1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年八月三日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十七号
昭和五十九年八月三日
午前十時開議
第一道路運送法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第二 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関す
る法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
第三 公共企業体等労働関係法第十六条第二項
の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(国鉄労働組合関係)(衆議院送付)
第四 公共企業体等労働関係法第十六条第二項
り規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(国鉄動力車労働組合関係)(衆議院送付)
第五 公共企業体等労働関係法第十六条第二項
の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(全国鉄施設労働組合関係)(衆議院送付)
第六 公共企業体等労働関係法第十六条第二項
の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(鉄道労働組合関係)(衆議院送付)
第七 公共企業体等労働関係法第十六条第二項
の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(全国鉄動力車労働組合連合会関係)(衆議
院送付)
第八 公共企業体等労働関係法第十六条第二項
の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(
国鉄千葉動力車労働組合関係)(衆議院送
付)
第九 公共企業体等労働関係法第十六条第二項
の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(全国電気通信労働組合関係)(衆議院送付
)
第一〇 公共企業体等労働関係法第十六条第二
項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(日本電信電話労働組合関係)(衆議院送付
)
第一一 公共企業体等労働関係法第十六条第二
項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(全専売労働組合関係)(衆議院送付)
第一二 公共企業体等労働関係法第十六条第二
項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(全逓信労働組合関係)(衆議院送付)
第一三 公共企業体等労働関係法第十六条第二
項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(全日本郵政労働組合関係)(衆議院送付)
第一四 公共企業体等労働関係法第十六条第二
項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(全林野労働組合関係「定員内職員及び常勤
作業員(常勤作業員の処遇を受ける常用作業
員を含む。)」)(衆議院送付)
第一五 公共企業体等労働関係法第十六条第二
項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(全林野労働組合関係「基幹作業職員、常用
作業員(常勤作業員の処遇を受ける者を除く
。)及び定期作業員」)(衆議院送付)
第一六 公共企業体等労働関係法第十六条第二
項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(日本林業労働組合関係「定員内職員及び常
勤作業員(常勤作業員の処遇を受ける常用作
業員を含む。)」)(衆議院送付)
第一七 公共企業体等労働関係法第十六条第二
項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(日本林業労働組合関係「基幹作業職員、常
用作業員(常勤作業員の処遇を受ける者を除
く。)及び定期作業員」)(衆議院送付)
第一八 公共企業体等労働関係法第十六条第二
項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(全印刷局労働組合関係)(衆議院送付)
第一九 公共企業体等労働関係法第十六条第二
項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
(全造幣労働組合関係)(衆議院送付)
第二〇 たばこ事業法案(内閣提出、衆議院送
付)
第二一 日本たばこ産業株式会社法案(内閣提
出、衆議院送付)
第二二 塩専売法案(内閣提出、衆議院送付)
第二三 たばこ事業法等の施行に伴う関係法律
の整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
第二四 たばこ消費税法案(内閣提出、衆議院
送付)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/0
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001・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
日程第一 道路運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長矢原秀男君。
〔矢原秀男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/1
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002・矢原秀男
○矢原秀男君 ただいま議題となりました道路運送法等の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案は、陸運行政に係る地方事務官制度を廃止しようとするもので、その主な内容は、陸運関係事務に係る運輸大臣等の権限を都道府県知事に委任する制度を廃止し、これらの権限については、運輸省の地方支分部局の長に委任することができることとするとともに、陸運事務所を運輸省の地方支分部局とすること及びこれに伴い従来の陸運事務所の職員を運輸事務官とすること等であります。
委員会における質疑の詳細は会議録により御承知願います。
質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/2
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003・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/3
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004・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/4
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005・木村睦男
○議長(木村睦男君) 日程第二 原子爆弾被害者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
日程第一二より第一九までの公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件十七件(いずれも衆議院送付)
以上十八件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長石本茂君。
〔石本茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/5
