に厳しい状態が今日の財政であります。したがって、このまま放置しますならば、本来期待されております機能を発揮できないような状態になります。そこでこの財政の改革を推進して、そして財政の対応力の回復を図る、これがぜひともなさねばならない政策課題であります。
したがいまして、まず歳出面においては政府と民間、あるいは国と地方、その役割と責任を明確にする見地から、制度の根本にまで踏み込んだ改革を行うことなどによりまして、その節減合理化に引き続いて取り組まなければならない、このように考えております。 六十年度の予算編成の具体的方法につきましては、いましばらく勉強さしていただきたいところでございますが、六十年度予算の編成の第一歩としていわゆる概算要求基準を設定するに当たりましては、大蔵省としてはあらゆる分野に聖域を設けることなく、歳出全般にわたって徹底的な節減合理化と規模の抑制を図るため、昨年並みの方針のもとで厳しく設定をしていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
それから、総理から正確にお答えのございましたいわゆる取締役解任の認可等々、修正要求の問題でございます。
修正要求に対する考え方は総理の御答弁のとおりでございます。取締役の選任決議につきましては、大蔵大臣の認可を受けなければその効力を生じない。新会社は我が国たばこ産業の健全な発展を図るという使命を担った法人であること等にかんがみまして、業務遂行に関して、新会社の意思決定機関であります取締役会の構成メンバーを適正に確保する。そして一方、代表取締役につきましては、大蔵大臣の認可を受けて選任された方々がその中から互選によって選定をされる。それで人事の適正な形は十分に担保されておる、こういうふうに考えておるところであります。だから、大事について取締役会の自主性と責任にゆだねる方が望ましいという考え方に立ったわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、現状においてこの方向が適切であると考えたわけであります。
それから、見直し条項の問題でありますが、総理からお答えがあったとおりでございますが、法施行後の我が国たばこ産業を取り巻く状況等をにらみながら、絶えず検討していくという姿勢を引き続き持っていかなければならないという基本的な認識をいたしておるところであります。(拍手)
〔国務大臣後藤田正晴君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/21
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022・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) 山田さんの御質疑は、昭和六十年度における行政改革の課題とその実現のための対処方針はどうか、こういう御質問でございますが、御案内のように、政府は累次の行政改革大綱を閣議決定いたしまして、その線に沿って行政改革の全体構想を設定し、これに基づいて所要の法律改正措置を初め各般の具体的改革方策を逐次推進してきておるところでございます。
六十年度以降におきましても、その一つは、国鉄事業の再建方策の検討、推進、これは目下国鉄再建監理委員会においても御検討をしていただいておるところでございます。二番目は、行政組織の整理合理化、これは地方支分部局の整理合理化等でございます。三番目は、地方行革に関連いたしまして、国、地方を通ずる行政の改革合理化、この点は国の関与あるいは必置規制、機関委任事務、こういった問題の改革合理化の問題でございます。四番目は、国家公務員の定員の縮減、これは第六次の定員削減計画で推進をしておるのでございますが、六十年度は定年制導入に伴う退職者の取り扱いの問題もございます。五番目は、特殊法人の改革合理化、これは特殊法人の統廃合と、もう一つ、特殊法人の活動についてとかくの批判がございまするので、その活性化方策の問題でございます。六番目は、行政事務の整理合理化、これは許認可等の整理合理化、統計調査の再編整理。こういったような数多くの課題を抱えておるわけでございますが、既定の方針に沿って引き続き推進に努力をしていきたい、このように考えております。
なお、臨時行政改革推進審議会におきまして、六十年度の予算の編成作業を前にして、現在、財政改革の方策であるとか地方行革推進の方策について御検討が進められておりますが、御意見の表明があればそれを尊重してまいりたい、かように考えております。
政府といたしましては、この審議会からの御意見がいろいろ出てくると思いますが、残された改革課題につきましても、政府部内が一体となってその推進に全力を傾けて国民の期待に沿いたいと、かように考えておるわけでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/22
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023・木村睦男
○議長(木村睦男君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/23
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024・木村睦男
○議長(木村睦男君) 日程第一 租税特別措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長伊江朝雄君。
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〔伊江朝雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/24
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025・伊江朝雄
○伊江朝雄君 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
