1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十年十一月二十一日(木曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 高鳥 修君
理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君
理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君
理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君
理事 柴田 弘君
伊藤 公介君 伊吹 文明君
尾身 幸次君 大村 襄治君
工藤 巖君 仲村 正治君
細田 吉藏君 松田 九郎君
小川 省吾君 佐藤 敬治君
細谷 治嘉君 山下八洲夫君
宮崎 角治君 吉井 光照君
藤原哲太郎君 経塚 幸夫君
出席国務大臣
自 治 大 臣 古屋 亨君
出席政府委員
警察庁長官官房
長 鈴木 良一君
大蔵大臣官房審
議官 門田 實君
厚生大臣官房審
議官 山内 豊徳君
自治省行政局公
務員部長 中島 忠能君
自治省財政局長 花岡 圭三君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 中島 義雄君
文部大臣官房福
利課長 岡林 隆君
厚生省保険局保
険課長 奥村 明雄君
厚生省年金局年
金基金指導室長 和田 勝君
厚生省年金局年
金課長 谷口 正作君
厚生省年金局数
理課長 坪野 剛司君
農林水産省経済
局農業協同組合
課長 阪田 彰夫君
自治省行政局公
務員部福利課長 松本 英昭君
地方行政委員会
調査室長 島村 幸雄君
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十一月二十日
地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法
律案反対等に関する請願(井上一成君紹介)(
第三四九号)
同(串原義直君紹介)(第三五〇号)
同(佐藤観樹君紹介)(第三五一号)
同外一件(矢山有作君紹介)(第三五二号)
同(和田貞夫君紹介)(第三五三号)
同(岩垂寿喜男君紹介)(第三六二号)
同(上野建一君紹介)(第三六三号)
同(大原亨君紹介)(第三六四号)
同(岡田利春君紹介)(第三六五号)
同(小林恒人君紹介)(第三六六号)
同(竹内猛君紹介)(第三六七号)
同(武部文君紹介)(第三六八号)
同(前川旦君紹介)(第三六九号)
同(八木昇君紹介)(第三七〇号)
同(渡部行雄君紹介)(第三七一号)
同(経塚幸夫君紹介)(第三八二号)
同(不破哲三君紹介)(第三八三号)
同(正森成二君紹介)(第三八四号)
同(上野建一君紹介)(第四二八号)
同(瀬崎博義君紹介)(第四二九号)
同(上田卓三君紹介)(第四五四号)
同(木島喜兵衛君紹介)(第四五五号)
同(堀昌雄君紹介)(第四五六号)
地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法
律案の反対等に関する請願(角屋堅次郎君紹介
)(第四二六号)
同(土井たか子君紹介)(第四二七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、第百二回国会閣法第八四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/0
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001・高鳥修
○高鳥委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取することとし、その日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/1
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002・高鳥修
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/2
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003・高鳥修
○高鳥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/3
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004・加藤万吉
○加藤(万)委員 最初に、大臣に二、三、決意をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
いよいよ質疑も一巡が終わろうとしておりますし、先般連合審査も終わりまして、相当強く問題点は出ました。なかんずく地共済、国共済を持つ大蔵大臣、自治大臣に対する各般にわたる要請、要求というのは強かったと思うのです。私はこの連合審査を終わりまして、幾つか基本的な問題で考えさせられ、また考えていかなければならぬという問題を伺ったわけです。
その第一は、国鉄共済問題、こう言いますが、いわば潜在的な債務負担行為というもの——国鉄に限らずこれから起きるであろう各種共済年金あるいは国民年金の部分も含めてといってよろしいかもしれませんが、財政破綻ないしは将来的な財政の見通し、計画というものが明らかでない。それに対して、やはり一体おれはどのくらいの負担をしなければならぬのか、あるいは厚生年金の被保険者から見れば四十九兆円と言われる今日の積み立て、同時にまた成熟度が非常に低いわけですから、それから来る積立額がどのような形で取り崩しをされるのだろうか、いわばそういう潜在的な債務負担行為というものに対してどうも明らかになっていない。したがって、今回のこの法案を認めていくということは、結果的にその行為を黙認をすることになる。どこかにけじめか歯どめをかけてくれなければ、このままでずるずる共済法案だけが通ってしまったのでは、そういうものに対して暗黙の了解を与えることになってしまう、やはりこの不安だろうと思うのですね。
これが象徴的に、国鉄の共済の破綻問題に対してどういう歯どめをかけるのか。各党ともそれぞれ意見が出まして、我が党の大原議員の質問に対して、政府はこの法案の審議中に統一見解を出す、こう官房長官が見解を示されたわけです。この法案の審議中でありますから、いよいよ各委員会でそれぞれの個別審査に入りまして、そう時間は遠くありませんね。私はそう遠くない時期に閣議で決定をされるのだと思うのです、統一見解について。先ほども申し上げましたように、主管大臣であります、特に大蔵、自治大臣に対しては、強くそのことが求められたわけですね。
私は本来ならば、その見解は今の時期に示されて、そして各委員会の審議に入る、これが普通だろうと思うのですね。前段の委員会は全部詰まってしまったわけですから、その問題で。そして、打開の道はこう決めましたよ、決めましたけれどもその内容については統一見解としてこの期間中に、こういうことになったわけです。我々はやむを得ずそれをまたいで、それじゃそれを待ちましょう、今直ちにということではございませんから。したがって待った上で、待ちますけれども、その間にそれでは個別審議をやりましょう、こういうことで、きょう地方行政委員会も各委員会も開かれているわけですね。私は、その早急な政府側の統一見解に対して、自治大臣の役割は非常に強い、大きい、こう思います。これに対する大臣の御決意をまず最初に聞きたい。
いま一つは、これは大臣も私の連合審査の質問の中でうなずきながら聞いていただきましたから多分その決意だろうと思うのですが、この国鉄の財政再建計画には四兆九千億というお金は御案内のように今までの共済年金の長期債務の分ですね、さらにこれから起きるであろう単年度の負担、そして今までの国共済からの繰り入れその他を含めても、向こう四年間におおむね三千億から四千億の赤字が出る。私はそこまでが政府の統一見解が、こう問い詰めていったわけです。私は、そこまでじゃなかろう。なぜならば、連合審査の中でも私が明らかにしましたように、例えば鉄道公安官の移籍の問題がある、あるいは各地方自治体に対する移籍の問題がある等々加えていくならば、これにプラスアルファの財源がこの間でも必要になってくる。したがって、政府統一見解の中にはその部分を含めて統一見解を示していただきたい、こう要請をいたしました。大蔵大臣は、いや、それは何人、どういう出向の形になるのか、あるいは若い者が行くのか、年寄りが行くのかによって違いますし、むしろ政府側としては給付の段階で考えるのがいいのではないか、給付の段階で考えればよいことと思う、こういうお答えでありました。
私は、給付の段階というのは、仮に一年先に移籍をしまして不幸にして一年半後に死亡するなどということがあれば、その給付の窓口は地方共済の窓口になるわけですから、そこにはもうお金が必要ですよ、したがって、幾らをどのような形でなんという数字を詰めた話はしませんけれども、少なくともそれに対する取り扱いはこうしますという基本的な方向性というものは出していただかなければ、前の四千億の後始末の問題と絡んでこの問題は出してもらわなければだめですよ、こう申し上げました。この部分は、自治大臣としてはどうしても政府統一見解に挿入していただかなければならないことだろうと私は思うのです。したがって、この二つ目に対する、今までの連合審査を経た結果としての大臣の決意をお聞きをしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/4
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005・古屋亨
○古屋国務大臣 加藤先生から連合審査会におきましてもいろいろの御意見を承りました。私も非常に頭で考えておるとか間違ったとかいろいろのことを考えさせられたのでございまして、本当に貴重な御意見を承ることができましたことは私も大変幸いでございました。
それでいよいよこの問題について、衆議院における審査が終わるまでに国鉄に対するどういう措置をとるかということを、官房長官からああいう発言をいたしました。あの発言の中におきまして、私はこの前から当委員会において申しております地共審の答申、国の負担区分、国の責任についてどう措置をとるかということが先決であるという問題を頭の上に前提として置きながら、この政府の統一案がとにかくどういうような国庫の負担になるかということはまだわかりませんが、そういう点も十分検討して、さっき言いました答申の線をもとにしてこの問題に対処してまいらなければならぬと思っておりますし、恐らく政府としてもそういうふうに考えておることは当然だと私は思っております。
したがいまして、そういう場合において、きのうも御質問がありましたが、あれは鉄道公安官の問題だったと思いますが、そういう職員の地方共済に移った場合の措置につきましては、今までの国鉄におられた期間の問題と、それから地方で引き継ぎましても、地方になってからの分というものにつきましてははっきり積立金を、追加の費用をもらうとか、そういう点を考えなければこれは地方の共済だって大変苦しいわけでございますので、いたずらに負担をますますかけることになるかと思っております。
そういうことを考えながら連合審査会の審査を受けながら、本当に共済の問題は難しいといいながら、難しいことを知って手をこまねいておったというような点が、私は自分でもそういうことを感じましたし、私も昔役人をやっておりましたころ総理府で共済の長期負担、給付というものをやりました。いろいろ話してその回答も出て組合員の方の意見もよく聞いておりますが、そういうことをまた頭に浮かべながら、共済の問題はもう本当に大きな真剣な問題であり、しかも早急に迫った問題である、これは政府全体がこの問題に対して真剣にならぬと、また国鉄の第二の問題で、どうしてもこれは焦眉の解決すべき問題でございますが、ほかにもそういう問題が出てこないとも限らぬ。御趣旨のように、厚生年金の問題についてもその積立金あるいはそういう問題についても一時的な解決だけ図っておってはこれはいつまでも解決できぬ問題だ、この際そういうものについて抜本的に検討しなきゃならぬ、たとえこの法案が通過するといたしましても直ちにそういう問題は検討すべき問題であるということが、あの委員会を通じまして私もつくづくそうだと感じたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/5
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006・加藤万吉
○加藤(万)委員 大臣、大変理解していただいて非常にうれしく思います。私は、当委員会でも申し上げましたように、民間の出身で厚生年金の被保険者、今ではそうではございません。その立場から見ますと、そういう発想というものがなければ公的年金一元化の国の施策は定着しないと私は見ているのです。
公務員部長、私はこう思うのですよ。恐らく国家公務員、地方公務員ではそんなに人は減らないと見ているのです、率直に申し上げて被保険者は。しかし、国鉄に見られますように、産業構造の変化は被保険者をがたっと変えていきますよ。人的構成、産業構造の変革というものが、もう職域を単位とした共済年金制度はもたないということを実は示しているわけです。ですからきのう、農林あるいは文部大臣が共済年金は温存するのですか、こういう問いに対してそれはもう温存していきます、こういう短絡的なお答えは率直に言って満足でないのです。なぜかといえば、第三次産業はどうなるのか、あるいは私学もどうなっていくのかという問題はなかなか難しい問題ですよ。事によるとそれらを含めて第三次産業部門が厚生年全体制ということも考えられるわけですね。そうしますと、私学共済の温存というそのものもなかなか土壌的に難しい。お役人さんの立場ならわかると思うのです。それは国家公務員も地方公務員もふえることこそあれ減ることはないと思います。なぜかといえば、フランスの型を見てもらえばわかりますように、フランスの場合にはその分野で社会公営的な部分が非常に深まっておりますね、政治構造としても経済構造としても。したがって、いずれ公的年金制度というのは一元化される、されなければまた日本の経済の土壌に合った将来的な年金制度というものは確立てきないと私は見ているのです。とすれば、それを説得し、それに対して今それぞれの年金制度に加盟している者が納得する条件がなければだめなんですね。納得する条件は何かといえば、やはり私は基礎年金だと思うのです。社会党でいう基本年金です。各党でも基本的部分を国の財政を投入することによって拡大もして、職域部分、いわゆる比例報酬部分をできる限り最低保障年金制という形に移行していくというビジョンがあって初めて、共済年金制度にしてもあるいは財政のプールの問題にしても説得力を持つんですね。これなしに今法案が出ているから問題なんですよ。私はそう思うのです。
国鉄の共済に対して今、国公共済があれだけの財源プールをやっている。これとてもそうでしょう。やがて今度は地共済がかぶるのじゃないか。私は潜在的債務負担行為、こう言っているのですけれども、それを押しつけられる、それを認めることになるから、さあ、その先はどうなんだ。年金の保険料、掛金はいずれ限界が来るぞ、となれば、厚生年金のように積立金が多い、成熟度が低いところは、やがておれの財源から、こういう一種の恐怖感と言ってはおかしいですが、恐怖という言葉は余りよくないですけれども、そういう気持ちにならざるを得ないのです。ですから、私は、地共済、国共済を担当する特にトップの方がそういう発想というものを常に頭の中に持ってもらう。でないと、民間の労働者は承知しませんよ。民間と言っては申しわけないですけれども、厚生年金あるいは公的年金一元化へ向かおうとする分野の人たちにはなかなか説得力を持たないと私は思うのですね。今度の法案の欠陥はそこにあったのです。ですから、各党ともそこで第一に行き詰まっているのですよ。
いま一つは、どうしても発想が給付一元化、掛金の一元化です。大蔵大臣も徐々に積み上げて公的年金一元化、こう言っていましたけれども、給付の一元化、掛金の一元化です。そして掛金の一元化という場合は厚生年金の掛金に一元化されるのじゃないのですね。今国鉄の共済までしょい込んでいる国共済の分での掛金の一元化なんですよ。そして最終的な財源プール、こういう絵を描いているわけですね。ですから、今その第二段階のところで国共済の千分の一〇・六ですか、掛金にしてみれば五・三ですか、この部分までしょい込むのか、こういう不安がどうしても出てくるのです。そこからくるこの法案の欠陥が随所に見られる。
三番目には、この法案自身の持っている欠陥です。例えば、いろいろ議論がありました。恩給との関係をこの中でどう見ていくのですか。後で公務員部長からお答えをいただきたいと思うのですけれども、例えば恩給、十五年おりました。あと共済年金を受けます。これで、通年で年金を受けていた人が今度は一般の通年方式になりました。恩給オンリーで来た人との差はどうなるのでしょうかね。官官格差はますます拡大するのじゃないでしょうか。官官格差という言葉はいいかどうかわかりませんけれども、いわゆる共済年金受給者と恩給だけの受給者との間の格差は非常に拡大するのじゃないでしょうか。スライドの問題でもきのう幾つかございました。恩給に対してはスライド部分の停止がないわけですね。こういう問題があります。あるいは併給に対する所得の制限という問題についてもありますね。共済年金には一定の制限があります。その制限と恩給受給者に対する制限とは大変な差がありますね。そういうものをこの部分で一体どう淘汰するんだ、統一するんだ。六十一年四月一日以降はその部分はどうするのですか。明確な答えが出てこないのですよ。
先ほどの第二の矛盾のところでいま一つだけ言わせてもらいますけれども、掛金の統一という問題をめぐって、国共済のあるいは地共済でもそうですが、全体を含めて年金財政計画というのは一体どういう形になっていくのですかという数字的なお示しもないのですね。一つの共済ごとにはありますよ。しかし、全体を通してはどうなんだということがないから、先ほど言いましたように掛金問題に対しても大変な不安がある。第三の問題は、今言ったように法案そのものが持っている具体的なそごといいましょうか、あるいは整合性の不調和といいましょうか、そういう問題が出ているんじゃないかと思うのですね。したがって、私はこの連合審査を終えた段階では、今言いました三つの問題、第一の問題については、その中の基本的な方向性については今大臣から御答弁いただきましたけれども、第二、第三の問題も、地共済を担当する省あるいは国共済を担当する省との間に相当綿密なこれからの、例えば政令にしましても省令にしましても、作成に対する連携と指導に対する一貫性を持ちませんと、それはできていかない、こう思うのです。どうでしょうか、細かな質問はできませんから、公務員部長、ずっとお聞きになりまして二、三の問題に対する、連合審査その他を受けて、私が指摘した点を含めても結構ですからお答えいただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/6
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007・中島忠能
○中島(忠)政府委員 今、共済年金制度といいますか、公的年金制度の将来の姿について先生からお話がございまして、私も聞かせていただきましていろいろ示唆を受けるところがございます。ただ、率直な感じを申し上げますと、年金の将来のあり方というか一元化に向けての議論というのはここ一、二年始まったところでございますから、なかなか関係者というのがその方に向かってまだ頭がクリーニングされ切っていない。ちょうど洗濯機に入ったところのような感じがいたします。昨日と一昨日の連合審査のいろいろな議論を聞いておりましても、なかなかその方に向かってまだみんな、真剣に考えているのでしょうけれどもまだまだだという感じがいたします。したがいまして、こういう問題についてかねがねお考えの先生方からごらんいただきますと非常に物足りない感じを持たれたのかもわかりませんけれども、今度の国鉄共済年金の問題に象徴されますように、やはり公的年金の将来の姿については、これは真剣に考えていかなければならないなということを恐らく今国会でみんな本当に感じたんだというふうに思います。
そこで、その将来の姿の話ですが、今先生からお話がありましたように、基本年金といいますか基礎年金といいますか、ベースになる年金というものをしっかりつくって、その上で組み立てていかなければならないんじゃないかというお話でございますが、ごもっともでございます。さきの国会で国民年金法、厚生年金法の議論が行われました場合にもその議論が盛んに闘わされまして、そして結局国民年金法等の改正案は通過させていただきましたけれども、その附則に基礎年金の将来のあり方について検討しようじゃないかという附則も入っておりますから、これからこの議論というのがまた真剣に行われなければならないんじゃないかというふうに思います。
そういうことで、私たちの方も勉強していかなければならないと思いますけれども、ただ先生が第三以下にいろいろお話しになられましたように、その過程におきましても、例えて言いますと、先生がお挙げになりましたように給付の問題あるいはまた負担の問題についてもなお調整を図っていかなければならない問題がある。今回我々の法案が目指しておりますように所得制限というものを今よりも一層適正にしていこうじゃないか、けれども厚生年金の方はそういうようなことがまだ行われていないじゃないかというような問題とか、あるいは負担の面における調整の話、そういうものもございます。そこで、そういうようないろいろな問題というものをこれから六十一年以降考えていかなければならないわけでございますけれども、それぞれの制度というのが非常に多岐に分かれておりますので、その制度を所管しておる各省からそういう問題というものを提出し合って、この差というのが果たして合理性があるのか、そういう差があっても国民が納得していただけるのかどうかというところを一つ一つ詰めていきまして、これは国民が納得していただけないんじゃないかというところについてはきちっと整理をしていく作業というものをやっていかなければならないだろう。そういうふうにいたしまして、公的年金の一元化に向けてみんなが信頼し合えるような年金制度というものをつくっていかなければならないのじゃないかというふうに思います。