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006・石本茂
○石本茂君 ただいま議題となりました法律案及び議決案件につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は、医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当、健康管理手当及び保健手当の額を引き上げるものであります。
委員会におきましては、国家補償の見地に立った被爆者対策、被爆者の実態調査及び死没者調査の実施、高齢被爆者の在宅対策等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論はなく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
なお、本法律案に対し被害の実態に即応した援護対策の拡充等を内容とする附帯決議が全会一致をもって付されております。
次に、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(国鉄労働組合関係)外十六件について申し上げます。
各件は、三公社四現業の職員の基準内賃金を、昭和五十九年四月一日以降、一人当たり、基準内賃金の一・三九彩相当額に千百七十円を加えた額の原資をもって引き上げること等を内容とする本年五月十二日の仲裁裁定の実施について、国会の議決を求めるものであります。
委員会におきましては、採決の結果、各件はいずれも全会一致をもって公共企業体等労働委員会の裁定のとおり実施することを承認すべきものと議決いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/6
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007・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
まず、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/7
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008・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
次に、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件十七件を一括して採決いたします。
委員長の報告は、いずれも公共企業体等労働委員会の裁定のとおり実施することを承認すべきものとすることであります。
十七件は、いずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/8
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009・木村睦男
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
よって、十七件は全会一致をもって委員長報告のとおり議決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/9
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010・木村睦男
○議長(木村睦男君) 日程第二〇 たばこ事業法案
日程第二一 日本たばこ産業株式会社法案
日程第二二 塩専売法案
日程第二三 たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
日程第二四 たばこ消費税法案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上五案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長伊江朝雄君。
〔伊江朝雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/10
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011・伊江朝雄
○伊江朝雄君 ただいま議題となりました五法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
たばこ事業法案は、開放経済体制に即応して、外国たばこの輸入を自由化し、かつ、たばこ事業の効率的運営等を図るため、たばこ専売制度を廃止するとともに、我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資するため、製造たばこの原料用としての国内産の葉たばこの生産及び買い入れ並びに製造たばこの製造及び販売の事業等に関し、所要の調整を行おうとするものであります。
日本たばこ産業株式会社法案は、たばこ専売制度の廃止に伴い、我が国たばこ産業の健全な発展等を図るため、日本専売公社を改組して日本たばこ産業株式会社を設立し、これに製造たばこの製造を独占させるとともに、その販売等の事業を経営させようとするものであります。
塩専売法案は、日本専売公社が日本たばこ産業株式会社に改組されることに伴い、塩専売事業を当該会社に実施させることとし、このために必要な措置を講ずるとともに、経済社会情勢の変化に対応して、塩専売制度の整備改善を図るための措置を講ずるほか、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、たばこ事業法、日本たばこ産業株式会社法及び塩専売法の施行に伴い、製塩施設法及び壇業組合法を廃止するほか、国家公務員等共済組合法等関係法律の所要の規定の整備等を行うとともに、所要の経過措置等を定めようとするものであります。
たばこ消費税法案は、たばこ専売制度を廃止することとなったことに伴い、専売納付金制度にかえてたばこ消費税制度を設けようとするものであります。
委員会におきましては、五法律案を一括して質疑を行い、経営形態の民営化を原則とする臨調答申と今次制度改革との相違点、今次のたばこ事業改革を恒久的な措置とすることについての確認、たばこの輸入自由化が国内たばこ産業に与える影響及び国際競争力強化策のあり方、新会社の経営の自主性確保に当たっての公的関与のあり方及び近代的労使関係の確立・維持の方途、新会社の政府保有株式の公開の具体的時期、財務状況の見通し、事業範囲の拡大及び葉たばこ過剰在庫解消のあり方、国内塩産業の自立化への方途と時期的めど、喫煙が健康に及ぼす影響とこれについての関係機関の認識等について総理、大蔵大臣並びに関係当局に対して質疑が行われたほか、参考人より意見を聴取し、さらに地方行政委員会、農林水産委員会、商工委員会と連合審査会を開く等慎重に審査を行いましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終了し、五法律案を一括して討論に入りましたところ、日本社会党を代表して鈴木和美委員、日本共産党を代表して近藤忠孝委員よりそれぞれ反対、自由民主党・自由国民会議を代表して岩崎純三理事、公明党・国民会議を代表して塩出啓典理事、民社党・国民連合を代表して栗林卓司委員よりそれぞれ賛成する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、五法律案について順次採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、五法律案に対し、今次改革が従来の専売制度及び公社制度を抜本的に変革するものであることにかんがみ、新制度移行に当たっては、新会社に対する公的関与を極力排除し、新会社の経営の自主性を発揮できるよう政府は十分配慮すべきであること等、七項目にわたる附帯決議案が自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会、新政クラブの各派共同提案として竹田四郎理事より提出され、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/11