さきに政府提案に係る所得税法等の一部改正において、配偶者控除の適用対象となる配偶者の給与収入限度額が八十八万円に引き上げられたところでありますが、これは給与所得控除の最低控除額五十五万円に控除対象配偶者の給与所得等の限度額三十三万円を加えたものであります。
しかしながら、その後いわゆるパート主婦の問題をめぐって関係各党派間において協議が行われたのでありますが、本案は、その結果を踏まえたものであって、衆議院大蔵委員長提出によるものであります。
その内容は、給与所得控除の最低控除額を二万円引き上げ、五十七万円とする特例等を定めようとするものでありまして、その結果、配偶者控除の適用対象となる配偶者の給与収入限度額は、八十八万円から九十万円に引き上げられることになります。
なお、本法施行に伴う租税の減収額は、昭和五十九年度約百五億円と見込まれております。
委員会におきましては、本措置を所得税法でなく租税特別措置法の一部改正で行った理由、パート収入と内職収入との税制上の異なる取り扱いについての見直しの必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、本案
は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/25
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026・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/26
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027・木村睦男
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/27
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028・木村睦男
○議長(木村睦男君) 日程第二 湖沼水質保全特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。環境特別委員長穐山篤君。
━━━━━━━━━━━━━
〔穐山篤君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/28
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029・穐山篤
○穐山篤君 ただいま議題となりました湖沼水質保全特別措置法案につきまして、環境特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案は、湖沼の水質の保全を図るため、湖沼水質保全基本方針を定めるとともに、水質の汚濁に係る環境基準の確保が緊要な湖沼について、水質の保全に関する計画の策定及び汚水その他の水質の汚濁の原因となる物を排出する施設に係る規制を強化する等の特別の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、本法律案と中公審答申との相違点、湖沼保全諸施策に対する財政援助措置、窒素、燐の削減対策、経過措置に関する罰則の定め方等について質疑が行われました。
また、この間、参考人の意見を聴取し、現地へ委員を派遣するなど、慎重に審査を行いましたが、これらの詳細は会議録に譲ります。
質疑を終わり、本法律案に対し、公明党・国民会議を代表して飯田委員より、経過措置に関する罰則については本法上明確にしてその範囲内において命令で定め得るようにすることを内容とする修正案が、次いで、日本共産党を代表して近藤委員より、名称を湖沼環境保全特別措置法案に変更するとともに湖沼環境保全基本方針等は環境保全を最優先として策定すること等を内容とする修正案が、また、日本社会党を代表して丸谷委員より、名称を湖沼環境保全特別措置法案に変更するとともに水質保全のためには環境保全がその前提であるという観点から諸施策を実施すること等を内容とする修正案が提出されました。
なお、丸谷委員提出の修正案は、予算を伴うものでありますので上田環境庁長官から意見を聴取いたしましたところ、政府としては、反対である旨の発言がありました。
次いで、討論に入り、日本社会党を代表して丸谷委員より、同党の修正案に賛成、他の二修正案及び原案に反対、自由民主党・自由国民会議を代表して山東委員より、原案に賛成、三修正案に反対、公明党・国民会議を代表して飯田委員より、同党の修正案及び同党の修正部分を除く原案に賛成、他の二修正案に反対、日本共産党を代表して近藤委員より、同党及び日本社会党の修正案並びに修正部分を除く原案に賛成、公明党・国民会議の修正案に反対、民社党・国民連合を代表して中村委員より、原案に賛成、三修正案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
次いで、採決の結果、三修正案はいずれも賛成少数をもって否決され、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本案に対し、湖沼の水質及びその周辺の自然環境を一体として保全するため、現行関係法令等の諸制度を積極的に活用すること等五項目にわたる各会派共同提案による附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/29
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030・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/30
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031・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/31
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032・木村睦男
○議長(木村睦男君) この際、お諮りいたします。
遠藤要君外八名発議に係る米の需給安定に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/32