私たちは、今回非常に大きな改正内容の法案を御提出いたしまして御審議を願っておるわけでございますけれども、この法案を成立させていただきましても公的年金の一元化に向けて一歩を踏み出したという感じがするだけでございますので、この法案というものが成立した後の作業というものもまた真剣に取り組んでいきまして、先生がおっしゃるようにみんなから信頼されるような年金制度というものをつくっていかなければならないなという感じがしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/7
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008・加藤万吉
○加藤(万)委員 具体的な問題を二つばかり御質問します。
一つは、地共済における妻の年金の問題です。地共済の場合には短期給付がありますから、妻の掌握というのは極めて業務的には可能だろうというふうに実は思うのですが、これは可能でしょうか。無年金者が妻の段階で出ないか出るか、どういう把握でできるのか、これが第一です。
第二には、これは行政局長に御答弁を願うことかもしれませんが、今度の国民年金あるいは共済や厚生年金、無年金者が相当起きるのではないかという危惧がされています。私も、大変無年金者が起きるのではないか、一七%の免税といいますか免ぜられている人もおりますけれども、同時にきのうあたりの話を聞いておりますと、そのほかに約二百万から三百万扶養者の妻である人あるいは内縁の妻の人、そういう把握が難しいのではないかという議論がたくさんありました。その際に厚生省の年金部長さんですか、女性の方が、住民基本台帳を基本にして私どもはやってまいりますのでその辺の御心配はございません、こういうお話でございました。何千万という人の住民基本台帳から、今言った内縁の妻あるいはこの前戸籍法の問題でも多少私どもここで議論をしましたけれども、戸籍上なかなか記載できない者が住民台帳ではこうこうなっているではないか、これはプライバシーの侵害になりはしないかという議論も実はここでしたところなんです。そういうこと等含めて、住民基本台帳によって把握が可能でしょうか。単に何千万という人の中からそれを選び、またそういう対象になる無年金者が起きないための措置というものをいろいろ講ずるとするならば、今の地方公務員の人員体制でよろしいのでしょうか。これは機構上もっと拡大をしなければならないというふうに見るのが至当なんでしょうか。これが一つのくくった質問です。
いま一つ、地方共済組合連合会です。五十八年ですか法律の改正がありまして、五十九年に地方職員共済組合連合会が発足をしました。それまでに全国の市町村職員共済組合がございまして、財源プールが百分の五だったのですね。この連合会ができまして今度は五十八年度分までが百分の十五、五十九年度からは百分の三十、お金を出して各共済の財源プールにしよう、こういうことだろうと思う。この百分の十五はさらに追加して取るのですか、百分の三十まで。それと、百分の三十にしなければならなかった理由はどこに潜在的にあったんでしょうか。従来百分の五のところが百分の三十にしなければならないという理由は一体那辺にあったのでしょうか。
さらにいま一つだけ追加して聞きます。このそれぞれの積立金の運用については自治省が相当指導していますね。例えば地方の財源に対するお金を貸す、地方債に対する一定の枠を与えたりなんかしていますが、この指導というものは、今ある各単位組合の共済の財政運用についても、さらにこれから起きるであろう地方職員共済組合連合会の財政運用についてもされるのですか。少しまとめた質問ですけれども、時間の関係でそれぞれ項目的に、箇条的で結構ですからお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/8
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009・中島忠能
○中島(忠)政府委員 三つ御質問がございました。一つは被扶養配偶者といいますか妻の問題でございます。今度の長期の年金関係の被扶養配偶者につきましては短期の被扶養配偶者と同じでございますので、共済組合は短期の方も所管しておりますので、その被扶養配偶者につきましては、本法が成立いたしましたらそれぞれの共済組合が本人にかわりまして市町村の方に届け出るということを考えておりますし、仮に被扶養配偶者でなくなる、端的に申しますと離婚などがそういうことに当たると思いますが、そういう場合にも共済組合の方から市町村の方に連絡して、その点については事務手続が間違いのないようにしてまいりたいと思います。そして、その過程におきまして無年金者が生じないように関係省庁とも連絡をとりながらいたしてまいりたいと思います。
その無年金者の問題、すなわち先生が御指摘になりました第二番目の問題でございますけれども、この問題につきましては、実は基礎年金の分野について問題になることでございますが、その基礎年金関係を所管しております厚生省とその問題について私だちまだ具体的に突っ込んで話をしたことはございませんけれども、先生のお話しになりますように、昨日住民基本台帳等を利用してそういうことを防止したいという話をしておりました。私の方でもそういう話をこれからよく聞きまして、現在の人員、体制で間違いなくそういうことができるかどうか、厚生省ともよく意見を調整してみたいというふうに思います。
第三番目の連合会関係の話でございますが、若干数字もまじる話でございますので福利課長の方から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/9
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010・松本英昭
○松本説明員 御説明申し上げます。
連合会の関係でございまして、数点御質問がございましたが、まず第一点の、市町村共済組合連合会の財政調整時は百分の五、そして大連合会ができまして百分の十五として、五十九年度以降の分について百分の三十となっている。この百分の十五というのは将来百分の三十までするつもりがあるかということでございますが、御案内のとおり、この点につきましては自治省令で定めることといたしておりますが、将来の年金給付に要します調整原資との関係にかんがみまして、必要な時点になりますればそういうことも考えていかなければならないものと考えております。
なぜ百分の三十にいたしたかということでございますが、先生御案内のように、地方公務員共済組合の積立金の増加額の三〇%はいわゆる義務運用と称しまして公共目的のために、例えば地方債の取得とかあるいは公営企業債券の取得とかに回さなければいけないことになっております。したがいまして、各個別の単位共済組合においてそれを処理いたしますよりは一元的に処理をいたしました方が手数料その他で有利になってまいる、そういうことがございまして百分の三十にいたした次第でございます。
それから積立金の運用の問題でございますが、御承知のように、各共済組合とも大連合会に百分の三十を拠出いたしましてもなお積立金を現段階ではそれぞれまだ持っております。御案内のように、この点は五十九年度からいわゆる財政単位を一つにした、財政単位を一つにしたということは財布が一つになっておるわけでございますから、それぞれの共済組合において効率的に運用していただかなければ結局全体に迷惑がかかるということになってまいります。したがいまして、その指導につきましては、私どもは当然連合会等も通じながら関係者とも十分お話をしながら指導もしてまいらなければならないものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/10
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011・加藤万吉
○加藤(万)委員 門田さん、今度の基礎年金もそうですし、僕は、基礎年金は特別勘定になるのですか、特別会計になるのですか、そういう運用がよろしいと思うのですが、厚生年金の基礎年金も十兆円、こう言われていますね。それから、今お話がありましたようにそれぞれの共済年金の財政運用、三〇%はそれぞれ運用の方向が決まっているという御答弁ですが、いずれにしましてもこの年金の積立金の運用というのはこれから大変だろうと思うのですね。例えば農林年金がどうして厚生年金から分離したのか、いろいろな理屈をつけられておりますけれども、基本的には財政運用があったのではないでしょうか。どうも経過を聞きますと、いろいろ公務員との関係の年金制度の違いやら厚生年金とのギャップを埋めるんだということも一つありました。しかし、基本的には財政運用の妙といいましょうか、あるいはそこに魅力があってという意見が相当あったようです。また、今でもそういう説を述べられている人が何人かいます。これが今度こっちの厚生年金の方に戻ってくるとかこないとかいう話があるものですからややこしくなるのですが、この辺はおきます。
いずれにしても各年金の財政運用を大蔵省の手元で相当ある意味においてはコントロール、ある意味においてはその方向性というものを指導しませんと、それぞれ年全体制の合理化、一元化の方向に向かっては相当ネックになる、私はそういう気がしてならぬのですよ。きょうは時間がありませんから御答弁をいただきませんけれども、ひとつ十分考えていただきたい、こう思うのです。
なお加えて言うならば、厚生年金の運用に対して、やはり労働者代表を参加させるということは私は必要だと思うのですね。しばしば出ているようですけれども、ある部分について運用に参加しているようですが、もっと基本的な部分についても年金の積立金運用に対するそれぞれの労働者側の発言というものを確保していただく、その場をぜひつくっていただきたい、私はこんな気持ちであります。
最後に大臣、今公務員部長がおっしゃいましたように、各省間でいろいろ具体的に話し合わなければならないもの、掛金の問題も含め、あるいは今言った具体的な、無年金者ができないための基礎年金の業務をやろうといった場合にも、これは地方自治体に関係があるのですね。きのう私がお話ししましたように、国家公安委員長である大臣が御案内であったかどうか知りませんけれども、きょうは本当はそこまで質問したかったのですが、鉄道公安官の受け入れという問題を一つとってみても、どういう形で警察の機構というものにはめ込んでいくのか、同時にまた、年金の面ではどういうような統一性を持つのか、さまざま具体的な問題がこれから起きるわけですね。そういう意味ではこの共済年金の、地方共済の本法の改正という問題は、本法の改正にとどまらず、それに付随して起きる仕事というものは、国家公務員共済に持っている大蔵省と同じように自治省は大変な負担を持たなければならぬのですね。私はまさに大臣の指導性といいましょうか、地方自治体を通しましての指導性というものは非常に要求されるところだと思うのです。後で同僚の議員がそれぞれ質問すると思いますけれども、国庫負担の削減に伴って交付税が一体どうなるのか、地方財政が、国庫負担をだんだん削減することによって地方自治体はどのくらいこれの負担をしょい込まなければならぬのか、それに対する財政的な手当てはどうするのかなとということも恐らく当委員会としては真剣に議論し、また、大臣の方も自治省を通して、こうあるべきだというそれぞれの自治体に対するサゼスチョンをきちっとされる必要があると思うのですね。そんなことを踏まえまして、共済だけではなくして行政面全般にわたる、この際、大臣の指導といいましょうか、あるいはそういう決意といいましょうか、ぜひお述べいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/11
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012・古屋亨
○古屋国務大臣 今の加藤先生のお話は、連合審査会を通じ、あるいは現在の国の財政の非常に厳しいことから、地方の役割、影響の問題等に及ぶ大変広範囲な問題でございます。
私は先ほどから聞いておりまして、恩給というものに対する考え方と共済に対する考え方がどうも違っているのではなかろうか、恩給というのは、それだけ国家に働いたから国家が出すような義務である、共済というのは、新しいそういう恩給と、いろんな社会政策理由その他で発足したものであると思うのでありますが、やはり考え方は受給者にとって同じような価値ある問題だと私は思います。そうすると、そういうようなスライドの問題を考えましても、あるいは厚生年金における所得制限の問題を考えましても、本当に区々であるというような感じが私もしてなりません。特にこういう厳しい財政下におきまして、国もいろいろの負担におきましてなかなか渋らざるを得ないという状況もございます。しかし、そうかといって地方で負担するような余裕も全然ないわけでございますので、地方交付税の問題を含めまして、国の補助金が減るからみんな地方交付税で補っていくということは、幾ら地方交付税があっても足りなくなってしまうということは必至のことでございますので、そういうこれからの地方財政の的確なる運用の問題というのは、私は極めて大きい私に課せられた問題だと思っております。
共済年金の問題につきましても、私もいろいろお話を聞きながら、先ほど申し上げましたようによっぽどこれは真剣にやっていかぬと、いわゆる幹部といいますか、最高の責任の立場にある者がこういう問題をとにかくよく勉強し、またそういう意見もよく聞いてやっていかないと、事務当局だけに任しておいてはこういう問題は大変解決も難しい問題になってくると思います。今、厚生大臣が年金の担当大臣となっておりますが、そういう国全体のことも含めまして、私はぜひこの際もう一度こういう審議会における、委員会におけるいろいろの先生方の御意見を率直に頭で反省をいたしまして、年金の問題、加えて恩給の問題、あるいは大きく構えまして地方財政の問題あるいは地方自治の問題全般について、国の問題として考え直すべき、また真剣に努力しなければならないときである、私はそういう感じでございまして、そういう点は、加藤先生のお話のように私もこの問題につきましては地方の立場ということを一番頭に置きながら、国全体の立場を考えながら地方の問題を中心にして考えていかなければならぬ、自分の責務の重いことをつくづく痛感しておりますので、よろしく御指導をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/12
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013・加藤万吉
○加藤(万)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/13
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014・高鳥修
○高鳥委員長 小川省吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/14
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015・小川省吾
○小川(省)委員 きのうと一昨日、連合審査がございました。この中で大臣は我が党の質問に答えて、国鉄共済を地方公務員共済で背負うのかという質問に対して、去る十四日の地方行政委員会の答弁よりも後退をしたような印象を受ける答弁をされたようであります。地方公務員共済はただでさえその中で赤字都市共済の財政調整をしなければならない現状にあるわけですから、国鉄共済の赤字を背負えるような余裕はないはずであります。審議会の答申もそのように述べておるはずでございます。
念を押す意味でお尋ねをいたしたいと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。組合員全体もそう理解をしておりますので、あえてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/15
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016・古屋亨
○古屋国務大臣 今小川先生のお話でございますが、私は地共審の答申の趣意を踏まえて努めてまいるということには変わりございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/16
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017・小川省吾
○小川(省)委員 安心をいたしました。連合審査で何かちょっと後退したような印象を受けましたのでお尋ねをいたしたわけでございます。
それから国鉄の離職者を今後自治体で受け入れていくようなこともあると思いますが、年金の責任準備金を持ってきてもらわなければ地方公務員共済も苦しくなるばかりでありますが、受け入れの条件として責任準備金というか積立金の件を挙げなければならないと思います。そういう意味で、運輸省との間でこの間中島公務員部長は話がついているというふうなお話であったようでありますが、積立金の移管についてそういう話し合いが運輸省との間にされておるのかどうかということについてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/17
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018・中島忠能
○中島(忠)政府委員 国鉄のいわゆる余剰人員というものを地方公共団体に受け入れるに当たりましては、若干附帯的に解決しておかなければならない問題がある。
〔委員長退席、平林委員長代理着席〕
その一つといたしまして、今先生が御指摘になりました当該職員に係る積立金の移管の問題。国鉄余剰人員を地方公共団体に受け入れますと、国鉄職員期間というものが地方公務員の共済年金期間に通算されまして、両者合わさったところで年金が支給されますので、国鉄職員期間に係る積立金の移管というのがなければ、今先生がお話しになりましたように地方公務員共済の方に負担がかかり過ぎる、余分な負担がかかる、こういうことでございますので、その点は運輸省とお話をいたしまして、運輸省の方もそのことについては了解しておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/18
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019・小川省吾
○小川(省)委員 まあ財政が苦しいということでごまかされるおそれもありますから、十分配意をしていただきたい、このように要請をいたしておきたいと思います。
警察庁の鈴木官房長においでをいただきました。風営法以来ですね。そこで、鉄道公安官三千人の警察移管の話が現在出ております。運輸省がまたは国鉄から正式な話がございましたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/19
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020・鈴木良一
○鈴木(良)政府委員 国鉄民営化後の鉄道公安制度のあり方につきましては、御存じのとおり本年の七月二十六日に国鉄再建監理委員会の答申がございました。これを受けまして十月十一日に閣議決定がなされております。この中で「鉄道公安制度は廃止すること」、それから二番目には、その廃止されました後の「鉄道に係る公安維持のための事務は、都道府県警察が行うこと」、それから三番目に、現在の鉄道公安職員につきましては、先ほどの国鉄再建監理委員会の「意見」中では、国鉄民営化後に、鉄道に係る公安維持に当たる主体が鉄道公安職員を引き継ぐことを考慮する、こういうふうにありますが、その「趣旨に沿って適切に対処すること」、こういうふうに政府方針が決まっておるわけでございます。もちろんこの政府方針を決めるまでの間に関係機関と十分打ち合わせをしてまいったわけでございますけれども、今後もこの政府方針にのっとりまして運輸省を初めとする関係機関と密接な連絡をとりまして、都道府県警察がその鉄道に係る公安維持の事務を適切に行うことができるよう鋭意検討を進めておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/20
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021・小川省吾
○小川(省)委員 政府方針で決まっているようですから十分に承知をしておる、こういうことでございますね。
そうすると、今と同じようでありますが、受け入れる際に年金準備金というか積立金を受け入れをしないと警察共済も苦しくなるばかりであることは明らかでございます。移管の際には積立金の移管をするべきでございますけれども、この点についての話し合いはついておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/21
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022・鈴木良一
○鈴木(良)政府委員 鉄道公安職員を採用するということがまだ決まっておるわけではございませんので、具体的に採用するということになりました段階で、この責任準備金に相当する金額の移管につきましても警察共済組合が十分やっていけますように協議を続けてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/22