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012・木村睦男
○議長(木村睦男君) 五案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。鈴木和美君。
〔鈴木和美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/12
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013・鈴木和美
○鈴木和美君 私は、日本社会党を代表して、ただいま審査報告のありましたたばこ事業法案など専売改革五法案に対し、反対の討論を行うものであります。
今、我が国のたばこ産業は、八十年にわたる専売制度と三十五年に及ぶ公社制度から会社形態に移行するという歴史的な大転換を迎えようとしております。たばこの愛好者三千五百万人、葉たばこ耕作農家およそ十万戸、たばこ小売店二十六万店、公社職員約四万人を初めとする関連産業労働者及び塩関係者は、現行制度でも国民の期待にこたえられるという考えを持っていただけに、今回の改革内容と将来に深い関心を抱いて政府及び専売公社の姿勢を見詰めてきたのであります。
申すまでもなく、我が国の社会と経済とが大きな変革期にあり、経済面での国際化の著しいことは否定できませんが、それは、他面では、新たな発想に立って公的分野の役割の重要性を認識し、自己改革を図ることが必要なことを意味していると思うのであります。もし、政府が先見性を持って安企業の自主的経営を目指した民主的改革を着実に、かつ積極的に実施してきたならば、今回のような対応にはならなかったと思うのであります。
特に、開放経済体制に即応するためとはいえ、現行の専売公社制度のもとで事前に解決しておくべき課題が未解決のままに流通専売制の廃止、すなわち外国たばこの自由化に踏み切ることは時期尚早であり、拙速に走った措置と断ぜざるを得ないのであります。たばこの国際商品としての性格と諸外国の先例を考えてみましても、予期以上の影響を及ぼすのではないかと心配するものであります。
そこで、五法案の審議を通じてなお問題になる点を、逐次具体的に指摘しなければなりません。
まず第一は、たばこ、壇事業の経営形態の変更が将来にわたって民営分割を展望するものではな
いとの政府の答弁を再三いただきましたが、その一方では、民間はすべて善であり効率的であるとの考えに立った財界主導の臨調行革路線を完全には否定していないのでありまして、かかるあいまいな姿勢は決して許されるものではありません。
専売公社改革に対する臨調答申は、その理念及び現実認識のいずれの面でも誤っていることは明白であります。それゆえに、今回の改革案は、臨調答申を妄信することなく、一定の自主的対応を行っているとはいえ、臨調路線を完全に否定していない不十分さに不満を表明するものであります。
第二は、経営の自主性、当事者能力の拡大が現代の公的企業には欠かせない課題であるにもかかわらず、依然として官僚的、行政的介入、干渉の余地が残されていることであります。
二百項目を超える政令、省令への委任事項、許認可事項があり、さらに監督官庁は、その株主としての権限行使を通じて積極的に介入する道も残されており、果たして我が国の官僚支配から脱した自由な経営への転換が円滑に行われるのか、疑問を持たざるを得ないのであります。また、再三「新会社の自主性尊重」を繰り返したわけでありますが、本来ならばこのことは法的に保証されるべきもので、答弁というあいまいな口約束で済まされるものではありません。
第三は、葉たばこ耕作者の不安を完全に解消する具体策が提示されていないことであります。
全量買い取り制が導入されたとはいえ、葉たばこ耕作は許可制から契約制に切りかわり、先行き減産への傾斜が明らかであります。その一方に、過剰在庫問題、コスト、品質問題といった課題を抱え、加えて、耕作者の生活安定とたばこ産業の競争力確保とを両立させる施策を提示しないもとでの経営形態の変更は、葉たばこ農家に対して将来の生活設計に多大の不安を生じさせるのは当然でありましょう。政府は、これらの不安を解消するために、例えば農政費用負担のあり方などの具体策や中期的な葉たばこ生産計画などについて積極的にその方向を明示すべきであったのに、依然として抽象的な態度をとり続けたのであります。
第四には、たばこ労働者に負担が集中するおそれのある点を危惧いたしております。
たばこ事業の目的には財政収入の確保があることは言うまでもありませんが、昨今のたばこ需要が停滞する中で、葉たばこ生産に対する農政負担分を新会社が負担することに加え、目的達成事業が必ずしも十分に保障されていないという条件のもとで、激化する競争に生き残っていくためには、工場の統廃合と雇用者の削減に着手せざるを得なくなることは火を見るより明らかであります。したがって、労働者への負担のしわ寄せを避けるためには、たばこ消費税率の慎重な検討、国の農政負担、過剰な原料葉の解消などの大胆かつ前向きの施策が講じられるべきでありますが、極めて消極的な姿勢しか示されなかったことは遺憾のきわみであります。
現代企業に課せられる第一の社会的責任は、労働者を解雇しないことであり、経営の合理化、効率化を雇用削減で実現するのは無能な経営者と言われています。公的企業は、雇用の安定的確保を図りつつ国民へのサービス供給を使命とするものでありますが、新会社移行後においては、安易な経営改善策として人員削減を行うのではないかとの疑念をいかにしてもぬぐい切れないのであります。
第五には、法案審議を通じて、将来に明るい展望が待てず、不安のみ残されたということであります。
たばこ消費の低下傾向、外国たばこの消費割合の増加、新会社移行に伴う資金問題、税及び公的負担の増大、葉たばこ問題等々、いずれも厳しい環境に取り囲まれている中で早急に解決を迫られている難題であります。私は、長年にわたる専売制度の歴史などから見ましても、今後少なくとも三年程度は、外国たばこ企業の動向、葉たばこ問題の推移、健康と喫煙についての国民的コンセンサスの方向、さらには公社職員の年齢構成の特殊性を見きわめる必要があり、それらの事情を十分盛り込んで制度改革に手をつけるべきであると考えるものであります。
臨調答申からわずか二年にして、八十年の長きにわたって国民に定着してきた専売制度を一挙に転換することは時期尚早であり、ひいては我が国たばこ産業の将来を台なしにする危険すら含んでいることを警告する次第であります。
以上、専売公社改革五法案に対する見解を申し述べましたが、たばこ消費税率は他に類を見ない税負担が求められていることにかんがみ、今後、の水準を維持することを強く求めるとともに、法案審議中政府が明らかにした、民営分割を行わず、製造独占を恒久的に守るという方針は、我が国た
ばこ産業の維持発展のための最低条件であることを強調し、この方針が変更されないことを望み、私の反対討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/13
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014・木村睦男
○議長(木村睦男君) これにて討論は終局いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/14
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015・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより五案を一括して採決いたします。
五案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/15
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016・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、五案は可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X02719840803/16
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