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033・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
よって、本案を議題といたします。
まず、発議者の趣旨説明を求めます。遠藤要君。
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〔遠藤要君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/33
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034・遠藤要
○遠藤要君 米の需給安定に関する決議案を本日提出いたしましたところ、皆さん方の御好意で直ちに日程に追加をして議題とさせていただきましたことに対し、心から御礼を申し上げます。ありがとうございます。
ただいまより、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
米の需給安定に関する決議案
本院は、第九十一回国会において、国民生活安定のため、食糧自給力の強化を図り、わが国の農業・漁業の発展と生産力の増強に向けて政府が万全の施策を講ずるべきことを決議した。
これに従い各般の施策が推進されているが、わが国の食糧需給関係は必ずしも安定しているとはいえない現状にある。特に、国民の主食であり、かつ、わが国農業の基幹作物である米の需給がひつ迫し、また、韓国産米を加工用に充当するなどの施策は国民の食糧行政に対する不安を招いている。まことに遺憾である。
よって政府は、その責任を深く反省し、このような事態を再び繰り返すことのないよう左記の事項の実現を図り、食糧行政に万全を期すべきである。
一、五十三年産米について臭素による汚染が問題となつたが、今後、米の安全性については、基準を定めるなど万全の措置を講ずること。
一、国民の主食であり、かつ、わが国農業の基幹作物である米については、その供給を外国からの輸入に依存するというような事態が今後生じることのないよう、国内生産による完全自給の方針を堅持すること。
一、国民の主食である米の安定供給を確保するため、食管制度を堅持し、自主流通制度の定着を図り、ゆとりある需給計画のもとに、不測の事態に備え適正な在庫の積増しを行い、備蓄体制の確立に努めること。
一、米の需給事情のひつ迫にかんがみ、今後の需給操作の万全を期するとともに、米の需給事情に的確に対応しつつ、需給計画について必要な見直しを行い水田利用再編第三期対策の転作面積の緩和については弾力的に対処すること。
右決議する。
以上であります。
申し上げるまでもなく、食糧なかんずく米は、国家経済及び国民生活にとって最も不可欠な基礎的物資であり、政府は、国民に品質の安全性を確保しながら安定的に供給する重要な責任を負っているのであります。
このため、国民の主食であり、かつ我が国の農業の基幹作物である米は、外国からの輸入に依存することなく、国内産米によってその全量を自給するという方針を堅持してきているのであります。
こうした中で、五十九米穀年度の米需給計画において、使用を予定していた五十三年産米の安全性が消費者団体や国会において指摘されてきたところであります。
その後、検査の結果明らかとなった臭素の残留によって加工原料米に不足を来す事態となったため、政府はやむなく今回限りの措置として、韓国政府に対し、日本政府が貸与した米の現物返還を依頼し、米需給の均衡を図るという措置をとったのであります。
したがって、政府は今後このような事態を二度と繰り返すことのないよう、水田利用再編第三期対策の転作面積の緩和について弾力的に対処するとともに、国内の不作や食糧輸入の障害等不測の事態に備えて米の備蓄体制を強化し、米の需給にゆとりのある計画を立て、国民に不安を与えないよう措置すべきであります。
あわせて、政府は、国民生活の基礎的物資である米の生産及び自主流通制度の定着はもちろん、流通施策についてより一層配慮するとともに、我が国農業の発展と農家の生活向上のため万全を期すべきであることをここに強調して、決議案の趣旨説明といたします。
何とぞ、議員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/34
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035・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/35
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036・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
ただいまの決議に対し、農林水産大臣から発言を求められました。山村農林水産大臣。
〔国務大臣山村新治郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/36
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037・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) ただいまの御決議に対しまして、所信を申し述べます。
政府といたしましては、第九十一回国会におきまして、食糧自給力強化に関する御決議もいただいておりますので、この御決議も踏まえ、ただいま採択されました御決議の趣旨を体しまして、今後とも米の需給の安定に最大限の努力を払ってまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/37
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038・木村睦男
○議長(木村睦男君) 本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02419840720/38
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