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023・小川省吾
○小川(省)委員 今言われたように、この話がついていないと警察共済がとんでもないことになりますから、受け入れる際にはその点をぜひきちっとしていただきたい、こういうことを強く要請しておきたいと思います。
官房長、何かお忙しいようですから、席をはずしていただいて結構でございます。
さて、共済組合法が大改正をされようといたしております。いや、むしろ大改悪をされようとしていると言った方が適当なのかもしれません。私はこの難解な法律をずっと読んでみましたけれども、なぜ改正を行おうとしているのか、本当のところわかりません。この改正のねらい、改正の期すところはどこにあるのでしょうか。この改正の期しているところは率直に言って何なのか、お述べをいただきたいわけでございますが、これは大綱に属することでありますから、ぜひ大臣から御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/23
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024・古屋亨
○古屋国務大臣 きのうも連合審査会で、先生もずっとおられまして、私も聞いておりましたけれども、高齢化社会の急速な進展というものによりまして、給付と負担の適正化を図っていかなければ間に合わないということが一番の根本でございます。それに基づきまして、いろいろの施策、法案で——今度国民年金法で基礎年金を全部に適用するのだとか、あるいはとにかく老齢の方が非常に急速に出てまいりますので、生活に困らないようにするということを基本として、さっき言いました給付と負担の適正化、そのための基礎年金の導入、それに伴いまして公務員につきましても職域部門に対する措置というものを考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/24
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025・小川省吾
○小川(省)委員 優等生の答弁でございますが、いろいろこれから述べていきますから、ぜひひとつ聞いておいていただきたいと思います。
中島公務員部長、この法律を眺めてみてよいところが一つだけありました。それは既給一時金の清算の項であります。これ以外に改善をしてよくなると思われる点ほどこにあるのでしょうか。例を挙げてひとつ御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/25
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026・中島忠能
○中島(忠)政府委員 なかなか厳しい御質問でございます。
私たちが今回の改正をするに当たりまして、今大臣からお話し申し上げましたように、将来の高齢化社会に対応できる年金制度というものをつくっていこう、そのためには給付の適正化、そして負担もそれに対応して適正にしていかなければならない、こういうことを考えたわけでございますけれども、個々の問題につきましては、私たちもできるだけ配慮していこうじゃないかということで実は取り組んだつもりでございます。今先生がお話しになりました既給一時金制度の改正もその一つでございます。あるいはまた遺族年金に対する現在の二分の一というのを四分の三に改正する。あるいはまた障害共済年金とか遺族共済年金の一年の資格要件というものを撤廃する。あるいはまた在職中におきましても、給料の低い方には年金の一部を支給していこうというような制度をそれぞれ取り入れまして改正に努めたといいますか、そういう細かい配慮をしながら私たちは今回の改正に取り組んだつもりでございます。そういう点もよく御理解いただきまして、先生がお立ちになりました十回のうちの二回ぐらいはお褒めの言葉をいただけるようにお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/26
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027・小川省吾
○小川(省)委員 大分苦しい御答弁のようでございますが、既給一時金の清算部門でも、今まで総支給額から控除をしてきたわけでありますから、いいかげんよいはずだと思っているわけです。それでも今回、また利子をつけて返還をさせる必要があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/27
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028・中島忠能
○中島(忠)政府委員 この問題につきましては、私より先生の方がよく御存じでございますので、あれこれ御説明する必要もないと思いますけれども、仮にこの改正法案を成立させていただくという前提でお話しさせていただきますと、結局、来年の三月三十一日までの既給一時金の控除の制度というのは、現在国会で御議決いただきました方針に従ってやらせていただいておるわけでございますから、それはそれとして、ひとつ適法な措置だ、合法的な措置だということでお認めいただきたいと思います。
そういうことを前提にいたしまして、私たちの方では、現在までといいますか、現行法のもとにおきまして控除いたしました分を考慮いたしまして、割り落とし率を掛けてその後の額に五・五%の利子を掛けてひとつお払いいただこうということでございます。その場合にも、償還期間中の利子というのはもう考えないでおこうじゃないかというような配慮まで私たちの方ではいたしまして、この際、この問題について決着をさせていこうじゃないかということでございますので、ぜひとも私たちの今回の措置というものを御理解いただきまして、御了承いただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/28
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029・小川省吾
○小川(省)委員 年間二十万なり三十万なり四十万控除を認めてきたわけでありますから、これに改めて利子をつけて返還させるなんということはもう必要ないのじゃないかと思っておりますから、ぜひこの点はひとつ再検討をしてくださることをお願いをいたしておきます。
そこで、具体的に何点かについてお尋ねをしてまいりたいと思います。
まず国庫負担の問題であります。国庫負担の仕組みは、この改正でどのように変わっていくのかという問題でございます。そうすると、基礎年金の三分の一ということは、一五・八五%から何%に変わっていくのでしょうか。やはり長い見通しとしては減っていくのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/29
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030・中島忠能
○中島(忠)政府委員 公的負担の話でございます。これは、現在は拠出時負担ということで一五・八五%の公的負担をいたしておりますが、この公的負担のあり方について従来から、それぞれの公的年金制度の間で公平性に欠けるのじゃないかという議論もございましたし、この率につきましても議論がございました。そこで、今回の改正を契機にいたしまして、すべての公的年金制度間における公的負担の額というものを公平にしていこうということで、今先生がお話しになりましたように、基礎年金拠出金の三分の一ということで統一をさせていただいたわけでございます。
そういうふうにいたしますと一体どうなるのか、こういうことでございます。具体的に数字で申し上げますと、現在の制度をそのまま継続した場合には、昭和六十一年度、結局初年度でございますけれども、初年度の公的負担額というのはおおむね七百億になります。それ以後五年ごとに四百億ないし八百億というのが増加されまして、結局昭和九十年度には四千億になるだろう、こういうふうに私たちの方では見込んでおりますけれども、今度の改正案が仮に成立いたしました場合には、この公的負担の額というのは、初年度、六十一年度では今の七百億よりも百億ふえまして、初年度だけ八百億にふえるわけですが、それ以後五年ごとに二百億ないし三百億ふえまして昭和九十年度には二千二百億円になる。そういたしますと、九十年度比較で申し上げますと、四千億と二千二百億でございますから千八百億ほど減ることになるわけでございます。
そういうふうに全体としての数字を御説明させていただくわけでございますけれども、先生がお話しになりましたように一五・八五%に対してどういうふうになるのかということになりますと、どういう見方をすればこれが的確に比較できるのだろうかということで私たちいろいろ考えてみたわけでございます。仮に保険料収入の中の比率はどうだろうかということで見てみますと、これも六十一年度から始まりまして将来若干変動いたしますけれども、六十一年度当時の比率で申し上げますとおおむね一一%くらいになるのではないかと思います。確かに、今度の改正案で公的負担を計算いたしますと現行制度のもとにおけるよりも公的負担の額が減っていくということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/30
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031・小川省吾
○小川(省)委員 昭和六十五年度から九十年度まで五年ごとに何%になるか聞こうかと思ったのですが、今数字を挙げられましたので省略いたします。
そうすると、制度切りかえのときだけは、六十一年度は一四%ぐらいふえるのですね。それで六十五年以降減っていって、昭和八十五年度では大体四六%近くカットになるような形になっていくわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/31
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032・中島忠能
○中島(忠)政府委員 現行制度のもとにおける公的負担と改正案による公的負担の額は、先生がお話しになりますように減ってまいります。
ただ、その場合一つだけ頭に置いておいてほしいのですけれども、昭和三十六年の四月から国民年金法が施行されました。そしてそれ以前の分というのは、地方公務員共済の場合には追加費用ということで処理されますので、私が今申し上げました公的負担の額には実は入ってこない。ところが国家公務員共済の場合にはそれが公的負担の額に入ってきておりますので、地方公務員共済の方が若干落ちる率が大きいという点だけはひとつ御理解いただけないかなと思います。
いずれにいたしましても公が持つ金であるということには変わりないわけですが、整理の仕方としましてその分だけが少し変わってきておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/32
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033・小川省吾
○小川(省)委員 公務員部長、この改正のねらいの一つが公的負担の削減にあるわけです、大蔵のねらいがそこにあるわけですから、公的負担が減るようにつくられている改正案だということを承知をしておいていただきたいと思います。
そこで、地方公務員共済組合連合会以外の公立学校共済や警察共済の公的負担額の見通しはどのように変わっていくのか、地方公務員全体ではどうなるのか、お答えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/33
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034・松本英昭
○松本説明員 御説明申し上げます。
公立学校や警察共済組合の収支見通しはどうなっているか、またその全体がどうかという御指摘でございますが、私どもが今回の改正案を出させていただきます際に、まず最も代表的でかつ規模の大きい地方公務員共済組合連合会を取り上げまして、そしてその収支見通し等を長期間にわたって実は計算をさせていただいたわけでございます。ただいまも公務員部長が御答弁申し上げておるわけでございますが、それに基づきまして公立学校や警察共済組合につきましてもその作業の後に着手をいたしたわけでございますけれども、何分大変膨大な作業でございまして、現在あらかたの数字はつかんでおりますけれども、なおいろいろと検証したり精査中でございます。あらかたの数字で将来変わるかもしれませんから失礼でございますが、申し上げさせていただきますと、大体連合会と同じような傾向を示しておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/34
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035・小川省吾
○小川(省)委員 あらかたの数字しかないようでありますから、後日ひとつ資料をお示しいただきたい、このように申し上げておきます。
ところで、地方公務員共済組合連合会の公的負担額の収支見通しを見ると、現行制度の公的負担額は拠出時ではなくて給付時になっております。地方公務員共済年金の公的負担は現在拠出時負担になっており、拠出時負担で比較をすべきではないかと思いますが、いかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/35
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036・中島忠能
○中島(忠)政府委員 今回の改正案というものを前提に話をさせていただきますと、先ほど先生がお話しになりましたように、公的負担の出し方というのは基礎年金拠出金の三分の一を公的負担として出す。その基礎年金拠出金というのはどういうことかといいますと、基礎年金勘定から毎年基礎年金の給付というのを行いますが、その給付費に充てるために各保険者というのが拠出金を出すわけでございますから、今度の改正案で御説明させていただきますと、給付時負担になるということでございます。したがいまして、その給付時負担ということで計算をさせていただいて御説明させていただいておるわけでございますけれども、拠出時負担、給付時負担というのは、現在のところは共済組合にとりましては拠出時負担の方が若干有利でございますけれども、昭和六十五年度から七十年度、その間にはそれが逆転いたしまして、給付時負担の方が実は共済組合にとっては有利に変わってきます。したがいまして、長期的に見るということでお話し申し上げますと、拠出時にするか給付時にするかということは、いずれが有利かということになりますと非常に問題が多いわけでございます。私たちは、長期的に見ますと、それは結局はどちらも同じになるんだ。現在までというか、あとしばらくの間は拠出時負担の方が有利でございますけれども、給付時負担の方が有利になる時期がもう近づいておるということでございますので、給付時負担で計算をさせていただいてもそんなに不合理な御説明にならないんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/36
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037・小川省吾
○小川(省)委員 その点については一応了解をいたします。
国家公務員や国鉄や旧二公社が給付時負担に変わったのはつい最近、恐らく二年ぐらい前のことだったと思います。しかもそれは国鉄共済年金の財政破綻のために制度が変更になったはずでございます。
地方公務員共済の、拠出時負担から給付時負担に変えていいという話は今のところ全く聞いておらなかったわけでありますから、給付時負担の試算をする根拠をお聞きをしたかったわけであります。
また拠出時一五・八五%で試算をした現行制度による公的負担額の将来見通しはどうなっているのか示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/37
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038・松本英昭
○松本説明員 御説明申し上げます。
ただいま公務員部長が御説明しましたように、拠出時負担にするか給付時負担にするかという問題は、長期的に見ますと、実はいずれ給付時にしないと、今度は逆に公的負担額は少なくなってまいりますので、いつかは清算をしなければならない。その時点は私どもが現行制度で見る限り、先ほど部長からも答弁がありましたように、比較的近い時期を予想しておりまして、いずれその時点には、給付時負担に切りかえてまいらなければならない。その際には当然清算行為というのが必要になってまいるわけでございます。
それでもなおかつ拠出時の負担で一体どの程度になってまいるのかというお話でございましたのでちょっと申し上げますと、大体六十五年で現行制度で千二百億程度の推移、その後ずっと拠出時ではふえてまいりません。したがいまして、仮に現行法で七十五年にいきましてもやはり千二百億ちょっと。改正案で拠出時でいきますと、そのころは千四百億ということでございますから、千五百億近い数字でございますから、この点ではもう逆転をしておる、こういうことになってくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/38
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039・小川省吾
○小川(省)委員 まあ結構でしょう。
次に、六十から六十四歳の特例による共済年金の支給に当たって、公的負担はどうなっているのかという問題であります。
特別支給の退職共済年金は基礎年金相当額も含んだもののはずであります。その基礎年金部分も公的負担がゼロ、二階の報酬比例部分も公的負担ゼロというのでは、実質的に公的負担の支給開始年齢が六十五歳ということになってしまうわけであります。六十から六十四歳の公的負担ゼロというのは共済年金の財政をますます悪化させ、その財政悪化を理由に支給開始年齢を繰り延べしていこうとしているのではないかというふうに疑ってもやむを得ないわけでありますから、そういう意図があるのではないのですか、いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/39
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040・中島忠能
○中島(忠)政府委員 公的負担につきましては先ほど御説明させていただきましたが、すべての公的年金を通じて公的負担を公平にしていこうというそういう政策的な考え方がございました。そこで、先国会におきまして成立をさせていただきました国民年金及び厚生年金保険法、その両改正案におきましても、先生が今御指摘になりましたように、六十五歳以降の支給について公的負担を導入していこうというのを成立させていただいたわけでございますが、それと同じように今回も六十五歳以降の分について公的負担ということになっておるわけでございます。結局、基礎年金にそれを集中するということで統一を図ったということでございます。
六十歳から六十四歳までの間に公的負担を導入せずに、そして共済組合が苦しくなったところで六十五歳支給にしようじゃないかという意図があるのじゃないかというふうな御指摘でございますけれども、そこまで私たちは実は考えておりません。やはり六十五歳支給といいますか支給年齢を引き上げるということにつきましては、雇用との関係というものを考えて議論していかなければとても国民の納得が得られない問題だと考えておりますので、そのことと支給開始年齢の六十五歳引き上げの問題は関係ございませんので、そこまで私たちを疑わないでいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/40
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041・小川省吾
○小川(省)委員 この法律を見てみますと、年金の支給開始年齢が本則六十五歳としておるわけですね。六十歳定年が施行されたばかりなのに、六十五歳定年がしかれたような改正になっているのはなぜかということであります。今もお話がありましたように、年金支給と定年、いわゆる雇用の問題は直結しなければならない問題でございますが、これではまるっきり六十五歳定年がしかれたような形になっていますが、定年をさらに六十歳から延ばしていこうというようなことが話の中に上っているのですか、どうなんですか。それと六十から六十四歳までの公的負担をぜひつけてもらいたいと思っておりますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/41
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042・中島忠能
○中島(忠)政府委員 重ねての御質問でございますが、私たちの方では現在のところ定年というのを六十歳からさらに引き上げていこうというような議論は実は具体的には内部では行われておりません。ただ、この問題につきましては、定年制法案の審議のときにもいろいろ御議論いただきましたように、これからの民間の雇用の実態をよく考えながら、またとにかく改めて議論していこうじゃないかという話がございました。私はそういう問題じゃないかというふうに思います。
この問題に関連いたしまして、先生が今また再び六十歳から六十四歳の間についての公的負担の話がございましたが、その問題についても先生が御指摘されますように、今度の改正案を作成する過程におきましても一つの議論であったことは事実でございます。ただ、私が先ほど御説明させていただきましたように、やはり公的負担というものはすべての公的年金、すべての国民に同じように公的負担というものをしていこうじゃないか、こういう考え方で今度は統一させていただいたわけでございますので、その点もまた私たちの考えを御了解いただけないかなというふうにお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/42
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043・小川省吾
○小川(省)委員 公務員の共済年金は退職年金でございます。しかるに公務員の定年制は六十歳であり、今もお話があったようにこれを延長しようという話は出ていないようでございますね。まあ六十歳の定年につい最近なったばかりでありますからこれは当然なんだと思うのでありますけれども、ここで年金六十五歳を本則にするということになっていくならば当然定年延長の話も浮上してくるだろうと思っておりますが、雇用と直結をするという形で定年延長の話も当然俎上にのせていくべきではないかと思っているわけでございます。
地方公務員法の第四十三条では、職員が退職をした場合、退職年金制度がなくてはならないと書いてあります。その点から言えば、支給開始年齢を本則六十五歳にするのがそもそも誤りであったのではないかと思うわけであります。六十歳支給開始を本則としてそして六十から六十四歳に公的負担を設けて、もっと先へ行って六十五歳本則ということに改正をすべきだったと思うのでありますが、もう一回御答弁をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/43
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044・中島忠能
○中島(忠)政府委員 法律の規定の仕方についての御異議だと思います。
今回、共済組合の組合員にも基礎年金というものを導入していこうじゃないかということ、そのことの意義は最初に大臣からお話を申し上げたわけでございますが、そういうことで基礎年金というものを導入していこう、そのときの法律の規定の仕方でございますが、先国会で成立させていただきました厚生年金におきましてもやはり基礎年金を導入していこう、そういうことで、厚生年金保険法におきましても本則で六十五歳、附則で六十歳という規定の仕方をしております。そこで、同じように基礎年金を導入していこうというふうに共済組合についても考えたわけでございますので、規定の仕方も同じようにさせていただいていいじゃないかということで平仄を合わせさせていただいたわけでございます。そういうふうにしたことが、先生がたびたびお話しになりますように、不意討ちに六十五歳に支給開始年齢を引き上げるのじゃないかということでございますが、先ほど私が申し上げましたように、これは雇用との関係を考えずにそういうことの議論というのはとても国民が納得していただけないだろうというふうに考えておりますので、私たちの頭の中の本則は六十歳支給でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/44
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045・小川省吾
○小川(省)委員 だから、本則をそういうふうに考えているならば法律をそういうふうにしていけばよかったのだと思うのです。
そこで次に、公的負担と国庫負担とについて若干伺いますが、基礎年金拠出金の三分の一をどのような形で公的に負担をするのかということです。地方公務員共済の基礎年金拠出金の三分の一を自治体が負担をして、その財源は地方交付税で見ていくということなんだろうと思いますが、そういうことですか。
〔平林委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/45
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046・中島忠能
○中島(忠)政府委員 そういうことでございます。
もう少し具体的に申し上げますと、昭和六十一年度の例で申しますと一人当たりの拠出金が八千百九十八円になると厚生省は計算しておりますが、その三分の一ということになりますと二千七百三十三円。それを基礎にいたしまして交付税の基準財政需要額に算入していこうじゃないか、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/46
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047・小川省吾
○小川(省)委員 今言われたように、八千百九十八円ですから二千七百三十三円ですね。それで共済組合員とその妻の人数分を乗じて金額を繰り込むということだろうというふうに思うのであります。基礎年金は全国民を対象にした一元的な年金制度だとされております。仮にそうであるとしたら、基礎年金についての公的負担は国が当然責任を持つべきものであって、自治体が負担をすべきものではないと思うのであります。交付税で裏打ちをされているといっても、不交付団体や公営企業はどうなるのですか。そこの財源で出すとすれば、こんな公的負担のまやかしはないと思うのでありますが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/47
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048・中島忠能
○中島(忠)政府委員 公的負担を国庫で持つべきじゃないかというお話だと思います。この公的負担というのをどこが持つんだということについては、かねがね議論がございます。現在の制度のもとにおいてもいろいろ議論が行われたわけでございますけれども、公的年金制度というものを支えておるというのは、国も支えておりますし、地方公共団体も支えておる。特に地方職員共済組合というのは地方公務員法及び地方公務員共済組合法に基づく制度でございますので、それを支えておるというか、その実施主体である地方公共団体がその公務員共済に対する公的負担というものをすることについては余り御異議がないんじゃないか、了解していただけるんじゃないかというふうに私たちは考えております。ただ、今度基礎年金ということになりましたのでというお話もあるかと思いますけれども、その三分の一拠出金というのもしょせんは地方公務員共済組合の組合員及びその被扶養配偶者にかかる負担でございますので、地方公共団体が共済組合に対して負担をするという仕組みというのは、今までの経緯も含めまして御了解いただけるんじゃないかというふうに思います。
なお、公営企業職員についての公的負担の話でございますけれども、これはかねがね御主張の問題でございます。ただ、現在公営企業に負担させておりますのは、国の企業関係職員につきましてもそれぞれの企業が負担しておるということに平仄を合わせましてそういう負担になっておるわけでございますけれども、この問題につきましては、そういうような経緯を踏まえながら、そして先生方の御主張も踏まえながら、なお検討させていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/48
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049・小川省吾
○小川(省)委員 私は、今の答弁にもありますが、したがって基礎年金拠出金への公的負担はすべて国庫負担とすべきではないかというふうに思っておるわけであります。
これは大蔵省だと思うのですが、当然国庫負担をふやすという方向で対処をしていただきたいと思うのですが、そうすれば不交付団体や公営企業も浮かばれるわけでありますし、そういうふうに国庫負担をふやすという方向で措置をしてもらわなければ困ると思うのですが、国鉄の赤字の一因も国鉄共済を国鉄に持たしたというところにもあるわけでありますから、大蔵省の中島主計官おいででありますが、国庫負担をふやすという方向で対処をしていただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/49
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050・中島義雄
○中島説明員 各種年金制度につきまして国庫負担をふやしてはどうかという御質問かと存じますけれども、年金の制度の組み立て方といいますのは、先生も御承知のように、いわゆる社会保険方式ということで、国民がそれに参加するという連帯感を基礎、基盤として構築されておりまして、それで既に定着しておるものと考えております。国庫負担を導入することにつきまして、国庫負担も各制度間の公平を図る上で必要なものでございますけれども、この割合をふやしていくということになりますと、それはすなわち財政負担という形になるわけですが、これも結局は租税負担という形で国民の負担に結びつくものでございます。したがって、現在の財政状況のもとでこの国庫負担をふやしていくということにつきましては、これはまことに困難な問題があろうかと思います。また、仮にそのために新たな財源を租税負担の増加という形で求めるといたしますと、そのような急激な負担の増加に対して果たして国民の合意が得られるかどうかという問題があろうかと思うわけでございます。それからまた、国庫負担を著しく増大させるということになりますと、何よりもこれまで拠出していただいた方々とこれからの方々とのバランスをどのようにとっていくかというような難しい問題もあろうかと思います。このようなことをいろいろと考慮いたしまして、国庫負担を現在の制度以上に増大させることは大変困難であると私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/50
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051・小川省吾
○小川(省)委員 困難であることは百も承知でありますが、ぜひひとつ検討をしてもらいたいと思います。
第百二国会において国民年金法等の改正案の成立の過程で、社会党の要求によって附則を次のように修正しております。「基礎年金の水準、費用負担のあり方等については、社会経済情勢の推移、世帯の類型等を考慮して、今後検討が加えられるべきものとする。」こうなっておるはずです。
そこで、基礎年金は、全国民を対象にした老齢者の生活を最低保障すべきものでなければならないはずでありますから、定額支給としてその財源は全額税方式があるいはまた国庫負担とすべきものだと考えるわけであります。国民年金法等改正案の附則修正の趣旨からいっても、当面国庫負担を増大をして、全額国庫負担への移行のプロセスを示して真の年金改革に踏み切るべきだと思うのですが、これも大蔵省だと思いますが、今大変困難だという話がありましたが、国庫負担増額について検討を加える意思がありやなしや再度お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/51
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052・中島義雄
○中島説明員 年金の今後の給付額につきましては、いずれにしましても今後の急速な高齢化の進展に伴いまして非常に増大していくということは避けられないわけでございます。それに伴いまして国庫負担額もそれから保険料の負担も引き上げていかざるを得ないわけでございます。長期的にはこのような膨大な給付を賄う負担をどのような形にしていくのが最も合理的であるかということについて幅広い角度から検討していくことはもとより大事なことだと私どもも考えております。そのような検討は今後とも続けていくことにやぶさかではございませんけれども、今回の法改正につきましては、各種審議会の御意見なども踏まえまして国会での十分な御審議を経て成立したものでございますので、現状におきましては最善のものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/52
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053・小川省吾
○小川(省)委員 ぜひひとつ検討を加えていただきたいと思います。
この改正法律案をどう眺めてみても改悪以外の何物でもないと思うのだけれども、大臣、この改正案を時宜を得た改正だ、妥当なものだというふうに本当にお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/53
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054・古屋亨
○古屋国務大臣 やはり今度の改正案全体を通じまして、人口の老齢化の急速な進展に伴いまして、給付と負担の調整を図っていくということを一番の目標にしておりまして、いろいろの問題点が確かにあることは私も存じております。こういう問題につきましては、今後あらゆる機会を利用いたしまして検討をするにやぶさかなものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/54
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055・小川省吾
○小川(省)委員 ぜひひとつ検討をし、修正等にも応じていただきたい、このことを要請しておきます。
次に、保険料に関連をして若干お伺いをしてまいりたいと思います。
先日配付をされた資料によりますと、財源率の見通しが昭和百年まで出ておりますが、これによると、組合員の掛金率がだんだん増高をしていって、十年後の昭和七十年には一一〇・〇%になっております。給料の一〇%を超える掛金となってくることが明らかにされておるわけであります。果たして労働者がこのような高い掛金に耐えていけるのかどうかということは大変疑問でございます。一体全体、年金の掛金負担の限界を何%ぐらいに考えているのかという問題ですが、労働者の負担の限界を上回っているのではないかと思われます。そのころは恐らく給料が三十万円ぐらいにはなっているでしょうから、そのとき掛金が三万円、こういうことになるわけでありますが、こんな負担に耐えていけるような状態にあるんだというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/55
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056・中島忠能
○中島(忠)政府委員 掛金負担の限界というお話でございます。非常に難しい問題でございまして、私たちもこういうような改正案を内部で議論するときにはそういう難しい問題を絶えず議論しながら来たわけでございますけれども、結局はそれぞれの所得の状況あるいは税負担の状況、年金以外の社会保険料負担の状況、そういうものが総合されて掛金負担の限界というのが出てくるのだろうと思います。昭和五十六年から臨調でこの問題もいろいろ議論されました。結局そのときの議論というものを振り返ってみますと、欧米諸国では税負担、社会保険料負担を含めまして大体五〇%、アメリカはそんなに高くございませんけれども、そういうことになっておる、特にフランスに至ってはもう六〇%に近づいておるというような話がございました。そこで日本がそういうことになっては大変だというので行政改革が始まったというふうに私は記憶しておりますけれども、少なくともそのときの議論では、税負担、社会保険料負担というものを合わせまして五〇%より相当低い水準に抑えていかなければならないという議論がございました。そういうような議論の一環として今回も年金制度の改革というのをお願いしなければならないのではないか、こういう認識でございます。先生が御心配されますように、そのときの給料の状況とかその他の状況というものを考えまして、やはりできるだけ保険料負担というものを適正化していくように努めていかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/56
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057・小川省吾
○小川(省)委員 給料から控除をされるのは年金だけではありません。医療保険や住民税や所得税等が控除をされていくわけです。標準的な公務員で給料から控除をされるそれらのものは、大体何%ぐらいが妥当なのかという問題であります。年金の掛金が引き上げられるにつれて税金や社会保険料等の負担率も変わっていくだろうと思うのですが、どう変わっていきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/57
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058・中島忠能
○中島(忠)政府委員 私は、現在のところ、その相互の相関関係というのは一定の法則があるというふうに勉強しておりませんけれども、いずれにいたしましても、先ほどもお答え申し上げましたように、そのときの所得の水準あるいはまた先生がお話しになりますように税金とかその他の社会保険料の状況というものを考えながらその年金の掛金の水準というものを探っていく、そういうことになるんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/58
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059・小川省吾
○小川(省)委員 年金掛金の労働者負担の限界は大体給料の一〇%未満のところぐらいにあるのではないかというふうに思っております。政府は掛金を引き上げていって限界のところで六十五歳やむなしというような空気をつくろうとしているのではないかと思われる節がありますけれども、そう思っても構わないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/59
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060・中島忠能
○中島(忠)政府委員 よほど私が疑われておるようでございますけれども、私も誠心誠意仕事をさせていただいておるわけでございますし、先ほども答弁申し上げましたように、この年金支給開始年齢のあり方というのは雇用の状況というものと関連して議論していかなければ国民にも納得されないでしょうし、第一、国会でもそういう承認というものが得られないのではないかと考えております。私がこういうふうに先ほどから御答弁申し上げておりますので、ひとつその点は十分御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/60
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061・小川省吾
○小川(省)委員 労働者の掛金の限界を設定して、それを上回る必要財源は国庫負担の増額と使用者負担の割合を順次増加させていくべきものではないかと思っています。労働者三〇%、使用者七〇%負担に向けてそういう割り当てを切りかえていくことにいいかげんでこの辺で着手をすべきではないかと思うのです。これは大蔵省に聞きたいと思ったのですが、大蔵省、用事で退席をしたようですから、中島公務員部長、御面倒でもひとつ御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/61
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062・中島忠能
○中島(忠)政府委員 結局、年金財源をどういうふうに構成していくか、こういうことでございますけれども、年金制度というのはそれぞれ伝統があり、歴史があり、その年金制度を取り巻く社会情勢も特色がございます。欧米先進諸国を見ましても、労使折半でやっておるアメリカとかドイツというような国もございますし、おっしゃるように使用者負担の多いイギリスとかフランスというような国もございます。それぞれの国のそれぞれの歴史、伝統のもとにそういう制度ができ上がっているのだと思います。私たちも何も現在の負担のあり方というか財源構成が絶対正しくてこれは永劫不滅のものだというふうにまでは考えておりませんけれども、いずれにいたしましても、国民的な合意を得ながらこの財源構成というものを議論していかなければならぬのじゃないかと思います。私たちは、現在のところは御提案申し上げておりますような線で御議論いただいて御承認いただくのが現在の国民のおおむねの考え方じゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/62
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063・小川省吾
○小川(省)委員 次に、職域年金部分千分の一・五についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
まず民間の企業年金でございますが、厚生年金基金の上積み部分についての労使の負担割合についてはどのようになっておりますか。これは厚生省にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/63
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064・和田勝
○和田説明員 御説明申し上げます。
厚生年金基金の掛金は事業主と加入員の折半負担が原則になってございますが、基金独自のプラスアルファ部分、上積み部分でございますが、これにつきましては基金の自主的判断によりましてその規約で事業主の負担割合を高めることができることとされております。このプラスアルファ部分につきまして加入員が掛金負担をしている基金は、五十八年度決算の数字によりますと一千三十三の基金のうち百七十七の基金、約一七%に当たりますが、それ以外はすべて事業主の負担となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/64
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065・小川省吾
○小川(省)委員 そうすると、事業主負担が大部分ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/65
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066・和田勝
○和田説明員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/66
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067・小川省吾
○小川(省)委員 そこで、改正案の職域年金部分での負担割合はどうなっておりますか、中島公務員部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/67
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068・中島忠能
○中島(忠)政府委員 基礎年金部分を除く給料比例部分、職域年金部分を含めて労使折半でございます。ただ、先ほど厚生省の方から御説明がございました。私たちの方でもそれなりに企業年金の状況について勉強いたしましたけれども、結局企業年金の状況というものを統一的にこうだ、その水準とか財源構成を把握して、それで今度の職域年金部分の議論をするに当たりましてきちっとした参考資料まで得られるかということになりますと、そこまでのものというのは無理じゃないかと考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/68
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069・小川省吾
○小川(省)委員 職域年金部分だけでも負担割合を当然考慮すべきだったと思うのですが、これはまた後ほど申し上げます。
次に千分の一・五でありますが、一・五という数字がどこから出てきたかということでございます。恐らく千分の七・五の二〇%、こういうことで千分の一・五になったのだろうと思うのですが、これは千分の二でもよかったのではないかというふうに思います。この間、柴田委員は千分の三を主張しておったようでありますが、私は千分の一・五は千分の二に改めていくべきだというふうに思っていますが、これを要求によって変えていくような意思がおありかどうか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/69
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070・中島忠能
○中島(忠)政府委員 千分の一・五というものの上積みというか修正の話でございます。
この千分の一・五というものを考えるに当たりまして、私たちはやはり一つは、それを負担するといいますか、現役の公務員の負担というものを考えてみなければならない、こういうことでございます。先生と若干意見がすれ違うかもわかりませんけれども、結局は、それを上積みすることによりまして現役の公務員の掛金負担というものにはね返ってくる。今度の改正案のように、給付を適正化いたしましても、一番高いところの現役の公務員の掛金負担というのは一七・二五%まで上らざるを得ないということでございますので、それをさらに引き上げる要素というものをこの際考えるかということになりますと、どうしてもそこは消極的にならざるを得ないという点が一つございます。
もう一つは、千分の一・五を前提といたします今度の改正案の場合に、一体給付の水準がどうなるのか、こういうことでございますけれども、四十年間勤務するという標準的な公務員というものを考えました場合に、現職の公務員の平均給与月額に対しまして大体七四%ぐらいの年金水準になるだろうというふうに考えております。そういたしますと、先般成立させていただきました厚生年金の場合の議論を聞いておりますと、現職の民間サラリーマンの平均的な賃金に対しまして六九%という話がございましたけれども、今度の千分の一・五でいきましても七四ということで、六九%よりももう既にそこで五%ほど高くなっているわけでございますので、それをさらに引き上げるということが国民全体の立場から見てどうだろうかということもやはり考えなければならない。そういう二つの要素から、千分の一・五ぐらいというものがいいところではないか、国民の皆さん方から見ても御了解いただけるのではないかということで御提案申し上げておるわけでございます。
私も、この提案というものを国会にさせていただいてから、新聞の読者の投書欄というのがございますけれども、その投書欄を注意深く見てまいりますと、公務員にそういう職域年金部分というのを設けるのは新たな官民格差だという投書も随分あったように記憶しております。なかなか厳しいようないろいろな意見もございますので、私たちは千分の一・五というところがいいところではないかというふうに感じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/70
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071・小川省吾
○小川(省)委員 おっしゃる意見も理解できないわけではありませんが、私は千分の三にすると確かに掛金にはね返りが大きくなると思いますが、これは一・五から千分の二にどうしても切りかえるべきだ、こういうふうに思っておりますので、また後ほど修正案等で与野党折衝を続けていきますが、ぜひひとつこの点は御理解をいただきたいと思っております。中島公務員部長としては、提出をした本人ですから提出をしたのがベストだと言いたいのでしょうけれども、やはり相当改めなければならない部分も含まれておるわけでございますから、ひとつよく注意をして聞いておいていただきたい、こう思っております。
それから、厚生年金基金の実態を勘案すれば、当然職域年金部分は使用者負担を引き上げて、折半から変えていく必要があるというふうに思うわけであります。職域年金部分は、懲戒処分を受けると支給停止の対象になることになっております。労使折半負担の保険料で賄われている部分をカットするというのは、社会保険の趣旨からいっても妥当性を欠く、矛盾をするものと言わなければならないというふうに思っています。そこでまず、厚生年金で支給停止というような措置がとられている点があるのかどうか、この点を厚生省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/71
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072・谷口正作
○谷口説明員 お答え申し上げます。
厚生年金におきましては、お尋ねのありました懲戒処分等によりまして支給停止という規定につきましては現行の制度においても設けられておりませんし、今度の改正法においても盛り込まれておりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/72
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073・小川省吾
○小川(省)委員 今言われたように、厚生年金では懲戒処分による停止などはないということだそうでありますから、公務員の特殊性ということをどうも労働者の不利になるところばかり残しているのがこの法律じゃないかというふうに思うのであります。職域部分、もしも一〇〇%使用者負担にしておってカットの対象にするというのなら理解できないこともないのでありますが、折半負担にしておいてこれをカットするというのは矛盾も甚だしいと思うのでありますけれども、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/73
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074・中島忠能
○中島(忠)政府委員 年金制度につきましては、官民格差という議論がやはりございます。
そこで、そういう議論の中で職域年金部分というものを設けるわけでございますが、この職域年金部分というのがどうしてとにかく正当化できるのだろうかということなんですが、いろいろな人が言っておりますように、共済年金というのは公務員制度の一環としての性格を持っておる、こういうふうにみんな言っております。そこで、もう少し公務員制度の一環としての年金だということをわかりやすくかみ砕いて申し上げたいと思うのですけれども、それは一つは、公務員というのは専ら公益のためにのみ働かなければならない人間だ、そういうことが要請されているということが一つあると思います。もう一つは、公務員というのは、そういうこともありまして、非常に厳しいいろいろな規制がある。労働基本権が制約されておるとか、営利企業に従事してはならないとか、守秘義務があるとか、いろいろな厳しい民間にない規制がある。そういう二つの要素というものを加味して、やはり民間の厚生年金にはない職域年金部分というものを設けることが理論的に正当化されるのじゃないか、こういうふうに私たちは考えて今回職域年金部分というものを提案したわけでございます。
そこで、この職域年金部分というものがそういう性格でもし正当化されるのならば、公務員の方が公務員としてふさわしくない、結局先ほど申し上げました公益のために働かなかったとかあるいは厳しい規制というものに違反した、法令用語で一部の専門家は公共のために働く人間としてふさわしくない背信行為があった場合というふうに言っておりますけれども、そういう場合には職域年金部分というものをもらえる資格というものをやはり失ったのじゃないか、こういうふうに考えて懲戒処分とかあるいはまた禁錮以上の刑に処せられた場合には職域年金部分というものを遠慮していただくというのが理論的にも首尾一貫しているのではないか、こういうふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/74
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075・小川省吾
○小川(省)委員 ところで、改正案と少し離れるのでありますが、共済短期の労使負担割合は現在折半になっております。組合健保の労使負担割合はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/75
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076・奥村明雄
○奥村説明員 お答えを申します。
健保組合の保険料は、原則といたしまして折半ということでございますが、規約によりまして、事業主の負担する割合を増加することができることになっておりまして、六十年の三月現在の平均で見てみますと、事業主が五七%、被保険者が四三%という割合になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/76
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077・小川省吾
○小川(省)委員 政管健保の国庫負担は何%ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/77
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078・奥村明雄
○奥村説明員 お答えを申します。
政管健保に対する国庫負担は、分娩費とか埋葬料を除きまして保険給付に対する費用の一六・四%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/78
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079・小川省吾
○小川(省)委員 そういたしますと、医療保険料の負担は共済組合が五〇%、組合健保が約四三%、政管健保が四〇%ということになるわけですね。この一六を除いた折半ですから四二%くらいということになるわけでございます。共済が一番高いということになりますが、これは逆官民格差ではございませんか。中島さん、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/79
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080・中島忠能
○中島(忠)政府委員 御指摘の問題につきましてはかねがね議論されておりまして、例えて言いますとこの社会保障制度について一番権威があると言われております社会保障制度審議会の答申においては労使の折半を貫くべきであるというような答申が出ておるわけでございますが、私たちの方ではそういう線に従って現在の折半主義をとらせていただいておるわけでございますけれども、ただ、公務員の場合に少しつらいのは、この使用者負担をふやすということは結局住民の税金をそこにつき込むということになりますので、組合健保のように簡単に変えられないというつらさが実はございます。結局そういうふうに使用者負担をふやすためには、国民といいますか住民の納得というものが得られなければなりませんので、そこらの議論というか、合意というか、そこらを見ながら考えていかなければならない問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/80
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081・小川省吾
○小川(省)委員 使用者負担を増大していけば、自治省が考えているように首長が簡単に人員をふやせなくなる、こういう点があるからかえって自治省のねらいどおりになっていくのではないかと思いますが、年金負担も考えると共済短期の負担割合は再検討をすべき時期に立ち至っていると思いますので、ひとつ、検討もお願いいたしておきたいと思います。
次に、既裁定者のスライドストップについてお伺いをいたします。
今の年金受給者は戦前、戦中、戦後の厳しい世相の中で公務員生活を送ってきた者ばかりでございます。年金受給者はほとんどの場合、年金以外の収入がないわけでありますから、年金のわずかなベースアップを楽しみに生きているわけであります。今回の裁定がえはこのわずかな楽しみさえも奪い去るところの暴挙だと言わなければならないと思っています。民間の厚生年金もこのようなスライドストップの施行ということになっておるわけですか。これは厚生省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/81
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082・谷口正作
○谷口説明員 お答え申し上げます。
厚生年金におきましては、先生御案内のように今回の改正法におきまして受給権者並びに六十歳以上の方たちにつきましては、現行法のままということでスライドの停止のような規定は設けられてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/82
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083・小川省吾
○小川(省)委員 民間にならって通年ルールで裁定がえをするわけですね。せめてならうのなら、民間がスライドストップをしていないというのでありますから、スライドストップでもやめるように民間にならったらよかったと思うのですが、こういうところは民間に一切ならわない。こういうスライドストップをして、既裁定者のわずかな、ささやかな楽しみを奪うような暴挙を何でやっていいのかと思うのですが、このスライドストップになる受給者がどのくらいになると見ておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/83
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084・中島忠能
○中島(忠)政府委員 何か先生に試験されているような気がいたしますけれども、先生もよく御存じのように、今厚生省の方から御答弁がございましたように、厚生年金ではスライドストップというのがない、こういうことでございます。今回の私たちの改正案で考えておりますのも通年ルールと基本ルールという二つの年金の裁定方式がございまして、厚生年金と同じような通年ルールで年金を裁定されている方については今度の改正案が成立いたしましてもスライド停止ということはございません。先生、その点は何か誤解ということじゃなくて、恐らく公務員部長がそこを答弁するかどうか一遍試験してみてやろう、こういうふうにお考えになってお尋ねになったんだろうと思いますけれども、その点はひとつ、もしも誤解がありましたらそういうことでないということだけ御了解いただきたいと思います。
現在の年金制度の中で基本ルールで年金が裁定されている方についてはスライド停止というのがございます。それは今回の改正案がもし成立させていただきますと、六十一年四月以降の年金裁定者につきましては厳しい適正化が行われるということでございますので、それ以前に裁定された方についてもひとつ前後の関係でそこはバランスをとらせていただくということでスライド停止をさせてください、こういうお願いでございますけれども、それにどれだけ該当するのかということでございますが、地方公務員共済組合連合会、そこで所管しております年金給付というものを現在受けておる人間が三十六万三千人ございますけれども、その中で今回の新法が成立いたしましてスライド停止されるというのは、基本ルールを選択しておられる方は二十万七千人でございまして、率にいたしますと五七%、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/84
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085・小川省吾
○小川(省)委員 いずれにしても、ささやかな楽しみを奪い去るような暴挙だというふうに私は思えてなりません。大臣、大臣も恐らく年金といいますか、恩給の受給者だと思いますが、大臣は感じていないでしょうけれども、年金の受給者がささやかなベースアップを楽しみに生きていることは十分御承知だろうと思っておるんです。そういう意味で、このスライドストップだけは何としてもやめてもらいたいというふうに思いますが、これは高級官僚だけではないと思うのですね。今も二十万いるわけですから、一般の組合員にも及ぶわけでありますから、ぜひスライドストップだけはやめるようにお取り計らいをいただきたいと思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/85
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086・古屋亨
○古屋国務大臣 スライド停止の問題は私のところにもこのくらいはがきが来ておりまして、私も一々それを毎日読んでおりまして、特にやめられた御婦人の先生が大変上手な字でございますが、私もそういうような感じを持っております。
今公務員部長から御説明いたしましたように、スライド停止につきましてはできるだけ早くそれが停止にならぬように、つまりいろいろのベースアップ等によるスライドを期待をして、きのうの連合審査会なりでも御質問があってやはり同じような御意見があったところでありますが、今のところはそういう意味でこの停止の期間もできるだけ少なくするように考えていくべきであるという考え方は私もしておりますので、将来の問題として私も十分検討させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/86
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087・小川省吾
○小川(省)委員 ぜひひとつ検討してください。
今回、従来の賃金スライドを物価スライドに変更するようでありますが、受給者にとって賃金スライドが得なのか物価スライドの方が有利なのか私もよくわからないのですが、この点についてお答えをいただきたいと思うのです。また、なぜ物価スライドに切りかえようとしているのかについてもお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/87
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088・中島忠能
○中島(忠)政府委員 まず物価スライドに切りかえる理由でございますけれども、今度の年金の構成というのが基礎年金というものを土台にいたしまして、その上に報酬比例年金というものを積むわけでございます。その基礎年金という土台の方が国会で成立させていただきましたように物価スライドだという方式を決定いただきましたので、その上に乗る報酬比例年金もやはり物価スライドとさせていただいた方が年金の統一性という観点から見てもいいのじゃないか、こういうふうに考えましてそういう提案をさせていただいているわけでございます。
この物価スライドと賃金スライドがどちらが有利なんだということでございますけれども、過去の統計、賃金と物価の上昇というものを見てみますと、物価の上昇の方が賃金の上昇より高い年もございましたけれども、やはり賃金の上昇率というものが上の場合の方が多うございます。したがいまして、その率だけを見ますと賃金アップに従って年金をスライドしていった方が有利じゃないかというふうに一般的には言えるのじゃないかと思います。ただ、現在公務員の給与改定を基準にして年金改定を行いますといわゆる一年おくれの議論がかねがねございますけれども、物価によるスライドを行う場合には、前年の物価の上昇率、結局前年の一月から十二月までの物価の上昇率をもとにいたしまして翌年の四月からスライドできるという意味におきまして賃金スライドの場合と少し違ったメリットも出てくるのじゃないかという気がいたしております。ただ、先生が御心配といいますが御指摘になられますように、賃金スライドと物価スライドの間に差が生ずることがあるのじゃないかということを考えまして、私たちの方でも五年に一回財源率の再計算というのを行っておりますが、そのときには賃金の上昇率を考えて再評価をしていかなければならないのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/88
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089・小川省吾
○小川(省)委員 今いみじくも答えられましたけれども、物価スライドに変えても賃金スライドとの関係を十分に配慮しながら進めていただきたい、このように思っております。
次に基礎年金の拠出金に関する問題についてちょびっとお伺いをいたします。
地方公務員共済組合の被扶養配偶者は何人おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/89
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090・中島忠能
○中島(忠)政府委員 組合員に対しまして四割強、したがっておおむね七十万人ぐらいじゃないかと見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/90
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091・小川省吾
○小川(省)委員 基礎年金拠出金の組合員及びその被扶養配偶者一人当たりの単価を八千百九十八円というふうに先ほども答えられ、保険料負担は五千五百円ということになっていくのだろうと思いますが、その根拠をひとつ示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/91
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092・松本英昭
○松本説明員 御説明申し上げます。
基礎年金拠出金の単価でございますが、これは、厚生省の方で今回基礎年金の制度が国民共通の年金として統一的に運用されるということになりますので、全国民の基礎年金対象者に係る給付の必要額、それを今度は逆に全国民の各制度の被保険者、その中にはただいま先生が申されました被扶養配偶者が入るわけでございますが、それで割ってそれぞれの年度の単価を出しているものと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/92
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093・小川省吾
○小川(省)委員 基礎年金拠出金の将来見通しについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/93
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094・中島忠能
○中島(忠)政府委員 一定の前提を置きまして計算をさせていただきますと拠出金の額は、六十一年度が二千四百億円、七十年度が三千八百億円、八十年度が五千百億円、九十年度が六千三百億円という状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/94
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095・小川省吾
○小川(省)委員 地方公務員共済組合の基礎年金受給額の将来見通しはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/95
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096・中島忠能
○中島(忠)政府委員 この受給額というのは実は非常に計算が難しゅうございます。特にこの基礎年金の給付というのは厚生省の方で所管されております基礎年金勘定というものから支給されるということでございますので、私たちの方ではその数字を把握し切っておりませんが、給付の対象者になる方々のいろいろな条件といいますか過去の経歴がございますので、その計算というのはなかなか難しいのじゃないかと想像しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/96
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097・小川省吾
○小川(省)委員 今何でこんなことを伺ったかといいますと、拠出金と基礎年金受給額のバランスがどうなのかということを伺いたいと思ったわけであります。恐らく拠出金の持ち出しになっていくのではないかと心配をされるわけでありますが、拠出金の持ち出しということにはなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/97
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098・中島忠能
○中島(忠)政府委員 基礎年金を共済組合の方にも導入することの意義というかねらいというのは、最初に大臣が御答弁されたとおりでございます。そういうねらいから今回基礎年金制度を共済組合の方にも導入していこうということでございますので、そのねらいそのものは間違ってないと私たちは思います。ただ、そういうことにいたしました結果、先生がお話しになりますように持ち出しになってないか、こういうことでございます。私たちは、長期的に見ればこれは持ち出しとかあるいはもらい過ぎとか、そういう問題は起こらないと思いますけれども、いずれにいたしましても公的年金制度というものをいずれかの時点でとにかく財政調整していかなければならないということでございますので、どの時点をとりましてもどちらかが得する損するというある程度の財政調整機能というのはやはりあるのではないかと想像はいたしておりますけれども、基礎年金制度を導入することの意義、ねらいというものを先生ひとつこの際重く見ていただきたいとお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/98
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099・小川省吾
○小川(省)委員 地方公務員共済組合員の被扶養配偶者の改正案施行前の国民年金加入状況なんだけれども、加入率及び平均的加入期間はどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/99
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100・中島忠能
○中島(忠)政府委員 お尋ねの件につきましては厚生省サイドの所管の話でございますので、私たちの方ではそこまでの資料を実は手元に持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/100
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101・小川省吾
○小川(省)委員 まあ手元にないのならやむを得ませんが、やはりこれは自治省としても一応調査をしてみる必要があるのじゃないかと思うのです。各都道府県の共済組合を通ずればそんな難しい調査ではないと思っております。
そこで基礎年金勘定の財政システムでございます。国民年金救済と考えられるわけでありますが、財政状況の厳しい共済組合をなぜ参加をさせるのかという問題であります。参加をさせなくてもよいのではないかと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/101
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102・松本英昭
○松本説明員 御説明申し上げます。
先生の御質問の趣旨は、地方公務員共済のグループの中にも大変財政状況の厳しい組合があるではないか、そういう厳しい財政状況の共済組合にまで基礎年金拠出金を出させる必要はないではないか、恐らくこういう御指摘ではなかろうかと思いますが、御承知のように、基礎年金の制度というのは国民共通の制度としてできております。したがいまして、財政状況の厳しいところだけ拠出金を出さないあるいは基礎年金制度を適用しないというわけにはなかなかまいらないわけでございます。しかし、先生御指摘のように、それではそういうところが今度は自分の共済年金の支払いの原資がなくなれば困るではないかということもごもっともでございますが、私どもとしては、先生が先ほど御指摘のように全体で地方公務員共済連合会というものをつくりまして、財政調整をして将来の不安をなくするように措置をいたしておりますので、そういうことで御理解を賜りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/102
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103・小川省吾
○小川(省)委員 私は昭和四十七年に当選以来ずっと一貫をしてこの共済組合法の審議に携わってまいりましたので、現在各般の具体的な問題についてお尋ねをいたしてまいりました。大臣もお聞きになったように、いろいろなところで修正をしなければならない点とか、何とか改正をしなければならない点というのが多々詰まっている法律案だというふうに考えます。大臣もそういう点をひとつ十分考慮されて、この法律案を修正するとかあるいは改定をするというふうな点については十分な配慮をいただきたい、このことを要請をいたしますが、御見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/103
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104・古屋亨
○古屋国務大臣 小川先生の本当に長い御経験と、また御勉強から、この新しい法律につきましての御意見を先ほどから伺っておりまして、私も大変参考になり、またいろいろ教えていただきましたことを心から御礼申し上げます。
政府といたしましては、政府が提出したものでございますので、いろいろの御議論もあると思いますが、私として直してくださいとは申し上げにくいのでございますが、これは国会のいろいろの御判断もございますので、先生方の御意見はよく私も頭に置きまして、今後とも十分こういう問題についての勉強をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/104
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105・小川省吾
○小川(省)委員 時間のようでございますので、以上をもって質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/105
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106・高鳥修
○高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時十二分休憩
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午後一時十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/106
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107・高鳥修
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。経塚幸夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/107
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108・経塚幸夫
○経塚委員 最初に大臣にお尋ねをいたしますが、相手変われど主変わらずで同じような答弁を繰り返されておりますので、同じようなことをお聞きすることになるかと思いますけれども。
まず最初に、一元化の問題と関連をいたしまして国鉄共済の問題でありますが、何回か大臣の御答弁を聞いておりますが、ちょっとよくわからない点がございますので、改めてお尋ねをするわけでございます。
大臣の答弁は、国鉄の救済問題につきましては、地方公務員共済組合審議会の答申の趣旨を尊重する、そういう姿勢で閣議での検討にも臨まれる、こういうことなんですが、この答申の文言は「国鉄共済組合に対する救済は、国の責任分担を明確にすることが先決である」、この趣旨を大臣は尊重される、こういうわけですね。そこで、この国の責任分担の中身でありますが、答申をどう解釈するかということの大臣の見解にかかわってくるわけであります。これは質問でも出ましたけれども、厚生大臣の答弁のように、公的年金制度全体で支えるという措置を国の責任でやるということも国の責任の一つになりますが、同時に国庫負担、つまり国の責任で赤字分は措置するということも国の責任に入るわけでありますが、大臣のその趣旨を尊重するということの中身はどちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/108
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109・古屋亨
○古屋国務大臣 国鉄共済組合に対する救済は、国の責任分野を明確にすることが先決であると考えるという地共審の答申でございます。その要点は、国が負担すべきことがまず明確にさるべきであるという意味でございます。もう一遍言いますと、明確にされた国の責任分担を踏まえて関係方面と御相談を始めることができる、こういう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/109
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110・経塚幸夫
○経塚委員 そうしますと、念を押しますが、その生じた赤字の分については国庫負担、国の責任において負担をする、こういう姿勢で大臣は対処される、こう解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/110
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111・古屋亨
○古屋国務大臣 私が申しましたのは、国が負担をすべきことがまず明確にさるべきである。ですから、国庫の負担もあるし、責任を国がとる方法もあるかと思い、いろいろあるかと思いますが、そういうことを含めて、とにかく私は、国が負担すべきことがまず明確にさるべきであるというふうに解しております。逃げるわけじゃ絶対ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/111
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112・経塚幸夫
○経塚委員 いや、逃げるわけでは絶対ございませんと言いますが、微妙ですよ、今の大臣の御答弁。負担を明確にするというのは、銭金の負担を明確にするということなのか、責任の負担を明確にするということなのか、この二通りあると思うのですよ。
私は、国鉄共済の生じた赤字の責任は挙げていわゆる国策にあるということは審議会の中でも明確にされてきておるわけであります。したがいまして、生じた赤字については銭金の話、これを当然国の責任において負担をする、つまり、はっきり言えば国が持つんだ、そういうことなのか、単なる責任だけを負担するという意味なのか、ここをはっきりしてくださいよ。どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/112
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113・古屋亨
○古屋国務大臣 責任を負うということは、先生、国が負担するということも中に入っておりますし、またそれ以外のこともある、こういうふうに私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/113
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114・経塚幸夫
○経塚委員 そこが私は問題だと思うのですよ。銭金を負担することもあるし、それ以外の責任を負うということもあると言えば、銭金が一割入るのか全く入らないのか、わけがわからぬということになるのですよ。この地方公務員共済組合審議会の答申の趣旨を尊重する、趣旨なるものの中身は、地方共済で持たされたらかなわぬということなのでしょう。五十八年三月十日の答申は明確に書いてあるわけでしょう。「単に国鉄共済組合の救済を目的とする共済組合の統合に地方公務員共済組合を参加させる構想があるとすれば、それには反対である。」これは五十八年のときの答申でありますけれども、今度の答申にも内容としては同じようにかかわってきておるわけですね。ですから、国鉄共済を今日の危機的状況に追い込んだ原因と責任が一体どこにあるのかということを明確にすれば、おのずから解決策は明白なのですよ。それはもう私が今さら改めて申し上げるまでもなく、これは挙げて国の責任にあることは明白であります。
国鉄共済組合年金財政安定化のための研究会は五十五年五月、総裁の諮問機関として二つの理由を挙げております。一つは、戦中戦後を通じての国策遂行が原因である、もう一つは、鉄道産業自体の産業構造、就業人口構造の変化、こういうことで、これは挙げて国に今日の国鉄共済を危機に追い込みつつある原因と責任があることは明確になっておるわけでありますから、そうなりますと、生じた国鉄の赤字は金を国の負担において措置する、こうなるのは当然でしょう。どうも大臣の話を聞きますと、金も入っておるけれどもそれ以外の責任を負担するということも入っておるんだ、こうなってまいりますと、これはまさに玉虫色ですよ。後で協議した結果責任を明らかにいたしました、責任とは何を明らかにしたんだ、銭何は持つんだ、こうなりますと、銭の負担割合がほとんど入ってない。そして、年金制度全体で支え合う指導を国がやりました、したがって国鉄救済はそれこそオールジャパン、大蔵大臣の話じゃありませんけれども、みんなで支え合う、こういう措置を国の責任においてやりました、そうしたらこれは責任を明らかにした、こうなるのですか。これはおかしいです。だから、大臣としては銭金を赤字分については全額国の責任で持つように、つまり地方共済に肩がわりさせない、ツケは回させない、そういう姿勢で臨まれるかどうか。そういう姿勢で臨まれないと趣旨を尊重したということにならぬと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/114
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115・古屋亨
○古屋国務大臣 私の言うことがわかってもらえぬで大変残念でございますが、私の性格から見て、大体私は余りうそを言ったことはございませんので、御了解いただけると思いますが、もう一旦言いますと、この間の官房長官の答弁のように、国が責任を持ってとにかく検討をする、その際、私は自治大臣としては国の責任分野を考えて——考えてということは、とにかく国からも、全部出すか一部出すかわからぬがそういう金の負担もある、当然やってもらわなければならぬということを含んでおるというふうにお考えになっていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/115
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116・経塚幸夫
○経塚委員 大臣の方は、これだけ言っているのに経塚はわしの考えがわからぬのはまことに残念だとおっしゃるけれども、私も、これだけ声を大にして言っておりますのに大臣に真意がわかっていただけないかと思って大変残念でなりません。大臣、やはりここはきっちりしておくべきじゃないでしょうか。それは閣議で議論の結果がどういう結果になるかはともかくといたしましても、自治大臣の立場としては、答申の趣旨を尊重するという以上は全額国の責任で負担をしなさい、そうでないと、たとえ一部であろうとも自治大臣の立場としては地方共済にそのツケが回ってくるということでは困りますよ、はっきり言っていただいて私は当然だと思うのです。何かどっちからでもとれるようなことじゃ困ります。任しときますわというわけにはいきません。やはり趣旨尊重という以上は、明確に国の責任で負担をしてもらいたいと閣議であくまでも主張すべきだと思うのですが、どうなんでしょうかね。それは別に言ったところでどうということはないと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/116
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117・古屋亨
○古屋国務大臣 先生と私の問答を聞いておりますと、解釈の問題になると思いますが、やはり根本は国鉄がこういう状況になった、それを何とかしなけりゃならぬということでございますので、いろいろほかの共済にも応援を求めるという話があっても、とにかく国がこれをどうするか、所有者でオーナーである国がどうするか、経済的負担をどのぐらいするか、どのぐらいと言うと数字の問題になりますからちょっと言い過ぎかもしれませんが、とにかくそういうことがあらなければならないということを頭に置きまして私は物を言っているつもりでございますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/117
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118・経塚幸夫
○経塚委員 いかがでしょうかと逆に質問をされたわけでありますが、これはやはり私ははっきりさせるべきだと思うのですよ、自治大臣の立場としては。それは国鉄の赤字が今日に至ったことは早くから予測されておったことだし、これがほかの、特に地方共済などにツケが回ってくるというようなことであれば大変だということはかねがね五十八年の答申の際にも明確に出ておることですしね。
大臣の答弁は了承いたしませんけれども、要望としては、答申の趣旨を尊重ということであればぜひひとつこれは明確に、全額国の負担において措置せよ、もうここまで言っておけば大臣はもう、意おのずから通ずるで、恐らくそういう主張をして、今度連合かどこかの場で御返事が来るときにはいい返事がいただけると思いますが、そういう結果にならなければまた改めてお尋ねをすることにいたします。
続きまして、閣議決定に関することですので引き続いて大臣にお尋ねをいたしますが、厚生大臣のこの場での御答弁を聞きますと、給付はもう一段落だ、負担の調整は残る、こうおっしゃったわけですが、自治大臣の立場としては、仮に今回の改定が施行されるとしまして、なお負担や給付の面で今後調整の余地があるとお考えですか。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/118
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119・中島忠能
○中島(忠)政府委員 私は厚生大臣の答弁を聞かしていただいておりまして、給付はほぼ一元化という、何かほぼという言葉が入っておったと思いますが、(経塚委員「一段落」と呼ぶ)一段落ですか。いずれにいたしましても、今回の改正案が仮に可決成立させていただいた後にどういうことが今後の調整対象になるだろうかということは、これから関係各省が集まってもう一度額を合わせてよく検討しなければなりませんが、思い当たるものとして申し上げますと、これはどちらかというと負担の方の調整の話になりますが、同じ地方公務員の共済組合の中でも連合会に所属する共済組合の組合員の負担というのは一本化されておりますけれども、学校共済と警察共済それぞれこれまた負担が違う。その負担が違うことについて、どこまで合理性があってどこまでは調整しなければならないかという話も残りますし、いずれ連合会の方にできるだけ速やかに入っていただきたいというようなことも考えておりますので、そういうような負担の話は残ってくるだろう。あるいはまた午前中も議論が出ておりましたけれども、厚生年金と共済組合とを比べた場合、これは給付の話になりますが、所得制限のあり方が厚生年金の方が違う。具体的に申し上げますと、民間の研究機関をおやめになって厚生年金の年金資格をお持ちで、今度仮に国立高専の先生になられた、あるいは国立の研究機関の研究員になられたというようなときには、厚生年金の方の制限というのは我々が共済について考えているよりも緩いといいますか、原則としてないというようなもの、そういうような問題が残ります。あるいはまた、これから大いに議論されるんだと思いますが、国鉄とか、もう電電、専売の方は民営化されましたけれども、そういう民営化された旧公共企業体関係の適用の年金制度はどういうふうな年金制度になるんだろうかとか、そういうようないろいろな問題が残っているんじゃないかと思います。そういう問題をいろいろ各省から持ち寄りまして調整ということを進めていくことになるんだろう。課題としてはそういうものが残っているような気がします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/119
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120・経塚幸夫
○経塚委員 今公務員部長からの御答弁ですが、大臣、私は、これは閣議の決定として出されておりますので、ぜひひとつ大臣の御見解を承りたいと思っておるわけでありますが、閣議決定の中には今回の改定以降「給付と負担の両面において制度間調整を進める。」こうなっておるわけなんですね。今公務員部長がもろもろの答弁をされましたのは、これは公務員部長の推定として恐らく答弁をされたと思うのですよ、閣議がそういうことを含めて決定したと。あなたは閣議に参加されておられないわけでありますから、恐らくそういうことになるんだろうと思うという推定だろうと思うのですよ。しかし、少なくとも閣議の決定として今回の改定以降なお給付と負担の両面において制度間調整を進めると明言されておるわけでありますから、恐らく五十九年に閣議決定をされる際には今回の改定以降かくかくしかじかの問題がなお残るという協議が行われたのは当然だと思いますし、またそうでなければこういう文言として閣議決定にうたわれるはずはないと思うのです。
それで大臣にお尋ねしているのですが、その給付と負担の制度間の調整というのはどういう項目が閣議として挙げられておるのか、お答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/120
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121・中島忠能
○中島(忠)政府委員 大臣から後ほど御答弁いただくことになると思いますけれども、その閣議決定がなされました日時というのは今回の法律案の内容が具体的に決まる以前の閣議決定でございますので、その閣議決定の段階においていろいろな議論がございましたけれども、その中の議論を私が当時伝え聞きました一部分というのを御紹介申し上げたわけでございますので、今回の法案の内容を決めたときと閣議決定との間には時間的な差があるんだというところもひとつ——先生もう既に御存じで、ひょっとしたら引っかかるかもわからぬなということでお尋ねになっているのかもわかりませんけれども、そういうこともひとつよく御記憶いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/121
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122・古屋亨
○古屋国務大臣 「六十一年度以降においては、以上の措置を踏まえ、給付と負担の両面において制度間調整を進める。これらの進展に対応して年金現業業務の一元化等の整備を推進するものとし、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」というのが閣議決定の文句でございまして、それに基づきまして今度の法律は、先取りしておるものもありますが、公的年金制度の一元化の目標に向かいまして共通の基礎年金の導入とか給付水準の適正化等によりましてかなり徹底した調整を実施するものでありまして、これによりまして、共済年金制度間も含めまして一元化が相当達せられるものであるというふうな点におきましては厚生大臣と同じ認識でございます。今後は、引き続きまして各制度を通じて、先ほど公務員部長が言いました点も含めまして所要の調整を進めまして、七十年を目標に公的年金制度の一元化を図ろう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/122
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123・経塚幸夫
○経塚委員 私が聞いていることを大分ばあっとふろしき広げてしまって、ふろしきの中に何が入っているのかわからぬようにしてしまっているわけでありますが、六十一年度の改定をやって、それ以降七十年度には一元化を完了する、こう言っておるわけでありますが、その七十年度の一元化の完了までの間になお給付と負担の調整を制度間においてやる、こう言っておるわけでしょう。だから、七十年度の完了までにもう一ランクあるわけでしょう。それは六十五年になるのか私の知るところではございません。公務員部長は、何か私が閣議決定の中身を皆知っていて聞いているようにおっしゃいますけれども、とんでもない、そんな大それた考えは一つも持っておりません。わからぬから聞いておるわけでありますが、恐らく六十五年ごろにまたあるのじゃないかと思われるのですが、この閣議決定を読む限りは、また厚生大臣の答弁や自治大臣の答弁を聞く限りではこれはさっぱりわからぬわけです。社会党の加藤先生は、その電車に乗ってどこへ連れていくのかわからぬものに危のうで乗れぬとおっしゃいましたけれども、全くそのとおりなんですよ。終着駅がどこへ行くのか、極楽へ行くのか地獄へ行くのか、天へ上るのか地へ潜るのかさっぱりわからぬというようなことでは、本当に熱を込めて論議をしましても行く先がはっきりしないことでは困る、これは私は当然だと思うのですよ。
そうしますと、今聞いておりますのはごく身近な話で、六十一年度の改定をやった後なお給付と負担の調整をやるんだ、こう言う。厚生大臣は、一段落で微調整しか残っておらぬ、こう言う。それで、厚生省の局長の答弁だと、給付も負担も一応一元化へ向けての調整はあたかもこれで終わったかのような答弁をこの間ここでしている。その後でまたそれを覆しましたけれども、聞けば聞くほどわけがわからなくなってくるのですよ。だから、よそはおいておきましょう、厚生年金も国共の方も。地方共済から見て閣議の決定でうたわれておるような負担と給付の制度間の調整について今度の改定以後なお必要があるのかないのか。地方共済としてあるのかないのか、地方共済だけを考えてみてですよ。なければないへそれで結構なんです。あるというのであれば具体に各制度間の——制度間の調整ということでありますから微調整ではだめですよ。根本にかかわるような負担と給付の調整ということになるのですが、その点は大臣、どうなんですか。今何も具体策は持っておられないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/123
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124・古屋亨
○古屋国務大臣 具体策は、当面の問題は先ほど公務員部長が先生に説明をいたしましたような、例えば警察の組合とか学校の組合等これをどういうふうに持っていくかとかそういう問題はもちろん当面の問題として考えております。それに類似すると言うとまた何だ、こうおっしゃるかもしれませんが、旧安企業体共済の適用制度についてまた検討するとか、そういうことは答弁のところで若干ずつ申し上げておりますが、そういうような問題もあるわけでございますから、終わったとは全然思えませんし、これからもそういう問題があるということは先生も恐らく認められて御質問になっているのじゃなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/124
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125・経塚幸夫
○経塚委員 その範囲のこと、それ以上のものはないと解釈してよろしいですね。七十年度一元化に際してもないと。それはお約束できますね。これは公務員部長に聞いておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/125
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126・中島忠能
○中島(忠)政府委員 御質問を聞いておりますと、何か私たちが隠しておるというか、先生方の立場に立つと何か非常に危険なことを考えているのじゃないかという前提でお尋ねになっておられるような気がいたしますけれども、私が最初に申し上げましたように仮に今回の法律を成立させていただきましたならば、その後でそれぞれの年金制度を所管する省庁が集まりまして、私が例として申し上げましたような差がございますが、そういうものを持ち寄りまして、それが合理的な理由に基づく差であるのかどうか、国民の納得がいただける差であるのかどうかということを一つ一つ詰めてまいりまして調整をしてまいろう、そういう考え方でございまして、それ以上先生方にとっておしかりを受けるようなことを現在考えているわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/126
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127・経塚幸夫
○経塚委員 現在考えておるわけじゃございません。将来考える可能性もあるわけでありますが、これは他の制度とも関連をいたしますので、また次回にでも改めてお尋ねをする場を持ちたいと考えております。
続きまして、公費負担の問題をお尋ねしたいと思います。
資料をいただきましたが、もう一つの資料でありますが、九十年度で現行制度でいけば約四千億円、それが一五・八五%を基礎年金の三分の一に切りかえた場合は二千二百億円で約五五%、差し引きマイナス千八百億ということでありますが、この改定案で、いわゆる収支見通しの案による計算でいけば、現行制度と比べてみまして、九十年度はどういう数字になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/127
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128・中島忠能
○中島(忠)政府委員 五十九年度価格の数字は今先生がおっしゃったとおりですが、今回の収支見通しの前提になっております改定率というもので計算いたしますと、九十年度は現行制度の公的負担額は一兆八千四百億、改正後の公的負担額は九千四百億、差が九千億ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/128
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129・経塚幸夫
○経塚委員 この公費負担制度を設けた理由でありますが、これは地方公務員共済組合法一条二項に「国及び地方公共団体は、前項の共済組合の健全な運営と発達が図られるように、必要な配慮を加える」、この趣旨によるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/129
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130・中島忠能
○中島(忠)政府委員 そういう趣旨を踏まえまして、結局、よく言われますように、なぜ公的負担をするんだろうか、こういうことなんですけれども、労使のそれぞれの保険料だけでは適正な水準というものを維持するに少し苦しいじゃないか、あるいはまた当該年金制度の中に低所得者というのが含まれているというようなことも考えて公的負担をした方がいいだろうとか、いろいろな理由が言われておりますけれども、そういうことを具体的に考えて公的負担が現在導入されているのだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/130
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131・経塚幸夫
○経塚委員 法的根拠としては私が今例を挙げたことによるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/131
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132・松本英昭
○松本説明員 御説明申し上げます。
ただいま先生がおっしゃいました——地方公務員法も遠縁ではございますけれども、直接の根拠は共済法の方にあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/132
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133・経塚幸夫
○経塚委員 法的根拠としては、私が例示いたしました一条二項の国と地方公共団体の負担を明確にした条項によっておるということはほぼ間違いないと思うのです。
そこで、先ほどお伺いをいたしますと、五十九年度価格で昭和九十年度には現行制度でいけば四千億が、基礎年金の三分の一になれば二千二百億円で何と五五%にダウン、差額が千八百億、新しい収支見通しての九十年度では実に差額が九千億ということになるわけです。それで、六十一年度で保険料を給与比で見ますと一一%、こういうことだったのですね、午前中の御答弁では。この年金財政は大変困難に直面をしてくる、このままでは公的年金制度そのものの存立にかかわるというようなことを改定の理由にしながら、一方でどうしてこの公費負担を減らせるのですか。こんなことではつじつまがいません。大蔵省の午前中の答弁では、これ以上引き上げるということになれば、それは直接、税だとか国民の負担にかかわるもので国民の理解が得られないとか、増税になるとかということをおっしゃいましたけれども、現行制度を維持しておった上に立っての話じゃないんですね。現行制度も引き下げてしまうんでしょう。これで片一方で公的年金制度はこのままほうっておいたらつぶれてしまいますと言っているんでしょう。これは話がいますか、合うと思いますか、私は合わぬと思いますね。筋が通らぬと思いますが、通ると思いますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/133
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134・中島忠能
○中島(忠)政府委員 先生がお話しになりますように、公的負担というのは現行制度をそのまま維持しておった場合よりも今度の改正案の方が減ってくるというのは事実でございますが、ただ改正後の公的負担そのものを年を追って見ました場合に、これもやはり相当なテンポでふえてくることも事実でございます。
それともう一つは、公的負担がそのように減るということは、四〇%くらいダウンしてくるわけですけれども、それと同じようにそんなにダウンはいたしませんけれども掛金というものも現行制度で放置しておるよりも、率も半分くらいでございますけれども、率としては減らしていこうというようなことでございます。
ただ、この公的負担の議論をするときには先生方からよくそういうようなおしかりを受けるわけでございますけれども、改正案に基づきましても公的負担がふえてくる、そしてそのふえてくる公的負担というのを一体どこから出すんだということになりますと、しょせんはやはり税金から出さなければならない。その税金から出す公的負担の額というのが税収に対する比率として見たらどうだろうかということは、これもまた社会労働委員会なんかでもよく議論しておられましたけれども、やはり公的負担がそれだけのテンポで改正後の額にいたしましてもふえるということは、対税収に占める比率というのも今よりもやはり高くなっていかざるを得ないだろうというような話がございました。
やはりそういうことを考えますと、先生から厳しい御批判をいただいて私たちもいろいろ考えていかなければならないんだと思いますけれども、現在の状況といたしましては、やはりそこらが私たちとしては限度じゃないかなというふうに考えざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/134
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135・経塚幸夫
○経塚委員 それでは筋は通りません。恐らく公務員部長も、何で厚生年金がこういうふうに給付の二〇%を基礎年金の三分の一に変えて減らしてきたのか、これは右にならえしなければならぬから苦しい御答弁をされておると思うのですけれども、他の制度のいわゆる国庫負担についてもちょっとお尋ねをいたしますが、厚生省、大蔵省、農水省、文部省、基礎年金の三分の一に変えた場合に新しい収支見通しで計算をしてみて、九十年度には現行制度と改正とではそれぞれ金額的にどういうことになるのか御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/135
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136・坪野剛司
○坪野説明員 お答えいたします。
国民年金と厚生年金の前回通りました改正に基づきまして国庫負担を推計いたしますと、五十九年度価格におきまして昭和九十年におきまして現行法では八・一兆でございます。次に、改正法になりますと給付の適正化等もございまして、これが五・八兆ということになっております。
なお収支見通してという御質問がございましたけれども、私たちの方では実質価格という形で出しておりまして、申しわけないのですけれども、残念ながら現段階で名目という形では出しておりませんので、ひとつ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/136
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137・門田實
○門田政府委員 大蔵省でございますが、引き続いてお答えいたします。
国共済連合会一般組合員についての概算でございますが、五十九年度価格で六十一年度約六百億円でございますが、これが九十年度には約二千億円ということに相なります。
それからもう一つ、収支計算ベースというお尋ねでございましたが、これは現行法で九十年度約九千百億円でございますが、改正案では九十年度約五千二百億円、こういうことになります。六十一年度の方の計数は端数の関係がございましてどちらも約六百億円というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/137
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138・阪田彰夫
○阪田説明員 農林年金についてお答え申し上げます。
昭和五十九年度の価格ベースに割り戻しますと、私どもの非常に粗っぽい試算でございますが、昭和九十年度には現行制度では千七十億円となりますが、改正後におきましては五百九十億円になると推定をいたしております。
それから、いわゆる名目といいますか収支見通しベースで申し上げますと九十年度には四千八百六十億円、これが現行制度でございますが、改正後には二千六百七十億円になると推定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/138
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139・岡林隆
○岡林説明員 私学共済でございますが、五十九年度価格で計算をいたしますと九十年度で約六百六十億円となっております。改正案では四百三十億円でございます。
名目価格で申し上げますと、九十年度で二千九百八十億円、改正案で千九百七十億円でございます。いずれもごく粗い試算でございますが、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/139
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140・経塚幸夫
○経塚委員 今お答えをいただきましたものを総計概算をいたしますと約二兆六千余億になるわけですね、地方共済を含めますと。国年、厚生年金の方は新しい収支見通しての計算が出ておりませんが、倍率から推計いたしますと少なくとも四倍ないし五倍ということに見通されますので、九十年度の価格で十二、三兆円になると思われるわけであります。これは大変な金額であります。地方共済だけを推測いたしましても、昭和百年度まででいわゆる一五・八五%が基礎年金の三分の一に振りかえられるだけで総額十兆円は優に超す金額になるだろうと推計をされるわけですね、新しい収支見通し金額。
そこで、お尋ねをしたいわけでありますが、公務員部長、昭和百年の資料によりますと、共済の場合は基礎年金の給付費が二兆二千億円、これに対して拠出金が二兆三千億円、つまり一千億多いのであります。国民年金は給付費が二兆四千億円、拠出金が二兆八千億円、四千億円多いのであります。厚生年金が給付費九兆六千億、拠出金九兆一千億円、マイナス五千億円であります。つまり厚生のマイナス五千億を共済と国年の方の拠出金で賄っていくという状況が昭和九十年から百二十年まで約三十年間ずっと続くわけであります。こういう資料が出ておりますね。そこに基礎年金に一元化した特徴があるのだと恐らく公務員部長はお答えになるおつもり——違いますか、とは思いますが、これは午前中も論議されましたけれども、いろいろ問題が出てきますね。
私がお尋ねしたいのは二つ。先ほど言いましたように全制度で現行の国庫負担、公費負担を維持するとすれば、そういう制度間の矛盾というものは非常に軽減される保証ができるわけであります。例えば昭和九十年度の基礎年金の拠出額は全制度で十三兆八千億円であります。厚生省の試算によれば、九十年度の基礎年金の三分の一の額は四兆六千億円であります。先ほど申し上げましたように、現行の負担比率を維持した場合と、基礎年金の三分の一に振りかえた場合との差額が二兆六千億円であります。それですから二兆六千億円と厚生省試算の九十年度の基礎年金三分の一の額を合わせれば七兆二千余億円になるわけであります。ということは十三兆八千億円が拠出額の総額でありますから、優にそれの五〇%以上、つまり三分の一ではなくして五〇%以上の国庫負担、公費負担ができることになるわけでしょう、大幅に国庫負担をふやさなくても、現行制度を維持するだけでもって。あるいは、負担率はそういう計算になりますけれども、逆に基礎年金の給付、これじゃ低いじゃないかという意見も随分出ておりますが、引き上げようと思えば二〇%引き上げが可能になるのです。拠出金を逆に引き下げようと思えば二〇%、拠出金の引き下げが可能になるわけですよ。それくらい現行制度の国庫負担、公費負担の率を維持するか、それとも三分の一に引き下げるかによって違いが出てくるのです。そうすると、先ほど申し上げましたように、いわゆる厚生年金の給付費が拠出金を上回る分を他の制度でもって賄う、補う、補てんする、こういう制度間の矛盾もなくなってくるわけでしょう、皆さん、これは明らかに資料の上から見ますと。
しかも、もう一つの矛盾は、地方共済は、公費とはいいながら、いわばこれは地方財源でしょう。一元化という以上は、その原資も財源も当然一元化すべきですよ。一元化すべきじゃないですか。この点につきましては答申の中でも明確にうたわれておるわけでしょう。社会保障制度審議会の答申にこういうふうに言われております。「公経済負担については問題がある。」こう指摘しているでしょう。これはもう公務員部長、よく御存じのはずですね。それで、私どもの方で社会保障制度審議会にお尋ねをいたしましたら、問題があるということの中身はどういうことなんだ、こういうふうに聞きますと、地公共済、国鉄共済、公企体共済が、公経済負担としてそれぞれ自治体、国鉄、公企体みずからが支出をしておる。今回の基礎年金制度の導入は年金の最低部分を保障するものであり、その部分についての負担は国が責任を負うべきだという意見が出され、こうした表現になった、これが社保審の説明なんですね。どうなんですか。今申し上げましたように、少なくとも年金財政が大変困難に直面をしておるということであるならば、筋を通して基礎年金は全額国庫負担で基礎的な部分は保障すべきであるという見解を私どもは持っておりますが、現行制度を維持するぐらいのことは当然だと思うのですよ。そしてあわせて、いわゆる社保審の答申にも出ておりますように、当然一元化というならこれは国庫負担で賄うべきである。社保審の答申の趣旨もそういうことを強調しておる。その二点についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/140
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141・中島忠能
○中島(忠)政府委員 なかなかいろいろな数字を挙げての御質問でございますが、二点ということに絞って考え方を申し上げたいと思いますけれども、まず第一番目の公的負担というものを減らさなかったら、現行制度のままで維持しておいたら、こういう話でございます。
それは先生がお挙げになりましたようにいろいろな数字を挙げて考えると、いろいろな議論ができると思います。ただ、午前中にも私が申し上げましたように、公的負担というのを基礎年金拠出金の三分の一にするんだということに今回させていただこうというのは、すべての公的年金制度を通じて公的負担を統一化するんだ、公平化するんだというねらいがあるわけでございます。国民年金に入っておる国民の方あるいはまた地方共済に入っている国民の方、厚生年金に入っている国民の方、いろいろな国民の方がいらっしゃいますが、すべての国民の方に対して同じ公的負担というものをしていこうじゃないかということで、今回そういう統一をさせていただいたわけでございますが、その統一をさせていただいた結果、現在の制度を維持しておった場合と比べたら減るじゃないかというのはごもっともでございますが、その減ることについての評価というのは、先ほども御説明申し上げましたように、やはりこれから将来を展望した場合の税収の中に占める位置というものも考えていかなければならないという議論についても私は傾聴するべき議論というふうに思いますし、そういう考え方もありまして今度は統一させていただいたということでございます。
第二番目の地方共済関係の公的負担を国庫負担とすべきじゃないかという議論でございます。
そういう議論も私はあり得ると思いますけれども、これも私がかねがね申し上げておりますように、公的負担というのは地方公務員共済制度に対する負担だ。そしてそれは突き詰めて言いますと、しょせんは地方公務員共済の組合員及びその被扶養配偶者に係る基礎年金に係る負担でございますし、そういう制度というものを支えておるといいますか、制度がよって立つ根拠というのは地方公務員法であり地方公務員共済組合法でございますので、そういう制度というものの実施主体である地方公共団体が負担をさせていただいても私は理屈としては成り立っていくじゃないか、こういうふうに考えて御説明をさせていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/141
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142・経塚幸夫
○経塚委員 成り立つではないかとおっしゃれば成り立たぬこともないと言いたいところでありますが、これは成り立たないと思うのですよ。一元化でしょうがな。どうして国庫負担と明白にしないのですか。これは当然でしょうがな。それは一元化というこの案が出てこない以前なら——以前でも私はこれは問題ですよ。今度の改定があろうとなかろうと、当然これは国庫負担にすべきだという見解を持っておりますけれども、まあ百歩譲って、以前ならまだあなたの理屈も何とかに三分の理屈でそれは通るかもわかりませんけれども、しかしいよいよ一元化ということになってきておる段階で、いよいよ矛盾ですよ、これは。いよいよ筋が通らない、こうなってくるんですよ。それで、間もなく国鉄の問題が、どうなるかわかりませんけれどもこれが決着がついていけば、これはあなた、地方共済だけですがな。地方財政ですがな。何であなた、それくらいのことは、さっきの大臣に対する質問じゃないけれども、公務員部長、言うべきことは言いなさいよ。大蔵に向かって言うのか、どこに向かって言うのか、それは言う先は私は知りませんけれども、言うべきことは言わなければあきまへんで、ほんまに。こんなことまであなたが泥をかぶって、地方の財源でもって負担をするのがそれなりの筋が通っておりますというようなことを言う必要はないと思うのですよ。まあこれはもう一回考えてください。また次の機会に聞きますよ、それは。何も言うたかて損する話と違うんですから。言って得する話でありますから。
結局こうして国庫負担それから公費負担を減らしていけば、先ほど社会党の小川先生も御質問になりましたけども、これが目的じゃないかとさえ疑わざるを得ないことになってくるのですよ。そうしてこれが給付の引き下げ、保険料の引き上げにつながってくるわけです。
そこで保険料について聞きますが、これも午前中のあなたの答弁は、どうもこれ、何か包んでしもうたような答弁だったのですがね。保険料は給与に対して最高限度どれくらいまでが許容されるとお考えなのか、これ、もう一回答えてください。最高限度どれくらいまでが許容されるとお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/142
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143・中島忠能
○中島(忠)政府委員 国民がそれぞれ得ます所得の中から公的に負担するものというのは、午前中もお話し申し上げましたように、租税もございます、あるいは先生が今御指摘になりました長期の掛金もございます。その他社会保険料と言われるものがございますが、そういうものを総合的に把握して、そのときの所得の水準との関係においてやはり考えなければならない問題でございまして、保険料といいますか長期の掛金だけを取り上げて何%がとにかく所得に対して限界だという議論は、私が無能だから答えられないのかもわかりませんけれども、恐らく大半の方はそのことについて何%が限界だということをはっきり申し上げる方はいないんじゃないか。そんなに、その他の負担、そのときの所得の水準というものを考えて何%が限界だということを言える方というのはいないというふうに私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/143
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144・経塚幸夫
○経塚委員 無能だから言えないのではというようなことでありますが、またそんなことをはっきり言える人おらぬのじゃないか、そうおっしゃいますが、これははっきり言う人おりますがな。あなたもごらんになっているんでしょう、これは。
共済年金受給者団体全国協議会で大蔵省主計局共済課長野尻さん、これは五十八年におっしゃっている。今外郭団体に行っておられるそうです。おられたら私きょう来ていただこうと思ったんですが、外郭団体に行きはったというのでこれは無理だと思ったのですが、五十八年の七月五日、こういうふうにこれは講釈されているんですよ、この集会に出まして。
現役組合員個人の負担の限界は千分の二百から二百五十の間としております。国庫負担分を外に置いて、労使だけで持ち合う保険料率の限界領域は千分の二百から二百五十、つまり個人負担から申しますと月収の一〇%から一二・五%の間が負担の限界領域としております。それ以上の負担は現役がその負担に耐えられないだろうと想定しているわけです。さらに引き続きまして、「現役の人達は、手取り収入がどのくらいあれば生活できるかを考えてみますと、大ざっぱにみて、月収の七割程度で消費生活を営んでいる」「残る三割のうち約一五%から一六%を社会保険料と税金で天引き」「これが年金保険料だけで一三%も一五%も天引きされるとなりますと、現役の生活は維持できるでしょうか。短期も税金も培えないという保障はありませんから、年金保険料だけを考えても、月収の一〇%から一二・五%ぐらいが負担の限界領域と考えられるわけであります。」これははっきり言っておりますがな。
しかも、これはこの人の主観じゃないのですよ。この人の出典の根拠は、共済年金制度基本問題研究会、大蔵省の諮問機関だったわけでしょう、これに基づいているんですよ。これまた後で——そんなことはっきり言っている人おらぬと言って、そこまで言わなければよかったのに言い切ってしもうて、これ後で見てもろうたらいいと思います。ちゃんと出典の資料がありますから。保険料率千分の二百から二百五十が負担の限界領域と書いてあるのです。私がつくったのと違いますよ。大蔵省の公的諮問機関の答申による、しかも大蔵省の共済課長が公の席で線を引いたわけです。これはどうなるのですか。全然話が合わぬじゃないですか。それで、今回の改定率でいきますと九十五年に千分の百七十二・五でしょう。あなたはもうこれを知っておったのでしょう。超えるのをわかっているから、うかつに上限はこれくらいでございますと答弁をしたら、私がまた意地悪くどこかから資料を持ってきてやられると思って、できるだけその上限には数字的には触れまい、そこまで言えば言い過ぎかもわかりませんけれども。しかし、上限はちゃんと出しているのですよ。私は、これはまた機会を改めて、大蔵のもう少し責任のある方にお尋ねをしようと思っておりますが、ちゃんと大蔵では既に上限の線を引いておるわけです。
それで、今回の改定は明らかにこの上限を超えるわけです。あなたはそんな線を引ける人はおらぬとおっしゃるが、ちゃんと線を引いた人がおったわけであります。これはどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/144
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145・中島忠能
○中島(忠)政府委員 私が申し上げましたのは、それぞれの時代の所得の水準、そして公的に負担する租税との関係、年金の長期の掛金との関連における社会保険料、そういうものを総合的に勘案しなければ、長期の掛金の限界がどうだろうかということの議論はなかなか難しいし、そういうことを軽々に言う人はいないだろう、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/145
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146・経塚幸夫
○経塚委員 私がお尋ねをしたのは、保険料の限界、許容率、これは給与に対してどれくらいなのか、こう聞いたのです。もろもろの諸要素を含んだりしていません、ずばりそのもの、個人負担の保険料は給与に対してどれくらいが限界なのか、こう聞いたのですよ。後で速記を見てもらいましょう、あなたがそこまで抗弁をされるのなら。それに対してあなたはお答えになったわけです。私は、社会保険料、税、そういう公租公課等を含めてその負担限界はどれくらいなのかと何も聞いておりません。私の聞いたことをあなたは聞き違えたわけですか。それでああいうスカタンな答弁をされたんですか。そこはどうなんですか。これは大事な問題ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/146
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147・中島忠能
○中島(忠)政府委員 長期の掛金の限界というものを考える場合には、そのときの所得の水準とか租税の関係とか、その他社会保険料との関係を勘案しなければ、年金の長期の掛金だけを取り上げて議論するというのは難しい、それはなかなか言えない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/147
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148・経塚幸夫
○経塚委員 この大蔵省の人はそれを言っておるじゃないですか。これは特異な人なんですか。
もう一回言いましょうか、もう言わぬでいいでしょう。現役の人たちは手取り収入がどれくらいあれば生活ができるかといってもろもろの諸要素を勘案した結果、月収の一〇%から一二・五%くらいが負担の限界領域と考えられる。これはあなた、かぶとを脱ぎなさい、シャッポを脱ぎなさいよ、抗弁せずに。ちゃんと資料まで出ておるのですから。シャッポを脱いたら千分の百七十二・五がぐあいが悪くなる。それは当たり前だ、そのとおりだ。ここで抗弁しないことにはあなたの城が崩れてしまう、こう考えておるかもわからぬですが、しかし、至らなかったところは至らないで率直に認めてもらわぬと審議が進みませんよ。一たん答弁したことにいつまでもこだわるというようなことでは困りますよ。私は架空の資料を出しているのじゃないです。はっきり役所の資料に基づいて、役所の見解に基づいて、あなたの答弁と随分違いがありますからここでただしているわけです。
それではもう一回お尋ねいたしましょう。給与の何%ぐらいが個人の保険料負担としては限界なのか、それはどのようにお考えになっているのか。他の要素を入れなくて結構、入れずに発言が出ておるわけですから。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/148
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149・中島忠能
○中島(忠)政府委員 たびたび同じことを申し上げますけれども、所得の水準というのは先生がお話しになりますように、そこに書いてあるのかもわかりませんが、租税の負担の状況とか長期の掛金以外の社会保険料の状況とか、そういうものを勘案して考えなければならないだろうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/149
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150・経塚幸夫
○経塚委員 ちゃんとこれはほかの要素も入れているわけですがな、税の負担がこういうふうなことになると。
もう何回も同じことを聞くのはあれですけれども、一たん答弁したことに対しては絶対に後に引かぬ、死守するんだというような姿勢だったら、これは本当に実のある審議にはならぬから私はくどく言っているのです。大蔵省のこの方の発言は、さっき読み上げましたように税の負担なども考慮に入れて一〇%ないし一二・五%ぐらいが限界領域だ、こう言っているのですよ。この諮問機関の資料も、そういう前提に基づいて限界の領域を線引いているわけです。
委員長、これは重大な問題であります、掛金の限界をどこまで設けるかということにつきましては。百二国会の論議でも、後の調査室のまとめとしては、掛金の限界をどの線に引くかということについては論議が不十分、明確にされないまま来たというような経過の報告もあったように私は聞いております。これは当然明確にすべきだと思います。時間が参りましたので、この点につきましては留保いたしまして、次の機会に改めてまたお尋ねをすることにいたします。それまでにこの資料、よく読んでおいてください。この資料を見てもらったらわかると思います。
これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/150
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151・高鳥修
○高鳥委員長 次回は、明二十二日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304720X00519851121/151
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